経済・港湾委員会速記録第三号

平成十七年三月十六日(水曜日)
第八委員会室
   午後一時三十三分開議
 出席委員 十三名
委員長野島 善司君
副委員長山田 忠昭君
副委員長柿沢 未途君
理事谷村 孝彦君
理事清水ひで子君
理事松原 忠義君
ともとし春久君
三宅 茂樹君
大津 浩子君
丸茂 勇夫君
鈴木貫太郎君
山崎 孝明君
川島 忠一君

欠席委員 なし

 出席説明員
新銀行設立本部本部長津島 隆一君
企画担当部長関  敏樹君
参事吉田 長生君
港湾局局長成田  浩君
技監樋口 和行君
総務部長斉藤 一美君
団体調整担当部長岡田  至君
港湾経営部長片岡 貞行君
参事新田 洋平君
臨海開発部長鈴木 雅久君
参事尾田 俊雄君
参事松本 義憲君
港湾整備部長田中  亨君
計画調整担当部長滝野 義和君
離島港湾部長萩原 豊吉君
参事西塚 武彦君
労働委員会事務局局長久保田経三君

本日の会議に付した事件
意見書について
労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
港湾局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為港湾局所管分
・第二十三号議案 平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計予算
・第二十四号議案 平成十七年度東京都港湾事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百七号議案  東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
・第百八号議案  東京都漁港管理条例の一部を改正する条例
・第百九号議案  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
・第百十号議案  東京都港湾区域及び港湾隣接地域占用料等徴収条例の一部を改正する条例
・第百十一号議案 東京都海岸占用料等徴収条例の一部を改正する条例
陳情の審査(質疑)
・一七第一六号 指定管理者制度を導入するための東京都海上公園条例の一部を改正する条例に関する陳情
新銀行設立本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出 新銀行設立本部所管分

○野島委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十七年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十七年三月十五日
東京都議会議長 内田  茂
経済・港湾委員長 野島 善司殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(火)午後五時

(別紙1)
経済・港湾委員会
第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 経済・港湾委員会所管分
第七号議案   平成十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八号議案   平成十七年度東京都農業改良資金助成会計予算
第九号議案   平成十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十号議案   平成十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十一号議案  平成十七年度東京都と場会計予算
第二十一号議案 平成十七年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十三号議案 平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十四号議案 平成十七年度東京都港湾事業会計予算

(別紙2省略)

○野島委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書五件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件の取り扱いについては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野島委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○野島委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、労働委員会事務局、港湾局及び新銀行設立本部関係の平成十七年度予算の調査を行いますとともに、港湾局関係の付託議案及び陳情の審査を行います。
 なお、陳情については、本日は質疑を行い、決定は後日の付託議案の採決とあわせて行うことといたしますので、ご了承願います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際、資料要求いたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○野島委員長 発言がございません。
 お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野島委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○野島委員長 これより港湾局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案及び陳情の審査を行います。
 第一号議案、平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、港湾局所管分、第二十三号議案、第二十四号議案及び第百七号議案から第百十一号議案まで、並びに陳情一七第一六号を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料及び陳情について理事者の説明を求めます。

○斉藤総務部長 二月十八日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料1、経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載の五項目でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。臨海関係第三セクターの経営状況でございます。
 平成十一年度から十五年度までの臨海関係第三セクター三社の決算状況をお示ししたものでございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 二ページをお開き願います。臨海関係第三セクタービルの入居率及び民間の入居率でございます。
 平成十七年一月末時点のビルごとの入居率をお示ししてございます。また、民間の入居率を内数でお示ししてございます。ごらん願いたいと存じます。
 三ページをお開き願います。臨海副都心における有償処分予定の現況一覧でございます。
 有償処分予定地のうち、開発確定面積として、処分済み及び処分見込み面積をお示ししてございます。
 また、開発予定面積といたしまして、暫定利用中、公募中、今後公募予定及び土地区画整理中の面積をお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。港湾労働者用厚生施設の整備状況と労働災害の状況でございます。
 上段の1は、港湾労働者用厚生施設の整備状況につきまして、施設区分ごとにお示ししてございます。
 下段の2は、港湾運送事業における労働災害の状況について、年別の死傷事故件数の推移をお示ししたものでございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 五ページをお開き願います。新海面処分場における廃棄物などの埋立処分計画及び処分実績でございます。
 平成九年度から平成十五年度までの埋立処分計画と各年度の処分実績を、廃棄物と土砂の種別ごとにお示ししたものでございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
 まことに簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますよう、お願い申し上げます。

○鈴木臨海開発部長 本日ご審査いただきます陳情につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料2、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと思います。
 一ページをお開き願います。本日ご審査いただきますのは、陳情一件でございます。
 それでは、陳情一七第一六号、指定管理者制度を導入するための東京都海上公園条例の一部を改正する条例に関する陳情についてご説明申し上げます。
 二ページをお開き願います。本陳情は、豊島区、新日本スポーツ連盟東京都テニス協会理事長、村田博さんから提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、指定管理者制度を導入するための東京都海上公園条例の改正に当たり、指定管理者の選定及び施設の運営に関して利用者の意見が反映されるよう、次のことを条例に盛り込んでいただきたいというものでございます。
 第一に、指定管理者の選定に当たり、選定委員会または選定委員会のもとに専門分科会を設置することを明記し、これらに利用者の代表が参加できるようにすること。
 第二に、施設の管理運営に関しては、運営委員会を設置し、これに利用者の代表が参加できるようにすること。
 第三に、都が指定管理者に求める諸報告及び都が行う調査の結果等について、情報公開を行う規定を設けること。
 以上、三点でございます。
 現在の状況でございますが、まず指定管理者制度導入のための条例改正は、地方自治法改正に基づき、指定管理者の選定にかかわる業務の範囲、申請の方法、選定基準及び管理の基準等を規定するものであるという基本的な考え方がございます。
 この考え方を踏まえまして、ご要望の三点についてご説明申し上げます。
 第一に、指定管理者の選定は、都全体の方針に基づき、要綱により設置する選定委員会で行うこととしております。
 第二に、海上公園並びに海上公園施設の管理運営への利用者の意見反映等については、窓口、電話及び電子メール等を通じて日常的に利用者の意見を直接把握し、その反映に努めております。指定管理者制度導入後も、より一層、利用者の意見把握及び反映に努めてまいります。
 第三に、指定管理者の諸報告などの情報公開については、東京都情報公開条例に基づき適正に対応してまいります。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○野島委員長 説明は終わりました。
 これより、ただいまの資料を含めまして、本案及び陳情に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松原委員 私は、臨海副都心有明北地区埋立事業並びに占用料等徴収条例の改正及び運河ルネッサンスの推進について、順次ご質問をさせていただきたいと思います。
 有明北地区の埋立事業につきましては、我が党はこれまでも、臨海副都心の発展のかぎを握る広域幹線道路や新交通「ゆりかもめ」の延伸を実現する、極めて意義の高い事業であると主張をしてまいりました。
 平成十七年度には、臨海副都心と都心方向を結ぶ晴海通り延伸部の供用開始や、「ゆりかもめ」の有明-豊洲間の開業が予定されております。さらに、当地区では、土地区画整理事業も順調に進んでいると聞いております。
 このように、有明北地区では、新しいまちづくりに向けた動きが着々と進んでいるわけですが、その中で、有明北地区の埋立事業が本年九月に竣工することは、この地区の発展に大変大きく寄与するものと思っております。
 先日の三月十一日の予特におきまして、我が党の服部ゆくお議員が埋立事業の進捗状況について質問をいたしましたところ、局長の答弁の中で、工事費が四百億の計画に対して、約三割減となる二百八十億円程度に抑制できる、そういう見込みがあると答弁されました。
 コスト縮減といっても、通常、大体一割程度なんでしょうけれども、約三割縮減ということは、耳を疑うというか、すごいことだなというふうに思ったんですが、このような大規模事業でこれだけの計画事業費を縮減するとすれば、大変大きな評価ができるというふうに思いますが、そこで、確認のために、これはどういう取り組みによって三割もの縮減が図られたのか、お尋ねしたいと思います。

○尾田参事 この事業では、発生材の有効活用、施工方法の見直し、新材料等の採用、設計から工事まで含めて総合的にコスト縮減を図ってまいりました。
 発生材の有効活用の例としましては、しゅんせつ土の覆土材への有効利用や、その他工事から発生する建設土の埋立用材としての有効活用などによりコスト縮減を図りました。
 施工方法の見直しの例としましては、超軟弱地盤でも容易に走行可能な車両を採用することに伴いまして、改良費を縮減しました。
 新材料の採用例としましては、護岸建設工事などにおきまして、幅六十センチの広幅鋼矢板を使用することにより、打ち込み費用を縮減しました。
 これらの取り組みによりまして、しゅんせつ工で約二十六億円、護岸工事で約四十八億円、埋立造成で約三十億円の工事費減となりまして、工事費は、計画時の約三割減となります二百八十億円程度に抑制することができる見込みであります。

○松原委員 四百億が三割で二百八十億ですから、縮減された金額が百二十億という、気が遠くなる大変大きな金額なんですが、設計から工事まで、そういうことで発生材、施工方法、新材料等々の工夫でこれだけのことをやってということは、大変大きな評価を私はするところです。これ、どちらかというと、こういう事業はみんなお金がかさみますので、ほかの工事にあっても、これを模範として、大いに今後とも工夫を凝らして、一層のコスト削減に努力していってほしいな、こう思います。
 ところで、埋立地は一般的に、高潮等の災害に対して弱い地域であると思われております。私もそう思っております。昨年は、集中豪雨や相次ぐ台風の上陸、あるいは新潟県の中越地震、インド洋の大津波など、大規模な自然災害が頻発しましたのですが、これらの災害から都民の生命や財産を守る対策を進めていくことが大変大事だなというふうに思います。
 そこで、この事業の護岸整備によって、有明北の埋立地は、高潮などの災害に対して安全になるのかどうかお尋ねしたいと思います。

○尾田参事 この埋立事業で整備しました護岸は、高潮対策として、防潮堤の高さをA.P.プラス六・五メートルとし、伊勢湾台風級の高潮にも耐えられる構造にするとともに、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして見直された基準に基づき、液状化対策も実施しております。
 これらの対策によりまして、台風などによる高潮や地震などの災害から、有明北地区の埋立地は十分安全なものとなっております。

○松原委員 本当に都民の一人として、埋立地のこういうふうなところが、しっかりとした高潮対策をするということは大変大事だと思いますが、港湾局が高潮対策のために護岸整備に努めていくということは高く評価したいというふうに思いますが、今後とも、引き続いて護岸整備に力を入れていってほしいなと思います。
 さて、私は、本定例会の一般質問で、運河ルネッサンスの推進の仕組みや水上レストランなどの新たな水域利用を具体的に実現していく方策について、港湾局の取り組み姿勢を質問させていただきました。
 今回、これに関連しまして、東京都港湾区域及び港湾隣接地域占用料等徴収条例の一部を改正する条例案が提案されていますが、これについて何点かお尋ねしたいと思います。
 最初に、今回のこの条例改正の趣旨は何なのか、お尋ねしたいと思います。

○片岡港湾経営部長 これまで運河における水域の占用につきましては、はしけや工事作業船など港湾関係の業務に使用される船舶の係留、あるいは公共性の高い橋梁の設置などに限定してまいったところでございます。
 今回、別に定める運河ルネッサンス推進地区におきましては、水上レストランなど魅力ある水辺空間を実現するために必要な施設につきまして、その設置が可能となるよう、水域占用許可に係る規制の緩和を行ってまいります。
 この条例改正は、これら水上レストランなどの施設を水域に設置する場合の占用料金区分を新たに設定するものでございます。

○松原委員 今の説明で、条例改正の趣旨についてはよく理解できました。運河ルネッサンスに対応して、新たな占用区分を設けて、新しい利用形態を認めていくことを条例上明確に位置づけたということは、大変時宜に合ったものとして、私は高く評価したいと思います。
 ところで、運河ルネッサンスは、短期的なイベントではなく、まちづくりの一翼を担うものであります。運河周辺の住民や地元団体が中心となって、にぎわい創出のために創意と工夫をして運河利用の仕掛けをつくり上げておりまして、例えば水上レストランにしろ、従来の一年を限度とする占用許可では、現実的な対応に欠けると思います。
 そこで、運河ルネッサンス推進地区におきましては、その趣旨から、長期の占用が可能なのかどうか、また、長期間の占用を想定した場合に、料金の額が相当の金額になるのではないかと考えられますけれども、その支払い方法についてどのように配慮していくのか、お伺いしたいと思います。

○片岡港湾経営部長 ご指摘のとおり、にぎわい創出等のために長期の占用が必要となる施設につきましては、現行一年の占用期限を三年に延長してまいります。また、この期間満了時の許可の更新により、占用が相当期間となることも想定いたしております。
 この場合、占用期間が年度を超えることとなりますので、その占用料の納付方法につきましては、事業者の負担を考慮いたしまして、年度ごとの分割払いができるよう、今回新たに条例に規定するものでございます。

