経済・港湾委員会速記録第九号

平成十六年十月四日(月曜日)
第八委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長真鍋よしゆき君
副委員長北城 貞治君
副委員長酒井 大史君
理事谷村 孝彦君
理事三宅 茂樹君
理事丸茂 勇夫君
土持 正豊君
和田 宗春君
池田 梅夫君
前島信次郎君
山崎 孝明君
川島 忠一君
田中 晃三君

欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長関谷 保夫君
総務部長島田 健一君
参事奥秋 彰一君
参事三枝 秀雄君
参事佐藤 仁貞君
商工部長市原  博君
商工施策担当部長塚田 祐次君
金融部長中井 敬三君
参事坂  崇司君
観光部長高松  巖君
参事保坂 俊明君
農林水産部長菊地 輝雄君
参事瀧川  清君
雇用就業部長安藤 立美君
就業調整担当部長関口 栄一君
中央卸売市場市場長森澤 正範君
管理部長石川 俊一君
事業部長高津 満好君
調整担当部長岸  信子君
参事上田 良治君
参事大野 精次君
参事後藤  正君
参事戸田 敬里君
新銀行設立本部本部長津島 隆一君
港湾局局長成田  浩君
技監樋口 和行君
総務部長斉藤 一美君
団体調整担当部長岡田  至君
港湾経営部長片岡 貞行君
参事新田 洋平君
臨海開発部長鈴木 雅久君
参事尾田 俊雄君
参事松本 義憲君
港湾整備部長田中  亨君
計画調整担当部長滝野 義和君
離島港湾部長萩原 豊吉君
参事西塚 武彦君
地方労働委員会事務局局長久保田経三君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 産業労働局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百九十八号議案 東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 港湾局関係
報告事項(質疑)
・スーパー中枢港湾の指定と東京港の取り組みについて
 中央卸売市場関係
報告事項(質疑)
・豊洲新市場建設に係る用地の一部取得について
・豊洲新市場基本計画について
・豊洲新市場建設における計画段階環境影響評価について
付託議案の審査(決定)
・第百九十八号議案 東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○真鍋委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議の結果、新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に関する意見書については調整がついた旨、その他の意見書については調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、調整のついた案文の朗読は省略いたします。

新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に関する意見書(案)
 政府は、平成十二年三月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」(以下「農業基本計画」という。)について、平成十七年三月に予定されている新たな農業基本計画の策定に向け、現在、作業を進めている。農林水産大臣の諮問機関である「食料・農業・農村政策審議会」は、平成十六年八月に「中間論点整理」を公表し、幅広く国民の意見を求めているところである。この中では、品目横断的な政策への転換、担い手・農地制度の見直し、農業環境・資源保全政策の確立など、一定の方向性が示されているが、東京を始めとする三大都市圏の農業振興についてはほとんど言及されていない。
 農業基本計画の根拠法となっている「食料・農業・農村基本法」では、「都市及びその周辺における農業について、消費地に近い特性を生かし、都市住民の需要に即した農業生産の振興を図る」ことが国の責務であると明記している。食料自給率の向上という国家的課題を達成する上で、大消費圏に最も近い食料生産基地として東京の農業の果たす役割は、ますます重要になっている。さらに、東京の農地は、ヒートアイランド現象の緩和、都市環境の保全、都民の農業とのふれあいなど多面的な機能を持つ貴重な存在である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、新農業基本計画の策定に当たって、次の事項に取り組むよう強く要請する。
一 東京都を始めとする三大都市圏の農業振興を新農業基本計画の論点に加えるとともに、体系的都市農業政策の構築に向け本格的な検討を行うこと。
二 相続税納税猶予制度の維持を前提とした上で、持続可能な農業を目指し、「生産緑地」など都市農地制度・税制を抜本的に見直すこと。
三 認定農業者制度とは別に都市農業独自の「担い手」育成策を国において立案し、実施すること。
四 上記の課題に取り組むため、財務省、農林水産省、国土交通省など関係省庁による「都市農業連絡会議」を設置すること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十六年十月 日
東京都議会議長 内田  茂
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣 あて

○真鍋委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、産業労働局関係の付託議案の審査、港湾局及び中央卸売市場関係の報告事項に対する質疑、並びに閉会中における請願陳情及び特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百九十八号議案、東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○丸茂委員 第百九十八号議案、東京都海区漁業調整委員会等に関する条例の一部改正について、何点か伺います。
 今回の改正案は、農林省の告示第百二十九号、海区の指定の改正により、海区漁業調整委員会を統合するものと説明がありました。
 これまで都の海区漁業調整委員会は、内湾海区、島部海区、小笠原海区と三海区にわたり、委員はそれぞれ十名、十五名、十名とされていたものを、委員会を一つに統合し、委員を十五名にするというものです。
 東京の漁業は、二百海里でいえば国全体の三八%の海域を占め、内湾から小笠原まで広大な海域で営まれています。今、地球温暖化などで、海流の大きな変化や、いそ焼けなど藻場の減少なども指摘されており、広域的な資源管理から違反船の広域化など、一体的な対応が求められていると考えております。一方で、資源管理、栽培漁業などで、それぞれの海区によるきめ細かな対応も重要だと考えます。
 そこで、海区統合によって調整委員会のデメリットとなる課題とその次善策はどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○菊地農林水産部長 最近の漁業は、全国的に海水温の上昇や、いそ焼け等による漁場の荒廃と水産資源の減少など、厳しい問題を抱えております。国は、このような背景のもと、より広域的な資源管理、操業調整や、迅速な委員会運営による課題への的確な対応の必要性から、海区の見直しを行ったものでございます。
 これにより、都では、三海区が統合されて一海区になるため、これまでの三海区の各地区に地区協議会を設置し、従来どおり、各地区の禁漁期間の設定といった個別課題などにつきまして、漁業者の声が委員会に反映できるようにしたところでございます。

○丸茂委員 私ども議員に、統合についての概要という文書をいただきまして、そこでは、漁業調整委員会交付金の削減及び一般財源(地方交付税)という説明がありました。これが実施されますと、地方交付税不交付団体である都にとっては認められないものと考えますけれども、実情はどうなっているのか、確認のためお伺いをいたします。

○菊地農林水産部長 国は、漁業調整委員会の交付金の削減及び一般財源化の方針に基づき、平成十八年度までに所要の検討を行い、結論を得るとしており、それまでの間、漁業調整委員会等の組織のあり方に関する懇談会の報告等を踏まえ、交付金制度を維持するとしております。
 都はこれまでも、現交付金制度の維持を国に要望してまいりましたが、引き続き国に対し要望してまいります。

○丸茂委員 最後に、今回の改正は漁業者の利害にもかかわる問題であり、漁業者団体など当事者の海区統合に対する意見や対応はどうなっているのか、お伺いをいたします。

○菊地農林水産部長 本年八月に旧三海区が統合されましたが、都は、これに先立ち、昨年十月以降、各地域ごとに説明会を開催し、漁業協同組合などから意見を聞いてまいりました。
 漁業協同組合や漁業者からは、統合後も従来どおり漁業者の声を反映できるようにしてほしいという意見が多く出されています。

○丸茂委員 私も漁協の代表の方にお伺いいたしましたが、今回、やむを得ない措置だろうと。ただ、漁業振興のためには、漁業者の意見が十分反映できるように、この委員会がその役割を果たせるようにと、こういうご意見が寄せられておりますので、そのことを求めて質問を終わります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○真鍋委員長 これより港湾局関係に入ります。
 報告事項、スーパー中枢港湾の指定と東京港の取り組みについてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○斉藤総務部長 九月十五日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料1、経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求の資料は、表紙の次のページ、目次に記載の一項目でございます。
 それでは、一ページ目をお開き願います。海外諸港の内陸貨物輸送の輸送機関別分担率でございます。これは、海外諸港におけます輸出入貨物の内陸輸送を輸送機関別に比較したものでございます。
 表の左側には、上段から、河川交通、鉄道輸送が発達してございます、欧州を代表いたしますロッテルダム港とハンブルク港を、そして三段目には、大陸横断鉄道で有名なアメリカ西岸のロングビーチ港を、そして最後には、東京港と同様に背後に巨大な消費地を有しますニューヨーク・ニュージャージー港をお示ししてございます。
 また、表の上段には、輸送機関別に、左から、トラック輸送を示す道路、そして河川、運河の内陸水路を運航いたします船舶、さらに鉄道の順に分担率をお示ししてございます。
 詳細につきましては、表をごらん願いたいと存じます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○北城委員 若干の質疑をさせてもらいたいなと思っております。
 先般、本委員会で報告されましたとおり、去る七月二十三日でございますが、東京港は、横浜港とともに、京浜港としましてのスーパー中枢港湾の指定を受けたわけであります。これは、港湾管理者であります東京都はもとより、官民の関係者が一丸となって東京港の発展、振興に努めてきた成果が評価されたものであるといえるのではないかと私は思っております。
 しかし、今後は、名実ともに我が国を代表しまする港湾として、東アジアの港湾を凌駕する港を目指すべく、これまで以上の努力を傾注してもらいたいと、こんなふうに要望しておきたい、こんなふうに思っております。
 本日、改めまして、スーパー中枢港湾としましての取り組みを確認し、東京港が目指すべき発展の方向を明らかにしていきたいと、こんなふうに思っております。
 国は、スーパー中枢港湾の選定過程におきまして、一つは、世界上位のコンテナ港湾に伍する取扱規模、一つは、連続した大水深の高規格コンテナターミナルの整備、一つには、隣接港湾間の広域連携の推進、そして一つには、民間オペレーターによるコンテナターミナルの一体的運営を選定過程に置いてきたわけであります。
 これを受けまして、横浜、名古屋、大阪、神戸の各港では、いわゆるメガターミナルオペレーター会社が設立されたというようなことをお伺いしております。ただし、この四港では、相変わらず従来の縦割りの作業体制が維持されたままで、一体的な運営には至っていないというのが実態ではないでしょうか。しかしながら、ともかく、メガターミナルオペレーター会社の設立という形式だけは、一応踏んでいるというようなことであります。
 そこでお伺いしますけれども、東京港では、こうしたメガターミナルオペレーター会社を新設していないわけでありますが、ターミナルの一体的運営にどう取り組んでいくお考えなのかお聞かせ願いたい、こんなふうに思っております。

