経済・港湾委員会速記録第十三号

平成十八年十一月二十一日(火曜日)
第八委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長石毛しげる君
副委員長原田 恭子君
副委員長三宅 茂樹君
理事門脇ふみよし君
理事鈴木貫太郎君
理事松原 忠義君
遠藤  守君
田中たけし君
小竹ひろ子君
清水ひで子君
花輪ともふみ君
大沢  昇君
山崎 孝明君

欠席委員 一名

 出席説明員
中央卸売市場市場長比留間英人君
管理部長高津 満好君
事業部長荒井  浩君
新市場担当部長大野 精次君
市場政策担当部長大橋 健治君
調整担当部長越智 利春君
新市場建設調整担当部長後藤  正君
参事河村  茂君
港湾局局長津島 隆一君
技監樋口 和行君
総務部長斉藤 一美君
監理団体改革担当部長岡田  至君
港湾経営部長江津 定年君
港湾経営改革担当部長小林 敏雄君
臨海開発部長鈴木 雅久君
開発調整担当部長余湖由紀夫君
参事藤原 正久君
港湾整備部長尾田 俊雄君
計画調整担当部長山本  浩君
離島港湾部長飯尾  豊君
参事室星  健君

本日の会議に付した事件
 中央卸売市場関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・豊洲新市場の整備について
 港湾局関係
事務事業について(質疑)

○石毛委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程どおり、中央卸売市場関係の事務事業及び報告事項に対する質疑を行った後、港湾局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 事務事業及び報告事項、豊洲新市場の整備についてに対する質疑を一括して行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高津管理部長 去る十月十七日の当委員会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。中央卸売市場における取引方法別割合の推移(十年間)についてでございます。
 過去十年間の推移を記載したものでございますが、ごらんのとおり、水産物部、青果部、花き部につきましては、競り売り及び入札の割合が減少し、相対取引の割合が多くなってきております。
 次に、二ページをお開き願います。中央卸売市場における卸・仲卸業者の経営状況(五年間)についてでございます。
 卸売業者及び仲卸業者につきまして、それぞれ業者数とそのうちの赤字業者数を部類ごとに記載してございます。
 なお、仲卸業者欄の括弧書きは、調査対象業者数に対する赤字業者数の割合でございます。
 三ページをお開きいただきたいと存じます。豊洲新市場におけるPFI導入検討経過についてでございます。
 平成十六年度から開始いたしましたPFI導入の検討につきまして、年度ごとに検討内容を記載してございます。
 平成十六年度には、PFI導入可能性の検討、平成十七年度から平成十八年度半ばにかけましては、施設配置等の計画策定及び事業方式等の検討、平成十八年度からは、事業費の算定等を行っております。
 四ページをお開きいただきたいと存じます。豊洲新市場予定地の土壌汚染処理についてでございます。
 土壌汚染処理の主な経緯及び処理内容を記載してございます。
 豊洲新市場用地につきましては、食の安全・安心をより一層確実なものとするため、現在の地盤面から深さ二メートルまでは、すべて汚染土壌処理基準以下となるよう処理を行うこととしております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○田中委員 先日の当委員会におきまして報告がございました豊洲新市場の整備についての豊洲新市場基本設計相当の中で示されておりました豊洲新市場のPFI手法による整備に関しまして、何点かお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 新市場の建設事業及び現築地市場の暫定整備事業の円滑な推進を図るために、東京都と築地市場業界の方々との協議機関として新市場建設協議会が設置され、これは平成十四年から始まり、これまで十二回開催されていると伺っております。このたび、十月十三日に、豊洲新市場の施設配置、規模の大枠が、先日ご報告いただきました基本設計相当としてまとまったということでございますが、いよいよこれから具体的に豊洲の新市場の開設に向けて大きく前進したのかなと受けとめておりまして、これまでの間の関係者の皆様のご努力に心から敬意を表したいと思っております。
 これまで、私自身も前年度も当委員会に所属しておりましたが、当委員会でも豊洲新市場についての報告がございました。平成十六年に策定した豊洲新市場基本計画において、PFI等の民間活力を活用した手法を積極的に導入することが述べられておりますし、また、平成十七年に策定した豊洲新市場実施計画のまとめの中でも、都が整備するすべての施設についてPFI導入の検討を行うことが示されております。
 これまでの間、豊洲新市場をPFI手法で整備することという方針については、ご報告をいただいて、示されてきておりましたが、先ほど、資料要求の中の、豊洲新市場のPFI導入の検討経過についてご説明をいただきましたけれども、いよいよこれから、豊洲の新市場でPFI導入が決定したということで、この導入に向けてのこれまでの、先ほどもご説明いただきましたが、さらにより具体的な検討経過についてお伺いしたいと思います。

○大野新市場担当部長 豊洲新市場の建設に当たりましては、都が直接整備する施設と民間が整備する施設がございます。都が直接整備する施設につきまして、平成十六年度にPFIの導入可能性調査を実施したところ、都の施設全体をPFI事業範囲として導入検討を行っていくことが適当であるとの結論を得ました。
 これを受けまして、平成十七年度から、PFI導入に関する財務、法務、技術面の助言を得るアドバイザリー契約を締結いたしまして、整備、運営手法等について専門的な調査、情報提供を行わせることといたしました。
 現在、PFI導入の基本的な方針を定めました実施方針及び都が求めるサービス水準を示しました業務要求水準書の作成等を、アドバイザーを活用して進めているところでございます。

○田中委員 ありがとうございました。
 先日、前回の委員会でもお示しいただいた資料の中で、今回のPFIの手法について、事業方式としてはBTO方式を、事業類型としてはサービス購入型を採用するということでありました。事業方式には、さらにはBOT方式、BOO方式が、また事業類型には、サービス購入型以外にも独立採算型の手法がございますが、今回、豊洲の新市場におきましては、BTO方式を、そしてサービス購入型を採用した理由について、改めてお伺いいたします。

○大野新市場担当部長 BTO方式は、PFI事業者がみずから銀行等から資金調達し、施設建設を行い、その所有権を都に移転した後、一定期間管理運営する事業方式でございます。都が施設を所有することで、流通環境の変化に応じた施設改修に迅速に対応できること、PFI事業者側の税負担がなく、事業費の縮減になること等の理由から採用することといたしました。
 また、卸売市場は、施設利用者が市場業者に限定されることから、PFI事業者の創意工夫により、安定的に継続的なサービス提供力がより重視される性格がございます。
 さらに、制度面におきましては、農林水産省の定める中央卸売市場業務規程例におきまして、PFI事業者が施設使用料の改定を行えないこととなっており、PFI事業者が事業に係る費用を利用者から直接徴収し、運営していく独立採算型の事業形態の採用は困難であると判断いたしました。事業に係る費用を都が支払うサービス購入型の形態を採用することとしたところでございます。

○田中委員 ありがとうございました。
 先ほどの導入に当たっての検討経過、また、ただいまのBTO方式あるいはサービス購入型を採用したということの詳細で綿密な検討がなされて、今回、それぞれが採用されたということで確認をさせていただきました。
 また、今後新たに、同様に大切なことといたしましては、そのPFIをどの事業者にゆだねていくのか、PFI事業者の選定が次に大切な問題になってくるかと思います。
 今回の整備運営事業、事業期間としては十九年間、設計建設に四年、運営維持管理に十五年ということで、計十五年間という大変長期間にわたってのPFI事業を民間事業者に任せる、ゆだねるということですので、その選定が大変重要になってくるかと思われますが、今後、卸売市場法の改正に伴いまして、取引規制の緩和が行われたり、あるいは大手量販店の進出に伴いまして、流通機構そのものが大きく変化してきたり、あるいは食の安全・安心を重視する消費者意識の変化など、卸売市場を取り巻く環境の変化ということも十分予想されるわけです。
 このように、PFI事業者、大変長期間にわたっての委託ということで、このような卸売市場を取り巻く環境変化に十分対応していってもらえるのかどうか、市場業界のニーズに的確にこたえて、市場運営が十分遂行できるのかどうか、その点についての確認をさせていただきたいと思います。

○大野新市場担当部長 卸売市場を取り巻く環境の変化に迅速に対応し、市場業界のニーズにこたえていくことは、大変重要であると認識しております。このため、施設面におきましては、今後の流通環境の変化に伴い、フレキシブルに対応するため、施設機能の更新や増改築が容易にできるような建物構造、設備にすることを考えております。
 PFI事業者との契約面におきましては、当初決めた業務内容の変更等、要求水準及び契約内容の変更を可能にする事項を盛り込むことを考えております。
 都は、将来の流通環境の変化により、大幅に施設のリニューアルを図らなければならない場合、主体的に対応して、市場業界のニーズにこたえてまいります。

○田中委員 今回の豊洲新市場は、築地市場から受け継ぎまして、首都圏の生鮮食料品の拠点市場として、環境の変化にも的確に対応し、さまざまなニーズにもこたえられ、そして多くの都民にも信頼を得られる市場になるように、引き続きご尽力をいただきたいと思っております。
 当委員会は産業労働局も所管しておりまして、産業振興あるいは中小企業振興にも積極的に対応しているところでございますが、若干そのような視点からもお伺いしたいと思っております。
 私自身も、都議会に来る前は品川の区議会におりまして、当時からも、公共事業を行う際には、当然のことながら、法律や条例の範囲内で、地元産業の育成という観点から、ある一定の配慮をすべきではないのか、そんな主張もしてまいりました。
 今回、事業期間が十九年間、事業費は千二百八十七億円という大変大規模なPFI事業となるわけで、なかなかそこには中小企業が参入することは難しいのかなといった懸念もございますが、豊洲新市場のPFI実施に当たっては、可能な範囲で、地元を中心とした中小企業の活用を促すような取り組みがあってもよいのではないかと思っておりますが、ご見解をお伺いいたします。

○大野新市場担当部長 PFI事業におきましては、その事業のために設置される特定目的会社が事業の契約担当者となります。特定目的会社は、各協力企業との間で個別に委託契約を結び、サービスを提供する形になると想定されます。一方で、都の要求水準の達成のため、市場業者のニーズにきめ細かく対応できるような中小企業の活用が重要になることも考えられます。
 ご指摘の点を踏まえまして、十二月中旬に公表する予定でございます実施方針におきまして、地元を含めた中小企業の活用を促進する記載を検討するなど、工夫をしてまいります。

○田中委員 今回のPFI手法の活用によりまして、豊洲新市場の整備運営が市場関係者あるいは一般の消費者にも満足いただけるような形になるのが当然ですし、またあわせて、中小企業振興にも貢献できるものとなるように、ぜひご配慮をいただきたいと思っております。
 今回のような民間活力を導入するということの意味合いには、大きく二つあるかと思っております。一つは、行政にはないすぐれた民間の力を得るということから、逆にいうと、行政は今その能力がないということで、民間に頼らざるを得ないといったような視点も一方であるのか、そうではなくて、行政がしっかりと主体的に全体を管理して、そのもとで民間の力を活用していくんだというそういう民が主体となっていくのか、あるいは公が主体となっていくのか、このことによって、内容も、また結果も大きく変わってくるのかと思っております。
 ぜひとも東京都が、また中央卸売市場の皆様が、しっかりと主体的にこの事業に取り組んでいただきまして、民間活力の積極的な活用を行って、卸売市場の先進的なモデル事業になるように、さらなるご尽力をいただきたいと思います。
 これで質問を終わります。ありがとうございました。

○門脇委員 それでは、委員長からご指名をいただきましたので、所管事項の重要な柱の一つである食肉市場の広報体制及び今後の施設設備等について簡潔にお伺いしてまいります。
 中央卸売市場食肉市場は、いうまでもなく、都民はもとより、周辺の地域を含む人々の食生活に欠かせない安全な食肉を供給している点で、青果、水産市場などと同様に、極めて大切な市場であると認識をいたしております。
 組織的あるいは人員的に見ましても、この業務に従事する職員の数は、当該局、中央卸売市場の幹部職員を含めた全体の人数が六百数十名でありますけれども、その中で、食肉市場に働いていらっしゃる皆さんは、約半数の三百数十名という大きな規模になっております。
 また、ちょっと視点は違いますけれども、市場見学者の数は、団体によるものに限っても、築地市場の約一万名に比べて、五千数百名であり、これから暮れに向かって、特に築地の様子というのはいろいろなテレビで報道、放映をされていくわけですが、そのイメージよりも、先ほど申しました人数というのは、私自身、資料をいただいてびっくりしたんですけれども、多く、この部分でも、食肉市場に対する都民の皆さん及び関係団体の皆さんの関心というものは高いものがあるだろうと思っております。
 こうした視点に立って、幾つか質問をいたします。
 まず、当該都の食肉市場は、いわゆる全国の建て値市場といわれておりますけれども、そもそも建て値市場の概念というのが私自身もつかみ切れておりません。この建て値市場というのはどういうことなのか、あるいはせんだって説明をいただきました事務事業概要には多分載っていなかったと思うんですけれども、その規模を比較するために、都の食肉市場と全国の食肉中央卸売市場の年間の取引頭数についてまずお伺いいたします。

○大橋市場政策担当部長 都の食肉市場が建て値市場といわれておりますのは、全国の中央卸売市場の中でも、と畜頭数と搬入される枝肉の量が最も多く、また売買参加者も多いため、ここで取引される価格は公正公平なものと信頼されておりまして、都の取引価格が、全国の他市場での取引に当たって参考となる市場ということであります。
 また、都と全国に十カ所ある食肉中央卸売市場の取引頭数実績ですが、平成十七年の都の食肉市場の牛の取引頭数は十五万三百九十二頭、全国のそれは三十一万五千二百二十頭で、都のシェアは四七・七%となっております。また、同年の都の食肉市場の豚の取引頭数は二十七万六百七頭、全国のそれは百四万九千八十二頭で、都のシェアは二五・八%となっております。
 なお、牛肉の消費が多いといわれております近畿圏におきまして、牛の取引頭数が第二位の大阪食肉市場の約三倍強となっております。

