委員長 | 小沢 昌也君 |
副委員長 | 高木 けい君 |
副委員長 | 増子 博樹君 |
理事 | 伊藤 ゆう君 |
理事 | 高倉 良生君 |
理事 | 鈴木あきまさ君 |
田中 健君 | |
伊藤 興一君 | |
笹本ひさし君 | |
山崎 一輝君 | |
三宅 茂樹君 | |
佐藤 広典君 | |
清水ひで子君 | |
鈴木貫太郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 前田 信弘君 |
次長 | 真田 正義君 | |
総務部長 | 三枝 健二君 | |
産業企画担当部長 | 櫻井 和博君 | |
商工部長 | 山手 斉君 | |
金融部長 | 保坂 政彦君 | |
金融監理室長 | 中村 靖君 | |
金融支援担当部長 | 櫻井 務君 | |
観光部長 | 小島 昭君 | |
農林水産部長 | 産形 稔君 | |
雇用就業部長 | 小田 昭治君 | |
事業推進担当部長 | 日請 哲男君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
産業労働局関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・平成二十年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について
・新銀行東京の最近の動向について
○小沢委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○小沢委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより産業労働局関係に入ります。
初めに、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○増子委員 時間も時間ですので、極力簡潔にいきますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
私からは、債権管理条例に基づく私債権の放棄について伺います。
昨年の七月に、東京都債権管理条例が施行されて、東京都が保有する債権について、徴収努力を含めた管理体制の一層の充実が図られて、回収見込みのない債権は一定の処理基準にのっとって放棄する、そういう仕組みができたというところであります。
この定例会では、この経済・港湾委員会への報告案件として、平成二十年度に放棄された債権二十二件、合計で約二億七千万円の報告がされたところですけれど、その大半は世界都市博覧会中止に伴う特別対策緊急融資に係る案件です。
平成七年に青島都知事が世界都市博の中止を決定した際に、混乱を最小限に抑えるということで、この緊急融資が実施されたわけですけれど、この機会に、融資によって生じた今回の債権放棄について顧みることも重要だと思っています。
そこでお伺いしたいと思いますが、初めに、今回の放棄案件を含む都市博融資はどのような仕組みで実施をされたのか、伺います。
○保坂金融部長 平成七年に世界都市博覧会が中止されたことによりまして、既に着手していた事業の継続が困難となり、経営上大きな影響をこうむった中小企業が多数発生いたしました。
こうした中小企業を救済するため、緊急融資制度を創設し、当時の東京フロンティア対策本部が融資対象となる企業の認定と影響額の認定を行い、当時の労働経済局が、この認定を受けた企業からの融資申し込みを受けて、金融機関にあっせんを行ったものでございます。
金融機関は納税関係書類や決算書などをもとに企業の与信審査を行った上で、平成七年度中に融資を実行いたしましたが、債務不履行が発生した案件につきましては、金融機関に対し損失補償を行いました。その後も、金融機関は担保処分や法人及び連帯保証人から回収に当たりましたが、回収の見込みがほぼなくなった債権が、平成十五年度までに都に譲渡され、産業労働局が債権管理に当たってまいったものでございます。
○増子委員 今ご答弁をいただきましたような経緯で延滞債権が生じたということですが、そうした状況は、融資である以上は、一定程度までは不可避な部分もあると思いますけれど、この融資による融資実行額、回収額、発生した延滞額などの状況をしっかり押さえておくということが不可欠だというふうに思っています。ただ、そういった内容というのは、この委員会資料だけではちょっとわかりにくいので、全局統一の様式という理由からかもしれませんけれど、具体的にご説明をいただければと思います。
○保坂金融部長 本融資では、全体で二百八十件、約七十八億円の融資が実行され、これまでに百八十一件が完済に至っております。これに滞納債権からの回収額も合わせた回収総額は約五十八億円であり、金額ベースで七四%の回収実績となっております。
不納欠損につきましては、債権管理条例に基づき債権放棄を行い、このたび報告させていただきました十七件、約二億六千万円を含め、平成二十年度末までに、累計で四十七件、約八億四千万円を不納欠損処分しております。
なお、二十年度末現在、都が管理している滞納債権の額は、五十二件、約十一億五千万円でございます。
○増子委員 これまでに回収できた債権がある一方で、東京都が都市博融資の延滞債権として引き続き今後も管理が必要となる債権がまだまだ数多くあるということがわかりました。延滞債権の一部は今後も放棄をせざるを得ない状況があるものとは思いますが、放棄の判断に当たっての都の責任は当然重いものがあるというふうに考えなければならないと思っています。
本来、債権放棄に係る判断は、地方自治法上、議会の議決が必要とされるものであって、こうした判断を債権管理条例によって知事にゆだねるというふうにした以上は、この債権を放棄せざるを得ない状況について、放棄をした金額はもちろんですけれど、意を尽くしてその状況を議会に説明をしていただく、そういう責任があるというふうにも思っています。
債権管理条例の趣旨は、都が保有する債権管理の一層の適正化を図ることによって、その適切な債権管理の体制をつくり上げるということにあるわけです。そのためには、実質的に回収が困難となった債権の放棄は必要なことではありますけれど、本質的な課題として、都と議会とが、この債権放棄に係る情報をしっかりと共有して、より適切な債権管理のあり方について認識を深めていくことが今後も必要だということを強調させていただいて、私の質疑、簡潔にさせていただきました。
以上です。
○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○小沢委員長 次に、報告事項、平成二十年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○山崎委員 自民党の山崎一輝でございます。一年生議員として初めての質問でございます。いささか緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、産業技術研究センターの業務に関して質問をさせていただきます。
ものづくり企業では、仕事そのものが減少し、運転資金の借り入れなど、あらゆる手だてを講じていますが、こうした企業にとって一番大事なのは、やはり受注の確保でございます。これについては、これまで我が党が主張してきたところであり、都では、中小企業の受注機会の一層の拡大に向けて、受注開拓緊急支援事業を開始されました。こうした取り組みについては大いに評価をするところであります。
ところで、中小企業が市場において厳しい競争に打ち勝っていくためには、品質や安全性に対する技術の向上はもとより、コスト削減も重要な要素となっております。こうしたことから、経営基盤の弱い中小企業にとって、新たな製品や技術を開発する際に、公的支援機関である産業技術研究センターは大変大きな役割を果たす存在です。
そこで、産業技術研究センターにおける中小企業に対する支援について何点かお伺いをさせていただきます。
まず、高額な加工機器や検査機器などを持てない中小企業にとって、産業技術研究センターによる機器利用サービスや依頼試験、技術相談などの技術支援については、当然なくては困る重要な事業であります。これらの技術支援については、評価委員会において、中期計画の目標値を大幅に上回る実績を上げていることに対して高く評価をされておりますが、産業技術研究センターでは、中小企業のニーズにどのようにこたえているのか、お伺いします。
○山手商工部長 技術支援におきましては、中小企業のニーズに応じて支援の充実を図った結果、お話のとおり目標を大幅に上回る実績を上げることができました。
具体的に申し上げますと、機器利用サービスでは、城東支所に新たに高速造形機を導入し、西が丘本部、城南支所と合わせ、都内三カ所での試作品開発支援の体制を整備するとともに、最も需要の多い西が丘本部では昼夜連続運転での対応を行っております。
次に依頼試験では、国際基準に適合した証明書の発行を充実させ、中小企業の海外取引を支援しております。また、企業ニーズに合わせたオーダーメード試験を実施し、利用者から好評を得ております。
技術相談では、専門知識を有する外部のエンジニアリングアドバイザーの登録者をふやすなど、より幅広い相談が可能な体制を確保いたしました。
今後とも、産業技術研究センターにおきましては、利用者へのサービス向上に向けた工夫と内容の充実に努めていくことにより、中小企業の技術支援をきめ細かく行っていくこととしております。
○山崎委員 続きまして、法人運営についてお聞きをしたいと思います。
評価結果では、業務改革が進み、機動性と柔軟性のある組織運営が行われているとありますが、業務の効率化やサービスの質の向上を図るためにも、業務改革は大変重要であります。実際にどのように取り組みを行ったか、お伺いをいたします。
○山手商工部長 産業技術研究センターでは、所内からの業務改革提案をもとに、サービス向上や経費削減などを念頭にさまざまな業務改革に取り組んできたところです。
具体的に申し上げますと、利用者サービスに関する改革では、依頼試験の成績証明書等を郵送するサービスを開始するとともに、本部、支所間をつなぐ遠隔テレビ会議システムを相談業務に活用するなど、利便性の向上を図りました。
さらに、機器の購入に当たり、複数機種を指定することで競争性の拡大を図り、また、ランニングコストを低減できる機器を導入することなどにより経費削減を図りました。
このほか、課題であった人材の確保につきましては、全管理職による三十に上る工学系大学への訪問や就職展示会への出展などを実施した結果、採用への応募者が大幅に増加いたしました。
○山崎委員 これまでの答弁を聞いて、産業技術研究センターが職員一丸となって改革に取り組んでいる様子がうかがえます。中小企業からの信頼と期待にこたえるべく、弾力的かつ効率的な業務運営に向けて、職員の意識改革が図られていることのあらわれだと思います。
産業技術研究センターは、平成十八年度に、東京都の組織から離れ、柔軟な業務運営を行うために独法化されたわけでありますが、そこで、当センターが独法化されたことによって新たにできるようになった取り組みについて、改めてお聞きいたします。実例を挙げ、具体的に示していただきたいと思います。
○山手商工部長 独立行政法人化による新たな取り組みとしまして、法人独自の人事制度により人材確保が自律的かつ弾力的に行えるようになったことから、年間を通して研究員の募集活動を展開いたしました。これにより、二十年度には六名の一般研究員と十七名の任期つき研究員を採用しました。
また、都の予算制度の制約を受けることがなくなったことから、年間を通して提案公募型研究や受託研究などの外部資金の確保が可能となりました。これにより二十年度は目標を大きく上回る約三億五千万円の外部資金を獲得いたしました。
さらに、弾力的な利用料金の設定が可能となったことから、世界的な同時不況で厳しい経営環境下にある中小企業のために、一定の条件のもと、機器利用サービスや依頼試験料金の五〇%減額を本年二月から開始し、あわせて無料の不況克服セミナーを実施したところです。
このほか、依頼試験等の料金支払いにつきましては、銀行やコンビニエンスストアの振り込みに加え、クレジットカードでの決済を可能とするなど、利用者の利便性の向上を図っております。今後とも、産業技術研究センターにおきましては、中小企業のニーズを踏まえ、独立行政法人化のメリットを生かした取り組みを推進していくこととしております。
○山崎委員 今の答弁にもあった依頼試験料金の五〇%減額については、評価委員からも、単に中小企業支援という側面だけでなく、産業技術研究センターが独法化を機に臨機応変に対応できる組織に変革したことを外部に印象づけるという観点からも、極めて有意義な施策であるといった評価となっており、こうした取り組みを行っていることは大変強いところでもあります。
今後も引き続き、独法化のメリットを生かして、中小企業へのサービスの向上につながる取り組みを進めていかれるよう頑張っていただきたいと思います。
最後に、来年二月には、産業技術研究センターの八王子支所と多摩支所が統合し、多摩地域の特性を踏まえ、経営支援の機能を合わせた総合的な支援施設が昭島に整備されると聞いております。また、二十三年度には、老朽化が進んでいる西が丘本部と駒沢支所が統合され、江東区の青海に移転し、高度先端技術分野やデザイン分野の支援が一層充実されるとのことであります。こうした計画に大きな期待を寄せている多くの中小企業のためにも、今回の評価委員会の評価に決してあぐらをかくことなく、たゆまぬ努力を続けていただきたい、その必要があります。
