経済・港湾委員会速記録第三号

平成十六年三月十七日(水曜日)
第八委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長真鍋よしゆき君
副委員長北城 貞治君
副委員長酒井 大史君
理事谷村 孝彦君
理事三宅 茂樹君
理事丸茂 勇夫君
土持 正豊君
和田 宗春君
池田 梅夫君
前島信次郎君
山崎 孝明君
川島 忠一君
田中 晃三君

 欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長成田  浩君
技監高野 一男君
総務部長浅倉 義信君
参事岡田  至君
港湾経営部長片岡 貞行君
参事新田 洋平君
臨海開発部長高松  巖君
開発調整担当部長萩原 豊吉君
営業担当部長金子  優君
港湾整備部長樋口 和行君
計画調整担当部長松井  創君
参事安藤 哲士君
離島港湾部長原田 龍次君
参事松本 義憲君
地方労働委員会事務局局長久保田経三君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 地方労働委員会事務局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出 地方労働委員会事務局所管分
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百二十三号議案 東京都地方労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 港湾局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案   平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為港湾局所管分
  ・第二十三号議案 平成十六年度東京都臨海地域開発事業会計予算
  ・第二十四号議案 平成十六年度東京都港湾事業会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百二十号議案  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
  ・第百二十一号議案 東京都営空港条例の一部を改正する条例
  ・第百二十二号議案 東京都港湾管理条例
  報告事項(質疑)
  ・東京港第七次改訂港湾計画の基本方針

○真鍋委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十六年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十六年三月十六日
東京都議会議長 内田  茂
経済・港湾委員長 真鍋よしゆき殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
  記
  1 調査範囲 別紙1のとおり
  2 報告様式 別紙2のとおり
  3 提出期限 三月二十二日(月)午後五時

(別紙1)
経済・港湾委員会
 第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中
歳出経済・港湾委員
繰越明許費会所管分
債務負担行為
 第七号議案   平成十六年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
 第八号議案   平成十六年度東京都農業改良資金助成会計予算
 第九号議案   平成十六年度東京都林業改善資金助成会計予算
 第十号議案   平成十六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
 第十一号議案  平成十六年度東京都と場会計予算
 第二十一号議案 平成十六年度東京都中央卸売市場会計予算
 第二十三号議案 平成十六年度東京都臨海地域開発事業会計予算
 第二十四号議案 平成十六年度東京都港湾事業会計予算

(別紙2省略)

○真鍋委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件の取り扱いにつきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○真鍋委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、地方労働委員会事務局及び港湾局関係の平成十六年度予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより地方労働委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、地方労働委員会事務局所管分及び第百二十三号議案、東京都地方労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○久保田地方労働委員会事務局長 去る二月十九日の本委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます経済・港湾委員会要求資料一ページをごらん願います。
 この資料は、当委員会に不当労働行為救済を申し立てた事件の取扱件数について、過去五年度分及び今年度の状況を示したものでございます。
 平成十年度四百四十件、以下、表に記載のとおり、平成十五年度は二月末現在で五百十八件となっております。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○和田委員 私は、一点の要望を申し上げておきたいと思うんです。
 昨年の十一月に、この委員会で、東京都と大阪府の地方労働委員会の不当労働行為にかかわる審査所要日数について質疑をいたしました。その際、一千日と七百日という差があったりしますし、また、全国的にも長いような傾向を承知しております。当然、それぞれが納得した形で、短期で審査が終了することが望ましいわけですけれども、ともすると、双方の日程のずれとか、あるいは諸般の事情で長引くということが通常化してしまっているということの中で、いうならば、争議がなかなかおさまらないということです。
 私はそのときに、できるだけ効率のいい何らかの仕組みをつくるべきだということを申し上げておきましたが、昨今、この通常国会で、労働組合法の改正ということがいわれているようであります。これは、私の仄聞するところ、地方労働委員会という名称を改めて、都道府県労働委員会に名称がえをするとか、あるいは、改めて審査開始前に当事者双方の意見を聞いて、次に掲げる事項を含む審査の計画を定めなければならないということで、争点及びその証拠、審問を行う期間及び回数並びに審問する証人の数などというふうに、具体的な問題について、この通常国会中に労働組合法の改正を目指しているように聞いております。
 したがいまして、私は、今回要求したいことは、国の動き一つ一つについて、できるだけ時宜を得て、委員会がもしも間に合わないとするならば、個別委員のもとでも結構ですので、その改正法案の流れ、動き、そういうものについての報告をぜひお願い申し上げたい。時期によっては、もちろん委員長を通してでも結構なので、当然なんですが、たまたま間に合わないというようなケースの場合には、大事な問題だと思いますし、さっきの資料要求にもありましたとおり、なかなか件数が減らないということもあるわけですから、喫緊の課題だと思いますので、そのことを強く要望しておきます。

○池田委員 説明いただきました資料によると、不当労働行為の救済申し立て事件の取扱件数というのは増加の傾向にあるという説明がありました。十年前と比べてどのくらいだったのか、示してください。

○久保田地方労働委員会事務局長 不当労働行為の事件の取扱件数ですが、平成五年度で三百五十五件となってございます。

○池田委員 平成十四年度で五百二十、十五年度で、二月末で五百十八ということで、ふえているわけですね。
 あっせん、調停の取扱件数についても、十年前とちょっと比較してください。

○久保田地方労働委員会事務局長 調整事件の十年前の件数ですが、取扱件数は、平成五年度で百三十三件。平成十四年度で二百九件となってございます。

○池田委員 これまた取扱件数がふえていると。しかし、件数だけでは、その実態というのは余り定かにならない、不十分なところもあるというふうに思います。
 それで、各年度で新規の件数がどういうふうになってきているか。十年前と比較して、同じように不当労働行為事件と調停事件の新規の受け付け件数がどうなっているかということを示してほしいと思います。

○久保田地方労働委員会事務局長 新規の取扱件数の推移でございますが、不当労働行為事件につきましては、平成五年度が七十八件、平成十四年度が百三十二件、十年間でそのようになってございます。調整事件の方は、新規の取扱件数は、平成五年度が百五件、平成十四年度は百三十八件となってございます。

○池田委員 ふえている状況が、今、数字としても示されたわけですけれども、単純にふえているだけではないというふうに思うんですね。いろいろ年度によっての差はあるんだろうと思うんですが、この十年間ぐらいの傾向として、今のお話で見てくると、かなりふえている傾向にあるということは明らかだと思うんですが、その辺は、事務局としてはどういうふうに認識していますか。

○久保田地方労働委員会事務局長 ただいまの不当労働行為事件、調整事件、いずれも十年間でふえてございますが、各年度では、ふえたり減ったり、さまざまな状況ですけれども、大きくとらえますと徐々にふえてきており、近年では高どまり傾向にある、こういうことがいえると思います。

○池田委員 今お話があったように、高どまりという状況があるんだと。特に今の経済社会情勢の中で、複雑で難しい事件、こういう事件がふえているというふうに思うんです。
 その結論は別にして、審査にかかる日時もかなりふえているんだろうと思うんですけれども、不当労働行為の処理日数、日時というのでしょうか、これは平均どのぐらいになっているのでしょうか。

○久保田地方労働委員会事務局長 不当労働行為の平均処理日数でございますけれども、平成十四年で見ますと、約一千日を要してございます。

○池田委員 確かに、JRなどの十年を超えるような、そういう審査日数を要するものも結構あるわけですね。しかし、長くなるということの中で、労働者の生活の問題を考えても、かなり厳しい生活状況を強いられているというのが、実際のケースとしてたくさんあるわけですね。
 そういう中で、私は、先ほども出ておりましたけれども、いろいろ中身についての難しさがある。日数がかかることは、当然、慎重な審査が求められるわけですから、あることは確かだと思うんですね。しかし、やはり迅速にこの問題の解決が求められているというのは、だれでも一致したところだろうというふうに思うんです。
 それで、事件がふえて、最近は高どまりの状態だという中で、実際に地労委の職務に当たる職員の定数は十年前と比較してどうなっているか、このことを示してください。

○久保田地方労働委員会事務局長 職員の数でございますけれども、十年前、平成五年度、定数は五十五名でございまして、平成十五年度、今年度は四十四名でございます。

○池田委員 この間、十一名減っていると。これは確かに、昨今、ITなどの事務処理など業務の効率化、こういうことなどがあって、総務系というのでしょうか、事務系というのでしょうか、そういうところの効率化というのが進められてきている一つの反映かもわかりません。
 しかし、私、聞きましたら、審査部門の方が、平成五年では二十八名、定数としてはあった。しかし、十五年では二十名。八名、審査部門の職員定数が減らされているということを聞きました。私は、労働委員会の機能としての、これは当たり前の話ですけれども、労使間の紛争処理に当たって、また労働争議のあっせんだとか調停だとか仲裁だとか、また実情の調査などの業務、こういうところへの影響がやはり当然考えられる。
 先ほどもお話がありましたけれども、件数はふえて、そして、平均ではありますけれども、処理日数が三年にわたる。こういうふうな状況の中で、こういう審査部門の職員定数の削減というものが行われてきているというふうに思うと、当然、業務に支障が出てきているんじゃないか、影響が出ているんじゃないか、こういうふうに思うんですが、その辺はどうですか。

○久保田地方労働委員会事務局長 ここ十年では、確かに職員定数は減じております。
 人員につきましては、事務局内における職員配置を考慮してございまして、具体的には、最近六年間では、総務課の方の効率化を進めて職員減をしてございますが、審査部門の方の職員数は減少しないようにしてございまして、審査調整業務に支障がないように努めておるところでございます。
 また、職員の専門性向上のために、職員研修をできるだけ体系的に行うようにして、より効果的になるようにすること、それからOJTにも力を入れておりまして、一人一人の能力向上を図って、少しでも事件処理に支障のないように努めております。

○池田委員 これは、最後、ぜひ検討してほしいということで要望にしておきますけれども、先ほど申し上げたように、労働委員会の機能として、紛争処理、そして、あっせんだとか調停だとか、さまざまな業務を迅速に処理をしていく--もちろん、それは中身が大事な問題ですから、当然、そういう点で、職員の皆さん方の負担、今の現状からすると、先ほど来申し上げているように、社会経済状況の複雑な、深刻な状態の中で、一層大変だろうというふうに思うんです。そういう点で、やはり仕事を迅速に進めるという点でも、職員増、このことが必要だというふうに私は思います。ぜひこれを検討して--要望しておきたいと思います。
 そういうことで、地労委の役割が十二分に果たせるように、これまた強調して、終わります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で地方労働委員会事務局関係を終わります。

