経済・港湾委員会速記録第八号

平成二十二年三月十九日(金曜日)
第八委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長小沢 昌也君
副委員長高木 けい君
副委員長増子 博樹君
理事伊藤 ゆう君
理事高倉 良生君
理事鈴木あきまさ君
田中  健君
伊藤 興一君
笹本ひさし君
山崎 一輝君
三宅 茂樹君
佐藤 広典君
清水ひで子君
鈴木貫太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長前田 信弘君
次長真田 正義君
総務部長三枝 健二君
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長後藤  明君
港湾局局長比留間英人君
総務部長多羅尾光睦君
労働委員会事務局局長関  敏樹君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 予算の調査(意見開陳)
・第一号議案   平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 経済・港湾委員会所管分
・第七号議案   平成二十二年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第八号議案   平成二十二年度東京都農業改良資金助成会計予算
・第九号議案   平成二十二年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第十号議案   平成二十二年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
・第十一号議案  平成二十二年度東京都と場会計予算
・第二十号議案  平成二十二年度東京都中央卸売市場会計予算
・第二十二号議案 平成二十二年度東京都臨海地域開発事業会計予算
・第二十三号議案 平成二十二年度東京都港湾事業会計予算
 付託議案の審査(決定)
・第七十九号議案 東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
・第八十号議案  東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第八十一号議案 東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第八十二号議案 東京都海上公園条例の一部を改正する条例
・第八十三号議案 東京都営空港条例の一部を改正する条例
・第八十四号議案 東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 特定事件の継続調査について

○小沢委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました意見書三件につきましては、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○小沢委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査及び特定事件の閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、経済・港湾委員会所管分、第七号議案から第十一号議案まで、第二十号議案、第二十二号議案及び第二十三号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○笹本委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成二十二年度予算案にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
 一般会計の予算規模は、大幅な税収減を受けて、前年度比五・一%減の六兆二千六百四十億円で、二年連続の減となりました。しかし、約六千億円もの税収減に対しては、基金の取り崩し、都債発行増で歳入を確保し、歳出における公債費、税連動経費、基金積み立ての減などにより、給与関係費を除く経常経費については、前年度比三・九%増の二兆二千二百三十二億円、投資的経費については、前年度比四・七%増の八千百三十七億円を確保しています。
 事務事業評価においても、百四十件を見直し、再構築することによって約二百億円を確保するとともに、歳出の精査によって約一千二百億円の事業費を削減しています。
 こうした堅実な財政運営については、基本的に評価をするものです。
 個々の施策においては、昨年の都議選において都議会民主党が掲げた、医療・福祉・介護、仕事・中小企業、住まい・防災、学び・子育て、環境・エネルギーの五つの分野について前向きな姿勢が示されています。昨年末に要請した重点要望事項については、前年度比二二・三%増の約五千億円が予算化されました。