いまだ経済の回復が見えない中、果敢に技術、製品開発に取り組んでいる中小企業に対する技術支援について、最後に局長の決意を伺いまして、質問を終わります。
以上です。
○前田産業労働局長 東京では、高度で多様な技術を有する数多くの中小企業が絶え間なく新製品、新技術開発を行っておりまして、これらの集積が、この東京のみならず日本の経済を牽引する原動力となっていると考えます。都は、こうした中小企業への技術支援をより効果的に行うため、産業技術研究センターについて、平成十八年度に地方の公設試験研究機関としては初めて独立行政法人化を行いました。この新たな体制のもと、産業技術研究センターは中小企業の技術力向上に鋭意取り組み、これまで目標を大きく上回る事業実績を上げております。
しかしながら、現在、日本の景気は世界的な景気後退を受けて不況が続いており、お話にもございましたが、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。今後、中小企業が不況を克服し成長発展していくためには、これまでにも増して、東京の技術集積を生かし、新たな製品、サービスの開発や新規事業の創出に向けて技術開発に取り組んでいくことが、当然のことながら不可欠であります。
こうした状況を踏まえまして、今年度から平成二十三年度にかけて、区部では江東区、多摩では昭島市に順次開設する予定の産業支援拠点の整備を着実に進めますとともに、その移転に向けては、これまで培った高い技術力をもとに、柔軟な発想と機動力を生かして、支援の拡充を不断に進め、不況の中でも技術開発に挑む中小企業を全力で支えてまいります。
○高倉委員 今回の評価結果は平成十八年度に独法化されてから三回目の議会への報告となるわけでありますけれども、この間、順調に事業運営がなされてきたと思います。産業技術研究センターの役割は、技術支援などを通して都内中小企業の振興を図るものであります。現下の厳しい経営環境の中で、中小企業にとってセンターへの期待はますます高まっているものと思っております。
まず、研究業務のうち、外部資金を導入した研究についてお伺いしたいと思いますけれども、平成二十年度の成果では、中期計画の目標を大きく上回る資金を獲得をしたとなっております。外部資金は簡単に獲得できるものではないと思います。大学など外部の研究機関との競争になるとも聞いておりますけれども、外部の機関と競い合うことで、研究の質の向上につながっていくと思います。
そこで、外部資金研究ではどのような研究資金を獲得し、具体的な研究を行っているのか、お伺いをしたいと思います。
○山手商工部長 外部資金を導入した主な研究としましては、経済産業省関連の提案公募型研究に、二十年度新たに二件採択され、前年度からの継続を含め、合計六件を実施しました。研究内容としましては、環境に配慮した加工技術として今後市場成長が見込まれるドライプレス加工の実用化に関する研究開発や、近年、国内外ともに著しく需要が増大している薄型テレビ用ガラスのリサイクル技術開発に関する調査研究などを実施いたしました。
また、文部科学省関連の科学研究費に、二十年度新たに五件採択されました。研究内容としましては、視覚障害者用の触覚ディスプレイの開発や、潤滑油を使わないドライせん断加工技術の開発などを実施いたしました。そのほか、企業からの受託研究等も実施いたしました。
○高倉委員 研究員の方々がさまざまな外部資金を活用した研究にチャレンジをしているということであります。外部資金を獲得し、研究の質の向上に向けてより一層頑張っていただきたいと思います。
次に、企業との共同研究についてお伺いいたします。
産業技術研究センターの研究では、中小企業の製品化や特許出願などの成果に直接結びつくことが求められております。そのためには、企業と連携した研究を積極的に進めていくべきと考えますけれども、共同研究における製品化の事例を明らかにしていただきたいと思います。
○山手商工部長 共同研究の製品化の事例としましては、検査機器メーカーと実施いたしました、パック詰め食品の異物混入を検出する高精度機器の開発や、研究開発ベンチャー企業と実施いたしました、クリーンなエネルギーとして注目されている燃料電池の性能向上とコストダウンを図る部材の開発、そのほか、塗装現場で塗料汚水をリサイクル利用できる装置の開発などの事例がございます。
今後ともセンターにおきましては、中小企業との共同研究に積極的に取り組み、実用化、製品化につなげていくこととしております。
○高倉委員 ぜひ、今後とも中小企業との共同研究からよりよい成果が得られることを期待しております。
外部資金を導入した研究や企業との共同研究について伺ってまいりましたけれども、このほかにも、センターでは基盤研究のように独自に進めている研究もあるとお聞きをしております。独法化以前からの研究や試験等の積み重ねを通じまして、産業技術研究センターにはさまざまな技術やノウハウが蓄積をされていると思います。こうした蓄積を、中小企業の製品開発や技術開発に生かすだけではなく、中小企業の人材育成にも活用すべきではないかというふうに思います。
そこで、産業技術研究センターでは、中小企業の技術者を対象にセミナーを開催しているというふうに聞いておりますけれども、そうした実績についてお伺いしたいと思います。
○山手商工部長 平成二十年度につきましては、二百二十二件のセミナーを実施いたしました。このうち、個別企業等のニーズに応じて内容を決めるオーダーメードセミナーにつきましては、前年度を約二割上回る百四十四件を実施いたしました。そのほか、センターみずからの企画によるセミナーの開催は七十八件、そのうち約三分の一に当たる二十七件につきましては新しいテーマとするなど、質の向上に努めるとともに、半数以上の五十一件につきましては、センターの機器を利用した実習を伴うセミナーとしました。また、厳しい経営環境下にある中小企業を支援するために、セミナーの一部を不況克服支援セミナーとして無料で開催をいたしました。
○高倉委員 産業技術研究センターに蓄積をされた技術やノウハウ、これをセミナーを通して中小企業の人材育成に積極的に活用しているということであります。多くの中小企業は自前で技術者を養成することが大変困難な状況にございます。労働力人口が減少する中、中小企業にとって人材確保あるいは育成は喫緊の課題となっているというふうに思います。
最後に、今後、産業技術研究センターにおける中小企業の人材育成への取り組みについて、局長の見解をお伺いしたいと思います。
○前田産業労働局長 企業経営におきまして、人材は重要な経営資源であり、戦略的な人材育成を行うことが企業の持続的発展を図るために当然不可欠であります。そのように認識しております。しかし、お話にありましたように、中小企業におきましては、経営基盤が脆弱なため、人材育成のため十分な注力ができないという状況に現実にはございます。
そのため、産業技術研究センターには、製品開発などの技術支援に加えまして、中小企業の人材育成の一翼を担うことが求められております。こうしたことを踏まえまして、センターでは、みずから策定した中期計画に基づき、中小企業の技術力向上や技術者の育成を図っております。今後ともセンターにおきましてこうした取り組みを続け、試験や研究を通じて新たな技術やノウハウを蓄積し、その成果の普及と技術移転の推進によりまして中小企業の人材育成支援に取り組んでいくことを都として強く期待しております。
○清水委員 産業技術研究センター業務実績評価結果について伺います。
二十年度の依頼試験の件数は目標を上回る実績を上げたといいますが、どのように伸びているのか、お伺いいたします。そして、伸びた要因として特徴的なものをお示しください。
○山手商工部長 二十年度の依頼試験の件数は、中期計画の目標値が八万五千件以上となっておりますが、これを大きく上回る十万八百四十二件を実施いたしました。前年度件数の九万六千二百八十八件と比較しますと、四千五百五十四件、率にして四・七%の増加となっております。
件数が伸びた主な要因としましては、LED照明の開発需要の拡大に伴いまして、西が丘本部に全国からLED照明の試験依頼が集中しており、その結果、照明試験の件数が前年度に比べ約六割増加しております。
○清水委員 評価報告書では、依頼試験などの増加による研究員の基盤研究への影響が懸念されていますけれども、二十年度の基盤研究などの研究業務はどのような状況になっているのか、お伺いいたします。
○山手商工部長 平成二十年度の基盤研究につきましては、ナノテクノロジー分野やエレクトロニクス分野などの重点七分野に関する三十八テーマと、ものづくり基盤技術研究分野に関する十三テーマの、合わせて五十一テーマの研究を実施したところであり、前年度に比べ二テーマ多くなっております。また、中小企業との製品開発等に向けた共同研究につきましても、二十五件実施しております。さらに研究発表を延べ三百二十一件実施し、その成果の還元にも努めております。このように研究業務につきましては、年度計画に沿いまして着実に実施しております。
○清水委員 二十年度の研究業務は着実に行われているというご回答でしたが、評価委員会からは、今後さらに依頼試験などの業務量が増加することが懸念をされており、基盤研究などへのしわ寄せを招くことのないよう対策を講じることが必要であると指摘をされておりました。実際に今さまざまな需要があり、依頼試験は年々伸びているというご報告でしたが、既に目標を一万五千件以上も上回っているという状況にあるようですが、評価委員会からの指摘に対し、どのように対応していくお考えなのか、お伺いいたします。
○山手商工部長 評価委員会からの指摘にありますとおり、今後、依頼試験等の需要の拡大に伴いまして、さらなる業務量の増加によりまして、産業技術研究センターの重要な柱となっている基盤研究等に支障を来さぬよう対策を講じることは必要なことであると認識しております。このため、センターにおきましては、依頼試験の増加状況に応じまして、柔軟かつ機動的な業務分担や職員配置とすることにより、技術支援及び研究開発業務の円滑な遂行に努めていくこととしております。
○清水委員 我が党は、かねてから、依頼試験の増大のもとで、研究員の適切な確保とか、それから研究員の基盤研究などへのしわ寄せが起きないように指摘をしてまいりましたが、今、業務分担とか職員配置に機動性を持たせたことによって解決をしていくんだというようなご報告でしたけれども、やはり、その点だけでは疑問があります。また、有期雇用のために研究員が思うように集まらないというようなこともお伺いしておりますし、そうした点もやはりきちんと改善をしていただきたいと思います。評価委員会の指摘をきちんと受けとめて、改善に向けて努力をしていただきたいと要望して、質問を終わります。
○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○小沢委員長 次に、報告事項、新銀行東京の最近の動向についてに対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○三枝総務部長 去る九月三日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
目次でございます。資料は全部で四項目でございます。
一ページをお開きください。新銀行東京の不良債権の状況をお示ししてございます。
一番右側の欄をごらんください。平成二十一年度第一・四半期末時点における破綻更生債権及びこれらに準ずる債権の額は百五十億円、危険債権の額は百六十一億円、要管理債権の額は四億円で、合わせて三百十五億円となってございます。
二ページをお開きください。新銀行東京の融資、保証先における中小企業の割合の推移をお示ししてございます。
一番右側の欄をごらんください。平成二十一年六月末時点の融資・保証残高のうち、中小企業向けは七百九十億円、その割合は四四・一%でございます。
三ページをお開きください。新銀行東京における都と連携した事業の事業別実行件数、実行額の推移でございます。
公共工事代金債権信託の実績をお示ししてございます。
四ページをお開きください。新銀行東京の職員数の推移でございます。
平成二十一年度六月末時点の職員数は百五十一人と相なってございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小沢委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○伊藤(ゆ)委員 それでは私も、増子副委員長にならって、できるだけテンポよく質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
一昨日の代表質問の質疑で、石原知事と産労局長の答弁から、新銀行東京は七億円の黒字が出たということを強調されて、この数字を素直に見てほしいという答弁をされたわけでございます。
七億円の黒字が出たことの主な要因は、信用コストが十四億円圧縮されて七億円の黒字になったということはわかるんですけれども、平成二十年以来の、銀行本来の業務である融資などによる業務収益というのは、どのように変化しているのでしょうか。
