経済・港湾委員会速記録第十六号

平成二十一年十二月十日(木曜日)
第八委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長小沢 昌也君
副委員長高木 けい君
副委員長増子 博樹君
理事伊藤 ゆう君
理事高倉 良生君
理事鈴木あきまさ君
田中  健君
伊藤 興一君
笹本ひさし君
山崎 一輝君
三宅 茂樹君
佐藤 広典君
清水ひで子君
鈴木貫太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長後藤  明君
事業部長大橋 健治君
新市場担当部長野口 一紀君
新市場建設調整担当部長宮良  眞君
参事大朏 秀次君
参事横山  宏君
参事砂川 俊雄君
参事黒川  亨君
港湾局局長比留間英人君
技監飯尾  豊君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長石原 清志君
港湾経営部長小宮 三夫君
参事河内  豊君
臨海開発部長松岡 玉記君
参事平田 耕二君
参事延與  桂君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長成瀬 英治君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 中央卸売市場関係
報告事項(質疑)
・豊洲新市場予定地における環境影響評価に関する現地調査結果について
 港湾局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十八号議案 京浜港連携協議会の設置について

○小沢委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○小沢委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の報告事項に対する質疑及び港湾局関係の付託議案の審査を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 報告事項、豊洲新市場予定地における環境影響評価に関する現地調査結果についてを議題といたします。
 過日の委員会で詳細を理事会にご一任いただきました参考人招致について申し上げます。
 本件につきましては、現在理事会で協議中でございます。ご了承願います。
 報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○笹本委員 よろしくお願いします。
 十一月二十六日の当委員会で、経済・港湾委員会報告事項ということで、豊洲新市場予定地における環境影響評価に関する現地調査結果というこちらの冊子をいただきまして、それについて質問をさせていただきたいというふうに思います。
 豊洲新市場予定地における環境影響評価に関する現地調査結果についてですが、この中に、一ページ目の下の方ですね、今後の予定として、「今後、公布予定の改正土壌汚染対策法の技術基準を定めた省令を踏まえ、環境影響評価書案を作成し、手続きを進めていく。」というふうに記載があるわけです。
 土壌汚染対策法は、二〇〇二年五月に制定されましたが、豊洲地区の築地市場移転予定地というか、豊洲地区の土地所有者である東京ガスが豊洲地区の土壌汚染を明らかにしたのは、ちょっとさかのぼりまして二〇〇一年一月のことでした。この土壌汚染問題を議論していく中で、私たち都議会民主党は、当時の土壌汚染対策法附則第三条において経過措置が設けられたことにより、同法第三条で規定している調査が豊洲では適用されないということを問題視したという経緯があります。
 後ほどちょっと触れますが、「みなと新聞」というんですか、鮮魚関係の業界新聞のコピーもありますし、先ほどホームページも見てみたんですが、載っております。川内博史国土交通委員長の発言ということで、十二月三日に、党内で、築地市場を考える会というところで発言をしたということも後ほど触れますが、二〇〇七年八月七日に、当時の民主党のネクスト環境大臣である末松衆議院議員に対して、ここに今います増子副委員長を初めとして、当時の都議会民主党のプロジェクトチームのメンバーが申し入れを行ってきたという経緯も聞いているわけです。
 このような経過もあり、ことしの四月に土壌汚染対策法が改正をされ、今後、来年の二〇一〇年四月までの法施行時には、豊洲地区についても、法律で定める指定区域、これは法改正で要措置区域、形質変更時要届け出区域と名称が変わりますが、旧指定区域に指定されるということになると。川内国土交通委員長は、こそっと、この三条で外れたなんていうような発言をこの会でしたそうですけれども、指定区域に指定されるということになるということです。
 そして、この指定区域を解除するためには、今後、汚染土壌の全面除去や地下水のモニタリングで二年間、環境基準を超える汚染が検出されないことが条件になるというふうに思われるわけです。
 そこで、この豊洲地区について、今回の改正土壌汚染対策法によって、今後どのような影響が生じると考えるか、当局の認識についてお伺いをしたいと思います。

○宮良新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、操業に由来します汚染物質は、深さにかかわらず、すべて除去するとともに、地下水についても、環境基準以下に浄化いたします。これらに加えまして、市場施設完成後も、地下水のモニタリングを定期的に実施していくこととしております。
 本年四月に改正されました土壌汚染対策法にも、こういった対策で十分対応が可能であると、そういうふうに私どもは考えております。
 改正された土壌汚染対策法の施行に関します汚染土壌運搬に際しての汚染拡散防止措置や、浄化を確認するための地下水の採取、分析の頻度など、具体的な技術基準を定める省令につきましては、現時点では公布されてございません。
 このため、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策のうち、土壌運搬などに関する影響については明らかではございませんが、今後公布されます省令に基づき、適切に対応してまいります。

○笹本委員 先ほど川内国土交通委員長の話も「みなと新聞」から少し取り上げたわけですが、卸売市場法を改正し、同法の附則に、土壌汚染指定区域並びに過去に指定を受けた土地に卸売市場を整備してはならないとつけ加える法案を、今後、これは内閣提出法案ということになるんだそうですけれども、まとめていきたいということを川内国土交通委員長は述べたということです。築地市場の移転を強引に進めるようであれば、このような改正法案も選択肢の一つではないかというふうに思うわけです。
 いずれにしても、この移転問題は、土壌対策法案を初め、食の安全・安心、環状二号線の整備、昨日も話題になりましたが、観光振興など多岐にわたっているということで、どのみち都議会においても、特別委員会というものが設置をされたわけですので、引き続き議論を重ねて、深めていきたいということで、意見として述べさせていただきました。
 以上です。

○山崎委員 十一月十七日、先月に、築地市場の大多数の業界団体により構成される新市場建設推進協議会から、豊洲新市場の建設を一日でも早く実現することを求める要望書が提出をされました。
 豊洲地区への移転は、かつて現在地再整備が中断せざるを得なかった苦い経験を踏まえ、業界が市場の将来を真剣に考えた長い議論の上に到達した結論であります。
 我が党としては、都民への生鮮食料品の安定供給において重要な役割を担っている市場業者が十分に活躍できる新市場を早急に実現することこそが、首都圏三千三百万人の食生活を支える役割を果たしていくことになると考えております。
 このような視点から、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 当委員会への報告では、豊洲新市場の移設計画について、市場業者の要望を踏まえて見直しを行い、環境影響評価の前提となる規模や配置が決められたとのことですが、まず、市場業者のどのような要望に基づき施設計画を見直すこととなったのか、具体的にお伺いをいたします。

○砂川参事 今回見直した施設計画は、現在作成中の環境影響評価書案の前提とするため、市場業界と協議を重ね、市場施設の配置や規模などに関する要望を反映させたものでございます。
 主な変更内容として、水産仲卸業者などからの、買い出し人車両へ荷を積む際の安全性と作業性の向上を求める要望にこたえまして、水産仲卸売り場棟に配置されている積み込み場の面積を拡張し、買い出し人の車両と人の通路を分離いたしました。
 また、水産卸売業者からの、荷の流れを効率化したいとの要望を受けまして、一体で配置していた水産卸売り場棟の卸売り場と荷さばき場を分離し、それぞれの面積を見直しました。
 さらに、水産卸売業者からの、一日に何度も売り場と事務所を往復することから、行き来がしやすいようにしたいとの要望にこたえまして、売り場から約二百メートル離れた管理棟に配置されていた卸売業者の事務所の位置を、卸売り場上部の五階、六階に変更いたしました。
 そのほか、輸送業者、青果卸売業者からの、バースに着けることができる車両をふやして物流を効率化したいとの要望を受けまして、転配送センター及び青果の大口荷さばき場について配置を見直しております。
 このように、市場業界の要望を取り入れることによりまして、豊洲新市場は、安全性、効率性、利便性により配慮した計画となっております。
 今後は、具体的な施設の運用などにつきまして協議を進めてまいります。

