経済・港湾委員会速記録第七号

平成二十二年三月十八日(木曜日)
第八委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長小沢 昌也君
副委員長高木 けい君
副委員長増子 博樹君
理事伊藤 ゆう君
理事高倉 良生君
理事鈴木あきまさ君
田中  健君
伊藤 興一君
笹本ひさし君
山崎 一輝君
三宅 茂樹君
佐藤 広典君
清水ひで子君
鈴木貫太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長後藤  明君
事業部長大橋 健治君
新市場担当部長野口 一紀君
新市場建設調整担当部長宮良  眞君
参事大朏 秀次君
参事横山  宏君
参事砂川 俊雄君
参事黒川  亨君
労働委員会事務局局長関  敏樹君

本日の会議に付した事件
 労働委員会事務局関係
  予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
  付託議案の審査(質疑)
・第八十四号議案 東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 中央卸売市場関係
  予算の調査(質疑)
・第十一号議案 平成二十二年度東京都と場会計予算
・第二十号議案 平成二十二年度東京都中央卸売市場会計予算
報告事項(質疑)
・豊洲新市場予定地における環境影響評価に関する現地調査結果について
・豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する実験について
・豊洲新市場の整備手法見直しについて
・豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する実験の中間報告について

○小沢委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び中央卸売市場関係の予算の調査、労働委員会事務局関係の付託議案の審査並びに中央卸売市場関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分及び第八十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○高倉委員 労働委員会の来年度予算に関連をして、質問をいたします。
 労働委員会の来年度予算は、六億七千二百万円であります。平成二十二年度一般会計予算説明書を見ますと、そのうちのかなりの部分が人件費で占められております。不当労働行為の審査などの主要事業が、委員の活動と、それを補佐する事務局職員によって支えられている局であるということがわかるわけであります。そうした意味で、委員や職員の能力の向上が極めて重要な課題であると考えております。
 都労委のホームページを拝見しますと、来年度に向けて、新たに特定任期付職員の募集を行っておりますけれども、都労委においては、昨年の四月にも管理職として採用していたというふうに記憶をいたしております。そこで、本日は、この特定任期付職員について何点か質問をさせていただきます。
 まず、労働委員会は国及び各都道府県に設置をされておりますけれども、都道府県ごとに置かれた状況はかなり異なっているというふうにもお聞きをしております。その中において、東京都は大変大きな役割を果たしていると考えるわけでありますけれども、都労委の全国における状況と特徴について、答弁を求めます。

○関労働委員会事務局長 労働委員会の主な役割といたしましては、ご承知のとおり、あっせん、調停などにより労使紛争を解決に導く調整的機能と、不当労働行為の審査などを行う判定的機能がございます。
 このうち、調整事件につきましては、全国の約三割を東京都労働委員会が処理しております。また、不当労働行為の審査につきましても、新規の事件では全国の約三割、前年からの繰越事件を含めた総取扱件数では、全国の約四割を処理しております。
 また、申し立てられます事件の内容面につきましても、全国的な大企業に係る事案や、事業譲渡、M&Aに絡む事案、派遣労働者、契約社員、外国人労働者など新たな雇用形態に係る事案を扱うなど、困難かつ先端的な事案を数多く処理しております。

○高倉委員 今、答弁をお聞きしますと、大変多くの企業や全国的な労働組合が集中をするこの東京という特性から、都労委が質、量ともに全国をリードする立場にあるということであると思います。
 このような状況にある都労委が、昨年、特定任期付職員の募集を行いまして、弁護士を管理職として採用いたしたわけですけれども、この理由について、ご答弁をいただきたいと思います。

○関労働委員会事務局長 東京都労働委員会の公益委員には、十三名中六名の弁護士がおられます。ただ、各委員は多忙でございますとともに、個々の事件について、より高次の視点から判断を行っており、職員の専門性の向上など、事務局機能の強化等に常にかかわるには限界がございました。
 国の中央労働委員会におきましては、事件の的確かつ迅速な処理などを目指しまして、平成十七年度から法曹資格者を職員として配置しているところでございまして、現在三名が配置されていると聞いております。
 多くの事件を扱い、困難な案件を処理し、中央労働委員会とともに全国的に大きな存在でございます東京都労働委員会においても、法曹資格者を採用することによりまして、専門的視点からの助言、指導や、職員の専門知識などをさらに向上させる必要性は高いことから、会長の方針のもと、都道府県労働委員会としては全国で初めて、平成二十一年度に特定任期付職員の法務担当副参事の採用を行ったところでございます。

○高倉委員 都道府県の労働委員会では全国で初めての採用であるというような、今ご答弁がございました。そして、今の答弁で、法曹資格者の採用というものが、委員の補佐、また、職員の専門性の向上に大変有効であるということは、私も理解をいたしました。
 それでは、その法曹資格者を採用するメリットについて、より具体的にご説明をいただきたいと思います。

○関労働委員会事務局長 法曹資格者を採用するメリットでございますけれども、第一に、不当労働行為の審査でございますが、相対立する労使の主張を審理する私ども労働委員会の、準司法的機関としての非常に重要な業務でございます。この不当労働行為の調査、審問の過程におきましては、当事者の主張や対立点の整理がより的確に行われることが可能になってきております。
 第二に、労働委員会の発した命令は、中央労働委員会において再審査、また、裁判所における訴訟へと続く場合もございます。法曹資格者による、法律面からのチェックにより、命令の論理性、説得性が一層高まってきております。
 第三に、東京都労働委員会が発した命令につきまして争われます行政訴訟がございます。これは、地裁判決の認定、判断の違法性を、労働委員会が当事者として高裁、最高裁で争う高度な法的能力が必要な場合が多数ございます。これらにおいて、弁護士としてのノウハウを活用していただいております。
 第四に、日常的な指導や専門研修の実施など、職員の専門性のより一層の向上に寄与しているというところでございます。

○高倉委員 今、ご答弁をまたいただきまして、法曹資格者の採用というのが非常に有効であるということ、重ねて理解をさせていただきました。
 昨年の採用に続きまして、今回さらに一名を追加して採用するということでありますけれども、この理由について、ご答弁を求めたいと思います。

○関労働委員会事務局長 東京都労働委員会では、平成二十一年に百十九件の新規の不当労働行為申し立てがございました。これは、前年から約二割ほどふえております。また、前年からの繰越分を含めますと、三百八十三件の事件を処理しております。
 これらの事件のすべてについて、一人の法曹資格者で助言、指導いただくというのはなかなか難しいということがわかってまいりまして、今回さらにもう一名の特定任期付職員を採用することといたしました。
 これによりまして、法曹資格者がきめ細かく各事案の処理に助言、指導していくことができるとともに、法的に高度かつ複雑な事件の審査手続においては、みずから担当者として参画することによって、業務水準の一層の向上を図ることができると思っております。

○高倉委員 ほかの道府県とは異なりまして、東京都の労働委員会で扱う案件が大変多いと。そうした膨大な事件数を処理しなければならない都労委の状況というものを踏まえて、もう一人を追加採用する、こういったことでありまして、そのことについて理解申し上げたいと思います。
 今回、法曹資格者を常勤の管理職としまして二名置きまして、体制を強化するということでありますけれども、これを踏まえて、今後、都労委としてどういった業務展開を図っていくのかご見解をお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。

○関労働委員会事務局長 不当労働行為の審査など、労使関係の速やかな正常化が行われるためにも、早期解決が非常に求められております。
 一昨年のリーマンショック以降の雇用経済情勢の悪化に伴いまして、労使紛争は増加傾向にございます。このような事件が増加する中にありまして、迅速な事件処理は、当労働委員会に対しての社会的な要請であると考えております。
 公益委員、労働者委員、使用者委員は、各界で実績を積み、見識を有しておられますが、これらの委員を直接補佐していく事務局には、より高い専門能力が求められております。このため、今後とも法曹資格者を十分に活用しつつ、迅速、的確な不当労働行為審査など、労使関係の安定化に資するよう、業務の一層の充実を目指してまいります。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○小沢委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第十一号議案、第二十号議案及び報告事項、豊洲新市場予定地における環境影響評価に関する現地調査結果について外三件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○後藤管理部長 去る一月二十六日及び二月十八日の当委員会でご要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する実験の予定地点についてでございます。
 新市場予定地で実施した汚染物質に関する実験の調査地点、十六地点につきまして、図でお示ししております。
 二ページをお開き願います。平成二十二年度東京都中央卸売市場会計当初予算案における豊洲新市場関連予算の内訳等についてでございます。
 平成二十二年度は、新市場関連予算として、合計一千二百八十億円の予算を計上いたしました。事項別に予算額と概略を表にお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 三ページをお開き願います。中央卸売市場における市場別業者数の推移(十年間)についてでございます。
 過去十年間の水産物部、青果部、食肉部及び花き部の市場別の業者数の推移を記載してございます。三ページに卸売業者、四ページに仲卸業者、五ページに売買参加者について記載してございます。
 六ページをお開き願います。中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移についてでございます。六ページに取引方法別割合、七ページに取扱金額の推移について記載してございます。
 八ページをお開き願います。PFI事業の整備手法見直しに至った検討内容、検討結果についてでございます。
 新市場整備につきましては、バリュー・フォー・マネーが見込めないことや、平成二十六年度中の開場を実現できないことから、直営方式に見直しております。
 九ページをお開き願います。全国の中央卸売市場で現在地再整備を実施した事例についてでございます。
 全国の中央卸売市場のうち、お示ししてございます三つの条件に当てはまる現在地再整備を実施した市場を一覧にしておりますので、ご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小沢委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、豊洲への移転を考えておられる市場関係について、質疑をしてまいりたいというふうに思います。
 きょうの質疑では、そもそも東京都がこの市場を豊洲に移転しようと決めていく経緯、それから、豊洲の土壌の安全確認はいかにして行われたのかという安全確認、そして、新たな土壌汚染が出てきたときにどのように処理をするのかという東ガスとの取り決めについて、大きく三つに分けてお伺いをしていきたいというふうに思っております。
 ですので、そもそも論として、過去の経緯にもさかのぼりながら伺ってまいりたいというふうに思いますので、ご答弁をお願い申し上げてまいりたいと思います。
 まず初めにですけれども、そもそも築地市場の移転先として豊洲に決まった、こう東京都が決めた時期と、そして、どの会議によって豊洲が移転先に決められたのか、お伺いしたいと思います。

○大朏参事 東京都の卸売市場整備計画は、知事の附属機関でございます東京都卸売市場審議会に、その基本方針について諮問いたしまして、その答申を得て策定をいたします。
 平成十三年四月に行われました第五十五回の東京都卸売市場審議会において、築地市場について、早急に豊洲地区を候補地として、移転整備に向けた検討を進めるべきであるとの内容を含みます東京都卸売市場整備基本方針が答申をされました。
 東京都は、この答申を受けまして、業界団体との協議を踏まえまして、平成十三年十二月の第七次の東京都卸売市場整備計画におきまして、豊洲地区への移転を決定したものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 今、平成十三年四月の市場審議会の答申を受けてということをいわれたわけですけれども、実は、平成十三年の二月二十一日には、既に都は移転先の地権者である東京ガスと事実上もう合意をしていて、諸条件の合意に向けた覚書というものを締結されています。
 四月に決まったというのは都の審議会での結論であって、都としては、平成十三年の二月には、豊洲をもう候補地に選定していたんではないかと、こう思うんですけれども、いかがでしょう。

○大朏参事 平成十二年から十三年にかけて行われました東京都卸売市場審議会の計画部会では、豊洲地区のほか、中央防波堤内側地区、有明北地区、石川島播磨重工業造船所跡地、晴海地区の計五つの候補地について、比較検討を行いました。
 平成十三年二月二十一日に、東京都は東京ガス株式会社と覚書を交わしまして、諸条件について協議を始めることが合意されたため、豊洲地区は有力な候補地となったと認識しております。

○伊藤(ゆ)委員 今、十三年の二月の覚書によって、豊洲が有力な候補地になったという答弁でありましたが、さらにさかのぼること平成十二年の六月二日に、東京都は、東京ガスからの質問状を受けて、同年の六月二十七日に回答を出しています。この回答は、もう既に、都が豊洲への市場移転に向けた合意を取りつけるための回答ではなかったのかと思うんですが、いかがでしょうか。

○黒川参事 平成十二年六月二十七日の回答は、築地市場を豊洲地域の先端部に移転させることなどについて、東京ガス株式会社に理解と協力を求めるものとなっています。

○伊藤(ゆ)委員 もう既に、平成十三年四月の審議会の一年以上前から、都は東京ガスと交渉に入っていて、そして東京ガスの方も、移転先として候補地が豊洲に限られてくるかもしれない、そうなった場合に、果たしてこの土壌汚染費用はどちらが持つのかと、もう既にこのころから、こういう危機感というものを東京ガスが持っていたということが、この質問状を見てもわかります。
 ですから、平成十三年四月の市場審議会で決まったといっても、事実上、その前から既に、東京都は豊洲にするんだということをお決めになられたんではないかというふうに思うんですけれども、この一年余りを経て、十三年二月二十一日に、都は移転先の地権者である東京ガスと事実上合意し、そして、諸条件の合意に向けた覚書を締結したわけです。合意に向けて、水面下では既に交渉が続けられてきたと思うんですけれども、東京都はそのことを記録されているんでしょうか。また、その交渉記録の内容についてもお伺いしたいと思います。

○黒川参事 都における記録を確認すると、平成十一年十一月に、業界団体の代表者等を構成メンバーとする築地市場再整備推進協議会において、これまでの現在地再整備の方針を変更し、移転整備へと方向転換すべきとの意見集約が図られたことを受け、都は、豊洲地区の地権者である東京ガス株式会社に対し、豊洲地区を市場の移転候補地として検討していくことを伝え、理解と協力を求めました。
 その後、市場移転についての双方の協議を経て、平成十二年五月に、都は豊洲地区の先端部を市場用地として考えていることを東京ガス株式会社に伝えました。
 平成十二年六月二日に、東京ガス株式会社から都に対し、築地市場の豊洲地区移転についての同社の基本的な考え方が示されるとともに、同社が、豊洲地区の根本部にある四、五街区を中心とした市場配置が最適と考えていることなどの質問がなされております。
 なお、この質問の中で、同社は、豊洲用地は工場跡地であり、土壌処理や地中埋設物の撤去等が必要になることなどについても触れております。
 平成十二年六月二十七日に、都は、先端部を除く地域では市場の効率的な配置ができず、市場としての機能が発揮できないと判断していることなど、東京ガス株式会社からの質問に対する回答を行っております。
 平成十二年十月に、都は、東京ガス株式会社に対し、築地市場の豊洲地区の先端部への移転について要請を行っております。
 こうした経過を踏まえ、平成十三年二月に、都と東京ガス株式会社が覚書を締結し、築地市場の豊洲移転について諸条件の協議を始めることとなっております。

○伊藤(ゆ)委員 今の経過説明でもわかるように、もう既にこれだけの交渉というものが平成十三年四月の市場審議会の前に進んでいたということですから、いかに審議会での答申というものが既成事実に基づくものだったかということが、私はわかるというふうに思います。
 そして、今のお話の中で交渉の記録というものが出てまいりましたけれども、その交渉の記録というのは、つまり、東京ガスとのやりとりのメモというふうに理解してよろしいのでしょうか。あるいは、そのメモがあるんであれば、どの程度、東京ガスとの交渉のやりとりのメモが残っているのか伺いたいと思います。

○黒川参事 都が、東京ガスといつどのような内容を協議したかという記録が残っていると聞いております。

○伊藤(ゆ)委員 このやりとりは、今まさに協議されている東京都と東京ガスの費用負担をめぐる協議においても、そもそもどういうやりとりがあったのかということは大きな影響を与えるというふうに私は思います。
 ですから、将来さまざまな訴訟に発展したときに備えて、大変重要な証拠になり得るものでありますが、一部破棄したもの、あるいは破棄されてしまったものはおありでしょうか。

○黒川参事 所管ではない文書もございますため、答弁は差し控えさせていただきます。

○伊藤(ゆ)委員 これは非常に重要なメモでありますので、今のような答弁だけでは到底納得するものではないと思います。
 まずお伺いしたいんですけど、所管はどちらですか。

○黒川参事 知事本局ほか関係局でございます。

○伊藤(ゆ)委員 ここは経済・港湾委員会でありますので、その所管局に対しては、まず確認を求めること、それから、今あるものについては、すべて保存をしておくようにすべきことを要請したいと思いますが、いかがでしょうか。

○黒川参事 所管ではない文書もございますため、答弁は差し控えさせていただきます。

○伊藤(ゆ)委員 文書そのものの管理については、知事本局初めほかの局なのかもしれませんが、私が今お願いしたのは、保管を要請していただけませんかと市場の関係の皆さんにお願いをしているんであって、ちゃんと責任ある答弁をしてください。

○黒川参事 先ほど答弁したとおりでございまして、所管ではない文書もございますため、答弁は差し控えさせていただきます。

○伊藤(ゆ)委員 今、確認しておきたいと思いますけれども、要請する気があるのかないのか、それはもう皆さんの問題ですから、ここは答えられないというわけにはいかないと思います。どちらなんですか。

○黒川参事 そのことも含めまして、所管ではない文書もございますため、答弁は差し控えさせていただきます。

○伊藤(ゆ)委員 この件については、また後日、私も委員長を初め、どういう扱いにさせていただくかは協議をさせていただきたいと思います。今のような答弁は非常に不誠実だと思います。
 保存年限というのがありますから、ほっておけば廃棄されてしまう文書というのも当然出てくると思います。それを、市場の関係者として当然保存を要請するということは、私は当たり前の行為だというふうに思いますので、なぜ答弁できないのかということが、私は全く理解ができません。
 次に進みますけれども、当初、東京ガスは、この用地に関しては、住宅や文教地区などとして開発されるべきであって、売却に反対姿勢だったということで聞いております。東京ガスが市場用地として売却することに消極的だったことを印象づけるのが、先ほどお話にも出させていただいた、平成十二年の六月二日付、当時の福永副知事あてに東京ガスが出した質問状であります。
 その中で、東京ガスは、豊洲の用地が工場跡地であるため、土壌処理や地下埋設物の撤去等が必要との見解を示し、大規模に上る改善費用についての見解を都に質問しています。これに対して、東京都はどのように回答したんでしょうか。

○黒川参事 都は、回答の中で、土壌処理及び地中埋設物の撤去については、新市場の着工時期までにはその処理が完了することが必要である旨、回答しております。

○伊藤(ゆ)委員 まず、そもそもこれは印象の問題ですけれども、私も、ちらっとこの質問状と回答書を拝見しましたが、東京都は、ほかの多くの質問に対しては大変丁寧に、何行にもわたって回答をされていますが、この点にだけは、今お話しになられた、たった二行での回答でしかありません。しかも、質問に対して回答になってるんだろうかと、ちょっと日本語を疑うような二行だというふうに私は思います。
 土壌処理及び地中埋設物の撤去については、新市場の着工時期までにはその処理が完了することが必要であると。これは、東京ガスが出されてきた、果たしてその処理の費用をどうするんだという回答には全くなっていないと思いますので、なぜこういう回答を出されたのか、私には不思議でしようがありません。
 平成十二年当時から、これだけ東京ガスが土壌汚染にかかわる改善費用を気にしていたわけですから、平成十三年の二月の覚書に土壌改良についての記載が当然あるものというふうに思いますけれども、記載されているんでしょうか。