○新田参事 東京港におけるターミナル一体運営の取り組みについてでございますが、ご指摘のとおり、国におきましては、スーパー中枢港湾の要素の一つといたしまして、いわゆるメガターミナル会社方式を重視してきておりますが、国際競争力を向上させる方向といたしましては、このほかにも、各港湾それぞれの状況に応じて、さまざまな方式が考えられるのではないかというぐあいに思っております。
 東京港ではこれまでも、大井ふ頭におきまして、連続二バースを同一の船会社が借り受けて一体的運営を行うことにより、二バース合計での年間の取扱量が六十万TEU--二十フィートコンテナ、長さが六メートルのコンテナでございますが、それで六十万個に達しているなど、他の国内港湾が大体その二分の一から三分の二程度という取り扱いでございますので、国内では最も韓国の釜山港あるいは台湾の高雄港に近い、全国最高水準の効率性を実現しておりまして、こうした既存施設の機能拡充や運営改善などの促進を図ることも重要と考えております。
 このため、アジア主要港に伍した効率性の実現に向けまして、今回のスーパー中枢港湾指定に際しては、これまで、官民で構成する東京港振興促進協議会のスーパー中枢港湾検討部会と、そのもとに置かれております地区別の小委員会におきまして、港湾通過時間、いわゆるリードタイムの短縮など、効率化方策を検討してまいりました。
 今後は実施段階に入ってまいりますので、本年六月に設置いたしました民間事業者を中心に構成する大井地区協議会に加えまして、近く青海地区協議会も立ち上げまして、効率化方策の具体化を進めてまいります。

○北城委員 横断的な連携、協力を行うというような民間事業者の協力体制が整いつつあるというようなことで今お聞かせを願ったところでございますけれども、今後の活動に期待をさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 六月の第二回定例会におきまして、スーパー中枢港湾の指定に先駆けて、国際競争力の強化に向けた取り組みに着手すべきとの我が党の質問に対しまして、施策の推進母体である協議会を設立して共同利用等を図っていくというような大変前向きな答弁がなされたわけでありますが、それに沿って着実に対応が図られているものと評価をしておきたい、こんなふうに思っております。
 そこでお伺いしますけれども、東京港としましては、地区別の協議会等を生かして、ターミナル運営の効率化にどのように取り組んでいるのかお伺いしておきたい、こんなふうに思っております。

○新田参事 東京都は、港湾管理者といたしまして、本年四月からインセンティブ制度を導入するなど、民間事業者の効率化に向けた取り組みの促進に努めてまいりました。
 まず、大井ふ頭におきましては、隣接するバース相互間において、個々の具体的状況に応じたバース等の相互融通の取り組みを進めておりまして、今後、大井地区協議会を軸に施設の共同利用等の具体化を図ってまいります。
 また、青海公共コンテナふ頭におきましても、三月のヤードの共同利用やゲートシステムの統一、さらには、七月の全国初となります毎日曜日ゲートオープンなどを実施してきておりまして、今後、近く設立する青海地区協議会を活用して、隣接の公社バースも含め、一層の共同化を推進してまいります。

○北城委員 今のご答弁をお伺いしますると、コンテナターミナル内の効率化だけというような答弁なわけでございます。しかしながら、今後のことを考えますると、やはり周辺道路などにおきまして、混雑のために時間を要したり、コンテナ車が通行できない部分があるために迂回を余儀なくされているというような場所、いわゆるボトルネックがあっては、真の意味でのリードタイムの短縮は実現できないと私は思っております。
 そこで、周辺道路の円滑な物流の実現のために、具体的にどのようなボトルネック解消策に取り組んでいるのか、この際、はっきりとご答弁をお願いしたい、こんなふうに思っております。

○田中港湾整備部長 スーパー中枢港湾として東京港の国際競争力を強化していくためには、ご指摘のように、ふ頭周辺の円滑な道路交通の確保が重要でございます。そのため、都としてさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 例えば、待機しているコンテナ車両による渋滞を緩和するため、青海コンテナふ頭では、コンテナ車両の待機レーンを整備いたしまして、ボトルネックの解消を図ってまいりました。
 さらに、外貿コンテナ貨物の約六割を取り扱う大井コンテナふ頭におきましても、円滑な交通動線の確保に向け、コンテナ車両の専用レーンの設置について、ふ頭利用者や関係機関との協議を進めております。協議が調い次第、直ちに実現に取り組んでまいります。
 このほか、ふ頭周辺道路での交差点の改良を進めますとともに、臨海地域のみならず、首都圏の交通ネットワークの形成に大きく寄与する臨海道路の推進を図り、東京港における道路交通の円滑化に努めてまいります。

○北城委員 やはり、さらに必要なのは、隣接港湾間を結ぶ道路ネットワークの整備ではないでしょうか。都と県の境を越えた広域的な取り組みが求められていると私は思っております。
 この点に関しましては、既に東京都の呼びかけによりまして、川崎、横浜とともに京浜三港広域連携協議会を立ち上げていると聞いておりますが、このことは、港湾の境界を越えた新たな試みとして大いに評価をするところであります。すなわち、一つの港だけでは困難な場合におきましても、三港が協力して当たるということで、国を動かしていくことも可能になるわけであります。
 そこでお伺いしますけれども、この三港連携の仕組みを用いて、現在どのような取り組みを行っているのか、お伺いしたいと思います。

○新田参事 今お話のございました京浜三港広域連携協議会といたしまして、本年七月十二日に、東京、川崎、横浜の三港湾局長によりまして、国道三五七号線などの幹線道路網の早期整備や三港間の連携施策に対する支援などについて、国に対する共同提案要求を行ったところでございます。今後も、適切に節目をとらえて、国等に対して三港で共同歩調をとってまいります。
 また、喫緊の課題でございます京浜間のコンテナ輸送の効率化につきましては、三港が中心となって、国や民間団体等も含めた検討委員会をこの七月に立ち上げておりまして、今後、京浜間の片荷輸送解消のための実証実験に向けた検討を進めてまいります。
 さらに、水先制度の改善や保安対策の強化など、幅広い分野で共同して取り組んでまいりたいと考えております。

○北城委員 るる質問してまいりましたけれども、現実の問題としまして、先般、我が党の代表質問でも指摘をさせてもらいましたように、日本を代表する港湾の一つでありまする神戸港においてすら、現実に遊休化したターミナルもあるという厳しい現実があるわけであります。
 こうした状況の中、目下のところ好調な業績を上げている東京港におきましても、決して油断することなく、スーパー中枢港湾の指定を契機に、港湾管理者として、公共ふ頭、公社ふ頭を含め、総合的視点に立った港湾経営に取り組んでいくべきであると私は確信をしております。
 最後に、真にスーパー中枢港湾の名に相応した港湾の実現を目指した東京港の取り組みにつきまして、局長の見解、決意をお伺いしまして、私の質疑を終わらせてもらいたい、こんなふうに思っております。

○成田港湾局長 東京港は、去る七月に、横浜港とともにスーパー中枢港湾に指定されたところでございますが、スーパー中枢港湾といたしまして、アジアの主要港に伍した高水準の効率性を実現するためには、会社形式をとるか否かはともかく、実質的にターミナル運営の共同化を進めていく必要があると考えております。
 東京港におきましては、都が働きかけまして、民間事業者を中心としたターミナル間の連携を実現する体制、この点につきましては先ほど新田参事が--大井、青海の地区協議会という形で今進んでおりますが、そういった体制が整いつつありまして、こうした動きをさらに推進しまして、真に実効性のあるメガターミナルオペレーションの構築を図っていく考えでございます。
 さらに、港湾管理者といたしましては、道路ボトルネックの解消や広域的な連携などに力を注ぐことを初め、ご指摘のように、公共ふ頭、公社ふ頭の枠にとらわれることなく、ふ頭全体の効率性の向上を念頭に置きまして、総合的視点に立った港湾経営に取り組み、スーパー中枢港湾の名にふさわしい国際競争力のある東京港の実現に向けまして、局を挙げて改革を強力に推し進めてまいりたいと考えております。どうぞご理解、ご支援を賜りますようにお願い申し上げます。

○谷村委員 東京港は、日本のトップ港湾として、このたびスーパー中枢港湾の指定を受け、今後、国際競争力の強化に向けた取り組みが進められることとなり、大変に心強く感じているところでございます。
 スーパー中枢港湾の実現に向けた東京都の取り組みにつきましては、前回の当委員会におきまして具体的なご報告を受けたところでありますが、その中の成果の一つとして、動植物検疫の開庁時間延長ということが挙げられておりました。これと同様の関係官公署に係る先行事例としましては、税関の土日開庁があるわけでございますが、こうした一連の動きは、従来から、港湾における貨物通過時間、いわゆるリードタイムの短縮が重要であるとしてまいりました我が党の主張と軌を一にするものでございます。
 検疫の開庁時間延長につきましては、今回初めて報告されたところでありますが、その内容等につきまして、まずお伺いしたいと思います。

○新田参事 都といたしましては、東京港におけるリードタイムの短縮に向け、構造改革特区提案を通じまして、関係官公署の夜間及び休日の開庁を求めてきたところでございます。この十月から、国際港湾特区において、動物検疫所及び植物検疫所の平日夜間及び土日、祝日の開庁が本格実施される運びとなりまして、これで、東京港を初めとする特区におきましては、港湾関係官庁のフルオープン体制が整うこととなりました。
 昨年七月に実現いたしました税関の夜間及び休日の開庁などにより、直近の財務省調査によりますと、三年前の前回調査に比べ、海上貨物の輸入手続の所要時間が約一割短縮したとの効果があらわれているところでございまして、これに加えて、今回実現いたしました検疫の土日開庁の取り組みにより、以前であれば貨物の滞留していた土日等においても貨物搬出の手続が進み、輸入貨物のリードタイム短縮が一層図られていくものと期待しております。

○谷村委員 港湾管理者であります都は、みずからサービスアップ、コストダウンに取り組むことはもとより、特区提案などを通じて関係機関の前向きな対応を引き出していく努力が必要なわけでありますが、このような観点から見て、今回の検疫に対する取り組みが実現しましたことを高く評価させていただきたいと思います。今後も、さらにリードタイムを短縮する取り組みに拍車をかけていっていただきたいと思います。
 また、報告の中にありました東京西航路の拡幅に伴う規制緩和による入出港スピードアップにつきましても、これは、広い意味ではこのリードタイム短縮に関連する事項と考えられるわけでございますが、この東京西航路の拡幅によってどのような規制緩和がなされたのか、具体的にお伺いしたいと思います。

○新田参事 東京西航路につきましては、航路幅を従来の三百メートルから今回、四百五十メートルに拡幅したのに伴い、本年八月から航行規制が緩和されました。具体的には、これまでは船舶同士の対面航行は、五千総トン未満の小規模の船舶にしか認められておりませんでしたが、その上限が引き上げられまして、アジア近海航路の主力となっております千五百TEUクラスの二万五千総トンまでの船であれば入出港が同時に行えるというぐあいになりました。
 この規制緩和によりまして、信号所の管制を受ける船舶の比率は、従来の四六%が一四%というぐあいに三分の一以下になりまして、その結果、管制信号による待ち時間が減少し、入出港時間が大幅に短縮されたところでございます。

