委員長 | 増子 博樹君 |
副委員長 | 神林 茂君 |
副委員長 | 大西由紀子君 |
理事 | 山口 拓君 |
理事 | 上野 和彦君 |
理事 | 三宅 茂樹君 |
米沢 正和君 | |
小竹ひろ子君 | |
岡崎 幸夫君 | |
清水ひで子君 | |
田島 和明君 | |
馬場 裕子君 | |
木内 良明君 | |
川島 忠一君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 佐藤 広君 |
次長 | 前田 信弘君 | |
総務部長 | 塚田 祐次君 | |
産業企画担当部長 | 櫻井 和博君 | |
商工部長 | 三枝 健二君 | |
金融部長 | 保坂 政彦君 | |
金融監理室長 | 中村 靖君 | |
金融支援担当部長 | 櫻井 務君 | |
観光部長 | 小島 昭君 | |
農林水産部長 | 産形 稔君 | |
雇用就業部長 | 小田 昭治君 | |
事業推進担当部長 | 日請 哲男君 | |
港湾局 | 局長 | 斉藤 一美君 |
技監 | 飯尾 豊君 | |
総務部長 | 多羅尾光睦君 | |
監理団体改革担当部長 | 吉田 長生君 | |
港湾経営部長 | 江津 定年君 | |
港湾経営改革担当部長 | 小宮 三夫君 | |
臨海開発部長 | 藤原 正久君 | |
開発調整担当部長 | 余湖由紀夫君 | |
参事 | 長谷川 研君 | |
港湾整備部長 | 前田 宏君 | |
計画調整担当部長 | 成瀬 英治君 | |
離島港湾部長 | 石山 明久君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 北村 俊文君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
港湾局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百五十七号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、債務負担行為 港湾局所管分
・第二百三号議案 株式会社東京臨海ホールディングスに対する出資について
報告事項(質疑)
・平成二十年度青海ふ頭コンテナクレーン製作据付工事請負契約について
・東京都港湾審議会答申について
産業労働局関係
付託議案の審査
・第百五十七号議案 平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為 産業労働局所管分(質疑)
・第百八十三号議案 東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例(質疑)
・議員提出議案第十七号 東京都中小企業振興基本条例(説明・質疑)
報告事項(質疑)
・平成十九年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価書について
・東京ビッグサイトにおけるエスカレーター事故について
・新銀行東京の最近の動向
○増子委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増子委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○増子委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局、産業労働局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより港湾局関係に入ります。
付託議案、第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、債務負担行為、港湾局所管分、第二百三号議案及び報告事項、平成二十年度青海ふ頭コンテナクレーン製作据付工事請負契約について外一件に対する質疑を一括して行います。
なお、第二百三号議案につきましては、関係する産業労働局の理事者にもご出席いただいております。ご了承願います。
付託議案、報告事項のいずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○多羅尾総務部長 九月十六日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料をご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり五項目でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、臨海関係第三セクターの入居率の推移でございます。
平成十年度から十九年度までの各年度末におけるビルごとの入居率をお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
二ページをお開き願います。2、臨海関係第三セクターの収入内訳でございます。
平成十五年度から十九年度までの営業収益とその営業収益の内訳を、ビル事業収入等とその他に分けてお示ししてございます。
三ページをお開き願います。3、グループ化を行う監理団体の概要でございます。
各団体の事業内容、設立年月日、所在地、代表者、資本金、総資産、従業員数、東京都持ち株比率、営業利益、経常利益、当期利益をお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
五ページをお開き願います。4、グループ化を行う監理団体の決算状況でございます。
平成十九年度決算における各団体の営業利益、経常利益、当期利益の額をお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
六ページをお開き願います。5、東京都港湾審議会答申までの検討経緯でございます。
昨年十二月二十一日の諮問から本年七月二十四日の答申までの検討経緯を時系列でお示ししてございます。
なお、本件の検討のために設置した経営戦略検討部会の委員の一覧を下段の表にお示ししてございます。
詳細はごらん願いたいと存じます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
○増子委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより、本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○神林委員 東京都港湾審議会答申について、まず伺います。
私も審議会委員として参加した東京都港湾審議会答申について何点か伺います。
我が党は、日本経済の持続的な発展を図る上で港湾の役割は極めて大きいとの認識のもと、東京港を取り巻く状況の変化を踏まえ、東京港の今後の経営戦略を策定すべきとかねてから主張してまいりました。それに対し東京都は、昨年末に東京都港湾審議会に今後の経営戦略を諮問し、去る七月に答申を得るなど、その適切な対応については大いに評価するものでございます。
さて、東京都港湾審議会からの今回の答申は、港湾物流を中心に、東京港の今後の経営戦略の方向性を明らかにし、港湾計画を策定するための指針となるよう提言されたものでございます。本答申は、日本経済を牽引する東京港の総合力を高めるための将来のあるべき姿を示す重要な提言とも考えております。
そこでまず、今回の答申では東京港の港湾経営の基本的方向性についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
○前田港湾整備部長 東京港が目指すべき港湾経営の基本的方向性についてでございますが、単に上海、釜山などのアジア諸港とコンテナ取扱個数を争うのではなく、首都圏の生活や産業を支えるメーンポートとして貨物の集荷力を強化しながら、いかにして欧州や北米とを結ぶ国際基幹航路を維持拡大し、ジャスト・イン・タイムなどの輸送品質の向上を進める企業の物流戦略にこたえていくかにございます。
このため、第一に、国際基幹航路の堅持に不可欠な八千個積み以上の大型のコンテナ船の受け入れ体制を強化していくこと、第二に、効率的な物流の実現に向けて、臨海エリアや内陸部とを結ぶ交通ネットワークを充実強化していくこと、第三に、東京湾全体を視野に入れ、京浜三港の物流機能を全体として高めていくことが必要でございます。こうした施策の具体化を進め、東京港の国際競争力の強化に取り組んでいくこととしております。
○神林委員 今答弁いただいたように、今回の答申では、東京港の国際競争力強化の観点から、ふ頭機能や交通ネットワークの充実強化及び京浜三港の連携強化など、さまざまな施策について貴重な提言がなされており、それぞれの施策は極めて重要であると考えております。
まずそこで、交通ネットワークについて何点か伺います。
交通ネットワークの充実強化は、荷揚げされた貨物の港湾地区から背後圏への輸送を確保するために欠かせない施策でございます。私の地元大田区では、首都圏の物流を支える大井コンテナふ頭、大田市場や羽田空港が立地しており、物流を初めとする交通の円滑化は重要な課題の一つでございます。
このような中、懸案であった京浜大橋の北詰交差点において車線拡幅を目的に改良工事が進められており、円滑な交通ネットワークの形成に向けた都の取り組みについては評価をいたします。
そこで、東京港の物流を支える円滑な交通ネットワークの形成に向け、これまでどのような取り組みを行っているのか、次に伺います。
○前田港湾整備部長 現在、東京港におきましては、平成二十二年度の完成を目指し、東京港臨海道路Ⅱ期事業や新木場若洲線等の整備を鋭意推進しているところでございます。これらの事業が完成すれば、大田区城南島から東京港臨海道路と新木場若洲線を経由いたしまして江東区新木場に至るルートが確保され、東京港内の東西方向の交通ネットワークが強化されてまいります。
一方、物流ボトルネックにつきましても、国道三五七号と環状七号線、新木場若洲線との交差点部の立体化が現在進められているところでございます。
また、若洲橋や若潮橋などの橋梁の耐荷力の向上、それから環状七号線、環状八号線等におきまして、車の重量や高さの制限を緩和する路線指定が実施されてきております。こうした取り組みにより、物流ボトルネックの解消も進んでおります。
○神林委員 ただいまの答弁で、臨海道路Ⅱ期事業、新木場若洲線の新規路線の整備完了や物流ボトルネック解消に向けた取り組みにより、東京港における東西方向の交通ネットワークが着実に強化されていることが確認できました。引き続き各事業の整備促進に積極的な取り組みを強く要望しておきます。
今後、中央防波堤地区においては、既に事業着手されているコンテナふ頭や内貿ユニットロードふ頭が完成し、同地区の開発が進展すれば、南北方向の交通については、唯一のルートである第二航路海底トンネルへ集中し、渋滞の慢性化が懸念されます。大渋滞が発生した後に事後対応するのではなく、長期的な視点に立った計画的な取り組みが重要であると私は考えております。
そこで、東京港における南北道路軸の強化策について、今後具体的にどのように進んでいくのか、お伺いいたします。
○前田港湾整備部長 現在整備中の中央防波堤地区におきます外貿コンテナふ頭、内貿ユニットロードふ頭の整備が完了し、この地区の開発が大きく進展した時点では、現在の大井ふ頭に匹敵する交通量の発生が見込まれます。
現在の計画におきましては、これらの新たな交通量は、東京港臨海道路の臨海トンネルと臨海大橋、そして第二航路海底トンネルの三路線で受け持つこととなっております。このうち、東西方向の交通量につきましては東京港臨海道路により分散されてまいりますが、交通の過半を占める南北方向の交通量につきましては容量が不足すると見込まれております。また、現在、南北方向の唯一のルートでございます第二航路海底トンネルにおきましては、既に平日で一時間半から二時間程度の渋滞が発生しており、渋滞の解消が課題となっております。
こうした状況を踏まえますと、港湾物流の円滑化のためには、南北方向の道路軸の強化が不可欠でございます。今後、港湾計画を見直し、具体化を着実に進めることによりまして、東京港の円滑な交通ネットワークの形成を進めてまいります。
○神林委員 今ご答弁にありましたとおり、南北方向、東西方向、それから市街地と港湾地域、この辺の道路網をぜひ、もう本当に、先ほどお話ししたとおり、渋滞してからじゃ遅いわけでございますから、長期的な視点に立ちましてぜひ取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは次に、京浜三港連携についてお伺いいたします。
さて、東京港の施設整備について伺ってまいりましたけれども、東京港の国際競争力の強化のためには、港湾広域連携の視点からの取り組みも重要と考えております。東京港の今後の港湾経営戦略でも言及しているとおり、東京港が横浜港、川崎港などと力を合わせることで東京湾全体の港湾機能を強化していくことは重要なことでございます。
我が党も、先日、東京都議会、横浜市会、川崎市議会の超党派の有志とともに京浜港広域連携推進議員連盟を立ち上げ、三港の港湾管理者が進める広域連携施策の支援に向けて動き出しました。
また、議員連盟設立と軌を一にして、都知事、横浜市長、川崎市長の三首長が会談し、広域連携推進体制の整備に着手するなど、実質的な一港化に向けた取り組みを具体的に進めつつあります。
京浜三港としての国際競争力を高めていくため、今まさに垣根を越えて動き出した京浜三港連携について、以下何点か質問をいたします。
まずは、ことし三月に合意され、三首長会談も行われた京浜三港の広域連携について、そのねらいを改めてお伺いいたします。
○江津港湾経営部長 京浜三港の連携でございますが、アジア諸港の躍進等により日本港湾の国際的地位が低下する中、このまま放置すれば、国際基幹航路から外れ、我が国経済にも深刻な影響を与えるとの危機感を三港が共有し、東京湾の国際競争力の強化を図るために、将来のポートオーソリティーを視野に置き、東京港、川崎港、横浜港の連携を一層強化することで合意したものでございます。
連携を強化し、実質的な一港化を進めることで、三港合わせたコンテナ貨物取扱個数が世界十三位に匹敵する規模となり、世界港湾における存在感を増大させ、このスケールメリットを生かして、港湾コストの削減や利用者サービスの向上を目指してまいります。
京浜三港の広域連携は、こうした取り組みにより国際競争力を強化し、国際基幹航路の維持拡大を図っていくものでございます。
○神林委員 アジア諸国の急成長などを背景にした国際港湾間の熾烈な競争を勝ち抜いていくためには、今回の合意は時宜を得たものだとこちらも考えております。
これまで積み重ねた港湾経営の実績を生かした取り組みを京浜三港が行うことはもちろんでございますが、同時に、東京港、横浜港、川崎港の三港を結ぶ道路網の整備など、交通ネットワーク機能の強化も課題でございます。先ほどは東京港の交通ネットワークの充実強化について伺いましたが、改めて、京浜三港を視野に入れた広域的な道路網の整備について確認をしたいと思います。
国際的物流拠点が集中している臨海部の交通の流れを円滑にするためには、京浜三港をつなぐ京浜臨海部幹線道路網を整備充実することが大事なことであります。京浜三港間の幹線道路である国道三五七号については、東京港トンネル部や多摩川トンネル部など一部のトンネルが未整備なため、ボトルネックになっております。京浜三港の一体性を高めるためにも、三つの港を貫く国道三五七号の未整備区間の整備を促進するなど、対応が必要だと思いますが、現在どのように取り組んでいるかを伺います。
○江津港湾経営部長 国道三五七号線は、東京港、川崎港、横浜港を貫く幹線道路でございます。しかし、ご指摘のとおり、東京港トンネル部や多摩川トンネル部、川崎港トンネル部など多くの未整備区間があり、港湾関連車両が三港間を通行する場合、臨海部周辺の市街地の幹線道路を通行するか首都高速道路を通行する以外に選択肢がない状況でございます。
このうち、東京港トンネル部につきましては、都と国の実務者協議会において、今年度末に工事用道路に着手することなどが示されておりまして、一定の前進が図られております。
いずれにいたしましても、国道三五七号の早期整備は港湾関係者や物流事業者の悲願でもございます。このために、本年七月に、東京都、川崎市、横浜市が共同提案として、国道三五七号の未整備区間の早期整備促進を国に対して要求したところでございます。
今後も、あらゆる機会をとらえまして国に要求してまいります。
○神林委員 京浜三港が国への提案に関しても一体となって広域連携施策の推進に取り組むことは、大きく評価できることでございますが、具体的には、例えば多摩川トンネルにしたって、まだ全然計画の見通しさえ満足に立っていないわけですね。ですから、より連携を行いまして、ぜひ強力に推し進めていただきたいと思います。
国道三五七号線を初めとする京浜臨海部幹線道路網の整備による交通、物流ネットワークの機能強化は、三港連携を進める上で重要な要素であり、今答弁にございましたとおり、今後も本当にぜひ機会をとらえて国への提案などによる整備の促進に向け取り組んでいただきたいと思います。
また、今お聞きした国への提案活動のほかに、先ごろ、三首長会談では、京浜港の広域連携推進体制を整備していくことが決定されたとのことでございます。推進体制としては、京浜港広域連携推進会議を本年十一月に設置するとのことですが、この推進会議とは具体的にどのようなものかを伺います。
○江津港湾経営部長 京浜港広域連携推進会議は、京浜三港の港湾経営や港湾整備の方針など、実質的な一港化へのロードマップでございます京浜港共同ビジョンの策定等を目的として設置するものでございます。
共同ビジョンに広く関係者の意見やニーズを反映するために、構成メンバーは、三港の港湾管理者のほかに、港運協会、倉庫協会、商工会議所、船主協会、学識経験者等、総計二十四名の委員を予定しております。
お話にございましたとおり、本年十一月に推進会議を立ち上げ、京浜港共同ビジョンを平成二十一年度中に策定してまいります。
○神林委員 京浜港広域連携推進会議の構成メンバーに港湾関係者など民間の事業者が加わるということですが、港湾管理者という行政間の連携はもとより、船会社、荷主など、港湾関係の事業者が推進会議に参加することで、港湾の利用者間での広域連携推進の機運を高め、京浜三港の広域連携をぜひ実のあるものにしてほしいと思います。
共同ビジョンの策定に当たっては、特に地元の自治体、また港湾関係者などの現場の声が取り込まれるように配慮もお願いいたします。
これまでも広域連携の必要性は叫ばれてまいりましたが、なかなか実現には至りませんでした。今回、三港連携が現実のものとなった原動力には、知事、川崎市長、横浜市長の強力なリーダーシップによるところが大きいと考えます。さらに、三港の各港湾局の尽力もあったかと思います。京浜三港の実質的な一港化という今回の新しい取り組みは、時代の大きな転機になると考えております。京浜三港が、この連携により、首都圏のみならず、我が国の生活と産業を支えるメーンポートとして今後もますます発展していくことが期待されます。
最後に、京浜三港の実質一港化に向けた今後の取り組みに対する局長の決意を聞いて、私の質問を終わらせていただきます。
○斉藤港湾局長 まず、今月十八日に、多数の都議会議員の先生方によりまして、京浜港広域連携推進議員連盟を立ち上げていただきましたことを心より御礼申し上げます。
神林副委員長のお話にもございましたが、議員連盟は、都議会、横浜市会、川崎市議会が都県を超えまして連携し、京浜三港がこれから取り組んでまいります国際競争力の強化のための施策を支援していただくために組織されたものでございます。今後、京浜三港が港湾連携推進をしていく上で、まさに一騎当千のお力添えを賜ったと感謝申し上げます。
さて、現在、アジア諸港が猛烈なスピードで港湾整備を進めている熾烈な国際的港湾間競争の中におきまして、今このまま手をこまねいていては、京浜三港が首都圏の生活、産業を支えるメーンポートとしての役割を果たせなくなる、こういった危機感を共有いたしまして、今回の広域連携は、我が国の第一位、第二位のコンテナ港でございます東京港、横浜港と、そしてLNGや鉄鉱石など、首都圏の生産資源を大量に扱う川崎港が手を握り、連携いたしました。
知事、両市長の、日本港湾の凋落に歯どめをかけ、我が国港湾の新時代を切り開いていくという確固たる決意のもと、強いリーダーシップによりまして初めてなし遂げられたものでございます。
三港連携は、将来のポートオーソリティーの設立を視野に入れて推進してまいりますが、まずは、荷主企業、船会社など利用者から見て、京浜三港が一つの港になったことを実感できるよう、実質的な一港化に全力を挙げて取り組んでまいります。
その第一弾といたしまして、現在、京浜三港の各港で入港するたびごとにいただいてございます入港料を、三港を一つの港としてとらえまして、すべての外貿コンテナ船を対象に来年四月から一元化をしてまいります。昨年の実績では、三千七百隻の外貿コンテナ船が複数港移動しておりまして、総額で一億二千万円程度の港湾コストの低減が図られます。
また、本会議でご答弁申し上げましたが、この九月に京浜三港が、精密機械や生産機械の製造工場の集積が進んでございます長野県で、初めてとなりますけれども、共同で京浜港利用促進セミナーを開催いたしました。セミナー当日は、地元の荷主企業、製造企業、物流事業者などから約百名程度の方々が参加していただきました。活発な意見交換等を通しまして、京浜三港への期待の大きさを改めて実感したものでございます。
来年二月には、京浜三港を一つの港として、そのスケールメリットや充実した航路などのサービスを荷主などにPRするポートセールスを、知事、両市長が先頭に立ちましてトップセールスを実施してまいります。
今後、実質的な一港化を実現することで京浜港の国際競争力を高めまして、国際基幹航路の維持拡大を図り、メーンポートとしての地位を揺るぎないものとする。このため、京浜三港が一つになってしっかりと全力を傾注してまいります。
○神林委員 終わります。
○岡崎委員 私は、平成十八年十二月議会において、臨海三セク三社の破綻に関して、東京都の債権の取り扱いについて議決を行った際に、都議会民主党を代表して討論を行いました。当時の議論でも、今回提案されている株式会社東京臨海ホールディングスについてさまざまな指摘がされていたので、これらを踏まえて何点かお伺いしたいと思います。
昨年九月に発表された臨海ホールディングスグループ経営基本方針、ページ一九では、今後の進め方として、事業計画や投資計画など、グループ全体の経営計画の策定を進めていくとしており、ことしのホールディングスの事業計画では、秋の公表を目途に経営計画の検討、策定を進めるとしておりました。
現在の進捗状況について、また、事業計画と投資計画のそれぞれの内容の概略についてお伺いいたします。
○吉田監理団体改革担当部長 経営計画の現在の進捗状況についてのお尋ねでございますけれども、グループ経営計画につきましては、平成二十一年度当初からのグループ経営の本格的稼働に向け、現在鋭意策定中でございます。
また、事業計画と投資計画につきましても、その中で示されるものと考えております。
○岡崎委員 事業計画についてですが、都は、グループの事業展開の例として、ビッグサイトの来場者に「ゆりかもめ」の乗車券をパッケージにして提供するなどの例を挙げておりました。
本格的な事業展開は、五社体制となる平成二十一年度からの取り組みになると思われますけれども、この間、何か具体的な事業展開が図られたのか、また、本格的な事業展開に向けて現時点ではどのようなことが考えられるのか、お伺いいたします。
○吉田監理団体改革担当部長 グループ経営の本格稼働に先行いたしまして、臨海副都心への車での来訪者の利便性向上と環境対策の一環といたしまして、東京テレポートセンターとゆりかもめが連携して、臨海副都心の臨時駐車場などの利用者が「ゆりかもめ」一日乗車券を購入した場合、駐車場料金を割り引く、いわゆる「パーク&ゆりかもめ」を夏休み期間中に実施したところでございます。
また、十月には、グループのCSR活動といたしまして観光振興やにぎわいの創出、環境対策への取り組みの一環といたしまして、秋のイベントと銘打ち、ウオークラリーや東京港で学ぶ環境体験イベント、レンタサイクル、親子で楽しめるクラシック音楽会を実施する予定でございます。
○岡崎委員 グループファイナンスについて、都は十九年度予算で五十億円の無利子貸付を計上したが、なぜ五十億円も無利子で貸し付けるのかということについて、十八年十二月八日の花輪ともふみ議員の一般質問などで答えております。
この無利子貸付五十億円の意義について改めて確認をいたします。いかがでしょうか。
○吉田監理団体改革担当部長 グループファイナンスは、各子会社が保有する資金を臨海ホールディングスに集め、臨海ホールディングスがグループ内融資や一括運用を行い、グループ全体の資金効率の向上を図るものでございます。
都からの貸し付け五十億円は、これまでの貸付金のような各社個別の事業に限定して貸し与えるものではございませんで、グループファイナンスという仕組みに、それを担う臨海ホールディングスにファイナンスの核として資金を貸し付けるものでございます。
これによりましてグループファイナンスの安定稼働が可能となり、臨海ホールディングスの判断により機動的に資金を活用し、臨海地域の機能強化に資する公益的な事業展開を広く行い、臨海地域全体の発展につなげることが可能になるというふうに考えてございます。
○岡崎委員 時間があれですから若干はしょりますけれども、二十一年の一月目途ですか、五社体制によるグループ経営が始まるという中で、東京臨海ホールディングスの役員の数についても、私たちは、ホールディングス化によって役員数がふえることがないよう求め、また、役員も天下りではなくて民間からの優秀な人材を登用するなど、民間の経営ノウハウを導入していくべきだと求めてまいりました。
そこで、五社体制によるホールディングスになることで、これら役員体制については最終的に何人から何人になるのか。
○吉田監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループの組織体制につきましては、グループ全体で統合前の役員数を超えない、スリムで機動性の発揮できる会社機関とするとともに、一体性を確保できる体制にしてまいります。
埠頭会社及びビッグサイトを加えた臨海ホールディングスグループ全体の平成二十年九月一日現在の常勤役員数は十五名でございまして、統合前十七名に比べ二名減となってございます。
○岡崎委員 ちょっとそのはしょったところで大事なことがあったので、戻ります。済みません。
このグループファイナンスの運営委員会を設置して、透明化あるいは客観化をより一層図るというふうなことのようでありますけれども、リーマン・ブラザーズの破綻による影響で運用資金が焦げついていないのかどうかについて確認をしたいと思います。
○吉田監理団体改革担当部長 グループファイナンスは安全性に留意して運用を行ってございまして、リーマン・ブラザーズ破綻に伴う直接的な影響はないというふうに聞いております。
○岡崎委員 都は、十八年十二月十一日の経済・港湾委員会で、臨海三セク三社の破綻処理に関して、別除権額一千三百十一億円を返済する二十五年間の収支見込みを五年ごとに答弁をしております。これによれば、五年目の平成二十二年には営業利益は八十二億円の黒、当期損益は三十億円の黒、累積損失は百四億円の黒ということだが、この間の推移によれば収支計画はとりあえず順調に推移しているのか、お伺いいたします。
○吉田監理団体改革担当部長 臨海三セクを合併した東京テレポートセンターは、民事再生手続が終了し、経営基盤が強化された上、平成十九年度決算で四十九億円の純利益を計上いたし、また累積損失が解消するなど、経営状況は安定してございます。今後とも安定的な経営が図られる見込みというふうに考えてございます。
○岡崎委員 また、ビル事業について、平成十八年十二月十一日の花輪ともふみ議員に対する答弁では、平成二十七年度までのビル全体の入居率を九二%程度にまでなると見込み、また、入居率の低かったテレコムセンタービルについては七九%、青海フロンティアビルについては八六%と計算していた。既に資料をいただいておりますが、この数字を見ますと、入居率の現状及び評価については順調に推移しているということのようでありますが、というふうに聞いておりますが、さらにビル事業収入では、賃料収入についてやや低減すると見込みながら、テナントの確保などにより百九十億円強と、十八年度とほぼ横ばいで推移すると試算していました。
一方、九月十八日に都内の基準地価が発表されたが、全体の平均変動率は二・八%上昇したものの、前年の一二・四%のアップと比較して伸び率が鈍化しております。サブプライムローン問題など、投資環境の変化に伴うオフィス需要などの先行きも心配されますけれども、今後のビル事業収入の見通しについて改めてお伺いしておきます。
○吉田監理団体改革担当部長 平成十九年度のビル事業収入等は、十八年度に比べまして九億円増の百九十六億円でございます。堅調に推移してございます。
ビル事業を取り巻く環境は常に変化してございまして、今後とも慎重に推移を注視してまいりたいと存じます。
○岡崎委員 私は、討論の中で、再建計画における項目ごとの数値を記した経営状況の将来見込みとの実績を比較するなど、常に都民にわかりやすい形で示すべきだと要望してまいりました。
また、この間、ビル事業についても、民間への売却などが可能ではないかと指摘をしてきましたが、臨海副都心のまちづくりの進展などを見据え、ビル事業も含めた事業の不断の見直しを要望して、終わります。
○木内委員 私は、臨海ホールディングスへの経営統合の問題、港湾審議会答申のこと、それから京浜三港の連携について、三つのテーマでお尋ねをいたします。
まず、臨海ホールディングスへの経営統合についてであります。
平成十八年の持ち株会社構想の発表以来、私は、東京港の国際競争力の強化や、あるいは臨海副都心開発の一層の推進を図ることを目的として、持ち株会社方式による監理団体改革に積極的に取り組むべきということを主張してまいりました。また、経営統合の手法の面でも、合併では一つの団体が大きくなり過ぎ、かえって意思決定や事業運営のスピードが遅くなるおそれがあることから、この持ち株会社方式を採用し、実質的な経営統合を迅速に行う手法を選択する、今回こうしたことは極めて適切な判断であるということも評価をしてきたところでございます。
持ち株会社構想に基づいて、平成十九年一月に東京臨海ホールディングスが設立をされました。既に東京臨海熱供給、ゆりかもめ、東京テレポートセンターの三社が子会社となっております。また、本定例会に、東京港埠頭、東京ビッグサイトの都保有株式の現物出資議案が提出され、いよいよ、申し上げてまいりましたこの持ち株会社構想も最終段階、総仕上げのステージに入っている、こう思うわけでございます。
そこで、まず基本的なことでありますけれども、グループ五社体制による本格的なグループ経営を目前に控えて、確認の意味も含めて改めて、臨海ホールディングスを設立した意義についてまず明らかにされたいと思います。
○吉田監理団体改革担当部長 首都圏四千万人の生活と産業を支える大都市港湾であります東京港と、開発の総仕上げに差しかかった臨海副都心を擁する臨海地域は、港湾機能と都市機能が交錯しており、今後さらなる発展を遂げるためには、交通の利便性や魅力ある観光資源の開発、良好な環境、企業活動支援など、多くの課題に取り組んでいく必要がございます。
これらの課題に対する取り組み体制を一段と強化するため、個別の政策目的の実現により地域の発展に貢献してきた監理団体を経営統合し、親会社による統一的な経営戦略のもと、地域の活動主体としての視点を生かした一体的なサービスを提供する必要がございまして、持ち株会社である臨海ホールディングスを設立したところでございます。これにより、地域に密着した機動的な事業展開が可能となるとともに、経営資源の相互融通や事業連携により、一体的、総合的なサービスを提供できるようになるものと認識してございます。
○木内委員 基本的なことからお尋ねをしているわけでありますけれども、都政が続く限り、議会での議論、会議録というのは生きていくわけでありまして、ここでの発言、具体的な指針、あるいは各分野におけるさまざまな存在の役割というものが明確になって、この議会の議論がスタートとなって施策へ結びついていくというわけでありますので、ひとつ頑張っていただきたいと思うのであります。
ただいまの答弁によって、臨海ホールディングスは、港湾機能と都市機能が交錯する臨海地域において、持ち株会社方式により監理団体を経営統合し、一体的なサービスを提供することで、地域の抱える多様な課題に有効に対応するために設立をされるんだということが明らかになったわけであります。
確かに臨海地域は、大都市港湾である東京港と、今や首都東京を代表するエリアとなった、ランドマークにもなっているわけでありますが、臨海副都心とが非常に近接しているわけであります。また、中国を初めアジア諸港の躍進などによりまして、東京港の相対的な地位も残念ながら今低下している実態が一方であるわけであります。このため、今回グループに加わる東京港埠頭会社の果たすべき役割というものも大変に重要になってくる、私はこう思わざるを得ないわけであります。
そこで、東京港埠頭株式会社がホールディングスグループに参加するこうした流れの中で、東京都が行政としてこれに期待する具体的な役割をどう描いているのか、明らかにされたいと思います。
○小宮港湾経営改革担当部長 東京港埠頭株式会社のホールディングスグループにおける役割についてですが、ご指摘のとおり、港湾機能と都市機能が近接する東京港においては、ふ頭運営と臨海地域での諸施策の展開が密接な関係を有しております。
臨海地域における港湾物流と都市機能との調和を図るためには、港湾物流を担う埠頭株式会社がホールディングスグループ内で主体的な役割を果たしていく必要があります。具体的には、効率的なふ頭運営を行うことで車両の待機時間を短縮し、また、交通の結節ポイントにカメラを設置しリアルタイムで情報提供を行い、臨海エリアの道路交通の円滑化に貢献してまいります。また、市街地と近接するふ頭地区においては、荷役機器等からの排気ガスの抑制などの対策を支援してまいります。
このような取り組みによりまして、臨海地域における港湾物流と都市機能との調和を図り、臨海地域のエリアマネジメントに貢献していってもらいたいと考えております。
また、中国を初めアジア諸港の躍進などによりまして、東京港の相対的な地位が低下しており、国際競争力の強化が喫緊の課題となっております。
このような状況の中、埠頭株式会社には、グループ全体の経営資源の相互融通やグループファイナンスの活用を通じまして、より一層の港湾コストの低減やサービス向上を図り、東京港の国際競争力の強化に中心的な役割を果たしていくことを期待しております。
○木内委員 今、答弁の末尾にありましたけれども、経営資源の相互融通を初めとしてグループファイナンスの活用など、実は具体的なメリットというものも考えられるわけでありますが、私は、今回のこの経営統合というのは予想以上の大きな成果、果実が期待されるのではないか、そういう思いを実は強くしているわけであります。ただいまの答弁でも、東京港埠頭がホールディングスグループの中で極めて重要になっていく、こういうことが明らかになった。
あわせて、ビッグサイトについてでありますけれども、私は、ビッグサイトの多角的活用といいますか、社会構造の中における機能の重要性というものを主張してまいりまして、その歴史をつぶさに実は生き証人として見てきた一人でありますけれども、近年のこの活用のされ方、あるいは社会に与えてきたインセンティブの大きさというもの、これに今刮目をしているわけであります。
このビッグサイトは、その展示会事業によりまして年間一千二百万人を超える来場者を迎えるなど、今や臨海地域のにぎわい創出に中心的な役割を担ってきておりまして、例えば、今大変に注目を浴びております産業交流展なんかも、年々歳々ブースの出展企業数がふえ、来場者が増大し、今にして思うと、一時、都の予算が大変厳しい事態の中で産業交流展の継続が危ぶまれたこともありますけれども、私は所管の委員会に籍をいただき、この産業交流展は断じてそのともしびを消してはならない、継続すべきであると主張し、これまで歴史を刻ませてきた、そういう育ての親の一人であるとも実は自負をしているものですから、今日のビッグサイトの盛況ぶりというのに実は感慨を深くしているのであります。
例えば、平成十八年度に東京ビッグサイトで開催された展示会等の全国に対する経済波及効果の調査結果というものも出ているわけでありますが、消費活動による経済波及効果は年間約七千五百億円、ビジネスチャンスの拡大による経済波及効果は年間五兆八千億円となり、両方合わせた経済波及効果は年間六兆五千億円で、これはいわば平成十八年度の都の一般会計予算をも上回る非常に大きな効果を生み出しているということが実証されているわけであります。
この集客力のあるビッグサイトがホールディングスグループに加わることは、このグループの臨海地域におけるエリアマネジメント、全体のエリアマネジメントにとって重要な意味を持つものと思うのであります。
さっき、東京港埠頭株式会社の役割というものが明確になったわけでありますけれども、ビッグサイトが今回ホールディングスグループに参加するとともに、先ほども答弁にあったような、グループ各社との事業連携を図っていくなど、一体的発想のもとで、ホールディングスのもとで、企業の活性化や、あるいはより一層臨海地域の発展に貢献していくことが今後重要になってくるであろう、こういうふうに思うわけでありますが、きょうは産労から商工部長も見えていただいておりますので、明確にお答えいただきたいと思います。
○三枝産業労働局商工部長 ビッグサイトでは、日本最大の展示施設を活用した見本市などの催行事や産業関連の各種セミナー、学術会議などの利用件数が年々増加をしております。こうしたことから、平成十九年度には、展示会の件数、会議室の利用件数、展示ホールの稼働率、来場者数のいずれも過去最高の実績を上げたところでございます。
このように、ビッグサイトは、産業交流展を初めとする各種展示会の開催などにより、広く都内中小企業の販路拡大等を支援するとともに、臨海副都心におけるにぎわいを創出するなど、多大な貢献を果たしております。
今後、ホールディングスグループへの参加を契機に、グループ各社との緊密な事業連携のもと、より積極的にアフターコンベンションの誘致に取り組むなど、企業活動支援を拡充し、臨海地域の発展に寄与してまいります。
○木内委員 答弁されたように、単一の個体としてのビッグサイトの利用ということにとどまらず、ビフォー、アフターコンベンションの誘致ということでもありますので、新機軸の発想のもとに、ぜひ一体的、広域的な意義の中での位置づけというものをさらに自覚されて、発展をするよう強く望むものであります。
ビッグサイトがこのグループに加わることによりまして、臨海地域の発展に大きな役割を果たすことが期待できるということが今確認されたわけでありますけれども、ところで、ビッグサイトで開催される展示会等は、新しい取引機会を創出し、新商品、新技術に関する情報を発信するなど、今や都の産業振興にとっても欠かせない存在となっているのであります。
私は、欠席することなく、毎年、産業交流展に参ります。知事もここに参加される。知事の大賞、あるいはさまざまな角度からの賞がここで授与される。これが励みになる。また、ここでさまざまな異業種間の出会いと交流があって、成約、成案というものがどんどんできているというような実態も、この目でつぶさに見ているわけであります。
ビッグサイトがホールディングスグループに参加することによって、今申し上げたようなことも含めて、期待できる、産業振興上、社会環境の中におけるメリットというもの、ぜひご説明いただきたいと思います。
○三枝産業労働局商工部長 臨海ホールディングスが策定いたしましたグループの経営基本方針では、ビッグサイトとグループ各社との協力、連携により、各社が所有、管理する施設を有効活用するなどして、商談スペースや駐車場を確保することとしてございます。
このように、ビッグサイトがホールディングスグループに加わることで、ビッグサイトの企業活動支援機能の強化や出展者の利便性が向上し、国内外の販路開拓をより強力にサポートすることができるなど、産業振興を図る上で大きなメリットが期待できるところでございます。
○木内委員 産業交流展なんか本当にそうでして、ビッグサイトの運営の各部面において都議会での審議をよく反映していただいて、そして年々歳々、企業間交流だとか融資の相談であるとか、あるいは販路の開拓に対する専門家のアドバイスであるとか、機能がどんどん付加されてきて、あの十分なスペースを使って充実、発展の歴史を刻んでいるわけでありますので、今の答弁を踏まえて、産労局としてもしっかりご努力をお願いしたいと思うんです。
確認はしませんが、これまでのように産労局と港湾局が共管ということになるんでしょうね、恐らくこれは。これはそういうことだと思いますので、答弁は結構であります。