○真鍋委員長 これより港湾局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、港湾局所管分、第二十三号議案、第二十四号議案、第百二十号議案から第百二十二号議案まで、並びに報告事項を一括して議題といたします。
 本案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浅倉総務部長 二月十九日開催の当委員会におきましてご要求のありました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料1、経済・港湾委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 ご要求のありました資料は、表紙の次のページの目次にありますように、全部で九項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1の改正SOLAS条約締約国による監督に関する条文でございます。
 改正SOLAS条約上、第十一条の二章、海上の保安を高めるための特別措置、第九規則、監督及び適合措置に関する条文を抜粋したものでございます。
 内容は、港内の船舶の監督に関し、1の1では、すべての船舶は、他の締約国政府の港内にある場合には、当該締約国政府から正当に権限を与えられた職員による監督に服すること、1の2では、保安のための強制要件に適合しないと認める明確な根拠がある場合、または要求されたときに有効でない証書が提出された場合は、締約国政府から権限を与えられた職員は監督措置を課さなければならないこと、1の3では、当該監督措置の内容について、それぞれ規定しているものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 続きまして、二ページをお開き願います。2の臨海関係第三セクターの経営状況でございます。
 平成十年度から十四年度までの臨海関係第三セクター三社の決算状況をお示ししたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 三ページをお開き願います。3の臨海関係第三セクタービルの入居率でございます。
 平成十六年一月末時点のビルごとの入居率をお示ししたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 四ページをお開き願います。4の臨海副都心開発の計画と事業費の比較でございます。
 1では、開発目標、開発フレームについて、当初計画である臨海副都心開発事業化計画と、見直し計画であります臨海副都心まちづくり推進計画とを比較してございます。
 2は、平成二年、平成九年及び平成十四年に行った試算による臨海副都心の開発事業費を比較したものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 五ページをお開き願います。5の臨海副都心への企業誘致策とその実績(過去五年分)でございます。
 1は、過去五年間の誘致策を実施時期と内容に分けてお示ししており、次のページにある2では、処分等の実績について、それぞれ平成十六年三月一日現在でお示ししてございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 七ページをお開き願います。6の臨海副都心開発事業の長期収支試算でございます。
 平成元年度から、収入の累積が支出の累積を上回る平成三十一年度までの収支状況をお示ししたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 八ページをお開き願います。7の有明北埋立事業の進捗状況でございます。
 事業が開始した平成十二年度以降の決算累計額と進捗率を工事費ベースでお示ししたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 九ページをお開き願います。8の臨海副都心地域暫定利用の状況(平成十五年度)でございます。
 現在、暫定利用しております七区画につきまして、それぞれ敷地面積、事業者名、施設内容、貸付期間及び十五年度分の年額賃料見込み額をお示ししたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 最後に、一〇ページをお開き願います。9の高速船(ジェットフォイル)の就航状況でございます。
 平成十五年一月から十二月までの高速船(ジェットフォイル)の就航状況につきまして、島しょ別、月別にお示ししたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議を賜りますようお願い申し上げます。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 これより、先ほどの資料を含めまして、本案及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言願います。

○三宅委員 今定例会に提案されております港湾管理の条例改正について、何点か質問をいたします。
 この条例改正は、実に制定以来五十年ぶりの全面改正とのことですが、今なぜこのような大改正を行う必要が生じたのか、また、この条例改正を行う背景や理由及び改正のポイントはどのようなことなのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 今回の条例改正につきましてのご質問でございますが、現在、港湾の水際におきます危機管理の強化が求められております。このため、港湾施設の管理上、支障がある場合、また都民生活の安全が害されるおそれが強い場合につきまして、港湾の利用を規制することといたしたいと考えております。
 いま一つは、港湾の物流事情の変化に対応いたしまして効率的な利用を促進するために、荷さばき施設の使用許可方式を見直しまして、定期使用方式を導入するとともに、これに対応するための使用料関係の改定を行うものでございます。

○三宅委員 二つの基本的な改正というご説明であります。
 まず、東京港の危機管理については、知事が我が党の代表質問に答え、欠陥船や無保険船の規制にとどまらず、全国で初めて、密輸、密入国やテロなどの犯罪に関与する船舶などに対する入港の拒否を条例化し、不当な侵害を許さないという決意を示すとされました。
 私は、この全国で初めての規制について高く評価をするものでありますが、予算特別委員会などでの質疑の内容をさらに深めつつ、確認の意味を含めて質問してまいります。
 今回の条例改正案の中で、都民生活の安全が害されるおそれが強い船舶については港湾を利用させないとありますが、安全が害されるとは、どのような場合を想定しておられますでしょうか。

○片岡港湾経営部長 東京港の危機の態様、形態にはさまざまなものがございます。あらかじめこのすべてを想定するということは、なかなか困難でございますけれども、例えば治安を悪化させます密輸や密入国、また、アメリカにおける二〇〇一年の同時多発テロ、近くは、この十一日のスペインの列車テロといった国際的なテロの危険、さらにはSARS等の感染症の危険等を想定しております。

○三宅委員 東京港の水際におきましては、本当にさまざまな危機が予想され、都民は、今一番、そういったテロに対する恐れを深く抱いていると思います。それに対する備えを万全なものにしていかなければいけないわけでございますが、東京都は、東京港全体の管理者ではありますが、取り締まりの機関ではありません。これは自明のことではありますが、現実の運用、さまざまな困難な事態に遭遇するであろうと予測いたします。
 そこでお尋ねいたしますが、今、説明のあった犯罪などに関与している船舶について、どのようにその状況を把握して規制していくのか、お答えください。

○片岡港湾経営部長 船舶の入港に当たりましては、あらかじめ船舶代理店等から私ども港湾管理者に通報がございます。そして、その中で一定の情報が得られるということでございます。
 また、東京湾の保安対策協議会あるいは東京港におきます保安委員会というものが設置されておりまして、その取締機関とも連絡体制を整えてきております。例えば、密輸でございましたら税関あるいは海上保安部、SARSであれば検疫所、そういったところからの情報も得まして、状況の把握をいたします。
 具体的な規制に当たりましては、これらの情報をもとにいたしまして、関係する取締機関とも十分な連携、調整を行いまして、個々の危機の態様に即して、都民生活の安全を守るため適切に対処してまいります。

○三宅委員 今のご説明のとおりであることを期待するわけでありますが、他の機関の方々の担当者の名前と顔、目をつぶっても浮かんでくるような状態にぜひしておいてください。それなくして、本当に的確な、迅速な対処はできない、このように思います。
 次に、二つ目の改正のポイントであります。港湾の効率化を推進するために、荷さばき施設の利用について定期使用方式の導入とあります。この問題については、余り取り上げられていないようなので、少し詳しく聞いてまいります。
 まず、定期使用方式というものがどういうものなのか、その内容についてご説明願います。

○片岡港湾経営部長 お話の上屋、野積み場といった荷さばき施設につきましては、これまで一日単位で使用許可を行ってまいりました。この許可期間を、原則として一年から三年の定期的な使用許可に改めまして、あわせて使用料を月額制としようとするものでございます。

○三宅委員 大きな影響のある改正だなと、こういうふうに思いますが、この方式を導入する背景についてご説明願います。

○片岡港湾経営部長 現在の海上輸送におきましては、外航、内航とも輸送革新が進んできてございます。具体的には、外航の主流でございますコンテナ船、あるいは内航では、大量で効率的な輸送手段として成長してきておりますローロー船、こういった船によります定期的な輸送が主流となってきております。
 このため、岸壁の背後の荷さばきの施設におきましても、定期的な海上輸送サービスを支えるために、安定的に荷さばきスペースを確保するということが求められております。
 なお、現在の一日単位の使用方式というのは、利用者の方々にも、もちろん我々管理者もでございますが、なかなか煩雑でございまして、そういった問題も生じてございます。

○三宅委員 済みません、ローロー船とはどんな船でしょうか。

○片岡港湾経営部長 答弁の中でご説明申し上げませんで、失礼いたしました。
 ロールオン・ロールオフ船と申しまして、シャーシーと呼んでおりますが、トラックの後ろにつけますトレーラー、これをそのまま乗せまして、それで、ヘッドと呼んでおりますが、頭を切りまして現地まで輸送する。それで、通常の形態といたしましては、また現地でヘッド、トラックの頭でございますが、これがトレーラーを引き出して、それで運んでいく、こういうような形での効率的な輸送ということでございます。

○三宅委員 まことにわかりやすいご説明、ありがとう存じます。
 そういった方式の導入でその効果が生まれるのですが、その具体的なものというのを、もうちょっと詳しくご説明ください。

○片岡港湾経営部長 この定期的な使用が可能となることによりまして、利用者にとりましては安定的な事業基盤が確保できることとなります。これによって積極的な営業活動が展開できる。それから、さらに、貨物の荷さばき、保管の効率化、あるいはIT等の効率的な荷役システムの構築も可能となります。
 次に、定期使用方式は定額料金制でございますので、利用者の貨物取扱量増加への経営努力が引き出されるというふうに考えております。
 また、分散した利用者をグループ単位に集約する、そういうことによりまして空きスペースの有効活用が可能となりまして、利用率の低い施設の全体の活性化が図られるというふうに考えております。
 最後でございますが、貨物の搬出入のたびといったような、短期に繰り返し使用申請を行うというような必要がなくなるため、大幅な手続の簡素化が図られるものと考えております。

○三宅委員 今の説明によりますと、大変にこの東京港、未来のあるべき姿といいましょうか、元気な姿が目に浮かぶような気がいたします。スポット的利用であった今までの方式をずっと引きずってきた、それを、今回は、使用者の経営努力まで引き出せるような状態にするために、新たな方式の展開に踏み切るのは時宜を得た措置であるということで、大いに歓迎をし、期待をいたします。
 そこで、東京港、水際の危機管理と今の効率的な港湾経営を進めていかなければいけない。両方が、ある意味では相反する課題じゃないかなと、こう思いますが、その非常に難しいかじ取りにつきまして、新条例についても局長のお話をお聞きして、私の質問を終わります。

○成田港湾局長 今第一回定例会の本会議、それから予算特別委員会、そしてまた、きょうの経済・港湾委員会におきまして、今回の港湾管理条例につきまして熱心にご審議いただきまして、ありがとうございます。
 そうした観点に立ちましてご答弁申し上げたいと思いますが、まず、今回の条例改正でございますが、条例の第一条、目的に明示しておりますけれども、港湾の効率的な運営を図り、もって都民生活の向上と地域経済の発展に貢献するとともに、港湾の適正な利用によって都民の安全を確保する、それを目的としているところでございます。これが今回の改正の基本的なスタンス、目的でございます。
 そうした中にありまして、東京港におけるサービスアップ、コストダウン、そういった国際競争力強化の取り組みと港湾におきます危機管理対策の一層の強化、これはいずれも、お話のように、ゆるがせにできない重要な課題と認識しております。ただし、今お話もございましたように、この二つは、やはり一見、両立が難しい課題でもございます。こうした課題をともに実現してこそ、東京港は、船会社から荷主さんに至るまで、幅広い利用者にとって使いやすく、また世界に信頼される港に発展していくと確信しております。
 安全で国際競争力のある東京港の実現に向けまして、局を挙げまして、またさらに東京港の関係者の皆さんの理解も得ながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

○和田委員 私は、第百二十二号議案、東京都港湾管理条例に関連をして質問させていただきたいと思います。
 大きくは条約、それから、国の国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律、これは、この審議中は法律といわせていただきますけれども、それと条例の三つの関係について大まかな議論をさせていただきたいと思うんです。
 改正SOLAS条約の大まかな趣旨を受けて、今申し上げた法律が二月二十四日に制定されております。それで、我々、今、都条例を見ているわけでありますけれども、この関係の中で、それぞれ規制が用意されていますね。国の法律もそうだし、東京都の条例も用意されています。
 同じ規制であっても、国の法律の場合と東京都の管理条例の場合、どういう目的が、相違として挙げられるのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 委員お話の国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律、これは長うございますので、私も法律と呼ばせていただきたいと存じますが、この法律は、先生おっしゃるとおり、改正SOLAS条約を担保するということで、国際的な航海を行う船舶及びこれらの船舶が寄港する国際港湾施設につきまして、その危害の防止を図ることを目的としてございます。
 一方、都の港湾管理条例につきましては、東京港におけるさまざまな危機に対しまして、水際で適切に対処し、都民生活の安全を確保することを目的といたしてございます。

