経済・港湾委員会速記録第三号

平成二十二年二月十八日(木曜日)
第五委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長小沢 昌也君
副委員長高木 けい君
副委員長増子 博樹君
理事伊藤 ゆう君
理事高倉 良生君
理事鈴木あきまさ君
田中  健君
伊藤 興一君
笹本ひさし君
山崎 一輝君
三宅 茂樹君
佐藤 広典君
清水ひで子君
鈴木貫太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長前田 信弘君
次長真田 正義君
総務部長三枝 健二君
産業企画担当部長櫻井 和博君
商工部長山手  斉君
金融部長保坂 政彦君
金融監理室長中村  靖君
金融支援担当部長櫻井  務君
観光部長小島  昭君
農林水産部長産形  稔君
雇用就業部長小田 昭治君
事業推進担当部長日請 哲男君
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長後藤  明君
事業部長大橋 健治君
新市場担当部長野口 一紀君
新市場建設調整担当部長宮良  眞君
参事大朏 秀次君
参事横山  宏君
参事砂川 俊雄君
参事黒川  亨君
港湾局局長比留間英人君
技監飯尾  豊君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長石原 清志君
港湾経営部長小宮 三夫君
参事河内  豊君
臨海開発部長松岡 玉記君
参事平田 耕二君
参事延與  桂君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長成瀬 英治君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君
労働委員会事務局局長関  敏樹君
 委員外の出席者
参考人
大阪市立大学大学院特任教授畑  明郎君
首都大学東京学長原島 文雄君
日本大学総合科学研究所教授・東京大学名誉教授矢木 修身君
東京電機大学理工学部教授安田  進君

本日の会議に付した事件
 中央卸売市場関係
報告事項(参考人からの意見聴取)
・豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する実験について
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都と場会計予算
・平成二十二年度東京都中央卸売市場会計予算
報告事項(説明)
・豊洲新市場の整備手法見直しについて
 労働委員会事務局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 労働委員会事務局所管分
・東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 産業労働局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 産業労働局所管分
・平成二十二年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・平成二十二年度東京都農業改良資金助成会計予算
・平成二十二年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・平成二十二年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 産業労働局所管分
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
・東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
報告事項
・新銀行東京の最近の動向について(参考人招致について)
・新銀行東京に関する最近の動向について(説明)
 港湾局関係
第一回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十二年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 港湾局所管分
・平成二十二年度東京都臨海地域開発事業会計予算
・平成二十二年度東京都港湾事業会計予算
・平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、繰越明許費 港湾局所管分
・東京都海上公園条例の一部を改正する条例
・東京都営空港条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・京浜港共同ビジョンの策定について
陳情の審査
(1)二一第一〇八号 港湾局の天下りOBに関する陳情

○小沢委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は三十二名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○小沢委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場、労働委員会事務局、産業労働局及び港湾局関係の第一回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、中央卸売市場関係の報告事項に対する参考人からの意見聴取、中央卸売市場、産業労働局及び港湾局関係の報告事項の聴取並びに港湾局関係の陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び本日聴取いたします報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、報告事項、豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する実験についてに対する参考人からの意見聴取を行います。
 本件については、理事会において協議した結果、お手元配布の実施要領案及び質疑時間の取り扱いに関する申し合わせ案のとおり行うことといたしました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 ご紹介いたします。大阪市立大学大学院特任教授で、日本環境学会前会長の畑明郎さんです。
 本日はご多忙のところ委員会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして御礼申し上げます。
 これより畑参考人からの意見聴取を行います。
 初めに、畑参考人のご意見をお伺いいたします。発言席にご移動願います。
 なお、畑参考人には、ご着席のままご発言していただきたいと思います。ご了承願います。
 それではよろしくお願いいたします。

○畑参考人 大阪から参りました畑と申します。きょうは、こういう場を与えていただきまして、ありがとうございます。
 それでは、お配りしてある資料に基づきまして--これはパワーポイントのスライドの資料を印刷したものでございます。
 まず一ページ目の、カラーの資料になっていると思いますが、下の方、下の図です。これは東京ガスが最初に調査したときの結果でして、これを見ますと、やっぱり砒素、シアン、ベンゼン等はかなり高濃度に出ていることと、特に地下水のところを見ていただきたいんですけど、地下水の砒素、シアン、ベンゼンは、大体基準の超過率が一〇から四〇%ぐらいで、特に地下水の汚染がひどいんですけど、地下水は三十八、わずかな試料しかとっていない。だから、調査は土壌が中心に調査されているということですね。
 二ページ目の、東京ガスのこの調査の問題点ですけど、まず三十メートルメッシュといいまして、九百平米単位でやっているということで、通常の国の土壌汚染対策法では十メートルメッシュ、つまり百平米単位でワンポイントやるとなっているんですけど、それがやられていない。
 それから、土壌の深さ、サンプルの深度なんですけど、全体で約三メートルぐらいまでしかやってないことと、一部、基準を超えたところで七メートルまで調査していると。
 それと、ここは特に地下水位が、埋立地ですので非常に高いんです。大体、地表からいきますとマイナス二メートル以上なんですけど、後で、専門家の調査ではほとんどゼロメートルになるときもありまして、地下水位とか地下水質の調査が不十分であったということですね。
 それと、いわゆる不透水層としている有楽町層の調査が、一応五街区で七メートルの部分でやられているんですけど、そこではこの有楽町層の汚染が検出されています。
 二ページの下の図が、これは東京ガスと、東京都も認めた対策案でございまして、これ、基本的には今と余り変わっていないんです。つまり、現地盤面から二メートルまでは基準以上のものは処理する。それより深いところは、基準の十倍以上、つまり、排水基準を超えたものを処理する。
 さらに、プラス二・五メートル盛り土することで、そういう対策を実施されたわけですけど、この対策の問題点は、三ページの上にありますように、現地盤面から二メートルまでは基準以下のものは残されるわけですね。そこの十倍を超えるものを処理するという、これは、水質汚濁防止法の排水基準を土壌汚染に適用することは、法的にはできないことをやっているようです。
 それで、費用が約百億円使われたといわれていますが、面積からしますと少な過ぎると思っております。
 それから、地下水位が非常に高い、ほとんどゼロメートルになるときもあることと、もちろん毛細管現象で二メートルぐらい水が上昇しますので、既に対策した土壌は汚染地下水が残っていますので、再汚染される可能性がある。現に、五街区では再汚染の結果がその後の調査で出ております。
 それから、ベンゼン、シアン、水銀は常温でも蒸発しますので、いくら覆土や舗装をしても、すき間から漏れ出す危険性があるということです。
 それと、環境基準の十倍以下の砒素は、自然由来として対策を行っておりません。ここは、法律的には、環境省の見解では対策はやれとなっていますが、それをやっていないことです。
 三ページの下が、実際に東京ガスが対策をやった部分ですね、メッシュですけど、かなりの部分で対策をやったわけです。
 四ページの方に、処理方法ですけど、基本的には今回の実証試験と似てるんですが、ベンゼン等のバイオ処理です。それから、加熱処理です。それから、洗浄処理ということで、この方法については、今回の実証試験と余り変わらないようなことを既にやったわけです。
 四ページの下に処理した土壌の量があります。実際にはこれよりももうちょっとふえたようですけど、最終的には、トータルでは二十八万トンぐらいになったそうですけど、主にこの洗浄、加熱、生物処理を中心にやったわけです。
 それから、五ページは、これは自然由来の土壌汚染、砒素を自然由来としているんですけど、東京ガスとか大阪ガス、あと東邦ガス、北海道ガス、すべてのガス工場の跡地で砒素、鉛、水銀が出ておりまして、砒素、鉛、水銀は石炭に入ってまして、それから、砒素は実際の工程で触媒として使っていたということ、それから、砒素の土壌汚染は表層から七メートルの深さまで連続してまして、これは自然汚染じゃなくて操業由来じゃないかと。
 それで、環境基準の十倍以下を自然汚染として対策をしなかったことには問題があると思っております。これは、専門家会議、技術会議のその後の対策も、一貫してこの砒素の、基準十倍以下のものについては対策を行っておりません。そういう問題はあります。
 したがいまして、五ページ下にありますように、東京ガスの対策をした後も、砒素につきましてはかなり広い範囲で基準を超えた汚染が残っています。これは、すべて荒川区のしゅんせつ土砂を入れたから、そこに砒素があったから自然由来だということで対策を行わなかったわけです。
 それから、七ページ目ですが、その後の専門家会議の調査で、ご存じのように地下水で一万倍のベンゼン、土壌で四万三千倍のベンゼンが出たわけですけど、これは一応、多分日本の土壌、地下水汚染史上ワーストワンになる高濃度汚染だと思っております。あと、シアン等も千倍近いものが出ております。
 それから、七ページ下にありますように、これはベンゼンの例ですが、地下水で、かなりの範囲で汚染が広域に起こっているということです。全体的にはほぼ四分の一、つまり、四十ヘクタールのうち十ヘクタールという、非常に広大な面積で土壌、地下水汚染が起こっております。これは、面積的にいきますと、多分日本最大の土壌汚染だと思っております。
 それから、六ページ目が、専門家会議がつくられたわけですけど、この四人のうち三人は土壌汚染の専門家でして、そのうち、平田氏と森澤氏は大阪であったOAP事件の技術評価検討会でも一緒にやった人で、森澤氏は、ここに出てるんですが、私の同級、京大のときの同級生で、親しいんですけど。
 それで、専門家会議は、内山さんは医学者ですので、四人のうち三人は土壌汚染の専門家だったということですね。
 それから、六ページの下ですが、これは土壌、地下水の十メートルメッシュ単位の調査なんですけど、基本的には旧地盤面から五十センチと、あと、地下水は不透水層、これを不透水層にすることには問題あるんですけど、難透水層といった方がいいんですけど、水を通しにくい層です。その真ん中の地下水、真ん中のポイント、この二カ所しか土と水をとっていないということです。だから、非常にピンポイントの調査であるということですね。
 だから、この旧地盤面から五十センチ下には、既に東京ガスが対策をやった地域も含まれておりますので、そこは、表層の土壌はきれいになってますから、下部の汚染を見逃すおそれがあるということですね。
 それから、地下水の場合も、地下水は常に動いてますので、あるとき地下水が越えたり越えなかったりするわけですけど、そういう意味で、この地下水だけで深いところの汚染土壌を把握することは難しいということを、そういう調査をやって、調査が不完全だと思っております。
 これ、専門家会議の駒井さんも最近会ったんですけど、やっぱり深部の調査は不十分であるということを私は聞いております。
 それから、八ページの左上ですが、これは専門家会議の対策案ですが、基本的に東京ガスの対策と余り変わってませんでして、変わった点は、地下水を処理すると。しかし、排水基準以下にするという、とりあえずですね。これは平田先生も、専門家会議等とか、その他の機会でもいわれたんですけど、ここの汚染地下水はとても環境基準以下にはできないと。私もそう思います。だから、せめて十倍以下にするということで、それで、長期的には環境基準以下を目指すということ、そういう結論になりましたし、それと、建物の下にシアンとかベンゼンが地下水から蒸発してくるとまずいので、せめて建物の下は環境基準以下にしましょうと、建物の下は遮水壁で囲みましょうと、で、敷地全体を二重に囲みましょうと、そういう対策を提案された経過があるわけです。
 それから、八ページの下ですが、これは地下水管理ですね。非常にこれは簡単に書いてあるんですけど、これは地下水、不透水層とか地下水位を二メートルに一定にするとかなってるんですけど、現場は全くこういうプールのようなものではないということです。
 九ページの右側にありますように、まず不透水層、有楽町層、シルト層は非常にでこぼこになっている。非常に山、谷で勾配になっていて、特に五街区はかなり高いです。海抜ゼロメートル近くまで有楽町層は上がっています。
 それから、六街区、七街区は深いわけですね。それに、その層は、有楽町層はそのでこぼこによって、地下水も、九ページの下にありますように、大体海抜二メートルから四・五メートルまで、非常にフラットじゃないんですね。そういうフラットじゃないところで地下水を一定に管理することは非常に難しいです。
 それで、一〇ページですけど、これは、実際に、二〇〇七年ぐらいだと思うんですけど、「ゆりかもめ」の駅の前、市場前駅から、この五街区を、プールのような状態なんですけど、こういう形で大きなため池ができてました。その後、東京都はこれを埋め立てたんですけど、やはり大雨が降りますとほとんど水浸し、泥田状態ですね、水田の、田植えのときの。そういう状態になりますから、地下水位がゼロになるんです。
 つまり、対策したきれいな土も、汚染地下水で再汚染が既にされちゃっていると。対策が完了してからもう四、五年たっていますから、再汚染は一部起こってる。それはその後の調査でも明らかになります。
 これは専門家会議の調査、対策の問題点ですが、一〇ページの下ですね。まず、深いところの調査、特に有楽町、シルト層の調査が不十分であることです。それから、ベンゼン、シアンの揮発計算をアメリカのレベッカ法でやっているんですけど、これはパラメーターに問題があります。
 それから、海抜二メートルに地下水位を保つことは、プールの水を下げることは簡単なんですけど、土壌中の水分を絞り出すことは非常に難しいです。だから、こういう地下水位に非常に変化があるところでは、かなり狭い範囲で遮水壁をいっぱいつくって地下水をくみ出していかないと、地下水位を低く下げることはできないことです。
 それから、廃棄土量が百万立方メートルとか盛り土が百万立方、これは想像を絶する量なんですよ。通常の産業廃棄物、廃棄物処分場一つぐらいに当たります。青森、岩手の県境不法投棄で九十万立方メートルのものを今処理しているんですけど、これ、処理に十年かかるといわれてます。そう簡単にできるものではないということです。盛り土量も、どこから土を持ってくるか。ここでいう建設残土、東ガスのところに持ってきているんですけど、その建設残土が汚染されている場合もあるということで、非常に注意する必要があるということです。
 それと、深いところに汚染土壌が残る限り、地下水を基準以下にすることは困難です。これは地下水汚染やっている人の常識なんですけど。汚染土壌が残りますから、地下水を環境基準以下にするなんて、これ、僕は絵にかいたもちといっているんですけど、非常に難しいことですね。
 それから、汚染地下水によって盛り土が再汚染され--地下水位が管理できないと、地下水位が上がりますと、盛り土がまた再汚染されてしまう。それから、地震のときにやっぱり液状化する危険性が大きいということもあります。
 それから、一千億円近い費用が当初かかるとみなされたんですけど、多分それだけかけても完全浄化されないと。当時、僕、テレビ局で、ちゃんとやれば四、五千億かかるんじゃないかということをTBSでいったことがあるんですけど。したがって、対策は総じて絵にかいたもちだろういうことで、最後に都政新報をちょっとつけていますので、詳しくはそれを見ていただければと思います。
 一一ページの技術会議の委員ですけど、この構成を見てもらって、やっぱり環境の分野の人が少ないし、実際に土壌汚染をやっている人が矢木さんぐらいで、専門家会議と比べても、専門性にちょっと、構成にちょっと問題があるんじゃないかと。それとまた、非公開でやられたという問題等もあります。
 それから、一一ページの下です。技術会議の報告書の問題点は、深いところの土壌汚染調査が不十分なまま対策をやっても、深いところに汚染土壌が残る限り、敷地全体の地下水の早期浄化は困難になります。
 それから、有楽町層の不透水性も確認されていないので、ここは、ここから水が入ってきますと、地下水位を一・八に保つことは困難となります。いわば、そこからまた水が入ってくるんですね。
 それから、汚染土壌の処理方法なんですけど、既に東京ガスの対策工事で実施しておりまして、これは完全に失敗したとみなしていいと思います、後の調査ではいっぱい出てきていますので。
 それから、処理土壌の再利用は、ここで安くなるんですけど、これはなかなか安全確認が難しいことですね。また再汚染の危険性があるということです。
 それから、建物の周囲の鋼管矢板、遮水壁をやめているんですけど、これも安上がりにするためだけやっていまして、より地下水の管理が難しくなる。そういう問題があると思っております。
 それから、一二ページになりますけど、今回の現地実証試験の問題点ですけど、今回、試験する処理技術は、ほとんど東京ガスの対策工事で実施されたもので、大半が失敗してると思っております。
 次の微生物処理ですけど、これは非常に時間がかかるものでして、半年足らずでとてもできるものではありません。最低一年以上かかると思います。まずそこに微生物が、ベンゼンを食べる微生物がいるかどうか、そこの土を調べる。また、室内で実験をやる。そういうことをやった上で実証試験に入るものでして、いきなりこういう実証試験をやるものではないということです。だから、非常に時間がかかるということです。
 それから、洗浄処理なんですけど、粗い土はいいんですけど、細かい粘土質の土がここは多いですので、これは非常に効果が低いです。
 それから、加熱処理は既に東京ガスが実施しましたが、実際は失敗しているんじゃないかと。
 それから、地下水の揚水、浄化処理は、ある程度はできると思うんですけど、それで現地の地下水をすべて処理できる保証にはならないということです。
 それと、これをだれが評価するかということですけど、やはり第三者のクロスチェックとか第三者の評価を行わなければ、事業者が自分で委託してやって、事業者が評価するものは、やはり信頼性に欠くものだと思っております。
 それから、次はOAPの事例です。これ、似ていますので、これは土壌汚染で初めて宅建業法違反を問うた画期的な事件でありまして、それで、一応警察が動きまして、三菱が対策やりまして、約百二十五億円の対策と補償費を支払ったといわれています。
 追加調査のときに、第三者技術評価検討会が平田座長で、先ほどの森澤氏と僕と、あともう一人、京大の嘉門先生が入っていたんですけど、その四人でクロスチェックと対策案の検討を行い、これが市民に公開で行われました。
 採用された対策は四十五億円なんですけど、僕は不十分だと見ているんですけど、右下にありますように、今回の東京ガスの対策を見ていまして、上二メートルの土はどけてきれいにすると。深いところの汚染土壌はある程度とると。地下水はくみ上げて処理すると。遮水壁は今あるんですけど、もう一重、二重に遮水壁をつくって、地下水を下げて処理すると。しかし、これらの地下水処理は、半永久的にやらざるを得なくなっています。汚染土壌が残っていますと、地下水はきれいにならないんです。これ、僕はイタイイタイ病でずっと、三井の神岡鉱山の工場の土壌地下水汚染対策をやっていますけど、十五年間水をくみ上げていますけど、汚染土壌が残っていますので、ちっともきれいにならないです。計算したら百年かかると、そういう結果になっています。これは坂巻先生と一緒にやっております。
 それから、一三ページ右側にありますように、OAPの断面図なんですけど、ここに帝国ホテルとかあるんですけど、この地下を見てもらいたいんですけど、こういう形で基礎のくいがいっぱい入っています。これが第三粘土層まで入っています。それで、汚染はこの粘土層にまで及んでいました。
 それと、この遮水壁が、ホテル、オフィス棟には厚さ五十センチのコンクリートの壁が四十メートル入っていますけど、水がどっかから入ってきて、それが砒素、セレンで汚染されていたわけですね。マンション側が少し浅い二十メートルのソイルセメントの遮水壁なんですけど、これも水が入ってきて、汚染がずっと続いたということで、今くみ上げて、多分恐らく半永久的に地下で処理をしております。
 それから、一四ページです。大阪ATCの、企業、土壌汚染のコンサルタントの人も入って、ゼネコンも入っている水・土壌研究部会ってあるんですけど、そこで今、土壌の第三者評価委員会をつくって、こういう活動をやっていますので、こういうものも参考になるんじゃないかと思っています。
 それと、大阪の中央卸売市場ですね。二〇〇七年の八月に、民主党の議員団の方を、この中央卸売市場とOAPを案内したんですけど、ここは、写真にありますように、事務棟は十階建てぐらいに高層化しました。市場の方は二階建てにして、だれが二階に行くかもめたらしいですけど、とりあえず十年ぐらいで現地再整備ができたわけですね。築地は同時期に始めたんですけど、途中でやめましたので、大阪は再整備できたけど、築地は再整備できずに終わっているという状況だと聞いております。
 それから、一五ページ右上ですけど、これは土壌汚染のパターンなんですけど、まず土が汚染されますと、必ずそれに接触している地下水も汚染されます。揮発性物質、ベンゼン等のVOCというんですけど、これは蒸発しますので、地下の空気は汚染しますし、大気も汚染すると。必ずこの三点セットで同時に汚染が起こるという、マルチメディア汚染といっているんですけど、土、水、空気ですね、そういう汚染が同時に起こりますから、特にここの場合は、ベンゼン、シアン、水銀は蒸発しますので、非常に大気汚染のおそれもあるということです。
 一五ページ、右下、終わりの部分ですけど、豊洲の場合、土壌汚染対策費用が用地費の--買収費が二千三百七十億円で、今の技術会議の対策費で五百八十六億にしましても、二五%になります。これは環境省とかが定め--ブラウンフィールドというんですけど、いわゆる塩漬け土地、使い道のない土地が二〇%以上、それに該当しますので、こんな土地を買うものでもないし、これは東京ガスにあと責任持って何らかの使い道を考えてもらったらいいと。東京都が買う必要はないと思います。
 それと、築地市場と同時期に現地再整備を開始した先ほどの大阪中央卸売市場は十年で完了していますし、築地でできないことはないと思います。
 それと、一九五四年のビキニ水爆実験で、マグロが築地市場に入荷したときにパニックになりましたが、多分、豊洲市場開設後に、土壌、ガス、地下水の何らかの汚染が発覚した場合は、恐らくパニックになり、市場は閉鎖されるんじゃないかと、そういう危険が、リスクは残ると思っております。
 したがいまして、移転しない方がいいということと、それから、ことし四月から土壌汚染対策法が改正されて施行されます。僕も、去年四月の国会、参議院で、参考人で意見をいったわけですけど、豊洲は当然法対象になりまして、汚染地域。ただ、要措置区域になるか、形質変更時要届け出区域になるかちょっとわかりませんが、少なくとも汚染地域には指定されます。汚染地域に指定されますと、台帳に登録されまして、土壌をきれいにしない限り解除されません。土壌をきれいにするということは、汚染土壌を掘削除去するか、汚染地下水が残らない、二年間モニタリングしてセーフであるということが確認されないと解除されませんから、要は、汚染地域に市場をつくることになるという、そういう問題になると思っております。
 あと、一六、一七ページに、都政新報で、専門家会議の提言の問題とか、土壌汚染対策法について--朝日新聞の記事ですね。これには、OAPとか築地のこともちょっと触れていますので、また見ていただければと思っております。
 それから、後で一〇ページと一一ページの間に差し込んだ図があるんですけど、これに五街区の粘性土、シルト層が高いのがわかりますし、地下水位二メートルとなっていますが、これはフラットではなくて、非常に勾配があるという問題点もありますということです。
 以上で。ちょっと時間オーバーしましたけど……。

