委員長 | 真鍋よしゆき君 |
副委員長 | 北城 貞治君 |
副委員長 | 酒井 大史君 |
理事 | 谷村 孝彦君 |
理事 | 三宅 茂樹君 |
理事 | 丸茂 勇夫君 |
土持 正豊君 | |
和田 宗春君 | |
池田 梅夫君 | |
前島信次郎君 | |
山崎 孝明君 | |
川島 忠一君 | |
田中 晃三君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 有手 勉君 |
総務部長 | 島田 健一君 | |
特命担当部長 | 乾 敏一君 | |
産業力強化担当部長 | 志賀 敏和君 | |
産業政策調整担当部長 | 野口 孝君 | |
参事 | 奥秋 彰一君 | |
参事 | 佐藤 仁貞君 | |
商工部長 | 市原 博君 | |
参事 | 塚田 祐次君 | |
金融部長 | 中井 敬三君 | |
観光部長 | 渡辺 勉君 | |
参事 | 小宮 三夫君 | |
農林水産部長 | 菊地 輝雄君 | |
参事 | 瀧川 清君 | |
雇用就業部長 | 安藤 立美君 | |
就業調整担当部長 | 関口 栄一君 | |
中央卸売市場 | 市場長 | 森澤 正範君 |
管理部長 | 石川 俊一君 | |
事業部長 | 高津 満好君 | |
調整担当部長 | 岸 信子君 | |
新市場建設担当部長 | 井戸 秀寿君 | |
参事 | 上田 良治君 | |
参事 | 松村 進君 | |
参事 | 後藤 正君 | |
港湾局 | 局長 | 成田 浩君 |
技監 | 高野 一男君 | |
総務部長 | 浅倉 義信君 | |
参事 | 岡田 至君 | |
港湾経営部長 | 片岡 貞行君 | |
参事 | 新田 洋平君 | |
臨海開発部長 | 高松 巖君 | |
開発調整担当部長 | 萩原 豊吉君 | |
参事 | 松本 義憲君 | |
港湾整備部長 | 樋口 和行君 | |
計画調整担当部長 | 滝野 義和君 | |
離島港湾部長 | 原田 龍次君 | |
参事 | 西塚 武彦君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
中央卸売市場関係
報告事項(質疑)
・平成十五年度東京都中央卸売市場会計予算の繰越しについて
・第七次東京都卸売市場整備計画の実施状況等について
港湾局関係
報告事項(質疑)
・平成十五年度東京都一般会計予算(港湾局所管分)の繰越しについて
・平成十五年度東京都臨海地域開発事業会計予算の繰越しについて
産業労働局関係
報告事項(質疑)
・平成十五年度東京都一般会計予算(産業労働局所管分)の繰越しについて
・都内におけるコイヘルペスウイルス(KHV)病の発生状況について
・東京都中小企業振興対策審議会「都のものづくり産業の集積施策のあり方」答申について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について
○真鍋委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
本件につきましては、本日の理事会において協議の結果、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
お諮りいたします。
本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○真鍋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○真鍋委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、中央卸売市場、港湾局及び産業労働局関係の報告事項の質疑、並びに閉会中における請願陳情及び特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
報告事項、平成十五年度東京都中央卸売市場会計予算の繰り越しについて及び第七次東京都卸売市場整備計画の実施状況等についてに対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○池田委員 第七次の市場整備計画の実施状況の報告について質問します。
初めに、決済制度の改善が取り上げられているわけですが、現在、卸売市場における販売代金の決済はどういうふうになっているのか。それぞれ部門ごとに、完納奨励金や代払いの制度を含めて説明をしてください。
○高津事業部長 卸売市場における代金決済は、出荷者への支払いが早期かつ確実に行われる仕組みとなっておりまして、これが市場の信用力を高めるとともに、市場への安定的な出荷を確保するために重要であります。
このため、卸売業者が期日までに買い受け代金の支払いを受けた場合において、仲卸業者、売買参加者等に対し、条例等の認める範囲内で完納奨励金を支払っております。
また、部門ごとの状況でありますが、青果部、食肉部においては、仲卸組合、売買参加者組合おのおのが組合員の買掛金を取りまとめ、代払い機関として一括して卸売業者に支払っておりますが、水産物部、花き部では組合代払いは行っていないというのが現状でございます。
○池田委員 国会では市場法の改定が行われて、全国一律に業務規程で卸売市場手数料を決める仕組みを改めて、開設者が地域の実情を踏まえて手数料を定める、こういうふうにされています。
この手数料改正とあわせて、参議院の農林水産委員会での議事録を読みますと、政府の参考人は、答弁の中で、卸売業者の卸売手数料の弾力化を図っていくと。その際、出荷奨励金も完納奨励金も完全に指導上の関与を廃止し、当事者間の問題として考えていただきたい、こういうふうに答えています。
出荷奨励金、仲卸、売買参加者への完納奨励金についても、開設者による承認制廃止というのは、当事者間で決定できるように改める、こういうふうにしているわけですけれども、完納奨励金を具体的にはどのような仕組みにかえようというふうに、国の方は卸売手数料の弾力化とあわせて考えているのか。その辺を説明してください。
○高津事業部長 今、池田委員お話しのように、国においては、卸売手数料の弾力化にあわせて、これは平成二十一年度以降になりますけれども、見直しを図るということでございます。
どうなるのかということでございますけれども、今お話のように、現在は、国が開設者に対して、これを承認制でやれよという指導を行っております。これが今の国の考えでは、その承認制の指導をやめますと。承認制をとろうと、届け出にしようと、内容等を当事者間で決めることもできますよと、そういうことになると聞いております。
○池田委員 私は、この完納奨励金というのは、販売代金の早期の決済、また、その決済をするに当たって重要な役割を果たしてきている、現在も欠くことのできない制度だと考えています。卸売市場の信用と円滑な運営にとって、特に青果に携わる方たちの取引では欠かせない制度だというふうに感じています。
私は先日、地元の小売商組合の人たちの話を聞きました。この方たちの話の中で、完納奨励金問題を大変心配しておられるんですね、当然だというふうに思うんですけれども。皆さんが異口同音にいわれているのは、やはりこの制度を後退させるようなことは絶対に認められない、こういうふうにいっておりました。
都は、この完納奨励金について、こういう小売商の方たちの意見についてどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○高津事業部長 今委員がお話しになったように、完納奨励金の現時点での評価でございますけれども、卸売業者が出荷者に早期かつ確実に代金決済を行う上で、完納奨励金が、仲卸業者や売買参加者から卸売業者への販売代金の早期支払いを促す、そういう役割を果たしているとは思っております。
その小売業者さんたちのご意見といいますか、ご心配は、我々も承っております。今後は、先ほど申し上げましたように、卸売手数料の弾力化、平成二十一年度になりますけれども、その弾力化にあわせて、完納奨励金、出荷奨励金も見直していく、検討するということになってございますので、卸売手数料とあわせて総合的に検討すべきではないかと考えております。
○池田委員 私は、今申し上げたように、販売代金の早期決済、そしてその中で、卸も仲卸の業者の方にとっても、また小売の皆さん方にとっても、とりわけ、先ほど申し上げたように青果にかかわる方たちにとっては、それぞれやはり今までの歴史的な経過だとか現在の状況から見ても、この完納奨励金というのは、制度としてやはり大変重要な役割を果たしている。今そういうふうに認識をされているだろうというふうに思うわけです。
当然、国は、卸売手数料の弾力化とあわせて、先ほども紹介したように、そういう方向で考えている。しかし、それぞれの地方自治体、開設者としての立場からの対応が十分できるわけです。そういう点でも、私は、とりわけ市場の円滑な運営に果たしている役割を十分つかんだ上で重要性を認識してもらいたい。その立場から対応をしていく必要があるだろうというふうに思います。
次に、今回の市場法改正というのは、大幅な規制緩和によって、卸売市場制度そのものを根底から解体しかねない重大な問題を含んでいるというふうに私は考えています。
これは、当然、国での議論、そしてまた、東京都でも法改正に伴う条例改正が行われていくだろうと思います。これは日程的にどのような日程で進められようとしているのか。手順、そして、その流れはどういうふうになっているのか。この辺をお伺いしたいと思います。
○高津事業部長 開設者が法改正を受けまして業務規程--これは条例や規則ということでございますけれども--を改正する上で参考とするよう、業務規程例が六月から七月にかけまして農林水産省から示される予定になっております。
都といたしましては、業界との調整を行うとともに、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会への諮問、答申を経て条例改正を行い、来年の四月以降は新しい制度のもとで運営できるようにしてまいりたいと考えております。
○池田委員 そういう国からの政令というんですか、省令というのでしょうか、そういうものが出されてくるだろうと。それに基づいて、今いわれたような日程で条例改定に取り組んでいくということになるんだろうというふうに思います。
そこで、東京都として基本的な条例改定の方針、そして、その具体的な検討に当たって、もちろん卸、仲卸、小売などの業界、また、消費者を初めとして関係団体や関係者などの意見をずっと聞いて集約をしていくわけですけれども、それは具体的にはどういうスケールでやられようとしているのでしょうか。その辺をお聞かせください。
○高津事業部長 委員、大変申しわけありませんけれども、ただいまのスケールという意味合いが、私にはちょっと、どういうご質問かというのがわかりかねているのですけれども……
○池田委員 範囲というか、どういう方たちか、具体的に。
○高津事業部長 これは当然、市場関係業者ということでありますので、卸売業者、仲卸業者、売買参加者、買い受け人、そういった関係する業者さん皆さんのお声をいろいろ聞きながら、十分に協議、調整を図っていくということでございます。
