経済・港湾委員会速記録第七号

平成二十一年六月三日(水曜日)
第八委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長岡崎 幸夫君
副委員長川井しげお君
副委員長大西由紀子君
理事高倉 良生君
理事鈴木あきまさ君
理事増子 博樹君
小竹ひろ子君
佐藤 広典君
山口  拓君
村上 英子君
清水ひで子君
藤井  一君
三宅 茂樹君
川島 忠一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長佐藤  広君
次長前田 信弘君
総務部長塚田 祐次君
産業企画担当部長櫻井 和博君
商工部長三枝 健二君
金融部長保坂 政彦君
金融監理室長中村  靖君
金融支援担当部長櫻井  務君
観光部長小島  昭君
農林水産部長産形  稔君
雇用就業部長小田 昭治君
事業推進担当部長日請 哲男君
中央卸売市場市場長比留間英人君
管理部長後藤  明君
港湾局局長斉藤 一美君
技監飯尾  豊君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長吉田 長生君
港湾経営部長江津 定年君
港湾経営改革担当部長小宮 三夫君
臨海開発部長藤原 正久君
開発調整担当部長余湖由紀夫君
参事長谷川 研君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長成瀬 英治君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君
労働委員会事務局局長関  敏樹君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 港湾局関係
契約議案の調査
・第百二十四号議案 平成二十一年度若洲橋(Ⅱ期)鋼けた製作・架設工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 港湾局所管分
・第百十七号議案 東京都営空港条例の一部を改正する条例
 産業労働局関係
契約議案の調査
・第百二十号議案 都立多摩職業能力開発センター(二十一)新築工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為 産業労働局所管分
・第百十六号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
報告事項(説明・質疑)
・新銀行東京の「平成二十一年三月期決算」について
付託議案の審査(決定)
・第百七号議案 平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 経済・港湾委員会所管分
・第百十六号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百十七号議案 東京都営空港条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○岡崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議の結果、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○岡崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局、産業労働局関係の契約議案の調査及び付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項の聴取を行いますとともに、請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行いたいと思います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十一年六月二日
東京都議会議長 比留間敏夫
経済・港湾委員長 岡崎 幸夫殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百二十号議案  都立多摩職業能力開発センター(二十一)新築工事請負契約
第百二十四号議案 平成二十一年度若洲橋(Ⅱ期)鋼けた製作・架設工事請負契約
2 提出期限 平成二十一年六月三日(水)

○岡崎委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百二十四号議案を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対し意見のある方は発言を願います。

○小竹委員 第百二十四号議案、平成二十一年度若洲橋(Ⅱ期)鋼けた製作・架設工事請負契約に反対する立場から意見を申し上げます。
 今回の若洲橋工事は、平成十九年度鋼けた製作・架設工事の二期分です。東京港臨海道路Ⅱ期工事と一体のものであり、臨海副都心開発を促進するためのアクセス道路の建設につながる工事でもあります。この道路建設は、自動車交通の増大に伴い、大気汚染の悪化を招き、周辺環境への負荷を与えることになりかねません。若洲には子どもたちが利用するキャンプ場や釣り場もあり、その自然が破壊されることを危惧する声が上がっています。破綻が明らかになっている臨海開発にこれ以上の税金投入、基盤整備を進めるべきではありません。よって、議案に反対します。
 以上です。

○岡崎委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案については、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 契約議案の調査を終わります。

○岡崎委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、港湾局所管分及び第百十七号議案を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○三宅委員 補正予算について伺います。
 本定例会には、港湾施設の建設整備などの補正予算が提出されております。昨今の景気低迷に対する緊急の対策であり、速やかな成立及び予算の執行が求められるところであります。
 しかし、一部には、国政と同様、今回のこの東京都の補正予算の持つ意味を曲解し、ばらまきとの意見を持つ人たちもいます。残念なことであります。景気がいかなる状況にあっても、首都圏の経済と産業を支える東京港の役割は重要であり、東京港の整備を継続的かつ重点的に進めていかなくてはなりません。
 今回の補正予算は、具体的には、第一航路のしゅんせつ、新木場若洲線整備、臨海道路にかかわる経費が計上されており、緊急経済対策としての要素のみならず、将来にもつながる、いわば二重の意味で必要とされる予算であると確信をいたしております。
 そこで、この景気低迷の中で、都民の生活や産業にも直結する東京港の現在の貨物がどうなっているのか、また、今回の補正予算が、アジア諸港との厳しい競争の中で、東京港の国際協力の強化に向けてどのような意義を持つのか、お尋ねいたします。

○江津港湾経営部長 貨物の状況についてでございますが、二〇〇八年の東京港の外貿コンテナ取扱個数は、年末にかけまして輸出貨物の減少傾向は見られましたが、三百七十三万個であり、ほぼ前年並みとなりました。東京港は、もともと生活関連物資の輸入が多いことから、輸入貨物への影響は小さかったという状況でございます。
 しかしながら、ことしの一月から三月の貿易額は、対前年比で約三〇%程度マイナスとなっており、輸出貨物を中心に、東京港においても景気悪化の影響があらわれております。
 一方、世界の海運状況を見ますと、船舶の大型化が依然として進展をしておりまして、貨物量の減少に伴い、基幹航路を一層絞り込む傾向が見られます。このため、船舶の大型化や物流の効率化に向けた取り組みを着実に推進していく必要がございます。
 今回の補正予算は、ご指摘のとおり、中央防波堤外側のコンテナふ頭整備に伴う第一航路のしゅんせつや臨海道路Ⅱ期事業及び新木場若洲線の整備経費を計上しており、船舶の大型化への対応とともに、渋滞解消や輸送効率の向上につながる道路ネットワークの整備を促進し、港湾物流サービスを一層向上させることで、東京港の国際競争力の強化に大きく寄与するものと認識をしております。

○三宅委員 景気対策と雇用対策にとどまらず、国際競争力の強化や環境対策など、東京港の将来につながる予算であるという答弁だというふうに承知をいたします。
 東京港の国際協力を維持することは、その背後にある都民生活を支え、その向上につながるものであり、大切な予算であることは明白であります。私たち都議会議員、ご当局がこういったことを知る機会は多いんですけれども、一般都民の方はなかなか、こういう大事なことを知る機会が少ない。港湾関連事業者のことはよく承知をしているんでしょうけれども。そういったことを都民に理解をさせる、周知してもらう、そういった方策について、今後の課題としてお考えをいただきたいと思います。
 首都圏四千万人の生活と産業を支える東京港の着実な整備と機能の強化はますます重要となってきております。この間、国際競争力の強化や京浜三港の広域連携推進に力を尽くしてこられました局長に東京港への深甚なる思いをお伺いして、私の質問を終わります。

○斉藤港湾局長 思いということでありますので、多少長くなりますけれども、お許しを願いたいと存じます。
 江津港湾経営部長の答弁にありましたように、東京港の昨年のコンテナの取扱量は三百七十三万個でありまして、連続して十一年間、日本のトップ港湾の位置を確保できました。
 東京港は、昭和十六年の国際貿易港としての開港以来培ってまいりました港湾の整備、経営のノウハウによりまして、昭和四十年代に始まる国際海上物流のコンテナリゼーションの潮流をいち早くとらえ、世界の物流革新の流れに的確に対応してまいりました。これは、東京港の成長過程の折々におきまして、都議会の先生方の深いご理解とご支援のもと、港湾行政に携わってまいりました多くの先達が、先見性を持って並々ならぬ努力を営々と積み重ねてきたその帰結と考えております。かの先達に大きな敬意と感謝の念を抱いております。
 厳しい社会経済の不況の中で国際物流の収縮が続いておりまして、港の経済に明るい兆しが差し込んでくるまでには、いましばらく時間がかかるものと考えてございます。このため、現下の東京港の最大の命題は、港湾事業者の方々と手を携え、しっかりと将来を見据えた物流効率化を進めながらこの危機に立ち向かっていくことであると考えてございます。その意味で、今回の補正予算は、三宅先生のご指摘のとおり、まさに正鵠を射るものでございます。
 東京港の近い将来の立ち位置の選択肢といたしましては、京浜港への一港化をおいてないと考えてございます。アジア諸港の台頭による基幹航路の日本パッシングは、現実味を持って日本の国際物流と経済を脅かしてございます。日本全国のコンテナ取扱個数は千七百万個ほどでございますが、そのうち約百万個は小型船で釜山港へ運ばれ、大型船に積みかえられて北米に輸送されてございます。
 東京都議会、横浜市会、川崎市議会の二百十二名の先生方で立ち上げていただきました京浜港広域連携推進議員連盟によりまして一騎当千のお力添えを賜っております京浜三港の広域連携についてでありますが、今回、昨年三月の基本合意を具体化するための体制整備といたしまして、自治法に定める法定協議会と東京港埠頭株式会社、横浜港埠頭公社の事業提携委員会を年内に設立していくこととし、一港化への位置づけにたどり着いたところでございます。
 一事をなすときに最も大きな底力となるのが危機感の共有であると痛感してございます。今後、京浜三港は、この危機感を共有しつつ、一港化への道のりを歩んでいくこととなります。近代日本の幕あけを担ってまいりました、百五十年の長く重厚な歴史を持つ横浜港と、日本一の港湾とはいえ、歴史のまだまだ浅い東京港との一港化の成就に向けましては、港湾管理者のみならず、港湾事業者においても、身を切る覚悟と血のにじむ努力が求められると考えてございます。
 また、一港化に向けましては、三つの大きな戦いを克服する必要があると考えてございます。一つ目は、港湾経営の現場の幅より常に狭い国の港湾政策との戦いであります。二つ目は、生い立ちの違う港が持つ、根深い、地域それぞれのエゴとの戦いであります。そして三つ目は、ややもすると芽生えてまいります変化へのおそれから変革を拒絶する私たち自身が抱える心の弱さとの戦いであります。
 今後、港湾局職員が果たしていく役割の大きさはかつてないものとなりますが、職員には、東京港を今日まで築き上げてきた先達のDNAが受け継がれておりまして、この三つの戦いに必ずや勝利していけるものと思ってございます。海をこよなく愛し、港大好きな人間である職員の今後の活躍に大きな期待を寄せているところでございます。
 岡崎委員長を初め委員の皆様には、これまでの東京港へのご支援に心より感謝申し上げますとともに、今後も引き続き東京港へのなお一層のご支援をお願い申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。

○小竹委員 私の方からも、平成二十一年度補正予算にかかわってお伺いしたいというふうに思います。
 今予算は、国の景気対策の補正予算に伴うものですけれども、予算の半分以上、五二・六%が港湾整備事業になっています。この事業の約半分が臨海道路Ⅱ期、国直轄事業の負担金などとなっています。補正で実施される臨海Ⅱ期道路の工事の内容はどのようなものですか、お伺いします。

○前田港湾整備部長 東京港臨海道路Ⅱ期事業に関連するご質問でございまして、先ほどの意見表明にも関連いたしますので、補足説明も含めてご答弁を差し上げたいと思います。
 東京港臨海道路でございますが、国道三五七号とともに東京湾岸域を東西に結ぶ道路でございまして、港湾物流の効率化に大きく寄与する極めて重要な路線でございます。この道路の整備によりまして、道路ネットワークが強化され、交通の分散により渋滞緩和が図られることから、臨海部全体の大気等の環境負荷の低減に大きく効果を発揮するものであるというふうに考えてございます。
 環境影響評価によれば、若洲地区の大気及び騒音の将来予測値は環境基準値を下回っておりまして、環境への影響は少ないものと予測しております。
 なお、ご指摘にございましたように、近隣に若洲のキャンプ場などの施設もあることから、騒音対策に万全を期すため、地元区等と協議をしながら、現在整備を実施しているところでございます。
 補正予算の具体的な内容といたしましては、第三航路を横断する橋梁部分の上部工の一部、これと附帯工事などでございます。

○小竹委員 質問していないことについてのお答えは結構ですので、質問したことに端的にお答えください。
 今度の工事については、橋梁部分と附帯工事ということですけれども、これまで臨海Ⅱ期道路の工事についてどういうところが受注しているのか、その点についてお答えください。

○前田港湾整備部長 これまで受注した主な企業というご質問でございますけれども、平成十九年度、二十年度についてでございます。
 橋梁の上部工でございますが、函館どつく株式会社、株式会社東京鐵骨橋梁、三井造船株式会社などでございます。また、橋梁の下部工及び道路整備等についてでございますが、株式会社竹中土木、東海工営株式会社、マルト建設株式会社、株式会社坂東土木、株式会社エース技研などでございます。

○小竹委員 国の予算の半分が大型公共工事だといわれて、大きな批判が出されています。この間の臨海Ⅱ期道路の橋梁などの主要工事は、ほとんどが大手ゼネコンによるものというふうになって、工事費の大半もそれが占めています。
 国の補正を受けての今回の港湾局予算は、やはり大手ゼネコンが行う事業が半分を占めています。深刻な不況のもとで苦労している中小企業への支援にはつながっていません。前倒ししてまで急がなければならないものではなく、不要不急のものです。
 しかも今、国直轄負担金は、本来自治体が負担する必要のないものとして、全国知事会もその廃止を求めているものでもあります。
 経済景気対策というのであれば、島から切実な声が上がっている伊豆諸島への灯油やガソリンの運賃補助などの対策をとるべきです。東京でありながら、伊豆諸島はガソリンや燃油など全国一高く、トップの十一の中にすべてが入っています。三宅では、ガソリン一リットル当たり百九十円、大島では百六十八円から百七十円ということで、地域経済を大きく圧迫しています。島の生活にとって車は必需品であり、農業、観光業においても必要です。ガソリンの価格がすべての運賃にかかわり、地域経済を左右するものであるという点からも、こういう支援こそ検討していくことを改めて求めておきます。
 以上です。

○石山離島港湾部長 ただいま、ガソリンや灯油の貨物運賃補助に関するお話が出ましたが、今回の補正予算は、国の経済危機対策への迅速な対応や、あるいは都の緊急課題への取り組みなどに対応するためのものでございまして、ご指摘の貨物運賃補助は、今回の補正予算の趣旨にはなじまないものと考えております。
 また、お話にありました補助品目の選定につきましては、幅広く島民の生活や島の産業に還元されますよう、これまで島民の方々と十分に協議をして決めてきた経緯もございまして、ガソリンを新たに補助品目に加えることは困難であることにつきましては、これまで再三にわたりご説明してきたとおりでございます。

○小竹委員 私は質問をしたわけではないんですけれども、なじまないというふうなお答えですから、お答えにはちょっと私は納得できません。今一番、経済状況がこれだけ逼迫している中で、本当にそれを支援していくという都の立場としても、私は検討すべき中身だということを意見を付しておきます。
 以上。

○岡崎委員長 ご意見ですね。
 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○岡崎委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百二十号議案を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、ただいまの第百二十号議案、都立多摩職業能力開発センター(二十一)新築工事請負契約に関連して何点か質問をさせていただきます。
 まず、このセンターが一角をなす産業総合支援拠点・TAMAについてお尋ねをいたします。
 東京には、製品の独創性や高い付加価値を裏づけるすぐれた基盤技術を持った中小企業が数多く集積をしております。こうした中小企業の技術は、東京はもとより、日本のものづくり産業を支え、その発展に大きく貢献をしてまいりました。しかしながら、都内中小企業の多くは、この不況に伴う受注の減少、国際競争の激化など厳しい経営環境に置かれております。ものづくり産業にとっては、まさに危機的な状況で、私ども都議会自由民主党ものづくり推進議員連盟の一員として、大いに危惧をしているところであります。
 こうした中で、昨日の本会議において、我が党の鈴木一光総務会長の代表質問に答えて、技術開発や人材育成など、都内中小企業が抱えるさまざまな課題の解決に向け、多摩職業能力開発センターを初め、旧都立短大跡地一帯に集結する産業支援機関から成る産業総合支援拠点TAMAにおいて重層的な支援を展開していくことが表明されました。ものづくり産業の基盤強化に向けたこれまでにない取り組みとして、大いに期待をしております。
 そこで、産業総合支援拠点TAMAで行われるものづくり産業の支援について、まず具体的なご説明をお願いいたします。