○小沢委員長 ありがとうございました。畑参考人の発言は終わりました。
 次に、畑参考人に対する質疑を行います。
 なお、畑参考人に申し上げます。答弁する際は、手を挙げて、委員長の許可を得てから発言いただきますようお願いいたします。
 それでは発言を願います。

○増子委員 民主党の増子でございます。
 畑先生には、お忙しいところお越しいただいて、本当にありがとうございます。
 それでは、まず、不透水層の下への汚染の拡大という点についてお聞きしたいと思いますが、過日の委員会の中でも、豊洲の保留地だけでも六千本ぐらいのくいがあって、しかも、長さも十メートルから三十メートル以上のものまでありますよというお話もさせていただいて、こうしたことから予想される問題としては、操業以降の増築時などに設けるくいの打ち込みに伴って、汚染の巻き込みなどが考えられるのではないだろうかということで質問させていただいたときに、私の質問に対して、専門家会議の平田座長さんは、打ち込みは圧縮の方向に働くので、巻き込みはしにくいのではないかとおっしゃりながらも、厳密にいえばわからないというお答えをされていらっしゃいました。
 そのときは、保留地だけでも六千本のくいといってましたけれど、保留地を含む豊洲の五街区、六街区、七街区のすべてのくいを合計すると、総延長で三百八キロメートルにも及ぶということがわかり、保留地の六千本の平均である十七メートルで割り返しても、約一万八千本ぐらいのくいがあるというふうにいえるということになろうかと思っています。
 また、私は、五街区の中に不透水層が確認できない場所が二地点あったということや、あるいは不透水層の連続性が疑わしいんじゃないかということも、これまでにも指摘をさせていただいてまいりました。そこで、くいの打ち込みによる汚染の巻き込みなどを含めて、不透水層下への汚染の拡大について、例えばそういったことで汚染した事例があれば、ご紹介いただければありがたいと思いますが、その認識について、先生のお考えを伺いたいと思います。

○畑参考人 OAPの図を見てもらうと、ここも軟弱地盤でして、こういう工場の施設とかをつくるときには、必ずくいを打たないと沈下してしまうわけですね。そういう意味で、くいもいろいろあるんですね、コンクリートと木と鋼管がありますけど、コンクリートの場合、ソイルセメント方式で穴をあけて、そこに土--土にセメントをまぜてつくる場合なんかもありますから、そういう場合は当然土を掘っていきますので、そこに地下水がありますと、汚染地下水は下の方へだあっと落ちていきますので、深いところの土壌の汚染を広げます。
 それから、もちろん木とか鋼管とかコンクリートも、いわゆる劣化、時間的には劣化していきますから、必ず割れ目とかすき間ができますと、そこから汚染地下水は下の方に落ち込むということも考えられますし、実際のOAPでも、そういう粘土層まで汚染が及んでいました。ここは粘土層まで調査をやったんですけど。
 それと、今回、地下埋設物ですね、今既に大分残っているようですけど、それを撤去するときが多分私は大変だと思いますね。掘り起こしたりとか--切断するといっていますけど、途中で切断するにしても、そこまでは掘る必要がありますから、堀ったときにやっぱり土とか水、地下水を大幅に攪乱しますから、汚染を広げてしまうと。そういう危険性がありますので、非常に問題だと思っております。

○増子委員 それでは、時間がないので先に行きますが、底面管理についてお伺いしたいと思いますけれど、専門家会議では、仮に不透水層下に汚染が広がっていたとしても、底面管理をすることで汚染の有無を確定し、対策を行えばいいんだというふうなお話になっています。
 一深度一メートルとして、二深度続けて環境基準を満たせば、ここで汚染は終わりだと決めて対策を講じるというのが底面管理だと思いますが、地下水の変動によって、同じ地点であっても、調査する時期によって環境基準を超えたり超えなかったりすることもあるでしょうし、東京ガスさんが掘削、除去して、一度対策を講じた地点で、さらに深いところの汚染を見逃しているということも考えられるというふうに思うんですが、この底面管理ということについて、その対策を講じれば万全なのかどうか、先生のご見解を伺いたいと思います。

○畑参考人 先ほど、十メートル、調査自身が十メートルメッシュでワンポイントしかやっていませんし、そのワンポイントも表層土壌が基準を超えたものとか、それから地下水が基準を超えたものとか、そういうものに対して汚染がある地点だということで底面管理をやるとなっていますから、それ以外に、汚染を、汚染土壌とか、特にベンゼンの例えば四万八千倍は、タールのたまりがあったんですけど、たまたま当たったんですけど、そういうものを見逃している可能性があるんですね。
 そういう汚染土壌とか汚染地下水の塊を見逃している可能性がありますので、幾らわかったところだけ底面管理したとしても、つぎはぎだらけというか、ばんそうこう張りの対策にしかならなくて、全体に全部底の面が管理されるかということは、問題があります。
 それと、問題は、ここはベンゼン、VOCとか油、油分が残っていますから、そういうところで、セメントとかコンクリート固化で底面管理をやることは、コンクリート、セメントの固まる、硬化が非常に不十分になりますので、難しいです。

○小沢委員長 参考人、ちょっと済みません、お待ちください。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○小沢委員長 速記を開始してください。
 済みません、続けてお願いいたします。

○畑参考人 そうすると、セメントにならぬように、不溶化処理というか、そういうものは技術的にも難しい。ここの場合は難しいという問題があることと、それと、水を完全に遮水するということは非常に難しいです。コンクリートでも水は少し漏れていきますし、粘土でも、不透水層とよく言葉を使っていますが、不透水層なんかあり得ないですね。水を通しにくい難透水性なので、粘土が一番水を通しにくいぐらいなんですけど、コンクリートは逆に水を通すと考えた方がいいんですけど、そういう意味で、完全に遮水できるものではないと。
 それは、廃棄物処分場でも、底の面の遮水というのは非常に難しくて、よく漏水事故とか漏水事件を起こしているように、水も漏らさぬ体制というか、水を非常に、これはふろ場でも屋上でもそうなんですけど、かなり防水対策をやらないと難しいことです。そんな簡単なものではありませんという部分がある。

○増子委員 先ほど先生が、かつて私ども都議会民主党が大阪を視察させていただいたときのお話をされまして、そのときに大阪アメニティパーク、先ほどご説明がありましたところも拝見させていただきました。
 特に地下駐車場の壁面から、やっぱり地下水なんかにじみ出ちゃっているようなところも拝見させていただいて、それなんかも大変印象に残っております。今回の対策で、地下水をすべて環境基準以下にするといっていますし、万全な地下水対策ができれば問題はないのだろうかということで、先生がそのアメニティパークの事例などの経験からして、対策がうまくいかないと考えているのか、あるいは懸念すべき点があれば、ぜひお教えいただきたいと思います。

○畑参考人 今いわれた地下駐車場は、この一三ページの下の真ん中の白い箱、ここが地下駐車場なんですけど、これは二十センチ以上のコンクリートの壁なんですけど、やっぱり汚染地下水は漏れ出していたんですね。
 そういうことで、コンクリートは必ず遮水できないということと、それと、ここの場合は、面積は八千平米ぐらいでして、そんなに広くないんですけど、それでも遮水壁で囲って、今、水をくみ上げて処理しているんですが、汚染土壌が地下にやっぱり残ってますので、汚染地下水がなかなかきれいにならないと。ほぼ半永久的に水をくみ上げて処理する必要があると。これは多分、豊洲の場合は必ずそうなると思っております。

○増子委員 次に、クロスチェックについてお伺いしたいと思いますが、さきの参考人でお見えいただいた坂巻先生が、クロスチェックをやるべきだということで前向きでありましたが、平田先生は、場合によってはエンドレスになるので、関係者の全員が分析している機関の分析を確認することが重要ではないかということでお話をされていて、余り積極的でないという感じを受けました。今お話を聞きましたら、OAPですね、大阪の場合には、平田先生も含めて先生方がクロスチェックをされたと。そして第三者評価を行ったというお話も伺いました。
 そこで、畑先生は、このクロスチェックと第三者評価の意義、あるいは必要性についてどのようなお考えがあるのか、その場合に問題点や注意点など指摘事項があれば、この大阪の例も含めてお教えいただきたいと思います。

○畑参考人 大阪の場合は、この四人の委員会で、平田座長で私も委員だったんですけど、クロスチェックを--何もすべてのサンプルについてやる必要はないんですね、ほぼ十分の一、十サンプルにワンサンプルぐらいクロスチェックをやりまして、それを別のコンサルタントに委託しまして、もちろん分析上、同じ値は出ませんけど、多少ばらつきありますけど、ほぼオーダー的には問題なかったということで、クロスチェックはうまくいったと思っていますし、逆にそういうクロスチェックをすることによって、ここの場合、三菱と住んでいる住民が非常に対立していたわけですけど、やっぱり住民の信頼も得ることができる、そういうメリットはあります。
 東京都の関係者だけが分析、その結果を評価しても、その値が本当に正しいのかどうかということで、外部の人からは、市民の人からは、やはり批判を受ける可能性はあるということで、そういう意味でクロスチェックは大事だということと、このOAPの場合も、技術評価検討会の四人でつくったんですけど、もちろん事業者、三菱の推薦者とか、あと住民の推薦の方たちも入りまして、そういう第三者的な機関で、調査の評価と対策案の検討をやって、もちろん不十分な点も残ったんですけど、結果的には、住んでる住民の、マンションの住民の人の理解を得て、この対策がやれたと思っております。
 あと、クロスチェックの他の事例ですけど、これは--時間いいですか。

○小沢委員長 よろしいです。

○畑参考人 ずっと僕がイタイイタイ病のことを、公害防止対策を四十年近くやっているんですけど、今、神通川の水がきれいになったんですけど、ほぼ毎日、水は自動的にとってまして、それを、企業と住民--住民というか僕らは、専門家が指定する時間でクロスチェックをやっています。それで、データは正しいことを評価しています。
 それで、やっぱり双方、被害者も企業もお互いに信頼関係を持って、対策がうまくいって、今、成功しているというふうに聞いております。

○増子委員 ありがとうございました。

○清水委員 共産党都議団の清水です。よろしくお願いいたします。本日はありがとうございます。
 それでは、私からは、これから行う実験について、その実験の前提として、当然、現時点における現況の汚染実態調査を踏まえて行われることが必要だと思いますが、委託契約書、仕様書を見ると、これをやらないというふうになっています。
 しかも、先ほどもご紹介がありましたように、最近、東京ガスの跡地に約一万八千本のくいが埋設されていたことが明らかになっていました。この点について、専門家会議の平田座長も、土壌汚染の通り道になる可能性がないとはいえないと指摘していますが、そのことについて、当然、現時点の汚染実態調査をやるのであれば、実験をやるのであれば、することが必要ではないかと思いますが、どうお考えでしょうか。
 それから、二つ目は期間の問題です。この実験は一月に発注して、三月九日に中間報告、そして六月末に報告書を出させるというような日程になっています。先ほどの説明でも、一年ぐらいは一応かかるのではないかというようなお話がありましたけれども、こういう実験で汚染対策のゴーサインを出してよいのかという疑問が私はぬぐえないのですけれども、その二つの点についてお答えいただけたらと思います。

○畑参考人 今回も仕様書を見てびっくりしたんですけど、それからあと、大阪のATCの土壌コンサルタントの企業の人と、僕はかなりいろんな人を知っていますので、ちょっと見てもらったんですけど、いわゆる専門家会議がやった詳細調査ですね、そのデータをもとにして対策をやってどれだけきれいになりますかという、そういう仕様書になってまして、これはとんでもない仕様書になっている。
 つまり、土壌には、先ほどいいましたように、十メートルメッシュでワンポイントしかやってませんから、実際に処理する三百平米とか--一塊が三百立方メートルになっていましたね。その土の汚染度というのは、やっぱり現場で処理前と処理後をやらないと、一年以上前の調査データと処理した後を比較する、こういうことは全くナンセンスだと。要するに、それで処理効率をチェックすることはできないということで、今回のこういう仕様書は、非常に短期でやるためにかなり無理した仕様書になっているということと、あと期間の問題ですけど、特に重金属等の物理的、化学的処理は短い期間でできると思うんですけど、バイオ処理、微生物処理というのが入っていますので、微生物があそこにいるかどうか、ベンゼンを食べる微生物がいるかどうか、まずそういう調査をやるんですね。
 それから、そこの土質とか水の条件とか、それも調べて、実際には室内でまず実験をやってみる。それから、微生物に関してはDNA鑑定なんかもやるらしいですね。それほどやりますので、やっぱり時間がかかります。それから、室内実験を経てから実証試験に入りますから、実際にやってるコンサル業者は、ほんの半年でそんな結論出るようなことは絶対にできないといっておりました。
 それで、僕もやっぱり、微生物処理、一定のチェックをするためには、最低一年以上はかかると思っておりますので、こういう実証実験をこんな短期でやることは無理だと。やったとしても作文にしかならないと思っております。

○清水委員 今お話しいただいたほかに、今回の実験について問題だと思われることがありましたら、お話しいただきたいと思います。

○畑参考人 今もちょっといいましたけど、土というのはですね、例えば五十センチ離れたところの土を分析しても、多分値が絶対違うんです。
 そういう形で、非常にばらついてますので、例えば三百立方メートルの土としても、果たして平均の汚染濃度がどうなるかいうのは、これは非常にサンプリングが難しいんですよ。例えばダンプやったらダンプカー一台とか、それでやっても、それが本当にそのダンプ一台の土の量、十トントラックの土の正しい濃度をあらわしているか疑問が残るわけですよ。
 そういう意味で、処理前の土を調べるのも難しいし、処理後のサンプルも、どの程度のサンプリングの土をとるか、例えば一トンとるかとか十トンとるか、こういうことも非常に難しいですね。
 そういう意味で、そういう問題もありますから、よりこんな短期でやることとか無理いうことと、ちゃんとやればやるほど、もっとコストがかかるという問題があると思っております。

○清水委員 先ほども委員が質問されておりましたけれども、第三者機関のクロスチェックということについては、先ほどもありました、これまで行われていた大阪アメニティパークの、その第三者機関のクロスチェックの効果と、それから第三者委員会の設置、この新しい、これからやる実験についてもそれが必要だと。やるのであれば必要だというふうに思いますし、それからまた、大阪のほかにもう一つ事例を挙げられておりましたけれども、そのほか、全国でこういうような第三者的な委員会の設置などがされているようなところは、先生、ご存じでしょうか。あったら教えていただきたいと思います。

○畑参考人 クロスチェックにつきましては、僕は、先ほどの神通川の例とOAPのものぐらいしか知らないんですけど、第三者委員会につきましては、この資料の一四ページの上にありますように、大阪ATCで、学識者とかも入って、いろんな土壌汚染の事例について、関西の事例が多いですけど、事業者からも、住民からも、それから実際の土壌汚染の対策をやる、そういう方からも、一緒に公開でデータを出し合って検討して、お互いに事業者も住民も皆この対策に対して納得するという、いい解決法を見出すという事例はたくさん出ております。

○清水委員 そうしたら、技術会議の構成について、先ほどもちょっと資料でご説明がありましたけれども、専門家会議での土壌汚染の問題に関する専門家は、四人中三人ほどおられるのではないかというご説明でありました。
 また、技術会議の中では、七人委員がいられますけれども、とても土壌汚染の専門家については少ないのではないかというご指摘があったのですけれども、さらに詳しく教えていただきたいということと、それから、それらがどういうことになるのかということについて教えていただければと思います。

○畑参考人 専門家会議の三人ですね、平田、森澤、駒井先生に関しては、こういう土壌汚染関係の分野でも有名ですし、つい最近も大阪ATCの方で土壌汚染関係のセミナーに、駒井さんとか、あと平田先生なんかも呼んだことありますし、内山先生は医学者ですので、ちょっと土壌汚染の専門外だと思うんですけど、四分の一の三人は、いろいろ私たちは意見の違いもあるんですけど、土壌汚染の専門家であることは間違いないというか、一定、信用できる専門家であると思っております。
 しかし、技術会議のメンバーは、当初、座長しか発表されなかったんですけど、後でこの一一ページの七人の専門分野を見てびっくりしたんですけど、環境の専門家自身が矢木先生と長谷川先生、二人しかいないと。その中でも、矢木先生は確かに微生物による水土壌処理の研究はされてて、バイオ処理に関しては土壌汚染で少しやっておられるようなんですけど、長谷川さんにつきましては、元東京都環境局の総務部長ですね、事務系の方で、都の職員だった方のようですし、ただ、環境局の役職はもちろんやっておられたようですけど、そういう意味で、土壌汚染の専門性については少し疑問がある人ではないかということ。あとの人は、土木とか、あと、原島座長もロボット工学と電気工学ですし、システムエンジニアリングとかプロジェクトマネジメントとか、こういうものはちょっと土壌汚染と余り関係ないので、そういう意味でいうと、七人中一人しか土壌汚染の専門家がいないという意味で、専門家会議よりも、多分、土壌汚染の専門性に関してはレベルがダウンしてる構成になっているので、だから、建物の周辺の遮水壁をとってみたりとか、要するに、処理した土壌をまた埋め戻して、安上がり、それでこれだけ数百億円安くなった、そういう安上がりな工法が簡単に提案できるという。専門家会議の平田座長は、専門家会議ではこんな方法については多分納得されていないと思っております。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 畑参考人からの意見聴取はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、畑参考人からの意見聴取は終了いたしました。
 畑さん、本日は貴重なご意見、まことにありがとうございました。心より厚く御礼を申し上げます。
 それでは、どうぞご退室を願います。

○小沢委員長 それでは、参考人の方々をご紹介いたします。
 左から、首都大学東京学長で、元豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議座長の原島文雄さん。日本大学総合科学研究所教授、東京大学名誉教授で、元豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議座長代理の矢木修身さん。東京電機大学理工学部教授で、元豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議委員の安田進さんです。
 本日はご多忙のところ委員会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 なお、意見聴取の進め方でございますが、まず、原島参考人、矢木参考人、安田参考人の順序でご意見をお伺いいたします。次に、参考人の方々に対しまして、委員から質疑を行います。
 それでは、原島参考人のご意見をお伺いいたします。発言席にご移動願います。
 なお、原島参考人には、ご着席のままご発言していただきたいと思います。ご了承願います。
 それではよろしくお願いいたします。