○黒川参事 平成十三年二月に、都と東京ガス株式会社は、築地市場の豊洲移転について、諸条件の協議を始めることを目的として、覚書を締結しております。
 東京ガス株式会社の関心は、豊洲のまちづくりと市場との関係でございましたため、諸条件に関する具体的事項としては、市場を織り込んだまちづくりプランの再構築のための基本フレームの見直しなどが盛り込まれております。
 なお、覚書のこうした目的とは異なるため、土壌汚染対策にかかわる記載はございません。

○伊藤(ゆ)委員 その後に、今度は平成十三年の七月に、都と東京ガスは基本合意を結ばれておりますが、この基本合意において、土壌汚染にかかわる改善費用についての記載はあるんでしょうか。

○黒川参事 平成十三年七月に、都と東京ガス株式会社は、覚書以降の協議経過を踏まえまして、築地市場の豊洲移転に関する諸条件を定めることを目的として、築地市場の豊洲移転に関する東京都と東京ガスとの基本合意を締結しております。
 築地市場のまちづくりの基本的考え方として、豊洲移転に関する諸条件として、新たなまちづくりイメージ、豊洲の開発フレーム、土地利用計画などが盛り込まれております。
 なお、基本合意のこうした目的とは異なるため、土壌汚染対策にかかわる記載はございません。

○伊藤(ゆ)委員 これ、私は不思議だと思うんですね。あれだけ東京ガスも気にされておきながら、覚書にも基本合意にも土壌汚染にかかわる改善費用が一切書かれていないということでありまして、私は、用地売却を渋る東京ガスに対して、何とか売ってもらいたいと思っていた都が、最も厄介な土壌改良費用について、あえて明記を避けたからこそ、最も重要な土壌改良の記述が、覚書からも、あるいは基本合意書からも抜け落ちているんだと思えてなりません。なぜ、このことについて触れられていないんでしょうか。

○黒川参事 ただいま答弁いたします前に、先ほどの私の答弁で、基本合意においてどのように記載されたかの中で、築地市場のまちづくりの基本的考え方と申し述べました。申しわけございません、これは豊洲のまちづくりの基本的な考え方ということでございまして、訂正させていただきます。
 それでは、答弁いたします。平成十三年二月の覚書や同年七月の基本合意は、豊洲まちづくりの基本的考え方についての、都と東京ガス株式会社との合意でございます。
 一方、土壌汚染対策は、豊洲地区の全地権者にかかわる事項であるため、その対策については、全地権者の合意により定める必要がございます。
 このため、都と東京ガス株式会社を含む豊洲地区の全地権者が、平成十四年七月に豊洲地区開発整備に係る合意を締結し、豊洲地区の土壌汚染対策については、従前の土地所有者が環境確保条例に基づき対応を行うことを取り決めてございます。

○伊藤(ゆ)委員 あれだけ気にされていた東京ガスであります。逆にいえば、東京都の側も、この土壌改良費用については相当神経質であるべきだというふうに私は思いますが、基本合意にも覚書にも全く書かれていないというのは、やっぱり不可解さを禁じ得ません。
 ここからは、豊洲の土壌汚染に対して、都が、どの段階で、どの程度の認識をお持ちになられていたのかについて伺っていきたいというふうに思っています。
 都は、かねてから、豊洲の土壌汚染は、当時の十三年指針に基づく対策がされており、当時としては十分な対策がとられているので、用地購入に問題はないとの立場であります。
 都は、市場用地購入に当たって、審議会においても欧米並みに厳しい基準を達成するような土壌の改良というものを、例えば川島委員などからも求められてまいりました。平成十五年の用地購入前に、十三年指針以上の市場としての安全性の確認というものがいかに図られたのかを伺いたいと思います。

○黒川参事 都は、平成十四年七月に、東京ガス株式会社を含めた民間地権者と締結した豊洲地区開発整備に係る合意や、合意に当たっての確認において、土壌汚染対策については、各地権者が環境確保条例に基づき、従前の所有地に対して責任を持って土壌汚染にかかわる調査を行い、調査の結果、汚染が判明した場合には、必要な処理対策を実施することを取り決めております。
 さらに、平成十七年五月には、東京ガス株式会社を含めた民間地権者と豊洲地区用地の土壌処理に関する確認書を締結し、処理基準の十倍を超える汚染物質を深さにかかわらず除去するとともに、これに加えて、工場操業時の地盤面から深さ二メートル範囲の処理基準を超える汚染物質を基準以下にするという追加の対策を実施することを取り決めております。
 都は、これら東京ガス株式会社が行う土壌汚染対策が、法律や条例が求める対策の水準を上回るレベルの安全対策を講じる計画であることから、市場用地としての安全性を確保できると考えるものとしました。
 その後、東京ガス株式会社は、これらの都との合意に基づきまして土壌汚染対策を実施し、平成十九年までに環境確保条例に基づく手続を完了してございます。都は、これまで、東京ガス株式会社の条例上の手続の完了を確認の上、用地を購入してございます。

○伊藤(ゆ)委員 まず整理しますが、東京ガスが行った対策というのは、十三年指針に基づく対策が一つ、それからもう一つは、平成十三年に行った追加対策、お手元に配布している資料でも、その二と書かれているものがそうですが、その二つを行っている。
 私が聞いているのは、市場としての安全性が、十三年指針の対策と、そして十七年の追加対策だけで本当に十分だったのかどうか、このことを都として検討したんですかということを伺っているので、そのことについてお答えいただきたいと思います。

○黒川参事 都は、これら東京ガス株式会社が行う土壌汚染対策が、法律や条例が求める対策の水準を上回るレベルの安全対策を講じる計画であることから、市場用地としての安全性を確保できるものとして考えております。

○伊藤(ゆ)委員 それは、直訳すると、十三年指針と十七年の追加対策をやったので、市場の安全性はもう担保されたんだと、こういうふうに当時認識されたと、こういう理解でよろしいんでしょうか。

○黒川参事 十七年の対策によりまして、市場用地としての安全性を確保できるものとして考えております。

○伊藤(ゆ)委員 既に平成十五年には、新しい十五年指針という土壌汚染の調査、対策手法が法的にも整備をされております。よく十三年調査ではなくて十五年調査の方がよかったんじゃないかというような議論が出てくるのも、そのゆえんであります。
 しかし、そのことについて、皆様はこの新しい指針で調査してみようということにはならなかったんでしょうか、お伺いします。

○黒川参事 東京ガス株式会社は、平成十三年の土壌汚染対策指針に沿って調査、対策を実施してございます。
 まず、平成十五年指針では、改正時点で調査、対策に着手しているものについては、従前の指針に従うことになっております。また、指針については、平成十五年に改正されておりますけれども、調査、対策について、平成十三年、平成十五年のどちらの指針であっても、人の健康被害を防止するために必要な対策の範囲を適切に設定でき、平成十三年指針が平成十五年指針に比べ、劣っているものではございません。

○伊藤(ゆ)委員 ちょっと矛盾があるんですよね。既に十三年の条例に基づく調査と対策で、売買をしても法律上は全く問題ないわけですね。しかし、皆さんは、さらに十七年に追加対策を、市場なのでやろうとお決めになられたというんであれば、十三年指針と十五年指針は、調査の方法、手法が全く違うものでありますから、私は、十七年の追加対策とともに、十五年指針に基づく調査、あるいは対策というものを東京ガスに求めたり、あるいは東京都自身が率先して行うという必要があったんじゃないかなというふうに思います。
 そこで、その十三年と十五年の調査手法と、その結果がどういうものなのかということを、私なりに勉強してフリップにまとめましたので、ちょっとご紹介したいと。私もにわか学習ですから、あんまり専門的に細かくはご説明できませんけれども、わかりやすくご説明を申し上げてまいりたいというふうに思います。
 まず、第一枚目のフリップになりますけれども、これは、平成十四年に東京ガスが行ったベンゼンの表層ガス調査です。表層のガスから深さ方向のベンゼン汚染調査に進むための概況調査ということでありまして、黄色い星印が〇・〇五ppm以上のガスの検出された場所、七十八カ所でございます。黄色です。さらに、汚染数値が高かった一ppm以上の十カ所を赤の星であらわしました。まずこれが、一番最初に東京ガスが行った。
 次は、実際に平成十三年指針に基づき東京ガスが行ったベンゼン対策範囲を、黒枠で示したものでございます。表層ガスでガス検知されながら、数多くの地点が実際行われた汚染対策範囲の外であることがわかります。つまり、先ほどいったのがこの星印のところで、対策がこの黒枠ということになるわけでございます。
 また、黄色い斜線部分は、もし、平成十五年指針の場合であれば、深さ方向の調査が必要だった可能性のある範囲でございます。実際には、このときにこういう調査は行われていません。ですから、十五年指針であれば、深さ方向に調査された可能性の高い範囲を見ていきますと、〇・〇五ppm以上出たところ、つまりは、こういうところは、少なくともこれだけ広範囲にわたって詳細な調査が深度方向に対してされた可能性が高いわけであります。
 そこで、最後に、これは専門家会議の調査で見つかった深さ方向のベンゼン汚染がいかにあったかということをまとめたものであります。一部、昨年夏に都が公表した環境確保条例による調査分も含みますが、薄い緑が、基準以上のベンゼンが詳細調査によって出たところ。そして、濃い緑が、基準の十倍以上のベンゼンが出たところ。都が、これから対策をしている、まさに汚染箇所というのは、これらの緑の箇所になるわけであります。
 そもそも、〇・〇五ppmあるいは一ppm以上出たところは、十五年指針に基づいて行われていれば、調査された可能性のあるところですから、例えばここなどは、詳細調査を行う以前に、もう大変濃い部分だと、ガスの汚染のおそれの高い部分だということが判明していたんじゃないかと。ですから、結局、東京ガスの行った汚染対策箇所においても、今、詳細調査の結果、明らかになってかぶっているところもありますが、全くかぶっていないところもあり、逆にいえば、こういう濃いところに関して、東京ガスの対策範囲が漏れているところも大変多く見受けられるということがわかります。
 ですから、平成十五年と十三年と調査方法が違うので、優劣はつけられないという都の見解もわかりますが、であれば、なおのこと、それぞれ十三年、十五年指針の調査方法で両方やっておれば、今、平成十九年の詳細調査の結果に基づいて、土壌汚染がこんなにひどかったということに慌てる必要もなかったんだというふうに私は考えておりますが、都の見解を伺っておきます。

○黒川参事 繰り返しになる部分もございますが、ご答弁いたします。
 東京ガス株式会社は、平成十三年の土壌汚染対策指針に沿って、調査、対策を実施しております。
 指針につきましては、平成十五年に改正されておりますが、調査、対策について、平成十三年、平成十五年のどちらの指針であっても、人の健康被害を防止するために必要な対策の範囲を適切に設定でき、平成十三年指針が平成十五年指針に比べ、劣っているものではございません。
 さらに、平成十五年指針では、改正時点で調査、対策に着手しているものについては、従前の指針に従うこととなっております。
 これらのことから、東京ガス株式会社は、平成十五年指針に基づき、調査、対策を行う必要はございません。
 調査方法につきまして、平成十三年指針では、ベンゼンなどの揮発性物質について、地表近くの土壌ガスを分析し、その結果、基準を超えた場合には、深さ方向に土壌ボーリング調査を行うことになっております。
 これに対し、専門家会議の提言に基づき行った調査などは、東京ガス株式会社の操業に由来する汚染物質について、操業時の地盤面近くの土壌を採取するとともに、汚染物質が、程度の差はあれ、地下水に溶け出すことから、地下水もあわせて採取し、分析してございます。
 これら調査の結果、土壌または地下水で環境基準を超えた場合に、土壌ボーリング調査を実施しております。
 このように、都が行った調査は、地下水を採取、分析するなど、東京ガス株式会社が行った調査とは調査方法が異なることから、比較することは適切でなく、専門家会議などが開かれなければ、汚染は見逃されたことになりますというご指摘は当たらないのかと認識してございます。

○伊藤(ゆ)委員 皆さんおっしゃられることは、条例に基づく対策は十分にできていましたということですよね。詳細調査という専門家会議の行った調査手法というのは、十三年指針とは全く違う調査なわけですね。比較的近いという意味では、十五年指針に書かれている調査手法の方が近いんじゃありませんか。
 ですから、十三年で見つからなかったものが、十五年指針あるいはこの詳細調査で明らかになったと。もし明らかになっていなければ、知らない間にそうした土壌汚染というものが地表面まで出てきてしまう可能性もあって、そこにもう既に市場というものは建設され始めている可能性さえあったんじゃありませんか。ですから、我々は、もっとその当時に細かい調査をしておけば、平成十九年の詳細調査以前に、事実というものが明らかになっていたんじゃありませんかということを聞いているんです。
 今でもなお、詳細調査あるいは十五年指針に基づく調査は、その当時必要なかったというふうにお考えなんでしょうか。

○黒川参事 今でも専門家は必要ないかというご認識かと思いますけど、今の私の答弁は、当時の認識を説明したものでございます。
 平成十九年に、都は、専門家会議を開催いたしまして、土壌汚染の調査、対策を検討していたところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 ちょっと今、答弁になっていないのでもう一度伺いますけれども、今でも詳細調査や、あるいは十五年指針に基づく調査は必要なかったと。当時はあれでいいんだというふうにお考えなのか、やっぱり今、早い段階で詳細調査をやっておけば、もっと早くわかったねというふうに思われているのか、どちらなんですかということを聞いているんですけれども、どうなんですか。

○黒川参事 先ほどの答弁は、当時の認識を説明したものでございます。
 都は、東京ガス株式会社が行う土壌汚染対策が、法律や条例が求める対策の水準を上回るレベルの安全対策を講じる計画であることから、市場用地としての安全性を確保できるものとして考えておりました。

○伊藤(ゆ)委員 じゃ、今なお、当時、その調査、対策で十分だったというふうにお考えだという認識でよろしいんですか。

○黒川参事 都は、平成十九年に専門家会議を開催いたしまして、土壌汚染対策の調査、対策を検討したところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 そんなこと聞いていないんです。委員長、ちゃんと答えるようにいっていただきたいんです。お願いします。

○小沢委員長 理事者に求めます。
 質問に対して、正確かつ簡潔にご答弁願います。

○黒川参事 先ほどいいましたように、平成十九年に専門家会議を開催しまして、土壌汚染対策の調査、対策を検討したところでございまして、当時の認識--先ほどいいましたように、当時は、その当時の認識でございましたけれども、現在では、十九年の専門家会議を開催したというところで、私ども東京都は、土壌汚染の対策の関係では、土壌汚染対策の調査、対策を検討することが必要だったというふうに考えたところでございます。
〔伊藤(ゆ)委員「ちょっと、これは会派を超えて、今間違いなく、私の質問に対して答弁されていないということは明らかだと思いますよ」と呼ぶ〕
〔「ちゃんと発言を求めろ、委員長に」と発言する者あり〕
〔伊藤(ゆ)委員「委員長、いいですか」と呼ぶ〕

○小沢委員長 指名します。
 伊藤理事。

○伊藤(ゆ)委員 じゃ、指名を受けていますから、改めて申し上げますけれども、答弁になってないというふうに思います。
 ただ、このやりとりだけしていても時間が経過してしまいますので、ちょっと質問の仕方を変えますけれども、私は、少なくとも、当時は環境局の皆さんと市場の関係の皆さんが協議をされて、どの条例に基づく調査、対策でやればいいのかという協議が当然あったというふうに思いますし、そのことは皆さん認められているところだと思います。
 ただし、今やっぱり振り返ってみれば、これだけ土壌汚染というものがはっきりとあったということが明らかになっているわけですから、振り返って考えれば、平成十五年の最初の用地購入前に、土壌と地質の専門家による意見を、私は聞くべきだったというふうに思う。それについては、皆さんのご見解はいかがなんでしょうか。

○黒川参事 都は、平成十三年から十九年にかけて、関係局で協議を行いながら、東京ガス株式会社に対し、平成十四年当初の土壌汚染対策に加え、平成十七年には追加の対策を上乗せし、二段階にわたる対策を講じるなど、市場用地として十分な対策となるよう求めてきました。

○伊藤(ゆ)委員 質問を変えても同じですね。結局、ちゃんと質問に対し答えていただかない姿勢なのかなというふうに本当に思います。
 あの当時、やはり土壌、地質の専門家じゃないとわからないこともあったと思いますよ。環境局の職員でさえも、なかなか専門家であるわけではありませんから、わからないことがあったと思うので、平成十九年に始まった詳細調査以前に、どこかのタイミングで専門家を呼んで、一度見てもらって、本当にこれは東京ガスのいっている程度のものなのか、あるいは環境局が大丈夫だといっている程度のものなのか、一度でも聞いたらよかったと私は思うんですが、一度でもそういう調査を専門家を呼んでやってもらったり、あるいは協議そのものをしたことはありませんでしたか。

○黒川参事 そもそも、東京ガス株式会社が都と協議しながら決めました土壌汚染対策は、人の健康被害を防止するために必要な措置を定めた環境確保条例に基づくものでございまして、しかも、法律や条例が求める対策の水準を上回るレベルの安全対策を講じる計画であったことから、市場用地としての安全性を確保できるものでございます。
 東京ガス株式会社は、環境確保条例に基づき、平成十四年六月に履歴等の調査届け出書を初め、一連の書類を条例所管局である環境局に提出して審査を受けてございます。
 また、用地購入は、環境局による汚染拡散防止措置完了届け出書の審査後、それを確認の上、行ってきているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 私は今、一回でも詳細調査を行う前に専門家を呼んだことがあるんですかと聞いたんですから、あるのかないかの話だと思うんですよ。ないわけですよね、一度も。ですから、そのこと自体、私は問題ではなかったかなと、やっぱり今振り返るとそう思うんです。
 そして、平成十三年から平成十九年の詳細調査が始まるまでの間に、都庁内部で土壌汚染の深刻さについてどういう議論があったのかということを、私は伺っていきたいと思うんですけれども、特に、十三年指針の対策及び十七年の追加対策では不十分ではないかという議論が、少なくとも平成十七年ころから、関係者あるいは外部の専門家の間からも提起されています。ですから、これでは不十分じゃないかというような議論がなされて、そのことが知事に報告されたり、あるいは相談されたことがあったんでしょうか、伺います。

○黒川参事 都は、平成十三年から十九年にかけまして、関係局で協議を行いながら、東京ガス株式会社に対し、平成十四年当初の土壌汚染対策に加え、平成十七年には追加の対策を上乗せし、二段階にわたる対策を講じるなど、市場用地として十分な対策となるよう求めてまいりました。
 この一連の経過につきまして、築地市場の豊洲移転については、局務報告等の際に、節目節目で知事にご報告してございます。

○伊藤(ゆ)委員 ですから、そのことはいいんです。それでは足りないかもしれないと、あるいは足りないかもしれないという懸念が外部から出てますよと、知事どうしましょうかという相談、報告があったんですかということを伺っているんです。どうなんでしょうか。

○黒川参事 築地市場の豊洲移転について、必要な事項についてご説明をしてございます。

○伊藤(ゆ)委員 その必要な事項というのは、平成十三年指針や十七年追加対策では不十分かもしれないと、こういうことを指していらっしゃるんですか。もしそうだとすれば、どういう形でご報告されたんでしょうか。