○池田委員 東京都には、市場審議会だとか運営協議会だとか、それから取引委員会ですか、いろいろありますよね、それぞれの段階で。そういうところを網羅してやられていくんだろうというふうに思うんですけれども、先ほども申し上げたけれども、一番下の現場の人たち、例えば、それぞれの市場にできている取引委員会、こういうところでの方たちの声というのは、やはり大事だというふうに私は思うんですよ。
そういう具体的なイメージといいますか、私さっき、スケールというのはそういう意味でいったつもりだったんですが、例えば審議会だとか運営協議会だとか、それから今申し上げたようなところの意見、こういうものも当然聞かれていくんだろうというふうに思うんですが、その辺はそういうことなのでしょうね。
○高津事業部長 先ほどもお答えしたとおりでございまして、業界との調整を行うとともに、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会への諮問、答申を経て条例改正を行う考えでございます。
○池田委員 今あえて私は、それぞれの市場にある取引委員会の話をしたんですが、業界だとか業種それぞれの団体のトップということより、やはり現場の、実際に携わっている市場の皆さん方の声というのを、ぜひ私は聞いていく必要があると。先ほど申し上げたように、小売業者の人たちは、完納奨励金の取引はどうなるか、大変心配されています。
ですから私は、そういう意味で、今までの市場を支えてきた歴史的な経過、また取引、またその決済制度の根幹をなしてきたこういうものの議論を、ぜひ十分小売の方たちの声を聞いてやってもらいたい、こういうふうに考えているわけです。これは要望も含めてですけれども、最後に市場長、どうでしょうか。
○森澤中央卸売市場長 今回の卸売市場制度の改正は、市場経由率の低下など、卸売市場を取り巻く環境の変化に対応しまして、生産サイドと消費サイドの両面の期待にこたえられるよう、安全・安心で効率的な流通システムへの転換を図るということを目的としたものでございます。
したがいまして、内容的には、商品提供機能の強化などを内容とする規制緩和や、商物分離取引の拡大による低コスト流通の実現などによりまして、市場活性化への条件が整備されることになります。したがいまして、今後は、市場関係業者が具体的な取引においてこれをいかに活用するかが問われることになるわけでございます。
また、今回の改正では、各市場に設置しております市場取引委員会の役割が大変重視されることになります。したがいまして、小売業者も含めた業界が一体となって市場の活性化に取り組んでいただきたいというふうに考えております。
都といたしましても、卸売市場の競争力強化につながるよう、制度の運用に努めてまいります。
また、ただいまご質問のありました完納奨励金については、早期で確実な決済を確保し、卸売市場の信用力を維持するための仕組みの中でどうあるべきなのか、今後十分に検討をしてまいります。
○池田委員 次に、市場環境白書を見させていただきました。ここで市場別電動化率という二〇ページの表を見させていただいたんですけれども、かなり各市場ごとの差があるんですね、電化率。これが最初導入されたときに、いろいろ計画的に実施が具体化されていったんだろうというふうに私は考えているわけですが、この環境白書の中で、築地だとか、かなり大気汚染がひどいというようなところへ、それからまた、そのための対策としてそれぞれの市場が努力をしているのはわかるんですが、こういう表の中でこれほど格差が出てくるというのは、どういうところに一番の原因があるんでしょうか。
それぞれの電動化していく、例えばリフトだとか、それからターレットですか、そのところの数が違うのはもちろんだけれども、実情がそれぞれあるんだろうというふうに思うんです。その辺が一番問題になっているのはどこなのでしょうか。
○岸調整担当部長 電動化への取り組みに差がある理由についてということでございますが、東京都では、小型特殊自動車の電動化推進のために補助事業を実施しておりますが、この補助制度はあくまで誘導策でございまして、規制策をあわせてとっていないために、各市場が置かれた周辺状況などによりまして、大気環境改善への取り組みに差が生じております。
また、電動化を推進するには、充電設備の整備を並行して進める必要がございますが、本来、委員ご指摘のとおり、計画的な対応が求められるところでございますけれども、これまでは市場関係者、市場業界の電動化の意向が整った段階で対応していたということで、計画的というよりは、事態が整った段階で整備してきたということから差が生じたと思っております。
○池田委員 例えば充電施設というんですか、ソケットみたいなものが、仲卸さんのところの事務所にはついているけれども、小売の方たちが来てやるところというのはおくれているとか、それぞれいろいろあるんだろうというふうに思うんですが、今後、やはり計画的に充電の施設をもちろん整備しなければならないし、それから、リースだとか購入に対する補助の拡充の問題も、いろいろ議論として意見も出ているやに聞いていますけれども、そういう対応もしなければならないというふうに思うんですね。
私、現場の人の話を聞いたら、新しく車を買って即電動化にというわけにはいかないというのは当然なところがあるわけですよ、その業者の人たちの立場から見ればね。いろいろそれは理由があるわけですけれども、せっかくこういう電動化の方向を打ち出しているわけですから、ぜひ今の現状をもう一度検討されて、そして計画的に、どういう方途でやれば電動化が進んでいくか。
またそれも、規制というふうな話がちょっと出ましたけれども、そうじゃなくて、本当にそこに働く人たちの環境を守るという立場で、行政としての市場としての責任をはっきりさせた、そしてこの計画を実現できるような、そういうことでやる必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、どうでしょうか。
○岸調整担当部長 今後の電動化の進め方ということでお答えさせていただきます。
中央卸売市場の内部に小型特殊自動車電動化促進検討委員会というものを設けまして、補助金ということだけではなくて、総合的な施策を進めていくために検討しております。
今後は、電動化推進のための基本的な方針を定めまして、市場関係者との十分な協議を図りながら、将来的には電動化率一〇〇%を目指しまして、具体的な普及計画、目標を設定し、対応していきたいと思っております。
○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○真鍋委員長 異議なしと認めます。よって、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○真鍋委員長 これより港湾局関係に入ります。
報告事項、平成十五年度東京都一般会計予算(港湾局所管分)の繰り越しについて及び平成十五年度東京都臨海地域開発事業会計予算の繰り越しについてに対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○丸茂委員 意見だけ述べさせていただきます。
特に臨海地域開発事業会計予算の繰り越しに関して、中身を見ますと、有明北地区埋立基盤整備あるいは土地区画整理事業、この中身は、環二絡みの道路整備、それに伴う繰り越しでありまして、私どもは認められない。
その意見を述べて、終わりたいと思います。
○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○真鍋委員長 異議なしと認めます。よって、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
○真鍋委員長 これより産業労働局関係に入ります。
報告事項、平成十五年度東京都一般会計予算(産業労働局所管分)の繰り越しについて、都内におけるコイヘルペスウイルス(KHV)病の発生状況について及び東京都中小企業振興対策審議会「都のものづくり産業の集積施策のあり方」答申についてに対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○北城委員 中小企業振興対策審議会答申につきまして、お伺いをさせてもらいたいと思っております。
景気に薄日が差しかかってきたとはいえ、中小企業を取り巻く環境は極めて厳しいものがあるわけであります。中小企業にとりましては、景気の回復の実感がないのが現況であります。
都内製造業は、なお大幅な減少に歯どめがかからず、大変厳しい状況にあるわけであります。答申におきましても、後継者が決まらずに困っている企業と廃業予定の企業を合わせますると二六%となりまして、都内製造業の四社に一社が事業承継の問題を抱えておるのが現況であります。こうした状況に何らかの手を打たなければ、東京のものづくりそのものが崩壊をしてしまうおそれがあるわけであります。
さらに、日本の競争力の源泉は製造業、特に中小企業が持つ技術であるとするならば、今の状況を放置していたのでは、日本の再生もあり得ないわけであります。
そのような視点に立ち、答申の具体化に当たっては、中小企業の果たすべき役割の重要性と現場の厳しい実態を踏まえた上で施策の構築を強く要望しておきたい、こんなふうに思っております。
さて、具体的にお伺いをいたしたいと思います。
答申のサブタイトルには、アジアのものづくりのハブを目指すとされておりますが、具体的にはどのような姿を目指そうとされているのか、お伺いをさせてもらいたいと思います。
○乾特命担当部長 量産工場の海外移転が進みまして、空洞化の懸念がなお大きいわけでございますけれども、東京には、高度な基盤技術を持ちます中小企業や製品開発型中小企業が多数存在をいたしておりまして、従来より、試作品製造など、付加価値の高いものづくりを得意といたしているところでございます。
ハブと申しますのは、耳なれない言葉ではございますけれども、ここでは、高い技術力や製品開発力を備えました人材や情報などの資源を豊富に持って、付加価値の高いものづくりを通して他の地域と連携、共存できる中核地域であることを指しておるわけでございます。
中国などアジアの産業のさらなる発展が見込まれる中で、今後、東京のものづくり産業は、開発、試作機能を担いつつ、アジア諸国と製品化、量産までの連携を進めまして、アジアにおけるものづくりの中核としての役割を確立することを目指すことが示されております。
○北城委員 今、答弁の最後にありましたように、アジアにおけるものづくりの中核としての役割を確立することを目指す、この一言に尽きるのかなと思うわけであります。
しかしながら、現下の厳しい国際競争に打ち勝っていく必要があるわけであります。その競争に打ち勝つためには、東京の持つ強みを最大限に生かすことが求められていることは論をまたないわけであります。
そこで、東京の持つ強みをどのようにとらえられているのか、お伺いをいたします。
○乾特命担当部長 まず、東京圏におきましては、三千四百万人の巨大な市場が存在をいたしておりまして、競争により切嵯琢磨が行われる土壌がございます。
また、東京におきましては、ものづくりのためのいろいろな資源、経営資源が極めて豊富にございます。例えば、全国の大学の約一七%、国立の試験研究機関の三一%が東京に立地しておりますし、また、全国の中小企業診断士の三四%が東京で活動を行っております。弁護士の約四八%など、多数の主体が活動をいたしており、厚い層を持っているわけでございます。