○原島参考人 原島でございます。現在、首都大学東京におります。
 この技術会議が行われましたとき座長を務めましたので、技術会議における基本的な考え方、それから、その内容についてご説明をいたしたいと思います。
 最初に、技術会議の目的でございますが、専門家会議の提言を踏まえまして、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策を具体化するために、新技術や新工法を公募し、実効性や経済性にすぐれた土壌汚染対策を策定するということでございます。
 構成メンバーと検討内容でございますが、最初に、構成メンバーは、私、原島文雄が、当時東京電機大学におりましたが、専門はシステムエンジニアリングでございます。
 それから、矢木修身氏でございます。今、後ろにおられる方。ご専門が環境でございます。先ほどご紹介があったとおりでございます。
 それから、長谷川猛氏。東京都環境研究所の所長でいらっしゃいました。専門は環境でございます。
 それから、安田進氏。今、後ろにおられますが、専門は土木で、東京電機大学の教授でいらっしゃいます。
 それから、小橋秀俊氏。専門は土木で、土木研究所の主席研究員でいらっしゃいます。
 それから、川田誠一氏、システムエンジニアリングです。産業技術大学院大学の教授でいらっしゃいます。
 それから、根本祐二氏、プログラムマネジャーという、特に公共プログラムのマネージングをご専門としておられる方です。東洋大学の教授でいらっしゃいます。
 なお、土木とか環境のほかにシステムエンジニアというのが二人入っておりますが、これはかなりキーになりますので、ちょっと簡単にご説明いたしますと、システムエンジニアリングというのは、ある所定の目的を持った巨大なシステムを設計、構築するための手法でございまして、ある目的を達成するためには、その手段としてはほとんど無限の可能性があるわけでございますけど、その中から最適と思われるシステムを選択していかなきゃいけないわけでございます。
 その際、最適化するために、ある価値観に基づいて、あるいは、ある制限条件に基づいて行っていくわけでございますが、通常、どんなことが価値観があるかといいますと、まず一つはコストでございます。設計・構築コスト、これはできるだけ、大抵の場合は少なくした方がいい。
 それから、ランニングコスト、これも通常は少なくした方がいい。
 それから、設計、構築に要する時間、これはある一定期間内につくらなきゃいけないとかです。
 それから、リスクの協調、これはかなり重要でございまして、いろんなところにリスクがあるわけでございますが、それを、リスクを全くゼロにすることは不可能でございますので、リスクを協調して、要するにどこかがリスクが高くてどこか低いというと、これはアンバランスなシステムになってしまいますので、リスクの協調という、コーディネーションということが非常に重要になります。
 それから、採用する技術の許容性といいますか、ある技術というのは、ある条件に適用されるわけですけど、その条件がちょっとずれただけでも動くかどうか、ちゃんと動くかどうかという、ロバストネスといってますが、許容性というものは非常に重要になります。これは通常、数値化はなかなかされませんが、経験によって我々は知っているわけでございます。
 その他、幾つかの条件、あるいは価値観に基づいて設計するわけでございます。そういったことを行うのがシステムエンジニアということでございます。
 もとに戻りまして、技術会議の検討内容でございますが、第一回会議が平成二十年八月十五日、それから、第十二回の会議が平成二十一年の二月三日まで、十二回行われております。
 やりましたことは、新技術、新工法を公募して、それを評価する。それから、実効性などにすぐれた--先ほどのシステムエンジニアリングを使いまして、すぐれた土壌汚染対策を具体化するということが主要なミッションでございます。
 会議は、各委員が外部からの干渉を受けずに公正中立の立場で評価、検証を行う必要があること及び提案事業者の知的財産に関する配慮が必要なことから、非公開といたしました。
 次に、新工法、新技術を公募したわけでございますが、その公募の内容でございますが、一番目に、汚染土壌、汚染地下水の対策。それから、液状化の対策。それから、市場施設完成後の地下水の管理システムに関する提案。それから、上記対策をすべて含む総合的なトータルのシステム、そういったものを公募したわけでございます。
 応募状況といたしましては、事業者数で百二十。大手のゼネコンからコンサルティング企業、それから、化学メーカー、ベンチャー企業、研究機関、NPO、あるいは大学の研究者に至るまで出てまいりました。総提案数は二百二十一件でございます。
 いろんなものがございましたが、最新のバイオを活用するものから、汚染物質の処理装置に関するもの。あるいは汚染土壌の処理のプラントに関するもの。それから、地下水の管理システムなど、非常に多岐にわたっておりました。
 次に、技術会議の提言について、特色についてご説明したいと思います。
 予定地の汚染状況、土質特性に合った最適な技術、工法を組み合わせた総合的な対策で、専門家会議の提言を確実に具体化する。あくまでも専門家会議での提言を確実に具体化することが我々のミッションでございます。
 それから、汚染された地下水を、建物の敷地区域の内外を分けずに、最新の工法を活用して、一括して浄化すると。専門家会議では、これは分けることになっていたと思いますが、さらに一歩進めて、一括して浄化することにより、段階的に浄化していくといった専門家会議の提言を一層高いレベルで具体化するという提案を行っております。
 それから、大きな項目として二番目に、最先端の新たな技術、工法を採用すると。土壌を汚染状況に応じてきめ細かく分類いたしまして--十メートル間隔で全部測定されておりますので、きめ細かく分類いたしまして、微生物処理、加熱処理、それから、それらの複合的な汚染物質を一括して洗浄するといった新たな処理など、汚染状況に最適な技術、工法をそれぞれやっていくという手法をとっております。
 それから、汚染地下水の浄化は、強力な揚水ポンプや井戸の周囲にガスを吸引する管を併設いたしまして、ベンゼンを揮発して吸引するという技術を組み合わせた先進的な工法でございまして、地下汚染水の早期の浄化が実現できると考えております。
 それから、主な三項目でございますが、確実に施工可能な技術、工法を提案しているということでございます。採用した技術、工法は、実績に裏打ちされて、かつ、確実に汚染物質の除去が可能であると。
 それから、実証データ、実績、あるいは必要な場合には直接ヒアリングをするなどで実効性を確認いたしております。だから、環境基準の四万三千倍のベンゼンであっても、処理は十分可能であるということでございます。
 それから、シアン化合物や他の重金属についても、確実に無害化が可能であるというふうに確信いたしております。
 新市場予定地における今回の環境確保条例に基づく土壌、地下水の調査結果は、私ども、想定の範囲でございまして、技術会議が提言した技術あるいは工法で対応は十分可能であるというふうに考えてございます。
 以上でございます。

○小沢委員長 ありがとうございました。
 原島参考人の発言は終わりました。どうもありがとうございます。
 引き続き、矢木参考人のご意見をお伺いいたします。発言席にご移動願います。
 なお、矢木参考人には、ご着席のままご発言していただきたいと思います。ご了承願います。
 それではよろしくお願いいたします。

○矢木参考人 日本大学の矢木でございます。
 私の専門は環境微生物工学というのでございまして、バイオテクノロジーを活用して環境汚染を修復する技術、最近大変注目されておりますけれども、バイオレメディエーション技術と呼ばれておりますけれども、特に微生物を活用いたしまして、トリクロロエチレンとか水銀とか油とか、こういうようなもので汚染した土壌、地下水環境を浄化する技術開発研究を三十年以上も続けてきております。
 技術会議では、環境分野の委員という形で参加させていただきまして、主に汚染土壌、汚染地下水の処理を中心として検討させていただきました。
 技術会議の基本的な考え方や概要につきましては、先ほど原島座長から説明がありましたので、私からは、汚染物質の処理技術を中心に説明をさせていただきます。
 技術会議では、豊洲の新市場予定地におけます土壌汚染対策を具体化するために、新技術、新工法を公募いたしまして、民間事業者などから二百二十一件もの提案がございました。
 このうち、汚染土壌、汚染地下水対策ということで提案いただきましたのが百三十八件ほどあります。その内容は、いろいろな技術が日本ではできておりますので、広く使われております加熱処理が三十件、洗浄処理が十二件、それから、化学処理、不溶化三十六件、それに、先端技術でありますバイオを使った処理というのが三十二件も出てまいりました。このように、非常に多様な提案がございました。
 日本の土壌浄化技術について簡単にご説明をいたしますと、日本における土壌汚染箇所というのは、環境省の調査では五千カ所弱ということになっておりますけれども、実は土壌環境センターで調査をいたしまして報告されたものでは、九十三万カ所あるというふうにいわれておりまして、その浄化には十三兆円のお金が必要であるというふうに報告されております。
 したがいまして、汚染箇所がたくさんありますので、平成十五年に土壌汚染対策法が制定をされまして、以後いろんな技術が日本で開発をされまして、大変技術のレベルが上がってきております。
 最近の過去三年間の、それじゃどれくらいの技術が使われているのかということで、土壌汚染の受注数、受注高というのを、これは土壌環境センターのホームページに出ておりますけれども、最近の三年間の平均をとらせていただきますと、一年間で一万四千件の受注がありまして、受注高は千六百億円でございます。ほとんどが、かなりの部分が調査研究なんですが、実際に浄化する研究も、一年間に大体二千五百から三千件あります。したがいまして、日本の技術がどんどん進んできておりまして、土壌浄化技術も大変信頼ができるようになってまいりました。
 今回の提案というのは、私も見させていただきまして、ほとんど日本のすべての技術が提案されているということでありまして、ただ、対象が、今回は汚染物質がベンゼン、シアンと重金属の七物質ということだったものですから、それに特化されてるわけですけれども、もうほとんどの技術が網羅されておりまして、その中には最先端の技術もたくさん入っておりました。
 それで、見まして、本当に、そういう意味で日本じゅうの浄化技術者が頭をひねりまして、アイデアを出して、すべての日本のアイデアが出てきたというような感じがいたします。
 これらの提案につきまして、技術会議としての評価を行いまして、その後で予定地の汚染状況や土壌汚染の特性を踏まえまして、どういうような組み合わせがいいんだろうかというようなことを検討いたしました。
 そこで、提言として取りまとめました対策の内容についてご説明をいたします。
 汚染物質というのは、ベンゼン、シアン、それに重金属五種でして、砒素、鉛、六価クロム、水銀、カドミウムということで、あと、油膜というのがあるんですけれどもね。
 したがいまして、その対策といたしまして、今回の大きな特徴なんですけれども、大変土壌汚染の調査が進んでおりましたので、土壌の汚染の状況を三つに分類をいたしました。三種に分類をいたしましたので、それに沿った処理法ということで、一つは微生物処理、一つは洗浄処理、そしてもう一つは中温加熱処理という三つの技術が適しているだろうと。この技術を組み合わせたらいいんだろうということでございます。
 その汚染土壌の三種というのは、ベンゼンのみで汚染している土壌、これは微生物処理が可能でございます。それから、ベンゼンとシアンと重金属というものは、微生物ではベンゼンだけしかできませんので、これはもう洗浄処理がいいということでありまして、それから、油膜の見られたのがあるんですけれども、これはそのまま洗浄が難しいということで、中温加熱というものを入れておりまして、さらに、油膜があって、中温加熱した後でも重金属が残っている場合には洗浄に回すということで、この三つでいこうということを提言したわけでございます。
 ベンゼンで汚染している土壌なんですけれども、微生物処理というのはバイオレメディエーションといいまして、最近非常に注目されておりますけれども、一グラムの普通の土壌、畑の土壌には--大体一グラムは小指の第一関節の半分なんです。これに百億の微生物がすんでおります。したがいまして、これに窒素と燐と酸素を、まあ空気を入れるわけですかね。そして、栄養物質はというと、汚染物質、あるいは、栄養が足りない場合は添加するわけですけれども、そういたしまして、その百億の微生物を活用するということで、逆にいえば、何もしなければ自然の浄化力ということで浄化されるわけですが、その速度を速めてやろうというか、大変今注目をされております。
 ベンゼンというのは、人間にとってすごく毒なんですけれども、実は微生物にとって毒ではありません。毒のあるものもあるわけですが、多くの微生物がベンゼンを好んで食べることができます。
 したがいまして、ベンゼンを食べます菌がたくさんおるので、そういう意味では、例えば人工的な環境で一〇〇〇ミリグラム・パー・キログラム、一〇〇〇ppmといいますけれども、これぐらいですと大体数日で完全に分解させることができます。
 ただ、環境中はそういうコントロールが難しいですので、ですから、その環境中の土壌をどうコントロールするかというのがこのバイオレメディエーションの技術でありまして、大変進んできております。
 したがいまして、まず、浄化法といたしましては、バイオの技術といたしましては、掘削微生物処理法ということでありまして、バイオパイル法と呼んでおりますけれども、汚染した土壌を掘削いたします。掘削したものの中に、窒素と燐、それを、掘削したものを大体パイル状に、一・五メートルぐらいなんですけれども、積み重ねます。それに窒素とか燐とか、空気を入れるわけですね。そういたしますと、ベンゼンを食べる菌がふえてきて浄化ができるということで、これはもう世界各地で、日本でも実績がたくさんありますので、全く問題なくできるというふうに考えております。
 その掘削をする場合なんですけれども、掘削方法なんですけれども、汚染対策を実施するときは深さ方向に掘削をしていきまして、汚染物質が二メートル続けて検出されなくなった部分を、そこまで掘削をするということですので、掘削除去する場合には、もう汚染土壌を完全に掘削するという方法を今回は考えておられるということであります。
 それから、問題点は、バイオの浄化というのは時間がかかります。したがいまして、大丈夫なのかという意見があるわけですけれども、今回の提案の中にも、石油分解菌を入れちゃうというのが五件ほどございました。こういうのを入れてしまいますと、実は微生物というのは、大体一時間で二匹になってしまいますので、一晩で物すごい数になってしまいます。
 そういう意味で、こういう菌を入れますと、大体十日ぐらいできれいになってしまう、そういうようなデータも出てまいったんですけれども、大変これは先端的でいいんですけれども、ただ、菌の安全性のデータがついてなかったので、今回の場合には提言の中には入れなかったんですけれども、安全性が確保できれば大変いい技術だというふうに考えております。
 それから、もう一つは、ベンゼンが非常に高濃度で地下の中にある場合には、それを掘削して処理をいたしますと大変お金がかかります。したがいまして、その現場にあるところの現地の中に空気を入れ込むわけです、窒素と燐を。そういたしますと、かなりベンゼンが減ります。
 したがいまして、そういうような原位置の微生物処理というのも、今回提案をしてあります。
 それから、あと、洗浄処理なんですけれども、重金属で汚染した汚染土壌については、洗浄処理を行います。今回の提案は、洗浄処理、これは非常に一般的に使われておりますので、もう五百件やったとか、いろんな技術が出てまいりました。
 ただ、その中で、大変新しいのも出てまいりまして、シアン、重金属、それからベンゼン、みんなまじっているのも同時にできるというのがありましたので、これは非常に新しい方法だということで、提言の中に推薦をさせていただいております。
 それから、三番目に、油のある土壌はどうするかということであります。油の場合には洗浄がなかなか難しいので、加熱をするということなのですが、普通のベンゼンであれば、大体四百度ぐらいで十分なんですけれども、今回の場合にはベンゾピレンとか重いものもあると。こういうことですので、この場合には、中温処理と呼んでおりますけれども、中温加熱ですが、四百から六百度にすれば完全に取り除けると。これはもう実証データもありますし、いろんなところでやられておりますので全く問題ないということで、高温にするにはお金がかかるからということで、今回は中温加熱処理というものを推薦しております。
 それで、中温加熱をした後で、まだ重金属がある場合は洗浄にかけると、こういう処理を提案しております。
 したがいまして、汚染土壌の処理に当たりましては、掘削微生物処理、それから原位置微生物処理、要するに微生物処理が一つであります。それから、洗浄処理ということで二番目。三番目は中温加熱処理。これを組み合わせると。そういうことによりまして浄化が可能であると。基準以下に十分なり得るということでございます。
 こういったような設備というのは、いずれも当該域内で、要するに現場で設置ができる、要するに可搬式のものである、移動ができるということなので、設置をいたしまして、後は処理をすることができるということでございます。
 それから、一方、汚染地下水なんですけれども、汚染地下水の場合は、ベンゼンの場合は、先ほども座長が申し上げましたけれども、空気を引っ張ると同時に、水を吸い上げます。要するに、両方でやるということで、これも大変効果がある方法で、いろいろもう既に各地でやられております。
 それから、シアン化合物なんですけれども、これも化学薬品で酸化分解をいたしますアルカリ塩素法というのがございます。それと同時に、鉄塩で凝集させる紺青法というのがあります。これも広く使われております。
 それから、重金属につきましては、化学薬品を使いまして、凝集沈殿法、これももう広く一般的に使われておりますので、全く問題がございません。そういうようなことで、こういうような手法で完全に無毒化することができます。
 この汚染の地下水の浄化処理につきましては、予定地の各街区に仮設プラントを設置して処理を行えるということでございます。
 提言に採用いたしました処理技術は、現地の汚染状況、つまり、先ほどお話ししましたけれども、ベンゼンのみの場合、ベンゼンとシアンと重金属の場合、それから油がある場合と、こういうように分けましたので、非常に処理土壌が少なくて減らすことができました。
 そして、いずれもこの三つの方法を使いますと、完全に処理ができると。完全といいましても、それは環境基準以下ということでございますけれども、処理ができるということで、単独、あるいはこの処理を組み合わせることによりまして確実に処理ができるというのが今回の提言の内容になっております。
 以上、簡単ではございますが、豊洲の新市場予定地の土壌汚染対策における汚染物質処理の説明とさせていただきます。

○小沢委員長 矢木参考人の発言は終わりました。どうもありがとうございました。参考人席へお戻りください。
 引き続き、安田参考人のご意見をお伺いいたします。発言席にご移動願います。
 なお、安田参考人には、ご着席のままご発言していただきたいと思います。ご了承願います。
 それではよろしくお願いいたします。

○安田参考人 東京電機大学理工学部の安田でございます。
 私の専門は地盤工学でございまして、地震時の地盤の液状化などを研究テーマとしております。技術会議におきましては、土木分野の委員ということで参加させていただきまして、主に液状化対策につきまして検討を行ってまいりました。ということで、本日は、液状化対策の考え方や内容につきましてご説明させていただきたいと思います。
 技術会議では、新技術、新工法の公募を行い、広く民間企業等から提案を募ったわけでございますが、液状化対策に関しましては、提案は二十五件ございました。
 液状化というものは、昭和三十九年に発生しました新潟地震、この地震のときに、建物とかいろんなものが沈下したりとか浮き上がったりとか、そういった甚大な被害が起きたものですから、これを契機に研究とか技術開発が開始されています。
 日本では、その後、四十五年ぐらいたっているわけですが、その間に二十四回もの地震で液状化が発生するといった、世界でも最も液状化が多く発生してきている国でございます。したがいまして、液状化に関する関心は高くて、液状化対策方法もこれまで数多く開発され、実際に適用されてきております。
 このように、世界で最も液状化対策方法の技術開発が行われてきている国でございます。
 その対策の原理も種々ございまして、例えば地盤を締め固める方法だとか、地盤をセメントで固める方法、それから、地下水を下げる方法とか、地震が来たときに剪断変形というのが起きるんですが、それを起きないようにさせる方法とか、種々ございます。したがいまして、地盤とか構造物の特性、それから、施工性、工費、こういったものなどを考慮しまして、適する工法を選定することが大切となります。
 豊洲新市場予定地におきましては、街区ごとに土質特性が異なりますので、街区ごとに適した工法を選択しております。具体的には、不透水層上の液状化対象層が厚い六、七街区は砂ぐい締め固め工法を採用いたしまして、不透水層上の液状化対象層が薄い五街区では格子状固化工法を採用しております。
 砂ぐい締め固め工法といいますのは、地盤に砂ぐいを圧入することによりまして周囲の地盤を締め固め、液状化を防止する工法です。この砂ぐい締め固め工法では、通常、鋼管を地盤の中に入れまして、その中に砂とか、そのほかの材料を入れまして、さらに鋼管を上下させることによりまして、その中に入れた砂を水平方向に押し込みます。この押し込む力によりまして周囲の地盤を締め固めるわけですが、液状化層が施工時の地表面から浅い部分だけにしかない、こういった場合ですと、水平に押し込んだことによりまして、その押し込まれた土が上の方、地表面の方に盛り上がってきます。したがいまして、そういう場合には締め固め効果が低くなります。このため、不透水層上の液状化対象層が薄い五街区では、薄い場合でも十分効果が期待できるほかの格子状固化工法を採用しております。
 格子状固化工法とは、セメント系の固化材等を用いまして、格子状に地盤を固化することによりまして地震時の地盤の剪断変形を抑え、液状化の発生を防止する工法です。地盤全体をセメントで固めるという工法もございますが、それに比べまして、コストの縮減が可能となります。
 いずれの工法におきましても、平成七年に発生しました阪神・淡路大震災などでその効果が確認されている、実績のある工法でございます。
 次に、豊洲新市場予定地の地層について簡単にご説明させていただきます。
 氷河期というのがございますが、これは数万年ないし十万年程度の周期で発生してきているわけでございます。最も新しい氷河期を迎えたのが約二万年前でございますが、その際には、海水面ですね、海の面ですが、これが約百メーター以上下がったというふうに考えられています。そのときには、東京湾は大きな谷のようになっておりまして、そういった中にも川筋が削られて深いところと、そうでない少し台地のところがあったというふうに考えられております。
 その後、氷が解けまして海水面が上昇いたしました。六千年前ごろには、川越だとか栗橋の方まで海になりまして、豊洲新市場予定地のところは深い海になったというふうに考えております。
 一般に、山地でがけ崩れとか崩壊した土砂が、川でどんどん海の方に運ばれてくるわけでございますが、山地の近くでは、れきといったものが、大きな粒径のものが堆積しまして、だんだん中流から下流にかけまして砂が堆積いたします。そして、海に注ぐときには、粘土ですね、細かい粘土が堆積いたします。したがって、豊洲新市場の付近が海になった、こういった時代には、海底に粘土が広く厚く、ずうっと水平に堆積したというふうに考えられております。この粘土層は地下水を通しにくいものですから、不透水層というふうにして扱っておるわけでございます。
 ただし、前に述べましたように、氷河期に形成された大きな谷の中にも、川筋だとか台地がありましたので、この粘土層の厚さというのも、その谷筋と台地とでは厚さは異なってきます。豊洲新市場の予定地の中でも、例えば六、七街区では粘土層が厚く、五街区では薄いというふうな差が出ております。
 さて、豊洲新市場では、粘土層の上にさらに埋め立てられた砂の層がありますので、これが液状化しやすい層に該当いたします。今回の液状化対策も、この層を対象にしております。
 ところで、豊洲新市場では、かつてガス製造を行うためのさまざまな施設があったわけでございますが、下部の地層が、緩い砂の層や軟弱な粘土層があるために、建設に当たっては、重い構造物はくいで支えるという必要があったと思われます。このことから、地下に埋設物とか、くいが相当残されているわけです。
 くいがありますと液状化対策が行えないんじゃないかというふうな懸念があるかと思いますが、先ほど述べましたように、我が国の液状化対策技術は世界一でございまして、また、大変多くの方法が開発されてきております。したがいまして、その場の状況に応じて対策がとれる、できると考えてよいと思います。
 例えば砂ぐい締め固め工法を採用する六、七街区におきましては、地下に埋設されている既存のくいなどを避けて砂ぐいを打つことができます。格子状固化工法を採用する五街区につきましても、深層混合処理という手法で対策をとることになりますが、その場合、大きな羽を地盤の中に切りもみしながらセメントをまぜる機械攪拌式手法と、それから、小さな穴をまず地盤の中にあけまして、そこから高圧でセメントを地盤の中に入れていきます高圧噴射手法というのがございます。こういったものをうまく使い分けることによりまして対策が可能になるというふうに考えております。
 もう一つ、最後に、対策効果に関して一つだけ説明をつけ加えさせていただきたいと思います。
 豊洲新市場予定地では、液状化対策をA.P.プラス二メーターから下、不透水層までを確実に実施するというふうになっておりますが、それだけではなく、A.P.プラス二メートルより上のA.P.六・五メーターまで、四・五メーターもの厚さで埋め戻しや盛り土を行うことになっております。さらに、地下水をA.P.プラス一・八メーターの水位で常時管理するということになっております。
 液状化というものは、通常、地下水位より上の層では発生いたしません。したがいまして、万一地下水位以下の層で液状化が発生したとしても、その上に液状化しない層が四・七メーターもあることになります。過去の経験によりますと、一般にその液状化層の上に三メーター程度以上の厚さの液状化しない層がありますと、たとえその下で液状化しても、過剰に発生した水圧は途中で減少いたしまして、地表面まで達し得ません。つまり、不透水層の上下あたりで万が一液状化が発生したとしても、地下水や土壌が地表に噴出するという心配はないといえます。
 以上、簡単でございますが、豊洲新市場予定地における液状化対策の説明とさせていただきます。

