経済・港湾委員会速記録第十六号

平成十五年十二月十二日(金曜日)
第八委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長真鍋よしゆき君
副委員長北城 貞治君
副委員長酒井 大史君
理事谷村 孝彦君
理事三宅 茂樹君
理事丸茂 勇夫君
土持 正豊君
和田 宗春君
池田 梅夫君
前島信次郎君
山崎 孝明君
川島 忠一君
田中 晃三君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長有手  勉君
総務部長島田 健一君
中央卸売市場市場長森澤 正範君
管理部長石川 俊一君
港湾局局長成田  浩君
技監高野 一男君
総務部長浅倉 義信君
参事岡田  至君
港湾経営部長片岡 貞行君
参事新田 洋平君
臨海開発部長高松  巖君
開発調整担当部長萩原 豊吉君
営業担当部長金子  優君
港湾整備部長樋口 和行君
計画調整担当部長松井  創君
参事安藤 哲士君
離島港湾部長原田 龍次君
参事松本 義憲君
地方労働委員会事務局局長久保田経三君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 港湾局関係
  契約議案の調査
  ・第二百四十号議案 平成十五年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)請負契約
  報告事項(質疑)
  ・東京港第七次改訂港湾計画の基本方針(中間報告)
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○真鍋委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、意見書三件を、お手元配布のとおり提出したい旨の申し出がありました。
 本件について、本日の理事会において協議した結果、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議の結果のとおりとすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○真鍋委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の契約議案の調査並びに報告事項の質疑を行っていただきますとともに、請願陳情並びに特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しは、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十五年十二月十日
東京都議会議長 内田  茂
経済・港湾委員長 真鍋よしゆき殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
  記
1 契約議案
第二百四十号議案 平成十五年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)請負契約
2 提出期限 平成十五年十二月十二日(金)

○真鍋委員長 これより港湾局関係に入ります。
 契約議案の調査を行います。
 第二百四十号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しています。
 資料の要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
 発言願います。

○池田委員 第二百四十号議案の平成十五年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)の契約案件について、二、三質問させてもらいます。
 新海面処分場への埋め立ては、平成十年から開始されております。十四年度までの埋立処分計画と、実績がどうだったか、示してください。

○樋口港湾整備部長 平成十年度から十四年度までの新海面処分場におきます廃棄物の埋め立ての計画と実績でございますが、計画としましては千七十四万立米、実績は九百五十三万立米でございます。

○池田委員 中央防波堤外側の処分場(その二)の埋立計画量、そして処分実績量はどうだったか、これも示してください。
 また、いつまで処分できるのか。今、実際に処分がやられて、そしてその計画が、やった期間より延びている。要するに、延命化されているというふうなことを聞いております。その辺の状況もあわせて質問します。

○樋口港湾整備部長 中央防波堤外側(その二)埋立地に関する計画と実績でございますが、埋め立ての計画量は二千四百七十万立米でございまして、十四年度までの処分実績としては千九百八十四万トンでございます。このトンというのは、埋立地への搬入管理というのは運搬車重量による計測によっておりまして、中央防波堤外側(その二)埋立地というのは、未処理のごみ、いわゆる生ごみでございますが、これと焼却灰が一緒に埋め立てられていた時期がございまして、ちょっと容積換算ができないということで、トンでお示ししたものでございます。
 この処分完了時期でございますが、これは今、環境局の方で所管してございますが、平成十五年度末ごろというふうに聞いてございます。当初の計画ですと平成七年度という予定にしておりましたので、十五年度完了ということになれば、八年程度延命化ができたということになります。

○池田委員 このように、当初の計画と比べて、処分量が低く抑えられてきたと。こういうのは、東京都全体のごみの排出量が、ご存じのように、この十年、連続で減少してきている。そういうことに見られるように、この間、ごみの発生量を抑制する、そしてリサイクル、資源回収、建設発生土、それから、しゅんせつ土などの有効利用などがこの最終処分場の延命化、こういうことが都民や自治体、そして関係者の努力でやられてきた、こういうふうに私は考えています。
 東京都の廃棄物処理計画では、一般廃棄物、事業系廃棄物それぞれの発生量を抑制する努力をさらに強めていこう、そういう方向が出されております。これは私は、これからの東京都の埋め立ての問題で考えたときに、重要な問題を指摘しているというふうに思うんです。
 例えば一般廃棄物で見ますと、この計画によりますと、十七年度の最終処分量を、平成十一年度と比べて三割削減する。それから、十九年度を十一年度対比でおおむね半分にする、こういうふうに削減目標を出しているんですね、計画を。
 また、産業廃棄物の方ではどうかというふうに見ますと、平成十七年度の最終処分量を、十一年度の対比で五三%、このぐらいに削減しよう、こういうふうに東京都の廃棄物処理計画では出されているわけです。ご存じのとおりだと思うんですね。
 私は、こういうことを考えて、今重要なのは、減量、資源化、そして最終処分量の削減、これの都民、自治体、また事業者の全体的な取り組みがますます求められている、重要だというふうに思います。
 全都的な取り組みが重要ですけれども、東京都全体としては、もちろん、いろいろな局でそれぞれの努力を始めて、やられていく。しかし、港湾局として、当該局として、この目標をどういうふうに具体的にやろうとしているか、その方策について説明してください。

○樋口港湾整備部長 ごみの減量化といいますか、新海面処分場の延命化などを含めた取り組みでございますが、新海面処分場は東京都区部の最後の処分場でございまして、私どもも、これを大切に利用するという観点から、さまざまに工夫をして延命化に取り組んでいるところでございまして、今お話にございましたように、まず、廃棄物は清掃工場などで減量化したり資源化するというようなことでございまして、埋立処分に当たっては、そうした削減した量を埋めるというようなことでございます。
 また、港湾局独自としては、しゅんせつ土、建設残土の広域的な利用も含めて、有効利用を積極的に推進して減量化を図っているというようなことでございます。
 さらに、処分場内の海底地盤の深掘り、今、海底面を少し下げて、そこにいっぱい、容量がふえるというようなことを深掘りといっていますが、その深掘りをしたり、しゅんせつ土等を所定の地盤まで埋め立てて、沈下促進工法、少し圧密して重量をかけると沈下していくというようなこと、沈下を促進するような工法を取り入れるというようなことをして、処分場の容量増大策を図り、延命化を図っているところでございます。
 引き続いて、この最後の処分場を延命化するために、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○池田委員 これは、最後、要望にしておきますけれども、燃やして捨てるというようなやり方というのは、私どもは、やはり環境の問題だとかさまざまな問題で、今までも一貫して、排出量を下げる、そして資源化、減量化ということでいってきているわけですけれども、その努力を今、港湾局は港湾局として、埋立地の延命化のためにさまざまな努力もされてきたし、また、やろうとしている。そういう点で、その取り組みを一層推進していただきたい、このことを要望して、質問を終わります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対し意見のある方は発言を願います。

○池田委員 契約案に対する意見を申し述べたいと思います。
 新海面処分場は、東京港内で残された最後の埋立処分地です。私たちは、膨大なごみ量の埋立処分は、東京湾への環境負荷の問題を一層増大していくということ、同時に、都財政に多大な財政負担をもたらすことから、新海面処分場については、当初から、廃棄物の発生量などを十分考慮して、建設計画が過大であることを指摘してきました。
 質疑で今明らかになりましたように、平成十年度から十四年度までの埋立計画と実績の実態を見ると、計画に対して約八八%ぐらい、こういう状態です。これは、都民、自治体を初め、ごみ減量、資源化などへの引き続く努力、建設残土、そして、しゅんせつ土などの活用など、業者、関係者の取り組みの結果であり、計画を見直すべきであることを示しているというふうに思います。
 また、新海面処分場の護岸建設に、十四年度までに千五百九十一億円使われているわけです。今、都財政の厳しさが叫ばれている中で、多額の建設資金を投入してのGブロックの護岸建設工事を急ぐ必要はない、こういうふうに私どもは考えています。
 よって、議案に反対であることを表明します。
 以上です。

