委員長 | 岡崎 幸夫君 |
副委員長 | 川井しげお君 |
副委員長 | 大西由紀子君 |
理事 | 高倉 良生君 |
理事 | 鈴木あきまさ君 |
理事 | 増子 博樹君 |
米沢 正和君 | |
小竹ひろ子君 | |
佐藤 広典君 | |
山口 拓君 | |
清水ひで子君 | |
藤井 一君 | |
三宅 茂樹君 | |
川島 忠一君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 佐藤 広君 |
次長 | 前田 信弘君 | |
総務部長 | 塚田 祐次君 | |
産業企画担当部長 | 櫻井 和博君 | |
商工部長 | 三枝 健二君 | |
金融部長 | 保坂 政彦君 | |
金融監理室長 | 中村 靖君 | |
金融支援担当部長 | 櫻井 務君 | |
観光部長 | 小島 昭君 | |
農林水産部長 | 産形 稔君 | |
雇用就業部長 | 小田 昭治君 | |
事業推進担当部長 | 日請 哲男君 | |
港湾局 | 局長 | 斉藤 一美君 |
技監 | 飯尾 豊君 | |
総務部長 | 多羅尾光睦君 | |
監理団体改革担当部長 | 吉田 長生君 | |
港湾経営部長 | 江津 定年君 | |
港湾経営改革担当部長 | 小宮 三夫君 | |
臨海開発部長 | 藤原 正久君 | |
開発調整担当部長 | 余湖由紀夫君 | |
参事 | 長谷川 研君 | |
港湾整備部長 | 前田 宏君 | |
計画調整担当部長 | 成瀬 英治君 | |
離島港湾部長 | 石山 明久君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 北村 俊文君 |
本日の会議に付した事件
港湾局関係
事務事業について(質疑)
産業労働局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(説明・質疑)
・新銀行東京の刑事告訴について
○岡崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の事務事業に対する質疑並びに産業労働局関係の事務事業に対する質疑及び報告事項の聴取を行います。
これより港湾局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○多羅尾総務部長 十月十六日開催の当委員会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、十二項目でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、臨海副都心関連予算・決算の推移でございます。
臨海副都心関連の予算等を整備費と関連事業費に分け、昭和六十三年度から平成十九年度までは決算額を、平成二十年度は予算額を億円単位でそれぞれ記載しております。
詳細はごらん願いたいと存じます。
二ページをお開き願います。2、臨海副都心における進出事業者からの地代収入一覧でございます。
進出事業者ごとの地代収入につきまして、平成十七年度から十九年度までの決算額と二十年度の予算額を百万円単位でお示ししてございます。
なお、進出事業者名につきましては、企業経営上の観点から記号で記載させていただいております。
詳細はごらん願いたいと存じます。
三ページをお開き願います。3、臨海副都心地域を除きます埋立地の土地処分実績でございます。
平成十五年度から十九年度までの土地処分実績を、面積と百万円単位の金額でお示ししてございます。実績の内訳欄には、処分方法と件数を記載してございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
四ページをお開き願います。4、東京港臨海道路Ⅱ期事業計画、事業費及び進捗状況でございます。
上の囲みに事業費をお示ししております。下段の表に、平成十四年度から十八年度までと十九年度につきまして、百万円単位の都負担金の予算額、決算額と事業の進捗率をお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
五ページをお開き願います。5、島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
平成十年度から十九年度までの十年間の予算現額、支出済額、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
六ページをお開き願います。6、港湾局所有船舶建造年月一覧でございます。
船名、総トン数、建造年月をお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
七ページをお開き願います。7、三会計統合の経過でございます。
臨海副都心開発事業会計、羽田沖埋立事業会計、埋立事業会計の三会計の統合の経過についてお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
八ページをお開き願います。8、港湾局所管の第三セクターの変遷及び現状についてでございます。
港湾局が所管する第三セクター各社における団体設立からの主な変遷等をお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
九ページをお開き願います。9、臨海副都心の土地利用でございます。
平成九年三月に制定された臨海副都心まちづくり推進計画と現在の土地利用計画の間で変更のあった区画について記載してございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
一〇ページをお開き願います。10、「ゆりかもめ」利用者数の推移でございます。
「ゆりかもめ」が開業した平成七年度から十九年度までの利用者数及び一日平均数を千人単位の人数で記載してございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
一一ページをお開き願います。11、臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
平成十五年度から十九年度までの土地処分の実績を、面積と百万円単位の金額でお示ししてございます。実績の内訳欄には、処分方法と件数を記載してございます。
なお、注記のとおり、暫定利用は除いております。
詳細はごらん願いたいと存じます。
一二ページをお開き願います。12、臨海副都心地域暫定利用の状況でございます。
臨海副都心地域において暫定利用されております表頭記載の四区画につきまして、それぞれ表側の項目、敷地面積、事業者名、事業者決定日、施設概要及び開業時期をお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○岡崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 まず、入札契約制度についてお伺いいたします。
我が自民党では、昨今の公共事業、公共工事において頻繁に発生する低入札価格による過度な業者間競争、及び都の積算した予定価格と折り合いがつかず発生する契約不調の増加という現状を憂慮して、こうした状況に対して責任政党として対応すべく、昨年来、東京都議会自由民主党入札・契約制度改革プロジェクトチームを立ち上げ、その改善策を検討してまいりました。
検討の結果を、この九月に、特に公共工事における品質確保のあり方及び受注産業業者の疲弊する現状の打開の二つを大きなテーマとして、「公共事業(工事)の正しいあり方について 第一回報告書」として発表したところであります。
こうした我が党の問題意識に感化され、本年度になり、財務局も現状打破に向けて動き出し、都庁内にも入札契約制度改革研究会が設置され、我が党の報告書発表からおくれること約一カ月後の十月に、「入札契約制度改革研究会の第一次提言及び入札契約制度の当面の改善策の実施について」が出され、行政側もいよいよ本腰を入れてこの問題に取り組む姿勢を見せ始めたことは、一定の評価をするところであります。
そこで、我が党PTの報告書並びに財務局の研究会における制度改革の視点を踏まえ、幾つか質問をさせていただきます。
我が党PTの報告書において、公共工事は、価格競争のみではなく、当然にその品質をも重視した制度の必要性を述べております。同様に、財務局の研究会においても、希望制指名競争入札制度の改善として、総合評価方式の充実を提言しております。
そこでまず、港湾局における総合評価制度の取り組み状況について、お伺いいたします。
○多羅尾総務部長 総合評価制度への取り組み状況についてのお尋ねでございますが、港湾施設等の社会資本は、都市活動や都民生活を支える重要な役割を果たしており、将来にわたり品質を確保することは極めて重要な課題であると認識しております。
港湾局では、平成十七年四月の公共工事の品質確保の促進に関する法律の制定以来、価格だけでなく技術力をあわせて総合的に評価する、総合評価方式による工事発注を進めております。
特に本年度からは、技術力評価型総合評価制度の運用を積極的に行っております。この制度は、価格点五十点、技術点五十点として、その合計点数の最も高い者を落札者とする制度で、技術的課題がある中規模工事について、より多面的に技術力の評価を行い、これを入札に反映させるものでございます。
技術力評価型の本年度十月時点での実施実績は五件でございます。実施の結果、この五件の入札においては、いずれも技術点で最高点を得た業者が、最低価格で入札に臨んだ業者を逆転して落札しております。
現時点では工事結果が出ておりませんので、その効果を検証することは早急であると考えてはおりますが、今までの五件の入札結果を見る限り、入札の新たな制度として、今後、検討に値する手法であると考えております。
今後も引き続き、本制度の活用も含め、工事の品質確保に努めていく所存でございます。
○鈴木委員 建設局とか都市整備局とはまたちょっと状況も違うと思うんですけれども、港湾局においても総合評価制度の実績は、今、本年度まで、十月までに五件というご報告でございましたけれども、積極的に取り組む姿勢があることはよくわかりました。
今後、さらに評価の精度を高めて、価格のみの競争ではなく、的確な品質確保を伴った入札契約が行われるように要望させていただきたいと思います。
次に、ある意味ではこの低入札の対極に位置づけられているといえる契約不調の状況について確認をさせていただきます。
今般の契約不調は、特に役所の積み上げるいわゆる予定価格が、昨今の急激な原材料費の高騰などについていけず、業者は採算がとれず、落札者が出ないことにより発生するものと思われます。
第三回定例会の補正予算でも、港湾局より、資材高騰を理由に、しゅんせつ船の建造工事予算の増額が提案、可決されたところですが、同様の事例はほかにも見られるのではないかと思っております。
そこで、昨今の港湾局発注工事における契約不調の発生状況について、お伺いいたします。
○多羅尾総務部長 契約不調の発生状況についてのお尋ねでございますが、港湾局発注工事における工事契約不調件数は、平成十八年度十一件、平成十九年度十三件、そして本年度はこの十月までに五件ございます。
契約不調となった主な案件といたしまして、防波堤などに使用する鋼枠の製作、ガントリークレーンの製作、据えつけなどでございます。
業者からのヒアリングによりますと、これらの工事契約の不調の主な原因は、鋼材価格が予定価格と折り合いがつかないことなどでございました。
○鈴木委員 今の答弁のように、都市整備局や建設局ほどではありませんけれども、やはり港湾局においても契約不調が発生しているということを確認させていただきました。
しかも、その中に、鋼枠製作など、近年、原材料費が急騰している工事が見受けられるのは、まさに先ほど私が指摘した、役所の積算価格が民間市場のスピードについていっていないことの証左でもあるといえると思います。
こうした状況を受けて、財務局は先般、単品スライド条項の適用を発表したところであります。一九八〇年の第二次オイルショック以来の発動の決断は評価されるものと考えますが、実際に事業者がこの制度により救済されることが重要であると考えております。
そこで、港湾局発注工事における単品スライド条項の適用状況についてもお伺いいたします。
○多羅尾総務部長 単品スライド条項の適用についてのお尋ねでございますが、単品スライド条項発動以来、これまでに、鋼材類が四件、燃料油一件の工事において、条項の適用における契約変更の協議を行っております。
今後、迅速に手続を行い、契約変更を行う予定でございます。概算ではございますが、この条項適用により、四%から一〇%増額される見込みでございます。
○鈴木委員 今の答弁で、港湾局において的確にこの条項が運用されていることが確認をされました。今後もスピーディーに対応して、契約変更手続をとるよう求めておきます。
いずれにいたしましても、今後この制度の成果がどのようになるか、財務局を中心にしっかりと検証をしていただきたいと考えております。
以上、これまで連綿と港湾局における契約の状況及び入札契約制度に対する港湾局の取り組みについて質問をしてまいりました。
現下の金融危機は、今後、実体経済に影響を与えることは必至であり、そのような環境の中で公共工事を受注する業者が、請負ではなく請け負けすることのないよう、適正な価格で工事を発注、受注し、それにより確実に品質確保が図られるように、不断の取り組みを要望しておきます。
最後に、我が党PTの提言並びに港湾局事業が現在置かれている状況を踏まえて、今後の入札契約についてどのような姿勢で取り組まれるのか、お伺いいたします。
○多羅尾総務部長 入札契約について、局の取り組み姿勢についてのお尋ねでございますが、港湾局の工事は、東京港の整備、海岸保全施設や離島港湾の整備など、どれも都民生活に密着し、その生命、財産を守る重要な事業であると考えております。したがって、契約不調により事業がおくれること、また過度な価格競争のみで品質が低下することは許されないものと考えております。
また、港湾局発注工事においては、中小企業を対象とする工事が約七割を占めており、中小企業の育成につながる発注も重要であると認識しております。
そうした点を十分に踏まえ、今後より一層適正な価格と品質のバランスのとれた入札契約の実施に向け、契約事務所管局である財務局とも協調してまいります。
なお、このほかにも、よりよいインフラ整備のためには、入札契約制度上さまざまな課題があると認識しております。こうした点につきましても、事業局の立場として、財務局に適宜適切に意見を述べていきたいと思っております。
○鈴木委員 東京都の入札契約制度は、価格の事前公開制を初め、数々の先駆的な取り組みを行ってきました。それが導入当初、不正競争の防止や公平性の確保という、極めて透明性の高い制度として、全国の自治体のモデルとなってきたことも事実です。
しかしながら、価格の事前公開制は、詳細な積算を省いた機械的な入札金額によるくじ引きの乱発を招いて、また、価格が公開されていることによるたたき合いが横行して、不良、不適格業者を蔓延させる一因ともなっております。
このような現状を打開するために、国土交通省は予定価格の事後公開を行っております。また、できる限り分離発注を進めることなど、業務委託の最低限価格、最低限度額の設定--最低限価格がないために、過度なダンピングが横行しているのではないかと指摘をされているところであります。
公共事業や公共工事を通して東京の中小企業を育成するという視点も、ぜひ港湾局にも持っていただきたいというふうに思っております。中小企業や請負業者の技術力、技能力の向上にもぜひ寄与していただきたいというふうに思っています。
特に私、最近感じているんですけれども、指定管理者制度の中で、海上公園や緑道公園などの緑や植栽を含めて、景観が本当に保たれているのかどうか、こういったこともぜひいま一度考えてもらいたいというふうに指摘をさせていただきたいと思います。
以上、こういった東京の中小企業を育成するという視点を、今、総務部長の答弁の中でも確認をさせていただきましたけれども、ぜひしっかりと持っていただきたいと改めて要望して、この項の質問を終わらせていただきます。
それでは、次に、伊豆諸島における海上貨物運賃支援緊急対策について質問をさせていただきます。
伊豆諸島には二万七千人の島民の方々が生活をしており、その生活を支え、産業の振興を図ることは、都政の重要課題の一つであります。
本土と島しょを結ぶ海上交通の重要性については、だれもが認識しているところですが、とりわけ、現在都が実施している島しょの海上貨物運賃補助については、これまで、島しょ住民の生活の安定と生産物の流通対策に大きな成果を上げ、欠かすことのできないものとなっていると伺っております。
そこで、この海上貨物運賃補助とはどのような制度なのか、また、これまでの実績について確認をさせていただきます。
○石山離島港湾部長 海上貨物運賃補助制度でございますが、この制度は、伊豆諸島において海上貨物の運賃が島民生活に与える影響を考慮いたしまして、物価の抑制と島内産業の振興を図ることを目的に、昭和四十六年に創設されたものでございます。
その対象品目と補助率につきましては、幅広く島民の生活や島の産業に還元されるよう、地元町村など関係者で調整し取りまとめたものになっております。
これまで、プロパンガスや小麦粉、食用油など島民の生活必需品に対しては一〇〇%の補助を、また、魚介類、切り葉、テングサを初めとする島しょの主要な生産物など十五品目に対しては三〇%の補助を実施してまいりました。
なお、この制度による平成十九年度の補助実績は約三億円でございます。
○鈴木委員 これまでも都は、島しょ住民の日常生活を支える基本的な品目や、島しょの産業を支える品目の海上輸送運賃に対する補助を実施してきたとのことですが、今般の燃料の価格高騰、これは過去に見ないものでありまして、これによる海上貨物運賃の急激な上昇は、島しょ地域の生活と産業に甚大な影響を与えて、島民の皆様は大きな危機感を抱いていることだと思います。
そこで、我々自由民主党は、先月十月二十三日に、島嶼町村会及び島嶼町村議会議長会の各島の首長及び議長とともに直接知事にお会いして、島しょ貨物運賃補助制度の充実にかかわる緊急要望を行わせていただきました。
この緊急要望に対して都はどのような対応をしたのか、お伺いいたします。
○石山離島港湾部長 緊急要望を受けての都の対応でございますが、燃油価格高騰による海上貨物運賃の急激な上昇などを検討いたしました結果、地元町村など関係者と調整し取りまとめられております、魚介類、切り葉、テングサなどの十五品目を対象として、補助率を三〇%から五〇%に引き上げることといたしました。
なお、実施時期につきましては、早急な対応が必要なことから、直ちに航路事業者等と連携協力いたしまして、今月の十一月一日から実施したところでございます。
○鈴木委員 補助率を三〇%から五〇%に引き上げて、しかも極めて短期間で実施したとのことですが、このことは、島しょ住民生活の経済的負担を軽減して、島内産業の振興を図る上で大変に有意義なものであります。
今回の緊急支援対策は、迅速かつ状況に応じて実施されたものですが、今後も、刻々とした状況に的確に対応していただくことを強く要望して、質問を終わらせていただきます。
○山口委員 私からは、港湾局の環境対策として、船舶からの排出ガスについて幾つかお伺いさせていただきたいと思います。
まず、基本的なこととして、航海中や停泊時に船舶から出される排出ガスの状況はどうなっているのか。また、一九九七年に採択をされた海洋汚染防止条約、マルポール条約の大気汚染物質を規制する議定書の批准、発効を受け二〇〇五年五月に改正された、現行海洋汚染防止法における船舶排ガスに対する規制の概要について確認いたしたいと思います。
○江津港湾経営部長 航海中や停泊中の船舶排出ガスについてでございますが、運航中の船舶は、精製された灯油等を使用いたします航空機と異なりまして、主にアスファルト状の硫黄分等を多く含んだC重油などを使用して航海をしております。硫黄酸化物、SOxや窒素酸化物が排出されております。
また、停泊時においては、船内の照明やボイラー用のモーター等への電気を賄うために、主エンジンは切るものの、ディーゼル補機等を使用して発電しており、同様にSOx、NOxが排出されております。
次に、現行の海洋汚染防止法の概要についてでございますが、二〇〇五年に発効した改正マルポール条約では、新造船におけるNOxとSOxの排出量を一定程度制限する内容となっており、海洋汚染防止法におきましても、国際条約に準じて同様の規制を設けております。
○山口委員 航海時に限らず停泊時にも船舶からSOxやNOxなど大気汚染物質が出されているならば、船舶排ガス対策は自動車の排ガス対策と同様に重要ではないでしょうか。
こうした取り組みは大気汚染物質が主な対象であり、国際的な規制の対象船舶も新たに製造される船に限られているなど、十分ではないといえます。
一方、最近では地球温暖化に対する危機感も高まり、二〇〇三年に開催されたIMO、国際海事機関の第二十三回総会において、船舶からの温室効果ガスの削減に関するIMOの政策及び実行の決議が採択されるなど、温暖化対策への関心も高まっています。
次に、船舶の排出ガス対策における最近の国際的な動向や国の動きについて確認いたしたいと思います。
○江津港湾経営部長 最近の国際的な動向についてでございますが、二〇〇五年の改正マルポール条約の批准、発効後に、IMOでは、その後の技術水準の向上等を踏まえ、現行の排出ガス規制値の見直し作業が行われ、本年十月には、新造船に対する現行規制値よりさらに厳しい改正案と、現存船に対する初めてのNOx規制案が採択をされ、二〇一〇年に発効される予定となっております。
次に、国の動向でございますが、二〇〇六年以降、国土交通省港湾局を中心に、停泊中の船舶に対する排出ガス対策を船舶版アイドリングストップと名づけ、陸上電源の実験等に取り組んでおります。
具体的には、東京都も協力し、東京港の竹芝ふ頭などで、船舶への電源供給のための接続実験や通電実験を行っており、また、陸上電源設備の導入の補助制度についても検討中であると聞いております。
○山口委員 NOxなどの排出ガスの状況については、東京都環境局が二〇〇五年三月に、船舶等による大気汚染対策検討委員会報告書を発表しています。この報告書をもとに推計すると、臨海部における大気汚染物質のうちNOxの排出量は、自動車の五四%、工場の一九%に続いて、停泊中の船舶からも一四%も排出されており、船舶からの排出ガス対策は重要であると考えます。
また、ことし三月に発表された東京都環境基本計画では、大気汚染対策のさらなる展開として、東京港に停泊する船舶からの排出ガスへの取り組みが記載され、停泊中船舶の排出ガス対策としては陸上電源の使用が最も効果的であり、CO2削減効果も高いと、陸上電源の利用に大きな期待を寄せています。
そこで、まず、この船舶への陸上電源供給というものはどのようなものなのか、また、陸上電源導入の効果と課題はどのようなものが考えられるのか、お伺いしたいと思います。
○江津港湾経営部長 船舶への陸上電源供給とは、簡単に申し上げますと、停泊中の船舶が必要とする電力を、船内発電をやめて、陸上施設から供給される電力に切りかえることでございます。
効果としては、停泊中は車でいうアイドリングがストップされることになりますので、燃料消費がなくなり、NOxやSOx等の大気汚染物質を削減でき、またCO2などの温室効果ガスも、陸上から供給される電力に係るものを除き削減されることになります。
課題といたしましては、陸上から電力を供給するための施設整備に多額の費用がかかること、また船側にも改造が必要であること、電気ケーブルの接続作業に伴い船舶の係留時間が延長し、運航コストが増加すること、さらには、現状では燃料代より電気代の方が高いなど、主に経費面において克服しなければならない課題が多うございます。
また、電気の周波数が五〇ヘルツである東日本の港湾におきましては、船舶の電気設備の周波数が六〇ヘルツであることから、大電気量の陸電設備を設置する場合には、周波数変換機を備えた大規模な陸電設備の設置が必要となってまいります。
○山口委員 陸上電源供給についての効果と課題の説明をいただきました。
例えばロサンゼルス港などで、コンテナふ頭における停泊船舶の陸上電源の利用が開始されるとともに、EU域内の港湾については、硫黄酸化物、SOxの排出規制海域の指定や陸上電源の利用促進に関するEU勧告などの取り組みが行われていると聞いています。
また、横浜港においても、大型船舶ではありませんが、港務艇やタグボート等の小型船舶について、陸上電源を既に一部設置していると聞いています。
そこで、国外の取り組み状況や、また日本国内の港で陸上電源供給の導入に取り組んでいる事例についてお伺いしたいと思います。
○江津港湾経営部長 陸上電源供給の海外の事例といたしましては、北米のロサンゼルス港やロングビーチ港では、コンテナ船を対象に、一部のターミナルで陸上電源の整備が段階的に開始されたほか、北米のシアトル港ではクルーズ船を対象に、スウェーデンのヨーテボリ港でも、フェリーやローロー船を対象に陸上電源の導入が順次図られつつあると聞いております。
また、国内各港においても、従前より、船内の乗組員用の家電製品などを対象とした小規模な陸上電源を導入している事例がございます。
私ども東京港におきましても、港湾局の所有船舶の一部を対象とした小規模な陸上電源設備があり、夜間停泊時等に使用しております。
さらに、周波数変換機を備えた陸上電源といたしましては、東京港晴海ふ頭において、東京都港湾局と独立行政法人の航海訓練所とが陸上電源供給に関する協定を締結し、同訓練所が設備を専用桟橋に整備し、本年五月より陸上電源供給を開始しているところでございます。
○山口委員 自動車に対する排出ガスの削減とともに、市街地に隣接する港湾エリアにおいても排出ガス対策はとても重要となってまいります。
先ほどの答弁にもありましたように、船舶版のアイドリングストップであったり、陸上電源供給であるとかこういった研究、実際にこういった一つ一つが行われていくことが大変重要な効果を生んでくると思いますし、東京都の取り組みに私も期待しているところでもあります。
いずれにおいても、どこに偏ることもなく、すべての面においてこういった取り組みを進めていかなければ、IMOや国の動向なども踏まえつつ、船舶からの排出ガス対策を進めていくこと、東京都としても積極的に取り組んでいくべきと考えているところなんでありますが、東京都の所見をお伺いして、私からの質問を終わりたいと思います。
○江津港湾経営部長 港湾機能と都市機能が近接する東京港におきましては、船舶排出ガス対策などの大気環境負荷低減への取り組みが大変に重要であると認識しております。
しかし、陸上電源供給の導入には、先ほど申し上げたようなさまざまな課題があることから、委員ご指摘のように、国際機関や国の動向、海外の事例等を踏まえつつ、民間事業者や関係行政機関などの関係者の理解を得て進めていく必要があると考えております。
このため、来年度から、まずパイロット事業といたしまして、ふ頭に陸上電源供給設備を設置することとしております。こうした取り組みを通じ、技術的課題や港湾運営コストの問題の解決を図りつつ、段階的に導入を図っていく必要がございます。
また、国への提案要求活動におきまして、陸上電源設備の導入に係る財政支援措置や、陸上電源供給の実用化に向けた料金体系上の優遇措置に関する検討への支援等について要望してまいります。
二〇一六年の東京オリンピック・パラリンピック招致に向け、環境先進都市を目指す東京都の臨海地域においても、こうした取り組みを通じ、世界に率先して環境対策に取り組んでまいります。
○高倉委員 それでは、最初にアクションプランについてお伺いいたします。
アジア諸港の目覚ましい躍進などによりまして、東京港は国際競争力の一層の強化が求められていると思います。
国際競争力を高めるには、行政の取り組みというのが大変重要でありますけれども、港湾の事業者の方々の努力も不可欠でありまして、そのため、平成九年に東京港振興促進協議会が設置されております。これは、東京都と民間事業者とが文字どおり官民一体で東京港の振興促進に向けて取り組むものであるというふうに私も考えております。
東京港振興促進協議会では、その活動として、平成十一年にアクションプランを策定して、さらに平成十六年からは、五カ年の期間で新アクションプランとしての取り組みを進めているわけであります。
今年度、新アクションプランの最終年を迎えるわけでありまして、今後の方向性についてお伺いしたいと思います。
まず、この新アクションプランでは何を目指されたのか、また、新アクションプランでの取り組みの実施状況についてご説明いただきたいと思います。
○小宮港湾経営改革担当部長 新アクションプランの目指すものなどについてでございますが、新アクションプランは、アジア諸港が躍進する中で、官民が一体となって、東京港の国際競争力の一層の強化と使いやすい港湾の実現を目指すものでございます。そのため、港湾コスト低減、それから港湾物流の効率化、ふ頭等の整備再編、東京港の安全の確保を四つの柱に取り組んでまいりました。
新アクションプランは、七十一項目の取り組み事項がございまして、全体の八七%が実施済みとなっております。
主な成果としましては、取扱貨物量に応じまして港湾施設使用料の減免をするなどのインセンティブ制度を導入し、貨物量の増加が図られたこと、また、税関の土日開庁の実現などにより貨物の引き取り時間の短縮を図ったことなどが挙げられます。
一方で、引き続き取り組むべき課題としまして、ターミナル運営の一層の効率化に向けて、荷役機械のメンテナンス体制の共同化の実現などが残されております。
○高倉委員 新アクションプランの取り組み内容について、それからその成果については理解いたしました。
この新アクションプランは今年度終了するわけでありますけれども、今後も引き続き、東京港をめぐる新たな課題に向けて具体的な対応を進めていく必要があると思います。
現在、東京港振興促進協議会の第三次アクションプランの策定に向けて検討作業に着手したというふうに聞いております。この第三次アクションプラン策定の今後の見通しと取り組みの方向性ということについて、ご所見を伺いたいと思います。
○小宮港湾経営改革担当部長 第三次アクションプランの策定の見通しなどについてでございますが、第三次アクションプランは、新アクションプランから継続して取り組む課題とともに、東京港振興のための新たな課題に対応するために策定するものでございます。このため、今年度中の策定を目指しまして、東京港振興促進協議会において設置された各部会で、昨年十二月から検討を始めております。
船舶の大型化や埠頭公社の民営化など、東京港をめぐる動きを踏まえた上で、国際競争力強化に向けた取り組みとともに、東京港の振興促進のためには、環境への意識の高まりや危機管理への対応など、現在の港湾経営に求められる課題を取り入れる必要がございます。特に環境対策については、今回新たに検討部会を設置したところでございます。
また、本年三月には、京浜三港の広域連携強化に関しまして、都知事、横浜市長及び川崎市長の首長間で基本合意が交わされ、七月には、東京都港湾審議会から、東京港の今後の港湾経営戦略が答申として出されるなど、昨年の十二月以降の状況変化も十分に勘案し、今後策定する京浜港共同ビジョンにつながるような視点で、民間事業者と一体となって第三次アクションプランの検討を進めております。
○高倉委員 東京港をめぐる新たな課題に、今まさにご答弁いただいたように、環境対策というのがあろうかと思います。私も、物流ということを考えるときに、環境対策が重要な一課題であるというふうに考えております。
東京都は先月、C40気候変動東京会議を開催しまして、多数の都市の参加を得たわけでありますけれども、こうした環境への意識の高まりへの対応ということは、港湾も例外ではないと思います。地球温暖化対策の一環として、環境に配慮した港づくりも重要な要素であろうと思います。
さきの都議会の定例会においても、環境対策について、私、質問させていただきまして、モーダルシフトの取り組みの必要性について確認をさせていただきました。第三次アクションプランにおいてもこの課題は大変重要な要素であるというふうに思っております。
第三次アクションプランで、このモーダルシフトについて具体的にどういう取り組みをお考えになっているのか、見解をお伺いしたいと思います。
○小宮港湾経営改革担当部長 モーダルシフトについてでございますが、高倉理事がただいまご指摘されましたように、環境対策として取り組むべき課題として、現在トラックで輸送しているコンテナなどを一度に大量に輸送することで環境への負荷を低減するモーダルシフトの推進は、重要と考えてございます。
トラックにかわる輸送手段としては、内航海運や鉄道輸送への転換などが考えられます。これに対する取り組みの一つとして、現在、京浜三港内で行われているトラックによるコンテナ移送につきまして、これをはしけによる輸送へと転換するため、京浜三港間では、東京湾内における入港料の全額免除を今月から開始したところでございます。
今後、モーダルシフトの一層の推進に向けまして、第三次アクションプランにおきまして、東京港と例えば仙台港など地方港とを結ぶ内航フィーダー輸送や、大井背後にございます東京貨物ターミナルの活用による鉄道輸送などの推進について検討してまいります。
また、環境対策は、広域的に対応すべき課題の一つとして、京浜三港の広域連携強化に係る基本合意で三首長が合意したものでございまして、第三次アクションプランで取り組む内容は、京浜三港の連携した取り組みに拡大してまいります。
○高倉委員 それでは、次に、小笠原の課題について一点だけお伺いしたいと思います。
私は、昨年の十月に藤井一委員等とともに、返還四十周年を目前にした小笠原村を訪れまして、世界自然遺産登録に向けた取り組みとか、あるいは東京-小笠原間の航空路開設など村の諸課題を探るために、現地のさまざまな視察をさせていただきました。その際に、二見港とか、あるいは水道施設も含めて、津波対策が大きな課題である、こういうような声も聞いたわけであります。
