経済・港湾委員会速記録第七号

平成十九年六月二十一日(木曜日)
第八委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長石毛しげる君
副委員長原田 恭子君
副委員長三宅 茂樹君
理事田中たけし君
理事門脇ふみよし君
理事鈴木貫太郎君
遠藤  守君
米沢 正和君
鈴木 章浩君
小竹ひろ子君
今村 るか君
清水ひで子君
大沢  昇君
川島 忠一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長佐藤  広君
総務部長塚田 祐次君
中央卸売市場市場長比留間英人君
管理部長大野 精次君
事業部長荒井  浩君
市場政策担当部長大橋 健治君
参事後藤  明君
新市場担当部長越智 利春君
新市場建設調整担当部長後藤  正君
参事河村  茂君
参事宮良  眞君
港湾局局長津島 隆一君
技監尾田 俊雄君
総務部長多羅尾光睦君
監理団体改革担当部長山本  隆君
港湾経営部長江津 定年君
港湾経営改革担当部長小宮 三夫君
臨海開発部長小林 敏雄君
開発調整担当部長余湖由紀夫君
営業担当部長藤原 正久君
港湾整備部長飯尾  豊君
計画調整担当部長山本  浩君
離島港湾部長石山 明久君
島しょ・小笠原空港整備担当部長室星  健君
労働委員会事務局局長有留 武司君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 港湾局関係
契約議案の調査
・第百五十三号議案 平成十九年度若洲橋鋼けた製作・架設工事請負契約
報告事項(質疑)
・平成十八年度東京都一般会計予算(港湾局所管分)の繰越しについて
・平成十八年度東京都臨海地域開発事業会計予算の繰越しについて
・平成十八年度東京都港湾事業会計予算の繰越しについて
・平成十八年度十号地その一東側水域埋立護岸地盤改良工事(その一)請負契約
・平成十八年度十号地その一東側水域埋立護岸地盤改良工事(その二)請負契約
 中央卸売市場関係
報告事項(質疑)
・平成十八年度東京都中央卸売市場会計予算の繰越しについて
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○石毛委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議の結果、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○石毛委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会において、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の契約議案の調査、港湾局及び中央卸売市場関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十九年六月二十日
東京都議会議長 川島 忠一
経済・港湾委員長 石毛しげる殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百五十三号議案 平成十九年度若洲橋鋼けた製作・架設工事請負契約
2 提出期限 平成十九年六月二十二日(金)

○石毛委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百五十三号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○多羅尾総務部長 六月十一日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願いたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、契約議案関係の資料は一項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、平成十九年度若洲橋鋼けた製作・架設工事の入札の実施状況でございます。
 当該工事における入札者氏名及び入札金額をお示ししてございます。
 なお、入札金額は、消費税及び地方消費税の額を含まない金額でございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本案に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○小竹委員 この十九年度の若洲橋鋼けた製作・架設工事について何点かお伺いいたします。
 現在使われている若洲橋はいつ建設されたのか。そして、今回の契約は新しくつけかえるための橋をつくる契約ですが、幅員等、現状をどういうふうに変えるのか、まずお伺いいたします。

○飯尾港湾整備部長 現在使用しております若洲橋でございますけれども、昭和四十九年三月に完成をしてございまして、既に三十数年が経過してございます。今回の撤去、かけかえによりまして、老朽化対策、耐震性の確保を行いますとともに、車線数を、現状の四車線から六車線に拡幅いたします。道路の幅といいますか、橋の幅は三十一・三メートルにする予定でございます。

○小竹委員 若洲橋は老朽化と耐震のためということですけれども、この橋がかかっている、新木場・若洲線にかけられた橋ですが、これは東京港臨海道路につながる、こういう点で車線をふやすものではありませんか。
 東京港臨海道路は、Ⅱ期工事として、若洲の先端と中防外側を結ぶ臨海大橋などがもう既に国の直轄事業で着手されています。それに接続して一体につながっていくものです。こういう点で見たときに、若洲橋を含めたこの道路の予測交通量はどのようになっているのか、お伺いします。

○飯尾港湾整備部長 この若洲橋を含みます東京港の臨海道路、新木場・若洲線でございますけれども、内陸部の幹線道路と接続いたしまして、新たな環状道路のネットワークを形成いたします。このことによりまして臨海部の物流を円滑にいたしまして、東京港の国際競争力の強化には不可欠な路線であると。それとともに、地元の交通利便性の向上ですとか、あるいは災害時には緊急輸送道路として非常に重要な役割を担うものというふうに考えてございます。
 このため、若洲橋の交通量、第七次改訂港湾計画策定時に推計してございますけれども、それによりますと、平成二十七年時点におきまして一日当たり五万四千七百台と試算されてございまして、拡幅はぜひとも必要だと考えてございます。

○小竹委員 今、国際競争力だとか、いろいろ必要性についてお答えいただきましたけれども、結局、一日五万台を超える通過交通ということになるわけですね。片側三車線の道路を建設するということになるわけで、自動車交通の増大と、それから渋滞緩和ということで、私は過大な道路建設になるのではないかというふうに思います。
 そういう点で見ると、道路をつくることによって自動車交通が増大し、新たな開発を誘発することにもつながっていきかねません。臨海道路に接続しなければ片側三車線は必要ないというふうに考えられます。
 一日五万台というと、湾岸道路の下部の部分ですし、それから、今一番大気汚染などで問題になっている中央区の晴海通りなどは、二万四千台から三万八千台ぐらいということで、中央区の調査でも、大気汚染の調査で、二酸化窒素が月に一日から十日間も環境基準を超えているという深刻な状況も招いています。
 臨海副都心、それから晴海地区、今、晴海地区については申し上げましたけれども、道路の通過交通によって大気汚染は非常に深刻な状況です。住民の組織でやっている、毎年六月と十二月に行われている定点測定でも、二酸化窒素については環境基準をはるかにオーバーして、都内の中でもワーストテンに入るような状況になっています。
 この臨海道路Ⅱ期が完成すれば、新たな自動車交通の増大を招くという点で、大気汚染の悪化や環境負荷が危惧される状況です。こういう環境悪化を招くような道路建設はやめるべきだというふうに考えます。
 以上です。

○石毛委員長 それでは、ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対する意見のある方は発言をお願いいたします。

○小竹委員 第百五十三号議案、平成十九年度若洲橋鋼けた製作・架設工事請負契約に反対の立場から意見を申し上げます。
 今回の若洲橋工事は、東京港臨海道路Ⅱ期工事と一体のものであり、臨海副都心開発を促進するためのアクセス道路の建設につながる工事でもあります。また、道路建設により自動車の増大、大気汚染の悪化など、周辺環境への負荷を与えることになりかねません。破綻が明らかになっている臨海開発に、これ以上の財政投入、基盤整備を進めるべきではありません。
 老朽化、耐震補強が必要というのであれば、従来の橋の幅員で、地元の要求である両側に歩道を確保する、こういうものにすればよいことだということを申し添えて、意見表明といたします。

○石毛委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案に対するただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○石毛委員長 次に、報告事項、平成十八年度東京都一般会計予算(港湾局所管分)の繰越しについて外四件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○多羅尾総務部長 六月十一日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願いたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、報告事項関係の資料は一項目でございます。
 それでは、二ページをお開き願いたいと思います。2、十号地その一東側水域埋立護岸地盤改良工事の入札の実施状況でございます。
 当該工事における入札者氏名及び入札金額をお示ししてございます。
 なお、入札金額は、消費税及び地方消費税の額を含まない金額でございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○田中委員 首都圏四千万人の生活と経済活動を支える東京港の役割は大変大きいといわれております。東京港の国際競争力の強化が必要であることはいうまでもありません。これまで、東京港の機能強化のためにたびたび議論を行ってまいりましたが、大井ふ頭、青海ふ頭、さらには新たなバースの建設予定である中央防波堤外側埋立地の件が中心でありました。
 これらふ頭だけではなく、東京港の大きな役割を果たしている品川ふ頭に関して、さきの経済・港湾委員会の平成十八年度港湾事業会計予算の繰越しについての報告の中で、バンプール整備の工事の件がございました。品川ふ頭に関して、少し議論、確認をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 品川ふ頭は、我が国最初のコンテナふ頭であり、大変歴史のあるコンテナターミナルであります。私の聞いているところでは、平成十八年の取扱量は年間三百十六万トンであり、対岸の青海の三バースとともに、公共バースとして重要な役割を果たしております。
 しかし、昨今では、中国、韓国を初めとするアジア諸国の台頭が著しく、我が国港湾を取り巻く環境も大きく変化している状況でございます。
 そこで、品川コンテナふ頭の果たしている役割及び最近の状況について、まずお伺いしてまいります。

○江津港湾経営部長 品川コンテナふ頭の果たしている役割等についてでございますが、品川コンテナふ頭は水深がマイナス十メートル、岸壁延長が百八十メートル程度のバースを三つ有するふ頭でございまして、小型のコンテナ船が寄港する、アジアを中心とした近海航路の基地となっております。
 特に、中国、韓国との貨物が多く、具体的には、今お話にございました三百十六万トンの取扱量のうち、中国、韓国の貨物が占める割合は八九%と圧倒的なシェアを占めております。五年前は七〇・九%であったことを考えると、大きな伸びを示しております。
 また、取扱品目では食品や日用雑貨品が三九%を占めており、輸入雑貨を中心に伸びているところでございます。

○田中委員 ありがとうございました。
 今ご答弁いただきましたように、品川コンテナふ頭におきましては、生活に大変密着した食品や日用雑貨品が多くその割合を占めているということでございましたが、都民の生活に欠くべからざる非常に重要なふ頭であると改めて確認させていただきました。
 このような輸入品はコンテナにより運ばれてまいりますが、中身をデリバーした後の空になったコンテナの置き場として、バンプールの整備が必要であるということでございます。
 今回、予算の繰り越しとのことでありますが、バンプールの整備がおくれれば、円滑な物流の確保という面から影響が出ることも十分考えられます。今回にもありましたように、工事の調整に日時を要したためと繰越理由がございますが、具体的にはどのようなことなのか、お伺いいたします。

○江津港湾経営部長 工事着手に先立ちまして現地調査を行いましたところ、バンプール舗装予定地に地盤が陥没している箇所が発見されました。施工現場の地下にはりんかい線が通っておりますことから、株式会社臨海高速鉄道との協議や調整、調査等に日時を要したため、年度内の完了が不可能となり、繰り越すことになったものでございます。
 なお、現在、当該工事は完了いたしておりまして、この七月一日からの供用開始に向け、所要の調整を行っているところでございます。

○田中委員 ありがとうございます。
 東京港の大きな特徴は、背後に巨大な市場、生活圏が接近、隣接しているということでございます。この品川コンテナふ頭のあります品川区内には、この地区には五千戸を超える八潮団地があり、大井ふ頭中央海浜公園、みなとが丘ふ頭公園などの公園もあるなど、地域の方々の生活の場であり、憩いの場であり、スポーツを通じてのコミュニケーションの場など、さまざまな側面を持っている地域でもあります。
 港湾機能の強化のために、多くの品川区民が使用している青空球場三面のうちの一面を廃止し、その代替地として今回のバンプール整備地に隣接する南ふ頭公園を拡張、整備していただきました。大変限られた中で港湾機能強化と地域生活住民の福祉の向上を同時に図らなくてはならない、二律背反の面を同時に求めなくてはならない大変厳しい状況の中、これまでの港湾局の方々のご努力には大変感謝をしております。
 また同時に、長期的な視点に立ちますと、このようなことから、東京港の機能強化の観点からも、抜本的な再編も議論の対象になってくるのではないのかなと思っております。その際は、我が党もしっかりとした対応をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それで、今回の繰り越しは、地下を通っているりんかい線の安全性の調査のために工事が遅延し、やむを得ず繰り越したというお話でございました。その後、安全性も確保されて、無事工事も完了したということで、安心いたしました。
 今後も、不測の事態により工事に支障が出る場合もあり得ますが、都民生活に影響がないよう、今回のように努力をしていただきたいと思います。
 さて、冒頭の答弁で、品川コンテナふ頭において中国、韓国貨物の伸びが非常に大きく、トンベースでは実に八九%のシェアを占めているとのことでございました。この背景には、一つには中国の経済成長があり、いま一つには、軽工業品については中国、精密部品については日本といったような、いわゆる水平分業の進展もあるやに思われます。
 そこで、東京港全体では、中国貨物、韓国貨物の状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○江津港湾経営部長 東京港全体での中国貨物、韓国貨物の状況でございますけれども、平成十八年の外貿取扱貨物量四千五百二十八万トンのうち、中国、韓国は一千八百二万トンでございまして、そのシェアは三九・八%でございます。五年前、平成十三年には二二・九%であったところでございまして、東京港全体としても大きく伸びていることがわかります。
 とりわけ中国貨物は千五百九十五万トンで、シェアは三五・二%に上っておりまして、貿易相手国別で第二位であるアメリカの一八・九%を大きく引き離しておるところでございます。
 このような中国貨物の増加傾向は今後も続いていくものと思われます。

○田中委員 ありがとうございました。
 東京港全体で見ましても中国貨物が大変大きく伸びている。このことが、東京港の貨物取扱量の増加の一因になっているということでございました。
 首都圏四千万人の生活と産業を支えるという東京港の本来の役割を引き続き維持、強化していくためには、北米、欧州を結ぶ基幹航路の維持を図るとともに、中国貨物を初めとしたアジア貨物の増加に的確に対応していくことが重要であると思います。
 しかしながら、東京港のコンテナ取扱数は過去最高を更新しているとはいえ、対前年伸び率が鈍化していることを考えると、貨物量の増加にバンプールを初めとする港湾施設が対応し切れていないのではないかと危惧もされます。加えて、コンテナ船の大型化の急速な進展や、より一層の効率的な物流の確保など、環境変化への対応が求められております。
 こうした状況をかんがみますと、東京港では、第七次改訂港湾計画に掲げる中央防波堤外側に新たなふ頭の整備や、既存ふ頭である大井ふ頭、青海ふ頭の機能拡張に向けた再整備に取り組んでいく必要があり、早目早目の対応が求められると思います。
 あわせて、ソフト面では、物流機能をさらに向上させるような仕組みが必要であると思います。来年四月には東京港埠頭公社も民営化されることとなり、この点で大変大きな期待をしております。
 最後に、アジア貨物の増加への対応も含め、東京港の今後の物流機能の強化、拡大に向けましての局長のご決意をお伺いしたいと思います。

○津島港湾局長 東京港の物流を見ますと、先生お話しのように、世界経済におきまして、分業体制が非常に速いスピードで中国を中心に進展してきております。したがいまして、中国を中心とする貨物が東京港においても極めて増加している状況が一つございます。
 それから、物流におけるコスト競争、これも非常に激化しておりまして、特に長距離の北米、欧州を中心とした物流に関しては、このコスト競争に打ち勝つために、各船社は強力に船舶の大型化を強めております。
 したがいまして、これからの東京港を取り巻く環境に適切に対応していくためには、この物流の増大と船舶の大型化に適切に対応しなければいけないということが課題になっております。
 そこで、そういった課題を行うに当たって一番大切なことは、東京港というものはそもそもどういう性格の港であるかということをきちんと踏まえる。具体的には、背後に四千万人の住民の生活と産業を支えるという大きな市場立地型の港湾であるという特色をまず踏まえて、そして東京港を利用する民間の声、荷主、船会社を含めた、そういった民間の声が東京港に何を求めているのかということを踏まえた改革をしなければいけないと考えております。
 その観点から見ますと、今後重点的に取り組むべき点というのは次の三点に集約されるのではないかなと思っております。
 一つは、船舶の大型化や海上貨物の急増に対応できる高規格のふ頭をどうしても整備しなければいけないというのが第一点でございます。
 それから第二点が、いわば海面の前面だけの整備では、港湾機能というものは十分発揮されませんで、そのすぐ背後にある貨物輸送を効率的に行うための荷さばき地、これが十分に確保されていなければならないというのが二点でございます。
 そして三番目には、四千万人のそれぞれの内陸の住民の方にきちんと物を運ぶための、港湾地域と内陸部を結ぶ円滑な道路網というものがなければいけない。
 この三つがそろって初めて港湾の機能が充足されるというふうに考えております。そういうものを想定しましてつくったものが、第七次改訂港湾計画でございますので、私どもは、そのできるだけ早期実現に向けて港湾改革を行っていかなければいけないというふうに思っております。
 その際に、少し中身を申しますと、まず外貿コンテナバースを中央防波堤外側埋立地につくる。これはなぜかといいますと、現在の大井、青海はいわば東京港トンネルの内側にございまして、ぎりぎり水深が十七メートル以上の船は通れないということになっております。本格的な大型船に対応するためには、どうしても東京港トンネルの外側に、ヤードや水深に余裕のある基地を一つつくらなければいけないということで、この新しい中央防波堤外側埋立地のコンテナバースとあわせて、東京港は三極体制というものをきちんと構築しなければいけないと思っております。
 また、既存の大井、青海につきましても、背後ヤードが不足しますので、コンテナ関連施設やバン・シャシープールを集約する用地を確保していこうということで、現在、大井と城南島の間の土地を造成しまして、ふ頭背後地を合わせて、既存ふ頭についても物流機能を強化していくという試みをしております。
 こういった試みを前提としまして、東京港の特色であります、非常に都市機能と密接しておりますので、交通問題、環境問題、こういったものに適切に対応するために、公社の民営化を図るとともに、東京臨海ホールディングスグループによる臨海地域全体のマネジメントをとりまして、都市機能と港湾機能とがうまく調整できるように図っていく、これが私どもの考えている東京港の道筋だと思っております。
 こういったことを目指しまして、港湾経営改革を着実に実施いたしまして、首都圏四千万人の生活と産業を支える一大物流拠点として、国際競争力のある港づくりを実現したいと思っております。
委員長初め経済・港湾委員会の先生方のご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

○石毛委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○石毛委員長 中央卸売市場に入る前に、この際、委員長から申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、委員また局の理事者、質問に対して重複するような質問、また答弁は避けるようにということで決定をいたしましたので、そのお願いを申し上げます。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に異動がありましたので、比留間市場長より紹介があります。

○比留間中央卸売市場長 去る六月十七日付の人事異動によりまして、当局の幹部職員に異動がございましたので、紹介をさせていただきます。
 特命担当参事の宮良眞でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○石毛委員長 紹介は終わりました。

