経済・港湾委員会速記録第十号

平成二十二年六月十一日(金曜日)
第八委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長小沢 昌也君
副委員長高木 けい君
副委員長増子 博樹君
理事伊藤 ゆう君
理事高倉 良生君
理事鈴木あきまさ君
田中  健君
伊藤 興一君
笹本ひさし君
山崎 一輝君
三宅 茂樹君
佐藤 広典君
清水ひで子君
鈴木貫太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長前田 信弘君
次長真田 正義君
総務部長三枝 健二君
産業企画担当部長櫻井 和博君
参事村松 明典君
商工部長山手  斉君
金融部長保坂 政彦君
金融監理室長中村  靖君
金融支援担当部長櫻井  務君
観光部長小島  昭君
農林水産部長産形  稔君
雇用就業部長小田 昭治君
事業推進担当部長日請 哲男君
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長後藤  明君
港湾局局長比留間英人君
技監飯尾  豊君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長石原 清志君
港湾経営部長小宮 三夫君
港湾経営改革担当部長河内  豊君
臨海開発部長松岡 玉記君
参事平田 耕二君
参事延與  桂君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長成瀬 英治君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君
労働委員会事務局局長関  敏樹君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 港湾局関係
報告事項(説明・質疑)
・国際コンテナ戦略港湾への対応について
 産業労働局関係
契約議案の調査
・第百二十四号議案 東京国際展示場(二十二)会議棟改修工事請負契約
・第百二十六号議案 東京国際展示場(二十二)ビル管理設備改修工事請負契約
報告事項(質疑)
・新銀行東京の「平成二十二年三月期決算」について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○小沢委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書六件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議の結果、都市農業の振興及び農地の保全に関する意見書(案)については調整がついた旨、その他の意見書については調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、調整のついた案文の朗読は省略いたします。

都市農業の振興及び農地の保全に関する意見書(案)
 東京都の市街化区域内の農業は、安全で安心、新鮮な農産物の生産はもとより、その生産の基盤である農地が、都民生活に安らぎや潤いを与え、災害時の避難場所にもなるなど、様々な機能を有している。
 しかし、東京都の市街化区域内の農地は毎年減少しており、平成二十年には十年前の六千ヘクタールに比べ二割も減少し、四千七百ヘクタールとなっている。農地減少の大きな要因は、相続時における高額な税負担にあり、農家は、相続が発生すれば納税のために農地を手放さざるを得ない状況に置かれている。
 このため、都においては、市街化区域内農地の農地制度と税制度の改善を長年にわたり国に要請するとともに、都独自に農業と農地をいかしたまちづくりを進めるための事業を展開している。また、都内の市街化区域内に農地がある三十八区市町も、都市農地の保全を目指す取組を促進し、住民福祉の向上を図ることを目的として、平成二十年十月に都市農地保全推進自治体協議会を発足させ、国に対し都市農地保全の要望等を行っている。
 しかし、農業従事者の高齢化が進む中、国が、これまでの都市農地は宅地の供給源という考え方を改め、都市農地と住宅地が共存共栄できる政策に転換し、制度を改善しない限り、今後も相続を契機として、掛け替えのない都市農地が減少し続けることは明らかである。一度失われた農地を取り戻すことは極めて困難であり、一刻も早い対応が必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、都市農業振興の根拠法となる「都市農業振興法(仮称)」の制定を強く求めるとともに、現行の農地制度や相続税制度等の改善を行うなど、都市農地の保全のために必要な措置を講ずるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十二年六月 日
東京都議会議長 田中  良
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣 あて

○小沢委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十二年六月九日
東京都議会議長 田中  良
経済・港湾委員長 小沢 昌也殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百二十四号議案 東京国際展示場(二十二)会議棟改修工事請負契約
第百二十六号議案 東京国際展示場(二十二)ビル管理設備改修工事請負契約
2 提出期限 平成二十二年六月十一日(金)

○小沢委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の報告事項の聴取並びに産業労働局関係の契約議案の調査及び報告事項に対する質疑を行いますとともに、請願陳情及び特定事件の閉会中における継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○河内港湾経営改革担当部長 国際コンテナ戦略港湾への対応につきましてご報告申し上げます。
 お手元の資料1、国際コンテナ戦略港湾への対応についてをごらんいただきたいと存じます。
 都は、国土交通省が公募する国際コンテナ戦略港湾に、川崎市、横浜市、東京港埠頭株式会社及び財団法人横浜港埠頭公社とともに京浜港として応募し、去る五月七日付で計画書を提出いたしましたので、本日はその概要等についてご説明申し上げます。
 まず、国際コンテナ戦略港湾の概要でございますが、我が国のコンテナ港湾について、さらなる選択と集中により国際競争力を強化するため、国が港湾管理者等からの公募により、全国で一港ないし二港の港湾を選定することとし、本年二月に公募を開始いたしました。
 この公募に対し、本年三月に京浜港のほか、伊勢湾、阪神港、北部九州港湾の合計四つのグループが応募しております。
 次に、京浜港の計画書概要についてでございます。
 釜山港に対峙する国際拠点港湾の実現を目指し、東日本のメーンポート機能の維持、日本のハブポートの実現、東アジアの国際ハブポートの形成の三つのターゲットを設定いたしました。
 これらを実現するための方策として、主要なポイントとして四点を提案いたしました。
 一点目は、大規模コンテナターミナルの集中整備でございます。
 水深十八メートル以上の大水深岸壁を、横浜港南本牧ふ頭に整備することとし、三港の役割分担を明確にいたしました。
 二点目は、基幹航路の維持、強化のためのコスト低減でございます。
 例えば、基幹航路貨物の増加量に応じて、ターミナル貸付料の割引を行うインセンティブ制度の拡充や、コンテナターミナルの生産性を向上し、コスト低減を図っていくことなどを提案いたしました。
 次のページをごらんください。三点目は、基幹航路の維持、強化のための広域からの貨物集荷でございます。
 東北、北海道など地方発着貨物について、内航コンテナ船で京浜港へ輸送するコストと、外航コンテナ船で釜山港へ輸送するコストを比較した場合、現状では、釜山港へ輸送するコストの方が安くなっております。釜山港などから貨物を取り戻すため、国、港湾管理者、民間事業者が一体となって、このコスト差を解消するための具体的な方策を提案いたしました。
 四点目は、戦略的な港湾経営の推進でございます。
 東京港におきましては、現在整備中の中央防波堤外側コンテナターミナルの供用を契機に、既存のコンテナターミナル借り受け者の移転を伴う大規模なコンテナターミナルの再編を行い、東京港全体の機能強化を図ることを提案いたしました。
 こうした施策を実現するための体制につきましては、京浜港を一体的に経営する主体として、日本版ポートオーソリティーの設立を目指すことや、その実現に向け、東京港、横浜港の両埠頭会社を平成二十六年度に経営統合することなど、具体的な手順を明確化いたしました。
 最後に、国への制度要望についてでございます。
 国際コンテナ戦略港湾の実現に向け、京浜港のみを対象に規制緩和、税制優遇、国費の重点配分を行う特区の創設などを国へ要望いたしました。
 以上が計画書の概要となりますが、詳細は、資料1-2、京浜港国際コンテナ戦略港湾計画書の概要に記載してございますので、後ほどご確認いただきたいと存じます。
 経緯及び今後の予定は、資料記載のとおりでございますが、今月中に国際コンテナ戦略港湾の選定が行われる予定となっております。
 以上、国際コンテナ戦略港湾への対応についてご報告させていただきました。よろしくお願いします。

○小沢委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 ただいま報告のありました国際コンテナ戦略港湾への対応についての質問をさせていただきます。
 アジアの経済発展に伴って、東アジアと欧米など先進国との貿易量が年々増大し続けております。こうした中で、国際的な物流、とりわけ海上物流の重要性はますます高まっているということができます。
 国際的な輸送量を海上輸送と航空輸送で比較すれば、二〇〇六年度において、この日本においては実に九九・七%が海上輸送で占められております。日本は島国であり、輸出を考えてみると、自動車は船舶に頼るしかなく、また、輸入においても、鉄鉱石、石油といった原材料やエネルギー資源に関しても同様であります。こうした輸出に係るコストや時間は、国際競争力という観点では、非常に重要なポイントとなってまいります。
 全世界のコンテナ量を、九六年から二〇〇六年までの十年間で見てみましても、二・九倍に増加しているのに対して、日本のコンテナ取扱量は一・七倍にとどまっております。一方で、アジアは実に三・五倍に大幅に増加しております。世界の経済に占めるアジアの存在感は確実に高まる一方、日本の位置づけは相対的に低下しつつあります。
 そのアジアの躍進の中で、日本に寄港する北米向けの基幹航路や定期便は、実にですね、これはさらに半減をいたしまして、この十年で半分となってしまいました。このため、国においては、昨年十月、前原大臣のもと、国交省成長戦略会議を立ち上げ、五分野の新たな成長戦略を策定することを表明し、その一つが、この港湾行政に関してであります。
 六十の重要港湾と位置づけられていた新規の施設整備をやめて、ばらまき的な港湾行政を改めて、選択と集中によって新たに、今回説明のありました国際コンテナ戦略港湾を選定することになりました。この港湾は、釜山港に伍するサービスを提供できる港湾を一ないし二港を国が選定するものであります。
 東京港は、川崎港、横浜港とともに京浜港として応募し、昨月の七日、計画書を提出したとの報告が先ほどありました。京浜港は、一昨年から既に三港の広域連携の強化に着手し、共同ビジョンを策定するなど、どの港よりも先駆けた取り組みを進めてきました。その取り組みを展開する中で、この戦略港湾の計画のもととなるものも策定していったものと考えます。
 三港合わせたコンテナの取扱量は、日本の全体の四割を占め、取扱量だけを見れば優位であります。港の役割を明確にして、重複的な設備投資を避けるなど、規模を生かした港湾運営ができるかがかぎといわれています。
 そこで、京浜港として今回応募する中で、東京港、川崎港、横浜港の担っていく役割というものを明確にしたという報告がありました。それぞれの役割をどのように位置づけたのか、まずお聞きします。

○河内港湾経営改革担当部長 現在、東京港は商業港、川崎港は工業港、横浜港は商業港及び工業港の双方の性格を有する港として、三港は互いに補完し合って、京浜港として首都圏の経済活動を支えてございます。
 今後、国際競争力を一層強化するためには、三港それぞれの特性や強みを生かすとともに、三港の適切な役割分担のもとで連携によるスケールメリットが発揮できるように取り組んでまいります。
 例えば、容易に水深が確保でき、超大型船に対応できるマイナス十八メートルの大水深岸壁は、横浜港南本牧ふ頭に整備いたします。
 東京港におきましては、コンテナターミナルの再編などにより、横浜港とともに基幹航路やアジア近海航路の充実を図ってまいります。
 川崎港につきましては、アジアから主に北海道や東北地方の港に向けた輸入貨物の積みかえ拠点としての役割を担っていくと、このようにいたしました。

○田中委員 それぞれの三港の特性や強みというのを生かして、今後は実際にその連携によって、その強みを二倍、三倍にしていっていただきたいと思っております。
 その今の役割の明確の中で、さらに重要なのは、具体的な目標としては、先ほどから挙げられている釜山港に対峙する日本の港湾となることであります。二〇〇六年に供用を始めた釜山新港という港は、貨物船が利用する場合、費用は日本よりも四割も安く、しかもターミナルの背後にある土地一平方メートルを借りるとすると、年三十七円という、ほとんど無料同然で企業に貸して、また、物流センターなどを誘致しております。
 日本の地方港も、国内の主要港より、先ほどありました釜山との結びつきを強めています。数でいうならば、実に定期コンテナ便がある六十二の地方港のうち、今や五十九港が釜山と結ばれております。地方の空港が海外便に活路を求めるように、港もまた海外を目指している現状があります。日本の地方港から釜山に流出している貨物を日本の港湾に取り戻すことを初め、国内貨物を京浜港に集約するための仕組みを講じる必要が早急にあります。
 そこで、この国内貨物の集荷というものを、具体的にどのように進めていくのかお聞きします。

