経済・港湾委員会速記録第十五号

平成十五年十一月二十八日(金曜日)
第八委員会室
   午後一時九分開議
 出席委員 十二名
委員長真鍋よしゆき君
副委員長北城 貞治君
副委員長酒井 大史君
理事谷村 孝彦君
理事丸茂 勇夫君
土持 正豊君
和田 宗春君
池田 梅夫君
前島信次郎君
山崎 孝明君
川島 忠一君
田中 晃三君

 欠席委員 一名

 出席説明員
産業労働局局長有手  勉君
総務部長島田 健一君
参事佐藤 仁貞君
産業政策部長乾  敏一君
産業力強化担当部長志賀 敏和君
産業政策調整担当部長野口  孝君
参事塚田 祐次君
商工部長市原  博君
商工施策担当部長泉本 和秀君
金融担当部長鹿島 博之君
観光部長渡辺  勉君
参事小宮 三夫君
農林水産部長菊地 輝雄君
参事馬場 安男君
労働部長高橋  勝君
雇用就業推進担当部長安藤 立美君
港湾局局長成田  浩君
技監高野 一男君
総務部長浅倉 義信君
参事岡田  至君
港湾経営部長片岡 貞行君
参事新田 洋平君
臨海開発部長高松  巖君
開発調整担当部長萩原 豊吉君
営業担当部長金子  優君
港湾整備部長樋口 和行君
計画調整担当部長松井  創君
参事安藤 哲士君
離島港湾部長原田 龍次君
参事松本 義憲君

本日の会議に付した事件
 産業労働局関係
  請願の審査
  (1)一五第三六号の一 「東京都ヤミ金融対策会議」の設置、相談活動の充実、取締りの強化に関する請願
  報告事項(質疑)
  ・都内におけるコイヘルぺスウイルス(KHV)病の発生について
 港湾局関係
  第四回定例会提出予定案件について(説明)
  ・平成十五年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)請負契約
  報告事項(説明)
  ・東京港第七次改訂港湾計画の基本方針(中間報告)
  請願の審査
  (1)一五第三三号 調布飛行場の航空管制官の存続に関する請願