○黒川参事 繰り返しになって恐縮ですけども、築地市場の豊洲移転について、必要な事項についてご説明しているというところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 その必要な事項とは何を指すのかを伺っているんですが、なぜ答えられないんでしょうか。

○黒川参事 それも含めて、築地市場の豊洲移転について、必要な事項について報告しているといったところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 かねてからの予算委員会でも、必要な情報はちゃんと開示していくんだという旨の発言が市場関係者の皆さんからもおありだったというふうに思います。今のお話では、とてもとてもですね、庁内でどういう議論がなされてたのか、全くわかりません。
 委員長に、もう一度、ちゃんと正確な答弁を求めていただくようにお願い申し上げます。

○岡田中央卸売市場長 築地の問題というのは、私の着任前の市場長のときから、これにつきましては、東京都の重要課題の一つでありまして、先ほどいいましたように、折々に触れて、知事あるいは副知事にご報告をしているということでございます。
 具体的に何をしていたかということにつきましては、ここで明らかに、つまびらかにさせていただくというわけにはいかないかと思いますが、全体的なスケジュールですとか、例えばPFIをやっているわけですから、PFIのことですとか、土壌汚染の問題とか何かも含めまして、今後のありようについて、進め方についてご報告をしていたというふうになってございます。
 それから、今、伊藤先生からありました、十三年、十五年ということにつきましては、つまりあの当時は、十三年の指針でやるということによって、それは条例で決まった調査なり対策を講じるということ。それに基づきまして、関係者間で、つまり、地権者間でもって対策を講じるということについて、十四年で合意をし、決めたわけです。それに基づきまして、例えば東京ガスは、東京都の環境局の方に防止計画を出していると。その防止計画につきましては、専門家であるところの環境局の方で全部チェックして、それで、その計画がいいかどうかということをやっていると。
 さらに、市場であるがゆえに、十七年において、さらに対策の上乗せをお願いをし--そのお願いをしというのは、関係者間で合意をしたという意味ですけど、合意をし、それに基づいて、さらに防止計画を出し直していただいて、それで環境局に出していただいて、それで対策を講じてきたという一連の流れの中で、東京都と、それから関係地権者との間で、対策についてどこまで必要なのかということを話し合ってきた。
 その対策の中身はどうかということにつきましては、それは担当部長が今までるるご説明させていただきましたけれども、その当時の条例からいけば、あるいは法律からいけば、かなり高いレベルの対策は講じられていたということになっているわけでございますので、そうしたことを相対的に深めまして、市場がというよりは、東京都としては、そういうことについて、東京ガスの今後の計画が、防止計画上でやるという対策についてしっかりなされるということであれば、安全性が確保できるだろうと、その当時は考えていたということであったというふうに思いますので、例えば今、先生からご案内のように、専門家がどうのこうのというお話がございましたけれども、それは専門家というよりは、東京都であるところの専門家はどこかといったときにつきましては、それは環境局であるわけですので、環境局でもって、ちゃんとチェックをしていたということで、専門的なチェックとしても、東京都としてはやっていたというふうに認識してございます。

○伊藤(ゆ)委員 知事は、平成十九年に詳細調査をやりますよということを発表されるわけですよね。これは、どういう情報に基づいて、じゃ、専門家を呼ぼうということになったんでしょうか。都庁の職員の皆さんの中から、ああ、これは問題ですから、知事、やりましょうということだったんですか。私が仄聞している範囲では、そうではなくて、選挙の期間中に知事が表明をされたということですけれども、少なくともこのことはですね、ちゃんとお答えいただきたいと思ってご質問しているので、お願いします。

○黒川参事 都民や市場関係者などの一部に懸念の声がありまして、生鮮食料品を扱う市場用地であることから、専門家の科学的知見に基づく検証、提言を行うことを目的に、有害物質、水質、土質、環境保健の各分野で、我が国を代表する学識経験者により構成された専門家会議を設置し、平成十九年五月から検討を開始したものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 ですから、私は、本来は外部の方からの声よりも、まず東京都庁の中で、こういう問題があるかもしれませんよと、やっぱり詳細調査した方がいいかもしれませんよという声があって、知事に伝わって、知事がやろうという議論が本来の都庁の姿だと思います。
 しかし、どうも聞いていますと、はっきりお答えいただけないということは、そういう議論がちゃんと知事に伝わっていないんじゃないかというふうに思えて、私はなりません。ですから、もし伝えたんだったら、ちゃんとお伝えいただいたということを、ちゃんとそれをここで答弁していただければ、そこではっきりするわけですから、そうしていただければというふうに私は思っているわけであります。
 次いで、売り主の東京ガスと、そして東京都の間で、土地購入をめぐって何度も協議を行っているというわけでありますけれども、都は、東京ガスに土壌汚染の状況について、どのように聞き取りを行ったのかお伺いしたいと思います。

○黒川参事 東京ガス株式会社は、平成十年から十一年にかけまして、当時の環境庁の土壌・地下水汚染に係る調査・対策の指針等に基づき、土壌汚染調査を実施し、平成十二年十月に環境基準を超える土壌汚染について都に報告をしてございます。
 都といたしましては、この報告により、豊洲新市場予定地の土壌汚染の全体状況を認識したものでございます。
 その後、東京ガス株式会社は、平成十三年一月に自主的に行った調査結果や汚染対策を公表いたしました。東京ガス株式会社は、環境確保条例に基づき、平成十四年六月に土地利用の履歴等調査届け出書、同年十月に土壌汚染状況調査報告書、同年十一月に汚染拡散防止計画書、平成十七年九月には追加の対策を行うための汚染拡散防止計画書、その後、順次、汚染拡散防止措置完了届け出書を条例所管局である環境局に提出し、審査を受けてございます。

○伊藤(ゆ)委員 つまり、私がお伺いしたいのは、市場としての使用の安全ということなんです。ですから、条例、法律の問題だけでなくて、それ以上に、ここにもし市場を持ってくるとしたら、本当に大丈夫でしょうかと。私は、普通であれば、まず買い主というのは売り主さんに聞くと思うんですね。ですから、どのような見解を東京ガスから、そういう意味では得ていたのか、お伺いしたいと思います。

○黒川参事 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、東京ガス株式会社は、平成十年から十一年にかけて、当時の環境庁の土壌・地下水汚染に係る調査・対策の指針等に基づきまして土壌汚染調査を実施し、平成十二年十月に環境基準を超える土壌汚染について都に報告してございます。
 都としては、この報告により、豊洲市場予定地の土壌汚染の全体状況を認識したものでございます。
 その後、東京ガス株式会社は、平成十三年一月に自主的に行った調査結果や汚染対策を公表しました。
 さらに、都は、平成十三年から十九年にかけて、東京ガス株式会社と協議を重ねながら、平成十四年当初の土壌汚染対策に加え、平成十七年には追加の対策を上乗せし、二段階にわたる対策を講じるなど、市場用地として十分な対策としてきたものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 私は普通、もし買い主が、例えば自宅を買おうと思ったときに、周りの近所の人から、あそこの家は水漏れが激しいですよというようなうわさを聞いていれば、売り主さんに、どれぐらいひどいんですかというようなことを、普通聞くんじゃないかなと。法律上はこの対策の範囲でやっていますから大丈夫ですよというだけで納得はしないと、私だったらそういうふうに思うわけであります。
 そこで、私も東京ガスさんに問い合わせをさせていただきました。そうしましたところ、当社は、市場としての使用の安全について答える立場にはなく、しかし、そのような問い合わせも受けたことがないと。平成十四年に、条例に基づき対応を行う旨合意して以降、都からの追加対策の要請があり、平成十七年に確認書を締結したとの回答でありました。
 ですから、私は、なぜ、都が土壌汚染の深刻さを一番知り得る売り主の東京ガスに問い合わせをしなかったんだろうかと、こういう疑問を持ちます。いずれしても、東京ガスとしては、そのような問い合わせを一度も受けたことがないと、こういうことでございます。
 そこで、今度は、土壌改良費についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
 都は、五百八十六億円の負担について、東京ガスと協議中であるということでありますけれども、東京ガスとの協議は、つまり、東京ガスに土壌改良の負担の責務があるかないかを協議しているのか、それとも、負担の割合そのものを今協議をされているのか、お伺いしたいと思います。

○黒川参事 専門家会議の提言に基づき都が行った詳細な土壌汚染調査により、都市ガス製造の操業に由来する高濃度の汚染物質の存在が確認されたことを受け、昨年二月に、都が実施する土壌汚染対策の経費の一部負担について協議の申し入れを行ったところでございます。
 この間、都から詳細調査の結果などについて説明を行っております。
 今後も、都が実施する土壌汚染対策の詳細な内容や、現在都が実施している実験の結果などについて説明を行い、これらを踏まえ、さらに協議を進めてまいります。
 なお、協議内容につきましては、今後の協議に支障が生じる可能性があるため、この場でお答えすることは差し控えさせていただきます。

○伊藤(ゆ)委員 私が今お伺いしたのは、協議内容の詳細ではなくて、まず、東京ガスが、今度の土壌改良の負担の責務を負っている、あるいは負っていないというそもそも論の議論をしているのか、負っているという前提で、その負担の割合、金額を協議しているのか、そこのところを教えてくださいということを伺っているのでありまして、その点について、ちゃんとお答えをいただきたいと思うんです。

○黒川参事 お答えいたします。協議内容につきましては、今後の協議に支障が生じる可能性があるということで、この場でお答えすることは、申しわけございません、差し控えさせていただきます。

○伊藤(ゆ)委員 そうすると、私はせめて、今までの皆様の答弁からすれば、東京ガスに負担の責務は当然あると。ある中で、今協議をしているというところまでは、いえるんじゃないかと思うんですね。いえないということが、私にはどうしていえないのか疑問が残ります。
 そこで、これまで都は、五百八十六億円の費用負担を東京ガスに求めていけるんだと、こういう旨の発言をされているわけですけれども、何に基づいて、東京ガスにその負担を求めることができるというふうにいわれているのか、改めてお伺いしたいと思います。

○黒川参事 東京ガス株式会社は、環境確保条例上の手続を完了しているが、専門家会議の提言に基づき都が行った詳細な土壌汚染調査により、都市ガス製造の操業に由来する高濃度の汚染物質の存在が確認されたことを受け、昨年二月に、都が実施する土壌汚染対策の経費の一部負担について、協議の申し入れを行ったものでございます。
 なお、平成十四年の地権者合意では、このようなケースの場合には、双方が誠実に協議する旨の条項がございます。この条項に基づきまして、協議の上、負担を求めております。

○伊藤(ゆ)委員 ちょっと今、早口で聞き漏らしたところがありますが、お互いに協議をする事項が定められているといわれたのは、どこの文書に書かれているものですか。

○黒川参事 済みません。平成十四年の地権者合意でございます。また、平成十七年に合意いたしました確認書の第五に、この旨の記載がございます。

○伊藤(ゆ)委員 それぞれ今、私の手元にありますけれども、例えば、今いわれた合意の方ですけれども、合意には、その他事項として、汚染土壌対策の一環の中に疑義が生じた場合等の対応というのがありまして、本合意を実施するに当たり疑義が生じた場合、または、社会経済状況等の大幅な変化により本合意内容を見直す必要が生じた場合、東京都と民間地権者の双方は、お互い誠意を持って協議すると。このことを今いわれたという理解でよろしいんでしょうか。

○黒川参事 そのとおりでございます。

○伊藤(ゆ)委員 平成十九年の六月二十一日の経済・港湾委員会で、我が党の大沢昇議員が、追加調査で新たに土壌汚染が見つかった場合、その処理についてはだれが行い、そしてまた、その費用はだれが負担するのかと質問をいたしました。これに対して、後藤部長は、東京ガスが適切に処理を行うという内容の確認書を取り交わしておりますと答弁をしております。
 その確認書というものの中に書いてあるのは、先ほどは合意書でありますけれども、ほぼ同じような文章で、東京都、東京ガス株式会社及び東京ガス豊洲開発株式会社は、相互に協力して、この確認書の内容が円滑に実施されるよう努力するものとし、内容に疑義が生じた場合は誠意を持って協議すると。このくだりを持って答弁されているんでしょうか、確認をしたいと思います。

○黒川参事 ご質問の答弁は、平成十七年五月に都と民間地権者が締結いたしました、豊洲地区用地の土壌処理に関する確認書の内容を説明したものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 さらに、平成十八年の十月二十五日の公営企業会計決算特別委員会で、共産党の植木委員の質問に対して、後藤部長は、東京ガスによる処理は平成十八年度末で完了する予定でございます。その後、東京都が工事した場合に東京ガスの操業に基づく汚染物質などが発見された場合につきましては、契約書の文言は今不確かですが、東京ガスが処理するという了解は得てございますと答弁をされています。東京ガスに、いつどのような形で了解をおとりになられたのか、お伺いしたいと思います。

○黒川参事 ご質問の答弁は、平成十七年五月に、都と民間地権者が締結しました、豊洲地区用地の土壌処理に関する確認書の内容を説明したものでございます。
 答弁は、都市ガス製造の操業に由来する汚染が新たに発見された場合には、従前の土地所有者である東京ガス株式会社と、土壌汚染対策経費の負担を求める協議を行うという都としての認識を示したものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 今までの答弁からいっても、東京ガスが処理するという了解を得ているというふうにいわれているんですよね、事実。東京ガスと協議する了解が得られているというふうに答弁しているわけじゃないんです。この答弁に基づいて、我々はそういう理解をいたしてここまで進んできたわけでありまして、だとすると、東京ガスが処理をする了解というのは、いつどのような形でとられたのかということをお伺いしたわけです。
 私は、去る三月十二日に、東京ガスの担当者の方に都議会民主党にお越しをいただいて、この議事録についての質問をさせていただきました。東京ガスの担当者は、都の答弁について認識しておらず、真意はわからないが、答弁のようなことは今までの確認書には書かれていませんという回答であり、しかもこれは文書でもいただいております。これでは、了解がなかったということではないんでしょうか。

○黒川参事 都市ガス製造の操業に由来する汚染物質が新たに発見された場合には、協議を行っていくということについて、確認書の締結時に了解を得てございます。

○伊藤(ゆ)委員 先ほどからちゃんと答弁していただきたいということを申し上げているんですが。協議をするための了解は、確かに誠意を持って協議しますと合意書でも確認書でも書かれておりますので、そうだと思います。問題は、費用の負担、まして五百八十六億円という巨額に上るこの費用負担をどう扱うのかということが、まさに今問題になっているのであって、そのことについての事前の予測として、こういう事態が起きたらどうなるんでしょうかということを、植木委員も、あるいは大沢議員も質問されてるわけです。そのときに、東京ガスが処理するという了解を得てますと、こういう答弁をされているんで、じゃ、この答弁は間違いだったんだというご理解なんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○小沢委員長 理事者におかれましては、質問に対して的確なご答弁をお願いいたします。

○黒川参事 この答弁の認識でございますけれども、都が行った詳細な土壌汚染調査により、都市ガス製造の操業に由来する高濃度の汚染物質の存在が確認されたことを受け、協議の申し入れを行っているというところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 ここが非常に重要なところなんですよね。ですから、答弁されていることと、過去に答弁されていること、今いわれていることは明らかに内容が食い違います。食い違うという事実はお認めになるんでしょうか。

○黒川参事 答弁は、都市ガス製造の操業に由来する汚染が新たに発見された場合には、従前の土地所有者である東京ガス株式会社に対して、土壌汚染対策経費の負担を求める協議をすることができるという趣旨を説明したものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 もう一度申し上げますが、答弁の中では、東京ガスが処理するという了解を得てございます、あるいは、大沢議員の質問に対して、東京ガスが適切に処理を行うという内容の確認書を取り交わしておりますと、こういわれているんです。ですから、協議につく合意だというのは--今の答弁されている内容は、大きく異なる答弁がそれぞれ二つありますよねと。どちらが正しい答弁なんですかということをお伺いしているんです。ちゃんとお答えください。

○黒川参事 繰り返しになりますけれども、都市ガス製造の操業に由来する汚染が新たに発見された場合には、従前の土地所有者である東京ガス株式会社に対して、土壌汚染対策経費の負担を求める協議をすることができるという趣旨を説明したものでございます。

○小沢委員長 再び申し上げますけれども、理事者におかれましては、質問に対して適切かつ簡潔にご答弁いただきたいとお願いを申し上げます。

○伊藤(ゆ)委員 ですから、答弁が、明らかに我々の理解できることではないんですね。つまり、かねてからこの費用の負担については心配があったんで、その懸念をそれぞれの委員の方が指摘されて、東京ガスが処理するという了解を得ているというから、ここまで進んできたわけでありまして、今の答弁で到底納得できるものではありませんので、答弁を修正するということなのか、あるいは、そうでないのか、どちらなんですか。

○岡田中央卸売市場長 ちょっと、なかなか言葉足らずなところがありまして、ご理解いただけないのかと。
 東京ガスは、先ほど来いいましたように、十四年の合意、あるいは十七年の合意に基づきまして、拡散防止、いわゆる計画を立てて実際やってきて、完了しているわけでございます。その段階で、法令上の、つまり、条例上の対策は一応すべて終わっているということでございます。
 ところが、十七年のとき、十四年のところ、十七年のところにつきましても、新たなところが出たとき、新たな事態が出たときについてはどうするのかということにつきましては、そこに書いてありますように、お互い協議していきましょう。これは一般的な合意の仕方だろうというふうに思ってございます。
 それをもちまして、今後、その後の十八年とか十九年にご答弁申し上げましたときについて、そういう事態が出たら協議を申し上げますと。協議をするという形での了解がとれておりますという答弁はさせていただきたいというふうに思ってございます。
 それに基づきまして、私どもは、現在、豊洲の予定地において高濃度の汚染が発見されたということをもちまして、東京ガスの方に協議を申し入れているということでございます。
 協議を申し入れている根拠とすれば、先ほど来やっております協議書の、今後の協議事項ということでやっているということでございまして、我々とすれば、協議事項があろうかなかろうかということは別にして、東京ガスの操業由来の汚染がまだ残っていたということで、その土壌汚染対策についての一部負担を、今現在、東京ガスに求めるために話し合いをさせていただいているということでございます。
 話し合いにつきましては、半年ぐらいやっているわけでございますけれども、具体的な中身につきましては、この段階でつまびらかにするということについては、それはちょっと慎重にさせていただきたいということでございます。それは、やはり相手のあることでございますので、一方が交渉の中身を具体的に明らかにするということによりますと、相手方に不測の事態が起こるということによって、交渉が崩れてしまうということが多々あるわけでございまして、そういうのは民間において多々ある事例であるわけでございます。だから、こういった場合については、それを明らかにすることができるという段階になるまで、その内容については明らかにしないというのが一般的ルール、あるいは商習慣、日本における商習慣だろうと思ってございます。
 これが民民であるとするならば、守秘義務契約を結んでやるというふうなことが一般的でございますが、東京都という地方公共団体と、いわゆる公企業的な東京ガスの話し合いでございますので、そういったようなことはせず、情報についてはできる限り明らかにさせていただいていると。
 先ほど、伊藤先生から、情報公開していないではないかということですが、我々は、交渉を何とやって、どういう交渉、話し合いをしています、それから、いつからやっていますとかということについて、お話はさせていただいています。もうちょっとお話をさせていただけることができれば、もうちょっと各委員の先生方にご理解いただけるかと。何分にも交渉でございまして、まとめなきゃいけないというところがあるわけでございますので、そういったルールに基づいてやっているということについては、ご理解をいただければなというふうに思っております。