○中村金融監理室長 新銀行東京の本業の収益力を示す業務収益額は、平成二十年度の四半期ごとに見ますと、ほぼ横ばいの状況でございます。
○伊藤(ゆ)委員 つまり、銀行本来の融資による業務収益がふえたわけではなくて、銀行の本業以外の稼ぎが七億円の黒字を出したともいえると思います。
そこで、銀行の本来業務である無担保・無保証融資について伺いたいと思います。
特にこの無担保・無保証融資については、新銀行東京の設立以来、特別な位置づけがなされてきたというふうに思いますけれども、設立当時の位置づけについて、どのような商品だったのか、お答えいただきたいと思います。
○中村金融監理室長 無担保・無保証の融資商品でございますポートフォリオ型融資は、マスタープランにおいて、新銀行東京の中小企業融資の主力商品として位置づけられておりました。
○伊藤(ゆ)委員 今、答弁にあったとおり、平成十五年当時、この新銀行が設立される当時ですけれども、中小企業を取り巻く状況は、まさに今と同様に大変厳しく、銀行業界では、中小企業に対する貸し渋りや貸しはがしも横行していたということは私どもも承知をいたしているところでございまして、そこで、新銀行東京は、メガバンクが対応し切れない、担保を持たない中小企業への貸し付けを行うことをにしきの御旗に設立をされて、特にスコアリング審査等によって、無担保・無保証融資を最大の看板商品にしたと、こういうわけでございます。
そこで、当委員会に提出をされた資料によれば、無担保・無保証融資の実行額は、平成十七年末時点では七百三十一億円、四千八百四十四件あったということでありますけれども、平成二十年時点の実行ベースでは幾らになったのか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 平成二十年度の無担保・無保証融資の実行は、二百十四件、三百四十一億円となってございます。
○伊藤(ゆ)委員 都が認める中小企業融資の、まさに主力商品であったと位置づけられているこの無担保・無保証融資、繰り返しますが、平成十七年時点では七百三十一億円、四千八百四十四件あったものが、平成二十年時点では三百四十一億円、二百十四件に激減しているということでございます。金額以上に件数が大幅に減ったということですけれども、このことを金融監理室はどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。
○中村金融監理室長 再建計画においては、新規融資については、原則として担保や保証をつけた融資を基本とすることとしてございます。
こうした中にあっても、財務内容等を考慮し、無担保・無保証融資を行っており、ご指摘の数字は、新銀行東京が可能な限り対応を行った結果であると考えております。
○伊藤(ゆ)委員 今、答弁もいただきましたけれども、平成十七年時点は、いわゆる旧経営陣による経営であって、平成十九年から再建計画というものが持ち上がってきて、平成二十年時点で、大幅に無担保・無保証融資が減ったということですけれども、堅実で健全な銀行経営を図るという観点からこれらの融資を大幅に圧縮させることになったのだとしたら、もともと中小企業に無担保・無保証融資を行うことが難しかった、都が平成十五年当時に策定をした制度設計そのものに無理があったというふうに思えるんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○中村金融監理室長 新銀行マスタープランは、金融の専門家のほか、旧経営陣も含めて、多数が参画して策定され、当時としては妥当なものであり、制度設計に無理があったとは考えてございません。
その上で、都は、平成十六年第一回定例会で新銀行マスタープランを示して、議会において議論した上、一千億円の出資を議決いただき、新銀行東京を設立したものでございます。
○伊藤(ゆ)委員 今、当時としてはというまくら言葉がついておりました。当時としては、議会でも、こうした審査というもの、無担保・無保証融資が可能ではないかという議論があったというふうに、私も、当時議員ではありませんでしたが、承知しています。当時としては、この無担保・無保証融資が妥当だと、可能だということでありましたが、今現在の、現時点では、結果的にこの制度設計に無理があったというふうには考えていらっしゃらないんでしょうか。
○中村金融監理室長 制度設計当時、マスタープランにある無担保・無保証融資の前提であったスコアリングモデルは、公的機関等によりその活用が推奨されるなど、融資審査における有力なツールとして認識されておりました。
当時としては妥当でございましたが、その後の金融情勢等の変化が大きく、特にスコアリングモデルについては適合しなくなったと認識しております。
○伊藤(ゆ)委員 当時はこのスコアリング審査が適当なものであったけれども、その後の金融状況が変わったので、これがうまく機能しなくなったということをおっしゃいましたけれども、そうすると、旧経営陣のいわゆる手法、例えば融資における審査の甘さ、あるいは過大な融資などというものは、この適切なスコアリング審査が歯車として壊れてしまった、崩れてしまったということに影響していないという認識なんでしょうか。
○中村金融監理室長 新銀行東京の外部弁護士による調査報告書によりますと、スコアリングシステムが規定どおりの機能を発揮できなかったことや、成果手当等の導入により営業専担による定性評価等の融資審査が十分に行われなかったことで、想定を大幅に上回るデフォルトを発生させるような融資が行われたことなどが、主な経営悪化の要因として挙げられてございます。
○伊藤(ゆ)委員 そうすると、金融監理室としては、先ほどご答弁にあった金融状況の変化ということ以上に、このスコアリング審査の甘さ等の手法の問題があったと、こういう認識をされているということだというふうに思いますけれども、そうだとすると、もともと想定をされた、マスタープランで示されていたような、想定される本来の手法がちゃんととられていたならば、スコアリング審査による無担保・無保証というものもこんな形で破綻をしなかった、デフォルトをこんなに生まなかったと、このように理解をされているんでしょうか。
○中村金融監理室長 制度設計に無理があったということではなく、先ほど新銀行東京の外部弁護士の調査報告書でも指摘してございますように、旧経営陣が適切に対応せずに、想定を大幅に上回るデフォルトを発生させるような融資等が行われたことが原因である、運用が原因であるというふうに考えております。
○伊藤(ゆ)委員 パネルを使わせていただきますが、(パネルを示す)これは、平成十七年度以降、現在に至るまでの都内中小企業の倒産件数と、新銀行東京の無担保・無保証融資の数の推移です。青い方が倒産企業。平成十七年から、特に最近ですね、平成二十一年。二十一年は第一・四半期を四倍にしているものですから、推計値ということになりますけれども、二十年度で見れば、倒産件数は三千件を超えているということで、年々、今、中小企業を取り巻く環境というのは厳しくなっていると。
ということであれば、多くの中小企業の方々が、まさしくこの無担保・無保証というものを借りたい、お願いしたいという状況というものが、近年の方がますます高まっているというふうに理解できると思います。
一方で、黄色いこの棒グラフは、新銀行の無担保・無保証の融資件数です。その件数で見ると、平成十七年のときは四千件を優に上回ってましたけれども、今は千件どころか、先ほどのお話のとおりですね、二百十四件であったかと思いますが、そこまで縮小されてしまっていると。
私、何がいいたいかというと、手法の問題でこの無担保・無保証の融資制度というものが破綻をした、あるいはデフォルトを大変多く生んだという今答弁でしたので、そうすると、経営者がかわって、そして、再建計画がちゃんとなされて、手法の問題点というものが明らかになった以上、本来であれば無担保・無保証というのは、今答弁の中で、適切なものだったと、スコアリング審査も適切なものだったという話ですから、ふやせるんじゃないかと思うんですけれども、そこは、なぜ、こうしたもとの無担保・無保証融資額というものをこんなに減らしていて、一方で戻すことができないんでしょうか。
○中村金融監理室長 無担保・無保証の制度自体に問題があったということではございません。ただ、その運用のやり方、旧経営陣のずさんな運営のやり方、そして、スコアリングモデルという部分でやった手法の誤りというものがあって、今減少していると。
今のところ、今、新銀行東京は再建途上にございます。徐々にそういうもの、中小企業の、残念なことですけれども、徐々にふやしていっているという状況にございます。
今現在では、無担保・無保証というものについては、可能な限り、実際に新銀行東京の経営体力の中でやっているというところでございます。原則として、担保、保証をつけるという中でやっておりますので、無担保・無保証制度が、意味がなくなったということはないというふうに思っております。
○伊藤(ゆ)委員 つまり、その無担保・無保証制度という融資が設立以来ずっと続いてきていて、少なくても旧経営陣の手法が相当ルーズなもので、銀行本来の能力を超えるオーバーワークな融資がたたったということは、まず一つ、今お互いに認め合えている事実だと思います。
問題なのは、このスコアリング審査による無担保・無保証、今もって制度設計としては無理がなかったというご判断をされているということを今いわれたというふうに思いますけれども、同時に、無担保・無保証については、これから改めて必要性があるのでふやしていくんだと、こういうふうに私には聞こえたんですけれども、基本的には、無担保・無保証を激減させましたけれども、これが再建計画の過程の中で、また改めてふやしていく過程にあるんだと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○中村金融監理室長 無担保・無保証の部分については、意味がないということではなくて、手法が問題なのではなくて、個別に、今は財務内容等を評価しながらやっていっております。それは一般の銀行も同じでございまして、その中で徐々にふやしていく。総体としての中小零細企業融資はふやしていくと、そういう意味で私はいったつもりでございます。
○伊藤(ゆ)委員 そこでお伺いをしたいんですけれども、この三百四十一億円の無担保・無保証融資の中で、中小企業と、そして大企業の件数の比率というものがあると思うんですけれども、無担保・無保証融資の現在行われているものの中で、中小企業向けの件数と金額というのは、幾らになるでしょう。
○中村金融監理室長 銀行の経営情報につきましては、銀行法により、ディスクロージャー制度が定められ、貸出金や財産に関する状況など開示項目が規定されてございます。そこから踏み込んで開示すべき項目とされている以上の情報、例えば取引先の分野、融資の種類等を明らかにすることは、新銀行東京の競争上の地位を脅かすおそれがあるため、行わないものとなってございまして、無担保・無保証融資の中小企業向けの中身というものについても、これに該当し、新銀行東京は明らかにしてございません。
○伊藤(ゆ)委員 ところが、平成十八年から平成二十一年に至るまでの新銀行は、貸付額と、そして貸付額に占める中小零細向け金額、件数の推移は公表をされているわけですね。そうすると、なぜ、その中における無担保・無保証融資についてのみその内訳が公表できないのかということをお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、本情報を公表することは、当行の与信判断における重要な経営情報を明らかにすることになり、当行の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあるため公表しないとしてございます。
○伊藤(ゆ)委員 それでは、都は、金融監理の立場から、この無担保・無保証融資に占める中小企業の数、件数というものを承知されているんでしょうか。
○中村金融監理室長 申しわけございませんけれども、承知しているかどうかも含めて、明らかにできません。
○伊藤(ゆ)委員 その明らかにできないというのは、東京都の判断として明らかにできないんですか。それとも、銀行からの要請として、承知しているかどうかさえもこの場で明らかにできない、どちらのことなんでしょう。
○中村金融監理室長 都は、株主として経営の監視に必要な情報は適切に把握してございます。なお、その内容については、都として明らかにできないということでございます。
○伊藤(ゆ)委員 じゃ、都の判断として、この点、つまりは無担保・無保証に占める中小企業の比率だけは、貸付額と貸付額に占める中小零細向けの金額の総額は出せるけれども、この点については出せないというのは、都の判断として、本当に銀行の競争力のためなのかという疑念を持っております。無担保・無保証融資が、本来は中小企業救済の目的で設定をされたわけですけれども、その後、経営再建がなされる中で、無担保・無保証融資というものが、急速に、これは大企業向けになされているというのが今の現状なのではないか、こういうふうに私は推察をするわけでありまして、そのことを東京都として公にすることは、必ずしも都の利益にならないので、この部分は明らかにできないということではないのかなというふうに思っています。