○真鍋委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案については、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○真鍋委員長 次に、報告事項、東京港第七次改訂港湾計画の基本方針(中間報告)に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言願います。

○北城委員 先般発表されました中間報告でありますが、首都圏の物流改革をリードするメーンポートとして東京港を革新するんだと、こんな大きな項目が掲げられているわけであります。ある意味では物流の問題というのは、いかにコストをかけずに、求められた時間に求められた場所に物を運ぶのかというような問題なのかなと、こんなふうに思うわけであります。そんなことを考え合わせますると、今回の報告のポイントは、物流の改革にあると思うわけであります。
 そこでお伺いをさせてもらいたいのでありますけれども、ある意味では、物流を改革する、物流の効率化を図る、このことこそが今の社会経済状況下の中で求められている大きな課題であり、この効率化を図ることによりまして、ある意味では今の日本の停滞し切った経済社会の打開ができるのかなと、こんなふうに思うわけであります。
 それで、確認の意味で、物流の改革、物流の効率化につきましての基本的な認識につきまして、お伺いをさせてもらいたいと思います。

○新田参事 お尋ねの物流改革あるいは物流効率化の基本認識でございますが、我が国の物流につきましては、例えば経済産業省の内外価格差調査といったものがございますが、そういった調査等によりますと、日本の港湾運送部門のコストは、海外諸国のほぼ二倍というぐあいにされております。このように、日本経済の高コスト構造の大きな要因の一つとなっております。こうしたことから、物流効率化に向けて、実効性のある政策の展開が不可欠であるというぐあいに認識しております。
 特に東京港におきましては、輸入コンテナ貨物の九割が、背後圏でございます首都圏で消費されている、また、輸出されております貨物の八割が首都圏から出荷されているということなど、首都圏物流の生命線となっているところでございます。
 アジア諸港が躍進する中、仮に東京港が基幹航路から外れましてフィーダーポートに転落した場合、物流コストの上昇や流通時間の増大、物資供給の不安定化など、首都圏経済への悪影響が懸念されているところでございます。こうしたことにならないよう、東京港が、基幹航路が寄港するメーンポートの地位を保持していくために、これまでにないコスト低減策やリードタイムの短縮策など、官民一体となった物流効率化に取り組む必要があると考えております。

○北城委員 例えば民間企業におきましては、恐らく企業の存亡をかけまして、徹底した物流コストの削減に取り組んでいるわけであります。こうした厳しい時代状況を踏まえるならば、物流は民間の問題として受け流すような行政の姿勢は、絶対に許されるわけはないわけであります。行政も、物流をみずからの問題として積極的に取り組む姿勢が必要であるということをここに指摘をしておきたい、こんなふうに思います。
 私は、さきの委員会で、リードタイムの短縮、また、港湾コストの三割削減につきまして質疑をさせていただいた経過があるわけでございますけれども、今重要なことは、そのための具体的な施策を迅速に実現することであろうと思います。
 そこで、港湾コストの削減を、どのような手法によって、特にいつまでに実現をするのか、この点につきましてのご所見を明らかにしてもらいたいと思います。

○新田参事 港湾コストの低減につきましては、取扱貨物量の増加を促すインセンティブ制度の導入等によりまして、スケールメリットを生み出し、コンテナ一個当たりのコストを一五%ないし二〇%低減するという方向がまずございます。このため、貨物量の増加を促すさまざまなインセンティブ制度の導入、こういったものに努めてまいりたいというぐあいに考えております。
 これに加えまして、船舶関連費用、荷役料金、ターミナル費用といった港湾コストを構成します費用項目につきまして、各構成費目の低減化対策を図っていくことで、全体として約三割のコスト低減を目指す考えでございます。このため、港湾荷役の共同化の推進方策などを関係者間で詰めておるところでございます。
 こうした方向性につきましては、現在、スーパー中枢港湾育成プログラム、これは関係者との間で現在策定をしてございますが、その実現に向けて官民一体となった検討を重ねておりまして、スーパー中枢港湾育成プログラムの実施期間、これはおおむね五年というぐあいにされておりますので、その期間程度での実現を目指していきたいというぐあいに考えてございます。

○北城委員 五年以内というような、今明確なご答弁があったわけでございます。ただ、この問題につきましては、一日の先送りも許されない課題でありますので、五年といわずに、ぜひ毎年の中で実現を図っていくようなご努力をお願いしたい、こんなふうに思うわけであります。
 今のご答弁にもありましたように、コストの低減を図っていくためには、船舶の関連費用や荷役料金など、民間事業者が対応しなければならない課題が多く含まれているわけであります。民間事業者の方々も、現下の社会経済の状況の中でぎりぎりの経営に取り組んでおり、さらなるコストの低減は非常に厳しい課題なのかなと、こんなふうに思うわけでありますけれども、現実にはどこまで民間事業者の理解が得られるのか、疑問の面もあることも事実であります。
 そこでお伺いをしますけれども、民間事業者の理解が得られているのかどうか、この際、はっきりとしたご答弁をお願いしたいと思います。

○新田参事 民間事業者の理解についてでございますが、東京港の相対的地位が年々低下してきているという危機感、あるいは港湾コストの低減が必要であるといった点につきましては、民間の事業者も、我々と同様に、共通認識に立っているというぐあいに考えてございます。
 東京港では、他港に先駆けまして、国際競争力を持った使いやすい港づくりをしていこうということで、民間事業者を含む広範な東京港関係者が結集いたしまして、平成九年七月に東京港振興促進協議会というものを設立いたしまして、平成十一年には、東京港の振興促進に向けました取り組みの努力目標といいますか、実施内容を取りまとめまして、アクションプランというものを策定し、その実現に関係者一丸となって取り組んできた、そういう経緯がございます。
 さらに、昨年十一月からは、現行のアクションプランの改定、あるいはスーパー中枢港湾の指定、さらには構造改革特区による規制緩和等々に取り組むために、この東京港振興促進協議会のもとに、テーマ別に四つの検討部会を設置いたしまして、それぞれ関係者が集まりまして精力的に検討を行ってきております。現在、東京港関係者によりますコスト低減などの取り組みの目標を明らかにし、その実現に向けた関係者の努力を引き出していく新たな指針としまして、仮称でございますが、新アクションプランというものを取りまとめているところでございます。
 官民一体となった機運をさらに盛り上げていきたいと考えております。

○北城委員 ぜひお願いをしたいなと思います。
 そこで、今までの質疑の経過の中で、東京都や民間業者の方々が、さまざまな問題解決のために前向きな対応をされているということは、一定の評価をさせてもらいたいな、こんなふうに思います。
 ただ、それらの実現に対しまして、私は、障害になるような国の規制等々もあるのかなと、こんなふうに思うわけであります。もしあるとしたならば、どのような規制等があるのか、また、東京都は、それを打開するためにどのような対応をされているのか、お伺いをさせてもらいたいと思います。