いずれにしても、東京都の産業振興、全国のいわゆる経済発展の牽引力ともなる、実はこういう力を持つ臨海ビッグサイトの存在だと思いますけれども、このビッグサイトがグループ各社と連携することによって、もとより臨海地域の発展に大いに資することが期待できるわけであります。いよいよこの構想も最終段階を迎えて、経営統合が期待どおりの成果を上げられるよう、都としてもしっかりとホールディングスを指導監督するとともに、今後とも新たな形態というもののメリットを生かし、効果的な活用、また臨海の発展に取り組んでいかれるよう強く要望して、次の問題に移ります。
先日の本委員会で報告のありました東京都港湾審議会答申についてであります。
私も長い間この審議会の委員を務めておりまして、この審議会において、本年七月二十四日、東京港の今後の港湾経営戦略について答申が出されました。当日は、東京港振興の立場から私もるる意見を述べたところであります。また、かねて、我が党は従来より、アジア諸港の計画に比べ見劣りする東京港の港湾計画について、国際競争力の向上ということを念頭に東京港のふ頭機能強化を図るべきであると再三主張してきたところであります。その意味から、今回の答申は、私どもが主張してまいりました内容と軌を一にするものでありまして、率直に評価と賛意を表したいと思うのであります。今後の東京港の方向を左右する大変重要な報告でありますので、基本的な点も含めて、この概要についてお尋ねをします。
まず初めに、今回の答申の背景となった東京港を取り巻く状況の変化について、実態を明らかにされたいと思います。
○前田港湾整備部長 第七次改訂港湾計画策定以降、東京港を取り巻く状況が大きく変化してまいりました。具体的に申し上げますと、国際分業の進展など、産業、貿易構造の変化に伴い外貿コンテナ貨物が急増していること、コンテナ貨物の輸送能力や輸送効率の向上の観点から船舶の大型化が急速に進展していること、そして、東京港へ寄港するアジアと欧州、北米とを結びます国際基幹航路数が減少していることなどでございます。このような世界の物流動向の変化に迅速かつ的確に対応していくことが重要な課題であると考えております。
○木内委員 今、本当に概括的な答弁だけでありましたけれども、日進月歩という言葉があるけれども、我々の想像を超えるスピードで実は国際環境、物流というものは激変を遂げているわけでありまして、従来型のいわゆる港湾経営というものを行っておりますと、ますますいわゆる東京港の機能というものは国際社会の中で空洞化を来して、使い物にならない港ということになってしまう。こうした警鐘が乱打され続ける中でさまざまな施策の展開が行われ、その一環として今回の審議会答申があったわけでありますので、答申に基づいた着実な港湾機能の充実というものをぜひ進めてもらいたい、こう強く要望するわけであります。
我が国における貨物輸送量の九九%以上というものは、海上輸送によるものであります。今の答弁にあったように、国際基幹航路が減少すると、首都圏のみならず、我が国全体の経済、ひいては国民生活に大きな影響を与えることになる。一千二百六十万という人口を後背地に抱えた、あるいは京浜、関東という大きなエリアを後背地としている東京港であります。また、北米、欧州との基幹航路を維持拡大するということが、今後のいわば国際舞台の中での重要な課題であります。
今お話がありましたけれども、そのためには、船舶の大型化にどう対応していくかということが実は大変大きなかぎを握っていることになるのであります。これは我々も議会としてしっかり認識をしなければいけないのでありますけれども、近年の国際基幹航路における船舶の大型化の動向について実態をご報告願いたい。
○前田港湾整備部長 世界のコンテナ貨物は大幅に増加しておりまして、輸送能力の増強や輸送効率の向上に向け、船会社は八千個積み以上の大型コンテナ船を建造しておりまして、基幹航路へ続々と就航させ始めております。
アジアと欧州や北米とを結ぶ基幹航路に導入されている大型船についてでございますが、二〇〇六年には六千個積みクラスが主力でございまして、八千個積み以上の船舶は総隻数八百八十三隻のうち百十八隻と、全体の一三%にすぎない状況でございました。しかしながら、二〇一〇年には八千個積み以上の船舶が総隻数千百六十六隻のうち二百七十三隻と、全体の二三%になる見込みでございます。
また、現在パナマ運河の拡張計画が進行中でございます。二〇一五年にはこれが実現する予定で、さらに大型のコンテナ船の就航が可能となる見込みでございます。
○木内委員 今の話のように、大型化の傾向というのは、パナマ運河の拡張も踏まえ、さらに加速される傾向にある。したがって、東京港も、具体的ないわゆる機能の強化充実も含めて、こうした時代のニーズに対応できるものにしなければならない、こう思うのであります。
例えばこのコンテナ船の大型化の傾向については、今具体的な数字の報告があったわけでありますけれども、しかし、事は単純ではない。船舶が大型化すると、どうして日本、なかんずく東京港を素通りし始めてしまうのか。ただ単純に船舶が大型化するから水深を深くするということでは、これは理解が進まないのであります。また同時に、これは都民の理解も得られないところなんですね。この必然性というものについて答弁いただきたいんですが、恐らくは企業の物流戦略とも密接にこれは関連することだと思うんです。船会社における船舶の大型化の導入に当たっては、都として、あるいは東京港として戦略的な考え方を明確にしておく必要がある。また、アジア諸港における船舶大型化への対応の実態をも十分視野に入れながら、この戦略というものを構築していく必要がある、こう思うんですが、どうですか。
○前田港湾整備部長 船会社は、コンテナ貨物量の急増に対応いたしまして、輸送効率等の向上を図るため、一回の航行で大量の貨物が運べるよう、船舶の大型化を進めております。また、大型コンテナ船が効率的に貨物を輸送するためには、一回の寄港に際しましてより多くの貨物を取り扱う必要がございます。このため、船会社は集荷量の少ない港湾を素通りし、寄港地の絞り込みを進めております。
一方、アジア諸港はこうした動きに合わせ、国際標準を満たす大水深岸壁の整備を計画しております。例えば上海の洋山港におきましては五十二バース、韓国の釜山新港では三十バースを計画しておりまして、大型船の受け入れ体制を着々と整えております。
しかし、一方、東京港でございますが、中央防波堤外側地区や新海面地区に三バースを計画しているのみでございまして、大型船の受け入れ体制としては必ずしも十分なものとなってはおりません。
○木内委員 今の具体的な答弁を得ましたので理解できるんですが、船舶の大型化の状況、船会社の戦略、それに対するアジア諸港の取り組みということについては明らかになったわけでありますけれども、大型化の傾向の中で、東京港がこれに対応する機能を整備していくということは、実はそれのみの分野にとどまらない、総合的な対応が必要だということもよくわかるわけであります。
すなわち、船舶の大型化に伴って、一寄港当たりより多くの貨物量を必要とするために、集荷量の少ない港湾は素通りする。複数の候補寄港地の中から絞り込みを行いつつある。実はこういう都市構造的変化といいますか、社会構造的な要因というものも考えなければならない。もとより、申し上げた専用バース、これの整備というものも必要だと。どれ一つをとっても、それだけで国際化に対応できるものではないということがよくわかったわけでありますが、洋山港では五十二バース、釜山新港では三十バースを計画していて、東京港ではわずか三バースのみだと。余りにも肌寒い思いがするのでありまして、私は、今後、東京港のバースの新計画も含めて大きな責任を感じているところでありますけれども、ぜひこの思いを要望として申し上げておきますので、今回のこの答申というものはゴールであってスタートではないという考えは捨ててもらいたい。要するにこれはあくまでも中間の答申であって、時代と社会の進展の中で、もっともっと新たな発想によるまた施策の展開というものも、これをスタートにして行っていくんだという決意を、これは港湾局長、答弁は結構ですけれども、ぜひ認識をしていただきたいと思うわけであります。
東京港としても八千TEUを超える船舶に対応した岸壁の整備が急がれるわけではありますけれども、十分ではない。また、答弁にありましたけれども、現在パナマ運河の拡張計画が進行中とのことでありました。これが実現すると、さらに大型のコンテナ船の航行が可能となって、航路の再編ということが現実味を帯びてくるのではないかと思われるわけであります。
従来、理事者側は、外貿コンテナターミナルについて、大井、青海地区に加え、中央防波堤地区の三極体制で臨むと明言をしてきているのであります。したがって、これは大事なところでありますけれども、船舶の大型化への対応という点については、新規ふ頭のみならず、既存ふ頭も含めて取り組む必要があると思うのであります。
そこで、今回の答申を踏まえて、これらの外貿コンテナふ頭機能の強化に向けてのふ頭計画の変更が必要になると考えられます。申し上げた点を具体的に踏まえて、どう具体的な方針を打ち出していくのか、明らかにされたいと思います。
○前田港湾整備部長 東京港が将来にわたりまして、首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとしての役割を堅持していくためには、荷主等が求めている定時制、速達性、経済性などにすぐれる国際基幹航路を維持拡大していくことが不可欠であると認識しております。そのためには、国際標準を満たすマイナス十六メートル以深の大水深岸壁を早急に整備していく必要があると考えております。
したがいまして、具体的な外貿コンテナふ頭の充実強化策といたしまして、既存のふ頭でございます大井、青海コンテナふ頭につきましては、国際標準である八千から一万個積みのコンテナ船が接岸できるよう、水深マイナス十五メートルの岸壁をマイナス十六メートルに、また中央防波堤地区におきましては、パナマ運河拡張後に同運河を航行可能な一万個積みを超えるいわゆるポストパナマックス船が接岸可能なマイナス十六・五メートル以上の水深を有する大水深岸壁への再編に向け、港湾計画を見直していきたいと考えております。
こうした大水深岸壁の早期具体化を図ることによりまして、東京港の国際基幹航路を維持拡大し、国際競争力の強化に取り組んでまいります。
○木内委員 私、今の答弁を聞いて、ぜひご努力いただきたいと思うし、議会の議論は大事だと思う。基本的な課題、現状の認識、新しい提案が行われて、さらに既存のふ頭に対しても整備を進めていく、議論の中から成果が紡ぎ出されていく、こういう議事というのは非常に重要であると思うわけでありまして、首都圏のメーンポートとしての役割を堅持するため、東京港においても大水深岸壁を計画に具体的に位置づけて、答弁にあったように、ぜひとも早急な実現を目指してひとつ頑張っていただきたい、このことを強く要望しておきます。
ところで、今の答弁のように、東京港において大水深岸壁の整備が進展すると、大型船の入港頻度が増加して、今にも増して大型船同士の行き交いが激しくなることが予想されるのであります。船舶の大型化と船舶航行の安全を両立することは、東京港を管理運営していく上で極めて重要であります。
そこで、港湾管理者として、船舶の大型化を踏まえ、東京港内の船舶航行安全対策、これに万全を期することが重要と考えるわけでありまして、具体的な対応策の推進について考え方を明らかにされたいと思います。
○成瀬計画調整担当部長 ご指摘のとおり、東京港内におきます船舶の航行安全の確保は港湾管理者にとって大変重要な責務であると認識しております。このため、従来から、船舶の航行安全対策の検討に当たりましては、専門家から成ります委員会を設置し、十分な安全対策を講じてまいりました。
船舶の大型化への対応につきましては、今回の港湾審議会答申を踏まえ、本年八月に、国土交通省、海上保安庁などの行政機関、水先人、船会社などの海事関係者及び学識経験者で構成する船舶航行安全対策調査委員会を設置しているところでございます。現在、同委員会におきまして、操船シミュレーターによる模擬実験を実施するなど、将来におきます船舶航行面の安全性について専門的な観点から検討を重ねているところであります。所要の安全対策を取りまとめる予定であります。
今後、この対策を大型船の就航時に確実に実施することによりまして、将来にわたり東京港内の船舶航行安全対策に万全を期してまいりたいと思います。
なお、ふ頭の建設や航路のしゅんせつなど工事の実施に際しましても、船舶航行の安全対策は大変重要でありますことから、今回と同様に専門家から構成される委員会を設置し、必要となる対策を取りまとめて実施するなど、工事実施時における安全の確保にも万全を期す所存でございます。
○木内委員 重ねて申し上げますけれども、船舶の大型化に対する航行対策については、さまざまな角度から検討を重ねて安全の確保に万全を期していくべき、こう考えますので、この点を要望しておきたいと思います。今後も細心の注意をもって計画化を行い、船舶の大型化とその航行安全対策を徹底していただきたいと思います。
三点目でありますけれども、京浜三港連携についてお尋ねいたします。
きょうはこれまで、港湾の整備ということについて伺ってきたわけでありますけれども、京浜三港連携については、先ほど神林副委員長からもお話がございましたけれども、本年三月に、石原知事と横浜市長、川崎市長が広域連携強化の基本合意を締結して、京浜三港が連携し国際競争力強化に取り組むこととしたこと、これは極めてタイムリーなものでありまして、意義深いものと評価をするものであります。
私自身についても、この課題につきましてはかねてその進捗を主張してきたところでありまして、今回のこの合意に至るなどの作業について、関係者の方々のご努力を多としたいところであります。
また、今月十八日には三首長が会談をして、入港料の一元化や共同ビジョンの策定などについて合意がなされたということは、具体的な内容として記憶に新しいところであります。
我が党も日を同じくして、東京都議会、横浜市会、川崎市議会の超党派の有志と京浜港広域連携推進議員連盟を立ち上げました。この京浜三港が行う総合的な政策の推進を支援することとしたところでありまして、私自身もこの議連の副会長という立場をいただいて、決意を新たにいたしているところであります。
そこでまず、本会議の一般質問で我が党の高倉議員が、港湾連携における環境対策の取り組みについてただした際に、東京湾内における海上輸送への転換については、はしけ輸送を推進する旨の答弁がありました。そこで、本会議での答弁を深める意味で、十一月より開始する、はしけ輸送の拡大についてお伺いします。
京浜三港間では、トラックによるコンテナ貨物の横持ち輸送が行われておりますけれども、このことによって逆に環境面や道路渋滞の発生といった問題も生じているのでありまして、こうしたことから、近年では、三港間のコンテナ輸送においても海上のはしけ輸送がふえてきた実態を見ることができる、こう思うわけであります。
最近、京浜港間で運航されるはしけは、従来の大型船から積み荷をおろす小型のはしけ、こういう従来のものとは異なりまして、大型のコンテナ貨物専用のものが主流であるというふうに仄聞いたしております。
そこでまず、京浜港間における、はしけを活用したコンテナ輸送の実態をご報告願いたいと思います。
○江津港湾経営部長 現在、京浜港間で運航されておりますコンテナ貨物専用のはしけでございますけれども、全長約七十メートル、幅約二十メートルで、コンテナ貨物を、二十フィートのコンテナで約百七十個積載することができまして、東京-横浜港間、横浜-川崎-千葉港間で運航されております。
京浜港間では、トラック輸送とはしけ輸送との合計で、年間約三十万個のコンテナ貨物が輸送されておりますが、このうち、はしけによる輸送の実績でございますけれども、平成十八年度は約四万個でございました。平成十九年度は約七万個となりまして、京浜港間のコンテナ輸送のうちの約四分の一を占めるに至っております。
○木内委員 京浜港間では内航のコンテナ船に似た大型のはしけが運航されている実態がよくわかるのでありますけれども、私どものイメージというのは、はしけというのは、小規模な、昔でいう小舟なんかを想像するわけでありますが、そうじゃないんですね。近年におけるはしけ輸送というのは、実は非常に重要なノウハウの一つになっているわけでありますが、特にこのはしけ輸送拡大を今後することによって、環境対策の取り組みという点でも実は大きなプラス面があるということでありまして、例えばトラック輸送に比べてのCO2削減の問題でございますとか、あるいはトラック輸送との数字の比較の中でどういう側面を持つのか、具体的に伺います。
○江津港湾経営部長 はしけ輸送によるその効果等についてでございますけれども、はしけ輸送は一度に大量輸送が可能でございまして、トラック輸送よりもCO2が約八〇%削減されますことから、今回、京浜港における環境対策を促進するために、はしけ輸送に係る入港料を全額免除し、東京湾内におけるはしけ輸送を拡大していくことといたしました。
具体的な環境対策上の効果でございますけれども、十九年度の運航実績、コンテナ七万個の輸送量から試算をいたしますと、トラック輸送に比べまして年間で約千七百トンのCO2が削減できます。これは杉の人工林の約八百ヘクタール、東京ドーム約百七十六個分の広さの森林に匹敵するものでございます。
○木内委員 たしか申し上げた議連の発足の際に、自民党の同僚議員が、今回の議員連盟の発足というのは極めて画期的なことである、京浜三港の広域連携という前提はあるけれども、こうしたいわば一体的な地域に住む東京都民、川崎市民、横浜市民、その代表が議連をつくるということは、単に港湾の広域連携というテーマに向けての意義だけでなく、今後の新しい連携のさまざまな分野へのアプローチの突破口になるものであろうというふうにいっていたわけであります。
今回のこのはしけ輸送は、確かにテーマとしては個別の議論になるかもしれませんけれども、環境対策の面でも非常に大きな効果があるということでありまして、これが京浜三港の広域連携によって推進されるということの意義もぜひとも踏まえながら充実をされるよう、要望したいと思うんです。
今の話からも、こうした専用のはしけによるコンテナ輸送というのは、トラックからのモーダルシフトの受け皿に十分になると考えられますし、環境対策ということを前提に真剣な取り組みをお願いしたいと思うのであります。
それから、十八日の三首長会談では、京浜港共同ビジョンの策定についても決定をされているのであります。これから検討していくということなので、詳細は現段階では明らかになっていないのかもしれませんけれども、委員会の質疑でありますから、できる限りの範囲でこれについて触れていただきたいのであります。京浜港の将来像を描くビジョンというものは、具体的な中身が重要であると考えるのであります。
そこで、現段階での想定される範囲で結構でありますので、共同ビジョンの骨格についてお伺いいたします。
○江津港湾経営部長 共同ビジョンの骨格についてでございますけれども、共同ビジョンにおきましては、京浜港の港湾経営と整備方針を策定していくこととしております。現段階での検討の方向性といたしまして、まず京浜三港の現況を把握した上で、今後の京浜港が担うべき役割を整理してまいります。
次に、今後の港湾経営の基本的な考え方を整理してまいります。具体的には、港湾施設などの物流インフラを一体かつ効率的に運営するために必要な京浜港としての経営戦略を提示していく予定でございます。
三つ目には、今後の港湾整備の基本的な考え方として、京浜港として必要な港湾施設の整備、そういったものの基準などについても整理をしていく予定でございます。
○木内委員 今、非常に重要な答弁をいただいているところでありますけれども、例えば港湾施設の整備基準等、あるいは経営戦略の提示等があるわけでありまして、その前に港湾経営の基本的な考え方の整理がある。なるほど、京浜港共同ビジョンは実質的な単一、一港化へのロードマップとなるわけでありまして、今、重要な中身について、分野の話があった。
それでは、今後の作業の内容、それから時系列的なタイムスケジュール等、今後、共同ビジョンを具体的に策定していく手順と中身についてご報告を願います。
○江津港湾経営部長 共同ビジョン策定に当たりましては、まず、今年度中に速やかに京浜三港における港湾施設や道路ネットワーク、国際、国内物流の現状を把握するための調査を実施してまいります。さらに、過去と将来における京浜港の貨物動向の把握、これまでの港湾行政の問題点の整理を行い、こうした調査を行いつつ、十一月に港湾運送事業者などの港湾関係者の参画を得まして設置されます京浜港広域連携推進会議におきまして、二カ月に一回程度のペースで検討を進めてまいります。
二十一年度中にはビジョンを策定していく予定でございます。
○木内委員 二十一年度中のビジョン策定、二カ月に一回のペースで推進会議、十一月、港湾関係者の参画を得てこれが行われる。港湾行政の問題点の整理等であります。これは偉大な第一歩になる作業でありますから、頑張ってください。京浜港の将来像を描くともいえるこの共同ビジョンの策定は、極めて意義の大きなものであります。
今、京浜港を取り巻く状況は大変厳しいものが同時にあります。アジア諸港の躍進は想像以上に著しく、京浜港が引き続き我が国の主要港湾としての地位を堅持していくためには、まさに今が正念場であると私は思います。
そもそもポートオーソリティー構想は当初の知事の公約でもあります。ここに来てようやくその理念というものが芽吹こうとしているのであります。これまで、東京港と横浜港は船会社誘致等で大変な、港と港、港間競争を繰り広げてきた経過がある、こう記憶をしているのでありますけれども、今回、こうした両港が、過去の経緯、しがらみを乗り越えて手を結ぶことになったわけでありまして、ここに至るまでは、実際に事務当局、港湾局の皆さんを中心に大変なご苦労があったのではないかと推測もするわけであります。
最後のお尋ねでありますけれども、今、広域連携が音を立てて大きく動き出したといっても過言ではない、その背景や経過、あるいはまた感慨も含め、局長にお答えをいただきたいと思います。
○斉藤港湾局長 先ほどの神林副委員長へのご答弁の際に申し上げましたが、京浜港広域連携推進議員連盟には、三都市の議会から二百十二名に上ります先生方のご参加をいただきました。これから京浜三港は力を合わせて連携を進めますが、先生方のご支援にたがわぬよう、しっかりとスクラムを組んで連携強化を進めてまいります。
また、木内先生には、議連の副会長としてのお立場からのご指導、ご支援をお願いしたいと存じます。
アジア諸港が躍進しまして我が国港湾の地位が低下する中で、港湾間競争は非常に激化しておりまして、国際競争力の強化が目下の急務となってございます。経済界からも、我が国産業の競争力を強化していく観点から、通商戦略上の兵たん基地ともいうべき物流インフラの見直しの中で、港湾運営の広域化を求める声も高まってきてございます。
こうした中、京浜三港が世界の主要港として生き残っていくためには、三港のスケールメリットを生かしまして広域的に港湾経営を行っていくことが何よりも重要であるとの認識から、京浜三港を預かります大都市のそれぞれのトップが強い決意と大きな政策判断をもちまして、この広域連携をスタートさせたものでございます。
我が国第一位、第二位のコンテナポートであります東京港と横浜港、そして地理的近接性を有します川崎港が手を握りまして包括的な広域連携の基本合意を締結したことは、日本の港湾を新たな時代へ導きます大きなターニングポイントになっていくものと考えてございます。
木内先生のお話にもございましたが、これまで、東京、横浜は熾烈な競争を繰り広げてきました。たかだか十数年前のお話でありますけれども、東京港の大井ふ頭から、世界有数の船会社でありますマースクラインを、横浜が激烈なポートセールスによりまして本牧港に抜きまして、それに対して東京港は対抗手段といたしまして、横浜にいました韓進海運を、整備が成ったばかりの青海ふ頭に抜くというような、そういう競争をしてございました。私もその当時、東京港の振興を預かる課長職におりまして、港の航路だとか、それから貨物の誘致をやっていたわけですけれども、実はそのころ、横浜港を見に行くことがなかなかできませんで、隠れてお忍びで見に行くという、お互いに見せ合わない、そんな時代でありました。
そんな時代もございましたけれども、東京、横浜両港の現在のコンテナバースは幸いにもすべて埋まって、空バースはございません。今までのような内向きの競い合いではなくて、両港が手を携えまして世界の港湾間競争に満を持して打って出る機が熟してございます。まさに時が味方してくれたのではないかというふうに考えてございます。
今後、京浜港共同ビジョンの策定を行う中におきまして、激しく変化する国際物流に的確かつ迅速に対応いたしまして、日本経済を下支えする物流の玄関口の役割をしっかりと果たしていくために、世界を相手にできる、即応力を持った多機能総合港湾に向かっていける京浜港の将来像を描いてまいります。
先ほど木内先生の方から、船舶の大型化に向かって、港湾の整備についてもしっかりやれという激励がございましたけれども、船舶の大型化につきましては、港湾整備部長が答弁申し上げましたとおり、第七次改訂港湾計画の見直しの中で、大井についても十六メートルにするとか、世界にこたえ得るようなことでやっていきたいと考えてございますし、港湾経営部長も答弁申し上げましたように、共同ビジョンの中に、京浜港としての港湾経営と整備の方針というものをつくってまいりますので、その中で、京浜港で一体として、世界に対抗するようなバースの整備とか、それから大型対応とかいうのを考えておりますので、よろしくお願いいたします。
日本港湾の復権を目指します横浜港、川崎港と力を合わせまして、ポートオーソリティーを視野に入れて、一体的な港湾経営の実現に向けまして、局一丸となって全力で取り組んでまいります。
○木内委員 もう答弁は必要ありませんけれども、今の斉藤局長の来し方を振り返っての感慨を率直に吐露される答弁、そしてまた血の通った議論がこのようにできたことを私は大変に誇りに思いたいと思います。どうか港湾の発展に向けていよいよのご努力を、港湾局長を先頭にスタートされるよう要望して、質問を終わります。
○小竹委員 私の方からも幾つかの点にわたってお伺いしたいと思います。
最初に、補正予算についてですが、債務負担行為で、しゅんせつ船の建造費が三〇%増額になっていますけれども、増額の根拠と、しゅんせつ船の老朽化の状況について最初にお伺いいたします。
○前田港湾整備部長 しゅんせつ船の建造価格についてでございますが、当初予算では事業費を約四十六億円としておりましたが、船舶の建造価格が高騰したため、日本造船工業会の船価推移データ等を踏まえまして、今回の補正予算で約五十九億円を計上するものでございます。
この要因でございますが、世界的な海運各社の旺盛な船舶建造需要を背景にいたしまして新造船の発注量が増大し、船舶の建造価格を押し上げたこと、また、鋼材や機器類の価格が上昇したことなどでございます。
現在のしゅんせつ船「雲取」でございますが、昭和六十一年に建造したものでございます。間もなく耐用年数を迎えるものでございまして、既に二十二年が経過しておりまして、船体やしゅんせつ作業用の機器等の老朽化が進んでおり、船舶修繕費用も年々増加している状況にございます。このため、新たにしゅんせつ船を建造するものでございます。
○小竹委員 しゅんせつ船、耐用年数が来ているということを伺いましたし、それから、一年間のうち一カ月ドックに入って整備をしながら、年間を通して稼働しているという点では、本当にこのまま放置するわけにはいかないというふうに思います。港湾の行政にとって船は命綱ともいえるものですから、老朽化している船については計画的に修理、建造していくことが必要になっていると思います。用途は違いますけれども、現場から、水面監視船の「みやこ」や工事監督船「しぶき」なども何とかしてほしいという声が上がっているというふうに聞いていますので、今後も現場の声を聞いて対応していただくように、この点はあわせて要望しておきたいと思います。
次に、臨海ホールディングスについてですけれども、これまで我が党は、臨海三セクを救済して新たな三セクをつくるものとして反対をしてきました。今回、埠頭株式会社とビッグサイトが臨海ホールディングスに出資して、その傘下の子会社になるわけですが、これまでの子会社も含めて、子会社ということになると、都の監督権がどういうふうになるのかという点は本当に問題があると思います。改めてこの点についてお伺いしておきます。
○吉田監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループに対する都の指導監督についてのお尋ねでございますけれども、東京臨海ホールディングスはもともと監理団体に指定されてございまして、都はこれに対しまして、東京都監理団体指導監督要綱に基づき指導監督を行います。
また、この指導監督要綱の中で、持ち株会社とその子会社を一つの監理団体ととらえ、適切に指導監督を行うということにされてございます。したがいまして、子会社に対しましては、グループ全体を一つの監理団体とみなしまして、計画や人員、それから情報公開等につきまして、ホールディングスを通じて指導監督を行ってまいります。
○小竹委員 一つのものとして扱うということで、ホールディングスを通して指導監督ということになるということですが、やはり直接ではなくて間接の指導監督ということになるわけですよね。
そういう点でいうと、埠頭株式会社は、先ほど来、港湾の重要な役割を担っているという点では、非常に強い公共性を持つ東京港の経営、そういう意味での港湾経営を担うという点では、非常に重要な役割を担っているわけですが、従来は公社だったものを、法改正もあって、ホールディングスグループの子会社になるということでの民営化をしたわけです。そういう点では、私たち、この民営化に反対をしてきました。これからも公共性という点では変わらないわけで、埠頭株式会社はやはり直接都の指導監督、港湾行政という点での指導監督は当然都が担わなければならないというふうに思うわけですけれども、ホールディングスの子会社になったということと公共性ということがどう担保されるのか、もう一度お答えください。
○小宮港湾経営改革担当部長 埠頭会社の公共性の担保についてでございますが、特定外貿埠頭の管理運営に関する法律によりまして、東京都が五〇%以上の株式を保有することが義務づけられており、引き続き都が港湾管理者として公共性を担保してまいります。
また、残りの五〇%につきましては、都が支配株主である臨海ホールディングスが取得することから、公共性は十分担保されていると思います。
○小竹委員 都が株主として五〇%以上の株を所有しているということと、ホールディングスの株も持っているんだからということのお答えですけれども、私は、公共性の担保というのはそんなものじゃないというふうに思うんですよね。
その点でいうと、民営化されたJRを見れば、JRが本当に公共性を担保して国民の足を確保しているかという点でいえば、利益の出ない地方の鉄道については廃止したりしていますし、安全性、人命の問題なんかについても、軽視しているがゆえに事故が起きているわけで、そういう点でいえば、民営化の道というのは、利益を追求する道という点が示されているというふうに思うんです。株式会社ということになれば当然営利が追求されるわけですから、埠頭公社がわざわざ民営化してホールディングスに入って、ワンクッション入れること自身に問題があるというふうに思います。
子会社が議会や都民から見えにくくなる、この点での透明性はどういうふうに確保するんですか。
○吉田監理団体改革担当部長 子会社化に付随いたします透明性の確保についてのお尋ねでございますけれども、前提といたしまして、持ち株会社構想は、東京港の国際競争力の強化と臨海副都心開発の一層の推進を図るためのものでございます。このような位置づけにある子会社の情報公開につきましては、臨海ホールディングスの子会社管理規程の中で、監理団体と同等の推進を図ることとしておりまして、引き続き持ち株会社を通じて指導してまいります。
また、臨海ホールディングスは、議会や都民に対する説明責任を果たすために、地方自治法の規定の有無にかかわらず、グループの経営状況を子会社の財務諸表を含め毎年度、議会に報告してまいります。
○小竹委員 国際競争力のことが強調され、それから臨海副都心の開発ということがいわれるんですが、それ自身、本来でいえば東京都が方針を持ってやるべき中身になるわけで、このホールディングスにそういう点をゆだねてしまうということ自身、行政としての問題があるというふうに私は思いますので、この点は指摘をしておきたいというふうに思います。
公共性の点からも、それから透明性の点からも、臨海ホールディングスへの出資はやめるべきであるというふうに考えます。
それとともに、臨海ホールディングス持ち株会社構想が出されてきたのは、破綻した臨海三セクの民事再生と時期を一にする、一致する状況でした。二〇〇六年の第四回定例会の経済・港湾委員会での当時の津島局長は、経営基盤が強化された臨海三セクを、持ち株会社グループ全体の事業展開の中で引き続き有効に活用していくというふうに答えられており、私たちが指摘した臨海三セクの救済という点が、この点からも当たっていたということを指摘しておきます。
次に、東京港の今後の経営戦略に関連して何点かお伺いいたします。
コンテナ船の大型化については、一つの流れとして、先ほど来議論もあったですし、私自身認識はしているんですけれども、東京港が扱う貨物量ということがこの戦略の中に書かれているわけですが、今、大量生産、大量消費というあり方そのものを見直す動きがある中で、外貿貨物量を一〇%増の五百二十万TEUを想定しているということについての根拠についてお伺いいたします。
○前田港湾整備部長 貨物量の推計についてでございますけれども、首都圏の人口の動向、国際分業の進展など、物流を取り巻く状況の変化などを踏まえまして、おおむね二〇一五年を目標年次として将来貨物量の推計の見直しを行ったものでございます。
貨物量の推計は、まず重量ベースで出入り別、それから品目別に分類します。次に、品目ごとに、首都圏の将来人口、あるいは都民、県民の総支出額等の社会経済指標や貨物量の実績などを踏まえて行ったものでございます。
その結果、外貿、内貿を合わせた将来貨物量は、重量ベースでございますが、第七次改訂港湾計画策定時より四%減少しております。また、このうちの外貿コンテナ貨物量は三%増加するという結果になっております。
一方で、ご指摘があったコンテナの個数でございますが、既定計画の四百六十万個に対しまして一〇%増の約五百二十万個と推計しております。これは、コンテナで運ばれる製品や部品の小型化等が進展しておりまして、コンテナ一個当たりの重量が軽量化したことによるものでございます。
○小竹委員 首都圏の人口増というふうにおっしゃられましたけれども、今、日本の人口という点でいうと、将来的には人口減が進んでいくということが強調されているわけですよね。それと、先ほどいった大量消費の生活様式の見直し、こういうものを考えたときに、これだけの貨物量が本当に必要なのかという点については私は大変疑問に思っています。
そういう点では、扱うコンテナ量について、社会経済情勢をも含めて、きちんともう一度見直していく必要があるんじゃないかということは指摘をしておきます。
また、先ほども議論はありましたけれども、東京港の中の船の航行というのは非常に混雑しているわけで、委員会をつくって検討されているというふうなことでしたけれども、大型船舶が入るということになれば、その航路の安全性というか、回転をすることも含めて、安全性の確保が必要になってくるというふうに思うんですね。本当にそういう点での安全性が確保されていくのかどうかという点もきちんと検討する必要があると思いますし、東京港は、羽田空港を控えているという点では、飛行機の進入路との関係もあるわけで、そういう点も含めて考えたときに安全性の確保がどうなっているのか、もう一度お伺いします。
○成瀬計画調整担当部長 従前より、船舶の航行安全対策の検討に当たりましては、専門家から成ります委員会を設置して十分な安全対策を講じているところでございます。現在、船舶の大型化に対応いたしました船舶航行安全対策調査委員会を設けまして、先生ご指摘の回転も含めまして、あるいは羽田空港との関係も含めまして、操船シミュレーター等によります模擬実験を実施するなど、安全性につきまして専門的な観点から検討を行っておるところでございます。
今後取りまとめます安全対策を大型船の就航時に確実に実施することによりまして、将来にわたりまして港内の船舶航行安全対策に万全を期してまいります。
○小竹委員 安全対策は当然のことですが、大型船が入ってくるという点でいえば、相当ほかのところへの影響が出てくる可能性もあるというふうに聞いています。
そういう点では、今回、三港連携がされて基本合意がなされたわけですから、横浜港、川崎港、東京港の役割分担を最重要の問題として、大型化への対応も含めて検討していくべき課題ではないかというふうに思うんですね。そういう点でいうと、三港の役割分担によって、大型化に対応する部署を、港を、共同で対応していけるようにすることが可能になってくるのじゃないかと思うんですが、この点についての検討はどのようになっているんでしょうか。
○江津港湾経営部長 京浜三港の広域連携に基づきます三港の担うべき役割につきましては、今後、京浜港共同ビジョン策定の中で行ってまいります。
今お話にございました船舶の大型化への対応でございますけれども、今回の答申では、基幹航路に運航されているコンテナ船の多くが世界標準というべき八千個積み以上の大型船に転換している、そういうことを前提としてご提言をいただいているものでございます。
日本では現在、八千個積みのコンテナ船が着岸できるのは横浜港の二つのバースだけでございます。したがいまして、両港合わせれば七百万を超えるコンテナ貨物となるわけでございますので、計画も含めて横浜港が八千個積みのバースを整備していったとしても、この貨物を取り扱うのに十分なバースができるというわけではございません。
したがいまして、船舶の大型化に対する対応は各港でそれぞれ整備を進めていく必要があると考えております。
○小竹委員 今は横浜の二つのバースですけれども、中防外側につくる東京港のものも整備されるわけですから、そういう点でいうと、大型化に対応するものについては、役割分担の中でこそ検討すべき中心課題だというふうに私は思うんですね。
この戦略の中には、東京港の国内のハブ機能を強化することや、臨海部の道路交通のネットワークの強化や三環状道路の推進などが、道路網の整備としても強調されているわけですけれども、港の整備と同時に、そういう道路網の整備というのは、今大きな問題になっている地球環境との関係でも、地球温暖化に対応するものとしては逆行する。CO2発生を促進するという点でも、輸送のあり方そのものも検討していくべき課題だというふうに思います。地上部の輸送は、CO2削減の点からも考え直さなければならない時期に来ていると思います。そういう点では、トラック輸送を中心にした輸送体制だけではなくて、鉄道輸送も含めて総合的に検討していく必要があるというふうに思います。
こういう点で、三港の役割分担によって、これ以上東京湾を深く掘ったりして環境負荷を与えるという点でも、大水深岸壁については見直すべきだということを表明して、質問を終わります。
○大西委員 私も、東京都の今後の港湾経営戦略について少し伺います。
七月にまとめられた東京港の今後の港湾経営戦略を見て、アジアを中心とした物流の発展の中で、東京港、京浜港が転機にあるということがよくわかりました。その中で種々の課題が生じていると考えているんですが、以下伺いたいと思います。
先ほどから議論になっております国際基幹航路、国内物流における各港湾の役割を踏まえた、役割分担の考え方について伺います。
国際、国内競争が激化しているということは、これを読むと非常にわかります。一方で、地の利、後背地を考えれば、おのずと役割分担という考えが必要になるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○小宮港湾経営改革担当部長 東京港の果たすべき役割、あるいは目指すべき方向かと存じますけれども、首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとしての地位を堅持していくことが重要でございます。すなわち、首都圏を初めとする内陸部の住民生活と産業活動が必要とする東京港を発着する貨物、いわば実需と申しますけれども、この実需に対応した港湾機能を充実強化していくことでございます。そのためには、港湾間競争に打ち勝ちまして、国際基幹航路が寄港する国際主要港として生き残っていくことが重要かと存じます。
○大西委員 今回の答申のメーンはまずそこに視点があったものがるる書かれているんだと思います。そういう中から、東京港国際基幹航路、ある意味国内物流における各港湾の役割を踏まえた役割分担の考え方を再度伺います。