 とりわけ、小児医療や医療提供体制の確保については、多くの事業が新規事業、あるいは拡充事業として予算化されています。
 しかし、懸案の私学助成や出産育児一時金の上積みは計上されておらず、私立幼稚園等就園奨励特別補助においても、負担増の三分の一が残されています。八ッ場ダムについても、過去の実績などに基づいたとされる予算額が計上されています。
 中央卸売市場会計には、豊洲新市場の整備として、土地取得費を含む一千二百八十一億円の予算が計上されています。都議会民主党は、この間の本会議、予算特別委員会、常任委員会において、さまざまな角度から議論をさせていただきましたが、都側からは満足できる回答はありませんでした。既に修正案の作成に入っており、予算特別委員会での提案に向けて粛々と準備を進めさせていただきます。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下、各局にかかわる事項について申し上げます。
 まず初めに、産業労働局関係について申し上げます。
 一、緊急雇用対策の規模を拡大するとともに、保育、介護、教育、IT補助など、若年者向けの雇用をふやすこと。また、職業訓練の規模を拡大するとともに、ミスマッチ解消に向けた取り組みを強化すること。さらに、離職者の受けたい支援がどこに行けば受けられるのか、情報が届くように積極的な広報を実施すること。
 一、パートアドバイザー制度の充実や働く人の心の健康づくりに取り組むなど、労働相談体制の充実、強化を図ること。また、労働法や労働時間に関する正しい知識の普及啓発に取り組むとともに、非正規労働者の処遇改善に取り組む企業の拡大に向けて支援を充実すること。
 一、ワークライフバランスの実現に向けて、両立支援推進助成金の条件緩和など、仕事と家庭との両立支援に取り組む中小企業の拡大に向け取り組むこと。
 一、若年者の雇用就業支援として、合同就職面接会の拡充を図るとともに、若者ジョブサポーター企業の組織化、拡大に取り組むこと。
 一、障害者の就業対策として、ジョブコーチ支援事業を実施すること。また、一般企業での障害者雇用を進めるための都独自の助成金を引き続き実施するとともに、特例子会社の設立に対しても独自に支援すること。
 一、中小企業の経営の安定化支援を図るために、ADRによる取引改善指導など下請企業対策を充実すること。
 一、商店街の活性化に向けて、新・元気を出せ商店街事業については、より効果的な事業になるよう工夫をするとともに、若手商人の育成事業の推進に取り組むこと。
 一、中小企業制度融資について、預託金の活用により、さらに低金利への誘導を図るなど、融資目標額を拡大すること。また、小口資金融資や経営支援融資などの保証料補助を拡充するなど、中小企業の負担軽減を図ること。
 一、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策については、デフォルト抑制や保証料率の見直し、情報公開などに取り組みながら融資規模の拡大を図ること。
 一、新銀行東京について、都民の税金がさらに毀損することがないよう、事業譲渡や株式の売却などを含め、早期に新銀行から撤退すること。
 一、観光資源を開発するために、歴史的建造物などを生かした観光まちづくりに取り組むとともに、舟運ネットワークの構築など、水辺の観光資源の活用に取り組むこと。
 一、東京の森林の再生に向けて、森林の循環再生プロジェクトの充実を図るとともに、庁内や学校での利用推進など、多摩産材の利用拡大を進めること。
 一、農業経営の安定を図るために、コンサルなどを活用した都市農業経営に関するパワーアップ事業を新たに創設すること。
 次に、労働委員会関係について申し上げます。
 一、東京都労働委員会における高い和解率を一つのモデルとして、そのノウハウを全国的に発信するなど、労働者と使用者とがそれぞれ納得できる解決が図られるよう努めること。
 次に、中央卸売市場関係について申し上げます。
 一、築地市場の移転問題については、豊洲の安全性が確認されていないことや、関係者の合意も得られていないことから、強引に移転を行わないこと。また、築地市場の現在地再整備について改めて検討するとともに、シンポジウムや公開討論会など、都民の声を幅広く聞く場を設けること。
 一、市場の取引について、通過物の取り扱い実態や取扱量を把握し、適正な負担を求めるとともに、不明朗な取引や条例違反行為がないよう、東京都として、継続的に厳格な指導、監視を実施すること。
 一、市場コストの削減や、ハード、ソフトの両面から成る市場業者への経営支援などを通じて、跡地売却に頼らない市場財政の健全化に努めること。