○松原委員 実際、何か物を始めた場合に、一年というのはだめで、桃栗三年柿八年じゃありませんが、三年ぐらい最低必要かなと思いますが、ある程度三年ということは理解できると思います。
 あと、年度ごとということで、料金の方にもかなり配慮をした、こういうことだというふうに思います。
 そういう意味で、今回の条例改正が、運河ルネッサンスの推進にとって不可欠であるということはよく理解できました。
 今後とも運河や水域の利用の要望が高まってくると思いますが、水辺空間の魅力向上の取り組みがますます重要となってくるので、ここで全国的な状況について確認をしていきたいと思うんですが、こうしたにぎわい創出の観点からの水域の占用について条例で規定していますのは、どこかほかに国内であるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

○片岡港湾経営部長 国内の主要港湾で構成しております六大港湾協議会というのがございますが、これにおきまして、新たな水域占用形態の取り組み事例を照会いたしましたところ、港湾計画あるいは水域の利用計画への位置づけ、あるいは条例をもって規定して対応しているというところはございませんでした。
 今回の東京港の取り組みというのは、国内主要港の中では最初の取り組みであろうと認識しております。

○松原委員 そうしますと、日本で初めてということでございますので、大変画期的なことで、全国に先駆けて、こうした運河利用にかかわる水域占用に新しい試みがなされるということは、大変勇気は要りますけれども、いい意味の挑戦だなというふうに思っております。
 この一連の条例改正と運河ルネッサンスの推進は、まさに一体的に運用されるべきだと考えます。先日の一般質問やただいまの答弁から、都が運河ルネッサンス推進地区を指定して、その地区の中で規制緩和を行うということがわかりましたけれども、具体的にどうすれば運河ルネッサンス推進地区が指定されるのか、お尋ねいたしたいと思います。

○田中港湾整備部長 運河ルネッサンスは、運河を再生し、よくしていこうとする地域からの発意に基づき、地元が中心となって進めていくものでございます。そのため、地元の住民や商店会あるいは企業などが一丸となり、運河周辺のまちづくりやイベントなどの取り組みを進めている地区を推進地区に指定していきたいと考えております。
 例えば、運河と一体の開発が進められている芝浦地区、あるいは水上レストラン計画のある天王洲地区など、運河を活用する具体的なプランがあり、かつ地元にそれを推進する組織のある地区をモデル地区として先行的に指定してまいります。推進地区におきましては、水域占用の規制緩和のほか、イベントへの協力などの支援を行ってまいります。
 次に、推進地区の指定に関する手続でございますが、まず運河ルネッサンスを進める母体となる協議会を登録していただき、運河利用に関する計画を提出していただきます。東京都は、その計画書の内容につきまして、地元区とも協議の上、推進地区の指定を行ってまいります。
 こうした手続の流れや仕組みにつきましては、運河ルネッサンスのガイドラインとして定め、地元の方々への手引として活用していただけるようにしてまいります。

○松原委員 まちづくりも、この運河もそうなんですけれども、やっぱり基本は地元の方々のやる気と発意、こういうものが非常に大きなものだと思います。運河ルネッサンスの周辺の地域、特に天王洲等、芝浦等は、今非常にそういったことで住民の方々も積極的に関心を持ってやっているということですが、そういう都民の方々の意気込みに対して、東京都がある意味で、いい意味でコントロールしながら、地元の区や関係の方々と協議を重ねて指導、手引きをしていくということは、大変大事だなというふうに思っております。
 規制緩和を含みます都の協力が今回得られて、運河のにぎわいや魅力づくりが進められるということは、よくわかりました。
 そこで、このたびの条例改正やガイドラインの策定によりまして、来年度から運河ルネッサンスを本格的に実施していただきたいというふうにぜひ思いますが、すべてを統括する局長に、この運河ルネッサンスを推進するに当たっての決意をお尋ねして、おしまいにしたいと思います。

○成田港湾局長 平成十七年の第一回定例会では、先ほど松原理事からお話がございましたように、運河ルネッサンスの推進についてという一般質問を皮切りに、延べ八名の先生から約二十問にわたる質問が、運河ルネッサンスを中心とします水辺空間の魅力向上について寄せられたところでございます。そういう意味で、私ども港湾局にとりましては、いよいよ運河ルネッサンスの時代が到来したのかなという意味では非常に感慨深いものがございます。
 これも、運河ルネッサンス構想が産声を上げまして、そのときから温かく見守って、なおかつ声援をしていただきました松原理事を初め、多くの先生方のご支援のたまものであろうと思って、深く感謝しているところでございます。
 この取り組みはまだまだスタートしたばかりで、いわばよちよち歩きでございます。これから、先ほど両部長が申し上げましたように、現在、天王洲であるとか、あるいは芝浦であるとか、そういったところの地元における地元区あるいは地元の事業者の皆様等々の取り組みがございます。私どもそれを、先ほど申し上げました試行的な取り組み、行政としても、従来の発想から一歩踏み出した試行的な取り組みをやっておりますが、こうした取り組みは、そういった地元の皆様の熱心な取り組みを受けて、そういった取り組みをまたフィードバックして、仕組みをさらによりよいものにしていく必要があるのではないかなと。そうした中で、運河ルネッサンスの取り組みを、よちよち歩きから、青年期に向けてさらに伸ばしていかなければいけないかなと思っております。
 そういう意味で、引き続きまして、皆様方のこの運河ルネッサンスの取り組みに対しますご指導とご鞭撻をよろしくお願いしたいと思います。

○ともとし委員 私の方からは、指定管理者制度、これらについて若干お伺いをしたいと思います。
 来年度からは、公の施設について、管理について指定管理者制度が導入されることになっているわけですが、私たち公明党は、競争を通じたコストの削減、あるいはまた民間の創意工夫を生かしたサービスの向上、そうしたメリットにかんがみて、この制度の導入については賛成するものであります。
 しかしながら、制度自体がまさに成熟したものではないわけでして、制度の目的や基本的な考え方について、さきの予算特別委員会等においても明らかにしてきたところですけれども、この委員会の中でも、それらの論議を踏まえて、局の関係施設について具体的にお伺いをしていきたいと思います。
 まず、この制度導入の目的は、コストの削減とサービスの向上ということですが、港湾局では、この制度の導入に当たってどのようなメリットを期待しているのか、この辺についてお伺いしたいと思います。

○岡田団体調整担当部長 まず、サービスの向上でございますが、利用者の満足度を上げ、より多くの利用者を確保しようとする事業者のきめ細やかな取り組みによりまして、一層のサービスの向上が期待できるところでございます。
 また、コストの縮減では、事業者のノウハウを活用することで管理経費の縮減が可能となり、その結果、施設使用料の低料金化も期待されます。
 類似施設における先行事例では、自然探索などのイベントの企画立案、スポーツ教室の種類の増加、予約時間の延長など、制度導入の効果が顕著にあらわれておるところでございます。

○ともとし委員 今の部長のご報告を受けても、いいことづくめという、そんな感じもするんですが、指定管理者制度というのは、一施設につき一管理者、こういう原則があったかと思いますが、例えば海上公園等については四十二カ所あるかと思います。原則でいけば、四十二の指定管理者を選定することになるのかなと思いますが、局においては、海上公園を初めさまざまな施設があるわけですけれども、中には、隣接しているそういう場所、あるいはまた類似の機能を果たす施設もあるのかなというふうに思います。
 一体的に管理運営した方がスケールメリットも生かすことができるのではないかなというふうに思うわけですが、制度導入のメリットであるコストの削減、それらについても、大きくそうした方がいいのではないかなというふうに思うんです。また、利用者の立場から見ても、隣接した施設で管理者が異なってしまう、そうなると、施設の利用に当たっては、それぞれに申し込みをしなければならない。そういうふうになると、非常に不便さも逆に感じてしまうのではないかなと。そうした観点から、一体的に管理した方がサービスの向上に結びつくのではないかなというふうに思います。
 局としては、一施設一管理者という原則どおりに制度を導入しようとするのか、あるいはまた、類似施設などは一体化して指定管理者を設置していくようなことも考えられるのかどうか、そうしたことを踏まえて見解を伺いたいと思います。

○岡田団体調整担当部長 港湾局におきます指定管理者制度を導入する施設でございますが、海上公園、客船ターミナル施設、船舶給水施設、小笠原父島の二見漁港の四種類、四十八施設がございます。
 導入に当たりましては、管理運営の専門性や特殊性のある施設は施設ごとに公募を行い、ご指摘の管理運営に類似性や同一性がある施設につきましては、スケールメリットや地域性などを勘案いたしまして、複数のグループに分けて公募していきたいと考えております。

○ともとし委員 この制度は、民間の導入による効率化ということが非常に強調されているわけですが、経費の削減を重視する余り、サービスの質の低下を招いては、これは本末転倒になるわけなんですが、利用者にとってよりよいサービスが提供されるという、これらの前提のもとに、指定管理者の公募に当たっては、効率性とサービスの向上という二つの条件を満たすような事業者を選定しなければならないというふうに思います。
 この効率性とサービス向上の両方を満たす事業者をどういう方法でどうやって選定するのか、この辺についての見解をお伺いします。

○岡田団体調整担当部長 指定管理者の選定でございますが、選定に当たりましては、効率性とサービス向上の両方を重要な柱として公募を行い、提案を受けます。そして、専門家を含めた選定委員会での審査を経て、最も望ましい提案をした事業者を選ぶこととしてございます。
 経理状況、事業実績、施設管理計画や事業収支計画などの審査を通しまして、計画的かつ安定して管理運営する能力を有しているか、また、経費の縮減を図れるかなどを総合的に判断することになります。
 こうした慎重な審査によりまして、効率性だけを追求した提案、あるいはサービスの質は高いが効率性に問題がある提案は除かれ、利用者にとって質の高いサービスを効率的に実行する事業者を選定することができると考えてございます。

○ともとし委員 利用者の目線に立って事業者を選定するということになるのかなというふうに思いますけれど、しかしながら、一たん事業者が選定されると、事あるときに、それを何らかの意味で指摘をし、あるいはまた、極端な話では変えなければならないという、そんなことも出てくるのかなというふうに思いますが、その辺についての担保をきちっとしておかなければいけないのかなというふうに思うんです。
 提案どおりのサービスを提供する、あるいはサービスの質の低下を防ぐという、そういう対策を講じていく、そういう内容のものをつくっておかなければいけないかというふうに思うんですが、効率や経費削減を追求するのみで、供給されるサービスが要求をされる管理水準に届かなかった、そうした施設運営の協定に反する著しい状況があった場合、これについてどのように対処していくのか。この辺についても、ある程度明確にしておく必要があるのかなというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○岡田団体調整担当部長 都はこれまでも、窓口や電話及び電子メールなどで利用者の意見を直接把握し、施設の運営に反映させてまいりました。制度導入後も、同様に、利用者の意見の反映を行うため、利用者の意見等の報告を指定管理者に義務づける予定でございます。
 また、施設の管理運営が適切に行われているかを確認するために、常日ごろから指定管理者の施設管理の業務や経理状況につきまして報告を求めたり、実地に調査を行うなどして業務の確認を行い、適切な指導に努めてまいります。
 その結果、管理業務または経理状況に関する都の指示に従わなかった場合、選定基準を満たさなくなったと認める場合、管理基準を遵守しない場合などにつきましては、指定管理者に対して業務の改善を行うよう指示することができます。
 なお、これに従わない場合は、指定の取り消し、または期間を定めて管理業務の全部または一部の停止を行うことができます。

