経済・港湾委員会速記録第九号

平成十九年十月二日(火曜日)
第八委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長石毛しげる君
副委員長原田 恭子君
理事田中たけし君
理事門脇ふみよし君
理事鈴木貫太郎君
遠藤  守君
米沢 正和君
鈴木 章浩君
小竹ひろ子君
今村 るか君
清水ひで子君
川島 忠一君
大沢  昇君

 欠席委員 一名

 出席説明員
産業労働局局長佐藤  広君
総務部長塚田 祐次君
産業企画担当部長猪熊 純子君
商工部長三枝 健二君
金融部長目黒 克昭君
観光部長中尾根明子君
農林水産部長産形  稔君
雇用就業部長松本 泰之君
就業調整・能力開発改革担当部長小田 昭治君
中央卸売市場市場長比留間英人君
管理部長大野 精次君
港湾局局長津島 隆一君
技監尾田 俊雄君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長山本  隆君
港湾経営部長江津 定年君
港湾経営改革担当部長小宮 三夫君
臨海開発部長小林 敏雄君
開発調整担当部長余湖由紀夫君
営業担当部長藤原 正久君
港湾整備部長飯尾  豊君
計画調整担当部長山本  浩君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長室星  健君
労働委員会事務局局長有留 武司君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 産業労働局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十七号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・平成十八年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの業務実績評価について
 港湾局関係
報告事項(質疑)
・臨海ホールディングスグループ経営基本方針について
・(財)東京港埠頭公社の民営化に係る新会社の概要について
・三宅島空港への航空路再開準備の開始について
付託議案の審査(決定)
・第百六十七号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○石毛委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件、決議一件を提出したい旨、申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議の結果、中小企業の事業承継円滑化のための税制措置等に関する意見書(案)については調整がついた旨、決議については調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、調整のついた案文の朗読は省略いたします。

 中小企業の事業承継円滑化のための税制措置等に関する意見書(案)
 中小企業は、地域における雇用を多く創出・維持するとともに、技術・ノウハウの創造と伝承、競争力の確保・強化、地域共同体の文化・伝統を保持するなど、多様かつ重要な経済的・社会的役割を担っている。
 しかし、今後、中小企業経営者の高齢化に伴い、事業承継問題が急速に深刻化することが予想される。後継者が事業を承継する際に発生する事業用資産に対する過度な相続税の課税や民法の遺留分制度などによって、やむを得ず事業存続をあきらめることになれば、従業員の生活、取引先や関連企業等の事業・経営にも影響を及ぼすとともに、地域の活力が削がれ、地域経済の衰退を招き、我が国の成長発展をも損ないかねない。
 そこで、中小企業及びその経営者が、事業承継対策に過度に悩まされることなく技術革新や新規分野への挑戦に専念でき、後継者が承継した経営資源をいかして、第二創業などに思う存分取り組むことができるよう、税制面、法制面、金融面など総合的な事業承継支援を大胆かつ迅速に実施する必要がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、中小企業の事業承継円滑化のための支援について、次の事項を実現するよう強く要請する。
一 非上場株式等の事業用資産に係る相続税は、五年程度の一定期間の事業継続等を前提に非課税とすべきであり、事業を承継する者の相続税負担の減免を図る包括的な税制を確立すること。
二 取引相場のない株式は、円滑な事業承継を可能とする評価方法の見直しを行うこと。
三 民法の遺留分制度などは、事業承継の際に、相続人当事者の合意を前提とし、経営権や事業用資産を後継者に集中できるよう制度の改善を図ること。
四 事業承継時における金融面での支援や、廃業と開業のマッチング支援等を行うための関連予算の大幅な拡充など、事業承継円滑化のための総合的な対策を講ずること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十九年十月 日
東京都議会議長 比留間敏夫
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
財務大臣
経済産業大臣  あて

○石毛委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の付託議案の審査、産業労働局及び港湾局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百六十七号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いします。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 発言がなければ、お諮りします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑を終了いたしました。

○石毛委員長 次に、報告事項、平成十八年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの業務実績評価についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○塚田総務部長 去る九月十三日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。目次にございますとおり、資料は全部で三項目でございます。
 一ページをお開きください。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの事業実績でございます。
 表の左側にお示しした、西が丘本部を初めとした各施設における依頼試験、機器利用、技術相談の実績を、平成十六年度、十七年度、十八年度の三カ年についてお示ししたものでございます。
 平成十八年度における各施設の事業実績の合計は、表の合計欄の一番下の欄にありますとおり、依頼試験が八万一千七百二十七件、機器利用が三万二千三百三十八件、技術相談が七万六千百八十四件でございました。
 二ページをお開きください。平成十八年度外部資金導入研究一覧でございます。
 国等の外部機関から研究のための資金を導入したもので、平成十八年度は、最上段のナンバー1欄にお示しした、国の独立行政法人科学技術振興機構に採択された地域結集型研究開発プログラムを初めとして、合計十一件の外部資金を導入いたしました。
 三ページをお開きください。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの職員状況でございます。
 平成十七年度の職員定数と独立行政法人化後の職員数を、西が丘本部を初めとして各施設別にお示ししてございます。
 表の一番下の合計欄にありますとおり、平成十八年度末現在の職員数は二百七十八人、うち研究員は二百二十五人、研究員のうち任期つきの研究員は四十二人でございます。
 以上、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○遠藤委員 フライングをしてしまいましたが、いよいよ始まるということで、よろしくお願い申し上げます。
 今回、独立行政法人化した産業技術研究センター、今、委員会要求資料にもご報告いただきましたとおり、さまざまな効果が独法化したことによって出ているんだろうと思います。そこら辺をもう少し踏み込んだ形で、きょうは明らかにしてまいりたいと思っております。
 景気は大分回復軌道に乗りつつとはいえ、町場の景気、また中小企業が置かれている現状はまだまだ厳しい状況があるというのは、衆目の一致した見解かと思います。こうした都内の産業の中でも特に中小企業のものづくり産業が厳しい経営状況に置かれている中で、産業技術研究センターに対する期待は日増しに高まっていくものと思われます。
 ただでさえ厳しい資金繰りの中、みずから機器を購入して製品の分析や試験を行うことが厳しい中小企業にとっては、産業技術研究センターの存在は極めて大きく、また経営者にとっては大変心強いものと思います。そこで、独法化を経て一層の機能の充実が期待されるものと思われます。
 さらに、独自の技術や製品を開発し、新しい分野を開拓しようとチャレンジしている中小企業も、東京都内には多数存在しております。こうした企業に対しては、産業技術研究センターが共同研究を行ったり、産学連携の橋渡しをすることによって、今までにない新しい開発の糸口を見出したり、その開発を加速するということが極めて重要であると思います。こうした機能についてもさらに強化していくべきであろうと思います。
 今申し述べました観点から、独法化した産業技術研究センターの取り組みの状況について、以下、何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 まず第一点目に、新しい技術の開発によって都内のものづくり産業を発展させていくためには、大学や産業技術研究センターのような公設試、さらに中小企業などが複数連携して、プロジェクト的に研究開発を進めていくことが有効なケースも考えられる、多いと思います。
 こうしたプロジェクトを実施していくに当たっては、独立行政法人のメリットを最大限活用して、国等から資金を有効に調達、取得していくことが重要であると思います。外部の資金を導入という側面から、これまでにいかなる成果が独法化したことによって上がったかをまずお尋ねしたいと思います。

○三枝商工部長 外部資金につきましては、独立行政法人化により、都の予算制度や会計制度の制約を受けることがなくなりますことから、年度途中でも柔軟に活用できるようになったところでございます。
 加えまして、平成十八年度は、理事長を先頭といたしまして、光化学スモッグの原因となるトルエンなどの揮発性有機化合物、いわゆるVOCの処理技術を中小企業と共同で開発する地域結集型研究開発プログラムを初め、国の公募提案事業等に積極的に取り組み、平成十七年度実績の五千九百万円を大きく上回る二億二千万円の資金を獲得することができたところでございます。

○遠藤委員 今、ご報告いただいたとおり、外部資金の導入実績が二億二千万円ということでございました。
 では、こうした外部資金は、中小企業の支援のために具体的にどういう形で活用されてきたか、ご報告をいただきたいと思います。

○三枝商工部長 外部資金の具体的な活用例でございますが、経済産業省や各種財団等の提案公募型の研究に積極的に応じることによりまして、例えば発光ダイオードを用いた避難誘導標識や、視覚障害者向けの高機能拡大音読器の開発など、共同研究開発プロジェクトをこれまで以上に進めることが可能になったところでございます。
 このように、産業技術研究センターにおきましては既に中小企業との取り組みを具体的な製品開発につなげる成果を上げてきており、引き続き積極的に外部資金の獲得に努めてまいります。

○遠藤委員 新しい製品や新しい技術を開発していくに当たっては、大学等との連携が有効な場合というのは大変多いと思います。しかしながら、町場の中小企業の経営者の皆さんにとっては、大学というとまだまだ敷居が高い、どうこの大学に足を踏み入れたらいいのかという部分で、ご相談したいのはやまやま、連携したいのはやまやまだけれども、二の足を踏んでしまうという声もよく聞きます。
 そこで、産業技術研究センターとして、こうした中小企業と大学との橋渡しをする役割を積極的に果たすべきと考えますけれども、現状の取り組みをお伺いしたいと思います。

○三枝商工部長 産学公連携の推進につきましては、従来より専門のコーディネーターによるマッチングを推進しているところでございます。平成十八年度は、共同研究や受託研究に関する相談が三百八十八件ございまして、このうち二十八件が成約に至ってございます。
 このほか、新たに、コラボ産学官やオムニTLOといった全国的な産学公の連携機関と協定を締結いたしまして、研究ネットワークの拡大に取り組みますとともに、金融機関とも連携をいたしまして、体制の強化を図ったところでございます。

○遠藤委員 東京のみならず、全国の大学やその他の機関と積極的に交流されているということで、大変心強い限りでございます。
 四点目にお伺いしますが、中小企業の技術的課題の解決や、さらに製品開発に向けて、産学公の連携体制が着実に整備されているといった点だと思います。こうした体制整備に加えて、今後は人的な交流もさらに積極的に進めていくことが重要かと思います。
 先般、配布いただいた業務実績評価書の一三ページに、大学等との連携強化を目的として職員の派遣等を推進していく、このように明示されておりましたけれども、ここらの実績はどのような形になっているのか、お示しいただきたいと思います。

○三枝商工部長 従来から大学等への職員派遣を行ってまいりましたが、平成十八年度は、職務専念義務免除や派遣の手続を簡素化するなど、独立行政法人の強みを生かし、大学の非常勤講師等として研究員を延べ七十五名派遣し、人的な交流を強化いたしました。これは平成十七年度の延べ十名を大幅に上回るものでございまして、今後とも、試験研究機能のさらなる向上を図るべく、積極的に職員の派遣を行ってまいります。

○遠藤委員 新しい商品の開発や技術の開発に対する支援についても、産学公が連携体制をしっかりと整備して、さらに人材交流などの面についても、独法化したメリットを大変生かして取り組んでいる、強化しているということは、今の答弁でよくわかりました。
 最後になりますけれども、業務実績評価書によると、機器の更新などによって、きょうも委員会の提出資料にも詳細に書いていただきましたけれども、機器利用サービスの実績が中期計画の目標である三万件を二千三百件以上上回って、また依頼試験においても約八万二千件の実績を上げるなど、着実に努力をしているという跡が見受けられます。
 これらの業務を引き続き充実してもらうことはもちろんのこと、先ほどお尋ねしたとおり、産業技術研究センターの機能を強化していくということは、多くの中小企業の製品開発支援や、さらに技術課題の解決に貢献するという観点から見て、大変重要なことと思います。この点も踏まえて、今後の方針について見解をお伺いし、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○佐藤産業労働局長 東京の産業の発展には、中小企業の技術開発などを促進することが極めて重要であろうというふうに考えております。
 産業技術研究センターは、中小企業の製品開発支援ですとか、技術的課題の解決に貢献していくというような、成長力のある産業を育成する上で大切な役割を担っております。
 今後とも、こうした役割を着実に果たしていくために、共同研究また産学公連携などの充実によりまして、多くの成果を上げて、一社でも多くの中小企業の課題解決に寄与できるよう、我が産業労働局と産業技術研究センターが一体となりまして全力で取り組んでまいります。

○小竹委員 私の方からも、産業技術研究センターの評価についてお伺いしたいと思います。
 技術研究センターが独立法人化されて一年たつわけですが、我が党は、中小企業の支援拠点としての産業技術研究センターについては、東京都がきちんと責任を持つ都立の施設として行うべきだという考え方に立っています。その点からお伺いしたいというふうに思います。
 産業技術研究センターの運営を支える柱は、都から交付される運営交付金ですけれども、十八年度は五十一億六千六百万円出ています。交付の基準、使途基準、また十九年度以降の交付額はどういうふうになるのか、最初にお伺いいたします。

○三枝商工部長 運営交付金は、地方独立行政法人法に基づき、法人が行う事業の財源に充てるための経費として、使途を特定することなく、渡し切りの交付金として都が交付しているものでございます。
 平成十九年度につきましては、中期計画で定めた財政運営の効率化を踏まえ、事業の財源として必要な経費が措置されており、今後も同様の観点で予算を求めてまいります。

○小竹委員 今、お答えいただいて、渡し切りというふうな交付金だということですが、そういう意味では何にでも使えるという中身ですけれども、この運営交付金の中には人件費も含まれているわけで、特に人件費を含む標準運営交付金は、中にも書かれていますけれども、毎年一%ずつ五年間にわたって削減していくということが明記されています。
 この点では、私は非常に重大だというふうに思うんですね。人の配置というのは、中小企業を支援する施設としては、やっぱりかなめになる問題ですから、そういう点でいえば、この部分を毎年一%ずつ減らしていくということは、人材確保という点でも困難になりかねない。この点では問題点として指摘をしておきます。
 次に、外部資金の調達目標が掲げられ、五年の中期目標を上回る形で達成されたということになっていますけれども、外部資金の獲得ということが交付金を減らす要因になるのではないかという危惧が持たれるんですが、その点についてはいかがですか。

○三枝商工部長 運営交付金はあくまで法人が行います事業の財源に充てますために、経費として東京都が積算の上、交付するものでございます。外部資金の獲得額に応じて増減することはない、かように考えてございます。

○小竹委員 外部資金の獲得額に応じて増減はしないということですから、これは将来にわたって保障するということで、きちんとしていただきたいというふうに思います。
 また、外部資金の説明の中に、提案型の事業への積極的な応募とともに、未利用外部資金の活用ということが書かれていますけれども、これはどういうものを指すのか。
 そして、全体の中期計画の議論のときには、民間企業については含まないというご答弁をいただいているんですが、この点についてはどうなのか、お答えください。

○三枝商工部長 業務実績評価書にございます未利用外部資金とは、産業技術研究センターがこれまで、提案ですとか、あるいはそれに応募してこなかった分野の外部資金を指すものでございます。
 民間企業の資金のうちにも、こうした研究試験等に資するものもございますので、こうしたものも対象になると考えてございます。

○小竹委員 こういう外部資金の獲得というふうなことが、先ほど申し上げましたけれども、一%ずつ毎年運営交付金を減らすということになれば、やっぱり事業を確保するという点でいったら、外部資金に頼っていくという方向にならざるを得ない状況も生まれてくるんじゃないかというふうに思われて仕方がないんですね。
 外部資金というのは研究テーマが特定される中身でもあるわけで、こういう外部資金に依存するというのは、今、中小企業が求めていること、中小企業に対する支援とはかけ離れる部分も出てきかねないという点で、私は危惧を持っています。
 特に、民間企業については、研究費を組むことができるのは、中小企業じゃなくて、どっちかといえば大企業などということになるわけで、そういう点でいうと、中小企業支援という点から外れていくことになりかねないんではないか。この点でも、やはり運営費についてはきちんと保障する立場に立つ必要があるというふうに思いますので、この点でも強く運営費の保障について求めておきます。
 次に、新製品、新技術開発を目指す中小企業の支援施設として、製品開発支援ラボ、それから共同研究開発室を設けた。こういう点については、私は中小企業にとって重要な支援策だと考えています。東大阪のクリエイション・コアでも二十室設けられて、ここでは、中小企業とともに、大学の研究員の方々も一緒に、そこのクリエイション・コアの職員と共同開発をしているという点で、私は非常に意義深く見させていただいたんです。
 そういう意味で、今度のラボが三室、共同研究室が二室という規模でつくられたのが、どういう状況のもとで、どんな理由でつくられたのか。それから、資機材等についての設置はどういうふうになっているのか。入居率一〇〇%とありますけれども、募集や応募がどのように行われ、その利用条件や具体的な支援策についてもあわせてお答えください。

