経済・港湾委員会速記録第十号

平成十七年九月二十九日(木曜日)
第八委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長大塚たかあき君
副委員長原田 恭子君
副委員長矢島 千秋君
理事松下 玲子君
理事松原 忠義君
理事鈴木貫太郎君
田中たけし君
小竹ひろ子君
中山 信行君
いのつめまさみ君
岡崎 幸夫君
清水ひで子君
山崎 孝明君
川島 忠一君

欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長成田  浩君
総務部長菊地 輝雄君
産業企画担当部長三枝 秀雄君
改革担当部長佐藤 仁貞君
商工部長中井 敬三君
参事奥秋 彰一君
金融部長塚田 祐次君
金融監理担当部長森 祐二郎君
観光部長高橋 都彦君
参事米原 亮三君
農林水産部長大村 雅一君
参事秋元 篤司君
雇用就業部長松本 泰之君
就業調整担当部長関口 栄一君
中央卸売市場市場長森澤 正範君
管理部長高津 満好君
事業部長荒井  浩君
新市場担当部長大野 精次君
参事坂  崇司君
参事大橋 健治君
参事後藤  正君
参事戸田 敬里君
港湾局局長津島 隆一君
技監樋口 和行君
総務部長斉藤 一美君
団体調整担当部長岡田  至君
港湾経営部長新田 洋平君
参事江津 定年君
臨海開発部長鈴木 雅久君
開発調整担当部長尾田 俊雄君
参事藤原 正久君
港湾整備部長田中  亨君
計画調整担当部長滝野 義和君
離島港湾部長萩原 豊吉君
参事宮崎 孝治君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 中央卸売市場関係
報告事項(質疑)
・豊洲新市場実施計画について
 産業労働局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十五号議案 東京都ユース・ホステル条例を廃止する条例
報告事項(質疑)
・都立産業技術研究所の地方独立行政法人化に伴う地方独立行政法人評価委員会の設置について
・東京都雇用・就業対策審議会「中間のまとめ」について
・東京ファッションタウン株式会社及び株式会社タイム二十四の民事再生法による見直しについて
 港湾局関係
付託議案の審査
・第百八十三号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて(質疑)
・第百八十四号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱いについて(質疑)
・第百八十六号議案 東京都海上公園条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
報告事項(質疑)
・東京港第七次改訂港湾計画の策定に向けて
・第七十五回東京都港湾審議会「東京都海上公園計画の変更」の答申について

○大塚委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり意見書を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大塚委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○大塚委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局及び港湾局関係の付託議案審査並びに中央卸売市場、産業労働局及び港湾局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 報告事項、豊洲新市場実施計画に対する質疑を行います。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○松原委員 それでは、今上程されました豊洲新市場実施計画についてお尋ねさせていただきます。
 今回、豊洲の新市場の実施計画が取りまとめられたわけですが、この実施計画は、昨年基本計画が公表されて以来、おおむね一年間をかけてまとめられたものと聞いております。それでもなお、本計画には今後調整するべき多くの課題が残されていると思います。卸売市場の流通環境の変化に対応しまして、将来にわたり都民や首都圏の消費者に生鮮食料品の安定供給を果たす基幹市場の建設には大変に多大なエネルギーを必要とすると改めて感じているところであります。
 そのような中でも、この実施計画で新市場の姿が見えてきたと思います。そこで、新市場について何点かお伺いしていきたいと思います。
 まず、大田市場との役割分担ですが、新市場の予定地である豊洲から車でわずか十分間程度と思われる近距離に大田市場という拠点市場があります。これまで築地市場と大田市場は、それぞれの役割を分担しつつ、首都圏の生鮮食料品の流通を担ってきたと理解しているところでありますが、新市場は、流通環境に対応する新たな拠点市場として整備されることとなっていますけれども、大田市場との役割分担について、これまでと違いは出てくるのかどうか、それをまずお尋ねしたいと思います。

○大野新市場担当部長 大田市場は青果物と花きにつきまして、築地市場は水産物で、我が国最大の取扱高を誇る基幹市場としての役割を担ってまいりました。豊洲新市場は、市場を取り巻く流通環境の変化に対応できるよう、築地市場を移転、再生するものでありまして、水産物を中心とした基幹市場であることから、これまでどおりの役割を担うものでございます。

○松原委員 実施計画では、施設構造としまして、閉鎖型の施設、高床式の施設として、荷の搬出入はバースを介して行うこととなっていますけれども、このような施設構造を持った市場は新市場が初めてだというふうに私は思いますが、新市場がこのような構造を必要とするその基本的な考え方はどういうことなのか、お尋ねします。

○大野新市場担当部長 新市場におきましては、安全・安心をより確実なものとするため、生鮮食料品の品質保持ができるよう、外部からのほこり、害獣などの侵入を防ぎ、温度管理のできる閉鎖型施設、高床施設といたしました。
 また、機能的、衛生的な荷の搬出入を行うため、荷さばきスペースなど荷の搬出入の場所に直接車を寄せることができるバース方式を採用することとしたものであります。

○松原委員 昨今は、消費者の食の安全・安心に対する関心は非常に高まっております。このように生鮮食料品の品質管理を第一とした特色ある施設構造は、私は大変に重要なものと考えております。
 また、変化する卸売市場の取引形態に対応した施設づくりも大切なものと思います。品質管理に配慮した施設構造と効率的物流のための機能の確保があわせて実現されることで、今後の首都圏三千三百万人の食生活を支えることができるのではないかと思います。大変変化する卸売市場の取引形態に対応していくためにどのような機能を導入しようとしているのか、お伺いいたします。

○大野新市場担当部長 変化する卸売市場の取引形態に十分対応できるよう、小口取引と大口取引それぞれに対応する荷の流れを分離し、物流のさくそうを解消することや、大量の入荷や搬出時間の調整を行える施設の設置、自動搬送装置の積極的な導入を図ることとしております。
 また、物流管理システム、商取引システムを導入し、これらシステムを相互に連携し、稼働することによりまして、一層の場内物流、業務の効率化を徹底することといたしました。
 さらに、首都圏のハブ機能の充実を図るため、他市場へ転配送する荷を扱うスペースを設置することといたしました。

○松原委員 ただいまの答弁の中でも、新市場の機能として、業務の効率化のために商取引システムを導入するとありましたけれども、新市場の活性化のためには極めて必要なものと思っております。
 近年の情報化の進展によりまして流通環境というのは大変大きく変化して、卸売市場はまさに変革期にあると思います。このような卸売市場法の改正によりまして、インターネット取引が可能となるなど、これからの卸売市場の取引はまさに情報化への対応が重要な課題となっていると思います。商取引システムを活用してインターネット取引に取り組み、経営の強化や拡大をすることが必要と考えます。今後このような観点から、情報システムの構築について十分検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 ところで、豊洲新市場への移転は、現在築地市場で営業しております市場業者にとっては商売の基盤そのものにかかわることでありまして、築地市場と一体となって発展してきた場外市場の方々にも大変大きな影響を与えることになっております。豊洲新市場の実施計画の策定に当たりまして、これらの方々とどのように協議を行ってきたのか、お尋ねしたいと思います。

○大野新市場担当部長 実施計画の作成に当たりましては、現在築地市場で営業している市場業者の方々の経験や知識を生かしていくため、物流システムや衛生対策、施設配置等の個別課題につきまして、市場業者との間で十の検討会を設け、延べ九十回ほどの協議を重ねてまいりました。
 さらに、検討会での検討の内容を踏まえ、市場業界の代表とで構成する実施計画懇談会、新市場建設協議会で協議を行い、施設配置など、この協議の到達点を実施計画として取りまとめました。
 また、場外市場の業者の方々へは、計画の進捗状況に応じ、適宜情報提供を行ってまいりました。

○松原委員 場外市場の方々は、築地市場が移転することで、これまでの営業活動に影響を受けることから、将来に不安を抱えている方が大変います。私も何人かの方々をよく存じ上げておりますが、新市場建設に当たっては、場外市場の方々への対応も大変重要であると思いますが、これらの場外市場の方々へ今後どのように対応していくのか、お尋ねいたします。

○大野新市場担当部長 場外市場は築地市場と一体となって発展してきた経緯や、多くの都民に利用されていることは十分承知しております。場外市場で営業する方々のうち、市場の移転とともに豊洲への移転を希望される方々や現在地での営業を希望される方々など、その意向もさまざまでございます。
 新市場では、これまでの市場にはない考え方といたしまして、にぎわいの市場づくりを目指しております。市場ならではのにぎわいを創出するため、食文化の継承や観光拠点の創造という観点から、千客万来施設を整備することといたしております。整備に当たりましては、これら移転を希望する場外市場の方々の要望も視野に入れまして、施設の内容や機能、規模などの検討を行ってまいります。 
 また、現在地での営業を希望される方々にとって、跡地がどうなるのかが大きな関心事でございます。このため、今後地域のまちづくりにつきまして、関係局と連携し、検討をしてまいります。

○松原委員 新市場を建設するということは、多くの関係者との合意形成や検討すべき分野も多く、多岐にわたる課題を解決する必要があるため、大変な困難があると推測をいたします。
 そのような状況の中で実施計画を取りまとめられた皆さんのご労苦というのは大変なものがあったというふうに推察をいたします。さらに、今回の新市場の建設においては、これまでの市場づくりにはない、市場業者などの民間業者が整備する施設も含まれるなど、新たな取り組みも行おうとしております。
 また、平成二十四年度の開場を考えたとき、残された時間は決して十分なものではありません。私も委員長をやっていたときにこの移転が決まりまして、本当に何年かたってしまっていますので、大変時間がないと思っております。こういうふうな限られた時間の中で、今後調整すべき多岐にわたる課題を解決していくためには、これまで以上の英知を傾けて、市場業者と一体となって検討、協議を進めていく必要があると考えますが、この辺について市場長の考え方をお尋ねしたいと思います。

○森澤中央卸売市場長 豊洲新市場は、首都圏の食生活を支える基幹市場として将来にわたりその役割を果たしていく必要がございます。そのためには、新しい時代の流通に対応し得る基幹市場にとって不可欠な食の安全・安心を確保する高度な品質管理、また多様な取引への対応、効率的な物流システムなどの機能を実現していかなければならないと考えております。
 実施計画では、新市場の基本設計の与条件となる施設の配置や構造及び品質管理の方法や物流システムなどにつきまして、その内容を明らかにしてまいりました。いうまでもありませんが、新市場は、市場業者の方々が事業を展開する場として建設することになりますので、専門的な観点から将来を展望し、業界や市場業者の方々からあるべきシステムなどについて積極的なご提案をお願いしているところでございます。
 ご指摘のとおり、解決すべき課題も多く、平成二十四年度の開場を見据えたとき、これまで以上に精力的に検討を行う必要があることを痛感しております。今後限られた時間を有効に使いまして、新市場建設に邁進してまいりたいと考えております。

○松原委員 市場長の方から決意のほどをお伺いしたわけでありますが、今後とも全精力を傾けて、生鮮食料品の流通の変化にも十分に対応し、五十年、百年にわたり首都圏の基幹市場としての役割を果たしていく市場をつくり上げてもらうことを切に要望いたしまして、私の質問を終わります。

○山崎委員 松原先生の質問に関連して、豊洲新市場の実施計画についてまずお伺いしたいと思います。
 この市場が豊洲にということが決まったときに、地元の人たちが心配していたのは、一つには交通問題、現在も築地の方に相当の車が流入してきていた。新市場が豊洲に来たときに、一体車はどのくらい来るんだとか、相当それによって公害にしろ何にしろ地元の人は心配をして、一部反対もかなりあった。それがようやくとご理解をいただけるようになった。しかしながら、そのときの説明では、トラック輸送から、桟橋をつくることによって船の利用を高めて、海上輸送を将来は大きく取り入れていく。車は高速を通ってくるだろうし、町中はそう通りませんよというような話があって、それを期待しているわけですね。
 ところが、現実にはどうなるかというと、やはり町中をかなりの車が入ってくるだろう。特に、現在あそこの市場の東側は一般道からは一カ所しか入れない。そうすると、あの豊洲四丁目の交差点に相当数の車が流入してきて、近隣は迷惑がかかるんじゃないかということが意見として相当あった。しかし、船を将来は相当使うから大丈夫だというような見通しを立てて、ここに来たわけです。
 今回の実施計画を見てみますと、桟橋があり、それから緑地があり、場内の通路があり、そういった中で荷を運ぶ。将来船での海上輸送が多くなれば、相当桟橋の利用度もふえるだろうし、荷も相当量入ってくるというふうに考えられるわけです。そのときに、この計画は六街区、つまり桟橋側のところに当初卸があって、それから七街区、つまり南側、道路の反対側には仲卸というような基本的な考え方があった。それが今回の実施計画では逆転して、桟橋側に仲卸が来て、その道路の反対側、七街区、南側に卸が来る、こういう計画が発表されたわけです。
 我々普通、あちこちの市場、外国も含めて国内もずっと見てきますと、海に面した市場というのは、桟橋で船から荷をおろして、おろしたところですぐに、マグロにしろ何にしろごろごろしているわけだ。船からすぐそうした作業が、仕分けなり何なりできるべきものだというふうに当初我々素人は思っていた。ところが、三十メートルの緑地をつけなきゃならぬという条件があって、この市場は周りが全部緑地で囲まれている。となると、海に面した、岸壁に面した市場というものではなくて、これではまるで陸地にある市場と変わりないんじゃないか、そういうふうに感じるんですよ。船から荷をおろしてすぐ市場というのではなくて、例えば、北九州かな、あの市場なんかは岸壁イコールもう市場なんです。そこでみんな長靴はいて作業をやっている。
 ところが、この市場はそういう形ではなくて、岸壁から、桟橋から荷をおろして、護岸が十五メートルぐらいあるのかな、十六メートルぐらいある。そして、その護岸を超えたところに三十メートルの宅地内緑地がある。そして、その緑地の隣に場内通路というのが配置されるわけです。そうすると、船からおろして、市場の実際の作業をするところまでの距離というのが五十メートルぐらいある。そうすると、荷を船からおろしてそっちへ持っていく間、何らかの形で運ばなきゃならないというのは当然のこと。それはトラックで運ぶような計画らしいんだけれども、そうすると、岸壁を備えた市場がありながら、岸壁と市場との距離が五十メートル以上離れているとなると、岸壁の意味がないんじゃないか。桟橋つくる意味ないんじゃないかという感じがするわけです。これはちょっと極端ないい方ですけどね。
 そうすると、この緑地をとらなければいけないというのは、東京ガスとの約束があったとか、いろいろあるようですが、この市場は、先ほども申し上げたように、岸壁はあるんだけれども、実際にそれをきちんと十分活用できない市場であって、もっと極端にいえば、陸地にある市場のような感じが私はするんですね。じゃ、これをもっと作業効率をよくできる方法はないのかというふうに思うのが第一点。
 それから、六街区に今度の計画では仲卸が来る。卸が七街区、南側に来る。となると、桟橋から荷を上げてまず受け取るのは卸が受け取るわけでしょう。そうすると、桟橋から仲卸の場所を通り抜けて、南側の卸の方に船から荷を持ってこなくちゃならない。そうすると、それはトラックか何かでぐるっと回っておろす。おろして、そこで荷さばきをし、次に仲卸の上へ持っていくわけだ。こんな動線が、先ほども何か答弁あったようだけれども、果たして効率的であるかどうか。しかも、そこはトラックで輸送するとなると、排気ガスが出ると。
 この計画でいうと、環境に優しいとか衛生的であるとか、さまざまなことを書いてあるけれども、考えてみると、トラックで桟橋からぐるっと回って下の卸の方まで運ばざるを得ないようなそういう実施計画というのが、果たしてこれで効率的であるんだろうか、あるいは環境に優しいんだろうかというふうに私は考える。
 この配置が変わったのは、業界との話し合いがあった上だと思うんですけれども、業界はそう考えるかもしれないけれども、なぜ桟橋と卸が直結できないかという単純な素朴な疑問が私はわいてくる。まず桟橋から荷をぐるっとトラックで下まで運んで、そこで卸の方が扱うということの不効率さが私は問題じゃないかというのが一つ。
 それから、計画では、桟橋、それから護岸、緑地、場内通路というふうに約五十メートルほど桟橋から離れている。その緑地を越えるために桟橋からスロープをつくって、護岸を越えて緑地をまた越えてトラックで荷をおろし、場内通路を伝わって、ぐるっと回って南側の卸の市場に運ぶということになる。
 そうすると、当然桟橋から今度はトラックに積んでスロープを渡って、緑地や何か飛び越えて入ってくるわけだけれども、市場の立場を考えれば、こんなことをする必要があるんだろうか。私は、当初この計画ができたときに、桟橋ができて船の運搬がふえてこれはいいわいと思っていたんだけれども、そうすると、普通は荷をおろして、緑地や何かがあるとすれば、ベルトコンベヤーか何かで荷を乗っけて、それで卸の方にずっと運んでしまえば一番簡単でスピーディーで効率的だというふうに思うんですよ。ところが、緑地があるから、緑地をつくらなければならないから、スロープでその上をまたぐんだと。
 じゃ、緑地と市場とどっちを優先して考えるべきか。果たしてこの緑地を一体どのくらいの人が利用するのか。地主であった東京ガスが、緑地でこの市場の先っぽの土地をまだ持っているんだけれども、そこへ来るために、散策するために、あるいは水辺に親しむために緑地が必要だ。じゃ、この市場のわきの緑地をどれだけの人が利用するか。その人たちのためを優先するのか、それとも市場の機能を優先するのか、どちらを優先するのか。多分答えられないと思うから、答えないでいいんだけれども、考え方の一つとしては、例えば緑地を逆に上に上げて、緑地をスロープにしちゃう。この桟橋の部分。そこをスロープにして、緑地をみんな散策してもらって、緑地の下をベルトコンベアか何かで運んだ方が僕ははるかにいいというふうに思うんですよ。
 この計画が、専門家や設計屋や業界や、いろんな人がいろいろ議論をして、卸と仲卸の位置をひっくり返した、それが最善だと思ってつくった実施計画だとは思うんですが、私からすれば、ひっくり返ったことによって、場内にトラック輸送の部分がふえてしまうということは明らかだと思う。
 それと、今いったように、緑地を優先するか、あるいは市場の機能を優先するかと考えたときに、緑地も優先する、市場の機能も優先するというふうに考えれば、緑地は何も平面でなくてもいいと思う。緑地は桟橋の部分だけブリッジにして歩けるようにしてあげれば、私はそれはそれでいいと思う。しかも、そのことによって、桟橋から、できることならベルトコンベヤーか何かでうまく護岸を渡って緑地のところから市場に荷が入れば、私は非常に効率的だと思う。
 そこで卸と仲卸が逆転したことによってそれすらもできなくなっちゃう。ベルトコンベヤーか何かで運べるようにしたとしても、そのおりてきた場所が仲卸なんだから。仲卸のところに荷がおりちゃったら、今度は卸がまた取りに行かなきゃならないという不合理が生じてしまう。そういうことで、果たしてこの実施計画で本当にいいんだろうかというふうに私はこの計画の図面を見て考えたわけですが、ちょっとおかしいんじゃないか。
 それと、青果と仲卸というのは、売参人、いろいろ小売りの方が仕入れに行ったときに、マグロを買って、今度青物も買ってというと、この計画だと、対角線上に仲卸と青果がある。そうすると、買いに来た人たちが仲卸から青果に行く距離というのは、道路を二回またがなきゃならない。あるいは真ん中にある交差点を突っ切らなきゃならない。いずれにしろ距離は長くなる。そういった意味では、青果と仲卸はできるだけ近くにあるべきだというふうに普通は考えるというのが、この計画を見た私の感じであります。
 一々質問すると時間もあれだから、今総合的に意見だけいいましたけれども、そういった意見に対して担当部長はどう考えるか。いや、そうじゃないんです、この方がいいんですという理由があってこうしたと思うので、だから、その理由をちょっと説明していただけますか。

○大野新市場担当部長 六街区と七街区の機能を逆転したといいますか、その理由でございますけれども、当初、基本計画では、先生のお話のように、卸売り場を六街区、それから仲卸売り場を七街区に配置することといたしました。しかし、六街区は、景観ゾーンと一体となった良好な都市景観を形成するため、建物の高さを抑える必要がございまして、そういった意味から、敷地面積との関係から、六街区に卸売り場のすべての施設を一階に配置することはできないという物理的な事情がございまして、取り扱い品目の特性に応じまして、一部を七街区、当初の基本計画の段階での七街区の仲卸売り場に配置する、こういう計画で基本計画は立てられました。
 その後、業界等とも検討を進め、実施計画の検討の中で、物流あるいは施設利用の効率化という観点から、やはり卸売機能を集約して整備することが一番大事だろうということで、そのためには重層化が可能な七街区の方に卸売り場、卸売機能を一体化して配置する、六街区の方に仲卸売り場を配置する、こういうことにいたしました。
 そういった中で、先生のいろいろご指摘がございましたまず桟橋の問題でございますけれども、桟橋につきましては、私ども、桟橋、それから市場間の荷の運送は、当初の基本計画におきましても、豊洲それから晴海の開発整備計画の中で、親水護岸あるいは宅地内緑地、こういったものが位置づけられてございまして、その歩行者動線を阻害しないように、スロープを設置して車両運搬で行う、こういうふうにしておりました。
 そういった意味から、基本計画の段階におきましても、そういった制限がございまして、六街区と七街区の仲卸売り場、卸売り場を交換しても、場内での外周道路、通路への走行距離は確かにやや長くなりますけれども、基本的な輸送効率の差はほとんど生じないだろうというふうに考えた次第でございます。
 それから、六街区、七街区間の買い回りの機能の確保でございますけれども、これは当初の基本計画におきましては、七街区、五街区、これが物理的には確かに近いということで、買い回り性ということでは、距離という点から考えればふさわしいのかなという考え方もございましたけれども、これにつきましては、いずれにしろ、七街区と五街区が環二の道路で一応区画が分けられているということもございまして、七街区に仲卸売り場を配置する場合にもそもそも課題がございました。
 そういった中で、この買い回りの問題につきましては、今後業界とも具体的に検討していく課題だというふうに認識してございまして、今後情報化の活用も含めまして、施設機能及び運用の両面から、買い回りの効率的な方法を考えていきたいというふうに考えてございます。

○山崎委員 桟橋が、つまり六街区に高層は建てられない、七街区に高層は建てられる、大体その考え方が私おかしいと思う。何で六街区は高層建てちゃいけないんだ。景観とかいっていたよね。私、江東区だからいうわけじゃないけど、南側だっていい眺めなんだよ。北側は中央区で晴海の方なんだけども。南側には有北の昔の護岸があって、緑があって、非常に景観いいんですよ、南側は。北側を見るより僕はいいと思う。レインボーブリッジは、この出島の西側の方にある。だから、六街区、北側の方の景観を重視するために低層しか建てないという基本的な考え方というのが私はそもそも間違いであったんじゃないかというふうに思います。
 ですから、この計画については、こういう意見が議会で出た、それはしっかりと踏まえて、もう一回やり直せというわけにはいかぬでしょう、もう。いかないといいますかね。いかないけれども、もともとの、基本的にその景観を、北側の六街区が高層を建てちゃいけないとか、建てないとかいうこと自体の発想が大間違いだ。南側を低層にして北側を高層にしたっていいじゃない。普通、マンション建てるんだって、ビル建てるんだって、北側の方より南側の方が眺めをよくしているじゃないですか。
 そこのところが基本的に間違っているから、こういう計画になってちぐはぐな仲卸と卸がひっくり返っちゃって、桟橋と卸の市場が離れちゃって、しかも、今度は仲卸と青果の場所が遠くなってしまって、すべてちぐはぐな計画だと私は思います。そのことを私は、とにかくいうだけははっきりいっておきますから、今後またいろいろその点については議論したいと思います。
 以上。