こうした東京の潜在力は、これからの時代のものづくり産業の活性化に大いに貢献ができるものと認識をいたしているところでございます。
○北城委員 まさに東京は、人的、物的資源の宝庫であるわけであります。そんなことを考えあわせますると、さまざまな人的、物的資源に着目して政策の展開を図られることが急務であると思いますので、ご努力をお願いしたいなと、こんなふうに思っております。
それで、答申におきましては三つの方向性が示されているわけでありますが、これまでの集積施策の内容はどのようなものか、お伺いをさせてもらいたいと思います。
○塚田参事 集積施策の中心でございます工業集積地域活性化支援事業の概要でお答え申し上げます。
二十三区の場合は、製造業が一平方キロメートル当たりおおむね五十社以上集積し、かつ中小製造業がおおむね千社以上集積する地域を対象としております。多摩地域の場合は、中小製造業がおおむね四百社以上集積する地域を対象としております。
それぞれ事業経費の三分の一以内、年間一千五百万円を上限といたしまして、基本的には区市町村単位で、五年を限度に補助金を交付しているところでございます。
○北城委員 今ご答弁ありましたように、従来の工業集積地域活性化支援事業でありますが、それなりの役割は果たしてきたのかなと思うわけであります。
しかしながら、今の現況を考えますると、ものづくり産業の状況も大きく変化をしているわけであります。一つが、情報処理やデザイン、アニメといったソフトなものづくりが台頭している、やはりこれらを包含した施策の転換が必要なのかなと思わざるを得ないわけであります。
もう一つは、企業間関係の変化もあるわけでありまして、やはり企業間関係の変化にも対応した施策に転換することも、ものづくり産業全体の活性化につながるものであろうと思うわけであります。
また同時に、ものづくり産業を根幹で支えている基盤技術を持つ企業群にも目を向けるべきであろうと思うわけであります。
さらに、将来の展望がなかなか持てない中小企業が多いという現状を、しっかりと見据えることも必要であろう、こんなふうに思うわけであります。
そんなことを考えあわせますると、こうした企業に対しまして、既存の施設や試験研究機関の活用を図り支援するとともに、行政として改めて目を向けていく必要があると考えますが、お考えをお聞かせ願いたいなと思います。
○塚田参事 ものづくりの中小企業が、グローバル化の進展による国内外の厳しい競争などに対応いたしますためには、たゆまぬ新製品、新技術の開発が重要であると考えております。
基盤技術を持つ中小企業の技術力向上などを支援いたすために、都では、産業技術研究所などが中心となりまして、技術課題への助言を行うアドバイザーの派遣、新製品、新技術の開発費助成、中小企業の依頼に応じた製品の品質試験など、さまざまな取り組みを行っております。
また、中小企業振興公社及び中小企業振興センターに相談窓口を設置しておりまして、昨年度は二万七千件を超える相談に応じました。
厳しい経営環境にある中小企業が新たな事業展開を促進し、元気を回復できるよう、今後も総合的な支援を行ってまいります。
○北城委員 技術支援や相談事業を、あらゆる資源を活用しながら頑張ってもらいたいなと、こんなふうに思います。
しかしながら、これからやはり大切な視点は、資金面の援助なのかなと思わざるを得ないわけであります。例えば、特に創業の意欲を持ち、すぐれた技術、ノウハウを有する中小企業に対しましては、やはり資金供給の面からも新たな支援ということが今日求められると思いますが、この点につきましてのお考えをお聞かせ願いたいな、こんなふうに思います。
○中井金融部長 都はこれまでも、制度融資によって、創業前あるいは創業間もない事業者や、新技術、新製品等の事業化を目指す事業者等の資金需要に対応した金融支援を行ってまいりました。また、優良な中小企業に直接金融の道を開き、資金調達手法の多様化を図るため、CLOなどの債券発行にも取り組んでまいりました。
こうした取り組みに加え、今年度は、すぐれた技術力や独創性など、将来の成長の可能性を持ちながら創業期の資金調達に苦しんでいるベンチャー企業に対し資金供給を行うとともに、マーケティングなど経営面からの支援も行っていくベンチャーファンドを、この秋にも設立する予定にしております。
これらの取り組みを通じて、やる気と技術力、独創的なノウハウを持つ中小企業の成長を一層強力に支援していく考えでございます。
○北城委員 やはり生きた資金の供給ということは、ぜひ求められている今日的な課題でありますので、かつ、できるだけ速やかに行ってもらいたいなと、こんなふうに強く要望しておきます。
若干、視点を変えてみたいと思います。
一昨日の八日でありますが、我が党は、最先端技術推進議員連盟を設立したわけであります。これからの東京のものづくり産業を考えた場合に、一つにはナノテク、一つにはバイオ、一つには環境、一つにはITの先端技術の開発が重要になるということは論をまたないわけであります。各分野でいかに中小企業を支援していくのか、お考えをお聞かせ願いたい、こんなふうに思います。
○塚田参事 将来にわたりまして東京の産業競争力を高めていきますためには、ナノテクノロジーなどの、IT、バイオも含めまして先端技術の導入など、中小企業の技術力を強化することが極めて重要であると認識しております。
このため、ナノテクノロジーについて申し上げますと、超微細の先端科学技術を研究するナノテクノロジーセンター(仮称)の設立を本年度の重点事業に位置づけまして、大学管理本部と連携し、取り組みを始めたところでございます。
今後、研究の成果を積極的に中小企業へ技術移転しますことによりまして、技術力の強化に向けた取り組みを促進してまいります。
○北城委員 自民党が立ち上げました最先端技術推進議員連盟は、中小企業の先端技術の開発を強く支援していきたいなと、こんなふうに思っておりますので、ぜひ局におかれましても、議連と連携を緊密にとってもらいたいなと、こんなふうに思います。
そして、東京がアジアのハブとなるためには、本会議の代表質問で我が党が取り上げた、区部と多摩の産業創造拠点の整備も欠かせないと考えておりますが、拠点整備の意義と具体的機能についてお伺いをいたします。
○塚田参事 東京には高度な技術や情報が集積いたしておりまして、また大規模な市場を抱えているなど、アジアのものづくりの中核として発展する力を持っております。そうした東京で、区部と多摩の二眼レフで、それぞれの地域の強みを生かしまして産業の発展を促す拠点を整備することは大きな意義があるものと考えております。
答申におきましては、アジアのハブを実現しますために、産業創造拠点の機能として、国際的な情報の受発信や金融等を含む創業支援、ファンド市場などの情報交換、海外企業等とのマッチングなど、ワンストップでものづくり産業を支援する多様な機能が提案されております。この提案を踏まえまして、積極的に検討を進めてまいります。
○北城委員 最後とさせてもらいたいと思いますが、産業労働局長のものづくり産業の振興にかける決意を、この際お伺いさせてもらいたいと思います。
○有手産業労働局長 世界の経済が、アメリカを中心とする勢力、それから欧州経済を中心とする勢力、それからアジア・太平洋を中心とする勢力、こういう三大経済圏で、しのぎを削って今、戦っているところでございます。そういうグローバル化の中で、我が国のものづくり産業も荒波に洗われております。
一つ一つ述べることは時間の関係でできませんけれども、まさに中小企業は、今、待ったなしの危機に直面しているわけでございまして、これにスピード感のある政策展開を図ることが、今、何よりも求められていると考えております。
そういう中で、私どもがこれまで進めてきました中小企業の集積施策につきましては、どうしても地縁的な、一平方キロに何企業といった形でやってまいりましたけれども、これは、大企業のもとに下請、孫請という形で構成された経済構造の中では大変有効だったと思いますけれども、今まさに大企業も海外に工場を移転し、そうした中で、ぬくぬくと育ってきたこの中小企業が荒波にほうり出されている。こういう状況でどうしたらいいのかと右往左往しているうちに、倒産が一年間で三千件を超える、こういうような状況でございます。
こういう実態を見ますと、本当に必要な施策を今、至急やらなくちゃいけないということで、いろんな面から今回の審議会でも検討していただきました。
私どもは、世界的な規模で展開されるものづくりの戦いの中で、日本のものづくりをもう一度再構築するために、この東京圏のものづくりをしっかりと今構築しなくちゃならない。そういう中で、多摩地域と区部地域をあわせて二眼レフで、東京がアジアのものづくりのハブ、中核にならなくちゃならない。
そして、東京で培われた試作機能、それから開発機能、こういったものがアジアのそれぞれの地域に量産体制をしいて、東京の中小企業がアジアのリーダーになって活躍していく、そういう夢のある計画を描くとともに、一方では、どうしていいかわからない中小企業に対して、きめ細かな取り組みをしなくちゃいけないということで、望みのある、技術のある中小企業は何としても救わなくちゃいけないということで、再生を初めとしたいろんな施策をとります。
例えば、中小企業が中国に出て行きたいとなった場合に、大企業の系列から離れてどうしようかといったときに、金融機関は、その中小企業が意欲を持って新しい新製品をつくって中国に行こうとしても、融資ができません。中国へ行ったとしても、中国の金融機関がそれを支えてくれるかというと、支える道は開かれておりません。
こういうことを考えると、産業政策、金融政策、そして雇用政策、就業政策、そういった政策が一体となって、こういう中小企業に集中的に援助の手を差し伸べないと、実際は実らないということでございます。
それから、新しいベンチャー企業につきましても、日本にはまだいろんな人材が抱負でございますし、それを支えるいろんな研究機関、そういうのはたくさんありますけれども、これをほうっておいたのでは実りませんので、ベンチャーファンドも含めまして、この新しいニュープレーヤーをどういう形できめ細かく育てていくのかと。こちらにつきましても、産業、金融、人材育成を含めまして、総合的な施策を今こそ打たなくちゃいけない。
そういう観点から、諮問は産業集積のあり方でございましたけれども、それにとどまらず、東京の産業政策をどうするか、金融政策をどうするか、人材育成策をどうするか、対外競争力をどう構築していくか、そういった点を幅広く議論していただいて答申をいただきました。私どもは大変貴重な答申をいただいたと思っております。
この答申をこれから具体的な都の政策に落としていく作業は大変困難を伴うと思いますけれども、高い志を持ち、そしてきめ細かな現場感覚をあわせ取り入れまして、議会の先生方のいろんなご意見を伺いながら、東京のものづくり産業がさらに発展するように全力を尽くしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○酒井委員 私の方からは、今議論にもなっております中小企業振興対策審議会の答申について、基本的な項目について何点か質問をさせていただきたいと思います。一部、今のご質問等にダブることもあるかもしれませんが、その点についてはご容赦を賜りたいと思います。