○門脇委員 ありがとうございました。
 牛だけとっても全国の約半分あるということですし、あとは、一般的に、答弁の中にもありましたとおり、関西圏といったらいいんでしょうか、近畿圏の特に牛肉の消費量は、これは我々のイメージなんですけれども、かなり多いと聞いておりましたけれども、それを仕切っております大阪の食肉市場と比べても三倍強ということですから、その取引頭数というか、取引量の多さというのはよくわかることであります。
 このように、全国との比較をして取扱実績を見ますと、今申しましたように、都の食肉市場は全国の食肉中央卸売市場のうちで約半分ですね。それから、豚の方でいいますと四分の一であり、建て値市場であることからも、非常に大きな役割を果たしているということがわかります。
 都の食肉市場は、東京都だけではなくて、全国から見ても重要な食肉市場であるといわれております。いわばその司令塔の役割を持った市場と申し上げてもよいと思います。
 さて、こうした食肉市場が果たしている役割が、具体的にどのくらい都民の皆さんに理解をされているのかということであります。逆に申し上げれば、都民に食肉市場の役割を理解されていなければ、安定した市場の運営というものは当然望めないと思います。そしてまた、食肉市場に働く職員に対する差別や、いわゆる偏見がいまだに続いているということも聞いておりますけれども、これについては、やはり人権問題ということを正しく理解していく上でも大切なことではないかと思います。
 そこで、今申し上げたようなことを踏まえて、食肉市場の役割について、どのような都民向けの広報PR活動を行っているのか、またどのように今後行っていくのかをお伺いいたします。

○大橋市場政策担当部長 食肉市場の役割を都民の皆様に正しく理解していただくことは、食肉市場の安定した運営と人権問題を正しく理解する上で極めて重要であると認識しております。そのため、中央卸売市場のホームページに食肉市場専用のコーナーを設けるとともに、施設の見学につきましては、衛生面と施設面から制約はございますが、積極的に受け入れております。また、一般には公開していないと畜施設の中は、ビデオを制作し、AVルームで視聴していただいております。
 さらに、食肉市場の役割をよく理解、認識していただくため、平成十四年度にお肉の情報館を開館し、都民に開放しております。また、毎年十月には、二日間にわたる食肉市場まつりを開催しております。
 今後は、ホームページやお肉の情報館の内容を一層充実するとともに、引き続き積極的に見学者を受け入れることなどによりまして、広報活動の強化を図ってまいります。

○門脇委員 重ねて申し上げますけれども、都民にとって大変重要な食肉市場であります。ただ、その置かれている施設や環境を見ると、申し上げるまでもなく、全く心配がないということでもありません。一つは、施設そのものが大変老朽化してきている点、卸、仲卸、都の事務所が入っている食肉市場センタービルは、平成十四年から供用開始した新しい施設ではありますけれども、それ以外というか、その他のと畜施設や市場棟あるいは内臓業者、内臓を取り扱っている業者が入っている建物などは、見た目にも大変老朽化してきております。周囲の環境と比較しても、アンバランスな感じは否めないところでございます。
 もちろん、品川駅の臨港口のことで申し上げれば、後から周りのビルはできたのであって、そのことはよくわかっているんですけれども、これらの老朽化した施設を、市場で働く職員の、いわゆる安全衛生という面から、そして作業の効率化という視点から、今後どのように整備をしていくのか、お伺いいたします。

○大橋市場政策担当部長 食肉市場の老朽化した施設設備につきましては、これまでも、食肉市場としての機能維持と職員の労働安全衛生の面から、随時改修を行ってまいりました。
 今年度は、食の安全・安心の観点から、内臓関係業者の建物につきまして、冷蔵庫、作業所及び事務室などをリニューアルする改修工事を実施しております。また、古く狭隘な市場棟を安全な食肉を供給する施設とするため、衛生的見地から抜本的に改修する工事を来年度から行う予定でおります。
 今後とも、老朽化し、安全衛生面で課題のある施設設備につきましては、業界とも協力いたしまして、必要な整備を行ってまいります。

○門脇委員 ありがとうございました。
 もう一つは、類似した質問になりますけれども、品川駅の東口地区の再開発地区計画に基づいて再開発が行われているまちが、先ほどもちょっと触れましたけれども、急速に変化するとともに、現在も開発が進行しております。本当に五年前、十年前と比べてみると、著しく発展しているまちの都内でも代表的なまちの一つだろうと思います。
 周辺は、業務系や商業系のビルが中心となる中で、食肉市場から臭気がしたり、あるいはカラスが飛来する状況では、今後も周辺地域と共存していく食肉市場として共存していくことができるのか、私は率直な心配がございます。
 こうした状況に対して、食肉市場としてどのように対処しているのか、また、先ほどと同様になりますけれども、今後どのように対応していくのか、お伺いいたします。

○大橋市場政策担当部長 品川駅東口は現在も開発が進行しておりまして、業務系ビルだけでなく、高層マンションが周辺で新たに建設されているなど、環境は変わり続けてきております。そのため、こうした周辺地域と共存できるような施設としていく配慮は欠かせないと認識しております。
 これまでも、臭気対策として、新たに水処理センターに生物脱臭装置を設置するとともに、カラス対策として、カラストラップによる捕獲や侵入防止用のネットを設置するなど、各種対策を四月からは強化してきておりますので、これらの効果を見きわめ、業界の協力も得ながら、必要な施設整備や環境対策を実施してまいります。

○門脇委員 ご答弁ありがとうございました。
 極めて短い質疑ではありましたけれども、この過程で明らかになりましたように、都の食肉市場は、取引量も非常に多く、全国食肉市場のモデルとして、これからさらに注目をされていくことは間違いがないと思います。都民の皆さんに安全な食肉を提供するため、幹部職員はもとより、現場で働く職員の皆さんの一層の活躍を期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○遠藤委員 私は、当委員会での質疑は初めてでございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 豊洲新市場へのPFIの導入効果について、何点か質問をさせていただきます。
 豊洲の新市場整備については、東京都と市場関係者、業界との間に長年にわたる協議を経て、先ごろ、ご承知のとおり基本計画相当が合意されました。あわせて、都におきましては、民間活力の活用の観点から検討を進めてきたPFIを、豊洲の新市場整備に正式に導入する、こうした方向性を打ち出したわけでございます。
 導入の判断の前提とした、豊洲の新市場へのPFIの導入効果をめぐりまして、何点か具体的に、一つ一つ順を追って質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一でございますが、この豊洲の新市場に限らず、一般的にPFIを導入するに当たって、何をもって導入の判断をするのか、決めるのか、端的にお答えいただきたいと思います。

○大野新市場担当部長 PFI導入を判断するに当たりましては、都が整備運営した場合の事業費とPFI事業者が整備運営した場合の事業費とを算定し、PFI事業者の方が下回ることが前提となります。
 さらに、サービス水準の質的向上等、数値であらわせない定性的効果を加味した上で、PFIを実施した方が有利であると見込まれる場合、PFI手法を採用することになります。

○遠藤委員 答弁でいただきましたとおり、PFIの導入に当たっては二つの側面があると。事業費という形で具体的にあらわせる定量的な効果、これが第一と。これを前提としながら、第二として、事業費という数値にはできないけれども、定性的な効果をあわせる、こうした二つの観点からPFIの導入が決められる、効果をはかる、こういった趣旨の答弁だったと思います。
 では最初に、事業費として明らかになる定量的な効果、この辺の部分の算定の方法について具体的にお答えいただきたいと思います。

○大野新市場担当部長 定量的効果の算定の項目は、都が整備運営した場合、設計建設費、運営維持管理費、企業債利息等でありまして、PFI事業者が整備運営した場合、設計建設費、運営維持管理費、金利、出資企業への配当金等でございます。
 PFI事業では、都が発注する場合に対して、コストを削減する要因として、一括発注、性能発注のメリットによる設計建設費及び運営維持管理費等の減少額と、コストを押し上げる要因としての金利、配当金等の増加額とがあり、トータルの額を比較して算定するものでございます。

○遠藤委員 さまざまな指標を用いながら、トータルでその額を比較して算定する、こうした趣旨でございました。
 では次に、定性的な効果について、具体的にどのような中身で行うのか、お答えください。

○大野新市場担当部長 公共施設を建設する場合、一般的には、設計と建設工事とを三つの街区や工事種別ごとに別々に発注いたしますが、PFI事業では一本の契約のため、工事調整がスムーズに行え、確実な工期の達成が可能になります。
 また、都の直接施行では、工法、工程、使用資材等を個々に仕様発注として示すことになりますが、PFI事業では、一定の要求水準のみを示す性能発注となるため、PFI事業者の創意工夫やノウハウが十分発揮され、コストを削減しつつも十分な品質の施設が期待できます。
 さらに、運営維持管理では、業務を長期に一つの運営会社に委託することで、各種業務について経験が蓄積され、サービス水準の向上と業務の効率化が図られることが想定できます。

○遠藤委員 今ご答弁をいただいたとおり、定量的な部分ではコストを削減する、そして定性的な部分については十分な品質の施設が期待できる、こうした両面があるということでございます。
 豊洲新市場においては、建設、運営各段階で、今ご説明いただいたとおり、具体的な効果が想定されるということがわかりました。
 ところで、私が承知している範囲内で、卸売市場へのPFIの導入事例として、神戸市の中央卸売市場の例がございます。この神戸市の中央卸売市場のPFIの概要及び導入の効果についてご説明いただきたいと思います。

○大野新市場担当部長 神戸市の発表によりますと、神戸市中央卸売市場本場再整備事業は、我が国で初めての卸売市場へのPFI適用例でございまして、対象敷地面積二万二千平方メートル、事業範囲は、関連事業者店舗、加工場等の建設維持管理でございます。
 平成十六年三月に特定事業の選定、九月に落札者を決定し、十二月に平成四十六年三月までの契約が締結されました。現在、平成二十一年三月末の完成を目指し、施設建設中でございます。
 PFI事業者選定結果によりますと、落札者決定時、従来の直営方式による市の財政支出百十三億円に対しまして、PFI方式による市の財政支出九十九億円であり、約十四億円、一二・五%の定量的効果がございました。
 また、定性的効果につきましては、事業者の審査講評によりますと、周辺環境に配慮した施設デザイン、設備保守業務における緊急連絡体制の整備を初め、具体的な提案が出されているところでございます。

○遠藤委員 事業範囲が、関連事業者店舗並びに加工場の建設維持管理、こうした限定された事業の範囲でございますけれども、こうしたある程度限定された利用の中でも、神戸市の事例ではさまざまな効果が想定されているというところであろうかと思います。
 豊洲の新市場は、都が整備する市場施設すべてをその事業の範囲としており、スケールメリットを最大限に生かして、より大きな導入効果が期待できるのではないかと思うわけでございます。PFI事業者が創造性を発揮して、豊洲の新市場をより魅力ある施設としていかなければならないと思います。
 ところで、民間事業者に公共施設の施設建設から運営維持管理までを任せるためには、PFIの導入の検討から、事業者の選定、事業運営に至る各段階で、透明性の確保と公平性が確実に担保されているということが、先ほどの事業費が安くなるとか、また直営に比べていろいろな民間ならではの提案ができる、こうした側面ももちろん大事でございますけれども、また別の意味で非常に大事な視点かと思います。
 このPFI制度における透明性の確保、そして公平性の担保をどのようにして図られているのか、答弁願います。

○大野新市場担当部長 PFI法は、手続の各段階での公表を義務づけることによりまして、透明性、公平性を確保しているところでございます。実施方針、業務要求水準書案を公表し、都民、事業者の方々の意見を踏まえた上での事業内容を精査し、特定事業の選定を行います。
 また、事業者の選定に当たりましては、PFI事業に精通した外部有識者等から構成されますPFI事業者審査委員会を設置いたしまして、あらかじめ事業者選定方法、事業者選定基準に関する事項を決定し、これを公表した上で、事業者審査、評価を行います。さらに、応募事業者の選定結果につきましても公表するなど、競争性や手続の透明性、公正な情報提供に十分留意する制度となっております。
 さらに、事業運営に当たりましては、都がPFI事業者に対しまして、業務の達成状況、事業の履行状況、財務状況等を定期的にモニタリングする制度となっておりまして、都が要求する業務水準を確保していくこととなっております。

○遠藤委員 さまざまな角度からさまざまな方法を使って、透明性、公平性の確保に努めていく、またそういう仕組みをつくっているということはよくわかりました。
 事業の定量的効果並びに定性的効果、こうしたものももちろん大事になりますけれども、この公平性の確保という点が極めて重要だと思います。豊洲新市場の整備運営は、十九年という長期にわたる事業であります。どうか都におかれましては、この事業効果を十分に事前に検討し、また分析もし、着実に特定事業の選定につなげ、都民の理解を得られるように、また都民から喜ばれるような事業運営をいただきたいことをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

○小竹委員 私も豊洲市場の問題でお伺いしたいと思います。
 ことし十月に、豊洲市場については基本設計を取りまとめて、PFI手法を導入し、平成二十四年当初の開場を目指すという方針が発表されました。豊洲市場の建設に当たっては、これまで、PFIを含めて公共とどちらがいいか、どんな手法を用いるかということの検討を進めているというご報告がずっとされてきたわけですけれども、PFI手法に決めるという点でどういう検討をされたのかについては、これまできちんとした報告はありませんでした。
 その点で、検討経過と内容についてまず具体的にお伺いします。

○大野新市場担当部長 都は、直接整備する施設につきまして、平成十六年度にPFIの導入可能性調査を実施したところ、都の施設全体をPFI事業範囲として導入検討を行っていくことが適当であるとの結論を得ました。
 これを受けまして、平成十七年度から、PFI事業検討に関する財務、法務、技術面の助言を得るアドバイザリー契約を締結いたしまして、整備運営手法等について、専門的な調査、情報提供を行わせることといたしました。
 現在、PFI事業の基本的な方針を定めた実施方針及び都が求めるサービス水準を示した業務要求水準書の作成等を、アドバイザーを活用して進めているところでございます。

○小竹委員 都の方針だということなんですけれども、やはり市場という特殊性もあると思うんです。これまでの議論の中で、事業費の削減効果があるんだというふうなお話ですけれども、その削減効果について具体的にお伺いします。

○大野新市場担当部長 豊洲新市場の基本設計担当を基礎といたしまして、総事業費概算値を算定した上で、PFI事業者が事業を行った場合と比較したところ、一定の事業費の縮減効果が見られました。
 事業費及び事業費の縮減効果につきましては、現在、詳細を精査中でございます。