○石毛委員長 次に、報告事項、平成十八年度東京都中央卸売市場会計予算の繰越しについてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○大野管理部長 去る六月十一日の当委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。第一回豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議の概要についてでございます。
 開催日時、会議次第、主な説明内容、委員構成につきまして記載してございます。
 なお、委員につきましては、平田健正和歌山大学システム工学部長を初め、四名の先生方にお願いしてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○鈴木(章)委員 築地市場の移転について何点かお伺いいたします。
 昨年からにわかに築地市場の水産仲卸業者らが中心となって、移転先の土壌汚染を訴えて、マスコミなどを取り込みながら移転反対のデモ行進などを行っているようであります。都議会においても、豊洲新市場予定地の土壌汚染問題と絡めて、築地市場の移転を取り上げて質疑を繰り返しております。
 築地市場の移転については、これまで幾度となく都議会においても議論されてきており、既に決着がついているものと認識しておりました。しかしながら、知事選挙もあったことから、土壌汚染問題を理由に、築地市場の移転を改めて問うような蒸し返しの議論も起こっているようであります。移転に反対している方々は、開設から七十年以上が経過する築地市場の老朽化や狭隘化が進行している実情をどれほど理解しているのでしょうか。
 私自身、先日、会派の有志とともに築地市場の視察を行いましたが、市場の狭隘化や非効率な状況において、違法駐車や事故が増加し、また市場に求められるニーズにこたえられなくなってきているなど、我が国の建て値市場としての役割のある基幹市場の再整備を一刻も早く実現することが必要であると強く感じたところであります。
 そこで、いま一度築地市場の現在地再整備の困難性と移転の必要性を再確認し、移転に当たって、今後、都はどのような対応をしていくべきかをこの場で質問させていただきたいと思います。
 さて、築地市場は昭和六十一年に現在地での建てかえを決定し、平成三年から再整備の工事に着手しております。しかし、営業を継続しながらの現在地再整備は、ローリング工事用の種地が少ないことから、どうしても仮設の店舗などが手狭となり、また、荷の搬出入に必要な営業車両が一層狭くなった通路上で工事車両とふくそうするなどの理由により、業界との調整が難航し、道半ばでとんざしております。
 その後、再整備の見直しを行うために、業界と都で検討、協議を進めたようでありますが、市場業者の営業活動に深刻な影響を与えるということで、合意にまで至らなかったようであります。
 このような状況から、再整備は一向に進まず、業を煮やした築地市場業界六団体が、都に対して臨海部への移転検討の要請を行い、移転整備についても再整備案と比較しながら検討、協議を行っていくという話になったようであります。
 この場では、六つの再整備案、そして移転案を業界と都で多角的に検討を行っております。しかし、六つの再整備案は、再整備に必要な種地が少ないため、いずれもローリング工事期間が二十年以上を要するとともに、多大な工事費がかかることなど、現在地再整備を行ったとしても、基幹市場としての役割を十分に果たせないことから、平成十一年十一月、市場業界と都との協議機関である築地市場再整備推進協議会において、現在地再整備から移転整備へと方向転換されたようであります。
 移転に反対する方々は、このような現在の築地市場の状況や、現在地再整備の難しさをどれくらい理解した上で反対運動を行っているのでしょうか。こうした現在地再整備が不可能ともいえる状況で、もし移転ができなかった場合、首都圏の基幹市場としての役割を持つ築地市場はどうなるのでしょうか。
 さらに、施設の老朽化や狭隘化の進む市場で、地震による倒壊の危険性や、その際のアスベストの飛散の問題等、また、現在の手狭な店舗、通路、駐車場などはおのずと物流コストまで押し上げ、それは行き着くところ、都民に転嫁されてくるのではないでしょうか。
 もっとも、こうしたことから、移転整備については既に業界と都の間でかなりの議論も尽くされてきております。しかし、昨今の土壌汚染問題が移転問題にまで発展している現況にかんがみ、移転の経緯など基本的なところを、これまでの議会で出尽くしていることは重々承知の上で、ここで確認の意味を込めて何点かお伺いさせていただきます。
 平成十年四月に築地市場業界六団体から、臨海部への移転可能性について調査検討願いたいとの要請がなされました。これを受け、再整備計画を見直すための複数の再整備案と移転案を比較検討し、業界と都で協議を行い、平成十一年十一月には、現在地再整備から移転整備へと方向転換しております。
 そこで、まず、現在地再整備から移転整備に方向転換した理由についてお伺いさせていただきます。昨今の状況から、この点は大変重要なことだと思いますので、詳細にご答弁をお願いいたします。

○越智新市場担当部長 詳細にお答えいたしますので、答弁が若干長くなります。
 築地市場は、昭和十年の開場から五十年余りが経過いたしまして、施設の老朽化や狭隘化が著しく進行してきたことから、鈴木知事の時代に、施設を抜本的に建てかえまして、市場機能の充実強化を図る再整備が重要な課題となってまいりました。
 このために、昭和六十一年の一月、東京都の首脳部会議におきまして、現在地において再整備することが決定されまして、基本計画、基本設計の策定を行いました。
 平成三年一月からは、正門仮設駐車場から順次整備を行ってまいりましたが、営業を継続しながらの工事であったために、工事調整等に時間を要しまして、卸売り場や仲卸売り場など、本格的な整備に着手するまでには至りませんでした。
 その後、バブル経済崩壊後の経済状況等を踏まえまして、平成八年四月に東京都卸売市場審議会から、工期の短縮及び建設コストの縮減等の視点から、現行基本計画の見直しを行う必要があるとの答申が出されまして、同年十一月に六次の東京都卸売市場整備計画が策定されまして、基本計画の見直し方針が決定されました。
 これに基づきまして、東京都は、たたき台としての見直し計画素案を作成いたしまして、平成九年の十月以降、築地市場再整備推進協議会内に設置いたしました検討部会におきまして、基本計画の見直しに向けての協議を開始いたしましたが、施設の規模や動線の確保及びローリング工事の営業への影響や工事の期間等をめぐりましてさまざまな問題が提起され、業界との協議が進まないといった状況にありました。
 こうした手詰まりの状況が続く中で、平成十年四月に市場業界六団体から連名で、築地市場の臨海部への移転の可能性につきまして調査検討願いたいとする要望書が提出されたわけでございます。その際、業界からは、臨海部につきましては具体的には豊洲地区を想定しているといった補足説明がなされております。
 このような経過のもとに、平成十一年二月から築地市場再整備推進協議会が開催されまして、再整備案と移転案が比較検討されまして、平成十一年十一月に取りまとめが行われました。
 この中で、現在地での再整備は、敷地が狭隘で、かつローリング工事用の種地が乏しい中での再整備であるということから、完成までに最低でも二十年以上かかるとともに、多大な経費を要すること、敷地が狭隘であるために、再整備を行ったとしても、場内の混雑や市場周辺の路上駐車を解消し得ず、基幹市場として十分な機能が果たせなくなるおそれがあること、工事期間中、市場の営業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があることなどの解決の難しい問題がありまして、その整備は極めて困難であるということが明らかになりました。このため、移転整備の方が合理性と実現性が高いとの判断のもと、移転整備へと方向転換すべきとの意見集約がなされたものでございます。
 その後、平成十三年四月、東京都卸売市場審議会から、早急に豊洲地区を候補地として移転整備に向けた検討を進めるべきといった答申を受けまして、平成十三年の十二月に第七次東京都卸売市場整備計画におきまして、築地市場を豊洲地区に移転することを決定したものでございます。

○鈴木(章)委員 なるほど、今ご答弁いただきましたように、都と業界はかなりきめ細かく再整備案について検討、協議したようでありますが、とにかくローリング工事用の種地が少なかったことが、再整備を断念させた大きな要素であったということがわかりました。このため、仮設建物が現行規模よりかなり狭くなり、また仮設店舗の分散配置を余儀なくされるなど、荷の搬送の利便性がさらに悪くなるような状況では、業界が仮設建物への移動に抵抗したことも無理からぬことがあると思います。
 再整備見直しの検討過程については、考え得る限りの知恵を絞って検討、協議した様子がしっかりとうかがえます。しかし、種地がないことには、そもそもローリング工事を進めることはできず、当時建設した仮設建物も、現在はそのほとんどが活用されている状況ですから、今でもやはり種地がないという状況には変わりなく、現在地再整備は不可能という都の考えはよく理解できるところであります。
 さらに、仲卸店舗の屋根や青果、水産の駐車場などには、現在封じ込め対策により安全性が確保されているものの、アスベストが広範囲にわたって含まれております。施設の解体時には、生鮮食料品を扱う市場ということから、相当慎重にアスベスト対策を行う必要があります。かつて船舶監視所を撤去する際に、やはり慎重なアスベスト対策から、通常の工期が一年のところ、実際にはその倍の二年に膨らんだという話も伺っております。
 このようにアスベスト対策を行いながら工事を行ったとしても、やはり微粒子であるアスベストの飛散に対する、生鮮食料品への付着などの不安はぬぐい切れず、風評被害の発生など、市場業者の営業活動に与える影響は深刻なものになるのではないでしょうか。種地の問題や解体時におけるアスベストへの対策を考えても、やはり現在地の再整備は、都の考えのとおり不可能という結論になるものと思います。
 また、先日の代表質問での市場長の答弁にもありましたが、ターレットやフォークリフトなどの場内搬送車が荷物を運べる範囲であること、また買い出し人が容易に移動できること、また工事施工に必要な一定面積の用地があることという三つの方針がある中で、どこでもいいというものではありません。豊洲の土壌汚染問題を訴えている方々は、こうした現在地再整備が不可能な実態があるにもかかわらず、市場に求められている都民ニーズを顧みず、この問題を政争の具に利用しようとして、移転の問題へと話を展開させております。
 では、本当に移転ができなかった場合、どうなるのでしょうか。現在地再整備もできず、老朽化していく施設で、このまま営業を続けていくことができるのでしょうか。
 近年、消費者の食の安全・安心への関心の高まりから、鮮度管理の徹底や多様化するニーズへの対応が求められております。例えば、市場へ荷物を搬入し、商品を消費者ニーズに合わせてきめ細かく加工やパッケージなどを行った上で搬出するといった作業が日常化してきております。このような作業を商品の鮮度を維持しつつ行うためには、搬入した荷を分荷する荷さばきスペース、そして分荷された商品を加工、パッケージする施設など、顧客のニーズを満足させるような諸施設を一体の施設として整備する必要があります。
 また、最近では、時間帯で異なる消費者ニーズを細かく分類した品ぞろえや、在庫を保管するバックヤードを減らしてきていることなど、納品回数や納品時間の制約がより厳しくなってきております。こうした動向への対応には、場内の円滑な交通や、十分な荷をさばくためのスペースの拡充など、より一層の物流の効率化を図っていかなければなりません。
 しかし、老朽化し、狭隘化している築地市場で、果たしてこのような対応が今後できるのでしょうか。最近では、スーパーマーケットなどの大型量販店などが物流センターを設け、市場を経由せず産地から直接このセンターに荷を持ち込み、ここで分荷し、店舗ごとにピッキングなどを行っているものもあります。
 今後、こうした動きに対抗できる市場としていかなければ、市場の体力はますます低下し、市場業者の経営もますます厳しくなるものと考えられます。
 築地市場では、場内の荷さばきスペースや車両をとめておくスペースも少ないことから路上駐車も多く、また、路上での積み荷も行われていると聞いております。このような実態では、近年求められている市場機能の高度化への対応は難しいのではないでしょうか。
 そこで、次に、現在の築地市場の荷さばきスペースの広さや、路上駐車や路上での積み荷の状況についてお伺いいたします。

○越智新市場担当部長 築地市場におきましては、トラック輸送への転換や取扱数量の増加などに対応するための十分な駐車場や荷さばきスペースを確保することができず、路上駐車や路上での荷物の積み込み等が行われている実態がございます。
 最近では、大型スーパーなど量販店の対応といたしまして、店舗ごとの荷物の仕分けが求められてきておりますけれども、荷さばきスペースに転用できるような空き地も少ない状況でございます。
 昨年十月に取りまとめました豊洲新市場の基本設計におきましては、現況の需要量等を踏まえまして、荷さばきスペースを約四万平米確保することとしておりますが、築地市場では約一万二千平米しか確保できておりません。荷さばきなどを施設内で行うことができませんで、施設外の路上などで荷おろしや荷物の仕分けが日常的に行われておりまして、量販店など小売の求める鮮度管理や衛生管理など、食の安全・安心に十分対応できなくなってきております。
 また、平成十八年に行いました交通量調査では、荷物を運んでくる車両の市場外での路上駐車が一日当たり約一千六百台ございまして、そのうち、荷物の搬出入を目的とした駐車台数は一日当たり約七百台となっております。
 この七百台が扱う物流量は、一日当たり市場全体の物流量の約四%を占めているというふうに推計できますが、市場内での路上荷さばきを含めますと、その量はさらに増加いたします。また、路上駐車は大型車両が多く、深夜から早朝に集中しておりまして、交通ラッシュに重なるといったことから、周辺交通への影響も大きくなってきております。

○鈴木(章)委員 なるほど、今ご答弁があったような状況では、量販店などのニーズに十分こたえるための相当な苦労が必要で、また、市場を経由する生鮮食料品のうち、路上で取り扱われている生鮮食料品が約四%もあるというような状況では、鮮度管理が徹底されるとはいいがたいと思われます。
 昨今の流通環境の変化への対応という面からも、築地市場を移転させて、施設内容を顧客ニーズに合致させていくことがどうしても必要なことと考えられます。このように顧客ニーズに十分満足し得ない状況が続くならば、市場業者の経営は一体どうなるのでしょうか。この点についても、移転を反対する人たちに、いま一度お考えいただきたいと思います。
 また、トラックなど大型車両の路上駐車が多い実態から、周辺の交通への影響や交通事故など、周辺環境への負荷が大きいものと思われます。周辺の交通への影響や、昨今の流通環境の変化への対応ということからも、築地市場を移転させることがどうしても必要なことと考えられます。
 では次に、これまで、築地市場の移転に向けて防潮護岸を整備したり、豊洲地区の用地を一部購入していると聞いております。仮に移転がなくなったとしたら、これらの資産を場内業者のために有効活用することはできず、また、既に投下した額は相当な額に及んでおり、企業会計方式をとる市場会計においては、市場業者の経営にも影響してくるものと思います。
 そこで、これまでに築地市場の移転のために何にどれくらいの経費をかけてきたのでしょうか。できるだけ具体的にお答えいただきたいと思います

○大野管理部長 豊洲新市場の整備につきましては、平成十三年十二月の移転決定からこれまで、五街区、七街区の一部用地の購入や、新市場予定地の護岸整備を行っているところでございます。
 これらに要しました経費は、平成十三年度から平成十八年度までの期間で、用地購入費が約七百二十億円、護岸の整備費が約二百十億円のほか、環状二号線アンダーパスなど、先行的に必要な基盤整備費等として約五十億円、合計で約九百八十億円となっております。

○鈴木(章)委員 築地市場の移転にはかなりの額が投じられているということであります。この予算には民主党も賛成していると伺っておりますが、こうした市場で購入した土地や護岸などの基盤施設等は、築地市場が移転しなかった場合、どうなるのでしょうか。
 今般の土壌汚染という騒動の中では、土壌汚染という風評の立った豊洲新市場予定地の買い手を探すことは相当な苦労が伴うように思います。そうすると、用地の買い手がつかない場合、市場業者の使用料などで収支を賄っている市場会計の運営に支障を来すことが想定され、場合によっては使用料にも影響せざるを得なくなってくるのではないでしょうか。しかし、市場業者の経営がなかなか好転しない状況において、それは極めて厳しい状況にあると思います。
 さて次に、こうした理由から築地市場の移転が必要不可欠なものであると、市場関係者はどれほど理解しているのでしょうか。
 平成十一年十一月、都は、築地市場再整備推進協議会において市場業界団体と協議の末、移転整備へと意見が集約されておりますが、市場業者の理解は十分だったのでしょうか。移転整備へと意見集約がなされた後、豊洲新市場の建設に向けて平成十四年四月に設置した新市場建設協議会において、市場業界との協議を行っていると聞いております。平成十五年五月に豊洲新市場基本構想、平成十六年七月、豊洲新市場基本計画、平成十七年九月、豊洲新市場実施計画、そして昨年十月には豊洲新市場基本設計相当の取りまとめを行うなど、豊洲新市場の建設のために、業界と建設計画の協議を重ねながら着々と前進させてきております。
 しかしながら、土壌汚染問題を理由にしているとはいえ、市場業者の一部がデモ行進まで行い、移転にまで反対している昨今の実情は、市場としても重く受けとめる必要があると思います。
 大切なのは、市場業者への十分な理解であります。そこで、移転整備の協議から今日まで、どのように市場業界と協議を進めてきたのか。そして今後どのように市場業者の理解に努めていくのかを、ここで改めてお伺いいたします。

○越智新市場担当部長 築地市場の移転や豊洲新市場の建設事業につきましては、これまで、業界との話し合い、協議を数多く行ってきております。現在地再整備や移転の検討に当たりましては、平成十一年二月から、東京都と市場業界団体との協議機関でございます築地市場再整備推進協議会におきまして、同年十一月まで十四回にわたって協議を行い、意見集約を図りました。
 築地市場の移転が決定された平成十三年十二月以降につきましては、豊洲新市場基本構想、基本計画、実施計画の策定、そして基本設計の取りまとめまで、新市場建設協議会などの場におきまして、二百回を超えて業界との協議、話し合いを行っております。
 このほかにも、平成十七年、十八年につきまして、全仲卸組合員を対象に、豊洲新市場建設事業に関する説明を行ってきております。
 今後も引き続き、豊洲新市場の建設事業に関しまして、市場業界や都民の理解が得られるよう、チラシの配布や中央卸売市場のホームページへの掲載など、あらゆる機会を通じまして関係者への説明に努めてまいります。

○鈴木(章)委員 確かに、私も調べさせていただきましたが、この点において積極的に、かなり手厚く市場業界との協議を重ね、豊洲新市場の建設事業を進めていることがうかがえます。また、適宜、市場業者や市場関係者にも説明会を開催するなど、きめ細かく情報提供や意見交換を行っていると思います。とはいえ、まだまだ豊洲新市場の施設計画や予定地の土壌汚染対策について情報を求めている方々が多いように思います。
 都は、将来の取扱量を予測し、また買い出し人の利便性の向上を図るために、適切な施設規模、そして施設の配置計画を定めているものと思いますが、こうした新しい施設の内容についての情報を市場業者にしっかりと提供してほしいと思います。ぜひ今後も市場業者に対してきめ細かな情報提供や意見交換を行っていただきたいと要望いたします。
 次に、経済情勢が安定基調にあるとはいえ、市場業者の経営は決して楽な状況にはありません。築地市場水産仲卸業者は、平成十七年において法人事業者の約半数の業者が経常赤字であり、市場全体でも取扱額が年々減少しており、債務超過に陥っている業者も全体の約四割に上っているようであります。
 このように将来的な不安を抱え、経営の厳しい状況にある方が数多くいらっしゃる中での移転であります。移転が彼らの経営をさらに悪化させるようなことがあってはならないのはもちろんのことであります。また、築地での商売ができなくなる以上、豊洲への移転を希望する人たちには全員、豊洲新市場で商売を継続していただくことが必要と考えます。
 しかし、経営の基盤を別の場所に移せば、経営に少なからず影響があるものと思われます。こうした方々には、昨日の我が会派の一般質問でも触れさせていただきましたが、移転に当たっては何らかの支援を行う必要があると思います。
 そこで、その支援策について市場はどのように考えているのか、改めてお伺いいたします。

○荒井事業部長 仲卸業者が豊洲新市場において最新鋭の施設やシステムを活用してビジネスチャンスを広げていくというためには、業者みずから経営基盤の強化に努め、健全な経営を確立していく必要がありますが、都もできる限りの支援を行っていきます。
 仲卸業者の中には、新たな顧客の開拓や商品構成の充実を図るなど、事業の拡充に取り組もうとしている方もいます。都は、こうした業者に対して研修会などを通じ、インターネットなどによる販路拡大の成功例や先進的な取り組みを紹介するなど、経営改善に必要な情報を提供するなどの支援を行います。
 また、財務状況が悪化している仲卸業者を中心に、財務検査と経営改善指導を実施するとともに、公認会計士など専門家による相談窓口を開設して助言を行うなど、経営基盤の強化に向けた支援を行っていきます。
 さらに、多大な費用がかかると見込まれる新市場への移転経費については、移転を希望するすべての仲卸業者が円滑に豊洲新市場で事業継続ができるよう、大田市場開設時の事例等を参考に、移転資金の融資や利子補給など、必要な支援策を検討してまいります。