○小宮港湾経営改革担当部長 日本全体を見渡しての役割ということになろうかと存じますけれども、これにつきましては国の中枢港湾政策というのがございまして、こちらの中で、京浜港、阪神港、伊勢湾の三大港湾を国際基幹航路が寄港する港とされまして、輸出入貨物の世界への玄関口と位置づけられております。一方で、それ以外の港湾というのは、国内物流の拠点として、三大港湾とのネットワークを通じまして地域経済を支える港というふうになってございます。
京浜港は、スーパー中枢港湾として国内物流の一大拠点としての役割を担う一方、先ほどお答えしましたとおり、首都圏四千万人という膨大な消費地あるいは製作の拠点を抱えておりますので、生活と産業を支えるメーンポートとしての役割もございます。
京浜港がこれらの役割を十分果たしていくためには、先ほど申し上げましたけれども、基幹航路の維持拡大が不可欠であり、今後とも全力で取り組んでまいります。
○大西委員 この答申の中の二五ページ、アジア諸港のおおむね十年間の大水深岸壁整備計画、今、東京港が水深十六メートルにしてやろうというこのバース、見ています。それで、本当にもっと東京港そのものを、横浜と川崎と一緒になって、アジアに匹敵するものにと、競争間でうちも勝ち抜かなければいけないというふうに力説されるので、何だかとてもたくさんバースをつくるのかと思って見てみますと、十年後でも日本全体で十六バース。アジアというか、中国にはもう勝てないというようなバース計画なんですけれども、それは当然として島国である東京、日本と、後背地にいろいろなものを、国を抱えるアジア、特に中国、そういうところと、まず競争に打ち勝つというこの方針そのものを否定するものではないんだけど、何だかちょっと時々矛盾を感じる場合があります。そういう意味では、こういうアジアの中の東京港の役割というものをどの程度に考えていらっしゃるのか。
○小宮港湾経営改革担当部長 先ほどからお答えさせていただいているんですが、東京港の役割が首都圏の生活と産業を支える港だ、メーンポートだということでございます。だとしますと、仮に基幹航路から外れまして、例えばですけれども、東京港で取り扱うべき貨物が、中国の港に行って、それから世界の主要基幹航路に、これは積みかえると申しますけれども、積みかえた場合になりますと、これはコストと時間がかかりまして、首都圏、都民の生活あるいは産業にも重大な影響が出てまいります。そうしたことから、東京港が世界の基幹航路と直接結び合う港であり続けることが、都民生活、首都圏の産業にとっても重要なことかと存じます。
○大西委員 そういう意味では、国内全体でも役割をいろいろ考えて、この数値が十年後の中に、国内で十六バースという数が出ているわけですけれども、これは今のところ、需要に見合った数字だということでとっていいんでしょうか。
○前田港湾整備部長 ご指摘のコンテナふ頭のバースでございますけれども、先ほども答弁申し上げましたけれども、既存の大井、青海ふ頭につきまして水深を一部増深していくということと、それから現在、中央防波堤地区にコンテナふ頭を整備中でございまして、こういうものをあわせて対応していくということで、コンテナ貨物に対するバース数としては今ご指摘のあった内容でございます。
○大西委員 済みません。バースのつくり方じゃなくて、この答申の中に書かれている十年後の十六バースの数というものは、そういう数字の中で、多分国際間競争、いろいろ出ている問題の中で、妥当な数字だというふうにとらえていいんでしょうか。
○前田港湾整備部長 十六バースの内訳でございますけれども、これは第七次改訂港湾計画で既に計画化されているバースでございまして、大井ふ頭が七バース、青海ふ頭が三バース、それから新しい中央防波堤地区で二バースということで数字になっております。既定計画の数字でございまして、それでコンテナの貨物に対応していくということでございます。
ちょっと説明がわかりにくくて申しわけないですけれども、今回は、その既定のコンテナバースに対しまして、船舶の大型化が進んでおりますので、それに対応して水深を少し深くしていこうという計画でございます。ご了解をお願いいたします。
○大西委員 水深を深くするバースのこともわかっております。今私が聞きたかったのは、おおむね十年間の、二五ページのバース数、確かに国際的にアジアに打ち勝たなければいけないという方向性は支持するとしても、余りに中国や、それから日本全体を考えたときに差があり過ぎるので、本当にこれでいいのかなという気がしております。
この部分は次回お聞きすることにしまして、この答申の中でやはり私が気になるのは、物流過程における温室効果ガスの排出量削減を進めることも重要であるということなんですけれども、答申ではこの点が明示されておりません。どのような目標と手段で進めるつもりなのか伺います。
○前田港湾整備部長 済みません。先ほどの答弁でございますけれども、ちょっと私間違えてございまして、二五ページのアジア諸港のおおむね十年間の大水深岸壁の整備計画に関連するご質問であるということが今わかりました。大変申しわけございません。改めて答弁申し上げます。
日本国内で、ここに書いてございますように、東京が三バース、神戸三バース、大阪一バース、横浜七バース、名古屋二バースということで、日本国内全十六バースで水深十六メートル以上の岸壁を今後十年間で整備していく予定ということでございます。
それから、次の温室効果ガスに関連する質問でございますけれども、今回の答申は、第七次改訂港湾計画の策定以降の、東京港を取り巻く急激な状況の変化を踏まえまして、貨物量の急増、それから船舶の大型化への対応、京浜三港の連携強化などについて提言をちょうだいしたものでございます。
物流から発生する環境負荷の軽減につきましては、第七次改訂港湾計画において既に積極的な取り組みを位置づけております。
まず、モーダルシフトの推進、それから渋滞解消に向けた臨海部の交通ネットワークの充実等によりまして環境負荷を軽減すること、また、荷役機械や船舶等の港湾物流から発生する環境負荷の軽減への取り組みといたしまして、関係者との連携により推進することでございます。
東京港では既に品川ふ頭や中央防波堤の内側におきまして、モーダルシフトの推進に向けまして、内貿ユニットロードふ頭の整備を進めるとともに、臨海部の交通ネットワークの充実強化に向け、東京港臨海道路Ⅱ期事業等の整備を進めているところでございます。
さらに、大井コンテナふ頭におきましては、ゲート上屋の屋根に太陽光発電パネルを設置することや、ターミナル内におきましてハイブリッド型の荷役機械の導入を図るなど、ターミナルの関係者とも連携して、環境負荷の低減に向けた取り組みを進めているところでございます。
○大西委員 着々とやっているので、改めて諮問はしなかったということなんだと思いますけれども、まず、前回、昨年か何かの事務事業のときも、港湾計画を聞くときにすごく気になるのは、CO2対策というんですか、これに対しての言及がほとんどないということが気になりまして、時々そこにこだわった質問をしているんです。
今、具体的に進めていますとおっしゃいましたが、今後大型化する中、この答申を受けて具体化する中でCO2対策というものをやっていくためには、まずは具体的なデータとか、そういうものを収集することが必要だと思うんですけれども、それに対するデータ収集とか、そういうことにもう既に着手していらっしゃるのか、お聞きします。
○前田港湾整備部長 環境に対する情報データ収集というお話でございますけれども、今回の答申を受けまして、これから港湾計画の見直しというのを予定してございます。その中で環境の影響についても、現在どうなっているのかということを調査します。あわせまして、各施設、あるいは土地利用といったものを見直しを行いまして、各施設が供用された際の環境への影響を評価するために、港湾計画でアセスメントを実施する予定でございます。
○大西委員 現在、そのデータとかそういうものをお持ちなのか、調査をやっているのかということをちょっと具体的に聞きたかったんですが、そういう中で、この答申の中では、八千TEUから一万TEU型のコンテナ船への対応、さらにポストパナマックスに対応した港湾整備が必要であるとされています。こうした港湾機能の拡張にどれくらいの費用と環境負荷があるのか、そういうことは考えていらっしゃるのかというふうに質問したかったんです。ちょっと一部お答えいただいたような気がしますが、あえてもう一度お聞きします。
○前田港湾整備部長 先ほどもちょっとご答弁申し上げましたけれども、今回の港湾審議会の答申を踏まえまして、今後、施設計画それから土地利用について港湾計画の見直しを行っていこうというふうに考えてございます。したがいまして、現時点ではその内容が確定しておりません。したがいまして、港湾機能拡張にかかわる費用あるいは環境負荷については、現時点では算定しておりません。
○大西委員 そもそもそういう意味で、先ほどの二五ページのこのバースの資料にすごくこだわるんです。
確かにアジアでいかに競争を勝ち抜くかということも含めて、この現実をどう見るかということも重要で、今回諮問をなさったんだろうとは思いますけれども、環境対策そのものはもう第七次改訂港湾計画の中であるので、あえて諮問しなかったとおっしゃるけれども、ある意味、枠をつくらないで諮問すると、どんどんどんどん計画が膨らむわけで、その中で、環境と発展、そして今のアジアの、中国とかこのたくさんのバースに打ち勝つ需要は日本にははっきりいってないから、多分、十六バースでいいというふうな数字が出ているんだと思うんですけれども、そういうことを今東京としてはやらなきゃいけないわけですから、環境対策も入れたあり方というものを諮問すべきだったんじゃないかというふうに考えますが、その点はどうでしょう。
○前田港湾整備部長 今回の港湾審議会答申でございますけれども、先ほどもお話しいたしましたように、今後、この答申を踏まえて港湾計画の一部見直しをする予定でございます。
今回の答申は、第七次改訂港湾計画策定以降の東京港を取り巻く急激な情勢変化を踏まえて、物流機能を中心に、現行計画の一部見直しの指針となるように提言をいただいたものというふうに考えてございます。
港湾局といたしましては、東京港において環境対策というものは非常に重要な施策であるというふうに考えてございまして、第七次改訂港湾計画では、物流、交流、安全と並びまして環境という側面も含めまして、四つの機能が融合する港づくりの実現を目指すこととしております。先ほどもお話ししましたように、物流から発生する環境負荷の低減につきましても、今後もさらに取り組みを積極的に進めていきたいというふうに考えてございます。
○飯尾技監 先ほど来議論になっております二五ページの図でございますけれども、この図につきましては、アジアの諸港が非常に大水深の岸壁を計画化して急速に整備を進めているというのに対しまして、現在の我が国の港湾の計画が大変におくれているということを示すために添付したものでございます。
東京港につきましては、現在ゼロバースでございますけれども、中央防波堤と新海面に三バースの計画がある、それのみだということで示したものでございまして、今回の答申を踏まえまして、この計画を見直していきたいというふうに考えてございます。
今回の答申でございますけれども、これはいわば基本方針をお示しいただくものでございまして、具体的な環境への影響等につきましては、施設の計画がないと、それを評価していくというようなことはなかなか難しいものでございますので、この方針を踏まえまして今後具体的な施設の計画を立てるのに当たって、環境の調査と評価が必要なものについては環境の評価をしていく、そういう手続の手順になってございまして、今後計画化するのに当たって、いわゆる計画アセスメントが必要なものについては、港湾局として計画のアセスメントをしていく、そういうようなことになっております。
○大西委員 この答申については、おおむね私も理解を持っているものなんですけれども、改めてバースの数、それからアジアという地図を前にしたときに、本当にある意味、どこまでやればいいのかなというような心配もどうしてもしてしまうということなんです。そこの歯どめというか、共生をどうするかということが、多分そこに環境対策等が含まれる、そしてもちろん人口とかその他もろもろのことが出るんだと思います。
今後、事業費は計画策定の際に算出する予定であるとありますが、算出した結果、費用によっては、やる場合とやらない場合が出てくるのかとまた聞きたくなるんです。きょうはやめておきますが、そういう意味では本当に私はこの答申そのものに、今は大きく環境対策を推し進めようとするときですので、このことも入れた中で諮問すべきだったんじゃないかということを意見としていって、終わりにします。
○増子委員長 それでは、この際、議事の都合により、おおむね十分間、休憩をいたします。
午後三時十四分休憩
午後三時二十七分開議
○増子委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○米沢委員 まず、しゅんせつ船の建造につきましてお尋ねします。
補正予算に計上しているしゅんせつ船の建造に関連して、まず第一にお伺いいたします。さきの当委員会で説明がありましたので、年度半ば、補正予算を組むという事案でもあるので、改めて何点かについてお聞きしたいと思います。
確かに港湾審議会答申をめぐる議論の中で、貨物量の急増、あるいは船舶の大型化が急速に進展していること、先ほどの公明党木内委員の質問への答弁によってわかりましたが、こうした動きの中で船会社が新たな船舶建造に動いている事実がありますし、また船価が大変急騰しているということを、新聞紙上、報道等で承知しております。
我が国も市場経済の中で活動している以上、需給のバランスによって価格が変動することはやむを得ないということでありますけれども、都民の貴重な税金を新たに投入するわけでありますので、根本に立ち返るかもしれませんが、確認の意味でお尋ねをいたします。
まず初めに、なぜ東京港ではしゅんせつが必要とされるのか。先ほどの小竹委員の質問の中で、しゅんせつの必要性というものについては余り賛成でないような質問が出ておりましたけれども……(「そんなこといってない」と呼ぶ者あり)賛成といったの。極めて初歩的な質問でありますけれども、お伺いいたしたいと思います。
○前田港湾整備部長 東京港におきます維持しゅんせつの必要性についてのご質問でございますけれども、東京港は東京湾の最奥部にございまして、隅田川、荒川、多摩川などの大小河川が流入する河口部に位置する港湾でございます。江戸の昔から、これらの河川から大量の土砂が流入し、堆積しておりまして、大正期までは遠浅の海が広がっておりました。関東大震災を契機に東京港の重要性が認識され、大型の船舶の航行を目的としたしゅんせつを行うようになってまいりました。さらに、昭和三十年代後半から、しゅんせつ土砂を有効に活用して埋め立てることにより、現在の大井、青海、そして中央防波堤内側地区など、東京港の基盤となる土地造成を実施し、五十年代前半にはほぼ現在の東京港の形が概成したものでございます。
その間も毎年、河川からの土砂の流入は継続しておりまして、船舶の航行の安全を確保するために、東京港内の維持しゅんせつを行うことが不可欠となっております。港湾計画で定められました所定の水深の維持を目的としまして、港内の航路、泊地に堆積した土砂のしゅんせつを継続的に実施しているものでございます。
○米沢委員 東京港の置かれている自然条件の中で、船舶の航行安全を確保し、国際基幹航路を維持するため、目にはつきにくいわけでありますけれども、しゅんせつが絶対に必要であり、しかも、毎年実施しなければならないということがよく理解できたわけであります。しかしながら、自前で船を持つ以上、一定のしゅんせつを毎年継続していかなければならないと思うわけでありますが、そこで、東京港で行われる維持しゅんせつは毎年どれくらいになるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
○前田港湾整備部長 現在、しゅんせつ船「雲取」で東京港内の維持しゅんせつを実施しております。平成十九年度のしゅんせつ量は約二十九万立方メートルでございまして、東京ドームの約四分の一ぐらいの量に匹敵するものでございます。
さかのぼりまして、平成十五年度から十九年度までの過去五年間の合計でございますが、百三十五万立方メートルでございます。年間の平均にいたしますと、二十七万立方メートルでございます。
○米沢委員 なるほど、東京港の港湾機能を維持するためには、大量の土砂を毎年しゅんせつしなければならないことは十分私もわかっていたわけでありますが、あえて質問したのであります。
これだけ大量の土砂をしゅんせつするのですから、船舶そのものもかなり大がかりになると思うのでありますが、その一方で、現在のしゅんせつ船は、ただいまの答弁にありましたように、建造後二十二年経過をしている。この間、しゅんせつ船の建造については、技術の革新といいますか、大変進んでいると思います。
そこでお伺いしたいんですが、現在のしゅんせつ船と新たなしゅんせつ船との違いについて十分ご説明いただきたいと思うんです。
○前田港湾整備部長 現在のバケット式しゅんせつ船「雲取」でございますが、多数のバケットを回転しながら土砂をすくい上げるような方式でございまして、建造当時、最新鋭の船舶でございました。これまで東京港の維持しゅんせつを支えてまいりましたが、自力で航行できないため機動性がないこと、大きな作業エリアを必要として作業性が悪いこと、押し船や土砂運搬船から成る複数の船団を必要とすることなどから、大型船の航行に影響を及ぼすなど、課題も生じておりました。
近年の船舶建造技術の進歩によりまして、みずから航行が可能で、機動性、作業性にすぐれたドラグサクション船の建造が可能となってまいりました。このドラグサクション船でございますが、先端に掃除機の吸い込み口のようなアームを持っておりまして、海底の土砂をポンプで吸入する方式のしゅんせつ船でございまして、土砂を船内に貯蔵し、新海面処分場まで運搬する作業を一貫して行うものでございます。このため、河川から流入したやわらかい泥が堆積する東京港の維持しゅんせつに適しており、このたび新たなしゅんせつ船として建造するものでございます。
○米沢委員 ただいま大変重要な答弁があったわけであります。現在のしゅんせつ船はみずから航行ができない。私も実は不勉強だったんですが、今改めて確認できたわけでありますが、また、土砂の運搬にもそれ専用の船が必要であり、いわゆる船団を組んで作業しているということがよくわかりました。
これに対しまして、今回補正予算で要求しているしゅんせつ船は、みずから航行するというご説明でしたね。しかも、しゅんせつした土砂を船の中に貯蔵し、土砂処分場まで持っていくという、すべての作業を一貫して行うことができるということであり、このことは大変評価いたします。つまり、複数の船舶で行っていたことを一隻の船で行うというわけでありまして、業務の効率化の観点もあわせ持った提案であるということがいえるわけであります。しかし、これで問題がないとはいえませんけれども、一応理解いたします。
いずれにいたしましても、目立ちにくいことではありますが、東京港の国際競争力を陰で支えている重要な業務であり、必要な船舶である。なるべく早期に代替建造し、東京港の港湾機能維持のために全力を尽くして行ってもらいたいと思います。以上。
次の質問。東京都の港湾審議会についてお尋ねいたします。港湾審議会答申に関しまして、今までの委員会での質疑を踏まえ、議論されていない事項について何点かお伺いいたしたいと思います。
確かに国際基幹航路における船舶の大型化の急速な進展に対応することは大切なことであります。しかしながら、東京港は江戸湊といわれた時分から、国内各地からお米や酒などの消費物資を船によって運び、一大消費地としての性格を持ってきたわけであります。こうした点は現在にも引き継がれているわけでありまして、内貿貨物への今後の対応も極めて重要であるわけであります。こうした重要な内貿貨物に関しまして一つの心配な点は、最近相次いで長距離フェリー船の会社が撤退していることであります。このことによって、長年続いた東京と北海道間のフェリーはすべて廃止されたわけでありますけれども、フェリーは、トラックやトレーラーなどが直接船に乗り込んで、そのまま貨物や旅客を目的地まで運ぶ海上輸送の一形態であり、モーダルシフトの先駆けでもあるわけであります。
そこでまず、東京-北海道間のフェリーが廃止された理由、そしてまた今後のフェリー航路の見通しにつきましてお伺いいたしたいと思います。
○前田港湾整備部長 東京港におけるフェリー航路につきましては、昭和四十七年、北海道釧路港からのフェリー「まりも」の入港により始まったものでございます。フェリー輸送はご指摘のようにこれまでモーダルシフトの推進に大きな役割を果たしてまいりました。しかし、国内の海上輸送では、貨物の荷役を効率的に行うため、輸送される貨物をコンテナやシャシーに積載するなど、荷姿の統一化、いわゆるユニット化が進展しております。フェリー輸送に比べまして、貨物の輸送コスト等によりすぐれるローロー船への移行が進み、フェリー貨物は徐々に減少してきております。
昨年の北海道航路の撤退理由は、原油高騰による燃料費の増大、房総半島を回ることによる距離や速度制限の負担等により、悪化した採算の改善とよりよいサービスの提供を図るため、拠点を東京から茨城に移したものでございます。
また、今後のフェリーの見通しについてでございますが、現在も引き続き運航されている新門司・徳島航路は、北海道航路に比べまして需給バランスのとれた航路でございます。また、運航船社ではより多くの車両が積載可能な大型船の建造も計画していることから、撤退の可能性は少ないというふうに考えてございます。
○米沢委員 今回の答申によりますと、フェリー航路の再編により、内貿のフェリー貨物が減少する一方で、今の答弁にもありましたとおり、フェリーに比べて輸送コスト等にすぐれた、これはローロー船というんですかね、いろいろ内貿ユニット貨物が急増しているということであります。
そこで、東京港における内貿ユニット貨物の動向についてお伺いいたしたいと思います。
○前田港湾整備部長 今ご指摘のありましたとおり、東京港におきましては、フェリー貨物が減少する一方で、近年ユニット貨物が急増している状況にございます。
今から十年前の平成九年でございますけれども、内貿ユニット貨物量は、移出貨物が約三百万トン、移入貨物が約二百五万トンと、合計で約五百五万トンでございました。十年後の平成十九年には、この移出貨物が約六百二十二万トン、移入貨物が約五百三万トンで、合計千百二十五万トン、約二・二倍に急増しております。
また、内貿ユニット貨物の将来見通しでございますが、今回の答申では、移出貨物が約七百八万トン、移入貨物が約五百九十三万トン、モーダルシフト分の二百六十四万トンを合わせまして合計で千五百六十五万トンと、現在の一・四倍に増加し、内貿貨物に占める割合は三分の一を超えるものと推計しております。
○米沢委員 内貿ユニット貨物はこの十年間で二倍以上に急増しております。また、今後も相当な伸びが予測されるということでありますが、こうした点を踏まえますと、今後大幅に貨物量の伸びが想定される内貿ユニット貨物に対応したふ頭の整備促進を図ることが重要になってくるというふうに理解いたします。
そこで、この内貿ユニット貨物の急増に対しまして、具体的にどのように対応しているのか、今後の予定も含めてお伺いいたします。
○前田港湾整備部長 ご指摘にありましたとおり、内貿ユニット貨物の急増に対応するため、ユニットロードターミナルの着実な整備が重要であると認識しております。このため、現在、品川ふ頭及び中央防波堤内側地区におきまして、ユニットロードふ頭三バースの整備を進めているところでございます。
今後とも、内貿貨物の動向を踏まえ、十号その二地区や十五号地等の内貿ユニットロードふ頭の整備を着実に推進していきたいと考えております。
また、ユニットロードふ頭は大型車両の船への出入りスペース、それからその置き場が必要となることから、背後のヤードの拡充にも取り組んでまいります。
○米沢委員 ただいま、ユニット貨物が急増の状況を踏まえて、今後とも内貿ユニットロードふ頭の整備を推進していくというご答弁がありました。
江東区有明のフェリーふ頭は、独特ののこぎり型の岸壁が確かに四バースあったと記憶しておりますが、フェリー航路の再編の状況や貨物量の減少している状況を踏まえますと、フェリーふ頭の現況が気になるところであるわけであります。その状況によっては改めて活用方法を検討していくべきではないかと考えます。
そこで、航路再編によりフェリーふ頭の利用が低迷しているのであれば、貨物が急増しているユニットロードふ頭への計画を見直していくべきではないかというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。見解を伺います。
○前田港湾整備部長 現在、十号その二地区には四バースのフェリーふ頭がありますけれども、フェリー航路の再編によりまして、その利用は低下している状況にございます。今後は、既存ストックの有効活用の観点から、フェリーふ頭の二バースにつきましては、ユニットロードふ頭にふ頭計画を見直していきたいというふうに考えております。
また、新門司・徳島との航路が就航しているふ頭につきましては、震災発生時の緊急物資輸送に対応した耐震強化岸壁としての位置づけや、就航船舶の大型化の動向を踏まえまして、岸壁延長を延伸するとともに、耐震化を図るよう、改良工事を進めていく予定でございます。
○米沢委員 環境負荷の低減の観点から、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフトを推進することについては大変重要なことでありますので、内貿ユニットロードふ頭の整備にしっかりと取り組んでいただきたいということをお願いいたしておきます。
次に、内貿貨物と外貿貨物の結節点となる内航フィーダー輸送への対応についてお伺いいたしたいと思います。
国内ハブ機能を強化し、東京港の集荷力を高めるためには、国際基幹航路が就航していない地方港と東京港の連携を強化して、東京港で基幹航路への積みかえを行う、いわゆる内航フィーダー機能の強化が不可欠であると思います。その取り組みを進めることは、結果としてモーダルシフトにも寄与する一石二鳥の効果を生じる重要な取り組みとなるわけであります。この点で私は、内航フィーダー機能の強化を積極的に推進していくべきだと考えております。
そこで、当局における内航フィーダーへの取り組み状況についてお伺いいたします。
○前田港湾整備部長 内航フィーダー輸送への取り組みは、モーダルシフトの促進、集荷力の向上の観点から重要な施策と考えております。このため、コンテナ化やユニット化の進展により利用が低下しているふ頭を対象にいたしまして、内航専用フィーダーバースの計画化について今後検討していきたいというふうに思っております。
また、その検討に際しましては、効率的な荷役の実施の観点から、外貿コンテナふ頭に近接した位置について検討を進めていきたいと考えております。
○米沢委員 内航フィーダーバースの整備は、モーダルシフトによる環境負荷低減や貨物の集荷力の向上に向けて大変重要な取り組みであるということが、今、皆さん方もおわかりだと思いますが、これはしっかりと対応していくことをお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○馬場委員 私は、今回の港湾審議会から答申されました東京港の今後の港湾経営戦略についてお伺いいたします。
今現在もですが、港湾計画は平成十七年度に策定されたものを基準に行われているというふうに思っております。その後、平成十九年、「十年後の東京」が十二月に出されました。その出されたと入れ違いというか、出されてすぐ、今回のこの諮問が行われております。「十年後の東京」が出されて、それからすぐ今回の諮問が行われたというこの状況について、まず、この時期になぜ諮問が行われたのかということをお尋ねいたします。
○前田港湾整備部長 第七次改訂港湾計画を策定した以降、東京港を取り巻く状況が急激に変化してきております。具体的には、国際分業の進展など、産業、貿易構造の変化に伴いまして外貿コンテナ貨物が急増していること、貨物量の増加に伴い、海上コンテナ貨物の輸送能力や輸送効率の向上の観点から、船舶の大型化が急速に進展していることなどでございます。
こうした東京港を取り巻く急激な状況変化に迅速かつ的確に対応していくことが重要であり、昨年末に東京都港湾審議会に諮問したものでございます。
○馬場委員 本日、各委員の皆様からのご質問を伺っておりまして、本当にそういう状況だなと改めて思っているところです。
先ほど大西副委員長からご質問がありました、資料のところの二五ページなんですが、そこを確認というか、お尋ねしたいというふうに思います。
この二五ページ、コンテナ大型化への対応ということでつくられている資料だというふうに思うんですが、この資料はいつの時点の資料で、どういう意図でつくられたのか、ご説明ください。
○前田港湾整備部長 この資料でございますけれども、現在計画中のものについてまず整理してございます。アジア諸港、日本を含めまして、おおむね十年間で水深が十六メートル以上の大水深の岸壁をどのぐらい計画しているかということをお示しするものでございます。
つくった時点でございますけれども、昨年、十九年末に国土交通省の資料等をもとに港湾局で作成したものでございます。
○馬場委員 これは国土交通省の資料ということですが、それぞれの港が自分のところで、地域で計画をしているというふうに受けとめるんでしょうか。アジア、中国等を含めて、こうした計画を見据えて、国が全体的に計画を立てているというふうに受けとめるのでしょうか。
○前田港湾整備部長 岸壁の計画の策定主体についてということでございますけれども、基本的には、港湾計画につきましては港湾管理者がみずからの責任で策定するということになってございます。したがいまして、この日本国内の各港の現在の大水深岸壁の計画につきましては、それぞれの港湾管理者が策定主体として策定したものでございます。
○馬場委員 先ほどお話しした「十年後の東京」のところの六一ページをコピーして、参考にきょう持ってきているんですが、そこの図では、中央防波堤外側コンテナターミナル、ここのところの印が三バース、C1、C2、C3となって、C1バースは水深十一メートル、C2、C3が水深十六メートルというふうに、なっております。東京では十六メートル以下の深いものを三バースというふうに、今回この資料で出ているのですが、こうした状況も含めて、今回のこの諮問も含めて、数字的なものを別にどうこうということではないんですが、そういう意味では時期が、状況が変わっているのかなというふうに改めて今思っているところです。
こうしたバースのつくり方が、いつ、どういうふうに動いていっているのかというようなことも含めて、現在計画中の三バースというのは、具体的にはどこのことでしょう。
○前田港湾整備部長 マイナス十六メートル以深の大水深岸壁の東京港のバースはどこかというご質問かと思いますが、中央防波堤の外側地区に二バース、それから新海面処分場地区に一バースの計三バースでございます。
○馬場委員 ありがとうございます。深いところにつくる方がいいわけです。ただ、新海面というのは今まで、初めて出てきたのかなという気もしますが、それは今後の検討ということで、三つつくりたいというふうに受けとめさせていただいて、お話を進めますが、今の図でいえば、「十年後の東京」の部分と、それから今回の資料の二九ページの中央防波堤外、新海面コンテナのところの図が、相当バースの数が違っているので、ああ、こういうことなのかなと改めて、今の質疑の状況をこの図面があらわしているのかなというふうに思っておりますが、この二五ページの、先ほどのお話でいえば東京港の三バースと、それから横浜港が七バースにするというそれぞれの計画を、あえていえばこれからの三港連携の中で検討をしていくのだろうというふうに受けとめさせていただいて、そのお話はこれからということですので、きょうは、そういう状況ということを確認して質問を続けたいと思います。
もう一点の、今回のこの答申の大切な基本的な部分で、増加するコンテナ貨物というところで、将来の貨物量推計というのが、今までの計画の一〇%増しの五百二十万TEUというふうにはっきりとこの答申には書かれております。この伸びの推計、これはどういうふうに計算をなさっているのでしょうか。
○前田港湾整備部長 貨物量の推計についてでございますけれども、首都圏の人口の動向、それから国際分業の進展などの物流を取り巻く状況の変化などを踏まえまして、おおむね二〇一五年を目標年次として将来貨物量の推計を行っております。
貨物量の推計の具体的な手法でございますけれども、重量ベースで、出入り別、品目別にまず分類をいたします。その品目ごとに、将来の人口、あるいは都内、県内、首都圏の総生産額等の社会経済指標、それから貨物量の今までの実績、こういうものを踏まえて実施しているものでございます。
その結果、確かにご指摘にありますように、内外貿合わせました将来貨物量は、前の改訂計画に比べまして四%減少しておりますけれども、外貿コンテナ貨物量につきましては三%の増加という結果になっています。
一方で、今ご指摘にありましたコンテナ個数でございますけれども、既定計画の四百六十万個に対しまして、約一〇%増の五百二十万個となってございます。これは、コンテナで運ばれます製品、部品、そういったものの小型化等が進展しておりまして、コンテナ一個当たりの重量が軽量化したことによるものでございます。
○馬場委員 今ご答弁いただいたように、物流の中身や方法は時代を反映して随分変わってきているということだと思います。ただ、推計は、先ほどのご質問でもありましたように大変難しいというふうには思います。今回の資料のところを見せていただいても、右肩上がりで上がっていっているから、それに合わせて今後も上がるだろう、そんなふうに受けとめざるを得ないような図と表現なんですが、今ご説明いただきましたように、大変計画の基本になる部分ですので、この推計、それから、どういうふうに変わっていくかということについて、この答申がもう少しその辺のところがわかりやすくなっていたらいいなというふうに読ませていただきました。
この物流ということにつきましては、平成十八年に東京都も総合物流ビジョンというのを出されました。東京を中心に物流というものが大きく変化をしてきている。その基本、根幹、根拠といったらいいんでしょうか、拠点になるのが港湾ですので、こうした都で全体で考えている総合物流ビジョンと今回の港湾の答申とを含めて、この辺の関係はどんなふうにお考えでしょうか。
○小宮港湾経営改革担当部長 物流ビジョンと本審議会の答申との関係でございますが、総合物流ビジョンは、お話がありましたように、平成十八年に東京都が、国際競争力の強化や暮らしと環境の向上の実現に向けまして、都の物流対策の基本的な考え方についてまとめ、具体的な取り組みを提示したものでございます。
総合物流ビジョンの中では、港湾地域の物流対策が数多く言及されておりますが、本答申においては、物流対策に関する基本認識、それから方向性はこの物流ビジョンを踏まえておりますが、最近の物流事業の動向などが反映されていると考えます。
○馬場委員 大変密接な関係にあるこの物流と港湾の機能の要求というもの、ここをぜひとも連携させて、これからの港湾計画が経済や都民の生活にきちんと対応できるものであってほしいというふうに思っております。ぜひともその辺の答申も踏まえた上で、今後の計画作成については、さらなる連携を進めて考えていただきたいというふうに思っております。
先ほどの答弁にありませんでしたが、私は個人的に、今回の諮問をした時期がなぜなんだろうと思ったときに、先ほどもお話がありました、この四月から東京港埠頭株式会社、つまり民営化がされました。この諮問のちょうど中間点に当たる時期ですが、東京都としての港湾施設、港湾の方向性、都民全体に向けての東京都の施策と、この民営化されました東京港埠頭株式会社、この役割がどんなふうにきちんと明確にされるかということが先ほどの質疑の中でも出ていたと思うんですが、私からも、今回のこの民営化のメリットも含めて、東京港埠頭株式会社と港湾局との役割分担についてもう一度お答えください。
○小宮港湾経営改革担当部長 港湾局と東京港埠頭株式会社との関係でありますが、審議会答申では、東京港の国際競争力強化に向けて中心的な役割を担っていくことが期待されていると、埠頭株式会社の今後の方向性が示されております。
都では、平成二十一年四月より、埠頭株式会社に公共ふ頭の管理を行わせる予定でございます。この結果、埠頭株式会社は東京港の外貿コンテナ貨物のほとんどを取り扱うことになります。埠頭株式会社はこのスケールメリットを生かしまして、施設の効率的で計画的な整備、改修や利用者調整を行ってまいります。
一方、東京都ですが、今後、東京港全体の戦略や計画の企画立案とともに、臨海部道路ネットワークの構築や防災などに力を注いでまいります。
このように、都と埠頭株式会社の適切な役割分担によりまして、都はより戦略的な港湾経営を行い、ふ頭運営の一層の効率化を行うことで、港湾サービスの向上と港湾コストの低減を通じまして東京港の国際競争力の強化を図ってまいります。
○馬場委員 今回、埠頭株式会社として、国の認可など規制の多い公社制度からある意味脱却して、効率的、機動的な経営が可能になったと。今のお話のように、都ときちんと役割分担をして、これからぜひとも機能的に運営していっていただきたいというふうに思うんですが、こうしたことも時期的に、経営戦略というこの答申の課題ですので、この辺もきちんと触れておいてほしかったという思いがしております。
この審議会の中でどんなことが話し合われたのかというふうに資料を拝見いたしましたら、審議会の議題の最後のところですが、税制優遇措置という項目がありました。この埠頭株式会社のことだというふうに思いますが、この審議会の中で税制優遇措置というのが話し合われたその内容について、どういうことが問題だったのか、課題なのか、教えてください。
○小宮港湾経営改革担当部長 埠頭会社に対する税制優遇措置についての議論の経過でございますけれども、この税制優遇措置については、具体的に申し上げますと、埠頭公社制度の中では、固定資産税について二分の一の減免が認められておりました。しかし、公社を株式会社化するに当たりまして、法改正の中で、新規に整備する施設には適用されないということで、この優遇措置が十分に引き継がれなかったわけでございます。
こうした中で、審議会答申の中で、埠頭会社の支援としまして、税制優遇措置の拡充、埠頭会社が行うふ頭整備やふ頭機能の強化に対する支援を強化していく必要、という言及をいただいております。
部会におきましては、先ほどお話ししましたように、事務局よりこうした経緯をご説明させていただいたところ、その場では特段の議論はなく、こうした方向性が了解されたということでございます。
○馬場委員 先ほどお話ししましたように、株式会社のメリットもあれば、ある意味デメリットという部分もあって、そういう意味の税制優遇措置というのがどちらになるのかちょっと判断が今つかないところですが、税制の優遇という、ある意味こうしたものを株式会社に求めること自体、特別措置的なもので、必要なのかどうか、こうした議論については、これは東京都だけではないというふうに思います。
この間も質疑がありましたように、今、三港連携ということでお話が進んでおりますが、横浜、川崎の状況がどんなふうになっているのか、これから具体的な一体化、一本化、そうしたことが検討されるというふうに伺っております。
そうした中で、こうした港湾での税制の問題等もぜひとも再度検討しながら、どういう形の税制であればいいのか、都民や地域の利用者、それから会社にとっていいことなのか悪いことなのかということも引き続きご検討いただきたいというふうに思っております。
この三港連携につきましても、審議が行われている中でさらに具体的になってきたのか。当初の諮問の中に特段、三港連携についてということは入っておりませんでしたが、答申の中では、やはり大きな今後の課題ということで、この京浜三港連携ということが答申をされております。内容については多くの皆様から今質疑がありましたし、さらに答申に触れられてはいないというふうに思うんですが、これから二十一年度中に共同ビジョンをつくるというようなお話まで先ほど出てまいりましたので、この三港連携については、これから東京全体を考える上での必要なこととして、ぜひとも連携を密に、共同ビジョンが実のあるものができるようにということで、ぜひともご尽力いただきたいというふうに思います。
最後に一点ですが、私も、これも皆さんからお話がありました、環境対策について触れられていないというのが、読んだ後一番大きく印象に残りました。物流は今、環境問題が大きく、環境対策を担わなければならないというふうに思っておりますので、今後この三港連携、先ほど、はしけのお話もありましたが、さまざまな観点から、あらゆる観点から、環境対策ということを常にさまざまな協議の中で必ず入れていっていただきたいというふうに要望して、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
