委員長 | 小沢 昌也君 |
副委員長 | 高木 けい君 |
副委員長 | 増子 博樹君 |
理事 | 伊藤 ゆう君 |
理事 | 高倉 良生君 |
理事 | 鈴木あきまさ君 |
田中 健君 | |
伊藤 興一君 | |
笹本ひさし君 | |
山崎 一輝君 | |
三宅 茂樹君 | |
佐藤 広典君 | |
清水ひで子君 | |
鈴木貫太郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 前田 信弘君 |
次長 | 真田 正義君 | |
総務部長 | 三枝 健二君 | |
産業企画担当部長 | 櫻井 和博君 | |
商工部長 | 山手 斉君 | |
金融部長 | 保坂 政彦君 | |
金融監理室長 | 中村 靖君 | |
金融支援担当部長 | 櫻井 務君 | |
観光部長 | 小島 昭君 | |
農林水産部長 | 産形 稔君 | |
雇用就業部長 | 小田 昭治君 | |
事業推進担当部長 | 日請 哲男君 |
本日の会議に付した事件
産業労働局関係
報告事項(質疑)
・新銀行東京の最近の動向について
付託議案の審査(質疑)
・第百四十七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 産業労働局所管分
・第百六十八号議案 東京都森林整備加速化・林業再生基金条例
・第百八十七号議案 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターが徴収する料金の上限の認可について
○小沢委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の報告事項に対する質疑及び付託議案の審査を行います。
これより産業労働局関係に入ります。
初めに、報告事項、新銀行東京の最近の動向についてを議題といたします。
過日の委員会で詳細を理事会にご一任いただきました参考人招致について申し上げます。
本件につきましては、現在、理事会で協議中でございます。ご了承願います。
報告事項に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○三枝総務部長 去る十一月二十六日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次でございます。資料は全部で十二項目ございます。このうち1から11までが報告事項に対する要求資料でございます。
一ページをお開きください。新銀行東京の再建計画の進捗状況をお示ししてございます。
上の表をごらんください。損益計算書の当期純利益につきまして、再建計画上の平成二十一年度収益計画ではマイナス十九億円でございますが、第二・四半期決算ではプラス十億円となってございます。
貸借対照表の純資産につきましては、下の表にお示しをしたとおり、平成二十一年度収益計画では四百億円でございますが、第二・四半期決算では四百八十二億円となってございます。
次に、二ページから三ページにかけまして、新銀行東京の開業以降の月別の融資件数、残高、返済額、不良債権額について、平成十七年四月から平成二十一年九月までの実績をお示ししてございます。
三ページの表にございますとおり、平成二十一年九月末までの中小企業向け融資の実行件数の累計は一万七百六十五件でございます。
次に、四ページから五ページにかけまして、新銀行東京の開業以降の融資、保証実績で、月別、メニュー別の件数、金額について、平成十七年四月から平成二十一年九月までの実績をお示ししてございます。
五ページの表にございますとおり、平成二十一年九月末までの中小企業向けの融資と保証を合わせた実績の累計は、実行件数が一万七千九百八十六件、実行金額が三千九十九億四千五百万円でございます。
六ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の融資、保証実績で、事業規模別の件数、金額(残高ベース)をお示ししてございます。
平成二十一年九月末時点の融資と保証の合計の件数は八千六百八十四件、残高は七百四十二億二千六百万円でございます。
七ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の融資、保証実績で、事業規模別の件数、金額(実行ベース)をお示ししてございます。
平成二十一年度の融資実績は、第二・四半期までで件数が二百三十一件、金額が二百三億八千三百万円でございます。
八ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の債務超過企業、赤字企業への融資、保証実績をお示ししてございます。
一番右側の欄に、平成二十一年度第二・四半期末時点の実績をお示ししてございますが、合計の件数は四千二百六十三件、残高は二百七十一億円でございます。
九ページをお開きください。新銀行東京の融資実行先における無担保・無保証融資の実績の推移でございます。
各年度末及び平成二十一年度の第一、第二・四半期における無担保・無保証による融資の実行件数、実行金額をお示ししてございます。
次いで、一〇ページでございますが、こちらには新銀行東京と全国銀行の不良債権比率の推移をお示ししてございます。
恐れ入りますが、一一ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数、割合、金額でございます。
平成二十一年度の第二・四半期末時点における一千万円以下と一千万円超の個人及び法人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
一二ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数、割合、金額の推移でございます。
平成十七年度以降の各年度末時点及び平成二十一年度の第二・四半期末時点における一千万円以下と一千万円超の個人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
一三ページをお開きください。新銀行東京の職員数の推移でございます。
平成二十一年六月末時点の職員数は百五十一人でございます。
以上で報告事項に対する要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○小沢委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田中委員 今回の報告事項、新銀行東京の最近の動向についての質疑をさせていただきたいと思います。
平成二十二年の三月期中間決算は、当期利益十億円の黒字が達成という説明がなされています。実際は貸倒引当金の繰り戻し益であり、本業でもうけが出ていないのは、だれもが知るところであります。本業のもうけである実質の業務利益は、依然、十四億円の赤字でありました。
本業でもうけを出していくためには、粗利を上げていくか営業経費を削るしかない中、この粗利の推移を見てみますと、二十年の四月-六月期が六億、七-九月期が五億、十-十二月期が五億、二十一年に入っても、一-三月期が四億、四-六月期が五億、そして今回の七-九月期も六億と、つまり、この一年以上、全く粗利が増加に転じていないのが現状であります。
まず、この現状をどう考えるか、お聞きします。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、確かに粗利益が横ばいとなってございます。しかし、新銀行東京は、実質業務純益の黒字化が最大の課題との認識を示しており、コストとリスクを最適に管理し、適正な収益を得ることを徹底しているところでございます。
新銀行東京は、厳格なリスク管理のもと、貸出金等の営業業務と有価証券などの運用業務を展開するとともに、資金調達では、自己資本や預金のほか、機を見て低利外部調達をも活用していくなど、粗利益の向上に努めております。
一方、営業経費につきましては、人件費やシステム経費を初めとし、徹底した経費の見直しを実施しているところでございます。
○田中委員 粗利が最大の課題ということはしっかり認識して、そういいながらも、もう一年半たち、これがなかなか上がっていないという現状をしっかりと認識をしていただきたいと思います。
また、今、最後に出ました営業経費、こちらを削るという話がもう一つ利益構造を変えていく中では大事かと思うんですが、この営業経費の人件費、システム経費を引き続き切り詰めるという話であります。
先ほどの報告にもありました、現在、すべての行員は百五十一名であります。実際、この人数で適切な業務や管理体制ができるのかということをお聞きをしたいと思います。
平成二十年の十二月、ちょうど一年前に出された、新銀行東京の行政処分である業務改善命令の中では、経営管理、内部管理体制、コンプライアンス体制、与信審査、監理体制、内部監査機能において改善が必要と、大変に重い改善命令が出たわけでありますが、この人数で適切に進めていけるのかというのが不安の一つであります。
この百五十一人それぞれの業務部ごとの人数を示していただき、今現在の新銀行のガバナンスの体制というものをお示しください。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、業務上の支障を生じさせないことは当然のこととし、営業力の強化に努めながらも、人員配置の見直しにより効率的な執行体制を構築しております。引き続き、営業経費の不断の見直しに努めているところでございます。
なお、新銀行東京は、部門別の人員につきましては明らかにしておりません。
また、新銀行東京は、規模に見合ったガバナンス体制を構築するため、本年六月に監査役会設置会社へと経営体制を移行し、独立性のある監査体制の構築による監視、牽制機能の一層の強化をしたところでございます。
○田中委員 百五十一人の内訳は教えていただけないということであるんですが、これはまだ減らすという中の話でありますので、ぜひ、指摘をされた管理体制のしっかりとした監視というものをこれからも続けていっていただきたいと思います。
その中で、今、人員配置の見直しが進んでいるということが出ました。今回、報告案件の中でも、融資の相談コーナーというものの話が出ました。これは、二十年の六月から八月に、秋葉原、蒲田、立川、葛飾、四相談コーナーができ、ここで融資の相談を受けられるということでありましたが、わずか一年半たつことなく、このたび本店への統合ということが決まりました。
この四店舗それぞれの相談件数はどのくらいであったんでしょうか。
○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京は、融資相談コーナーを、昨年六月には秋葉原外三カ所に、八月には葛飾に開設をしたところでございます。
開設以降の各融資相談コーナーにおけます累計の相談の件数でございますが、今中間期決算のおしまいであります平成二十一年九月末時点におきまして、秋葉原につきましては五百三十件、蒲田につきましては百五十件、立川につきましては百七十四件、葛飾につきましては八十二件となっております。合わせまして九百三十六件となっているところでございます。
○田中委員 今の数を聞くと、かなり相談件数はあったかと思って、ある程度の役割は果たしていたかと思うんですね。
それで、それだけの数であるならば、その役割を果たしていた中で、このたび閉めるということに決まったわけでありますが、その理由についてちょっとお聞きしたいと思うんですが、これまでかかったコストや、もしくは統合によって削減できるコストというのは、どのくらいを見越しているんでしょうか。
○櫻井金融支援担当部長 融資相談コーナーにつきましては、開設から一年半の実績を見ますと、これまで主に新規のお客様の相談を行ってまいりましたが、この融資相談コーナーは、銀行法上、金融庁への届け出が必要となる銀行の支店ではないため、具体的な融資の検討ですとか契約、こうしたものは行えず、改めて本店に来ていただく必要があるなど、課題もございました。
このため、新銀行東京は、来年の一月に、この融資相談コーナーを新宿の本店に統合いたしまして、迅速なサービス提供を行うこととしたものでございます。
また、融資相談コーナーの統合によりまして、人件費を初めとします諸経費につきましても削減が見込まれるところではございますが、新銀行東京は、こうした銀行内の部門ごとの経費につきましては明らかにしていないところでございます。
○田中委員 本店も、先ほどの百五十一人と人員を削減して、融資相談コーナーもこのたび統合ということで、本当に適切なサービスが提供できるかということにも、ここで疑問を呈したいと思いまして、相談コーナーを立ち上げたときのニュースリリース、これホームページにも載っておりますが、中小企業の方々への資金提供、利便性、安全性の高いサービス提供、地域経済活性化の貢献と、強い意思がここには書かれておるんですが、今回、このように閉めて、実質本店に来なければ新規の相談さえもできないという中で、それに反することにはならないのか、今後の融資相談のあり方も含めてお伺いします。
○櫻井金融支援担当部長 今お話のございました、相談コーナー開設の際のニュースリリースの中にございました、中小事業者の方々への資金供給、及び利便性、安全性の高いサービスの提供により、地域経済の活性化に貢献してまいりますという記載は、新銀行東京の経営の基本方針を記載しているものでございます。
融資相談コーナーは、先ほどもご説明申し上げましたように、銀行の支店ではございませんため、具体的な融資検討や契約は行えず、改めて本店に来ていただく必要がございました。
このため、お客様の要望にこたえまして、本店での相談を行うことで、その後の引き続く手続を迅速に行うことが可能となるというふうに考えております。
また、既存の取引先につきましては、引き続き、新銀行東京の方から訪問するなど、リレーションの強化に努めまして、今後もサービスの向上に取り組むと聞いております。
このように、新銀行東京は、融資相談を初めといたしました業務全般にわたりまして、地域社会への貢献という考え方で中小企業支援に取り組んでいくとしてございます。
○田中委員 今の質問のやりとりですと、なぜ今回統合したかがよくわからないのですが、今回の統合は、一番最初の質問では、コストがかさんだのか、そのコストも提示がされないということでありますから、それがわからないのと、そのコストが重荷になったからというのが大きな理由なのか。ではなくて、今説明があったように、これは銀行法上ではないので、この相談コーナーでは融資が行えない、そういうことで二度手間になってしまうというのが理由なのか。そうであるならば、つくるときからそのくらいのことはわかっていたはずなのですが、そういう物理的な問題なのか。今回、これ、すべて閉めて、支店もなくなり、相談コーナーもなくなり、とうとう唯一本店一店舗になってしまうという大きな転換期のときかと思うので、もう一度この閉めた理由というか、お聞きしたいと思うのですが。
○櫻井金融支援担当部長 融資相談コーナー、閉めたということでございますが、新宿の本店に統合ということでご説明をさせていただいております。
統合の理由といたしましては、先ほども申し上げましたように、銀行の支店ではないために、具体的な融資の検討や契約が行えなかった、そうしたお客様には改めて本店に来ていただく必要があった。そうしたお客様のご要望もございまして、本店でそうした相談を行うことによりまして引き続くサービスというのを迅速に行うことができるというのが一番大きな理由でございます。
○田中委員 聞いているともっとものようであるのですが、結局皆さん、蒲田でも、秋葉原の人も新宿まで来なきゃいけないということで、どう考えても利便性は確保されないですし、お客さんへのサービスという面では提供が不十分であるということは、ここで最後にはいわせていただきたいと思います。先に進みたいと思います。
不良債権の件についてお聞きをしたいと思います。
不良債権比率が今回示されておりますが、部分直接償却、この実施前でも二二・二、政府向け融資を除いた場合ではさらに高まり、二七・七三と依然高い水準になっているのは先ほどの報告でもありました。まず、この状況についてを聞きたいと思います。
というのも、今回、旧来のスコアリングのモデルをやめて、中間決算の社長の話で、人間の目線による厳格な審査を行い、リレーションシップを高めているということを声高々にいっておりましたので、それが始まった二十年三月の時点で一二・七からすると、この比率は倍にも膨れ上がっておりますが、成果は出ているんでしょうか。
○中村金融監理室長 不良債権比率は、銀行の貸出金等の残高に占める不良債権残高の割合でございます。
新銀行東京の不良債権比率につきましては、部分直接償却実施前で二二・二%と、他行と比較しても高く、再建に向けての課題の一つと認識しております。
しかしながら、この間のリレーションシップ強化の取り組みにより、不良債権残高は、平成二十年九月期の三百四十八億円をピークに、平成二十一年九月末時点で三百六億円と、四十二億円減少しており、一定の成果があったものと考えてございます。
今回、不良債権比率が上昇いたしましたのは、不良債権残高の減少よりも貸出金等の残高の減少度合いが大きかったことによるものでございます。
○田中委員 今、不良債権の処理ということで話が出ておったんですが、この不良債権処理の戻し益によって、今回の信用コストの圧縮二十億円というのが発生していると思うんですね。
この話で、二十億というのが今回の利益のほとんどすべてといっても過言ではないのですが、このうちどこまでが本当に健全な企業での戻り益なのかというのが大事なのかなと思っております。
というのは、これも中間決算の発表では、予想以上に返済が進んで企業倒産が回避できているということも社長はお話ししておりました。本当にこれをその字面どおり信じていいのか、なかなかこれ、二十億のうち幾らが正当な戻し益による利益なのかというのは、やりとりしていて出なかったので、数字が出せないならば、かつて引き当てに計上していて、今回、この戻り益が多い業種や業態、どういうところが今回復をしているのかというのも見ていく必要があると思うのですが、そういう情報はお教え願えますでしょうか。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、あらかじめ予定を定めてございます償却・引き当て基準に従い、適切に貸倒引当金を計上しております。