 一、市場での環境対策を進めるために、CO2削減に向けた設備の省エネ改修を実施するとともに、北足立市場における太陽光発電設備の導入に取り組むこと。
 一、食肉市場の卸売業者売り場、食肉市場の衛生対策のために必要な施設整備を行うとともに、小動物棟の屋上緑化を進めること。
 最後に、港湾局関係について申し上げます。
 一、東京湾の国際競争力を強化するために、川崎港、横浜港との京浜三港による広域連携事業をさらに推進するとともに、トランシップ港としての機能強化に努めること。また、今後も大型化が予想されるコンテナ船などに対応できるよう、中央防波堤外側に新たに外貿ふ頭を整備すること。
 一、内貿貨物のユニット化、船舶の大型化に対応するため、品川ユニットロードターミナルを整備するとともに、中央防波堤内側に新たにユニットロードターミナルを整備すること。
 一、物流ボトルネックの解消に向けて、東京港臨海道路Ⅱ期や新木場・若洲線、若洲橋を整備するとともに、国道三五七号の荒川河口橋西詰交差点の改良事業などを進めること。
 一、東京港や運河から見える水辺の景観形成に努めること。また、東京港の環境対策として、船舶用陸上電力供給施設を導入するとともに、お台場海浜公園や葛西海浜公園における水質改善に取り組むこと。
 一、災害に強い港を実現するために、水門、排水機場の耐震強化を図るとともに、防潮堤や内部護岸の整備を行うこと。
 一、島しょ対策の港湾整備を進めるために、港湾や漁港、空港、海岸保全施設を整備すること。また、航路、航空路事業等に対する補助を充実すること。
 一、臨海ホールディングスの事業展開に当たっては、子会社五社が相互に補完し、連携しながら経営の効率化を図ること。また、臨海三セクのビル事業については、臨海副都心のまちづくりの進展などを見据えて、不断の見直しを行うこと。
 一、有明北など臨海副都心の土地処分に当たっては、当該地域が企業会計であるとの認識のもと、暫定利用や一時貸し付けなどの工夫を凝らすとともに、コストを意識した販売促進を展開すること。
 以上、申し上げまして、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。

○山崎委員 東京都議会自由民主党を代表いたしまして、当委員会へ付託されました平成二十二年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 平成二十二年度予算は、財政の健全性を堅持しながら、東京の現在と将来に対して、今日、都がなすべき役割をしっかりと果たすものとしています。これは、我が党の考えとまさに同じ姿勢に立ったものであります。
 まず、歳出面では、都税収入の大幅な減収に対応し、歳出総額が減少する中にあっても、政策的経費である一般歳出を一・九%増とし、都政がなすべき課題に対し、積極的な予算措置が講じられております。
 個々の施策を見ても、これまで我が党が強く要望してきた雇用の創出や中小企業への金融支援、さらには、地域商業の活性化に向けた取り組みなど、現下の経済危機のもと、都民や中小企業の不安を払拭するものが盛り込まれています。
 また、かねてより我が党が会派を挙げて議論し、積極的に政策提言を行っている少子高齢化対策についても、子育て、雇用、医療、住まいなど、あらゆる分野において、国を先導する先駆的な取り組みが総合的に展開されています。
 とりわけ、特筆すべきは、投資的経費を一般歳出の伸びを上回る四・七%と着実に増加させ、石原都政初の八千億円台にまで到達させていることです。内容も、外かく環状道路の整備や、鉄道の連続立体交差化といった東京の将来を切り開く公共投資を着実に推進するとともに、中小企業の受注機会や雇用の創出にもつながる都市基盤施設の維持、更新や道路補修や学校の耐震化などの事業を積極的に実施するものとなっております。
 財政運営においても、都税収入が大幅に落ち込む中、徹底してむだを排した上で、これまでの堅実な財政運営で培ってきた都債の発行余力や基金など、財政の対応力を適切に活用しています。こうした取り組みにより、必要な施策を積極的に実施しながら、財源として活用可能な基金の残高を一兆円確保するなど、将来に向けた都財政の健全性を堅持しています。
 この先も、厳しい財政環境が続くことが想定されますが、こうした厳しいときだからこそ、東京が国を先導していかなければなりません。そのためには、それらの施策展開を支え得る堅実な財政運営の維持が不可欠であり、事務事業評価のさらなる進化など、今後とも努力を重ねていただきたいと思います。
 最後に、現下の都民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、各局とも、施策の目的をできる限り早期に達成するべく、迅速かつ着実な予算執行に鋭意努力されるよう強く要望します。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、産業労働局関係について申し上げます。