無担保・無保証融資は、平成十七年当時、先ほど来申し上げているとおり、七百三十一億円だったものが、平成二十年に三百四十一億円になりました。件数だけで見れば、これは四千八百四十四件から二百十四件ですから、二十分の一に減っているわけですけれども、融資額で見ると二分の一にしかなっていない。ということは、一件当たりの無担保・無保証融資額が、ある意味では十倍になっているというふうにもいえるわけでございます。
(パネルを示す)これが非常にわかりやすい図になるわけですけれども、旧経営陣時代の、平成十七年当時の無担保・無保証融資の一件当たりの融資額というものと、そして、平成二十年と平成二十一年の一件当たりの融資額を、まずちょっとご答弁いただきたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京の各年度における無担保・無保証融資の総額を件数で割りました金額でございますけれども、平成十七年度は約一千五百万円、平成二十年度は約一億六千万円、平成二十一年度第一・四半期は約二億二千万円となってございます。
○伊藤(ゆ)委員 (パネルを示す)ちょっとパネルを出すのが早かったんですが、これが、つまり無担保・無保証の融資額を融資件数で割って一件当たりの平均を出したというのが今の答弁でありますけれども、今お答えをいただいたとおり、平成十七年のころは、無担保・無保証の融資の一件当たりの平均というのが大体一千五百万円ぐらいだったものが、平成二十年度で見たときには一億五千万円を超えると。あるいは平成二十一年度で見た場合には、もう二億円を超えると。平均でも二億円を超えるということは、二億円どころか、三億円、四億円、五億円の会社があってもおかしくはないのではないかと思います。
つまりは、二億円、三億円借りられる、そういう企業というのは、果たして中小企業なんでしょうか。ましてこれは無担保・無保証ですから、担保をとらずに新銀行が今の経営状況でお金を貸せる二億円、三億円の企業というのは、これは、中小企業がどれぐらいあるのかというのは関心事だと思うんですけれども、なぜそのことを明らかにできないのかということを、改めてお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 取引先等の内容につきましては、一般の金融機関は開示してございません。それで、同様に、新銀行東京はそのことについては明らかにしておりませんで、実際に大企業か中小企業かというところはわからないわけですけれども、財務内容がよい場合には、一般論として中小企業も当然あり得るのではないかというふうに考えております。
○伊藤(ゆ)委員 今、中小企業もあり得るのではないかというお答えが一般論としてありましたけれども、これは、仮にもですが、平成十七年当時の一件当たり一千五百万円、中小企業に対する貸し付けが今でも行われていたとします。十件で一億五千万円ですから、百件で、総額で十五億円と、こういう単純計算になるわけです。
今、件数でいうと、総件数が二百十四件しかないのが平成二十年なんですね。ですから、もし一千五百万円の融資というものが、中小企業に対して仮に百件行われていたとすれば、十五億円しかそこで使われていないと。残るのは、およそ三百二十五億円程度になるということですから、これをさらに残っている件数の百十四件、百件ぐらいで割りますと、大体、一社三億円ぐらい無担保・無保証で借りていると。ということは、仮にも百件が中小企業--半分が中小企業に回っているとしても、その半分以上の企業が、億を超える無担保・無保証を借り受けているということになりますと、これは本来の中小企業向けにつくった無担保・無保証融資制度から、制度設計として随分外れたものになっているのではないかというふうに私は思います。
そこで、一億円を超える金額の無担保・無保証を、中小企業がこの新銀行東京から借り受けるということがあり得るのかどうか、金融監理室の立場からお答えいただきたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京におきましては、今、無担保・無保証の融資については、一件一件の一般融資の中でやってございます。したがいまして、その会社ごとの財務内容とか、ノウハウだとか、いろんなものを勘案した上で審査を行っておりますので、そういう金額があり得る場合もあるのではないかなというふうに思います。
○伊藤(ゆ)委員 今、そういうことも仮にもあり得るという話でしたけれども、私は、それはいささか全般としていうには無理があるというふうに思いますよ。つまりは、平成十七年のころでさえも、一件当たりの平均一千五百万円だったものが、今まさに経営再建が入って、一億円以上、二億円以上の無担保・無保証融資を行っているということは、常識で考えて、これはなかなか数として少ないし、ほとんど皆無なんじゃないかと、私はこのように思うわけであります。
そこで、借り手も預金者も、新銀行の急速に悪化した経営状況というのは、もうよくよく承知をしているわけでありまして、いうなれば、だれもが認める瀕死の重症患者のかかりつけ医となったのが東京都の金融監理室ではなかったのかと思います。
にもかかわらず、今、私は極めて重要な症状の部分というものに関して、かかりつけ医である金融監理室の方にお伺いをしたわけですけれども、まさにこの銀行の根幹ともいえる無担保・無保証融資の内訳について、承知しているかどうかも明かせないというのは、皆さんの職務上、通らないのではないかというふうに思います。むしろ、都が数字を十分に把握して、そして、それを公にすることによって、借り手や預金者に信用を与え、都民に信用を与えることになるのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、新銀行東京に改めて情報開示を都として求める、こういう意思がないかどうか、お伺いしたいと思います。
○真田次長 借り手や預金者の信用ということなので、私の方から答えさせていただきます。
先ほど来、銀行の情報について室長とやりとりがございましたけれども、議論の論点は二点あると思います。
第一の論点は、都が新銀行を監視、支援するに当たりまして、きちんとした情報に基づいて行うべきであるという点でございます。これにつきましては、先ほど来、室長からもお答えしておりますように、都は、株主として経営の監視に必要な情報を適切に把握した上で、適切な監視を行ってきております。こうした監視を行ってきたこともありまして、新銀行の経営再建は着実に進んでいるものと認識しております。
次に、第二の論点ですが、こうした情報については公開すべきであるという点でございます。これにつきましても室長からお答えしましたように、銀行の経営情報の公開については一定の制約があることに留意しなければならないというふうに考えております。つまり、銀行は一般の企業と異なりまして、信用秩序の観点から公共性が高く、銀行法により、国の免許事業として、政府の厳格な監督、検査を受けております。その経営情報につきましても、こうした銀行業の性格にかんがみまして、何でもオープンにできるというものではございません。銀行は、借り手や預金者に必要な情報につきましては、銀行法のディスクロージャー制度に定められた開示項目に従いましてオープンしておりますけれども、それ以上に情報を開示することは、かえって借り手や預金者の信用を失わせるものとなります。
現に国におきましても、公的資金を投入した銀行について、その情報の開示は制約を伴って行われております。それは、そういうことに着目して行われているものと認識しております。
新銀行東京は、既に必要な情報はすべて開示しておりまして、これからも、出せるものは出せるし、出せないものは出せない、そういうことであるというふうに考えますので、ご理解いただきたいと思います。
また、先ほど来、無担保・無保証融資につきましてもご議論いただきましたので、それにつきましても、もう一回まとめて考え方をご説明させていただきたいと思います。
確かに、過去に無担保・無保証融資におきまして大量のデフォルトが発生いたしましたけれども、これは、室長からお答えしましたように、制度自体に問題があったからではなくて、あくまでも制度の運用の問題であると認識しております。つまり、金融状況等が制度設計時と大きく変化したわけですけれども、それにもかかわらず、旧経営陣がこれに適切に対応せず、過度にスコアリングモデルに依存した融資を続けてきたことなどが原因であるというふうに考えております。
このため、新銀行東京におきましては、今回の経営再建に当たりまして、そういった過去の反省に立ちまして、スコアリングモデルによる新規取り扱いを取りやめるとともに、財務内容ですとか、これまでの返済履歴等を考慮しながら、可能な限りの対応を行うこととしております。その結果、融資実績につきましては減ることとなっておりますけれども、これはまさにそうした制度改善をしたことによるものでございますので、ご理解いただきたいと思います。
次に、無担保・無保証融資が、大企業ばかりじゃないかというような点もご指摘いただきましたけれども、これについては、あくまでも明らかになっておりませんので、私どももそれを認めたわけではございませんけれども、中小企業に引き続き支援するために、経営再建中の新銀行東京が、その収益基盤の安定を図るために、中小企業以外の融資に取り組むのは当然の経営判断でございまして、今の状況においては、そういう状況の中での当然の経営判断であるというふうに認識しております。
このように、無担保・無保証融資の減少と、それから融資先の規模の問題で、先生、問題にしておられますけれども、これは基本的に全く別の問題でございまして、それを一緒にご議論いただくのは、なかなかちょっと適当ではないのかなというふうに考えているところでございます。
○伊藤(ゆ)委員 今、銀行の立場に立てば、何でもかんでも開示することができないんだと、そういうお話があったというふうに思うんですけれども、まず二点あると思いますが、この銀行のそもそも設立の趣旨というのは、大企業にお金を貸しますよということではなくて、そもそもは中小零細企業の皆さん方、特に大きな都市銀行からお金が借りられない方々にお金を貸そうということで設立をされた、それが大義名分となって税金が投入をされたというのがまず一点、一般の銀行とは大きく違う点だというふうに思います。ですから、今でもその設立の趣旨というものが、ちゃんとかなったものになっているのかどうかというのを経営監視するのが皆さんの務めであり、我々議会の務めであるというふうに私は思っているので、このことを特に申し上げているわけであります。
それから、もう一点は、この無担保・無保証の融資ですけれども、冒頭の答弁にもお答えをいただいたとおり、主力商品だったということをおっしゃられているわけですから、その主力商品が、今、ちゃんと中小企業に貸されているのかどうか、あるいは大企業にばかりになっているんじゃないかというのは、皆さんがお認めになる主力商品であるがために、そのことがクローズアップされて、今質疑の対象になっているので、これを何でもかんでも情報公開できない対象の一つだとおっしゃるのは、いささか的外れなのではないかなというふうに思います。
ですから、都民が最も関心を持っている中小企業対策になっているのかどうかということについてはお答えをいただく義務があるというふうに私は思うんですけれども、改めて最後にご見解を伺っておきたいと思います。
○真田次長 マスタープランで、当時の中小零細企業の厳しい実情に応じたメニューとしまして、無担保・無保証融資を設定したものでございます。一般的に考えますと、融資とは相手の財務状況等を判断して決定するものでありまして、相手が大企業だから無担保でよいと単純に判断するものではないというふうに考えます。大企業、中小企業という区分けではなく、あくまでも相手の信用力に応じ、財務状況を個々に判断するものであります。
新銀行東京は、今申しましたとおり、再建途上でございまして、中小零細企業支援という本来の役割を果たせるように、まさに今の足元の経営を固め、みずからの体力を回復させるという、今それをやっているところでございます。そのために、今、中小企業に貸しつつ、可能な限りそれ以外の企業にも貸しているということでございまして、それも、中小企業、零細企業の本来の目的を引き続き果たせるようにするために、まさに今、経営再建の努力をしている、そういうことにおける現象だということでご理解いただければと思います。
いずれにしましても、今後、新銀行東京は、中小零細企業の融資に軸足を置きながら、着実に再建に向け取り組んでいくというふうになっておりますし、東京都も、適切に監視、支援をしていきたいというふうに考えております。
○伊藤(ゆ)委員 終わります。
○山崎委員 私の方から何点かご質問をさせていただきます。
まず初めに、先月、新銀行東京の平成二十一年度第一・四半期決算が発表され、純利益七億円の黒字となりました。昨年の追加出資の際に付帯決議で、追加出資した四百億円を毀損させないこととされていましたが、今回の決算では、この資本はどのような状況になっているのか、お伺いをいたします。