○ともとし委員 サービスの低下が起きないように、くれぐれも指導監督を怠らないようにしていただきたいということは当然ではありますけれども、この公の機関の施設を民間に委託する、こういうような状況をやるときには、必ず反対運動が起きます。
 要するに、民間に委託するとサービスの低下を招く、これを声高に叫ぶような政党というかグループというか、そういったところがあるんですが、私もかつて、二十数年前、区議会議員に初当選をしたときに本当に苦い目に遭っていまして、この件に関しては忘れもしないんですが、私が選出されているところは足立区なんですが、学校給食の民間委託というのがありました。施設等については、公のそういう給食室を使うわけですが、これを民間に委託するというところを協議委員会の方で発表したところ、まさに子どもたちに対するサービスの低下を招くと。極端な話では、ゴキブリのつくだ煮が出てくるだろう、ネズミの輪切りが出てくるだろう、そんなようなことまでいって、ある意味では、衛生上の問題、あるいはまた、子どもたちに対して給食が民間委託になったときの恐怖心を植えつけるような、そんな運動を大々的に区の中でやっておりました。
 そうしたところにも私も呼び出されて、それこそ袋だたきに遭うような感じでやられた思い出をいまだに鮮明に覚えているんですが、それを主催した政党は--今日二十数年たって、そこの足立区は、民間に委託して大成功しています。米飯給食はふえますし、子どもたちは喜んで食べていますし、事故という事故はほとんど起きていません。そういうような中で大成功してきているわけですけれども、それに対しても、その政党は何らコメントというのはないんですよ。いいっぱなし、やりっぱなし。そういう本当に汚い、選挙目当ての運動をやられた経験がありますので、この民間委託のそういったことに関しては、私も関心を非常に強く持っているんです。
 指定管理者制度というのは、単なる民間への開放だとか、単なるコストの削減ではないんですね。一歩踏み込んだ、民間のノウハウあるいは企画力を導入するという、そういう意義もあるのではないかなというふうに思っております。
 現在の管理委託制度では、管理運営業務は、仕様書等については、いうなれば官がつくっているわけですね。サービスの水準は、官がある意味では決めている。官が決めたことを幾らでやれるかという、そういう視点でしかなかったわけですが、この指定管理者制度というのは、基本的には管理水準は官が決めるとはいえども、民間の創意工夫、そういったものが生かされた、利用者の立場に立った、先ほども申し上げましたけれども、利用者の目線に立った、そういった提案がなされていくことによって、サービスの水準そのものを民が決めるという大きな転換が図られるのではないかな、このように思っているわけです。公設民営方式、民間外部委託などと異なる、そういった大きな利点があるのかなというふうに思います。
 指定管理者制度は、民の力によって利用者のサービスの向上が図られる、そうした意義のある制度かなというふうに思うわけですが、こうした制度が円滑に導入されるように、局としても努力してほしいと思いますが、この辺について、今後どのように利用者サービスを向上させていくのか、局長の考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。

○成田港湾局長 ただいまるるご質問いただきました指定管理者制度でございますが、これは、これまで官主体で行ってきました公の施設の管理運営に、民の創意工夫をより一層積極的に取り入れることで、これまで以上に利用しやすい施設として、なおかつ効率的に管理運営していこうというものでございまして、国から地方と並ぶ、官から民へ、そういう大きな時代の流れに合致しているものだと考えております。
 これまで港湾局では、所管する公の施設、これは四種類、四十八施設についてでございますが、東京港埠頭公社など、それぞれにふさわしい団体への管理委託によって、民の力を取り入れながら効果的、効率的な管理運営、利用者へのサービス向上に努めてまいりました。
 こうした工夫と努力の中から、例えばお台場海浜公園で、昨年の七月には海の灯まつり、これは七月の海の日にちなんだ海の灯まつり、そうした取り組みのように、周囲のまちのにぎわいにもつながる新しい取り組みなども生まれてきております。
 指定管理者制度を導入することによりまして、官を補うよきパートナーとしての民の力をこれまで以上に活用することが可能になりますし、公の施設としての公共性を引き続き大切にしながらも、施設に新たな魅力をつけ加えることが期待できるわけでございます。我々、官も、適切な管理運営を確保する一方で、発想をより一層柔軟にいたしまして、民の意欲的な取り組みを支援していきたい、かように考えております。
 官と民が力を合わせて都民サービスをさらに向上させ、利用者である都民の皆さんから、新たな制度を導入してよかった、そう評価していただけるよう、先ほどともとし委員の方から学校給食の民間委託についてのお話がございましたけれども、学校給食の民間委託についても、最後は、利用者である生徒さん、あるいはその父兄の方からご支持いただいたわけでございます。私どももそのように、この制度導入がそういった利用者の都民の皆様に支持されるよう、そのためには課題も少なくございませんので、引き続き、そういった課題の検討に取り組んでまいりたいと思っております。

○柿沢委員 今、ともとし委員から、海上公園の指定管理者の問題について大変詳しい質疑がありましたけれども、私も海上公園のことを伺おうと思っております。
 特定の海上公園の話になりますが、春海橋公園という公園がありまして、実はこれ、二月の港湾審議会で、春海橋公園の海上公園計画の変更について審議がされましたけれども、その港湾審議会でも若干発言をさせていただいたんですけれども、この春海橋公園のことについて、二、三質問をさせていただきたいと思っております。
 春海橋公園といいますのは、現在の晴海通りのところの--中央区と江東区のちょうど境のところにかかっている橋なんですけれども、この晴海通り沿いにある春海橋公園が今度水際に移ることになりまして、豊洲の二、三丁目の再開発に伴って、ある意味では、新しいまちに生れ変わる豊洲地区の象徴的な、ランドマーク的な公園になっていくわけです。また、場所も海側にちょっと移って、さらに面積も非常に広くなる。臨海副都心もレインボーブリッジも見えるし、晴海の再開発の現場も間近に見えますし、そういう意味では、東京のベイエリア全体を一望するようなすばらしい場所に、全く新しい公園として生まれ変わるという形になるわけです。
 そういうときにふと思いましたのは、春海橋公園という名前について、こういう形で全く生まれ変わって、東京でもシンボリックな名所になるかもしれないなという公園であるにもかかわらず、春海橋公園という名前でいいんだろうかという気がするわけです。名称というのは一つのシンボルであって、公園の名前のつけ方によっても、都民の意識とか愛着とかは異なるわけで、私は特に、この春海橋公園が新しく生まれ変わる豊洲も含まれている江東区の人間ですから、この豊洲の新しいまちというのを全体として成功させる上でも、この公園、非常に大事だというふうに思っています。
 その意味で、新しい公園名をつけるなり、あるいは手続的にそれが難しいのであれば、新春海橋公園に何か違った愛称をつけるなり、そういうことを考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○鈴木臨海開発部長 春海橋公園でございますが、これは春の海と書きまして、春海橋という名称でございますが、この公園は、春海橋を挟みまして中央区と江東区にまたがって設置され、昭和五十三年の開園に際しまして、春海橋にちなんでつけた名前でございまして、以来、三十年近くこの名称で地元に親しまれてきた公園でございます。
 今回の江東区側の計画変更に際しましては、中央区側とつながった一連の公園としては変わりがございません。そのために、名称につきましては、そのまま春海橋公園としたものでございます。
 中央区側は、今後、晴海地区の再開発に伴いまして、春海橋公園の位置の変更を行う計画がございます。現在の春海橋から離れた位置に移転をいたしまして、中央区と江東区とでつながりのない区分された公園になる予定でございます。したがいまして、その際に、公園の名称をどうするか、検討課題にさせていただきたいと思います。

○柿沢委員 春海橋公園って、春の海と書くわけで、それ自体が、私、名前が悪いといっているわけでは決してありませんけれども、ぱっと聞くと、これは橋の附属物みたいで、本当に小さい感じのイメージがわいてしまうのかなと。少なくとも、私の印象としてはそんな印象をどうしても受けてしまうので、そういう意味で、繰り返しになりますけれども、皆さんおいでいただければわかりますけど、すばらしい場所ですから、ご検討いただきたいというふうに思います。
 ただ、名前がよくなったとしても、これはやっぱり中身が伴わなければ、名前負けというか、そういうふうになってしまいますので、特に水際に移転をするということになりますので、やはり親水性を高めたり、あるいは眺望の面で工夫をしたり、豊洲・晴海の再開発エリアが一望のもとに見える、そんな工夫をしたり、あるいは周辺の大再開発も行われますから、この周辺に配置をされる施設とも関連性を深めて、ある種の回遊性を持たせるとか、そういう意味で、周りの施設のオープンに合わせて適切な公園の整備のあり方というものが必要だというふうに思います。
 現時点で、春海橋公園というか、春海橋公園じゃなくなるはずの公園はどんな公園になることになるのか、また、公園自体、オープンはいつごろになるのかということを伺いたいと思います。

○鈴木臨海開発部長 豊洲地区の新たな公園につきましては、水際に移転するため、防潮機能を持たせた土地の上に位置することになります。具体的には、海沿いの平らな部分と、その背後の緩い傾斜から成る細長い土地でございます。この立地特性を生かしまして、水辺の景観を生かした親水プロムナードとして整備をする予定でございます。
 ドック跡地を活用した民間のにぎわい施設や、ガスの科学館、区立豊洲公園など、隣接する施設と連続性を持って、魅力的でにぎわいのある空間となるよう、地元区や関係者と協議を進めてまいります。
 整備のスケジュールですが、護岸工事や隣接施設の整備工程などを勘案いたしまして、南側ブロックは、ドックの周りのにぎわい施設のオープンに合わせ、平成十八年度前半に整備しオープンする予定でございます。
 また、北側ブロックにつきましては、隣接する街区の整備に合わせまして、平成十九年度に整備をいたしましてオープンをする予定でございます。

○柿沢委員 名前も内容も新しいプロジェクト、新しいまちにふさわしいものにしていただきたいというふうに思います。
 この質問をちょっとしましたのは、当然地元のことであるというのもあるんですけれども、私は、豊洲一帯の再開発の現場というのに、これから芝浦工大なんかも移転してきて、東京の中でも大変大きな--中央卸売市場が移転してくるエリアまでも含めて考えると、都心では最大の新しいまちの誕生だというふうに思っているんですけれども、しかし、そういう割には、この一帯の再開発の計画において、外から人が大勢訪れるような工夫というか、にぎわいの創出みたいなもののアイデアがちょっと足りないんじゃないかというふうに思っているんです。
 そういう意味でも、眺望がすばらしい、本当に東京の中でも一番すばらしい眺望が期待できるんじゃないかと思う海上公園、現春海橋公園に大変大きな期待をしているわけです。今、指定管理者制度の導入という話もありましたけれども、海上公園のあり方というのも、名前だけじゃないですよ、今までの延長ではなくて、やはりさまざまなアイデアを凝らして違ったものにしていく必要がある。
 今回の計画の中には、あそこのもとの土地が石川島播磨の造船所の跡地だということで、その船のドックを一部残して、これまた公園の一つのシンボルとして活用するというような工夫も確かにされてはいます。ドックを半分埋め立てちゃったのはちょっと残念なんですが、いずれにしても、そうした工夫を凝らして、私なんか個人的には、あそこに、昔IHIで、石川島でつくった大型船か何かを浮かべて、それをまた、さっきの運河ルネッサンスじゃないですけど、海上レストランか何かにして、そんなことも考えてもいいんじゃないかと思うぐらいですが、いずれにしても、そうした形で豊洲というまちが新しく生まれ変わって、一度見に行こう、訪ねて行こう、そこで食事をしよう、歩いてみよう、散歩しよう、そういう人が、豊洲あるいは江東区の外からどんどん流入してにぎわってくる、こうした工夫をぜひしていただきたい。それに値するまちだというふうに私は思っていますので、この公園整備にも大変大きな期待をしているわけでございます。
 次に、これ、関連をしまして、現春海橋公園から正面に見える海の方のにぎわいについて若干の提案をして、質疑をして終わりたいと思うんですけれども、この水域は、豊洲ふ頭と晴海ふ頭に囲まれて、コの字の形になっている水域で、この水域に面して三方で再開発が進められているわけです。
 先ほど芝浦工大の話をしましたけれども、業務・商業だけでなくて、そうした学術、文化、また市場みたいなものもやってくるわけで、大変バラエティーに富んだ再開発が進められて、新しいまちとして生まれ変わるわけですね。そうしたエリアを、先ほどから申し上げているように、地元の人だけではなく、不特定多数の、外からも人々がやはり流入をして、にぎわっていくような場所にすべきだと思っていますので、ある意味では、ここを東京における海上交通の一つのターミナルみたいな役割を持たせることができないかというふうに思います。
 先ほどの松原理事のお話にも若干つながっていきますけれども、そういう意味で考えると、先ほどから申し上げている海への眺望と同時に、逆に海からこちらを見るということも考えられるわけで、海上バスあるいは遊覧船、そうしたものの一つの発着点として豊洲を活用するということも考えられるんじゃないか。ここと、例えばビッグサイトやお台場、竹芝や日の出、さらには隅田川をさかのぼって、両国に船着き場がありますから、浅草、そうしたところとも結べるんじゃないかとも思います。
 これまでの海上バスの乗り場というのは、どちらかというと、鉄道の駅から若干歩かなきゃいけないような場所にあることが多いわけですけれども、幸いというか、これは地下鉄の豊洲駅からも大変近いですし、「ゆりかもめ」も開通をしますし、そういう意味でもアクセスもいいわけで、この場所に海上交通の一つの発着点を持ってくるというのが、アイデアとしてあり得るんじゃないかなと。
 私は、一番最初にそれを思いついたのは、石川島播磨の再開発に当たって関係者の方とお話をしているときに、考えてみると、こことディズニーランドを水上バスで結んで、豊洲から、例えば海賊船みたいな船をつくって、これをある種、ディズニーランドへ行くルートとして開発すると、これはこれでまた、外から豊洲に集まる人がふえるのかなと。そして、これがまた、ディズニーランドに付随するアトラクションの一つとして人気を博するんじゃないか。今、モノレールのディズニーリゾートラインというのが舞浜の駅から通っていますけど、あんなイメージで、それにふさわしい船を使ってやったらどうか。
 また、この間、成田局長とちょっと立ち話で話をしましたけれども、それをまた、海の森とも、三角にしてルートとしてつくったら、子どもたちにとっては、自然に触れてディズニーランドで遊んでという、その一つのターミナルとして活用できるんじゃないか。そんなふうに思ったのが最初でして、そういう意味では、そうした考え方というものをひとつ検討していただきたいというふうに思っております。
 ルートを決める上では、実際に海上バスを運用する船会社、営業上の戦略もあるでしょうから、何でもかんでも実現できるわけではないと思いますけれども、しかし、ぜひ関係者とも調整をしながら、この春海橋公園でなくなるはずの公園が、すばらしく東京の中でも知られるような場所になるように、ご提案とご要望を申し上げて、地元の話だけで恐縮なんですが、質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○丸茂委員 それでは、まず最初に、港湾局の予算関係でお伺いをしたいと思います。
 新年度予算には、島しょ等港湾整備事業として、ジェットフォイル、いわゆる高速船の就航率改善事業が計上されております。島民の皆さんにとっては生活の足でありまして、この事業の対象の港湾、漁港は、箇所としてはどこなのか、また、どのような改善事業を行うのか、お伺いいたします。