 一、厳しい経営環境に立たされている都内中小企業の資金調達に支障が生じないよう、経営緊急を中心とする制度融資により、引き続き的確な支援を図ること。
 二、国の緊急保証制度などによっても資金調達が十分にできない中小企業に対しては、地域の金融機関と連携した新たな保証つき融資制度を拡大するなど、多様な資金供給ルートを構築すること。
 三、長引く景気低迷の中で、中小企業みずからが行う経営力の向上や国内外の販路開拓の取り組みに対して、より一層強力な支援を行うこと。
 四、区部産業支援拠点の整備を着実に進めるとともに、多摩産業支援拠点とあわせて中小企業の技術支援を強力に推進すること。
 五、新・元気を出せ商店街事業の充実を図り、魅力的で活力のある商店街づくりを推進すること。
 また、国の中小商業活力向上事業と連携して、商店街のハード整備等を後押しする区市町村を支援するとともに、空き店舗を活用し、都内産品の販売を行う取り組みを後押しするなど、地域商業の活性化に努めること。
 六、後継者不足等によりすぐれた高度技術の継承が進まず、東京の工業は衰退の危機に直面をしていることから、ものづくり技術を確実に継承する仕組みを構築すること。
 七、アジア地域に対して、より戦略的な観光プロモーションを展開するとともに、新たな観光資源として、歴史的建造物を活用した観光まちづくりを進めるなど、積極的な旅行者誘致策に取り組むこと。
 八、都内農業者の経営力の一層の向上を図るため、施設設備等のハード支援と、経営改善を指導する専門家派遣などのソフト支援を行うことで、さらなる都市農業の振興に努めること。
 また、農地の保全を図りつつ、安全・安心な都内産農産物が区部の学校等で利用される地産地消の取り組みを進めること。
 九、林業及び木材産業の経営の安定と、森林の有する多面的な機能が持続的に発揮されるよう、林道の整備や森林施業の集約化により森林整備を着実に進めるとともに、多摩産材の需要拡大の取り組みを推進すること。
 十、依然として厳しい雇用情勢に対応して、雇用創出の取り組みを一層強化するとともに、離職者向けの職業訓練を充実するなど、きめ細かな雇用対策を実施すること。
 十一、安心して子どもを産み育てられる社会の実現を目指し、少子化対策の充実と雇用環境の改善に向けた新たな施策を積極的に推進すること。
 また、仕事と家庭の両立に主体的に取り組む中小企業に対して、支援のさらなる充実に努めること。
 十二、島しょ地域の農業、漁業、さらには観光産業の充実に向けた支援や基盤整備を実施すること。
 また、三宅島の早期の復興に向けた施策の展開には、引き続き、十分な対応を図ること。
 次に、中央卸売市場関係について申し上げます。
 一、豊洲新市場整備については、築地市場のそれぞれの市場業者が置かれている状況や意向など、引き続き、個別面談等を通じて十分に把握していくとともに、現在、豊洲で実施している実験の結果について、公開の形で、専門家による科学的検証を改めて行い、その有効性を確認した上で、着実に整備を推進されたい。
 二、第八次東京都卸売市場整備計画に基づいて、物流の効率化や品質管理の高度化、市場関係業者の経営基盤の強化、経営の活性化など、卸売市場の活性化を図るための施策を積極的に推進されたい。
 三、小型特殊自動車の電動化、太陽光発電設備の設置、屋上緑化、温室効果ガス排出量削減のための設備改修など、積極的な市場の環境対策に努められたい。
 四、多摩地域の地方卸売市場については、生鮮食料品流通の安定供給を図るための施設整備補助制度等の拡充、充実を図り、その支援に努められたい。
 次に、港湾局関係について申し上げます。
 一、東京、川崎、横浜の三港連携を強力に推進し、東京湾の国際競争力の強化を図るため、今後、国において選定される国際戦略港湾なども視野に入れ、中央防波堤外側の新規外貿コンテナふ頭の整備や、内貿ユニットロードターミナルの整備を推進するなど、着実にその機能強化を図られたい。
 二、高潮や津波等から、都民の生命、財産を守るため、老朽化した水門、排水機場の耐震強化や、防潮堤、内部護岸の早期整備を推進されたい。
 三、平成二十七年度のまちの概成に向け、臨海副都心を世界に誇れる魅力あるまちにするために、観光、交流のまちづくりに資する基盤整備を推進されたい。
 四、中央防波堤内側埋立地の海の森整備を推進するとともに、東京港や臨海地域における先進的な環境対策に取り組み、環境負荷の少ない都市の実現に努められたい。
 五、島しょの港湾、漁港、空港などの整備を着実に進めるとともに、引き続き、離島航路補助及び航空路補助の充実に努められたい。
 以上をもちまして意見開陳を終わります。