まず初めに、本答申を受けまして、今後、東京都としての計画を策定するであるとか、また実際に施策展開を図っていくという中で、どのようなスタンスで臨んでいくのか。この答申の位置づけを含めて、基本的なお考えをまずお伺いしたいと思います。
実際にこの答申といったものを施策に落とし込んでいくプロセスについてもお示しをいただきたいと思います。
○塚田参事 答申で示されました三つの方向性や、それに基づきます各施策の提案は、ものづくり産業の新たな集積についての極めて有益な方策であると認識しております。答申で示されました数々の有為な提案を踏まえまして、今後検討を進めてまいります。
また、施策化をするに当たりましては、組織横断的な取り組みが必要とされるものにつきましては、産業力強化会議等において検討してまいります。
○酒井委員 今のご答弁から推察をいたしますと、東京都として本答申を精査をし、落とし込んだ形の基本的な計画といったものはつくる予定がなく、本答申の内容をその都度まず検討して、単年度の予算の中で施策化をしていくというような形で理解をしてもよろしいのでしょうか。
○塚田参事 答申の施策化に当たっては、基本計画等を策定するのではなく、施策化できるものから順次取り組んでまいります。
○酒井委員 今ご答弁の中で、基本計画等を策定するのではなく、施策化できるものから随時実現を図っていくということですので、着実に実施をしていっていただきたいと思いますけれども、基本的には、このものづくり産業の振興といったものを計画的に図っていくためには、やはりこの答申だけをバイブルみたいな形にしていくのでは、なかなか抽象的な表現等もありますし、具体的な東京都としての取り組みといったものが見えてこない。そういった点もございますので、私自身は、基本計画的なものをつくった方がよいのではないかなという、その意見だけは述べておきたいと思います。
引き続き、この答申の中では、従来、東京都が取り組んでこなかったソフトなものづくりの集積についても言及をしているわけですけれども、現状、東京都がとらえているソフトなものづくりの状況と今後予想される懸念事項についてお伺いをいたします。
○塚田参事 ソフトなものづくりにつきましては、最近十年間で都内の事業所数を見ますと、二四%増加しております。また、若者など豊富な人材と多様な情報が集まる東京の特性にマッチした、これからの成長産業ととらえております。
今後の状況でございますけれども、ソフトなものづくり産業を取り巻くグローバル化がさらに進展することによりまして、国際競争の激化の影響等が懸念されるところでございます。
○酒井委員 今ご答弁をいただいたわけですけれども、ソフトなものづくりについて、現状と、また将来的な懸念事項等についてお答えをいただいたわけですけれども、今回の答申の内容といったものを見させていただく限り、ものづくりの変化の指摘等も記されているわけですけれども、その中には、必ずしも問題とはいえない、現状把握的なものも記されていたり、また、方向性の指摘の中にも、その効果であるとか具体化について疑問を感じる点もございます。
私は、本来、行政が行う中小企業支援といったものや、こういったものづくりの産業の支援といったものは、答申にもあるように、例えば事業承継の問題など、現実に一企業や一業界の努力のみでは再生が不可能な場合であるとか、また、現状を放置すると、近い将来衰退をする可能性が極めて高い業種に限るべきであって、今、成長している産業等については、行政がこの間、規制を緩和したり、また余計な口出しや手出しといったものをしてこなかったからこそ成功してきたともいえるのではないかと思います。
これら産業については、それぞれの企業であるとか事業所の自由な取り組みといったものを守りつつ、行政の後押しによってさらに大きく発展することが予想される。それを企業、事業所が求める場合のみ対策を講じるべきであると思っております。
こういった、今この答申の中にもあります事業承継等の問題など、行政が取り組むべき課題と、先ほど申し上げたように、私自身は余り手を出す必要がないのではないかと思われるような成長産業等への対応、取り組みについて、東京都のスタンス、どのような割合で取り組んでいくのかといった点をお伺いして、質問を終わりにしたいと思います。
○塚田参事 都内のものづくり産業を取り巻きます状況は、国際的な競争の激化、デフレの継続など、極めて厳しいものがございます。またご指摘のように、後継者不足など人材確保の問題、事業承継の問題を抱えた企業も多うございます。
一方、知的財産活用などによる付加価値の高いものづくりを推進することによりまして、国際競争に打ち勝ち、産業の活性化を図ることが求められております。
このため、ソフトなものづくりなど成長産業への支援、事業承継問題への対応など、企業の主体的な取り組みを尊重しつつ、総合的に施策を展開してまいります。
○谷村委員 五月二十七日の当委員会で、コイヘルペスウイルス病の発生状況について報告をいただきました。その報告では、本年五月以降、都内では、釣り堀や河川など十六カ所の発生が確認されたと、こういうご報告でございましたけれども、そのご報告以降、都内でさらに発生をしているようでありまして、報道等もされております。
その後、都内で何カ所から発生をしたのか。また、あわせて全国の発生状況。また、わかりましたら感染経路についてもお尋ねしたいと思います。
○菊地農林水産部長 まず、都内での発生状況でございますが、本年に入りまして、当委員会でご報告させていただきました五月二十七日までの十六カ所、それ以降、本日までの十四カ所と合わせまして、現在、三十カ所で発生が確認されています。内訳は、釣り堀五カ所、河川九カ所、公園等十六カ所となっています。
また、全国では三十一都府県で発生しております。
感染経路につきましては、現在、国が調査を行っているということでございますが、いまだ判明しないと聞いております。
○谷村委員 昨年十一月に日本で初めて発生して以来、今ご答弁にありましたが、全国で三十一都府県、都内では今月以降で三十カ所と、急速に発生、拡大をしておりまして、都民の不安も増しているところであります。また、釣り堀業者やコイを扱う料理店など、風評被害の再燃も心配されるわけであります。
コイヘルペスウイルス病、いわゆるKHV病に対して、正確な認識とそれに基づく対応が必要となってくるわけですが、改めてこのKHV病についての特徴をお伺いしたいと思います。
○菊地農林水産部長 KHV病は、コイヘルペスウイルスと呼ばれますウイルスが病原体でございますが、マゴイやニシキゴイだけに感染しまして、人やコイ以外の魚には感染しない。しかしながら、コイへの感染力は強く、感染すると七〇%以上死亡するといわれております。
また、水温が十三℃以上になりますと、ウイルスが活性化し発症いたしますが、三十度を超えますと死滅するため、仮に感染したコイを食べても、体温が三十度以上ある人には影響はないといわれております。
○谷村委員 生でも大丈夫という理屈になりますね。
身近にコイヘルペスウイルスが発生したということで、昨年発生してからは、まだそんなに身近に感じられなかったのが、身近な河川で発生をしているという、急速にそれが広がっているということで、改めてこの関心が高まっているようでございます。人体には影響はないという、三十度以上だと死滅をするということで、体温が三十六、七度以上ですから、これは大丈夫だということですが、諸外国の例を含めて、この病気の予防や治療法がないのか、お尋ねをしたいと思います。
○菊地農林水産部長 現在、国内におきまして、予防や治療方法はございません。
イスラエルで予防のためのワクチンが開発されていますが、このワクチンは、いまだ実験段階であることや生ワクチンであるため、弱ったコイなどに投与した場合に、逆に発症のおそれがあり、蔓延させる可能性があるということで、国も直ちには導入できるようなものではないとしております。
このため、今年度から国は、治療法や不活性のワクチンの研究開発を開始したと聞いております。
○谷村委員 現在でも日本国内に急速に拡大をしているわけで、終息の見通しが立っていないようでございます。
世界では、平成十年にイスラエルで発生が確認され、その後欧米に広がり、アジアでは平成十四年にインドネシアで発生したというふうに伺っておりますが、諸外国において、発生後、終息に向かったという事例はあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○菊地農林水産部長 昨年十一月に東京海洋大学が開催いたしましたKHV病に関する緊急シンポジウムにおきまして、インドネシアの事例といたしまして、発生した年のコイの死亡率は八〇%と高率であったが、一、二年後の死亡率は二〇から三〇%に低下しているとの現地での調査結果に基づく報告がなされております。
○谷村委員 このKHV病につきましては、感染ルートも明らかでなく、予防や治療方法も確立されていない。こういう段階にあっては、とり得る手段は人為的な蔓延防止しかないということで、現在その対策として、河川管理者と連携した監視の強化、また、隣接県との共同モニタリング調査等を実施するというご報告があったわけですけれども、昨年発生をして、ことしに入って冬場から春先にかけてKHV病が沈静化していた期間、都は、どういう取り組み、対策をとってこられたのか。また今後、急速に広がっておりますけれども、どのような対応をされるのか、伺いたいと思います。
○菊地農林水産部長 本年当初からこの五月に都内で発生が確認されるまでの都の取り組みについてでございますが、霞ヶ浦産のコイの放流実績がございます多摩川等でのモニタリング調査、通報等に基づく検査や指導等を実施してまいりました。
また三月には、東京都内水面漁場管理委員会が、水温が上昇する春先以降の蔓延を防止するため、全国で初めて、水域を特定しない都内全河川等を対象にしたコイの移動や持ち出し等の禁止の指示を発動しております。都はこれを受けまして、都民等に周知を図ってきたところでございます。
今後、都の関係局や区市町村等との連携を強化いたしまして、都民への周知の徹底、発生状況の把握や監視、発生後のコイの処分等について、迅速かつきめ細かく対応してまいります。
○谷村委員 沈静化していた期間にも、都民からの関心が薄れた期間にも、しっかりとさまざまな対応をされていたということにつきましては敬意を表するところであります。
この蔓延を防止していくためには、行政の力だけではどうしても限界があります。私の住んでいる東村山市の野火止用水という、そういう川にもKHV病が発生したということで、非常に驚きとともに、非常な関心を呼んでいるわけでございますけれども、地元市、東村山市はもちろんのこと、市民ボランティアの方々が注意喚起の看板を立てたり、巡回監視したりということで、積極的な協力をしていただいているわけですけれども、広く都民の協力が不可欠なわけでございます。