○松下委員 昨年七月、豊洲新市場の基本計画が公表され、今回実施計画がまとめられました。首都圏三千三百万人に生鮮食料品を供給してきました世界に冠たる築地市場が、七十年もの間営業をしてきた地を離れ、豊洲というこれから新たに開発される地域に移転し、営業をすることとなるわけです。市場の移転については、移転先の江東区の住民の皆様が、期待とともに、また市場移転の影響について不安を抱えていることも否めません。
 そこで、今回最も影響が懸念される交通や環境の問題に関して何点かお伺いしたいと思います。
 今回まとめられた実施計画は、基本計画で示した物流システムなどの機能を具体化し、施設配置など基本設計のさまざまな条件を取りまとめたものと聞いております。基本計画では、場内交通に関して円滑な車両動線を確保するため、市場の出入り口にゲートを設ける、また入退場車両の効率的で円滑な移動を確保するため、敷地の外周部に周回道路を設けるとなっておりましたが、基本計画では、市場出入り口、場内動線の具体的内容が明らかではありません。今回の実施計画では、市場出入り口など交通計画はどの程度具体化されているのか、考え方を含め、わかりやすくご説明ください。

○後藤参事 新市場での交通計画でございますけれども、市場内外の違法駐車や車両混雑などを発生させないこと、幹線道路の沿道に立地する市場の一体性を確保するという観点で整備を進めてまいります。
 したがいまして、出入り口は右左折が可能で、交通容量の多いメーンの出入り口を、補助三一五号線を中心に水産物部に二カ所、青果部に二カ所、計四カ所、またメーンの出入り口の補助の出入り口として左折のみの出入り口を環状二号線に沿って各街区に一カ所、計三カ所、及び他市場に転配送する荷を扱う施設への直接の出入り口を七街区に設置し、合計八カ所といたしました。
 市場に入場した車両が環状二号線や補助三一五号線の幹線道路を平面で横切ることなく目的の施設に行けるよう、市場内の主要通路は市場車両が周回できる形状といたしました。また、入出場時に市場車両を管理するため、各出入り口にゲートを設け、このゲートは後続の待ち車両が公道に影響を及ぼさない位置に設置し、車両バースや駐車場に円滑に誘導できるようにいたします。

○松下委員 施設のゾーン配置ですが、基本計画では六街区に水産物部の卸売機能が、七街区に仲卸機能が配置されておりましたが、実施計画ではそのゾーンが逆になっているようです。このことで場内の交通動線が変わると思われますが、場外の道路の交通量に大きな影響はないのでしょうか。

○後藤参事 これまで、水産物部、青果部それぞれにおける車両の入出場台数をもとに交通量を計算してまいりました。したがいまして、交通量の総量としては変わりません。また、両街区における場内通路の交通容量には余裕がありますので、このゾーン変更により幹線道路の交通量に大きな影響はないと判断しております。

○松下委員 また、昨年の経済・港湾委員会において、我が党の柿沢委員が市場の交通問題について質問をしました。補助三一五号線と環状二号線が十字に敷地を分断する形で配置されていることにより、市場は分断されてしまうため、物の流れや車両の行き来がスムーズにできるのかなど、対策が必要であること。幹線道路や周辺への交通渋滞をなくし、市場車両の入退場のピーク時においても、周辺道路への渋滞など、影響をなくすべきという主張をしてまいりましたが、この点について改めて対策をお伺いいたします。

○後藤参事 一体的な市場として機能させるため、各街区間を円滑に往来できる場内交通動線の確保は重要であるというふうに認識しております。そのため、五街区と七街区間の移動のために、環状二号線の下にアンダーパスを設けました。また、補助三一五号線を高架化することによって、六、七街区が一体的な敷地として利用可能になるようにいたしました。さらに、物の流れが安全にスムーズにできるよう、その下部に連絡通路を設けることとしております。
 なお、これまで補助三一五号線下部は三本の連絡通路を設置することといたしておりましたが、実施計画の策定に当たり、市場業者等とも十分な検討を重ねた結果、十分な幅員を持つ連絡通路を四本設置することといたしました。
 また、周辺道路での交通渋滞や路上駐車などを防ぐため、市場内に十分な駐車場と荷物の積みおろしのためのバースを設置することといたしております。
 なお、今年度に築地市場関連車両の交通実態について再度詳細な調査を行い、この調査結果を今後の施設配置、規模などの検討に反映させてまいります。

○松下委員 次に環境問題についてです。
 今回実施計画を見ますと、第四章に環境対策がまとめられておりますが、この内容は、基本計画や計画段階環境影響評価における配慮書と同様の内容です。環境問題は、市場移転に際して明らかにするべき重要事項と考えておりますが、今後の環境対策についての取り組みをお聞かせください。

○後藤参事 環境対策についてでございますが、市場活動が環境に与える負荷の要因をできる限り抑制するための方策は、昨年の計画段階環境影響評価の手続において複数の計画案とともにお示ししたところでございます。
 今後この方策を踏まえ、施設設計等が具体化した段階で、いわゆる事業アセスメントの手続の中で騒音等の項目について予測評価を行い、整備を進めてまいります。

○松下委員 これまで我が党は、新市場の移転に関して、地元住民に歓迎される市場となることが必要と考え、移転に当たって生じると懸念される課題の解決を図られるよう、市場当局に求めてまいりました。
 市場事業者や関係者も多く、まず市場本体のあり方を整理することに重点が置かれ、検討を重ねている事情はよくわかりますが、市場の移転が住民に不安を与えるものであってはなりません。地域の環境への負荷を軽減し、地元住民が安心して受け入れられる市場となるよう、市場機能の充実はもとより、交通対策、環境対策についても十分精査、検討を重ね、実施状況などを明らかにしていただきたいと思います。
 また、新市場では、地域に貢献し、市場ならではのにぎわい機能をあわせ持つ千客万来施設を整備することとしています。これはこれまでの市場にはない新しい機能であり、この開発を楽しみにしている方も多くいるのではないかと思います。しかし、その反面、これまでも都内に新しい施設ができると人は予想以上に集まり、交通渋滞を引き起こすという状況があります。まして、千客万来施設の開発は観光拠点の創造をコンセプトの一つとしており、市場に隣接する施設としての特色を生かした観光拠点という点で、国内外を含め相当の集客があるのではないでしょうか。
 千客万来施設は、これから施設内容、規模などの具体化が行われると思いますが、具体化に当たっては十分な駐車場の確保などの点についても十分配慮し、検討していただき、よりよいまちづくりに貢献していただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○中山委員 私は、今までの各先生のご質問にもございましたけれども、千客万来施設としての新市場に期待する視点から質問させていただきます。
 都はここ数年、千客万来の世界都市東京の実現に向けた各種の施策を推進しており、この共通の目的に向けて各局もさまざまな取り組みを進めていらっしゃることと思います。
 築地市場は昭和十年の開設以来七十年たたれまして、近くには歌舞伎座や浜離宮もありまして、浅草などと並んで観光地として多数の来訪者でにぎわう集客力を示していると思います。卸売市場としてのにぎわいがそのまま東京における観光スポットとして魅力になっていることがうかがえます。
 こうした築地市場のにぎわいは、千客万来の世界都市東京を演出していく上で大変効果的なものになっていると思います。こうしたせっかくのにぎわいを移転先となる豊洲にも引き継ぎ、新たな観光拠点として整備していくことが東京の新たな魅力の創出につながると考えます。
 そこで、新市場におけるにぎわいをどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

○大野新市場担当部長 豊洲新市場は、首都圏三千三百万人に安全で安心な生鮮食料品を安定的に供給する基幹市場として整備を行うものでございます。
 新市場では、卸売市場としての流通機能の確保と基本的な使命であります食の安全・安心の確保を徹底していくため、見学者用通路など特別の施設を除いては、一般車の入場を制限することとしております。
 一方、市場の流通ゾーンとは別に、都民と消費者に開かれたにぎわいゾーンを設け、にぎわいのあるまちづくりに貢献してまいります。このにぎわいゾーンでは、食を中心とした出会いと楽しさにあふれる観光的要素を兼ね備えた市場づくりをコンセプトにいたしまして、千客万来施設を整備してまいります。

○中山委員 確かに、千客万来施設の整備に当たって、観光拠点にもなるようなにぎわい機能を持たせるなど、都の施設、施策にはかなった考え方であると思います。
 東京には、国内外からの来訪者を集める浅草、お台場など、観光スポットは幾つもありますが、新市場では、他の観光地ではなかなか味わえない市場ならではのにぎわいを期待しております。
 そこで、さきの答弁にありました千客万来施設を今後どのように整備していくのか、お伺いいたします。

○大野新市場担当部長 卸売市場には、国内のみならず世界各国からの食材が集まり、食に関する情報も蓄積されていくといった特性がございます。この特性を生かしまして、食材に関するさまざまな情報を提供する施設や、鮮度のよい食材をおいしく味わえる施設など、来訪者が食文化に触れられる施設として整備していくことを検討してまいります。
 この千客万来施設が東京の新しい観光拠点となるように開発整備を進めてまいります。千客万来施設の具体的な規模や内容につきましては、今後検討してまいります。

○中山委員 この、今お話ございましたにぎわい施設を、これまでの市場にない新たな観光拠点としていくためには、国内だけでなく、国外にも目を向けて整備をしていただく必要があると思います。
 例えば、上野公園のユビキタスシステムのようなICタグを用いたシステムなど、日本語がわからない人、東京の地理に不案内な人がいつでも安心して来訪できるようなシステムの導入が、これからの観光拠点の整備にとっては不可欠であると考えます。
 新市場は平成二十四年度の開場を目指していらっしゃいますが、当然それまでにはこのような先端技術を用いた情報システムが当たり前のような状況になっている可能性があります。
 既に築地市場でも、四カ国語のパンフレットをつくられたり、英語版のビデオを作成されたり、そういうご努力をされていらっしゃいますけれども、さらに時代を先取りした観光施設としての情報システムというものを構築いただきたいと思います。
 新市場では、このようなシステムの進展にも対応していくことがさらなるにぎわいを創出していくことになると考えます。
 知事も、平成二十八年のオリンピック招致に向けて決意も述べられていらっしゃいました。東京に国際的な視線が一層注がれる、そういうことを前提にお伺いしたいと思います。

○大野新市場担当部長 千客万来施設をより多くの人に満足していただくためには、施設のハード面ばかりではなく、ご指摘のように、すべての人が安心して訪れることができるようなきめ細かな情報の提供といったソフト面にも配慮しつつ、整備を進めていく必要がございます。
 今後、情報技術の進展を見据えながら、来訪者への情報提供のあり方を検討してまいります。

○中山委員 千客万来施設の具体的な内容はこれからご検討ということになると思いますけれども、東京は国際都市として外国からの来訪者の方が絶えることはございません。国内外にも目を向けた整備をお願いしたいと思います。
 そして、市場ならではのにぎわいを創出して、国外の来訪者の方にもここにしかない新しい市場としての魅力をぜひ感得していただけるようにお願いしたいと思います。
 そうやって形成されました魅力をいかんなく発揮することで、新市場が東京の新しい観光拠点になり、東京の新しい新たな発展につながっていくものと期待します。そのためにも、千客万来施設の整備に当たっては、さまざまな角度から十分なご検討を重ねていただきたいと要望させていただきます。
 具体的には、一つは、日本の食の安全性ということをアピールする施設にもなっていただきたい。もう一つは、日本人の働く姿を外国人の方に見ていただく、そういう観光施設という意味で、より一層日本人に対する親近感というものを国外の方に醸し出すことができるような観光施設としての魅力づくりをお願いしたいと思います。
 私の地元の足立にも北足立市場がございまして、いろいろ接客あるいは集客能力という点でご努力いただいておりますけれども、新しい市場がいろいろな意味でモデルとなりますように、ご努力をお願い申し上げます。
 以上でございます。

○小竹委員 豊洲市場の実施計画が発表になったわけですけれども、ここで事業をなさる方は築地から移転されるということになるわけで、築地市場の中でも業界を含めていろいろまだまだ意見があるというふうに伺っています。現在の築地市場で、特に仲卸、それから卸についても中小企業の皆さんが多いわけで、厳しい経営状況に迫られているという点でいうと、この豊洲の市場がかなり大規模な計画になっているという点では、こういう市場関係の方々の意見が十分反映されての状況になっているのかどうかという点で、まず第一点お伺いしたいと思います。

○大野新市場担当部長 実施計画におきましては、市場業者の代表で構成する懇談会、各業界の実務者レベルで構成する検討会におきましてきめ細かく協議を重ねてまいりました。懇談会や検討会の委員は業界の代表者として参加をしているものでございまして、検討の内容は、当然各業界において必要な情報はなされてございます。
 これまで、業界からの要望を受けまして、基本計画などは水産物部の仲卸組合の組合員すべてを対象に説明を行うなど、必要な情報を直接業界の構成員に提供する機会も設けております。

○小竹委員 確かに懇談会も頻繁に開かれ、特に検討会は一年間で九十回というふうに伺っていますから、そういう意味ではかなりの意見は反映されているのかなというふうには思うんですけれども、いずれにしても、業界の代表者ないしは実務担当者という点でいうと、やはり市場関係者の十分な意見という点では、まだまだこれから集約していかなければならないんじゃないかというふうに思うんです。
 情報提供という点では一定のことがなされているというふうには伺っていますけれども、やはり市場の関係者が直接自分の生の意見をいうという点ではいろいろ工夫が必要なんじゃないか。そういう意味で、合意をつくり上げていくという意味でも、やはりもっと十分な意見を聴取する必要があるんじゃないというふうに思うんですが、その点での対応策はどのように考えておられるのか。

○大野新市場担当部長 新市場の建設に当たりましては、先ほどもご答弁申し上げましたように、これまでも懇談会や各種検討会におきまして、各市場業界代表とで検討を重ねており、市場業者の意見は十分伺っているものと考えております。
 また、業界等の要望を受けまして、必要な情報の提供につきましては、機会を設けて実施しているところでございます。

○小竹委員 十分聞いているという点ではかみ合わないわけですけれども、やはり本当に中小ないしは弱小といわれるようなそういう方々については、豊洲に行くことについて当初から非常に不安を持っていらっしゃる部分もあるわけで、やはりそういう方々も含めた合意をつくっていくという点でいうと、さらなる意見の聴取の努力が必要なんではないかという点でこの点は指摘をしておきたいというふうに思います。
 今回の実施計画を私も読ませていただいたんですけれども、二〇〇四年に卸売市場法の改定が行われて、その前の年に食糧法などについても改定が行われて、大幅な規制緩和が行われたという状況の中で、こういう法改正に伴って市場制度が大きく変わっていくのではないかということが危惧されている状況です。
 特に大手の量販店や外食産業など、また、ここにも書かれている、ハブ市場としての役割という点で強調されているわけですけれども、他市場への転配送だとか、そういう点でいうと、やはり今までの市場の形態とは違った形で、特に通過をしていく、この中にも書かれていますけれども、貯蔵して配送するというふうな施設など、そういう流通センター的な役割が市場の機能にも求められるような状況になって、そういう意味でいうと、ここの市場が、実施計画では卸売市場法の改定を先取りしたような形になっているんじゃないかというふうに私は率直に感じたんです。
 そういう意味でいうと、市場の公共性、公益性という点から考えたときに、やはり経営が厳しくなっている卸売や仲卸業者、また市場を利用する小売業者等への配慮というのが十分行われる必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、その辺についての具体的な検討はどういうふうになっているのかお伺いします。

○大野新市場担当部長 新市場が将来にわたり首都圏の消費者に安定的に生鮮食料品を供給していくためには、市場を取り巻く流通環境の変化に十分対応できる施設づくりが必要でございまして、実施計画におきましては、将来を見据えた施設づくりの検討を行ってまいりました。
 検討の結果、一般小売店はもちろんのこと、量販店、外食産業などさまざまな取引に十分対応できる、そういった施設を構築することといたしました。

○小竹委員 将来を見据えるという点では、私はそれは当然のことだというふうに思うんですけれども、やはり今のまちの状況を見ますと、地域の商店街が破壊されて、特に生鮮三品の八百屋さんや魚屋さんなどが減少しているというもとで、地域経済をやはり支える市場の役割というのが非常に大きいというふうに思うんです。
 それで、やはり市場も含めて大手のスーパーや量販店の予約相対の取引に重点が置かれるというふうな状況になっていくと、やはり中小の業者、小売業者が太刀打ちできないという状況が当然生まれてくるというふうに思うんです。現在でもやはり市場へ入ったいいものは量販店が持っていってしまうということがよくいわれるわけで、そういう点でいうと、やはりそれこそ都民に安定的に安全な生鮮食品を提供する公共的な市場の役割というのは、市場で営業する卸や仲卸、そして小売業者の、市場業者の営業を守る、この立場に立つ必要があるというふうに思うんです。
 そういう点で見たときに、果たしてこの市場計画がそういう立場に立っているのかというのは、私、まだ十分理解していないというふうにいわれてしまえばそれまでですけれども、やはりちょっと物足りないという感じがするので、その点もう一度お答えいただけますか。

○大野新市場担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、新市場の整備につきましては、市場の本来的使命でございます安定的に生鮮食料品を消費者に供給する、こういった視点に立ちまして、市場を取り巻く流通環境の変化に十分対応できる施設づくりをしていく必要があるというふうに考えてございます。
 そうした点で、一般小売店を含めまして、量販店、外食産業などさまざまな取引に十分対応できる新市場を構築していきたいというふうに思っております。

○小竹委員 そういう点では、やはり市場の関係者の意見を十分反映させたものにするかどうかというところにかかっているというふうに思うので、そういう意味でも今後引き続き、特に一番末端で苦労されている部分の方々の声を十分反映できるようにやっていただきたいということを要望しておきます。

○大塚委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大塚委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○大塚委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十五号議案を議題といたします。
 本案につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○松原委員 それでは質問させていただきたいと思いますが、東京都ユース・ホステル条例を廃止する条例についてですが、私はもう少し早く出してほしかったなと思っています。そんな見地から質問していきたいと思います。
 この条例は、飯田橋のセントラルプラザにある東京国際ユース・ホステルを普通財産に切りかえまして、ユースホステルとして使用することを条件に民間に貸し付けることを目的としているものであります。
 東京国際ユース・ホステルは、平成十六年度実績で、宿泊人数が四万五千九百四十二名、うち外国人が四九・二%を占めて、施設の利用率も八一・七%と多くの人に大変利用されている施設であります。
 そこで、まず、なぜ民間に貸し付けることになったのか、基本的な考えについてお伺いいたしたいと思います。

○高橋観光部長 昭和三十六年に市ヶ谷ユース・ホステルが設置されて以来、都内宿泊施設における客室数の増加や民間事業者がユースホステル事業に参入するなど、ユースホステル事業を取り巻く環境が大きく変化し、都がみずから公の施設としてユースホステルを設置する意義が薄らいできています。
 現に、八月一日現在、全国に約三百あるユースホステルのうち、公営はわずか二十八と、一割を割り込んでいるのが現状であります。そのため、第二次都庁改革アクションプランに基づき、ユースホステルの機能は維持しながらも、民間事業者に貸し付けることにより、より柔軟な運営を図るとともに、今まで以上にサービスの向上を図ることにしたものでございます。

○松原委員 本当に時代の流れを感じますけれども、それでは、民間貸し付けによりますメリットとしてはどのようなものが想像されるのか、お尋ねします。

○高橋観光部長 ユースホステルを運営するに当たっては、顧客ニーズに迅速に対応することが求められており、民間のスピーディーで柔軟な対応が民間貸し付けによるメリットとして十分に発揮されると期待しています。
 例えば、連泊希望者の取り扱いや営業期間、営業時間などについても、利用者のニーズに応じて柔軟に設定できます。また、クレジットカードの利用など、地方自治法等の規定により行政では提供できなかったサービスが可能となります。このように民間の創意工夫を生かしたサービスが可能となるとともに、都の経費負担も軽減されることが見込まれます。

○松原委員 公ですと、地方自治法の規定があって、クレジットカードの利用、連泊、営業時間、この辺が制約されてしまう、こういうことでございますが、よく、民間貸し付けになると必ずサービスが低下されるという質問が出ますけれども、この辺はどう考えていますか。

○高橋観光部長 柔軟な経営が可能になり、サービスの向上が期待されます。なお、ユースホステルとしての使用を条件とした建物の定期賃貸借契約を結ぶほか、サービス水準の維持向上のため、料金の上限設定などについて基本協定を結ぶ予定でございます。

○松原委員 料金の上限設定、こういう問題も設けていくようでございますし、定期賃貸借契約を結ぶということだそうですが、民間活用という面では、よく最近は指定管理者制度が導入されるわけですが、指定管理者制度ではなくて、なぜ貸し付けという方法を今回とっているのか、その辺をお尋ねします。

○高橋観光部長 指定管理者制度については、開館日や利用条件などの管理内容等について条例で定め、行政が公の施設として管理し、民間の運営手法を活用するものであるのに対しまして、民間貸し付けは、貸し付けを受けた民間事業者等がみずからの名と責任において運営するもので、より積極的かつ責任あるサービス提供が可能となると考えております。
 こうしたことから、全国におけるユースホステルの運営の趨勢が民営化に傾いている実態等にもかんがみまして、指定管理者制度ではなく、より効率的な対応を図ることができる民間への貸し付けを行うものでございます。

○松原委員 続いて、民間への移行の見通しなんですけれども、現在の収支状況はどういうふうになっているか、お尋ねいたします。

○高橋観光部長 平成十六年度実績で約千九百万円ほど支出が収入を超過し、財政負担が生じております。これまでも宿泊料金の改定や食事料の見直し、経費の削減などを講じることで財政収支の改善を図ってきているところでございます。こうした努力によりまして、ここ五年間においてピーク時に一億を超えたこともございましたけれども、昨年度の収支差額については最も圧縮された収支とすることが可能となっております。

○松原委員 よくお役所商法というのはうまくいかないといわれますけれども、その最たるものだなという感じもしています。しかし、いろいろ時代的な役割も変わってきておりますし、時代に合わせていくことが私は健全だというふうに思っております。
 そういう中で、この収支状況が必ずしも、現在も一千九百万単年度で不足が出るわけですが、そういう状況の中で民間の事業者が受け入れられるかどうかという、この辺のことが心配になりますが、この辺はどう考えますか。

○高橋観光部長 民間貸し付けにつきましては公募を予定しておりまして、応募する事業者のノウハウを生かした物品販売の展開や予約キャンセル制度の合理化などによりまして、収支状況の改善が可能であると期待しております。
 民間事業者の持つ経営ノウハウを生かすことによって、業務の効率化とサービスの向上が図られ、収支状況はより一層改善されるものと考えております。したがいまして、民間への貸し付けは十分に可能と考えております。