○河内港湾経営改革担当部長 ご指摘のとおり、釜山港に流出している貨物を取り戻すことを初め、国内貨物の集荷のために多角的な取り組みが必要であると考えてございます。
 今回の計画では、五年後に取り扱う貨物量の目標を一千五十万個に設定してございます。これは、現在の京浜港の貨物量を二百九十万個ほど増加させるものでございまして、そのうち釜山港に流出している貨物も含め、二百二十万個が国内から集荷する貨物としております。
 具体的には、北海道、東北地方の太平洋側の貨物を中心とし、釜山フィーダーに対抗するため、内航船のコスト縮減を初め、鉄道、トラックの輸送モード別に、その輸送特性に合わせて荷主や運送事業者に対する補助や支援などを官民双方で実施し、釜山港とのコスト差を縮め、競争に打ち勝ってまいります。
 さらに、八戸港を初めとする国内各港との連携の一層の強化や、三港共同での荷主へのセールスの展開などにより、京浜港に貨物を集中させることとしております。

○田中委員 確かに京浜港が国内貨物を集約して、釜山港に対峙する日本のハブポートを実現することというのが、これからの日本の成長戦略には欠かせない重要な要素であります。そのためには、貨物集荷を進めるとともに、実際ここを使っている利用者にとって利便性の高い、使いやすい港を形成していくことが重要であります。
 それは、以前出されましたこの共同ビジョンの中でも、今後、国内貨物輸送網の充実強化に向けて、国内輸送コストの低減、輸送効率の改善を図っていくと述べられております。具体的には、鉄道輸送の促進やトラック輸送の効率化が必要であると、課題とされておりました。特に日本におけるコンテナ貨物取扱量が、連続十一年日本一であります、この東京港では、効率的なターミナル運営をしていくことがテーマとなってまいります。その中で、交通の集中によって、コンテナターミナルゲートの前の渋滞も大きな課題となっており、対応が求められております。
 今回のこの計画書の中では、ターミナルの再編において計画がなされておりますが、今述べたような課題について、どのような対応が計画されているのかお聞きします。

○河内港湾経営改革担当部長 東京港の主力ふ頭である大井ふ頭及び青海ふ頭は、貨物量が増大する一方で、用地の制約などにより処理能力が限界に近づいているため、一部のターミナルでは、ご指摘のとおり、ゲート前の混雑が発生し、都としても課題として十分認識しております。
 このため、現在、中央防波堤外側に新たなコンテナふ頭を整備中でございまして、完成後は、大井ふ頭と青海ふ頭と一体となって、東京港の貨物量の増加に対応してまいります。
 さらに、新たなコンテナふ頭の整備を契機に、ふ頭全体の再編に着手し、一バース当たりの面積の拡大と必要な施設の更新を行い、ふ頭機能の高度化と生産性の向上を実現してまいります。

○田中委員 今、説明していただいたのは、恐らくこの概要の一一ページにあります東京港と書かれたところの整備、また再編だと思うんですけど、今、大井や青海が--外貿の方にも新しくつくると。ここではC1、C2、C3と書いてありますが、またその後ろにも、物流拠点や待機レーンなどの整備ということでこれから整備が進んでいくと思われますが、これは一体的にコンテナ港として進めていくという理解でよろしいんでしょうか。

○河内港湾経営改革担当部長 ターミナルの再編の中で、現在発生している混雑、交通渋滞等を吸い込んでいくという考え方のもとに、先ほど申し上げましたターミナル本体の一バース当たりの面積の拡張というのを図っていく。そのような再編と合わせまして、例えば今後予定しております大井ふ頭と城南島間の埋立地をつくるわけでございますが、その場所や中央防波堤外側のコンテナターミナルの背後地、これを利用いたしまして、コンテナ車両の待機レーンなどを整備することで、そこに現在、外の一般道に並んで渋滞を起こしておりますコンテナトラックを吸い込んでいく等の総合的な対策としてふ頭再編を進めてまいりたいと考えております。

○田中委員 利用者にとっては混雑や渋滞解消というのがこれから大変大きなテーマになってくると思いますし、望まれていることかと思いますので、ぜひとも整備の方をよろしくお願いしたいと思います。
 また、先ほど、この物流拠点、また待機レーンを含め、総合的なるこのコンテナ船の改良を図っていくとありました。同時に、十月にはこの大田区にあります羽田空港の再拡張、再国際化というものを背景に、羽田空港に隣接したこの東京港でも、海上貨物はもちろんのこと、空港貨物についても視野に入れ、陸、海、空、あらゆる資源を投入して東京湾の物流機能を総合的に高めていく必要があると思っております。
 今後予想されるこの国際航空貨物の増加に対して、東京港として的確に対応すべきだと思っておりますが、どのような計画がされていますでしょうか。

○河内港湾経営改革担当部長 現在、多くの海上貨物を取り扱っている東京港では、隣接する羽田空港再拡張後の国際定期便の就航に伴いまして、航空貨物の増加も視野に入れて物流拠点を整備していくことが求められております。
 そこで、今後、東京港におきましては、中央防波堤外側埋立地などに新たな物流拠点を形成していく予定でございまして、また、京浜港全体として見ました場合に、川崎港及び横浜港の臨海部も含めた地域において、物流機能の充実を図ることとしております。
 これらにより、航空貨物など新たなニーズに対応し、引き続き首都圏の生活と産業を支えていく所存でございます。

○田中委員 今回のこの国際戦略港湾の選定においては、四月の第一プレゼンテーションの結果は大変厳しい結果だったということも聞いております。もちろん他の港も必死で努力してきたからではありましょうが、一方で、東京は選ばれて当たり前というか、当然という慢心がどこかにあったのかもしれません。一般質問の中でも他の先生が質問していましたが、もう国内でどうこういっている場合ではないと思っております。世界を目指して、京浜港のこの共同ビジョンもつくったはずであります。
 一方で、先日、第二プレゼンテーションも行われたということでありますが、これは大変よく、評価も高かったということも聞いています。今回の改革がアジアの主要港として生き残るラストチャンスといわれている中で、この国際港湾への道が、我ら東京が、先ほどもいいましたが、陸や海、空、この運輸交通ハブ基地になれるかという大きなテーマにつながっています。
 選定に関しては、すべて手続は終わって、あとは待つだけかと思いますが、都としてもう一度気を引き締めて、あらゆる課題に対して国や自治体、また港湾業界、これが利害を超えて一致団結していくための先頭に立っていただきたいと思っております。
 私たち党としても、先日、大臣の方に申し入れをしましたが、すべての資源を使って必ずこの選定港に選ばれるように努力していただきたいと思います。その思いを込めて、最後に局長の決意を述べていただきまして、私の質問を終えたいと思います。

○比留間港湾局長 現在の港湾を取り巻く状況でございますけれども、アジア諸港の躍進は著しく、今後とも日本経済が安定的に成長していくためには、我が国港湾の国際競争力を抜本的に強化することが不可欠でございます。今回の国によります国際コンテナ戦略港湾の選定につきましては、我が国のコンテナ取扱量の四割を占める京浜港が選定されることが、日本が国際競争に打ち勝っていく最短の道であるというふうに確信をしております。
 しかしながら、阪神港を初めといたしまして、今回応募をしてきました港湾も、それぞれ港の将来と生き残りをかけて必死で取り組んでおり、大変厳しい競争、レースになっていると認識しております。
 京浜三港といたしましては、さきに公表いたしました京浜港共同ビジョンをさらに充実、進化させて、釜山港等をターゲットとして港湾機能の向上や港湾コストの縮減等、貨物の集荷を図るための具体的で実効性のある多くの施策を計画書で提案をしたところでございます。
 選定作業は現在、最終段階を迎えており、週明けの十四日には選定委員会委員の質問に答える形で三回目のヒアリングが予定されておりますけれども、これへの対応を含めまして三港で総力を結集し、最後まで全力で努力を続けてまいりますので、都議会の先生方におかれましても、引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また、選定が受けられました場合は、計画書に盛り込みました施策を国や民間事業者とも十分協力しながら、スピード感を持って実施し、有力な東アジア諸港の中で京浜港の存在を確固たるものにするように全力で努力をしてまいります。

○山崎委員 私も、国際コンテナ戦略港湾への対応について二つお伺いをさせていただきます。
 貿易立国である我が国にあって、港湾は海上輸送の物流拠点として、また、経済活動の生命線として重要な役割を担っております。厳しい国際競争の中で経済活動を行う船会社や荷主から寄港地として選ばれ得る港湾の整備は、喫緊の課題であります。
 東京港は、横浜港、川崎港とともに、二年前からみずからの責任と判断のもとで、躍進するアジア諸港との競争に危機感を共有しながら、京浜港の広域連携に踏み出したわけでございます。昨年十二月には法定協議会を設置し、ことし二月には京浜港共同ビジョンを発表するなど、広域連携の成果を着実に上げてきました。
 一方、おくれて国は、京浜港の動きと同調するように、現在、我が国港湾の国際競争力の強化のために、国際コンテナ戦略港湾の選定作業を行っております。先ほど報告がございましたが、京浜港のほか、伊勢湾、阪神港、北部九州港湾の四港湾が名乗りを上げていると聞いております。
 そこでお尋ねいたしますが、国が進める国際コンテナ戦略港湾に京浜港が選定されることは当然のことと考えますが、選定されることで、これまで京浜三港で行ってきた広域連携の取り組みがさらに前進すると考えていいのか、お伺いをいたします。

○河内港湾経営改革担当部長 ただいま先生からのお話がございましたとおり、京浜三港は、既に二年前から港湾の国際競争力の強化を目指して広域連携の取り組みを進めておりまして、今般の国際コンテナ戦略港湾施策は、京浜三港連携の取り組みと軌を一にするものと考えてございます。
 今回の応募に当たりまして、東京港、川崎港、横浜港は、それぞれの港が持つ特徴や強みを生かし、三港一致協力して京浜港共同ビジョンを踏まえ、さらにそれを精査し、高度化する一方、新たな施策を加えるなどして、先ほどご説明申し上げました計画書を作成いたしました。
 国際コンテナ戦略港湾に選定されることで、国による重点投資などの支援も得、また、民間事業者のより一層の理解も得ながら、今回の計画書に基づく施策をスピード感を持って実行し、東アジアの中での京浜港の位置づけを確かなものにしてまいりたいと考えてございます。

○山崎委員 今、答弁がありましたが、国際コンテナ戦略港湾の選定を受けて、京浜三港の取り組みがさらに進むとのことでございます。
 さらに一歩進んで、一昨日の本会議で我が党の宇田川議員の質問の中でもあったとおり、京浜港は日本国内で争っている場合ではなく、具体的にアジア諸港をターゲットとした戦略を練り上げていくことが必要と考えます。
 計画書では、京浜港が東アジアの国際ハブポートを目指すとしており、とりわけ釜山港との競争を重視しておりますが、釜山港と競うに当たり、提示されている九つの基本戦略のうちどこに力点を置くのか、お伺いをいたします。

○河内港湾経営改革担当部長 計画書では九つの基本戦略を提案しておりますが、釜山港等との競争に勝ち抜いていくためには、とりわけ国内貨物の集中、北米など基幹航路の拡大、トランシップ貨物の拡大、アジアの成長の取り込み、ターミナルの競争力の強化の五つが重要と考えてございます。
 こうした戦略の具体化として、内航、鉄道、トラック輸送の価格競争力の強化策やターミナル使用料の優遇措置拡充による港湾コストの低減などを実現し、広域からの貨物集荷に努め、釜山港への貨物の流れを京浜港へと変えてまいりたいと考えております。

○山崎委員 ぜひそうした施策に着実に取り組み、我が国港湾の国際競争力の強化に取り組んでいただきたい。
 京浜港は、首都圏の経済や住民生活に直結する港であり、国内コンテナ貨物の約四割を扱う我が国最大の港でもあります。
 京浜港は、国際コンテナ戦略港湾に当然、選定されるものと考えておりますが、今回、京浜港が選定されれば、国に先駆けて進めてきた広域連携の取り組みの有効性を示す上で効果があることと思います。今後とも、横浜港、川崎港と連携をして、京浜港の国際競争力を一段と強化する取り組みを、全力でスピード感を持って推進していただきたい。
 国はこれまで、各港湾管理者等に対し、限られた時間の中で計画書の取りまとめを行わせたところでありますが、一方で、国は提案を受けるだけで、国際コンテナ戦略港湾に選定された港湾に対し、国として行う支援策の具体的、体系的なメニューを示していないのではないかと私は思います。国は早急にこの点について考え方を示すとともに、各港が提案した施策の実現に向けて必要な予算を確保するなど、国としての役割をきちんと果たすべきだと思います。
 選定作業も大詰めの段階と聞いております。京浜港が国際コンテナ戦略港湾に選定され、日本港湾の復権の先頭に立つことができるよう、最後まで頑張っていただきたいことを強く要望して、私の質問を終わります。