貸倒引当金は、法令上厳格に計上することが求められており、当然のことながら、新銀行東京に限らず、どの金融機関であっても恣意的に行えるものではございません。リスケジュールにより企業倒産回避や業績回復も可能と、新銀行東京からは聞いているところでございます。
なお、具体的な取引先や業種につきましては、営業上の情報であり、新銀行東京は明らかにしておりません。
○田中委員 いや、私は恣意的にしている--二十億の、これが会計の操作によってなされているということをいいたいわけではなくて、今回、その戻り益に大きくかかわるのが、リスケジュールをしたということで、それを大々的に発表をしておりました。
これについては、与信期間の延長や返済金額の減額や約定金利の引き下げ、三つが示されました。これは確かに企業の倒産防止にもつながる場合もあり、これを今必要ということもいわれておるのですが、一方、事実としては、このリスケによる戻り益は、将来、新たな信用コストを生むおそれがあるということも監理室としては理解して、もしくはウォッチをしていただきたいと思うんです。
そうでないと、二十億戻ってきて、手放しで喜んで、よかったといっているだけでは、ただの報告を聞いているだけでありますので、監理室としてはそのような情報を求め続けることが必要だということで、この二十億の中身もしっかり精査してほしいという意図で私は話させていただいたのですが、いかがでしょうか。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、取引先の経営改善策の提案を含む適切なリスケジュール対応を行ってございまして、問題は我々としてはないというふうに考えてございます。
都としては、デフォルトの増大が経営危機を招いたという過去の反省の上に立って、デフォルトの発生状況とか動向とか、注視しております。銀行との株主連絡会では、そうした情報なんかも聞いておりますので、適切に監視してまいります。
○田中委員 まさに適切に監視していただくといっていただいたので安心したのですが、つまりリスケがいい悪いとか、中身について疑義があるというのではなくて、そういう大きなリスクはあるというのを常に知っておかないと、将来、これから大きくまた不良債権化して、もしくはデフォルトしてしまったらということでいわせていただいたということをご理解いただければと思います。
それでは、次は将来の事業構造ということで見ていきたいと思います。今回、事業構造が大きく変わったということでの質問をさせてもらいます。
調達、運用についてでありますが、調達面では、業務の柱である貸出金、公共工事代金の債権信託、保証、これの合計は前年同期と比べて百六十三億円も減らしました。特に、保証に関しては百八十一億円と減少幅が大きいものであります。また、調達面でも、預金は千二百六十九億円の大幅な減となりました。
このように、融資額の減少、保証額の減少、預金残高の減少と、大きくトリプルの減となっておるのですが、この調達、運用ともに大きく減少している現状をどうとらえているか、お聞かせください。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、再建計画に基づき、事業の重点化を図りながら全体として適正な規模を維持しております。
損益状況につきましては、二十年度決算では百五億円の赤字となってございましたが、計画に比べては、二十一年度、改善しております。
二十一年度決算では、第一・四半期に続き、中間決算でも十億円の黒字を計上し、通期においても再建計画を約三十億円上回る十三億円の黒字を見込んでいるというところでございます。
新銀行東京の経営再建は一歩一歩進んでございますが、銀行自身も中小零細企業に対する支援の現状は満足しておらず、また、実質業務純益の黒字化が課題と認識しているところでございます。
○田中委員 満足していないと銀行側がいっているのは、ぜひ監理室からも強くいっていただきたいと思います。
内容を見てみますと、先ほど出た保証額というのが大きく一番落ち込んでおるのですが、これは最近、新規の保証は行っていないということでありますが、これについてはどうしてかというのと、現状をお知らせください。
○中村金融監理室長 既存の保証に関しては、平成二十年度以降、実績がございません。
中間決算における保証残高は、二百二十四億円となってございます。
なお、再建計画で示しました新型保証につきましては、経済情勢の急激な悪化の影響などにより、現在のところ商品化には至ってございません。
○田中委員 新型保証ができないのが経済の悪化によるものなのかというのをちょっとお聞きしたいのですが、報道記事によりますと、この信金の中小企業への融資資金に新銀行が保証したという案件の中で、中小企業が倒産したときに新銀行が保証を拒否して保証金が支払われていない案件が複数あるという記事が出ておりましたが、この真相はいかがでしょうか。
○中村金融監理室長 それぞれの案件は銀行の経営判断で行っているものでございまして、新銀行東京は、個別の案件につきましてはその内容を明らかにしてございません。
○田中委員 さらに、記事の中では、この契約不履行で提訴する準備を進めているという記事もありましたが、それでは、これも事実誤認ということでよろしいんでしょうか。
私は個別の、どの企業が、もしくはどの信金が不履行になっているのか、訴えているのかということよりも、こういう事実があるかどうかというのをお聞きしたいのですが、いかがですか。
○中村金融監理室長 繰り返しになって恐縮でございますけれども、それぞれの案件は銀行の経営判断で行っているものでございまして、事実を含めまして、個別の案件につきましては新銀行東京は明らかにしていないところでございます。
○田中委員 つまり、そういうことであるならば、今回の保証の、この間、打ち切りというか、新規を行っていないというのは、このようにして信金との関係がうまくいってないということは一切理由ではないということでよろしいんでしょうか。
○中村金融監理室長 経済情勢等の急激な悪化の影響などにより、現在のところ商品化には至っていないというところでございまして、信金のそのようなことは事実としては承知しておりませんけれども、そのようなものではないというふうに私は考えております。
○田中委員 これは今進行中ということでありますので、事実はまた後ほど出てくると思いますし、もしくは、なければ、このようなことはなかったというので誤った誤報記事だということでありますので、事実を待ちたいと思います。
最後に、今回、この事業構造の変化で大きな変化を一つお聞きしたいと思います。
従来は、新銀行は貸し出しと預金という、いわゆる旧来の事業構造だったんですが、先ほど、預金の減少や、また、今回大きな債権の調達をしておりますので、有価証券プラス借用金という形に大きくシフトをしております。このシフトはどこまで進ませる予定であるのか、お教えください。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、預金で資金を調達し、貸し出しや運用を行うという根本は変わってございません。新銀行東京は、再建を目指す中で、経営はその時々の経済金融環境に柔軟に対応していく必要があると考えてございます。
○田中委員 幾つかの点からこれについてお聞きしたいんですけど、貸し出し、預金というのは銀行ですから当たり前なんですけれども、これは、今回大きく一千二百億円も預金が減って、また新たな調達を始めたということで、変化があるんじゃないかということでお聞きをさせていただいております。
例えば、仮に預金をさらに減らして有価証券と借用金で進めていきますと、この経費をカバーするのに、有価証券の配当の利回りから借用金の金利を引いた分の純利益で、今回でいえば半期の二十五億をカバーしなければならないことになります。これではなかなか健全な経営ができないというのが私の懸念であります。
例えば、適当な預金水準の指標というのは今お持ちになっているんでしょうか。
○中村金融監理室長 預金残高の水準につきましては、再建計画で平年度ベースの水準をお示ししたとおりとなってございます。現在のところ、預金水準につきましては再建計画に沿って推移しております。
○田中委員 違った見方をすれば、再建計画に進んでいっているのか、もしくはこの預金の減少が読めないんではないかというふうにもとらえることができます。今回、高金利のキャンペーン金利によって、その満期によって大きく預金が減ったという説明もありましたが、これから満期の契約は次々と解約をされていくという中で、逆にいえば預金の減少に歯どめがかかっていないというふうにも見ることもできるんですが、そのような状況に陥っているわけではないという理解でよろしいでしょうか。
○中村金融監理室長 新銀行東京の預金残高の大半を占めているキャンペーン定期預金は、満期到来に伴い、順次解約されていくものと考えております。
預金残高の水準は、先ほども述べましたけれども、再建計画に沿って推移しておるところでございます。
○田中委員 なぜこの認識をずっとつらつらと聞いたかといえば、先ほど申したように、銀行、大きな構造の転換にあると思っておりまして、貸し出し、預金からこの有価証券プラス借用金へのシフトというのは大きな変化でありまして、銀行としてはどこの銀行も今やっている中で、預金の金利と市場の金利以外はほとんど変わらない、もしくは逆転する場合もありますので、この市場金利から借りるというやり方は、オーソドックスなやり方であるんですが、しかし、これは裏を返せば、市場金利が常に変動のリスクがあって、さらには、これは銀行用語でいうとALMというんですが、アセットとライアビリティーということで、資産と資本を運用しながらお金をもうけるというやり方であるんですが、これは金利の変動の影響を大きく受けるということがあります。
これまでの新銀行の預金プラス貸し出しのスタイルであるならば、不良債権をチェックして、いわゆる信用リスクというものをずっとウオッチしていればよかったんです。これによって、昔は拓銀や長銀というのが食われ、つぶれたという経緯もありますから、これをチェックすればよかったんですが、もしも有価証券プラス借用金というマーケットへのシフトが大きくなりますと、今度は金利リスクやマーケットのリスクによって、かなり大きく収益が左右されるということがあります。
ということで、ぜひ金融監理室にはこの現状も見てもらい、さらには、私たち議会にもそういう現状があるというのを示していただきたい、そういうことが必要ではないかという視点でずっと質問をしておったわけですが、いかがでしょうか。
○中村金融監理室長 過去の経営の反省の上に立って、今、新銀行東京が経営再建案の計画中にあるということでございます。そのときの大きな問題としては、預金、貸し出しを含めたリスクのコントロールが適切ではなかったというふうに考えてございます。その際、今の新たな経営陣は、そういうところのリスク管理を適切に行っている中で、今、こうした預金水準、あるいは資金調達の水準があるというふうに考えてございます。
いずれにいたしましても、新銀行東京は銀行でございまして、そうしたもろもろのリスクを勘案しながら、預金で資金を調達し、貸し出しや運用を行うという根本は変わってございません。
○田中委員 余り理解していただけなかったかもしれないんですが、もちろん貸し出し、預金というのは既存のものであります。それで大きな赤字をこうむったというのは、もうそれは過去の話でしておるんですが、この委員会、特にこの質疑では、最近の動向ということでありますので、今、構造も、また収益体制も大きく変わっているという中では、新たなリスクも生まれ、それをチェックすることも必要だということをいいたかったわけであります。
いみじくも知事は、今回、我が民主党会派の酒井政調会長の質問に対しても、物事を複合的、重層的に考えてほしいと発言がありました。これ、どういう意味でいったのかあれなんですが、私からあれしてとらえれば、単に十億円の黒字達成ということをいうよりも、やっぱり本業の赤字も、先ほど認めていただいて、もしくは、粗利の稼ぎも大事だということをいったんですが、いろいろな視点から管理体制をしていかなきゃいけないと思っております。
知事も、推移だけ見ていろと、専門家に任せるということもいっておるんですが、そうではなくて、これまでの過程が赤字を生んだ、もしくはチェック体制が不十分だといったというのは、皆さんの認識を同じくするところでありますので、ぜひこの委員会では、これからも最近の動向というのは四半期ごとに出てくるわけでありますから、さらに監理室としては、今いったいろいろなリスクがあることを認識していただいて、私たち議会にも伝えていくという役目を負っていただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○中村金融監理室長 今、四半期ごとに決算の状況をご報告し、その中身についてご審議をいただいているところでございまして、そういうもろもろのものを含めて、ここの経済・港湾委員会の中でご議論いただいているところであるというふうに我々は思ってございます。
○田中委員 決意としてはわかったように聞こえるんですが、ぜひお願いしたいのとともに、今回、ちょっと時間がなくて、中小企業比率を含め質問ができなかったんですが、中小企業に対する融資も減り、また、どちらかというと、今、銀行が向かっているのは、普通の銀行に向かっているんじゃないかと思っております。普通の銀行というのは、聞けば、いい話でありますが、新銀行東京の当初の理念による、公共性を持った、中小零細企業に貸し出しを行い、また、それに寄与するというものから大きく外れていく、また違った形になっていくということも意味するんだと思います。私たち民主党としても、常に今いったさまざまな視点からこの銀行をチェックして、そして、私たちは、さらなる税金の追加をしない中で、銀行の早期の撤退、もしくは整理を含めて、これからも訴えをしていきたいということを最後に述べさせていただき、質問を終了いたします。
ありがとうございました。
○真田次長 ただいま、ご意見ということでございましたけれども、そのご意見の中で、存在意義の観点のご議論、あるいは、それを踏まえて撤退した方がいいんじゃないかというようなお話もございましたので、私の方からもちょっとその辺について考え方を述べさせていただきたいと思います。
改めて申し上げるまでもなく、新銀行東京は、中小企業を資金面で支援することを目的として設立された民間銀行でございます。この設立理念は、平成十六年の都議会第一回定例会におきまして、大多数の会派で賛成いただいて現在に至ったものでございまして、その設立理念につきましては全く現在においても変わっているとは思っておりません。
新銀行東京は、現在、経営再建のもとにございまして、その事業運営に当たって、再建計画に基づきながらも、当然のこととして、現実の経済金融環境に柔軟に対応していく必要があるということはいうまでもございません。また、再建途上にございますので、そういった展開においては、一定の制約を受けざるを得ないのも、今のところはやむを得ないところでございますけれども、そういった中にございましても、新銀行東京は、今、一生懸命、懸命にその再建努力を行っておりまして、中間決算でもお示ししたとおりの結果を示しているわけでございます。
九月末現在で二千百億円の預金、それから千百億円の貸出金、そして多くの赤字、債務超過先を含む九千社のお取引先もございまして、その従業員の数を含めますと、まだ十万人を超える関係者が存在しております。
先ほど、先生、撤退というようなお話もございましたけれども、改めてまた繰り返しになりますが、そういったことを撤退しますと、こうした多くの関係者が路頭に迷うことになりますし、この影響ははかり知れないものがあるというふうに改めて申し上げたいと思います。
また、先ほど申し上げましたとおり、決算におきましても、今こういうことで一生懸命頑張っているところでございまして、初めての通期の黒字の見通しも今発表しているところでございまして、そういうところからしますと、現在において、決算面を見ましても撤退するような状況に全くないというふうに考えております。
いずれにしましても、私どもは、新銀行東京が着実に経営再建の努力は果たしておりますし、私どももそういった状況につきまして、一生懸命適切に監視に努めてまいりたいというふうに考えております。
○高木委員 私は、まず、先ほど、委員会の冒頭に委員長から参考人招致のことのご報告がありましたので、昨日は中央卸売市場、また、本日は産業労働局、新銀行の関係について、自由民主党として参考人招致を求めてまいりましたので、今後も含めて、改めて引き続き参考人招致については、ぜひ委員会でお招きをしてお話を聞いていきたいということを申し上げておきたいと思います。
特に、本日議題になっています新銀行の関係、きょう報告事項をいただいておりますが、その経営悪化に至るまでの経緯を含めて、ぜひ当時の最高責任者であった方からお話を伺いたいというふうに思っておりまして、今回、ちょっと残念ながら参考人招致はできなかったんですが、なぜできなかったのかということも含めて、日程の問題なのか、あるいは参考人招致自体拒否をされたのかというところはまだ未確認でございますから、その辺のことを確認した上で、また改めてぜひお話を聞く機会を設けていただければなということを要望しておきたいと思っております。
質問に入りますが、先日、新銀行東京の平成二十一年度中間決算が発表をされまして、それによりますと、新銀行東京は、中間期において開業以来初の黒字を計上したということであります。これは再建計画が順調に推移をしている、言葉としては、やっぱり進捗をしている、進んでいるんだということだと思っておりまして、そのあらわれが今回の中間決算だと思います。
これが、そういう報告をなされたということは、私は現経営陣のやはり企業努力、経営努力のたまものであるというふうに評価をするのが正当であろうというふうに思っています。
そこで、今回の中間決算についての東京都なりの評価をまずお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、引き続き営業経費の圧縮による低コスト構造への転換に取り組んだほか、これまで大手銀行などでは十分に行えていない、取引先に対する融資条件の緩和、いわゆるリスケジュールを強化するなど、中小零細企業支援にきめ細かく取り組んだことにより、信用コストを圧縮したところでございます。その結果、当期純利益は、中間期において平成十七年の開業以来初の黒字を計上したところでございます。
