経済・港湾委員会速記録第十五号

平成十八年十二月十一日(月曜日)
第八委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長石毛しげる君
副委員長原田 恭子君
副委員長三宅 茂樹君
理事門脇ふみよし君
理事鈴木貫太郎君
理事松原 忠義君
遠藤  守君
田中たけし君
小竹ひろ子君
清水ひで子君
花輪ともふみ君
大沢  昇君
山崎 孝明君
川島 忠一君

欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長津島 隆一君
技監樋口 和行君
総務部長斉藤 一美君
監理団体改革担当部長岡田  至君
港湾経営部長江津 定年君
港湾経営改革担当部長小林 敏雄君
臨海開発部長鈴木 雅久君
開発調整担当部長余湖由紀夫君
参事藤原 正久君
港湾整備部長尾田 俊雄君
計画調整担当部長山本  浩君
離島港湾部長飯尾  豊君
参事室星  健君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 港湾局関係
契約議案の調査
・第二百四十三号議案 平成十八年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百七号議案 平成十八年度東京都臨海地域開発事業会計補正予算(第一号)
・第二百四十六号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
・第二百四十七号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
・第二百四十八号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて
報告事項(質疑)
・臨海三セク三社の再生計画案について
・持株会社の設立について

○石毛委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○石毛委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の契約議案の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十八年十二月八日
東京都議会議長 川島 忠一
経済・港湾委員長 石毛しげる殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第二百四十三号議案 平成十八年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事請負契約
2 提出期限 平成十八年十二月十一日(月)

○石毛委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百四十三号議案を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○斉藤総務部長 十一月二十七日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、契約議案関係の資料は一項目でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、平成十八年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事入札の実施状況でございます。
 当該工事における入札者氏名及び入札金額をお示ししてございます。
 なお、入札金額は、消費税及び地方消費税の額を含まない金額でございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 簡単でございますが、ご要求のあった資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○小竹委員 新海面処分場Gブロックの西側護岸工事もこれで一応終わり、西側については終わりということになって、南側の一部を除いてGブロックの完成ということになるわけですけれども、現在、新海面処分場はBブロック、Cブロックでの埋め立てが行われているというふうに思います。それぞれブロックの容量と、昨年度末までの処分実績がどうなっているか、お伺いいたします。

○尾田港湾整備部長 新海面処分場の埋め立てに当たりましては、まず、しゅんせつ土により海面上まで埋め立て、でき上がった土地の上に廃棄物の処分を行い、廃棄物が海面下にならないような工夫をして埋め立てを行っております。
 Bブロックの容量につきましては、二千百三十万立米でございます。十七年度末までの処分実績は一千十二万立米、処分率は約四八%になっております。既にしゅんせつ土で埋め立ては完了してございます。
 Cブロックの容量は二千二百三十万立米であり、平成十七年度末までの処分実績は五百五十七万立米で、処分率は約二五%となっております。これらはすべてしゅんせつ土であり、処分容量に占める割合は約四一%でございます。
 なお、Cブロックでは、処分容量を増大させるための工事を実施するため、平成二十一年度からしゅんせつ土の搬入ができなくなります。このため、Gブロックの整備を着実に進めていく必要があるというふうに考えております。

○小竹委員 しゅんせつ土についてはもういっぱいだから、Gブロックを着実に進めるのだというお話ですけれども、海面をこれ以上埋め立てで減らしてしまうという、貴重な自然を壊すという点でいっても、やはりそのしゅんせつ土についても、埋め立てでない有効活用の方向について検討していく必要があるのじゃないかというふうに思います。
 BブロックもCブロックも、この間の埋め立て量については、一年前と比べると、Bブロックで八%増、Cブロックで六%増ということですから、まだまだ残容量があるという点でいえば、廃棄物の減量化を進めることや、埋立地を延命化させる手だてをとる必要があるのではないかというふうに思います。この点は指摘をしておきたいと思います。
 Gブロックの西側の護岸工事が今回の契約で完了するわけですけれども、あと南側の一部分が残っているということでは、今後、Gブロックの護岸工事はどういうふうに進めていくのか、そして、その後の埋め立て計画はどのようになっていくのか、引き続いてお伺いします。

○尾田港湾整備部長 新海面処分場につきましては、減量化だとか有効利用等については最大限行っております。
 Gブロックの護岸につきましては、平成二十年度に概成する予定でありまして、平成二十一年度からしゅんせつ土などを受け入れることとしております。

○小竹委員 着々と進んでいくということのご答弁ですけれども、やはりしゅんせつ土についても、本当に埋め立てでない形での検討を進めていただきたいということは要望しておきます。
 同時に、これまでの工事費、莫大なものがかかっているというふうに思うんですけれども、とりあえずこれまでのGブロックの護岸整備、それから地盤改良も含めてですけれども、一体幾らかかってきたのか、その事業費についてお伺いいたします。

○尾田港湾整備部長 Gブロックの護岸整備費としましては、事業費は平成十七年度末までに約四百十四億円となっております。
 なお、こうした新海面処分場の整備は、東京の活力を維持し、都民生活を支えていく上で必要不可欠な事業であります。今後とも、廃棄物の減量化を図りつつ、計画的に、着実に護岸整備を進めていく予定であります。

○小竹委員 東京の活力ということで、護岸整備を着実に進めていくんだというお答えですけれども、やはり今お答えいただいたように、新海面処分場の整備の事業費という点で見ると、Gブロックだけで今回の工事六億三千万ですから、今お答えいただいたのと合わせれば、四百二十億円を超える莫大な事業費になっているということです。その上に、貴重な海面を埋め立てて自然環境に負荷を与えるというふうなことですから、これ以上負荷をかけるべきではないというふうに私たちは考えています。
 今も徹底した努力をしておられるというふうにお答えいただきましたけれども、確かにこの間、延命化を図るための努力がされていることは認めますが、さらなる減量化や、そしてまた、一回掘り返して圧密を加えて、埋め立ての容量をふやしていくというふうなことでの延命化などを図っていくことが最優先されるべきだというふうに考えます。
 この先、まだ工事をしていないDブロック、Eブロック、Fブロックがあるわけですけれども、こういう工事については私は慎重にするべきだし、今後、廃棄物の減量や延命化によって、できるだけ海面として残していけるような手だてをとるべきだということを申し上げて、このことを求めていきたいと思います。
 あわせて、今度のこの護岸工事に伴う問題として、私は非常にひっかかっている問題があります。これまでの護岸工事や地盤改良の工事は、すべて予定価格の九七とか、九八、九九%という高い落札率で行われました。この問題を議論したときには、談合などがあるのじゃないかということも指摘したわけですけれども、今回の場合には、官製談合が大きな社会問題になっている中で、護岸工事で初めて六一・三%という低価格入札になっています。
 土木工事の場合に、三分の二は原材料の原価だというふうにいわれています。三分の二を割った場合には労務費が出ないというふうなことを関係者から伺っているわけですけれども、今回の工事は三分の二を割っている状況です。こういう点では、工事の品質の確保だとか、契約の内容の履行や働く人たちの安全性の確保、並びに下請へのしわ寄せなど、こういう問題の心配がありますが、こういう問題についてどのように対応していくのか、お伺いいたします。

○尾田港湾整備部長 低入札工事であるがために品質の低下を招いたり、安全管理がおろそかになることがあってはならないというふうに私どもも考えております。
 このため、東京都では、低入札があった場合は、落札決定を保留し、低入札価格調査制度に基づき、履行能力、経営状況、信用状態などの調査を行った上で、低入札価格審査委員会の審査を経て、最終的に落札者を決定してございます。
 当局の工事の実施に当たっては、品質の確保や工事中の安全管理を図るため、現場における施工管理に万全を期してございます。特に、本件のような低入札価格の工事におきましては、品質管理や安全管理等の徹底を図る観点から、受注業者に対し、豊富な施工実績を有する監理技術者の配置や綿密な施工計画の策定を強く指導しているところでございます。

○小竹委員 低価格入札の問題や、談合と同じでやはり犯罪的な行為だというふうなことで、国会でも大きな問題になっています。きちんとしたチェックをしていただくことは当然のこととして求めておきますけれども、今お話しいただいたように、都側がチェックをして、大丈夫なんだということで入札したということですけれども、今後、こういう低価格入札などもあり得る状況が一定続くのかなというふうに思うんですけれども、そういう意味でいっても、東京都の職員の方も、技術者の体制というのが、やはりこの間、行革や何かで人が減らされてきたり、団塊の世代の大量退職というふうなことを控えた場合に、技術者の確保というのが本当に大丈夫なんだろうかという点を感じざるを得ないわけです。
 この点では、やはりチェックできるような技術者の体制の確保ができるようにきちんとしていただくこと、この点については要望し、指摘をしておきます。
 この間、国会の国土交通委員会で、低価格入札やダンピングの受注について、我が党の穀田衆議院議員が取り上げました。その中で、やっぱり海の方の問題が出されているわけですけれども、沖縄の那覇港の海底トンネルの工事で、予定価格の六八・三%で大成建設が落札したこの問題を取り上げているわけです。この件は、落札価格が、下請業者に請け負わせる価格と、実際上一億円も安く入札の報告を出しているということが問題になっています。それがわかった結果、国の方は、差額については大成建設が責任を持って負担をさせるという誓約書を出させて契約した。それから、その後の措置として、契約後、不当廉売のおそれがあるとして、沖縄の公正取引室に報告をしたというふうなことで問題になりました。
 この議論の過程で、国土交通大臣も、低価格入札は、工事の手抜きや下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底などにつながりやすい、極端な低価格による受注は、公共工事の品質確保等にも大変な支障を及ぼしかねないと答えています。
 こういう点でも、今回、国の工事とは事業者も全く違いますけれども、低価格入札という点で見ると、今回の契約は、沖縄の工事の契約六八・三%に比べても、もっと低い六一・三%ということですから、そういう点では、決してこういう問題がないというふうなことはいえないのじゃないかという疑問を持ちます。
 入札問題については財務局でやらなければならないというふうなことで、お答えはいただけないわけですけれども、そういう点では、ここでは重大な問題として指摘をすると同時に、不当廉売による工事の手抜きや下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化のないように強く求めておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○石毛委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対し意見のある方は発言をお願いいたします。

○小竹委員 第二百四十三号議案について反対の意見を申し上げます。
 質疑でも明らかになったように、新海面処分場のBブロック、Cブロックの埋め立て実績においても、十年近い埋め立て量の確保がされています。さらなる廃棄物の減量化や土砂の有効活用などにより、延命化は可能です。
 新海面処分場は、建設当初から、過大な計画であること、また多額な建設資金を要することを指摘してきました。この点でも、さらに貴重な海面を埋め立て、自然環境への負荷を与えるという点からも、Gブロックの護岸建設工事を急ぐ必要はありません。
 その上、今回の契約は、官製談合の摘発が進む中で、公共工事における低価格入札となっています。独禁法で禁止する不公正な取引方法の不当廉売として問題になっています。採算を度外視した極端な安値受注が繰り返されれば、競争入札の公正な競争が成り立たなくなります。同時に、工事そのものの品質確保や工事の安全性、下請へのしわ寄せにつながりかねません。
 原価割れで入札する業者を排除することなども含めて検討する必要もあることを申し上げて、反対意見の表明を終わります。

○石毛委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案については、ただいまのご意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
     

○石毛委員長 次に、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二百七号議案及び第二百四十六号議案から第二百四十八号議案まで、並びに報告事項、臨海三セク三社の再生計画案について外一件を一括議題といたします。
 本案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○斉藤総務部長 十一月二十七日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、報告事項関係の資料は2から4までの三項目でございます。
 恐れ入りますが、二ページをお開き願います。2、臨海関係第三セクターの経営状況でございます。
 表側、会社名欄記載の第三セクター三社の平成八年度から十七年度までの営業損益、当期損益、累積損益の決算額を、億円単位でお示ししてございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 三ページをお開き願います。3、臨海関係第三セクターに係る金融機関業態別融資残高でございます。
 表頭記載の第三セクター三社の融資残高につきまして、表側記載の金融機関の業態別に、億円単位でお示ししてございます。
 なお、注記1のとおり、当該融資残高につきましては、東京地方裁判所の再生計画認可決定確定によりまして、三社が債務免除を受け、再生債権を一括弁済した後の金額となってございます。
 四ページをお開き願います。4、持ち株会社グループに参加する団体の経営状況でございます。
 表頭記載の各団体の平成十七度年決算の営業損益、当期損益、累積損益(利益剰余金)及び負債(長期借入金)の額を、億円単位でお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○松原委員 私は、まず、臨海三セクの民事再生についてお伺いしたいと思います。
 本定例会では、臨海三セクの民事再生にかかわります債権放棄の事件案及び臨海地域開発事業会計の補正予算案が提案されています。我が党の高島議員の代表質問への答弁によって、今回の民事再生の骨格、今後の収支計画の概要などが明らかになりましたけれども、本委員会では、さらに具体的に議論を進めてまいりたいと思います。
 代表質問の中でも触れましたように、都民に一定の負担をお願いする以上、どのように事業継続を図っていくのかを明らかにすることは非常に重要であります。我々都議会としましても、経営見通しなどを厳しくチェックし、都民の納得を得られるようにしていかなければならないと思っております。したがいまして、今までのことについては一々申し上げませんけれども、それだけに、理事者におかれましては、できる限り具体的に、かつ詳細に答弁されるようお願いしたいと思います。
 それでは、まず、再生計画案の全体像について把握したいと考えます。
 今回の臨海三セクの民事再生はどのような点に配慮しているのか、また、東京ファッションタウン、タイム二十四、いわゆる産労三セクのケースと比べて何か異なるところがあるのか、お尋ねしたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 今回の臨海三セクにおきましては、以下の四点につき勘案をいたしました。
 一つ目は、今後の開発を中断することなく推進するため、計画期間をできるだけ短くすることを目指しました。具体的には、法的には再生期間は十年以内とされてございますが、今回は手持ち資金を活用し、百五十七億円の一括弁済を実施することで、年度内には実質的に終了する。
 二つ目でございますが、敷金、保証金の保護策を十分徹底したことでございます。すなわち、債権者平等が原則ではございますが、テナントの入居の継続が安定したビル事業の確保につながることから、敷金や保証金につきまして、一定の条件つきながら保護対象といたしました。
 三つ目でございますが、中小企業者を特に配慮したことでございます。具体的には、通常、少額債権として保護されるのは三十万から五十万円程度でございますが、五百万円まで保護することとし、裁判所の許可を得たことでございます。
 四つ目は、都の新たな資金投入がないことでございます。再生債権弁済の資金を確保するため、スポンサーなどによりニューマネーが投入されることが少なくございませんが、今回の再生計画案では、それがないことでございます。これらは、平成十年度以降、経営安定化策の着実な実施により経営改善の成果を上げ、営業黒字となるなど、本業の収益力を強化したこと、内部留保金を確保できたことなどの成果と考えてございます。
 また、産労三セクの民事再生と異なる点でございますが、最も特徴的なところは、産労三セクでは債権者が金融債権者のみでございましたが、これに比べ臨海三セクは、金融債権者、敷金、保証金債権者、いわゆるテナントでございますが、そのほかに取引会社など、さまざまな債権者がいることから、その点の配慮や対応に苦慮したことでございます。

○松原委員 今、ご答弁いただいたわけですが、この答弁には三つのポイントがあると思うのです。
 まず一点目は、今回の民事再生というのは、平成十年に策定した経営安定化策が着実に経営改善の効果を上げたということであります。民事再生では、返済資金を提供するスポンサーが登場することが少なくありませんが、十分な手持ち現金があることから、スポンサーなしで百五十七億円の一括弁済も可能でありますし、再生計画の早期の終結を図ることができるということです。
 二点目としまして、産労三セクのケースでは、東京ビッグサイトへ事業統合によって民事再生の対象となった二社の事業は移管されていたのに比べて、臨海三セクのケースでは、民事再生の対象である東京テレポートセンターは、ビル事業を初めとするさまざまな事業を運営するいわゆる経営実体のある会社であり、テナントや取引業者など多くの関係者がおり、再生計画案の成否により大きな影響が出るということであります。
 三点目は、最後に、都の新たな投入資金はないということだと思います。これは一つ目のポイントである経営安定化策の成果と考えることもできますが、やはり指摘しておくべきポイントとしては、この辺が特に指摘しておきたいということで挙げたいと思います。
 さて、事前に説明を受けた再生計画案によりますと、東京地方裁判所による計画の認可決定が確定した後、再生債権について一括弁済し、実質的に再生計画は終了するわけであります。しかし、最近の法曹界では、担保つき債権である別除権債権などをどのように返済していくのかが重要であると認識されつつあるとのことであります。つまり、再生債権とは相殺金額の中から担保つき債権を除いたものであり、この再生債権が放棄の対象となるわけですから、この担保つき債権をしっかり返済できるかが重要であります。そこのところをきちんと検証しておかねばならないと思います。
 私も同様の考え方を持っておりますが、さらにそれに加えて、臨海三セクが、今後、企業集積拠点として臨海副都心開発へ一層の貢献をするためには、残債務の返済を行いつつ、安定した経営を確保することが重要と思います。
 そこで、別除権額千三百十一億円は返済できる見込みがあるのかということであります。これについては、今定例会の我が党の代表質問において、具体的な収支見通しを交えて明らかになったところでありますが、例えば代表質問への答弁にあった経常収支の見込みなど、もう少し掘り下げて詳しくお伺いいたしたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 別除権千三百十一億円を返済する二十五年間における収支見込みでございますが、営業利益などの経営指標を、五年目の平成二十二年以降、五年ごとにお示ししたいと思います。
 五年目の平成二十二年ですが、営業利益は八十二億円の黒、当期損益は三十億円の黒、累積損失は百四億円の黒となってございます。以下五年ごとでございますが、平成二十七年度の十年目でございますが、営業利益は七十九億円、当期利益は三十億円、累積は二百六十八億円の黒。十五年目になりますと、平成三十二年度ですが、営業利益は八十三億円、当期損益は三十七億円、累積は四百四十八億円の黒字となります。計画二十年目の平成三十七年度ですが、営業は八十三億円の黒、当期損益は四十二億円の黒、累積は六百四十六億円の黒となります。最終年度、計画の二十五年目の平成四十二年度ですが、営業は八十八億円の黒、当期損益は五十一億円の黒、累積は八百八十二億円の黒字を計上すると推計してございます。
 少し長くなりますが、これを詳細に、少し事項を追ってご説明させていただきたいと思います。
 まず最初の営業利益でございますが、これまで三十億円から四十億円の黒字でございましたけれども、二十五年間の期間を通じて、七十億円から九十億円と見込んでございます。
 それから、収入の柱でございますビル事業収入についてでございますが、平成十七年度の決算、さらには十八年度の見込みに加えまして、不動産の専門家の将来収益などをもとに推計いたしまして、十八年度とほぼ横ばいの百九十億円強と、かために試算してございます。
 一方、支出についてでございますが、減損会計適用による減価償却費が減少すること、委託費の削減などの内部努力を反映させたものとなってございまして、期間を通じて横ばいから微減で推移すると見込んでございます。また、底地の現物出資を受けることによりまして、地代負担が軽減されます。
 それから、支払い利息でございますが、二千百三十七億円の債権放棄を受けることで、これまでの約六十億円から二十六億円程度にまで圧縮されます。
 そうした結果によりまして、経常利益は、期間を通じまして四十億円から八十億円を確保できると見込んでございます。
 次に、返済計画についてでございますが、金利につきましては、現在の金利水準をもとに、将来の金利でありますフォワードレートや資産運用の還元利回りなど、専門家による検討を踏まえて検討してございます。現在の金融情勢を総合的に勘案いたしまして、ここ当面は二%程度、その後は穏やかに上昇することを想定し、リスクをのみ込んだものとなってございます。
 金融機関への総支払い額は、元本が千三百十一億円と、支払い利息でございますが約五百億円の合計一千八百十億円程度になります。また、その返済原資となるキャッシュフローでございますが、期間を通じて二千百三十億円と見込んでございます。これを年平均で申し上げますと、返済額が七十二億円ぐらいになるのに対しまして、その返済原資は八十五億円になりまして、十分安定的な経営を確保しつつ返済できると認識してございます。
 なお、別除権の協定では、十年短縮オプションという仕組みや繰り上げ返済条項も盛り込まれてございまして、さらに返済期間の短縮が見込めるものと認識してございます。
 最後になりますが、この収支計画につきましては、東京地方裁判所による審査が行われまして、計画の合理性ですとか実現可能性が確かめられたものと考えてございます。

