委員長 | 小沢 昌也君 |
副委員長 | 高木 けい君 |
副委員長 | 増子 博樹君 |
理事 | 伊藤 ゆう君 |
理事 | 高倉 良生君 |
理事 | 鈴木あきまさ君 |
田中 健君 | |
伊藤 興一君 | |
笹本ひさし君 | |
山崎 一輝君 | |
三宅 茂樹君 | |
佐藤 広典君 | |
清水ひで子君 | |
鈴木貫太郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 岡田 至君 |
管理部長 | 後藤 明君 | |
事業部長 | 大橋 健治君 | |
新市場担当部長 | 野口 一紀君 | |
新市場建設調整担当部長 | 宮良 眞君 | |
参事 | 大朏 秀次君 | |
参事 | 横山 宏君 | |
参事 | 砂川 俊雄君 | |
参事 | 黒川 亨君 | |
港湾局 | 局長 | 比留間英人君 |
技監 | 飯尾 豊君 | |
総務部長 | 多羅尾光睦君 | |
監理団体改革担当部長 | 石原 清志君 | |
港湾経営部長 | 小宮 三夫君 | |
参事 | 河内 豊君 | |
臨海開発部長 | 松岡 玉記君 | |
参事 | 平田 耕二君 | |
参事 | 延與 桂君 | |
港湾整備部長 | 前田 宏君 | |
計画調整担当部長 | 成瀬 英治君 | |
離島港湾部長 | 石山 明久君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 北村 俊文君 |
本日の会議に付した事件
港湾局関係
事務事業について(質疑)
中央卸売市場関係
事務事業について(質疑)
○小沢委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び中央卸売市場関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより港湾局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○多羅尾総務部長 九月三日開催の当委員会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、四項目でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、東京港臨海道路Ⅱ期事業計画、事業費及び進捗状況でございます。
上の囲みに事業費を示しております。下段の表に、平成十四年度から十九年度までと二十年度につきまして、百万円単位の都負担金の予算額、決算額と事業の進捗率を示してございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
二ページをお開き願います。2、臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
平成十六年度から二十年度までの土地処分の実績を面積と百万円単位の金額でお示ししてございます。実績の内訳欄には処分方法と件数を記載してございます。
なお、注記のとおり、暫定利用は除いております。詳細はごらん願いたいと存じます。
三ページをお開き願います。3、臨海副都心における進出事業者からの地代収入一覧でございます。
進出事業者ごとの地代収入につきまして、平成十八年度から二十年度までの決算額と二十一年度の予算額を百万円単位でお示ししてございます。
なお、進出事業者名につきましては、企業経営上の観点から、記号で記載させていただいております。詳細はごらん願いたいと存じます。
四ページをお開き願います。4、臨海関係第三セクターのビル入居率の推移でございます。
平成十一年度から二十年度までの各年度末におけるビルごとの入居率をお示ししてございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小沢委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○笹本委員 それでは、よろしくお願いします。
二点お伺いをいたしたいと思います。
一点目は、中央防波堤のごみの埋め立てによる人工島の海の森についてお伺いをしたいと思います。
九六年開催予定であった世界都市博が中止になって、湾岸地域の開発がどうなるのかなということがあって、少しとんざをしたのかなというような印象もあったのではございますが、二〇一六年、東京オリンピックをやろうということで、「十年後の東京」という長期計画が出され、それが起爆剤となって、今後もいろいろな湾岸地域の開発というか、整備が進んでいくんだろうなというふうには思っております。
その中で、海の森は、大きさとしては、よく聞くことですが、皇居並みということで、大変大きな森林地帯を東京湾に出現をさせようということです。本来ならば--本来ということではないですね、二〇一六年東京オリンピックのプレゼンテーションの際のステージの一つにもなったのかなという気はしますが、それはそれとしまして、やはりこの計画を進めていくということは大切なことかなと思います。
ことしになっても、さまざまな植樹事業が行われたりして、U2というんですか、ボノさんだとか、もったいないのマータイさんだとか、いろんな人が植樹をしたり、また、小学生が植樹に行って、五十万人ですか、植樹をしようということは、大変、今後もさらに進めていただきたいと思います。
恐らくこれを提唱された安藤忠雄さんも、やはり東京の海に人工の大きな森をつくるということに対しては、信念は変わることがないのかなというふうに感じております。既に、一口千円ですか、の募金も、三十五万人ぐらいもう集まっているというふうに聞きますので、ぜひこれも、今後もぜひ推進をしていくということに変わりはないのかなというふうに思っております。
東京のまちは緑が少ないといわれていたり、今、環境のことは非常にあちこちでいわれております。校庭の芝生化ですとか、いろんな形で緑をふやしていこうということがあって、この海の森もそういう中では象徴的な事業かなと思っております。
中央防波堤の埋立地は、かつてはいろんな歴史があって、江東区などは、恐らく埋め立てで相当土地が広くなったのではないかなという印象もありますが、マイナスの遺産をプラスに変えていくという、東京都にとっては大変大きな事業なのかなというふうに理解をしております。
この海の森では、先ほどいいましたように、もう既に数回、植樹イベントが行われて、つい先日もあったと思いますが、多くの都民の方や、あるいは関係者の方や、芸術家や、スポーツ関係からも参加をしているということを理解をさせていただいております。環境ということに、単にはやりではなく目を向ける、本当に大きなきっかけになるのかなというふうに感じております。
ニューヨークのセントラルパークというのは、大変歴史もあって規模も大きいと思いますが、東京にも本当に大きな森をつくるきっかけになるのかなと、時間はかかると思いますが。
そこで、この海の森事業について、我々で、都民で積極的に進めていくに当たって、いま一度、この理念的なものをご説明を願いたいと思います。
○松岡臨海開発部長 東京都は「十年後の東京」で、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させる取り組みを進めております。海の森は、ごみと残土の埋立地を緑あふれる島に生まれ変わらせ、東京湾から都心に向かう風の道の起点をつくっていく事業であります。
森づくりに当たりましては、小学生や団体がドングリから苗木をつくり、また、苗木購入のための募金活動を行い、さらに、都民、企業、NPO等と行政が力を合わせて植樹するなど、森づくりを協働して進めていくこととしております。
○笹本委員 よく聞くキーワードの一つかなと思いますが、この緑の回廊ということで、晴海だとか皇居だとか神宮だとかというところをまた結んでいくことによって、東京都が緑に囲まれる大きな都市にさらに生まれ変わっていくというか、進化していくように、我々もこの事業について、積極的に理解をし、進めていくことではないかなというふうに理解をしております。
続きまして、臨海ホールディングスについてお伺いをいたします。
二〇〇六年五月ですか、東京テレポートセンターと臨海副都心建設、そして竹芝地域開発ですか、東京地裁へ民事再生の手続がとられて、負債総額が約三千八百億円ぐらいあり、二千億円以上の債権放棄が求められ、東京都でも五百四十六億円の一〇〇%減資をした、損切りというんですかね。で、前期だと思いますが、我々の会派もこれに対して理解をしたという経緯があって、債務を圧縮して、東京テレポートセンターに吸収合併をされて、新たにこの持ち株会社である株式会社東京臨海ホールディングスが設立されたということであるんですが、この臨海ホールディングスについてお伺いをするわけなんですが、順次グループの経営統合を進めていき、本年一月に五社が、グループ五社体制というのが完成して、本格的な経営がスタートしたというふうに理解をしているところでございます。この持ち株会社方式による第三セクターの経営改革というのは全国初めての取り組みでもあるということで、とかく非常に話題の多い第三セクターなんですが、注目度は非常に高いというふうに感じておりますが、臨海ホールディングスの使命というか、その部分についてご説明をいただきたいと思います。
○石原監理団体改革担当部長 大都市港湾である東京港と、開発の総仕上げに差しかかった臨海副都心を擁する臨海地域は、港湾機能と都市機能とが交錯しておりまして、今後さらなる発展を遂げていくためには、良好な環境の創出や魅力ある観光資源の開発など、多くの課題に取り組む必要がございます。
これらの課題に対する取り組み体制を一段と強化するため、親会社による統一的な経営戦略のもと、一体的なサービスを提供する必要があり、持ち株会社である株式会社東京臨海ホールディングスを設立いたしました。
臨海ホールディングスグループは、ふ頭事業、交通事業、展示会事業、ビル事業及び都市管理事業の五つの基幹事業の一層の推進を図りますとともに、環境対策や交通対策、観光振興など、地域へ貢献する取り組みを進めていくことで、臨海地域の発展の中核を担ってまいります。
○笹本委員 先ほども、資料の4に、入居率の資料をいただいているわけでございます。これを見ると、入居率、これは大変高いという判断を、理解をすればいいのかなと思いますが、グループ後初となる子会社の各社の平均の決算、平成二十年度で見ると、黒字になって、それでは順調なのかなということなんですが、交通、地域の冷暖房、ビル事業など、重要な都市基盤の経営を担う臨海ホールディングスグループが、経営の効率性の追求だけではなく、都民や進出企業などにも歓迎をされるような、いわゆる地域の貢献というところからもさらに経営を進めていただきたいというふうに考えております。
もう一問関連して、本格的なグループ経営は平成二十一年度からというふうに思いますが、臨海ホールディングスグループの地域貢献ということで、事例を挙げてご説明をいただきたいと思います。
○石原監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスは、臨海地域のさらなる発展を目指し、本年一月にグループ経営計画を取りまとめ、グループ各社が有機的に機能する体制を整え、地域に貢献する取り組みを推進することといたしました。
また、取り組みに当たりましては、地元企業や臨海副都心まちづくり協議会との十分な連携を図りつつ、まちのにぎわい創出などの事業を展開しているところでございます。
具体的に申しますと、五月には、東京みなと祭と連動したスポーツイベントといたしまして、東京港臨海ウオーキングを開催するとともに、十月には、みんなで地球環境を考えようをテーマに、進出企業と連携して、環境問題への意識啓発及び臨海地域からの文化発信を目的とした都民参加型のイベントを開催いたしました。
臨海ホールディングスグループでは、地域へ貢献する取り組みを今後とも積極的に進めていくこととしておりまして、都としても引き続きこうした取り組みを支援してまいります。
○笹本委員 首都圏四千万の生活と産業を支える東京港の経営はもとより、臨海副都心のまちづくりにおいては、果たすべき役割は非常に大きいのかなというふうに理解をいたしました。
よく協働という言葉をいわれますけれども、地域と、あるいは生活をする都民が一体となっていろいろな行事に参加することで、また理解も深まるということが大きいのではないかなと思います。
これから、第三セクターに対する公共的な役割と、その果たすべき使命について、より理解が進むようにしなくてはならないのかなというふうに期待をして、質問を終わりたいと思います。
以上です。
○山崎委員 私は、東京港の港湾機能の強化についてと、離島の港湾、漁港の災害への対応についてお伺いをさせていただきます。
釜山や上海、アジア諸港の目覚ましい躍進による我が国港湾の相対的な地位の低下により、日本港湾に寄港する基幹航路の寄港数が減少しつつあるなど、取り巻く状況は厳しさを増している状況でございます。
こうした中、昨年七月の東京都港湾審議会において、今後の港湾経営の経営戦略が答申をされました。
都は、この答申を踏まえ、平成二十年代後半を目標年次として策定された東京港第七次改訂港湾計画を本年八月に見直しをされたと聞いておりますが、東京港港湾計画の一部変更を手初めに、今後の東京港港湾機能の強化のあり方について何点かお伺いをいたします。
まず初めに、確認の意味も含めて、昨年の答申を踏まえた東京港の港湾経営の基本的な考え方と、今回の港湾計画の一部変更の背景についてお伺いをいたします。
○小宮港湾経営部長 東京港の港湾経営の基本的な考え方、それから一部変更の背景でございますが、東京港は、昭和四十二年に我が国で初めて品川ふ頭にコンテナ専用船を迎えて以来、一貫して、コンテナ物流を支える施設整備と使いやすい港づくりに努めてまいりました。
その結果、平成二十年の外貿コンテナ貨物の取扱個数が三百七十三万個で、十一年連続日本一となるなど、日本を代表する国際貿易港となってございます。
東京港を輸出面で見ると、我が国の輸出市場である北米や欧州に向けてコンピューターや自動車の部品を積み出す港として、我が国経済を支える役割を果たしております。
また、輸入面では、首都圏の大消費地を背後に抱えていることから、輸入の約六割が、日用雑貨や食料などの生活関連品目が占めておりまして、東京港は首都圏四千万人の産業活動や生活に欠くことのできない重要な役割を担っております。
一方、今日、世界の工場として中国の役割が増す中で、基幹航路が中国など東アジア諸国に移りまして、日本発着貨物のシェアが相対的に低下しつつあります。東京港が基幹航路から外れた場合、輸送時間やコストの増加など、安全、それから安定、安価な輸送への悪影響ははかり知れません。都民経済に支障を来すだけでなく、ひいては日本経済にも大きな影響を与えます。
こうしたことから、東京港の港湾経営の基本的な考え方は、港湾サービスや貨物集荷力を強化いたしまして、我が国経済の生命線である基幹航路の維持拡大に向けた取り組みを進めることであると認識しております。
今回の港湾計画の一部変更は、中長期的な視点から、外貿コンテナ貨物需要の増大や外貿コンテナ船のさらなる大型化に対応するため、ふ頭機能の充実強化など、必要な対策を講ずるものでございます。
○山崎委員 港湾の経営、基本的な考え方や、そして計画の一部変更の背景について、今の答弁でよくわかりました。
しかし、目標年次を平成二十年代後半に定めているとはいえ、昨年秋の米国のリーマンショックに端を発した世界的な大不況の中で、東京港を含む我が国の港湾では、外貿コンテナ貨物の取扱量が大幅に減っていると聞いております。
そこで、東京港における最近のコンテナ貨物の取扱個数、貿易額の動向とその背景についてお伺いをいたします。
○小宮港湾経営部長 平成二十一年上半期の外貿コンテナ貨物は、前年同期の約百八十三万個に比べて、約百六十万個と一二・六%減少いたしております。
貿易額を見ますと、平成二十一年上半期の輸出入総額は四兆八千十三億円と、前年同期に比べて二七・六%減少いたしましたが、名古屋港の落ち込みが大きかったため、結果として東京港の輸出入総額は全国第一位となっております。
背景といたしまして、世界同時不況の影響から、米国や欧州への電算機類や自動車の部品等の輸出が大幅に減少するとともに、国内景気の低迷により、輸入の減少もありましたが、東京港は首都圏の食料品、衣料品など生活関連品目を扱うウエートが高い輸入港であることから、自動車などの輸出港である横浜港や名古屋港と比べまして、落ち込み幅は少なくなっております。
○山崎委員 世界同時不況の影響が大きいことで、このような厳しい状況の中で、今回の一部変更計画の目標年次でもある平成二十年代後半に向けて、都では、今後の取扱貨物量についてどのように推計をしているのか、お伺いをいたします。
○前田港湾整備部長 今回の港湾計画の一部変更におきましては、過去の貨物量実績、将来推計人口、荷主へのヒアリングなどを踏まえまして、基準年を平成十八年として、目標年次を平成二十年代後半とした貨物量の推計を実施しております。
まず、貨物量の取扱実績でございますが、外貿コンテナ貨物量につきましては、平成十八年の実績は約四千三百万トンでございます。十年前の平成八年の実績に対しまして、この十年間で四三%増と大きく増加しております。これは、東アジアへの技術移転等に伴います国際分業の進展がありまして、部品、製品の輸出入、それから食料品等の生活関連物資の輸入比率の増加によるものでございます。
今回の貨物量推計では、こうした傾向が中長期的に見ると持続すると見込まれることから、平成十八年実績の三二%増となります五千六百九十万トンと推計いたしました。
なお、外貿コンテナ貨物の取扱個数でございますが、部品、あるいは製品でございますけれども、これの軽量化、小型化等が進んでおりまして、そのコンテナの重量を考慮いたしまして、平成十八年実績の四〇%増の約五百二十万個といたしました。
また、内貿貨物量についてでございますが、今、フェリー航路の撤退、生産拠点の海外転出により減少傾向にございます。今後は、物資輸送における環境負荷の軽減に効果のございますモーダルシフトを推進することによりまして、貨物量は現状維持程度の四千四百七十万トンと推計したものでございます。
現在、世界経済の低迷を受け、東京港の貨物量も一時的に停滞しておりますが、先ほどちょっと港湾経営部長からも答弁さしあげましたが、東京港は生活関連物資等の輸入貨物が多く、貨物量は比較的安定していること、IMF等の世界経済見通しでは、中国を初めとする新興国の経済情勢は底がたく推移する見込みであること、こうしたことなどから、中長期的な視点で見た場合、世界経済は回復基調に向かうと見込まれており、現時点では今回の貨物量推計は妥当であると考えております。
今後とも、常に世界的な経済状況、物流の動向を的確にとらえ、適切な対応を図ってまいります。
○山崎委員 港湾計画の目標年次である平成二十年代後半に向けた貨物量の推計についての説明を受け、世界的な経済状況を中長期的な視点でとらえることが重要であるということがよく確認ができました。
今回の計画変更の背景として、外貿コンテナ船のさらなる大型化の進展があるとのことでございますが、その具体的な内容はどういうことか、また、従前の港湾計画では対応できないのか、あわせてお伺いをいたします。
○前田港湾整備部長 現在、東京港の主力コンテナふ頭でございます大井、青海ふ頭につきましては、水深がマイナス十五メートルでございまして、六千五百個積みのコンテナ船への対応が施設的なレベルになってございます。
一方、世界の海運業界では、輸送効率の向上の観点から、八千から一万個積みの大型コンテナ船の就航が相次いでおりまして、バースの水深はマイナス十六メートル以上が必要な状況になってございます。
また、現在実施中のパナマ運河の拡張事業の完成後には、一万二千個積みの超大型コンテナ船、いわゆるポストパナマックス船と称しておりますけれども、こういった船が航行可能となりまして、北米、欧州と結ぶ国際基幹航路の再編の契機となる可能性がございます。
こうした状況の中で、アジアの諸港は船舶の大型化に対応した水深十六メートル以上の大水深バースの整備を積極的に今推進しているところでございます。このままでは、東京港が基幹航路から外れ、アジア諸港を経由するフィーダー輸送に依存することになり、輸送コスト、輸送時間の増大などを招き、首都圏住民の生活と産業活動に重大な支障を来すおそれが危惧されております。
こうした状況を踏まえまして、東京港の国際競争力の強化を図るため、今回の港湾計画の一部変更では、既存の大井、青海のコンテナふ頭の水深をマイナス十六メートルへ、また、中防外側のコンテナふ頭等につきましては、ポストパナマックス船対応のマイナス十六・五メートルの大水深バースに再編するものでございます。
○山崎委員 以上の質疑を通じて、物流インフラの整備は、中長期的な貨物量や船舶の大型化などの見通しを踏まえ、計画的に進めていくことが肝要であることがわかりました。
特に、一時的な貨物量の動向にとらわれることにより、首都圏の経済や都民生活を支える東京港が世界の物流動向に取り残され、これ以上国際競争力を失うことがあってはならないわけであります。
今後とも、中長期的な視点に立ち、世界の海運の動向や貨物需要を的確にとらえ、国際競争力の強化に向け、世界と競う港湾サービスの実現に取り組んでいくことを強く要望をいたします。
続きまして、離島港湾、漁港の災害の対応についてお伺いをいたします。
伊豆諸島の島々は、強風や波浪といった厳しい自然条件だけでなく、昨日も台風十八号がございましたが、台風や地震、火山噴火といった自然災害の脅威にもさらされているわけでございます。
離島の自然災害としては、特に平成十二年以来の三宅島のすさまじい火山噴火災害が今も多くの人々に苦難を与えております。大きな火山噴火の際には、島から脱出する、避難する必要があるが、流れ出した溶岩などにより、岸壁などの港湾施設や、そこまでの道路が分断されてしまうと、住民は島外へ避難できず、孤立してしまうおそれがございます。
離島における自然災害への対応は非常に重要な課題であると思うので、災害対策という観点から、港湾設備について幾つかお伺いをいたします。
まず、地震や火山噴火といった災害への対応という視点を含めて、離島の港湾整備の基本的な考え方をお伺いいたします。
○石山離島港湾部長 離島の港湾整備の基本的な考え方についてでございますが、離島の港湾施設は、生活や産業を支える物資の輸送や、内地への交通手段としてだけでなく、災害時における救援活動や、島から脱出する場合などに必要不可欠なものでございます。
このため、厳しい気象海象条件下でもできるだけ安定的に船が着岸できるように、岸壁等の整備を進めてきているところでございます。
具体的には、大島、八丈島、三宅島など比較的大きな島では、一つの島に二つの港を整備し、風向きや波の大きさに応じて使い分ける一島二港方式により岸壁の整備を進めております。