○和田委員 特定船舶入港禁止法については、今、継続中ですから、これは想像の域を脱しませんので、置いておいて、今申し上げた長い法律と都条例のみに絞って質疑をした方がわかりやすいと思うものですから、そういうふうにはっきり分けて、これから質疑をさせていただこうと思うんです。
 今、大体、大きなところの差は説明いただいたわけですけれども、入港を規制する対象の船舶ですとか、そのケース、すなわち要件ですね、場面、場合は、国の法律と東京都の条例ではどういうふうに違いを設けているのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 まず、入港規制の対象となる船舶の部分の違いでございますけれども、改正SOLAS条約を担保する法律でございますが、これにつきましては、海外から我が国の港に入港しようとする国際的な航海を行う船舶を対象としておる。都の港湾管理条例は、内航船舶を含めまして東京港を利用する船舶を対象としておる。こういう違いがございます。
 次に、入港の規制を行う場合の要件でございますけれども、法律では、各国政府が発行いたします船舶保安証書の提示を初めといたしまして、船舶保安情報の提供や立入検査を拒否した場合、または船舶や港湾施設に対して急迫した危険が生じるおそれがあり、当該危険を防止するために他に適当な手段がないと認める場合ということが要件として示されております。
 都の条例におきましては、船舶の入港により、都民の生命、身体または財産その他都民生活の安全が害されるおそれが強い場合で、なおかつこれを防止するために他に適当な手段がないと認められる場合を要件として掲げてございます。

○和田委員 今、それぞれ入港規制の要件と、それから対象船舶について説明いただきました。こう聞いてみて、法律の方は極めて具体的に、海外から本邦の、我が国の港に入港する国際的な航海を行う船舶というふうに、国際的なことをかぶせていますけれども、東京都の管理条例では、内航船舶、国内から国外へ行くものも含めて、東京湾を利用する船舶を対象にするということですから、これはもちろん国際的なことも含むということで、私は、まず触れますけれども、資料要求した改正SOLAS条約締約国による監督に関する条文の1の3などにも、具体的に監督措置などについて、この条約の場合、書いてあります。
 しかし、今のご説明では、法律と条例のそれぞれの対象船舶にしても要件にしても、東京都が適当な手段がないと認めた場合に云々とか、あくまでも主観的といいましょうか、東京都の監督--監督する場面場面でどうにでも使えるようなという幅の広い文言規定に、また解釈規定に見られるように思えてなりません。
 法律をつくり、条例をつくるということは、一定の生活を制御し、それで規制をし、誘導するという側面もあるわけでありますから、多分こうだろうとか、多分ああではないかという想像をできるだけ排して、条文どおり素直に解釈できるような条例が私は好ましいと思うわけですから、今の船舶あるいは要件については、今のご説明については、まだまだ、国の法律と比較した場合、幅の広過ぎる、そしてまた解釈がどうにでもなるような、そういう余地が残されているのではないかという危惧をしないわけではありません。
 そこで重ねるわけですが、国の法律が今審議中ですけれども、それが成立したりすれば、二月の時点でできている法律などを含めて、わざわざこの条例を東京都が決めずとも、日本全体を包み込む法律の適用によって済むのではないのか、いうならば屋上屋の危険性はないのかという点についてお答えをいただきたいと思います。

○片岡港湾経営部長 対象船舶の違いにつきまして、先ほど委員のご質問にご答弁させていただきましたが、その辺の対象とする船舶の違いということは、目的の違いという部分から出てきていることもございます。目的につきましては、都の条例は、東京港におきますテロや密輸、密入国などさまざまな危機に水際で対処しようということでございます。国の法律は、国際的な航海を行う船舶とか、これらの船舶が寄港する国際港湾施設についての危害の防止を目的としてございます。
 そういった意味で、法律と条例、それぞれ目的や対象が異なるということでございますので、都は、都民に責任を負うという立場から、この条例に基づきまして必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えてございます。

○和田委員 私は、屋上屋にならないかという質問をしていたので、先に進まれると質問の立案が狂ってくるので、余り急がないでいただきたいと思うんです。まだまだ十分、進行していく時間はあるわけでありますので……。
 そこで、屋上屋という問題は、それぞれ補い合ってやったらどうだというのは、どこの法律も条例もそうですよ。一般的にそうです。ただ、この種の問題は、後で触れますけれども、とり方によっては外交問題にも--特定国に限りませんよ、どこの国にも適用されるわけですから、東京港を利用する船には。
 そういうことがあるわけでありますから、できるだけ国の法律と東京都の条例がお互いに補ってやりますよという、そういう一般法律、条例のしきたりといいましょうか、運営といいましょうか、運行というか、そういうこととは違って、この際、港湾関係に絞って、今、屋上屋という形の心配はないのかどうなのか、改めて部長の答弁を求めたいと思います。

○片岡港湾経営部長 大変失礼いたしました。
 屋上屋ではないか、条例は国の法律に対して屋上屋を重ねることになるのではないか、こういうご質問でございます。
 先ほどの答弁で申し上げましたように、目的あるいは対象が異なるという意味での違いというのはございます。ただ、先生お話しのように、重なり合う部分、こういうのもあろうかと思ってございます。
 そういう意味で、違いの部分については、これは都民の生命、身体、財産及び都民生活を守るという観点から必要な規定となりますし、また、重なり合う部分につきましては、双方で連携して対応することにより、より効果的な対応が可能となる、このように考えてございます。

○和田委員 今、抽象的なというか、一般論の話でしたから、じゃ、例えばテロということに限って、ここで話をしたいと思うんです。
 テロを意図していると思われる船舶が東京港に入港しようとしてきたことを想定します。そのときの法律の適用と、それから、今、我々が用意しようとしている条例、どういうふうにこの法律と条例は整理され、適用されてくるのかということを、できる限り正確にというか、詳しく説明をお願いしたいと思います。

○片岡港湾経営部長 ご質問の、テロに関係している船舶が入港しようとするような場合につきまして、法律では、国際航海船舶の入港に係る規制についての条項がございます。これに基づきまして入港の禁止というようなことを命令することになろうと考えております。
 都といたしましては、港湾施設の使用規制等という関連の規定の条項に基づきまして、都として同時に港湾を利用させないという措置を講じてまいります。
 都と国、それぞれ法律、条例の目的を達成するために連携することが万全の措置につながるものと考えてございます。

○和田委員 一番初めにお話ししたとおり、東京港を利用する国内船も国際船も全部、条例の場合は対象にするよと。しかし、法律の場合には国際的な航路及び国際的な人というようなことになっているわけですから、それはある意味では使い分けができる。しかし、東京港となれば、それはエリア規制ですから、船じゃないですから、国際船じゃなくて、国際的な航路じゃなくて、東京港に入ってきたもの全部、それは国内船も国際船も対象になりますよというふうに、エリア的に広いんですよ。
 だから、そのところは、使い分けるといっても、国よりも東京都の方がより強い縛りといいましょうか、制約エリアを保持しているという点は、国とも違い、東京都が独自に強化している面ともとれるわけですから、これは私どもは、そういうことも含めて大変重要な問題だというふうに思っています。
 では、具体的にお聞きしたいのですけれども、条例の第二十二条の二項、そこは、知事は、船舶の入港により、都民の生命、身体または財産その他都民生活の安全が害されるおそれが強く、これを防止するために他に適当な手段がないと認められる場合は、港湾を利用させないことができるというところですよね。このことと、東京都という自治体が持っている権能、役割ということと、それから、日本国というものがほぼ所掌している外交問題というものとの関係、これについてはどういうふうな、条例の制定の限界といいましょうか、それを含めてお答えいただきたいと思います。

○片岡港湾経営部長 条例制定の限界についてのお尋ねでございますが、地方自治法に基づきまして、普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、地域における事務等に関し条例を制定することができるとされております。そういう意味で、条例制定の限界という意味では、第一に、地域における事務に関すること、そして法令に反しないことということであろうかというふうに考えております。
 東京都の、先生お話しの二十二条二項というものでございますけれども、これは法令に反するものではなく、また、普通地方公共団体としての東京都が、地方自治法に基づきまして、都民の生命、身体または財産その他都民生活の安全を守るため、必要な規定として盛り込んでおるところでございます。
 なお、法律と条例の目的が異なる場合におきましても、先ほど申し上げましたように、適用において、重なり合う部分について連携して対応することは効果的なものであるというふうに考えてございます。

○和田委員 常に連携、一体とか、そういうことで出てくるのは、同じ日本国の中で、東京都のやることも日本国のやることも同じですから、そうなんですけれども、条例の管轄すべき範囲と法の管轄すべき範囲というものの重複も含め、また乖離も含めて、しっかり議論しておかなければならないということで、もう少し議論を進めさせていただきたいと思うんです。
 今、お答えがあった都民生活の安全が害されるおそれがあるという中に、SARSですとか、あるいはテロ、密輸あるいは密入国など、そういう危機があると思います。東京港の水際で発生するというこの種の場合、例えばSARSの場合、テロの場合、密輸等の場合、それぞれどういうふうな対処を、今、この条例が制定された後に、東京都は考えようとしているのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 SARSやテロ、あるいは密輸、密入国等の具体的な事案によりまして、対応は異なってこようかと思っております。
 SARS等の感染症につきましては、船側に検疫所への事前の通報の義務がございますので、都は、この検疫所からの情報や独自に収集いたしました情報を含めまして、検疫所あるいは海上保安部等との関係機関と連携、調整の上、入港させず港外で検疫を行うことが必要な場合などは入港を認めない、このような対応になろうかと思っております。
 また、テロや密入国につきましては、船舶や船舶代理店から私どもが得られる情報とともに、海上保安部、税関、入国管理局等の取締機関からの情報をもとに、これら関係機関と十分連携、調整の上、入港させず洋上で対応すべき場合、あるいは入港後、着岸させて取り締まることが必要な場合など、そういった事例に即しまして適切に対応してまいりたい、このように考えております。

○和田委員 先ほどの漠然としたご答弁から、だんだん、今の答弁、具体性を帯びてきたと私は思っています。しかしながら、対象となる事件というのは、事案というのは、先方さんがやることですから、千変万化してくるわけでありますから、これから先のことではありますけれども、こういう場合、こういう場合という、対処するべきいろいろな、こちら側の備えをしっかりしておくことも大事なのではないかなというふうに思っております。
 三点目は、今、SARSの場合、テロ等の場合にお話しいただいたのですけれども、この条例を運用していく場合の責任、それから、意思決定をする場合の、どこでだれがどのような意思決定をし、この条例を発動していくのかという問題です。
 例えば、今申し上げた二十二条二項に基づいて、港湾を利用させないというふうに意思決定をするとします。だれがどのようにこれを決定するのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 先ほどもご答弁させていただきましたが、二十二条二項の運用に当たりましては、関係機関と十分連携、調整を図った上で、都民生活の安全が害されるおそれが強く、これを防止するために他に適当な手段がないと認められる場合に、都として港湾を利用させない措置を講じるものでございますが、この港湾の利用を認めるかどうかという条例に基づく判断につきましては、最終的に知事の責任において行われるものでございますが、事案の軽重に応じまして、組織内において権限の委任が行われることは一般的でございまして、本件における都としての意思決定についても、事案に即しまして適切に対応してまいります。