小笠原諸島は、一九六〇年のチリ地震において津波による被害を受けた経緯がありまして、平成十五年には、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づいて、地震防災対策推進地域にも指定をされております。
津波の大きさというのは、父島二見港で最大七メートルというふうに予測もされておりまして、防波堤などでこれを防ぐことは非常に難しいというようなお話でもありました。
このため、地震発生から津波が来襲するまで九十分程度の時間差があって、避難時間が十分確保されることから、小笠原村では高台への避難で対応する方針をとっているわけであります。この方針に基づいて、村では、浸水予測図の作成や、安全な避難経路を確保するための案内標識の整備、防災訓練などを行っているようであります。
津波対策として、この考え方は適切であるというふうに思いますけれども、本土から隔絶された小笠原村においては、被災後の早期復旧を図るために港湾施設の利用が不可欠でありまして、この安全性の確保を村も強く要望しておりました。
そこで、津波対策として、港湾局では具体的にどう対応をされているのか、見解を伺いたいと思います。
○石山離島港湾部長 津波対策として港湾局の対応でございますが、応急復旧活動に必要な救援物資や復旧資材を確実に搬入するためには、津波によって港湾施設が破壊されないことが重要であると認識しております。
父島の二見港には岸壁構造と桟橋構造の施設がございますが、岸壁構造は津波に対して安全でございます。ただ、桟橋構造は、津波の上昇する水圧により破壊されるおそれがございます。このため、現在、桟橋に開口部を設け、その水圧を逃がす構造にするべく改良をしているところでございます。
これによりまして、津波が来襲した場合においても、応急復旧時に物資が安全に搬入できる体制を整えてまいります。
○高倉委員 港湾施設の津波対策について、着実に対策を進めているという説明でありました。今後も、港湾施設の安全性の確保に努めていただくとともに、二見港のさらに奥の方に漁港の施設があるわけでありまして、防波堤など根幹となる施設の安全性についてさらに検討を進めていただいて、必要がある場合には適切に対応していただくように要望をいたしておきたいと思います。
最後に、「ゆりかもめ」についてお伺いしておきたいと思います。
「ゆりかもめ」は、平成七年十一月に開業して以来、臨海副都心への主要な交通手段として重要な役割を果たしてきております。平成十八年三月、有明から豊洲まで延伸されまして、都心部からのアクセスが一層便利になっているわけであります。
まず、「ゆりかもめ」の経営状況全般についてご説明いただきたいと思います。
○藤原臨海開発部長 「ゆりかもめ」におきましては、ただいまお話にありましたように、平成十八年三月に有楽町線の豊洲駅まで延伸することによりまして、新橋駅に加えまして新たな交通結節点ができ、利便性が一段と向上したところでございます。
さらに、臨海副都心で開催された各種イベントと連携いたしまして、飲食店等における割引などのサービスが受けられる一日乗車券の販売、「ゆりかもめ」をPRするためのブースの出展等を実施いたしまして、利用者数の増加に努めてきたところでございます。
こうした「ゆりかもめ」の取り組みが臨海副都心開発の進展と相まちまして、平成十九年度のご利用者数は、対前年比七・四%増の三千六百万人に達し、また、平成二十年には通算の利用者が四億人を突破しているところでございます。
利用者数の増に伴い運輸収入も増加したことから、平成十九年度は約三億三千万円の純利益を上げ、収支状況は順調に推移しているところでございます。
○高倉委員 今ご説明していただいたように、大変な数の利用者があるわけでありまして、このたくさんの利用者の中には、例えば高齢者の方、あるいは障害を持っていらっしゃる方、あるいは子どもさん、あるいは体の弱い方、さまざまな利用者の方もたくさんいらっしゃると思います。
そうした方々に向けた配慮というものを、これからもさらに引き続き考えていっていただきたいと思いますけれども、特にきょうは一点だけ、視覚障害者の方々に対する、「ゆりかもめ」の利用についての対応ということについてだけお聞きしたいと思います。
視覚障害者の方々に対して、「ゆりかもめ」ではどういう対応、サービスを行っているのかについてご説明いただきたいと思います。
○藤原臨海開発部長 視覚障害者の方に対するサービスについてでございますが、「ゆりかもめ」では、すべての駅の駅舎への階段の上り口、改札口、トイレ案内板等におきまして、音声や電子音による案内を行っているところでございます。
このうち、音声での案内につきましては、各駅の特色を出し識別を容易にするため、公共交通機関としては全国で初めて、駅ごとに一人、合計十六人の声優の声で行っております。
こうした音声案内サービスに加えまして、点字タイルや触知案内図を駅の入り口やトイレに設けるなど、視覚障害者の方に十分配慮したサービスを行っております。
さらに、社内に輸送の安全確保を担う安全推進室を設けまして、戸挟み事故を防止するため車両ドアの感知度を高めるなど、視覚障害者の方を含めた利用者の安全確保を図っております。
○高倉委員 視覚障害者の方々に対してさまざまな対応、サービスを行っているということについては、今のご説明でよくわかりました。
視覚障害者の方々からいろいろなご意見をお聞きしますと、例えばおトイレなんかの場合に、点字タイルで誘導されて、そしてなおかつ触知案内板があってということにプラスして、例えばおトイレに行ったときに、一体、男性用と女性用が、右にあるのか左にあるのかよくわからないんですと。それから、おトイレの中に入ったときに、例えばどこに便器があって、あるいは手洗いのところがあって、そういったところが意外とわからないんです、こういうお話がございました。
実は今、トイレの音声案内システムというのが開発されておりまして、意外に安価に設置することができるということで、そうした取り組みも、特に公共交通なんかでも始まっているというふうにお聞きしております。
ぜひ他の公共的な施設の模範となるように、今後ともサービスの向上に努めていただくようにお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○小竹委員 私は、島の漁港整備の問題についてお伺いしたいというふうに思います。
この夏、七月に新島と式根島を訪れて、そこでそれぞれ、漁港を使っておられる漁師や船主の方々から切実な要望を伺ってまいりました。
まず最初に、新島若郷漁港についてお伺いします。
若郷漁港の防波堤を延長したことに伴って、伝い波やうねりが大きくなり、係留する船のロープが切れ、船が傷ついたり、うねりで船が転倒するという被害が出ているので何とかしてほしいというのが大きな訴えだったわけですが、都として、この実態をどのように掌握しておられるんでしょうか、お答えください。
○石山離島港湾部長 若郷漁港のうねりの状況についてでございますけれども、これにつきましては、もう既に私ども、漁業協同組合等から、荒天時に係留用のロープが切れたり、船揚げ場に船を揚げおろしできない状況になることがあると聞いてございます。
○小竹委員 都の方も掌握されているということですから、これについての対策も伺わなきゃいけないんですけれども、つい先日、十月にもそうだったようですが、十一月にも、風の強いときにやっぱりうねりが入ってきているというふうな状況を連絡をいただきました。特に冬場の西風や、それから北東の風、それから低気圧が来たときなどにひどい状況になるということですので、こういう点での対策についてお伺いしたいというふうに思います。
○石山離島港湾部長 うねりの対策につきましては、先ほど申し上げましたように、既に地元から要望を受けておりまして、地元とは、うねりをとめる防波堤をどの場所につくっていくかなど具体的な話し合いを進めているところでございます。
○小竹委員 今、防波堤など、うねりをとめるための対策について地元とお話し合いしているということなんですが、防波堤だとか、そういうものを設置することによって被害がひどくなっているというのが訴えの中身なんですね。
私、ここに新島村の議会、議長あての要望書、三月と五月に、新島漁協と船主会からの要望書を持ってきているんです。この中にも、三月の要望書には、防波堤の延長工事等で港内全体の静穏域は拡大したけれども、一方では、防波堤の延長に伴う伝い波がうねりを増大し、時には係船ロープが波浪に耐え切れずに破断し船を損傷したり、陸揚げ中うねりで船が転倒し破損、操業に支障を来すこともありますというふうに書かれています。
五月の要望書には、やはり静穏域が一定よくなったということとともに、特に北東の季節風や低気圧の通過時にはうねりが港内に入り、港内係留中の漁船が大きく移動され、係留ロープやアンカーロープが切れるなどの事故もたびたび発生しており、大変危険な状況で、緊急の課題として対処してほしいということで、いずれも防波堤の延長がそういう状況にあるというふうに書かれているんです。この点については、港湾局の方に、村からの要望書に、防波堤の延長というふうなことを含めて来ているんでしょうか。この点はいかがですか。
○石山離島港湾部長 防波堤は、波を防ぐことで港や海岸を守る重要な施設でございます。これらの施設整備により、島しょの厳しい自然状況下でも漁船等が安心して停泊できる漁港となっているところでございます。
こうした施設整備につきましては、漁業協同組合や船主組合、振興協議会等から、静穏度が大変よくなったと喜ばれているところでございまして、うねりにつきましては、それの対策をしていこうということで、今、地元と話をさせていただいているところでございます。
○小竹委員 漁協も船主会も一応静穏域が拡大したということは認めておられるんだけど、それを先に延ばしたことが、逆に伝い波やうねりを増大しているというふうなことは、いずれも書かれているわけですね。実際に私も、お話を伺った方々からもそのことを強くいわれたんです。
そういう意味でいうと、やっぱり現場の声というのが非常に大事だというふうに私は思うんですよね。これはうねりだけじゃなくて、後で別の点も申し上げますけれども、本当にいろいろな形での被害が出ているという点でも、現場の声を聞くというのが大事になってきているんじゃないかというふうに思います。
若郷の基幹産業は漁業ですし、漁師の方々、船主の方々もそうですけれども、漁船が使えなくなったら、もうそれこそ漁ができなくなるという点では、命にかかわる問題だというふうに思うんですね。安全に係留しておけないということは、操業の態勢にも入れないということになるんで、やっぱり現場の声をきちんと聞いて--工事をやって被害が出ているという状況ですから、やる前にもっと実態を聞いていただいて、対策を、現場の方々の意見も含めて立てていただきたいというふうに、これは強く要望しておきます。
同時に、この防波堤によって、西風を含めた季節風で高波が来るときに、延長した防波堤にぶつかって、その波しぶきが、島の高いところに住宅があるわけですけれども、そのがけの上の住宅地域まで、そのしぶきが飛んでくるということなんですね。で、防風林として設置されている竹林が枯れたり、それから皆さんが、生活や、農業の方もおられますから、そういうところで野菜を栽培しておられる方の野菜がだめになってしまう。それから、ハウスのパイプや車、それから住宅の屋根、こういうものが塩害でさびてきているというふうな状況が生まれています。
これから冬にかけて、高波が堤防にぶつかって砕けるという状況ですから、そういう点での波しぶきというのは非常に大変だというふうに思うんですけど、実際には、そのしぶきが、私たちが海に行ったときにしぶきを感じる程度のものじゃないということなんですよ。それこそしぶきが雨のように降るときがあるというんですね。晴天の日でも洗濯物も干せないような状況だということを、お手紙でもいただいています。
こういう点について港湾局はどのように受けとめておられるのか、お伺いいたします。
○石山離島港湾部長 港湾の整備でございますけれども、整備につきましては、計画の策定時や予算要求時に適宜地元の意見を聴取しております。また、毎年、村や漁業協同組合、観光協会など地元関係者に対し事業説明会を実施し、地元の意見を十分聞いているところでございます。
若郷漁港についても、村や地元関係者の方々の意見や強い要望を受けて整備を進めてきておりまして、地元の意見については、私ども十分に聞いているというふうに認識しております。
また、しぶきの件につきましては、先生のおっしゃるしぶきは荒天時ということで、島の場合、台風とかそういうときは、波しぶきというのは非常に大きく出ます。それをもって、それを防ぐというのは物理的になかなか難しいのかなというふうに思っております。
○小竹委員 十分聞いておられるということですけれども、私のところへこれだけ手紙が来ているんですよ。(実物を示す)行ったときにお話も伺いました。その後、こういう実態なんだということを、切々と皆さん書いておられるんですね。
工事については、皆さんも了解してやった部分があるんですよ。だけど、やった結果がこういう状況になってしまったという点で、ぜひ声を聞いてほしいということですから、きちんと対応していただきたいというふうに思うんです。
全部読み上げるわけにはいきませんけれども、五十年以上ここで、若郷で暮らして、三十数年間海に潜ってこられたという方のお手紙が、一〇ページ近くにわたる長いあれで、箇条書きになって、海の実態を書いておられるんですけれども、若郷の前浜が非常に減少して汚れてきているということが書かれています。近年、特に高波については切実な危険を感じていると。A堤、延ばしたところですね、A堤の延長工事に原因が発生していると思われると。波は風の影響を受け、沖から岸辺に向かって絶えず打ち上げてくる。昔は、砂浜や磯で波のエネルギーが吸収されながら引き波になってきたから、こんなひどい状況にはならなかったということが書かれているんですね、しぶきの問題ですけれども。そういう訴えがありますから、やっぱりきちんと聞いて対応していただきたいというふうに思います。
潮の被害で野菜が育たない、こういう被害は、漁業をやっておられる方だけじゃなくて、そこに住んでいる地元の方々の暮らしに対する影響が出ていますので、この点についての対応をとっていただくように、これは強く求めておきます。
もう一つ、先ほどの方の訴えの中にある磯の問題ですけれども、昭和四十年代は、この下のように磯や浜がずっと続いていた。(写真を示す)それが今、工事、これは十八年のときの工事のようですけれども、ここの磯の部分が岸壁になるというふうなことで、これは了承してしまったことだからやむを得ないけれども、こちらの方の、この岸壁のこちら側については一日も早く磯を戻してほしいというのが、いわれた要望です。
磯では、ちょっと小さいんですけれども、(写真を示す)過去においては伊勢エビが大量にとれて、サザエだとかそういう魚介類が漁港としてたくさん水揚げされたということなんですが、この井沢磯をテトラの置き場にしたことによって、伊勢エビやサザエの水揚げが極端に減って、もう今ではゼロに近い状況になってしまったということがいわれました。
漁師の方々の高齢化の中で、やっぱり磯でこういう漁業ができるというのは非常に重要なので、自然の磯を一日も早く回復してほしいという声なんですが、どのように受けとめられるでしょうか、お伺いします。
○石山離島港湾部長 再三申し上げておりますけれども、漁港の整備につきましては、地元の漁業者、村の方々の強い要望を受けて事業化しているものでございます。工事につきましては、必要に応じて漁業協同組合の総会にかけるなど、地元と十分合意形成を図った上で実施してきており、地元からも大変喜ばれているものでございます。漁港の整備なくしてはここの港は成り立たないというふうに理解しております。
○小竹委員 いずれも島に暮らす人たちの切実な要望なんですよ、やっぱり島は自然との共生の中で生きていかなければならないという。
漁港の整備も必要だから、それは一致して要望されたから、漁協の皆さんも出しておられるんだというふうに思うんだけど、先ほど読み上げた漁協の要望書、村議会に出された要望書にも--感謝はしているんですよ。だけど、延長したことの弊害も出てきているから何とかしてほしいというのが要望なわけですから、そういう意味では、工事に着手する前に現況を現場できちんと確認して、そして特に波が荒いとき、そういうしぶきが飛んだりするこういうときにきちんと実態を見て、地元の意見、地元の関係者の方々の意見を聞いていただきたいというふうに思うんですが、その点いかがですか。
○石山離島港湾部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、私ども、計画策定時、予算要求時等、適宜地元のご意見を聴取しております。それから、毎年の事業の説明会等も実施しておりまして、地元の意見は十分聞いていると思っております。
○小竹委員 もう繰り返しになりますから、地元の意見は聞いているということではありますけれども、やっぱり現場でこれだけ苦しんでおられるわけだから、せめて実際にそういう事態が起きているときに現場へ足を運んで聞いていただくように、再度これは求めておきたいというふうに思います。
次に、式根島の野伏港についてお伺いいたします。
野伏港が整備されて、ジェットフォイルの就航率は上がって、静穏域も一定拡大してきているというふうには伺っているわけですけれども、岸壁にぶつかり、そして反対側のテトラにぶつかったりして、波が、やはり若郷と同じように伝い波が入ってきているわけで、島からの要望で、昨年末に波高調査が行われたわけですけれども、その結果はいつごろ出される予定なのか、まずお伺いします。
○石山離島港湾部長 野伏漁港の整備についてでございますが、村からの請願を受けて、平成十八年二月の当経済・港湾委員会で趣旨採択され、今回、防波堤が完成したところでございます。
波高調査については、この請願を受け、港内の静穏度を把握するために実施しておりまして、現在、調査結果の取りまとめ作業中でございますが、野伏漁港は、伊豆諸島の同種の漁港と比べて、波は十分静穏な状況にあると認識しております。
○小竹委員 ほかの漁港と比べて、波はそんなに立っていない、静穏度が高いというふうにおっしゃられたんですが、島の皆さんも、静穏のときは認めておられるんだけれども、やっぱり若郷と同じで、特に北東風だとか西風のときが非常に影響を受けて伝い波がひどくなっているということなんですね。これは漁業関係者だけじゃなくて役場の方も含めて、波高調査についての結果を見て対策を立ててほしいということを強く願っておられます。
特に伝い波の影響を受けるのが--ジェットフォイルは着けるようになったんだけれども、ジェットフォイルはお客さんをおろして乗っけていくという、時間的に見ればそんなに長い時間停泊しているわけじゃないわけですよ。しかし、新島と式根島を行き来している村営の「にしき」などについては、やっぱり係留しておかなければならない。それから、漁船も係留しておかなければならないというところで、弊害が起きているわけです。
特に伝い波によるうねりで、村営の「にしき」の乗りおりに支障を来すということで、波の高いときには、ジェットフォイルが停泊する、そこへ行かないと乗りおりできないということなんですね。で、漁船の係留についても問題が出ているということなんですが、この点について、どのように港湾局は掌握して対策を立てようとしておられるのか、お伺いします。
○石山離島港湾部長 漁港の整備でございますけれども、漁港には大きく分けまして、主に地元の漁業者が利用する港と、台風などの荒天時に漁船等が避難してこられるような高い整備レベルの港の二種類がございます。
野伏漁港は地元漁業者用の港でございまして、荒天時には、船揚げ場に船を揚げるか、避難用につくられた港に逃げることを想定して整備しているものでございます。
静穏度につきましては、今回、野伏漁港の整備を実施したことによりまして、ジェットフォイルの就航率でいいますと、平成十九年度には約八七%となっておりまして、ジェットフォイル対策工事実施前の平成十六年度に比べて約二〇%も就航率が向上するなど、港としての機能は格段に良好なものになっているものと考えております。
○小竹委員 港の利用はよくなっているということで、ジェットフォイルの就航率が確かに上がっているのは、私も資料もいただきましたし、島の皆さんもそれは認めていることなんだけれども、今、台風のときに避難してくる港だっておっしゃられたんだけれども、ジェットフォイル用の港の入り口のところを広げた結果、今、台風のときには外へ避難しないと、漁船等についても、「にしき」についても、よそへ避難しないとならない回数がふえているということなんですよ。
この十一月二日、北東風が相当強く吹いて、先ほど若郷のときも問題にしましたけれども……(写真を示す)吹いたときに港内はこういうふうに高い波で、「にしき」がここに、すごく長い太いロープで港の真ん中に停泊する。上に揚がったら、ひっくり返ったりいろいろ影響が出るからということで、真ん中に停泊する。
ここの港を利用している漁船は三隻だそうです。三隻全部が係留すると、ぶつかり合って大変なことにもなりかねないということで、一隻はここに係留しています、真ん中に。だけど、あと二隻はよその港へ避難したということなんですね。
これ、中はずっと高い波。北東風のとき、これがテトラにぶつかって砕けている波ですけれども、こういう状況なんです。これも同じように、島から。式根については、送ってこられたんですけれども、こういう状況が実際には起きているわけですよ。
確かに静穏域といっても、今は北東風、これから冬にかけては西風が吹くということでは、たびたびこういう事態が起きて、もっと高いときには、台風のときには、「にしき」は横浜の本牧まで避難しなきゃならない。台風のときですよね。そういう事態にもなっているという点では、決して島の皆さんの、漁業を操業する方々や島の皆さんの利便性からいくと、ジェットフォイルだけではありませんから、こういう状況で、こっちの、いつも「にしき」が乗りおりする岸壁はここですけれども、ここにはもう停泊できない。
特に高齢者なんかは、ここまで、このジェットフォイルがとまるここまで当日は行って、冬場は行って乗らなければならないという状況、乗りおりしなきゃならないという事態になっているという点でいっても、これはやっぱり、よくなっているということだけで解決できない問題だと思いますので、この点についてきちんと対策をとっていただきたいというふうに思うんですが、この点いかがですか。
○石山離島港湾部長 先ほどの私の答弁で、誤解をされてしまったかもしれませんけれども、私が申し上げたのは、野伏漁港は地元漁業者用の港でありまして、台風時等の荒天時にはほかの港に逃げる、そういう対策をする港として整備をしているものでございます。
したがいまして、「にしき」や何かにつきましても、台風のときは下田とか本牧とかに逃げるのは当然のことでございまして、それはもうもともとご了解の上で整備をしている港でございます。(「よく調べろよ、そんなこと」と呼ぶ者あり)
○小竹委員 いや、そんなことないですよ、ちゃんと切実な要望ですもん。
その点では、確かに台風が大きくなったりすれば避難せざるを得ない場合はあるわけですよ。だけど、その回数がふえているという点でも、やっぱり島の皆さんにとっては、日常生活に支障を来す中身が出てきているんですよ。そういう点では、きちんと現場で実態を、若郷でも申し上げましたけれども、実態をきちんと見て対応していただきたいというふうに思うんですよ。
それで、こういう点で見て、海がこれだけ、護岸工事だとか、防波堤だとか、いろいろな対策がとられてやられてきた工事が全国的にどうなっているかというのが、この「海岸侵食の実態と解決策」という本に書かれていて、(実物を示す)私も改めてこの本を読ませてもらって、ああ、こういう影響まで--新たに整備したところの護岸が壊れたりとか、ひどい状況にまでなって、自然の浜や何かがなくなっていて、人工化したために大きな影響が生まれているというのがここに書かれていて、今やっぱりこれを放置するわけにはいかないと。
この方は、建設省の土木研究所や何かの研究官をやられて、実際にやってくる側も経験されている方なんですね。今こそ人工化したところを対策を考えていかなければいけないということがたくさん、事例も含めて書かれているんですけれども、やっぱりこういう点でも、実際の現場へ足を運んでいただいて、波が高い、影響が大きいときに、きちんと現地の皆さんの声を聞いていただいて、対策を立てていただくように、強くこの点は求めておきます。
先ほど、島の運賃補助の問題が出されましたけれども、私もこの夏、新島と式根へ行ったときに、ちょうど原油が高騰しているときで、その影響について、村当局や漁業関係者、そして福祉施設の特養ホームに伺って、お話を伺ってきました。島の皆さんの強い願いでありますから、実現していただいたという点では、私もこの問題、何度か取り上げてきて、本当によかったというふうに思っています。
今回、三〇%が五〇%に上がったという点では、実質運賃分がかなり軽減されるのかなというふうに思うんですが、実質運賃との問題ではどの程度の軽減になるのか、お伺いします。
○石山離島港湾部長 実質運賃への影響でございますけれども、運賃が平常時に比べて大体二〇%ぐらい上がっておりました。それで、正確な数字は今持ち合わせておりませんけれども、三〇%から五〇%に補助率を上げることによりまして、その辺の部分についてはほとんど吸収できるというようなことでございます。
○小竹委員 今、運賃分については軽減されるというふうに伺いましたので、そういう点では非常にいいというふうに思うんですが、特に島の方から強い要望として出されたのは、やっぱり原油価格が上がっているということで、島の生活がどうしても車に頼らざるを得ない、そういう状況や灯油などの高値が影響するということで、この点について強い要望がありました。
式根島では、都内でガソリンが二百円といっているときに二百四十七円。新島よりも高いんだということで支所長さんがおっしゃって、この運賃分ぐらいぜひ補助をしていただいて、民宿や、それから島で暮らす人たち、漁業の方々も含めて対応してほしいというのが要望として出されました。
新島の特養では、灯油をたいて冷暖房をやっているということで、二年前には一日五万円だったのが、九万円を超すような状況になってしまっているという点で切々と訴えられたわけです。
灯油やガソリンは今回の対象になっていないんですけれども、燃料補助についてぜひ対象にすべきだというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
○岡崎委員長 最後の質問、最後の答弁にしてくださいね。
○石山離島港湾部長 貨物運賃補助の対象品目につきましては、幅広く島民の生活や島の産業に還元されるよう、地元町村など関係者で調整し取りまとめたものでございます。
現在、地元町村など関係者との調整の上、プロパンガスや食用油、野菜、果物など島民の日常生活を支える基本的品目や、島しょの産業を支える魚介類、テングサなどの特産品を対象に補助を行っておりまして、対象品目に新たにガソリン等を加えることは難しいと考えております。
○小竹委員 島民の生活に必要なものということで今の品目が決まっているわけですけれども、やっぱり今必要なんですよ。だって、島の皆さん、送り迎えするのだってガソリンを使わなきゃならないから。
昔は、大型船が朝一回来るのの送り迎えということだったけれども、今、ジェットフォイルで何回も行き来しなければならないというふうな状況も含めると、切実な要求でもあります。これは島の支所長さんも含めて強い要望として出されているので、ぜひ今後の検討の品目に含んでいただくように、強くこれは求めて、終わります。
○斉藤港湾局長 今回の燃油高騰に伴います補助率の引き上げにつきましては、地元町村からの十五品目についての緊急要望ということで、港湾局としては即座に対応したということでございます。
それから、先ほど来、小竹先生の方から伊豆七島の島しょの整備についていろいろお話がございましたが、今回の資料要求の五ページに、島しょにおける整備費の年度の執行額を示してございます。おおよそ二百億円ほどが執行されてございますが、港湾局の対象事業は、新島、式根島だけじゃなくて伊豆七島全般にわたっています。それで、例えば御蔵島については、基本であります一島二港方式をとれない状況でございまして、現在、突堤を百八十メートル根っこから延ばすようなことで、本船がやっと着けるようになっている。それでも荒天時には着けないというのがございますので、したがって、その島の要望をそれぞれ受けながら、その中のプライオリティーをつけて、どの順番でやっていくかということで進めてございます。
また、進めた後に、整備した後に、そういう波の問題だとか、うねりの問題があるところについては、それもその後にちゃんと意見を聞きながら、要望を聞きながら、漁組とか関係業界、村、聞きながら進めてございますので、しっかりと今後も、島民の方々の生活が守られるように頑張ってまいります。
○大西委員 臨海副都心について少し伺います。
資料要求をして、それを見たんですが、いただいた資料を見るだけではなかなか理解に苦しむもので、ちょっとお聞きしたいと思います。
いただいた資料一一ページの臨海副都心地域の土地処分実績を見ると、処分価格にばらつきがあります。所在地、面積、価格、処分条件、底地売却、地上権等、いろいろ苦労の跡があるわけなんですけど、これを含めて、ざっくりとどういうふうに考えればいいのか伺います。
○長谷川参事 要求資料についてでございますが、資料にございます売却、長期貸付、所管替え、底地売却、地上権設定のいずれの場合におきましても、その基本となる土地価格は、外部の専門家等から成る財産価格審議会の評定等により、最寄り駅からの近接性や容積率などに基づき適正に評価されたものでございます。
土地価格が所在地や処分条件により異なるのはもとより、取引件数の多い少ないが、その時々の市場動向により影響を受けるため、年度により土地処分実績の金額にばらつきがございますが、平均的には土地処分が着実に行われていると考えます。
特に、臨海副都心の核となる青海地区北側につきましては、暫定利用状況やインフラの整備状況を踏まえ、平成十九年度より三期に分けて公募をすることとしており、需要動向にも留意しながら、目下、順次土地処分に取り組んでいるところでございます。
○大西委員 土地処分は着実に行われているというのが今の考えだということだと思います。
次に伺いますが、臨海副都心開発事業は、平成二十七年をゴールに事業が進んでいると聞いております。最新時点で、公有地、売却済み、借地、暫定利用等の内訳を整理しつつ、現状をどうとらえているか、お聞きします。
○長谷川参事 臨海副都心の開発の現状ということでございますが、臨海副都心の開発面積四百四十二ヘクタールのうち、道路、公園、シンボルプロムナード等の公共施設面積は二百三十二ヘクタールでございます。
有償処分面積は百三十九ヘクタール、そのうち処分済みは九十七ヘクタールであり、内訳は、売却等五十ヘクタール、長期貸付四十七ヘクタールでございます。また、未処分の土地のうち暫定利用中の土地は十二ヘクタールでございます。
現在、進出事業者が決定している土地を含め、百十二ヘクタール、有償処分面積の八〇%の処分が決まっており、平成二十七年度のまちの概成に向けて着実に開発が進んでいると考えておるところでございます。
○大西委員 これについても着実に開発が進んでいるというのがお答えだと思います。
臨海副都心開発に費やされた累積の公的資金、一般会計、特別会計、それと収入、売却、賃貸をざっくりと示していただきたいと思います。
○藤原臨海開発部長 臨海副都心開発におきましては、広域交通基盤や地域内都市基盤に関しまして、平成十九年度末に約九割の整備を完了しているところでございます。
この平成十九年度末までに臨海副都心開発に都が投資した資金は、約一兆三千九百億円でございまして、そのうち臨海会計が約一兆一千九百億円、一般会計は約二千億円でございます。
また、土地処分等の収入は、平成十九年度末までの累積で約七千七百四十億円となっておりまして、その内訳といたしましては、売却等の処分で約六千百三十億円、長期貸付等で約一千六百十億円となってございます。
○大西委員 要求した資料をどのように読むかということをちょっとお聞きしてきたわけなんですけれども、すべて順調に進んでいるという答えが返ってきております。
とはいえ、臨海副都心開発用地の埋立原価を土地処分等の収入で賄おうとするこの開発なんですけれども、この間長く月日がかかりまして、いろいろその間取り組みがなされたわけなんですけれども、やはりどう考えてもこの開発は相当の赤字をもたらしたと思うんですが、今それを港湾局としてどのように考えていらっしゃるのか伺います。
○藤原臨海開発部長 臨海地域開発事業会計についてでございますが、平成十八年三月に「臨海地域開発財政基盤強化プランの更なる取組み」を発表いたしまして、区画の弾力化であるとか、あるいは分割金利の引き下げなど土地処分を促進する取り組みや、臨海地域開発事業会計の収支試算をお示ししたところでございます。
現在、これに沿って土地処分等を着実に進めておりまして、収支のバランスは十分にとれるものと考えております。
○大西委員 収支のバランスはとれるというふうに考えているという答えだと思います。
きょうはちょっと聞くことはここまでにしたいと思うんですけれども、臨海副都心開発については、三会計統合や第三セクターの経営統合によって、特別会計の貸付金を解消したり、損失処理を行ってきました。未処分用地が次第に少なくなってくるにつれ、この開発の甘い見通し、行政計画の無責任さが、そちらは大丈夫だとおっしゃっていますけれども、やっぱりだんだん何となく、整理してくると、今後明らかになってくるのかなとも思っております。
相当額の一般会計を投入してきたのですから、都民が利用できる地域へと改善するとともに、開発をどのように検証するかというような、そういう取り組みも今後必要なんじゃないかと思っております。
といいますのも、もちろん長期にわたり、そして市場的な経済状況も考えながらということで、非常に難しい開発ということは承知していますが、そのとき、そのときで、ある意味合わせてきたものがあります。