○小竹委員 総事業費の概算値を算定して比較したということで、効果が見られたということです。具体的なことについては精査中ということですから、報告はなかったわけですけれども、私は、単に事業費削減効果ということだけで、一般的なPFI方式を導入するという理由は成り立たないんじゃないか。特に中央卸売市場という性格から、PFIが本当にいいのかという点などについての検討も必要だというふうに思うんです。
 これまで東京都は、民間活力を導入するということで、公共施設の建設等についてはいろいろな手法が使われてまいりました。事業の公共性だとか公益性だとかということはちょっと度外視したとしても、建設において、民間のお金と技術力を活用するんだということで行われてきたわけですけれども、設計から建設まで委託された中身を見て、結果がどうだったかというふうに考えたときに、例えば三セクビルや大江戸線の都営地下鉄などについてどうだったかというのを検討したときに、ゼネコンの代表が設計建設に入って、その部分がどんどん膨れ上がっていったというのが、これまでの経過だったわけですよね。
 しかも、その三セク事業などについていえば、東京都だけじゃなくて、多くのところで事業そのものが破綻するような状況になっているという状況があります。PFIは三セクとは違いますけれども、やっぱり、民間活力という点でいったら、三セクの教訓だとか問題点だとかを生かされた検討が必要だというふうに思うんです。
 特に、PFI事業についていえば、公共施設の建設について、設計建設、そして後の管理を、民間の資金とノウハウを活用するということです。そういうことで民間にゆだねるわけですが、この手法を用いるという点でいうと、資金がない自治体などについてはそういう方法というのも考えられるかと思うんですが、中央卸売市場の場合には自己資金があるわけですよね。そういう点でいえば、都としての建設、都が独自に建設するということも可能になるというふうに思います。
 民間がやる場合に、資金については金融機関から借りて、金利を払っていくという点があるわけですよね。その上で民間企業も利益を得るということですから、そういう点でいったら、本当に長期的に見てPFIが妥当なのかという点を相当深く検討する必要があるというふうに考えます。こういう点では、都が決めたからPFI先にありきというふうな方向ではいけないんではないかという点は、私は指摘をしておきたいと思います。
 次いで、PFIで建設した施設について、所有権はいつの時点で都に移転されるのか、そして、所有権移転ということになれば、当然、それを買い取るわけですから、その支払いについてはどのように考えているのか、お答えください。

○大野新市場担当部長 都は、PFI手法を用いて、施設の設計建設、維持管理業務運営をPFI事業者に発注した場合、事業方式としてBTO方式、事業類型としてサービス購入型を考えております。この場合、施設の所有権の移転は施設の完成時となります。
 また、設計建設費、運営維持管理経費につきましては、事業期間での分割による支払いを考えておりますが、具体的な支払い内容については検討中でございます。

○小竹委員 分割して払っていくということになると、金利がかさんでいくわけですよね。当初の都の負担は少なくて済むというふうに見ておられると思うんですけれども、果たして長期的に見た場合にどうなのかというのを検討する必要があるのではないか、経費が増大するということもあり得るんじゃないかという危惧を持っています。
 PFIを始めたイギリスでも、この問題が問題視されているという状況です。民間企業が、長期間、金融機関から手持ち資金として借りて施設管理をしていくというPFIのやり方で、自治体は単年度の支払い分は少なくて済む、また当初の立ち上がり資金も少なくて済むということで建設が進められてきているのはイギリスも同じですけれども、結局、長期的に見た場合に高くつくのではないか、その支払いのツケが市民に回っているのではないかということが指摘されて、大きな問題になっています。
 イギリスでも、イギリスで始められたこのPFI方式が見直されてきているという状況を踏まえたときに、一時的な経済的経費の削減ということだけでなくて、自己資金を活用して都が建設するということも含めて、長期的な立場に立って検討すべき問題ではないかというふうに考えますので、この点を指摘しておきたいと思います。
 次いで、PFIは、設計から建設、そして維持管理までやることになるわけですけれども、こういう市場の運営についてノウハウを持っている企業はあるのでしょうか、その点についていかがですか。

○大野新市場担当部長 都は、PFI手法を用いて、設計建設、維持管理運営までを、それぞれにノウハウを持つ企業にコンソーシアムを組ませて行わせるものでございます。
 都は、市場の開設者として、都が要求した水準を確保するため、モニタリング制度等を用いて、PFI事業者のサービス提供内容を指導監督してまいります。

○小竹委員 コンソーシアムを組ませて共同的にやるということです。そして、PFIについても指導監督を都がするというお話ですが、こういうところに参入できる業者というのは、先ほど中小企業の問題がありましたけれども、やっぱり大企業にならざるを得ない状況にあるというふうに思うんですね。そういう点でいうと、こういう大規模なものを一括発注ということになれば、中小企業の事業機会が奪われるという点でも、私は問題を感じています。そういう点での検討が必要なのではないかということは指摘をしておきます。
 PFIの導入で公共サービスの質が低下することはないのかという点についても、そういう危険性、可能性があるのではないかという危惧を持ちます。また、市場としての特殊な機能、それから安全性をどう担保し、チェックする機能は確保されるのか、お伺いします。

○大野新市場担当部長 豊洲新市場は、生鮮食料品を扱う首都圏の基幹市場として、食品の安定供給と食の安全・安心の確保が重要であると認識しております。このため、品質管理の高度化に向けては、施設を閉鎖型とし、生鮮食料品流通におけるコールドチェーンを確保した施設構造にするなど、食の安全、衛生対策を重視した市場として整備してまいります。
 また、市場運営に当たり、市場の取引に係る指導監督業務や、施設の使用許可などの基幹的業務につきましては、都は、PFI事業者に委託せず、直営で行ってまいります。
 委託する運営維持管理業務等については、PFI事業者のサービス提供水準が都の要求水準を満たしているかを、モニタリング制度等を活用して、検査、監視してまいります。

○小竹委員 都が直接タッチする部分と、PFI事業者のサービスの提供については、検査、監督していくというふうなお話ですけれども、豊洲市場の方で営業される方は、築地市場から移転されるわけですよね。今回の資料でも出していただきましたけれども、築地市場の、水産だけではなくて、青果も含めてですけれども、業者の方々は、不況のもとで、非常に厳しい経営を強いられているというのは資料でも明らかなとおりです。市場を利用する中小、個人経営の魚屋さんもどんどん減っている。それから、飲食店も苦しい経営が強いられているという点では、市場を支えてきたこういう関係業者の方が、やはり営業を続けていけるような施設でなくてはならないと考えます。
 こういう状況の中で、豊洲市場の建設が、PFIで、コスト削減を優先にした形でやられるわけですけれども、施設的に見ますと、大手量販店対応の施設がかなり大きな部分を占めているという点なども考えますと、流通センター的な大規模な施設の建設が進められる傾向にあるのではないかというふうに考えられます。本来、公共市場という点から考えたときに、その役割をもっと強調する姿勢が必要だと思います。この点も指摘をしておきたいと思います。
 次に、PFI事業の期間が十九年間ということになるわけですけれども、市場法の改正、そして市場環境の変化等にどう対応していくのか、また、その間にリスクを伴うような事態が発生する場合もあり得るというふうに思います。その場合に市場関係者や都民に影響が及ぶことがないのかどうか、この点についていかがでしょうか。

○大野新市場担当部長 卸売市場を取り巻く環境変化に迅速に対応し、市場業界のニーズにこたえていくことは、大変重要であると認識しております。
 このため、施設面では、今後の流通環境の変化に伴い、フレキシブルに対応するため、施設機能の更新や増改築が容易にできるような建物構造、設備にすることを考えております。
 PFI事業者との契約面におきましては、当初決めた業務内容の変更等、要求水準及び契約内容の変更を可能にする事項を盛り込むことを考えております。
 都は、将来の流通環境の変化により、大幅に施設のリニューアルを図らなければならない場合、主体的に対応してまいります。
 今回採用する予定のサービス購入型は、PFI事業者にサービス対価が安定的に支払われるため、PFI事業者の経営破綻のリスクは低いものと考えております。万一、PFI事業者の破綻等の重大なリスクが発生した場合を想定いたしまして、事業契約書において、都またはPFI事業者の具体的対応を明記し、市場運営に支障がないよう万全を期してまいります。

○小竹委員 リスクが少ないということで、最悪の場合には万全の体制をということですけれども、十五年間というのは相当長期にわたってあるわけですから、これからの市場の変化とかを考えるとどうなのかという点は、やはり問題があるように思います。そういう点での検討を相当する必要があるというふうに考えます。
 先ほど資金調達の金利の問題についていいましたけれども、この十五年間という点で考えると、事業者が経営破綻する問題だってあるというふうに思うんですね。既に、例えば福岡のタラソ福岡、これはごみ処理場の熱を使ってのスポーツ施設ですけれども、PFIでやって経営破綻をしています。それから、宮城沖地震で天井が崩落した仙台のスポパーク松森、これもPFI事業ですね。この仙台の施設についていえば、官が施設整備をやっていれば、こういう事故は防げただろうというふうにいわれている中身でもあります。
 こういう点からいって、本当にPFI事業のリスクが起きないということはいえないんじゃないかと思うんです。こういうリスクが市場関係者や都民に及ばない、絶対に及ぶようなことはないというふうに、先ほどチェックをしていくというお答えだったんですけれども、本当にそうなのかという点、その辺は確信がおありなのかどうか、再度お伺いしたいんです。

○大野新市場担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、私どもが豊洲新市場で採用いたしますPFI事業は、サービス購入型でございます。サービス購入型でございますと、PFI事業者にサービス対価が安定的に支払われる。このため、PFI事業者の経営破綻のリスクは低いと考えております。
 万が一、PFI事業者の破綻等、重大なリスクが発生した場合を想定いたしまして、事業契約書において都またはPFI事業者の具体的な対応を明記して、事業運営に支障が生じないよう万全を期してまいります。

○小竹委員 ほとんど想定していないという中身ではないかというふうに感じられるんですが、本当に、今の景気状況の中で経営が破綻するということだとか、施設が、仙台のように、地震が起きたときに絶対大丈夫なものにできるのかという点でいえば、十五年間という長い期間ですから、やっぱりリスクを想定して、きちんと対応策をやっていかなければならないというふうに思いますので、この点については対応の強化を強く求めておきたいと思います。
 今、築地市場ではろ過海水を使っていますけれども、新市場でのろ過海水の扱いについてはどうなるのか、それから、各業者、特に大物の業者の方が持っておられるストッカーといわれる保冷庫、この扱いについてはどのように考えておられるのか、お答えください。

○河村参事 まず、ろ過海水の扱いについてでございますが、築地市場は、昭和十年の給水需要量を基準に建設されましたため、その後に増大した給水需要に設備が対応できなくなりました。このため、食品取扱用の上水を優先して確保する必要から、床洗浄用につきましては、ろ過海水設備を整備し、給水需要に対応してきたところでございます。
 一方、豊洲の新市場におきましては、必要な給水需要に十分対応できること、また、施設の塩害を防止し、施設の老朽化を抑制するためにも、ろ過海水設備は設置しないことといたしました。
 なお、活魚水槽等に使用する水といたしましては、上水に塩分を入れた人工海水や、海水を利用する設備の使用が考えられますが、これは特殊な設備で、利用が一部の業者に限られますことから、整備は業界で行うこととしてございます。
 また、ストッカーと呼ばれる保冷機器の扱いについてでございますが、現在使用している保冷機器を引き続き豊洲の新市場でも使用できることを基本に、施設整備の計画を進めてございます。

○小竹委員 ろ過海水については、市場業者の方々から、引き続き、大量に水を使うということで要望も強い中身なんですね。そういう点では、業界の皆さんの意見を十分聞いて検討していく必要があるのじゃないかというふうに考えるんですが、どうでしょうか。

○河村参事 ろ過海水設備の整備につきましては、これまでも都の考え方を業界に説明してきてございます。今後も、引き続き都の考え方につきましてご理解を求めてまいります。

○小竹委員 都の考え方を、どちらかというと押しつけるような格好という点が感じられるんですけれども、皆さん相当水を使っているわけですよ。確かに塩水ですから、塩害で問題が起きるというふうな、老朽化につながっていくという問題はあるかと思うんですけれども、床清掃だけではないと。
 活魚についてお話がありましたけれども、冷凍マグロを解凍する上でも、このろ過海水を大量に使ってやる。市場の中をきれいにするということと同時に、こういうことでも使っているという点でいうと、それをすべて上水道ということになれば、相当な負担が業者の皆さんの肩にかかっていくわけですね。ですから、そういう点での負担の配慮というのが、活魚だって、常に水をきれいにしておかなければいけない。鮮度を保つという点でいえば、水も非常に必要になってくるということになるわけですから、負担増についての配慮がどうしても必要だというふうに考えます。
 業者の責任だということなんですけれども、そういう点でのきちんとした都の対応、やはり市場業者の営業が成り立つような状況にする上でも、この点についての解決が私は必要だと思うんですね。
 それと、ストッカーについても、営業に欠かせないという点で、保冷機については引き続き使えるようにということですから、そういう意味では検討していただいているんだというふうに思うんですけれども、支障を来すことがないように、市場業者の方々に一方的な押しつけではなくて、声をきちんと聞いて、市場業者の人たちが営業が続けられるような対応を、この点では強く求めておきたいと思います。
 引き続いて、豊洲市場の土壌汚染についてお伺いします。
 この問題は、市場関係者だけでなく、消費者を含めて、食に関心を持つ方々の間で大きな不安が広がっています。私は、食の安全・安心という点からも、こういう心配が出るのは当然のことだと思います。この点では、公営企業決算委員会でも議論になりましたから、重複しないようにお伺いしたいと考えます。
 公営企業決算委員会での議論を踏まえて明らかにされた豊洲市場の土壌汚染の処理状況について、確認の意味でお答えください。