○田島委員 質問に入る前に、余り声が出ないものですから、非常に間延びした質問になりますけれども、答弁の方よろしくお願いします。
なお、各委員さんの方から質問された、その重複の部分についてはできるだけはしょっていきます。
初めに、東京都港湾審議会答申について三つの視点からお伺いします。
今回の答申の検討体制についてお伺いしたいんですが、この答申を、先ほど来話も出ていますけれども、東京港が首都圏四千万人の住民生活と産業活動を支えるメーンポートとしての地位をいかに維持していくかということは大切なことでありまして、今後の東京港のあり方を示す非常に重要なものであると認識した考えからお伺いするんですが、本審議会はどのような委員によって構成されていたのか、お伺いいたします。
○多羅尾総務部長 審議会のメンバー構成についてでございますけれども、知事の委嘱いたしました交通計画や経済などの学識経験者、船会社、港湾運送事業者などの港湾利用者、港湾区域に隣接する特別区の区長さん、都議会議員の先生方、国などの関係行政機関の職員など、計三十七名で構成していただいております。
また、今回の諮問内容が東京港の将来にとって大変重要なものでございますことから、特に専門的見地からの検討を深めるために、本会のもとに、六名の委員から成る専門部会を設置いたしました。この専門部会の委員には、審議会の委員の先生方三名に加えて、臨時委員といたしまして、最新の港湾物流の動向を研究されている気鋭の学識経験者の方などにも参加していただいております。
今回の諮問事項につきまして、適切なご審議をいただける構成になっていたと認識しております。
○田島委員 今のお話ですと、メンバー構成には、大変多様な方々が構成員となっており、東京港の今後を検討するにふさわしい体制であることがわかりました。
ところで、今後の港湾経営戦略を検討するということであれば、審議会の検討体制はもちろんであるが、審議を進めるに当たって、的確に将来を見据えた答申となるよう工夫をして進めていくことが重要だと思います。港湾は、その施設の整備や管理運営は公共が行うものの、やはり主役は船会社、港湾事業者等の民間事業者の方々であり、今後の港湾経営戦略を考えるには、いわゆるお役人の議論のようなことをしていては、到底アジア諸港との熾烈な港湾間競争に勝ち抜くことはできないと思います。急速に変化する港湾を取り巻く経済の動きや物流の動向を的確につかみ、それを審議に反映しなくては、適切な答申内容にはならないと思います。
このような観点から、今回の審議過程において、生きた経済、躍動する港湾を反映する答申となるよう、どのように工夫を行ったのか、お伺いいたします。
○多羅尾総務部長 今回の審議において、経済や港湾の実情をよく反映するためにどのような工夫をしたかというお尋ねと思いますが、今回の答申の原案は、先ほど申し上げました専門部会である経営戦略検討部会において作成してございます。この部会においては、極力港湾関係事業者の生の声を反映するような取り組みを行っていただきました。例えば今後の取扱貨物量につきましては、東京港を利用する荷主企業等を対象に、現状や今後の見通しなどについてアンケートやヒアリングなどを実施いたしまして、企業経営に直結するような経営情報もご提供いただいて、その結果を踏まえた検討を行ってまいりました。
また、船舶の大型化等につきましては、全世界を運航する日本の船会社、三社ございますが、三社すべてのヒアリングの結果等を踏まえた検討を行うなど、第七次改訂港湾計画以降の東京港を取り巻く状況の変化を的確に把握し、今後の東京港の経営戦略の方向性を明らかにするような検討を行っていただきました。
○田島委員 今回の答申については、荷主等の生の声、つまり現場の声を踏まえて専門の委員会の方々と検討を行ったと。東京港を取り巻く状況の変化を踏まえた今後の港湾経営戦略を答申するに当たって、適切な検討が行われたことがよくわかりました。
次に、港湾審議会の答申の最後に触れられている京浜三港連携についてお伺いします。
去る九月十八日、知事は、横浜市長、川崎市長とトップ会談を行い、実質的な一港化に向けた具体策について合意をしたと発表されました。本日はこれらの取り組みについて議論を深めたいと思います。
そこで、京浜三港連携の意義を理解するためには、まず、東京港、横浜港、川崎港がどのような役割を担っているのか、三港に何が期待されているのかを明らかにする必要があると思います。そこでまず、三港の特性についてお伺いいたします。
○江津港湾経営部長 京浜三港の特性についてでございます。東京港は、食料品、衣類など生活関連物資の取り扱いが多い商業港でございます。川崎港は、原油、LNG、鉄鉱石等原材料を多く取り扱います工業港でございます。横浜港は、生活関連物資も扱いますけれども、原材料も片方では扱うという、商業、工業両方の性格を有しております。
東京港、横浜港は、首都圏四千万人の消費需要を背景にコンテナ貨物が多く、川崎港は、企業の専用岸壁でありますプライベートバースが主流をなします、一般貨物の多い港でございます。
○田島委員 ただいまの説明からすると、東京港、横浜港は消費財が多いとのことだが、京浜三港からどのような地域に輸入貨物が配送されていくのか、あわせて輸出貨物の状況についてもお伺いいたします。
○江津港湾経営部長 国の統計資料、全国コンテナ貨物流動調査によりますと、京浜三港で輸出入されていますコンテナ貨物を重量ベースで見てみますと、京浜三港全体の取扱量のうち、関東地域の取扱量が輸出で七七%、輸入で八九%を占めておりまして、この点でまず、京浜三港は地元関東の港湾という性格を有しております。
その一方で、今度は生産地、消費地の方から京浜港を眺めてみますと、京浜三港を経由しております、例えば関東地域では、輸出貨物が九三%、輸入貨物で九五%という形で京浜港を経由している。東北地方では、輸出が六八%、輸入五二%。北陸の方では、輸出二二%、輸入一三%。中部地方、輸出一二%、輸入八%。そしてまた北海道でも、輸出の一九%、輸入の九%は京浜港を経由しているということでございまして、こうしたことから、京浜三港は、関東のみならず東日本一帯の港としての役割を担っていると認識をしております。
○田島委員 京浜三港の物流圏は今も東日本全体に及んでいるというお話です。いうならば、首都圏経済が我が国経済の心臓部であることを考えると、京浜三港はまさに日本経済を支える屋台骨ともいえるのではないかと思います。
そこで、このような東京港の強みはどういうところにあるのか、お伺いします。
○江津港湾経営部長 先ほど、生きた経済ということで、審議会答申に当たっていろいろなところからヒアリングを行ったというお話を総務部長の方からご答弁申し上げましたが、その中で私ども聞いているお話をご紹介いたしますと、一つには、東京港は国際基幹航路が多く、かつ北米、欧州、中国などさまざまな方面に向けての航路があること、これが東京港の強みだということでございます。二つ目には、小口貨物でも対応でき、しかもこん包、包装の技術が高いこと。このようなことから、例えば日本海側からの輸出と比較いたしましても、東京港までは陸上輸送のコストは高いが、トータルではコストが安くて済むという意見も聞いておるところでございます。
総合的に考えまして、地方港ではまねのできない物流機能を有しているというふうにいえるのではないかと考えております。
○田島委員 東京港の強みを今聞かせていただいたんですが、とはいえ、その優位性にあぐらをかいていたならば、あるいは輸出貨物集荷の努力を怠れば、このような地位も危うくなることも十分考えられると思うんです。
聞いたところでは、釜山港を管理運営する釜山港湾公社は、昨年来、日本国内でセミナーを積極的に開催している。日本発着のコンテナ貨物の釜山港への誘致に本格的に取り組み始めたとのことであると聞いております。
京浜三港の連携を進める上で、集荷力の強化についても取り組んでいく必要があると思います。
新聞報道などによると、九月初めに長野県松本市で三港共同の京浜港利用促進セミナーを開催したとのことでありますが、セミナーの状況と、参加企業の反応はどのようなものであったか、お伺いいたします。
○江津港湾経営部長 三月に三首長により締結されました基本合意におきましても、お話のように国内ハブ機能の強化に努めることとされておりまして、京浜三港への集荷力を強化することは重要な課題であると認識をしております。
京浜三港への貨物誘致の第一弾といたしまして、九月三日に長野県松本市で三港共同の京浜港利用促進セミナーを開催いたしました。参加をいたしましたのは、地元メーカー、地元物流事業者など約百名でございまして、業種といたしましては、精密機器、機械部品、繊維関係、医薬品など多岐にわたっております。珍しいところでは、輸出関係企業に融資する地元金融機関の参加も見られたところでございます。
また、セミナー翌日には、京浜三港の利用が期待できる地元企業六社を訪問いたしまして、京浜港に関する詳細な説明を行い、輸出に当たっての提案等も行ってまいりました。
地元マスコミにも記事が掲載されるなど、京浜港のアピールという点でも効果があったものと考えております。
○田島委員 そのセミナーには、長野県、諏訪市、岡谷市といった地元の自治体や商工会議所などの地元経済団体も後援したと聞いています。このような地域の産業振興と連携しつつ貨物誘致を進めるという姿勢は、ぜひ大切にしてもらいたいと思っています。
ついては、松本でのセミナーの成果を踏まえ、今後、トップセールスも含め、精力的に貨物誘致を進めていくわけだが、現段階での予定をお伺いいたします。
○江津港湾経営部長 お話のとおり、来年度以降も、京浜三港の物流圏でございます東日本一帯を視野に入れて、セミナー開催や地元企業の訪問などに取り組んでまいりたいと考えております。
また、このような地方圏での誘致活動に加えまして、企業の本社が多く立地いたします首都圏においてもセミナーを開催し、利用促進を呼びかけてまいりますが、第一回目といたしましては、年明け早々に五百社程度の企業を招いてセミナーを開催し、知事、市長によるトップセールスも実施する予定でございます。
今回のセミナーの成果を踏まえまして、引き続き地方の経済団体とも連携するなど工夫を凝らしてまいりますとともに、十一月には京浜港広域連携推進会議が立ち上がり、商工会議所、港運協会、荷主協会といった港湾関係者も参加をいただくことになっておりますので、こういった民間の知恵もかりながら、今後とも積極的に貨物誘致を展開していきたいと考えております。
○田島委員 ところで、東京港は国内では十年連続日本一の貨物取扱個数を誇っているわけですが、京浜三港では全国の四〇%という圧倒的なシェアを占めていると聞いています。国内的には安泰といったところだが、国際的には果たしてどうかといったときに、地位はむしろ低下をしている、このままでは国際基幹航路から外れるのではないかという危惧もされています。
そこで改めて、国際基幹航路から外れた場合の我が国の経済への影響についてお伺いいたします。
○江津港湾経営部長 京浜港が、例えば欧州航路から外れまして、輸入貨物が香港経由で輸送される場合について試算をいたしますと、積みかえが香港で一回入るということによりまして、輸送日数が約二日、輸送コストが三割から六割増加するということになります。さらに、輸送日数がふえることで、荷主にとっては、在庫保有コスト、金利コストを余分に負担することになり、加えて、積みかえ作業による貨物のダメージリスクも抱え込むということになります。最終的にはそれらのコスト増は消費者に転嫁されることになり、経済や生活への影響は大きいものと認識をしております。
○田島委員 今の答弁で、輸入に関しては物価が上昇するということであったが、これを輸出に置きかえると、輸出品の値上げ、すなわち国際競争力の低下ということにもなりかねないと思います。
冒頭の質問で明らかにしたように、京浜三港は日本の国際貿易の玄関口でもあり、国際基幹航路の維持拡大こそが京浜三港の連携に最も期待される。そして、そのためには国際競争力の強化こそが不可欠であります。
そこで、次に、京浜三港の国際競争力強化に向けた取り組みについてお聞きしたいと思いますが、荷主、船会社といった港湾利用者の立場になった場合、港湾コスト低減と利用サービスの向上を求めるものであり、これに十分対応できるような施策を具体化していくことが必要になると思います。
港湾コスト低減については、入港料の一元化を来年度早々実施するというが、なお一層さらなるコスト低減のため、入港料一元化に加えて、手続の簡素化や京浜三港での統一化も図っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
○江津港湾経営部長 ただいまお話がございましたように、来年度早々、外航コンテナ船につきましては入港料を一元化することで、約一億二千万円のコスト削減効果があると考えております。
利用者から見て一つの港であると実感してもらうには、このような直接的な経費の削減に加えまして、手続の削減あるいは簡素化による手間暇の削減も重要な要素であると考えてございます。今後、手続の簡素化に向けまして検討を進めていきたいと考えております。
○田島委員 国際競争力強化の観点から、外航コンテナ船について適用するということだと思うが、我が党の宇田川議員が一般質問で述べたように、国際基幹航路を維持拡大するためには、内航船による輸送網の充実、いいかえれば国内ハブ機能の拡充が必要であると思います。内航船についても入港料一元化を適用し、内貿の振興を図るべきと思います。内航コンテナ船についても適用を検討していくべきだが、いかがでしょうか。
○江津港湾経営部長 入港料一元化について、内航コンテナ船についても適用を検討すべきというお話でございます。鉄道に例えれば、新幹線のとまる駅から在来線の各駅停車の電車が必要なように、国際基幹航路の寄港する港から地方港湾に向けての内航船が必要であることは、お話のとおりでございます。今後、内航コンテナ船につきましても入港料一元化の検討を進めてまいります。
○田島委員 入港料の一元化は、実質的一港化に向けての重要なステップであると思います。そごのないよう実務を進めていってもらいたい。
最後になりますけれども、利用者へのサービス向上を実現するには、効率的、効果的な設備投資を図っていくことが必要である。これについては、今後の施設整備の基本方針となる京浜港共同ビジョンを策定する中で検討されていくことと思われます。
検討作業を進める中で、東京港、横浜港、川崎港のそれぞれの役割分担についても議論されるだろうと思いますが、東京が巨大な消費地を背後に抱えているという現状を勘案すれば、東京港が江戸湊と呼ばれたころからの基本的な役割、生活に必要な物資の流通拠点という機能は変わらないわけで、今後とも、貨物の増加に対し着実に施設整備を進めていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
○江津港湾経営部長 ご指摘のとおり、東京港は世界有数の経済圏を背後に持ち、また、物流構造の変化に伴い、貨物の小口化、軽量化が進むことを考えますと、今後とも貨物の増加に適切に対応していくことが必要でございます。
本定例会にご報告申し上げましたように、コンテナ船の大型化など最近の状況を踏まえました港湾審議会答申もなされておりまして、具体的な計画の変更は今後になりますけれども、東京港の機能の充実というのは京浜港共同ビジョン策定の前提でありますことから、着実に東京港の整備を進めてまいりたいと考えております。
○田島委員 最後の質問になりますけれども、アジア諸港の躍進を考えたときに、日本の港湾というものは現在非常に危機的状況にあると考えてもオーバーじゃないと思うんです。やはりこの事態を打開するためには、合意された三港連携にスピード感を持って取り組み、実質的な一港化を早期に実現してもらいたい。戦後最大の構造改革となる可能性を秘めた試みには多くの困難もあるんだと思いますが、局長を中心に全力で取り組んでいってもらいたいことを要望し、私の質問は終わります。
○増子委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑はこれもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増子委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
○増子委員長 これより産業労働局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百五十七号議案、平成二十年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為、産業労働局所管分、第百八十三号議案を一括して議題といたします、
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○塚田総務部長 去る九月十六日の当委員会で付託議案に対しご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次でございます。1と2が、付託議案に対しご要求のございました資料でございます。
一ページをお開きください。平成二十年度経営支援融資の実績でございます。
1は、平成二十年四月から七月までの経営支援融資の実績を、2は、経営支援融資のうち経営セーフの業種別の融資実績をお示ししてございます。
二ページは、今回提案しております条例で規定する各再生支援機関等における支援実績でございます。
中小企業再生支援協議会などにおける実績並びに私的整理に関するガイドラインの適用を受けたものの実績をお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○増子委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○神林委員 今月十二日に内閣府が発表しました、ことし四月から六月期の成長率は年率マイナス三%となっており、景気後退が現実のものとなっております。加えて、アメリカの大手証券会社が破綻するなど世界経済も停滞感が強まっており、先行きが非常に不透明な状況でございます。また、原油価格も最高値からは下落したものの、依然として高い水準にあり、原材料高とも相まって、価格転嫁が困難な中小企業の収益は圧迫されており、中小企業は極めて厳しい状況に追い込まれております。
こうした状況を踏まえ、先般、我が党は、都民の不安解消及び中小企業の経営困難打開に向けた緊急要望を出しまして、制度融資の拡充や設備投資の促進について要望したところでございます。
そこで、我が党の要望を受けた今回の中小企業支援に係る補正予算の内容について、これから何点か伺います。
まず、制度融資についてでございますが、今年度に入り、不況業種対策としてのセーフティーネット保証の融資実績が大きく伸びているとのことでございますが、セーフティーネット保証のこれまでの融資実績と、セーフティーネット保証が中小企業にとって一体どのようなメリットがあるのか、この辺を確認させていただきます。お願いいたします。
○保坂金融部長 セーフティーネットの保証の本年四月から七月までの融資実績でございますが、件数は二千二百五十一件で、対前年同期比九二六・三%、金額は四百五十七億円で、対前年同期比七〇七・五%と、大幅な伸びを記録いたしました。
セーフティーネット保証は、都制度融資における最優遇金利が適用されており、また、最大二億八千万円の保証枠が別枠となっており、通常の保証枠を使い切った企業でも利用できるなどのメリットがあり、中小企業にとっての利便性の高い融資制度となっております。
また、昨年十月の責任共有制度導入後も一〇〇%保証が維持され、中小企業が金融機関から融資を受けやすい側面もございます。
○神林委員 ただいま答弁いただきまして、セーフティーネットの保証が、現下の厳しい状況に置かれている中小企業にとって大きなメリットがあることも確認できました。
それでは、こうした状況を踏まえて、今回の補正予算において制度融資を拡充するポイントと、その効果について伺います。
○保坂金融部長 今回の補正予算案では、セーフティーネット保証を含む経営支援融資について、融資目標額を三百億円引き上げて一千五百億円とするとともに、それに伴い必要となる貸付原資を百五十六億円増額しております。
あわせて、経営支援融資の保証料補助の対象をすべての小規模企業者に拡大するとともに、信用保証料の補助率を二分の一へ大幅に引き上げることとしております。
これにより、セーフティーネット保証の対象となる企業はもちろんのこと、セーフティーネット保証の対象とならない企業に対しても経営一般の利用を促すことにより、すべての業種の企業を対象に最優遇金利の資金を供給することができます。また、保証料補助の拡充を通じて利用者本人の負担を軽減することとしております。
○神林委員 また、今実施しております原油・原材料高対策特別融資については、今月末が受け付けの期限となっております。昨今の原材料高が都内中小企業に及ぼす影響の大きさを考えますと、期間を延長し、引き続き実施すべきだと考えておりますが、見解をお願いいたします。
○保坂金融部長 本年六月の都の原材料価格の上昇に関する調査によれば、石油及び石油関連製品の価格上昇により悪影響がかなりあると回答した企業は四〇・七%を占めており、前年調査に比べ、さらに厳しい結果となっております。
また、原材料価格の上昇分を販売価格へ全く転嫁できないと回答した企業は四六・二%となっており、依然として都内中小企業は非常に厳しい経営環境に置かれていると認識しております。
このため、九月末までとなっている原油・原材料高対策特別融資の受け付け期間をさらに半年間延長し、原材料高の影響を受けている都内中小企業者を資金調達面から引き続き支援してまいります。
○神林委員 はい、どうもありがとうございました。
次に、中小企業設備リース事業について伺います。
世間ではイザナギ超えなんていわれる部分もございましたが、今回の景気回復は主に外需主導であり、大企業はその恩恵によりバブル期を上回る収益を実現いたしましたが、中小企業がその恩恵を実感するには至っておりません。それどころか、景気後退局面に入ると、もともと厳しい中小企業の景況感はさらに悪化し、ついには谷底まで沈んでしまったという感じさえございます。今後、大企業と中小企業との収益格差はさらに広がることが予想されます。
こうした状況を踏まえ、私は、景気回復期でも景気後退期でも低迷を続けている中小企業の収益体質の強化に向け正面から支援していく施策が今こそ必要であると考えております。この意味で、今回の補正予算に盛り込まれた中小企業設備リース事業は、前向きな設備投資を実施しようとする中小企業を支援する施策として大いに期待しております。
そこで、この事業について何点か伺います。
企業が設備を導入するには、融資あるいは自己資金で設備を導入する方法と、リースを活用する方法とがありますが、今回の施策は、融資ではなくリースであることが大きなポイントの一つと考えられます。
まず、中小企業がリースを活用して設備を導入するメリットを伺います。
○三枝商工部長 中小企業がリースを活用するメリットとして、まず、固定資産税の申告、支払い事務や損害保険料の契約等を、貸し主、本事業では中小企業振興公社と相なりますが、この貸し主が代行いたしますため、資産を自社で購入、保有するときよりも事務が簡便化することが挙げられます。
また、毎月支払うリース料によって設備投資のコストを正確に認識でき、業績の把握や事業計画の立案なども容易になります。
さらに、本事業では保証が制度融資の信用保証枠とは別枠となるため、融資資金を他の用途に振り分けることや、将来の運転資金需要のために信用保証枠を温存しておくことが可能となります。
○神林委員 今のご説明で、中小企業のリース活用のメリットはわかった気がいたします。
今回の事業においては、中小企業振興公社が中小企業にかわって設備を購入するという、いわゆるリース会社としての役割を果たすわけでございますが、リース会社は、設備の購入や固定資産税の申告などの事務に加え、その中小企業が将来にわたってリース料を支払うことができるかを判断する、いわゆる信用審査のノウハウが必要になると考えられます。
東京都中小企業振興公社は、中小企業の相談や支援に関しては十分なノウハウを持っておりますが、信用審査などリース事業を円滑に遂行するためのノウハウを有しているのか、お伺いいたします。
○三枝商工部長 中小企業振興公社は、国の設備貸与事業の実施機関として、平成十四年度まで小規模企業向けのリース事業を実施していたことから、リース事業に関する十分な実績とノウハウを有しております。
なお、このたびの中小企業設備リース事業は、都の独自のスキームとして、信用保証制度を組み合わせ、公募により選定する保証機関が中小企業に対し与信審査を実施することといたしております。
このほか、リースによる設備導入の効果を高めるため、本事業に申し込みをした中小企業の現場に中小企業診断士等の専門家を派遣し、資金繰りや支払い能力の分析に加え、導入予定の設備を有効活用して収益を向上するためのアドバイスも行ってまいります。
○神林委員 一点、要望しておきますが、中小企業の設備投資を促進する一方、リース料の確実な収入も必要です。東京都や中小企業振興公社、専門家などが密接に連携し、本事業を安定的に運営していただくことをお願いいたします。
それでは、設備投資は中小企業の将来の展望を切り開くために極めて重要なものであると考えられますが、現下の厳しい状況下で、中小企業がなかなか設備投資に踏み込めないのが現状でございます。こうした状況認識に当たって、この事業のねらいを改めて伺います。
○三枝商工部長 将来にわたり中小企業が存続、成長していくためには、計画的な設備投資によって、絶え間ない高付加価値化や生産性の向上を実現することが極めて重要でございます。しかし、金融市場の混乱や原油、原材料価格の高騰など、中小企業を取り巻く経営環境は大変厳しくなり、中小企業が設備投資に踏み出しにくくなっております。
こうした認識のもと、中小企業設備リース事業を着実に推進し、将来の発展を見据えて必死に努力している中小企業の高付加価値化や生産性の向上を強力に支援してまいります。
○神林委員 私の地元である大田区にも、本当にたくさんの中小企業がございますけれども、私は、この事業によって、日々現場で汗を流して頑張っています中小企業の方々の将来の展望が開けることを願ってやみません。本事業が中小企業にとって真に役立つ施策となることを期待して、中小企業設備リースに関する質問はこれで終わります。
次に、回収納付金受取権放棄条例について伺います。
景気の低迷や原油、原材料価格の高騰といった過酷な環境の中、東京の中小企業は日々懸命に頑張っております。しかし、本業は順調でも、過去の積極的な設備投資が負担となるなどの理由で過剰負債に苦しむ企業が増加しております。
この中には、すぐれた技術やサービスを有する企業も少なからず存在し、金融機関や公的機関の支援のもと、適切な措置を施すことで再生に向かう可能性は十分にあると考えております。都もまた、信用保証協会と連携し、再生を図る企業の債務圧縮に協力し、円滑な事業再生に向けた環境を整備することが重要でございます。
東京都は本定例会に、東京都が信用保証協会から回収納付金を受け取る権利を放棄することにより企業の再生を支援する手続を定める条例を提案いたしました。
まず、この条例を提案するに至った背景や条例の目的について伺います。
○保坂金融部長 近年、保証協会に求償権放棄を必要とする再生案件の相談が寄せられることが多くなってきております。制度融資においては、信用保証協会が求償権を放棄する前提として、都が回収納付金を受け取る権利を放棄することが必要となりますが、これには地方自治法第九十六条第一項の規定により、条例等特別の定めがある場合を除き、議会の議決が必要となります。しかしながら、事業再生の案件については、多数の債権者との調整を踏まえ、状況に応じ機動的に対応する必要性がございます。
そのため、今回、権利放棄に関する条例を制定し、中小企業再生支援協議会のような公的な再生支援機関が支援した一定の再生案件については、都が迅速に権利を放棄することにより、再生を図る企業の債務負担を軽減して再生を促進することとしております。
○神林委員 一般的に事業再生の仕組みというのは外から見ても非常にわかりづらく、複雑なものでございます。信用保証協会からの回収納付金の受取権の放棄がどのように事業再生の支援につながるのか、中小企業が受けるメリットについてわかりやすく説明をお願いいたします。
○保坂金融部長 都が回収納付金を受け取る権利を放棄することにより、信用保証協会は、事業再生を図る企業に対する求償権を、債権者である他の金融機関と連携を図りながら放棄できるようになります。
このことにより、当該企業は、過去の設備投資などにより生じた過剰債務を圧縮し、元金の返済や金利の負担が減るなど、財務内容が健全化することになります。また、キャッシュ・フローが安定することで、当該企業は収益力の高い事業を重点的に展開し、再生計画を着実に進めることが可能となります。
こうした事業再生の推進により、企業のさらなる成長や地域経済の発展が図られるほか、高い技術の継承や雇用の確保も期待されるところでございます。
○神林委員 すぐれた中小企業は、一朝一夕には培うことのできない高い技術や地域経済との深いつながりを有しており、一時の業況の悪化でみすみす倒産させることは、東京の経済にとって大きな損失でございます。既往の債権を放棄することで、高い技術が継承されるとともに、多くの雇用が確保され、地域経済の発展につながるのであれば、極めてコストパフォーマンスにすぐれた政策といえると思います。
しかしながら、信用保証協会から回収納付金を受け取る権利は、すなわち東京都が有する債権であり、先ほどの答弁にあったように、迅速、機動的に対応するために条例に基づき処理するとしても、その結果についてはきちんと議会に報告するべきであると思います。
そこで、議会に報告する時期と内容について伺います。
○保坂金融部長 本条例は、本来、議決により行うべき権利の放棄を条例に委任するものであり、その機能を行使した場合、副委員長ご指摘のとおり、速やかに議会へ報告すべきものと考えております。
報告内容は、個々の案件について、放棄に至る経緯や放棄する金額、今後の再生方針などを予定しておりますが、事業再生という性格上、風評被害を防止する観点にも十分配慮して報告を行ってまいります。
○神林委員 そこで大切なのは、貴重な東京都の権利を放棄するのですから、対象企業がモラルハザードに陥らないよう厳格な手続に従いつつ、将来性のある中小企業が事業再生にしっかりと取り組むべきと考えますが、ここで所見を伺います。
○保坂金融部長 本条例は、すぐれた技術やサービスといった経営資源を持ちながら、過去の過剰な投資により債務超過に陥っている企業の財務内容を改善し、事業再生の円滑な推進を図ることを目的としております。
この趣旨にのっとり、都がスピード感を持って企業の再生計画の妥当性を的確に見きわめ、権利放棄を迅速に進めることが必要であると考えております。
また、ご指摘のとおり、貴重な都の権利を放棄するものであるため、専門家の意見聴取、議会への報告など、本条例に定める手続を厳守するとともに、再生計画がスタートした後も、当該企業が真摯かつ着実に再生に取り組んでいけるよう、しっかりとフォローしていくことが重要であると認識しております。
今後、本条例を活用し、将来性のある多くの中小企業の事業再生を支援することを通じ、東京の産業力の強化に寄与してまいります。
○神林委員 淡々とご答弁いただきまして、スムーズに進んでまいりましたけれども、中小企業は現在多くの厳しい課題に直面しております。中小企業の低迷は我が国の低迷を意味するということを私は強く感じております。こういう状況だからこそ、中小企業をこれまで以上に支援していかなければならないと考えております。今回提議された金融施策にかかわる補正予算や条例制定などによって、中小企業の経営状況が改善されることを切に期待しております。
最後に、厳しい状況に置かれている中小企業の支援に向けた局長の決意をお願いいたします。
○佐藤産業労働局長 改めて申し上げるまでもございませんけれども、都内には、独自の技術やノウハウを生かして躍進する企業、また、社会のニーズにこたえ、さまざまな商品、サービスを提供する企業など、すぐれた中小企業が数多く存在いたしております。
一方で、我が国の経済状況は、金融市場の混乱、また原油、原材料価格の高騰など、ますます厳しい状況になっておりまして、このような状況に直面している中小企業をしっかりと支えていくことが今まさに求められている、そういうふうに認識をしております。
こうしたことから、都は、これまで実施をしてきましたさまざまな産業振興施策、これに加えまして、このたび緊急中小企業支援、また雇用対策を講ずることといたしました。
今後とも、都内中小企業が直面する喫緊の課題に適時適切にこたえ、将来にわたって東京の産業活力の維持向上に努めてまいります。
○神林委員 今、局長からも答弁がございましたけれども、本当に事実、現場で汗して頑張っている中小企業の方、たくさんございます。ぜひこれらの施策を着実に推進し、中小企業を的確に支援していただくことを要望して、私の質問を終わります。
○岡崎委員 私の質問もかなりダブるところもありますので、ところどころはしょらせていただきますが、まず、産業技術研究センターの債務負担の補正についてお伺いいたします。
今回、当初百七億円余りの債務負担が、率で三一・六%、額にして約三十四億円増の債務負担の補正を提案されております。補正理由には資材高騰等の影響とありますけれども、昨年の予算見積もり時からわずか一年で、これだけ多額の補正を提案するとは、驚きを隠せません。
そこでお伺いいたしますが、当初予算の見積もり時点の主な資材価格の当時の状況及び今回補正時の資材価格の状況はどのようになっているか、お伺いいたします。
○三枝商工部長 当初、予算見積もりを行った平成十九年七月時点の主な資材価格でございますけれども、財団法人建設物価調査会が発行いたしました「建設物価」によりますと、鉄筋は一トン当たり六万八千円、鉄骨は同じく七万六千円、鉄板で同じく七万九千円と相なってございます。
お尋ねのございました、今回補正予算を見積もりました平成二十年八月時点の主な資材価格は、同じく「建設物価」によりますと、平成十九年の七月時点と比較をいたしまして、鉄筋は一トン当たり六一・八%値上がりをして十一万円に、鉄骨は同じく五七・九%値上がりをして十二万円に、また鉄板は同じく五一・九%値上がりをして十二万円と相なってございまして、それぞれ大幅に値上がりをしております。
○岡崎委員 わずか一年で五〇%から六〇%強ということで、大変な数字でありますが、私がお伺いしたところによりますと、産業労働局において過去十年の歴史の中で、工事に関して債務負担の補正を行ったことはないというふうに聞いております。価格が高騰しているのはわかりますけれども、より丁寧な工事費の見積もりを財務当局に求めるとともに、厳密な予算の執行を要望しておきます。
日本銀行が発表している国内企業物価指数や総務省の消費者物価指数を見ても、先ほどの答弁にあった鉄筋や鉄骨のみならず、多くの品目で価格が上昇しております。このような価格変動下で、多くの都内中小企業の経営は相当圧迫されており、都として早急に対策を講じなければなりません。
中小企業にとって、日々の資金繰りを確保することは、まさに経営の生命線といっていいわけであります。特に私の暮らす大田区なんかでも、製品をつくっているというよりも、製品の前の段階、製品ができれば価格転嫁がしやすいわけでありますが、製品の前の段階、基礎的な部分をつくっているわけでありまして、原材料仕入れ経費の増加、製品納入後の支払いサイトの長期化など、中小企業の資金繰りを圧迫する要因が増している。こうした苦境を乗り切るには、公的な金融支援策が重要なかぎとなります。
先ほどの質疑の中でもありましたが、原油・原材料高対策特別融資を本年四月から実施して、最優遇金利にて融資を行っておりますが、この融資も含めて、大体毎月六百件ぐらいの融資相談が寄せられているとも聞いております。現場の企業の資金のニーズは大きく、公的な金融支援を頼りにしております。ぜひともこの期待にしっかりとこたえることが大事で、中小企業の倒産も増加しており、今後適切な対策、対応を誤れば、東京の産業活力が失われかねない。中小企業の生命線である金融面での支援には、特に細心の注意を払ってもらいたいことを要望しておきます。
今般の諸物価の高騰に際して、大企業は製品への価格転嫁を行い、事態を乗り切っているわけであります。また、史上最高の利益を計上している企業も少なくない。しかし、果たしてその莫大な利益が働く人々に還元されているのでありましょうか。
昨年の企業の収益は、トヨタの二兆円、あるいはキヤノンの五千億円、企業全体では五十兆円の収入を上げておきながら、そして、株主には従来の四倍もの配当、あるいは役員には例年の二倍の報酬ということもいわれております、大企業とはいえ。
しかし、一方、従業員に目を転じれば、状況は厳しい。企業はもうかっていても、従業員の給料は上がらない。むしろ実質賃金は低下しているといってよい。また、価格高騰のしわ寄せを真っ正面から受けざるを得ない中小企業においては、その惨状はいうまでもない。このような利益至上主義の大企業のモラルを正さずして、国民生活はよくなるはずがない。
著名な、いわゆる我が国のバブル経済の崩壊を予言したイギリスのジャーナリスト、ビル・エモット氏によると、日本は二〇〇〇年から二〇〇七年までの経済成長で戦後最長の景気拡大と企業収益をもたらしたが、企業が利益を労働者に還元しなかったため、消費の伸びに結びつけることができなかった。日本経済の弱さは消費の弱さにある。今後は、企業中心の経済政策を改め--途中略しますが、輸出にかわる経済の牽引役として、消費意欲を高める努力を行うべきだ。そうすることが一つの今後の日本経済成長のかぎとなるであろう、こういうふうに述べておりますが、まじめに働く人々の生活を脅かす行き過ぎた経済至上主義を是正すべきことをこの際強く主張して、終わりにします。
○上野委員 それでは私からは、初めに制度融資について質問いたします。
東京の経済、産業を足元で支えているのは、いうまでもなく、さまざまな技術、サービスを有している中小企業であります。その中でも特に、約八割を占めているといわれる小規模企業は、現在大変に厳しい経営環境に直面しております。ご存じのとおり、昨年来の原油、原材料高によるしわ寄せをまともに受けております。企業間取引の末端にあることから、販売価格への転嫁が極めて厳しい状況にあります。また、利潤がなくなるどころか赤字経営を余儀なくされる。まさに企業存亡の危機に立たされているわけでございます。
こうした中、我が党の要望を受けまして、今回の補正予算案におきまして、特にそうした小規模企業の資金繰りに対しまして手厚い支援策を打ち出したことは、大いに評価するところであります。
そこでまず、今回の補正予算案における制度融資の拡充、特に今回力を入れている小規模企業に対する支援策について、拡充内容が具体的にわかるよう説明をしていただきたいと思います。
○保坂金融部長 今回の補正予算案では、セーフティーネット保証を含む経営支援融資の目標額を三百億円拡大するとともに、原油、原材料高の影響を特に強く受けている小規模企業者に対する支援の充実を図ることとしております。
具体的には、従業員数が製造業等で二十人以下、卸、小売、サービス業で五人以下の小規模企業者については、すべて経営支援融資の保証料補助の対象といたします。これにより、十九年度下半期の実績ベースで今回の拡充策の効果を試算してみますと、あくまでも試算でございますが、経営支援融資の十九年度下半期の利用件数四千六百件のうち補助対象となるものが一千件であったものが、約三倍の三千三百件に拡大することになると想定しております。
また、あわせて、信用保証料の補助率を二分の一に大幅に引き上げ、小規模企業者の負担軽減を図ってまいります。
○上野委員 今のご答弁を聞きましても、今回の制度融資の拡充は、特に小規模企業を中心として極めて波及効果の大きいものであると歓迎するものであります。
ところで、今回の保証料補助の拡充によりまして、個々の企業は一体どのくらい負担が減少するのか、モデルケースを挙げて、都民にわかりやすく示してください。
○保坂金融部長 個々の企業の負担軽減額は、融資額、融資期間、保証料率区分ごとに異なっておりますが、例えば経営一般融資について、財務状況が標準的な企業が融資額二千五百万円、融資期間七年間の融資をご利用いただいた場合、保証料を試算すると百十三万円になります。この保証料に対して、現行では保証料補助が二十二万円のところ、今回の措置により補助額が五十七万円に増加することになります。その結果、大幅な負担軽減効果が期待できるところでございます。
○上野委員 厳しい資金繰りに苦慮しております小規模企業にとりまして、今回の拡充は大きな負担の削減につながることになりまして、厳しい環境の中での朗報でございます。