○三枝商工部長 産業総合支援拠点TAMAは、産業技術研究センター、中小企業振興公社、商工会連合会が連携をしまして来年二月に旧都立短期大学跡地に開設する新たな中小企業支援機関と、平成二十三年度、隣地に開設予定の多摩職業能力開発センター並びに既設の農林総合研究センターで構成するものでございます。
 この拠点では、東京のものづくり産業の競争力を高め、持続的に発展させていくため、中小企業に対する技術、経営の両面にわたる支援機能の充実強化を図ることとしております。
 具体的な支援の内容でございますが、産業技術研究センターに十メートル法電波暗室や、金型を用いずに試作品をつくることができる高速造形機を設置するなどして新製品の開発を支援するとともに、中小企業振興公社において、当該製品の販路開拓をサポートすることとしております。
 また、地域の特性にも着目をして、環境試験機器を拡充し、情報機器や家電製品などの開発支援も充実させてまいります。
 さらに、こうした支援に加え、例えばLEDを用いた省エネ、省コスト型栽培装置の開発といった、ものづくり企業と農林業者が連携して取り組む新技術、新製品の開発等を促進するため、農林総合研究センター等と連携して、効果的な支援を行う体制を構築してまいります。

○鈴木委員 将来にわたって東京のものづくり産業を発展させていくために産業総合支援拠点TAMAの各支援機関が連携して行う支援が、具体的に今ご説明をいただきまして、理解をしました。ぜひ、この拠点を活用して、東京のものづくり産業を強力に、今まで以上に支援をしていただきたいと思っております。
 それでは、次に、産業総合支援拠点TAMAの一角を担う、多摩職業能力開発センターについてお伺いをいたします。
 東京の産業を支える企業の現場においては、人材育成が不可避の課題となっています。人口減少社会の到来による労働力の不足といった量的な問題だけではなくて、これまで企業を支えてきた熟練技能者などの貴重な人材が不足するといった質的な側面の問題も発生してまいります。実際、国が行った調査によりますと、人材育成に問題を抱える企業は八割近くにも上っており、現場からは、指導する人材の不足や、人材育成を行う時間がないといった声が上がっております。
 このような状況のもと、職業能力開発センターに対する期待は大変大きいものがあります。ことしの第一回定例会において、我が党の一般質問に対し、都は、多摩職業能力開発センターを傘下の武蔵野校と統合の上、移転整備をして、多摩地域の産業を人材面から総合的に支援していくというふうに答弁をされておりました。移転を機に、これまで以上にこのセンターを中小企業や求職者に役立つものとしていく必要があると考えております。
 そこで、改めて今回の整備の意義についてお伺いをいたします。

○日請事業推進担当部長 職業能力開発センターは、求職者や在職者の職業能力開発のための訓練を実施いたしますとともに、地域の産業を支えております中小企業の人材育成、確保を支援しております。
 今回の多摩職業能力開発センターの移転整備は、施設の老朽化に対応するのみならず、傘下の武蔵野校との統合によりまして、多摩地域におきます人材育成、確保に関する拠点機能を強化するものでございます。
 まず、訓練科目につきましては、多摩地域の産業特性等を踏まえつつ、企業ニーズに応じた訓練科目を設定するなど多様な訓練を展開してまいります。
 また、多目的に利用できる大型の貸出施設を設置することにより、技能検定、合同就職面接会、あるいは各種イベントなどを実施することが可能となります。
 さらに、産業に関します他の支援機関との連携を図ることで、事業を一層効果的に実施していくことができるというふうに考えております。
 こうしたことによりまして、求職者や在職者の職業能力開発を着実に実施していくとともに、企業ニーズに対応いたしました人材育成支援策を強力に推進してまいります。

○鈴木委員 多目的に使える大型貸出施設に対する地元の要望が強いということもお伺いをしておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 さて、今回の整備により、職業能力開発に加えて、人材育成、確保機能が大いに強化されることは大変重要であり、しっかりやっていただきたいと考えます。
 それでは、他の支援機関との連携については、どのような取り組みが考えられるのか、お伺いをいたします。

○日請事業推進担当部長 新しい多摩職業能力開発センターでは、隣接いたします産業技術研究センターの研究施設や技術者等を活用いたしますことにより、企業の実情に合わせたオーダーメード訓練や企業に出向いて指導を行う現場訓練支援事業などを一層充実させて、より幅広く中小企業のニーズにこたえてまいります。
 また、多摩センターに設置しております地元企業や関係機関等を構成員といたします職業能力開発連絡協議会なども活用いたしまして、多方面からの意見を聞きながら、効果的な事業の展開を図ってまいります。
 このように、移転整備後は、産業支援機関の集積と連携によるメリットを最大限に生かしまして、人材育成、確保の面から中小企業を積極的に支援してまいります。

○鈴木委員 今、東京の中小企業は大変な苦境に陥っております。東京都においては、このような状況をしっかりと踏まえて、今回の移転整備を契機に、産業を支える人材育成、確保への支援や職業能力開発を一層強力に推し進めていただきたいと思います。
 今後とも、東京の産業、雇用のさらなる発展に向け、着実に施策を講じていただくことを希望して、私の質問を終わります。

○清水委員 多摩職業能力開発センターの契約議案に関連して伺います。
 世界的不況が深刻化する中、雇用情勢はますます厳しくなっており、大企業による解雇は、派遣労働者などの非正規労働者に限らず、正規労働者にも及んでいます。四月の完全失業率は五・〇%に達し、全国の有効求人倍率も〇・四六倍と過去最低になっており、失業者に対する行政の支援が強く求められています。
 中でも、公共による職業訓練は大変重要であり、我が党も繰り返しその拡充を要望してきたところです。
 こうした中で、都の職業訓練は、新聞報道によりますと、昨年ですけれども、応募倍率が高まり、訓練を受ける必要がありながらも入校できないという切実な問題が生じており、一層重要性を増しているという状況です。
 今回、都は、立川市にある多摩職業能力開発センターと武蔵野校とを統合し、新たに移転、新築するとしておりますが、今回の組織再編というのは、平成十九年一月に出された第八次職業能力開発計画に基づくものであり、この計画は、東京都雇用・就業対策審議会の答申を踏まえて策定をされているものです。審議会が募集した都民意見の中には、老朽化した施設などは、統廃合の対象とするのではなく、建てかえや増設、拡充の整備を行うべきとの意見も寄せられています。第八次計画は、こうした意見が反映していないばかりか、十分に議会にも報告がなされておらず、都民合意が得られたものとはいえない状態だというふうに思います。
 さらに、第八次計画というのは、二〇〇六年当時の雇用情勢を前提としているものであり、現在とは大きく乖離しています。都は、職業能力開発センターの適正配置を考える上では、都民の声や現在の雇用情勢を踏まえて行うべきだと思いますが、見解を伺います。

○日請事業推進担当部長 東京都雇用・就業対策審議会では、広く都民の意見を反映させるため、中間のまとめの段階でパブリックコメントを実施いたしました。また、この中間のまとめは、都議会に対しましても報告をさせていただいております。
 パブリックコメントには、職業能力開発センターのあり方につきましてもさまざまな意見が寄せられ、審議会としてこうした意見を十分に検討した上で答申に反映させ、適正配置を進めるとの方向性が示されたものでございます。
 第八次職業能力開発計画は、この答申に基づきまして策定したものでございまして、都民の意見を反映したものになっているというふうに考えております。
 また、八次計画では、急激な雇用情勢の変動等に対しましては、委託の手法を活用し、弾力的に訓練規模を設定するとしており、これによりまして、現下の雇用情勢にも対応することができるものというふうに考えております。

○清水委員 問題は、委託の拡大というのは行われていますけれども、施設訓練の拡大は行われていないという問題もあります。今回、昭島に新たな職業能力開発センターを整備すること自体は、定員をふやして職業訓練を拡充する、そういう点では、そういう内容になるというふうに期待はしている、それは否定しません。しかし、現在ある両校というのは、ともに残すべきであり、施設が老朽化しているのであれば、それぞれ現地で建てかえるべきではないですか。
 東京都は、一つに統合して新しいものをつくるのがとてもお好きなようで、私もこの武蔵野校の方にはこの間お伺いしてまいりました。いろいろ理由はあるかもしれませんけれども、それなりの規模を持ち、地域的にも皆さんから活用されていて、現地で建てかえなどを行いながら、それぞれ三つ、新しく昭島でつくったとしても、さらに定員をふやして、この場所で建てかえて活用すべきではないかというふうに考えるわけですけれども、いかがですか。

○日請事業推進担当部長 現在の多摩職業能力開発センターは、施設の老朽化が進んでおりまして、土地の面積などの制約があり、現在地で地域の人材育成、確保の拠点にふさわしい施設として整備していくことは困難でございます。
 また、第八次計画では、校の再編整備につきまして、拠点機能を持つセンターに中小規模校を集約することなどによりまして、適正配置を進め、効果的、効率的な職業訓練を実施できるようにするとしております。
 こうした考え方に基づきまして、傘下の武蔵野校を統合し、昭島の多摩産業支援拠点の隣接地に移転、新築することとしたものでございます。両校とも現地で建てかえるという考えはございません。

○清水委員 拠点というんだったら、昭島の方の、これから契約して建てられる、そこを拠点にすればいいんですよ。面積が十分でないというんだったら、その面積の中でできる範囲の建てかえをしてやればいいと、そういう意見を私はいっているんですよ。そこに拠点をするべきだといっているわけではないんです。拠点は昭島の方で新しく建てる。それは拠点として、今いわれたような人材育成とか、新たな展開をすればいいんじゃないかというふうに思っているわけです。
 じゃ、多摩職業能力開発センターを移転させ、武蔵野校を統合し、一カ所にまとめることによる利便性はどう考えているんですか、伺います。

○日請事業推進担当部長 ただいま申し上げましたとおり、今回の多摩センターの新築につきましては、傘下の武蔵野校と統合して、多摩産業支援拠点の隣接地に移転することによりまして、多摩地域における人材育成、確保に係る拠点機能を一層強化するものでございます。
 これによりまして、産業振興策との連携を強化して、求職者や在職者、また、中小企業に対しまして、より幅広い支援を行うことができるというふうに考えております。

○清水委員 どう聞いても、昭島につくる、で両校を統合する、その理由がちょっとよくわからないんですけれどもね。やはり私は、今の委託で、補正予算でついているのは大きく今回もふやしますけれども、それはそれで重要なことかもしれませんけれども、きちんとした施設を持つ施設の訓練をふやすことが今本当に求められているというふうに思うわけです。
 それで、現在の多摩センター--多摩センターというと、何か多摩センターの駅みたいですけれども、多摩のセンター及び武蔵野校で実施している科目は、この間ご説明も伺ってまいりました、施設の機械などもとても整備されていますけれども、宣伝が十分じゃないというようなことで応募が少ない科目があるかもしれませんけれども、先ほどの委員がいわれたように、本当に重要な内容を持っております。民間にない設備を持ち、基盤的な訓練で修了生の就職率も高いというふうに聞いています。どれも重要な科目であると思うわけですが、仮に統合するとしても、現在両校で実施している訓練科目というのは継続されるべきだと考えますが、その点はどうでしょうか。

○日請事業推進担当部長 新しい多摩職業能力開発センターにおける訓練科目につきましては、現在の多摩センター及び武蔵野校で実施しております科目の状況を踏まえ、さらに、地域の産業特性や企業ニーズ等を考慮して、現在検討しているところでございます。今後、詳細な科目設定を行ってまいります。

○清水委員 訓練科目ももちろんですけれども、現在の多摩のセンターや武蔵野校に設置されている訓練設備ですね、機械の設備ですとか溶接にかかわる設備ですとか、本当に重要な設備がされていたわけですけれども、そういう訓練設備というのも、新しい多摩のセンターにも引き継がれるべきだというふうに思うわけですけれども、いかがですか。

○日請事業推進担当部長 企業で即戦力として活躍できる人材を育成するためには、職業訓練におきましても、企業現場と同様の設備や機器を活用した実践的な訓練が大変重要となっております。
 新しいセンターでは、こうした訓練が実施できるよう、必要な設備、機器等について整備してまいります。その際、現行の訓練設備の中で有効活用が図れるものにつきましては、引き続き活用してまいります。

○清水委員 設備の有効活用とかいうのは当然のことだと思うわけです。訓練の科目や訓練設備はもとより、企業や求職者や在職者のニーズに的確にこたえていくためには、定員の規模が重要だと思うわけです。仮に統合するとしても、現在の定員規模を維持し、拡大されるということが必要だと思いますけれども、いかがですか。

○日請事業推進担当部長 新しい多摩職業能力開発センターでは、現在の多摩センターと武蔵野校とを合わせた訓練定員とおおむね同程度の規模を考えておりますが、今後、詳細な科目設定を行う中で、具体的な訓練定員を決定してまいります。

○清水委員 本来であれば、雇用状況が深刻化している今の時代に、施設における公共職業訓練を充実させるということが東京都の重要な役割であるというふうに思いますけれども、改めてそのお考えをお伺いいたします。

○日請事業推進担当部長 大変深刻化いたします雇用情勢に対応いたしまして、既に本年度、非正規向けの訓練を拡大いたしましたほか、本議会には、離職者向けの委託訓練を七倍の規模で実施するための補正予算を提案するなど、公共職業訓練の充実に努めているところでございます。

○清水委員 危機的な状況にある今だからこそ、都民のニーズにこたえられるだけの訓練規模が求められていると思います。
 先ほどから繰り返し述べておりますけれども、委託訓練は増加しておりますけれども、都が直接実施する施設内訓練というのは増加しておらず、数を精査してみると、むしろ縮小しているのではないかというふうにも考えます。都においては、こうした現状の中で、この間、授業料も有料化されるというようなことにもなっています。そういうことにも影響しているということも考えられるわけです。私は、こういう授業料も無料に戻して、定員をふやして、職業能力開発行政を充実させること、この多摩職業能力開発センターの新しい施設の整備とともに充実させることを求めて、質問を終わります。

○岡崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 契約議案の調査を終わります。

○岡崎委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為、産業労働局所管分及び第百十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○村上委員 先月二十日に政府が発表しました一月から三月期のGDPの実質成長率は、年率換算でマイナス一五・二%と、戦後最大の減少となりました。まさに百年に一度の不況が現実となる中、都内中小企業は前例のない厳しい経営環境に直面し、もがき苦しんでおります。
 一方、今年度に入り、五月の月例経済報告では、景気判断が三年ぶりに上向きに改められるなど、行く先にわずかな希望の光が見えてまいりました。我が党が総力を挙げて実施してまいりました経済対策がこうした動きに貢献しているものと考えますが、景気回復までの道のりにはまだまだ多くの困難があり、今後もしっかりと取り組んでいく必要があります。
 そうした経済対策の目玉の一つが、緊急保証制度です。この制度は、昨年十月末に開始されて以来、資金繰りに苦しむ数多くの中小企業に事業継続のための資金を大量に供給し、文字どおり頼みの綱となってまいりました。
 特に都においては、我が党の要望に迅速に対応し、制度融資の最優遇金利を適用したメニューである経営緊急の創設のほか、小規模企業に対する信用保証料の二分の一の補助、区市町への中小企業診断士の派遣などを実施してまいりました。景気が後退する時期には、企業の円滑な資金繰りを確保し、事業活動の停滞を防ぐことが最も重要となりますが、都がこれら支援策を矢継ぎ早に実施してきたことで、東京の経済の悪化を食いとめることに寄与できたものと高く評価いたします。
 そこで、この緊急保証制度に関し、平成二十年度における都内の実績を確認させていただきたいと思います。

○保坂金融部長 昨年十月末から開始いたしました緊急保証制度の都内の利用実績は、平成二十一年三月末で一兆八千八百億円でございます。そのうち、都制度融資である経営緊急での対応分は、全体の半分の九千三百八十一億円、区市町の制度融資等での対応分は一千八十四億円、その他、全国統一制度でございます全国緊急での対応分は八千三百八十億円でございます。

○村上委員 それでは、この都内の緊急保証制度の実績が全国に占める割合はどのくらいでしょうか。過去の信用保証制度全体の実績と比較しながら教えていただきたいと思います。

○保坂金融部長 平成二十年度における緊急保証制度の全国ベースの利用実績は、九兆一千八百億円であり、都内の占める割合は約二〇%となっております。
 一方、平成十七年度から平成十九年度までの三カ年における、信用保証制度全体の全国ベースでの利用実績に対し、都内の占める割合は一五%弱で推移しておりました。