○小沢委員長 安田参考人の発言は終わりました。どうもありがとうございました。参考人席にお戻りください。
 次に、参考人の方々に対する質疑を行います。
 なお、参考人の方々に申し上げます。ご答弁する際は、手を挙げて、委員長の許可を得てから発言席で発言いただきますようお願いいたします。
 それでは発言を願います。

○増子委員 民主党の増子でございます。きょうはお忙しいところ、ありがとうございます。
 それでは、わからないところが幾つかあるので、ご質問をさせていただきたいと思います。
 まず、五街区の液状化対策について、技術会議では固化材を用いて地盤を格子状に固めて、地震時の地盤の剪断変形を抑止する、今、先生からご説明がございましたが、先日の参考人質疑で、平田先生が、五街区の対策は、恐らく液状化対策をやるときに、かなりの部分、有楽町層まで入らざるを得ない。恐らく十五メーターないし二十メーターまでは液状化対策に入ることになると思うという発言をされていらっしゃいました。
 また、技術会議の中でも、委員の方の中から、地下水をすべて環境基準以下にすることで、液状化して地表に噴水があってもよいのかとか、あるいは液状化対策工事で不透水層に配慮する必要はないのかという質問が出ていたというふうに思います。
 こういった、平田先生が有楽町層内部までの液状化対策の必要性を訴えておられ、また技術会議でも、そういった不透水層に配慮する必要性についての質問が出たと思うんですが、結果として不透水層の上だけの液状化対策を行うにとどまったということはなぜなのか。技術会議の中で、具体的にどこまでの深さまで液状化対策を実施すべきなのか、どういうふうに検討されたのか、お聞かせいただければありがたいと思います。

○安田参考人 平田参考人の発言を、私、聞いておりませんので、正確な答えができるかどうかわかりませんが、通常のこういったときの液状化の検討の仕方をちょっと答えさせていただきます。
 こういった広い土地で液状化の検討を行いますときに、段階的に調査していくわけでございます。やはりどの場所もどうということはすぐ調査できませんので、まず粗くボーリングいたしまして、それで地盤状況を把握しまして、実際に、じゃ、対策をとるというふうなことになりますと、だんだんといろんなところで調査していくと。
 我々の方で、この会議の方でいただいている資料は、その最初の方の段階のやつでございまして、当然まだ実施しておりませんので、その段階におきまして見せていただいた地層の状況でいきますと、こういったところが液状化するんじゃないかというふうなことで判断しております。
 したがいまして、実際に施工し始めて、局部的にそういうところがありましたら、そういったのは当然その調査の中でわかってきますので、そういったところまで対策を打つということは当然必要になってくるんじゃないかと思います。それでよろしいでしょうか。

○増子委員 ありがとうございました。
 例えば、東京都が平成十八年にコンサルに調査委託した地盤解析データというのがございまして、この中でも五街区の七番という場所は、かなり有楽町層が浅くて、この表でいきますと深度十七・九五まで液状化対策想定深度ということに判定をされています。さらに、Yc層のさらに下にあるYs層については、五街区内では液状化する可能性が大きいという判定結果も書いてあります。明確に示されていまして、技術会議では、こういった地盤解析データをもとに液状化対策について検討されたのかどうか、お伺いしたいと思います。

○安田参考人 先ほどお話ししましたように、その最初の調査の結果をもとに我々は判断しておりますので、それは知っております。
 液状化の判定方法というのも、実はいろんな方法がございまして、最初の段階の概略調査では、通常、標準貫入試験といっておりますけれど、そういった、たたき込む値を使って液状化の判定を行います。ところが、それだとなかなか液状化の判定というものはわかりません。実際に本当にやろうと思いますと、ちゃんとした調査をやらないといけないということになります。
 それと、通常、地層が下にあるほど古い年代のときに堆積しておりますので、だんだん、エイジング効果というんですが、古い、時代がたつとともに土というのは締まっていきますので、液状化しにくくなります。例えば埋立地では、百年ぐらいたつと結構液状化しにくくなるというふうな話もございます。
 したがいまして、粘土層の下にある砂というのは、本当に液状化するかどうかというのは実際に調査してみないとわからないんですが、普通の感覚からいきますと、余り液状化することはないだろうというふうに考えております。
 それと、底面管理の問題もございますし、それから、先ほど話しましたように、万一そういうところが液状化したとしても、表層に液状化しない層が厚くありますので、地表に噴出することは絶対ないだろうというふうに考えております。よろしいでしょうか。

○増子委員 ありがとうございます。
 五街区では、先ほど先生、深層混合処理とおっしゃいましたか。私も、このTOFT工法というんですか、略してトフトというんですね。建設省と民間の企業が共同で開発した工法だというんですが、これを見ますと、ちゃんと液状化層の下まで対策を講じるという形になっているんですが、それもやっぱり、調査の結果やる必要がある場合もあるということと解釈してよろしいですね。

○安田参考人 先ほど話しましたように、概略調査だけではわかりませんので、実際に詳細な調査をやってみますと、もしかしたらそこに例えば何か人工的に掘削しているとか、そういうこともあるかもしれません。それはわかりません。ですから、そういう場合には、当然ちゃんと調査して、必要であれば対策をとることじゃないかと思います。

○増子委員 ありがとうございます。
 それでは、さきの参考人質疑で、平田先生から、五街区はベンゼンの汚染があるので、ベンゼン汚染があるところでは、基本的にはコンクリートで固めるというふうな対策はできないと。環境上許されていないと。土対法上も許されていないというお話がございました。また、ベンゼンという揮発性の物質が含まれている限りは、現地でそのままの形で固化できないので、ベンゼンを除去してからの対策となるというふうにお答えをいただいたと思います。
 畑参考人さんからも、ベンゼンや油分を含む土壌では、セメントを固める力が不十分で強度が出ないというお話も伺っていて、法的な問題はともかく、技術的な問題で、そういった平田先生や畑先生のような指摘については、どのような検証がされるんでしょうか。

○安田参考人 これは、どちらかというと土壌汚染の方の問題でございますので、液状化対策の問題じゃないわけでございますが、ベンゼンの場合は、要するに全部囲ってしまって対策をとるというのはできないというふうな意味で、そういう話になっておると思うんですが、今の場合は、ベンゼンは処理をするというふうなことになっていますので、まずはベンゼンが地盤の中に残ってないだろうというふうなことがまず一つございます。よろしいでしょうか。

○増子委員 つまり、ベンゼンが完全に撤去されたことが前提だというお話だというふうに受けとめました。
 それでは、ちょっと実証実験について最後にお伺いしたいんですが、十月七日の技術会議で、実績のない提案技術についても、三カ月程度の実証実験では効果の確認は可能ではないかとか、実証実験がなければ、実績のない提案内容は議論の対象から外れてしまうというようなことで実証実験を求める声が上がっていたと思うんですが、報告書では、公募に際して実証データや科学的根拠を明示することなどを条件としていることから、実証実験は実施せず、提案内容の記載事項に基づいて評価、検討を行うとされています。
 ところが、現在東京都は今月下旬から実証実験を行って、六月下旬までに実証結果を報告するということが既に公表もされ、報告もされていますが、この新技術や新工法の公募の方法について、第一回の技術会議でも話し合われていたと思いますが、なぜ技術会議では実証実験をしないという結論に達したのかをお聞かせいただきたいと思います。

○矢木参考人 お答えいたします。
 まず、そもそもの、たしか公募の中に、実証実験は含まないというようなことが書かれていたんじゃないかと思いますけれども、実はその実証実験もしっかりやったものを提案してくださいというようなことの書き方がありましたので、したがいまして、ほとんどの方がデータをちゃんとつけてくれました。
 ただ、新技術ですので、アイデアとか、データのないのがありました。そういうものは、じゃ、どうしようかということで議論になりました。せっかくいいアイデア、例えばバイオの場合ですと、菌を入れてやってしまうというんですけれども、やはりデータが少ないというようなことで、じゃ、これは実証できるだろうかと。そういうことになりますと、なかなか期間もありませんし、そもそもがしっかりとしたデータを出した上で実際にやれるものということを課題にいたしましたので、実証実験をしなきゃいけないようなものは、この中から落ちております。

○増子委員 ありがとうございました。

○高木委員 自民党の高木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうは先生方におかれましては、大変お忙しい中、ご出席をいただきまして、心から御礼を申し上げたいと存じます。
 専門家会議は、汚染状況や対策の方向性などの検討であったことから、会議を公開で行って、傍聴者との質疑まで行い、そして専門性が高い内容をわかりやすく伝えることが可能だったというふうに思っています。
 一方、技術会議は、実際の工事内容につながる技術、工法を検証するため、評価を公正、中立に行う観点、あるいはまた、提案事業者の知的財産への配慮の必要性から会議を非公開にしなければならなかったというのは、ある意味で当然のことかなと思っています。
 既に会議録などは公開をされているんですが、本日は直接先生方からお話をお伺いできるということですので、検討状況や、その対策の内容について、先ほどもお話しいただきましたけど、もう少し詳しくお尋ねをしたいと思っています。
 一月に行われた参考人招致で、新市場予定地の土壌汚染対策について、専門家会議の座長を務められた平田先生から、市場用地としての食の安全・安心を確保する、そういう目的にのっとって詳細な調査を行って、東京都だからできる徹底した万全な対策を提言された、そういう旨のご説明をいただいております。
 そこで、専門家会議の提言を技術会議において具体化をするに当たって、安全・安心をより高いレベルで確保したというふうに伺っているんですが、具体的にはどのような点で安全・安心を高めた対策になっているのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

○原島参考人 お答えいたします。
 専門家会議の提言は、環境基準を超える汚染物質をすべて除去して、施設開場後も地下水管理を行うことによりまして、人が生涯この場所に住み続けても健康への影響はないという極めて安全性の高い内容が提言されております。これをやってほしいということを提言されております。
 技術会議は、この専門家会議の提言を確実に実現すること、これを最優先課題といたしておりまして、公募その他で得られました最先端の技術を組み合わせるとともに、技術会議独自の検討を加えた土壌汚染対策を提言しているわけでございます。
 具体的には、地下水の浄化につきましては、建物の下とそれ以外を遮水壁で区分して段階的に浄化する、専門家会議はそういう提言をしておられますが、それ以上にさらに強化いたしまして、敷地全体にわたって、施設着工前に環境基準以下に浄化することで、建物周囲の遮水壁を不要としたということとか、液状化対策についても、先ほどご説明ございましたように、阪神・淡路大震災などで有効性が確認された、信頼性が高い、あるいはコスト面でもすぐれた工法を採用したことが挙げられます。
 さらに、域内に仮設プラントを設置することで、いわゆる外に対する環境負荷、外部に対する環境負荷を非常に低減を図りながら複合汚染を確実に処理することとか、施設開場後の地下水の管理水位を、専門家会議の提言である旧地盤面から二メートル下の位置からさらに二十センチメートル下げることで、集中豪雨時とか台風時に上がってまいりますが、そういったことについても十分対応は可能な対策になっております。
 このように技術会議から提言された土壌汚染対策は、より高いレベルで安全性、信頼性を確保して、あわせて経済性にもすぐれた内容になっているというふうに考えております。
 以上でございます。

○高木委員 大変よくわかりました。そういう意味で、先ほど原島先生からお話があったシステムエンジニアリングという考え方というのが、コーディネートとして大変大事だなというのは今改めてよくわかりました。
 予定地からベンゼンなどの高濃度の汚染物質が検出されているということですけれども、これが対策によって確実に汚染が除去できるのか、新市場予定地の安全が確保できるのかと不安に思う方もいるように聞いております。そして、そのような不安を移転整備反対につなげるために、確かな根拠を示さずに、都の対策が、安全が確保できないというような発言も多く私たちは聞いておりまして、大変遺憾に思っております。
 そこで、技術会議が取りまとめた具体的な技術、工法、あるいは、中温加熱処理、洗浄処理、微生物処理というお話が先ほどありましたけれども、環境基準の四万三千倍のベンゼンなどの高濃度の汚染物質を確実に処理できる、そのことをぜひ私たち、研究者でないというのか一般というか、素人にもというんでしょうか、もう少しわかりやすく、ご説明、もう一度いただけたら大変助かります。

○矢木参考人 お答えいたします。
 ベンゼンというのは、人間にとって大変害があるんですけれども、微生物にとりましては、例えば一%、一〇〇〇〇ppmということなんですが、一〇〇〇〇ppmのベンゼンを培養液の中に入れて、土壌をちょっと入れておきますと、大体一週間ぐらいで多くの土壌というのは浄化することができます。それはあくまでも実験室ですので、じゃ、現場でどうかということでございます。
 ベンゼンの浄化につきましては、一番高いところで、かなり高い濃度が出ておりましたけど、その濃度であれば、微生物的には全く問題なく浄化ができる濃度というふうに考えております。それはいろんなデータがございますので、もっと汚染した油汚染の場合ですと、もっと高いところがございます。そういう意味で問題のない濃度と考えております。

○高木委員 私たちにはオーバースペックと思われるほどの対策をされるんだろうなというふうに感じます。しかしながら、そういう対策を講じても、安全が確保できないというような人たちもいて、例えば地震による液状化がその一つの理由なんだというようなことをおっしゃられるときがあるわけであります。
 先ほど来、液状化のお話、安田先生からるるお話があったんですが、技術会議で提言された液状化対策、あるいは土壌汚染対策ですね、先日、くいの話が新聞にも載りましたけれども、豊洲の予定地に多数のくいが残されている状況で、そういう対策が有効なのかどうかというような疑問が出ていることも、これは間違いないことだというふうに思っています。ですから、そういう状況の中でも、確実に、液状化対策を含めてしっかりと土壌汚染対策ができるのかどうかを改めてご教示をいただきたいと思っています。

○安田参考人 今のご質問、土壌汚染対策というより液状化対策というふうに考えてよろしいでしょうか。

○高木委員 はい。

○安田参考人 先ほどお話しいたしましたように、二つの工法で液状化対策をやるわけでございますが、どちらの工法も実績がある工法でございまして、液状化は確実にとめられるというふうに思っております。
 それと、これは余分なことでございますが、くいがあるということは、実はそれだけで地震のときのこういった剪断変形をとめることになります。したがって、あるところなんかですと、くいを打ち込んだだけで液状化対策というふうなことをやったりもしております。
 ですが、この効果は今、全然見ておりませんので、そういった余分な効果も、余分なことでございますが、ございます。よろしいでしょうか。

○高木委員 土壌汚染対策というのは、多分専門性の高い分野だと思いますし、内容が難しいということから不安を持つ方が多かったというふうに思っています。
 しかしながら、きょう三先生にお越しをいただいて、私たちは、少なくとも私は、対策をきちっとすればこの土地というのは有効に使えるし、ましてや専門家会議がおっしゃられたように、厳しい基準もクリアができるんだというふうに感じました。
 原島先生、矢木先生、安田先生、本日はまことにありがとうございました。

○伊藤(興)委員 公明党の伊藤興一でございます。私の方からも、まずは、本日はお忙しい中、当委員会にお越しくださいまして、心より御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 私の方からも、何点か端的に質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどの畑先生の方からも、専門家会議、また技術会議について、メンバーの先生方についてのさまざまなお話がありましたけれども、まず私の方からは、この豊洲新市場予定地の土壌汚染対策について、専門家会議と技術会議というこの二つの会議体を設置して、重層的に検討を進められてきたというふうに伺っておりますけれども、技術会議から見たこの会議体制、二重の、二層の会議体制について、どのように意義があると思われているのか、その辺を伺いたいと思います。

○原島参考人 お答え申し上げます。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、専門家会議と技術会議という二つの会議体が設置され、双方とも科学的、あるいは技術的な見地から、土壌汚染対策の内容と、それを実現する具体的な技術、工法について検討したわけです。
 例えはよくないかもしれないですが、試験をつくる人と答える人が同じ人だというのは絶対あり得ないです。二つは必ずお互いに違う人、違う組織体であって、それぞれが独立した意見を持たなきゃいけないということでございます。決してなれ合いにならないという意味でございます。
 こうした複合的な、重層的な方法を採用したことにより、二重、三重のチェックが働きまして、食の安全、それから安心を高いレベルで確保しながら、かつ経費と工費を大幅に削減したと。要するに、あるリーズナブルな値の中に入れるという努力を我々はやったわけでございます。
 今回採用した技術、工法の特色は、広い許容性を持っております。許容性というのは、我々、テクニカル、技術的にはロバストネスといっているんですが、ある設定された条件でこの技術はうまくいきますよというときに、その最初の条件が少し動いても大丈夫ですかと。どちらかというと、人間でいうと、丈夫ですかというような話でございますが、できるだけそういうロバストネス、許容性を持った技術を使うことによりまして、ある程度の想定しないことが周辺で起こっても、十分対処が可能な方法になっているということでございます。
 したがいまして、与えられた条件では確かに動きますと。ちょっとでもずれたらどうなるんですかという問いに対して、割合と安定であるという、ロバストネス、丈夫であるということでございます。
 こういった非常に多くの技術を公募によって我々は集積いたしまして、その中から一つのシステムをつくり上げてきたわけでございます。私どもにとっても、システムエンジニアにとっても非常にいい勉強になりました。
 日本の技術を信頼いたしまして新たな発想で検討を行ったことによりまして、大変いい結果が出たというふうに考えて、皆様方にはご安心いただけるのではないかというふうに確信いたしております。
 以上でございます。

○伊藤(興)委員 ありがとうございます。
 続きまして、先ほど高木先生の方からも少し触れられておりましたけれども、技術会議の提言につきましては、専門家会議の提言を具体化するに当たって、通常、一般の土壌汚染対策の技術、工法に比べて、今回の場合は生鮮食料品を扱う市場予定地として、特に安全・安心を確保するために手厚い技術、工法を選定されていると思いますけれども、こうした観点から、技術会議提言の特色をちょっと具体的に伺えればと思います。

○原島参考人 お答えいたします。
 技術会議では、専門家会議の提言を具体化するに当たりまして、広く民間企業等から新技術、新工法を公募し、その評価、検証を経て、実効性や施工性などにすぐれた提言をしているわけです。
 主な特徴は三つございまして、まず第一点目でございますが、安全・安心を高いレベルで確保していることが第一点でございます。この提言した対策というのは、予定地の汚染状況、土質特性に合った最適な技術、工法を組み合わせた総合的な対策であると。専門家会議の提言を確実に具体化しております。
 さらに、汚染地下水を、建物、敷地区域の内外に分けず、最新工法を活用して一気に浄化することにより、段階的に浄化していくといった専門家会議の提言を一層高いレベルで具体化しているということ。
 第二点の特徴でございますが、最先端の新しい技術、工法を各種採用したことでございます。土壌汚染状況に応じてきめ細かく分類して、微生物処理、加熱処理、複合的な汚染物質を一括して洗浄できる新たな処理など、汚染状況に最適な技術、工法を組み合わせて採用していることでございます。
 また、汚染地下水の浄化は、強力な揚水ポンプや井戸の周囲にガスを吸引する管を併設いたしまして、ベンゼンを揮発させて吸引するという技術を組み合わせた先進的な工法で、汚染地下水の早期浄化を実現しております。
 それから、第三点目の特徴でございますが、確実に施工可能な技術、工法であるということでございます。採用した技術、工法は、新しいということはもちろん我々の頭の中に入っているのでございますが、かつ実績にも裏打ちされておりまして、確実に汚染物質の除去が可能で、実証データ、実績、そして必要な場合には提案された方に直接ヒアリングをいたしまして、実効性の確認をいたしております。
 以上の三点が主要な特徴でございますが、このように技術会議の提言は、市場用地としての安全・安心に万全を期した信頼性の高いものであると考えております。
 以上でございます。

○伊藤(興)委員 ありがとうございました。
 続きまして、先ほどもちょっと話に出ておりましたけれども、くいのことについて伺いたいと思います。
 都市構造物の下には、いわゆるこうしたくいが打ち込まれているということは当たり前のことでありますけれど、今回は一万八千本という、一部の報道でも、報道がございました。
 このくいについては、土壌汚染対策に直接の問題や影響はないと先ほどお話しいただきましたけれども、表面を伝わって汚染が広がるのではないかとか、あるいは腐食してそこから汚染が広がるんじゃないかと、こうした懸念もあると思いますけれども、この辺、いかがでしょうか。