○中村金融監理室長 新銀行東京の資本の状況についてでございますが、新銀行東京がこの八月に発表いたしました第一・四半期決算では、純資産は四百七十九億円であり、追加出資の四百億円は適切に確保されている状況にございます。また、自己資本比率は三五・二五%となっており、健全な水準にございます。
○山崎委員 四百億円の追加出資は損なわれていないことはわかりました。にもかかわらず、さきの代表質問では、清算すべきとの主張がいろいろとございました。銀行は公共性が高いため、一般の会社とは違い、簡単に清算ができない、できるとは思われません。そこで、清算について、銀行の場合と一般の会社との違いについて、その内容は何かをお伺いいたします。
○中村金融監理室長 一般の株式会社の場合は、株主総会において解散、清算の決議や、清算人を選定し、さらに債権者などに対して二カ月間公告を行った後、清算結了登記申請を行えば、登記簿が閉鎖され、会社の法人格はなくなります。
銀行の場合は、その公共的性格や、設立に当たり監督官庁から免許を受けているため、預金者保護や信用秩序維持の観点から、銀行法のさまざまな手続を経なければ、清算は容易に行うことはできないこととなってございます。
○山崎委員 銀行の清算は、預金者保護や信用秩序維持の点から慎重でなければならないことが十分わかったと思います。極めて、もちろん当然のことです。また、再建を進めているということは、都としても解散などを行う意思がないことは、いわずもがなである。
経営状態が著しく悪い場合や社会的に問題がある場合は銀行業から撤退をさせられることもあるとのことだが、そのような場合に監督官庁からどのような措置が講ぜられるのか、また、新銀行東京はその措置の対象に該当するのかをお伺いいたします。
○中村金融監理室長 監督官庁は、銀行経営の健全性が損なわれている場合に、銀行法に基づき、その銀行に対し早期是正措置を発動することができます。その措置の発動の目安として、客観的な基準として自己資本比率が用いられ、国内基準で四%未満の場合が対象となります。先ほど申し上げましたように、新銀行東京の自己資本比率は三五%を超え、この基準を十分に上回ってございます。当然、廃業等の基準には全く該当いたしません。
○山崎委員 新銀行東京が廃業や解散の対象には全くなっていないということがわかったわけでございます。
ところで、さきの代表質問で知事が、金融機関においても信用は最も重要な要素である、公の立場にある者は金融機関の信用にかかわることについては発言に慎重を期すべきだという発言がございました。これが具体的にどういうものなのか、お伺いいたします。
○中村金融監理室長 銀行は、多くの預金者、取引先とともに経済活動を行う、公共性が高い、信用第一の企業体でございます。こうした銀行の経営に対し、その活動に支障を及ぼすような発言は、風評被害を誘発し、結果として、その信用をおとしめることになることから、第三者の発言は慎重であるべきという趣旨であると考えます。
○山崎委員 第三者の無責任な発言が、風評被害を誘発するなど、銀行の営業に支障を及ぼしかねないという点は重要であります。過去には昭和恐慌における東京渡辺銀行の例があったと思いますが、最近でも銀行の風評被害の例はあるのかをお伺いいたします。
○中村金融監理室長 いずれも地方銀行の例でございますが、そうした風評被害の例がございます。マスコミ等では報道されておりますけれども、この場では個別の銀行名は差し控えさせていただきます。
平成十五年に、短期間に預金五百億円余りが引き出されたことがございました。これは、倒産するというチェーンメールがきっかけだったといわれております。また、平成九年には、数日間で約三千億円もの預金が流出したことがございました。これは経営不安の風評が流れたことによるものといわれてございます。
○山崎委員 昭和の金融恐慌以外にも、こうした例が最近でもあったことを私も初めて知りました。しかし、確かに、そういう不安を抱かせる銀行にだれがお金を預けるのか、また、だれがお金を借りるのか。都民が預金者であり、また債務者であるこの銀行で、都民をこうした混乱に陥れることは絶対にやってはならないことです。
我が党は、新銀行東京が一日も早く再建を果たすことが重要であると、かねがね主張してきました。さまざまな偏った見方による主張や憶測は、再建の足を引っ張ることになり、結局都民に迷惑をかけることになるということを肝に銘じなければならないと思います。こうした点を踏まえ、最後に、新銀行東京の再建について局長の決意をお伺いいたします。
○前田産業労働局長 新銀行東京の再建についてでありますが、まず最初に、この新銀行東京がどういう目的で設置をされたか。それは、中小企業を資金面で支援する、こういう設立理念でございまして、これは、平成十五年、十六年の設立時、また現在も全く変わっておりません。
しかしながら、実際に開業以降、旧経営陣のずさんな経営により大幅に経営が悪化し、現在、その当初の考え方が十全に果たされてないというのは、まことに遺憾であります。また、金融情勢が変化する中で、新銀行がその力、その目的を、過去の傷口ゆえに、傷口の重さゆえに制約が現実にあるということについては、出資者である東京都としても、正直なところ、悔しいところがございます。
しかし、それでは、じゃあ新銀行東京というのがだめだとか、意味が乏しいとか、そういうことをいっても何も始まらないと思います。これまでの新銀行の経営の悪かったところは当然繰り返さない、そういう決意の中で、また、民間企業である銀行でありますので、銀行の健全性を確保しながら、再び再建を果たして、中小企業支援という本来の設立目的を果たさなければならない。このために私どもは再建に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
ご質問にありました新銀行の再建に関するいろんな憶測等でございますけれども、先ほど伊藤先生の質疑で室長からもお答えしましたが、そもそも銀行は、その公共性及び経営の健全性を確保する観点から、経営の独立性を確保することが強く求められております。銀行法において国の極めて強い関与を認める一方、たとえ大株主といえども、経営への不当な介入はできず、銀行の守秘義務等の保護が図られております。
新銀行東京は、現在も三千億円を超える資金、預金を有するとともに、他の金融機関では支援が難しい赤字、債務超過先を含む約一万社の中小零細企業を支援している、そして現に営業している銀行であります。
ご指摘をいただきましたとおり、こうしたことを無視して、信用第一の銀行について、その将来を公の場で安易に論ずるということは、これは厳に慎まなければならない。東京都は大株主でありますが、そこに預金をしているのも都民、そこから借りているのも都民、そういう都民の立場を第一に考えていかなければならないと考えております。都としても、こうした中小零細企業と、そこで働く従業員やその家族の生活を守るため、新銀行東京が着実に経営再建を果たせるよう全力を尽くしてまいります。
○山崎委員 今の局長の答弁の中にも、しっかりとこれからやっていくという、都としてのひたむきさも私は感じられました。中小企業、零細企業のそこで働く従業員、そして、その家族の生活を守るためにも、とにかく新銀行東京の経営を再建することこそが最良の選択肢であると思います。新銀行東京が一日も早く再建されるよう努力を求めて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○高倉委員 新銀行東京は、平成二十一年度第一・四半期決算において、開業以来初めての黒字を計上したわけであります。新銀行東京の再建に向けた着実な努力が実を結んだものということで評価を申し上げたいと思います。
先日の本会議における我が党の代表質問に対しまして、今回の決算が黒字になった理由として、営業経費の圧縮による低コスト構造への転換に取り組んだということに加えまして、新銀行東京が取引先へのきめ細やかな対応を図って信用コストの圧縮に努めた結果である、こうした答弁がございました。そこで、この新銀行東京が信用コストの圧縮に努めた具体的な取り組みについて明らかにしていただきたいと思います。
○中村金融監理室長 信用コストとは、金融機関の会計処理上、貸出金が返済されない場合の備えでございます、貸倒引当金の繰入額などを指すものであります。
新銀行東京は、信用コストの圧縮を図るために、具体的には、本年一月以降、小零細企業を含むすべての取引先に対しまして、原則月一回以上訪問するなど、きめ細かな顧客対応を強化しております。加えて、地方銀行や信用金庫のOBを活用し、取引先の実情に応じて貸出条件の緩和、延滞や倒産の回避等を講じております。
このような新銀行東京の努力により、決算期において、過去に積んだ貸倒引当金を見直すことが可能となり、会計処理上、戻り益として計上した結果、純利益が七億円の黒字となったものでございます。
なお、貸倒引当金は、法令上、厳格に計上することが求められており、当然のことですが、新銀行東京に限らず、どの金融機関であっても恣意的に行えるものではございません。
○高倉委員 今、答弁で、信用コストの圧縮に向けた取り組みということで具体的に説明をいただいたわけでありますけれども、しかしながら、一方で、不良債権比率の推移を見ますと、二十一年六月期は三月期に比べまして〇・八%上昇しているということがあります。信用コストは圧縮をされているにもかかわらず、不良債権比率が上昇しているのはどういうことであるのか、このことについて説明をいただきたいと思います。
○中村金融監理室長 不良債権比率とは、銀行の貸出金等の残高に占める、いわゆる不良債権額の割合でございます。今回、不良債権額は、先ほどお答えしたとおり、新銀行東京の経営努力により、三月期に比べ約十八億円減少しましたが、その分母である貸出金残高の減少度合いの方が大きかったため、結果として不良債権比率が上昇したものでございます。
しかしながら、新銀行東京は、不良債権について放置せず、可能な限り回収に努めております。また、不良債権の管理につきましては、それがいかに保全されているかが重要でございまして、その保全率は、二十一年三月末時点のものではございますが、約九〇%と高い水準にあることから、問題はないと考えております。
○高倉委員 今ご答弁で、不良債権比率は上昇をしているけれども、新銀行東京の努力によって、この不良債権の絶対額、これは確実に減少しているということ、そして、さらにその保全率も極めて高いというような説明をいただきました。
ところが、こうした新銀行東京に対して、先日の代表質問においても、直ちに清算をすべきという主張があって、知事はこれを明確に否定をされたわけであります。先ほどの質疑でも清算のお話がございましたけれども、改めてこれについての局の見解をお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京には、本年六月末時点で約三千億円の預金と約一千億円の貸出金、そして、多くの赤字、債務超過先を含む約一万社の取引先があり、その従業員や家族を含めると十万人を超える関係者が存在します。新銀行東京を店じまいするとなると、こうした多くの関係者が路頭に迷うことになり、その影響の大きさは、はかり知れません。
また、金融経済環境がいまだ回復途上にある現在、仮に破綻処理を行えば、我が国初のペイオフ発動とともに、新たな信用不安の引き金となりかねません。
したがいまして、都としては、新銀行東京に対し清算を求める考えは全くございません。
○高倉委員 次に、旧経営陣に対する責任追及についてお伺いしたいと思いますけれども、我が党は、新銀行東京の深刻な経営悪化の責任を追及すべきということで、これを一貫して訴えてきたところでありますけれども、先日の代表質問に対して、都からは、新銀行東京は年内を目途に旧経営陣に対する訴訟を提起すべく準備をしていると、年内を目途にということで明確な答弁があったわけであります。改めて、その準備状況についてお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、既に旧経営陣の代表執行役であった仁司泰正氏及び執行役であった丹治幹雄氏に対して損害賠償請求訴訟を提起する方針を決定しております。
第二回定例会の本委員会において、高倉理事から、旧経営陣への損害賠償請求の訴訟を提起し、責任追及を厳正に行うべきとのお話をいただきましたが、新銀行東京においては現在、年内を目途に訴訟を提起すべく、訴訟代理人の選定作業など周到な準備を進めております。
○高倉委員 新銀行東京は、いわば都民が出資をした銀行であり、銀行そのものが都民の貴重な財産ともいえるものであります。私ども都議会公明党は、何が本当に都民のためになるのかということを第一に考えまして、徹底的に議論を重ねた結果、新銀行東京を再建をし、その企業価値を高め、事業譲渡や業務提携を行うことが都民の負担を最小限に抑えることだと考え、まさしくやむを得ざる措置として、この四百億円の追加出資には賛成をしたところであります。
一方で、昨年来、新銀行東京が四百億円をすぐにでも毀損をするとか、あるいは今回の四半期決算で年間分の七億円の赤字が発生をする、こうした、いわば無責任な議論もあったわけでありますが、しかし、実際の結果は、四百億円は毀損もされておりませんし、開業以来初の七億円の黒字を出してきたわけであります。