ところで、先ほども述べましたように、原油、原材料高による小規模企業への影響はまことに深刻であります。このまま原材料高が続いた場合、四割以上の企業が転業や廃業を検討せざるを得ないとの調査結果も出ております。日々懸命に頑張っておられる中小企業の方々が安心して事業に取り組めるよう、今回の措置を一刻も早く実現すべきであると考えますけれども、所見を伺います。
○保坂金融部長 長引く原油、原材料高は、中小企業、特に小規模企業者に深刻な影響を及ぼしており、収益や財務状況の悪化にとどまらず、企業の存立自体を脅かしているのはご指摘のとおりでございます。
したがって、補正予算案の議決をいただき次第、金融機関や信用保証協会と連携を図りながら、今回の緊急支援策を直ちに実施し、原油、原材料高の影響を受ける都内中小企業を資金面から支援してまいります。
○上野委員 次に、今回、中小企業の事業再生にかかわる一つの注目すべき条例が提案されておりますので、二、三、確認させていただきます。
我が党はかねてより、多額の負債を抱える企業であっても、すぐれた技術やサービスを有し、再生に向けて意欲的に取り組もうとする場合は、都が積極的に支援を行い、事業の円滑な再生を促進すべきであると主張してまいりました。都が今回提案しました信用保証協会からの回収納付金を受け取る権利を放棄する条例は、こうした我々の主張に沿うものであり、評価したいと思います。
その上で、条例の運用に当たりましては、信用保証協会や各再生支援機関と適切に連携し、より多くの企業が円滑に事業再生を達成できるよう積極的に取り組むべきであると考えております。
そこで、回収納付金を受け取る権利を放棄し得る場合として、本条例の第三条各号に掲げられております各再生支援機関のうち最も案件数を見込めそうなのはどれなのか、活動内容も含めて、具体的にご説明願います。
○保坂金融部長 本条例の対象としては、中小企業再生支援協議会の再生支援事業による案件が多くなると予想されます。中小企業再生支援協議会は、産業活力再生特別措置法に基づき各都道府県に設置されており、東京では東京商工会議所内に設置されております。
具体的な活動としては、弁護士、公認会計士など専門家チームが企業の相談にきめ細かに対応するとともに、必要に応じ金融機関など債権者との調整を図りながら、再生計画の策定を支援しているところでございます。
中小企業、個人事業者、協同組合等が支援対象となっており、東京都中小企業再生支援協議会が平成十五年度から平成十九年度までに再生計画の策定支援を完了した件数は七十七件でございます。
○上野委員 ただいまご説明のありました東京都中小企業再生支援協議会による支援実績は、都制度融資の実績十六万件超に比べれば、ごくわずかな件数であります。これは、東京都中小企業再生支援協議会を初め各機関が、再生支援に当たって、企業の成長可能性、社会的意義、また企業のモラルハザードの防止など、さまざまな観点から高いハードルを設定して取り組んでいるためであります。
そこで、お尋ねしますが、条例制定後、どの程度の再生案件を見込んでいるのか、都の見解を求めます。
○保坂金融部長 原油、原材料高の影響などにより、東京都中小企業再生支援協議会には金融機関から持ち込まれる相談案件が急増しており、今年度八月末時点で前年度同期に比べ三五%増加しております。
また、最近の動きとして、地域金融機関である信金や地銀からの案件がふえており、今後、本条例の対象となり得る再生案件は増大傾向にあると考えております。
こうした状況を踏まえ、条例制定後一年間に取り扱う案件は、当面、およそ五件から十件程度と見込んでおります。
○上野委員 将来性ある中小企業の事業再生をさらに進めるためにも、都は一件一件確実に実績を伸ばしていくよう、要望しておきます。
また、本条例に定める手続を経て中小企業の債務圧縮を実現しても、再生計画は緒についたばかりであります。まだまだ経営体制や事業の見直しなど、再生に向けて乗り越えるべき課題は山積しております。
そこで、都は、回収納付金を受け取る権利を放棄するだけではなくて、当該企業の再生に向け積極的に関与すべきと考えますが、都の見解を求めます。
○保坂金融部長 中小企業再生支援協議会などの一定の再生スキームのもと、信用保証協会や他の金融機関が足並みをそろえて債権を放棄することは、当該企業が事業再生の道を歩む第一歩にすぎないと考えております。当該企業の円滑な事業再生を図るためには、権利放棄後において、都としても、再生支援機関や信用保証協会と連携を図りながら適切な支援を行っていく必要があると認識しております。
都は、中小企業を支援するため、経営支援や助成制度、金融制度などさまざまな支援メニューを持っており、これらを最大限活用し、再生の段階に応じた的確な支援を実施してまいります。
○上野委員 それでは次に、ネクストジョブ事業について質問いたします。
知事は所信表明におきまして、バブル崩壊後の就職氷河期に学校を卒業したために、安定した職を得られず、先行きに展望を見出せない三十代の年長フリーター等への支援が急務である、このように発言されました。
この問題に関して我が党は、先月二十七日、都に対しまして、雇用対策の強化に関する緊急要望を行ったところでございます。二十代の若者の就職支援のためには、既にしごとセンターにおきまして各種の事業が実施されております。しかし、昨今の雇用情勢が厳しくなる中、三十代になっても正社員になれない、いわゆる年長フリーターなどが増加しております。こうした方々の正社員化が課題になっておりましたが、このたび、正規雇用化に向けまして、ネクストジョブ事業で緊急に取り組むことになったことについては、高く評価したいと思っております。
そこで、ネクストジョブ事業の支援対象や支援方法について、具体的に明確にお答えいただきたいと思います。
○小田雇用就業部長 ネクストジョブ事業は、就職氷河期に学校を卒業したために、就職に恵まれないまま非正規雇用で働く三十代の方を対象に、正社員としての採用が一層困難になる四十前に早期に正規雇用化を図っていこうというものでございます。
このため、東京しごとセンターに三十代の非正規雇用の方専用の窓口、ネクストジョブテラスを年内に開設しまして、専門相談員としてジョブコーディネーターを配置いたします。ジョブコーディネーターは、求職者の就業相談を行うとともに、求人開拓をしながら、企業に求職者の紹介を行います。また、正社員として採用された後には、職場での定着に向け、採用者と企業双方の相談に応じてまいります。
今後、就職氷河期世代の年長フリーター等の方に、キャリアカウンセリングや就職セミナーなどに加えまして、こうした支援を行うことにより、正社員雇用を促進してまいります。
○上野委員 ぜひともしっかり支援を行って、正社員雇用を促進していただきたいと思います。
専用窓口や相談員の配置といった支援の仕組みはわかりましたけれども、私は今のご答弁を聞いておりまして、非正規雇用の方の採用に積極的になれない企業が多い中で、新たに配置されるジョブコーディネーターが実際どのように対応するのかが、この事業の成功のかぎになるのではないか、このように思ったわけでございます。
そこで、ジョブコーディネーターには、求職者の悩み事の相談に乗り、また、企業に対してはさまざまな情報を提供すると同時に、適切な意見でその考え方を変えていくといった、親身できめ細かな対応が求められると考えますが、見解をお伺いします。
○小田雇用就業部長 年長フリーター等の方の中には、これまでの経験から正社員としての就職に不安のある方も多いと考え、キャリアカウンセラーに加えましてジョブコーディネーターを配置したものでございます。ご指摘のとおり、求職者一人一人の状況に応じたきめ細かな対応をしてまいります。
また、ジョブコーディネーターには、企業の人事担当OBや社会保険労務士など多様な専門家を配置し、求職者のみならず企業からの相談にも適切に対応できるようにいたします。ジョブコーディネーターが、求職者の就職への希望や考え方、求人企業が求める人物像など、双方を理解した上、マッチングを行うことにより、就職の成功につなげてまいりたいと考えております。
○上野委員 今のご答弁で、事業のねらいやジョブコーディネーターの必要性はわかりましたけれども、もう一つ大事なことがあります。それは、支援対象者に、この事業が自分たちのためのものであるときちんと伝わらなければならないということであります。どうも都の広報は、いま一つインパクトに欠けるような気がしてならないわけであります。
そこで、専用窓口の開設に合わせて、PR方法を工夫し、この事業を周知徹底していくことが必要と考えますが、見解をお伺いします。
○小田雇用就業部長 これまで都では、各種事業の広報手段として、「広報東京都」やホームページ、また新聞などを活用して事業の周知を図ってまいりました。しかし、ネクストジョブ事業において支援対象とする方には、こうした広報手段が必ずしも有効でないことも考えられます。
そこで、ご提案の趣旨も踏まえまして、専用の窓口の開設に合わせ、集中的に電車や駅へのポスターの掲示、コンビニでのチラシの配布、フリーペーパーでの広告など新たな広報手段も積極的に活用しまして、ネクストジョブ事業の周知に取り組んでまいります。
○上野委員 ぜひ今後とも、都は、ネクストジョブ事業を、利用しやすく、また効果的なものにするとともに、支援対象者に支援内容がきちんと伝わるようにしていただくよう要望したいと思います。
さて、サブプライム問題に端を発しました米国の金融危機は、ご存じのとおり、米国大手証券会社が破綻するなど一段と深刻さを増しております。今後、我が国の景気もさらに落ち込み、雇用にも大きな影響を及ぼすことが懸念されるところであります。
そこで、最後に、今回の緊急対策への局長の決意をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。
○佐藤産業労働局長 就職氷河期世代の三十代の非正規雇用の方々は、就職に恵まれないまま、今も不安定な生活状態に置かれて、将来展望を見出せずに苦しんでおられます。また、労働力人口の減少、これが見込まれる中で、こうした方々が有用な人材として育成されることもなく放置される、こういうことは、企業経営を支える中核的人材の不足を招いて、労働生産性の低下を生じさせるというような、産業や社会の活力衰退につながりかねないものというふうに考えます。
さらに、企業の採用意欲からいいますと、四十歳を超えると極端に採用するという意欲が落ちるという現実もございます。雇用情勢の悪化が懸念される中、機を逸することなく的確に対応するため、今回、緊急雇用対策として、正社員採用、定着支援のための事業でありますネクストジョブ事業を展開していくことといたしました。
今後、局の総力を挙げまして、この事業を実施してまいります。
○清水委員 まず、補正予算から伺います。
我が党は、今回、付託されております補正予算については、産業技術研究センターの臨海部移転そのものについては異議がありますが、全体として賛成をするものです。そういう立場から、先ほども質疑がありましたので、一、二点、お伺いしたいと思います。
中小企業の資金繰りは非常に苦しいということは、昨年来何回も繰り返されているもので、今回の補正予算で増額する三百億円の経営支援融資は非常に有意義に使用していただきたいと思うわけですけれども、先ほどご説明がありましたように、経営セーフと経営一般では実績に大きな差があるということで、その理由の違いをご説明されました。
不況業種に指定された業者の方が、この経営セーフ保証を本当に大変多く使われているということを実感するわけですけれども、私自身が、この二カ月間ぐらい、都内の中小業者の多くの方々、また原油や原材料の値上がりで苦しんでおられる方々のところからいろいろ話を聞いてくる中で、業種にかかわらず、本当に全体に不況業種というのは広がっているということで、現在、百七十業種ほど指定をされているようですけれども、これは国に要望することですけれども、業種指定をさらに拡大し、ひいては、すべての業種が指定を受けられるようにというふうに要望される中小企業の団体もあるわけなんです。私としては、そうした要望を都から国にしていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
○保坂金融部長 先般、国において発表されました安心実現のための緊急総合対策においては、セーフティーネット保証の業種指定要件を抜本的に見直し、業種拡大を大幅に追加する方針が既に示されたところでございます。また、十月から十五業種の拡大が決定されております。
○清水委員 確かにそういう動きがあることは承知をしているんですけれども、しかし、先ほどお示しいただいた中でも、サービス業、多少使っておられるんですけれども、サービス業でも、さらに指定されていない業種への指定を強く要望している団体もありますので、引き続き国に要望をしていただきたいと思います。
そして、このセーフティーネットの保証の内容を見ると、制度融資にかかわって、本当に踏み込んだ超長期、超低利の融資を実施する必要があるというふうに感じるわけです、この経営一般の方でもね。そういう意味で、私は、切実な業者の声をどのように把握し、今回の補正に生かしたのかということをお伺いしたいと思います。
○保坂金融部長 都はこれまでも、都庁内の融資相談窓口での対応や、企業訪問による聞き取り、また、都内中小企業を対象とした金融に関するアンケート調査などの実施を通じ、中小企業の資金需要の把握などを行ってきたところでございます。今回の補正予算案につきましては、そうした中小企業の資金需要に緊急に対応するために必要な金額を計上したものでございます。
○清水委員 今、いろいろな方法で要望を聞いたということを伺ったわけですけれども、そういう中で、本当に業者の願いを受けとめていたならば、さらに拡大の要望を聞いたことだと思います。
そして、今回、補正予算の全体では、これは新銀行のところで話題になることですけれども、五百四十億円も新銀行の減資対応につけているわけです。この補正予算全体を中小業者の方にお見せすると、東京都はこういうことをやりましたよということでお見せすると、必ずその中小業者の方が本当に驚くんですよね、五百四十億円も減資対応に使ってということでね。中小企業制度融資の方は、やってはいただいているけれども、しかし、現在の実態の中では、二十五万社、都内に企業があるんですか、会社が、で、百六十億。預託原資の拡大をしても、例えば五千万円の貸し出しをしても三千二百社ぐらいしか受けられないことになって、これではインパクトが少ないというようなことで、景気の刺激になり切らない、せめて五百四十億円を新銀行へ使わずに融資に回してほしいなどという要望が出されているわけで、引き続き制度融資の充実をするように、引き続き要望しておきたいというふうに思います。
次に、回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例についてです。
これも、先ほど多くの方からご質問がありました。本当に厳しい経営環境の中にあり、支援に力を入れることは重要だというふうに思います。まじめに努力し、力があるにもかかわらず過剰債務に苦しむ企業の事業再生に役立つよう運用されることを期待しているわけですけれども、ある中小企業の方は、借り入れして何かの事情で返済できなくなった業者が自殺しなければならないなどというのはおかしいということで、この放棄の条例についての感想をいって、こういうことはもっと本当に早くやってもらわなきゃならなかったんだなどという意見をいわれる方もおります。また、税金を使うことになることでは慎重にしなければならないと思うが、この企業が再生されることは地域経済に大きな意味があり、また、法人税増収に返ってくることにもなるなどと、いろんな意見が出されております。
そこで、改めて確認したいんですけれども、このたびの条例制定のねらいや効果はどこにあるのか、お伺いいたします。
○保坂金融部長 本条例は、都が信用保証協会からの回収納付金を受け取る権利を放棄する手続を定めることで、再生を図る中小企業が信用保証協会から求償権放棄を受けられるようにするものでございます。これにより、事業再生を図る中小企業の過剰債務を圧縮して円滑な再生を促進し、もって地域経済の発展を図ることが期待されるところでございます。
○清水委員 先ほどお示しいただきました資料の中で、各再生支援機関などにおける支援実績というものが事例として出されておりますが、四つの支援機関で債務免除額がどのぐらいかということで書かれているわけです。これを見ても、比較的規模の大きい企業が中心かなというふうに思うわけです。この一番上の事例も、下の三つの件とは多少違うかもしれませんが、億の単位で債務免除額があったかと思います。
再生対象となる企業の規模について、どのように想定しているのかということをお伺いしたいと思います。小規模企業でも事業再生の支援が受けられるようになるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
○保坂金融部長 本条例では、中小企業再生支援協議会のような公的な再生支援機関が支援した一定の再生案件について、信用保証協会から申し出があった場合に、回収納付金を受け取る権利を放棄できることを定めております。企業の規模による制限は特段定めておらず、制度融資を利用するすべての中小企業が本条例の対象となり得るものでございます。
○清水委員 この放棄をすることを国が認めた通知を出したのは十七年の十二月というふうに聞いています。もう三年くらい前になるんですけれども、ここまで時間がかかった理由や経緯を伺いたいと思います。
○保坂金融部長 都は、これまで国に対して、信用保証協会が求償権の放棄を行うに当たり都において生じる事務取扱上の疑義について照会していたところ、本年一月、本件は地方自治法に定める権利の放棄に当たり、求償権を放棄するには議会の議決もしくは条例の制定が必要との見解が示されました。この見解を受けて、条例の制定作業に着手したものでございます。
○清水委員 先ほども他の委員からのご質問がありましたけれども、都が放棄する権利というのは、結局は都民の税金になるわけです。企業再生のためとはいえ、慎重に取り扱わなければならないと思います。
都民の中には、回収権の放棄などというと、すぐ新銀行を思い浮かべられたりする方もあるんですよね。だから、これを私たちが賛成するというのはどういう考え、なんて聞かれることもあるんですけれども、都が回収納付金を受け取る権利を放棄するに当たり、有識者に意見を聞くといいますが、具体的に何を諮り、どう判断するのか、お伺いいたします。
○保坂金融部長 権利の放棄に当たっては、中小企業の事業再生に関し豊富な知識と経験を有する弁護士、公認会計士などから、再生計画の妥当性や実現可能性について意見をお聞きし、当該計画が事業再生に資するかどうかを判断することとしております。
○清水委員 今回のこの放棄条例について、いろんなところから聞いてまいりました。実際に再生支援機関にもお伺いして聞いてまいりました。個人情報を守るとか、企業の中に入って慎重に審議をするんだと、時には社長さんにいいたいこともいうんだなどということで、かなり慎重に結論を出しているというお話も聞いてきました。
先ほど、都議会に十分な説明が必要だという他の委員の質問に対しては、風評被害などの発生することのないよう留意しながら、放棄に至るまでの経緯や金額や、これからの方向性などを報告することを考えているというふうにご説明があったかと思います。こういうふうにここに資料として出ているように、名前を挙げられるところは、それはうまくいっているというか、そういうところだとは思いますけれども、やはり都議会に十分な説明を求めるものです。
都民の税金で行った措置でありながら、残念ながら失敗に終わることもないとはいい切れません。伺った再生支援機関の中でも、取り扱った案件の中で、まだうまくいき切れないというふうにあった案件がかなりありました。権利放棄を行った後、都は本当に関知するべきだというふうに思うわけですけれども、事業再生のその後、どうなったか、追跡調査するべきだと思いますが、どうですか。伺います。
○保坂金融部長 都といたしましては、権利を放棄した企業が円滑な事業再生を進めることができるよう、再生支援機関や信用保証協会と連携し、その後の再生状況について情報を把握してまいります。
○増子委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後五時四十四分休憩
午後六時十八分開議
○増子委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○馬場委員 私は、二点、お尋ねをいたします。
まず、回収納付金受取権利放棄条例から入ります。
厳しい景況のもと、懸命に経営努力を続ける中小企業を支援する必要があります。今回提案された回収納付金受取権利放棄条例は、法に基づく厳格な手続のもとに、予測を超える状況において過剰債務に苦しんでいる企業の事業再生に役立つようにということでつくられたと伺いました。そこで、一点、確認も含めてお伺いいたします。
先日、私も東京商工会議所の中小企業再生支援協議会にお邪魔して、お話を伺ってまいりました。こんなようなパンフレットもいただいてまいりました。大変積極的に、責任を持って対応をしていらっしゃいます。そこの事業再生はいろいろな方法がとられており、いろいろな状況の中で取り組まれているのですが、今回条例を都がつくられたというのは、都の制度融資の対象の会社で債権の回収納付金が発生した場合に、その権利を放棄するという、たくさんある再生の中の一つに当たるわけですが、都として、国の方との先ほどのお話の協議でも、きちんとこのことをしなければ、一件一件議会にかけなければならないというようなお話でございました。その趣旨は私もわかりますので、再生支援に私どもも協力をするという形で、この条例については賛成をしております。
ただ、その中で一点、第四条につきまして、ここで、主要な支援機関である東京都中小企業再生支援協議会は、企業の事業再生をサポートする専門家集団として、企業がみずからの再生計画を立案する過程をしっかと後押ししていると。で、この協議会が銀行などの債権者間の調整にも一役買っていて、都に今回申請が出されるこの再生支援計画は、こうした公的な専門家の目を通した信頼できるものというふうに私も思っています。
しかし、この条例第四条では、都が改めて有識者の意見を聴取するというふうにつくられております。この改めて意見聴取をするというのは、どういうような趣旨で行うものなのか、確認をさせていただきます。
○保坂金融部長 回収納付金を受け取る権利の放棄は、地方自治法が定める権利の放棄に当たる重大な意思決定でございます。中小企業再生支援協議会などの公的機関の支援を受けて策定された計画であっても、都としては、放棄に係る申し出を受けた段階で、改めてその内容を厳正に検証する必要があると認識しております。そのため、企業の事業再生に精通した弁護士や公認会計士など専門家から、当該再生計画の妥当性や実現可能性のほか、地域経済の活性化といった観点も含めて意見を聴取するものでございます。
○馬場委員 先ほども申し上げましたように、協議会でいろいろ具体的なお話を伺ってまいりました。その中で考えましたことは、今回のこの対象は、都の制度融資を受けた方が対象である。この制度融資の目的は、そもそも企業ではありませんので、収益を目的にしているものではありません。つまり、都内の中小企業の経営力、経営の悪化を再生する、その支援をしていく、その企業を支援することによって、あまねく都民全体の利益を図るというような趣旨だと私は理解をしておりますし、そのために今回の補正も含めて税金が投入されるというふうに理解をしております。
この出される先の東京信用保証協会、ここがある意味、都にかわって貸し出しをし、貸出先を決め、また、回収不能となった場合には代位弁済をし、債権の回収に当たる、そういう役割をしているというふうに思っています。
今回、この条例の中では、この大切な役割を担っている東京信用保証協会というのは出てこないわけです。しかし、この制度融資の事業をする中で、貸出先の企業の状況は一番よく知っていなければなりませんし、また、その企業がどういう状況であって、欠損の理由、もし回収不能になったのであれば、どうしてそうなったのか、また、どういう状況なら再生可能かというようなことも、本来この保証協会が一番よく知っていなければならないと私は思っておりますし、ある意味、貸出先への責任も含めてあるというふうに思っています。
今回のこの条例提案になりましたことも、保証協会が回収不能というふうに考えたところが、都の二割の分について放棄をしなければ、ほかの債権者と足並みがそろわない、再生を支援したいのだけれども、それができないということでした。このことから考えますと、今回のこの条例は、確かに全国レベルでの中小企業庁の施策でもありますし、そのための実施基本要領というのも出てきておりますが、この制度を、これから条例をつくって再生を図っていくためには、保証協会ともっと密接な連携をして、きちんと制度融資の目的が実現されるということを、まず第一義的に目的に置かなければならないというふうに思っております。
先ほどご質問した四条との関係ですが、その企業が、これから債権放棄をしたらどういうふうな再生をするかということを、この協議会で大変細かく扱っておりますが、そこでの参加をして、保証協会が案を考えていくということですので、今ご答弁いただきましたように、都民の税金ですので、安易に認めていいというふうには私も申し上げませんが、審査をして協議をした、再生案が出たところで、またさらに審査をするというような屋上屋にならないように、なるべく早く再生支援ができるようにということを考えておりますので、その辺、これからの要綱づくりに当たって、ぜひともご検討いただきたいというふうに思っております。
それから、第五条の議会への説明というところもですが、協議会の方でも、また国の方でも、公表ということについては、事前に相談企業や対象債権者等の関係者と十分な調整を行うことにより、相談企業が企業名の公表に同意した場合に限り企業名を公表することができるというふうなものも入っております。これも先ほどの四条と同じで、安易にこの再生計画をつくられてはいけないんですが、しかしながら、公表するということが企業が再生することに阻害要因となってはいけないというふうにも考えております。その辺、この条例が成立後、具体的な運用に当たり、この二点の対応をぜひともお願いして、条例の方の質問は終わります。
もう一点は、補正の中の中小企業設備リース事業についてご質問いたします。
今回、百億の基金を積んで、このリース事業、中小企業振興公社が設備貸与事業として実施するということになっておりますが、この制度、実は平成十四年度まで、全国的にこうしたリースの事業が行われていたというふうに聞いております。平成十四年度に一時これを、一時というか、ここでやめておいて、また今回新しいリース事業として始めるということですが、今回新たにこの設備リース事業を開始するということになった、その経緯を伺います。
○三枝商工部長 中小企業振興公社では、国と都が公社に資金を拠出して設備の割賦販売やリースを行います設備貸与事業を、先生ご指摘のとおり、昭和五十八年度から開始いたしまして、平成十四年度末をもって休止いたしました。
この休止後、景気は上向きとなりましたものの、中小企業の設備投資状況が大企業と比べまして大きく落ち込みますとともに、ことしに入りまして、金融市場の混乱等により、中小企業を取り巻く経営環境が急速に悪化いたしましたため、都独自の設備リース事業を緊急に実施することといたしたものでございます。
○馬場委員 では、都は十四年にやめられたということなんですが、他県等はどんな状況でしょうか。
○三枝商工部長 他の四十道府県では、類似の制度も含めまして、現在も国の資金を活用した事業を継続しているところでございます。これらの事業では、自治体等がリース料に未収が生じたときの損失を補てんする仕組みとなってございます。
○馬場委員 今ご答弁ありましたように、今までの事業は、自治体が未収が生じたときに損失を補てん、かぶらなければならない。東京でも多分、この中小企業振興公社がそうした損失をかぶっている状況があるのではないかというふうに思われます。他県ではそのまま続けておられるということですが、他県で今まで続けている国の制度と今回の都が新しく始める制度との大きな違いはどこにあるんでしょうか。
○三枝商工部長 今回の中小企業設備リース事業でございますけれども、リース料に未収が生じた場合の損失を自治体等が補てんをするのではなくて、保証機関が保証するという独自のスキームを構築してございまして、この点が、先ほど申し上げました設備貸与事業との大きな違いとなってございます。
また、緊急対策として信用保証料の全額補助も行いまして、これによりまして中小企業の負担を極力抑え、冷え切った中小企業の設備投資を促進してまいります。
○馬場委員 今回、先ほどからのいろいろの話の中でも、設備投資というのが、ここの経済的な状況の中で大変厳しい状況になっている。その一方で、過剰な設備投資によって経営が苦しくなるといった企業も多いというふうに伺っております。この事業の推進によって設備投資が過剰となって、中小企業の経営が厳しくなる。つまり、今のお話のように借りやすい今度の制度ですから、やっぱり設備があれば売り上げが伸びるというふうに企業は期待すると思います。こうした中で、結果として過剰な設備投資にならないかというのが大変心配されるところですが、こうした過剰投資を防ぐ手だてというのは、どんなふうに考えられておりますか。
○三枝商工部長 中小企業設備リース事業では、過剰な設備投資を防止いたしますために、中小企業振興公社がリースを申し込んだ中小企業に専門家を派遣いたしまして、経営状況と比べて適正な投資規模かどうか等々を審査いたしますとともに、設備の有効活用に向けたアドバイスもあわせて行うことといたしております。
○馬場委員 今回のこの百億の基金を積んでのリース事業は、先ほどのご答弁でもありましたように、中小企業振興公社が買い取ってお貸しするわけですから、固定資産税はリース料で払わなければいけない。しかし、信用保証料の全額の補助がある。それから、今回のこのリース事業が、やめてしまった前回の事業と違うところは、自治体が損失を負担しなくていいというような制度をつくっているというご説明をいただきました。信用保証へ一度出すことによって、東京都はこの百億を毀損はしないというような制度だから、今回新しく始められたというふうに伺いました。
しかしながら、もしこの百億を全部貸し込めば、年間五%の保証料ということで、百億の五%、単純に計算して最大五億は、年間の保証料として基金とは別に毎年出さなければいけない。これが有効に使われるのであれば、この五億という保証料、むだにならないというふうには思いますが、こういう状況の中で、本当にこの百億を生かして、この設備リース事業というのが毎年有効にできるかどうか。
二年ほど試験的になさるということですが、先行き、どういうふうに保証できるか、ある意味わからないというようなこの事業。リースが始まれば、五年とか七年とか十年とかという、多分そういうスパンでこの事業は考えなければならないというふうに思いますが、二年後からは、毎年、保証料のお金を税金から基金と別に出していかなければならないという状況があります。そういう意味では、この二年間にこの事業が本当に実効性のあるものかどうかというのをきっちり検証をしながら、中小企業の設備リース事業が実効性が上がるようにぜひともご検討いただいて、この事業を進めていただきたいというふうに思います。
以上です。
○山口委員 私は、一般会計補正予算に伴う緊急雇用対策についてお伺いしてまいりたいと思っております。
先ほど上野理事からの質問がありましたので、重複の部分は避けさせていただきながら質問させていただこうと思っておりますが、東京都は今回、緊急雇用対策を実施し、ネクストジョブ事業によって三十代の非正規雇用者の正規化に取り組んでいきたいということを打ち出したわけでありますが、パートや派遣といった非正規雇用で働く方は、今日の企業の立場から見れば、重要な戦力となって欠かすことのできない人材となっているわけであります。また、働く側から見てみても、多様な働き方を選択できるという面から見ればいいことかもしれませんが、正社員になりたいのになれないという方が増加するようでは、これは全くもって問題があるわけであります。
私は、一九七二年、昭和四十七年生まれの三十六歳、まさに第二次ベビーブーム、一番多かった世代でありまして、私の周りにも同じように、働きたいと思いながらもなかなか働けない、その機を逃しながら三十代を迎え、今まさに人生の佳境を迎えながら、どのように就職と向き合っていくか、人生と向き合っていくかという仲間もたくさんいるわけなんであります。
まずそこで伺いたいんですが、そういった私たちの仲間、東京都における非正規雇用者数や三十代の状況についてお伺いしたいと思います。
○小田雇用就業部長 平成十九年の就業構造基本調査の結果では、都民における非正規雇用者は約二百万人、雇用者に占める割合は三四・七%と過去最高となっております。その中で三十代の非正規雇用者の数は約三十八万人、このうち不安定な雇用と考えられるアルバイトや派遣で働いている方は約十六万人と、五年前の調査に比べて大きく増加しております。
また、労働経済白書によりますと、日本全体でフリーターの数は減少しているものの、年長フリーターには滞留傾向が見られます。
○山口委員 今いただいた答弁で、非正規雇用者は景気がよいときにも増加してきたということがわかったわけなんでありますが、このようにふえ続ける中で、非正規雇用の方々を安上がりの使い捨ての労働力としてしか見ず、処遇に正社員と大きな格差をつけたり、労働法規を遵守しないといった取り扱いも見受けられるわけであります。
景気後退が今まさに鮮明になりつつある中で、やむなく非正規雇用で働く方がさらに増加するのではないかと危惧されるところでもあり、特に、これからの日本を支えていくべき若者や三十代の中堅層が、教育訓練を受ける機会もなく非正規雇用のまま放置されるようなことがあるとすれば、これは大きな問題なわけであります。
そこで、こうした状況に対する東京都の認識と緊急対策の意義についてお伺いしたいと思います。
○小田雇用就業部長 バブル崩壊後、長く続いた就職氷河期に学校を卒業したために、正社員にならず、非正規雇用につかざるを得なかった方の中には、既に三十代の後半の方もおられます。本来であれば企業を支える中堅層となるべき方々が、多様な教育訓練の機会も与えられないまま年齢を重ね、収入が少ないため結婚もできずにいるようでは、本人にとっても社会にとっても大きな損失と考えます。雇用情勢の悪化が懸念される中、年齢的に不利な三十代の非正規雇用の方の正社員化は、待ったなしの状況でございます。
そこで、こうした三十代の非正規雇用の方に支援の対象を絞り、正社員化に向けた緊急対策を実施するものでございます。
○山口委員 緊急対策は対象を三十代の非正規雇用の方に絞ったということであります。これまでも、しごとセンターなどによって求職者に対する各種の支援事業を東京都は実施してきたわけなんでありますが、こうした従来からの事業と今回の事業との違いをぜひお伺いしたいと思います。
○小田雇用就業部長 しごとセンターでは、これまで三十代の方に対しては、正社員としての経験を積んできている離職者を中心に就職支援を実施してまいりました。しかし、就職氷河期世代の年長フリーターなどの方は、非正規雇用を繰り返して正社員の経験がない場合もございます。
そこで、これまで実施してきたキャリアカウンセリングなどの支援に加えまして、専用窓口の設置やジョブコーディネーターの配置など手厚い支援体制を整えて、きめ細かな支援を実施していくこととしたものでございます。
○山口委員 そういう意味では、人生を見詰め直し、三十代になり、ようやく就職に対する認識も固まって、自分の人生を考えたこの時期に、こうしたネクストジョブ事業に出会うことができる東京の三十代の人たちは、まだ非常に希望がこれから出てくるのかなという意味で期待もするところでありますし、我が国においても、この世代が一生懸命働き、また国のことを考えるようになっていくという意味では、労働は単なる義務ではなくて国にとって大きな力となっていくという意味では、非常にありがたいことだなと思っているところなんであります。
年長フリーターの増加や滞留というものは、東京にとっても大きな問題となっていることは、先ほどの数字を伺っていてもわかることなんですが、本来でいえば、全国的に国を挙げて取り組むべき課題であるわけであります。
国の動きがどうなっているか、東京都がどう把握をされているのかどうか、また、都は国と連携した取り組みなどを検討しているのかどうか、お伺いしたいと思います。
○小田雇用就業部長 さきにも申し上げましたが、年長フリーターは滞留傾向が見られるところでございます。国においても、来年度予算の概算要求では、若年者に対する支援制度を三十代後半の不安定就労者まで拡大するなど、フリーターの正規化に向けた支援の拡充を行うとしております。
今後、国の施策や事業の概要が明らかになったとき、都の事業との連携について検討してまいります。
○山口委員 年長フリーターを正規化していくということは、これは急務のことでありまして、都や国の対策は重要でありますが、正社員として採用するのは個々の企業でありますから、行政だけがひとり相撲していても問題が解消されるわけではありません。企業団体や産業界を巻き込んで企業に働きかけていくことが極めて必要だと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。
○小田雇用就業部長 非正規雇用の方を正社員とするには、何よりも企業の理解が必要でございます。今後、東京商工会議所など企業団体と連携、協力して、正社員化の促進に向けた社会機運の醸成を図りますとともに、企業への働きかけを強化してまいります。
○山口委員 年長フリーターを早期に正規化していくことは、我が国の将来を左右する大きな問題といっても過言ではないと思います。私も、来年の七月以降、この事業にお世話になることがないように頑張らなければいけないところなんでありますが、社会や産業の担い手になるのか、社会保障を受ける側になるのか、東京はまさに国に先駆けた対策を実施すべきであり、今後の展開については大きな期待をしながら、この質問を終わらせていただきたいと思います。
○増子委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増子委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○増子委員長 次に、議員提出議案第十七号を議題といたします。
本案について、提出者の説明を求めます。
○清水委員 議員提出議案第十七号、東京都中小企業振興基本条例をご説明申し上げます。
本議案は、伊沢けい子議員と日本共産党都議団が提出者となる条例です。都政の重要課題である中小企業の振興を図るため、都の責務などを明らかにする必要があることから提案するものです。
東京の産業は、総生産額九十二兆円、大阪の二倍以上、全国の一七・九%を占め、商品販売額、サービス業も約三割の収入額、情報関連産業では全国の売上額の半分以上を占めるなど、日本経済に大きな地位を占めています。この産業活動を支えているのは、都内の全企業数に占める割合が九九%、就業者数が七五・三%に達している中小企業です。一方、経営規模が十人未満の企業が七九%、四人以下の小規模企業が五八%で、経営基盤は脆弱です。
今、中小企業を取り巻く状況は、円高不況とそれに続くバブル崩壊による長期の不況の影響や、生産拠点の海外流出、大型店やチェーン店の進出などの影響を受け、昨年来の原油、物価高騰がさらに追い打ちをかけるものとなっています。このようなときに、自治体が中小業者を支援することが何より求められ、支援は緊急の課題となっています。
現在、自治体における中小企業振興にかかわる条例は、県段階で十一府県、首都圏では、埼玉県、千葉県に続き、神奈川県は今議会に提案され、決定される予定と聞いています。都内自治体では十八区十六市で制定されています。条例制定が中小企業支援の流れとなっています。
今回提案する条例案は、東京都の中小企業振興の姿勢を確立することが急がれていることから、基本条例としました。また、条例を精神規定に終わらせないために、基本計画や分野別、業種別計画の策定、工業、商業の集積の活性化など、中小企業振興を進める上で最低限の基本施策を盛り込んでいるものです。
ご審議の上、ご可決のほどよろしくお願いいたします。
以上です。
○増子委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増子委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
○増子委員長 次に、報告事項、平成十九年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価書についてに対する質疑を行います。