○伊藤(興)委員 私からも、国際コンテナ戦略港湾について、三点質問をさせていただきます。
 都議会公明党は、かねてより都民生活の安定や中小企業の振興のためにも、東京港の国際競争力向上の重要性について指摘をさせていただいたところでございます。
 先ほどの説明では、京浜港の目指す目標として、釜山港等に対峙する日本のハブポート、あるいは、東アジアの国際ハブポートとございましたけれども、これを実現することはそう簡単なことではないと思います。この目標を実現するためには、まずは基幹航路を維持、強化、拡大していくことこそが重要な課題であると思います。
 そこで、京浜港に基幹航路を維持、強化、拡大していくためには何が必要となるのか、伺いたいと思います。

○河内港湾経営改革担当部長 船会社は、寄港地の決定に当たりまして、背後圏との近接性などの立地条件や港湾コスト、サービスの質など、さまざまな要因を考慮いたしますが、何よりも重視していることは、基幹航路に投入しているコンテナ船に見合うだけの貨物量を確保できるかということでございます。
 したがいまして、あらゆる方策を講じて貨物を確保する必要がございますが、まず苫小牧、八戸、仙台などの地方港から発着し、釜山港等アジア主要港を経由して北米などへ輸出入されている国内貨物を京浜港に集中させて、取扱貨物量を増加させることが最重要であると考えております。

○伊藤(興)委員 京浜港に地方港発着の貨物を誘致して取扱貨物を増加させるとのことでございましたけれども、一度決まってしまった物流ルートを切りかえていくということは簡単ではないと思います。
 説明にもありましたけれども、そもそも釜山港経由で輸出入される貨物が増加した要因は、釜山港経由で輸送する方が、京浜港経由で輸送するよりもコスト面で大きなメリットがあるからではないかと考えます。
 そこで、先ほど輸送コストの格差を官民一体となって解消していくとの説明がありましたけれども、具体的にどのようにコスト差を解消していくのか、伺いたいと思います。

○河内港湾経営改革担当部長 京浜港を経由した貨物は、例えば北米航路ですと輸送日数の三分の一に当たる四日から六日早く到着いたします。また、コスト面では、ケースによってまちまちでございますが、数万円高くなっているというような実態がございます。
 この価格差の圧縮につきまして、貨物の一層の集荷など、民間に努力をお願いするというのが原則でございますが、土地代など内外価格差や税制の差など、民間事業者の努力だけではいかんともしがたいところも多くございます。
 そのため、国の税制優遇策や港湾管理者などによる、釜山港経由から京浜港経由に切りかえた大口荷主への補助制度や、ターミナルコストの低減などの手法により、おおむね価格差の半分を埋めていこうと考えております。
 このように、国、港湾管理者と民間事業者の双方で価格差を埋めていくことといたしますが、なお埋まらない差につきましては、内航船舶の寄港頻度や悪天候時の代替輸送など、京浜フィーダーのサービスの優位性でカバーしてまいりたいと、このように考えております。

○伊藤(興)委員 価格差につきましては、民間事業者の努力はもちろんのこと、国、あるいは港湾管理者で埋めていく取り組みをするということでございました。
 また、なお埋まらないコスト差については、京浜フィーダーのサービスの優位性でカバーしていくという説明でありましたけれども、この京浜フィーダーの優位性とは具体的にはどういうことなのか、伺いたいと思います。

○河内港湾経営改革担当部長 京浜フィーダーにつきましては、輸送日数的には四日から六日、釜山フィーダーより早く北米に到着すると。また、輸送頻度も多く、悪天候時に陸送に、陸のトラック輸送に切りかえることができる輸送ルートの代替性など、これらの点につきまして京浜フィーダーの方に優位性がございます。
 例えば、自動車部品などのように必要な数を安定的に入出荷することにより、なるべく在庫コストを圧縮したい貨物などは、京浜フィーダーの方にメリットがございます。
 また、釜山フィーダーは、波の荒い日本海を航行するために貨物が破損することも多くございまして、精密機械のようなものを輸送する際は京浜フィーダーの方にメリットがございます。
 さらに申しますと、日本の熟練した荷役作業も世界的に評価されているところでございます。
 このように、貨物の性格によっては単純にコスト面だけで語ることはできないため、こうした優位性もアピールしながら貨物の集荷に努めてまいりたいと考えております。

○伊藤(興)委員 今回、この国際コンテナ戦略港湾に選定された後、さまざまな取り組みをすることによりまして、現在のコンテナ貨物取扱量約七百六十万個を、約一千五十万個まで伸ばすことを目指していると聞いております。
 京浜港は、背後の生活や産業と密接に結びついている港であり、貨物取扱量がふえるということは、港を取り巻くさまざまな民間事業者の方々にも種々のメリットがあると考えられます。
 私の地元品川にも、港にかかわるさまざまな業種の企業の方々がたくさんいらっしゃいますけれども、一昨年のリーマンショック以来、なかなか景気も厳しい状況が続いている中、今回の国際コンテナ戦略港湾に選ばれることを、そしてまた、港が発展することを期待している民間事業者の方々がたくさんいらっしゃいます。
 今後とも、京浜港が国際コンテナ戦略港湾に選定されるように、しっかりと取り組まれることをお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○清水委員 国土交通省は、公共事業の選択と集中を強調し、港湾についても日本の数多い主要港の中から一、二港を選び、集中的に投資しようとする方針に沿って公募を行い、都は川崎、横浜とともに京浜港として応募しました。
 マスコミは、この国土交通省の取り組みは、入港料や施設整備を行わせ、公共事業費を縮減させるのもねらいだというふうに報じました。ただいま報告のありました国際コンテナ戦略港湾への対応について、何点か伺います。
 まず、国際ハブ港と現在の港とはどういう違いがあるんでしょうか。

○小宮港湾経営部長 いわゆる国際ハブポートとは、シンガポールや香港のようにトランシップ貨物を中心に取り扱っている港を指しております。
 京浜港は、トランシップ貨物とローカル貨物の両方を取り扱っておりますが、ローカル貨物の割合が高いため、現時点では国際ハブポートとはいえません。
 今般の計画書では、トランシップ貨物の割合をふやし、国際ハブポートとしての京浜港のさらなる成長を目指しております。

○清水委員 それでは、釜山港と対峙した場合に、東京港の弱点は何だというふうに考えておられるのですか。

○小宮港湾経営部長 東京港を含む京浜港の釜山港に対する弱点は、港湾コストが割高であること、また、日本海側の港を起点とした場合に、釜山港と比較して海上輸送距離が圧倒的に長いという地理的な要因から、日本海側の港から京浜港への海上輸送が、コスト面、時間面から釜山フィーダーと比較して不利なことでございます。

○清水委員 釜山港と対峙する場合、今いわれましたが、日本の港湾は割高だというふうにいわれているわけです。その主な原因、要因はどのようなものだと考えているのですか。
 また、割高コストが内外の荷主、船会社が港を選択する際の判断にどのような影響を与えていると考えているのか、お伺いいたします。

○小宮港湾経営部長 港湾コストは、主に荷役料、ターミナル費用、それから船舶関連費用で構成されておりまして、それぞれが割高となっております。
 船会社が港を選ぶ基準は、取扱貨物量、それから、コストやサービス水準、定時性、頻度などでございます。
 今回の計画書では、このコスト差を埋めるための具体化な施策を提示しております。

○清水委員 今、コストの低いルートを選択する場合もあるというふうにいわれました。裏返していえば、さまざまな条件で選択するというふうにいえるわけです。それでは、国際ハブ港を目指した場合、どのような基盤整備が必要になるのでしょうか。
 それから、この総額を責任を持って見積もるのはだれなのかということをお伺いいたします。

○小宮港湾経営部長 船舶の大型化など、港湾を取り巻く情勢は、日々刻々変化しておりまして、国際ハブポートを目指すか否かにかかわらず、ヤードの拡充など、利用者ニーズに対応するための基盤整備は常に必要でございます。
 なお、基盤整備の基本的な考え方は、港湾管理者が港湾計画により策定しまして、必要な経費についてはそれぞれの役割分担に基づき、港湾管理者である東京都、東京港埠頭株式会社が対応しております。

○清水委員 先ほどもご説明の中でありましたけれども、東京都は既に川崎、横浜とともに国の動きに先行し、五、六年前から京浜三港連携の動きを強めています。そして、先般、京浜港共同ビジョンを発表しました。
 この中では、三環状道路などや国道三五七号の整備促進、港湾輸送の拡充強化、コンテナターミナル前の混雑緩和、共同バンプールの設置など、数々の総合港湾としての機能向上策を展開していくと書いています。
 また、釜山港と対峙した場合の東京港の弱点は、今お話がありましたが、日本海側の港とのネットワークが弱いことを主なる弱点に挙げました。要するに、陸上の物流整備も大きな課題であるということをいっているのと同じだと思います。
 私は、こういう計画を都民に示すのならば、物流基盤整備の総額を見積もって、その大枠を見積もって提示をすることがなければ、国民の合意は得られないというふうに考えるわけですけれども、お考えを伺います。

○小宮港湾経営部長 港湾は、都民生活に必要不可欠なインフラでございまして、ハブポートを目指すか否かにかかわらず、利用者ニーズに対応するための基盤整備は常に必要でございます。そのために、必要な経費につきましては、各年度の予算審議を通じまして、都民との合意形成を図っているものと認識しております。

○清水委員 それでは、本当に都民の納得が得られるかどうか定かではありません。こういう計画をするんだ、釜山港と対峙して競争力に勝つんだということで、一体どういうものがこれから必要になるのかということを示さなければいけないというふうに私はいっているのです。
 ポートオーソリティーを設置するというお話もありました。どのようなポートオーソリティーを考えているのか、お伺いいたします。

○小宮港湾経営部長 京浜港の目指すポートオーソリティーにつきましては、民間活力を生かしながら、社会経済の動向や利用者ニーズに柔軟かつ機動的に対応できる港湾経営を行える組織体制を考えております。
 今後、京浜三港で策定いたします京浜港の総合的な計画で、日本版ポートオーソリティーの枠組みを構築してまいります。

○清水委員 東京港のポートオーソリティー論については、石原知事が二〇〇二年の「文藝春秋」三月号で、陸運、海運、空港の統合した運営、無税にした経済特区構想として登場しました。
 一方、港湾局がポートオーソリティー構想を打ち出したのは、臨海ホールディングスの立ち上げ、その資源をフルに活用し、地域全体の経営がより円滑に進めるようにし、オリンピック招致による成熟した都市の建設に邁進していくと答弁し、一気に高まりました。そして、今回の京浜三港の共同ビジョンの前、京浜三港を進める中、二〇〇八年十一月、東京港の国際競争力強化を目的に、京浜三港が港を一体的に管理する、ポートオーソリティーの設立を視野に入れて推進することで合意したことを発表しました。
 先ほど、国際ハブ港を目指す基盤整備費については、納得できない答弁をいたしましたが、港湾局がこれまで議会で説明してきたポートオーソリティー構想でも、国際競争力強化を目的にした都市の建設という以上、この点でも基盤整備にかかわる大枠の総額をどのように見積もっているのか、都として責任を持って明らかにする必要があることを述べておきます。
 次に、民の視点からの効率的な港湾経営とは、具体的にどのような姿になるのですか。京浜港国際コンテナ戦略港湾特区とはどのようなものか、お伺いいたします。