今回の中間決算は、中小零細企業への支援に取り組みつつ、新銀行東京の再建が着実に進んでいるものと評価してございます。しかしながら、実質業務純益は改善されつつあるとはいえ、赤字の状況であり、その黒字化の課題が残されております。
新銀行東京の引き続きの経営努力が必要であると考えてございます。
○高木委員 今、答弁の中で、やっぱり課題も残されているんだということを含めて、そうした厳しい見方をぜひ東京都としてもしていただきながら、今後の新銀行の経営に対して適切に監視をしていくという姿勢はぜひ貫いていただきたいなと思っています。
新銀行東京は、リスケジュールの強化、それから中小企業支援にきめ細かく対応している、そういう答弁でありましたが、一方で、一部に中小零細企業の役に立っていないんではないかというようなご議論が常々出てくるんですね。
いろいろなデータを見てもわかるとおり、新銀行東京が今まで果たしてきた役割を考えてみますと、中小企業の役に立ってないというのは、私はやっぱり誤解であり偏見だというふうに思います。
確かに、現在の新銀行東京は経営再建の道半ばでありまして、銀行としての努力は引き続き必要だというふうに思っていますが、しかしながら、そうしたことをベースにして考えていったときに、やはり銀行としての、今できる範囲の経営の仕方というのは当然あるべきだと思うんですよ。
ですから、今回ちょっと聞いてみたいと思いますのは、現在の中小企業向けの融資というのは、その状況は今どうなっているのか、教えていただきたいと思います。
○中村金融監理室長 今年度の中小零細企業向けの融資、保証実績は、九月末時点で二百三十一件、二百四億円となってございまして、残高では八千六百八十四件、七百四十二億円の支援を実施しているところでございます。この中には、他の金融機関では支援が困難な赤字、債務超過先への支援四千二百六十三件が含まれてございます。残高は減少してございますけれども、新規の融資実行は、前年同期と比べ百六十五件、百八十二億円の増となってございます。
中小零細企業向け融資は、新銀行東京の担うべき役割でございまして、現状が最善であるとは思ってございませんけれども、再建を実行中の新銀行東京は、みずからの体力の範囲内で、可能な限りの中小零細企業支援を行ってきているものと考えてございます。
○高木委員 限られた選択肢、あるいは限られた営業可能範囲というのかな、その幅の中で、私は、ある意味で非常に一生懸命、新銀行、努力されているなという印象を持っています。
数字で出ているように、百六十五件、百八十二億円の増。今、部長のご答弁がありましたように、みずからの体力の範囲内でというところが大事なところだというふうに思っていまして、それはもう、何でもできる条件の中であれば、もっとやれという話はできるかもしれないけど、残念ながら、残念ながらだけども、私たちが過去の経営の過失などを問うているように、やはり、残念ながら今、体力の範囲内でというところが大事な視点だと思っていますので、ぜひこれからも頑張っていただきたいなというふうに思っています。
新銀行東京は、ですから、一日も早く再建を果たしていただいて、設立の理念に掲げたような中小零細企業の役に立つ銀行になるように努力をしていただきたいと思っています。
次に、不良債権についてお伺いをいたします。
新銀行東京の不良債権額は、平成二十一年三月期の三百三十四億円から、今回の中間決算では三百六億円に減少をいたしました。このことについては、一定の評価をしたいと思っております。
ただ一方で、不良債権比率に関しては、同じく二十一年三月期の一六・七五%から、九月期には二二・二〇%へと上昇をいたしました。不良債権額が減少をしているにもかかわらず、不良債権比率が高くなっている。このことについて、ちょっと私たち、金融の専門家ではありませんので、ぜひこの事情というのをわかりやすくご説明をいただきたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京の本年九月期における不良債権額は、三月期に比べまして約二十八億円減少いたしましたが、ご指摘のように不良債権比率は上昇してございます。
不良債権比率は、銀行の貸出金等の残高に占める金融再生法開示債権、いわゆる不良債権の割合のことでございます。不良債権比率は、こうした分子と分母の割合ということでございます。
今回の中間決算では、不良債権残高が減少しているにもかかわらず、その分母でございます貸出金等残高がそれ以上に減少したため、結果として不良債権比率が上昇したということでございます。
なお、貸出金等残高の減少につきましては、事実上の運用でございます政府向け貸し出しの減少が大きく影響しているところでございます。
○高木委員 不良債権比率というのが、貸出金残高との関係による数字であるということが今わかりました。
しかしながら、不良債権額が減ってきているとはいいながらも、依然として三百億円を超えていることは事実なんですね。新銀行東京の経営規模から見ると、余りに巨額であるということも一方ではいえるんだろうと思います。
こうした不良債権は、旧経営陣時代の融資案件の影響が多いと聞いておりますが、実際のところ、いかがなんでしょうか。
○中村金融監理室長 新銀行東京の不良債権残高は、旧経営陣時代に実行したものがその大半を占めてございます。詳細な金額を述べることは差し控えさせていただきますが、平成二十一年九月末時点の不良債権残高のうち、約九割超が再建計画実施前に融資されたものであり、新たな経営陣になってからの融資案件では、不良債権の発生は大幅に抑制されてございます。
なお、不良債権の管理につきましては、将来の損失に対する備えがいかになされているかという点が重要でございまして、その指標である保全率は、同じく九月末時点で約九〇%と高い水準であることから、都としては、備えは十分にされているものと考えてございます。
○高木委員 今、新銀行東京の不良債権の実態について、わかりました。
ところで、今回の中間決算で、債権管理に関する費用である信用コストということについても議論の対象になっています。信用コスト圧縮により戻り益が生じて、決算が黒字化したことに対して、一部には表面上の数字の帳じり合わせというような批判があるやに聞いています。
私は、きちんと債権管理をすることも銀行業務の重要な一面であると思いますし、信用コストの圧縮のために、実は新銀行東京は具体的にどんな取り組みを行ってきたのかということを教えていただきたいと思います。
○中村金融監理室長 信用コストとは、金融機関の会計処理上、貸出金が返済されない場合の備えである貸倒引当金の繰入額などを指すものでございます。
新銀行東京は、本年一月以降、中小零細企業を含むすべての取引先に対して、原則月一回以上訪問するなど、顧客対応を強化しているところでございます。加えて、地方銀行や信用金庫のOBを活用し、取引先の実態に応じて貸出条件の緩和、延滞や倒産の回避等の策を講じているところでございます。
こうした取り組みの結果、取引先が破綻すれば回収が全くなくなってしまいゼロとなってしまうものが、取引先が再生することによりまして借入金の返済が可能となるということでございます。このため信用コストの負担が軽減され、今決算期末において、過去に積んだ貸倒引当金の戻り益が生じたものでございます。
信用コストの圧縮は、ご指摘のとおり、貸出債権の管理という銀行本来の業務を強化した結果というふうに考えてございます。
○高木委員 そうした銀行本来の業務をしっかりやっていただくことだと思うんですね。今までは、いい方は悪いのかもしれませんけど、そういうことすらもできる状態になかったという、私は個人的にはそういう印象を持ってまして、ですから、そういうことをしっかりとやっていただくことが今後の経営には大事なんだろうと思います。
これまでの議論で、新銀行東京には依然として多額の不良債権が存在をして、その大半は旧経営陣時代のものであることがわかりました。しかしながら、将来の損失に対する備えである保全については、十分なされているということは確認をされたわけであります。
今回の中間決算では、旧経営陣時代の大幅な赤字から、開業以来初の黒字を計上いたしましたが、これは新たな経営陣の堅実な経営によるものといえると思います。今後ともこのような経営を継続し、過去のような多額の不良債権を生み出さないことが何よりも重要なんだろうと思っています。
最後に、今回の中間決算を踏まえた、再建に向けての局長の決意を伺います。
○前田産業労働局長 新銀行東京は、再建に向けた懸命な努力を重ねておりまして、今回、外部経済環境が厳しい中で、第一・四半期に引き続き、中間期でも十億円の黒字を計上いたしました。開業以来続いてきた赤字という出血をとめたということでございまして、これは間違いなく一つの前進であると考えます。
先ほど来、室長が答弁いたしましたとおり、新銀行東京は営業経費の圧縮による低コスト構造への転換を図るとともに、これまで大手銀行などでは十分行えていないリスケジュールを強化するなど、中小零細企業への支援に取り組んでおります。こうしたことが、お話しの不良債権の抑制にもつながっていくものと考えます。
しかし、再建はお話しのように道半ばでありまして、経営環境による一定の制約というものは当然ございます。こうした中にあって、新銀行東京の現経営陣は、顧客対応の強化と、適切なリスク管理など堅実な経営を進めておりまして、黒字というのも、さらに実質業務純益の黒字化を目指して取り組んでいるところでございます。
新銀行東京が、中小零細企業の支援という灯を絶やすことなく、先々、再びその設立理念を発揮できるようにするため、都としても、再建が着実に進みますよう、引き続き監視と支援に全力を挙げてまいります。
○高木委員 銀行というのは一般に、預金、それから融資、保証、それから資金運用、債権管理、そういったさまざまな業務を重層的に行っていると思います。こうした業務が総体として機能するというんですかね、そのことによって銀行経営というのは、かなり複雑な流れの中で成り立っていると思います。
新銀行東京についての議論は、そうしたことを、やっぱり知事のお言葉というのがありましたけれども、多面的、重層的にというお話なんでしょうけれども、そうしたさまざまな状況や角度、そして現下の経済情勢も含めて、複合的にいろいろなことを考えていかなきゃいけない。そうした中で、新銀行東京はどうあるべきか、今後どう再建をさせていくべきかということが、都政としての前向きな取り組みだと私たちは考えています。
ですから、本日、大変いろいろなデータも含めて、産業労働局とのこの質疑の中で明らかになりましたが、ぜひそういう姿勢を貫いていただいて、今後の都政運営の中で間違いのない方向性を探っていき、つくっていっていただきたい、お願いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○高倉委員 それでは、報告事項に対しての質問をさせていただきます。
新銀行東京の今回の中間決算につきましては、黒字化という結果でありまして、今年度の通期においても黒字の見通しであると、こういったことも示されております。大変に厳しい経済状況の中で、本業での利益という課題はあるにしても、再建計画をいわゆる上回る結果を出してきていると、このようなことであろうと思っております。
私どもは、新銀行東京の再建計画を進めながら、企業価値を高めた上で、業務提携あるいは譲渡等によって四百億円の追加出資というのを保全もしくは回収すべきと、こうしたことを訴えてきているわけでありますけれども、さらにこの再建計画というものを推進をしていっていただきたいなと思っております。
今回の中間決算の発表では、新銀行東京は、新たにリスケジュールの状況について公表しております。発表資料によりますと、融資返済に苦しむ企業に対して、与信期間の延長などのリスケジュール対応を強化というふうに記載をされているわけでありますけれども、このリスケジュールにつきまして絞って質疑をさせていただきたいと思います。
まず最初に、このリスケジュールというのは具体的にどのようなことか、説明をいただきたいと思います。
○中村金融監理室長 一般的にリスケジュールとは、銀行と取引先とが合意の上、貸出金の返済期間を当初の契約より延長することをいいますが、新銀行東京では、与信期間の延長、返済金額の減額、約定金利の引き下げなど、融資条件の緩和を取引先の実情に応じきめ細かく行ってございます。
リスケジュール先は、返済負担が軽減され、資金繰りにゆとりができるというメリットがあり、事業継続、経営改善に向けた取り組みが可能となるものでございます。
また、銀行にとっては、適切なリスケジュールを行えば、継続的な取引を通して収益に貢献することが期待されるものでございます。
○高倉委員 今ご答弁をいただきましたけれども、リスケジュールについて新銀行東京では、取引先の実情に応じてきめ細かく実施をしていると、こういうご答弁でありました。
その新銀行のリスケジュールの取り組みの状況についてご説明をいただきたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京では、昨年のリーマンショック以降、これまで数年にわたり継続的に返済を行ってきたものの、売り上げが減少し、債務返済が困難になった取引先を中心にリスケジュールを行ってございます。
その実績は、平成二十一年九月末時点で千二百五十件、九十三億円であり、貸出金、保証全体に占める割合は、件数で一四・三%、金額では一二・五%となってございます。
○高倉委員 今、具体的な実績をいただきました。
ただ、この新銀行東京のリスケジュールについて、再生の見込みがない企業を単に延命させるだけなんじゃないか、こういった批判があるんだと思いますけれども、これについてご見解を求めたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京が適切なリスケジュールを行うことにより、取引先の再生が可能となるものでございます。同時に信用コストが圧縮されることから、銀行自身の収益改善も図られることになります。このように、リスケジュールは、取引先、新銀行東京の双方にとってメリットのあるものでございます。
新銀行東京は、取引先に対し、経営悪化の原因を伺った上で、経営改善など対応策の相談に応じ、時には店舗の廃止などのリストラを勧め、リスケジュールに応じており、再生の見込みがない企業の単なる延命のために行うことはございません。
さらに、リスケジュール実行後も、定期的な訪問や資金繰り状況の聞き取りなどにより、経営の実態を適切に把握するとともに、アドバイスを行い、取引先の経営改善を支援しているところでございます。
○高倉委員 今ご説明もいただきましたけれども、私も、いわゆる再生の見込みがない企業を単に延命させるだけということではないと思いますし、新銀行東京も、そのような中でリスケジュールに取り組んでいるという説明だったと思います。
そこで、中小零細企業を支援をするために、国会において中小企業金融円滑化法が成立をしたわけでありますけれども、この内容についてご説明いただきたいことと、知事は先日の代表質問でも、新銀行東京が取り組んでいるこのリスケジュールは、今回国会で成立をしたこの法律を先取りをして実施したものであると、こういったような答弁をされていたと思います。この点についての所見をお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 先ほどご答弁したとおり、新銀行東京では、昨年のリーマンショック以降、これまで数年にわたり継続的に返済を行ってきたものの、売り上げが減少し、債務返済が困難になった取引先を中心にリスケジュールを行ってございます。
ご指摘の中小企業金融円滑化法は十二月四日から施行された法律であり、金融機関は、債務の返済が困難になった中小企業者または住宅ローンの借り手から申し込みがあった場合には、貸付条件の変更等を行うよう努めることなどが定められてございます。
こうしたことから知事は、法の趣旨を先取りして実施しているものと思っていると述べたものでございます。
○高倉委員 今、少しやりとりをさせていただきましたけれども、新銀行東京の中間決算の発表資料によりますと、お客様とのリレーションシップ強化による遅延、延滞の防止、また適切なリスケジュールの対応などによって信用コストが圧縮をされて、今回の黒字化に大きく寄与したと、このようにされております。
これまでの答弁において、リスケジュールは単なる延命策でないこと、そして、新銀行東京が、取引先である中小零細企業の個々の実情を踏まえた対応を行いまして、適切にリスケジュールにも応じているということで、まさに国に先駆けて中小零細企業の支援を地道に行っているということを理解させていただきました。ぜひ今後とも、設立の趣旨である中小零細企業支援のためにしっかりと取り組んでいただきまして、一日も早い再建を強く望むものであります。
最後に、私たちは新銀行東京の深刻な経営悪化の責任追及を行うべきであるということを一貫して訴えてまいりました。先日、代表質問でも、新銀行東京においては現在、年内を目途に訴訟を提起すべく、訴訟代理人の選定作業など周到な準備を進めている、こういう趣旨の答弁があったと思いますけれども、最後に、この進捗状況についてご所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、旧経営陣の代表執行役であった仁司泰正氏及び執行役であった丹治幹雄氏に対して損害賠償請求訴訟を提起する方針を決定し、これまで周到に準備を進めてまいりました。
新銀行東京は、企業訴訟について実績のある、経験豊富な弁護士を訴訟代理人に選任し、訴訟に関する詰めを行っており、年内に訴訟を提起することを想定しているが、遅くとも年明け早々には実施する方針でございます。今後、司法の場で旧経営陣の責任が明らかにされると考えております。
○高倉委員 今ご答弁で、企業訴訟について実績のある、経験豊富な弁護士を訴訟代理人として選任すると、こういう新しいお答えがあったかなと思います。
これまでも、訴訟の時期については、繰り返し私どももさまざまな場で質問をし、答弁をいただいてきましたけれども、遅くとも年明け早々にはということでありますので、ぜひこれはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