○松原委員 地理的なところも悪くないですし、民間人というのは本当に血と汗で実際やっていますから、私はやっぱりこの際民間に任せた方が、かなりいいものを、ちゃんと我々東京都の意向を酌みながらやってくれるような感じがいたします。
 そういう意味で、都としましても、利用者のニーズを十分把握して、サービスの向上を図れるようしっかりイニシアチブをとるとともに、都財政の負担の軽減にも貢献するものとなることを要望して、私の質問を終わります。

○清水委員 昭和三十六年にこの設置が、条例が決まったわけですけれども、改めて伺いますが、この当初の目的というのは何だったんでしょうか。

○高橋観光部長 条例の目的にごさいますとおり、青少年の健全な旅行を推進するため、清潔にして規律正しく宿泊させ、交歓させる施設として設置したものでございます。

○清水委員 今お話があった、条例の目的の青少年の健全な旅行の推進のために規律正しく宿泊させるという目的は、今民営化、民間ということ、都ということにかかわらず、都としての役割というのはこの目的からしてあるんじゃないかと思うんですけれども、都がそれを行わないとした理由というのは何でしょうか。

○高橋観光部長 昭和三十六年に市ヶ谷ユース・ホステルが設置されて以来、都内宿泊施設における客室数の増加や、民間事業者がユースホステル事業に参入するなど、ユースホステル事業を取り巻く環境が大きく変化しておりまして、都がみずから公の施設としてユースホステルを設置する意義が薄らいできております。
 このため、第二次都庁改革アクションプランに基づきまして、ユースホステルの機能は維持しながらも、民間事業者に貸し付けることにより、老朽化しつつある施設の可能な限りの延命化も含めまして、より柔軟な運営を図るとともに、これまで以上にサービスの向上を図ることにしたものでございます。

○清水委員 周辺の環境は、民間が出てきたからといって、都がやらない理由はないと思うんですね。それこそ民間が充実していても、都がやるものは、例はいいませんけれども、ほかにも都自身がやっているものは幾らでもあるわけで、そういう中で、もう一つの理由としては、サービスが向上するということをいわれたんですけれども、昭和三十六年以来この条例の改正というのはどんな節々で行われてきたのか、お伺いいたします。

○高橋観光部長 例えば、つい最近の例では、二年前に料金の改定などを行っております。それは、宿泊者の料金の改定、それから食事料の改定、そういったことがこれまでも主に行われてきたことだと考えております。

○清水委員 先日私も、飯田橋の一分のところにあるこの施設に伺いまして、ちょうどこの議案が出ているものですから、伺いまして、私も初めてだったんですけれども、すばらしい眺めで、あんなところに泊まれるというのは本当に大変すばらしいことだなと思ったわけなんです。
 それで、今サービスの向上とかいわれたんですけれども、先ほどサービスの向上の中では幾つかいわれましたね。クレジットカードだとか連泊だとか、そんなことをいわれましたけれども、私は、サービスの向上だっていうんだったら、昭和三十六年にできた条例なんだから、今お話のあったような条例改正だってこの間しているわけですよ。だから、可能な限りでサービスの向上だったら幾らでもできるんじゃないですか。クレジットカードの使用だったら、国でも地方自治法を改正しているということを伺っているんですけれども、それこそ今ごろクレジットカードの法律改正を行うなんていうこと自体が、改革改革とかいっているのに遅いんですけれども、やっぱり改革だっていうんだったら、こういうところを、大分前にできた条例を、今の時代の流れの中で都民の利用に供するような形で順次改正して、それで民間と対抗できるぐらいの都の内容をつくっていくというぐらいのことでなければならないんじゃないですか。それを今までやってこなくて、じゃ、ここで東京都がやる必要ないんだと。
 私は、どういう立場でいっているかといえば、東京都は、幾ら民間ができたからといって、先ほど観光の拠点とかいう話も別の局で出ていましたけれども、青少年の観光の拠点だと思うんですよ。やはりこれは東京都で行っていくということも、非常に大きな予算がかかって、すごく大変な赤字だというならまだしも、じゃ、経費の負担といったけど、経費の負担というのはどのぐらいなんですか。先ほどはどれだけ赤字が出ていたかという話だったんですけれども、年間の経費というのはどれだけですか。財団に委託している額というのはどれだけでしょうか。

○高橋観光部長 平成十六年度の収支状況でございます。収入は一億七千八百五十一万余、支出が一億九千七百万余、それから財団に対する委託料でございますけれども、十六年度につきましては一億八百万余、こういうことになっております。

○清水委員 青少年のための観光の拠点が約二億ということで、ここの部分が財政を、経費負担が重いんだということで、都が、手放すとはいわないけれども、民間に委託するという理由はないと思うんですよ。やっぱりここの場所を拠点にして、それこそ民間にない青少年のための、今いろいろいわれているわけですよ、知事の青少年の対策というのも強調されて、生活文化局から知事本局にいったのかな、そういういろいろな改革をやっている中で、ここを何で東京都がやらないのかと。
 先ほど、それでもまだ一割が公営でやっているという他の委員に対するご答弁もあって、やはりまだやっているわけですよ。たった一カ所ですよね、東京都が。都内には七カ所ぐらいほかにはあるようですけれども、みんなホームページで出してみましたけれども、やはりここは、東京都として青少年のための育成の場所として、健全な宿泊の場所としてやはり残す必要があるという意見を申し上げて、質問を終わります。

○大塚委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大塚委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○大塚委員長 次に、報告事項、都立産業技術研究所の地方独立行政法人化に伴う地方独立行政法人評価委員会の設置について外二件に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○菊地総務部長 去る九月十六日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらんいただきたいと思います。
 一枚おめくりいただき、資料の一ページ、目次にございますとおり、全部で十六項目でございます。
 二ページでございます。平成十六年度の産業技術研究所の各庁舎別来所企業数、相談件数、工場実地指導件数、依頼試験件数をお示ししてございます。
 産業技術研究所における一年間の来所企業数は約二万一千社、依頼試験件数は約六万六千件となっております。
 三ページでございます。過去十年間の完全失業率の推移をお示ししてございます。
 平成十六年の失業率は、総数で全国では四・七%と、五%台を切ったものの、東京は五・〇%と引き続き厳しい状況が続いております。
 次に四ページから五ページにかけまして、過去十年間の雇用情勢の推移でございます。
 四ページの(1)の〔6〕、都内の有効求人倍率は、平成十六年は一・一五倍と、平成四年以来となる一倍を超え、改善の兆しが見られます。
 飛びまして、六ページでございます。過去十年間の労働相談情報センターの相談件数と職員数、あっせん件数、解決数、出張労働相談件数の推移をお示ししてございます。
 平成十六年度における労働相談情報センターの相談件数は約四万五千件で、前年度に比べ、約四千四百件減少しております。
 次に、七ページでございます。高校新卒者及び大卒予定者等の内定状況でございます。
 (1)にございますように、平成十六年度における高校新卒者の就職内定率は九七・四%となっており、括弧内のとおり、前年より〇・五ポイント増加しています。また、(2)にありますように、大卒等予定者の就職内定率は九三・一%となっており、前年より〇・三ポイント増加しています。
 次に、八ページから九ページにかけまして、過去五年間の都立技術専門校の応募状況と職業紹介実績、就職率をお示ししてございます。八ページの(1)、合計欄の応募状況では、応募率は毎年二〇〇%程度で推移しております。
 次、九ページ、(2)、合計欄の職業紹介の実績、就職率では、平成十六年度の技術専門校の就職率は七五%となっております。
 次に、一〇ページでございます。過去五年間の都立技術専門校別民間委託訓練の定員数及び応募率をお示ししてございます。
 平成十六年度の合計欄の定員は約二千人弱で、国の委託事業でございますパソコン操作習得コースの廃止によりまして、前年度までと比較して定員が大幅に減少しております。
 次に、一一ページでございます。過去十年間の都内の障害者雇用率の推移をお示ししてございます。
 参考にございますとおり、民間企業の障害者の法定雇用率は一・八%でありますが、平成十六年の都内の民間企業の障害者雇用率は一・三五%となっております。
 次に、一二ページでございます。過去十年間の労働対策予算の推移をお示ししてございます。
 一三ページ以降でございますが、東京ファッションタウン株式会社及び株式会社タイム二十四の二社に関連する資料でございます。以下、この二社を合わせてご説明させていただく場合、当該二社と呼ばせていただきます。
 まず、一三ページから一四ページが平成八年度の開業時からの当該二社の経営状況をお示ししてございます。
 経営改善策に基づき、平成十二年度からはサブリース方式により株式会社東京ビッグサイトが二社の事業を受託し、実施しております。
 次に、一五ページでは、株式会社東京ビッグサイトに合併した後の当該二社のビル事業の収支予測でございます。
 十八年度から五年ごとの収支予測をお示ししております。当期損益の欄、二つのビル事業とも単年度黒字を計上するとともに、借入金残高の欄でございますが、借入金を二十五年かけて返済していく計画となっております。
 一六ページでは、当該二社の役員構成と報酬等でございます。
 都、国、民間、金融機関と、出身母体別に常勤及び非常勤を合わせた役員の人数を示しております。また、括弧内はその団体のOBの人数を示しており、内数となっております。右から二列目には、その年度の報酬総額を、右端には退職金総額をお示ししております。
 次に、一七ページでございます。当該二社のビルの入居率の推移をお示ししてございます。
 平成十三年度以降は、二社のビルともおおむねほぼ一〇〇%に近い入居率になっております。
 一八ページでございます。当該二社のビルのテナント概要をお示ししてございます。
 東京ファッションタウンビルにはファッション関連のテナントが、また、タイム二十四ビルには情報関連のテナントが主として入居しております。
 次に、一九ページでございます。同二社のビルに入居する都関係機関の賃料等をお示ししてございます。
 東京ファッションタウンビルには都立飯田橋技術専門校有明分校及び東京都中小企業振興公社の創業支援施設が、またタイム二十四ビルには、東京都中小企業振興公社の創業支援施設が入居しており、面積、年間賃料、入居割合をお示ししてございます。
 以上、大変雑駁ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大塚委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○矢島委員 現在の臨海部は、東京の海浜リゾートとしての機能を合わせ持つ大変魅力的なエリアになっていると思います。年間四千万の方が訪れますので、いわば足で東京都民、観光客あるいは近隣の方々の支持を得ているということになろうと思います。しかし、一方、こういう華やかな地域でありますけれども、民事再生の問題がある。実質がいかに大切かということを改めて思い知らされる、このような気がいたします。
 監理団体東京ファッションタウン株式会社、報告団体株式会社タイム二十四は、一千四百億円の負債を負って、またそれぞれ百三十二億円、百四十七億円と債務超過になっているわけでありますが、既に早い時期より、この資料でも明らかでありますけれども、この事態に陥っていた。現実にビルの入居率が一〇〇%、九六%と十分な状態にありながら、東京ビッグサイトに救済を求めるに至る今回の民事再生の申し立ては、賃料水準が主因とおっしゃっていますけれども、千百三十億円といわれる建設費、そして、これの返済原資である賃料水準の設定、つまり、経営計画にもともと当初から無理があったのではないか、このように思います。この点についてお伺いいたします。

○佐藤改革担当部長 当初の計画では、開業時である平成八年度の賃料水準につきましては、月坪当たり三万円から四万円程度を見込んでおりました。これは建設費を回収していくために、全体のバランスの中でぎりぎりの賃料設定でありましたが、当時の情勢の中では、十分確保できる賃料との見通しでございました。

○矢島委員 景気加熱のバブルの余韻の残る時代から始まっているという背景があったとしても、まことに残念なことである、このように思います。
 それでは、出資時点で都の判断をどのように考えるか、お伺いいたします。
 また、その後、時を経ずして経営に破綻を来して、東京都も懸命の事業再建の取り組みをしようとし、その抜本的対応も環境が整わないまま断念した時期もある、これは承知しております。しかし、結果として、今回まで金融機関の不良債権処理を待つという形になったわけですけれども、迅速な対応の面、またその後の取り組みも適切、十分であったか、お伺いいたします。

○佐藤改革担当部長 出資時点におきましては、その後の景気低迷が長期にわたって継続することを予測することは困難でございました。当該二社は、平成十二年からは当時の状況の中で可能な限りの経営改善策を実施し、減価償却前利益を計上するなど一定の改善が見られました。しかし、多額の負債返済のめどが立たず、このたびこの経営改善策では立て直しは困難であると判断し、民事再生法による再建を図ることといたしました。

○矢島委員 今回の再建策のかなめは、企業再建のための法律として世界でもよくできているといわれております民事再生法の活用、それから株式会社東京ビッグサイトの存在ということになります。
 この会社は昭和三十三年に設立されて、最終的に両者を吸収合併することになります。手法は、金融機関の八百五十四億円に及ぶ膨大な債権放棄が前提となり、また資本金の一〇〇%減資がありますから、都と金融機関、そして民間の出資者が負担を負うことになります。有明の土地は現況等価交換で東京都に渡ることになります。現況ということですが、都の負担は債権放棄と合わせて八十三億円、この点について東京都の責任をどのように考えるか、お伺いいたします。

○佐藤改革担当部長 二社は民間主導で設立された会社でございますが、都は、出資者といたしまして、ファッション関連産業及び情報関連産業の拠点としての機能を維持しつつ、抜本的処理を行うよう、二社及び関係者に働きかけてまいりました。その結果、事業の継続が図られ、テナントへの影響が回避でき、都の財政負担を最小限に抑える再生計画案ができたと認識しております。

○矢島委員 今回の一方の主役である昭和三十三年に設立された東京ビッグサイトは、全額減資後の救済二社に対して六十億円の増資に応じて、最終的に両者を救済合併することになります。
 そこで、ビッグサイトなる会社でありますけれども、資料によりますと、純資産が二百九十一億円、税引き前の利益が三十二億円の優良会社ということになります。経営も順調。同じ東京都の監理団体といっても、破綻会社を引き受けることのできる内実の豊かな法人ということになりますが、ほかとは全く雲泥の差であります。その理由はどこにあるのか、お伺いいたします。

○中井商工部長 東京ビッグサイトは、展示会場の稼働率の向上に努めるとともに、日本国際工作機械見本市などの自主事業に積極的に取り組んできております。さらに、東京ビッグサイトブランドの確立に向けて、屋根つき歩道の整備や計画搬入搬出システムの導入、案内サインの改善など、施設の快適性とサービスの高品質化を図ってまいりました。また、ビル管理の合理化、効率化などでメンテナンス費用等を削減するなどの内部努力も行っております。こうしたことの積み重ねにより、順調な経営が行われているものと考えております。

○矢島委員 今のご説明をそのまま信じますので、お役所仕事だけではない努力があったと信頼をしたいと思います。
 しかし、東京ビッグサイトは、この破綻二社と違い、地代を払う義務を負っていないこと、また施設使用料はロイヤルティー方式を導入しています。この会社が好調な期間損益を見ますと、東京都は何らかの取り組みが必要ではないか。これまでの経過とあわせてお伺いをいたします。

○中井商工部長 東京都はこれまで、産業振興の観点から、東京ビッグサイトとの間で経費上の役割分担を行うとともに、経営改善についても不断の努力を求めてまいりました。その結果、平成十二年度から都への施設利用料の納付を実施できるようになり、その額は平成十二年度が会場運営事業収入の三%、十五年度には一〇%に、さらに昨年度は二〇%と増加してきております。また、事務室の賃貸料についても、全額都に支払っております。
 今後とも東京ビッグサイトに対しては、さらなる経営の効率化を強く指導してまいります。

○矢島委員 施設の利用者の開拓、展示場も進めて、再度リピーターとして利用していただく。自主努力にも努めておる。この努力が、平成十五年度を除き順調な純資産の積み上げ、また十六年度に続く十七年度見込み損益も税引き前で二十六億円となっている、このように思います。
 この内容を平成十七年三月期で見ますと、賃貸事業収支はとんとんですけれども、会場運営事業収支では二十四億円の粗利を上げております。最終的に十三億円の法人税を納め、配当は一億、そして別途十九億円を資産に積み上げる、こういう状態です。顧客開拓期の同社に対する配慮はわからないこともありませんが、現行の条件のままであると、ロイヤリティーを少しずつ上げたとしても、一般管理費、営業外費用等を賄う売り上げの水準を超えますと、利益が拡大し続けるわけです。ですから、東京都として事業条件を抜本的に見直すべき時期に来ているのではないかと私は思います。
 このことは、事業経営努力のためにも重要な、必要なことだろうと思います。これは意見として申し上げておきますので、答弁の必要はありません。
 そこで、産業労働局は、今回の監理団体、報告団体の再建を、単に所管する監理団体、報告団体の企業救済のスキーム、枠組みにとどまらせるべきではないと私は思います。ロンドンアプローチという言葉もありますが、法人経営の不振時、傷を深くしないうちに存続可能かを見きわめて迅速に対応していく手法を産労ノウハウとして蓄積して、東京の監理団体管理のガイドライン、対応手順として発信すべきではないか、このように思います。
 産業労働局は、東京の経済の生きたフロントにいることになりますので、本来の分野でも大切な視点を与える、このように思います。この点についてお伺いいたします。
 そして、あわせて今回の救済二社の事業目的は、関連産業集積だけが目的ではなかったはずです。民事再生法の精神は事業の再生であるだけに、東京ビッグサイトが引き継ぐ単に賃貸事業として終わらせるべきではありません。所期の目的を今後担保すべきだと考えます。局長のお考え、そして決意をお聞かせください。

○成田産業労働局長 東京ファッションタウンなど二社の経営改善や今回の再生処理に対する取り組みは、日本経済全体がバブル破綻の負の遺産を負う中、またその後の予想以上に長い景気の低迷の中で、極めて困難なものだったのは事実でございます。
 しかしながら、私どもは民事再生計画を策定し、事業再生の目途をつけることができました。もちろんその過程の中では、将来に向けての数多くの教訓とすべきことも多々あったところでございます。
 先ほど先生からご指摘のロンドンアプローチということを私どもなりに理解いたしますと、医学的にいえば治療より予防、それから経営的には破綻処理の前に事前に経営を再建する、そういった視点を忘れてはいけない。今回民事再生のめどをつけたからといっても、今後はそこに至る前であらゆる手だてをきちっと打っていく、状況もまたきちっととらえていく、それを私ども今後の事業執行に当たって肝に銘じていきたいと思います。
 また、今後の東京の産業を牽引するファッション関連産業、あるいは情報関連産業の活動の拠点、交流の場として、今後はこの二つのビルをビッグサイトに託していくわけでございますけれども、先ほど当初に先生お話しございました臨海部に年間四千万の来訪者が参りますが、そのうち約四分の一、一千万人は、このビッグサイトがそういった顧客を吸引、牽引しております。しかも、先ほどお話のございましたように、健全な経営をやっている優良な会社でございます。こうした会社にその事業の原点に立った事業展開を図るように、私ども局としても適切に指導監督してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○矢島委員 置かれている状況と環境は、いわば事後処理ですから、大変ご苦労もあろうかと思います。またいろいろな批判も当然ながら出てくると思いますが、ぜひ前を見ていただいて、将来よくなる方向をしっかり心に定めて、結果的には都民の皆さん方のためにもなるわけですから、現状いいとか悪いとかいう前に、その先を解決していかなきゃいけないことも一つの課題です。ですから、ぜひ努力をしてください。期待をしております。終わり。

○いのつめ委員 いのつめです。我が党の代表質問では、十二年度の経営改善計画の総括と民事再生計画の実効性の担保、また、ビッグサイトが事業を継続することの是非について質問をしました。第三セクターの破綻ということでいえば、宮崎県のシーガイアや長崎県のハウステンボスが有名ですが、これらはいずれも会社更生法の適用であったと思います。また、ビル事業でいえば、平成十六年二月に大阪府の三社、大阪ワールドトレードセンタービルディング、アジア太平洋トレードセンター、湊町開発センターも特定調停を成立させています。
 今回の二社の破綻処理は民事再生法の適用によるものですが、私の認識では、会社更生法と民事再生法の大きな違いは、経営権を継続するか否か、あるいは手続の煩雑さというものであると思いますが、まずこの二つの違いをご説明ください。

○佐藤改革担当部長 会社更生法と民事再生法の違いですが、会社更生法では更生管財人が経営に当たるのに対しまして、民事再生法では、これまでの経営者が経営を継続いたします。また、手続の開始決定から計画案提出までの期間が、会社更生法では原則一年以内とされているのに対しましては、民事再生法では原則三カ月以内とされております。そのほか計画案の成立要件に違いがございます。

○いのつめ委員 この今回の処理は民事再生法の適用ということでしたが、ビル事業を継続するのであっても、会社更生法の適用によって経営権を放棄して、破産管財人のもとで民間人の目線から事業再生に着手すべきであったように思われるが、いかがでしょうか。

○佐藤改革担当部長 二つのビルが持つファッション関連産業、情報関連産業の拠点としての機能を維持しつつ、現在入居しているテナントへの影響を回避すると同時に、都財政の負担を最小限に抑えることを目標にいたしまして、二社及び関係機関に抜本的処理を働きかけてまいりました。この結果、二社は、金融機関等の債権放棄の協力を得て、民事再生法の適用による事業の円滑な継続を図る計画としたものでございます。

○いのつめ委員 あくまでも東京都の指導によって事業再生を図っていこうというものでありますけれども、民事再生計画の策定に当たっては、私たちは平成十二年の経営改善策の失敗など、過去の総括が必要であると主張してまいりました。
 これに対して東京都は、代表質問の答弁の中でも、デフレ不況の長期化により賃貸相場の下落が続いたため、収入面において経営改善策との乖離が生じてきたと答弁されています。しかし、都内の民間ビル事業者の中にはデフレ不況を乗り越えた事業者も多くあります。
 本当にデフレ不況の長期化だけが経営改善策の失敗の原因だと認識していらっしゃるのか、お伺いいたします。

○佐藤改革担当部長 デフレ不況の長期化による急速なビル需要の減少と賃料相場の下落傾向が最大の要因であると考えております。

○いのつめ委員 私は、そういう認識だからこういう結果になるのではないかと思っていますけれども、そもそも経営改善策の見込みが甘かったのではないでしょうか。
 平成十二年に策定された経営改善策では、例えばTFTが平成十二年から十五年の三年間で営業収入を三五%の増と見込んでいたり、タイム二十四が同じく六三%の増と見込んでいるが、当時の判断としてもこれは異常な上昇率であると考えられます。当時どのような判断のもと、このような異常な営業収入の増を見込んだ経営改善策を策定したのか、お伺いいたします。

○佐藤改革担当部長 平成十二年の経営改善策は、臨海高速鉄道の延伸による交通アクセスの向上、それと当時経済情勢が一部好転の兆しがあったこと等を勘案して作成されたものでございます。

○いのつめ委員 若干私は甘いような気もいたしますが、そのような認識を引きずっているから、再生計画の実効性もおぼつかないと考えられます。代表質問の答弁では、現状の賃料水準を踏まえた上での再生計画なので十分に実効性があるとの答弁だったが、既に臨海高速鉄道も全線開業しているなどの中で、今後都市再生などの進展により都内のオフィスの供給も進むものと思われます。
 事業再生のためには何よりも事業者自身による経営努力が必要であるのに、再生計画のスキームを示すことだけをもって実効性があるというのは若干認識不足ではないかと思われますが、いかがでしょうか。

○佐藤改革担当部長 再生計画の前提となる金融機関等の債権放棄や土地の等価交換により再生後の地代と金利負担等が解消したこと、また、十二年度の改善策以降、ビッグサイトによる入居率一〇〇%の実現などの経営努力が認められること、このようなことから、この再生計画は、裁判所から選任された監督委員からも達成が可能であるとの評価がなされているところでございます。