○鈴木(章)委員 今後、ぜひこの支援策を具体化して、できる限り市場業者の声を受けとめ、提示していただきたいと思います。
 さて、これまで、築地市場の移転の必要性とそれに向けた具体的な対応について確認してまいりました。しかし、今まさに築地市場の移転に当たって最大の問題となっているのが豊洲新市場予定地の土壌汚染対策であります。
 豊洲新市場予定地で東京ガス株式会社がかつてガスの製造をしていたことから、その過程で発生したベンゼンやシアンなどの有害物質の調査やそれへの対応策について、今後、専門家会議の中で十分に議論を尽くしていっていただきたいと思います。
 そして、秋を目途に取りまとめられる専門家の検証結果や提言を十二分に踏まえ、必要な対策を確実に実施していただくことが、豊洲新市場に移転していく上で、都民や市場関係者の安心につながっていくものと思います。
 私は、土壌汚染対策においては、過度に不安をかき立てるようなことをするのではなく、専門家会議の議論を冷静に見守る中で、事業者の不安を払拭していくような対応こそ大切であると考えております。
 ちなみに、現築地市場もかつては海軍省技術研究所、海軍学校跡地であったわけであり、汚染対策が必要なトリクロロエチレンなども使用されていたわけでありますが、十分な対応をしてきたことにより、不安を打ち消すことができたわけであります。
 そこで、最後にお伺いいたします。
 築地市場の移転について、いま一度市場長の決意をお伺いいたします。

○比留間中央卸売市場長 築地市場は生鮮食料品流通の基幹市場でございまして、その役割は、東京のみならず、首都圏、さらには日本全体に及んでございます。この築地市場を将来にわたって維持、発展させていくことは、中央卸売市場の極めて大きな課題であるというふうに認識してございます。
 お話がありましたように、老朽、狭隘化が著しく、近年の物流の変化、さらには食の安全・安心への対応が困難となっている築地市場の整備は、今日まで二十年以上にわたって取り組んできた事業でございます。
 この過程では、現在地再整備から豊洲への移転整備という大きな方針変更を行ったわけでございますけれども、これは再整備工事を行うことが物理的に困難であったということだけではなく、築地の敷地面積では、再整備を行ったとしても、これからの市場に求められる機能を満たすことができないからでございます。
 豊洲の新市場は、築地の伝統、よさを継承するとともに、効率的な物流システムの導入や地球環境への配慮など、これからの時代のモデルとなる基幹市場として整備をしてまいります。
 具体的には、品質管理の徹底を図るために、閉鎖型構造としてコールドチェーンを確保し、車両誘導、駐車場管理システムなどにより物流の効率化を図るとともに、太陽光発電システムの導入や屋上緑化、場内搬送車両の電動化など、環境への配慮を徹底した市場としてまいります。
 また、豊洲の新市場には、内外の観光客が食に親しみ、日本の食文化を世界に発信する千客万来施設を設置し、にぎわいあふれる新しい東京の観光名所としていく予定でございます。
 豊洲新市場の土壌汚染対策につきましては、生鮮食料品を扱う市場として、都民や市場関係者の不安を解消する観点から、専門家会議での検討や提言を踏まえ、必要な措置を確実に実施してまいります。
 この専門家会議を含め、今後の事業推進の過程では、情報の公開を徹底いたしますとともに、反対する方々を含めて、関係者と協議、話し合いを重ね、その理解と協力を得て、豊洲新市場を都民、市場関係者が安心できる市場として、できる限り早期に開場させてまいります。

○鈴木(章)委員 今、市場長の力強い答弁を聞いて、都民が安心できる市場が開場できるものと確信いたしました。ぜひ東京、日本、世界の築地市場を再生させ、新たな時代の要請にこたえていけるような、また市場業者が移転してよかったと思えるような豊洲新市場を整備し、開場されることを期待して、質問を終わります。
 ありがとうございます。

○門脇委員 委員長の指名をいただきましたので、質問いたします。
 一昨日の我が会派の代表質問で、築地市場、豊洲新市場、そしていわゆる土壌汚染問題を取り上げました。いうまでもなく、土壌汚染は、卸売市場、東京都だけではなくて、何度も議論されておりますように、広く首都圏の多くの住民に生鮮食料品を提供し、またその一方、建て値市場でもある築地にとって大変重要な問題であると認識いたしております。つまり、最も重要な視点である食の安全が、とらえ方はいろいろあると思いますが、脅かされている現状があるからであります。
 直接的な汚染問題ではなく、後ほど触れますけれども、どのようにしたら新しい市場、すなわち豊洲市場でありますが、この新しい市場が都民の信頼を得ることができるかという視点で簡潔に質問いたします。お伺いいたします。
 まず改めて、若干復習の意味も込めまして、新市場整備に当たって都は、先ほど申しましたように、いわゆる都民の食の安全という観点から、これをどのように担保していくのか、お伺いいたします。

○越智新市場担当部長 食の安全・安心の確保は、卸売市場の最も基本的な使命でございます。東京都は、豊洲新市場におきまして品質管理の高度化や衛生対策を図ることで、都民の安心感にこたえることができるというふうに考えております。そのため、閉鎖型施設による外気との遮断と温度管理、特に衛生管理を重視した清潔ゾーンの設置など、高度な品質管理体制を構築し、コールドチェーンを確保してまいります。
 予定地の土壌汚染につきましては、敷地全面にわたって手厚い対策を講じることとしておりますが、専門家会議の検討や提言において、追加の調査や対策が必要とされた場合には、それらを確実に実施し、豊洲新市場を都民が安心できる市場として開場させてまいります。

○門脇委員 今、越智部長からお話がありました。基本的にはそのようなことだと思います。
 私は、この問題について、いろんな視点があると思いますけれども、大きくは二つの大切な視点で対応していかなければならないと思います。
 きょうは、私自身は細かい数字を挙げた質問はいたしませんけれども、その一つは、いうまでもなく個々の市場関係者、市場業者あるいは都民に対して、この土壌汚染問題に限らず、皆さん方が今日まで、豊洲移転の内容について十分に説明し、理解を求めているという姿勢、先ほどの鈴木委員の質問に対して、私もそれは理解いたしますけれども、欠けていた部分もあるのではないかなと思っております。これが今回の問題を一つには助長してきたことであり、そのことをこれから十分に意識して対策を強化していかなければならないということであります。
 それからもう一つ、この問題はさきの知事選の争点になりました、とらえ方はいろいろあったと思いますけれども。そのことについて、これも見方はいろいろあると思いますけれども、いわゆるいたずらに都民の不安をあおることは、これは私たちも慎んでまいらなければならないと思っております。
 これらの争点が浮上してきたことを含め、都は市場業者や都民に対してどのように説明責任を果たしていくのか。若干先ほどの答弁の中にもありましたが、お答えいただきたいと思います。

○越智新市場担当部長 東京都といたしましては、新市場整備を円滑に進めるためには、市場関係者及び都民の理解と協力を得ることが重要であるというふうに認識しております。卸、仲卸、関連事業者などの市場業者につきましては、引き続き東京都と業界の協議機関でございます新市場建設協議会などにおきまして意見交換を行うとともに、移転に反対している人たちも含めまして、きめ細かく説明会を開催し、情報提供や話し合いを行ってまいります。
 また、広く都民に移転の内容や土壌汚染対策につきまして周知するため、わかりやすいパンフレットを作成するとともに、ホームページや都の広報紙などを活用いたしまして、積極的に一般の方々にも広く情報提供や周知を行ってまいります。

○門脇委員 土壌にかかわる、いわゆる専門家会議の情報を含め、今お答えの中にもありましたけれども、市場関係者あるいは都民に十分な情報提供、説明努力を行っていただきたいと思います。
 さて、本会議でも各会派の質問の中にも出ておりましたけれども、いわゆる専門家会議について。
 都議会民主党の代表質問の中でもこのことについて触れましたので、繰り返し申し上げることは避けたいと思いますけれども、やっぱり私は第一回の会合の出席状況というものは、この四名の専門家の委員、先生方の出席状況というのは、やっぱり指摘せざるを得ないと思っております。
 この会議当日、先ほど資料説明の中にもありましたけれども、十五時三十分からスタートして、終わった時間は私もはっきり覚えておりませんけれども、二時間かかったか、かからなかったかだと記憶をしております。そのうち、これも明らかになっていることですけれども、委員のお一人の先生は欠席、最初からですね。それからもう一方は早退をされた。それはいろいろ事情があることはわかりますけれども、そういう実態であったことは確かです。答弁は求めませんけれども、これでは余りにも寂しい状況と私はいわざるを得ないと思います。
 専門家会議は、専門家会議という名前はついておりますが、いわゆる審議会であります。東京都の中にも数多い審議会、名称はいろいろあるにしても審議会がたくさんありますけれども、今最も注目をされているものの一つであろうかと思います。
 また、十五名、二十名という数多い会議体、審議会もありますけれども、先ほど申しましたように、この専門家会議はわずか四名であります。大学の先生方は忙しいから、こういういいわけは決して通ずることではありません。つまり、これからあと四回、二回目はたしか今月の末に行われると聞いておりますけれども、追加もその中であるかもしれませんけれども、この秋の提言、あるいは答申といったらいいんでしょうか、これに向けて、市場と専門家会議の皆さんのいわゆるやる気というものが問われているんだろうと私は思っております。この問題は、市場長以下、今後しっかりと受けとめていただきたいと思います。
 私は、審議会、今回の場合は専門家会議でありますけれども、位置づけを考えれば、提言までの、答申までの過程において、具体的なその内容について、二元代表制の中で、議会があって行政がある、知事がいるということで、ある意味一方の責任者である議会が積極的に専門家会議の内容そのものに、審議のやり方そのものに関与すべきではないと思っております。
 しかし、繰り返しますけれども、初回の状況がこんなことでは、今後の審議の内容、過程というものが、ありていに申し上げれば心配でたまりません。事務局の今後の十分な対応を強く要望いたします。
 もちろん、専門家会議は別としても、この土壌汚染の問題は、都民の責任ということではなくても、やっぱり都民の皆さんの意識ということもあったかもしれません。ご承知のとおり、東京ガスは昭和六十三年までこの土地で、いわゆる都市ガスを製造いたしておりました。そして、昭和五十一年までは都市ガスの原料として石炭を使用しておりました。多分、この五十一年までの石炭による都市ガスの生成の過程において、今いろいろ論議をされている有害物質というものが発生したんだろうと思います。
 私、大変恥ずかしいことでありますけれども、石炭から都市ガスができるということを知りませんでした。東京ガスは民間企業でありますけれども、一方、とても公共性の高い会社でもあります。都市ガスを抜きにして、私たちの日常的な生活を維持していくことは困難であります。つまり、繰り返しますけれども、利用者にもちろん責任はないものの、人の住まないどこかの土地、この土地でつくられた都市ガスの恩恵を私たちも受けてきたことも事実でございます。
 しかし、その一方、人の知恵と科学技術もすぐれたものがあります。工場跡地が有害物質で汚染されていて、その土壌を中和あるいは入れかえをして、その土地の上にマンションが建設され、現在は何も問題なく多くの住民が住まわれている団地もたくさんあります。
 余談ですが、杉並区にも日産自動車の荻窪工場という跡地がありまして、結構その当時、私も区議会議員でしたけれども、かなり危ないものが埋まっておりました。でもそれは、きちんと中和をして、除去をして、今、立派な団地が建って、何の問題もなくそのマンションの住民の皆さんが生活を営んでいる。これも一例であります。
 つまり、しっかりとした対応を行えば、今回のケースも決して改善ができないということではないと思います。そのためには、先ほど市場長のお話の中にもありましたとおり、この秋の提言、まあ、この提言まではいいんですけれども、そのときご判断されるかもしれませんが、提言以上の調査をやるぐらいの強い意思と行動力が必要であると思います。
 最後の質問は、二〇一六年のオリンピック招致に関連したことであります。
 ちょっと失礼いたします。(パネルを示す)これは、オリンピック招致本部が作成した東京オリンピック主要三施設の配置図であります。皆さん方、改めて提示しなくてもよくわかっているよという方が多いと思いますが、先ほど申しましたように、東京オリンピックが二〇一六年、私たち民主党もこの招致については基本的には賛成の立場でございます。
 この東京オリンピックが二〇一六年に行われるんですけれども、実は大きくこの地域を見た場合、この下も含めての話ですけれども、これは中央卸売市場のことではありませんけれども、この二〇一六年、多分、港湾局もそれなりに力を入れてイベントを中心としてやるでしょう。実は東京港開港七十五周年の年なんですね。それからもう一つは、臨海副都心、これはもっとあるわけですけれども、臨海副都心の概成の年なんですね、この年は、二〇一六年というのは。正確にいうともう一年先だと思います。ですから、この臨海部というのはいろんな意味で注目されている、これから向こう九年、二〇一六年に向けて。
 その中で、改めて見ていただきたいわけですけれども、一番いいのは、汐留の高層ビルの上から見ていただくと非常に鳥瞰的にわかるんですけれども、まず、今いろいろ問題になっております築地市場ですね。ここであります。メディアセンター、中央プレスセンターになる予定でございます、現在のところ。そして、ここが晴海ふ頭、いわゆるメーンスタジアム。これもいろいろ経過がありますけれども、せんだっての知事の答弁では、これは東京都の建物で、一千億ぐらいかかるんでしょうか、つくるといわれておりました。これはもちろんオリンピックが終わったらそれで終わりではありません。十万人規模の、仮設を入れて十万人ですから、その後はもう少し縮小されると思います。九万人でしたでしょうか。今後長い間にわたって、メーンスタジアムはイベントとかそういうものにずっと使われていくわけであります。
 ちょっと飛びまして、ここ、オリンピックの選手村。ここもPFI方式で多分やるんでしょう。オリンピックが終われば、分譲になるか賃貸になるか私はわかりませんけれども、良好なマンション群になるわけです。
 さて、そうしてみると、このオリンピックで一番大切だといわれておりますメーンスタジアムと、メディアセンターはともかくといたしまして、この選手村、そのど真ん中に豊洲の新市場があるわけですね。もう既にここ、この前私たちも行きましたが、市場前駅という「ゆりかもめ」の駅もできております。
 ですから、後ほどちょっと触れますけれども、オリンピックの選手村とメーンスタジアムのちょうど真ん中に、今問題になっている、土壌汚染がいろいろ指摘をされている予定地がある。このロケーションというものを改めて、私もそうですけれども、お互いに認識をしていかなければならないと思います。
 後ほど触れますけれども、やっぱりオリンピック、二〇一六年の招致に当たって、メーンスタジアムとオリンピックの選手村の真ん中に何か危ないものが埋まっているから、それが理由で招致ができない、こんなことになったら本当に寂しいと私は思います。
 申し上げるまでもなく、オリンピックの招致、誘致の必須条件というのは、いろいろありますけれども、環境への配慮、環境負荷の低減ということであると思います。私は、ある意味で、知事がよくいわれるコンパクトな会場配置ということもよくわかりますけれども、環境問題ということは、それ以上にある意味大切ではないかと思います。IOCはもちろん、世界の人たちが最も注目をしておりますし、この傾向はさらに強くなるものと思います。
 先ほどパネルでも指摘をいたしましたように、今の状況では招致ができるか、この問題だけで決まるわけではありませんけれども、一つの大きな要因として、大変不安の限りであります。しかも、来年六月には開催予定地が五都市に絞られる。そして二年後の十月には、ご承知のとおり、デンマークのコペンハーゲンでIOCの総会が開かれ、開催都市が決定いたします。
 あと二年ですよ、皆さん。もう二年なんかすぐ来るわけです。で、不安はあるわけではありませんけれども、先ほど、いたずらに不安をあおることはやめるべきだといいながら、矛盾しているようですけれども、グローバルな環境運動を展開している一部の環境団体、これはグローバル、世界という意味ですけれども、一部の環境団体は、この豊洲土壌汚染をPRして、オリンピック招致反対に絡ませようとしております。皆さんご存じかどうか。これから、その動きというのはますます強くなってくることは間違いがありません。
 東京、日本はもとより世界的影響を考えれば、しっかりとした不安を払拭できる環境の配慮ということが具体的な取り組みとして大切だと思いますが、そのことについてお伺いいたします。

○越智新市場担当部長 豊洲新市場におきましては、太陽光発電の導入を検討するとともに、冷蔵冷凍車のアイドリングをとめるための外部電源装置の整備、場内搬送車両の電動化を推進してまいります。また、ヒートアイランド対策といたしまして、建築物の屋上緑化や敷地内の積極的な緑化を図ってまいります。
 加えまして、食品残渣、発泡スチロール及びプラスチックのリサイクルや雨水利用を推進し、環境に優しい市場にしていく考えでございます。

○門脇委員 確かに市場内のことは、今、答弁の内容であると理解いたしておりますけれども、やはり、もとに戻るようですけれども、結局は完全な土壌汚染対策を行うしか、この極めて厳しい隘路を切り開いていく道はないのではないかと私は思っております。
 そのためにも、新市場内外の問題を解決し、環境への配慮を最重要テーマとして、都民、国民、そして世界の皆さんに安心のイメージを定着することができるかどうか。先ほど申しましたように、五輪招致の、市場の皆さんに申し上げるのは失礼かもしれませんけれども、そういう条件であると思います。このことはお互いに確認をしていかなければならないと思います。
 ちょっと冒頭いい忘れましたけれども、土壌の細かい内容については、後ほど同僚議員から質問をさせていただきますが、最後に、今まで申し上げたオリンピック招致を含めたグローバルな視点を踏まえて、改めて新市場建設に対する市場長の決意、これは本当に文字どおりグローバルな視点での決意ということになりますけれども、これをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○比留間中央卸売市場長 豊洲の新市場は、世界的に通用するようになりました築地ブランドというものを継承して、さらに発展させていくために、食の安全・安心の確保はもちろん、効率的な物流システムの導入や地球環境への配慮など、これからの時代のモデルとなる首都圏の基幹市場として整備をしていく考えでございます。
 このため、豊洲新市場用地の土壌汚染対策につきましては、生鮮食料品を取り扱う市場として、都民や市場関係者の不安を解消する観点から、専門家会議での検討や提言を踏まえ、必要な措置を確実に実施してまいります。
 お話しのオリンピック招致の件につきましては、臨海部が全体としてオリンピック招致で整備が進むということを踏まえまして、この臨海部全体の周辺との調和のとれた市場として整備を進めてまいります。
 先ほど申し上げました専門家会議を含めて、今後の事業推進の過程では、情報の公開を徹底いたしますとともに、反対する方々を含めて、関係者と協議、話し合いを重ね、その理解と協力を得て、豊洲新市場を都民、市場関係者が安心できる市場として、できる限り早期に開場してまいります。

○遠藤委員 どうかよろしくお願いいたします。
 築地の市場の移転につきましては、本日の委員会、そしてこれに先立つきのう、そして一昨日の本会議を通じて活発な意見が行われております。私の方からは、本日の委員会の資料要求にもございました専門家会議に絞って何点かご質問させていただきたいと思います。
 といいますのも、やはりこの専門家会議は、今後の移転に際して死活的な、決定的な重要な会議であるということでございます。先ほど門脇理事からもご発言がございましたとおり、第一回目は残念ながら委員の先生方が早退されたり、または欠席されていたということもございました。
 我が会派としても、先生方におきましては大変お忙しい都合かと思いますけれども、とにかく都民、そして首都圏、そして日本全国の安心・安全な食を求める方々が注目している会議であるということを改めて心にお置きいただいて、万障繰り合わせてご出席いただきたく、まず要望させていただきたいと思います。
 さまざま活発な議論ございますけれども、やはり東京都としても、この移転に際して現行法令に照らして問題がない水準で土壌汚染対策を行う、このような主張が繰り返し繰り返し、時には議会で、時にはマスコミを通じてアナウンスメントしておりますけれども、やはりまだ一部の都民の皆さんや、また関係者から、汚染がある土地に市場が移転しても大丈夫なのか、このような危惧、不安が払拭できないのも事実でございます。
 生鮮食料品を扱う市場用地におきまして、食の安全・安心を確保する観点から、土壌汚染に対して万全の対策を講じて都民の不安を解消していくことは、都に課せられた第一の責務であると考えております。今回、都が設置したこの専門家会議は、こうした要請にこたえていくためのものだと思います。
 そこで、この専門家会議の委員の選定について、確認も含めてお伺いいたします。
 五月十九日に第一回目の会議が開催されました。今後、都民や市場関係者の不安を解消するという観点から、土壌汚染対策等について検証、提言をしていくということでございます。先日の本会議におきましても、委員の選定等について恣意的ではないか、このような意見が一部上がりましたけれども、専門家会議での検証や今後の提言が都民や市場関係者に信頼されないことには、土壌汚染に対する不安は一向にいつまでたっても解消されないと思います。
 そこで、まず、この会議の委員をどう選定したのか、本会議でも答弁ありましたけれども、きょうは委員会でございますので、より詳しくご答弁いただきたいと思います。