しかし、これは何といっても税金が使われた開発であるわけですから、本当にこういう長期にわたる公共事業を進める局として、やはり一定の検証というものが必要なんだろうなということで思っております。
それについては、それ以上のことを今回、私もちょっと用意はできておりませんので、次回にしたいと思いますが、そのように考えているということだけいって、終わります。
○清水委員 東京港の問題で、三港連携や国際競争力強化ということで進められているのですが、その課題の中で、コストの削減ということを課題としているというふうに伺っています。しかし、コストの削減が港湾労働者の犠牲によって進められるとするならば問題だというふうに考えますが、都はどのように港湾コスト削減を進めようとしているのか、お伺いいたします。
○江津港湾経営部長 港湾の国際競争力を強化し、基幹航路を維持拡大し、首都圏四千万人の生活と産業を支えるためにも、港湾コスト低減は重要であると認識をしております。
港湾コストの低減につきましては、貨物取扱量をふやし、コンテナ一個当たりのコストを低減することを基本としており、東京都といたしましては、取扱貨物量に応じて施設使用料の減免を行うインセンティブ制度の導入などにより、貨物集荷力の向上を進めているところでございます。
また、港湾コストには、荷役作業料金のほかに、入港料等の船舶関連費用やターミナル費用がございます。これまで、国際港湾特区の提案などを通じて、各種規制の緩和や水先料金の改正等について国に働きかけを行うとともに、ターミナル運営の共同化の推進などにより、コスト低減に官民を挙げて取り組んでいるところでございます。
○清水委員 きちんとしたルールに基づいて今後とも進めていただきたいというふうに思います。
昨年、私はガントリークレーンの事故について取り上げました。港湾における事故は特に大事故につながる可能性もあります。その事故の起きたガントリークレーンについては対応をされたようですけれども、その後、整備や点検をどのように進めているのか伺います。
また、老朽化したガントリークレーンの交換についてはどのように進めていく予定なのか、お伺いいたします。
○江津港湾経営部長 ガントリークレーンの維持管理は、効率性や安全性の確保のため、作業開始時及び終了時の点検や月例点検、年次点検などを計画的に実施し、補修等を励行しております。
また、月例点検時には、金属疲労の早期発見対策として、特殊液剤を使用した非破壊検査を加えて検査を行っております。
クレーンの更新につきましては、予防保全の観点から計画的に更新をすることにしており、今年度は、公共ふ頭クレーン二基について既に製作を発注したところでございます。
○清水委員 港湾のこういう機械だけでなくて、整備点検はきちんと行っているけれども事故が起きたり、そうした思わぬことも起きるということが相次いでおりますので、ここの場合の問題も、本当に港湾の事故というのは極力、整備点検を強化して、避けていただきたいというふうに思います。
二十四時間フルオープンに伴う労働者の福利厚生施設の充実も必要だというふうに考えますが、どのように取り組んできたのか、お伺いいたします。
○江津港湾経営部長 東京都は港湾管理者の立場から、港湾の二十四時間フルオープン化の進展に対応しまして、福利厚生施設の充実に取り組んできました。
これまで、二十四時間対応施設としてコンビニ型売店を六カ所整備してまいりました。また、休憩所につきましては、各ふ頭に合計二十九カ所設置をしており、このうち十一カ所を二十四時間対応施設として運営をしておるところでございます。
○清水委員 労働者にとって、職場と住宅、接近しているということは重要な課題であります。特にこうした二十四時間の仕事をされているところというのは、交通の足がないわけですから重要になってきているわけですが、東京港における港湾労働者の宿泊所の設置状況はどういうふうになっているのか伺います。
○江津港湾経営部長 港湾労働者の宿泊所の設置状況でございますが、東京都はこれまで、芝浦地区に二カ所、品川地区に一カ所、宿泊定員五百九十九名の宿泊所を設置しており、また、財団法人東京港湾福利厚生協会が辰巳地区に八棟、約四百戸の家族住宅を設置しております。
○清水委員 宿泊所の設置というのは、今のご答弁のように、何カ所か整備されているようですが、補修工事なんかされているようですが、労働者の強い要望としては、宿泊所というのではなくて、やはりきちんとした住宅というものも要望としてありますので、今後検討をお願いしたいと思います。
港湾施設がどんどん沖合に拡張されています。大井、青海ふ頭における福利厚生施設の充実強化が求められておりますけれども、都では検討されているのか、お伺いいたします。
○江津港湾経営部長 大井地区におきましては、本年四月に大井サービスセンターをリニューアルし、二十四時間営業のコンビニ型売店と休憩所の整備を行ったところでございます。
また、青海地区では、平成十七年度末に売店を拡張し、二十四時間型のコンビニ型売店を整備するなど、施設の充実を図っております。
○清水委員 コンビニ型売店というだけでなくて、生活できるような、もっと複合的な施設なども建設することを要望されていると思います。二十四時間がこれからずっと続くというふうには考えたくはないんですけれども、またこれも見直していただきたいんですけれども、今現在やっている二十四時間のフルオープンという点では、ぜひ労働者にしわ寄せをさせない施設づくりをしていただきたいというふうに思います。
そして、各ふ頭エリア内の台切りシャシーの放置の状況というのは、有明地区は改善されたというふうに聞いておりますが、道路の渋滞が慢性化している大井地区での整備が必要だと思いますけれども、どうでしょうか、伺います。
○江津港湾経営部長 有明地区や大井地区を初めとする東京港内での台切りシャシー対策については、追突事故等の重大な事故につながるおそれがありますので、地元の事業者、警察など関係者とともに放置対策に取り組んでまいりました。
このうち、台切りシャシー対策を含む大井地区の交通対策については、既に、コンテナ車両専用レーンを設置するなどさまざまな取り組みを行い、大井地区全体の円滑な交通の確保に努めてまいりました。
また、本年六月には東京税関大井出張所隣接地に時間貸し駐車場を整備し、放置シャシーの抑制を図るとともに、ターミナル事業者や陸運事業者との合同によるパトロールを実施するなど、通行帯の確保を進めてきております。
○清水委員 現在の整備の状況を見ながら、抜本的に効果が上がるような対策を行ってほしいということを要望して、質問を終わります。
○岡崎委員長 お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡崎委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十八分休憩
午後三時二分開議
○岡崎委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
これより産業労働局関係に入ります。
事務事業に対する質疑及び報告事項の聴取を行います。
事務事業については既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○塚田総務部長 去る十月十六日の当委員会でご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の資料1、経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次でございます。資料は全部で十八項目ございます。
一ページをお開きください。新銀行東京の旧役員について、就任及び退任の時期等をお示ししたものでございます。
一ページは、新銀行東京発足から委員会設置会社移行までに在籍した役員、二ページ及び三ページでは、委員会設置会社移行後に在籍した役員をお示ししてございます。
四ページは、新銀行東京、都派遣職員でございます。
これは、新銀行東京に派遣された東京都職員につきまして、派遣期間、職務内容等をお示ししたものでございます。四ページと五ページには、新銀行東京発足から本格開業いたしました平成十七年七月までの間に派遣された職員を、六ページには、平成十九年六月以降に派遣された職員をお示ししてございます。
七ページをお開きください。東京都と新銀行東京との連携状況をお示ししてございます。
事項別に、実施期間とその内容、実施状況をお示ししております。公共工事代金債権信託につきましては、九月からは都の監理団体の発注工事へも取り扱いを拡大しております。
八ページから一〇ページまでが、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去十年間の予算、決算の推移をお示ししてございます。
一一ページをお開きください。都内製造業の推移をお示ししてございます。
平成十七年における全都の工場数は約四万五千所、製造品出荷額等は十一兆九百億余円でございます。
一二ページでは、都内小規模小売店の推移をお示ししてございます。
平成十九年における商店数は速報値で約十万一千店でございます。
次に、一三ページと一四ページは、過去十年間の中小企業制度融資の目標と実績の推移でございます。
一四ページでございますが、平成十九年度の実績は、下から三段目の合計欄にありますとおり約十六万一千件、一兆九千六百億余円でございます。
一五ページは、雇用形態別の有業者数と推移でございます。
平成十九年は、平成十四年と比べ、特に派遣社員、契約社員、嘱託が高い伸びを示しております。
一六ページでは、新・元気を出せ商店街事業の事業開始以降の実績をお示ししてございます。
一七ページは、過去五年間の都立職業能力開発センターの応募状況と修了者数、就職率をお示ししてございます。
平成十九年度は、下から三段目の欄にありますとおり、定員六千二百五人、応募者数九千百四十六人、修了者数四千三百三十四人、就職率七四%となっております。
一八ページは、過去十年間の都立職業能力開発センターの廃止した科目と委託した科目の状況でございます。
技術革新やニーズの変化等に合わせて科目の見直しを行い、平成十一年度から平成二十年度までの十年間で七十九科目を廃止し、十二科目を委託化いたしました。
一九ページでは、都内の障害者雇用率の推移をお示ししてございます。
表の一番右をごらんいただきますと、民間企業の障害者雇用率は、徐々にではございますが上昇しております。民間企業で雇用される障害者数は平成十九年に初めて十万人を超えました。
二〇ページと二一ページは、東京都シルバー人材センター及び東京都はつらつ高齢者就業機会創出支援事業の実施状況でございます。
二〇ページで東京都シルバー人材センター、二一ページで東京都はつらつ高齢者就業機会創出支援事業の実施状況をお示ししてございます。
二二ページは、過去十年間の労働相談情報センターの労働相談件数、出張労働相談件数、あっせん件数、解決件数、職員数の推移をお示ししてございます。
二三ページは、平成十九年度特定施策推進型商店街事業中のフラッグ掲出に係る経費等の状況でございます。
二四ページは、産業労働局が所管する各種審議会の開催状況についてお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○岡崎委員長 説明は終わりました。
次に、理事者から新銀行東京の刑事告訴について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○中村金融監理室長 質疑に先立ちまして、新銀行東京をめぐる一連の詐欺事件につきまして、私の方から一言説明を申し上げます。
お手元の資料2、新銀行東京のニュースリリース、警視庁への告訴状の提出についてをごらんください。
去る十月二十七日、新銀行東京は、融資先関係者及び元行員を詐欺の容疑で警視庁に告訴いたしました。
新銀行東京は現在、開業後の経営悪化の原因等について外部調査を実施するとともに、過去の融資案件に関しても、その内容に疑義のあるものにつきましては徹底した社内調査を行い、法的措置を含めた対応を実施してまいりました。
今回の告訴の対象となった融資案件は、旧経営陣のもとで実行されたもので、社内調査の中で詐欺の疑いが強いと判断されたため、平成二十年三月に新銀行東京が警視庁に、告訴を前提として捜査を依頼したものであります。新銀行東京もこれに全面的に協力してまいりました。
その結果、詐欺の事実とともに元行員の関与も明らかになったため、本件詐欺を行ったと見られる融資先関係者と元行員を告訴したものです。
現在までに、警視庁捜査第二課は、新銀行東京の元行員ら八名を逮捕しております。また、昨日、東京地方検察庁は詐欺罪で元行員ら六人を起訴しております。
新銀行東京は、引き続き捜査当局に協力するとともに、今後とも、過去の融資案件につき疑義のあるものについては積極的に調査を進め、厳正に対処することとしております。
今回の件は、旧経営陣のもとで起きた元行員の個人的な行為ではありますが、銀行業務でこのようなことが起こることはあってはならないことであり、極めて遺憾であります。都民並びに都議会の皆様方にご心配をおかけしたことに対して、深くおわび申し上げます。
以上で新銀行東京関係の報告事項の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○岡崎委員長 報告は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○鈴木委員 私からは、まず緊急保証制度についてお伺いさせていただきます。
我が国は今、新たな危機に直面をしています。サブプライムローン問題に端を発した金融不安が実体経済にも多大な悪影響を及ぼし、世界同時不況ともいうべき状況となりつつあります。日本を代表する世界企業ともいえるトヨタ自動車でさえ、大幅な減収を見込まざるを得ない状況に追い込まれております。
国内では、建設、不動産業を中心に上場企業の倒産が続く中で、金融機関の体力低下による信用収縮が起こり、我が国経済はさらに厳しい局面を迎えるのではないかと、国民、都民にも不安が広がっております。
このような厳しい経営環境のもと、東京の経済活力の源泉たる中小企業がその活力を十分発揮できるようにすることは、我が党にとっても喫緊の課題であります。
東京都は、こうした重大な政策課題にいち早く対応するため、制度融資の拡充と新たな設備リース制度の創設を盛り込んだ緊急中小企業支援、雇用対策を第三回都議会定例会に提案し、議決後、直ちに実施に移しました。
一方、政府は、安心実現のための緊急総合対策に基づく補正予算を編成し、原材料価格の高騰に苦しむ中小企業を支援する緊急保証制度を十月末日から開始いたしました。
我が党は、こうした政府の動きに対応して、東京の産業界の皆様の声を代弁すべく行動してまいりました。九月には、国に対する中小企業支援に関する緊急要望書を提出するとともに、我が党の幹事長と政調会長が中小企業庁、政府高官に面会して直接要請を行い、東京の地場産業である印刷業、全国的に見て特に東京に集積をしている小売業、飲食業など幅広い業種を指定することを強く求めてまいりました。
その結果、実現に至ったこの緊急保証制度では、制度を利用できる指定業種が、それまでの百八十五業種から約三倍の五百四十五業種へと大幅に拡大され、さらに今月十四日からは、情報サービス業や広告業などのシステム製造、電子部品系といった都市型産業を新たに加え、六百十八業種へと拡大が図られました。
我が党は、東京の産業実態に合った緊急保証制度の実現に向けて、こうした取り組みを続けてまいりました。都としても、国に働きかけるなど、いろいろな面で努力をされてきたものと思いますが、この間、業種の指定拡大及び中小企業がこの緊急保証制度を十分に活用できるようにするために、どのような対応を行ってきたのか、取り組みの状況についてまずお伺いいたします。
○保坂金融部長 緊急保証制度が十分な効果を発揮するには、東京の産業特性を踏まえた業種の指定が行われることが重要であると認識しております。
この間、都議会自由民主党として、国に対し業種拡大を強く働きかけていただいたところでございますが、都としても、東京に集積する産業である印刷業や電気メッキ業、金属熱処理業などの業種を追加指定するよう、九月二十二日付で国に対する緊急要望を行ってまいりました。その後、これらの業種については追加指定を受け、緊急保証制度の利用が可能となっております。
また、十月三十一日の緊急保証制度の開始に合わせ、緊急保証制度に対応した経営緊急を新たに設置し、制度融資の最優遇金利で、小規模企業者には保証料の二分の一を補助し負担軽減を図る、都独自の対応を図っているところでございます。
○鈴木委員 制度開始後、大変に多くの中小企業の皆様からの申し込みが都内区市町村の窓口に殺到しております。私の大田区では、十一月の十三日には、大勢の来庁者に窓口が対応し切れず、午前九時から受け付けを始めましたが、一時間後の十時過ぎには受け付けを打ち切らざるを得ないほどの混雑が生じております。私の事務所にも、朝七時半から並んだというような声も寄せられております。
そこで、融資の実行を着実かつ迅速に進めるため、我が党は都に対する緊急要請を行いました。その後、東京都は我が党の要請を受けて、融資相談や認定実務に当たる専門家として、中小企業診断士を区市町村の窓口に相談員として派遣する支援策を実現いたしました。この支援策により、東京都はどのような対応を講じ、円滑な融資の推進のためにどのような取り組みが進められているのか、状況についてお伺いいたします。
○保坂金融部長 緊急保証制度に係る、売上減少等の要件を満たすことの認定を受けるため、都内区市町村の融資窓口に中小企業からの申し込みが殺到していることから、緊急対応として、社団法人中小企業診断協会東京支部と連携し、都の委託事業として、中小企業診断士の年内の派遣を開始したところでございます。
具体的には、区市町村に対し待ち時間や処理時間などの現状調査を行い、その結果をもとに、緊急性の高い自治体から順次中小企業診断士を派遣していくことといたしました。
十一月十四日に第一陣として八名の診断士を八区に派遣したところであり、都内区市町村における融資相談や認定事務の迅速な処理に貢献しております。
なお、きょう現在でございますけれども、二十一の区市町に拡大いたしました。
派遣人員につきましては、今後、調整がつき次第、順次増員を図ってまいります。
○鈴木委員 今、二十一ということで、順次増員を図っているということですけれども、現状調査もぜひしっかり行っていただきたいと思います。
中小企業の業績は今後ますます悪化することが予想されます。社団法人中小企業診断協会東京支部としっかり連携をとり、さらにスピーディーな対応をとり、認定や融資相談実務が遅延することがないよう、しっかりと窓口業務をサポートしていただきたいと思います。それと、中小企業診断士さんのしっかりとした目が、悪質なブローカーの暗躍を抑止できるというふうにも聞いております。
また、年末、年度末を控え、資金繰りの悪化が懸念されております。また、緊急保証制度の対象に指定されていない業種に属する中小企業もまだ多数残っております。
今後、東京都はどのような対応を講じていくのか、所見をお伺いいたします。
○保坂金融部長 現在、緊急保証制度で指定されていない業種には、東京に集積する電子デバイス製造業、理容・美容業を含むサービス業などの業種がございます。これらの業種は東京の産業に大きな位置を有していることから、これから、残された業種を含め、より幅広い業種を追加指定するよう、国に対する緊急要望を行ってまいります。
また、資金需要が高まる年末に向けて、区市町村の窓口で円滑に認定、融資業務が推進されるよう、中小企業診断協会や信用保証協会などの関係機関とも連携して万全を期してまいります。
○鈴木委員 いよいよ年の瀬を迎えようとしております。従業員のボーナスを支払うための運転資金や、中小企業への貸し渋りや貸しはがしも予想されている中で、年度をまたいでの資金繰りへの対応など、産業労働局を挙げて、東京の中小企業、町工場を支えるべく全力を挙げて対応していただきたいと思います。私たち東京都議会自由民主党も、この未曾有の危機を乗り切るために、しっかりと協力をさせていただきます。
そう申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、新銀行東京についてお伺いいたします。
新銀行東京は現在、経営再建に向けてさまざまな取り組みを行っていると聞いておりますが、そのような状況の中で、設立目的である中小企業支援を着実に実施していくためには、都と連携した取り組みを進めていくことが大変重要であると考えております。
そこで、東京都と新銀行東京との連携について幾つか質問をさせていただきます。
新銀行東京は、普通銀行であるとともに、信託機能を有する信託兼営銀行であるという大きな特色を持っております。この信託という仕組みを用いることにより、非常に幅広い商品設計が可能になると思います。今や多数の方々にその利用が浸透するようになった投資信託や年金信託、公益信託、さらには知的財産権の信託、二酸化炭素の排出権の信託に至るまで、市中の信託銀行においては、時代のニーズにマッチしたさまざまな商品が開発されております。
このように多様な機能を持つ信託でありますが、信託の機能を生かして東京都がこれまで実施してきた取り組みについてお伺いいたします。
○櫻井金融支援担当部長 東京都がこれまで、信託の機能を生かし、金融機関を通じて実施してきた事業といたしましては、都有財産を有効に活用する土地信託や、CLOにおける中小企業に対する貸付債権の信託化などの例がございます。
また、新銀行東京と都は、連携して、公共工事代金債権信託を実施しているところでございます。
○鈴木委員 新銀行東京の公共工事代金債権信託については、現下の不況感が増大する中で、特に建設業においては、原材料の高騰や大幅な受注減少などにより厳しい状況が続いており、資金繰りに苦しむ中小の建設事業者から、非常に助かっているという声を聞いておりますが、その内容について詳しくお伺いしたいと思います。また、これまでの実績についてもあわせて伺います。
○櫻井金融支援担当部長 公共工事代金債権信託は、新銀行東京が平成十七年十二月から実施している商品でございまして、都が発注した工事について、受注業者が本来であれば完成後に受け取ることができる工事代金を、新銀行東京に債権譲渡して信託化することによりまして、工事の進捗状況に合わせて、工事完成前に得られるようにするものでございます。
都といたしましては、この制度が中小企業の新たな資金調達の道を開き、中小企業支援という都の施策に合致することから、受注業者の申請に基づき、工事請負代金債権の譲渡の承諾をすることといたしました。
新銀行東京は、この公共工事代金債権信託の取り扱いにつきまして、今年度途中から、東京都発注工事に加え、都の監理団体四団体の発注工事に拡大したところでございます。
また、これまでの実績でございますが、平成十七年度から十九年度までの各年度におきまして、件数はそれぞれ三十三件、百十五件、百四十三件と、また実行額はそれぞれ二十億二千三百万円、五十一億一千万円、六十四億七千百万円と増加しているところでございます。
○鈴木委員 ただいまの答弁からも、公共工事受注者に対する支援の取り組みが着実に進んでいるということがわかりました。その点については、新銀行東京の努力を評価したいと思っておりますし、ますますこの点について取り組んでいただきたい、こういうふうに要望しておきたいと思います。
さらに、この銀行の持つ金融機能を都民生活に生かすという意味では、例えば不動産価値を活用したリバースモーゲージも考えられるのではないかと思います。このリバースモーゲージは、武蔵野市で実施されるなど行政とのつながりがあり、民間金融機関においても同様の商品が取り扱われているとも聞いております。
そこで、民間金融機関におけるリバースモーゲージの内容と取り組み状況についてお伺いいたします。
○櫻井金融支援担当部長 リバースモーゲージは、高齢者が、自宅に住み続けながら、持ち家を担保に生活資金の融資を受けることができる仕組みでございます。いわゆるバブル経済時には多くの信託銀行などが商品を展開しておりました。
なお、主に土地を担保とすることから、一定の資産を保有する人が融資の対象となります。また、貸出期間が長期にわたるため、不動産担保価値の下落リスクや金利の変動リスクが大きいという課題もございます。
○鈴木委員 今答弁のあった民間金融機関の取り組みは、富裕者向けというんですか、お金持ち向けのサービスでもあり、課題もあるというふうに、そんなような印象も受けますけれども、武蔵野市での実施事例を聞いたところ、金融と福祉が一体化した武蔵野方式とも呼ばれるものでありました。これは、市の福祉公社の会員サービスと金融機能を組み合わせたもので、福祉サービスと融資の双方を受け取ることができます。
このような福祉的なサポートとタイアップしたリバースモーゲージなど、新しい視点から新銀行の機能を都政に活用することも可能なのではないでしょうか。新銀行の経営資源をフルに活用して、東京都の重要な施策の実現に向けて、新銀行東京の一層の活用を検討し、再建への道筋に生かしていただきたいと思います。
最後に、現在、国会では金融機能強化法改正案の審議が行われており、その中で新銀行東京の取り扱いが議論となっておりますが、そもそも金融機能強化法を改正する趣旨はどのようなものなのか、お伺いしたいと思います。
○櫻井金融支援担当部長 世界的な金融危機のもとで、我が国の中小企業は非常に厳しい状況に置かれております。こうした状況を踏まえ、中小企業への貸し渋りを防ぎ、民間金融機関が円滑な資金供給を行うことにより、地域経済の活性化につなげることが喫緊の課題となっております。
このため、国の資本参加による金融機関の資本基盤の強化を通じまして、中小企業に対する信用供与の円滑化など、地域経済に対する適切な金融仲介機能を発揮する趣旨から、金融機能強化法の改正案が今国会に提出されているものでございます。
○鈴木委員 先ほどもお答えをいただきましたが、現下の厳しい経済情勢を克服するためにも、国の緊急経済対策に相まって、東京都としても、制度融資の拡充など、中小企業への積極的な支援に取り組んでいるところであります。
今、改正案の趣旨について説明がありましたが、中小企業支援を確実なものとするためには、一日も早く金融機能強化法改正案を成立させ、中小企業を支える地域金融機関を盤石とすることが求められていると考えます。
新銀行東京は、一万一千社、一千億円を融資し、中小企業を支えているわけであります。今国会における法改正案については、新銀行東京に絡めて政局にするのではなく、一刻も早い成立を望むことを意見表明させていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○増子委員 私からは、商店街振興、制度融資、派遣労働などについて伺いたいと思います。
まず初めに、商店街の振興について伺いたいと思います。
都内の各地域、私の地元ももちろんそうですが、商店街などでいろいろ企画、実施されているイベントについては、地元の自治会とか、あるいは教育機関とか、場合によっては企業とか、いろんな形で連携したり、協力したりしながら行われていると思います。
私のところの地元でも、幾つかの商店街のイベントにお邪魔しますけれど、例えば学校の校庭を使って、学校の皆さんと一緒にやったりというようなこともあったりして、そういうときは、ある場面で子どもたちが吹奏楽を披露したりとか、そういうような子どもたちの発表の場としても使われていたりとか、ある商店街では、子どもたちに農村体験をさせようということで、田植えをしたり、草刈り、稲刈りということで何回も行きながら農業体験をしたりとか、あるいは食育をしたりとか、相手先の県の町とか村とかと交流したりとか、いろんなことを、それ自体はイベントの対象じゃないかもしれないけれど、組み合わせながらやっているということで、皆さんの話を聞きますと、結構参加している人たちも--普通、単体のいろんな青少年団体とかいろんな方が、いろんな補助金でいろんな行事をやるけれど、単体でやるより人がたくさん集まるから、子どもたちも発表するときに、何となく皆さんの前で発表できるというような声も聞きますし、さっきいったようにいろんな体験ができるというようなことで、実は当初想定していた以上の副次的な効果が出てるんじゃないかなと、私はそういうふうに最近思っています。
こういう商店街のイベントというのは、地域全体を巻き込んだ広がりのある事業になっていて、地域のコミュニティの発展ということについても、私は大いに貢献していると思うし、最初よりだんだんそうやって広がっていっていて、事業の成果が思った以上に出ているんじゃないかなというふうに評価をしている一人でございます。
一方、イベントをやっている人たちから、新・元気を出せ商店街事業ということで、当然東京都から三分の一、区市町村から三分の一と、支援をもらいながら事業をやるわけですけれど、やるに当たって、もう少し使い勝手がよくならないかな、その事業が、ということで、そういった声を聞くようになりました。
基本的に、例えば消耗品なんかもそうですけれど、イベントでの使いきりというのが基本ですよね。将来財産で残るようなものとか、そういうのは余り、基本的によくないんじゃないかということになっているというふうに思うんですけれど、そうはいっても、イベント、一回やって使いきりで、例えばスタッフジャンパーだとか、あるいははっぴみたいなものだとか、みんな、つくっているところも結構あるんだと思うんです。そういうもの、例えば第何回と、毎回、回数がわかって、第何回何とか祭りというのを毎年つくるのかというような話が出ると、それもちょっともったいないような気もするなという声も出ています。
そういう意味で、確かに、今まではなかなか補助対象にならないという声も聞いているんですけれど、さっきいったように、このイベント、もう六年目ですか、に入っていて、だんだん根づいて、あるいは根づかせるという目的もあるかなというふうに思っていまして、そういう意味では、ある程度実績があって、かつ、さらに一定の継続性が判断できるような、認められるようなケースというのは、複数年で使えるようなことにしていけたら、よりさらにこのイベント事業が、地域のいろんな事業として根づいていくのではないかなというふうな感じが私はしています。
そういう意味で、長い目で見て商店街が活性化していくことを考えれば、支援の方式というのも、そろそろ見直していただけるといいのではないかなというような感じがいたしますが、いかがでしょうか。
○三枝商工部長 新・元気を出せ商店街事業のうちのイベント事業では、イベントそのものを補助するという性格から、期間や場所等を含めまして使途が限定されているものでございまして、イベント終了後も継続して使用するものにつきましては補助対象といたしておりません。
なお、各区市町村がそれぞれの地域の実情に応じて補助対象のいかんを判断できますよう、補助金としての基本的な枠組みを踏まえつつ、現在、各自治体と意見交換をしているところでございます。
○増子委員 今、基本的には対象としてないけれど、意見交換をしているよということでしたら、各区市町村からは、そんなのしないでいいという声にはならないと想像できるので、ぜひそういった声もよく聞いていただいて、前向きに対処をしていただければありがたいというふうに思いますので、要望させていただきたいというふうに思います。
次に、今、都では、例えば安心・安全あるいは環境とか福祉とか、そういう特定施策に商店街が協力して取り組む事業を、特定施策推進型商店街事業として支援をしているというふうに思います。
実際にそれぞれ見てみると、アーケードの撤去ですとか、あるいは耐震補強だとか、またはソーラーハイブリッド型の街路灯を設置するだとか、そういう多額の事業経費を要するというものが、これは多分多いですよね。最高額一億二千万でしたかね。
実際には、この事業を商店街がやるとなると、自己資金ももちろん必要ですね。当然五分の一、もらうわけですから、必要なんだけれども、さらに、補助金を申請したりだとか、あるいは実績報告に係る書類作成をしたりとか、作業がかなり負担になっているという話も聞くことがあります。
具体的に、その事業が終わった後に、実績報告書類の作成に手間取って、補助金の交付を受ける時期が遅くなっちゃったというようなことも、そういった話を耳にすることもあります。その意味で、ぜひこういう状況を少しでも改善して、商店街が確実に事業に取り組めるように、補助金交付の迅速化に努めていただけるといいのではないかなと思うんですけれど、いかがでしょうか。
○三枝商工部長 特定施策推進型商店街事業の募集に当たりましては、これまでも商店街向けの説明会を開催し、申請に必要な書類の作成や補助金交付の手続等について周知をしているところでございます。
本事業を利用する商店街に対して、例えば実績報告書の記載例をより詳細に提示するなどいたしまして、引き続き補助金交付事務の円滑化、迅速化に努めてまいります。
○増子委員 ぜひ迅速化に努めていただけるとありがたいと思います。実際に、年度が変わって申請をして、交付が決定して、それで事業をする。その事業をする前後で、多分いろんな業者さんから、発注した請求が来て、それから実績を報告してから交付と当然なるわけで、その間に、長いところは多分半年ぐらいかかっちゃうんじゃないかなという気がして、本来負担すべき五分の一以外にも、その分借りておく、資金調達する分の金利がやっぱりかかっていくということがあるので、額が大きいだけに、その分もきっとかなり大きいだろうと。一億で数百万とかという感じになるのではないかと思いますので、そういった意味で、ぜひ補助金の仕組みを見直して、本当は、事業開始時に補助金の一部を支払ってあげられれば一番いいんだけれど、それは法の問題もあるというふうに聞いてますので、ぜひ商店街の負担がなるべく軽減されるように、ご要望させておいていただきたいというふうに思います。
それと、この特定施策推進型商店街事業の中で、特にLED街路灯を整備したというのを、最近よく実例があるので耳にするんですけれど、このLEDの街路灯は、今までの水銀灯などと比べて、消費電力の面でももちろんそうですが、電球の寿命も長いとか、いろんな面ですぐれている、加えてランニングコストの削減にもなるということもあって、商店街にとっては非常にメリットがあるなと、私なんかも思います。