○後藤新市場建設調整担当部長 汚染土壌の処理内容でございますけれども、汚染土壌処理基準の十倍を超える土壌につきましては、汚染区域を必要な深さまで掘削し、それぞれの物質や汚染濃度に応じて処理しております。
 また、汚染土壌処理基準の十倍以下の汚染についても、現地盤から二・五メートルの盛り土を行い、覆土するだけではなく、生鮮食料品を取り扱う市場用地については、安全をより一層確実なものとするため、現地盤面から二メートルまでは掘削し、それぞれの物質や汚染濃度に応じて処理をいたします。その後、掘削区域を、処理済みの土壌を含みます安全な土壌で埋め戻し、なおかつ、市場用地全体に現地盤面から二・五メートルの盛り土を行います。
 これらの処理は、環境確保条例で定める土壌汚染対策指針に沿ったものでありまして、安全性は十分確保できると考えております。
 操業に伴う汚染土壌以外の汚染土壌処理基準を上回る土壌につきましては、市場施設建築工事の着工までに、改変する土地を含む市場用地について、操業に伴う汚染土壌の処理と同様の方法で処理を行います。
 処理の手続は、環境確保条例の第百十七条に基づき、汚染土壌状況調査報告書、汚染拡散防止計画書、汚染拡散防止措置完了届などを、汚染原因者が環境局に提出いたします。
 処理が完了したことは、汚染拡散防止措置完了届の提出をもって確認されます。
 データの信頼性は、環境大臣が指定する指定調査機関が発行いたします濃度計量証明書などを添付することで確保されることでございます。

○小竹委員 もう一度確認をしますけれども、東京ガスの処理は、操業に伴う土壌汚染についてのみということなのか。そして、環境基準の十倍以下のものについては、二メートルは取り除いているけれども、それ以下には若干残っている可能性もあるということで理解していいのか。それと、後半の、操業に伴う土壌汚染以外の処理については、市場当局の方がこれから行うという部分に入るのかどうか、そこのところをもう一度確認させてください。

○後藤新市場建設調整担当部長 まず、汚染土壌の内容でございますが、一つは、東京ガスの都市ガス工場の操業に伴う汚染物質がございます。それと、豊洲の地区は埋立地でございますので、いわゆる自然由来といわれる物質もございます。東京ガスの操業由来に伴う物質につきましては、当然、汚染原因者の処理原則によりまして東京ガスが処理をいたします。一方、自然由来につきましては、汚染原因者が特定できませんので、東京都が処理をいたします。
 あと、処理方法でございますが、現地盤面から二メーターまで、海抜A.P.二メーターまでは、操業由来、自然由来ともすべて環境基準以下にいたします。現地盤から二メーター以下より深い部分、A.P.プラス二メーター以下の部分につきましては、環境基準の十倍を超える土壌につきましては、やはり操業由来、自然由来とも処理をいたします。

○小竹委員 私が東京ガスから伺ったのと若干違うような気がするんですけれども、東京ガスが処理をしたのは八十六カ所ですね。全敷地の三割程度というふうに聞いております。
 今残っているのは自然由来というふうにいわれましたけれども、自然由来の、土壌処理基準の十倍以下の物質が残っているのが二百地域あるというふうに伺っているんです。これについては都が処理する中身だと思うんですが、どういう調査に基づいてやるのか、内容とその処理方法を、先ほどもお話がありましたけれども、もう一度改めてお伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 東京ガスが、環境確保条例に基づきまして、平成十三年に所有地全域にわたって調査を行いました。これに基づいて、平成十四年に土壌汚染状況調査の報告を環境局にいたしております。調査は、この状況調査の報告書に基づいて行います。
 それによりますと、東京ガスの操業由来による処理をしなければならない区域が八十六カ所、先ほど来ご説明いたしました自然由来といわれている物質につきましては、約二百カ所がございます。
 八十六カ所につきましては、東京ガスが平成十八年度末までに処理を行うということで、現在処理を行っておる最中でございます。残りの約二百カ所の区域につきましては、東京都が、東京ガスが行った操業に伴う汚染土壌の処理と同様の方法で処理を行います。

○小竹委員 環境確保条例に基づいて東京ガスが行ったわけですけれども、法律の方も確保条例も、考え方は、汚染物質の拡散を防止するということが目的で行われています。食品を扱う市場という点で考えたときに、どんな事態でも絶対安全だということが求められるのではないでしょうか。
 そういう点で考えると、東京ガスの調査というのは、三十メートルメッシュなんですね。交差したところを調査して、汚染物質が出ているところを処理しているということで、(図を示す)ちょっと大きくしてくればよかったんですけれども、このピンクと黄色の部分が東京ガスが処理したところということで、二百カ所はこの白い部分の一定部分になると思うんですけれども、この白い部分の半分ぐらいは、全くないというか、出ていないところとなっているわけですが、こういう広大なところに汚染物質が絶対にないんだということをいえるんでしょうか。この点についてはいかがでしょうか。

○後藤新市場建設調整担当部長 東京ガスが行いました調査及び処理対策は、環境確保条例に基づく指針により実施されております。この指針には処理の方法がさまざま規定されておりまして、その指針の方法に基づいて土壌汚染対策が実施されておりますので、環境面での安全性は確保され、問題ないと考えております。
 万が一、工事等の途中で汚染が確認された場合は、東京都が環境確保条例に沿って処理をいたします。

○小竹委員 確かに、条例や法にのっとって、指針にのっとってやっていることは私も承知しているんだけれども、食べ物を扱う市場だという点で、本当に安全なのかという点は、私、疑問を感じるんですよ。そのことが市場関係者の方々や消費者の不安の大きな材料になっているわけですよね。
 三十メートルメッシュというと、それこそ一区画は九百平方メートルですよ。三百坪の広大な土地で、メッシュですから、交点のところを調査したと東京ガスはおっしゃっているんだけれども、そうすると、その角々でしかやっていないという点でいうと、この九百平米の中が全くないのかということでは、私は絶対に汚染物質がないという断言はできないというふうに思っています。
 決算委員会でも指摘されているように、地震で、液状化だとか側方流動だとか、地盤が動くというふうなことなどを考えたら、もし残っていたら、そこから噴き出してくるということだってあり得るわけですよね。食の安全を考える市場だからこそ、私は、細部にわたってもっと綿密な調査をする必要が、確保条例でやったからいいということじゃなくて、きちんと責任ある市場を建てる責任者として、そういう調査をすべきなんじゃないんですか。この点についてもう一度お伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 東京ガスが行った調査は、東京ガスの所有地全域にわたりまして三十メーターのメッシュを切りまして、五百三十七区域について調査を行っております。もちろん、サンプル調査でございますが、そのサンプル調査で出た三十平方メートルメッシュの区域につきましては、すべてその区域を対象に処理を行っておりますので、部分的な処理を行ったということではございませんので、その点では問題ないと考えております。

○小竹委員 ちょっとすれ違いみたいな感じがするんですが、私、そういうことをいっているんじゃないんですよ。やったところははっきりしていますから。ここでもピンクと黄色の部分、そのほかに、東京都が自然由来で環境基準の十倍以下のところについてはなさるということだから、この白い部分の半分近くまではやられるのかなというふうに思っているんですけれども、それ以外のところに全く、一つの調査を四カ所やったとはいったって、九百平米という広大な土地の中にないということはいえないと思いますし、その点で考えたら、東京都として、きちんとした、もっと細部にわたっての調査が必要だということは指摘し、強く求めておきたいと思います。
 市場の建設に当たって、地下施設をつくったり、基礎ぐいを深く打ち込むわけですけれども、これは当然、土壌を改変するということになるわけですが、そういうところから汚染物質が出た場合にはどういう対応をなさるのか、お伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 環境確保条例では、改変行為とは、掘削と土地の形質の変更などとされておりまして、基礎ぐいを打ち込む行為がすべて土地の改変に該当するわけではございませんが、基礎ぐいなどの施工に当たりまして、土壌を区域外に搬出する必要がある際に、土壌汚染物質が確認された場合は、環境基準の十倍以下についても、都が環境確保条例に沿って処理をいたします。

○小竹委員 条例に沿ってというお答えですけれども、その処理をするのは、該当するくいの部分とか、地下組織の掘る部分だけなのかどうか、その辺について処理の範囲がどうなのか、お伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 基礎ぐい等の施工に当たりましては、今申し上げたとおり、掘削した土壌が汚染されている場合は、条例に沿って東京都が処理をいたします。また、工事区域が東京ガスの操業由来の箇所につきましては、既に東京ガスによってA.P.二メーターまで処理済みでございますので、その分については手はつけません。それ以外の自然由来の箇所についても、より一層の安全を確保するため、東京都がA.P.二メーターまで処理を行います。

○小竹委員 環境確保条例に沿ってということですから、拡散防止ということだけで、例えば基礎ぐいの部分で汚染土壌が検出されたということになれば、当然、その周辺に同じようなものがあるというふうに考えられるわけですよね。それはそのまま掘らないということだから、残すということのお答えなんじゃないかと思うんですけれども、そうだとすると、私は、もし地震などの災害があった場合に噴き出してくる危険性があるという点では、先ほど調査をすべきだというふうに申し上げたわけですけれども、そういう出たところは、きちんとその周りも含めて処理すべきではないかと思いますので、この点についても強く求めておきたいと思います。
 今、直下型地震の危険が指摘されているわけで、臨海部は液状化が起きる危険性が高いというふうにいわれているわけですが、土壌が液状化した場合、汚染物質が地下から噴き出してきて、全体にまじり合ってしまうということだってあり得るわけですし、それが拡散するということにもなりかねません。そういう点では、液状化対策は欠かせない問題だと思うのですけれども、今、液状化対策についてどの範囲で行おうと考えておられるのか、同時にその費用についてどのぐらいになるのか、お伺いします。

○後藤新市場建設調整担当部長 液状化対策でございますけれども、現在、十八年度、地盤調査を実施しております。これに基づきまして、液状化の範囲、施工方法など今後検討する予定でございますので、費用、期間につきましてはまだ未定でございます。
 いずれにいたしましても、平成二十一年度に予定しております建築工事の着手までには完了させる予定でございます。

○小竹委員 今度、有明の丘の防災拠点で液状化対策が行われると聞いていますが、一ヘクタール約十五億円かかるということです。それで考えると、市場四十四ヘクタールで計算すると、液状化対策を全部をやるとすれば、六百六十億円もかかるということになると思うんですが、そういう意味で考えても、こういうところで果たしてどうなのかというのは私は感じます。土壌が汚染されているという点でいえば、万全な体制をとらなければならないというふうに思うんですね。
 加えて、今、埋立地での側方流動ということで、地盤面が水平方向に数メートル移動するということが大きな問題になっています。そういうことが起きれば、護岸や橋梁、そして建物などの基礎、地下に埋設されているライフラインなどにも重大な影響を与えることになりかねません。こういう点でも、移転計画を、先ほど液状化対策については二十一年までには完成させるんだというお話ですけれども、拙速な形でやるというのは後で問題が起きるということも考えられますので、慎重に対応し、十分な対策をとっていただくように、この点については要望しておきます。
 最後ですけれども、東京ガスが土壌汚染について公表したのは平成十三年の一月でした。その後に東京都が正式に豊洲に移転するという決定をしているわけですけれども、私は、こういう土壌汚染のあるところに市場を移転するということについてどうなのかという点での疑問を持ちます。こういう点で考えたときに、市場を土壌汚染があるところに移すという点で、影響などについて具体的に検討したのかどうか、この点についての検討経過と認識についてお伺いいたします。

○後藤新市場建設調整担当部長 東京ガスは、土壌汚染につきまして、平成十三年一月に東京ガスの用地の全域を調査いたしまして、豊洲地区の所有地に環境基準を超える土壌があったということを報告すると同時に、汚染対策を実施するということを公表しております。
 その後、平成十三年二月から、東京ガスは土壌汚染の処理を開始しております。
 また、平成十三年十月に、環境確保条例の土壌汚染に係る条項が施行されました。
 東京都は、東京ガスが土壌汚染処理を開始したこと及び条例に基づく安全性の確認方法が確立されたことに伴い、新市場の位置、規模等の条件を勘案した上で、総合的に判断し、平成十三年十二月に豊洲移転を決定したものでございます。

○小竹委員 今、東京ガスが土壌汚染処理を行ったということで、決めたということですけれども、これだけ、操業だけじゃなくて、砒素の検出のデータは、砒素など自然界に由来するとはいったって、相当濃度が高いわけですよね。そういうところで処理をすればいいというふうなことでの判断というのは、環境確保条例は拡散防止という立場ですから、それで果たして食べ物を扱う市場でいいのかという点の検討がやっぱりなされなければいけなかったのじゃないかと思うんですね。
 検討経過を見ると、豊洲移転問題については平成十年ごろから取りざたされていて、市場関係者の間でも意見が分かれるところがあったわけですね。このころ、東京ガスは、市場の移転については消極的ないしは反対に近い対応を示していたわけです。これだけ汚染があの豊洲全体に広がっているという土地が、本来市場に適さないと判断するのは、私は当然のことではないかというふうに思うんですね。
 汚染がある、それを処理されたということで決定したということですけれども、本当に移転が先にあって決めたんじゃないかというふうな思いが強くしてなりません。
 液状化などで汚染物質が流出する可能性だとか、市場の予定地が汚染物質が完全に除去されて安全宣言がなされない限り、関係者は、そこで営業して本当に大丈夫なのかという不安を抱くのは当然のことだというふうに思います。そういう意味でいったら、私は、もう一度踏みとどまって検討する必要があるんじゃないかと考えています。
 仲卸業者の方を初めとして、市場関係者や消費者から反対の声も広がっているわけで、そういう点でも豊洲移転を強行することはやめるべきだ。築地ブランドを生かして、世界の築地として発展させていきたいというのが市場業者の方々の中からも声となって上がっていますので、こういう点でも、公共市場としてのあり方、当初は現在地整備も並行して検討されていたわけですから、公共市場としての役割を果たせるという点で、根本から再検討するよう求めて、質問を終わります。