本件については既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○塚田総務部長 報告事項、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価書についてに対しご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。11から13までが、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価書についてに対する資料でございます。
一一ページをお開きください。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター運営費交付金(予算額)の推移では、運営費交付金の予算額を、平成十八年度、十九年度、二十年度の三カ年についてお示ししてございます。
一二ページは、東京都立産業技術研究センターの平成十九年度外部資金導入研究一覧でございます。
国等の外部機関から研究のための資金を導入したもので、平成十九年度は、経済産業省を中心に合計十七件の外部資金導入研究を実施いたしました。
一三ページは、東京都立産業技術研究センターの職員状況でございます。
地方独立行政法人化前の平成十七年度の職員定数と、法人化後の平成二十年三月末現在の職員数の比較を、西が丘本部を初め各施設別にお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○増子委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○米沢委員 私は、産業技術研究センター業務にかかわる問題につきましてお尋ねをいたします。
平成十四年の二月から始まりました我が国の戦後最長の景気回復も、今や終止符が打たれたといっても過言でないほどの状況になっておるわけであります。加えて、アメリカを初めとする世界的な景気減速感も急速に強まっておるわけであります。都内中小企業の経営にとって明るい材料は全く見出しにくい状況であるといえます。
このような厳しい経営環境のもと、東京の産業を支える中小企業が勝ち残っていくためには、技術を高度化し、なおかつ高い付加価値製品を創造することや、開発リードタイムの短縮を実現していく必要があると思うわけであります。
したがって、こうした課題に対応した中小企業への技術支援を実施している産業技術研究センターの役割は、ますます重要になると考えております。ついては、ここで、センターの業務実績について何点かお伺いいたします。
まず、製品の品質、性能の証明を行う依頼試験、あるいは、十分な試験設備を持つことが困難な企業に対する機器の利用サービスなどの技術支援につきましては、厳しい経営環境のもとにある中小企業にとって欠くことのできない重要な事業であるというふうに理解をいたしております。
これらの技術支援については、十九年度に中期計画の目標値を大幅に超えた実績を上げているとのことでありますが、具体的にはどのような取り組みを行ってきたのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○三枝商工部長 技術支援につきましては、平成十九年度、中小企業のニーズが高い環境負荷等の試験を行う環境試験センターを開設いたしますとともに、利用者の声にこたえて各種試験機器を整備、更新いたしますなど、利便性の向上に努めました結果、平成二十二年度の達成目標を上回る高い成果を上げることができました。
具体的に申し上げますと、機器利用サービスは目標の三万件に対しまして三万七千件余、利用者からの依頼試験につきましては目標の八万五千件に対しまして九万六千件余と相なりました。
また、平成十八年度に整備いたしましたデザインセンターにつきましては、機器の整備等によって、短時間、低コストで試作品が製作できる機能を強化いたしましたことで、利用実績が対前年度千百件余り増加をいたしました。
今後とも研究の質の向上とサービスの充実に努めまして、中小企業に対してきめ細かな技術支援を行ってまいります。
○米沢委員 中小企業のニーズにきめ細かく対応した技術支援を実施していることを、今の説明で十分わかりました。したがって、今後ともこのような取り組みをぜひとも充実させていただくことが最も重要なことであります。しっかり行っていただきたいことを心から願うものであります。
次に、産業技術研究センターの業務のもう一つ大きな柱であります研究開発でありますが、地方独立行政法人である当センターは、国の研究所とは異なっております。中小企業に役に立つ実用的なものでなければならないはずでありますが、十九年度の実績は一体どうなっているのか、ここでお伺いいたしておきたいと思います。
○三枝商工部長 産業技術研究センターにおきます中小企業等との共同研究について見ますと、例えば、建築廃材である住宅用壁紙のリサイクル技術の開発では、壁紙をパルプ繊維に再生する実用機器が稼働してございます。また、デザイン力を生かした新たな経木製品の開発では、いわゆるモビールが学校用教材として使用されるなど、製品化の実績も出ております。その他、食品用エックス線異物検査装置及びその方法を初め、十三件の特許出願も行ったところでございます。
同センターでは、今後とも、中小企業が直面する技術面の課題解決に積極的に取り組み、中小企業との共同研究の成果を実用化、製品化に結びつけてまいります。
○米沢委員 ただいまの説明によりまして、実用的な研究開発を行っていることは十分理解ができました。
しかしながら、独立行政法人化二年目にして、業務全体がすぐれた進捗状況にあるという評価は納得はできましたけれども、一方で、中小企業に対する技術支援機関あるいは研究機関としての認知度は必ずしも十分でないという意見も多々あることは、ご承知のとおりであります。
未利用企業を含めて、厳しい経営環境にさらされている中小企業にとって、製品開発や技術課題解決を行う上で産業技術研究センターは頼れる存在であり、これを存続しなければならないというふうに思うわけであります。
この点を踏まえまして、今後どのように技術支援を充実させていくのか、見解を伺いたいと思います。
○三枝商工部長 産業技術研究センターは、お客様とともに歩むことを主眼といたしまして、事業化を見据えた技術支援や研究に取り組んでございます。
平成十九年度の業務実績につきましては、業務全体がすぐれた進捗状況にあるとの高い評価となりましたが、これに甘んずることなく、より質の高いサービスを提供していくことが使命と心得てございます。
東京には多種多様な中小企業が存在いたしまして、同センターには、日々、技術支援や研究開発に対する要望が寄せられております。今後は、こうした声に的確にこたえますとともに、同センターをいまだ利用したことがない中小企業の潜在的ニーズも掘り起こしまして、技術支援のさらなる充実を図ってまいります。
特に、同センターの社会貢献の観点から、環境、福祉、安全・安心など、大都市東京が直面している社会的課題を解決するための技術開発に挑む中小企業も積極的に支援してまいります。
○米沢委員 今後も技術支援の質の向上に努めていただきたい。引き続き高い評価が得られますように努力いただくことを心から切望するわけであります。
最後になりますが、業務実績報告書には、平成二十三年度には西が丘本部と駒沢支所を統合しまして、江東区の青海へ移転することが予定されております。これらを契機に、さらなる機能の充実が期待されておるわけでありますが、中小企業の技術支援にとって、産業技術研究センターの再編整備は大変重要な一つになるというふうに私は認識をしております。困難な状況の中で日夜汗を流している中小企業に対する技術支援について局長の所見を伺い、質問を終わらせていただきたいと思います。
○佐藤産業労働局長 東京のものづくり産業におきましては、高度先端技術を有する企業はもちろんのことでありますけれども、基盤的な技術を持った多くの中小企業が、それぞれ重要な役割を果たしております。
しかしながら、現下の状況を見ますと、東京の産業を支える中小企業は、原油、原材料の高騰による経営の圧迫に加えまして、海外企業との厳しい競争にさらされているのが現状であります。今まさに都内中小企業にとりましては、委員、先ほどご指摘もありましたけれども、技術の高度化、また製品開発の迅速化が焦眉の急となっておりまして、産業技術研究センターに寄せられる期待はますます高まってきているというふうに認識をしております。
こうした期待にこたえるべく、新たに整備をいたします区部産業支援拠点におきましては、依頼試験などの基本的な技術支援はもとよりのこと、高度先端技術分野や設計、デザイン分野などのサポートも一層充実をいたしまして、日本屈指の産業技術の支援センターとして、東京の中小企業をこれまで以上に強力に支援をしてまいります。
○小竹委員 私の方からも、産業技術研究センターについてお伺いしたいというふうに思います。
産業技術研究センターの中小企業に果たす役割は、深刻な不況のもと、ますます重要になっているというふうに思います。独立行政法人になって二年が経過し、私たちは当初から、都立の産業技術研究所を独法化することに反対してきました。問題点も指摘してきたんですが、現実の問題になっているんじゃないかというのを、この資料を見て感じています。
特に、中小企業を技術面から支援するという点では、産業技術研究センターの命綱になるのが研究員の問題だというふうに思うわけですが、この資料を見ましても、都立の時代の定数と比べて、現在の研究員、常勤の研究員の方は五十六人、二四・七%減っています。これから団塊の世代の退職が続くわけで、これが大きな問題になっているわけですけれども、産業技術研究センターの研究員で予定されている方はどのくらいいるのか、まずお伺いします。
○三枝商工部長 研究員の状況ということで、今お尋ねの趣旨は、団塊世代に当たる研究員のことであるかと思いますが、いわゆる団塊世代に当たります研究員でございますが、今年度末で五十九歳並びに六十歳を迎える研究員は二十一名いると聞いてございます。
○小竹委員 二十一名ということですが、現在いらっしゃる方の常勤者の一割以上に当たるわけですよね。将来的に見れば、中小企業支援という点でも支障を来すことになりかねないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この間退職された方々については、ワイドキャリアスタッフとして継続して採用されている方もおられるというふうに聞いています。常勤者が欠けたところを任期つきの研究員が補っているというのが資料から読み取れるわけですけれども、任期つき研究員の募集については常時行っているというふうに伺ったんですが、このことは、なかなか集まらないということではないんですか。その点、いかがですか。
○三枝商工部長 任期つき職員につきましては、高度な知識、経験を生かしまして即戦力として研究業務を担う人材として、必要な人員を採用しているものでございまして、職員の不足を補うというものではございません。
なお、任期つき職員につきましては、任期の満了後に産業技術研究センターの選考によりまして、任期の定めのない職員への切りかえができる制度を用意してございます。
○小竹委員 今、職員の不足を補っているものではないというふうなお答えでしたけれども、きょう出された資料を見ましても、常勤の方々が五十六人減ったところが、五十四人の任期つきということですから、事実上不足分を補っているというふうな状況になっているということではないですか。
任期つきの研究員の方々については、昨年度はたしか二〇%でしたよね。それがことしは二四%と、研究員の四分の一までふえているという点でいえば、確かに即戦力になるとはいっても、三年間という身分ですから、そういう点でいえば、やっぱり不安定な身分という点でも、きちんとした研究員をふやすことが必要だというふうに私は思うんです。命綱である研究員は、きちんと常勤で身分も安定して、腰を据えて中小企業支援ができるようにする、こういうことが今求められているというふうに思うんですね。
そういう点で、技術の研究もするし、相談など必要な支援ができるベテランの職員を養成していくことが今重要だというふうに思うんです。評価委員会の評価のところでも、人材の確保や人材育成を随所に強調しているという点でも、この面で問題が出ているのではないかというふうに見られます。研究員の確保や養成の問題は非常にかなめであるわけですから、この点を放置すれば、将来の産業技術研究センターの機能に重大な支障を与えかねないという点で、この問題は指摘をしておきます。
次に、現行の中期目標では、標準運営費交付金については、五年間、毎年度、前年度の一%を減額するということで、現実にそれが行われているわけですけれども、これは当然産業技術研究センターの経営や運営を圧迫することになりかねないというふうに思います。特に、人件費の部分で一%のカットということですから、この面での影響になりかねないというふうに思うんですけれども、この点については先々どうしていくのか、お伺いしておきます。
○三枝商工部長 運営費交付金についてのお尋ねについてお答えをいたします。
次期中期目標につきましては、今後具体的に内容を検討して策定していくということに相なってございまして、もともと運営費交付金自体は、財務運営の効率化、これを前提としてございまして、当効率化につきましても、その際に検討することと相なります。
○小竹委員 効率化ということで、任期つきの研究員もそういうところになっているのかなというふうに思うんですが、やっぱり研究職、それから、中小企業を技術面での支援をするという点でいえば、人を除いてやることはできないわけですよ。それを人的なところで一%カットしていくのを将来にわたって、まあ、今後の中で検討するということですけれども、やっぱりそれは当然影響が出てくるともいえるわけで、この点でも問題はあるというふうに思います。
もう一点、利用者との関係で、サービスにかかわるものですが、産技研の利用料金について、機械の使用などがあるわけですけれども、独法に移行するときに、上限については議決をしましたけれども、その後、料金改定で値上げなどが行われていないのか、その点についてはいかがですか。
○三枝商工部長 産業技術研究センターの地方独立行政法人化以降、料金を値上げした実績はございません。
○小竹委員 値上げはしていないということです。そういう点では了とするところですけれども、今、中小企業の置かれている状況は、長引く不況のもとで、それに原材料などの高騰が追い打ちをかけているという状況にあるわけで、なかなか商品への転嫁が困難であるというのは、先ほど来の議論の中でも明らかになっているわけです。こういう状況にある中小企業が頑張っていくという点でいうと、やっぱり産業技術研究センターを気軽に利用できるようにするという点では、私は値上げを抑えるべきだというふうに思うんです。
利用料については、一応上限が決まっているわけですけれども、その上限の範囲内だったら、現行、独法の自由で上げることができるわけですよね。その点で、議会や都の方のチェックについては、どういうふうになるんでしょうか。
○三枝商工部長 まず利用料の点からお答えさせていただきますが、地方独立行政法人は、地方公共団体がみずから主体となりまして直接実施をする必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合に必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるものを、効率的かつ効果的に行わせることを目的とした法人でございまして、設立団体は、その業務の財源に充てるために必要な金額を交付することができることとなってございます。
したがいまして、即刻即座にその料金を値上げをするというものではございませんで、あくまで業務の効率化を進めまして、それに従いまして、毎年度平均で前年度比一%の運営費交付金の減ということにつながるわけでございます。
毎年度、産業技術研究センターの業務につきましては、外部評価を含めまして、独立行政法人に係るいわゆる評価を受けてございます。そうした中で、全体の財務状況等々につきましても評価を受けることになってございまして、その評価結果を議会等に報告をさせていただくということでございます。
○小竹委員 今伺ったのは利用料金についてなんですが、全体のチェックについては評価委員会の報告ということであるわけですけれども、例えば、上限は議決で決まっているわけだけれども、その範囲内であれば法人の方で自由に上げられるわけですよね。その場合に、都がチェックをするあれがあるのかどうかということをちょっと伺ったんです。
○三枝商工部長 あくまで料金に関しましては議会の関与は上限のみでございまして、個々の依頼試験等の使用料や手数料の値上げにつきましては、実際には議決をされた料金の上限の範囲内で決定をするという限りでございます。
なお、値上げについてのお尋ねでございますけれども、個々の料金については、値下げをする可能性も中にはございます。
○小竹委員 上限の範囲内では法人の方で上げられるということですから、値下げをすることもあり得るということですけれども、一般的にいうと上がる方が多いというふうに思いますので、やっぱり今、中小企業が置かれている現状に立って、支援という立場から、中小企業の負担にならないように料金の面でも配慮することを強く求めておきたいというふうに思います。
中小企業の技術支援の核として都が責任を果たすという点でも、私たちは、独法を改めて、都立に戻して充実を図ることが必要だというふうに考えておりますので、この点についても指摘をしておきます。
同時に、産業技術研究センターを統合して臨海部に移すことは中止すべきだというふうに思います。今深刻な状況にある都内各地にある中小企業、それぞれのところに集積をしているわけですから、その中小企業を支援するという点でも、やはり集積のある近くで研究施設があるというのが、利用を促進するという面からも重要ですし、現在地での整備などを検討していくべきだということを強く主張して、終わります。
○増子委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増子委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○増子委員長 次に、報告事項、東京ビッグサイトにおけるエスカレーター事故についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求しました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○塚田総務部長 報告事項、東京ビッグサイトのエスカレーター事故についてに対しご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。14と15が、東京ビッグサイトのエスカレーター事故についてに対する資料でございます。
一四ページをお開きください。東京ビッグサイトのエスカレーター及びエレベーターの定期点検等の状況では、東京ビッグサイトに設置されているエスカレーター及びエレベーターの点検の種類と、その内容等についてお示ししてございます。
一五ページの東京ビッグサイトの来場者数では、東京ビッグサイトの平成十九年度及び本年四月から八月までの月別来場者数の実績をお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○増子委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○増子委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増子委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
○増子委員長 次に、報告事項、新銀行東京の最近の動向に対する質疑を行います。
○山口委員 この際、参考人招致を求める動議を提出いたします。
○増子委員長 ただいま、山口理事から参考人招致を求める動議が提出されました。
これより採決を行います。
ただいまの動議は、起立により採決いたします。
本動議に賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○増子委員長 起立少数と認めます。よって、参考人招致を求める動議は否決されました。
本件報告事項については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○塚田総務部長 報告事項、新銀行東京の最近の動向に対しご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。3から10までが新銀行東京の最近の動向に対する資料でございます。
三ページをお開きください。新銀行東京の再建計画の進捗状況をお示ししてございます。
損益計算書の当期純利益につきましては、再建計画上の平成二十年度収益計画ではマイナス百二十六億円、平成二十年度第一・四半期決算ではマイナス三十七億円となっております。貸借対照表の純資産につきましては、再建計画上の平成二十年度計画額は四百二十億円、平成二十年度第一・四半期決算額が五百十億円となっております。
四ページは、開業以降の月別の融資件数、残高、返済額、不良債権額について、平成十七年四月から平成二十年六月までの実績をお示ししたものでございます。
右下の表にございますとおり、開業以降平成二十年六月末までの中小企業向け融資の実行件数の累計は一万百七十九件でございます。
五ページでは、開業以降の融資、保証実績で、月別、メニュー別の件数、金額について、平成十七年四月から平成二十年六月までの実績をお示ししてございます。
右下の表にございますとおり、開業以降平成二十年六月末までの中小企業向けの融資と保証を合わせた実績の累計は、実行件数が一万七千四百件、実行金額が二千七百八十三億三千百万円であります。
六ページでは、開業以降の融資、保証実績で、事業規模別の件数、金額をお示ししてございます。
七ページは、開業以降の債務超過企業、赤字企業への融資、保証実績、件数、金額でございます。
一番右側の欄は、平成二十年六月末現在の実績です。件数は、赤字先が千三百四十七件、債務超過先が千七百三十六件、赤字・債務超過先が千九百八十五件で、合計で五千六十八件であります。
また、残高は、赤字先が百五十三億円、債務超過先が八十八億円、赤字・債務超過先が百二十九億円、合計で三百七十二億円であります。
八ページでは、不良債権の状況をお示ししてございます。
平成二十年六月末現在の破綻更生債権及びこれらに準ずる債権の額は百十七億九千二百万円、危険債権の額は二百七億九千六百万円、合わせて三百二十五億八千八百万円となっております。
九ページは、預金規模別の預金者、個人の件数、割合でございます。
平成二十年六月末現在の個人預金者の件数は八万八千四十七件であります。
一〇ページでは、中小企業融資及び保証実績の推移をお示ししてございます。
平成二十年六月末現在の中小企業に対する融資及び保証の残高は、融資が六百四十四億円、保証が四百五十八億円、合わせて千百二億円であります。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○増子委員長 説明は終わりました。ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○神林委員 私は、当委員会で定例会ごとに毎回、新銀行の質問をしておりますので、若干重複するところもあるかと思いますが、確認の意味も少しありますので、ご容赦いただきたいと思います。
新銀行についてですが、厳しい環境にある中小企業を継続して支援するために設立し、現在もその役割を果たしていると考えております。しかし、先日の代表質問において他党から、新銀行東京の存在意義を否定する発言がございました。これは、融資の実行額という一面だけをとらえた誤った認識であると考えております。
改めて、新銀行東京の存在意義について確認させていただきます。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、資金繰りに窮する中小企業を支援するために設立したものであり、その理念は不変でございます。平成二十年六月末現在で約一万一千社の中小企業に対して融資、保証を行い、その残高は一千億円を超えてございます。このように東京の中小企業金融において役割を果たしております。
なお、新銀行東京の存在意義について論ずる上では、第一・四半期という短期的な融資額のみを見るのではなく、現在もどれだけの事業者と取引があるかということも重要なポイントであると考えます。
○神林委員 今、最後にご答弁いただきましたとおり、やはり現在もどれだけの事業者と取引があるのか、これは非常に大切なことだと私も感じております。新銀行東京では今でも約一万一千社もの中小企業を支えているということだと思います。
仮に銀行の経営が行き詰まった場合、既存融資先を初め、その取引先、従業員やその家族などに重大な影響を及ぼしかねません。だからこそ、我が党は四百億円の追加出資に賛成するという重い決断をさせていただきました。新銀行東京を今すぐにでも清算すべきという認識は、中小企業を見捨てることを意味し、全く無責任だといわざるを得ません。今大切なのは、新銀行東京の一日も早い再建に向け、何よりも再建計画を着実に進めていくことであります。
こうした中、新銀行東京の平成二十年度第一・四半期決算が先月公表されましたが、この第一・四半期決算の評価について伺います。
○中村金融監理室長 新銀行東京の第一・四半期決算では、四半期純損失三十七億円、中間期予想純損失七十三億円の約半分と、想定の範囲内でございました。一方で融資実績は三十七億円にとどまっており、また、不良債権比率は一二・六%と高どまってございます。新銀行東京のさらなる努力が必要と考えてございます。
○神林委員 今ご答弁いただきまして、収支の結果である純損失等の状況は理解できました。
新銀行東京の再建のためには、まずは再建計画の着実な推進が何よりも重要なことを強調しておきます。我々としては、決してこの数字に満足しているわけではございません。今後、この厳しい環境の中で、新銀行東京には一層の努力を望むものでございます。
この銀行の再建に当たっては不良債権の抑制が大きな課題と考えられますが、今の答弁では、不良債権比率は一二・六%と高どまりしているとのことでございます。今後の不良債権の発生をどのように抑制していくのか、その対応策を伺います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、与信管理の専門セクションを設けるなど、与信管理を強化しつつ、着実な努力を重ねてございます。また、顧客別に担当者を定め、融資から回収まできめ細かく対応することとしてございます。
中小企業を取り巻く金融環境は厳しさを増しており、不良債権の抑制に向け、新銀行東京の一層の努力が必要であると考えてございます。また、都としても今後の経済状況を注視してまいります。
○神林委員 今、答弁で、不良債権の抑制に向けて努力しているということは報告がございましたが、この徹底を一層図るように、努力するように、こちらも申し上げておきます。
また、新銀行東京は、中小企業を支援するという設立の趣旨を果たせるよう、再建に向け今後も努力を積み重ねていただきたいと存じます。
それでは、先ほど、第一・四半期の融資の実行額が三十七億円と低調だったとの答弁がございましたが、その要因について伺います。
○中村金融監理室長 融資の実行額が三十七億円と低調になった背景には、再建への過程にある新銀行東京にとって、不良債権につながりかねない融資は抑制せざるを得なかった事情がございます。
また、新銀行東京が、本部の移転や店舗の新宿一カ所への統合、人員の削減、執行体制の見直しなど体制整備に注力したことも影響してございます。
○神林委員 ところで、第一回都議会定例会におきまして、既存顧客のうち大企業及び破綻先や延滞している先などを除いた九千を超える融資、保証先については、引き続き支援をしていくとの答弁がございました。中小企業向け融資や既存顧客への折り返し融資の状況について伺います。
特に、新銀行東京は既存顧客への折り返しはしていないという話も聞かれておりますが、実際のところはどうなのかも、あわせてお願いいたします。
○中村金融監理室長 第一・四半期の融資実行件数七十七件のうち中小企業向けは七十件となってございます。そのうち公共工事代金債権信託を除いた中小企業向け融資は二十九件であり、既存顧客への折り返し融資は十二件実行してございます。
新銀行東京が折り返し融資をしていないという話は事実と異なっており、今後とも既存顧客の支援に向け努力をしてまいります。
○神林委員 答弁で、厳しい経営状況の中で、既存顧客の期待にこたえようと努力していることは理解できます。
そもそも再建計画では、資産を圧縮していくため、その過程で融資を行う社数が減るのは、いいこととはいえませんが、やむを得ないことと思います。しかし、そうはいっても、折り返しの件数が少ないことは事実であり、今後の努力をしっかりお願いいたします。
これで第一・四半期決算の状況についてはおおむねわかったわけでございますが、再建に向けた取り組みは、まだ第一歩を踏み出したばかりでございます。第一・四半期決算のみをもって評価を下すのは拙速であると考えております。
今後、営業体制の整備や中小事業者の資金ニーズに対応した商品の開発など、さらなる経営改善に向けた努力が必要と考えますが、東京都の見解を伺います。
○中村金融監理室長 今後、新銀行東京は、営業体制の整備などに一層努力することが必要であり、ご指摘の点につきましては、エリア別担当制を導入するなど、効率的な組織、営業体制を構築していきます。
また、九月から公共工事代金債権信託の取扱団体を拡大し、都に加え、財団法人東京都道路整備保全公社など三つの監理団体の発注する工事も取り扱えるようにしたことでございます。
また、中小企業向けの新商品を開発し、中小企業者の支援に向けて取り組んでまいります。
○神林委員 先ほどもお話ししましたとおり、毎定例会ごとに私は新銀行東京について質問させていただいておりますので、今回は、これを最後としまして--新銀行を取り巻く環境は厳しいとは思いますが、中小企業の期待にこたえるため、再生に向け速やかに体力を回復し、効率的に業務運営を行っていくことが重要でございます。
一方で、経営再建のため安全運転せざるを得ない状況は理解できますが、新銀行東京は中小企業のためにあるという理念は決して忘れないでほしいと思います。そのことを強く主張し、再建に向けたさらなる取り組みを求めて、私の新銀行東京関係の質問を終わります。
○山口委員 そうはいっても、いろいろ伺っていきたいところなんであります。小分けにしながら、幾つかの枠の中で伺っていきたいと思っているんですが、まずは、新銀行東京の人員、組織についてお伺いしていきたいと思っております。
去る八月四日の新聞記事、毎日新聞さんでしょうか、職員の離職が拡大し、人材の流出も進んでいるという記事が出ているわけなんですが、まず、この実態についてお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京では、再建計画に基づき、営業店を新宿一店舗へ集約するとともに、人員をスリム化するなど、執行体制を大幅に見直しているところでございます。おおむね計画に沿った人員削減であり、八月末現在の職員数は、正社員、契約社員、派遣社員を含め、約二百四十名でございます。
○山口委員 人員の削減なのか、減っていってしまっているのかでは、大きく意味が異なってくるわけなんでありますが、四百五十名の人員が二百四十名に減ったと。退職の方式は、組織の内部職員の評価があらわれるわけでありますが、みずから新銀行をやめて踏ん切りをつけた自己都合退職と、新銀行からスリム化計画として退職勧告、そして解雇は、それぞれどのような割合だったんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 退職者の退職理由について、新銀行東京は明らかにしてございません。
○山口委員 この辺が非常に不可解なところでありまして、全くリストラをするといっておきながらも、自主的に退社をされた方がほとんどである。この辺の中身がよく見えてきませんので、突き詰めようもないところなんでありますが、また、幹部や職員の交代が激しい銀行というのは信用が低いと一般的には当然のことながらいわれるわけなんであります。
開業三年がたち、開業当初から勤務している人員は何人ぐらいいるんでしょうか、お伺いします。
○中村金融監理室長 開業当初から勤務している人員については、新銀行東京では明らかにしておりません。
ただ、今、理事が、金融機関にとって重要である信用に言及されましたので、一言つけ加えさせていただきますと、新銀行東京は人員の充実を図りながら開業し、また逆に、開業数年で人員の削減を行わざるを得なくなった事情がございます。開業から勤務している人員をもって銀行の信用そのものをはかることは、いかがなものかと存じます。
○山口委員 お言葉を返すようですが、銀行、当初からどのような問題が起き、現状を迎えているかという、現状を理解されているのであれば、とても今の室長のようなお言葉は出てこないと思いますが、もう一度、室長のお答えを伺いたいと思います。
○中村金融監理室長 金融機関におけるそれぞれの事情の中で、新銀行東京は開業から数年というわずかな期間であるということを申し上げたものでございます。
○山口委員 そのわずか数年で、この新銀行東京に何が起こったのかを、よく覚えておいていただきたいと思います。そもそもその当初から起こっていることをしっかりと把握し、再建するというのであれば、その職員さんたち、しっかりと当初から知っている方々が残っていることが、どれだけ銀行の再建にとって重要なことであるかということを私たちは申し上げたいわけでありまして、その方がだれもいなくなって、今ある現況を立て直そうというのは、到底、厳しい状況にあるのではないでしょうか。
さて、そこで伺いたいんですが、この流出、実態が、お答えいただけませんからわかりませんが、その影響をお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 再建計画に沿った行員数の減少についてでございますが、人員配置の見直しにより効率的な執行体制を構築し、営業力を強化することとしており、業務上の支障が生じないよう努めてございます。
○山口委員 生じないように努められることも大事でありますが、そもそもきちっとした体制が整わないで再建などできないわけでありますから、今後の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
○中村金融監理室長 効率的な執行体制の確保を目指して、平成二十年一月末の四百五十人体制から、平成二十四年三月末には百二十人体制とする予定でございます。
○山口委員 この件に関してもそうなんですが、まずしっかり東京都が銀行の内情を把握すること、責任の所在を明確にすること、この二点を私たちは再三突き詰めてきているわけでありますが、この期に及んでも、銀行が状況を明かさないからまだわからない、答弁ができない、この状況がいまだ繰り返されているわけであります。銀行の中にどんな人が残っていて、どんなふうに再建をして、どういう体制で今後進んでいくのか、そこは伺いましたが、これは計画のとおりであるということだけであります。この辺を把握していかない限り、東京都が監理、監視をしているとは到底いえないのではないでしょうか。
続いて、第一・四半期の決算発表を踏まえて、幾つかお伺いさせていただきたいと思います。
融資実績は極端に落ちていると、これは数字を見る上において、はっきりいわざるを得ません。さらに不良債権額は減少していないわけでありまして、融資の現状、不良債権額の動きはいかがなものなんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 第一・四半期の中小企業向け融資、保証の実績額は約十億円で、前の四半期と比べ、おおむね十三億円の減少となってございます。
また、不良債権額の残高は約三百二十六億円で、十九年度末に比べ二十億円の増加となっております。
○山口委員 三月の再建計画で実施予定であった各種融資、保証の実績についてお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 二十一年三月期の第一・四半期の状況でございますが、成長が期待されるニュービジネスへの重点的支援として六億円、事業意欲が高い既存顧客等への継続的な支援として二十三億円、都と連携した支援として八億円の実績となっております。
○山口委員 先ほども質問がありました折り返し融資の実態というものも、七十七件のうち中小企業向けが七十件、そのうち公共工事代金債権信託を除いた中小企業向け融資は二十九件というお話で、顧客の折り返しは十二件というお話もありました。新たな担保の徴求や保証の要求などから、実質的貸しはがし、貸し渋りの状況が生じていると見受けられなくもないわけなんでありますが、新銀行東京の融資の状況について実態をお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新たな融資に当たっては、折り返し融資を含め、再建計画に従い、担保や保証をつけた融資を原則としております。しかしながら、無担保・無保証で融資されている場合もございます。
既存の融資案件について、期限到来前に返済を求めたり、追加で担保を求めたりすることはしておりません。
○山口委員 今後の収益の糧となる融資は増加せず、不良債権は増加している現状では、金融機関としてもはや成り立っていないのではないでしょうか。金融庁からも、新銀行の収益面を中心に課題があるとはっきり指摘をしているところもあります。
東京都の現状認識をお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 再建計画は、平成二十三年度までの四カ年で新銀行東京の経営状況を改善するための計画であり、開始から三カ月という短期間での経営状況で、金融機関として成り立たないと判断すべきものではございません。
純損失額は約三十七億円で、中間期の業績予想における当期純損失に対し約半分と、ほぼ計画どおりでございます。融資実績や不良債権実績の数字については、新銀行東京の一層の努力が必要と考えております。
引き続き再建に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
○山口委員 再建計画というものを拝見させていただいて、通常であれば、業績が大きく伸び、だれからも信頼がある銀行として立ち直っていくことが再建をするということなんでありましょうが、私から見れば延命計画にしか見えないわけでありまして、この先がどのようになっていくのか。四半期別で判断をしてほしくないというお答えでありましたので、今後の動向を楽しみに拝見させていただきたいと思っております。
私はこんなにエキサイトするつもりはなかったんです、室長にあおられてしまったもので何だかかっかしておりますが。
新銀行東京の動向を見ると、極端に業務を縮小しており、中小企業を取り巻く経済状況が厳しい現在、自社の経営が苦しくて融資ができず、実質的な貸し渋りが生じているのは、これはもう事実であります。また、貸出債権をバルクセールによってサービサーに売却したり、中小企業支援の趣旨と乖離した、ファンドによるべンチャー支援等の事業展開を行うなど、当初の設立理念からは残念ながらかけ離れてしまっているといわざるを得ません。
金融機関では融資と回収というのは車の両輪の関係であると、私はこの委員会でも再三申し上げておりますが、不良債権が増加しているということは、回収が進んでいないのではないでしょうか。
四月以降の回収業務の状況はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 不良債権が増加しているのは、必ずしも回収業務の取り組み状況に起因するものではございません。不良債権の多くは、中小企業を取り巻く金融環境が厳しさを増しているために貸出先企業の経営状況が悪化し、貸出債権が劣化したものでございます。
そのような厳しい状況の中、新銀行東京では、与信管理の専門セクションを設けるなど、与信管理を強化しつつ適正な回収に取り組むなど、着実な努力を重ねているところでございます。
○山口委員 先ほど、各種の融資、保証の実績をお伺いいたしましたが、昨年までのスコアリングモデルによる融資から、原則担保・保証つきの融資へと大きくかじを切っているわけであります。
三月の委員会では、再建計画上の現行取引先が一万三千社とのことでありましたが、現状はどのようになっているでしょうか、お伺いいたします。
○中村金融監理室長 第一回定例会においては平成十九年十二月末現在の実績を申し上げたものでございますけれども、平成二十年六月末現在の取引企業数は約一万一千社でございます。