○三枝商工部長 中小企業の製品開発や技術開発を支援する観点から、中小企業の要望も踏まえまして、産業技術研究センター内のスペースを最大限活用して五室設置したもので、資機材の設置につきましては、利用者みずからが行っているところでございます。
 このうち、製品開発支援ラボにつきましては入居希望者を公募し、また共同研究開発室につきましては、共同研究開発企業のうち希望する者を選定したところでございます。
 製品開発支援ラボの入居者につきましては、賃料及び共益費約五万円と、電気、水道等の使用料を徴収しているほか、技術相談や依頼試験などの支援を実施しているところでございます。
 今後、区部、多摩の産業支援拠点の整備にあわせて、新たに同様の施設を設置する予定でございまして、詳細につきましては、現在検討しているところでございます。

○小竹委員 私も、こういう施設というのは本当に重要だというふうに考えています。そういう意味でいうと、産業拠点整備、多摩と区部とに一カ所ずつというふうな形で統廃合して、そういう中に設置するのではなくて、やはり、中小企業の集積がある、地場産業が集積している身近なところに設置するということが非常に重要だと思うんですね。そういう点では、問い合わせも多数あるということですから、ぜひ今ある施設を活用することも含めて、支援体制をとるべきだというふうに思います。この点については要求しておきます。
 こういう施設というのは、何も独法化されたからつくれたんじゃないというふうに私は思うんですよ。都立だって、きちんと予算を配分すればできたことだと思うんですけれども、支援施設として、地場産業を支えるものとして、やはり継続させていくということを強く求めておきます。
 東大阪では、この開発ラボとあわせて、市内各社が持つ製品や技術の展示コーナーを設けているんですね。そこでいろんな企業が来られるのを機会に受発注ができるような状況、受発注を促進するような支援、マーケティングなども結びつけて、本当に中小企業が自分の製品を売り込んでいけるような場をつくっていますので、そういうものについても、今後ぜひ、二つの産業拠点じゃなくて、たくさんの今ある施設の中にもつくっていただきたいということを、この点は要望しておきます。
 次に、評価書の中では、研究員について高く評価がされていますけれども、現実には、今いただいた資料でもわかるように、研究員が減っています。特に墨田支所、駒沢支所では、都立の時代と比べると、独法一年の時点で二割の研究員が減っているという点では、業務に重大な支障を来しかねないことが危惧されます。
 こういう点で、二つの支所で研究員が二割減った原因は何なのか。それから、墨田では依頼試験が半減していますけれども、研究員の減少が影響していないのかどうか、この点についてお答えください。

○三枝商工部長 墨田支所、駒沢支所におきます研究員の減でございますが、それぞれの地域の中小企業の技術支援のニーズの動向等を十分勘案いたしまして、センター全体で所要の研究員を適切に配置したものでございます。
 なお、墨田支所の依頼試験の減少でございますけれども、平成十七年度にございました大口利用が減ったことが直接の原因でございまして、研究員の減少とは直接関係はございません。

○小竹委員 技術支援ニーズの動向を勘案して、研究員の適切な配置を行ったということですけれども、私が組合の方にお話を伺ったことからいうと、違うんですよね。産技研の時代、都立の時代に、そこの年齢構成や何かを見て、若い人たちが採用されれば、その人たちを養成するということに非常に力を注いできて、そういう養成した人たちが、独法化される過程で、他局に異動させられるとか、希望がかなえられないということでやめられたということなんですよ。だから、そういう状況で、独法ということによって、大切な研究員が失われることになったんだなというのをはっきり感じたんですね。そういう点では重大な問題だというふうに思うんですよ。
 しかも、駒沢にしろ、墨田にしろ、五人欠員のまま来ているという点では、私、問題だと思うんですが、この補充のための対策はどういうふうに行われたんですか。

○三枝商工部長 産業技術研究センターでは、本部、支所全体といたしまして、一定の研究職の経験を有した即戦力である任期つき研究員や、新規採用を中心とした一般職員、さらに産業技術研究センターの退職者の再雇用ですとか、長年培いました能力、経験等を生かして新たに雇用するワイド・キャリア・スタッフを採用するなど、種々の工夫を凝らしているところでございます。
 なお、駒沢支所につきましては、今申し上げましたワイド・キャリア・スタッフと任期つきの研究員を配置しているところでございます。

○小竹委員 ワイドキャリアの方が駒沢の方にはいるということですけれども、先ほどいただいた資料でいえば、任期つきは一人と書いてありますよ。だけど、駒沢は、二十二人の研究員がいたのが十六人に減っているという点では、六人減っているんですよね。二割以上減っているわけですよ。それから墨田でいえば、二十二人の研究員が、任期つきはいませんから、十七人になっているということでも、やっぱり五人減って、二割以上の人が減らされたまま。今おっしゃられたお答えでいいますと、いろいろ活用して回っているんだというふうなお答えなんだけれども、研究職というのはそれこそ専門ですから、そう簡単に、ほかの研究をやっている方が急遽ピンチヒッターで応援なんて、それはできない話だというふうに思うんですよ。
 そういう意味でいったら、本当にきちんと--五人減ったのをそのままにしておくということは、その地域の利用される中小企業の皆さんのサービスが低下するということにつながっていくわけですから、やっぱり問題だと思うんですよね。その点についてはきちんとやっているという産労局の立場なんですか。ちょっと私は納得いかないですね。
 墨田が使っているのは、アパレル分野が中心ですよね。アパレルというのは、今、アジアからの大量の輸入品による依頼事業、依頼試験がふえているという傾向が、ことしは減っていますけれども、一昨年の増加傾向の中にもはっきり出ている状況ですよね。だから、それにこたえられる体制という点でいったら、やっぱり職員の確保というのは欠かせないんじゃないんですか。
 しかも、墨田の支所の周りにはアパレルやファッションの中小企業が集積していて、そこの産業拠点の中に墨田支所はあるわけで、都内の繊維の試験研究機関といえば唯一に近い。多摩の八王子と墨田二カ所しかないわけですよね。関東一円で見ても、非常に貴重な存在だというふうに聞いているわけで、中心的な役割を果たしている。こういうところで、一番中小企業を支えるべき研究員が減らされてしまうというのは、やはり重大な問題だというふうに思いますので、この点も指摘をしておきます。
 しかも、今、墨田の場合には、ここ(資料を示す)の中にたくさん評価されている問題ですけれども、オーダーメードセミナーだとか、共同開発研究だとか、受託研究だとか、非常に評価書の中でも高い事業を、中小企業の方から依頼を受けて、自分たちも開拓するのも含めて、研究員の方々がやって、大きな成果を上げているという点でいっても、このまま放置するわけにはいかないということで、産労局が、確保されているなんていう立場であったんじゃ困るというふうに思いますので、重大な問題としてこれは指摘しておきます。
 もう一つ、この三月に産労局が発表した産業振興基本戦略には、重点産業としてファッション産業が位置づけられているんですよね。私たちは、産業基本戦略については批判的な立場をとっていますけれども、ファッション産業というのは、墨田区を中心にした集積という点でいえば、こういう技術を支える拠点がこんな状況に放置されるというのは、役割を十分果たし得ない状況になっていくということになるんじゃないんですか。この点についてはどうですか。

○三枝商工部長 東京にはさまざまな産業集積がございます。ファッションも東京の代表的な産業の集積の一つでございます。墨田支所、八王子支所を含めまして、繊維関係の研究員を配置してございまして、時宜に応じて適切に研究の支援をしております。

○小竹委員 適切にやっているという立場は変わらないんだけれども、私は、本当に、産業振興という基本戦略を掲げているんであれば、やっぱりそこの充実を図って、きちんと要望にこたえていけるような体制を整える、これが都としての役割だというふうに思うんですよ。そういう点でいうと、独法化されて都の方が遠い存在になっているのかなというのを感じざるを得ないんですね。
 こういう点では、研究員の確保という点は不可欠の問題ですから、現場の声を反映してきちんとやっていただくように、これは強く求めておきます。
 墨田支所を含めて、産業技術研究センターの研究員、これは都のほかの施設でも同じ状況といわれているわけですけれども、五十五歳以上の団塊の世代が多い状況になっているのは、ほかの施設と変わりがありません。これまでの研究員の長い研究と豊かな経験の蓄積で、今回のこういう評価につながっているわけです。しかも、中小企業支援をこういう中で支えてきたのが研究員の方々だというふうに思います。団塊の世代の退職を控えて、若手の研究員をきちんと確保して育成していくのが不可欠の問題だというふうに思うんですが、若手研究員の確保と育成の計画と対策についてはどのようになっているのか伺っておきます。

○三枝商工部長 産業技術研究センターでは、新規採用職員を含めまして、研究ニーズに応じて柔軟に人材を採用することといたしておりまして、特に若手研究員につきましては、実際に試験研究に従事する中で適切に育成を図っているところでございます。

○小竹委員 相当の数の方が定年退職を迎えるというのは、ほかの職場も同様だと思うんですが、一朝一夕には養成はできるものではないわけですよね。特に研究ということになれば、長い間の研究とか技術が求められるわけですから、産技研に蓄積された長年の経験と技術を受け継ぐという点でも、新卒者を含めた若手の育成、計画的な採用と養成をすることは欠かせない問題だというふうに思います。この点を放置すれば重大な支障を来しかねない事態にも立ち至るという点でも、この点はきちんとやっていただくように強く求めておきます。
 あわせて、この間いろいろ伺ってきた中で問題だというふうに思うのは、センターの中心的な仕事を担っている研究員の定数が定められていない。この点でも、私は、最低限これだけは確保するという、中小企業からの要望を満たしていく上での定数の設置が必要だというふうに考えています。
 今、常勤の研究員が減った問題を取り上げてきましたけれども、研究員が減っている上に、研究員二百二十五名のうち四十二人、一八・七%が三年間の任期つき研究員になっています。独法になって任期つき研究員が導入されて、開設一年で二割近くも占めている状況という点では、私は、三年間の任期というのが、本当に落ちついて研究できるんだろうかという点で非常に心配をしています。
 任期つき研究員を募集するのは、どういう基準に基づいてやっているのか。それから、現在、研究員の二割近くを占める状況にあるわけですけれども、どの程度まで任期つき研究員にすることを考えているのか。また、その処遇が三年ということですけれども、三年後の継続性についてどのように考えておられるのか、お答えください。

○三枝商工部長 産業技術研究センターでは、即戦力として、一定の研究経験等を有した優秀な人材を確保する観点から募集してございまして、今後とも、中小企業の技術支援ニーズや、あるいは研究開発の動向等を十分考慮いたしまして、必要な人員を採用してまいります。
 なお、任期つき研究員につきましては、雇用期間の終了後、産業技術研究センターの採用選考に応募することは可能でございまして、研究実績等を踏まえまして、将来、職員に採用される道もございます。

○小竹委員 今、任期つき研究員の方は即戦力ということでお答えがあったんですが、即戦力とはいっても、そこの状況に合わせて、中小企業の要望にきちんとこたえていけるようにするには、やっぱり一定の期間を要するということも現実の問題だと思うんですね。
 そういう点でいうと、やっとなれて、何とか研究が軌道に乗っていこうというときに、もう三年たってしまう、あっという間に三年なんていうのはたってしまいますから。そういう点でいうと、三年後の処遇、三年たって、一応継続して受験できるということではありますけれども、自分の身分について、本当に継続できるんだろうかという点でいえば、保障されていないということにもなるわけです、すべての人が継続できるわけではありませんから。そういう意味でいったら、次の再就職、研究員だから、研究する大学だとかそういうところへ戻ることができるんだというふうなお話もありますけれども、決してそういう人ばっかりじゃないという点でいうと、やっぱり再就職のために自分が仕事を探して駆け回らなきゃならないという事態にもなるわけですよね。職種によって、研究分野によっては、再就職のために一年以上かかることもあるんだというお話も伺っているんです。
 だから、こういう点でいうと、本当に落ちついて中小企業支援のために働くことができるようにするという点では、私は、三年間の任期というのは非常に問題があるというふうに思っています。
 任期つき研究員が増加するということは、三年で研究員がかわって、支援してもらう人がかわるということですから、そういう点でいうと、支援を受ける中小企業の側からいっても、研究の積み重ねなども含めて、豊かな経験に基づいた支援というのが十分できなくなるということにもつながりかねない、こういうことを感じます。
 任期つき研究員が相当数ふえるというふうなことも、数については限定されていないようですので、こういう点では、今まで産技研の長い歴史と経験の積み重ねの中で行ってきたことが崩れかねない事態にもなりかねないということを指摘しておきたいと思います。
 評価書の随所に研究員の高い評価が出されていますけれども、こういう方々、先ほどもいいましたけれども、都立の産業技術研究所時代からずっと長年の蓄積のもとにやってこられた方々の蓄積があった上で、こういう評価になっているわけですから、これまでの研究を継続していくという点でも、若手の研究員の計画的な採用と教育、育成、これは緊急を要する事態だというふうに思うんです。
 そういう意味では、常勤の研究員を確保すること、これが豊富な経験を蓄積するかぎだというふうに思うんですね。こういう点でも、この問題、重視していただくように強く求めておきます。
 また、中期計画にも評価書にもあるんですけれども、研究員について、業績評価制度だとか、職責、業績を反映した給与制度の導入ということが記されています。これらの制度は、研究職という点で見ても、職員の間の団結という点でも、やっぱり分断を持ち込みかねないという点で、これは研究員などにはなじまない制度だというふうに思いますので、やめるべきことを強く求めておきます。
 この間、いろいろ問題を指摘してきましたけれども、独法化一年で、問題点はまだまだ十分あらわれていない。都立産業技術研究所の時代の高い評価の上に立っての事業ですから、こういう点ではあらわれていないわけですけれども、ここに出されているいろんな事業については、何も独法化しないでも、都立でやっていけるものだったというふうに私は考えています。予算をきちんととってやれば、都立で継続することは可能であった。独法化するということは、今後、多くの問題、今指摘したような問題も含めて出てくる可能性もありますし、先ほどいわれた交付金をカットすることなどを含めて、都の責任が放棄されかねないという点では、独法化については問題があるというふうに思いますので、独法化をやめて都立に戻していくことを強く求めて、質問を終わります。

○鈴木(章)委員 我が党は、十八年度に独立行政法人化し、そして今回が初めての評価となります、この業務実績評価について、大変興味を持っております。独立行政法人化したことにより、運営が弾力化して、中小企業に対する技術支援機能が大幅に向上することを大変期待して見守っておりました。
 好景気とはいえ、昨日の短観を見ても、中小企業を取り巻く環境というのは厳しいという状況の中で、ものづくりを担う企業をどのように支援し、そしてまた、今、環境全体が、アジアを初めとする世界的な技術開発の競争の中で、中小企業のニーズというのは大変高度化し、多様化している中で、本当にどのように支援をしていくかということが、今、大変求められていることではないかなというふうに感じております。
 東京の産業を牽引していくような企業を支えていくためにも、多様なニーズにきめ細かくこたえていけるような産業技術研究センターの役割というのは、今後ますます重要になると考えております。
 そうした中で、今回の業務実績評価書を読ませていただきますと、中期計画の達成に向け着実な業務の進捗状況にあるという状況で、順調な滑り出しであることがうかがえるのではないかなということで、大変心強く感じるものであります。
 これらの点を踏まえまして、産業技術研究センターの業務実績について何点かお伺いさせていただきます。
 まず最初に、評価書の総評に、産業技術研究センターの使命を認識し、新規施策を積極的かつ迅速に進めているとありますけれども、具体的にはどのような施策を行っているのか、お伺いいたします。

○三枝商工部長 産業技術研究センターは、中小企業のニーズや最新の技術動向等を的確に把握し、研究ノウハウや試験設備等を活用いたしまして、中小企業の役に立つ研究や技術支援を効率的、効果的に実施いたしまして、東京の産業の発展と都民生活の向上に寄与すること、これを使命としてございます。
 こうした使命のもと、中小企業の求めに応じたオーダーメード試験や、商品の企画から設計、解析、試作までを支援するデザインセンターを法人化後半年で開設するなど、新規施策に積極的に取り組みましたところが高く評価されたものと考えてございます。