○いのつめ委員 ビッグサイトがやることは甘えの構造だと私たちはいってまいりました。こうした認識がある中で、ビル事業に東京都の監理団体が深く関与するのはやはり疑問があります。代表質問では甘えの構造ということを申し上げてきましたし、また、例えばTFTビルには東京都中小企業振興公社や東京都技術専門校がテナントとして入っています。資料でもいただいておりますが、これらテナントの平米当たりの単価は年間十万七千円、一月の坪単価は三万円と、相場の倍と極めて高い。この単価で入居率一〇〇%ならば、TFTの営業収入は七十七億円と、現在の二二%増しと考えられます。東京都の賃料についてはこのようなレベルに設定されていると考えてよいか、確認をいたします。

○佐藤改革担当部長 臨海開発は都にとって重要でございまして、都が先導となって開発を進めていく必要がございます。また、民間を引きつける役割も果たしていくために、全体の中で賃料を決めているものと認識しております。

○いのつめ委員 こうした構造があるから、東京都の監理団体が関与するのは疑問だと申し上げてまいりました。ビル事業に東京都の監理団体が関与しないと、テナントに風俗店などが入居してくるおそれがあるという都庁関係者もいらっしゃいます。しかし、TFTビルがある有明南地区は、都市計画法上、工業専用地域に指定され、カラオケボックス以外の遊戯施設、風俗施設は制限されています。また、タイム二十四がある青海地区は準工業地域に指定されているが、地区計画における建築物の用途制限によって、これも厳しく制限されています。
 ビル事業を民間事業者が継続することでテナントに風俗店が入ってくることはないと考えられますが、確認をいたします。

○佐藤改革担当部長 先生がおっしゃられるとおり、有明南地区は、都市計画法上、工業専用地域に指定され、カラオケボックス以外の遊戯施設、風俗施設は制限されております。
 また、青海地区は準工業地域に指定されておりますが、地区計画における建築物の用途制限によって制限されております。

○いのつめ委員 仮に百歩譲って、ビッグサイトがビル事業を継続することを認めても、平成十二年度の経営改善策以降、二社のビルの運営を担ってきたのはビッグサイトであります。ビッグサイトが事業を継続するに当たっての具体的な改善策をお聞かせください。

○佐藤改革担当部長 二つのビルは、東京ビッグサイトの経営努力によりまして、ほぼ一〇〇%近い入居率を維持しているところでございます。また、再生計画によりまして、金融機関等の債権放棄による利子負担や土地交換による地代の負担の解消を図ることとしております。

○いのつめ委員 また、東京都の監理団体が関与するのであれば、それなりの行政目的を示す必要があるのではないでしょうか。東京都には、有明でファッション産業を、青海で情報通信産業をどのように育成していこうかというビジョンがないように思われます。例えばファッション産業では表参道が情報発信を行っているし、渋谷でもビットバレーといわれています。産業集積や情報発信は、民間主導の方がより機能していると思います。
 東京都は、ファッション産業や情報通信産業を有明や青海においてどのように振興させ、その中でこれらのビル事業をどのように位置づけていこうとしているのか、お聞かせください。

○中井商工部長 タイム二十四ビルやテレコムセンタービルには、情報通信産業、ソフト開発産業及びテレビ放送局などが入居しており、今後も、こうした情報関連産業の集積が期待されるところでございます。また、東京ファッションタウンビルには、ファッションビジネスなどを中核に関連事業者の集積があり、相互の交流の中で、ファッション産業の振興の場となっております。
 これらの産業の集積とともに、インキュベーション施設の機能も付与されていることから、今後とも、産業振興の拠点として一層発展させる必要があると考えております。

○いのつめ委員 私たちは、九月二十二日に、両ビルと、これから土地を等価交換する地域とを視察してまいりましたが、このTFTのビルにしても、設立目的は生活、ファッション、ビジネスの複合集積という発想のもと、繊維業界、アパレル業界、スポーツ関連業界及び住宅関連業界等に属する企業向けにオフィス設備、イベントスペース等を提供し、世界に向けた情報集積及び発信基地となることを目的とするとうたわれていますが、少しそれからかけ離れた使用のされ方が見えてまいりました。
 具体的ビジョンも乏しい中でビル事業を東京都の監理団体が行っていくのは、やはり疑問が残るところであります。ビル事業は、臨海三セクも含め民間企業に任せることが必要であることを主張して、質問を終わります。

○大塚委員長 この際、議事の都合より、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時八分開議

○大塚委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○鈴木委員 私も、今お二方から質問、やりとりがありまして、端的に何点かお伺いしておきたいと思います。重複を避けたいと思います。
 まず、この問題について、矢島副委員長からもあったとおり、私も同じ立場をとるものでございます。そのことを申し上げ、また、地方、特に大阪等々に比べても、東京都は、この問題についてよくぞここまでやってきたなと、そのように関係者の方のご努力を多としたいと私は思っておりますが、いろんなものにとってみれば光と影の部分もあるのは当たり前でありますから、それを決して否定することはいたしませんし、これから先への展望をどう道を開いていくかということで、これを教訓にしていただきたいという立場で申し上げて、論を進めていきたいと思います。
 平成十二年の四月一日からの民事再生法、これを適用なさったわけですね。先ほど民主党さんの方から、この倒産した会社をいわゆる清算する、再建をするいろんなやり方の中で、会社更生法と民事再生法との比較が出ました。一点目は、なぜ東京都はこの民事再生法を選んだのかという、この基本原則をまず述べていただきたいと思うのであります。

○佐藤改革担当部長 民事再生法を選択した理由についてでございますが、裁判所が関与いたしまして、その指導監督のもとで手続が進められることから、再生計画及び手続についての公平性、公正性、透明性が確保できます。また、事業の継続によるテナントへの影響を回避する必要があることなどから、民事再生法を選択したものでございます。

○鈴木委員 それともう一つ、この民事再生法の中で、私はこう理解しているんです。経営者責任との絡みの中で、民事再生法というものは、原則として経営陣は引き続きやっていけるわけですよね。会社更生法はそうじゃありません。だから、経営者責任ということを考えていったときに、これはどう考えていくべきなのかということをお答えいただきたいと思います。

○佐藤改革担当部長 過去の経営者につきましては、平成十二年の経営改善策策定に合わせまして、常勤役員につきましては全員退任いたしました。その後の常勤役員につきましては、会社として必要最小限度であります代表権を持つ取締役を一人及び常勤監査役一人が配置されております。
 これらの役員の責任につきましては、再生計画認可決定後、東京ビッグサイトの子会社となった時点での株主総会で適切に判断されるものと考えております。

○鈴木委員 適切に判断をされると。意味深い言葉だと私は思います。よくわかりました。経営者責任については、そういうことでしっかりとやってきたということもよくわかりました。
 あとは、もう一つ聞いておきたいんですけれども、今回の再生計画案の中で、再生債権については一括弁済、抵当権などの担保権である別除権については、合併したビッグサイトが、平成四十一年度、いわゆる二十五年間で返していくという計画となっております。さっきのとおりだと思います。
 仮に返済が滞ったり破綻するようなことはないのかという、そこはやっぱり一抹の不安といいましょうか、それについては、我々もないとはいい切れないと思っております。努力は多としたいんですけれども、そういう面で、根拠を示したこの数字の裏をちょっと教えていただきたいと思うのであります。

○佐藤改革担当部長 合併後のビル事業収支についてでございますが、合併五年目に当たります平成二十一年度について見ますと、二つのビルを合わせて、収入が八十四億円、費用が六十八億円、差し引き十六億円の経常利益を見込んでおります。
 このように利益を計上できるのは、債権放棄による利払いの軽減、土地の等価交換による地代負担の解消、固定資産の評価替えに伴う減価償却費の軽減等の要因によるものでございます。
 また、収入につきましては、おおむね五年間で合計一〇%程度のリスクを見込むとともに、資金的には建物価値の維持に必要な修繕費等も計上するなど、かたい計画となってございます。
 二十五年間の平均では、毎年約二十億円の利益を見込んでおりまして、この利益の中から負債の返済を行っていくものでございまして、再度破綻することはないと考えております。

○鈴木委員 随分強調しましたね、再度破綻する--頼みますね、これは。再度の後の言葉は聞きたくはないのでありまして、これ、局長よろしくと思うんですね。そのことを私たちもしっかりと厳粛に受けとめさせていただきたいと思います。
 次のテーマでありますけれども、二つのビル事業を引き継ぐ東京ビッグサイトに対して、都として今後どのような対応をしていかれるのか、最後の質問になりますけれども、局長としての決意のほどを承っておかなければならないと私は思います。

○成田産業労働局長 ビッグサイトに対する都の指導でございますけれども、ご案内のように、ビッグサイトは国際展示場の運営を担っておりまして、この間、稼働率六〇%という、これは実質的にほぼ一〇〇%の展示会場の運営を行っております。また、ことしは危機管理展という時代に即した新しい見本市の開拓、そういったものにも機動的に取り組んでおります。
 そういったビッグサイトの経営のノウハウを、今回の二つの会社の民事再生、ファッション産業あるいは情報通信産業の集積の拠点をさらに進めていく、それに十分生かしてもらいたいなと思っております。
 ちなみに臨海の方でございますけれども、少し目を広げてみますと、情報産業という点では、青海の方で、フジテレビのスタジオが今建設の工事にかかわっております。また、ビッグサイトの隣接地では、現在五反田にあります東京卸売センターが、新しい、五反田とは一味違った、ビッグサイト等との機能アップ、対応を図った事業展開をやっております。
 そういった中にありまして、二社のビルが、こういった臨海副都心の新しい動き、これまでは、臨海副都心は都市再生の牽引力ということをいろいろ港湾サイドでもいっておりましたけれども、やはり東京の産業を引っ張っていく役割もあるのかなと。青海の方には、国の方の産業技術総研もございます。
 ですから、やはり今回の民事再生は、改めて申し上げるまでもなく、ゴールでなくて新しい事業展開のスタートだと思っております。ビッグサイトもそういった問題意識を持って取り組んでいただけるように、私どもも十分指導してまいりたいと思います。よろしくお願いします。

○鈴木委員 私も、臨海の問題は、総論的には平成元年からずっとかかわってきて、いいたいことは山ほどあるんですけれども、それはそれとして、先ほど冒頭申し上げたとおり、こういうものの問題が浮き彫りになれば、都市の問題には光、影もまとうのは当たり前のことでありますから。
 しかし、今、局長のうれしい言葉がありましたね、次へのステップとしていきたいという。これは、今まで多くの方々が、いろんな局長、またそれぞれ担当の部長の皆さん方のお顔が走馬灯のように私も今目に浮かんでまいります。歴代の方々がずっと話し込んできたその流れを、私も本当に懐かしく、また、よくぞここまでやってこられたなということはよくわかって、理解をしておる一人だと私は自負いたしてございますので、これからもしっかりとこれを次へのステップとして受けとめて、ますます皆様の仕事のやりがいのある、また、局として頑張っていただきたいことを私の方から述べさせていただきまして、私の約束の時間よりはるかに短く質問させていただきまして、終わらせていただきます。
 以上です。

○小竹委員 私も、ファッションタウンとタイム二十四の民事再生にかかわる問題で何点かお伺いして、見解も述べたいというふうに思います。
 まず最初に、この二つのビルがつくられた経緯、それから、出資者の出資割合等についてお伺いしておきます。

○佐藤改革担当部長 設立の経緯につきましては、東京ファッションタウンは、東京ファッション協会及び東京商工会議所が設立母体となりまして、ファッション関連産業の拠点として平成五年八月に設立されたものでございまして、タイム二十四は、経済産業省所管の情報サービス産業協会が設立母体となりまして、情報関連産業の拠点として平成二年三月に設立されたものでございます。
 二社の出資割合は、東京ファッションタウンにつきましては、民間企業が五四・五%、都が二四・六%、金融機関が二〇・九%。タイム二十四につきましては、民間企業が五九・七%、金融機関が二四・二%、都が一六・一%となっております。

○小竹委員 民間主導でというふうなお話もありましたけれども、民活法の制定だとか、また通産省を初めとした国の方の国策で主導したという部分も、この二つのビル、臨海のビル全体としてあるというふうに思うんです。そういう中でも、先ほど出資割合についてお伺いしたら、東京都と民間団体、銀行などの出資割合が出されたわけですけれども、特に銀行という点で見ても、国の関与度の高い現在の日本政策投資銀行、かつての開発銀行が一番出資割合も大きいわけですよね。
 そういう点でいうと、やはり相当国の関与も大きかったというふうに思いますし、当初の役員構成を見ても、その中には、通産省の出身の方々など含めて役員の中に入っているという点でも、やはりこの問題については、東京都と国と金融機関が関与していたという点での責任が大きく問われるのではないかというふうに思います。
 この二つの破綻処理については、日本共産党は当初から、ビルの賃貸事業をやるという点での問題点を指摘して、早く改めるということを求めてきたわけですけれども、この間、何度も見直しの時期がありながら先送りにしてきたという点で見ると、本当に、やっと破綻処理に踏み切ったというふうに思うんですけれども、やはり民事再生法については大きな問題があるということを感じます。
 その点で幾つか質問をしながら問題点を指摘したいと思うんですけれども、そもそもこの事業、先ほどお話にもありましたけれども、ファッションや情報産業で産業振興のための拠点にするんだというふうなことでおっしゃられているわけですけれども、この二つの会社についていえば、貸しビル業なんですよね、ビルをテナントに貸してやっているという点で。そういう意味で、東京都がこういう貸しビル業を営むことが、自治体としての事業として必要なのかどうかというのがそもそも問われる中身であるというふうに思うんです。
 そういう意味で、こういうことはやるべきではないというのは日本共産党が一貫していい続けてきたわけですけれども、この二つのビルに対して、東京都は開業時からいろいろ支援策をとってきました。創業支援での借り上げ施設、それから、都民の反対を無視してお茶の水の技術専門校を、自前の校舎がある牛込や中野を統廃合して、あいていたファッションタウンの西棟を借り上げてそこに設置するというふうなことでの支援策をやってきたわけですけれども、それぞれいつから幾ら払ってきたか、そして総額について明らかにしていただきたいと思います。

○佐藤改革担当部長 創業支援施設につきましては、ベンチャー技術大賞優秀賞受賞企業を輩出するなど多くの成果を出しておりますが、平成八年度から十六年度で四十一億円、また、ファッション関連の科目が中心であります飯田橋技術専門校有明分校につきましては、平成十一年度から十六年度で二十三億円、合計で六十四億円となってございます。

○小竹委員 二社のビルに対して都民の税金が六十四億円も支援策として使われてきたという中身だと思うんですよね。お茶の水については、ファッションということで持っていったわけですけれども、実際には、牛込でファッションの訓練が行われていた、その自前の学校を廃止して持っていったという点でも、本当に東京都がこのビルを救済するためにいろんな事業をやってきた、投入してきたということがここにもあらわれているんじゃないかというふうに思います。
 こういうことをやっても累積債務が増大していったわけで、その間の見直しが、何度も見直しをする機会があったわけですけれども、我々は、破綻処理を早くすべきだという提案をしてきた状況がありましたが、東京都が行った二〇〇〇年の経営改善策は、あくまでもこの二つのビルの貸しビル業を継続する支援策だったというふうに私たちは思っています。
 そういう意味で、金融機関の元本返済猶予だとかビッグサイトによる全面委託というふうな形、また、委託に伴って払った保証金、地代が二分の一延納されているわけですけれども、それぞれ幾らになっていますか。

○佐藤改革担当部長 十二年度の経営改善策に対する関係機関の協力としては、金融機関は料率の引き下げを行いまして、都も地代の延納を認めてまいりました。地代の延納は、両者合わせまして三十七億円となってございます。

○小竹委員 地代の延納で三十七億円、それから、ビッグサイトが、全面委託をするということで、ビルを借り上げる保証金を含めて五十四億円出しているわけですよね。そういう点で見ると、この東京都としての手だてが、先ほど申し上げた借り上げの賃料、そして二分の一の地代、ビッグサイトが保証金として積み上げたお金、全部合わせると百五十五億円にも上っているわけですけれども、この平成十二年、二〇〇〇年の経営改善では、二社の経営は好転するという状況にはなり得なかった。この時点でも累積債務は三百三十七億円あり、債務超過が百三十九億円もあったわけですけれども、これについても経営改善で投入されたけれども、実際に債務超過は解消するどころかふえていったという点で見ても、結局、貸しビル業の延命を図ってきたことにすぎないんじゃないかというふうに思うんですね。そういう点では、損失が、都民の負担の方がふえていったということがいえるんじゃないかというふうに思います。
 こういう状況の中で、累積債務を抱えながら金融機関に対しては金利を払い続けてきたわけですけれども、この二つのビルの建設準備に入った時点から含めて金融機関に払った利息や元本はどのぐらいになっているか、明らかにしていただきたいと思います。

○佐藤改革担当部長 借りたお金ですので、返さなくてはなりません。利息も払わなきゃいけません。利息は三百七十二億円、元本の返済額は百八十億円、合計五百五十二億円です。このうち十二年度以降分につきましては、利息の引き下げが適用されております。

○小竹委員 それは、借りたお金ですから利息を払うのは当然ですけれども、本当にバブルのときの高い金利で払ってきたのは間違いない事実ですよね。それから、政策投資銀行についていえば、NTTのものについてはずっと元金も納めているという点でいうと、銀行に対しては本当に手厚く保護しているんじゃないかなというふうに思うんですね。しかも、東京都は、民間ができるものは民間にというんだけれども、東京都として官がこれだけ支援しているわけですよ。
 先ほどもファッションや情報関連の産業振興だとおっしゃるんだけれども、中小企業の振興というふうに掲げておきながら、実態はどうかと見たら、ファッションタウンは、大塚家具が半分近く借りているわけですよね。タイム二十四についていえば、NTTと富士通で七〇%のシェアというかテナントをしているという点でいったって、この貸しビル業を本当に東京都がやっていかなきゃいけないのかというのは、私は甚だ疑問だというふうに思います。
 そういう点で見たときに、私は、今度の再生処理がどうなのかという点では物すごい疑問を持っているんですが、今、確かに借りたお金だから金利と元金を払うんだということで五百五十二億円がこの間支払われてきたわけですけれども、東京都が投入したお金というか支援したお金が百五十五億円にも上るわけですよね。だから、それは本当に銀行への支払いに回ったんじゃないかというふうにいえる中身だと思うんですが、今回の民事再生法による処理が、銀行の抵当権は別除権ということで保護されているわけですよね。
 それは、抵当権だから保護するのは当たり前だといわれるかもしれないけれども、それを除いた額に対して東京都と同率での弁済率で処理されるというのは、私、これを都民が聞いたら納得いかないというふうに思うんですね。銀行の弁済額は、再生債権と別除権を合わせると四百六十三億円に上るんですよ。これを弁済率で割れば三五%の弁済率なわけですが、東京都は、三億円ですから七・七%という点でいったら、非常に不公平だというふうに思うんですね。
 特に国の政策投資銀行で見ると、皆さんが七月二十九日に発表したこの再建計画書というので見ても、ここにちゃんと、政策投資銀行については、弁済額が総額で二百四十四億円ですね、四四・七%の弁済率というふうに書かれているわけですよ。実際に銀行に弁済するお金の半分以上が政策投資銀行でしょう。私、これは本当に不合理だというふうに思うんですね。東京都だけが経営してきたわけじゃないわけだから。そういう点でいったら、当初からの銀行等についても出資者としての責任が問われる中身があるんじゃないかというふうに思うんですが、この点については何も出されていないんだけれども、その点はいかがですか。

○佐藤改革担当部長 別除権というのは抵当権に対する弁済でございますので、市場経済ですので、当然抵当権に対しては優先弁済権がありますから、これは現在の、今の法体系の中では当然の順位だと思います。第一順位の抵当権は日本政策投資銀行が持っていますので、そこに対して弁済がふえるというのは、これはやむを得ないことだと思います。
 ただ、別除権--抵当権を除いたいわゆる再生債権につきましては、政策投資銀行も市中銀行も、東京都の債権、延納地代についても同じような放棄率となっておりまして、これは、民事再生法の法の趣旨であります債権者平等の原則というのがございますが、これにもかなった内容となっておるわけでございます。
 また、銀行、金融機関につきましても、今回、株主全員の責任ということで、一〇〇%減資という形で、これまで出資していただいた株は全部なしになると。ただ、それは、皆さん方に納得していただいたのは、最初に設立した目的、例えばファッション関連産業、情報関連産業の拠点となっていくと、そういう目的をこれからも続けていくというふうなことがありましたので、株主の方々にも十分納得していただけた措置だったというふうに考えております。
 だから、銀行が何も傷つかないというわけではございません。また、今回の再生計画におきましては、他の自治体とも比べまして、金融機関はより大幅な債権放棄を求められておりまして、そういった意味では、それぞれの利害関係者がそれぞれ応分の負担をした中でこの事業を続けていかなきゃいけない。
 それと、このビルの中には中小企業の方も入っておりますし、中には働いている労働者の方もございます。このビルを破綻させてやめてしまうということになりますと、いろんな影響が他に及ぶことがありますので、なるべく事業を継続するというふうなことを目的といたしまして民事再生法を適用することといたしたものでございまして、これが最善の策であったというふうに認識しております。

○小竹委員 最善の策だということですけれども、確かにそれは、抵当権は優先されるものとしてあるのはわかりますが、実際にこの弁済の方法から見たら、一番かぶっているのは東京都じゃないですか。都民の税金がかぶるような格好になっていることは明らかなんですよね。この間だって払ってきたものと合わせれば、東京都が相当の責任を負わされている中身だというふうに思うんですね。
 そういう点では、銀行だとか国の責任が問われる中身がこの破綻処理の中になければいけないんだというふうに思うんですよ。銀行への支払いという点で見れば、元本と利息でこれまで払ってきた五百五十二億円、それにプラス弁済額の四百六十三億円を合わせれば、一千億円以上の弁済が行われるという点で見ても、やはり一番優遇されているのは銀行だというふうに思うんですね。
 先ほどから今後の問題も出されているわけですけれども、ビッグサイトが二社を合併するということで、さらに六十億円の増資を行って再建処理をしていくということについては、やはり都民は納得できないというふうに思うんですね。これまでもこれだけ払ってきて、破綻処理して、なおかつ東京都が救済策をつくってやっていくという点、ビッグサイトが救済していくということ、それから、この二つの会社の借地である土地代を軽減するために、ビッグサイトが持っている晴海の土地と交換して、二社のビル経営を身軽にさせて支援するという、こういうことをやるということ自身が、やはり救済をすべて東京都において行っているという中身になっているというふうに思うんですよ。しかも、この土地は、旧国際貿易センターに東京都が現物出資した都有地でしょう。
 そういう意味でいえば、本当に都民の財産を破綻処理のために手渡して、また事業を継続していく。こういう事業を継続していく過程の中では、やはりまたこの訓練校も継続してあそこでやっていくということを見れば、さらなる税金投入が行われていくわけで、また、先ほど懸念があって、局長は再度破綻処理はさせないというふうにおっしゃられましたけれども、経済状況の変動いかんによっては、これまでだって、これで成り立つんだといってきたのが、成り立たないで破綻処理まで来ちゃったわけだから、新たな都民負担を増大することだって招きかねないというふうに思うんですね。
 そういう点で見たときに、本当にこういう破綻処理をやって東京都の事業として貸しビル業を継続させていくことが必要なのかどうか、私は、ここにボタンのかけ違いと間違いがあるというふうに思うんですよ。だから、そういう点で見たときに、もうここできちんと清算するということが必要なんじゃないかというふうに思うんですね。
 そういうときに、どういうふうにするかという点でいえば、銀行だって、これまでずっと払ってきているわけだから、銀行も出資者としての経営責任をとらせるという点では、債権放棄をさせて、ビルを都民のために使う、中小企業のために使うんだったら、それを使っていけるような状況を債権放棄をさせた上でやるということが必要なんじゃないかというふうに思いますので、このことを主張して、私の質問を終わります。