新銀行東京については、都民の利益を第一にしまして、現実に即した議論をしていかなければならないと思っております。まずは、新銀行東京の企業価値を高めていくということが最優先と考えますけれども、この点から、新銀行東京の再建についての局長のご決意をお伺いしたいと思います。
○前田産業労働局長 新銀行東京の企業としての価値を高めるということについて、二つの視点がございます。
第一には、新銀行の企業としての資産価値を高めることでございます。新銀行東京は、経営再建を果たし、付帯決議で求められた四百億円の追加出資を毀損させないことはもちろん、その純資産額をさらに高めていくということになります。この点については、今回の第一・四半期決算で純資産額四百七十九億円、先生もお話しいただきましたけれども、再建計画を上回る水準にございます。
第二は、民間銀行として収益性を高めることでございます。そのためには、銀行本来の業務の成果である業務損益において、毎期確実に黒字を計上できる安定的な経営基盤を確立することでございます。この点については、新銀行東京みずからが経営再建に向けての課題と考え、改善に努めております。
さらに、こうした数字であらわされる価値に加えまして、銀行のお客様からの確かな信頼を得るという、いわば無形の価値が特に銀行業においては重視されます。過去のずさんな経営により経営悪化を招いた新銀行にとっては、これは甚だ重要なことだと考えております。
どちらにつきましても、新銀行東京の真摯な取り組みが当然必要であり、現に新銀行東京は平成十九年六月以降、新たな経営陣のもとで全力で努力をしておりますし、その努力は常に強化され続けていると、こういうふうに考えております。
企業価値を高めるということは、新銀行東京が、設立目的である中小企業支援ということを再び果たせるようにするということにつながるものでありまして、都としては、新銀行東京が有形、無形それぞれの企業価値を高めていくことによりまして着実に再建を果たしていくよう、引き続き監視と支援に全力で取り組んでまいります。
○清水委員 平成二十二年三月期第一・四半期決算についてお伺いいたします。
第一・四半期決算では、開業以来初めて黒字化したというふうにいっているわけですけれども、着実な経営改善したなどといっているわけですけれども、そのようなものでないことは明らかです。代表質問でも指摘をしてきたところです。
本業の利益で七億の赤字であったものが、全体としてなぜ黒字になったかということです。その一つが、先ほど来触れられている貸倒引当金の戻り益です。貸倒引当金の戻りについてですけれども、都は、取引先へのきめ細かな対応を図ったためだというふうに答弁しているわけですけれども、過去に大量の不良債権が発生したときに、引当金を計上し、貸出残高が減少すれば、当然、貸倒引当金の戻し入れが発生する。融資の減少による戻りであるということも明らかではないですか、伺います。
○中村金融監理室長 戻し益によって利益が出たということが、融資が減ったことで必然的なものではないかというお尋ねで、それが大きかったということでございますけれども、信用コストにつきましては、正常な貸出債権にかかわる、一般貸倒引当金にかかわる部分と、不良債権の処理にかかわる個別引当金などの部分の、二つの部分に大きく分かれます。
今回の第一・四半期決算では、当期利益が前年同期の三十七億円の赤字に対して七億円の黒字と、四十四億円の改善が図られてございます。この四十四億円の改善額は、一般貸倒引当金--正常債権の部分ではなく、顧客とのリレーションシップの向上によりまして、個別引当金の部分が圧縮されたことが大きく寄与しているものでございます。
したがいまして、新銀行東京の営業努力によるものが大きく寄与したというふうに考えてございます。
○清水委員 営業努力、顧客対応の強化というふうに先ほどからいわれているわけですけれども、それは具体的にどういうことなんですか、伺います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、本年一月以降、小零細企業を含むすべての取引先に対しまして、きめ細かな顧客対応を強化し、原則月一回以上訪問してございます。加えて、地方銀行や信用金庫のOBを活用し、取引先の実情に応じて、貸出条件の緩和、延滞や倒産の回避等を講じているところでございます。
○清水委員 金融再生法開示債権を見ると、与信残高に占める不良債権の比率、先ほども触れられておりましたけれども、むしろ上昇しているわけです、額は減少しているというふうに説明されているわけですけれども。顧客対応が向上しているというならば、不良債権というのはなぜふえるのか、ご説明ください。
○中村金融監理室長 不良債権額が三月期末に比べては総額として減少したということで、その部分で、顧客のリレーション強化によって不良債権額は減少させているわけでございまして、それによって、それは減る要素というふうになるわけですけれども、一方で、新銀行東京の取引先には、他の金融機関で支援を受けることができません赤字、債務超過先が多いということも、また事実でございます。また、取引先の実情に応じて可能な限り貸出条件の緩和に努めたと、そういうようなところがございます。そういう部分については、そういうところのご要請をするということで、不良債権比率が上昇したという側面もございます。それと、先ほどいいました分子と分母の関係で不良債権比率がふえたと。こういうことが両々相まって、不良債権比率がアップしたということだと思います。
○清水委員 顧客の対応の強化の具体策は、今お話にあったような、ご説明にあったことなどなのですが、貸出条件の緩和とか、先ほど来、延滞や倒産の回避などを講じるというようなことをいわれましたけれども、それは絶対的に企業の経営が改善されたということではないのではないですか。不良債権の状態は変わらずに、審査の状態が変わったということではないですか。
私は、先ほど民間の普通の銀行などでは行われていないものだというふうにいわれましたけども、民間銀行に勤務していた方から話を聞きましたけれども、例えばリレーションという名のもとに、顧客対応という名のもとに、取引企業の決算資料について個別引当金をどうするのかということについて、銀行側の判断でも幾らでも操作できるという話を直接伺ったことがあります。結局、融資の減少による戻りということです、先ほど来指摘をしているように。
で、黒字になったもう一つの原因、理由というのは、国が景気対策で行っている超低利の日銀融資を七百九十億円も借り入れし、これをもとに有価証券や国債を購入し、利ざやを稼いで収益にしたというものです。有価証券の残高の内訳を見ると、比較的残存期間が長目の債券の比重が高まっています。社債は十四倍になっていますし、外国の債権は一・五倍化など、非常にリスクの高い有価証券の割合も高くなってきているというのが有価証券の実情です。その理由について伺います。
○中村金融監理室長 銀行は、預金者から預かった預金を初め、その持つ資金を、貸し出しなど各種の資産で運用してございます。その中で、運用資産の一つに有価証券を選択することは一般的なことであり、また、運用資産をどう配分するかは、当該銀行が自己の責任において検討して決定するものであるところであります。
今、新しい社長にかわりまして、民間から銀行経営のプロの方が社長になっているわけでございますけれども、そういうところでは、リスクとリターンというものの、最適にどう配分していくかというところで、今の厳しい経済環境、あるいは新銀行東京の置かれている厳しい状況の中で、そういうようなところを総合的に判断して、このような運用を行っているというふうに考えてございます。
○清水委員 一般的にやられているんだというふうに先日もお答えになりました。それはもう理解するところですけれども、新銀行東京の有価証券による資産運用は五〇%を超えているわけです。五三%になっているわけです。これは、他行と比較しても、全国の銀行の平均が三〇%、地方銀行は二七%です。一般にやられているというけれども、こんなに大規模にはやっていないわけです。運用の仕方も、短期の資金で長期の運用をすると。金融情勢が一変すれば、都民負担が膨大になることもあり得るわけです。極めて異常な、リスクの高い運用になっています。
こうして本業による大幅な利益、収入が見込めないために、この面での、中小企業の銀行という点から大きく乖離をしてしまっているというような実情も、私は浮かび上がるというふうに考えます。
次に、営業経費について伺いますが、再建計画では三十八億円になっています。今度は十二億円の営業経費だったわけですが、このままでは、単純に四倍すると四十八億円となり、十億ぐらいの超過が見込まれることになりますが、今回の営業経費について、どのような認識をお持ちでしょうか。
○中村金融監理室長 今、営業経費の第一・四半期の決算を単純に四倍したわけですけれども、それで通期の決算というのを論じるということは適切でないというふうに感じます。
新銀行東京は、営業経費の削減に取り組んでございまして、今後とも人件費や物件費などの見直しを行うこととしてございます。その結果がこの数字であるというふうに認識してございます。
○清水委員 仮に四倍するとそうなりますよというふうな意味でいったんですけれども、しかし、四倍とはいえないとしても、十億という差は、今の収益を七億生むというようなことからすると、非常に、その一億の差というのだって大きいというふうに思うわけですね。
それでは、伺いますが、役員報酬について伺いますが、役員の人数と報酬額はどうなっていますか。
○中村金融監理室長 新銀行東京の役員報酬につきましては、平成二十年度の実績で総額一億一千万円、人数は年度末において十人でございます。
○清水委員 およそ一千万円ということですけれども、追加出資当時は、追加出資を決定した当時はどんな状況だったのかお伺いしたいと思いますが、おわかりになりますでしょうか。
○中村金融監理室長 今のは平成二十年度の総額でございますので、追加出資したときの数字であると。(清水委員「その前です、その前。」と呼ぶ)ちょっと手持ちにないんですけれども……。
○清水委員 十八年、十九年当時の役員人数と報酬総額をお聞きすると、一千万を超えていたというふうに資料をいただいたんですけれども、その当時から、いまだにこれは変わっていないと。
で、どこに営業経費の、この三十八億になるのかという、その根拠と、人件費の問題とシステムの問題と、で、私は役員報酬のことを聞いたんですけれども、その総体として。じゃ、役員報酬は、減らせばいいとか、ふやせばいいとかいってるわけじゃないんですけれども、開業当時とほぼ同じ水準を保っているということについて、どういう認識を持っていますか。
○中村金融監理室長 全体として、経費につきましては、人件費、物件費、それに役員報酬等を含めて、経営陣のもとで判断されるべき課題だというふうに認識しておりまして、その総体で見直しを適切に行うと新銀行東京側が申しているというところでございます。
○清水委員 全体を見ると、減らすところはどこなのかといったら、もう営業経費と、そのあたりしかないわけでしょう。それで、十億も差が出るということで、役員報酬の問題に、例えば聞いたわけですけれども、じゃ、率直に聞きますけれども、役員報酬がやはり営業経費を、この全体の大きさからすれば、お一人お一人の一千万というのがどうかということじゃなくて、全体の額、額というか、割合からすれば、今後どういうふうにしていったらいいのかというふうにお考えになりませんか、営業経費を圧縮するために。だって、もうシステムといったって、そんなに削減することできないんでしょう。それについてお伺いいたします。
○中村金融監理室長 恐れ入ります、先ほどの答弁の繰り返しになるかと思うんですけれども、それはあくまで会社側の判断だというふうに存じます。
○清水委員 そうしたら別の問題ですけれども、再建計画で示された、成長支援型融資、ファンド投資の実績はどうなっているかというと、先ほども少し示されましたけれども、代表質問でも指摘しましたが、見るべき実績という内容がありません。こうしたリスクの高い事業から手を引くということは考えていないのですか。
○中村金融監理室長 成長企業支援型融資、ファンド投資は、成長が期待されるニュービジネスへの重点的支援として中小零細企業を支援するものでございまして、新銀行東京の役割の一つとして、再建計画に位置づけられたものでございます。
しかし、銀行の業務はその時々の経済金融環境に影響を受けるものであり、再建計画に基づきながらも、その時々の経済金融環境に柔軟に対応していくということは当然であり、そうした考えであるということでございます。
○清水委員 ほとんど実績が上がっていないのにまだ継続をするという、責任が本当に問われると思います。
いろいろいわれましたが、決算の結果は、不良債権比率の増加、融資、貸し出しが減って有価証券が増加したものであり、貸出金に対する中小企業融資比率は三五・三%、先ほど資料で示されたのは保証を入れておりますけれども、融資だけをとってみれば、三五・三%と依然低い水準です。内閣府政策統括官室「地域の経済二〇〇八」の都市銀行と地域銀行の国内貸出残高比較を見ますと、都市銀行の融資残高、貸出残高は六八%、地域銀行は七五%、それぞれ中小企業への貸出比率となっていて、七割の水準を確保しているわけです。しかも、引き続き都は、今ご答弁にありましたようなリスクの高い事業を継続するというわけです。