○伊藤(興)委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成二十二年度予算関係議案について意見開陳を行います。
 初めに、各局共通について申し上げます。
 平成二十二年度の一般会計当初予算案は、都税が二年連続で大幅減となる中、予算規模が前年度比で五・一%減少していますが、政策的経費である一般歳出は、逆に一・九%伸ばしています。
 都財政を取り巻く環境がこれだけ厳しい中、このような予算を編成できたのは、いうまでもなく、都が公明党と手を携えながら、十年来に及ぶ行財政改革に取り組んできたからにほかなりません。その過程において、公明党が提案した新たな公会計制度が導入されたことにより、隠れ借金を顕在化させ、その解決策を見出し、十九年度にはほぼ解消させることができました。また、減価償却費の概念を取り入れ、社会資本等整備基金を積み立てるなど、大きな財政改革を行ってきました。
 このようにして、これまで培ってきた財政の対応力が、二十二年度予算案において発揮されており、厳しい経済情勢により、しわ寄せを受けている雇用環境や中小企業に対して、積極的な対策が講じられています。
 また、少子化対策、高齢者支援、周産期医療などの重要課題に対しても、都独自の戦略的な取り組みが拡充されています。
 さらに、都市インフラの整備を初め、東京の将来をつくるための取り組みも加速させています。公明党が一貫して充実を要求している福祉と保健の分野を見ても、構成比、金額ともに過去最高であり、評価します。
 また、歳入歳出全般にわたるもう一段の洗い直しを行い、その上で、発行余力の範囲内で都債の積極的な活用を図っており、同時に、財政調整基金は、今後の経済変動に備えて、取り崩しを必要最小限にとどめています。
 今後も厳しい財政環境が想定される中にあって、従来にも増して中長期的視点に立った財政運営が必要です。そのため、事業の特性に応じて、新たな公会計手法を積極的に施策の検証、評価に活用するなど、事務事業評価の取り組みを一層充実させることで、都民の税金をむだなく、最大限有効に活用していくことが重要です。将来にわたり都民生活を守るため、財政体質を高める取り組みをさらに強化することを強く望むものであります。
 予算の執行に当たっては、都民の期待にこたえられるよう、より一層効果的、効率的に行うことを要望します。
 次に、各局別に申し上げます。
 初めに、産業労働局関係について申し上げます。
 一、中小企業制度融資の充実を図るとともに、都内小零細企業の資金繰りを支援するための都独自の保証つき融資制度を拡充するなど、中小企業の資金調達の一層の円滑化に努めること。また、中小企業が不動産や個人保証に過度に依存することなく、みずからが所有する機械、設備を担保とした融資制度の充実を図ること。
 一、受注低迷が深刻な状況にあることから、新たな受注拡大に向けた中小企業の主体的な取り組みを引き続き強力に支援すること。また、新製品、新技術の販路を海外に開拓しようとする都内中小企業に対して、さらなる支援策の充実を図ること。
 一、都内中小企業が、収益力、生産性の向上や省エネ、地球温暖化防止を目的に行う設備投資に対して、中小企業設備リース事業により積極的な支援に努めること。
 一、地域のコミュニティの中核としての役割を担う商店街に対して、新・元気を出せ商店街事業による支援を充実するとともに、未来を支える意欲ある若手人材を育てる進め若手商人育成事業を引き続き実施するなど、商店街の活性化に資する事業を一層推進すること。
 一、中小企業のものづくり人材を量的、質的に確保するため、効率的な人材の確保、育成が可能となる総合的な仕組みを構築すること。
 一、羽田空港の国際化にあわせて、外客誘致の取り組みを積極的に展開すること。また、外国人旅行者や障害者、高齢者等、だれもが安心して東京の観光を楽しむことができるよう、バリアフリー等に配慮した観光案内標識の整備を着実に推進すること。
 一、都民の健康な心身をはぐくむため、一人一人が健全な食生活を実践できるよう、都民全体に食育の重要性をアピールし、食育を積極的に推進する都民を支援するなど、食育推進のための施策を充実すること。また、都内の農地で安全・安心な農産物を生産し、都民に供給する地産地消の取り組みを拡大するとともに、都市の有利性を生かした農業経営力向上のための施策を強化するなど、都市農業の一層の振興を図ること。
 一、厳しい雇用情勢下にあって、求職者の不安を取り除くため、区市町村とも連携を図りながら積極的な雇用創出に向けた取り組みを推進するとともに、職業訓練の規模を拡充するなど、就職に向けた支援を強化すること。
 また、障害者や高齢者など、就職が困難な求職者に対して、積極的な支援を行うこと。