○鈴木(章)委員 先ほどもお話しさせていただいたように、独法化のメリットというのは、弾力的かつ迅速な運営により中小企業のニーズにきめ細かくこたえていくことにあるというふうに思っております。今、答弁にございましたオーダーメード試験の実施やデザインセンターの早期開設など、さまざまな独法化の利点を生かした施策というふうに思っているわけですけれども、これ以外にどのような実績を上げているのか、お伺いいたします。

○三枝商工部長 産業技術研究センターでは、昨年度、製品や技術の開発を行う企業や新規創業を目指す企業等を支援するため、低廉な賃料で創業三年以内の企業に貸し出します製品開発支援ラボを三室、これに加えまして、産業技術研究センターと共同研究を行う企業のうち、自社内に研究スペースなどを十分確保できない企業のために、共同研究開発室を二室設け、製品開発や研究開発が迅速に進みますよう支援しているところでございます。
 また、利用企業の利便性を高めます観点から、依頼試験等の料金の支払い方法を改善いたしまして、従来の産業技術研究センターの窓口での支払いに加えまして、コンビニエンスストアや銀行での振り込みも可能にいたしたところでございます。
 さらに、産業技術研究センターにおきまして、国際的に通用する品質証明書を発行可能にしたことですとか、中小企業や業界団体の個別ニーズに対応したオーダーメードセミナーを開始し、利用企業の新人研修などに幅広く活用されたことなど、独立行政法人化以降、さまざまな実績を上げているところでございます。

○鈴木(章)委員 今ご答弁いただいたように、昨年度、独法化いたしまして、今、新たにさまざまな施策に取り組んでいるのかなということで、大変評価できることであると思っているわけですけれども、事業を実施する側の観点だけではなく、それを利用する側の声を大切にすることが物すごく大事だなというふうに思っております。
 この資料を見せていただいても、アウトカムの把握が大切だというふうに記されておりますけれども、これらの施策に対して、利用する側の企業の評価というのはどうなっているのか、どのように把握しているのか、お伺いいたします。

○三枝商工部長 産業技術研究センターが実施いたしましたアンケート調査などによりますと、さきにご説明した製品開発支援ラボや共同研究開発室につきまして、入居されている企業から、信頼できるデータ測定環境が整備され研究が促進できたといった評価の声が寄せられてございます。
 特に、オーダーメードセミナーにつきましては、満足度が、十分得られたとする企業が八五%に上りまして、これに続く、ある程度満足が得られたとする残り一五%を加え、参加企業の一〇〇%から高い評価を得ているところでございます。

○鈴木(章)委員 私は、初年度に中期計画の三万件以上を機器利用においてはクリアしたとか、また今回、二千五百件を超える助成事業の技術審査を実施し、というような部分において、本当にこの利用価値が高く、利用企業の評価、評判も大変よくて、中小企業のニーズを視野に入れた施策が展開できているのではないかなという中で、厳しい競争の中で生き残りを図る中小企業の製品開発や技術の開発にとって、極めて有効な、貢献度の高いものと思っております。
 しかしながら、新規施策のみならず、将来にわたり中小企業をきめ細かく支援していくためには、これまで実施してきた施策を含めて、バランスのいい取り組みが不可欠であるというふうに私は思っておりますけれども、その辺はどのようにお考えか、お伺いいたします。

○三枝商工部長 従来から産業技術研究センターの主要事業でございました技術相談等につきましては、中期計画を上回る実績を上げてございまして、オーダーメード試験など新規施策の展開とあわせまして、中小企業に対する技術面の支援を積極的に、かつバランスよく推進しているところでございます。
 例えば、技術相談につきまして、中小企業からメールでも相談を受けるなど、新たに利用しやすい環境を整え、中期計画の目標である七万件を上回る七万六千百八十四件の相談を受けてございます。
 また、依頼試験につきまして、先ほどお答えいたしました料金支払いの方法の改善に加え、利用企業に対して「ご利用カード」を発行し、試験の申込手続を簡素化した結果、八万一千件を超えるご利用がございました。
 中小企業が産業技術研究センターに寄せる期待感は極めて大きく、引き続き多くの中小企業にご利用いただきますよう工夫してまいります。

○鈴木(章)委員 冒頭申し述べさせていただいたように、私たちは、地方独立行政法人化することによって、技術支援機能の大幅な向上が期待できるのではないかなという形で、今回の業務実績評価書を本当に関心を持って待っていたわけですけれども、今のご答弁、そしてまた私たちが評価書を読ませていただいても、独立行政法人化を契機に、産業技術研究センターが一丸となって着実に実績を上げているというふうに感じております。
 新たな体制になって、機動性を発揮して斬新な取り組みを積極的に行うとともに、技術相談や機器利用サービスも確実に、今ご答弁がありましたように、充実しているということでは、本当に順調な船出ではないかなというふうに受けとめております。
 しかしながら、今回の評価委員会では、幅広い視点で都民ニーズの的確な把握に努め、技術支援の量的、質的な充実を引き続き進めていくことが期待されるという意見が表明されておりますけれども、こうした意見を踏まえ、本当に今、中小企業、ものづくりを担う企業を取り巻く環境というのは大変厳しくて、競争が激しい中で、今後どのように技術支援を充実させていくのかということを、局長の見解を伺いまして、質問を終わらせていただきます。

○佐藤産業労働局長 産業技術研究センターは、独立行政法人化のメリットを最大限生かしまして、新規施策にも積極的に取り組み、評価委員会からも高い評価を得ることができました。しかしながら、それに甘んずることなく、幅広い視点から、今以上に中小企業のニーズの的確な把握に努めまして、依頼試験や技術相談等の充実を図りますとともに、中小企業との共同研究にも一層力を入れまして、技術開発や製品化について強力に支援してまいりたいと思います。
 また、これまでも、骨伝導を応用した耳鼻科治療のいすですとか、杉の間伐材を利用した木材ボードといったような、健康や環境に資する共同研究開発などに取り組んでまいりましたけれども、今後とも、こうした社会的な課題の解決に寄与するような中小企業の技術開発支援などを強化してまいりたいと思います。
 私としては、より多くの中小企業の方々に、産技研に行けば製品開発とか技術的課題の解決の糸口が必ずつかめる、そういったようなことを期待され、また信頼される試験研究機関になりますよう、全力で取り組んでまいります。

○原田委員 産業技術研究センターが独立法人化して一年経過し、評価書が示されました。この評価書によると、初年度のスタートとしては、まあまあいいスタートを切ったかなという印象を持ちます。
 産業技術センターが独立法人化した結果がどのような展開を可能にしていったのか、少し検証したいと思います。
 まず、評価書の中には、機器利用サービスについて、午後八時までの夜間利用を可能にし、多くの利用があったと報告されています。それを実現するに当たり、人員配置は従来とどう変わったか、職員増はあったのか、職員ローテーションなどどのような工夫を行ったのか、お聞かせください。

○三枝商工部長 産業技術研究センターでは、自社内に十分な試験研究設備等を持たない中小企業のために、従来から機器利用サービスを提供してまいりました。平成十八年度から、中小企業に対する利便性を向上させるべく、午後八時まで機器の利用が可能な体制を整えましたところ、百五十件の夜間利用がございました。
 この夜間利用につきましては、原則予約制といたしまして、利用内容に応じて、専門性を有する職員が個々に対応することといたしましたことから、特に職員をふやすことなく、中小企業に対するサービスの質の向上を実現したと考えてございます。

○原田委員 利用者が不特定多数ではないというので、予約制というのは当を得ていたかなと思いますが、独立法人化でなくても、このような工夫はもっと前にあってよかったかなというふうなことも考えます。ひとまず、利用件数が百五十件増ということで、評価したいと思います。
 産学公の連携を活発にしていくことが、基礎的なことで、重要だと思います。報告書では、異業種交流活動支援として新たに一グループ立ち上げたと記載されていますが、産技研が支援する異業種交流会の活動の現状をお伺いしたいと思います。
 産業技術研究センターの活動のすそ野を広げるためにも、こうした異業種交流会は重要だと考えておりますが、あわせて今後の方針をお伺いしたいと思います。

○三枝商工部長 産業技術研究センターでは、業種を超えた中小企業の連携が、新事業、新製品を生み出すために重要であるとの認識のもと、従来から異業種交流グループの活動を支援してまいりました。
 平成十八年度におきましては、二十二の異業種交流グループの活動を支援して、総計七十三回の会合を開催し、延べ一千十六名の中小企業の方々の参加を得たところでございます。
 こうした業種を超えた企業交流の中からは、業種を異にする中小企業三社が連携いたしまして、印刷機用の紫外線強度計を開発するなど、製品開発につながる成果も出てきてございます。
 このように、異業種交流グループの活動に対する支援は、中小企業による新製品開発の契機となりますことから、引き続き着実に進めてまいります。

○原田委員 地域の活性化というようなテーマでも、異業種交流会というのは大変活発です。そのような市民の交流の場というのは、課題が本当に出てくるような状況が出ていますので、このような試みというのは本当に大事だというふうに考えております。これからも引き続き頑張っていただきたいと思います。
 その次ですが、外部資金導入研究に関して、目標を大きく上回る総額二億二千万の実績があったと報告されていまして、この主な内容と、外部資金導入研究が目標を上回った要因ということで、ご質問させていただこうかと思いましたけれども、これは随分重複というか、遠藤委員の質問の中で明らかにされましたし、資料要求でもいただきましたので、割愛させていただきます。
 外部資金が増加した要因というのは、まさに独立法人化の一つのメリットというか、外部資金を柔軟に受け入れて、その運用もかなりしやすくなったということで、私は、ここの部分が広がることで、今後の独立法人化の可能性に期待したいというふうに思っております。
 そういうことも踏まえて、外部資金導入のいろんな知恵とか情報なんかはまめに収集していただいて、今後、この独立法人化最大のメリット、外部資金導入に関しては頑張っていただきたいと考えております。
 今回の大きな事業として動こうとしている中に、地域結集型研究開発プログラムがありますけれども、その事業内容、事業総額、参加者の役割分担、一つの五年間のプロジェクトというふうに聞いておりますけれども、そのプロジェクトの動かし方についてご説明いただければと思います。

○三枝商工部長 地域結集型研究開発プログラムは、独立行政法人科学技術振興機構からの資金の提供を受けまして、産学公が連携いたしまして研究開発を行う事業でございます。
 具体的には、光化学スモッグの原因となりますトルエン等々の揮発性有機化合物、いわゆるVOCといわれるものでございますけれども、こうした有害化学物質を浄化するために、新しい吸着材などを開発するとともに、それを活用した安価で小型かつ高性能な処理装置の開発、実用化を目標としてございます。
 事業費は、平成十八年から二十三年までの五年間で、約二十五億円を予定しているところでございます。
 本研究には、大学、中小企業、他の研究機関など合計二十二の団体が参加をいたしておりまして、研究テーマごとに、参加団体がグループをつくりまして共同研究を行ってございます。産業技術研究センターは、その中核機関として、ナノテクノロジーセンターにコア研究室を設置し、プロジェクトを推進しているところでございます。

○原田委員 参加機関も大変多いようでございます。いろんな方面の意欲が結集していく場所として、期待したいと思います。産技研のネットワークも人材も含めて、いい結果が出るように期待したいと思います。
 その次なんですけれども、産技研における研究テーマを設定する場合、今、社会的に要求されているもの、また国が動き出しているようなものなど、市民生活を含め各方面の情報の中で判断していく能力というのが問われていくと思います。研究テーマ決定の際のプロセスというのはどうなっているのでしょうか。
 また、公的な資金が導入されている意義は、まさに社会的な使命を持っているからということであり、市民が生活の中で解決してほしいテーマも吸い上げていく仕組みも必要なのではないかと考えております。関係者だけでなく、市民にとってもっと開かれた身近な場所にしていく必要があると考えますが、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○三枝商工部長 研究テーマの設定は、まず日常の業務等を通じて把握した中小企業のニーズを踏まえつつ、最新の学会の動向やこれまで蓄積してきたノウハウ等も考慮いたしまして、各研究員が提案を行います。その提案につきまして、金額の大きなものは外部の有識者をメンバーとする委員会で、また金額の小さなものにつきましては、産業技術研究センター内のメンバーで構成されます委員会で検討を行った上で、最終的に研究テーマを決定してございます。
 今後は、より幅広い観点から詳細なニーズの把握に努めますとともに、健康、福祉、環境といった社会的課題の解決につながるような研究開発にも精力的に取り組んでまいります。
 なお、中小企業に対する支援の充実には、何よりも産業技術研究センターの研究内容や事業を広く知っていただくことが欠かせないことから、ホームページの充実やメールニュースの発行、施設公開など、さまざまな手段によりまして、中小企業にとどまらず、広く都民に対して広報を行っております。
 今後とも、こうした取り組みを着実に進め、産業技術の普及と産業技術研究センターの利用の拡大を図ってまいります。

○原田委員 ものづくりの基盤を支える産技研の仕事を多くの人に理解してもらう、そして応援してもらうということが大変大事だと思います。こういうことを丁寧にやっていくことで、もちろん、国のいろんな補助金をもらうこともありますけれども、民間からの寄附も誘導されるというような、まだないようですけれども、そのうち、産技研に世話になったということで寄附をしてくださる方もいるかもしれません。また、いろんな意味で、そういう市民のカンパみたいなものが出てくるということも、私は大事なことかなと考えております。
 また、中高生の社会科見学の場所にしても、ちょっと難しいかもしれませんが、ただ、本当に、具体的なものがあると大変興味を持つということもありますので、人材育成につながっていくということもあると思います。
 そしてまた、私たちの身の回りは大変多くの化学物質があって、今回の地域結集型研究開発プログラムでも有機溶剤の話が出てまいりましたけれども、例えば、町のクリーニング屋さんも有機溶剤をドライクリーニングで使っていて、地下水汚染があるというような話も出てくるわけです。そういう状況を考えますと、市民が暮らしの中で感じている提案を吸い上げるような仕組みというのは、ぜひ考えていただきたいと思っております。
 国にPRTR法、東京都は環境確保条例ですか、化学物質の発生抑制、管理が大事ということで、取り組んできていますが、この化学物質の代替の提案も出てくることに期待したいと思います。
 今後、産業技術研究の発展を願って、質問を終わります。

○石毛委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○石毛委員長 これより港湾局関係に入ります。
 報告事項、臨海ホールディングスグループ経営基本方針について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○多羅尾総務部長 九月十三日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 表紙をおめくり願います。目次に記載のとおり、二項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、五大港の外貿コンテナバース数でございます。
 東京港を初めとする国内の主要五港における外貿コンテナバースの数を、公共、公社、その他の管理主体別に分け、まとめたものでございます。詳細はごらん願います。
 二ページをお開き願います。2、世界主要港湾における管理主体でございます。
 世界の主要七港の管理主体を、北米、ヨーロッパ、アジアの地域別にまとめたものでございます。詳細はごらん願います。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○田中委員 過日行われました委員会でご報告いただきました臨海ホールディングスグループ経営基本方針についてと、東京港埠頭公社の民営化につきまして、大きく二点、お伺いしてまいります。
 まず初めに、臨海ホールディングスグループ経営基本方針についてですが、ことしの一月に、東京臨海熱供給株式会社を母体として株式会社東京臨海ホールディングスが設立し、八月には東京テレポートセンターと、ゆりかもめが子会社化され、グループ経営が始まりました。また、来年度のビッグサイトと民営化後の埠頭公社の子会社化準備も順調に進んでいると伺っております。
 ホールディングスについては、昨年の持ち株会社構想発表以来、本委員会において幾度となく議論をしてまいりましたが、我が党はこれまで、グループが持つ資源、可能性を最大限駆使して、臨海地域の主要課題である東京港の国際競争力の強化や臨海副都心のまちづくりに積極的に活用すべきだと主張してまいりました。
 今回、グループ全体の経営戦略の基本となる経営基本方針が策定され、報告がございましたが、グループを臨海地域の発展にどのように活用していくかという視点に立ちまして、何点かお伺いしてまいります。
 経営基本方針では、臨海地域の発展に資するエリアマネジメントの推進として、物流・交通対策、観光振興とにぎわいの創出、企業活動支援の強化、社会的責任を果たす取り組みの四つの視点が掲げられております。そこで、まず初めに、改めまして、これらも踏まえながら、経営方針にも触れられておりますが、港湾局として臨海地域の課題をどのようにとらえているのか、またグループがどのような役割を担っているのかをお伺いいたします。