○松原委員 ただいま非常に詳しい答弁をいただきました。今後、一言でいいますと、民事再生手続によって身軽になる。その結果、経営が安定することだというふうに考えます。
 しかし、これは考えてみれば当然のことでありまして、例えば十七年度の営業利益は六十億円に上るわけですが、それを上回る利払い負担のため、経常赤字が継続していたわけであります。今回、その重荷を取り除いたわけですから、今後は経常黒字が計上されるのもしごく当然であろうというふうに思います。
 話は横道にそれますが、逆に申し上げますというと、多額の借金を減らしさえすれば、本業はしっかりしているので十分経営再建はできるというのが、東京地方裁判所の判断ということであろうと考えております。民間でもよくこういうことはあるという話を聞いております。
 また、先ほどの答弁を聞いて、これからまだ金融機関に利息を払うのかという議論をする人もいるかもしれませんが、これは全くの見当違いではないかというふうに思います。融資を受けている以上、利子は支払うべきでありまして、これを否定することは、全く経済というものをよくわかっていないのじゃないかという感じがします。
 もっとも、支払い利息が少なければ、それにこしたことはありません。二十年、三十年という長期スパンですから、長い期間にわたって利息を支払い続ければ、借り入れた金額をかなり上回るのが当然であります。そのようなときに、例えばより低金利なものに借りかえたり、繰り上げ返済を行って元本を減らしたりすることが必要となってきます。よくこれは長期ローンで、家なんかでもこういうことをやりますけれども、答弁においても、さらに返済期間を短縮するためには、繰り上げ返済条項を盛り込んだとのことでした。あわせて、十年短縮オプションという仕掛けもつくったとのことですが、これは先ほどの説明ではよくわかりません。
 そこで、この十年短縮オプションなどを導入して、さらなる短縮が見込めるということなんですが、これはどういうことなのか、具体的にお示しいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 理事もご指摘のとおり、今後の金融機関への支払い額を減少させるには、元本返済額を減少させ、あわせて、これに伴う支払い利息額を減少させることが肝要でございます。一方、金融機関にも返済期間短縮の要望がございますことから、臨海三セクのキャッシュフローを勘案しつつ、一定の債権額について、合理的な再カットを適用することを条件として、十年の短縮オプションを設定したものでございます。
 十年短縮オプションの仕組みというものは以下のとおりでございまして、まず最初に、各債権者の五億五千万円以下の部分につきまして、債権者が望めば、二十五年間ではなく十年間で別除権債権の返済を行うというものでございます。ただし、臨海三セクが二十五年の期限の利益を失うことになりますため、オプションを選択した場合には、一八%の再カットを適用する。つまり、元本を一八%分だけカットするということでございます。
 具体的に申し上げますと、五億五千万円の債権についてオプションを選択した場合につきましては、四億五千万円につきまして十年間で返済いたします。一八%に相当する九千九百万円につきましては、追加で債権放棄をしてもらうという仕組みでございます。

○松原委員 なるほど、こういうことができるんですね。よくわかりました。
 それぞれ金融機関によって債権額の違いがありますから、全金融機関とはいかないでしょうけれども、お互いメリットがあるということですから、多くの金融機関が選択するのではないかというふうに思います。あくまでも机上の計算になりますが、五億五千万円について、全金融機関二十七社のうち、例えば十社だけでも選択したとすれば、九億九千万円の元本が減少するというわけですから、なかなかうまいシステムであるというふうに考えます。
 さて、ここまでの議論で、債権放棄等の財務リストラや現物出資などによって収益強化が図られること、別除権協定の中で、金融機関への総支払い額を減らすための工夫が凝らされていることなどがよくわかりました。しかし、都や金融機関など関係者が支援スキームをつくるだけでは、真に抜本的な改革とはいえないと思います。臨海三セク自身の努力、まずは本業である貸しビル事業をしっかりと安定させることが必要であります。我が党の代表質問に対して、民間不動産業者との業務提携を図り、積極的な営業展開を図るという答弁がありました。
 そこで、本業であるビル事業を今後どのように展開していくのか伺います。あわせて、入居率の見込みや賃料のトレンドなど、営業に差し支えのない範囲で結構ですから、お示しいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 今や臨海副都心は交通アクセスも充実し、不動産に対する強い引き合いがございます。臨海三セクビルにつきましても、臨海線や「ゆりかもめ」、晴海通りの延伸などによりまして、これまでの竹芝地区、台場地区だけでなく、有明地区につきましても入居率が上昇してきてございます。
 しかし、青海地区は、他の地区に比べまして苦戦していることから、この地区を重点的に営業を展開しているところでございます。まだ詳細にお話しできる段階ではございませんが、民間の不動産業者と連携をし、そのノウハウを活用した積極的な営業を実施する予定でございます。あわせて、テナントサービスの向上のため、社内の営業体制を見直すことも検討してございます。
 なお、民事再生手続を経て、十九年度に持ち株会社グループに参加することによりまして、本社の策定する経営戦略のもと、グループ企業との事業連携を図りまして、グループ全体のポテンシャルを活用しながら、営業展開を図ってまいります。
 二十七年度の臨海副都心のまちの概成に向けまして開発が一層進むことによりまして、入居率につきましては、七棟のビル全体で九二%程度にまで上昇すると見込んでございます。
 一方、営業上の理由から具体的な数字についてはお示しはできませんが、臨海副都心の不動産価格は現に上昇傾向にございまして、これに続いて、この地域の賃料水準も上昇する可能性が高いと考えてございます。しかし、収支計画は手がたく見込むため、あえて賃料水準は低下すると見込み、結果として、ビル事業収入につきましては、先ほどご説明申し上げましたけれども、百九十億円強と、十八年度とほぼ横ばいで推移すると試算してございます。

○松原委員 民間事業者との業務提携や持ち株会社グループ子会社間の連携を通じて、ビル事業の安定化にぜひこれからも努めていってほしいと思いますが、また、まちが成熟すれば、土地の価値が上がってまいります。とすれば、当然賃料水準が上昇するという可能性が高いと考えているのですが、今回の試算ではあえて手がたく賃料水準が低下すると仮定し、より安全な収支計画を立てていると私は理解いたします。
 また、我が党の代表質問に対しまして、地上系の情報通信事業の民間事業者への事業譲渡という答弁がなされていますが、この事業譲渡の具体的な内容というのはどういったものなのか、お尋ねしたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 今回の民事再生に当たりまして、臨海三セクの事業につきましても抜本的な見直しを実施いたしました。見直しに当たりましては、収益上の貢献だけでなく、臨海副都心開発が進展する中で、臨海三セクが果たすべき役割、民間事業者との役割分担、臨海地域内での利用者の利便性の向上に重点を置いたものでございます。
 その結果、地上系通信事業につきましては民間事業者に任せるべきであるとの結論に達して、具体的には、KDDI株式会社と事業譲渡につき合意いたしたものでございます。譲渡価格は五億円弱で、これは弁済原資の一部に繰り入れる予定でございます。

○松原委員 わかりました。
 今回は地上系通信事業の譲渡ということですけれども、今後とも臨海三セクの役割や事業のあり方について不断に見直しをしていってもらいたいと思います。そして、よりよい事業体系を構築して、開発の推進に貢献してもらいたいと考えます。
 さて、来年、十九年の八月に、臨海三セクを持ち株会社グループに参加させるという答弁がありましたけれども、これまで都の行っていた説明では、経営基盤が強化された段階でというものではなかったかと思いますが、これまでの議論で、損益計算によれば十分健全な企業として生まれ変わることは確認できましたけれども、やはり臨海三セクの最大の問題といわれてきた債務超過の問題はやはり明確に説明しなければ、都民の納得を得られるものではないと思います。
 そこで、経営基盤が強化されたという条件は本当にクリアにされているのか、バランスシートなど具体的に説明をお願いいたしたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 ご指摘のように、経営基盤が強化されたというためには、営業利益、経常利益の黒字だけでなく、バランスシートにおける資産と負債のバランス、すなわち、債務超過が解消されているかも大きな要素でございます。債権放棄、現物出資など一連の民事再生手続を経まして、債務超過にある負債が資産評価見合いまで圧縮され、平成十九年度には、債務超過状態が解消されます。
 具体的には、裁判所の関与のもと、不動産鑑定士などの専門家によりまして資産の価値が評価され、臨海三セクにおきましては一千三百十一億円と決定されたものでございます。三千六百十一億円あった負債を一千三百十一億円にまで圧縮し、その差額二千三百億円について、再生計画により債権放棄などを行うことになるものでございます。その後、有明、台場、青海の各フロンティアビル、そしてテレコムセンタービルの底地、現段階では三百億円程度と試算してございますが、この底地を現物出資を行うことから、臨海三セクは債務超過状態を解消し、資産が負債を上回る会社になるものでございます。

○松原委員 単純に今の答弁を聞くと、千三百十一億円プラス三百億円で、千六百十一億円の会社になる。しかし、私の理解では、裁判所の行う財産評定は民事再生申し立て時の資産について評価をするはずであります。申し立て時においては、臨海三セクの資産は借地権つき建物として評価されていたわけで、ここに底地が現物出資されますので、土地つき建物としての評価となりまして、恐らく単純計算として、今述べた千六百億円以上の資産価値を有するのではないかというふうに私は考えます。いずれにしろ、これは大変な資産を有する会社になるわけで、かつ、損益計算上も黒字を計上する見込みであるとすれば、経営基盤は抜本的に強化されたといえると思います。
 これをもう少し角度を変えてこの点を確認していきたいと思いますが、委員会報告資料にも記載がありましたけれども、民事再生では、東京地方裁判所から任命された監督委員が、再生計画案の作成に深くかかわっています。監督委員は通常弁護士が任命されるようですが、監督委員代理人として複数の弁護士が、監督委員補助者として公認会計士と税理士が、これも複数任命されています。こうした専門家によって収支計画もチェックされるシステムであると聞いていますけれども、監督委員がこの再生計画に関してどのような見解を持ったのか、お伺いいたしたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 監督委員からは、再生計画案は合理性があり、実現可能性を有する相当なものであり、債権者集会において可決された場合には、認可するのが相当であるとの意見を裁判所に申し述べていると聞いてございます。

○松原委員 ただいまのように、専門家が認めて、裁判所もこの計画案が妥当であると判断したからこそ、案が債権者に提示されて、この十二月二十日に債権者集会が開催されることが決定されたわけであります。また、民事再生手続開始を申し立てて以降、競売などの申し立てを行う金融機関はなく、今日の再生計画案提示という段階に至りました。このこともまた、金融機関が、臨海三セクの経営再建について異論がないことにほかならないと私は思います。
 しかしながら、巨額の債権放棄を前提とする抜本的な経営再建ですから、債権者や株主への理解と協力を求めるに当たっては、会社側の姿勢というものも何らかの形であらわすことも考えられるわけですけれども、その点、局は会社から何か説明を受けているのか、お伺いいたしたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 ご指摘のように、債権者集会で再生計画案の可決を得るには、債権者の理解と協力を得る必要がございまして、そのためには、会社としての姿勢を示すことがかぎを握ると思います。
 臨海三セクの経営陣は、抜本的経営改革を実施するに当たりまして、民間の事例に倣い、率先垂範してみずから二分の一の報酬カットをしたと聞いてございます。金融機関を初めとする関係者への真摯な対応をとりつつ、経営陣は、確かな経営再建の道筋をつけるため、全力を尽くしてございます。

○松原委員 確かに経営陣がみずから、抜本的な経営のために会社の姿勢を強く示していくということは大事だというふうに思います。
 質疑を通じて、この再生計画案の実施によって、臨海三セクが安定した経営を確保できることは十分確認できました。この再生計画が絵にかいたもちにならないように、都はしっかりと指導していってもらいたいと思います。
 次に、持ち株会社の設立についてお伺いしたいと思います。
 五月の構想発表以来、第二回、第三回定例会の本委員会の中で、その意義、効果、設立の流れや組織など、さまざまな面から議論があり、それを踏まえて今回の報告がありました。私としてみれば、短期間でよくまとめたと評価していますが、これで終わったわけではなくて、スタート台に立ったということにすぎないと思います。
 本会議の我が党の代表質問でも取り上げましたけれども、持ち株会社を設立し、単なる監理団体の集合体という形をつくるだけでは、何の意味もあるわけではありません。重要なことは、持ち株会社グループが持つ資源、可能性を最大限に駆使して、臨海地域の主要課題である東京港の国際競争力の強化や臨海副都心のまちづくりに積極的に活用していくことだと思います。本委員会でも、このようなスタンスに立って、何点かお伺いしたいと思います。
 代表質問では、持ち株会社グループの事業展開に関する質問に対して、臨海地域が機能や魅力の向上を図るには、その諸課題の解決が必要であり、グループは総合力を生かした複合的なサービスを行っていくという答弁がありました。
 そこで、まず、臨海地域の抱える課題について、どのように局としては認識しているのか、お伺いしたいと思います。

○斉藤総務部長 臨海地域が抱えます課題についてでございますが、臨海地域は、東京港と臨海副都心を擁しまして、首都圏経済を支える物流機能と、東京の活力と魅力を高める拠点としての都市機能を担う重要な地域でございます。このことは、見方を変えますと、臨海地域は物流と都市がその活動エネルギーを互いに及ぼし合うエリアでありまして、港湾機能と都市機能の調和をいかに図っていくかということが、一つの大きな課題であると認識してございます。
 また、東京港は、アジア諸港の躍進に伴う国際競争激化の波にさらされておりまして、港湾コストの低減を図ることが課題となってございます。
 一方、臨海副都心は、まちづくりが総仕上げの時期に入っており、職、住、学、遊のバランスのとれたエリアとして、良好な環境、交通の利便性、魅力ある観光資源、安心・安全の防災機能などを備えた、成熟した都市へ育て上げていくことが必要でございます。
 臨海地域は、二〇一六年にオリンピックの舞台となることを目指しておりますことからも、十年後をしっかりと見据え、これらの課題を一つ一つ着実に解決することによって、港と都市の調和した、活力と魅力のあるエリアをつくり上げていくことが重要であると考えてございます。

○松原委員 確かに今の答弁で、東京港が大都市港湾であり、機能が交錯しているからこそ出てくる課題を解決する必要があるということが明らかになったと思います。
 それでは、この課題を解決するためには、どのような取り組みが必要であって、何がかぎを握っていると考えているのか、伺いたいと思います。

○斉藤総務部長 今、ご答弁申し上げました臨海地域の抱える課題を解決していくためには、臨海地域で活動する民間事業者などと都が連携いたしまして、まちづくりやまちのマネジメントに取り組んでいく体制を構築することが、取り組みのポイントとなってまいります。
 これまで臨海副都心は、都が主導してまちづくりを行ってまいりましたが、平成二十七年度のまちの概成を見据えますと、この地域を活動基盤とする企業や各機関、団体みずからが主体となって、我がまちを育て上げていくという視点からまちづくりを進めていく仕組みに移行することが不可欠でございます。
 こういったことから、臨海地域において物流と都市機能の調和が図られ、このエリアが一体として発展していくためには、臨海地域全体を視野に入れた上で、地元の感覚をあわせ持ってまちづくりを総合的にコーディネートする存在が必要になる、このように考えてございます。

○松原委員 例えば総合的にコーディネートする存在が必要であるという答弁をいただきましたけれども、長期的な視点で考えると、このようなまちづくりのコーディネーター役が必要だということは、私も全く同感であります。そして、この主体として、今回、持ち株会社グループを形成するわけですけれども、一方では、経営統合といっても、これまでのように、子会社となる団体がばらばらの事業展開を行っていては、コーディネーターとしての役割は果たせないと思います。
 そこで、総合効果の成否を握るのは、まさに親会社にあると思うんですね。そこで、このグループが機能していく上で、この親会社にどのような役割を担わせようとしているのか、お伺いしたいと思います。

○斉藤総務部長 グループ親会社の役割についてでございますが、グループに参加する各団体は、交通基盤やエネルギー、ふ頭運営など、この地域で活動している企業や都民の方々へ社会基盤をサービスとして提供している主体でございます。各団体を統合することによりまして、個別の事業目的を追求するだけでなく、グループ全体といたしまして効率的かつ総合的にサービスを提供する仕組みをつくり上げていくことは、臨海地域の一体的発展にとって最も高い効果が得られるものと考えてございます。
 そのためには、グループ各社の事業の連携を強化する必要がございます。その司令塔としての役割を果たすのが、今回設立いたします東京臨海ホールディングスでございます。この親会社がグループ全体の戦略策定や監督機能を担い、そのもとで子会社が自立的に事業執行に専念する体制を構築するものでございます。
 具体的な事業展開については、来年一月に設立いたします親会社が中心となって策定するグループ経営戦略の基本方針に基づきまして、効果的な連携事業を組み立ててまいります。
 将来的には、グループを、この地域のまちづくりやまちのマネジメントを行っていく核となる存在として育て上げ、臨海地域全体の発展を牽引させていきたい、このように考えてございます。

○松原委員 ただいまの説明で、親会社の目指す役割についてはわかりました。しかし、グループとして、これまで以上の公共性を発揮して、その利益を都民に還元していかなければ意味がないと思います。そのためには、臨海地域の機能強化に具体的にどのように貢献するのかということを示していく必要があると思いますが、今後のこの事業展開について、具体的にイメージできるようなそういう事例を示してほしいと思うのですが、よろしくお願いします。

○斉藤総務部長 グループの事業展開についてでございますが、臨海地域のさまざまな施設を利用しやすくすることによりまして、地域全体のにぎわいを向上させる取り組みとして、例えば年間一千万人以上のビッグサイトの来場者に対しまして、乗車券をパッケージ化して提供するなど、ゆりかもめが他の事業と連携することによって、より利便性の高い交通サービスの提供が可能となります。
 また、テナント企業の進出意欲を向上させ、企業活動の場としての臨海地域の魅力を高める取り組みといたしまして、オフィスサポートサービスの提供がございます。臨海地域はオフィスビルは数多く存在するものの、そのオフィスで働く人々を支援する銀行窓口やクリーニング、カルチャーセンターなどの施設が少ない状況にございます。こういったオフィスサービス業務を有することなどによりまして、進出事業者の企業活動を側面から支援する取り組みを進めてまいります。
 さらに、グループファイナンスなど経営資源の相互融通を通じまして、経営効率化を図ることにより、国際競争力の強化のための港湾コストの低減や、臨海副都心開発のさらなる推進に向けました企業活動コストの低減を図ってまいります。

○松原委員 ただいま、具体的な事例を多く挙げていただきました。そして、今、答弁いただいた事業以外にも、グループの展開はさまざまな可能性があるというふうに思います。ぜひ積極的に検討を進めて、できるだけ早く具体化させてほしいと思います。
 ところで、東京港の国際競争力の強化や臨海副都心開発の総仕上げなど、臨海地域の重要事業は、都の戦略的な方針と軌を一にして進めていかなければならない問題でもあります。グループがまちづくりの核として十分な機能を発揮していく上には、財務的な経営基盤を確かなものとするための効率的な経営努力は、基本中の基本であると思います。都としても、万全の体制を構築していく必要があります。
 そこで、次に、経営基盤の一つとして掲げるグループファイナンスの問題について移っていきたいと思いますが、このグループファイナンスの安定的な運営を図るために、無利子貸付金を予算要求しているということですけれども、これについては、グループ各社の既存の資金を融通し合うのが一般的だと思うのですけれども、なぜ東京都がこの無利子貸付を行う必要があるのか、お伺いいたしたいと思います。