○安田参考人 くいというのは、上の構造物を支持させるときに、二つのメカニズムで支持させております。
 一つは、くいの周面の摩擦力で支持するんですね。くいがこう押し込まれようとすると、地盤の方が、待て待てというので、摩擦力で支えます。これは周面摩擦といっております。
 もう一つは、浅いところにかたい層がありますと先端で支えられますので、これを先端支持といっておりまして、この二つのメカニズムでくいを支えるというふうになっています。
 といいますことは、くいの周面に土がべったりくっついてないとその摩擦力は発揮できませんので、通常、くいにべったり土がついているというのが普通でございます。したがって、そこにすき間があくということは、本来考えられないというふうに思っております。
 それから、鋼管ぐいの場合ですと、当然、どんどん長年たちますと腐食いたします。したがいまして、その腐食を見込んでくいの厚さなんかも決めておりますし、大体そういった腐食するよというふうに考えております。
 ただ、密着性の問題は、今のようなことでずっと密着しているというふうに考えてよろしいと思います。

○伊藤(興)委員 よくわかりました。大変にありがとうございました。
 技術会議では実証実験は必要ないとしておりますけれども、今回、都が行う実験は、実証実験ではなくて適用実験であるというふうにいわれております。この違いをちょっと教えていただきたいのとともに、この都が行う適用実験につきまして、技術会議から都に、何か技術会議の立場から助言があれば伺いたいというふうに思います。

○矢木参考人 技術会議では、十分な実証のデータがあるからということで、実証実験は必要ないという結論を出したわけなんですけれども、今回、都がやられると聞いております実験は、実証実験というよりは、実際に施工するに当たって工事が順調にできるかとか、あるいは実際やるに当たった場合にどういう問題点があるかとか、そういうような施工面での解明をしたいというふうに聞いております。
 私は、具体的にこういう実験をやるというのを最近伺ったんですけれども、その中ではモニタリングをやっぱりしっかりいたしまして、例えば今度の実験におきましては、空気量の調整だとか、あるいは温度の設定だとか、あるいは微生物の数を数えるとかですね、そういったようなモニタリングをしっかりやりますと、もし浄化実験をやるような場合には非常にコストが安く、早くできると、そういうデータが出てまいりますので、大変重要な意味のある実験だと考えております。
 以上です。

○清水委員 日本共産党の清水ひで子です。本日は、当委員会においでいただきましてありがとうございます。
 それでは、まず初めに、ただいまの委員の質問もありましたが、技術会議の報告書では、実証実験は実施しないというふうにされておりますが、実際に委託契約書、仕様書ですね、そこには適用実験ということで示されているわけです。それが今いわれたことが適用実験というふうにいっているということなんですけれども、まず、今もご説明がありましたが、この二つの言葉の違いを、内容の違いのご説明を、先ほど時間が少なかったんで、もしまだつけ加えるところがあれば、まずいただきたいと思います。
 それから、対策内容の効果を確かめる室内実験とか、それから実証実験、そして適用実験というふうにいくのではないかというふうに私たちは考えるわけですけれども、そうした前段の室内実験や実証実験もしないで、ここでは適用実験というふうになるわけなんですけれども、そういうやり方でよいとお考えでしょうか。
 豊洲というのは、先ほどの説明もありましたように、内容面でも面積の面でも日本で最大の汚染というふうに先ほどの畑先生からご説明があったんですけれども、効果があるかどうかという必要な実験もせずに、適用実験だけで安全の宣言をするということは、極めて危険であるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
 この実験を行うのであれば、室内実験、実証実験を行うことを含めて、汚染対策の結果を長期間かけて検証した方がよいとはお考えにはならないでしょうか。お答えいただきたいと思います。

○矢木参考人 お答えいたします。
 今回、都が行う適用実験というのは、技術会議で選定された技術、工法を豊洲新市場予定地で実際に行うことによりまして、施工性などを高めるための諸条件を確認するための実験というふうに聞いております。
 したがいまして、技術会議で行う必要がないとした実証実験とは異なると考えておりまして、要するに、ここで提言いたしました浄化方法というのは、もういろんなところで実際に使われている方法であります。
 したがいまして、それを実証するというよりは、先ほどご質問にありましたけれども、適用実験では、いろいろな条件で室内実験も同時にやっていただきまして、どういうような方法でやったらば、より施工性が上がるか、期間が短くできるかと、そういうような室内実験もぜひその適用実験の中に入れていただければいいのではないかと、こういうふうに考えております。
 以上です。

○清水委員 それでは、その適用実験についてですけれども、都側のこの仕様書の中身を見ますと、また、説明が前にもありましたけれども、一カ月半程度で中間報告を出して、約五カ月で報告書をまとめるというやり方ですが、これで正確な判断を下せる結果が出るとお考えでしょうか。
 土壌汚染対策法に基づくことになれば、水質汚染がある場合、対策を講じて、指定地域を解除するためには、二年間にわたって地下水をモニタリングして、基準をクリアすることが必要だというふうにしています。
 適用実験というならば、そうしたものに準じて、先ほどは一年ぐらいといわれましたけれども、二年くらいかけて結論を出すことが必要だと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○矢木参考人 お答えいたします。
 今回の適用実験というのは、先ほど申し上げましたけれども、三つのバイオと、それから加熱処理と洗浄と、それと地下水の処理というのが加わりますけれども、そういったものを実際にやってみるということであると聞いておりますけれども、例えば加熱処理とか洗浄処理では、過去たくさんのデータがございます。したがいまして、これはもう一カ月あれば、多分答えが出てくるものだと思います。
 バイオの場合が一番やっぱり問題だと思います。バイオの場合は、ケース・バイ・ケースで、どれくらいの濃度で汚染されているかということで、濃度が低い場合には一カ月で浄化が完了いたします。
 ただ、一般的に、今回やります地中に空気を入れるというような手法ですと、名古屋でもう実際に同じような条件でやられたんですけれども、二年ではだめで、三年で完全にきれいになったという報告がございます。これはもう、ですから三年やればきれいになるというデータはあるんですけれども、今回の場合は目的がちょっと違いまして、地中に空気を入れるというのは、少しでもベンゼンを減らそうということでありますから、ベンゼンの分解というのは、最初、急激に落ちます。最後なかなかいかないというのが手法ですので、大体半年ぐらいやれば、かなり成果がわかるということでありまして、一カ月ごとのモニタリングをやることによって将来の予測ができるということで、今回の場合は五カ月ぐらいありますでしょうか、そういたしますと、まず答えは出てくると。
 それからもう一つは、バイオパネルと呼んでおりますけれども、土を重ねて、掘り起こして、重ねて窒素と燐を入れるわけですけれども、この場合には、もう早い場合は一週間ぐらいで浄化されてしまうケースもあります。ベンゼンのこの濃度でしたらかなり早いんではないかと思いますが、そういう意味で、バイオパネルの方はもう三カ月ぐらいあれば答えが出てくると考えていいんじゃないかと思います。
 以上です。

○清水委員 仕様書では、適用実験を行う上で、現況の汚染実態調査を行わないことになっています。前の先生にも質問したんですけれども、最近、東京ガスの跡地に約一万八千本のくいが埋設されていたことが明らかになりました。
 この点について、専門家会議の平田座長さんも、土壌汚染の通り道になる可能性がないとはいえないと指摘していたわけですけれども、現時点に立って、適用実験を行うのであれば、現況調査を行った上で適用実験を行うことが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○矢木参考人 お答えいたします。
 くいの打ってあることについては、私も新聞報道でちょっと知らせていただきましたので、どういう状況かよくわかりませんけれども、土壌汚染の対策をする場合には、要するに土がまず掘れるかどうかということでありまして、土壌が掘削できるということであれば、まず、くいがあっても問題はないというふうに考えております。
 それから、現地に空気を入れるというような場合にも、くいがあっても、それは浄化に対しては問題ないというふうに考えられます。
 以上です。

○清水委員 技術会議が提案した技術は、すぐれた技術、新しい技術、工法といわれていますが、適用実験の仕様書では、既存のものも可とされています。東京ガスの浄化対策で行われた技術と比べ、どのような内容を指して、すぐれた、新しいといわれるのでしょうか。
 技術会議の提案の処理方法は、既存の技術で、東京ガスの対策工事で既に実施されたものではないかという意見がありますが、いかがですか。
 東京ガスの浄化対策は、結果的に成功していなかったことは明らかであり、この対策はどこがどう違うのでしょうか。ご説明をお願いいたします。

○原島参考人 お答え申し上げます。
 技術会議では、技術の公募をしたわけでございますが、応募のあった二百二十一件、提案されたわけでございますが、その中から、できるだけ最新のものにつきまして、実効性、施工性などを評価基準といたしまして、科学的な見地から多角的に評価、検証を行ったわけでございます。
 その結果を踏まえて、豊洲地区に最適な技術、工法を定めたわけでございますが、どこが違うか、どこが新しいかといいますと、一つは、例えばバイオ処理を大々的に導入いたしまして、バイオ処理は、ただそれを使ってやるということではなくて、熱処理、それから洗浄を、各地域のそれぞれの土地の汚染状況に合わせて、それを最適な組み合わせをして、管理をするという、これはコンピューターがない時代なら多分できなかっただろうと思いますが、最近の工程管理でもってそういったことができるようになっておりますので、そういった新しいシステムを組み合わせてやっているということが、かなり重要な点でございます。
 それから、さらに既存の技術、今まで余り使われてなかったというか、大々的に使われてなかったものでは、現場の土とセメントを混合させてつくるソイルセメントを遮水材に組み合わせた新構造の遮水壁、これはむしろコストの削減に非常に大きくきいている点でございます。
 それからまた、地下水の浄化につきましては、井戸の周囲にガスを吸引する管を併設いたしまして、土中に残ったベンゼンを揮発して吸引するという二つの技術を組み合わせた先進的な工法を、これはまた今まで余り使われていなかった工法を選定しております。
 さらに、ITの活用をいたしまして、国内最大級だと思われますが、地下水の管理システム、これは斬新な、IT技術を使った工法が使われている。
 以上、要約しますと、非常に簡単にいいますと、最新の技術を最適に組み合わせたシステムを構築したということが、大変新しいという点でございます。
 以上でございます。

○清水委員 わかりました。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 原島参考人、矢木参考人及び安田参考人からの意見聴取はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、原島参考人、矢木参考人及び安田参考人からの意見聴取は終了いたしました。
 原島さん、矢木さん、安田さん、本日は貴重なご意見、まことにありがとうございました。心より御礼申し上げます。
 それでは、どうぞご退室願います。
 お諮りいたします。
 本件に対する参考人からの意見聴取はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、本件に対する参考人からの意見聴取は終了いたしました。
 なお、本件に対する理事者への質疑は会期中の委員会で行います。ご了承願います。
 この際、議事の都合上、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

   午後三時二十七分開議

○小沢委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 次に、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○岡田中央卸売市場長 平成二十二年第一回都議会定例会に提出を予定しております中央卸売市場の案件につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の提出予定案件の概要の一ページ目をお開き願います。
 今回提出を予定しております案件は、平成二十二年度東京都と場会計当初予算案外一件でございます。
 平成二十二年度東京都と場会計当初予算案につきましては、歳入及び歳出予算は、ともに六十四億一千四百万円といたしました。
 平成二十二年度東京都中央卸売市場会計当初予算案につきましては、予算総額は、収益的収支と資本的収支の合計で、支出規模一千五百七十五億円、収入規模八百二十五億三千二百万円といたしました。
 次に、平成二十二年度当初予算案の編成の考え方につきましてご説明申し上げます。
 日本経済の直近の動向を見ますと、景気は持ち直してきておりますが、高い失業率や下落傾向にある物価水準など、依然として厳しい情勢にあります。中央卸売市場におきましても、生鮮食料品の低価格化が続くなど、市場を取り巻く流通環境は厳しく、市場業者の経営は悪化の一途をたどっております。
 今回の予算編成では、こうした現下の厳しい状況をいかにして克服し、中央卸売市場を生鮮食料品流通の拠点として、将来にわたって都民に安定的に生鮮食料品を供給し続けていくかが課題となりました。
 このため、保有資金の効率的な運用など、収入の確保に努めるとともに、事務事業につきまして徹底した精査を行った上で、流通環境の変化に対応した施設整備、市場の活性化に対する事業支援など、時宜にかなった事業を展開し得る予算編成を行いました。
 この予算の第一ポイントは、第八次東京都卸売市場整備計画の最終年度に当たりまして、全十一市場につきまして、老朽化施設への対応、物流の効率化、品質管理の高度化など、流通環境の変化に対応した施設整備、衛生対策に積極的に取り組んでいくことでございます。
 第二に、中央卸売市場の機能や市場業者の取り組みなどを広くPRする事業、そして、市場業者が取り組む先進的なビジネスモデルへの助成など、市場の活性化に向けた取り組みを行ってまいります。
 第三に、「十年後の東京」の計画の実現に向けまして、屋上緑化による緑化空間の創出、太陽光発電施設の整備など、市場が取り組むべき環境負荷の低減に継続して対応してまいります。
 豊洲新市場の整備事業につきましては、この二月から豊洲新市場予定地におきまして、十六カ所で土壌汚染対策の実験を進めております。この実験の有効性を確認した上で、速やかに二十六年度中の開場に向け事業に着手できる予算として、土壌汚染対策工事の設計、建設工事の基本設計、用地取得など、必要な経費を計上しております。
 今後とも、中央卸売市場の基本的使命でございます生鮮食料品の安定的供給、食の安全・安心の確保に全力を尽くしてまいります。
 以上で、平成二十二年第一回都議会定例会に提出を予定しております案件の概要につきまして説明を終わらせていただきます。
 なお、詳細につきましては管理部長より説明させていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○後藤管理部長 それでは、今回提出を予定しております平成二十二年度当初予算案二件につきまして、お手元の配布資料に基づきましてご説明申し上げます。
 初めに、資料1の平成二十二年度東京都と場会計当初予算の概要につきましてご説明いたします。
 一ページをお開き願います。
 上段の表の1の予算総括表の歳入及び歳出につきましては、ともに六十四億一千四百万円で、前年度に比べ二億四千三百万円の減でございます。
 下段の2の事項別一覧表でございます。
 (1)の歳入の主なものについてでございますが、使用料及び手数料は、と畜解体に伴う使用料及び手数料で、十六億一千四百万余円でございます。
 繰入金は、と場事業の収支不足額に対する一般会計からの繰入金で、四十五億二千百万円でございます。
 都債は、と場の施設整備事業の財源として発行するもので、二億二千五百万円でございます。
 二ページをお開き願います。(2)の歳出でございます。
 管理費は、職員の人件費等で、二十三億二百万余円でございます。
 運営費は、と場の維持管理等に要する経費で、二十五億八千三百万余円でございます。
 施設整備費は、衛生改善工事等に要する経費を計上しており、二億四千二百万余円でございます。
 公債費会計繰出金は、都債の元金償還金及び利子等に要する経費で、十二億八千五百万余円でございます。
 以上が平成二十二年度東京都と場会計当初予算の概要でございます。
 続きまして、資料2の平成二十二年度東京都中央卸売市場会計当初予算の概要につきましてご説明をいたします。
 一ページをお開き願います。1の予算総括表でございます。
 中央卸売市場会計は、地方公営企業法の財務規定等の一部を適用しておりますので、予算は収益的収支と資本的収支に分けております。
 上段の(1)は収益的収支で、市場の経常的な事業活動を経理するものでございます。
 市場事業収益は百九十九億九千二百万円で、前年度に比べ二十二億七千四百万円の減でございます。
 市場事業費は二百億五千五百万円で、前年度に比べ四億三千三百万円の増でございます。この結果、収益的収支の差し引きは六千三百万円のマイナスとなりました。
 中段の(2)は資本的収支で、市場の建設改良事業等を経理するものでございます。
 市場資本的収入は六百二十五億四千万円で、前年度に比べ六百十億七千九百万円の増でございます。これは、市場施設の建設改良事業の増に伴い、企業債の収入等の増を見込んだためでございます。
 市場資本的支出は千三百七十四億四千五百万円で、前年度に比べ千二百八十億一千四百万円の増となっております。これは、市場施設の建設改良に要する経費の増を見込んだためでございます。
 この結果、資本的収支は七百四十九億五百万円の不足となりますが、損益勘定留保資金その他により補てんをいたします。
 下段の(3)は、中央卸売市場会計の収入、支出の合計を記載してございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 続きまして、二ページをお開き願います。2の事項別一覧表でございます。
 (1)の収益的収入でございます。
 表の一番上の市場事業収益でございますが、百九十九億九千二百万円で、内訳を予算科目別にお示ししてございます。
 主なものといたしまして、市場使用料は百十七億一千七百万円で、前年度に比べ一億一千百万円の減でございます。これは、施設使用料等の減を見込んだためでございます。
 一般会計補助金は、市場取引に対する業務指導等の行政的経費に対する補助金で、二十億七千九百万円でございます。
 雑収益等は三十七億七千三百万余円で、前年度に比べ一億五千三百万余円の減でございます。これは、業者使用分に係る光熱水費の受け入れ等の減を見込んだためでございます。
 特別利益は、大江戸線築地市場地下部の区分地上権設定対価相当額等の収入を見込み、十七億三千三百万余円でございます。
 次に、(2)の収益的支出でございます。
 表の一番上の市場事業費でございますが、二百億五千五百万円で、内訳を予算科目別にお示ししてございます。
 管理費は、職員の人件費や市場施設の維持管理等のための経費で、百二十八億二千三百万余円で、前年度に比べ三億七千百万円の減でございます。これは、人件費等の減によるものでございます。
 業務費は、市場取引の指導監督等に要する経費で、一億五千五百万余円でございます。
 減価償却費等は、五十三億二千万余円でございます。
 生鮮食料品流通対策費は、市場PR事業、地方卸売市場の指導監督、助成事業等に要する経費で、二億三百万余円でございます。
 支払い利息等は、市場施設を整備するための財源として発行いたしました企業債に係る経費等で、七億六千三百万余円でございます。
 特別損失は七億八千九百万余円で、施設整備に伴う固定資産の除却損等でございます。
 三ページをお開き願います。(3)の資本的収入でございます。
 表の一番上の市場資本的収入でございますが、六百二十五億四千万円で、内訳を予算科目別にお示ししてございます。
 企業債は、市場施設を整備するための財源として発行するもので、六百十一億一千五百万円で、前年度に比べ六百七億七千四百万円の増でございます。これは、豊洲新市場の整備事業の財源を確保する必要から、新規の企業債等を見込んだためでございます。
 その他、国庫補助金及びその他資本収入を見込んでおります。
 (4)の資本的支出でございます。
 表の一番上の市場資本的支出でございますが、千三百七十四億四千五百万円で、内訳を予算科目別にお示ししてございます。
 建設改良費は、流通環境の変化や既存施設の老朽化等に対応するための施設整備に要する経費で、千三百四十四億四百万余円で、前年度に比べ千二百六十五億五千五百万余円の増でございます。これは、豊洲新市場予定地の用地取得等によるものでございます。
 建設改良費のうち、施設拡張費千三百十五億六百万余円について、主なものを一覧にしてございます。
 豊洲新市場につきましては、千二百八十億九千七百万余円で、用地取得、土壌汚染対策工事実施設計、建設工事基本設計の経費を計上してございます。
 なお、豊洲新市場の建設工事につきましては、PFI方式から直営方式に変更をいたしました。
 また、食肉市場の市場棟衛生対策工事、大田市場の立体荷さばき施設建設に伴う設備の切り回し工事、その他、各市場の環境衛生対策や市場機能の向上を図るための整備を行う予定でございます。
 企業債償還金は、企業債の元金償還に要する経費で、三十億二千七百万余円で、前年度に比べ十四億五千七百万余円の増でございます。
 以上が平成二十二年度東京都中央卸売市場会計当初予算の概要でございます。
 以上をもちまして、平成二十二年第一回都議会定例会に提出を予定しております案件につきまして説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小沢委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○伊藤(ゆ)委員 私の方から資料要求をさせていただきます。
 二十二年度の中央卸売市場会計における豊洲関連予算の内訳と概略及び用地購入先の内訳--平米数、金額、イコール東京ガスですが、港湾臨海会計、港湾一般会計です。
 さらに、豊洲地区用地の土壌処理に関する確認書。
 豊洲新市場予定地内に残置される地下埋設物の取り扱いに関する協定書。
 換地設計の変更に係る合意。
 豊洲新市場予定地内の配水管等の取り扱いに関する協定書。
 実証実験に関しまして、以下の資料要求を申し上げます。
 豊洲新市場予定地汚染物質処理に関する適用実験に関する土地利用の履歴と調査届け出書。
 土壌汚染の調査状況報告書。
 汚染拡散防止計画書、提出書。
 豊洲新市場予定地汚染物質処理に関する適用実験委託、いわゆる実証実験仕様書、以上です。

○清水委員 七点お願いいたします。
 市場別業者数の推移。
 二点目、取引方法別割合及び取扱金額の推移。
 三点目、PFI事業のこれまでの検討経過。契約業者、事業委託とその成果の各内容と経費。
 PFI事業の整備手法見直しに至った検討内容、検討結果。
 全国で現地再整備を実施した事例。
 築地市場の現在地再整備と利点に関する経緯の、既にある資料中、審議会、議会の決定などの決定機関を加えた資料をお願いいたします。
 最後に、豊洲新市場予定額の事業別内訳をお願いいたします。
 以上です。