また、火山噴火の被害のおそれのある大島と三宅島では、このような旅客船などが着く二つの港の整備に加えまして、さらにもう一つの港で避難用の岸壁整備を進め、火山の溶岩流出などで地域が分断され、住民が孤立してしまうことを防ぐようにしています。
こうした考え方に基づきまして、大島では、従来からある元町港、岡田港に加えて波浮港に、また、三宅島では、三池港、阿古漁港に加えて、伊ヶ谷漁港にも大型船が着ける岸壁を整備してきているところでございます。
○山崎委員 大島、三宅島では、従来の二つの港の整備に加え、災害時の避難用として、さらにもう一つ、大型船が着ける岸壁の整備を進めているということでございますが、その進捗状況をお伺いいたします。
○石山離島港湾部長 進捗状況についてでございますが、大島の波浮港では既に岸壁の整備は終わっており、現在は岸壁に当たる波浪を小さくするため防波堤を整備しているところでございます。
また、三宅島の伊ヶ谷漁港でも岸壁の整備は完了して、現在、駐車場等の周辺整備を進めておりまして、今年度末には概成する見込みでございます。
○山崎委員 どちらも岸壁が既にでき上がっており、現在は、防波堤やその周辺の施設整備をしているということで、着実に対応していることがわかって、私も安心をいたしました。
ところで、現在、三宅島では、気象、海象の影響で、三池港、阿古漁港に着岸できない場合には、伊ヶ谷漁港の岸壁に旅客船が着くことがあるようでございますが、岸壁が短く、波が荒いときには旅客船が着きにくいという声も聞いております。三宅島では、雄山の噴火活動がいまだ続いており、緊急に島外避難が必要になる可能性も捨て切れない中で、若干心もとない思いでもございます。
島外への避難を盤石なものとするためにも、岸壁を延長するなど、さらなる整備の必要があると考えますが、港湾局の見解をお伺いいたします。
○石山離島港湾部長 伊ヶ谷漁港の岸壁は、現在、五千トン級の大型旅客船に必要な百五十メートルの延長がありますが、その先に防波堤がないことなどから、波の強いときには大型船が着岸できないことがあるという声は、地元や運航会社から聞いております。
また、本年八月の東京都町村会の要望におきましても、伊ヶ谷漁港の避難港としての整備促進要望を受けておりまして、都といたしましても、いざというときには相当厳しい気象、海象条件でも大型船が着けられる港として整備することが重要であると認識しております。
このため、伊ヶ谷漁港につきましては、現在実施している駐車場等の周辺施設の整備に引き続き、さらに安全に船を着けられるよう、現在の岸壁から防波堤を延長して、波浪の影響を軽減する整備方策を検討してまいります。
○山崎委員 三宅島の観光客数は、噴火直前には約八万人、現在はもう四万人という、およそもう半分に、二分の一まで落ち込んでいる状況です。復興の流れをより力強いものとしていくためには、やはり観光客の誘致が重要であります。
そのためにも、安定した海上交通の確保が欠かせないわけでございます。伊ヶ谷漁港の整備が防災の観点から必要であることは当然でありますが、今後の岸壁の整備により、伊ヶ谷漁港がより波に強いものになれば、災害時だけでなく、平常時の定期船の就航率の向上にも寄与でき、観光振興と一石二鳥の効果も期待ができると思います。
島民も海上交通の安定性に期待をするところが大きいわけでございまして、ますます災害に強く、利便性の高い港づくりを進めていっていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
○高倉委員 それでは、私からは、先ほども質疑がありましたけれども、海の森について何点かお伺いをいたしたいと思います。
先月の二十日に、海の森におきまして植樹のイベントがございました。大変天気がいい日でありまして、私も参加をさせていただきまして、たくさんの都民の皆さんと一緒に植樹をさせていただきました。
特に目立ったのが、やはり外国人の方が、親子連れの方々も含めてたくさん来ていらっしゃったのが印象的でありましたし、登山家の野口さんも植樹の前に大変印象的なお話をされておりました。本当に東京の玄関口にこうしたすばらしい緑の場所ができるということは、東京の環境の施策を進めていく上においても、大変意味のあることではないかなというふうに思います。
まず最初に、先ほども質疑がございましたけれども、済みません、簡潔に質疑を進めさせていただきますので、まず海の森のコンセプトについて説明いただきたいと思います。
○松岡臨海開発部長 海の森のコンセプトでございますが、東京都は「十年後の東京」で、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させる取り組みを進めております。海の森は、ごみと残土の埋立地を緑あふれる島に生まれ変わらせ、東京湾から都心に向かう風の道の起点をつくっていくものであり、完成後は約八十八ヘクタールの規模を有する二十三区で最大級の森となります。
森づくりに当たりましては、小学生や団体がドングリから苗木をつくり、また、苗木購入のための募金活動を行い、さらに、都民、企業、NPO等と行政が力を合わせて植樹するなど、森づくりを協働して進めていくこととしております。
○高倉委員 この森づくりの着手につきましては、最近のことであるというふうに理解をしておりますけれども、先月の二十日のこのイベントの、できましたら詳細な内容と、そして、現在までの植樹の状況について、あわせてご答弁をいただければと思います。
○松岡臨海開発部長 二十日の日の植樹の状況でございますが、本年秋の植樹のイベントにつきましては、世界の人と手をつなぐ植樹会として、二十数カ国、約四十名の大使館関係者とインターナショナルスクール四校、約二百人の参加を得て、約二千人の都民とともに植樹を実施いたしました。
当日は、イベント広場でのマウンテンバイクの実演や体験もあり、植樹とともに多くの来場者に楽しんでいただきました。
また、これまでの植樹の状況でございますけれども、最初は平成十九年七月に海の森募金のキックオフイベントとして植樹をしたのを皮切りに、二十年度から本格的に植樹を行っております。
これまでは、植樹に適した春季と秋季に著名人や公募都民等による植樹会を行い、環境都市東京の先進的な取り組みを海の森から国内外にアピールをしてまいりました。
具体的には、昨年度は、春に世界的に著名なロック歌手のボノ氏やノーベル平和賞受賞者のマータイ氏を招いて植樹を行い、秋にはC40気候変動東京会議に参加した世界各都市の代表者による植樹を行うとともに、大勢の公募都民による植樹会を実施いたしました。
また、今年度の春でございますけれども、東京で働き住まう人が海の森を訪れた際に、ふるさとを懐かしむことができるようなふるさとの森を造成することといたしまして、その象徴となる県の木などを植樹いたしました。
秋につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、これらによりまして、海の森は全体で約五ヘクタールの植樹が完了したとともに、海の森の事業の意義が、都民を初め多くの人々のご理解をいただいてきたものと思っております。
○高倉委員 今ご答弁で、全体で約五ヘクタールの植樹がこれまで進んできたと、こういう話でありました。
本当に、先日もバスに乗りまして、たくさんの都民の方々が次々と来るような姿を拝見いたしました。本当にたくさんの方が参加をするような行事になってきていると思います。
まさしく、こうした本当に大きな緑をつくっていくためには、幅広い都民、あるいは企業といったさまざまな応援が不可欠であるというふうに思います。
先日の植樹会でも、苗木づくりでもって学校が一生懸命取り組んでいると、こういうお話もございました。こうしたボランティアの活動の輪を広げていくということは大変大事だと思いますが、この海の森において、具体的に、なるべく幅広い都民がかかわっていくということについてどのような取り組みをされているのか、お伺いしたいと思います。
○松岡臨海開発部長 これまで、公募都民による植樹会には、企業やNPO、高等学校や大学といったさまざまな団体が、また、個人参加では、家族、友人等、年齢層は子どもからお年寄りまで幅広い層の方々の参加をいただいております。
また、植樹を行うに当たりましては、植樹の指導等にかかわる経験豊富な民間の植樹リーダーが不可欠でありまして、植樹には、NPO等の経験と知識のある十二の団体の応援を得て植樹計画案をまとめ、植樹日当日には、それぞれの団体から延べ百五十人の植樹リーダーの方々の協力をいただいております。
苗木づくりは、また、約三年かけて、ドングリから丁寧に育てていく作業でございますけれども、小学校が十七校、団体が二十八団体のほか、個人でも多くの方々が参加をしております。小学校や団体では、それぞれの敷地でドングリから苗木を育てております。また、個人ボランティアの方々は、週一回程度、海の森や辰巳緑道公園等で、交代で水やりや雑草の除去等を行い、海の森に植樹する苗木を育てております。
また、海の森の基盤整備に必要な土づくりといたしまして、造園関係者の協力を得て、街路樹等の剪定枝葉から堆肥を造成し、無償で海の森に供給をしていただいております。
○高倉委員 本当にこうした森づくりという、大変時間のかかる事業を進めていくに当たっては、幅広い都民の協力、活動というのは非常に重要であると思います。
そして、特に子どもたちにとっては、夢が膨らむといいますか、自然の大切さをこうした活動を通して身につけていくというような場でもあるのではないかなと思っております。
今、小学校十七校という答弁がありましたけれども、比較的この海の森の場に近い地域の小学校の子どもさんたちがかかわっているというようなこともちょっとお聞きをしているんですが、ぜひ、特にこの苗木づくりを学校でもって行っていくという活動を、海の森に近い地域だけではなくて、もっともっと都内で広い範囲で行っていけるように、学校における苗木づくり、この拡大、これを私は行っていくべきではないかなというふうに思っておりますけれども、所見をお伺いします。
○松岡臨海開発部長 森をつくるには長い年月が必要でございます。今の子どもたちが大人になったときに海の森が完成するということで、そこで、先生ご指摘のように、小学校に対しては、現在では東京の海に面した六つの区を中心に、区の教育委員会を通じて参加を呼びかけ、約三年かけて苗木づくりに取り組んでいただいております。
また、毎年、団体、個人とも公募でボランティアを募り、インターナショナルスクールや高等学校の参加がありました。
なお、小学校につきましては、今後、参加の輪を他の地域の小学校にも広げてまいる所存でございます。
○高倉委員 ぜひ、本当にたくさんの子どもさんがかかわれるような形を進めていっていただければと思っております。
それから、この海の森の募金でありますけれども、これについても、かなりたくさんの募金が集まっているというふうにお聞きをしております。この緑をつくっていく、そこに募金の形で都民が広くかかわっていく、これは本当に非常に意義があることではないかなと思っております。
私たちが生活をするこの日本で、やはり寄附文化のようなものをこれから進めていくという点でも、大きな効果があるんではないかなというふうに思っております。この海の森募金でありますけれども、これまでの推進状況といいますか、どれぐらい集まっているのか、これを説明をしていただきたいと思います。
○松岡臨海開発部長 海の森の募金でございますけれども、平成十九年七月以降本年九月末現在で、目標額五億円に対し、約三億五千八百万円集まっております。
○高倉委員 二年間で三億五千万円が集まっていると。これは本当に大変なことであると思います。たくさんの都民の支持を得ている事業ではないかなと、このように思うわけであります。
この海の森ですけれども、まさに東京の将来の環境、これをよくしていくことに非常につながっていくと思いますし、臨海部の緑化のシンボルでもあるというふうに思います。
そこで、海の森の植樹を通して、この海の森だけではなくて、いわゆる臨海副都心での緑化の取り組み、緑のムーブメントの取り組みを含めて、その辺のところのご所見をお伺いしたいと思います。
○松岡臨海開発部長 まず、緑のムーブメントの取り組みについてでございますけれども、海の森の見学会やホームページ、さらに昨年発足いたしました海の森友の会メンバーへのメールマガジンなどを通じ、より広範な都民や企業、NPOの方々に海の森をPRし、植樹だけでなく、下草刈りなど、育樹にも協力を得られるように取り組んでいきます。
また、これまでの公募都民による植樹のほか、企業等がCSR活動として、それぞれの団体の自主的な企画で植樹をしたいという要望もあり、これにこたえた植樹を来春に実施いたします。
次に、臨海副都心での緑化についてでございますけれども、緑あふれる環境先進都市東京の中でもモデルとなるエリアとなるよう、進出事業者の敷地面積の四〇%の緑化を実施するとともに、臨海副都心広場やプロムナード公園などの整備に可能な限り緑を配置するなど、多様な取り組みを行っております。
○高倉委員 先日の二〇一六年オリンピック・パラリンピック、この招致については、まことに残念な結果でありました。しかしながら、環境都市東京を目指していくという、この東京の取り組みというのは、これは決して他の都市に劣っていたものではないというふうに私は確信をしております。
この海の森は、まさしくその象徴ではないかというふうに思っておりまして、今後、この海の森づくりを通して、東京の多くの青少年の教育というんでしょうかね、自然とのかかわり、これを学んでいく大変いい材料にもなってくると思います。
また、せんだっては、本当に晴れの日で、晴れのすばらしいお天気の日に参加させていただきまして、本当にいい環境のところなんですね、ぜひともこの公園を見事に完成をさせて、東京の観光資源にもしていただきたいと、そのように強く希望をしております。ぜひ、しっかりとまた取り組みをお願いしたいと思います。
以上で終わります。
○清水委員 先ほどの質疑にもありましたので、そこら辺を踏まえてお聞きしたいと思いますが、現在、東京都は、第七次港湾計画、そして一部改訂した計画が進められています。先ほどのご説明の中でも、平成二十年度に三百七十万個の外貿コンテナふ頭の取扱個数を、二〇一五年にはおよそ五百二十万個に拡大をする目標を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。港湾施設の再整備とか、またコンテナふ頭の整備とか、さらには京浜三港の広域連携強化などが進められております。
先ほど、コンテナの取扱量の最近の動きということでご答弁がありました。平成二十一年上半期は百六十万個で、昨年同時期と比較して約一二%減少しているというご答弁があったわけなんです。私は、ここで、第七次改訂、一部改訂計画などにおいて大水深バースが計画をされているわけですけれども、今日の取扱量の変化、貨物量が落ち込むということは、その当時の、計画を改訂したり、つくったりしたときには、どういうふうに考えられていたのかわかりませんけれども、今の時点で、この整備というのをこのまま進めていくのかどうかということについてお聞きしたいと思います。
○前田港湾整備部長 近年、世界の海運業界では、コンテナ船の大型化が急速に進展しておりまして、八千から一万個積みの大型コンテナ船の就航が相次いでおり、東京港においても的確な対応が必要となっております。
また、東京港の将来の貨物量についてでございますが、先ほども答弁いたしましたけれども、中長期的に考えますと、国際分業の進展等により増加傾向が続いていくと推計しております。
現在、東京港の貨物量は、ご指摘のとおり、世界経済の低迷を受けまして一時的に停滞しております。しかし、東京港は生活関連物資等の輸入貨物が多く貨物量は比較的安定していること、IMF等の世界経済見通しでは、中国を初めとする新興国の経済情勢は底がたく推移する見込みであること、こうしたことなどから、中長期的な視点で見た場合、世界経済は、楽観はしておりませんが、回復基調に向かうと見込まれております。
このような船舶の大型化や今後の貨物需要への対応を考えますと、大水深バースの整備につきましては、中長期的な視点に立って計画的に進めていく必要がございます。
○清水委員 今日、公共事業のあり方が問われているわけですけれども、今のご答弁でいくと、見込まれるとか、予測されるとか、そういうご答弁の中で、明確な方向が示されてないというふうに私は考えるわけです。
それで、これから進めていくわけなんですけれども、それでは大井や青海のコンテナふ頭を大水深バース化する場合に、事業費というのはどれくらいかかるんですか、お伺いいたします。
○前田港湾整備部長 大井コンテナふ頭及び青海コンテナふ頭の大水深バース化に当たりましては、供用しながら工事を実施することになるため、施工方法に関します、ふ頭利用者との調整、岸壁補強の必要性の確認、それから施工方法に関する調査の実施など、検討しなければならない課題がございます。このため、事業費については、今後、事業化の際に確定していきたいと考えております。
○清水委員 通常、しゅんせつをする費用として考えられているようですけれども、実際にほかのところでしゅんせつをした費用というのは、立米五千円とか、そのぐらいの費用がかかっているようなんですけれども、この大水深バースのしゅんせつというのは、約二百四十万立米ぐらいを見込んでいるんだというふうに思うんですよ。そうすると、このしゅんせつをするだけでも百二十億程度かかるというふうに聞いているわけです。
じゃ、大水深バースの整備によって必要となるインフラというのは何ですか。
○前田港湾整備部長 大水深バースの整備に当たりましては、あわせて、さまざまなインフラの整備が必要になります。当該岸壁前面の泊地のほか、ガントリークレーン等の荷役機械、コンテナヤードや背後道路などでございます。
○清水委員 それらの、それこそ事業費というのは、これからだということだと思いますけれども、やはりそこには莫大な投資がかかるということが予測されるわけです。
それでは、東京都として、今、川崎港や横浜と三港連携を行っているということで、いろいろご報告があるわけですけれども、その三港連携の基本合意というのは、内容というのはどのようになっているのかお伺いし、また、現在、その取り組みというのはどういうふうになっているのか、お伺いいたします。
○河内参事 三港連携に関する合意事項と現在の取り組み状況についてでございますが、東京港、横浜港、川崎港の京浜三港につきましては、東京湾の国際競争力を強化するために、平成二十年三月に広域連携強化に係る基本合意書を締結いたしました。
その主な内容は、将来のポートオーソリティーを視野に入れながら、共同で広域連携の仕組みづくりの検討に着手するとともに、港湾コストの低減による国際競争力の強化などの課題に取り組むこととなってございます。
基本合意の締結以降、はしけ輸送の拡大による環境対策の推進ですとか、共同ポートセールスの実施、コンテナ船の入港料の一元化など、着実に取り組みを進めているところでございます。
○清水委員 一番最初に伺った、コンテナ貨物の減少という状況の中で、このまま大型船舶の受け入れ、大水深バースの受け入れ体制を進めていくことが適切なのかということには大いに疑問があります。
今ご説明がありました、三港連携だといっているわけです。で、どういう具体化で連携していくのかということについても、これからだということでしたよね。私は、やはり三港がそれぞれ役割分担というものも、これからの時代、必要なのではないかというふうに思いますし、一つの港では、現在、二バースほどだそうですけれども、大水深バースを有している港もあるというふうに聞いているわけです。
で、私は、三港の役割を見直して、それぞれ役割分担をしながら、東京港も、アジアとの競争だとか国際競争力だというようなことで過大な投資というのは極力抑制するべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○河内参事 三港連携に関しまして、現在の東京港の主力のコンテナふ頭である大井ふ頭、青海ふ頭というのは、先ほど答弁がありましたとおり、水深が十五メートルでございまして、六千五百個積みのコンテナ船までが対象となっておるところでございます。
一方で、世界の海運業界の中では、コンテナ船の大型化というのが著しく進んでおりまして、八千個積み、一万個積み、それから一万個を超えるコンテナ船の就航が相次いでおります。
三港連携を推進していった場合におきましても、首都圏四千万人の背後圏の中で、最もこれに接近した東京港が外貿コンテナのふ頭の機能を維持、増進していく必要性というのは変わらず、世界的なコンテナ船の大型化に対応するために、水深十六メートル以上のバースを整備していることは不可欠でありまして、決して過大な投資にはならないというふうに考えております。
○清水委員 私は、ちょうど今の時代というのは、少子化とか高齢社会とか環境とか、先ほどから取り組みも紹介をされていましたけれども、やはりそういう視点に立ち返って--東京港がそうした国際対応できるようなものを備えるということになれば、そのインフラ整備もまた必要になってくる、道路も必要になってくるということで、やはり二十一世紀を考えたときに、三港というのももちろんですけれども、じゃ、全国的な港の役割ということについてどうなのかということも、国の段階でもそれぞれ見直しをされてくるかと思うんですけれども、やはり東京都としても、そういう先を見越した、東京都としては三港連携でどういう役割を果たすのかということをやはり検討する必要があるんではないかということを申し上げておきたいというふうに思います。
続きまして、臨海副都心開発についてお伺いいたします。
そもそも臨海副都心開発の目的というのは何だったのか、お伺いいたします。
○松岡臨海開発部長 臨海副都心開発は、東京の都市構造を一点集中型から多心型へと転換させるとともに、国際化、情報化という時代の要請にも的確にこたえつつ、この地域に新たな副都心を建設することを目的として始まりました。
その後、平成九年三月に策定した臨海副都心まちづくり推進計画においては、その後の臨海副都心開発をめぐる社会経済状況の変化に対応して、これまでの開発目標をさらに発展させ、生活の質の向上、自然との共生、世界との交流、未来への貢献、まちづくりへの貢献を新たな臨海副都心像として定めました。
これに基づき、現在では、多彩な情報と文化を世界に発信する、水と緑に囲まれた環境先進都市を目指して開発を進めております。
○清水委員 一番最初の目的というのは、今ご説明にあったような、東京都市構造を一点集中型から多心型に転換させるんだということで進められてきたわけです。しかし、今ご説明ありましたように、この間、何回か、それでは合わなくなってしまったということで、しかも、五千億円余りの借金を返す必要が出てきたということで、この間の、発展という言葉を使えばいいかもしれませんけれども、それぞれ、その時代に合って、転換をして、それまでのが続かなくなったから転換をせざるを得なくなったというような形になっています。
それでは、建設元利金債の企業債の返済計画というのはどうなっていますか、お伺いいたします。