○河内港湾経営改革担当部長 コンテナふ頭の経営には、荷主や船会社などの国内外の民間企業と密接な連携や折衝が不可欠でございまして、国際的なビジネスと同水準の迅速性や柔軟性が求められております。
 このため、東京港埠頭株式会社の経営幹部や営業部門へ民間人材を登用いたしまして、積極的な貨物集荷や一層の経営の効率化を推進していく所存でございます。
 また、京浜港国際コンテナ戦略港湾特区につきましては、京浜港に限定し、規制緩和や税制優遇、国費の重点配分を行う新たな特区制度の創設を要請したところでございます。

○清水委員 簡単に規制緩和といいますけれども、規制緩和策というのも、よくよく考えなければ、それがどういう結果をもたらすのかということは、これまでのさまざまな問題で明らかになっているわけです。その教訓をきちんと生かすということが求められていると思います。
 国際競争の名のもとに、貨物取扱量などで格段の差があるアジア周辺港湾との意味のない競い合いと、それを口実にした規制緩和、大型公共事業の推進をしようとしているということは明らかです。それは、国土交通省の国際コンテナ戦略港湾検討委員会の議論の中で、日本経団連などが釜山港に対峙するためになどといっていることなどから見ても明らかです。
 もともと韓国の釜山港は、国際ハブ港として発展してきたもので、競争する相手とは、実績において、余りにも大きな隔たりがあるというのが実態ではないですか。東京、横浜のコンテナの数値は、シンガポール、上海、釜山の上位港の二割から三割にすぎません。そこに競争を挑むというのは大変なことです。そして、この競争が国民の暮らしや日本経済全体をよくすることにつながるのかということです。また、首都圏への集中というのも、同時に地方経済の疲弊を一層悪化しかねません。
 釜山などアジアのハブ港湾を中継すれば、直接地方都市への貨物輸送が可能になります。首都圏の港湾に荷揚げした荷物を、陸路トラックで輸送する必要はなくなります。競争の発想ではなく、既にハブ港となっている港の活用など、アジアの視点に立って協調することも含めた物流精査こそ必要だと考えますが、伺います。

○河内港湾経営改革担当部長 まず、釜山港と京浜港を比べた場合、おおむね釜山港の方が、今、倍とまでは申しませんが、若干、四割ほど多いというような実態でありまして、五倍とかそういう数値ではございません。それは指摘させていただきたいと思います。済みません。
 それから、答弁でございますが、我が国経済を安定的かつ継続的に発展させるためには、海洋国家日本にとりましては、生活と産業を支える重要なインフラとして、基幹航路が寄港する拠点港湾が必要不可欠であります。アジア諸港の躍進に伴いまして、我が国港湾の相対的な地位が低下する中で、基幹航路の減少は現実の問題として発生しておりまして、巻き返しを図るためには、今が正念場となっております。
 このため、国内外からの貨物集荷を進め、熾烈な国際競争を繰り広げる東アジア主要港と競い合い、その中で確固たる地位を築くことがどうしても必要でございます。
 今後とも、港湾コストの低減や利用者サービスの向上など、京浜港の国際競争力の強化に向けた取り組みを、三港連携して積極果敢に実施していく所存でございます。

○清水委員 都としての対応もあるわけですけれども、そもそもやはり、私は、この方向を決めた国の姿勢にも問題があるというふうに思うわけです。今、日本全体の国民の実態、それから、一体どういう対策をとればいいのかということを真剣に考え、経済は外需頼みでなく、内需に拡大を進めるとか、税金の使い方をきちんと改めるとか、今行うべきことは、都民の暮らしや中小企業への対応だというふうに考えます。国民の合意をもっと深めて進めるように求めて、質問を終わります。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○小沢委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百二十四号議案及び第百二十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○小沢委員長 次に、報告事項、新銀行東京の平成二十二年三月期決算についてに対する質疑を行います。
 本件は、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三枝総務部長 去る五月二十六日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 まことに恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 まず、目次でございます。報告事項に係る資料は全部で十一項目でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きください。新銀行東京の再建計画の進捗状況をお示ししてございます。
 上の表にお示しをしたとおり、損益計算書の当期純利益につきましては、再建計画上の平成二十一年度収益計画ではマイナス十九億円でございますが、平成二十一年度決算ではプラス十五億円となってございます。
 次いで、下の表にお示ししたとおり、貸借対照表の純資産につきましては、再建計画上の平成二十一年度収益計画では四百億円でございますが、平成二十一年度決算では四百九十億円となってございます。
 続きまして、二ページから三ページにかけまして、新銀行東京の開業以降の月別の融資件数、残高、返済額、不良債権額につきまして、平成十七年四月から平成二十二年三月までの実績をお示ししてございます。
 三ページの表にお示しをいたしましたとおり、平成二十二年三月末までの中小企業向け融資の実行件数の累計は、一万九百九十一件となってございます。
 続きまして、四ページから五ページにかけまして、新銀行東京の開業以降の融資、保証実績で、月別、メニュー別の件数、金額につきまして、平成十七年四月から平成二十二年三月までの実績をお示ししてございます。
 五ページの表にお示ししたとおり、平成二十二年三月末までの中小企業向けの融資と保証を合わせた実績の累計は、実行件数が一万八千二百十二件、実行金額が三千三百億五千万円となってございます。
 恐れ入りますが、続きまして六ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の融資、保証実績で、事業規模別の件数、金額(残高ベース)をお示ししてございます。
 平成二十一年度末時点の融資と保証の合計の件数は七千五百二十四件、残高は六百九十五億五千百万円となってございます。
 続きまして、七ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の融資、保証実績で、事業規模別の件数、金額(実行ベース)をお示ししてございます。
 平成二十一年度の融資実績は、下段にお示ししたとおり、件数が四百五十七件、金額が四百四億八千八百万円となってございます。
 続きまして、八ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の債務超過企業、赤字企業への融資、保証実績をお示ししてございます。
 一番右側の欄は、平成二十一年度末時点の実績でございまして、合計の件数は四千七十三件、残高は二百四十三億円となってございます。
 続きまして、九ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数、割合、金額をお示ししてございます。
 平成二十一年度末時点における一千万円以下と一千万円超の個人及び法人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
 続きまして、一〇ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数、割合、金額の推移をお示ししてございます。
 平成十七年度から同二十一年度までの各年度末時点における一千万円以下と一千万円超の個人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
 続きまして、一一ページをお開きください。新銀行東京の融資実行先における無担保・無保証融資の実績の推移でございます。
 平成十七年度から同二十一年度までの各年度における無担保・無保証による融資の実行件数、実行金額をお示ししてございます。
 続きまして、一二ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の人件費、物件費の推移でございます。
 平成十七年度から同二十一年度までの実績をお示ししてございます。
 続きまして、一三ページをお開きください。新銀行東京の有価証券残高とその内訳の推移でございます。
 平成十七年度から同二十一年度までの有価証券残高とその内訳をお示ししてございます。
 以上でご要求いただきました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○小沢委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 新銀行東京についての質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回の代表質問の中で答弁のあったことで、幾つか、先に再度お聞きしたいと思うことを質問させていただきます。
 旧経営陣に対する裁判の先行き、書類の管理などの状況を踏まえて、関係するすべての書類や証言などは、都が責任を持って収集して管理しておくべきだというような発言の中で、当局で管理はしているというふうな一言、発言がありました。
 過去、外郭団体が旧経営陣との書類を破棄していたことも発覚した事実があることも明らかになっておりますが、これはどのように、これまでと書類の管理について、都としては徹底したのか、まずお聞きします。

○中村金融監理室長 平成十七年七月に、新銀行設立本部から産業労働局に新銀行東京の所管が移りました。その際に引き継いだ文書並びにそれ以降の文書につきましては、文書管理規程に基づき、適切に管理しているところでございます。
 その上で、新銀行東京に関する文書は、新銀行東京が経営再建中であることや、旧経営陣に対して損害賠償請求訴訟を提起したことなどを踏まえまして、必要なものは、当局において保管してございます。

○田中委員 答弁の要旨としても、産労局としての書類は管理しているということなんですが、この以前の中では、税務協会と旧経営陣との書類等が破棄されていたということがあって、これは特別委員会の中で議論されていますが、局をまたいでの資料というのが、もしくはこれからの裁判の資料というものもふえてくると思いますので、ぜひ産労局としても、その資料をしっかりと、これは規程がないということでありますが、管理していただき、いろんな質問に対しても、また分析に対しても、多角的に見ていただきたいと思っております。いかがですか。

○中村金融監理室長 各団体が定める文書につきましては、それぞれの団体の文書管理規程により、適切に管理されているものと認識してございます。
 お尋ねのは、東京税務協会のことですけれども、所管外でございますけれども、文書管理規程に基づき、当然管理されているものというふうに考えてございます。
 なお、先ほどの予算特別委員会、平成二十二年三月でございますけれども、主税局長は、その旨も協会に対して、その趣旨というんですか、を伝えているというふうに聞いてございます。

○田中委員 ぜひ協会の方にもそのようにしていって、これからまだ裁判等は続くと思いますので、資料等の収集はしていただきたいと思います。
 もう一点、その関係の中で、旧経営陣の報酬の自主返納に関しても、これについてはほとんど発言がなかったんですが、私たちは、これについても、どのような理由で自主返納を拒んでいるか、情報はこちらからも聴取して、皆さんが知るところに置くべきだということをいってきましたが、それについてはいかがでしょうか。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、損害賠償請求をした旧経営陣二名以外の取締役に対しましても、善管注意義務違反が認められるとして報酬の自主返納を求めているところでございます。これは、新銀行東京が調査を行った結果を踏まえて主体的に決定し、みずからの責任で行ったものでございます。
 個別の理由につきましては、新銀行東京とその経営陣であった当事者との問題であり、都としては聴取する考えはございません。
 なお、新銀行東京は、重ねて全員の自主返納を働きかけることとしており、都としてもそれを見守ってまいります。

○田中委員 ぜひこの旧経営陣等の、先ほどと同じになってしまいますが、裁判がこれから進んでいきます。私たちも注意して見ていきたいと思っておりますので、引き続きまた質問させていただきたいと思います。
 それでは、今回の決算報告について質問させていただきます。
 開業以来の初の黒字とはいえ、まだ実質業務利益は赤字であって、さらなる収益面の改善が必要な新銀行であります。今回の決算について、まず、一番多く主張しておりましたリスケ、今回については、リスケに関して質問したいと思います。
 新銀行は、法律が定まる前から、このリスケジュールをして収益を改善してきたということは周知のとおりでありますが、その中で、知事からは、ほかの、特にメガバンクなんかは、ほとんどリスケなんかをやってないという発言がありました。
 確かに新銀行東京は先んじてやってきたことはわかっておるんですが、ほかの行も、今それに準じてやっているとは思うんですが、まずこの事実認識をお聞きしたいと思います。

○中村金融監理室長 ほかの銀行においても、当然リスケジュールについてはやっている、金融円滑化法の施行により、やっているところでございます。
 ただ、新銀行東京は、金融円滑化法が施行される前からリスケジュールに積極的に取り組んでおりまして、特に追加出資後、累計で約二千四百社、百八十八億円を実行しているところでございます。
 知事の発言は、こうした新銀行東京の法施行前からの取り組みについて述べたものと考えてございます。

○田中委員 ちょっと私の考えが違ったので質問させてもらったんですけど、もちろん新銀行がリスケをやっていることは皆さん周知の事実で、いいことであるんですが、うちだけがやっていて、ほかが何もやってないというような発言が一般質問の中でありましたので、それについて質問させてもらい--実際、大手四行も今回の金融円滑化法のもと、ほとんどの申請に対しては、それを実際に履行し、拒否したものは数千件であるということもあります。ですので、そこは知事の発言ですので、ここで否定を、もしくはどうこうということはいえないんですが、この委員会の中では、正確にその数字を追っていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に進みたいと思います。
 私は前回の決算の中でも、逆ざやの問題についても質問させてもらいました。その中で、逆ざやの大きな理由というのは、高金利キャンペーンによるものという説明を室長からも何度も受けておりました。今回、改善を期待して、一年ぶりに書類を見たわけでありますが、預金の利回りというのは実に〇・〇五と小幅な減少でありました。まだまだ逆ざやの解消が進んでいないという中、どうしてこのような結果になったのかお聞きします。