○真鍋委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、第四回定例会中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、初めに、産業労働局関係の請願審査と報告事項に対する質疑を行います。次に、港湾局関係の第四回定例会提出予定案件及び報告事項の説明聴取、並びに請願の審査を行います。よろしくお願いいたします。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、請願の審査を行います。
 一五第三六号の一、「東京都ヤミ金融対策会議」の設置、相談活動の充実、取締りの強化に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○鹿島金融担当部長 お手元の資料1、請願・陳情審査説明表の二ページをごらんください。
 一五第三六号の一、「東京都ヤミ金融対策会議」の設置、相談活動の充実、取締りの強化に関する請願についてご説明申し上げます。
 請願者は、中央区の全国ヤミ金融対策会議代表幹事、宇都宮健児さん外二人です。
 請願の趣旨は、ヤミ金融被害の根絶のため、都において次のことを行っていただきたいというものでございます。
 その内容といたしましては、第一に、貸金業対策関係機関連絡会議を充実、発展させ、恒常的組織の東京都ヤミ金融対策会議を設置すること、第二に、市民向けの啓発活動を行い、ヤミ金融被害から市民を守ること、第三に、被害の実態をよく聞き、救済のための必要な措置をとること、第四に、都貸金業対策室の職員を大幅に増員すること、第五に、ヤミ金融による従業員への取り立てを理由とする解雇を防止するよう、雇用主等の事業者へ適切な措置をとること、第六に、急な資金調達のための公的融資制度、応急小口貸付制度等を拡充することでございます。
 次に、現在の状況でございますが、第一については、本年八月に貸金業対策関係機関連絡会議を設置し、情報交換や連携強化の協議を進め、十月に弁護士、司法書士による法律相談窓口を設置するとともに、合同街頭相談会の開催など、新たな事業を展開しております。今後とも、関係機関との連携を積極的に推進してまいります。
 第二については、被害未然防止用のリーフレットを作成し、都内や全国の消費生活センター、警察等に配布しています。また、合同街頭相談会でもヤミ金対策法を説明するなど、啓発活動に努めております。
 第三については、無登録業者や多重債務に関しては、警察、弁護士会等の相談窓口を紹介しています。また、本年十月から、法律相談窓口を全国で初めて都庁内に開設しております。
 第四については、平成十五年度、貸金業対策室を設置し、相談員を増員しています。
 第五については、貸金業対策室では、従業員へのヤミ金融の取り立てに関し、事業主から相談があった場合、助言を行っております。また、正当な理由のない解雇については、労政事務所において、労働相談等により防止に努めています。
 第六については、中小企業の従業員を対象に、中小企業従業員生活資金融資制度を設けています。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願いいたします。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○池田委員 貸金業にかかわる都の窓口に寄せられた苦情だとか相談件数の推移、資料を見ますと、この五年間で、平成十年が三千七百八十二件、十一年が四千三百件、十二年が七千百三十件、十三年が一万一千四百三件、十四年が二万一千九百二十八件と、ふえ続けているわけです。この五年間に実に約六倍になるという、異常な深刻な事態になっているわけです。
 東京都としても、この間、都民からの相談に応じる体制の強化を初め、違法な貸金業者を排除する行政処分などを行って、行政としての対応に努めてきた皆さんのご苦労、私なりに見てきました。
 しかし今、小泉内閣のもとで、不況、リストラ、失業などで、都民の暮らし、営業は一段と厳しい状況であります。高利のサラ金に手を出し、自己破産、家庭崩壊に追い込まれた人や、また、貸し渋り、貸しはがしなどでヤミ金から金融を受けて、倒産または自殺した業者などの悲劇が後を断たない。こういう状態です。
 私も文書質問でもいったのですが、私の受けた相談でも、融資に当たって白紙委任状を出させるとか、担保としてマンションをとって、返済がおくれると被害者を追い出し、いわゆる占有屋という人物にマンションを占拠させる。そして競売にかけてしまう。こういうような事例もありました。
 人の弱みにつけ込んで、だましの手口で巨大な利益を得ている悪質なサラ金を排除しなくてはならないのは当然です。
 このような違法行為をやる登録業者とともに、無登録のいわゆるヤミ金融の被害が増大していることは、昨年の貸金業協会が実施したヤミ金融苦情ダイヤルの相談に寄せられた約七百件を超える相談の中で、六割近くが無登録のヤミ金融だったということでも明らかです。
 また、現在の貸金業規制法では、東京都に届け出て、全国どこでも営業ができることで、東京の登録業者が関西や四国などで違法な営業を行い、被害を広げていることからも、東京都としての行政責任は全国的に重要な役割が求められています。
 一方、サラ金最大手の武富士の無法を批判したジャーナリストや元社員を盗聴した事件で、ご存じのように元幹部が逮捕され、本社が家宅捜索を受ける、こういう事件。また、暴力団山口組系の五菱会にかかわるヤミ金融問題が摘発されています。
 ヤミ金の被害を根絶するために、サラ金のこういうやみに徹底的にメスを入れていくこと、同時に、ヤミ金融を排除していくため、ヤミ金融被害の救済を行っている弁護士会、そして登録業者、また、こういうヤミ金の指導監督をしている行政、ヤミ金の取り締まりを行っている警察などの連携体制が私は非常に重要だと、こういうふうに考えています。
 そこで、何点か伺いたいと思います。
 東京都として、ヤミ金融業者の実態、被害の実情をどのようにとらえているか。例えば無登録業者、そして、出資法違反を行っているこういう問題だとか、脅迫的な取り立て、詐欺商法など、今、その手口は多様化して、非常に巧妙になってきている。こういう実態をどういうふうにとらえているか、まずお伺いしたいと思います。

○鹿島金融担当部長 都は従来から、消費生活総合センターや貸金業対策室、それから警視庁の相談センター等におきまして、悪質な貸金業者についての苦情相談を受けております。
 消費者や被害者の実情については、電話や来庁による被害者からの個別相談、それから警視庁、県警や消費生活センター、各県の貸金業協会等との情報交換、そして、被害者救済団体、弁護士、司法書士等からのさまざまな要請がございますので、こういうものに対応する中で実情を把握しております。