○山崎委員 豊洲新市場では、築地市場が抱える課題を解決し、流通環境の変化に対応できるよう施設が計画されていると聞いております。こうした市場本来の機能を充実させることはもちろんとして、これからの卸売市場の日本のモデルとして、環境や地域のまちづくりに貢献するための設備も求められます。
 そこで、豊洲新市場の施設計画には、環境や地域のまちづくりにどのような配慮をしているのか、築地市場との違いも含め、お聞きしたいと思います。

○砂川参事 築地市場では、産地や買い出し人のトラックやターレット、フォークリフトなどの場内運搬車両が激しく行き交い、混雑しており、これらの車両からの排出ガスが大気環境に影響を及ぼすとともに、市場の営業活動に伴う生ごみ等の大量の廃棄物が環境への負荷を増大させております。
 また、築地市場では、敷地のほぼすべてが施設や通路などに利用され、緑地はほとんどございません。
 豊洲新市場の整備に当たりましては、市場が周辺環境に及ぼす環境負荷の低減を図るため、自然エネルギーの活用、大規模な緑化、徹底した自動車排出ガス対策や省エネの推進など、さまざまな環境対策に積極的に取り組んでまいります。
 具体的には、国内有数規模となる二千キロワット以上の太陽光発電の導入、十二ヘクタールに及ぶ緑化、搬出入車両のアイドリング対策としての外部電源装置の整備、ターレットなどの場内運搬車両の全車電動化、省エネ型の照明機器の採用などにより、築地市場の二酸化炭素排出量を下回るように、豊洲新市場の整備を進めてまいります。
 さらに、市場の営業活動に伴う生ごみやプラスチックなどの廃棄物の再資源化を推進し、現在の築地市場を上回るリサイクル率を達成してまいります。
 また、地域のまちづくりに貢献するため、豊洲地区のまちづくりガイドラインに基づき、豊洲新市場では、市場の外周を快適に散策できるよう、護岸と一体となった幅の広い緑道を設置し、幹線道路に接する敷地には植栽を施すなど、緑豊かな景観形成をしてまいります。
 さらに、六街区の水産仲卸売り場の屋上を、散策なども楽しめる屋上緑化として整備してまいります。
 加えて、食を中心とした東京の新たな観光名所として、千客万来施設を整備し、豊洲新市場を、地域住民、国内外からの来訪者にとって、開かれた親しみのある市場としてまいります。

○山崎委員 築地市場では、昭和三十年代以降、取扱量や買い出し車両の増加など、時代の変化に応じて施設の拡充を進めてきたことが、中央卸売市場の事業概要に記されております。しかし、現在の築地市場には、もはや新しい顧客のニーズに対応できる施設整備の余地が残っておりません。
 一方、狭隘な神田から広い敷地に移転した大田市場は、青果の基幹市場として大きく発展をなし遂げており、さらに、本年十月には屋根つきの積み込み場が完成するなど、機能強化のための大規模な施設整備が進められております。また、葛西市場等においても、流通環境の変化に対応し、ほかの市場や市場外との競争に勝ち抜くため、新たな施設の整備が行われております。
 このように、卸売市場では、流通環境の変化に合わせた整備を行っていく必要があります。
 そこで、豊洲新市場の施設計画では、流通変化に対応するため、どのような施設整備を計画しているのか、また、将来、新しい施設が必要になった場合、どのように対応していくのか、お伺いをいたします。

○砂川参事 近年、卸売市場を取り巻く環境は、食の安全を求める消費者の意識の高まり、流通コストの削減の要請、食生活の変化に伴う調理、加工の需要の増加など急激に変化しております。品質、衛生管理の徹底、効率的な物流の実現及び新たな顧客ニーズへの対応が求められております。
 豊洲新市場では、産地から消費者まで生鮮食料品の温度を管理するコールドチェーンを確保し、外気やほこり、排気ガスなどによる影響を遮断するため、施設を閉鎖型として整備いたします。
 また、荷の搬入から搬出に至る物流の効率化のため、駐車場や荷さばきスペースを十分確保し、売り場、バース、待機駐車場などの一体的な配置を行っております。
 さらに、顧客などの多様なニーズに対応するため、加工、パッケージ施設や小売店、飲食店などのチェーン化に伴う店舗別の仕分けスペースの整備を計画しております。
 将来、新しい施設が必要となった場合には、各街区の待機駐車場の上部を活用することにより、施設の増設や改築が可能でございます。また、建物についても、自由度の高い施設構造といたしまして、売り場の配置がえや低温エリアの変更など、将来の状況の変化に柔軟に対応できるような計画としてまいります。

○山崎委員 さきの都議会の代表質問において、民主党より、晴海に一時的に仮移転することにより現在地再整備を実施する案が有力な提案であると紹介をされました。しかし、生鮮食料品の流通拠点として市場が担う役割を考えると、たとえ仮移転期間とはいえ、効率的な物流や衛生管理の機能をしっかりと保っていく必要があります。
 そこで、民主党がいわれている、有力な案として主張されている、築地市場から青果もしくは水産、あるいはその両方を一時的に仮移転し、現在地での再整備を行うとする案について、仮移転により物流等の機能面でデメリットが生じないのか、お聞かせ願いたいと思います。

○砂川参事 仮移転により現在地で再整備をする場合、移転先においても、売り場、バース、待機駐車場などの一体的な配置など、生鮮食料品を安定供給する基幹市場としての機能が十分発揮できるよう、品質、衛生管理のしやすい施設整備が必要でございます。
 晴海地区における都有地は、客船ターミナルなどに使用され、清掃工場や既成市街地に隣接しているため、仮移転先としての用地は限られております。
 このため、水産のみ、あるいは青果と水産の両方を仮移転する場合は、市場の基幹的な施設を平面配置できず、施設を高層化せざるを得ないため、売り場が上下階に分断され、各階の搬送はエレベーターやスロープに頼ることになります。市場においては、深夜から早朝の限られた時間内に大量の荷を搬送しており、エレベーターやスロープの利用が集中することから、待ち時間や混雑が生じ、物流が阻害され、効率性が著しく低下いたします。
 また、青果のみを移転する場合には、築地での再整備は、長期間にわたるローリング工事となるため、営業車両と工事車両の錯綜によって場内の交通混雑が発生し、工事エリアによって売り場などが分断されるなど、場内物流が大きく阻害されることになります。
 加えて、水産、青果のどちらかを移転させる場合、それぞれが長期にわたり別の市場として営業することになり、両方を買い回る買い出し人が不便を強いられるなど、総合市場としての利便性が著しく損なわれます。
 こうしたことから、晴海地区への移転を伴う現在地再整備事業案は、いずれの場合でも、物流などの機能面で大きな支障を生じ、実現性はないと考えております。

○山崎委員 今、説明があったように、もし仮移転を行ったとすると、市場の機能面で大きな問題が生じることがよくわかりました。
 豊洲新市場の施設計画については、移転を決定してから基本設計相当を取りまとめるまで、業界と都で五年の歳月をかけて検討を行っており、さらに今も、よりよい施設になるように、業界と施設計画の細部を詰めているとお聞きしております。
 これから五十年以上使い続ける新市場を整備することを考えれば、十分に検討を行うことは当然であり、さらに、工事に着工するまでには、計画の策定や設計などの作業のほか、都市計画決定などの行政手続ももちろん必要となります。これが仮移転となると、仮設、本設の建設を行うため、二重の工事が必要となり、さらに手続や工事に年月がかかるものと考えます。
 そこで、もし仮移転を行う場合には、どのような手続や工事等が必要となり、それらにどの程度の期間が必要になるのか、お伺いいたします。