 一、東京しごとセンターにおける各種就業支援策を拡充すること。特に、就職氷河期世代の三十歳代の求職者が正社員として就職できるよう、引き続き取り組みを強化するとともに、しごとセンター多摩での事業展開をさらに推進すること。
 また、若年者、特に新規学卒者に対して、状況に応じた迅速な対策を講じること。
 一、子どもを産み育てながら、家庭と仕事を両立して働き続けることができるよう、中小企業が取り組む次世代育成のための環境整備を積極的に支援すること。特に、育児休業取得者の職場復帰を容易にするための新たな取り組みを実施すること。
 一、障害者を就職に結びつける施策を強化するため、障害者の就労、雇用相談専用窓口の開設や、就労のための促進策などに取り組むとともに、ジョブコーチ派遣による支援を充実し、障害者の職場への定着を一層促進すること。
 一、職業能力開発センターのノウハウ、施設を活用して、効果的に企業内の人材育成や雇用の促進に直結した職業訓練を実施するとともに、ものづくりへの関心を醸成する施策を推進すること。
 次に、中央卸売市場関係について申し上げます。
 一、築地市場の移転については、現在行っている実験の有効性を確認した上で、整備事業を着実に推進すること。
 また、それぞれの業者の要望を把握し、新市場への移転や移転先の事業継承について、支援策の検討に努めること。
 一、第八次東京都卸売市場整備計画の実施に当たっては、各市場がそれぞれの特性に応じた機能を十分に発揮し、集荷、販売力を強化するなど、都民の期待にこたえられる卸売市場として活性化を図るよう努めること。
 一、都民に対する食の安全と安心を確保するため、国内で生産された食品はもとより、輸入品も含め、常に消費者の視点に立ち、安全・安心な生鮮食料品を流通するよう努めること。
 一、卸売市場を活性化し、今後とも生鮮食料品等流通の中核を担っていくため、市場関係業者に対する経営指導、活性化の支援などに努めること。
 一、食肉市場については、衛生対策工事を着実に推進し、都民へ安全・安心な食肉を供給すること。
 一、市場環境の改善を図るため、市場内で使用する運搬車両の電動化への助成措置の継続など、環境負荷の低減に努めること。
 一、中央卸売市場の運営に当たっては、市場財産の有効活用等による収入の確保や内部努力の徹底による経費削減を行うなど、健全な市場財政の確保に努めること。
 次に、港湾局関係について申し上げます。
 一、船舶の大型化に対応し、東京港の国際競争力を強化するために、中央防波堤外側に新たな外貿コンテナふ頭を整備するとともに、内貿ユニット貨物に対応するために、内貿ユニットロードターミナルの整備を図ること。
 一、東京、川崎、横浜による京浜三港の連携を一層推進し、今後、国において選定される国際戦略港湾なども踏まえ、東京湾の国際競争力の強化に資する施策を推進すること。
 一、東京港の臨海地域を高潮や津波等の災害から守るため、水門、排水機場の耐震強化や、内部護岸、防潮堤等の整備を積極的に推進するとともに、震災時における港湾物流機能の確保のため、耐震強化岸壁や耐震護岸の整備を図ること。
 一、臨海副都心の魅力をさらに高めるために、青海地区北側については、観光・交流エリアとしてのまちづくりを推進し、一層の活性化に努めること。
 また、有明北地区については、新しい水辺市街地の創造を目指して着実に基盤整備を進めること。
 一、中央防波堤内側地区における海の森の整備を推進するとともに、東京港や臨海副都心を初めとする臨海地域全体において、環境に配慮したさまざまな取り組みの推進に努めること。
 一、離島住民の生活の安定や産業の振興、交通利便性の向上を図るため、島しょの港湾、漁港、空港、海岸保全施設等の整備を引き続き推進するとともに、離島航路、航空路補助の充実に努めること。
 以上をもちまして意見の開陳を終わります。

○清水委員 日本共産党都議団の意見を述べます。
 経済危機と貧富の格差が深刻化するもとでも、大企業の身勝手な雇用破壊、社会保障の切り捨てなどが都民にさらなる苦悩をもたらしている今、東京都が都民の雇用と暮らし、福祉を守ることを基本に、本格的な少子高齢社会への対応、行き届いた教育の実現、中小企業振興、地球温暖化防止、震災対策などの充実のために力を尽くすことが強く求められています。
 ところが、来年度予算は、緊急の雇用、中小企業対策、福祉施策などに部分的に前進面があるものの、今日の深刻な事態と都の財政から見れば、極めて不十分なものといわざるを得ません。
 また、税収減といいながら、外かく環状道路建設の事業化着手や八ッ場ダム建設関連経費などの不要不急の大型開発が盛り込まれ、投資的経費を六年連続で増額するなど、浪費を継続するものとなっています。
 都税の大幅減収が強調されていますが、この十二年間の平均収入に匹敵する税収に加え、オリンピック準備基金四千億円を初め、一兆三千億円の基金など、都民要望にこたえる財源は十分にあるのです。