○谷村委員 これまでお伺いしてきましたこのリードタイムの短縮とともに、コンテナターミナルの運営の効率化、また高度化は大変重要な課題であります。この点に関しましては、前回の委員会報告の中で、青海公共コンテナふ頭におけるゲートシステムの統一について、図を用いてのご説明がございましたが、ターミナル運営の改革という観点からは、特に重要な取り組みであると思います。
 この青海におけるゲートシステムの統一に関しまして、取り組みの具体的な過程及び導入後の効果についてお伺いしたいと思います。

○新田参事 都といたしまして、平成十五年度から、青海公共ふ頭について専用貸付方式を導入することといたしまして、ゲート作業の一元化を条件として公募を実施いたしました。
 この公募の結果、港運六社による共同借り受けがスタートしたところでございますが、都としても、ゲート統合のためのシステム統一化に向けまして、ゲートと車両待機場との通信回線の整備を行うとともに、関係者調整を進めまして、六社によるシステム開発とならし運転を経た後、本年三月からシステムの統一を実現することができました。
 このことによりまして、ゲート通過時間がスピードアップし、ゲート前渋滞が緩和されたほか、ヤード内の作業の共同化、効率化も図られてまいりました。さらに、東京港としましても、本年上半期の外貿貨物取扱量が、対前年同期比でございますが、約七%と順調な伸びを示しているところでございます。特に青海公共ふ頭におきましては、二割を超える増加となるなど、大きな効果があらわれているところでございます。

○谷村委員 港湾の本来的な役割は、まさにスムーズな輸出入の実現など、質の高い物流サービスを的確に提供することにあり、こうした取り組みをぜひとも引き続き強化していただきたいと思います。
 次に、我が党がこれまで代表質問の中でも再三取り上げてまいりました、港湾の保安体制の確立と港湾物流の効率化の両立が、東京港が真に世界に誇れる港湾となるためには不可欠であります。
 平成十四年に改正されました、海上における人命の安全のための国際条約、いわゆる改正SOLAS条約が本年七月に発効し、港のセキュリティー確保が以前にも増して重要な課題になっているわけであります。
 改正SOLAS条約では、国際ふ頭について高度の安全性を求めており、東京港でもハード面の整備など保安対策を進めているわけでありますが、これまでの具体的な進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 東京港におけます保安対策についてでございますが、東京港では、改正SOLAS条約が発効いたします七月一日までに、コンテナふ頭などの国際港湾施設の保安規程を策定いたしまして、総延長約十二キロメートルに及ぶフェンスやゲートの整備を完了させております。また、この間、関係機関等と合同いたしまして、二度にわたり保安訓練を実施する等、港湾保安体制の確立を図ってきたところでございます。
 今後、監視カメラあるいは照明等の保安設備につきまして、今年度末の完成に向けて鋭意整備を進めるとともに、関係機関や民間事業者とも連携いたしまして合同保安訓練を定期的に実施するなど、水際の保安対策に万全を期してまいります。

○谷村委員 保安対策につきましては、本年第二回定例会での我が党の主張を受けまして、テロ対策の視点も加えた合同訓練なども実施するなど、東京港においては保安対策が順調に進められているわけでありますが、今後も関係機関等と連携しながら、着実に取り組みを進めていただきたいと思います。
 ただ、この保安体制を強化していくに当たりまして、ターミナルの出入りにつきましても厳しいチェック体制が行われることは当然でありますが、そのことで、事業者にとって過度の負担をかけていないかどうか、大変に気にかかるところでございます。
 具体的には、ターミナルごとにIDカードが作成されるため、複数のターミナルを往来する場合、幾つものIDカードを用意しなければならないので大変だという、こういう事業者の声も聞かれるわけであります。安全対策が事業者に過度の負担を強いるようならば、港湾物流の効率化にも逆行しかねないわけであります。
 そこで、東京港においては、いち早く港内のIDカードの共通化を進めているとのことでありますが、その取り組み状況についてお伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 改正SOLAS条約に基づきます保安規程はふ頭ごとに策定することとなっておりますことから、条約発効に当たりましては、この保安規程に定められた、ふ頭に入出する際に必要となるIDカードにつきましても、個々のふ頭ごとに発行してまいりました。このことによりまして、複数のふ頭を利用する事業者の方々には、それぞれのふ頭についてIDカードを用意しなければならないというような負担が発生していることはご指摘のとおりでございます。
 このため、都といたしましては、港湾管理者が直接管理いたしております六つの公共ふ頭につきまして、いち早くこの十月からIDカードの共通化を実施したところでございます。
 引き続き、東京港におけるIDカードの共通化に向けて取り組みますとともに、現在、全国の主要港湾とも連携いたしまして、ICタグなどIT技術を活用いたしましたトラックのふ頭入出管理の標準化にも着手したところでございます。

○谷村委員 引き続き、物流の効率化とともに、事業者の負担軽減にも配慮しながら、都民生活の安全・安心の実現に大いにご尽力をいただきたいと思います。
 本日、東京港の国際競争力強化の取り組みに関連して、るるお尋ねをいたしました。物流の効率化と安全・安心の確保をともに実現していく方向で取り組まれております港湾局の姿勢、ベクトルにつきましては、高く評価したいと思っております。
 今定例会の我が党の代表質問に対する局長答弁にもありましたように、この両立は決して容易ではなく、真に世界に誇れるスーパー中枢港湾の実現のためには、東京港関係者が一丸となって取り組んでいかなければならない課題、難問であると思います。
 そこで最後に、この難題に挑まれる成田局長のご決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○成田港湾局長 物流効率化と安全・安心な港づくりの両立、これはいずれもそれぞれ重要な課題でございますが、この両立につきましては、ただいま谷村理事ご指摘のとおり、この二つの目標を同時に達成していくことは、正直、容易なことではございませんが、しかしながら、この二つの問題につきましては、それを合わせたベクトルという形で、やはり時期を同じくして、必ずや実現しなければならない大変重要な課題であると認識しているところでございます。
 このため、官民一体となって設立いたしまして、この三月には新アクションプランを策定していただきました東京港振興促進協議会や東京港保安委員会との連携を強めながら、その先頭に立って、IT技術の活用などによる新たな両立の仕組みづくりを進めていく覚悟でございます。
 今後、こうした取り組みを通じまして、世界の先進港に匹敵するサービス水準の確保に向け、安全で使いやすく、しかも国際競争力のある港づくりに全力を挙げて邁進してまいります。

○和田委員 私は、スーパー中枢港湾の指定に関する質問と、東京港の活性化という意味での、東京港に停泊をする船の年末から年始にかけての汽笛の発声といいましょうか、その問題について二点お伺いしたいと思うんです。
 まず初めに、港湾貨物の鉄道輸送の活用によるモーダルシフトの推進であります。
 東京港は、スーパー中枢港湾の指定を受けまして、港湾地域における物流の効率化ということに、国家的な一つの使命を帯びて取り組みが迫られている、義務だと、私はこういうふうに思います。この指定はそれほど重いものだと思っております。
 昨年の本委員会で、私は、モーダルシフトの検討状況について、昨年時点での状況質問をいたしました。すなわち、環境の面でどの輸送機関よりも優位性のある鉄道輸送、港湾から輸出入される貨物の国内輸送に活用できないかという点で、今回改めて質問いたしたいと思うんです。
 かつて国は、平成十三年、新総合物流施策大綱というところにおきまして、鉄道貨物輸送活用の推進によるモーダルシフト化率の向上が目標であるというふうに、国も高らかにモーダルシフトの必要性をうたい上げています。平成十三年でした。
 そこで、資料要求をさせていただいた、海外諸港、海外のもろもろの港の内陸貨物輸送の輸送機関別分担率を見ますと、何といっても、ロングビーチ港では鉄道輸送が、港から鉄道に切りかえられる輸送が六四%、ハンブルクでも一三%、ニューヨークのニュージャージー港でも一二%というふうに、格段に高い比率を示していると私は思うんです。
 さて、そこでまず、我が国全体としての港湾で取り扱われる外貿コンテナの貨物のうち、内陸への輸送に鉄道はどの程度利用されているんだろうか、国全体の数字をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

○滝野計画調整担当部長 お答えをいたします。
 我が国の港湾で取り扱われております外貿コンテナ貨物が内陸輸送で鉄道を利用しております割合は、平成十四年度の実績で見ますと、約〇・一%となっております。

○和田委員 〇・一という数字は、さきに資料で提示をされたロングビーチの六四と比べても〇・一、同じくニュージャージー港と比べて一二%対〇・一ということで、数字にならないくらいの数字になっています。
 まず、具体的に数字を、私、調べて申し上げれば、全国で十四年度の実績でありますけれども、一千二百八十万TEUが全国の数字です。そのうち鉄道は一万八千。それを割り返せば〇・一四という数字になりますから、全国の輸送のうち、スズメの涙にまでいかない数字しか、鉄道輸送は、港から陸に向かっては活用されていないという数字が明らかになっています。
 さて、そういうふうに、国全体の動きは大変寒々しい状態なのでありますけれども、東京港に目を転じてみますと、外貿コンテナ貨物の約六〇%を取り扱っている大井コンテナふ頭のすぐ後ろの方に、JR貨物の東京貨物ターミナル駅があります。この立地を十二分に私は利用して、国の〇・一%というものを、石原知事がいうとおり、国に先駆けてすべてリーダーシップを発揮しようという東京でありますから、モーダルシフトに関しても、国が〇・一であるならば、東京都はもっと、この五倍、十倍の数字を保有していていいのではないかなというふうに思うんですが、具体的に、この東京貨物ターミナル駅では、外貿コンテナをどの程度近年扱ってきているのかという実績をご披露いただきたいと思います。

○滝野計画調整担当部長 東京貨物ターミナル駅におけます外貿コンテナの取扱実績でございますが、平成十四年度におきまして約四千七百個を扱っております。
 ちなみに、全国のJR貨物の外貿コンテナ取扱量は、これも平成十四年度で見ますと、今、先生おっしゃいました約一万八千個でございますので、東京貨物ターミナル駅で全国の約四分の一を扱っているということになります。

○和田委員 確かに全国の四分の一という数字は、全国から見ると、四分の一は大変大きいんです。しかし、個数を見ると、四千七百個。それしかないというんですね。それだけ、全国ではまだモーダルシフトが普及していないということを反映しているんだと思うんですけれども、東京都は東京都なりに、四分の一頑張っているという見方もあります。しかし、東京都は、四分の一にとどまらず、二分の一、三分の二にまで迫っていこうというような意欲がここで見受けられなければいけないと思うんです。
 ちなみに、東京港の外貿コンテナ取扱量というのは、昨年、大体三百万個を超えているといわれています。そのうちの六割が、今、目の前の大井コンテナふ頭で取り扱われているということになりますと、三百万の六割というと百八十万個ですね、大井コンテナでは。それのうちの四千七百ですから、いかに微少なものか。
 これしか取り扱ってこなかったということでありますが、国の計画でも、モーダルシフトをやってよと平成十三年に決めている。それから、東京都のいろんな計画でも、モーダルシフト、モーダルシフトと声高らかにうたい上げられてはいるんだけれども、百八十万個のうち四千七百しかできていないという現実も直視しなければならないというふうに思うんです。
 そこで、あらゆることに優位性が出ているというこのモーダルシフト、トラックから、あるいはその他もろもろの輸送から軌道敷にということは、理屈じゃわかっているんだけれども、なぜ前進しないのかという疑問に逢着するんですが、これにはどうお答えになりますか。