○山本監理団体改革担当部長 東京港は、アジア諸港の躍進に伴います相対的地位の低下が懸念されており、港湾コストの低減など、国際港湾としての国際競争力の向上が課題となっております。
 一方、臨海副都心は、まちづくりが総仕上げの時期を迎え、魅力的で活力あるまちづくりに向け、開発を一層推進していく必要がございます。
 さらに、臨海地域は、招致活動が進みます二〇一六年東京オリンピックの主要会場の候補地や選手村の予定地となっているとともに、陸海空の交通や物流の結節点として、今後、飛躍的な成長を遂げることが見込まれてございます。
 このように臨海地域を取り巻く状況が新たな局面を迎える中、都市機能と港湾機能が交錯する、この臨海地域が今後も健全に発展していくためには、二つの機能が相互に調和を図っていかれるよう、開発や事業を進めていくことが課題となっております。
 このため、地域冷暖房や交通基盤あるいは企業活動の場の提供や展示会ビジネスなど、これまで臨海地域の発展に貢献してまいりました各監理団体を経営統合いたしまして、統一的な経営戦略のもとで一体的にサービスを提供する仕組みをつくり上げることが必要であり、持ち株会社である臨海ホールディングスを設立したところでございます。
 臨海ホールディングスグループは、今回策定いたしました経営基本方針に基づきまして、エリアマネジメントに取り組んでいくことにより、交通、観光、企業活動支援、環境、防災など、地域が抱えるさまざまな課題の解決に貢献してまいります。

○田中委員 今後、臨海地域が発展していくためには、今もお話がございましたように、都市機能と港湾機能の調和が課題である。また、グループとしてエリアマネジメントを推進することにより、さまざまな課題解決に貢献するということを確認させていただきました。
 それでは次に、具体的に何をやるのかということでお伺いしてまいります。
 経営基本方針の中には、先ほど申し上げた四つの取り組みの方向性として整理されておりますが、今後、経営計画を策定し、実施に移していくものと思っております。その内容について、もう少し、幾つかお伺いしてまいります。
 臨海副都心のちょうど対岸になりますが、私の地元品川区内に大井ふ頭があり、コンテナ車両による渋滞が課題となっておりました。すぐ近くには八潮団地があり、まさに港湾機能と都市機能との調和が求められておりましたが、コンテナ専用レーンの創設などにより、一定の成果が出ております。地元で同様の課題を抱えておりますので、私自身、この点について強い問題意識を持っておりますので、四つの取り組みのうちの交通対策についてお聞かせいただきたいと存じます。
 今後も、東京港の機能強化に伴う貨物量の増加や、臨海副都心のさらなる魅力向上に伴う来訪者等の増加により、地域の交通渋滞に一層拍車がかかるものと懸念しております。そこで、臨海地域のさらなる発展のために、地域の交通対策としてグループをどのように活用していくのか、具体的な事例も含めて、グループの取り組みをお伺いいたします。

○山本監理団体改革担当部長 東京都はこれまで、臨海副都心におきます自動車交通対策として、公共交通機関を利用した来訪者の誘導あるいは未処分区画を活用した駐車場の運営など、多面的で効果的な対策を講じてきたところでございます。
 今後の未処分区画の売却に伴いまして、臨時駐車場としての駐車可能台数は減少し、建設工事期間中には一時的な駐車場不足も懸念されるところでございます。特に、年間千二百万人を超え、今後も展示会需要の増大が見込まれますビッグサイトにとっては、喫緊の課題となってございます。
 一方、東京港におきましては、新たなふ頭整備によるコンテナ取扱量の増加に伴い、さらなる交通量の増大は必至でございます。このような交通問題が地域の発展の阻害要因にならないよう、対策を講じていく必要がございます。
 グループが取り組む具体的な事業につきましては、今後、経営計画等を策定していく中で具体化されていくものでございますが、幾つか例を挙げさせていただきますと、グループの資金を効果的に活用し、臨海副都心の来訪者のための駐車場の整備、確保や、東京港の利用者のためのコンテナシャシー置き場等、ふ頭背後施設の機能拡充など、施設整備を行っていくこと。また、過度の車両の流入を抑制するために、グループで管理する駐車場と域内交通を担う「ゆりかもめ」を組み合わせましたパーク・アンド・ライドや、グループ内外の集客施設の利用券と「ゆりかもめ」の乗車券のセット販売など、多角的な交通対策を検討してまいります。
 このようにグループの資源を有効に活用することにより、臨海地域の交通対策に効果を上げていくことができるものと考えてございます。

○田中委員 これまで都が実施してきました対策に加えて、さらに、グループが交通対策に資する多角的な事業展開を進めていくということでございました。幾つか事例を挙げていただきましたけれども、早期に具体化に向けて取り組み、効果を発揮していただきたいと思います。
 今、交通対策についてご説明がありましたが、先ほども何回も申し上げておりますが、基本方針の中には、他に観光振興や環境、防災などの取り組みの方向性も明らかにされております。事業展開としては他にもいろいろな可能性があろうかとは存じますが、ぜひグループが積極的な事業展開を行い、グループ全体の相乗効果を発揮していただいて、港湾局とともに臨海地域の発展に取り組んでもらいたいと思っております。
 さて、グループが臨海地域の発展に貢献する公益的な事業展開を行っていくためには、経営基盤の充実と経営の弾力化を確保していくことも必要であります。そのための取り組みとして、グループファイナンスを行い、グループ内の資金効率を向上させていくものと理解しておりますが、一方で、グループファイナンスは都からの貸付金も活用して行われております。どのように運営されているのかという説明が必要になろうかと存じますが、グループファイナンスの資金はどのような用途に活用されていくのか、お伺いしてまいります。

○山本監理団体改革担当部長 グループファイナンスは、グループ各社が保有いたします資金や都からの貸付金を集約いたしまして、グループ内融資や一括運用を行うことで、グループ全体の資金効率を高めるものでございます。集約した資金は、公益的な事業展開を行う子会社への貸し付けなど、臨海ホールディングスが機動的に活用していくことになります。
 資金の具体的な使途につきましては、臨海ホールディングスの経営判断となるわけでございますが、東京都は、貸し付けに当たりまして、その活用の範囲について、グループ各社が管理する設備の更新やエリアマネジメントの推進に必要な資金等とする条件をつけてございます。
 現在のところ想定しておりますのは、グループ各社の設備更新といたしましては、例えば臨海熱供給のプラントや埠頭公社の荷役設備、「ゆりかもめ」の車両の更新などでございまして、また、エリアマネジメントの資金の例といたしましては、臨海地域の交通円滑化や港湾機能の向上を図るために必要な駐車場やコンテナシャシー置き場の整備などでございます。
 具体的な貸し付けの時期や金額などは、臨海ホールディングスが資金管理計画を策定いたしまして、機動的に運用していくことになると考えてございます。

○田中委員 今のご答弁で、グループファイナンスの資金の用途について確認をしてまいりました。
 また一方、もう一つ重要なことは、グループファイナンスが、都の貸し付けも含め、集めた資金をホールディングスの経営判断により機動的に活用する仕組みが必要であり、この仕組みが適正に運営されているか、都としてしっかりと把握する必要があると考えております。そこで、グループファイナンスの客観性や透明性を確保するため、どのように都は指導していくのか、お伺いいたします。

○山本監理団体改革担当部長 東京都は、貸付金の支出に当たりまして、グループファイナンス運営資金貸付要綱を制定いたしまして、臨海ホールディングスが東京都の貸付金を活用する際の条件を明確にしてございます。
 具体的には、子会社への融資や運用の範囲を明確にするとともに、運営状況の定期的な報告等を義務づけております。
 また、臨海ホールディングスとしても、グループファイナンスの運営等に関しまして、外部の専門家等をメンバーといたしましたグループファイナンス運営委員会を設置することで、グループファイナンスの客観性を確保してまいります。
 さらに、経営状況報告等の機会を活用いたしまして、グループファイナンス資金状況につきましても議会にご報告をし、都民に対する説明責任を果たし、透明性を確保してまいりたいと思っております。

○田中委員 ただいまいただいたご答弁で、グループファイナンスの状況について都としてきちんと把握していくことや、客観性や透明性を確保する仕組みがつくられているということを確認させていただきました。
 また、経営状況の報告などを通じて、グループファイナンスの状況を議会にも報告があるとのことですが、都の貸付金を活用するということを踏まえ、しっかりと説明責任を果たしていただきたいと存じます。
 また、このグループファイナンスを機動的、戦略的に活用して、エリアマネジメントの推進や経営基盤の強化に取り組み、臨海地域の機能強化に邁進していただきたいと存じます。
 続いて、東京港埠頭公社の民営化についてお伺いいたします。
 昨年の五月に公社民営化の方針が示されて以降、議会においてもさまざまな角度から議論してまいりました。本定例会で新会社の概要が報告されておりますが、東京港の国際競争力の強化と利用者サービスの向上を目指し、港湾コストの低減、ふ頭運営の効率化、多角的な事業展開などの取り組みが示されております。
 まず、港湾コストの低減とふ頭運営の効率化をねらっての公共、公社外貿コンテナふ頭の管理一元化についてお伺いいたします。
 改めていうまでもなく、公社ふ頭は特定の船会社が長期間借り受けるふ頭であり、一方、公共ふ頭は都が直接管理運営するふ頭で、簡単にいえば、一回幾らで、どのような船会社にも利用できるふ頭でございます。中でも青海の公共ふ頭は公社ふ頭と隣接しており、管理を一元化することで、荷役機械の相互融通やヤードの一体的運用が可能となることから、ふ頭運営の効率化が図られると思われます。
 今回の管理一元化を機に、公共ふ頭を公社ふ頭に組み入れるという考え方もありますが、利用者の多様なニーズにこたえるという観点から、公共ふ頭の機能も維持していくことは重要であると考えます。
 そこで、管理一元化の意義と公共ふ頭の今後の役割についてお伺いいたします。

○小宮港湾経営改革担当部長 管理一元化の意義でございますが、東京港内の外貿コンテナふ頭につきましては、都が管理運営する品川、青海の公共ふ頭と、公社が管理する大井、青海の公社ふ頭が混在しております。このため、管理主体が異なることから、隣接するふ頭を一体で利用するなどのスケールメリットを生かすことができず、東京港全体としての管理運営の効率化が課題となっております。
 公共ふ頭、公社ふ頭の管理を一元化することによりまして、限りある東京港のふ頭が有効に活用でき、また荷役機械の相互融通やヤードの一体的運用などが可能となることから、ふ頭運営が効率化されまして、港湾コストの低減が図られます。さらに、入港に伴う手続等の窓口が一本化され、利用者サービスの向上にもつながるなどのメリットがございます。
 また、公共ふ頭は、不特定多数の船会社が必要に応じて機動的に利用できるふ頭でありまして、船会社の多様なニーズにこたえるという役割を担っており、一元化後もその機能を維持する必要があることは、田中理事がご指摘されたとおりでございます。
 今後とも、公共ふ頭の役割を維持しながら、ふ頭管理の一元化を実施してまいります。

○田中委員 管理一元化の意義、あわせて、一元化する中で公共ふ頭の機能を維持するということ、それぞれ確認させていただき、安心いたしました。
 さらにお伺いいたしますが、公共ふ頭がそのままであれば、具体的な一元化の手法としては、例えば横浜港と同様、指定管理者制度の採用となると思われます。しかし、指定管理者制度では、相互融通等の効率化はできても、港湾施設の所有権が都に留保されるため、公社の所有する荷役機械と共同でメンテナンスしたり、施設更新に当たって公社所有の施設と一括して発注するなど、経費削減に寄与するような方策は困難であります。また、利用料金制を導入するにしても、料金設定に係る裁量の余地が少なく、どこまでコストが低減するかは疑問符がつきます。
 また一方、北九州にある新しいコンテナふ頭である響灘では、国の後押しもあり、PFIによる管理を行った事例もございます。
 このような事例を踏まえ、管理一元化の手法として、今後、分析や研究を十分行う必要があると思います。
 管理一元化の手法については、指定管理者制度と決めつけるのではなく、民営化後の効果が最も発揮されるよう、幅広く検討すべきと考えますが、お考えをお聞かせいただきます。

○小宮港湾経営改革担当部長 公共ふ頭は公の施設に該当しますので、その管理運営を民営化した公社に一元化する手法としては、指定管理者制度が基本となります。しかし、理事のお話にありますように、公社が所有する港湾施設との共同メンテナンスなどの実施が難しく、経費節減効果が限定されるなど、単なる指定管理者制度の導入では、管理一元化の効果が十分発揮できない側面もございます。
 今後、ご指摘の点も踏まえ、機械的に指定管理者制度を導入するのではなく、さまざまな角度から一元化の手法について検討を進めてまいります。

○田中委員 ぜひ利用者本位での検討を進めていただきたいと思います。
 続いて、港湾コストの低減の事業展開の例に示されております、ふ頭の貸付料の弾力化についてお伺いいたします。
 公社制度のもとでは、国の規制があり、貸付料金についても自由に設定できなかったと伺っております。このような国による規制では画一的にならざるを得ず、それぞれ個別の借り受け者の利用実態、利用ニーズにきめ細かく対応できてはいなかったと思います。民営化することで、経営者自身の判断で料金設定もできるようになりますが、貸付料の弾力化というのは具体的にどのようなことをお考えなのか、お聞かせいただきたいと存じます。

○小宮港湾経営改革担当部長 現行の公社制度におきましては、貸付料については省令で定める基準によって算出することとされており、また、貸付料を定める場合は国土交通大臣への事前届け出が必要とされております。
 具体的には、単純に投入した経費を平均三十年程度で回収するという硬直化した貸付料の設定となっており、公社が戦略的に料金設定することができず、公社の経営努力が利用者に還元されない仕組みとなってございます。民営化により、貸付料は自由に設定できることとなり、事前届け出も廃止されることから、経営の自由度が増すこととなります。
 貸付料の弾力化についてでございますが、具体的には、個別の利用実態に応じて、長期契約の借り受け者や貨物取扱量の多い借り受け者などについて、貸付料に割引を適用するといった手法が想定されます。
 なお、民営化により業務委託などの複数年契約が可能になることや、工事発注方法につき工夫できるようになること、さらには、臨海ホールディングスに参加することでグループ共通の管理経費の削減が見込めるなど、民営化のメリットを生かして経営努力に努め、貸付料の軽減を図ってまいります。

○田中委員 貸付料の低減、値下げは、港湾コストの低減につながり、ひいては都民生活の安定にもつながります。ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと存じますが、一方、他の、別の見方としましては、割引するということになりますと、反面、民営化された公社の経営にも影響を与えることとなります。首都圏四千万人の生活と産業を支えるインフラである東京港の中核であります公社は、非常に高い公共性を有しており、経営の安定化が強く求められております。
 民営化に伴って受け皿会社の行う資産の鑑定、評価、公益法人会計から民間企業会計への切りかえなど、収支見込みの前提条件が確定するのは今後のことであり、現在、収支見込みについて答弁できる段階ではないということを承知しておりますので、質疑は行いませんが、非常に公共性の高い公社の重要性にかんがみれば、財務内容などについて、これまでと同様に、ぜひ議会にも報告していただきたいと思っております。この点について港湾局の考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。

○小宮港湾経営改革担当部長 これまで公社は、地方自治法などの規定に基づき、財務内容や事業計画などについて議会に報告を行ってまいりました。民営化後も引き続き、これまでと同様に、議会への報告は行っていくこととしております。
 なお、ご指摘のあった安定した経営の確保は、重要な課題であると認識しております。今後とも、常にさまざまな経営指標の把握に努め、適切に指導してまいります。

○田中委員 公社はこれまでも、コストの低減と利用者サービスの向上に努力されてきたと存じますが、民営化を機にさらなるコスト低減等に努め、それを利用者を通じて都民に還元することが、今後とも公社に必要な役割であると考えております。
 また、一方で、民営化した公社の公共的役割は引き続き大きく、国や都の適切な支援も必要であると考えます。民営化前の現在、施設整備費の六割を国と都が無利子で貸し付ける制度や、固定資産税の減額措置などがございますが、今後も、必要な制度や措置を国や財政当局に要請していくべきであると考えます。
 本日の議論では、港湾コストの低減の視点からお伺いしてまいりましたが、最終的には、トータルとして、民営化後の公社がどのような役割を果たしていくのかが重要だと思っております。
 そこで、この民営化された公社を東京港の中でどのように位置づけ、またどのような役割を担わせていくのか、ぜひ港湾局長のご決意をお聞かせいただきたいと存じます。