○石毛委員長 ほかに発言がございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時三十八分休憩

   午後二時五十二分開議

○石毛委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより港湾局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○斉藤総務部長 十月十七日開催の当委員会でご要求のございました資料のご説明を申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願いたいと存じます。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載の十三項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、臨海副都心関連予算決算の推移でございます。
 上段から、1、臨海副都心整備費、2、関連事業費、3に、その合計を年度ごとに億円単位でお示ししてございます。
 なお、昭和六十三年度から平成十七年度までは決算額を、十八年度は予算額をそれぞれ記載してございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 二ページをお開き願います。2、臨海関係第三セクターの入居率の推移でございます。
 平成十年度から十七年度までの各年度末におけますビルごとの入居率をお示ししてございます。
 三ページをお開き願います。3、臨海関係第三セクタービル入居テナントの概要でございます。
 平成十八年九月三十日時点におけますビルごとの主なテナントをお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。4、臨海副都心における土地の長期貸付及び売却等の推移でございます。
 1は、長期貸付につきまして、表頭にお示しのとおり、地区、区画、契約年月日、面積及び処分先を時系列に記載したものでございます。
 五ページをお開き願います。2、底地売却、3、売却、4、暫定利用につきまして、同様にお示ししてございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 六ページをお開き願います。5、臨海副都心における進出事業者からの地代収入一覧でございます。
 進出事業者ごとの地代収入につきまして、平成十五年度から十七年度までの決算額と、十八年度の予算額を百万円単位でお示ししてございます。
 なお、進出事業者名につきましては、企業経営上の観点から、記号で記載させていただいております。
 七ページをお開き願います。6、臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
 有償処分予定地のうち、開発確定分といたしまして、処分済み及び処分見込みに分け、また開発予定分といたしまして、暫定利用中、公募中、今後公募予定及び土地区画整理中に分け、昨年度末現在の面積をヘクタールでお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。7、臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
 平成十三年度から十七年度までの土地処分の実績を、面積と百万円単位の金額でお示ししてございます。
 実績の内訳欄に、処分方法と件数を記載してございます。
 九ページをお開き願います。8、臨海副都心地域を除きます埋立地の土地処分実績でございます。
 平成十三年度から十七年度までの土地処分の実績を、面積と百万円単位の金額でお示ししてございます。
 実績の内訳欄には、処分方法と件数を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、臨海部広域幹線道路等の事業費でございます。
 1に、臨海部におけます広域幹線道路の路線名と事業費、負担区分を億円単位でお示ししてございます。2に、整備時期検討路線、3に、除外路線を示してございます。
 恐れ入ります。一一ページをお開き願います。10、臨海副都心まちづくり方針の推移でございます。
 臨海副都心のまちづくりに関する計画とその開発目標等を、時系列に記載したものでございます。
 一二ページをお開き願います。11、東京港における取扱貨物量の推移と国内主要港との比較でございます。
 平成十三年から十七年までの五カ年につきまして、表側にお示ししてございますように、東京港と国内主要四港ごとの取扱総量を、外貿貨物と内貿貨物に分け、千トン単位でお示ししてございます。
 また、外貿貨物につきましては、外貿コンテナ取扱量を内数として記載してございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 一三ページをお開き願います。12、世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量(平成十七年)でございます。
 平成十七年における世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量を千個単位でまとめたものでございます。
 一四ページをお開き願います。13、晴海ふ頭客船寄港数の推移でございます。
 平成十三年から十七年までの五カ年における寄港客船数を、外航と内航に分けましてお示ししてございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石毛委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○田中委員 本日は事務事業概要についての質疑でありますので、若干総論的な質疑になりますが、東京港にとりましての大きな命題でもあります国際競争力の強化に関しまして、何点かお伺いしたいと存じます。
 我が国は資源の乏しい国であり、原材料を輸入し、また教育水準の高さに裏づけられた技術力と勤勉さをもって高付加価値の製品を開発製造し、海外へ輸出して成長してまいりました。また、食糧自給率も先進国中最低であり、大量の食糧を輸入している現状もあります。
 我が国の経済成長とともに、貿易量も増大し、港湾の取扱量も増大してきたことから、我が国におけます港湾の位置づけは大変重要であると認識しております。中でも、コンテナ貨物取扱量が日本一であります東京港は、首都圏四千万人の、まさに生活と産業を支える大変重要な役割を担っていると認識をしております。
 このような中で、昨今では、欧州航路や北米航路のいわゆる基幹航路の寄港数は、シンガポールや香港など近隣アジア諸国の港湾が増加し、日本への寄港数は減少傾向にあります。
 東京港は背後圏に生産地と消費地を持つ港湾である一方、近隣アジア諸国の港湾の多くは貨物を中継する港湾であるために、単純に比較することはできませんが、東京港が国際競争に破れ、基幹航路から外されると、中国や韓国からの二次輸送の対象となり、移送コストの増加やリードタイムの増大につながり、貿易立国である我が国にとりましては、大変大きな損害をこうむるものと思われます。
 このようなことから、東京港としての役割を十分果たす上で、物流コストの削減や輸送時間の短縮に向けてさらに取り組み、東京港の国際競争力をつけ、大型船が直接寄港するメーンポートとしての地位をしっかりと堅持することが必要であると認識しております。
 このような状況も踏まえまして、まず、基本的なことからお伺いいたしますが、最近の東京港の貨物取扱状況の特徴についてお伺いいたします。

○江津港湾経営部長 外貿コンテナ貨物が増勢を続け、東京港はコンテナ取扱量個数は八年連続日本一でございます。
 地域的には、アジア地域の貨物の伸びが顕著でございまして、とりわけ中国との輸出入コンテナ個数が、この十年で六倍に増加をしております。中国は、輸入で平成十四年から、輸出では平成十六年から、米国を抜いて東京港の第一位の貿易相手国になりました。
 また、平成十六年に、東京港で史上初めて外国貿易貨物量が国内貨物量を上回り、以後、その傾向が継続しております。
 外国貿易の通関額も、輸出入合計で平成十七年に初めて十兆円を突破し、ますます国際貿易港としての性格が強まっております。
 この十年間の日本のGDPの伸び率は、平均しますと一%台である中で、東京港のコンテナ貨物の取扱量はほぼ倍増しております。これは、製造業の海外シフト、国際水平分業が進展する中で物流の技術革新が進み、またアジアの経済成長が急速に進んでいることによるものであると認識しております。

○田中委員 ただいまご説明いただきましたように、中国との貿易貨物量が非常な勢いで増大しているということがわかりました。私自身、ちょっと調査不十分でありますが、最新の数字を持っておりませんけれども、二〇〇一年と二〇〇四年を比較いたしますと、GDPでは約一・五倍、貿易額では約二倍に成長しております中国は、日本、特に東京港にとりまして最大の貿易相手国としての良好な関係だけではなく、国際競争を行う上で、手ごわい相手として臨まなくてはならないと認識しております。
 そこで、特徴的ですが、中国の上海港あるいは韓国の釜山港など、巨大なハブ港として急速に台頭している中で、スーパー中枢港湾としての指定も受けた東京港が、さらなる国際競争力をつけるために、都はどのような取り組みをしているのかお伺いいたします。

○江津港湾経営部長 コンテナ定期航路を運航する船社にとって、可能な限り船のスペースをいっぱいにして運航しようとすることが、船社経営の基本でございます。このため、中国を発着する貨物が急増する中で、世界の有力船社は競って中国に寄港しようとし、欧州、北米とを結ぶ国際基幹航路における日本への寄港数が総体的に低下しております。
 このため、委員ご指摘のように、東京港に欧米から大型船が直接寄港するメーンポートとしての地位を維持発展していくよう、ハード、ソフトの両面から、東京港の国際競争力を強化していく必要がございます。
 そのため、ハード面では、近年の急速なコンテナ船の大型化に対応し、中央防波堤外側埋立地に大規模なクレーンや岸壁延長、ヤード面積を持つ高規格なコンテナバースを整備していくとともに、大井、青海ふ頭の既存バースについても、背後ヤードの拡張など必要な機能更新を図ってまいります。
 また、ソフト面では、インセンティブ制度の活用等により港湾コストの低減化を図るとともに、税関手続の簡素化やコンテナ搬出入手続の電子化等の取り組みにより、港湾通過時間の短縮を図るなど、官民が一体となって、使いやすい、競争力ある港づくりを推進してまいります。

○田中委員 東京港の国際競争力の強化のために、さらなるハード面、そしてソフト面からの総合的な取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 さらに、あわせて申し上げますと、東京港の大きな特色であります、背後にある巨大なマーケットや内陸部の生産拠点といかにスムーズな物的流通が確保されているかということが大変重要な要素になると思っております。
 港湾から背後圏に至る幹線輸送網など道路網や物流施設との効率的配送システムなど効率的な物流ネットワークが完備されて、初めて港湾の総合的な力となり、国際競争力の向上につながるものと認識しております。
 本年二月に、東京都では、関連する各局が局の壁を超えて連携し、総合物流ビジョンをまとめられましたが、このことは、東京港にとっても国際競争力強化の観点から、まことに時宜を得た取り組みであると、私自身は認識しております。
 この総合物流ビジョンを実現することにより、物流コスト全体の削減やリードタイムの短縮化につながり、そのことによって東京港の商圏が広がり、東京港に対する需要も増加することにつながるものと認識しております。
 総合物流ビジョンの具体化に向け、各施策に取り組んでいくに当たり、港湾局としてはどのような役割を果たすのでしょうか、お伺いいたします。

○江津港湾経営部長 総合物流ビジョンは、物の流れの実態を踏まえたハード、ソフト両面からの総合的な対策を実施するなど、国際競争力の強化、暮らし、環境の向上のため、首都圏を視野に入れて物流効率化を推進していくことを目的としております。
 東京港は、首都圏各方面への道路網が集まるすぐれた立地特性を有しており、東京港の輸入コンテナ貨物の九割が首都圏で消費されるとともに、輸出コンテナ貨物の八割が首都圏内で生産されるなど、首都圏四千万人の生活と産業を支える物流のゲートウエーでございます。
 東京港における物流効率化を総合的に進めていくためには、臨海部における物流拠点や道路ネットワークを着実に整備するとともに、委員からのご指摘もございました、東京港を利用する貨物の生産地であり消費地である首都圏内部の内陸部とも連携をした取り組みが重要でございます。
 港湾局といたしましては、中央防波堤外側埋立地に、大規模なコンテナターミナル及び高機能物流拠点の整備、それから東京港臨海道路二期事業の促進、コンテナヤードの共同使用や相互融通などの施設の高度利用促進といった施策を行う一方、陸上輸送の効率化に向け、幹線道路のボトルネックの解消を行うなど、国、関係自治体や都関係局と連携を図りながら、首都圏という広域的な視点を踏まえた物流の効率化に努めてまいります。

○田中委員 ぜひ、各局それぞれの連携の中で、しっかりと港湾局もその中での取り組みをよろしくお願いしたいと存じますし、また、その実現に向けては、我々もいわゆる道路特定財源の一般財源化廃止に向けて努力し、しっかり財源確保にも努めなくちゃいけないのかなと強く認識しているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、東京港は背後圏に生産地と消費地を持つ港湾であり、近隣アジア諸国の港湾の多くは貨物の中継港湾であるということですが、一つの見方としては、東京港は、その背後に巨大な物流需要があるために、相当量の貨物量が確保されております。一方、近隣アジア諸国のハブ港は、港湾自身が必死に競争力を身につけないと、即競争力が低下し、港湾の存続の危機に瀕してしまうために、絶えず危機意識を持っているのではないかと推測しております。
 また一方、東京港にも、東京港が幾ら努力をしたとしても、国内景気が減少し、背後圏の物流需要が低下してしまうと、東京港そのものの物流取扱量も減少してしまうという要素もはらんでおります。港湾拡張をする上でも、東京港には新たな土地がなかなかない中、特に中国は広大な土地を擁しているということからも、東京港としては、ある一定の制限を受けながらの競争を強いられているという状況であろうかと思っております。
 いずれにいたしましても、危機意識の強いアジア諸国と激しい競争をし、勝ち抜いていくためには、また中国のように、急激に拡大している国内市場を持つ強力な競争相手と熾烈な競争に打ち勝つためには、第七次改訂港湾計画の前倒し実施をするぐらいの力強い意識を持って国際競争に臨まなくては、特に年率一〇%台で成長している中国などには負けてしまうのではないかと思われます。
 今まで確認してきましたように、東京港の果たすべき役割は大変大きく、また国際競争力の強化は極めて重要であると思います。最後に、改めまして、物流の拠点としての東京港の将来にかける局長のご決意をお伺いしたいと存じます。

○津島港湾局長 東京港は、国内的には、昭和四十年代、全国に先駆けてコンテナ化に対応いたしまして、首都圏の物流需要にこたえる形で順調に貨物量を伸ばしてまいりました。
 しかし、お話のように、中国を初めとするアジア貨物の急増、そしてコンテナ船の急速な大型化、こういった状況、近年の物流を取り巻く環境の変化には目を見張るものがございます。このため、首都圏の生活と産業を支える東京港の国際競争力の強化ということを目指しまして、現在、第七次改訂港湾計画を策定し、その取り組みを進めているところでございます。
 今後のことを展望いたしますと、さまざまな経済の変化が予測されるわけでございますけれども、先生お話のように、必要に応じて計画のレベルアップやスピードアップといったものを視野に入れながら、取り組みを強化していく必要があると認識しております。
 これから開発を進める中央防波堤外側埋立地、あるいは新海面処分場は、そのための残された貴重な可能性を持った土地だということでございまして、東京港の能力の向上に向かって、ソフト、ハード両面から取り組みを強力に展開していきたいと考えております。
 こういった取り組みを通じまして、東京港が今後とも国際基幹航路を維持拡大しながら、首都圏の物流拠点としての役割をしっかり果たし続けることができるよう、局を挙げて全力で尽くしてまいりたいと思います。

○田中委員 今年度の委員会も、まさに始まったばかりでございますが、港湾計画のように、大変長期的な視点に立った計画の中での一年間かもしれませんが、今年度も着実に国際競争力が強化されるように、さらなるご尽力をお願いいたしまして、質問を終わります。