○斉藤総務部長 持ち株会社への無利子貸付金についてでございますが、都におきましては、都の事業と密接に関連いたしまして公共性の高い事業を行う第三セクターに対し、その経営の基盤充実と弾力性の確保を図るための出資を行っております。
 本グループは、都の政策目標でございます東京港の国際競争力強化と臨海副都心開発の総仕上げに向けまして、都の関係機関と連携しながら、総合力を生かして、さまざまな公共性の高い複合的サービスを提供することにより、臨海地域全体の発展の核となる役割を担うものでございます。グループは、利用者サービスの向上やまちづくりの促進に向けた新たな事業展開を進めてまいりますが、そのためには経営の基盤充実と弾力性を確保していく必要があることから、グループファイナンスを実施していくものでございます。
 このグループファイナンスの実施によって、臨海地域の持つポテンシャルを最大限に引き出し、その成果を都民に還元する事業展開を図るものでございまして、都の事業との密接性や公益性の高さは、出資を判断する場合といささかも変わらないことから、持ち株会社に対しまして、都が無利子資金を貸し付けることが適当であると判断いたしました。
 このことによりまして、地域のにぎわいが向上する、あるいは進出企業が活動しやすい環境が整えられるなど、臨海地域全体の機能が向上するため、臨海地域開発事業会計において、グループの財務規模などを総合的に勘案いたしまして、予算要求をしたものでございます。

○松原委員 ただいまの説明のように、グループの各社というのは極めて公共性の高い団体であります。民間企業では取り組まないような公益的事業に今後積極的に投資していくためには、都の無利子貸付を活用して経営基盤を確固たるものにする必要があることは、当然のこととして理解をしていきたいと思っています。また、これが臨海地域の発展につながるものであるということから考えれば、臨海会計から無利子貸付を行うことも、妥当なものといえるのではないかと思います。
 そこで、例えばですが、金利負担の軽減を地域冷暖房事業のさらなる値下げに活用することなどによって、臨海地域で活動する民間企業のコスト軽減にもつなげることができるのではないかというふうに思います。そうした活用もできないか、前向きな検討をお願いできればと思いますが、都の貸し付けの必要性はわかりましたので、次に、グループファイナンスの仕組み、そして、その財務的な効果についてお伺いいたしたい。

○斉藤総務部長 グループファイナンスの仕組みについてでございますが、運転資金など必要な部分を除きまして、各子会社が保有いたします資金を親会社に集め、親会社がグループ内融資や一括運用を行いまして、その利益を子会社に還元することによって、グループ全体の資金効率を向上させるものでございます。
 その財務的な効果といたしましては、例えばこれまで各子会社だけでは資金規模が小さく、長期的な運用が不可能であったものが、親会社が各子会社から運用可能資金を集め、規模を大きくすることで、長期的な運用が可能となり、より大きな運用益の確保が可能となるなど、スケールメリットが発揮されてまいります。また、資金調達の面でも、これまでは外部から借り入れていた資金が、グループファイナンスから低利で調達することが可能となり、金利負担も軽くなってまいります。これらの効果によりまして、グループとして新たな事業展開などに向けた経営の基盤充実と弾力性の確保が可能になると考えてございます。
 グループファイナンスの具体的な運営については、親会社が今後作成いたします資金運用や貸付の基本方針に基づきまして、各子会社と調整を図りながら、運用方法や貸付金利など管理運用体制の整備と資金確保を行い、実施に移してまいります。

○松原委員 ただいまの説明を聞きますと、グループが資金という経営資源を一体として活用していくということですから、グループの統一性確保にも有効な手段となるのではないかと思います。
 いずれにしましても、この仕組みがうまく機能して効果を発揮していくためには、実際に運営していく体制についても検討が必要になります。ぜひとも引き続き検討を進めて、早期に実効性ある仕組みを構築し、グループが臨海地域の機能強化を果たすための戦略的な投資のために活用していってもらいたいと思います。
 さて、臨海地域は、首都圏四千万人の生活と産業を支える物流機能と、東京の魅力と活力を高める都市機能とを担う重要な地域でありますが、特に二〇一六年のオリンピック招致に向けて、その舞台となる臨海機能の強化は待ったなしの状況にあります。臨海三セクの民事再生もありましたけれども、持ち株会社の設立という新たな幕あけを迎えることになりますが、臨海地域の機能強化に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、最後に局長の決意をお伺いして、質問を終わります。

○津島港湾局長 東京港という大都市港湾を抱えるこの臨海地域は、都市機能と港湾機能とが交錯しておりまして、今後この地域が健全に発展していくためには、これら二つの機能がさまざまな面で相互に調和を図っていくような開発や事業を進めていくことが不可欠となると思います。
 今回の持ち株会社の設立は、その取り組みの体制を一段と強化するため、個々の企業の連携を効率化し、環境、防災、交通、観光など、地域全体が抱える大きな課題に取り組んでいこうとするものでございます。したがいまして、重要なことは、先生ご指摘のように、この持ち株会社が課題解決を目指して、各企業が有しております役割と強みを十分積極的に発揮していくように、局としてしっかり指導監督していくことであるというふうに考えております。
 また、港湾局自身も、担当局として、この臨海エリア全体のエリアマネジメントの実現性を高めていくために、各部の密接な連携、さらには柔軟な知恵や工夫を凝らしまして、まさに局一丸となって、局内の体制を強化していくことも必要であると考えております。さらには、この臨海地域とさまざまに関連する関係各局とも、これまで以上に連携を高めて、事業を進めてまいりたいと思います。
 港湾局としては、持ち株会社と一体となって、こうした取り組みを不断に行うことによりまして、首都東京の新しい可能性に満ちた臨海地域を、オリンピックも見据えまして、世界に誇れるエリアに育ててまいりたいと思います。

○門脇委員 上程されている臨海三セクの再生計画について質問をいたします。
 十月三十一日に東京地方裁判所に提出した再生計画案が、裁判所の審理を経まして、東京都あるいは金融機関などいわゆる債権者に提示されました。この間の、いい方がなかなか難しいんですが、責任問題等については、後ほど同僚の花輪委員から質問をいたしますけれども、私は、この再生計画が仮に成立をしなかった場合を想定いたしまして、幾つか質問をいたします。
 もちろん都としても、そのために今回、債権放棄などの議案を提出いたしておりますし、今まさにこの委員会でそのことについて審議をしているわけであります。先日、再生計画案については事前説明があったので、私は、先ほど申しました一種の危機管理、あるいはリスク回避のために、いわば最悪の場合を想定して質問をいたしますので、誤解のないようにお答えをいただきたいと思います。
 まず、十二月の二十日に予定というか決定をされております債権者集会についてお伺いいたします。
 基本的なことといたしまして、この債権者集会は極めて重要な会議になるわけですけれども、その位置づけと内容はどのようなものか、お示しください。

○岡田監理団体改革担当部長 債務者が再生計画案を提出いたしますと、裁判所が再生計画実現の見込みがあるのかどうか、再生手続に違法性がないかなどの審査を行います。再生計画案について裁判所が再生計画遂行の見込みがあると判断した場合には、再生計画案が債権者に提示されることになります。再生計画案を認めるか否かについて債権者が決議をすることになりまして、この決議を行うために裁判所によって招集されるのが債権者集会でございます。
 債権者集会では、出席した債権者、この場合は書面投票を含みますが、この出席した債権者の過半数の同意があり、かつ、債権額の二分の一以上の同意がある場合に可決されるものでございます。

○門脇委員 そのようなことだと思います。金額についてもその過半数が、債権額について同意があった場合ということでありますけれども、ちょっと確認しておきますが、いわゆる書面投票というのは記名投票のことですか。

○岡田監理団体改革担当部長 済みません、ちょっとご説明が不足して。書面投票というのは、出席しなくとも、事前に郵送でマルかバツかをやることができるというものでございます。

○門脇委員 失礼いたしました。十二月二十日というと、もうきょうが十一日ですから、あと一週間ちょっとということになりますけれども、仮に、冒頭申し上げましたけれども、その債権者集会で、債権額も含めてですけれども、過半数の合意が得られない場合、当然それをもって東京地裁は何らかの判断をしなきゃいけないんですけれども、それはどのようなことになるのでしょうか。一般論ということで結構ですが。

○岡田監理団体改革担当部長 再生計画案が可決されなかった場合には、ほとんどの場合、裁判所によって破産宣告がなされることになります。

○門脇委員 私も、民事再生、あるいは民事再生法ではないのですが、会社更生法などで実際にそういう現場に立ち会ったことが何回かございますけれども、確かに今までの裁判所のご決定を見ても、今答弁がありましたように、大多数の場合はいわゆる破産宣告ですね、それがなされることが多いと思います。
 そうなると、いわゆる再生への道というのは極めて遠くなるだろうと思います。また、同時に、これは東京都もそうですけれども、多くの金融機関、債権者にとっても、重大な影響が生ずることになると思います。
 そこで、破産となった場合、これからの臨海地域開発に与える総括的な影響というものはどのようなものがあるか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 臨海三セクが破産し、資産を売却することによりまして、多様な企業の集積拠点、ライフラインにかかわる重要なインフラ施設の管理といった臨海三セクが持っております公共的な役割が損なわれると考えます。また、計画的なまちづくりに支障が出るなど、開発の推進に多大な影響が出ることが想定されます。

○門脇委員 少し具体的なことに移りますけれども、今回の再生計画には、弁護士あるいは公認会計士など、いわばその道のスペシャリスト、あるいは銀行などの金融機関、そして我が東京都と、多くの関係者がかかわっております。仮に法的破産をした場合、関係者に与える影響はどのようなことがあるのか、今回、少し具体例をお示ししていただきたいと思います。
 あるいは、破産になった場合、競売によって資産売却も考えられるんですけれども、この資産売却ということについては、世の中一般ではどのように処理をされているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 破産となった場合でございますが、再生計画案で予定していた権利変更という手続がなされなくなります。この権利変更というのは、例えばですが、百万円の債権について九十万円を債権放棄してもらい、十万円を弁済するなどといった債権の取り扱いを決めることを申します。
 今回の再生計画案について、具体例を挙げてご説明申し上げますと、例えばテナント対策として提案しております一定の条件のもとでの敷金、保証金の保護がなされず、敷金、賃料、共益費の六カ月分を超えるものが債権放棄の対象となってまいります。
 二つ目でございますが、中小企業者への配慮から、五百万円以下という高目に設定した少額債権についての取り扱いも見直されることになります。通常ですと、三十万から五十万円に設定し直されるというものでございます。
 また、ご指摘のように、資産の競売による売却が行われることになりますが、一般的には、競売により得た資産売却代金を債権者の間で分配することになりますが、不動産鑑定士などの専門家の話によりますれば、売却額は相当廉価になる、低廉になるとのことでございます。
 さらに、債務者の手持ち現金が競売の費用に充てられることによりまして、債権者への弁済原資がそれだけ少なくなることになります。結果といたしまして、関係者の債権放棄額が増加するということが出てまいります。
 また、これ以外の考えられるものといたしましては、破産によって従業員が解雇される例が多いということでございます。

○門脇委員 いずれも、冒頭申しましたように、破産という仮定に基づいて質問したことについてお答えをいただきましてありがとうございます。
 これが最後の質問になるんですけれども、いろいろいっても、結局は、私たちがこの委員会でも審議をしていく上で一番重要だと考えられなきゃいけない、これはすべての人が同様な認識だと思いますけれども、東京都あるいは都民に対する影響が一番重要だと、私自身そう思っておりますし、この考え方についてはそう大きな隔たりはないと思います。やはり、繰り返しますけれども、そうはいっても、都や三つの会社の経営責任というものは、当然これは問われなければならないんですけれども、同時に、仮に破産になった場合の影響というものも、十分考慮しなければいけないだろうと思います。
 その上で、万が一、臨海三セクが破産をした場合、いわば本家である東京都へは、今まで金融機関とかテナントとか、そういうご答弁をいただきましたけれども、どのような影響が考えられるのか。あるいは競売により落札した業者が、例えば都が今計画を持っております臨海副都心まちづくり推進計画、こういった計画などに協力をしてくれるのかどうか、それから、都以外の債権者から、これはどうなのかなと思うんですけれども、損害賠償請求などを起こされる可能性があるのか、以上まとめてお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○岡田監理団体改革担当部長 企業再生を目指したものの再生できなかったというイメージの悪化は、単に臨海三セクの問題にとどまらず、総仕上げ十年という重要な段階に入った臨海副都心開発全体に及ぶと考えます。
 臨海副都心は、バブル崩壊の影響を受けて厳しい状況にございましたけれども、関係者の努力によりまして、今や首都東京の新たな活力を担うまちに成長いたしました。しかし、都の指導のもと、開発の主体となってきた臨海三セクの破綻という事態になりますれば、開発の根幹である土地処分にも悪影響を与えるだろうと考えます。今後、開発の総仕上げとして、青海地区北側における大規模な土地処分も計画してございまして、その影響は多大なものとなろうと考えます。
 加えまして、競売の場合、一般的には、条件を付した上で行うということは難しくなってございます。その理由といたしましては、破産における競売では、何よりも優先されるのは経済性ということでございまして、条件をつけるということはなかなか難しいということだそうでございまして、落札した業者が必ずしも臨海副都心まちづくり推進計画など、都の策定した計画に協力するとは限らなくなります。これらのことから、臨海副都心の計画的なまちづくりに支障が出ることも予想されるわけでございます。
 また、都が反対票を投じて否決された場合には、都に対する信頼が揺らぎ、その結果、都の外郭団体への金融機関の融資が拒否されるなどの影響も危惧されます。
 さらに、弁護士などの話によれば、東京地方裁判所や金融機関などの関係者などにより経済合理性が認められているにもかかわらず、否決された場合には、都以外の債権者から、故意に損害を与えたということで、損害賠償請求を提起されるリスクがあるとのことでございます。

○鈴木委員 私の方からもご質問をさせていただきたいと思います。
 今、お二方から、松原委員からは本当に未来志向型の明るい展望に立った質問がなされましたですね。すばらしいと思います。ところが、後で聞いたら、今度は破綻、破綻というから、暗くなってしまうよね。やっぱり平成元年以来、私もずっと立ち会ってきたけれども、先陣の労をとってくれた今沢時さんだとか、いろんな方々のお顔を今思い出して、どんなに苦労をなさったか、そのことを踏まえながら、私はお話をしていきたいと思います。
 今回の代表質問で、我が党は、この問題にずばりと触れないで、未来志向型の質問をさせていただきました。なぜかならば、あそこの臨海というポテンシャルの高さ、また、二〇一六年を踏まえた、この東京オリンピックを志向したあそこのいわゆる空、海、陸、物流拠点との整合性の問題で、いわゆる問題を、論点を絞って進めてきたわけですね。やはり今までの皆さんのご努力を総括するならば、そういう形の質問に筆を進めた方が、これからどれだけ都民の方々に還元することができるかという観点から、私はやってよかったと思っております。局長、そのことなんです。重箱の隅をつつくことは、幾らでもそれは簡単、できますよ、そんなことは。人のやったことにああだこうだと。(発言する者あり)黙りなさい。ちょっとうるさい。私が質問をしている。そういう問題をやはり大まかに、マクロ的にきょうは取り上げさせていただきたいと思います。
 確かにこの間の論戦の中で、今回のこのコアの部分、一千三百十一億円がどれだけ担保価値があるかという問題、これはすごいことですよね。それから、あえて裁判所が民事再生法を認めたということも、これはすばらしいことだと私は思いますし、我が党の公認会計士も、そのことを、これはやたらめったらできる問題ではないよと、このように私も伺ってまいりましたことを踏まえて、若干質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、基本的なことでありますけれども、この三セクの民事再生申し立て以降、七月に日銀の量的緩和政策が解禁となりましたですね。その後、金利の上昇が見られる。仮に五月に民事再生を申し立てていなかったならば、どのようなことが考えられたのか、また、民事再生申し立て後からこれまでの臨海三セクの経営状況はどうだったのか、これがやはり私は一番聞きたいところだと思いますが、いかがでしょうか。

○岡田監理団体改革担当部長 ご指摘のように、日銀の量的緩和解除によりまして、八月には金利は〇・二五%上昇いたしました。申し立て時の金融機関からの借入金は三千二百八十億円でございまして、そのうち、ほぼ八割が変動金利でございます。概算ではございますが、支払い利息の負担は六億円強増加したと考えられます。
 したがいまして、五月ではなく、金利上昇後の八月以降、例えばこの十二月に申し立てを行っていたとすれば、五月よりも費用がふえることで返済資金が少なくなり、都を初めとする債権者の負担はふえていたことが予想できます。
 次に、民事再生申し立て後の経営状況でございますが、ビル事業につきましては、現在のところ、民事再生を理由として退去したテナントは見受けられません。資金繰りも、経営安定化策による経営改善の成果によりまして、会社は手持ち資金をかなり有していることから、資金不足に陥ることもなく、取引業者への支払いが滞っていることもないと聞いてございます。申し立て時にテナントから心配されたビルのメンテナンスなども滞りなく、お客様へのサービスも質を低下させることなく行っているということでございます。
 今年度の中間決算は、まだ作業中ではございますが、収入は安定し、支出は減価償却費が減少したことなどから、昨年同期を上回る営業利益になると聞いてございます。

○鈴木委員 確かに現時点でこれを採用すると、物すごい負担増加になるという、それはそうですね。恐らく何割が変動金利なのか、八割弱だと思いますけれども、それなりの影響は受けると思っておりましたがゆえに、ご質問をさせていただきました。
 やはり、冒頭申し上げたんですけれども、まだまだこの時に当たっても、民事再生をなぜ申し立てたのかとか、そういう万古不易論に立ったかたくなな人がまだおいでになるということも私はよくわかっておりますけれども、いかがなものかと思いますよ。
 また一方で、私はよく調べてきたんですけれども、この七月十四日の日銀の政策決定以降、〇・二五%の利上げがされた。みずほ、三菱東京UFJ、三井住友、この巨大メガバンクが次々と利率を上げていった。そうすると、平成十七年の営業のご報告という資料も私も手に入れさせていただきましたけれども、この三行からの、今申し上げたメガバンクからの借入金だけでも約一千七百六十五億円、巨大ですね。これがすべて変動金利だとしたら、〇・二五%の上昇で、この時点だけで約四億四千万円の利払いの負担が増加するというわけになると思います。これは電卓をたたけば、正式に出てくるわけですね。むだな電卓をたたく必要はありませんけれども、臨海三セクがこの民事再生を申し立てたとき、都は金利上昇による支払い利息負担の増加は懸念された、支払い負担がふえるんだと、こう局長も万たびおっしゃってまいりました。私の試算だけでも、このときの臨海三セクの判断は妥当であるし、結構だったと思いますし、裏づけの資料だと思ってございます。
 また、第二回定例会のときに、私はこの問題について、臨海三セクはいわゆるキャッシュリッチな企業であるとはっきり申し上げた記憶があります。このことは、私は、答弁によっても確認をできましたし、手持ち現金があるので、支払いには影響はないんだと、そのように申し受けました。
 そこで、民事再生申し立て以降、この申し立てを理由として、ここがポイントですよ、テナントから退去した企業、会社はあるのかどうかということを知りたいわけですね。その辺はどうでしょう。