○砂川参事 仮移転により現在地で再整備を行うには、手続面では、工事着手前までに、基本構想、基本計画、基本設計及び実施設計を取りまとめる必要がございます。また、環境影響評価及び都市計画決定などの手続も必要となります。
 次に工事面については、まず、移転先においても生鮮食料品を安定供給する基幹市場としての機能が十分発揮できるように施設を整備する必要があること、次に、築地での建設工事については、新市場に必要な機能を盛り込むことから、施設を重層化せざるを得ないこと、また、とりわけ青果のみを仮移転する場合は、営業を続けながらの極めて長期間にわたるローリング工事になることなどを前提として工事を行う必要がございます。
 これらの手続面、工事面の条件を踏まえまして、仮移転による再整備に必要な期間をあえて想定いたしますと、仮移転の方法によって異なりますが、基本構想着手から再整備工事が完了するまで十五年から三十年以上かかると見込まれます。

○山崎委員 施設計画を決定するまでには、業界と協議を重ね、要望を取り入れていく必要がもちろんあります。しかし、大多数の業界団体が強く移転整備を望む中、現在地再整備を検討することについては、業界の納得を得るどころか、話し合いを始めることすらできるとは思えません。このことからも、再整備は全く現実的でないといえます。
 築地市場の現状や役割について十分な理解がないまま、みずからの主張を押し通すため、再整備の検討を求めることは、市場の将来を真剣に考え、早期の移転整備を切実に望む業界関係者の思いを踏みにじることになります。
 都議会として行うべきことは、老朽化が深刻な築地市場の現状をしっかりととらえ、豊洲新市場の早期実現を願う業界の要望を重く受けとめ、この先五十年以上を見据えた新市場の整備を進めていくことです。あわせて、都の土壌汚染対策が確実に実施されることをしっかりとチェックし、豊洲新市場の備えるべき機能や市場業者の円滑な移転のための方法について議論を深め、都民や市場関係者の理解をしっかりと得ていくことです。
 我が党としては、早急な対応に迫られている築地市場の課題を解決するため、一刻も早く建設的な議論を行うことを最後に求めて、質問を終わります。

○伊藤(興)委員 それでは、私の方からも、報告事項の中の新市場の施設計画に関連して何点か質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、都議会公明党は、新市場整備の問題について、今、都議会に求められていることは、生鮮食料品の安定供給という長期的展望のもと、少なくとも五十年以上は使用する、都民の大切な財産である新市場に必要な機能等について議論を深めていくことであると、これまでも主張をしてまいりました。
 この委員会においても、こうした観点から幾度となく議論をしてきたわけでありますけれども、一部では、いまだに、生鮮食料品を安定供給する卸売市場の本来的な役割はおろか、老朽化した築地市場の窮状すら正しく理解せず、これまで積み重ねてきた議論を逆戻りさせるようなやり方に対しましては、都政運営の責任を持つ者として大変に憤りを感じざるを得ないものであります。
 都議会公明党は、築地市場を何度となく視察をさせていただきまして、市場関係者の方々からも直接、生の声を伺い、現場をつぶさに見てまいりましたが、至るところで雨漏りや床あるいは壁の亀裂など、老朽化により施設が既に限界に来ている実情を目の当たりにしてまいりました。
 こうしたありのままの現状をもとに、都議会本会議や常任委員会等の質疑を通じて、築地市場の建物の一部では、営業活動への深刻な影響の懸念等から耐震改修工事が行えないことや、あるいは施設の老朽、狭隘化が進み、高度な品質、衛生管理が難しいことなどを明らかにしてまいりました。
 先日の当経済・港湾委員会でも私は、築地市場は、いつ起きるかわからない首都直下型地震、震災の懸念があることを指摘をいたしました。
 また、先月、大多数の市場業界から提出をされました、豊洲新市場建設計画推進の要望書に、市場を取り巻く環境が激変する中、これ以上の遅滞は経営面で大きな打撃となると述べられていることからも、改めて新市場は都民の食生活を支える責任を果たしていかなければならないと考えております。
 さて、昨日の本会議の一般質問では、都が実施した築地市場の来場客調査で、観光などの目的で市場を訪れる方が多かったとの新聞の記事を取り上げまして、まるで築地市場が観光のための施設であるかのような発言がありました。観光客を集めている魅力は、そもそも卸売市場本来の機能が十分に発揮できてこそ生まれるものであることや、市場が生鮮食料品の安定供給に重要な役割を担っていることを理解していないような内容であったかと思います。
 私も築地市場の来客人数に係るこの記事を見ましたけれども、そこには、ルールを守らない見学者が業務の妨げになっているとの声が広がり、卸売市場への立ち入りを制限せざるを得ないとも書かれておりました。
 そこで、施設計画の変更について伺う前に、まず、この観光客が多く来場することに対して、市場業者からはどのような意見が出されているのか、伺いたいと思います。

○黒川参事 中央卸売市場は、本来、生鮮食料品の卸売を行うことを目的とした施設でございますが、卸売市場の役割や機能の普及啓発を図るため、都では、従来から各市場において見学者の受け入れを行ってまいりました。
 しかし、築地市場におきましては、近年、特に多くの観光客が来場するようになり、市場業者からは業務面や衛生面における影響を懸念する声が強くなってきたところでございます。
 そこで、都は、昨年四月、作業の円滑化や売り場の衛生管理に加え、見学者の安全向上を目的として、築地市場の見学等に関するルールを定め、競り場などで一定の秩序確保を図ってまいりました。その結果、市場業者の中には、きちんとしたマナーで見学してくれることはありがたいとの意見も出されるようになってまいりましたが、作業に邪魔で困る、不特定多数の者に出入りされると衛生上の問題があるなどの意見もございます。

○伊藤(興)委員 築地市場は観光施設ではないということは、いうまでもないわけでありますけれども、築地の魅力に引かれ、多くの人が集まってきているということも事実であります。こうした、楽しみに来られる一般の方への対応も考えなければいけないというふうにも思います。
 しかし、観光客は、多種多様な食材が並ぶ売り場や、威勢のいいかけ声のもとに行われる競りの様子などを見に来るわけでありますけれども、そこは市場業者にとって真剣に取引を行う場所であることから、観光と市場業務が競合し、両立させることは大変に難しいことであり、その上、施設が壁で囲われていない築地市場の開放型の建物構造では、来場者の管理はなおさら困難であると考えます。
 現に、年末年始には、市場業務は繁忙をきわめるため、安全上などの理由によって、観光客がマグロ卸売エリアに立ち入ることを制限しなければならなくなっております。ことしも、ちょうどきょうから制限が始まっていると聞いております。市場が一番活気盛んな年末年始は、クリスマスやニューイヤーシーズンでありますし、東京を訪れた、外国人を含めた多くの観光客が楽しみに市場を訪れるこの時期でありますし、見学を制限せざるを得ないということは、そうした方々の立場に立てば、まことに残念であると思います。新市場ではそのようなことがないように期待するものであります。
 そこで、施設計画の変更について伺いますけれども、このたびの施設計画の見直しに当たりまして、見学者などへの対応について市場業者から要望があったのか、また、この施設計画にそうしたことが反映されているのか、伺いたいと思います。

○黒川参事 豊洲新市場では、首都圏の基幹市場として、豊富で新鮮な生鮮食料品を安定供給するという市場本来の機能を果たすことに加え、市場の活力やにぎわいなどを多くの見学者に体験してもらうことも重要であると考えております。
 平成十八年度に策定した当初の基本設計では、見学者の安全性に配慮するとともに、見学による市場業務への支障を回避する観点から、市場業務エリアと見学エリアを分離することとし、七街区で水産卸売り場を見学するための専用通路を整備する計画としておりました。
 今回、施設計画の見直しに当たりましては、特に市場業界からの要望はございませんでしたが、現在の築地市場での見学者対応における市場業者の意見や実施状況を踏まえまして、他の街区にも見学者通路を設置するとともに、活気にあふれる卸売市場の現場をより体感できるよう、見学者通路内に売り場全体を見渡せる人だまりのスペースを設置することにより、市場業務と見学者対応の両立を図っております。