○後藤新市場建設調整担当部長 生鮮食料品を取り扱います豊洲新市場予定地の土壌汚染対策等を評価、検証するためには、第一に、土壌、地下水の汚染の原因となる有害物質の分野、第二に、地下水の分布や水位の変化を把握するための水質の分野、第三に、埋立地の土壌を分析するための土質の分野、第四に、人体への健康影響を評価するための環境保健の分野、この四つの分野からの専門的な検討が必要であると考えました。
 また、このため、人選につきましては、それぞれの分野に精通した専門家の中から、実際の研究分野や過去に土壌汚染問題に取り組んだ実績などを考慮いたしまして、公正に選定いたしました。
 また、委員の人数につきましては、密度の濃い実質的な議論が行われるよう、各分野から一名の計四名の構成としてございます。これらの公平、中立な立場の専門家によって、科学的、客観的な視点で検証、提言が行われると考えております。
   〔「それは聞いたよ」と呼ぶ者あり〕

○遠藤委員 聞いたよということですので、私は、当局にかわって若干補足させていただきたいと思います。
 座長の平田先生ですけれども、研究分野は、いただいた資料によりますと環境水理学ということで、有害化学物質に汚染された水環境を修復する技術の開発と評価。座長の平田先生。
 そして森澤先生でございますけれども、研究の分野は土木環境システム、環境動態解析、環境影響評価、そして環境政策、こうした分野に秀でた先生であるということでございます。
 そして、お三方目の駒井先生でございますが、駒井先生は土壌、地下水汚染の専門家でございます。
 そして、四人目の内山先生でございますが、公衆衛生学、そして環境保健学ということで、特に特定建築物における屋内、室内ですね、化学物質汚染の実態と、それが健康、体に与える影響、その関連を研究する分野のエキスパートだということでございます。
 こうした資料をいただきましたけれども、検証に必要な各分野に精通した先生方が公正な観点から選定されて、会議の中立性というものが保たれていると私は思います。
 次に、この会議そのものの運営についてお伺いいたします。
 専門家会議での検証、そしてそれに続く提言が都民や市場関係者に信頼されるためには、検討過程の透明性が確保されて、きちんと都民の皆さんや市場関係者に向かって説明されていくことが極めて重要な点だと思います。
 そこで、いかに検討過程の透明性を確保し、都民や関係者に向かってどのような形で説明、アナウンスメントをしていくのか、会議の運営についてお伺いいたします。

○後藤新市場建設調整担当部長 専門家会議におきます検討過程や検討資料などの情報を都民と共有し、かつ検証、提言される対策などにつきまして客観性が得られるよう、会議を運営していくことが重要であると考えております。このため、会議は公開で行い、会議の資料及び議事録等を速やかにホームページで公開するなど、透明性のある会議運営と都民との情報共有に努めているところでございます。
 また、会議に参加できない都民も、会議で用いた資料につきましては会議の翌々日、そして議事録についてはおおむね二週間以内にホームページにより公開し、だれもができるだけ速やかに検討内容を入手できるよう配慮しております。
 さらに、検討内容をよりわかりやすく都民や市場関係者に伝えていくために、討論のポイントや委員の主な意見などをまとめた要約版を作成いたしまして、理解の促進を図っているところでございます。

○遠藤委員 今ご答弁ありました会議の検討内容等、多くの皆さんに理解いただけるように、都としても、また市場としてもさまざまな工夫をして、いろんな媒体、インターネットですとか紙媒体ですとか、さまざまな形でやっているという姿勢は大変よくわかりました。
 今後の会議においても引き続いてきめ細やかに説明、さらに広報して、それによって、土壌汚染対策について検証結果や提言が幅広く都民または市場関係者の皆さんに理解されるものと考えます。
 三点目の質問に移らせていただきます。
 この専門家会議、第一回目が行われましたけれども、この検討内容と今後の対応についてお伺いいたしたいと思います。
 先ほど来の議論があるとおり、東京ガス株式会社が豊洲新市場予定地の土壌汚染調査及びその対策を実施しております。その内容は環境確保条例に沿った手続となっております。しかしながら、法令の基準制定の経緯から、その調査の密度などを問題視して再調査を求める声が上がっているというのも片方の事実であります。
 確かに、一連の手続は法的には問題がないと思いますけれども、市場が生鮮食料品を扱うということの重要性にかんがみ、すなわち食の安全という視点でございますけれども、再調査の必要性やその内容なども含めて、この専門家会議でしっかりと検討を進めていただきたいと、我が会派としても要望いたします。
 そこで、先般行われました第一回専門家会議では、この東京ガスの調査に対する評価を含めてどのような検討がなされて、そして今後、この専門家会議の検証、提言を受けて都はどのような対応をしていくのか、この二点にわたりましてお答えいただきたいと思います。

○後藤新市場建設調整担当部長 去る五月十九日に行われました第一回専門家会議では、まず、東京ガス株式会社が実施いたしました土壌汚染調査及び対策に対する評価を行っていただきました。
 専門家の先生方から、平面的な汚染範囲の確定などは、科学的な方法により行われており精度は高いが、深度方向、深さ方向については追加調査の必要な部分もあるとの意見がございました。また、ダイオキシンについても把握が必要との指摘もございました。
 その上で、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、ベンゼンなど揮発性物質のガス化への対応、地下水の管理の重要性、地下室などの施設配置のあり方などにつきまして、市場用地という特性を踏まえて活発に意見交換が行われたところでございます。
 また、液状化対策として実施いたします地盤改良工事とあわせて土壌汚染対策を実施するのが効率的であるとの意見も出されました。
 今後の会議におきましては、追加調査の内容や新たな対応策の必要性などを議論していただき、本年九月を目途に具体的な提言をいただく予定でございます。
 東京都といたしましては、今後、こうした専門家会議の検討や提言を踏まえまして、必要な措置を確実に実施していく所存でございます。

○遠藤委員 今ご報告ありましたとおり、この専門家会議では具体的かつ活発な議論が行われて、従来の都の対策ありきではなくて、市場用地である、市場を通って都民の皆さんの体に食べ物が入っていくんだ、こういうような点を十分踏まえて、積極的な検討がなされているということがわかりました。本日のこれまでの質疑でも明らかなように、専門家会議の人選や運営、検討状況などは公正中立に行われているものと考えます。
 我が党といたしましては、専門家会議の検討及び都の今後の対応がしっかり行われるように見守り、東京都におきましては、秋に予定されている会議からの検証、提言を踏まえて、必要な措置を確実に実施していくことで、豊洲新市場を都民や市場関係者が安心できる市場としていってもらいたいと強く要望いたします。
 最後になりますが、質問ではなく、二点ほど意見の表明を行わせていただきます。
 まず一点目は、知事のトップダウン批判でございます。
 昨今の報道や、また議会での質疑におきまして、この豊洲新市場予定地の土壌汚染問題を取り上げて、あたかも移転を知事のトップダウンであると、このように曲解して批判する人たちがおります。あえてどなたといわなくてもわかると思いますけれども、築地市場の豊洲地区への移転につきましては、先ほどの鈴木委員の質疑でも明らかになりましたとおり、石原知事のご就任前に、市場業界からの要望で出てきた話でございます。これを受けて、都は市場業界団体との協議を重ねた上で移転を決定しており、トップダウンといういい方はいささか乱暴かつ誤解を生む表現であると思います。
 これまで、移転に反対している人たちの意見が殊さらクローズアップされてきているように思います。豊洲の新市場を新しい経営の基盤として考えている市場業者も大勢いるということもぜひ忘れないで、新市場予定地の土壌汚染問題にどう取り組んでいくべきかを、この専門家会議を中心に、建設的かつ冷静に議論をしていただくことが大切だと思います。これが一点目でございます。
 二点目は、この問題の土地で許可なくpHの簡易測定を行った方々がいらっしゃいます。新聞報道等によりますと、この新市場予定地の敷地内からの排水につきまして、都の制止を振り切って、民間の私有地に立ち入ってpHの簡易測定を行うなどの行為がございました。
 今後、都が調査を行う場合には、調査地点や日時、または調査期間、そして作業状況、分析結果等を公に公開し、調査の透明性とデータの信頼性を確保していく、このように都は繰り返しいっているわけでございます。
 私は法律の専門家でございませんので、断定的ないい方はできませんけれども、民間の私有地に許可なく立ち入ってサンプル調査をして、そしていろんな形で公表する、こういうやり方というのはいかがなものかと思います。
 先ほどの門脇理事の真摯な質問をお聞きして、今後、民主党さんの関係者におきましては、そのようなことをされることはないものと私は確信いたしましたけれども、まだまだこのような手法を使う方々というのも、ごくごく一部にはいると思いますので、いずれにいたしましても、都民の不安や無用の混乱を避けるというこの一点でも、今後、都の対応を注意深く見守って議論していくべきではないかということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○石毛委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時三分開議

○石毛委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○小竹委員 私は、豊洲市場の土壌汚染を中心にお伺いしたいというふうに思います。
 東京都は豊洲新市場計画について、食の安全・安心を配慮した市場にするといって、閉鎖型施設やコールドチェーンの確保を進めようとしてきています。しかし、その市場を建設する土台となる土地が、東京ガスが長期に工場として使用してきた土地であり、深刻な土壌汚染が広がっている。これは、食の安全・安心を根本から覆すことになりかねない重大な問題です。
 我が党の渡辺議員の代表質問での答弁で、予定地の土壌汚染対策については、科学的な検証を行うため、公正中立の立場の専門家による専門家会議を設置したと。第一回会議で、都民や市場関係者の不安を解消する観点から、一部追加調査の必要性も指摘された。第二回の会議において、追加調査の必要性や内容などを議論していただくとしています。
 私も、この五月十九日に開かれた第一回専門家会議の議事録を読ませていただきました。食の安全・安心を何よりも重視しなければならない市場として、その土地が適地なのかどうかという議論よりも、東京ガスの調査を前提にして、移転するために、どう調査、対策をするのかというような議論がされているように感じてなりませんでした。
 私たちは、基本的には、こういう土壌汚染のある土地に市場を移すべきではないというふうに考えています。しかし、どうしても進めるということであれば、この豊洲について、生鮮市場としてやっていくという立場に立ったら、慎重の上に慎重を重ねる、こういう姿勢は欠かせないと考えています。食の安全・安心を確保する立場から、東京ガスが行った土壌調査について徹底的に検証してみたいというふうに考えています。
 こういう点で見たときに、私は、豊洲地区で東京ガスが行った有害物質の調査や対策は不十分である、安全を担保しているとはいい切れないというふうに感じます。今ある法律から見ても不十分といわなければなりません。都はこれまで、豊洲地区の調査が、土壌汚染対策法が施行されていなかったということから、それ以前の都の環境確保条例に基づく調査で十分であるという立場をとってきました。これだけ都民の批判が高まっている中での問題ですから、やはり東京都自身が少なくとも土壌汚染対策法に基づく調査を行う、こういう立場に最低、立つ責任があるんじゃないかというふうに考えます。
 すなわち、少なくとも面的には全地域を十メーターメッシュで、深さも十メートルまでは最低、汚染物質が地中になくなるところまで調査する、こういう立場に立って調査と対策をとる必要があるというふうに思いますが、この点についての見解を求めます。

○後藤新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地につきましては、法令に沿った調査、対策を行うことはもとより、生鮮食料品を扱う市場という性格を踏まえまして、手厚い対策を講じることとしてございます。
 さらに、東京都といたしましては、科学的、客観的な視点でこれらの土壌汚染対策などについて検証するため、専門家会議を設置したところでございます。第一回会議では、東京ガス株式会社が実施いたしました土壌汚染調査に対する評価を行った上で、都民や市場業者の不安を解消する観点から、一部追加調査の必要性も指摘されたところでございます。
 東京都は、こうした専門家会議の検討や提言を踏まえまして、必要な措置を確実に実施してまいります。

○小竹委員 今、ちょっとお答え聞き取れなかったんですけれども、法に基づいた調査ということは、現在、土壌汚染対策法があるわけですが、それに基づいた調査をするということなんですか。その点、もう一度お答えください。

○後藤新市場建設調整担当部長 調査の必要性、また新たな対策等の必要性につきましては、専門家会議で現在ご議論いただいておるところでございますので、専門家会議の検討の内容や提言を踏まえまして、必要な措置を今後確実に実施してまいります。

○小竹委員 ということは、現在の調査に一定部分加えるということであって、法に従うという中身にはならないわけですね。土壌汚染対策法も、食品を扱うということを想定してつくられた法律ではありません。食品市場にするということを考慮すれば、この法律よりももっと厳しい基準でやるのが当たり前ではないですか。国会でも、農水大臣は同様の答弁をしています。
 田町の工場についていえば、法に基づいて調査が行われて、二〇〇二年に調査したときと比べて、ベンゼンは二十四倍から六百二十倍、シアンについては四十五倍から千九百倍という濃度の高いものが検出されています。
 田町工場は、工場として操業したのは昭和二十四年、一九四九年までで、工場としての機能は停止しているんです。石炭ガスの製造をやめて五十年以上たっても、これでもまだこれだけ濃度の高い汚染というひどい状況です。
 豊洲工場についていえば、昭和三十二年から六十三年の三十年間操業してきているんですね。先ほど石炭というお話がありましたけれども、原材料は石炭だけじゃなくて、重油や原油、そしてナフサなど、ガスの原材料としてはあらゆるものを使っているんです。そうやってガスを製造してきたというのが豊洲工場であって、東京ガスの中でも、当時、中心的な工場であったといわれています。
 私は、豊洲工場史を読んだんですけれども、6Bガス、当時の石炭や原油でつくるガスですが、この6Bガスの製造の約半分近くをこの豊洲工場でつくっていたという点でいうと、田町と比べても汚染状況はもっと深刻な事態になっているんじゃないかというふうに思われてならないんです。田町の工場汚染の調査報告書を私は情報公開でとりましたけれども、これを読んでみても、それこそ皆さんが専門家会議に出された資料以上に詳しく報告がなされています。
 そういう点でいうと、調査と対策というのは、安全性の確認という点からも一層丁寧にやらなければならない責任があるというふうに思うんですが、改めて、法に基づく調査をやる方向で専門家会議の方に都として提案していくという姿勢に立つことはできませんか。お答えください。

○後藤新市場建設調整担当部長 先ほど来ご説明申し上げましたとおり、ただいま専門家会議で、追加調査の必要性、新たな対策等についてご議論いただいているところでございますし、その中身といたしましては、東京ガスが行った土壌調査、その対策、それから東京都が今後行おうとしていく対策、また、開場後の環境管理を含めた方策、そういったことにつきましても提言をいただく予定でございますので、それらの専門家会議の提言を踏まえた上で、必要な措置を実施してまいりたいというふうに考えております。

○小竹委員 都の環境確保条例に基づいた調査でよしとしている姿勢が変わっていないというふうにいわざるを得ないと私は思うんですけれども、生鮮食品を扱う市場ですから、安全対策というのは本当に細心の注意をしなきゃいけないんですよね。
 そういう点でいうと、やはり最低限、この東京ガスがやった調査の確保条例よりも、土壌汚染対策法の方がより確かなというか、調査であり、そして対策ももっと踏み込んだ対策ですから、こういう点でも改める必要があるということは指摘をしておきます。
 引き続き伺いたいんですが、この調査資料には、東京ガスの報告書には、土壌汚染状況の調査概要書に、表層は盛り土しているので、重金属については概況調査は省略して詳細調査を行ったというふうに書かれています。
 土壌汚染調査の結果がここに断面図を含めて書かれているわけですけれども、この中には、この中の図面を見ますと、一番ポイントになる基準点というのが書かれていないんですよね。この調査において基準点はどこに設定したのか、そして海抜何メートルだったのか、それと測量図面があるのかどうか、この点についてはいかがですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 東京ガス株式会社が行いました土壌汚染状況調査報告書によりますと、ボーリング調査に当たりまして、工場操業時の地表を基準面と設定していると理解しております。

○小竹委員 工場操業時の地盤面と推定しているという、そういうことじゃ困るんですよね。普通は、測量をやって調査をするときというのは、ポイントを決めて、そこから何メートル地下、そこの座標軸で全部断面を切るわけですから、それがないということは、それだけ調査が問題あるという中身になるわけですよ。
 同じここの図面の中に、一メートル、二メートルって七メートルまで調査をやったことになっている部分もあるわけですけれども、場所によって、同じ三メートルであっても、ここの三メートルとこっちの三メートルでは、この間三十メーターメッシュですから、三十メートル離れたところの深さは違っている場合があり得るということなんですよね。それだったら、横の断面の汚染状況を掌握することできないじゃないですか。
 こういう調査というのは、やはり正確性に欠けるという点で問題があると専門家も指摘しておられます。ボーリングの柱状調査など、全ポイントにおける資料を出して突き合わせない限り、正確な調査とはいえないというふうにも指摘されています。
 こういう点でも改めて再調査が必要であるということを指摘しておきたいと思います。
 次に、豊洲工場の調査では、有害物質を基準超過を十倍以上と十倍以下に分けて表示していますけれども、本来であれば処理基準で見るべきではないんですか。それを十倍とする法的な根拠は何なのか、お伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、人の健康保護の観点から、地下水の飲用による健康影響と汚染土壌の直接摂取による健康影響を考慮して条例が定められております。
 豊洲新市場予定地におきましては、地下水の飲用利用の可能性がないことから、盛り土などによる汚染土壌の直接摂取を防止する方法で対策が可能となるわけでございます。したがいまして、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、覆土を基本としておるところでございます。
 しかしながら、濃度の高い部分は取り除くことが望ましいというのはもちろんでございますし、また土壌処理基準の中でも、環境基準を超えて、これは水に溶け出した量の基準がございますので、それの第二溶出基準を下回っている場合、除去しなくても封じ込めればよいというふうに指針の中ではなってございます。
 逆にいえば、第二溶出基準が環境基準の十倍から三十倍、これは物質によって違うわけでございますけれども、これを超えるようなものについては除去した方が望ましいということでございますので、この十倍から三十倍のうちの一番低い数値、十倍という数値を採用いたしまして基準を設定したわけでございます。この十倍を超えているものにつきましては、深さにかかわらず土壌を除去するという対策を東京ガスはとったわけでございます。

○小竹委員 今のお答え、法的な根拠はないということですよね。だから、法的な根拠といえば、やっぱり土壌汚染対策法に基づく処理基準なんですよ。十倍という根拠をいろいろたどってみると、水質汚濁法だとか下水道法の中に十倍というのはありますけれども、外界に流れ出る排水の基準なんですね。これは海へ流れ出て希釈される、薄まるというのを前提にしてつくられている、こういう状況ですから、土壌汚染に適応するものではないんですよ。だから、そういう意味でいったら、十倍の基準なんて何ら根拠がないと。
 濃度が高いものを取り除くというのであれば、田町工場のように、田町はすべて処理基準に基づいて処理がなされていますから、それと同じようにやるべきなんじゃないですか。こういう点からいっても、豊洲の土壌汚染、土壌対策法に基づいた調査をやっぱりやり直す必要があると感じるんですが、こういう立場に立つ姿勢はありませんか。もう一度お答えください。