○津島港湾局長 現在、世界の海上物流を見ますと、アジア貨物の急激な増加がございます。また、コンテナ船が予測を上回るスピードで大型化している。こういった東京港を取り巻く環境というものが大きく変化してきております。この大きな環境変化に対しまして、ソフト、ハード両面から総合的な対策を講じなければ、東京港の将来はないというふうに考えております。
 そこで、では公社はこれまでどのような役割を果たしてきたかと申しますと、その中で、公社は、東京港の外貿貨物の七割以上を取り扱う、大井と青海という日本有数のふ頭を管理運営してまいりました。また、東京港における外貿ふ頭の事業の中核として事業を展開するほかにも、さまざまな港湾施設の管理を受託するなど、東京港が行う業務にも協力してまいりました。こういった事業を行う中で、東京港の機能の強化と振興を、まさに中核的な役割を公社として果たしてきたわけでございます。
 これが民営化した後は、施設整備の手法に民営化ならではの工夫を凝らしまして、既存ふ頭のレベルアップを図っていったり、あるいは中央防波堤外側に、埋立地に新たにいわゆるメガターミナルを計画しているわけでございますけれども、こういったふ頭に関しても一定の役割を担わせるように検討しております。
 また、ソフト面では、臨海ホールディングスグループに参画しまして、交通対策などのエリアマネジメントに貢献する一方、段階的ではございますが、株式会社として出資も可能となりますので、出資等を利用しながら事業の拡大も図っていくということを考えております。
 このような取り組みを積み重ねることで、東京港の国際物流の中核として、公社の重要性はますます高まっていくものと認識しております。
 今後、都は、関東エリアを核とします内陸部を包含した物流体系を視野に入れまして、東京港全体の総合力を高めるような戦略的な港湾経営を目指して、民営化された公社がその重要な一翼を担うものとして、積極的に活用してまいります。

○田中委員 先日の当委員会での視察で大阪港に参りました。その大阪港などでも、埠頭公社、民営化を視野に入れた取り組みが始められております。東京港での取り組みは、全国的にも注目されており、また、今後の前例となるものであります。今後とも引き続き東京港の国際競争力の強化に努めていただくことを強く要望し、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○石毛委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたしたいと思います。
   午後二時四十八分休憩

   午後三時二分開議

○石毛委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○門脇委員 臨海ホールディングスグループの経営基本方針と、それから、民営化する東京港埠頭公社について幾つかお伺いいたします。
 民営化した後の新会社は、平成二十年に臨海ホールディングスグループ、以下臨海HDと省略をいたしますけれども、この臨海HDの中では、相前後してこのグループにぶら下がる東京ビッグサイトなどとともに、いわゆるHDの中核企業としての役割を果たしていくものと思います。
 それで、先ほど田中理事からも、四つの基本方針のことについてお話がありましたけれども、その中で、観光振興とにぎわいの創出の部分が提起されています。臨海HDでのいろいろなイベントの開催、私も実はちょっと誤解をしておりまして、港湾局自身が今までいろいろなイベントを、これはいい意味なんですが、主催して活発におやりになっているというふうに思っていたんですが、実は、港湾局そのものあるいは東京都は後援の部分が多くて、主体的には関係団体等がおやりになっているということであります。
 新しい企業体での各種のイベントの開催は、この全体の臨海部の話題性あるいはその有為性というものを生かしながら、同時に、局としても、今申し上げましたように、各関係、関連団体のいわゆる主体性というものを大切にしながら、積極的にサポートを行っていくべきであろうかと思います。
 特に、臨海HD、ぶら下がっている各企業の大きさが違うわけですけれども、各企業の主体的な広報宣伝活動というのはそんなに力があるとはなかなか思えないわけですね。だからこそ、港湾局としてこの部分での活動を強化していくべきだ、あるいはサポートをしていくべきだと思いますけれども、将来に向けてどのように考えているか、まずお伺いいたします。

○藤原営業担当部長 臨海地域、とりわけ臨海副都心は、すぐれた景観や豊かな水辺空間を有するとともに、集客力のある商業施設など多様な観光資源に恵まれ、多くの観光客を引きつけるにぎわい豊かなエリアに成長してきております。
 臨海副都心のにぎわい創出は、この地域を活動基盤とする臨海ホールディングスグループ各社の経営安定化につながる重要な要素でもあり、今般策定した経営基本方針においては、グループが所有あるいは管理している施設や空間に積極的にイベントを誘致するなど、グループの持つ観光資源を最大限活用し、臨海副都心のにぎわい創出効果を高める事業展開を行っていくこととしております。
 これらの施策を効果的に実施していくために、臨海ホールディングスグループは、進出事業者で構成される臨海副都心まちづくり協議会とも連携し、PR活動を推進することとしてございます。
 東京都といたしましても、臨海ホールディングスグループが取り組むイベント情報について、プレス発表、ホームページを初め広報誌、情報誌、局のメールマガジンなどさまざまな広報媒体を活用した効果的な広報活動を展開し、臨海ホールディングスグループとの連携を図るとともに、情報発信力の強い企業を構成員としているまちづくり協議会の体制強化を支援するなど、臨海副都心で実施するイベントPRの充実に努めてまいります。

○門脇委員 営業担当部長のおっしゃったとおりだと思います。
 答弁の中にもありましたとおり、まちづくり協議会との連携が特に重要だと思います。とりわけ、既成の施設であるとか企業であるとか、そういったところとも今まで以上の連携強化というのも大変重要だと思います。いわゆるおつき合いを引き続き大切にしていかなければならないと思うんですが、ただ、見方を少し変えれば、これから進出をしていくところ、現在も数区画で募集を続行している最中ですけれども、特に、例えばですけれども、商業施設であるとか、今の言葉でいえばアミューズメント施設ですね、これは臨海副都心全体の集客力のアップにつながっていくと私は思うし、これこそまさににぎわいの創出であろうと。そういう視点から大いに期待をしておりますし、端的にいえば、そのことがこの地域の発展のこれからの大きなポイントになると思います。
 公営企業局を除けば、営業とか販売とかいう役職名というのは、ほかにもあるかもしれませんが、数少ない港湾局だと思いますので、ぜひ力を入れて頑張っていただきたいと思います。
 次に、公社の民営化についてでありますけれども、この公社の前身が、昭和四十七年に東京港フェリー埠頭でしたっけ、はっきり覚えてなくて申しわけない。それ以来、いろいろな変遷を経てきて、その間果たした役割というのは、もちろん少なくない、大きいと思います。
 全体を通して、この間の公社の業務、いろいろおやりになってきたわけですけれども、港湾管理者であるところの東京都港湾局としては、そのことについてどのように評価しているのか、間もなく民営化するこの機会に総括的にお伺いいたしておきます。

○小宮港湾経営改革担当部長 東京港埠頭公社は、昭和五十七年に京浜外貿埠頭公団からその業務を継承した際には、四十万TEU程度の貨物取り扱いに過ぎなかったんですが、計画的なふ頭整備や効率性の高い運営を行うことにより、平成十八年には、東京港の外貿コンテナ貨物の約七割に当たるおよそ二百六十万TEUを取り扱うまでとなり、東京港の発展の原動力となってきております。
 こうした取り組みを通じて、東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支える重要な国際物流拠点としての役割を果たしてきたものと認識しております。
 公社は、外貿ふ頭事業以外にも、船舶による海上清掃など港内サービス事業、海上公園事業など、東京港の振興と環境の保全などへの取り組みを積極的に推進してまいりました。
 このように、公社は東京港の振興に極めて重要な役割を果たしてきたと考えております。

○門脇委員 答弁の中にも、海上公園事業のことについてはありました。そのほかにも、有料スポーツの施設であるとか客船ターミナルなど、いわゆる指定管理者としての評価。これは、横断的に各局、せんだってその評価というものが発表されたところであります。
 港湾局の関係の指定管理者でいえば、公社が中心ですけれども、すべてAランクだったと思いますし、そのことは、Aランクという表現はお使いになりませんでしたけれども、今の担当部長のご答弁のとおりだと思います。
 今後、これはこの先のことですから、答弁はもちろん結構でございますけれども、新会社になる現在の公社がどれだけのボリュームの指定管理者になるかということはまだわからないわけですね、当然、議会の議決も要るわけですから。ただ、一般論的になりますけれども、さらなる利用者に対してのサービス向上に努めていただきたいということを要望いたしておきます。
 それから、次の質問ですけれども、これについては先ほど田中理事から質問がありまして、答弁もほとんど重なることが予想されますので、質問としてはお伺いいたしません。省略いたします。ただ、以前にも申し上げたことがありますけれども、公共ふ頭のことですけれども、公共ふ頭の役割というか、効率性については、先ほど資料要求の説明が総務部長から簡単にありましたけれども、やっぱり全国のいわゆる公共ふ頭の中でも、トップクラスの効率性を持っていると私も聞いております。これはうれしいことだと思うんです。
 確かに公共ふ頭については、昨年の委員会視察でも、コンテナ会社の屋上から見ることができましたけれども、先ほどの答弁、手法については今後幅広く検討していく、あるいは、一元化で効率性をより生かし、スケールメリット等を生かしていくということですよね。結局、このことがいつも話に出ますけれども、国内及び国際競争力をつけていく、強化をするということになるわけです。
 ですから、公共ふ頭については、いうまでもなく比較的小規模というか、そういった取り扱いを効率的に行っていますから、答弁は結構でございますけれども、そういう視点で私が申し上げたいことはご理解いただけるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に参ります。一点だけ、やや細かいことになって恐縮なんですけれども、これも割合大切なことだと思います。私もこれを余り知らなかったので、お聞きするという部分があるんですけれども、一般的に公社の事業は、専用ふ頭の建設、改良、維持管理、それと船舶の廃油回収やその処理、海上清掃など、いわゆる環境保全対策の仕事も行っているわけです。これらの仕事というのはどちらかというと地味な仕事だろう、業務だろうと思います。ただ、このことについては、やはり民営化をした後の新会社の中でも、さらにきれいな東京港を目指すために、重点的、継続的に業務を強化していくべき必要があると思いますけれども、その考えについてお伺いいたします。

○小宮港湾経営改革担当部長 埠頭公社は、自主事業として東京港の船舶廃油回収を、また東京都の委託を受けて、港内清掃などの環境関連業務を実施しており、これらの取り組みによりまして、東京港の環境の維持に極めて重要な役割を果たしております。
 今後とも、東京港の良好な環境の維持に努めてまいります。

○門脇委員 ありがとうございます。これはいわゆる港の中をきれいにするということなんですけれども、それと同時に、水辺空間などというものを美しく、楽しいものにする。それから、臨海部の公園、局が管理をしている公園の中でも、例えば海上公園で釣りができる公園も幾つかあると思います。あわせて、今、海浜公園なども、やはり都民というか、利用者というか、その親水性からも、直接港湾事業にかかわる人たち、団体だけのことではないと私は思っております。
 港湾局としても、カキの育成なども、新しい試みとして、水質をきれいにするということで取り組んでいらっしゃるわけです。今申し上げたことは確かに公社の事業とは少し離れてしまうんですけれども、局としても、本来の親水性のある、あるいは楽しい水辺空間というものもさらに目指していただければ幸いでございます。
 それから次に、民営化する新会社になっても、今の公社の業務の多くの部分は新会社でも引き継いでいくと思いますけれども、この機会に、人事あるいは人事制度ということについては、新しいシステムをつくって、完全な民間企業ではないわけですが、民間企業としてのよさを引き出していかなければならないと思います。
 そこで、これまで東京都と公社の人材交流はかなり積極的に行われたと聞いておりますけれども、どのように行われてきたのか。また、新しい企業では、組織活性化のために、その関係というものを前進、改革しなければならないと思いますけれども、その計画についてお伺いいたします。

○小宮港湾経営改革担当部長 公社の職員数は、本年四月一日現在百八十三人であり、このうち都からの派遣職員は二十三人でございます。公社からは、研修生として都に一名が派遣されております。
 公社の実施している事業は、東京都の施策と密接不可分であり、都から公社への派遣職員は、都との調整が必要な管理部門や公社が手薄な技術部門に配置することで、公社事業の的確、迅速な遂行を確保してまいりました。
 一方、公社においては、固有職員の能力開発、人材開発を計画的に図ってきており、公社幹部職員の登用も着実に行ってきております。
 今後、公社が民営化することで、さらに新会社にふさわしい、より効率的な事業執行と一層の利用者サービスの向上が求められておるため、経営感覚の醸成など、職員の意識改革の徹底に取り組んでまいります。
 都としても、これまで以上に固有職員の育成を支援するとともに、民営化した公社が自立した企業にふさわしい体制に移行していくため、必要な協力をしてまいります。

○門脇委員 ただ、幾ら都が一〇〇%出資をしているといっても、民間企業になるわけですから、今までとは少し違う部分というか、一定の限度というものがあると思いますけれども、今の担当部長の答弁を聞いて安心はいたしました。
 ただ、新会社の主体性を大切にしながら、その一方で、固有職員、我々一般的にプロパーといういい方をしておりますけれども、プロパーの皆さんの人材育成なり能力開発をするというんですから、大変なことだと思います。
 それから、今後やはり中長期的に考えれば、先ほど人数については答弁がありましたけれども、都から派遣している人たちのボリュームにしろ、内容にしろ、やっぱり改善をしていくということも多分これからあるんでしょう、今、私もわかりませんけれども。でも、何といっても人事なり人事制度というのは、これは自治体もそうかもしれませんけれども、特に民間企業の場合はここが一番のポイントでありますから、ぜひこのことについては精力的に力を入れていただきたいと思います。
 次、最後の質問であります。
 当該公社は三つのふ頭を整備、管理運営をしておりますけれども、申し上げるまでもなくその最大の事業は外貿コンテナふ頭であります。先日、この経済・港湾委員会で、先ほども大阪港の話がありましたけれども、大阪港と神戸港を調査して、私にとっては大変勉強になり、参考になりました。
 外貿コンテナの数ですね。大体東京港が三百七十万TEU、神戸がちょっと少なくてびっくりしたんですけれども、二百万TEUということでした。専門家じゃないですから、何をもって比較するかというのはよくわからないんですけれども、一緒に同行していただいた幹部職員の皆さんともお話をしましたけれども、ちょうど向こうの視察船で神戸港を一時間かけて回っていただいたんですね。「新東京丸」よりちょっと広くて、ちょっときれいな視察船でございました。
 びっくりしたのは、ガントリークレーンの数が物すごく多いんですね。一つ一つ全部数えていたわけじゃないんですけれども、何でこんなに多くて、取扱量は我が東京港の半分近くなのかと、ちょっと不思議に思いました。もちろん、阪神・淡路大震災がありましたから、余りそのことをいっては神戸市の人に申しわけないと思いましたので、質問はしませんでしたけれども、逆にいえば、大井や青海の外貿コンテナの搬入、搬出、積みおろしの効率性というのは非常にすぐれているんだと思いました。
 それから、国内も当然ですが、先ほどもちょっと触れましたが、国際的競争力の強化が求められ、これからいよいよ中央防波堤外側埋立地のところに新しい外貿ふ頭の建設も実現していく状況の中で、そういうことを総合的に考えれば、民営化後の公社、新会社の役割というのは大変重要なものになると思います。
 先ほどもちょっと似たような質問がありましたけれども、改めて新会社に期待するようなことはどのようなことか、幾つか具体的に教えていただきたいと思うし、それから人事のことをちょっと触れましたけれども、人事のことも含めて、局として、東京都として、一〇〇%株式を保有するわけですから、どのように新会社を指導していくのか、お伺いいたします。
 私も、この委員会、一年、大変参考になりましたし、躍進する東京港、東京湾のダイナミズムというものをこの目で見て、肌で感じることができました。局に対する要望、意見も少なくない部分で提起、提案をさせていただきました。この問題に対する局責任者の答弁をお願いして、質問を終わります。

○津島港湾局長 東京港が今後、国際競争力を強化して、首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとしての機能を維持向上させるためには、東京港の外貿コンテナ貨物の約七割を扱う公社を、民営化後も東京港のふ頭運営の中心として、これまで以上に活用していくことが極めて大事であるというふうに考えております。
 そのため、今後は、この民営化する新会社に対しましては、どういうことを期待しているかということでございますけれども、一つには、出資等により段階的に関連分野への事業拡大や多角化を図っていくこと。それから二つ目には、船会社や港湾運送事業者など、さまざまな関係者の間のコーディネーターとしての役割を積極的に果たしていただくこと。それから三番目に、臨海ホーディングスグループに参加することで、臨海地域のエリアマネジメントにも貢献していただくこと。そしてさらには、東京湾全体の総合力を高めるような物流効率化への取り組み、これは都とともに行っていくこと。こういったさまざまな期待をこの会社にしておるわけでございます。
 今後、都は、民営化後の公社が、この民営化のメリットを最大限に発揮いたしまして、東京港の中心的な役割を果たせるよう、さらには、お話にありました自立した企業にふさわしい人事制度の構築を図られるよう、新会社の事業計画や経営状況等を的確に把握して、適切に指導してまいりたいというふうに考えております。