○和田委員 知事が最終的には、石原知事がおやりになるということです。しかし、知事がみずから、知事名でのその決定は出されるかもしれませんけれども、現場に行って調査をしたり何かすることはなくて、皆様方がおやりになるだろうと思うんです。
 それで、法律の場合には、海上保安庁の職員がと、こういうふうになっていますけれども、条例の場合には、部長以下の皆様方が、具体的に現場へ行って調査をしたり、決定の材料を集めて知事に進言をしたりするという手続になるんですか。

○片岡港湾経営部長 情報につきましては、事前情報という形で、私ども、船舶代理店等から、入港に先立ちまして一定の情報が入ってまいります。また、取締機関等も情報をいろいろ持ってございます。また、先ほど申し上げましたように、検疫所に対しましては、感染症の発生等につきましては、入港の三十六時間前までに事前の通報義務があるわけでございます。
 そういった諸情報につきまして、私ども関係機関との連携を深めて、諸情報を私どもとして総合し、かつ関係機関とも協議し、そして、その上で判断をしていくということでございまして、入港に対する、例えば入港を認めないという判断につきまして、入港前に、例えば湾外の方へ我々が出かけていくということまでは想定をしておりません。

○和田委員 情報は集める、しかし、みずから体を運んでいくことまでは想定していないというふうになると、国では、海上保安庁の職員が行って、臨検も含めてやると。条例でいくと、今の部長答弁では、湾外まで行くことはない、そこまで想定していないということになってくると、一番初めに返るのですけれども、国の方は、SOLAS条約にかかわる法律では、当該監督措置というのは次のとおりと、はっきりしていまして、船舶の検査、船舶の遅延、船舶の抑留、港内での移動を含む航行の制限または港からの船舶の退去と、こういうふうに制限列挙をしているんですよ。
 これでもって、法律というのは、きちっと法律の体裁を保っているわけですけれども、今の条例の答弁ですと、自分たちは身を運ばない、しかし、関係機関と協議してと。それで強制力は出てくるんですか。

○片岡港湾経営部長 条例の強制力の担保、実効性の担保というご質問かと存じます。これにつきましては、まずは、私ども取締機関ではございませんので、そういう意味で、取締機関との連携による対応ということが重要であろうというふうに考えております。その上で、私どものとり得る方策というようなことにつきましては、私どもは、具体的に施設を使用させるかさせないかとか、そういうような権限を持っておるわけでございますので、使用をさせないということを決定する、こういうことでございます。

○和田委員 要するに、二十二条の二の最後の方に、知事はということで、後、省略しますけれども、港湾を利用させないことができるというところに尽きるわけですよね、いろいろ今、議論をしてきても。
 ですから、結局、法律などの考えている、先ほど申し上げた船舶の検査とか遅延とか臨検のようなものは、東京都の条例は全く想定していなくて、要するに、東京港の接岸ですとか公共的な施設の利用を拒否する、あるいは認めないという、そういう制限された形での条例ということになってしまう。それは、僕は地方自治体の限界だと思いますけれども、しかし、一般的には、東京都が進んで国の法律以上に、東京港の中の船全体の、使用も含め、そこで決定できるように、巷間伝わっているところがあるんですよ。
 したがって、法律は法律の役割があり、東京都の条例は条例の役割があるわけでありますから、最終的に今、部長が答弁された、知事は、いろいろな都民の生命、身体、財産ありますけれども、安全が害されるおそれが強くて、これを防止するためにほかに手段がない場合にのみ港湾を利用させないことができると、極めて制限、制限、制限されてきている範囲の中での条例ですよと、ここが命ですから、心臓ですから、そういうところを、折に触れ、正確に答弁をしていただきたいというふうに思います。
 条例そのものが持っている帰趨というのは、例えばこの条例がつくられることによって、特定国のようなところが想定されるほかの自治体で、日本海側の方の自治体などの方に波及していって、そこも含めて、いろいろな形である特定国の船が排除されていくというような形の、外交的な意味合いを持たざるを得ないような条例でありますから、解釈によっては。
 したがって、私は、改めて、東京港の利用だけの制限が、あえてここでは可能な条例だということを強く都民にも知らせてほしいし、議会の中でも誤解のないような答弁を重ねてお願い申し上げたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○土持委員 臨海部の晴海地区の開発について、一点だけお伺いしたいと思います。
 一昨年に都市再生緊急整備地域に指定されて、豊洲、晴海、そして臨海副都心を含むかなりの地域が、開発の促進が図られることになったわけですけれども、あわせて台場地区とか青海地区、豊洲、有明地区、いろいろ事業が進展しているわけですけれども、現時点で大体どの程度の開発が進んでいるのか、アバウトで結構なんですけれども、お示しをいただきたいと思います。

○萩原開発調整担当部長 晴海地区周辺の開発の状況ということでございますが、臨海副都心、台場地区におきましては、ほぼ概成いたしております。
 また、青海地区におきましても、研究機関の集積、また暫定利用等によりまして、にぎわいを見せているところでございます。
 有明北地区でございますが、現在、土地区画整理事業によりまして基盤整備が進められておりまして、また埋立部につきましては、十六年度末の竣工を目指して、現在、鋭意工事を進めております。
 また、豊洲地区におきましては、六丁目、いわゆる半島部でございますが、それとあと二丁目、IHIのドックがあったところにつきましては、それぞれ土地区画整理事業によりまして基盤整備が進められてございます。
 また、三丁目、これは晴海通りの東側になりますが、この地区につきましては、芝浦工業大学の移転や、また住宅市街地整備総合支援事業によりまして、開発が現在進められている状況でございます。

○土持委員 平成十三年に、晴海の一丁目の方で晴海トリトンスクエアがオープンされましたけれども、大変すばらしい都市が形成されているというふうに思います。
 久しぶりに現地の視察に行ってきたのですけれども、今お話がありましたように、大変に順調な形で臨海の地域が開発される中で、なぜ都心に近い晴海の二丁目の地区が取り残されているか。今、全く手つかずの状況にあるんですけれども、この状況をこのまま続けていくというわけにもいきません。
 いろいろお考えだと思いますけれども、今日までどのようなことを二丁目の開発のためにしてきたか、示していただきたいと思います。

○萩原開発調整担当部長 晴海二丁目につきましては、委員ご指摘のとおり、大規模な未利用地が存在しているわけでございますが、土地の権利関係が非常に入り組んでございまして、現行のままでは効率的な土地利用が困難な状況にございます。したがいまして、土地の権利関係の整理と、道路や公園、上下水道など公共施設の整備が必要であったわけでございます。
 そこで、地区内の地権者が協議を重ねまして、土地区画整理事業を行い、整備することといたしました。実は、本年二月に、民間地権者六者と私ども東京都との計七地権者から成る土地区画整理組合を設立いたしたところでございます。
 今後、十九年度を目途に、道路等の公共施設の整備を進めてまいります。

○土持委員 土地区画整理事業が施行されたということで、今まで進まなかったのが不思議なぐらいなんですけれども、東京都も地権者の一人として民間と一緒に携わる、こういうことだと思いますけれども、いろいろ環境の変化があったかと思いますけれども、どういうことがきっかけでこのような形になったか、示していただきたいと思います。

○萩原開発調整担当部長 本地区は、既設の防潮堤の外側に位置してございますために、高潮に対しまして安全となるような新たな防潮堤を整備する必要がございます。この防潮堤の費用負担などをめぐりまして、これまで地権者間でいろいろと協議を重ねてきたわけでございますが、なかなか調整がつかなかった状況にあったわけでございます。
 しかしながら、平成十四年四月に施行されました都市再生特別措置法によりまして、民間事業者が行う公共事業の整備を支援するスキームが組まれまして、都市再生事業によります防潮堤の整備が可能となったために、開発に向けた機運が高まり、具体化に至ったところでございます。
 このようなことから、土地区画整理事業と防潮堤整備が一体となった開発を行うことになったわけでございます。

○土持委員 都市再生事業としての防潮堤の整備を計画するということですが、どのぐらいの予算規模になるのか、また、この防潮堤をつくるに当たっての地元に対するメリットはどのようなものがあるか、示していただきたいと思います。

○萩原開発調整担当部長 まず、都市再生事業でございますが、都市再生特別法による認定を受けまして、民間の事業者が開発プロジェクトと同時に公共施設の整備を行うものでございまして、民間の資金や創意工夫を都市再生の拠点となるまちづくりに誘導するものでございます。
 本地区では、良質な住宅を整備いたしますとともに、防潮堤の整備により、高潮に対する安全性を確保していくことといたしております。
 都市再生認定事業者が公共にかわりまして防潮堤などの公共施設を整備する場合、無利子貸付が行われます。ちなみに、この都市再生無利子貸付制度を活用いたしますのは、本地区が全国で初めてでございます。
 本事業を推進することで、民間開発に合わせた公共施設の早期整備が可能となり、また公共負担の平準化が図られ、財政再建下にある都政におきましても、都市再生を推進していくために非常に有効な事業制度である、このように考えております。
 今般の都市再生事業でございますが、本年二月に認定されまして、十六年には事業に着手する予定でございます。防潮堤は十七年度末の完成を、また、住宅につきましては十九年度末の完成を目指してございます。
 なお、再生事業の無利子貸付等、事業費でございますが、総事業費は約八十三億円ということになってございます。

○土持委員 防潮堤のイメージがちょっとわきにくいんですけれども、どんな形で整備を行うのか、説明をいただきたいと思います。

○萩原開発調整担当部長 防潮堤のイメージでございますが、現在の高さから二・五から何がしあるんですが、一番堤防沿いを平らにしまして、それから堤防、いわゆるのり面で、上に平場をつくり、さらに後ろを公共的に使うということで、幅にいたしますと五十メートルの幅がございます。この中に防潮堤をつくり、なおかつその上を、緑化等も整備し一体的に使う、このような構造になってございます。

○土持委員 いろいろ臨海部につきましては、水際、水域の開発で、やっぱり都民に親しまれるというものが基本になってくると思うんですけれども、そういう中で、どのような形で、もう少し具体的に、防潮堤だけでなくて、都民との接点というか、親しめるものにしたいというふうに考えているか、示していただきたいと思います。

○萩原開発調整担当部長 特に晴海地区におきましては、周辺が水域に囲まれてございまして、豊かな水辺という貴重な資源を有してございます。この資源を有効に活用し、開発を進めていくことで、ほかの地域には見られない魅力を生み出していくことが重要であろう、こんなふうに考えてございます。
 防潮堤につきましても、親水性にすぐれたものといたしまして、その上部は、魅力的かつ快適な緑地空間として整備いたしまして、また、晴海・豊洲間の水域につきましても、船舶の航行の安全を確保しつつ、海洋性のスポーツ、レクリエーションなどに活用していくことが必要であります。
 このため、水域利用における規制緩和や環境、景観への配慮を進めまして、また民間活力を導入いたしまして、開発と一体となった護岸整備や水上レストランなどの利用を進め、都民が水に親しみ、憩いとにぎわいのある空間を創出していきます。
 今後、国や地元、民間地権者とも調整を図りながら具体化を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。