○中村金融監理室長 旧経営陣の時代に行いましたキャンペーン定期は、募集期間や預け入れ期間も異なることから、その満期は一度ではなく平成二十三年度までに順次到来するものでございます。
 それに伴い、預金利回りも低下することが見込まれますが、残存する預金金利や預金残高などの影響により、年度ごとの低下度合いは異なり、平成二十一年度決算においては結果として若干の低下となっているものでございます。

○田中委員 一番最初の開業当時の利率では、一番大きいのが一・七%のような形で募集をしていたと思うんですが、これが徐々に満期を迎え、また、解約が進み、私はこの一年間で、この利回りが大きく改善するのかなと思ったんですが、という話ですと、あと一年ですか、平成二十三年度には、この金利が順次解約されて、これが解消するという理解でよろしいでしょうか。

○中村金融監理室長 最も高い金利のものにつきましては、平成二十三年度が満期ということになってございますので、当然、それ以外のも含めまして、徐々には改善していくというふうに考えております。

○田中委員 これについては、途中解約や、またさらなる預金等もありますので、完全な数字で答えることはできないと思うんですが、毎回これは質問してきた内容でありますので、ぜひ次の決算時にもチェックをしていきたいと思います。
 そうしますと、予定どおり二十三年度までには逆ざやを解消して、貸し出しによって収益構造をつくっていくと。預金を集め、貸し出しするという本来の銀行業務によるもので収益をつくっていくことが必要かと思うんですが、その見通しというのは、今回の中では立っているのでしょうか、改めて伺います。

○中村金融監理室長 再建計画は平成二十三年度までの計画であり、現在、新銀行東京は、計画達成に向け努力を重ねているところでございます。
 新銀行東京における現在の預金残高の大半は、旧経営陣のもとで行われましたキャンペーン定期によるものでございまして、その満期は平成二十三年度までに順次到来するものでございます。
 したがいまして、今後預金利回りは低下傾向に向かうものというふうに考えてございます。
 また、新銀行東京は、実質業務純益の黒字化に向け、コストとリスクを最適に管理し、適正な収益を得るよう、引き続き経営改善に努めていくとしてございます。

○田中委員 貸し出しによる収益の利益構造をつくっていくためには、一つは今いった利回りの関係があるんですが、もう一つは貸し出しの件が問題かと思っております。
 そして今回の--その視点で見てみると、今期の大きな変化は、融資額自体は落ち込んでいる中、業種別で見れば、不動産業の融資が百億から二百億へと倍増、唯一大きく融資額を伸ばしました。そして、貸出先に地方公共団体が、これは額は大きくはないんですが、入ったことであります。
 まず、前段の不動産業においては、どうしてこれだけの増加があったのか。もしくは、ここから東京都の中小企業の今の現状が、もしも何か見えてくるようなものがあれば、お答えください。

○中村金融監理室長 新銀行東京は再建の途上ではございますけれども、みずからの体力の範囲内で可能な限りの中小零細企業支援を行っております。
 新銀行東京からは、資金ニーズの高い業種に適切に対応した結果の一つとして、不動産業への貸し出しが増加したと聞いております。
 なお、再建中の新銀行東京の貸出先をもって、東京都全体の中小企業の現状をはかるのは、なかなか困難であるというふうに考えてございます。

○田中委員 その質問をしたのは、もちろん室長のいうように、新銀行だけの融資では今の東京都全体の中小企業の動向はわからないかもしれないんですが、もしも新銀行が中小企業のため、もしくは役に立つというような理念を掲げているならば、それをずっと時系列で追っていくとか、もしくは今の他の金融機関の融資額を見るとか、そういうことで、その比較の中で、もし、不動産業が今大変厳しい現状に置かれているということが数字でわかってきたり、それを新銀行が下支えをしているというような事実が出たとするならば、それはすごいいいことだなと思って、もしもそのような分析が、もしくは判断が新銀行の中でなされていたら、さらに一歩前進が、もしくはいろんな形でこれから可能性があるのかなと思ったんですが、この百億から二百億という数字だけでは、その全体の今の中小企業の現状がわからないのでありましょうが、ぜひそのような可能性についても、私たちは模索していきたいと思っております。
 後者についてもお聞きします。貸出先に地方公共団体というのが入っておりましたが、これはどこへの融資でしょうか。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、当然として銀行としての守秘義務を負っております。そのため、他の金融機関と同様、個別の案件につきましては、その内容を明らかにすることはできません。

○田中委員 どこの地方公共団体に貸したというのはいえなくても、例えば地方公共団体というのは、どこまでの分類をいうのかというのはお答えできますでしょうか。

○中村金融監理室長 一般的にいう、自治法で定められています地方公共団体でございますので、一般的には市町村だとか都道府県、その団体そのものを指している言葉でございます。

○田中委員 それをお聞きしたのは、地方公共団体というくくりだけでくくられており、またその分類がわからないと、以前、外郭団体も含めて融資があった実績も、額は少ないにしろあって、そういうことがこれから進んでいくかもしれないという懸念がここにあったとするならば、それはしっかりと聞いておかなければならないといったことで質問させてもらったので、これが本当に市区町村への融資ということであるならば、これはしっかりとその理解をさせていただきたいと思います。
 次に行きます。
 今度は残高についてお聞きしたいんですが、与信残高に占める中小企業の比率、これが平成二十年の九月末では七七・四%、また、次の半期の二十一年の三月末では七〇・四、そして、今決算では七〇%を切ってしまって、六四・五七まで落ち込むこととなりました。
 再三これはいってきたことでありますが、中小零細企業支援について、この役割を果たしていこうというのが新銀行の当初の理念、そして現在での目標でもあると私も理解しておりますが、このようにして、次々と与信残高に占める中小企業の比率が下がっていく現状を見て、一方では大企業向けに融資しているのかといわれても仕方ない現状があると思っておりますが、今、この中小企業向け融資の現状はいかがでしょうか。また、実際にどのようにしてされているんでしょうか。

○中村金融監理室長 新銀行東京は再建途上にございますが、みずからの体力の範囲内で、可能な限りの中小零細企業支援を行っているところでございます。
 中小企業向けの融資ということでございますけれども、当然ながらやってございまして、今回の経済・港湾委員会要求資料にもございますとおり、平成二十一年度における中小企業向け融資実行件数は四百五十七件、実行金額は約四百億円でございます。

○田中委員 きょうのその資料の中で、確かに今期の決算の額が四百五十七件の約四百億ということが出ております。
 これを見ると、例えば、これを除してみると、一つが一億円弱なんですね。さらに、もう一個前を見てみて、去年の平成二十年度は、三百八十四件の中で額が百億ぐらいでありますから、こうしますと一件が二千万から三千万ぐらいと計算できると思います。
 今年度は中小企業に融資したとはいっても、一社一億円弱ぐらいの融資額ということになるわけですが、これは前回ではありません。前に伊藤議員も、この中小企業の融資というのが実際本当に中小企業向けに、もしくは役立てるために出されているのかという、金額の面からの指摘もあったと思うんですが、今回もそれが進んでいて、一件一億円弱という数字が出ておりますが、これについてはどうお考えでしょうか。

○中村金融監理室長 実際に件数でそれを除して、その金額の多寡をもって、それがどういう融資であるかうんぬんかというのは、なかなか判断がつかないかというふうに思います。
 ただ、中小企業融資は現実にはやってございまして、現在でも中小零細企業の中でとりわけほかの金融機関ではお貸し出しが困難な赤字、債務超過先、それは四千社ほども融資しているという現状を見れば、それ相応にお役に立っているという実態は変わらないというふうに考えてございます。

○田中委員 中小企業比率に続いて、不良債権の現状についてもお聞きをしたいと思います。
 この状況も依然として、まだまだ大変に改善が進んでいない現状もあります。前回の中間決算時に質問した際には、この不良債権比率が上昇したのは、不良債権の減少よりも貸出金の残高の減少度合いが大きいということでありまして、再建計画の前の融資がいまだに九割を占めていて、それが足を引っ張っているとの答弁もありました。今回も依然としてこの不良債権が高い現状は、そのような理由からだと考えてよろしいでしょうか。

○中村金融監理室長 不良債権比率は、銀行の貸出金等の残高に占める不良債権の残高でございます。
 新銀行東京の平成二十二年三月期決算では、不良債権残高は二百六十七億円と、前年同期の三百三十四億円に比べ六十六億円減少しており、新銀行東京の取り組みには一定の成果があったものと考えてございます。
 一方で、不良債権比率は前年同期に比べまして上昇してございますが、これは不良債権残高の減少よりも、貸出金等の残高の減少度合いが大きかったことによるものでございます。
 この貸出金の中には、運用の一環として行われております政府向け貸し出しが含まれてございまして、新銀行東京はこれを除いた総与信残高をもとにした不良債権比率を公表しております。これで見れば、不良債権比率は二四・九二%と、前年同期の二七・〇七%に比べ二・一五%減少している、改善しているというところでございます。
 また、与信残高の減少の大半は、旧経営陣時代に行われた保証によるものでございます。一方で、貸出金は、優良資産への入れかえが着実に進んでおりまして、その残高はほぼ横ばいでございます。健全な貸し出しの積み上げが進んでいるというふうに我々は考えてございます。

○田中委員 この件については--不良債権、そして中小企業比率というのは、毎回質問させてもらっておるわけでありますが、これからもずっとウオッチを続けていきたいと思っております。
 続きまして、今回の決算書にありました重要な係争事件に関してという点について質問したいと思います。
 前回の質問で、信用金庫の保証債務履行が行われていない案件が複数あるという報道がなされておりまして、それについて質問したところ、都としては関知していないという趣旨の発言がありました。今回の決算説明資料の中の最後の方なんですが、重要な係争事件という欄に、この件についてかなり詳しく掲載がなされていました。
 前回の質問の時点では、東京都としてはこの事実を把握はしていなかったのか、知っていたがいわなかったのか。私たちはあらゆるリスク、情報をチェックしていく必要がある中、このような、もしも情報の伝達ができない中であると行政との信頼関係にもつながってくると思うので、事実をお聞きします。

○中村金融監理室長 決算説明資料の該当注記につきましては、訴訟が発生した場合に必ず記載しなければならないものではなく、会計上の観点から、会計監査人の監査の中で、重要な係争事件に該当するかどうかの判断を行い、記載するものとされております。
 このたび、新銀行東京は、中間決算以降の訴訟の進捗状況などを踏まえ、会計監査人とも相談した結果、通期決算においては注記を行うこととしたものでございます。
 これらの取り扱いにつきましては、企業会計原則にのっとって適切に行われたものでございます。

○田中委員 このような係争事件は、銀行においては、このような信金からの保証債務履行だけではなくて、知財の問題や権利の問題、いろんな問題でしょっちゅうこのような係争が起きておるんですが、特に新銀行においては再建途中ということで、私たちは今、どのような情報でも見ていかなければならないし、知っていかなければならないということがありますので、今回、決算書の書き方も、新しい寺井社長になってから大きく変わったということもお聞きしていますので、ぜひこれからは、このようなことがあったら、委員会の中で報告するかどうかは別にしろ、情報をぜひともお教えいただきたいと思っております。
 最後に、二〇一〇年度の発行の都債についての質問をさせてもらいます。
 今回、二〇一〇年度発行都債について、新銀行東京が引き受けの機関となりました。都債のこれまでの状況を調べますと、都債というのは銀行がグループを、シンジケート団を組んで、それで引き受けるというのが通例でありますが、これが、これまでは銀行が六、証券会社が四というのを、銀行が四、証券会社が六というふうに、二十年度に都として大きくこのシンジケート団、シ団のシェアを変えたということをお聞きをしました。
 その中で、変えたばかりである中で、今回、新銀行東京がこのシンジケート団の中にぽんと入ってきたという感があるんですが、どのような経緯で都債を引き受けることになったのか、お教え願いたいと思います。

○櫻井金融支援担当部長 まず、都債に関することにつきましては、東京都では財務局の所管でございます。
 なお、新銀行東京は、平成二十二年度から東京都債十年債の引受シンジケート団に適正な手続を経て加わったというふうに聞いてございます。