○新田参事 物流改革、物流効率化の障害という点でございますが、国の規制等にかかわります物流効率化の障害といたしましては、水先料金あるいは強制水先制度、さらには動植物検疫の執務時間の問題といったものがございます。
 現在、こうした障害の改善につきまして、構造改革特区の提案、あるいは国への政府提案要求等々、あらゆる機会を通じまして要請を行っておりまして、港湾利用者や関係団体等との連携を図りながら、今後、一層強力に要請活動を展開してまいりたいというぐあいに考えております。
 また、国に対して要請を行う前提といたしまして、例えば上屋などの都の施設の使用許可方式、これを短期的な一般使用から長期的な専用使用に変更するなど、都みずから率先垂範して、実施できる規制緩和や手続の簡素化、こういったものに積極的に取り組んでいくことによりまして利用者ニーズにこたえていくことも非常に重要なことであるというぐあいに考えております。

○北城委員 例えばリードタイムを短縮して、コストの三割削減をする。ただ、そこに国の規制等々があるとしたらば、必ずその国の規制がまた障害になってくると思うんですよね。やはりこれは、強い姿勢の中で国等々に働きかけをしてもらいたいなと、こんなふうに強く要望しておきます。
 ところで、話は変わりますが、先日、民間企業の研究団体、日本プロジェクト産業協議会が、東京湾の国際コンテナ物流を、川崎、横浜に集約をというような提言をされたわけであります。その提言の中で、東京港の大井、青海地区の国際コンテナ機能を廃止というような言及もされているやに聞いております。この提言につきまして、東京都の所見をお伺いさせてもらいたいと思います。

○片岡港湾経営部長 東京港は、長距離の基幹航路がコンテナでたくさん寄港いたしております港でございます。その取扱量は、年間二百七十八万TEUにも達しておりまして、今や日本一の国際コンテナ貿易港でございます。首都圏四千万人の消費生活と産業活動を支える、首都圏物流のまさに生命線といえるまで成長してきております。
 新聞報道の内容につきまして、JAPICは正式の提言ではないというふうにいってはおりますが、この内容につきましては、東京港の国際コンテナ機能を川崎、横浜にシフトした場合、川崎、横浜から東京への大量の貨物の横持ちが発生いたしまして、物流コストと流通時間の増大を招き、都民を初めといたします首都圏の生活と産業に悪影響を与えることは必死であろうというふうに考えております。
 川崎、横浜港では、現在東京港で扱っております二百七十八万TEUに及ぶコンテナを初めといたしまして、八千万トンを超える貨物を扱える容量はございませんで、これを受け入れるためには莫大な投資を行うことが必要になりまして、これもまた非現実的であろうかと思っております。
 さらに、環境面でも、横浜、川崎と東京の間のコンテナ輸送車両の大幅増というような深刻な事態を引き起こしまして、また、危機管理の面においても、震災時におきます大量の緊急物資輸送の拠点となる岸壁が東京に必要でございます。
 このような観点から、この内容につきましては、提言ではないといっておりますが、東京都といたしましては大変遺憾でございます。
 東京港の国際競争力の強化に向けまして、官民一体となって低廉かつ迅速で安定した物流の実現に取り組んでおりまして、今後とも、首都圏の物流改革をリードいたしますメーンポートを目指し、邁進してまいる覚悟でございます。

○北城委員 まさに非現実的な提言であるといわざるを得ないわけであります。ただ、心配することは、この提言の中で、広域連携というものがやはりおくれてしまうというような、何か危惧をしているものでございますので、あえて質問させていただきました。
 と申しますのは、やはり東京港だけでは解決でき得ない問題も多々あるわけであります。やはり広域連携、横浜、川崎等々との連携が必要不可欠な課題でありまして、この広域連携によりまして、ある意味では東京湾の活性化にもつながるわけでありますし、また、物流の改革にもつながっていくと私は思うわけであります。
 そこで、改めまして、広域連携につきましての考え方、また、今後の対応につきましてお伺いをさせてもらいたいと思います。

○片岡港湾経営部長 広域連携の必要性についてでございますが、東京湾内の港湾の中で、東京港につきましては、食料、衣料品や家電製品などの生活関連物資の取り扱いが際立って多く、商業港としての性格を強く持っております。一方、千葉、川崎という港は、原材料の取り扱いが中心の工業港としての性格が強いと。横浜港につきましては、その中間的に、商業、工業港としての二つの、両方の性格を有しており、これらの港が全体として首都圏の物流を支えているものという認識をいたしております。
 こうした観点から、各港の役割も踏まえながら、港湾利用サービスの向上を図って、使いやすい港づくりを進めていくということが必要だというふうに考えておりまして、京浜三港は、お互いに競い合いながらも連携していく。具体的には、施設の使用手続の共通化などを手始めといたしまして、共通の仕組みで対応することが有効な事項について連携施策を推進していくことは、ご指摘のとおり、大変重要であろうと認識しております。

○北城委員 広域連携を図っていく、そしてもう一つ重要なことは、東京港が率先をして物流の改革に対応する。私は、それによりまして、疲弊し切った日本の物流の改革にもつながっていきますし、また結果、日本の経済にはかり知れないぐらいの大きなよい効果をもたらすであろうと思っております。
 そこで、最後にお伺いをしますけれども、東京港から発信をする日本の物流改革に取り組む局長の決意をお伺いさせてもらいたいと思います。

○成田港湾局長 東京港から発信する日本の物流改革、これは、このたび港湾審議会からいただきました基本方針の中間のまとめのサブタイトルでございますが、これは同時に、物流をみずからの問題として受けとめ、取り組みたいという、私ども港湾局の思いでもございます。
 先生ご指摘のように、我が国の物流の高コスト構造の改革は、日本経済の活性化、日本の国際競争力の強化にとって喫緊の課題でございます。しかしながら、この物流行政につきましては、例えば国は、この間、総合物流施策大綱あるいは新総合物流施策大綱等を発表してはおりますが、縦割り行政の弊害等により、総合行政としての取り扱いが必ずしも十分ではありません。
 また、翻って我が東京都におきましても、所管部署がないといったことから、そういう行政の盲点があったのも事実でございます。
 また、物流改革を進める施策は、港湾、道路等のインフラ整備から規制緩和など、ハード、ソフト両面にわたるとともに、その対象地も、水際の港湾から関東一円の内陸部まで、広い範囲に及ぶところでございます。
 こうした課題の困難さといいますか、多様性を踏まえつつ、都は、首都圏四千万人の生活と産業を支えるゲートウエーたる東京港からの物流改革を全庁的な重要テーマとして位置づけまして、来年度の重点事業といたしましては、総合物流ビジョンの策定に着手するとともに、東京港におきますサービスアップ、コストダウン作戦、あるいは物流ボトルネックの解消、こうしたさまざまな取り組みを行っていくということを都として決めております。
 私ども港湾局といたしましては、こうした事業を進めていく上で、関連各局と連携を深めるとともに、その先頭に立って物流改革に取り組んでいきたい、かように考えております。