○土持委員 この晴海の地域は、今まで都民にとって、いろいろな面で大変に寄与してきた地域でありますし、都民が本当に喜び、また憩える、そういう場所にしてもらいたいことをぜひ希望しておきたいと思います。
 さらに、今回、民間事業者の創意工夫の中で開発が行われるというふうに聞いていますが、やはり非常に大事なことで、資金の面とかあるいはPRの面とか、いろいろな地域の魅力を向上させるためのノウハウを一緒になって行うということだと思いますので、新たな事業展開ではないかというふうに思います。
 ぜひ局長の方から、どのような形でこれを今後進めていくかということをお聞かせいただきたいと思います。

○成田港湾局長 ご指摘のように、東京臨海地域の開発を進める上で、民間事業者の旺盛な創意工夫、資金を活用していくことは極めて重要でございます。
 そもそも都市再生特別措置法が十四年の四月に発足したわけですけれども、その際、私も都市再生本部に出向しておりまして、いろいろ議論されましたのは、やはりまちづくりを進めていく上で、従来の場合は、まちづくりを進めるための道路整備が、なかなか公的団体の財政事情で進まない、それをどうにかできないだろうかと、そういう問題意識がございました。
 そうした中で、じゃ、道路の整備等を民間事業者がやる場合に、無利子のお金を貸し付けてやっていこうというのが議論の前提だったわけですけれども、そういった視点で全国を見た場合に、やはり防潮堤、特に臨海地域においては、そういった地域で防潮堤の整備が、なかなか公共団体の財政事情でできないということも議論になりまして、そういう意味では、従前の建設省の立場ですと道路だけの話だったのですが、国土交通省ということになりまして、旧運輸省の関係のこういった防潮堤も含めてトータルに取り組んでいこうというのが、この晴海の開発が進んだ背景としてございます。
 そうした中で、この晴海地区が、先ほど部長が申し上げましたように、日本でその適用第一号ということで、都市再生の新しい仕組みをつくった取り組みと同時に、これは、やはり民間の資金あるいは創意工夫も活用したスキームでございます。
 ただいま申し上げましたように、都市再生特別措置法が制定されましたのが十四年四月、その後七月に、都では、私どものこの臨海地域を含め、七地区が緊急整備地域に指定されました。そして、そういう国から指定を受けるとともに、都みずからも、開発手続の迅速化、スピードアップなど、民間事業者が進出しやすい環境の整備に努めてきたところでございます。
 今後、都市再生認定事業による優遇措置、これは具体的には、税金の点では国税の登録免許税、あるいは地方税ですと不動産取得税、そういった減免措置であるとか、あるいは政策投資銀行による特別融資がございますが、こういった優遇措置を活用することで事業活動へのインセンティブを高めていくとともに、広告であるとか、あるいは水域利用などの規制緩和も進めてまいりたいと思います。
 具体的には、臨海の副都心で、民間の方が設置する案内板、これについて広告も認める。そういった広告を認めることで、そのメンテナンスの経費等をそこで生み出していくということで、タイムリーでわかりやすい、そういった案内板が臨海部の至るところで設置され、訪れる方がまちを十二分に歩き回って魅力を堪能していただける、そういった方向の取り組みも、今後、取り組んでいきたいと考えております。

○丸茂委員 私の方は、本委員会に提案されました東京都港湾管理条例についてお伺いをいたします。重複する点もありますが、お尋ねしていきます。
 まず、本条例は、これまでの東京都港湾設備条例を全面改定するものだとしていますが、港湾設備から港湾管理とした条例改正の目的について、改めてお伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 条例改正の目的でございますが、現在の新たな物流ニーズに対応いたしまして、定期的な使用方式の導入等、効率的な港湾経営を行うというのが一つでございます。
 いま一つは、港湾におきます危機管理を強化いたしまして、都民生活の安全を確保するということでございます。
 そういった意味で、港湾設備条例と申しますのは、有料施設の管理条例--有料施設を管理し、料金を徴収する条例というものを、広く東京港全体を管理する条例という形に改めようということでございます。

○丸茂委員 そうしますと、改正条例案の法的な根拠はどうなるのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 普通地方公共団体が地域における事務を処理する、そして、それについて条例を制定できるという地方自治法、それから、港湾の管理について定める港湾法ということになろうかと思います。

○丸茂委員 今、この条例改正案は、港湾施設の効率的な運営とあわせて、港湾の危機管理が改定のもう一つの大きな目的だと思います。
 そこで、第二十二条の港湾施設の使用の規制に絞ってお伺いいたします。
 第二十二条一項その一には、港湾施設を使用しようとする船舶が、港湾施設を損傷し、または汚損し、その他管理上支障を来すおそれがある船舶として規則で定めるものに該当する場合を規制するとしております。
 これは欠陥船を指していると認識していますが、条文上にはなく、どのような規制をかけるのか、改めてお伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 二十二条一項一号の対象船舶としては、ポートステートコントロールによる改善命令に違反している欠陥船を考えてございます。これにつきましては、港湾施設を使用させないという措置を講じてまいりたいと考えております。

○丸茂委員 ポートステートコントロールによると。その欠陥船については、規則でどのような基準や対象船舶の要件を定めるのか、この点についてお伺いをしておきます。

○片岡港湾経営部長 先ほど申し上げましたポートステートコントロールに違反する欠陥船ということを、法律的な用語をもって規定しようと考えております。
 例えば、船舶安全法等に基づく技術基準適合の命令に反する船舶等の規定の仕方を考え、鋭意検討中でございます。

○丸茂委員 今、答弁されたことも含めて、この条例を私ずっと検討してきたのですけれども、本委員会提案に当たって、こうした条文に伴う規則だとか要件だとか、こういうものが委員会には全く出てこないんですよね。概要案で示されて、それで、私どもに配られた条文、それから対比表を見ても全く出てこないんですよ。こういう提案は、質疑なり解釈によって大いに違うと。
 国会等ではきちんと、どこをどう変えて、どう定めるのかというのははっきりしているかと思うんですが、その点、今後のこともありますので、どうなのか、お伺いをしておきます。

○片岡港湾経営部長 改正の内容につきまして、今回、全面改正という形をとってございますので、新旧対照という形で表示しにくい部分がございます点は、ご容赦いただきたいと思います。
 ただ、一般的に申しまして、条例のご提案を申し上げ、その内容について一定の部分規則に規定するという形での条例というのは、一般的にはよくあるものでございます。その際に、私ども、今回、規則で定める内容の予定につきまして明確にご説明させていただいておりますし、そのように処理していきたいと考えてございます。
 また、規則の内容そのものについてあらかじめ決定しておくということは--条例制定後、私どもも、議会のご議決を得た後というふうに考えております。
 国の法律、政令の関係においても同様かと考えております。

○丸茂委員 私は、はっきり明確に、規則なり規定で決められるものは、やっぱり委員会に提案して、判断基準がきちんと持てるようにすべきだというふうに思っております。
 それでは、欠陥船を対象としているこの条項ですけれども、参考までに、欠陥船の東京港への入港状況について、平成十四年度における船籍別及び外航船入港隻数に占める割合はどうなっているか、お伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 東京港におきまして改善命令を受けました船隻数が多い国籍の船といいますと、平成十四年で、カンボジア、パナマ、ベリーズというような国々が挙げられます。
 なお、検査隻数につきましては、百十八隻の検査が行われておりまして、改善命令を受けたのは十八隻、約一五%。なお、外航船の入港隻数は、十四年度五千三百五十隻でございましたから、これを単純に計算いたしますと、それに占める割合は〇・三%でございます。

○丸茂委員 入港した全数から見ると〇・三%というわずかな状況にあります。
 それで、これまで改善命令に従わなかったり、都が入港を拒否した、こういう事例はあるのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 PSC検査の改善命令に従わなかった船があったということは、聞いてございません。
 都が入港を拒否した事例につきましては、今回、条例のご提案を申し上げているところでございまして、その上で入港拒否問題が出てくるということかと存じております。

○丸茂委員 はっきりわからないけれども、今まできちんと改善命令を出しているわけですから、これに従わない船があって、そういう事例があったということで、それでも指導しても従わないという点で、入港拒否をしなかった事例はないということですよね。そういう明確なことが答弁されませんでしたから、そう受けとめておきます。
 会派によっては、北朝鮮の船舶を問題にしている向きがあるんですが、北朝鮮の東京港への入港実績はどうなっているのか、また欠陥船の状況はどうなっているのか、お伺いをいたしておきます。

○片岡港湾経営部長 北朝鮮船の東京港への入港実績でございますが、直近四年間、申し上げますと、平成十一年度で二隻、十二年度で五隻、十三年度で三隻、十四年度、十五年度はゼロということでございます。
 アジア・太平洋地域におきます、北朝鮮の船舶で航行停止処分を受けた割合というのが出てございますが、これは平成十四年で約六〇%でございます。

○丸茂委員 次に、参考までに、国内、他県における欠陥船を規制する条例を設けているところ、これについてはいかがでしょうか。

○片岡港湾経営部長 欠陥船の規制に関する規定を設けておりますのは、茨城県、新潟県、富山県、それから境港、鳥取、島根、両方にまたがるところなんですが、以上四カ所でございます。

○丸茂委員 欠陥船については、東京港における入港は、全入港船の約〇・三%、こういうわずかな状況にあります。さらに、欠陥船が確認された場合、改善命令等によって対応している、このことも明らかになりました。
 次に、第二十二条一項の二、船舶の所有者等が、当該船舶の事故に基づく損害賠償その他の請求に対する義務を履行しないおそれがある者として規則で定めるものに該当するとし、無保険船を対象としておりますが、明文がなく、この条項の具体的な対象基準はどうなっているのか、お伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 二十二条一項二号の対象船舶につきましては、やはり座礁や油漏れの事故等を起こした際に、その損害を賠償できない船がございますと大変でございます。そういった意味で、そういった能力のない船、具体的には無保険船というようなことを考えてございます。

○丸茂委員 その無保険船なんですけれども、規定の運用に当たっては、どのように確認するのか、その点どうでしょうか。

○片岡港湾経営部長 無保険船の確認でございますが、入港に当たりまして船舶の代理店等から提出される申請の中で、保険加入の有無、保険会社等の記載をさせまして、それをチェックしてまいります。

○丸茂委員 それでは、無保険船の入港状況についてもお伺いをしたいと思うのですが、これまでの対応を含めてどうなのか、お伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 無保険船の日本への入港状況でございますが、平成十四年の国土交通省の調査によりますと、外航の船舶の総数が約十一万四千隻、そのうち無保険船は約三万一千隻ということで、無保険の割合は約二七%でございます。
 それから、その対応につきまして、茨城県の油漏れ事故、北朝鮮の事故がございまして、これは国、県の負担でいろいろ撤去したという事例がございまして、そういったことを契機といたしまして、無保険船への対応ということも重要な課題になってきたという意味で、そういう意味で、無保険船のチェックということは、それまでなされていなかったというのが実情でございます。

○丸茂委員 ちなみに、この無保険船、北朝鮮の船舶はどういう状況にあるのか、割合等、示していただきたいと思います。

○片岡港湾経営部長 先ほど申し上げました平成十四年の国土交通省の調査によりますと、北朝鮮船舶における無保険船の割合というのは、実に九七%という数字がございます。

○丸茂委員 ところで、国は、油濁損害賠償保障法を検討しておりまして、これが二〇〇五年三月に施行されると聞いております。
 この法改正の動きと都の条例との関係はどうなのか、この点、お伺いをしておきます。