以上で終わります。
○清水委員 新銀行東京の報告について質問いたします。
まず、参考人招致の件ですけれども、前期、繰り返し参考人の招致を要望してまいりましたが、実現に至りませんでした。今期になりまして、全党が賛成をして、参考人招致をしようということで先日の理事会で決まりまして、委員長のもとで調整が行われてまいりました。大変都民の皆さんには期待が高かったわけでありまして、本日、継続ということになったことは本当に残念です。ぜひ委員会としても、きょうの報告の質疑をする上でも、参考人質疑が実現をできたらいいなというふうに思いますし、私たちも、きょうの質疑に当たりまして、こういう人をということで推薦をして進めていただきたいと委員長に申し上げてきたところです。
さて、新銀行東京の半期決算が出されました。まず、新銀行東京の再建計画は計画どおりにいっているのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 今回の中間期決算では、開業以来初の黒字を計上しているといったこと、あるいは、純資産の面でも計画を上回る水準を上げているということ、本年度の決算見込みにおきましても、十三億円の黒字を計上する見込みであるということからかんがみまして、順調に、着実に再建計画に沿って経営改善が進んでいるというふうに考えてございます。
○清水委員 再建計画というのは、スタートからつまずいていたわけで、それが、今お話がありまして、途中、今回の決算のようになっておりますけれども、うまくいくはずがないというふうに私は思います。
再建の道筋がついたどころか、さらなる悪化をたどっております。まず、中小企業への融資です。先ほども質疑や答弁がありましたけれども、また、資料にもありますけれども、貸し出しについて、資料によりますと新規融資は六カ月で二百三十一件。これを六カ月、一カ月二十五日ぐらいとして割りますと、一日二件にもならないわけです。
この新規融資の中で、中小企業というのはどれだけあるんですか。
○中村金融監理室長 すべて中小零細企業向けでございます。
○清水委員 売上高一億円未満というのは、六カ月で五十二件です。これは売上高で示されているので、資本金だとかそういうのはわかりませんけれども、五十二件で、先ほどもご答弁ありましたように、無担保・無保証人融資は九十二件ということで、この全体の融資と売上高一億円未満の件数と、また、無担保・無保証人融資などの件数などの実態について、どのような認識をお持ちですか。
○中村金融監理室長 必ずしも、売上高をもってその事業者の規模をはかるというのは適切ではないと思います。小さい企業でも、売り上げが大きい企業もございます。(発言する者あり)ということでございます。
それと、無担保・無保証につきましては、過去の経営悪化を反省として再建計画を定めたというところがございます。原則として、無担保・無保証は行わないというところからスタートしているものでございます。
ただし、その中にあっても、成長などが見込まれる、大丈夫な企業というようなものに対しては、無担保・無保証を銀行の判断で一生懸命やっているというところでございまして、そのような中でそういう実績になっている。今、新銀行は経営再建中でございます。さまざまな制約があるということでございます。中小零細企業の支援というところでも、経営者みずからが満足している状況ではないというふうにいっているわけでございまして、これを着実に伸ばしていく、再建をしていくということは、新銀行東京にとっては重要なことであるというふうに考えてございます。
○清水委員 今の経済の状況などから見て、金融不況だとか、二重底だとかいわれているときに、新銀行が中小企業といわれるのであれば、そういう人たちに対してどういう役割を果たしているのかということについては、やはりこの件数を見れば明らかだと思うんです。
先ほどから、中小企業のためには役立っているんだと、何件あるんだというようなこともいわれていますけれども、最初のころは多少あったかもしれませんけれども、今日、このままの状況で、中小企業のための銀行だというふうには到底いえないというふうに私は思うわけです。
それでは、貸し出しにおける再建計画の到達状況や、三つの新規事業についてどうなっているのか、お伺いいたします。
○中村金融監理室長 全体として、融資の実行規模というのは計画どおりになっています。ただ、個々の、それぞれのものを見れば、先ほどもありましたけど、保証といったような部分についてはなかなか進んでいない。これはなかなか厳しい経済環境の中で、リスクや何かを見ながらやっているというところでご理解いただきたいと思います。
全体としては、実行額ベースではいっておりますし、先ほどもございましたように、中小零細企業向けの融資につきましても、実行額そのものは前年同期と比べて大きく改善しているということでございます。
ですから、トレンドから見れば、全体としては向上しつつある。これで満足しているというわけではございませんけれども、トレンドとしては向上しているというところでご理解願いたいと思います。
○清水委員 新しい事業ですけれども、成長が期待されるニュービジネスへの重点的支援では、二百億の目標で十七億、事業意欲が高い既存顧客などへの継続的な支援は、四百億目標で二百五十億、都との連携で百億が三十六億というような状況で、私は到底うまくいっているというような状況ではないというふうに思います。
次に、貸出金の償却費の処理件数と金額についてお伺いいたします。
○中村金融監理室長 それぞれの償却の件数というのは、一般の金融機関でも明らかにするものではございませんので、新銀行東京もそれについては明らかにしてございません。
○清水委員 不良債権については、先ほども他の委員からもありました。資料8でお示しされておりますが、全国の銀行と比べても大きくなっていますし、ふえ続けているということは明らかだと思います。保全率をしているよというようなことでご答弁があるかと思いますが、私は、ここにおいても順調というような状況では全くないというふうに申し上げておきたいと思います。
次に、黒字だということですけれども、その実態はどうかということについてです。業務純益、一般貸倒引当金の繰り入れ前が依然赤字で、前年同期比より悪化しているわけですけれども、その原因を説明していただきたいというふうに思います。
○中村金融監理室長 国債等償還損益が減少したことによるものでございます。前年同期に一時的な増益要素として、約二十億円の外国債券の償還益を計上したことが大きな要因でございます。
○清水委員 今のご説明で、新銀行の収益というのは、結局、有価証券などの損益で左右されているということをみずから認めていることだというふうに思います。
次に、第一・四半期決算以上に借用金が増加している、これも先ほどから出されています。どこからの借入金なのか、どのような方針のもとで行われているのか、そして、再建計画との関係というのは一体どうなっているのかということについてお伺いいたします。
○中村金融監理室長 先ほどありましたけれども、実質業務純益の黒字化が課題だというふうにいっておりますので、そこのところを無視して、業務の黒字というところを有頂天になっているというわけではございませんし、全体として、トレンドとして向上しているというところも見ていただきたいと思います。
それと、銀行業務全体としては、要するに預金、貸し出しの業務、運用の業務、それぞれというのは銀行の中での大きな部門でございますから、その中で、その時々の経済状況によってそれをどういうふうに案分していくかというのは、その時々の要素であるという形でございます。
今回の大きな要素は日銀借り入れでございます、大きな部分はですね。日銀の借り入れというのは、日銀の政策効果が金融市場や企業金融に十分に浸透することを目的として行われており、現下の厳しい金融環境の中で多くの銀行が資金運用の一つとして利用しているものでございます。
日銀借り入れにつきましては、再建計画では想定してございませんけれども、銀行の業務はその時々の経済金融環境に柔軟に対応していくものでございます。
○清水委員 想定していなかったものを利用しているというようなことで、結局、再建計画がそのとおりにうまくいっていないから、こちらからも利益を上げるために借り入れているんだというようなことをいわれているのかなというふうに思います。
結局、少ない預金の中で投資運用益を稼ぐために借入金をふやし、リスクの高い有価証券をふやしているということにほかなりません。有価証券などによる収益というのを差し引くと、結局は赤字になるということにもつながっています。貸出金の減少、借用金の増加、有価証券の利ざやを頼って、貸倒引当金をもとにして黒字にしているといわざるを得ません。
全国銀行平均との比較で見ると、貸出金の総運用資産との関係で見ると、新銀行は三一・一%、全国は、貸出金の総運用資産との関係では七三%になっています。
また、有価証券が総運用資産に占める割合を見ると、新銀行が五五・七%に対して、全国のそれぞれの銀行の平均は二六%だということで、新銀行の今の実態というのが明らかになっているわけです。
先ほど、銀行はいろいろなものを運用してやってるんだと、そういうふうにいわれましたけれども、銀行法には、第二章第十条で、「銀行は、次に掲げる業務を営むことができる。」ということで、確かに今いわれた、有価証券を買ったり、借用金をしたりということはできるかもしれません。しかし、その銀行法の第一というのは、預金または定期積立金などの受け入れ、そして、二番に資金の貸し付けまたは手形の割引、その他の業務として債務の保証、有価証券となっているわけです。同列じゃないんですよ。銀行の第一の業務である資金の貸し付けが先ほどからいわれているような状態では、到底銀行のていをなしていないといわざるを得ませんし、先ほどからも申し上げていますように、中小企業のための銀行とは到底いえないものです。
今なら損失も少なく、税金の回収が可能であり、私たちは、繰り返し申し上げておりますように、早急に手を引くべきだというふうに考えています。石原知事が繰り返していう、新銀行の業務提携先や売却というような、セカンドステージへの信用へつなげるための経営をしているというふうにいわざるを得ません。
それでは、次にお伺いいたします。
このほど、新銀行東京が、元行員である横山氏と裁判を行われましたが、その結果と内容についてお伺いいたします。
○中村金融監理室長 新銀行東京が提訴した訴訟につきましては、新銀行東京より十一月六日に和解をしたとの報告を受けてございます。新銀行東京と元行員間の民間同士の訴訟でございまして、その内容の詳細については、都は知り得る立場にございません。
○清水委員 なに無責任なこといっているんですか。私たちは繰り返し、ブリーフィングメモがありますよ、CDがありますから聞いてくださいという中で、あなたたちは、ない、知らない、よく声が聞こえなかった、こういってきたわけです。メディアに登場した情報提供者の新銀行東京の元行員を、新銀行が起こした裁判というのは実質敗訴なんですよ。一千万円の請求をやめ、繰り返すなという訴訟を取り下げたわけです。そして、今までのものを返してもらえばよいというほどのものです。
その裁判の中で、昨年来我が党が主張してきたブリーフィングメモの問題では、先ほども申し上げましたように、東京都は、ないとか、知らないとか、聞こえないとか、実物があるのにもかかわらずいってまいりましたが、存在していたことが明らかになったんではないですか、伺います。
○中村金融監理室長 今回の訴訟につきましては、あくまで新銀行東京と元行員の間の訴訟でございます。元行員が新銀行東京から持ち出したとされる文書や記録媒体について、都が確認する性格のものではございません。
○清水委員 そこで使われて、新銀行が返せといっているものは、私たちは繰り返し議会の中で示してきたものなんですよ。それを、新銀行がないものを戻せとはいえないはずでありまして、そもそも裁判を起こしたこと自体が、このブリーフィングメモの存在を認めたものだというふうに思います。
さらに、都民の目線でもおかしいと考えたことを素直に情報提供した人を裁判に訴え、新銀行内の人間関係で心身の健康問題を抱えるようになった人をさらに追い詰め、体調を崩すということになったのです。新銀行として、この元行員の方に私は謝罪すべきだというふうに思います。この元行員の方の人生を踏みつぶした新銀行の責任は本当に大きいということを指摘をするものです。
以上です。終わります。
○佐藤委員 報告事項である新銀行東京の半期決算に関連して伺います。
再建中である新銀行東京も、収益をふやすためにさまざまな取り組みを行っているようでありますが、私もいろいろと調べておりましたら、FX業者が新銀行東京に信託保全をしているという記載がありました。今まで一度も報告がなかったことでもありますので、確認をさせていただきます。
これは、どういった内容で、いつから新銀行東京が引き受けているものでしょうか、お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 今お尋ねのございましたFXということで、外国為替証拠金取引、いわゆるFX取引では、取引をする者は、このFX事業者に一定の証拠金を預けることによりまして取引を行います。この証拠金が、FX事業者が固有の自分の資産や取引と混同されたまま、もしFX事業者が破綻などした場合には、預けたお客様にその証拠金が戻らなくなってしまう可能性がございます。そのために、金融商品取引法は、FX事業者に対しまして、預かった証拠金をみずからの財産とは区分をして外部の銀行へ信託保全するなどによりまして分別管理することを義務づけております。新銀行東京は、信託兼営銀行として、この証拠金の管理を信託として受けることを銀行設立時より取り扱っているところでございます。
なお、信託の設定によりまして、今のこの証拠金でございますけれども、新銀行東京の固有資産からも帳簿上分離をされておりまして、きちんと保全をされていると、そういう性格のものでございます。
○佐藤委員 新銀行東京の設立時から行っていたわけですね。万が一新銀行東京が破綻した場合にも、信託法のもとで信託財産は新銀行の財産とは切り離して保全されるわけです。今回出されている資料のどの部分が信託保全された財産になるのでしょうか、お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 報告事項の資料としてお示ししてございます平成二十一年の中間決算の決算短信の中でございますけれども、この中に信託財産残高表というのがございます。この中の特定金銭信託九億九千三百万円というのがこれに該当いたしまして、FX事業者から信託を受けました証拠金は、今申し上げたところに含まれるというところでございます。
○佐藤委員 どれくらいの業者と取引があり、幾らの収益を得ているものでしょうか。いつ収益を得るような取引になっているのかということと、取引に当たって、新銀行東京のリスクはないものでしょうか、お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京は、現在、複数のFX事業者と取引をしていると聞いております。その収益は信託報酬に計上しておりまして、信託報酬全体といたしましては二千万円であることを公表しておりますが、このFX事業者との関係の取引に関する額や時期などの個別の情報について、新銀行東京は明らかにしておりません。
この業務は証拠金の保全業務でございまして、新銀行にとってはリスクはございませんで、また、お尋ねの取引に当たってのリスクという、そういう考え方そのものがなじまない性格のものだと思っております。
○佐藤委員 FXの信託保全を新銀行が受けるに当たって、都は了承していたのでしょうか、お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 こうしたFXの事業者さんから証拠金を信託としてお預かりをするということをやるのは、民間銀行としての新銀行東京の経営判断で行うことでございまして、東京都が了承するとかしないとか、そういう性格のものではないかと思います。
しかしながら、この業務をしていたということにつきましては、東京都としても承知をしているところでございます。
新銀行東京は、先ほども申し上げましたように、信託兼営銀行というものでございまして、公共工事代金債権信託を初めといたしました信託業務を、法に基づきながら行うことは当然のことだというふうに考えております。
○佐藤委員 私がざっと見ただけでも六社ほどのFX業者が信託保全先として新銀行東京を指定していました。新銀行設立時から行っていながら、なぜか都から議会には報告はありませんでした。これにはまだまだ報告されていない事柄があるのかと疑問を持ちます。
次に、新銀行東京の借り入れと運用について伺います。
寺井代表取締役と常久執行役が出席した平成二十一年十一月二十日に行われた新銀行中間決算の記者会見において、経営陣は、基本的に適格担保という、国債であるとか格付の高い民間会社の社債などを担保に日銀からお金を借りている、基本的には有価証券運用につながっていると発言しております。
まず確認させていただきますが、新銀行東京は、民間会社の社債と国債をどれほど保有しているのでしょうか。有価証券の保有総額とあわせてお答えください。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、平成二十一年九月末時点で七百三十四億円の社債、一千四百九億円の国債を保有しており、有価証券合計で二千四百三十三億円でございます。
○佐藤委員 新銀行東京が七百三十四億円の社債と千四百九億円の国債を保有していることはわかりました。
新銀行東京の有価証券の保有額は二千四百三十三億円とのことですが、残りの二百八十九億円は何でしょうか。あわせて、抱えるリスクもご説明ください。
○中村金融監理室長 外国証券や組合等への出資金でございます。国債などと同様に、価格変動リスクや金利リスクを負っているものでございますが、新銀行東京からは、安全確実な債券を中心に投資していると聞いてございます。
○佐藤委員 借用金について申し上げれば、新銀行東京は、平成二十一年三月時点では借用金は十億円しかありませんでした。しかし、四月以降の状況を見ると、借用金がふえております。