○和田委員 前回の委員会で、第七次改訂港湾計画の基本方針の中間報告がありました。その直後の十二月二日に、一時半からですけれども、ヤマハホールで、今少し触れられたJAPICのシンポジウムがありました。私、その資料を入手しているわけでありますが、公の東京都の中間報告と、JAPIC、すなわち社団法人日本プロジェクト産業協議会、JAPICと頭文字で省略しますけれども、時期を同じくして、そこのこの種の報告が出されました。官民挙げて、東京湾をどうするんだ、東京港をどうするんだということが盛り上がるということは、大変結構なことだと思います。
 しかしながら、このJAPICは、昭和五十四年に任意団体でできて、今は社団法人になっていまして、会長さんは大きな製鉄会社の会長さん、あるいは副会長さんは、大きな建設会社の会長さん並びに大きな銀行の頭取さんというような形で、はっきりこれは、産業界を中心にした東京港構想が十二月二日に出されたということでありますから、民間というか、どちらかというと、産業界と、東京都の公の東京港に対する開発の提言が偶然ダブってきたということで、私は大歓迎をしているところなのです。
 このJAPICは、重立った方向をこのようにいっているんですね。すなわち、東京港を、三つの軸を置いて、これから三十年後の姿を考えたらどうだというふうにしているのです。
 その一つ目の軸は、港湾物流軸といっておりまして、航空容量の拡大、羽田の再拡張とか第三空港というようなことを挙げたりしておりますし、東京湾全体の港湾の国際的競争力の強化というようなことを含め、港湾物流軸をしっかり立てようというのが一点目の軸です。
 二点目は、環境連携軸といっていまして、廃棄物やリサイクル、防災等の静脈系の広域的課題の克服というようなことをいっておりますし、東京湾全体の土壌汚染の処理とかというようなことをこの環境連携軸の中で取り上げています。
 三つ目の軸は、国際交流、新産業連携軸というふうに名づけておりまして、例えば国際空港の貨物基地、国際会議といったような産業形成を、国際的な軸としてこれからつくっていったらどうだというようなこととか、国家戦略に基づく次世代型産業の集積、ゲノム、ロボット等々を挙げているんです。
 申し上げたとおり、まさに産業界が望みそうな三つの軸がここに挙げられておりまして、この軸をもとに、東京湾を三十年かけてこのように変えたらどうだということがうたわれているんです。
 私は、この第七次の中間まとめと、このJAPICのシンポジウムのときに出された構想というものを突き合わせた中で、とりわけモーダルシフトを中心にして、きょうは議論をさせていただきたいと思うんです。
 気になることは、東京都の基本方針の中では、七ページから八ページにかけてですけれども、「概ね十年後の外貿コンテナ貨物量は、社会経済動向や首都圏の人口動向などから推計される貨物量に加え、アジア諸港並みの港湾コストの実現や港湾サービス向上などの取組みを行うことにより、三百五十万TEU/年程度を目標に施策展開していく。」、このようにはっきりうたって、サービスアップとコストダウンを東京都はいっているんです。
 そういう中にあって、JAPICの方は、文言ではないのですが、(資料を示す)このような図の中では、コンテナ物流機能は横浜とか川崎エリアに集中して、そこから千葉や北関東の方にトラック輸送を中心にして回すというふうに、大きく内陸型の輸送を考えているということなんです。これは、明らかに東京の七次中間まとめ、報告と、このJAPICは違うところであります。
 当初、日経新聞などで報道されたJAPICの、シンポジウムの前の新聞報道でしたけれども、それの写真に載ったあの構想の図とは、当日は違っております。当日はそれを披露せずに、それは新聞だけの報道であって、実際シンポジウムのときは、それは出されていません。
 したがって、それは公にはなっていない。あくまでも仮の構想が新聞にだけ出てしまったということでありますから、私は、当日配られた資料をもとにして、これらのモーダルシフトについての東京の案と、それからJAPICの案といいましょうか、考え、構想というものを突き合わせて、モーダルシフトの推進にどのようにJAPICが--懸念もあるかもしれませんけれども、モーダルシフトのこの構想が、現実寄りの問題にどう貢献するのかということ、東京都なりの考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

○片岡港湾経営部長 JAPICの提言といわれておりますのは、先ほど先生がおっしゃったように、正式にいう提言ではないという形で、JAPIC側は報道されてしまったというふうないい方をしておりまして、必ずしも正確にその提言内容というのは把握できるわけではございませんけれども、新聞報道にございます、大井、青海地区から物流機能を横浜、川崎に移す、こういう形の部分につきましては、これは先ほども申し上げましたように、消費地区に一番近い東京港に貨物が入っているという実情を無視して、横持ち輸送というような形で陸送がふえる。こういうような意味で、モーダルシフトという考え方からは、少し逆行する部分があろうかというふうに考えております。
 ただ、先生おっしゃった、提言全体の中で、モーダルシフトを含めて考えるべき提言が入っているという部分もあろうかというふうに考えております。

○和田委員 確かに、先ほどご紹介したとおり、内陸部を使って内陸交通網を軸にした移送を考えているので、これはかえって交通混雑などを惹起しないかなという、素人の僕らから見ても、この図を見ると懸念があるんですが、今お話しのとおり、このJAPICの構想というのはあくまでも構想ではありますけれども、立ち返って、官民がいろんなアイデアを出し合ってよりよいものを求めていくという意味では、JAPICのこの構想は、大変私は、ある意味での評価をしていくべきだろうと思います。
 実際にその政策がどのような、マイナスになるかプラスになるかということは、それはそれぞれ関係者及び利害関係者がここで議論していけばいいことで、構想としては、私は大変おもしろいものだなというふうに思っているところです。
 それで、JAPICにまたかかわるのですけれども、港湾とか空港とか鉄道、道路、いわゆるインターモーダル化といいますが、ここにも書いているんですけれども、そこも提案しているんですが、少なくとも東京港を中心にして考えるときには、ぜひこういう構想は必要だろうというふうに私は思っているんです。
 空港、鉄道、道路、港湾等の接続という意味で、インターモーダル化ということをここではいっているんですけれども、東京湾に陸揚げされた貨物のほとんどが、今はトラックですね。あそこ、軌道敷は入っていませんから。首都圏の四千万という消費者のところに、消費地の方に輸送されているわけですけれども、東京港から内陸部への貨物の移動をトラックから鉄道に転換することができれば、環境対策上も、まさにモーダルシフトしてくるだろうというふうに思うのです。
 そこで、鉄道輸送へのモーダルシフトについて、今回のこの基本方針の策定に当たっては検討されたのか。一つは、検討に値するという形でなされたのかなと。ここには載ってはいないのですけれども、検討されたのかどうなのか、その経緯についてお答えいただきたいと思います。

○松井計画調整担当部長 基本方針の策定に当たっての鉄道輸送へのモーダルシフトに係る検討でございますが、トラックから鉄道や海運へのモーダルシフトにつきましては、数百キロ以上の長距離輸送でないとコスト的に難しい面がございます。東京港から搬出される貨物につきましては、その九割が首都圏で消費されるということで、鉄道輸送への大幅な転換ということは難しい状況にございます。
 しかし、大井ふ頭、大井コンテナターミナルの直背後にJRの東京貨物ターミナルもございますし、実際に数量的には少ないのですが、実績としまして、数量のまとまりにくい輸出に用いた事例というのが、新潟県の黒井ですとか茨城県の神栖の事例がございますし、あと、宇都宮から、百十二キロのキロ程なんですが、こういった輸入にも使っている事例がございますので、これらを参考にいたしまして、今後とも、鉄道へのモーダルシフトの可能性について検討していきたいというふうに考えております。