○後藤新市場建設調整担当部長 先ほど来何度も繰り返しになるわけでございますけれども、現在、専門家会議でご議論いただいておるところでございますので、専門家会議の提言、検討を踏まえて対策を講じてまいります。
   〔「同じ質問するからだよ」と呼ぶ者あり〕

○小竹委員 いや、同じ質問しているんじゃないですよ。いろんな面から見て、これだけ不十分じゃないかということを指摘しているのに、一向に改めようとしないというところに問題があるんじゃないですか。これで食の安全が保てるんですか。十倍以下とはいったって、十倍ぎりぎりのものが残っているんですよ、これで見たって。
 専門家の方々は、汚染物質はいろいろ移動したりするというふうなことで、一度の調査だけでは正確な汚染状況についてはわからないといっておられるんですね。ですから、一定期間、同一の場所で何回か調査をし、データを出して、その平均的な数字の中で正確な判断をすべきだというふうにいっておられます。汚染物質で動く可能性が一番強いのが、気化する可能性のあるベンゼンだとかシアンだとか水銀。こういうものが特に動きやすいというふうにいわれているんです。
 一回だけの調査ではなくて、十分な調査をするという点で、生鮮食品を扱う市場なんですから、やはりそういう立場に立って一定期間の観測をすべきだということを申し上げておきます。(「同じ質問ばかりじゃない、これ。同じこといっているよ。もっと整理してよ」「違うよ、よく聞いてみて」と呼ぶ者あり)中身をちゃんと聞いてください。
 私は、全体的な問題点としてこういうことを指摘しましたけれども、具体的に有害物質の調査が行われていますので、その点から若干、幾つかの物質について伺いたいというふうに思います。
 ベンゼン、シアンは石炭ガスの製造の中で生成される、操業に由来するという点では、有害物質として操業由来ということで調査がされています。しかし、ベンゼンの調査は、豊洲のこの四十ヘクタールに及ぶ広い土地の中で、たった四十八カ所の調査になっています。
 これをどういう基準で選んだのかというと、この委員会、専門家会議に報告された中身を読みますと、二十メートルメッシュで行った土壌ガス調査で一ppm以上のガスを検出したところ八カ所と、任意で選んだ四十八カ所を合わせてやったということですが、一ppmという選定をする法的な根拠、それから調査箇所に選んだ基準、この点についてお伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 東京ガスが行いましたベンゼンの調査でございますが、平成十一年、東京ガス株式会社は、工場操業時の履歴等を踏まえまして選定いたしました四十八カ所につきまして、自主的にボーリング調査を実施したと聞いております。
 その後、平成十四年度、東京ガス株式会社は、東京都の土壌汚染対策指針に沿いまして約五百カ所の概況調査を行っておられます。これらの中から、高濃度の八カ所につきまして詳細調査の実施箇所を絞り込みまして、先ほどの四十八カ所と合わせて計五十六カ所の詳細調査を実施したところでございます。
 詳細調査実施の際の判断基準は、当時の東京都の土壌汚染対策指針では、概況調査の結果、汚染濃度が周辺に比べ相対的に高い箇所を選定するとしておりまして、具体的な数値は定められておりませんでした。したがいまして、東京ガス株式会社が基準値として一ppmと設定したと聞いております。

○小竹委員 一ppmについても法的な根拠があってのことではないというお答えでした。
 有害なガスですから、濃度が高い方を基準にとるというのはおかしいんじゃないですか。危険性を考えたら、やっぱり低い方で基準を設定すべきですよ。その点でも、田町の調査は〇・〇五ppm以上のところを調査しているんです、詳細調査で。
 この豊洲の地区で、一ppmを超えたところは調査したわけですけれども、〇・〇五と一ppmの間のガスが検出されたところはどのぐらいあるんですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 東京ガスの調査によりますと、〇・〇五ppmから一ppmまでの濃度を示した箇所は、五百カ所の概況調査箇所のうち約八十カ所と聞いております。

○小竹委員 八十カ所。田町では、そこに相当する部分、やっているんですよ。それで、豊洲はやっていないわけですから、これ、残っていたら、水の中に溶けたりして気化する、ガスになるということを考えたら、やはりきちんと調査もし、除く必要があるんじゃないですか。
 そういう意味でいったら、田町工場と比べて調査基準が甘いといわざるを得ないですよね。その点、いかがですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 先ほど来申し上げております専門家会議の中でも、第一回の専門家会議で、ベンゼンなどの揮発性ガス物質のガス化対策についてはご指摘がございました。したがいまして、第二回以降の会議におきまして、追加調査の必要性や内容、範囲など議論していただくこととしております。
 都は、こうした専門家会議の検討や提言を踏まえまして、必要な措置を確実に実施してまいります。

○小竹委員 会議のあれを見て必要なということですから、それを今後注視していきたいというふうに思いますけれども、豊洲工場で働いていた方のお話だと、ベンゼンだとかシアンの危険な物質を扱う、有害物質を扱うということで、本当に健康への被害をチェックするために、定期的な健診まで相当綿密に行われていたということなんですよね。
 だから、そういうものがそれこそガスになって食品についたら大変なことになるし、ほんのわずかついたのは、すぐには結果が出ないんですよ。だから、やっぱりそういう点でもきちんとした調査をやる必要があるということは指摘しておきます。
 この報告された四十八カ所の調査の中で、ベンゼンの溶出量の最高値、千五百倍ですけれども、この千五百倍が出たD-10という場所は、工場が操業時どういうふうな施設があったのか、この点についてもお答えください。

○後藤新市場建設調整担当部長 ベンゼンの溶出量調査で基準の千五百倍という数値を示した箇所は、六街区の中央付近でございます。最近では未利用地であったというふうに聞いておりますが、この箇所につきまして、当時、東京ガス株式会社のガス工場操業時にどのような施設があったかなどにつきましては、東京ガス株式会社に問い合わせをいたしまして、操業時の資料等を調べました。しかしながら、時間が経過しているというようなことから、東京ガス株式会社の資料が散逸しておりまして、明確な施設等については把握できませんでした。

○小竹委員 私も豊洲工場史で、三十年代、四十年代、五十年代、六十年代まで、工場の操業がどういうふうに配置されていたかという図面も見たんですけど、そこのところはないんですよ。(「わかってるんじゃない」と呼ぶ者あり)いや、ないし、だけど、それを確認する意味でもね。
 工場で働いていた方にも、そういうベンゼンや何かが相当出るような、平場での何かがあったのかというのも伺ったんですが、そういう施設やタール置き場みたいな処理施設だとか、そういうものも一切なかったということなんですね。
 ということは、裏返せば、何もなかったところでもこれだけ高い濃度のベンゼンガスが出るという点でいったら、調査している箇所が少ないわけですから、全体をもっときちんと調査すべき中身なんじゃないですか。
 そういう点でいうと、先ほども申し上げたように、食の安全という点からも、田町並みにきちんと調査するという姿勢に東京都自身が立つべきだということを強く求めておきたいと思います。
 もう一つは、ベンゼンについて、ベンゼンはガスになるわけですけれども、東京都の方は二メートルの土を入れかえていくということで、その上に盛り土をしてコンクリートを打つというふうに出していますけれども、新しく土を二メートル入れかえても、ほかの物質もそうですけれども、地中に十倍かのベンゼンが残っている。これらは、地下水がそのまま汚染されてますから、毛細管現象で上がっていくわけですよね。ここは埋立地ですから、そういう意味でいうと液状化の問題もありますし、地盤沈下の問題があるんですよ。そういう点で、特に不等沈下等についてどのように認識しておられるのか、この点についてもお伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 豊洲の新市場予定地は埋立地であるということから、地盤対策が重要であるということは十分認識してございます。したがいまして、建物は、基礎ぐいを支持地盤まで施工することによりまして、耐震対策を兼ねまして、不等沈下の起きないように講じます。また、建物以外の部分につきましては、地盤改良等を行うことによりまして、不等沈下は防げると考えております。
 また、先ほど来お話がございましたベンゼンにつきましては、工事の期間中あるいはその後の対策等についても、専門家会議ではご意見があったわけでございますので、それらの先生方のご意見を踏まえた上で、今後検討していくということになろうかと考えております。

○小竹委員 豊洲では、過去に基礎を打ったタンクが不等沈下で波打ったというふうなお話を、働いている方がおっしゃっているんですね。それから、人が一人タンクの下に入れるぐらい地面が沈んでしまった。ちょうど水島のコンビナートの事件が起きた、そのころだというお話なんです。
 だから、そういう点でいうと、その後も地盤沈下が起きているという点でいうと、やはりきちんとした--液状化の問題もあるわけです。液状化の問題だって、地盤改良すれば絶対ということではあり得ないわけで、そういう意味でも、コンクリートがひび割れて、地下から、たまったベンゼンガスがそこから漏れて魚に付着するというふうな状況というのは、食品市場として危険きわまりない話ですから、私は、きちんと責任ある措置をとるべきだということを求めておきます。
 次いで、同じ操業由来のシアンですけれども、このシアンについては、田町工場と比べてみると、豊洲の調査というのは粗い状況です。田町工場ではシアンも十メーターメッシュで調査してますし、十五メートルまで調査して、深くやってるんですよね。
 ところが、豊洲の場合には面的にも三十メートルメッシュですし、深さという点でいったら、ここにもあるように大半が三メートル。そして、一部七メートルまでやっているということですけれども、田町の場合には、それ以下にも汚染物質が出ているという点で見ても、豊洲工場の場合には十倍を超えているのと以下と、またこの問題でも分けてやっているわけですが、そういう点でも不十分だといわなければならないというふうに思うんですね。
 対策も、十倍を超えたものということなんですけども、この十倍については、先ほども申し上げたように法的な根拠がないわけですから、私は、田町工場のように処理基準に基づいてきちんと処理すべきだというふうに思うんですが、この点についてはいかがですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 シアンにつきましては、現行の土壌汚染対策法等につきましても数値の基準はございません。検出されないことということになってございますが、これは分析技術の点から、測定できる限界が〇・一ミリグラム・パー・リットルというふうに聞いております。それ以下の場合につきましては、検出されていないという表現をするというのが、測定の世界での表現の方法だというふうに聞いておりますので、その測定限界の十倍として一ミリグラム・パー・リットルを設定いたしました。

○小竹委員 シアンというのは、あってはならないというのが基準なんですよ。だから、あっちゃいけないものが地面の中にあるというのが問題なんですよ。シアンはカリウムと結合すれば青酸カリになるわけですし、酸を加えれば気化してガスになるわけで、存在してはならないという点でいったら、全部除去しなければならないんじゃないですか。除去するというのは当然のことになるわけですから、この点についても、専門家会議に東京都の立場を明確にして、食品の安全という立場からもきちんと提案するよう求めておきます。
 次に、砒素ですけれども、砒素については大半が三メートルの調査しか行われていません。深いところについて調査すべきだというふうに思うんですが、この点についてはいかがですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 砒素につきましては、東京ガスの土壌汚染状況調査報告書によりますと、一次調査として三メーターの調査を行って、その結果を踏まえて、二次調査として必要な部分を七メーターまで調査してございます。
 また、砒素につきましては、東京ガスのガス製造の過程で触媒として使ったという事実がございますので、操業に基づく砒素の汚染部分につきましては、東京ガスが処理してございます。それ以外につきましては、自然的要因と考えられる部分もございますので、これらの点を含めまして、専門家の先生方にご検討いただいておるところでございます。

○小竹委員 田町工場では最高十五メートルまでやっているんですよね。それで、報告書を見ますと、地下三メートルから五メートルは、タンクだとか工場の施設を除いたところの全域から、かなり高濃度の砒素が出ているんです。それ以下についても、十メートルまではかなり広範囲に出ているというのが実態なんですよね。
 専門家会議では、湾岸地域には自然由来の砒素や鉛があるというふうにおっしゃられて、溶出基準を若干超えるような部分については自然由来の可能性が高いというふうにおっしゃっておられるんですけど、これを見ていただきたいんですよね。ちょっと見にくいと思うんですが、こことか、白い部分というのは、タンクと建物があったところなんですよ。本当に自然由来というんだったら、全部が汚染されているということがなければ、自然由来っていえないんじゃないですか。建物の下だけ白く抜けてるんですよ。
 こういう点でいったら、これはOHPで田町工場のあれを写しとって、それで重ね合わせたんですけど、こういう結果なんですね。だから、やっぱりきちんと調査をして、本当に自然由来なのかどうかというのをやらなきゃならない責任があるんじゃないですか。(「やっているんじゃないか」と呼ぶ者あり)やってないからいってるんですよ。だって、やる立場に立たないと困るわけだから、食品の。
 専門家の先生は、タンクや建物の下に汚染が弱いというのは、空気中や何かでばいじんが舞っていた、そういうものが地下に浸透したというふうなことが疑われると。これを自然汚染のことだけで片づけてしまうのは説明がつかないというふうにおっしゃっておられるんですね。
 今、これをお見せしましたけど、田町工場は基準点が決まってるから、全部断面がはっきりしてるんです。ですから、こういうことができるんだけど、豊洲工場、さっきいいましたように、基準点がないから、それができないんですよね。
 だから、そういう意味でも、きちんとした調査をやってほしいというふうに思うんですが、これをごらんになってどういうふうに考えられたか、お答えいただきたいと思います。

○後藤新市場建設調整担当部長 先生がおっしゃっている田町工場の資料等につきましては、私ども承知しておりませんので、申し上げる立場にございませんが、豊洲の地区の砒素の図面等あるいは調査結果を見ますと、かなり広範囲に広く満遍なく存在するという状況になってございます。これらのデータ等を専門家の先生方にお示しして、先生からは、これは自然的要因による可能性が高いというようなご意見は既にちょうだいしておるところでございます。
 また、砒素につきましては、操業由来でなければ、自然的要因によるものにつきましては、東京都が今後処理をするということはこれまで申し上げてまいりました。それらの方針は現在のところ変わっておりませんので、これからは、これに専門家の先生方のご意見を加えて、対策を講じてまいる所存でございます。

○小竹委員 東京都が処理をするということですけれども、それをやるのは二メートルまででしょう。二メートル以下のところに残っていれば、地下水で上がってくるんですよ。だから、そういう意味でも、私はきちんとした調査に基づいてやる必要があるというふうに申し上げているわけです。
 湾岸部だから自然由来なんだということで片づけられない。田町の工場だって芝浦ですから、それこそ海のそばなんですよ。だから、そういう事態にあるという点で、きちんと調査と対策が必要だということです。求めておきます。
 砒素は戦争中、毒ガスの材料として使われてきました。先般は和歌山のカレー事件などがあります。ですから、そういう意味でも危険物質であるという点では、十倍以下であっても残しておくというのは問題が、禍根を残すという点で指摘をしておきます。
 さらに、地下水の問題でお伺いしたいんですけれども、地下水の問題に入る前に、前回の委員会のときに、私は、この市場前駅のため池の水をきちんと調査すべきだということを申し上げてきました。この点については、当局の方は雨水だというふうにお答えいただいたんですけれども、相当な水の量がある。これを海の方に流したんじゃないかというふうに思うんですけれども、調査されたんでしょうか。
 その点について、水量とpHと、それから電気伝導度、この辺についてどうだったのか、お答えください。

○後藤新市場建設調整担当部長 以前の当委員会でいろいろご議論いただきました、「ゆりかもめ」の市場前駅付近にございました水たまりでございますが、あの水たまりは、工事の都合で盛り土工事がおくれておりまして、くぼ地状になっていたものでございます。これを土地区画整理事業者が、平成十八年度末に周囲と同じ高さまで盛り土を行ったと聞いております。その際に、水たまりは雨水がたまったものと判断して、特に調査は実施していないと聞いております。

○小竹委員 これ、かなり広い敷地ですよ。ざっとあそこの駅の周辺で歩いてみて、五十メートル掛ける五十メートルで、深さも相当深いというふうに思ったんですが、相当な量の水がたまっているわけですね。それで、雨水といったって、二メートル下のところには地下水があるとおっしゃられているわけだから、そういうものが入っていないとは限らないわけですよね。
 だから、そういう意味で見たら、何も調べないで流したというのは、私は問題があるというふうに思うんです。調べて、何でもなかったという報告をすべきなんですよ。見るべき人は、証拠隠滅したというふうに見ても仕方がないことじゃないかというふうに思います。そういう意味で指摘をしておきます。
 私たちは五月二十三日、現地に、当局の方々のご案内で中に入りました。ずっと見てきたわけですけども、そのときに、水が流れ出ているそこを見て調査をしましたら、pHは一〇・八五から一一・三五、強アルカリ性の水であるということがわかり、伝導度も一六八九から二〇〇〇。こういう高い状況ということは、廃棄物処理場の地下水と同様の傾向だということなんです。真水であったら伝導度は一〇〇前後ということですから、そういう意味でいうと、ここの水が本当にいろいろ汚染されているというのは、この点からもいえるというふうに思います。
 そういう意味では、排水口からそのまま流してしまっているというのについて、重大だというふうに思うんです。排水についていえば、海の方へ流すについていえば、水質汚濁法が規制しているわけですから、強アルカリ性のものについては、きちんと中和するなりなんなりして流さなきゃいけないものではないんですか。その点についてはどうなんでしょうか。

○後藤新市場建設調整担当部長 先生がおっしゃっているしみ出している排水につきましては、今月、五街区内の側溝と七街区の放流口の二カ所から採取をして、調査、分析をしておるところでございます。まだ中間段階でございますので、正式な報告書は来ておりませんが、速報ということでご説明申し上げますと、その段階では、水質汚濁防止法に係るシアン、ベンゼン等有害物質やイオン分析を行いましたが、有害物質の測定値は排水の基準値以下でございました。
 参考といたしまして、pH値につきましてもあわせて調査いたしましたが、側溝で一一・六、放流口で一〇・六という数値を示しております。
 このpH値が高くなっている要因といたしましては、水酸イオンが多いためと報告されております。これは、土木工事などで土の状態を安定させる場合に使用するセメントや石灰系固化剤などに含まれる炭酸カルシウムに起因するものであると推定されます。
 炭酸カルシウムというのは、水に溶けますとカルシウムイオンと炭酸イオンに電離いたします。さらに、その炭酸イオンが電離したときに、pH値を高める水酸イオンが形成されるといわれております。このためpH値が高くなったというふうに理解しております。もちろん、カルシウムにつきましては有害物質ではございません。
 また、電気伝導率につきましては、イオンが多いことによりまして伝導率の数値が高くなっているというふうに理解しております。これは、カルシウムイオンなどだけではなく、ナトリウムイオン等も検出されております。これは、そこがしゅんせつ土による埋立地というようなことで、塩分が残っているというふうに理解しておりますので、それらによる電気伝導率の高さだというふうに理解しております。
 なお、私どもではかった電気伝導率は、側溝で二三〇ミリジーメンス・パー・メートル、放流口では一八〇ミリジーメンス・パー・メートルという数値になっております。先ほど先生がおっしゃった、一八〇〇から二三〇〇という数値は報道等で流されておりますが、これは単位が一けた違う呼び方でございまして、私どものいい方からいたしますと、一八〇から二三〇ということで、私どもの調査と変わらないということと理解しております。