○小沢委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 ただいま伊藤理事、清水委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○小沢委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○黒川参事 豊洲新市場の整備手法見直しにつきまして、お手元に配布しております資料によりご報告いたします。
 資料3をお開きください。
 豊洲新市場の整備につきましては、当初、PFI方式の導入を検討してまいりましたが、土壌汚染対策と建設工事等のふくそうにより、PFIの導入効果であるVFM、バリュー・フォー・マネーが見込めないことや、平成二十六年度中の開場を実現するために、直営方式に見直すことといたしました。
 まず、1のこれまでの経過についてでございます。
 平成十八年十二月にPFIの実施方針及び要求水準書案を公表いたしましたが、平成十九年三月には、予定地の土壌汚染対策の検討の必要から、PFIスケジュールの延期を公表したところでございます。
 その後の経過については、記載のとおりでございます。
 次に、2の見直しの理由でございます。
 (1)のバリュー・フォー・マネー導入の効果についてでございますが、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策は、市場施設の建設期間中や開場後も地下水の管理等を継続することから、土壌汚染対策とPFIによる市場施設の整備、運営が同地区、同時期に実施されます。これにより、PFI事業は土壌汚染対策とのふくそうによる制約が生じることとなります。
 このため、PFIに参加する民間事業者が、これらの制約をリスクとみなして事業費を上乗せして見積もることや、契約変更に伴う追加費用が発生することなどが想定され、民間事業者によるコスト削減効果、いわゆるバリュー・フォー・マネーが見込めないこととなります。
 次に、(2)の開場スケジュールについてでございますが、今回、新市場予定地の土壌汚染処理につきまして、技術会議が定めた技術、工法の実験を行い、その有効性を確認した上で事業を進めてまいります。
 このため、実験結果が明らかとなります本年六月以降に実施方針などの手続を開始した場合、開場スケジュールの実現が困難となります。
 見直しの理由につきましては、以上でございます。
 最後に、3の今後の対応でございます。
 豊洲新市場に係る今後の施設整備につきましては、直営方式といたしまして、民間の技術やノウハウを活用した手法の導入を検討してまいります。
 以上、簡単ではございますが、豊洲新市場の整備手法の見直しにつきまして説明を終わらせていただきます。

○小沢委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○小沢委員長 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○関労働委員会事務局長 平成二十二年第一回都議会定例会におきましてご審議をお願いしております労働委員会事務局所管の議案についてご説明申し上げます。
 今回提出を予定しております案件は、平成二十二年度一般会計予算案一件、平成二十一年度一般会計補正予算案一件、及び東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例案一件でございます。
 まず、平成二十二年度一般会計予算案についてご説明を申し上げます。
 お手元の資料1、平成二十二年度一般会計予算説明書の一ページをお開きください。当局所管分の総括でございます。
 歳出額は六億七千二百万円で、労働委員会の運営に要する経費及び事務局の運営に要する経費を計上したものでございます。
 歳入額は、使用料及び手数料として二千円を見込んでおります。
 次に、二ページをお開きください。歳出予算の事項別説明でございます。
 まず、労働委員会の運営に要する経費は、二億三千四百九十五万余円でございまして、前年度当初予算額と同額となっております。
 経費の内訳ですが、会長を含む委員三十九名の報酬が二億二千百十九万円、不当労働行為事件の審問に出席した証人への費用弁償など委員会運営費が一千三百七十六万余円でございます。
 次に、労働委員会事務局の運営に要する経費は、四億三千七百万余円でございまして、前年度当初予算に比べ一千万円の増となっております。これは、給与関係費が共済組合負担金率の改定により増となったことなどによるものでございます。
 経費の内訳でございますが、事務局職員の人件費が二億九千七百三十七万余円、その他職員関係費が七千七百七十一万余円で、審問に際しての速記料、命令書の印刷等の事件関係書類印刷経費など、事務局運営費が六千百九十四万余円でございます。
 これらを合計いたしますと、歳出総額は六億七千二百万円で、前年度当初予算額に比べ一千万円の増、増減率では一・五%の増となっております。
 以上で平成二十二年度一般会計予算案についてのご説明を終わらせていただきます。
 引き続きまして、平成二十一年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、平成二十一年度一般会計補正予算説明書の一ページをお開きください。補正予算の事項別説明でございます。
 労働委員会事務局の運営に要する経費の既定予算額、四億二千七百万余円に対しまして、補正予算額は五百四万余円の減額でございます。これは、職員の給与改定等に対応するために減額予算措置を講ずるものでございます。
 以上で平成二十一年度一般会計補正予算案についてのご説明を終わらせていただきます。
 引き続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料三、条例案の一ページをお開き願います。これは労働委員会委員の報酬につきまして、東京都特別職報酬等審議会の答申の趣旨に基づき、所要の改正を行うものでございます。
 二ページの新旧対照表をごらんください。改正部分は別表に掲げてございます月額報酬でございます。
 会長につきましては、五十三万二千円を五十三万円に、会長代理及び公益委員につきましては、四十七万四千円を四十七万二千円に、その他の委員、これは労働者委員及び使用者委員でございますが、四十三万五千円を四十三万三千円にそれぞれ改定するものでございます。
 なお、この条例は、附則にございますように、平成二十二年四月一日から施行することといたしております。
 以上で条例案についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小沢委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○小沢委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○前田産業労働局長 平成二十二年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております産業労働局関係の案件につきまして、お手元の提出予定案件の概要に沿いましてご説明申し上げます。
 提出いたします案件は、平成二十二年度当初予算案五件、平成二十一年度補正予算案一件、条例案三件、合計九件でございます。
 現在、我が国の経済状況は、持ち直しの兆しが出ているものの、東京の産業基盤を支えてきた中小企業を取り巻く経営環境は依然厳しい状況が続いております。また、雇用の面においては、求人数の低迷が続いて、雇用の確保をめぐる都民の不安は解消されない状態ともなっています。
 このため、産業労働局では、昨年六月、十二月と二度の補正予算により、緊急の中小企業支援や雇用対策を実施しているところですが、現下の経済雇用情勢のもとでは、引き続き効果的な対応策を展開することが必要であります。
 こうしたことから、平成二十二年度当初予算においては、さまざまな課題に的確な対応が図れるよう、一般会計で前年度比二四・一%増と大きな伸びを示す規模の予算となっております。
 都民生活に欠かせない経済・雇用施策を担当する主要局として、こうした予算額の重さをしっかりと受けとめ、身を引き締めてこれからの事業運営に万全を期し、取り組んでいく所存でございます。
 新年度の主な事業について申し上げますと、第一に、中小企業対策では、個々の中小企業の経営課題を明らかにするとともに、販路の拡大を支援する、目指せ中小企業経営力強化事業を新たに実施いたします。
 また、この二月にオープンする産業サポートスクエア・TAMAに続いて、区部の産業支援拠点を平成二十三年度に開設するための工事を着実に進めてまいります。
 金融支援においては、中小企業制度融資及び地域の金融機関と連携した新たな金融支援策により、都内中小企業の資金調達ニーズに十分な対応を図ってまいります。
 さらに、商店街の意欲的な取り組みに対しては、新・元気を出せ商店街事業及び進め若手商人育成事業を実施するなど、さまざまな施策を総合的に展開し、商業活動の支援を進めてまいります。
 第二に、観光産業の振興では、新たな観光資源づくりに向けて、歴史的建造物等を活用した観光まちづくり及びアニメによる観光客誘致支援事業を実施いたします。
 また、本年十月に羽田空港が国際化する時期に合わせ、東京の観光地としての魅力を発信するイベントを実施するとともに、観光案内標識の整備によって観光客の受け入れ体制を充実するなど、国内外からの旅行者の誘致を積極的に推進してまいります。
 第三に、農林水産対策では、都市農業における農家の経営力強化を図るため、都市農業経営パワーアップ事業により新たな支援を行うとともに、食の安全安心・地産地消拡大事業では、新鮮で安全・安心な農産物を都内で生産し、提供するなどの取り組みを進めてまいります。
 また、今後、東京の森林整備を担っていく林業従事者を緊急的に確保、育成する林業労働力緊急確保対策や、島しょ漁業の支援に欠かせない調査指導船「みやこ」の代船建造を着実に進めるなど、引き続き都内農林水産業の振興に努めてまいります。
 第四に、雇用就業対策では、依然として厳しい雇用環境に対応するため、国の交付金を活用した東京都ふるさと雇用再生特別基金事業及び東京都緊急雇用創出事業により、東京都及び区市町村における積極的な雇用創出に向けた事業を実施いたします。
 また、少子化打破に向け、創意工夫で働き方を改革する企業の取り組みなどを東京モデルとして発信するほか、ワークライフバランスの実現に向け、各種イベントを実施するなど、さまざまな取り組みを進めることにより、仕事と子育てを両立する機運の醸成を図ってまいります。
 加えて、離職者等が再就職に必要な能力を身につけられるよう、民間教育機関を活用した委託訓練を拡充するとともに、保育の問題を抱える求職者に対しては、保育サービスつきの訓練を実施するなど、少子化対策も踏まえたきめ細かな対応を図ってまいります。
 こうした内容を盛り込んだ平成二十二年度当初予算案では、一般会計の総額は四千五百十二億三千万円で、前年度に比べまして八百七十五億一千三百万円、率にして二四・一%の増でございます。
 主な対策別の内訳は、中小企業対策三千八百八十億五千百万余円、観光産業振興十八億九千二百万円、農林水産対策百二十六億八千五百万余円、雇用就業対策三百六十八億三百万余円でございます。
 このほか、繰越明許費として六億四百万円を、債務負担行為として七百二十八億一千万余円をそれぞれ計上しております。
 また、中小企業設備導入等資金会計を初めとする四つの特別会計と合わせました全会計の当初予算案の金額の合計は、四千五百五十六億六千四百万円でございます。
 続きまして、平成二十一年度補正予算案についてご説明いたします。
 今回の補正予算案は、一般会計の歳入歳出予算に関して補正を行うもので、第一に、緊急雇用対策を拡充するため国から交付金を受け入れ、平成二十二年度以降に実施する雇用創出の事業の財源として、これを既設の基金に積み増すものでございます。
 第二に、契約金額が予定額を下回るなどの理由で不用額が生じる事業に係る予算の減額を図ることとしております。
 引き続きまして、条例案については、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例、東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例及び東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例の三件の条例案の提出を予定いたしております。
 以上で第一回定例会に提出を予定いたしております案件の概要説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○三枝総務部長 それでは、今回提出を予定してございます産業労働局所管の案件につきまして、お手元の配布資料に基づいてご説明を申し上げます。
 初めに、資料1、平成二十二年度当初予算案の概要をごらんいただきたいと存じます。恐れ入りますが、説明に当たりましては、金額の百万円未満を切り捨てさせていただきます。
 二ページをお開きください。平成二十二年度産業労働局予算総括表でございます。
 一般会計と四つの特別会計を合わせた平成二十二年度予算額の総合計は、左下の歳出合計の欄にお示ししたとおり、四千五百五十六億六千四百万円でございます。このうち一般会計は四千五百十二億三千万円で、前年度より金額で八百七十五億一千三百万円、率で二四・一%の増となってございます。
 五ページをお開きください。一般会計の1、事項別歳出予算内訳についてご説明申し上げます。
 初めに、Ⅰ、中小企業対策の平成二十二年度予算額は、三千八百八十億五千百万円で、対前年度七百四億五千四百万円の増でございます。
 2、経営安定支援は、三十二億一千三百万円を計上してございます。
 このうち、六ページの(6)、目指せ中小企業経営力強化事業では、都内の各中小企業が抱える経営課題を明らかにし、その解決に向けて各種支援策を活用いたしますことで、経営水準の向上を図りますとともに、展示会出展等の販路開拓の取り組みを支援するため、新たに二億円を計上してございます。
 九ページをお開きください。5、技術支援は、十億八千八百万円を計上しております。
 このうち、一〇ページの(7)、都市課題解決のための技術戦略プログラムでは、都市課題解決に必要となる新技術、開発テーマと技術確立までの工程から普及策までを明確にした技術戦略ロードマップを策定いたしますとともに、それに沿った技術開発や製品開発を促進することで技術革新と新事業の創出を図ってまいります。
 一二ページをお開きください。7、地域工業の活性化は、七億一千八百万円を計上しております。
 このうち、右側概要欄の3、ものづくり技術承継事業では、ものづくり企業の技術力や収益力向上を目的に、地域の工業団体が取り組む高度技術の承継を支援いたしますため、新たに二千七百万円を計上しております。
 一三ページをお開きください。8、地域商業の活性化は、三十二億七千百万円を計上しております。
 このうち、右側概要欄の2、魅力ある商店街づくりでは、新・元気を出せ商店街事業及び進め若手商人育成事業により、引き続き商店街の振興を図ってまいります。
 また、4の中小商業活力向上施設整備費補助事業では、区市町村が国と連携して行う商店街活性化の取り組みを推進するため、商店街の施設整備を支援する区市町村への補助として六千二百万円を新規に計上するとともに、5の都内産品販売活動支援事業では、都内産の農林水産物や工業製品などの販売活動を行う中小企業等を支援いたしますため、新たに四千二百万円を計上しております。
 一四ページをお開きください。9、総合的支援は、二百三十五億九千九百万円を計上しております。
 このうち、右側概要欄の7、産業支援拠点の再整備は、区部の産業支援拠点の平成二十三年度開設に向けて工事を着実に進めるための経費でございます。
 一六ページをお開きください。11、金融支援は、三千三百六十二億八千七百万円を計上しております。
 このうち(1)、中小企業制度融資では、企業の資金ニーズに的確に対応いたしますため、経営支援融資の融資目標額を拡充するなど、金融機関等への預託金を二百八十億円増額し、中小企業の資金調達に支障が生じないよう万全を期してまいります。
 また、一八ページの(3)、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策では、厳しい経営環境にある都内中小零細企業の資金繰りを緊急的に支援いたしますため、都と地域の金融機関とが連携し、都独自の金融支援策を実施してまいります。
 二〇ページをお開きください。Ⅱ、観光産業の振興の平成二十二年度予算額は、十八億九千二百万円となってございます。
 続いて、二一ページをお開きください。2、観光資源の開発は、二億八千九百万円を計上しております。
 このうち、右側概要欄の2、観光まちづくりでは、歴史的建造物等を生かした観光振興の取り組み等に対して、また、4のアニメによる観光客誘致支援事業では、アニメ関連施設などの観光資源を開拓し、これを普及する事業者に対して、新たな支援等を行ってまいります。
 また、5の羽田空港の国際化関連イベント等では、本年十月に羽田空港が再拡張、国際化いたしますことから、国際線ターミナルなどを拠点に、東京を象徴する効果的なイベントを実施し、国内外からの旅行者誘致に結びつけてまいります。
 恐れ入りますが、二三ページをお開きください。Ⅲ、農林水産対策の平成二十二年度予算額は、百二十六億八千五百万円で、対前年度、十五億八千七百万円の増でございます。
 1、農業経営の安定は、三十八億八千万円を計上しております。
 このうち、二四ページの(3)、食の安全・安心の確保では、右側概要欄の3、食の安全安心・地産地消拡大事業により、モデル農場で安全・安心な農産物の生産を進めますとともに、都内における販売ルートの拡大支援や、PR、販売促進活動を行うなど、都内産農産物の地産地消を拡大するため、新たに一億六千三百万円を計上しております。
 二六ページをお開きください。(4)、農業経営の安定のうち、右側概要欄の2に掲げました都市農業経営パワーアップ事業では、東京の都市としての有利性を生かした農業経営力の強化を目的に、高い意欲と戦略的な経営マインドを有した農業者に対する支援を行いますため、二億八百万円を計上しております。
 二八ページをお開きください。2、林業経営の安定は、三十七億六千三百万円を計上しております。
 このうち(2)、森林と書いて「もり」と読みますが、森も林りづくりの推進では、二九ページの右側概要欄の13、森林整備加速化・林業再生事業により、地域の創意工夫に基づいて間伐や製材施設の整備等を実施し、森林整備の加速化と森林資源を活用した林業、木材産業等の再生を図ってまいります。
 三〇ページをお開きください。(3)、森林産業の育成のうち、右側概要欄の7に掲げました林業労働力対策等では、森林整備の継続的な実施に必要となる林業従事者を緊急的に確保、育成いたしますための支援を実施してまいります。
 三一ページをお開きください。3、水産業経営の安定は、二十億八千二百万円を計上しております。
 このうち、三三ページの(4)、島しょ農林水産総合センターの運営では、調査指導船「みやこ」の代船建造を着実に進めるなど、島しょ漁業の振興、活力再生に向け、各種調査や試験、研究、指導等を行ってまいります。
 三六ページをお開きください。Ⅳ、雇用就業対策の平成二十二年度予算額は、三百六十八億三百万円で、対前年度百六十一億六千七百万円の増でございます。
 1、雇用・就業の促進は、百九十億三百万円を計上しております。
 このうち、(1)、しごとセンター事業の推進では、右側概要欄の2、しごとセンターの管理運営等のうちの(3)、中高年の雇用就業支援において、正規雇用離職者を早期に再就職させるため、中高年の離職者のうち、正規雇用での再就職を希望する方々に対する支援などを実施してまいります。
 三八ページをお開きください。(2)、就業確保の促進では、右側概要欄の1、雇用・就業情報の収集・提供等において、離職者を対象とした支援策や支援窓口の情報を周知するための広報などを実施してまいります。
 また、三九ページの右側概要欄の7、東京都ふるさと雇用再生特別基金事業及び8の東京都緊急雇用創出事業では、それぞれ十九億三千二百万円、百十七億三千五百万円を計上し、東京都及び区市町村における積極的な雇用創出の取り組みを推進してまいります。
 四〇ページをお開きください。2、適正な労働環境の確保は、三十億七千三百万円を計上しております。
 このうち、(1)、労働条件の改善・向上では、四一ページの右側概要欄の10、働き方の改革、東京モデル事業により、働き方を見直すなどのワークライフバランスを推進するため、大企業や中小企業が取引先や関連会社と一体となって取り組みを進める際の支援に八億三千二百万円を新規に計上しております。
 また、11の東京しごとの日(仮称)の設定では、社会全体で仕事と子育てを両立することの重要性を認識する日を設けて、民間企業の取り組みを支援いたしますとともに、啓発イベント等を実施するなどして、ワークライフバランスの機運を醸成してまいります。
 四三ページをお開きください。3、職業能力の開発・向上は、百四十七億二千七百万円を計上しております。
 このうち、(1)、公共職業訓練の推進では、右側概要欄の1、公共職業訓練におきまして、平成二十二年度に職業能力開発センター等で行う訓練を、十五校、年間定員二万六千百四十五人といたしますとともに、2の再就職促進等委託訓練におきましては、民間教育訓練機関を活用し、年間定員八千六百六十五人の規模を予定してございます。
 また、3の保育つき職業訓練では、子育て中の求職者に保育サービスつきの職業訓練を受ける機会を提供し、能力開発と早期就業を支援してまいります。
 四六ページをお開きください。Ⅴ、産業政策の立案の平成二十二年度予算額は、五千三百万円を計上し、統計分析や政策調査等に要する経費を計上しております。
 続いて、四七ページをお開きください。Ⅵ、人件費等は、職員千二百三十一人分の人件費や、その他職員関係費など、百十七億四千四百万円を計上しております。
 以上が歳出予算の概要でございます。
 続きまして、四八ページをお開きください。2、繰越明許費につきましては、1、林道整備及び治山事業で一億九千三百万円、2、農林災害復旧で四億一千百万円の、合わせて六億四百万円を計上しております。
 四九ページをお開きください。3、債務負担行為につきましては、債務負担行為のⅠ及びⅡで合計十六件、限度額七百二十八億一千万円を計上しております。
 続きまして、五一ページをお開きください。特別会計についてご説明申し上げます。
 1、中小企業設備導入等資金会計は、設備導入資金の貸し付けなどに要する経費といたしまして、四十二億四千八百万円を計上しております。
 2、農業改良資金助成会計は、農業改良資金の貸し付けなどに要する経費といたしまして、八千六百万円を計上しております。
 五二ページをお開きください。林業・木材産業改善資金助成会計は、機械、施設の改良及び購入資金の貸し付けなどに要する経費として五千二百万円を計上し、4、沿岸漁業改善資金助成会計は、経営等改善資金の貸し付けなどに要する経費といたしまして、四千八百万円を計上しております。
 続きまして、当局所管の平成二十一年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、平成二十一年度一般会計補正予算説明書をごらんいただきたいと存じます。恐れ入りますが、これ以降の説明では、金額を千円単位まで読み上げさせていただきます。
 まず、表紙をおめくりください。
 一ページは、産業労働局予算総括表でございます。
 補正予算案は、一般会計の歳入歳出予算に係るもので、歳出における補正予算額は八十億六千五百二十八万七千円でございます。
 二ページをお開きください。総括表でございます。
 今回補正いたしますのは、1の中小企業対策から4の雇用就業対策までと、6の人件費等における歳入歳出予算に係るもので、歳出の補正予算額は八十億六千五百二十八万七千円となっており、財源となる分担金及び負担金、国庫支出金、繰入金及び都債につきましても歳入金額の補正を行ってございます。
 次に、歳入の内訳につきましてご説明申し上げます。恐れ入りますが、四ページをお開きください。
 1、分担金及び負担金でございますが、科目名は負担金で、補正予算額はマイナス五百五十三万四千円でございます。
 内容につきましては、右側の説明欄にございますように、商工業振興費に係る負担金を更正いたしますもので、商工施設の整備におきまして、工事金額が予定額を下回ったことに伴い、関係する区からの負担金を減額いたします。
 次に、2、国庫支出金でございますが、1、国庫負担金の補正予算額は、マイナス一億七千五百十八万五千円でございます。これは、職業能力開発費に対する国庫負担金を更正いたしますもので、職業能力開発センターの整備におきまして工事金額が予定額を下回ったことに伴い、国からの負担金を減額いたします。
 2、国庫補助金の補正予算額は百四十五億円でございます。これは緊急雇用創出事業等に要する基金積立金の財源として、緊急雇用創出事業臨時特例交付金を国から受け入れるものでございます。
 3、委託金の補正予算額はマイナス一万円でございます。これは、職業能力開発費に係る施設整備の委託金を減額するものでございます。
 恐れ入りますが、五ページをお開きください。3、繰入金でございますが、補正予算額はマイナス四億七千三百六十万五千円でございます。
 このうち、1、福祉・健康安心基金繰入金は、マイナス四億七千六百六十万八千円を更正し、また、2、離島漁業再生支援基金繰入金は三百万三千円を計上しておりますが、これらは、当該事業の実績等に伴い、それぞれ既定予算額を増減するものでございます。
 次に、4、都債でございますが、補正予算額は三百八十九億六百万円でございます。これは、右側説明欄にお示しをいたしましたとおり、1、経営技術支援費、2、金融事業費、及び3、産業労働施設整備費に対する都債を計上いたしますもので、産業支援拠点の再整備、中小企業制度融資等を対象に、既定予算額を増減するものでございます。
 次に、歳出の内訳につきましてご説明を申し上げます。恐れ入りますが、八ページをお開きください。
 番号1、中小企業対策の補正予算額は、マイナス三十八億二千九百三十六万九千円でございます。
 補正予算額の内訳でございますが、1は経営安定支援で、マイナス二億九千七百七十一万八千円、2は販路開拓支援で、マイナス十二億二千六百七十七万円、3は創業支援で、マイナス九千百七十九万八千円、4は地域工業の活性化で、マイナス一億一千二百四十四万五千円でございます。
 続いて、九ページの5は総合的支援で、マイナス一億五千三百六十六万二千円、6は試験研究機関で、マイナス九千百十六万八千円、7は金融支援で、マイナス十八億五千五百八十万八千円でございます。
 これらの補正は、中小企業倒産防止共済掛金緊急助成事業ほかにおきまして、実績が予定を下回ることなどにより予算に不用額が生じる事業を対象に、減額の補正を行うものでございます。
 次に、同じく九ページの番号2、観光産業の振興の補正予算額は、マイナス二億七百三十四万二千円でございます。
 これは、1、受け入れ体制の整備で、ウエルカムボードの設置等ほかにおいて、契約金額が予定額を下回ることなどにより、予算に不用額が生じる事業を対象に、減額の補正を行うものでございます。
 一〇ページをお開きください。番号3、農林水産対策でございます。
 1、水産業経営の安定では、先ほどの歳入の内訳で触れましたとおり、財源である繰入金の既定予算額を補正いたします。
 次に、番号4、雇用就業対策の補正予算額は、百二十五億八千八百四十九万二千円でございます。
 内訳でございますが、1は就業確保の促進で、補正予算額は百四十億九千九百八十二万八千円でございます。
 このうち、右側説明欄にお示しをいたしましたが、1の緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金は、雇用を創出する事業に要する財源を国から受け入れ、これを既設の基金に積み増すもので、補正予算額は百四十五億円でございます。
 また、2は、しごとセンター等の建物維持管理ほかで、契約金額が予定額を下回ることなどにより予算に不用額が生じる事業を対象に、四億十七万二千円の減額補正を行うものでございます。
 事項の2は、適正な労働環境の確保で、補正予算額はマイナス四億七千六百六十万八千円、また、次の一一ページの3は、職業能力の開発・向上で、補正予算額はマイナス十億三千四百七十二万八千円でございます。
 これらの補正は、中小企業の両立支援への助成等ほかで、実績が予定を下回ることなどにより、予算に不用額が生じる事業を対象に、減額の補正を行うものでございます。
 同じく一一ページの番号5、人件費等の補正予算額は、マイナス四億八千六百四十九万四千円でございます。これは、職員費に係る人件費及びその他の職員関係費で、支給実績が予定を下回ることなどから、既定予算を減額するものでございます。
 以上で予算案についての説明を終わらせていただきます。
 続きまして、条例案についてご説明を申し上げます。恐れ入りますが、お手元の資料3、条例案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。今定例会には、三件の条例改正案をご提案させていただく予定でございます。
 一ページをお開きください。東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 この条例は、中小企業等の事業の再生を促進いたしますため、中小企業制度融資に係る回収納付金を受け取る権利を放棄できる場合を定めるものでございますが、株式会社企業再生支援機構法の施行等に伴い、規定を整備するものでございます。
 改正の内容でございますが、第一に、産業活力の再生及び産業活動の再生に関する特別措置法の改正に伴い、同法を引用する部分を改めるものでございます。
 第二に、株式会社企業再生支援機構法が施行されたことから、同機構が支援決定した事業者に係る再生計画を新たに権利の放棄の対象とする計画に追加をするものでございます。
 二ページをお開きください。東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例でございます。
 この条例案の改正点は、二点ございます。
 第一に、技能検定試験実技試験に係る手数料でございますが、地方公共団体の手数料の標準に関する政令で定める標準手数料の額が改定されたため、手数料の上限額を標準手数料の額に合わせまして一万六千五百円に改定するものでございます。
 第二に、薬事法の改正に伴い、動物用医薬品登録販売者に係る試験を実施いたしますため、試験手数料に係る規定を新設するものでございまして、手数料の額を一万三千六百円としてございます。
 三ページをお開きください。東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 この条例案は、特別職の報酬等の改定に伴いまして、両委員会の委員の報酬の額を改定するものでございます。
 表にございますように、会長及びその他の委員の報酬を、それぞれ日額二万八千五百円と日額二万六千六百円に改めるものでございます。
 以上で、産業労働局が今定例会に提出を予定してございます平成二十二年度当初予算案、平成二十一年度一般会計補正予算案及び条例案についての説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○小沢委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○清水委員 十四件お願いいたします。早口でいいますので、ご了承ください。
 中小企業対策予算、農林水産業予算、雇用就業対策予算の推移について。
 二点目、都内製造業の推移について、企業規模別でお願いいたします。
 三番、中小企業倒産件数の推移。
 四番、都内小規模小売店の推移。
 五番、産技研の利用状況の推移。
 六番、商人塾の利用状況、各区市町村の商人塾の実施状況。
 七番、雇用情勢の推移。
 八番、労働者の現金給与総額の推移。
 九番、派遣労働者数の推移。
 十番、都内における派遣労働者の雇いどめなど、新卒者の内定取り消しの状況。
 十一番、都内学校の就職内定率の推移。
 十二番、区立職業訓練校の応募状況と職業紹介状況、就職率。
 十三番、都立職業訓練校の一年生コース、二年生コースの各校、科目、年齢コース別の定員、応募、倍率の推移。
 十四番、制度融資の実績と預託原資の推移について、お願いいたします。