○和田委員 JAPICの構想の中にも、東海道貨物支線の貨客併用化といって、お客さんと荷物と両方併用化したらどうだというアイデアも、ここには載っているんです。
 確かに、現行、もう先に、日本の内陸の立地条件から、鉄道が敷かれずに--欧米では、鉄道が先に港との間にくっついてから、その後にトラックとか自動車網ができてくるわけですけれども、日本の場合には、軌道敷が遅くなってしまったということから、もうそこに軌道軸を通すというのはなかなか難しい。
 今あるものをどう活用するかという点では、これからぜひ、今ご答弁いただいたとおり、可能性等の検討を含め、JAPICが提言している東海道線の枝線の利用ということなども、総力を挙げて、モーダルシフトの本来の理想を求めてお願いしたいと思うんです。ご答弁全体は、軌道敷は極めて厳しいという論調ではありましたけれども、しかし、可能性を求めていただくということは、強く要請しておきたいと思うんです。
 次に、陸上じゃなくて、海上の輸送についても触れておきたいと思うのですが、まさに環境負荷が少ない海上輸送です。
 したがって、前々回の委員会でも、どなたかのご質問に答えられておりましたけれども、ロールオン・ロールオフ、ローロー船などの革新船、旧来の船とは違う、そういう船の取扱量はだんだんふえてきていると。二%か三%ぐらいふえたというふうに答弁されたと思いますけれども、どんどんふえてきて、大型トラックですけれども、速度抑制装置の装着などの義務づけだとか、あるいはディーゼル車規制の排ガス規制ということなどから、大型トラックの規制が強まった分、長距離貨物を中心にして陸上輸送から海上輸送への転換ということで、ロールオン・ロールオフ船の活用が見込まれるという状況にシフトしてきていると思うんです。まさにシフトしている。
 そういう中で、ますますその勢いを得て、さきにいった二%、三%の増ではなくて、ローロー船へのモーダルシフトというのを積極的に、攻撃的にといっていいかもしれませんけれども、一方の大型トラックの規制が強くなっているわけですから、そこに意を強くして展開を強めていく必要があると思うのですが、これについては、いかがな構想あるいはお考えをお持ちなのでしょうか。

○松井計画調整担当部長 ローロー船へのモーダルシフトの推進方策でございますが、まずローロー船というのは、フェリーと同様に、コンテナを積んだトラックまたはシャーシーがそのまま船内に出入りできる構造の貨物船です。
 ローロー船につきましては、近年、効率性を求めて大型化しておりますが、つい最近も、博多-東京間あるいは上海-博多間に、相次いで一万総トンと七千総トンの高速のローロー船が就航したところでございます。
 ローロー船を扱っている品川ふ頭十号地その二ふ頭の岸壁水深は、こういった大型船に対応できなくなってきておりまして、背後のヤードも手狭となっております。
 このため、基本方針では、こうした既存ふ頭の岸壁の増深やヤードの拡張、さらには新規需要に応じた新しいふ頭の整備を行いまして、モーダルシフトに対応した港湾の整備を進めていくべきというふうにしてございます。

○和田委員 ローロー船の説明は、この中間報告の中にも書いてあるので、改めて説明いただいて、よくわかります。
 それで、ぜひモーダルシフト、別な意味で陸から海、ローロー船の積極的活用というのは、これからもっと率を伸ばしていってほしいということを強く求めておきたいと思うんです。
 一方、東京、横浜のそれぞれの港を比較してみますと、顕著な一つの特徴があります。すなわち、消費物資の輸入の多いのが東京港、そこから横浜港へ空のコンテナが輸送されるというようなことがあります。港湾間の貨物のいわゆる横持ち輸送といいますが、それが相当数発生してきているというのが今までの傾向でありました。
 このことについては、まだ全然改革がなされていません。もとより、それは輸入が多いからだという東京港の持っている性格からかもしれませんけれども、これを改善していくために何らかの手法をこれから考えていくべきではないのか。
 すなわち、輸入が多い東京港と、輸出が多い特徴を持つ横浜港の性格から、これはやむを得ないと思いながらも、東京-横浜間の道路交通などをふやすことによって、環境への危惧が出てくるということになりかねません。
 そこで、特に海上コンテナトレーラーのような大型車両の通行量の削減、それで東京港と横浜港の主要道の沿線地域への環境負荷の軽減を図る上からも無視できないというふうに私は思うのですが、こうした観点から、今申し上げた東京港の持っている、あるいは横浜港の持っている性格、空きコンテナの移送の問題、それから海上コンテナトレーラーのような大型車両の通行量削減ということも含めて、どういう施策を考えようとされているのか、お答えいただきたいと思います。

○新田参事 ご指摘にありましたとおり、東京-横浜間におきましては、空コンテナと、空コンテナ以外の、実入りといっておりますが、中身の入りましたコンテナにつきましても、貨物の横持ち輸送が行われております。
 現状では、個々の事業者がそれぞれ横持ち輸送を行っておりますために、片道だけ荷物を運びまして、帰りは貨物なしの空の状態で戻ってくるという、いわゆる片荷輸送になっている場合が多いということがございます。
 こうしたことから、行きも帰りも貨物を運んで輸送する場合に比べまして、非常に非効率な状態にございます。また、この結果としまして、排気ガスなど、環境への負荷も余分にかかっているというような実態となっております。
 このため、現在、スーパー中枢港湾の育成プログラムを検討してございますが、この中で、港湾間の広域連携の一環といたしまして、国、横浜市、川崎市とともに、コンテナ輸送の効率化の実証実験を行うということとしておりまして、例えば陸上輸送の場合につきましては、事業者間のコンテナトレーラーの共同運行などによりまして、行き帰りの両方向とも貨物を積載輸送することによりまして、トレーラーの通行量の削減を図る、あるいは現状の陸上輸送から、はしけ等の船舶海上輸送へ転換を図るといったことなどの方向が考えられているところでございます。

○和田委員 旧来からはしけはあったわけですけれども、それを多用していくという知恵を働かせることによって、陸上輸送の持っている、公害も含めた、あるいは混雑も含めた、そういう外部不経済を直していくという点は、これからもぜひ追求していただきたいというふうに思っています。
 特に、東京港だとか横浜港などの管理者がお互いに連携して、今申し上げた環境負荷を軽減するというような努力をされているということは、これからもぜひ推進していただきたいと思うんです。
 最後になるのですけれども、モーダルシフト、今まで申し上げてきた、質疑してきたこととちょっと違うのですけれども、前々回、私は東京港、東京湾の災害の問題に触れました。
 万一、震災が出た場合に、川崎、横浜、東京という京浜三港の港湾間での港湾施設の共同利用だとかそういうこと、国際的なバースを中心にして耐震性を強化するとかという答弁もありました。
 国内の緊急輸送のためのバースを強化するということで、レベル1、レベル2の説明も前々回ありましたけれども、横浜、川崎、東京というこの三港の震災時の連携ということは、具体的に今、行われつつあるのか、話し合いにでも入っているのかどうなのか。なければ、これはぜひ進めていくべきだ、急ぐ問題だということをお尋ねいたしたいと思います。

○新田参事 阪神・淡路大震災の際にも明らかになったところでございますが、被災した地域の港湾機能を近隣の港湾がカバーするということは極めて重要でございまして、震災の発生時に、支援物資の海上輸送あるいは国際コンテナ貨物、こういったものに対応していくために、近隣港との耐震岸壁の相互利用を図っていくことが必要というぐあいに考えてございます。
 京浜三港、東京、川崎、横浜、三港では、それぞれ耐震岸壁を整備しておりますが、震災時という非常事態に相互利用が可能になるように、事前に利用協定をあらかじめ締結しておくということが重要となってくるというぐあいに考えます。
 このため、東京港と横浜港及び川崎港、この三港の間におきまして、現在、耐震岸壁の活用方法や相互利用の内容等につきまして検討を始めておりまして、協定締結に向け、取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。

○和田委員 阪神・淡路のときの神戸の事例が一つのモデルになるのですけれども、あそこは岸壁がもう破壊されてしまったものですから、陸上輸送、空輸とか、それに頼らざるを得なかった。
 もしも岸壁がしっかりしていれば、最もスピードアップして、船で救援物資が送られた、また人が移動できたということがあるわけですが、岸壁がやられてしまった、破壊されたために、相当国内混乱が起こったという事例があります。
 したがって、私たち、震災の対応というときには、海の、耐震性の岸壁が絶対必要だということをあの教訓から学ばなければならないと思っているわけでありまして、今、三港の相互利用の協定締結に向けて努力しているということでありますが、いろいろまだまだ問題があるかもしれませんけれども、三港それぞれ共通の課題として、鋭意、この協定締結の具体化を一日も早く実現されるように強く要望して、私の質問を終わります。