○萩原離島港湾部長 港湾、漁港の対象箇所でございますが、利島港、新島港、野伏漁港、神津島港など、計七港で対策を行っております。
 事業内容は、小型船だまりの泊地や防波堤等の施設整備でございます。

○丸茂委員 それでは、この改善事業で就航率をどこまで上げるのか、上げたいと考えているのか。目標の就航率、この点はいかがでしょうか。

○萩原離島港湾部長 就航率でございますが、波浪が高く、就航率の低い十月から三月までの間の十五年度の実績でございますが、利島が四%、新島が五九%、式根島が四三%、神津島が六七%程度でございます。
 現在進めております事業は、おおむね平成二十二年度を完成目途に進めておりまして、これらの事業が完成すれば、各島で七五%から九五%程度の就航率が確保できるものと考えております。

○丸茂委員 そこで、具体的にお伺いしたいと思うんですが、昨年十二月に式根の方から要請がありまして、島民の方から、野伏漁港の泊地整備の事業を行ったけれども、いろいろ問題があると。それで、せっかく泊地の整備が行われたけれども、港内の波高が高くなって、高速船の接岸や新島との連絡船である「にしき」、あるいは港内に係留する漁船、これらの着岸、係留が大変になったと。横につけていたものを、頭を岸壁に向けて係留しなければならない、こういう状況になった。この工事に当たって、シミュレーションも行われたはずだ、その点はどうだったのか。あるいはテトラの移動やしゅんせつなども行われたと。そういう点でいろいろ意見が寄せられました。
 私も現地に行って、せっかくの工事が本当にどうだったのかという思いに駆られたのですけれども、そこで、野伏漁港の整備計画と実際の工事工程について、地元とどのような調整が行われたのか、その経過についてお伺いをいたします。

○萩原離島港湾部長 野伏漁港の工事工程でございますが、防波堤の整備を実施している段階で、大型化した魚類運搬船が安全に接岸できるような泊地の整備につきまして、急遽、地元から強い要望がございました。検討いたしました結果、その必要性があるとの判断から、国に対しまして事業計画の変更に関する所定の手続を行いまして、泊地整備を先行して行ったものでございます。

○丸茂委員 現地で、現場に東海汽船の関係者もいらっしゃいましたので、高速船についてもどうなのかとお聞きしましたら、高速船の就航では、例えば水中翼を出したままで接岸するには、七・五メートルの水深が必要だと。港に入るとなると、四・五メートルなので、水中翼を上げないと入れない。外側にとめるにしても、やっぱり波が高いと、特に羽を上げると不安定になるという点で、できれば水深七・五メートル、こういう深さが必要だ。こういうことで、何とかならないか、こういう要望も寄せられたわけですけれども、可能性としてはどうなのか、その辺いかがでしょうか。

○萩原離島港湾部長 東海汽船株式会社からは、マイナス七・五メートル泊地の整備の要望については聞いておりません。
 港内泊地の整備によりまして操船性が非常に向上いたしまして、現行のマイナス四・五メートル泊地で十分接岸できるため、マイナス七・五にする計画はございません。

○丸茂委員 これから具体的に、先ほど述べられたように、高速船就航率を高める、さらに、防波堤の延長等、工事が進んでいくわけですから--やっぱり太平洋上の港の整備というのは、自然の力というのはなかなか予測しがたい。特に、私も大島でも経験があるんですが、なるべくそこを、航行のために岩石をとったら、逆に波が砕けず、そのまま防波堤に当たって、高波が堤防を越えて波浮の町に流れるだとか、自然の力というのは非常に大きいなと。
 そういう点では、現地なり--港湾局の皆さんは専門的な技術力もあるわけですから、工事を行うに当たっては、効果が上がるようにぜひお願いしたいと思うんですが、特に今回の泊地の工事が行われて、先ほど漁協の要望で整備したというお答えがありました。しかし、野伏漁港は、先ほどいったように、高速船あるいは新島との連絡船である「にしき」等、島民の足となる船着き場でもあるわけですね。そういう点では、さまざまな工事が行われるわけですけれども、島民全体の生活にかかわる問題については、広く島民に周知してほしい。
 今回の整備に当たっては、漁業関係者等一部の方で、後で実態がわかったという声も聞きましたので、その点での住民への説明の周知という点でどうお考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。

○萩原離島港湾部長 大島支庁港湾課におきましては、年度当初に、村、漁業組合、観光協会等の団体を対象に主要事業の説明を行っております。また、工事の着手段階におきましても説明会を行っておりまして、先般の工事におきましては、村内放送を用いまして、住民の説明会への参加を呼びかけたところでございます。今後とも、住民への影響が大きい工事につきましては、周知徹底を図ってまいります。
 なお、港湾関係の工事を掲載いたしました「『こうわん』だより」、これは大島支庁が出しておる冊子でございますが、こういったものを船客待合所に掲示いたしますとともに、支庁のホームページでも閲覧できるようになっております。

○丸茂委員 今のご答弁で、ぜひ住民への情報提供というのは広く、特に大きな工事の場合は積極的に行っていただきたいというふうに考えます。
 それで、式根の問題はこれだけじゃありませんで、先日の本会議でも指摘された、ソバ地区のコンクリート塊などのずさんな管理あるいは海上投棄問題、これは現地で厳しい指摘がされておりました。さらには、建設局所管なんですけれども、循環道路の開発などが行われておりまして、都道なんですが、その工事で自然林が破壊されている。雨が降ると、工事の汚水がきれいな海を汚す。そういうことでダイバーの方から訴えもありましたけれども、非常に気になりました。
 そういう点では、循環道路については、担当の建設局にも直接お尋ねしたら、見直しが必要かというような感じのお答えもいただいたんですが、やっぱり式根島というのは、私も行きまして、自然豊かで景勝も非常にすばらしい島です。そういう点では、式根の島の環境を保護する上で、局の枠を越えた調整について、機会あるごとに行っていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、東京港に関して資料要求した件についてお尋ねしたいと思います。
 東京港は、二十四時間三百六十四日フルオープンの港湾運営が行われるもとで、実際に港湾業務に携わる港湾労働者の労働条件の向上、厚生施設の充実は重要と考えます。
 そこで、港湾労働者の労働災害の実態を資料で提出していただきましたけれども、労働災害の状況を見ると、平成十五年度に東京港で死傷事故が八件発生しております。死亡事故も発生していると聞いております。東京都として、関係団体とともに、どのような安全対策を講じているのか、お伺いをいたします。

○片岡港湾経営部長 港湾における荷役作業におきましては、まず、事業者が危険防止等の措置を講ずる責務を有しておりまして、これを労働基準監督署が指導監督いたしております。また、事業者の団体でございます財団法人港湾貨物運送事業労働災害防止協会は、港湾労働環境の向上と労働災害の防止を図るため、地区ごとに定期的な荷役作業点検パトロールあるいは積極的な啓発活動に取り組んでおります。
 都としても、この協会が行う労働災害防止の活動に協賛いたしますとともに、施設の管理者として、労働災害の防止を図る観点を含め、ふ頭の定期巡回、点検を行っているところでございます。

○丸茂委員 もう一つ要望が寄せられて、その一つを取り上げるわけですけれども、港湾労働者の厚生施設の整備です。提出された資料によりますと、厚生施設には、宿泊施設やサービスセンター、さらには食堂、休憩所等が設置されております。宿泊所やサービスセンターの中には、老朽化して、港湾労働者から建てかえてほしい、こういう要望も寄せられております。
 具体的には、青海サービスセンターの建てかえと宿泊施設の豊洲荘の部屋のリニューアル、こういう要望が出されていることと思いますけれども、この点についてどう対応するのか。
 この事業は、一義的には財団法人東京港湾福利厚生協会の仕事だと思いますけれども、関係者から、都としても、ぜひ協力してほしいと。都の対応が必要ではないかと考えますけれども、青海サービスセンターの建てかえや豊洲宿泊所のリニューアル、これらの要望について、都としてどう対応していくのか、この機会にお伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 お尋ねの青海サービスセンターにつきましては、今回ご要求のございました資料に記載のとおり、港湾の二十四時間三百六十四日フルオープンの進展に伴うニーズにこたえまして、近く売店の二十四時間化を実施いたします。この売店にはATMなども設置し、利用者サービスの向上を図ってまいります。
 豊洲宿泊所につきましては、平成十四年に給水ポンプの新がえを行っておりますほか、お話の財団法人東京港湾福利厚生協会が、内装などにつきまして計画的な補修を実施しているところでございます。

○丸茂委員 何らかの手は打たれているということのようですけれども、根本的な解決も求めておりますので、ぜひ引き続き努力をお願いしておきたいと思います。
 次に、指定管理者制度についてお伺いをいたします。
 今回、海上公園条例としても出ておりますので、海上公園条例を中心に何点か伺いたいと思います。この指定管理者制度については、昨年五月に基本的な私どもの見解を述べましたので、それを省略しながら、具体的にお尋ねしていきたいと思います。
 まず、海上公園の管理委託については、現在、埠頭公社、そして東京テレポートセンター、いわゆるTTCが管理委託を受けておりますけれども、その委託料はそれぞれどの程度か。
 また、すべての業務を管理委託先が受けるとなると、また大変だと思いますけれども、その委託状況は現状どうなっているのか、実態について改めてお伺いをいたします。

○鈴木臨海開発部長 業務の執行実態というお尋ねでございますが、海上公園の管理運営に係る委託料は、平成十六年度予算で、埠頭公社は十五億四千六百万円、東京テレポートセンターは四億三千百万円で、合計十九億七千七百万円となっております。
 受託業務の執行につきましては、管理受託者は、清掃や警備、維持工事などの一部の業務につきまして専門の業者に発注をしておりまして、効果的、効率的な管理運営に努めていると把握しております。

○丸茂委員 いろいろ工夫して、効率的、効果的に行っていると。港湾局長は、この前、台場のお話もありましたけれども。
 今回の指定管理者制度導入に当たって、海上公園には、海浜公園あるいはふ頭公園、緑道公園さまざまありまして、規模も、大から小までさまざまあります。公園の中には、有料施設を持っているもの、あるいは無料の公園と、さまざまあるわけですけれども、公募、選定をどう考えているのか、お伺いいたします。

○鈴木臨海開発部長 海上公園におきましては、個々の公園の実態を踏まえまして、管理運営に専門性、特殊性がある公園は施設ごとに単独で指定し、管理運営に類似性、同一性がある公園につきましては、スケールメリットと地域性等を勘案いたしまして、複数のグループに分けて指定していく考えでございます。

○丸茂委員 もう少し具体的にお聞きしますと、今の基準でどうなのか。
 例えば大井中央海浜公園、ここには陸上競技場から野球場、さらにはテニスコート等、スポーツ施設があります。公園面積でいえば四十五ヘクタールと、大きな施設です。また、十六ヘクタールの面積で、四十八面のテニスコートを有する有明テニスの森公園もあります。さらには、八十七ヘクタールの面積でゴルフ場やキャンプ場を有する若洲海浜公園もありますし、それから、お台場公園を見ますと、五十ヘクタール。葛西、若洲に次いで三番目ぐらいの広さになりますか、大部分を水域で占める、こうしたお台場公園等があるわけですよね。
 それぞれ、どういう選定基準で指定されていくのか、具体的な施設を示しましたので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木臨海開発部長 お話の公園を含めまして海上公園全体につきましては、ただいま答弁したとおり、管理運営の専門性、特殊性のある公園は、公園ごとに公募をいたしまして、管理運営に類似性、同一性のある公園は、スケールメリットと地域性等を勘案して、複数のグループに分けて公募をしていく考えでございます。
 海上公園各公園の具体的な取り扱いにつきましては、十七年度のなるべく早い時期までに整理をしたいというふうに考えております。