○池田委員 今申し上げたのですが、無登録の業者だとか出資法違反をやっている登録業者だとかがあるわけですね。先ほど申し上げたように、詐欺的な商法をやる。非常に手口が多様化してきているわけです。しかも、巧妙になっている。そういう実情は十分つかんでおられると思うのですが、もう一度、今のお話に重ねて、どういうふうに認識されているか、そのことをお答えください。

○鹿島金融担当部長 いろいろな悪質な業者が生まれておりまして、例えば最近ですと、090金融であるとかシステム金融、それから押し貸しをする業者であるとか、または買い取り屋さんとか架空請求、こういうものが非常に多くなっておりますので、これらを事例の中から抽出いたしまして、処分するものは処分しているという状況でございます。

○池田委員 先ほどもお話がありましたように、苦情、そして相談件数が非常にふえてきている。しかも、今お話があったように、やはり大変に巧妙な手口、それから詐欺的な商法だとかがやられてきている。
 そういうことに対して、東京都が具体的な対策、また対応をどういうふうにしてきたか、具体的に説明してください。

○鹿島金融担当部長 先ほどお話がございましたように、貸金業対策室への苦情相談件数は、平成十年から十四年までの五年間で約六倍になっております。被害の内容も、親、兄弟、子どもの学校などへの違法な取り立てを行うなど、非常に悪質化しておりまして、ヤミ金融の問題が非常に大きな社会問題となっています。
 都といたしましては、組織体制を充実するとともに、警視庁との連携を強化し、平成十四年度は百七十件と、かつてない規模の行政処分を実施いたしました。
 また、ことし四月には貸金業対策室を新設いたしまして、取り組み体制を明確なものとし、悪質な貸金業者の排除に努めております。

○池田委員 東京都がことしの八月に設置しました貸金業対策関係機関連絡会議の構成と目的、具体的な事業、どういうことをやろうとしているか、説明してください。

○鹿島金融担当部長 悪質な貸金業者の排除と被害の未然防止、被害者の救済を図るため、貸金業者を取り締まり、監督する行政機関等が連携いたしまして実効性ある対策を推進することを目的として、平成十五年八月に連絡会議を設置いたしました。
 参加機関は、一つに、貸金業者を取り締まり、監督する関東財務局や警視庁、貸金業対策室。二つに、消費者や被害者の声を反映するために、消費生活総合センター、弁護士会、司法書士会、金銭カウンセリング事業団。次に、事業団体から社団法人東京都貸金業協会が参加しておりまして、会議の中立性を確保しております。
 事業でございますが、ことしの八月、会議が設置されたときに会議を開催いたしまして、都庁内の無料法律相談窓口の設置、合同街頭相談会の開催、ヤミ金融対策法への対応、各機関の具体的対策について協議いたしまして、情報交換を行いました。
 その結果、本年十月一日から、都庁内の無料法律相談窓口を開設するとともに、十月二十九日と十月三十日には合同街頭相談会を開催しております。

○池田委員 十月に、登録申請の新規、更新、これは全県の実地調査をしたというふうに聞きました。また十月に、今お話しになったように、弁護士や司法書士による相談窓口を設置する。そして三つ目には、そういうことで、街頭的な相談会もやるというふうに聞きました。
 その実績を、どういう状態だったか聞かせてください。

○鹿島金融担当部長 法律相談窓口の実績でございますが、十月一日から開設しておりまして、弁護士は月曜日から金曜日までの午後一時から四時まで、司法書士は月曜日と金曜日の午後一時から四時まで相談を行っております。
 十月分の実績でございますが、弁護士が九十三件、司法書士が十六件、合計で百九件となっております。
 合同街頭相談会の実績でございますが、十月二十九、三十の二日間、JR新宿駅西口広場のイベントコーナーで実施いたしまして、二日間の合計は百六件でございます。