○村上委員 ただいま答弁があったように、都内分のシェアは、近年の信用保証制度全体に占めるシェアよりも五%ほど上昇しております。これは、東京信用保証協会が、企業個々の実情に応じた保証審査に懸命に取り組んだ結果であることはもちろん、信用保証料の二分の一の補助など、都が他の道府県と比べても手厚い支援を実施してきたことも大きく寄与したものと考えます。
 しかしながら、都内の毎月の倒産件数は、昨年の秋以降連続して二百件を超えるなど、景気の動向は油断できない状況が続いております。こうした状況を乗り越えるため、都は、我が国経済の活力の源である東京の中小企業の資金繰りをこれからもしっかりと支えていっていただきたいと思いますが、緊急保証制度の現在の利用状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○保坂金融部長 都はこれまで、経営緊急を創設し、小規模企業者に対し保証料の二分の一を補助するとともに、平成二十一年四月からは、貸出上限金利を〇・四%引き下げるなど、都独自の取り組みを実施してまいりました。
 しかしながら、都内の中小企業の業況が過去最悪を記録するなど厳しい状況が続く中、経営緊急の利用は、四月から五月にかけても、一日当たり三十億円から四十億円程度と依然高い水準で推移しており、今後も中小企業の資金繰りをしっかり支えていく必要があることはご指摘のとおりでございます。
 そのため、経営緊急を含む経営支援融資の融資目標額を二千五百億円から七千億円に拡大することとし、預託金や保証料補助に要する経費を補正予算に計上したところでございます。
 引き続き、信用保証協会及び金融機関と密接に連携し、中小企業の円滑な資金繰りを支援するため、万全の措置を講じてまいります。

○村上委員 都が今後も中小企業の資金繰りをしっかりと支えていくという決意を持って取り組んでいらっしゃるということはよくわかりました。経済情勢はこの先、世界の景気のさらなる悪化が懸念されるなど、先行き不透明な要素も多くあります。どのような状況になろうとも、企業が安心して事業に取り組めるよう、都は中小企業の資金繰りに万全を期すよう強く要望いたします。
 次に、受注開拓緊急支援事業についてお伺いいたします。
 ここのところ、中小企業経営者の方とお話をする機会が大変多くあります。皆さんから、受注が大幅に減っている、展示会に出展するなどして新たな販路を開拓していかなければいけないと思ってはいるが、経済環境が厳しく、出展経費を出すこともままならないという声が数多く寄せられております。
 こうした中、昨日の本会議で、我が党の代表質問に答え、中小企業の受注機会を一層拡大するために、受注開拓緊急支援事業を実施すると表明されました。急激な受注の減少にあえぐ中小企業にとって、まさに朗報であり、大いに期待するところでございます。
 そこで、まず、具体的にどのような方法で中小企業の受注獲得を支援していくのか、お伺いいたします。

○三枝商工部長 都内中小企業の受注が激減して、多くの経営者が苦慮しており、速やかな受注の回復が求められております。中小企業が現下の厳しい経済状況を克服し、活路を切り開いていくためには、国内市場はもとより、広く海外市場にも目を向け、国内外の展示会に積極的に出展するなど、新たな受注の獲得と販路の拡大に取り組むことが重要でございます。
 このため、本事業では、百五十万円を限度として、いわゆるブース代や設営費といった各種展示会への出展経費や、カタログ、パンフレット等を用いたPR経費を助成することとしております。これらに加え、冷え込んでいる受発注を回復するため、大企業向けの発注開拓キャラバンや、販路拡大のためのマッチング商談会も実施してまいります。

○村上委員 中小企業の受注開拓に向けて、さまざまな方法できめ細かく支援していくこの事業の特徴がよくわかりました。受注が激減している中で、まさに時宜にかなった施策であり、多くの中小企業がこのような支援を切望していると思います。
 ところで、都ではこれまで、受注開拓の支援策として、市場開拓助成事業を実施していますが、今回の事業との違いを明らかにしていただきたいと思います。

○三枝商工部長 従来の市場開拓助成事業は、支援の対象を、ベンチャー技術大賞の受賞企業や、中小企業振興公社の開発助成制度を用いて新製品を開発した企業等に限定をしておりました。
 平成二十年度の事業実績は三十七件と相なってございますが、現下の厳しい経済状況のもとでは、より多くの中小企業が受注獲得と販路拡大に取り組めるよう支援をしていくことが重要でございます。
 このため、このたびの受注開拓緊急支援事業では、今年度新たに実施をいたします経営力向上TOKYOプロジェクトやグループ戦略策定支援特別対策事業で、経営改善のために新規受注先の開拓が必要とされた中小企業二百社を対象とするなど、市場開拓助成事業に比べ、より幅広くご利用いただける仕組みといたしました。

○村上委員 今回の事業が、これまでに比べて、緊急支援として幅広く利用できる仕組みであることはわかりました。しかしながら、現下の厳しい経済状況では、中小企業から事業計画件数を超えた申請があるのではないでしょうか。そういった懸念がある中で、この点についてのご所見をお伺いさせていただきます。

○三枝商工部長 このたびの受注開拓緊急支援事業につきましては、より多くの中小企業にご利用いただきたいと考えており、事業計画上、二百件を支援することといたしております。
 一方、展示会への出展方法やPRの内容等によりまして、中には助成額が上限の百五十万円を下回る場合もあると想定されることから、当初の計画件数に拘泥せず、予算の範囲内でできる限り多くの中小企業が受注開拓と販路拡大に取り組めるよう、弾力的に対応してまいります。

○村上委員 早期かつ確実に都内中小企業の受注獲得と販路拡大が実現できるよう、受注開拓緊急支援事業を積極的に推進していただきますようにお願い申し上げます。
 次に、商店街の街路灯のLED化についてお伺いいたします。
 商店街は、都民の消費生活を支えるとともに、雇用創出の場として、また、地域経済の活性化やコミュニティの核として重要な役割を果たしています。加えて、防犯、防災、環境、子育て支援や障害者福祉などさまざまな課題の解決に取り組む各地域の行政のパートナーとしても期待されております。
 特に最近では、地球温暖化対策に配慮した先進的な取り組みとして、街路灯のLED化を進める商店街が増加しております。私の地元渋谷区でも、渋谷区不動通り商店街振興組合を初め、三つの商店街が街路灯のLED化を進めています。CO2の削減が世界規模で急務となっている中、こうした商店街の取り組みは、地球温暖化防止を目指す都の施策に合致するもので、都として積極的に支援すべきです。
 そこで、商店街街路灯のLED化のこれまでの取り組み状況と、今回の補正予算案に上げられた具体的な支援内容についてお伺いいたします。

○三枝商工部長 都はこれまでも、新・元気を出せ商店街事業のうち、東京都の特定の施策に協力して商店街が実施する事業を対象とする特定施策推進型商店街事業で、地球温暖化対策に取り組む商店街の街路灯のLED化を支援しているところでございます。
 昨年度の事業実績でございますが、LED街路灯の設置及びLEDランプの交換が十五件で、総額約三億円を補助いたしました。今年度は、都の環境対策に貢献しようという機運が多くの商店街で醸成され、支援を求める声が大幅にふえたことから、これまでの新・元気を出せ商店街事業とは別に、国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用し、新たに一件当たり最大一億二千万円を助成することとし、今年度申請のあった商店街の声にすべてこたえることといたしました。

○村上委員 商店街街路灯のLED化の取り組み状況と、今回予定されている支援の内容はよくわかりました。
 ところで、LEDランプは、発売当初、光が直進的で暗いというような評価でしたけれども、最近では、既存の水銀灯と遜色なく、商店街でイベントを行う際にも支障のないランプに改良されていると伺っております。また、既に街路灯のLED化を行った商店街の方から、電気代が安くなって助かっているという声も寄せられております。
 そこで、商店街の街路灯のLED化による具体的な効果についてお伺いいたします。

○三枝商工部長 最近のLEDランプは、光の拡散も十分で、中にはにぎわいを醸し出す効果を商店街にもたらすものも出てきております。
 一方、商店街の街路灯のLED化による効果のうち最も大きなものは消費電力の削減でございまして、昨年八月に水銀灯からLEDランプに交換をしたある商店街の例では、設置後約半年間で消費電力が約八三%も削減されたとのことでございます。
 また、これに伴いまして、地球温暖化防止に欠かせないCO2排出量の削減や、商店街が負担する電気料金の軽減といった効果がもたらされます。

○村上委員 LED化による具体的な効果についてよくわかりました。このほか、副次的効果として、街路灯の設置工事が各地域で行われることから、地域経済の活性化も期待できるところです。ぜひ速やかに進めていただくことを強く要望いたします。
 今までの答弁を伺って、今回提出された補正予算が、中小企業の経営状況の改善に寄与するものと確信いたしました。
 最後に、厳しい状況に置かれている中小企業の支援に向けた局長のご決意をお伺いし、私の質問を終わります。

○佐藤産業労働局長 都内には、他の追随を許さないすぐれた技術を持つ中小企業が数多く存在をいたしまして、東京のみならず、我が国の産業を支えているというふうに思っております。
 しかしながら、百年に一度といわれる未曾有の経済危機の中、都内の中小企業は、受注の減少、それから資金繰りの悪化など極めて厳しい状況に直面をしております。
 こうしたことから、都は、ご案内のとおり、これまでも二度にわたる補正予算を含めましてさまざまな産業振興施策を積極的に講じてまいりました。しかしながら、景況は一部回復の兆しを見せつつあるというものの、先ほどの委員のご指摘もありましたけれども、毎月の都内の倒産件数が、昨年の秋以降連続して二百件を超えると、こういうふうな状況にありまして、なおそういう意味では予断を許さない状況にあります。
 そこで、今回の補正予算におきまして、緊急中小企業対策として、さらなる融資制度の充実、また、受注開拓緊急支援事業などを講じることとしたところでございます。
 今後とも、都内中小企業が直面をいたしております喫緊の課題に適時適切にこたえ、東京の経済を支える中小企業を全力で支援をしてまいります。

○高倉委員 まず、今回の補正予算で提案をされております早期再就職支援事業について質問をしたいと思います。
 景気について、国の月例報告では、悪化のテンポが緩やかになったとの認識が示されておりまして、最悪の時期を脱したとの見方も出てきておりますけれども、雇用情勢につきましては、急速に悪化しており厳しい状況と、認識はさらに下方修正をされております。
 これを裏づけるように、五月二十九日の厚生労働省の発表では、東京都の有効求人倍率は〇・七三まで悪化をしまして、全国は〇・四六と過去最低の水準まで低下をしております。雇用は、経済活動よりもおくれて影響が顕在化をしてくるものであります。まだまだ雇用情勢の悪化が続くのではないかと非常に危機感を感じております。
 こうした現状を反映しまして、しごとセンターの利用者も急増しているというふうに聞いております。
 そこで、まず、確認の意味で、昨年度のしごとセンターの新規利用者の状況についてお答えください。

○小田雇用就業部長 雇用情勢の急速な悪化を反映しまして、しごとセンター全体の二十年度の新規利用者数は約二万四千人と、前年度の一・三倍に増加しております。このうち三十歳から五十四歳までの中高年齢層を対象としますミドルフロアの利用者につきましては、特に雇用情勢が厳しさを増してきた昨年十二月から本年三月までの四カ月間を見ますと、新規利用者数が三千人を超え、前年同期の約二倍と、大幅に増加しております。
 こうした傾向は今年度に入っても変わらず、この四月の新規利用者数は、前年の四月と比べ、全体では一・六倍、中でもミドルフロアの伸びが顕著となっております。

○高倉委員 雇用情勢の深刻さが利用者の増加に顕著にあらわれていると思います。中でも中高年齢層の利用者が急増しているということであります。都は、昨年の雇用悪化の影響を受け厳しい状況に陥っていた非正規雇用者対策に取り組み、三十代を中心とする就職氷河期世代の正規雇用化を目指すネクストジョブ事業を開始いたしております。
 今回の補正予算では、正社員にも雇用調整の波が及び始めたという状況に対し、いち早く中高年の正規雇用離職者向けの支援の強化を打ち出すなど、昨年来、時宜を得た対策を実施してきていることを高く評価いたしたいと思います。
 そこで、今回提案をされております早期再就職支援事業で進める支援の具体的内容についてお答えをいただきたいと思います。

○小田雇用就業部長 中高年の正社員の方々は、まさに働き盛りの世代でありまして、家計を支える立場にあり、こうした方々が失業することは、消費や子どもの教育にまで影響を生じる懸念があることから、支援は急を要するものと認識しております。
 このため、中高年の正規雇用離職者の早期再就職の実現に向け、早期再就職支援事業を立ち上げます。具体的には、しごとセンターの就職支援アドバイザーを増員し、求職者一人一人にきめ細かなカウンセリングを行いながら、応募書類の書き方や面接対策など実践的な準備を支援するとともに、そのキャリアや希望に応じた職業紹介を行ってまいります。さらに、厳しい労働市場の現実を理解した上で、企業とのマッチングの場に臨んでいただけますよう、セミナーと就職面接会をセットにして毎月実施しますことにより、早期再就職に向けた機会を数多く提供してまいります。
 こうした取り組みによりまして、中高年正規雇用離職者の即効性ある就職支援を実施してまいります。

○高倉委員 ぜひしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 次に、職業訓練について質問をいたします。
 離職者の再就職を支援するに当たりましては、キャリアカウンセリングなどの就職支援と車の両輪をなすものとして、職業訓練があります。新たなスキルを身につけるための職業訓練は、就職支援策として大変有効であります。
 さきの予算特別委員会での我が党の締めくくり質疑に対しまして、現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、離職者の訓練機会の拡大に向けて、七千人を超える規模の委託訓練の実施を計画し、この三月末には多くの離職者が出る懸念があることから、こうした方々が離職後の早い時期に訓練を受けられるよう、募集開始時期を例年より早め、四月から募集を開始するとの答弁がございました。
 そこで、委託訓練の応募状況についてお答えをいただきたいと思います。

○日請事業推進担当部長 委託訓練の実施につきましては、昨年度は七月と十月に集中して募集をしてまいりましたが、本年度は四月から募集を開始いたしまして、早期の受講機会の確保を図っております。
 応募状況につきましては、四月から六月までの募集定員一千三人に対しまして、二千六百五十九人の応募がございました。応募倍率は約二・七倍と、現下の厳しい雇用情勢を反映して、高い数値となっております。

○高倉委員 今ご答弁にありましたけれども、こうした応募状況を受けて、今後、離職者再就職訓練の実施規模をどのように拡大していくのでしょうか。

○日請事業推進担当部長 ただいま申し上げましたとおり、委託訓練の受講希望者が募集定員を上回る状況を踏まえまして、今後、離職者の訓練機会をさらに拡大してまいります。具体的には、現下の厳しい雇用情勢の中にありましても、人材が不足しているITや介護などの分野を中心に、七月から九月にかけましては、毎月約千人、十月には約二千人規模で訓練を実施することとしております。これによりまして、離職者の再就職を着実に進めてまいります。

○高倉委員 支援対象の個々の人々のこれまでのキャリアや希望を踏まえたきめ細かな就職支援や職業訓練は、非常に有効な対策であると思います。現在のような厳しい状況のときこそ、しごとセンターや職業能力開発センターの機能を存分に発揮して、血の通った支援を行い、早期に再就職できる方を一人でも多く実現していただくことを強く期待しております。
 私ども都議会公明党は、三年間で離職者五万人の就労を目指すという目標を掲げまして、現下の雇用不安に取り組む決意であります。都の緊急雇用対策の着実な実施は、その実現のためにも非常に重要であるというふうに考えております。
 そこで最後に、緊急対策に取り組む局長の決意を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

○佐藤産業労働局長 四月の有効求人倍率はさらに低下をしておりますし、また、雇用調整の波は非正規労働者から正社員に及ぶというような、雇用情勢は大変厳しい状況というふうになっております。
 都は、これまでも、低所得者の方々のための就職チャレンジ支援事業、また、三十代の非正規の方向けのネクストジョブ事業、雇用の場の確保のための緊急の雇用創出事業など、雇用情勢に対応した方策を迅速に実施してまいりました。
 今回の補正予算では、委託訓練の規模を大幅に拡充いたしますとともに、中高年の正規雇用離職者の早期再就職に向け、就職支援を強化いたしますほか、基金を活用して雇用創出にも取り組んでまいります。これらの施策を効果的に実施いたしまして、国、また区市町村とも十分に連携を図りながら、今後とも雇用対策に全力で取り組んでまいります。