○伊藤(ゆ)委員 今、東京ガスと東京都の信頼関係の話も、協議をつまびらかにできるかどうかという面でお話になられたんだと思いますけれども、議会と市場関係者の皆さんとの信頼関係というのもあると思うんです。ですから、私どもは正確な答弁だと信じて、ここまで来ているわけでありまして、そこが処理するという了解を得ているという前提で我々は理解していたものが、東京ガスさんは、そうじゃありませんよといわれるので、どちらのいい分が正しいんですかということをただしているんであって、皆さんが、あのときの答弁は、ちょっと言葉が足りなかったとか、あるいは、ちょっと今いい直しますということであれば、ちゃんといっていただかないと、今行われている議論についても、ここは、本当にそれが正しいのかどうか疑義というものが生じてしまうので、そこを改めてお伺いしているということでありますので、そこはちゃんと答弁していただきたいと思います。(発言する者あり)ご答弁をお願い申し上げます。

○黒川参事 過去の答弁は、都市ガス製造の操業に由来する汚染が新たに発見された場合には、従前の土地所有者である東京ガス株式会社に対して、土壌汚染対策経費の負担を求める協議をすることができるという趣旨を説明したものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 次に行きますけれども、その了解がなかったんだとすれば、これは今まで、この確認書、合意書をもって、東京ガスに一部負担を求めることができるという旨の趣旨と大きく異なってくるというふうに思うんです。ですから、今の土壌処理費用の東京ガス負担は、実は負担の割合を議論しているんじゃなくて、負担をするかどうかの、ゼロベースから始まっているんじゃないかなというふうに思えてなりません。ですから、この了解があったのか、なかったのかということは、議会の理解、あるいは東京ガスと東京都の理解においても非常に重要な点だというふうに私は思っております。
 次いで、最後に伺いますけれども、都は、今回の土壌改良によって汚染が完全に除去されたんだと、させられるんだというふうにいわれているわけですけれども、土壌改良後に新たな土壌汚染が発覚する可能性もあるというふうに思います。その場合、さらなる追加対策費が発生するというふうに思うんですけれども、この費用負担については、東京ガスとの協議でどのように扱う予定になり、また、どういう文書に基づいて、新たな土壌対策費用というものを協議していく予定なんでしょうか、お伺いします。

○岡田中央卸売市場長 先ほど来ご説明させていただいていますけれども、現在、東京ガスと話し合いをさせていただいております。そこに、いわゆる負担についての法的効果はあるかどうかということではなくて、私どもは、五百八十六億円という巨費を投じて、あそこをきれいにするという形を、土壌汚染対策をするということをまず前提にしまして--ただ、残念ながら、この五百八十六億円すべてではないにしても、原因がやはり東京ガスの操業から由来しているということがありますので、そこについて東京ガスに負担を求めるということで交渉をしてございます。
 我々は、これまでもご答弁申し上げましたけど、用地購入をするまでの間には、この問題について解決をしていきたいと。つまり、この問題を解決した上で用地購入をしていきますというふうにご答弁申し上げているということは、逆にいえば、用地購入するまでにこの問題の解決ということについて、負担の問題についての解決ということを、我々としては解決していきたいというふうに考えておりますということでございます。
 それから、もう一点、ただいま理事からお話がありましたけれども、もし、さらに土壌汚染対策が発生する可能性がある場合、東京ガスの負担についてどうなのかというご質問だろうと思うんですけれども、これは、例えば、代表質問の大沢先生に対するお答え、あるいは予算特別委員会のときの増子先生のご質問に対するお答えと同じになってしまうんですが、私どもは、技術会議からいただきました提言、これは、日本の最先端の技術、工法を選んでいただいた対策であるということで、極めて信頼性が高く、技術として確立されている対策であるというふうに思っております。これを確立すれば、豊洲の土壌汚染対策はできるだろうと思っているわけですが、ちょっと言葉は悪いんで--念には念を入れてというのはちょっといい方がどうかと思うんですが、今、この豊洲の地において、土壌及び水において、本当に有効性がどうかということを確認しているわけでございまして、これが六月末には、すべての実験結果が出てくるということでございます。
 この実験結果につきましては、先日もご答弁させていただきましたけれども、技術会議の方で検証していただいて、そうしたもので、都民の皆様方に有効性ということについて、実際のデータでもってお示ししていきたいと思っています。その上で、具体的に土壌汚染対策を講じるというふうに思ってございます。
 そうすることによって、我々は、あの土地に一生涯、人が住んだとしても、健康被害がないような土地、いわゆる安全性が確保されるというふうにしていかなきゃいけないというふうになってございますので、私どもとしては、そうした万全な土壌汚染対策を講じていくということで、私は、日本の科学技術を信じておりますので、そういう意味で万全な対策をとっていくということがお答えになろうかと思っております。

○伊藤(ゆ)委員 私も、日本の科学技術は、技術としては世界に比べて非常に高いものがいっぱいあると思います。あると思いますが、かつて詳細調査を行う前の段階では、東京都の皆様方は、平成十三年指針と、あるいは、追加対策で十分に対策がなされているんだと、こういう理解のもとに進んできたんじゃありませんか。ですから、今度もまた同じことが起き得るということを、やはり少なくとも食の安全を任されている市場の皆様には持っていただくことが大事だと思いますので、万が一ということを、十が一ぐらいの可能性のつもりで、やっぱり対策を練っておいていただくということは、当然だというふうに私は思います。
 そういう意味では、今、市場長から、法的にどうかは別としてという答弁がありましたけれども、東京ガスに対して、法的に費用負担を求められる根拠になるものというのはおありなんでしょうか、伺いたいと思います。

○岡田中央卸売市場長 先ほど来申し上げましたけど、私どもは、法的ということではなくて、先ほどの協定書だとか何かに基づきまして、協議を申し入れているというところでございます。
 法的という意味は、根拠を法的な意味でという形になっているということではないというふうに思っております。
 それから、ただいま理事からの、一度あったことは二度ないようにしろということにつきましては、これは、我々に対して、しっかり土壌汚染対策をやれという、そういうご指示だろうというふうに受けとめまして、万全な対策をこれからとっていくということでございますので、まず第一に、六月末の実験をきちっとやって、皆様方にしっかりしたデータを出していって、ご確認いただけるようにしていくという第一歩をまずしっかりやっていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○伊藤(ゆ)委員 最後に、食の台所と都民の税金を預かる都の責任というのは、本当に慎重には慎重を期して安全確認することだというふうに思います。安全確保に係る費用については、やはり、都民の負担を最小限にとどめるというのも、また都の責務だというふうに思います。
 平成十九年に至るまで、土壌の専門家に意見を聞くことなく進めてきたこと、あるいは従来の調査、対策では不十分かもしれないとの懸念を、知事と本当に協議したのか定かではないこと、あるいは将来の土壌汚染対策費に対する汚染者責任が、これまでも、今おっしゃられたように、法的に整理をされていないことなどは、都の責任ある対応とはいえず、事態を深刻化させているんだというふうに思います。
 ですから、こうした過去の反省というものを素直に率直に受けとめていただいて、今後の取り組みの改善に努めていただきたいというふうに思います。
 以上で、質疑を終わります。

○高木委員 今、るる土地のお話がございましたが、最後に市場長がご答弁をされたように、土壌汚染に対して、費用負担の問題はともかくちょっと置くとして、しっかりやれという激励と受けとめたと。正しいというか、極めて心強い認識だなと思いました。
 つまり、豊洲の土地については、私たち東京都政として、大変貴重な築地市場の移転予定地だという認識のもとで、今の議論を私は聞いておりまして、それで、市場長は、伊藤理事からのそういう激励だというお受けとめをされたわけですから、まずはそのためにも予算を上げなけりゃいけない、そういうご認識を経済・港湾委員会の中で披瀝をされたのかな、これは私の私見でありますが、そんな気持ちで今の議論を聞かせていただきました。
 私からは、一昨日に開催された本委員会において、築地市場の業界団体の代表の方々を参考人にお招きをして、ご意見をお伺いいたしましたので、そのことに関連をして質疑をさせていただきたいと思っております。
 一昨日の業界団体の皆さんのご意見というのは、私どもにとって大変貴重なご意見だったなと感じています。皆さん、大変要職にあられる方で、お忙しいところを、この築地市場を含む予算が諮られているということで、我々の急な要請に対してもご都合をつけていただいて、出席をしていただいたんだろうと思います。
 その中で、私は大変多くのキーワードがあったと思っておりますが、特に、築地市場の移転問題について、移転をするかしないかという問題はちょっと一回置くとして、現状の築地市場の問題について、ある意味では非常に切実にお訴えをされたことが幾つかあったと思っています。
 それは、一つには、前々からいわれていますが、現在の築地市場が時代の流れに乗った物流ができていない。設計上、もともとは貨車で運んでくる。今はトラック輸送が中心だというようなことがございましたし、また、百五名体制--これは青果の方だったと思いますけれども、百五名体制で毎日天候と勝負をしていると。雨が降ると、全国の生産者が汗水垂らしてつくり上げたその品物が濡れてしまう。毎日天候を見ながら、露天商に近いような現状で仕事をしている。こんなことも述べられておりまして、私たちも何度か築地市場にお伺いを、視察をさせていただいておりますけれども、大変広い敷地なんで、全部をつぶさになかなか見切れないということもあって、こういうご指摘をいただいたことに対して、私は、都議会議員として、ある意味では大変申しわけない現状を強いているんだなということを改めて感じたわけであります。
 知事も市場長も、築地市場の現状については、老朽あるいは狭隘化、そういうことがもう限界に来ているということを常々述べられておりますが、まさにそれを裏づけるような発言だったと思いますし、品質を保持しながら流通をさせていくということが、大変な苦労を伴うことであって、施設整備のおくれを何とか人の力で補っているということにほかならないんだろうと思っているわけであります。
 この例も含めて、築地市場の現状というものを見ていきますと、このままでよいと考えている方はいないというふうに思います。
 築地市場の整備についてはいろいろ議論がある。先ほど申し上げましたように、移転か現在地かという議論も含めてですけれども、そういう議論の今さなかですから、抜本的な市場の設備の改善というのはできないにいたしましても、施設を単に維持管理するということではなくて、いずれにしても、今壊れているところ、今不備があるところというのは修繕をしていくということが必要なんだろうと思います。そういう意味では、開設者として、そういうことをするのは、やはり東京都の当然の責務だと思うわけであります。
 そこで、現在も基幹市場として都民に生鮮食料品を提供している築地市場について、現状のまま管理をするというだけではなくて、できる限りの施設の改善、あるいは修繕というんですか、そういうものを行う必要があるというふうに私は考えますが、今後の取り組みを含めて、ぜひ見解をお伺いしておきたいと思います。

○大橋事業部長 築地市場では、築三十年以上の施設が全体の六割以上を占め、市場施設の老朽化が進んでおり、建物の一部が破損して落下したり、雨漏り等も発生しております。
 また、給排水設備や電気設備等の市場を支える設備についても耐用年数を経過したものが多く、漏水や設備機器の故障が頻発するなど、市場業務に大きな影響を及ぼしております。
 現状の市場機能を維持するため、建物の柱、床等の補修や給排水管等の修繕も、過去五年間の平均で毎年約二百件、二億三千万円程度を実施するとともに、耐震性の強化や電気設備の改修などの施設整備を、過去五年間の平均で毎年七件、年二億円程度実施しております。
 今後も、築地市場が中核的な基幹市場としての機能を発揮するよう、第八次東京都卸売市場整備計画に基づきまして、限られた財源を有効に活用することで、卸売場の冷凍機の改修などの品質管理の高度化、停電時のバックアップのための電気設備更新などの老朽化対策などに精いっぱい取り組んでまいります。

○高木委員 市場業者の方々の苦労が少しでも減って、品質の高い商品が消費者に届けられるように努めていただきたい、こう思います。
 市場の話というと、築地市場ばかりが今回取り上げられているんですが、生鮮食料品の供給をする役割というのは、都内にほかに十カ所の市場があるわけでございまして、それも同様だと思います。老朽化をしているところ、あるいはそういう設備、そういうことについても、目配りを忘れないでいただきたいなと思っています。
 これから先、生鮮食料品の安定供給をする役割をこの市場が果たしていくためにも、高度な品質あるいは衛生管理、あるいは効率的な物流の実現など、社会経済の変化に対応していくための新たな施設整備が必要なのも同じだろうというふうに思います。
 しかしながら、築地市場を初め、都の多くの市場はまだそれに十分対応できていませんので、取扱量を大きく減らしている現状にもあるわけであって、あるいは、こうしたことを改善していくためには、先ほど来申し上げているように、できるところから早急に整備をしていく必要があろうと思っています。
 参考人の方々が、冒頭意見の中で、商売が変わって、将来への対応が必要であることについては、市場の取扱量が右肩下がりになっていると。また、魚の仲卸の参考人の方がおっしゃってましたけれども、業者の数も右肩下がり。そういう中で、将来どのような市場をつくっていくのか、そういうコンセプトが大事だということが述べられておりましたが、私も全く同感なんです。
 流通環境が大きく変化する中で、卸売市場が将来においてもその役割を果たしていくためには、新たなコンセプトはどのようなものにするのか、そういう議論を深めていただいて、それに基づいて整備をしていく必要があると思っています。今回、一連の--予算委員会も含めてですけれども、この間の議論、あるいはその前からもそうですが、そうした将来の市場の新たなコンセプトというのが、なかなかこう明確になっていないような気もするんですね。もちろん、市場機能とか、市場の役割とか、そういうものについては、るる議論があったと思いますが、じゃ、今度新しくするところはどうするんだと。新しくするためにはどうしたら、どういうコンセプトでいったらいいのか、そういうことが、まだまだちょっと議論が不足をしているのかなと思っています。
 また、参考人の方が、築地市場の機能を守ることについて問われたときに、水産も青果も同じ帽子をかぶって買い回りができるようにしたいとか、あるいはそれもキャッシュレスで行われるようにしたい、そういうことも視野に入れたらどうだ、そんな話も出ておりましたので、大変夢のある話だと私は思いました。
 実は、この参考人招致の前に、先週の土曜日に、市場の業界の方が、市場内でパネルディスカッションの会を行っていらっしゃいまして、私も傍聴に伺わせていただきましたけれども、そのときも実は、将来の市場はどうあるべきなのかということについては、大変熱い議論が交わされていたのが、私にとっては非常に印象的でございました。つまり、業者の皆さんは、今の築地市場が生まれ変わっていくということに対して、大変大きな夢を持っているんだと思います。その夢も、実は非常に現実的な夢であって、新しくなったらこうしたいとか、こうすればもっと都民の皆さんへのサービスが向上するだろうとか、あるいは、安心・安全も含めて、もっともっと私たちはできることがあるんじゃないかということを、自分たちの役割も含めて、極めて的確に夢を語られていたというのが、私は大変印象深かったし、ある意味で非常に感動的でもあったわけであります。
 それが、実はそのパネルディスカッションの中では、いろいろな議論の中で、将来の築地、将来の中央卸売市場はどうあるべきなのかというテーマの中で語られていたんですね。それが、先日、一昨日の参考人招致の中でも、大変短い時間でありましたけれども、的確にいろいろなお話がされていて、今、青果も水産も同じ帽子をかぶってとか、あるいはキャッシュレスでもというようなお話につながってきたんだというふうに思うわけであります。
 今日の市場業者の方々の経営は、大変厳しい状況に置かれていると聞いておりますが、こういうときこそ、そうした希望が持てる将来を私たちは語っていく必要があるんではないか。ましてや、東京都の責務として、市場の皆さんと一緒に語り合いながら、新しいものをつくっていくということが必要なんではないかと思うわけであります。
 そこで、参考人の方々の意見等、市場業者の皆さんが持つ将来の市場への期待などを踏まえていただいて、東京の新しい市場の整備について、市場長の所見をお伺いしたいと思います。

○岡田中央卸売市場長 これまで、余り夢のある答弁をさせていただいたことがないものですので、副委員長のおっしゃるような夢のある答弁ができるかどうかということはちょっとあれなんですが、私なりの思いを述べさせていただくということで、お許しいただければと思います。
 一昨日、この委員会で参考人招致がございまして、卸売市場を支える市場業界の代表の方々に、それぞれ卸売市場の将来に対する熱い思いをお話しいただいたわけでございます。卸売市場を今後どうすればよいかということを、皆様方、それは東京の代表というよりも、全国の代表の皆様方でございますので、その代表の方々が真剣に考えているということがよく伝わったわけでございまして、実際に商売をしている市場関係者の方でないとお話しいただけないようなお話、あるいは、実際に我々はふだんから聞いているんですけれども、改めてああいうところでお話を伺うと、大変勉強になった、あるいは大変感銘を受けたお話がございます。
 先ほど来、副委員長からご紹介いただいていますので、重複は避けますけれども、ご紹介いただいた以外にも、例えば、水産仲卸の伊藤理事長が、卸と仲卸が従来からの対立構造にあるんではなくて、懐を開いて本音で話し合いながら、両者がいわば一体となって、場外取引に立ち向かって市場を復活させていくんだと。これからの市場というのはこうあるべきだといったようなお話ですとか、次の世代がビジネスチャンスを生かせるような施設整備をしていかなきゃいけないといったようなお話、あるいは、食文化というものは、長年にわたって自分たちの先輩たちが集められたあらゆる商品と、それを上手に世に送り出した調理人たちの無形文化財だといったようなお話、こういったお話は、やっぱり非常に印象に残りました。
 現在、私ども中央卸売市場は、豊洲の問題が中心になって、どうしても進んでいるわけでございますけれども、改めて足元を見詰め直しますと、今は、これからの市場のあり方を考えないといけない、非常に大事な時期だろうと思っております。
 具体的に申し上げますれば、もう目の前は第九次の卸売市場整備計画をつくっていかなきゃいけないという状況になったわけでございますので、今いただいたような市場関係者の熱い思いを、こうした中に反映させていかなきゃいけないというふうに、今改めて思っているところでございます。
 東京都には、十一の中央卸売市場がございます。全国から商品が大量に集まって、いわゆる基幹市場として他の市場へ送られるという拠点的な役割を担っている市場もある一方、本当の地元の台所として、言葉は悪いんですが、八百屋さん、魚屋さんの、まちの商店街の経済を支えているといった市場もあるわけでございまして、それぞれ十一の市場が特徴を持っているわけでございます。
 私どもは、この十一の市場が、これからどうやって単体として生きていくかというだけでなくて、有機的なネットワークを構築して、東京全体、あるいは首都圏全体の食を支えていく、東京の卸売市場のコンセプトを描いていかなきゃいけない。それがこれからの中央卸売市場の命題だろうと思ってございます。
 それは、私なりに、これからの市場としては、どういう市場ならばいいのかなという希望といえば、やはり全国から選ばれる市場になってほしい、あるいは、なるような形につくっていきたい。産地が、あの市場だったら荷を出していい、出していきたい、あるいは、買い出し人が、あの市場にだったらたくさんいいものがあるから買いにいきたい、さらには、消費者の方々が、あの市場から出たものなら安心だと、こういうふうにいわれるような市場をつくっていきたいと思います。
 私は、今後新たな卸売整備計画を策定していかなきゃならないと思っているわけでございますが、それが単なる施設計画にとどまるということではなくて、今、いろいろと私自身考えております、また、委員の先生方からも今後いろいろとご指導いただきます、そういった市場の将来像を踏まえてやっていきたいと思っております。
 その一助としては、先ほどいいましたとおり、卸売業者と仲卸業者が一体となって活躍できるような市場であったり、市場の方々が安心して次世代に自分たちの業を引き継いでいけるような--後継者がいなくてとかということではなくて、安心して、八百屋はもうかるぞとかという形で、自分の次世代に話せるような市場を、関係者の皆様方と力を合わせてつくっていきたいと思っております。
 それには何よりも、今ここにいらっしゃいます都議会の皆様方、先生方のご指導とご協力が第一でございますので、引き続きご指導とご協力をお願いしたいということでございます。
 以上でございます。