○岡田監理団体改革担当部長 申し立てを理由として退去するテナントは、五月以降、なかったというふうに聞いてございます。

○鈴木委員 それで、あとはそれ以降、また引き合いに参ったとか、そういう具体的な事例があれば、またお知らせいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 現在、臨海三セクは民事再生手続を進めている会社でございまして、進出企業の方についても様子見の状況があると思われます。それで、具体的な企業名は控えさせていただきますけれども、この間、新規に契約いただいた企業が五件ほどございます。それから、成約には至っていないのでございますが、今後入居が確定しているものが三件あると聞いてございます。また、お話のございました内見でございますけれども、内見に訪れている企業数は五十社を超えて、五十五社ほどあるというふうに聞いてございます。

○鈴木委員 今、具体的に数字をお示しいただいたんですけれども、内見、商談中の企業五十五社、入居確定したのは三社、新規に契約をいただいたのが五社とか、それだけにやはりポテンシャルがあるから、こうなっているわけですね。この辺を私はしっかりととらまえていくべきだと思います。その辺は、局長、大いにPRをしていただいて結構だと思います。
 そういうことで、次の論に入っていきたいと思いますけれども、もう一つ確認をしたいことでありますけれども、二定で取り上げました中小事業者を中心とする少額債権者、いわゆるテナント債権者の問題でしたですね。あのとき、私は、この少額債権者をどう保護するんですか、きちっと保護しなさいよとご質問いたしました。そのとき、五百万円以下の少額債権者については全額返済をする、こういう明確なご答弁をいただいて、今回のこの中にも活字として記載をされております。先ほどからもそのことは出ておりましたけれども、破綻をすれば、すさまじい真っ暗なトンネルに入ってしまいますよね。ですから、私は、この時点での質問は大変に明るさ感を出す質問だったと、自画自賛をするわけじゃありませんけれども、(「あれはいい質問だ」と呼ぶ者あり)いい質問だよね、局長、こういう質問でなきゃだめなんですよね。(「前向きにいかなきゃ」と呼ぶ者あり)そう、前向き、未来志向。
 こういうことでやはり質問をして、もう少し詳しい内容をこの際ですから聞きたいと思います。改めてテナントの敷金、保証金保護策について、具体的にわかりやすくご説明をいただきたい。

○岡田監理団体改革担当部長 敷金、保証金につきましては、賃料、共益費の六カ月分が法的に共益債権として保護される形になります。六カ月を超える部分につきましては、無担保債権である再生債権として、債権放棄の対象になります。今回の再生計画案では、この原則にかかわらず、本来は放棄の対象となっている敷金、保証金につきましても、中小企業者が多くを占めるテナントを保護するとの観点から、債権者平等の例外規定を設けたものでございます。
 内容といたしましては、再生計画認可決定確定後、引き続き契約を締結し、その期間が五年以上十年未満のテナントにつきましては、法的に保護される六カ月にさらに十二カ月まで、すなわち、合計で十八カ月分につきまして保護対象といたします。ただし、弁済方法につきましては、債権放棄する債権者との公平感を確保する必要があることや、臨海三セクのキャッシュフローなどを勘案いたしまして、明け渡しの日から五年間の分割返済といたします。
 また、賃貸借契約が十年以上であるテナントにつきましては、全額保護する形になります。

○鈴木委員 物すごい保護策だと思いませんか。私は思いますよ。十八カ月ですか、今のお答え、メモしましたけれども、そういうきめ細かなことをやっておる今回の施策であります。
 例えば、私、ふと思い出すんですけれども、多摩ニュータウン開発、あのときどうだったんだろうか。今のこのレベルじゃないですね。十年継続で分割返済、十五年継続で全額一括返済。まあまあ、それはそれは、今に比べれば全然劣る内容だったと思います。
 ぜひこういう慈愛あふれるというのかな、局の方々がこういう観点で臨んでいるということができるということを、やはり私は評価をしていくべきだと思います。こういうことで中小企業の方々はほとんどが保護されることになるのだと、私はこのようにいい切って過言ではないと思って、この点は高く評価をさせていただきたいと思います。
 それから、中小企業保護の方策をとりつつも、大幅な債権放棄、一方で、二千百三十七億円の債権放棄を各債権者にお願いするわけでありますけれども、本会議での局長のご答弁によりますと、支払い利息負担が六十億円から二十六億円程度にまで減少するという、このようなご答弁をちょうだいしております。また、減損会計適用等による減価償却費の減少、事業譲渡に伴う経費の削減も利益改善要因となると私は思いますし、これらは割と単純なことでありますけれども、問題は、この後、ご質問したいんですけれども、底地の現物出資は、これはちょっと複雑だと思いますし、一方で、誤解を招いていると私は思います。
 中には支援策だ、支援策だとおっしゃる方もおいでのご様子でありますから、確認の意味として、現物出資を行うことによる経営上のメリットがあるはずだと私は思います。わかりやすく、都にとっての意義について、改めてこの際伺っておきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 臨海三セクの経営上のメリットとしては、以下の三点があろうかと考えます。
 一つ目は、地代負担が軽減されることにより、営業利益なりが改善されること。二つ目ですが、一〇〇%減資によって一たん資本ゼロの会社になりますが、現物出資により資本の充実が図られること。三つ目は、土地が自己の所有となるため、借地権つき建物としての評価に比べ、会社全体の資産価値が増加することでございます。
 また、現物出資することの意義は、臨海三セクの経営を安定させることによりまして、三セクの持つ企業集積機能が強化され、持ち株会社グループの一員として、臨海副都心開発への一層の貢献が期待できることが挙げられます。
 また、臨海三セクが土地の所有権を取得することによりまして、土地に係る固定資産税が都に収入されます。

○鈴木委員 今、部長がご答弁なされたこの三点、この三点セットというのは極めて大きい意味があると私は思います。それと同時に、最後の方の項でのご答弁ですけれども、三セクが土地の所有権を取得することによって、固定資産税が都に納められるというこのメリットですね。そういうことをあれやこれややりますと、やはり都民への還元というものに置きかえれば、ことしの予算特別委員会、それから、私も二定で、都民への還元の数字をお示しさせていただきました。示したはずですよね。そういうことを考えてみますと、やはり今、部長のご答弁なさったこの三点セットは、私は高く評価してよろしいメリット、これは存分にやっていただきたいと思います。
 それから、ちょっと長くなりますけれども、臨海副都心が野っ原で、この開発を、私もずっと万たびこの席でいうんですけれども、点から線、線から面とだんだんだんだんと伸びてきた、あの変貌ぶりというものを、私はもう一度やはり思い起こしておくべきだと思ってございます。
 あの当時、平成十年の三月から、この場所に進出したビル、施設というものは、挙げてみればたくさんありますけれども、重立ったテレコムセンターだとか、台場、有明、青海の各フロンティアビル、タイム二十四、東京ファッションタウンビル、ゆりかもめ、東京国際展示場、ビッグサイトですね、フジテレビ本社、NTT有明センタービルなどなどなど、たくさんありますけれども、これはいってみれば、先ほど松原理事のご質問の中にも、やはりこの臨海三セクの果たしてきた公共性という立場から、私は、この集積のメリットを存分に果たしてきたといっても過言ではないと思ってございます。
 ですから、過日の本会議の中で局長も、臨海副都心への進出企業は、約八百五十とか四十といっていましたね、八百五十社だったかな。そのうちの約百三十社は臨海三セクビルに入っているんだと、こうおっしゃっておりました。このような重要な役割を果たす臨海三セクでありますので、現物出資により経営基盤を強化させ、これから進出しようと考えている事業者に、先ほどまだまだいろんなテナントが入ってくる、そういう方々に安心して入居をしていただくにふさわしい場所であり、集積のメリットをやはり感じて、成熟したまちをつくっていけるだけの場所だと思っております。また、税収効果も、先ほど伺ったとおり、私は、莫大なものになってくるものと思います。
 そこで、もう一つ、論点がちょっと小さくなりますけれども、この委員会報告資料の四番でしたか、この中に、たしか現物出資を二回に分けて行うと、一番下段の欄に書いてあったと思います。一回目は、再生計画認可決定確定後の二月中旬ということだそうでありますけれども、そこで、どうしてあえて二回に分けて現物出資を行うのか、この辺をわかりやすくご説明をいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 現物出資は、新会社のさらなる経営安定化に資することを目的といたしまして、合併後の新会社に対して平成十九年四月に行います。
 合併は、ことしの五月に施行されました会社法に基づき手続を進めることになりますが、会社法では、株主と資本の関係につきまして、従来の商法と比較し、大幅な変更がなされました。その内容でございますが、一円でも会社を設立することができるようになった反面、一〇〇%減資によって資本がゼロになった会社も存続が可能となり、さらに、一〇〇%減資をした後も、従来の株主が権利を有することも可能になってございまして、例えば三社の株主は、重複を考慮しても現在六十一社ございます。このため、株主総会で合併決議を行う場合に、手続は非常に複雑になることが考えられます。その結果、臨海三セクの場合につきましては、再生計画認可決定確定後に実施されます一〇〇%の減資と同時に増資を行いまして、三社とも都の一〇〇%子会社として、通常の資本金を有する会社としての合併手続を進めることにいたしたものでございます。
 そのため、合併手続の必要から、有明フロンティアビルの底地の一部を二月の中旬に現物出資をし、残りを新会社に四月、現物出資をするものでございます。このような手法をとることによりまして、通常、合併手続は半年以上かかるものだそうでございますが、年度内には手続を終えて、十九年四月に合併することができるものでございます。

○鈴木委員 なるほど、そういう手続があったということを私は理解をさせていただきました。そごのないように事務手続を進めていただければと願ってやみません。
 そこでもう一つ、この民事再生を行うに当たって、財務リストラだけではなくて、片方では事業の見直しと、両方あると思うのですけれども、この事業の見直しも行うことが一般的であると私は思います。臨海三セクも、地上系通信事業の民間への譲渡も行うわけであります。先ほど出ましたですね。この三セクのビル事業は極めて公共性の強いものでありますし、事業譲渡をすべきとは思わない。しかしながら、これも法的な手続論ではありますけれども、民事再生の手続の中で売却した場合の価格を算定し、民事再生を行った場合との比較ですね、それぞれの比較を行うものと私は承知いたしてございます。
 きょういただいた資料の3、臨海関係第三セクターに係る金融機関業態別融資残高ですか、再生計画認可決定後が配布されておりますけれども、冒頭申し上げた一千三百十一億円の会社ごとの内訳として、東京テレポートセンターが三百二十二億円、東京臨海副都心建設が三百八十億円、竹芝地域開発が六百九億円、このように残高が示されております。
 本会議での局長のご答弁の中でも、建物の資産価値見合いの一千三百十一億円という、おやっと聞き耳を立てるような言葉がありました。この言葉の持つ意味から私も類推いたしますと、建物の担保価値がこれだけありますよという意味合いに受けとめられたわけであります。そこで、新たな資金を投入しなくても経営が再建されるんだ、こういう論理に結びつくのかなと私なりに考えてまいりました。
 そこで伺うのでありますけれども、臨海三セクにおいても、ビルの民間への売却について、先ほどいったとおり、検討をしたと私は思いますけれども、結果が得られたのか、さらに、弁済率はどうなのか、これをわかりやすく数字でご説明をいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 ご指摘のとおり、千三百十一億円というのは、民事再生による場合の資産価値でございます。臨海三セクにおきましても、民事再生手続の中で、民間に売却した場合の価格との比較を行ってございまして、東京テレポートセンターが、その場合、二百七億円、東京臨海副都心建設が二百四十四億円、竹芝地域開発が百七十八億円でございます。合計としては、六百二十九億円になります。
 民事再生した場合に比べて、民間売却した場合、低額になりますのは、臨海三セクのようなインフラが敷設された、構造上インフラと一体となっているようなビルは、マーケットにおいて買い手がつかない、あるいは極めて低額とならざるを得ないとの説明が、債権者説明会などの場で不動産鑑定士からなされてございます。このような事例といたしましては、会社更生法の手続の中で、大阪のりんくうゲートタワービルが建設費のわずか七%で民間に売却されたことなどが挙げられます。
 臨海三セクのようなインフラを内包した、公共性が高く、企業集積の拠点となるなど、民間の経済合理性だけではなし得ないような役割を担うビルを、第三セクターなど公的団体が、売却可能だからといって民間売却することは、一種の責任放棄ではないかと考えてございます。
 また、弁済率についてでございますが、臨海三セクの場合につきましては、ビル事業の占める割合が高いために、仮にビルを売却した場合には、破産や特別清算といった清算型の処理にならざるを得ないものと考えてございます。
 具体的には、資産をすべて売却し、その代金を債権者で分配することになるわけでございますが、清算に係る諸経費が債務者の負担となり、弁済に充てることのできる資金がそれだけ減少するということになります。そのために、東京テレポートセンターでの弁済率はマイナスの一・一八%、すなわち弁済額はゼロ、臨海副都心建設では三・六四%、竹芝地域開発では六・九一%と試算をされてございます。これを民事再生での弁済率と比べますと、東京テレポートセンターは民事再生の場合の弁済率は二・一九%、臨海副都心建設の場合は七・四六%、竹芝地域開発の場合は一四・一三%でございますので、弁済率は著しく低くなります。
 都の場合も、裁判所より提示されている再生計画案では、八億円の弁済を受ける予定になってございますが、もし破産をしたという場合についての弁済は三億円という形になろうと思われます。

○鈴木委員 いわゆる今のご説明で、数字で、担保価値が一千三百十一億円ある。これをただ売っ払っちゃったら、何と何と六百二十九億円という、これは本当に大変な問題ですよね。例えば今、大阪の事例が出ましたけれども、これも前回、私が指摘して、数字を出しているあの大阪のりんくうタウン、六百五十億円かけて開業した。それをわずか四十五億円、七%で売っ払ってしまったという、これにまさるとも劣らない、惨たんたるものになるわけでございますね。そういうことはやはり我々はしっかりととらまえていかなければいけない。そういう意味で、局長のご答弁、いろんな形で自信を持って我々にお答えいただいているということを、安心感を与えてくれたものと、私ははっきり申し上げておきたいと思います。
 それから、余り知られていない事実だと思いますけれども、臨海三セクは、このビル事業以外、先ほど松原先生のご質問の中に、地上系通信事業についてはKDDI等々の話が出ましたけれども、そのほかにも、例えば電波障害対策としてCATVがあるはずですよね、あの地域の中に。この事業も行っているはずです。それから、これでテレビ放送の再送信を行っているわけですね。それから、衛星通信事業といって、小笠原などの離島にも人工衛星を使ってテレビ放送を送信しているわけです。送っていますよね。それで小笠原で東京と同じような番組を見られるわけですよ。
 こういうことをやはり考えたときに、臨海三セクが仮に破産というような事態になった場合、いろんな意味で影響を及ぼすということをはっきり申し上げておきたいと思います。そして、真に中小・小規模企業の皆様方、庶民感覚を持っている人であらば、やたらめったら破産させろ、直ちに清算しろという、そのような無責任な言葉は出てこないはずだと、私はこの際断言させていただきたいと思います。やはり一つ一つ積み木を積み上げてくるような、実態面から追求してくれば、そのように結果としてなってくるものだと私は思うがゆえに、あえて付言させていただきました。
 こういうことを私は申し上げながら、残された時間でありますけれども、次の持ち株会社の設立について若干のご質問を、時間の関係ではしょってさせていただきますけれども、やるならずっとやりますけれども、時間がありませんからなるべく早目に終わりますけれども、先ほど松原理事の質問の中にも、株式会社構想についてるるありました。
 その前提条件として、先ほど、僕は冒頭で、この地域のポテンシャル、そして我が党の代表質問の中にあえて付言させていただいた、あそこの土地をどう使っていくのか、羽田の再拡張、臨海の東京港としての港湾機能の充実、もちろん上海だとか釜山だとか、バースの数だけであればそれは負けてしまうけれども、東京港の四千万のこのバックグラウンドを考えたときに、重要な港湾の位置づけ、そしてまた、私たちが提案をしたフライ・アンド・クルーズ、これは観光面からの問題提起、それから、シー・アンド・エアという物流面からのアプローチの問題等々、こういう面で、もっともっとやはりあそこのポテンシャルを高めながら、二〇一六年に向けて戦っていくべき場所だとエールを送らせていただきたいと思いますがゆえに、二つだけご質問をさせていただきたいと思います。
 一つだけちょっと質問するんですけれども、臨海三セクについて、先ほど松原理事からもあったように、経営基盤が強化されることを前提条件に、十九年の八月に子会社化されるということでありますね。理解を深めたい第一点は、この臨海三セクがこのグループに参加をすることによって、全体の経営に少しでも悪影響が出ないようにということを私は考えております。この辺の考え方について私の理解を深めさせていただきたいと存じます。

○斉藤総務部長 理事ご指摘のとおり、臨海三セクにつきましては、経営基盤をしっかりした段階でこのグループに入るということでございます。また、今回の純粋持ち株会社方式の特徴といたしましては、グループの経営戦略策定や経営管理につきましては親会社が行いまして、その事業執行は各子会社が独立採算で、自立的な経営を行っていくということでございます。
 したがいまして、しっかり経営基盤が強化された三セクが、かつ自立的に経営を行うということでありますので、臨海三セクがグループに入ることによりまして、その全体の経営についてマイナスの影響が出るということはございません。むしろ、臨海三セクが中核企業の一つといたしまして、他の参加団体と連携を進めることによって、グループのまちづくりの核としての機能が強化されるなど、グループ全体として一層の統合効果が発揮される、このように考えてございます。

○鈴木委員 私なりに一番端的な言葉、グループ全体として一層の統合効果が発揮されるんだ、そういうことでしょうね。これは頼みます、きちっと。先ほどのことをやはりこの場所で行っていくには、それが一番のコアの部分だと私が思うがゆえに、確認をさせていただきました。
 それから、臨海三セクは、この開発をするために、進めるために、都が設立した公共性の高い会社でもありますし、この三セクがグループに入らなければ、今後のまちづくりに当たっての公共性、統一性、あるいは効率性が確保できないということははっきりわかってまいります。
 そこで、もう一つ、最後の方の質問になりますけれども、経営基盤が強化をされた臨海三セクは持ち株会社グループに参加をしていくのですけれども、それでは、具体的に今後どんな役割を果たしていくのか、どんな役割を果たしていこうとするのか、その辺を具体的にお答えいただきたいと思います。

○斉藤総務部長 持ち株会社グループにおきます臨海三セクの役割についてでございますが、臨海三セク三社は、臨海副都心開発の初期の段階から、ビル事業、駐車場事業など、臨海開発の先導役としての事業を行いまして、都と一体となってまちづくりを進めてまいりました。まちづくりの総仕上げの十年を迎えました今、臨海副都心は年間四千万人を超えます来訪者があるまちとなって発展してまいりました。
 今後、臨海副都心開発の総仕上げの十年のまちづくりに当たりましては、臨海三セクが合併して設立されます新会社に、まちづくりに不可欠なインフラ施設の管理や多様な企業集積の拠点を担わせるなど、民間の利益追求だけではなし得ない公共的役割を、今後も引き続き果たさせることが重要でございます。
 さらに、この新会社が持ち株会社の傘下に入りまして、グループ各社と連携して、臨海エリアにおきますビル事業や駐車場事業など、一層効果的に展開することによりまして、臨海地域の機能強化を推進する先導役としての役割を今以上に果たしていくものでございます。

○鈴木委員 最後に、局長にお伺いさせていただきたいのでありますけれども、以前、こんな論議がありました。局長のご答弁の中に、それぞれの子会社化した企業は、それぞれ今度は企業合理性を十分に発揮していくんだ、そのためにも、官僚機構の肥大化といったことには決してさせないと明確におっしゃっていますね。前、この委員会の副委員長でいらっしゃった矢島副委員長のご質問に対して、このように、官僚機構の肥大化ということには決してさせない、それから、個別の企業、利益追求の企業というよりも、それぞれこの特色を持つ基盤をベースにして、サービスを提供する主体となっていくようにしたい、こう述べられていたもので、私は印象に残って、これを検索して引っ張り出してまいりました。
 そういうことで、やはり社会情勢の、時々の経済情勢の変化、変化の時代でありますから、その中で、今後のあり方論、今回のこの論議を通じて、局長としての最後のご見解を承っておきたいと思います。