○丸茂委員 答弁は、前段とほとんど変わらないんですね。しかし、作業は、具体的に検討していると私は思うんですよ。それが、お尋ねしても具体的に示されない。出されるときは、もう決めて、かちかちに固めて、これでどうだと。
 私は、議会が新しい制度を検討するわけですから、準備段階でも、考え方だとか、こういう方向で今検討しているというぐらい答弁されていいんじゃないですか。その点どうなんですか。

○鈴木臨海開発部長 先ほどご答弁申し上げましたように、海上公園は全部で四十二カ所、さらに、有料施設あるいは都民の受けるサービスは多様にわたっております。
 したがいまして、スケールメリットあるいは地域性、こういったものを十分に勘案しまして、指定管理者制度の効果が十分に発揮できるような形で指定をしたいというふうに考えております。

○丸茂委員 指定管理者制度については、法律改正によるものなんですけれども、法律では、当該公の施設の管理を行わせることができると。だから、直営でもできるし、指定管理者制度を導入してもできる。やっぱり公の施設ですから、それがいかに都民のために公平で公共的な施設としてサービスが提供できるか、こういう角度で私は検討されるべきだと思いましたので、一つ一つ具体的な事例等を踏まえて判断をしていきたいということでお尋ねしているわけです。
 そういうことでいろいろ見てみますと、対象外になっている施設がありまして、東京港の中に、東京テレポートセンターが管理する夢の島マリーナというのがあるんですよね。これの料金設定のときにも質疑をした覚えがあるんですが、これが有料施設で委託されているわけですけれども、これは指定管理者制度の対象とならないのか、その辺どうなのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 お尋ねの夢の島マリーナにつきましては、都民の海洋レジャーに対する多様なニーズに柔軟、的確にこたえ、利用者サービスの向上を図るということで、普通財産として株式会社東京テレポートセンターに貸し付け、運営をしている施設でございます。公の施設の運営手法であります指定管理者制度の対象とはならないものでございます。

○丸茂委員 確認のためにお伺いしますけれども、港湾局が管理している中で、こういう普通財産として管理委託している、あるいは運用しているのは夢の島マリーナだけですか。ほかにはないんですか。わからなければわからないでいいんですが、どうですか。わかる範囲で。

○斉藤総務部長 申しわけございません。ただいまちょっと資料がございませんので、後ほどまたお願いします。

○丸茂委員 では、それは次の機会にしたいと思いますけれども、指定管理者の指定については、海上公園条例の第三十条の三で規則で定めるとされております。規則はどうなっているのか、この点についてお伺いいたします。

○鈴木臨海開発部長 東京都海上公園条例第三十条の三では、指定管理者の指定に当たっての基本となる基準等を定めており、さらに規則で定めることとされておりますのは、指定管理者の指定を受けるために必要な申請書や、海上公園の維持の技術に係る指導育成体制が整備されていることなどの指定基準でございます。

○丸茂委員 指定基準、指導育成体制についても整備をされていくということで、条例とあわせて、条例上で書き切れない、さらに細かな条項は規定等で補うという仕組みになっているんですが、やはり条例提案する場合は、私は、要綱等固まっていれば、あわせて提案していただいて、条例の持っている趣旨が、要綱も含めて具体的にどういうことなのか、こういう判断ができるように、これは要望しておきたいというふうに思います。
 次に、指定管理者の業務内容あるいは財政運営が公共性を堅持しているか、そういうチェックもシステムとして必要だと考えます。それには、第三者の管理運営委員会や、あるいは公平な施設の利用という点では、利用者による利用者会議等の設置が必要だと、こういう要望もあるわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○鈴木臨海開発部長 指定管理者が行う管理業務のチェックにつきましては、条例に基づきまして、定例的に指定管理者に業務内容等の報告を求めたり、適宜、実地調査などを通じまして適切な指導監督に努めてまいります。
 海上公園は、地域的にも施設的にも多様な利用者がいることから、利用者の代表を特定することは難しい面がございます。したがいまして、都はこれまでも、窓口や電話、電子メールなどで利用者の意見を直接把握いたしまして、施設の運営に反映させてきたところでございます。指定管理者制度導入後も、同様に、利用者の意見の反映を行うために、指定管理者に利用者の意見等の報告を義務づける予定でございます。

○丸茂委員 陳情等にも、利用者の声を反映する、そういう声も出されたんですが、システムとしては、そういう制度が組まれるという答弁ではありませんので、なかなか問題が多いかなというふうに思います。
 これは、今後のまた状況を見ながら要求していきたいと思いますけれども、こういう指定管理者制度が導入された場合、個人情報は一体どうなるのか、そういう心配もあるわけですが、個人情報の管理、この扱いを海上公園条例ではどう扱うのか、確認のためにも聞いておきたいというふうに思います。

○鈴木臨海開発部長 東京都海上公園条例第三十条の六で、当該指定管理者が業務に関連して取得した利用者の個人に関する情報を適切に取り扱うこととしておりまして、利用者のプライバシーを保護することを規定してございます。
 なお、平成十七年四月一日に施行されます、改正後の東京都個人情報の保護に関する条例では、第九条、受託者等の責務におきまして、公の施設の指定管理者が行う管理業務で取り扱う個人情報の保護措置が加えられております。このことによりまして、指定管理者に個人情報の漏えい、滅失、毀損の防止等を義務づけまして、また、同条例三十四条及び三十五条におきまして、個人情報の管理に重大な義務違反があった場合は罰則の適用がございます。
 さらに、海上公園条例第三十条の四の規定によりまして、指定管理者の指定の取り消しまたは業務の停止の措置をとることができることになっております。

○丸茂委員 次に、指定管理者導入の動きのもとで、私どもに要望もありましたし、これは問題だなということが起きております。
 今、埠頭公社に、海上公園、委託しておりますけれども、この埠頭公社の改革案というのがありまして、関係の労働組合の話では、指定管理者制度の導入を前にして、職員の賃金が高いということで、一〇%の賃金カットが提案されていたり、さらに問題なのは、指定管理者制度導入後の人員体制について、平成十六年から十八年度までは退職者不補充で行う。しかし、十八年度には、これでいきますと百二名の人員になるわけですけれども、三十名を削減して七十名程度の体制で行う、こういう提案が出されております。そしてさらに、この体制で、対象施設をすべて獲得するという前提で提案もされております。
 こういった実態を局としては承知しているのか、まずお伺いいたします。

○岡田団体調整担当部長 平成十八年度から導入されます指定管理者制度のもとでは、民間事業者と競い合うことになることから、東京港埠頭公社では、組織や業務の見直しなどのさらなる経営改善を進めているところと聞いてございます。

○丸茂委員 経営改善を行っているということですけれども、その具体的なあらわれが、働いている職員の労働条件が大きく変わる。ましてや、退職を強要されるようなことがあってはならないと私は考えております。
 そういう点では、こういう問題について、やっぱり基本的な問題ですから、改めてこのことがないように東京都としても考えていただきたいと思うんですが、いかがですか。

○岡田団体調整担当部長 東京港埠頭公社は、厳しい経営環境の中で、監理団体の持つ経験や実績、ノウハウを生かし、サービスの向上を図りますとともに、管理コストの削減など経営の効率化に努めてございます。
 なお、固有職員の労働条件等につきましては、公社の経営問題であると認識してございます。

○丸茂委員 私は、指定管理者制度の導入が、経営改善イコールコスト縮減という短絡的な形で、その経営努力が労働者の犠牲によって行われていることに非常に危機感を持っております。
 そういう点で、公共施設の管理については、逆にいえば、公の施設の管理については、公のモデルというんですか、そうなるように--自治体というのはやっぱり、最少の経費で最大の効果を上げる、そして都民サービスも果たすという点ではなかなか大変な役割があるわけですよね。そういう形できちんと対応していただきたいということを求めて、さらに具体的な提起の中で、私ども質疑をしていきたいというふうに思います。

○野島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び陳情に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野島委員長 異議なしと認め、本案及び陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十八分開議

○野島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより新銀行設立本部関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、新銀行設立本部所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○三宅委員 いよいよ四月から、融資や預金など新銀行東京の業務が開始されることとなりました。新銀行の業務や店舗展開の決定に当たっては、ペイオフ解禁に伴う地域金融機関への影響等を勘案し、慎重な判断が行われたとのことでありますが、前回、平成十四年四月の部分解禁時には、金融機関の安全性を求めて、都市銀行への資金シフトが起こりました。今回、ペイオフ全面解禁を間近に控え、金融環境に変化はあるのかないのか、都民の関心の大変高いところであります。
 そこで、今や金融のプロと自認されているであろう関部長より、詳しく現状を説明願います。

○関企画担当部長 本年三月の日銀統計によりますと、平成十六年四月末から同年、平成十六年十二月末までの郵貯等を除く国内金融機関の総預金残高の推移は約七百五十兆円と、特段の動きはなく、普通預金、定期預金等の預金種類別や都市銀行、地方銀行などの業態別の構成比を見ても、ほとんど変化はございません。信用金庫について見ますと、平成十六年十二月末の預金残高及び構成比は、百九兆円、全体の約一四・四%でございまして、前年同月の約百七兆円、構成比一四・三%と比較して、ほぼ同水準となっております。
 なお、預金以外の個人金融資産において、平成十六年十二月末の国債残高が、前年同月、一年前と比較しまして四七・七%増となっておりますけれども、その増加は六兆円程度ございまして、預金につきましては、現時点では、前回の部分解禁時に見られたような大規模な、約三カ月で三十兆円が動くというような移動は起こっておりません。
 また、新聞等の報道においても、不良債権処理が全体として順調に進捗し、金融システムが安定していること、ペイオフ全面解禁後も全額保護される決済用預金が準備されたことなどから、前回のような大きな動きは起きないとの見方が大勢となっております。

○三宅委員 プロらしい一端をのぞかせる答弁、少し安心をいたしましたが、今の説明で、決済用預金の導入がペイオフ対策の一つの役割を果たしているということであります。
 そこで、決済用預金とはどんなものか、また、この決済用預金について、各金融機関における導入状況、とりわけ都内の信用金庫はどのようになっているのか、お尋ねします。

○関企画担当部長 決済用預金とは、第一に、利息がつかないこと、第二に、いつでも引き出しが可能なこと、第三に、決済に使えるという三条件を満たした預金のことでございまして、平成十五年四月に施行されました改正預金保険法で規定され、昨年の四月から実際に金融機関での導入が始まっております。
 金融庁の調査によりますると、本年二月現在、全国六百二十二の金融機関のうち、八四・四%が既に決済用預金の導入を決定しており、検討中または準備中の金融機関を含めますと、全体の九七・六%が、本年の四月以降、決済用預金を導入する予定としております。
 都内に本店を置きますすべての信用金庫につきましては、本年の一月までに決済用預金の導入を完了するなど、地域金融機関においても、預金対策も着実に進展しているところでございます。
 なお、新銀行におきましても、顧客利便性を確保する観点から、本年四月の開業時から決済用預金の導入を行うこととしております。

○三宅委員 現時点における金融環境の状況については、わかりやすい説明でありました。
 そこで、新銀行は開業準備の最終段階に入っているわけです。信用金庫との連携についても、準備が着々と進んでいることと、こう思うわけですね。進んでいなければ困る。
 しかし、新年会シーズンが終わって、ちょっと冷たいけど春になって、いよいよ四月に開業という現時点でも、私が直接面識のある信用金庫の支店長だとか幹部だとか、それから一般の行員さんとか社員さんの話を聞いてみますと、どうもこの新銀行に対する理解度というか、本当に一緒にやっていこうというような意気込みやら雰囲気は余り感じられないのですが、こういった状況についてどのような認識をしているでしょうか。

○関企画担当部長 個別信金でございますけれども、現在のところ、都内に本店等を置く二十六の信用金庫のうち、提携業務内容にはそれぞれ幅はございますけれども、そのほとんどの信用金庫と個別契約の締結に向けて最終の調整を行っているところでございます。新銀行の開業後に順次個別契約を締結いたしまして、提携業務を実際に開始する予定でございます。
 各金庫でございますけれども、その多くは融資部門などが新銀行との交渉窓口となっておりまして、新銀行との業務提携がきちっと決まる四月後に、その具体的内容が組織内に伝達されまして、各支店単位での周知が早急に進むものと予想しております。

○三宅委員 四月以降じゃないと、ちょっと現場にはそういう新銀行東京に対する信用金庫さんの浸透度というか、連携についての実態はなかなか難しいというようにとらえるんですけれども、いずれにしても、分析ばかりしていてもしようがありませんから、この新銀行は信用金庫との連携が何よりも大切なので、これはしっかり取り組んでほしいと思います。
 ところで、この新銀行の業務、ペイオフの解禁に配慮して、四月からすべての業務を取り扱うということでありましたが、先日の本会議で我が党の代表質問に対しまして、売り物のポートフォリオ型融資、インターネットバンキング及びJR東日本との提携カードの取り扱いについては七月からするという旨の答弁がありました。この目玉の三つの商品の取り扱いがなぜ七月からとなったか、その理由をお尋ねします。