○伊藤(興)委員 新市場では見学者用のコースも設けられ、見学のために市場を訪れる方々への配慮もなされているということは、わかりました。
 市場を訪れる方の目的には、市場の中を見物するだけでなく、一般の方も対象とした場外市場での買い物や食事も楽しみの一つだと思います。場外市場は、その名のとおり、卸売市場の外でありますけれども、そこで商売をされている市場業者の方もおり、また、当然でありますが、多くの事業者が築地市場の場内から仕入れているものと思われます。このように築地市場と場外市場は密接な関係を持っており、移転整備におきましては場外市場への配慮も必要と考えます。
 そこで、新市場の計画では場外市場のことも配慮されているのか、また、場外市場の方は移転に関連してどのような意見を持っておられるのか、伺いたいと思います。

○黒川参事 豊洲新市場では、食文化の継承や新たな観光拠点の創造という観点から、千客万来施設を整備し、その際、築地市場と一体となって地域のにぎわいを創出している場外業者のうち、移転を希望する方々の事業継続にも配慮することとしております。
 場外市場団体に対しましては、これまで豊洲新市場予定地の土壌汚染対策や新市場整備方針など、新市場建設に向けた情報提供や説明会を行うとともに、豊洲におけるまちづくりや千客万来施設などについて意見交換を行っております。
 移転に関する意見といたしましては、新市場におけるにぎわい施設である千客万来施設の建設や運営内容、市場施設と千客万来施設との連絡通路の整備などについて貴重な意見や要望をいただいております。今後も引き続き情報提供や意見交換を行い、千客万来施設や関係する市場の施設整備に反映させてまいります。

○伊藤(興)委員 新市場の計画では、場外市場の業者の方々の意見についても配慮していただきたいと思います。
 築地市場には、長い歴史と伝統や、確かな品質と豊富な品ぞろえ、さらに活気とにぎわいなど、いわゆる築地ブランドと呼ばれる魅力があります。その築地ブランドも、市場に高級なものから身近なものまで多種多様な食材が豊富に集まり、活気ある取引が続いてこそ維持できるものであり、施設の老朽化が限界で、衛生管理にも問題を抱え、取扱量が大きく減少している現状がこのまま続けば、築地の魅力そのものがやがて失われてしまうおそれがあります。
 移転整備にあっては、築地市場の伝統や魅力を引き継いで発展させていくことを切に望み、質問を終わらせていただきたいと思います。

○清水委員 報告されております、豊洲新市場予定地における環境影響評価に関する現地調査結果についてお伺いいたします。
 これまでも繰り返し主張してまいりましたが、都議選で移転反対を主張する会派が多数になった今日、一たんこうした手続については中止をすべきであるという立場ではありますけれども、今回、市場当局が、この現地調査の結果を報告いたしましたので、何点かについてお伺いいたします。
 まず、今回、現地調査結果を委員会に報告した意味を伺います。

○宮良新市場建設調整担当部長 築地市場の移転に関しましては、これまで、豊洲新市場の施設計画、環境影響評価書案の内容、汚染状況調査の結果など、事業の内容や進捗状況を正確かつ十分にご理解いただくため報告させていただいております。
 今回の調査結果は、今後の市場整備が環境に与える影響を予測、評価するための基礎となる現状把握のデータでございますことから、これまで同様、報告させていただいています。
 市場施設計画につきましても、建物の高さや配置の変更が、景観、日照などの環境影響評価の予測、評価に関係することから、あわせて報告させていただいております。

○清水委員 それでは、今回の調査の目的は何ですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 事業実施、具体的には工事あるいは施設建設に先立ちまして、ご承知のように、環境影響評価条例で一定規模以上、あるいは事業で環境影響評価を実施することになっております。
 そういった環境影響評価、予測、評価をする前に、先立ちまして、現在の状況、事業を実施する前の現況を把握する必要がございます。そういった観点から、ただいま現況調査結果が取りまとまったので、ご報告させていただいております。

○清水委員 もう一たんは既にそれは行われているものではないんですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 豊洲新市場整備におけます環境影響評価につきましては、平成十六年に計画段階のアセスメント、また平成十九年一月には環境影響評価書案を提出してございます。
 一方、新市場予定地の特に汚染物、土壌汚染でございますが、それを万全な対策とするために、いろいろ検討してございます。
 前回の環境影響評価では、土壌汚染対策につきまして、土壌について汚染物を取ると。市場の食の安全・安心を確保するために、それに加えまして、今回、地下水中の汚染物質も取ることになりました。さらに、地下水に関しましては、今お話し申し上げました汚染物を取るとともに、市場施設完成後も地下水水質をモニタリングしております。
 こういった地下水対策を加えたことによりまして、環境影響評価の内容、要は予測、評価する事柄が加わりましたので、再度、環境影響評価をやりました。調査データにつきましては、例えば交通量につきましては、晴海線の豊洲ランプができまして状況が変わってございます。そういった観点から、現況を一部とり直したことでございます。

○清水委員 今回の調査は、今ご説明にありましたように、要するに、一たん二〇〇七年一月にしていたアセスをやり直し、環境影響評価書を発表するなど、東京都は、東京ガスが実施した土壌調査で明らかになった汚染は対策をとるから安全だとして、それまで進めようとしていましたが、都民や研究者が、汚染の実態が余りにも深刻だとして、大きな世論になったために、二〇〇七年五月からの専門家会議による土壌汚染調査を実施することになりました。
 その結果、既に発表した環境影響評価が内容的に整合性がとれなくなり、改めて専門家会議の結果を受けてアセスをやり直すということで、今回の調査の結果、影響評価の報告書を出すために調査結果を行ったということなわけです。
 それでは、もう一度、具体的に伺いますが、二月から十一月まで九カ月かけた意味は何ですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 現況の把握に際しましては、その期間のとり方はいろいろございます。例えば交通量については、平日、休日一日の二十四時間の交通量をはかります。また、大気質につきましては、春、夏、秋、四季をとっております。
 今お話ありました月の話ですが、一年間通してでございませんが、それぞれの季節の特徴的なところの大気の状況、そういうものをはかってございます。ご報告させていただきました欄外に、春、夏、秋、冬、春季、冬季と書いてございます。そこに月が書いてございますが、それはそういった意味でございます。

○清水委員 それでは、大気汚染調査でベンゼンの調査を実施していますが、豊洲新市場予定地内に、六街区一カ所ということになっています。なぜ一カ所なのか、そして、なぜこの場所を大気汚染調査を行うのか、お伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 環境影響評価におけます現況の把握、それは今、特に大気は四季の状況を把握することです。把握する内容は、四季における一般的な大気の状況でございます。そういった観点から、ベンゼンの土壌汚染調査をしましたけど、その濃度が高いとかいうことではなく、一般的、代表的な大気の状況として測定をしていくわけでございます。
 ベンゼンにつきましては、そういった観点から、道路の交通に影響ない、あるいは、現在、区画整理によって豊洲地区は事業実施中であります。車両が通っております。そういった影響のない六街区で測定をしました。
 また、ベンゼンにつきましては、今後、土壌汚染対策の中で、掘削、運搬処理をいたします。そういった観点から、一般的な大気の状況を押さえるという意味でベンゼンを選定しております。
 なお、今後、工事による予測、評価につきましては、環境影響評価書案を作成しまして、また皆さんに縦覧して意見をいただくわけですが、ただいま考えているベンゼンの対策につきましては、掘削に際しましては、テントを張って、ベンゼンの外気への放出を防止する。運搬につきましては、密閉した袋で運搬する。それで、処理につきましても、密閉した施設で処理をする、そういったことを考えておりまして、安全に対しては万全な対策をとる、そういうふうに考えております。