○谷村委員 東京港第七次改訂港湾計画の基本方針、中間報告につきまして、東京港の保安対策という角度から質問させていただきます。
 国際テロ組織の標的として東京が名指しをされるという時代になりました。二年前の米国同時多発テロ事件では、これは航空機を使ってのテロでございました。次は、船舶を使ってのテロ、港湾がねらわれるとも指摘されるわけでございます。首都東京の治安の確保のために、東京の海の玄関であります東京港の保安体制の強化が強く求められているわけであります。
 また、海外から不法入国した外国人による犯罪の増加も問題化をいたしております。水際での不法入国防止や、麻薬、けん銃などの社会悪物品の密輸を阻止するための対策が喫緊の課題ともなっているわけでございます。
 都は、こうした問題に広域的に対応していくため、東京湾内の港湾管理者、各都県の警察、国の関係機関に呼びかけ、本年八月、東京湾保安対策協議会を設立しておりますが、そこで初めに、現在、この協議会におきまして、水際での保安対策についてどのような検討状況になっているのか、お尋ねいたします。

○片岡港湾経営部長 お話の東京湾保安対策協議会でございますが、本年八月七日に設立いたしまして、その後、そのもとに、幹事会と、具体的な検討作業を行います専門部会を設置いたしました。
 これまで、幹事会、専門部会、合わせて四回開催しておりまして、密輸、密入国への対応策について、国、自治体あるいは都県警察という枠を超えまして検討してきております。
 具体的には、事案発生の場合の対応策と未然防止のための対応策に分けまして、関係機関の連携のあり方や港湾の保安管理の強化などの取り組みにつきまして、現在、精力的に検討を進めているところでございます。

○谷村委員 密輸あるいは密入国への対策と並び、我が国の重要施設が集中するこの首都東京におきまして、テロに対する具体的な対策を講じていく必要があるわけでございます。
 我が党は、今定例会の代表質問におきまして、テロ防止のための治安対策について質問させていただきました。その際、東京港における改正SOLAS条約への対応に関する取り組み状況についてお尋ねしたところでございますが、港湾保安対策を来年度の重点事業として本格的に取り組んでいく、また、改正条約施行の七月には、断じて体制を間に合わせるという大変に心強いお答えをいただいたところでございます。
 この改正SOLAS条約というのは、海の保安対策を空港並みに強化するというもので、NHKが先月報道したところによりますと、全国百五十八の主な港につきまして十月にアンケートを実施して、七六%から回答を得た。新しいテロ対策の計画づくりの状況についてどうかという問いに対して、見通しの立たない港が五三%、検討中の港が四二%、計画が既に立った港はないという、こういう報道がされておりました。全国的には、この改正SOLAS条約の対応に、大変に厳しいというか、苦慮しているという実態が浮き彫りにされていたわけでございます。
 東京港における保安体制を盤石なものとしていく取り組みを、ぜひとも全国に先駆けてといいますか、全国の模範として取り組んでいただき、この東京港でできなければ、全国どこの港でも対応できるわけがないわけでございますので、ぜひとも着実に進めていただきたいと思うわけでございます。
 そこで、港湾における保安体制が強化されることによって、その一方で、保安施設の整備やその運用のコストも増大していくことになるわけであります。このような問題につきまして、民間の船会社団体や港湾運送事業者の団体からは、SOLAS対応に伴うコストは、国の責任で財政措置を行うべきとの要望が出されていると聞いております。
 SOLAS条約への対応は、本来国が責任を持つべきものであると私も思いますが、都として、国に強くこうした声を働きかけていくべきだと思うわけでございます。
 都は、SOLAS対応にかかわるコスト負担、費用負担につきまして、現在、国にどのように働きかけておられるのか、お伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 お話のとおり、国際的なテロへの対策というのは、一義的には国の責務であると私どもも考えております。
 そういう観点から、都は、国への提案要求の一環といたしまして、本年六月及び十一月の二度にわたりまして、改正SOLAS条約に対応する保安施設整備及び管理運営経費は国が責任を持って財政措置を行うよう要請いたしました。
 さらに、東京港を初め、国内の主要港で構成いたします六大港湾協議会といたしましても、連携いたしまして、国に同様の要請を行っているところでございます。

○谷村委員 今お答えいただきましたような国への要請に対して、国はどのように対応しているのか、また都は、国の措置に対してどう考えておられるのか、二点お伺いしたいと思います。

○片岡港湾経営部長 現在、国は、公共ふ頭におけますフェンスやゲートあるいは監視カメラなどの整備費用につきまして、二分の一の補助を行うというふうにしております。
 しかし、公社のターミナルにおきましては、整備費用は補助という考えはとらないということでございますし、また公社、公共とも、管理運営の経費につきましては補助の対象としないという見解でございます。
 これにつきまして、都といたしましては、補助率、補助対象の両面で大変不十分であるというふうに考えておりまして、今後さらに国に対する働きかけを行ってまいりたい、このように考えております。

○谷村委員 この改正SOLAS条約に対応する諸費用につきましては、国の責任で財政措置を図るよう、引き続き強く要請を進めていっていただきたいと思います。
 港湾の保安体制を整備し、その適切な運用を図っていくためには、民間事業者の果たす役割も大きいものがあると思いますが、そこで、港湾の保安体制を構築していく上で、民間事業者の役割をどのように考えておられるのか、見解をお伺いいたします。

○片岡港湾経営部長 改正SOLAS条約への対応、また密輸、密入国への対応というような港湾におきます保安体制の構築におきましては、ふ頭の第一線で日々、事業活動を営んでいらっしゃいます民間の方々の主体的かつ十分な協力がなければ成り立たないというふうに考えております。その意味で、港湾における民間事業者の方々の果たす役割というのはまことに大きいものがあろうと思っております。
 港湾におけます保安対策の策定に当たりましては、東京の水際を預かる港湾管理者といたしまして、まさに港湾の事業者、民間の事業者の方々と協働いたしまして、一体となって取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。

○谷村委員 民間事業者の果たす役割はまことに大きい、一体となって取り組んでいきたい、こういうお話でございますが、そこで、この保安体制が強化されればされるほど、警備体制に手間暇がかかってくるわけでございまして、貨物の港湾通過時間、いわゆるリードタイムが長引くことが当然懸念されるわけであります。
 SOLAS条約への対応で、結果的にリードタイムの面で悪影響が生じるようなことがあっては、国際貿易港、東京港の競争力が低下していくということにもなりかねないわけであります。
 スーパー中枢港湾の取り組みとしても、このリードタイムの短縮が、コスト低減対策と並んで運営目標の二本柱になっておりますし、このことに大胆に取り組んでいくことが東京港の今後の命運を左右するといっても過言ではないと思います。
 リードタイムの短縮を図るため、都は現在、コンテナ予約搬出入システムやゲートオープン時間の拡充などに取り組んでおられるというご説明をいただいておりますが、とりわけ私は、国の行政機関の手続に要する時間を短縮することができれば、リードタイム短縮の上で非常に大きな効果が上がると思います。
 国は、既存の制度に縛られて、利用者の立場に立った改革にみずから取り組んでいくということがなかなか難しいという面があると思います。そこで、港湾の現場を預かり、利用者の声も届きやすい港湾管理者の立場から、この点についても国にきちんと要望していくことが大事だと思います。
 そこで、これまで都は、リードタイム短縮のために、国の港湾関連行政手続の改善に向け、どのように働きかけ、どのような成果がこれまで得られてきたのか、また今後はどのような取り組みを進めようとされているのか、三点まとめてお伺いいたします。