今ご答弁いただきましたけれども、今後、都の広報媒体の活用、区市町村等とさらに緊密な連携を図るなどして、KHV病に関する情報をきめ細かく都民に発信していただいて、都民の不安を取り除いていただくように、都民が正しい知識を持って行動できるようにしていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、東京都中小企業振興対策審議会が先月出しました「都のものづくり産業の集積施策のあり方 ~アジアのものづくりのハブを目指して~」の答申につきましてお伺いをしたいと思います。
本論に入る前に、この答申では、区部と多摩の二眼レフによる取り組みというものが提案をされておりまして、それはそれで非常に評価をさせていただいているわけですけれども、その区部と多摩の二眼レフという中で、多摩というものを、答申の中で広域多摩というふうに位置づけをされております。
文脈上、何の脈略もなく、多摩がいきなり広域多摩という表現になり、その概念も特に明らかでなく、地図にもされているという、この広域多摩というのはどういう意味合いで取り上げられているのかということだけ、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
○乾特命担当部長 答申におきましては、区部と多摩の持つ大きな潜在力に着目いたしまして、それぞれが首都圏、さらにはアジアをにらんだものづくり産業の中核として発展すべきという趣旨から、二眼レフという位置づけをされておるわけでございます。
答申におきまして多摩というのは、あくまでも東京の多摩地域を指しておりますけれども、多摩の産業集積の中核となってございます多くの研究開発型の中小企業などが、例えば国道一六号線でございますとか、JRの八高線、南武線といった交通インフラに沿いまして、埼玉県から神奈川県まで幅広いエリアで活発に事業を展開いたしております。
そういう実態を踏まえまして、多摩の潜在力を十分発揮するためにはどういうふうな視点がいいかという観点から、分析の視野を広くとって検討を進めたものでございます。
○谷村委員 本論に入ります。答申では三つの方向性が示されておりますけれども、広域的な企業間の連携や産学連携を推進するという観点から、その三つのうちの一つであります、柔軟で機動的なネットワークによる地域のイノベーションの促進というのが掲げられております。これについて何点かお伺いしたいと思います。
産業の技術革新、経営革新を促進する土台としての産業集積について、その集積の規模にとらわれず、集積の内容を重視する方向へと重点を変えながら集積のメリットというのを生かしていかなければならない、そういう提言でありますけれども、集積のメリットを生かしていくというその具体的な内容についてお尋ねしたいと思います。
○乾特命担当部長 東京には、近年、競争の激化や企業間関係の変化を踏まえまして、多様な地域の資源を活用し、狭い地域に活動を限定せずに、効果的なネットワークを組むことによりまして、大企業にも伍して特徴的な取り組みを行う企業集団が生まれてきております。
一定面積の地域内に製造業が一定数以上存在するということを基準としました、いわば地縁的な関係に基づく従来の工業集積施策では、このような広域的な展開や企業間連携などの動きに十分対応できなくなってきております。
新たな時代におきます東京のものづくりの活性化を図るために、変化を踏まえた新しい視点が必要であるということから、区市町村を越えた広域的な取り組みをも視野に入れまして、共同受注、共同開発など事業化を目指しました企業間連携を産業集積の核と位置づけまして、自立した企業集団を多数育成していくという方向性がこの意味、内容でございます。
○谷村委員 東京の製造業事業所数は、ここ十年間で三割減少しているという、こうした流れは、従来型の対策では押しとどめることができない、こういうことだと思います。今ご答弁いただきました、地縁的関係に基づいた従来の工業集積という前提での施策では、もう十分に対応できないということで、先ほどの広域多摩ということも、そういう考えに基づいた視点ということなんだろうと思いますけれども、地域に存在する工場の数を基準として施策を打ち出すということの発想を変えて、積極的な活動を行う企業間の連携やネットワークを重視する、そして、企業群の活動を活性化させて地域のものづくり産業を牽引する、そういう条件を整備していくことが今後のものづくり産業の振興にとって効果的である、答申でもそういう内容が触れてありますけれども、私もそのように思います。
そこで、答申の中で、企業間ネットワークについて、共同受注、また共同開発などによって事業展開の可能性を広げるとしておりますけれども、具体的にどのようなイメージか、共同受注、共同開発についてお尋ねしたいと思います。
○塚田参事 企業間ネットワークのまず共同受注の例でございますが、機械加工の中小企業によって構成されるグループで、手形決済でありました受注を現金取引を基本とするように転換するなど、大企業とも伍して活躍しているものがございます。
また、共同開発の例といたしましては、中小企業やベンチャー企業の持つ高度な技術を組み合わせるとともに、大学や高等専門学校、研究機関と連携しまして水上飛行機のプロジェクトに取り組んでいるNPO法人もございます。
こうしたネットワークを今後の産業集積施策の対象といたしまして、情報の受発信やコーディネートなど、必要な基盤を整備し、元気な企業群が数多く輩出されていくことがイメージされております。
○谷村委員 そのネットワークには、先端技術を持つ企業同士の連携もあれば、基盤的な技術を持つ者同士の互いの強みをうまく合わせて発展していくという連携もある。個々の企業の力を伸ばすようなネットワークを築いていくことが重要だと思いますけれども、そういう意味で、新たな技術、人材はもとより、基盤技術や既存の事業者に対する目配りも必要になってくるわけであります。
第一回定例会におきまして、我が党の前島委員が技術開発に焦点を当てて議論を展開されたところでありますけれども、さらにもう一つ大切な方策として、製品などの付加価値を高めることが挙げられるわけであります。
この答申の中では、その代表としてデザインの活用が挙げられているわけですけれども、グローバルな経済競争がますます激化する中、中小企業の競争力を強化するために、高い技術は当然必要ですけれども、あわせて個性ある製品づくり、他社の製品との差別化を図るという観点から、デザインの活用が非常に重要になってくるわけであります。中国を初めアジア企業が競争力を急速に高めていく中、国際競争力に勝ち残っていくためには、デザイン重視は時代の大きな流れとなっているわけであります。
売れる製品づくりのために、さらには企業戦略を踏まえて、多様化、個性化する顧客ニーズを反映した、すぐれたデザインによる製品価値を一層高めていくことが求められるわけですけれども、この件についてご認識を伺いたいと思います。
○塚田参事 製品の企画から製造、販売戦略に至るまで幅広い分野があるわけでございますが、いずれにおきましても、デザインを戦略的に活用しまして、魅力的かつ明確なコンセプトを備えた製品や商品を市場に提供いたしますことによりまして、自社ブランドの創出に結びつけていくような、そういった経営戦略が求められているものと考えております。
○谷村委員 欧米企業や一部のアジア企業は、技術が成熟し、技術革新による差別化が困難な製品分野を中心に、ブランド化を念頭に置いたデザインの創造、活用による高付加価値化、差別化を図っていくことを重要な経営戦略としていると。技術革新、技術がもう競争は限界だということでございますけれども、海外で積極的にデザインが活用されている背景には、企業努力だけでなく、国などによる積極的なデザイン振興がなされている。韓国などでは、産業デザイン振興法というのを制定して、国を挙げてデザイン振興に力を入れているわけであります。
我が国におきましては、大手自動車メーカー、家電メーカーにあっては、デザイン戦略を見直して新たなブランド構築をしているようでありますけれども、中小企業においては、デザインを戦略的に活用するという取り組みはおくれているのが実情であります。
中小企業がデザイン力の強化について手をこまねいているうちに、海外からあっという間に市場を奪われてしまう、そういう危惧もなされているわけであります。万一そういうことになると、アジアのものづくりのハブを目指す東京にとっては大きな痛手になるわけでございまして、こうした観点から、すぐれた技術を持つものづくり中小企業のデザイン力を強化するため、積極的に施策を展開するべきと思いますが、この点についての見解をお伺いします。
○塚田参事 東京の中小企業の競争力を高めますためには、デザインの充実が必要でございます。こうした観点から、平成十六年度におきましては、デザインの相談事業ですとか、デザイン導入実践セミナーとして講義による普及啓発や実習指導の実施、さらには、中小企業と地域の貴重な経営資源でもあるデザイナーを結びつける事業を展開いたしてまいります。
中小企業が戦略的にデザインを活用し、競争力を強化できるよう、積極的に支援を行ってまいります。
○谷村委員 特に東京には、デザイナー、デザイン会社というものは全国の四割が集中しているということもありますので、そういったマッチングというのをどんどん進めていただければ、また東京の集積力の効果をより一層発揮できるのではないかと思います。
先端技術を持つ中小企業やニッチ企業、オンリーワン企業の技術力を強化することも大事であります。また、これらの企業を含むものづくり産業全般のパワーアップを図るためにも、ぜひともデザイン活用の積極的推進を図っていただきたいと思います。
東京のものづくり産業が日本の産業をリードする力を発揮し、そしてアジアのものづくりの中核となるという答申の目標、意気込みを大いに評価するところであります。東京の中小企業が生き生きと元気に活動できるように、一日も早くこの施策を進めていただきたいと思いますが、最後に、目指すべき東京のものづくり産業の将来像について、有手産業労働局長の所見をお伺いしたいと思います。
○有手産業労働局長 今、いろいろご議論がありましたように、アジアの中におきましても、中国、韓国、それぞれ国策としまして、輸出産業をどう育成するか、こういう観点から、ものづくり産業につきまして強力な支援を行っております。私どもも、こういう中にあって、東京のこれまで培ってきました基盤技術だとか、そういった蓄積されたものはきちんと維持しながら、科学技術振興を初めバイオだとかナノテクだとか、そういった新しい科学技術立国を目指して、東京がその中核としてきちっと対応しなくちゃいけないと思っております。
それからもう一つは、文化コンテンツ産業、アニメだとかゲームだとか、そういったものが二十一世紀の主力産業になる。二〇〇五年になると、世界の産業の生産額からすると、ITを抜いてコンテンツ産業がトップになるということで、この面につきましても、大変近隣国は力を入れております。
そういう面で私どもは、ソフトのデジタルコンテンツ産業、こういったものにつきましても、今回、ソフトのものづくりというものを取り上げましたけれども、そういった形での対応がおくれをとらないように、日本のこれまでの蓄積された人材、ノウハウ、こういったものを生かしながら、常にトップランナーとして走りたいと思っております。