○小竹委員 いろいろお答えいただいたんですが、この結果については、きちんと正式なものが出たらご報告いただきたいというふうに思います。
 排水については、やはり強アルカリ性の水を流すということは問題あるわけです。建設現場での排水だってチェックされているわけで、そのチェックをするべき東京都が流してしまっているというのは問題だと思います。
 排水の処理について、東京ガスの完了届の中にも、地下水の排水に当たってはきちんと処理をして、pHを正規のものにして流しているんだというのが報告書にも書かれていますから、東京都としたって、このまま放置することは問題だというふうに思います。
 地下水については、汚染されているということが、確かに有害物質かどうかはわかりませんけれども、きちんと調査をすべきだというふうに思うんですが、どのような調査をなさるのか、その点についてお伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 まず最初に、先ほどのご質問の中で、pH値の高い水をそのまま排水し続けるのかというご質問に対する答弁が漏れておりましたので、それのお答えをさせていただきます。
 今後の対応については、現在、関係する局、環境局と土地区画整理事業者であります都市整備局、それから私どもの三者で調整をしておるところでございますが、今後何らかの対応をしていきたいというふうに考えております。
 次の地下水調査でございますが、これにつきましても既に専門家の先生からは、地下水管理の重要性、また、地盤改良工事の際には地下水についても何らかの対策を考えた方がいいというようなご意見をちょうだいしておりますので、先ほど来申し述べておりますとおり、二回目以降の会議で、この辺の具体的な内容等につきましてご議論いただいて、その専門家会議の検討や提言を踏まえて必要な措置を確実に実施してまいります。

○小竹委員 必要な措置を実施していくということですから、それは見守るということになるかと思うんですが、地下水についてもボーリング調査だけじゃなくて、田町もそうですけれども、観測井戸をつくって、一定期間常時観測できるような体制はきちんととるべきだというふうに思いますので、その点もつけ加えておきます。
 東京都の土木技術センターにも地下水の専門家がいるというふうに伺ってますから、そういう方々だって、東京都の職員だってやれるわけですから、ぜひこれについては、専門家会議だけじゃなくて、東京都の専門家も活用するということを検討していただきたいと思います。
 あわせて、今、専門家会議に調査をゆだねるということですけれども、専門家会議が調査を行うときに、環境学会の先生だとか、そのほかにも、この問題で土壌汚染に関心ある方々がいらっしゃるわけで、そういう専門家の方々の参加もしていただいて、共同して多面的な、そして多角的な調査を行うべきだというふうに思うんですが、この点についてはいかがですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 専門家会議につきましては、豊洲新市場の土壌汚染対策を評価・検証するために、有害物質の分野、水質の分野、土質の分野、環境保健の分野から専門的な検討が必要であるということで、委員につきましては、それぞれの分野に精通した専門家の中から、実際の研究内容や過去に土壌汚染問題に取り組んだ実績などを考慮して、公正に選定したところでございます。また、委員の人数につきましては、密度の濃い実質的な議論が行われるよう、各分野から一名の計四名の構成としておりまして、これ以上委員を加えることは考えておりません。
 また、土壌汚染対策につきまして都民の信頼を得るには、調査方法、調査結果及び対策の内容をすべて公開していくことが重要であると認識もしております。このため、専門家会議におきまして追加調査の必要性があるとされた場合には、調査地点、日時、調査期間、作業状況、分析結果等をすべて公開し、調査の透明性とデータの信頼性を確保してまいります。この調査は東京都が責任を持って行うということで、クロスチェックは考えておりません。

○小竹委員 公正性と透明性とおっしゃられましたけれども、そのためにもいろんな形での調査が必要なんですよ。調査によって、こちらの調査とこちらの調査とクロスして、同じデータであれば問題ないわけですから、そういう意味でもクロス調査が必要なんですよね。
 そういう点では、私は、専門家会議が調査するときに、別の専門家の方々にも参加していただく、それから、そういう専門家の方々が調査をしたいというときには、きちんと土壌や地下水の採取ができるように道を開くべきだということを申し上げておきます。
 この間いろいろ議論をしてきたんですけれども、市場自身が、本当に食の安全を考えて、今ある法律を最低限やるという姿勢に立ってないという点で、私は問題を感じました。
 そもそもこんなふうに重大な問題になるのは、食の安全を何よりも大切にしなければならない、生鮮食品を扱う市場の設置責任者としての責任を果たしていないからではないかというふうに思います。こんなに土壌汚染が進んでいる土地を購入するということの設置責任が問われているんじゃないでしょうか。この点での見解を求めます。

○比留間中央卸売市場長 設置責任ということですが、これは本会議でもご答弁申し上げましたけれども、あの土地については、さまざまな観点から適地としての選定をして、なおかつそれに先立つ以前に、東京ガス株式会社が土壌汚染があるということを自発的に公表いたしまして、東京ガスの責任で対策を講ずるということで、あの土地を選定したものでございます。
 この間、対策につきましても、東京ガスの対策に加えて、東京都としても市場であるということを考慮して、自然由来まで処理をするという対策を講ずることとしましたけれども、今回さまざまな意見があるということを踏まえて、客観的な公正な立場での専門家のご意見を伺った上で、その内容については都として確実に実施していくということでございますので、そういう方向でこれからも進めてまいります。

○小竹委員 責任を果たすということですけれども、生鮮食品を扱う市場ですからね、安全に安全を重ねるということが大事なんですよ。土地を購入するに当たって、食品の安全を守る立場から、土壌汚染対策法に基づく調査を東京ガスに要求すべきだったんじゃないですか。この点については要求してないわけですけれども、いかがなんですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 東京ガスの土壌調査並びに対策につきましては、それぞれその時期の東京都環境確保条例等の指針に沿った形で行われておりますので、手続としては全く問題ないというふうに考えております。

○小竹委員 いや、法について、法は確かに施行されてませんでしたけれども、もう決まってたんですよ。本当に食の安全という立場に立てば、きちんと法に基づく調査をやれということを東京ガスに要求すべきだったということは、問題点として指摘をしておきます。
 最後に委員長にお願いをしたいんですが、これだけ重大な問題ですから、関係する委員会での集中審議、それから、担当する局も、環境局を初めとした局も呼んでの集中審議をぜひやるべきだというふうに思いますので、これを提案しておきます。
 それから、市場の関係者の方々を含めた公聴会だとか参考人会議だとか、そういうものもぜひ行っていただくよう求めて、質問を終わります。

○原田委員 随分重複してしまいましたから……(「ないでしょう、もう」と呼ぶ者あり)まだまだあります。質問させていただきます。
 まず、築地市場の豊洲移転の経緯についてですが、これはことしの二月、私も委員会で取り上げましたし、きょうの委員会質疑の中で、鈴木委員の質問の中で随分明らかになりました。
 昭和六十一年から、築地市場の再整備、どんな方法でやるかということは話し合いがスタートしたということで、かなり丁寧に業界団体と話し合ってきたということは認識しております。
 その中で、平成十一年に市場再整備推進協議会が開催されて、十四回の開催を経て、移転整備の結論が出たということがご報告でありましたけれども、この協議会が決定に結構大きな影響を与えたというふうに受けとめております。
 この協議会のメンバーはどんな構成で行われ、その会議での主な議論はどんな議論だったのか、まずお聞きしたいと思います。

○越智新市場担当部長 築地市場再整備推進協議会は、中央卸売市場長を会長に、都側委員七名、業界委員といたしまして、水産物部の卸売業者、仲卸業者、小売業者、売買参加者及び青果部の卸売業者、仲卸業者、小売業者と関連事業者の団体の代表八名で構成されております。
 業界の方からの、臨海部への移転の可能性につきましての検討の要望を受けまして、協議会では、まず、現在地再整備案から検討を始めまして、東京都の方から五案、水産仲卸業界から一案につきまして検討が行われました。この案を検討いたしましたが、営業車両と工事車両の錯綜、駐車場の不足、工事期間中の営業活動への深刻な影響などの面から、いずれの案も業界からの合意が得られませんでした。
 その後、現在地再整備と移転整備の比較検討が行われまして、平成十一年十一月に、移転整備に方向転換すべきといった意見集約がなされたところでございます。

○原田委員 多くの市場の関係者の中で結論が出たということは、やっぱり重く受けとめるべきだと考えております。それぞれの組合や業者の中で、持ち帰ったものの意思疎通がどうだったかというような問題はあるとは思いますけれども、順序立てた手続をしているというふうには思っております。そして、今後の話、その経緯に関しては、私はその結果を重んじた形で進めるという立場で、以下質問したいと思います。
 今本会議の中で、その中の仲卸の方の反対が随分あるというようなお話が、随分質問の中で出てきましたけれども、仲卸さんとの話し合いということではどのように行われてきたのか。いろんな前の委員の方のご質問にも答えていらっしゃるようですけど、話し合いの結果、どのような対応をして、意見を反映してきたかということについても、詳しくお話しいただけたらと思います。

○越智新市場担当部長 水産仲卸業者の団体につきましては、先ほどもご答弁いたしましたとおり、協議会、検討会等におきまして、豊洲新市場建設に向けた協議に積極的に参加していただいております。また、個々の仲卸業者に対しましては、全組合員を対象にした説明会を平成十七年、十八年に開催してきております。
 その中で、水産仲卸団体からは、仲卸売り場から二階への場内スロープの設置や、荷さばきスペースの増設などの要望が出されておりまして、基本設計に反映いたしました。また、二階の階高等の要望もございまして、現在協議しているところでございます。
 移転経費につきましては、移転を希望するすべての仲卸業者が豊洲新市場で事業継続できるように考えておりますので、今後とも、仲卸業者との話し合いを引き続き進めてまいりたいというように考えております。

○原田委員 仲卸の方々の厳しい経営状況というのは、再三いろんな方の質問の中で明らかになったわけですけれども、市場の方も話し合いの中で随分解決策を出してきているなという印象があります。
 今後とも、丁寧に話し合いを重ねて、問題解決に向けて努力をしていただきたいと思います。
 それで、これからの大きな課題というのは土壌汚染対策、これがやっぱり大きな課題ではないかと考えております。しかし、土壌汚染対策に関しては、今までの質疑応答の中であるように、今、専門家会議が動いているということもありまして、その結論を待ってというようなこともございますので、その結論をもって今後どうしていくかも含めて、今後の展望ということで、進め方という点で、ちょっと都の情報共有のあり方についてお話をさせていただきたいと思います。
 専門家会議の傍聴の対応ということでいいますと、これは私どもの一般質問で取り上げさせていただきましたけれども、傍聴枠の拡大は、現実から大分遠いようです。部屋の関係でなかなか難しいとか、いろいろ説明はいただきました。
 そして、せっかくいらした傍聴できなかった方への対応として、部屋を確保して音だけでも流してほしいということも、一応お話しさせていただいたんですけれども、どうもそういうお部屋が見つからないという、そんなお話も聞きました。
 なかなか対応ができにくいという中で、今後、情報共有のあり方という点では、一定の方向を示していただいたかなとは思いますけれども、一つの情報を一方的に流すということよりも、もちろん情報を流すことは大事なんですけれども、情報を流して、その情報を見た人の意見が返ってくるような、双方向の情報のキャッチボールが必要なのではないかと考えております。
 多くの人が専門家会議の結論に大変注目している。そしてまた傍聴者も限られている。資料はいただいた。だけど、その結果に対して何かいいたいという方がもちろんいらっしゃると思いますので、この専門家会議の一つの結論が出たときに、パブリックコメントないし公開討論会、どういう方法がいいのかわかりませんけれども、そういう方法で都民との意見交換をする場を設けたらいいのかと思いますが、それに関してのお考えをお聞かせください。

○後藤新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地につきましては、土壌汚染対策を含めまして、広く都民と情報を共有し、事業への理解と信頼を得ることが必要であると認識しております。
 専門家会議につきましても、会議を公開で行うとともに、会議終了後速やかに会議の資料及び議事録等をホームページで公開するなど、透明性ある会議運営と都民との情報共有に努めているところでございます。
 せんだっての第一回会議後の記者会見の中で、委員の先生から、傍聴者への対応について発言がございました。来週の二回目には準備の都合で間に合いませんが、今後、傍聴者の方々から質疑を受ける機会などにつきまして、委員と調整してまいりたいと考えております。

○原田委員 傍聴者からの意見の聴取という手法は、また一歩前進したかなというふうに思います。それでも傍聴できない方がいらっしゃるので、そういう人たちへの意見聴取ということをどうしたらいいのかも、パブリックコメントなのか公開討論会なのか、そういう手法以外にまた何かあるかということもございますので、時間との関係もございますでしょうが、この対応をぜひしていただきたいと思っております。
 そして、どなたのご答弁かわかりませんが、討論の要約版を作成していくというようなお話もございましたが、それは大変重要なことで、それをどうやって配布していくか。多くの公的な役所に置くのか、その辺よくわかりませんが、ぜひこれも有効に使っていただいて、都民への情報発信、そして情報を受けるような受け皿をつくっていただきたいと考えております。
 さて、都の疑問に対する対応ということでいいますと、この委員会でいろんな立場の人からのやりとりがあった、地下水か雨水かのやりとりなんですけれども、二月の委員会審議のとき、市場の水たまりの話を小竹委員が取り上げて、いや雨水だ、いや地下水だという議論があって、私はこういうやりとりを聞くと、もうちょっと柔軟にならないのかなというふうな印象を持つわけです。
 そしてまた、その後、民主党の管代表代行ですか、視察したときも、水をとるのはいけないと拒否されたというようなことが特化して新聞に出るわけですね。だから、そういうときに、何か都のそういうふうなかたくなな姿勢が、都民に対していい印象を与えないなというふうな感じがするわけです。
 いろんな要望があって、それに全部こたえるということは難しいかもしれませんけれども、一定のルールをつくってサンプリングの許可をするみたいなことにも対応していくということが、今後、市民との協働というような視点でいうと必要なのかなと思いますが、いかがでしょうか。

○後藤新市場建設調整担当部長 先ほどご答弁申し上げましたが、豊洲新市場予定地の土壌汚染に関してましては、専門家会議におきまして、科学的、客観的な視点で検証し、都民の信頼を得るため、調査方法、調査結果及び対策の内容をすべて公開していくことが重要であると考えております。
 今後都が調査を行う場合には、調査地点、日時、調査期間、作業状況、分析結果等を公開して、調査の透明性とデータの信頼性を確保してまいります。ただ、クロスチェックというものにつきましては、現時点では考えてございません。
 また、分析結果、調査データというものにつきましては、資料等については保管をするというようなことも考えておりますので、それらの取り扱いについては今後検討させていただきたいというふうに思っております。

○原田委員 きょうの委員会を聞いていると、その後、都も調査しているということがわかったので、それは対応してくださってるなということはわかるんですけれども、もう少しこういうやりとりの中でとか、オープンな中で、ああ、柔軟な姿勢を示しているなというような対応も必要なのではないかと思います。
 これから、市民と行政との関係、議会と行政との関係ということでいうと、お互いに知恵を出しながら、いい方向に持っていこうというような姿勢が見られることが大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
 築地市場をどうしていくかというのは、いろいろ紆余曲折を経て今日に至っているわけなんですけれども、私はさきにもいいましたが、この決定に至った経緯を尊重しながら、豊洲新市場の建設を進めていくことがベターな選択だと考えております。
 推進過程で出てきたのが土壌汚染の問題なんです。対策に対しては、今、専門家会議が動いているということで、東京ガスの調査が十分か不十分かというようなものも含めて、お答えが出ないわけなんですけれども、この場は、それも含めて専門家会議の結論を待ちたいと思います。
 そして、その結論をなるべく多くの方に理解してもらうためのオーソライズをどうしていくかということが次の課題ではないかと考えております。土壌汚染があるから市場がだめだということになったら、例えば住宅だって公園だって、やっぱり転用はいけないと考えます。ですから、環境対策をしっかり行う都の姿勢を示していくべきだと考えております。そして、土壌の継続的な検証システムを加えていくことで、都民の不安にこたえることが必要だと考えております。
 以上申し上げて、質問を終わります。

○大沢委員 先ほどから豊洲土壌汚染という言葉がさんざん出てきております。私はその豊洲を選挙区とする者でございますし、また、ここにいる米沢委員も同じ江東区を地盤として活動しております。そしてまた、豊洲というのは、市場があるために豊洲という名前がつけられたのではなくて、江東区の歴史から豊洲という名前があるわけでございます。
 そして、この豊洲の土壌汚染、土壌汚染という言葉がひとり歩きしますと、豊洲全体が土壌汚染になっているのではないかと。この豊洲土壌汚染という言葉を聞くたびに、私は都議会議員として、地元の豊洲の方々に大変申しわけない思いでいっぱいでございますから、しっかりそのようなことを情報公開しながら、やるべき対策をしっかりやっていただいて、この市場問題というものにしっかりとした道筋をつけていただきたい。
 最後に要望として申し上げるのでございますが、初めに、豊洲土壌汚染、土壌汚染といわれると、豊洲、そしてまたその周辺地域が汚染されているというイメージで、大変腹立たしい思いをしていることをまずもって申し上げさせていただきます。
 都議会民主党では、会派内にこの対策プロジェクトチームを立ち上げて、これまで、現地の視察や、そしてまた専門家からのヒアリングなどを行ってまいりました。東京都でも、五月十九日、きょう提出されたこの資料にもありますように、第一回目の専門家会議が開催されて、六月三十日の第二回の会合では現地視察を行うと聞いております。私も、都議会民主党のプロジェクトチームのメンバーといたしまして、去る五月二十八日に、築地と豊洲、両方の市場を視察してまいりました。
 そして、局長の言葉にありますが、首都圏、日本の食の安全というようなところで、この市場の役割というものは、大変大きな役割を果たしているものでございますから、これは都の問題ではなくて、党としてしっかりと国民の食の安全というものに取り組んでいかなければいけない、そのような思いで、中山義活元都議会議員、前衆議院議員も中心的な役割を果たして、この問題に取り組んでいくところでございます。
 そして、その視察を踏まえて、まず築地市場においてのアスベストの問題について何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 石原知事はよく、築地市場はアスベストがあって大変危険だというようなことを、さまざまな機会をとらえて、そしてまた昨日の本会議等でもいっております。築地の視察では、改めてアスベストの状態などを中心に見させてもらいましたが、アスベストについては、平成十七年六月下旬以降、アスベストによる労災被害が次々と公表されて、大きな社会問題となったことは記憶に新しいところでございますし、理事者の皆様方も記憶をしていると思います。
 これを受けて、東京都でも都有施設のアスベストの使用状況などを調査したと思いますが、築地市場では今どのような状況になり、結果になっていたかということをまずもってお知らせください。

○荒井事業部長 東京都が平成十七年から行った都有施設のアスベスト使用状況調査の結果、築地市場では七カ所でアスベストを含有した建材が使われていることが確認されました。
 まず、アスベスト含有吹きつけ材で、最も優先して飛散防止対策を実施するⅠランクに当たるものが、水産物部卸売り場の一部、それに青果部卸売り場の一部の二カ所にありました。次に、なるべく早い時期に対策を実施する必要のあるⅡランクのものが、厚生会館階段室及び水産物部立体駐車場の一階から三階部分、この二カ所にありました。
 この四カ所につきましては、Ⅰランクの二カ所とⅡランクのうちの厚生会館階段室は、平成十八年度に除去工事を完了しております。Ⅱランクの水産物部立体駐車場一階から三階部分も、今年度から除去工事を行う予定です。
 Ⅲランクは、当面は現状を維持し、直近の改修工事の機会または建物解体時をとらえて対策を実施するものですが、青果部屋上駐車場及び水産物部立体駐車場機械室などの二カ所です。
 また、水産物部卸売り場の一部にはアスベスト含有の板状の建材が使われていますが、飛散のおそれがないことから、Ⅲランクと同様、解体時に対応を行うこととしております。

○大沢委員 ただいまの答弁で、水産と青果の卸売り場の一部に使用されていたアスベストはもう既に除去されたということでございますが、このⅡランクの水産物の立体駐車場で確認をされているアスベストについては、十九年度中、今年度中に対策を講じるという答弁がありましたが、具体的にどのような対策を講じていくのか、お示しください。

○荒井事業部長 水産物部立体駐車場の一階から三階のはり部分には、アスベスト含有吹きつけ材が使用されています。この除去工事を行うため、駐車場を利用している卸会社、売買参加者など関係業界と、施工方法、工事中の移転場所などについて協議して、今年度後半から来年度にかけて、飛散防止対策を徹底した上で工事を行う予定でございます。