○小沢委員長 ほかにございませんでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 それでは、ただいま清水委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○小沢委員長 次に、報告事項、新銀行東京の最近の動向についてを議題といたします。
 過日の委員会で詳細を理事会にご一任いただきました参考人招致について申し上げます。
 本件につきましては、元株式会社新銀行東京代表執行役、仁司泰正氏に対し、本日の委員会への出席依頼をいたしましたが、議長あて欠席する旨の回答がありました。ご了承願います。
 お諮りいたします。
 本件に対する参考人招致及び質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、本件に対する参考人招致及び質疑は終了いたしました。

○小沢委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○中村金融監理室長 株式会社新銀行東京に関する最近の動向についてご説明申し上げます。
 お手元の資料5、新銀行東京に関する最近の動向をごらんください。
 1の旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟の提起につきましては、新銀行東京は、経営悪化の原因と責任を追及するため、去る一月二十九日に、旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起いたしました。
 訴訟を提起した相手方は、元代表執行役兼取締役の仁司泰正氏及び元執行役の丹治幹雄氏の二名でございます。
 損害賠償請求の金額は、両名合わせて五億円でございます。
 請求の内容は、仁司氏及び丹治氏の善管注意義務ないし忠実義務違反により生じた百四十億円の損害について、両名に五億円の支払いを求めるというものでございます。
 詳細につきましては、別紙、損害賠償請求の提訴の概要をごらんください。
 次に、2の平成二十二年三月期第三・四半期決算につきましては、昨日、株式会社新銀行東京から発表されたものであります。
 恐れ入りますが、三枚おめくりください。平成二十二年三月期第三・四半期決算の概要を示してございます。A4の横の資料でございます。
 資料左側中段の資産等の状況をごらんください。政府向け貸し出しを除いた平成二十一年十二月末の貸出金、支払い承諾、公共工事代金債権信託の残高は一千百四十三億円であり、そのうち、中小企業向けは七百六十九億円となっております。
 預金残高は二千八十五億円、貸倒引当金は二百九十一億円となっております。
 また、純資産は四百八十八億円となっております。
 次に、資料左側下段の条件緩和の状況をごらんください。
 新銀行東京は、景気悪化の影響を受け、融資返済に苦しむ中小企業に対し、与信期間の延長など、貸し出しの条件緩和を引き続き行っております。
 具体的には、平成二十一年十二月末現在で、中小企業一千三百三十三件に対し、九十二億円の条件緩和を実施しております。開業からこれまでの累計では、一千七百七十五件、百四十九億円となっておりますが、特に、再建計画を開始いたしました平成二十年度以降の実績が一千三百九十九件、百十億円となっております。
 次に、資料の右側の損益状況をごらんください。表の右端が平成二十一年度第三・四半期までの実績となっております。
 一段目の粗利益でございますが、決算額は十九億円となっております。
 営業経費は三十七億円、実質業務純益は、マイナスの十七億円となっております。
 貸倒引当金などの信用コストにつきましては、取引先に対するきめ細やかな対応により、延滞防止や適切な条件緩和を行ったことなどにより、プラスの二十七億円となっております。
 これらの結果、当期利益につきましては、プラスの十四億円と、中間期に引き続き黒字を計上いたしました。
 実質業務純益は赤字ではありますが、改善傾向にあり、現在、新たな経営陣は、この実質業務純益の黒字化に向け、全力で取り組んでいるところでございます。
 都としても、新銀行東京の再建に向け、引き続き適切な監視と支援に全力を挙げてまいります。
 以上で株式会社新銀行東京関係の報告事項の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○小沢委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○佐藤委員 新銀行東京に関して、幾つか資料をお願いします。
 まず、再建計画の進捗状況をお願いします。
 開業以降の月別の融資件数、残高、返済額、不良債権額をお願いします。
 開業以降の融資、保証実績で、月別、メニュー別の件数、金額をお願いします。
 開業以降の融資、保証実績で、事業規模別の件数、金額をお願いします。
 同じく、融資、保証の実行ベースでの事業規模別の件数、金額をお願いします。
 開業以降の債務超過企業、赤字企業への融資実績をお願いします。
 同じく、実行ベースでの債務超過企業、融資企業への融資をお願いします。
 預金規模別の預金者の件数、割合、金額。これを個人、法人、公的機関の別、また、普通、当座の別でお願いします。
 また、今回訴訟が提起をされているわけですが、この訴訟を担当している新銀行側の法律事務所と、また、提起をされている旧経営陣側の法律事務所がどこか教えてください。
 以上です。

○清水委員 五点お願いいたします。
 再建計画で打ち出したメニューごとの新規取扱金額。
 新銀行東京の新規融資、保証の推移。
 預金規模別預金者の件数、割合、金額と払い戻しの状況。
 資金調達費用、資金運用収益の各内訳別の推移。新銀行、地銀、全国銀行別、二〇〇六年三月期決算からお願いいたします。
 有価証券残高と、その内訳の推移。
 よろしくお願いいたします。

○小沢委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 それでは、ただいま佐藤委員、清水委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○小沢委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、第一回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○比留間港湾局長 平成二十二年第一回東京都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件につきましてご説明を申し上げます。
 今回提出を予定しております案件は、平成二十二年度予算案三件、平成二十一年度補正予算案一件、条例案二件でございます。
 まず、予算案についてでございます。
 資料に基づき内容の具体的な説明に入る前に、予算編成の基本的な考え方を四点ご説明申し上げます。
 一つ目は、首都圏四千万人の生活と産業を支える東京港、京浜港の国際競争力の強化でございます。
 去る二月十日、東京都は、横浜市、川崎市とともに、京浜港の将来像を描いた京浜港共同ビジョンを発表いたしました。今後、京浜三港は、この共同ビジョンに基づき、広域連携に、より具体的に取り組むとともに、国が公募を表明した国際戦略港湾に京浜港として応募し、選定をかち得るよう全力で取り組んでまいります。
 こうした方策により国際競争力の強化を図り、熾烈なアジア諸港との競争の中で、京浜港の存在を確固としたものとしてまいります。
 あわせまして、東京港の整備につきましても、船舶の大型化なども視野に入れた岸壁や道路交通網の整備など、さらなる港湾機能の充実強化に努めてまいります。
 二点目は、環境への取り組みと都民への安全・安心の確保でございます。
 船舶のCO2の削減や東京湾の水環境の改善、海の森公園の整備を初めとした緑の創出など、環境負荷が少なく、緑にあふれた東京港の実現を目指し、整備を推進してまいります。
 また、高潮や津波から都民の生命と財産を守るために、東京港の防災機能を強化してまいります。
 三点目は、臨海副都心のまちづくりの推進でございます。
 既に七割の土地が処分されるなど、まちの開発は着実に進展してきております。しかしながら、近年の世界同時不況の中で、不動産市況が停滞するなど、当面は厳しい状況にありますが、事業者が進出しやすい制度の充実など、土地の売却等に向けたさらなる努力により着実に開発を進めてまいります。
 さらに、二十二年度に大量償還を迎える都債につきまして、償還の一般的なルールに従い、借りかえを実施することにより、財政基盤の安定化に万全を期してまいります。
 四点目は、島しょの生活と産業を支える港湾、漁港等の整備でございます。
 厳しい気象、海象条件下でも定期船や漁船が安定的に着岸できるよう、港湾、漁港の整備などを引き続き進めてまいります。
 それでは、具体的に予算の内容につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料1、平成二十二年度予算案及び平成二十一年度補正予算案の概要の一ページをお開きいただきたいと思います。
 Ⅰ、平成二十二年度予算案をごらんいただきたいと思います。
 1、予算額でございます。
 当局所管の三会計の予算額は、一般会計七百五十四億九千六百万円、臨海地域開発事業会計一千九百八十八億六千九百万円、港湾事業会計五十二億八千六百万円、これらを合計いたしますと、二千七百九十六億五千百万円、前年度予算額と比較いたしますと、一一・二%の増となります。
 続きまして、2、主要事業をごらんいただきたいと思います。
 (1)、東京港港湾施設整備事業として、中央防波堤外側外貿コンテナふ頭整備や環境対策を初め、東京港の整備に必要な予算を計上してございます。
 (2)、港湾振興事業として、京浜三港連携への取り組み等のために必要な額を計上しております。
 (3)、環境整備事業として、緑を創出する海の森公園整備等に要する経費を、また(4)、汚泥しゅんせつ事業として、水環境の改善を図るために必要な経費を計上してございます。
 (5)、廃棄物処理場建設事業として、新海面処分場の整備等に必要な経費を計上してございます。
 また、(6)、海岸保全施設建設事業として、高潮や津波対策に必要な予算措置を行っております。
 二ページに移りまして、(7)、臨海副都心整備事業として、共同溝整備や環状二号線等の広域幹線道路整備に対する費用負担などのための予算を計上してございます。
 最後に(8)、島しょ等港湾整備事業として、島しょの港湾、漁港等の整備に必要な予算を計上しております。
 3、繰越明許費は、気象状況等の不測の事態に備えて、九十二億三千九百万円を計上してございます。
 4、債務負担行為は、限度額の合計として、一般会計で五十六億三千四百万円、臨海地域開発事業会計で六十八億九千百万円、港湾事業会計で十九億七千六百万円をそれぞれ計上しております。
 次に、Ⅱ、平成二十一年度一般会計補正予算案でございます。
 1、補正予算額は、一般会計港湾局所管の歳出予算につきまして、五十五億四千六百万円の減額といたしております。これは、都税収入の大幅な減少に対応するため、歳出を精査し、不用額が生じることが明らかな事業について減額を行うものでございます。
 続きまして、条例案の概要につきましてご説明を申し上げます。
 今回提出させていただきます案件は、東京都海上公園条例の一部を改正する条例外一件でございます。
 お手元の資料4、平成二十二年第一回東京都議会定例会提出条例案をごらんいただきたいと存じます。
 一ページをお開き願います。東京都海上公園条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、東京都立辰巳の森緑道公園水泳場の廃止に向け、規定を整備するものでございます。
 二ページに移りまして、東京都営空港条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、離島航空路線の一層の充実を図るため、東京都新島空港及び東京都神津島空港の運用時間を延長するものでございます。
 以上で第一回定例会提出予定議案の概要説明を終わらせていただきます。
 詳細につきましては総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議賜りますよう、お願い申し上げます。