○原田委員 このコーナーでは二点ほど質問したいと思います。
 最初に、今の話の続きになりますが、民事再生法による見直しというところの質問をしたいと思います。
 私は、きのう、この再生計画まで出さなければならなかった、そのような状況に至った責任というものをもう少し厳しく追求すべきだというところで一般質問をさせていただきましたけれども、お答えは、長引く景気不況によりとか、あと、不測の賃料相場の下落というようなこと、いろいろございましたが、結局は、だれも責任をとらないようなことで動いているのではないかなというふうな印象があります。
 そして、ここは二社とも民間の会社という位置づけでございますよね。それで、東京ファッションタウンとタイム二十四、この会社の経営責任者、そして、平成十二年からビッグサイトに事実上移行したビッグサイトの責任、そしてまた、多額の税金を、東京都の財産を破棄しなければならなかった東京都の責任、それぞれの立場でどういう責任のとり方があるのか、いろいろ見解はあると思いますが、その点についてもう少しちゃんとお答えいただきたいと思います。

○佐藤改革担当部長 これまでもお答えさせていただきましたように、この民事再生計画につきましては、それぞれのステークホルダー、利害関係者がそれぞれ応分に負担していただいた計画となっております。例えば出資者は、その出資の範囲の中で株主責任を負っていただきましたし、債権者につきましては、大幅な債権放棄をしていただいております。
 また、もともとこの二社は民間主導で設立された会社でございますが、その事業内容につきましては、産業振興にかかわるということがございましたので、東京都といたしましても、この再生に当たりましては、この二つの事業を最初の設立の目的に沿ったように続けていくべきだと。また、入居されているテナントの方々にも迷惑をかけてはいけない、こういうふうな考えのもとに、二社、それと関係者、金融機関等にも十分な働きかけをいたしまして、今回このような再生計画ができたわけでございまして、それぞれの部分の中で責任を分担しながら責任を果たしている計画になっているというふうに考えております。

○原田委員 会社の経営ですから、会社の経営は基本的には社長さんですよね。一般論として、会社がこのような状況になったときの責任のとり方ってありますよね。そういう意味で、このそれぞれの会社の方々がどういうような責任のとり方があるのかということを具体的にお話ししてもらいたいんです。

○佐藤改革担当部長 先ほどもお答えさせていただきましたが、過去の経営者につきましては、平成十二年に経営改善策を策定いたしましたときに、常勤役員の方については全員退任していただきました。また、その後の常勤役員につきましては、やはり会社として存続していくために必要最小限であります代表権を持つ取締役の方一人、それと常勤監査役一人、この方が配置されておるだけでございます。
 また、これらの役員の責任につきましては、再生計画認可決定後、東京ビッグサイトの子会社となった時点での株主総会で適切に判断されるものであるというふうに考えてございます。

○原田委員 ちょっとその話は平行線なので。
 それでは、今度、合併後のビッグサイトの状況なんですけれども、皆さんの質問の中で、かなり良好な収入が見込めるということと、あと、これからいろんな負担が少なくなる、地代も含めていろんな負担が少なくなるということで、かなり好転、経営状況が安定するというようなお話がございました。しかし、もちろん皆さんが指摘するとおり、景気の動向とか予想もつかないような状況が出てくるわけですね。
 それで、この予想もつかない状況が起こった場合、大丈夫だと思っていても、ビッグサイトそのものが大変経営が悪化してきた場合、今後東京都は、この二社の対応と同じように支援していく、支援をするということになるんでしょうか。これは何年後かわかりませんが、経営破綻した場合、そのようなことが起こり得るかどうか、今の時点でのお考えをお聞かせください。

○佐藤改革担当部長 先ほどもビル事業の収支のことでお話しさせていただきましたが、今回の合併につきましてはビッグサイトの経営基盤の安定化につながるものでございまして、これをもって経営破綻するというふうなことはないものと考えております。

○原田委員 ちょっと予測もしないことが起こるという意味では、当初、臨海計画そのものもそういうところから来ているわけなんですけれども、このように、例えば良好な状況が続くだろうと思われる予測の中で、東京都は、このビッグサイトに出資していますよね。その出資割合というのはどのぐらいになっていますか。

○中井商工部長 都のビッグサイトに対する出資比率は、七三・五%でございます。

○原田委員 これは、株で持っているということでしょうかね。

○中井商工部長 そのとおりでございます。

○原田委員 皆さんの指摘にもありました、公の仕事としてこの事業が、貸しビル業が適切かどうかということはあったと思いますし、ビッグサイトそのものの事業としては、国際展示場等のいろんな企画もあって、その存在意義というのは私はあると思います。そして、このような順調な中での産業振興とかいろんな部分での公の支援というのは、立ち上がりのときはもちろん必要だったかもしれません、ある意味では必要だったと思います。大きな範囲の中の業界そのものがもう少し元気になるための支援というのは、あるときは必要だと思います。
 しかし、状況がだんだん安定してきて、東京都の皆さんももう大丈夫だというような認識がおありになるなら、この出資比率を少しずつ引いていく。東京都の役割は、もうある程度公の役割は終わっただろうというふうに私は思いますので、この出資割合を引いていきながら、民間の活力を生かしたような状況にシフトしていくことが必要ではないかと思うわけなんですけれども、その点いかがですか。

○中井商工部長 東京ビッグサイトのような大型のイベント施設については、土地代、建設費、そういったものを含めたすべてのコストを利用料金に反映させていきますと、非常に料金が高くなります。そうしますと、中小企業を初め、なかなかこの施設を利用しにくいという状況が出てまいりますので、産業振興の観点からは問題が出てまいります。
 こうしたことから、東京ビッグサイトと都の間で経費面の一定の役割分担をするという形で、土地代、施設使用料の一部については、都が従来より負担するという形をとっております。
 今後とも、ビッグサイトとしての経営努力は当然続けてまいるわけでございますが、今申し上げたようなこの施設の基本的な性格からして、今後とも一定の関与をしていく必要があるということでございまして、そういう意味で、この出資比率については、今後ともこの状態を続けていきたいというふうに考えております。

○原田委員 ちょっと戻りますけれども、これからの二社の責任は今後の株主総会で問われるだろうと、整理されるだろうということをおっしゃったわけなんですけれども、となると、最大の株主というのは東京都ですよね。違いますか、どういうふうに整理したらよろしいんでしょうか。

○佐藤改革担当部長 最大の出資者はビッグサイトになります。今までの株主の方全員に減資してもらいます。その後、ビッグサイトが、両社合わせて六十億円を出資しますので、ビッグサイトの一〇〇%子会社になりますので、二社の株主はビッグサイトということになります。

○原田委員 済みませんでした。今、ちょっとよく事情がのみ込めなくて申しわけございませんでした。
 出資比率の話で、今後とも、この七三・五%の東京都の出資比率は保持していくというようなお話でしたけれども、私は、中小企業支援ということでいえば、いろんな支援の仕方があるわけですから、ビッグサイトそのものへの出資比率ということに関していうと、将来的にやっぱり縮小していくような形が望ましいのではないかと考えます。これは意見としていっておきます。
 いろんな意味で公から民へという流れの中で、ここがどうしても公が担わなければならない分野かというと、本当にビッグサイトそのものの経営もよくなった、そういうふうにおっしゃるならば、ここは少し方向を変えて、民間に委ねる部分もあっていいのではないかと考えます。これは、何か皆さん首をかしげていらっしゃるので、意見としていっておきます。
 それで、もう一つなんですけれども、独立法人の評価委員会の設置について質問させていただきます。
 この独立行政法人の設立に関しては、法人の評価委員会というものを設置しなければならないというようなお話の中で今回の提案があったと思います。そして、これから独立行政法人と評価委員会の関係というものが大変大きくなっていく。五年スパンでいろいろ法人の自由な裁量を広げていく、もっと元気に独立法人そのものの活動が主体性を重要視して動いていくという点でいきますと、評価委員会の役割というものはこれから大きくなるだろう。そして、評価委員会で出た評価というものは大変重くとらえられるだろうというふうに思います。
 今後の評価委員会と独立行政法人のあり方について、どういう関係をつくっていったらいいかなどについて、基本的なお話を聞かせてください。

○中井商工部長 今、先生がおっしゃられたとおり、地方独立行政法人と評価委員会というのは非常に重要な関係がございます。具体的に申し上げますと、三年から五年の中期目標を知事が設定いたしまして、それに対して独立行政法人が中期計画を立てるという形になっております。この中期目標期間が終了した際には、その目標の達成状況を外部の委員から構成される評価委員会が評価をするということになっております。で、評価委員会の方で必要があると認めた場合には、業務の改善等の勧告をすることができることになっております。
 また、こうした中期計画以外にも、毎年度の事業の実績について、その年度が終わったときに評価委員会がそれを評価し、知事へ報告し、また、独立行政法人の方にも通知をする。それを受けて独立行政法人は自主的な見直しをしていくということになります。
 このように、評価委員会は、独立行政法人を第三者の立場でチェックするという意味で非常に重要な役割を持っております。

○原田委員 ですから、選任者の意向というか、人選によっては本当に評価が変わってくるというような可能性も秘めているわけです。今回の評価委員会は、公立大学の評価委員会と一緒になって、分科会としてつくっていくということなんですけれども、それぞれの評価委員が七人ということの解釈でよろしいでしょうか。合計して十四人ということでよろしいでしょうか。

○中井商工部長 評価委員会は十四人以内となっておりますが、分科会としての人数制限については明示の規定は特にありません。

○原田委員 いただいた資料で、四カ所、庁舎というか研究所があるということで、そのジャンルというか分野というのはどういうふうな分野になるんでしょうか。かなり多岐にわたっているのではないかと思われますが、どういう範囲の相談とか、あと、実際研究所でやっている仕事の範囲というのを知らせていただければと思います。

○中井商工部長 産業技術研究所につきましては、西が丘に本所がございます。そこは産業技術研究所のセンター的な機能を果たしてございます。それから、八王子にブランチがございますが、そちらは繊維関係を中心に業務をやっております。それから、駒沢のブランチにつきましては、放射線の関係の業務をやっております。それから、墨田がございますが、こちらも主に繊維関係を中心にやってございます。
 産業技術研究所全体の業務でございますが、研究業務、中小企業からの品質証明等にこたえる依頼試験、産業技術に関する技術相談、技術関係の審査などの業務を主なものとしてございます。

○原田委員 非常に多岐な、多方面の部分での依頼があって、その事業というのもかなりの範囲の事業が展開されるものと想像するわけなんですけれども、七人の人たちの人選にもよりますけれども、その評価が公平に、そしていろんな方面、多重に、多方面な評価がバランスよくあらわれることが、評価委員会そのものを機能させる最大の一つの要因だと思いますが、その人選のバランスとか、あと、その人選の、同じジャンルでも立場の違う方がいっぱいいらっしゃいますよね。そういう中での人選は、七人選ぶというのは大変難しいとは思いますが、どういうふうな人選の仕方、どういうようなところを視点に選んでいこうとしているのか。
 そしてまた、評価委員会の結論の評価みたいなものも若干見ていかなければならないような状況も出てくるかと思いますが、そのあたりのバランスのとり方というか、評価委員会と行政、評価委員会と研究所の関係もこれからいろいろあるとは思いますが、そのあたりをどう考えていらっしゃるのか聞かせてください。

○中井商工部長 評価委員会の委員の選任についてはこれからでございますが、できるだけ幅広い分野から人選を募るということで、例えば産業界の代表、それから、こういった産業技術分野に非常に見識のある学識経験者、さらに産業活動、経済活動に詳しい報道関係者、また、産業技術研究所の財務面についてチェックをしていくという面では公認会計士等、できるだけ幅広い範囲でそれぞれの分野の見識者を構成員とすることが望ましいというふうに考えております。

○原田委員 そういうふうな答弁が出ると思いました。いいようがないだろうと思いました。
 じゃ、評価委員会と議会の関係。私がいいたいのは、評価委員会の結論が大変重くなるというところもありまして、もっと評価委員会への評価も考えなきゃならないだろうという中で、評価委員会と議会との関係はどう考えていらっしゃるのか。

○中井商工部長 先ほど申し上げましたとおり、評価委員会は、毎年度、独立行政法人となります産技研の事業の実績につきまして評価をすることになります。その評価につきましては知事に報告し、知事が議会に報告をするという形で、議会の議員の皆様方にも、その内容について十分その実情をご報告させていただくという形になります。

○松原委員 私の方も、産業技術研究所の地方独立行政法人化についてお尋ねしたいと思います。今、原田副委員長の方からいきなり入っていかれたような感じがしますので、もう少しやさしく私は聞いていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 私、東京都において産業技術研究所があるということは、大変昔から評価をしておりまして、これの充実発展が都政を大きく発展させるものと常々思っております。そういう立場の中で、このたび独立行政法人化ということになっていきますので、基本的なことから尋ねていきたいと思います。
 中小企業の振興と産業技術の向上は、都政の今まさに最重要課題であります。技術支援の第一線の機関として、産業技術研究所は、この分野で大きな役割を担ってきたといえます。都内中小企業は、取引先工場の海外移転や産業構造の変化などの影響によりまして、厳しい経営環境に置かれていることは周知の事実であります。加えて、中国を初めとしますアジア諸国が、低廉な労働力コストと生産技術の向上を背景として急速に競争力をつけてきております。都内の中小企業が厳しい国際競争に勝ち抜くためにも、行政による最先端の技術支援がまさに必要不可欠な状況にあると考えております。
 このような中にありまして、中小企業の多様なニーズにより迅速、効果的に対応するために、産業技術研究所を地方独立行政法人化することについては、私ども東京都議会自由民主党はまことに時宜にかなったものと認識しておりまして、速やかな実現を期待するものであります。
 そこで、産業技術研究所が地方独立行政法人化するに当たり、基本的な点を何点かお聞きいたします。
 まず最初に、都立産業技術研究所の主な業務とその実績についてお尋ねしたいと思います。

○中井商工部長 都立産業技術研究所は、都内中小企業の振興を図り、都民生活の向上に役立つことを目的といたしまして、産業技術の研究とその成果の普及、中小企業からの依頼に基づく品質証明等の試験、中小企業からの産業技術に関する相談、補助金の採択等に関する技術関係の審査などの業務を行っております。
 これらの事業の平成十六年度の実績を申し上げますと、研究が九十四テーマ、依頼試験が六万五千九百四十五件、技術相談が四万七千五百六十六件、技術審査が二千百九十件となっております。

○松原委員 今、業績とその実績をお尋ねしましたけど、大変な業績と実績を積んでいるところの研究所であります。また、これは他県の試験研究機関と比べてどのような状況にあるのか、お尋ねいたします。

○中井商工部長 都立産業研究所の年間取扱実績を、東京と産業立地状況が比較的似通っている神奈川、埼玉、千葉、大阪の四つの公設試験研究機関の平均と比較してみますと、依頼試験の取扱件数で、四府県の平均の約八倍、技術相談で約五倍、技術審査で約十二倍となっております。また、研究員一人当たりの件数を見ても、依頼試験で四府県の約四倍、技術相談で約三倍、技術審査で約六倍の取り扱いとなっております。

○松原委員 ただいまのご報告のとおり、大変東京都の技術研究所は頑張っているということがよくわかりました。
 そこで、地方独立行政法人化することによりまして、これはどのようにさらに改善されてくるのか、具体的に教えていただきたい。

○中井商工部長 産業技術研究所を地方独立行政法人化することによる主な改善点は、第一に、事業費が使途の内訳が特定されない運営費交付金になることにより、弾力的な事業執行が可能となります。第二に、外部資金をみずからの収入として活用できることにより、民間との共同研究などがスピーディーに行えるようになります。また第三に、組織、人事管理についても、法人みずからの責任と判断で行うことになりますので、すぐれた外部人材の積極的活用や、企業ニーズ等に応じた効率的で効果的な組織編成、人材配置を行うことが可能となります。

○松原委員 原田副委員長の質問にも重複しますけれども、本定例会において、地方独立行政法人評価委員会条例の改正案が提案されておりますけれども、この評価委員会は、基本的構成はどのようになっているのかお尋ねいたしたいと思います。

○中井商工部長 現在、都には東京都公立大学法人評価委員会が設置されておりますが、本定例会に付議されている条例改正案により、その委員会を改組し、東京都地方独立行政法人評価委員会として、委員を七人以内から十四人以内といたします。
 また、評価委員会には分科会を置くことができるとしており、評価委員には、現在の大学法人の委員とは別に、産業技術に詳しい中小企業経営者、産業分野に精通した大学教授、報道関係者など、幅広い分野から新たな選任を行う予定としてございます。

○松原委員 先ほどの関連質問の中で、評価委員会の役割については質問されましたので省かせていただきますが、この評価委員会によりまして、地方独立行政法人の適正な運営が確保されているということですけれども、一方で、効率性を重視する余り、中小企業者へのサービスの低下を招くと危惧する声も一部には聞いておりますが、そのようなことがないのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○中井商工部長 地方独立行政法人制度は、必ずしも独立採算制を前提とするものではなく、事業の目標設定と第三者による評価という仕組みを通じて、適正な事業執行を確保することを主眼とした制度でございます。具体的に申し上げますと、設置者である知事が中期目標を定めますが、その目標には、住民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項などを設定することになっています。法人は、この目標に基づいて中期計画、年度計画を作成し、実施しますので、その中でサービスの向上策が図られることになります。
 一方、評価委員会は、第三者の立場から毎年度の業績を評価し、必要がある場合には業務運営の改善その他の勧告を行いますので、行政目的に沿った事業の遂行が担保されます。
 こうした目標管理と第三者のチェック体制により、法人の中小企業に対するサービスがこれまで以上に向上するものと考えております。

○松原委員 ただいまのご説明のとおり、産業技術研究所が地方独立行政法人化することによりまして、事業費や人材の管理をみずから行うことによって、効率的で効果的な業務運営が行われること、その業務運営については、評価委員会のチェックで適正な事業執行が確保されることはよくわかりました。
 しかし、産業技術研究所の試験研究機器や施設の多くが老朽化していると聞いております。私ども、我が党でも参りますけれども、そのような状況で、新製品の開発に意欲的に取り組む中小企業が必要とする最先端技術に対応できるのかどうか、大変不安があるところであります。特に国際競争力のところでは、特にこういったところの機器、施設は非常に大事なものだというふうに思っています。
 そういうことで、都内中小企業を技術面で支える産業技術研究所としては、ソフト面に加えてハード面の整備も急いで、全国の範たる技術支援機関とすべく、ハード面の整備についても一刻も早い対応を図ることを強く求める次第であります。
 最後に、産業技術研究所の技術支援機能をより一層強化することについて局長の決意をお伺いして、私の質問を終わります。

○成田産業労働局長 産業技術研究所でございますが、今日の中小企業を取り巻く環境が、一方で元請、下請、そういった系列関係が崩壊した中で、独自の取り組みを行わなければいけない。また、先ほどご質問等にもございましたように、アジア等も視野に入れたグローバルな競争の中で勝ち抜いていかなきゃいけない。そういった中で、東京の産業を牽引する中小企業の技術に対する支援が今日喫緊の課題となっておりまして、それにこたえるべく、これまで部長からるる申し上げましたように、独立行政法人化による運営の弾力化を図ってまいる所存でございます。
 それと同時に、もう一つ大切なのは、先ほどご質問の中でございましたように、これから産技研がそういった時代の要請にこたえていくためには、運営の効率化だけではなくて、例えば国際認定の証明書を出すとか、あるいはデザイン分野で新しい取り組みを支援するということになりますと、やはりそのための機器の更新、あるいは施設の整備が必要でございます。西が丘は、できましたのがたしか四〇年代半ばでございまして、ほぼ私と同じということは、人間でいくと、そろそろかわった方がいいというような時期でございますので、そういう意味で、やはりソフト、ハード一体となった取り組みを行っていくと。
 それと同時に、首都大学、産業技術大学院とのそういった面でのノウハウの面の連携も図っていきながら取り組んでいきたいと思っております。
 そういう意味では、産業技術研究所の再編成といいますか、さらなる拡充のワンステップとして今回の独立行政法人化をとらえて、ハード、ソフト一体となって、充実強化にさらに取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

○清水委員 私からも、地方独立行政法人化に伴う地方独立行政法人評価委員会の設置について伺います。
 東京の産業、製造業は、工場数で全国の一割を占め、従業員の数は平均十名と、小規模になっているようです。ピーク時には十万社あったものが、今は六万社に減っています。先ほどのお話にもありましたように、厳しい中小企業にとって、世界の企業と競争するには、東京の製造業にとって、製品開発、技術力向上が求められています。これも資料請求をお願いしましたけれども、自社で試験研究機関を持っている企業はどのくらいありますかという資料請求を行いましたが、それはないということでした。多くの企業は、自社で試験研究機関を持っていないところが多いわけです。
 資料請求で出していただきましたこの各庁舎の実績を見ましても、来所企業は二万八百件余、相談件数は四万七千件余、工場実地指導件数は千四十件余、依頼試験は六万五千九百四十件余と、公設試験機関への要望は非常に高まっているわけです。
 私は、まず、この産業技術研究所を地方独立行政法人化することになったその理由についてお伺いいたします。

○中井商工部長 平成十五年十一月に策定された第二次都庁改革アクションプランにおいて、産業技術研究所のあり方について、地方独立行政法人など運営形態を含め、あり方を検討し、ふさわしい形態に移行するとの実施計画が示されました。この実施計画を踏まえ、産業技術研究所について、運営形態などそのあり方を検討した結果、日々変化する企業ニーズ、技術動向などに対応するには、地方独立行政法人が機動的かつ効率的であるとの結論に至ったものであります。

○清水委員 今ご答弁いただきました中に、運営形態も含めて検討したというご答弁がありました。ところで、組織はどのようにされたのか、それから、この検討組織は何回ぐらい開催してきたのかお伺いいたします。どのようなメンバーで構成して開催してきたのでしょうか。

○中井商工部長 産業技術研究所内に産業労働局商工部職員と産業技術研究所職員で構成する産業技術研究所新組織移行準備検討委員会を設け、平成十五年十二月から十六年九月にかけて八回開催してございます。

○清水委員 八回開催したというのならば、その組織の中でこの方向が決まっていったわけで、都民、産業技術研究所を利用している企業にとって、どういう議論が行われたのかということが明らかにされるべきだと思うんですけれども、一回から八回、この開催の報告書などは出ているのでしょうか。

○中井商工部長 当委員会におきましては、現在の産業技術研究所が抱える課題を抽出し、独立行政法人あるいは財団法人等、別の運営形態も含めて、変わった場合の改善効果等を検討してございます。八回にわたって検討いたしましたが、報告書という形では、外部に対して公表はしてございません。