○津島港湾局長 臨海副都心開発のこれまでの歩みでございますけれども、知事が本会議で述べたように、日本経済の盛衰の波の影響を大きく受けながら、まさに嵐の中を進む船のごとく翻弄された時期もあったわけでございますけれども、ひるむことなく進めてまいったわけでございます。その間、まさに都ならではの力量を発揮して、理事ご指摘のように今日まで来たというものが実感だというふうに考えております。その結果、臨海副都心は、現時点で見ましても、オリンピックの舞台を初めとした次への飛躍に向けた開発体制を着実に整えつつあるところまで来たというふうに感じております。
 臨海三セクについて見てみましても、やはりバブル崩壊という荒波の中で、これまでの経営陣の必死のかじ取りによって、不断の経営改善に努めてきた結果、平成十一年度以降、七年連続で営業黒字を達成し、それなりのキャッシュフローを積み上げまして、収益力の強化が図られてまいったわけでございます。
 今回の民事再生は、こうした経営努力によって培われてきた会社の体力、臨海開発を一層推進することの必要性、そして金利情勢を勘案した将来の状況というものを総合的に勘案して、今とり得る最善の方策として、経営陣が将来に向けた抜本的な経営改革を選択したものでございます。局としても、都議会の先生方のご理解を得て、この再生計画案をぜひとも実現させたいと考えております。
 港湾局といたしましては、この経営基盤が強化された臨海三セクを、持ち株会社グループ全体の事業展開の中で、引き続き有効に活用していくつもりでございます。
 これは、例えばニューヨーク・ニュージャージー・ポートオーソリティーというものを例に挙げますと、このポートオーソリティーの中には、メーンは港湾の経営でございますけれども、飛行場を持ち、さらには、爆破された世界貿易センタービルという大規模な貸しビル事業も行ってまいりまして、そういう複合的な事業を使いながら、トータルとしての力を有効に発揮してきたポートオーソリティーでございまして、私どものこれから目指しておりますこの持ち株会社グループは、さすがに飛行場は持っておりませんけれども、ゆりかもめやビッグサイト、埠頭公社、こういったさまざまの資源と機能を持っておるわけでございますので、こうした資源をフルに活用しまして、この地域全体の経営がより円滑に進むように進めてまいりたい。
 そして、オリンピックが実現する十年、その時期と臨海開発の時期がくしくもほぼ一致している時期でございますので、特にこの間は全力を挙げて、成熟した都市の建設に邁進していきたいというふうに考えております。

○石毛委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十三分開議

○石毛委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○小竹委員 私も、臨海三セクの民事再生の問題にかかわって、幾つかご質問いたします。
 私ども日本共産党は、臨海副都心の開発など、都や国、財界が一体になって開発してきた巨大な開発をすべきでないというのを当初から主張し、抜本的な見直しを一貫して求めてまいりました。
 臨海副都心の先導的役割を果たすということで建設された臨海三セクビルについても、都財政の投入や経営破綻の問題を一貫して追及して、一日も早い、都民の立場に立った破綻処理を求めてきたところです。今回の民事再生の計画案については、私はやはり都民の立場に立った破綻処理の方法ではないというふうに考えています。
 臨海三セク三社が提出した再生計画案が、十月三十日に地裁の審査を経て都や金融機関等債権者に示されたということで、概要が報告されたわけですけれども、再生計画案そのものは出されていません。議会や都民にこの計画案そのものを公開するべきではないですか。この点についてどうでしょう。

○岡田監理団体改革担当部長 再生計画案の内容につきましては、委員会報告資料によりご報告をしてございます。加えまして、法的には都が取得できないような、再生計画案には記載のない事項、内容でございましても、例えば営業利益や当期利益の見込みなどにつきまして、裁判所や弁護士、金融機関などの関係者と調整の上、データを示してもらうように努め、本委員会での議論においてもお示ししているところでございます。

○小竹委員 この間の議論でいろいろ数字や何かが出されてきているんですけれども、やはり臨海三セクは都民の税金を投入して建てられた建物であり、完全な民間企業ではないわけですね。都民の税金が、出資金だとか無利子の貸付金だとか、そういう形で投入されて、経営が破綻して、これそのものが失われるわけですから、やはり都民に対して納得のいく説明がきちんとされる必要があるというふうに思うんです。その点で見ても、やはり民事再生計画案そのものをきちんと公開するということが必要なのじゃないですか。その点、絶対だめなのかどうか、もう一度お答えください。

○岡田監理団体改革担当部長 再生計画案の内容につきましては、十一月二十七日の委員会においてご報告してございますし、またその具体的な内容につきましては、例えば将来の経営見込みなども含めまして、ご説明し、ご議論いただいて明らかにしているところだというふうに考えてございます。

○小竹委員 確かに一定の説明はありましたけれども、ますますそういう意味でいうと、全部が明らかになっていないなというのが率直に感じたところです。そういう点で、私は、民事再生計画案そのものをきちんと議会にも、そして都民の前にも明らかにすることを求めておきたいと思います。
 この再生計画案の中で、これまでの資本金は一〇〇%減資になるわけですが、そのうちの二百八十一億円は都民の税金です。それも平成十年の経営安定化策で三十億増資したそのものも含めて、今回、一〇〇%減資ということで失われることになったわけですが、こういう点でいっても、都民に対するきちんとした説明責任、それから経営の責任が厳しく問われる問題だというふうに思います。
 この資本金の残り、東京都が出している残りの金額二百六十五億円の中に、特別区、二十三区からの出資金として三億円が含まれているというふうに聞いているわけですが、その経緯と理由について明らかにしてください。

○岡田監理団体改革担当部長 特別区協議会が出資をしておりますのは東京テレポートセンターでございます。東京テレポートセンターは平成元年度から毎年増資を行いまして、平成七年度においても、第三者割り当てによりまして、約二十億円の増資を行いました。増資に当たりましては、既存の株主でございます東京都、当時の日本開発銀行などの金融機関、生命保険、通信事業者などのほかに、先生のお尋ねの特別区協議会にも六千株、三億円を取得してもらった経緯でございます。
 なお、出資を要請したときにつきましては、テレコムセンターは防災拠点の中核機能を担うことによりまして、特別区にとってもその存在意義は大きいとか、TTCは情報ネットワークのかなめとなり、特別区にとってもこのネットワークを活用したサービスの向上が期待できるといったようなことで出資の要請をしたところでございます。
 なお、この減資でございますが、特別区協議会を含めた、都を含めた全株主について一〇〇%減資をすることになるわけでございますが、民事再生手続の中で、東京地方裁判所より、既に十月三十一日でございますけれども、許可がされているところでございます。

○小竹委員 今お答えのとおり、一九九六年、平成八年の二月九日付で、当時の青島知事から特別区の会長である大場会長あてに、それからテレポートセンターの代表取締役の吉岡社長から同じく出されているわけですね。
 青島知事の要請文書には、いろいろ書いてあるわけですけれども、東京テレポートセンターに対しては、都は最大の出資者として、同社が適切にその機能を発揮できるよう努めてまいったところですが、今後ともその運営の円滑化のために、さまざまな形で協力を行っていく所存です、つきましては、特別区におかれましても、株式会社東京テレポートセンターからの要望を踏まえ、同社の経営基盤をさらに強化するため、特段のご協力をくださいますようよろしくお願いしますという要請文書が送られているわけです。
 このことについて、私は直接このテレポートセンターそのものの経営とか開発とかに二十三区はかかわってこなかったという点でも、こういう要請をすることそのものが異常なことなのじゃないかというふうに思うし、それと同時に、二十三区の関係者の多くは、ほとんどこの中身について知らされていないという点でも問題があるように思うんですが、今度の民事再生の処理に当たって、二十三区との協議はどのような形で行われたのでしょうか。

○岡田監理団体改革担当部長 平成十八年の五月十二日に、東京テレポートセンターを初めとする臨海三セク三社は民事再生の申し立てを行ったわけでございまして、その際、特別区協議会を含め、株主について、株主あてについての説明をする通知文を行ってございます。それ以外に、特別区協議会を含めて株主につきましては、会社の方で個別に回って説明をしているという状況がございます。
 また、十八年の八月、ことしの八月でございますけれども、特別区の区長会がございまして、その際に、東京テレポートセンターの社長及び港湾局長が出席いたしまして、状況を説明しているところでございます。
 なお、特別区協議会としては、十八年の九月に開催されたということを聞いてございます。

○小竹委員 説明はしたということですけれども、都知事が出しているわけですよね。私は、そういう点でいったら都の責任は免れないというふうに思うんですね。
 そういう点でいえば、この要請の文書を、当時のテレポートセンターの代表取締役社長の吉岡氏は、二十三区合わせて三億円、一区当たり千三百万円の出資をしていただきたく、特段の配慮をというふうに要請を出しているんですよ。一区当たり千三百万円の出資をさせたという点でいえば、二十三区の区民に対して、東京都としてきちんと迷惑をかけた責任をとらなければならないのじゃないかというふうに思うんですが、その点についてはどうですか。

○岡田監理団体改革担当部長 先ほどご答弁を申し上げましたけれども、東京テレポートセンターは平成元年から順次増資を行ってきておりまして、増資を行うために出資者を広く集めるという形から、例えば金融機関だけでなくて、情報通信事業者ですとか生命保険、あるいは最終的には損害保険会社など広く出資者を集めた経緯がございまして、その中の一つとして特別区協議会もあったというふうに聞いてございます。
 なお、当初の各区に要請をした部分から特別区協議会に変わったということについては、その経緯については詳細ではございませんけれども、最終的には特別区協議会に六千株を引き受けてもらったということでございます。
 なお、株主に対しては、特別区協議会を含めまして、会社が五月十二日以降個別に上がっているとともに、東京都といたしましても、先ほどございましたとおり、八月において、特別区の区長会に出席し、民事再生を申し立てたことについての状況説明等をご説明させていただいているところでございます。

○小竹委員 状況説明ということで、責任というふうなことではないわけですね。やはり私はきちんと、それこそ東京都が要請してきて、それは現知事ではありませんけれども、都がこういうふうな形で、株式会社と一緒になって要請したわけですから、きちんと責任をとる必要があるのじゃないかというふうに思うんですね。この点については指摘をしておきます。
 この間、出資者を広く集めるということで、二十三区も含めてなさったということですけれども、私は、そもそもこの三セク企業が、金融会社は出資金を少なくして貸し付けを多くして利益をとるというふうな仕組みでずっとやってきたことそのものに問題があるということを前に議論したときに指摘したわけですけれども、こういうふうに経営が厳しい状況になっているのであれば、やはり経営に参加している金融機関や国に対してきちんと増資を要請することが、会社経営の本来の姿だったのではないんですか。
 特に金融機関に対しては、貸付金を出資に切りかえてもらう。そうすれば、返済の負担が減るわけですから、そういう点で考えても、私はこの経営そのものについて問題があったのじゃないかというふうに思います。
 この辺についての質問も、このテレコムセンターが企業としてそういうことをやってきたのかどうかというのを質問したいというふうに思ったんですけども、担当セクションがかわったために、当時のことを正確にわかる人がいないということで、先ほどやったと思うというお答えではあったわけですけれども、確実に貸付金を出資金に変更してくれとかいう要請をしたのかどうかというふうなことなどについては明らかになっていないわけで、そういう点では行政としての責任が問われる問題だというふうに思いますので、この点については指摘をしておきたいと思います。
 あわせて、吉岡社長の二十三区への要請文書の中に、当社が授権資本百六十億円を目標に、平成八年まで四十三億円余の増資を行う計画でありますというふうに述べた上で、二十三区に三億円の出資を要請しているんですよね。そういう点でいうと、本当にその目標が達成されたのかというのが、これまでいただいた資料を今回もう一回改めて見たときに、達成されていなかったという状況にあるというふうに私は見ました。
 資本金の推移を見ても、百六十億円を達成したのは平成十年の経営安定化策の時点ですね。ですから、そういう意味でいっても、開業したのが平成八年ですから、その当時から経営が大変な状況になっていたというのが明らかなのじゃないでしょうか。その点で、この間も何度も指摘をしてきたことではありますけれども、開業は平成八年、そしてその翌年の九年にはもう債務超過に陥っているわけですよね。二年目にして債務超過に陥って、その債務超過はずっと安定化策がとられても膨れ上がっていっているという状況にあります。きょう出された資料と前にいただいた資本金の状況を見たときに、これがはっきりと証明できるというふうに思います。
 平成十六年の累積債務は資本金の一・七倍の九百十四億円、そして昨年度末では減損会計で特別損失一千億円が加わりましたから、資本金の三・六倍、一千九百五十七億円の累積債務ということになっています。このままでは債務について返済できないということが明らかになってきているのではないですか。
 それにゼロ金利の解除という金利上昇が加わって、これまで低金利と救済策などをとってきたことから、多少経営が、営業利益などは出てきたというふうなことで、改善されたのだというふうにおっしゃられましたけれども、いずれにしてもこれだけの債務を返済することができなくなっていたというのは、今時点での間違いない事実だというふうに思います。
 民事再生計画案では、債権額が三千六百十一億円、そのうち別除権額として千三百十一億円として、担保の分について別除権の扱いになっているわけですけれども、これについては別除権協定を締結して分割返済していくということが出されています。別除権協定についてもきちんと議会に明らかにすべきだというふうに私は要求してきたわけですけれども、債権者の当事者じゃないということで、これは明らかになっていません。この点では、再生計画案と同じ状況にあるわけですけれども、私は都民の税金を投入してきたというこの事業の処理をするに当たっては、きちんと都民に知らされないという点は重大な問題だというふうに思っています。この点も指摘をしておきたいと思います。
 それで、お伺いしますけれども、千三百十一億円の別除権の評価について、評価の根拠を示していただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 民事再生におきましては、債権総額から担保つき債権でございます別除権債権を差し引いたものが無担保債権である再生債権となるため、別除権額の評価によりまして、債権者への返済額やいわゆる債権放棄額が影響を受けることになります。そのため、別除権額の客観性や合理性を確保するため、裁判所の関与のもと、別除権額が決定されることになってございます。
 臨海三セクの場合におきましても、東京地方裁判所における民事再生手続の中で、弁護士や公認会計士、不動産鑑定士などの専門家により、収益力をもとに資産評価が決定され、別除権額が千三百十一億円となったものでございます。経営改善に努め、七年連続で営業黒字を計上するなどの収益力が評価された結果、高い評価額になっているものと考えてございます。

○小竹委員 そういうことを聞いたわけじゃなくて、別除権としての評価ですね。当然固定資産としての価値やなんかの評価の根拠というのがやはり示されるべきだというふうに思うんですね。裁判所で確かにそれは弁護士さんや不動産鑑定士などが入って評価されたものだから、妥当なんだということですけれども、千三百十一億円はこれから二十五年間返済していくわけですから、そういう点でいってもきちんと妥当なものなのかどうかというものの検証が必要だというふうに思うのですね。
 そういう点でいうと、その根拠が一体どこに、どういう評価のもとに出されているのかというのは、やはり明らかにすべきなのではないですか。

○岡田監理団体改革担当部長 この別除権額につきましては、先ほども申し上げましたとおり、裁判所の関与のもとに、不動産鑑定士や公認会計士、さらには弁護士といった形によりまして評価額を決定いたしまして、その上で、東京地方裁判所が任命いたします監督委員、これも弁護士でございますが、監督委員の審査等を経た上で、その別除権額は妥当なものであるかどうかという形のものが認定されるわけでございます。
 一般的には、先ほど申し上げましたが、収益力をもとにということは、将来のキャッシュフローなどについての収益性をもとにして資産評価をするというのが一般的でございますが、いずれの具体的方法によりましても、その資産評価額というのは、そういった専門家を経て、東京地方裁判所などの公的な判断の上で決定されるというふうに考えているところでございます。そういうものになっているものでございます。

○小竹委員 ここはもうすれ違いになるので、それ以上はしませんけれども、確かにそれは裁判所が決定したという点でいうと、一定の根拠があってのことだというふうに思いますけれども、やはり都民の税金を使っているということからすれば、きちんとここのところの検証と、それから都民の前にきちんと明らかにすべき中身だというふうに思いますので、この点も指摘をしておきます。
 今後、千三百十一億円については、二十五年間分割で返済していくわけですけれども、その利息は幾らになるのか、利率もあわせてお答えください。

○岡田監理団体改革担当部長 別除権額千三百十一億円につきましては、今後毎年五十億円程度の元本返済を行い、原則として、これまでご説明申し上げましたように、二十五年で完済する予定でございます。この間の利息支払いにつきましては、そのもととなる金利は、当面現在の金融情勢を総合的に勘案して、二%程度になるだろうというふうに考えてございます。その後は、公認会計士や専門家であります金融機関との協議を行っていまして、その協議の結果、上昇リスクを織り込んだシナリオをつくっているというふうに聞いてございます。
 一方で、毎年の元本返済によりまして借入金残高が減少することになりまして、減少することによりまして利息の支払い額が毎年減っていくという形になってございます。この結果、二十五年間で約五百億円程度の利息支払いになると見込んでございます。
 ただ、繰り上げ返済による借入金残高の減少は織り込んでいないため、仮に繰り上げ返済を実施した場合には、これよりも少なくなることが考えられます。

○小竹委員 二十五年、それから先ほど議論もありました、十年間の弁済ということもあるわけですけれども、それと繰り上げ償還があるわけですが、いずれにしても金融機関は担保を持って、その分、弁済を受けるわけで、本当に私は金融機関は取りっぱぐれがないなというのを実感しているんですが、担保をつけているのは金融機関で、貸し付けているわけですから、この表を見ても、弁済率は四二%弁済されるわけですね。その上、残りの返済に当たって利息もつくわけですから、そういう点で見たら、非常に金融機関は保証されている。そういう点でいって、当初の、先ほどいいましたけれども、出資金に切りかえていたら、こんなふうにはならなかったのじゃないかというふうに思われてならないんです。
 金融機関についていえば、それこそこれまで払ってきた元本の返済、千三百億円、平成十六年度末では元本返済しているわけですし、利息についても一千億円も払っているという点で見たら、金融機関にとっては、確かに債権放棄はしたとはいうものの、一定のものを取得しているという点でいえば、金融機関はそんなに不利益をこうむっていないというふうに思います。
 しかし、その一方で、都民の税金を使って行った、東京都は無利子の貸付金についても担保がないわけですから、八億円を除いて債権放棄しなければならない。出資金についても、一〇〇%減資ということで、全部失うわけですよね。そのほかに、この間、安定化策の中には、十年間地代を七五%減額してきましたから、そのお金で百三十三億円、そのほかにさらに東京都が三セクビルの中に部屋を借りているものなど合わせると、多大の負担が都民の方にかかってきている。そういう点でいえば、都民の負担は甚大なものがあるというふうにいわなければなりません。
 先ほど、破産処理の問題についての議論がありましたけれども、私は今度のこの計画そのものが、決して都民の立場から見たときに好ましい破綻処理の方法ではないというふうに考えています。本当に都民の立場に立って、どれだけ負担を減らしていくのかということがやはり必要なんだというふうに思うんですね。
 そういうことを見たときに、破産処理の方法もその一つになるかというふうに思うんですけれども、決してこれが絶対いいということでは私は思っていませんけれども、少なくとも今後の問題としても、都民の税金の新たな投入や、それから都民の財産を投入しないで済むという点で考えれば、民事再生よりも一定の、今後の負担の問題を考えたときには、改善点があるのかなというふうに思っています。
 一時的には若干の負担があったにしても、経営を継続させることによって、底地の現物出資だとか、そういう都民の財産が失われるという点では、やはり今回の民事再生については問題だというふうに指摘をせざるを得ないと思います。
 今度の再生計画案の破綻処理後の三社の底地の現物出資をするわけですけれども、その土地の評価等についてはどういう基準のもとに行われるのか、お答えください。