○滝野計画調整担当部長 一般的に鉄道輸送は、貨物をふ頭から鉄道駅までトラックで運びまして、駅で貨車に積みかえる必要がございますために、余分な、いわゆる横持ちの費用がかかります。このため、近距離の輸送では、ほかの輸送手段より高くなってしまいまして、コスト面で不利になります。また、貨物用の線路の旅客利用が進みまして、ダイヤの組み込みが難しいということなどが主な理由と考えられます。
 しかし、鉄道自体の輸送費は比較的安うございますので、五百キロメートル以上の長距離輸送の場合には競争力が出てくるというふうにいわれております。
 こうしたことにより、先ほどの資料でお示しをしてございますように、アメリカやヨーロッパの国のように大陸横断型の長距離輸送が多い地域では鉄道輸送の分担率が高いわけでございますが、日本やイギリスのような島国では、貨物の輸送距離が短いために、トラック輸送の分担率が高くなりまして、鉄道は余り使われないという状況になってございます。

○和田委員 先ほど、五百キロ以上の長距離輸送じゃなければモーダルシフトの有効性はないという答弁は、昨年の私の、この委員会でも同じ答弁をいただいています。ですから、それは原理原則、定説だと思うんです。しかし、現状がそうだからといって、日本の限られた狭隘なこの地勢的な宿命を乗り越えていくことを考えなければいけない。諸外国はそうであっても、日本のこの領土というか、土地が変わるわけじゃありませんから、それには何らかの手法と工夫を重ねていかなければならないと思うんです。
 問題の鉄道輸送が進まない理由というのは、荷物の積みかえによるコストの高さということです。かつて私どもは、真鍋委員会のもとで、名古屋を見たり、東京、両港の港を見ました。そのときに、ローロー船の有効性が、厳しくというか高く評価されて、積み込んで、その中で荷物を輸送できるので、人力によるんじゃなくて、船の横っ腹をあけて、そこに貨物のトラックなどがコンテナと一緒に入っていくので、随分、その発想の転換や技術的な転換が輸送効率に寄与しているんだということを聞きました。これなども、新しいようで古い、古いようで新しいローロー船の発想だろうと思うんです。
 その意味で、私たちは、鉄道利用そのものが極めて長所、欠点、両方持っているということはわかりながらも、例えば積みかえのコストが高いとなれば、先ほどのローロー船と同じ発想ですけれども、コンテナを直接貨物に積みおろしするような工夫を、今度は陸の上でできないのか、また、むだな積みかえの回数を減らすことはできないんだろうか。
 こういう、地上であればこそできるような鉄道輸送の効率、利用性も上げていく必要があるんだろうというふうに思うんですけれども、さきに触れた、大井コンテナふ頭の裏側にある、バックヤードにあるJR貨物の鉄道レールを直接ふ頭の中に引き込むこと、あるいはコンテナヤードと鉄道を一体化させて、鉄道輸送と密着している、あの背後の利便性を活用できないだろうかと、素人目にはすぐに思うんですけれども、これはなぜ今まで行われてこなかったのか、これについてお答えをいただきたいと思います。

○滝野計画調整担当部長 大井コンテナふ頭に直接鉄道を引き込むためには、何百億円もの整備費が必要となります。既存の鉄道施設を利用しましても採算の確保が難しく、また、需要も少ない中で、新規の投資をして鉄道輸送を手がけるという事業者が出てくることはなかなか難しいというふうに思われます。
 また、大井コンテナふ頭内の用地につきましても、利用面から見てみますと、今でも貨物量に対しましてヤードが不足ぎみでございます。新たにレールを敷設するという空間を確保するのは極めて困難な状況でございます。

○和田委員 事業の採算性による、この事業に手を染める事業者は出てこないだろうという悲観論、それから、この図で見てもわかるんですが、確かに、ふ頭そのものの利用面積が縦長になっていて難しいかなという気はします。気はするんですけれども、それだけではなく、何らかの方途、方策を考えられないかなというふうに思っているんです。
 さきに、五百キロメートル以上の長距離輸送に有利であるということがありましたけれども、私どもが聞く範囲では、五百キロの五分の一の栃木あたりの百キロ圏内のところに、ある大手の企業が中距離輸送という形で、このふ頭から利用して、実際もうこのモーダルシフトのいい意味での実験といいましょうか、試験的なことをやっていらっしゃるということを聞いているんですが、それについて詳しくご報告をお願いいたします。

○滝野計画調整担当部長 今、先生の方からご指摘ありました、百キロ程度の鉄道輸送というものは、栃木県の宇都宮にJRの貨物ターミナルがございます。そこと東京のコンテナターミナル間を輸送している業者がございまして、これは外国から家電製品を輸入いたしまして、そこに配送しているというものでございます。
 これは、この企業が独自の総合物流の視点を持ちまして、鉄道輸送とトラック輸送を併用することによりまして、いわゆる横持ちの費用を低減いたしまして、採算性の向上とか環境負荷の低減を図っているものでございます。
 鉄道へのモーダルシフトの推進による、こういう複合一貫輸送というものを強化していくことは、環境負荷の低減に非常に寄与するものでございまして、非常に魅力的な輸送手段であるとは認識してございます。

○和田委員 私も調べさせていただきましたけれども、これは日立物流ですね。要するに、考え方は、東京港から東京貨物ターミナルまで、二キロの間をピストン輸送をトラックでします。それから、東京貨物ターミナル駅から宇都宮の貨物ターミナル駅まで、実際上は百十二キロですけれども、そこを貨物で輸送する。その宇都宮の貨物ターミナル駅から、今度は日立の栃木事業所まで、三十キロあるんですけれども、それは同じくトラックで輸送するというようなことで、トラックと軌道、鉄道をうまくコンバインしながら動かしているという新しい発想だと思うんです。
 これは私はすばらしいと思って、中距離のモーダルシフトの実現だろうと思うんですが、悲しいことに、一回の輸送が十二TEUですね。一回の貨車による輸送が十二TEU。それから、トラックによる輸送も十二TEU。都合、一回行くと、軌道とトラックで二十四TEUが動くだけなんですね。発想はいいんだけれども、先ほどの百八十万個のうちの四千七百と同じように、極めて量が少ない。
 となれば、さきに出てきた利用時間の問題などによってこのモーダルシフトの鉄道の利用が少なくなるというのを、何も貨物は夜中でもいいわけですから、人が使わなくなった夜中から明け方までこれを中心的に動かして稼いでいくとか、こういうことによって、二十四TEUという問題を、もっと三倍、四倍に上げていく。
 この実験例が成功することによって、それまで日本の〇・一とか、あるいは東京の〇・一であったモーダルシフトの数字を、少なくとも一ぐらいには上げていく。その目標を立てて、そこまでは東京都がリーダーシップをとって、国よりも先んじてやっていくということを、今回のこの中距離の東京--宇都宮間の実験は--実験というとあれですけれども、試みというか、実際やっているこの姿は、新しい東京のモーダルシフトの何らかを予見させるものではないのかなと、こういうふうに思うんです。
 これについて、より積極的な、いろいろな調査を含め、改善も含めて新しく、中距離輸送についてのモーダルシフトの考え方がおありならば、改めてお伺いいたしたいと思います。

○滝野計画調整担当部長 先生、今ご紹介、具体的にご説明をいただきました例、そのほかにも幾つかそういう芽は出てきているようではございます。今後、さらにこうした企業の利用状況等を詳しく調査いたしまして、どのようにすれば鉄道輸送の利用が促進されるかという、こういう仕組みをさらに検討していきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○和田委員 要するに、申し上げたいことは、鉄道輸送とトラックの両方の利便性の高いものを併用すること、それはできれば鉄道輸送に徐々にシフトしていくというようなことで、横持ち費用といいましょうか、港から輸送機関あるいは事業所から輸送機関に行く間の費用を低減させるという、そういうところが一つのみそだろうと思うものですから、これについては、今の最終答弁にあるとおり、気を新たにしてこのモーダルシフトの開拓をお願い申し上げたいと思うんです。
 それから、さきに申し上げた、東京港の大みそかから新年にかけての汽笛の問題です。
 これは、私が三、四年前に埠頭公社の理事をしたときに、船舶の関係者あるいは事業関係者がみんな集まったときに出てきた話でもあるんですが、横浜港では、華々しく大みそかから新年に向けて、ある一定時間、新年になりましたよという船の喜びの合奏、汽笛を打つようでありますけれども、東京港はどうしてできないのかななんていうことを、単純な疑問を吐かれた理事の方がおりまして、なるほど、これは東京都でも、海の近くにいる我々の仲間も聞いたことはないと、こういうものですから、何で東京都ができなかったのか、また、やれない理由があるのかという点についてお伺いいたしたいと思います。

○斉藤総務部長 東京港におけます大みそかから新年にかけての汽笛によるPRについてでございますけれども、東京港、それから例えば大阪港におきましても、三十一日から一日にかけまして、港内に停泊してございます船舶が慣例として自主的に汽笛を鳴らしているということはございます。ただ、イベント的に一斉に鳴らすというようなことはやられていないのが実態でございまして、横浜も多分そのような形ではないかと思ってございます。
 ただ、一港だけ、神戸港につきましては、イベント的に一斉に鳴らしているというのは聞いてございます。
 そこで、東京港がなぜできないかというところでありますけれども、やはり東京港の場合は、直背後に住居地が隣接してございまして、なかなか住民の方々が、夜中に例えば除夜の鐘を聞きたいというような方がございますし、そこまでご理解いただけるようなことが可能かどうかということが一つの問題として挙げられるかと思います。

○和田委員 これはもう、いろいろ地形があったりしますから、一概に、ほかがやっているからうちがやれとは決していいません。
 ただ、レインボーブリッジのライトアップが出てきたりしているとき、光も含め、音も含め、私たち、別に何も宣伝しろというわけじゃないんですけども、活用できる公共機関のエネルギーというものを、それなりに都民に広く、迷惑にならない範囲でお示しをして、新しい新年の迎え方の一つのスタイルとしてそういうことがあってもいいのかなと、こう思うものでありますから、機会がありますれば、議会のこのような私どもの主張も含め、関係者にお諮りをいただき、できれば近隣住民の方々のご理解のもとで、港湾における新しい新年、あるいは旧年から新年に向かって、新しい喜びの姿勢を汽笛によって表現できないかなということを強く要望して、私の質問を終わります。