○門脇委員 今、田中委員の方から、東アジア地域、とりわけ中国との国際競争力をどのようにつけていくかという、私も聞いていて大変勉強になった質問がありましたが、私は別な視点で、東京港における国際競争力をつけていくということについて幾つかお伺いすると同時に、今日まで交流を進めていらっしゃいましたいわゆる友好港及び姉妹港のことについて質問いたします。
 そして最後、少し夢のある話ということではないんですけれども、期待を持ったお話をさせていただきたいと思います。
 さて、一カ月ほど前だったと思いますけれども、これはオフィシャルな会議ではございませんでしたが、国土交通省の港湾局の若手幹部の皆さんとお話をする機会がございました。
 その幹部のお話によりますと、たまたま私がこの委員会に所属をしているということだったのかもしれませんけれども、東京港の重要性というものについて、国の方の港湾局の位置づけは大変に高いものがあり、また東京都が実施いたしております港湾の施策やその取り組みについても、極めて高いものがあるというお話をお伺いいたしました。
 そのようにお話を聞きますと、やはり同じ東京の人間として非常にうれしくなりましたけれども、一方、日本の港湾をめぐる国際環境ということも、将来に向けてまことに厳しいものがあるということも、同時に認識をしなければいけないことであろうかと思います。東京港が、これからもアジアの中の有力港湾としてその地位を堅持していくためには、徹底した効率化や港湾機能の強化というものが望まれると思います。
 そのためには、まず、東京都みずからが努力を求められるのは当然でありますけれども、それと同時に、国、特に国交省の支援というものが不可欠でありますし、日ごろから国との連携体制の構築ということが重要であると思います。
 ちょっと前段が長くなりましたけれども、そこで、国とはこれまでどのような提携を行い、現在及び今後においてどのような提携を図っていかれるのかお伺いいたします。

○小林港湾経営改革担当部長 都は、これまで、港湾エリアにとどまらず、生産地、消費地と港湾とを結ぶ広域的な物流効率化に向け、国への提案要求や構造改革特区提案等を通じて規制緩和等を推進してまいりました。
 例えば、これまで、東京湾内の水先区の統合などを行う水先制度の改正や、港湾のフルオープンに向けた税関等の土日開庁、さらには海上コンテナ輸送に係る指定道路規制の緩和などが実現いたしました。
 今後、一層の物流効率化に向け、公社民営化を初めとした港湾の管理運営のあり方に関する見直しなど、ハード、ソフト両面から幅広く国と連携して港湾改革に取り組んでまいります。

○門脇委員 先ほどの田中委員の答弁の中にもありましたけれども、港湾物流の効率化に向けて、具体的な連携の取り組みを行っているとの説明がありました。ありがとうございます。今後とも、ぜひ国との連携を確実に進め、支援や協力体制を構築していただきたいと思います。
 さて、東アジア地域での大都市は、ハブ空港の必要性が高まりを見せ、これは飛行機の方ですけれども、各国とも競って大規模空港の整備を進めていることはご承知のとおりであります。港湾の分野では、上海や釜山での大規模な港湾整備なども、新聞紙上などでよく見ているところであります。
 そこでお伺いいたしますけれども、一部ちょっとダブるかもしれませんが、アジア地域における新たな港湾整備の状況というのはどのようなものか。
 また、そのような状況の中で、東京港としてはどのような整備計画を持ち、国内及び国際間の競争を勝ち抜いていくために具体的にどのような対策を講じていくのか、あわせてお伺いいたします。

○小林港湾経営改革担当部長 世界第三位、千八百万TEUの取り扱いを誇る上海港では、二〇二〇年までに洋山地区におきまして新たに五十二バースで二千万TEUを取り扱うコンテナターミナルを整備する計画であります。
 また、世界第五位、千百八十万TEUを取り扱う釜山港では、二〇一一年までに三十バースで八百万TEUを取り扱う新港を整備する計画であります。
 東京港では、本年三月に策定いたしました東京港第七次改訂港湾計画において、今後十年間で、中防外側及び新海面に、大井ふ頭、青海ふ頭に次ぐ三番目の拠点として、新たなコンテナふ頭四バースを整備していくと同時に、大井ふ頭などの既存バースのヤードの拡張や、第一航路の幅員を現在の四百五十メートルから六百メートルに拡張し、対面航行を実現していくなど、さまざまな施設の機能アップを図っていくこととしております。
 一方、国際競争力強化に向け、東京港の官民の関係者が共同で提案しました新アクションプランに基づき、インセンティブ制度の導入による港湾コストの低減や、全国共通のコンテナ搬出入システムであるJCLネットの導入によるターミナル運営のIT化の推進などコスト競争にすぐれ、質の高い、使いやすい港づくりを一層促進してまいります。

○門脇委員 一部重複の答弁ということで、大変私の質問の仕方が悪いんで、申しわけございませんでした。
 さて、アジアの諸港に負けない港づくりを進めていっていただきたいと思います。
 そこで、東京港の競争力の強化に関連して、コストや効率性などさらに具体的な質問について、二つでありますけれども、話を進めてまいります。
 東京港の、これもよくいわれることでありますけれども、コンテナクレーンのオペレーターの技術力は世界一だとお伺いいたしております。国際競争力に勝ち残って、打ち勝っていくためには、このような高い技術、すぐれた労働生産性が何よりも重要な要素となるわけでありまして、クレーンの操作技術が高い評価を受けていること自体は、私たちにとっても、とてもうれしい、喜ばしいことであります。
 しかし、東京港を初め日本の主要港におきましては、港湾コストの上で大きな比重を占めておりますいわゆる労務費やサービス分野の人件費が、アジア諸国に比べてどのような水準なのかということが問題であろうと思います。
 以前から日本の水先料金が高いといわれておりますけれども、その原因としては、やはり乗船されるパイロットの賃金が、何と比較してというのは難しいと思うんですけれども、高過ぎるのではないかという指摘があります。賃金水準のことについては、都が直接その権限を持っているわけではありませんけれども、日本は、港湾の分野においては、残念ながら、なかなかこの規制緩和というものも今日まで進展をせずに、物事がもう一歩前に進んでいかないという印象が、これは私だけではなくて、多くの方がそういう共通認識を持っていらっしゃると思います。
 そこで、コスト競争力の強化を図るという視点からお伺いいたします。
 都は、港湾の効率性の向上を図り、コストの低減化を進めていくべきと思いますけれども、そのような観点でどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○小林港湾経営改革担当部長 コンテナターミナルにおける単位面積当たりの取扱量と比較いたしますと、東京港は、一ヘクタール当たり二万四千TEUを取り扱うなど、欧米のターミナルに比べ二倍程度の取り扱いを行っており、近隣の釜山港と比較しても、同程度のすぐれた荷役効率を実現しております。
 施設利用の効率性の向上については、港湾のフルオープンを進める立場から、さまざまな機会を活用して都といたしましても意見を表明してまいりましたが、現在では、労使間の協定が成立し、本船荷役の二十四時間三百六十四日化が、さらには沿岸荷役のゲートオープン時間の延長が実現しつつあります。
 一方、港湾コストのうち水先料金につきましては、水先制度の改正により、全国一律の奨励料金制度が廃止され、認可料金制度に移行するとともに、東京湾内の水先区の統合により、二人の水先人が交代のため海上で乗りおりする際の諸経費が低減されるなど、コスト低減化に向けた取り組みが始まったところであります。
 さらに、東京港においては、平成十六年より港湾諸料金のインセンティブ制度を導入し、コンテナ取扱量を増加させることにより、実質的にコンテナ一個当たりの物流コストを低減化する取り組みを進めております。
 こうした取り組みを通じ、今後ともターミナル運営の効率化、港湾コストの低減化を推進してまいります。

○門脇委員 詳しくは触れませんけれども、今、答弁の最初の方にあったところに一つのキーワードがあると私は認識いたしておりますので、このことについては、港湾局の皆さんも国との連携を図りながら、あるいは経済特区の制度を利用しながら努力をされてきたことはよく認識しておりますし、その現場、現場での対応というものも重要でありますけれども、よろしくお願い申し上げておきたいと思います。
 さて、港湾は、今申しましたように、互いに競争し、切磋琢磨していくことも重要でありますけれども、一方で、友好的な国際交流というものも重要であります。互いの施設の管理状況や港湾技術のような現場の実態に即した実りある交流を図り、情報交換を進めることが大切であると認識をいたしております。
 そこで、現在の東京港に対する友好港及び姉妹港の数は四港でありますけれども、それらの港湾とのこれまでの交流事業について、特徴的なことについてお伺い申し上げます。

○江津港湾経営部長 港湾を通じまして経済社会及び文化の交流を図り、港湾の繁栄と貿易の発展に寄与することを目的として、ニューヨーク・ニュージャージー港、ロサンゼルス港及びロッテルダム港と姉妹港、また天津港とは友好港を締結しております。
 これまで使節団の相互派遣、研修生の派遣、物産展や物流セミナーなどの交流事業を実施するとともに、両港のトップなどによる共同声明や覚書等を交換してまいりました。現在は、外貿ミッションなどの際に表敬訪問を行うとともに、節目節目に記念事業を実施しております。

○門脇委員 ありがとうございました。そういうことだと思います。
 それで、これは予算の制約もありまして、何も港湾局に限ったことではないんですけれども、全体的な国際交流というか、国際都市交流というか、国際港交流というか、一服状態であるということは異論のないところだと思います。
 しかし、都の財政も、余り安心してはいけませんけれども、これから上向きに転じていくという、ある意味明るい見通しのある中で、この際、姉妹港や友好港を中心に、国際港湾交流を積極的に進めていくべきではないかと思います。そのことによって、世界の港湾の現状や計画などに直接触れることも可能となり、よって東京港のこれからの経営のあり方にも貴重なサジェスチョンとなるものと思います。
 特に、隣国、中国の天津港、私も数カ月前にこの天津港をずっと視察をしてまいりましたけれども、アジアの中の唯一の友好港でもありますし、天津港との交流は今後も大切にしていくべきであろうと思います。
 確かに先ほど答弁にあったトップ会談ですね、あるいはその友好交流も、一般的な友好交流も大切でありますけれども、技術等の実務レベルでの情報交換や人的交流が必要ではないかと思います。
 予算上の問題もあることはよく承知いたしておりますけれども、今申し上げた四港を中心に、積極的に交流をこれからも行っていくべきと思いますけれども、その見解をお伺いいたします。

○江津港湾経営部長 姉妹港、友好港との交流は、先ほどの答弁でもお答えをしましたとおり、両港の相互繁栄のため、さまざまな形で交流を促進することが目的であり、重要であると認識しております。
 とりわけ船舶の大型化、荷役機械の革新や環境対策など、港湾を取り巻く状況が急速に変化する中、相互に情報交換をすることは重要となってきております。委員お話しのとおり、現場レベルでの人的交流も必要であり、都では、港湾関係団体とも協力して、現在、当該団体への天津港職員の受け入れを実施しておるところでございます。
 今後、こうした取り組みを工夫しながら、強化をしてまいりたいというふうに考えております。

○門脇委員 ありがとうございました。国際港湾交流について一歩前進したお答えをいただきました。ぜひ、これからも前向きに取り組みをお願い申し上げたいと思います。
 さて、これが最後の質問になりますけれども、ここはポイントなんですけれども、今から五年後の西暦二〇一一年には、東京港開港七十周年を迎えます。そして、この年は二〇一六年、招致できるかどうかまだ決まっているわけではありませんけれども、東京オリンピック開催の、そこから数えると五年前という年であります。
 また、視点を変えれば、東京オリンピック開催の年は二〇一六年、すなわち東京港開港の七十五周年という大きな節目に当たる年になります。特に今回の、これはまだ予定ではありますけれども、東京オリンピックは晴海のメーンスタジアム、それからMPC、メーンプレスセンター、それから選手村など主要施設のほか、東京港のいわゆる臨海部に多くの競技施設が立地することになるわけでありますから、世界に向けてPRという意味では、またとない機会であろうかと思います。
 そこで、この絶好の機会を利用して、東京港を世界にアピールしていくべきではないかと思います。東京オリンピックの開催により、大きな節目となる東京港開港七十五周年について、世界に対して、東京港を初めとするこのような地域をどのようにアピールしていくのか、できれば責任者の局長にお答えをいただければ幸いでございます。

○津島港湾局長 東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支えるゲートウエーとして重要な役割を担いますとともに、こういった港湾機能と臨海副都心に代表される都市機能が複合した、世界的に見ても非常に特色のあるエリアでございます。
 その意味で、東京港の魅力は、物流機能のみならず、景観、にぎわい、潤い、あるいは憩い、こういったさまざまな視点から形成されるものではないかと考えております。都市機能との調和が、東京港のこれからの大きな魅力づくりのかぎになるのではないかと考えております。
 一方、お話の東京オリンピック招致目標でございます二〇一六年、この年はちょうど臨海副都心が概成する時期でもございます。また、お話しの、東京港が開港七十五周年を迎える時期でもございます。こういった時期に、ちょうど成熟し、調和のとれた都市と港を世界に示す絶好の機会であるというふうに私ども考えております。
 したがいまして、今後の十年間で臨海副都心の総仕上げを全力で進めるとともに、物流機能の強化も図りつつ、環境、観光、安全、交通などに配慮した東京港のエリアの整備を着実に推進し、港湾と都市の両面の機能が融合した魅力あふれる東京港へ育ててまいりたいと考えております。
 これによりまして、オリンピック開催によって、世界じゅうから迎える多くの皆様方に、成熟した都市を支える東京港を、世界の各国に大きく発信していけるものと考えております。

○門脇委員 終わります。

○遠藤委員 港湾局に対する質疑は、私は初めてでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 田中委員から、また門脇理事の方から、東京港をめぐるご質問、特に国際貿易港としてその地位をどう向上させていくか、競争力をどう高めていくか、こうした議論が展開されました。私の方からは、同じ観点ではございますが、東京港を中心とする港湾の広域連携、そして空港と港湾の連携について何点かお伺いいたします。
 聞いたところでは、川崎、横浜、そして東京、この三つの港に関連して、平成十六年に京浜三港広域連携協議会というものが設立され、この京浜三港で、さまざまな分野で協力連帯していく体制がとられておるようでございます。その中では、物流ネットワークの構築や危機管理体制の構築など、幾つかの連携の目標をつくって、その実現に向けて着実に取り組んでいるそうでございます。
 国際競争力を強化するためには、東京港単独ではなく、こうした広域的な取り組みが不可欠であろうかと思います。この意味で、我が党といたしましても、これまで京浜三港の連携については強く応援し、取り組んできたところでございます。
 そこで、まず、これまでの京浜三港での連携して行ってきた具体的な取り組み内容と成果、主として物流ネットワークの構築という観点からお伺いいたします。