○遠藤委員 私の方からは、本日の議題の二番の埠頭公社の民営化、そして三点目の三宅島空港の再開、この二点にわたり質疑をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず最初の埠頭公社の民営化につきましては、昨年五月、その方針が発表されて以来今日まで、都議会においても、民営化後の公共性を維持していくこと等が確認をされました。十月に受け皿会社を設立するとのことであり、いよいよ民営化に向けて本格的なスタートが始まるわけでございます。
 そこで、本日は、これまでの議論がどのような形で具体化されているか、質疑を通じて明らかにしていきたいと思います。
 といいますのも、民営化というと、直ちにマイナスの部分を強調される向きもありますので、こうした点も払拭する意味で明確にご答弁いただきたいと思います。
 まず議論の前提といたしまして、今回の民営化に関する法的手続についてお伺いします。
 東京都におきましては、これまで、東京国際フォーラムや水道局所管の情報処理事業を行うPUCですか、など、次々と公益法人が株式会社化しております。埠頭公社の民営化もこれらと同様な手続で行われるのか、それともどこか違いがあるのか、明らかにしていただきたいと思います。

○小宮港湾経営改革担当部長 受け皿会社をつくり、その後、公益法人の事業及び資産を承継し、公益法人は解散する、そういったスキームにつきましては同じでございます。
 しかし、東京国際フォーラムやPUCが民法上の公益法人に過ぎないのに比べ、公社は承継法に基づく法人でございます。そのため、民法上の公益法人とは異なり、承継法に基づく要件がございます。具体的には、受け皿会社は国土交通大臣の指定を受けるという手続が必要であり、また、港湾管理者たる東京都が引き続き五〇%以上の株式を所有することが義務づけられております。

○遠藤委員 そうすると、ただいまの答弁では、法律に基づいて公益法人の事業並びに資産を承継する、こういう趣旨であると思いますが、この事業及び資産を承継するというのは、さらに具体的にいうとどういう意味になるのか、より詳しくご答弁願いたいと思います。

○小宮港湾経営改革担当部長 公益法人の事業及び資産を承継するという意味でございますが、公社に関する権利義務がすべて受け皿会社に引き継がれるということでございます。
 具体的には、事業上の顧客との契約や売買契約、公社債債務、従業者との雇用契約など、一切の契約が新会社に承継されます。

○遠藤委員 答弁で明快であると思いますが、基本的なスキームはこれまでと同様だけれども、公社という公共性の高さから、受け皿会社が国土交通大臣の指定を受けたり、また株式の保有義務など、厳格に特別な要件が定められている、そういったことだと思います。
 仮に、東京港に基幹航路の大型船が寄港しなくなった場合、例えば欧州からの貨物が東京港に直接運ばれてくるのではなくて、中国とかそうした他の国を経由して、フィーダー輸送されてくる場合には、コストは一・三倍、また輸送日数も二日間程度長くなる、こういう事前の説明でございました。これだと、明らかに都民の生活や産業に大きな影響が出てくることは明らかでございます。
 何度も理事者側の皆さんからお話しいただいたとおり、東京港の外貿貨物の七割以上をこの公社は取り扱ってきたということで、民営化に当たっては法律上さまざまな手当てがなされているというのは極めて当然だろうかと思います。
 しかし、さらに大事なことは、民営化をめぐる手順だけではなく、その民営化された後に、この公共性がいかに担保されているかという点だと思います。
 今後、この公共的な役割を担保するに当たって、どのようにその役割を果たしていくのかをご答弁いただきたいと思います。

○小宮港湾経営改革担当部長 公共的な役割についてでございますが、民営化後の公社は、得た利益を利用者に還元するとともに、民営化のメリットを最大限活用して、ふ頭全体の効率的な運営を行い、安定的な国際物流を維持してまいります。
 また、利用者の声を経営に反映させるため、経営諮問委員会を設置するなど、開かれた経営を行ってまいります。
 こうしたこととあわせまして、都が五〇%以上の株式を所有することにより、引き続きその公共性を確保してまいります。

○遠藤委員 民営化すると、さまざまな不合理というか、危険があるという議論の中に、つい先日も、ブルドックソースに対するアメリカの投資ファンドによる敵対的買収というものが行われて、世間を騒がせました。
 今の部長のご答弁によりますと、東京都が五〇%以上の株式を所有する、こういうことでありました。さらに、親会社の臨海ホールディングスが五〇%も保有するということで、杞憂であると思いますけれども、新たなる会社が外国の投資ファンドなどに買収される可能性がないのか、こういうような懸念も一部聞こえてきます。
 念のために確認いたしますが、民営化された公社が株式を上場する予定、つもりはあるのか、そして、投資ファンド等に買い占めされる危険性、おそれはないのか、明快にご答弁いただきたいと思います。

○小宮港湾経営改革担当部長 民営化後の公社の株式につきましては、改正承継法によりまして、五〇%以上を東京都が保有することが義務づけられております。このため、民営化後の公社の資本構成としては、都が五〇%、臨海ホールディングスの子会社とするため、商法上の規定も勘案しまして、残りの五〇%を臨海ホールディングスと考えております。
 さらに、新会社の定款に株式の譲渡制限の規定を設けることとしておりまして、外国の投資ファンドなどが買い占めるというような事態はないものと考えております。
 また、上場についてご質問がございましたけれども、上場については、株主の数等から見まして、東京証券取引所の審査基準から上場できないということになってございます。

○遠藤委員 今の答弁を聞いて大変安心をいたしました。
 それでは、続きまして、民営化後の新しい会社の組織の体制について何点かお伺いしたいと思います。
 事前に配布いただきました資料によりますと、迅速な意思決定と事業の執行を図るために、取締役が六名など簡素な組織にしたということであります。これまで議会での答弁で、臨海ホールディングスグループ全体で役員数はふやさない、このように理事者側からお話もあったことと合致しているものと、基本的に了解いたしますが、一つここで取り上げたいのは、経営諮問委員会についてであります。
 現在、公社には、船会社や港運事業者など利用者の声をその経営に反映させるために評議委員会、さらには外貿埠頭委員会等々が設けられております。民営化によって一般的な株式会社制度に移行するわけでありますので、多くの関係者の調整などがこれまで以上に必要であると思います。
 今後とも、この評議委員会等が果たしてきた役割というものをしっかりと堅持していく必要もあるのではないかと思います。民営化後は、この経営諮問委員会がこれまでの役割を担っていくと推察いたしております。
 そこで、この経営諮問委員会を設置した理念また基本的な考え方、そして、このメンバーにはどういった方々を現時点で想定しているかをお答えいただきたいと思います。

○小宮港湾経営改革担当部長 委員ご指摘のように、公社事業の運営において評議委員会、外貿埠頭委員会の果たす役割は非常に大きく、民営化後もその機能は維持していくべきと認識しております。
 そのため、これまでと同様、公共的な視点や実際に施設等を利用している立場から、具体的な事業内容や経営方針全般に至るまで広く助言や提言、ご意見をいただき、経営に反映させるという考え方から、経営諮問委員会を設置することといたしました。
 具体的な構成メンバーとしましては、ふ頭利用者である船会社や港運事業者の代表、学識経験者、さらには都民代表でございます都議会議員の方などを予定してございます。
 新会社においては、外部の専門家である会計監査人を置くなど、チェック機能を強化しておりますが、さらに経営諮問委員会を置くことによりまして、事業執行の段階でも、専門的見地や公共的観点からチェックできることになり、より適正、的確な事業運営が担保できるものと考えてございます。

○遠藤委員 私たち都議会議員の代表もメンバーとして参加予定であるということ、そして事業執行の段階においても、公共的な視点からチェックできる体制を整えていくという点でございますので、これは評価したいと思います。
 しかしながら、さらに注文をつけるとすれば、コンプライアンスという観点からも事業展開を厳格にチェックしていただきたいという点でございます。
 これに関連しては、我が党がこれまで主張してきておりますとおり、臨海地域の開発のキーワードは何といってもにぎわいであります。そして、市街地と近接する東京港においては、都市機能と港湾機能の調和が非常に大切であり、このような視点で施策を推進していくべきであると考えております。
 臨海ホールディングスの設立の意義は、こうした点から見ても大変大きく、民営化された公社がこのグループの中でいかなる役割を果たしていくかという点に関心を持っております。
 そこで、以前いただいた委員会資料に示された具体的な事業例が、臨海ホールディングスのエリアマネジメントの中にどう貢献をしていくのか、具体的にお伺いしたいと思います。

○小宮港湾経営改革担当部長 港湾機能と都市機能が共存する東京港におきましては、ふ頭運営と臨海地域での諸施策の展開が密接な関係を有しております。
 例えば、効率的なふ頭運営を行うことで、車両の待機時間を短縮し、また交通の結節ポイントにカメラを設置し、リアルタイムで情報提供を行い、臨海エリアの道路交通の円滑に貢献してまいります。
 また、市街地と近接するふ頭地区におきましては、荷役機器等からの排気ガスの抑制などの対策を支援してまいります。
 さらに、指定管理者として海上公園及び晴海客船ターミナルの管理運営を行っておりまして、「海の灯まつり」など観光につながる取り組みも強化してまいります。
 防災面では、震災時等に救援、救護物資の海上輸送基地となるふ頭において荷役作業が確保されますよう、耐震強化岸壁の適正な管理運営に努めてまいります。
 このような取り組みによりまして、臨海ホールディングスが経営基本方針で示しております交通、環境、観光、防災対策などにつきまして、積極的な役割を果たしてまいります。

○遠藤委員 非常に多彩な事業展開だと思います。ぜひグループ一丸となって事業を実施してもらいたいと思います。
 これまでの議論によって、民営化後も公共性が維持されるということが明らかになったと思います。さらに、にぎわいの演出など期待できるような事業もあります。これらの事業が決して絵にかいたもちに終わらないように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 この項の最後に、公社民営化に向けた局長の決意、意気込みをちょうだいしたいと思います。

○津島港湾局長 港湾行政を担当する立場から申し上げさせていただきますと、東京港は今後も世界の海上基幹航路における重要な拠点としての地位を維持拡大し、安定的な国際物流を確保することが使命だと考えておりますし、またそのことを通じて、都民生活の安定と産業の発展を支えるということが最も重要であるというふうに考えております。
 先ほど神戸港のお話が出ましたけれども、東京港を基点とする百キロ圏で見た場合に、四千万人の人々が生活し、世界最大規模のGDPを有する市場を背後に抱えるという市場型港湾でございます。つまり、実需といいますか、ニーズはしっかりある港湾でございます。これが東京港の強みでございます。
 こういった東京港の強みを背景にいたしますと、その意味で、この東京港の実需の七割を取り扱う公社の役割というのは極めて重いものがございまして、民営化後も公共的な役割、公益的な役割をこれまで以上に果たしていく必要があるというふうに考えております。
 今後は、このような取り組みが、先生お話しのように、看板倒れにならずに、港湾コストの低減やスピードアップあるいは使いやすさ、サービスの向上といった民営化のメリットが利用者に十分還元されるように、その経営全般について、都として責任を持って指導してまいりたいと思います。

○遠藤委員 次いで、三宅島空港の再開について何点かお伺いしたいと思います。
 我が党は、二〇〇五年の二月に三宅島島民の帰島が果たされた後も、どうすれば三宅島の復興を軌道に乗せられるか、これまで都や、また三宅島などの関係者と議論をしてきたところでございます。私自身も、避難指示解除後の二〇〇四年の九月に三宅島を初訪問させていただき、先日の九月一日、二日も、現状の三宅島の状況をこの目で見るために訪問してまいりました。
 さらに、さきの第二回定例会におきましては、我が党の高倉良生議員が、三宅島の復興には、今般発表されました三宅島空港の再開が不可欠である点を指摘し、同時に、若い人を定着させるために、より充実した施設の確保が重要である旨提案をいたしました。
 今般、この三宅島空港の再開に向けた準備に入るとの報告を受け、またニュースを見て、私はいうに及ばず、この復興に携わってきたすべての方々、特に島民の皆さんがひとしく胸をなでおろしたということではなかろうかと推察をいたします。
 この上は一日も早く再開が果たされ、島民生活に欠かせない交通機関として定着されることをまず冒頭、心より期待を表明させていただきます。
 そこで、まず最初にお伺いしたいのは、現在の雄山の火山ガスの発生状況、とりわけ空港再開ということでございますので、三宅島空港周辺に関連して、ご答弁いただきたいと思います。

○室星島しょ・小笠原空港整備担当部長 雄山の火山ガスの放出量でございますが、平成十二年の噴火時点、一日当たり約八万トンから現在は約三千トンと、長期的に見ますとかなり減少傾向にあります。
 しかしながら、気象庁の発表では、火山活動はやや活発な状況が続いており、今後も多量の火山ガスの放出が継続するとしております。
 三宅島で実施している空港を含みます坪田高濃度地区における火山ガスの警報、注意報の発令状況でございますが、平成十八年度は約六百回で、依然として島全体の約四分の一を占めてございます。しかし、同地区における警報、注意報の内容を見ますと、レベル三、レベル四の高い濃度の発令が減りまして、レベル一、レベル二の低い濃度の発令がふえるという状況にございます。

○遠藤委員 今、種々ご報告いただきましたけれども、一言でいうと、頻度は低下はしてないけれども、濃度がかなり下がってきた、こういうことで間違いないのかなと思います。あれば、ちょっと後で訂正いただきたいと思います。
 そこで、二問目に入りますけれども、詳細な火山ガスの観測を空港の再開に向けて行ってきたということでお聞きしておりますけれども、その観測結果からどのようなことが明らかになっているか、ご説明いただきたいと思います。

○室星島しょ・小笠原空港整備担当部長 昨年十二月から行っております観測で、大きく三点がわかってまいりました。
 まず一点目でございますが、空港及び飛行経路上の火山ガスの濃度は、噴火口がございます雄山山頂の風向、風速と火山ガスの放出量に関係すること。
 次に、これまでの観測で、空港及び飛行経路上に火山ガスがかからない東側からの風が約六〇%あること。
 三点目に、風向にかかわりなく、雄山山頂の風速が四メートル以下の場合や、空港及び飛行経路上に影響を与える西側からの風でも、火山ガスの放出量が三千トン程度で、風速が九メートルを超えていれば影響がないということがわかってまいりました。

○遠藤委員 今ご報告いただいたこの観測結果をもとに、運航事業者である全日本空輸さん、全日空さんが再開準備に入る、こうした決定をしたと思いますけれども、今お聞きしていると、東側からの風が約六〇%ということで、かなりきわどい形の状況を縫って空港再開の準備に踏み切ったんだということが、今の答弁で明らかになりました。こうした中で、全日空さんが、さあ行くぞ、やるぞと再開準備に入ることとした大きな理由をお示しいただきたいと思います。

○室星島しょ・小笠原空港整備担当部長 火山ガスが空港及び飛行経路上にかからない、今先生からご指摘のございました東側からの風での運航を前提に、全日空の社内で検討したというふうに聞いております。
 この状態では、かなり厳しい就航率が予想されますが、全日空といたしましては、島民生活の安定や復興を促進するため、前向きな決断をされたものと理解しております。