○山口委員 取引先が減少しつつあるという実態も、これでわかるわけなんでありますが、本会議で酒井議員の質問に対して、無担保・無保証融資の実績が、昨年度は二百九十五件で三十八億円、今年度第一・四半期は十七件で二十七億円との答弁がありました。それぞれ中小企業の数は明らかにできないものでしょうか。いま一度お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、無担保・無保証の融資の実績について、企業規模別の内訳は明らかにしておりません。
○山口委員 内訳は明らかにしていないということでありますが、一件当たりの平均融資額が一億五千万を超えるものであることは、これは計算すればすぐわかることなんでありますから、大企業向けの融資が相当数占めていることが想像できるわけなんです。中小企業支援を標榜していながら、このわずかな融資実績の中で大企業向け融資が多く占めているこの融資実態を、東京都としてはどのように認識をされているんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 中小企業支援を標榜していながら、そうではないとのご指摘でございますけれども、適正な審査のもと、当然、中小企業に対して新銀行東京は無担保・無保証融資が行われていると聞いております。
○山口委員 中小零細企業を救うといってきた新銀行東京が、この数字を見てもわかるように、中小企業は--定義でいえばもちろんそうかもしれませんが、果たして本当にそうなんでしょうか。もう一度室長にお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 ただいまのご質問は、平成二十年度第一・四半期の実績をもって評価されていると思いますが、新銀行東京は、資金繰りに窮する中小企業を支援するために設立したものであり、その理念は不変でございます。平成二十年六月末現在で約一万一千社の中小企業に対して融資、保証を行い、その残高は一千億を超えております。東京の中小企業金融において必要な役割を果たしていると考えております。
○山口委員 都民の側から見て、本当に都民のためのお役立ち銀行となっていると室長は思われているのかどうか。知事は、第二回定例会本会議で新銀行の理念についてお伺いしたところ、高い事業意欲がありながら、技術がありながら資金繰りに窮する、中小企業じゃない、小零細企業を支援するためにこれを設立したものであると答弁をされているわけです。
しかし、これまでお聞きした融資の実績や債権回収の実態から、設立当初の理念が非常に疑わしく感じられるわけであります。また、今、私が質問したことに対しても、役割を果たしているというお答えでありましたが、この件に関しても、私たちは強い疑念を感じざるを得ません。しっかりとその意義を果たしているのかどうかは、これから先もしっかりと確認をし、そして東京都も、この融資の実態、中身についても把握をしていくべきだと考えますが、室長はいかがお考えでしょうか。
○中村金融監理室長 融資の実態につきましては、それぞれ営業の秘密というところもございます。可能な限り、営業に支障が生じないというようなところの範囲内で、できる限り公表していきたいというふうに考えております。
○山口委員 新銀行東京の性質というのは、公的資金といいましょうか、公金がこれだけ投入されていて、中小企業のために、都民のための銀行として、その理念を掲げているわけですから、東京都がそれをしっかりと把握していかなければ、だれがこの銀行の監視をし、そして、監理室長がその発言では非常に心細いなと思うところであります。
それでは、その都の監視の体制についてこれから伺っていきたいと思っているんですが、新銀行の経営監視や支援を強化する観点から金融監理室が創設されて、第二回定例会の委員会では、情報が開示されなかったことによって、ここまでの状況になるまで、私たちはこの一つ一つのことを知り得なかったわけであります。この状態が二度と繰り返されないように、この機関がしっかりと機能することを私たちは強く要望いたしたわけでありますが、その後、金融監理室の新銀行東京へのかかわり方が変化をしたのかどうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 再建計画が円滑かつ効果的に実施されるよう、新銀行東京の経営支援及び監視を行うために産業労働局内に金融監理室を設置し、経営監視のあり方を見直したところでございます。
過去においては、旧経営陣により事実が隠ぺいされたり、適切な報告がなされず事態の把握がおくれたことがございます。このため、具体的には、株主連絡会の開催回数をふやすなど、新銀行東京との連絡を密にすることや、損益や不良債権の管理状況など、経営状況や再建計画の進捗状況に関し報告を受けるとともに、議会審議やさまざまな広報媒体を通じて、都民の理解が得られるよう説明に努めてまいりました。
○山口委員 今後の情報開示に、今ご答弁いただいたことがどのようにつながっていくのか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 今後においても、新銀行東京から報告を受けた経営状況や再建計画の進捗状況については、原則として四半期ごとに、銀行の経営に影響を及ぼさない範囲で可能な限り情報を開示してまいります。
○山口委員 さて、それでは、責任の追及、責任の所在の考え方についてお伺いしていきたいと思います。
知事は本会議で、そもそもだれの責任かとの私たちの問いに対して、その経営の失敗により多額の損失を計上し、資本を毀損したことについて重く受けとめていると発言をされ、局長は、旧経営陣に対する責任追及は調査を進めていると答弁されました。
三月に責任追及の話題が出てから、余りに時間が経過し過ぎているわけなんでありますが、この間の経過はいかがなものだったんでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
○中村金融監理室長 旧経営陣に対する責任追及については、新銀行東京が外部の弁護士に委託を行い、現在、旧経営陣における経営判断などさまざまな観点から、法的対応を視野に入れた調査を進めており、年内をめどに調査結果を得る予定と聞いております。
○山口委員 そもそも責任という言葉の解釈の仕方、その時期、とり方によって大きく変わってくるわけなんでありますが、そもそもこの責任は旧経営陣だけにあるものなんでしょうか。新銀行設立に関与した方々も含めて、改めて責任の所在に対する考え方をお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 設立に関与したことをもって、経営に関与していない方々への経営責任を問うことはなかなか考えにくいと思います。
一方、経営の失敗により多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を毀損したことは重大であり、新銀行東京の旧経営陣の責任は免れないと考えております。
○山口委員 それは当然そうでしょう。それはもう当たり前のことでありますが、私たちがいっている責任は、もちろんそこもそうですが、そのきちっとした把握をせずに、この状況になるまで知らなかったと知事がいうほどの状況にまで放置しておいたことの責任や、先ほどもお話をしたように、経営に関することに限らず、さまざまな責任がこの問題には所在しているんじゃないだろうか。再三これは第一回定例本会議から皆様にお話をしてきているところでありますが、その辺に関する東京都の認識というのは変わらないんでしょうか。改めて伺いたいと思います。
○中村金融監理室長 現在、旧経営陣における経営判断などさまざまな観点から、法的対応を視野に入れた調査を進めており、年内をめどに調査結果を得る予定という段階でございます。
○山口委員 知事の責任も含め、我々はこれから先も、しっかりとこの問題、なぜこんなことになったのかということも含めて、設立の理念や考え方は間違っていなかった--私たちも賛同したところもございますし、その辺も含めて、これから先、責任というものを東京都がどのように考えていくのか。銀行もどのように考えていくのか。また、旧経営陣、経営に携わった方々に東京都がどのように責任を追及していくのか、そのあたりもしっかり、その責任の所在というもの、意味というものを東京都もいま一度考えていただきたいものだと思います。
また、さらに知事は、九月には新たな展開を報告するようなことを述べていらっしゃるわけなんでありますが、九月末になっても報告がないということは、今回の米国発の金融ショックが大いに影響しているのかと暗に想像してしまうわけなんでありますが、新たな展開についての状況はいかがなっているんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 本会議でお答えしたように、事業連携の進捗状況については、その性格上、答えることは差し控えさせていただきます。知事が申し上げたように、明らかにできる段階になれば報告いたします。
○山口委員 旧経営陣の経営責任を調査した新銀行東京調査委員会報告書についてお伺いしたいわけなんでありますが、開示を私たちは求めているわけなんでありますが、その進捗状況についてお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 他の人による情報公開の申請状況につきましては、一般に当事者以外の方にお話をすることは適当ではございません。
また、現在裁判で係争中の案件についても、都としては内容をお話しすることは適当でないと考えてございます。
○山口委員 細かい経過はお話をしませんが、この調査報告書は本来、開示をされるべきであると私たちは考えているがゆえに、資料要求もしたわけなんでありますが、その認識をお伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 新銀行東京は、本報告書について、旧経営陣の責任を追及する場合に重要な資料となること、また、個人が特定される可能性がある情報が含まれることを理由に、開示すべきでないとしており、都としてはその判断を尊重いたします。
○山口委員 話題を変えまして、減資についても幾つかお伺いしたいと思います。
去る六月三十日、新銀行東京は、港区の貸し会議室で行われた株主総会で、八四・二%の議決権を持つ大株主である東京都などから、減資の承認決議の賛同を得ました。東京都からは佐藤産業労働局長らが出席をされているわけでありますが、その後、商法の規定により、債権者保護異議申し立て公告などを行う手続を行いました。株主総会では、減資に関して質問、意見などはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。債権者たちからは異議申し立てがあったのか、なかったのか。そして、都はこれを聞いているのか。あったとすれば、どのようなものなのか。それぞれお伺いしたいと思います。
○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京の減資の手続に関するご質問でございますが、まず株主総会につきましては、その中でのやりとりについてはちょっと承知しておりませんけれども、全会一致で議決をしているところでございます。
また、債権者の異議申し立て手続のお話がございましたが、こちらにつきましては、債権者から異議の申し立てはなかったと聞いております。
○山口委員 もう一問伺いたいんですが、新銀行は、銀行法に基づき金融庁に対して減資の申請をいたしました。そして、八月の二十九日、新銀行は金融庁から減資認可の連絡を受け、霞が関の金融庁に向かい認可状を受領、そして新宿に戻り、都の産業労働局に減資の認可について報告をしております。
そこで、産業労働局では、新銀行の減資に伴う損失処理の必要を財務局に伝え、財務局は、財源対策も含めた調整の上、五百四十億円の補正予算見積書を作成していると伺っています。同日、同日ですよ、東京都は各段階の査定を行い、知事の決裁を仰ぎ、総額九百三十五億円の緊急対策として発表したわけであります。これは、予算議会における新銀行への追加出資四百億円という補正予算調製二日間を上回る、一日という驚くべき速さのスピードで予算調製をしたことになるわけであります。
このとき、新銀行からは都へどのような説明、要請が行われたのか、この短時間で。また、所管局として、新銀行東京が八月三十一日に減資を行っているので、都の出資金八百六十一億円が失われたことに対する見解についても改めてお伺いしたいと思います。
○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京は、六月三十日の株主総会で減資の決議をいたしまして、所定の手続を経まして金融庁に認可申請をしておりましたが、八月二十九日に新銀行東京から、申請どおり金融庁から減資の認可がおりた旨の連絡がございまして、財務局にはその旨を伝えたところでございます。
所管局としての見解ということでございますが、産業労働局といたしましては、減資は、過去の負の遺産でございます累積損失を解消することで新銀行東京の財務体質の改善を図ることができ、再建に向け必要なものであると認識しているところでございます。
○山口委員 目的がいまいち見えてきませんが、もちろん、やらなければいけないということは理解できないわけでもありませんが、どうしてそんなに急ぐ必要があったのか、焦る必要があったのか、理解もできませんし、説明もございませんでした。
その理由の一端でもあるのでしょうか、金融庁の検査についてお伺いしたいと思います。
金融庁の新銀行東京に対する立入検査が五月の十六日から開始され、七月二十五日に終了いたしました。都は、立入検査が近づく四月三十日に四百億円に上る追加出資による増資を行い、新銀行の資本増強に努め、最大限その準備を行ってまいりました。そして、検査結果は、立ち入り終了から三カ月以内を目途の来月、十月二十五日までに新銀行東京に通知が行われる予定であります。この検査結果が果たして、新聞報道が行われるような、厳しい、または適切な行政処分が行われるのか、銀行側で経営の改善計画を作成する対応などで済むのかは、現在のところ審査中であり、わかりませんが、検査結果は新銀行の健全性の判断に極めて重要なものであります。
我が党は金融庁との会合の中で、検査結果の第三者への開示について質疑を行いましたが、それは銀行に対して行うもので、都が金融庁にその開示を求めても開示しないことを確認いたしました。しかし、その行為には金融庁も、指針によるものとして、法的根拠はないと述べています。そこで、検査結果に関しては、公益性があるときの開示のあり方が検討されるべきであります。
そこで質問いたしたいのですが、都は、金融監理室を新たに組織化して銀行の監視を強化しているわけでありますが、金融庁の検査を重視し、行政処分が出る場合なども想定をしているのかどうか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 金融庁の新銀行東京に対する検査は現在も継続中であり、かつ仮定のお話なので、お答えはしかねます。
都としては、新銀行東京の再建に関し、経済状況を初めとする外部環境などについても、その影響の把握に努め、引き続き適切な監視を行ってまいります。
○山口委員 第一回、第二回の定例本会議の中で、四百億円の追加出資の申し入れがあった時点で、新銀行東京は極めて厳しい問題があるということは、これはもう明らかなわけであります。さらに、再建計画を立てたことにしても、検査に対する対応を考えておくことや、都民に対してどう責任を果たし、説明を果たしていくかということは、これは東京都として当然のことであるわけであります。最悪の場合はどういうふうになっていくのか、そういうことをきちっと、残りあと三分の一の期間が残されているわけですから、考えておくべきだと思いますが、いかがか。これはお伺いしても恐らく同じ答えでしょうから、もう時間もかなり経過してしまったので、次に行きましょう。
ちょっと踏み込んでお話をしますが、東京都は、行政処分にかかわらず、新銀行の検査結果を把握したい、これは考えていらっしゃいますよね。それはどのようにお考えでしょうか。
○中村金融監理室長 金融検査は、国家的な金融秩序の安定などを目指すため、金融庁が銀行法に基づき実施しているものであり、その結果については不開示とされております。したがいまして、新銀行東京に対する金融庁の検査結果を都に対して開示するよう求めることは、国の金融政策に照らして適正ではないと考えております。
なお、都においては、新銀行東京の経営状況や再建計画の進捗状況を把握するために、引き続き監視に努めてまいります。
○山口委員 仮に行政処分でないならば、その通知内容は全くうかがい知ることができないわけなんです。そこで、新銀行や金融庁にどのように働きかけて、検査結果の内容を把握するつもりなのか。その辺は東京都としてどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
○中村金融監理室長 金融庁の検査は、被検査銀行のその後の運営に反映して改善することが目的とされており、新銀行東京においても経営に適切に反映すべきであると考えております。
○山口委員 そうおっしゃるのであれば、例えば業務改善命令とか、最悪の場合、業務停止命令なんていうものが来るかもしれない。この場合というのは公開されるんです、これはもう。ただし、そうではないけれども、ある程度厳しい状況にはあって、改善計画をもう一度立て直しなさいとか、そういう厳しい判断を銀行に求められた場合に、それはどういう状況になっているんだというふうに東京都が把握するのは、これはもう当たり前のことなんじゃないですか。
今のお考えを聞いていると、行政処分が出ない限りは東京都は知らなくてもいいんだ、そういうふうに表明をされているように受けますが、そういうことですか。
○前田次長 金融庁の検査結果につきましては、理事、今お話しのように、業務改善命令として出る可能性、それを踏まえて出る可能性もありますが、検査結果そのものは被検査銀行にのみ通知する、公表を予定されていないものと扱われていると承知しております。
金融庁の検査は、被検査銀行のその後の運営に反映して改善することが最大の目的でありまして、ただいま室長からお答えしましたように、新銀行東京においても経営に適切に反映すべきであると考えております。
東京都といたしましては、新銀行東京の改善、どこがどのように改善されたかということを適切に把握してまいります。
なお、先ほど、新銀行の行員の問題で、室長と少し激しいやりとりがあったかと思いますが、本日の要求資料でお示しいたしましたように、新銀行は平成二十年六月末で八万八千件を超える預金をお預かりしております。そうしたところに、行員の出入りをもって信用が低い、こういうようなご指摘を受けて、私どもはそれに対して、はい、そうですかというようなお答えはするわけにはまいりません。ここは公の開かれた場でございますし、銀行は信用商売であるということをぜひご理解賜りたいと存じます。
○山口委員 なぜ今そういうお答えを、突然、次長が出てきてお答えになられるのかがわかりませんし、そもそも、そのときにそうおっしゃればよかっただけのことでありまして、次長がそう思われたのと、室長がそうお答えにならなかった、その辺の見解の相違が理解できませんが、そもそもそういう考えであることは、それはもちろん当然のことであるわけでありまして、すべての面から見て、情報がなくとも、その新銀行東京の情報を見る人が信用ができなければ、信用できないんですよ。だから、あらゆる情報を、私たちは質問をして、お答えいただきたいといっているんです。別にその一点をもって信用に値するかどうかということを話をしているわけじゃないんです。
だから、さまざまな質問をしていく中の一端としてそのお話をしているわけでありますから、その一例をとって、銀行の問題について、あたかも私たちが何か信用していないような話をされるのも心外ですし、していませんが、そもそもそういった一つ一つを、そこで反論されるのもどうかと思います。
金融庁の検査結果については、先ほども申し上げましたが、これはあくまで指針によるものであって、法的根拠はないんですよ。開示をしてはいけないという法的根拠はないんです。だからこそ、東京都は、これだけの税金が投入されていて関心度が高い、この状況下において--調べてありますから、間違いありませんよ--その問題について、しっかりと情報開示を求めていくべきではないでしょうか、把握をしていくべきではないんですかと私たちはいっているんです。
される気がないというお答えでありましたから、それについてもう深くはお伺いしませんが、最後に一問だけ伺いたいと思います。
新銀行は、公的資金が支出をされて設立された、特に公的要素が強い銀行であります。そこで、都は、新銀行の預金者を初めとした利用者そして都民に、何らかの形で、新銀行からの検査結果の内容を反映した計画など必要な情報を得て、公開し、説明責任を果たしていくべきだと私は考えている。これはもう再三繰り返している。もしくは、新銀行東京自身が行うべきだと考えておりますが、東京都はどのようにお考えでしょうか。お伺いしたいと思います。
○前田次長 現在、新銀行東京が厳しい経営状況にありまして、再建が急務であることは、私どもも何ら、同じ考えでございます。
それについて、今、委員のお話で、新銀行は特に公共的要素が強いというお話がありまして、確かに東京都の公金をつぎ込んでおりますので、公共的要素はもちろん、ご指摘のとおりございます。しかし、銀行法上の銀行につきましては、他人のお金を預かって取り扱うわけですから、新銀行東京に限らず、すべて法律によって公共的性格を持つ、このように規定されてございます。そうした中で、金融庁は、その公共的な性格を担保する観点から、法律に基づいて金融検査をしているものと承知しております。
したがいまして、私どもが、そうした性格を持つ金融庁の検査を株主である東京都に特別に通知せよという考えは適切ではないと思っていることにつきましては、先ほど室長から答弁したとおりであります。
しかし、それが新銀行の経営改善に無関心であるとか、そういうことではなくて、先ほどいいましたように、新銀行東京は、金融庁の検査結果が出れば、それに基づいて経営に適切に反映する、これは当然であります。私どもは、どこをどのように改善したのか、ちゃんとしているのか、そういうことは当然、所管局として適切に把握してまいります。
○山口委員 恐らく、これから先の争点は、その辺がかなり重要なかぎを握ってくると思います。
新銀行東京の立場とは一体どういうものか。今お話があったように、当然、株式会社でありますから、東京都の外郭団体でもありませんし、東京都の組織内にあるわけでもありません。しかし、これだけの税金が投入をされて、東京都の責任も明確にし、立場を明確にし、そして東京都も、これだけの職員を送り込むなり、局内に金融監理室までつくり、これだけの関心を持っているにもかかわらず、肝心なところは、銀行に経営を任せます、情報はうかがい知れません。この辺の温度差といいましょうか、格差といいましょうか、この辺の感覚の違いが、今この質疑のすれ違いにも出ているんだと思いますので、私たちは、これから先も細かにこの件に関しては伺ってまいりますし、気持ちはよくわかりますが、東京都はきちっとこの状況を把握し、都民に説明をする責任があるんだということをしっかりと認識していただくよう改めて要求をして、質問を終わりたいと思います。
○木内委員 丸い卵も切りようで四角という言葉があるわけです。今まで、お二人がそれぞれの立場から、第一・四半期の報告を踏まえて質疑を展開されたわけでありますけれども、再建を支援する立場で物をいうか、あるいは、再建に向けて努力するこの実態に対して全面否定する立場でこれを批判するか、これによってこれほど議論の切り口が異なってくるということを、実は今、お二人の質疑を聞いて実感したわけであります。ただ、いえることは、いわばこれだけのテーマについての議論でありますから、常に冷静にこれに向かわなければならない、こんなことも思いました。
私は、懸命に努力する中小企業の苦境を救済するため設立された、この新銀行東京の本来の設立の趣旨というものを尊重し、重視しながら、再建を支援していく立場で、きょうは何点かお尋ねをしたいと思うのであります。
まずその第一は、新銀行東京の減資につきまして、これまでの間、議会でもいろいろやりとりがあったわけでございますけれども、さまざま人口に膾炙される中で、いまだに減資に対して疑問視する声が仄聞されるのであります。都民の率直な現場の意見の中に、減資とは一体どんなものなのか、この点が正しく理解されていないことを感じるのであります。ひとえに減資といってもいろいろな手法があると聞いておりまして、まず一般的な減資の手法についてご報告を願いたい。
○櫻井金融支援担当部長 減資の一般的な手法についてのお尋ねでございますけれども、株式会社は、会社法四百四十七条によりまして、まず資本金の額を減少させることが認められております。また、四百四十八条におきましては、資本準備金の額を減少させることが認められているところでございます。
減資には二つの方法がございます。資本金と資本準備金を減少させ、その減少分をもって欠損金を解消させる、会計上の処理である形式的な減資と、もう一つは、財産の払い戻しにより企業価値、会社財産の変動を伴う実質的な減資がございます。また、減資のみで行われることはまれでございまして、増資や債務の株式化などの資本増強策や株式交換など、いわゆるMアンドAとの組み合わせで行うことが一般的でございます。
○木内委員 今、減資についての概念、手法についてお尋ねをしたわけでありまして、本年六月の第二回定例会のこの委員会でも伺ったところでありますけれども、それでは、なぜ今、新銀行東京の減資を行う必要があるのか。このたびのこのケースに対して減資を行うこと、この意義また効果について明確にしていただきたいと思います。
○櫻井金融支援担当部長 減資の意義、効果についてでございますが、今回の追加出資に加えまして、減資により過去の負の遺産でございます累積損失を解消することで、財務体質の改善を図ることができます。これによりまして再建に向けた取り組みを強化するためのものでございます。
また、資本が小さくなることによります税負担の軽減による経費削減効果や、将来の株主への配当可能時期が前倒しになる可能性が高まるなどのメリットが考えられるところでございます。
○木内委員 過去の負の遺産である累積損失を解消することで、財務体質の改善を図ることができる、あるいは再建に向けた取り組みの強化を可能とするという、各部面におけるメリットというものがあるわけでありまして、これについてのご説明をいただきました。
ところで、過去に、今回の新銀行東京のケースのような減資を行った金融機関の例があれば、お示し願いたいと思います。
○櫻井金融支援担当部長 金融機関におきましても、経営再建の過程では減資は一般的に行われているところでございます。過去には、平成十五年六月の銀行持ち株会社でございますりそなホールディングス、平成十七年六月のびわこ銀行、平成十八年六月のイーバンク銀行及び平成十九年六月の熊本ファミリー銀行などの事例がございます。また、最近でも、本年七月には足利銀行が減資の決議を実施しております。累積損失を早急に圧縮し、適切な資本構成への改善を図ることを目的としているとのことでございます。
○木内委員 過去の例で共通していることは、適切な資本構成への改善を図ることを目的としている。今回も御多分に漏れず、再建に向けての大きな実はプロセスの一つであるということで私は受けとめているわけであります。
減資とはどんなもので、どのような意義があって、効果があって、過去の事例等についてこれまでの答弁で明らかにしてきたわけでありますけれども、そこで、今回の新銀行東京の減資における具体的な手法はどういうことでありましたか。
○櫻井金融支援担当部長 今回の新銀行東京の減資は、先ほどご説明いたしました、資本金と資本準備金それぞれを減少させることにより過去の累積損失を相殺する、形式的減資で行っているところでございます。
具体的には、資本金を約六百七億円減少させ二百億円に、資本準備金を約四百九億円減少させ約三百七十二億円にし、減少分合計が一千十六億円となりますが、これをもちまして、二十年三月期決算時点での累積損失一千十六億円全額を欠損てん補したところでございます。結果といたしまして、減資後の資本金と資本準備金の合計は五百七十二億円となったところでございます。
○木内委員 減資の手法についてはよくご説明いただいたわけでありますけれども、先ほどの答弁によりますと、増資と減資を組み合わせて同時に行うのが一般的ということでありますけれども、なぜ新銀行東京の場合は増資を先行して実施したのですか。
○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京は、四月にまず四百億円の増資を先行して実施し、その後、減資を実施しております。新銀行東京の経営状況を踏まえますと、財務体質の強化を図り、新しいビジネスモデルを早く軌道に乗せることが不可欠であり、早期に追加出資を行う必要があったためでございます。
一方、減資につきましては、この四月の時点では決算が確定しておらず、減資により解消すべき損失の額が明らかではございませんでした。このため、銀行といたしましては、決算が確定をした六月のタイミングで定時株主総会に提案したところでございます。
○木内委員 いわゆるこのケースにおける今回の手法というものが、今の説明で、整合性のある再建に向けての努力の形の一つであるというふうに受けとめたいわけでありまして、いわれた新しいビジネスモデルを早く軌道に乗せることが判断として不可欠であったなどの理由が明らかにされたわけであります。そのプロセスの一つに、この株主総会云々の今のご説明があったわけでありまして、今の説明で、新銀行東京が先行して増資を行った理由というのはよく理解できるわけであります。
ところで、今もちょっと触れておられましたけれども、減資を実施するまでにはさまざまな手続が必要だというふうに聞いておりまして、実際の手続の流れと、どのような手続を経て減資が行われたか。先ほどから質疑があったところでありますけれども、明確にされたいと思います。
○櫻井金融支援担当部長 減資を実施いたしますためには、会社法の定めによりまして、株主総会の特別決議を必要といたします。その後、会社法の定めによりまして、減資に関する公告、催告を行いまして、一カ月以上の債権者保護手続を経る必要がございます。預金者などの債権者は、この間に減資について異議を述べることができることになっております。債権者保護手続期間経過後は、銀行は、銀行法の定めによりまして、金融庁の認可が必要となります。認可をもちまして減資の効力が発生いたします。その後、資本金が減少したなどの商業登記の変更手続をやることになります。
新銀行東京の場合でございますが、六月の定時株主総会におきまして株主の承認を得て、一カ月以上の債権者保護手続を経た後、監督官庁でございます金融庁に認可申請の上、適正に減資に関する認可を得たと聞いております。最終的に、八月三十一日をもちまして減資の効力が発生しているところでございます。
○木内委員 経過と手続に瑕疵はなかったというふうに判断をいたします。適正な手続を経て実施されているわけでありまして、先ほどの議論もありましたけれども、これは都民の方が聞いて、一体どちらが正しいのか、判断に迷うかとも思うのですけれども、例えば株主総会での他の株主の反応についてはどうだったのでしょうか。また、債権者保護手続期間中の異議申し立てについても今答弁がありましたけれども、この状況は事実どうだったんでしょうか。
○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京の定時株主総会でございますが、東京都以外の他の株主からも減資について承認が得られているところでございます。全会一致で決議しているところでございます。
また、債権者保護手続期間中に預金者などの債権者から異議の申し立ては行われなかったと聞いております。
○木内委員 都以外のほかの株主などから、今回の減資について特に反対の声がなかったということは、新銀行東京の再建のために必要な手続であるという共通した認識を得ているということではないかと思うのですよ。
本会議の中でも説明がありましたけれども、今回のこの減資によって、都の追加負担が生じるかのような誤った意見を持っている人もいるようでありまして、この論理といいますか、誤解をもって批判をする向きもあるようでありますが、改めて、そうではないということを明確に答弁願いたいと思うんです。
○櫻井金融支援担当部長 今回の新銀行東京の減資に伴います減債基金への積み立てでございますが、これにつきましては、もともと将来の償還に備えて順次積み立てていくべきものを、時期を前倒しして積み立てるものでございまして、追加負担ではないと、代表質問におきまして財務局長がお答えしたとおりでございます。
○木内委員 私は、今回の第一・四半期の報告を踏まえての議論というもの、これをもって拙速な判断は避けるべきだし、再建に向けてひとつしっかり後押しをしてまいりたいと思います。その意味で、今この時期に、課題となる点について都民の皆さんの間に誤解があったら、これはしっかり解かなければならない。再建に向けて、懸命な各分野からの策を講じている実態というものを理解してもらう必要があると思うわけであります。
今の説明にもありましたけれども、今回の減資は、新銀行東京が今後再建を果たしていくために必要な措置だったということは、やりとりの中で明らかになったわけでありますけれども、しかし、そうだからといって、誤解を恐れずに申し上げれば、一方で、都民の貴重な財産を毀損したことは事実であります。そのこと自体はしっかり重く受けとめて、そして再建に向けて努力すべきことはもとよりのことである。このことはあえて申し上げておきたいと思うのであります。
さて、先ほども議論がありまして、なるほどそういう考え方もあるんだなという新しい感慨を持ったわけであります。現在、新銀行東京に対して金融庁の検査が実施されているということでありますけれども、この検査に関連して伺うんです。
先ほど、まさにそういう意見があったわけでありますけれども、金融庁に対して検査結果を早急に公表するように都が求めるべきといった意見もあるようであります。そもそも検査結果というものは公表することができるものなのかどうか。確かに議論を聞いておりますと、これだけの都民の血税を投入して設立した新銀行東京は、公的な性格を強く持った機関であると。この新銀行東京がこういう事態になった。折しも金融庁の検査が入っている。公的機関の検査が公的性格の強い新銀行に入っている。この検査結果をつまびらかに、明らかにすべきだというのは、私は一方で一つの考え方だとは思うんです。私にもそういう考えはないわけではない。ただし、私なりにいろいろ、実は公認会計士を初めとして弁護士等に確認をいたしまして、その一方的な議論は決して正しいものとはいえないという言質も実はいただいている経過があるわけであります。
先ほど答弁の中で、検査を受ける金融機関やその取引先の権利、競争上の地位やその正当な利益を害するおそれがあることなどなど、何点かにわたってご説明があって、そうした理由から不開示とされている。一方で、お名前を挙げて申しわけない--今おられないのかな。私は、自分が同じテーマについて質問するときは席を外しません。人の意見も聞く。また、自分の意見も聞いてもらいたい。先ほど質問された方はよく勉強されていたと思うんですけれども--本当にいないんだね。(笑声)お名前はあえて申し上げませんが、例えば、あの方々が勉強会を開いたときに、法的根拠はないという金融庁のコメントがある、不開示に対していっているというのですね。だけど、私は先ほどのやりとりを聞いていて、私なりに考えて、産労局の担当部長がいわれる、実態に即した対応、幾つかの点にわたって挙げられた理由に基づく判断というのは正しいのではないかと、率直に思いました。
そこで、重ねてもう一度確認させていただくわけでありますけれども、一部に、金融庁に対して検査結果を早急に公表するように都が求めるべきだ、都はこれを明らかにする努力をすべきだという意見がありますけれども、これはできるものなんですか。明確にしていただきたい。きょうの大事なポイントであります。
○中村金融監理室長 金融庁は、金融検査に関する基本指針において、個別の金融機関に関する検査等の内容については、検査を受ける金融機関やその取引先の権利、競争上の地位やその正当な利益を害するおそれがあること、将来の検査一般において正確な事実の把握を困難にするなど、検査の実効性を損ねるおそれがあること、金融情勢全般に不測の影響を与えるおそれがあり、金融システム全体の安定性が確保されないおそれがあることなどの理由から不開示としております。
○木内委員 今、極めて明快な答弁だったと思います。検査内容を開示すると、検査の実効性を損ねたり、金融情勢に不測の事態をもたらし、金融システムの安定性を損ねたりするおそれがあるということが理解できるわけであります。
しかし、私はあえてお尋ねして確認をいたしたわけでありますが、私とて実は、金融庁の調査結果などなど、先ほど申し上げた理由で、実態というものをすべからく明らかにして、再建への努力を重ねることが大事だ、そういう気持ちはありますけれども、一方で、実はいわゆるそういう実体的ルールというものがあるわけでありますので、これをよく理解してまいりたいと思う。また同時に、むしろ最も大事なのは、先ほど前田次長も明快に答弁されておられたけれども、今後、検査終了時に検査結果が通知された際には、新銀行東京はその結果を真摯に受けとめて、これをその後の業務運営に適切に反映していくべき、こういわれておりますし、実際そう思うわけでありますが、見解を伺いたいと思います。
○中村金融監理室長 金融機関は、その監督官庁である金融庁の検査結果に従う必要があります。開業後初の金融庁による検査でもあり、今後の新銀行東京の経営に有用な指摘をいただけると考えております。新銀行東京は、金融庁からの検査結果を真摯に受けとめ、ご指摘もございましたように、今後の業務運営に生かしていくべきであると考えております。
○木内委員 今の答弁のとおり、金融庁の検査結果が出た際には、新銀行東京はこれを真剣に受けとめ、今後の経営改善に生かしていただきたい。このことを強く要望したいと思うんです。
それからもう一点、先ほど来の議論の中で、新銀行東京の職員の問題について議論がありました。あの議論というものを、都民を代表する方の意見として一方的に喧伝されますと、先ほどの答弁にもあったように、金融機関としての大きな信頼性の欠如につながりますので、私はあえてこの問題をもう一度確認したいと思うのです。
私は、今回の新しい人材の登用のあり方、それから新しい経営体制の布陣など、これは再建に向けての努力であると受けとめたいのであります。新銀行東京は人材流出がとまらないという報道がありますけれども、先ほど来の説明で了としたいと思うのですが、これを話としてひとり歩きをさせてはならない。むしろ、説明すべきは説明責任をしっかり果たしていただかなくてはならない。この人員数の問題、あるいは計画に沿った形での人材の確保、登用ということが行われているのかどうか、もう一度はっきりおっしゃっていただきたいのであります。いわば有能な人材の確保というものは、組織を維持する上で大変大切なことでもありますし、現在の行員の状況についてご報告をまず中村室長から、あわせて、この問題について前田次長からもご答弁をお願いできればと思います。
○中村金融監理室長 再建計画では、平成二十年一月末現在で四百五十名であった人員を、平成二十四年三月末に百二十名まで削減すると定めております。平成二十年八月末現在、人員は約二百四十名であり、おおむね計画に沿った形で人員の見直しを進めており、人材流出がとまらないという事実はございません。
また、業務の見直しなどの執行体制の見直しを行い、効率的な執行体制の確立に努めております。
○前田次長 新銀行東京に限らず、金融機関すべてそうですけれども、そこの行員、人的資源というのは、その営業活動あるいは経営を継続する上で非常に重要な部分でございます。
新銀行東京につきまして、再建計画上、人員を削減することにしておりますが、人数は減らさざるを得ないにしても、どれだけ人材を確保し、また組織体制を整備して再建計画を確実に実行するか、また、これから再建計画の実行に加えて経営基盤の安定ということを考えれば、東京都との連携を初めとして、さまざまな事業に取り組まなければならないということも予想されます。
その点で、先生ご指摘のとおり、人の問題というのは新銀行東京にとって最も重要な課題の一つでありまして、私ども産業労働局としましても、その状況等について注意を怠ることなく、新銀行東京の再建が確実に進みますよう、状況も聞き、また支援するものは支援していく、このように考えております。
○木内委員 今、お二人のご答弁で明らかになったわけでありますが、新銀行東京の人員の見直しは計画どおりに進んでおり、一部いわれている人材の流出がとまらないという状況にはない、こういうことがよく理解できますので、答弁に沿って、しっかりまた指導監督をしていただければと思うのであります。