そういう意味では、環境ということも考えれば、このような状況の中で、利用希望者の増加が見込まれるこのLED街路灯の設置に対する支援をより一層充実していくべきだと思いますけれど、いかがでしょうか。
○三枝商工部長 LED街路灯に関する支援実績でございますが、街路灯自体の設置と電灯部分へのLEDランプの設置、交換を合わせまして、昨年度の零件から、今年度現時点で十五件と大幅に増加をしているところでございます。
LED街路灯の設置は、商店街の活性化に加えまして、CO2の削減による地球温暖化防止にも資する取り組みでございまして、今後とも商店街の声に十分に耳を傾け、要望に確実にこたえられるよう努めてまいります。
○増子委員 これはもうぜひ頑張っていただきたいと思います。
今、環境にも寄与するということで、CO2削減、地球温暖化対策に非常に有効だというお話がございました。私もちょっと聞いたある商店街では、年間に四十二トンのCO2が削減できるというような成果も上がると見込まれるという話を聞きました。
この四十二トンというのは、年間で三千本の杉を植林したものに匹敵するのだそうで、だとすると、本当にこの効果は大きいなというふうに思いますので、そういった意味でも、ぜひ東京都は一層のPRをするとともに、もう一つ、できればですけど、五分の四、都が出しているわけですけれど、額が大きいので、五分の一も結構大きいんですね。一億だとすると、二千万あるわけでしょう。そうすると、その二千万というのもなかなか大きいので、そういう意味では、これ以上都が出すというわけにもいかぬのでしょうから、例えば区市町村に理解を求めていくというようなPRですね。どうしろということはいえないでしょうから、地方分権の時代なので。ぜひPRをして、そういったところの環境に対する寄与も大変大きいというご理解を、区市町村の方々にもいただけるようなPRの仕方をぜひお願いしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
これで商店街の質問は終わります。
次に、ちょっと制度融資について伺いたいと思います。
ことしに入りましてから、原油あるいは原材料価格が高騰して、景気の低迷が懸念されていましたけれど、この夏以降、アメリカ発の金融危機が一気に世界に波及しました。我が国では、建設、不動産業など、一部業種に対する貸し渋りや貸しはがしが横行しているとする、そういった指摘もあります。厳しい経済環境の荒波にさらされている中小企業にとって、目の前の資金繰りの確保というのは、本当に生命線だなというふうに思っております。
そういう厳しい状況の中で、信用保証制度の根幹にかかわる大きな政策転換が行われました。いわゆる責任共有制度の導入です。
国は、昨年の十月からこの責任共有制度を導入しました。これまで、信用保証協会が中小企業の債務履行については一〇〇%の保証を行ってきましたけれど、改正後は、信用保証協会と金融機関とが責任を共有して、中小企業の貸し倒れに対して、原則保証協会が八〇%、金融機関が二〇%負担する、そういうことですね。
この責任共有制度によって、両者が連携して、中小企業の皆さんに対する融資や経営支援など、より一層の適切な支援を行うことを目的として開始されたものだというふうには承知をいたしております。
国として、そういう政策効果をねらった上での改革だとは思いますけれど、制度の趣旨はともかくとして、これまでにこの制度によってどのような影響が出ているのか、ぜひ確認したいと思いますが、この責任共有制度の導入後、都の制度融資の実績はどのようになっているのか、その状況をぜひお聞かせください。
○保坂金融部長 本年九月末現在の全融資メニューの実績は、対前年同期比で件数が約七割、金額で約六割の水準となっておりますが、一方、責任共有制度の対象外となっている小口資金融資、一部が対象外となる経営支援融資の実績は大幅に増加しているところでございます。
○増子委員 今、件数、金額ともに大幅に落ち込んでいるけれど、対象外の融資については大幅に増加しているというお話がございました。今の説明からも、責任共有制度の対象となった融資については伸び悩んで、対象外の融資が実績が伸びているというふうに読み取ることができるのかなと思っていますが、この点については都はどのように認識をしておられるのか、伺いたいと思います。
○保坂金融部長 経営支援融資のうち、セーフティーネット保証の対象となる経営セーフは責任共有制度の対象外となっており、本年九月末現在の融資実績は、対前年同期比で、件数が七五四%増、金額で四八二%増であります。
この増加の要因といたしましては、国の不況業種の指定拡大により、対象企業数が大幅に増加したことが影響しているものと考えられます。また、制度融資においては、最優遇金利を適用し、小規模企業者に対する保証料補助を実施していることから、この独自措置もプラスに働いているものと考えられます。
○増子委員 いろんな要素があるということで、東京都としてはそういうことなのかもしれませんけれど、実質、指定拡大対象企業が大幅にふえて、そこの融資も大幅にふえているということですから、そもそも制度の問題もあるのかなと、私などは思ってしまいますね。
この原油あるいは原材料の価格高騰あるいはアメリカの金融危機の世界への波及など、今の状況というのは本当に厳しい状況があると思いますし、まさに、今、だれかが百年に一度といいましたけれど、緊急事態だというふうに思っています。
そういう深刻な認識を持って国が緊急保証制度を開始して、その後、責任共有制度の対象外となる業種をふやしてきているということですが、私はこの際、責任共有制度の対象外の拡大といった対策にとどまらずに、さらに踏み込んで、国に対して、都は責任共有制度そのものの廃止を求めるべきではないのかと思いますけれど、見解を伺います。
○保坂金融部長 責任共有制度は、信用保証協会と金融機関がそれぞれに責任を持って、中小企業の皆様への融資や経営支援などを行うことを目指しております。この制度の運用に関しては、既に小口やセーフティーネット保証など、幾つかのケースで責任共有制度の対象外となる保証を設けているように、経済情勢や金融市場の動向を踏まえ、国が情勢判断を行い、適切に対応するものと考えております。
○増子委員 もちろん国が情勢判断をして対応するべきものだというふうには、私もそれは当然、そういう制度だからそう思いますが、この情勢の中だと、少なくとも凍結ということがあってもいいのではないかなと、私などはそういうふうに思います。
先ほど来、鈴木理事さんの質問のときにも、都は拡大を目指すんだという話もありました。私も、実は業種のリストを取り寄せまして、これ、実は全部見させていただいたんですけれど、私の感じでいうと、私の地元なんかだと、例えば医療機械なんかが地場産業だったりしますが、そういったものもまだ入っていませんし、あるいは、特にサービス産業がほとんどだめですね。まだ入ってないという状態です。あるいは、医薬品の小売業とか調剤薬局なんかもまだ、これ見ると入ってませんし、実はこれ、ほかにもちょっと、しょうゆはいいけどソースはだめみたいなところもあったりとか、しょうゆの製造はいいけど卸がだめとか、いろんなところがあって、スポーツ施設もほとんどだめなんだけど、ボウリング場だけよかったりとか、これをいろいろ聞きたかったんですが、きょうは質問される方がたくさんいらっしゃるというので、細かいところは聞きませんが、今ちょっとざっとお話ししたように、特にサービス業だとか医療機械だとか、出版もそうですね、まだ入ってないとは思うんだけど、特に都心部、大都市に多い業種が、明らかかどうかわからないけれど、まだまだ外れているというふうに私は思いまして、先ほど拡大ということでしたけど、特に大都市に多い業種の指定拡大、これを強く求めるべきだと思っておりますけれど、その認識を伺いたいと思います。
○保坂金融部長 現在、緊急保証制度で指定されていない業種には、ご指摘のとおり、東京に集積する電子デバイス製造業、理容・美容業を含むサービス業などの業種がございます。これらの業種は東京の産業に大きな位置を有していることから、これら残された業種を含め、より幅広い業種を追加指定するように、国に対する緊急要望を行ってまいります。
○増子委員 ぜひ、これはもう、どこの会派にかかわらず東京の業種拡大を求めると私は想像しますので、お願いしたいと思います。この間から、五百四十五業種指定になったときに、中小企業のほぼすべてをカバーと経済産業省で出したんですけれど、その後六百十八業種になったときも、中小企業ほぼすべてカバーと全く同じ文章になっていて、すべてカバーになるように、ぜひご努力をお願いいたしたいと思います。
もしそれが、だんだん業種がさらに拡大していくということになると、都の制度融資全体についても当然考えなきゃいかぬのかなというふうにも思っています。都の制度融資については、都と信用保証協会と金融機関という三者の連携のもとに、これまで運営がなされてきました。もちろん大変効果的だとも思っていますし、予算執行の面でも効率的な施策だというふうに評価をさせていただきたいと思います。
実は、かねてから私も思っていたんですけど、私の地元の区なんかも、制度融資については利子補給をしているわけですね。その昔は、何とご丁寧に、利子補給をした上に預託金も預けていた時代があって、議会でも議論になったことがあるんですけれど、その両方でなくていいだろうというようなこともあって--どうなんでしょうね、区市町村は利子補給型の方がもしかしたら多いのだろうかと思ったりもしているんですが、都の制度融資は利子補給型でなくて預託金型。型って、私が勝手にそういっているだけなんですが、預託金型であると思います。利子補給はしていないということですが、都がなぜ利子補給でなくて、預託金型というのを採用しているのか、その具体的なメリットについて説明していただきたいと思います。
○保坂金融部長 預託金は、制度融資の貸出原資の一部となるものでありまして、一定期間、金融機関への無利子預け入れを行った後、預け入れ元本が全額歳入として都に戻ってくるシステムになっております。
金融機関は、預託金を原資に充てることで、資金調達コストを引き下げることができ、その効果により中小企業への貸出金利を引き下げることができます。
一方、利子補給は、金融機関が貸し出しを実行した後に、金利の一部を自治体が補てんするものでありまして、預託原資となる働きはなく、支出金額がそのまま財政負担となる面がございます。
○増子委員 今お話がありました、確かに元本を使わなくていいから、そういう意味では、直接税金を補給に投入しなくていいというメリットがあるんだというふうに理解させていただきまして、これはそれぞれのやり方なので、どちらがいいともちょっと即座にはいえないけれど、預託金の効果という意味では、今理解させていただきました。
そうであれば、逆に、今度は金利をどう設定していくかという話に当然なるわけで、いわゆる利子補給型だと、二・五パーだよと金融機関がいったところに、じゃあ、区が一パー出しますというと、一・五パーを中小企業の方が負担してくださいという、非常にわかりやすい仕組みになるんだけれども、預託金型ということであれば、より低利に誘導していくということが非常に重要だなというふうに思っています。
その意味では、これからさらに工夫をして、預託金の効果を発揮して、中小企業への貸し出しをするために、より低金利への誘導をしていって、そして、中小企業の皆さんが利用できるような方向で金融機関と連携して取り組んでいく、協議していくべきだというふうに思いますけれど、都はどのように取り組んでいくのか、所見を伺いたいと思います。
○保坂金融部長 制度融資の貸出金利は、原則として半年に一度、都と金融機関との協議を行い、資金メニューごとに金利の上限を定めております。次回の貸出金利見直しに当たっては、厳しい経済状況や金融市場の動向などを踏まえ、中小企業にとって利用しやすい金利の条件設定ができるよう、調整を進めてまいります。
○増子委員 ぜひ、より中小企業の皆さんが助かるように、低利誘導というのは積極的にやっていく必要があると思いますし、お願いしたいと思います。特に、当然、預託金を積むことで、そこから運用して低利に持っていくわけだから、しかも、今の話でわかったように、別に預託金そのものは元本を失わないわけなので、預託金をふやしていくということによって、より低利に誘導しやすくなるというふうに私は思いますので、これは要望でいいですけれど、ぜひその預託金の拡大も含めて、中小企業に資するように、よろしくお願いをいたしたいと思います。
次に、非正規労働者対策について伺いたいと思います。
派遣あるいはパート労働などの非正規労働者対策ですが、本当に今、下降局面にある中で、金融危機も世界規模への不況へと広がっているという中で、先ごろ発表された東京の九月の有効求人倍率も、一・一四倍と、前月から見ても〇・〇五ポイント下回って、七カ月連続低下というようなことになってしまっています。
報道によりますと、自動車メーカーなどでも減産を余儀なくされて、派遣労働者の契約の打ち切りが始まっているというようなことも聞きます。このように景気後退の影響を真っ先に受けるのが、派遣だとかパートなどの非正規労働者の方々だというふうに思います。
こういう中で、労働者派遣法の改正案が国会に提出されましたけれど、既に景気悪化を理由に派遣契約が打ち切りになっているなどという実態もあって、都の労働相談情報センターにはさまざまなトラブルが持ち込まれているんじゃないかなと思いますけれど、この労働相談情報センターで受けた相談件数と、そのうちの派遣関連の相談件数あるいは相談内容についてどういうふうになっているか、伺いたいと思います。
○小田雇用就業部長 平成十九年度の相談件数ですが、五万四千六百六十九件で、このうち派遣関連の相談は四千三百七件となっております。派遣関連の相談は、平成十六年度には千八百七十四件でしたが、この三年間で倍増しております。
派遣関連の相談内容を見ますと、派遣元と事前に交わした雇用契約の内容が、派遣先における実際の労働条件と違うことによるトラブルなど、労働契約に関するものが最も多く、次いで賃金不払いや解雇に関した相談が多く寄せられています。
○増子委員 派遣関連の相談件数が大幅に増加しているということだと思いますし、それだけ派遣労働者の皆さんが大変厳しい状況にあるんだなということが推察できると思っています。
また、現行の労働者派遣法で義務づけられている労働条件の明示が十分になされていないことで起きるトラブルも多いというふうに思いますが、こうした状況について都はどのように認識して、どういう対策を実施しているのか、伺いたいと思います。
○小田雇用就業部長 派遣労働では、雇用契約を結ぶ派遣元と実際に働く派遣先が異なることから、労働条件や処遇などの面で問題が生じることが多いため、派遣元と派遣先の企業は、責任者や相談窓口の設置など、法令等に定められた事項を遵守し、かつ実効あるものとすることが重要であると考えております。
このため、都では、労使を対象としたセミナーの開催や「派遣労働Q&A」などの普及啓発冊子を発行するなど、法令等の周知を図っております。特に、この十一月をパート・派遣・契約社員等の労働月間と定めまして、集中的にセミナーや労働相談会を実施しております。
また、国に対しては、労働条件の書面での明示等、労働者派遣法にかかわる指導監督を強化するように要望しております。
○増子委員 今お話がありましたけれど、国がやるべきことは、ぜひ国に対して引き続き強く要望してほしいと思いますし、都でできることは最大限やっていただきたいというふうに申し上げておきます。
この派遣労働では、派遣業者さんのマージンが大きくて、労働者への対価が十分でないのではないかというふうにもいわれています。景気の悪化が一層進めば、さらに賃金の影響が懸念されます。また、日雇い派遣については、社会問題化している、いわゆるワーキングプアの一因になっているという指摘もあります。
働く人の賃金については、セーフティーネットということで、地域別に最低賃金が定められていますけれど、こうした状況下で、当然、最低賃金の水準を引き上げていくということも重要なことだと思っておりますが、都内の地域別最低賃金は、今年度、七百六十六円ということで神奈川県と同額になりました。今後、来年あるいは再来年にも神奈川県と逆転しちゃうんじゃないかということも、どうもいわれているようでございますが、こうした状況について、今、東京都がどのように把握しているのか、伺います。
○小田雇用就業部長 地域別最低賃金は、最低賃金法により、労働者の生計費や類似の労働者の賃金に加えまして、生活保護との整合性にも配慮し決定することとされております。
平成二十年八月の中央最低賃金審議会の答申によりますと、都及び神奈川県の最低賃金は、どちらも生活保護の水準には達しておりませんが、神奈川県の生活保護費は都を上回っております。
来年度の最低賃金については、こうした状況も踏まえ、今後、国の審議会の審議を経て、国において決定されることになります。
○増子委員 もちろん国において決定されるというふうに思っていますし、今既に十二の都道府県ですかね、逆転しているということもあって、そこの解消が早急に求められるというふうに私は思っています。
生活保護以下水準というのは大変問題だと思っていますし、東京都と神奈川県の生活保護基準が、神奈川県が上回っているということで、私自身はそのこと自体に若干疑問がありますけれど、これはこの委員会の所管ではないので、ここではそのことについては質問はもちろんしませんが、この問題についていえるとすれば、実際にこれを守ると、ちゃんと守ってもらうということも重要なことです。
ですから、都としても、最低賃金がきちんと遵守されるように周知徹底を図るべきだと思いますけれど、所見を伺います。
○小田雇用就業部長 最低賃金法では、使用者に対し最低賃金額以上の賃金の支払いを義務づけており、その指導監督は国が行うこととなっております。
都としては、毎年改定される最低賃金額を周知するとともに、最低賃金の遵守について、労働セミナーや「ポケット労働法」などの普及啓発冊子を通じまして周知徹底を図っております。
○増子委員 その非正規労働者の方々の中で、もちろん雇用だとか生活が不安定だという状況から、一刻も早くその脱却を図りたいというふうに考えている方々がたくさんいらっしゃるだろうと思いますが、そういった正規雇用を希望する方々に対して東京都はどのような対策を講じているのか、伺います。
○小田雇用就業部長 都では、正規雇用を希望する方々に対しまして、東京しごとセンターにおいて、キャリアカウンセリングや職業紹介などの就業支援を行いますとともに、職業能力開発センターにおいて夜間の職業訓練を実施するなど、正社員への転換を支援しております。
特に、低所得者層のより安定した就業に向けた支援といたしまして、正社員への就職にチャレンジする意欲を持った方々に対し、職業訓練や就業相談、職業紹介を行います就職チャレンジ支援事業を実施しております。
また、三十代の年長フリーターなど就職氷河期世代に対し、第三回定例会で補正予算として議決いただいたネクストジョブ事業を緊急に実施しまして、正社員としての採用を支援していきます。
○増子委員 あと、パート労働者の方々については、平成二十年の四月一日に改正パートタイム労働法が施行されて、企業に対して、正社員への転換促進措置だとか、正社員との均衡処遇に向けた取り組みというのが求められていますね。
この改正法の周知について、きちんと企業にやってもらうということについて、都の対応を伺いたいと思います。
○小田雇用就業部長 都では、多様な働き方セミナーや労使向けのパートタイム労働ガイドブックなどの普及啓発冊子によりまして、改正パートタイム労働法の内容について周知を図っております。
また、先ほど申し上げましたとおり、十一月をパート・派遣・契約社員等の労働月間として、集中的にセミナーや労働相談会を実施しております。
さらに、労働相談情報センターに配置したパートアドバイザーが企業を直接訪問いたしまして、法令の周知に努めております。
○増子委員 大変厳しい経済状況の中ですので、ぜひこれ、きちんと徹底をされるように、その周知方をさらにお願いいたしたいと思いますし、このパート労働者の方々と非正規労働者の処遇改善については、当然、業務だとか職場の実態なども考えて、企業がみずから積極的に取り組まなければならないということですけれど、企業としても、なかなかこういう状況の中で厳しいということであれば、都としても、ぜひそうした企業の取り組みを促進するような支援というものが必要なのではないかなと思いますが、この企業の取り組み推進に対する支援、対策についてお聞かせいただきたいと思います。
○小田雇用就業部長 パート労働者など非正規労働者がその能力を発揮し活躍できる、働きやすい雇用環境をつくることは、企業が取り組むべき重要な課題でございます。このため、都では、パート労働者等の雇用環境の改善に積極的な中小企業を、トライ企業として、社会保険労務士などの専門家を派遣しまして、雇用環境の改善計画の作成を支援しております。
また、既に雇用環境の改善を図った企業の中で、特にすぐれた取り組みを行っています企業については、モデル企業として指定しまして、その取り組みを事例集やホームページなどで広く紹介することによりまして、企業みずからの取り組みを促しております。
こうした施策を通じて、引き続きパート労働者等の非正規労働者の雇用環境の整備促進に努めてまいります。
○増子委員 先ほどからお話が出ているとおり、今後さらに景気が悪化することも予測されているということもございます。
そういう中で、パートだとか派遣の皆さんの、いわゆる非正規労働者の労働条件にしわ寄せがいくというようなことが非常に懸念されますので、ぜひ、これまでやっていることも、さらに力を入れてやっていただくということも必要だと思いますし、先ほど最低賃金の話もしましたけれど、東京に働く人たちにとって本当にいいのかということも含めて、都としてもぜひ注視をしていただいて、さらなる努力を要望させていただいて、質問を終わります。
○高倉委員 それでは、四点ほどお伺いしたいと思います。
最初に、新銀行東京についてお伺いいたします。
先ほど報告もありましたけれども、先日、新銀行東京の元行員が詐欺事件で逮捕をされました。信用が第一の金融機関としては、あってはならないことであります。都民の貴重な税金により設立された銀行でこうしたことが起きたことは、決して許されることではないと思います。
私たち都議会公明党は、新銀行東京が警視庁の捜査に協力をし、違法な行為を行った元行員らを告訴し、逮捕に至ったことについては、当然のことと考えておりまして、不正行為に対しては今後も新銀行東京は厳正に対処すべきであります。
今回の事件に関しては、新銀行東京そのものを否定するかのような報道があることは、まことに残念な思いであります。とりわけ新聞報道では、都が作成したマスタープランに掲げられたスコアリングモデルによる審査システムや過大な融資計画などが、今回の事件を招いた大きな原因だともいわれておりますけれども、これについて都はどのようにお考えになっているのか、所見をお聞きしたいと思います。
○中村金融監理室長 お尋ねのスコアリングモデルについてでありますが、新銀行マスタープランで想定していた融資の審査方法は、スコアリングモデルで事業者の財務情報を入力した後、実地面談や実態調査など定性的な評価を行い、その上で融資の可否を判断するというものでございます。
しかしながら、実際の融資審査では、マスタープランに掲げられた実地面談や実態調査などの定性的な評価が適切に行われず、スコアリングモデルによる自動審査に過度に頼り過ぎたことが明らかになっており、そのことに問題があったものと認識しております。
今回の事件は、元行員の個人的な犯罪であるとともに、元行員の不正を防止できなかった銀行の内部管理の問題であると考えてございます。内部管理体制などについては、既に新経営陣のもとで見直しがなされたところでございます。
なお、今回の融資詐欺事件については、その後の警視庁の捜査の広がりにより、新銀行東京だけではなく、他の都市銀行にも被害が及んでいると報道されており、一日も早い全容の解明が求められているところでございます。
○高倉委員 ただいまの説明を聞きますと、他行でも同様の被害を受けたところであって、必ずしも新銀行東京に特有のことではないというようなことであります。これはまさに、これまで何度も議論になってきましたけれども、マスタープランをどのように運用してきたかという、経営者のかじ取りの問題であるといえるのではないかというふうに思います。
今回の事件は、元行員の個人的な犯罪であり、同時に銀行の内部管理の問題であるということの説明が今ありましたけれども、新銀行東京を監視する立場の都は、今回のことについて、新銀行東京に対してどのような対応をとったのか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 今回の事件はあってはならないことであり、したがいまして、都は、新銀行東京から告訴について報告を受けた後、直ちに今回の事件の経緯や銀行の内部管理体制、再発防止策について新銀行東京から報告を求めているところでございます。
○高倉委員 都は、新銀行東京に対して再発防止等についての報告を求めたということでありますけれども、新銀行東京では、新経営陣のもとで具体的にどのような対応をとってきたのか、このことについてご説明いただきたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京からは、速やかに報告がなされているところでございます。
その主な内容は、旧経営陣のもとで不十分であった法令遵守体制や融資審査管理体制などの内部管理体制の強化でございます。これらは既に実施済みでございますが、今回の事件を受けて一層の強化を図っているところでございます。
具体的には、新経営陣のもと、法務・コンプライアンス部門を独立させ、法令遵守体制の強化を図ってございます。また、融資の審査に当たっては、財務内容の評価のほか、経営者との面談や現地調査など定性的な評価の徹底を図るとともに、内部チェック体制の強化を図ってございます。
あわせて、コンプライアンス研修の充実や実際のデフォルト事例など、実践的な内容を記載した融資マニュアルを整備するなど、再発防止に努めているところでございます。
○高倉委員 新銀行東京は、再建に向けて今まさに大事な時期であろうと思います。今後も、不正行為には厳正に対処をすべきであると思います。また、今回の事件も含めて、新銀行東京の経営悪化を招いた旧経営陣に対する責任追及については、これまでも私ども都議会公明党が主張をしてまいりましたけれども、法的対応も含めまして厳正に対処していただきたいというふうに思います。
次に、二点目でありますが、緊急保証制度についてお伺いします。
先ほどもう既に質疑も行われておりますので、重なりのないように簡潔にお伺いしたいと思いますが、今回の緊急保証制度は、このたびのような金融非常時に苦しむ中小企業にとっては、まさに頼みの綱といってよい取り組みだと思います。
既に多数の申し込みが寄せられていると思いますけれども、これまでの受け付けや保証実行の状況について説明いただきたいと思います。
○保坂金融部長 十月三十一日の緊急保証制度開始以降、十一月十七日現在、東京信用保証協会では、保証申し込み一千九百六十八件、七百四十八億円、保証承諾一千六十五件、二百七十六億円の実績を上げており、申し込み、承諾とも日を追うごとに増加しております。
私ども都の金融課の窓口でも、平常時で一日三十件程度であったものが、制度開始以降、一日約百件に上る相談を受け付けております。
また、認定事務や融資の相談を受け付けている区市町村の窓口では、夜間窓口延長、休日出勤の措置をとるなどして、大量の申し込みや相談に対応している状況でございます。
○高倉委員 これから、年末あるいはさらにその先の年度末を控えて、中小企業の資金繰りの悪化が懸念されていると思います。この緊急保証制度を積極的にPRして、どんどん活用してもらうということが重要であると思います。
そこでお尋ねしますけれども、緊急保証制度を利用することによるメリット、それから、都の制度融資における独自の対応によって得られる中小企業のメリットについて具体的に説明していただきたいと思います。
○保坂金融部長 緊急保証制度によって、一般保証とは別枠で、無担保、有担保の合計で最大二億八千万円の別枠保証の利用が可能となっております。
また、制度融資の経営緊急を借り入れる場合には、預託金の効果によって最優遇金利の適用を受けることができることとなり、例えば三年の融資の場合には、年率一・九%以内の低金利での利用が可能となります。
さらに、三定の補正予算の議決を受けて、都は、制度融資の経営緊急を利用する小規模企業者に対し二分の一の保証料補助を実施しているところでございます。試算によりますと、二千五百万円を七年間借り入れた場合、必要な保証料は約八十六万円となりますが、二分の一の保証料補助により、約四十三万円の負担軽減が図られることになります。
○高倉委員 数多くの企業が助かっているという一方で、既に一部の利用者からは、緊急保証制度の拒絶について、いろいろと不満の声も上がっているというようなことも耳にしております。
例えば、過去に条件変更を行ったことがあるという事実を理由に保証を断られるというようなお話もあるようであります。この保証制度の効果を最大限発揮するために、より踏み込んだ保証に努めていくことが大事ではないかと思います。仮に拒絶になる場合でも、その理由を十分企業に説明し、次の保証利用につなげることができる、そのきっかけにできる、企業と保証協会との密接な関係が必要だと思います。
今後推進されるべき積極的な保証への取り組みということについて、都としてのご見解を伺いたいと思います。
○保坂金融部長 積極的な保証については、今回の緊急保証を推進する上で特に重要視されているところでございます。
例えば、二期連続の赤字を計上し、繰越損失を抱えていても、それだけをもって判断することなく、赤字の要因や取引先等からのさまざまな経営支援の有無などを広く、きめ細かく検証する必要がございます。その上で、企業の今後の業績や返済力の回復の見通しなどを総合的に勘案し与信判断を行うべきことを明記した保証方針が国から示されております。
こうした保証方針に基づき、信用保証協会や金融機関が、中小企業の状況を画一的に判断することなく、与信上プラスとなる材料をきめ細かく探し出すことによって、十分に踏み込んだ保証審査と融資が行われるよう、都としても努めてまいります。
○高倉委員 それでは、三つ目の質問でありますが、東京ジョブコーチ支援事業についてお伺いしたいと思います。
東京都内で雇用される障害者の方々の人数、これは昨年、過去最高の十万七千百五十八人に達しておりまして、実雇用率についても〇・〇二ポイント上昇の一・四六%と、五年間の連続上昇というふうなことになっておりますけれども、依然として法定雇用率の一・八%には達していない状況であります。
このため、障害者雇用の促進はまさに喫緊の課題ということでありまして、都においては、「十年後の東京」において、十年間で三万人以上の障害者雇用の増加を目指しているわけであります。
私としては、障害者の方々が、長い間、みずからの能力を十分に発揮して働いていただくための職場定着支援が大変重要ではないかというふうに考えております。この障害者の職場定着を支援する人、これを一般的にはジョブコーチというふうに呼んでいるわけでありますけれども、お聞きいたしましたところ、本年度から東京都でも独自のジョブコーチの養成をして、企業に派遣していくというふうに聞いております。
そこで、これまでの都内におけるジョブコーチ支援の状況、それから、都が独自のジョブコーチ支援に取り組むこととした理由について説明をいただきたいと思います。
○小田雇用就業部長 ジョブコーチですが、障害者が雇用される職場に出向いて、障害者と企業双方への定着支援を行うものとして、平成十四年度から国が事業実施しているものでございます。
現在、国の認定を受け都内において支援を実施しているジョブコーチは、東京障害者職業センターや社会福祉法人などで計四十五名にとどまっております。このジョブコーチにより、昨年度一年間で百八十名の障害者の職場定着支援を行ったところでございますが、他方で、都内のハローワークを通じて就職した障害者は四千五百五十四名でございます。この全員に支援が必要とはいえないものの、障害者の職場定着に向けた支援は十分に行き渡っていないと考えております。
このため、都としても、障害者の就業支援を充実させるため、本年度から都独自でジョブコーチの養成、派遣を行う東京ジョブコーチ支援事業に取り組んでいるところでございます。
○高倉委員 今、都が取り組むこととした理由について答弁があったわけですけれども、この東京ジョブコーチ支援事業、これの進捗状況についてさらに説明をいただきたいと思います。
○小田雇用就業部長 東京ジョブコーチ支援事業には、国と同水準のジョブコーチを養成するための養成研修事業と、その養成したジョブコーチを実際に職場に派遣する職場定着支援事業がございます。
本年九月、この両事業の受託団体を公募しまして、十月に社会福祉法人東京都知的障害者育成会に決定したところでございます。
現在、養成研修の参加者として、障害者の就業支援の経験のある方二十名程度を公募しておりまして、十二月には研修を実施の上、来年の一月を目途に実際の職場に出向いて、知的障害者の方々を中心に支援を開始する予定でございます。
○高倉委員 今、来年の一月を目途にというお話がありました。ぜひ一刻も早いスタートをお願いしたいと思います。
そして、今、答弁の中で、今年度の東京ジョブコーチの支援対象、知的障害者を中心とするというようなお話のように聞き取りましたけれども、私としては、この支援対象をさらに広げていって、積極的な事業の推進が必要ではないかというふうに考えます。
そこで、東京ジョブコーチ支援事業の新しい取り組みを含めての今後の事業方針ということについて、見解をお伺いしたいと思います。
○小田雇用就業部長 東京ジョブコーチ支援事業では、本年度の二十名を含めまして、今後三年間で六十名のジョブコーチを養成の上、延べ八百八十名の障害者の方々の職場定着支援を進めてまいります。