これは、これらは新銀行が中小企業のための銀行とは到底いえない、で、先ほどから指摘しているように、むしろ投資会社になっているんではないかというふうにも見えるわけです。利益構造、資産運用の形態、中小企業への貸し出し、再建計画の見通しなど、どれをとってみても、当然、到底、新銀行東京を継続させる意味がないものです。速やかに清算するべきだと考えますが、どうですか。
○前田産業労働局長 先ほど報酬の話がありましたので、あわせてお答えいたします。
先ほど室長がお答えしましたように、株式会社の役員報酬は株式会社がみずから決めるものでございますけれども、一般的にいって経営悪化に陥った会社は、当然のことながら役員報酬においても例外なく見直すのが通例でありますし、新銀行東京もそうだと思います。東京都は、新銀行東京の監視に当たっているわけで、ほかのところを減らして役員報酬はそのままというのは常識的に考えられない。
それから、次に、投資会社という指摘がありましたが、投資会社というのは投資そのものを目的として利益を上げる。新銀行東京は、現在経営再建中ですので、営業を継続し、中小企業への支援を継続するためにも収益の確保が必要です。したがって、目的が全然違う。そういうことをご理解いただきたいと思います。
それから、再建につきましては、繰り返しご答弁しましたように、これは設立目的を回復するために、過去の傷口深さゆえに困難な課題ではありますが、全力で取り組んでいるところでございます。それについては、ぜひ今後も新銀行の努力、それから、私どもの監視を見守っていただきたいと思います。
○清水委員 代表質問では、清算についての内容として、預金者保護、中小企業への支援の継続、これも可能であるということを示して、清算を提案してまいりました。金融専門家などを交えた第三者による経営分析と処理方針を検討する場を設けることを求めるものです。
何よりも、知事に質問いたしましたが、都議選直前のマスコミの世論調査で、新銀行東京を清算すべきだというのは七〇%、七割に達したわけです。そのことを受けとめるべきです、知事でなくてもね。知事もそうですけれども、受けとめるべきです。そして、選挙で大争点となり、新銀行東京を清算とか処理とか、そうした主張をする会派が多数派になりました。その審判を私はきちんと受けとめるべきだというふうに思います。知事は個々の小さな問題だというふうにもいわれましたけれども、都民は明確に新銀行東京についての審判を下しました。それに従うべきだということを強調し、質問を終わります。
○小沢委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後八時二十九分休憩
午後八時三十七分開議
○小沢委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○佐藤委員 皆さん、遅い時間までお疲れさまです。もう少しだけ、おつき合いいただきたいと思います。
今回報告事項になっております平成二十二年三月期第一・四半期決算について伺います。
まず伺いますが、第一・四半期決算の中で、公共工事代金債権信託の取り扱いはどれくらいあるものでしょうか。お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京の第一・四半期の公共工事代金債権信託の実行は、件数で六十一件、金額で約十六億円でございます。
○佐藤委員 公共工事代金債権信託の取扱団体が次々とふえています。財団法人東京都市建設公社、東京都道路保全整備公社、東京港埠頭株式会社、東京都住宅供給公社、そして江東区などが取り扱いを行っているということですが、都から働きかけを行って公共工事代金債権信託の取扱団体をふやしているものでしょうか。お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 公共工事代金債権信託は、公共工事を受注された方に対して新たな資金調達の道を開くことで円滑な資金繰りを実現していくという、中小企業支援策の一環として実施をしている仕組みでございます。この事業、多くの事業者の方から評価をされているところでございます。
こうしたメリットがあることから、都の各局や監理団体、また江東区の発注する公共工事におきまして、順次取り扱いの対象の拡大が図られてきているところでございますが、これは新銀行東京がみずから営業を行った結果でございます。新銀行東京では、引き続き、区市町村などの団体に対しましても、取り扱いの拡大を図っていく考えでございます。
○佐藤委員 公共工事代金債権信託は、現在、金融機関としては新銀行東京だけが取り扱いを行っております。しかし、ほかの金融機関も取り扱いを希望した場合、都は拒否することはできないでしょうが、金融機関からの申請はないのでしょうか。お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 契約所管局の方からは、公共工事代金債権信託につきまして、他の金融機関からの提案はないと聞いておるところでございます。
○佐藤委員 ちょっとよろしいですか。確認させていただきたいんですが、契約所管局というのを教えていただけますか。お願いします。
○櫻井金融支援担当部長 東京都における契約所管局ということになりますと、知事部局におきましては財務局、ほかにも公営企業局もございます。また、契約事務ということでは、庁内の各局すべてに契約事務担当部署があるというふうに認識をしております。
○佐藤委員 今お答えいただいたわけですが、やはり産業労働局だけでなく、ほかの局も踏まえて、この新銀行の質疑というものをやっていかなければいけないと思っています。そのためには、やはりこの経済・港湾委員会だけでなく、特別委員会というものをつくって、広く議論をしていかなければいけないと私も考えています。
引き続き伺いますが、金融機関から申請が仮にあった場合、どういう取り扱いをするのでしょうか。また、取り扱いを認めるに当たってネックになる点はあるのでしょうか。お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 公共工事代金債権信託は、工事代金債権の譲渡を前提としたものでございます。工事期間中の中小企業者に対しまして新たな資金調達の道を開くということで円滑な資金繰りを実現していくという、中小企業支援策の一環として実施をされている仕組みでございますが、具体的には、金融機関から提案されたスキームがこうした趣旨に合致いたしまして、工事履行の確保が図られると認められる場合に、債権譲渡、本来原則禁止でございますが、その例外として取り扱うものでございます。
新銀行東京以外の金融機関から提案があった場合には、中小企業支援という、この趣旨に即しまして内容を十分に検討し、債権譲渡承諾の対象としての認定について判断を行うとされております。
○佐藤委員 ほかの金融機関の取り扱いが始まったら、結果として新銀行東京の公共工事代金債権信託の取扱金額も少なくなることが予想されます。そこで伺いますが、ほかの金融機関にも公共工事代金債権信託の取り扱いが認められた場合、新銀行東京の強みというものは何があるのでしょうか。今までの取扱高を維持するための工夫を何か考えているのかどうか、お答えください。
○櫻井金融支援担当部長 公共工事代金債権信託は、信託兼営銀行でございます新銀行東京が、信託の仕組みを用いまして商品化をいたしました独自の商品でございます。現在、他の金融機関では取り扱っておりません。新銀行東京は、この商品を平成十七年十二月から取り扱いを開始しておりまして、これまで多くの案件を手がけているところでございます。こうして蓄積したノウハウによりまして、簡易な手続、迅速な資金調達を可能としておりまして、今後ともより多くの公共工事を受注される中小建設業者に対しまして、資金繰りの面で支援が可能であるというふうに考えているところでございます。
○佐藤委員 引き続き伺いますが、九月十四日の都議会民主党の代表質問では、石原知事が記者発表前に新銀行東京の黒字決算について言及した問題について質疑したわけですが、石原知事が産業労働局から報告を受けて発言をしたのか、それとも新銀行東京から直接情報を得て発言をしたのか、産業労働局は確認をとっているでしょうか。また、黒字化のめどが立っているという事実を、産業労働局はいつ把握をしていたんでしょうか。石原知事に伝えた時期とあわせてお答えください。
○中村金融監理室長 新銀行東京の第一・四半期の業績見通しを把握したのは第一・四半期経過後の七月上旬でございまして、それを受けて知事に報告したものでございます。
○佐藤委員 今回のように決算の内容を早く知ることができるということであれば、新銀行東京の問題にさまざまな対応をすることもできたはずではないでしょうか。平成二十年三月に四百億円の追加出資を決定した際に、平成二十年六月に出る予定だった決算の内容を事前に決算見込みとして出したわけです。要請すれば、どれほど早く決算の概要を知ることができるんでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 二十年三月の見込みというのは、再建計画の理解を深めるために作成した特別のケースでございます。これは、あくまで再建計画策定時点での見込みを示したにすぎないものであります。見込みと決算とはその精度に差があり、混同すべきでないというふうに考えております。
なお、決算につきましては、社外へ提供するためには、取締役会の決議等、必要な手順を踏むのが一般的であり、新銀行東京の準備が整い次第、報告されるものでございます。
○佐藤委員 また、先ほど申し上げたように、翌年の四百億円追加出資の際には、三月時点で既に決算見込みを出していたわけです。平成十九年六月に平成十八年度の決算が出ているわけですが、平成十九年春の時点で決算見込みは出ていたのでしょうか。都が平成十八年の通期の決算概要を知ったのはいつの時期でしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 平成十七年度の決算発表を行いました平成十八年六月時点で、平成十八年度の見通しを行ってございます。その際、当期純損失が百八十億円という業績見込みでありました。
なお、十八年度通期の決算概要をいつ知ったかにつきましては、過去の記録を当たりましたが、確認できませんでした。
ちなみに、十九年度通期の決算概要は、二十年四月下旬の株主連絡会において新銀行東京から報告を受けてございまして、それから考えれば、十八年通期の決算概要は、十九年四月下旬ころには報告を受けていたものと思われます。
○佐藤委員 平成十八年通期の決算が厳しい決算になるということはわかっていたために、新銀行東京の決算については言及しなかったのではないかという批判を受けるおそれもあるのではないかと考えますが、実際のところはどうだったんでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 先ほどお答えしたとおり、十八年通期の決算概要をいつ知ったかについては、過去の記録を当たりましたが、確認できませんでした。
なお、新銀行東京の十八年度通期決算が厳しいものになるということは、十八年十一月に発表された中間決算において明らかになってございまして、新聞各紙にも取り上げられ、周知の事実となっておりました。また、十九年四月の都議選において争点の一つとなっており、知事自身も、選挙中に新銀行の立て直しについて言及しております。したがいまして、批判を受けるおそれがあるのではないかとの指摘は当たらないと考えております。
○佐藤委員 いずれにしても、開業当初から、早く決算の概要を知る努力をするべきでしたし、また経営改善のために適切な対処をするべきであったと考えます。
平成二十二年三月期の通期での業績見通しは七億円の赤字としておりますし、実質業務純益が黒字化している状況ではありませんから、再建のめどが立ったとはいいがたい状況だと思います。実質業務純益が通期で黒字化する見通しはあるのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 新銀行東京の再建計画において、実質業務純益が黒字化するのは平成二十三年度でございます。新銀行東京は、現在も経営再建に向け営業経費の圧縮による低コスト構造への転換や信用コストの圧縮に努めるなど、懸命に努力してございます。新銀行東京は再建に向けて努力しており、都も引き続き適切な監視と支援に努めてまいります。
○佐藤委員 しっかりとした経営監視をするのが都の役割ですから、しっかりとチェックしていただきたいと思います。
報告事項の内容を見ると、貸倒引当金の戻り益十四億円を計上したために黒字となっております。幾つかの要因がありますが、平成二十年六月と比べて、総与信残高に占める要管理債権、危険債権と、破綻更生債権及びこれらに準ずる債権の割合は、一二・六三%から一七・六一%にふえております。健全な債権に入れかえを行っていると聞いておりましたが、不良債権の割合がふえているわけです。先ほど高倉理事からも指摘がありましたが、大切なことでもありますので、確認をさせていただきます。不良債権の割合がふえているのに、貸倒引当金を減らすことができているのはなぜでしょうか。また、十四億円の戻り益が出た要因とあわせて説明してください。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、不良債権について放置せず、可能な限り回収に努めており、今回はその経営努力等により三月期に比べ約十八億円減少しております。しかし、不良債権比率は貸出金などの残高に占める不良債権の割合のことであり、分子である不良債権額は減少しましたが、分母である貸出金残高の減少度合いの方が大きかったため、比率という点では上昇したものでございます。