それからもう一つは、超高齢化社会の中で、国内産業のコミュニティビジネスを中心とした保健、福祉、医療、こういった面についての新しい産業興しも急がなくちゃいけないんじゃないかといった面で、いろいろなジャンルはたくさんありますけれども、時代状況が急激にスピードアップしておりますので、これにタイムリーに対応しなくちゃいけないということで、私ども産業労働局だけでなくて、都庁を挙げまして、また市町村とも協力しながら、民間企業の力が大いに発揮できるようにいろんな施策を講じてまいりたいと思っております。
○池田委員 中対審の答申について質問したいと思いますが、きょうは、新たな施策の方向性についてという、ここをポイントにしてお伺いしたいと思います。
ものづくり産業の集積施策の目標の記述の中で、こういうふうにいわれているのですね。従来の工業集積施策のイメージにとどまっていては、新たな産業集積施策を構築することはできない、こういうふうに述べて、構造変化を踏まえた新たな視点が必要となっているがというふうに、ものづくり産業の新たな施策の方向について述べられています。このイメージを伺いたいと思うのです。
○乾特命担当部長 先ほども少しご答弁申し上げましたけれども、従来の工業集積地域活性化支援事業と申しますものは、対象が製造業の集積に限定をされていますし、また、近年の東京のものづくり産業集積の特徴ともいえると思いますが、広域性や企業間連携の動きというものに十分に対応できなくなっております。
このために、新たな産業集積施策におきましては、ソフトなものづくりも対象にすることでありますとか、区市町村を越えた広域的な取り組みをも視野に入れまして、共同受注や共同開発など事業化を目指しました企業間連携を核としまして、自立した企業集団を多数育成していくべきであるというイメージで方向性が示されているわけでございます。
○池田委員 今いわれたように、新たな施策の方向性というのは、ここに書かれているように、アニメなどソフトのものづくりに広げていく、こういうふうなものと同時に、相互補完的に目的の実現に結びつけるような取り組み、そしてまた、区や市町村を越えた広域的な取り組み、こういうふうにいっているわけですね。
都心、副都心地域では、出版、印刷業が産業集積と位置づけられているわけですね。こういう出版、印刷関連産業も、具体的にいえば、新たな施策の方向性の中でしっかりと具体的な対象としては位置づけられているというふうに判断しているんですが、それはそういうことでいいんですね。
○乾特命担当部長 答申におきましては、ものづくり産業に、印刷業も含めました製造業に加えまして、ソフトなものづくりも加えた形に対象を広げております。
ソフトなものづくりと申しますのは、情報提供サービス業ですとかデザイン業などがその内容でございますけれども、出版業もあわせてこれに含めて対象に加えております。
○池田委員 出版、印刷関連産業というのは、先ほど副都心というふうにいいましたけれども、ここでも位置づけられているように、豊島区、新宿区、それから文京区、こういうところに広域的に連檐してある産業なんですね。行政的には一つの区を越えているわけです。そういう点では、そういう広域的な連檐した地域を、新たな施策の方向性として、この中対審の答申では、一つの重点の支援事業として、また産業として、ソフトなものづくりとしての位置づけをやっていくというふうに考えていいだろうというふうに思うんですね。
同時に、それぞれの区がそれぞれの地場産業というんですか、地域性のあるものとの関係で取り組みがあって、全体としてそういう広域的な一つの、何というのか、産業をつくり上げていくということが重なっているわけですね。そして、当然それも対象になっているんだというふうに判断していいんですね。ここでいわれているやつの対象になるというのかな、そういうことで判断していいですね。
○塚田参事 答申におきましては、地縁的関係のあるなしにかかわらず、積極的な取り組みを行う企業群をとらえまして新たな産業集積施策の対象ととらえているところでございます。
また、その中身につきましては、地域の同業種の企業によって構成されるものに限定いたしませんで、他地域の企業ですとか、さらには業種をまたぐ異業種の企業、それから企業以外、大学とか研究機関、こういったものまで含めました幅広い主体を念頭に置くということが必要であるということにされております。
○池田委員 これは答申ですから、あくまでも審議会のいろいろな分野の専門家、先生方、また行政などの知恵が出されている中身だと思うんですね。これから答申を受けて東京都として具体的に、それぞれの分野というんですか、ジャンルというのでしょうか、ものづくりの産業の振興、再生のための努力をしていくんだろうというふうに思うんですね。
ですから、私はもう少し具体的なことでお聞きしたいというふうに思うんですが、私の地元豊島区では、ことし三月に、こういう産業振興計画というのを出したんですね。「人・交流・にぎわい商工都市」というふうに、豊島区は、池袋を中心とした副都心、そして商工都市というふうにいわれているんですね。
若干紹介いたしますと、製造業でいいますと、工場数は、二十三区、東京全体そうですが、大幅に減少してきている。そしてもちろん、従業者数だとか出荷額も大きく後退をしている。しかし、業種別に、製造業で出版、印刷、そして関連産業、こういうものを見ますと、やはり全体の傾向の中で工場数の減だとか、その状態はあるわけですけれども、従業員数だとか製造品出荷額等は、豊島区の製造業の中の全体の五〇%を超えているんですね。ですから、これは、豊島区でも印刷、出版関連産業というのは基幹産業になっている、こういう状況があるわけです。
私、この豊島区の計画をつくってくる経過もいろいろ聞いて、担当者の話も聞いてきたんですけれども、豊島区では、単に印刷、出版関連産業というふうなことだけではなくて、そこには、デザインだとか、それから設計、特に建築関係の設計、そしてそういうものをソフト産業として位置づけて、文化産業という位置づけをしていこう、こういうふうにソフトの産業として再生、活性化を図ろう、こういうふうに考えているわけです。
中身を見ますと、一つには、協業だとか共同の促進、これは受注の拡大だとかコスト抑制、こういうものを目指して、印刷業事業者相互の協業だとか、ソフトの関連事業者、NPOなどとの共同の取り組みを支援していこうとか、それから、新しい分野にチャレンジする、そこに支援をしようと。これは、IT化の問題だとか、印刷現場における環境、こういう改善の問題、そういうものを支援しようと。さらに三つ目には取引範囲の拡大、こういうことで、いろいろ考えられる需要者に加えて、NPOだとか社会福祉法人だとか、かなり基本的な施策の方向というのを考えて具体化しようというふうにしているところだそうであります。
私はやはり、こういう区で考えている地域の産業の再生、振興、こういうことと、東京都が今この答申の中で出されて示された新たな施策の方向、これはまさに重なっていくということが大事なんだろうというふうに思うんですね。その辺のとらえ方として、今後、東京都が具体的なこの答申に基づいた施策を立案し、そしてそれを進めていくという場合に、地域的なこのような取り組みとどういうふうにマッチさせていくかというところをちょっとお聞きしたい、こういうふうに思うんです。
○塚田参事 答申におきましては、より集積の現場に近い立場にいる基礎的自治体、こちらは特別区も当然含まれますが、こうした基礎的自治体との適切な協調、分担を考慮すべきものとしております。したがいまして、この答申の趣旨を踏まえて検討を進めてまいります。
○池田委員 これから、先ほどいいましたように、答申を受けて具体的にやっていこう、こういう話になるわけですから、今、私、豊島区の産業振興計画の入り口だけちょっとお話をしたんですが、ぜひこういうものを生かしていく。
地域的には、先ほどもいいましたけれども、豊島や新宿や文京というのは、印刷、出版関連産業というのが、こういうところで連檐してあるわけですから、ぜひそういうところの実情も、具体化するときにはよくつかみながら、そして、それぞれの区でこういう振興計画、それぞれがつくって、地場産業というか地域の産業の再生、振興を考えるということをやっておられるわけですから、それとぜひ連結をして、事業を進める上に当たっては協力をして、支援すべきところは支援していくということをやってもらいたいというふうに思うんですが、その辺はどうですか。
○塚田参事 五月二十四日に答申をいただきまして、私ども、その答申は非常に有益な施策を提示していただいていると思っております。
したがいまして、先ほども申し上げましたように、基礎的自治体につきましては、より集積の現場に近い立場でございますので、その適切な協調、分担を考慮すべきという答申の趣旨を踏まえまして検討を進めてまいります。
○和田委員 東京都の中小企業振興対策審議会、中対審と、これから略してしばしば使いますけれども、これと、最近ですと三月十八日と記憶しますが、私がKICCプロジェクトで質問しました。この関係についてお伺いしたいと思うんです。
さかのぼってみますと、KICCプロジェクト、地域資源活用型産業プロジェクトですけれども、これは去年の九月五日に第一回検討プロジェクトの会合を持っています。そして、この審議会の方は、十月九日に、総会で集積施策のあり方についてやろうよという確認をしています。
要するに、KICCプロジェクト、北区と板橋を中心にした、地域の資源を活用しようよという具体的な産業力強化策の方が一カ月ぐらい早くスタートしている。それから、今、塚田担当参事にご答弁いただいたとおり、これはあくまでも理念、考え方ですね。実行の方は、地域資源活用型の方で、もう北区と板橋の具体的な資源をピックアップしながら動いてきている。実行が先にあって、それを私は包括していると思うんですが、この審議会の答申は後から、後追いで来ているわけですよ。
同じ産労局の中にいるならば、同じことをやるわけですから、それの調整あるいはお互いの、何かコミュニケーションというか連携といいましょうか、そういうことがあって事が進んできているのならともかくも、地域資源活用型の方は、産業力強化担当の志賀さんの方が多分担当しているんじゃないでしょうか。それで、今のこの審議会答申は、しばしば答弁されているとおり、塚田参事の方がやっていらっしゃる。これは商工施策という形ですね。
施策の方と産業力強化、現場の方といってもいいかもしれませんが、そこのところがそれぞれ独自で考えて動いていらっしゃるというならばいいんですけれども、どっちみち同じ方向を示すならば、その辺の連携、連担があって、私はスムーズに事が運んだのではないかなというふうに思うんです。
北区、板橋、とりわけしばしば出るのは、板橋にあります老人総合研究所、それから北区にある産業技術研究所、こういう大きな東京都が持っている研究組織と、周辺にある北区や板橋の企業群というものをうまくつなぎ合わせる。また、帝京大の病院とかそういう医療機関、あるいは健康、福祉というような三つの分野のうまい連携をする中で、そこに今まであって孤立していたものを連携することによって、機能をしっかり果たさせて、それをひいては産業力につなげていく、企業の新しいスタートにつなげていく、購買力の惹起につなげていくという形になるだろうと思っているんです。
そこで初めに、中対審とKICCプロジェクト、北区のKと板橋のIとクラスターのCと、それからコミュニティのC、KICCとの関係について、どなたかご答弁いただきたいと思います。