○田中委員 この引受機関というのは、これを皆さん見てもらえばわかるかと思うんですが、みずほ銀行、三井住友、三菱UFJを初めとしたかなり大手の、また野村證券を初めとした日本を代表する大手の企業が列をなしております。
 そして、そのような銀行が、もしくは証券会社がこの数を占める中、新銀行というのはまだまだ再建途中、なおかつ、二千億程度の、いうならば大変に小さな銀行でありますが、そのような銀行が入るのは、金融の人からすれば、業界の中では異例ではないかという声が上がっているというのも聞いておりますが、この事実をどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。

○櫻井金融支援担当部長 また繰り返しになって恐縮でございますけれども、新銀行東京が平成二十二年度から十年債の引受シンジケート団に適正な手続を経て加わったというふうに聞いておりますし、そのように認識をしております。

○田中委員 事実としては、実は新銀行東京以外にも、もう二銀行申し込みをしておりまして、このシ団メンバーについては、あおぞら銀行、また新生銀行も申し込みをしておりました。
 しかしながら、参入は認めるんでありますが、この二つがまだ安定的な引き受けの体制ができる状況にないということで、見合わせているという現状もあります。
 今の新銀行東京も再建途中である中で、今、安定した経営が行える状況なのかということが一つ疑問なのと、また、この経営方針の中で、このようにして都債を引き受けるというのが、これまで初めての経験でありますから--なかったものですから、まず、ほかの銀行が入っていないという現状があることと、また経営方針の中で、どのようにこのシ団の中に入ることを位置づけたのかをお聞きします。

○櫻井金融支援担当部長 まず、シ団に入ったことについてでございますが、これは繰り返しになってしまいますけれども、都債の引き受けのシンジケート団というのは非常に多くの金融機関から構成をされていると。今回、新銀行東京もそのシンジケート団の一員になったということでございますけれども、これは適正な手続を経て加わったものというふうに考えてございます。
 また、新銀行東京の経営方針の中で、これがどういう位置づけかというお尋ねでございますけれども、新銀行東京は、ほかの金融機関と同様に、経済金融情勢やリスク、リターンを総合的に勘案をいたしながら、有価証券によりまして資金の運用も行ってございます。
 都債につきましては、安全性が高く優良な有価証券の一つであることから、新銀行東京は経営判断として引き受けを希望したというふうに聞いてございます。

○田中委員 この質問をしたのは、報道の中でもありましたが、この都債の引き受けが東京都の支援策ではないかと、東京都の中で、新銀行を助けるために今回入れたんじゃないかというような憶測も流れております。
 そういうことがなければいいわけでありますが、もしも--そういう事実があるとはいえないというか、ないんでしょうけど、そういうのがあるとするならば、これは他の民間銀行の圧迫にもなりますし、そういうことがあってはならないと思いますのでお聞きしたわけであります。
 支援策としての都の考えではなかったということで、最後、理解してよろしいでしょうか。

○櫻井金融支援担当部長 先ほども申し上げましたが、都債の引受シンジケート団は、新銀行東京だけでなく、多くの金融機関からこれが構成をされているわけでございます。新銀行東京がそのシンジケート団の一員になったからといいまして、これをもちまして新銀行東京に対する支援であるというふうには考えてございません。

○高倉委員 それでは、新銀行東京の平成二十二年三月期決算について質問をさせていただきます。
 今回の決算におきましては、通期としては初めて当期利益の黒字を計上することができたわけであります。厳しい経済状況の中ではありますけれども、新しい経営陣のもとで再建は着実に進んでいるのではないかというふうに思います。
 さきの本会議における私ども都議会公明党の代表質問で、追加出資の効果等について質問したことに対して、次のような答弁がありました。四百億円の追加出資により、新銀行東京は事業継続が可能となり、他の金融機関では支援が難しい赤字、債務超過先、約四千社を含む多くの中小零細企業を継続的に支援している、また、新銀行東京では、金融円滑化法が施行される前からリスケジュールに積極的に取り組んでおり、特に、追加出資後、累計で約二千四百社、約百八十八億円を実行している、これも追加出資の効果の一つである、こうした答弁でありました。
 四百億円の追加出資を行った際に、この四百億円は早々に毀損するのではないかといった一方的な批判もあったわけでありますけれども、今回の決算では、純資産額は四百九十億円というふうになっておりまして、四百億円は確実に保全され、さらに、有効に活用されているということがこの答弁でも明らかになったのではないかというふうに思います。
 私ども都議会公明党は、今後も、この四百億円を保全しながら、着実に再建を進めていくことが重要ではないかというふうに考えております。
 こうした観点から、追加出資以降の各年度の純資産額と、二十二年度の見通しにつきまして、あわせてお伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京の純資産額は、四百億円の追加出資により、平成二十年度通期決算におきまして四百六十二億円となりました。そして、平成二十一年度通期決算では、十五億円の黒字を計上したことなどにより四百九十億円となり、計画を九十億円上回っております。
 新銀行東京は、平成二十二年度の当期利益について、五億円の黒字を計画しております。このため、純資産額は前期の四百九十億円を下回ることはなく、四百億円は十分に確保されると見込んでおります。
 今後とも、新銀行東京は、追加出資をいただいた四百億円を保全しつつ、これを有効に活用し、再建を進めてまいります。
 都におきましても、四百億円を毀損させないという都議会の付帯決議を踏まえ、適切に監視を行っているところでございます。

○高倉委員 今もご答弁をいただきましたけれども、当期利益が黒字化したということは、再建計画が着実に進んでいる一つの証左であると思います。
 今回の決算において、当期利益は黒字となりましたけれども、その一方で、実質業務純益は改善はされてはいますけれども、いまだ赤字というふうになっているわけであります。
 ただ、そのことをとらえて、一部には、貸倒引当金の戻りを利用した、つくられた黒字であると、こういったような主張も見られるわけでありますけれども、私は、こうした見方は作為的であって、誤りであるというふうに思うんでありますけれども、都としてはどのようなご見解をお持ちでしょうか。

○中村金融監理室長 新銀行東京の決算は、適正な監査手続を経た上で、監督当局である金融庁へも報告されているものであり、お話があった貸倒引当金も恣意的に積み立てたり積まなかったりということはできません。つくられた黒字という主張は、先生ご指摘のとおり、誤りだというふうに考えております。
 今回の貸倒引当金の戻りは、新銀行東京が融資管理や延滞管理の徹底を図るとともに、顧客に対するきめ細かい対応や、適切なリスケジュールを行い、延滞の防止や倒産の回避に努めたことなどにより、融資の返済が進み、引き当てが不要となったことによるものでございます。このような新銀行東京の地道な経営努力の結果が、当期利益の黒字化の大きな要因と考えてございます。
 当期利益は、営利企業の最終的な利益であり、株式会社として、この黒字化を目指すのは、基本中の基本でございます。深刻な経営危機からの再建を進めている新銀行東京にとっては、まず、赤字という出血をとめること、すなわち、当期利益の黒字化が極めて重要なことでございます。平成二十一年度決算で当期利益が黒字化したことは、再建に向けた一つの課題を乗り越えたものと考えてございます。

○高倉委員 追加出資をした四百億円を保全していくといった視点でも、当期利益が黒字であるということは大変に重要なことであると思います。
 しかしながら、繰り返しになりますけれども、実質業務純益が黒字となることも大変に大事なことであると思います。
 さきの私ども都議会公明党の代表質問においても、さらに次のような答弁がありました。追加出資の四百億円と現経営陣の渾身の努力の結果、再建は着実に進んでいるが、実質業務純益の黒字化に向け、引き続き努力することが今後の課題と考えていると、こういった答弁でありました。当期利益に加えまして、経営の実態ベースを示す実質業務純益の両者を黒字化していくということがこれから必要であるというふうに思います。
 そこで、この実質業務純益の状況と、平成二十二年度の見込みということについて明らかにしていただきたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京の実態ベースの実質業務純益は、再建計画の始まりました平成二十年度は四十八億円の赤字でありましたが、平成二十一年度通期決算では、依然として赤字ではあるものの、前年同期と比べて約二十八億円改善しております。
 実質業務純益の黒字化を図る点につきましては、新銀行東京みずからが課題と考えてございます。新銀行東京は、実質業務純益について、二十二年度末には月次において収支均衡に近い水準になることを目指し、収益力の向上や営業経費のさらなる削減など、その改善に向けて、現在、注力しているところでございます。

○高倉委員 今、ご答弁で、二十二年度末には月次において収支均衡に近い水準となることを目指していると、こういうご答弁がありましたけれども、これから四半期ごとの決算が発表されていくにつれて、こうしたことも明らかになっていくのではないかというふうに思っておりますが、ぜひ、さらに尽力をしていただきたいというふうに思います。
 私ども都議会公明党は、新銀行東京が再建を果たし、企業価値を高めていくことが今後のためにも重要であるということを本委員会においても繰り返し主張してきたところでございます。企業価値を高めるためには、新銀行東京が銀行としての収益性を高めることと、企業としての資産価値を高めることが大事であるというふうに考えております。
 再建計画の折り返しとなる二年目の決算は、新銀行東京の経営努力によりまして、収益性が改善し、資産価値が向上していることがわかりました。
 今後も中小零細企業へのきめ細かい対応や、適切なリスケジュールなどを行うとともに、再建に向けた経営努力を重ねていただき、新銀行東京みずからも課題としている実質業務純益の黒字化を果たすことが、さらに企業価値を高めることにつながっていくと思います。
 かねがね主張しておりますけれども、都民の負担を最小限に抑えるためには、新銀行東京が再建を果たし、企業価値を高めた上で、事業譲渡、あるいは業務提携を行っていただきまして、追加出資の回収、もしくは保全を行っていくということが必要であるというふうに思います。このことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○清水委員 新銀行東京の二〇一〇年三月期決算について、お伺いいたします。
 今期決算では、開業以来初の黒字を計上している、順調に着実に再建計画に沿って経営改善が進んでいるといいますが、実態は違うと思います。銀行本来の業務では、これまでも繰り返し述べられておりましたが、赤字になっており、到底順調とはいえません。
 そこで、お伺いいたしますが、四百億円の追加出資の際に報告された再建計画は、どのような目的があり、都としてはどのように評価していたのかお伺いいたします。

○中村金融監理室長 再建計画は、平成二十年に策定され、資金繰りに窮する中小零細企業に対して継続的に支援をするため、まずは銀行みずからが再建を図ることを目的としたものであり、期間は平成二十三年度までとなってございます。
 これまで蓄積してきた営業ノウハウや反省点を踏まえ、着実に利益が見込める事業へ重点化するとともに、店舗の集約化や人員体制の見直しなど、徹底した執行体制の見直しを行うものであり、十分に実現可能性があるものと評価しておりました。

○清水委員 それでは、繰り返し、我が党が再建計画の指標と進捗状況を詳細に明らかにしてほしいということに対して、都は、事業内容ごとの実績を示すことができないといわれておりますけど、それはどういう理由でしょうか。

○中村金融監理室長 新銀行東京の事業実績は、四半期ごとの決算で公表しているところでございます。それ以上の事業内容ごとの実績につきましては、他の金融機関と同様に、営業戦略上、明らかにしてございません。

○清水委員 再建計画では経営目標として、基本方針で、中小企業者支援を強力に推進、そして成長が期待されるニュービジネスへの重点的支援などを主な取り組みとして、事業内容、主な柱の内容と金額を発表してきたわけです。いつの間にか個別のメニューごとの残高については明らかにできないとしています。初めから競争上の地位を脅かすおそれがあるということをもって、再建計画の事業内容ごとの実績を示さないといっているわけです。四半期ごとの決算で十分なんだといっているわけですけれども、それではチェックできないということを私たちはいいたいと思います。
 今、お示ししている資料からわかる範囲でいくと、成長企業支援型融資は、目標百億に対し十一億だとか、大幅に乖離している状況が報告されております。あくまでも資金繰りに窮する中小企業者への支援を存続していくことが目標、目的、もうこれしかないといって四百億の追資を求めたわけです。そういう再建計画は--個別のメニューごとの残高の状況については、新銀行の競争上の地位を脅かすおそれがあるとして、公表することさえできなくなっているというのは、私は問題だというふうに思います。当初の再建計画の行き詰まっていることのあかしだと、その一つだというふうに思います。
 具体的にお伺いいたします。一般銀行の場合、運用資産に対して貸出金は何割で、有価証券は何割ですか。新銀行の場合は、それぞれどうですか。どのように収益を上げているかということを、この後、少しずつ、今の問いを含めてお聞きしていきたいと思います。