○清水委員 でも、やはり大事な問題で、これは全国で初めて東京がするということで、全国も注目しているというか、経過を見守っていると思うんですけれども、審議会なんかは一回一回の審議記録を部会も含めていただくわけなんですけれども、この検討経過を明らかにする必要があると思うんですけれども、明らかにできないんですか。一回一回の報告をしていただきたいと思うんですけれども。

○中井商工部長 先ほども申し上げましたが、当委員会は、産業労働局商工部と産業技術研究所の内部の職員で構成する形の委員会でございまして、要は、現行の直営方式の課題、そして、新たな運営形態に移った場合にどのような改善効果が期待できるかというのを運営形態別に実務的に検討していったというものでございまして、そういう面では、公表をする性格のものではないというふうに考えております。

○清水委員 そちらは性格のものではないといわれるんだけれども、アクションプランであり方について運営形態を含め検討するというふうになってから二年後ですよね、二年たたないわけですけど、それでもう行政法人化するという結論が出て、今回出されたのは評価委員会の設置ということなわけですよね。その経過が何も都民に明らかになっていないじゃないですか。それは私は明らかにするべきだと思いますけど、もう一度答えてください。

○中井商工部長 本検討委員会で検討を始めた契機は、先ほども申し上げましたとおり、第二次都庁改革アクションプランの中で、産業技術研究所の今後のあり方について検討することという形で実施計画が出されましたので、それを受けて実務的な検討が始まったということでございます。そういう意味では、そのプロセスとして第二次都庁改革アクションプランが公表されているわけでございまして、その後、実務的な検討を経て、今回、独立行政法人化に向けての評価委員会の条例改正案を出しているということでございます。

○清水委員 アクションプランに書かれているのは、私はこれを解釈すると、そのあり方も含めてどうなのかということに読み取れるわけですよ。このアクションプランの内容を読むと。しかし、今のお話だと、アクションプランでは独立行政法人化になるんだと。この検討会では、都直営の問題点、課題、そして改善、独立行政法人化になった場合の効果ということを検討してきたというわけでしょう。今、お話にあったわけでしょう。そうなると、じゃ、実際これをやってどうなのというところが、その八回の中でどうやって検討されてきたのかということを明らかにできないんですか。まず明らかにしていただきたいんです。その報告をしていただきたい。報告書を出していただきたいんですけど。

○中井商工部長 検討委員会では、アクションプランを受けて、そのあり方を検討したわけでございますが、独立行政法人も一つの選択肢ということでございまして、現行形態と比較する中には、財団法人等も当然ございます。また、検討をする中では、中小企業に対するアンケート調査の結果、あるいは産業技術研究所には経営協議会が設けられておりまして、これは外部の学識経験者や産業界の有識者で構成するものでございますが、この経営協議会での産技研の業務運営に関する議論、意見などについても十分に踏まえて、検討会で検討を重ねてきたというところでございます。

○清水委員 それならばむしろ公表できるんじゃないですか。別に報告書を出せないわけが、理由がないんじゃないですか。

○菊地総務部長 今回ご提案させていただいております評価委員会につきまして、本来、論理的に筋から考えれば、最初に法人化についてご検討いただき、そして、法人化の仕掛けとして必要となる評価委員会というふうになるわけでございますが、たまたま地方独立行政法人法の趣旨または手続が、まず法人化のご提案をさせていただく段階で、地方自治体としてのそこに対する目標の設定等を事前に検討して、それを盛り込んだ形でご提案するというような、ちょっと逆転した構図になっております。これは、首都大学東京が地方独立行政法人になるときも全く同じことで、ご理解をいただきながら、先に評価委員会を出させていただいたということが一つございます。
 これをちょっと前提としてご理解いただいた上で、ただいま商工部長がご答弁申し上げましたのは、今回はあくまで内部の検討会ということで実務的に検討はさせていただいた。しかし、その検討の内容は、実質的に、おのおののこの比較相対の中で、より行政目的、また新しい時代に対応する産技研のあり方として何が必要なのかというのを、人事構成であるとか、予算の獲得、予算の使い方とか、各項目に応じてつくっております。
 今回、それを外部にきちっと公表するという形の報告書は事実つくっておりませんが、ただ、報告書という形ではなくて、内部的意思決定の過程の中では、そういう資料は当然ございますので、改めて法人化をする際、法人化のご提案を改めてさせていただくことになるわけですね。今回は、あくまで便宜的に評価委員会をぜひ事前につくらせていただきたいという実は付議内容でございますので、その辺のことを踏まえまして、今後、その論点をしっかりとした形で、こういう形でこの論点、この論点ということで検討いたしましたというような内容のご報告もさせていただきたいと思っております。

○清水委員 今のお話は、商工部長の方も含めてわかりましたけれども、幾ら内部検討であろうと、私は過程を明らかにしていただきたいということをまず要請したいと思います。
 その上で、私がなぜそういうことを今回いっているかというと、同じく各県では独立行政法人化に向けて取り組みをされているようなんですけれども、検討されているようなんですけれども、たまたま神奈川県の方に問い合わせたところ、神奈川県では自治総合研究センターというところで、試験研究所だけでなくて、独立行政法人化をどうするのかということを二年間にわたって検討したという報告を、これ概要をいただいたんですね。
 その中では、総務部、企画部、環境農政部、衛生部、商工労働部、教育庁など、今後かかわってくるであろう施設を持っているところの部局が集まって、それぞれ検討して、概要で十枚、これ多くて、十四年で、本文がないということで送っていただけなかったんですけれども、かなり厚いものだということで報告されているわけです。
 ここの中では、国の独立行政法人制度や総務省の研究会報告書にまとめられた地方独立行政法人制度を理解した上で、当然そうされているとは思いますけれども、国の実態を把握するため、国が行っている独立行政法人へヒアリング調査をしたり、県が導入した場合のメリットや課題を浮き彫りにするために、所属する県の試験研究機関などを題材に、制度導入による効果の経費の試算など、可能な限り具体的な検討を行ったということなんですね。
 それで、今回は制度導入の適否を安易に結論づけられないと。デメリットとして--今いわれたメリットもありますよ、デメリットとして、法人設立時の不動産鑑定評価料や設立後の会計監査報酬、役員報酬など、コストが増大することが明らかになったことから、本研究では制度導入の適否を安易に結論づけられないと。
 それはこの結論の一部なんですけれども、そういうふうな形で、内容はともかくとして、二年間ぐらいかかって検討しているんですよね。そういう形が、公立大学の問題も含めてですけれども、そういう検討の経過がないじゃないかということを申し上げながら、じゃ、検討したというんだったら、その報告ぐらい出せるでしょうということを私はお願いしたわけです。
 次に行きますけれども、なぜ危惧の声が上がっているのかということなんですけれども、地方独立行政法人法によると、業務運営の改善とか効率化という言葉が記載されているんですよね。それは当然ご承知のことだと思うんですけれども。先ほども指摘がありましたけれども、中小企業行政の後退を招くことがないというふうにいわれましたけれども、そういう危惧が関係者からあるということで、全体とはいいませんよ、中小企業の中にはいろいろあるわけなんですけれども、全体の中でそういう危惧があるということではどのようにお考えでしょうか。

○中井商工部長 先ほども申し上げましたが、地方独立行政法人制度は、必ずしも独立採算制を前提としているものではございません。設置者である知事が中期目標を設定し、それを法人に示して、法人がそれに基づいて中期計画を定める。また、各年度についても事業計画をつくっていくという形になります。それぞれの実績達成状況については、第三者の評価委員会が、その都度、分析、評価をするという形になっております。必要があれば、改善勧告ということもございます。これらは議会の方にも報告し、公表する形になってございますので、そういう意味では、目標管理とそのチェック体制が整備された制度ということがいえようかと思います。
 また、目標設定に当たっては、具体的な項目として法律で定められているわけでございますが、その中に、住民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項を設定するというふうになっておりますので、目標自体が、そういった住民サービスの向上を志向する形のものということになります。そういう面では、独立行政法人化することによって、むしろ、これまで以上に中小企業に対するサービスは向上していくものと考えております。

○清水委員 サービスの向上というならば、この産業技術研究所には、各四カ所に関係する議員がたくさんいて、この間も要望は十分に出していると思うんですよ。私たちも、施設公開などにも繰り返し出ていますし、先日も小竹議員が西が丘庁舎の方の施設公開にも伺っておりますし、ここはこうしてほしいとか、要望を企業からも聞いてきて要望しているし、そこの職員の方なんかからも聞いたりしてお伝えしているわけですよ。そんな第三者から要望を出してもらうことなく、この議会だって十分にこの研究所に対する要望などは出されていると思うんですよね。
 知事が目標を設定するということで、その目標の設定を、産業労働局がどういう目標を設定するかによりますけれども、第三者がそれを評価して住民サービスの向上に当てるなどということをしなくても、十分に住民サービス向上のために、これは、皆さん向上、向上といっているわけですから、そんなことはしなくていいよという意見というのは、今までだってほとんど出ていないわけですから、できるんじゃないかというふうに思うわけですね。
 それで、先ほど運営費交付金の話がされましたけれども、それが第三者評価委員会によって大きく縮小されていくのではないかという懸念があるわけですけれども、それはどうですか。

○中井商工部長 運営費交付金につきましては、これは渡しきりの経費ということでございまして、その使途については、特に内訳を定めることなく、独立法人の方の責任と判断で弾力的に使用が可能ということで、スピーディーで効率的、効果的な事業運営に資するものというふうに考えております。

○清水委員 独立行政法人化を国立大学に導入するときに、東京大学の佐々木毅さんという学長が、「私の視点」ということで新聞に掲載されていたんですけれども、四カ月後に迫った国立大学法人の発足時ということで書いているんですけれども、法案審議の過程で何度も政府側が答弁していたように、六年間の中期計画の達成度と改革の実績を評価し、それに応じて資源配分を変えていくというのが共通の了解だった。
 で、ずっとありまして、既に運営費交付金の一律削減計画が文部科学省と財務省との間で練られ、二〇〇五年度から実行に移されようとしている。これでは話があべこべだ。政府支出減らしの口実をつくるためだけに国立大学法人法をつくったと自白するようなものである。当然学長たちの間からは、話が違うと不信感が高まっている。法人化の過程にかかわってきた一人として、重い責任を感じるとともに、強い怒りを禁じ得ない。授業料などへの波及については即断できないが、やがてそれを押し上げる圧力がかかることは確実である。
 産学連携を含め、こうした知的資源の積極的活用が政府の施策であり、法人化もそれを後押しする手段であるというのが我々の見解だったが、現に政府が国立大学法人に行おうとしていることは、長年にわたって蓄積した知的資源をみずから破壊することのように見えるということで、予算削減では失速するというふうな懸念が出されているわけですね。こういうようなことから、運営費交付金の縮減、削減などが予想されているわけです。
 それで、私もこの委員会に当たって、八王子の商工会議所が発行している八王子市内の繊維産業関係者に全部郵送して、こういうことが都議会で議論されますけれども、どう考えられていますかというようなことを、お名前は紹介しませんから、ぜひ率直にお書きくださいということで、返信用のはがきをつけまして送らせていただきましたら、とりわけそういう方たちとは日ごろおつき合いが余りありませんけれども、いろいろな関心を持った意見が出されてきました。
 その中には、やはり依頼試験、開放試験などそういう手数料の徴収とか、それから、先ほどいわれた、古くなった、しかし当時としては大変高額な機械もあるわけで、それを実際に今でも利用されている方がいるんですよね。私、施設公開のときに、ちょうど市内の、東京都の伝統産業なんかにも指定されるような方たちがそこを利用されているというようなことで、そういう機械はどうなるのかというようなご意見をはがきでいただいてまいりました。
 そういう意味では、サービスが向上するといっても、運営費の縮小、削減の中では、何かを切らなければいけないということが予想されるわけですよね。そういう中で何が切られるのかということをいえば、昨年の経済・港湾委員会の予算の中では、国の繊維産業の切り下げの中で、東京都の支援も切られました。そういうことも意見で述べたわけですけれども、そういう危惧が実感としてあるわけですよ。だから私たちは、公立試験研究機関の東京都としての役割を今こそ発揮するときじゃないかということで、この問題で、評価委員会の設立はもちろん、独立行政法人化の問題も非常に拙速に行われているというふうにいわざるを得ません。
 以上です。

○田中委員 私は、産業労働局の皆様方に対して本日最後の発言予定者ということで、諸先輩方に倣いまして、ポイントを絞って的確な質問を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 東京都雇用・就業対策審議会の中間のまとめに関してお伺いをいたします。
 団塊の世代の方々の大量の退職者が出るいわゆる二〇〇七年問題、あるいはフリーター、ニートの増大、あるいは引き続き続いております少子高齢化社会の進行等々、人口構成の変化だとか、あるいは社会経済状況の変化がありますが、これら変化に対応するために、第八次の職業能力開発計画を策定するに当たりまして、今回出てまいりました雇用・就業対策審議会に諮問があり、その中間のまとめが出されたというところでございます。
 この開発計画を策定するに当たりまして、法律上、この審議会の意見を聞かなくてはいけないという規定がございますが、こういう規定があるからこのような審議会の意見を聞くということでは決してなく、どうぞここから出ました、今回はまだ中間のまとめでございますが、十二月には最終の答申が出るという運びでございますので、これら結果をしっかりと踏まえた上での開発計画を策定いただきたいのと同時に、これは五年間の計画ということでありますが、その後もいかなる社会情勢の変化があるかもしれません。そういった情勢も踏まえながら、計画をつくったらつくりっ放しということではなく、その時々の情勢変化にもしっかりと対応した開発計画につながり、それが都の施策の遂行につながるようなことを期待しながら質問を行っていきたいと思います。
 今回、中間のまとめが出されましたが、これまで大きな変化としましては、都の役割といたしましては、いわゆる公共職業訓練を実施するという役割から、今回は、私自身はこの名前には違和感を感じておりますが、プレイヤーとしての職業訓練中心の役割から、推進役としての役割を強化すべきというように中間のまとめで指摘をされております。今までの施策の流れが大きく変わるような方向での指摘がなされておりますが、このことに対する都の受けとめ方、どのように受けとめているのかをまずはお伺いいたします。

○松本雇用就業部長 今回の中間のまとめで指摘されております推進役とプレイヤーという指摘でございますけれども、こうした指摘は、時代の変化に対応して真摯に都民ニーズにこたえるべきものであり、そのためには、行政の従来の発想そのものを質的に転換する必要があるとの強い思いが込められているものと受けとめてございます。
 今後、年内に出されます答申も踏まえ、公共と民間が協力して職業能力を高めていく仕組みづくりを目指したいと考えております。

○田中委員 これまで東京都が担ってまいりましたいわゆる公共職業訓練に伴いまして、企業に対する人材の育成、輩出という役割を担ってまいりましたけれども、今ご答弁いただいたように、これからは民間の活力、民間の力もしっかりと活用しながら対応する方向に流れていくのかなと。また、そんな中で、プレイヤーとしてだけではなくて、推進役としての立場もしっかりと踏まえた今後の東京都の役割がそこにあるんだろうと思っております。
 ですので、そういった視点からいうと、これからは東京都と民間の方々との役割分担をしっかりと明確にしていく、そんな中でさらなる民間の力を発揮していただきながら、また、東京都の立場をしっかりと踏まえ、いわゆる人材育成につながるような方向性へ持っていっていただきたいと思いますが、その前に、まず現状の、このような変化が行われているわけですけれども、都内の民間教育訓練機関と技術専門校のそれぞれの利用状況について、官民の利用状況についてお聞かせいただきたいと思います。

○松本雇用就業部長 民間の教育訓練機関でございますけれども、都内の私立専修学校、各種学校の生徒数で申し上げますと二十一万五千人。これは、コンピューター関連の簿記、理美容あるいは調理、自動車整備等、さまざまな分野がございます。
 また、都内の大学、大学院の学生数は、国公立、私立合わせまして七十万三千人となっております。また、これ以外に資格の取得やスキルアップのための各種講座や企業に在籍する社員向けの教育訓練コース、あるいは業界団体が主催する会員向けセミナーなど、さまざまな教育講座が幅広く利用されてございます。
 一方、私どもの技術専門校でございますけれども、技術専門校において実施している公共職業訓練では、求職者向けで六千九百人、在職者向けで一万九千人となってございます。

○田中委員 今、状況をお聞かせいただきましたが、民間と公共、都の果たす役割、役割分担を果たす中でも、実はもう既に大きく、こういう数字の結果からも、民間の果たす役割の大きさというものが示されているのかなと、そんな受けとめ方をする一方で、また、プレイヤーとしての公共的な立場からの都の役割もその中には見出さなくてはいけないのかなと思っております。
 ただ、民間の方々、これだけの多くの方々が、いわゆる有料施設、有料化、お金を払ってまでもみずからがスキルアップをするために努力をしようとする流れの中で、公共訓練は現在は無料と伺っております。無料は無料の意味合いもあるのかもしれませんが、冒頭申し上げたように、私自身は、時代の流れ、社会の変化、そういったものが的確にこの開発計画の中に盛り込まれていく必要があるのかなと。いわゆる受益者負担の流れというものも、今のこの社会の流れ、大きな変化を反映していくものだと私は思いますので、その辺も踏まえながらの最終答申が今後まとめられ、それに基づいた能力開発計画が策定されるということでございますので、どうぞこの流れはしっかりと受けとめた上での計画立案、それに基づいた施策の遂行を行っていただきたいと思っております。
 最後に、今までの議論も踏まえながら、今後の雇用就業対策の推進について、産業労働局長のご決意をお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○成田産業労働局長 産業労働局、いろいろな仕事がございますが、今回の東京における人づくり、これは、先ほどいろいろございましたものづくりと並ぶ、東京に活力をもたらすという意味では非常に重要なテーマである、そのように認識しております。
 年内に審議会から答申が出されますけれども、それを踏まえまして、公共と民間とが力を合わせて人づくりを行う社会を目指しまして、従来のプレイヤー役に加えまして、コーディネート役、推進役といいますか、それを積極的に果たすなど、新しい時代にふさわしい施策の構築に向けて積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 また、先ほどのお話の若年者の問題、これは、今回の本会議でも多くの会派から出された問題でございます。フリーター、ニート等といわれておりますけれども、これはひとり雇用就業問題にとどまらず、今日の日本を襲っております少子化問題等々ともかかわる非常に大切な、そういう意味では社会問題なのかなと思っております。そういう意味では、産業労働局だけではなくて、都の各局を挙げた取り組みを行っていかなければいけないのかなと思っております。
 また、先ほどの、新しい、今の民間との役割分担の中での受益者負担の問題等々、この答申の中で出された問題につきまして、産業労働局といたしまして正面から受けとめて議論し、その積極的な施策化を図ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

○清水委員 意見だけ述べさせていただきます。雇用・就業審議会中間まとめの意見を述べさせていただきます。
 今回の雇用・就業対策審議会中間まとめは、公共職業訓練のあり方について、自治体は関係者のコーディネーターをやる、公共職業訓練については、高齢者、障害者、失業者など対象を限定するという方向性を打ち出しました。また、具体的な問題として、公共職業訓練の授業料有料化も打ち出しました。
 これまで、職業に必要な労働者の能力を開発し、向上させることを促進することは、職業の安定と労働者の地位向上、ひいては経済社会の発展につながる位置づけのもとに行われてきました。公共職業訓練については、職業能力開発促進法に基づき、国や自治体、独立行政法人雇用・能力開発機構の施設で全国的に行われています。
 特に雇用を取り巻く現状は大変深刻で、企業間競争の激化するもとで、各企業で労働者や下請中小企業を犠牲にしたリストラが横行し、雇用形態も不安定な非正社員化が増加しています。そういうもとで、労働者の地位安定と向上は緊急の課題となっています。
 今、職業能力開発の関連で求められる施策は、大企業の職業能力開発に対する社会的責任を求め、中小企業の支援を強化することです。失業の長期化のもとで、公共職業訓練への要求の高まりにこたえることのできない現状を早急に改善すること、そして、ニートやフリーター支援を公共職業訓練機関が積極的に具体化することです。技術専門校の統廃合や訓練の民間委託をやめ、施設や機器の整備、科目等の充実を図ることです。
 そういう意味で、最初に申し上げましたように、高齢者や障害者、失業者などに限定するという問題や、公共職業訓練の有料化という問題はとるべきではないということを意見として申し上げておきます。
 以上です。

○大塚委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大塚委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね五分程度休憩いたします。
   午後四時五十六分休憩

   午後五時二分開議

○大塚委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより港湾局関係に入ります。
 付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百八十三号議案、第百八十四号議案及び第百八十六号議案並びに報告事項、東京港第七次改訂港湾計画の策定へ向けて外一件を一括議題といたします。
 追加提出されました第百八十六号議案及び過日の委員会で要求のありました資料について理事者の説明を求めます。

○津島港湾局長 平成十七年第三回東京都議会定例会に提出させていただきました当局所管の案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、条例案をごらんください。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、今回提出させていただきました案件は、東京都海上公園条例の一部を改正する条例一件でございます。
 これは、海上公園及び公園施設を区へ移管することに伴う、公園等の名称を削除するもの等でございます。
 一ページ、二ページに条例案を記載してございます。後ほどごらんいただきたいと存じます。
 また、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。
 よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