○高木委員 今、市場長からもご答弁ありましたけれども、市場業者の方々が、市場の将来に希望が持てるような、新しく夢のある東京の市場づくりに、ぜひ取り組んでいただきたいと思っています。
 第九次の卸売市場整備計画の話が若干ございましたので、今後の計画を策定する上で、いろいろな意見を聞いてつくっていただきたいと思うんですが、これは党の意見でもなく、私の私見ですが、パネルディスカッションを聞いていたときに、先ほども若干触れましたけれども、新しい東京の基幹市場というものはどうあるべきなのかというコンセプトについては、私は三つあるのかなと思いました。
 一つは、新しい基幹的総合市場の確立。つまり、総合市場というのが大事なんだと。しかも、新たな総合市場が、やはり東京の中心として活躍をする、そういう新しい総合的基幹市場の確立が必要なんではないか。
 二つ目には、やっぱりこれは世界の東京ですから、世界一高い品質を実現する最新の設備の市場である必要があると、こう思います。
 三つ目には、新しい市場文化の創造、これが大事なんだろうと思います。この三つのコンセプトというのがやっぱり必要なんだろうと思っておりまして、この三つのコンセプトがあって初めて、私は、新たな東京の中央卸売市場だというふうに思うわけです。
 ですから、こうしたコンセプトも、ぜひこの第九次の整備計画の中に反映をさせていただいて、新たな市場づくりに取り組んでいただきたい、こう思います。
 それともう一つ、最後にこれだけ申し上げておきますが、私たちは、築地二十一世紀プロジェクトの皆さんが発表されたご意見については、ぜひお伺いをしたいというふうに思っております。
 先般、参考人招致をお願いをしましたけれども、それが実現されなかったということは大変残念だなと思っています。日程の都合だというふうに聞いております。ですから、ぜひ改めて参考人としてお越しいただくようにお願いをさせていただきたい。これは、まだ理事会の中で、これからも協議されるんだろうと思いますが、ぜひそういうこともお願いをして、私たちは常にいろいろな方のご意見を聞くという姿勢を忘れてはならない、そう思っておりますので、そういう気持ちでこれからも進んでいきたいということだけ申し上げて、私の質問を終わります。

○小沢委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時三分休憩

   午後三時十六分開議

○小沢委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊藤(興)委員 私からは、一昨日の当委員会において、市場業界関係者を招いて行いました参考人招致、これについては、非常に貴重な、また、切実な現場の皆様の声、そして、意見、要望と同時に、本当にこの市場を思う情熱を聞くことができて、大変に意義があった参考人招致であったというふうに思います。
 市場関係者にとりましては、長い時間経過の中で、さまざまな検討や、そして、また平成三年当時の現在地再整備の中断、また、他の候補地から豊洲を選んだ経緯、そして、新市場へ向けての合意形成など、本当に私たちにははかり知れないほどの大変なご苦労を重ね、やっと豊洲移転への希望、夢を見出したということが、改めてよくわかったところであります。
 ところが、土壌汚染問題が発覚して、また、それに風評被害も加わりまして、またゴールが遠のいてしまったわけであります。これは市場業界でなくても、私たちもそうでありますけれども、目標のゴールがわかっていれば、途中、どんなに苦しくても頑張れるものでございます。
 例えば、東京マラソンもありましたけれども、フルマラソンに例えていうと、四十二・一九五キロを本当に力いっぱい走り切れると思ったらば、市場業界の方々は、どこからか、ごめんと。四十二・一九五キロ、ここがゴールだったんだけれども、ゴールはあと五キロ先だったよと。そこまで一生懸命頑張って走ってきたのに、ゴールはその先だった。こう聞いて、また、この方々は頑張って、プラス五キロメートル走ったらば、また、ごめんと。ゴールはもうあと五キロ先だった。こういって、また次に向かって一生懸命に走っていらっしゃる、こういう状態であるんだなということを改めて私は思いました。
 仲卸の伊藤理事長の言葉をかりていえば、行方が見えないといっていたことにつきましては、どこに向かって頑張ればいいのか見えないといった言葉に私は聞こえるような気がいたしました。
 私たち議会、そして都は、首都東京の中央卸売市場の業界の方々に、こんな思いをさせていいんだろうかと痛感したのと同時に、いたずらに議論を先送りしてはならないと改めて思った次第でございます。
 そして、各業界の方々は、我が東京都議会に対して、現実を直視した正視眼の議論を心から望んでいるとともに、都に対しましては、安全宣言についても非常に重きを置いていることがわかったところであります。
 そこで、まず初めに、業界の方々から切なる要望があった都の安全宣言についてと、これまでの参考人招致から感じ取った所感、そして決意を、まず市場長に伺いたいと思います。

○岡田中央卸売市場長 豊洲新市場予定地の土壌汚染につきましては、知事がこれまでもご答弁しておりますように、汚染物質を除去する、これがすべての前提であると考えてございます。
 委員お話しの一昨日の参考人招致でございますけれども、先ほども、私、自分の口から--やはり私自身も大変勉強になりました。また、東京都の中央卸売市場長として、非常に重い責務を改めて感じたわけでございます。
 業界の方々は、素直に豊洲に行きたいとおっしゃいました。ただ、そのためにも、安心して行けるようにしてもらいたいと都に要望しているわけでございまして、これは、言葉をかえますと、東京都が、大丈夫だから豊洲に行ってくださいといえば、私たちは行きますと、こういうふうにおっしゃっているんだろうと思いまして、都の役割は非常に重いと、こういうふうに考えております。
 現在、豊洲新市場予定地で土壌汚染物質を確実に無害化することが可能であるということを、具体的なデータによりまして確認する実験を行っております。六月末には最終結果が出てまいりまして、すべての処理技術の有効性が確認されることになります。私どもは、この有効性が確認された対策を確実に実施していくことで、市場用地としての安定性が十分確保されることになります。その結果、あの豊洲の地に七十年間、人が住み続けても健康への影響はなくなり、市場関係の方にも、そして、都民の方にも安心していただけるものと考えております。
 そのためにも、今後とも土壌汚染対策を初めとする事業の推進に、私どもは、引き続き頑張っていきたいと、このように決意しているところでございます。

○伊藤(興)委員 ありがとうございます。
 今回、予算のことについて議論をするわけでございますので、ここで改めて伺いますけれども、今回の予算に計上された豊洲新市場関連の予算につきましては、先ほど申し上げたとおり、市場業界の方々が待ち望んでいるこの安全宣言へ向けての対策費が含まれていると思いますけれども、ここで、予算の中身、この対策費の中身を伺いたいと思います。

○後藤管理部長 今回の豊洲新市場関連予算の内訳につきましては、まず、新市場予定地の安全性にかかわる土壌汚染対策実施設計費が五千百万円、用地取得費が一千二百六十億二千五百万円、建設に係る基本設計費が九千万円、豊洲地区補助三一五号線の高架化に要する負担金など、その他関連経費が十九億三千二百万円となってございます。予算額合計は、千二百八十億九千八百万円でございます。

○伊藤(興)委員 ご答弁いただいたとおり、今回のこの予算の中には、先ほど申し上げた安全宣言へ向けて、一歩でも前に進めていくための対策費が含まれているわけでございます。非常に重要な予算だと私も感じているところでございます。
 それでは、この安全宣言に向けて、現在行っている実験、また、その検証、公表を含めて、今後の六月までのプロセスを明らかにしていただきたいと思います。

○宮良新市場建設調整担当部長 先日、実験に関しまして中間報告をさせていただきました。今後、残りの中温加熱処理、洗浄処理、微生物処理、地下水浄化処理につきましても実験を進め、六月末にすべての実験データが提出されます。提出されたデータを取りまとめた結果を、技術会議で客観的に検証していただくことを予定してございます。この検証結果とすべてのデータをあわせ、都民の方へ公表してまいります。

○伊藤(興)委員 市場業界関係者にとりましては、都の安全宣言は、やっと見えてくるゴールへの希望の光だと痛感をしております。その意味からも、今行っている実験の結果については、業界関係者を初め、多くの都民が大変に注視をしていることだと思います。ぜひとも、六月末を待たずに、途中経過の中で順次報告できる内容がありましたら、中間報告を出していくべきと要望をしておきたいと思います。
 今行っている実験については、六月末には結果を公表するというご答弁でございますけれども、この公表は、そういう意味でいうと、どういう位置づけになるのか伺いたいと思います。

○宮良新市場建設調整担当部長 実験の最終結果につきまして、汚染物質を確実に除去することが可能であることを、まず、データで確認し、さらに、技術会議の検証により確認されれば、都の土壌汚染対策の有効性が実証されたことになります。こうして、有効性が確認された土壌汚染対策を確実に実行することで、生鮮食料品を取り扱う市場用地の安全性は十分確保されます。このように、実験の最終結果の公表は、新市場予定地の安全性に対する市場関係者の安心への第一歩として重要な位置づけになると考えております。

○伊藤(興)委員 重要な第一歩であるという言葉を聞いて、少し安心をしたところでございます。
 先ほど申し上げたとおり、市場業者の方々は、移転の行方が明らかでないこととともに、さまざまな不安を抱いております。その不安を払拭するためには、都の支援が重要であると考えます。
 そこで、改めて伺いますけれども、都はこれまで、市場の移転等にあっては、どのような支援策を実施をしてきたのか、伺いたいと思います。

○横山参事 かつて、平成元年に開場いたしました大田市場におきましては、移転する際に、既存の融資制度を利用いたしまして資金を借り入れた市場業者に対して、その利子の一部を助成する利子補給事業と、それから、既存の融資制度が利用できない市場業者に対しましては、その所属団体を通じて資金を貸し付ける移転資金融資の二つの支援を行いました。
 また、最近の事例といたしましては、一昨年、平成二十年になりますけれども、松原分場を世田谷市場に統合した際、都から市場業者に対して--これは松原分場の業者でございますが、市中金利よりも低い移転資金を直接貸し付ける移転資金貸付事業を行いました。

○伊藤(興)委員 これまでの市場の移転等についての支援を聞いたところでありますけれども、都は現在、築地市場の業界の方々と個別面談を実施していると聞いております。先ほどいったとおり、不安を払拭するための一つ一つの手だてだと思いますけれども、その実施状況について伺いたいと思います。

○横山参事 個別面談は、今回初めての取り組みでございまして、任意で参加を呼びかけました。事前にご提出いただきましたヒアリングシートの回答に基づきまして、各事業者から、経営の実態や移転支援に対する要望事項などを聴取しております。
 本年度は、仲卸業者を対象といたしまして、面談を希望した水産、二百六十五業者、青果、九十九業者の合計三百六十四業者に対しまして、業界ごとに日程調整を行った上で、本年一月二十五日から開始いたしまして、これまで、昨日までですが、おおむね六割となる二百十七業者の方と面談いたしました。

○伊藤(興)委員 それでは、今やっていただいているその個別面談においては、事業者からどんな要望が聞けたのか、また今後、それをどのように支援策に結びつけていくのか、伺いたいと思います。

○横山参事 私も面談員の一名として、ずっと立ち会いましたけれども、業者の方々からは、市場を訪れるお客様が著しく減少しているということですとか、何代も続いたしにせを受け継ぐ後継者がいないといったようなこと、それから、新規のお客様を開拓しようとしても、また、新規事業を立ち上げようとしても、この不景気の中で本当にままならないといったようなことですとか、そういった厳しい経営の生々しい実態が明らかにされたということでございます。
 また、支援につきましては、融資資金の使い方について、引っ越しの費用のほかに、パソコンですとか、事務所の什器、備品ですとか、それから、冷蔵庫やストッカーなどの設備、ターレやフォークリフトなどの移送機器の更新費用など、多岐にわたる資金需要を挙げまして、都の資金融資によるきめの細かな対応を希望する声が聞かれました。
 さらに、先ほども申しました大田市場の開場時における支援との比較から、融資の返済期間ですとか、利率などの貸付条件に関する要望もございまして、全体としてはさまざまな意見、要望が確認できました。
 今後は、関連事業者や卸事業者との面談を実施するとともに、移転計画の進捗に伴いまして、適宜、面談を重ねていくことで、多くの事業者の実態を正確に把握いたしまして、これらの意見や要望をできる限り反映させるように支援策を検討してまいります。

○伊藤(興)委員 ぜひとも、今後ともこの個別面談につきましては、丁寧に面談をやっていただきまして、そうした貴重な声を具体的に支援策に結びつけていけるように検討していただきたいというふうに思います。
 冒頭申し上げたとおり、関係の方々は、本当に都の安全宣言、これを一つ、大事なバトンとして次に向かって--先ほどマラソンの話もしましたけれども、走っていくわけだと思います。市場の関係の方々にとりましては、ゴールというのは、決して安全宣言をもらったところ、受けたところがゴールでもないし、あるいは、対策工事が終わったところがゴールでもないし、本当に市場の方々にとっては、対策も、完成して開場するのも、移転するのもそうですし、一つ一つがゴールであり、本当の意味でのゴールというのは、この間お見えになった方のお言葉をかりていえば、次世代の方へ引き継いでいったときが、本当に今の方々のゴールなんだなということをつくづく痛感するものでございます。
 そうした意味で、一刻も早く開場に向けて、これからも都がしっかりと努力していただきたい、このように要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。

○清水委員 都は、中間報告で、確実に汚染物質を無害化できることが実証されましたと発表いたしました。我が党が、予算特別委員会で、初期値、実験前のデータを出すべきだとただしたことに対して、市場長は、初期値はあるというふうに答弁しましたね。
 そこで伺いますが、そのデータは計量検査所から届いたものでしょうか、お伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 今回の実験結果は、具体的なデータを示す土壌の分析でございます。そういったもの、これまで調査した土壌の分析、いずれも計量証明書の発行が可能な検査機関で分析し、そのデータとともに濃度証明のついたものをいただいております。実験を初め、いわゆる実験初期値についても同様でございます。

○清水委員 その処理後の検査の結果が出されましたが、今お話しされました初期値の検査、計量証明書が出たというわけですけれども、だとしたら、なぜそれを一緒に中間報告に出さないのですか、お伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 実験を開始する際に、実験の対象とする十メートルメッシュの区画内の中心及び四隅、計五点から土壌を採取し、まぜ合わせた後、分析しております。これが、今ご答弁申し上げました、いわゆる実験初期値と呼ばれるものでございます。
 この値につきましては、実験対象区画に関する汚染物質の平均的な濃度と見ることもできますし、これまでの調査で得られた値との比較では、対象区画の汚染状況を示すものとも考えることができます。この初期値について、このように、とらえ方によってはいろいろな評価ができるため、現在、専門家の意見を聞いているところであります。
 したがいまして、こういった専門家の意見を踏まえた上で、分析評価がまとまった段階で、改めて公表してまいります。

○清水委員 一方では、その計量検査所から来たものをデータとして出す。しかし、今お話あったような一方の初期値については、勝手に中間報告から落として発表すると。それはあってはならないというふうに私は思うわけです。客観的事実として初期値を記載した計量証明書を提出すべきだと考えますが、どうですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 いわゆる実験初期値の取り扱いについては、ただいまご答弁申し上げたとおりでございます。
 今回の実験のうち、洗浄処理と中温加熱処理につきましては、処理後の土壌が環境基準になったことを、具体的なデータで確認することができました。これは、まさに濃度証明がついて、私どもに提出があったと、そういうことです。
 こういったことで、具体的なデータで確認することができたため、これらの処理について、具体的なデータとともに、確実に汚染物質が無害化できることが確認できたことを公表させていただきました。
 土壌中の汚染物質が除去され、無害化したことについては、分析値を環境基準値と比較することで容易に判断することが可能でございます。今回の中間報告で、技術会議が定めた汚染物質除去技術の有効性を改めて確認できたことは、この実験を行った大きな成果だと私どもは考えています。こういった成果を、都民の方や市場関係者の不安を少しでも早く払拭するために、結果を公表したものでございます。

○清水委員 初期値を出さないのだったら、処理後の数値も出すべきではありません。少しでも早くなどといいますが、きちんと比較できるようなデータを同時に出さなければ意味がありません。
 最初のデータと違うので、都民に数字の差を聞かれても答えられないからだと市場長は予算特別委員会でいいました。だとしたら、なぜそのような段階で実証できたと発表したのですか。全く成り立たないではありませんか。どうですか。

○岡田中央卸売市場長 このときについて一番何が重要かというと、処理をした土壌が確認されたときに、環境基準以下になっているのかどうかということをお示しするのが一番重要であるというふうに思って、私どもは、濃度証明や計量検定所の証明が出た段階でお示しをして、発表させていただいた。
 それから、そのときに、最初のときどうであったのかということについての初期値というのは、基本的には最初の百十七条とか、あるいは、絞り込み調査等で得た最初のときのデータというのが--ここのところの土壌の、最初にコアでとったところが幾つですよということをお示しした。
 ただ、その中間でもって、実験を始める前に五カ所をとって、その土をとってきて、一緒にまとめて、それでやったというデータもあわせてとっておりますが、それは、基本的には、実験後のデータと土壌と全く別のものでありますので。ですから、それをやったときに、これがこの結果になったと、最初の実験データが最後の実験データになってますよという形にならないもんですので、それとしてはどういう形でお示しすればいいかということを、今、我々は専門家に聞いているということで、出さないということは一度もいってないつもりでございますので、今はちょっとお時間をいただいて、いずれにしても公表させていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
 今、我々が一番やらなきゃいけないのは、実験後にきちっと環境基準以下になったということを、できるだけ早く都民にお示しすることであるというふうに考えておったわけでございます。

○清水委員 数字の差については都民に説明できないといいながら、処理後の数値だけ示して実証されたっていったわけですから、私は、成り立たないというふうにいっているのです。今後出すのは当たり前ですよ、来ているわけですから。きちっとした専門家の説明を受けて出すといったことは、中間報告が根拠なしに出されたことをみずから認めた内容で、極めて重大だと思うわけです。中間報告のこのコメントは撤回すべきだと思いますが、どうですか。