○小竹委員 大企業の雇用破壊は、非正規から正規労働者にまで広がり、地域経済を落ち込ませる深刻な状況になっています。中小企業は仕事がないなどの深刻な経済危機に陥っており、廃業に追い込まれる業者も少なくありません。
 その中で、国の補正予算に合わせて、都も景気対策として補正予算を組みました。補正予算の中には、中小企業の受注販路拡大や商店街のLED街路灯の設置整備、融資、職業訓練の拡充など、我が党も主張してきた前進面もありますが、全体予算は、外かく環状道路建設や東京港整備事業など不要不急の大型公共事業に大盤振る舞いの逆立ちのものになっています。都民の暮らし、営業、福祉の分野は極めて不十分です。
 東京の経済を支えてきた中小零細企業や商店街を守り、活気を取り戻せるようにする上で、都の果たす役割は極めて重要だと考えます。その点から、さらなる施策の充実を求めて質問をいたします。
 代表質問で、ことし中小企業の実態調査をするというふうに答弁されましたが、深刻な経済状況のもとでの調査ですから、従来の調査を上回るものにしてほしいというふうに思っています。都内の中小企業の全業種、全業者を対象にして生の声を反映したものにするべきだというふうに思いますが、従来の製造業の実態調査との違いはどういうふうになっているのでしょうか、お伺いします。

○三枝商工部長 都では、中小企業の実態を把握いたしますために、実態調査とは別に、昭和二十六年から毎月、都内中小企業を対象といたしまして、業況、売上高、業況見通し等を調査する景況調査を実施しております。
 今回の緊急支援は、この景況調査を通して明らかになった中小企業の厳しい経営実態も踏まえまして実施をするものでございます。

○小竹委員 お答えがちょっとずれているなというふうに思うんですけれども、やはり景況調査や従来の調査では、今の経済状況については、本当に深刻な事態を掌握するという点でも、私は今までの調査を上回るものにしなければならないというふうに考えております。従来の枠にとどまらない大変な実態を反映させ、現在の状況が反映できるような調査をするように、これは強く要望しておきます。
 補正予算には、見本市や商談に結びつける受注開拓緊急支援事業が組まれています。二百社を対象にするとされていますけれども、対象となる中小企業の規模等についてはどのように考えておられるのか、お伺いします。

○三枝商工部長 受注開拓緊急支援事業につきましては、今年度新たに実施をいたします経営力向上TOKYOプロジェクトや、国が指定した不況業種を対象といたしますグループ戦略策定支援特別対策事業で、経営改善のために新規受注先の開拓が必要とされた企業を対象とするなど、中小企業であれば規模のいかんにかかわらず利用しやすい仕組みとしたところでございます。

○小竹委員 中小企業であれば規模のいかんにかかわらず利用できるというお答えですけれども、知事はたしか、小零細企業のためというふうにおっしゃられました。見本市だとか商品開発など、本当に出展できる企業というのは、やはり一定の規模を持っている中小企業が中心になるのではないかなというふうに思います。
 それにしても、私は今の東京都内にある中小企業の置かれている状況からいっても、数的には二百社では足りない、対象枠を拡大すべきだというふうに思うんですが、拡大するということと同時に、できるだけこういう制度が利用できるように拡大していく上でも、専門家の支援だとか、産技研などの総合的支援等についても考えていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、この辺はどのようにお考えになっているのか、お伺いします。

○三枝商工部長 このたびの受注開拓緊急支援事業につきましては、より多くの中小企業にご利用いただきたいと考えており、事業計画上、二百件を支援することといたしております。
 一方、展示会への出展方法ですとか、あるいはPR等の内容によりまして、中には助成額が上限の百五十万円を下回る場合もあると想定されますことから、当初の計画件数にこだわらず、予算の範囲内でできる限り多くの中小企業が受注開拓と販路拡大に取り組めるよう弾力的に対応したいと考えております。
 また、繰り返しになりますが、本事業では、今年度新たに実施をいたします経営力向上TOKYOプロジェクト等におきまして、中小企業経営の専門家でございます中小企業診断士等が、経営改善のために新規受注先の開拓が必要と判断をした中小企業を対象とすることとしており、専門家を活用した仕組みと相なってございます。

○小竹委員 診断士などの専門家を活用した仕組みということですけれども、ぜひ、多くの企業が利用できるようにするという点では、やはり総合的な支援体制をあわせてお願いすると同時に、予算の枠内ということではありましたけれども、予算の枠は超えても、こういう需要があるということであれば、十分対応していただくように、これは要望しておきます。
 あわせて、こういうところに対応できないような企業、小零細といわれるような企業を対象にするという点でも、代表質問で、受注がなく機械をとめているような企業に対して、委託研究事業の創設というのを提案したわけですけれども、私は、今の中小企業が、零細なところが抱えている問題を解決していく上でも、この施策というのは非常に重要だというふうに考えています。
 既にやっているというご答弁だったわけですけれども、これまでやっている事業では対応できないところに対して救済というか支援の手を差し伸べていくということで提案をしていますので、専門家の支援を含めて、新たな制度として確立すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○三枝商工部長 都は既に、各種の制度を通じまして、中小企業の新製品、新技術の開発や受注の拡大を支援してございまして、ご提案のような委託研究制度を創設することは考えておりません。
 なお、規模のいかんにかかわらず、技術的なそういう支援等につきましても、相談を産業技術研究センターが受けた場合には、適切に対応させていただいております。

○小竹委員 冷たいご答弁だけれども、本当に今大変なところに、東京の経済を支えている大変なところへ、今ある制度ではフォローできないわけですから、そういう点での対策をやっぱりすべきだというふうに、この点は指摘をしておきます。
 今、まちの中小零細企業では、仕事がないために、借りている工場の家賃や機械のリース代が払えない、光熱費の支払いに困っているなど深刻な訴えが出されています。固定経費が払えないほど危機的な状況にあり、廃業や工場閉鎖に追い込まれる、こんな状況が生まれています。貴重な技術を守る上でも、それから、中小企業を、今ある企業を守るという点でも対策が求められているわけですけれども、経済状況の悪化の中で、廃業の危機に追い込まれている小零細企業の経営を持続させていくための家賃や機械リース代などに対する助成をすべきだというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。

○三枝商工部長 お尋ねの、経営が困難となっている中小企業に対しましては、規模のいかんにかかわらず、事業承継・再生支援事業できめ細かに相談や経営支援を行っているところでございます。また、資金面につきましても、経営緊急を初めとする中小企業制度融資で対応させていただいております。

○小竹委員 制度融資では対応できないんですよね。このまま放置すれば、やっぱり廃業に追い込まれる、今もう現実に廃業に追い込まれている人たちがいらっしゃるわけですから、そういう点でいうと、都内の貴重な技術が失われるということにもなるわけで、やっぱり新たな対策を検討すべきだというふうにこれも指摘をしておきます。
 私の知り合いは、仕事が来ないために、動力を使っていないということで、節約のために東電に動力電源のストップを申し入れたところ、廃業届を出さない限りは認めないというふうにいわれて、仕事が出るまでの一時的なストップを認めてほしいということで交渉したけれども、らちが明かなかったということなんです。
 それで、今、こういう経済状況の中で非常に苦労しながら、仕事を確保するために必死で頑張っているわけで、東電などに対して、東京都として、やはり今の中小企業が置かれている状況から、一時的にストップすることも含めて働きかけるべきだというふうに思うんですが、この点いかがでしょうか。

○三枝商工部長 民間中小企業の工場における電力の利用につきましては、個別企業間の契約関係でございますことから、お尋ねの要望を都が東京電力に対して行うことは考えておりません。
 なお、東京電力に尋ねましたところ、個々の電気の使用状況を踏まえ、個別に協議をさせていただくことはあるというふうに仄聞をしてございます。

○小竹委員 個別に対応するというふうに東電がいっていらっしゃるようですが、実際にいった方は断られているんですよね。もうそれで払えないということになれば廃業しかなくなっちゃうわけで、廃業しないで頑張ろうという本当に必死の努力がされているわけですから、やはりそういう面でも東京都がきちんと支援をしていくということが大事だというふうに思いますので、この点についても、東京都が申し入れるだけのことですから、ぜひやっていただきたいということは要望しておきます。
 そして、さらに、従業員を抱えている中小企業も大変な状況に置かれているわけで、仕事がない状況の中で雇用を維持するという点での努力がされています。国の雇用調整助成金については、三月の一定でも私、問題にしたんですけれども、複雑な書類を書かなければならないということと、これを申請するためには、休業計画をきちんとしたものを出さなければ認められないわけですね。そういう点では、従業員がほんの少数しかいない企業にとっては、急に仕事が入ってきて、あす、あさってに仕事を出せといわれたときに、休業計画を出しているからといって、その人を使ってしまったら、雇用調整助成金も受けられないわけで、そういう点でも休業計画が、特に小規模なところは出せないといわれているんですね。そういう小規模な零細業者に対して、都が独自に中小企業のための雇用調整助成制度を新設して、救済して、東京の技術や何かを守っていくという立場が必要じゃないかというふうに思うんですが、この点いかがでしょうか。

○小田雇用就業部長 国は、先月二十九日に成立した補正予算におきまして、雇用調整助成金の拡充のために約六千億円の予算額を確保しますとともに、これまで助成率の引き上げなど要件の緩和を図ってきたところでございます。また、国においては、迅速な支給に向けてハローワークの人員体制を強化するとともに、事業主の負担の軽減を図るため、支給申請の手続や書類の簡素化も進めております。
 こうしたことから、雇用維持を行う事業主に対する支援が一層強化されるものと考えております。したがいまして、都独自で制度を創設する考えはございません。

○小竹委員 本当にね、私も先ほども申し上げましたけれども、国の制度では本当に零細なところは救われないんですよ。いろいろ改善されていることは前の質疑のときにも伺いましたし、その後の状況からも聞いているんですが、これが利用できない、そういうところを救済するというのは、やっぱり東京都がやらなかったら、東京のものづくりを守れなくなっちゃうんじゃないんですか。これまでものづくりを支えてきた中小零細企業は危機に瀕しているんです。今ある企業や技術を守らなければ、東京の経済が成り立たなくなります。その点でも、今の議論の中での答弁では不十分ですので、そのための支援策の強化をしていただくように、これは強く要望しておきます。
 引き続いて、商店街のエコ対策について伺います。
 LED街路灯の整備に別枠で組まれたことは、非常に前進だというふうに思っています。都が五分の四の補助をして設備設置を行うわけですけれども、この経費は非常に莫大なお金がかかるというふうに伺っています。相当な経費が必要ですから、五分の一といえども、商店街の負担は大変重くなっています。どこの商店街でも利用できるようにするために、五分の一の負担をもっと軽減すべきではありませんか、どうでしょうか。

○三枝商工部長 商店街のLEDの街路灯の設置やLEDランプへの交換につきましては、新・元気を出せ商店街事業のうち、東京都の施策に協力して商店街が実施をする事業を対象とする特定施策推進型商店街事業により、既に総事業費の五分の四という高率で都が直接補助をしております。このため、現行の補助率を見直す考えはございません。

○小竹委員 本当に前進がないという点では、非常に私は商店街の今の大変さがわかっていないんじゃないかなという思いがしました。
 オリンピック招致のフラッグは、すべて招致委員会、東京都が負担しています。商店街の負担はありません。街路灯はまちの人たちの安全のために役立てるということで、商店街がみずからの商売の繁栄とあわせてやってきている状況です。そういう意味では、街路灯を設置して、商店街がまちに貢献をしてきました。今、シャッター通りとかいわれるような状況で、体力が弱っているわけですから、そういう東京の全商店街を守るという点では、都民の安心・安全のために商店街の負担を軽減するということは必要なんじゃありませんか。オリンピック招致のためになりふり構わず強制する、こういう状況じゃなくて、商店街の活性化のために東京都が負担するのは、やっぱり商店街の活性化や商店街を守るという点でも私は当然のことだというふうに思っています。そういう点でも、産業労働局、商工担当のところがそういう立場に立ってほしいということを強く思います。
 商店街の街路灯をLEDにすることは、先ほども議論がありましたけれども、商店街に重く負担がかかっている電気代の負担軽減をするという点でも役立ちますし、環境対策、CO2の削減でも重要です。体力の弱っているところでも利用できるようにして、商店街の電気代の負担を軽減する対策としても、私は東京都として、こういう設置の負担、ハード面の負担について軽減するように、これは強く求めておきます。
 電気代の補助や、今この街路灯を維持できないような状況になっている商店街がふえていますけれども、その街路灯の移譲を受けて、直接管理する制度をつくるべきではないかというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。

○三枝商工部長 東京都が直接商店街の街路灯の管理を行ってはどうかというお尋ねでございますけれども、商店街の街路灯は、にぎわいの創出や買い物客が安心して買い物ができる環境を整備するため、商店街がみずから設置をするものでございまして、その街路灯の管理は、各設置者により行われるべきものと考えております。

○小竹委員 商店街が、それこそ、特に都道や何かのところで、マンションがどんどん進んで商店街がなくなっちゃっているわけですよ。それで、商店街がつくったものではあるんだけれども、それをなくしてしまったら、まちの明かりが消えちゃうわけで、やっぱりその商店街の明かりを維持する上で、電気代や維持経費の負担ができない状況になっているわけだから。これまでは商店街の人たちが貢献してきたんですよ。だから、それを受け継ぐというのは、特に都道のところについていえば、東京都として私は対策をとるべきだというふうに思いますので、この点についてはぜひ検討してください。縦割り行政で、道路だからといって建設局の方に投げるんじゃなくて、双方がどうするかという対策を協議していただくように、これは強く求めておきます。
 次に、融資の問題でお伺いをいたします。
 中小企業の資金繰りは、長期にわたっての景気低迷のもとで深刻です。その中で生き延びていく上で、融資制度は重要です。昨日の代表質問で、超低利、三年据え置き、十年返済の融資制度を提起しましたけれども、新たな制度をつくることは考えていないという答弁でした。今の経済状況のもとで苦しみながら頑張っている中小零細企業を守るためには、やはり検討すべきだということを、この点は要望しておきます。
 緊急保証融資制度についてですけれども、この間、指定業種は拡大されてきています。利用も拡大していますけれども、指定されていない業種もまだまだあります。深刻な不況のもとで、対象業種の指定を全業種に拡大すべきだというふうに思います。国の方に要求すべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○保坂金融部長 都は、委員のご指摘をまつまでもなく、既にこれまで数次にわたり、東京の産業の特性を踏まえ、より多くの中小企業が緊急保証を利用できるよう、指定業種の拡大を国に働きかけております。その結果、現在七百六十業種まで指定業種が拡大され、指定を求める中小企業のほぼすべてがカバーされていると認識しております。

○小竹委員 全業種でないことは、ほぼということでおっしゃられましたけれども、私たちも全業種への拡大をずっと要求し続けてきています。そういう意味では、引き続きこれは要望していただきたいというふうに思います。
 さらに、仕事がなくて、厳しい経営環境にある小零細企業が今必死で頑張っています。生活を支え、仕事を続けるために、無利子、長期貸付のつなぎ資金を創設すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

○保坂金融部長 都は、昨年十月から、国の緊急保証制度に対応した融資メニューである経営緊急を既に実施しており、運転資金についても、最長十年、制度融資の最優遇金利を適用した融資を受けることができます。また、このほかにも、緊急に資金が必要となった中小企業向けの融資メニューとして、クイックつなぎがあり、中小企業の資金繰り状況の改善にこれまでもこたえてきたところでございます。

○小竹委員 本当にすべてにわたって、私は今、都の制度や何かで救済できないようなところをいかに救済して、東京のものづくりや商店街を守っていくかということでいろいろ提起したんですけれども、前向きのご答弁を得られなかったという点は非常に残念です。
 今のアメリカ発の金融危機のもとで、大企業の単価切り下げや仕事打ち切りなどの被害を受けている中小零細企業の持つ貴重な技術や経験が、廃業や工場閉鎖で失われるようなことがあっては、東京にとって重大な損失です。その点からもあらゆる知恵を出し、ものづくりや商店街を守らなければなりません。そういう意味では、今回の補正予算は、この点から見るとまだ不十分です。さらなる充実を強く求めておきます。
 さらに、伊豆諸島の経済においても、ガソリン等の燃油が高い価格のまま、非常に経済に与える影響が大きいというふうに聞いています。そこに国の施策による高速料金の一律千円。島の観光業者には危機感を呼んでいます。その上、新潟県佐渡市が行ったフェリー料金片道千円、これも心配の種になり、島の経済の中心となる観光が大打撃を受けるんじゃないかという危機感が生まれているというふうにいわれています。運賃補助など、都として観光客を呼び込むための施策についても、私は検討すべきだということを要望しておきます。
 さらに、島の仕事おこしや雇用確保という点からも、CAS冷凍庫の購入補助をすべきだと、これも求めておきたいというふうに思います。
 島根県の海士町では、CASを使って、地元の魚だけでなく、野菜、そして加工品などをつくってCASで保存し、遠隔地、首都圏まで出荷をしているということです。三宅島ではその希望が出されています。島の漁業振興と雇用拡大につなげる、そういう活用として、このCAS冷凍庫の購入補助をぜひやっていただくように強く求めて、質問を終わります。