○多羅尾総務部長 ただいまの局長の概要説明に続きまして、本定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 まず、お手元の資料2、平成二十二年度当初予算説明書によりまして、当局所管分の平成二十二年度予算案からご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。当局所管の三会計の予算総括表でございますが、先ほど局長がご説明申し上げましたので、省略させていただきます。
 五ページをお開き願います。一般会計の総括表でございます。
 港湾局一般会計の事業は、事業名の欄に記載のとおり、東京港整備事業、島しょ等港湾整備事業、港湾総務事業の三事業で、平成二十二年度予算額の合計は、最下段に記載のとおり、七百五十四億九千六百万円で、平成二十一年度予算に比べ、二十五億二千七百万円の減となっております。その減の主な理由は、東京港における第一航路のしゅんせつ経費の減でございます。
 歳入についてご説明申し上げます。
 九ページをお開き願います。1、分担金及び負担金から一七ページの7、都債までを計上し、歳入予算額の合計は、一七ページの最下段に記載のとおり、六百十七億四千四百万余円でございます。
 次に、歳出についてご説明申し上げます。
 二一ページをお開き願います。1、東京港整備事業のうち、1、港湾整備事業でございますが、中央防波堤外側外貿コンテナふ頭等のふ頭整備、物流インフラ機能を向上させる新木場・若洲線、若洲橋の整備や、環境負荷を低減させる試みとして、CO2の排出削減のため、停泊中の船舶のアイドリングストップを図るための船舶用陸上電力供給設備を導入いたします。
 二二ページに移りまして、さらには、羽田空港や東京南西部と千葉方面との東西方向の交通を円滑にするには欠くことのできない東京港臨海道路Ⅱ期整備などを実施いたします。
 2、環境整備事業は、海の森公園の整備等を行うものでございます。
 3、汚泥しゅんせつ事業は、運河に堆積した汚泥の除去を行い、水環境の改善に積極的に取り組むものでございます。
 二三ページをごらん願います。4、廃棄物処理場建設事業は、新海面処分場Cブロックの延命化対策を講じるものなどでございます。
 5、海岸保全施設建設事業は、高潮等から都民を守るために必要な水門、排水機場の耐震強化や防潮堤整備などの経費でございます。
 二四ページをお開き願います。6、東京港整備貸付金は、東京港埠頭株式会社に対し、外貿ふ頭建設に必要な資金の貸し付けを行うものでございます。
 二五ページをごらん願います。7、港湾施設運営事業から、二六ページの12の職員費までは、東京港における港湾施設等の維持管理経費や職員の人件費などでございます。
 なお、二五ページの7の港湾施設運営事業の中には、港湾振興促進の経費として、東京湾の国際競争力を強化するために、貨物集荷対策として、東京、川崎、横浜の三港で共同ポートセールスを実施するなどの三港連携事業や、港に潤いとにぎわいを与える客船の誘致活動経費が含まれております。
 ただいまご説明申し上げましたこれらの東京港整備事業により、質の高い港湾機能を備えた港であるとともに、環境負荷が少なく、緑があふれ、災害にも強い港の実現を目指してまいります。
 二七ページをお開き願います。島しょ等港湾整備事業でございます。
 1、港湾整備事業は、大島元町港外十四港の護岸、岸壁等の建設、整備を行うもので、二八ページにかけて記載してございます。
 二八ページの下をごらんください。2、漁港整備事業は、大島元町漁港外十七漁港の防波堤等の建設、整備を行うもので、このページから三〇ページにかけて記載してございます。
 三〇ページの中ほどをごらんください。3、海岸保全施設整備事業は、大島岡田港外八港の海岸保全施設の建設、整備を行うもので、三一ページにかけて記載してございます。
 三一ページの中ほどをごらん願います。4、空港整備事業は、大島空港外五空港の建設、整備を行うものでございます。
 三二ページをお開き願います。5、災害復旧事業は、災害復旧に要する経費でございます。
 6、離島航路・航空路補助事業は、離島における航路、航空路の維持のために、航路事業者等に対し補助を行うものでございます。
 7、施設運営事業から三三ページの9、職員費までは、島しょ等における港湾施設等の維持管理経費や職員の人件費などでございます。
 ただいまご説明申し上げましたこれらの島しょ等港湾整備事業により、伊豆諸島及び小笠原諸島における生活と産業を支える機能を拡充してまいります。
 続きまして、三三ページの中ほどの3、港湾総務事業でございます。
 1、管理費と2、職員費は、港湾広報などの管理経費、職員の人件費等でございます。
 なお、三四ページには歳出合計を記載してございます。
 三七ページをお開き願います。繰越明許費は、平成二十二年度計上額の繰越明許費で、平成二十二年度計上額の合計は、最下段に記載のとおり、九十二億三千九百万円でございます。
 四一ページをお開き願います。債務負担行為のⅠ、工事請負契約等でございます。限度額の合計は、四三ページの最下段に記載のとおり、五十六億三千四百万余円でございます。
 引き続き、臨海地域開発事業会計予算案についてご説明申し上げます。
 四七ページをお開き願います。総括表でございます。
 平成二十二年度予定額の合計は、最下段に記載のとおり、一千九百八十八億六千九百万円で、平成二十一年度予定額に比べ、三百六十一億六百万円の増となっております。この増の主な理由は、企業債償還金の増でございます。
 次に、収益的収入及び支出についてご説明申し上げます。
 五一ページをお開き願います。収益的収入の部でございます。
 1、営業収益から3、特別利益までは、埋立地の処分代金等でございます。
 収益的収入の平成二十二年度予定額合計は、最下段に記載のとおり、九百二十五億四千四百万円でございます。
 五二ページをお開き願います。収益的支出の部でございます。
 1、営業費用から五三ページの3、特別損失までは、埋立地の処分原価、管理経費及び企業債利子等でございます。
 収益的支出の平成二十二年度予定額合計は、五三ページの最下段に記載のとおり、三百四十六億三千六百万円でございます。
 次に、資本的収入及び支出についてご説明申し上げます。
 五七ページをお開き願います。資本的収入の部でございます。
 1、企業債でございます。昨年来の世界的な経済不況で、土地取引が急激に冷え込んでおり、今後もこの市況が続くことが危惧されております。そこで、今後の資金繰りに万全を期するために、二十二年度償還予定の都債の一部を借りかえ、会計の財政基盤を強化するものでございます。
 2、有価証券償還金収入は、当会計で運用している資金が満期を迎え、償還されるものでございます。
 このほか、3、雑収入を合わせまして、資本的収入の平成二十二年度予定額合計は、最下段に記載のとおり、一千六百二十億三千五百万円でございます。
 五八ページをお開き願います。資本的支出の部でございます。
 1、埋立地造成事業は、豊洲・晴海地区における防潮護岸整備に要する経費等でございます。
 2、環境整備事業は、海上公園の整備を行うものでございます。
 3、道路橋梁整備事業は、埋立地の道路整備を行うものでございます。
 五九ページをごらん願います。4、埋立改良事業は、埋立地の道路、橋梁及び公園の施設改良を行うものでございます。
 5、埋立造成関連事業及び6、職員費は、埋立造成に必要な測量、調査及び管理経費等でございます。
 六〇ページをお開き願います。7、臨海副都心建設事業は、臨海副都心地域における共同溝等の施設整備や開発者負担などを行うものでございます。
 8、臨海副都心改良事業及び9、臨海副都心建設改良関連事業は、埋設物の移設や開発に係る調査等を行うものでございます。
 六一ページをごらん願います。2、企業債費は、企業債の元金償還金等でございます。
 以上、資本的支出の平成二十二年度予定額合計は、六一ページの最下段に記載のとおり、一千六百四十二億三千三百万円でございます。
 六五ページをお開き願います。債務負担行為(工事請負契約)でございます。限度額の合計は、六八ページの最下段に記載のとおり、六十八億九千百万円でございます。
 六九ページから七二ページにかけまして、企業債、一時借入金限度額、他会計からの補助金及び棚卸資産購入限度額について記載してございます。
 七三ページをお開き願います。重要な資産の処分でございます。
 土地を売却するもの二件でございます。
 引き続き、港湾事業会計予算案についてご説明申し上げます。
 七七ページをお開き願います。総括表でございます。
 平成二十二年度予定額の合計は、最下段に記載のとおり、五十二億八千六百万円で、平成二十一年度予定額に比べ、五十三億八千八百万円の減となっております。
 この減の主な理由は、ガントリークレーン製作等の港湾施設整備の減でございます。
 次に、収益的収入及び支出についてご説明申し上げます。
 八一ページをお開き願います。収益的収入の部でございます。
 1、営業収益から八二ページの3、特別利益までは、上屋等の港湾施設の使用料などでございます。
 収益的収入の平成二十二年度予定額合計は、八二ページの最下段に記載のとおり、五十八億六千四百万円でございます。
 八三ページをごらん願います。収益的支出の部でございます。
 1、営業費用から八四ページの3、特別損失までは、上屋等の港湾施設の管理運営経費や企業債の利子などでございます。
 収益的支出の平成二十二年度予定額合計は、八四ページの最下段に記載のとおり、三十四億四千六百万円でございます。
 次に、資本的収入及び支出についてご説明申し上げます。
 八七ページをお開き願います。資本的収入の部でございます。
 1、雑収入を計上し、平成二十二年度予定額合計は、最下段に記載のとおり、三千万円でございます。
 八八ページをお開き願います。資本的支出の部でございます。
 1、建設改良事業は、臨港道路であります中防内一号線の整備及び辰巳ふ頭上屋整備等に要する経費でございます。
 八九ページをごらん願います。2、企業債費は、企業債の元金償還金でございます。
 以上、資本的支出の平成二十二年度予定額合計は、最下段に記載のとおり、十八億四千万円でございます。
 九三ページをお開き願います。債務負担行為(工事請負契約)の限度額は、十九億七千六百万円でございます。
 九四ページから九六ページには、一時借入金限度額、他会計からの補助金及び棚卸資産購入限度額について記載してございます。
 以上、平成二十二年度予算案についての説明を終わらせていただきます。
 引き続き、平成二十一年度一般会計補正予算案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料3、平成二十一年度一般会計補正予算説明書の一ページをお開き願います。総括表でございます。
 まず、今回の補正予算の趣旨でございますが、都税の大幅な減収に対するために、歳出を精査の上、不用額が明らかな事業について、予算上の対応を行うものでございます。
 今回、補正予算案に計上しておりますのは、1、東京港整備事業及び島しょ等港湾整備事業で、補正予算額の合計は、最下段に記載のとおり、マイナス五十五億四千六百万余円でございます。
 五ページをお開き願います。歳入は、歳出における減額補正に伴い、必要な財源を更正するもので、1、国庫支出金、六ページの2、諸収入及び七ページの3、都債を計上してございます。
 歳入の補正予算額合計は、七ページの最下段に記載のとおり、マイナス四十九億二千九百万余円でございます。
 一一ページをお開き願います。歳出は、東京港整備事業と島しょ等港湾整備事業で減額補正を計上しております。
 1、東京港整備事業の補正予算額は、最上段に記載しておりますとおり、マイナス三十九億二千八百万余円。内訳は、1、港湾整備事業から一五ページの9、職員費までを計上してございます。
 一六ページをお開きください。2、島しょ等港湾整備事業の補正予算額は、最上段に記載しておりますとおり、マイナス十六億一千八百万円。内訳は、1、港湾整備事業から一七ページの3、海岸保全施設整備事業までを計上してございます。
 二一ページをお開きください。繰越明許費の補正予算額は、最下段に記載のとおり、二千万円でございます。これは、災害復旧工事の執行に対応するために補正を行うものでございます。
 以上、平成二十一年度補正予算案についての説明を終わらせていただきます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 お手元の資料5、条例案の概要をごらん願います。
 表紙の次のページの目次をお開きください。東京都海上公園条例の一部を改正する条例の外一件でございます。
 一ページをお開き願います。1の東京都海上公園条例の一部を改正する条例についてご説明申し上げます。
 改正案の概要でございますが、東京都立辰巳の森緑道公園水泳場を老朽化に伴い廃止するため、水泳場利用料の規定を削除するものでございます。
 本条例の施行日は、平成二十二年四月一日を予定しております。
 二ページをお開き願います。2の東京都営空港条例の一部を改正する条例についてご説明申し上げます。
 改正案の概要でございますが、東京都新島空港及び東京都神津島空港の運用時間を、午前八時三十分から午後五時十五分までの間において、東京都規則で定める時間に変更するものでございます。
 この改正条例の施行日でございますが、運用時間を改正するには、空港法に基づき、国土交通大臣の認可が必要でございますので、認可を受けた後に東京都規則で定める予定でございます。
 以上で、平成二十二年第一回都議会定例会に提出を予定してございます港湾局関係の案件のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

○小沢委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○清水委員 十点お願いします。
 臨海副都心関連予算、決算の推移。
 臨海副都心における土地の長期貸付及び売却などの推移。
 臨海副都心における進出事業者からの地代収入一覧。
 臨海開発事業会計の資金運用の推移。
 臨海開発事業会計の年度末資金残高の推移。
 臨海事業会計における企業債償還の推移。
 臨海開発事業会計の監理団体有価証券の推移。
 臨海ホールディングスのグループ経営計画の新旧対照。
 東京港のコンテナ貨物量の推移。
 最後に、臨海、港湾の主な契約工事の入札状況についてお願いいたします。

○小沢委員長 ほかにございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 なければ、ただいま清水委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○小沢委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○河内参事 京浜港共同ビジョンについてご報告申し上げます。
 お手元に資料6、京浜港共同ビジョンの概要版、並びに資料7、京浜港共同ビジョンの本編をお配りしております。本日は、資料6の概要版に基づき説明をさせていただきます。
 まず、表紙を開いていただきまして、左側の1、京浜港共同ビジョンとはという記載からごらんいただきたいと存じます。
 京浜港共同ビジョンは、平成二十年三月の東京都、川崎市、横浜市による京浜三港の広域連携強化に係る基本合意に基づき、京浜港としての実質的な一港化に向けた港湾経営と港湾整備の方針を示すものとして、今回取りまとめたものでございます。
 次に、2、京浜港の現状と問題点をごらんください。
 京浜港は、首都圏四千万人の生活を支える物流機能を担うとともに、重化学工業などの立地によるエネルギー供給や生産機能、環境・防災機能などを備えた総合港湾であり、特に輸出入コンテナの取扱量では、日本全体の約四〇%のシェアを有しております。
 右のページをごらんください。京浜港の抱える問題点でございますが、日本国内では、コンテナ取扱量において圧倒的なシェアを有する京浜港も、一たび国外に目を向けますと、アジアと北米、あるいはヨーロッパを結ぶ国際基幹航路の寄港が減少しており、一番下の図にありますとおり、フィーダーポート化、いわゆる枝線化の危機に直面しております。
 この要因は三つあり、一つは、基幹航路のコンテナ船が大型化し、船会社がより多くの貨物が集積する港に寄港地を絞り込む傾向にあること。二つ目は、アジア地域が世界の工場となり、我が国製造拠点も海外へ移転が進み、我が国を経由する貨物の割合が低下していること。そして三つ目は、日本の各地方にコンテナ取扱港が六十以上整備され、そこから国内輸送よりもコストの低い外航船で釜山港等を経由して貨物が輸出入されていることと分析しております。
 恐れ入りますが、左右のページをさらにおめくりいただき、一番左側の3、京浜港の経営の基本的な考え方と将来像をごらんください。
 先ほど申し上げました課題を克服するため、今後、次の三つの考え方により港湾経営を進めてまいります。
 一つ目は、経営感覚の追求ということで、利用者ニーズにこたえた効率的な港湾経営。二つ目は、大都市の一部を担う自治体主体の港湾管理者を中心とした港湾経営。そして、三港が経営を一体化してスケールメリットを発揮する一体的な経営でございます。
 こうした基本的な考え方に基づき、我が国最大の総合港湾として多様な要請にこたえながら、コンテナ物流に関しては、日本のハブポート、北米航路における東アジアの国際ハブポートという将来像を目指してまいります。
 この将来像を実現するための方策を、4、京浜港の将来像の実現に向けた基本戦略として四点挙げました。主な内容について申し上げます。
 まず一点目は、貨物集荷策、港湾機能向上策の展開でございます。
 港湾施設使用料の減額など、優遇策の拡充による港湾利用コストの低減、地方の消費地や生産拠点と京浜港を結ぶ国内貨物輸送網の充実強化、さらにはコンテナターミナル前の混雑緩和など、利用者に選択される港湾の実現に向けた使いやすい港づくりを進めてまいります。
 二点目は、京浜港内の合理的かつ効果的な施設及び機能の配置でございます。
 空間計画の基本的な考え方として、京浜港が総合港湾として発展していくために、交通基盤の整備など港内輸送網の充実により京浜軸を形成し、三港を物理的に一体化するとともに、背後圏とのアクセスを強化する広域交通ネットワークを形成してまいります。
 三点目は、京浜港の一体的な経営の推進でございます。
 まず、実質的な一港化の推進として、去る十二月二十五日に、地方自治法に基づく協議会、京浜港連携協議会を設立し、同時に、東京港埠頭株式会社と横浜港埠頭公社との間で京浜港事業提携委員会を設立いたしました。また、人事交流等につきまして充実強化をしてまいります。
 次に、将来のポートオーソリティーの設立を視野に入れた取り組みとして、今回は、国内外の港湾管理の事例検証を行い、日本版ポートオーソリティー実現に向けた課題を抽出いたしました。
 主な課題として、国、自治体、埠頭会社等の役割分担の明確化や財政基盤の強化、法制度の制約がございます。
 今後は、これらの課題の解決に向けて、具体的な検討を進めてまいります。
 最後に四点目になりますが、広域的な課題への的確な対応でございます。
 温暖化対策などの環境対策や防災、保安対応は、広域的に取り組むことが不可欠な課題であり、連携をより一層強化し、施策に取り組んでまいります。
 恐れ入りますが、冊子を畳んでいただき、裏表紙をごらんください。5、今後の進め方でございます。
 先ほど申し上げました京浜港連携協議会の場におきまして、本ビジョンの方向性に沿って、各港の港湾計画の基本となる京浜港の総合的な計画を、平成二十三年度をめどに策定いたしますが、本ビジョンに掲げた個々の施策につきましては、計画の策定を待つことなく、可能なものから順次実施に移していきたいと考えております。
 以上、雑駁ではございますが、説明を終わらせていただきます。

○小沢委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○小沢委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情二一第一〇八号を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○多羅尾総務部長 本日ご審査いただきます陳情につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料8、請願・陳情審査説明表をごらんください。
 一ページをお開き願います。本日ご審査いただきますのは、陳情一件でございます。
 それでは、陳情二一第一〇八号、港湾局の天下りOBに関する陳情についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。本陳情は、世田谷区後藤雄一さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、都において次の事項を実現してほしいというものでございます。
 第一に、港湾局関連の民間ゼネコンに天下った港湾局OBの職務室内への出入りを禁止すること。
 第二に、港湾局職員は、関連ゼネコンに再就職したOBとの接触を、庁舎外であっても慎むこと。
 第三に、港湾局職員が退職後に港湾局と請負関係にある民間会社に再就職する場合は、職員名、会社名を公表すること。
 以上の三点のご要望でございます。
 まず、現在の状況を総括的に申し上げます。
 東京都においては、企業との関係を厳正に保つとともに、都民の誤解を招くことのないよう、退職幹部職員の民間企業への再就職に関し、退職後二年間は、退職前五年間に担当した職務に関連する営業活動に従事しないよう、職員及び再就職先の民間企業に対し要請しており、港湾局においてもこれを実施しているところでございます。
 さらに、局事業の公平性、公正性を確保するため、東京都で定めている利害関係者との接触に関する指針に加えて、港湾局独自に民間事業者等との面会に関する基準等を定めて、これらの遵守を徹底し、局職員の適正な服務と都民の信頼の確保に万全を期しているところでございます。
 次に、要望事項についての現在の状況を具体的に申し上げます。
 まず、第一の要望であります、民間ゼネコンに天下った港湾局OBの職務室内への出入りを禁止することについてでございます。
 港湾局においては、部外者の執務室内への立ち入りを禁止しております。特に、港湾局事業と利害関係のある、OBを含む民間事業者がみだりに執務室内に出入りすることがないよう、例えばでございますが、入り口にロープを張るなどして、立ち入り制限ラインというものをはっきりわかるようにしております。局事業の適正な執行のために民間事業者と面会する必要がある場合においても、原則事前予約制とし、面会は複数の職員で打ち合わせコーナーなどで行うこととしているところでございます。
 第二の要望でございます、港湾局職員は、関連ゼネコンに再就職したOBとの接触を庁舎外であっても慎むことについてでございます。
 港湾局では、職務上の必要性から、やむを得ず民間事業者と庁舎外で接触する場合においても、事前予約と複数の職員での対応、上司への報告を義務づけております。
 第三の要望であります、港湾局職員が退職後に港湾局と請負関係にある民間会社に再就職する場合は、職員名、会社名を公表することについてでございます。
 都幹部職員の再就職状況の公表については、再就職に関する透明性向上の観点から、相手先の意向、相手先での役職等も勘案しながら必要な見直しを進めるとの知事答弁が、平成二十一年第三回都議会定例会においてなされたところでございまして、主管局である総務局において、透明性を一層向上させるべく、検討に取り組んでいるところでございます。
 以上、簡単ではございますが、ご説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○小沢委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○清水委員 港湾局の天下りOBに関する陳情について、何点か質問をいたします。
 今、遵守を徹底しているとか、万全を期して信頼の確保に努めているとかいうご説明がありましたけれども、陳情者に寄せられている情報などを見ると、これがそういう水準にないなということは、この陳情書を見てもはっきりしているかと思います。
 陳情者は、港湾局の職員で結成されている会員の名簿を入手しているということです。私もそれをいただきましたが、そうすると、ある期間から、一番近い期間で判明しただけでも、幹部職員、職員が、ゼネコンとかに再就職している事実があるというようなことを見てこういう陳情を行っているんですけれども、退職者の取扱基準があるということは今ご説明があったんですけれども、実際にこういうものを見ても、退職者がゼネコン、マリコンに再就職しているということについてどうお考えでしょうか、お伺いいたします。

○多羅尾総務部長 公務員に対しまして、都民、国民の厳しい視線が注がれている中、東京都では、民間企業との関係を厳正に保ち、公務を適正に執行するよう努めております。
 職員の再就職に関しましても、都民の誤解を招くことがないよう、再就職先や営業活動について、先ほどご説明させていただいたとおり制限を設けておるところでございます。
 より具体的に申し上げれば、局長級については、その職務の重要性にかんがみ、退職後二年間は、民間企業のうち、都と密接な関連のあるもの等に就職しないものとしております。
 また、課長級以上の職員が民間企業に再就職する場合においても、退職後二年間は、退職前五年間に担当した職務に関連する営業活動に従事しないよう、当該職員及び再就職先の民間企業に対し要請しております。
 港湾局においても、このような基準を厳格に実施しているところでございまして、問題はないというふうに理解をしております。

○清水委員 しかし、実際にね、二年間の間にそういう会社に再就職している方がいるわけですよ。それで私も、企業のホームページをとってみると、この名簿に載せられている企業のホームページでとってみると、海洋、土木の会社だとか、それから、クレーンの関係の部品を扱っているところだとか、それから、海洋、港湾分野を専門とする建設コンサルタント会社だとか、今は、こういう場ですから、名前とか企業名はいいませんけれども、やはりこの名簿を見ると、そういう記述が行われていて、やはりどうしても、当局がいっているようなふうにはとても思えないということで、陳情者はこの陳情を出していると思います。そういうことについてどう思いますか。

○多羅尾総務部長 先ほどもご答弁させていただきましたように、都民の都政への信頼を損なうことがないよう万全を期することは当然のことでございまして、港湾局においても、十二分に徹底してやっているというふうに考えております。
 ただ、一方で、管理職OBなどが、退職後にいろいろな形で社会とかかわり合いを持ち、また社会貢献していくということも通常の形であるというふうに考えております。

○清水委員 もう一つ、職務室内への出入りの問題で、これは、ずっと仕事をやってられる間見ているわけではありませんけれども、その情報も陳情者は受けているということでありますので、こういうことをいっているわけです。
 執務室への出入りを厳しく対応しているということですけれども、実際にはそういうようなことを思わせるような実態というのはないのでしょうか。

○多羅尾総務部長 先ほども申しましたように、港湾局では、部外者の職務室内の立ち入りを禁止してございます。特に、港湾局事業と利害関係のある民間事業者については、都民の誤解を招くことのないよう、さらに厳正に対応しているところでございます。
 このことについては、OBである民間事業者についても全く同様でございます。
 具体的には、先ほども幾つか申しましたけれども、局事業の適正な執行のために民間事業者と面会する必要がある場合においても、原則事前予約制として、複数職員により、執務室と区画された打ち合わせコーナーなどで対応しておりまして、実態面においても問題はないものと考えております。

○清水委員 実態はないといわれますけれども、都民に疑いを抱かれるような、陳情者の言葉でいうと、多々見受けられる情報が寄せられているというふうに陳情者はいっておりました。
 ないというならば、きちんとそれは明らかにするべきであるというふうに思います。そういう意味で、私はこれを趣旨採択とする、賛成するということについて意見を申し上げて、終わりたいと思います。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○小沢委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二一第一〇八号は不採択と決定いたしました。
 以上で陳情の審査を終わります。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十三分散会

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