○岡田中央卸売市場長 私どもがお示ししなきゃいけない一番大事なものは何かといったときに、処理した土壌の数値がどうなっているのかということをお示しするというのが一番だろうと思っておりますので、その結果についてお出ししました。こういう形で洗浄する、あるいは中温加熱をする。その結果、百立米の土壌をやりました。それで、やったものをまた改めて五カ所からとって、その平均値をとったときにどうでしたかということをお示しするということが、一番、このときの実験については、都民にお示しするデータとしてはそういうことであろうというふうに思っております。
 それから、先ほどいいましたけれども、改めて、最終結果ではすべてのデータを出しますけれども、先ほどのお話の実験初期値につきましては、別に六月まで待たないですべて出す、六月を待ってすべて出すというようなことは全然考えてございませんので、できるだけ我々としても早くお出ししたいというふうに思っておりますので、中間報告について撤回するとか何かということは、それは客観的データが出ている以上、全く考えておりません。

○清水委員 納得できません。出されたデータがきちんと来ているのに、計量検査所というか、受けてね。で、処理後のデータだけ示して、--その前のデータというのも、当たり前でしょう、出すのは。それがきちんと実証されなければいけないということで、やはり私は、中間報告の、実証されたというコメントは、撤回すべきだというふうに思います。
 それでは、お聞きいたしますが、中間報告が出された二つの地点について確認したいというふうに思います。
 地点七のD12-2です。採取した土壌は、調査をしたときには、シアンが百七十倍出たということですが、百七十倍が出たところはA.P.二・二〇八メートルと記されています。しかし、実験土壌は、二・二一メートルから上の土壌を採取することになっています。これで、どうして百七十倍の濃度の土壌が含まれるといえるのかということですけれども、具体的には、D12-2地点です。仕様書で書かれているのは、二・七一メートルからA.P.二・二一メートルの土壌を採取してくださいというものですね。そうですね。それで、これはシアンが百七十倍あるというふうに書かれているものです。これは、仕様書に書かれているものですね。そして、これまでの調査結果は、ここに書いてあるように、(資料を示す)A.P.二・七〇八メートルの地点でベンゼンがこれだけ出てるよ、砒素が〇・二倍出てるよというんですから、二・七〇八というのは、二・七一メートルより下になります。
 で、シアンですけれども、シアンの百七十倍というのは、これまでの調査結果を見ますと、A.P.二・二〇八メートルで出ているということになっているわけです。この事実というのは認めますか。お伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 実験対象になりますそれぞれの処理対象の土壌の採取位置の確定のお話でございますが、お話がありましたD12-2、ここの汚染物質のことですが、これまでの土壌ボーリング調査--具体的に申し上げますと、絞り込み調査でございます。そこで、シアン、単体のシアン化合物、環境基準の百七十倍が出てます。ここについては、そこの場所を絞り込み調査で特定し、それから実験の方に--対象物質にするわけですが、採取範囲は、A.P.表示でいいますと、A.P.プラス二・二一メーター、それから実験では、ある程度、十メーター、十メーター、それから深さをとりますから、試料としてとりますから、採取範囲としては、それより上のところのA.P.プラス二・七一メーター、こういったものをとることになっております。
 これは、今お話し申し上げました絞り込み調査結果と、それから仕様書に書いてあるものと、同一でございます。

○清水委員 絞り込み調査の結果が、A.P.二・二一、A.P.二・二七というふうに書いてあるんですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 絞り込み調査結果で、汚染物質があるところの色の表示の仕方でございますけど、それは柱状図を見ております。ここの柱状図ですけれども、この地点、D12-2、そこの現状の地面の標高が三・四〇となってます。調査に際しましては、深さ方向に一メーターずつ土壌ボーリングをしまして、まずは、東京ガス操業地盤の地盤面を確定していきます。確定の仕方は、土の色、粒径、質、それからコンクリート塊が入っているとか入ってないとか、そういったものを総合的に見まして、この当地点、D12-2地点の東京ガス地盤面は、現況の地盤面から約十九センチ下がり、そこが旧地盤面。そこがすべてのデータの、要するに基準点、いわゆる考え方のポイントになります。
 といいますのは、専門家会議の調査のところで、旧地盤面のところから五十センチ下の土をとる。それから地下水をとる。それで、それぞれ環境基準以上、地下水で十倍以上になったら土壌のボーリングをしましょうと、そういうことで調査をしてます。絞り込み調査も、今お話ししました旧地盤面は、現況のその地盤面、A.P.三・四〇から十九センチ下がりましたA.P.三・二一になります。ここから汚染物質の位置を確定していきます。
 そういった作業をやるんで、今、委員お話しの、じゃあ、実際に書いてあるのか、明示されてるのかというお話ですけど、それは、ボーリング柱状図と、それから成果品であります深さ方向の濃度分布、それを対照していただければ、お話しのA.P.表示で実験の対象となる区画の位置、それを絶対的な標高でありますA.P.で確認することができます。

○清水委員 だって、あなたたちが出している土壌溶出量試験結果一覧表、詳細調査、絞り込み調査、その中に、D12-2、十七・〇のシアン化合物が出ているところは、A.P.二・二〇八メートルというふうになってるんですよ。いろいろいわれまして、みんな、何だかよくわかんないわというような説明をされましたけれども、私は、あなたたちが出しているこの資料を見ていってるんですよ。それじゃあ、私が指摘していることは間違いだというんですか。これは違うというんですか。それはお答えください。

○宮良新市場建設調整担当部長 委員お話し--ご質問でありますけど、私、全く同じものを持ってお話し申し上げて、それで確かに深さの方向の表示は、実際の現況からどのぐらい下がったところとか、それから、旧地盤面からどのぐらい下がってると、そういった表示はあります。あります。
 しかし、申し上げますと、要は、対象物質の特定につきましては、絞り込み調査、あるいは環境確保条例に基づく調査に基づいて、現況の地盤を絶対的な標高であらわし、その旧地盤面を特定する作業は、土壌を一メーターずつ深さ方向にとりますから、その状況を見て、A.P.表示、絶対表示に直して、それで、どこの場所に汚染物質があるかを特定してます。実験では、各処理技術ごとに、例えば、ここであれば、シアンの単体、濃度が高いものがあります。そこはA.P.プラス二・二一で出てまして、そこの範囲をとると、そういった、具体的に仕様書で明記しませんと、委託した業者が作業できませんから、それをそのまま、要は、委託仕様書の中に表示すると。
 実際の現場の作業は、その表示があれば、これまでるる調査をしてきました十メーターメッシュ、それから中心点とか、これまでトラバース点--これは測量の話ですが、あの付近の基準点がちょうど豊洲の海側の一番先端西側にあります。そこから点をとりまして、測量して、そうしますと座標位置がわかります。それとあわせて、標高もとってきます。位置と標高がわかれば、どのぐらい深さを掘るかわかります。そういったことで、実験の対象区画を実際掘って処理をしていると、そういうふうになっております。

○清水委員 私は、仕様書に書かれている範囲と汚染濃度、そして、こちらに書いてあるこれに基づいて、あなたが出されているその一覧に基づいてここに入れたら、これが、シアンの百七十倍というのが、とることになっている土壌には含まれないことになりますよということで指摘したわけです。そうしたら、あなた、ごちゃごちゃごちゃごちゃいって説明されましたけれども、これが一目瞭然じゃないですか。
 もう一点聞きます。地点九、E11-1です。仕様書で採取するように指定した土壌は、ベンゼン八・四倍、シアン二倍が出た土壌が採取されるような指示にはなっていません。外れたものになっています。これはどうしてかということです。
 仕様書では、A.P.〇・四二メートルからA.P.一・四二メートルの間の土壌をとりなさいとなっています。ここで、ベンゼン八・四倍、シアン二倍、砒素三・四倍という汚染物質が、入っているんですよと。これまでの調査結果で、同じく、結果一覧表の中に示されている高さは、ベンゼンの八・四倍が出ているところは、A.P.マイナス〇・四一九メートル。砒素はA.P.一・四二メートル、三・四倍で同じです。ここはこの線で出ているわけです。しかし、ベンゼンが入っていないということについては、どのように説明されるんですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 私たちも同じように当然書いてありまして、E11-1、ここの対象は、複合汚染の物質を洗浄しようと。その条件は、ベンゼンが十倍程度の濃度であること。それから、シアン化合物、重金属、ここでは重金属を砒素としています。
 どういうふうに実験の内容を設定したかでございますけれども、この地点は、絞り込み調査、それから環境確保条例に基づく調査、この二つのことをやっておりまして、土の下の汚染状況を確認しております。まずは、絞り込み調査で、ベンゼンの十倍程度、そういうところを探して、なおかつ、複合汚染でないと対象になりません。ここでは、今、委員お話しありましたが、ちょうど--またA.P.表示になって、数字になっちゃいますけど、A.P.マイナス〇・四二のところでベンゼンとシアンが出てます。ベンゼンが大体八・四倍、これは十倍近いという意味です。なおかつ、百十七条、もう一つ、土のボーリングをして砒素を調べてます。そうすると、ここは複合汚染の物質を採取して、実験対象とするために、じゃ、砒素が出てるかどうか。今お話があったとおりです。そこで、差が出ているのは--百十七条で、その砒素の出てる、たしか、十センチぐらいだと思いますが、そこまでとると、ベンゼンの濃度が五十三倍。要は、実験の条件に合わなくなります。
 もう一回、しつこいですけどお話ししますと、ここでは、ベンゼンの十倍程度の複合汚染について洗浄処理をしましょう、その試料をとりましょう、そういった観点で、要は、具体的に申し上げますと、ベンゼンが八・四倍、それからシアンと砒素が出ると。先生お話しの、ご指摘いただきました、そこを十センチとりますと、そこの部分は、絞り込み調査で、ベンゼンが十倍以上のものが出ていて実験対象になりません。そういったことを加味して、A.P.表示で場所を決め、それを仕様書に転記をし、実験対象を特定する、そういうふうになってございます。

○清水委員 その今の説明はわかりましたが、しかし、単純にここに書いてある業者に指示しているのは、これなんですよ。それで、あなたが同じもの見てるというけど、同じもの見てないですよ、私はこれを見てるわけですから。じゃ、これが違ってるというわけですか。これについて私はしているわけです。いいです、もう時間がありませんから。
 どう見ても、あなたたちが示した仕様書では汚染の場所がずれているといわざるを得ないと思います。採取する汚染土壌の範囲に影響を及ぼさないというが、とんでもありません。詳細調査時の土壌汚染採取位置が正確ということであれば、今回の採取土壌の汚染濃度は、より薄まっているということではないかと思います。
 二〇〇七年度以降のさまざまな調査に共通していえることですけれども、サンプリング深度は示してあっても、サンプルの柱状についての記載がないので、以前の調査結果を参照する場合に、果たしてサンプルの同一性が確保されているかどうかの判断も全くできないものです。それにもかかわらず、今回の調査で、処理前の比較データに詳細調査などの値を運用したというのは、私は間違いだというふうに思います。
 次に、参考人質疑で、バイオが存在しているかどうか事前の実験が必要ではないかというふうに私が伺いましたところ、矢木参考人は、同時に、室内実験もしていただきまして、ぜひその適用実験の中に入れてと述べました。室内実験はどうなったのですか。伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 ただいま委員からお話がありました技術会議の矢木先生ですが、実験の計画を取りまとめている段階で、私どもご相談もして、いろいろアドバイスをいただいています。特に、その今お話しのベンゼンに関する室内試験でございます。
 ベンゼン処理に関しまして、実験室内で生物を活性化させまして、その効果を確認していく。こういうのが室内実験と聞いておりますが、こういった室内でやる実験につきましては、現場での実験に比べまして、与える空気量、あるいは栄養量、栄養塩、これ、正確に容易に把握することができます。そういったことに加えまして、厳密な温度管理も可能だと、そういうことを教えていただきました。
 こういった現場の実験では実現困難な温度管理などを行うことで、ベンゼンの分解に際しまして、微生物を理想的な状態とした場合に得られる、例えば温度設定、いわゆる何度がいいかですね、それから、必要な空気量、栄養塩度、こういったものを把握することは、実際の土壌汚染対策工事を効率的に進めていく上で重要なデータとなると、実験開始前にそういったアドバイスをもう既に受けております。
 こういった室内試験につきましては、委員お話しのように、さきの参考人招致の中で、矢木先生から、微生物処理などで室内試験も加えることにより、施工性を高めたり、工期を短縮したりできると。そういったことを、まさにもう実験が始まる前にいただいてまして、今回の実験を開始する際に、現場の実験と並行して実施することにしておりました。
 現在、具体的な実験内容について、矢木先生を初め、専門家の方と相談しながら準備を進めている、そういった段階でございます。

○清水委員 現在の仕様書には入ってなかったわけでしょう。それを入れるということでしょう。じゃあ、どのくらいの日時をかける予定ですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 期間につきましては、今お話し申し上げました、矢木委員、参考人招致のときに、実験室であれば一週間、それで掘削バイオでは三カ月ぐらい、現地のバイオ処理だと六カ月ぐらい、そういった話も事前に伺ってます。
 ですから、実験室でやる場合は、現場に比べて大変短い時間で効果が確認できると、そういうふうに思ってます。といいますのは、今ご答弁申し上げましたように、要するに理想的な環境、そういった環境をコントロールできると、そういうお話を伺ってます。
 現在、いろいろ場所、要するに研究施設ですね。そういった施設はなかなか簡単にはないそうで、そういった場所も含めて、内容も含めて、今、ほぼ相談が終わりまして、具体的に始める準備を進めてます。

○清水委員 予算特別委員会でも紹介いたしましたが、土壌処理を十数年やられている方、一千件ぐらい請け負ってきたという業者にお話を聞いてきたわけです。バイオも多く手がけている方です。その方は、準備に二カ月かけたということです。微生物材は何が適するのか、その微生物の栄養源は何か、微生物がいるかどうかなど調査が必要だったといいます。
 都の作成した仕様書では、微生物がいるはずだという前提で進めてきましたが、微生物に悪さをする物質もあるということです。どんな微生物がいるかを調査するのに、この方は二カ月かかるといわれました。次に、土をとって実験室で微生物を特定し、汚染値が下がるかどうか、三カ月程度見て、ふえているか、揮発しているのはどの程度か、それでいけるとなると、現場でやることになるといわれます。
 参考人質疑について、議事録を読まれてコメントをされていました。矢木氏のバイオの効果について問題点はという議員の質問に対して、これ、矢木氏が、バイオの浄化というのは、時間がかかります。すぐ結果は出るが、ま、傾向は出るがといっておられるようです。しかし、それ以上のことはいっていないというふうにいってました。その限りでは正しいし、それ以上のことはいっていないのではないか。さらに微生物処理は、環境基準以下にするのは難しい。二、三カ月でベンゼン濃度は落ちる。しかし、基準以下まで落ちるかどうかは、さらに四カ月程度見ないとわからないだろう。一定程度落ちるだろうということはわかっても、その後、さらに落ちているケースもあるが、落ちていないケースもあるといわれました。リバウンドするんだそうです。その判断が難しいといわれました。矢木氏は、バイオで確実に減るが、環境基準値以下まで下がる保証までしていないのではないかというふうにその方はコメントをしておられました。
 したがって、初期値を示していない点ばかりか、土壌採取位置、微生物処理についても、今回の実験で無害化を宣言するには無理があるということです。都が安全を客観的に実証したいのであれば、これまでのすべての経過を見直し、情報公開で資料をとりなさいなどといわずに、すべてを明らかにし、改めて安全性の議論をすべきです。その際には、意見を異にする関係者が意見を述べる場や機会を設けるべきであることを指摘しておきます。
 次に、東京ガスの跡地には、一万八千本ほどのくいがあることが明らかになっています。これらのくいは東京都と東ガスとの協定書によると、コンクリートぐい、松ぐい、鉄管ぐい、セメントと鉄管の合成ぐいの四種類だといわれます。鉄管ぐいが最も長く、平均三十四メートルです。あとは二十メートル弱、十メートル程度のくいである。これらのくいが一万八千本ほどあることについて、専門家会議の平田先生は、朽ちて土壌汚染の通り道になる可能性はないとはいえないと指摘しました。
 不透水層が確認できなかったQ36-6について見ると、ここは協定書によると、タールタンクがあった場所で、およそ一千平方メートルぐらいのところに、二十メートル近いコンクリートぐいが四百七十本も埋まっていたことになります。都の調査によると、この地点の有楽町層は、地表面から十四メートルにすぎません。ここに二十メートル近いくいが打ち込まれているわけで、当然、くいは有楽町層へ突き抜けていると考えられます。
 この周辺では、一千三百倍、四百三十倍、四百倍、百三十倍など、ベンゼンの高濃度汚染が明らかになっています。しかもその周辺では、調査した最下部でも、環境基準を超える汚染物質が確認されています。くいの存在と汚染の実態を再度調べる必要があるのではないかとお尋ねいたしますが、今、私がご紹介したところは五街区ですね。これは皆さんもご承知のとおりです。不透水層が欠けているのが見つかったところが二カ所ある五街区です。ここに、それぞれのくいがこの程度埋まっていると。そして、高い濃度がここからは出ているということが、やはりこれを照らし合わせてみると、こういうふうに重なっているということがわかるわけですね。これについて伺います。

○岡田中央卸売市場長 今のくいの件につきましては、宮良部長よりご答弁させていただきたいと思いますが、その前に、先生からお話しのベンゼンのお話でございますけれども、それにつきましては、匿名ということではなく、どなたがいったかという形について教えていただけないでしょうか。ちゃんとお伺いをしたいと思います。それで、それにつきましては、我々、後日、技術会議等でやりたいと思っていますので、その際に、もし文書等で提出していただければ、それは技術会議の先生方に、こういうご指摘がありましたがいかがでしょうかという形でやっていきたいと思いますので。いろんな意味で、やはりオープンにしていきたいと思いますので、匿名ということでなく教えていただければ、後日で結構でございますので、ぜひお願いができればと思っております。

○宮良新市場建設調整担当部長 今のくいのお話、ご質問にお答えする前に、豊洲地区の微生物でベンゼンが分解されるかどうかわからないというお話がありましたけれども、これにつきましては、東京ガスが実際に、現地の微生物で、もう当然今はありませんけど、畝をつくりまして、ベンゼンを分解しています。それはもう、実際にやってるので、事前に豊洲にいる微生物がベンゼンを分解するかどうかのような試験、実験、それは全く不要だと考えております。
 ただいまのくいのご質問なんですが、私どもとしましては、まず、じゃあ、豊洲の新市場予定地、土壌のボーリング、これはかなり深いんですけども、八本ほどいたしまして、要するに、土質、地層、地質を確認してございます。
 その結果なんですが、この有楽町層の中に不透水層、要は粘性土質なんですが、そこがどういった土質だか、確認しております。そこの結果は、粘性土層でありました。
 というのは、そういった土をとりまして、ふるい分けをしまして、粘土、それからシルトといいますけど、それが重量で何%ぐらいあるかだということです。それが半分以上ありました。土質工学会、いろいろ土の権威の土木関係のものがありますけど、要するに粘性土層であります。
 ということは、私どもとしては、くいと、くい周辺の土は密着した状態にありまして、汚染が不透水層の下に広がった可能性は低いと考えています。
 それから、今お話がありました技術会議で、平田先生のお話が出ました。要するに、くいにより、くいが空洞化した場合、汚染の通り道になる可能性はゼロじゃないというお話が今ありましたけど、平田先生に直接お話を伺いました。それは、要は一般論として、科学者としては否定できない。対策時に底面管理を行えば問題ないと、そういう見解をいただいています。
 さらに、さきの参考人招致、今度は技術会議の安田先生です。安田先生からは、通常、くいにべったり土がついている、そういう状態が普通だと。そこにすき間があくとは本来考えられないと。すき間があかないということは、くいを伝わって下に汚染が伝わることはないと、そういう見解をいただいてまして、私どもの見解は妥当だと、そういうふうに考えております。