○斉藤総務部長 ただいまの局長の概要説明に続きまして、本定例会に提出してございます案件をご説明申し上げます。
 お手元の資料2、条例案の概要をごらん願います。
 表紙の次のページの目次をお開き願います。東京都海上公園条例の一部を改正する条例一件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをごらん願います。本条例案は、過日の当委員会でご報告申し上げました海上公園計画の変更にかかわるものでございます。
 改正の概要でございますが、まず、利用者が主に近隣居住者等である海上公園につきまして、利用者サービス向上の観点から、住民に身近な区が管理するという方針に基づき、海上公園及び公園施設を区に移管するため、東京都立東雲南緑道公園及び東京都立若洲海浜公園キャンプ場等の名称を削除するものでございます。
 次に、施設の効率的、効果的な管理運営を行い、より一層の利用者サービス向上を図る観点から、海上公園を客船ターミナル施設の一部に変更するため、東京都立竹芝ふ頭公園の名称を削除するものでございます。
 施行日は、平成十八年四月一日を予定してございます。
 引き続きまして、九月十六日開催の当委員会においてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料3、経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり十項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、臨海関係第三セクターの経営状況でございます。
 臨海関係の第三セクター三社の平成八年度から十六年度までの営業損益、当期損益、累積損益の決算額を億円単位でお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 二ページをお開き願います。2、臨海関係第三セクタービルに対する東京都による支援状況でございます。
 まず1で各社に対する支援の考え方を、2の表で支援の方法をお示ししてございます。詳細はごらん願います。
 三ページをお開き願います。3、臨海関係第三セクターに係る金融機関業態別融資残高でございます。
 臨海関係第三セクター三社の過去三年の融資残高につきまして、金融機関の業態別に億円単位でお示ししてございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 四ページをお開き願います。4、臨海関係第三セクターの入居率の推移でございます。
 平成十年度から十六年度末のビルごとの入居率をお示ししてございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 五ページをお開き願います。5、臨海関係第三セクタービル入居テナントの概要でございます。
 平成十七年八月三十一日時点のビルごとの主なテナントをお示ししてございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 六ページをお開き願います。6、都関係施設の臨海関係第三セクタービルの入居状況でございます。
 入居機関ごとの面積、賃料、入居割合、ビル名をお示ししてございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 七ページをお開き願います。7、港湾局所管監理団体等の役員数等でございます。
 監理団体ごとの常勤役員数、非常勤役員数、報酬額をお示ししてございます。なお、役員数につきましては、都派遣、都OBを内数でお示ししてございます。ごらん願いたいと存じます。
 八ページをお開き願います。8、東京港の取扱貨物量推移でございます。
 平成七年から十六年までの十年間におきます東京港の貨物量を内貿と外貿に分け、外貿はコンテナとコンテナ以外に分けて、出貨と入貨別に千トン単位でまとめたものでございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 九ページをお開き願います。9、主要港の外貿コンテナ取扱個数の推移でございます。
 平成七年から十六年までの十年間の国内主要五港における外貿コンテナの取扱個数を二十フィートコンテナに換算してまとめたものでございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 一〇ページをお開き願います。10、東京港の主な港湾施設の耐震調査の結果と対応状況でございます。
 阪神・淡路大震災を受けて実施いたしました耐震調査の結果と平成十七年九月一日時点の対応状況を施設ごとにお示ししたものでございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大塚委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松原委員 私は、二点、債権放棄と七次改訂港湾計画についてご質問をさせていただきます。
 最初に、債権放棄についてご質問をさせていただきたいと思います。
 今回の債権放棄の理由としまして、先ほど産業労働局の方でもいろいろ審議されたわけですが、二社の営業継続が臨海副都心の安定的発展に寄与すると議案には記されております。
 振り返ってみますと、そもそも臨海副都心開発というのは、東京の活力を担い、新しいまちを創造するという大きな開発目的を持って、これまで議会と理事者側が連携し、協力し合って、まさに都を挙げて進めてきた事業でもあるというふうに認識しております。
 ここで私は、私自身の見解ですが、今までの経済の歩みというのは、特にバブルがはじけてから、平成二年、それから今日十七年ですから十五年間、よく失われた十年といわれますけれども、バブルがはじけて、特に金融面が最初に直撃を受けまして、それから会社の方が受けてきて、それからそれに伴う公共団体が受けてきた。こういう形の中で、金融面の方が不良債権の処理がほぼ終わってきている、それから経済においてもある程度の立ち直りを見せてきている。ところが、行政側を中心とします、そういうところが一番おくれてきているというふうに私は認識をしております。
 そういう中で、さきに行われた衆議院の選挙の中ではまさに郵政民営化ということが中心になりましたけれども、私見的にいうならば、それも一つの一連の中の、これからの政治が、経済関係というものからおくれて直していかなきゃならない、そういうものだというふうに認識しております。
 そこで特に、会社の方が立ち直りをやるのにまず最初にやっていることは、自分たちの事業の見直しであります。そして同時に、膨大に抱えた人員の整理でございます。そして大きく三つに分かれると思うんですが、三つ目は、やはり何といってもぜい肉落としだと思うんですね。ぜい肉というと大変言葉が悪いんですけれども、いわゆる会社が抱えている関連会社あるいは子会社、そしてまた社宅等を初めとするその会社にとってどうしても落としていかなきゃならないもの、そういったものを全部民間は血のにじむような苦労をして、一流企業を初めとする大企業は特に立ち直っておりますけれども、大変な努力をしてやってきたと私は思うんです。
 そういった意味でいえば、私は、東京都庁というのは本当に大きな自治体ですから、これは大企業に例えても決しておかしくないと思いますし、そういった意味で、今回のこの二社の問題、不良債権が不幸にして出ました。しかし、これは一日も早く私は直してやって、立ち直るためにはやはり早くやるべきだというふうな見地から、この辺の質問を進めていきたいと思っております。そういったことでは、我が党としても、全庁的な視野に立って、このたびこのような形にしたことについては適切なものとして考えているものであります。
 そこで、さきの産業労働局の説明では、平成十二年から東京ファッションタウンとタイム二十四の二社のビルの底地の賃料の延納部分約三十八億円のうち、約三十五億円についての債権放棄と、当該土地と株式会社東京ビッグサイト所有の土地とを交換するものと聞いておりますが、まず債権の放棄について伺いたいんですが、債権者として港湾局は、今回の二社の民事再生法に基づく見直しに対しどのような判断で再生計画に臨むのか伺いたいと思います。
 また、この再生計画が臨海地域開発事業会計にはどのような影響があるのか、お尋ねしたいと思います。

○鈴木臨海開発部長 そもそも二社は、平成十二年に再建策を策定いたしまして、当時の東京国際貿易センターと実質的に統合いたしまして、また取引銀行からの金利減免等の措置及び内部努力を実施することとしておりました。
 当局としましては、この二社に対し債権者の立場となりますが、再建策の一環として土地賃料の延納を認めることで二社が事業を継続することが可能となり、臨海副都心の開発の安定的な発展に大きく寄与するものと判断し、賃料の延納を認めた経緯がございます。
 今回の民事再生法に基づく見直しにつきましても、当時の判断と同様に、二社の事業継続が臨海副都心の開発に大きく寄与するものとの考え方から、再生計画を支援していくことといたしました。
 今回の再生計画における約三十五億円の債権放棄は、いわば延納状態が放棄に転換したわけで、未納額が拡大したわけではございません。したがいまして、臨海地域開発事業会計の資金収支に直ちに支障を来すものではなく、土地の交換につきましても等価交換でございますので、資産上の影響はないものと考えております。

○松原委員 なるほど、ただいまの説明によりますと、二社は産業労働局所管の三セクとしてそれぞれファッション産業や情報産業の振興という役割を担っておりまして、そのことがひいては臨海副都心の安定的な発展には欠かせないという判断から、港湾局としても今回の見直しに応じるということはよくわかりました。
 次に、産業労働局所管の三セクの民事再生法に基づく見直しに伴う土地の交換について、港湾局が所有することとなる晴海の土地について伺いますが、この晴海地区の土地の開発はどのように進んでいるのか、お尋ねしたいと思います。

○鈴木臨海開発部長 晴海地区は、豊洲・晴海開発整備計画にのっとりまして開発整備を進めている地区でございます。この計画に沿って一丁目のトリトンが既に完成をし、二丁目では昨年二月に区画整理事業が立ち上がりまして、三丁目も西側地区で市街地再開発事業が予定されております。さらに、四丁目と五丁目の一部で大街区方式の区画整理事業が予定されており、今年度内に事業認可を受ける見込みで、同事業区域内の環状二号線と補助三一四号線が平成十八年度から二十一年度にかけて整備が予定されている状況でございます。
 このように、晴海地区は、幹線道路の整備等の開発の諸条件も整ってきており、開発機運が高まっている状況にございます。

○松原委員 ただいまの説明で晴海地区の開発動向はわかりましたけれども、交換地は随分と晴海地区の先方の方にあります。この開発機運にうまく乗ればいいんですが、この五丁目の土地は約三・三ヘクタールもの大きな土地であります。高潮対策上、地盤をかさ上げして対応すると聞いておりますけれども、幹線道路が整備されれば、この地域の開発に一層拍車がかかることは間違いないと思います。しかし、この土地を今後どのように開発し、処分していくのか、同時に、晴海地区のまちづくりに寄与できるよう開発していくことが必要ではないかと思います。
 そこで、この土地の今後の利用や土地処分に向けた取り組みについてお伺いいたしたいと思います。

○鈴木臨海開発部長 現在、この交換用地は、豊洲・晴海開発整備計画では住宅を中心とした土地利用計画になっております。現時点では、周辺の開発状況を勘案しつつ、現行の土地利用計画を基本に開発を進めていく考えでございます。
 今後、この地区の開発ポテンシャルの向上を広くPRいたしまして、晴海地区にふさわしい具体的な開発に向けた誘致活動を展開してまいります。

○松原委員 取得した土地をどうしていくのかはよくわかりました。ぜひとも、せっかく取得した土地でありますので、晴海の全体の発展に役立つようによくよく検討して開発や処分をしてほしいというふうに思います。
 次に、臨海三セクについて質問しますが、産労三セクの民事再生法の申請があったことによりまして、次は、東京テレポートセンターなど臨海三セク三社はどうするのかといった議論があります。しかし、もうけ中心の民間企業がやりさえすれば何でもうまくいくというものだろうか、私はそうは思いません。職、住、学、遊の機能が複合した魅力あるまちというコンセプトのもとに東京都が責任を持ってまちづくりを進めていくには、三セクが大切であります。臨海副都心開発をどう着実に進めていくのか、そのために必要な今できる措置は何なのか、そうした視点から判断しないといけないと思います。
 そこでお尋ねしますが、臨海三セク三社は単なるビル事業会社であり、臨海副都心開発の中でその役割はなくなったとする意見もありますけれども、この辺について港湾局の考え方をお伺いしたいと思います。

○岡田団体調整担当部長 東京テレポートセンターなど臨海三セクは、臨海開発の先導的役割や業務・商業の拠点形成の目的を持って設立されたものでございます。
 例えば昭和シェル、UCカード、NTT東日本などの世界的企業もそのテナントとして入居してございまして、臨海地区における業務集積のメリットやビジネスチャンスを提供するとともに、まちのにぎわいに貢献してございます。現在においても重要な役割を果たしてございます。

○松原委員 役割としては依然として重要であるという説明がありました。
 産労三セクでは、現在の経営改善策では立て直しが困難との判断があったと聞きますが、臨海三セクの経営状況はどうなっているのか、また経営実態を踏まえどのように対処していくのか、お尋ねいたします。

○岡田団体調整担当部長 臨海三セクにつきましては、平成十年度に、会社の徹底した内部努力を前提に都と金融機関が支援を行うという経営安定化策を策定いたしました。計画六年目の平成十六年度決算においては、営業利益は三十九億円となり、六年連続で黒字を計上するなど、経営安定化策は一定の成果を上げてきてございます。ただし、入居率の面で苦戦しているテナントビルもあり、入居率の向上を目指し積極的な営業を展開しているところでございます。
 今後とも、臨海副都心開発を発展、継続させるという観点のもと、引き続き多様な集積の拠点形成に努めていくとともに、なお一層の経営改善を図っていく必要があると認識してございます。

○松原委員 今説明がありましたとおり、経営安定化策の着実な実施によりまして、三千億円を上回る借入金という設立当初からの重荷を抱えながらも経営改善を進めてきた、その努力は認めるところであります。しかし、依然として利払い後の経常損益は赤字でありまして、債務超過状態にあることも事実であります。これまでの成果に安住することなく、厳しい経営環境を十分に認識して、一層の経営努力、改善に努めることを要請して、私は次の質問に移りたいと思います。
 東京港の第七次改訂港湾計画について質問いたします。
 先般、東京都第七次改訂港湾計画の中間報告がなされたところでありますが、我が党としましては、代表質問で国際物流機能の強化や港湾の景観などについて局の見解を伺いました。そこで、この計画の位置づけや計画の具体的内容についてさらに議論を深めてまいりたいと思います。
 まず初めに、基本的な点についてお伺いしたいんですが、今回、改訂計画に取り組んだ背景と東京港の目指すべき方向についてお伺いいたします。

○田中港湾整備部長 今回の改訂計画の背景でございますが、東京港では、平成九年に策定いたしました第六次計画に基づき整備を進めてまいりましたが、ここ数年、東京港を取り巻く社会経済情勢は大きく変化してきました。例えば物流では、中国を初めとするアジア経済の発展により、アジア地域との輸出入貨物がこれまでの予想を大きく超えて増加しており、その対応が急務となってきました。
 また、運河ルネッサンスなど水辺を生かした交流空間の創出や、地球温暖化などの環境問題への対応、さらには大規模地震への対応など、首都東京の港湾として新たな課題への対応が求められてまいりました。
 次に、こうした情勢の変化を背景として、これからの東京港の目指すべき方向でございますが、今回の計画では、首都圏四千万人の生活と産業を支える東京港の国際競争力を強化すること、また、物流を中心に交流、環境、安全の四つの機能が融合した魅力あるみなとづくりを実現すること、この二つを計画の方針に位置づけております。

○松原委員 物流機能を主眼にしつつ総合的な機能を有した東京港を目指していくとのことで、今後の東京港の役割がさらに期待されるところであります。
 ここで、基本的な役割であります物流機能について質問いたしますが、東京港のコンテナ貨物量は、平成十六年に三百三十六万個と我が国では唯一、三百万個を超える取り扱いをしているわけですが、今回の中間報告では、十年後の取扱量を四百六十万個、つまり現在の一・四倍に増加すると予測しています。
 そこで、都では、この貨物需要をどのような考え方で予測し、また、現在の取り扱いとのギャップにどう対応していくのか、具体的にお伺いしたいと思います。

○田中港湾整備部長 まず、貨物需要の予測の考え方でございますが、衣類や電化製品など、アジアでの現地生産の進展に伴い、主要部品の輸出やでき上がった製品の輸入が一層増加する傾向にあります。こうした動向を踏まえ、首都圏総生産額などの経済指標をもとに品目別に将来予測を行い、十年後のコンテナ貨物量を四百六十万個といたしました。現在の取扱量は三百三十六万個でありますので、予測値とのギャップは約百二十万個となります。
 このため、まず、現在あるコンテナふ頭のより一層の効率的運用を図るなど、既存ストックを最大限に活用してまいります。しかし、それだけでは将来の需要に対応できないため、このたび新たなコンテナふ頭を整備していくこととしております。
 こうしたハード施策とともに、IT化の推進、施設の共同利用などさまざまなソフト施策もあわせて講じることにより、東京港の国際競争力を強化してまいります。

○松原委員 既存ストックを最大限に活用して新たなコンテナふ頭を整備していくということなので、戦略的な道筋が大変明確になりまして、私としては大変大きく評価するものであります。
 私も東京港をたびたび視察しています。既存ふ頭の有効活用には特に関心を持っている人間の一人でありますが、ふ頭背後のコンテナ関連用地が不足しております。私の地元大田区の大井ふ頭周辺でも、交通渋滞が大変激しくなっております。
 そこで、既存の大井ふ頭、青海ふ頭の活用策と、ふ頭の背後機能の充実策についてどのような計画を持っているのか、具体的にお伺いしたいと思います。

○田中港湾整備部長 既存の大井ふ頭、青海ふ頭の活用策でございますが、ふ頭機能を拡充し、効率的な運営を一層促進するため、隣接地を新たにふ頭用地に含め、ふ頭面積を約二割拡張してまいります。
 また、東京港では、貨物を保管する倉庫やコンテナ置き場などの用地が不足しており、また、これによる交通渋滞も一部で発生しております。
 こうした課題に対応するため、大井ふ頭その一、その二の間の水域を新たに土地造成いたしまして、コンテナ関連用地として利用してまいります。これにより、現在暫定的に城南島周辺などに点在しておりますコンテナ置き場などを集約いたしまして、交通の安全性の確保や利用効率の向上を図ってまいります。

○松原委員 ただいまの説明で、背後のコンテナ関連用地も充実していくということで、現在の城南島や京浜島など周辺の交通渋滞の緩和にもつながっていくと思いますので、大変私としてはありがたいというふうに思っています。早期に対策を進めることを強く要望したいと思います。
 先ほど、もう一つの施策として、新たなコンテナふ頭を計画するとのことでありますが、都ではどのようなコンテナふ頭を新たに計画しているのか、具体的にお尋ねしたいと思います。

○田中港湾整備部長 今回の計画では、中央防波堤外側地区と新海面処分場に新たなコンテナふ頭を計画しました。具体的には、増大するアジア貨物に早急に対応していくため、水深十一メートルのふ頭を一バース、また欧米航路などの大型コンテナ船に対応した水深十五から十六メートルの大水深ふ頭を三バース計画しております。
 また、ふ頭背後には、羽田空港の再拡張に伴い、今後航空貨物も増加していくことを視野に入れまして、高機能物流拠点を位置づけるなど大規模なコンテナ関連用地を確保してまいります。
 これによりまして、既存の大井、青海ふ頭にこの新しいふ頭を加え、東京港のコンテナターミナルを三大拠点体制としてまいります。

○松原委員 聞くところによりますと、中国や韓国においては、国家的なプロジェクトとして大規模なコンテナふ頭が現在も建設中であります。東京港も増加する貨物に緊急に対応していかなければ、世界の基幹航路の寄港地から外れることになりかねません。そのためにも、ただいま答弁のありましたように、新たなコンテナふ頭の整備は一日も早く取り組んでほしい、そういう課題であると思います。
 また、航空貨物も視野に置いた高機能な倉庫の立地は、まさに陸海空の結節点である東京臨海部にふさわしい機能であると私も考えます。
 そこで、次に、羽田空港の再拡張に伴う東京港の機能と安全の確保について伺いますが、羽田空港の南東沖に新たな滑走路が建設されることになっています。それに伴い、現在の第一航路が移設されることとなります。第一航路は東京港のメーン航路であり、大型船など船舶の往来も大変激しいため、機能と安全性を両立するには船舶の運航に関係する各方面との調整が極めて重要であると考えます。
 そこで、今回の第一航路の移設に伴いましてどのような船舶航行策を講じたのか、お尋ねしたいと思います。

○滝野計画調整担当部長 新滑走路整備に伴います第一航路の移設につきましては、まず、現在の東京港の機能が損なわれないこと、そして今後のコンテナ船の大型化に対応できること、これを前提に検討いたしました。その結果、大型コンテナ船を含めましてすべての船舶が対面航行可能となるように、航路幅員を拡幅することといたしました。検討に際しましては、船会社、水先人などの海事関係者や海上保安庁などの行政機関から成る船舶航行安全の検討委員会を設置いたしまして、操船シミュレーター実験なども行い、将来における船舶航行面の機能性と安全性を検証いたしました。
 これらの検討、調整を踏まえまして、東京港に入出港する船舶に対して、機能性の確保、安全性の確保に万全を期すよう計画をいたしました。

○松原委員 船舶の航行対策についてはいろいろと検討されているようですが、ぜひとも細心の注意を払って、これは事故にもつながっていきますので、計画していただきたいと思います。
 次に、このたびの港湾計画の柱の一つとなっております環境について質問したいと思います。
 東京港には、これまで数多くの海上公園が整備されてきておりますが、都民を含め多くの人々のこれは潤いの場となっております。また、中央防波堤内側には、区部最大級の公園となる海の森が整備されるなど、三十年間かけてやるということですが、その機能は一層充実されることとなっております。
 そこで、今回の改訂計画では、緑地や水辺の生物の生息環境の創出をどのように計画したのか、お伺いいたしたいと思います。

○田中港湾整備部長 まず、緑地につきましては、今回の計画では、海上公園の整備目標を現状の七百八十ヘクタールから九百八十ヘクタールに増大いたしました。
 具体的には、既に計画されております海の森とともに、新たに城南島海浜公園や春海橋公園の拡張を計画に盛り込みました。これにより、海の森を中心とした東京港の水と緑のネットワークを拡充してまいります。
 次に、水辺の生物の生息環境の創出につきましては、今回の計画では、中央防波堤地区の東側や、辰巳の森海浜公園に面した水域に新たにいそ浜や砂浜を計画しました。これにより、羽田沖の浅場や葛西沖の海浜などと連携した生物生息環境のネットワーク化を図ってまいります。

○松原委員 東京港というのは、レインボーブリッジのあたりを自動車で走っていきますと、大変かけがえのない水辺空間だなと、世界の都市に負けないロケーションをなしているなというふうに私は思っております。海上公園は、区民にとっても大変有効な公園でもあります。私の地元、城南島海浜公園でも拡張計画があるとのことなので、こうした環境整備にもぜひ積極的に今後とも進めていってほしいと思います。
 さて、こうした大きな計画を立てる際には、都民や利用者の声を反映することが大切であります。今回は改訂港湾計画の中間報告とのことでありますが、今後、この計画の最終取りまとめを行い、種々の手続を進めていくと伺っております。
 そこで、都民の声などさまざまな意見をどのように反映していくのか、また、今後の港湾計画の策定に向けた具体的なスケジュールについてお尋ねしたいと思います。

○田中港湾整備部長 港湾計画に都民意見をどのように反映していくかということでございますが、中間報告につきましては、現在、パブリックコメントを実施しているところでございます。都民を初め各方面の方々からご意見をいただくこととしております。
 具体的には、「広報東京都」などにより、今回の中間報告について都民にお知らせいたしますとともに、ホームページへの掲載やパンフレットの配布なども行っているところでございます。
 また、地元区や船会社などの港湾関係者にも中間報告を説明し、意見をいただくこととしております。
 次に、今後のスケジュールでございますが、本計画は、今後、パブリックコメントでいただきましたご意見を踏まえ、地元区や関係機関との調整を経て最終的な計画案を取りまとめ、十二月の東京都港湾審議会に諮問する予定でございます。
 その後、国の交通政策審議会での審議を経て、年度末には公示する予定となっております。

○松原委員 都民や地元区の意見を積極的にぜひとも取り入れてくださるよう、私からも要望していきたいと思います。
 これまで中間報告についてさまざまな点から質問してきましたが、これらの施策を港湾計画にしっかりと位置づけて積極的な取り組みを進めることを強く要望します。
 そこで、この計画の実現に向けて、新銀行東京からこちらの方へ戻ってきたというのはあれですが、港湾局長として、津島局長の決意をお伺いしたいと思います。

○津島港湾局長 海外との輸出入貨物のほとんどを港湾に依存する我が国にとりまして、東京港は首都圏物流の生命線であると考えております。同時に、東京港は、人々の交流や自然環境の保全、大規模地震や高潮から都民を守るなど、首都東京の都市機能を維持する上で多くの重要な役割を果たしております。先ほど先生のお話がありましたけれども、ようやくバブル崩壊後の経済低迷から抜け出しまして経済再生の機運が高まる中、ちょうどこれから十年先の目標となります東京港の港湾計画は、首都東京の再生を進める上でも極めて重要な計画であると考えております。
 この港湾計画を実現するためには、広く首都圏を視野に置きまして、さまざまな企業、団体等と連携し、官民一体となって、ハード、ソフト両面にわたる実効的な施策を全力で取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岡崎委員 私も債権放棄に関連してお伺いしたいと思うんですが、私の考えていた質問と重複するところもありますので、なるべく簡潔にさせていただきたいと思います。
 破綻した二社は臨海開発のいわゆる進出企業であり、港湾局は二社がビル建設をする以前から経営審査などを行ってきています。しかも、特に東京ファッションタウンに対しては、公募時の提案であったアトリエつき住宅の見直しなどの要求にも応じてきました。
 この債権放棄で臨海会計にどのような影響を与えるのか、今後、東京ファッションタウンとタイム二十四から本来入るべき地代収入も得られなくなるわけだが、臨海会計の収支均衡年次である平成三十一年までに想定していた地代収入はどの程度か、また今回の債権放棄額と合わせると、臨海会計への影響は幾らになるのか、お伺いいたします。