○池田委員 私の方からも、スーパー中枢港湾の指定の問題にかかわって、幾つかの点について質問させてもらいたいと思います。
 今まで国は、公共事業の重点の一環、こういうことで地方港への分散を推進する、そして、福井だとか新潟など地方港に大型船が入港できるように、水深の掘り下げなどを初め、港湾施設の整備や拡充に力を入れてきました。ところが、今、実際には、莫大な資金や税金を投入し整備した港でも、当てにした大型船の利用など、思惑どおりにいっていないのが実情じゃないでしょうか。いってみれば、ゼネコンのもうけ、税金のむだ遣い、こういう批判が出てきている状況をつくり出しているのであります。
 今回、アジア諸港との激しい国際競争の中で、アジア諸国の港湾をしのぐコスト、サービスを実現するとして、東京港など三大湾、六港を選択し、集中的に取り組むことにされたわけでありますけれども、この選択と集中というのは、一方では地方港の切り捨てに通じる、こういうものではないかと思われるのですけれども、その辺の基本的な所見はどういうことでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

○新田参事 港湾の機能でございますが、我が国の輸出入貨物の九九・七%、ほとんどすべてでございますが、これは港湾が担っております。この国際貿易の上で極めて重要な結節点の役割を果たしております日本の港湾の国際的な競争力、国際的な地位、これがアジア諸港の台頭によりまして低下してきているという極めて憂慮すべき現状にございます。
 こうした中、このたびのスーパー中枢港湾は、我が国の拠点的港湾の効率性を高め、コスト、サービスの面で競争力を確保することによりまして、国際基幹航路の日本寄港の堅持を図るものでございまして、そういう意味では、日本全体の産業や国民生活にとって不可欠なものであるというぐあいに考えておりまして、地方港の切り捨てには当たらないというぐあいに考えてございます。

○池田委員 今までの国のそういう大型の公共事業の一つの対象として、港湾の整備がずっとやられてきた。時間をかけて、大変大きなお金をかけてやられてきた。しかし、実際には、先ほど申し上げたような状況で、せっかくの港湾整備がむだ遣いだといわれるような事態。私はやはり、国は、そういうことに対してしっかりと反省をする、そういう総括の上に立って、今、全体の国の港湾の事業、とりわけ厳しい国際的な競争力をつけていく、そのためにはどうすべきかというところからの発想がやはり必要なんだろうと。
 しかし、そういう点では、今お話あったように、日本の国の全体の拠点港を集中的に整備する、そしてそこに力を添えていくということになれば、国際競争力、こういうことの理由にして、事実上は地方港の切り捨てに目をつぶることになるんじゃないか、こういうふうにいわざるを得ないと思うんです。
 そこでお伺いしたいんですけれども、今回の国内三大湾、そして六港がスーパー中枢港湾の指定を受けた。そして、アジア諸国では、主要港湾というのは一港から二港が大体現状なんじゃないんでしょうか。
 日本では、スーパー中枢港湾に選ばれた六港の間で今後一層競争が激化していく、こういうふうに思われるんですね。このことについての見通し、特に東京の場合には、横浜と一緒に指定を受けた中で、今後どういうふうに競争の見通しを持っておられるか、その辺の見解を伺いたいというふうに思います。

○新田参事 我が国におけます拠点的港湾の配置につきましては、我が国の三大湾地域それぞれにおきまして、生産と消費のマーケットを背後に抱えているといったことですとか、あるいは我が国の国土が南北に細長いといった地理的条件を持っているといったことから、アジア諸国、特に韓国ですとか台湾といったところと同列に論じることはできないのかなというぐあいに考えてございます。
 今後、その競争関係はどうなるかということでございますが、東京港におきましては、横浜港との間でお互いに切磋琢磨しつつ、スーパー中枢港湾として必要な連携を図ってまいりたい、そういうスタンスでおります。

○池田委員 一般的にはそういう話になるんだろうと思うんですね。
 私は、今回の東京港の取り組みの問題で、素朴なところからちょっと話を聞きたいと思うんです。今回、ハードの整備に加えて、コストとサービス、いわゆるソフト面の改革を重点に進めていくというのが基本的な方向ですよね。それが、私たちの都民の暮らしだとか中小企業の営業にとってどういう意味合いがあるのか、どういう効果をもたらしてくるかということを、これは素朴な、都民の立場に立って、具体的にその影響をお聞かせいただきたいというふうに思うんです。

○新田参事 港湾改革、特にソフト面の改革の効果といったところでございますが、ご案内のとおり、現在では、都民生活の隅々にまで、食料品あるいは衣料品といった輸入品が行き渡っておりまして、また中小企業にとりましても、製品の販路あるいは原材料調達といった面で海外との結びつきが強まっているという状況にございます。
 したがいまして、豊かな都民生活を守るとともに、中小企業の国際競争力を強化する上においても、輸出入のコスト低減、それとそのスピードアップが実現するよう、スーパー中枢港湾で取り組みを推進いたしまして、物流の効率化を図ることが不可欠というぐあいに認識してございます。

○池田委員 今お話ありましたように、今度のスーパー中枢の立場に立ってやられるソフト面での改革といいますか、それが都民の暮らしや中小企業の営業にとって有利な側面として生かされていくというのを、やはり都民は期待しているというふうに思うんです。
 そこで、私はちょっと聞きたいんですが、特に規制緩和の問題についてなんです。東京都では、国際港湾特区として港湾の規制緩和措置を提案してきたというふうに私も聞いています。これまでどういう特区提案をしてきたか、そして、そのうちどのようなことが実現してきたか、こういうことをちょっとご説明ください。

○新田参事 東京港といたしましての規制緩和の取り組みでございますが、特区の創設に伴いまして、その最初から、東京港としましては特区認定を受けまして、これまで数次にわたって、国に対しまして規制緩和要求、提案を行ってまいりました。
 こうした東京都の特区提案を受けまして、昨年七月に、税関の夜間及び土日開庁と時間外手数料の軽減が実現いたしました。また、先ほどもご答弁申し上げたところでございますが、本年十月からは、動植物検疫につきましても、夜間、土日の開庁が実施される運びとなったところでございます。このような成果が上がってきているところでございます。
 水先制度につきましても、これまで、例えば外国籍船につきまして、船長の一定の入港経験があれば水先人の乗船義務を免除することができるというように規制緩和をしてほしい、あるいは、東京湾内の水先区を統合いたしまして、一人の水先人で対応可能となるようにしてほしいといったことにつきまして特区提案を行ってきているところでございまして、このように多面的に、特区提案を通じまして規制緩和を求めているところでございます。

○池田委員 今の水先人の問題点については、これはまた別な機会にお話を聞かなければならないかというふうに思いますけれども、先ほど私は、都民の暮らしの側面から見てどうなのかなというふうに見ると、一つは、やはりリードタイムの短縮のための手続の簡素化、そしてその必要な体制の整備、これは非常に重要なところの問題だろうというふうに考えているんですね。
 そういう点について、実際に、今までもリードタイムの問題についてはいろいろご説明を受けてきましたけれども、この手続の簡素化や、そして必要な体制の整備はどういう状況なのか、その辺を説明してください。

○片岡港湾経営部長 食品の問題、安全の問題についてのお尋ねかと思います。
 輸入食品の監視につきましては厚生労働省の所管でございます。平成十五年に、BSE問題などを契機といたしまして食品衛生法が改正されまして、検査体制が強化されておりまして、厚生労働省の東京検疫所におきまして、東京港についても適切に実施されておるところでございます。
 また、東京都におきましても、輸入食品監視班の増強等の監視体制の強化が図られているところでございます。

○池田委員 率直にいって、国の体制だということはいえると思うんですね。
 しかし、これはちょっと前ですけれども、ホウレンソウの残留農薬の問題が、これは横浜の検疫所でしょうか、問題になりましたよね。こういう問題というのが、実際に、港湾の手続上の簡略化だとか検査の体制が弱まるとかいうようなことの中で起きてくる可能性、心配はないのかどうか。
 例えば、今申し上げた中国製の冷凍ホウレンソウ、これは基準の十四倍の農薬が残っていたということなのです。そして、これは、実際には横浜の検疫所をパスしちゃっているわけですね。そういうことが、やはり都民の暮らしの問題、特に輸入品だとか食品の安全、都民の食生活にかかわる検査体制、さっきも出ていましたけれども、植物や動物の検疫の体制で国の方の対応がやられてきているというふうにいわれていますけれども、今、具体的な話をしましたけれども、そういうことについては、国だからということで、東京都がそのまま国にお任せということにはならないんだろうと思うんですね。
 やはりそれは、対策として、やっぱり都民が安心できるような、こういうことがやられていますよというところが具体的に示される必要があるだろうというふうに思うんですが、それはどうですか。

○片岡港湾経営部長 実際にどのような形で行われているかということを含めまして、ご答弁させていただきます。
 十四年度の輸入の届け出の件数が百六十二万件ほどございますが、検査件数で十三万六千件ほどございます。そのうち、東京港を所管しております東京検疫所では、三十四万件ほどの届け出件数に対して二万四千件ほどの検査件数がございます。そして、そのうちに、お話の野菜など農産食品が全体に占める割合が二三・五%という形で、かなり重点的に検査されているものと承知しております。