○大西委員 今回の補正予算に盛り込まれているふるさと雇用再生特別基金事業について質問します。
 雇用情勢の悪化を受けて、公的な雇用を創出するために国の交付金による基金を設けて、緊急雇用創出事業と、それからふるさと雇用再生特別基金事業の二つの事業を行うとのことですが、緊急雇用の方はその名のとおりでしょうけれども、ふるさとという名称からは、何を目的としたものか、いささかわかりにくい面があります。
 そこで、この事業の趣旨と本年度の実施概要について伺います。

○日請事業推進担当部長 ふるさと雇用再生特別基金事業は、地域の実情に応じまして、都及び区市町村の創意工夫に基づき、安定的な雇用機会の創出を図ることを目的として実施するものでございます。
 このため、例えば、新たに雇用する失業者等の雇用期間は、つなぎ雇用としての緊急雇用創出事業が六カ月未満というふうにしておりますのに対しまして、ふるさと雇用再生特別基金事業では一年間以上とするなど、継続的な雇用を図るものとしております。
 本事業に係る基金造成額は五十七億六千万円となっております。本年度から三カ年にわたりまして事業を実施してまいります。
 本年度の実施事業につきましては、都が実施するものは産業労働局と教育庁で計五事業でございます。区市町村は二十四区市町村で計四十二事業、合わせて四十七の事業を実施することとしております。

○大西委員 概要としてつかめたんですけれども、これらの事業の委託先については、どのようなところを想定しているんでしょうか。
 昨今、ビジネスとしての事業性を確保しながら、少子高齢化や環境問題などさまざまな社会的課題の解決に取り組む社会的企業家の活動が注目されています。最近の若者などには、民間企業の組織の中で利潤のみを追求することには飽き足らず、こうした社会的企業やNPO活動に積極的に取り組む人も多くなってきています。こうした人たちを支援する意味においても、ふるさと事業の委託先について、社会的企業やNPOも対象とすべきと考えますが、その点はいかがでしょうか。

○日請事業推進担当部長 ふるさと事業の委託先につきましては、事業を的確に遂行する能力を有し、雇用創出効果が期待できることなどを要件といたしまして、民間企業、NPO法人、その他の法人、または法人以外の団体等、幅広い団体を委託先としております。お話しの社会的企業につきましても、こうした要件を満たせば、委託先となることが十分に考えられます。
 個々の事業の委託先につきましては、事業を実施する各局及び各区市町村が、それぞれの事業内容に応じまして、ふさわしい団体を選定していくこととなります。

○大西委員 社会的企業やNPOも委託対象になるということについて、わかりました。地域を担うという意味において、こうした団体を対象とした事業が多く行われるよう要望しておきたいと思います。
 社会的企業に関連して、今回の補正に盛り込まれ、産業労働局が取り組むふるさと事業の中に、社会的事業のための専用相談窓口事業というものがありますが、これはどのような内容でどのように展開していくのか、伺います。

○三枝商工部長 防犯や防災、環境保護、あるいは子育て支援といった社会的課題の解決には、ビジネスとしての事業性を確保しながらこれに取り組む社会的企業家の活躍を促進することも一つの有効な手法となってきております。
 このため、都では、平成十九年度より、環境保護などの分野で起業する人を対象に、社会的企業家育成セミナーを実施しているところでございます。
 しかしながら、地域の課題を解決する担い手となる社会的企業家を確実に育成するためには、これまでのセミナーに加え、個別の事情に対応したよりきめ細かなサポートが必要でございます。
 こうしたことから、今回、ふるさと雇用再生特別基金事業を活用して、社会的企業家向けの専用相談窓口を設置することといたしました。今後、本事業により、社会的課題の解決に資するビジネスを成功させようと頑張っている企業やNPO等に、事業運営上の課題解決に対するアドバイス等の支援を行うこととしております。

○大西委員 ずっと生活者ネットワークとしても提案してまいりました、この社会的企業家を育てる内容の事業が非常に重要だということが今回認識され、ふるさと事業のような仕組みができ、そこで十分に活用していただきたいということを思っております。
 この中で、今新たに、今回の百年に一度の不景気をどうやって救うかということの事業の中に、確かにこの補正予算等でお金は、金額的には出ているけれども、それを地域の中でどのように生かしていくかということの課題の中に、これまでの社会の構造だけではなくて、いろんな事業展開とか、そういう構造的な転換を求められるということがよくいわれております。
 そういう中での一つの取り組みとして、このふるさと事業、これを期待しているんですけれども、そして、その中でやっぱり今働き方ということで、単に事業者がいて、そこで働くんじゃなくて、みずからも出資し、そしてみずからが雇用として働くという新しい働き方も注目されております。これらは本当に地域の課題を、かなりニーズを把握した働き方ということで、一つ一つは小さくても、それが広まれば百万人雇用というところも夢じゃないというところで展開されております。その中で、法的にも、協同労働の法制化とかいうところも大きな課題となっておりまして、それも国で動いているようですが、ぜひこういう地域からの声をしっかりと吸い上げて、そして、この貴重なお金を行政がちゃんとそこに充てていくということで、これからも頑張っていただきたいということを要望して、質問を終わります。

○岡崎委員長 ほかに発言がなければ、本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思います。ご了承願います。
 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時二分開議

○岡崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○中村金融監理室長 質疑に先立ちまして、五月二十九日に新銀行東京から発表されました平成二十一年三月期決算についてご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成二十一年三月期決算の概要をごらんください。
 資料の左側中段の損益状況をごらんください。
 表の上から三段目の業務粗利益でございますが、主に業務収益が増加したことにより、決算額は再建計画を二十六億円上回り四十一億円となっております。貸倒引当金などの信用コストにつきましては、計画と比較して三十八億円増の九十三億円となっております。
 これらの結果、純損益につきましては百五億円のマイナスとなっており、計画に比べ二十一億円改善しております。また、純資産は、計画を三十八億円上回り、四百六十二億円となっております。
 次に、資料の右側上段の預金・融資保証残高をごらんください。
 預金残高は、再建計画と比較して三百十四億円減の三千三百五十八億円となっております。融資・保証残高は、計画と比較して百四十三億円増の千九百九十二億円となっております。
 次に、資料の右側下段の営業活動実績をごらんください。
 新規融資の実行額につきましては、一番下の欄、再建計画の四百八十七億円に対し、十四億円減の四百七十三億円となっております。
 新銀行東京は、再建計画の初年度である平成二十年度は、既存顧客を中心に、中小零細企業を積極的に支援するとともに、融資審査体制の抜本的な見直しによるデフォルトの抑制や、徹底した営業費用の圧縮による低コスト構造への転換を図ってまいりました。こうした取り組みの結果、純損益、純資産ともに再建計画を達成しております。
 なお、今期につきましても、新銀行東京は、純損益は七億円のマイナス、純資産は四百五十五億円と、ともに再建計画を上回る業績を見込んでおります。
 昨年来の厳しい経済、金融環境をかんがみますと、再建計画の達成に向けて、今年度は経営改善の取り組みをさらに強化していくことが必要であると考えております。
 都としては、引き続き再建に向けた取り組みを着実に進めるための監視、支援に全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上、新銀行東京関係の報告事項の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○岡崎委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言願います。

○山口委員 それでは、平成二十一年三月期決算の概要が示されたわけでありますが、この決算の、まずは今年度の活動状況というところを見ると、純損益、純資産ともに再建計画を達成と。既存顧客を中心に、中小零細事業者を積極的に支援。融資審査体制の抜本的な見直しによりデフォルトを抑制。徹底した営業経費の圧縮により低コスト構造への転換と、こうあるわけでありますが、新銀行東京の自分自身の評価と、それに対する東京都、また、知事の評価というものと、都民や私たちも当然のことでありますが、評価というものが余りにも乖離をしてしまってきているこの状況下において、なぜそんなことが起こってしまうのか、またさらにいえば、どうしてその再建をするという中において--再建というよりは、私も何度も申し上げている延命に近い、この計画そのものの遂行について、今後はどうなっていくのかも含めて一つ一つ伺っていきたいと思います。
 この平成二十一年三月期決算によれば、新銀行の赤字額は百五億円となっております。再建計画での赤字額百二十六億円は下回ったわけでありますが、劣後債の前倒し償還などで利益を捻出しただけにすぎず、本業での利益は出ていません。劣後債の前倒し償還などは、既に第三・四半期決算の段階で反映をされており、そのときは、赤字額七十三億円に対して、再建計画で想定をしていた赤字額百一億円より差し引き二十八億円も改善をしたと、これは胸を張っていたわけであります。
 五月二十九日の記者会見でも、新銀行の津島社長は、下半期の伸びと実績があれば、二十一年度の業績見込みも達成できる旨を発言されているわけでありますが、下半期の業績はそれほど好調なんでしょうか。
 そこで伺いますが、第三・四半期以降、この一月から三月だけの決算を見た場合、純損益は幾らだったんでしょうか。また、再建計画と比べてどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 一般に、企業の決算においては、第四・四半期だけの実績の公表は行われることはございません。
 平成二十年度決算が公表された現時点においては、再建計画の達成度について、通期決算の数値で見ることが重要であると考えております。
 また、通期決算の純損益から第三・四半期までの実績を単純に差し引いた数値は三十二億円でございます。
 なお、本業での利益は出ていないとのご指摘でございますが、代表的な本業部分の利益である資金利益は七億円を確保しており、ご指摘は当たらないと考えております。

○山口委員 今、代表的な本業部分の利益である資金利益は七億円を確保しているというご答弁もありましたが、人件費や物件費、こういったものを差し引いた本業だけでのもうけを示す実質純利は、二十七億円の赤字になっているわけであります。また、この一月-三月だけの決算を見れば三十二億円の赤字ということでありますが、三カ月で三十二億円赤字を出しているということは、一カ月の赤字がおよそ十億円になるわけであります。
 一方、新銀行では、再建計画によると、二十一年度の業績見込みを、七億円の赤字でおさまると。二十一年度ですよ。これは七億円の赤字でおさまるとは到底思えないわけであります。東京都は、二十一年度の業績見込みについて、どのように評価、また分析をされているのか、お伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、再建計画の初年度である平成二十年度に、執行体制の効率化や低コスト構造への転換などの取り組みにより、計画を達成いたしました。平成二十一年度は、経営改善の取り組みのさらなる強化や与信管理体制の一層の強化による信用コストの圧縮などにより、再建計画を上回る業績を見込んでおります。
 都としては、新銀行東京がみずからの経営判断で平成二十一年度見込みを上方修正したことを尊重し、再建計画が達成されるよう、引き続き適切な監視と支援に努めてまいります。

○山口委員 直近の三カ月間の決算で月十億円の赤字を出していることを考えると、既に第一・四半期決算で、この赤字額が七億円を突破することだって想定されるわけであります。二十一年度の第一・四半期における業績見込みはまずどのようになっているのか、東京都は把握をされているのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、今期の業績見込みについて、純損益をマイナス七億円、純資産を四百五十五億円としており、都としてもその説明を受けております。
 四半期ごとの業績予想については、新銀行東京は他の金融機関と同様、明らかにしておりませんで、都としても承知していませんが、昨年度からは、月次の経営情報を把握しているところでございます。

○山口委員 他の金融機関と同様という答弁でありましたが、新銀行東京は再建中の金融機関でありますから、より細かく進行管理をしていくべきではないでしょうか。指摘をしておきたいと思います。
 この間、四半期ごとの決算が発表されるたびに、再建計画との比較が示されてきたわけでありますが、二十一年度における四半期ごとの業績見込みについて、なぜ把握をして公にされないのでしょうか。新銀行のデフォルト状況を把握し切れていなかったという失敗を繰り返さないためには、新銀行東京の監視を適切に行っていくべきではないでしょうか、見解を伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 企業の経営状況の判断は、その実績に基づいて行われております。一般の企業においても、四半期ごとの業績見込みをあらかじめ公表はしておりません。四半期ごとの実績については、今後とも決算として公表してまいります。

○山口委員 五月二十九日の記者会見の中で、新銀行の津島代表は、今年度の信用コストの見込みを聞かれて、不良債権処理額の現在の水準から一割とか二割削減する方向で考えているという旨をお答えになられていたわけであります。東京都の分析では、二十一年度の業績見込みで、信用コストがどの程度ふえると想定をしていたのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、平成二十一年度につきましては、与信管理体制の一層の強化により、信用コストを圧縮することとしております。
 なお、信用コストの見込み金額は、営業上の重要な情報であるため、他の金融機関と同様、新銀行東京においても明らかにしておりませんが、先ほどいいましたように、不良債権処理額は一、二割以上改善する見込みとしております。

○山口委員 もう少し詳しく伺いたいと思いますが、決算では、不良債権が前年度比で二十八億円ふえて三百三十四億円になっている。不良債権比率も四・〇五%悪化をして、一六・七五%となっているわけであります。二十一年度はこれらの数値がどのように推移するとまず想定をされているのでしょうか。また、直近のこの一月から三月では、不良債権額や不良債権比率が改善しているように思われるが、これらの数字はどのようになっているのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 不良債権比率は、その時々の経済情勢に加え、各金融機関の不良債権に対する考え方により、大きく左右されることから、一般に金融機関では計画数値として公表することはございません。
 新銀行東京においても、平成二十一年度の不良債権比率の見込みについては明らかにしてございませんが、不良債権に対しては十分な備えをしている状況にございます。
 先ほども申し上げたとおり、一般に企業の決算において、第四・四半期だけの実績の公表は行われることはございませんが、通期決算の金融再生法開示債権額から第三・四半期の実績を単純に差し引けば、数字としては約二十億円の減少となります。

○山口委員 一月から三月の不良債権残高が約二十億円減っているという答弁でありましたが、一方で、決算をよく見てみると、一月から三月に信用コストが大幅にふえているわけであります。これは、新銀行が抱えていた不良債権を、この年度末に一気にバルクセールなどで処理をした結果と考えてよろしいものでしょうか、お伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 年度後半の不良債権残高の減少は、第一には、返済をしている取引先の実情に合わせ条件変更を行うなど、新銀行東京が債権の回収に最大限努めたものでございます。これとともに、直接償却と多数の不良債権をまとめ売りする、いわゆるバルクセールを実施したものでございます。

○山口委員 この辺がこの数字からではなかなか見えてこない実態なわけでありますが、さらに問題だと思われるのが、銀行の収益性を示す指標の一つである総資金利ざやがマイナス一・八九%と、前年度比で〇・二二%も悪化をしていることであります。キャンペーン定期の影響で、預金利回りが〇・二一%ふえて一・二三%になるなど、資金調達利回りが悪化をしているのは想定内だとしても、貸出金利回りが一・六二%と前年度比で〇・七八%も悪化をしているわけであります。これは、新銀行東京の貸出先として、国や大企業など、より安全な貸出先をふやし、中小零細企業などリスクが高いところへの貸し出しを減らしていることの裏返しではないでしょうか。東京都の認識を伺いたいと思います。

○中村金融監理室長 再建計画を着実に進めるためには、預金利回りや貸出金利回りの改善は重要な課題の一つと認識してございます。
 一方で、新銀行東京は、現在、再建計画の途上にあり、貸し出しにつきましては、安全性を重視した結果、運用利回りが低下した一方、預金残高の減少に伴い、金利の高いキャンペーン定期の割合が増加したことから、結果として総資金利ざやが悪化してございます。
 今後は、中小零細企業向け融資が増加していることに加え、過去のキャンペーン定期預金の満期が順次到来することにより利払い負担が軽減されるため、全体としてこの状況は改善するものと考えてございます。
 新銀行東京は、経営再建に当たって、大量のデフォルトの発生が経営悪化を招いた過去の反省の上に立って、まず足元の経営を固め、銀行の体力を回復させることとしてございます。そうした中にあっても、中小零細企業への融資は可能な限り行っているところでございます。
 新銀行東京は、現在も約一万社の中小零細企業と取引をしており、昨年度の第三・四半期以降、中小零細企業向け融資の実績は増加してございます。意図的に中小零細企業向け融資を減らし、中堅、大企業向けなどをふやしているとのご指摘は当たりません。
 都としては、再建計画の達成に向け、引き続き経営の監視と支援に全力を尽くしてまいります。