○乾特命担当部長 中対審の検討でございますけれども、三月の末に廃止になりました産業政策部、私がその部長を務めておりましたが、その産業政策部で中対審の事務局を務めておりました。KICCプロジェクトを含めます地域資源活用型も、産業政策部の仲間で検討を進めておりまして、その両者は同じ組織でございまして、密接に連携をして検討を進めてきたというのが現実でございます。
中対審の主たる対象といいますのは、既存の産業集積をベースにしまして、そこで議論を、実態を把握するということからスタートしたものですから、前後いたしましたけれども、基本的に、その対象となるものは共通したイメージでとらえております。
先ほど来申し上げておりますように、中対審の答申では、共同受注や共同開発といった事業化を目指した複数の中小企業の連携を中心として、ネットワークと呼んでおりますけれども、これを支援することを中心に掲げてございます。
一方、このネットワークそのものの中身は大変多様なものでございますけれども、北、板橋地区で展開中の、ご指摘、お話ございましたKICCプロジェクトにつきましても、目指すところは新たな産業集積の構築でございまして、これは新たなというところで少し違うものではありますけれども、基本的に同じもの、ネットワークの形態の一例であるというふうに我々も認識をいたしているところでございます。
○和田委員 別々ではなくて一つの形態だと。中対審の答申の一つの先取りがKICCプロジェクトだという位置づけをしっかり認識をさせていただきました。ですから、そういう扱いでこれからも私は、委員会にいる間は、このKICCプロジェクトについてのかかわりをしていきたいと思っているんです。
そこで、KICCプロジェクトに少し比重を移しますけれども、プロジェクト1から10まで一応用意していますね。聞くところによると、この五月ごろから具体的に動かしが始まって、十のプロジェクトのうち五つぐらいは、何かもう具体的な形になっているようです。プロジェクトの一つ目は、医療・福祉デザインインネットワーク構築プロジェクトであるとか、北・板橋ウェルネスネットプロジェクトですとか、アイディア公募プロジェクトから始まって、中層アパート用階段昇降機、エレベーターですね、段差解消機の開発・改良とか、具体な形でのプロジェクトが挙げられておりまして、そのうちの五つはもう手がけられているようにも聞いているんです。
このプロジェクトの現況はどうなっているのか、お伺いをいたしたいと思うんです。
○志賀産業力強化担当部長 地域でプロジェクトを推進していくための組織といたしまして、五月に、地元にゆかりのある企業を中心といたしまして、産業技術研究所、老人総合研究所も入ってKICCプロジェクト推進委員会を立ち上げたところでございます。
第一回の推進委員会では、構想にあるご指摘の十の個別プロジェクトをできるものから速やかに実行に移していくということといたしまして、その推進委員会の委員の中から、例えば高性能で付加価値の高い車いすづくりなど、当面五つのプロジェクトの推進役を定めまして具体化を図ることとなりました。
今後、関係局との連携を図りつつ、プロジェクトの推進を積極的に支援してまいります。
○和田委員 中対審の具体策として今KICCプロジェクトが先取りされて行われているということの一環として、車いすの多機能型の開発、まさに医療、福祉、健康市場というのは、全国では六十兆円のマーケットがあるといわれるくらい大きなものでありますから、それに北、板橋が積極的にかかわりを持っていくということになれば、その何分の一かがその地域につながってくるということも予想されるわけでありますので、新しい産業の構築といいましょうか、創出といいましょうか、その意味でも大いに期待をしたいと思うんです。
しかしながら、事が成功していけばいくほど心配なのは、お互いに持てるものを持ち合って、ある一つの成果物ができるとしますと、では、所有権、つまり知的所有権などについてはどういうふうな仕分けをしておくのかなと。できた後に、いや、私のだ私のだということでは困るわけでありますから、当然、公はかかわらないにしても、関係した企業間あるいは集団間で、例えていえば知的所有権の配分の問題、かかわりの問題というようなことについては、今どういう想定をしていらっしゃるのでしょうか。
○志賀産業力強化担当部長 本プロジェクトを進めていくに当たりまして、製品開発の過程で創出される知的財産でありますとか、プロジェクトの推進に関連する費用の負担、それから参加する企業等の役割分担につきまして、あらかじめ個別プロジェクトの参加者間で協議を行いまして取り決めを締結するというルールを明確にいたしまして、知的財産等にかかわるトラブルを未然に防ぐ工夫をすることといたしております。
○和田委員 そういう工夫をしっかり前提とした上で進めていただきたいと思うんです。
それともう一つは、先ほど申し上げた都立の産業技術研究所、北区にありますが、それが一つ頑張った核になっています、老総研もそうですが。職業というか企業というのは、地域にこだわりません。壁がなく、あちらこちらに情報も品物も資金も動くわけですから、当然、中心は北、板橋といえども、やはり全国的な、あるいは場合によっては海外とのいろいろ情報交流もあったりして、そこでKICCプロジェクトを前進させていくということになるだろうと思うんです。
その意味で、都立の産業技術研究所の問題というのは、当然、周辺の神奈川とか千葉とか、場合によっては北海道かもわかりませんけれども、そういう公同士の組織、産業技術研究所のようなものとしっかり連携をとりながら、自分たちのノウハウも出す、人様のノウハウもいただくというような形で、そういう地域間交流というものをもっと綿密に図っていくべきではないのかと。一つの例は、産業技術研究所を申し上げましたけれども。
そういう意味で、そういう計画といいましょうか、もくろみといいましょうか、それはおありなのでしょうか。
○塚田参事 商取引のグローバル化、広域化が進みます中で産業を活性化していきますためには、行政区域にこだわらず、広域活動を行う中小企業を技術的に支援していくことが非常に重要であると考えております。
そのため、都立の産業技術研究所におきましては、中小企業者の利便性の向上を図りますために、首都圏の公設試験研究機関をネットワーク化いたしまして、各機関の保有する技術や設備等の情報をわかりやすく提供しております。これは、首都圏テクノナレッジ・フリーウェイと申しまして、東京都のほかに埼玉県、千葉県、神奈川県との連携でございます。また、研究発表の相互交流や人材交流などを進め、互いに技術指導のレベルの向上にも努めているところでございます。
今後とも、各機関が連携いたしまして、利便性の高い情報を積極的にわかりやすく発信いたしますことで、広域的活動を行う中小企業の需要に対応してまいりたいと思っております。
○和田委員 方向性の1、2、3と、この中対審の中では書いてありまして、方向性の1には、新たな技術・知識・人材の投入による集積の変革・活性化ということになっています。この審議会の与えられた使命というのは、当然、新しいITとか、前向きな産業活性、振興ということなんです。
ところが、私は、そういうことだけでいいのかな、やっぱり東京が持っている伝統ですとか過去の持っている蓄積、文化、そういうものも大事に育成していく必要があるだろうと思っています。その意味では、東京都の伝統工芸などというものも、方向は違うにしても、こういう産業振興の中にしっかり押さえておく必要があると思っているんです。
今、私はここに、剣道をやるものですから、剣道の防具を持ってきていますけれども、これはどういう過程でつくられているか、皆さんおわかりでしょうか。
これは手で差すんですね、針で。針で縫うんですよ。もちろん、ミシンで縫うのもあるんですよ。しかし、これは手づくりなんですね。この職人というのは、それこそ、ここにまめをして、たこをつくって、こういうものを五年、十年かかって一本仕上げるまで職人さんは努力するんですよ。簡単にボタン一つででき上がるものとは違うんですね。
こういう産業というものも、同じ東京都の産業力として、やはり大いに育てていかなければならないと思っているんです。これについては、今回はメーンのテーマは中対審で取り上げていますから、私は改めてこの任期中の、伝統工芸の関係で重点的に取り上げようと思うんですけれども、一点だけ、偏った産業振興は困りますよということを少し提起しておきたいと思うんです。
東京都の伝統工芸品というのがあります。これは四十品目あるんですね。この伝統工芸に指定をする、あるいは伝統工芸士の認定をするというのはありますけれども、これは極めて閉鎖的です。
例えば剣道の防具について申し上げると、埼玉大学の大保木教授などの協力をいただいて--千葉周作さんが近代的な剣道をお玉が池の道場で開いて、防具をつけることによって、余り痛くないから一般町民、市民も剣道に親しむようなことができて、随分剣道が広がっていったんですね、武道として。そういうものでありますから、当然これも百年前と同じつくりをしているんです。
しかし、この剣道具を伝統工芸品にしたいというと、いや、百年前の実物を持ってこいと、こういうんですよ。これは、私が日ごろ使っているので何回か張り直していますけれども、汗とあぶらと、時には血なんかがにじんでいますから、このまま置いたら虫が食っちゃって、とても一年もたないんです、これ。消耗品と同じですから。それを、百年前の防具を持ってこなければ剣道具は伝統工芸品にしないよという、そういう仕切りをするんですよ。
これが鉄の真剣の刀だとかあるいはガラスだとか、そういうものならばもつでしょう、何千年も。しかし、この種のものはまさに消耗品で、いうならば不潔っぽいものですよね、面にしても小手にしても胴にしてもそうですよ。そういうものの伝統工芸品というふうになってくると、いや、百年前以上のものを持ってこなきゃだめだとなってくると、概念上は、千葉周作の写真とか何かがあってわかりますけれども、防具はあるんだけど、実物なんていうのはないですよ、これ。
そうすると、伝統工芸というふうに、もしもこのブランドをつけてもらえれば、後継者も出てくるかもしれない。また、海外に行けば、東京ブランドだからというので防具も--今度は世界的になっていますから、剣道も。そうすれば、アメリカでももっと売れるかもしれない。そういうふうに、産業振興のきっかけになるために伝統工芸品を指定していると思うんだけれども、少なくとも剣道具に関しては、いや、百年前のものを持ってこいといわれる。でもって、僕らが大学の先生なんかに頼んでも、百年前のものというのはないですよ、これ。
そうなってきたときに、剣道はどうでもいいから廃れていいよ、防具なんかどうでもいいよという話になっちゃう。そうじゃなくて、親子三代も四代もかけてこの種のわざを磨いて、たくみですよ、まさに。これを頑張れよ、頑張れよ、応援するよ東京都もというので、初めて日本の伝統である剣道とか武道だとか、そういうものが生きてくるわけじゃないですか。
それを、今の産労局、全体とはいわないけれども、部分的には、百年前の同じものを持ってこいと。これは、竹取物語の、要するにツバクラメの巣を持ってこいというのと同じぐらい、大変至難のわざです。そこまでなぜ追い込んで四十品目を位置づけなきゃならないのか。