○清水委員 今後どういう対策をとるかということは別にして、現在の状況がどうなのかというものを調査した、この結果だということで報告をしたわけでしょう。今後どうするかというのは、その影響評価書の中で、案の中でするということですから、専門家会議でベンゼンを調査したといっても、それは少し前になるわけですから、一番直近のこの環境の状況を調査する、直近の状況を調査するということがこの目的なわけですから、ですから、やはり、そこの一カ所だけではなくて、この地域が土壌汚染調査のときに大きく汚染されていたわけですから、大気中にどうなっているのかということを改めて把握する必要があったんじゃないですか、これと一緒にあわせて。ただ環境影響評価の項目の一つで、これをやればいいからということだけでなくて、今までの経過があるわけですから、やはりそれに沿って、調査できるときはそれ以上にするというのが--今、この目的の、都民の皆さんに情報をお知らせするというようなことであるんだったらば、何で一カ所なんですかというふうに私は聞きたいと思います。

○宮良新市場建設調整担当部長 今回の環境影響評価に関します現況調査、その趣旨とは違いますが、専門家会議の中で、詳細調査の結果、表層の土壌から高濃度のベンゼンを検出した箇所がございます。
 その二カ所について具体的に申し上げますと、表層土壌から環境基準四万三千倍のベンゼン、もう一カ所は九千五百倍のベンゼンが出たところを、安全を確認するために、地表のところに当該の地点、その周辺十メートル離れた四地点、二地点ありますが、八地点でベンゼンの大気をはかりました。その結果でございますが、いずれも大気の環境基準を下回っております。
 さらに、そういった箇所と一般的なバックグラウンドの濃度を比較するために、施工者であります第一区画整理事務所の現場事務所、ここは、豊洲地区の半島の根元の方にありまして、また道路からも若干離れた場所にあります。いわば一般的な大気の状況を把握できる箇所でございます。その箇所ではかったベンゼンの結果ですが、むしろ、九千五百倍のベンゼンが出たところの濃度より、そういったバックグラウンドの把握として選んだ地点の方がベンゼンの濃度が濃かったと、そういう結果が出ています。
 そういった知見もございまして、環境影響評価に関します現況の把握につきましては、下にベンゼンの濃度が幾らあっても直接関係なく、趣旨と違いますし、一点で豊洲新市場予定地の一般的な環境の状況を把握できると、そういうふうに考えまして、ベンゼンの測定箇所等を選定いたしました。

○清水委員 今のご答弁であれば、そうであれば、余計に私はするべきだというふうに思うんですよ。だって、土壌汚染の調査で濃かったところが環境基準だったと。そうでない一般のところでもそれ以上だったというんだったら、それは整合性がとれないんだったら、じゃ、この地域の土壌と大気の状況というのはどうなのかということをより詳しく調べるために、やはりここで一カ所だけだというのは、私は納得できません。
 じゃ、次に移りますけれども、土壌汚染が今回の調査結果の中に入っていないのはどういうことですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 環境影響評価の予測項目として土壌汚染という項目はございます。今後、予測、評価をいたします。
 今回の調査でございますが、あくまでも環境影響評価に関します現況を把握するという趣旨です。そういった把握をするに当たって、いろいろなデータを採取する場合もございますし、既存のデータを利用することもできます。それは、環境影響評価条例の中の技術指針に明記してございます。
 一つは、そういった技術指針に基づいて、現況を把握するために、ほとんど既存の資料で足りております。不足するデータについて、今回、実際に現地に行きまして状況をはかってます。
 今ご質問のありました土壌汚染についての項目でございますが、そういったデータにつきましては東京ガスが調査をしてますし、環境影響評価というものは、直接、工事そのものや土壌汚染対策の内容が、工事の内容どうこう、そういう検討をする趣旨ではございません。そういった工事や土壌汚染対策をやったことに関しまして、要は、周りの環境にどう影響しておるか、そういったことの観点でございます。

○清水委員 そもそも、環境確保条例の土壌汚染対策は、一般的な土壌汚染を問題にしているのであって、豊洲などのような食の安全にかかわる土壌汚染を対象にしていないんです。さらに、汚染を残したままでも管理することで安全が確保できるというリスク管理が大前提というものなんです。私はこれを前提にしてはならないというふうに思います。
 環境影響評価、いわゆるアセスの趣旨というのは、人工的に自然を加工する工事を伴う自然環境破壊と、人の命と生活に与える影響を調査し、被害を未然に防ぐということを目的にするものです。したがって、手続が整っていればよいというものではなくて、結果として環境破壊をつくらないのが目的なわけです。この立場でいえば、土壌汚染対策法、環境確保条例及び指針が満たされというのは、第一ハードルをクリアするということであって、法や条例に含まれていなくても、土壌汚染など、自然破壊と人体に影響を与えるものを対象として、それを調査し、解決して初めてのアセスの役割を果たすということになるわけです。
 それで、既存の資料というのはどういうものを、先ほど東京ガスということもお聞きしましたが、既存の資料というものについてすべてお答えください。

○宮良新市場建設調整担当部長 今年五月に、環境影響評価の調査計画書というのを縦覧し、皆さんの意見、区長あるいは都知事の意見をいただいています。その中で、項目全部を挙げよというお話でしたが、例えば、大気のお話が出ておりますのでお話し申し上げますと、環境局が測定しています自動車排ガスの測定局、あるいは一般環境の測定局のデータとか、国土交通省がやります道路交通センサスにおける交通量の調査結果とか、それから海の水質、公共水域の水質などについては、環境局がやってますそういった調査結果、あるいは東京都、港湾局がやっております地盤面の高さのデータ、種々多々ございます。そういった既存のデータ等に加えまして、今るるお話し申し上げます足らないデータがございます。それは、実際の豊洲周辺の交通量です。
 といいますのは、先ほど申し上げました晴海線の豊洲ランプができましたから、交通の流れが変わっております。そういった観点から交通量をはかること。それから、その沿道、豊洲新市場予定地付近のまさにその幹線道路の横の騒音、振動、それから大気、そういったことが不足しておりますので、今回、実際状況を把握して、調査結果が取りまとまったのでご報告させていただいております。

○清水委員 それでは、前回、環境影響評価の段階において、東京都は、なぜ土壌汚染調査を行っていなかったのか。百十七条に基づくというようなことは書いてありましたけれども、今回、専門家会議などがその後に行われたわけですけれども、その時点で、東京ガスの土壌の高濃度の汚染が明らかになった以後に環境影響評価は行われたわけです。その時点でなぜ土壌汚染調査を行わなかったんですか。お伺いいたします。

○宮良新市場建設調整担当部長 たびたびご答弁させていただきますが、環境影響評価に関する技術上の指針につきましては、東京都環境影響評価技術指針に基づくこととされております。この指針の中で、現況調査につきましては、既存データを活用するとともに、必要な場合には調査を実施することとされております。前回実施しました環境影響評価では、東京ガス株式会社が、当時の条例や国の指針に基づきまして、平成十年、十一年、十四年に土壌汚染に対する調査をしております。
 この調査結果に基づき環境評価を行っておりますから、改めて、これまでの環境影響評価では調査する必要がございませんでした。今取りまとめ中でございますが、今後、環境影響評価書案をこれから作成していくわけですが、その際には、専門家会議で、いろいろご指示を受け、いろいろ調査をいたしました。そういったデータを当然踏まえまして、今後、環境に対する影響を予測、評価してまいります。

○清水委員 私は、東京ガスの土壌汚染調査が、その内容というのは市場当局は把握をされていたというふうに聞いていますけれども、その時点で、東京都として、市場として、土壌の実態調査、環境影響評価などを含めてその把握を怠ったことが、今日大きな問題になっているというふうに考えるわけです。その点はいかがですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 今ご答弁させていただきました。東京ガスは、しつこいようですが、当時の条例、国の指針に基づき、汚染土壌の調査をしております。環境影響評価としましては、その結果に基づき作成をすると、それがルールと、そういうふうに考えております。