○関企画担当部長 ポートフォリオ型融資につきましては、先生ご指摘のように、新銀行の主力商品でございまして、取扱開始と同時に申し込みの集中が予想されることや、顧客への十分な周知、相談等を実施することにより円滑な業務展開を図ることとしまして、全面的に店舗が展開する七月から取り扱うこととしたところでございます。
 あわせて、インターネットバンキングにつきましては、開業時の臨時体制が終了し、取り扱いについて周知等の準備を要するため、新銀行の業務が平準化した時点から取り扱いを開始することとしております。
 また、JR東日本との提携カードにつきましては、JRの準備状況、提携内容の調整状況を踏まえまして、七月からの取り扱いを開始することとさせていただきたいということでございます。

○三宅委員 今の答弁をお聞きしていまして、いたし方ないのかなと思いつつも、これだけ私ども議会がずっと審議をしたこの新銀行、本当に大丈夫かなと一抹の不安を覚えるわけでありますけれども、開業を直前に控えまして確認をさせていただきたい事項があります。
 先日の予算特別委員会において、我が党の質問の中で、新銀行が品川区の荏原町商店街振興組合と提携するとの答弁がありました。これは我が党の主張したところを実現する方向のご答弁で、評価はいたします。しかし、その提携内容や今後の展開を改めてお尋ねをいたし、また、これは商店街の事業でありますから、東京都商店街振興組合連合会並びに東京都商店街連合会と提携をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○関企画担当部長 まず、荏原町商店街振興組合との提携内容でございますけれども、新銀行のカードは、商店街のポイントカード機能を搭載する仕組みを構築するものでございまして、これによりまして、商店街のまず発行費用の縮減を図りながら、商店街ポイントカード会員の拡大を実現し、結果として商店街の振興を図っていくというものでございます。
 また、今後の展開といたしましては、新銀行では、荏原町商店街に続きまして、さらに他地域の商店街とも、早期の提携実現に向けて今、密接な協議を進めております。また、これを契機といたしまして、順次商店街との提携を拡大していく予定でございます。
 なお、新銀行につきましては、今後、ご指摘の東京都商店街振興組合連合会並びに東京都商店街連合会とも連絡を密にさせていただいて、交流、協議を進めていく予定としているところでございます。

○三宅委員 ぜひそうしていただかなければ困る、こう思いますけれども、さて、これは、私は三月三日に一般質問いたしました。この中で、縦割り行政の打破ということに少し触れましたが、本件、この商店街のカードについて、所管しております産業労働局と、何か連携した協議はしましたか。

○関企画担当部長 産業労働局の商工部等、商店街施策の所管部門とは密接な協議を進めて、連携しながら事業を進めているところでございます。

○三宅委員 新しく生まれる、大切な大切な新銀行ですから、それを管理する本部が縦割り行政のシンボルみたいにいわれないように、きちんとやってくださいね。
 次の質問に移ります。再生ファンドであります。
 第四回定例会で、二月に設立するとのことでありましたが、その後の進捗状況はどうなっておりますか。

○吉田参事 再生ファンドでございます。新銀行は、金融庁の一部業務停止命令の一部解除を受けまして、予定どおり、二月二十三日付で再生ファンド・東京リカバリを設立いたしました。
 現在、地域金融機関から打診のあった債権の査定、選定などの業務を行っているところでございまして、間もなく債権を買い取り、中小企業に対する再生支援業務に取り組んでいく予定でございます。

○三宅委員 再生ファンド・東京リカバリ、いい名前だと申し上げておきましょう。中身が大切でありますが。
 続いて、新銀行の業務執行体制についてお伺いします。
 金融サービスにおいても高い付加価値を生むために、機能的な業務執行体制の確立が何よりも重要であります。この点について、新銀行の執行体制の特色と、行員や契約スタッフに加え外部委託等を含めた、新銀行全体の開業年次における行員数はどのようになっているのか、お答えください。

○関企画担当部長 新銀行は、人員や店舗数を抑え、低コスト体制とし、その成果を中小企業に還元していくなど、経営のあらゆる面での顧客本位を貫いてまいりたいということでございます。そのため、IT技術の活用による事務の集中化、専門化を行い、効果的な人員配置を行うとともに、外部委託を積極的に導入し、迅速かつ効率的な執行体制を確立していくこととしております。
 具体的な開業時の体制でございますけれども、基幹業務に従事する行員は百九十五名、契約スタッフ百名のほか、派遣スタッフや外部委託を加えまして、総勢で八百名を超える予定であり、顧客サービスを十分提供できる体制を確保してまいりたいと考えております。

○三宅委員 そして、これまで、新銀行の開業準備段階で都職員の派遣が行われていると説明を受けてきましたが、現時点での状況と今後の見通しについてお伺いします。

○関企画担当部長 新銀行への都職員の派遣につきましては、全面的に開業するまでの準備段階において、新銀行の設立趣旨を具体的な業務に反映させるため、新銀行と東京都がさまざまな面で連携を図る必要があることから、必要最小限の派遣を行ってまいりました。
 本日現在の都職員の派遣数は二十一名でございますけれども、新銀行の行員等の採用による執行体制の整備に応じて、既に段階的に派遣を解消しているところでございまして、四月以降は、管理職など若干名の派遣となりまして、七月の全面開業時以降は、新銀行の固有職員による自立した運営となるということでございます。

○三宅委員 わかりました。
 新銀行東京の開業まで、本当にもうあとわずかとなったわけであります。振り返ってみますと、私ども東京都議会自民党は、平成十五年五月の新銀行構想の公表以来、約二年間にわたりまして、中小企業支援だ、そしてまた、そのために地域金融機関との連携、こんなようなことをさまざまな角度から具体的な提案を行ってきたわけであります。
 また、この新銀行設立に際しましては、一千億円という膨大な都民の血税が使われているわけであります。開業した暁には、本当にこの新銀行が設立されてよかったという中小零細事業者のお声を耳にしたいと、心の底からそう思っておりますし、そうなってもらわないと困るというふうに、都議会としても責任があることであります。
 ただ、これはもちろん仄聞でございますけれども、中には不心得な事業者もいまして、どうも緩い審査で、また無担保無保証で金が借りられるらしいぞと楽しみにしているような声も聞きますから、これはとんでもないですからね。そういった審査は本当に厳正にしていただきたいけれども、使い勝手が悪いとか、何だ、同じじゃないかというようなまた声も出ないように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 結びに、都政史上初の銀行設立というプロジェクトに、これまで第一線で陣頭指揮をとってこられました本部長に、改めてこのときに、銀行の船出に当たっての決意をお伺いして、質問を終わります。

○津島新銀行設立本部長 先生おっしゃるとおり、新銀行は、平成十五年の五月、知事による新銀行構想が公表されまして、ちょうど約二年を経ようとしております。そして、この四月の開業をいわば目前に控えております。この間、都議会の各先生方には、大変ご熱心なご質疑をいただきました。また、適切なご指導とご尽力をいただいたことに心から感謝を申し上げます。
 新銀行がこの金融界で新たなプレーヤーとして参入し、そして中小企業を総合的に支援する顧客本位の銀行として、都民、中小企業から信頼される銀行となるためには、むしろこれからが本番であるというふうに考えております。したがって、経営陣、それから新銀行の行員一人一人が十分努力して、その日々の積み重ねが大切であるというふうに考えております。
 今後、新銀行は、民間銀行としてそれなりの地位を築き、そして立派に成長していくことを私ども強く期待しておりますし、また、できると信じております。そのためにも、都は、株主として今後とも新銀行を側面からしっかりと支援し、また監督していくつもりでございます。よろしくお願いいたします。

○ともとし委員 今回の新銀行の開業の時期については、これまで一貫して、ペイオフの解禁に伴う状況を考慮して、四月以降に開業するという説明を当該委員会等では受けてきたわけですが、しかしながら、それが、今回の定例会の中で、知事が四月一日に開業すると表明されたわけですが、早期に開業するということについては、都民並びに事業主にとっては待ち望んでいたことですから、大いに結構だというふうに思っております。
 しかしながら、この辺の経過ですね、なぜ四月以降が四月一日になったのか、この辺について経過をお聞きしたいと思います。

○関企画担当部長 新銀行の開業時期決定に当たりましては、中小企業の早期開業への期待にこたえる一方、これまで、個人預金の動向など、ペイオフ全面解禁に伴う地域金融への影響などを注視してまいりました。
 その結果、現時点におきましては、各地域金融機関の預金対策が進展し、預金動向も比較的安定していること、金融庁においても、ペイオフの全面解禁を実施できる環境との判断が示されていること、新銀行の段階的な業務や店舗展開などについて、地域金融機関からも十分理解が得られるとともに、連携を図りながら業務を展開することが相互の利益になるとの共通認識が深まってまいりました。
 新銀行におきましては、これらを総合的に判断、勘案し、開業に向けた環境が整ったと判断したことから、四月一日から業務を開始する方針として、現在、監督官庁との調整に入っているところでございます。

○ともとし委員 今のご答弁を聞いていて、そういった理由の中で四月以降が四月一日になったという状況であるならば、少なくとも、所信表明が終わった段階で、当該委員会の委員に対しては、こういう経過でこうなりましたよというのは、いち早く知らせても何ら問題はないのではないかなと。今のご答弁の内容だけであればですよ。そのことをまず指摘をしておきたいと思います。
 いよいよ四月一日に新銀行が開業になっていくわけですが、店舗については、七月上旬まで段階的に展開していく旨の答弁がありましたけれども、銀行の開業において、店舗は一斉に開設した方がいいのではないか、そういう見方もあるのも事実でして、なぜ本店だけが開業というふうになるのか。この辺が異例のケースなのか、それとも過去に類似したケースもあるのかどうか、この辺のご答弁をお願いしたいと思います。

○関企画担当部長 銀行は、その業務の公共性にかんがみ、銀行法において、信用秩序の維持、預金者の保護、金融の円滑化という三つの目的を達成するため、健全な業務運営を行うことが求められておりまして、新たな銀行の開業に当たっても、とりわけ円滑な業務展開を行うことが要請されております。
 過去の例でございますけれども、昭和二十六年に普通銀行として新たに開業した都民銀行におきましても、まず本店のみで開業し、その後、約一年かけて、段階的に合計九カ所の支店を開設するといった手法をとっております。
 新銀行が開業するに当たっても、その業務及び店舗を段階的に展開することで、ペイオフ解禁等に伴う地域金融機関への配慮や業務の安定的な運営確保の観点から、妥当な方策だと考えております。

○ともとし委員 円滑な運営をする、同時に、地域の金融機関に対しての配慮、そういったようなものも含めながら、安定的な運営のための一つの策であるというふうに理解をさせていただきます。
 新銀行開業直後には、融資業務の開始を心待ちにして、中小企業あるいは零細企業の方が殺到するのではないか、そういう予測も立てられます。あるいはまた逆に、安全な預金先として期待している都民が窓口に殺到するのではないかということも、可能性としてはあるわけでありますけれども、この辺の開業直後における業務集中に対して、窓口等の混乱を生じさせないように、この辺についての具体策ですね。
 やはり最初が大事なのであって、新銀行に行ってみたら、窓口が大変で、あそこの銀行は行くもんじゃないよと。あるいは、融資も、当初、短期の中ですぐできるような話があったけれども、こんなに時間がかかっちゃったよというような、そういうことがないように、どういう対策を練られているのか、この辺についてお伺いします。

○関企画担当部長 新銀行は、四月に本店のみで開業する方針でございますけれども、その受け入れ体制は、他の営業店に配置する予定の行員等による臨時のバックアップチームを編成するほか、繁忙度に応じまして本部職員も投入するなど、弾力的対応を準備しております。
 本店の窓口につきましては、臨時窓口の設置を予定しているほか、コールセンターや融資相談室においても人員を増員するなどにより、通常の数倍の業務量にも十分対応可能な体制を整える予定でございます。
 現在、全社を挙げて、実際の業務環境のもとで、ピーク時や事故対応等も想定した総合リハーサルを実施いたしまして、ソフト面、ハード面全般にわたる準備体制の検証と業務習熟度の向上などに取り組んでいるところでございまして、開業準備は最終段階に入っているところでございます。

○ともとし委員 期待しておりますけれども、よく合併したそういう銀行が最初に落ち込む状況というのが電算等にあるのかなというふうに思いますけれども、その辺についてもしっかりしておいていただきたいと思いますし、先ほど来ご答弁の中では、相当数の人数が投入されるようではありますけれども、窓口にしても、そこの本店そのもの自体のスペースも限られているわけですから、頭数だけが多くあればいいというものじゃないので、この辺についても、今ご答弁の中では、リハーサルをしっかりされているということで安心をさせていただきましたけれども、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、新銀行の預金商品について若干お伺いしたいと思います。
 当然、地域の金融機関とのその辺の問題もありますので、配慮をしながら、当初は標準的になってしまうのかなというふうには思いますけれども、どのような預金商品を取り扱うのか、可能な限りメニューをご紹介願いたいと思います。