また、都が養成しましたジョブコーチに対しては、最新の支援事例の解説や、より高度な支援手法の習得などを目的といたしまして各種研修を実施することにより、ジョブコーチの質の維持向上を図り、ニーズが高まりつつある精神障害者についても来年度から新たに支援を拡大してまいります。
○高倉委員 今、精神障害者についても来年度から新たに取り組んでいくというお話でありました。ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
実は発達障害という方々もいらっしゃるわけで、私は、発達障害の方々に対する就労支援ということも、これから大変大事になってくるのではないかなと思っております。
私の地元であります、この都庁からも近い中野坂上というところに、発達障害の方々というんでしょうか、かなり小さい方々から年長の方々まで受け入れている翔和学園という学校がございます。私も実際見学させていただいて、大変にすばらしい取り組みをしているということを感じました。国のジョブコーチも活用して、職場への定着支援等々に積極的に取り組んでいるようであります。
発達障害者支援法が施行されて三年以上がたっておりますけれども、現段階において発達障害に対応できる施設、これはまだまだ十分でない現状があると思います。発達障害の場合は、障害者手帳のようなものがないために、企業にとっても障害者雇用率の対象にならない、そうした現実があって、国としても、このような課題にこれからぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
東京都においては、既に東京都発達障害者支援センターを設置されているところでありますけれども、より一層発達障害者への就労支援について取り組みを進め、具体化をしていただくように要望しておきたいと思います。
最後に、観光振興についてお伺いしたいと思います。
多くの産業に経済波及効果をもたらす観光は、二十一世紀の成長産業として、その重要性が一層高まっていると思います。都はこれまで、国に先駆けて、海外へのシティーセールスなど、積極的に施策展開を図ってきております。
この結果、昨年東京を訪れた外国人旅行者は五百三十三万人ということでありまして、都が観光産業振興に取り組みを開始した平成十三年の二百七十七万人に比べますと、六年間でほぼ倍増している状況であります。外国人旅行者の数はこれまで順調に伸びてきたのではないかというようなことがうかがえるわけであります。
こうした外国人旅行者の増加要因としては、アジア諸国の経済的な発展や査証発給要件の緩和など、そういったことを背景に、主にアジアからの訪日外国人旅行者が大幅に増加しているということが挙げられると思います。
東アジアからの旅行者数の現状と今後の見込みについて見解を伺いたいと思います。
○小島観光部長 国際観光振興機構の調査結果によりますと、平成十九年の訪日外国人旅行者数八百三十五万人のうち、中国、韓国、台湾で四百九十万人と、全体の約六割を占めております。中国、韓国、台湾からの旅行者は、ここ数年増加の一途をたどっておりまして、平成十九年の旅行者数も前年比で一六%の増加を示しております。
また、二〇一〇年十月に予定されている羽田空港の国際化の推進により、中国、韓国、台湾を中心に、アジアからの旅行者は長期的にふえる見通しでございます。
○高倉委員 観光振興にとって、交通アクセスの整備というのは極めて重要であると思います。今答弁にもありましたけれども、羽田空港の国際化は、アジア諸国との距離を一気に縮め、東京の観光振興にとってもまさに一大転換点になるのではないかというふうに思います。
その羽田空港の国際化に備えて、今年度から新たに始めた東アジアからの旅行者誘致事業というものがありますけれども、その事業の内容と進捗状況について説明をいただきたいと思います。
○小島観光部長 羽田空港の国際化が予定されている二〇一〇年の十月まで、あと二年を切ったところでございます。今から着実に準備を進めていく必要がございます。
羽田空港の国際化により、近距離アジア便の増加が見込まれることから、中国、韓国、台湾の一般市民や旅行事業者に対し、東京の観光情報の提供を積極的に行い、東京の認知度を高めるとともに、東京向け旅行商品の開発、販売を促進し、旅行者を誘致することが重要でございます。
中国、韓国、台湾の全国レベルの有力な旅行雑誌等に広告を年四回掲載することといたしまして、今年度既に二回掲載しております。旅行事業者向けに、ポスター三千部、パンフレット三万部、写真素材集一千部を作成し、現地で開催される旅行博などを通じて配布しているところでございます。
○高倉委員 今、具体的なご説明がありました。
アジアからの旅行者が何を期待して東京を訪れているのかということをいろいろ考えたときに、私たち日本人が、こんなところを見たがっているとか、こんなことを楽しみたがっているというんでしょうか、そういうことを普通に考える一方で、割合、アジアからの旅行者が期待していることは、また少し違った部分もあるような感じも、私は印象として持っているわけです。ぜひそうした点もよく踏まえてPRを行っていただきたいと思いますけれども、都では、アジアからの旅行者、一体何に関心を持って東京を訪れているというふうに認識されているのかについて、お伺いしたいと思います。
○小島観光部長 昨年度都が実施いたしました外国人旅行者の行動特性調査結果によれば、調査にご協力いただいたアジアの旅行者が最も満足したまちは、第一位が新宿、第二位が銀座、第三位がお台場となっております。
また、訪問目的は、第一位買い物、第二位風景、第三位散策となってございまして、アジアの旅行者においては、ショッピングや東京の町並みへの関心が高いことがうかがえます。
○高倉委員 東京には、さまざまに魅力的な商業施設あるいは商店街も数多くありまして、アジアの旅行者にとって大変魅力的なまちであるというふうに思います。今後、外国人旅行者の誘致を促進するために、こうしたアジアの旅行者のニーズに対応した取り組みが求められていると思います。
そうした一つの取り組みとしましても、ウエブサイトによる発信というものも大変重要ではないかと思います。近年、事前にウエブサイトで旅行先のことを調べる外国人旅行者がふえていると思います。外国人旅行者の誘致を図る上で、ウエブサイトによる東京の魅力の発信ということも大変重要ではないかと思います。
都が運営をする観光ウエブサイト「東京の観光」は、東京の観光情報を、日本語を含めて八つの言語で広く国内外に発信しているということをお聞きしております。
今後、一層の外国人旅行客の誘致を図る上で、さらにこのウエブサイトの活用を図っていくべきではないかと思いますけれども、このことについてご所見を伺いたいと思います。
○小島観光部長 ウエブサイト「東京の観光」の平成十九年度アクセス数は、全言語で約二千七百万件でございます。このうち、中国語簡体字とハングルは、日本語、英語に次いで第三位、第四位のアクセス数となってございます。
今年度、観光客に人気の高い大規模なイベントやお祭りを特集するページを新設するなど、イベント情報の充実を図るとともに、利用者が訪問目的などに応じて必要な観光情報にアクセスできるよう改良を行ったところでございます。
今後とも、観光情報の一層の充実を図るとともに、国内外に向けて、リアルタイムの東京の情報をわかりやすく発信してまいります。
○高倉委員 今、金融危機等々の影響で、一時的に韓国、台湾などからの旅行者が落ち込んでいるという話もお聞きしております。しかしながら、長期的に見れば、アジアからの訪日旅行者数は確実に増加傾向にあると思います。
今回、都は、アジアからの外国客誘致策に積極的に取り組んでいるという、さまざまな角度からのご説明がありましたけれども、ぜひこれからも、羽田空港の国際化の推進を契機として、アジアからの旅行者のさらなる増加に向けて、一層、観光振興に取り組んでいただきたいと思います。
以上をもって質問を終わります。
○清水委員 まず、新銀行東京について伺います。
金融機能強化法改正案が国会で審議されています。この改正法案で、当初、新銀行東京にも公的資金を注入できるようにしようとしました。
我が党は、十一月四日、金融庁に対し、乱脈経営や不正を犯して破綻した金融機関には、ルールに沿って退場させるとともに、破綻の処理や自己資本毀損への対応は、十分な対応能力を持っている金融機関の自己責任で対応させることが必要との申し入れを行いました。
改正法案に附帯決議などがつけられるようですが、国民負担の仕組みそのものは変わらないという点で問題ですけれども、新銀行を公的資金の投入から外そうというものです。このことは、国会で、さらなる税金投入はだめだとの判断が下されたことになります。それは、改正法案で新銀行東京まで救済するのかという、マスコミ各社の社説などでも掲げられた都民の声の結果だと思います。
今度はこちらで資本注入をとの声もあるようだが論外だと、社説で掲げました。また、新銀行東京の経営が傾いた原因は金融危機とは別物だ、都民のみならず国民の税金まで使うべきではない。また、ある新聞は、金融機能強化法による資本注入を考えているとすれば思い違いも甚だしいなど、厳しい声が突きつけられた結果によるものです。私は、産業労働局がこのことをきちんと受けとめるべきであると思います。
そこで質問ですが、法案審議の中で、国会に参考人として招致されているようですが、知事は出席するべきではないですか。伺います。
○中村金融監理室長 知事は、十一月十四日の定例記者会見において、時間が折り合いがつけば出るつもりでいると述べてございます。公務等の都合がつけば出席するものと認識しております。
○清水委員 国税が投入されるかどうか、新銀行東京が全国の国民の間で問題になっている、重大問題です。日程が合うかどうかというような問題ではなくて、知事が責任を持って明らかにすべき問題だと思います。
次に伺いますが、仮に法律の対象になった場合でも、申請するのは差し控えるべきではありませんか。伺います。
○中村金融監理室長 法律が成立していない段階での仮定のご質問にお答えすることは適当ではないと考えてございます。そもそも申請をするかどうかは、新銀行東京の経営判断にかかわる事項であると考えております。
○清水委員 仮にそうなったらどうかということをいったまでです。
今の答弁はとんでもありません。はっきりと、もらわないということをいうべきです。都民の税金を投入しただけでなく、国民の税金まで投入するなど、とんでもありません。許されないことです。もう返上するべきです。
知事も産業労働局長も、招致されるのであれば、国会に行って明らかにすべきです。そしてまた、ここの都議会でも、第四回定例会に向けて参考人を招致するべきであると私は考えます。
次に、報道記事の中で、昨年末、外国ファンドとの提携協議が合意寸前まで行った、交渉の最終段階で外国ファンドから保証を求められ、名ばかりでいいからと、みずほ銀行に保証を頼んだら断られた、その結果、提携協議は破談になり、四百億の追加出資になった、そして最近、指定金融機関に入札制度を導入したらどうかという案まで出ているという、こういう報道ですけれども、これは確かですか。
○中村金融監理室長 委員お尋ねの記事は、多分十一月四日付の「都政新報」のコラムの記事についてだと思うんですけれども、それについては、私としては意味不明だというふうに感じております。
新銀行東京はこれまで、国内外の金融機関と提携の交渉を行ってまいりました。個別の内容につきましては、新銀行東京は明らかにしておりません。
○清水委員 国内外の金融機関と提携の交渉を行ってきたといわれたわけですけれども、私が聞いているのは、信金と提携するとか、それからATMとか、そういうレベルの提携ではありませんよ。
破綻している銀行と提携するといったら、業務を明け渡すとか、吸収されるとか、身売りするとか、そういう提携のことをいっているんです。どうですか。
○中村金融監理室長 一般に、そのような大きな事業連携というものについては、これはその存在自体をいわないという、企業の中でそれをやっていくというのが一般的な常識でございます。
事業連携の進捗状況については、その性格上、答えることは差し控えさせていただきます。
○清水委員 知事は、ことし八月の記者会見で、まだ詳細を発表する段階じゃないんでね、いろいろ考えている相手のこともありますから、その限りのことしか申しませんけれども、年内にもさらに進んだ展開の報告をしたいと思っていると発言をしています。そして、新銀行が累積損失を背負ったままだったら提携先はないが、四百億の資本金をつければ買い取る企業が出てくるなどと、これまでもいろんなところでいわれてきました。この記者会見で、知事は、今年度内にそのようなことがあるかのような発言をしています。
先ほども触れましたけれども、提携の交渉があったということは確かでしょうけれども、知事のいうように、私が先ほどいったように、業務を明け渡すとか、吸収されるとか、身売りするとか、そういうような提携だったとすれば、それはまさに新銀行の存在意義が問われる問題です。
これまで、追加出資の議論でも何といってきたか。中小企業の支援の継続だとさんざんいってきました。今の知事の、先ほどご説明ありました大きな提携だというようなことであれば、中小企業の支援どころか、どうしたら買い取ってもらえるか、それが目的だったことになるというふうに考えます。
次に、不正融資事件について伺います。
事件になったのは、どういう手順で融資が実行されたのか、その経過を説明してください。
○中村金融監理室長 今回の詐欺事件につきましては、現在捜査中でございまして、都としてはお答えを差し控えさせていただきます。
ただ、一般的な融資の手順をご説明いたしますと、まず、融資希望者は銀行に融資を希望する旨を申し出まして、銀行では顧客から融資の要望の詳細を聞き、必要な資料の提出を受け、融資審査を経て実行することになるということでございます。
○清水委員 そんなことを聞いているわけではありません。事件になったのは、どういうふうにしてなったのかというふうに聞いたんです。私は、事件になった融資のことをいったんです。
この間明らかになっていることは、報道でいろいろいわれています、休眠会社を探して、決算書をつくりかえて、決算書を検査センターに送って、即座にオーケーで返ってくるとか、普通だったら通らないようなものです。
先ほど、ほかの議員の質問にいろいろいわれてましたけれども、途中でおかしいと気づいたり、再調査とか差し戻しなどがされるのが普通じゃないですか。そう思いませんか。
○中村金融監理室長 個別の融資の案件にかかわることで、かつ捜査中の案件でございますので、お答えについては差し控えさせていただきます。
ただし、そもそも融資のプロセスというのは、金融機関については明らかにしていかないというものでございます。
○清水委員 いつまで人ごとのようにいっているんですか。
報道の中で指摘しているのが幾つもあるわけですよ。それを一つ一つ明らかにする必要があるんじゃないですか。いろいろ報道でいわれていることを、捜査だから新銀行に任せるとかじゃなくて、きちんと検証していかなきゃいけない。
じゃ、例えば、このA氏という元行員が融資二十数億円を集めてきたということがいわれてまして、ほかの行員が、なぜあのように集められるのかというふうに思っていたようです。こういう問題は、産業労働局側は月に一回、新銀行との打ち合わせしているわけでしょう、これまで。そういうことが全く把握できなかったんですか。そういうことをつかむということは全くできなかったんですか。
○前田次長 今回の詐欺事件で、委員のご質問に関する内容については、各種報道で、私たちもそれは毎日見ております。しかし、捜査機関が入り、逮捕、起訴ということになると、今後は、その捜査事実に基づいて公判ということになります。
報道のされているもとがどういうところか、私ども詳細は存じておりません。これから公判というところで、裁判、司法権によって裁かれるものについて、今我々がこういう公の場で、こうだ、ああだというのは差し控えたいというのが室長のお答えでございます。
次に、気がつかなかったのかということでありますが、確かに月一回、連絡会をしております。そして、これまでもご答弁しましたように、新銀行が三月に発表しました調査の中で、疑わしい融資案件について告訴を前提に捜査機関に協力したということは、おおよそ八カ月程度前には私どもは承知をしておりました。そして、今回告訴になったという次第でございます。
○清水委員 この一件だけではないともいわれているんですよ。不正融資がこのほかにも、少なくとも三十数件あるというふうにいわれているんですよ。それを公にして、どこに問題があったのかもう明らかですけれども、その三十数件の不正融資というのもきちんと問題にすべき、公にすべきじゃないんですか。
○前田次長 これも既に明らかにしておりますが、新銀行は、新銀行が行いました記者会見、三月だと思いますが、疑義のある案件三十五件について徹底した内部調査を行うということを表明しております。その調査の結果、どれが捜査機関に捜査協力をするのか、どれがそこまで疑わしくないのかというのは新銀行の判断でございまして、まさに個別個別の案件でございます。
そういう全体の状況を把握しておりますが、一件一件について、これがどうだ、あれがどうだというのは、まさに新銀行の個別の融資に関することで、それは銀行法により銀行が守秘義務を負っているものでございます。ご理解を願います。
○清水委員 今回の事件について、背後関係などを含めて、私は徹底調査を都として行う必要があると思います。そして、今回の事件の摘発にとどまるのではなく、マスコミで報道されている国会議員だとか都議会議員などが、また、都の幹部がかかわった不正融資について徹底調査を行う必要があると思いますけれど、どうですか。
○中村金融監理室長 個別の捜査にかかわるような案件ということでございますので、東京都みずからが調査していく性格のものではないというふうに考えております。融資に関連して違法な行為があった場合には、権限を有する機関が厳正に対処すべき問題だと考えております。
○清水委員 こうした不正融資の積み重ねなどが大きな不良債権となって、一千十六億円もの毀損を出したということを考えれば、これをきちんと調査するのが都の責任じゃないんですか。
伺いますけれども、週刊誌や新聞などで、融資口ききリストについてさまざまな報道がされておりますけれども、このリストというのは、都は把握しているのでしょうか。
○中村金融監理室長 産業労働局といたしまして、いわゆるリストなるものがインターネットなどに掲載されている事実というものは認識してございます。
○清水委員 融資口きき、あっせんの際に、産業労働局に紹介があって、新銀行に連絡し、その結果を新銀行から連絡を受けたというリストの存在について、報道では、金融庁の検査の結果、リストが漏えいされていたという報道があるけれども、その報道は間違いなのですか。
○中村金融監理室長 報道の内容についてのお尋ねでございますけれども、出どころも真偽も不明なものについて、お答えすることはできないというふうに考えております。
○清水委員 金融監理室長に聞きますけれども、そういう資料があるんですか、ないんですか。今、間違いですか、そうじゃないですかと聞いたんですけど、そういうリスト、そういう資料というのは、あるんですか、ないんですか。伺います。
○中村金融監理室長 真偽、出所も不明なるリストが存在しているというのはありますけれども、それ以上のお答えはないです。
○清水委員 今インターネットで出てるリストとか、そういうことをいってるんじゃないんです。
いいですか。融資の依頼が来ますよね。融資の依頼が来ます。産業労働局に来ます。それを新銀行に紹介します。したと書いてあるわけですね、いろんなところに。しますよね。そのときのメモ。新銀行から、この融資はこうなりました。融資、実行されました、されませんと、その結果のメモ。それを依頼された方に返す、そのときのメモ。そのときのメモがあるんですかといっているんです。
○中村金融監理室長 産業労働局としては、そういうメモは所有しておりません。
○清水委員 所有してないということは、じゃ、そういうことはあったんですか、なかったんですか。
○中村金融監理室長 さまざまなお取引先のご紹介というのは、さまざまなところからございますので、そういうことは当然ございました。
○清水委員 それをメモしてないんですか。記録してないんですか。
○中村金融監理室長 さまざまなご依頼があったということは事実でございますけれども、都としては、そのご依頼があった場合に、それを銀行側に連絡したのみでございます。
こうした融資案件につきましては、その後というのは、銀行と利用者との関係になるものでございまして、そのたびごとに対応しているということでございますので、そうしたメモを残す必要もございませんし、保管もしてないということでございます。
○清水委員 マスコミが報道されているリストのことについていえば、政治家の名前もあるけれども、都の関係者があるというふうに聞いています。それは調べたんでしょうか。
私は、その都の関係者、都自身が少なくとも都の関係者について調べる必要があると思いますけれども、どうですか。
○中村金融監理室長 先ほどもお答えしてますとおり、そのリストがどういうものか知りませんけれども、出どころも真偽も不明なものでございまして、そういうようなことの内容について、いろいろな報道、そのことについて、都としてはお答えする立場にはないというふうに考えております。
○清水委員 多くの報道がされているリストの存在も、もうわからない。その調査を行おうともしない。そして、都は今回の事件を個人的な犯罪だと、内部管理の問題だというふうにしようとしておりますけれども、不正融資の大もとには、都が押しつけた過大な融資計画と、コンピューターによる自動審査という欠陥審査方法があることはもう明らかです。
都は責任を認めて、都民に事実を明らかにするとともに、謝罪こそすべきだというふうに私は考えます。
次に、金融庁の検査結果の通知に対して、銀行側は報告を求められているというふうに金融庁から聞きましたが、それは既に提出したんですか。その内容はどういうものか、伺います。
○中村金融監理室長 金融検査は、国家的な金融秩序の安定などを目指すため、金融庁が銀行法に基づき実施しているものでございます。
新銀行東京の報告の提出時期及びその内容と検査結果に関することにつきましては、不開示とされております。したがって、都としては知る立場にございません。
○清水委員 十月の二十一日に検査が終了して、そして速やかに報告を出してもらうと。一カ月ぐらいとはっきりはいいませんでしたけれども、そういう金融庁の話がありました。もう新銀行が金融庁に報告をされているか、これから間もなくするかという時期なんですけれども、それを主要株主として銀行側から聞く必要があるんじゃないですか。伺います。
○中村金融監理室長 金融庁の検査というものは、被検査銀行のその後の運営に反映して改善することが目的とされてございまして、新銀行東京においても当然経営に適切に反映されるべきものであるというふうに考えてございます。
検査結果につきましては、金融検査自体は不開示とされているわけでございますけれども、都としては、そのことではなくて、新銀行東京のそれを通じた改善状況というものを通じまして、監視の目的を達成していくという考えでございます。
○清水委員 主要株主として、新銀行がどうなるのかということをきちんと把握する必要があるというふうに思います。これまでも私たちが指摘してまいりましたが、検査によってどういうことが指摘をされているのか。
投下資本は千百八十九億円、追加出資四百億円、そして一千十六億円が減資されました。そして、資本は百七十三億円。そして、四百億円が追加出資された。
そして、金融庁の調査で何といわれているか。百二十六億円は、再建計画で、年度末決算でこれが損失になるだろうという中で、金融庁の検査では、百二十六億円に--ある新聞では百億円、貸倒引当金を積み増ししなさいといわれているというふうに報道されています。また、ある新聞は六十億から七十億といわれています。
それで、そうなると、もうこれは四百億円の中に入り込んでしまう。四百億円が毀損してしまうということになりませんか。そうしたら、どのように責任をとるんですか。伺います。
○前田次長 先生は、表まで使ってわかりやすくお話しいただきましたが、はっきり申し上げますと、それは報道に基づく先生の推論だと思います。
新銀行は現実に逃げも隠れもせずいるわけですから、彼らの決算というものは、彼らが数字をつくるものです。報道でご議論されるのも結構ですけれども、新銀行自身が出した数字をもってご議論されるのが筋だと思います。
新銀行は、今、中間決算の取りまとめ作業をしております。また、さきの十月二十一日の金融庁の検査結果が出たときに、新銀行からは、再建計画を大きく見直す必要はないというふうに聞いております。
しかし、先生のご発言は、報道をもとに、こうなったらどうするんだというご質問です。それは、新銀行の数字が出た上で、ご質問していただきたいと思います。
○清水委員 推測だというんだったら、報道の間違いを正したらどうですか。そうしてないでしょう。
○前田次長 報道機関は、推測も含めて報道するところでございまして、新銀行は、議会にもお示ししておりますように、四半期ごとに決算を発表しております。その四半期ごとの決算を、新銀行は隠すわけじゃなくて、お示ししますので、その数字を見てご議論いただきたいということを申し上げているんです。
もし、その数字が推測と違っていれば、それはマスコミ、プレスの報道と異なることになりますけれども、そのことを、マスコミの報道と新銀行自体が発表する数字とごっちゃにして、こうしろ、ああしろというのは、私はおかしいと思います。マスコミはマスコミで、推測も含めて報道する権利というのは持っていると思います。しかし、事実というのは一つだと思います。
○清水委員 一社だけじゃないんですよ。二社も三社も、今の状況じゃ、恐らくこうなると。私たちはずっと前からいってた。前からいってきた。そういうことを、やっぱりきちんと確かめもしない。銀行に確かめたんですか、それを。
○前田次長 私も報道担当の仕事をしましたが、プレスの方はいろんな記事を書く権利があり、自由があります。
先ほどお答えで申し上げましたけれども、金融庁の検査が通知された後に、新銀行からは、検査結果の通知を受けましたと、しかし、再建計画を大きく見直す必要はないと考えていますと、こういう話を聞いております。当事者の新銀行がそのようにいっているので、私は答えているわけです。
プレスはプレスで推測を書くのも自由です。しかし、この件は、当事者がいっていることというのは、もう少し重きが置かれてもいいんじゃないか、そう思います。
○清水委員 これまでも何回も大丈夫だと、あなたたちいってきたんじゃないんですか。開業間もないから、再建策をとったから大丈夫だといいながら、赤字を累積させてきたのではないんですか。だから、みんなが、今の状況の中でこうならないとはいえないと、だれもが納得するわけですよ。
金融庁の検査結果によって、巨額の貸倒引当金の不足はやはり指摘をされていて、追加出資した四百億円が毀損するおそれが現実のものとなろうとしています。都は金融庁と相談し、預金者保護と中小業者の営業の保障を前提に、新銀行東京から速やかに撤退すべきことを表明し、次の質問に移ります。
次に、制度融資の充実について伺います。
先ほども質問がありましたので、簡単に触れます。
責任共有制の導入の際に、これを導入したら銀行の貸し渋りが起こるんだということで、昨年の十月以前から、私は業者団体の皆さんと一緒に、全額保証を求めてまいりました。
都の制度融資の実績について、先ほどもご答弁がありました。融資実績が伸びているもの、小口資金、経営支援。減っているもの、それの方が多いと思います。それは責任共有制の影響によるものであることは明白です。
都は来年度に向けて、すべての融資を全部保証にすることを検討するべきだが、どうですか。求めます。
○保坂金融部長 責任共有制度の創設に際しては、当初より、小規模企業者などへ配慮した小口やセーフティーネット保証など、責任共有制度の対象外となる保証が設けられております。
また、国が十月三十一日に創設した緊急保証制度により、原油、原材料価格の高騰などに苦しむ幅広い業種の中小企業に対して、全部保証を行う措置が講じられたところでございます。
今後とも、責任共有制度の運用については、経済情勢や金融市場の動向を踏まえ、国が情勢判断を行い、適切に対応するものと考えております。
○清水委員 現在の経済環境を考えると、新規融資を受けなくても、既存の融資を軽減する方策が必要な業者もいます。新規融資を受けても、既存の融資分を含めた借りかえ融資でないと、業者の負担は軽減されません。一定の要件のもとで、中小企業の既存融資について、月々の返済負担を減らす仕組みを求めています。
新規借り入れができず、資金繰りに苦しむ企業もあるが、既存の借入金が重荷となって、月々の返済に苦しむ企業のために、都は借りかえ融資の拡充を考えていないのか、お伺いいたします。
○保坂金融部長 既存債務の返済負担を軽減するため、都は、複数の融資を一本化して月々の返済負担の軽減を図る借りかえ融資を実施しており、平成十九年度には二百四件、三十五億円の実績を上げております。
また、緊急に資金が必要となった中小企業に対しては、クイックつなぎ融資により迅速な融資を実施するなど、中小企業の資金繰り状況の改善を図る需要にこたえてきているところでございます。
○清水委員 二〇〇八年四月より京都府では、原油価格高騰対策等特別支援制度を開始しました。京都府のこの融資制度は、京都信用保証協会の保証つきの既存の融資ならば、原則、制度融資だけではなく、プロパー融資を含めて対象となります。
仮に、当初一千万円を五年返済の条件で融資を受け、現時点で残りの債務、残債が六百万円、あと三年だとした場合に、六百万円を十年返済で借りるということで、返済負担を軽減することが可能になるという制度です。この場合には、結果的には、残りの債務を条件変更して、三年返済を十年返済にして、二分の一にすることができたということになります。
返済の条件変更は、既存制度としてあるけれども、利用者からすると、資金繰りが困難になって条件緩和を金融機関に求めるということになるけれども、この制度は当たり前に融資制度メニューを使うということで、利用者の敷居が低くなると考えられます。
また、利用メニューの限度枠が残っていれば、その範囲で新たな借り入れも可能です。金利は政策金利をとっています。あんしん借換融資は一・九%です。保証料率は、商工会などの経営指導を受けると、〇・二から〇・三%、保証料率が優遇されます。
京都府は、思った以上の利用状況だといっています。また、立ち上げるに当たっても、預託原資を積み増しした都と京都府の資金循環環境の違いはあるとしても、私は都として考えていただきたいものだというふうに思います。
次に、CLO、CBOは、個々の中小企業が単独で社債を発行できない、また、発行したくても投資家はなかなか相手にしてくれない、それを、社債、貸付債権を証券化するということで、CLO、CBOという仕組みをつくって、多数の中小企業が束になることで、投資家の資金を中小企業に直接呼び込もうという構想です。
産業労働局と環境局は、ことし一月、昨年発表した環境CBOについては、サブプライムローン問題などの金融環境の変化を踏まえ、今年度内の発行を延期することと発表しましたが、今後どのように取り扱っていくのですか。伺います。
○保坂金融部長 CBOにつきましては、ご指摘のとおり、今年度発行に向けて、中核金融機関を公募いたしましたが、サブプライム問題に端を発した証券化市場低迷の影響を受け、応募金融機関がございませんでした。
今後の発行につきましては、金融情勢や証券化市場の動向を十分注視し、判断してまいります。
○清水委員 こういう金融商品型融資というのは、やはりこういう波があると思うんです。それで、これも余りご信用にならないという報道ですけれども、この証券化商品で日本版サブプライムローン問題が発生しており、東京都としては、新銀行東京の経営悪化に次ぐ深刻な問題に直面することになるというふうにここには書いてあります。これは報道ですから、信用ならないでしょうけど。
私は、中小企業金融支援の基本である制度融資の充実、そして中小企業対策をこそ充実すべきだというふうに思います。やはりこれらは縮小していく、やめていくという方向にするのが賢明だというふうに思います。
次に移ります。
都立産業技術研究センター八王子支所が移転統合され、平成二十一年度に昭島市の多摩産業支援拠点へと移転します。都はこれまでも、新たな拠点でも中小企業ニーズに対応するというふうに答弁していますが、八王子支所を利用してきた地元業界にとっては、不便になるということは事実なことです。
そこでまずお伺いいたしますが、移転に際して、八王子支所に設置されているどのような機器を移設するのか、お伺いいたします。
○三枝商工部長 機器の移設についてのお尋ねでございますが、新たな拠点に設置する機器につきまして、現時点で具体的に確定しておりませんが、いわゆる織機などの中小企業利用ニーズの高いもので、なおかつ使用に耐え得るものにつきましては移設をする予定でございます。
○清水委員 そうすると、持っていくものと持っていかないものがあるということだと思いますけれども、これまで提供してきた繊維関連のサービスというのはどうなりますか。
○三枝商工部長 産業技術研究センター八王子支所が行ってまいりました繊維関連企業への支援についてでございますが、新たな拠点におきましても、繊維の色落ちぐあいや生地の強度等に係る依頼試験、機器利用サービス、オーダーメードセミナーなど、繊維関連のサービスを継続して提供してまいります。
○清水委員 今のサービスを継続して提供するということはわかりましたが、八王子支所で行っていたものは、デザイン、撚糸、織り、染色、応用、評価、クレームなど繊維の一連の工程が見られ、利用でき、業界関係者や学生、研究者などにとって貴重な施設であるというふうに、先日も施設公開に伺って、感じました。
日本には、こんなふうに一連の工程が見られる場所というのは、ほかにそう多くはないというふうに伺っているんですけれども、そこに置いてある機器は、どういう判断で新しく機器整備をしていくのか、お伺いいたします。