○大沢委員 それでは、Ⅲランクの青果部の屋上駐車場や水産物部の立体駐車場機械室などのアスベストについては、答弁によりますと吹きつけ材の状況が安定しているというようなことでございましたので、そのような理由で解体時に対応するということでありましたが、そのままにしておいて、改めて解体時にアスベスト対策を行っていくという認識でいいんですか。

○荒井事業部長 ただいまのお話の青果部屋上駐車場、水産物部立体駐車場機械室などは、吹きつけ材が封じ込められた状態で安定しており、現状では飛散のおそれがなく、安全性が確保されています。
 このため、場内で年四回行うアスベストの浮遊濃度測定や毎月の目視点検などで状況を確認しながら現状を維持し、改修または解体時に対応することとしております。

○大沢委員 今、安全性が確認されているという答弁でありましたが、石原知事はきのう、一昨日の本会議の答弁でも、築地はアスベストがあってとても危険だと繰り返しいっているわけでございます。東京都としては、どこのアスベストがどの程度危険だと認識しているのか、具体的にお示しください。

○荒井事業部長 築地市場では、施設の広範囲にわたりアスベスト含有建材が使用されてきました。現在でもアスベストを含有した成形板が屋根に使われていたり、天井裏などに囲い込まれた状態で使われている吹きつけ材などがあります。
 これらは現状では飛散のおそれがなく、安全性が確保されておりますが、大地震により建物が崩壊するなどして、アスベスト含有建材が損傷すれば、飛散する可能性があるものと考えております。

○大沢委員 ということは、地震が起こればアスベストが飛散してしまうというわけでございますから、そのときはもう市場も使えないわけでございますし、そのような飛散の可能性があるということだけであれば、それをとって市場の移転の理由にするのは、私はいけないと思っております。
 現時点でもこの築地市場が使われていて、多くの方が働いて、そこから多くの青果物、そしてまた食品が出荷されているわけでございますから、食べ物を取り扱う市場という観点から、万が一大地震が発生した場合でもアスベストが飛散しないよう、万全の対策を講じていくことが重要であるかと思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○荒井事業部長 大地震があってもアスベストが飛散しないようにするためには、市場内の全施設について調査した上で、徹底したアスベスト含有材の除去工事を行う必要があります。この除去工事は、仲卸売り場などを長期間密閉し、隔離した状態で慎重に行わなければならず、市場の営業活動に深刻な影響を及ぼすことになるため、極めて困難でございます。
 飛散のおそれのないアスベストについては、市場の移転に伴う解体時まで存置することとなりますが、生鮮食料品を取り扱う市場としての観点からも、場内での定期的な浮遊濃度測定や目視点検などで状況を確認しながら、的確に安全確保に取り組んでまいります。

○大沢委員 今のご答弁ですと、この除去工事は多くの困難が予想されて、飛散防止対策を的確に行っていくという答えではありましたが、市場移転の可否にかかわることなく、築地市場のアスベスト対策は万全を期していかなければ、都民の食の安全、ひいてはそこで働く方々の健康というものが守れないと思っているものでございます。対策に万全を期していただくことを、この場をもって強く要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 さて、市場の次の移転予定地の豊洲でございます。先日、豊洲を視察してまいりましたが、この豊洲地区は既に区画整理事業も進み、通常の地盤面よりも随分と土が盛られていたと私は記憶をしております。
 ところで、この盛り土の土はどこから持ってきているのか、また安全性に問題はないのか関心を持ちますが、都の見解をお伺いいたします。

○後藤新市場建設調整担当部長 新市場予定地の盛り土でございますが、これは土地区画整理事業により、主に都内の公共工事から発生した建設発生土が搬入されたものでございます。
 この盛り土として使用する搬入土に対しましては、土地区画整理施行者により、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律、いわゆる海防法や土壌汚染対策法の基準にのっとった受け入れ基準が設定されておりまして、区画整理施行者により、搬入時に、搬出元の事業者による検査結果の確認が行われると聞いております。検査基準は、土質に関する項目のほか、化学性状四十四項目が二千立方メートルに一回行われているとのことでございます。

○大沢委員 ただいまの答弁で、盛り土の管理というものは区画整理施行者が行って、法令等の基準にのっとった受け入れ基準が行われて、検査体制がしっかりしているという答弁でございましたが、それでは、具体的に区画整理施行者というのはだれなんでしょうか、お示しください。

○後藤新市場建設調整担当部長 豊洲の土地区画整理事業の施行者は東京都でございます。

○大沢委員 先ほど小竹委員からも質問があって、重複はいたしませんが、私も区画整理をしたところの五街区と七街区を見てまいりました。そのときに、盛り土ののり面から水がしみ出ていて、これが排水口を経由してポンプでくみ上げられて、東京湾に排水をしている状況も見てきました。
 そして、この状況で日本環境学会は、この水がすごいアルカリ性を示していることから、この地下水の汚染機構と抑制策についても検討の対象とすべきだという意見が出ています。そして、その地下水のさまざまな濃度、pH値というんですか、先ほど速報値として具体的に出されたわけでございますが、このpH値が側溝で一一・六、放流口で一〇・六で、海水の影響を受けた雨水との答えでありました。そしてまた、盛り土中に含まれる海水由来の塩分を含んでしみ出たものと答弁ではございましたが、一般的に雨のpHは五・六といわれております。そして海水が八・三、塩が七から九とされております。
 地下水でもなく、そしてまた海水の影響を受けた雨水としておりますが、先ほどの答弁でもありましたが、それにしても強いアルカリ性を示していると私は思えてなりません。
 なぜ強いアルカリ性を示していると考えるのか、また、問題はないのか、東京都の見解をお伺いいたします。

○後藤新市場建設調整担当部長 いわゆる強アルカリ性、pH値が高くなっている要因といたしましては、水酸イオンが多いためといわれております。これは、土木工事などで土の状態を安定させる場合に使用するセメントや石灰系固化剤などに含まれる炭酸カルシウムに起因するものであると推定されます。炭酸カルシウムは水に溶けてカルシウムイオンと炭酸イオンに電離いたしまして、さらに炭酸イオンが電離したときに、pH値を高める水酸イオンが生成されるとされております。
 カルシウムは有害物質ではございませんし、この強アルカリ性の原因となっているセメントや石灰系固化剤というものは、通常の土壌を安定させるために広く土木工事等で使われておるものでございますので、安全上の問題はないというふうに判断しております。
 ただ、pH値の高い排水につきましては、関係部署と協議して、今後の対応を検討してまいります。

○大沢委員 今のpH値の高い排水があることについては、関係部署と協議をして対応を検討するというご答弁でございましたが、今現在強いアルカリ性を示している土地があるわけでございます。そこに新市場の整備は適切であると都は考えているのか。そしてまた、適切であると考えているのであれば、問題はないのか、改めて見解をお伺いいたします。

○後藤新市場建設調整担当部長 原因となる物質がカルシウムということで、この点では問題はないというふうに私どもは判断しておりますが、開場後も強アルカリ性の排水が生じるようなことを想定いたしますと、工事中からきちんと処理をした上で排水することは必要だというふうには認識しております。
 したがいまして、現在行われております専門家会議の先生方の議論等を踏まえて、措置を検討してまいりたいというふうに考えております。

○大沢委員 加えて、先ほどありましたように、強いアルカリ性を示す排水が東京湾に流れているという現状もあるわけでございます。この強いアルカリ性を示す水が東京湾に流れ込むということは私も好ましくないことだと思いますので、早急に対策を行っていただきたいということを、私からも強く要望させていただきます。
 次に、東京都がこれから行う追加調査で新たに土壌汚染が見つかった場合、その処理についてはだれが行い、そしてまた、その費用はだれが負担するのかをお伺いいたします。

○後藤新市場建設調整担当部長 豊洲新市場予定地における汚染物質の処理等につきましては、汚染原因者の負担でございます。したがいまして、東京都は平成十七年五月、東京ガス株式会社との間で、処理基準を超える操業由来の汚染土壌について、同社が適切に処理を行うという内容の確認書を取り交わしております。

○大沢委員 わかりました。それでは、新たに土壌汚染が発生したということは、しっかりと法的にも東京ガスが費用の負担や、その除去を行うことが明確にされているということで安心したわけでございます。
 最後に申し上げさせていただきますが、冒頭にも申し上げたように、土壌汚染という言葉がひとり歩きいたしますと、私どもの住む地域にとっても大変マイナスでございますし、近隣ではさまざまなアミューズメント施設や新たな住宅が建っている事実、もう皆様方ご承知だと思っております。
 そしてまた、今までの議論の中において、市場関係者の方に大きく焦点が当てられているというふうにも私は感じたわけでございます。まさに市場の移転問題というものは、市場関係者の働く、そしてまた暮らしの糧になるところでございますから、大きく意見を聞いて、よりよい市場をつくっていくというのは当たり前のことでございますが、一方で、受け入れる立場もあるわけでございます。
 受け入れる方の豊洲の住民というものは、新たに大きな施設が来てどのようなことが行われるのか、全く未知数な心配をしなくてはならないような状況でありますし、また、今ある築地の現状の中においても、トラックが早朝というか夜遅くというか、路上にとまってアイドリングをして、荷物を入れるところを待っている。それが渋滞を引き起こしたり、近隣の環境の悪化を招いているというような現状を豊洲の方々も目の当たりにしているわけでございますから、そういうような部分も、近隣対策、地元対策もしっかりとやっていただきたいと思います。
 重ね重ねになりますが、土壌汚染があると大げさに喧伝されることは、私は、地元選出の都議会議員として好ましくないことで、大変怒りにも感じる、そしてまた心配をしているものでございます。食品を取り扱う市場の重要性をかんがみれば、しっかりとした調査と十分な対策こそが求められていくのであろう、そしてまた、やっていかなければならないと思います。
 そのことが、地元で暮らす方々、そしてまた広く都民の安心・安全につながり、この問題というものを解決して、先ほど答弁にもありましたが、市場で働く方々の約四割強の方が債務超過に陥っているという大変厳しい状況もあるわけでございますから、しっかりとこの問題を幅広い面から検討して解決していくように、情報も公開し、そしてまた都の皆様方のしっかりとした誠意を見せていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。

○石毛委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時四十六分休憩

   午後四時五十八分開議

○石毛委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○清水委員 石原知事が選挙の中で、三月十八日のフジテレビの「報道二〇〇一」で、築地の問題について、各候補者が司会者からいろいろ質問を受けて、答弁をされたことを記憶されておられるでしょうか。
 一部なんですけれども、汚染がわかったことだから、それが都民の皆さんの不安をあおっているなら、少しおくれるかもしれないが、調査をして--司会者が、不安に思っているからやめるということではなくて。知事が、そうではない。司会者が、立ちどまる。知事が、そうではなく、もう一回前進のつもりで、多くの専門家の意見を聞いて。司会者が、再調査で豊洲に問題があったとしてもやるのかといったところ、知事は、あったら中止だということをテレビ番組でいいました。
 こういうような、繰り返し、専門家の意見を聞いてというような発言がたびたび知事選の中でされて、それで今回の土壌汚染等対策等に関する専門家会議につながっていったというふうに考えるわけです。
 先ほども何人もの方からお話がありましたけれども、この専門家委員の構成や、会議の当日の様子や日程などについて、私たちだけじゃなくて、いろいろと意見が出されているということで、先ほども具体的な内容のご答弁の中で、今は専門家会議で検討しているからということが繰り返しありました。
 ですから、この専門家会議の結論が出されれば、それについて、専門家会議の先生が結論を出したんだからということで、これが中心的な方向になっていくということは、先ほどからご答弁されていますから、そういうふうになっていくものというふうに思うわけです。
 それで、先ほどから出されているんですけれども、私も四人では少ないなということを思っています。それはお聞きしませんけれども、少ないということや、東京の重大問題であるにもかかわらず東京の先生がいないとか、それから液状化問題なども、先ほど指摘がありましたように、そういう問題の専門家だとか、ご紹介ありましたけれども、食品安全の問題にかかわる方だとか、それから何よりも公平だ、公正だというのであれば、住民と一緒に研究を進めている先生など、せめて一人は環境学会の先生を入れられないのかという要請などが出されていたわけです。それが入れられていないわけですけれども、それらの質問についてどのように対応されてきたのか伺います。

○後藤新市場建設調整担当部長 何点かのご質問がございましたが、まず、なぜ東京の先生がいないのかというような趣旨のご質問がございました。
 これにつきましては、私どもは別に関西の方をあえて選んだわけではございませんで、地域にとらわれず、それぞれの分野に精通した専門家の中から、実際の研究内容や、過去に土壌汚染問題に取り組んだ実績などを考慮いたしまして、公正に選定した結果、この構成になったものでございます。
 あとは、分野につきましては、先ほど来ご説明いたしました市場の土壌汚染の対策、検証ということでございますので、有害物質、水質、土質、環境保健の四分野が、必要かつ十分な専門分野であろうというふうに判断した次第でございます。

○清水委員 なぜ公平でない、公正でないといっているのか、承知をされておられるでしょうかね。
 それぞれの先生のお立場を私がいう立場ではないんですけれども、この土壌汚染問題というのが、今、環境省に対策を迫る一番きっかけになったのが大阪でアメニティパークという再開発の問題で、土壌、地下水問題で日本で初めて刑事事件にまで発展した大阪アメニティパーク、OAPというアメニティパークという問題がありました。
 三菱金属大阪精錬所跡地約六万平米を再開発し、複合施設、ホテル、オフィス、マンションなどが二〇〇二年に全面オープンしました。その直後、表層土壌から汚染物質、セレン、砒素、鉛などが存在することが明らかになり、中には環境基準を三千五百倍も超えるものが出されたということを、建築の新聞などが公表して、住民が大問題にしたということで、これは長い間、当時の地域の大きな問題だったわけです。
 事業者は三菱地所など四社ですが、生活安全面に影響ないというようなことで対応してきましたが、二〇〇四年に大阪府警が宅建業法違反、そして、三菱地所やマテリアルという会社が書類送検され、中は省略しますけど、結果的に管理組合に七十五億の補償金、そして環境対策費などで合意したわけです。
 その過程で、二〇〇五年の七月から、それまでにも検討委員会って学識の方がいらっしゃったんですけれども、技術評価検討会というものが立ち上げられ、この対策が周到かどうかというようなことで設置されて、開かれたようです。
 その委員長が、今回の専門家会議の委員長さんなんですね。この会議には、住民代表と住民が推薦する学識者も二人同時に入ったということで、いろいろ注目されたわけです。結局、事業者が汚染の事実を隠し続けていたということになったわけですけれども、私が聞いたところによると、この委員長さんは、この技術評価検討会というのは非公開のもののようですけれども、事業者側の主張に沿った発言をしてきているというふうに聞いているわけです。
 そういう経過があるから、この問題、本当に多くの方々、関係者が心配し、そして疑問に思っている中で議論される会議なんだから、公正に、公平にしてほしいと。一人、環境学会の先生を入れることはどうかということにもこたえられなかったわけですね。そのことを問題にしているわけです。
 それで私は、今からでも少しでも公平性を持つ会議にするためにも、そういう先生の会議への参加を要求しておきたいというふうに思います。
 当日のお話は先ほどされました。多忙で日程が合わないというのは、どの審議会でも同じなんですけれども、会議の内容も、私も読ませていただきましたけれども、傍聴者の人たちが、この会議のお一人欠席とか、先生方の責任ではないと思うんですけれども、こういう大事な会議に第一回目に全員がそろわないというのは何なのかと。会議を設定して、九月に答申を出す、回答を出すということを余りにも急ぎ過ぎているんじゃないかという批判があるわけですね。
 私は、そうであれば非常にゆゆしき問題だということだと思うんですけれども、そういう調整というのが、先生方の日程に合わせて、例えばもっとおくれてもできなかったのかという問題ではいかがですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 第一回目の専門家会議につきましても、十分な日程調整のもと会議を設定したわけでございますが、やむを得ない事情で委員が欠席となったものでございます。五月中の第一回目の開催というのは、私どももできるだけ早くやりたいという思いもございましたし、先生方もできるだけ早くやった方がいいというお考えもございまして、あのような日程設定になったものでございます。
 しかしながら、先ほど来、門脇先生や遠藤先生からのご指摘もございました。今、委員からのご指摘もございましたので、今後は委員との事前調整をさらに綿密に行って、全員参加のもと会議が行われるよう努めてまいります。

○清水委員 公正、公平という議論が、現在選定されている構成の先生方でも少なくともされなければいけないという点で、しかも都民への情報公開という観点から、委員会の専門家の先生と、それ以外の専門の先生、入れなかった先生、それから都民や傍聴者などと、この会議が公開討論を行うということについてはどう思いますか。

○後藤新市場建設調整担当部長 公開討論につきましては、先ほどお答えいたしましたが、土壌汚染対策を含めまして、広く都民と情報を共有して、事業への理解と信頼を得ることが必要であるという認識は持ってございます。
 専門家会議につきましても、会議を公開で行うということとともに、会議終了後速やかに会議の資料及び議事録などをホームページで公開するなど、透明性ある会議運営と都民との情報共有に努めてまいります。
 第一回目会議の後の記者会見の中で、委員の先生から、傍聴者への対応について発言がございましたので、今後、まず傍聴者の方々との質疑を受ける機会について、委員と調整してまいります。

○清水委員 私は、傍聴者の人数なども後からお聞きするわけですけれども、傍聴者だけでなくて、広く都民もそこに参加できるようにしていただきたいということを要望しておきます。
 それで、傍聴人数をふやすということについてですけれども、大変関心が高く、当日も、四十人の定員に百二十人近くの傍聴希望者が集まったわけです。私も小竹議員と傍聴を希望して、くじを引きましたが、残念ながら当たりませんでした。その中から四十人が傍聴の権利を受けました。
 お聞きしてたら、遠くは筑波大学の附属の高校生も、非常に関心があって、いたようです。一人だけ入れたということで喜んでいました。都民の関心が高い問題で、何で希望者を全員傍聴させられないのかということについては、ご答弁をいただいているんですけれども、私はこれは納得できません。お答えください。

○後藤新市場建設調整担当部長 専門家会議の傍聴者数でございますが、これは専門家の方々に密度の濃い実質的な討議をしていただくために、議論に集中できる静ひつな環境が保てるよう、一定の枠を設けさせていただきました。
 引き続き、この運営体制で会議を進めてまいります。

○清水委員 その静かな環境でというのはどういうことですか。傍聴者は発言などをするわけではないし、傍聴するわけですから、何で四十人に区切られなきゃいけないのか。じゃ、この部屋の全体の入れる人数は、どういうお部屋ですか。

○後藤新市場建設調整担当部長 せんだって一回目を行いました都庁の第二庁舎のホールの定員、定数でございますけれども、通常の机といすを置いての定員は約百五十名、それを講義形式でぎちぎちに詰めた場合は約二百人弱というふうに聞いております。

○清水委員 以前に、男女平等参画審議会、今も続いていますけれども、そこの傍聴についても、私たち、傍聴させてほしいということで強く要求してきて、最初は二十人だったんですけれども、女性の団体なども要求して、三十人になった。十人ふやしたんですね。その部屋は定員が五十六人ということで、委員の先生方もすごく多いですから、二十人ぐらいいましたから、局と報道関係者と傍聴者が大変密接にかなり近づいてお聞きしましたけれども、静かな環境で審議会を見守ったところです。
 そういう部屋の広さからいっても、区切ることはないし、十分ふやすことができる。それで、例えば国の審議会の中には、事前にインターネットで申し込みを行い、満杯の場合は第二会場も設けて参加させるとかということで、傍聴できなかった人の中には、都の姿勢は異常だと、足を運ばせておいて、入れないから帰すというのは非常識だなどといわれていた方もいました。ぜひ次の会議から傍聴数をふやしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、アスベストの問題についても先ほど質疑がされました。築地市場の現在地整備にかかわるアスベスト対策について、業界とどのような話し合いが行われてきたのか、お伺いします。