○清水委員 確かに、当時のルールに基づいてやったかもしれない。しかし、実態はその後、私たちはいろいろいってきましたけれども、専門家会議の調査でも不十分だと私たちは思いますが、不十分な調査でも、あれだけの汚染が見つかったわけですよ。
 それを、東京ガスが調査をし、ベンゼン一万四千倍、シアン四百六十倍というような高濃度の状況になった時点で、それを把握していながら、対策をとるから、東京ガスが対策をとってやれば安全だということで、東京都は、中央区の反対する会とか、中央区の区長や議長などの不安というものにもこたえていない。市場審議会の中でも、中央区の区長が土壌汚染問題などということで当時もいっています。区議会が七つの疑問というようなことでもいっています。東京都は、処理を行うから安全性に問題はないということで、早々と安全宣言を出してしまっているわけです。中央区の区長も、我が党の議員も含めて、重大であることを当時指摘していたわけです。
 このように、多くの関係者が、もう五年も六年も前に、土壌汚染は生鮮食料品を扱う卸売市場の土地として問題なんだということで指摘をしてきたにもかかわらず、事業者が行政であるにもかかわらず、条例の最低のレベルで環境アセスを進めたということの重大な責任があります。移転ありきといわれても仕方がないと思います。安全性に問題がないと土壌汚染を軽視してきたということが問題ではないんですか。

○岡田中央卸売市場長 今の先生のお話には事実誤認があるんではないかということがありますので、私の方から一言ご説明させていただきたいと思います。
 東京都と、その当時の東ガス、あるいは鉄鋼埠頭との間では、十四年のとき、あるいは十七年におきまして確認が結ばれているわけでございまして、そのときにつきましては、現の所有者が調査をし、なおかつ、その当時に基づきます環境の条例に基づいてきちっとした対策を講じるという約束がありまして、それに基づいて東京都は土地を買いますと、こういうふうになっていたわけでございます。
 それに基づきますので、東京ガスは、その当時の指針に基づきまして、きちっと土壌汚染調査をし、なおかつそれを東京都に報告し、その報告に基づきまして対策を講じてきたという形になっていまして、それにつきましては、先生ご案内のとおり、十九年までの間で完了届ができているということでございますので、一連の対策につきましては、きちっとその当時の法律あるいは条例に基づいた対策を行ってきているということで、東京都としても、それに基づいて、この間の土地の問題について進めてきたということでございまして、見逃してきたとか何かということでは決してないというふうに我々は考えております。

○清水委員 私は、見逃してきたなんていっているわけじゃないわけですよ。土壌汚染対策法とか環境影響評価の、土地を買うときの対策というのは、一般の土壌対策するんだと、一般の建物が建つということを前提としてつくられているんだと。しかし、東京都が買うこの土地というのは、食の、今や皆さんがずっといっている食品を扱うところなんだよと。だから、見逃すとか見逃さないとか、正式に手続をしていたんだから全然問題ないんだというレベルじゃないんだよということをいっているわけです。
 そして、業者の団体とか消費者とか専門家などから、東京ガスの調査の結果が高濃度のものが出ているよというようなことが指摘をされて大きな世論になって、今回の専門家会議の調査だとか、その後の、そして今回はアセスの再調査というようなことになっているわけです。
 やはりここは、今の姿勢のようなことで進んでいるから、東京都が責任を感じていない、市場としてここの土地を利用しようとしている、その土地がどうなのかという把握を、やっぱりきちんとした姿勢でもって把握しようとしていないところに問題があるというふうに私は思います。
 それでは、都の事業において、環境影響評価を再実施した事例というのはあるんですか。

○宮良新市場建設調整担当部長 環境影響評価条例の対象となる事業で、事業の内容や規模に変更が生じた場合には、条例に基づき、再度環境影響評価を実施する場合も生じてきます。
 環境局からは、再実施した事例は、これまでに、私どもの新市場整備を含め三件あると聞いております。いずれの場合も、事業内容の変更に応じ、条例に基づき、評価書案などをまとめ直したものでございます。
 このように、事業内容に変更があれば、事業実施による環境への影響を最小限とするために、再度予測、評価することは必要なことと、そういうふうに考えてございます。

○清水委員 三例あるといわれましたが、環二の道路の構造変更だと。それから環二の再開発の構造変更だと。それからもう一つは、今回の新市場予定地の問題です。
 環二の問題も再開発の問題も、道路の構造をこうやるよ、再開発の工事をこうやるよ、そういう施工方法によってやり直しをするもので、豊洲のように、汚染が明らかになったために工法を変えるというような、このアセスのやり直しというのは初めてなんですよ。このことを私は重く受けとめるべきだと思います。アセスの歴史の中でも、本当に初めてだということです。今まで、アセスが始まってから、意見書を十万、二十万と集められた高尾山の圏央道問題とか、それから日の出の廃棄物処分場問題など、アセスが本当に深夜にわたって話をされるというときでさえ再実施されたという例はないんです。
 そういう経過から見ても、今回のアセスの再実施というのは、私は本当にアセスの歴史に汚点を残したものといわざるを得ません。しかも、今回の現地調査は、一番影響のおそれのある土壌汚染調査を抜いて、自動車や騒音などの調査で済まそうとしていることは許されないことだと思います。そもそも、東京ガスの調査で高濃度が明らかになった時点で、私は、豊洲への移転をやめるべきだったということを指摘したいと思います。
 最後に伺いますが、いつまで環境影響評価の手続というのはかかるのでしょうか。

○宮良新市場建設調整担当部長 委員会でもご報告させていただきましたが、現在、環境影響評価書案の作成中でございます。
 案につきましては、改正土壌汚染対策法の省令、その内容を踏まえまして、評価書案を今後作成してまいります。その後、縦覧あるいは説明会、それぞれ区長さん、あるいは知事からの意見をいただきまして、最終的には、来年秋には評価書を提出いたします。提出したとともに都市計画決定をしまして、二十六年十二月には市場を開業させたいと、そういうふうに考えております。

○清水委員 私は、今のお話でいくと、これは今回の議題ではありませんけれども、来年度、豊洲の土地を購入する必要はないというふうに思います。今、多くのいろんな関係方面でいわれていますが、この豊洲の市場の買い取りというのは、臨海会計での企業債償還に間に合わせるものだなどといわれても仕方がないものだというふうに指摘をして、終わります。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、本日のところはこの程度にとどめ、後日の委員会で続行いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○小沢委員長 これより港湾局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百八十八号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○増子委員 私からは、京浜港連携協議会の設置について伺いたいと思います。
 都は、京浜三港連携に関する昨年三月の基本合意以降、横浜市、川崎市とともに、コンテナ船入港料を一元化したりですとか、国に先んじて、国際競争力の強化に向けてさまざまな対策をとってきたというふうに思います。
 この定例会には、連携体制をより一層強化するために、地方自治法に定める協議会として、京浜港連携協議会の設置について議案が提出をされているわけですが、私たちも、今後も、この三港のきずなをさらに強固にして、東京湾の国際競争力強化に取り組むことが必要だと思っております。
 一方、先日、国土交通省が、港湾政策について、さらなる選択と集中を進める意向を明らかにして、一昨日の本会議でも、その質疑を私どもからもさせていただいたところでございます。この国の新しい政策と、国に先駆けて三都市が主体的に進めている三港連携との関係について伺いたいと思います。
 この三港連携の目的であります国際競争力の強化ということについて、これまで都議会においてもさまざまな視点から議論が行われてきたと思いますけれど、特に、この国際競争力の強化ということにとって最も重要なことは何なのかということについて、改めてお伺いをしたいと思います。

○河内参事 国際競争力を強化するためには、ハード面、ソフト面のさまざまな課題がありますが、その中でも、欧米とアジアを結ぶ国際基幹航路を維持拡大することが重要です。
 船会社が寄港地を選択する際には、立地やコストなどさまざまな要素を勘案しますが、最も重要視するものは取扱貨物量であります。京浜港のコンテナ個数は着実に増加しておりますが、上海港や釜山港などアジアの諸港の躍進に伴いまして、国際的に見て相対的な地位が低下しており、国際基幹航路の数は減少しております。
 このため、京浜港の国際基幹航路を維持拡大するために、まず国内各港から釜山港などのアジア主要港を経由して輸出されている貨物を京浜港へ集中させることが必要であると認識しております。