○三枝商工部長 機器の整備に係る判断基準についてでございますが、中小企業のニーズや技術動向を十分に踏まえまして、必要な機器を整備してまいります。
○清水委員 先日の報道で、昨年私がここで質問いたしました電波暗室は、昭島センターで整備されるという報道がありました。これは非常にありがたいというふうに思っています。
利用頻度が低い機器でも、歴史的に価値ある織機などがあるのではないか、そういう織機などはどうするのかということを、だんだん昭島に移るんだなという雰囲気になってくるときに、とても心を痛めています。廃棄するんだということも聞いています。
日本に幾つもないものなど、また、八王子の織機というのは、戦争当時、もう成り立たないので、自分の家の織機を涙ながらに打ち壊したという、そういう歴史がある中で、特にそういう方などは、廃棄するとか壊すなどというようなことを聞いて、忍びない思いをする方も少なくないと思うんですね。
やはり大変だとは思うんですけれども、できる限り移設し、そして、歴史的に価値あるものは保存するというような道はないのでしょうか。
○三枝商工部長 八王子支所の一部機器の保存についてのお尋ねでございますが、具体的な機器の購入、移設等はまだ確定をしておりませんが、仮に博物館等から要請があれば、その時点で検討することと相なります。
○清水委員 どこか博物館が受け取ってくれるなどということがあればいいですけれども、なかなかそれは難しいことかもしれませんけれども、やはり都民に明らかにして、きちんと移設の段階から、検討段階から明らかにして、そういう可能性も広げる必要があるんじゃないでしょうか。関係者や地元市などと相談して、できるだけ、壊したり、廃棄したり--歴史的なものというのはもう戻ってこないわけですから、そういう検討をしていただきたいということを要望いたします。
次に、昭島に移転しますが、業界へのサービスに支障を来さないでいただきたいというふうに思います。また、新たな開発に必要な、新たな技術に必要な機器も要望していると思いますけれども、その整備についてはどのようにお考えになっているでしょうか。
○三枝商工部長 機器の整備につきましては、中小企業のニーズや、あるいは技術動向を存分に踏まえまして、必要に応じて主要な機器を整備していくこととしてございます。
○清水委員 それでは、八王子からの移転後、八王子のその跡地に産業支援交流拠点が立ち上がるまでの間、サービスの継続をどのように考えているのか伺います。
例えば、これまで、施設を使って、地元の若い方の団体だと思いますけれど、ファッション協議会などというところが、月一回の会議をそこで行っていたといわれるし、また、業界や業者の方も直接相談したいという場合もあるかと思うんです。
職員が巡回して相談を受けられるなど、八王子の地元企業などの利便性を生かした、考慮した取り組みを求める要望が出されていますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○三枝商工部長 八王子の地元企業への支援についてでございますが、産業技術研究センターでは従来から、研究員等が工場や事業所等に出向いて助言を行います実地技術支援を行ってございまして、今後とも中小企業の要請に応じてきめ細かに支援を行ってまいります。
また、繊維業界などの協議会の場につきましては、ご要望があれば、新拠点で提供することも可能でございます。
○清水委員 そのためには、きちんと研究員の人員確保や人材確保が必要だというふうに思います。
また、繊維技術は、今、航空機の素材など多様な用途に用いられています。既存の技術を大切にすると同時に、繊維技術を活用した技術開発などのニーズにもこたえていく必要があります。
かつて、この委員会で、私の質問に答えて、繊維が縮小しているなどという認識をお答えになった方もいらっしゃいますけれども、私はとんでもないことだと思います。今や、多様な用途に使える繊維技術や研究開発を着実に実施していくことが重要であり、それを担う研究員をきちんと確保していくべきと考えます。
地方独立行政法人化によって、それをなし遂げるというような方向もあるかもしれませんけれども、今やはり現場の実態を聞くと、人材確保、人員確保という点では本当に苦労されておられると思います。それについて、どのようにお考えでしょうか。
○三枝商工部長 新たな分野にも対応できる繊維技術の研究員の確保についてでございますが、地方独立行政法人化によりまして、年度途中でも採用が行えるなど、柔軟な人事制度となってございまして、今後とも、中小企業のニーズや新たな技術も含めた技術動向に応じて、必要な研究員を確保することが可能と考えてございます。
○清水委員 年度途中で採用が行えるといっても、そういう緩和がされたといっても、独法化自身によって職員が確保しにくいという話も聞いているわけで、やはり独法化先にありきでなく、実態に合わせて、その面でも見直しが必要なら、思い切った改善を行うよう求めておきたいと思います。
次に、労働の分野について伺います。
先日、都の都税事務所が東京労働局から、違法な偽装請負を行ったとして是正指導を受けたことに関連してお聞きいたします。
そもそも偽装請負というのは、労働者のどのような権利を保護するために禁止されているものですか、お伺いいたします。
○日請事業推進担当部長 いわゆる偽装請負とは、形式的には請負契約の形をとっておりますが、発注者と労働者の間に指揮命令関係がありまして、実態として労働者派遣であるものをいいます。労働者派遣法及び職業安定法に違反となります。
偽装請負は、これらの法律で保護いたします労働者の雇用の安定、基本的労働条件が守られないことから禁止されているものでございます。
○清水委員 今のお話だと、偽装請負というのは重要な違反だと。労働者の権利を守る立場で違反だと。しかし、今回の問題について主税局は、採用方法を変更したりしているようですけれども、この違法労働で是正指導を受けたことの反省というのが、私から見るととても薄い答弁をしているわけです。
このような東京都の関係機関における労働法や労働関係法の遵守の徹底を、どのように産業労働局として--それは指導とかそういう立場ではないということはよくわかっています、何回も聞いて、よく聞いているんですけれども、都税事務所の事例と同様な問題というのは、あちこちで、都庁の各局においても私は耳にするわけです。
産業労働局は、再発を防止する観点からも、中小企業者への普及啓発だけでなくて、各局への普及啓発などを進めるべきではないかと思いますが、どうですか。
○日請事業推進担当部長 労働者派遣法及び職業安定法に係ります指導監督権限は国が有しております。産業労働局では、主に都内中小企業を対象に、労働関係法令の普及あるいは労働相談等を実施しておるところでございます。
東京都の各局からも、法令の照会あるいは周知について、具体的な相談あるいは要請があれば対応しておるところでございます。
○清水委員 産業労働局が中小業者に普及啓発をする際に、都庁だってやってるじゃないかというような、そういうことをいわれるということもあるわけで、やはり都民や労働者の利益を守り、法令を遵守すべき自治体として、私は、都庁の中でこういうことがあってはならないことだというふうに考えます。
やはり産業労働局は、専門の知識をより持っているわけですから、それをきちんと、まあ、指導というわけではなくて、普及啓発に努力するよう求めるものです。
次に、就職チャレンジ支援事業について伺います。
これまでの実績について伺います。
○日請事業推進担当部長 就職チャレンジ支援事業の実績でございますが、十一月八日現在で、本事業に関します問い合わせ、相談の件数が千四百七件ございました。
このうち、本事業の支援に当たりましての要件に合致して、就職支援を行う就職チャレンジ支援相談室に登録をした方が四百三十五名、うち、既に公共職業訓練の受講希望科目に申し込みを行った方は三百八十八名でございます。
○清水委員 都民の方からの要望がありまして、ある方は、受講申請を行おうとしましたが、雇用保険の受給資格があるということで対象外とされたようです。このことは資格要件に書かれています。しかし、雇用保険の支給手当は、退職までの給与に応じて支給されるため、数万円、数カ月の人から、二十万円、一年以上を超える人などさまざまです。それを、預貯金が何万円以上という要件と一緒にして、受給額を考慮しないで一律に資格要件とするのは問題があるのではないかなというふうに考えるわけです。
その方の場合、雇用保険を受給すると、月四万円、三カ月です。そして、実際に雇用保険を受給できるのは失業後三カ月たってから。また、受給資格は一年間までです。その方は、受ける金額が少ないために、たとえ受給しても生活できないので、雇用保険を受け取らずに新たな就職を探しています。その折、就職チャレンジ支援事業があることを知り、申請しましたが、先ほどの要件に該当して受けられないということです。社会保険がある事業所に再就職すると、新たな雇用保険受給資格が生じるので、いつまでたってもこの事業を受けることができないということです。ワーキングプアから抜け出そうと頑張ろうと思った人ができない。制度上の改善点があるというふうに思いませんか。
○日請事業推進担当部長 雇用保険制度は、労働者が失業した場合のセーフティーネットといたしまして、生活の心配をすることなく求職活動ができるようにするために、それぞれの一定の要件に応じました基本手当等の給付を行うものでございます。また、雇用保険受給資格者は、手当の給付を受けながら職業訓練の受講もできることとなっております。
一方、長期離職者あるいはフリーター等は、雇用保険の給付が受けられないために、就職チャレンジ支援事業におきましては、安心して職業訓練を受講できるよう、受講奨励金を支給しているところでございまして、雇用保険に係ります要件変更は考えておりません。
○清水委員 そういう要件であるということはわかって、今まで何カ月かきているんですけれども、中にはそういう方もいるわけです。
そして、チャレンジ委託訓練の募集は、ビジネス系中心の十二科目で三百名の募集です。しかし、ハローワークを通して来年一月の通常の職業訓練を受けようとしましたが、訓練科目というのは六科目で、ビル管理など、ほとんどが施設管理の仕事で、ビジネス系は一科目のみで、募集枠は三十名だけだったんだそうです。その方はこの授業に、どうしてもこの科目を受けたいという希望があるわけですよ。その方は強く思っていて、こういう方にも可能性を開く必要があるというふうに考えます。今後、検討していただきたいというふうに思います。
最後に、農業について伺います。
食の安全問題が大きな社会問題になっています。地元でとれた農産物のありがたさ、農地の保全の機運が、行政と都民の間にかつてなく広がっています。この機会に農業行政を充実させ、農業に携わる人の確保や農家の希望にこたえる施策の充実を積極的に進める必要があると考えます。
お伺いいたしますが、今度の経済対策に、農林、漁業分野が入っておりませんけれども、なぜなのか、お伺いいたします。
○産形農林水産部長 原油高騰に対しましては、都は既に省エネに向けた技術指導や情報提供を行うとともに、省エネ施設導入資金や経営に必要な運転資金に対する融資制度を用意しており、また、国においても新たな燃油、肥料対策を行っているところでございます。
○清水委員 国の対策に加えて、やはり都としても、経済対策の中に都市農業を守る支援を強化する予定というのはないのでしょうか。
○産形農林水産部長 今の答弁と同じようなことになりますけれども、都は既に、農業改良普及センターによりまして、きめ細かに、施設の温度管理に関する指導や土壌中の肥料分の測定を行い、省エネルギー、省肥料を徹底しており、また、省エネ施設導入資金や経営に必要な運転資金に対する融資制度でございます農業近代化資金等も用意しております。
一方、国の対策でございますけれども、市街化区域農地を含め都内全域を対象に、施設園芸用燃油消費量や化学肥料の施肥量を一定以上低減する農業者グループを対象に、燃油費や肥料費の増加分の一部支援などを行うものでございます。
こうしたことから、都としては新たな対策を講じる必要はないものと考えております。
○清水委員 国の対策もいろんな条件があって、みんなが受けられるわけではないし、東京都が今までやってきた農業対策も、抜本的な、本当に都市農業を守るという点では、まだまだ十分でなくて、いろんな要望があるということは、これまでにも農業団体などと要請行動などをさせていただいております。
こういう機会に、農業者、林業者、そして漁業者が本当に深刻な状態にあるわけですから、やはり守る、支援を強化する、そういう取り組みをさらに強めていただきたいと思います。
次に、JAが小学校向けの農業用副読本を作成し、配布したと聞きますが、その配布目的、配布状況、活用の状況などについて伺います。
○産形農林水産部長 先生ご質問の副読本でございますけれども、これはJAグループが、全国の子どもたちに農業への理解を深めてもらうことを目的として作成したものでございます。
東京都内におきましては、JA東京グループが、私学を含めて小学校五年生全員に配布しており、各学校の状況に応じて活用されていると聞いております。
○清水委員 何冊かあるんですけれども、「農業の今と日本の食」という、この一冊だけ持ってきました。これは、給食から、日本の農業の姿から、農産物をつくる、農産物を届ける、日本の食卓の姿、食をつなぐというので、本当にJAがもう生き残りをかけてつくられたものだなというふうに思います。
五年生が農業を勉強するわけですから、これ、五年生に配布されたようです。全国のJAがこの取り組みを行ったというふうに伺っています。
本来ならば、産業労働局が農業振興の一部として、市民啓発や教育の場の取り組みを行う必要があるというふうに考えます。都市の農地、農業で農産物の生産が行われていることが、周辺住民に理解されることが必要だし、本当に農業というのはこういうものなんだな、こうやってつくられるんだなというのは、今までよりもますます重要になってきていると思うわけですけれども、そういう意味で、これが大いに活用されていただきたい。何かオリンピックの本部では、オリンピックの宣伝の副読本か何かを配ったようですけれども、そんなことをするよりも、やっぱり農業の、私たちの暮らしというようなものを、東京都がもっと積極的にやっていただきたかったなというふうにも思います。これが積極的に現場で活用されることを望むものです。
消費者に対する農業の啓発について、どのように取り組んでいるのでしょうか。
○産形農林水産部長 都では、農業や食料などの重要性について都民の理解を進めるために、食育フェアや農業祭、また普及フォーラムなど各種イベントを開催しております。
また、東京の農林水産業に子どもたちが親しみを覚える取り組みとして、児童向けの農業体験、また生産者との交流や学校での地産地消給食の導入などの事業を実施するほか、都民が農業を体験し、学ぶことのできる農業体験農園の整備等に対しても支援を行っております。
○清水委員 さらに取り組みを強めていただきたいと思います。
最後に、農業用免税軽油の問題は、これまでも触れて、要望してまいりましたが、原油高騰の折、この活用が大事になってきています。
免税軽油は、一リットル当たり三十二円十銭の免税を受けられるものであり、免税証を発行してもらって受けるものです。ところが、東京の利用はわずか二件だというふうに聞いています。その原因には、対象が限られているということや、申請手続が面倒ということもあります。先日も、若い後継者の方が申し込みをしようと手続を始めたんですけれども、余りの煩雑さにやめてしまったと聞きました。
これは主税局が行うところだということは承知をしています。それは承知をしているんですけれども、農業振興の立場から、農家の負担を少しでも軽くするために、主税局と連携して、これを多く取り組めるようにしていくことが必要だというふうに考えますが、どうですか。
○産形農林水産部長 本制度につきましては、主税局がホームページで周知するほか、農林水産部のホームページでも情報提供を行っており、また農業改良普及センターでは、制度の周知とともに農業者の相談にも応じております。
○清水委員 そういうことをやられるということなら、なおのこと、このわずかな申請しかないということを克服すべきだというふうに思います。
ちなみに、茨城県では、使用実績の記入方法で、購入月日と数量、使用した月日ごとに、作業内容、作業面積、作業時間、使用数量のすべてを記入する必要があるということですけれども、農業用の場合は購入実績のみの記入でよいというような改善を行ったようです。簡素になったというようです。
そして、手続が面倒でない、申請しないというようなことのないよう徹底する必要があります。宣伝また申請場所の増設などもあわせて、農業支援の部署から負担軽減に取り組むことを求めて、質問を終わります。
○大西委員 初めに、新銀行関連として、口ききリストについて伺います。
現在マスコミに流出している多くの口ききリストが存在するこの状況について、産労としての見解を伺います。
○中村金融監理室長 産業労働局としては、口ききリストなるものがインターネット上に掲載されている事実については認識してございます。その真偽や出所が不明であるこうしたリストがインターネット上に掲載されていることは問題であり、また、銀行の利用者に問い合わせが頻繁に行われるなど、多大なご迷惑をおかけしていると思っております。
そのため、都は新銀行東京に対して早急な対応を求めたところでございますが、銀行においては、重大な権利侵害に当たるとして、インターネット上からのリストの削除を求めるなど、必要な対応を行っているところでございます。
○大西委員 そこで、口ききの定義というものなんですけれども、生活者ネットワークとしては、新銀行東京に対する口きき行為は、一般都民が知り得る情報の水準を超えて、議員の地位を利用し、個別の融資等の審査に対して影響力を行使しようとすることだと思っております。産労局としての口ききの定義について伺います。
○中村金融監理室長 産業労働局として、口ききの定義はできないものと考えております。
なお、広辞苑によれば、口ききとは、とりなしとされているとおり、単に物事を紹介するにとどまらない、異なった印象を受けるというように、個人的には感じております。
○大西委員 新銀行東京へ融資を申請する場合の手続について伺います。
申請の手続をする場合、紹介者の欄があって、そこに何かを書くのか、またあるいは、そういうものを記録として残しているのか伺います。
○中村金融監理室長 融資を申し込む手続についてでございますけれども、あくまで一般的な事例としてご説明いたしますが、まず、融資希望者は電話連絡などにより銀行に融資を希望する旨を申し出ます。銀行では、顧客と面談の日程調整を行い、利用者の事業所に出向くなどして、融資の要望の詳細について把握するとともに、借入申込書への記入の依頼や、融資審査の手続に必要な書類の説明などを行います。その後、必要資料の提出を受け、融資審査を行うことになるものでございます。
ご指摘の、融資の申請書類に紹介欄があるかということでございますけれども、紹介者を書く欄はございません。
あと、先ほどいろいろご審議いただいたんですけど、メモ等は産業労働局は保有しておりません。
○大西委員 ということは、リストを作成できるところは銀行であると。ほかにどこか、そういうことをつくれるところはあるんですか。
○中村金融監理室長 先ほどもご答弁したとおり、出所、真偽も不明でございますので、どこでリストが作成されたかということについては、当方としては判断しかねるものでございます。
○大西委員 つぶれた銀行は数々あるわけなんですけれども、信憑性のない口ききリストがこのような形で流出することは前代未聞です。経営も情報管理も監督できないということなんですね。
○中村金融監理室長 真偽のほども定かでない、こうしたリストがネット上に出ていることは、信用が第一の銀行において、あってはならないことと考えております。
先ほどもご答弁申し上げましたが、都は新銀行東京に対して早急な対応を求めたところでございますが、銀行においては、重大な権利侵害に当たるとして、インターネット上からのリスト削除を求めるなど、必要な対応を行っているところでございます。ご理解をお願いいたします。
○大西委員 先ほどからの答弁に、あってはならないことというのが次々と出てくる。信用第一の銀行の経営もそうなんですが、こういうことで、あってはならないことがぽろぽろ出てくる。信用第一で口がかたい銀行からは、このような形でぽろぽろ情報が漏れ、そして、しっかりと情報を公開しなければならない東京都は口を閉ざす。本当に、非常に、これこそあってはならない形だと思っております。
新銀行の経営については、そろそろ決算が出るということで、それに回して、きょうはそれ以上のことは聞きません。
次に、創業支援について伺います。
百年に一度の金融危機ということで、本当に融資とか、それから中小企業への支援対策、たくさん出ているわけなんですが、同時に、創業という視点からちょっと伺いたいと思います。
都内の事業所数は、一九八六年に約七十九万七千所であったものが、二〇〇六年には約六十九万一千所となって減っております。不況下にあっても、中長期的に東京の産業を発展させ、良質な雇用を創出していくためにも、倒産や廃業に歯どめをかけることとあわせて、新しい企業を着実にふやすこと、すなわち創業を拡大していくことが重要なんですが、都の創業支援策についてまず伺います。
○三枝商工部長 創業は、新しいビジネスと雇用の創出に欠かせないものでございまして、産業を活性化する観点で極めて重要なものでございます。
このため、都では、創業を志す方を対象とした相談やTOKYO起業塾等のセミナーを実施しておりますほか、制度融資による資金支援、インキュベーション施設の提供など多様な支援策を展開しており、引き続き積極的に創業支援を行ってまいります。
○大西委員 今の答弁、新しい企業をふやしていくことが重要との観点から、さまざまな施策を展開しているということですが、具体的な実績を伺いたいと思います。
○三枝商工部長 まず、中小企業振興公社が実施しておりますTOKYO起業塾は、平成十九年度に三百一名の方が受講いたしました。また資金面では、平成十九年度に二千百十一件の創業支援融資を実施したところでございます。
さらに、創業支援のためのインキュベーション施設を、現在、都内八カ所に設置してございまして、百六十八企業が入居しておりますが、これらの企業に対しましては、資金調達や取引上のトラブルに関する相談に応じるなど、各種の経営支援も実施しているところでございます。
○大西委員 産業を活性化していくためには、女性の起業家をふやしていくということも重要だと考えています。都として女性の創業に対する支援をしっかり実施していくべきと考えるんですが、その辺はどうでしょう。
○三枝商工部長 TOKYO起業塾では、実践女性起業家コースを設けまして、みずから起業しようとしている女性の方も積極的に支援しているところでございます。
引き続き、創業を志す方を、男女を問わず幅広く支援してまいります。
○大西委員 やはり中小企業の、現在ある中小企業を救うことももちろん重要ですけれども、本当にそれを、つぶれてもまた起き上がることができるような、この体制がやはり日本には足りないと、だれかがいっておりましたけれども、そのことがもっともっと活性化できるように、あらゆることをやっていただきたい。
今、具体的にお答えを聞いている中でも、やっぱり数がどうしても少ない、その対象が。もっと何とか、わっと出るような、そういう策はないのかなと、お答えを聞きながら思っております。
この「社長さんになる本」というのをいただいたんですけど、これは確かにおもしろいなと思いましたし、こういうネーミングで、本当にもっと夢を与えられるような、そういう策が必要だろうと思っています。
次に移りたいと思います。
私は今、本当にとても中小企業が大変だという中で、残さなければいけない大切な技術とか、そういうものが本当に今後どうなるのかなという不安を持っております。
そういう意味では、都内にはすぐれた技術を有する中小企業は多く存在するし、同じ製品だけつくり続けていたのでは時代の変化にのみ込まれてしまうという厳しい状況もあるわけなんですが、しかし、これまで培ってきた技術を活用して新しい製品を開発し、別の分野に応用するなどにより、活躍の場を広げ、中小企業がさらに発展していくという、その動きを行政としてつくっていくことが必要だと思っているんです。
そのために、中小企業がその技術を応用して新しい分野にチャレンジする新製品開発あるいは新技術開発について、都の具体的な支援策を伺います。
○三枝商工部長 すぐれた技術を有します中小企業が、既存の事業にとどまらず、持てる強みを生かして、例えば新製品の開発などを行うなど新しい分野を開拓していくことは、東京の産業の発展にとって重要なものでございます。
都といたしましても、新製品・新技術開発助成や産業技術研究センターにおける技術指導等、さまざまな施策によりまして、中小企業の新製品開発を総合的に支援をしているところでございます。
○大西委員 一方で中小企業支援策を金額をふやしてやっていくのは必要なんですけれども、一方で、それをやっても、やはり自然に淘汰されるべき企業というものもあると思うんです。
そういう人、当事者にとっては、もうとにかく目の前のことをやることで精いっぱいなんですけれども、大きな、百年に一度の不況と同時に、長期的な時代の流れの中で、どのような企業を自分たちがつくり出していくかということも示していかなければならないことも、都の行政に求められていると思うんですが、その対策について、現在、何か取り組みがあるのか教えてください。
○櫻井産業企画担当部長 東京の産業を発展させていくためには、将来的な方向性を定めまして、それに基づいた施策を展開していくことが大変重要でございます。
産業労働局は、「十年後の東京」の実現を産業振興の面から推進するために、平成十九年三月に、長期的な産業施策の方向性を示す産業振興基本戦略を策定いたしました。その中で、重点産業の育成、技術・経営革新の促進と経営基盤の強化、魅力ある都市の創出、人材育成、この四つの戦略を定めまして、今後十年間の施策の方向性を打ち出しております。
さらに、この戦略の具体化のため、今後三年間で重点的に推進すべき施策を、平成十九年十二月に産業振興指針として取りまとめたところでございます。
これらを踏まえまして、今後とも着実に産業発展、そして中小企業の振興を図ってまいります。
○大西委員 頑張ってください。
最後に、多摩の森林について伺いたいと思います。
多摩の森林は、水源の涵養や災害の防止など、多くの機能を果たしていますが、その機能の一つとして、生物多様性の確保があります。そして、多摩の森林にも、クマや、それからシカ、猿など、多くの野生生物が生息しています。
多摩には約五万二千ヘクタールの森林がありますが、そのうち三万一千ヘクタールが杉やヒノキの人工林です。この人工林の多くは、昭和三十年から四十年代にかけての拡大造林によって植えられたものであり、間伐が必要な樹齢となっています。
ところが、林業の低迷から、森林整備が停滞し、間伐がされずに、暗く、下草も生えない、動物のすみにくい森が多く見られます。その結果、生息場所を失った動物が里におりてきています。本年九月には奥多摩町で、有名な登山家がジョギング中にクマに襲われ、重傷を負った事件も記憶に新しいところです。
そこで、豊かな森をつくっていくということが必要なんですけれども、産業労働局から見た、豊かな森をつくるための取り組みを少し伺います。
まず、間伐の実施状況について伺います。
○産形農林水産部長 都では、昭和五十五年より間伐補助事業を実施しておりまして、平成十九年度は約六百三十ヘクタールの間伐が行われております。事業開始から見ますと、累計では約一万六千ヘクタールとなっております。
○大西委員 今のお答えですと、それなりの面積が間伐されているようですが、多摩の森林をよくするためには、さらに間伐を進める必要があると思います。
今後さらに間伐を推進するために、どんな課題があるのか伺います。
○産形農林水産部長 間伐の実施状況を見ますと、林道近辺の比較的アクセスのよい森林の整備は促進されているものの、林道から離れた条件が不利な森林においては間伐がなかなか進んでおりません。
このような状況から、多摩の間伐を促進するためには、林道等の整備が大きな課題であると考えております。
○大西委員 林道整備が必要ということなんですけれども、さらに何か新しい取り組みとかありますか。
○産形農林水産部長 林道でございますけれども、先月、東京都農林・漁業振興対策審議会から、「豊かな都民生活に貢献する森林の整備と林業振興の方向について」という答申をいただきました。その中においても林道等の重要性が述べられております。
都といたしましても、森林の整備を促進するためには、その基盤となります林道や作業道等の整備が不可欠であると考えております。
○大西委員 もう一つ、常に問題にされているのが多摩産材の活用なんですけれども、日本の木材自給率は低いままで来ております。昔からいわれている国産材の時代は、まだまだ遠い状況なんです。
そこで、多摩から伐採された木材を差別化して販売することも重要だということで、平成十八年度より多摩産材認証制度が開始されたと聞いておりますが、その仕組みと実績について伺います。
○産形農林水産部長 多摩産材認証制度は、多摩地域の森林所有者、伐採業者、製材業者等、民間の方々で構成する多摩産材認証協議会が、登録事業者が取り扱う多摩産材に対して証明書を発行し、認証することにより、多摩産材の流通拡大を目的とするものでございます。
多摩産材の認証量は、平成十八年度で二千八百五十九立方メートル、平成十九年度では九千五百七十八立方メートルとなっております。
○大西委員 多摩産材の流通量はふえているようですが、森林の整備が進めば、木材がもっと多く出てきます。そこで、多摩産材の一層の利用拡大が必要ですが、多摩産材の利用拡大に向けた都の取り組み内容を伺います。
○産形農林水産部長 都では、みずから積極的に多摩産材の活用を図るため、全庁的な取り組みといたしまして、平成十八年十二月に東京都多摩産材利用方針を策定いたしました。加えて、多摩産材使用のための特記仕様書や単価表を作成し、公共建築や土木施設などでの利用拡大を図っております。
民間での利用促進につきましては、これまでの取り組みに加え、今年度から、多摩産材の利用促進に向け、モデルルーム等の設置や普及のイベントなどについて、アイデアを広く民間から募集し、提案者が実施する際の経費の補助を行っております。
○大西委員 今の答弁で、公共建築や土木施設などでの利用拡大を図っているということなんですが、私の情報だと、土木事業というと、何かベンチをつくったり、手すりに多摩産材を使ったりというようなことを聞いているんですけど、公共建築でも、どこか使ったりしているんですか。
○産形農林水産部長 さまざまな公共建築等で使っておりますけれども、またこれからも、新たに計画するものについては多摩産材を利用していただくということで、多摩産材の利用部会等、そういう会議を通じて、庁内各局にお願いをしているところでございます。
○大西委員 ぜひその辺、力を入れてやっていただきたいと思います。もうベンチとか手すりとかいうのじゃなくて、シックハウス対策とか、それから子どもの施設とかには、そういう多摩産材を外材並みの価格でやっていただきたい。
小金井の桜町にあるホスピスを訪ねたんですけど、やはりそういう病院とかには、機能的にも、それからいやしの効果という面からも、木を使うことが非常にいいということで、行った私も、そうだよなあと思って帰ってきたわけなんですが、もっと本当に東京都がつくるそういう公共の場に、この多摩産材をどんどん使っていくことを、産業労働局の戦略として入れていただきたいと思っております。
そして、次に行きます。
今後とも、多摩産材の利用拡大に、そういう意味で積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
人工林の整備には、林業を活用した森林整備が不可欠です。しかし、拡大造林で植えられた人工林には、林道から遠い奥山など、林業としての整備が困難な森林も多くあります。そのような人工林に対しては、自然に近い森林へ誘導することも必要と考えますが、いかがでしょう。
○産形農林水産部長 先ほど申し上げました東京都農林・漁業振興対策審議会からの答申では、杉、ヒノキの生育条件が厳しい奥山などでは、人工林を、針広混交林や自然植生を生かした天然林に近い姿へ誘導し、水源の涵養、生物多様性を確保するなど、多面的機能の発揮を重視する森林整備が提言されております。
都といたしましても、森林所有者の意見を聞きながら、森林の立地に応じた森林整備を推進していきたいと考えております。
○大西委員 産業労働局として、豊かな森をつくるというか、豊かな森の概念って、どのようにお考えでしょうか。
○産形農林水産部長 豊かな森という、非常に難しいながら、また簡単かもしれませんけれども、人それぞれによって違うと思います。豊かな森、森林というものは、ちょっと話が長くなっちゃいますけれども、古来から人間の生活を支えてきた、また林業としても成り立ってきたと。近年では、地球温暖化防止ということで、ご案内のとおり、京都議定書で六%のうちの約三分の二の三・八%を、CO2の吸収度をカウントするという、今後とも貴重なものだと思っています。
また、しかしながら、ご案内と思いますけれども、戦後の拡大造林で人工林、多く植えましたけれども、外材の問題とかいろんな問題で、価格低迷ということで、林業が非常に疲弊しているということで、非常に多摩の森林、傷んでおります。荒廃しております。
森というのは、林業が成り立つと同時に、また水源の涵養のそういう機能、また、下草がきちんとあって、そういう自然にも恵まれたというさまざまな機能を持っております。また、そういう森林は場所によってその姿が違う。奥地においては落葉樹等々がありますし、人工林を中心とするところでは林業が成り立っていく。また、里山に近いところでは、そういうコミュニケーション、教育、レクリエーションとかで、親しみの持てる森林ということで、森林も場所によっても違いますけれども、森林というのは、都民、国民にとってのかけがえのない財産というふうに考えております。