○小林港湾経営改革担当部長 京浜三港広域連携協議会は、京浜三港がそれぞれの特性を生かし、競争していく中で、港湾利用サービスの向上を図り、港湾利用者にとってより一層使いやすい港づくりを進める観点から、各港が共通の仕組みで対応することが有効な事項について連携施策を推進するという、競争と連携の関係をとりながら、港湾の国際競争力強化に取り組むことを目指したものであります。
 ご指摘の物流ネットワーク構築への取り組みでは、コンテナ横持ち輸送の効率化につきまして検討を行ってまいりました。京浜港では、年間約三十三万TEUのコンテナ横持ち輸送が発生しており、片荷輸送や渋滞などの非効率性や環境への負荷の問題が指摘されておりましたが、この軽減を図るため、国や民間事業者も参加するコンテナ輸送効率化検討委員会を設置し、はしけを使った京浜港内における海上輸送実験や、GPSによるコンテナ輸送車両の走行実態調査など、さまざまな側面から社会実験を行い、輸送の効率化に向けた検討を行ってまいりました。
 海上輸送の活用については、この取り組みが実を結び、はしけによる横持ち輸送が、昨年、定期輸送としてスタートされるという実績も上げております。

○遠藤委員 輸送の効率面において、検討レベルから具体的な実施に移し、海上の輸送については、昨年から定期輸送としてスタートしたということで、大変大きい成果を上げていることだと思います。
 加えて、トラック輸送からはしけを用いた海上輸送に転換することで、交通対策にも効果があるだけでなく、環境対策としてCO2の削減効果も見込めることとなります。引き続きこうした取り組みを今後も積極的に進めていただきたいと考えますし、さらにレベルアップした取り組みも期待されると思います。
 そこで、今お聞きした物流効率化の取り組み、今後どういう形でグレードアップ、レベルアップを進めていくか、見解を伺います。

○小林港湾経営改革担当部長 平成十八年度からは、物流機能の強化による我が国の国際競争力強化及び産業立地における環境の維持改善という視点から、これまでのコンテナ輸送効率化検討委員会での検討を踏まえ、官民の関係者で構成する京浜港物流高度化推進協議会を新たに立ち上げております。
 その中では、コンテナ横持ち輸送コストの低減などの港湾コストの削減、物流関連車両滞留の解消などの港湾サービスの向上、臨海部と内陸部との高規格広域道路ネットワークの形成などの臨海部空間の産業立地環境の改善といった項目につき検討を行っており、今後、実効性の検証に向けた新たな社会実験等に取り組んでまいります。
 引き続き、三港が共通の仕組みで取り組むことで、より効果が高まる施策について積極的に連携を推進してまいります。

○遠藤委員 物流の効率化という面では、今のご説明をお聞きし、本当に着実に進んできているという実感がいたしました。しかしながら、この京浜三港間において連携が必要なのは、こうした物流の効率化という側面だけではないと思います。
 一方で、極めて重要なのは、震災、地震等災害対策の側面や防犯等の保安面にかかわる取り組みでございます。こうした施策は、単独に行っていても効果は限定的であり、薄いともいえるものです。連携して初めて十分な効果が発揮されるものと認識しております。この観点では、京浜三港におきましては、平成十七年三月に、耐震強化岸壁等の相互利用にかかわる協定を締結し、相互利用の基本事項を定めております。
 また、港湾の保安面につきましては、平成十五年度から設置している東京湾保安対策協議会を活用するなど、その連携体制を構築しているようであります。
 そこで、これまでのこうした連携体制の中で、保安面、そして災害対策に具体的にどのような手を打って、どういう成果が上がっているのかお答えいただきたいと思います。

○小林港湾経営改革担当部長 東京湾保安対策協議会においては、密輸、密入国等の組織犯罪を想定し、国や県市、都県警察を交えて、水際における合同保安訓練を年一回実施するとともに、広報PR活動や講習会も実施しております。また、合同保安訓練においては、危機発生時の通報訓練もあわせて行っております。
 一方、震災時の岸壁の相互利用については、ご指摘のように、協定を締結するとともに、京浜三港内全体に及ぶ甚大な被害も想定し、今年度内には、名古屋、大阪など、スーパー中枢指定港湾間での災害時相互協力協定を結んでいく予定であります。
 今後も、保安対策、災害対策の両面から情報の共有化と連携体制の強化を図ってまいります。

○遠藤委員 この京浜三港といわゆる他のスーパー中枢港湾との災害時の相互協力という点で、阪神・淡路大震災から十年を超えておりますけれども、まだこうした中枢の港湾間の協力関係を結んでいないということでありました。年度内にこの協定を結ぶという答弁でございますが、極力早くこの協定が結ばれるよう、東京都の港湾局としてもリーダーシップをとっていただきたいと思います。
 別の観点でございますが、この三港の連携の取り組みにつきましては、東京都、川崎、横浜で連携するのみならず、国に対する三港共同の要望活動も行っているようでございます。国への要望については、各自治体での取り組みにおいてもかなり力を入れていると思いますが、三港共同で申し入れるということは、それ以上の強い要望であることを国にアピール、示していく意味でも、非常に意義のあることと考えます。
 この国への共同要望の中で、実際に成果があったものはどういったものがありますでしょうか。

○小林港湾経営改革担当部長 国への共同要望については、幹線道路網の整備促進やロジスティクス機能の強化などの港湾物流機能の強化、水先制度の規制緩和や公社ターミナルのコスト低減などの港湾コストの低減、国際港湾施設の保安対策についての支援の三項目につきまして、支援要請を行ってまいりました。
 このうち、水先制度の規制緩和については、本年、水先法の一部改正が行われ、全国一律の奨励料金制度が廃止され、認可料金制度に移行するとともに、複数水先区の統合が図られることとなりました。
 複数水先区の統合では、東京湾内で区域ごとの水先案内の乗りおりがなくなることで、時間短縮や経費削減といった効果が見込まれ、港湾コストの低減に寄与するものと期待されます。
 また、ロジスティクス機能の強化につきましては、構造改革特区制度を通じ、埋立地の権利移転や用途変更に係る制限期間が緩和されました。
 さらに、公社ターミナルのコスト低減については、公社に係る固定資産税等の軽減措置の延長が認められております。

○遠藤委員 京浜三港間では、物流効率化の取り組みに加えて、災害時や保安面でも一定の連携が図られており、港湾局の皆様を初め関係者のご尽力に心から敬意を表したいと思います。
 ところで、今後の首都圏の生活安全を考えた場合には、この京浜三港での連携強化や、先ほどご答弁いただきました名古屋、大阪等々の港との災害時相互協力協定などによる広域的な港湾連携を図っていくことと、こうした取り組みに加えて、羽田空港との連携を模索していくことも重要な視点ではないかと考えます。
 二〇〇九年に羽田が国際化されれば、海外からの旅客、また貨物数の飛躍的な増加が見込まれます。さらに、我が国とアジアのゲートウエーを争う中国、韓国、そしてシンガポールなどのアジアの国々との急速な発展を視野に入れれば、現在のように空港は国が、港湾は都や政令市が主体となっている管理体制は、効果的な空間の利用、国際犯罪の防止、抑制といった観点から、個人的には既に限界が来ているものだと思います。
 繰り返しになりますが、これまでの質疑で明らかになりましたとおり、京浜三港の広域連携は着実に成果を上げております。そこで、今後は、首都圏全体の国際競争力の効果という観点から、港湾と空港の関係、とりわけ東京港と羽田空港の連携を図っていくべきと考えます。局長の所見をお伺いいたします。

○津島港湾局長 先生ご指摘のように、羽田空港は臨海エリアに位置しておりまして、今後、拡張の進展とともに、航空貨物の大幅な増加が予想されるところでございます。
 都としては、こうしたことも踏まえまして、平成十八年二月に策定いたしました総合物流ビジョンでは、港湾と空港との接続を強化することで、陸海空の広域的な輸送網などを構築していくこととしております。
 今後、東京港においては、臨海道路第二期工事を中心とした交通基盤整備や、中央防波堤外側に高機能物流拠点を整備していくことにしておりますけれども、その際には、海上貨物とあわせまして、これらの航空貨物を取り扱う施設の立地も視野に入れまして、十分検討していきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、首都圏という広域的な視点を踏まえ、今後、一層実効性ある連携施策の実施に向け取り組んでまいります。

○遠藤委員 力強い答弁をありがとうございました。
 小さく産んで大きく育てると、こうした言葉もあるとおり、まず、物流面で港湾局はリードして、この物流の交流を着実に実績を重ねて、先ほど来あるとおり、災害時での対応ですとか、または犯罪の防止、抑制などの部分に、幅広く、この港と空の関係強化に向けて取り組んでいただきたいことをお願いし、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○小竹委員 私は、臨海開発についてお伺いいたします。
 臨海開発は、情報化社会に対応する未来都市をつくるということで、テレポート構想から始まって、当初四十ヘクタールの開発が、日米合意に基づく内需拡大などをてこにして、金丸副総理が入って一挙に当時四百四十八ヘクタールに広がりました。
 その後、若干修正等もあって、四百四十二ヘクタールの広大な地域の開発ということになっているわけですけれども、第一次公募が始まって、既に十四年が経過いたしました。資料でも出していただいたように、臨海副都心における有償処分面積は百三十九ヘクタール、そのうち処分済みが八十ヘクタールで、五七・六%、処分見込み六ヘクタールで四・三%です。前年度と比べて、開発面積で一ヘクタール、〇・七%アップしましたけれども、まだ三八%、四割が未処分地で残っていることになっています。
 有償処分地の民間企業の進出分はどれだけになっているのか、お答えください。

○藤原参事 平成十八年三月三十一日現在でございますが、有償処分面積のうち、既に処分済みの面積は、先ほどお話がございましたように、約八十ヘクタールでございます。
 このうち、民間企業は約三十四・一ヘクタールで、割合としては四二・六%でございます。

○小竹委員 この民間企業の中には、第三セクタービルの用地九・九ヘクタール、二九%を占めていると思います。ですから、純粋な民間の進出というのは、二十四・二ヘクタール、処分地全体から見ると三割にすぎない状況になっています。
 平成十七年度、二〇〇五年の土地処分の実績のうち、民間企業の割合はどうなっているのかお答えください。

○藤原参事 平成十七年度の土地処分実績は、全体で約八ヘクタール、四百二十五億円でございますが、このうち民間企業の割合は、面積で約七七・八%、金額では六八・七%でございます。
 先ほどお答えいたしました累計よりも民間企業の割合が大幅に増加しております。これは、臨海副都心の開発に当たりまして、公共住宅や警察などの社会的基盤を整備し、安全で快適なまちとして機能させるために、公共的機関の進出を先行させてきたところでございますけれども、こうした基盤が整ってきたことから、民間企業への処分が拡大してきたものでございます。

○小竹委員 確かに民間企業は十七年度は多いというのは、この数字で見ても明らかですけれども、その多くは、底地の売却ということですね。ですから、過去において長期貸付されていた土地ということになるわけで、そうすると、一時的には売却の代金が入りますから、売り上げとしては--売り上げといったら語弊があるかな、売却代金はふえますけれども、その反面、毎年入ってきた地代の方は減るという状況になるわけです。
 十七年度も、あと残りの部分については、国と都が整備する防災拠点の有明の丘ですよね。そういう意味でいうと、有明の丘については、本来都有地でありながら、都民の税金を払ってまた買い戻しをしているという状況で、前にも指摘しましたけれども、やっぱり都民からすれば納得いくことではないというふうに思います。この点については指摘をしておきます。
 今後、平成十八年度以降の見通しについては、どのような状況でしょうか。

○藤原参事 ただいま先生から底地売却のお話がございましたけれども、底地売却は、長期貸付を受けている事業者に対して、都が保有している底地権を売却するものでございます。
 事業者が底地権を購入するということは、臨海副都心に対する魅力や将来性を評価いたしまして、現在の経営基盤を安定化させ、さらに事業を発展させるための強い意欲のあらわれでございまして、通常の土地処分と何ら変わるものではないというふうに考えているところでございます。
 また、お尋ねの今後の見通しでございますが、既に契約済みのもの、それから事業者決定済みのものなどを含めまして、五件については確定してございます。
 また、有明北地区学校用地の二区画につきましては、本年十月に応募を締め切りまして、現在事業予定者の選定を行っているところでございます。
 さらに年度末までに公募する予定でございます青海地区北側を含めまして、臨海副都心のさまざまな区画につきまして、多くの強い問い合わせや引き合いがございまして、着実に処分していけるものと考えているところでございます。

○小竹委員 先ほど、底地売却について、臨海部の魅力によって企業の意欲が示されたものだというふうにおっしゃられましたけれども、臨海会計全体から見れば、先ほど申し上げたような会計上の点からいえば、そういう地代が減って、今、一時的な収入はその年度で入るという、この点については変わらないと思いますので、この点は指摘をしておきます。
 今後の見通しがあるんだというふうなお話ですけれども、十八年度の見通しの中でも、引き続き有明の丘の国と都の買い取り費用も含まれているわけで、実態とすれば、有償処分地の六割は国と都の公共用地という、こういう状況になるわけですね。そういう意味でいえば、本当に今後、青海の公募だとか有明の北地区についても、公募の対象になっていくんだというふうに思います。
 公募地区も、何年もかけて、十四年間なかなか売却の見通しが立たない部分もあるわけで、そういう点でいうと、過去においては二〇〇一年から二年にかけて、港湾局の幹部職員が二千社も民間企業を訪問して、企業誘致の活動をやってきたという、こういう状況というのは、私は港湾局の本来の事業からすれば異常な問題だというふうに思います。こういう点からいっても、臨海の問題については、やはり見直すべき時期に来ているんじゃないかなというふうに思っています。
 臨海会計の収支が大幅に改善して千四百五十億円の内部保留金ができたということで、「臨海地域開発財政基盤強化プランの更なる取組み」が三月に発表されたわけですけれども、臨海会計は、破綻が続いてきた中で、二〇〇一年に羽田の埋立事業会計と埋立事業会計の二会計を臨海事業会計に統合させて、三会計を一本化して臨海開発事業会計というふうにしたわけです。
 そのとき、羽田と埋立の二会計から臨海会計に幾ら回ったのか、その時点での現金と貸付金が幾らあったのか、また、それぞれの二会計が所有していた土地についても明らかにしてください。