○吉田参事 新銀行の考えております開業時の預金商品につきましては、普通預金と定期預金を取り扱うほか、ペイオフに伴います顧客ニーズに対応いたしますために、決済用預金も取り扱う方向で検討しております。
 また、定期預金につきましては、預金期間が一、三、五年の商品を中心に検討しているところでございます。

○ともとし委員 定期預金の種類が三つのタイプだと。期間についても、一、三、五を中心にして検討していらっしゃるということですが、それは、どういう理由から、そういうような一、三、五という形になってきたのか、この辺についての見解をお伺いしたいと思います。

○吉田参事 日銀によります日銀金融経済統計によりますと、平成十六年の定期預金の預入期間別新規預入高は、一年未満、次いで一年、三年の順で多くなっております。この三つで全体の九五%を占めまして、五年を超えるものの割合は非常に小さいという結果が出ております。
 新銀行では、ペイオフ解禁に伴います地域金融機関への影響に配慮し、一年未満の定期預金については取り扱わないこととさせていただきまして、次いで需要の多い一年と三年、長期に対応する五年を加えた、一、三、五年を基本としていく考えでございます。

○ともとし委員 だれしも関心を持つのは、新銀行の定期預金の金利の設定なんですね。どの程度になるのか、現在いえる範囲内で答弁をいただきたいと思います。

○吉田参事 失礼いたしました。前の質問の中でちょっと答弁漏れがございましたので……。
 新銀行では、ペイオフ解禁に伴います地域金融機関への影響に配慮いたしまして、一年未満の定期預金につきましては、当面取り扱わないこととさせていただきまして、需要の多い一年と三年、長期に対応する五年を加えた、一、三、五年を基本としていく考えでございます。
 ただいまのご質問でございますけれども、金利設定でございますけれども、都市銀行や信託銀行の従来型の定期預金や普通預金の金利設定は、各行ともほぼ同水準となってございます。新銀行におきましても、地域金融機関や既存金融秩序への配慮などから、当面は各行の金利設定を参考に金利を決定していく予定とのことでございます。

○ともとし委員 融資を受ける対象の中小零細企業の方も期待しているんですけれども、預金する側の都民も期待しているんですよ。やっぱり目玉になるものが必要なのかなというふうに思っているんですが、普通、既存の銀行では、いわゆるキャンペーン金利、通常より高い金利を定期預金等で売り出しをするわけなんですが、開業なんですから、まさにキャンペーンを張らないといけないのかなと。
 当然キャンペーン金利が出てくるのが自然かなと、こういうふうに思うんですが、預金者にとって非常に重要な金利、くれぐれも預金者にメリットのあるような--ある種、今余り夢のない世の中になっていますから、せめて新銀行ぐらいは夢のある銀行にしていただきたいと思いますので、この辺のキャンペーン金利については、他の金融機関より高い、そうしたものも、都民に夢を与えるという意味合いの中でも、ぜひとも設定できるように検討していただきたいなというふうに思っております。
 次に、ベンチャー企業の支援について伺います。
 これは、我が党の石井幹事長の代表質問に対して、将来の成長が見込める企業に対しては、ベンチャーキャピタルなどとも連携し、技術力・将来性重視型融資で積極的に融資をしていくという答弁があったわけですが、まず、ベンチャーキャピタルとは何か、この辺についてお伺いしておきたいと思います。

○吉田参事 ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に資本を供給することを主な業務とする投資会社のことを指しております。経済産業省の外郭団体でございますベンチャーエンタープライズセンター、こちらの調査によりますと、平成十六年三月末現在、少なくとも百二十社程度のベンチャーキャピタルが活動しておりまして、その多くは、証券会社や銀行、生命保険会社などの金融機関、または事業会社などを設立母体としております。
 ベンチャーキャピタルは、未公開企業等に出資をいたしまして経営支援などを行い、最終的に株式公開をすることで大きなリターンを得るビジネスモデルであることから、設立後間もなく、新規性のある技術や商品、サービスを持ち、成長性が見込まれるような中小企業に関する情報等を日常的に収集、保有しているものでございます。

○ともとし委員 新銀行が検討していらっしゃるベンチャーキャピタルとの連携は、具体的にどのような内容のものなのか、この辺についてお伺いします。

○吉田参事 新銀行では、ベンチャーキャピタルからの顧客紹介を中心とする連携を検討しております。ベンチャーキャピタルが投資対象としますベンチャー企業は、担保となる資産が少ないため、金融機関から資金調達をすることが難しいとされておりますが、新銀行は、ベンチャーキャピタルから有望な企業の紹介を受け、ベンチャーキャピタルの出資とともに、リスクを分散しながら、技術力・将来性重視型融資などの融資をしてまいります。
 なお、今後、技術力・将来性重視型融資の審査について、ベンチャーキャピタルが有する企業分析のノウハウの提供を受けたり、新銀行顧客を逆にベンチャーキャピタルに紹介するなどの提携も検討してまいります。
 新銀行は、このようなベンチャーキャピタルとの提携を足がかりといたしまして、ベンチャー企業の育成を支援してまいりたいということでございます。

○ともとし委員 同じく我が党の質問において、新銀行が融資できなかった企業に対して、ベンチャーファンドへの出資を通じて間接的に資金を供給するとのご答弁があったんですが、具体的にはどのような仕組みを考えていらっしゃるのか、見解を伺います。

○吉田参事 具体的な仕組みについてでございますが、新銀行は、新銀行の技術力・将来性重視型融資では対応できないリスクの高い企業や、創業直後で決算実績が少ない企業に、みずからがファンドに出資することによりまして間接的に資金を供給するものでございます。
 ベンチャーファンドの選定に当たりましては、対象企業や運用方針、過去の運用成績などを勘案した上で、得意とする業種、分野などが異なる複数のファンドに投資をしていくことを検討してまいります。これによりまして、多様な企業に対して、ファンドから投資機会の拡大を図ってまいります。
 なお、都が設置しましたベンチャーファンドにつきましても、出資の対象としていくということでございます。

○ともとし委員 独自の技術、ビジネスモデルを持って、リスクを恐れず新規事業に果敢に挑戦していくベンチャー企業は、今のまさに低迷する日本の経済にとって非常に大切な存在になっております。そんなベンチャー企業にとって、資金調達は切実な問題でもありますし、新銀行は、融資にせよ投資にせよ、それぞれの企業のニーズに合った資金を供給し、手厚い支援をしていただきたいというふうに思います。
 また、先ほども申し上げましたけれども、単にベンチャー企業だけじゃなくて、東京都における中小零細企業の新銀行東京に対する期待は物すごく高いものがあります。その期待にくれぐれもこたえていただきたい、このことを申し上げて質問を終わりたいと思いますけれども、本部長の決意を聞きたいと思います。

○津島新銀行設立本部長 ただいまのベンチャー企業への支援を含めて、中小零細企業への手厚い支援ということにつきまして、しっかりと受けとめて新銀行を指導してまいりたいと思っております。
 実は、新銀行自身がベンチャー企業でございます。いわゆるベンチャー銀行でございます。そういうベンチャー企業として、やはり新銀行らしい、新しさにいろいろこれからチャレンジして、しっかりとした、金融界の中で地歩を固めていきたいというふうに思っております。
 これから、さまざまな大小の困難にぶち当たると思います。都としてもしっかりと監督いたしますけれども、やはり都議会の先生方の温かい、かつ熱心なご支援があって、初めて可能となると思いますので、よろしくお願いいたします。

○大津委員 それでは、新銀行東京の開業がいよいよ二週間後に迫りました。融資や預金などの個別の業務の準備も進められていると思いますけれども、きょうは、銀行業務の中枢を担うシステムの安定稼働が必要でありますので、我が党の中村議員が予算特別委員会で、システムのセキュリティーについての質問もしましたけれども、改めて、新銀行の開業を目前に控え、システムの準備状況についてのお伺いをいたします。

○関企画担当部長 新銀行のシステムにつきましては、預金、融資など通常の銀行業務に対応する基幹系と、ICカードなど顧客サービスの提供などを行うチャネル系とで構成されております。いずれも準備は順調に進捗しているところでございます。
 一月からは、具体的な業務内容をもとに、さまざまなケースを想定した本番リハーサルを実施しており、このシステムの確実性を繰り返し確認するなど、開業に向けて体制を整えているところでございます。

○大津委員 リハーサルも含めまして、今、準備段階でありますシステムの安定稼働から確実なものとするための質問をいたします。
 この間、一般質問で、私も防犯・防災モデル都市東京という質問をいたしまして、国の発表で、三十年以内に七割の確率で直下型大地震が来るという発表もありました。ほとんど三十年以内に来るという準備を進めながら生活をしていかなくてはいけないと思いますが、そういう中では、災害、大地震、そういった不測の事態による新銀行の対応というのはどのようになっているか、その対策をお願いいたします。

○関企画担当部長 新銀行では、システム障害や災害が発生した場合、その被害を最小限に抑えるため、基幹系、チャネル系それぞれのシステムに、それぞれバックアップセンターを置くとともに、機器、回線を二重化を行っております。
 具体的には、リスク分散を図るため、基幹系につきましては、関東と関西方面にそれぞれシステムセンターを設置することとしており、チャネル系についても、バックアップ用のセンターを都心から離して設置することで、障害など発生した場合にも、もう一方のシステムで処理を引き継げる体制としております。
 また、危機管理マニュアルの整備や、日ごろから行員に対して、システム障害対応の研修や訓練を徹底することとしております。

○大津委員 それでは、次に、ATMについてお伺いをいたします。
 偽造キャッシュカードなどによる引き出し事件が起きております。安全性も脅かしますし、銀行業のかなめでもあります信頼を崩しかねない重大な問題となっております。そういう中で、安全対策に注目が集まっております。
 新銀行が発行するカードすべてをICカードとするなどの安全対策を講じているとのことですけれども、それでは、ATMではどんな安全対策を講じるのか、お願いいたします。

○関企画担当部長 新銀行東京では、金融機関で初めて、すべてのATMにICカード対応の最新型ATMを導入することとしております。また、偽造カードの防止策として、一、ATMでの暗証番号変更機能、二に、暗証番号の盗み見を防ぐバックミラーの設置、三に、横からの画面操作を見にくくする遮光フィルターの装備などの対策も講じることとしております。さらに、これらの取り組みに加えまして、今後は、入金出金機能をICチップに限定したシステムの導入や、利用者による一日当たりの引き出し限度額の設定について対応してまいります。
 なお、より安全性が高いといわれております生体認証の導入につきましては、技術開発の動向や他の金融機関の取り組み状況などもにらみ、早期導入の検討を進めてまいります。

○大津委員 システムや安全対策については、そういったことが講じられているということで、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 今度は、利用者保護の観点から、また、利用する方の観点からちょっと質問をいたします。
 すべてのいろいろな方たちが堂々と使いやすく--しかも東京都がやる新銀行ということで期待も高まっている中、どのように利用しやすいかということも問題になってくると思います。ここでは、お体の不自由な方に対して、新銀行店舗での配慮をどんなふうに行うのか、お伺いをしておきます。

○関企画担当部長 新銀行では、多くの顧客にとって使い勝手のよい利用環境を整備することで利便性の向上に努めてまいりますけれども、その一環として、店舗は基本的にバリアフリーの設計としております。
 具体的には、店舗においては、車いすの顧客が車いすに座ったまま相談できるローカウンターや、車いすの回転などの動きが可能な広い応接ブースの設置など、基本的なバリアフリーに配慮したつくりとしております。
 また、これらのハード面での取り組みに加えまして、今後は、体の不自由な方が来店された場合には、行員が直ちにフロアでサポートするなど、ハード、ソフト両面から万全の対応を図っていくこととしております。

○大津委員 それでは、お体の不自由な方々に対して、特に前回、視覚障害者対応のATMについて質問をしたので、それにつきまして、ATM、視覚障害者の方の対応の機械ですけれども、これの検討をするということの回答ですが、改めて、どんなふうになっているか、お答えをお願いいたします。

○関企画担当部長 ATMの視覚障害者対応機能につきましては、新技術やその普及、標準化の動向等について調査研究を行ってまいりました。その結果を踏まえまして、平成十七年度中には、各店舗に一台程度、視覚障害者対応用のATMを導入することとしております。

○大津委員 視覚障害者対応のATMが導入されるということで、多くの都民が安心して新銀行を利用できるということになり、喜ばしいことであると思います。
 渋谷の方でも、こういった視覚障害対応のATMがなくなってしまったところなので、やはりこういった、顧客をふやす意味でも、今後も引き続き顧客が利用しやすい環境を整備して、本当の意味で都民生活に貢献する新しい銀行を、従来にない新しい銀行を目指し、期待にこたえていっていただきたいと思いますし、私たちも宣伝していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○丸茂委員 新銀行の開業を目前にして、これまで宿題となっていたもの、あるいは議会で議論されて、どこまで到達しているか、それらの点について何点か伺いたいと思います。
 最初に、新銀行は、資金繰りに困る中小企業に対して金融支援を行う、そのために、担保や第三者保証にとらわれない、キャッシュフローに着目し、中小企業の特性に合致した融資も行う、こういわれておりますが、既存の民間金融機関でも、第三者保証にとらわれない新型の無担保ローンの開発、販売も既に行っている、実績も上がっている、こういわれているわけですが、新銀行としてはこれをどう受けとめ、どこが違うのか、改めて伺います。