○松岡臨海開発部長 臨海副都心開発に当たりまして発行いたしました転貸債の元金償還のための地方債、すなわち建設元利金債につきましては、平成二十年度末現在、約四千億円の償還が残っております。土地処分を着実に進めるとともに、現在ある内部留保金を有効に活用することにより、平成二十六年度に償還をさせる予定であります。
○清水委員 それでは、臨海地域開発事業会計全体に係る土地処分の現況というのはどうなっているのか、お伺いいたします。
○松岡臨海開発部長 埋立地の処分方針を定めた、東京港における埋立地の開発に関する要綱に基づく全体の開発面積は、平成二十一年三月三十一日現在で二千七百六十九ヘクタール、そのうち約八六%の二千三百七十七ヘクタールが開発済みであり、今後開発する面積は三百九十二ヘクタールでございます。
なお、平成二十年度の有償処分実績では、売却十三件、底地売却一件、所管がえ一件、地上権設定一件の計十六件で、面積約十一ヘクタール、金額は約九百四十四億円であります。
○清水委員 それでは、現在の不動産市況というのはどのように認識をしておられるか、お伺いいたします。
○延與参事 現在の不動産市況についてのお尋ねですけれども、不動産市況全体を見ますと、マンションの着工戸数の減少やオフィス空室率の上昇など、停滞感が指摘されておりまして、土地取引の動向につきましては注視をしているところでございます。
一方、臨海副都心につきましては、都心に近接する広大な土地として希少であること、道路等のアクセス整備も進んでいるなど、ポテンシャルは高いと考えておりまして、現在公募中の区画に関しましても、進出を希望する事業者さんなどから、さまざまな問い合わせをいただいているところであります。
引き続き、厳しい経済環境でございますけれども、経済全体や土地需要の動向を見きわめながら、土地処分に確実に取り組んでいきたいと思います。
○清水委員 こちらもそういう甘い観測、認識をされているんですけれども、先日、マスコミでは、不動産情報会社の研究員とかいう方が語っておられましたけれども、昨年の金融危機で不動産市況は一層冷え込み、都有地の売却は容易ではない。しかも、これまでは五輪という付加価値があるからこそ、開発業者にも魅力ある物件にも成り立っているというようなことを語っていて、今お話のあったような状況ではないというような観測も一方ではいわれているわけです。
それでは、平成十八年三月に「臨海地域開発財政基盤強化プランの更なる取組み」ということを発表いたしましたが、この進捗状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
○松岡臨海開発部長 「臨海地域開発財政基盤強化プランの更なる取組み」でございますけれども、確固たる財政基盤を再構築するために八つの具体策を示しております。
現在、この八つの具体策のうち、新たな起債の抑制や、これまで以上の収入確保に向けた土地処分方策としての転売禁止期間の撤廃や、分割支払いにおける利息の引き下げなど、七つの項目について既に実施済みであります。
残りの一つである用地貸付料減免の見直しにつきましては、収入確保に向けて相手方との交渉を進めているところでございます。
今後も、このプランを着実に進め、引き続き財政基盤の強化に努めてまいります。
○清水委員 このプランの進捗状況を踏まえた臨海地域開発事業会計の収支試算というのが出されているんですけれども、それについてはどうですか。
○松岡臨海開発部長 臨海地域開発事業会計の収支見通しについてでございますけれども、先ほどご説明したとおり、強化プランのさらなる取り組みを着実に進めているところでございまして、計画どおり都債を償還できる見通しであります。
○清水委員 甘い見方だというふうに私は思います。臨海副都心開発は、日本経済に深刻な傷跡を残したバブル経済のもとで計画され、大企業と大手ゼネコンのための巨大開発として進められてきました。当初、国際金融センターとかテレポートセンターとか壮大な構想が打ち上げられ、開発費用も、毎年八%ずつ地代が上がるという夢のような収支計画をもとに進められたものです。
しかし、構想から二十年、土地利用は計画どおりに進まず、巨額の借金を抱えたまま、都市としての姿も、当初の国際都市どころか、私たち今まで指摘してまいりましたように、理念とか秩序とか、当初のそうした内容も失ってしまっているというような都市というのが現実になっています。
しかも、税金を一円も投入しないといってスタートしたにもかかわらず、会計破綻の救済に、さまざまな形での税金投入や、数千億円にも上る埋立会計の資金の食いつぶしなどによって、ようやく借金返済を可能にするというものです。
今後ピークを迎える起債の償還についていえば、青島都政時代に見直した都民提案街区の企業向けの売却益、これも繰り返し私たち指摘をしてまいりました。また、旧埋立会計の土地売却益や、築地市場移転予定地の豊洲の売却益、当初の収益の計画にはなかった有明北地区の売却益などを当てにしているものです。
このような開発は、都財政に深刻な影響を与えるとともに、東京への一極集中の弊害を拡大し、さらには今日の世界的課題となっている地球温暖化に拍車をかける点でも、改めなければなりません。
今、国においては、限界はありますけれども、都市づくりにおいて方向転換の模索が始まろうとしています。先日も、農業の問題で、その指摘をさせていただきました。地球温暖化防止が緊急の課題となり、都政においても、巨大開発による浪費やむだ遣いをやめて、都民の暮らしと福祉を最優先することが問われています。このようなときだからこそ、私は、臨海副都心開発を凍結し、都民参加で再検討する立場に立つことを求めておくものです。
以上です。
○田中委員 それでは、質問をしたいと思います。
東京港の使命と課題ということで、港の役割というのは、機能は、物流のみならず、にぎわいや環境、防災や開発など、多彩であります。本日は、事務事業の質疑であることから、さまざまな角度から質問をさせていただきたいと思います。
初めに、物流インフラとしての東京港の使命と課題について、一番最初でありますので伺います。
○小宮港湾経営部長 東京港は、アジアと欧米を直接結ぶ基幹航路のコンテナ船が多数寄港するメーンポートといたしまして、首都圏四千万人の生活や産業活動を支える極めて重要な使命を担っております。
しかしながら、今日、アジア諸港が躍進する中で、東京港に寄港する基幹航路の数は減少傾向にございます。仮に東京港が基幹航路から外れることとなれば、輸送時間やコストの増加などの悪影響をもたらしまして、都民生活や首都圏経済への影響は、はかり知れないものがございます。したがいまして、国際基幹航路の維持拡大は、東京港の大きな課題となっております。
このため、東京港の港湾機能につきまして、ハードとソフトの両面から充実強化を図りまして、船会社や荷主など利用者にとって使いやすい港づくりを推進しておるところでございます。
○田中委員 先ほどほかの委員からもありましたが、昨年から取り組みが始まった三港連携や、それに伴って、この七月の三十日には京浜港としての共同ビジョンを、中間のまとめということでありますが、提出がされました。まさにこれからがこの課題に取り組んでいくところであると思いますので、厳しい現状にあるということを皆が共有して、大きく推進を図っていただきたいと思っております。
それでは、具体的な質問に入らせていただきます。
先日は、東京湾ということを観光の視点からもお聞きをさせていただきました。きょうは港湾局ということで、ハードの面から質問をさせていただきたいと思います。
この水辺の空間というのは、都民に潤いや安らぎを提供しておりまして、その活性化というのは、一つは、にぎわいの創出という意味では大きく重要なことと考えております。
そこで、今後、東京湾の臨海エリアにおいて、都民の足となる水上ネットワークの活性化を図っていくべきであるということは、先日も述べさせていただきました。
まず、東京港における水上バスの発着施設の設置状況と、その活用状況がどうなっているのかを伺います。
○小宮港湾経営部長 港湾局所管の桟橋のうち、水上バスの発着施設としましては八カ所設置されておりまして、このうち二カ所は現在使われてございません。
○田中委員 二カ所使われてないということなのですが、どういう理由で使われていないんでしょうか。
○小宮港湾経営部長 現在、具体的な需要がなくて、航路が休航、休止されている状況でございます。
○田中委員 大変そういう厳しい中でも、こうした発着所の施設のさらなる利用を図って、都民に東京湾の水辺の空間の魅力をぜひ伝えていくべきであると考えております。
その港湾局所管の水上バスの発着施設、八カ所のうち二カ所が今は閉められているという現状ではあるのですが、それはどういう課題があって、どう認識しているのか、伺います。
○小宮港湾経営部長 まず、港湾局が管理しております水上バスの発着施設は、港湾計画上、旅客船の小型桟橋でございまして、航行安全と水上における公共の交通手段を確保するため、水上バスと港内遊覧船を利用対象としているところでございます。
具体的に、利活用を図る上での課題でございますが、ただいま申し上げました、まず、港湾計画の目的に合致しているということを前提といたしまして、発着施設周辺を運航する他の船舶とのふくそうを避けるとともに、離着岸時に十分な静穏度--海面、水面の穏やかなことをいうんですが、静穏度を確保するなど、航行時や乗下船時の安全面における十分な検討が必要でございます。
さらに、発着枠がいっぱいになりつつある施設につきましては、現在利用されている利用者の方との調整も必要でございます。
○田中委員 安全面はもちろん重要なことでありますし、既存の利用者がいるということでありますから、その調整も必要であるとは思うんですが、さらに採算のベースでも、今、厳しいということもお伺いしたんですが、海辺の海上運送から、今度は海上交通に発展していくところで、何度か議事録を見ると、昔もいろんな、さまざまな先輩たちが提案をして、議論をしているんですが、なかなか進んでいかないという現状があります。これに指をくわえているだけでは、都が目指していく、都では舟運のネットワークという言葉を使っておりましたが、この水上ネットワークは絵にかいたもちになっていくんじゃないかと。実現がほど遠いと思うことで、じゃ、どういう可能性が考えられるかということを議論させていただきたいと思います。
今まで話していたのは、いわゆる定期航路というもので、水上バス、周遊船ということでありました。定期航路があれば不定期航路があるわけで、不定期航路というのは、いわゆる屋形船等についてでありまして、これはどちらかというと、今度は海上の運送法にかかわるということで、国交省の所管にもかかわることでありますが、しかし、この話で皆さんにちょっと進めていきたいと考えております。
ご存じのように、屋形船等は、これは出発したところと同じ場所に戻ってこなければならないというのが原則であります。つまり、A地点から発車すると、ぐるっとお台場の方を回って、またA地点に戻ってくると、これしか認められていないということがあります。
しかしながら、今、屋形船の新たな利用の仕方で、修学旅行生の東京湾体験というのが始まっているそうであります。今のままですと、例えば大田区でも品川区でもいいんですが、出ますと、ぐるっと回って、また戻ってくるんですね。そうしますと、修学旅行生は、東京タワーも行きたい、浅草も行きたい、いろんなとこを見なきゃいけない中で、一日使ってしまうということで、かなり利用したいという声はあるんですが、それがなかなか実現できないという現状もお聞きをしております。
例えば、今いったように、修学旅行生であっても、もしくは、旅行の人たちが羽田空港に全国から来て、そこから水上の交通を使ってお台場に行くというような、例えばこういうような可能性というのは一切認められないんでしょうか。
○小宮港湾経営部長 海上運送法を所管する国土交通省においては、例外的に、旅客不定期航路事業として、片道の運航を認めることがあると聞いております。
○田中委員 今、例外的にということでありましたが、片道の運航も認めることがあるというのですが、どのような場合にそのような片道の運航が認められるんでしょうか。
○小宮港湾経営部長 旅客不定期航路事業の片道運航につきましてですけれども、国土交通省によりますと、定期航路事業の営業に支障のない範囲で、旅客不定期航路事業者に対して、年間三日を上限に、臨時に運航する場合に、乗り合いでも貸し切りでも認めていると聞いております。
ただし、四日以上の場合であっても、貸し切りで、しかも、貸し切りでしか運航しない場合には片道の運航が認められる可能性があると伺ってまして、ただ、こうした例はほとんどないと聞いております。
○田中委員 旅客不定期航路事業というのが屋形船を指すようでありますが、そのようなものを利用者のニーズに、今でいえば修学旅行生、もっといえば、さらなる可能性が広がっていくように思えるんですが、こういうような海上の運送法上の規制があるのであるならば、何がハードルとなっているのか、今回、この件で私も勉強させてもらいますと、大変にいろいろな海上運送法上の規制が厳しい。人数から、許可から、また申請等を含めて、また航路を含めて大変問題があるということもわかりました。
ぜひ、どう緩和をすれば海というのを商業の場としていけるのかというのをこれからも整理をしていく必要があり、必要であればしっかりと国とも話していくべきであると思っております。
東京都としましては、河川や運河には防災目的の船着き場等もあることも聞きました。こういうようなものはなかなか平常時では限られているということですが、これについてもルールづくりを整備して、ぜひこの海から新しいビジネスのチャンスがある、もしくは臨海部で仕事ができるということから、水上ネットワークや舟運ネットワークの整備を進めていくべきであると思っています。
次に移ります。
次は、東京湾の水質の改善についてお聞きをしたいと思います。
私自身、この東京湾、きれいな海を取り戻すためには、一人一人が海について理解をして、また、自分の海として、水を汚さない、もしくは排水ですね、蛇口一つひねるところから、それが海につながっているというようなことを理解してもらわなきゃ困るということで、特に子どもたちにこういうことを教えようということで、地元の総合学習の時間を使って、中学生の子どもたちを、カサゴの稚魚の放流などをして環境教育も取り組んできた次第であります。
海を汚しているのはほかならぬ自分たちであるということを知ってもらうと同時に、子どもたちは、船に乗ると目を輝かせて、にこにこして喜んでいる姿を見ると、やっぱりその体験学習、もしくは環境学習というのも大変必要であるということを実感しております。
この水質浄化に戻りますが、このようなソフトの面での対策は必要であるんですが、もちろん、これは港湾の管轄でありますから、下水道や、もしくは港湾のハードの面の対策の両面からこの水質浄化は進めていかないと、これから進んでいかない。
そこで、まず、港湾におけますこれまでの水質浄化の取り組みについてお伺いします。
○前田港湾整備部長 東京港の水質でございますけれども、夏場の赤潮の発生、それから水中の酸素濃度の不足など、解決すべき課題がございます。
このため、都では、東京港内におきましてさまざまな施策を展開し、水質の浄化に取り組んでいるところでございます。
具体的には、運河の底にたまりました汚濁物を取り除くための計画的な汚泥しゅんせつの実施、大規模な海浜公園を中心とした、生物の生息に適した干潟や浅場、いそ場の造成を行っております。
また、生物の食物連鎖を通じた浄化能力に着目しまして、お台場海浜公園におきまして、カキなどの多様な生物を活用した水質浄化実験を行うとともに、海岸保全施設の整備の際に、緩傾斜護岸、ミニ干潟などを取り入れているところでございます。
今後も、多様な生物が生息しやすい環境整備を着実に進め、水質浄化に努めてまいります。
○田中委員 これまでずっと、港というのは直立護岸で、今おっしゃってもらったように、かなり護岸も傾斜護岸にして、浅場、また生物が戻ってくる状況が進んでいるということでありますが、ぜひこれにはさらなる力を入れていただきたいと思っております。
最初に戻りますと、ハードの面と同時に、この行政においても、結局それをやりますのは都民であったり、地元の方、もしくはそのような環境問題に取り組むNPOだったりするわけであります。そういうようなさまざまな主体と連携をしながら、そのソフトの面の施策も進めていく必要があります。
先ほども、ほかの委員からも、海の森にしても、地域を巻き込んで、また、都民を巻き込んでいくべきだということがありました。この水質浄化という面では、都民やNPOなどの連携はどのように進められていますでしょうか。
○前田港湾整備部長 東京港の水質改善を進めるためには、何よりも、幅広い都民や企業が環境の大切さを認識し、みずから参加して取り組むことが重要と考えております。
このため、都では、その契機をつくるため、国の研究機関や、地元区、環境関連のNPOなどと連携し、さまざまな取り組みを行ってきております。
具体的には、芝浦アイランドのミニ干潟を利用して、家族で環境学習を行います、生き物のすみかづくりプロジェクト、護岸整備の際のカニの引っ越し大作戦、お台場のカキ実験施設を利用したお台場親子勉強会などでございます。
また、区におきましても、海浜公園でのノリづくり、運河にカルガモを呼び戻すプロジェクトを進めるなど、行政と都民、区民の連携した取り組みが広がりを見せております。
今後もこうした自然の大切さを体感できる取り組みを促進し、多くの都民や企業と連携し、東京港の一層の水質改善を図ってまいります。
○田中委員 さまざまな例を挙げていただきましたが、ぜひそのように都民を巻き込んで、どうしても海に面している区や地元の人は大変意識は高いわけでありますが、東京は広い中で、なかなか海に接したことがない、もしくは船にも乗ったりしたことがない、子どもだけではなくて大人も含めてだと思いますが、そういう環境にあります。ぜひ今、いろんな連携を挙げてもらいましたが、その推進はさらに進めていってもらいたいと思います。
と同時に、今回、この水質の話をしておりますと、先ほど、いろんな局がまたがるということでありますが、河川の局が出てきましたり、下水道の局の話が出てきたり、いろんな局にまたがることもわかりました。水場はすべてつながっておりまして、最後は海に流れるわけでありますから、つながっているわけでありますが、都庁としては、この取り組みを、港湾局だけではなくて、他局との連携、そういう全庁的に取り組む体制はどのようになっているんでしょうか。
○前田港湾整備部長 水質改善の全庁的な取り組み体制についてでございますが、都では本年七月、副知事を座長に、知事本局、都市整備局、環境局、建設局、港湾局、下水道局をメンバーとする東京湾水質改善プロジェクトチームが発足いたしました。
このプロジェクトチームにおきましては、東京湾の水質改善についての目標を設定し、この目標に向けての各種施策の具体化と、その道筋を示すロードマップを作成することとしておりまして、現在、鋭意検討を進めております。
○田中委員 大変に全庁的に取り組んで、すばらしい内容でありますが、どうしても縦割り行政の中で、それぞれの縄張りの争いや、また、その調整というのが難しいことだと思いますので、まだ始まったばかりで中間報告も出されていないという現状でありますので、しっかりとこれからもこの委員会でも、この現状を見て、また指摘をしていきたいと思っております。
一言いわせてもらうと、今回、東京の水がきれいになっているのかということを率直に聞いたら、その指標というのが実は一つしかなく、CODというんですか、この水質の環境基準は、これは国も定めている海での環境基準なんですが、これしかないということを聞きました。
じゃあ、この基準はどうなっているのかというと、昭和五十年から三十年以上、全くほとんど横ばいで、変わっていない。つまり、この基準におきますと、東京湾はきれいになっていないということになるそうであります。しかしながら、実際、海を見てみますと、大変に海はきれいになっていると。
このギャップは何かということを思いまして、この基準自体は、国が定めている基準でありますから、これはこれで一つ、もちろん続けて、これからもデータをとっていくのは必要なのですが、やはり東京都としても、皆さんにこれだけきれいになったというのが、もちろんそんな基準がなくても、海自体がきれいになればそれが一番なわけでありますが、そのような、今、PTでさまざまな議論をしているということであれば、それは河川にも水道局にも、もしくは、この港湾にもかかわることでありますので、そのようなわかりやすい指標などをつくれるならばつくって、そのような目標を設定して取り組んでいただきたいと思っております。
次に移りたいと思います。
環境対策といいますと、港湾においては水質の話がよく出るんですが、もう一つの、水質改善だけではなく、自然エネルギーの活用ということも重要であると考えます。
例えば、「十年後の東京」の二〇〇九年実行プログラムの中では、都有施設の建てかえの際には、屋上等に積極的に太陽光発電の施設を設置するという方針があります。港湾局には、上屋--専門用語でありますが、荷さばきの保管施設の倉庫のようなのが幾つか港湾上にずっと並んでいるわけでありますが、こうした都営の上屋といわれる屋上にも太陽光の発電施設を積極的に設置していくべきだと考えますが、導入に向けた課題や、もしくは現状の取り組みを伺います。
○小宮港湾経営部長 上屋に導入の際の課題でございますが、ソーラーパネル設置の際に十分な雨漏り防止工事や補給工事が必要となることや、パネルに対する強風や塩害への対応が必要とされます。
しかしながら、都営上屋の場合、太陽光発電装置で供給される電力は、その施設で使用される電力の二割から三割を賄うことができるとともに、一棟当たり年間約四十トンのCO2削減が図れるなど、環境改善効果も高いものがございます。
こうしたことから、都としても、設置可能な場所から順次設置していくこととしまして、平成二十一年度は、東京港における最初の取り組みといたしまして、品川ふ頭の内貿上屋の建てかえに際して設置してまいります。
今後は、建てかえの際や、太陽光発電装置の耐用年数が十五年であることから、上屋の耐用年数が十六年以上ある施設を対象に設置を検討していくこととしまして、平成二十二年度は、辰巳ふ頭の内貿雑貨上屋に設置することとしております。
○田中委員 理想としては、その上屋の、もしくは倉庫でつくられた電力で、港湾のクレーンというんですか、荷揚げの施設というんですか、が動かせればいいと思ったんですけど、今ちょっと二割から三割ぐらいしか賄えないということをいわれてしまいましたので、ぜひ、このソーラーの施設も恐らくこれから開発が進んでいくので、二割、三割から四割、五割と、最終的に、理想としましてはですが、東京湾でつくった電気で港湾の施設が動かせるような、そういったことができればいいなと思っておりますし、これは、東京湾が水質だけでなくて、そのほかにも環境に取り組んでいるということで発信ができると思うので、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思っております。