○増子委員 国際競争力の決定的な要因として、取扱貨物量が大変重要であるということで、そのためにも、国内の各港から貨物を京浜港に集中させたいというようなことが大変必要だというお話でございました。
 それでは、その京浜港は、貨物の集荷のために当面の取り組みとしてどのようなことを行ってきたのか、お伺いいたしたいと思います。

○河内参事 東京港、川崎港、横浜港は、従来は、荷主や船会社などに自己の港の利用を促すポートセールスを各港別々に行っていましたが、昨年の基本合意以降は、京浜港として共同して実施することとし、企業の本社が集積する東京のほか、大規模な生産拠点が立地する北関東地域などもターゲットといたしました。
 これまでに、本年二月に、東京で三都市の首長によるトップセールスを実施するとともに、本年九月には群馬県太田市、昨年九月には長野県松本市において、京浜港利用促進セミナーを開催いたしました。荷主や物流関係者に対しまして三港連携の意義を理解していただくとともに、マスコミにも報道され、京浜港の国際港湾としての長所を広くアピールすることができました。
 また、国内海上輸送網を充実いたしまして、京浜港への貨物集荷を促進するため、地方港との連携強化に着手いたしました。本年六月には、欧米向けの輸出貨物が見込まれる八戸港との協定を締結いたしまして、京浜港と八戸港間の内航フィーダー輸送を促進するため、内航船の入港料を相互に免除する措置を開始いたしました。

○増子委員 ただいまの答弁でも、現在やっている当面の取り組みとして、東京の背後圏というんですか、のポートセールスなんかを共同で実施してきているというご答弁があって、いろんなことで取り組みをされているんだなということもわかりました。
 一方、一昨日の本会議の私どもの代表質問でも触れさせていただきましたけれど、京浜港として国際戦略港湾に選定されることを目指すと。これをてこにして貨物の集荷を図るという答弁がありましたけれど、この国際戦略港湾の選定というものがどのように京浜港への貨物集荷につながっていくのか、その辺のご説明を、ご所見を伺いたいと思います。

○河内参事 荷主は、物流ルートを決定する際にコストとスピードを重視しておりまして、京浜港への貨物集荷を行うためには、まず、港湾利用コストの低減が必要と考えております。
 国際戦略港湾に関する国の新たな政策はまだ明らかになっておりませんが、国のいう重点投資が莫大な港湾のイニシャルコストにおける国の負担比率の向上を指すのであれば、それを港湾利用コストの低減に活用していくことが期待できます。
 また、京浜三港は、国の新たな政策が、京浜港と生産拠点や消費地との間で、低コストかつ迅速に貨物輸送を行うことができるよう、道路、鉄道、内航航路など、国内貨物輸送網を充実させるなど、主に東日本の地方港から釜山港などのアジア諸港を経由して輸出されている貨物を京浜港へ集荷するための総合的な物流政策となるよう、国に提案してまいります。
 京浜港の生産拠点を結ぶ広域幹線道路整備などが行われたならば、京浜港のコスト競争力や利便性が向上し、京浜港で実施するポートセールスなどの取り組みと相まって、貨物集荷が促進されるものと考えます。

○増子委員 国による重点投資が行われたらば、確かにそういった意味では、貨物集荷が促進されるという可能性を秘めているというお話はよくわかりました。
 この国の新たな政策について、現在、学識経験者ですとか、あるいは港湾の関係者の皆さんなどがいろいろな形で見解を表明されていると思います。中には、国際戦略港湾の選定は、国が主導してすべきと。むしろ国が主導すべきという意見もありますけれど、私は必ずしもそうでもないかなと思っております。
 確かに港湾経営については、港湾法上は港湾計画の策定に国が関与して、港湾施設の整備には国費が投入されるなど、現行制度のもとでは国との連携が必要だということも承知しております。
 しかしながら、戦後、港湾の管理運営を地方自治体が担ってきたという経緯を考え、また、地元経済活動ですとか、あるいは都市行政との関連性などを考えますと、やはり、今後とも自治体主導で港湾経営が行われるべきだと私は考えております。
 そこで、今般の国の動向に対して、京浜港としてどのように主体性を発揮していくのか。また、この国際戦略港湾の選定に向けてどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○小宮港湾経営部長 港湾は、都市活動を支える物流の一端を担うとともに、背後のまちづくりと密接な関連を有しておりまして、社会経済情勢に的確に対応しながら自治体が経営していくことが必要であります。
 都は、これまでも、全国で初めて埠頭公社の民営化を実現するとともに、川崎市、横浜市と京浜三港連携に取り組むなど、国際競争力強化に向けた先駆的かつ主体的な取り組みを実施してまいりました。
 今般の国の動向につきましても、国に対して、単に国際戦略港湾へ選定されるよう働きかけるだけではなく、新しい政策が総合的な物流政策となるよう提言するなど、将来にわたり京浜港の経営を担うべき三都市で、主体性や積極性を発揮してまいります。

○増子委員 地方分権というのは、本当に後戻りすることができない重要な課題だと思っておりますし、日本の進むべき道だというふうにも思っております。この三港連携こそが、こういった地方分権の象徴になることができるのではないかなというふうにも思っております。
 これまで自発的な取り組みを進めてきた京浜港としては、一般的に、国と地方の関係でありながら、国に何かを要望するとか、あるいは国のいうとおりにするとかということじゃなくて、やはり港湾を経営してきた経験も知識もあるわけですから、むしろ国をリードしていこうと。港湾運営の主役は京浜港だという、そういった気概を持って頑張っていただきたいというふうに思います。
 その上で、来年選考されます、この国際戦略港湾、一月にも公募があって、五月か六月に決まるというふうに私も仄聞しておりますけれど、ここにぜひ京浜港が選定をされるように、戦略性を持って取り組んでいただきたいということを要請したいと思いますし、私ども、できる限りの応援をさせていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

○山崎委員 私も、京浜三港連携についてお伺いをいたします。
 リーマンショックに端を発した世界同時不況の中で、自動車産業を初めとする製造業の業績は依然として低迷をしております。貿易立国である我が国において、海上輸送の物流拠点として重要な役割を担う京浜港を初めとする主要港湾の国際競争力の強化は喫緊の課題であります。
 こうした中、我が国のトップの港湾としての京浜三港は、昨年三月の基本合意以来、躍進著しいアジア諸港との激しい競争に打ち勝つため、将来のポートオーソリティーを視野に、広域連携強化に取り組んでおります。
 今年度内には京浜港の将来像を描く京浜港共同ビジョンを策定するなど、連携の取り組みも進捗しつつあると聞いております。
 そこで、法定協議会を初めとする三港連携の最近の取り組みについて、何点かお伺いをいたします。
 本定例会では、三港で共同して、地方自治法に規定する協議会、京浜港連携協議会を設立するための規約を提案しているが、設立目的の一つとして、京浜港の総合的な計画を策定することが挙げられております。この総合的な計画はどのようなものか、お伺いをいたします。

○河内参事 三港連携が今後実質的な成果を上げるためには、京浜港としての基本戦略が必要となります。
 このため、現在、京浜港の目指す姿や、その実現に向けた基本戦略を示す京浜港共同ビジョンを策定しているところでございます。
 この共同ビジョンで示した基本戦略をハード、ソフトの両面で具体化していく京浜港の総合的な計画は、京浜港を構成する各港湾管理者がそれぞれ策定する各港の港湾計画の基本となるものと考えております。
 現在、平成二十三年度を目途に策定していくこととしております。