○山口委員 意図的かどうかは別にして、結果的に中小零細企業への支援が新銀行東京はできていないわけであります。再建計画が立てられて、ことしまでは、その目標数値内にこの新銀行東京の計画が、営業も含めておさまっているわけでありますが、大変残念なことに、新規の融資もまだまだふえていない。さらにいえば、今後はどのように新銀行東京が--再建以降、ビジョンもまだ示されておりませんし、当然計画も立っていない。
 この新銀行東京への追加出資がなされたときに、既存顧客とその家族を守ることが大義名分であるかのようにいわれてきたわけでありますが、結局は、都議選前に数字を取り繕っただけで、貸し出しについても、中小零細企業への貸し出しは二の次という状況ではないのでしょうか。私はここで強く新銀行東京からの撤退を再度主張して、質問を終わらせていただきたいと思います。

○高倉委員 昨年秋以降のリーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した金融危機により、日本経済もまた先行きの見えない大不況の真っただ中にあり、多くの企業が業績を下方修正し、赤字決算を計上しております。
 こうした中で、新銀行東京の平成二十年度通期決算が発表されました。二十年度決算は、再建計画の初年度の決算であり、再建計画の今後を占う上でも重要な決算であるととらえております。
 そこで、新銀行東京の二十年度決算について質問をいたします。
 今回の決算では、再建計画を上回っておりまして、純資産額は計画を上回る四百六十二億円を確保しており、追加出資の四百億円は毀損されておりませんでした。しかしながら、一部政党からは、不良債権の処理を先送りして延命しているだけとか、今回の決算はつじつま合わせであるなどの主張があります。
 そこで、こういった主張に対し、新銀行東京の平成二十年度決算をどう評価しているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 新銀行東京の平成二十年度決算では、業務収益は九十四億円と再建計画を二十七億円上回り、純損失額は、計画の百二十六億円に対して百五億円と、二十一億円改善いたしました。信用コストは計画を三十八億円上回りましたが、営業経費を十七億円圧縮するなど経費の節減を図ったところでございます。
 また、新規融資実行額は四百七十三億円とほぼ計画どおりとなっており、特に年度の後半においては、厳しい経営環境においても、中小零細企業向け融資が増加するなど、業績は上向いてございます。
 多くの金融機関が赤字決算を計上するなどの厳しい経済環境を考慮すると、初年度の計画を達成し、再建に向けた取り組みは着実に進んでいると考えてございます。
 今後は、新銀行東京は、中小零細企業に対する融資拡大や信用コストの圧縮など、引き続き経営改善に向けた一層の努力が必要であると考えております。

○高倉委員 今答弁がありましたけれども、一部政党の主張は、決算を正確に分析していない根拠のないものであることは明らかであると私は思います。
 新銀行東京は、全体として、二十年度の決算は計画を上回る数字を上げており、再建へ向けて着実なスタートが切られたわけであります。今後は、何よりも顧客からの信頼を回復することが重要であります。信頼回復のためにも、顧客へのきめ細かな対応という地道な努力が必要と考えております。
 顧客への対応について、新銀行東京がどのように対応しているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 ご指摘のように、新銀行東京の再建を達成するためには、顧客からの信頼を回復することが不可欠でございます。新銀行東京は、過去の反省の上に立って、現経営陣のもとで業務改善計画を策定し、原則月一回、顧客を訪問、電話連絡等接点を持つようにしてございます。加えて、地方銀行や信用金庫のOBを活用し、顧客に対してきめ細かな対応を行っているところでございます。
 また、体制固めのできた年度後半からは、既存顧客への継続的な資金供給として、折り返し融資にも積極的に対応しております。あわせて、資金繰りの苦しい顧客に対しても、できる限り条件変更等の対応を行っているところでございます。
 新銀行東京では、引き続きこうした取り組みを続けてまいります。

○高倉委員 今のご答弁で、数字であらわれない部分でも努力をしているということについて、わかりました。
 二十年度決算とともに発表されました二十一年度の業績見通しも計画を上回るものとなっております。今期の計画は赤字を大幅に減少させる計画でありまして、今期の取り組みによって、二十三年度に単年度黒字を達成するという再建計画の成否のかぎを握っているといっても過言ではないと思います。今期の見通しはどうなっているのか、またご見解をお伺いしたいと思います。

○中村金融監理室長 平成二十年度は、積極的な営業活動を展開し、中小零細企業向けの融資実行件数では、年度前半の百四十三件に対しまして、後半では、その約四倍の五百十六件と、融資実績は増加基調にございます。また、低コスト構造への転換を図るため、前年度と比べ人件費は約四〇%、物件費は約三〇%もの節減を図っているところでございます。
 このような経営改善の取り組みをさらに強化していくことなどにより、新銀行東京は、平成二十一年度の業績を、純損益でマイナス七億円と、計画対比十二億円改善すると見込んでいるところでございます。
 今後とも、二十三年度の黒字化に向け、新銀行東京の着実な経営再建のために、引き続き適切な経営の監視と支援に努めてまいります。

○高倉委員 現経営陣の努力によりまして、再建に向けて順調な滑り出しをしているというふうに思いますけれども、再建計画を達成するためには、今年度の業績が極めて重要であり、新銀行東京の一層の経営努力を期待したいと思います。
 また、ただいま、着実な経営再建のために引き続き適切な経営の監視に努めていくという答弁がございましたけれども、経営監視といっても専門的な側面が多いと思います。都民にもわかりやすく、その考え方を説明していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○中村金融監理室長 新銀行東京の経営監視につきましては、平成二十年四月に産業労働局に金融監理室を設置し、経営監視のあり方を見直したところでございます。
 経営監視に当たっては、その視点として、新銀行東京の経営状況や再建計画の進捗状況について全体的に見ていくことが重要であると考えております。
 業務収益や信用コストなどの銀行経営の指標について、一つ一つの数字を見れば、当然のことながらさまざまな値がございます。
 例えば、新銀行東京の不良債権比率は高い状況にございますが、これは、旧経営陣の負の遺産であります。これに対して、不良債権に対する保全率は約九〇%と十分な水準を確保し、不良債権への備えができていると認識してございます。
 また、短期の業績も重要ではございますが、再建計画は四年間であることから、中期的な視点に立って判断すべきものと考えてございます。したがって、経営指標についても、全体のトレンドを見て判断することがより重要だと考えてございます。
 都としては、デフォルトの増大が経営危機を招いたという過去の反省の上に立って、デフォルトの発生状況や動向に注視しつつ、経営全般を適切に監視してまいります。

○高倉委員 新銀行東京が早期に黒字化を果たすよう、適切な経営監視に努めていただきたいと思います。
 一方で、旧経営陣のずさんな経営が今日の事態を招いたことは改めて許しがたいことであると思います。旧経営陣への損害賠償請求の訴訟を提起し、責任追及を厳正に行っていただくことを強く求めまして、質問を終わりたいと思います。

○清水委員 新銀行東京の平成二十一年三月期決算について伺います。
 新銀行東京の二十年度の決算をいろいろと評価をされておりますけれども、どう評価しても、当期純損益は百五億の赤字というのは事実でありまして、四年連続赤字というのは事実であるわけです。
 開業時、知事は、出資する一千億円が、やがて数兆円の値になると信じているといいました。そして、三年たったら黒字化するんだ、将来的には株式上場するんだといっていましたが、いろいろありましたが、その点から見れば、現状との乖離について、どのように今回の決算を評価されますか。その点から見て、どう評価されますか。

○中村金融監理室長 今、新銀行東京は、四カ年の再建計画に基づいて再建を進めているところでございますが、今現在については、確かに、おっしゃるように赤字という状況でございます。それは過去の旧経営陣の負の遺産が極めて大きいことによって、この状態が生じているわけでございますが、それを、その負の遺産が大きいがゆえに、四カ年という計画の中で、その改善を図っていこうというものでございまして、今はその再建の途上にあると。で、その現状については回復基調にあるという認識でございます。

○清水委員 再建の途上といっても、一番最初に掲げた目標とかスローガンが、本当にもう全く大きく乖離しているということについて、真剣に反省しないで前へ進んでいるということから見て、この再建計画も実際にどうなるのかと、その時々はこういうふうにいうかもしれないけれども、そういうふうに都民は見ているわけです。
 先ほどもありましたように、今期も有価証券の前倒し償還とか劣後債の前倒し償還を行って、その収益を充てて何とか赤字幅を圧縮しようとしているわけです。劣後債の取り崩しというのは自己資本を取り崩しているようなもので、通常、本当に悪くならなければ行わないことなんだというふうにいわれているわけです。前期の決算においても劣後債の前倒し償還を行いました。この収益によってまず赤字幅を圧縮しようというふうにしているのではないですか、お伺いいたします。

○前田次長 委員の先ほどの質問で、四年連続赤字であると。最初にいったことと違うじゃないかというお話がありましたが、確かに、当初、新銀行を設立するときに考えていたのとは異なる結果に現在なってございます。
 しかしながら、四年連続赤字というご指摘がありましたけれども、開業以来、十七年度はマイナス二百九億円、十八年度はマイナス五百四十七億円、十九年度はマイナス百六十七億円、今期二十年度はマイナス百五億円、新銀行東京は二十一年度についてマイナス七億円と見積もっております。この間、経営陣もかわり、赤字も増加傾向から減少傾向になっている。こういうことを踏まえて私どもは再建計画を実行しているわけでございまして、現在のこの状況をご認識の上でご批判をお願いしたいと思います。
 それから、ただいま劣後債のお話等もございましたが、新銀行の今回の決算について、つじつま合わせであるとか、中小企業融資は二の次だというご意見も先ほどございました。しかし、新銀行の決算は適正な監査手続を経ているということが一つ。それからまた、監督当局である金融庁へも報告をされているものでございます。批判のための批判というようなことは適切ではないのではないかと思います。
 それから、劣後債の償還につきましても、これは新銀行の経営にとってプラスになる、また再建計画を進める上でもプラスになる、こういう経営判断のもとに新銀行東京が実施したものでございます。

○清水委員 赤字が少しずつ少なくなるからって、威張ることじゃないですよ。ちゃんとそう認めなさいよ。
 それで、伺いますけれども、十九年度の職員の数と二十年度の職員の数、十九年度の再建計画はどうか、二十年度の再建計画による職員の数はどうか、それぞれお伺いいたします。

○中村金融監理室長 職員数でございますけれども、平成十九年度につきましては二百五十六名、平成二十年度につきましては百五十八名となってございます。再建計画最終には百二十名という形の計画でございます。

○清水委員 百二十名の職員数の年度というのは、平成二十四年度でしょう。そうですよね、平成二十四年でしょう。平成二十一年度というのは、たしか四百五十人ですよね。そうですよね。それで、人件費が予想を上回る前期比四〇%だと。異常な減り方ではないですか、今ね。いいとか悪いとかいう問題ではなくて、ここだけは非常に、四百五十人を百五十八人まで達成しているということになっているわけです。その理由というのは何ですか、お伺いいたします。

○中村金融監理室長 新銀行東京は、再建計画において経費の徹底した効率化を図るということでございまして、店舗を六店舗から、現在あったものを新宿一店舗に縮小すると。そういう中にあって、少数精鋭の形で業務を進めていくという考えで、このような形になっているものでございます。

○清水委員 ただ、その一店舗になった時点でも、四百五十人という再建計画だったんじゃないですか。今度の決算の中で、人件費が非常に、四〇%減になっているわけです。先ほども指摘しましたように、異常な減り方なわけです。それで経営改善といえるのか。これで営業強化できるといえるのかと。計画以上に退職が増加している、その理由については、今お示しいただけませんでしたけれども、やはりこれは異常なことだなというふうに思うわけです。
 そして、それがですね、先ほどもお話がありましたけれども、不良債権の比率が、地方銀行と比較しても四倍から五倍になっているわけです。地方銀行はずっと普通のスコアリングで審査の融資実行を行い、現在の景気悪化の中でも三%から四%になっているわけです。不良債権の比率は示さないとかなんとかいっていますけれども、この増大は、職員を余りにも大きく減らしていると、それによる審査能力不足、企業育成能力不足、そういうことが、金融庁の指摘どおり、経営改善が進んでいないということの証明ではないんですか。だから、貸したけれども、企業を育成する、そういう能力がないから、どんどんと不良債権になっていってしまうというようなことが、数字の上では出てきませんけれども、そういうことが指摘されても仕方がないんではないですか。

○中村金融監理室長 審査能力についてでございますけれども、現在、信金、信組のOB等を採用して与信管理体制の強化を図っているなど、再建に必要な人材を確保しながら低コスト構造への転換を図っているところでございます。
 先ほどもご答弁で申し上げましたけれども、不良債権は高い状況にございますけれど、これは旧経営陣の過去の、要は負の遺産の部分でございます。新経営陣になってからのデフォルトは大幅に抑制されている状況でございます。
 したがいまして、こういう形で今、少数精鋭の中で新銀行は努力しながら、かつ、その上で貸し出しが増加傾向にあるということで、この辺の努力は素直に評価してもよろしいんではないかと考えております。

○清水委員 旧経営陣の不良債権をこんなに長く持っているんですか。これが新しい経営陣でうまくいっているという、その証拠なんか何にもないじゃないですか。あなた方が、ただただそういっているだけでしょう。
 それじゃ、二十一年度の業績見込みが示されていますけれども、純損益がマイナス七億と予測し、再建計画十九億を十二億上回ると予想していますが、そうなる保証というのはどこにあるんですか。

○中村金融監理室長 保証ということでございますけれども、今、新銀行東京は再建計画の初年度に、先ほどいったさまざまな努力、体制の効率化や低コスト構造、あるいは、そういうようなさまざまな工夫によって計画を達成したところでございます。したがいまして、その達成したことをもとに今、現在の経営陣は与信管理体制の一層の強化による信用コストの圧縮などによって、そのさらなる強化によって再建計画を上回る業績を見込んでいるということで、その判断について我々は今尊重しているということでございます。

○清水委員 保証の不良債権も増加しているわけですけれども、その保証の不良債権をこのまま積み増していっていいのかということを伺いたいと思います。信金などと話し合って、保証の不良債権を保全するために努力する必要があるのではないですか。

○中村金融監理室長 中小零細企業を取り巻く金融環境が厳しさを増す中、新銀行東京では、与信管理の専門セクションを設けるなど、与信管理の強化をしつつ適正な回収に取り組むなど、着実な努力を重ねているところでございます。信金の保証についても、そのような形で着実な努力を積み重ねていきたいというふうに考えております。

○清水委員 公共工事代金債権信託を新銀行東京のホームページでは融資、保証の大きな事業として宣伝をしているわけですけれども、この間の実績はどのようになっているでしょうか。

○櫻井金融支援担当部長 公共工事代金債権信託の実績でございますが、先ほどご報告を申し上げました二十一年三月期決算の概要でございますように、二十一年三月期におきましては、計画に対しまして八十二億円の実績を上げているところでございます。

○清水委員 この公共工事代金債権信託についてちょっと伺いたいんですけれども、この公共工事代金債権信託を受けるために幾つかの資料が必要ですよね。書類ね。書類が必要なんですけれども、下請負人等に対する支払い計画書を提出いただくことがございますということで新銀行のホームページには載っているんですね。で、これについて、これは財務局の取り扱いなんだということで先ほどからちょっとやりとりをしていたわけなんですけれども、そのことについてお聞きしたかったんですけれども、新銀行東京の公共工事代金債権信託を利用した元請の事業者から下請の事業者への支払いが未払いになっている例を承知しています。この制度を利用したのに、結果的に下請いじめになっているということがあるわけですけれども、新銀行東京として、この制度がそんなふうになってしまっていることについて、都としてはどのように認識されますか。

○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京の公共工事代金債権信託は、都が発注する工事の施工を請け負う中小企業の皆さんに新たな資金の調達の道を開くために行っているものでございます。ただいまご指摘がございましたけれども、悪質な例というお話でございますが、それだけをとらえて、制度そのものが何か意味がないというようなご指摘そのものは適切ではないというふうに考えてございます。
 新銀行東京は、工事代金債権信託の譲渡を受けまして、工事完成前に、工事を請け負っている業者さんに工事代金の一部を先に用立てているわけでございます。工事を請け負っている業者さんから見れば、工事完成前に工事代金の一部を新銀行東京から資金調達をしているという、そういう状況でございます。これは新銀行東京と、その請負業者さんとの間で信託契約を結んでやっていることでございます。この信託契約と、工事を請け負っていらっしゃる元請業者さんと下請業者さんの契約というのは、全くこれは別個のものでございます。
 そういう中で、この下請業者さんと新銀行東京との間には何ら債権債務関係というものはございません。請負者の経営破綻があったという場合でありましても、新銀行東京は、工事の発注者から工事代金の支払いを受けるということにつきましては、既に債権の譲渡を受けておりますので、法的にも契約的にも、これは何ら問題がないといわざるを得ませんし、預金を背景に金融機関として譲り受けました債権につきまして、その支払いを受けるということは金融機関としては至極当然のことといわざるを得ないというふうに考えております。
 なお、先ほど支払い計画書のお話もございましたが、新銀行東京も、元請会社から提出された支払い計画書を確認しておりまして、下請企業でございます中小企業さんの方にも円滑に資金調達ができるよう努めているところでございます。