次は、水門の耐震対策についてお聞きをしたいと思います。
東京港の臨海部においては、高潮、津波ですね、こういう被害から都民を守るためには、防潮堤を整備しております。そして、運河においては、船舶の往来があるために水門を整備して、必要に応じて閉鎖をして、今度は高潮や津波を防いでいます。
このように、水門というのは、安心・安全の向上はもとより、船舶が航行する際の安全性にも寄与する重要な施設であることは当然のことでありますが、これまで港湾局が整備してきた水門は、大規模地震に対する耐震性の不足するものもあると聞いていて、耐震対策が不可欠となっております。
まず、この水門の耐震対策の状況について伺います。
○前田港湾整備部長 首都圏におきましては、マグニチュード七クラスの大型地震発生の切迫性が指摘されておりまして、耐震対策が急務となってございます。
東京港には十九カ所の水門があり、中には、地震により液状化が発生し、機能を果たせなくなるものも危惧されることから、この耐震対策を進めることが不可欠となってございます。
このため、都では、平成十九年三月に東京港海岸保全施設緊急整備計画を策定し、現在、この計画に基づいて耐震対策を鋭意進めているところでございます。
豊洲水門や辰巳水門などの四カ所の水門では、既に対策が完了しております。
また、現在、東雲水門、朝潮水門などにおきまして対策工事を進めており、十一カ所の水門の耐震対策に着手しているところでございます。
○田中委員 水門の耐震対策は早急に進めていく必要があると考えておるんですが、私の地元の大田区の方にも、この水門、先ほど十九カ所都内にあるという話だったんですが、四カ所あります。
しかし、この四カ所は、ちょっとほかの水門とは特色がというか、現状が変わっておりまして、平和島の運河から海老取の運河沿いにあるのですが、これはもう水路が、後ろが行き詰まっておりまして、そして、この水門によって運河沿いの遊歩道が分断されているというのが現状であります。
これも前の先輩議員たちも質問をしていて、この遊歩道を周遊できるように、また、ここの水門の再利用、また、これからの開発ということがたびたび質問の中であったわけでありますが、この水門の耐震補強に当たっては、特に地元の大田区とも連携を深めていくということも、前回答弁でも述べられておりました。
そこで、まず大田区との協議の状況について伺います。
○前田港湾整備部長 今お話のございました大田区臨海部の貴船、呑川、北前堀、南前堀の、いわゆる港南四水門の対策に当たりましては、水門の存続、廃止のあり方を含め、地元区と連携し、十分な検討を行う必要があると考えております。
このため、都では、地元大田区と港南四水門にかかわる協議を本年五月から開始したところでございます。
現在、地元のまちづくりの状況、水門の存続、廃止に関する課題の整理を行うなど、区との協議を鋭意進めているところでございます。
○田中委員 その四水門のうちの一つの、今いっていただいた南前堀の水門があるんですが、この水門については、つい最近のこの九月の末に、大田区の方で、この全体、羽田の国際化を含めて、羽田旭町というまちがあるんですが、その周辺地域のまちづくりの基本的考え方というのを公表して、これを埋め立てるということが、区の方から先に、正式にいうと検討するですかね、ということが発表されました。
これを受けて、全体の南前堀水門を含めた耐震の整備の方向性というのはどうなるのかを伺います。
○前田港湾整備部長 大田区が公表しました羽田旭町周辺まちづくりの基本的な考え方については、承知してございます。
南前堀水門の存続、廃止のあり方につきましても、その立地状況から、地元が進めるまちづくりとの整合、散策路としての機能の確保、周辺環境への配慮など、総合的な視点からの検討が必要であるというふうに考えてございます。
具体的には、南前堀水門につきまして、整備ケースの設定や、水門内に係留しております船舶への対応の方向性などについて地元大田区と検討しており、今後、これを踏まえ、南前堀水門の耐震整備の具体的な方向性について検討してまいります。
○田中委員 水門の必要性がある中、この四水門については、今、違った形があり、違った取り組みがされているということでありますので、ぜひ地元とも連携を図って、また、地域に住む人、そこで生活を営んでいる人がおりますので、十分に話を聞いて、進めていただきたいと思っております。
最後に、おととい、六日の国交省の記者会見で、国交省の大きなこれからの目標としては、観光や運輸部門を国際化することを一番の目的として、四つ力を入れることを掲げまして、その中に港湾の国際力強化ということが掲げられておりました。
大臣の話の中では、中国の上海や韓国の釜山など、アジア諸国の主要港と比較して、日本の港湾に競争力がないということを述べられておりました。
そのようなことで、大きくこれをこれからの目標として掲げるということを、ちょうどおととい発表されましたので、ぜひ国とも連携をとりながら、そして、東京都がその牽引役となってこの港湾の発展に力を注いでくれることを要望しまして、私から最後の意見としたいと思います。
ありがとうございました。
○伊藤(興)委員 それでは、私からも、港湾局事務事業について何点か質問させていただきたいと思います。
まず、東京港の国際競争力の強化の観点から、臨海部における道路ネットワークの充実の強化を図ることは極めて重要であるというふうに考えております。
私の地元の品川区では、首都圏の物流を支える大井コンテナふ頭を擁しておりまして、コンテナやトラックなどによる慢性的な交通渋滞の解消が大きな課題となっております。
そこで、私は、本年の第一回定例会、予算特別委員会においても、臨海部における道路ネットワークの充実強化について港湾局の所見を伺ったところでございます。
そして、この間、大井地区内の京浜大橋北詰交差点において、車線を拡幅する改良工事が完了しまして、渋滞の緩和に大きな効果を発揮しているということでございます。
そこで、まず、改めて、東京港の円滑な物流を支える臨海部の道路ネットワークの充実強化に向けた主要事業の進捗状況と整備による効果、そして今後の計画について伺いたいと思います。
○前田港湾整備部長 東京港の円滑な物流を確保するためには、臨海部における道路交通ネットワークの充実強化が極めて重要でございます。
羽田空港や千葉方面への東西方向の交通円滑化のため、現在、最重要事業として、平成二十三年中の完成を目標に、東京港臨海道路Ⅱ期事業、新木場若洲線の整備を進めており、去る九月には第三航路を横断する橋梁のトラスげたの架設が完了したところでございます。
これらの事業が完成いたしますと、中央防波堤地区から新木場までの所要時間が、現在の約二十一分から十二分と四割短縮され、年間三百億円程度の経済効果が発生するものと試算されております。
同時に、交通の分散化、渋滞の緩和が図られることで、大気等の環境負荷の低減にも大きく寄与する事業でございます。
また、南北方向の交通につきましては、現在、第二航路海底トンネルのみで担っておりますが、既に慢性的な混雑状態にございます。将来、中央防波堤地区等の新規ふ頭の供用が開始いたしますと、大幅に増加する交通量をこの当該トンネルだけでさばくことは到底困難となります。
このため、今後の計画として、十号地その二埋立地と中央防波堤内側埋立地とを結ぶ臨港道路南北線につきまして、計画段階影響評価手続を経て、港湾計画に位置づけ、本年八月に公示したところでございます。
○伊藤(興)委員 道路ネットワークの充実強化に向けた取り組みの状況についてはよくわかりました。東京港の円滑な物流を確保するため、臨海道路Ⅱ期事業や、臨港道路南北線などについて、今後とも着実に進めていただきたいと思います。
次に、東京港の環境対策について質問させていただきます。
東京港は、外国貿易コンテナ貨物の取扱数が十一年連続で日本一の港であるということとともに、国内貨物の海上輸送の拠点として大量の貨物を扱っております。
現在、東京都では、環境確保条例などによって地球温暖化対策に先進的に取り組んでおりますけれども、東京港の物流という側面においても、CO2排出量の抑制などの環境負荷低減に向けた取り組みが大きな課題と考えております。
環境に優しい輸送という観点から考えると、船舶による輸送は、距離が同じであればトラックによる輸送に比べてCO2排出量が八割程度削減できるというふうに聞いております。
そこで、現在トラックで輸送されている国内の長距離の貨物について、環境への負荷がより少ない船舶等による輸送に切りかえれば、環境対策に大きく寄与できるものというふうに考えます。
東京港においては、このモーダルシフトの一つとして、海上輸送への転換にどう取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
○河内参事 モーダルシフトについてのお尋ねでございますが、トラック輸送から環境に優しい海上輸送等に転換を図るモーダルシフトにつきましては、環境に配慮した港づくりを進める東京港といたしましても重要なテーマであると認識しております。
まず、国内で輸送される内貿貨物につきましては、環境負荷の少ない内航海運の利用を促進するために、船会社などの利用者のニーズを踏まえた内貿ふ頭の再編整備に取り組んでいるところでございます。
具体的には、船舶の大型化などの輸送革新に対応できるような広いヤードを確保していくことが必要でございまして、現在、品川ふ頭などを拡張するとともに、中央防波堤内側に新たなふ頭を整備していくこととしております。
また、遠隔地で外貿のコンテナ貨物の集荷を進めるに当たりましては、東京への輸送手段として、環境に優しい海上輸送の利用を促進することが重要と考えております。
本年六月には、ヨーロッパや北米向けの貨物輸出が見込まれる八戸港との間で協定を締結いたしまして、相互に連携して、国内海上輸送網の充実強化を図ることといたしました。
今後も、内貿ふ頭の再編整備や地方港との連携の推進などを着実に進めまして、モーダルシフトの促進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○伊藤(興)委員 モーダルシフトについても、港湾局としてしっかりと、着々と取り組んでいるということについてよくわかりました。地方港との連携も含めて、今後もこのモーダルシフトについては積極的に取り組んでいただきたいと思います。
ところで、環境負荷の少ない輸送手段といえば、船舶による輸送とともに、鉄道による輸送も大いに注目するべきであると思います。
大井コンテナふ頭の背後には、JRの東京貨物ターミナルがありまして、この貨物ターミナルを有効に活用すれば、外貿コンテナの鉄道輸送の可能性も広がると私は思います。
そのためには、貨物駅構内のインフラ整備など、国や鉄道事業者の積極的な取り組みが必要でございますし、また、都としても、鉄道輸送に転換を図るモーダルシフトについて、これからもこうした関係者との連携を図りながら、ぜひ鉄道によるモーダルシフト、これの検討も進めていっていただきたいと要望したいと思います。
次に、環境対策ということでは、輸送における環境負荷低減の取り組みだけではなくて、先ほどもございましたけれども、水質改善という観点からも東京港の取り組みは重要であるというふうに考えております。
港湾の水際線は、物流のみならず、都市の貴重な潤い空間として美しいウォーターフロントが形成されてきております。都は、「十年後の東京」の中で、豊かな自然環境と共生する水辺空間を創出し、安心して水と触れ合える水質を確保することを目指すとしております。
先ほども田中委員からも話がありましたけれども、私も子どものころから、この品川の方から運河、そして東京湾を遊び場として使っておりましたけど、子どものころは本当にこの東京湾の水、親からもよくいわれましたけれども、さわるなというのと、さわった手で絶対に目はさわるなという注意を受けてまいりました。それほどにおいも水質も非常にひどいものでございましたけれども、このところ、目に見えての水質の改善が随分進んでいるんだなというふうに感じているところであります。
水辺と共存した都市空間を創出するためには、水質の改善が急務であります。私は、平成十九年の第一回の定例会におきまして、東京港の水質改善策について質問をいたしました。
その際、運河域での汚泥しゅんせつの計画的な実施や、生物など自然を生かした多角的な取り組みを進めることなど、水質改善に向けた積極的な答弁を局からいただきました。
そこで、まず、汚泥しゅんせつの現在の取り組みについて、具体的な取り組み内容を伺いたいと思います。
○前田港湾整備部長 東京都では、運河の水質を改善するため、東京地域公害防止計画に基づきまして、昭和四十七年から、運河に堆積した汚泥のしゅんせつを進めてまいりました。
しゅんせつに際しましては、汚泥の堆積状況、水の汚濁度、水辺の利活用の状況等を総合的に勘案しまして、計画的に進めております。現在、勝島運河、天王洲南運河、辰巳運河等におきまして、二年から三年程度をかけて、しゅんせつを順次実施しているところでございます。今年度は、十二月からしゅんせつ工事を実施する予定となっております。
今後、東京港の運河の汚泥しゅんせつのさらなる推進を図るとともに、水流を発生することで汚泥の堆積を抑制するなど、新たな水質浄化技術の検討を進め、運河の一層の水質改善に努めてまいります。
○伊藤(興)委員 特にこの運河域というのは、都民の生活する市街地、また、民家と非常に近いところにありますので、水質の悪化が都民に与える影響が非常に大きくなると思います。今後とも、運河の水質改善に積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
次に、東京港では、生物の浄化作用を活用した水質改善対策を進めるために、干潟や浅場などの整備を進めてきております。
そこで、東京港における干潟や浅場などの整備の取り組み状況について伺いたいと思います。
○前田港湾整備部長 干潟や浅場などは水深が浅く、空中から水中への酸素の供給が豊富であることから、貝類や稚魚などを初め、さまざまな水生生物が生息しやすい環境にございます。
港湾局では、これまでに、大井中央、城南島、お台場などの五つの海浜公園に干潟や浅場などを整備するとともに、羽田沖におきまして、二百五十ヘクタールに及ぶ浅場の造成を行ってまいりました。
これらの効果といたしまして、城南島海浜公園やお台場海浜公園では、スズキやアサリの生息が確認され、魚釣りや潮干狩りが再びできるようになるなど、都民のレクリエーションの場ともなっております。また、羽田沖の浅場におきましては、アナゴ、メバルなどの魚類や、アサリやアオヤギなどの貝類も定着してきております。
また、現在、新海面処分場の東側の水域におきまして、延長約一キロメートルに及ぶいそ場の整備を進めるとともに、運河部におきましても、生物の生息環境に配慮した施設といたしまして、京浜運河等には緩傾斜護岸を、また、朝潮運河ではミニ干潟の整備などを進めているところでございます。
今後も、水質改善に効果のある浅場や干潟などの整備の拡大を進めてまいります。
○伊藤(興)委員 生物等によってもさまざまな取り組みをしていただいているということはよくわかりました。私の品川の八潮という地域にも、この護岸整備とあわせて、石垣をうまく組んで、水辺に親しめる、下までおりていけるところができたばっかりでありますけれども、この石垣の意味についても、住民の方々は、何で石垣にしたのかよくわからない、こんな話もありましたけれども、そうした石垣の石が水質改善に役立っているんだという話もすると、おお、なるほど、都は考えてるんだねというような感想も聞かれたりするところでございます。
いずれにしても、水質改善については今後もしっかりと取り組んでいかなきゃいけないことであると思いますのとともに、この問題は港湾局だけで解決できる問題ではないと思います。
先ほどもございましたけれども、全庁的なこのPTを立ち上げての取り組み、また、都がかつて取り組んだこのディーゼル車のガス規制、こうした八都県市、要するに東京港に流れてくる水のもっと上の方から、さまざまな自治体からの連携を含めた、こうした施策をしっかりと進めていくことが大事だというふうに思いますので、またこうした広域的な取り組みもしっかり取り組んでいただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。
次に、水質浄化と並んで、水辺のにぎわいづくりに大きく貢献する取り組みとしての運河ルネッサンスについて質問をさせていただきたいと思います。
私の地元品川区では、品川浦・天王洲地区、勝島・浜川・鮫洲地区の二地区が運河ルネッサンス推進地区に指定をされておりまして、それぞれに工夫を凝らして、水上レストランやパーティークルーズの桟橋の整備のほかに、例えば勝島運河倶楽部のように、地域の方々がさまざまに協力して、水辺のイベントや、あるいはカヌースクールの開催など、地域に根差した取り組みを一生懸命に行っておりまして、水辺のにぎわいの拠点づくりを進めているところでございます。
そこで、都は運河ルネッサンスをどう推進し、また、都民の自発的な運動をどのように支えているのか、伺いたいと思います。
○前田港湾整備部長 運河ルネッサンス推進地区でございますけれども、これまでの芝浦地区、品川浦・天王洲地区、勝島・浜川・鮫洲地区、朝潮地区、これに加えまして、本年七月には新たに豊洲地区が加わり、五地区にふえ、各地区で今お話にございましたような施設整備やイベントが行われているなど、にぎわいが東京港内全体に広がりを見せております。
今後は、それぞれの推進地区が独自の取り組みを展開するだけでなく、各地区が連携して広域的な取り組みを行うことで、これまでにない新しい運河の魅力が大きく広がると考えてございます。
このため、この八月には、各地区の協議会、そして地元区、東京都で構成いたします運河ルネッサンス地区連絡会を立ち上げたところでございます。地区間の情報の交換や共同イベントの検討などを開始したところでございます。
都といたしましては、このような連携のための場づくりや、イベントに対する関係者との調整等の支援など、地区間の連携に向けた取り組みを進めるとともに、推進地区のさらなる拡大に向けて、地元区等と協力しながら運河ルネッサンスを積極的に進めてまいります。
○伊藤(興)委員 運河ルネッサンスについては、地域が主体となった取り組みであるということは理解しておりますけれども、今年度の東京都港湾局の事業概要を読みましても、今年度は、これまでそれぞれが取り組んできたこのルネッサンスをつなげていく、この連携を主眼に置いて取り組んでいくんだという積極的な内容も書かれておりました。
都民の方々の努力によってそういうルネッサンスが生まれているわけでありますけれども、それをつないでいく都の役割として、今後は連携のための場づくりとか、イベントの調整だけじゃなくて、どうか物心ともに支援をしていただきたいということを切に要望して、次の質問に移りたいと思います。
港湾局は、平成十五年に「新たな海上公園への取り組み」を策定しまして、規制から利用への転換を図っていると聞いております。制限を緩和して公園利用を活発化しようとする考え方は、大いに私は賛同するものでございます。
そこで、この規制から利用への転換の取り組みについては、具体的にどう取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
○松岡臨海開発部長 ただいまお話しの「新たな海上公園への取り組み」を策定するまでは、海上公園では、公園の公共性や安全性を重視する観点から、釣りや火気の使用、犬の放し飼いを禁止してまいりました。しかしながら、時代とともに海釣りや野外での飲食等の要望もふえてきております。
こうしたことにこたえまして、公園を利用者が主体的に楽しみ、公園の魅力をさらに高めるため、海上公園での釣りや潮干狩りを原則として解禁するとともに、火気を使用するバーベキューについても、それまでキャンプ場のみに限られておりましたが、一般の公園においても、場所を指定し、可能といたしました。
犬との散歩につきましては、ドッグラン広場を設け、その中で引き綱を離して犬を自由に走らせることができるようにしてまいりました。
○伊藤(興)委員 今のご答弁の内容、私は本当にすばらしいと思います。つい先日もテレビ報道で、ニュース番組の中で、公園の利用の仕方について、本当にクレーマーが非常に多いという番組をやっておりました。朝、高齢者の方々を中心にラジオ体操をやれば、うるせえと、窓をあけてどなられる、ちょっとキャッチボールをやれば、ここは野球禁止でだめだとか、ちょっと子どもたちがサッカーをやれば、ここは大きいボールはだめだとか、あれはやっちゃいけない、これはやっちゃいけない、こういう公園が都内にたくさんある中にあって、この海上公園については、規制緩和をしながら公園の利用が拡大されてきたということは非常に意義の大きいことだと私は思います。
また、その分、都民の利用者につきましても、マナーと責任をしっかり持たなきゃいけない、こういうことが同時についてくるわけでありますけれども、いずれにしても多くの利用者に喜ばれているということは事実でありますし、私も先日、城南島の海浜公園を見てまいりました。この城南島海浜公園につきましては、羽田空港に発着する飛行機が航路区域の真下にありまして、ジャンボジェット機などを真上に見ながらキャンプやいそ遊び、また釣りなどを楽しめる公園になっております。
この公園の一角に、本当に都内では珍しい、大きなこういうバンクが設置をされておりまして、スケートボード広場という広場だそうでありますけれども、多くの若者たちが、それこそスケートボード、それからローラーブレード、それから、BMXっていうんですかね、車輪の小さい自転車でバーンとはねたりする、そういう道具を持って、お互いに自分たちでルールを決めて、自分たちで時間を融通し合いながら、ダイナミックに、思い切ってこの公園を利用しておる姿を見ました。
今いったようなこうしたスポーツや遊びは、騒音等の問題がありまして、都心部の住宅の密集地、あるいはまち中においての公園では苦情の的となる、そうしたスポーツや遊びであります。海上公園は海の自然にあふれた場所にありますし、また、同時に市街地から離れているために、騒音など近隣住民等への影響が少ない立地上の特徴があると思います。その立地条件を生かした利用要望にこたえていくことは、大事な視点であると私は思います。
そこで、こうした海上公園の特徴を生かした利用について、これまでどう取り組んできたのか、また、今後の取り組みについて伺いたいと思います。
○松岡臨海開発部長 海上公園の特徴を生かした利用のうち、海上公園の豊かな自然を生かした取り組みといたしましては、都内でも海辺の自然や生物に触れ合い、観察することができる体験学習をこれまで実施してまいりました。
具体的には、東京港野鳥公園での野鳥観察会や里山体験イベント、若洲海浜公園では初心者のヨット教室や海釣り施設での釣り教室を実施しております。