○岡田監理団体改革担当部長 現物出資の底地の評価額のお尋ねでございますが、その前に、ちょっと確認のためにご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、金融機関からの出資でございますけれども、金融機関につきましても、三社合わせて百七十七億円の出資がございまして、これらにつきましても一〇〇%減資することによりまして、東京都と同じように、減資の対象になります。
 それから、先ほど、金融機関に貸付金の出資についての要請をしなかったのかということでございますが、そうした要請をした事実があるかどうかということについては、残念ながら確認ができておるわけではございませんが、ただ東京都とその他の金融機関との関係で申しますと、五一%東京都が取得しておいて、それによりまして東京都が株主としてのいわゆる指導監督をしていくという観点から申し上げますと、これまでの毎年毎年の、平成元年度から行われてまいりましたそうした増資におきまして、東京都が一定額のシェアを占めていくという観点において毎年の増資が行われてきたということで、東京都が五一%を握ってきたという形になるのかと思います。
 金融機関につきましても、担保の問題はございますけれども、一方において、金融機関からも二千億円の債権放棄をお願いしているという形があろうかということについては、ご確認いただければと思います。
 それから、現物出資を行う底地の評価額についてでございますが、底地につきましては、現物出資の議決を受け、裁判所における再生計画認可決定の確定以降になりますが、その土地の評価を行うことになります。したがいまして、現在まだ評価はできておりませんものですので、お示しすることはできません。
 なお、現在三百億程度というふうに試算をしているわけでございますが、これは基準地価格や周辺の路線価の動向、それから不動産の市況など総合的に勘案して、現時点ではそのぐらいではないかと試算しているものでございます。

○小竹委員 今、金融機関の出資金については、一〇〇%減資になるから、金融機関もその分は影響を受けているということは、別に否定しているわけではありません。
 それから、先ほど私がいった元本や何かの問題とあわせて、金融機関も貸付金で債権放棄をするからということをおっしゃられましたけれども、既に金融機関に対しては元本千三百億円、それから利息一千三十億円、これを合わせて放棄する金額に等しいくらいのものはもう既に払ってきているわけですよね。確かに貸し付けたんだから返さなきゃいけないあれですけれども、やはりもともとの貸付金のパイが大きかったということからすれば、それが経営破綻につながっていく要因であったことは間違いないわけですから、そういう点でいえば、もっと金融機関に対してきちんと出資に切りかえてもらうというふうなことをやって経営破綻を免れるような状況にすべきだったのではないかというふうに思います。
 この点については指摘をしておきますけれども、今後の現物出資の土地の評価については今できていないということですが、今後決定した後、どういう評価になったかというのは、議会の方に明らかにされるのでしょうか。その点はどうですか。

○岡田監理団体改革担当部長 先ほどお答え申し上げましたとおり、民事再生の手続の中で今後の資産評価をやってございますので、資産の評価が出るのは来年になろうかと思いますが、出たときにつきましては、議会等にご報告をさせていただく形を考えてございます。

○小竹委員 これまでいろいろなものが経営にかかわる問題だということで明らかにされなかった部分もありますので、くれぐれもこの点についてはきちんとそれぞれの評価について明らかにしていただくように強く求めておきます。
 今回の現物出資については、埠頭公社の寄附するふ頭用地の時価相当でということで、先ほど、実質的な負担がないというのをこれまでいわれてきましたし、先ほど三百億円にほぼ相当するというふうなお答えだったわけですが、このふ頭用地にしても、三セクビルの底地にしても、都有地であることは変わりないわけですよね。ですから、そういう意味でいうと、本当にこの三百億円を現物出資して、この財産で三セクを救済するということにほかならないのじゃないですか。この財産を投入しなければ、年間十七億七千万円の地代を、七五%はもう減額措置がとれるんだというふうに思いますから、払わなければならない。これは東京都に本来だったら入ってくるお金ですよね、地代として。
 だから、そういう意味で考えると、先ほど来議論もあったわけですけれども、三セクの地代の負担、十七億七千万円の負担を軽減して、現物の出資という形で三百億円の資産をこの株式会社テレポートセンターに出資をするという新たな救済策をとったということになるのじゃないですか。こういうことがやられなければ、先ほどご議論された経営の安定化策はとれない、安定的な経営をやるということはできない中身になるのじゃないかというふうに思うんですよ。
 しかも、今回の現物出資ということで、財産を提供するわけですから、東京都がこの新しい--新しいといったら、民事再生後発足する会社の一〇〇%の出資者は東京都になる。東京都が一〇〇%出資して貸しビル業を営業するということになるのじゃないですか。私はこんなことは絶対に認められないというふうに思います。
 営業利益が黒字になるという見通しが先ほど示されましたけれども、それもこの三百億円相当の底地の出資があってこそ成り立つものであって、こんなに順調に経営が成り立つのかどうか、率直に私は疑問を持っています。
 今、都市再生で、都心の便利な一等地に事務所ビルがどんどんつくられていますから、今後、この臨海部、幾ら交通の利便性がとれたといっても、これから先、都心の便利なところと比べたときに、テナントが今までのように埋まるという保証はないのではないか。そういう意味でいったら、先ほど五十社も来ているというふうなお話がありましたけれども、今後そういうふうに必ずしも甘い見通しが立てられるものにはならないのじゃないかというふうに思っています。
 そういう意味でいえば、千三百十一億円の分割返済、そして、毎年五十億円を超すような元本と利息を返していかなければならないという点でも、私は行き詰まる危険性を持っている中身があるのではないかというふうに思っています。民事再生ということで、さらに不動産業を継続するということになるわけで、新たな税金投入である底地の現物出資については、反対するものです。
 最後に、持ち株会社についてお伺いしておきます。
 この持ち株会社は、三セク救済のために使われたのではないかという批判の声も都民の中から上がっています。この間の議論を通じて、グループ全体の連結財務諸表や持ち株会社や各子会社の財務諸表については議会に明らかにされることになっていますけれども、持ち株会社や子会社の経営に関する情報すべてを開示するのか、情報公開の対象にするのか、この点についてお伺いします。

○斉藤総務部長 各団体につきましては、その事業運営に支障がある事項を除きまして、これまでも情報公開に努めてまいりました。
 本グループは公共的な役割を担うことから、議会や都民に対する経営の透明性を確保するということが重要であるというふうに認識してございまして、この間、そのために第三回定例会の本委員会におきましてもご報告申し上げましたが、法的な義務の有無にかかわらず、親会社に加えまして、グループ全体の連結決算財務諸表及び各子会社の財務諸表につきましても、毎年度議会に報告することで、都民への説明責任を果たしていきたい、かように考えてございます。

○小竹委員 事業運営に支障がある場合を除き、都民にできるだけ公開をするということなんですけれども、これまでも臨海三セクの問題でいろいろ伺っても、事業運営にかかわるということで、例えば貸し付けている部屋の賃料だとか、地代だとか、そういうものがほとんど明らかにされていません。そういう点でいうと、情報は完全に公開されているとはいえないというふうに思います。
 そういう意味では、三セクもそういう経営実態が明らかにならないまま、今日の状況に至って、民事再生というふうになったわけですが、改めて今回の持ち株会社は、東京都が無利子の五十億円の貸付金をして発足するという点でいえば、純粋の民間会社とは全く違うわけで、そういう点では財務諸表だけでなく、すべての情報を都民の前に開示する、このことを強く求めておきたいというふうに思います。
 持ち株会社は、新たに大きな三セクをつくることにもなるというふうにもいわれています。持ち株会社方式では各事業の実態が非常にわかりにくくなり、ブラックボックス化する危険性を持っていると専門家の人たちも指摘しています。持ち株会社の設立には、私たちは基本的に反対です。
 持ち株会社をつくって臨海開発を進めるということは、今大きな社会問題になっているヒートアイランドや温暖化など、自然環境にさらに負荷をかけていくということにもなりますし、そのために五十億円の無利子の貸し付けをするという、こういう新たな都民の税金投入も行われることになるわけで、このことは絶対に認めるわけにはいかないというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○原田委員 私も臨海三セク三社の再生計画についてお伺いします。
 まず、再生計画案についてですが、いわゆる臨海三セクの再生計画の中に持ち株会社へ参加する予定が盛り込まれていますが、これまでの局の説明は、持ち株会社への参加は経営基盤強化後のことだったわけです。それに、持ち株会社はまだ発足しておらず、臨海三セク三社の経営基盤強化もまだこれからという段階です。
 そんな段階で、この再生計画案に持ち株会社への参加予定が記載されているということ自体は問題ではないかと思いますが、これに関してのご見解をお伺いします。

○岡田監理団体改革担当部長 都は、持ち株会社構想を報告いたしました第二回定例会のご報告の中でも、法定手続を経まして、経営基盤が強化された段階で参加する予定と、このような形でご報告してございます。
 臨海三セクを有効に活用するため、このような形を明らかにしたものでございますが、これを受けまして、十月三十一日に、先生からお話ございました、臨海三セク三社が東京地方裁判所に提出した再生計画案の中で、今後の計画といたしまして、持ち株会社グループへの参加を目指すことの意思を表明したものでございます。
 一般的に再生計画案には、再生計画の基本方針として今後の事業計画を記載することとされてございまして、再生計画案に持ち株会社グループへの参加を目指すとの記載があるということと、グループに参加させるかどうかの判断とは関係はないものと考えてございます。

○原田委員 再生計画というのは、経営の再建をどうしていくかという計画なわけですね。それで、ホールディングスへの参加というのは安定後の話ということなので、私は基本的に入れるのはおかしいと思います。事実、最初の再生計画の範囲には入っていなかったように記憶しています。
 別なとり方をすると、ホールディングス参加まで入れないと再生計画にならないのかというふうにさえ解釈されるということで、そういう場合、やっぱり誤解を招くということがあって、再生計画をきちっとするという意味では、目指すところの範囲は必要ないのかなと考えております。それはいろんな考え方があると思いますが、ホールディングスの会社設立もない中での記載はいかがなものかという意見を述べさせていただきます。
 そしてまた、今後のスケジュールというのを見ると、合併した会社はホールディングスに参加するというような記述があります。そして、今までの皆さんの質疑を聞いていると、一連の動きの中に、安定してきているというような条件の説明がるるありました。それを聞いても、なおかつ、合併会社の設立が来年度の四月で、その年の八月にはホールディングスの会社に参加していくというようなスケジュールが記載されています。
 これに関して、いろいろな答弁がありましたから、質問はしませんけれども、例えばご存じのように、経営安定化策を提示したときも、そのときも見通しは基本的には明るかったわけなんですね。安定しているかどうかの判断は、ある一定の期間を見ないと大変難しいということを私たちは学習しているわけです。ホールディングスに参加を急ぐ理由というのがまだ理解できないと思います。これに関してご見解を伺えればと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 再生計画案が成立することを前提といたしまして、十九年の八月に参加させるということにいたしてございます。
 それで、臨海三セクでございますが、再生計画案が成立した場合には、二月の中旬に債権放棄や減資といった一連の手続を終えまして、四月に三者の合併、底地の現物出資を行いまして、実質的にその段階で再生計画案は終了いたします。それで、平成十九年度には債務超過が解消いたします。
 さらには、二千百億円を超える債権放棄を受けることによりまして、これまでご説明申し上げましたが、利息支払いが減少し、営業利益は七十億円から九十億円の黒字、経常利益は四十億円から八十億円を確保する見込みでございます。
 したがいまして、民事再生によりまして、臨海三セクはその抜本的経営再建を経まして債務超過が解消されるなど、バランスシート上におきましても、また営業利益や経常利益などの経営見通しからも、経営基盤は強化されるものと判断したものでございまして、十九年の八月に参加させるというふうに考えたものでございます。

○原田委員 その説明は皆さんの質疑の中から聞いたわけなんですけれども、やっぱりそれでもなおかつ一定の経過を見ないと、本当に安定しているかどうかわからないのじゃないかという立場で、私は意見を述べさせていただいています。ちょっと急ぎ過ぎではないかというふうに私は考えております。
 そこで、別除権の一千三百十一億円、この返済計画というのは、二十五年間の分割返済ということでご説明がありましたけれども、利息と合わせて年間の返済額ですか、これについて、どのくらいになるのか、お答えいただければと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 今後二十五年間で返済いたします別除権総額は千三百十一億円でございます。この二十五年間の支払い利息については、約五百億円程度と見込んでございます。両方合わせまして一千八百十億円程度でございまして、これを年平均で求めますと、毎年の返済は七十億円程度になろうかと考えてございます。

○原田委員 年間の返済が七十億円程度ということのお話でしたけれども、この委員会での質疑の中でも、今後の見込みとして、営業利益が七十億から九十億円、経常利益が四十億から八十億円と見込んでいるというようなお話もありました。しかし、七十億円というのは決して低い額ではないということもあって、やっぱりこの合併の会社が本当に安定しているかどうかというのは、少し経緯を見て判断すべき問題ではないかと思います。
 民事再生法の申請のときは、新たな投資はないというようなお話でしたけれども、早くホールディングスに参加させるというような背景は、やっぱり双方のファイナンス、特に無利子貸し付けが予定されているこのようなファイナンスがセーフティーネットとして必要だというような判断もあったのかなというふうに私は考えてしまいます。いろんな意味で臨海三セクの本当の自立ということは、これから大きな課題だと思います。ホールディングス込みでない、自立した経営ができるように、しっかりと見届けてからの子会社参加ということを考えるべきだと私は思っております。
 その次ですけれども、ビルの底地の現物ということで、現物出資というようなお話がありました。それで、今年度中の認可決定確定後、三社合併時の二回に分けて現物出資が行われる。これはなぜでしょうか。この理由をお聞かせいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 現物出資でございますが、新会社のさらなる経営安定化に資することを目的として、合併後の新会社に対して、来年、十九年四月に行うこととしています。
 しかしながら、現物出資の前に、一〇〇%減資をした三社を合併する手続が必要となってまいります。この合併は、本年五月に施行されました会社法に基づき、手続を進めることになるわけでございますけれども、この会社法によりますと、一〇〇%減資になったとしても、例えば既存の株主の権利が残っているといったようなことがあるものですので、資本がゼロになった会社の株主総会での議決の方法といったようなものについて、会社法の運用のそういったような詳細が決められてございません。したがいまして、非常に手続は複雑になるだろうという形で、弁護士など専門家とも相談した結果、一〇〇%減資と同時に増資を行って、三社とも通常の資本金を有する会社としての合併手続を進めることにしたものでございます。
 そのため、有明フロンティアビルの底地の一部を二月中旬に現物出資することにしてございます。これによりまして、合併手続に要する時間を大幅に短縮することが可能になったと考えてございます。

○原田委員 会社法という法律が改正されたということの中で、大変難しいご説明でしたけれども、要するに臨海のいろんな一連の対策も含めて、大変都民にとっては理解しがたい範囲のものが多いわけです。それはなるべく理解しようということで、いろんな皆様から資料をいただいたり、お話を聞いたりして理解を深めようというわけなんですけれども、法律そのものの解釈は難しいということもあります。そしてまた、皆様からの資料なんかがちょっとわかりにくいということがあります。
 そんな中で、今回、特に取り上げてみたいというのは、実は次の質問にかかるんですけれども、現物出資の考え方というか、臨海三セクへの現物出資と埠頭公社の土地の公共化に伴う土地の寄附というのが今年度にあるという、そういうようなことを今年度じゅうにやったということが、皆様のいろいろ質疑のやりとりの中で、どうしても説明の中に絡んでくるというところがあるんですね。
 時々の話の中で、それは別の話ですよねといわれても、結局今回新たな資料をもらったのを見せていただきましたけれども、三セクの底地の現物出資に関しては、埠頭公社から寄附されるふ頭用地の時価相当分の範囲の出資なので、実質的な負担は生じないというような文言があるわけです。
 これに関して、皆さん、時々別な話ですよねということを委員会で確認はしているんですけれども、再三この話が出てくるということに関しては、市民に対しての情報提供ということでいうと、混乱させる要因があるのではないかと考えるわけなんですけれども、これに関して、どうしてまたこんな理由をつけたのか、ご説明をいただきたいと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 臨海三セクへの底地の現物出資は、民事再生後に設立される新会社の安定した経営を確保するために行うものでございます。一方、ふ頭用地の公共化は、埠頭公社の民営化のために実施するもので、両者は別物でございます。しかし、いずれも臨海会計で寄附受領、処分をすることになりますものですので、臨海会計の資産の状況を明らかにするため、注記をしたものでございます。
 すなわち、現物出資によりまして土地資産は減少する形になりますが、ほぼ同時期に、埠頭公社からお台場ライナーふ頭用地の寄附を受けるため、結果といたしまして、臨海会計におきましては、土地資産は減少しないということを示したものでございます。

○原田委員 この再生案が提示されて、民事再生法が裁判所に申請された六月ごろのやりとりの中でも、この話は再三皆さんは取り上げているわけです。実質的な負担のない形で現物出資するというような説明があって、それに関してご答弁があって、十八年度に公共化したふ頭用地を活用して、臨海三セクの四棟分の底地と交換し、その後底地を臨海三セクに現物出資するものでございますということで、再三このような答弁がなされているわけです。
 それは別の問題といいながらも、何か今年度の臨海の会計はプラス・マイナスで損はしないんですよというようなことで、問題点を明らかにしない、そういうような説明の仕方が、やっぱり私は問題じゃないかと思っています。
 臨海三セクの問題はこのぐらい負担する、一方で公共化、埠頭公社の土地の問題はこうですよという話で分けないと、例えばですよ、埠頭公社の公共化、そして寄附するのは、今回の今年度の臨海会計の帳じり合わせじゃないかと思われても仕方がないわけです。だから、その情報を伝えて、問題点、またそこの再生に関する課題を明らかにするためには、この問題はしっかりと別な問題だというような立場で説明していく必要があると思います。
 これに関して、私は、もう少しはっきりとした、違ったものだということを鮮明にするためにも、現物出資、土地の底地の出資に関しては、はっきりとした、独立したというか、それだけの問題としてきちっと説明していってほしいと考えます。
 その次なんですけれども、持ち株会社の話にもなると思います。各監理団体を持ち株会社が順次子会社化していくということですが、私はまだここの時点でも、二つ、大きな疑問点を感じます。
 まず、持ち株会社の設立に当たり、なぜ臨海熱供給を母体にするのか、またなぜビッグサイトの子会社化は、最初は第二ステージですか、ちょっと早い段階でのスケジュールだったものが、平成二十年度ということで遅くなったのか、それについてお伺いします。

○斉藤総務部長 まず、臨海熱供給を設立の母体にしてなぜ親会社をつくるのかということでございますけれども、早期に持ち株会社を設立して、そのグループ化を円滑に進めまして、そのための手続に要する時間やコストの縮減は可能になるという、単独株式移転の手法を採用することといたしました。各団体と協議、検討してまいりました結果、臨海熱供給がより機動的な対応が可能であるということで、臨海熱供給のもとに親会社を設立するということに決めました。
 それから、ビッグサイトがなぜ二十年なのかというお話でございますけれども、これにつきましては、ビッグサイトについては一般株主の方から出資を募ってきた経緯がございます。そういった経緯を踏まえまして、一般株主への説明や、手法としては現物出資でございますので、その手続にかかります期間を考慮して、子会社化の時期を二十年度としたものでございます。
 また、埠頭公社につきましては、先般来ご説明をしてございますけれども、承継法の五月の改正を踏まえ、秋の施行を受けて、来年度に受け皿会社、民間会社をつくった上で民営化し、ホールディングスに参加するというステップを考えてございます。
 臨海地域につきましては、冒頭のご答弁で申し上げましたとおり、港と都市の機能というものの調和を図りながら、東京港の国際競争力の強化を図る。それから、総仕上げ十年を迎えました副都心のさらなる推進を図っていく、開発の推進を図っていく。そして、オリンピックという目標もございますので、この十年間というのは一つの大きな節目だと考えてございます。そういう意味で、臨海地域における公共的役割を担う各団体を早期に統合して、その力の相乗効果によりまして、新たな連携事業とか新たな事業展開を図っていくことが必要だと。そういうことから、その他の二社、ゆりかもめ、それから臨海三セクについては、この夏に早く統合し、来年の、二十年の統合に向けて向かっていこうということでございまして、臨海三セクについては、その経営については、るるこの間説明してございますので、私どもとしては、裁判所に認可された再生計画によって、きちっと再生はされていくと考えてございます。