○池田委員 私は、実際に現場の人の話もちょっと聞いたことがあるんですが、サンプリングの数が少ないということが、やはり一つは問題になっているんですね。これはあくまでも国の方の品目の設定の問題だとか検査項目だとかいろいろあるわけですから、それを、あえてここで東京都がというふうにはいわれないかもわからない。しかし、そのことは、やっぱり重要な問題点の一つだろうというふうに思うんですね。ですから、その辺を私はやはり、ぜひ都としても、都民の食生活、とりわけ輸入品だとか、いろいろなものが入ってくるわけですから、そのことを強く求めておきたいというふうに思うんです。
 もう一つは、今度のスーパー中枢の中心として位置づけられてきた、荷役作業の三百六十四日、それから二十四時間オープン、日曜日のゲートオープンの実施、こういうことがこの間進められて、実際に携わっている港湾事業の労使間、とりわけ労働者の協力で実現してきたものというのはかなりあるわけですね。多くの部分、そうだというふうに思うんですね。さらにこれが、全体として港湾のコスト三割削減というふうなことになって、大きな部分を占めるわけです。そういうことでこれからの効率化が図られようとしている。
 そこで、私はやはり、今、港で働く人たちの状態を、よく現状を東京都としてもつかんで、実態をつまびらかにして対策をとっていく必要があるんじゃないかという視点から、幾つか問題提起をしたいと思うんです。
 これは、東京港の港湾労働者の就労状況という資料を、国の方から、東京の労働局からもらってきたんですが、これを見ますと、この間、常用の労働者の人たちが、やはりずっと十三年以来減っているわけですね。一方では、派遣労働者だとか、それからセンター労働者、そして日雇い労働者といわれる、いってみれば不安定な労働条件で働かざるを得ない、こういう一番の現場の労働者の実態というのがあるわけです。私はやはりその辺を、これは実際、労働行政として国の仕事だよと、こういうことだけで終わらせるわけにはいかないと。
 実は、この労働者の状態の中で、現場の事故の件数がやはりふえているという実態が、これは厚生労働省の屋外労働者の職種別賃金調査というところの調査を見てみますと、事故の前の、先ほど申し上げたような不安定労働者の労働条件の中でこういうふうになっているんですね。二〇〇一年度が二千百六十一時間、二〇〇二年度が二千二百三十九時間、二〇〇三年度が二千百六十時間。要するに、長時間労働でずっと働いて、港湾の荷役作業の労働者の事故の発生状況はやっぱり上がってきているんですね。例えば死亡者が十二名、死傷が三百四十八人、これが二〇〇二年。ところが、それがやはり、この厳しい労働条件の中でますます広がる可能性が出てきているということがいわれているわけです。
 私は、その辺の状況を、東京都の方は、東京港で働く荷役の人を中心とした現場の労働者の状況をつかんでおられるかどうか、この辺をまずお伺いしたいと思います。

○片岡港湾経営部長 港湾におきます労働災害につきましては、これはあってはならないことでございまして、港湾労働災害防止協会という全国的な団体、あるいは、これは東京都のレベルでは東京の港湾労働災害防止協会東京支部という、東京災防と呼んでいますが、そちらの方を中心に具体的な取り組みを進めております。それにつきましては、東京都は港湾管理者として協力をしておるところでございます。
 また、事故等につきまして、私も何度かそういう事故に遭ったというようなことの実態に当たって経験をしたこともございますが、いろいろなケースがございまして、コンテナの取り扱い等におきましてはマニュアルがきちっと励行できていなかったとか、そういうような事例もございまして、これにつきましては、直ちにそこの使用者とともに、管理者も入りまして巡回等を行い、励行を図るというような取り組みをしておるところでございます。

○池田委員 ここに持っているのは港湾労働法の事務手続という小冊子ですけれども、港湾労働者の労働の問題については、やはり非常にいろいろな特殊な条件の中で仕事をするということもあって、特別な港湾労働法というのが制定されているわけですね、ご存じのように。
 そこで、港湾の雇用安定計画といいますか、これが国の責任でつくられることになっているわけです。厚生労働大臣が、各港湾ごとに港湾労働者の雇用の安定、福祉の増進に関する計画を策定する、こういうふうになっているわけです。これはもちろん、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、そういう各港の実情に合った計画を立てるということになっているわけですね。この計画を立てるに当たって、東京都の方では、直接的には港湾局は労働者の問題とはかかわりはないということではないというふうに思うんですね、東京港全体のものを所管しているという立場から。
 ぜひ私はここで、今の現場で働いている人たちの交代制勤務の制度化だとか、それから週休二日制だとか、代休の保障だとか--特に今、二十四時間やっているわけですね。これは一交代でやっているわけですよ。普通、二十四時間勤務ということになれば、八時間勤務であれば三交代だと、こういうのが一般的には常識的にいわれるような今の時代ですよね。ところが、実際には一交勤でずっとやっている。これは、船の都合でいろいろ時間がまちまちになるということもあるわけですから、そういうような状況の中で働いている。
 私は、そういうことの中で、制度的な、労働者の人たちの雇用と福祉をしっかりと守るという立場で、この計画の中に、東京都としてもしっかり要望していくということが大事だろう、こういうふうに考えているんですけれども、その辺はどうですか。

○片岡港湾経営部長 先生お話しの港湾雇用安定等計画につきましては、お話のありましたとおり、厚生労働大臣が中央職業安定審議会等の意見を聞きまして策定し、告示いたしております。この審議会の審議に先立ちまして、地方労働審議会におきまして事前の審議というのがなされておりまして、これにつきましては東京都も参加いたしてございます。
 また、具体的に東京港湾管理者としての業務ということにつきまして、港湾の二十四時間フルオープン化の進展に対応いたしました福利厚生施設の充実に取り組んでおります。国に対しましては、福利厚生施設の整備についての国庫補助制度の創設要求等を働きかけております。
 また、これまで、ふ頭の周辺あるいは背後地区にコンビニ型の売店を七カ所つくっておりますが、そのうち四カ所には二十四時間対応型のATMの導入等も図っておるところでございます。

○池田委員 これはぜひ強い要望としておきたいというふうに思うんですが、先ほどもいいましたように、現場の荷役作業を初めとして労働者の皆さん方の状態というのは非常に不安定な状態にある。しかも、常用の人たちが少なくなってきて、そして日雇いだとかパートだとか派遣だとか、そういう人たちの仕事の体制がつくり出されてきているわけですね。
 そういう中で、今、計画の中で位置づけられているように、労働者の雇用確保、労働条件の、そしてまた福利厚生施設の充実ということは強くいわれているわけですから、コンビニというのは、二十四時間やるというのは今どこでもやられているようなところは多いわけでしょう。そうじゃなくて、要するに、交代制勤務だとか、週休二日だとか、代休の保障だとか、もちろん割り増し賃金だとか、いろいろある。そういうことについて制度的な確立を、やはり私は、東京都の立場からも具体的に提起をすべきである、そういうふうに考えているんです。ぜひこのことは強く要望して、何かもしご意見があればお聞かせいただきたいと思います。

○片岡港湾経営部長 若干繰り返しになりまして申しわけない部分もございますが、福利厚生施設の充実、二十四時間化対応につきまして、港湾管理者としてこれは取り組んでおります。
 委員お話しの二交代、三交代というような問題につきまして、これは二十四時間化に対応した一つの選択肢というふうに思っておりますけれども、これにつきましては基本的に労使間の問題であろうということで、労使間で労働環境あるいは労働条件というものが速やかに定められていくことを我々は期待しておるところでございます。

○池田委員 そのことを知って私は、国が計画を立てる、そういう面では、先ほど部長から話がありましたように、地方でのそういう協議会がやられているわけですから、そこの中で当然、国として、今の全体のスーパー中枢の中で位置づけられているリードタイムの問題だとか、それから港湾の利用料、使用料などの軽減の問題、そして、実際にそこで働く人たちの仕事の量がふえているということの中での体制をやはりつくっていくべきだということで、私は、ただ単に労使の問題だからということで終わらせることなく、例えば港湾局ではそれは対応できないよというならば、ほかの、産労だとか労働関係のところとも、当然やはり調整をしながら国に意見を上げていくべきだ、こういうことをいっているわけです。このことは強く要望としておきます。
 以上です。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認めます。よって、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○真鍋委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 報告事項、豊洲新市場建設に係る用地の一部取得について、豊洲新市場基本計画について及び豊洲新市場建設における計画段階環境影響評価についてに対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○和田委員 私は、豊洲新市場基本計画にかかわる質問をさせていただきたいと思うんです。
 時間系列的には、平成十三年の七月に、中央区の疑問に対して、質問に対して東京都の方が回答を寄せています。平成十三年の七月ですね。それから、ことしになって、平成十六年七月になって豊洲の新市場基本計画が出され、そして、平成十六年九月に中央区から、世界に誇れる都心であり続けるためにという形での中間まとめが出されています。
 要するに、平成十三年七月に中央区が東京都に対して疑問点を出し、そしてまた、それに東京都が十三年七月に回答を出しています。そこから、ことしの七月、ことしの九月というふうに点を線で結んでいった形で、どのように中央区の質問に対し東京都が答え、また、中央区が東京都の答えなり方針に納得をしてきたのかという経路をたどってみたいと思うんです。
 まず初めに、平成十三年七月に、東京都が中央区に対する質問への回答というものを出されておりますけれども、それについて五点ほどありました。移転先の四十ヘクタールの土地の確保の問題から始まり、五点目は、移転までの間の現市場の整備ということであるわけですけれども、五点、簡略に、どういう結果になってきたのかということをお伺いいたします。

○大野参事 中央区からの質問に対する五項目についての現状でございますが、まず、豊洲の土地の確保に関しましては、豊洲地区開発に関して、地権者及び関係各局との間で平成十四年七月に合意を得られ、市場は、豊洲地区の六街区先端部を除く五、六、七街区に土地を確保することが決まりました。なお、平成十六年度、今年度でございますが、土地の一部を購入したところでございます。
 次に、築地市場用地の扱いでございますが、先般、中央区より、築地市場地区の活気とにぎわいビジョンづくりの中間のまとめが公表されたところでございます。今後、都市整備局を初め、関係局と十分協議、検討を重ねていく必要があると考えております。
 また、豊洲地区への交通アクセスにつきましては、環状二号線や晴海通りなどの幹線道路や、新交通「ゆりかもめ」など、計画どおり進捗していると聞いております。
 さらに、場外市場で営業されている方々からは、現段階では大きな反対の声は上がっておりません。
 最後に、移転までの築地市場の整備でございますが、平成十三年度より三カ年の整備計画を立て、衛生対策などに対応してきたところでございます。

○和田委員 五点、大体、今お答えをいただくと、おおむね地元との合意といいましょうか、妥結というんでしょうか、そういう形で落ちつきつつある、いろんな要望も双方が納得しつつあるというふうに受けとめられます。
 しかし、私はここで、本日は重点的に場外市場について伺いたいと思うんです。
 と申しますのも、この九月の中央区の中間まとめを見て、その「はじめに」にこう書いてあるんです。水産国日本の象徴的施設となっています、また、隣接して約五百店舗が集積する場外市場では、新鮮で品数豊富な商品を提供しており、市場と一体となって、にぎわいと食文化の拠点を形成しているという、前段の市場に対する力の入れ方があります。
 それから、後段としては、中央区としては、場外市場と一体的ににぎわいと食文化の拠点を形成してきた築地市場については、現在地再整備が望ましいと考えていると。その後に、しかしながら、都が移転を強行した場合に備え、地元住民により構成される築地市場地区の活気とにぎわいビジョンづくり委員会を設置したと。こういうふうに、やむを得ず、東京都が強行に移転を実行した際の備えとしてこのビジョンをつくったという、やむにやまれず誕生した裏話がここに出ている。
 そこで、この「はじめに」に二度にわたって、約五百店舗が集積する場外市場、あるいは場外市場と一体的ににぎわいと食文化の拠点を形成してきた築地市場というふうに、中央区がいかに場外市場というものに力を入れ、そしてまた、区としてもここを重要視しているかというのがここでにじみ出ているというふうに思うものでありますから、当局としては、この中央区の主張であり、場外市場というものをどのように評価、位置づけをされているのか、しっかりとお答えをいただきたいと思います。