また、都民の要望を受け、先生のお話のように、住宅地の中の公園では難しい遊びの場として、城南島海浜公園のスケートボード、葛西海浜公園のスポーツカイトなどの場所を設けております。お台場海浜公園におきましては、だれもが気軽にビーチバレーやビーチサッカーを楽しめるようなエリアを設けております。
また、今後も、東京都に寄せられる都民の声や各公園の地元区を通じたニーズに耳を傾けながら、新しい利用要望に柔軟に対応し、海上公園の立地条件を生かした利用拡大を図ってまいりたいと考えております。
○伊藤(興)委員 海上公園がその立地条件をうまく活用していただきまして、いろいろな要望にこたえてきていただいているということはよくわかりました。
しかし、先ほど申し上げたとおり、まだまだこうした若者や青少年の公園の利用に対して、さまざまな要望を持っているものだと私は思います。そうした若者、また青少年の声がなかなか都立公園に--こうしてほしいという声を届けていく、また、それをキャッチしていくというのは非常に難しいことだというふうに私は思います。
今後は、こうした潜在的な利用要望に対しても、ぜひとも青年たちにもアンテナを張りめぐらせていただきまして、柔軟な対応をお願いしたい。
そしてまた、今後ともこの海上公園が都民にとって魅力的な公園として発展することを期待して、質問を終わります。
○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時七分休憩
午後三時二十六分開議
○小沢委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより中央卸売市場関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○後藤管理部長 去る九月三日の当委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。築地市場業界から提出された、豊洲新市場建設計画の推進についての要望書及び嘆願書についてでございます。
豊洲新市場建設計画推進につきまして、平成二十年五月二十七日に築地市場関係団体から知事あてに要望書が提出され、また、平成二十一年七月二十二日には、築地市場業界有志から知事あてに嘆願書が提出されました。
二ページに要望書、三ページに嘆願書の本文の写しを添付してありますので、ご参照いただきたいと存じます。
四ページをお開き願います。東京魚市場卸協同組合(東卸組合)理事長選挙の経緯と結果についてでございます。
(1)に東卸組合の理事の概要、(2)に理事長選挙の経緯と結果につきまして、理事会開催日順に表にまとめてございます。
五ページをお開き願います。築地市場の現在地再整備と移転に関する経緯等についてでございます。
築地市場の現在地再整備を決定いたしました昭和六十一年一月から、豊洲新市場整備方針を策定いたしました平成二十一年二月までの主な経緯を表にまとめてございます。
六ページをお開き願います。中央卸売市場における市場別業者数の推移(十年間)についてでございます。
過去十年間の水産物部、青果部、食肉部及び花き部の市場別の業者数の推移を表にまとめてございます。
六ページに卸売業者、七ページに仲卸業者、八ページに売買参加者について記載してございますので、ご参照いただきたいと存じます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
○小沢委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○笹本委員 それでは、質問いたします。
市場における食品偽装、あるいは不正品の流通の防止について質問をいたします。
食の安全・安心に関する問題の中で、昨今では毎日のように何かしらの形でマスコミを騒がしているという現状がございます。原産地表示、あるいは小売段階においては品質保持期限の改ざんでありますとか、製造者においては製造日の改ざんなど、偽装問題は大変重大な案件であるというふうに考えるわけでございます。
本年九月に警察庁が発表した、平成二十一年上半期における主な生活経済事犯の検挙状況によると、食品の産地等偽装表示事犯は二十三件、昨年の同時期の九件に比べ、大幅に増加しているということだそうです。
印象としては、もっと件数があるのかなというふうな感じでしたが、しかし、増加率というのは、やはり前年に比べて相当、倍以上にふえているという状況があるわけです。
万一、偽装表示された食品が中央卸売市場を経由して流通する事態に至れば、当該する食品だけではなく、市場の流通そのものに対して、あるいは築地というブランドに傷をつけるということになると思いますし、関係業界や消費者の信用の失墜を招くのは、もうこれは当然であります。
この問題については、過去、前期だと思いますが、当然取り上げられているとは思うわけですが、食品の安心・安全がいわれて久しいわけですが、今こそ卸売市場での偽装表示を絶対に許さないと。もちろん小売でも当然ではございますが、今、市場におけるというところですので、卸売市場ということでお伺いをするわけです。
質問をさせていただきますが、まず初めに、中央卸売市場では、産地偽装食品を流通させないためにどのような取り組みをしているかについてご説明をいただきたいと思います。
○大橋事業部長 都は、平成十七年に中央卸売市場条例を改正いたしまして、産地などの原産地表示について、卸売業者が物品を受領する際の検収の項目とするとともに、卸売業者が出荷者から物品の販売を引き受ける際に締結する受託契約約款に、JAS法、その他法令による表示に適正を欠く物品の販売委託を引き受けないとの事項を定めることを義務づけました。
また、こうした制度面の整備だけではなく、市場内における定期的な取引巡回指導を実施いたしまして、適正な表示を確認しているほか、関係局と連携し、卸売業者、仲卸業者に対してJAS法等に関する講習会を実施するなど、市場業者の原産地表示に対する正しい理解と現場での確認を促しております。
こうした取り組みの一環といたしまして、本年十月二日には、卸売業者、仲卸業者を対象といたしまして、都の食品表示担当職員及び警視庁の表示違反捜査にかかわる現職幹部警察官を講師として招き、産地偽装食品の流通を防ぐための講習会を開催しております。
○笹本委員 いうまでもなく、偽装表示の防止には、事業者が不正表示をしない、許さないという強い意識が一番初めだと思います。
今の答弁では、警視庁を講師に招いて、つい最近でございますが、講習会の例があったということをご紹介いただきましたが、このような取り組みを推進し、万一、偽装表示された食品が市場を流通することがないように、今後も全力を尽くしていただきたいと思います。
知人が築地で働いているんですが、何となく勘で、怪しいものがあったようなときというのは、長年、築地というか、市場にいる人間は勘が働くようなことをちらっと聞いたことがあります。しかし、それをそこで働いている人間が、これはどこでとれただとか、どこ産だとかということを徹底的にその場で追及するようなことにはなかなか至らず流通をしているのかななんていうような印象はありますが、ぜひ、これは先ほどもいいましたが、築地の信頼を大きく落とすことにもなりかねませんので、今後も連携をした中で、徹底してこのようなことが起こらないように努めていただきたいと思います。
ことし、八月ですかね、産地偽装の問題なんですが、ウナギ加工品の産地偽装事件が報道されました。八月です。愛媛の加工業者が製造したウナギのかば焼きについて、愛媛県産と表示があるにもかかわらず、愛媛県産以外のウナギが混入していたため、農林水産省が製造者に対しJAS法に基づく改善命令を行ったが、この件で当該品が築地市場を経由して取引されたというふうに聞きました。
この件については、前期になりますが、昨年の委員会でも取り上げられているようでありますが、逆に、取り上げられたにもかかわらず、また再発をしたということなのかなというふうに思いますが、このウナギの産地偽装について、どのように対応したかについてお伺いをいたします。
○大橋事業部長 都は、本件が確認された段階で、速やかに各市場の水産卸売業者等の市場業者に対しまして、ウナギを初め取り扱う食品の表示確認についての徹底を求める旨の文書指導を行うとともに、水産卸売業者を集めた緊急会議を開催いたしまして、不適正表示された食品が卸売市場を経由して流通することを未然に防ぐため、日常的に取引先との情報交換、卸売業者間での情報交換等の徹底に努めるよう指導いたしました。
また、当該品を取り扱った卸売業者に対しましては、今後の再発防止策の策定と実施を指導し、当該業者は、産地証明の確認の厳格化等を内容とする社内基準や、外部有識者を委員とするコンプライアンス委員会の設置の取り組みを行いました。
その後、築地市場を初め、各市場の水産卸売業者は、食品偽装への対応を初めとした信頼性確保、向上に関する行動規範、適正な表示を行うためのシステム、組織、及び内部通報体制などから成るコンプライアンスに関する体制を整備し、適切な運用を行っております。
○笹本委員 都において、直後に対応しているということは理解をいたしました。
じゃあ、三つ目の質問になりますが、都にあっては、市場を経由したこのような事件が再び起こらないよう、市場流通から不適正表示食品を排除するために全力を尽くしていくべきと考えるわけですが、ご見解をお伺いいたします。
○大橋事業部長 市場流通の中で適正な表示を確保していくためには、行政だけでなく市場業者との連携した取り組みが重要であると考えております。
都では、市場業者とともに、市場で取り扱われる食品の安全確保、表示を含む品質管理の向上を図っていくことを目的として、平成十五年に、都独自の仕組みである安全・品質管理者、SQM制度を導入いたしました。
SQMは、卸売業者、仲卸組合等の市場業者、東京都職員から選任され、所属する組織における食品安全部門の責任者を兼ねております。市場内に不適正表示食品が流通するおそれがある場合、各SQMは、都からの情報提供を受け、速やかに組織内の危機管理手順に従って販売担当者への周知、在庫調査等の対応を行うとともに、必要に応じて自主回収等の措置を実施しております。
また、都が研修会等で提供した情報につきましても、各SQMは、適正な表示を行うためのシステム、組織を通じて周知徹底を図っております。
都といたしましては、卸売業者への検査で原産地等の適正な表示についてチェック、指導しておりますが、今後一層SQMに対する研修を充実し、原産地表示に関する法令知識や情報の提供を行うことで、市場業者の原産地表示に関する正しい理解と日々の業務での確認を促し、市場を流通する食品の適正な表示を確保してまいります。
○笹本委員 ちょっと関連して、最後に質問させていただきたいと思います。
最近の報道で、ちょっと気になった点でございます。水産物の密漁及び密漁品の横流しに関してでございます。
高級食材であるアワビについては、新聞でも大きく報道されたと思います。地元の漁協が海上保安庁や警察と連携して、鋭意犯人検挙に努力しているということでございますが、現行犯逮捕ということで、厳しい実態であるということをお聞きしました。
密漁されたアワビは、最終的にはいろいろな流通経路で現金に換金されてしまうということなんでしょうけれども、昨年の秋に、このうちの一部が築地市場を経由して、密漁者や関係者が逮捕されたというふうに聞いております。この事件をきっかけに、築地市場では卸売業者が出荷者と連携し、密漁アワビを流通させない仕組みをつくったというふうに聞いております。
これについて、経緯をご説明いただきたいと思います。
○大橋事業部長 昨年九月、宮城県内で密漁されたアワビが築地市場内で販売され、現地の密漁犯が逮捕、起訴されるとともに、密漁品と知りながら販売した卸売業者社員が、宮城県漁業調整規則違反として書類送検されるという事件が発覚いたしました。
この事件を大きな契機といたしまして、都水産物卸売業者協会及び築地市場水産卸売業者五社と出荷団体とが協議、検討し、密漁アワビの流通防止を目的といたしまして、本年七月、築地市場水産物部におけるアワビの取扱基準を制定し、八月一日の入荷品から適用を開始いたしました。
本基準は、北海道、青森県、岩手県、宮城県の出荷団体と協力し、卸売業者として定めた自主的規範であり、出荷団体が発行する原産地証明がないアワビは取り扱わない等、四項目から成っております。
都といたしましても、本基準に沿った取引が行われるよう、市場業者等と協力し、この制度の円滑な運用を図ってまいります。
○笹本委員 先ほどもちょっと触れましたが、卸売市場にとっては消費者の信頼が何よりも大切であることはいうまでもありません。盗品を市場ルートで売りさばこうとする反社会的な行為を絶対許すことはできませんし、築地のブランドに傷をつけることになるわけですから、都民の信頼にこたえようとする業界の努力を高く評価したいというふうに感じます。
東京都も、今後、このような取り組みを支援していくとともに、原産地の表示などを含めて、安全で安心な生鮮食料品の流通を確保することをお願いして、質問を終わりたいと思います。
○鈴木(あ)委員 卸売市場は、いうまでもなく、都民の食の安心・安全を守り、安定供給をするための、都民にとって必要欠くべからざる施設であるというふうにいえると思いますし、都民の財産であるというふうにいえると思います。その卸売市場を、私はもっと生きたPRをしていくべきではないかと、そういった視点から、何点か質問と要望をさせていただきたいというふうに思っております。
築地市場については、著しく老朽化、狭隘化が進んでおりまして、卸売市場の役割をきちんと果たしていくためには、豊洲への移転に向けて、しっかりと土壌汚染対策を行った上で建設を進めていただきたい、このように申し上げておきます。
そのためにも、一般の方々、都民や国民に市場に対する理解を深めてもらうことが必要であり、生鮮食料品の円滑な流通を確保するために卸売市場が果たしている役割がいかに重要であるかということを、わかりやすくPRをしていただきたいと思っております。
この点、ホームページやパンフレットなどでPRすることも一つの方法ですが、特に市場の見学については、直接自分の目で市場流通の実態を知ることができるという点において、市場をPRする絶好の機会であり、おざなりにしてはならないと私は考えております。
昨年の事務事業質疑に際しましても、私は最後に意見として、市場に関心を持ち、市場を知る上で、市場を直接訪れる方々がふえていただきたい、これまで市場に関心が薄い都民も気軽に市場を訪れるきっかけとなるように、市場自体を観光資源としてPRすることはできないのかというふうに申し上げました。
この気持ちは今も変わっておりませんが、本日は、このような観点から、築地市場と並ぶ代表的な市場である大田市場における、観光客を含む見学者への対応について幾つか伺ってまいりたいと思います。
まず最初に、大田市場における見学者の実態はどのようなものなのか、昨年市場を訪れた見学者の人数や内訳などを伺いたいと思います。
○横山参事 大田市場におけます申込手続を経た見学者は、平成二十年の資料でございますが、二万六千六百四十名でございました。これは、都の中央市場の見学者総数五万八千八百九十七名の実に約四五%を占めております。
その内訳でございますが、小学生の社会科見学が八千百四十四名で、そのほか、産地や流通業界、それから市場関係者の視察などさまざまでございます。その中には、外国人が三千二百九十九名含まれておりました。
○鈴木(あ)委員 中央卸売市場の見学者総数が五万八千八百九十七名。これが多いのか少ないのか、いろいろな議論があるとは思いますが、もっと見学者がふえていいのではないか、もっともっと中央卸売市場をじかに見てもらいたいと私は考えております。
今の答弁にもあったように、大田市場には、かなりの数のさまざまな見学者が訪れています。大田市場は、特に青果と花きで全国一の施設規模と取扱量を誇り、水産の築地と並ぶ日本の代表的な市場として見学者を引きつけており、市場のPRに大きな役割を果たしているだけではなくて、地域の観光振興という面からも大きな魅力があるといえると思います。
このような大田市場において、都は見学者や観光客への対応をどのようにしてきたのか、その考え方とともにお伺いをしたいと思います。
○横山参事 都といたしましては、開かれた市場という観点から、大田市場に訪れる多くの方々が、市場見学を楽しみながら、市場の役割を理解していただける方がふえていることは望ましいことであると考えております。
ただし、卸売市場は本来、卸売業務を行うことを目的といたしました施設でございまして、現場では大量の生鮮食料品が取引されているため、衛生面での配慮をしなければならないということとともに、場内通路などでは大型車両が頻繁に出入りするため、見学者に対する安全面での対応を十分にとる必要がございます。このため、大田市場では、市場業務の妨げとならず、生鮮食料品の衛生面や見学者の安全にも配慮した専用通路を設けております。
また、市場の役割に対する理解の促進を図るため、競り台など要所には市場活動を解説した説明表示を設けたり、各資料をそろえた展示室や映像ルームを整備し、さらに案内担当を常駐させるなどして、見学者や観光客への対応を図っております。
○鈴木(あ)委員 卸売市場で働いている方々の作業の邪魔にならずに、市場内の衛生や見学者の安全にも配慮してこの市場見学が行われるべきことは、業務施設である卸売市場の機能を維持しながらその魅力を発信するためには大変重要であると思います。
この点、フランスのランジス市場やオランダのアールスメア市場といった海外の市場では、卸売市場を都市の重要な観光資源として積極的に観光客対応を行い、PRをしているという例もあると聞いております。
中央卸売市場の職員の方も、この築地の市場を豊洲に移転するに当たって、こういった海外の市場も視察をして、さまざまな調査研究をしてきているというふうに伺っております。私ども議員としても、この委員としても、こういった海外の市場というものを十分に調査する必要があるのではないか、このように申し上げておきたいというふうに思います。
来る平成二十二年十月には羽田空港の第四滑走路がオープンし、本格的な羽田空港の再国際化がスタートすることとなります。この羽田空港の拡張により、アジアを中心とする外国人見学者の増加も予想されるところであり、さきに述べた海外の例も参考としながらも、より充実した、快適な市場見学の実現を図っていくことが必要であると考えております。
そこで、観光で訪れる人も含め、今までにも増して、より多くの方々に大田市場を見学してもらうために、都はどのような取り組みを考えているのか、見解をお伺いします。
○横山参事 大田市場の見学を通して、より多くの方々に市場の役割に対する理解を深めていただくためには、楽しく市場見学できるよう、環境の整備に力を入れる必要がございます。
そこで、より興味深く見学できるために、展示物や紹介ビデオの充実に努めていくとともに、場内業界とも連携して、市場まつりなどのイベントにおいて、来場した都民に市場の魅力を伝えてまいります。
また、市場のホームページの紹介を充実させるほか、地元区の広報誌やミニコミ誌にもPRしてまいります。
今後増加が予想されます外国人見学者に対しましては、「十年後の東京」にもうたわれているように、外国人旅行者一千万人誘致に向けた取り組みの一環といたしまして、見学者通路における案内板に、従来からの英語のほかに、中国語や韓国語も加え、多言語化を進めてまいります。
○鈴木(あ)委員 この案内板の多言語化というんですか、今もお話のように、英語のほかにも中国語や韓国語というような案内板をふやしていただけるということで、ぜひ進めていただきたいなというふうに思っておるんですが、よく美術館とか博物館とか行くと、音声ガイドというのがありますね。録音テープで、その作品を見ながら、時代的背景とか、いろいろと状況を説明していただける音声ガイド、こういうのがあるんですけれども、市場の見学に当たっても、もしこういった器具が用意されてたら、より現場の雰囲気というものが外国の方は理解できるんじゃないのかなと。まさに日本の文化として理解できるのじゃないかなというふうに思っておりまして、この音声ガイドというものも今後市場見学の中でぜひ検討をしていただきたい、実現をしていただきたいと、このように要望をしておきたいと思います。
現在のこの経済状況における、卸売市場の近代化整備不要論とも私からいわせればいえるような議論を聞くにつけて、本当に情けないなという思いがしております。市場には日本人の文化があります。その文化である卸売市場が、都民にとって必要欠くべからざる施設であるということを認識していただけるよう、市場の活力、息吹というものを見学者に肌で感じてもらえるような、生きたPRをすべきではないかと考えております。
私も、市場の取引、競りの現場を見たことがありますが、大変迫力があって、そこに最もこの市場の魅力と原点があらわれているというふうに思っております。市場関係業者の業務の妨げとならないよう、遠巻きに所定の場所からこの真剣勝負を見ることができるような見学コースがとれないものか、ぜひ工夫をしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
また、羽田空港の再拡張に向けて、地元大田区は、周辺地域の観光企画に力を入れております。将来的には、大田市場周辺の海上公園を中心として、例えばこの場外市場や観光客のための駐車場整備など、周辺の新たな観光施設も、その期待と構想が、民間活力の導入も得て、現在研究をされておりますので、ぜひ都としても応援をしていただきたいと思います。
そして、大田市場はこうした周辺の観光施設とも連携をして、現在の築地市場や豊洲新市場とはまた一味違った特色のある市場として、新たな千客万来の楽しいエリアの中核になることで、みずからの活性化とともに、周辺地域の発展にも寄与してもらいたいな、こういうふうに考えております。
以上、期待を込めて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○伊藤(興)委員 それでは、私からも、東京都中央卸売市場事業概要に関連して、質問を幾つかさせていただきたいと思います。
初めに、事業概要の、中央卸売市場の沿革「東京都における市場のはじまり」を読ませていただきまして、生鮮食料品の市場の歴史というのは、徳川家康が江戸幕府を開いた慶長八年、一六〇三年前後までさかのぼるということでございました。改めて、江戸から東京の四百年以上にわたる、歴史と食文化を後世につなげていく重要な市場について、新市場の整備も含めて、本委員会で議論できることに、私は誇りを感じながら、きょう質問させていただく次第でございます。
築地市場は、もともと日本橋魚市場や京橋の青物市場などをその起源としておりますけれども、その歴史もまた、江戸時代から連綿として続いてまいりました。
現在の築地の地へと移ったきっかけは、もう皆様ご案内のとおり、大正十二年に発生した関東大震災でありました。この震災によって、日本橋魚市場は全焼してしまいまして、昭和十年に現在の築地市場が開場するまでの間、バラック店舗での営業や、海軍省の土地への移転などを余儀なくされまして、十年以上の長きにわたって、市場取引は大きな混乱を強いられたといわれております。