○山崎委員 三港は、世界地図から見ますと、本当に一点にしか見えないものではあります。しかしながら、それぞれの港の歴史も都市の文化も産業構造も異なっており、連携強化にはさまざまな課題もあると思いますが、首都圏経済を支える国際海上物流の効率化に向け、三港が一致協力し、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 さて、三港連携が進む一方、国において、我が国の港湾の国際競争力強化に向けて、投資の一層の重点化を図るため、国内の一ないし二港を国際戦略港湾に選定すると聞いております。
 一昨日の我が党の代表質問では、この選定への対応についてただしたところ、京浜港を選定するよう国に積極的に働きかけていくという答弁がございました。
 そこで、三港連携との、国の新たな政策との関係について、例えば総合的な計画、国際戦略港湾への取り組みをどのように整合を図っていくのか、お伺いいたします。

○河内参事 国際戦略港湾の選定は、成長戦略の一つの柱として国が打ち出しました、国際競争力を向上させる取り組みでありまして、東京湾の国際競争力強化を目指す京浜三港連携の取り組みと軌を一にするものであるといえます。
 三港の力を合わせ、国際戦略港湾の選定をかち取ることにより実現する国からの重点的な投資は、京浜港の港湾機能の強化に寄与するものであり、積極的な活用方策を総合的な計画に盛り込んでまいりたいと考えております。
 さらに、京浜港は、国の新たな政策がハード、ソフト両面を含めた総合的な物流政策となるよう提言していきますが、そうした内容も含めまして、施設整備以外の政策も、この総合的な計画の中に反映させ、京浜港の国際競争力強化を実現してまいりたいと思っております。

○山崎委員 こうした京浜港の取り組みが、我が国の港湾政策の展開をも牽引し、国際競争力をより一層強化していけるように、ぜひ意欲的に取り組んでいただきたいと思います。
 一方、昨年三月に締結した京浜三港の基本合意において、連携して取り組む課題として、合理的かつ効果的な施設及び機能の配置という項目があったと思います。
 今後、京浜港のあり方を議論するに当たって、コンテナ貨物のように各港で同じように扱っている貨物についての役割分担を基本的にどのように考えているのか、所見をお伺いします。

○小宮港湾経営部長 京浜港の中で合理的な港湾機能分担を行うことは必要でございますが、首都圏は世界最大級の消費地であるとともに、さまざまな産業が立地しておりまして、その活動を支えるために必要な食料品、日用品や機械、自動車部品を初めとするコンテナ貨物の輸出量は膨大でございます。
 これを一港で集中して取り扱うことは到底困難でありまして、それぞれの港の特徴を生かしながら、機能を分散させることが効率的な物流を確保する上で必要でございます。
 さらに、特定の機能を一カ所に集約することは、直下型地震発災時における港湾物流機能の維持という側面から得策ではありません。
 こうした物流効率面や防災面からいいまして、主力となる船が入港できる港湾施設を両港に確保することが必要不可欠と考えております。

○山崎委員 首都圏のみならず、我が国経済を支える京浜港の役割は極めて大きいわけであります。船舶の大型化などの物流開拓に的確に対応して、また、いつ発生するのかわからない大規模災害に備え、物流インフラを着実に整備していくことも重要であります。
 今後とも、三港連携を推進し、住民生活や産業活動と密接不可分な東京湾の国際競争力の強化に邁進をしていただきたい、そのようなことを最後に述べて、質問を終わります。

○高倉委員 第百八十八号議案、京浜港連携協議会の設置について、簡潔に質問したいと思います。
 先日、私たち都議会公明党は、東京港の視察調査をしたところであります。大変に躍動感にあふれる港湾の現場を間近に見まして、海に囲まれた我が国にとって、貿易は命綱でありまして、それを支える港湾の重要性というものを、参加した各議員がそれぞれ認識をしたところでございます。
 近年、我が国の港湾の地位というものが、アジア諸港の躍進によって脅かされているわけであります。その危機感の共有から始まった京浜三港の連携強化の必要性については、これまで私どもも常々訴えてきたところであります。
 そこで、まず、なぜ今、京浜港連携協議会をつくる必要性があるのか、そうした経緯について説明を求めたいと思います。

○河内参事 京浜三港連携につきましては、これまで、三港の局長などで構成される京浜港経営協議会において、連絡調整を行いながら推進してまいりました。
 この経営協議会は、あくまでも関係者の合意に基づいて設置された法的な位置づけのない任意の組織でありました。
 三港連携が東京湾の国際競争力向上のための重要な事業であることを踏まえまして、推進体制に法的な位置づけを付与し、一層連携を推進するため、法定協議会である京浜港連携協議会を設置することといたしました。
 この協議会で、具体的な連携政策の検討をさらに進めまして、節目、節目におきましては各議会に報告させていただき、ご意見を伺うとともに、あわせて、ホームページなどを通して都民や市民の方々に周知をいたしまして、透明性を高めていきたいと思っております。
 今後、この協議会を最大限に活用いたしまして、三都市が責任を持って東京湾の国際競争力の強化に取り組んでまいります。

○高倉委員 先ほどの質疑にもございましたけれども、重複を避けて一点だけお伺いしたいと思います。
 国は今般、国際戦略港湾を選定しまして重点投資を行っていくことを表明いたしました。これに関連しまして、都は、一昨日の我が党の東村政調会長の代表質問に対しまして、大胆な政策転換を含む政策提言を行うという答弁をしております。
 そこで、この政策提言を行う必要性と、今のタイミングで国に対して政策を行っていく理由について、答弁を求めたいと思います。

○河内参事 国際競争力強化のためには、今回国が表明している港湾設備への重点的な投資に加えまして、京浜港に貨物を集中させる方策を初め、ソフト、ハード両面からの総合的な物流施策が必要であります。
 国は、国際戦略港湾の選定を行うため、十二月中旬に委員会を立ち上げ、同委員会において、評価項目、選定基準などを検討し、早ければ来年一月にも公募を行う予定にしておりますが、国の新たな港湾強化策につきましては、具体的な姿がいまだ明らかにされておりません。
 したがいまして、京浜港という現場を抱え、国際港湾物流の動向を肌で感じている三都市が具体的な政策提言を行うことは重要であり、提言内容を国の政策に反映させるには、現時点で行うことが必要であります。

○高倉委員 今、答弁にもありましたけれども、東京都、そして川崎市、横浜市の三都市の港湾行政における強みというものは、京浜港という国際物流の最前線である現場を抱えているということであると思います。その際に忘れてならないことが、港湾の国際競争力の強化に向けまして、日々、現場において、いわば身を削りながら努力をされている民間事業者の方々の存在ということであると思います。
 したがいまして、法定協議会の設立後におきましても、民間事業者の方々の意見というものをしっかりと聞きながら事業を進めるべきであるというふうに思います。そのことについてのご見解をお伺いしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 ご指摘のとおり、港湾の現場を実際に動かしているのは民間事業者の方々でありまして、東京湾の国際競争力を強化していくためには、船会社や港湾運送事業者など、民間の方々の協力が不可欠でございます。
 このため、三港連携の取り組みは、これまでも民間事業者や学識経験者などが参加いたします京浜港広域連携推進会議におきまして、さまざまなご意見をいただきながら進めてまいりました。
 今後、法定協議会を運営するに当たっては、京浜港広域連携推進会議をアドバイザリーボードとして位置づけまして、より確実に民間事業者などのご意見を反映させながら、京浜港のあり方を議論し、三港連携を進めてまいります。

○高倉委員 かつて東京港と横浜港は熾烈な競争を繰り広げてきた歴史があると思います。しかしながら、昨年三月の基本合意から、法的根拠のある正式な組織を立ち上げるところまで、その連携というのが進捗をしてきたということにつきましては、これまで三港の取り組みを積極的に支援してきた私たち都議会公明党としても、大変に心強いものがあると思います。
 今後とも、港湾の国際競争力の強化に向けまして、一歩一歩着実に連携の歩みを進めていただきまして、四方を海で囲まれた我が国の産業の発展と安定した住民生活の基盤を確固たるものにしていただきたい、このことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小沢委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十一分散会

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