○大西委員 いろいろお答えいただきまして、ありがとうございます。
豊かな森、一つ欠けていたのが、やはり野生動物と人間が共存して暮らす森のあり方というのが必要なんだろうと思っています。
しかしながら、産労とすると、森をある意味、業としてどうするかという視点が中心になってくるので、その中での豊かな森は、あくまでも人間がいかにこの森の恩恵にあずかりながらも、どう利用していくかということを考えなきゃいけないんですけれども、本当の豊かな森というのは、やはり究極はクマがすめる森だといわれております。(「タヌキも」と呼ぶ者あり)タヌキもそう。野生動物と一緒にすむ。その中での大型動物の象徴として、クマがすむ森というものはやはり一番豊かな森だといわれています。
こんこんと水がわき出る森が消えるとき、すべての産業、都市が消えると、この本に書いてあるんですけれども、クマのことをちょっとお話しさせていただきます。
先ほどの、多摩でもジョギング中にクマと遭遇しました。もともと森に入る人たちは……(発言する者あり)ああ、私じゃなくて。入る人は、やっぱりクマというのはとても優しい動物ですので、ちゃんとした山に入るマナーというものを心得て、それこそちゃんと音を立てて、入りますということでいうと、クマは襲ってこないといわれております。
しかし、やはり今クマがこうやって出てくるという理由には、もちろん温暖化で冬が--クマは余り関係ない。シカは温暖化で冬、越冬がしやすくなって、多摩の森を傷めている被害がありますよね。
クマの場合は、やはり凶作で、食べ物の木の実がなくなったときに出てくるわけですね。十八年度は山の実りが大凶作でした。そのとき、クマが出てきて捕獲されたのが五千百八十五頭ですね。そして殺されたのが四千六百七十九頭います。昨年は平年並みの作だったんですが、出てきたのが千三百三十四頭が捕獲されており、そのうち殺されたのが千二百二十六頭。ことしはブナが凶作だといわれているんですけれども、九月現在とか、十月のこの時期で、千百九十一頭が出てきて、殺されています。このような形で、本当に私たちが思う以上にクマは殺されているわけなんです。
クマだけじゃないといわれるとそうかもしれませんけれども、クマって、やはり人に危害を加えるということで、難なく殺されてしまっているわけですけれども、クマがいなくなってしまうと、やはり森も荒れてしまいます。
針葉樹があると、私たちは、ああ、緑だな、豊かな森だなと思うけど、針葉樹ではクマは暮らせません。そういう意味では本当に広葉樹が必要になってくるわけなんですけれども、東京都は、東京の森林約五万二千ヘクタールのうち三万一千ヘクタールを人工林が占めております。この割合は五九%で、全国平均の四六%に比べ、かなり高く人工林が多いところなんですよね。
その中で、もちろん林業として手入れをし、木を出していらっしゃる方もいますけれども、多くの山持ちさんたちはそのままにしてしまっている。そういうところを、奥山はもうどんどん人工林から広葉樹へかえて、クマがすめるような、そういう森づくりが必要だと思っています。
これは環境局の役目だよと、産労からおっしゃるかもしれないけれども、産労は多摩の森林再生事業ということを共管でやっていますよね。そういう意味では、ぜひ産労の方たちも、豊かな森は、私たちが得ることだけじゃなくて、やはりクマと、野生動物と一緒に共存することが本当に必要なんだということを改めて認識していただきたいと思って、ちょっとお話しさせていただきました。
やはりこれからは思考転換、価値転換、このことができるかどうかにかかっております。産労もぜひそのような視点で豊かな森づくりに頑張っていただきたいと思います。
以上です。
○岡崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後六時十八分休憩
午後六時四十二分開議
○岡崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○山口委員 それでは、私からも新銀行東京についてお伺いしていきたいと思います。
新銀行東京については、十月六日に、減資に伴う減債基金への五百四十億円の積み立てを盛り込んだ補正予算が可決されましたが、この間、十月二十一日には金融庁が検査結果を通知され、十月二十七日には、新銀行の元行員ら七名が詐欺の容疑で逮捕されるという事件が起こりました。
また、国会では、金融機能強化法が議論される中で、地方公共団体が支配株主である銀行、これは全国には新銀行東京しかないそうなのでありますが、こうした銀行に対して国が支援することについて、与野党から、当然のことでありますが、疑問の声が上がっております。
まず、金融庁の検査結果に関して、貸倒引当金についてお伺いしたいと思います。
新銀行東京の貸倒引当金が数十億円あるいは百億円不足するという報道がなされているわけでありますが、その真偽はさておき、過去、貸倒引当金については、十八年九月中間決算時に会計監査人から、実績デフォルト率を基礎とした合理的な予想損失率の算出により、適切かつ十分な貸倒引当金を計上する必要がある旨の提案がなされていたわけであります。
新銀行は現在、この貸倒引当金をどのような方法で算定をしているのか、まずお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、一般の銀行と同様に、債務者実態を踏まえた自己査定を実施し、その結果を受けて、過去の貸し倒れの実績をもとに予想損失率を算出し、適正な水準と判断した貸倒引当金を計上してございます。
なお、新銀行東京は、十九年三月期決算より、実績デフォルト率に基づき貸倒引当金を算出してございます。
○山口委員 それでは、この決算により摘記をすることになった貸倒引当金の算定方法の変更に際しては、コンプライアンス上の手続などを踏まえて適正になされたものと認識されているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 貸倒引当金の算定方法の変更につきましては、適正な手続を踏んだ上で、最終的に取締役会の承認を得ているところでございます。
具体的には、自己査定を統合リスク管理部が取りまとめ、監査法人のチェックを受けるなど、法令上適切な手続を踏んだ上で、最終的に取締役会の承認を得て査定を行っているところでございます。
その結果を受けて、過去の貸し倒れの実績をもとに予想損失率を算出し、取締役会承認の上、適正な水準と判断した貸倒引当金を計上してございます。
○山口委員 さて、続けてお伺いしたいのですが、ことしの六月には、監査法人がトーマツから治田会計事務所にかわっております。この変更が、単なる契約期限切れではなく、新銀行と監査法人とのあつれきであったのであれば、それは大きな問題であります。
東京都は、当時の監査法人が指摘をした、合理的な予想損失率の算出がなされていると考えているのか、また、適切かつ十分な貸倒引当金が計上されていると考えているのか、お考えを聞きたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京の会計監査人が交代したのは、契約期間の満了によるものでございまして、本年六月の監査委員会において適正な手続を経て選任されたものであります。監査法人と新銀行東京との間であつれきがあったことにより変更したものではないと聞いてございます。
先ほども申し上げたとおり、適切な手続を経た上で、適正な水準と判断した貸倒引当金を計上していると考えてございます。
○山口委員 金融庁が立入検査を始めたのは五月十六日であり、新銀行の平成二十年三月期決算が発表されたのは六月二日であります。そして六月十九日には、経済・港湾委員会の質疑に対して、当時の目黒金融監理室長は、検査によって、貸倒引当金の積み増しなど、より適正な事業運営が必要とされる場合があるかもしれないと答弁するなど、貸倒引当金の積み増しに既に含みを持たせているわけであります。
東京都としても、当時から貸倒引当金の不足に不安を抱いていたのではないでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 六月十九日の経済・港湾委員会における金融監理室長答弁は、新銀行東京と特定したものではなく、金融検査に関する一般論について述べたものでございます。
貸倒引当金につきましては、先ほども申し上げたとおり、貸出先の状況に応じ、適正な水準と判断した貸倒引当金を、適正な手続を経た上で計上しているものでございます。
○山口委員 視点を変えまして、三月十七日の経済・港湾委員会で、大西議員の質問に対して、当時の目黒金融監理室長は、新銀行東京では、債務者実態を踏まえた資産の自己査定を行っており、再建計画でも、その査定結果を踏まえて、十分な水準と判断した貸倒引当金を計上しているところだと答弁をされました。
しかし、自己査定だけでは、結局甘い算定結果になるのではないでしょうか。債務者実態を踏まえた資産の自己査定とは、具体的にどのような自己査定を行ったのか、また、自己査定を行った担当セクションはどこなのか、どのくらいの体制で、だれが責任者であったのか、お聞かせいただきたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、一般の銀行と同様に、債務者実態を踏まえた自己査定を実施し、その結果を受けて、過去の貸し倒れの実績などをもとに予想損失率を算出し、適正な水準と判断した貸倒引当金を計上してございます。
自己査定は、統合リスク管理部が取りまとめ、監査法人のチェックを受けるなど、法令上適切な手続を踏んだ上で、最終的に取締役会の承認を得ているところでございます。
○山口委員 金融庁の検査に関連して、知事は五月十六日の定例会見において、再建計画の見直しについて聞かれると、分析を尽くした上で再建計画を立てているので、金融庁の検査の結果、見直しを迫られることはないと思うという旨を答えていらっしゃいます。
既に金融庁の検査結果が通知されたところでありますが、本当に再建計画の誤差の範囲内なのか、見直しを迫られることはないのか、確認をしたいと思います。
○中村金融監理室長 金融検査は、国家的な金融秩序の安定などを目指すため、金融庁が銀行法に基づき実施しているものでございます。その結果につきましては不開示とされております。また、金融庁からも、第三者への開示については不開示と聞いているところでございます。
そのため、検査結果を都は知り得る立場にはございませんが、新銀行東京から、再建計画を見直す必要はないと聞いているところでございます。
○山口委員 という答弁を伺っていると、そう聞いているならば、東京都も当然そう思われていると思っていいわけですよね。お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京からの当事者の話でございますので、東京都もそのように思ってございます。
○山口委員 さて、石原知事は十月三十一日の定例会見で、日経の記者を名指しをして、日経の記事はおよそ根拠がないものだ、ガセの記事だということが証明をされる、銀行は深刻に受けとめており、あなたたちも覚悟しておけよと、記者の方を、聞きようによっては恫喝をされているわけです。
日経新聞と他の全国紙とを比べると、貸倒引当金の不足額を日経が百億円としたのに対し、他紙は数十億円としたことが大きな違いと思われますが、日経の記事のどこがガセで、根拠がないものなんでしょうか。
また、石原知事は日経の記者に対して、風評被害になって銀行は迷惑しているんだとも述べられているわけでありますが、日経の記事により、どのような風評被害が生じたのか、お聞かせいただきたいと思います。
○中村金融監理室長 繰り返しになりますが、金融検査の結果が通知された後に、新銀行東京からは、再建計画を見直す必要はないと聞いてございます。
ご質問にもありますように、日本経済新聞は十月二十二日に、金融検査に関連して、「新銀行東京都の追加出資棄損へ 引き当て不足百億円」という見出しの記事を掲載いたしました。
金融庁と新銀行東京しか知り得ない検査の結果について、一面のトップで、あたかも断定的なものとして報道したことによる読者への影響は、他紙に比べ多大であると考えてございます。
新銀行東京が再建に向けて懸命に努力しているところに、こうした報道がなされたことは、ゆゆしい事態と考えております。こうしたことを踏まえての日本経済新聞の記事に対する知事の発言だったと認識しております。
なお、実際、新銀行東京と取引していることを不安に感じて、顧客からの問い合わせが増加したと、新銀行東京からは聞いております。
○山口委員 しかしながら、石原知事があれほど日経の記者さんを名指ししていわば恫喝をするには、それなりの根拠があったはずであります。東京都は貸倒引当金の不足額など、金融庁の指摘事項を承知しているのか、また、石原知事は金融庁の検査結果を知り得る立場なのか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 都は検査結果を知り得る立場にはございませんけれども、先ほども申し上げたとおり、新銀行東京からは、再建計画を見直す必要はないと聞いております。それを踏まえて知事が発言したものと考えております。
○山口委員 何を根拠にそこまでおっしゃったのかということがわからない。知らない、聞いていないといえば済むことだったのではないかと当然思ってしまうわけなんであります。知事は実は金融庁の検査結果を内々知っていたんじゃないかと当然疑いたくなってしまうわけでありますが、例えば、知事は三月二十五日の予算特別委員会では、日銀の考査について、実は私は都から報告を受けていましたが、横から聞いて、概略聞いていた、それが私の耳に横から入ってきたけれども、当然都の幹部の人たちに伝わっていると思ったら、それは伝わっていなかったというのは、改めて驚きだと述べられています。
日銀考査は、どのような経過で石原知事の耳に入ったと認識をされているでしょうか。現在も、日銀考査の概略について都の幹部の方々は承知をしていないんでしょうか。
同じような経過で、金融庁の検査結果だけ、石原知事が知っていて、東京都の担当セクションの方々は知らないということはあり得ないんでしょうか。お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 都は、日本銀行の考査が行われたことは聞いておりますが、その結果につきましては承知しておりません。
日本銀行も、平成二十年三月二十七日の参議院財政金融委員会において、新銀行東京の考査結果に関する情報を第三者に伝えた事実はないと答弁しているとともに、十一月十三日の同じく参議院財政金融委員会でも同様の趣旨の答弁をしているところでございます。
また、繰り返しになりますが、都は第三者として、金融検査の結果を知り得る立場にはございません。
○山口委員 参議院での答弁を引用していただきましたので、こちらからも改めてお伺いさせていただきたいと思います。
十一月十三日、参議院の財政金融委員会において、民主党の尾立議員の質問に対して、政府側は、例えば、銀行持ち株会社など、考査の結果を開示することによってその金融機関のリスク管理や経営管理などに特に資すると判断される場合に限って、日銀の考査結果などを開示することを認めることがあると答え、限定的ではあるが、開示の可能性を、これは答弁をしているわけであります。
事態と場面が変わって、ここまで踏み込んだ議論が国会でなされているわけでありますから、当然、改めて日銀に対して考査結果の開示を求めていくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
○中村金融監理室長 日本銀行からは、考査結果は、考査先金融機関の経営陣に伝達することとしており、第三者に対しては開示しないことを原則としていると聞いてございます。
また、金融庁からは、金融検査の結果につきましては、金融検査に関する基本指針において、被検査金融機関やその取引先の権利、競争上の地位やその正当な利益を害するおそれがあること、将来の検査一般において、正確な事実の把握を困難にするなど、検査の実効性を損ねるおそれがあること、さらに、被検査金融機関に多大な影響を及ぼすのみならず、金融情勢全般に不測の影響を与えるおそれがあり、金融システム全体の安定性が確保されないおそれがあること、以上の理由により不開示とされており、日本銀行も考査の結果につきましては同様の考えであると聞いております。
したがいまして、都として開示を求める考えはございません。
○山口委員 今私がいったように、答弁の中でこう答えられているんです。日銀は、限定的だけれども開示をすると答弁されているんです。
私たちは、日銀の考査結果だけではなくて、金融庁の検査結果についても、東京都として開示を求めていくべきだと主張してきたわけでありますが、ここまで踏み込んだ議論を国会でしているにもかかわらず、都の答弁だけが、それは東京都の見解ですよね、変わっていないんです。東京都は、その答弁で逃げるのであれば、これはもう極めて消極的だと厳しく指摘せざるを得ません。
改めて伺いたいんですが、何を根拠にそれは適切でないと判断をされているのか、銀行法などにそのような規定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 検査結果の不開示の根拠は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第五条における開示の例外規定及び金融庁の定める金融検査に関する基本指針の情報管理の規定であると金融庁から聞いております。
○山口委員 すべてが、問い合わせて、いわれた結果だとおっしゃいますが、今答弁をされた根拠法は、国民一般が情報公開を求めた場合であって、支配株主が求めた場合にそれに該当するかどうかというのは、これは判断の分かれるところだといっているんです。
そこで、質問の角度を変えましょう。若干法律論をしたいと思います。
金融機能強化法に関して、衆議院においては、地方公共団体が支配株主となっている金融機関については、支配株主である公共団体がその資本の充実について一義的に責任を持つこととすると附帯決議が付されています。
新銀行東京に関して、十一月二日のNHKの番組でも、自民党の園田政調会長代理が、東京都がまずはっきり責任をとらなければならないと述べられたり、公明党の山口政調会長も、東京都が第一義的な責任を負うことだと述べられています。
修正案にするか、附帯決議にするかの意見は分かれるところではありますが、新銀行東京を通常の金融機関と別の扱いにすることについては、こういった発言からも、自公にもこれは異論がないものだといえるわけであります。
東京都は、なぜ地方公共団体が支配株主となっている金融機関が別の扱いになっているのかということ、これはどのように解釈をされているのか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 金融機能強化法は、その改正案につきまして、現在国会で審議が行われているところでございますが、都として法案を解釈する立場にはございません。
○山口委員 私は、審議をされている今だからこそ、ここで新銀行を、かくありたい、どうありたいのか、どうするべきなのか明確にすることが、都の立場として当然であると考えるわけであります。それでも、審議中であるのでコメントできないというのであれば、次の機会にまた改めてお伺いしたいと思います。
それでは、例えば銀行法第五十二条の二で地方公共団体が除かれていることについてはどのように解釈をされているでしょうか、お伺いします。
○中村金融監理室長 銀行法第五十二条の二は、銀行の総株主の議決権の百分の五を超える議決権の保有者、銀行議決権大量保有者でございますけれども、それは、銀行議決権大量保有者となった日から五日以内に、銀行議決権保有届出書を内閣総理大臣に提出しなければならないことを規定しておりますが、その対象からは、国、地方公共団体その他これらに準ずるものとして政令で定める法人を除くとされているところでございます。
○山口委員 ですから、何度もいいますが、国や地方公共団体、そのほか特殊法人はなぜ対象から除かれていると解釈をしているのかを伺っているわけです。解釈についてお伺いします。
○中村金融監理室長 地方公共団体等は、銀行法第五十二条の二で明確に対象外とされております。法の解釈につきましては、都は申し上げる立場にございません。
○山口委員 法律の解釈もせずに、その文字づらだけしか見ていないのであっては、銀行の株主として適切な監視ができているとは、残念ながらいえないのではないでしょうか。
銀行法第五十二条の十四では、内閣総理大臣は、銀行の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、当該銀行主要株主に対し、当該銀行の経営改善計画の提出や監督上必要な措置を命じることができる旨を規定をしています。
ここで規定されている必要な措置には、資本増強のための経営計画の策定や、その実施への協力、資金援助などを行うことが当然想定されているわけでありますが、東京都は、この五十二条の二や十四に照らして、どのような行動が期待されていると解釈をされているでしょうか、お伺いします。
○中村金融監理室長 銀行法第五十二条の十四でございますけれども、内閣総理大臣が、銀行の主要株主のうち、銀行の総株主の議決権の百分の五十を超える議決権の保有者、いわゆる支配株主のことでございますけれども、支配株主に対し、銀行の経営の健全性を確保するため、改善計画の提出などを求めることができるという規定でございます。
銀行法第二条により、地方公共団体は主要株主としての位置づけから明確に除かれているため、都は第五十二条の十四の対象にはなってございません。
なお、都は、大株主として、新銀行東京の再建に向けた取り組みが着実に達せられるよう、適切な監視と支援に努めているところでございます。
○山口委員 東京都は法律の対象外ではありますが、大株主として、法律の趣旨をかんがみて、追加出資などの支援に応じたのではないでしょうか。であるならば、主要株主である都は、日銀の考査、金融庁の検査の結果について求めていくことの方が筋なのではないでしょうか。お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 先ほどもお答えいたしましたが、地方公共団体は主要株主として位置づけられておりません。
なお、金融検査の結果につきましては、主要株主であるか否かにかかわらず、当該金融機関以外には開示しないというふうにされてございます。
○山口委員 先日も決算特別委員会の中で質問いたしましたが、都が知る立場にもない、銀行から出ているはずでありますが、銀行情報が当たり前にインターネットに流出していたり、ホームページによっては販売されていたり、こういった重要な法解釈についても、専門家を交えてでも吟味をして、都として必要な情報開示を求めていくことが、まさにしっかり監視、指導する立場にある、この監理室の、都としての仕事ではないんでしょうか。室長、どのようにお考えになられますか。
○中村金融監理室長 金融検査の結果につきましては、主要株主であるか否かにかかわらず、当該金融機関以外には開示されないというものでございますけれども、それによって何もしないということではなくて、金融監理室におきましては、その金融検査の結果につきまして、新銀行東京は改善をするということでございまして、その状況を把握することを通じまして、監視の目的を達成していきたいというふうに考えております。
○山口委員 結果を見てからでは遅いこともあるかもしれませんし、結果が出てよかったと思うこともあるかもしれませんが、監理室という立場で考えれば、早目早目で、しっかりと手を入れていく、目を向けていくことも私は重要だと思いますので、民主党としては、この結果を求めていくということを強く改めて要望する。東京都としても、また銀行からも、そういう要請をしていくよう求めていきたいと思います。
重複している質問は割愛させていただきますので、最後に意見を申し述べて、質問を終わらせていただきたいと思います。
新銀行の自己資本比率が四%を切らなくても、追加出資の四百億円が毀損するかどうかは、新銀行撤退の大きなメルクマールの一つであり、支配株主である東京都としても、新銀行任せばかりにはしていられないわけであります。
また、参議院での参考人について、知事は、前日に呼び出しがあったことを失礼だとおっしゃっておられましたが、参議院の審議のルールもあり、前日にオファーが来ることもあるので、仕方がないことであるわけであります。そこは、求めた民主党の立場から、ご容赦いただきたいところであります。
さらに、まずは経営陣が先だともおっしゃられていましたが、株主が先か経営陣が先かは、法案を審議する参議院が決めることなので、そこはぜひともご理解をして、行動に移されるよう、この場をおかりして意見を述べ、私の質問を終わりたいと思います。
○小竹委員 私の方からは、商店街施策についてと雇用対策についてお伺いします。
最初に商店街施策ですが、大型店の出店の影響だとか、深刻な経済状況の中で、本当に商店街は空き店舗が目立ち、そういう空き店舗のところにフランチャイズなどが進出して、商店街そのものが本当に大変な状況の中にあります。
そういう中で、商店街の皆さんは相当頑張っておられるわけで、新・元気を出せ商店街事業を活用したイベントは、まちの行事ともなって定着してきています。
この間、商店街の皆さんから、補助金の使い勝手についていろいろ要望も出されてきており、私もこの間、改善を求めてまいりました。不用額も毎年二億円を超しているわけで、そういう意味では、年度当初の元気出せの申請だけでなく、年度途中でも申請を認めてほしいという声が強くあります。この辺についての申請方法についての拡充をすべきだというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
○三枝商工部長 新・元気を出せ商店街事業のうちのイベント事業に係る補助金につきましては、第一・四半期に、区市町村を通じて都内全域の商店街の交付申請を受け付けておりますが、補助金の額の確定が年度末となりますことから、年度途中の追加申請を受け付けることはできないところでございます。
○小竹委員 だめということなんですけれども、いろいろアイデアや何かを集めるという点でいうと、やっぱり年度途中でもやれるような方法については、ぜひ今後の問題としても検討していただきたいというふうに思います。
先ほどもありましたけれども、イベント実施に当たって、継続して使用できる、はんてんだとかTシャツ、それからテーブルなど、そういう長期に使えるものについて、改善をこの間も求めてきたわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
○三枝商工部長 新・元気を出せ商店街事業のうちのイベント事業では、イベントそのものを補助するという性格から、期間や場所等を含めて使途が限定されるものでございまして、イベント終了後も継続して利用するものにつきましては補助の対象といたしておりません。
なお、各区市町村がそれぞれの地域の実情に応じて補助対象のいかんを判断できますよう、補助金としての基本的な枠組みを踏まえつつ、現在、各自治体と意見交換をしているところでございます。
○小竹委員 区市町村と協議をしているということですから、ぜひ取り入れていただきたいというふうに思うんですが、長期に使うという点でいうと、私、ちょっと商店街の方から訴えられたんですが、文京区内の京華通り商店街では、富山のおわら踊りを毎年イベントでやっています。非常に多くの人でにぎわってきて、三味線だとか歌も生でやっているということで、ワイヤレスアンプなど、そういう放送や何かについてもぜひ認めてほしいというふうな要望があるんですが、先ほどお答えいただいた市区町村との協議、そういう中で、区の方は、区の補助金としては一定部分認めているのがあるようなんです。そういう点では、元気出せの協議の中でも、そういうものも区が認めれば対象というふうな形になり得るのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○三枝商工部長 繰り返しになりますが、新・元気を出せ商店街事業のうちのイベント事業では、イベントそのものを補助するのが主眼でございまして、期間や場所を含めて使途が当然に限定されるものでございまして、イベント終了後も続けて使うというものにつきましては補助の対象といたしておらないところでございます。
○小竹委員 イベントで使っているんですよ。イベントのときに、今は認められないから、レンタルでやっている。毎年毎年やるということになると、レンタル料だけでかなりの金額になるから、やっぱり備えられれば備えたいというふうな希望もあるわけで、そういう点では、区市町村との協議の中でぜひ検討していただくように、これは求めておきます。
さらに、商店街の皆さんから強い要望で出ているのは、商店街の役員さんはほとんど家族総動員で、お店を閉めてイベントに携わるというのが当たり前のようになっているわけです。そういう点で、商店街のイベント事業に、いろいろアルバイトでお願いをする、そういう人たちと同じように家族が手伝うわけで、そういう方々へのアルバイト代の補助だとか、あと、大学生や小中学生が手伝いに来るときに、謝礼などについても、やはり一定のものとして認めてほしいというのが、もう長く出されているんですよ。
これは私も、この間、何回もこの委員会で取り上げてきた問題ですから、ぜひこの点についても検討が必要かなというふうに思うんですが、この点は協議の対象としてやられていくのかどうか伺います。
○三枝商工部長 新・元気を出せ商店街事業のうちのイベント事業では、商店街関係者の家族等の労務提供に対する謝礼、アルバイト代は、事業主体の労務に対する補助そのものと相なりますことから、補助対象とはいたしておりません。
区市町村との協議の段階で、このことが課題となりましても、この趣旨を私どもとしては主張する形になろうかと思います。
○小竹委員 本当に今、大変な中やるわけで、家族全部をということではないけれども、息子さんや娘さんたちが友達と一緒に手伝うというふうな状況があって、やっぱりそういうものについても基本的には認めていいんじゃないかというふうに私は思うんで、今後の問題として、これはもう長い間主張してきていますけれども、商店街の要求でもありますので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
さらに、文京区では、グリーンコートのテナントビルだとか、メトロ・エムのビルのテナントが商店会を構成していて、そこが新・元気出せの申請をしているというふうなことなんですけれども、メトロは、ことし初めてということで、事業規模は九百万というふうな規模での申請だということで、区の予算の枠があるものだから、やっぱり一定制限したというふうなことなんですけれども、こういうテナントビルの中の商店街というのも対象として考えられ得るのかということと、それから、いわゆる商店街というのは、個人事業者や何かで形成するまちの商店街ですから、中身、考えというか、商店街といっても違うんじゃないかというふうに思うんですが、この点について、都の認識と、対象としてどうなのかという点をお伺いします。
○三枝商工部長 お訪ねの商店会につきましては、文京区が、地域の特性等も踏まえまして、都及び同区の補助金交付要綱に照らして、商店街であると認定をしたものでございまして、都といたしましては、文京区の判断を尊重しているところでございます。
なお、商店街が今どのようなものかというお尋ねがございましたが、東京都の新・元気を出せ!商店街事業費補助金交付要綱におきまして、商店街振興組合法により設立をされた商店街振興組合、中小企業等協同組合法により設立をされた事業協同組合並びに、区市町村が、社会通念上、消費者によりまとまった買い物の場として認識されているなど、要綱に記載された事項に照らして商店街と認めるものと定義をしてございます。
新・元気を出せ商店街における直接の補助対象、いわゆる補助事業者は、商店街等に補助を行う区市町村でございまして、文京区の認識を尊重したいと考えてございます。
○小竹委員 文京区の認識ということですから、文京区は承認したんですけれども、こういうのが拡大していくと、例えば今JRなんかは、もう駅ナカの商店街、すごいですよね。それとか、あとイオンだとか、そういう大型店はショッピングモールなんかもつくっているわけで、そういう点でいうと、こういうところまでということに広がりかねない問題だと思うんです。
いわゆる商店街というのは、やっぱり従来からのまちの核になってきているものであるわけだし、経営主体や、商店街を構成するという点では、まちの皆さんが元気に、その商店街を中心にしてまちづくりを進めていく拠点になっているわけですから、やっぱりそういう点での目的からも外れる中身があるんじゃないかというふうに思いますので、これからの問題としては、ぜひこういう問題点についても再検討の余地があるんじゃないかと思いますので、問題提起をしておきます。
あわせて、そういう一方で、今、まちの商店街は、それこそお店が減って、商店街を構成するメンバーが少なくなって、この新・元気出せのイベント事業の三分の一の負担ができなくてイベントもできないという、こういう商店街もふえてきているわけですね。
そういう点では、やはりそういうところも、まちのいろんな支えと一緒に頑張っていけるような状況にするためには、やっぱり負担の軽減をする必要があるというふうに思いますので、こういう点も、ぜひ今後の問題として検討していただくように強く求めておきます。
続いて、商店街が設置した街路灯の電気代補助ですけれども、商店街を構成するメンバーの減少に伴って、支払いが大変困難になっているところも増加しています。区市町村で補助するところもふえていますけれども、都民の安全・安心を守る立場から、都として助成すべきというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○三枝商工部長 新・元気を出せ商店街事業は、商店街の活性化に資するイベントなど、商店街の意欲的な取り組みを支援するものでございまして、街路灯の電気代などのいわゆる経常的経費は補助対象としてございません。