○新田参事 東京都といたしましては、構造改革特区の取り組みの中で、国際港湾特区といたしまして、これまで四次にわたりまして、リードタイム短縮のための国の港湾関係行政機関の手続の改善等の提案を行ってまいりました。その結果、本年、税関の土、日、祝日の開庁、それと平日の夜間の時間延長が実施されるということになりました。こういった成果が上がってきております。
 また、これは特区に限定された措置ではございませんが、外航コンテナ船から陸揚げされる輸入コンテナの到着即時通関制度といいまして、到着した順に素早く通関手続をやるという制度が本年九月から開始されたということも一つの成果というぐあいに考えております。
 今後さらに、いまだ要望の実現しておりません、動物、植物検疫の開庁時間延長につきまして、特区提案等を通じまして、国に強くその実現を働きかけてまいりたいと考えております。
 また、改正SOLAS条約への対応によりまして、ご指摘にございましたとおり、従来以上に貨物チェックが厳重になるといったようなことから、リードタイムの延長が懸念されているところでございますが、これにつきましては、例えば輸出国側におきまして適切な貨物チェックを行うことによって輸入手続が迅速化されるという、これをコンテナ・セキュリティー・イニシアチブ、略しましてCSIというぐあいにいっておりますが、このような政府間協定によります輸出時のコンテナ貨物検査体制づくりなどについても国に働きかけていきたいというぐあいに考えております。

○谷村委員 港湾の保安の強化と、またリードタイムの短縮という、いわば相反する課題に取り組んでいくためには、非常に難しいかじ取りが要求されると思います。港湾の保安の強化とサービスアップというこの二つは、非常に今日的な重要課題でもあります。
 そこで、成田局長にお伺いしたいと思いますが、保安体制を強化し、世界的な信用力をかち取っていくことは不可欠なことでありますが、これとあわせて、このリードタイムの短縮により、競争力のある国際貿易港として東京港の適切な経営を進め、まさに東京発の港湾改革に取り組んでいくという、大変に重要なお立場におられるわけであります。こうした難局打開に向けての成田局長のご決意を最後にお伺いしたいと思います。

○成田港湾局長 港湾におきますリードタイムの短縮でございますが、港湾保安対策の強化とともに、いずれもゆるがせにできない重要課題であると。これを実現するためには、国の関係機関はもとよりのこと、民間事業者の協力を得て、いずれも確実に推進していくべきと認識しております。
 このために、先ほど新田参事が申し上げましたように、国際間の協調による円滑な海上輸送を実現する仕組みづくり、CSIを国に働きかけていくほか、日曜荷役を促進するインセンティブ制度の来年度の導入や、あるいは全国のモデルとなるような港湾情報プラットフォームの構築などに積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 谷村理事がご指摘のように、港湾の保安の強化とリードタイムの短縮の両立は、一見、相反するようなトレードオフの関係にもなりかねない難しい問題ではございますが、この二つの課題を同時にやり切ってこそ、アジアの諸港と十分対抗できる東京港の国際競争力が確保できる、そのように認識しておりますので、港湾管理者といたしましても、創意と工夫を凝らし、さらに汗を流し、港湾関係の皆様のご理解とご協力もいただきながら取り組んでまいりたい、かように考えております。

○池田委員 最初にお伺いしたいと思うのですが、東京港第七次改訂港湾計画の基本方針、この中間報告が出されて、これに基づいて最終報告がされるわけですけれども、関係する事業者、そして港の第一線で働く労働者、現場からの声、そしてまた消費者団体、都民など、幅広い意見要望をどのように今聞いておられて、これが最終の報告の中で具体的にどういうふうに反映されていくのか、説明してください。

○樋口港湾整備部長 都民の方々あるいは関係者の方々などの意見の反映についてでございますが、都では、都民や関係者の方々の意見を積極的に行政に反映させるということを基本としてございまして、基本方針の作成に当たりましても重点的に取り組んでいるところでございます。
 まず、港湾審議会の中で、都民公募の方々、あるいは港湾関係者としては港運協会だとか船主会、港湾労働組合、海員組合の方々などにお願いして、直接意見を伺うような仕組みにしてございます。
 また、そのほかに、加えて都民意見ということについては、都の広報紙だとか港湾局のホームページなどで中間報告の内容をお知らせするとともに、アンケートをとるというような仕組みにしてございます。
 特に、今回は初めての取り組みでございますが、みなとづくりツアーという名前で、都民の方々約二百四十名でございますが、ご参加いただきまして、直接港を見ていただきまして、特に港湾施設関係、なかなか見ることがないと思いますので、そうしたものを見ていただきまして、中間報告もご説明して、それに対して直接意見を、去る十一月に伺いました。
 このほか、みなと館にアンケートを置くだとか、いろいろな形で工夫して、都民の方々の意見を伺うようにしてございます。
 また、関係者の意見聴取としては、先ほども、東京港振興のために東京港振興促進協議会、官民一体となった仕組みがあるというふうに申し上げましたが、そうした方々にもご意見を伺って、積極的に意見を反映したいというふうに考えてございます。
 今後とも意見聴取に努めまして、最終報告に反映させていきたいと考えております。

○池田委員 この中間報告の一〇ページに、港湾コスト三割低減という項目があります。きょうは、ここの問題に限ってお聞きしたいと思うんです。
 アジアの諸港に伍して国際競争力を強化していくためには、港湾コストを全体として三割程度低減する必要がある、港湾コストは、船舶関係費用、それから荷役料、ターミナル使用料から構成されている。そういうふうにいって、ここでは、規制緩和等による船舶関係費用の低減、スケールメリットによるコスト低減、それから荷役作業の共同化、ターミナル費用の低減、こういうふうに柱が立てられているわけです。
 そこでお伺いしたいのですが、このコストダウンの中で、港湾コストの三割削減の主張の中で、とりわけ船舶関係費用、それから荷役料、ターミナル使用料、こういうふうになっているわけですけれども、船舶関係費用の具体的な中身というのはどういうものなのか、説明してください。

○新田参事 船舶関係費用の具体的な内容でございますが、一般的には、入港料、水先料、タグ使用料、あと特別とん税といったもの等が入ってございます。

○池田委員 水先料が国際的にも割高だというふうに聞いているのですけれども、どんな状況なのでしょうか。これは、資料の中にも、アジアの釜山だとか高雄、そういうところと比べて高いというのが出されているわけですね。
 私はやはり、そういうところと比べてどうなのか、全体の港湾の使用料の中で、水先料というのがそういう点ではかなりの比重を占めているんじゃないかというふうに考えているものですから、その辺の状況をひとつ説明してください。

○新田参事 水先料の具体的な国際比較でございますが、水先料算定の方法がそれぞれの国によって違うといったようなことがございまして、単純な比較はなかなか難しいという状況でございますが、私ども、船会社の団体等からいろいろお聞きしているところでは、非常に高いと。数倍程度の開きがあるというようなことも伺っておりますが、いずれにしましても、そういった問題意識から、船会社の団体等におきましては、その国際競争力の観点から割高という指摘をしているというぐあいに考えてございます。
 例えば東京港の場合、具体的にどういう数字になるかということでございますが、水先料金を一定の条件のもとで計算しますと、一万トンの船舶の場合ですと約四十二万円、三万五千トンの船舶ですと六十四万円、五万トンの船でございますと七十六万円ということでございまして、水先料金だけに限っても、これだけかかっているという状況でございます。