○片岡港湾経営部長 先ほど申し上げましたチルソン号の事件等を踏まえまして、国におきましても、油濁損害賠償保障法の改正を進めてございます。その内容につきましては、無保険船について、本邦内への、我が国の港への入港を禁止するという内容でございます。
 都の条例は、無保険船につきまして、私どもが管理しております港湾施設を使用させないというものでございます。

○丸茂委員 ここでも、他県でこのような条例の規定を設けているところ、これについてはいかがでしょうか。

○片岡港湾経営部長 先ほど申し上げました茨城県が非常に敏感に動いてございまして、そのほか、茨城県を初め新潟県、富山県でございます。

○丸茂委員 他県では、入港申請に当たり、保険の加入の有無を書面で確認しているようです。
 今、質疑されました第二十二条一項関係については、都民の安全にかかわって、欠陥船については安全基準に適合しているかの判断、無保険船については保険の加入の有無など、客観的基準や証明方法が示されており、私ども賛成する立場です。
 次に、第二十二条二項についてお伺いをいたします。
 二項は、知事は、船舶の入港により、都民の生命、身体または財産その他都民生活の安全が害されるおそれが強く、これを防止するために他に適当な手段がないと認められる場合は、港湾を利用させないことができるとしております。ここで規定している内容と基準は何なのか、お伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、東京港における危機の形態、態様にはさまざまなものがあるというふうに考えております。ただ、例えて申し上げれば、例を挙げさせていただければ、密輸や密入国による治安の悪化、それから、国際テロの危険あるいはSARS等の感染症の危険などが考えられます。

○丸茂委員 今、答弁のあった密輸、密入国など、この条項は具体的な規定がなく、規則でも定めないというところですけれども、規則で定めない理由等、何をもって判断するのか、この点、お伺いをしておきたいと思います。

○片岡港湾経営部長 東京港の水際におきます危機の態様はさまざまでございまして、規制に当たりましては、関係機関と十分に調整し、具体的な事案に即しまして適切に対応してまいりたいと考えております。

○丸茂委員 非常に漠としたお答えなんですけれども、それでは、他県にもこのような条例、規制、こういうものはあるのでしょうか。

○片岡港湾経営部長 二項の規定につきましては、都民の生命、財産あるいは都民生活の安全を守るということを目的として、明確に規定して条例化する、これは東京港が初めてであるというふうに考えております。(「他県には……。」と呼ぶ者あり)東京港が初めてでございますので……。

○丸茂委員 それでは、具体的にお尋ねしたいと思うんですが、先ほど説明のあったSARS等についてですが、これまで、晴海へ入港したイギリス艦船が、香港に寄港する、そして船員が発熱し、SARSの疑いがあるとして上陸を規制した例があると思いますけれども、入港規制をしなくても、着岸させて対応できたのではないか、こう考えるのですけれども、どうでしょうか。

○片岡港湾経営部長 お話の事例は、昨年の六月五日にイギリスの船が晴海に入りました際の事案と思います。この船につきましては、SARSの伝播地域等を経由してございました。ただ、実際に発熱いたしましたのは、六月五日の入港で六月六日の発熱ということでございますので、伝播地域を経由しているということで、健康局あるいは消防庁等々と連携をいたしまして対応したものでございますが、これは、検査の結果、SARSでないことが判明いたしました。
 私ども、入港前にそういった疑いがあれば、これについても適切に対応する必要があろうというふうに考えております。

○丸茂委員 SARSではなかったという点で、よかったわけですけれども、ただし、SARS発生国を通過した、そういう船だということで、SARSの疑いがあるという対応をしたわけですけれども、現行で対応できるということだというふうに思います。
 仮にSARSが発生した場合は、乗組員の人命救助だとか感染拡大を防ぐという点で、これは洋上であろうと接岸後であろうと、緊急対応として検疫所等で対応しなければならないし、現状でもそういう対応が求められるというふうに思います。そういう課題だというふうに思います。
 それでは、密輸、密入国があった場合、従来どのような対応をしてきたのか、これも改めてお伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 密輸、密入国に対しましては、税関あるいは入国管理局、それから海上保安庁あるいは警視庁等、それぞれ権限に基づいて従来から取り締まりを行ってきたところでございますが、私ども、昨年以降、この水際の危機管理というような問題もございまして、密輸、密入国の防止について、港湾管理者としても連携して取り組んでいくというようなことで連携体制を深めておるということでございます。

○丸茂委員 密輸、密入国あるいはテロにおいても、密輸品であれば密輸品の特定、それから密入国であるかどうか、こういう確認なども、それぞれ税関や入国管理局等、その権限のもとで現に行われているわけですよね。
 結局のところ、都が想定する事由は、いずれも現行でできるし、これをもって入港を禁止する、そういう理由とはなり得ないというふうに思います。
 したがって、二項は、都民の安全という概念で知事が入港を拒否できるというもので、知事の判断、想定でどうにでもできるということであります。したがって、第二十二条二項は撤回すべきと考えますけれども、その点いかがでしょうか。

○片岡港湾経営部長 二十二条二項の規定は、都民の生命、身体、財産その他都民生活の安全を水際で守るために必要不可欠のものというふうに考えております。私ども、この条例をご可決いただき、この条例に基づいて、適切に条例を運用し住民の生活の安全を守ってまいりたい、そのように考えてございます。

○丸茂委員 それでは、先ほども和田委員が取り上げていたのですけれども、テロなどの保安対策としては、SOLAS条約対応があります。
 そして、国会では新法が上程されておりまして、この国の法案における目的はどうなっているのか、また、保安の確保についてどのように定めているのか、さらに船舶の入港規制についてはどうか、あわせて答弁をお願いいたします。

○片岡港湾経営部長 お尋ねのSOLAS条約担保法案におきます目的ということでございますが、まず目的は、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保でございます。
 次に、この保安の確保についての規定につきまして、保安計画の作成、実施、あるいは保安管理者の選任、あるいは船舶にあっては警報装置の設置等の規定がございます。
 また、船舶の入港に当たりましては、必要に応じまして、当該船舶に対する情報の提供や立入検査の要求、あるいはこれが拒否された場合や、急迫した危険が生ずるおそれがあり、他に適当な手段がないと認めるときなどの入港禁止措置というようなことが規定されてございます。

○丸茂委員 今、ご説明のあった国の法律は、船舶所有者、そして港湾管理者それぞれの責務も定めております。保安においても、入港禁止においても、具体的な基準や事前の情報提供などを義務づけるなど、明確に示されております。
 都も、テロ対策では、先日、SOLAS条約に基づいて、フェンスや監視カメラの予算措置もされております。
 しかし、本条例第二十二条二項は、都民の安全という幅広い概念で入港を拒否しようとするもので、我が党としては、重ねて、第二十二条二項は撤回すべき、この意見を述べて質疑を終わりにいたします。

○真鍋委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十八分休憩

午後二時五十九分開議

○真鍋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○酒井委員 それでは、私の方から、東京港の自然再生について何点かお伺いをしたいと思います。
 私は最近、東京港と私の地元、多摩の関係について、大変喜ばしい発見をいたしました。それは、東京港と多摩の自然回復が相互にかかわりを持ち、よい方向に向かっているということでございます。
 私の地元、立川市には、東京を代表する河川である多摩川が流れています。私の母が子どものころには、この川で多くの子どもたちが、橋の欄干から飛び込み、泳いだり、また魚をとったりしていたということをよく聞きました。また、私も子どものころには、この多摩川で友達と魚釣りをするなど、よく遊んでいました。しかし、残念なことに、その当時の多摩川は、洗剤の泡が浮かび、悪臭がするような状況でございました。
 ところが、先週、十二日の毎日新聞には、多摩川のアユ、故郷は羽田沖、都水産試験場が稚魚を確認との報道がありました。また、一昨日の十五日には、NHKでも「大都会にアユ百万匹 多摩川 奇跡の復活」との放送があり、金色に光るお台場のアユの稚魚、多摩川で黄色の婚姻色に変わったアユの姿などがテレビに映し出されていました。
 アユは多摩川で産卵し、秋にふ化し、川を下り、冬、川に比べ温かい海で育ち、水ぬるむ春、川を逆上するとのことです。アユの稚魚が過ごす海は、東京湾のお台場、葛西、羽田沖の浅場であるとのことで、東京湾の自然環境が再生してきているあかしであると思います。東京湾の自然が再生されることが多摩川の再生にもつながる、このようなつながりの輪を考えながら、東京湾の自然再生にかかわる事項について質問をさせていただきます。
 まず、多摩川におけるアユの逆上の状況及び逆上がふえる要因について、東京湾と多摩川のかかわりを踏まえ、どのように認識をしているのか、お伺いをしたいと思います。

○安藤参事 多摩川におきますアユの逆上につきましては、昭和三十年代から四十年代にかけましては途絶えていたといわれておりました。しかしながら、昭和四十年の末ごろから少しずつ見られるようになりまして、とりわけ平成二年以降は数十万匹が逆上するようになりまして、さらに平成十四年には、百万匹を超えるアユの逆上が観測されております。
 この要因でございますが、下水道整備などが進み、海、川の水質が向上したこと、それと、多摩川、秋川では、下流から上流まで魚道が整備されたこと、稚魚が育ちます東京湾の生息環境が向上している、その三点が相まってのことであるというふうに考えております。

○酒井委員 東京湾における稚魚が生育する環境が向上したことが大きな要因の一つであるというご答弁でございましたけれども、そこで、東京港では、水生生物の生息環境向上に向けて具体的にどのような取り組みを行っているのか、お伺いをしたいと思います。

○安藤参事 稚魚が育ちます環境についてでございますが、水質がよいことに加えまして、水深が浅く、酸素が十分に供給される緩い傾斜の水際線などが適しているといわれております。
 東京都では、この観点から、船舶の航行などに支障を生じない場所では、直立式の護岸形状を見直しまして、緩い傾斜の水際線となる干潟ですとか砂浜などを整備してまいりました。具体的に申しますと、大井ふ頭中央海浜公園ですとか葛西海浜公園、お台場海浜公園、羽田沖浅場など、六カ所で整備を行ってまいりました。
 また、新たな取り組みといたしまして、カニが生息できるように形状を工夫しましたカニ護岸を採用する、それから、一部小さな干潟のようにする潮入りを設けるなど、創意工夫を図っております。ここで、稚魚のえさとなるプランクトン、例えば、ふ化したばかりのカニの幼生などの生育も期待しているところでございます。
 また、有機性の汚濁をしゅんせつするなどによりまして、水質改善にも取り組んでまいりました。
 これまで述べましたように、東京港全域でさまざまな工夫を図りまして、生物の生息環境向上に向け、取り組んでいるところでございます。

○酒井委員 ただいまのご答弁によって、水生生物の生育環境を築くためには、さまざまな工夫が必要であるということがわかりました。
 ここまでアユを視点として質問をいたしましたが、東京湾は、江戸前の海といって、さまざまな種類のすむ場所でもあると聞いています。多様な水生生物がすむ東京港において、これまで都の取り組みによってどのような成果が得られたのか、お伺いをいたします。