 中央卸売市場会計では、焦点となっている築地市場の豊洲移転関連費を、千二百八十億円を計上し、移転を強行しようとしています。汚染問題を不十分な調査と対策でごまかし、予算を通すために六月までに適用実験を行うとし、三月十日に中間報告を出し、確実に汚染物質を無害化できることが実証されたと発表しました。しかし、初期値を発表していない、サンプル採取位置のずれなど、今回の実験で無害化を宣言するには無理があるということが明らかになりました。もともと、東京ガス跡地への食の安全が最も重視されるべき卸売市場の移転を知事が決定したものであり、こだわり続けていることに問題があるのです。今議会で提案されている豊洲移転関連費は削除し、現在地再整備に踏み出すことを強く求めます。我が党は、既に修正案を提出することを明らかにしておりますが、この修正案の成立のために全力を尽くすものです。
 産業労働局関係についてです。
 雇用の東京ルールを制定するとともに、リストラ対策本部を設置し、雇用の安定と労働者の権利と生活擁護に全力を挙げること。
 都の直接雇用による未就職者支援事業を実施すること。
 一定期間、職につけなかった若者の就労を確保すること。中小企業、区市町村が取り組む就職相談、就職紹介などの取り組みを支援すること。若者や失業者を採用した中小企業の助成を抜本的に充実させること。若者の空き店舗を活用した開業を支援するため、家賃補助や経営相談など、資金力と経験に乏しい若者を支援する仕組みを創設すること。
 父親育児応援助成事業を創設するなど、仕事と家庭の両立支援を拡充すること。
 求職者への無料の公共職業訓練を拡充すること。
 企業向け労働講座を拡充すること。
 労働情報センターの相談窓口をふやし、そして、急増しているメンタルヘルス相談に対応できるようにすること。ポケット労働法などを増刷し、コンビニ、ネットカフェ、映画館など、若者がよく行く場所に大量に置くこと。都内の高校生、大学生すべてに配布すること。中学校、高校、専門学校、大学など、労働法の普及啓発が活発に行われるよう、都として取り組むこと。
 中小企業振興条例を制定するとともに、分野別、業種別の振興プランを策定し、振興に努めること。
 大企業からの受注拡大など、中小企業の仕事確保に全力を尽くすこと。中小業者の休業補償制度を創設すること。不況で経営難に陥っている業者の貸し工場家賃、固定費負担の軽減のための直接支援を行うこと。
 自然エネルギー、省資源、リサイクルなど、地球温暖化対策に対応する産業振興を重視し、支援の仕組みをつくり、進めること。中小企業と連携し、都として新技術、新製品開発のための試験、研究、開発に取り組むこと。
 都内製造業のため、ボトムアップ方式で振興計画を策定すること。既存の集積地域に加えて、集積が期待される地域や、地域横断的産業クラスターなども視野に入れた、新たな工業集積地域支援事業を立ち上げること。仕事確保に苦しむ中小企業に、都として委託研究を行う制度を創設し、新技術や新製品に結実させ、さらに販売に結びつけること。
 新・元気を出せ商店街事業を大幅に増額し、対象事業、適用範囲を広げ、複数回数利用や補助率の引き上げ、複数年度にまたがる事業など、商店街の要望にこたえ、改善すること。すべての商店街が利用できるようにすること。エコ商店街支援事業を創設すること。
 個店事業を復活し、商店街支援事業、人材育成事業をあわせた三位一体の商店街支援システムをつくること。
 消費税ゼロデーに取り組み、商店街支援を実施すること。
 商工業支援、都の人材育成のため、商工指導所を復活させること。産業技術研究所、中小企業振興センターなどを充実させ、都内中小企業の生き残りのためにふさわしく充実させること。
 制度融資は低利の政策金利を基本とすること。責任共有制を中止し、全額保証にすること。
 自営業者の女性労働、生活実態調査を行うこと。
 都市農業振興条例を制定するとともに、農林水産予算を増額し、振興策を拡充すること。
 農林漁業の担い手育成事業を創設すること。
 中小企業の役に立たず、経営破綻に陥っている新銀行東京は、都民の預金と中小企業の経営保全を前提に破綻処理に踏み出すこと。また、都の事業を使った救済は行わないこと。
 中央卸売市場です。
 高濃度の有害物質に汚染された豊洲予定地への築地移転関連費を削除し、現在地再整備に踏み出すこと。
 再整備に当たっては、大型量販店対応を前提にした流通センター化構想をとらないこと。国の道州制導入を前提としての基幹市場構想に反対するとともに、市場再整備に当たって、過大な施設建設計画をとらないこと。
 先送り、転送による弊害をなくして、公平で公正な競り取引を行うよう努めること。
 仲卸業者など中小零細業者の経営支援を行い、市場機能の維持拡大に努めること。