○原田委員 最初はグループ内のファイナンスというところでお話が動いたということがありましたけれども、最近、来年度予算に向けて、五十億円の無利子貸し付けを行うということが局から表明されたということで、これに関して、なぜ無利子貸し付けなのかとか、その積算はどうなのかというのは、まだ予算の要求段階だから、それは後にしてほしいというようなこともありましたが、このファイナンスに関しての説明責任はしっかりと果たしていただきたいと考えております。
 そして、最後の二点なんですけれども、今、いろんなお話を聞いて、私は基本的には会社更生法という方法での処理ということに関しては、ベストじゃないけれども、しようがないのかなというふうな立場に立っているわけなんです。しかし、六月の委員会の質疑の中でも指摘させていただきましたが、債権放棄とか一〇〇%減資の三百六十一億円というような負担を都民に強いたということでいうと、やっぱり責任をどういうふうに果たしていくか、責任のとり方をどうしていくかということだと思います。
 私は、行政のやり方、失敗もあるだろうし、いろんなところで予想以外のことはあるというふうに感じていますから、一〇〇%都の責任ということまではいいませんが、これは大変強い行政主導のもとで行われた事業ですから、まあ責任があるなと考えてはいるんですけれども、議会のチェック機能とかなんとか、やはりそれぞれの立場での責任は当然あると思います。
 しかし、やはりこの三百六十一億円という負担を強いたということでいうと、東京都として三セクを指導した立場の責任と、都民に対して負担を強いた立場と、二つの立場がある。これは六月の議会の中でもいわせていただきましたが、このときに委員会でのやりとりの中で、局長がその旨の意を表明したということで、私だけがそれを感じなかったのかというふうなことで、議事録をずっと見てみましたけれども、最初の代表質問ですか、六月十三日に行われた吉野議員の代表質問の中で、局長がいろいろ説明なさった後に、都民への負担を伴う事態に至ったことについては、都として厳粛に受けとめておりますというような文言が、確かにこの辺が都民に対する申しわけというようなことなのかとは思いますけれども、私はもう少しはっきりとした形での表明が必要ではないかと考えております。
 例えば、きょうの議会のやりとりの中で、経営陣の報酬が、自主的に二分の一カットを決断したというような話もございました。それと同時に、やっぱり新しい体制になっていくんだというような意気込みというか、表明も必要ではないかと思っております。今までどおりの天下り人事では、やっぱり戦略的な展望が望めない、そんなことも思いますから、思い切った民間登用など、再び失敗を繰り返さないという強い意思を人事の面でも示すべきではないかと考えますが、これに関してご見解をお聞かせください。

○斉藤総務部長 持ち株会社の民間人の登用についてでございますけれども、持ち株会社の件につきまして、民間の知恵と工夫を取り入れていくことにつきましては、これまで同様重要であるという認識でございます。
 また、持ち株会社グループの果たします公共的役割、あるいは都や民間事業者など多くの関係機関と調整しながら事業を進めていくという事業特性を踏まえますと、その経営を民間経営者に任せることが最適であるかどうかについて、さらに十分な検討が必要であると考えてございます。
 グループの組織体制につきましては、会社機関の考え方や役員数の精査などについてご報告したところでございますが、経営陣については、グループが果たす役割、それから事業展開など、その時点時点の状況に応じまして、効果的、効率的経営の観点から、最も適した人材を登用していきたいと考えてございます。

○原田委員 私の質問の設定が悪かったかもしれませんが、持ち株会社だけでなく、臨海地域の三セクという問題について、今後の戦略的なあり方も含めてお答えしていただきたかったんですけれども、持ち株会社に対する人事の考え方ということでいうと、ほかのところへの対応も含んでいるというふうな解釈で、人事に関しては適材適所というようなお話と受けとめています。今のお話、よろしいでしょうか。
 それで、やっぱりこれまでの、いろんな意味でさまざまな支援策というか、臨海三セクに対してもいろんな対策をしてきたし、東京都はこの臨海の事業、臨海でのさまざまな事業展開というのは公で進めることが大変必要だというような立場に立っての支援をやってきたわけです。
 一方、公的な役割というのがまた新しい時代にどんなものかというような議論をする、そういうのが一方で進められているわけです。基本的には公の仕事はだんだんスリム化していこうというような流れで、スリム化ということでいうと、私はいろんな意味で、全部が全部スリム化がいいとは思いません。しかし、臨海開発というような、地域の開発ということでいうと、順調な風向きになったとき、やっぱり少しずつ公の関与を少なくしていく。東京都の出資率を下げ、そしてまた自立的な経営をしていく。そして、将来的に一〇〇%民間力で行うようにしていくというようなことが時代の要請ではないか。これに関しては、再三いろんな場所でいわせていただきました。
 このような流れについて、長期的な東京都の考え方がおありでしたら、お伺いします。

○斉藤総務部長 臨海地域の開発につきましての、そこでいわゆる活動している三セクについての問題と、オール東京都におけるいわゆる三セクの考え方についての問題と、二つに分けることができるかと思うんです。
 まず、この持ち株会社グループを含めた臨海地域の三セクの活用については、先ほど来るるご説明しておりますように、特にこの十年というものが大きな節目になるということで、公の役割を担うこの五団体については、より一層公共的役割をこの地域において発揮させていきたいと考えてございます。
 一般論としまして、監理団体との割合をどういうふうにしていくかという問題でありますけれども、第三セクターはそもそも都の事業の補完なり補佐をするためにつくられたものでありまして、そこに都の資金だけじゃなくて、民間資金も投入して、民間のノウハウも入れながらやっていくということでありますので、監理団体改革の新たな指針の中に盛り込んでございますとおり、一回つくった団体が永久にあるということではなくて、それはその時々の役割とか、いわゆる存在、ミッションといっていますが、監理団体の役割として常に見直していくということは、オール東京の方針でありますので、私どもが今いっている持ち株会社については、この十年、特に力強く活用していきますけれども、ただし、その中においても、経営の効率化等、当然のことながら見直していきたいというふうに考えてございます。

○原田委員 この委員会の中でも、地上系通信事業の譲渡の話がありました。皆さんの見解がちょっと分かれるようなんですけれども、貸しビル業が公でやる仕事かどうかという議論もございました。これからつくろうとしている持ち株会社のメリットとして、聞けば、すごい、なるほどと思うようなご提案もあるようです。
 例えば、グループファイナンシャルがそうなんですけれども、オフィスサービスのテナントに対する福利厚生的ないろんな特権とか、いろいろ聞くと、なるほどというような戦略もあることはあるんですけれども、一たん引いてみると、あら、だけどこれって公でやる仕事かしら、もしかしたら民間の方がもっといろんな企てというか、企画ができるのじゃないかしら、この議論がまた疑問としてわいてくるわけです。
 ですから、本当にこれからの問題とは思いますけれども、都がいつまでも抱えている、そのような道筋なのかなという印象をぬぐえないわけです、ホールディングスの提案が。だから、今後本当に開発の総仕上げの段階に当たって、やっぱり公の仕事として今後どういうふうに軟着陸していくかというところの道筋をぜひ示していただきたいと思います。
 いろんな節目節目での見直しということを前回もお聞きしましたし、今回もしっかりいっていらっしゃるということも踏まえて、今後もっと明確な提案が示されればと思っております。このような意見をいって、質問を終わらせていただきます。

○花輪委員 お疲れさまでございます。もう皆さんがいろいろ議論をされたので。私も若干、心配性なものでございまして、夕張のああいう破綻なんかも見ていますと、マスコミなんかも、役所の皆さんのこと、そしてまた議会は何をしていたんだと、そんなこともさんざん指摘をされているようでございます。未来に明るいところがあったとしても、そこに向かうまでの今の入り口のところでしっかりとやはりチェックをしておくというのが、これから進むためにも自信になるでしょうし、私たちも責任の共有ができると思いますので、若干、心配性だなと思うこともあるかもしれませんが、お許しをいただければというふうに思います。
 せんだって、私、一般質問をさせていただきました。そのとき、今回の三セクの民事再生について、まず東京都の責任とまた第三セクターの経営責任、こういうものをどういうふうに考えているのでしょうかという、そんなことをお尋ねさせていただきましたときに、民事再生計画ができたのは、都の指導監督のもとで、その時々の経済状況に応じ、経営陣が経営努力を積み重ねてきたことの結果であるという、そんな答弁をいただいたわけですね。
 聞いて、経営陣が経営努力を積み重ねてきたことの結果であるということは、経営者たちが頑張ってきたからこの再生計画なんですよ、だから文句いわないでくださいよというようにも聞こえるわけですね。
 確かにこのプランをつくった皆さん方、一生懸命知恵を出して、汗をかいて、このプランをつくられたということに対しては、私も一定の評価と敬意を表したいと思います。しかしながら、今回の破綻で、相当な都民の財産というものが失われているわけです。また、失われるわけです。ですから、今回のこの民事再生によって、都民の財産が莫大に失われることに対して、もうちょっとほかの表現があってもいいのじゃないかと思いますが、どのようにお感じになっていらっしゃるか、ご答弁をいただければと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 既に第二回定例会での代表質問におきまして、臨海三セクは経営改善を着実に進めてきたが、早期に債務を圧縮して経営基盤を強化するため、民事再生を申し立てた、都民に負担が生じる事態に至ったことについては厳粛に受けとめているとお答えしてございます。
 このような考え方のもとに作成されましたテナントの敷金、保証金、少額債権などに配慮した再生計画案が、裁判所の審査を経て、債権者である東京都にも示されたものでございます。この計画案によりまして、新たな資金投入がなく、都民への負担を最小限に抑えて、臨海三セクの再生が可能となると考えてございます。
 今後とも、臨海三セクを有効に活用いたしまして、責任を持って開発を推進していきます。

○花輪委員 私どもの代表質問に、また他会派の代表質問にもお答えいただいたような、厳粛に受けとめているという、そんなお答えでございました。
 東京都としては、厳粛に受けとめていると。では、第三セクターの経営責任についてはどうでしょうか。普通の会社であれば、再建計画を平成十年ですか、に立てられて、その計画どおりにやってきたから、ここで金利が上がりそうだから、今のうちに再生しちゃった方がいいと思うから、ごめんなさい、今までお借りしていたものを返せません、出資していただいた分についても、これは紙切れになっちゃいます、新しく土地を出してください、そういうふうにいってきているわけですが、平成十年に立てた計画どおりで、それ以上にうまくいっていたんだから、金利が上がりそうだから、悪いのは金利のせいだよ、そんなようにも、今までのお話を聞いていると感じたりもするわけですが、少なくとも責任の所在というものは、第三セクターの経営者にもあると私は思うのですが、そのあたりはいかがお考えでしょうか。
 先ほど、松原先生の方のご答弁で、経営者の報酬カットについては二分の一を行うという、そんなようなご答弁も、私もこれを聞こうと思ったんですが、あったわけですが、この二分の一の報酬カットということは、これによって第三セクターの経営者に対する責任の所在が明らかになったということでいいのかどうか、その認識をお答えいただければと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 臨海三セクの経営者は、都の指導監督のもとで、その時々の経営状況において経営努力を重ねてまいりました。現在、経営再建の確かな道筋をつけるために、再生計画案の可決に向けて、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。金融機関を初めとする関係者に対しては、十分な理解と協力を得るため、真摯に対応してきてございまして、その結果、関係者の理解も得られ、再生計画案の提出までこぎつけたものでございます。
 それから、お尋ねの報酬カットでございますけれども、三セクの経営陣は、再生計画案の可決に向けて、会社としての姿勢を示し、抜本的な経営改革を実施するに当たって、民間事例などに倣いまして、報酬をカットしたものと聞いております。

○花輪委員 私、責任、責任っていうんですけども、やっぱり責任の所在が明らかになるかならないかということは大事だと思うんですよ。どこに責任があるのか、だれが責任者なのか、このプランのだれが責任者なのか。それは実態的には東京都の皆さんかもしれないし、考えるのは皆さんかもしれないし、実際手を動かしたり行動したりするのは第三セクターの経営者の皆さんかもしれません。ただ、その経営の責任の所在というのはやっぱり明らかにしておいていただきたいと私はいつも思って、しつこいようですが、聞いているわけですが、今の答弁にも、残念ながら責任という一文字もありませんでした。
 次に、再生計画の実効性についてちょっとお尋ねしたいと思います。
 これは、先ほどの松原先生のご質問の中にもいろいろ数字が出ていたところではありますが、改めて今回のこの再生計画が本当にちゃんといくんだよという、その数字も含めてご説明をいただければと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 債権額三千六百十一億円につきまして、二千百三十七億円の債権放棄を受けることなどによりまして、建物の資産価値見合いであります一千三百十一億円にまで債権額が圧縮されることになります。また、現物出資によりまして、地代負担が軽減することにもなります。
 この結果でございますが、年間支払い利息額がこれまでの約六十億円から二十六億円程度にまで減少するとともに、営業利益は七十億円から九十億円、経常利益は四十億円から八十億円と見込んでございます。圧縮された債権額一千三百十一億円につきましては、これまでもご説明申し上げましたように、年平均八十五億円のキャッシュフローを用いまして、毎年五十億円程度返済し、二十五年間で完済する予定でございます。
 今回の再生計画案は、東京地方裁判所の民事再生手続の中で、弁護士や公認会計士といった専門家、金融機関を初めとする債権者などの協議のもとに作成されたものでございまして、臨海三セク再生の経済的合理性や実現可能性が十分確認されたものと認識してございます。

○花輪委員 今、るる数字のご答弁をいただいたわけですけれども、今後、このビルを運営をして、今挙げられたような目標数字に近づけていく、またはクリアしていかなければいけないことだと思います。
 ただ、今現在、青海のフロンティアビルを見ますと、入居率は八六・七%、またテレコムセンターは七二・八%の入居率というふうに聞いております。皆さんが今おっしゃられた数字をつくる前提として、一体それぞれのビル、どのくらいの入居率を見込んでいらっしゃるのか、ご答弁をいただければと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 今、委員ご指摘の入居率八六・七%、七二・八%でございますが、この数字は十八年三月末のものでございまして、そのときの全ビルの平均入居率は約九〇%になってございます。これは竹芝地域ですとか台場地区のビルの入居率が九〇%を大きく上回っていることによるものでございます。
 今後の状況でございますけれども、臨海開発は総仕上げの十年という重要な段階に入り、開発が一層進展すること、持ち株会社グループの総合力を生かした複合的なサービスの提供により、副都心の機能と魅力の向上が図られること、その結果として、多様な機能の集積やまちの成熟度が増していくことが期待できるわけでございまして、臨海三セクが、開発のなお一層の進展にあわせ、さまざまな営業努力を積み重ねることによりまして、まちの概成する、今後、例えば十年後の二十七年度でございますけれども、現在の入居率九〇%よりも高いレベルでございます、九二%程度になると見込んでございます。
 それから、個々のビルのということでございましたので、先生からご指摘ございましたテレコムビルと青海のフロンティアビルでございますけれども、同じく平成二十七年度についてでございますけれども、計画上は、テレコムについては七九%の入居率、青海フロンティアについては八六%、現在とほぼ横ばいの入居率というふうに試算しているところでございます。

○花輪委員 今、私の方は特に入居率が厳しいビル二本についてお尋ねさせていただいたわけですが、せんだってもテレコムセンタービルの大きなテナントさんが抜けたということもあり、七二%くらいまで下がっちゃったという、そんなお話も伺いました。
 また、ある意味、テレコムセンタービルのコンセプトとは余り関係ないような東京都の施設も、職員研究所ですか、なんかも入っているというようなことも聞いております。何というか、タコがおなかがすいて自分の足を食べちゃうみたいな、そういうようなことでしょうか、こういう仕組み自体も直していかなきゃいけないというふうに思うんですね。
 テナントの獲得にも一生懸命努力をしていただかないことには、このプランそのものがうまいこといかないのじゃないかと思いますが、テナントの獲得に向けた努力についてお尋ねいたします。

○岡田監理団体改革担当部長 今後、青海地区の北側でございますが、この地域の開発が本格化いたしまして、大規模な土地処分により、進出事業者に伴うさまざまな関連事業者の進出も想定されてございます。このような追い風を生かしまして、新たに民間の不動産業者との業務提携などによる積極的な営業展開を行うとともに、テナントサービスの向上のため、会社組織の見直しを検討してございます。
 さらに、持ち株会社グループのグループ力を生かした事業連携を展開するなど、さまざまな工夫を凝らしてテナント獲得に向けて努力していく、そういう計画になってございます。

○花輪委員 テナントの獲得に向けて努力をされていくというご答弁をいただいたわけですが、ちょっと前まではオフィスビルの二〇〇三年問題とか二〇一〇年問題とか、いろんな問題がいわれたり、また最近でいうと、豊洲とか品川のあたりに、いわゆる臨海副都心の周辺地域でも新しいのっぽなビルが、超高層ビルがどんどんとできているような私は印象を持っているわけですが、そうやって供給がどんどんふえてくるという中で、臨海三セクのそれぞれのビルの賃料の水準とか、または周辺のオフィスのそういう需要の見通しなんかは持っていらっしゃるでしょうか。

○岡田監理団体改革担当部長 今後の賃料水準等についてのお尋ねでございますが、今後、青海地区北側を中心といたしまして大規模な土地処分を行うこととしてございまして、多様な機能の集積が進むことが考えられます。こうしたことによって、この地域の魅力がさらに高まるものと考えてございます。
 また、都心とのアクセスの改善、まちの成熟などによりまして、臨海地域の不動産価格は現に上昇傾向にございまして、これにつれて、この地域の賃料水準も上昇する可能性が高い、このように考えてございます。
 しかしながら、将来の収支計画の策定をするに当たりましては、テナント賃料は、不動産価格だけでなく、ビルのスペックなどさまざまな要素で決まってくるため、手がたく見積もる必要がある、そういった意見によりまして、この収支計画の中においては、あえて賃料水準については低下していくものと設定いたしました。
 その結果でございますが、計画において、入居率が上昇する一方、賃料水準が低下するという形でビル事業収入をつくってございますので、ビル事業収入につきましては、十八年度とほぼ横ばいでございます、百九十億円強で推移するものと想定し、その場合でも十分収支が安定する見通しを持ってございます。

○花輪委員 オフィス需要という意味でいうと、テナントさんは、今より入居率よく入ってくるであろうと。賃料の意味でいうと、賃料は少し弱含みで見ていますよ、そんなことのご答弁だったのかと思います。
 もう一つの大きな視点というか、収支をつくっていかれる大きな前提で、金利のこともあると思うんですね。千三百十一億円で、毎年二十六億円の金利を払うということですから、先ほどもご答弁あったように、金利を二%くらいで見ていらっしゃるのではないかと思います。金利を今二%と見ていらっしゃって、ただ金利というのはどうしても生き物ですから、上がったり下がったりというふうに思うわけですが、将来的には、具体的にどの程度金利の上昇リスクを見込んでいらっしゃるのか、お答えいただければと思います。