○鈴木臨海開発部長 三会計統合時におきまして、旧埋立事業会計及び旧羽田沖埋立事業会計の資金残高は、合計約八百五十億円でございます。
 また、両会計から旧臨海副都心開発事業会計への貸付金は、合計約三千六百億円でございます。
 次に、埋立地面積でございますが、旧埋立事業会計のみで約八十四ヘクタールでございます。三会計の統合は、東京臨海地域を総合的、一体的に開発を進めて、またその財政基盤を強化するという目的のもとに統合したものでございます。
 なお、会計的にご説明させていただきますと、三会計統合によりまして、会計間での出資や貸借関係は消滅しましたが、これらは借入金で整備されました都市基盤施設に形を変え、引き続き都民の財産として存続し、臨海地域の土地の資産価値を高めることに役立っております。

○小竹委員 統合時に八百五十億円の現金があって、貸したお金が三千六百三十億円、合計すると四千四百八十億円が統合直後にはあったわけですよね。それで臨海会計の方に貸したお金は相殺されてなくなったわけですけれども、現在、そういう意味でいえば、臨海会計の、臨海開発の事業に回ったという点で、今ご説明がありましたけれども、本来であれば、埋立会計のお金は、都民のいろんな活動というか、都民福祉のために使われる、そういうために過去においては使われてきたわけで、先ほど、都民の財産として使われているんだというご説明がありましたけれども、臨海の多くは企業の土地にもなっているわけで、そういう点では、都民にとっての財産というふうにもいい切れない部分があるというふうに考えます。
 現在、千四百五十億円の現金ということは、当時、四千四百八十億円、現金として貸し付けも含めてあったわけですから、三千億円は既に臨海会計の、臨海開発のために使われたというふうにいっても過言ではない状況だというふうに思います。
 都民の税金は使わないということで始められた臨海開発だったわけですけれども、基盤整備のために都債を発行して、借りかえを行ってきているわけですが、この間、金融機関に支払った利息は幾らになっていますか。

○鈴木臨海開発部長 都市基盤施設整備に係る都債償還につきましては、これまで支払った利子は、平成十七年度までで約二千二百億円でございます。平成十七年度からは内部留保金を活用し、借りかえをせずに償還を開始しておりまして、十七年度分として都債七百二十三億円を償還したところでございます。
 「財政基盤強化プランの更なる取組み」においてお示ししております新たな都債の借りかえを抑制することによりまして、借りかえによる金利負担、約二百十一億円を回避できると考えております。
 なお、先生から、都民の財産というご指摘、お話がございましたが、臨海副都心開発による税収効果は、都税収入につきまして見ますと、平成十七年度までで約二千三百億円、開発当初からまちが概成する平成二十七年度までで約八千億円と試算しておりまして、いずれも一般財源の投入額をはるかに上回るものであり、まちづくりの成果は都民に十分還元されるものと考えております。

○小竹委員 港湾局のいい分はそういうあれですけれども、それこそ埋立地は都民の財産ですよ。それが、やっぱりどちらかといえば大企業だとかそういうところに使われているという点でも、それから、この間、金融機関に対しては、今お答えがあったように、二千二百億円も利息が払われていると。
 それから、先ほどもいいましたけれども、有明の丘、本来だったら都有地ですから、何も税金で買い取る必要はない、こういうところにもお金が使われているという点で見たら、決して都民の利益になっているというふうにはいえないと考えます。
 昨年十月に埋立竣功しました有明北地区、これから売却の対象になるわけですけれども、この埋立地については、域内の道路や公園、こういう公共施設について、地震時の液状化対策はどういうふうにしていくんでしょうか。

○余湖開発調整担当部長 橋梁等の基盤施設や主要な公共建築物は、法令等に定めます耐震基準などに基づきまして液状化対策を含めた耐震対策を実施しており、十分な安全性を確保しております。
 また、住宅などの建築物につきましても、建築基準法などに基づきまして、適切な耐震対策を講じることになっております。
 これに対しまして、今お尋ねの域内道路や公園等、こういった平面的な公共施設におきましては、震災時に被害が発生いたしましても、人的被害や社会経済活動への影響は比較的軽微でございまして、また復旧も容易に可能でございますので、経済効率の観点から液状化対策を実施しないことが基本でございます。
 したがいまして、このような域内道路、公園等につきましては、液状化が発生した場合に、事後の復旧対策を講じることが、利用上大きな問題もなく、費用の面からも適切であると考えております。
 なお、今後、有明北地区の土地利用の目的を踏まえまして、適切に対応を図り、地震などに対する安全性を十分確保してまいります。

○小竹委員 建物については、事業者が行うというふうなことで、ほかの域内道路だとか公園などについては液状化対策はなさらないということですけれども、この有明北地区は、三万八千人の人たちが住むということが計画の中でも予定されているわけですよね。直下型地震が今想定されているという点でいえば、ここに安心して住み続けられるかどうかという点では、やっぱり大きな問題があるというふうに思います。
 今、新たな問題になっているのが、特に埋立地などで地盤面が水平に動く水平流動というのが、新たな問題として土木学会など専門家の間でも指摘されているわけですから、こういう点でも、きちんとした対策がやはり求められる中身だというふうに思うんです。そういう意味では、土地の提供者としての責任が問われる問題ではないかと思いますので、この点については指摘をしておきます。
 有明北地区については、オリンピックの選手村の予定地にもなっているわけで、公営企業会計決算でも植木議員が指摘したように、この土地についてオリンピックの対象地という点でいえば、数年間塩漬けになるということにもなるわけで、局の方は、財政収支上、対応は可能だというふうにお答えになられておりますけれども、やっぱりこの臨海開発の土地の処分の問題等を考えたときに、都心部で、都市再生ということで開発がどんどん進められているという点からすれば、土地の売却等についてだって、決して容易ではないというふうに考えられます。
 今後、都債の返済は五千二百億円払い続けていかなければならないわけで、十七年度返した分、七百二十三億円は引かれますけれども、相当多額の借金を返していくという点でいえば、そのために臨海部の土地を売却して、さらなる開発が進められるということになるわけで、やはり私は、本当に今、ヒートアイランドだとか地球温暖化の問題、環境問題が叫ばれている状況の中では、もうこれ以上臨海部での開発をすれば、ますます都心部がヒートアイランドになっていくという、こういう悪循環になるというふうに思います。
 そういう点では、もうこれ以上の開発をしない方向への転換が求められているのではないか。既に金融機関に二千二百億円も利息を返しているわけですし、これ以上、都民に負担をかけないという点で考えれば、開発の抜本的な見直し、都民参加で緑と公園、海辺を大切にする都民の貴重な財産を残すという、こういう方向に転換をすべきだということを求めて、質問を終わります。

○原田委員 ことしの五月、特定外貿埠頭の管理運営に関する法律が成立して、十月施行ということを背景に、東京都は、全国に先立って埠頭公社の民営化を打ち出しました。日本では、そもそも港湾の事業が、戦争のさなか、港湾が国の戦略に使われたという反省のもとに、港湾管理者は地方自治体に移行され、主に外貿ふ頭事業を行う埠頭公社が設立されました。
 経済の面で、日本がアジアでひとり勝ちの時代では問題がなかったのですが、アジアの急速な経済成長は、アジアの流通拠点としての機能を国家戦略としてどんどん整備してきたわけです。その結果、港湾コストを低く抑え、時間の短縮に成功しています。
 一方、東京湾の港湾管理者は、東京都、横浜、川崎、また千葉にもまたがり、ハブ港としての機能手続の複雑化や、それに伴う負担へのはね返りなどの理由で、その魅力を失いつつあります。このような事態に危機感を持った港湾戦略の一つとして、埠頭公社の民営化があると考えます。民営化に先立って、埠頭公社の持つ土地の公共化が進みます。
 そこで、お伺いします。東京都では、今年度、お台場ふ頭用地の公共化を、また来年度、十九年度には大井ふ頭のふ頭用地の公共化を実施することとしていますが、お台場は、今年度寄附、大井ふ頭は来年度買い取りということで、用地公共化の手法が異なっています。この差異はなぜ生じるのでしょうか、お伺いします。

○小林港湾経営改革担当部長 ふ頭用地の公共化は、背後の都有地との一体化による外貿ふ頭の再編強化や、震災時における緊急物資の受け入れなどの公共利用を確保することを目的として行うものであり、買い取りが原則であります。大井コンテナふ頭については、この原則に従ったものであります。
 一方、お台場ライナーふ頭は、奥行き九十メートルと狭小の上、供用開始から三十年以上経過しているふ頭であり、施設の更新時期を迎えております。奥行きの狭いふ頭部分だけで建てかえを行うのではなく、背後の都有地と一体となった再編を行うことで、現在の二・五倍の面積の活用が可能となり、土地全体の利用価値を飛躍的に高めるという大きなメリットが公社側に生ずることとなります。
 こうしたことから、お台場ライナーふ頭については、買い取りでなく寄附としたものであります。

○原田委員 今年度と来年度に分けて処理した理由をお聞かせください。

○小林港湾経営改革担当部長 お台場ライナーふ頭につきましては、今年度公共化を実施することといたしましたが、大井ふ頭につきましては、施設規模が大きい東京港の中枢ふ頭であり、公共化について、国、船社等との調整に時間を要することから、十九年度に実施することといたしました。

○原田委員 ことしと来年に分かれて寄附と買い取りというようなことだったので、このあたりはきちっと説明をいただきたいと思ったわけですけれども、原則的には買い取りということで、そして大井ふ頭、お台場の場合は、これから施設等の改修等の事業も控えているということで、そういう配慮というか、そういう対応がなされたということで、その経緯は理解するものであります。
 埠頭公社の民営化ということでいいますと、私も過去の委員会の中でいろいろ指摘させていただきましたけれども、民営化のメリットについては、委員会でいろいろ説明はなされています。ですけど、民営化することでどのような展望が可能になるかという、もうちょっと踏み込んだ説明がなされていないということがあって、民営化によって従来の仕事とどう違って、どんな事業展開が可能になるかという、その描きをぜひ聞かせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○小林港湾経営改革担当部長 まず、民営化によりまして、国の認可など規制の多い現行制度から、柔軟な対応が可能となる体制に移行することで、第一に、効率的、機動的な経営が可能となり、コスト削減など国際競争力の強化や利用者サービスの向上を図ることができることとなります。
 第二に、出資等が可能になりますので、段階的に港湾関連分野への事業拡大、多角化を図ることで、東京港における国際物流機能の向上に貢献することが可能となります。

○原田委員 民営化とか第三セクター、いわゆるいろんな民活のところで説明する一連のお言葉のように思えるわけなんですけれども、もっと具体的な展望をわかりやすく知らせていただきたい。特に都民に知らせる義務があるのではないかと思います。
 これから展開する持ち株会社の構想も、それぞれの子会社が、それぞれの今までの会社が子会社になることでどのような事業展開ができるかしっかり示さない限り、同じ仕事の内容で、相互のファイナンスのメリットで子会社になっても、魅力ある事業展開になるとは考えられないんです。埠頭公社の民営化の場合は、加えて港湾管理者、東京都の民営化後の埠頭公社との役割、それも見直す必要があるのではないかと考えております。東京都の直接の連携こそ、ふ頭事業のフットワークをよくする最良の方法だと私は考えております。埠頭公社が持ち株会社の子会社になることのメリットは薄いということを再度指摘しておきます。
 これからの話は、ちょっと皆さんと重複しているようなところがあるわけなんですけれども、東京湾の魅力をつくっていくためには、港湾管理者である東京湾内の自治体との連携というのが大変重要だということは皆さんも指摘しておりますし、私も再三再四、指摘しておくところです。
 前の方の質疑の中で、少しずつ実績が出てきているということは明らかになっていて、喜ばしいことなんですけれども、現実には、この連携が、それぞれの思惑の中でなかなかスムーズにできていないように思えます。いたずらに張り合ってむだな投資をしないようにしていく、そんな必要があると感じています。入港料の一本化、海域でのそれぞれの権利の問題の解決なしには、利便性を高めることはできないと考えます。
 そこで、これは遠藤委員の質問と重複するわけなんですけれども、東京港及び川崎港との連携について、これまでの取り組みと今後の展開について、一括してお答えいただきたいと思います。

○小林港湾経営改革担当部長 京浜三港での連携につきましては、先ほど申し上げましたけれども、京浜港としてスーパー中枢港湾の指定を受けるにあわせて、平成十六年に、京浜三港広域連携協議会という、京浜三港で協力連携して課題に取り組む協議体制を設立しております。その中で、物流ネットワークの構築や危機管理体制の構築など、幾つかの連携目標をつくっております。
 物流ネットワークの構築につきましては、コンテナ横持ち輸送の実証実験を行うなど、物流の一層の効率化に取り組んでおります。
 また、危機管理体制の構築につきましては、震災時の岸壁の相互利用について、十七年三月に協定を結んでおります。
 物流ネットワークの構築につきましては、十八年度からは、これまでの取り組みを踏まえ、官民の関係者で構成する京浜港物流高度化推進協議会を新たに立ち上げ、港湾コストの縮減やサービスの向上、臨海部空間の産業立地環境の改善などの項目について検討を行っており、今後、実効性の検証に向けた新たな社会実験等に取り組んでまいります。
 引き続き三港が共通の仕組みで取り組むことでより効果が高まる施策について、今後とも積極的に連携を推進してまいります。

○原田委員 これから京浜三港広域連携協議会がどのように機能していくか、注目したいと思います。
 特に、三港の共通の仕組みが、今後どのような時期に、どのような内容で構築されていくか、東京湾の未来を占うものと考えます。東京湾の港湾管理者同士の連携に、もっと危機感を持って取り組んでもらいたいと要望して、質問を終わります。

○石毛委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石毛委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして港湾局関係を終わります。
 経済・港湾委員会の皆様の、また局長を初めとする説明員の皆様のご協力によりまして、早目に終わったことを御礼申し上げます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十四分散会

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