私は、こういう剣道具屋さんだとか、そういう人をもっと督励して、税金を納めてもらうことによって税収を上げればいいわけであって、それを何か芸術品そのものにして、位の高いものにして、伝統工芸品はもう四十以上ふやさないと思えるような閉鎖的な考えというのは決してよくないと思うんです。
これについては、中対審の前向きな、こういう今日から未来に向けての大きな答申と少しかかわりを持つという意味で、余り前へ前へだけではだめだよ、こういう伝統工芸だってもっともっと力を入れて、地場産業なわけですから、だから、そういう産業労働局のまさに複眼的な、二眼レフ的な、新しいものだけじゃなくて、古いものにも力を入れるというところのバランスをぜひとっていただきたいと思います。
最後になりましたけれども、この種の問題、もう少し集中的に、資料を集めたりして、大学教授の大保木先生などの資料ももとにして、何と閉鎖的な伝統工芸行政なのかということについては、次回、機会をとらえて私は質問したいと思いますので、以上できょうは終わります。
○丸茂委員 私も中小企業振興対策審議会答申に関連して、今回は、審議委員でもありましたので、特に後継者、人材育成の問題について、私自身も、非常に重要な課題だけれども、なかなかこれを実行していくとなると大変な課題だなという思いがありまして、取り上げさせていただいております。
今回、中対審答申で、東京のものづくりの集積に着目したという点では非常に重要な意味を持っておりますし、先ほど来からいわれているように、区部とさらに多摩の潜在能力、これもきちんと位置づけて産業振興に生かしていこう、さらには、これまでのハードのものづくりからアニメ、ITあるいはデザイン等、こういったソフトのものづくりにも光を当てるという点で、東京が持っている中小企業の力を本当に引き出して新たな施策展開に生かしていくという点で、私は注目もしているわけです。
しかし、その産業集積、ものづくりを守る上でも、やっぱりそれを支える人がどうしても必要なわけですね。そういう点では、人材育成、後継者育成は大変重要な課題だと思いますし、私ども配られた産業集積実態調査の数字を見ましても、特に製造業の調査では、代表者の年齢が六十歳代が四〇・六%、七十歳代が一九・九%と、両方合わせると六割を占めている。こういう点では、若い人材をこれから活用していく、また、今持っている技術の継承が大変大事になっているなという思いでいっぱいです。
そこで、中小企業の人材育成あるいは後継者育成についてお伺いをしたいと思います。
この答申、方向3で、新たなチャレンジを生む事業環境の整備が掲げられております。その1では、新時代が求めるものづくり人材の輩出として、子どもの学校教育との連携や、地域の技術教育の充実などニーズに応じた実践的な人材育成、さらには観光産業の資源としても活用すると、大変幅広い内容になっております。
そうした中で、五項目が具体的に例示もされているんですが、小委員会等も含めてこの審議会では、この五項目について、具体的にどのような意見あるいは具体例として示されたのか、お伺いをいたします。
○乾特命担当部長 審議会の議論におきましても、ものづくり人材の育成につきましては、数多くのご指摘がなされてございます。
ここで、主な意見といたしまして五つほど簡単に申し上げたいと思いますけれども、まず、初等中等教育で子どもたちがものづくりの現場体験をすべきではないかという意見もございました。また、都の施設、都有の施設を、地方の大学を含めた大学のサテライトキャンパスとして活用すればどうかというようなご意見も出されました。さらには、学生の起業意識の向上がぜひとも必要であるという強いご意見でありますとか、民間と協働した人材育成、プログラムをつくったりするような民間の力をかりようというご意見もございました。また、五つ目としましては、東京にものづくり産業に触れる場をつくることも一つの案ではないか、こういう強いご意見もあったということでございます。
○丸茂委員 今、答弁されたそれぞれの課題について、既に東京都として具体的に取り組んでいる事業、その点はどういうものがあるのか。
特に私どもは、この審議会答申でも、これらの答申、提案に沿って速やかに具体化してほしいという意見もついたわけですが、その点を踏まえて、既に取り組んでいる、そういうものがあれば、ここで明らかにしておきたいと思います。
○塚田参事 まず、技術専門校におきまして、小学生を対象といたしました夏休み工作教室やこども技能塾などを実施しております。また、このほか、本年四月には都立六郷工科高等学校を開校いたしまして、東京版デュアルシステムを実施しております。
さらに、学生の起業家精神を涵養するため、現在、学生起業家選手権を実施しているところでございます。
○丸茂委員 初等中等教育の体験型ものづくりというところでご答弁いただいたんですが、私も東京都の施策等もいろいろひっくり返してみますと、大田区などでも取り組んでいますが、都では、発明工夫展、こういう形で子どもたちが持っているそういう能力も引き出そう、こういう取り組みもやっておられますし、それから観光という点では、観光資源の開発として、産業を軸とした観光ルートの整備推進と。ものづくりも、観光の視点でやっぱり生かしていこうという取り組みもされているかと思います。
そういう中にあって、商工振興政策の中で、それでは具体的に、ものづくりの人材育成あるいは後継者育成、こういうものがどう取り組まれているのか、施策、事業、どういうものがあるのか、改めてお伺いをいたします。
○塚田参事 まず、都立の産業技術研究所におきましては、中小企業の従業員の方々を対象に、最新の技術動向を踏まえた研修や講習会などを実施しております。
また、中小企業振興公社等を通じまして、経営方法に関する専門知識や技術の習得を目的とした研修や講習会を実施しているところでございます。
○丸茂委員 私の認識からしますと、例えば経営革新支援ということで、一般支援としては、食品利用の高度化推進事業、さらには話題にも取り上げた、業種別に、繊維産業振興あるいは伝統工芸品産業、皮革産業のものづくりの人材育成、それから、産技研等の今ご説明のあったさまざまな中小企業の技術者養成のための研修、講習会、それから、創業支援としてのTOKYO起業塾、さらには、工業集積活性化支援事業の中で人材等を活用した新たな分野、さらにはそのネットワーク支援事業だとか、そして、振興公社におけるさまざまな人材育成事業という形で、私はそれなりに取り組んでいると。
しかし、そういうものをやっぱり一つ一つ整理をして、総ざらいをして、今、中小企業が求めている人材育成、後継者育成に、本当にこの施策が十分生きているのかどうか、そういうところももう一度私は目配りをしていただいて、拡充をしていくというところをぜひやっていただいて、また、中小企業の皆さんのご意見もお聞きして、生かしていただきたいなと。
さまざまな調査がやられまして、いろいろこういう人材育成、後継者を育成してほしいというご意見があるんですが、どうすればそれを進められるかというところがなかなか見えてこないというところで、ぜひ東京都自身もそういう立場で総ざらいをしていただいて、この問題での前進をぜひ図っていただきたい。
二つには、東京都自身も掲げたことがあるんですが、東京マイスター制度というんですか、日本語でいえば職人制度、あるいは名工塾なんかありましたから名工制度でもいいんですが、今、特にものづくりで三Kといわれる、そういうところには、なかなか若い人たちが、やっぱり人をなかなか確保するのが大変だと。
ネーミングの問題もそうですが、基盤的技術、すぐれた技術を持っている、それを生かさないと、本当にその力が発揮できないよ、そこにもっと自信を持つんだよということをよく、中小企業の方で頑張っている方はそうおっしゃられます。そういうところを、わかりやすくて、なおかつ東京都が東京都らしい制度を立ち上げて取り組んでほしいなというふうに思っています。
例えば大田区でも、大田区の場合はテクノクリエーター、具体的な資格を持たないんですが、そういう前向きな形で力を出していこうと。墨田区ではマイスター制度、これは今三十九人ですか、制度のもとで活動されております。
私自身、全国の関係もインターネットで調べますと、それぞれ努力しているんですね。例えばあおもりマイスター制度では実施要綱もつくられておりまして、ここでは、ものづくり基盤技術振興法、中対審でもいいましたけれども、ものづくりの一番基盤的技術を守っていく、そこに光を当てて、そのマイスターを認定して生かしていく。あるいは岡山のマイスター制度、これは職種十種類ですけれども、指導、養成も行う。年間十二万円、五年間支給をして、資金的援助もあります。そのほか、広島、島根、栃木からジュニアマイスター。
企業の中でも、やっぱり高齢化して、若い人たちにいい技術を伝えたいと、企業自身がマイスター制度を設けて、技術の継承を若い世代に引き継いでいくという取り組みもやられております。
そういう点で、やはり私は、東京都自身がそういうさまざまな取り組みに着目しながら、東京都らしい人材育成のための施策を展開していただきたいと。
三つには、大田工連の研修制度、委員会でも取り上げたことがありますけれども、中小企業団体みずからが、講座もきちんと設けて人材を育成していく。商工会等でもやっているところがあると思いますけれども、そういうところにも光を当てて支援の施策をとっていく、こういうことが私は大変大事になっているんじゃないか。
そういう点で、やっぱり人材育成、後継者育成という点で、事業承継のためのいろんなハードルというのがもう一方であるというのはわかっているんですが、そういった本格的に、今の東京の中小企業が置かれている現状、そして、このすぐれた産業集積の力をどう生かすか、そのための人づくり、この点での取り組みを私はきちんとやっていただきたいなというふうに思います。
そういう点で、中対審の答申等も受けて、東京都としてはどのように人材あるいは後継者育成を進めていこうとしているのか、その点、改めてお伺いをいたします。
○塚田参事 人材育成、そして後継者育成を支援する施策につきましては、中小企業振興対策審議会の答申を踏まえまして、商工施策はもとより、幅広く検討してまいります。
○丸茂委員 ぜひ具体的に施策が前進するように求めておきます。
工業集積活性化支援事業もさまざまな成果も上げてきました。ただ、新しい産業集積の変化、中小企業の力をどう引き出すか、それは、これらの答申を踏まえて、よりこの産業集積の力が発揮できるように新たな施策展開を、工業活性化の成果を生かしてぜひ実現できるように求めて、質問を終わります。
○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○真鍋委員長 異議なしと認めます。よって、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
○真鍋委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○真鍋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時七分散会
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