○池田委員 今のお話にあったように、かなりの割高だ、こういうふうな状況になっていることがわかるのですけれども、中間報告ではこういうふうに書かれているんですね。水先料金やタグ使用料など、アジア主要港に比べて割高な船舶関係費用について、国、関係団体に働きかけ、低減を図っていくということで考えておられるわけですね。
 この辺は、具体的にいえばどういうことになるのでしょうか、その辺も示していただきたいと思います。

○新田参事 水先制度につきましては、水先法の中で決められてございまして、その料金も含めまして、国の法制度、水先法を頭にいたしまして、詳細はその省令で定めるといったようなことで決まってくるというようなところがございまして、この水先料金やその制度の改善につきましては、どうしても国の方の規制緩和等が必要ということで、国に対してその改善を働きかけているところでございます。

○池田委員 先ほどご紹介ありました東京港振興促進協議会、ここのアクションプランというのを私も見させてもらいました。
 ここの中で、港湾トータルコストの削減ということで、1、2、3、4という項目の中で、港湾関係料金の軽減化という中で、荷役料金、そして、二番目に水先料だとか曳船、そういうものの低減を図っていく、軽減化するというふうなことが含まれて、それで、ここの中で、水先料だとか曳船の問題については、平成十一年度検討組織設置というふうに書かれているので、ことしからすれば、これは第六次でしょうか、そのときこういう提起があったのではないかというふうに私は推測して考えたんです。
 今のお話も聞いていて、実際にいろいろな難しさがあるんだろうなというふうに、特に国の関係だとか規制緩和との関係だとか、いろいろあるんだろうというふうに思うのですが、実際としてこういう、東京都はもちろんですが、関係団体、そしていろいろな事業者も含めて全体で議論されるところでも、なかなか難しい問題としてあるんだなというふうなことも考えられるわけですね。ここではどういうふうに議論されて、今どんな状態になっているのでしょうか。
 それで、その上に立って、先ほどご紹介した、今度の中間報告の中でこういう表現になっているんだというふうに流れはわかるのですけれども、実態としてどうなのでしょうか。

○新田参事 水先料金を含めました水先制度の改善等に対する取り組みでございますが、東京港におきますこうした取り組みにつきましては、東京港関係者が一体となって取り組んでおります東京港振興促進協議会、ここでいろいろ関係者の間で意見交換をし、お互いにある意味刺激を与えながらというところで検討し、審議をしながら改善を進めていく、そういう合意形成をしながらしているところでございます。
 この水先に関しましても、振興促進協議会のメンバーに東京水先区水先人会の代表も入っております。そうしたことで、こういった関係者との話し合いの中で、改善について何ができるか、そういったところをやってきまして、そういった一端がさきの中間報告の背景にもあるというぐあいに考えております。
 また、現在、新たなアクションプランを、やはり同じその仕組み、協議会の中で検討してございますが、そういった中でさらに詰めていくことになるというぐあいに考えてございます。

○池田委員 これ以上、話を詰める気はないのですけれども、経過の大体の中身は、大変ないろいろな問題があるということは、それなりに今のご答弁の中で感じ取りました。これは、引き続きの問題として考えていく問題の大きなポイントなんだろうというふうに考えているところです。
 もう一つ、荷役料の問題については、実は資料をお願いして、いろいろご相談したのですけれども、荷役料というのは、ターミナル使用料などとの関係もあったりして、そのデータというのは民間事業者の方の事業活動やプライバシーにかかわる内容だ、こういうことで、なかなかわかりづらいというか、つかみづらいというか、こういうふうにお聞きしました。
 だから、そういう意味では、具体的な話としてお聞きするわけにはいかないのですが、主に港湾に働く労働者の人件費、そういうものが荷役料の中ではあるんだろうというふうに思うんです。
 そして、港湾コストの削減というのが、実質的に労働者のリストラ、こういうところの賃金引き下げに結びついていくような流れになるんじゃないのかと。そういう問題というか、おそれがあるんじゃないかというふうに思うのですけれども、その辺はどうですか。

○新田参事 基本的な認識でございますが、港湾労働者の賃金等の問題につきましては、そもそも港湾労使間の問題であるというぐあいに認識しておりまして、なかなか私どもとしても関与は難しいところかなというぐあいに考えております。
 港湾コストの三割削減を実現していくためには、先ほどからご説明申し上げています、繰り返しになりますが、貨物取扱量の増加を促すインセンティブ制度の導入といったことで、スケールメリットを生み出すといったような工夫、あるいは関係者の努力と創意工夫による共同化の推進等々、そういったことの総合的な取り組みの中で実現していくというふうに考えてございます。

○池田委員 今のお話で、荷役料の軽減ということになれば、私はやはり、そういう問題点が出ざるを得なくなってくる危険が十分考えられるので、その辺、もうひとつ突っ込んでお聞きしたいと思うのですが、港湾コストの三割削減の運営目標というのはなかなか大変なものだというふうには、さっきの水先の問題も含めて、いろいろあるということはわかりました。
 しかし、現場で働く第一線の労働者に、そういう目標達成だということで無理強いをさせるような、要するに、労使間の問題だからというようなことで済むわけにいかない問題になっていくというふうに私は思うんです。例えば、先ほどもお話がありましたように、こういう東京港振興促進協議会の中でいろいろプランを立てていく上でも、大きな問題点というふうになると思うんですね。
 ですから、その辺で、やはり現場の労働者にそういう実質的な負担なり、そして労働条件の改悪に通じるようなものにならないように、そういう点で、東京都としてどういうふうに対応しようとしているか、その対策をお聞きしたい。

○新田参事 東京都としての対応につきましては、繰り返しになりますが、基本的に港湾労使間の問題という形で考えていきたいというぐあいに考えてございますが、先ほど来申し上げています、東京港関係者全体の取り組みの仕組みといたしまして東京港振興促進協議会がございますが、この中にメンバーといたしまして、全日本港湾運輸労働組合同盟あるいは東京港湾労働組合協議会等の方もメンバーに入っていただいているといったことで、そういった構成メンバーからのご意見、こういったものを反映させていくという中で合意の形成を図っていくということが基本になってこようかというぐあいに考えてございます。

○池田委員 冒頭申し上げたように、中間報告を受けて、そしてこの最終答申に進んでいくわけですけれども、幅広く都民の意見を大きく吸い上げていくと同時に、実際に現場で第一線で仕事をされている、そこに働く人たちの具体的な意見または要望を十分吸い上げていく必要があるということを申し上げましたけれども、ぜひそういう立場と、それからもう一つは、どうもはっきりしない問題があるんだけれども、リストラというようなことで進められて、そこに働く人たちの実質的な労働条件にかかわるような問題が、全体として競争力強化だというようなことで押しつけられていくというようなことがないように--特に、促進協議会というお話が今ありました。そこの中では、いろいろな団体の議論がやられるようですから、そういう中での東京都としてのイニシアチブ、ぜひこれは発揮してもらうようにということを最後に申し上げて終わります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○真鍋委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○真鍋委員長 この際、所管四局を代表しまして、成田港湾局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○成田港湾局長 港湾局長の成田でございます。お許しをいただきまして、本委員会所管四局を代表しまして、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
 真鍋委員長を初め委員の皆様方には、本定例会にご提案申し上げました議案等につきまして熱心なご審議を賜りまして、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、またご指導につきましては、私ども十分に尊重させていただきまして、今後の事務事業の執行に万全を期してまいりたいと存じます。
 今後とも、所管四局に対しまして、引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。
まことにありがとうございました。

○真鍋委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十五分散会

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