ただ、ここで一言申し上げたいのは、再建計画では平成二十四年三月に百二十名まで削減するといっているわけでありますけれども、今後、都との連携を含めて、多様な、さまざまな業務展開を行うために、人員体制についてもコストを考慮した上で柔軟な対応をとっていくことが必要なのではないか、こう考えているわけであります。また、新銀行東京の収益力を高めるためには、中小企業マーケットに精通し、経営陣に強いリーダーシップを発揮することができる人材が必要不可欠であるということを、私はかねて公私の場で訴えてきているわけでありますけれども、それでは、新銀行東京における経営陣の状況、実態はどうなっているでしょうか。
○中村金融監理室長 新銀行東京におきましては、本年九月一日付で執行役として新たに内田取締役が就任いたしました。内田氏は、中小企業向け金融に対する造詣が深く、他行において収益構造改革や営業店指導に従事してきた経験をお持ちの方であります。営業を担当し、これまでのその経験、ノウハウを遺憾なく発揮し、中小企業融資の強化に注力していただけると期待しております。
○木内委員 今のお話のように、新役員の選任あるいは人員の見直しなど、経営改善への努力の一端がわかる気がいたします。こうした努力と取り組みを今後どのように新銀行東京の再生に結びつけられるかが大切であると考えるわけでありまして、局長、一番大変なときに産業労働局長としてその敏腕を振るわねばならなくなった今のお立場、よおくわかるわけでありますけれども、ここ局長就任以来のご苦労を振り返り、また、今後へさまざまな考えをお持ちだと思いますので、その一端を披瀝いただければと思います。
○佐藤産業労働局長 私がこの間、かねてから申し上げることが多い言葉で、新銀行東京をなぜ設立をしたか、これは、資金繰りに窮する中小企業を支援する、そのためにまさに設立したものでありまして、今の状況に至っても、その理念にはいささかも変わりはないというふうに思っております。今におきましても多くの中小企業と取引をし、支援を行っているというのが現実であります。
ただ、昨今の中小企業を取り巻く厳しい環境、その中で、新銀行東京が経営再建をなし遂げて、その本来の役割をもっと発揮することが当然望まれているというふうに考えております。
新銀行東京においては、効率的な執行体制の確立、また増減資による財政基盤の安定化など、こういうことに努めてまいりましたけれども、今後におきましても、再建に向けた取り組みを着実に実施するということとあわせて、また都との連携などによりまして、経営基盤の強化をますます図っていくべきであるというふうに私は考えております。
都におきましても、先ほど委員のご指摘もありましたが、減資の重みを十分に受けとめまして、今後、新銀行東京が中小企業への継続支援、ここに軸足を置きつつ、経営再建が着実に達せられるよう、全庁を挙げて全力で支援をしていくというふうに考えております。
○木内委員 今、局長の答弁にもありましたように、資金繰りに苦しむ中小企業の資金調達を支援するという、この目的のために設立をされた銀行でありまして、まさにその理念は今も不変であると私は考えるものであります。
翻って、今、中小企業は、原油高、原材料高による経営の悪化に加え、金融機関の貸し渋り、貸しはがしの再燃が懸念されるなど、極めて厳しい状況に置かれているわけであります。今こそ、額に汗して真っ当に働いている中小企業を救うため、新銀行東京が本来の役割を果たすべきときである、こうも考えるわけであります。
しかし、現状として新銀行東京は経営再建途上にあるために、残念ながらその役割を十分に果たすことができない状況にある、これも事実であります。一刻も早く再建をし、本来の設立の趣旨にのっとった立派な活動ができる、そういうものにしていただくよう強く求めるものであります。また同時に、新銀行東京が旧経営陣の経営責任を厳しく追及し、明らかにされたいし、都としてもこのことを強く働きかけることを要望したいと思うのであります。
以上の点を申し上げて、私の質疑を終わります。
○清水委員 新銀行東京の第一・四半期決算について、中小企業への貸し出しについてですが、提出していただいた資料10によっても、十九年度と比較して、融資で百十一億、また、融資、保証合わせても百六十四億減っているんです。
先ほどの議論もありましたが、我が党は代表質問で、中小企業への融資をどんどん減らしている銀行に存在意義がないことをただしました。これに対して局長は、融資残高が一千億円を超えているから、また、先ほどの室長のご答弁の中では、このことは一面だけをとらえたものだなどというお答えをされました。ごまかして切り抜けようとしています。減らしていることについて答えるべきです。伺います。
○中村金融監理室長 取引先数が減ったとはいえ、平成二十年六月末現在において、約一万一千社の中小企業の方と取引をし、支援をしていることでございます。これは、現在その中小企業を支えているという事実があるわけでございまして、ある意味、評価するといったときに、当然、今やっているもののストックと、減ったというフローの部分を両方比較するというか、両面から見るというのは当然のことだと思います。
○清水委員 私は、減らしていることについて伺ったんです。何で減らしているの、中小企業の融資を。何で減らしているんですかということを伺ったんです。それについてお答えください。
○中村金融監理室長 新銀行東京では、再建計画に従い、担保・保証をつけた融資を原則としているという事情がございます。さらに、新銀行東京が、本部の移転や、店舗を新宿一カ所へ統合した、あるいは人員の削減、執行体制の見直しなど体制整備に注力した、そういう点もございます。
○清水委員 それこそが中小企業には役立っていないじゃないですか。銀行が中小企業の融資を行うのは当然のことで、この銀行、新銀行というのが特に中小企業が頼りにしている銀行なんだよ、ほかの銀行じゃだめだけれども、ここじゃなければだめだと思って利用する、そういう中小企業がふえるということが存在意義ということではないんですか。私たちはそういったんです。ごまかしですよ。
そして、今貸しているという点についても、新銀行がやる必要はないものです。かえって貸しはがしが横行し、中小企業は苦しんでいるんです。先ほど、一万一千社というお話がありましたが、二千社も減っているじゃないですか。この点からいっても、中小企業に役立っていないというふうに思いませんか。どうですか。改めて伺います。
○中村金融監理室長 今、時点のお話をなさっておりますけれども、平成十九年十二月末と比較しての数字でございますので、平成二十年三月とは異なっているのかと思います。その中で、今、一万一千社の中小企業と取引をしているということでございます。
○清水委員 実際に、借りる中小業者が減っているということは明らかなんです。先ほど示した融資残高によっても、それから、先ほど他の委員に対してご説明していたようですけれども、現に、借りていた融資をきちんと返していたのに新たな融資に応ぜず、あきらめてほかの銀行で借りることができたという話を幾つも聞いているんです。これでも貸しはがしがないといえるんですか。伺います。
○中村金融監理室長 金融機関の融資の審査においては、お取引先の業績だとか、今後の返済見通しなどを総合的に勘案して行うものでございまして、前の融資がご返済になったからといって、無条件に融資が行われるものではないと考えております。
○清水委員 そんなことは当たり前のことじゃないですか。でも、ほかの銀行で借りることができたんですよ。そういう事実を見なければいけない。新銀行東京がどんどんと中小企業の融資を減らしていっている、これが事実ではないんですか。貸しはがしをやって中小企業を泣かせる銀行が中小企業の銀行だといえるんですか。
私は、これは先ほどから大勢の方が質疑をしておりますので、意見をいいますけれども、補正予算の審議でも述べてきましたけれども、では、今、中小企業に役立つ金融支援とは何かというのは、先ほどの補正予算で全くおわかりじゃないですか、産業労働局がやっているんだから。経営支援融資で経営セーフの貸し出しが前年度の九倍、金額で七倍、こう大きく伸びていることが、あなたたちがやっていること自体が、これを証明していることになるんじゃないですか。今、深刻なときに業者が求めているのは、頼りにしているというのは、こういうところの融資でしょう。こういうところに本当に建設業者が半分も、融資実行の半分も頼っていく。今のこの原油高、物価高に、新銀行東京に来ようという人がいるんですか。こういうことを見ても、本当に新銀行東京が業者の要求とは異なる--減っているのは当然で、もう存在意義がないことを認めるべきだというふうに私は思います。
次に、融資口きき問題について伺います。
本会議質問で我が党は、知事が議員の口ききについて、当たり前だとか、あとは銀行の問題だと発言したことに対し、新銀行は都が最大株主の自治体立銀行で、都の幹部や議員の口きき自体が大きな圧力になり、無理な融資に応じる原因となるとただしました。これに対し知事は、すべての申し込みについて厳正な審査を行い、融資の可否を判断している、紹介が無理な融資につながるという認識は誤りだと答弁しました。産業労働局長も、通常の融資申込手続を経て厳正な審査を行っていると答弁しました。とんでもない答弁です。事は重大です。厳正な審査をやったら、四百六十億もの損失が生まれるわけはないじゃないですか。審査に問題があったから焦げついて、損失が生まれたんでしょう。どうですか、お答えください。
○中村金融監理室長 一般に、金融機関において厳正な審査というのは、通常のプロセスに従って審査しているという意味でございます。そういう意味においては、紹介の有無によって恣意的な取り扱いがされていることがないということをもって、厳正な審査と申し上げたことでございます。
○清水委員 全くまともな答弁をされていません。知事は厳正な審査をやったといったんですよね。その知事の発言を訂正するんですか。伺います。
○中村金融監理室長 今申し上げましたのは、厳正な審査というのは、紹介の有無によって恣意的な取り扱いをしていませんよ、そういう意味でございまして、結果として、融資後の経緯によって不良債権化する場合がある、なしというのとは別の次元の問題でして、不良債権化と結びつけて論じることは意味がないというふうに考えております。
○清水委員 ごまかさないでくださいよ。あなたたち、第一回定例会のとき、どういう答弁をしていたんですか。
三月十一日の予算特別委員会の我が党の質問に対して、マスタープランを運転するのは運転手ですよ、その運転手の才覚というものが、自動車をあちこちぶつけて、こういうていたらく、傷だらけになっちゃったんじゃないですかと知事が答えましたよね。二月二十六日、他の会派の議員の質問に答えています。旧経営陣が常識では考えられない経営をしたから、計画を上回るデフォルトが発生し、不良債権処理費用が発生した、ああいうずさんな、乱暴な経営さえしなければ、私はこういう事態にならなかったと思いますよ、こういってきたんです。
これらの発言からしても、厳正な調査を行った、厳正な審査を行ったという答弁には驚きです。旧経営陣の経営破綻の責任はないことになるんですか。伺います。
○中村金融監理室長 新銀行東京の経営悪化の原因についてでございますけれども、新銀行東京がその経営の失敗により多額の損失を発生させたということにつきましては、旧経営陣の責任は免れるものではございません。
現在、経営悪化の原因につきましては、新銀行東京が外部の弁護士に委託して、さらに詳細な調査を進めているところでございます。
○清水委員 旧経営陣の行った審査が、どれが口ききで、どれがそうでなかったなんということは判断できるわけじゃないでしょう。それなのに、なぜそういうふうにいえるんですか。じゃ、なぜ審査は厳正だった、恣意的でなかったといえるんですか。不良債権化したのですか。改めてお答えください。
○中村金融監理室長 繰り返しになりますけれども、その原因の中身につきましては、新銀行東京が外部の弁護士に委託して詳細な調査を進めているところでございます。
○清水委員 じゃあ、厳正な審査をしたなんてことはいえないじゃないですか、それを明らかにしなきゃ。わからないことじゃないですか。無責任ですよ、厳正な審査をしたなんていうことをいうのは、今現在のところで。
じゃ、代表質問で再質問しましたけれどもお答えいただいていない問題についてお答えいただきたいと思うんです。代表質問では後半に、じゃ、「週刊朝日」の報道はうそだったというんですかというふうに再質問をいたしました。それについてはどういうお答えをされるんですか。
○中村金融監理室長 金融機関におきまして、個別の取引状況について、企業や個人の重要な情報にかかわることでございまして、当然のことながら一切明らかにしてございません。今申されました「週刊朝日」の記事の真偽については、都は判断する立場にございません。
一般に、融資の申し込みに関連して違法な行為があった場合には、監督官庁など権限を有する機関が厳正に対処すべきことであると考えております。
○清水委員 全く人ごとのようないい方ですね、その答弁というのは。それによって、最初に私がいったように、四百六十億円も不良債権化したんですよ。そして今日、補正予算で五百四十億も減資対応を行おうとしているということにつながっているんですよ。
そういうことからいえば、人ごとじゃなくて、事実をきちんと調査すべきですよ、都として。どうですか。
○中村金融監理室長 紹介による無理な融資が損失をすごく莫大に膨らませたというようなご主張だと思いますけれども、それはあくまで推察にすぎないというふうに考えております。
○清水委員 きちんと調査しなさいよ、そうしたら、あなた、人ごとのようにいっていないで。それが責任じゃないんですか。
先ほど他の議員が触れていましたけれども、金融庁の、経営状況を説明しているという新聞報道につきまして、私も金融庁に、この報道の真偽を確認しております。ここに書いてある、開業から一年半前の融資案件に貸し倒れが集中していることも指摘し、融資審査体制に問題があったことも示唆したというふうに書いてあるんです。これはお話ししたことの全部をいっていませんけれども、融資審査体制というのはスコアリングモデルを中心にやられたことによって不良債権の拡大につながったというふうに都議会で議論されているというふうに、金融庁も認識があって、こういうふうにいわれたというふうにいっていました。
金融庁自身は、この融資口きき問題についての審査体制ということではありませんけれども、しかし、融資審査体制に問題があったというふうな感触でいるわけでありまして、審査体制に問題がなかったといえるんですか。金融庁だってこういうふうにいっているんです。
○前田次長 事実として、新銀行がわずかな期間に多額の赤字を生み出して、その中で不良債権化された債権が原因として含まれているということは事実でございます。それにつきましては、金融庁の指摘の紹介、新聞記事だと思いますが、全く新銀行側の経営に問題がなかったというつもりはございません。
なお、新銀行の融資、これは新銀行に限らず銀行すべてですけれども、あくまで一人一人のお客様の融資申し込みに対する審査だというふうに思います。そういう個別の融資の案件につきましては、現在の銀行法上におきまして厳しく銀行側に守秘義務が課せられておりまして、金融庁は監督官庁としてそれを調査することは可能かと思いますが、株主である東京都が個別の融資案件の状況について調査をするということは、法制度上許されておりません。
新銀行は、旧経営陣の経営における問題につきまして、先ほど来ご答弁申し上げていますように、外部の弁護士を入れて現在調査中でございまして、年内にも調査をまとめる予定と聞いております。ご理解いただきたいと思います。
○清水委員 旧経営陣の責任について調査をしていると繰り返しいわれているんですけれども、それだったら、ここに書いてあることが真偽がわからないと、報道されている幾つかの新聞記事や週刊誌の報道についてそういわれているんだけれども、それも同様に調査するべきじゃないですか。旧経営陣の責任などについて調査しているというんだったら、同じく、何でこちらのことを調査しないのかという点について、もう一度答えてください。
○前田次長 新銀行の融資審査につきましては、さきの定例会でもかなり話題になりまして、当然、新銀行当局、現在の経営陣による見解を聞いております。
委員ご指摘のように、審査をしたけど、後になったら不良債権になってしまった、そういうことについて、おかしいじゃないかといわれれば、確かにそういう指摘もありますが、それは意図的にやらない限り、すべての金融機関で審査をしたものが全部通るならば、この世の中に不良債権は一つも生まれないということになります。
それは余計な話ですが、新銀行東京にこのことについては聞いておりますが、新銀行東京は、先ほど来室長が答弁しておりますように、融資の紹介先によって審査を恣意的に変えることはない、これが新銀行から私どもが説明を受けているところでございます。
○清水委員 何をいわれようと、都民の税金を失った責任をとろうとしない。みずから事実を調べて明らかにすることも拒否する。知事と産労局長は本当に無責任だと思います。
私たちは、本会議、代表質問では多く触れませんでしたけれども、大学の教授や弁護士や憲法学者などから、次々と意見、声が出されているんです。
こんなことでは議会のチェック機能は働かない。新銀行東京の経営危機にこうした政治的介入も寄与したとすれば、事実関係を解明すべきだ。都は、新銀行のスポンサーであり監督機関でもある。口ききの仲介は銀行への圧力と見ることもできる。行政の公平性、中立性から問題がある。都議が口ききした企業が融資を返済できずに破綻すれば、銀行の赤字が膨らむことになる、それだけに、経営をチェックする側の都議は襟を正すべきだ。本来、都の姿勢をチェックすべき議員が、献金した支援企業のために都を介して口ききする、新銀行の大株主として経営監視の役目がある都のトップが、知事、その特別秘書が融資を紹介していれば、疑いも招きます。
これは、皆さん、こういう学識の方々が発言している声ですよ。それぞれ新聞に載っていた声です。それについてどのように認識されるんですか。伺います。
○佐藤産業労働局長 今のご質問、その前の一連のご質問がございましたけれども、新銀行東京の経営悪化、これは次長が申し上げましたとおり、事実として経営悪化があって、新銀行東京がその経営の失敗でこういう多額の損失を発生させたという事実、そういう調査結果が、事実として新銀行東京から明らかにされております。そういう意味では、我々としては旧経営陣の責任は当然免れるものではないというふうに考えておりますし、なお、その経営悪化の原因の詳細な調査は、今、専門の弁護士が進めているということですので、その調査結果を待っていきたいというふうに、経営悪化の問題についてはそういうふうに基本的に考えております。
それから、厳正な審査の話と、紹介ということに対しての話を連動させながら、その他の旧の経営陣の審査全般についてのことと一緒くたに議論をされるので、話がどうもややこしくて、一般的に聞いてもちょっと理解しがたい話になるので、そこは明確にお分けいただきたいと思います。
一つは、どのような紹介案件でありましても、新銀行東京は通常の個別案件のお客様の審査と同様な審査をやるという意味で、厳正な審査をしていると。何度もお答えしているとおり、委員がおっしゃられたようないろいろな案件につきましても、全く同様な形で、ほかと変わりない審査をちゃんとやっていますよということを申し上げているわけです。
ただ、過去の不良債権が多額に発生したという経営上の判断、その中に審査のあり方等々が含まれるかもしれませんけれども、そのことについては、結果として不良債権が多額に発生したということですから、その責任は当然旧経営陣がとっていくべきものであろうということで、その詳細の調査をしているということであります。
○清水委員 私の聞いたことに答えていないじゃないですか、局長。聞いたことに答えてください。
○佐藤産業労働局長 いろんな学者、一般の方が、そういう紹介をすることが、新銀行東京の審査に圧力をかけることになるというようなことで、好ましくないというようなお話をるるおっしゃっていましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、そういうようなことによって審査が変わるというものではないということです。
○清水委員 認識を伺ったのに、そのことの認識についてはお答えになっていないじゃないですか。
この一連の学者や弁護士などが話されていること、ふだん、こういう方の声が新聞や報道などに載りますか。新銀行東京に関してこんなに幾つもの、何人もの方がこういわれているんですよ。私たちだけがいっているということじゃないんですよ。新銀行東京は東京都がつくった銀行だ、そこに都議が融資を頼めば圧力になるというのは、都民の、皆当たり前の、だれも思っていることなんですよ。
だから、私たちは行政一般のことをいっているんじゃないんです。行政一般の口ききとか紹介とかのことをいっているんじゃないんです。自治体が設立する銀行、新銀行東京に限ってのことをいっているんです。監視する側の人間が立場を利用することが可能で、その圧力を利用して依頼、紹介する事態が発生する危惧を、今まで繰り返して指摘をしてきたわけですけれども、この一連の報道によって、まあ、真偽はわからないといわれましたけれども、現実になっているというふうに私たちは感じます。自治体設立銀行には限界があるというふうに私は思うわけです。口ききを許して容認し、介在して、そしてもし新銀行をこういうような状態に陥れたということになれば、それはきちんと調査しなきゃならないし、明らかにすべきだと思います。
都議会議員や都の幹部は、この自治体立銀行で口ききや紹介をやってはならないんです。また、先ほど他の委員が触れられました、都が調査報告書の本文を都議会に示すことを初めとして、事実を隠すことなく、過ちを隠すことなく、真摯に新銀行破綻の原因を明らかにすることを強く要望して、質問を終わります。
○大西委員 新銀行東京について伺います。
新銀行東京についての情報は、納得いくものが、このような委員会でもないわけですから、普通の情報でもないわけです。そして、肝心なことは答えられないということ。時折行われる知事の記者会見では、楽観的な再建計画の繰り返しです。
そして今回の議会では、一般会計九百三十五億、補正予算案を出し、その中に新銀行東京の減債基金の積み立てということで五百四十億、これがひっくるめて出されるわけです。残りの三百九十五億のものについては、納得できるものもあるし、これについては所信表明でご丁寧な説明がありましたけれども、肝心の減債基金の積み立てに関しては、事務的なものだということだけでほとんど説明がありません。
だれだって、お金を無心するときには、かくかくしかじかの理由で必要だという説明をしてからしか、そういうお金は借りられないというのが世間の常識なんですが、そのこともやらないで、都民の大事なお金を、ある意味このお金が生きればいいですけど、ほとんどそれが可能性がない中に使う。この説明をしないという都の体質、そのこと自体がやはり大きな問題なんだなということを今改めて感じますし、これまでの質疑を聞いていて、そのことも思っております。
そういう中で、私たちが四百億円の追加出資を決めた時点で付帯決議がつきました。この四百億円を損失しないことと、そして監視をちゃんとやるというようなことで追加出資が決まったと思いますけれども、現在、この付帯決議は機能しているのか、まず伺います。
○中村金融監理室長 付帯決議を受け、本年四月、新銀行東京の経営の支援及び監視のための組織として、産業労働局に金融監理室を設置したところでございます。
金融監理室においては、株主連絡会の開催回数をふやし、経営状況の把握に努めるとともに、融資相談コーナーの設置など、監視及び支援の両面にわたる取り組みを実施してまいりました。
今後とも、付帯決議の重みを全うし、新銀行東京の再建が着実に進むよう、適切な監視と支援に努めてまいります。
○大西委員 以前にも、この監理体制というものがとられていたわけです。ある意味バージョンアップした金融監理室が設置されたんだと思いますが、以前に比べて機能できる根拠を教えてください。
○中村金融監理室長 本年四月の組織改正におきましては、金融監理室内に金融支援担当部長及び副参事ということで体制を強化したところでございます。
○大西委員 監理室になったと。これまで金融部の監理課でやっていたけれども、一つ、室ということでバージョンアップしたのかなというふうに思います。
しかし、先ほどの答弁を聞いている中で、肝心なことは銀行は明かさないということであれば、室にはなったものの、これは本当にちゃんと監視ができる、中身的にちゃんとやれているのかというふうに思ってしまいます。
その中で、金融の素人である都の職員に銀行の経営監視などができるのかというようなことを、よく都民とか報道なんかでもいうんですけれども、そういうことも含めてしっかり機能できるようになったのか、改めて伺います。
○中村金融監理室長 旧経営陣の時代に、都との意思疎通が不十分であったり、適時適切な報告がなされていなかったことがございました。このようなことが再び起きることのないよう、金融監理室においては、株主としての立場から適切な監視を行っているところでございます。
なお、金融の素人というふうにいわれたわけでございますけれども、金融監理室には金融機関経験者なども配置されていますが、全員が金融の玄人である必要はないと考えております。
○大西委員 プロである必要はないとおっしゃいましたけれども、少なくとも銀行側の説明をうのみにすることなく、やはり情報をしっかりと判断できる人材を置いていただきたいというふうに改めて要望しておきたいと思います。
それから、先ほど、人材の流出のことで、銀行の行員が少なくなっているという話がありました。もともと新銀行発足当時から、ある意味コンパクトな銀行でやっていくということの中で、本当に中小企業に寄り添った形で支援を行うには、それなりのきめ細かな対応が必要で、この新銀行の体制でやっていけるのかというような専門家の声もありました。そして、そのとおりといいますか、不良債権の比率は高どまりで、そして回収業務その他に--また現在、その人材が少なくなって二百四十人でやっていく体制。これは改めて不安に感じるんですが、一方で、さっきも、顧客別にきめ細かに対応していくと、人員削減はあったけれどもそうやるというふうな説明がありました。この規模というのは、普通の信用金庫とかそういうところと比べて、一人当たりの対応する事業者というんですか、どう違うんですか。
○中村金融監理室長 ほかとの比較は、経営再建中でもございますし、なかなか難しいかなとは思うんですけれども、一般の金融機関と比べますと、貸出融資残高等の残高と比べますと、人員は相応の数になっているのかなというふうに思います。ですから、融資残高と比べると人員配置は厚いというふうになるかと思います。
○大西委員 何か苦しい答弁のように思います。実際、残高ではなくて、中小企業への融資ということは、本当に信用金庫のように小さいところでやるには、ちゃんと人員を充てて、そしてきめ細やかな対応があるからこそ、その回収もできるし、そういう融資もできるんだということをいっていました。
そういう中で、この新銀行は、発足当時からそのことは不安がられていたわけです。そして今まだ再建の中でも、ますます人を減らし、二百四十人にし、そして本当に顧客別にきめ細かに対応ができるのかということを改めて聞いているんです。
○中村金融監理室長 今、体制整備の中でいろいろな工夫を行っているということでございます。おっしゃるように、人員が少ない中で、それぞれの能力というのですか、そういうのをアップして対応していかなければいけないというふうに感じております。
○大西委員 何か二の句が継げないような感じなんです。
次に、世界的な金融危機の影響については一般質問でも尋ねたわけですけれども、今、金融監理室として、新銀行東京への影響とかそういうものを改めてどういうふうに分析しているのか、お聞きしたいと思います。
○中村金融監理室長 一般論といたしましては、不況に伴いまして、企業投資の抑制に伴う資金需要の減少とか不良債権の増加などが生じるという可能性がございます。都としても、今後の経済状況を注視しながら、新銀行東京への影響というものについても監視に当たってまいります。
○大西委員 一般質問の答弁の中で、今回の米国証券会社の破綻に伴う新銀行東京の直接的な損失はないと聞いているという答弁をいただいたんですけれども、これはどこから、だれが聞いているのか、どこが発表しているんですか。
○前田次長 最近のアメリカの証券会社の破綻で、日本の金融機関、かなり影響が出たという新聞記事が載りました。基本的には、その証券会社が発行した金融商品を購入している、それが、保証なり、発行元の証券会社が破綻したことに伴って価値が下がる、そういうことで損失が生まれるというふうに報道されておりますので、新銀行がそういった金融商品を所有しているか、それは確認しております。そこで先ほどのお答えをしているわけでございます。
それから、先ほどの答弁の補足になりますが、新銀行の執行体制については、先生ご質問のとおり、限られた人数の中でどうやっていくかというのは非常に重要な問題でございます。これまでに室長が答弁しておりますように、融資から回収まで一貫して面倒を見る体制を整えたり、あるいはエリア別に担当制を導入したり、新銀行におきましても、限られた人数ではございますが、今、先生のご心配の点にこたえられるように、効率的な組織、営業体制の構築を進めているところでございます。
また、営業につきましては、これも先ほどご答弁いたしましたが、執行役に中小企業金融の経験の長い内田氏に就任していただきまして、その指導のもとに鋭意取り組んでいるところでございます。
補足をいたします。
○大西委員 まあ、直接的なという意味では、ある意味、対象が全く違いますのでということかもしれませんが、やはりサブプライムという意味では、新銀行東京がみずから震源地となっていく可能性が心配されますので、ということをちょっといっておきたいと思っております。
それからもう一つ、この間、質問してもなかなか答えられないという状況、つまり、生活者ネットワークが今回、新銀行東京という税金を使った銀行業務をやることに反対したのは、やはり情報が開示されないということです。都民の大事な税金を使うのであれば、そのことはしっかりと都民に説明責任がつくような使い方でしかできないわけです。
あのときも、経営戦略ですので説明できません、どうぞお任せください、信用してくださいと叫ばれた答弁者の顔が浮かぶんですけれども、本当にやはりそういうことには手を出してはいけないということが改めて証明されているんだと思います。
以上です。
○馬場委員 新銀行東京の最近の動向が報告されました。私も、最後になりましたが、何点かの質問と、それから、先ほどからの質疑の確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
銀行業務の報告がされたわけですが、貸し出し、預金、従業員と減り続け、役員と不良債権がふえるという、何かお笑いのネタのような話で、大変残念に思っております。
先ほど、私どもの質問でしたか、次長、預金者を守るというふうに述べられました。私どもの地元の代議士も、公的な立場でそういうことを発言をされておられます。一億円の預金をしてくださった応援の方がいらっしゃる、そういう方を守らなければならないというふうにおっしゃっておいでです。
先ほどからの質問で、預金は減っておりますが、守る、守らなければならない預金のほかに、信用の話も出ておりましたが、では新規の預金等はどのぐらいふえているんだろうか。それがそもそも、これからの銀行に対しての信用度をはかるものだというふうに私は思いますが、お尋ねしても多分お答えいただけないと思いますので、これは想像せざるを得ないのですが、先ほどのお話もありましたように、一万社、今度、貸し出しの方は残っている。そのうちの半数は赤字及び債務超過企業。五千社を超えております。こうした大変厳しい現状に今ある中で、処分できる財産はもうほとんどありません。先ほどの減資のお話でも、一千十六億ですか、減資をしました、将来これを配当でもとに戻す、都民の税金をもとに戻そうと思ったら、どれだけ頑張ってこの銀行が働かなければならないか、想像がつきません。先ほどのお話でも、さまざまな銀行、同じように減資を行った銀行の話がありました。最後の足利銀行は、きちんとその責任を追及され、経営責任を追及され、大変つらい判断で今回の減資が行われたというふうに私は聞いております。
前回のこの委員会でも質問させていただきましたが、それでは、ことし、この六月三十日に開催された定時株主総会において、新銀行東京からの減資の提案に都は賛成なさいました。この賛成の意思決定、これはどのようにされたのか、また、この定時株主総会にはどなたがご出席になったのか、教えてください。
○櫻井金融支援担当部長 新銀行東京の六月の定時株主総会におきます決議事項につきましては、あらかじめ知事に報告をした上で、東京都事案決定規程に基づき産業労働局長が決定をしてございます。
また、当日の出席は、産業労働局長が出席しているところでございます。
○馬場委員 この大事な、都民にとっても関心の深い減資が、知事には報告で、規程に基づけば局長が決定をし、その局長がご出席なさった。この株主の意思ということは、要は局長にその決定権があるということでよろしいのでしょうか。
○櫻井金融支援担当部長 東京都の事案決定規程に基づきまして、局長の決定権限でございます。
○馬場委員 私どもにとっては大事な決定だというふうに思うのですが、それでは、そのあらかじめというところがちょっとよくわからないのですが、この担当のところで、局長もですが、あらかじめというのは、どういう日時で開催を、メンバーでというふうにお聞きしたいところなんですが、今すぐわからないですね。
要は、さっきもありましたが、できれば、大切な意思決定がされる、その経過と、いつどういうふうに、だれだれの責任でその決定がされたかということを、この決定規程も含めてお知らせいただきたいというふうに思います、まだこれからも順次あると思いますので。
それで、この減資についてなんですが、出資をしたりお金を出すとき、追加出資もそうですが、私ども議会にそれが諮られます。しかし、この減資、さっき木内委員も、ある意味都民の財産を毀損したということは厳然とした事実とおっしゃいましたが、私もそう思います。このことに対して、その処理については、議会に諮られるというルールが多分ないのだというふうに思いますが、淡々と、今のご答弁のように局長決定で行われる。
その会社法で認められている方法については、何の問題も、ある意味ないと私も思っておりますし、だから、最終的には金融庁の了解とか許可も出たというふうに思っています。しかし、私ども都民からすると、議会、私も議員ですが、この決定が諮られないというのは、私たちにその責任はあるのかないのかということも含めて、私ども議員がどう関与すればいいのかと考えあぐねております。これはルールがないから、今までこういうことがないからそのルールがないのか、それとも必要ないということなのか、そこのところは私にもよくわからないのですが、きょうお尋ねしても多分ご答弁はいただけないと、これも思いますので、問題提起ということで述べさせていただきます。
なぜかというと、先ほど来、条例のお話をいたしました。今回の制度融資の債権回収不能の分に対して条例化していくというお話でした。制度融資をして回収不能になった分のお話をさっきしたわけですが、じゃ、減資とおっしゃいました、都民の財産が毀損したことについて、どういうふうに都民に公表--説明は広報であったかというふうに思いますが、銀行に関係した方は理解があると思いますが、何もこの銀行に関与していない、借りても、預金もしていない多くの皆さんは大変お怒りでございます。
そういう意味では、この減資ということ、手法としてはこれは万全の手法、銀行にとっても結果的にはそうであったと思いますが、都民は決してこのことを納得していないということを一言述べさせていただきます。
先ほどの、山口理事から最初に質問させていただきました職員の離職のところで、私も実はずっと心配をしておりました。特に、ずっと銀行の当初から、準備室のころからの職員の話も出ておりましたが、そのころからどれだけの人が銀行に入って、どれだけの人がやめていったんだろうと。もう数もわからないぐらいではないかと思いますが、その一番多いのが、先ほどからお話が出ている、二十年の一月末四百五十名が八月末で二百四十名、半減しています。さらに二十四年までには半分にする。
これは、銀行、今の状況でいたし方ないというふうに思っていますが、ある意味、こんなふうに人がどんどん、信用が第一な銀行で人が入れかわるということ。先ほど預金の例がありましたが、守らなければいけないというのはよくわかりますが、本当に人が動いて銀行は仕事になるわけですから、ここで本当に何事もなくいっているんだろうかと。これだけの状況、銀行員のお一人お一人は相当なプレッシャーや、さまざまな病気も含めて、かかっているのではないか。また、さっきからいろいろお話があった旧経営陣の問題にしても、知っている、それを見聞きした行員の方たちは、ご自身の考えも含めて、大変残念、期待外れ、また、さまざまな不信感等持っていたりするのではないかと想像するところなんです。
今、公益通報者保護法というのができておりますが、新銀行はこの公益通報者保護法に基づいて、内部通報窓口、ヘルプラインともいわれておりますが、こういう形のものは設置されているのでしょうか。
○櫻井金融支援担当部長 公益通報者保護法は、労働者が事業者内部の犯罪行為や法令違反行為について事業者内部や行政機関などに対し通報を行った場合に、公益通報したことを理由としまして解雇などの不利益な取り扱いをされることがないよう、通報者を保護するための法律でございます。
新銀行東京におきましても、この法律に基づく事業者内部の通報窓口を設置し、従業員に広く周知していると聞いているところでございます。
○馬場委員 先日の民主党の代表質問でもこのことに触れさせていただきました。元行員の方が新銀行から訴訟を受けてということで、知事の答弁をいただいております。知事は、新銀行東京が元行員の機密保持義務違反に対して提起したものというふうにご認識があるということで、ご答弁いただきました。そして、最後に、新銀行東京が機密保持義務に違反した行員を提訴したことをもって言論弾圧などという指摘は全く筋違いというふうにお話がありました。
まだ、この時点では、訴訟が起こされ、損害賠償を求められているというふうに聞いておりますが、機密保持義務に違反したとまだ確定されているわけではありません。このことを皆さんにお聞きしても、知事と同じというふうに思いますが、この一連の追加出資をめぐってのあの時期の情報、多くの都民の皆さんが反対している中で、どうして反対なのか、追加出資をしてはいけないんだということの情報が多くのマスコミの方から流れました。このことは、私どもも新聞やテレビ等を拝見したわけですが、こうした関連したことが、この元行員の方に特定されて訴訟が起こされているということについては、もちろん係争中というか、これから裁判の中で明らかにせざるを得ないのですが、私から見ても、これは一人、訴訟をされた方は今のところお一人ですから、その状況を見ても、一人にこの機密保持違反が集中している。ある意味、ご本人もおっしゃっていますが、これ以上、機密のことを外に述べないようにという、やはり言論の弾圧に近いものを感じるという状況でございます。
また、この委員会の席をおかりして--逆にいえば、この元行員の方の個人情報がこの裁判の中で出されているというようなことも聞いております。銀行の中で、こういう状況になって、機密保持ということについて、私たちが知りたいという情報をきちんと出してくれないから、こういうことになるのではないかと私は危惧しております。
これ以上のこうした内部での問題をふやさないためにも、先ほどから私どもが主張しております金融庁の調査の開示、それから金融部さんでの調査、都としての独自の調査。銀行が調査したものは開示してもらえないのですから、都独自の調査をしていくとか、そうしたさまざまな情報を私どもがお互いに共有し、交換をすることによって、できるだけ現状を把握し、多くの都民にこのような状況を提供して判断をしてもらわざるを得ないというふうに思っております。
その意味で、これからもまた九月の決算等が行われますし、金融庁の調査の結果も報告されるというふうに思います。私どもも精いっぱい都民の信頼を裏切らない活動をしなければならないというふうに思っておりますので、ぜひともご協力、そして銀行の健全な経営のためにも、皆様のお力、ぜひともおかりしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○増子委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○増子委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後九時五十一分散会
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