○大野参事 場外市場が発展してきた経緯については、私どもも十分承知しておるところでございます。
 これまで、場外市場の方々には適宜情報提供を行ってきており、現段階では大きな移転反対の声は聞かれておりません。
 場外市場の最大の団体では、豊洲新市場の近くで営業を希望しているお店もありますが、おおむね八割のお店が現在地での営業を希望しており、場外市場の活性化について独自の検討を始めていると聞いております。
 また、現在地で営業を続けていくためには、築地市場跡地の適切な開発による地域の活性化が重要であるとの意見も出されているところでございます。

○和田委員 そこで、豊洲新市場基本計画、これは東京都が出したものの一〇ページのところでは、ゾーニングという、地域割りというのでしょうか、そこで、流通ゾーン、補助三一五、環二の高架下、アンダーパスなどというようなことが出てきたりしています。ここのところのウのところににぎわいゾーンとありまして、これは補助三一五の縦の線、横の線に、L字型ににぎわいゾーンというものを設定していますよね。そのことと、中央区が主張してきている場外市場のにぎわいと食文化ということの関連性はどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。

○大野参事 補助三一五号線から環状二号線の軸沿いに設定されておりますにぎわいゾーンには、市場ならではのにぎわいを創出することとしております。
 にぎわいゾーンの開発は民間活力により行うこととしておりますが、にぎわいの機能を実現するために設置する施設の内容などの開発条件について、本年度以降、検討することとしております。この開発条件の検討に当たりまして、場外市場の民間事業者の方々の意向を視野に入れていきたいと考えております。

○和田委員 そこでですけれども、場外市場などは、当局は三百と把握されているのかどうかわかりませんが、中央区は、これ五百となっていますから、その数字の開きはちょっと大きいんですけれども、私どもは五百というふうに今申し上げておきますが、その五百が築地市場を中心にして、言葉はどうかわかりませんが、城下町的にできて、五百あるわけですよ。ところが、その城下町のお城が移転してしまうことによる間接的、直接的な害、実害というものがそこにあって、それが大きくこの移転の問題の批判なり反対につながってきているということは、論をまつより事実だろうと思っているんです。
 そこで、確かに今、市場ですから、市場そのものは、移ればもう後は知りませんよという形かもしれません。しかし、本丸というか、城下町を形成してきた責任として、そのお城を移すことによる害が予想されれば、それは予防原則のような形で、関係、まあ産労局になるかわかりません、都市整備局になるかわかりませんけれども、そこと、きちっと責任を持ってその後始末をする。
 すなわち、補償の問題ですとか、あるいは融資の問題だとか、それは経済的な問題で、我々、関係ありませんというかもしれませんが、くどいですけれども、城下町を形成してきた責任というのは市場にあるわけですから、そこのところを単なる、自分たちのエリアは違います、守備範囲じゃありませんという形で逃避することは許されないだろうということを申し上げると同時に、できれば、しばしば出てきている横の横断的な、各局と情報交換をしながら、経緯、いきさつを、十分関係当局なり、あるいは関係団体、市場団体に伝えて、後味のいい形での収束をぜひしていくべきだというふうに思うんです。
 今、答弁にもありましたとおり、築地市場用地の扱いだけれども、先般、中央区より、にぎわいビジョン中間まとめが出てきたと。今後、都市整備局を初め関係局や中央区と十分協議、検討を重ねていく必要がある、こう考えているという認識を明らかにしているわけでありますから、その具体的な発露の結果として、関係--中央区を初め住民の方々の実害が実益に結びつくような、そういう結果を目に見える形でぜひ示していくべきだというふうに思うんですが、最後に決意をお伺いいたしたいと思います。

○大野参事 先ほども申し上げましたように、場外市場が発展してきた経緯については十分承知しているところでございます。
 これまでも、市場移転に関しての情報提供を通しまして、場外の方々の意見を聞いているところでございますが、今後も十分意見をお聞きし、必要な情報につきましては関係局へも伝えていくなど、市場としても力を尽くしていきたいと考えております。

○丸茂委員 私も、豊洲新市場関連の三件の報告に関して何点かお伺いをいたします。
 まず、東京都は、築地市場を第七次卸売市場整備計画において豊洲地区への移転を決定したとしておりますけれども、これまでも指摘してきたとおり、現在でも市場関係者の一団体や中央区は、新市場への移転に反対の態度は変えていないと認識をしております。
 中央区が今回、築地市場地区の活気とにぎわいビジョンづくり委員会中間のまとめを出し、九月二十一日の築地市場移転に断固反対する会で中間のまとめを報告したことに対して、二十八日の本会議で都市整備局長が、区がビジョンを発表したことは、これまでの反対の姿勢から方針転換し、市場移転などを前提とした都との具体的協議に入ることを公にしたものという趣旨の答弁がされました。
 私、この中間のまとめの文書も読ませていただきましたけれども、今、和田委員も引用いたしましたけれども、中央区としては、場外市場と一体的ににぎわいと食文化の拠点を形成してきた築地市場については、現在地再整備が望ましいと考えています、しかしながら、都が移転を強行した場合に備え云々と、こう記述もされております。
 市場移転に直接かかわる市場長は、この中間のまとめが、中央区が市場移転に対して反対の姿勢を方向転換したと認識しているのか、それとも、私が紹介したように、中央区は現在でも現在地での再整備という方針は変えておらず、都が強行した場合を想定してこの中間のまとめを行ったと認識しているのか、お伺いをいたします。

○森澤中央卸売市場長 中央区が作成しました築地市場地区の活気とにぎわいビジョンづくり委員会の中間のまとめについての認識でありますが、この中間のまとめは、中央区と同区議会及び地域の代表者から成る、築地市場移転に断固反対する会の了承を得て公表されたものでありまして、また、九月二十一日付で中央区長から都知事あてに、ビジョンの実現に向けて協議を求める要望書が提出されております。
 このようなことから、これまでの反対の姿勢から方針を転換し、市場移転を前提とした都との具体的協議に入ることを公にしたものと受けとめております。

○丸茂委員 この集会の模様を報道する各新聞の報道も、私、見せていただいたんですけれども、例えば朝日新聞の場合は、都が万が一移転を強行した場合に備えた中間案、区は一貫して両計画に反対の立場をとっている。毎日新聞も、都の移転計画への反対姿勢は変えていないんだと。こういうことで共通しております。
 そういう新聞の報道が、今、市場長がいっていることと、事実関係、認識が違うというふうに思うんですが、いかがですか。

○森澤中央卸売市場長 今、委員からご指摘の話のとおり、中央区からの文書の中におきましても同様のことが書かれているわけでございます。しかし、最後に、その要請文の中にも、このビジョンとその実現に向けた提案について特段のご配慮をいただきたいとともに、ビジョンを踏まえた、よりよいまちづくりに向けて協議をいただくよう要望しますということでございます。
 そういうことから、全体を通じまして、方針を転換したものと受けとめているところであります。

○丸茂委員 私は、基本姿勢は、反対の態度は変えていないと。しかし、物事がどんどん進んでいくと。その結果、強行された場合に、その後どうするのか。前から市場審議会でも、中央区長は、そういう移転跡地の場合はどうするのかとか、いろいろ質問項目にも挙げているとおり、ずっと経過していることなんですよ。ただ、基本姿勢はどうなのかという点では、私は、方針転換はしていないということを強く申し上げておきたいというふうに思います。これは今後のいろいろな話し合いの基礎となるものですから、指摘をしておきます。
 次に、新市場用地の一部取得についての報告について伺います。
 まず、契約に当たって、この土地は鉄鋼埠頭の工業用地であり、土壌調査が必要とされていると思いますけれども、土壌調査は行われたのか。行われていたのであれば、結果はどうなっているのか。
 さらには、五月の契約はどういう状況にあるのか、市場の用地となっているのかどうか、その辺も含めて、この用地の関係をお伺いいたします。

○大野参事 鉄鋼埠頭から購入した土地でございますが、この土地は六月に都の所有となっておりまして、平成十七年九月末までに引き渡されることとなっております。この時点までに、鉄鋼埠頭株式会社は、環境確保条例に基づく土壌調査及び汚染土壌対策を実施し、また記録を作成し、市場に提出することとなっております。

○丸茂委員 これからの意味が含まれていると思いますけれども、私ども幾つかのケースで、土壌汚染が後で発見されると、それに大変な経費も、あるいは時間も要する、こういう問題がありますので、今後の問題については対応を十分行うよう求めておきたいと思います。
 次に、基本計画では、第二次都庁改革アクションプランに沿って、計画の実現に向けてということで民間活力の導入を図る。民間活力の導入では、PFI方式と市場用地貸付制度を挙げております。
 PFI方式は、公共事業を民間事業者にゆだねて、財政資金の効率的利用を図るというものですけれども、民間企業は、その目的が利潤を上げることを目的としており、自治体は利潤を目的としないという根本的な違いがあります。さらには、経済同友会が市場主義宣言で、公的部門全体の活動範囲を民間主導、市場原理を導入していくことが急務だと、こういう提言もされております。そういう点では、PFIはそうした経済界の要求の一環であるという認識をしております。
 いうまでもなく、自治体は、財政的には最少の経費で最大の効果を上げる、事務は公平公正に執行する、これが原則となっております。そういう点で、中央市場という公的施設という役割から、本当にこの公共事業がPFI方式が望ましい方向なのか。民間活力先にありきではなくて、十分な検証が私は求められると考えております。現在は基本計画の段階でありますので、その範囲の中で何点かお伺いをいたします。
 この基本計画、五五ページに、PFI方式により整備を行った場合に、建設コストの削減、都の財政支出の平準化が行えるなどの効果があると記述をしております。この点、もう少し具体的に説明をいただきたいと思います。

○大野参事 基本計画の記載のご説明でございますが、PFI制度を活用することによりまして、民間の競争や創意工夫による建設、運営経費の削減、あるいは建設費の一時的な多大な支出が回避されるなどの効果があるということでございます。

○丸茂委員 今の答弁では、私ちょっと頭がよくないのか、わからないんですが、建設費でも運営費でも、やっぱり東京都が努力をすれば必要最大限の努力ができるというふうに思います。わけても建設費については、現在、約二千六百億円の財源を確保している。こういう点からも、都自身がやろうと思えばできるというふうに考えております。
 そういう中にあって、全国的には、神戸市中央卸売市場がPFI方式を取り入れるということが行われております。神戸市の場合は、新設施設の延べ床面積が約四万平方メートルですから、都の約十分の一の延べ床ですね。建設地は神戸市の本場の隣接する反対側の埋立地で、大変至近な距離に計画がされております。
 今回、神戸市がBTO方式で行った場合と、市が建設した場合とで経費の比較が行われていると思いますけれども、どういう状況になっているのか、参考までに、わかる範囲で示していただきたいと思います。