そこで伺いますが、日銀からどれほどの借り入れをしており、その金利はどれほどなのでしょうか、お答えください。
○中村金融監理室長 日銀借り入れは、日銀の政策効果が金融市場や企業金融に十分浸透することを目的として行われており、現下の厳しい金融環境の中で、多くの銀行が資金運用の一つとして利用してございます。新銀行東京の平成二十一年九月末における借用金額は一千百五十五億円であり、その大半は日銀借り入れと聞いております。
金利は、日銀が公表している共通担保資金供給オペの落札価格によれば、平成二十一年十二月四日落札の十二月七日開始分で〇・一三%となってございます。
○佐藤委員 担保が必要な日銀の融資メニューは幾つかあるわけですが、融資と同額以上の担保が必要です。一千百五十五億円の資金を新銀行東京が借りているということであれば、一千百五十五億円以上の有価証券を担保に出す必要があります。
日銀への担保ですが、新銀行東京はどれくらいの金額で、何を担保に入れているのでしょうか、お答えください。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、国債や社債などを担保として、日銀から、先ほどもご答弁しましたように借り入れをしてございます。ただ、金融機関の個別の取引内容につきましては、新銀行東京に限らず、金融機関では明らかにしていないものでございます。
○佐藤委員 新銀行が一千百五十五億円以上の有価証券を担保に入れて、日銀から一千百五十五億円の資金を借りているわけです。また、日銀から借りた資金一千百五十五億円と預金二千百四十七億円をもとに、三千四百四十三億円を新銀行東京が運用しているわけです。
運用の状況としては、日銀に担保として出されている有価証券と、日銀からの融資で購入した有価証券の総額が二千四百三十三億円、そして、政府への貸し出しに二百七十四億円、買い入れ金銭債権に二百七十九億円、コールローンに四百五十五億円です。
日銀に担保として出している有価証券ですが、新銀行東京が保有をしているわけですから、そのクーポンも新銀行東京に入るわけです。担保にした債券のクーポンをもらいながら日銀から低利の融資を受け、その資金を新銀行東京が有価証券などで運用する。新銀行東京の持っている有価証券を担保に日銀から融資を受けることで、二回運用収入を手にすることができるわけです。しかも、国債等で運用すれば、損することはほぼないのではないでしょうか。
といいますのが、先ほどお答えいただいたように、日銀から受けている融資の金利は〇・一%程度ということですから、一方、国債で運用した場合、平成二十一年九月時点の五年物国債の利回りが〇・六四八%ですから、〇・五%弱の金利差益が出てきます。ということは、日銀から低利の融資を受けて運用すれば、確実に運用利回りが確保できることになります。仮に一千百五十五億円を借り入れて、一%の運用利回りがあれば、十一億五千五百万円ですから、新銀行東京にとっては大きな収入になります。
記者会見の席上、経営陣は、この一年の変化ということでいえば、預金の解約ということがありましたので、一千三百億円ほど預金が減っていますが、ここを借用金等々でカバーして、なるべく資産負債額の総額を減らさないようにということでやっておりましてと発言しております。また、運用関連についても、有利な低利調達を活用しながら運用残高の減少をとどめてという発言もしております。
新銀行東京は、一年ほどの間に、預金が一千三百億円ほど減少をしております。預金残高が減った分、金利の支払いは減っております。一方、日銀から低利な資金を調達して運用しているわけです。
本来、銀行業務は、預金を集め、融資を行い、利ざやを稼ぐのでしょうが、現在の新銀行は、預金をふやす努力をしているようには見受けられません。黒字を出すために、銀行業務よりも投資業務に力を入れているといわれても仕方ないのではないでしょうか。
日銀の一千百五十五億円と預金二千百四十七億円をもとにした三千四百四十三億円を運用しているわけですが、日銀からの借り入れを運用した収益はどれくらいの金額になるのでしょうか、お答えください。
○中村金融監理室長 先ほども述べましたが、日銀借り入れは金融政策の一環として行われており、多くの金融機関が活用しているものでございます。また、有価証券による運用も、金融機関が収益を上げる重要な活動の一つでございます。
新銀行東京の平成二十一年度中間決算における資金運用収益は二十五億円でございますが、そのうち、有価証券利息配当金は十億円であり、日銀からの借り入れによる有価証券を取得した場合の運用収益もこの中に含まれてございます。
○佐藤委員 半期の決算では、三千四百四十三億円の運用益が二十五億円出て、有価証券二千四百三十三億円の運用益が十億円と伺ったわけですが、そのほかの運用益十五億円は、政府への貸し出し、コールローン、買い入れ金銭債権の運用益、そして融資に関する収益である貸出金利息の合計ということになります。
貸出金利息が十億円であり、そのほか債券売却益も四億円ありますから、政府への貸し出し、コールローン、買い入れ金銭債権の運用益は、合計しても一億円余りしかありません。
政府への貸し付けですが、平成二十一年九月末時点で、運用総額三千四百四十三億円のうち、政府に二百七十四億円を貸し付けています。政府のどこに貸し付け、その貸付金利はどれほどになるものでしょうか、お答えください。
○中村金融監理室長 新銀行東京を初め、銀行は、銀行法により守秘義務が課せられており、個別取引の内容は明らかにすることはできません。
政府系向け貸出金が二百七十四億円あることを公表してございますが、具体的な相手先や貸付金利については、個別の情報であるため、新銀行東京は明らかにすることはできません。
○佐藤委員 具体的な相手先と貸付金利はお答えできないということでしたが、相手が政府ですから、国債に準ずるような金利で貸し付けをされているのだろうと予想されます。
また、コールローンに関しては、日銀が実施している量的緩和策により、ゼロ%に近い金利で現在実施されているわけですから、それほど運用益は期待できません。
そして、買い入れ金銭債権というのは、金銭の債権を信託財産として受け入れて、その取り立てや保全を行う信託であるわけです。問題がない通常債権であれば、わざわざコストと手間をかけて手続をする必要はないわけですから、回収にコストや手間暇がかかったり、価値がなくなる可能性を持っているのではないでしょうか。金利が高いということは、それだけリスクを抱えているということを意味します。
買い入れ金銭債権を始めた時期とこれまでの運用収支、そして運用内容、また、抱えるリスクについてご説明ください。
○中村金融監理室長 買い入れ金銭債権による運用を始めましたのは、開業と同じ平成十七年でございます。
運用収支、運用内容は、個別情報のため明らかにしてございません。先ほどもご答弁したとおり、国債などと同様に価格変動リスクや金利リスクを負っているものでございます。
○佐藤委員 引き続き、日銀からの借用金について伺います。
平成二十一年三月時点では、新銀行は十億円しか借用金はありませんでした。今回、新銀行が使っている融資は、金利や担保等の条件から考えると、日銀の企業金融支援特別オペレーションか、共通担保資金供給だろうと推察されます。
そこで伺いますが、今回の日銀からの融資ですが、どれくらいの期間、融資を受けているものでしょうか。また、開業後の日銀からの借入実績をお答えください。
○中村金融監理室長 日銀借り入れには、平成十八年六月に始まった共通担保資金供給オペや、二十年十二月に始まった企業金融支援特別オペなどがございます。これらについては、多くの金融機関が活用しているもので、新銀行東京においても同様でございます。新銀行東京は、開業以降、必要な都度、借り入れを行ってきてございます。
また、日銀借り入れのうち、共通担保資金供給オペは、貸し付けの都度決定される一年以内の期間、企業金融支援特別オペは三カ月と、種別ごとにそれぞれ資金供給期間が決められておりますが、金融機関では、日銀からの借り入れ等、個別の情報については明らかにしてございません。
○佐藤委員 先ほど申し上げたように、新銀行の経営陣は記者会見で、基本的に適格担保という、国債であるとか格付の高い民間会社の社債などを担保に日銀からお金を借りている、基本的には有価証券運用につながっていると発言しております。
平成二十年九月末時点から四半期ごとに借用金残高を見てみると、平成二十年九月末で十億円であったのが、平成二十年十二月末には四百五十一億円になり、平成二十一年三月末には十億円に落ち込みますが、平成二十一年六月末に七百九十一億円、平成二十一年九月末には一千百五十五億円に増加をしているわけです。
この間、有価証券の保有総額は二千数百億円前後で増減しておりますが、有価証券のうち、社債の保有残高は増加しております。平成二十一年九月末時点で百十七億円であったのが、平成二十一年三月末には五百二十一億円、平成二十一年九月末には七百三十四億円に増加をしております。これは、より多くの運用収入を得るために、新銀行が国債よりも利回りの高い社債に運用の比重を移したということではないかと思います。
今回、最後の貸し手といわれる日銀から新銀行が融資を受けたということは、当然、政府系金融機関を初め、ほかの金融機関等にも支援依頼をしたのであろうと推察できるわけですが、これまで日銀以外の政府系金融機関に融資を依頼したり相談したことがあるのかどうか、お答えください。
○中村金融監理室長 日銀の最後の貸し手の機能は、資金繰りに問題が生じた金融機関等に対して資金供給を行う主体がほかにいない場合に、中央銀行としての日銀が、文字どおり最後の貸し手として資金の供給を行うことをいい、金融システムが混乱するのを防ぐものでございます。
繰り返しになって恐縮でございますけれども、日銀借り入れは日銀の政策効果が金融市場や企業金融に十分浸透することを目的として行われており、多くの銀行が利用しているものであって、資金繰りに問題を生じているため、日銀から借り入れを行っているわけではございません。これは、日銀借り入れについて曲解した不適切、不見識な見解であるといわざるを得ないものと考えてございます。
なお、ご質問につきましては、新銀行東京の個別の取引に関することであり、当然のことながらお答えできる性質のものではございません。
○佐藤委員 今お答えがありましたが、私もこの間、いろいろ新銀行のお話を取り上げさせていただいてまいりまして、新銀行がいろんな金融機関に打診をしている。しかし、その交渉はうまくまとまらなかったというお話は伺っているところであります。
なぜほかの金融機関からの支援がなく、日銀から融資を受けているのか。そして、この一年、日銀からの借り入れの資金、借用金の金額が非常にふえている。これについて疑問を持ったわけであります。通常の取引ということであれば、私がるるお話をしたように、日銀からお金を借りて、運用すれば差額が出てくるわけですから、開業当初から利益を得るためにやればよかったのではないでしょうか。それが非常に私が持っている疑問です。
引き続き伺いますが、また、日銀から一千百五十五億円の融資と、預金二千百四十七億円をもとにした三千四百四十三億円を運用しているわけでありますが、そのうち、二千四百三十三億円は、社債や国債の購入に使われているわけです。社債や国債を買うということは、大企業の資金や国の資金に使われるわけです。社債に七百三十四億円、国債と国への融資を合わせると一千六百八十三億円です。これは中小企業への融資、保証、工事信託の合計七百六十二億円と比べても、大きいということがよくわかります。
景気が厳しく、中小企業が困っている中、中小企業融資をふやさず、有価証券の運用に力を入れているということです。経営陣が、記者会見でも、運用関連についても有利な低利調達を活用しながら、運用残高の減少をとどめてと述べているように、新銀行東京が日銀から資金を借りて、中小企業のために使っているわけではないことがわかります。このことについて、都はどういう認識を持つのでしょうか、お答えください。
○中村金融監理室長 銀行の業務というものは、重層的、複合的なものであり、資金運用の、しかも日銀借り入れのみをとらえて、新銀行東京が中小企業の役に立っていないかのごとくの主張をされることは、余りにも一方的ではないかと思います。
現在、新銀行東京は、その設立理念を再び十全に果たすべく、新経営陣のもとで懸命に経営再建に努力してございます。そのために収益を確保することは当然必要なことでございます。その中で、個々のお客様の状況を把握しながら、リスケジュールを行うなど、みずからの体力の範囲内で、可能な限り中小零細企業に対して支援をしているところでございます。ご理解を賜りたいと存じます。
○佐藤委員 私が疑問を持っておりますのは、今申し上げたように、通常の取引ということであれば、開業当初からやればよかったわけですし、なぜこの一年、借用金がここまでふえているのか。また、それは、預金が減った分を補うためという記者会見等での発言もありますが、本当にこれが必要な資金調達であるのかどうか、私たちもいろいろお話を伺って、これからの議会でも明らかにしていきたいと思っております。
今回申し上げたかったことは、一つは、新銀行東京が国債や社債を購入して、日銀に担保として差し入れる。債券のクーポンを手にしながら、日銀から低利の融資を受け、有価証券運用をし、二重に運用収入を手にしていたことです。
もう一つは、新銀行東京は三千四百四十三億円を運用しているわけですが、そのうち、二千四百三十三億円は社債や国債の購入に使われ、ひいては大企業の資金や国の資金に使われているわけです。
一方、中小企業への融資、保証、工事信託が、合計しますと七百六十二億円です。景気が厳しく、中小企業が困っている中、中小企業融資をふやさず、有価証券の運用に力を入れているということです。
新銀行は、この一年で預金が約一千三百億円減り、預金金利の支払い額は減りました。都議会民主党の代表質問に対する答弁であったように、新型保証は行わず、保証額も減る。融資もふえている状況ではない。その一方で、日銀から低利の資金を調達して運用する。その結果、収益は改善をしたわけです。しかし、投資会社の色合いが強くなったといっても過言ではないでしょう。それでわずかな黒字を計上したからといって、新銀行東京の経営が安定したといい切るのは早いのではないかと思います。
いまだに新銀行東京の実質業務純益は赤字です。これまで、税金一千四百億円がつぎ込まれましたが、減資によって、都民が支払った税金から成る、都が保有していた株式は八百六十一億円も失われてしまいました。
また、新銀行東京が黒字になったからといって、都民へ還元されるものでもありません。仮に、株式に対する配当が支払われるようになったとしても、失われた八百六十一億円という都民の税金から成る都の資産が戻ってくるのがいつになるかはわかりません。経済・港湾委員会や新銀行特別委員会の質疑を通じて、過去の実態解明と責任追及、そういった一つ一つの質疑をしていきたいと思っております。
○中村金融監理室長 再三で恐縮でございますけれども、銀行の業務というものは重層的、複合的なものであり、何よりもビジネスとして行われているわけでございます。銀行業務を円滑に遂行するために必要な資金運用を行うことは至極当然でございまして、日銀借り入れについて、社長も記者会見で述べているように、銀行本来の運用として行っているものであって、何らやましいものではございません。
新銀行東京は経営再建中の銀行であり、何よりも、まず、この出血ともいえる赤字をとめなければならないのは、経営として当然の判断でございます。今回の中間決算で当期利益が黒字となりましたが、それをもって、我々は新銀行東京の経営が安定したといい切っていることは一度もございません。銀行自身も、実質業務純益の黒字化が今後の課題と述べてございます。新銀行東京の経営再建を着実に図っていくということが都民のためになるというふうに考えてございます。
○佐藤委員 今、お答えがありましたから、一つだけ私もお話をさせていただきます。
私ども民主党の田中委員からもお話がありましたように、今までは貸し出しを新銀行が行っていた。しかし、その破綻をする割合というものが非常に多く、変動もあった。予想ができない状況であった。そして、今回の資金の調達を、いかにして金利を安く、そして、その金利が変動しない状況で資金を得ていくか。その一つの答えというのが日銀からの借用金であったのだろうと私は思います。
しかし、日銀からの融資というものは、お話があったように、金融機関、多々利用しているものではあるでしょうが、運用のみを主眼にして日銀から資金を受け、それを運用に回していく。そして、それをもって収益の黒字化というのは、私は疑問を持っております。やはり、銀行業務本来の内容を見ていかなければなりません。
我々は、都民からいただいた税金を使って、この新銀行東京の経営というものを一つ一つチェックをしていかなければいけませんし、都民から託された一つ一つの思いというものにしっかりこたえるように、一つ一つ、この新銀行の内容を吟味していき、また、質疑を通じて明らかにしていきたいと思っております。
以上です。
○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、本日のところはこの程度にとどめ、後日の委員会で続行いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休息をいたします。
午後三時七分休憩
午後三時二十六分開議
○小沢委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
付託議案の審査を行います。
第百四十七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、産業労働局所管分、第百六十八号議案及び第百八十七号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○三枝総務部長 付託議案に対しご要求いただきました資料につきましてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、改めてお手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんいただきたいと存じます。一番下の12が付託議案に対する要求資料でございます。