(パネルを示す)局からいただきました、この写真をパネルに張ってまいりましたけれども、これが日本橋にあったときの魚市場でありまして、関東大震災で壊滅的に全焼し、そして崩れ落ちているという様子がよくわかるわけですけれども(発言する者あり)ちょっと後でもう一枚使うので、ごめんなさい、節約して裏表でつくってあるものですから。この日本橋から築地に移った市場も、開場してから七十四年が経過をしておりまして、施設の老朽化は著しく、既に多くの建物が耐用年数を大幅に超えております。
先月の三十日にインドネシアのスマトラ沖で発生した、マグニチュード七・六の地震から一週間がたちますけれども、その悲惨な状況が連日放送されている中、東京においては、いつか必ず来る大地震に備えたインフラの耐震化が急がれております。築地市場がこのままの状況に置かれ続け、再び大地震に襲われれば、市場取引に多くの混乱が生じるだけでなく、市場で働く人や買い出しに来ている人たちも含めて、多くの人命に被害が及び、生鮮食料品の供給が長期にわたって停滞することは避けられないものと思います。
パネルのように、このようになってから、さあ、次、どこを探そうかと、こういっていたんでは遅いということを私は皆様に訴えさせていただきたい、そんな思いでございます。
そのような事態が起こらないようにするためにも、早急に施設をつくり直して、抜本的な対策を行うことが必要ですが、現在地での再整備は、かつて断念せざるを得なかったように、現在も極めて困難であり、現実的ではないことは明らかであります。そのことからも、十分な震災対策が図られた新市場への一刻も早い移転が必要であり、私は、このような視点から、何点か質問をさせていただきたいと思います。
まず、早速ですけども、老朽化が進む築地市場の耐震性は、現状、どのようになっているのか、伺いたいと思います。
○大橋事業部長 都では、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、これまで都有施設で千平米以上かつ三階建て以上の建物を対象に耐震診断を行ってまいりました。
建築物の耐震性能は、Is値という指標で示されており、Is値が〇・六を上回ることを耐震基準としております。
築地市場では、診断対象施設は十五棟で、診断の結果、耐震改修工事が必要な建物は十棟でありました。
耐震改修を必要とする十棟につきましては、設計及び工事に先立って業界調整を行い、市場業務に支障のない補強設計、工事方法及び工事時期を選択し、業界の了承のもとに工事を進めてまいりました。
その結果、これまでに六棟の補強工事を行い、そのうち三棟については耐震基準を満たすことができましたが、残りの三棟については、耐震性能は向上したものの、耐震基準を満たすには至りませんでした。また、一棟につきましては、今年度に補強工事を実施することとしております。
残りの他の三棟につきましては、補強工事を実施すると、市場業者の仮施設への移転を伴ったり、卸売場が壁で分断されてしまうなど、営業に深刻な影響を及ぼすことから、補強工事を実施できない状況にあります。
○伊藤(興)委員 ご答弁いただいた中にも、これまでも十分にこういう補強等をできるところはもう限界までやってきたということでありましたけれども、老朽化がもう限界に来ておりまして、耐震性にも問題を抱えていることが具体的によくわかりました。
また、さらに、本日は、都議会公明党、高倉理事を先頭に、公明党の一期生議員が、きょうは台風直撃の中、朝五時に市場を現地視察させていただいてまいりました。もちろん、この耐震性等の課題も見させていただきました。それから、狭隘、さまざま老朽といったところも見させていただいたのと同時に、台風直撃の中でございましたので、市場関係者の中から、雨漏りについても非常に厳しい課題がある、こういう課題も伺ってきたところでございます。
こうした状況で、仮に築地市場の現在地再整備を行った場合に、工事期間がただでさえ二十年という長きにわたるというふうにいわれておるわけでありますので、この間に関東大震災級の地震が発生した場合、築地市場はどのような状況になってしまうのか、伺いたいと思います。
○大橋事業部長 築地市場では、耐震改修が必要な建物につきましては、これまでに市場業者の営業に深刻な影響のない範囲で、できる限りの補強工事を行ってきておりますが、残念ながら、すべての建物が耐震基準を満たす状況となっておりません。
また、耐震診断の対象外の建物は、約百二十棟程度あり、大半が築三十年以上であり、老朽化が進んでおります。
現在地再整備を行う場合、工事は二十年以上の長きにわたるため、この間に大地震が発生した場合には、耐震基準を満たしていない建物は大きな被害を受ける危険性があり、耐震診断の対象外の老朽化した建物も被害を受けることが懸念されます。
なお、先ほど、けさ築地市場をご視察になったというお話でございますが、漏水対策、時々あるんでございますけれども、これについては早急に対応するということにしております。
○伊藤(興)委員 築地市場の状況はよくわかりました。
(パネルを示す)今のご答弁を、簡単にちょっとパネルにまとめさせていただきますと、つまり、これ、築地市場の平面図でありますけれども、耐震診断の対象に含まれて、耐震診断して、しっかりと基準を満たさなきゃいけないといわれているんだけれども、運営上の問題で、まだそこができないと。
ところが、このピンクでございます。恐ろしいのは、この仲卸業者の売り場、仲卸のさまざまな業者がだあっと細かく並んでいる、あそこの屋根の部分が一斉にピンクになっているわけです。
また、緑の部分は、耐震診断の対象外ではあるけれども、三十年以上も経過した施設であるということで、この状態で、例えば首都直下型地震等が発生すれば、私たちの食の台所、市場は、本当に冗談ではなく、先ほど申し上げたような、こういう状況になってから、さあ、次をどこにしましょうかといっても、もう間に合わないということを私は申し上げたいというふうに思っております。
これまでも修理や補強などを行ってきているのでありましょうけれども、私自身もこの市場を視察したときには、柱に亀裂も入っておりました。さびた鉄骨もありました。また、コンクリートが落ちて、落ちたところに鉄骨が見えているようなところもありましたし、本当にこれで大丈夫なのかということを感じたのも事実であります。狭く混雑する売り場で、営業を行いながら工事を行うことの困難さは十分に理解できるところであります。
そのため、かつて取り組んだ現在地での再整備の工事も、本体工事に着手する前に断念せざるを得なかったということはよくわかります。しかし、再整備から移転整備に方向転換してから既に十年になろうとしております。施設の老朽化はますます進むばかりで、補修したものも古くなって、既に劣化が始まっているのも事実であります。
特に、私も心配しているのはアスベストでございますけれども、このアスベストについては、その後さらに厳重かつ慎重な取り扱いが求められるようになってきておりまして、十分な対策を行う必要があると思います。築地市場のアスベストは、これまでの対策工事で一定の安全性は確保されていると思いますけれども、大規模な地震などの災害が発生した場合に、これらのアスベストは方々へ飛散して、市場内外に大きな影響を与えることと思います。現状、築地にはどれだけのアスベストが残っているのか、また、今後どう対応していくのか、伺いたいと思います。
○大橋事業部長 築地市場のアスベストにつきましては、都有施設について、昭和六十三年以降、全庁的な方針に基づき、吹きつけアスベストや、アスベスト含有建材が室内外に直接露出しているものを対象に調査を行い、含有が確認されたものについては、全庁的な処理方針に基づき、除去工事等の対策を実施してまいりました。
全庁的方針により早急な対応が必要とされない、飛散せず、状況が安定しているアスベストについては、水産物部立体駐車場などで確認されており、使用面積は少なくとも二万三千平米に及びます。
このほか、平成十八年にアスベスト製品が全面製造禁止になるまでに製造されたスレート板にはアスベストが存在しており、水産旧仲卸売り場の屋根材として、このスレート板が使われております。使用面積は、少なくとも一万三千平米に及びます。
さらに、天井の内部などに封じ込められた吹きつけアスベストにつきましては、サンプル調査でもその存在が確認されていること、建設当時には幅広くアスベストが使用されていたことから、水産物部本館等に広く使用されていると考えられます。
現在、築地市場に残っているアスベストは、人が出入りすることが少なく、状況が安定しているものや、飛散しないスレート板及び天井の内部などに封じ込められた状態のものなどで、豊洲移転時に撤去することを予定しております。
○伊藤(興)委員 先ほど冒頭でも申し上げましたけれども、築地市場は、関東大震災で焼失した日本橋や京橋の市場の移転先として建設されたわけでありますけれども、近い将来発生するといわれている関東大震災規模の海溝型地震や、発生の予測が難しいといわれております、活断層による阪神・淡路大震災の例もあるように、きょうあすにも起こるかもしれない地震に備えて、被害を未然に防いでいくためにも、対策を講じなければいけないと私は思います。
しかし、先ほどのご答弁のように、対策を講じるには営業への支障が避けられず、十分な耐震性を確保することができないことが明らかなことからも、新市場への移転により、根本的に解決することが急がれるのではないかと私は考えます。
そこで、新市場の耐震対策についてでありますけれども、首都圏の基幹市場となる新市場では、直下型地震など災害時においても都民の食生活を支えるために、その機能を維持していく必要があると考えますけれども、そのためにどのような対策が現時点で考えられているのか、伺いたいと思います。
○砂川参事 中央卸売市場は、東京都震災対策条例により、防災上重要な公共建築物に位置づけられており、今後新たに整備する豊洲新市場では、生鮮食料品を安定的に供給するという使命を十分に果たすことができるよう、より耐震性にすぐれた施設とすることを計画しております。
具体的には、建物につきましては、働く人々の生命の安全と、市場としての機能を確実に確保するため、関東大震災級の大規模地震に対しましても、柱やはりなどの構造体に大きな支障が生じないよう、耐震性能を備えた強度の高い建築物といたします。
また、災害により停電が発生したといたしましても、一般的に必要とされている避難に必要な照明や防災センターの機能の確保など、非常用の発電設備を設けるだけではなく、卸、仲卸売り場などの照明や冷蔵庫への電源供給をする設備を設けまして、市場としての機能を確保し、都民の食生活を支えてまいります。
建物の耐震性に加えまして、場内通路や駐車場部などの地盤につきましては、震災時に地盤が緩み、地下水や液状化した砂が地上に噴出することがないよう、液状化対策を講じます。
砂質土層が厚い六街区及び七街区は、地盤中に砂ぐいを打設することにより地盤を締め固める工法を採用いたします。砂質土層が薄く、表層にある五街区では、固化材を用いまして、地盤を格子状に締め固める工法を採用いたします。これらは、阪神・淡路大震災におきましても、実績が確認された工法でございます。
このような対策によりまして、大規模地震など災害時におきましても、市場の機能を維持していくことができます。
○伊藤(興)委員 ありがとうございます。これまで、主に震災時等におけるハード面での質問をさせていただきましたけれども、次に、安心という点では、生鮮食料品が安定的に供給されることに加えて、食の安全・安心の観点から、生鮮食料品が衛生的な環境で取り扱われ、新鮮なまま食卓に届けられる必要があると思います。そのためには、保冷用の施設や給排水施設が整って、清掃しやすい施設構造であることが望ましく、また、商品の取り扱いも含めて、施設の機能が発揮できるように運用されることが重要であると考えます。
築地市場は、老朽、狭隘で、さまざまな点で課題を抱えていると思いますけれども、築地市場におけるハード面から見た衛生管理の課題と、それを補うソフト面での取り組みについて伺いたいと思います。
○大橋事業部長 近年、卸売市場に対する食の安全・安心の確保が強く求められていますが、築地市場は、施設自体の老朽化に加えまして、施設構造が柱と天井のみの開放型であることにより、衛生管理上の課題を抱えております。
具体的には、開放型施設では、食品が外気温やほこりなどの影響を受けやすく、衛生管理や取り扱う食品の特性に応じた温度管理等の品質管理が困難であり、卸売り場の一部低温化等を行っているものの、生産者と消費者との間のコールドチェーンを十分確保することができないことであります。
こうした施設面での課題をカバーし、現在の築地市場においても、安全・安心な生鮮食料品の流通を確保するため、都は、市場業者と連携し、さまざまな衛生対策の取り組みを行っております。
まず、都は市場業者に、みずからの施設で取り扱う食品の品質管理の方法について、例えば、施設の清潔保持の方法や氷を使用した温度管理などを具体的に届け出させるとともに、各業者が品質管理責任者を設置し、これらが着実に実施されるよう取り組んでおります。
さらに、平成十九年度から、市場業者の自主的衛生管理を推進するため、日々の業務を行うに当たって、取り扱う食品ごとの温度管理や保管陳列方法などをまとめた作業手順書として品質管理マニュアルを作成し、これをもとに毎日の作業を行うことを促しております。
○伊藤(興)委員 築地市場におきましては、ハード面での課題を補うために、市場業者の方々と一体となって、ぎりぎりまで本当に努力を積み重ねてきていただいている。そして、衛生管理や品質保持に努めていただいていることは、大いに評価するところであります。
しかし、この先のことも考えて、幾らソフト面での取り組みを行っても、対応には限界があると思います。施設などハードについての対策を行わなければ、顧客や消費者からの、より安全で品質の高い食料品へのニーズに対応することができず、産直など市場外流通が拡大する中、築地市場はさらに取扱数量が減少していき、市場そのものが廃れてしまうおそれもあると思います。
そのような状況になる前に、新市場へ移転し、抜本的な施設整備を行うことで、食の安全・安心という卸売市場の基本的な使命を果たし続けていく必要があると思います。
新市場では、食の安全・安心を確保するため、市場施設を閉鎖型で整備することを初め、さまざまな取り組みが行われると聞いております。今まで難しかったことも、新しい市場だからこそできるようなものも多いと思いますけれども、新市場では、品質管理や衛生管理について、どのような対応をしていくのか、現時点、考えているのか、伺いたいと思います。
○砂川参事 今日、食の安全・安心への関心の高まりを背景といたしまして、産地や顧客から、より高いレベルでの品質衛生管理が求められておりまして、これからの基幹市場となる新市場におきましては、これらのニーズに対応していく必要がございます。
豊洲新市場では、卸売り場や仲卸売り場などを閉鎖型といたしまして、バースを介した荷の搬出入により、外気温やほこり、排気ガス等の影響を遮断するとともに、売り場全体を温度管理し、商品特性に応じた低温エリアを設けるなど、きめ細かな対応を図ることにより、高度な品質管理を行ってまいります。
さらに、消費者がそのまま口にする食材を加工するスペースなどは、特に清潔レベルを高めるなど、施設の使用目的に応じた区画管理を徹底いたしまして、衛生管理の強化を図ってまいります。
加えて、現在築地市場で行っている運営面での衛生管理の取り組みを引き継ぐとともに、新しい施設が十分に機能を発揮できるよう、意識改革も含めまして、具体的な運用を図るルールづくりについて、業界と協議を行ってまいります。
このようなハード、ソフト両面にわたります取り組みによりまして、品質管理の高度化や衛生管理の徹底を図り、食の安心・安全を確保してまいります。
○伊藤(興)委員 築地市場は、これまで都民の台所として食生活を支える役割を果たしてきましたけれども、今後、新市場に移転することで、震災時においても食料品を安定的に供給するとともに、高度な品質管理や衛生管理を実現するものと期待をしているところでございます。
さて、これまでに、築地市場における地震対策、アスベスト、また衛生管理等々、さまざまな都民の安全・安心の観点から質問をさせていただきましたけれども、築地市場に限らず、他の市場においても、さまざまな問題を抱えながら、それぞれの地域で欠かせない役割を果たしていると思います。
そこで、最後に、築地市場以外の市場も含めて、今後も卸売市場が生鮮食料品を安定的に供給する役割を果たしていくべきと考えますけれども、市場長の見解を伺いたいと思います。
○岡田中央卸売市場長 都の中央卸売市場は、これまで半世紀以上の歴史の中で、都民の食生活を支える上で欠かすことのできない基礎的インフラとして、生鮮食料品を安定的に消費者に供給する役割を果たしてまいりました。
近年、市場を取り巻く流通環境は大きく変化しており、生鮮食料品を安定的に供給する市場の役割を今後とも果たしていくためには、特に、食の安全・安心に対する時代の要請や、生産者、消費者のニーズに的確にこたえていくことが重要でございます。
現在、都は、基幹市場であります豊洲新市場や大田市場におきまして、近年の流通実態の変化を踏まえました、大規模な新しい施設整備に取り組んでおりますが、他の市場におきましても、老朽、狭隘化した施設を維持改善するだけでなく、品質管理の高度化や物流の効率化といった喫緊の課題への対応を一層進めていく必要がございます。
都といたしましては、来年度から策定作業を始めます第九次卸売市場整備計画に、具体的対応策として反映させていきたいと考えております。
○伊藤(興)委員 冒頭も申し上げました、この市場の歴史、江戸から東京へと四百年以上の歴史を持つ中で、食の安全・安心を守り、そして歴史を築いてきたこの市場を、今後も次世代へと、そして後世へと引き継いでいく重要な分岐点が、私はまさしく今であると、このように思います。これは築地市場だけでなく、ほかの市場も含めて、市場全体の、その中の新しい市場という観点からも、この経済・港湾委員会で審議を深めていくことの重要性は改めて感じるところでございます。
この市場についての特別委員会の設置が決まったわけでございますけれども、今後もこの本委員会で、さまざまな角度から、二十一世紀にふさわしい市場の発展について審議できることを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○清水委員 先ほど休憩中に控室に戻りましたら、新聞報道がありましたので、まず、その新聞報道を確認したいというふうに思います。
土壌サンプルを廃棄しないよう求めた訴訟の第一回口頭弁論が昨日行われたというふうに報道されております。この中で、都側の答弁書で、土壌サンプルの四カ所分を廃棄したことを明らかにしたと報道されておりますが、これは事実でしょうか、お伺いいたします。
○野口新市場担当部長 報道がございました四カ所分の土壌コアサンプルにつきましては、都市整備局が行った調査に係るものでございまして、提訴された本年八月十一日の前に、これは廃棄をしたものということを確認してございます。
なお、詳細につきましては、係争中でございますから、答えは控えさせていただきたいと思います。
○清水委員 そうすると、前回の委員会で、裁判中であるから当分保全をすると、私ではない他の委員の質問に答弁されたと思うんですけれども、それは、この部分が含まれていないということですか。
○野口新市場担当部長 前回ご答弁をさせていただきまして、その際に、今回係争中でございますので、私どもの方で、十月三十日が契約の私どもの方の履行という形で、その中で一定期間、それについては保管をしていく、そういうようなことを答弁させていただきました。
今回につきましては、提訴されました本年八月十一日の前に廃棄したということを、それは整備局の方からこれを確認したものでございまして、詳細につきましては、これはまだ係争中でございますから、答えは控えさせていただきたいと思います。
○清水委員 都市整備局のものであっても、提訴された以前のものであっても、この要求している土壌サンプルのものの中に、これは含まれるものですよね。確認します。
○野口新市場担当部長 お話があった中身につきましては、内容については、全体が対象としては含まれておるものと理解しております。
○清水委員 都市整備局が持っていたものというのは、その四カ所分のほかにどの程度あるんですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 都市整備局と汚染状況の全体の調査は協力してやってまいりました。都市整備局からは、その四本だけだと、そういうふうに聞いております。
都市整備局の方は、調査地点としてはその四カ所、そこだけのコアというふうに聞いております。
ただいま、ちょっと確認を、具体的な数字を確認しております。
ただいま、具体的な本数のご質問、箇所のご質問なので、作業自体は都市整備局がやっておりますので、その辺は確認をさせて、後ほど答えさせていただきたいと思います。
○清水委員 なぜ聞いたかというと、例えば四本以上の調査をやっていって、その四本を、提訴以前であってもなくても廃棄したと。もし四本以上であったら、四本、何で廃棄したのかなということもありますし、四本しか調査してない部分を四本廃棄したということであれば、ほかの理由があったのかなということも考えるわけです。それで伺ったわけなんですね。
それで、今、都市整備局のサンプルも含めて、この提訴には含まれていると、対象に含まれているということであるならば、私はこれを戻すべきだと思うんですが、廃棄先というのはどこなんですか。
○宮良新市場建設調整担当部長 コアサンプルの処理につきましては、都市整備局がやられましたので、都市整備局に確認をいたします。
○清水委員 私も、この土壌サンプルを提訴されたというお話を市民の会の方から伺ったときに、直ちにそちらの方に、提訴があったんだから、これは保全をしておくようにという申し入れを行いました。それ以前だということなんですけれども、やはりこの提訴の中身には、なぜこれが保全されていなきゃいけないのかと、なぜこれが必要なのかということについては、前回の別の土壌サンプルの百十七条の問題で私は質問をして、こういうこともあるんだと、土壌サンプルの中身はこういうことがあるんだということでお示ししたわけなんですけれども、私は、こうした提訴に対して、そういう立場だったらやはり信頼されないと思うんですよ。ですから、私は、都市整備局に対して、これをきちんと戻すこと、戻させることを要求していきたいというふうに思います。
ここの中では、やはりこのサンプルが重要なんだということで提訴の内容になっているかと思うんです。提訴の文というのは、その文というのは皆さんも読まれたと思うんですけれども、なぜ必要なのかと。前回の私の百十七条の調査のときにも、その必要性を訴えたところです。直ちに私は戻す必要があるということで要望しておきたいと思います。