○安藤参事 環境局の実施しております小型地びき網によります魚類調査によりますと、昭和五十七年度は三十四種類でありましたものが、主にメバルですとかニベ、シマイサキなどが新たに種類として加わりまして、平成十三年度の魚の種類数は五十三種類というふうに増加してきております。
 また、新聞記事によりますと、羽田沖で江戸前のアナゴが大漁、コチも続々とか、アナゴは三時間で百匹などとも報じられました。このように着実に魚が戻ってきているものと思われます。
 このほか、葛西海浜公園や城南島海浜公園では、潮干狩りを楽しむ姿が見られるなど、これまでの取り組みの成果が得られているというふうに考えております。

○酒井委員 今までの話では、何かおいしい話に話が展開しているんですが、この間、東京都は、自然再生に向けて率先した取り組みを行ってきたということがわかりました。
 先般、都の海上公園では、規制緩和の一環として、海での釣りを解禁したと聞きましたが、このような試みは、東京港に豊かな生物が生息していてこそ成り立つものであると考えます。こうした取り組みを一層効果あるものとするためには、適切な維持管理といったものは欠かすことができないと思います。
 施設整備を行っても、つくりっ放しでは、せっかくの苦労も水泡に帰してしまいます。例えば砂浜といったものを整備しても、この砂浜は、徐々にやせ細ってなくなる場合もあると聞いています。また、台風などの後では、多くの漂流物が砂浜に打ち寄せて、その漂流物で砂浜が汚されたままでは、見苦しいだけではなく、こういった生物の生息環境としても好ましくないと思います。
 そこで、水生生物の生育環境となる砂浜などの維持管理にどのように取り組んできているのか、お伺いをしたいと思います。

○安藤参事 先生ご指摘のように、良好な水生生物の生息環境を創出していくためには、適切に維持管理していくことが重要であると認識しております。
 例えば、昭和六十二年度から平成十二年度にかけまして造成しました羽田沖の浅場では、延長で約七キロメートル、面積約二百ヘクタールに及ぶ大規模なものでございますが、この潮の流れでございますが、潮流ですとか、波ですが、波浪等の影響により、砂の一部が流される傾向が見られました。
 このため、学識経験者及び漁業関係者等とともに検討いたしまして、新しい試みといたしまして、浜辺から直角に、幅五メートル、長さ五十メートルほど突き出しましたいそ状の構造物、砂どめ堤と申しますが、砂どめ堤を試験的に整備いたしまして、砂の流出防止対策を行っているところでございます。
 また、水質汚濁防止の観点からも清掃作業を行っておりまして、砂浜や水面のごみ等の除去に加えまして、海底までも実施しております。
 これら清掃作業の実施に当たりましては、漁業関係者や一般都民のご協力をいただくなど、都民と一体となりまして、魚や貝など水生生物の生育しやすい環境づくりに努めているところでございます。

○酒井委員 ただいまのご答弁から、砂どめ堤といったものをつくったり、また清掃作業等も行っているということで、着々と自然再生にかかわる事業が進んでいるということがわかりました。
 ところで、こうした自然再生への取り組みといったものは、東京港のみでは大きな効果は期待できないと思います。海は、千葉や、また神奈川県にまで広がっております。東京湾全体で考える必要もあると思います。
 そこで、東京湾岸の自治体を初め、国との連携が必要であると考えますが、こうした連携に向けて、現在どのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○安藤参事 平成十四年度、国の呼びかけによりまして東京湾再生推進会議が発足いたしまして、国及び湾岸の自治体が連携をとりまして、東京湾の再生を目指し、昨年の三月、東京湾再生のための行動計画をまとめたところでございます。
 この行動計画は、快適に水遊びができ、多くの生物が生息する、親しみやすく美しい海を取り戻し、首都圏にふさわしい東京湾を創出すると定めておりまして、具体的な施策として、高度成長期以後に失われた干潟、藻場の面積について、湾全体で約一割を取り戻すことを目指し、干潟、浅場、海浜ですとかいそ場等の再生、創出を推進するとしまして、今後十年間を当面の期間といたしております。
 その計画を受けまして、東京都では、新海面処分場東側の護岸沿いに、いそ場の創出を図ることといたしております。
 また、運河沿いの護岸整備に当たりましては、護岸前面に、小さい干潟でございますが、ミニ干潟などを配置いたしまして、生物の生息空間が点から線へと広がっていくよう配慮していきたいと思っております。
 なお、整備に当たりましては、民間活力を活用するなど、創意工夫を図ってまいります。
 このような取り組みを着実に進めまして、東京湾再生のための行動計画の達成に向け、東京都としての役割を果たしてまいります。

○酒井委員 東京湾の自然の再生といったものは、よりよい環境を次世代へと引き継ぐための重要な課題であるとともに、私たちの世代の責任でもあると思います。環境保全問題は、経済発展の陰で地味になりがちでありますけれども、より積極的に取り組むべきものと考えます。幸いにも、東京にアユが戻ってきております。
 二月に答申がされました東京港第七次改訂港湾計画基本方針に示された水と緑のネットワークの拡充や、生物に優しい水辺空間の創出などは、私ども民主党の掲げる東京政策の水、緑、風をよみがえらせると同じ考えであります。
 東京港が首都圏四千万人の生活と産業を支える重要な役割を担っていることは十分認識しておりますけれども、あわせて、東京港の自然再生が、多摩川だけでなく、東京湾に注ぐ河川すべての自然再生につながるものと私は考えております。
 最後に、東京港での経済活動と環境との調和を図りながら、東京湾の再生を進めていくべきと考えますが、局長の決意をお伺いして、質問を終わりにしたいと思います。

○成田港湾局長 先ほどお話ございました、東京港が首都圏四千万人の生活、産業を支える物流拠点ということにつきましては、現在も、この議会棟の一階をお借りいたしまして、東京港のパネル展等を開催させていただきまして、多くの都民の方にも認識されるようになったのではないかと思っております。
 これに加えまして、きょうは、副委員長の方から、東京の海の自然再生の取り組みが、海だけではなく、多摩川の上流の多摩の自然回復にも重要という非常に貴重なご指摘をいただきました。
 魚つき林という言葉がございます。これはご存じのとおり、海の魚にとって、上流の豊かな森林、そこから流れ込む栄養あふれる水が非常に大切だということで、たしかこの近くでは、真鶴半島の海岸林が、そういう魚つき林ということで有名でございますけれども、逆に、今回のケースでは、その逆の面もあるということの非常に貴重なご指摘であったかと思います。やはりこれからは、東京港が、物流とともに東京全体の自然回復に非常に貴重な役割を果たすということを再認識させていただいたところでございます。
 先ほど部長の方から申し上げましたように、都市再生本部に出向のときは、東京湾再生のための行動計画を策定する会議の、一応、副座長格ということで参加させていただきました。そこに参加しました国の各省庁は、国土交通省、海上保安庁、それから環境省はもとよりですが、実は農林水産省も参加しておりました。これはなぜかといいますと、例えば、近いところでは養豚場とかあるいは養鶏場、そういったところから出てくる排水の規制、浄化、さらに、先ほどの林政の関係で、東京港に注ぎ込む川の上流の植林を進めることによって、東京湾の文字どおりの再生に寄与すると。
 そういう非常に幅広い取り組みであったわけですけれども、そういった国の取り組みを実際に実施していくのが、やはり東京湾の中で、東京の海を持つ東京都の役割かなと思っております。
 江戸前という言葉がございますように、東京の海は、昔から非常に自然の幸に恵まれた美しい港であったわけでございますが、港湾局といたしましては、きょうご指摘の点も踏まえまして、物流拠点であると同時に、自然再生の拠点、インキュベート役も果たしてまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

○谷村委員 それでは、東京港の国際競争力の強化への取り組みにつきましてお伺いをしたいと思います。
 申し上げるまでもなく、現在、我が国の港湾は、急速に国際競争力を低下させており、極めて深刻な状況にあるわけであります。こうした状況を打開させていくためには、国が国家的見地から、港湾コストの低減や効率化の促進を強力に進めていくべきであることはいうまでもありませんが、港湾管理者たる東京都といたしましても、積極的にハード、ソフト面におきまして先導的役割を果たしていかなければならない、このように思うわけでございます。
 そこでまず、ハード面の役割といたしまして基盤整備がありますが、我が党は、昨年の各会計決算特別委員会におきまして、東京港の国際競争力の強化のためには、港湾サービスの向上、それから、コスト低減に加え、港に着いた貨物を背後圏に迅速かつ低廉に輸送するための道路ネットワークの整備が不可欠であることを指摘いたしました。
 東京港では、今後の物流ネットワークの骨格をなす臨海道路の整備を進め、既に第一期区間が完成し、現在、二期事業が進められておりますけれども、その先から国道三五七号に接続する新木場若洲線は、四車線の暫定整備の状況にあります。このため、臨海道路二期事業にあわせて、このような路線を本格的に整備することが、臨海部の道路ネットワークの形成上重要であることを強調し、昨年の各会計決算特別委員会におきましても、成田局長から積極的に取り組んでいくとの答弁をいただいたところでございます。
 さて、臨海部の道路整備に対する取り組み姿勢につきましては、よく理解をいたしておりますが、背後圏を含めた広範な物流ネットワークを構築するためには、臨海部の中の道路だけが整備されればいいというものではありません。臨海部の道路と区部地域における道路整備との連携も不可欠であります。そのためには、全庁的に協力をして、物流ネットワークの視点からの対応が必要となってくると思います。
 そこで、物流ネットワークの形成に向けて、臨海部と区部などの内陸部の道路整備との連携についてはどのように取り組んでこられたのか、初めにお伺いをいたします。

○松井計画調整担当部長 臨海部の道路整備についてでございますが、区部の都市計画道路整備との連携を十分に図っていくことが重要であると認識してございます。このため、平成十五年度の都の重点事業として実施しております物流ボトルネック解消プロジェクトにおいて、全庁的な体制で物流ネットワークの形成の検討を行っているところでございます。
 また、この検討内容を踏まえて、現在策定中の区部における都市計画道路の整備方針におきましても、新木場付近で臨海道路に接続し、東京湾岸道路の北側に延びる補助一四四号のように、臨海部から区部へ至る道路を優先整備路線に選定するなど、関係各局と連携をとりまして物流ネットワーク形成を進めているところでございます。

○谷村委員 物流ネットワークを構築するために必要な、新たな路線の整備に対する取り組み状況につきましては、ただいまのご説明でよくわかりました。
 しかし、新規の道路整備には膨大な費用がかかるため、一朝一夕に整備ができるものではないというのも事実であります。財政状況も厳しい昨今の情勢の中では、既存の道路をどれだけうまく利用していくかという視点も重要だと思います。
 本年二月に東京都港湾審議会から答申をされました第七次改訂港湾計画の基本方針では、港湾と背後圏である首都圏とを結ぶ既存の幹線道路においても、大型コンテナ車両に対する重量制限や高さ制限などにより通行規制がされ、迂回せざるを得ないという物流のボトルネックが存在していることが指摘をされているわけでございます。東京港の国際競争力強化には、首都圏への迅速、安定、低廉な物流の実現が重要であり、こうした物流ボトルネックの解消も必要だとの提言でございました。
 そこでまず、大型コンテナ車両が規制を受けて通れないという状況があるということですが、具体的にどういう規制があるのか、その内容をお伺いしたいと思います。