○清水委員 私は、制度に意味がないとか、そういうことをいっているんじゃないんですよ。すぐそうやって私のを先取りしてそういうふうにいいますけれども(笑声)そういうことをいってるんじゃないんです、そういうことをね。ちゃんと質問を聞いてくださいよ。そんなこと聞いてるわけじゃないでしょう。
 じゃ、聞きますけれども、新銀行東京のホームページには、こう書いてあるんですよ。ご提出いただく書類、商業登記簿謄本とか工事履行報告書など、括弧して、決算書などは必要ございません。そして、米印、ただし書きで、その他必要に応じ、下請負人などに対する支払い計画書をご提出いただくことがございますと。これ、ご存じですよね、新銀行東京にこう書いてある。
 じゃ、先ほど財務局の方でいただいた「公共工事代金債権信託に伴う債権譲渡の承諾に関する取扱について」というこれが、書類がね、これ全部でしょう、取り扱いのこと書いてありますよ。その中で第一の4、請負者及び債権譲り受け人の条件、(1)、「請負者は次の条件を全て満たしていること。」の〔1〕があって、ア、イです。イ、「中小企業者以外のものであって、かつ、当該工事の履行に関し、下請負人である中小企業者に対する支払計画がある場合」ということで、これ、「全て満たしていること」というふうに書かれているでしょう。こちらは必要に応じてと。新銀行の方のホームページには必要に応じてと書いてある。違うじゃないですか。こちらの条件と、こちらの条件と、違うじゃないですか。それはどういうことですか。

○櫻井金融支援担当部長 確かに新銀行東京のホームページには、今議員ご指摘の、その他必要に応じ、下請負人等に対する支払い計画書をご提出いただくことがございますという表現がございます。これにつきましては、今委員のご指摘にございましたように、財務局において「公共工事代金債権信託に伴う債権譲渡の承諾に関する取扱について」という文書を定めております。この中で、都発注工事の請負者が中小企業者でない場合、これは下請負人である中小企業者に対する工事代金の支払いについて、支払い計画書を提出することを定めているということでございまして、この場合を指しているということでございます。

○岡崎委員長 時間をちょっと超過しておりますので、清水委員、まとめてくださいね。

○清水委員 私は、下請負人などに対する支払い計画書を提出するということが、どんな場合であっても、ここには、必要な人もいるし必要でない人もいるということですけれども、しかし、こういうことが現にあったわけですよ。あなた方、確認していないかもしれないですけれども、こういうことがあるということであれば、やはり支払い計画書が実行されているのかということだって私は必要だというふうに思うわけです。その点はどうですか。

○櫻井金融支援担当部長 財務局におけます「公共工事代金債権信託に伴う債権譲渡の承諾に関する取扱について」という中では、今委員ご指摘のような表現は記載はございません。ということで、こちらについては契約担当セクションの方の所管事項というふうに考えてございます。

○岡崎委員長 最後ですよ。

○清水委員 記載がないから私はいっているんですよ。今、記載がなくて、あなた方は想定していなかったと思うんですよ。こういうことを想定していなかったと思うわけです。でも結果的に、都の支援を利用して元請が下請泣かせをするような状態になってしまっているということがあるわけで、私は、東京都が全面支援をして、新銀行東京だけの取り扱いになっているわけですけれども、そういうことからも、産労局が財務局の方だなんて人ごとのようにいっているのではなくて、これをしっかりと監督しなきゃいけないなというふうに思うわけです。
 で、新規実行額では、融資、保証は合わせて中小企業比率が四四%どまり、融資だけでは三〇%なんですよ。中小企業融資比率が融資全体の半分以下、しかも、先ほどからいわれているように、銀行経営安定のために大企業への貸し出しをしなければ経営できない、劣後債の前倒し償還をしなければ利益が上がらないこと自体、私は存在意義がないというふうに思うわけです。
 さらに、知事は、立て直して売り払うんだとか……

○岡崎委員長 清水委員、五分過ぎています。

○清水委員 譲渡するんだといっているわけです。しかし、新銀行は処理するしかないわけです。知事がいうように譲渡を前提にした延命策はやめるべきではないですか。マスコミも指摘するように、赤字を脱却する見通しもない。設立目的の中小企業のためとは到底いえない状態であり、問題を先送りし損失を拡大するのでなく、直ちに破綻処理に踏み出すべきことを求めて、質問を終わります。

○佐藤委員 今回報告事項になっている新銀行東京の平成二十一年三月期決算について伺います。
 今回の決算では、ほかの委員も指摘をされているように、劣後債の戻り益が出ています。この劣後債の内容については再建計画でも触れていなかったことですから、この機会に内容を確認したいと思います。
 この劣後債は、ユーロ・ミディアム・ターム・ノート・プログラムというもので、発行総額枠内であれば回数などの制限なく随時発行できるものです。ユーロ市場で発行し、円建てで調達するという仕組みになっていました。
 まず伺いますが、私も金融市場等に出されている情報でこの劣後債の中身を確認をいたしましたが、平成十八年に社債を百三十億円と二十七億円と二回に分けて発行しているわけです。百三十億円分の発行に関しては、変動金利で償還期間が十年であったわけですね。内容に間違いないでしょうか。お答えください。

○中村金融監理室長 ご質問の社債は、旧経営陣の時代の平成十八年十月に発行された劣後債であります。劣後債は元本や利息の支払い順位の低い社債で、投資家にとってリスクがある分、利率が高く設定されている社債でございます。
 新銀行東京の劣後債は、期間は十年であり、変動金利でございます。
 なお、公募による社債発行と異なり、投資家との間の相対で取引される私募の形式でもって発行されたものでございます。私募債は、その取引内容について明らかにされないのが一般的であり、新銀行東京においても詳細については公表しておりません。

○佐藤委員 金融市場には情報が出てきて、私たち議会には情報が出てこないというのは非常に私は疑問を持ちます。
 続きます。百三十億円分の発行に関しては、銀行間の短期貸出金利であるLIBORに〇・六八%を上乗せした利払いの条件になっておりました。そして、平成二十三年十一月九日からの利払いに関しては、LIBORに二・一八%を上乗せした利払いの条件になっていました。つまり、前半の五年間はLIBORに〇・六八%上乗せし、そして後半五年間はLIBORに二・一八%上乗せした利払いの条件になっていたわけです。これはどのような内容なんでしょうか。説明してください。

○中村金融監理室長 先ほどご答弁したとおり、この社債は、公募による社債発行と異なり、投資家との間で相対で取引される私募の形式でもって発行されたものでございます。そのため取引内容について明らかにされないのが一般的であり、新銀行東京も同様でございます。

○佐藤委員 今申し上げたように、百三十億円分のこの社債の発行に関しては、十年の債券で、前半五年はLIBORに〇・六八%上乗せした条件、後半五年はLIBORに二・一八%上乗せした利払いの条件になっていました。つまり、後半五年は利払いが重い負担になってくるわけです。百三十億円分の発行に関しては、LIBORに〇・六八%上乗せした利払いの条件になっていたわけですが、調達した資金百五十七億円に関して、ざっと計算してみましたが、平成十八年に債券を発行してからの金利の支払いは、総額で約十億四千四百万円にも上ります。発行後三年間の利払いが合計で約十億四千四百万円に上るのは事実でしょうか。お答えください。

○中村金融監理室長 重ねて恐縮でございますが、この社債は私募の形式でもって発行されたものであり、その取引内容については明らかにされないのが一般的でございます。

○佐藤委員 取引内容を明らかにしていないとおっしゃいますが、今申し上げた劣後債の利払いは金額が非常に大きく、これまで再建計画にも調査報告書にも出てこなかった内容です。東京都は大株主であり、新銀行東京を監督する責任があります。また、我々議会は、都民の税金が使われている以上、経営内容を検証する義務があるわけです。劣後債の情報は、売買される以上、ある程度金融市場にも情報が出てくるものです。そういったものまで説明できないということに私は疑問を持ちます。今回、幾らの価格で購入をされたのでしょうか。百三十三億円を前倒し償還して、十五億円の戻り益が出ているわけです。この内容を教えてください。

○中村金融監理室長 先ほどもご説明いたしましたけれども、この社債は私募債で投資家との間の相対取引で購入されたものであり、購入価格につきましては、新銀行東京は営業上の重要な情報であり、明らかにしてございません。
 なお、新銀行東京は既に平成二十年度第三・四半期の決算資料で開示してございますけれども、劣後債を買い入れ消却したことにより十五億円の利益を計上しているところでございます。

○佐藤委員 今、買い入れ消却とお話しされましたが、つまり、その説明をそのまま受け取れば、百三十三億円で発行していたものを百十八億円で購入したために益が出たということでしょうか。なぜ債券価格がそこまで下がったのでしょうか。新銀行東京が破綻をしてしまえば債券価値がなくなってしまいますから、購入時よりも安い価格であったとしても売ろうとする意図が働いたのではないでしょうか。お答えください。

○中村金融監理室長 昨年秋のサブプライムローン問題発生以降、投資家が流動性を重視する傾向が強まったことから、私募債などの流動性の低い債券の価格が下落する傾向にございました。旧経営陣時代に新銀行東京が発行した劣後債も、この市場全体の影響を受けたものと推察されます。

○佐藤委員 引き続き伺います。都に劣後債発行の相談があったのはいつでしょうか。また、なぜ劣後債の発行を認めたのでしょうか。お答えください。

○中村金融監理室長 社債の発行は会社法に基づき取締役会が決定することになってございまして、新銀行東京もこれに基づき、当時の旧経営陣の経営判断で社債を発行したものでございます。
 なお、都は、発行後、平成十八年十二月に新銀行東京から報告を受けてございます。

○佐藤委員 平成十八年十二月に報告を受けたということでありますが、劣後債を発行した平成十八年当時、新銀行東京は、預金が多く集まった割には、それを運用することができず、預金の利払いに苦しんでいました。
 また、平成十九年九月時点でも、当時の預金残高四千四百六十五億円に対して融資残高は二千二百十八億円で、預金に占める貸し出しの比率は四九・六%の低い水準だったわけです。そこでファンド投資などにまで手を広げていたのです。その時期に劣後債を用いて資金調達をすることは、余分な利払いが生じるわけですから、さらに収益を悪化させるわけです。これは明らかに経営判断の失敗ではなかろうかと思います。新銀行東京のメリットといえば、自己資本比率を上げることができるくらいのものです。
 どうしても資金を集めたいというのであれば、利払いの必要のない第三者割り当て増資などを行った方がよかったのではないでしょうか。開業当時に第三者割り当て増資の引受手がいなかった状況から考えても厳しかったといえるでしょうが、まともに資金調達ができていれば、劣後債を使うといったことにもなっていなかったわけです。なぜこのような経営判断を新銀行東京が行ったのか、都にどのような説明があったのでしょうか。お答えください。

○中村金融監理室長 市場を活用した多様な資金調達手段の一環として劣後債を発行したと、平成十八年十二月に新銀行東京から都は説明を受けております。

○佐藤委員 なぜ新銀行東京から東京都が説明を受けた時点で、利払いの内容について説明を受けなかったのでしょうか。なぜ重い利払いの負担を避けるように東京都が指導をしなかったのでしょうか。これは大いに疑問です。
 今回のユーロ・ミディアム・ノート・プログラムですが、劣後債を十年間の期間設定で発行しておりました。この調達コストや幹事会社を確認したいと思います。お答えください。

○中村金融監理室長 劣後債の発行を含めまして、市場で資金を調達する際の調達コストにつきましては、一般に明らかにされておりません。
 なお、本劣後債の発行枠を設定した際の主幹事会社は、日興シティグループでございます。

○佐藤委員 今伺った主幹事会社ですが、株主の一員であるわけですね。
 続いて伺いますが、なぜユーロ・ミディアム・ノート・プログラムの一千億円の枠があるのに、すべて発行することなく、いや、できなかったのかもしれませんが、東京都からの四百億円の出資を要請したのでしょうか。都は、新銀行東京が一千億円のこの枠を使い切って資金を集めるよう、なぜ新銀行東京に伝えなかったのでしょうか。局長、お答えください。

○中村金融監理室長 劣後債は金利負担が重いことなどにより、経営再建を目指す新銀行東京にとって全くとり得る余地のなかったものでございます。

○佐藤委員 今お答えいただきましたように、金利負担が重いということはわかっていらっしゃったわけです。それなのに、なぜ百五十七億円分の劣後債について都が発行を認めたのでしょうか。この時期に劣後債を償還するメリットは何なんでしょうか。都が償還するという話を聞いたのはいつでしょうか。お答えください。

○中村金融監理室長 委員ご指摘のとおり、劣後債は本質的に金利負担が重いという特徴があり、今回、新銀行東京が劣後債を買い入れ消却したのは、投資家の動向、現下の金融環境における債券価格の下落や将来の金利負担などを総合的に勘案した上で、銀行経営の上で有利だと判断したものでございます。都は本劣後債の消却について実行前に報告を受けており、新銀行東京の経営判断は妥当なものと考えております。

○佐藤委員 先ほど申し上げましたように、百三十億円分の債券の発行に関しては、返済期間は十年であり、平成二十八年までであったようです。利子の支払いはどれほどを予定していたのか、また、今回の前倒し償還でどれくらい負担が減ったのか、お答えください。

○中村金融監理室長 新銀行東京の旧経営陣が平成十八年に発行した劣後債については、変動金利であり、将来負担する利子の総額は、その時々の金融環境に影響されることから、一概に幾らと算定することは不可能でございます。
 簡単な計算ではございますが、一定の試算をすると約二十億円の金利負担が減ったことになります。この劣後債は、ディスクロージャー誌によれば、発行後五年経過すると金利負担がさらに重くなる条件となっておりました。

○佐藤委員 約二十億円の金利負担が減るといいますが、私がざっと計算したところでは、百五十七億円分の債券に対して、三年間の金利の支払いは、先ほど申し上げたように合計で約十億四千四百万円であったわけです。また、一年で約三億五千万円の利払いがあります。しかも後半五年間にはLIBORに二・一八%を上乗せした利払いの条件になっていましたから、LIBORを仮に一・五%とすると、年間で約五億七千万円ほど必要になるわけです。ざっとこのLIBORを仮に一・五%で設定をした場合、合計いたしますと約五十億八千九百万円にも上ります。
 そもそも、こんな大きな利払い負担のある契約を行っていること自体が大きな問題です。しかも、この劣後債の内容、特に利払いについては、再建計画にも調査報告書にも書かれておりませんでしたし、都議会の我々に対して説明されたことはありませんでした。発行金額などの情報のみを伝えて説明が十分とする理事者側の説明には大いに疑問を持ちます。十年間で約五十億八千九百万円にも上る劣後債の利払いについて、都は知っていながら議会に対して説明をしなかったのでしょうか。それとも、都は劣後債の発行額などだけしか知らず、利払いなどの内容を知らなかったのでしょうか。大株主である都が新銀行東京の大規模な資金調達について内容を知らないというのは余りにも不自然な気がします。議会に対して四百億円の追加出資を求めた際、局長は、この劣後債の内容を把握していたでしょうか。お答えください。

○佐藤産業労働局長 先ほども室長がお答えをしたとおり、ご質問の劣後債につきましては、平成十八年の十月、旧経営陣の時代に発行されたものでありまして、東京都としては、劣後債が発行された後、平成十八年の十二月に新銀行から報告を受けております。先ほど、なぜ都が劣後債の発行を認めたかというようなことを盛んにいわれましたけれども、発行後に東京都に報告があったというのが実態でございます。
 また、新銀行東京は、既にこの劣後債の発行につきましては、平成十八年度の決算発表に当たりまして情報を開示をしております。新銀行東京から四百億円の追加出資が求められた際には既に議会でも取り上げられておりまして、世間に広くこの劣後債については当然知られていると、私もその内容については承知をしております。