都は、これまで新市場建設に理解を得るんだということで、市場業者、都民に積極的に説明会を開催するということで、立派なパンフレットなども作成して配布してまいりました。しかし、その後行われた選挙の世論調査では、前回も申し上げましたが、豊洲移転反対が五七%、今度の都議選、総選挙でも、移転反対の議員が多数を占めて、やはりこの審判を受けとめるべきだということは、代表質問でも、前回でも、私は申し述べたところです。
改めて、この都民の審判の結果をきちんと受けとめて移転を中止すべきと考えて前回も主張したわけですけれども、この審判をどのように受けとめているのかということを伺いたいと思います。
○岡田中央卸売市場長 都議選後に開催されました第三回定例会で、知事が既にご答弁申し上げましたとおり、築地市場は老朽化、狭隘化が深刻で、災害時における耐震性やアスベストの問題など、安全性の問題からも一刻も早い豊洲地区への移転が必要であると考えてございます。
新市場予定地の土壌汚染につきましては、各分野で最高権威の学者の方々で構成されます技術会議が取りまとめました信頼性の高い対策を講じることにより、もはや安全性に不安はございません。今後の流通環境の変化などを見据え、豊洲新市場を新たな機能を備えた基幹市場として発展させていくことが何よりも必要であると考えてございます。
都は、技術会議の提言に基づく万全な土壌汚染対策を確実に実施することで、安全性に揺るぎのない豊洲新市場の整備を進め、平成二十六年十二月の開場を目指してまいります。
○清水委員 これまで長い間の経過があるんですけれども、その時々に私たちは指摘をしてまいりました。前回も申し上げましたけれども、汚染調査というのは不十分です。専門家からは、都のデータでは安全性は保障できないと指摘を受けております。技術会議の対策、これをやればいいんだといわれますけれども、私たちもこの対策が出されたときに出しましたけれども、経費の削減、工期の短縮を優先し、食の安全の確保を二の次にするものでした。欠陥対策で移転を強行しようとしております。
しかも、東京都は豊洲市場に、汚染対策も含め莫大な事業費をかけるといいますが、それで食の安全が確保されるわけではありませんし、消費者の皆さんは、やはりこの対策で安全が確保できるというふうには皆さん思っていないから、今度の世論調査でもこういう結果が出たんだというふうに思います。
私は、この点については、第三回定例会でも、最新の土壌汚染調査結果を受けて質疑を行ってまいりました。きょうは一、二点ですけど、市場機能について伺います。
計画では、先ほどもるる説明がありましたけれども、量販店や外食産業の利用に重点が置かれているのではないですかと思いますが、どうですか。
○野口新市場担当部長 豊洲新市場が、将来にわたりまして都民の食生活を支える基幹市場としての役割を果たすためには、食の安全・安心の確保や流通コストの削減、さらに、近年、食生活の変化に伴う加工の需要、そういったものがございます。そういった時代のニーズに的確に対応していくことが不可欠であると考えております。
このため、売り場全体を温度管理のできる閉鎖型施設として品質衛生管理の徹底を図るとともに、十分な駐車場や荷さばきスペース等の整備により、荷の搬入から搬出に至る物流効率化を目指してまいります。
さらに、新たな顧客ニーズに対応いたします加工パッケージ施設などを整備し、市場機能を強化していくこととしております。
こうした施設整備につきましては、中小の小売店、飲食店から大規模な量販店、そして外食産業まで、あらゆる顧客のニーズを満たし、市場の競争力を高めていくため、必要なものでございます。
○清水委員 今ご説明ありましたが、この豊洲新市場計画は、チェーン展開を進めている量販店、外食産業などが求める商品提供機能を、より低コストで提供できる物流システムとなっています。第三者販売など、規制緩和を最大限活用した物流に対応することを目指しています。
二十四時間対応型で、必要なだけ、最高の品質で荷を提供できるシステム、新設が予定されている転送センター、荷さばき所、加工包装施設などは、産地から市場を通して、店舗網までの一貫したシステムを確立するための施設となっています。仲卸場の多くはこのシステムに組み込まれ、独自性が失われるか、システムからの排除が迫られる可能性が高いといわれています。
さらに、量販店、外食産業のチェーン展開は、駅前を初め地域で頑張っている生鮮食品の小売商、すし屋さん、料理店などの営業を困難にし、廃業を余儀なくされます。しかし、築地市場は、多数の売買参加者と買い出し人が参加し、多数の小売業者にとっては欠かすことのできない商材の仕入れ場所です。多数の小売業者のために必要な商材の品質評価と購入、調製加工、小分け、配送している仲卸商が多数存在しています。築地の廃止と効率優先の豊洲新市場移転は、単に仲卸商の転廃業だけでなく、小売商、すし店、料理店など、多数の業者の経営破綻に拍車をかけることにもなります。
PFIの方式も採用するとしています。建設が終わり、都に施設の所有権は移転しても、その後も十五年間は卸売市場の維持管理、運営は民間会社が行うことになります。都は、単に豊洲市場に収容された関係業者からの地代や家賃を集める家主となります。当然、これまで卸売市場の管理、運営に携わってきた都職員の大幅削減となることが予想されます。
それに伴い、公的管理も後退し、中央卸売市場が果たしてきた差別的取り扱いや受託拒否の禁止、生鮮食料品の需給調整と価格形成、商品の安全管理などの公的管理機能が失われる可能性が強いものです。
首都圏のハブ市場をつくるということで、周辺の中央卸売市場、地方卸売市場は、ここからの転送依存か、それもできなければ統廃合という、卸売再編政策のあり方も問題です。豊洲新市場が取扱量を維持できたとしても、都内だけでなく、横浜、川崎、千葉、船橋などにある中央卸売市場は、水産物の一部が一層減少し、再編基準に該当するとして、地方卸売市場への転換など、再編を余儀なくされる可能性が高くなっています。
築地市場だけが豊洲に移転して生き延びればよいということではないと思います。現に存在している卸売市場がそれぞれの個性を生かして、相互にバランスのとれた発展を可能とするような卸売市場政策への転換が必要です。それは、豊洲であれ、築地であれ、私はこういう卸売市場政策を進めるべきだというふうに考えています。
都は、ほかの新しい市場、新しくできて運営している市場、そういう運営状況なども確認をした上で、今のような豊洲の市場を進めようという考えでおられるのかどうか、お伺いいたします。
○野口新市場担当部長 今お話がありましたけれども、流通環境の変化というものは、今やはり劇的に変わってございます。
一つは、例えば私どもが買う果実、野菜、そして魚、そういったものは、カットされて、スーパー等で、店頭で買われています。
なおかつ、平成十六年の消費者の購買調査、これは農水省の方と、そしてまた東京都の方でも行っておりますけれども、その際に、どこで買い物をされるかといった場合に、七割がやはり量販店が多い。そして、小売店は、そういった中で激減しておりますけれども、大体二〇%弱というようなことになってございます。
そういった流通環境の変化の中で、そして、これから豊洲新市場の中で、築地市場が今、対応ができないというものが、やはり老朽化、狭隘化をしていて、加工の施設、また、パッケージを行う場所、そして、さまざまなそういった量販店を含めた小売店の対応にしていくための荷さばきのスペース、そういったものをきちっと整備をしないと、これからの市場というのは生き残っていけない、そういった時代にもはや来ております。
そういった意味から、豊洲新市場におきましては、品質管理の高度化、これも温度帯をきめ細かく行って鮮度維持を行う、そういった食の安全・安心という部分を兼ねております。そして、それ以外にも、小口店、そして量販店、そういったものの対応ができる荷さばきスペース、そういうものを別途設けて、入荷から出荷までの効率化を図る、そういったことを考えてございます。
委員がおっしゃるように、豊洲新市場というのは、先ほど申し上げましたけれども、あらゆる中小から量販店まで、そういった顧客サービスの向上につながる、最終的には都民の食生活を支えるということになりますけれども、そういったことを目指して整備をしていく、そういった考えでございます。
○清水委員 そもそも、国の第八次の卸売市場の考え方というのは、今私がるるお話ししたような内容になっているんですよ。だから、東京都がそれに沿ってやっていったら、そういう方向になってしまうのは明らかだと思いますし、新しい市場とか、そういうほかの全国の市場を見てつくってるんですかという質問にはお答えいただいておりません。
私も全国の市場の状況も聞いたり、それから自分の目で見た中で、新しい市場の施設や、それから流通施設なんかつくっても、十分に成功をしているところだけじゃないというふうに認識をしています。採算も十分にとれていないというようなところも近県で聞いています。そういう状況をきちんと把握して、施設整備は慎重に行われなければならないというふうに思います。
私たちは、第三回定例会で、築地市場の現在地再整備は技術的にも可能なんだといって、そういう提案をしたわけですよ。やはり先ほどいろんな委員などがお話しされてますけれども、私も今のままでは大変困難なことがあるというふうに考えています。現在地再整備というのは、今の世論の流れだというふうに思います。現在地再整備の技術を公募するなどしたらどうですか。公募するとかね。
来年度予算の計上は行わず、今年度予算は凍結することを求めて、質問を終わります。
○宮良新市場建設調整担当部長 先ほど、土壌サンプルの廃棄に関してご質問がありました。
敷地全面にわたる十メートルメッシュの調査で、表層の土壌、地下水を調査しましたが、そのときに、土壌で環境基準以上、地下水で十倍以上出た箇所、四百四十一カ所で絞り込み調査、深さ方向に土壌サンプルをとりました。
それで、今お話ししましたように、四百四十一カ所でございまして、都市整備局と連携して調査をしました。四百四十一カ所のうち、十一カ所が都市整備局、四百三十カ所が私ども市場でやりました。
これに対しまして、今回の訴状は、絞り込みの調査地点四百三十八カ所と目録でなっています。この差、全体の差がありまして、この訴状の目録にあります四百三十八カ所のうち、都市整備局が該当するのは四カ所でございます。
都市整備局がとったコアについては、今、前段でお話ししました十一カ所なんですが、それ全部、コアは廃棄したと、そういうふうに都市整備局から聞いております。
○田中委員 私は市場でも大田市場の件についての話をさせていただきたい、質問をさせていただきたいと思います。
現在大田市場の方で市場を利用されている業者の方から、この近年、特に場内が混雑しているということの話をお聞きをしました。先週、私も現場を見に行こうということで、夜中に大田市場に行ってまいりました。
最初は、大田市場で、市場というか、横のコンテナ場から荷物を積んで、府中の方の市場にまず荷をおろして、半分ほどおろして、ここでは大変スムーズにおろせたわけでありますが、そこから大田市場にもう一度戻ってきました。
戻ってきた時間が、夜の十二時半に到着をしました。そして、市場で荷物がおろせたのは二時でありました。一時間半、ずっと中にも入れないで、門の外で待つような状態でありました。これは大変に荷物やトラックが道路まであふれておりまして、混雑しておりまして、そのような現状であります。
そこで、きょうは大田市場の物流改善という視点から幾つか質問をしたいと思います。
まず初めに、大田市場のこのような現状、混雑がなぜ起きているのか、その原因からお聞きをいたします。
○横山参事 大田市場では、前日から夜中にかけて産地から荷が場内に搬入されまして、それを早朝に取引が行われた後、午前中に場外に搬出されるということで、産地から運んでくるのと、買ったものを運び出すのが別々の時間に行われておりました。
しかし、その後、流通環境が変化することによりまして、主に量販店向けの配送が、午前中の量販店の営業時間に間に合うように、夜中から搬出車両が場内に、要するに運び出す車両が場内に出入りするようになってしまったために、荷を搬入する産地の車両と、それから量販店向けの搬出車両が入場している時間帯がほとんど重なるような形になってしまいました。
そうしたこともありまして、量販店へ配送を行う車両は、大量の荷を効率的に輸送するためにまた大型化している、そういう状況がございます。それで、従来の荷積み場は、屋根が実は低くて、そういう大型車が入りづらい。その結果、周回道路等において作業せざるを得ないと、そういった状況も出ております。
そういうことに加えまして、実は現在、場内でこういったことに対応するための物流改善工事を行っておりまして、そのための工事区域を大きく設定するのですが、一時的でございますけれども、場内混乱が一層増しているという状況がございます。
○田中委員 工事で一時的ということをお聞きをしたのですが、本当にそうなのかということで、ちょっと私がその現場を見た感じでの話を質問させていただきたいと思います。
実際に一時間の間、時間があったので市場の中を歩いてみますと、周回道路の方に大変に、また一般の駐車場の方に輸送業者のトラックが多く停車をしておりました。特に三、四社の大きな業者が十台、二十台、もっと大きな数をとめておったんですが、これはどのような車両なのか。また、中には人が乗ってないようなトラックや車両もたくさんありました。この長時間の停車の理由をお聞かせください。
○横山参事 今お話がございました、このトラックの多くは、市場の関連事業者として許可を受けております輸送業者が所有している車でございます。これらは、大田市場での取引の大半を占める仲卸業者が荷の搬送をするために委託している車両でございます。
それで、こうした大田市場の仲卸業者は量販店との取引が多く、その際、店舗ごとに定められた時間までに配送することが求められております。また、量販店向けの大型車は、従来の積み込み場の屋根が、先ほどいいましたように低くて入りにくいために、周回道路上で作業せざるを得ないというような車もございます。さらに、その積み込み場が現実は買い出し人の専用とされていることからも、搬送する荷がすべてそろうまでの間、周回道路において待機する車もあるという状況もございます。
こうしたことから、多くの輸送業者のトラックが周回道路において停車せざるを得ないと、そういった状況になってございます。
○田中委員 周回の道路にとまっているのと、もう一つ、また、トラックで搬入された荷物が卸売の場所におろされることなく、別のトラックに積み込まれているんですね。つまり、道路の上で荷物の積みおろしをトラックごとでしているという状況も見受けられました。
卸売のこの市場の役割というのは、出荷者が卸売の市場に荷物を運んで、その中で取引がされて搬出されているのが基本であるとは思っておりますが、このような現状はなぜ生じているのか、お聞きをします。
○横山参事 最近の生鮮食料品の流通におきましては、出荷者が物流の効率化を図るために、個々の市場ごとに出荷するのではなくて、産地から大田市場のような拠点市場へ大量の荷をまとめて出荷する傾向がございます。
このため、中小の卸売市場の中には、産地から必要な荷を引けない、確保することができない、特に集荷能力の低い卸売業者の場合は、拠点市場から荷を買い入れざるを得ないといったような状況がございます。
大田市場の卸売業者の場合、このような中小の卸売業者に対しても販売を行っておりますが、その入荷量や販売量につきましても、当然、卸売業者の実績として都は正確に把握しております。
ご指摘のあった、荷が卸売り場へおろされることなく別のトラックに積みかえられるといったこの例は、まさにこうした中小市場の卸売業者に搬入された荷を直接引き渡して搬出する場合でございます。
○田中委員 それでは、市場機能がもともとあった、プラス、いうならば物流センターのような機能も多く今はその役割を果たしているという認識でよろしいんでしょうか。
○横山参事 大田市場のような拠点市場の場合については、他市場の分も含めて流通するのが現実でございます。そうした意味では、先生のおっしゃったような、物流拠点という意味において、センターという意味も、ある意味では当たっておりますけれども、ただ、これはすべて、売る場合は市場のお客様という形でもって、他市場の市場の卸会社も大田市場の買参業者の一人ということでもって通常の取引を行っております。
○田中委員 そのような役割も今は出てきているということで、このような場内が狭い、もしくは物流が今滞っているということで、工事をしているというのは聞いておるんですが、さらなる改善がもしも必要であるならば、例えば市場の周りは緑地帯がかなりあるんですが、そういうところを利用する。もしくは、その緑地帯を屋上や壁面緑化に変えて、緑を守りながらも、さらに市場の強化を図っていくというようなことも考えて場内市場の発展を図っていくべきかとは思うんですが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
○横山参事 大田市場では、東京都における自然の保護と回復に関する条例に基づきまして、建物の、建築物の新築ですとか増改築等を行う場合には、緑化計画を知事に届け出て緑地を確保することがまず義務づけられております。
その際、地上の植栽にかわる措置として認められております屋上緑化につきましては、構造上、屋上の積載荷重、その範囲でしか実は行うことができません。
また、中央市場といたしましては、緑の東京十年プロジェクトの計画に基づきまして、積極的に緑地の確保に取り組んでおります。大田市場においても、緑地を維持しつつ、混雑解消に係る場内整備に努めてまいります。
○田中委員 この大田市場における混雑解消に、最後に場内市場の整備に努めていると。一番最初、冒頭でもそういう話がありましたが、具体的に何を行って、どのようにこの解決が図られていく予定でありますか。
○横山参事 大田市場が今後、競争力を強化して、拠点市場として発展していくためには、場内の混雑解消など物流改善が急務でございます。
そこで、都は、従来の積み込み場を天井の高い大屋根の積み込み場に今改築しておりまして、今月末にはそれが完成する予定でございます。
また、市場業界によって、低温機能を持つ立体荷さばき場の建設が計画されておりまして、この施設の屋上を待機用駐車場に整備することが予定されております。
この大屋根の積み込み場ができますと、従来の積み込み場に比較して天井が高いため、量販店向けの大型車が中に入って、荷積みですとか、荷さばきですとか、積みかえといった作業を行うことが非常に容易になります。また、立体荷さばき場は、新たな荷さばき場をふやすことになりますし、荷さばきが終わり次第、屋上で待機していた輸送業者の車両に積み込んで直ちに搬出することが可能になります。
こうした一連の整備によりまして、不足していた荷さばき場や、新たに利用が可能になる待機用のスペースが生み出されるために、これまでのように周回道路で作業する必要がなくなります。
今後、都は、周回道路での待機や荷さばきといった混雑の原因となるような行為を規制して、大屋根の積み込み場等を幅広く市場関係者が効率的に利用できるよう、使用のルールを定めまして、場内の混雑を解決し、大田市場の物流の改善を図ってまいります。
○田中委員 今回は、実際に行ってみて、一時間半だったんですが、同じ条件で二時間も三時間も多々あるということで、さらにこれから師走に入ってきますと、物流ですね、込み合うことが予想されます。
先ほど、実際、運送業者が駐車場を使っているということ等もしっかり都はわかっているということがありましたんで、利用者が不公平や不平等を感じることなく、しっかりと市場が機能できるように、現市場の整備も含めて、今後どのように、しっかりそれが整うかどうか、私も実際、またその改善の結果を見に行かせていただいて、この委員会でも報告を、また、もしくは指摘をしていきたいと思っております。
以上で質問を終わります。
○高木委員 最初に、我が党はこれまでの主張どおり、築地市場に関する審議は、参考人招致も含めて本委員会で行うべきであるというふうに考えておりまして、昨日も産業労働局のところで申し上げたんですが、本委員会の審議次第によっては参考人招致の必要性が出てくるんだろうと思っておりますので、したがって、今後の参考人招致の際には、私の質疑権は留保させていただきたいと思っております。
築地市場並びに豊洲移転の問題について質問をさせていただきたいと思います。
築地市場は、世界の築地として海外にも名前を知られておりまして、水産物では都中央卸売市場全体の九割、青果物においても、都内、大田市場に次ぐ取扱規模となっております。都内はもとより、広く首都圏三千三百万人の食を支える基幹市場であることは、ご案内のとおりであります。
しかし、現場に足を運ばれた方ならよくわかると思うんですが、きょうも公明党さん、視察をされたということなんですけれども、私も一年半ぐらい前だったと思いますけど、朝五時集合で築地市場、視察をさせていただきました。
昭和十年に開場した築地市場ですから、当然のように老朽化、狭隘化がもう既に限界に来ているということは、だれの目にも明らかでございます。抜本的な施設改善が必要なことは、もうこれは行けばすぐにわかるんだろうと思っております。
実は先日、ある市場関係者とお話をする機会がございまして、とにかく都議会の先生方にお願いしたいのは、築地市場の現状というのをもっと掘り下げて、表面だけじゃなくて見てほしいんだと。つまり、この築地市場がどれだけ老朽化をしてるか、あるいは狭隘であるか、そして古い建物であるかというのは、例えばトイレに行っていただければすぐわかりますよと。トイレのつくりを見ればすぐわかるし、トイレの数はもう少ないし、ましてや、いいたかないですけれども、トイレに入っていって、そのままの長靴で出てきて魚さばくわけですから、こういう市場だとやっぱりいけないんだと思いますよね。
ですから、その方は、残念だけど、こういいましたよ。築地は世界の築地だけれども、日本の恥をさらしてるんじゃないか。こんな市場じゃいけないんだ。この方は実は海外に居住が長くて、海外のレストランで随分修行されて、そして日本で今、開業されている方なんですけど、こんな市場じゃだめなんだと。これはもう厳しく私たちも指摘をされました。
ですから、そういう現場の声というのがあるということをぜひご認識をいただきたいと思いますし、また後ほど質疑の中で触れますが、現在地再整備の問題も、先ほど来いろんな意見がありましたけれども、とにかくあの狭隘化、狭い中で、できるはずがないと私は思いますよ、物理的にね。
行けばわかるんですけど、例の市場の中を走っている、ターレというのかな、あれ、ひかれそうになっちゃったりするわけですよ。それで、これはもし資料があるんだったら、というか、調べてもいいんだろうと思いますけれども、ターレの事故というのは起こってないのかなと思ってですね。私はやっぱり、これ、もう少しクローズアップされるべきだと思いますね。