○吉田参事 新銀行の無担保、第三者保証不要の融資は、融資期間、融資限度額、審査期間など、いずれの条件も中小企業にとってメリットが大きいものでございます。
 具体的には、既存商品では、最長融資期間は三年以内のものが多いのに対しまして、新銀行では最長融資期間を五年としていること。また、融資限度額も、五千万円以下のものが多いのに対しまして、新銀行の技術力・将来性重視型融資では一億円まで融資可能なこと。さらに、債務超過企業を融資対象外としているものが多い中にありまして、新銀行では、キャッシュフロー重視で、債務超過企業にも融資可能なことなどでございます。
 さらに、新銀行は、融資後も、提携先企業、団体等を活用いたしまして、顧客に対する経営指導やセミナーの開催などによる総合的な支援を行っていくことで、中小企業のニーズに応じたサービスを目指してまいります。

○丸茂委員 また、新銀行が三商品として取り組むポートフォリオ型融資、さらには技術力・将来性重視型融資、それからシンジケート型融資、これらについても、都市銀行関係者は、新しい商品、サービスとはいいがたい、こういう厳しい意見もあるわけですが、先日の委員会でも、新銀行が、債務超過あるいは借入過多、こういう中小企業の融資について技術力・将来性重視型融資に取り組む、それに当たっては、一定の基準で判断も行っていくという答弁がされております。詳細なことについては、新銀行で詰めているとも答弁がされております。
 開業を目前にして、その後の検討はどうなっているのか、お伺いをいたします。

○吉田参事 新銀行では、既に中小企業の事業活動を経営面や技術面から支援している提携先の専門家の協力を得まして、技術力、将来性等の評価に関する基準についてさまざまな観点から検討を行い、具体的な評価項目や評価水準などを定めた総合的評価基準を作成し、審査体制を整備しているところでございます。

○丸茂委員 総合的な評価基準、大まかでいいですから、どういうものがあるのでしょうか。

○吉田参事 評価項目のことにつきましては、融資審査基準の一部でございますので、具体的にはお答えがしかねるものでございます。

○丸茂委員 お答えできないと。私は、そういう評価基準ができれば、同じ東京都が運営するのであれば、制度融資なども本来、担保能力だとかいろいろ力が弱いところを、やっぱり中小企業の持っている力、技術だとかそういうものも評価して融資が受けられるように、こういう要望をしてきたわけです。そうした役割を果たす上でも、私は、きょうはもう少し具体的な中身が聞けるかなと期待して来たんですが、今のお答えより先に行かないと思うんですが、私は、可能な限り具体的に明らかにして、やっぱり新銀行の都民への約束なんですから、ぜひ今後そういった立場で対応するように求めておきたいと思います。
 地域金融機関との提携も、新銀行の一つの特色になっています。特に新銀行は、少ない人員、店舗のもとで業務を遂行する。そのために、信用金庫などの地域金融機関との提携関係を構築していく、これが不可欠だと。先ほど三宅委員も強調されましたけれども。
 マスタープランでは、一つには融資先の紹介だとか取り次ぎ等、四点にわたって提携を図るとしております。
 先日の委員会では、包括提携は結んでいるということもいわれましたが、個別に契約を締結するという答弁もされております。契約締結はどういう状況にあるのか、改めてお伺いいたします。

○関企画担当部長 新銀行東京では、平成十六年五月に締結いたしました東京都信用金庫協会との包括提携を基本といたしまして、業務内容につきまして、各信用金庫と個別に協議を進めております。
 具体的には、信金融資保証における企業への適用保証料率や、シンジケート型融資の相互協力体制、融資案件紹介業務の紹介要件など、事務手続全般にわたり具体的な協議を行っているところでございます。
 今後、新銀行の開業後に個別契約を締結し、提携業務を開始することとしております。

○丸茂委員 開業後に締結を行うと。先ほどのお話のように、四月一日開業すれば、ぜひ利用したい、そういう方たちにとって、開業後というのは、スパンでいうとどのくらいなのですか。

○関企画担当部長 現在準備を進めておりまして、開業後、速やかに締結する予定でございます。

○丸茂委員 速やかにというのは、ちょっといただけない答弁ですけれども、新銀行は--じゃあ、本部長、答えてよ。

○津島新銀行設立本部長 銀行業務に関しましては、現在、金融庁との関係で、業務停止の状況になっております。したがって、銀行自身としての契約手続というものが、準備期間中は正規にはできないということでございまして、すべての準備は整っておりますので、四月一日になりましたら、基本的に直ちに契約を調印する方向でやっております。

○丸茂委員 今、本部長から、金融庁との間で一部業務停止の命令を受けていると。それは、順調に具体的に進んでいるんですか、どうなんですか。

○関企画担当部長 新銀行東京は、昨年四月に銀行法上の銀行として正式に発足いたしましたが、直ちに銀行業務が開始されるような誤解を与えることのないよう、準備期間中は、預金の受け入れ等の新規業務については業務停止命令を受けておりまして、現在、新銀行では、予定どおり、業務開始に向けて、金融庁に業務内容や体制等について具体的に説明を行っているところでございまして、開業準備は最終段階にございます。

○丸茂委員 私も直接金融庁に行って確かめようと思ったんですが、なかなか時間がとれなくて状況がわからないんですが、そういう問題点を抱えているということが明らかになったわけですけれども、新銀行は、これまでにない、中小企業のための融資を行うため、各行員がさまざまな経験、知識を最大限生かして運営するといわれております。
 新銀行の行員に占める金融機関出身者はどの程度になるのか、改めて伺います。

○関企画担当部長 行員の出身内訳でございますけれども、銀行業界が約六割、生命保険、証券会社などを合わせた金融機関経験者は、全体のおよそ四分の三ということになります。

○丸茂委員 次に、最近、架空口座が振り込め詐欺などの犯罪に利用される、社会問題になっております。そういう点では、金融機関の対応が非常に重要になっておりますし、新銀行については、預金については、口座開設が郵送による申し込みが可能だとか、入出金や預金商品の申し込み、解約あるいは提携などはATMやコールセンター、インターネットの活用ができ、基本的には顧客の来店は不要という仕組みになっている、こういわれています。
 少ない店舗でも対応ができるんだ、こういう説明がされているんですが、口座開設に当たり、私は、少なくとも本人確認、パスワード、直接手続をすることが必要だと考えますけれども、郵送等でできるということで、事故は考えられないのか、その点いかがですか。

○吉田参事 郵送による本人確認について、問題があるのではないかということでございますけれども、むしろ郵送による本人確認の方が確実性がある場合がございます。
 また、口座開設におけるやり方でございますけれども、新銀行は、金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律で定められた方法に基づきまして本人確認を行います。
 具体的には、郵送での申し込みの場合、口座開設申込書とあわせて、運転免許証やパスポート、健康保険証などのコピーか、六カ月以内に作成された印鑑登録証明書、住民票の写し、戸籍謄本などの原本の送付を受けることにより、氏名、住所などの各項目の確認を行います。これに加えまして、顧客あてにキャッシュカードや通帳を返送する際に、配達記録郵便を活用しまして、自宅住所における受け取り確認を行うことで、本人確認を的確に行うことができると考えております。

○津島新銀行設立本部長 今、郵送による口座の申し込みというのが、むしろ金融機関の主流になってきておりまして、実際に本人が窓口に来ていろんな証拠書類を見せても、その証拠書類が偽造されていればわからないんですね。むしろ電話等で申し込みを受けて、その住所に申込書を送ることが、ある意味の確認になっていまして、郵送の方がいろんな形で二重に本人確認ができるということで、それがむしろ主流になっております。

○丸茂委員 昨年の九月三十日に、吉田新銀行設立本部参事がこのことについて答えているんですが、本人確認法という法律がありまして、私も、それでいいのかなということで、金融庁のホームページを開きました。こうした口座設定に当たって、窓口での対応は、今本部長は郵送でもできるというんですが、窓口で公的な証明書の原本の提示をすると。これは運転免許証だとか各種健康保険証等々ですね。
 で、郵送、電話、インターネット等でもできると。公的証明書の原本、コピー、こういうことも送付を受けるとともに、顧客の住所に、今おっしゃったような取引関連書類等を書留郵便等で返送することでできると。ただ、その次に、「公的証明書は上記」というんですが、(a)、(b)というのは窓口でなんですよ、金融庁のホームページは。
 やっぱり最初の手続は、私も幾つも最近やっていますけれども、本人が具体的に証明できるものを提示して、そこで手続をして、後は郵送等で本人に送ったり、再度本人確認できるんですけど、議事録を見ますと、預金につきましては、口座開設は郵送による申し込みが可能だという出だしで、基本的には顧客の来店は不要だというのは、金融庁が今、本人確認法で定めている流れと違うんじゃないか。その点どうでしょうか。

○津島新銀行設立本部長 今、非常に金融関係の合併等が進んでおりまして、名寄せの問題が出ております。この名寄せをいろいろチェックする中で本人確認が出てきているということは、ご承知のとおりだと思います。
 新銀行は、全く新しくこれから開設するわけでございまして、初めての登録ということでございますので、その問題は生じないということで、先ほど申し上げた手続で十分本人確認はできるというふうに考えております。

○丸茂委員 私は、法律に反することのないように、きちんと再度確認を求めておきます。
 次に、新銀行が提携する企業等の出資状況、これは昨年十一月の本委員会でもお尋ねしました。答弁では、提携先企業などさまざまな企業に対して出資要請を行っていること、具体的な企業名、金額等については、現段階では話ができないこと、見通しとしては十分な展望を持っている、しかるべき時期に報告すると答弁がされております。
 現時点での出資状況はどうなっているのか、何社から受け入れる見込みなのか、また、金額ではどうなっているのか、お伺いいたします。

○吉田参事 本会議で既にご答弁しましたとおり、新銀行では、開業年次に民間企業五十社程度から出資を受け入れる予定でございます。金額につきましては、普通株式と市場を活用した資金調達で五百億円を超える自己資本調達の見通しをつけております。

○丸茂委員 私は、過去にさかのぼって議事録を見ましても、自民党の比留間さんが本会議で質問して、答弁されているんですけれども、議事録を調べますと、昨年九月の財政委員会で、出資金についていろいろ質疑が交わされております。津島本部長は、「開業の時期に、当然のことながら、開業前に、第一回定例会になると思うんですけれども、これについての状況についてはご説明する」、そのつもりでいると答弁されているんですよね。
 この定例会が開かれて、先ほどじゃありません、この委員会も開かれても--委員会で議論されて、この時期にはしかるべき報告をするというのは、やっぱりきちんとされるべきだというふうに思うんですが、今後の運営上の問題もありますので、改めてお考えをお聞きしておきたいと思います。

○吉田参事 既に本会議で答弁したとおり、新銀行では、開業年次に民間企業五十社程度から出資を受け入れる予定であり、金額については、普通株式と市場を活用した資金調達で五百億円を超える自己資本調達の見通しをつけております。

○丸茂委員 最後に、新銀行の全銀協加盟問題についてもお尋ねしたいと思うんですが、全銀協は新銀行に対して、なぜ官が民業に手を出すのかと、こういう厳しい抵抗があるわけですけれども、加盟については、当初難しいとの見解が示され、その後、都としても加盟する方向で打診をしていること、加盟について十分な展望を持っているとの見解が示されております。
 これまでの経過と加盟の可否はどういう状況にあるのか、お伺いいたします。

○関企画担当部長 昨年秋の全銀協会長の発言につきましては、全銀システムなど社会的インフラとしての性格を持っているものについては、新銀行に参加してもらう方向であるとしております。このため、銀行業務の運営には特段の支障を生じておりません。
 全銀協の加盟についても、今後、十分理解が得られるものと考えております。

○丸茂委員 全銀協加盟問題は、協会などもいっているんですが、東京都は、万々が一ですか、新銀行が破綻するということはないだろうけれども、もしそういう破綻等が起きた場合は、都民や民間金融機関への負担も生じる可能性がある、そういう厳しい批判の声もあります。
 今、新銀行も厳しい競争のもとで、国会の方では郵政民営化問題等、これはどう決着するかわかりませんけれども、それらの関係、それから地域においては、やはり信用金庫、信用組合が、フェース・ツー・フェースで中小企業のためにこれまで営々と事業を継続してきたわけで、地域経済の活性化とそれを支える地域金融機関との連携も非常に大事だと考えております。そういうことを指摘して、質問を終わります。

○野島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野島委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で新銀行設立本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十分散会

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