○清水委員 みんな予測なんですよ、それは。調べなければわからないことなんです。現に、私が今示したような、不透水層が抜けている、そして、高い値が出ているということが、これが事実ではないですか。
 これまでも、不十分な調査でありながら、東京都はどれだけ安全宣言をしてきたか。しかし、世論の道理ある指摘を拒否できず、再調査するごとに新たな汚染を認めざるを得なかったのが、この間の経過ではないですか。
 次に、技術会議の議論では、現在の技術水準では、土壌や地下水の汚染物質を除去、浄化した直後に、敷地全体すべてにおいて、地下水を環境基準以下に浄化できるかどうかは不明確であり、その後も対策が必要としています。
 そこでお伺いいたしますが、地下水管理について、地下水の量、水位及びどのような流れになっていると把握しているのですか、伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 専門家会議の提言では、市場施設完成後に地下水位を一定に保つ地下水管理を行うこととしております。
 新市場予定地では、各街区の周囲に遮水壁を設置しまして、地下水の流出入をまず防止し、地下水の流れが生じない状態にします。そういった観点から、水が流れないので、流れを把握する必要はまずございません。
 次に、こうした条件のもとで、地下水の検討に必要なデータ、それは、地下水位及び地下に浸透する水量です。地下水位については、各街区に観測井戸を設け、水位を計測し、地下に浸透する水量については、要は、降雨量のデータです。観測データに基づき、降水量を把握した上で推計してございます。
 また、地下水量については、これまでに調査しました地下水位の高さ及び不透水層上端の高さ、この高さをもとに帯水層の厚さを計算しまして、これに敷地面積、それから、土の中の間隙に水が入ってますから、その間隙率、こういったものを乗じて地下水量を把握してございます。

○清水委員 地下からの地下水の上昇をどのように考えているのですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 今ご答弁申し上げましたように、施設完成後に地下水位を一定にします。
 こういった地下水管理に際しまして、水位を上昇させる要因は二つございます。一つは、今ご答弁申し上げました降雨による地下への雨水の浸透です。将来の市場は、建物とアスファルト舗装になりますが、アスファルト舗装は、ご存じのように一〇〇%遮水というわけではございません。
 それから、もう一つは、そういった地下水面から上に上ってくる、要は毛管現象による水の上昇であります。降雨による水の浸透量につきましては、今ご答弁申し上げましたように降雨量から算定しまして、要は付近の降雨量強度をはかりました、十年間、新木場、それをデータから把握しております。
 こうして降雨量から算定し、このくみ上げの必要な水量、要は揚水井戸のポンプ数、ポンプの揚水能力を計算しまして、必要な台数を計算しまして設置をしていくと、こういったことで地下水位を一定に保つことにしてます。
 それから、毛細管現象による水の上昇に関しましては、施設完成後に地下水を一定に保つ位置、それは、技術会議で具体的に検討していただきましたA.P.一・八メーター、そこに砕石をひいておきます。そこに、地下水を一定にする水位の位置にしてます。要は、大きな石の間に水面が一定になっているわけです。そういったことで水面は一定になるし、毛管現象、これは間隙が狭くないと上がってきません。大きな石にしておけば、そこから上る水の防止ができるわけです。
 こういった対策については、多くの実績があります。そういったことで、地下水の上昇を十分防ぐことが可能であります。

○清水委員 地下水の遮水壁について、遮水性とか、施工性とか、経済性とか、すぐれた構造の遮水壁としていますが、各街区の遮水壁をつくったとしても、地下水位には高低差があり、水がどのように流れるかを把握せずに敷地全体の水を揚水できるといえるのでしょうか、お伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 今もご答弁申し上げましたが、それに引き続きなんですが、地下水を揚水できるかというお話でございます。
 重複しますけど、街区周辺に、まず水の出入りを遮断する遮水壁を設けます。こうして設けた各街区、締め切りができるわけですが、そこを区画に分けて、強力なポンプを複数設置しまして、地下水を揚水していきます。
 こういった工法、よくビル工事なんかで基礎をとりますけど、それはみんなこういった工法、ウェルポイントとかいってますけど、要するに吸い上げると。くみ上げるんじゃなくて吸い上げていく。そういったことは、多くの実績があります。
 過去に清水委員、私が、臨海高速鉄道をつくったときに現場にご案内しました。大井町と大崎と、そこでも、地下十メーター、二十メーターのところにありまして、まさにそういった工法で水を抜いてます。ですから、実際に可能だということは了解していただけると思います。

○清水委員 処理施設は四百立米の処理量になっていますが、わずか一ミリの雨が降れば、豊洲全体で四百立米、一〇〇ミリの雨が降れば四十万立米を処理する能力が求められますが、技術会議提言の処理施設は、こうした雨について、どこでどう処理するのか伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 雨水、降雨の処理でございます。降雨の、要するに雨の処理なんですが、まず当然、地上に側溝とか雨水排水施設を設けます。
 それから、今お話し申し上げました、今度は地下に浸透する雨水、その対策です。それにつきましては、日常的に地下水を管理している、その水位を少し下げてあげます。これは技術会議から提言をいただいたもので、管理水位A.P.二、標高なんですけど、それから二十センチ下げろと。それは敷地全面に下げますと、何と地中に一・二万立米の貯水槽が実際にできることになります。そういったことで、台風、豪雨のときにも対応できるような貯水タンクを足の下に設けると。
 それで、地下水が上昇し、くみ上げて排出しなきゃいけない。そういったときには、今考えておりますのは、四百立米ぐらいの貯留タンク、それに一時的にくみ上げた水を蓄えて、水質を確認しなきゃいけません。水質を確認しながら、一遍に出すと下水道があふれますから、下水道への負荷が軽減されるように、放流量を調整しながら排出していきます。
 こういった措置をとることにより、今お話し申し上げたゲリラ的な降雨、あるいは台風、そういった場合においても、管理水位の維持、あるいは、排除基準を遵守した公共下水道への配慮が可能となります。

○清水委員 私たちは、地下水の汚染浄化は困難だということに対して、都がやろうとしている今までのお話については、対策については、豊洲の地下水について、地下の水の量とか水位とか、及びどのような流れなのかなど、基本的な実情を実際によく把握していないと思います。
 さきの参考人質疑で、畑先生は、汚染土壌が残っていると地下水はきれいにならない。大阪アメニティパーク土壌地下水汚染問題では、ソイルセメントの遮水壁、これも水が入ってきて、汚染がずっと続いたと説明していますけれども、これでは地下水が浄化できるかどうかもわからない。
 今回の適用実験も、地下水浄化をやっていますが、汚染を浄化できるかどうかの内容になっていることは仕様書でわかりますが、問題は、せっかくやる実験が、豊洲の地層、地下水の量、水位、その流れに対してどのような能力を持ち、どのような設備でやろうとしているのかわからないものになっています。
 今後、実際に対策を講じるという際に、今回の適用実験を生かすという観点がこれからは見えません。
 そして、地下水の浄化実験地点の選定基準は何ですか、お伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 今回の実験のそれぞれの選定基準、それから、今、特にご質問があったのは地下水の対象の話でございますが、今回の豊洲の土壌汚染対策、これの有効性を確認するために、実際、現地で検出されている汚染物質の種類や濃度、そういうことにかかわらず、実際、無害化が可能だと、そういうことであります。そういう目的でありますので、それぞれの処理技術、例えば洗浄、あるいは中温加熱、それぞれの対象となる物質の最高濃度をとってます。これは土の話です。
 それから、今お話があった地下水について、二タイプの汚染の状況が現地ではあります。一つは、土と地下水が汚れている場合。もう一つは、地下水だけ汚れている場合。
 今回の実験の地下水浄化の考え方です。実験対象としたところの考え方なんですが、要は、土壌、地下水とも汚れているところは、周りを締め切って、土を掘る際に一緒に地下水を全部抜いちゃいます。というのは、地下水があるところで土は掘れませんから。そうすると、現地の状況は、土も地下水もみんなきれいになってしまいます。
 そういった観点から、今回は、現地で地下水だけ汚れているところを実験しています。そういったところを、今、具体的にお話ししますと、要するに水を入れかえながらきれいにしていくというところなんです。
 そういった箇所につきましては、地下水だけ汚れているところで高濃度なところ、地下水が汚れているのは、ベンゼン、シアンとか、砒素とか、いろいろな物質がありまして、それぞれ濃度が高いところ、その前提は、地下水だけ汚れていると、そういったところを実験対象として選んでございます。

○清水委員 豊洲の土壌汚染の特徴は、極めて高濃度の汚染が複合しているという点に、先ほどもお話がありました。実験をやるというのに、一つの物質での高濃度の地点を選定し、地下水だけが高濃度の汚染などというのは、私は実態を無視した選定だと思います。
 今回の実験に当たって、豊洲の各実験地点の地層、地下水の量、水位、その流れがどうなっているかを明らかにして、どのような条件設定では、地下水がどのように管理できるようになるか、明らかにすべきだというふうに思うわけです。
 そして、そうした内容を、専門家を入れてデータを公開し、議論しながら進めるべきではないかと思いますが、その点についてお伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 実験の最終結果に対する分析評価につきましては、現地の状況や汚染物質及びその処理、あるいは分析技術について、専門的な知識、経験、そういうものを有する者が公正中立な立場で行う必要があると、そういうふうに考えております。
 このため、第三者機関であります、これらの分野の専門家から構成されております技術会議で、実験内容や分析データなどについて検証していただくことにしております。
 こうしたことにより、透明性や信頼性を確保することができ、市場関係者や都民に安心していただけるものと考えております。

○清水委員 これまでも繰り返し求めてきた、意見を異にする専門家なども、今回も入れることはしないというふうにいわれました。都の姿勢の本当にひどいあらわれだと思います。
 大阪のアメニティパークの第三者委員会というものもあるということについては、参考人質疑でも触れられました。また、豊洲のマンションでも、第三者による審査が行われていると聞いています。そうやって信頼を得ようと企業さえ努力しているのに、東京都は、あくまで技術会議の方々だけの意見を聞くというわけです。改めて第三者委員会を求めておきます。
 そもそも、今日の混乱の出発点は、知事が関係者の声を無視して、無理やり汚染が明白な豊洲への移転をごり押ししたことにあります。今、原点である豊洲移転の判断と強硬な誤りを反省し、現在地再整備の検討に入るべきです。
 代表質問で、私が豊洲移転を強行した知事の責任をただしたことに対し、大きなプロジェクトは独断で決定したり実現できるものはないとして、二十年かけてきたとか、都議会でも十分議論したなどといわれましたが、決定の際に、豊洲移転の議論に十分かけたというのでしょうか。
 石原知事が、就任した一九九九年九月に市場を視察し、古い、狭い、危ないと述べた後、事態は豊洲移転に向けて動き出したのです。かつて東京ガスも、二〇〇〇年には、工場跡地であり、土壌処理が必要、大変な改善費用が必要として、汚染を理由に、基本的には受け入れがたいとしていたではありませんか。にもかかわらず、二〇〇〇年十二月の第四回定例会で、石原知事が、現在地再整備は困難と述べて、現在地再整備の意見を抑えつけました。
 そして、知事が副知事を立てて、東京ガスに執拗に用地売却を迫り、区画整理にかかわる東京ガスの負担軽減などの条件を示し、合意したのではないですか。このことについて、都の見解を伺います。

○岡田中央卸売市場長 築地市場の問題につきましては、改めて私が申すまでもなく、委員の皆様方ご案内のとおり、昭和六十年代、あるいはそれ以前から、長い長い経緯があるわけでございまして、この間、参考人もいっておりましたけど、もともとはといえば大井の市場に出るとか出ないとか、あるいは汐留がどうするのかとかいうようなことがあって、平成三年から四百億円も使って現在地再整備をやり、それが中断し、そして、その間、さまざまな関係者が議論をし、議会の審議も経て、現在の豊洲移転ということが平成十三年にかかってきたわけでございます。そういう長い経緯があるということを、まずご認識いただければと思います。
 それから、先ほどの、先日の業界の方々の参考人意見でございますが、業界の大多数は、明らかなように、一日も早く、一日も早く豊洲に移転をしていただくということをやっていただきたいと、こういうふうにいっているわけでございますので、こうした声にこたえていくというのが、今、我々の責務だろうと思っております。
 ただ、それには、今、大きな二つの課題があると認識しております。一つは、いうまでもなく豊洲新市場予定地の土壌汚染の問題でございますので、これについて対策を実施するということと、もう一つでございますが、残念なことに、すべての方がご賛成いただいているわけではございません。賛成じゃない方もいらっしゃるわけでございますので、その方々に、我々は今後、知恵を出して、どういうふうな対策をやっていけばいいのかというふうに思います。
 水産の仲卸の伊藤理事長がおりましたけれども、行きたいという人はすべて行かせるということをいってるわけでございますので、そういう方々に対して、我々は今後どうすればいいのかということを、知恵を出して事業を推進していくということが、私どもとしては行政の責任のあり方だろうと、こういうふうに考えているところでございます。

○清水委員 聞いたことに簡潔にお答えください。しかも、重大なことは、当時から工場跡地の汚染が全国で問題になっていたのに、なぜガス工場跡地である豊洲に移転することを決めたのかということです。
 二〇〇〇年五月には、文京区のメッキ工場跡地の六価クロム汚染、同年八月には八王子の農薬メーカー跡地の水銀汚染、さらに東京ガスは、二〇〇一年に豊洲工場跡地、横浜工場跡地、末広工場跡地、鶴見事業所団地などで高濃度の汚染を発表しています。
 既に豊洲の汚染が東京ガスから報告され、都内の他の東京ガス跡地での深刻な汚染が明らかになり、全国でも工場跡地の汚染が大きな社会問題になっていました。それを知事は無視して、移転をごり押ししたのではないですか。今、その責任が問われています。
 築地市場再整備をめぐる最大の問題は、現在地再整備に向けて、最大限の努力をするのでなく、土壌汚染地への移転を決めたということを指摘をしておきます。
 知事は対案を示せといいますが、私たちは、これまでにも、日本の最高の技術水準をもってすれば、現在地再整備は可能であることを、専門家の意見も参考にし、昨年三月の代表質問で紹介しています。何よりも、都として、現在地再整備を正式に公募し、開かれた場で検討を行う必要があります。
 私は、最近も、札幌市の中央市場、大阪市の中央市場には二回目ですが、調査に行って、現在地再整備の経過を聞いてきました。関係者の粘り強い努力、話し合いによって、現在地再整備が実現しているのです。
 参考人質疑で、前回の現在地再整備が不可能になった理由に、利害関係の調整、営業への影響など、多くの困難な問題点が挙げられていました。私たちは、こういう意見があったことを踏まえて、特に業界の調整の苦労などを中心に調査してきました。市場における業界調整に、事業を進めた行政の当時の人たちが--この札幌だとか大阪の市場です--特別に心を砕いて、公平に進めるための努力を行ってきた話を伺いました。
 札幌でも大阪でも、そうやって現在地再整備を行ってきているのです。業者の数、種地の存在など、たくさんの違いがあることは理解しますが、しかし、豊洲に予定しているような大きな施設ではなく、必要な施設の整備を進めていくならば、必ず可能です。
 ソウルのカラック市場建設も、現在地再整備が進められていることはたびたび触れてきました。専門家による諮問委員会と市場の関係者、そして、地域住民の論議により、意見を集約し、作品の設計基準を設け、さらに公正、厳格な推進のために設計協議委員会を別途に構成し、設計作品の審査基準、工法、手順などを協議して決定してきています。
 このような過程を経て、最終的に設計協議の作品が選定されました。具体的には、公募展で入賞した九者が競争し、当選した三者が合同で施設現代化設計を引き受けることになり、昨年十二月から一年間設計し、二〇一〇年十二月から工事に着工、二〇一八年完了するというのです。
 私がいいたいのは、全国でも、他の国でも、困難を抱えながら進めていますが、行っているのです。なぜ公募すらしないのですか。公募をやって検討した上で、豊洲移転を、どちらを選ぶか、都民に判断をゆだねる、そのくらいのことをやらなければ、都民は納得しません。どうですか。

○砂川参事 卸売市場は、生鮮食料品などの円滑な流通のために、市場業者が営業活動を行う業務施設でございます。
 であることから、その整備に当たっては、業界の理解や意向を踏まえずに行うことはできません。
 現在地再整備については、過去に約四百億円を投じて工事を推進してまいりましたが、営業への深刻な影響などから中断いたしました。その後も、さまざまな案を検討したものの、再整備は実現困難との結論に至りまして、築地市場の業界の大多数は、最終的に豊洲への移転に合意したものでございます。
 一昨日の参考人招致においても、業界代表者から早期移転を望む声や、現在地再整備の困難性を指摘する意見が多く聞かれたところでございます。
 築地市場は、老朽化が既に限界に達し、耐震性やアスベストなどの安全性にも問題があり、一刻の猶予もない状況であることから、早期移転による抜本的な改善が必要となってございます。
 このようなことから、都として現在地再整備案を公募することは考えておりません。

○清水委員 最後。(発言する者あり)わかってます。
 何をいっても豊洲移転を絶対化して、耳を傾けようとしない、このような態度は、都民は絶対に認めません。
 豊洲移転強行のための土地購入費を初め、豊洲移転関連経費は削除すべきです。そして、直ちに現在地再整備案の公募、業界調整など、検討に入ることを求めて、質問を終わります。

○笹本委員 私の方からは、築地市場における取引、主にこれは鮮魚取引の約八割を超えている相対取引、それと、市場価格を形成する、市場の本来的な機能ともいえる競り取引、ここらを中心に、そして、市場販売、上場販売に当たらない通過物などについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、基本的なところから確認をさせていただきたいと思いますが、市場において、卸売業者が行う卸売の販売時刻は、卸売市場法に基づく条例で定められていると思いますが、現行条例において、最も早い取引時間は何時でしょうか。

○大橋事業部長 卸売業者の行う卸売の販売開始時刻は、中央卸売市場条例で、午前零時から午後十二時までの開場時間の範囲内で、知事が別に定めるとしております。
 築地市場水産物部では、品目ごとに販売開始時刻を定めておりまして、最も早い販売開始時刻は、養殖活魚、エビ類や冷凍品などが午前零時となっております。

○笹本委員 零時から、それは例えば養殖だったり冷凍だったり、一時以降、品目によって分かれていくということはわかったんですが、これは、過日の我が会派の質問とも重複はしていくんですが、十二月初旬、我が会派の岡田眞理子議員が、築地市場の取引の問題について、本会議あるいは特別委員会の二度にわたって以下のように質問をいたしております。
 築地市場の視察で、午後十一時半ごろ、場内の至るところで大手量販店名が書かれたメモ--シールでしょうね、ステッカーが張ってある積み荷を見ましたと。さらに、それら積み荷をおろしたトラックとは別のトラックの運転手が、その積み荷を積み込んでいったと。これらの行為は何ですかという質問に対して、現場では、大量に取り扱う物品の一部に、販売開始時刻前に注文先のメモを張る、これは販売のための準備行為と考えられ、条例上問題はないというふうに答弁をされているわけでございます。
 岡田議員の質問を詳しく見ると、メモが張ってある積み荷があったことと、その積み荷を別のトラックが積み込んでいってしまったと、二つのことがあるわけですが、この行為はどのような行為だというふうに質問したわけです。
 その際は、メモを張る行為と荷物を別のトラックに積んでいく行為は、準備行為ということで答弁をいただいたんですが、これについて、再度質問をさせていただきたいと思います。