一四ページをお開きください。平成二十一年度雇用創出基金事業の新規雇用者数でございます。
緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業を合わせた計画人数四千三百八十三人に対しまして、雇用実績は、十一月三十日現在で二千三百九十三人と相なってございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○小沢委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○伊藤(ゆ)委員 それでは、私から、緊急雇用創出事業関連の中でも、緊急雇用創出事業、約二十八億円分の中に含まれます、アニメによる東京の観光紹介制作について質疑をさせていただきたいと思います。
いささか、ちょっとのどの調子が悪いものですから、お聞き苦しいかと思いますが、ご容赦を願えればと思っております。
まず、このアニメによる東京の観光紹介の制作事業ということですけれども、この概要についてご説明をいただければと思います。
○小島観光部長 アニメは、世界のさまざまな国において放映され、多くのファンを持つ日本の代表的なコンテンツでございます。本事業は、人気の高いアニメを活用して東京の多様な魅力を表現し、主に海外を対象に情報を発信することで観光客を誘致することを目的としております。
映像を視聴するターゲット層は、外国人旅行者の大宗を占め、かつアニメに対して関心の高い二十歳から三十歳の方々を想定しております。
○伊藤(ゆ)委員 今ご説明いただきましたが、特に海外の二十代から三十代の若い層の方々を対象に東京の観光名所を紹介しようと、そして東京のイメージを向上させて観光誘致につなげていきたいと、こういうねらいだということであります。
しかし、具体的には、アニメによる東京観光名所の案内というのは一体どのようなものになるのか、伺いたいと思います。
○小島観光部長 これまでに東京を訪れたことがない海外の方にも関心を持ってもらえるように、アニメ独自の表現方法により、個性的でユニークな映像といたしまして、観光地としての東京が有する魅力を紹介したいと考えております。
海外の多くの方々に、この東京紹介アニメを見ていただくことで、東京への関心を膨らませ、旅行動機につながることを期待しております。
○伊藤(ゆ)委員 私も今、これから日本の有力な成長産業の一つはアニメだというふうに思います。宮崎駿監督の作品を挙げるまでもなく、海外においても日本のアニメというのは大変高く評価されている一方で、これから買っていただくコンテンツでもあるんだというふうに思っていますが、一方で、今、答弁にあったとおり、初めて日本あるいは東京にいらっしゃる方々に対して、このアニメで紹介をしたいということなんですけれども、初めてその国を訪れたいと思う方にとってみれば、正確な情報あるいは具体的なイメージを持ちやすい情報を収集したいと思うのが旅行者の心境ではなかろうかと思います。
そういう意味では、私も海外に行くときに観光案内などを買って、どこに、限られた時間の中で見に行くかということを検討するときには、アニメというよりも、むしろ実写のもの、あるいは写真という情報に頼って、行き先というものを決めるという人が、私も含めて多いんじゃないかなと、こういう観点を持たせていただいております。実写がなじむのか、アニメがなじむのかということは、またこの後、質疑をしていきたいと思いますけれども、そんな観点を持たせていただいております。
次いで伺いたいんですけれども、実は今回の雇用創出事業の中で、アニメによる観光紹介をしたいということですが、もう既に、実は「トウキョウ ツーリズム インフォ」という東京都のサイトの中に、動画・アニメによる東京観光名所の紹介というものがあるんですね。これについては、私もちょっと拝見をさせていただきましたけれども、具体的に東京都の方から、どんなアニメサイトなのか、ご説明いただければと思います。
○小島観光部長 現在のアニメでございますけれども、こちらは東京のまちのイメージを海外に向けてPRすることを目的といたしまして、都内二十地区の観光の魅力を「東京の観光」ホームページで紹介したものでございまして、平成十三年度に制作したものでございます。
○伊藤(ゆ)委員 ちなみに、これは幾らの費用をかけておつくりになられたんでしょうか。
○小島観光部長 当時、約二千万でつくったというふうに数字があります。済みません、約ということでございます。
○伊藤(ゆ)委員 八年前に二千万円をかけてつくられたというサイトですけれども、先ほど申し上げたように、私も拝見をしました。
余談ですけれども、私の実はホームページも、ちょうど七年ほど前につくったものであります。しかし、その自分のつくったホームページとコストパフォーマンスを見比べても、二千万円をかけた割には、ちょっと質の高いものとはいえないんではないかなと思うのが今のサイトだと。これは、ごらんいただければ、皆様共感していただけると思います。
ちなみに、この八年間で、このサイトをごらんになられた方々というのは、どれぐらいになるんでしょうか。いわゆるアクセスログといいますけれども、総アクセス数は一体幾らだったんでしょうか、伺いたいと思います。
○小島観光部長 ウエブサイト「東京の観光」への総アクセス数は、平成二十年度でございますけれども、約一千九百四十四万件でございました。
なお、このサイト内のページごとのアクセス件数につきましては、個別に集計をいたしておりません。
○伊藤(ゆ)委員 つまり、八年前、二千万円かけておつくりになられた動画・アニメのサイトの部分に関しては集計がとられてないと。つまりは、どれぐらいの方々に見ていただいたのかということがわからないという状況になっているということが、今、明らかになったわけです。
二千万かけて、やはりどれぐらい見られたのかというのは、当然、事業効果をはかる意味で極めて重要だと思います。私は、アクセスログをつけておくこと自体はお金もかかりませんし、手間も大してかかる作業ではありませんので、こういうことを怠っていたということについては、これから厳に見直しをしていただきたいというふうに思っております。
そして、もう一つ、東京都のトップページなんですけれども、東京都のトップページには、これ、コピーですから、わかりづらいですけれども、(資料を示す)こういうトップページがあって、石原知事の顔の横に、一番、ある意味では東京都のページのトップに、「映像で楽しむ美しき東京」という、「トウキョウ カラーズ」という、それをDVDに焼いたものはこういうものだそうですけれども、(実物を示す)こういう映像がついています。
これは、東京をまさに観光されたいと思われる国内外の方々にごらんをいただこうという趣旨のもので、本編は約十五分で、ダイジェスト版は約四分ということになっております。さまざまな言語にも訳されているということですので、海外の方にごらんいただけるものだと思うんですね。
つまりは、もう既にアニメのサイトもあるし、そしてもう一つは、「トウキョウ カラーズ」という、こういう実写版の東京紹介の映像もでき上がっているんだというふうに思います。
ちなみに、これも東京都の方からご説明をいただきたいと思いますが、「トウキョウ カラーズ」の概要についてご説明いただきたいと思います。
○小島観光部長 「トウキョウ カラーズ」でございますけれども、本映像は、従来、東京の魅力を映像で紹介するツールがなかったと、こういったことから、新旧の魅力あふれるエキサイティングな都市東京を広く国内外にPRする、こういったことを目的に制作したものでございます。英語、中国語等、八言語九種類の多言語で、平成二十年度にDVD六千三百八十部を作成し、配布をしたところでございます。
○伊藤(ゆ)委員 これは、ちなみに幾らかかっているんでしょうか。
○小島観光部長 「トウキョウ カラーズ」のDVDは、約五千万でございます。
○伊藤(ゆ)委員 これも五千万円をかけてつくられたということなんですね。私も視聴させていただきました。これは、よしあしというのは、もうほんとに主観ですから、必ずしも私の感性が正しいとか正しくないということではないと思いますが、私の感想だけ申し上げておきますと、映像は物すごくきれいだと思います。クオリティーの高い、桜並木が映っていたり、あるいは皇居や北斎の版画なども紹介をされたり、着物姿の女性や剣を振る剣士の姿というのもあります。
ある意味では、それが約四分間に詰まっていますから、総花的になっているという側面もあって、私のちょっと印象としては、映像はきれいなんだけれども、しかし、例えば、その紹介されている桜並木がどこにあるのかとか、あるいは紹介をされている東京タワーが東京のどの辺にあるのかということが全く紹介されていないので、外国から来た方にとっては、映像の美しさだけが印象に残って、どうやってその地域を回ったらいいのかという観光紹介にはなってないんじゃないかなという意味では、本当に初めて日本に来る、東京に来る方々にとって利便性の高い映像なんだろうかということについて、私は疑問でありました。
ちなみに、今、六千部これを配布されたということでしたけれども、その配布先について、どんなところに配布されたのか、伺いたいと思います。
○小島観光部長 まず、このDVDでございますけれども、映像は、春夏秋冬を通じまして、江戸東京四百年の歴史、伝統と先進性が共存する東京のさまざまな表情を紹介したものでございます。主として東京への外国人旅行者の誘致を促進するということでつくったものでございます。
配布先でございますけれども、国内外の旅行業者等の観光関連事業者、国内外メディア、国際イベント、在京大使館、在外公館などでございます。
○伊藤(ゆ)委員 今、国内外の旅行業者や海外からの観光客を運ぶような、例えば交通機関などにもお配りになられたということですけれども、全体六千の中で、それらの場所には、あるいは事業者にはどれぐらい配られたんでしょうか。
○小島観光部長 海外都市で行いました観光プロモーションでの配布など、海外の旅行事業者を中心に、国内外の旅行事業者や航空会社に約二千五百部を配布しております。日本及び海外の航空会社には、このうち約二十部を配布しております。
○伊藤(ゆ)委員 私は、なぜ、この六千のうち二千ちょっとが旅行業者などに配られているかということを聞いたかというと、逆にいえば官公庁に大半配られているわけですよ。あるいは市区町村。こういう市区町村の担当者のところにこういうものが届いて、活用される方もまれにいるかもしれませんけれども、私もある役所に電話しましたら、届いたかどうかも余り記憶にないと。まあ活用はしてないと。恐らく、どっか倉庫か何かに保存されている可能性が高い。
参考としてお配りするということを否定はしませんけれども、しかし、つくる目的としていうならば、私は海外の事業者や、あるいは国内外の旅行事業者、あるいは、まさに外国人のお客さんを運ぶ航空会社、あるいはまた、成田や羽田から主要な都内のホテルに人を輸送するリムジンバスの経営者などにこういうものはお配りになられるべきではなかろうかと思っておりまして、そういう観点からすると、今お話にあった航空会社に二十ほどだというのは、私はいささか頼りないんではないかなというふうに思っています。
ちなみに、私も先般、韓国から帰ってくるときにアシアナ航空に乗りましたけれども、帰りの飛行機の到着前三十分ぐらいになりますと、大体五分間ぐらいの東京観光の紹介の映像が流れておりました。
あれ、自社でつくったかどうか知りませんけれども、こういうものを、無料で使ってくださいというふうに提供すれば、私、喜ばれると思います。ですから、私は、そういう意味で、そういうところにぜひ積極的に持っていただくということが、少なくとも五千万円かけた効果につながるんじゃないかなと、こう思っているわけなんですけれども、ぜひその辺は記憶にとどめていただいて、改善をしていただけたらというふうに思っております。(発言する者あり)ちゃんとやっていただきたいと思っております。(発言する者あり)もし答弁がありましたら。
○小島観光部長 このDVDにつきましては、さまざまなところに配布しておりまして、広い場面で実際に映像が再現されておりまして、多くの方々にごらんいただいているというふうに考えております。
また、航空機関につきましては、日本航空の国際線の機内におきましても放映をしたという実績もございます。
○伊藤(ゆ)委員 それで、先ほどの、今回の緊急雇用創出事業に話は戻りますけれども、この「トウキョウ カラーズ」の中にもアニメは出てくるんですね。一部ではありますけれども、出てきます。
私は、こういうものができている中で、また五千万円をかけて、今度はさらにアニメによって東京観光紹介を行う必要が果たしてあるのかなと、こう思うんですけれども、この点については、どのような観点でこの同じような目的のものをつくることになったのか、お伺いしたいと思います。
○小島観光部長 「トウキョウ カラーズ」におけるアニメは、魅力ある東京の文化の一つとして、このアニメを紹介したものでございます。
一方、今回の事業は、世界に人気のあるアニメを媒体といたしまして、これを活用し、東京の魅力を発信することを目的としております。
アニメは、さわやかな色彩、さまざまなアングル、親しみやすいキャラクターの設定など特色のある描写が可能でありまして、東京の魅力を実写とは違った形で発信できます。また、ハイクオリティーなアニメの制作によりまして、東京のアニメ産業の持つ高い技術力を世界に示すことができるものでございます。
○伊藤(ゆ)委員 東京都の思っていらっしゃることはそういうことなんだと思いますが、つくる動機もさることながら、本当に五千万円もかけてアニメーションをつくるというのが価格として妥当なのかどうかということも、私、問われてしかるべきだというふうに思っております。
ちなみに、十分で五千万円ということなんですけれども、大体、漫画ですね、アニメの漫画、三十分物の漫画が一体幾らぐらいなのかということなんですけれども、「名探偵コナン」という大変視聴率の高い番組が三十分物でございます。部長は、大体これ幾らぐらいで制作されているかご存じですか。想像でいいですよ。
○小島観光部長 一本一本幾らで制作されているかについては、大変恐縮ですけども、存じ上げておりません。
○伊藤(ゆ)委員 これ、三十分で三千万円だそうです。ちなみに、深夜よくアニメで、余りこま数が多くないやつをやっぱりやってますけれども、三十分物で大体七百万円から八百万円ぐらいが相場だということなんですね。
そう考えると、アニメ関係者にいわせると、十分で五千万円のアニメ映像というのはかなり高額で、今、普通、相当視聴率をとるようなアニメでも、それだけの予算をかけるところはないと、こういうことなんです。
ですから、私は、本当に十分で五千万円をかけるんだとすれば、どんな積算に基づいてやっているのかということを改めて観光部には問いかけていきたいというふうに思っています。
そして、私は、先ほども申し上げましたけれども、そもそもアニメよりも実写の方がいいんではないかというふうに思っておって、例えば今、週に一回ぐらいやられているでしょうか、テレビ東京の「アド街ック天国」とか、どこの駅でおりると、どういうお店があって、どういうものが売られているかというような観点に立って放送されているということですので、ああいう発想というものも、私はまさに念頭に置いていただいたらいいんじゃないかなと思います。
そういうことを含めて、つくる側の視点ではなくて、これを放送したり放映してくれる航空会社や長距離バスの会社、また海外の旅行代理店などの立場で映像作成に当たるべきだというふうに思うんですけれども、こうした方々の需要や意見というものを取り入れたらいかがかなというふうに思いますが、その点についてはどうでしょうか。
○小島観光部長 映像を制作するに当たりましては、実際に映像を活用することが、これは重要でございます。当然のことながら、関係者の意見を聞きながら進めてまいります。
○伊藤(ゆ)委員 今、内容についてはここまでにさせていただきますけれども、今度は、雇用創出事業ということですので、どういう雇用が創出されるのかについて質疑をさせていただきたいと思うんです。
この事業においては、事業に従事する全労働者に占める新規に雇用する失業者の割合が、おおむね四分の三以上であるということが条件になっているということです。
つまり、例えば十分の映像をつくるために制作に四十人必要なら、三十人は失業者を採用して従事させることが求められているんですけれども、工事現場なら、ぱっと失業者の方々にお入りをいただく、そして交通誘導していただくということは可能だと思いますが、アニメの制作の現場において、受注会社が多くの失業者を見つけて、そして、本当に従事させることが果たして可能なのか、私はちょっと疑問なんですけれども、その点についてはどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。
○小島観光部長 この事業を実施するに当たりまして、新規に雇用する失業者の割合は緊急雇用創出事業実施の要件となっておりまして、契約の履行に当たっては、事業者は本条件を満たすことが必要でございます。
現下の厳しい雇用情勢は、テレビ放送件数の減少などの影響を受けまして、アニメ制作の現場におきましても同様でございます。本事業の実施に必要な雇用の確保は図られるものと考えております。
○伊藤(ゆ)委員 不況だからといって、すぐ失業者のクリエーターが見つかるというものではないと私は思います。ですから、この特殊な業界ゆえの実情というものをぜひ把握していただきたいと思うんです。
私がアニメ関係者に聞いたところによると、多くの失業しているクリエーターを見つけるのは本当に難しいということです。そして、見つかったとしても、きのうきょう知り合ったクリエーターの力量というものはわからず、責任ある仕事を任せることは困難だという声が大半でした。
そういう意味では、新規雇用の最低賃金や雇用形態の定めというものを図らないと、必ずしも充実した仕事というものを、彼ら失業者の方々で、雇われた人が与えてもらえないということを私は予想するんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○小島観光部長 アニメ制作の現場は厳しい雇用情勢にございまして、本事業を通じて、就労を希望する方に雇用の機会を提供することができるというふうに考えております。