○鈴木臨海開発部長 年間賃料が二社合計で約十四億円でございまして、仮に賃料不払いがなく、平成三十一年度の収支均衡までということで仮定いたしますれば、十四年間となりますため、土地賃貸料としては単純に二百億円と試算ができます。
 しかしながら、この事例は、土地交換によりまして収入構造が変化したものととらえるべきものでございまして、そのまま減収につながるととらえるべきものではございません。つまり、臨海地域開発事業会計としては、現状の延納状態を継続することよりも、新たに晴海の土地を取得することの方が会計上有益と判断したものでございます。二社に関する収入という単純な一面では確かに歳入の減少はございますが、晴海の土地を今後有効に活用することによる新たな歳入を見込めることも事実でございます。
 約三十五億円の債権放棄につきましては、臨海地域開発事業会計に直ちに資金収支上の影響を及ぼすものとは考えておりません。土地交換につきましては、等価交換であり、土地の評価額に差額が生じた場合は現金により調整をするため、資産上も同等と考えております。
 当局の所有となりました晴海の土地につきましては、今後の開発によりまして高いポテンシャルを持った土地であり、今後の臨海地域開発事業会計の運営に大きな変更をもたらすものではないと考えております。

○岡崎委員 大分まとめて答えていただいたんですが、債権放棄の三十五億円と合わせて約二百数十億円を優に超える金額になるわけですが、この臨海会計の再建スキームによってビッグサイトの所有する、おっしゃるとおり晴海五丁目の土地と臨海副都心地域の土地と等価交換をするということになるわけですが、臨海会計としては、ビッグサイトの土地を得ることでどのようなメリットがあると考えているのか、特に長期収支上どのようなメリットがあるのか、お伺いしたいと思います。

○鈴木臨海開発部長 先ほども申し上げましたが、晴海地区は、豊洲・晴海開発整備計画に基づきまして一丁目の開発が既に完了し、さらに二丁目の土地区画整理事業が進められており、三丁目の西側地区では市街地再開発事業が予定され、四丁目と五丁目の一部に大街区方式による区画整理事業が今年度内を目途に事業認可をとる見込みでございます。さらに幹線道路では、来年に晴海通りの延伸が開通するほか、平成十八年度から二十一年度にかけまして、大街区内区画整理事業区域内の環状二号線、補助三一四号線の整備が予定されております。
 このように開発機運や開発のための諸条件が整いつつありまして、当該地は一層開発のポテンシャルが高まり、土地価格の増加が見込まれます。したがって、この土地の開発を進めることにより、会計上も利益を受け、交換によるメリットはほぼ同等と判断しております。

○岡崎委員 そうすると、交換によるメリットはほぼ同等ということですけれども、晴海五丁目の用地はいつごろ売却する予定なのか、今後のスケジュールについて、ではお伺いいたします。

○鈴木臨海開発部長 この土地に隣接いたしまして、大街区方式の区画整理事業区域内で、先ほど申しましたとおり、環状二号線と補助三一四号線の整備が予定されております。開発の条件が整い次第、速やかに土地処分に向けて対応してまいる考えでございます。

○岡崎委員 開発の条件が整い次第、速やかに対応していくということのようでありますが、補助三一四号線の完成予定は平成二十一年で、環状二号線は平成二十七年ですね。しかも、環状二号線は、構造を地上方式に見直したことで、地元中央区が猛反発をしている状況であります。等価交換といえども、商業地と住宅地との交換ですから、今後さらに、区画整理事業による減歩や環状二号線の整備のおくれなども懸念されるわけであります。
 その一方で、臨海会計は、債権放棄と地代収入とで二百億円をはるかに超える額が収入できなくなり、臨海会計は、債権放棄を初め将来的な地代収入が見込めなくなるとともに、平成十三年の長期収支の試算以降、臨海高速鉄道の全線開通がそれほど地代収入に影響を与えていないことや、昨今の地価動向など社会経済状況を踏まえて、改めて長期収支について試算すべきではないかと考えるのですけれども、見解をお伺いいたします。

○鈴木臨海開発部長 先生の方からいわゆる工事工程上の指摘がございましたが、ビッグサイトが所有しておりまして私どもと交換する予定の地域につきましては、平成十八年度から二十一年度にかけて、環状二号線については、同様に補助三一四号線と、いわば区画で囲うような形で整備工事が入ってまいります。したがって、この整備工事の条件を踏まえまして、早急に土地処分をしていくという考えが私どもの今の立場でございます。
 また、当該地は、豊洲・晴海開発整備計画上の土地利用で住宅地や学校等の用地でございます。現時点では、周辺の開発状況を勘案しつつ、現行の土地利用計画を基本に開発を進めていきたいというふうに考えてございます。
 なお、長期収支の見直しのお尋ねでございますが、私どもは、平成十三年度に策定いたしました財政基盤強化プランに基づきまして平成三十一年度の収支均衡を目指し、今後も着実に土地の処分を進めてまいります。土地の価値につきましては同等と考えております。したがって、現時点において、臨海地域開発事業会計の運営に支障はないものと考えておりますし、長期収支自体を直ちに見直すことは、現在のところ考えておりません。

○岡崎委員 そうすると、先ほど冒頭にも申し上げましたけれども、この破綻した二社というのは、いわゆる進出企業である、経営審査も行って、さらにある程度の見直しの要求にも応じてきている。
 さらに、先ほどもご答弁がありましたけれども、実にバブルが崩壊して十年ぐらいたった平成十二年に経営の見直しを一度行って、この当時は、地代の増加は確かに見込んではいなかったようでありますが、何と東京ファッションタウンは平成十二年から十五年の間に三年間で営業収入三五%の増と見込んでいたり、あるいはタイム二十四は同様に六〇%の増を見込む。三五%とか六〇%の営業の増を見込んだ上に、さらに港湾局の方で、先ほどもお話があったように土地賃貸料の延納を認めながら、これは何とかなるんじゃないかという非常に明るい見通しがあった。
 しかし、先ほどのご答弁では、そのときと同様な判断をして今回の再建策に協力するということでありますから、実にバブルが崩壊して十年、さらにその当時の三五%や六〇%という産労の方からの話があったような再建計画があって、港湾局も協力をしたということで、そのときと同様に判断をしたということでありますから、平成十二年度からの経営改善策と実際の経営状況との乖離がありながら、今日まで放置され、傷口を広げてしまったことを考えると、港湾局においても、より厳しい経営分析とより一層の経営努力が求められるのではないか、こういうふうに思います。
 このことを主張して、私の質問を終わらせていただきます。

○鈴木委員 私の方から、もうお二方、今港湾局所管にかかわる問題を出していただいていますので、ほんの数点、コアにかかわる部分だけお伺いさせていただきまして、締めくくらせていただきたいと思います。
 実はこの臨海の問題、私も平成元年からこの職にありますので、すべて知悉してずっとかかわってきた一人でございますので、今ここでああだこうだとまた論議をするつもりもありません。ただ、願わくはきちっと、知事の発言にもありましたとおり、これからの二十一世紀を志向する未来都市へ盤石な基盤をつくって、やはり千客万来の一つのスポットとして、東京の経済の活力の場にひとつ大いに大いに役立つ地域に発展するために私たちはバックアップをしていきたいと思って、そういう観点からお伺いをしていきたいと思っております。
 今回の再生のスキームについては、もう既に何度も何度もいわれていますから、これについていう必要はないと思いますし、一点だけ確認の意味でちょっと聞いておきたいことがあります。
 先ほど部長の答弁の中で、三十五億円の延納賃貸料の債権の放棄について、関連して臨海地域開発事業会計に与える影響、それほど影響はないだろう、このようにご答弁をいただきました。私もそのように思います。しかし、とはいうものの、やはり臨海地域開発事業会計自体が、今回のこの再生計画の有無にかかわらず、今後の会計の安定的な運営において若干の課題を抱えていくと、私は若干の懸念は持たざるを得ないと思っております。
 なぜかならば、臨海副都心の開発は、初期に大量の起債を発行することによって都市基盤の整備をしてきたことももう事実でありますね。物すごいインフラのあの工事、私も現場に立って、感嘆の声を上げるほどのすばらしい、やはりあの地域基盤の整備に相当な金額を投じてきたことも事実であります。現場を見ないことには、こういうことは実感として声は出ないという、そのぐらい莫大な基盤整備をなさってきたことを、私は今この場で走馬灯のように思い出します。
 そして、その後、青島知事の時代に、せっかく我々が主張した世界都市博、これをポシャった。一千億近いお金が、正確な金額はわかりませんけれども、どぶに捨てられて、というよりも補てんをされていってしまったという、まことにざんきにたえない一つの事例がありました。残念に思っています。経済波及効果は約一兆円といわれた、あれを行っていればなあと実感で感ずるわけなんですけれども、そういうことも今思い出しているわけなんですが、完璧にこれはやはり我々、過去に汚点を残した一つの事例だったと私は思います。
 それはそれとして、それは青島さんのお考えだったのでしょうけれども、もう一度申し上げますけれども、大変残念至極という以外にないのですね。今ここで、あえてこれを声高にいう必要はないのですけれども。終わってしまったことでありますから。
 そこで、一つだけ確認の意味でお伺いしておきたいと思います。
 現在、臨海副都心の開発にかかわる起債の残高はどのくらいに達しているのか、そしてまた、これを償還するに当たって、どのようにこれは取り組んでいくのか。相当な金額だと思います、私は。外債も含めて相当な金額になっているはずですね。これについてご答弁をいただきたいと思います。

○鈴木臨海開発部長 臨海副都心の開発にかかわる起債の残高は、約五千二百億円でございます。特に、平成二十一年度、二十二年度のそれぞれ単年度で一千億円を超える大量の起債償還時期を迎えることになります。このため、先般策定しました財政基盤強化プランを着実に実施し、当面の起債償還に確実に対応するとともに、これまで以上に土地の売却を積極的に進めるなど、安定的な会計の運営に努めているところでございます。

○鈴木委員 今お答えになられたとおり、莫大な償還の額が出てくるわけですよね。確かに、今答弁の中に、平成十四年三月だったですか、この今の案、つくっておるわけですね。平成七年、平成九年、平成十三年度、平成十四年三月だったですか、我々も関与して、財政基盤のいろんな収支の問題の、土地処分方式へ向けての転換をさせていただきました。これをがっちりとやっていかなければならないし、またそれをストップさせるわけにいかない、こう私は思います。しっかりと取り組んでいただきたい。また、我々もそれをバックアップさせていただきたいと思います。
 そこに思うのですけれども、確かに順調に、今ご答弁なすったとおり、土地の処分方式でありますから、それをきちっとやっていくこと、それに対して我々も実はエールを送って、かんかんがくがくの論議をその中でもさせていただきました、今にして思えば。これはやってよかったと思っていますけれども、やはり私は、最後になりますけれども、局長に一つだけお伺いしておきたいのですけれども、冒頭申し上げたとおり、今回は、この事例、このスキームはスキームとして、やはり二十一世紀の私たちの子どもたち、孫の時代に残せるこの地域を、また世界の多くの方々にこの地域にも来てもらう。四千万人になんなんとする方が来ている。四千万。ひところ、「ゆりかもめ」ができたとき、空気を運ぶようなものだな、こうやゆされたこともありますけれども、何をいっているんだ、こう我々はあのときにいいましたけれども、今超満員ですよね。すべてにわたって今開発のうねりが順調にいって、というよりも、いろんな紆余曲折はありましたけれども、やや順調の波に乗りつつある中ですから、今回の事例は事例として、これをきちっと次へのステップの一つの考えに押さえていただきながら歩むべきだと、私はエールを逆に送りたいと思っています。
 そのことを前提にいたしまして、最後に局長に、今後の臨海の開発に動く局としての決意を一言お聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○津島港湾局長 臨海開発は、東京の活力を、先生おっしゃるように、私どもの次の世代に引き継いでいくべき重要な大事業であるというふうに認識しております。
 これまで、バブル崩壊に起因するさまざまな試練がございました。その都度、私どものできる限りの知恵を尽くしまして、その状況、状況を踏まえた対策を講じてまいりました。そして、今日、四千万人が訪れるようなまちにまで成長してきている状況でございます。起債の大量償還という試練はございますけれども、この先も、社会経済状態に明るい兆しを追い風に、臨海副都心の優位性を生かした開発をより戦略的に進めていくことが必要であると考えております。
 今回の債権放棄の議案を提出させていただいておりますので、これは、東京都が臨海副都心にかける一つの意気込みを示したものの一例だと思っております。例えば、九月十五日に朝日新聞に載っておりましたけれども、大阪のりんくうタウンのニュースがございました。九年前、六百五十億円かけて開業した大阪のりんくうタウンが、新生銀行と外資の不動産投資会社でありますケネディクス連合体に対して四十五億、七%で売り渡した。そのほかに府なりが別途補助を出す、こういう処理の仕方をしたということで、これはそういう意味で、単に処理をすればいいというものではなくて、都民の財産というものをどうすれば貴重に生かせるかという趣旨が貫徹されなきゃいけないと考えております。
 したがいまして、開発に向けては、知事もおっしゃいましたが、依然として色あせていない当初の目的を忘れることなく、都議会の先生方の皆様の大きなご支援をいただいて、全力を挙げてこの開発に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○鈴木委員 今、温かなエールの交換がありましたけれども、私は思うのですよ。平成七年、平成十七年、平成二十七年と十年スパンで計画を区切り、その五年ごとにまた見直しをやってきた経過がありますよね。その中で、私もずっとやってきて、走馬灯のようにいろんな理事者の方々の顔を思い出すのです。今沢時雄さん、港湾局長だとか安樂さんだとか、みんな並みいる、皆さんの先輩ですよ。一生懸命やった。やってくれました。お互いに酒を酌み交わしながら、涙を流しながら、どうすべきなのかという、それほど皆さんの先輩の方々は命を張ってやってくれたのですよ、命を張って。どうすべきなのか、この難局を乗り切るために。
 そういう我々の思いをきょうは述べさせていただき、今局長がおっしゃったとおり、次へのステップとして、今回の平成十七年度、ちょうどこの見直しの、次へのステップのちょうどいい時期にこういう問題が出てきて、それをきちっとふろしきに畳んで、またスタートの論議にきょうはしたかったがゆえに、今までのことを情の部分でお話し申し上げて、皆様の参考に、また理事者の皆さんの参考になればという思いを込めながら、私も生き証人の一人でありますから、そういう中でお話を申し上げたということをご理解いただき、質問を終わります。
 以上です。

○小竹委員 私も臨海三セクの破綻処理の問題について伺いたいのですが、今回の再生処理に当たって、先ほどからも議論がありますけれども、ファッションタウンとタイム二十四の土地を等価で晴海にあるビッグサイトの土地と交換するということですけれども、この交換する目的は何なのか、改めてもう一度お尋ねします。

○鈴木臨海開発部長 何を目的として土地を交換するかというお尋ねでございますが、再三にわたり重複して恐縮でございますが、晴海地区は、豊洲・晴海開発整備計画に基づきまして一丁目の開発が既に完了いたしまして、さらに二丁目の土地区画整理事業が進められております。また、三丁目の西側地区では市街地再開発事業が予定されており、四丁目と五丁目の一部に大街区方式による区画整理事業が今年度内を目途に事業認可をとる見込みでございます。さらに幹線道路では、来年に晴海通りの延伸が開通するほか、十八年度から二十一年度にかけまして大街区区画整理事業区域内の環状二号線及び補助三一四号線の整備が予定されております。
 このように、幹線道路の整備等の諸条件も整いまして、開発機運が高まってきており、この土地を取得することは、今後の晴海地区の開発に有益であると考えております。

○小竹委員 今ご答弁いただいたのは、先ほど来の答弁のとおりですけれども、結局、晴海・豊洲のこの開発区域として使うということで取得するわけですけれども、港湾局がなぜこういうふうな形での取得をしなきゃいけないのかというのが私は非常に疑問なんですね。
 というのは、二社の土地は臨海会計の土地ですよね。公営企業会計の土地であるという点で、もとをただせば埋立会計の土地だったところですよね。それで、埋立会計の目的というのは、それこそ埋め立ての事業は、港湾局の仕事として、海を埋め立ててその土地を処分して、その処分したお金、売却したお金を都民のために使うという、こういう埋立会計の目的だったというふうに思うのですが、今度の場合にはそれとは違う、それこそ開発の土地になるわけですよね。臨海会計の土地を、埋め立てた土地を臨海に使って、もう臨海会計そのものが破綻して埋立会計や羽田会計と合体させるという状況になっている状況なのに、今度はまた新たな開発のところに土地を取得するというのはどういうことになるのですか。
 私は、港湾局が管理する土地というのは、埋め立てた土地であり、それから港を管理する港湾区域であれば、それは港湾局が取得するというのについては筋が通るかというふうに思うのですけれども、こういう土地と交換するということは間違っているのじゃないですか。私は、公営企業の管理者として局長さんがいらっしゃるわけだけれども、公営企業がやってはならないことをやるということになるのじゃないかというふうに思うのですが、その点どうですか。

○鈴木臨海開発部長 先生方ご承知のとおり、現在臨海会計は、旧埋立事業会計と羽田沖埋立事業会計と三会計が統合されております。
 東京都の豊洲・晴海開発計画では、この地区を多様な機能を備えたまちとして、世界をリードする魅力とにぎわいのある国際都市の一翼を担うとして位置づけております。都は、この地区につきまして開発を積極的に進め、その開発に責任を有する立場でございます。
 仮にその他の地域が交換候補地と挙がっていれば、港湾局としては、所管外の土地であり、交換することにはならないというふうに考えております。

○小竹委員 いずれにしても、法的にも私は問題があるのじゃないかというふうに思うのですよ。公営企業会計の土地がそういうふうな形で交換されるということ自身が、やはり大いに問題があるというふうに思いますので、この点については指摘をしておきます。
 今、三会計の統合の問題が出されて、それで開発をしていくのだとおっしゃられたわけですけれども、現状は、破綻している臨海会計そのものを救済するために三会計の統合が行われてきたわけで、そういう意味でいうと、これからますますこの開発を進めていくということになれば、破綻をさらに進めていくということにもなるわけですよね。
 関連して、産業労働局の三セクビルは民事再生法による処理に取りかかって、今、債権放棄と土地交換ということになったわけですけれども、臨海三セクも破綻状況にあることは明らかだというふうに思うのですね。ここには、資料で出されているのは、十六年度の累積損益は九百十四億円ですけれども、債務超過は、前年度、十五年度は三百五十一億円ですけれども、十六年度もさらにふえているのじゃないかというふうに思うのですが、その点はいかがですか。

○岡田団体調整担当部長 臨海三セク三社の債務超過額についてのご質問でございます。平成十六年度におきまして、三社の債務超過額でございますが、前年が約三百二十億程度でございますけれども、十六年度におきましては、当期利益が十六億ほど、ここに書いてございますけれども、当期利益・当期損益が十六億円ほどマイナスになってございます。このために、十六年度における債務超過額は三百六十七億円でございまして、前年、十五年度決算が三百五十一億円でございますので、この当期利益マイナス分であります十六億円ほどが債務超過額の増加、そういう形になってございます。

○小竹委員 債務超過もふえているわけですよね。
 先ほど、臨海三セクについてはこれからも継続してやっていくという見通しがあるのだというふうにおっしゃられたのだけれども、もう破綻状況にあるというのは前々から大きな問題になってきていて、東京都はいろいろな、ここには救済策、九八年の経営安定化策が出ていますけれども、その後も債務超過でずっと推移している状況からしても、やはり港湾局所管の臨海三セクについても破綻処理をすべきだというふうに思うのですが、この点についての検討は全くされていないのかどうか、いかがですか。

○岡田団体調整担当部長 まず、債務超過額がふえているということについてご指摘がございました。現在、臨海三セクにつきましては、平成十年度に経営安定化策をつくって経営改善しているところでございますが、その計画の中におきましても、当期利益が黒字に転換するというのは平成二十三年を考えてございます。したがいまして、平成二十三年までにつきましては、私どもとしてはできるだけ前倒しで黒字に転換したいというふうに考えておりますが、それまでは債務超過額は増加するという計画になっているところでございます。
 それで、破綻処理ということについて検討していないのかというご質問でございますが、臨海三セクは、臨海地域のインフラ管理を行うとともに、商業・業務の多様な集積の拠点として重要な役割を果たしてございます。また、経営環境は厳しいものの、都や金融機関の支援、さらに会社の内部努力によりまして、平成十一年度から六年連続して営業黒字を達成するなど、一定の成果を上げてきてございます。このような第三セクターの役割、経営状況を考えますると、引き続き、より一層の経営改善を着実に実施してまいりたいと考えております。

○小竹委員 私は、この九八年の経営安定化策が出されたときに、平成二十三年までずっとそこまで赤字が出て、そこで黒字に転化するというふうなこと自身がやはり展望のない問題だということで我が党は指摘して、やはり都民の負担にならないように一日も早く処理すべきだというのを一貫して提起してきているわけですけれども、この臨海三セク、港湾局所管のビルについては、いろいろおっしゃられますけれども、貸しビル業の典型じゃありませんか。そういう意味でいって、その赤字の穴埋めを何で都民がこんなにしなきゃいけないのかという点は、都民だって納得できないですよ。
 経営努力とおっしゃいますけれども、すべて東京都がいろんな形で、テレコムセンターについて、テレポートセンターに対して支援策をとってきているじゃないですか。ここに出されている借り上げのことだけじゃなくて、夢の島のマリーナの無償貸与だとか、それから未利用地の駐車場の収益だとか、経営支援をやってもなおかつこれだけ毎年毎年債務超過になっているという点でいって、先の展望はないですよ。そういう点でいったら、何で東京都が、港湾局が貸しビル業をやって開発を進めていかなきゃいけないのかという点では、都民の合意は得られないというふうに思います。
 そういう意味で、やはりこの産業労働局の再生処理の教訓をきちんと学ぶ必要があるというふうに思うのですね。私は、民事再生法による処理は都民の負担を大きくするという点で、先ほども産業労働局のときにいいましたけれども、やはりこの臨海三セク、港湾局のにしても、銀行や何かが相当な出資をしているわけですから、そういうところに対して経営責任を問うということをやって、債権放棄をさせて、施設を都民のために使えるようなものにするというのがやはり一日も早くやられる必要があるということを強く求めて、この債権処理についての質問は終わります。
 もう一つ、海上公園の条例についてですけれども、この海上公園については、若洲の海上公園、キャンプ場が江東区の方に移管されるわけですが、広くかなり、私の文京区なども青少年が夏休みなんかにキャンプに行っているというふうな状況があるわけですが、そういう意味でいうと、この移管の中身で、地元の人たちの利用というふうに書かれているのですけれども、私は、これを移管することそのものは是とするものなんですが、江東区の方に移管されて、子どもたちを含めた一般都民が使えないような制限が出るような状況は、やはり都立の公園の移管という点でいうといかがかなというふうに思うので、その点について、やはり都民の利用を、従来どおり利用が可能になる、その手だてはどういうふうにとられるのか、その一点お伺いします。

○鈴木臨海開発部長 若洲海浜公園キャンプ場につきましては、移管後も継続して公園として管理していくことを基本に協議をしているところでございます。キャンプ場等の利用につきましては、江東区に移管後も、料金や予約受け付けも含めまして、現状の運営方法を踏襲することが基本となっておりまして、これまでどおり広範な都民の利用が確保されるものと考えております。

○小竹委員 それは、移管に当たっての契約か何かの書類みたいなもので明記するようになるのですか。

○鈴木臨海開発部長 移管に当たりましては、基本的には民法上の時効期限の二十年という期限があり、公園として継続的に利用されるということが基本になります。ただ、実際の運営の内容につきましては、その中には特にキャンプ場についての記載は具体的にはございません。今後、江東区が制定します区立公園の条例によりまして適切に運営がされていくものと私どもは考えております。

○大塚委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大塚委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る