○中村金融監理室長 全国銀行協会が発表いたしました全国銀行総合財務諸表によりますと、平成二十年度決算における全国銀行の貸出金、有価証券が総資産に占める割合は、それぞれ五七・八%、二四・一%でございます。
 一方、新銀行東京の貸出金、有価証券が総資産に占める割合は、それぞれ三五・七%、四七・五%でございます。

○清水委員 今ご答弁ありましたように、全国銀行の貸出金、有価証券の占める割合に対して、新銀行の場合は逆転しているという報告がされたわけです。有価証券が上回っているということで、これでも明らかです。
 それでは、一般銀行の場合、資金運用収益について、貸出金利息、有価証券利息配当金が占める割合についてお伺いいたします。

○中村金融監理室長 先ほど申し上げました全国銀行協会が発表した全国銀行総合財務諸表によりますと、平成二十年度決算における全国銀行の貸出金利息、有価証券利息配当金が資金運用収益に占める割合は、それぞれ七二・〇%、二〇・七%でございます。

○清水委員 新銀行の場合はどうですか。

○中村金融監理室長 同様に、新銀行東京の平成二十年度の実績は、それぞれ五〇・七%、三〇・二%でございます。

○清水委員 二十一年度決算が出ているわけですけれども、それによると、新銀行は貸出金利息が四〇%、有価証券利息配当金が四五%と、こちらの方も多くなっているわけです。
 銀行の基本収益としては、一般的には貸出金利息が約八一%と、貸し出すことによる利息収入がほとんどです。先ほどの一般銀行の場合も七二%でした。
 ところが、新銀行東京では、もともと貸出金利息は、二〇〇九年度決算では四〇%にまで低下していました。新銀行にとって、収益の基本となっているのは何かだと。これが、有価証券配当は、今回の場合、四四、四五%で一番多くなりました。第二地銀は、有価証券収益は一六%に過ぎません。二十年度では、まだ貸出利息の方が--二十一年度今期、これが先ほど示しましたように逆転しました。銀行というよりも、完全に投資会社に変質してしまっています。有価証券の収益で食いつなぎ、もはや銀行としてのていをなしていないというふうに思います。
 それでは、その収益の中心となっている有価証券の中でも、社債の増加が激しいけれども、それはどのようなものですか。それから、増加している理由は何ですか、お伺いいたします。

○中村金融監理室長 委員、今の銀行のていをなしていないということでございますけれども、銀行の業務というものは、預金者から預かりました預金を、その運用する資金を有価証券で運用することは一般的なことでございますから、それはご理解願いたいと思います。
 新銀行東京は再建途上でございまして、その中で、有価証券の運用は必要な収益を確保するために有効な手段の一つでございます。
 それと、全体的に世界経済が今、先行き不透明な中で、企業が設備投資などに慎重になっているということで、貸し出しがなかなか伸びていないという状況は、他の金融機関についても同様の状況でございます。
 続きまして、社債でございますけれども、社債の内容につきましては、当然のことながら、個別の経営情報であることから新銀行東京は明らかにしてございません。
 また、新銀行東京は、他の金融機関と同様、コストとリスクを最適に管理しながら、適正な収益を上げるよう努力しております。どのように資金を運用するかは高度な経営判断でございまして、当然のことながら、商品ごとの運用理由は明らかにするものではございません。

○清水委員 有価証券への投資利益に依存する収益構造になっている。深刻なのは、その中でリスクの大きい社債、有価証券の比重が高まっているということはこれまでも述べてきたところです。
 都として、新銀行の有価証券について、その内訳、運用期間別内訳などをチェックする必要がありますが、その運用期間別内訳も出さなくなってしまいました。かつて明らかにしてきた資料では、長期運用債権が増加しているわけです。リスクが大きい有価証券が増加しているというのは、極めて危険だというふうに思います。
 次に、大幅に増加したのが借用金です。千二百三十九億円になっています。どのように確保したのか、また、再建計画では千二百億円以上の借用金に頼るという、その運用方針というのはあったのか、それぞれお伺いいたします。

○中村金融監理室長 新銀行東京の平成二十一年度通期決算における借用金額は一千二百三十九億円であり、その大半は日銀借り入れと聞いております。日銀借り入れは、日銀の政策効果が金融市場や企業金融に十分浸透することを目的として行われております。
 ご存じのとおり、中央銀行としての日銀の金融政策の一環として行われているものでございまして、現下の厳しい金融環境の中で、多くの銀行が資金調達の一つとして利用しているものでございます。新銀行東京も、その方針に沿って日銀借り入れを活用しているものでございます。
 再建計画の方針でございますけれども、日銀借り入れにつきましては、そもそも、今申しましたように国の金融政策の一環でございまして、そういうことでやっているというものでございます。
 また、経済は非常に動いている世界のものでございます。再建計画では想定してございませんけれども、その時々の経済、金融環境に柔軟に対応していくのは当然というふうに考えております。

○清水委員 多くの銀行が利用しているんだということをいわれますけれども、貸し出しの元手となる資金のうち、三分の一を借用金で賄っている銀行などありません。有価証券投資の原資を、預金が約千三百億減少する中で、借用金を千二百億もふやしていることは問題です。
 その借用金を元手にリスクの高い有価証券投資をふやしています。今後の金融政策情勢に左右される極めてリスクの大きな状態だし、今もご説明がありましたように、再建計画にも予定していなかったものです。
 次に、新銀行の預金の実態を見ると、二〇〇八年に比して、先ほど述べましたが、二〇〇九年は個人預金が約千三百億減少し、個人以外の預金は一・七倍化しているわけです。
 二〇一〇年三月末で、監理団体の預金状況についてお伺いいたします。外郭団体、監理団体の預金について伺います。

○中村金融監理室長 株式会社新銀行東京は、銀行としての守秘義務を負っております。したがいまして、他の金融機関と同様、個別の取引については、当然ながらお答えできないものでございます。

○清水委員 私は個別の取引について伺っているわけではないんです。何団体、何億円とか、それはかつても説明したことがあるわけですよね。それをなぜ、今、説明できない。一貫してないといわざるを得ませんが、いかがですか。

○中村金融監理室長 株式会社新銀行東京は、あくまで銀行法上の銀行でございます。したがいまして、個別の取引のため明らかにできないとしているものでございます。

○清水委員 何の説明もできない。同じことを繰り返されているだけです。納得できません。
 銀行本来の業務である貸し出しで利益を得ることもできなくなっていることを明らかにしたわけですけれども、銀行本来の業務の貸し出しをする元手は、本来の預金です。その預金が三分の一に減少し、二千九十億円です。今年度、十倍のキャンペーン金利で預金確保をしようとしておりますが、その目的は何ですか。

○中村金融監理室長 銀行は、預金を初めといたしました資金を、貸し出しなど各種の資産で運用しており、満期の到来した定期預金につきまして、新銀行東京は、旧経営陣の時代に行ったキャンペーン定期の割合が大きいことから、一定程度の継続を考えております。
 今回の金利水準につきましては、経済、金融環境や他の金融機関の定期預金金利、今後の収支見通しなどを十分に検討し、設定していると聞いてございます。
 なお、現在の金利水準は、超低金利でございまして、新銀行東京の今回の定期預金の金利は、他の金融機関の特別金利定期と比較いたしましても、均衡あるものとなってございます。

○清水委員 それでは、十倍のキャンペーン金利で預金を確保した場合、これまでどおりの利益を確保するためにはどのようなことが求められるんですか。

○中村金融監理室長 今回の金利は、旧経営陣が実施したキャンペーン定期よりは低く、むしろ調達コストは下がるものになります。平成二十二年度の計画では、当期利益が五億円の黒字ということを見込んでいるところでございます。
 なお、これまでどおりの利益を確保するためにどのようなことをするかということのお尋ねですけれども、仮定の質問にはお答えできかねるというところでございます。

○清水委員 金融専門家は、今回の金利の引き上げについて、こういっています。法外に高率の預金金利、したがって、増益を図る以上、貸出金利も他行と比べ高くなり、借り手が細ることになるのではないかと。
 結局、高い金利をつけないと預金が集まらない、維持できない、そうすると、貸し出しの規模が縮小し、本来の中小企業支援行としての役割が果たせなくなる、と同時に、預貸金の構造が逼迫して、業績悪化が加速するというジレンマに陥ることになるなどという方もいらっしゃいます。
 無担保・無保証人融資三百六十二億円のうち、中小企業が占める割合はどうですか。

○中村金融監理室長 お尋ねの、新銀行東京の中小零細企業向けの無担保・無保証融資につきましては、その額、件数につきまして、新銀行東京は、競争上の地位、そのほか、正当な利益を害するおそれがあるため明らかにしていないというところでございます。

○清水委員 何もかも明らかにすることができないですね。中小企業融資比率は、一般銀行が七割に対して、新銀行東京は全体の融資額が減少しているので、若干向上していますが、四五%に過ぎません。例えば、都民銀行は、貸出金に占める中小企業向けの割合は、貸出金額では八八%、貸出件数では九九%になっています。
 しかも、その融資先について見ると、無担保・無保証融資は、創業当初は一件当たり平均一千万円、再建計画後は二〇〇八年度、一億六千万、二〇〇九年度は一億八千万。
 売り上げ区分別に融資先を見ると、売り上げ一億円未満の融資件数は、創業当初は三五%だったが、再建計画後は二〇〇八年二〇%、二〇〇九年度、一八%です。預金を集めて、貸すところがないという状況です。
 寺井社長は、都政新報のインタビューを受けて、行員二百人ぐらいで都内の中小企業を支援してさしあげるというのは、非常におこがましいなどといっています。もはや中小企業支援などといえる銀行ではないということを、みずから述べているものです。
 一方、石原知事は、決算が発表された当日の記者会見で、病人を立ち直らせるためには、いろいろ工夫しなくてはいけない、基礎工事をするつもりでいるといいました。これはどういうことですか。

○中村金融監理室長 先ほどの寺井社長のあれですけれども、今の銀行が、新銀行東京が役に立っていないとか、そういう趣旨ではなくて、今、再建途上にあって、要するに中小企業の役に立つ銀行にしたいと、そういう思いでやっているというところで、その一部をとらえてそういうことをおっしゃるのは納得できません。
 石原知事の定例記者会見の発言ということでございますけれども、本件につきましては、さきの本会議で、知事がセカンドステージの姿についての質問に対しまして、外国資本を含めて、他の金融セクターとのかかわりがあります、それゆえに、その性格上、お答えができるものではありませんと答弁したとおりでございます。

○清水委員 金融機関がひしめく首都圏で、信用リスクが相対的に高い中小企業支援のために、利益を目的とする銀行業に乗り出し、市場競争にさらすことがいかに無謀かということだというふうに思います。
 再建計画についても、利益を得るために、貸し出しよりも有価証券投資に偏り、業務内容の肝心なところを明らかにせず、チェックもできない。都がやるべきは、制度融資の拡充、中小企業支援の大幅な拡充です。
 東京都の制度融資では、二〇〇八年度には約二千二百億円を各金融機関に預けることで、十八万八千件、三兆一千億円の融資実績があります。新銀行が抱えている融資を必要とする中小企業について見れば、特別の融資制度を組むなどの方策で救済することは可能です。
 通常の銀行から変質してしまった新銀行東京は、無理に継続するのではなく、預金者保護と中小企業の資金を保証しながら清算することは可能だということを申し述べて、質問を終わります。