また、その現場におきまして、新たな就労者には力量を発揮していただきまして、制作に当たっていただけるというふうに考えております。
また、賃金等の雇用条件でございますけれども、これは事業者が業務内容などを踏まえまして決定するということでございます。
○伊藤(ゆ)委員 事業者が自由に雇用内容を決めるということになりますと、一番あり得るのは、仮にもですけれども、一日だけ日給一万円で新規雇用者三十人を雇って、お茶くみだけしてもらうとか、あるいはコピーとりだけしていただくと。そして、制作作業そのものは、信頼できる自前の自社のクリエーターを使って行って、大半はこの人件費を充てると、こういうことが往々に考えられるんじゃないかというふうに思うんです。
つまりは、失業者の新規雇用割合の条件はあっても、何日間働かせて、どれぐらいの給料を支払わせるかについての条件がありませんので、今私が申し上げたようなことが起こり得るというふうに思うんですけれども、こういうことが起こり得るかどうか、それについてはどのようにお考えでしょうか。
○小島観光部長 事業者との契約に当たっては、本事業は、この緊急雇用創出事業としての実施でございますけれども、賃金等につきましては、業務内容及び必要とされる技能などを踏まえまして、労働市場の実勢等に応じて決定されるものでございます。
また、本事業につきましては、それぞれの新たに雇用される人々が力量を発揮していただかないとなり得ない仕事だというふうに考えております。
○伊藤(ゆ)委員 私は、最悪のケース、こういうことがあり得るのかどうかということを伺っているんです。
もう一度聞きますけれども、私のさっきの質問はご記憶にあると思いますので、あり得るかあり得ないか、お答えください。
○小島観光部長 現下の雇用情勢を考えてみますと、アニメ関連のそういう失業している人たちの中で、きちっとした事業に貢献をしていただくということで、それに見合った賃金が雇用関係の中で支給をされるというふうに考えております。
○伊藤(ゆ)委員 今のお答えというのは楽観的な見通しであって、私が聞いているのは、最悪のケース、こういうことがあり得るのかどうかを伺っているんですから、あり得るのか。つまりは、法律的に皆さんの加えている条件として、こういうことが会社としてあり得ちゃうのか、それとも絶対にあり得ないのか、そこは法律的、条件的観点から見たときにどうなんですかということを伺っているので、あり得るかあり得ないか、お答えください。
○小島観光部長 雇用条件等につきましては、これは事業者と雇用者との間で契約が交わされるものでございますけれども、当然、法律の枠の中で行われるものでございまして、最低賃金等の必要な要件は満たされるものというふうに考えております。
○伊藤(ゆ)委員 なかなかお答えいただけないので、私の方から申し上げますけれども、つまり、最低賃金というのは、これは労働基準法に定めたところの最低賃金であって、私が伺っているのは、それは当然クリアされると思いますよ。
しかし、その最低賃金という労働基準法の上に乗っかった上で、お茶くみをさせたり、コピーとりをさせて、最低限の人件費だけ払って、あとの人件費の大半は自社の方に落としちゃうという可能性がこの事業は大いにあり得るんじゃないですかと。私は、これはあり得ると思います。
あり得ないということを今ご答弁されなかったということは、私は、裏を返していえば、この条件づけでいえばあり得るんだというふうに思いますので、これ以上くどくどと答弁は求めませんが、そういう観点に立って、私はこの事業のあり方というものをよくよく注視していかなきゃいけないというふうに思っているんです。
ご答弁されたいですか。じゃあ、ご答弁ください。
○三枝総務部長 先ほど伊藤先生の方から、アニメの制作にかかる人件費のいわゆる使途、使われ方についてのお尋ねでございますけれども、あくまで私どもとしても、この事業を積み上げますときに、制作人件費ということで説明をさせていただいております。
当然のことながら、最低賃金を重視するのはもちろんのこと、従事する方々についても、アニメの制作に従事をしていただくということを重視していきたいというふうに考えてございます。
○伊藤(ゆ)委員 それで、私、改めてご答弁あったので、私も聞いたところを率直に申し上げておきたいと思うんですけれども、本当にどういうタッチでアニメをかけるかどうかというのは、やっぱりきのうきょう会った方はわからないんですと。ですから、あり得るのは、お茶くみ、コピーはちょっと極端な例でいいましたけれども、例えば今回、各言語に翻訳もされますよね。まさにその翻訳だけやってもらう、トランスレートの仕事だけやってもらうということになると、皆さんからすれば、本来アニメクリエーターを助けてあげたいと思っているにもかかわらず、そこにお金が落ちないという可能性がありますよということを指摘させていただいているんです。
そこで、今回、ちょっと調べさせていただきますと、平成十三年から十六年度にかけて都が行った雇用創出事業で、一体どれぐらいの雇用が生まれたのかということですけれども、これを見ますと、当時の基金総額三百一億円の事業から、百七十一億九千万円が五万七千三百四十三人に人件費として支払われたことがわかります。(「委員長、時間過ぎてる」と呼ぶ者あり)何度か私の質問にお答えいただいていないやりとりが重複しましたので、時間についてはその分でございます。平均従事日数は約四十日で、平均人件費は二十九万八千円ということでありました。つまり、都による雇用事業としての効果は、この統計でわかるんですけれども、その後、各企業で臨時雇用されたこうした方々、五万人以上の方々が、契約社員とか、あるいは正社員になって継続雇用されたかどうかは、都として把握できてないと、こういうふうに伺いました。
私は、今回のアニメのケースでも同様なんですけれども、新規雇用といっても、翻訳や取材程度のもので、本格的なクリエーターの新規採用に結びつかないのでは意味がないというふうに思います。
知り合いのアニメ制作会社に聞いたところ、三十人の継続雇用は、とてもじゃないけれどもそれは無理だと。しかし、例えば、一人はこの事業が終わった後、最低半年とか一年間の契約社員としての採用をするように条件づけがなされているんだとしたら、例えば同じ三十人の臨時採用でも、クリエーターを真剣に探す努力をしたり、だれが能力があるかどうかということを社内でよく見ることができると。そういう意味では、私はお茶くみ、コピーだけで終わらせないで、事業が終われば、はい、さようならということではなくて、継続的な雇用というものを促す制度設計にしていく必要があるというふうに思います。
この事業が終わった後の事業効果をはかるために、私は、採用された方々が、その後どのような仕事に従事をされて、一体幾らの報酬を得たのか。あるいは、その会社に継続的に雇用されたのかどうか、これを把握できるようにしていくべきじゃないか、改めていくべきじゃないかと思うんですけれども、この点についてはどのようなお考えでしょうか。
○小島観光部長 緊急雇用創出事業は、厳しい雇用情勢において離職を余儀なくされた非正規労働者、中高年齢者等の失業者に対して、一時的な雇用就業機会を創出することを目的としたものでございます。
本事業は、動画の作成を初め、アニメ制作にかかわる多種多様なクリエーターの雇用に結びつくものでございます。
なお、この制度の中で、事業終了後には、この履行状況を確認するため、給料の額や雇用期間などについて報告を義務づけておるものでございます。
継続雇用の把握等につきましては、制度上求められておらないというものでございます。
○伊藤(ゆ)委員 最後に意見を申し上げておきたいと思いますけれども、国からその後の調査を求められていないから調べる必要がないというのは、私はちょっと考え方が違うんじゃないかと思いますよ。せっかく臨時でこういう雇用創出事業が発生をして、そしてその会社に一時期雇われたと。できることならそのまま継続的に雇われるというのが望まれる姿じゃないかというふうに思います。
そういう意味では、本当にその後雇われたのかどうかをちゃんとチェックする体制、把握する体制が、今後どういう事業を行えば真の雇用につながるのかということに私は当然返ってくると、つながっていくというふうに思いますので、こうした把握の調査なんていうのはお金も手間もそんなにかかりませんから、ファクス一枚事業者に送るだけですから、そこは、私は今後、そういうあり方というものを検討していただきたいというふうに思っております。そのことを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。
○山崎委員 私の方から、まず初めに、多摩テクノプラザに設置される製品開発支援ラボに関連して質問をいたします。
我々都議会自民党の議連にて、先日、大田区内にある最先端の加工技術を持つものづくり企業を視察してまいりました。そこでは高機能な表面処理技術の開発を目指しておりまして、その卓越した技術力を生かし、新たな市場の開拓に全力で取り組んでおりました。都内中小企業が持つ基盤技術の高さを目の当たりにし、東京の産業を支える中小企業の技術開発の重要性を改めて実感したところであります。
都では、こうした中小企業の高度な技術開発のニーズにこたえるため、現在、区部と多摩に産業支援拠点の整備を進めているわけでありますが、来年二月には多摩地域に新たな拠点が開設されます。
そこで、この拠点では、中小企業のものづくりを技術面からどのように支援をしていくのか、お伺いをいたします。
○山手商工部長 来年二月に開設いたします多摩の産業支援拠点では、中小企業の経営力の強化や技術力の高度化を図るために、財団法人東京都中小企業振興公社や地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターなどによる支援体制を再編整備いたしまして、経営、技術の両面から中小企業を強力に支援してまいります。
技術面からの具体的な支援といたしましては、拠点の中に、産業技術研究センターが運営します多摩テクノプラザを設置いたしまして、多摩地域の産業特性を踏まえ、電子回路の設計開発に欠かせないクリーンルームや、電磁波による電子機器の誤動作などを試験するための電波暗室を整備するとともに、国際的に通用いたします証明書の発行ができる試験所としての認定取得を目指してまいります。
さらに、新製品、新技術開発を目指す中小企業のために、研究実験スペースとして、二十四時間利用が可能な製品開発支援ラボを設置いたします。
こうした試験機器の充実や技術支援機能の強化を図ることによりまして、中小企業の高度で多様なものづくりへの技術支援ニーズに全力でこたえてまいります。
○山崎委員 今の答弁の中で、二十四時間対応の製品開発支援ラボに当たり、改めて、多摩地域にこのような製品開発支援ラボを設置する意義についてどのように認識をしているのか、お伺いをいたします。
○山手商工部長 創業間もない企業、それから経営基盤の弱い中小企業にとりましては、新たに研究開発を行うスペースを確保することは大きな負担でございます。製品開発支援ラボは、こうした中小企業が一定期間入居いたしまして、技術アドバイスを身近で受けながら研究開発に取り組むことができるとともに、さらに二十四時間の利用ができますことから、柔軟かつ効率的な研究開発を可能といたしまして、開発期間の短縮化が図れるといったメリットを持っております。
多摩地域は、エレクトロニクスや半導体など最先端の技術を持つ研究開発型企業のほか、大学や研究機関が集積いたしますとともに、圏央道の開通などによりまして広域的な企業活動が可能になるなど、高いポテンシャルを有しております。
都では、こうした多摩地域で研究開発に意欲的に取り組む中小企業に、この製品開発支援ラボを十分に活用されまして、新技術、新事業が創出され、同地域における産業の維持発展につながるものと期待しております。
○山崎委員 地球規模の環境、エネルギー問題など、社会的な課題が山積している中で、中小企業が行う新製品開発や新技術開発においては、ますます高度な技術が求められており、公設の試験機関による技術支援は不可欠であります。
東京には、冒頭紹介したように、世界に誇れる高度な技術を持つ多くの中小企業が存在をしております。今後、ロボットや航空宇宙産業など、成長が期待される産業の育成を初め、個々の企業を国際的に競争できる最先端の技術力を持った企業へと成長を促していくためにも、産業支援拠点の役割は重要であります。新たに開設する製品開発支援ラボを有効に活用して、多摩地域の多くのものづくり企業を支援していただくことを強く要望しておきます。
また、私の地元の江東区に、平成二十三年度の開設に向け、区部の産業支援拠点が現在建設中であります。これらの拠点におきましても、最新鋭の機械設備を整えていただき、都内中小企業に対して万全の支援が行われることを期待いたしまして、次の質問に移ります。
続いて、東京都森林整備加速化・林業再生基金条例と、それに関連する補正予算についてお伺いいたします。
私の地元にあります江東区木場は、木材の流通拠点として、江戸時代より我が国の木材産業の歴史を築き上げてきました。木材は、鉄やコンクリートに比較して、製造時に発生する二酸化炭素が少ない上に、住宅や家具などに使っている間は二酸化炭素を固定し続けることから、地球温暖化対策に極めて有効な素材であります。加えて、地域の木材を地域で使うことは、輸送に伴うCO2の発生を減少させ、さらに、地球温暖化対策に効果を発揮します。
ところで、多摩地域には約五万ヘクタールの貴重な森林がございます。水源の涵養や災害の防止など多くの役割を果たすとともに、CO2を吸収、貯蔵しています。そもそも、森林は、伐採、利用、植栽、保育という循環が確保されることで森林が整備され、豊かな森となります。しかし、林業コストの高騰や外国からの木材輸入により国産材は使われなくなり、森林の循環が途絶え、荒廃が全国的に進んでいます。多摩においてももちろん同様でございます。
このような状況の中、今回の条例と補正予算により実施される事業の背景と目的を伺います。
○産形農林水産部長 先生ご指摘のように、多摩の森林は、水源の涵養など、さまざまな機能を有しております。しかしながら、林業コストの高騰と外国産材の輸入の増加などから林業が低迷し、多摩の森林では伐採が停滞するとともに、加工を担う木材産業にも影響を及ぼしております。
地球温暖化防止に向け、森林の持つ二酸化炭素吸収機能への期待も高まっている中、伐採、利用、植栽、保育という森林の循環を取り戻すための森林整備、そして林業・木材産業の振興が重要な課題となっております。
こうしたことから、これまでの取り組みに加え、新たに森林整備加速化・林業再生事業を行うこととしたものでございまして、この事業には二つの目的がございます。一つ目は、間伐等による森林整備を促進すること、二つ目は、木材等の森林資源を使うことにより、林業・木材産業等の地域産業の再生を図ることでございます。
○山崎委員 森林整備から林業・木材産業等の再生を一体的に行うものであり、森林の循環を促すものであることがよくわかりました。
この事業の効果を高めるには、事業者の要望を的確にとらえることも重要です。そこで、この事業の内容をどのように選定したのか、具体的な内容とあわせてお伺いします。
○産形農林水産部長 まず、事業の選定についてでございますが、国の補正予算が成立いたしました本年五月以降、補助対象となる区市町村や事業者へ広く周知を図るとともに、事業を希望するすべての方々へのヒアリングを実施いたしました。その後、十月に、事業を希望する区市町村や森林組合、木材加工業者などから成る協議会において、今年度から三カ年の事業計画案を策定いたしました。
次に、具体的な計画内容でございますが、この事業は、森林整備の拡充、木材産業の振興、地域材利用の促進に資する取り組みに対して支援を行うものでございまして、森林整備では、間伐の実施や間伐材等の搬出を、木材産業では、木材加工施設の整備や木質バイオマス利用施設の整備などを、また、地域材利用では、多摩産材を利用した公共施設等の整備をそれぞれ予定しております。
○山崎委員 今まさにコペンハーゲンでは、地球温暖化問題に世界的に取り組むため、国連の気候変動枠組み条約の第十五回締約国会議、いわゆるCOP15が開催されております。この中では、排出削減の目標が中心に議論されていますが、私は、森林による二酸化炭素吸収は、地球温暖化防止のために極めて重要であると思います。我が国が、京都議定書におけるCO2削減目標六%のうち、その三分の二に当たる三・八%を森林の二酸化炭素吸収で賄うこととしているのは、その証左であります。
この事業は、伐採、利用、植栽、保育という森林の循環を回復し、多摩の森林を豊かにするとともに、地球温暖化対策にも資するものであります。今後、この事業の着実な実施に向け、ぜひ頑張っていただきたいことを最後に望みます。
次の質問に移らせていただきます。
今回補正予算に計上されている緊急雇用創出事業について質問をいたします。
我が党は、先月、都に対し緊急要望を行い、年末を控えた都民の不安解消に向け、経済対策と雇用対策に万全を期すように求めました。都は、我が党の要望にこたえ、制度融資の拡充など中小企業への支援に加え、緊急雇用創出事業の大幅拡充や就職未内定の新規学卒者への支援、さらに経済団体への雇用拡大の働きかけなど、さまざまな雇用対策を行うことが本会議の質疑を通じて確認ができました。
本日は、このうち、離職者への臨時的な雇用を生み出す緊急雇用創出事業についてお伺いをいたしたいと思います。
まず、緊急創出事業は、本年度既に開始をされていますが、今回、補正予算の提出に至った経緯について改めてお伺いをいたします。
○日請事業推進担当部長 緊急雇用創出事業は、急激な雇用情勢の悪化によりまして失業された方々に対しまして、臨時的なつなぎの雇用の場を創出することを目的としているものでございます。
今回の補正予算提案までの経緯でございますが、まず、本年第一回定例会におきまして、緊急雇用創出事業臨時特例基金を創設いたしました。これを活用することによりまして、平成二十三年度末までの三カ年にわたり、事業を実施することとしております。
本年度の事業につきましては、都庁内各局及び区市町村において事業計画を策定の上、第二回定例会に事業費を計上いたしました。既に各事業が開始されているところでございます。