○遠藤委員 最後に部長がご答弁いただきました、厳しい状況はいろいろあるけれども、全日空さんとしては島民生活の安定、そして復興を促進するために、前向きに決断をされたということでございます。
 三宅島はかつて、バードアイランドと呼ばれるほど自然豊かな美しい島でございました。二〇〇五年の二月に帰島が果たされたものの、火山ガスとの共生という厳しい条件の中で、復興への歩みも必ずしも穏やかではございませんでした。
 今回この空路の再開のめどがついたということは、島民生活のさらなる安定をもたらして、復興をより一層後押しする意味で大変重要なものと考えます。運航事業者である全日空とよく連携をとって、着実に再開への準備を行って、島民の皆さんの期待にこたえていただきたいと思います。
 今、部長とのやりとりで、全日空さんが、島民生活の安定や復興を促進するために前向きな決断をしたということでございます。質問の通告にはありませんでしたが、この全日空さんのかたい決意を受けて、局長の都としての決意表明をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○津島港湾局長 答弁の具体的内容は部長のとおりでございますけれども、やはり東側の風が六〇%ということで、そのままいけば就航率が六割程度ということになるかと思うんですけれども、これは、運航上のいわゆる採算性からいけばかなり悪いわけでございます。ただ、今後、観測をしっかりやっていく中で、西風の場合でも風速によっては可能な場合もあるということでございますので、そういった観測に期待する部分も正直いってあったかと思います。
 いずれにしても、まず火山の噴火前の一日二回の就航、これは現時点においてはなかなか困難な面もございますけれども、島民の皆様方の希望をしっかりと、つくるということを第一に考えていただきまして、一回の就航から始めるということで決断をしていただきましたので、科学技術に基づいてはいるけれども、かなり生活復興を考えた政治的な配慮もあったのではないかなというふうに推測しております。
 都としては、この就航率を高めるために、引き続き慎重に観測を続けまして、観測は港湾局の役割でございます、引き続きこの観測をしっかりやって、完全に噴火前の就航率に戻すために全力を挙げたいというふうに思っております。

○小竹委員 東京都は、東京港における国際競争力の強化と利用者サービスの向上を図るとして、来年の四月から埠頭公社を民営化するということを明らかにしました。この間、本来であれば公共が担わなければならない分野が民営化される。例えば国鉄、電信電話、きのうから郵政の民営化が進められてきています。
 民営化の理由として、効率化だとかサービスの向上が挙げられているわけですけれども、実際にそうなっているかというと、決してそうじゃないというのが、この間の経過で如実に示されています。もうからないところは切り捨てられていく、不便きわまりない状況に追い込まれていること、それから、安全など本来重視されなければならない分野が放棄されていること、働く人たちの労働条件などが悪化しているという多くの問題が民営化の中では指摘されています。
 このような民営化の問題点からいっても、我が党は、港湾の役割の公共性からいっても、公社を民営化すべきでない考え方を持っています。その立場からお伺いしたいというふうに思いますが、今なぜこの時期に民営化を進めなければならないのか、民営化する理由についてお伺いいたします。

○小宮港湾経営改革担当部長 民営化の理由でございますけれども、東京港が首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとしての機能を発揮し続けるためには、国際基幹航路の寄港を維持拡大していくことが必要でございます。
 そのためには、東京港の物流効率化を促進し、国際競争力強化と利用者サービス向上を図ることが喫緊の課題となっております。東京港の外貿コンテナ貨物の七割以上を扱う公社の改革が不可欠でございます。このため公社を民営化するものでございます。

○小竹委員 なぜ今の時期にやらなきゃならないのかというのは、ちょっと私、今のご説明では納得がいきません。基幹航路の維持拡大ができるようにということで、国際競争力の強化が喫緊の課題だというのが、なぜ民営化になるんですか。
 それと、もう一つ、公社の改革は民営化しなければできない話ではないというふうに思うんですが、この点についてもう一度ご答弁ください。

○小宮港湾経営改革担当部長 今なぜ民営化するというお尋ねかと思いますけれども、現在、国際物流における日本港湾の相対的地位が叫ばれておりまして、今適切な対応をしなければ、首都圏四千万人の生活と産業を支えるメーンポートとしての地位、立場は維持できません。そうなりますと、生活、産業への影響が出てまいります。したがいまして、今、民営化をしなければいけないという状況かと思います。
 それから、民営化でなければできないのかということでございますが、民営化によりまして、公社の制度におきましてはさまざまな規制、それから出資ができないとか、そういった制約がございます、そういったものを払拭いたしまして、国際物流の機能の強化、利用者サービスの向上に努めてまいるものでございます。

○小竹委員 いろんな規制があるのは、それは公共性を保つということでの問題だというふうに思うんですね。そういう点でいうと、決して公社で改革ができないという話ではないというふうに私は考えています。
 国際競争力の強化、利用者サービスの弾力化というのが挙げられていますけれども、港湾コストの低減の第一の柱として、ふ頭の貸付料の弾力化が挙げられているわけですけれども、具体的にどういうふうな中身になっていくのか、改めてお伺いします。

○小宮港湾経営改革担当部長 現行の公社制度におきましては、ふ頭貸付料の設定について、省令によって基準が定められておりまして、現行制度のもとでは貸付料設定が硬直化しており、公社の経営努力が利用者に還元されない仕組みとなっております。法改正によって、貸付料についての国の規制が緩和され、民営化によりまして貸付料の弾力化が可能となりました。
 貸付料の弾力化については、具体的に申し上げますと、個別の利用実態に応じて長期契約の借り受け者や貨物取扱量の多い借り受け者などにつきまして割引を図るなどの手法が想定されます。このように貸付料の弾力化一つをとってみましても、公社民営化の意義は大きいものと考えてございます。

○小竹委員 結局、貨物量の多い船会社、それから長期にわたってというのは、長期にわたっては当然ほかの小さいところも該当すると思うんですが、多いという点でいえば、大きな船会社が有利になるということにほかならないというふうに思うんですね。
 こういう貸付料の弾力化だとか安くするということが即貨物量の増加につながるんでしょうか。その点はいかがですか。

○小宮港湾経営改革担当部長 現在、世界の物流は急速に拡大しております。アジア貨物を中心に、世界のコンテナ貨物量はこの十年で二倍以上にも拡大しております。こうした貨物動向に的確に対応しなければ、結果として都民生活にも大きな影響が生じかねない状況でございます。
 公社民営化は、こうした状況に対応する方策の一つでございます。民営化後の公社が、ふ頭貸付料の弾力化や公共、公社ふ頭管理の一元化などの具体的施策を通じまして、港湾コストの低減や、ふ頭運営の効率化、多角的な事業展開を行うことで、民営化のメリットを利用者に還元し、東京港の国際競争力の強化と利用者サービスの向上を図ることができます。
 こうしたことで、増加する貨物に的確に対応できるものと考えております。

○小竹委員 本当にそうなのかというのは、私は正直いって疑問が消えません。現実に利用者というのは、あくまでも港の利用者は船会社ですよね。しかも、今ご答弁いただいたように、大企業ほど優遇されるという状況になっていきます。国際競争力の強化ということがもうずっと長くいわれてきているんですけれども、国際競争力の強化といわれて久しくなるんですが、そういう意味でいうと、ふ頭の整備などが行われてきましたよね。例えば外貿コンテナでは、ふ頭の水深を十五メートルに下げる、こういうのが行われて、国際競争に打ち勝つんだといわれてきたんですけれども、現実にはそういうふうにはなっていない。逆にいえば、それだけの公共投資をしながら、結局それは、ふ頭の貸付料にはね返っていくというふうな事態を招いているわけですよね。
 確かに、大型船の停泊が可能になったということで、東京の外貿コンテナの荷物の量はふえていますけれども、それでも相変わらず国際競争に打ち勝てないというふうな状況が生まれているというのは、やっぱりアジアとの関係だというふうに思うんですね。
 その中で、日本の港湾が相対的な地位が低下しているといわれているわけですけれども、一番問題になっているのはコストの問題ですよね。日本は三割ぐらいコストが高い。コストを削減しなければ国際競争には勝てないというふうにいわれているんですけれども、コストの一番の問題はやっぱり人件費ですよ。ここの人件費を削るということで、今コスト削減がやられて、港湾の労働者の賃金などが引き下げられたりして、労働条件が悪化して大きな問題にもなっているわけで、そういう点で考えると、人件費を削減してコストを引き下げるということが、本当に港を充実させることにつながるかというと、やっぱり悪循環になっているというふうに思うんですね。
 そういう点で見ると、民営化して、競争力をつけて利潤の追求をするということになっていくわけですから、国際競争力というふうな、力をつける、荷物がふえるというふうにはなり得ないんじゃないかというふうに思います。国際競争力の強化ということであれば、日本の港のあり方、国内のほかの港との役割分担など、根本的な問題を解決しなければこの問題は解決できないという専門家の方々の指摘もあります。
 そういう点で見たときに、法改正が行われたから民営化が可能になったわけですけれども、今この民営化を進めなければならないという必然性は、今ご答弁いただいた中では私は見当たらないというふうに思います。法が改正されて、民営化を打ち出したのは、今、東京港のみです。港の公共性という点からも、他の自治体は慎重に検討しているのではないでしょうか。
 港のあり方という点でも、港は不採算部門もあり、この点での公共性の確保は欠かせない問題です。民営化はすべきでないというふうに考えます。
 今、民営化に踏み出すという背景には、私は、臨海三セクの救済というのが見え隠れしているように思えてなりません。民営化をするより、東京港が果たすべき役割を明確にして、公共の役割を果たすことを求めて、質問を終わります。

○原田委員 九月の本委員会に、臨海ホールディングスグループの経営基本方針について報告があり、ホールディングスの取り組むエリアマネジメントが示されました。この方針の四つの柱、物流・交通対策、観光振興・にぎわいの創出、企業活動支援の強化、社会的責任を果たす取り組みと、大変大きな課題が挙げられています。
 しかし、この大きな課題は、ホールディングスだけでは実現は難しく、東京都の戦略と連動していくことで可能になる面が多くあります。
 そこで、都とホールディングスとの役割分担をどう考えているのか、基本的な考えをお聞かせください。

○山本監理団体改革担当部長 これまで臨海地域の開発整備につきましては、東京都が主体となりまして、各団体を個々に指導監督する形で行ってまいりました。臨海副都心では、まちづくりの総仕上げの時期でございまして、今後は行政だけでなく、地域で活動する事業者が主体となったまちづくりが必要となってくると考えております。
 この地域の都市機能と港湾機能が相互調和を図っていくためには、地域で活動する主体が行政のパートナーとして課題解決への事業展開を図ることが不可欠でございます。
 臨海ホールディングスグループは、みずからが地域で活動する主体といたしまして、その取り組み体制を一段と強化し、交通、観光、環境、防災など、地域全体が抱える大きな課題に取り組んでいくものでございます。
 港湾局は、港湾計画やまちづくり推進計画など全体の方針を策定いたしまして、また、港湾管理者としての役割やインフラ整備、そしてグループや民間事業者など地域の活動が都の施策との整合性を確保するよう指導監督を行っていくなど、行政としての責任を果たしてまいります。
 また、臨海ホールディングスグループは、地域のにぎわいや来訪者、港湾利用者へのサービスなど、地域の活動主体が行うべきことを積極的に取り組んでいくと考えております。

○原田委員 これからのまちづくりは、そのまちに住んで、まちで事業を営む人たちが主体になって展開するという基本に立って、その一員としてまちづくりを展開していくという基本姿勢はそのとおりだと思います。
 観光振興というところでちょっとお尋ねしたいと思います。
 年間四千万人を超える来訪者の副都心と東京港を擁する臨海地域、ほかにない魅力を持ったまちとしては、もう否定するところはないと思いますが、グループでのこの観光振興というのはどういうものでしょうか、お知らせください。

○山本監理団体改革担当部長 臨海地域は、都民にとってのスポーツと憩いの場であるだけでなく、ウォーターフロントの魅力を最大限に生かした水辺や緑の空間あるいは大型ショッピングモールなどを有しまして、国内外からの多くの来訪者を迎え、にぎわいのあふれるまちとなっております。
 一方、開発の進展に伴いまして、にぎわい創出に大きな役割を果たしてきた未処分区画を活用した大規模イベントの開催が困難になってきておりまして、これまでとは異なる新たな形でのにぎわい創出策が必要になってまいります。
 このため、グループの取り組みといたしましては、客船ターミナルの活性化や、グループ各社が所有、管理している施設や空間に積極的にイベントを誘致するなど、にぎわい創出効果を高める事業を展開していくというふうにしております。
 また、東京港の有するすぐれた景観や豊かな水辺空間などの臨海地域ならではの特徴を生かした観光施策にも取り組んでいくこととなります。
 これらの施策を効果的に実施していくために、臨海副都心の開発事業者で構成されます臨海副都心まちづくり協議会とも連携をいたしまして、PR活動等を推進してまいります。

○原田委員 観光振興ということで、グループではできない活動というようなお話もありましたけれども、頑張って振興していけば、まあ、それなりのにぎわいは出ると思いますけれども、皆さんが指摘したように、交通のアクセスをどうするのだというような話が出てまいります。この交通問題に取り組むホールディングスの役割ということでいうと、どのように今後調整していくつもりなのか、お聞かせください。

○山本監理団体改革担当部長 臨海地域が健全に発展していくためには、地域全体を視野に入れまして、地域が抱える課題を総合的に解決していくことが必要になります。そのために、臨海ホールディングスを設立いたしまして、グループ化を図ったわけでございまして、まさにグループの担うエリアマネジメントということになろうかと思います。
 お話のように、にぎわいの創出によって交通問題が発生して、地域の発展の阻害要因となるということのないような対策を講じていく必要がございます。
 例えば、イベント時の過度の車両流入を防ぐため、グループで管理する駐車場と域内交通を担う「ゆりかもめ」を組み合わせたパーク・アンド・ライドや、グループ内外の集客施設の利用券と「ゆりかもめ」の乗車券のセット販売など、公共交通機関への利用を促進するような多角的な検討をしていく必要があると考えております。
 グループの統一的な戦略のもとで、具体的な事業を検討していくこととなると考えております。

○原田委員 これは田中理事への答弁とも重なるわけなんですけれども、パーク・アンド・ライドというような言葉が出てきたということで、大変期待するところもあるんですけれども、都内でも本格的なパーク・アンド・ライドを実施しているところはないと思います。臨海副都心は出入り口が限定されているということもあって、パーク・アンド・ライドをやりやすい構図を持っているということがございますので、このあたりぜひ実現していただきたいと思います。
 あと、ことしの一定でも私が取り上げましたけれども、副都心内の交通手段として自転車というようなこともございますが、利用ということも大変おもしろいというか、取り組みとしては、都心にはない取り組みとして大変いいものではないかと思います。日曜祭日ですか、皇居の前を開放して、家族連れの方がいろんな自転車を楽しんでいる、そういうようなことがニュースでも流れていました。臨海は道路整備がきちっとできているということもあって、自転車道路というような限定をしながら、エリア内を気ままに移動できる自転車の活用などは、臨海の魅力を増すものではないかと考えております。
 私は、臨海での事業ということでいうと、東京都、公は少しずつ手を引いていくべきだという立場で、ホールディングスの立場は反対の立場でずっとやってまいりましたが、議会の中で多数で決まったということもございまして、事業の遂行ということは認めざるを得ないというふうな立場でございますけれども、そこで一つつけ加えさせていただければ、やっぱりこのホールディングスを設立したことで、公はまだ臨海の戦略にしっかりとかんでいくぞというような選択をしたわけですから、公共性の高いものを実践していく、担っていく使命があると思います。
 基本方針の中で、社会的責任として、防災対策や緑化の推進、また特例子会社をつくって障害者雇用もやっていこうというような方針が出ましたから、この方針をしっかりと果たしてもらいたいと考えています。
 そのような面で今後を見届けていきたいと思いますので、またいろんな意見をいわせていただきますが、これからもよろしくお願いします。
 東京港への基幹航路の寄港数の減少は、コスト増となって、都民への生活に影響を与えるのではないかと大変危惧します。この流れは何とかとめなければならないと思っています。また、生活関連物資を中心に貨物量も増加しております。ふ頭周辺の交通状況は、東京港の港湾スペースがもう限界に来ているのではないかというふうな思いさえします。都民の負担を抑え、基幹航路を維持していくために、港湾コスト低減により国際競争力を強化することを求めるものです。
 また、新しいふ頭整備などハードな面は、お金も時間もかかりますが、今使っているふ頭の能力を最大限に生かす。これまで、手続の簡素化等には取り組んできていらっしゃるようですけれども、それ以上に、ソフト面でのふ頭運営、例えばスペースの有効利用など、取り組むべきだと考えております。
 そこで、港湾コストの低減、これはもうお話が出てきましたけれども、ふ頭運営の効率化について、これまでどのように取り組んできたか、また、今後、民営化された公社を活用してどのように取り組んでいこうとしているのか、お聞かせください。