○佐藤委員 今回、報告事項になっております新銀行東京について伺います。
 先ほど田中委員も取り上げましたが、都債の引き受けについてお話しさせていただきたいと思います。
 平成二十二年四月二日の日経新聞で、新銀行東京が都債引受機関になったことと、中小金融機関が引き受けるのは異例と報じられておりましたので、内容を確認してみました。新銀行は、平成二十二年一月に、シンジケートのメンバーとして都債を引き受けておりました。その実績をもって、新銀行東京が希望して都債引受機関になったわけです。財務局にも確認いたしましたが、各金融機関に声をかけたところ、新銀行東京が都債引受機関になることを希望したとのことです。
 今回、都債引受機関になったことで、毎月約三億円、年にして約三十六億円の都債を引き受けることになったようです。国債と比べて、都債の方が利息が高く、BIS規制においても、自己資本比率を算出する際にもリスクがゼロであることから、収益をふやすたびに保有している国債の一部を都債に振り向けることは経営判断としては妥当かもしれません。
 平成二十二年四月に都が発行した十年債の利回りは一・四〇二%であり、その時点で十年国債の金利が一・三六七%ですから、金利差は〇・〇三五%です。
 また、平成二十二年五月発行の十年都債の利回りは一・三二五%であり、国債は一・三%です。つまり、金利差は〇・〇二五%です。
 先ほど申し上げたように、新銀行は年間約三十六億円の都債を引き受けることになるわけです。都債と国債の金利差が〇・〇三%あると仮定すれば、年間で約百万円の収益増につながります。
 収益をふやすという経営判断からすると、国債よりも都債を購入するということは妥当な選択といえるのかもしれませんが、株主である東京都絡みの仕事がふえるということはいかがなものかと思います。これまで、新銀行は都絡みの仕事をふやしてきました。東京都絡みの仕事で収益をふやすよりかは、地道に中小企業支援に取り組むことが必要なのではないでしょうか。
 次に、新銀行の資金調達についてお話しさせていただこうと思います。
 平成二十一年三月末の預金は、約三千三百五十八億円でした。その後、一年で約千三百億円の預金が減少しまして、平成二十二年三月末は、約二千億円の預金となっております。
 五月二十一日、決算の記者会見において、新銀行の経営陣は、今後、満期を迎える定期預金が約一千二百五十億円あるということを述べております。平成二十二年三月末時点の預金総額は約二千億円余りですから、約一千二百五十億円の定期預金の大半が解約された場合、経営や自己資本比率にも影響を及ぼすことになるでしょう。
 現在、新銀行東京では、スーパー定期預金の特別金利キャンペーンを実施しておりますので、何点か確認させていただこうと思います。
 今回のキャンペーン定期の内容はといいますと、預金保険の対象商品であり、元本保証ということをPRしております。期間は五月十日から十月八日までであり、五年定期の金利が〇・九%、六カ月ごとの複利運用とのことです。
 また、三年定期の金利が〇・八%、六カ月ごとの複利運用とのことです。
 そして、一年定期の金利が〇・六五%とのことです。
 まず伺いますが、今回の特別金利キャンペーンを実施いたしまして、新銀行東京は幾ら預金を集める計画であるのか、お答えください。

○中村金融監理室長 新銀行東京の平成二十一年度決算では、預金残高は二千八十九億円でありますが、旧経営陣時代のキャンペーン定期の比重が高くなっております。
 今年度、このうち一千二百五十億円の定期預金の満期が順次到来いたしますが、中小零細企業支援を安定的に行っていくため、そのうち六割程度の継続を目指していると聞いてございます。

○佐藤委員 六割というと、約七百五十億円程度になるんでしょうか。継続状況については、注意深く見守る必要があると思います。もともと新銀行の開業時にキャンペーンの定期をされて、ほかの金融機関よりも金利が高いから預けた顧客が多かったわけだと思うんです。ほかにも金利が高いところが現在あるわけですから、どれほど競争性があるのか疑問が残ります。
 開業時のマスタープランには、開業後、第三期までに個人預金が百万口座、預金残高約一兆二千億円という過大な預金口座目標等の記載があったわけですが、現時点では、都はどれくらいの預金規模が現在の新銀行にとって適切だと考えているのでしょうか。
 また、都は、新銀行東京に対して預金をふやすよう、株主として指導をしたことはあるのでしょうか、あわせてお答えください。

○中村金融監理室長 都といたしましては、新銀行東京が中小零細企業支援を行いながら着実に再建を進めることが重要であると考えております。
 新銀行東京としては、今後とも再建を進めつつ、中小零細企業支援を安定的に行っていくため、必要な預金規模を確保しなければならないという経営判断がありました。その内容の説明を受け、妥当と判断したものでございます。
 なお、当局は、預金をふやすよう指導したことはございません。

○佐藤委員 新銀行は、経営不振に陥ってから、キャンペーン定期預金の募集は取りやめていたはずですが、募集を再開したのは、いつの、どういった経営判断であるのか、また、何がきっかけであるのか、お答えください。

○中村金融監理室長 繰り返しになりますが、新銀行東京では、今後とも再建を進めつつ、中小零細企業支援を安定的に行っていくため、必要な預金規模を確保することとしたものであり、都はそうした経営判断を尊重したものでございます。

○佐藤委員 開業時に集めた預金が流出しているために、預金流出を防ぐという目的で今回のキャンペーン定期を実施しているのかもしれませんが、平成二十二年四月十三日の都政新報のインタビューに対して、新銀行東京の代表取締役社長の寺井宏隆氏は、現在、預金が超過状態なので、有価証券運用をリスク管理しながら収益を稼がせていただいていると答えております。
 社長が、現在、預金が超過状態であるという認識を持っているのに、なぜスーパー定期預金の特別金利キャンペーンを実施しているのか、都は、新銀行からどういった報告を受けているのか、お答えください。

○中村金融監理室長 ご指摘の新聞記事は、新銀行東京が、預金を貸し出しとともに有価証券の運用にも有効に活用して再建に取り組んでいるということを示したものでございまして、そういった意味での預金超過というものは、他の金融機関でも同様の状況でございます。

○佐藤委員 預金超過はほかの金融機関でも同様だとおっしゃったわけですが、ほかの金融機関と違って、新銀行は再建中であるわけです。ですから、コストの圧縮をしていかなければならない。預金超過があれば、余分な利払い負担があるということを意味いたしますから、慎重な判断が必要なのではないでしょうか。
 平成十七年の開業時より、一貫して新銀行は中小企業融資をふやすことができず、運用先に困っていたわけです。
 先ほど、新銀行東京が都債引受機関になったことについて触れましたが、確かに都債などに債券投資すれば、利回りが年一・三から一・四%程度あります。今回の特別金利キャンペーン定期の金利よりも高くなっているわけです。
 しかし、だからといってすぐに黒字になるというわけではありません。固定費を上回る収益を出すことが必要であるわけです。このことは、寺井社長も、固定費というコストがかかって、これを賄う収入を得ないと赤字が出てしまうと都政新報のインタビューで認めております。
 また、先ほど述べた都政新報で、寺井社長は、創業赤字をできるだけ出さないようにするための有価証券運用の資金でもあるので、経営の大きな課題の一つとして掲げていると述べています。
 社長みずから、新銀行の預金は創業赤字をできるだけ出さないようにするための有価証券運用の資金でもあると述べているわけです。通常、銀行の経営者であれば、預金は融資の資金であると述べるのが健全な姿ではないでしょうか。寺井氏のように、預金が有価証券運用の資金でもあるという認識はいかがなものでしょうか。
 経営再建中とはいえ、都議会民主党は反対いたしましたが、四百億円もの追加出資をしたわけです。債券投資を経営の柱にしている新銀行東京に、何の存在意義があるのかと思います。
 株主として、都は、預金が有価証券運用の資金でもあるという寺井氏の認識について、どう認識をしているのでしょうか。現在、経営再建中なので、預金が有価証券運用を中心に使われる経営でも構わないという認識を都は持っていらっしゃるんでしょうか、お答えください。

○中村金融監理室長 銀行がその業務の一つとして、預金者から預かりました預金を初め、その保有する資金を有価証券などで運用することは一般的なことでございます。
 新銀行東京は、現在、再建中でありますが、みずからの体力の範囲内で、可能な限り中小零細企業の支援を行っております。
 なお、ただいま委員から、預金が有価証券運用の資金でもあるという認識はいかがなものかという発言がございましたけれども、銀行業務には、預金業務のほかに資金運用業務などもあるという点はぜひご理解願いたいと思います。

○佐藤委員 四百億円の追加出資の意味というものは、中小企業を守るためでもあったわけです。経営再建中であるから、中小企業融資だけではなく有価証券運用が中心になっても仕方ないとおっしゃっているのでしょうが、中小企業融資を通じて利益を上げる努力をやはりしていくべきではないのでしょうか。新銀行の主体的な経営を尊重するということはわかりますが、やはり新銀行が経営不振に陥ったのは、産業労働局の経営監視が十分になされていなかったという一面もあるわけですから、今後も注意深く、やはり経営の監視と、そして経営に対するスタンスに、東京都がはっきりと物をいっていかなければいけないのではないかと私は思います。
 新銀行創設を手がけた石原知事の任期も残り一年を切っております。新銀行東京も、事業譲渡など出口戦略を議論するべき時期に来ているのではないでしょうか。
 六月八日の我々都議会民主党の代表質問において、外国資本を含めて、他の金融セクターとのかかわりがあります、それゆえに、その性格上お答えできるものではありませんという答弁がありましたが、石原知事も再三にわたって、セカンドステージについて言及をしてきたわけです。
 これまで都は、平成二十三年度には再建計画が終わると発表しております。都の説明では、経営の再建を果たしてから、セカンドステージの展開があるということであったかと思います。経営再建に自信があるということであれば、経営再建が終わる前に検討に入る場合もあるのではないかと思います。
 そこで伺いますが、いつセカンドステージの検討に入り、内容を発表するのはいつの時期になるのでしょうか。仮に今年度黒字が出るということであれば、再建計画の次の段階であるセカンドステージに移る可能性もあるかもしれないわけですが、セカンドステージの内容を今年度末には発表するのでしょうか、お答えください。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、平成二十三年度までを期間として、現在再建に取り組んでおり、中小零細企業支援という本来の役割を果たせるよう、再建を着実に進めていくことが何よりも重要であるというふうに考えております。

○佐藤委員 お答えいただけないということではありますが、新銀行東京は、先ほどから申し上げているように、融資で利益を上げることができていない。融資、貸出能力が、いまだ十分育っているとはいいがたい状況にあるわけです。そして、いまだ実質業務純益は赤字であるわけですが、新銀行東京の再建のめどが立つようであれば、事業譲渡など含めた、新銀行からの撤退の手法を議論するべきではないかと思います。
 大株主として、株主総会で事業譲渡の準備をするように提案をすべきではないかと考えますが、都として、株主総会でどういった発言をするつもりでしょうか、お答えください。

○中村金融監理室長 新銀行東京の再建計画は、平成二十三年度までを目標に取り組んでいるところでございます。計画前半の二年間が経過しましたが、新銀行東京は、みずからの体力の範囲内で、可能な限りの中小零細企業への支援を行いながら、平成二十一年度通期で初の黒字を計上し、現経営陣のもとで、再建を着実に進めております。
 そうした観点から、次の株主総会におきまして、事業譲渡の準備を提案するということは全く考えておりません。

○佐藤委員 次の株主総会でなくても、近々、都として検討に入っていただきたいと要望はさせていただきます。
 通期で黒字を計上したといっても、いまだ実質業務純益では黒字を計上していない状況です。また、新銀行の黒字は、日銀の低利の資金を債券に投資して得た運用益と、信用コストが圧縮された結果、貸倒引当金からの戻り益で辛うじて黒字が出ているような経営内容ですから、いまだ経営の立て直しができたとはいえない状況ではないかと思います。
 また、中小企業融資を拡大することなく、債券の運用益をふやそうとしている新銀行東京に存在意義があるのか疑問を持っております。
 また、黒字になったからといっても、過去の経営の問題が消えるわけではありませんので、事実解明と責任の所在をはっきりさせるため、この新銀行東京の問題については、今後も取り上げさせていただきたいと考えております。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○小沢委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○小沢委員長 この際、所管局を代表いたしまして、前田産業労働局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○前田産業労働局長 本委員会の所管四局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 小沢委員長さん初め委員の皆様方には、本定例会にご提案申し上げました議案等につきまして、調査、質疑をいただき、まことにありがとうございました。
 その過程でいただきました貴重なご意見、ご指導につきましては、今後十分に尊重させていただきまして、事務事業の執行に万全を期してまいります。
 今後とも、私ども所管四局に対しまして、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、お礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○小沢委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十六分散会

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