新銀行東京は、信用コストの圧縮を図るため、きめ細かな顧客対応を強化しており、その結果、この決算期末において、過去に積んだ貸倒引当金を見直すことが可能となり、会計処理上、戻り益として計上したことが大きく寄与しているものでございます。
また、不良債権の管理につきましては、それがいかに保全されているかが重要であり、その保全率は、二十一年三月末時点のものではございますが、約九〇%と高い水準にあることから、問題はないと考えております。
○佐藤委員 貸出債権をバルクセールして信用コストを圧縮したということはあるのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 バルク処理を行う貸出債権につきましても、貸倒引当金を十分計上しております。バルクセールをしたからといって信用コストへの影響はないものと考えております。
○佐藤委員 次に伺いますが、新銀行東京を再建させるために、東京都の津島港湾局長が新銀行東京の代表執行役になっていたわけですが、六月の株主総会で取締役になっています。民間出身者の方がよいのではないかという意見もある中、石原知事がわざわざ就任させたのが津島元代表執行役であるわけです。なぜこのタイミングで代表執行役を退くのか、お答えください。
○中村金融監理室長 津島代表執行役を選任したのは、取締役会であって、知事ではございません。平成十九年十一月の森田元代表執行役の健康上の理由による退任という不測の事態を受け、津島氏が就任いたしました。このたび、津島氏は任期満了に伴い退任したものでございます。
○佐藤委員 従来、新銀行東京は委員会設置会社でした。委員会で人選して、取締役会で決定したという流れで代表取締役を決めていたはずですが、今回、社内の体制が変わったわけです。今回の代表取締役の人選はだれが行ったのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 新社長の選任の際は、委員会設置会社としての選任手続がなされておりました。新銀行東京は、指名委員会において取締役候補者を選定した上で、株主総会において取締役の選任を決議いたしました。その後開催された取締役会において代表取締役を選任いたしました。
○佐藤委員 今回の代表取締役の人選は、事前に石原知事も了承していたものでしょうか。また、どのタイミングであったのか、お答えください。
○中村金融監理室長 六月十二日に新銀行東京から株主総会の招集通知の送付を受け、株主総会の前に知事に報告し、都として寺井氏の取締役就任に賛成する旨の了承をいただきました。
○佐藤委員 六月の株主総会では、委員会設置会社から監査役会設置会社へ移行することを決めたと聞いております。石原知事も、平成二十年予算特別委員会で、執行役員と取締役の風通しが悪かったと発言をしておりました。知事も指摘していたわけですが、なぜ都はこれまで組織変更を要請しなかったのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 一般に企業の経営形態は、その企業のガバナンスの問題であります。まずは銀行自身が業務執行に見合った体制を整備すべきものと考えます。
なお、都は、風通しをよくするよう新銀行東京に要請を行っておりました。
○佐藤委員 委員会設置会社の制度にはどのような不備があったために制度を変えるのでしょうか。また、業務改善命令ではさまざまな指摘がなされておりましたが、今回の組織変更で問題を十分解消することができるのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 今回の経営体制の移行は、新銀行東京が経営再建をより確実にするものとするための一環として行ったものでございます。新銀行東京は、監査役会設置会社へ移行することにより、監視、牽制機能を一層強化するとともに、規模に見合ったガバナンス体制を構築することで、より効率的で強固な経営管理を行うこととしてございます。
なお、金融庁から求められている業務改善命令に伴う必要な改善措置についても、適切に講じているところでございます。
○佐藤委員 また、監査役会設置会社へ移行したことで、従来あった三つの委員会の役割や権限はどこに移されることになるのか、お答えください。
○中村金融監理室長 委員会の機能は、経営体制の移行後、法令に基づき、取締役会と監査役会が担ってございます。
○佐藤委員 また、平成十六年四月一日から平成二十年三月三十一日まで監査法人をしていたトーマツからは、さまざまな指摘事項が出ておりましたが、その後、監査法人となった治田会計事務所からは、一年間にわたり何の指摘事項もありません。新銀行東京は多くの問題を抱えていた組織ですから、それらがすべて解決され、何の指摘事項もなくなったのか、心配になります。
新銀行東京のホームページを見ると、監査役として三名の方の名前が出ております。しかし、新銀行東京の定款を見ると、会計監査人として二人の名前が出ております。一名は監査を担当していた治田氏ですが、もう一名の高橋氏は、平成二十一年六月二十九日に就任された方です。どういった人選で高橋氏の会計監査人を決めたのか、また会計監査人の果たす役割を確認させてください。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、会計監査体制の一層の充実強化を図るため、治田氏に加え高橋氏を選任し、二名体制とすることとしたものでございます。選任につきましては、監査委員会において会計監査人候補者を選定した上で、六月の株主総会において、会計監査人の選任を決議いたしました。
会計監査人は、会社法に基づいて、会社との契約により監査を行う公認会計士または監査法人に限られてございます。
○佐藤委員 九月十四日の本会議で石原知事は、新銀行東京には提携などの選択肢も出てくると発言しておりました。提携するなどの選択肢があるといいますが、新銀行東京と提携して、相手先企業にとって一体どんなメリットがあると想定をしているのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 一般に業務提携などのメリットというのは、提携に参加する当該企業とどのような業務提携を行うかによって決まるものでございます。したがいまして、今この場において、具体的なメリットについてはお答えしようがないというふうに考えております。
○佐藤委員 石原知事は本会議の答弁でも、新銀行東京の提携について触れていました。平成二十一年六月の株主総会で、都は提携などのセカンドステージの話をしていないのでしょうか。株主総会で都は何を要請したのか、お答えください。
○中村金融監理室長 六月の株主総会では、中小零細企業支援の継続を図りながら、金融経済情勢の変化などを十分踏まえ、経営再建を着実なものにすることや、旧経営陣に対する責任追及についてなどの要請を行っております。
○佐藤委員 次に、役員報酬について伺おうと思っておりましたが、役員報酬については清水委員から質疑がありましたので、省略をいたします。
引き続き伺いますが、株主総会で、仁司元代表取締役と丹治元執行役に対しての損害賠償請求訴訟のことについて、都は話をしなかったのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 六月の株主総会において、旧経営陣に対する責任追及についてであるが、新銀行東京は旧経営陣に対して訴訟を提起することを決定しているが、司法の場において旧経営陣の経営責任が明らかにされることを期待している、都としてもその行方を注視しており、準備が整い次第、速やかに提訴することをお願いすると要請しております。
○佐藤委員 続きまして、劣後債について伺います。
六月議会で劣後債について質疑いたしましたが、新銀行東京は発行していた百五十七億円の劣後債のうち百三十三億円を買い入れましたが、残り二十四億円の社債の利払いは残っております。そこで伺いますが、第一・四半期ではどれほどの利払いが生じていたのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 六月の本委員会でも申し上げましたが、ご質問の劣後債は、旧経営陣の時代の平成十八年十月に発行された劣後債であります。劣後債は元本や利息の支払い順位の低い社債で、投資家にとってリスクがある分、利率が高く設定されている社債であります。新銀行東京の劣後債は、期間は十年であり、変動金利でございます。
なお、公募による社債発行と異なり、証券会社の引き受けを経て、私募の形式をもって発行されたものであります。私募債はその取引内容について明らかにされていないのが一般的であり、第一・四半期の利払い額を含め、新銀行東京においても詳細については公表しておりません。
○佐藤委員 今のお答えからすると、第一・四半期での利払いの金額は答えることができないというわけですね。
六月の議会で私が問題視しましたのは、この劣後債、十年間という期間で実に五十億円近い利払いを予定していたという問題があったわけです。そして、三年間で既に十億円以上の利子を支払いをしておりました。これは調査報告書にも、再建計画の中にも出てこないわけです。しかし、六月三日のこの質疑の内容で前田次長は、「再建計画をつくる際に新銀行の四年間の収入、支出といいますか、この場合、利子は経費ですが、経費については当然発行したことを前提に必要額を盛り込んでいますので、それが入っていなかったという指摘は当たりません。」と答えております。
今、私、聞きましたように、具体的な数字をお答えすることができない、しかし計画書の中に数字は盛り込まれているから十分に説明したというのでは、やはり議会に対する、また都民に対する説明責任を果たしていないのではなかろうかと思います。しかも、この金額自体が、今お話をしましたように、また六月も触れましたように、トータルで五十億円近い利払いを生じる可能性もあったわけです。やはりこの一つをとっても、十分に説明というものがなされていないと私は考えています。
今お話をしました六月三日の経済・港湾委員会の質疑で取り上げましたが、百三十億円分の劣後債の発行に関して内容確認をしましたところ、十年の債券で、前半五年はLIBORに〇・六八%上乗せをした条件、後半五年はLIBORに二・一八%上乗せした利払いの条件になっていました。つまり、後半五年は利払いが重い負担になってくるわけです。既に三年余りたっていますので、残り一年弱で金利の利払いがふえることが予想されます。LIBORを仮に一・五%で設定した場合、残り一年弱の利払いは年間約五千万円ほどの支払いが生じますし、それが平成二十三年の十一月以降は年間約八千万円強の利払いになります。
実質業務純益を黒字化するためには、余分な負担を減らさなければなりません。今お話ししたように、現段階でも劣後債の支払いには年間約五千万円程度の負担が予想されます。二十四億円の劣後債の利払いを残り七年分支払ったとすれば、LIBORを仮に一・五%で設定した場合、五億円近い利払い総額になると思われます。つきましては、残り二十四億円の劣後債の買い戻しをした方が将来的な負担を減らすことができるのではないかと考えますが、どういう経営判断で買い戻しをされないのでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 企業が発行した劣後債を買い戻すか否かは、もちろん現在保有している投資家の動向が重要でございますが、そのほか、現下の金融環境における債券価格の下落や将来の金利負担などを総合的に勘案した上で判断するものであると考えてございます。
○佐藤委員 今回、七億円の黒字になったわけですが、劣後債の買い戻しをすると黒字化できないという判断があって、そのまま利払いを続けているのではないかといわれかねません。今回の第一・四半期決算が本当に意味ある数字なのかどうか。そして、新銀行の経営実態と企業価値が一体どれほどあるのか調べるためにも、しかるべき調査機関に新銀行東京のデューデリジェンスを行ってもらい、劣後債のように隠されている問題を明らかにすることが必要だと考えます。
今回、報告事項について質疑しましたが、先ほど触れました公共工事代金債権信託のように、他局にかかわる事柄については、踏み込んだ質疑をすることができないわけです。やはり新銀行東京問題について、特別委員会をつくって、他局も含めて実態解明と責任の追及を行うことが必要だと痛感しております。
以上で私の質疑を終わります。
○小沢委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小沢委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後九時九分散会
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