しかしながら、雇用情勢は依然として厳しく、一層の取り組みが求められる状況にありますことから、当初七十七億三千万円でありました基金を、今回の補正予算によりまして二百十三億九千万円へと大幅に拡充するとともに、本年度の事業費につきましても、二十九億円から六十二億円へと増額することといたしまして、さらなる雇用創出に取り組んでまいります。
○山崎委員 基金はトータルで二百億円を超え、当初基金額の約三倍、本年度の事業費も倍増とのことで、大幅拡充といえるかと思います。
先日、本会議では、本年度中に一万人の雇用創出を図るとしていましたが、今ご答弁あったように、この事業は平成二十三年度末までの三年間実施するものです。厳しい経済状況からは、雇用情勢の劇的な改善は残念ながら望みにくい状況でもあります。基金を有効に活用し、しっかりと雇用を創出していくべきだと思います。
そこで、拡充後の基金による緊急雇用創出事業の三カ年の雇用創出目標についてお伺いします。
○日請事業推進担当部長 雇用創出目標でございますが、当初、三カ年で八千人といたしておりましたが、今回の基金の拡充によりまして、二万二千人へと拡大し、切れ目のない雇用を創出してまいります。
○山崎委員 雇用情勢が非常に厳しいときに、三カ年で二万二千人の目標に対し、本年度は約一万人と、行政として高い目標を掲げ、精力的に取り組むことは、都民の期待にこたえる上で非常に重要だと私も思います。
さらに、都の雇用創出事業は、これ以外にも、都独自の区市町村への補助事業や、安定雇用に向けたふるさと雇用再生特別基金事業を実施しております。これを有効に活用し、積極的な雇用創出を図るべきだと思います。
また、事業実施に当たっては、雇用創出効果の高い多様な分野での取り組みを進めるべきだと私も訴えていきます。
そこで、三つの雇用創出事業によって、本年度中にどれだけの事業を実施するのか、また、緊急雇用創出事業では、どのような事業分野に多く取り組まれているのかをお伺いいたします。
○日請事業推進担当部長 本年度中に取り組む雇用創出事業は、緊急雇用創出事業で約五百五十事業、ふるさと雇用再生特別基金事業で約五十事業、都独自の区市町村補助事業で約四百事業、合わせて約一千の事業の実施を予定しております。
このうち、緊急雇用創出事業につきましては、公園の清掃や樹木の伐採などの環境分野で約百五十事業、あるいは図書館の図書へのICタグ貼付、特別支援学級の支援員の配置などの教育・文化分野で約百事業を実施いたしますほか、治安、防災、介護、福祉、情報通信などさまざまな分野におきまして数多くの事業を実施して、雇用の創出とともに、地域の多様なニーズにこたえてまいります。
○山崎委員 今の答弁を聞きますと、とにかく幅広い分野で数多くの事業が行われることが私もよくわかりました。ぜひしっかりと取り組み、できるだけ多くの雇用を生み出してもらいたいことをもう一度訴えていきたいと思います。
最後に、厳しい雇用情勢を踏まえ、こうした雇用創出事業など緊急雇用対策に取り組む局長の決意をお伺いをして、質問を終わらせていただきます。
○前田産業労働局長 昨年来の雇用情勢の悪化を受けまして、都は、これまでに数度にわたる補正予算を編成し、失業した方々に対して、雇用の場の創出、職業訓練の大幅な拡充、さらには離職者に対する再就職支援の強化など、さまざまな施策、緊急対策を講じてまいりました。
しかしながら、日本経済全体が抱える困難な状況のもとで雇用情勢は依然として厳しい状況が続いております。このため、今定例会に提出しております補正予算案に緊急雇用創出事業の追加を計上いたしました。
補正予算では、緊急雇用創出事業について、基金の大幅拡充とともに多くの追加事業を計上しており、今後、区市町村とあわせて多種多様な事業を実施して積極的に雇用創出に取り組んでまいります。
雇用情勢は一層の悪化も懸念されており、都といたしましては、今後ともこの臨時的つなぎの雇用を創出することを目的とした緊急雇用創出事業に加えて、求職者へのきめ細かな就業支援や職業訓練の充実、就職がまだ内定しておりません新規学卒者の支援など、国や区市町村と連携してさまざまな雇用対策を実施いたしまして、都民の期待にこたえてまいります。
○高倉委員 それでは、付託議案につきまして質問をさせていただきます。
現在の厳しい景気、雇用の状況をかんがみまして、都議会公明党としても、既に都に対して、中小企業支援、また雇用対策についての緊急要望をさせていただいているところでありますけれども、さきの代表質問においても雇用対策を取り上げさせていただきまして、私どもとして、特に都として、集中的な人員投入で効果の出る事業を積極的に企画して緊急的な雇用創出に努めるべきであると、こういうような訴えをしたほか、この雇用創出事業が、いつ、どこで、どのように行われているのか大変わかりづらいと、こういうことも指摘をしながら、それに対するわかりやすい体制をつくるべき、こういう提案もさせていただきましたし、さらには、求人のニーズが大変高い介護分野の人材確保、こういった点でも新たな雇用創出に向けた取り組みをすべきであると、このようなことを強く訴えさせていただきましたけれども、ぜひこうした取り組み、しっかりと今後行っていただきたいと思っております。
先ほども質疑があったかと思いますけれども、この緊急雇用創出につきましては、都は本年度、先ほど要求資料にもありましたけれども、緊急雇用創出事業、また、ふるさと雇用再生特別基金事業で四千人の新規雇用を生み出していくと。そして、今回提案されている補正予算によって、さらに六千人の新規雇用の創出を図ると。合わせて一万人の雇用創出に取り組むというふうにされております。しっかりと取り組んでいただきたいと思いますけれども、この中で、きょうはちょっと絞りまして、区市町村の取り組みということについて質問させていただきたいと思っております。
住民に大変身近な区市町村において緊急雇用創出事業に取り組んでいくということは大変に大事だというふうに思っておりますけれども、これについて、区市町村がどういった事業を実施しているのか、このことについてまず説明を求めたいと思います。
○日請事業推進担当部長 緊急雇用創出事業におきまして、本年度当初から実施をしております事業では、放置自転車対策、公園や河川の清掃、防犯パトロールなど、住民ニーズが高く、速やかに実施できる事業に数多く取り組んでおるところでございます。
また、今回提案をいたしました補正予算の追加事業では、ただいま申し上げましたような事業に加えまして、新型インフルエンザ相談窓口など喫緊の課題への対応、介護人材育成のためのインターンシップ事業、学校におけるICT教育推進のための支援員の配置などが予定されておりまして、区市町村では、多様な事業を通じまして雇用を創出するとともに、幅広い分野で住民サービスの向上を図るという工夫が見られているところでございます。
○高倉委員 今回の補正予算でもって追加をした事業の中に、大変喫緊の取り組みというのが含まれていると。本当に、これは区市町村という、まさに住民の一番身近なところできめ細かな取り組みができる、そういったことなんじゃないかなと思っております。
失業者といっても、大変さまざまな方がいらっしゃいまして、いろんな資格を生かすことができる、こういった方もいらっしゃるわけで、ぜひ、引き続き多様な雇用を生み出すための人材の活用というのを推進していただきたいというふうに思っております。
ところで、この緊急雇用創出事業ですけれども、国の実施要領で要件が定められているわけでありますが、この雇用創出の効果を確保していくために、一定の要件というのは確かに必要なわけでありますけれども、区市町村のまさに現場では、この要件が厳し過ぎて事業が構築しづらいというのでしょうか、こういった意見もあるように聞いております。
先ごろ、この実施要件の緩和が図られたというふうにもお聞きしておりますけれども、まず、これまでの事業の実施要件はどういったものであったのかについて説明を求めたいと思います。
○日請事業推進担当部長 緊急雇用創出事業の実施要件といたしましては、国の実施要領におきまして、新たに実施する事業に限ること、新規雇用の労働者の雇用期間は六カ月未満として、教育、育児、福祉などの重点分野につきましては一年までの更新が可能というふうにされております。
また、このほか、人件費割合を七割以上とすることなどが定められておるところでございます。
○高倉委員 今、ご説明をいただきましたけれども、確かにこういう要件がありますと、事業が組みにくいというような現場の状況というのもあるんだと思います。この要件について、国として要件緩和を図ったということでありますけれども、そのことのご説明をいただきたいと同時に、私は、まだまだその要件についての緩和というか、現場の実情に即した要件、こういったものの取り組みがさらに必要ではないかというふうに思うわけですけれども、その点についてのご所見を伺いたいと思います。
○日請事業推進担当部長 緊急雇用創出事業は、国が事業の実施要件を定めているということでございますので、事業を実施する自治体が使いやすい制度とするよう、都といたしましては、これまでも要件の緩和を国に働きかけてまいりました。
これを受けまして、国におきましては、十月に要件緩和を行い、雇用期間につきましては、すべての事業で必要に応じて一年までの更新が可能となったところでございます。特に介護分野につきましては、最初から一年間の雇用が可能となりました。それから、人件費割合等につきましても、一定の緩和が図られました。
しかしながら、今後、一層の雇用創出に向けて取り組んでいくためには、自治体が地域の実情に応じまして自主的、主体的に実施要件が定められるようにするなど、さらなる要件緩和が必要と考えております。区市町村等の意見も踏まえながら、さらに国に働きかけてまいります。
○高倉委員 ぜひ一層、この要件緩和等々につきまして、区市町村の声をさらにしっかり都としても受けとめていただいて、取り組みを強めていただきたいというふうに思います。
雇用情勢が大変厳しい中で、危機的な状況を食いとめるべく、各自治体においてさまざまな緊急雇用対策が講じられております。こうした緊急対策、大変重要でありますけれども、本質的な解決というのは、経済を成長軌道に乗せて雇用の拡大へとつなげていく、そういったことによって果たされていくものだというふうに思います。
ただ、残念なことに、現在の民主党などによる新政権では、明確な成長戦略が見られないということがしばしば指摘をされておりまして、こうした雇用の混迷に拍車をかけているのではないかというふうに私は思っております。
こうした中で、この雇用対策に取り組む自治体の取り組みに対する、いわば期待というのでしょうか、これは大変大きなものがあるというふうに思っております。
緊急の雇用創出に加えまして、やむを得ず職を失われた方々に対しては、緊急雇用を初めとした臨時的な仕事から、さらにしごとセンター等も活用して、正規雇用など、こういった次の仕事につなげていくことが大事ではないかというふうに思っております。
そこで、厳しい雇用情勢の中で年末年始を迎えていくことになる失業者に対しまして、都として、より一層の支援が必要と思っておりますけれども、最後に局長のご決意を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
○前田産業労働局長 厳しい経済状況のもとで、やむを得ず仕事を失った方々に対しては、早期に雇用の場を提供するということが重要でございます。都としても、今回補正予算で追加を提出しております緊急雇用創出事業などによりまして積極的に対応していく、こういう考えでございます。
また、お話にございましたように、臨時的な仕事に従事している間にも、より安定した仕事につくことができるような支援をするということも必要でございます。しごとセンターを最大限活用していただけますよう、こうした方々に対して支援メニューなどの情報をわかりやすく伝えてまいります。
さらに、これから年末を控えまして、失業者が抱える解雇や再就職などさまざまな相談に対応するために、来週の十五日の火曜日、十六日の水曜日には、労働相談情報センターとしごとセンターが共同で年末特別相談会を開催いたします。また、年末の二十九日、三十日にも臨時相談窓口を開設して相談に応じるということにしております。
このように、失業された方々に対しまして、雇用の場の提供に加えて、安定雇用に向けた就業支援を行うなど、今後ともきめ細かい支援を行ってまいります。
○清水委員 我が党は、雇用と暮らしの深刻な実態を踏まえ、緊急に先日、都に対して年末年始の緊急対策に関する申し入れを行いました。都は、昨年のような派遣村をつくらないために、失業者に対して、雇用を初め、住宅、福祉などの支援に最善を尽くし、行政としての責任を果たすことが必要と考えます。
そこで伺いますが、まず、改めて東京の失業率と失業者数、昨年との比較を含めてお伺いいたします。
○日請事業推進担当部長 十一月二十五日に総務局が発表いたしました労働力調査によりますと、東京における平成二十一年七月から九月期平均の完全失業率は五・二%、完全失業者数は三十七万人でございます。これを前年同期と比較いたしますと、率で一・三ポイント、人数で八万九千人の増加というふうになっております。
○清水委員 数字で示されても非常に大幅な悪化です。
そこで、今回の補正によるものも含め、失業した方々に対する雇用の場を提供するための緊急雇用創出事業における今年度の雇用創出の目標数はどうなっているのか、お伺いいたします。
○日請事業推進担当部長 本年度、都と区市町村において実施をいたします緊急雇用創出事業の目標数は、当初事業分で約四千人、今回の補正によります追加事業分で約六千人でございまして、合わせて一万人の雇用創出を図っていくこととしております。
○清水委員 我が党は、先日、渋谷のハローワーク前で、朝の八時半から三時間、雇用と暮らしのアンケート実態調査というものを求職者の方々から伺い、相談活動も行いました。さらに、派遣村をつくらないワンストップサービスをつくる会の方々が取り組んだ十一月三十日のワンストップサービスの実態調査について、その結果を見させていただきました。
また、全国労働組合総連合の方々が取り組んだ労働相談ホットライン、電話相談の結果についても見させていただいてまいりました。私自身も渋谷のハローワーク前に朝八時半から、求職者の皆さんが出てこられたところでお聞きをいたしました。都内の失業者は本当にふえている中、深刻な実態を実際に実感しているわけですけれども、また、十一月三十日には、八王子のハローワークで行われたワンストップサービスの現場にも伺ってまいりました。
この都が計画している雇用創出数では不足しているんではないか、現在の雇用情勢と失業者の深刻な実態を考えれば、できるだけ早期に事業を実施して、さらに多くの雇用を生み出していく必要があると考えますが、いかがですか。
○日請事業推進担当部長 現下の厳しい雇用情勢に対応いたしまして、本年度は、都独自の取り組みなども含めまして、積極的に雇用創出に取り組んでおります。
また、緊急雇用創出事業は、基金を活用することによりまして三カ年にわたって事業を実施していく予定でございまして、本年度に重点を置きつつも、計画的に切れ目なく三カ年にわたって雇用創出に取り組んでまいります。
○清水委員 さらに、我が党は、都の緊急雇用対策、それから、国の緊急雇用創出事業などに取り組んでいる区市町村などに対してアンケート調査を行いました。先ほども区市の方々からの声が出されていましたけれども、八区市から寄せられている状況をちょっとご紹介させていただきます。
今回の事業期間内に就職活動をし、再就職を果たすということができた人もいたようで、このような事業の必要性を実感した。雇用期間が短いため、応募状況があまりよくない。期間限定の雇用ではなく、長期にわたる雇用の場を求めている。仕事を得られて助かったという人が多数だが、やはり期間が限られているので、その後の不安を口にする人が多かった。
次、福祉の仕事に対する関心は高い印象を受けた。
次、短期雇用の場合は離職する者が多い。
次、学校の安全管理の仕事を出したところですけれども、要項上、期間の定めはあるが、学校で子どもや教師、地域の方たちと顔見知りになり、交流を深めることも大きな事業効果になっている点で、よい方であれば雇用を継続したい。半年、一年で交代させなければならない点は事業効果にマイナスである。
最後に、当初雇用見込みの人数が集まらなかった。
それぞれの新規見込み数、それから、実際に雇用をされた人数などについてアンケートをし、その最後の備考欄に自由に記入をしていただいた区市の声です。こうした区市町村の現状について、都はどのように把握しているのか、お伺いします。
そして、今後、雇用創出目標の達成のためにどのような対応をとっていくのか、伺います。
また、先ほども出されておりましたが、雇用の条件の緩和の声にどのようにこたえていくのか、それぞれお伺いいたします。
○日請事業推進担当部長 区市町村の取り組みにつきましては、実績報告や担当者同士のヒアリングなどを通じまして、実施上の問題点、課題等も含めまして状況を把握しております。
また、雇用目標の達成に向けては、庁内の連絡会議や区市町村に対する説明会などを行い、雇用創出事業の制度趣旨を徹底するとともに、積極的に事業を実施するよう要請をしております。
雇用創出事業がより効果的に実施されるよう、引き続き庁内各局や区市町村と緊密な連携を図り、着実に雇用創出に取り組んでまいります。
要件の緩和等につきましては、各区市町村の意見等を聞きながら、必要に応じて国等に引き続き要望をしてまいります。
○清水委員 年末に向け、政府はワンストップサービスなどの取り組みを打ち出していますけれども、ハローワークに都の相談窓口の担当者が行って相談に応じるだけでは、一歩改善ですけれども、抜本的な解決にはほど遠いといわざるを得ません。
これまでも求めてまいりましたが、都は、職を失った失業者の深刻な状況を十分に認識し、都として総合相談の窓口を設け、国や区市町村と一体での問題解決に当たるとともに、雇用創出事業を失業者にとって本当に効果のある事業としていくべきです。
また、深刻な雇用問題の抜本的な解決に向け、雇用の維持と正規雇用の拡大について、社会的責任の大きい大企業に都が直接働きかけるよう要望し、私の質問を終わります。
以上です。
○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四十四分散会
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