○岡田監理団体改革担当部長 臨海三セクは、経営安定化策を策定した平成十年度以降、短期資金に適用する金利に基づいていることから、今後の支払い利息についても、その考え方を踏襲して計画をつくってございます。その上で、現在の金融情勢を総合的に勘案し、先生からご指摘いただきましたように、当面の金利水準というのは二%程度と見込んでございます。
 その後の将来的な金利水準でございますが、公認会計士や金融機関など専門家等の検討を経ていまして、当面、急激な上昇はないものの、段階的に上昇するだろうという金利シナリオを想定してございまして、金利の上昇リスクを織り込んだ計画となっておるものでございます。

○花輪委員 金利の上昇リスクを織り込んでいらっしゃるということなんですが、例えば古い数字を調べさせていただいたんですが、これは長プラ、いわゆる長期プライムレートなんですが、平成二年の後半には、長プラが八・九%という時代があったようなんですね。これがどのくらいのスピードで上がったかというと、ごめんなさい、さっきは平成でここは西暦なんですが、一九八九年の十月に六・〇%だった長プラが、ちょうど一年後の一九九〇年の十月には八・九〇%、急激に二・九%も上がったという、そういう時代もあるわけです。
 このくらい上がることというか、一年間で三%も四%も上がることを見込むのが、私は収支上正しい見方だとは思いませんが、でもこれを平均して、二十五年のこれから収支を見ようと思うときに、どういう金利を用いてやろうというときに、私はある一定の指標になるのじゃないかと思います。二十五年の長プラの平均を試算してみたんですが、四・五四%ということでした。
 先ほどの答弁だと、毎年八十五億円のキャッシュフローを用いて、元本五十億円を返す、そして、手元に残る資金は三十五億円、そのうちから二十六億円を引いて九億円残るという、まあ、そういう計算だと思うんです。
 ただ、今金利が二%ならば、利払いは二十六億円だと思うんですが、一%上がると、それだけで十三億円ふえて、三十九億円になって、その場でもう赤字になっちゃうわけですね。ですから、今回の収支を立てる上で、金利の上昇リスクについて、具体的にもう一度お伺いしますけれども、どのような金利、どのくらいの利率になるかということを想定して収支を立てられているのか、お伺いいたします。

○岡田監理団体改革担当部長 先ほどの私の答弁の中で、平成十年以降、短期資金に適用する金利に基づいていることから、今後の支払い利息についてもその考え方を踏襲しているというご説明を申し上げました。持って回ったいい方で申しわけありませんが、これにつきましては、つまり臨海三セクについては、その金利については、短期プライムレートに基づいてやっておりますということをご説明申し上げたつもりでございます。
 それから、今後の金利についてでございますけれども、現在の金利水準をもとに、将来金利でありますフォアードレートですとか、資金運用の還元利回りなどをもとにしまして、専門家による検討を踏まえて試算をしたわけでございまして、その結果、穏やかに上昇していくだろうというふうに想定したものでございます。
 また一方、五十億円程度の元本返済を毎年行うことから、借入金残高が減りまして、残高が減った分だけ支払い利息が減少する、こういったこともあろうかと考えてございます。

○花輪委員 では、具体的に、金利、二十五年間での未払いの総額、先ほどの答弁でも五百億円ですか、二十五年間で五百億円の金利がかかるよというようなお話がありました。先ほど、この五百億円を私も聞いたり、または百九十億円というビルの収入を聞いたり、または一番最初にお答えいただいたそれぞれの数字を聞いていて本当に思うのは、数字はどんどん並んでくるんだけれども、どうもいまひとつ、何ていうんでしょう、全体像が、このプランが本当に大丈夫なのかというのが見えてこないという、心配性なもので、そんなふうに思うわけですね。
 先ほどの要求された資料の中でも、それぞれの会社、また三社合計で、営業損益、当期損益、累積損益、この三つの数字は今後どうなるかということで出てきているわけです。
 できれば、私、思うのは、この上にどんな売り上げがあって、幾らくらいの売り上げがあって、そしてその下にどういう支出があって、幾らくらい毎年利払いをして、だから幾ら残って、これだけ残るんだよ、そういうような説明をいただきたいと思うんです。ぜひ年度ごとに、まず売り上げ、会社の売り上げですね、そして支出、金利、そして営業損益、当期損益、累積損益という形で数字をお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○岡田監理団体改革担当部長 将来の見通しにつきましては、これまで質疑の中でできる限り具体的な数字を挙げてご説明してきているものでございまして、今後とも議会の説明を通じて明らかにしたいと考えてございます。
 また、ビル事業収入等につきましても、当面は百九十億円強で推移するということ、それから支払い利息につきましても、当面については二%程度、それから今後は穏やかに上昇していくだろうというようなことのご説明をさせていただいているところでございます。そういう意味では、必要な部分について、できる限りご説明をさせていただいているというふうに考えてございます。

○花輪委員 私たちがご説明いただいているのは、例えば先ほどのご答弁、松原先生の答弁にもありました。平成十八年度、平成二十二年度、平成二十七年度、三十二年度、何かいつも五年ごとでこう丸まった数字が出てくるんですね。さっきの利払いの話も、当面二%で見るけれども、その間がいろいろあるかもしれないけれども、最終的には五百億円程度見込んでいるよとか、入り口は二%で見ているけれども、その経過がどういうふうに上がっていったり下がっていったり、また平均で利率をどう見ているんだろうと。その平均利率をどう見ているんだろうということも明らかにされずに、最終的には五百億円を払うんだ、ある意味、そんなことしか出てきてくれないわけですね。あとは五年間でいつもいつも丸められてしまう。
 今回のいろんな件も、こういう民事再生に至った件というのも、五年ごとのいつも数字を見せられて、大丈夫ですよ、大丈夫ですよ、今のところ、こんなにうまくいっていますから、そんなふうにいつもいつも聞かされて、それで今回、七年目というところで破綻に至った、そういうことだと思うんですね。ですから、もうちょっとわかりやすい指標を、各年度ごとに、金利も含めて、しっかりとご説明をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○岡田監理団体改革担当部長 臨海三セクは、営業利益が平成十一年度以降黒字で、本業は成り立っているわけでございます。営業利益を上回る利息支払いのため、経常赤字が続きまして、累積損失が増加してきたという事実がございます。
 今回、民事再生手続を経まして、債権放棄によりまして利息支払い額が減少し、経営上の障害が取り除かれる、こうした構造をご説明しているわけでございまして、そのために、例えば営業利益がどうなるかということをお示ししているわけでございます。
 そうした全体的な流れをお示しすることにつきまして、私どもとしては五年くらいのスパンでこういった経営指標をお示しして、その変化を見ていただく方が、今の先生の趣旨に合致するのではないかと考えているところでございます。

○花輪委員 とはいっても、経年の金利は、見込みは、五年ごとでもどういう金利を見ているかという数字も出てくるわけではなく、入居率も先ほどありました、平成二十七年にはこのパーセンテージになるでしょうという、そういう数字でした。その間が大体入居率何%を見ているかという、そういうことも明らかにされたわけではないわけですね。
 だから、それではやはり都民に対する説明責任、また心配性の私なんかにとってみると、本当にこれ、大丈夫なのか、確かに借金が全部なくなるんですから大丈夫ですよ、そういうお気持ちもわからないことはないんですが、ただ、もっと、ぐうの音も出ないくらいに、これでもわからないのかというくらいの資料をいただければ、数字をお示しいただければ、私たちも、そこまでいうならと、一緒に責任とりましょうよというようなことになると思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。もう一度ご答弁ください。

○岡田監理団体改革担当部長 私どもとしては、議会でのご議論を通じましてできる限り明らかにしてきているというふうに考えてございます。経営状況についてのご議論、あるいはご判断をいただくために、営業利益など各経営指標について、この議会の場でお示しし、ご議論いただくという形でございますが、私どもとしては、毎年ということではなく、五年ごとのスパンで全体として各指標の流れを把握していただいて、臨海三セクの経営基盤が強化される姿というものをご判断いただくこと、それが重要であろうと考えてございます。

○花輪委員 五年ごとでも、金利にしても、テナントの入居率にしても、示していただきたいといっているんです。毎年なら毎年が最高ですね。五年ごとでもいいから、金利とか入居率の推移を示していただきたいといっているんですが、まあ、出てこないようです。
 続きまして、東京臨海ホールディングスについてお伺いしたいと思います。
 今回の臨海ホールディングスの件も、グループファイナンスということはよくわかります。何かそれによっていろいろやりたいなということも、何となくはわかっているのですが、でもそこで何で、まず都が、五十億円という今予定のようですが、五十億円のお金を無利子で貸し付けなければいけないのか、そのあたり、私もどうもなかなか理解ができないわけですが、改めてなぜ都が五十億円貸し付けなきゃいけないのか、また、それが無利子でなければいけないのか、そのあたりをご答弁いただければと思います。

○斉藤総務部長 十九年度予算におきます持ち株会社に対する無利子貸付金の港湾局の要求の考え方については、きょうの冒頭のご質疑で松原理事の方にご説明申し上げてございますけれども、グループは、今後環境それから防災、観光、あるいは交通ネットワークの臨海地域全体の諸課題の解決のために一体となって利用者サービスの向上やまちづくりの促進に向けた新たな事業展開を進めてまいりますけれども、グループファイナンスは、そのための経営基盤を強化する手段であり、その成果は都民に還元されることから、資本の提供であります出資を行う場合と同じような考えに立ちまして、都が無利子で貸し付けることが適当であるという局の考え方に基づいて、現在、予算要求しているところでございます。

○花輪委員 事業連携をすることが都民の利益にかなうから、無利子で貸し付けるんだ。例えばお台場地区、臨海の中のお台場地区なんかには民間のビル事業者もあったりします。そういうところが何か連携して、あそこの航空会社系のホテルとテレビ局が一体化して何かやろうというときに、じゃ、東京都が無利子でお金を貸し付けるのかというと、多分そうじゃないと思うんですね。
 本来であれば、臨海の持ち株会社にぶら下がる五つの会社が何かをしようと思う、連携をしてやっていこうと思うのであれば、企業として自立をして、自分たちの力でやっていくべきだと思います。何かきょうのご答弁の中にも、お互いのファイナンスで資金の話もあったようですが、資金が余っているところがあるのであれば、その余っている資金を足らないところに貸してあげるならいいでしょう。でも、余ってもいないのに、余剰資金もないのに、どこかに貸し付けてあげる、そのためにグループファイナンスをつくるんだよ、そこには税金を投入するんだよ、それも税金、皆さんでいえば税金というか臨海会計のお金を投入するんだよ、それも無利子で。自立だとかいいながら、自主的にとかいいながら、結局は役所がそこまで面倒を見なければいけないことなんでしょうかね。
 また、もしぶら下がっていく臨海三セクの中に、まだ資金が足りないというところがあるのであれば、または防災のために何かお金が必要なのであれば、その具体的な使途を明示して、行き先を明示して、ここが足らないから、こんな役割を担わせたいからここにお金を出すんだという、具体的にお金を出すべきだと思いますが、このあたり、いかがでしょうか。

○斉藤総務部長 多少先ほどの説明と重複いたしますけれども、持ち株会社への貸し付けについては、都においても、いわゆる第三セクターに対して、その事業について、都の事業との密接な関連性だとか、公共性だとか、そういうことにかんがみまして、第三セクターの経営の基盤充実と柔軟性の確保ということで出資を行ってございます。
 持ち株会社グループは、この臨海地域の機能や魅力の向上を図るために、都や関係機関などと連携しながら、複合的なサービスを行っていく。そのためには、経営の基盤強化と弾力性を確保する必要があるからグループファイナンスを実施するということでございまして、この仕組みは、グループの各社が行います個別の事業に限定して貸し付けるものではなくて、臨海地域の機能強化に資する公共的な事業展開を広く行わせるための司令塔となる持ち株会社に対しまして貸し付けるということでございまして、これによりまして親会社が機動的に資金を運用していく中で、グループの設立の目的である公共性なり効率性なり、そういうものに対して大きな効果を発揮していくということでございます。
 先ほどの小竹委員のときのご議論にもありましたけれども、この五十億円をもって親会社を設立するのではなくて、親会社の設立自体はあくまでも株式移転という手法で、三セクが自分の三セクをつくるという手法で行いますので、これはあくまでもグループファイナンス事業に対して、全体の資金として、その核となる資金として貸し付けるものでございます。

○花輪委員 いろんなやりたいことがあるから、お金が足りないからなんでしょうけれども、そこで私が思うのは、いつもは民間企業だ、民間企業だといっている五社を、ぶら下げる持ち株会社に金利なしで入れてあげなければいけないのか。それでなきゃできないんですかね。それだけ集まってくる五社というのは、自分たちの体力ではできないような、そういう会社の集まりなんですか。
 臨海三セクもしっかりした会社になるわけですよ。ビッグサイトだってしっかりした会社になったわけですよ。埠頭公社だって大丈夫じゃないですか。そういう会社が集まっているにもかかわらず、何で新たにお金を投じて、そこでファイナンスをつくらなければいけないのか。しっかりとした会社だったら、まず自分たちの力で、自主的にこのまちづくりをやっていくんだという気概を持ってやっていくべきだと思います。いかがでしょうか。

○斉藤総務部長 持ち株会社に参加する各団体は、委員ご指摘のとおり、それこそ経営基盤がしっかりした会社でございます。その基盤というのが、それぞれ五つの会社が自分たちの事業を、それぞれの個別の事業といいますか、特性ある事業をやっていく上での一つの基盤であります。今回は、そのグループをまとめることによって、新たな事業展開とか、連携の効果を出すというようなことで、一つは考えております。
 ですから、そのための一つの投資が必要になる場合もありますし、それから、しっかりした会社ではありますが、今後資金調達の事情ももちろん出てきます、個々の会社として。その会社に対する資金調達コストを、今までは外にある金融機関を通して資金調達するわけですけれども、それは内部の中でお金を回すことによりまして、そこの資金コストを下げさせる。それによって、今、臨海が抱えている課題に真っ向から向かっていく各団体の経営基盤を強化して、しっかりと開発を進めていきたいということでございます。

○花輪委員 内部で回すというようなお話がありました。内部で回せるお金がないと、経営的に厳しい会社があるということなんですかね。
 だから、さっきもいったように、もし経営的に厳しい会社があるというのであれば、そういう厳しい会社を示して、この会社の経営が厳しいから、東京都としてはこの会社に増資をしますよとか、ここにお金を貸し付けますよとか、その具体的な会社を示して、プランを示して、ここは設備投資が必要だから、このまちづくりのためには必要なんですよ、だからお金は必要だから、東京都として金を貸し付けますよという、そういうことであれば、私たちはその説明を聞いて納得すればそれでもいいと思うんですが、ファイナンスの方にお金を入れちゃうと、その先、何に使われているかということがわからなくなっちゃうと思うんですよ。
 それを私たちが何のために使われているかという見えるような担保、何に使われているか、または最初からお金を貸し付けるときに、具体的にこの方向に貸しなさいというような、そういうようなルールづくりとか、そういうものというのはあるんですか。

○斉藤総務部長 ファイナンスを実施することが、経営がおかしい会社があるからやるのではないということは先ほど来るるご説明しているところでありまして、持ち株会社本社に資金を入れまして、各監理団体の余剰資金を集めて、スケールメリットとか、内部での融資とか、それで今まで普通に払っていたコストを下げたいというのが一つあります。
 では、具体的にどういうふうな形でグループファイナンスのお金の使い道のチェックがされるのかということでございますけれども、ホールディングス自体は監理団体というふうに位置づけられるということで考えてございますので、当然、東京都の監査の対象となりまして、そこで監査を受けるようなことになりますし、したがいまして、議会への経営状況の報告の中で、グループ全体の連結財務諸表、それからそれぞれの財務諸表の中で資金の動きというものについてはご報告をする、そういう仕組みになっていくかと思います。

○花輪委員 時間も余りないので、このことはまた予算のころにでも質問できると思いますので、ぜひ今後の検討課題として受けとめていただければというふうに思います。
 今回の臨海ホールディングスをつくるに当たって、臨海ホールディングスの機能として、子会社の管理部門の集約を行っていくという、そんなことも書いてありました。これが具体的にどのようなことなのかなというふうに私は思っているわけです。例えば臨海熱供給には、今、従業員が十九名います。ゆりかもめには百九十四名、ビッグサイトには百名、埠頭公社には百九十四名、臨海三セク三社には七十九名、五百八十六名が働いている。私が聞いたところによりますと、こんな人数が働いていらっしゃるということです。
 今回の臨海ホールディングスをつくることによって、子会社の管理部門を集約して、従業員の方々の数というのは減っていくんですか。

○斉藤総務部長 子会社の管理部門の集約についててございますが、持ち株会社によります経営統合は、臨海地域の将来を見据えました機能強化を図っていくという大きな目的を達成するために、新たな連携事業の構築や、総合的、統一的な事業展開を図っていくとともに、これらの新しい取り組みを行っていくグループ全体の経営基盤を十全なものにするということでございます。そのために、株主総会事務や広報などの総務業務や資金運用などの財務業務といった管理部門の集約を図りまして、グループ全体の業務運営の効率化を進めていきたいと考えてございます。
 このことによりまして、子会社は事業執行に専念いたしまして、機動的な運営を行うことが可能になるとともに、集約によりそうした人的資源を持ち株会社設立の目的にあります公益性の高い事業の今後の展開に活用していくということも可能になってくると考えてございます。
 そして、ご指摘の従業員の数についてですけれども、その数がふえていくのか減っていくのかというのは、時々の事業の展開の構築の中で、事業規模とか、そういう中で決まっていくものと考えてございます。

○花輪委員 民間企業なんかでは、合併だとか統合だとかいいますと、首切りとかリストラとか、そんなことで大変なことになったりするわけですが、もし従業員の数を、今後いろんな事業を見直したりして減っていくとか、そういうことになるようなことがあったとして、もし従業員が減っていくようなことになるのであれば、この前も、私の一般質問のご答弁では、役員の数については、減るというような方向性についてはお示しいただいていなかったわけです。ただ、今後はもうふやさないよということをいっていただいているわけですが、新しく持ち株会社ができると、ふやさないとすれば、後は減るしかベクトルがないわけですが、役員の定数についても、今後業務の内容を見直したり精査をしたりする中で変動が起きるということでよろしいですか。

○斉藤総務部長 グループの組織体制につきましては、グループ全体で現在の総役員数を超えない、スリムで機動性の発揮できる会社機関とするとともに、グループ全体の一体性が確保できる体制にしていきますということでご報告申し上げているところでありますが、この考え方に基づきまして、経営陣については、そのグループの果たす役割とか事業展開、そのときの状況に応じまして、効果的、効率的経営の観点から、その数も含めて最適なものにしていきたいと考えてございます。

○花輪委員 これで終わりますが、今、常勤役員が十七人、うちOBの方が十一人というような、そんな数字です。今回、臨海三セクは破綻をして、持ち株会社ができるというような中で、今まで皆さんもこの会社をつくるに当たって相当なご努力があったと思います。局長からも、行くも地獄、退くも地獄、そんな状況の中で、難局を打開してやってきたという、そんなようなお話もありました。ぜひ、そういう意味からは、先ほどいったみたいに、第三セクターのいろんな問題ですが、責任の所在をしっかりとこれからも明確にして、都民に、そしてまた私たち議会にも情報というものをしっかりと理解をさせるような努力をしていただいて、数字も明らかにどんどん出すような、そういう努力もしていただいて、そしてお互いに責任の共有化ができる、そういうことを第三セクターがしていってくれれば、今回のようなこういう大きな間違いも私は起きずに済んだかな、そんなふうに思います。
 ぜひそんなことをお願いして、私の質問を終わります。

○石毛委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十八分散会

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