○松井計画調整担当部長 大型コンテナ車両の通行制限についてでございますが、大きく分けて二つございます。
 一つには、道路にかかる橋梁の強度が不足することに起因するものでありまして、もう一つは、主に道路管理上の問題から通行を規制しているものでございます。
 一つ目の橋の強度が不足するといいますのは、平成五年に道路構造令が改正されるまでは、幹線道路の橋梁につきましては、車の総重量を二十トンと想定してつくっておりましたため、古い橋梁におきましては通行を制限しているものでございます。このような橋梁は、環状七号線などにも幾つか存在しています。
 次に、道路管理上の問題から規制しているものとしましては、首都高速道路が挙げられます。これまで、湾岸線を除き、大型コンテナ車両は、零時から六時に限り通行可能としてございました。また、近年主流となっている背高コンテナ車両、通常のコンテナ車両は高さが三・八メートルでございますが、背高コンテナ車両につきましては、三十センチ高くて四・一メートルという形になってございますが、この背高コンテナ車両は、湾岸線を除きまして全面通行禁止となってございます。
 このように、都内の幹線道路におきましても、物流のコンテナ車両が通れない路線があり、このボトルネック解消が必要と提言されたものでございます。

○谷村委員 それでは、そういう規制に対して、こうした物流のボトルネック解消に向けてどういう方策を検討されているのでしょうか、お伺いをいたします。

○松井計画調整担当部長 物流のボトルネック解消に向けての対応でございますが、重量制限がある環状七号線の橋梁部などにつきましては、平成十六年度の都の重点事業として優先的に補強工事を実施することとしております。
 また、首都高速道路における大型コンテナ車の通行規制の緩和について、関係各局と連携いたしまして、国や首都高速道路公団に規制の緩和を要請してきたところでありますが、昨年十月に首都高速道路における大型コンテナ車両の通行時間規制が撤廃されることとなりました。
 さらに、これまで首都高速道路湾岸線においてのみ通行が認められていました背高コンテナ車両につきましても、本年三月二十二日から規制が緩和されることとなり、港湾から首都高湾岸線及び中央環状線を経由いたしまして、他の高速道路に直結する輸送ルートが確保されるなどの成果を上げることができました。
 今後とも、背高コンテナ車両が通行可能な経路の拡充など、一層の規制緩和を国等、関係機関に働きかけ、港湾地域から内陸部への迅速な物流の確保に努めてまいる所存でございます。

○谷村委員 重量制限がかかる橋梁部については、平成十六年度の重点事業に入れて、優先的に橋梁の補強工事を実施していくと。それから、大型コンテナ車両の首都高速道路の通行時間規制が昨年十月から撤廃をされることになった。三月二十二日といいますと、いよいよ来週からですか、背高コンテナ車両についても通行ができるようになったという、いろいろな成果が、港湾局の皆様の地道な努力のたまものとして目に見える形で着実に実現をしており、高く評価をさせていただきたいと思います。
 今後とも、効率的な物流ネットワークの構築に向けて、ぜひとも頑張っていただきたい、このように思うわけでございます。
 次に、ソフト面での先導的役割についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 この面で特に都に求められるのは、上からのお仕着せではなく、事業者みずからの自主的な取り組みを支援し、引き出していく施策、こうした方向こそ今後の行政のあるべき姿であり、このたび導入されるインセンティブ制度というのは、まさにこの方向に沿った施策であるといえるのではないかと思います。
 そこでまず、これまで東京港が実施をしてきているインセンティブとしてはどのようなものがあるのかをお伺いしたいと思います。

○新田参事 これまで東京港におきましては、国際競争力の強化に向けまして、二十四時間三百六十五日フルオープン化を推進してきておりますが、そうした観点から、利用の少ない日曜日の港湾利用を促進し、新規航路の誘致などを推進していくため、平成十一年七月からでございますが、日曜日に荷役を行う外航コンテナ船等につきまして、その入港料と係船使用料の免除を行ってきております。

○谷村委員 平成十一年七月から日曜荷役を行われてこられたと。ただ、現状、東京港では、日曜荷役船に係るインセンティブしか実施をされてこなかったということもいえるわけでございますが、この間、国内主要港では、国際競争力の向上に向けて、大型船の誘致やコンテナ貨物の増加を促すさまざまなインセンティブ制度が競って導入をされてきたと伺っております。
 都も、港湾コスト三割削減への引き金として、来年度よりこのインセンティブ制度を導入する方向で、大きく一歩を踏み出すわけであります。そこで、今回、都が導入をするインセンティブ制度の内容について、その概要を確認の意味でお伺いいたします。

○新田参事 お尋ねの、このたび導入いたしますインセンティブ制度の概要でございますが、大きくは、貨物量の増加を促すボリュームインセンティブというものと、施設の効率的利用を促しますインセンティブ、この二種類に分けることができます。
 このうち、まずボリュームインセンティブでございますが、これは、貨物取扱量が増加した場合、あるいは内航のフィーダー貨物や外航のトランシップ貨物といいます、いわゆる中継貨物でございますが、これを取り扱った場合に、その使用料等を減免するものでございまして、これによりまして、貨物取扱量の増加に向けた事業者の努力を促そうというものでございます。
 また、もう一方の施設の効率的利用を促すインセンティブでございますが、これは、事業者がグループを組みまして共同借り受けをするなど、施設利用の共同化あるいは集約化に寄与した場合、あるいは日曜日に荷役を行う、あるいは日曜日にゲートオープンを行うといった、比較的利用の少ない日曜日の施設の有効活用を図る場合に使用料を減免するもの、以上でございます。

○谷村委員 今回、ボリュームインセンティブと施設の効率的利用を促すインセンティブ、二種類を導入されるということでございますが、そのうちの施設の効率的利用を促すインセンティブについては、他の国内主要港でも導入例が少ない、このように伺っております。
 世界の海運業界では、まさに生き残りをかけた企業間競争を激しく展開している中で、施設を効率的に利用するのは極めて当然のこと、ある意味では第一要件になってくるものかもしれません。現在それが行われていないというのは、ある意味では、全く理解をしがたいところでもあります。
 そこで、施設の効率的利用を促すインセンティブの導入をすることによって、民間企業にどのような効率的運営を促していくのか、お伺いいたします。

○新田参事 このインセンティブの導入を呼び水といたしまして、一つには、民間事業者に日曜の施設利用を促しまして、フルオープンをより強力に推進していくということが一つでございます。
 また、二つとしまして、民間事業者に施設利用や港湾荷役作業の共同化を促していくことを目指してございます。
 このうち、後者の共同化を促していくという面についてでございますが、この面におきましては、大きく二つの方向から事業者の効率化を促進していくことを考えてございます。
 まず第一の方向といたしましては、上屋あるいは野積み場といいました荷さばき施設の利用につきまして、現在は、個々の事業者がそれぞれ小口で施設を使用しているということのために、大変非効率な使われ方となっている場合もあるわけでございますが、これを、事業者がグループを組んで共同借り受けをしたり集約化することで、施設の効率的利用が促進されるということが考えられます。
 また、第二の方向といたしましては、荷役作業が、現在は元請、下請の関係で、極めて固定的に行われている。こういったために、効率の悪い作業の体制となっておりますが、その垣根を越えまして行われる作業の共同化、こういったものが進展することが期待できるのではないか。さらに、将来的には、荷役の波動性にも対応できる、より効率的な運営体制、そこまで共同化が進んでいくことを期待しているところでございます。

○谷村委員 利用者に施設の効率的利用を促し、施設の利用率を高めることは大変に有効なことであります。特に海貨上屋に関しては、年間利用率が五〇%にも満たないどころか、それよりもかなり低い施設があると伺っております。
 これらの施設は、昭和六十年代の輸出貨物を対象としてつくられたもの、輸出のための施設だったということですけれども、現在、輸入貨物が増大して荷さばき施設の不足が顕在化する中で、施設利用の抜本的見直しにより、利用率の向上を図る必要があるわけでございます。
 海貨上屋の利用率向上に向けて、どのような取り組みを実施していくのか、お伺いいたします。

○新田参事 ただいまお話のございました海貨上屋、これは大井ふ頭にございまして、お話の中にもございましたが、輸出入コンテナを取り扱う施設でございます。
 この施設に関しましては、インセンティブ制度をてこに既存利用者の集約化を図るということによりまして、まとまった空きスペースを確保していく。それによりまして、この空きスペースを、荷主の多様なニーズに対応していこうというふうに考えております。
 また、使用形態、これは現在、一日単位になってございますが、これを長期の定期使用でございます専用的使用に改めることによりまして、事業環境の安定化を図るとともに、施設の高度で効率的な利用に向けました利用者の活発な設備投資を可能としてまいるものでございます。
 こうした取り組みを推進していくため、来年度、荷主のニーズに対応する実証実験を行うというぐあいに考えてございまして、その結果を海貨上屋の今後の高度な活用に結びつけていくということで、東京港における高機能物流拠点の形成を促進していこうという考えでございます。

○谷村委員 今回これだけ多くのインセンティブを前向きに導入したことは、国際競争力強化に向けて、港湾局としての熱意のあらわれだと高く評価をさせていただきたいと思います。
 最後に、国際競争力強化に向けた成田局長のご決意をお伺いいたしたいと思います。

○成田港湾局長 ことしの二月に、港湾審議会から東京港第七次改訂港湾計画の基本方針をいただきました。この基本方針の思想といいますか、基本的考え方を一言で申し上げますと、東京港から発信する日本の物流改革という考えだろうと思います。
 これを実現していくためには、一方では、東京港の国際競争力強化のために、港湾管理者といたしまして先導的な役割を果たしていく必要がございます。そのためには、このたび導入するインセンティブ、これにつきましては、新田参事がただいまるる申し上げましたが、このインセンティブをてこに民間事業者の経営努力を最大限引き出しまして、東京港のサービスアップ、コストダウンを強力に推進していきたいと思っております。
 いま一つは、首都圏という広大なヒンターランドを見据えまして、東京港という港湾から消費地、生産地に至る物流を総合的にとらまえまして、背後の道路ネットワークの整備促進、あるいは物流ボトルネックとなっている規制の緩和等々、松井部長が申し上げましたが、こうした課題につきまして、国や関係機関を巻き込んで物流の効率化を実現していくことも大切であると考えております。
 現在、東京港の振興促進に向けた指針となります新アクションプランをこの三月末にまとめるべく、いろいろ鋭意取り組んでおりますけれども、そうした取りまとめを通じまして、アジアの主要港湾に伍し得るメーンポートとしての東京港にさらに発展していけるように、官民一体となって取り組んでまいる決意でございます。
 ぜひ真鍋委員長を初め都議会の委員の先生方からもご支援を賜りますよう、お願いしたいと存じます。

○谷村委員 物流改革をキーワードに、全力で取り組んでおられるというお話を伺いました。そういった物流改革を進めていく上で、商慣行、さまざまな、この前まで当たり前のように行われていたような慣行というものも改めていかなければならないという視点もございます。
 本定例会の我が党の代表質問におきましては、水先料の問題点、弊害というものも改めて指摘をさせていただきました。東京港の国際競争力強化に向けては、そのコスト縮減を目指して、これまでの慣行というものを、時には打破していかなければならない課題が多くあるわけでございます。
 改革に反対ばかりして硬直している政党もありますけれども、我が党は、成田局長を初め港湾局の皆様としっかりと連携をして、東京港がアジア諸港を初め世界のどの港湾にも負けない高機能を整備できるよう、その推進に全力で取り組んでまいりたいと、同じく決意を表明いたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、本案及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、本案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十一分散会

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