 民間の施設について、耐震補強の促進を図るための援助を強めること。また、アスベスト対策も早急に実施すること。
 港湾局についてです。
 大企業本位の臨海副都心開発を中止すること。第七次改訂港湾計画の推進に当たっては、東京港振興促進協議会を民主的に運営し、全体の合意をもとに進めること。
 東京港整備に当たっては、過度の港湾設備や道路の建設は改めること。
 都民生活の充実や中小企業の振興につながる東京港の物流機能の拡充を図るとともに、軌道系輸送などモーダルシフトの導入を図ること。振興対策は大企業本位とせず、中小港運業の振興、港湾労働者の雇用の創出と厚生を充実させること。
 大深度コンテナバース及び南北道路の建設は再検討すること。
 東京港臨海道路Ⅱ期事業など、臨海副都心開発のためのアクセス道路、広域幹線道路は凍結し、抜本的に再検討すること。
 臨海副都心開発はやめ、税金投入を中止するとともに、都民参加で見直すこと。
 二十四時間フル稼働に対応する東京港港湾労働会館の建設を初め、港湾関係労働者のための住宅や宿泊所、休憩所や医療施設など福利厚生施設の整備を促進すること。
 港湾公共施設のアスベスト除去を進めること。民間施設については、その促進のために支援すること。
 以上です。

○小沢委員長 以上で予算に対する意見の開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において取りまとめの上、調査報告書として議長に提出いたしますので、ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○小沢委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第七十九号議案から第八十四号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 この際、本案に対し、発言の申し出がありますので、これを許します。

○清水委員 第八十号、手数料条例の一部改正案は、技能検定手数料の値上げをするものです。今日の厳しい状況の中で、低賃金や仕事確保に苦しんでいる労働者の求職者のために、国や都が無料、あるいは、低料金で資格の取得や職業訓練を身につける機会を確保していくことが求められています。今回の値上げは、その方向に逆らうものです。労働者の負担増をもたらす今回の値上げに反対します。
 以上です。

○小沢委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第八十号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小沢委員長 起立多数と認めます。よって、第八十号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第七十九号議案及び第八十一号議案から第八十四号議案までを一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認めます。よって、第七十九号議案及び第八十一号議案から第八十四号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○小沢委員長 次に、特定事件についてお諮りいたします。
 お手元配布の特定事件調査事項につきましては、閉会中の継続審査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○小沢委員長 この際、所管局を代表して、関労働委員会事務局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○関労働委員会事務局長 本委員会所管四局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 小沢委員長を初め委員の皆様方には、本定例会にご提案申し上げました議案等につきまして、熱心にご審議を賜り、まことにありがとうございました。ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご指導につきましては、十分に尊重させていただき、今後の事務事業の執行に万全を期してまいります。
 今後とも、所管四局に対しまして、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、お礼のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

○小沢委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時五十分散会

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