○越智新市場担当部長 アスベスト対策におきましては、除去工事を行うに当たりましては、アスベストが飛散しないよう現場をプラスチックシートで隔離し、内部の気圧を下げて管理を行い、関係者以外は立入禁止措置を講ずるなど、現場での厳重な管理が行われることとなります。
 こうした対策を行いつつローリング工事を進める場合には、市場業者の営業にも影響することから、工事区域の立入禁止措置や場内道路の通行制限など、業界の協力を必要といたします。こういったことから、現在地再整備におきましても、平成四年から六年にかけまして、アスベスト対策を行うローリング工事の手順等につきまして、業界と協議、調整を行った経緯がございます。

○清水委員 最後にいわれました四年から六年にかけての調整、協議の中で、不可能だと、極めて困難だというふうに--本会議では、営業活動に深刻な影響を及ぼすことになり、こうした面からも現在地再整備は不可能であるということを、アスベストの問題で、使用されているということでいわれているんですけれども、この現在地再整備はアスベストの問題で不可能であるということは、この協議、調整の中で下された問題なのでしょうか。

○越智新市場担当部長 平成三年から実施されました現在地再整備工事におきましても、アスベストが含まれている施設の工事を行っております。その際には、先ほど申し上げましたように、工事地域の立入禁止措置だとか、場内道路の通行制限などによりまして、スケジュールが二倍かかっております。
 そういった中で、工事期間が長くなるということで、その後も業界との調整が非常に難航してまいりまして、営業にも支障が生ずるということで、そういった面からも現在地再整備は不可能であるということでございます。

○清水委員 中央区が十二年十月に築地市場現在地再整備促進基礎調査というのを発表しているんですけれども、この中を読むと、アスベスト対策問題について、本調査において市場再整備を行う際にアスベスト対策の方策などが現在地再整備を行う上で問題はないことを以下に確認するというようなことで、ずっと書かれていて、現状では水産物部仲卸売り場などの天井部のみにアスベスト含有のスレートが使用されているにとどまると想定されると。しかし、現在地再整備を行うに際し幾つかのブロックに分けて十分な隔離を行った再整備を行うこととなっており、大阪市中央卸売市場においても整備上の問題点とはなっていないこともあり、築地市場で現在地再整備を行う上での問題になるとは考えにくいといえるというふうに、中央区の方ではまとめているんですけれども、どういうふうに考えますか。

○越智新市場担当部長 先ほどもお答えいたしましたように、現在地再整備工事におきまして、アスベストを含む建物を撤去して種地を確保するということを実施しております。
 平成七年ごろに、これまでのアスベストの基準がより厳しくなりまして、そういった関係からも、これから現在地再整備するには、過去の現在地再整備のときよりも厳しい条件の中で工事を行わなければなりませんので、不可能であるということでございます。

○清水委員 協議というのは四年から六年まで行われたわけですよ。今、七年といわれた。七年以降のさらに厳しくなった基準に基づいてやらなければいけないということでは、じゃ、今、現在地再整備を可能にするためには、アスベスト対策をどう行っていったらいいかという、協議とか調整とか知恵とか、そういうものを出し合うということは、今のご説明で私はされてないというふうに思うわけですね。
 今いわれたように、アスベストが飛散するから現在地再整備は無理だというふうな、現在地再整備は不可能の理由にこれを挙げているというのは非常に問題だというふうに思います。
 石原知事もそういうようなことをテレビの中で、アスベスト撤去した、撤去したということだなんていってるんですよね。これは撤去したと思うけど、発がん物質が使われているというのか、使われていたらしい、撤去しましたということだなんていって、あいまいなことをいいながら、現在地再整備は無理だということに使っているというのは、本当にひどい話だというふうに思います。
 次に、今お話しの中で種地の問題についてのご発言がありました。アスベストだけの問題ではありませんけれども、種地の問題でも、現在地での再整備は種地がないためできないと。
 本会議では、例えば晴海地区で種地を確保はできないのかという渡辺議員の質問の中で、条件に適合する市場外の土地を求めたが、確保できなかった、現在においてもこの状況に変わりないということをいわれているんですけれども、先ほど紹介した中央区のこの同じ中に、仮設用地確保、種地の確保の具体的な検討をされているんです。五カ所あって、一カ所はもう十二年に建設再開を決定しているので、市場種地に提供することはないとしているというんですが、築地市場近郊における、以下の仮設用地について調査・検討を試みたという中で、四カ所あるんですね。その中にも晴海の跡地もあります。
 東京都資材置き場・管理事務所とか中央区築地川東支川埋立地などということがありまして、これはかなり前のことですから、中央区のこれを作成した企画部の企画課長さん、当時の方ではない、かと思うんですけれども、一応確認して、こういう種地を中央区で報告書で出されていますけれども、現在どんなふうなお考えですかというようなことで、これは今でも私たちが考えている場所ですということをはっきりといわれているんです。
 それでお聞きしたいんですけれども、一番肝心なのは、市場の組合の要請の中で、ことしになって、いつあったのかわかりませんけれども、要請交渉があったんでしょうか。そのときに、現在地再整備はできるというふうにお答えになったと聞いていますけれども、そういうことを今まで進めてきているんじゃないんですか。実は現地再整備はできるんだというようなことをいっていると私は伺っています。

○越智新市場担当部長 私どもは、現在地再整備が困難になりまして、豊洲市場への移転を決定して以降、現在地再整備ができるといったような発言をしたことは一切ございません。

○清水委員 今は残念ながら、取扱量は昔みたいに少なくなっていると。この間いただいた資料では大体七割になっていて、これは残念なことなんです。だから、混雑をしていてローリング方式ができないという状態ではないというふうにいっているわけです。
 先ほど来、もう絶対に豊洲移転じゃなきゃ方法がないんだということでいわれているんですけれども、当時から、アスベスト対策もそうですよ、それから土壌汚染問題も。対策法ができてまだ三年目ですか。対策法ができるまでに、土壌汚染問題で、大阪のOAPなどに見られるように本当にさまざまな問題がわき起こって、それで対策法ができたということの中で、市場を取り巻く環境というのは、再整備か移転かという問題も含めて非常に変わってきていると思うんですよ。
 だから、私は、今の段階で豊洲移転が先にあるんだという立場であなた方が仕事を進めていったら、これは全くうまくいかないというふうに思うわけです。土壌汚染対策法ができたという国の動きの中で、国民とか都民の間に、土壌汚染という問題は深刻な問題なのだ、いろんなところから出ているからと。それは先ほどいわれたように、二十年話し合ってきてもう結論を下したというんだけれども、今そういう環境問題が起こっているから、都民や国民は関心を持たざるを得ないんですよ、それは。不安をあおっているどころじゃないんですよ、現実に。それで、やはり豊洲移転が先ありきだから、さまざまな対応が、そういう不信感になってあらわれてくるというふうに思うわけですね。
 土壌汚染対策法に基づいても、専門家の中には、土壌汚染対策法というのはいろいろな土地の利用を進める上での私有地の対策なので、主な七つの公害、水質汚濁法だとか振動だとか騒音だとか、そうした環境の取り締まりをする法律よりも、今回成立した土壌汚染対策法というのは本当にまだまだ問題があるんだと。土壌というのは、全部取っても取り切れないんだ。そういう中で、土壌汚染対策法というのは問題がある。しかし、さっきいわれたように、せめて土壌汚染対策法、問題がある対策法でもやったらどうかということをいっているわけなんですよ。
 だから、私たちも調査に行ってきましたが、大阪の市の中央市場の現在地再整備の初めてのモデルですよね。日本の中では初めてのモデルがやられて、いろいろな問題がありまして、私たちもあそこはちょっと豪華過ぎるんじゃないかなというような建物もありますけれども、しかし、この中央区の報告を見ると、そのモデルケース、ちょっと年代はまた違っていますけれども、しかし、ここは一回も中止をしたことがないと。徹底的に業者との話し合いで進んできたから、一回も立ちどまったことがないんだというようなことで、そして、国からモデルケースとしてのさまざまな取り組みをしてね。
 だから、今のままで市場の使用の実態を、これももう一回考えて、現在地再整備を可能にする対策を業者と業界と本当に話し合って進めることが必要じゃないかという点では、私は、豊洲新市場移転しかないんだという立場というのは本当に間違っていると。それは最終的な結論に行き着かないということで、この専門家会議一つとってみても、今後のきちんとした都民への情報公開、それから業者との話し合いなど、やっぱりそこに立ち返っていかなければいけないということを申し上げまして、質問を終わります。

○今村委員 大分時間も経過しておりますが、もうしばらくのおつき合いをいただきたいと思います。
 先ほど大沢委員からもお話があったとおり、私ども都議会民主党ではPTをつくり、五月二十八日に現地を視察してまいりました。その後、市場を考える会のメンバーなど関係者と会談を持ちました。私も、現地視察とその会談、両方参加させていただきました。そうしたことからいただいた問題点などについて、視点について質疑をしていきたいというふうに思います。
 まずはその中で、今回提案されている十八年度予算の繰り越し内容、すなわち補助三一五号線については、市場の真ん中を通る道路になる。つまり市場を分断することになるということで、変更を求める声が非常に強かったというふうにお聞きしました。
 私もこの四月に当選したばかりでありますので、過去の議事録を見てみますと、二〇〇四年九月二十八日の代表質問において、我が党の大塚たかあき議員が、その見直しを主張しております。
 そこで、この間の補助三一五号線をめぐる経過と東京都の対応について改めて確認をさせていただきたいと思います。

○河村参事 平成十七年九月の豊洲新市場実施計画のまとめにおきまして、補助三一五号線の高架化を踏まえた施設計画をお示ししますとともに、これを受けまして、平成十八年十月には基本設計について業界と合意いたしました。
 なお、補助三一五号線は臨海部の道路ネットワークの形成に寄与する重要な幹線道路でありまして、現在、地下鉄有楽町線豊洲駅がございます晴海通りとの交差点から環状二号線交差点までの間が完成しまして、供用を開始してございます。これに続きまして、環状二号線から湾岸線の有明スポーツセンター前の交差点までの間が現在工事施工中となってございます。したがいまして、補助三一五号線の位置を変更することはできません。

○今村委員 豊洲新市場が目指すべき方向として、計画的、効率的な施設整備ということが挙げられているというふうに思いますけれども、例えば仲卸は競り場と行き来するのに幅四十メートルの幹線道路の下を通らなければならないなど、非効率この上ないというふうに思えますけれども、仲卸などにとって効率的な配置になっているとお考えなのかどうか、お聞きしたいと思います。

○河村参事 二つの街区に分かれて配置されます卸売り場等と仲卸売り場等と一体的に使用するために、補助三一五号線高架部の下に、広い幅員の連絡通路四カ所を配置することとしておりまして、物流の効率化に配慮してございます。

○今村委員 物流の効率化に配慮して広い通りをつくるということですけれども、仲卸にとっては、今の築地と比べて非効率になることこの上ないと思いますし、これから五十年、百年ずっと使っていく中央卸売市場として、土地は一体で使える、これからいろいろな利用をするときにはその方がいいというふうに、私自身は思っております。
 先ほど、二〇〇六年十月に業界と合意をしたという答弁がありましたけれども、このことは市場関係者、特に東卸についても了解をしているということなのか、お聞きしたいと思います。また、東卸はそもそも現在地再整備を機関決定しておりますけれども、このことに矛盾がないか、お答えいただきたいと思います。

○越智新市場担当部長 連絡通路の配置及び規模につきましては、水産仲卸団体でございます東卸組合も含みます市場関係団体と東京都で構成されております新市場建設協議会で了承を得ております。また、東卸組合は、新市場建設協議会を初めさまざまな協議の場に積極的に参加しておりまして、貴重なご意見をいただいております。こういったことから、東京都は新市場整備の検討に協力していただいていると理解しております。

○今村委員 今、東卸組合が協議の場に積極的に参加しているという認識のようでありましたけれども、東卸は、東卸不在のまま勝手に物事が決まってしまうことを懸念して、やむなく代表を送っているというふうに私は聞いております。
 そのことが顕著にあらわれているのが、市場を考える会が四月中旬に実施した豊洲新市場に係る意向調査であります。調査の結果は、七百九十七店舗のうち、豊洲新市場移転に賛成と答えたのが十票、反対が五百八十六票、どちらでもないが五十一票で、未提出が百五十票となっているそうであります。
 東京都はこの調査結果についてどのように受けとめているのか、お答えいただきたいと思います。

○越智新市場担当部長 アンケートが実施されたということについては承知しておりますが、アンケートの内容につきましては、一部団体が実施したものでございまして、全体の意見をあらわしたものかどうか、確たることは申し上げられません。
 しかしながら、市場業界の中に反対の意見があることは事実でございまして、その背景には、長い歴史を有し、食の中心であった築地市場に対する強い愛着とともに、移転費用や移転後の営業の不安などがあるというふうに考えております。
 今後とも東京都といたしましては、そのような不安を払拭するために、市場業者に対しまして引き続き協議会等におきまして合意の形成に努めるとともに、移転に反対する人々も含めまして、新市場の整備内容につきましてきめ細かく説明会を開催し、情報の提供や話し合いを行うことによりまして、理解と協力を求めてまいります。

○今村委員 今、反対の背景には移転の費用や移転後の営業の不安という答弁がありましたけれども、そもそも東京都のやり方に不信感を抱いているのが大きな根本的な要因だというふうな感じがいたします。
 ところで、五月十九日の今話題になっております専門家会議の終了後、座長を務める平田健正和歌山大システム工学部教授から、豊洲のリスクについて、市場関係者を中心とする都民の合意が重要という見解が示されております。東京都としても市場関係者の意向調査を改めて実施すべきと考えますけれども、どうお考えでしょうか。

○越智新市場担当部長 平田先生のご発言は、東京都が市場関係者を初めとする都民への理解を得る努力をすることが必要といった趣旨で述べたものでございまして、市場関係者の意向調査を実施すべきとの見解を示したわけではございません。
 都といたしましては、新市場建設協議会を初め、さまざまな協議の場で関係団体の方々と緊密に協議し、その意見や要望を最大限取り入れながら検討を行ってきておりまして、改めて意向調査をする考えはございません。

○今村委員 今、東卸の問題を話しておりますけれども、東卸が一九九八年六月に機関決定をして東京都に文書を出しています。業界各団体の一致した意見などが確認できる文書の提出をといわれて出されたものであるそうでありますので、東京都の責任ある対応がこれからも求められるというふうに思います。
 先ほどの質疑の中で、門脇委員から、都民や市場関係者に説明責任を果たしていただきたい、こういう質問がありましたけれども、私は特に、現在地再整備を機関決定している東卸に対して東京都は主体的に説明責任を果たしていくべきと考えますけれども、見解をお聞かせください。

○越智新市場担当部長 平成十八年十二月、四日間にわたりまして、水産、青果、仲卸組合の全組合員を対象といたしまして説明会を実施し、豊洲移転や施設整備に係るさまざまなご意見、ご要望をいただいております。
 今後とも、市場業者に対しまして引き続き協議会等で合意形成に努めるとともに、きめ細かく説明会を開催し、あらゆる機会をとらえまして積極的に豊洲移転に関する情報提供や話し合いを行うことによりまして、業界の理解と協力を求めてまいります。

○今村委員 そうはいっても仲卸の人からは、豊洲の具体的な話が全く見えてこないということもありますので、少し今度はそちらの話をしたいと思います。
 例えば店舗の面積について、昨年十月二十五日の決算委員会において、我が党の小沢昌也議員が、仲卸業者は約八百者いるのに、豊洲では三百程度の小間しか用意されていないのではないかというふうに質問をしております。現時点での店舗の規模について、この考え方をお聞かせいただきたいと思います。

○河村参事 豊洲の新市場では、希望する仲卸業者すべての方に移転していただくことを考えておりまして、現築地市場の店舗面積約一万二千平方メートルに対し、同規模の店舗面積を確保した上で、荷さばきスペースと合わせ約三万平方メートルの計画としてございます。
 具体的な店舗の数や一店舗当たりの面積につきましては、今後業界と協議し、確定していくこととしておりまして、必要ならば現在の築地市場の店舗数千六百二十八を確保することも十分可能であると考えております。現時点において大幅に店舗数が減少する計画となっているのではないかというのは誤解であります。

○今村委員 ただいま、店舗が約一万二千平方メートルということで、千六百小間以上を確保することが可能というふうにお答えをいただきましたけれども、そうであるならば、一小間当たりの面積は決まってくると思います。その上で作業場と売り場の分離や手洗い場の設置など、現在の衛生基準を適用すると、豊洲では実質的に店舗が運営できなくなるというふうにもお聞きしておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
 また、このような問題が生じるのは、主に一小間しか持っていない業者さんでありますけれども、築地市場では、一小間しか持っていない事業者はどのくらいいるのか、お答えをいただきたいと思います。

○河村参事 店舗の具体的な形状、また必要とする設備等の詳細につきましては、今後業界と協議してまいりますが、隣接する荷さばきスペースとの関係も勘案しながら、衛生基準を満たし、かつ使用する業者の方々が使いやすい店舗としてまいります。
 また、築地市場の水産仲卸業者の数は、五月末現在七百九十五業者でございます。その中には、一店舗で営業している業者から、十六店舗を使用している業者までございます。このうち一店舗で営業している業者は全体の四七%、三百七十七業者でございます。

○今村委員 現在の築地市場には、千六百小間のところに七百九十五の事業者がいるということでありましたけれども、事業者が競りに参加する場合は売買参加章が必要になります。複数の小間を持っている事業者と売買参加章の数はどのような相関関係にあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○荒井事業部長 市場では、仲卸業者や売買参加者が卸売業者の行う卸売に参加するときには、東京都から交付された売買参加章を、参加資格を証明するものとして着用することが義務づけられています。
 この売買参加章は、築地市場水産物部仲卸業者には原則として一店舗当たり一枚を交付しておりまして、複数店舗を持つ業者には店舗数に応じて交付しておりますので、約千六百枚発行しております。

○今村委員 原則としてということでありますので、約千六百枚交付ということでありましたけれども、辞退をしているところがあるというふうに聞いておりますし、そのように今とらせていただきました。
 そこで、今度、豊洲の使用料についてでありますけれども、東京都はことし二月の予算議会において、PFI事業者が決定することし十一月を目途に試算値を提示する予定だというふうに答弁をしておりました。その後、東京都は三月二十日に、PFIのスケジュールを当面三カ月延期することを発表しておりますけれども、豊洲の使用料については今どのような状況になっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○大野管理部長 豊洲新市場の使用料をどのように定めるかは、市場業者の方々が事業を継続していくに当たって最も重要な要素となるものと考えてございます。使用料の負担水準につきましては、PFI事業者が決定し、事業費が確定した段階で試算値をお示しすることといたしました。
 この方針に変わりはございませんが、都といたしましては、本年九月を目途に予定しております土壌汚染対策等に関する専門家会議の提言を受けまして、土壌汚染対策を踏まえつつ、新市場整備に係るPFIスケジュールを見直す予定であります。その段階で改めて試算値を提示する時期を明らかにしてまいります。

○今村委員 代表質問では、我が党では施設の計画の見直しを主張いたしまして、東京都も業界との協議結果及び専門家会議の提言を踏まえ、必要な修正を加え、基本設計を確定していくというふうに答弁をしております。
 私は、よりよい市場機能を提示していただくためにも、業界団体からの意見を十分に踏まえ、そして、働いている人の意見を十分に踏まえていただいて、さらに踏み込んだ施設計画の見直しを改めて要望し、本当につくるならば、五十年、百年きちっと責任の持てる市場にしていただきたいということを強く求めて、質問を終わらせていただきます。

○石毛委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○石毛委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項については、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 本日は長い間まことにご苦労さまでございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十三分散会

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