築地市場が、あれだけ人が来て、これからも多分たくさんの方が来るんでしょう。そのときに、やっぱり危険であってはいけないというのは、もう第一番目に考えなきゃいけないんで、こういったことも含めて、この築地問題というのは私たち取り上げていかなきゃいけないし、これからの問題点を解決をしていかなきゃいけないんだろうというふうに思っています。
こうした状況を踏まえて考えますと、昭和六十年のころから市場業界の間で再整備か移転かという議論が活発に行われてきて、意見が二分をされ、さまざまな案が検討されてきたと聞いています。
さらに、この経済・港湾委員会においても、都議会でも徹底的に、その審議を今までも行ってきて、最終的に、市場業界においても、都議会においても、豊洲への移転整備という結論が導き出されたと思います。
民主党を初め、現在地再整備の検討を改めて行うべきという主張はありますけれども、過去の経緯や市場の役割をきちんと掌握をして、真に築地市場の将来のこと、築地市場というよりも、東京都の中央卸売市場というのかな、の将来のことを考えるのであれば、結論は私は移転整備しかないということは明らかだと思っています。
そこで、このような観点から質問を行っていきたいと思うんですが、卸売市場は広く全国から大量の多種の魚介類、あるいは野菜、果物を集荷をして、買いやすい単位に小分けをして、新鮮な状態で小売店や飲食店等に速やかに販売する役割をそもそも担っている。
市場の、中央卸売市場の役割というのは、やっぱり物と商いが一体になってるということだと思うんですね。商物一体で、そこで物を見て価格が形成をされる。このことはやっぱり市場の一番大事なところだと思います。
魚屋さん、八百屋さん等の小売店は、ほぼ全面的に卸売市場から仕入れを行っておりますし、またスーパー等の量販店においても、近年、産地との直接取引に取り組む動きがありますが、年間を通じて安定して品ぞろえを行うためには、卸売市場は欠かせない存在だといえると思います。
また、産地にとっても卸売市場は最も確実な出荷先、そして、日本の農業、水産業を支える上でも大変重要な役割を果たしているといえると思います。
さらに近年では、このような卸売市場の基本的な役割に加えて、品質や鮮度を保ち、徹底した衛生管理のもと、消費者に生鮮食料品を届けること、すなわち食の安心・安全を守ることが強く求められております。
しかし、先ほど申し上げたように狭隘化した築地市場では、場内のどこにも新たな施設整備を行う拡張の余地はなく、耐震性等にも問題を抱えている。将来にわたって首都圏の食を支えていく基幹市場として十分な機能を備えることは不可能だと断言をすることができると思います。
そして、今回、資料請求をさせていただきました市場業界からの要望書、嘆願書には、築地市場の現状を憂慮されて、移転推進を切実に望む声が込められているものと思っています。
そこでお伺いをいたしますが、業界からの移転推進の要望書、嘆願書について、都として、どのように受けとめて対応をしていこうとしているのか、お伺いをいたします。
○野口新市場担当部長 近年、専門小売店の減少や景気の低迷、市場外流通の拡大などにより、卸売市場をめぐる環境が極めて厳しくなっている一方で、築地市場は平成八年に再整備工事が中断して以来、抜本的な機能強化に取り組めない状況にあり、市場業界はこの現状に強い危機感を抱いております。
築地市場の豊洲地区への移転は、再整備工事が中断せざるを得なかった苦い経験を経て、業界が市場の将来を真剣に考え、議論を尽くし、二十年の歳月をかけて到達した悲願でございます。
昨年五月に築地の業界団体の大多数から要望書が出されたことに続きまして、本年七月に、水産、青果の卸、仲卸業者、関連事業者、買い出し人等の市場関係者約四千名の署名を添えた嘆願書が提出されましたことは、新市場の早期実現に向けた市場業界の切実な思いのあらわれであり、このことを大変重く受けとめております。
都といたしましては、要望書の中で強く望まれている土壌汚染問題の解決に万全を期し、安全・安心を確保した上で、市場業者の期待にこたえられるよう豊洲新市場の整備を進めてまいりたい、そういうふうに考えてございます。
○高木委員 業界団体のこの要望書、嘆願書、これは本当に切実だと思います。資料を出していただきましたけれども、東京魚市場卸協同組合、いわゆる東卸の理事長選挙がこの間行われたときに、新聞報道は、この理事長選挙の賛成と反対が半々だったという記事一色になりまして、築地市場にはほかにも仲卸の組合があるということすら余り書かれていなかった。
私はびっくりしたんですけど、ある食品の、大手のこれは食品会社なんですが、食品会社の社長さんとお会いをしたときに、築地のことが話題に出たんで、いや、実は築地には、この間選挙をやった組合以外にも、組合は六つあるんだから、あと五つあるんですよという話をしたら、えっ、組合ってそんなにあるんですかと。これ、食品会社の社長ですよね。つまり、マスコミ報道がかなり偏っているとしか私はいいようがないと思ってるんだけれども、極めて誤解を生んでると思うんです。
ですから、この要望書、嘆願書が、私は、この築地市場にかかわっている人たちのやっぱり集約をされた、かなり大多数の意見であるというふうに考えるべきだというふうに思っておりまして、だからこそ、今回資料も出していただきましたが、東京都としては、これはぜひ重く受けとめて、この要望、嘆願を実現をすべく私は努力をしていただきたいと思っています。
業界からの要望書には、過去の再整備について、「平成三年には現在地再整備に着手したものの、営業を継続しながらの工事の困難性や将来の発展余地が確保できないなど多くの問題を抱え、頓挫した苦い経験があり、」というふうに書かれている。
当時、築地市場では、都と市場業界が協力をして、再整備の実現に向け全力で取り組んでいた。準備工事等に約四百億円の整備費をかけながらですよ、整備費をかけながら、これが中断に至るという事態になったことは、そうせざるを得ない相当の理由があった、事情があったからだといわざるを得ないと思います。
当時問題とされた、営業を続けながらの工事の困難性として実際どのような問題があったのか、当時、業界からどのような声が上がっていたのかを含めて、具体的に教えていただきたいと思います。
○野口新市場担当部長 現在地での再整備につきましては、生鮮食料品の安定供給に支障を来さないよう、営業を続けながら工事を行わなければならず、当時、再整備計画段階の業界との協議におきまして、市場業者の営業活動への影響は生じますが、それを関係者一同の協力によって克服し、再整備を推進する、そういうこととしておりました。
こうした方針のもと、市場業界との協議の上、基本計画を策定し、平成三年から仮設卸売り場や駐車場、搬入路、そういった準備工事を進めてまいりましたが、工事中、営業用、工事用の車両が錯綜するため相当の混雑が発生すること、仮設施設や作業用地確保のため駐車場が一層不足すること、特にこれは買い出し人の方に影響が大きいという問題でございます、場内の通路が制約され、荷の搬送にかかる時間が増加することにより、顧客離れの懸念、そういったものが生じ、営業活動への影響が極めて深刻であることが次第に明らかになり、平成八年、本体工事に着手しようとした段階で、業界調整が難航し、工事が中断したものでございます。
再整備工事の影響につきまして、当時、市場業者からは、築地は到着してから積みおろしまでに四、五時間かかり、これで工事が始まると産地から荷物が来なくなる。また、買い出し人が長期間にわたり我慢を強いられ、周辺市場への移動等もささやかれている。不便、不利益が予測される施設の移動計画は絶対反対との多数の声が寄せられ、一部におきましては再整備反対の署名運動が始まっている、当時そういう声も上がってございます。さらに、現状のまま十年も十五年も工事をやるとしたら、我々としては到底ついていけないといった強い懸念の声が上がってございました。
○高木委員 当時の経緯というか、背景というのは非常によくわかりました。四百億かけて途中でやめちゃうなんていうのは、これはやっぱり相当の事情があったはずなんですよ。今も明らかにしていただいて大変よかったなと思うんですが、それを今さらながら、また再整備だという方々もいらっしゃいますので、それは違うんだよということをやっぱりしっかりと、公の場でも、それから広報活動でも、我々していかなきゃいけないんだろうと思っています。
この中断された工事、これはローリング方式という計画であったと聞いているんですね。再整備の工法については、これ以外に新たな方式も考えられるというようなことを発言をされる方もいるんですが、生鮮食料品を扱って、多くの人が出入りする市場の特殊性を考えますと、工事で発生する粉じん等が食品にかかったり、万が一にも事故が発生したりすることなどがないように、安全性も十分配慮をする必要がある、これは当たり前のことだと思います。先ほどターレの話も、ここにつながるんですが、当たり前のことだと思います。
そこで、いわゆる新しい工法技術といわれるものを利用して再整備工事を行った場合に、営業に支障を及ぼさず、安全に工事を行うことは可能なのか。もう少しいいますと、この新たな工法技術というのが私はよくわからないんですけど、どんなことをイメージしていってらっしゃるのか、そのことも含めてお答えいただきたいと思います。
○砂川参事 当時、これは現在地再整備工事を行う際でございますが、ローリング方式に加えまして、人工地盤方式といわれる方式も比較検討を行った経緯がございます。
人工地盤方式といいますのは、今の仲卸、卸の建物の上に、さらにその上に人工地盤を構築いたしまして、そこを種地とするか、移転先とするかはあれですが、営業を続けながらその工事をするという方式でございます。
こういうことを比較検討を行いましたが、市場業者や買い出し人の安全の確保に加えまして、生鮮食料品を扱う市場としての安全性が最優先されることから、最も安全性の高いローリング方式が採用された経緯がございます。
今日、技術の進歩によりまして、鉄道の上部に人工地盤を構築し、駅ビルの建設を行うなどの事例も見られます。しかし、市場業者や買い出し人などの多数の人々が働き、観光客なども数多く訪れる卸売市場におきましては、鉄骨などの重量物を扱う人工地盤の工事の真下では、事故による落下物の防止や地震時の安全性に万全を期す必要があることから、工事の影響する範囲におきましては人の立ち入りを禁止するとともに、店舗の営業休止や仮移転などの措置をとらざるを得ません。
また、多くの店舗が営業を継続しながらの困難な工事となりますことから、施工条件の制約による工期の長期化や、工事振動の影響により飛散する粉じん、汚れの影響などが避けられないなど、営業活動や食の安全に大きな支障が生じることとなります。
さらに、最新の技術を活用したといたしましても、人工地盤の構築には、大きな仮設構造物や工事用搬入路、作業のためのスペースなど、少なくともローリング方式で必要とされる面積と同程度以上の工事用地が必要となります。これに加えまして、市場の物流動線と工事用搬入路のふくそうなど、営業活動に支障を与えずに工事を行うことは困難でございまして、実現性のある整備計画を立てることはできません。
○高木委員 技術的なことを非常に詳しく教えていただいて、ありがとうございました。よくわかりました。
先ほど築地市場の、伊藤委員が出していたパネルの、ちょうど曲がっているところは、仲卸の人たちの営業しているところだと思いますけど、私も行きましたが、あの上に人工地盤をつくって何かを構築するというのは、これはだれが考えても不可能ですよ。
ですから、そういう空想的なことをいってもしようがないんで、やっぱり市場、毎日動いてるところですから、毎日動いてるところをどうするのかということを考えたときに、やっぱり現実にしっかりと対応した、実現性のある整備計画と先ほどおっしゃっていただきましたけれども、それをつくらなきゃいけない。その責任が我々にはあるんだということを、きょうは確認をした意味では非常によかったと思っています。
次に、市場建設の財源についてでありますが、新市場を建設するに当たっては巨額の資金を投入することになりますけれども、中央卸売市場会計の保有する利用可能資金は一千三百五十億円と聞いています。この資金規模では、豊洲新市場の建設に必要な事業費、四千三百十六億円と推定されてますけれども、これを到底賄い切れないということで、東京都は築地市場跡地の売却収入を充てることとしております。しかし、現在地再整備の場合、この売却収入が得られないということから、財政面で検証をしたときに、本当にそれで再整備ができるんだろうかという疑問が出てきます。
そこで、この問題についてお尋ねをいたします。
○後藤管理部長 仮に現在地再整備を実施するとした場合、建設費は三千四百億円になりまして、既に執行された四百億円を除いて、今後必要となる建設費は三千億円となります。
この再整備に充てることのできる財源は、中央卸売市場会計が保有する資金千三百五十億円に、既に取得した豊洲新市場用地を売却できた場合の七百二十億円と国庫補助金三百億円を加えて、二千三百七十億円となります。この結果、差し引き六百三十億円が不足することになります。
このように、現在地再整備では、築地の売却収入が得られないことから、財政的に見ても、実現性のある現在地再整備計画を策定することはできないと考えております。
○高木委員 土地の売却益を充てないと、なかなか難しい。充てなかった場合に、六百三十億円の不足額が出る。ということになったときに、じゃ、六百三十億円だれが負担するんですかということになるんだと思いますね。
一つには、一般会計から入れるとかということもあり得るのかもしれませんけれども、もう一方でやっぱり、築地の市場を使う方々、市場関係者の市場使用料の問題にも多分はね返ってくるんだろうと思うんですね。ですから、建設費がそうやって足りなくなった、あるいは高額になった場合は、当然、利用者負担がふえてくるということにもなりかねないので、これはやっぱりそういう意味でも、到底容認ができないんだろうというふうに思います。ですから、先ほど来いっているように、現在地再整備については、財政面からも実現性がないといわざるを得ないと思います。
続いて、豊洲地区への移転決定の経緯について確認していきたいと思います。
市場業界の嘆願書には、「再整備工事が中断せざるを得なかったことを踏まえ、現在地での再整備は不可能であるとの結論に至り、苦渋の選択として豊洲地区への移転を決定した」とあります。再整備工事が中断してから、業界内で移転整備へと意見が集約をされるまでには、計画見直しのため、業界が作成した案も含め、さまざまな再整備案が検討されたものの、結局合意に至らなかったというふうに聞いています。
また、築地の移転先の選定に当たっては、豊洲地区を含む五地区を候補地として比較検討が行われたとも聞いております。その中で最終的に豊洲地区が候補として残り、移転が決定されたわけでありますが、首都圏の基幹市場である築地市場の移転先として、特に考慮すべき条件があったのだろうと思います。
そこで、当時の検討において、築地市場の移転先に求められた具体的な条件、そして、五つの候補地の中で、なぜ豊洲地区が選定をされたのかについてお伺いをいたします。
○黒川参事 築地市場の移転につきましては、平成十二年から十三年にかけて、東京都卸売市場審議会で、具体的な移転先も含めた検討が行われました。
当時の検討では、築地市場が二十一世紀の中核を担う首都圏の基幹市場であるだけでなく、都心に集積する飲食店や小売店の仕入れの場でもあるため、移転先の条件としては、まず、物流の効率化を図るための広い駐車場や荷さばきスペースを配置できる四十ヘクタールの敷地が確保できること、次に、大消費地である都心部の周辺で、輸送時間やコストの観点から高速道路や幹線道路にアクセスしやすい交通条件の良好な位置にあること、さらに、築地がこれまで築き上げた商圏に近く、機能、経営面で継続性が保てる位置にあることなどが必要であるとされてきました。
この条件をもとに、審議会で現地視察も行い、豊洲地区、晴海地区、有明北地区、石川島播磨重工業豊洲工場跡地、中央防波堤内側の五地区を候補地として比較検討を行いました。
このうち、面積について見ますと、晴海地区、有明北地区、石川島播磨重工業豊洲工場跡地の三地区につきましては、市場用地として必要な面積約四十ヘクタールを確保できておりません。
次に、交通条件で見ますと、中央防波堤内側はアクセス道路に課題があります。さらに、中央防波堤内側については、築地の商圏である都心部から大きく離れております。
そのほか、晴海地区は近隣道路での渋滞が懸念されるほか、石川島播磨重工業豊洲工場跡地では、敷地に住宅が近接しているといった課題がございました。
こうした検討の結果、豊洲地区以外で条件を満たす場所はありませんでした。
また、その後、再度、都内全域にわたり移転候補地となる用地を調べましたが、すべての条件を満たす場所は、豊洲新市場予定地以外にはございませんでした。
○高木委員 今のお答え、非常にわかりやすかったんですが、つまり、豊洲以外に候補地はないと断言をしていいんだろうと思います。利便性とか立地条件とか、そういうことを考えると、移転先は、築地の商圏に近くて、交通アクセスに恵まれていることが絶対の条件であること、それはみんな十分理解はできるんだと思います。
もう一つ、敷地面積の四十ヘクタールということなんですが、私は、先ほど鈴木委員が海外の市場の話を出されましたけれども、海外の市場との比較の中で、私は決して四十ヘクタールというのは十分でないというふうに思っています。本来はもっと広くていいんだと思います。中央卸売市場というのは、ましてや首都東京の中央卸売市場は、やはり世界の築地であると同時に、やっぱり東京というのはミシュランのガイドブックにあれだけの星の数のレストランが載る場所ですから、そういう意味で、この東京の、あるいは世界の食の中心であるべきだという意味では、四十ヘクタールで本当にいいんだろうかという気もしないではないという部分もある。だから、本来的にいえば、もっと広くてもいいんだろうと、私はそう思っています。
ですから、豊洲地区は、築地市場の移転先の条件を今のところすべて満たしている、考えられる最適の、唯一のといっていいんでしょうか、場所でありまして、土壌汚染についても、技術会議が科学的な見地から検証した、信頼性の高い対策が提言をされているわけであります。
築地市場の移転を進めるに当たっては、万全な土壌汚染対策等について都民関係者の十分な理解を得ていくことが重要でありますし、そして、その前提の上に立って移転をしっかりと計画どおりに進めていくことが私は大事だと思います。
都では、市場業者への説明会に加えて、九月には江東区豊洲地区での住民説明会を行ったとのことですが、この説明会の内容と、参加者からどのような意見や要望等が出されたかについてお伺いをいたします。
○黒川参事 豊洲新市場の整備を進めるには、市場業者や都民の十分な理解を得ることが重要でございます。このため、四月から七月末にかけて実施いたしました市場業者への説明会に引き続き、九月上旬に移転先である江東区豊洲地区において住民説明会を行いました。
この説明会では、豊洲地区への移転の必要性、土壌汚染対策の安全性や内容などについて、映像、イラスト、写真などを用いて、わかりやすく説明を行いました。説明後の質疑応答では、土壌は重点的に入れかえるのか、汚染された土はどこへ運ぶのか、取扱量はどれだけ見込んでいるのか、交通量はどれだけ増加するかなど、多くの質疑がございました。
その結果、参加者からは、豊洲新市場整備の必要性や土壌汚染対策の内容など、これまで疑問であったことを理解することができたとの意見もいただいたところでございます。
また、市場の移転を前提に、生活環境に大きく影響する交通量の増加やトラックの駐車問題などに対して都が適切な対策を講じること、地元住民に対して引き続き情報提供をすることなどの要望がございました。
都といたしましては、今回の説明会であった意見や要望なども踏まえ、地元住民を対象とした説明会を引き続き実施し、積極的な情報提供をしてまいります。あわせて、広く都民を対象に説明会を実施していく予定でございまして、都民の一層の理解が得られるよう努めてまいります。
○高木委員 ぜひ、そのようにお願いをしたいと思います。
移転の必要性、そして土壌汚染対策等について、都民の理解がやはり深められるように、引き続き説明会等、広報活動、ぜひ充実をしていただきたい、このことは要望しておきたいと思います。
今回、築地移転問題の論点を整理をする意味で、今までの経緯も含めて質問をいたしましたが、築地市場の現在地再整備が不可能であること、そして、移転先の条件を満たす用地が豊洲地区しかないことは、過去の経緯からも、きょうの質疑からも明らかになったと思います。このことについては、従前から経済・港湾委員会でも十分に審議をし、確認をしてきており、民主党が主張する特別委員会は、屋上屋を重ねるものであり、貴重な審議時間を浪費するだけだと私はいいたいと思います。
冒頭に申し上げましたが、近年、卸売市場には、品質管理を徹底し、より衛生的に消費者に生鮮食料品を届けることが求められております。これに早急に対処、対応していくことが、都民への責務を果たすことになります。
都には、移転推進を切実に望む業界の声も踏まえ、土壌汚染対策に万全を期し、食の安全・安心を実現する豊洲新市場の整備を着実に推進していただくことを強く要望したいと思います。
最後に、このことについて市場長の決意をお伺いをして、私の質問を終わります。
○岡田中央卸売市場長 お答えの前に、先ほど副委員長よりお話のございました、築地市場における交通事故がどのくらいあるのかというお話なんですけど、人身と物損を合わせまして、昨年度、約四百件ぐらいございまして、うち五割程度がターレが関連するということでございます。
豊洲新市場の整備を着実に推進していくということについてでございますが、築地市場は開場以来七十年以上が経過をいたしまして、老朽化が著しく、敷地が狭隘化しておりまして、耐震性やアスベストの問題など安全性に不安がございます。また、物流が非効率で、顧客ニーズに対応する機能強化もできないなど、多くの課題を抱え、もはや一刻の猶予もない状況でございます。
昨年、ことしと市場業界から出されました移転推進の要望書、嘆願書には、このような築地の現状に強い危機感を持ち、長い年月をかけ議論を尽くし、豊洲移転しかないという結論に到達した業界の強い思いが込められております。都は、この悲願にぜひとも早くこたえたいと考えております。
新市場予定地の土壌汚染につきましては、技術会議から、科学的知見に基づき、あらゆる角度から詳細に検討した信頼性の高い対策が提言されております。都といたしましては、この対策を確実に実施し、安全性を確保するとともに、都民、関係者に十分説明することによりまして一層の理解が得られるよう努めてまいります。
都は、万全な土壌汚染対策の実施により、新市場予定地の安全を揺るぎないものとし、この先五十年を見据えた首都圏の基幹市場として、平成二十六年十二月開場を目指し、豊洲新市場の整備に全力で取り組んでまいります。
○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十九分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.