○大野参事 神戸市のホームページによりますと、PFIを活用することにより、市の財政負担額は約一二・五%の削減となるとしております。

○丸茂委員 今、一二・五%の削減がされたと。ホームページは、実はつい先日の九月二十九日なんですね。そういうことで、このPFIが市議会で審議されたときには、そういう数字は明らかにされませんでした。選定先はダイヤモンドリースグループで、大手の設計、建設も大手企業が請け負うことになっております。
 そういう状況をかんがみますと、築地市場の現在の仲卸業など中小企業の皆さんの大変厳しい経営環境のもとで、卸売市場の大規模な整備計画は、都が直接整備した場合と民間のPFI方式で整備した場合と、整備費用がどうなるのか。市場関係団体や、あるいは議会としても比較検討できるよう情報提供をすべきだと考えますけれども、その点いかがでしょうか。

○大野参事 今回、新市場の建設に当たりましては、都が直接整備する施設、そして都が整備する中でPFIを活用する施設、さらに民間が直接整備する施設、こういう三種類の施設を考えてございます。
 そういった中で、都が直接建設する施設につきましては、今年度PFIの導入調査を行いまして、どういう施設がPFIとしてふさわしいのか、そして、その場合にどれだけの経費が削減できるのか、そういったことを検討していきたいと思っております。そういった中で、最終的にPFIを導入することにつきましては議会等への報告を必ずする、こういうことになっております。
 また、民間の施設整備につきましては、今回の基本計画におきましては、従来の行政側で重立った市場施設を整備する方式ではなく、民間との役割分担の中で、市場の基幹施設であります卸、仲卸売り場などは、都がPFIを含めて整備するものとし、それ以外の冷蔵庫や転配送施設などの付加価値施設などは、民間がその経験や創意工夫を生かして、経費の削減や、みずから使いやすい施設の整備をしていくこととしております。

○丸茂委員 これから具体的な調査なり検討をして、具体的な比較、数字等も明らかにして議会にも報告するということですので、ぜひその点お願いをしたいと思います。
 ところで、事業の財政フレームで、建設費がおおむね千三百億円、こういう記述があります。この積算の根拠はどうなっているのか。そして、その中では、今後精査するとも書かれておりますけれども、どのような精査を考えているのか、この際お伺いをしておきます。

○戸田参事 基本計画で算定しました、施設規模三十九万四千平方メートルに桟橋等の附帯設備及び外構等を含め、財務局の単価などを用いて、総額でおおむね一千三百億円と積算したものでございます。
 それと、今後どうやって精査するかということでございますけれども、これから、今年度、実施計画を行います。それから、来年度以降は、基本設計ですとか実施設計を行っていきますけれども、その中で具体的に精査を行ってまいりたいと考えています。

○丸茂委員 こういう形で、新市場については民間活力ということを積極的に進めていく、そういう姿勢がうたわれておりますけれども、東京都の場合は、臨海副都心開発のときにも、民間活力を積極的に生かすと、そういう形で開発が行われ、臨海第三セクターもそういう形でのビル経営が進められました。その結果が今、東京都の財政にも大変な負担を強いられているということからも、民間活力導入ありきではなくて、やはり市場で営業を営む中小企業の意見等を踏まえて、十分検討するよう求めておきたいと思います。
 次に、環境配慮書について、一、二伺っておきたいと思うんですけれども、まず、この配慮書にある対象事業の複数案についてですけれども、アセスを専門的に検討されている方は、環境影響評価条例十一条の複数案についての規定では、実施場所または対象地域、規模その他規則で定める要件が異なる複数の計画案となっている。このことから、今回の豊洲六丁目地内だけでの対象地域としていることが妥当なのかどうかという疑問の声を寄せています。
 例えば、東京港に隣接した、立地条件でいえば有明北の埋立地、それから現在地、築地の再整備という形での地理的な対象、そういう問題がなぜ対象とならないのかと、そういう疑問が寄せられております。
 私も、三案を見ても、とにかくにぎわいのコーナーだけを一部いじっている、これで本当に三案なのかどうかなという疑問を持っていましたので、その点、環境局との事前の準備での話し合い等もあったと思うんですが、何らかの指摘がなかったのかどうか、その点も含めてお伺いをいたします。

○後藤参事 豊洲の新市場につきましては、今日の流通環境等の変化に十分対応していくため、平成十三年十二月の第七次東京都卸売市場整備計画によりまして、豊洲地区への移転を東京都として方針決定しております。
 したがいまして、今回の計画アセスにおきましては、環境局との調整を踏まえ、市場の位置については複数案の対象としないことに決定いたしたものでございます。

○丸茂委員 私自身も条例の十一条を見ましたら、事業者は、対象計画を策定しようとするときは技術指導云々、その後に、採用可能なものとして、実施場所または対象地域、規模その他規則で定める要件、規則ではさらに具体的に、個別計画、施設の構造、それから広域複合開発、これはちょっと大きな開発でしょうけれども、そういう規定になっています。
 そういう点では、都民がこの計画そのものが本当にさまざまな面で妥当なのかどうかと判断する上では、実施場所、対象というのはそういう意味が含まれているんじゃないかと思うんですが、環境局と、そういう意味でちゃんと確認をとっているんですか。それとも、この三案だけで話しているのか、その点、確認しておきたいと思うんです。

○後藤参事 今回のような豊洲の新市場のような広い用地面積、それから、築地の機能を引き継ぐというような卸売市場の機能上、その設置位置には制約があるわけでございまして、計画位置につきましては複数案の対象としないということで環境局と話をしたところでございます。

○丸茂委員 これは、環境局との関係でまたお聞きしなければいけない点だと思うんですが、今のご答弁ではなかなか理解ができないなと。
 次に、この計画によって発生、集中する自動車交通量問題なんです。
 計画では、五、六、七街区の一部に約五千四百台から六千四百台の自動車駐車場を設置する、こういう計画になっております。この中では、集中交通量で三万四千七百台から三万八千台が発生する、そういう計画になっております。
 しかし、この計画地からわずか千二百メートル東の豊洲二丁目に、約二千台の駐車場を持つ大型ショッピングセンターの建設が予定されております。私自身も現場に足を運んだことがありますけれども、平日で約八千台、休日で約一万三千八百台の自動車交通量が見込まれております。
 こうなりますと、九九年の数字ですけれども、晴海通り十一車線で、昼間十二時間で一万八千八百台、三ツ目通り七車線で一万六千百台、合計で約三万五千台となります。それにこのショッピングセンター分、八千六百台から一万三千八百台が加わりますと、約四万三千六百台から四万九千台という大変な数字になります。それに、この新市場の集中交通量三万四千七百台から三万八千台。これが早朝から昼間という時間的なずれはあると思いますけれども、大変な交通量が予測されます。
 こうした周辺の交通量の現状あるいは大気汚染など、どう認識しているのか、お伺いをいたします。

○後藤参事 新市場の整備につきましては、市場の整備に合わせまして幹線道路の整備を推進するとともに、場内におきましては、バースや待機車両スペースなど駐車場を確保し、また周回道路を整備するなど、円滑な入退場の管理を行うことによりまして、周辺の交通環境に大きな影響が生じないと判断しておりまして、交通渋滞のおそれは少ないと考えています。
 次に、市場関連車両による大気汚染につきましては、配慮書における予測結果からしても、現状の環境への影響は少ないものと考えております。

○丸茂委員 交通対策のために幹線道路を整備すれば解決すると。しかし、その幹線道路ができると、大気汚染、車の発生量がまたふえる。これが今までの東京の実態だと思うんですね。
 東京都環境基本計画では、東京の二つの危機を指摘しております。その第一に自動車交通の大気汚染を挙げておりますが、東京を自動車交通に過度に依存しなくてよい都市にすることをその中では強調しています。そうなりますと、基本計画では明らかでなかった自動車交通が豊洲二丁目、六丁目に過度に集中する立地計画そのものの妥当性が問われることにもなります。再検討の必要性についても意見を述べておきたいと思います。
 この環境配慮書では、緑化対策あるいは大気汚染と道路交通騒音問題、関連車両の走行に伴う大気質問題など、現状では到底クリアできないさまざまな課題が予測されております。
 特に、環境に及ぼす影響の予測及び評価では、予測の時点では平成二十四年度、二〇一二年度でありますけれども、東京都環境基本計画では、二酸化窒素、NO2は二〇〇五年度までに、それからSPMについては、二〇一〇年度ですべての測定局で環境基準を達成するとしております。この目標に照らせば、欠陥のある予測ですら、大気汚染の予測値が環境基準を超えれば計画を見直さなければならない、そういうことになると思います。
 つい先日、十月二日、都民の、東京都内の大気汚染の二酸化窒素汚染状況、こういうものを調査する運動が行われ、その連絡会が開かれておりますけれども、その状況を見ますと、ことし六月三日から四日にかけて都内一万三千カ所で測定をした結果、全体の平均が〇・〇四四ppmと、環境基準の〇・〇四を上回る、こういう平均の数字になっております。わけても区部では、江東区と中央区が〇・〇五七ppmと、都内でも江東区、中央区、この新市場周辺の大気汚染が大変ひどいという結果が出ております。
 こういった状況を踏まえまして、環境配慮書の公示、縦覧、さらには住民説明会などで都民の意見を十分に聞き、検討するよう求めて、質問を終わりにいたします。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認めます。よって、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○真鍋委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百九十八号議案、東京都海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案に対する質疑は既に終了しております。
 これより採決を行います。
 第百九十八号議案を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認めます。よって、第百九十八号議案は、原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○真鍋委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日までに決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○真鍋委員長 この際、所管局を代表いたしまして、関谷産業労働局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○関谷産業労働局長 本委員会所管五局を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 真鍋委員長を初め委員の皆様方には、本定例会にご提案申し上げました議案等につきまして熱心にご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご指導につきましては十分に尊重させていただき、今後の事務事業の執行に万全を期してまいります。
 今後とも、所管五局に対しまして、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○真鍋委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ごあいさつを申し上げます。
 この一年間、委員会の運営につきまして、両副委員長、理事の皆さん、委員の皆さん、ご協力まことにありがとうございました。また、理事者の皆さん、ご協力ありがとうございました。
 当委員会は、首都東京の活力の源である雇用、そして産業振興、港湾、市場を担当する委員会でございます。これからは新銀行も担当するわけでありまして、都民の期待は大変高いものだと思います。
 これからも、委員の皆様方の活発な提言、意見を受けまして、それをもとに理事者の皆様方に、都民の皆様方の期待にこたえられるように検討をぜひしてもらいたい、そのことを祈念させていただき、ごあいさつとさせていただきます。一年間、本当に皆さんありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十三分散会

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