○大橋事業部長 笹本委員お尋ねの、岡田議員のご質問に関しましては、正確には次のとおりだったと記憶しております。
 まず、平成二十一年十二月の四定の一般質問では、岡田議員から、積み荷に大手量販店名の書かれたメモが張ってあったり、実際に行き先の店の名が書かれてあったメモを張っている作業をしていた。新聞に、スーパー行きの物品が積まれていたとの記事が載っていたとの趣旨のお話がありましたので、大量に取り扱う物品の一部に、販売開始時刻以前に注文先のメモを張る例もあるとお答えいたしました。
 荷物を別のトラックに積み込む行為については、販売、引き渡しに係る帳票類の確認ができなければ、事実行為だけを見ても、それが何に当たるかの判断はできないところでございます。

○笹本委員 その後に、岡田議員は、先取りと準備行為をどう見分けるのかという質問に対して、物品の引き渡しの有無により見分けるという答弁をいただいているわけですが、トラックへの積み込みというのは、これは引き渡しに当たらないのか、あるいは、これは当たるとしても準備行為なのか、いかがでしょうか。

○大橋事業部長 販売行為は、一般的には物品の引き渡しの有無をもって、販売かどうかを判断することとなります。現場における荷の状況、関係者へのヒアリング、販売引き渡しに係る帳票類の照合等により、総合的に判断することとなります。
 先ほど申し上げましたが、トラックへの積み込みについて、販売引き渡しに係る帳票類の確認ができなければ、事実行為だけを見て、それが何に当たるかの判断はできないところでございます。

○笹本委員 なかなか判断ができないということでありますが、私は流通のことは詳しくはわかりませんけれども、普通、計画があって、いつ売り出しがあって、チラシがあって、恐らく今、オンラインシステムによる発注を事前にするというのは、こんなものは常識で、特売の商談だって数カ月前からしていると。しかし、これは取引には当たらないのかなというふうに、今の答弁から、私は流通の専門家ではないから、そういうふうにちょっと感じてしまいますけれども、恐らく予約相対ということに該当するのかなというふうに理解をするわけでございます。どの時点で伝票が発行されて、どこからが取引になるのかという部分は--そんなこと余り長々といってもしようがないんで、ちょっと私は疑問だなというふうに思うわけです。
 それで、これも以前の答弁なんですが、いわゆる先取りとは、競り開始時刻前に、競り物品を相対取引で特定の買い受け人に優先的に販売し、仲卸業者及び売買参加者に対する買い受けの機会を妨げるような行為を指すというふうに説明をいただいたわけです。この答弁では、競り物品以外に先取りはあり得ないことになるというふうになるわけでございます。
 そこで、前日の注文に基づいて品物が決まったと。荷物を行き先ごとに積んで、トラックに積み込んでいくと。当然その時点で、普通なら、サンマだったら幾らとか、こういうふうに決まっているとは思うんですけれども、そこらが非常にどうなのかということと、品物も数量も行き先も決まっている状態を、これはまだ取引とはいえないのかという部分、再度お願いします。

○大橋事業部長 販売は、物品の引き渡しをもって初めて成立するものとなっております。したがいまして、相対取引におきまして、事前に注文を出して、卸売業者がその商品を並べた段階では、販売のための準備行為になっているということでございます。

○笹本委員 私たちの理解では、先取りというのは、競り物品、相対物品を問わず、いわゆる市場ですから、上場すべき品物を上場前に取引をしてしまうことというふうに理解をするわけです。
 一昨日も参考人の方が、荷物が、いわゆる競りをする前に、何かいつの間にかなくなってしまうというようなことをおっしゃっていましたので、私も素朴にそう思うわけなんです。ちょっとこの部分について、どちらが正しいのかということについて、ご意見を聞かせてください。

○大橋事業部長 一昨日の本委員会参考人質疑の議事録がございませんので、正確に申し上げることはできませんが、魚商組合の大武理事長のご発言は、仲卸業者から聞いた話として、欲しい商材の競り上場数量が極端に少ない、またはない場合がある。相対取引だけでなくて、競り上場を確保し、公正取引、取引の透明性の確保を図るべきとの趣旨であったと記憶しております。
 都といたしましても、卸売市場において、すべての市場関係者が、市場における法令等のルールを遵守し、公正取引が確保されることが最も重要であると考えており、万一、条例に違反した売買取引が行われることがあった場合には、条例を遵守するよう指導してまいります。
 なお、条例に定める予約相対取引とは、卸売業者が通常の取引物品とは別に集荷し、三日以上三カ月以内に継続して取引するなどの要件のもとで、知事の許可を受けて、仲卸業者、売買参加者との間であらかじめ契約を締結して行うものでありますけれども、水産物は、出荷状況が季節や天候に左右されやすく、計画的な出荷がしにくい特性があるため、許可の実績はございません。
 大武理事長がお話しされていた予約相対は、相対取引のことを指しているものと考えております。

○笹本委員 岡田議員の視察の話を整理すると、トラックからおろされた荷物がある、おろされた荷物に運転手がステッカーを張ると、そして、別のトラックがその荷物を積んでいってしまうと。つまり、トラックからトラックということで、外観上、見てくれでは通過物というふうに見えるわけです。
 ところが、当局の方は、平成二十年の経済・港湾委員会において、通過物の推移についての質問に対して、ここ五年間、届け出ですね--届け出制度なんですよね、届け出がないので、通過物使用料の収入はないという答弁をしておりますが、十二月の視察の際に岡田議員が見た光景というのは、これは通過物の取引ではないんですか。また、通過物の使用料というのは、恐らくこの事業概要書なんかにも書いてあるんですが、幾らでだれが負担をするのかということについて教えていただきたい。

○大橋事業部長 先ほども申し上げましたが、トラックへの積み込みという外観のみでは、それが何に当たるのかということを判断することはできないところであります。
 通過物は、他市場などへ搬送される物品が、輸送の都合などで一時的に市場内へ持ち込まれるもので、市場で販売されることなく通過するものをいいます。
 市場に通過物を搬入する卸売業者、輸送業者、出荷者等の荷扱い人は、条例に基づき、当該物品が市場に到着したときに速やかに届け出ることとしており、都は、届け出に基づき、使用料を徴収するものと定められております。
 使用料の額は、生鮮水産物が一トンにつき千三百三十円、野菜が一トンにつき三百三十五円などと定められております。

○笹本委員 過去五年はないという答弁について、最近、市場移転・再整備特別委員会で示された資料の中には、平成十三年時点で、築地市場における通過物等は、全取扱量のほぼ三分の一の千十三トンというふうにあるわけです。先ほどいった過去五年間はないという答弁は、平成二十年の時点であるから、少なくとも、引き算をすると、平成十五年時点ではゼロであったということになるわけです。だとすると、平成十四年を境にゼロになったということなんでしょうか。通過物等--等と、などとあるので、通過物以外のものがほかに何かあるのか、あれば、それは詳しく説明していただきたいと。
 ちなみに、この委員会ですが、一月十九日に行われた参考人質疑の中で、東卸組合の伊藤さんはこんなことをいっていますよ。「現状が約八十九万トンぐらいの扱いを水産、青果でしております。それ以外に、通過物がございます。これも大変な量でございます」というふうにお答えをされています。ここでも、通過物が大量にあるといっているのですが、この点についてご説明いただきたい。

○大橋事業部長 委員ご質問の、特別委員会でお示しした平成十三年の築地市場物流実態調査におきまして、調査結果のフロー図に表記いたしました通過物等は、調査当日の築地市場における物流量の推計値であるとの理由で、等としておりますけれども、基本的には、通過物そのものでございます。
 また、平成二十年の経済・港湾委員会で、築地市場においては、過去五年間、通過物の届け出がなく、収入実績はないと答弁いたしましたが、これは、条例に定める通過物としての届け出がなかったため、使用料の収入実績がないという趣旨でございまして、物流実態調査に示されたとおり、通過物はあると考えております。

○笹本委員 今の話は、非常に重要なのかなというふうに思います。使用料の収入実績はないけれども、通過物はあったということですね。そして、通過物等ではなく、通過物ということになるのかなというふうに、今の答弁は極めて重要な答弁だなというふうに感じるわけですが、東京都は毎年、通過物の扱いがあることを認識しながら、条例で通過物使用料の規定を置きながら、使用料の徴収をしないというのは問題ではないかというふうに素朴に思うわけです。
 先ほども、法令遵守というかコンプライアンスのことが出ていましたけれども、こういうふうに規定をしてあるのに、徴収はしなくて、申告制だというふうになってるとは思いますけど、これからどうするんでしょうか。

○大橋事業部長 条例に定める通過物使用料の規定につきましては、貨物が複数の産地から築地市場に向けて貨車で運ばれ、荷おろしされることを想定しており、鉄道貨車輸送の時代には、輸送業者による通過物の把握が相当程度できたと聞いております。
 しかしながら、昭和四十年代の高度経済成長期以降、輸送手段が貨車からトラックを主体にした自動車にかわり、輸送形態も複数産地から複数市場等へ運搬され、かつ同一車両に、市場取扱物品と他市場への搬出品が混載された状態となり、通過物の実態が極めて捕捉しづらくなっております。
 加えて、条例に定める届け出には、梱包資材を除いた取扱物品のみの量が必要でありますが、現在の輸送業者が把握しているのは、運搬ケースの数、または梱包資材も含んだ概算の重さによるのが一般的であり、正確な取扱量の把握は極めて困難であります。
 こうしたこともございまして、他市場のことを申し上げますと、大阪市中央卸売市場では、過去に、条例に都と同様の通過物使用料の規定がありましたが、長く実績がなく、昭和六十年に規定自体を削除しており、横浜市及び福岡市中央卸売市場では、条例に都と同様の規定があるものの、数年間実績はないと聞いております。

○笹本委員 ちょっと今のを聞いていると、他市場の話も出ましたけど、そうすると、東京都は、ひょっとすると条例改正をするのか、あるいは横浜とか福岡みたいに、規定があっても削除してしまうのかというふうに聞こえなくもないんですけど。やはり基幹市場である以上、荷物の管理というか、商品の管理はきっちりとするというのは当たり前だと思いますし、ここであえて昔の、以前の偽装ウナギのことをいってもしようがないですけれども、やっぱりそれを管理していくというのは当然あると思いますけれども、その部分も含めて、通過物の規定の経緯とかいろいろあるんでしょうけれども、ちょっともう一回その部分について答弁いただきたい。

○大橋事業部長 通過物につきましては、先ほど申し上げましたような経緯、事情がございますので、今後、このように考えております。都といたしましては、このように条例に定める通過物の経緯や実態を踏まえ、現時点では、通過物の取扱実態や取扱量を把握して、使用料を徴収する場合に必要な経費と、実際に徴収できる収入額との費用対効果の比較検討などを総合的に行ってまいりたいと考えております。

○笹本委員 今まで、通過物は申告だから、ないと、使用料の実績はないというふうにおっしゃっていましたけど、恐らくこの使用料を取るのが目的ではなくて、これはやはり、荷物をしっかり管理していくということではないかなというふうに思いますので、ぜひこの部分をしっかりやっていただきたいと思います。
 ちょっとこんなことをご紹介したいと思います。二〇一〇年一月号の「選択」という雑誌からの引用。ご存じかもしれません。午後十一時、茶屋の机上には何々スーパー予定表と題されたシートが残されていた。それには、スーパー何々の配送センターに、マイワシ、サバ、アジなど、運ぶ品目と数量などが記されていた。出発時間二十三時厳守と書いてある。また、既に幾つもの発泡スチロール入りの魚が積まれ、スーパー何々何々支店、セグロイワシ三キロなどと記されたラベルが張ってある。市場内のあちこちに大型トラックがとまり、荷物の積み込みが行われていたと。
 この記述は、先ほどの岡田議員が視察の際に目の当たりにした事態と同様に思われますが、この記者は、先取りではないかというふうに指摘をしているわけです。
 そして、これに対して、先ほどの答弁も踏まえて、もう一度この記事について、ちょっと所見をいただきたいんですが、いかがでしょうか。

○大橋事業部長 平成二十一年十二月末に発行された雑誌に、特定のスーパー向けの物品が店舗別に仕分けされたメモを張られた上、販売開始時刻前に搬出されたかのような内容の記事があったことは承知しておりますが、記事に記載された内容につきましては、本当にこのような行為があったかどうか、事実関係は確認できておりません。

○笹本委員 この記事では、記者は、先取りではないかという質問を現場で--この写真を卸会社にしていると。会社側の回答は、これは先取りではないと否定し、スーパーは納品時間が早いので、早朝の正規の取引時間に買ったものを市場の内外にとめてある保冷車に一たん積み、ほぼ一日たった夜十一時ごろから出荷するのだという。保冷技術が向上し、一日程度置いても、魚の鮮度はほとんど変わらないそうだと説明されたとある。
 一日前の魚を納めているというのはとても信じられませんし、それ以上に問題なのは、岡田議員の質問に、取り締まり当局である都が、これは準備行為だというふうにいっているのに対して、卸会社は、前日の品というふうにいいわけをしていることです。つまり、卸会社は、これらの行為を単純に準備行為といってしまうことに対して、非常に危ういというふうに感じているのかなというふうに感じるわけであります。
 この、いわゆる当局との説明のずれといいますか、このような記事で--再三聞きますけど、準備行為なのかということについて、もう一度お尋ねします。

○大橋事業部長 昨年の第四回定例会の一般質問におきましては、現場では、大量に取り扱う物品の一部に、販売開始時刻前に注文先のメモを張る例があるが、これは販売のための準備行為と考えられると答弁いたしました。これは、一般論として、販売のための準備行為についてお答えしたものでありまして、この雑誌記事に掲載された事実関係について、販売のための準備行為であると述べたものではございません。

○笹本委員 今まで東京都は、たびたび仲卸業者の経営の弱体を問題視するということがあったり、そもそも、きょうお話ししたような不明朗な取引が横行していることで、零細な仲卸業者の経営を逼迫している原因になっているのではないかということを考えるわけです。
 つまり、東京都の甘い取り締まりが仲卸の経営をさらに逼迫させることにならないか、あるいは、豊洲の計画までもが卸に配慮したものになっているのではないかと指摘する仲卸業者もいるように仄聞するんですけれども、この件についてお聞かせください。

○大橋事業部長 都は、市場流通が大きく動いている中にあっても、卸売業者、仲卸業者から買い出し人まで、すべての市場関係者が不当に差別的な取り扱いを受けることなく、公正かつ効率的な売買取引の機会を確保できるよう、条例に基づく取引の監視、指導を行っております。
 さらに、日々の売買取引上のさまざまな課題、要望を議論、検討する場として、都職員及び市場関係者を構成員として市場取引委員会を設置し、取引ルールの遵守のための意見交換や、業界取引委員らによる現場監視等、業界と協働した継続的な取り組みを行っています。
 都は、本年一月に、卸売業者の幹部を集め、販売開始時刻を初めとする条例遵守の徹底について指導を行うとともに、随時、場内における深夜の現場での相対取引の状況等を確認するほか、買い荷保管所周辺から場内外周にかけて現場を巡回、確認しておりますが、お話のような状況はございませんでした。
 都としても、委員のおっしゃる不明朗な取引、条例違反行為はあってはならないと考えておりまして、今後とも継続的かつ厳格な指導監視を行っていく所存であります。
 なお、水産仲卸業者の経営状況につきましては、販売先である専門小売店の減少や、取扱物品の低価格化傾向、市場外流通の拡大などにより大変厳しい状況にあると認識しており、都は、仲卸業者がみずから経営基盤を確立できるように、きめ細かな財務検査や、経営改善指導、仲卸業者の団体等が新規の事業展開を行う場合の経費補助制度の創設等、さまざまな経営支援を行っております。
 一昨日の本委員会の参考人質疑におきまして、東卸組合の伊藤理事長が、今後、外食、量販店、専門小売店などすべての顧客にとって使いやすく、バランスのとれた市場を考えるべきというような趣旨のお話をされておりましたけれども、都としても、卸と同様に仲卸業者の期待に十分こたえ得る豊洲新市場をつくってまいりたいと考えております。

○笹本委員 最後になりますけど、今、仲卸業者の期待に十分こたえ得るということがありましたけれども、普通に考えると、物の値段というのは、同じサンマがあれば、一物一価だと思うんですよ。だけど、この話をずっとしていくと、一物二価になっている。量販は大量に仕入れるから、多分安い。しかし、仲卸は恐らく小ロットで買うんでしょう。ということで、二つの価格ができているのかなということを認めちゃっているような部分というのが--築地の商習慣はいろいろあるんでしょうけれども--いうふうに聞こえるのと、(「小売もあるんだよ、小売も」と発言する者あり)今、小売っていいましたけど、恐らく今の価格決定というのは、量販店のバイイングパワーが強いから、多分サンマを一匹百円で売るというところからスタートしているんです。しかし、築地の競りというのは、恐らく上場されて競りをされたところによって値段が決まってくると。いいサンマだったら、多分これは三百円だと。
 私のところの、江戸川のコマツナって、吉宗が命名した大変高級品なんですよね。高過ぎて、逆に区内流通しないんですけれども、それは結構なんですが。しかし、やはり仲卸の健全な発展ということをいうのであれば、今、本当に相対取引の率が八割を超えているという状況が、結果的に条例を改正して、追認というのは失礼ないい方ですけれども、変わってきたということをかんがみると--きょうは移転に関する話の方が多かったですけれども、仲卸が七百に減ったとかいってますけど、恐らく全世界見ても、数百あるなんてとこは多分ないと思いますよ。それを公設市場で、こんな健全にやってきたところというのはないと思いますよ。すばらしいことだと思うんですね。ですけれども、やはりその仲卸が、バイイングパワーによって利幅が減っちゃってるわけですよね。多分ほとんど、もう〇・何%だとかと思うんです。場合によっては、販売契約でリベートを戻せなんていわれているようなことだって、きっとあり得ると思うんです。
 だから、そういうことを考えると、やはり管理者である東京都というのは、健全な経営を期待するのであれば、そういう部分にしっかりと目を行き届かせてほしいといっているんですね。これは多分、党派を超えて、こんなことは多分、みんなそうだなと思うわけで、私はそんな難しいことをいっているわけではなく、流通の専門家でもないんでね。さっきみたいに、一日セグロイワシを置いておくなんて、そんなばかな話はなくて、そんなばかないいわけをさせているというのも、全く気の毒な話だというふうに思います。
 恐らく議論をしていくときに、そういう関係者の思いが不在になってしまうということが、やっぱり一番よくないのかなというふうに、議論の推移を聞きながら私は思っていますので、ぜひしっかりと、東京都の方でも管理をしていっていただきたいと思います。
 以上です。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時八分散会

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