○佐藤委員 今、局長からお答えがありましたが、劣後債の発行額、そういった情報は出てきておりましたが、この利払いの条件、前半五年と後半五年で利子の支払いが変わってくる。また、その数字等も私たち議会には説明がありませんでした。先ほど申し上げたように、劣後債の発行額などだけを伝えて、十年で約五十億円もの利払いについては説明をせず、説明が十分とする局長のお答えには大いに疑問を持ちます。なぜ議会に利払いの事実を伝えなかったのでしょうか。議会に対しての情報提供を適切に行うべきでした。これまで株主連絡会で劣後債の内容について説明を聞いていなかったのでしょうか。お答えください。

○中村金融監理室長 先ほども局長からお話がございましたけれども、都は発行後、平成十八年十二月に新銀行東京から報告を受けてございます。

○佐藤委員 株主として劣後債の内容について情報提供を要請をするべきだったのではないでしょうか。監視ができていなかった責任をどうお考えになりますか。再度お答えください。

○中村金融監理室長 本劣後債の発行は旧経営陣の時代に行ったものでございます。既にご答弁したとおり、この劣後債は、平成十八年十月に取締役会決定でもって発行されたものであり、都はきちんと報告を受けてございます。都が新銀行東京の経営監視ができてないというご指摘は当たらないと考えます。

○佐藤委員 今、二度にわたって報告を受けているというお答えではありましたが、都は、利払いが重いと考えていたのであれば、劣後債の発行をとめるか、すぐにでも、報告を受けてから前倒し償還をさせるべきだったのではないでしょうか。新銀行東京の再建計画を都議会に出して出資を求めたわけです。また、実態を明らかにするために調査報告書を出したわけです。しかし、再建計画にも調査報告書にも書かれていなかった事実が今回のように出てくるわけです。こういったものが出てくると、再建計画の信憑性を疑わざるを得ないと考えます。再建計画の提出に責任を持ったのは産業労働局であり、局長であるわけです。資金計画の全容を都議会に説明しないまま、都議会に対して四百億円の出資を要請したのでしょうか。議会に対して、また都民に対して説明が十分でなかったことに、産業労働局は、またその責任者である局長はどう責任をおとりになるんでしょうか。見解を伺います。

○前田次長 ただいまの委員のご質問、劣後債に関するご質問は、やや一方的ではないかと思います。劣後債の発行は、会社法によりまして取締役会の決定でもって発行できることになっておりますので、東京都が認める、認めないという権限はありません。
 次に、劣後債につきましては、当然、発行したということはすべて公知の事実になっておりますので、再建計画をつくる際に新銀行の四年間の収入、支出といいますか、この場合、利子は経費ですが、経費については当然発行したことを前提に必要額を盛り込んでいますので、それが入っていなかったという指摘は当たりません。
 それから、利子負担が重いからすぐ返すべきだと、すぐ買い取るというか、消却をすべきだというご指摘もありましたが、債券の売買につきましては、当然マーケット価格によりますので、買い戻したら損を出すということもあります。市場の動向を見て判断する必要がありますので、利子が重いからすぐ返してしまえというようなことを簡単にできるものではありません。新銀行東京は、今回、債券市場の動向から見て、買い入れ消却をした場合利益が出るということを確実に見積もったから売却したというものでございます。
 いろいろお話ありましたけれども、旧経営陣が発行した劣後債についてはいろいろなご意見があることは事実でございますが、その手続について何らかの瑕疵があった、あるいは東京都がそれを全く知らなかったということは全くございません。
 また、調査報告書のことが触れられていましたけれども、調査報告書につきましては、法的責任の観点から重点として調べられたというふうに私どもは理解しております。発行について、法的な手続については、先ほど申し上げましたように何ら瑕疵はないと思っておりますので、触れられていなかったのではないかと、このように解釈しております。

○佐藤委員 今、次長のお答えでありましたが、私が申し上げているのは、確かに東京都は新銀行東京に対して、債券のこの発行をとめることはできなかったかもしれない。しかし、その金利負担は重かったわけです。そのことについて東京都は新銀行東京にどのように指導したか。今お話を申し上げたように、私はできることなら早く前倒し償還をした方がよかったのではないかと考えまして今お話をさせていただいたわけです。
 しかも、東京都の方々に対して新銀行東京から報告があったということを先ほど来からお話をいただいておりましたが、先ほども申し上げましたが、都議会の我々に対しては、その話は全くといっていいほどなかったわけです。再建計画に関しても、調査報告書に関してもなかった。もちろん発行額に関してはありましたが、利子の支払いに関しての詳細な報告というものはありませんでした。
 私も非常に納得がいかないのが、前半五年は利子の支払いが少ない。そして、後半五年になると利払いが非常に大きくなる。そして、総額五十億円以上の利子の支払いになってくるということが我々に対して説明がなされていない。これは非常に産業労働局の仕事の仕方として問題があったのではないかと私は思っています。
 また、今お話がありましたように、そもそも新銀行東京がなぜ劣後債を発行したか、私は大変疑問を持っています。非常にお金が余っていて、その運用に困っていた、その新銀行東京が、重い金利の支払いを--それをわかっておきながら、なぜこの劣後債を発行したのか、私は非常に納得がいかないわけです。しかも、東京都に報告があった。しかも、東京都はそれに対して指導を何らしなかった。私は大変にこれは疑問を持っております。
 続いて申し上げますが、今申し上げたように再建計画や調査報告書では劣後債の利払いについて説明はなかったわけです。毎年百億円の赤字を計上している新銀行東京にとっては、これくらいの利払いにかまけている余裕はないのかもしれませんが、十年間で約五十億八千九百万円にも上る劣後債の利払いが適切に説明されなかったことには問題があります。
 先ほどお話をしたように、劣後債を用いた資金調達は利払いが生じます。劣後債を発行した平成十八年当時、新銀行東京は、預金が多く集まっていた割には、それを運用することができず、預金の利払いに苦しんでいました。その時期に劣後債を用いて資金調達することは明らかに経営判断の失敗ではなかろうかと思います。もしくは、自己資本比率を上げるために劣後債を用いた資金調達をしたといわれても否定が難しいのではないかと思います。
 劣後債を用いて資金調達したのは、ちょうど都知事選挙の前でした。都知事選挙の前に自己資本比率を上げるために劣後債を発行したのではないかと指摘されかねないタイミングだと思います。
 いずれにしても、こういった経営判断の失敗を監督できなかった都にも責任がありますし、十分な監視と指導ができないなら銀行業に乗り出すべきではなかったのです。新銀行東京からの一刻も早い撤退を求めて、私の質問を終わります。

○佐藤産業労働局長 ただいま、るるご発言がございましたけれども、都議会に対しての利払いの負担についての説明がなかったというお話がありました。これは冒頭室長がお答えしましたように、私募債による調達の内容について、これは銀行側が公にするというような性格のものではございません。そういう意味からすれば、それを議会なり一般に、利払いが幾らになると、五年経過後の状況がこうで五十五億になりますと、このようなことを発表するような、そういう筋ではないわけです。ただ、それだけの経費がかかる経営をしなければいけないというのは事実でありますから、その経営状況がどうなっていくかということは再建計画の中に当然、先ほど次長が申しましたけれども、織り込んだ中で、新しい再建計画、これをやるために四百億円が必要なんだと、こういう説明をしてきたわけであります。
 それからもう一点、劣後債の発行が十八年の末ということで、これを翌年の知事選と絡めたようなお話がありましたけれども、まさにこれは牽強付会な議論であろうというふうに私は思います。
 そういう意味では、我々、監視は引き続きちゃんとやっていきますし、指導もしてまいります。この劣後債の一点だけをとらえて随分議論をされましたけれども、我々はそういうものを含めた全体の中で、この銀行がどうやって立ち直って、都民の、本当に中小企業のお役に立つ銀行としていくか、これが最大の目的でありますので、それに向かって邁進をしてまいります。

○佐藤委員 では、今局長からお話がありましたので、一言私も申し上げさせていただきます。
 私も今回、債権の内容を確認するに当たって、金融市場に出ている情報というものを確認をさせていただきました。なぜ金融市場に広く出ている情報を我々都議会に対して出せないのでしょうか。しかも、金額が非常に大きいわけです。十年間で五十億円を超える利払いが発生する可能性もあったわけです。もちろん、それは再建計画にも大きな影響を及ぼします。だからこそ私は今回質問をさせていただきました。やはり、五十億円以上の負担になる、そういった内容を、再建計画とあわせて、また調査報告書とあわせて我々都議会に説明をしない理事者側の姿勢というものに私は大変に疑問を持ちましたので、今回、発言をさせていただきました。
 今回の劣後債を使った資金調達は、私は、先ほど申し上げたように、非常に合理性がない。なぜこの時期に、当時、平成十八年ですが、百五十七億円、あれだけの資金を調達する必要があったのかどうか、大変に今でも疑問を持っております。
 やはり今回、新銀行東京の質問を通しまして私が痛切に感じておりますのは、失敗の検証というものがなされていない。なぜ新銀行東京は失敗したのか。今回の劣後債に関しても、なぜそのような問題が起きたのか、私は検証することが必要であり、また、その責任の追及は必要であろうと思っております。
 同時に、やはり私たちが考え、議論をしなければいけないのは、新銀行東京からの一刻も早い撤退でありますから、私もきちんと都議会においてこの撤退の議論をさせていただきたいと思っております。
 以上です。

○大西委員 新銀行東京、一日一億円が消えてしまった欠陥銀行に昨年は四百億の追加出資をやり、そして今ここに至っているわけなんですけれども、当初、新銀行東京を開業するという、これ二〇〇五年にスタートしていますが、そのときからやはり、税金でやる限界があるんじゃないか、何よりもそこは経営上の戦略的な問題だからということで、ほとんど情報が公開されない。この期に及んでも結果的に、いろんな満足する情報が出されないままになっております。そういう意味では、そこに税金でやる限界があり、第二の臨海になるのではないかということを生活者ネットワークとしては指摘していたんですが、臨海は最終的には、いろいろ問題があっても、土地が残っております。しかし、今回の新銀行東京は、不良債権の山と、まだまだ底知れぬ税金を投入しなければいけないのかというような店じまいに向けての問題が残っているというわけで、臨海よりたちが悪いのではないかということを考えております。
 その中で、いろんな問題があったわけですけれども、知事の公約なのか、公約が大事なのか、税金のむだ遣いをこれ以上許していくのかということが今、議員側にも、それから行政側にも突きつけられているような気がいたします。この間、知事の擁護にずっと回ってきたというのが私の行政に対する感想なんですけれども、やはり行政としては最大の都民の利益を守ることが最優先されるべきじゃないかと思うんですけど、その辺はいかがですか。

○佐藤産業労働局長 改めて申されるまでもなく、当然我々は都民、住民の福祉の向上に向けての仕事をしているわけであります。一つ一つの事業が結果的に都民のためになるということが、重要な、我々の基本的なスタンスだというふうに考えております。
 思うに私は、雇用が守られて、福祉、教育が充実した中で平和に暮らしていける、そういう社会を築くのが我々にとっての最も幸福なことであろうと、そういうふうに考えております。きょうも議論がありましたけれども、雇用を守るというのは生活の基盤でありますけれども、この雇用がどうして守られるかということになれば、これは経済、社会、いわゆる地域の産業が活力ある状態にあるということが、雇用を守るということであろうと思います。産業が活力を持って生き生きとしていくためには、経済の血液ともいわれる金融資金が十分に流れていくと、これが根幹の問題であろうと思っております。
 そういう意味では、中小企業を支援していくということは雇用を守ることであり、そのまた原点に立ち返れば、そこに流れている血液をどうちゃんと流していくかと、こういうことが最大の目的になるんじゃないかというふうに考えております。そういう意味では、既存の金融機関がなかなかできない資金供給をかわってやれるべき制度なり機関なりを必要とする時期には、やはりそれをちゃんとつくっていかなければならない、これがとても重要なことなんであろうというふうに私は思っております。
 そういう意味では、一定におきまして新しい条例もつくらせていただきましたし、また、その前に新銀行のこの目的も、中小企業のそういう厳しい中、そこに潤滑油とすべき資金をちゃんと供給していく、そういう思いを持ってつくった銀行であります。今まさに再建の途中であり、苦しい状態でありますけれども、これがちゃんと立ち直って、そういう本来の目的を果たせるようにする、このことが都民福祉にとってとても重要なことであると、私はそういうふうに考えております。

○大西委員 知事もおっしゃっておりましたけれども、発想はよかった。しかし、スタート時点では、この発想が生かされるような社会状況にはなっていなかった。このように本当に世の中がすごく目まぐるしく変わる中で、行政の判断というものが常に求められております。先ほどの金融部長の答弁の中にも、トレンドを見て判断する、これが本当にできているのかということを、都民はやはり今、行政に対して突きつけているんじゃないかなと思っております。
 私はきょう意見だけということだったんですけれども、この間の、毎回この新銀行に対する質問を見ていて、本当に行政としてどちらに立つんだということを突きつけたいという思いから、先ほどちょっと質問してしまいました。
 そこでちょっと意見をいわせていただきますが、銀行が行う企業向けの融資の役割は、市場で活躍できる企業を育てることであって、補助金の持つ役割とは違うと思っています。私は、そういう意味で、銀行の役割を無視して新銀行をつくったこと自体がやはり間違いだったと思います。結局、その後の展開、今の現状では、新銀行がつくった新たな不良債権にみずから格闘している、こういう状況に遭っております。
 そこで、やはり今大事なことは、都民の利益を守ること、これはやはり当面、都の支援つきになるかもしれませんけれども、市中の銀行等に業務を継承してもらうなどの方法で、新銀行の店じまいのめどをはっきり示すことだと思います。そうでないと、これからもひとり芝居が際限なく続いていくんでしょうか。このことがいろんな意味で、人事にも影響を及ぼすなど異常な状況になっているんではないかと思います。
 また、繰り返しますけれども、都民の最大の利益ということを考えるならば、やはり店じまいの計画を都民にはっきりと示すことこそ、今、東京都に求められているものだと思っております。これはある意味、議会も行政側も知事もすべての責任が問われているんだと思いますが、都議会は、選挙を迎えるということもありますけれども、ぜひその辺をしっかりと考えて、都民の利益第一に行っていただきたいということを申して、終わります。

○岡崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○岡崎委員長 付託議案の審査を行います。
 第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、経済・港湾委員会所管分、第百十六号議案及び第百十七号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、経済・港湾委員会所管分、第百十六号議案及び第百十七号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認めます。よって、第百七号議案、平成二十一年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、経済・港湾委員会所管分、第百十六号議案及び第百十七号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○岡崎委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○岡崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○岡崎委員長 この際、所管局を代表しまして、斉藤港湾局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○斉藤港湾局長 本委員会所管四局を代表いたしまして、一言御礼を申し上げます。
 ただいま本定例会に提案をいたしました議案につきましてご決定を賜り、まことにありがとうございました。ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご要望等につきましては十分に尊重させていただき、今後の都政運営に生かしてまいります。
 本日はご任期中最後の委員会でございます。岡崎委員長を初め委員の先生方におかれましては、昨年十月以来、私ども四局の事務事業につきまして深いご理解のもと、数々のご指導、ご鞭撻をいただき、まことにありがとうございました。改めまして御礼申し上げます。
 任期の満了とともにご勇退される先生におかれましては、終始変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りましたことを私ども一同心から御礼申し上げます。今後とも都政の先輩として引き続きご指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 また、改選を迎えられる先生方におかれましては、来る選挙でのご健闘を心よりお祈り申し上げます。
 簡単ではございますが、御礼のあいさつとさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○岡崎委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ごあいさつを申し上げます。
 昨年の十月以来、川井副委員長、そして大西副委員長ご支援のもと、各理事者の皆さん、また各委員の皆さん、また委員会の理事の皆さん、本当にご協力ありがとうございました。
 この委員会は各会派のエースのそろっている委員会でありまして、大変に実りの多い議論ができたと思います。特に、急速に悪化する経済情勢のもと、景気対策、さらには各世界の港湾との国際競争力の強化等々、本当にご協力ありがとうございました。また、新銀行東京や、あるいは築地市場の移転問題などホットな話題についても、本日まで熱心なご議論、本当にありがとうございます。
 これをそれぞれの立場で、今後、選挙に出ようが出まいが、大いに生かしていただきたいと思いますし、また勇退される理事者の皆さんも、いろいろと異動の場面もあろうかと思いますけれども、一生懸命生かしていっていただければと思います。また、書記の皆さん、本当にご協力ありがとうございました。
 以上で、厚く御礼を申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。
 ありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十九分散会

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