○小宮港湾経営改革担当部長 都はこれまで、官民一体となりまして、新アクションプランを策定し、港湾コストの低減やふ頭運営の効率化を促進し、使いやすい港づくりを目指してさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 新アクションプランでは、コスト低減に関し、貨物取扱量の増加や入港船舶の大型化に対して、入港料を割り引くなどのインセンティブ制度導入などや、また港湾物流の効率化に関しては、これまで、土曜日、日曜日の税関開庁を初めとし、リードタイムの短縮などに努めてまいりました。
 今後は、民営化後の埠頭公社を活用して、ふ頭運営の効率化については、公共ふ頭、公社ふ頭の管理を一元化し、また荷役機械の相互融通やヤードの一体的運用などが可能となることから、ふ頭運営が効率化され、港湾コストの低減を図ってまいります。
 港湾コストの低減については、民営化により、貸付料の自由な設定ができることから、個別の利用実態に応じまして、長期契約の借り受け者や貨物取扱量の多い借り受け者などについて貸付料に割引を適用する貸付料の弾力化や、管理経費の節減など公社みずからの内部努力に努め、貸付料の軽減化を図ってまいります。

○原田委員 国際競争力の強化は、東京港だけの取り組みでは解決しない。東京都では以前、横浜港などとも歩調を合わせて、国に対して水先法の規制緩和等を要望し、昨年法改正が実現したと聞いております。
 具体的には、これまで、東京湾に入ってきた外国船を東京港まで水先案内するのに、複数のパイロットが乗船していたものが、一人の水先人で案内できるようになった。その分コストも低減されると期待するものです。
 また、水先人の資格も、これまでベテランに限られたものが、若者にも開放され、後継者育成の展望も見えてきたように思います。
 このような規制緩和やその他さまざまな取り組みにおいて、東京港、横浜港が京浜港として連携など、広域的な取り組みがますます重要になってきます。
 東・東南アジアに越されたとはいえ、二港合わせての外貿コンテナ貨物取扱個数は世界十二位と、決して劣るものではないと思います。
 そこでお伺いします。このような規制緩和の取り組みにおいても、あるいは他のさまざまな取り組みにおいても、東京港と横浜港等が京浜港として連携するなど、広域的な取り組みが重要と考えますが、これは私のこだわりでもありますが、何回も聞いているようですが、今後どのように取り組んでいくのか、今後の展望をお話しいただければと思います。

○小宮港湾経営改革担当部長 京浜港連携につきましては、これまでも、お話にありました規制緩和の共同要望等の取り組みを初め、物流効率化の視点から、コンテナ横持ち輸送の効率化の検討、実証実験などに取り組んでまいりました。
 また、災害等非常時あるいは保安面での連携につきましても、震災時の対応についての協定を締結し、保安訓練を実施してまいりました。
 今後とも、一層の連携を確保するため、東京港、横浜港、川崎港で組織する京浜三港広域連携協議会の機能拡充を働きかけるほか、京浜港が共同で実施していくことが効果のある施策については、関係者とも十分に協議して推進していきたいと考えております。

○原田委員 公社は幅広く事業を行っており、船舶による港内清掃事業など、環境に配慮した取り組みも行っているようです。既存施設を有効活用した太陽光パネルや省エネ型の荷役機器など、設置の可能性はこれから広がってくると思います。
 そこでお伺いします。民営化後の公社は、東京港の環境面において今後どのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いします。

○小宮港湾経営改革担当部長 都は、港湾管理者としまして、港湾区域を良好な状態に維持する基本的な責務を担っており、さまざまな水域環境保全のための事業を行っております。こうした中で、これまで公社は、船舶による港内清掃を都から受託するとともに、船舶からの廃油回収をみずから行うなど、東京港の環境維持対策に資する業務を、豊富な経験とノウハウを活用しまして適切に実施してきました。
 今後は、東京港の良好な環境の維持に努めることにとどまらず、さらに、ふ頭内において積極的に環境の向上を図ることが求められております。そのため、都としては、民営化後の公社に対し、荷役機器等からの排気ガスの抑制などの対策への支援を働きかけるなど、環境の向上に向け公社を活用してまいります。

○原田委員 東京港に入ってきたときの感じ、ロケーションというのは、一つ、東京港のイメージをつくるのに大変大事なことだと思います。そういう意味で、まだ三基ぐらいしかない風力発電が回っているロケーションがありますね。それと一緒に、太陽光パネルも設置されて、いろいろな意味で、ほかにはない、それこそ成熟した社会の姿が見れるような、もちろん海の森の緑もありますね、そういうような仕掛けというか、一つのほかにはない魅力をつくっていくことが大事かなと思います。
 この新聞、業界紙、これ、津島さんの対談も載っていたような時期の新聞なんですけれども、ここで商船三井は、東京で一番大きな太陽光パネルを設置したというようなことも書いてありますし、あと、ハイブリッド式トランスファークレーンですか、あれも少しずつ広がっていくというようなことで、これが設置されると、二酸化炭素の排出量が四割減になると。そんなに減になるのかということで、私も今さらながらびっくりするわけなんですけれども、こういうものがどんどん広がっていって、まさに環境対策が具体的に見えてくるような指導であってもらいたいなと思います。
 意見を述べて、質問を終わります。

○清水委員 臨海ホールディングスグループ経営基本方針に関連して何点か質問します。
 この臨海ホールディングスは、臨海三セクが多額の借り入れを行ってビル事業などを行い、多額の借金を背負い、立ち行かなくなり、民事再生法の適用を行って救済し、新たな臨海地域の展開を行うために設立したものです。
 今回、グループの経営基本方針が報告されていますが、これまでにもたびたび触れてまいりましたが、そもそもこの持ち株会社の設立というのは、今指摘しましたような、この間の三セクの破綻など、本当に教訓を踏まえたものとなっているのかどうか、お伺いしたいと思います。

○山本監理団体改革担当部長 臨海地域は、港湾機能と都市機能が相互に調和を図りながら、開発や事業を進めていく必要がございます。そのため、臨海地域を活動基盤とする監理団体を経営統合し、東京港の国際競争力の強化と臨海副都心開発の総仕上げの推進体制を一層充実させるということを目的として、臨海ホールディングスを設立したものでございます。

○清水委員 教訓を踏まえず、さらに傷を深くするだけだといわざるを得ません。今、総仕上げといわれましたけれども、総仕上げではなくて、総見直しを本来だったら行わなければいけないところだというふうに思います。
 しかも、これまでの三セクと同じように、先ほどからご答弁を伺っていますと、都民や議会に報告をするというふうにいわれているんですけれども、これまでの三セクと同じようなレベルでの報告だというふうにうかがえます。
 ホールディングスの財務状況について、この間の議論では、連結財務諸表などを報告するとか、経営状況を報告するなどといっておりますが、少なくとも東京都自身が公開する情報と同様な報告が求められているのではないですか。予算や決算など、東京都と同様の報告が求められているのではないですか。
 今までの反省を踏まえたら、やはりチェック機構というのをつくっていかなければ、同じ過ちを犯すというふうに思いますが、いかがですか。

○山本監理団体改革担当部長 臨海ホールディングスグループは、これまでも本委員会におきましてご説明を申し上げましたが、議会や都民に対する説明責任を果たしていくために、地方自治法の規定による報告義務の有無にかかわらず、グループの連結財務諸表、グループ各社の財務諸表を毎年度議会へ報告する方針でございます。
 予算につきましては、これまでも毎年度、地方自治法の趣旨にのっとりまして、経営状況報告の中で事業計画及び予算としてご報告をしてまいりましたが、グループ全体、それからグループ各社の事業計画及び予算につきましても、今後も同様にご報告をさせていただきたいと思います。

○清水委員 東京都が議会に報告しているのと同じ内容で報告しているということをいわれているんですか。

○山本監理団体改革担当部長 監理団体の予算及び決算等の経営状況の報告につきましては、地方自治法の趣旨にのっとって報告をさせていただいているところでございますので、臨海ホールディングスグループにおきましても、法の趣旨にのっとって適切に対応させていただきます。

○清水委員 趣旨にのっとっているというだけなんですよね、今ご報告があったのは。
 これまでも、経営状況説明書というのに、例えばゆりかもめの経営状況説明書だったら、予定の運輸成績、それから予定損益計算書の中に収益の部と費用の部があって、営業費用の中に、運送費及び一般管理費で四十四億円、丸ごとここに示されているだけなんですよね。これでは、私たち予算の議会をやったり、そういうレベルとは全く、明らかにしているとはいえないんですよ、これでは。これを今までいってきているんですね。
 だから、それだったら、例えばビルの賃料を明らかにすべきだとか、それから、私たちは知事の交際費を明らかにしてもらいましたが、監理団体の交際費の資料を明らかにするべきだということに対しても、公開されなかったわけです。その点はどうですか。

○山本監理団体改革担当部長 各監理団体におきましては、事業運営に支障がある場合を除きまして、これまでも情報公開を行ってきており、適切に取り組んできたところでございます。子会社化された後も、各団体におきましては、これまでと変わらず情報公開を行っていくこととしております。
 また、親会社でございます臨海ホールディングスは、子会社管理規程を定めまして、その中で、情報公開の推進につきまして子会社へ指導を行うということにしております。
 東京都といたしましても、各団体の透明性の確保は重要であると認識をしてございまして、臨海ホールディングスグループの情報公開の推進について適切に指導をしてまいります。

○清水委員 東京都の情報公開の中で、監理団体情報公開モデル要綱というのがありまして、監理団体の情報公開については、今いわれましたように、各団体がこれまで以上に自主的、主体的に情報公開を進めていくというふうにいっているわけです。それで、例えば東京ビッグサイトの情報公開要綱がつくられているわけです。
 この中で、今私が具体的にいいましたような監理団体の交際費というのは公開されるんですか、されないんですか。知事の交際費というのは公開されております。監理団体の交際費というのは公開されるんですか。

○山本監理団体改革担当部長 各団体の情報公開につきましては、先生よりお話のありましたとおり、東京都の情報公開条例に基づきまして、都といたしまして各団体にモデル要綱を示し、都に準じた情報公開制度を整備するよう指導してございます。
 各団体においては、これに沿いまして、競争上または事業運営上の地位が損なわれると認められるもの、あるいは業務の性質上、当該業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものなど、事業運営に支障がある場合を除きまして、これまでも情報開示を行ってきたものでございます。
 お話の交際費につきまして、事業の営業活動内容を知ることができる情報として、業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかの判断につきましては、各団体において個別に行っていくことになると考えております。

○清水委員 結局公開されなかったわけですよ、そういう理由で。各企業の制度に基づいて一カ所も公開されなかったわけです。そういう議会のチェックが及ばないものがまた広げられていくということになるわけです。本当の民間ならそういうことをいわないんですけれども、やはりこれは半官半民の世界のことですから、つくるんだったら、やはりそれは議会のチェックを受けなければいけないと思います。
 破綻した夕張市の一番の問題は、三セクの中身が全くブラックボックスだったというふうに伺っているわけです。東京都の財政状況とはもちろん異なりますけれども、こういうこともやはり教訓にしなければいけないのではないかというふうに思います。
 グループファイナンスをつくるのは、三セクが一社一社ではもう借り入れることができないから、共同体をつくって、新しい事業をやっていく上で、資金を借り入れたり、お金を工面するために、パイを大きくするというような内容にほかならないと思います。そのために一緒にしただけだというふうに考えるわけです。
 グループファイナンスにグループ各社の資金を集め、他のグループ会社がここから貸し付けを受ける、ここからできる仕組みが果たしてよいのかということを考えるわけです。それぞれの会社の資産を、資金を一緒にしてしまうこと自体がおかしいというふうに思うわけですけれども、いかがですか。

○山本監理団体改革担当部長 グループファイナンスは、各社が保有する資金を臨海ホールディングスに集約をいたしまして、グループ内融資や一括運用を行い、運用益の増加や金利負担の軽減といった利益を子会社に還元することによって、グループ全体の資金効率を向上させることを目的とするものでございます。
 あくまでグループの資金を一元的に管理するというものでございまして、お話にありましたような独立した会社の資産を一緒にするというようなものではございません。
 こうしたグループファイナンスは、資金管理の効率化や有利子負債の削減といったことを目的として他の民間のグループ企業でも広く行われているものでございます。これによりまして、グループとして新たな事業展開などに向けた経営基盤の充実と弾力性の確保が可能になるものと考えております。

○清水委員 民間でもやっているといいますけれども、これは民間ではないわけだから、やはりそこら辺を明らかにしなければいけないというふうに思うわけです。
 グループファイナンスが金融機関から資金を調達するということはあるのかどうか、伺いたいと思います。
 また、先ほども他の委員が触れておりましたが、今年度、十年間の予定で五十億円の貸し付けをしましたが、まさに三セク救済のための新たな公金投入だといわざるを得ません。先ほど、この五十億円をどのように使うのかということもご答弁がありましたが、これはやはりそのとおりだと。その答弁を聞いても、救済のための公金投入だといわざるを得ません。この五十億円の貸し付けについては、私たちは当初、予算で反対したわけですけれども、さらに今後もそのような公金投入を追加することがあるのですか、伺います。

○山本監理団体改革担当部長 グループファイナンスは、グループ全体の資金効率の向上あるいは外部からの有利子負債の削減といったことを目的とするものでございまして、グループ内の特定の企業を支援するという目的のものではございません。
 先ほどお話のありました、東京テレポートセンターを初めとする臨海三セクにつきましては、民事再生手続が終了し、経営基盤が強化されたために、現在経営が安定しているわけでございまして、それによってグループに参加をしたものでございます。現在、グループに参加する各社あるいは参加予定の各社につきまして、経営は安定しておりますので、経営難から資金が必要となる事態は想定をしてございません。
 お尋ねの他の金融機関からの資金調達でございますが、グループファイナンスの活用目的となっております、先ほどご説明いたしました、エリアマネジメントの推進に必要な資金あるいは設備投資に必要な資金などがグループ内の資金以上に調達が必要となった場合には、これまで同様に外部から資金調達することはあり得るわけでございます。その際、グループ全体のスケールメリットを生かした有利な借り入れを行うという目的で、グループファイナンスが金融機関から資金を調達するということは想定されるかと思っております。
 また、東京都は、グループが公益性のある事業展開に取り組んでいることから、経営基盤の充実と弾力性確保のために実施するグループファイナンスの核となる資金を貸し付けるということでございまして、現在さらに追加するということは想定しておりません。

○清水委員 お金の面もそうですけれども、内容自体も、テレポートなど本当に公共がやらなければならないことなのかという点でも、これまでも繰り返し触れてまいりました。持ち株会社方式は、さらに臨海開発を進めるために、今のままの三セクではもたなくなったので延命を図っていく、今までの反省も含めてチェック機構をつくっていかないという意味で、同じ過ちを犯すことになると指摘せざるを得ません。
 私たちは、住民の福祉、都民の福祉や医療が十分でないのに、こういうところには五十億もつぎ込む、こういう都政の逆立ちといわざるを得ません。臨海開発をさらに進めて、そしてオリンピックと関連してさらに進めようとしている。先ほども申し上げましたが、総仕上げといいますが、本来は見直しをしなければならないと思います。
 さらに、ビルを臨海部にふやすということは、東京一極集中によって、やはり業務を集中させて、環境や生活が本当に立ち行かなくなっている中で、未利用地の緑化とか、そういう方向に臨海部を転換すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

○石毛委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○石毛委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百六十七号議案を議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 第百六十七号議案を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、よって、第百六十七号議案は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○石毛委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○石毛委員長 この際、所管局を代表いたしまして、佐藤産業労働局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○佐藤産業労働局長 本委員会所管四局を代表いたしまして、一言お礼を述べさせていただきます。
委員長初め委員の皆様方におかれましては、昨年十月以来、私ども四局の事務事業につきまして数々のご指導、ご鞭撻をいただき、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご指導につきましては、十分に尊重させていただき、今後の事務事業の執行に生かしてまいります。
 今後ともより一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、お礼のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

○石毛委員長 この際、私からも一言ごあいさつ申し上げます。
 経済・港湾委員長になり早一年が過ぎました。一期一会という言葉がございますが、本日がこのメンバーで最後の委員会となりました。この間十六回の委員会を開き、四局の主要な課題においては積極的に論議をいただきました。
 視察も、管内二回、管外一回、大阪市、神戸市の一泊二日のスケジュールでは、充実した視察、勉強をさせていただきました。
 さて、この間、委員会が円滑に運営できましたのも、ひとえに、本日おられませんが、三宅副委員長、また原田副委員長を初めとする理事、委員の皆様のご協力のたまものと感謝申し上げます。それぞれの委員の皆様、残られる方、また他の委員会へ行かれる方、ともにご活躍を心からお祈り申し上げます。
 そして、四局の局長を初めとする理事者の皆様に心から感謝を申し上げます。
 最後に、書記また事務方の皆様には、一年を通しましていろいろお世話になりました。ありがとうございました。
 これをもちまして、私の最後の御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
 それでは、本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十九分散会

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