○小竹委員 やっぱり今本当に大変になっているんですよ。だから、そういう点では、区市町村も努力はしているけれども、財政的な規模によっては、できないところもあるわけで、そういう点では、新・元気出せの枠にとらわれずに、そういうものについて、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
今、都道に面した商店街は、文京区内なんかも、マンション建設で商店街が構成できなくなっているんですよ。商店街がにぎわっているときには、自分たちの経費で街路灯を設置したんですね。それで、これまで電気代を払ってきたわけだけど、それを払うのが困難になっている状況があります。
まちの安全を守るために、やっぱり大きな役割を果たしてきたわけです。商店街そのものも社会的貢献をずっとしてきたわけですよね。それが、電気代が払えないという状況に置かれているという点では、都道についての商店街がつくった電気代については、都として支払う体制を持つ必要があるんじゃないかというふうに私は思うんですが、この点はどうでしょうか。
○三枝商工部長 都道、区道のいかんを問わず、街路灯の管理は各設置者により行われるべきものと考えてございます。
○小竹委員 そうなると、老朽化したのは撤去するという点では、元気出せのが適用になる部分があるわけだけど、まだしっかりしているものなんかについては撤去するわけに--もったいないわけですよ。
そういう点でいうと、区道については、区市町村が独自に撤去して、新しく設置するみたいな仕組みをつくったりしているところがあるわけだけど、都道のところは区市町村が手を出さないで、今現実に、それで、どうしようということで困っている商店街があるわけですよね。
だから、そういう点でいうと、耐用年数があるものについては、商店街から都の方に寄附を受けるか何かして、電気代の支払いを肩がわりする仕組みをつくるべきだというふうに考えるんですが、どうでしょうか。
○三枝商工部長 商店街の経営等につきまして、例えば私どもでは、中小企業振興公社等を通じて、巡回指導等の経営相談等も受けてございます。
それから、街路灯の管理等について、いろいろな経費を支払えとのことですが、新・元気を出せ商店街事業で各種の支援も行ってございます。商店街みずからが自主的に活性化に向けて自助努力をされることを希望するものでございます。
○小竹委員 活性化に努力するというのは、努力しているんですよ。だけど、さっきいったように、それこそみんな、まちのあれが、都道のところは、それこそ地上げが進んで、これは文京区だけの例じゃないわけですよ。ほかのところだってあるわけです。
まちの街路灯を、今まで商店街が元気だったときには、自分たちが提供して、まちの皆さんに明るくして、安全性を保ってきたわけだけど、商店街がなくなってきて、維持できなくなったら、それ、どうするんですか。
だから、そういう点でいうと、やはりきちんと対応する体制をつくる必要があるんですよ。商店街がやっぱり実際上維持できなくなっている状況をきちんと掌握して、体制をつくるべきだということを、これは要望しておきます。
それで、先ほどもありましたけれども、特定施策推進事業で、それを利用する商店街もふえています。私は、このものについて、利用がふえていると同時に、やっぱり商店街が、今、電気代、将来的にも、見越していけば、地球環境を守るという点からも、太陽光電気だとか、それからハイブリッドや何かの街路灯に切りかえていくというのは大事なことだと思うんですけれども、実際上、非常に高い。一灯つくるのも、先ほど議論がありましたけれども、高いわけで、それを設置するということになると、商店街の負担が重いわけですよね。その重い負担ができないために進められないという声があちこちから上がっているわけですけれども、ぜひこれを推進していくという点でいえば、環境局とタイアップして五分の一の負担を軽減する。そして、オリンピックのフラッグのように、五分の一を東京都が持って、逆に推進するような状況をつくるべきだというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○三枝商工部長 環境に優しい街路灯、例えば発光ダイオード、LEDを用いた街路灯の設置や、あるいはそのランプへの交換等々につきましては、特定施策連携型商店街事業によりまして、既に五分の四という高い補助率で特別に支援をしているところでございます。そのほか、区の事情等によりまして、残りのところ、一部支援をしているということも仄聞してございますけれども、私どもとしては、東京都としては、この五分の四の高い補助率をもってこれからも事業推進してまいりたい、かように考えてございます。
なお、今、オリンピックの話でございまして、五分の一を東京都がというふうなお話がございましたが、五分の一はオリンピック招致委員会ではないかと思います。私の記憶違いであれば申しわけないのですが、かように承知はしてございます。
○小竹委員 招致委員会にしろ、都民の税金が入っているわけですよ。そこが負担して、五分の一も一切負担なしにフラッグの掲揚をやっているわけですから、それこそ自然エネルギーを活用してCO2を減らすという点でいえば、商店街振興も含めて、非常に重要な施策なわけですね。それで計画的に進めていくということになれば、やっぱり使用する者が多くなるわけで、単価も安くなっていくというふうに思うんですね。
実際上、五分の一の負担がとても負担できないという商店街が多いわけです。そういう点では、やっぱり環境、知事はCO2削減を売り物にしているという点でいっても、商店街がそういうものを推進していくというのは、PRにもなるわけですから、ぜひこれについても検討していただくことを要望しておきます。
あと、エコ商店街事業ということで、いろいろ商店街によって、マイバッグだとか、地産地消や、生ごみ、油の回収など、いろいろな取り組みが行われています。今やはりそういう点では、リサイクルなどを奨励するという点でいうと、商店街がエコ活動をやるというのは、推進していく上でも、本当に大きな役割を果たすというふうに思いますので、エコ商店街事業ということで、今の元気出せだけに限らず、新たな施策として展開する必要があるんじゃないかというふうに思うのですけれども、この点についていかがでしょうか。
○三枝商工部長 エコやリサイクル運動を商店街が行うものでございますけれども、こういった行い、事業につきまして、商店街の活性化に資する環境に配慮した取り組みといえるかと思います。こうしたものにつきましては、既に新・元気を出せ商店街事業の活性化事業におきまして支援対象としているところでございます。
○小竹委員 活性化事業で取り組んでいるということですけれども、それこそ旗振りをしながらそういうものを推進していくということで、新しい事業として立ち上げて、商店街が一つのそういうものに取り組んで、まちにもPRするというふうな形での取り組みにするように、ぜひこの点についても検討していただくように、新たな施策として検討していただくようにお願いをしておきます。
あと、商店街に大きな影響を与えている大型ショッピングセンターだとか、駅ナカが今、商店街に大きな影響を与えているわけです。そういう影響調査をすべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○三枝商工部長 東京都では、三年に一回になりますが、商店街の実態調査を実施してございます。その中で、大型店の進出等がどのような影響があったかということについて、具体の調査をしているところでございます。
○小竹委員 駅ナカもだんだんかなり広がってきていますので、それらについても具体的に、そういう駅ナカができたところを中心にして影響を調査するなど、工夫も含めてやっていただきたいというふうに思います。
あわせて、フランチャイズ産業がいろいろ進行しているんですけれども、コンビニなど二十四時間営業が、今、アルバイトの確保だとか、経費の増大などで経営的に困難になっているというふうにも聞いています。こういうフランチャイズ産業の実態調査もすべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
今、地球環境との関係でいえば、二十四時間営業の見直しということも考えていかなければならない問題だというふうに思うんですが、経営者が二十四時間営業を変えたいといっても、本部がなかなか認めないというふうな状況もあるようです。そういう点では、実態調査とともに、本部に働きかけることも必要かなというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○三枝商工部長 いわゆる商店街におけるフランチャイズ店、チェーン店等の加入率等々につきましても、先ほどご紹介させていただきました商店街の実態調査で調査をしているところでございます。
フランチャイズ店の商店街の加盟等につきましても、今年度より、組織率を向上させるための事業を新・元気を出せ商店街事業で実施してございまして、セミナーの実施等々についても支援をさせていただいているところでございます。
○小竹委員 私がいったのは、加盟の問題--加盟の問題はあるんです。ただ、それは、区市町村が条例をつくったり、今、都の方がやっておられるということですから、加盟の問題じゃなくて、例えば二十四時間営業をしているフランチャイズ店の実態がどうなっているのかというのをやっぱり調査する必要があると思うんですよ。
地球環境の点からも、やっぱり二十四時間営業については見直しも必要になってきているわけですから、そういう点では、商工部としては、この二十四時間営業のフランチャイズの実態調査をするということで、ぜひそれはやっていただきたいし、二十四時間営業の見直しについては、環境局ともタイアップして、本部に働きかけることを含めて、見直しを求めて、地球環境を守る立場から、そういうことをやっていただきたいということは、これは要望しておきます。
引き続いて、雇用について伺います。
最初に障害者雇用について伺います。
都内の民間企業の雇用率は、前年から〇・〇二%伸びて、十九年度、一・四六%になっていますけれども、雇用される障害者も七千七百人とふえて、十万人を超しています。
ノーマライゼーションの推進の立場から、障害者雇用は非常に重要だということで、私もこの間、何度も取り上げてきたんですけれども、この現況が、障害部位別、企業別規模で見た場合にどうなっているのか、まずお伺いします。
○小田雇用就業部長 都内の実雇用率は一・四六%でございます。その内訳でございますが、まず障害部位別の割合でございます。身体障害者八六・九%、知的障害者一一・九%、精神障害者一・二%となっております。
また、企業規模別の雇用率は、千人以上の企業が一・七一%、三百人から九百九十九人までの企業が一・三三%、五十六人から二百九十九人の企業が〇・八二%となっております。
○小竹委員 障害の部位の問題については後で伺いますけれども、本当に今、大企業、どっちかというと企業規模の大きいところ、大企業等については、特例子会社をつくったりしながら、個別の企業として雇い入れたりするという点では、ふえているわけですけれども、規模の小さい中小企業などはなかなか困難を抱えているというのが、今お答えいただいた数字からも明らかです。
法定雇用率がないときには、障害者雇用については中小企業が重要な役割を担ってきました。しかし、今、中小企業の置かれている状況からすると、障害者を雇用するという点では非常に困難を抱えています。
中小企業の障害者雇用を推進するためには、支援の強化が必要となっています。都としては、中小企業障害者雇用支援助成事業がありますけれども、この制度についてはどのような中身なのか、そして、どう活用されているのか、お伺いします。
○小田雇用就業部長 中小企業障害雇用支援助成金の内容でございますが、これは、障害者を雇用した中小企業を対象に、国の特定求職者雇用開発助成金、この支給終了後二年間にわたって賃金の助成を行うという都独自の事業でございます。この事業によりまして、障害者の雇用の定着を図っていこうというものでございます。
○小竹委員 利用状況はどうなっていますか。
○小田雇用就業部長 失礼しました。
利用状況ですが、十一月十四日現在、六十五社が申し込まれております。
○小竹委員 国の助成制度に続いて二年間継続するという点では、非常に重要な助成制度だというふうに思いますし、そういう点では、この部分をより充実させて、中小企業の障害者雇用を推進していく必要があるかなというふうに思うんですけれども、今の経済状況の中で、中小企業が障害者を安定的に雇用していくというのは、本当に大変なことだと思うんですね。ですから、そういう意味でも、この助成期間も含めて手厚い支援策、障害者の方々が安心して働けるような状況をつくるという点では、手厚い支援が必要になっているというふうに思うんです。
そういう意味で、雇用主や障害者の声を聞いて、さらなる充実を強く求めておきたいというふうに思います。
続いて、障害者の雇用について、障害部位別に見ると、やはり知的障害者とか精神障害者の雇用がおくれているというのは、先ほどご答弁いただいた中身でも明らかですが、本当に知的障害者も精神障害者も、職場に定着するという点では、企業側に対しても、それから障害者の側に対しても、支援が必要になっているというふうに思います。
そういう点では、定着をする上で重要な役割を担っているのがジョブコーチであり、私はこの間も、不足しているのを解消するために、養成を強く求めてきたわけですが、ことしから都が独自に養成する事業が始まりました。
育成会に委託されて、ことし二十人、三年で六十人ということで大きく前進するわけですけれども、今後さらにそれを前進させるために、どういうふうな検討がされているのか。
そしてもう一つは、育成会については、知的障害者の雇用の面では一定の実績を持っていますが、他の障害について、先ほど研修というふうにお答えいただいたわけですけれども、どういう形での研修をして充実をさせていくのか、その点についてお答えください。
○小田雇用就業部長 東京ジョブコーチ支援事業の今後の計画でございますが、二十年度は二十名、二十一年度も二十名、それから二十二年度二十名、合わせて六十名のジョブコーチを養成していく予定でございます。このことにより、八百八十名の障害者の職場定着を支援する予定でございます。
今後、この事業の実績、効果を見きわめつつ、着実に事業を進めてまいります。
それから、研修の内容でございますが、知的障害、精神障害の部分も含めて研修を行い、先ほども答弁しましたように、精神障害等にも対応していく予定でございます。
○小竹委員 ちょっとあれなんですが、知的障害については、育成会はずっと長い長い歴史がありますから、多分経験も実績もノウハウもあるというふうに思うんですけど、精神障害についての研修というのは、具体的には、例えば講師や何かを、そういう専門の講師の方々を都の方が派遣してやるというふうな理解でいいんでしょうか。その辺はどうなんでしょうか。
○小田雇用就業部長 この事業は東京都知的障害者育成会に委託しておりまして、育成会自身が研修の講師等を呼んでくるというようになっております。
なお、育成会は、この面についても非常にノウハウをお持ちだということで、委託に当たっては何ら問題ないというふうに考えております。
○小竹委員 何ら問題ないということですが、やはり重要な役割を担うジョブコーチですから、やっぱり本当にいろんな面で対応できるように、相談体制も含めてやっていただくように、この点は要望しておきます。
三年間で六十人の養成ということで、国のジョブコーチもいますから、そういう方々を含めて、八百八十人に対応するということで、大きく前進することは間違いないというふうに思うんですけれども、やっぱり障害者雇用を進めていくという視点から見ると、不足状態はまだ多分続くというふうに思うんですよね。
そういう点でいうと、この養成事業というのを継続して発展させていく必要があるというふうに思うんです。一層の充実という点で、今後どういうふうな、三年間たって、それ以降について現段階でどのようにお考えになっているのか、お伺いしておきます。
○小田雇用就業部長 この事業は今年度開始したところでございます。先ほど申し上げました計画を踏まえて、着実に実施してまいりたいと考えております。
○小竹委員 着実に実施するということですから、ぜひその方向で努力をしていただきたいというふうに思います。
ジョブコーチは、障害者が職場で定着する上では欠かせません。企業にとっても、職場の人間関係にとっても重要な役割を担っています。障害者雇用を推進する上で、やっぱり一層充実をしていただくように、この点も要望しておきます。
障害者の雇用について、職業訓練は欠かせません。障害者の職業訓練を行っている小平にある障害者職業能力開発校では、知的障害者の方々が非常に真剣に取り組んでおられるわけです。訓練を受けているわけですけれども、知的障害者の訓練については、ことしも応募者が二倍を超えたというふうに伺っています。
昨年も、この問題について、訓練科目をふやすように要望してきたところですけれども、この点についてはどのように検討されているのか、お伺いしておきます。
○日請事業推進担当部長 知的障害者を対象といたします職業訓練につきましては、第八次職業能力開発計画に基づきまして、平成十九年度から新たに城東職業能力開発センター足立校におきましても、知的障害者を対象とした実務作業科の訓練を実施しているところでございます。
○小竹委員 小平は東京の西、それから足立は東ということで、私、足立にできたことはいいというふうに思うんですけれども、やっぱり小平校での応募者の二倍を超す状況というのはもうずっと続いているわけですよね。ですから、そういう点では、その問題を解決する上での検討が必要だというふうに思いますので、この点は要望しておきます。
あわせて、障害者職業能力開発校で、精神障害者の方々の訓練が試行ということで始まったというふうに伺っていますけれども、定員と応募の状況はどうなっているのか、お伺いします。
○日請事業推進担当部長 東京障害者職業能力開発校では、精神障害者を対象といたしました効果的な職業訓練の内容や指導方法などを確立するため、今年度から試行といたしまして六名の入校枠を設け、職業訓練を実施しているところでございます。
実績でございますけれども、応募者が七名、入校者は四名となっております。
○小竹委員 私は、精神障害者の方々の訓練機関が、試行とはいってもできたことを、本当によかったというふうに思っています。本当に障害、精神障害の方々、今ふえているわけで、そういう方々が職場に復帰していく上でも、職業訓練というのは重要な役割を果たすというふうに思うんですけれども、今後どのように進めていくのか、その点についてお伺いします。
○日請事業推進担当部長 障害者に対します職業訓練でございますけれども、平成十九年十二月に策定いたしました「十年後の東京」への実行プログラムに基づきまして、二年間の試行を行いまして、その上で、訓練内容あるいは指導方法などにつきましてのノウハウを蓄積いたしまして、平成二十二年度から本格実施をいたしたいというふうに考えているところでございます。
○小竹委員 平成二十二年度から本格実施ということで、大きな前進だというふうに思いますので、定員枠や支援の体制も含めて、ぜひ拡充を求めておきます。
引き続いて、高齢者の雇用についてお伺いします。
高齢者雇用は非常に重要な段階を迎えています。毎年、退職して、引き続き働かなければならない高齢者の方々が急速にふえていますし、そういう意味で、国や自治体が高齢者の雇用の安定、拡大を図るという点では重要な課題です。
高年齢者雇用安定法の第五条には国及び地方公共団体の責務、四十条には国及び地方公共団体の講ずる措置がうたわれています。都は、この法令に基づいてどのような事業を行っているのか、まずその取り組みをお伺いします。
○小田雇用就業部長 高年齢者雇用安定法では、国及び地方公共団体の努力義務として、第五条において、高年齢者等の意欲及び能力に応じた多様な就業機会の確保等を図るために必要な施策を推進すること、第四十条では、生活のための本格的な就業は望まない高年齢者に対し、臨時的、短期的な就業機会を提供する団体を育成することなどを定めております。
これを受け、都としては、高年齢者を対象に、東京しごとセンターにおいて就業相談や職業紹介を実施し、職業能力開発センターにおいて職業訓練を行っているところです。また、臨時的、短期的な就業機会を提供するシルバー人材センターへの支援も実施しております。
○小竹委員 四十条の育成する団体については、シルバー人材センターをやっているということですけれども、厚生労働省は、この四十条に規定する団体、育成する団体については、シルバー人材センターに限るものではないというふうに、どのような団体を育成するかは、それぞれの自治体が決めることだというふうにいっています。
高齢者事業団のような、高齢者自身が就業の機会をつくり出して、高齢者の自立した生活や生きがいを確保する、こういう団体も育成していく必要があるというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○小田雇用就業部長 都では、NPOやワーカーズコレクティブといった多様な働き方を高齢者が希望する場合は、これまでも東京しごとセンターにおいて相談やセミナーなどを実施しているところでございます。
なお、シルバー人材センター以外のということがありましたけど、都としては、生きがい就労を目的とするシルバー人材センターを支援しているところでございまして、シルバー人材センターは広く都内の区市町村に設置され、高齢者の方々が地域社会に密着して生きがい就労できることから支援しているところでございます。
○小竹委員 法律には、シルバー人材センターに限るというふうには書いてないわけですよね。ことし三月と五月に、関係者の方々が厚生労働省と交渉して、高齢者の就労を促進している非営利団体、こういうものも認めるべきだということで、厚生労働省は、非営利団体については認めるというふうに答えています。
今、団塊の世代が退職して年金で生活をしなければならないという点では、仕事の確保が非常に大きな問題になってきています。自主的な取り組みも含めて、東京でもNPO法人ができているわけで、そういう団体に対してもきちんと支援策をとっていく必要があるというふうに思うんです。
再度お伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
○小田雇用就業部長 先ほど申し上げましたとおり、シルバー人材センターは広く都内の各区市町村に設置されておりまして、高齢者の方々が気楽に地域社会に密着して、生きがい就労できるというところで支援しているところでございまして、現在のところ、他の団体について支援をする考えはございません。
国の考え方については十分承知しておりますが、その方針は地方公共団体に任されるところでございます。
○小竹委員 支援、財政的な支援をしろといっているわけじゃないわけですよ。仕事を確保するという点も含めて、やっぱり都として検討していく必要があるというふうに思うんですね。
今回発表された緊急対策Ⅱに、五十万人の公的雇用の確保というのも入っています。そういう点でいうと、そういうところに高齢者に対しての仕事確保をやっていく。
それから、昔は、公園清掃など、公の仕事を高齢者に随意契約でやっていたわけですね。今は、指定管理者だとか、競争入札だとかということで、企業が高齢者を安い賃金で雇ってやるような状況も生まれているわけですが、高齢者の方々、これは障害者も同じですけれども、本当に公園をきれいにして、気持ちよく利用できるようにするという点では、高齢者の方々のやっている仕事というのは、もう本当にすばらしい中身を持っているわけですから、そういう仕事の確保という点でも、東京都がきちんとこういうNPO団体に対しての支援を確立していくというのは、区市町村にモデルを示す意味でも重要なことだというふうに思います。今後の緊急対策の一つの道も確保されているわけで、そういう中でも検討していただくように、これは要望して、終わります。
以上で終わります。
○佐藤委員 長引く原油、原材料高の影響により、都内中小企業の経営は依然として厳しい状況が続いております。
昨年から、受注先からのコストダウン要請や、原油を初めとした原材料価格などの上昇分を価格に転嫁できないことなどにより、利幅が急激に縮小し、資金繰りが逼迫した企業が増加をしておりました。東京都における最近の調査でも、中小企業の倒産は増加の傾向にあるなど、再生支援の必要性が高まっております。
都の中小企業施策の一つとして、厳しい経営環境下にある中小企業を支援するために設立されたのが新銀行東京です。しかしながら、本年六月二日発表の決算によれば、非常に厳しい経営状況に陥っております。不良債権比率は一二・七%になり、不良債権処理額は通期で百二十九億円に上ります。この状況では、金融機関として中小企業を支援する融資を続けていくことは困難です。
このような事態に陥った要因の一つに、新銀行東京が信用リスクの高い企業に多くの融資を行っていたということが挙げられます。融資先の多くが、経営再建が必要なほど経営的に厳しい中小企業が多かったがために、経営破綻などによりデフォルトが相次いだのではないでしょうか。新銀行東京が適切に融資先に対する再生支援を行っていれば、デフォルトを抑え、ここまで新銀行東京の財務内容が悪化しなかったのではないでしょうか。
金融機関による再生支援策は、金利減免や返済期限の延長といった、条件変更といわれる金融面での支援が当然主となりますが、そこには限界があります。経営再建の際に必要なのは、資金だけでなく、銀行などの債権者間の調整や事業改善そのものに携わる人材です。つまり、新銀行東京の事例は、地域金融機関が自前で企業再生するには限界があり、企業再生の支援には、融資元の金融機関とは異なる企業再生の支援組織が必要だということを意味しております。
都が中小企業支援、とりわけリスクの高い企業への経営支援を行おうとするならば、経営再建の支援体制を整備することが不可欠です。
昨年の第四回定例会において私が質問いたしましたが、都は、企業再生の取り組みとして、平成十六年十月創設の投資事業有限責任組合東京チャレンジファンドに二十五億円を出資し、地域金融機関などの出資と合わせて七十五億円規模のファンドで、中小企業の再生を支援しております。
このファンドは、中小企業の中でも、過剰債務を抱える非常にリスクの高い企業に投資をするわけでありますから、財務状況や今後の収支見通しなどを詳細に調査し、資本注入や社債の引き受けなど、通常の金融機関では容易に対応できない専門的な再生手法を使っているとのことです。
しかしながら、この東京チャレンジファンドは、情報開示が適切になされていないため、だれが幾ら出資をし、どこへ幾ら投資をされたか、二十五億円という予算を使いながら、その状況が明らかにされてはおりません。そのため、運用者が、出資者である地域金融機関や東京都といかに連携をして支援を行っているかなど、このファンドが企業の再生に対して有効に活用されているかどうか、明確に示されてはおりません。
東京チャレンジファンドは、投資期間が本年十二月で終了すると聞いております。投資期間が間もなく終了しようとしておりますが、これまでの投資実績やその成果について伺います。
○保坂金融部長 東京チャレンジファンドの運営状況につきましては、これまで都は、ファンド運営者、東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合からの定期的な報告を受け、中小企業に対する再生支援が出資目的に沿って適正に行われているかといった観点から、必要な意見を述べることなどにより、適切に監視を行ってきたところでございます。
東京チャレンジファンドの本年十月末現在の投資実績でございますが、投資先が十四件、投資金額が三十六億円となっております。
本ファンドの投資期間は本年十二月となっておりますが、投資期間が終わるまでの間、投資先の発掘に全力を挙げるよう、都は引き続き、出資者としてファンド運営者に対して要請を行ってまいります。
○佐藤委員 また、都が実施している企業再生に関する経営面での支援策として、事業承継・再生支援事業がありますが、その取り組みの内容と、これまでの実績はどのようなものでしょうか。
○三枝商工部長 事業承継・再生支援事業についてでございますが、都は中小企業振興公社とともに、過剰債務に苦しみ赤字決算が継続している中小企業や、事業承継に課題を抱える中小企業を対象に、税理士等の専門家による再生計画や事業承継計画の作成などを支援しているところでございます。
また、平成十九年度の相談実績でございますが、再生が百四十社、承継が二十三社、廃業が二十社で、合計百八十三社となってございます。
○佐藤委員 都が実施をしている企業再生にかかわる経営面、金融面のそれぞれの施策について伺いました。都の取り組みはよくわかりましたが、金融危機はまだ出口が見えず、厳しい経営環境は依然継続するのではないでしょうか。厳しい状況の中、倒産の危機に瀕する多くの中小企業を救うには、まだまだ都の施策は十分とはいえません。
そこで、東京チャレンジファンドや事業承継・再生支援事業などによる支援にとどまることなく、中小企業に関する多くの再生専門家を集め、金融機関を初めとした債権者間の調整も強力に進める東京都産業再生機構を創設し、中小企業の再生を一層強力に推進するよう要望いたします。
先日の新聞報道によれば、金融機関の中小企業向け貸し出しは落ち込みが顕著になっており、国内銀行ベースの本年九月末の中小企業向けの貸出残高は、百七十九兆円と三年半ぶりの大幅な減少となっております。
こうした中、都の制度融資の現時点における融資実績について確認したいと思います。
○保坂金融部長 本年九月末現在の全融資メニューの実績は、対前年同期比で、件数が約七割、金額は約六割の水準となっております。
○佐藤委員 今年度の制度融資の実績が低い水準にとどまっているのは、景況の低迷により、各中小企業の財務状況が大きく悪化し、返済能力が落ち込んでいることが第一の原因ではないでしょうか。
しかしながら、こうしたことに加え、私が昨年の第四回定例会で指摘した点ですが、昨年十月に導入された責任共有制度が直接、間接に影響していることも否定できないと考えますが、見解を伺います。
○保坂金融部長 責任共有制度は、信用保証協会と金融機関とがそれぞれに責任を持って、中小企業への融資や経営支援などを行うことを目的とする制度でございます。制度の運用に当たっては、経済情勢や金融市場の動向を踏まえ、国が情勢判断を行い、適切に対応しているところであり、そうした観点から、制度開始時から、小口やセーフティーネット保証などが責任共有制度の対象外となっております。
先ほど答弁いたしましたが、全体の融資実績が落ち込む中にあって、こうした小口やセーフティーネット保証の実績は大幅に増加しておりますが、これは、小規模企業者や不況業種に属する企業など、資金調達能力が低い企業に対しては、責任共有制度の対象外として保証協会が一〇〇%保証を行うことで、融資が受けやすい環境を構築した効果のあらわれであると認識しております。
○佐藤委員 十一月から六百を超える業種が責任共有制度の対象外となりました。これは責任共有制度の事実上の凍結を意味しております。それだけ影響が大きかったことを意味します。
現在、中小企業に対する融資が伸びていない最大の要因は、金融機関の自己資本比率規制によるものです。そのため、今月五日に民主党が公表した経済・金融危機対策でも明記されておりますように、金融機能強化法の復活、金融検査マニュアルの見直しなどの対策が必要ではないでしょうか。
しかしながら、金融機関の現状を見ると、貸出債権の悪化から、金融機関の体力は低下傾向にあり、公的資金を入れたとしても、中小企業に対する融資がふえる状況にはつながりにくいのではないでしょうか。
そうした状況において、貸出債権を持っていない、資金力のある金融機関が貸し出しを行うことが必要です。それができるのは、多くの金融資産を持つ郵便貯金ではないでしょうか。郵便貯金は企業向け融資を行っていないので、貸出余力は十分にあります。この未曾有の金融危機を克服するために、都から国に対して、郵便貯金の貸し出しができるよう働きかけることを要望いたします。
続きまして、新銀行東京について伺います。
十一月十七日のマスコミ報道でも取り上げられておりましたが、融資の詐欺事件に関連して、十月二十八日に警視庁の家宅捜索が行われていたと報じられておりました。
先ほど聞かれた方がいらっしゃるかもしれませんが、都は新銀行からどういった報告を受けているでしょうか。
○中村金融監理室長 今回の事件の経緯や事故防止策につきましては、新銀行東京から報告を受けてございます。お尋ねの家宅捜索につきましては、捜査にかかわることでございまして、都としてはお答えすることはできません。
なお、昨日、元行員らが起訴されたと新銀行東京からは報告を受けており、新銀行東京は引き続き捜査機関に協力すべきと考えております。
○佐藤委員 また、産業労働局は警視庁からどういった報告を受けているでしょうか。お答えください。
○中村金融監理室長 都は警視庁からは報告を受けてございません。
○佐藤委員 産業労働局は捜査に関してどのような協力をしているものでしょうか。また、保有している資料を提出し、捜査に協力すべきと考えますが、見解を伺います。
○中村金融監理室長 繰り返しになりますが、都は新銀行東京に対し、引き続き捜査機関に協力すべきと伝えてございます。
なお、都は、融資案件を含め、個々の顧客情報にかかわる資料については一切保有してございません。
○佐藤委員 今回は質問を取りやめましたが、新銀行東京については、まだまだ実態を解明しなければならない部分があると思いますので、都民の皆様が納得できるよう、さらなる情報開示を求めながら、今後も質疑させていただきたいと思います。
以上で私の質疑を終わります。
○岡崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡崎委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時十三分散会
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