○池田委員 十月に、登録申請をした業者、新規や更新、ここへ、こうやったでしょう。これはどういう状態だったですか。

○鹿島金融担当部長 失礼いたしました。営業所の現地調査の実績でございますが、九十三件でございます。

○池田委員 九十三件ということでは、今まではどういう状態だったのでしょうか。この九十三件の評価というのはどういうふうに見ておられるのでしょうか。

○鹿島金融担当部長 今までは、原則として書面で実施してございましたので、この九十三件というのは、非常に努力した結果だと思っております。

○池田委員 そうだと思うんですよね。書面で出されて、それでそれが登録ということになるわけですね。それはやはり皆さんの努力というか、大変なことだと思うのですが、確認に事務所に行って、それで、ちゃんと賃貸契約をやっているかというところまで確認をされるということでは、努力をされてきているというふうに思うんです。
 そこで、この請願で出されている一項の、東京都での貸金業対策関係機関連絡会議を充実させて、発展させて、恒常的な組織として、一層の強化、そして能力の拡充といいますか、能力といっては語弊がありますけれども、違法な貸金業者だとか無登録のヤミ金だとか、そういうところの排除、そして同時に被害者の救済ということについて、東京都の一層の取り組みを求めているというふうに私は考えているんです。
 その点について、東京都としてどういうふうに考えているか。

○鹿島金融担当部長 今回の貸金業対策関係機関連絡会議は、ことしの八月に設置したものでございまして、お話のように、悪質な貸金業者を取り締まるため設置したものでございます。
 そして、これは、先ほどの、第一回の会合の中でも実質的な討議を行いまして、実のある事業を実施したということで、今後も継続的に実施してまいる所存でございます。

○池田委員 請願を出された方からもお話を伺いました。ここでやはり大事なのは、連絡会議を、常設というか恒常的な組織として機能できるようにしていく必要があるのじゃないかと。
 そこでお伺いしたいのですが、連絡会議というのは定期的に開かれているのでしょうか。まあ八月からということですから、必要に応じてやってきたのだろうというふうに思うのですが、そういう位置づけになっているのでしょうか。

○鹿島金融担当部長 八月からの実施でございますので、この点につきましては、最近の事情の変更というのか、法律の改正も進んでおりますので、必要に応じ、随時実施してまいりたいと思っております。

○池田委員 ちょっとその辺は、後でまた触れたいと思いますけれども、長野県では、行政と警察と弁護士会、それから司法書士会、業者団体、被害者団体などが参加した長野県ヤミ金融被害者救済緊急対策会議、ご存じのように、昨年、十四年の十二月に発足させているわけです。
 そして、後でもう少し具体的に述べますけれども、ヤミ金融一一〇番の実施だとか、ヤミ金融に関する情報の一元化、銀行に対して、ヤミ金業者の口座取引停止の要請、また啓発事業の積極的な実施などが進められている。ご存じのとおりだと思う。
 こうした自治体のヤミ金対策会議結成の動きというのは、長野県にとどまらず、熊本だとか、滋賀県だとか佐賀県、北海道、山口、そして鳥取県、こういうふうにずうっと広がっているのはご存じのとおりだと思うんです。
 私は、長野県の対策会議の設置目的だとか構成、会議議事録、会議事項を参考に見てみました。
 設置は、こういうふうにいっているんです。県内においてヤミ金融の被害が多発し、社会問題化していることから、県民及び中小企業経営者の被害の未然防止と被害者救済を図るため、長野県ヤミ金融被害者救済緊急対策会議(以下、対策会議という)を設置し、関係機関の緊密な連携のもと、ヤミ金融被害に関する対策を推進すると。これが設置目的です。
 そして、その構成は、関東財務局長野財務事務所、それから長野県の弁護士会、長野県司法書士会、長野県商工会議所連合会、また長野県商工会連合会、それから長野県貸金業協会、長野県暴力追放県民センター、ヤミ金融を告発する長野県連絡会、長野県クレジット・サラ金、高利商工ローンの被害をなくす会連絡協議会、それと長野県警本部の生活安全部、長野県の商工部、生活環境部、それから長野消費生活センター、こういう構成でやられているわけです。この構成で、会議の開催も、一年になるわけですけど、大体二カ月に一回ぐらい開かれているというふうに、やはり被害者の救済ということをずうっと広げてきている。
 この具体的な施策はどういうことをやっているかということで、ちょっと紹介したいと思うのですけれども、一つは、ヤミ金融に関する情報の一元化、集約。これは、各関係機関が収集した個々のヤミ金融に関する情報を一元的に集約する。そして、お互いにその情報を、みずからのそれぞれの団体の活動に生かしていく。これは非常に大事な点だろうというふうに思います。
 それから、先ほどもちょっと紹介しましたけれども、口座の取引停止。これは、対策会議の構成団体が連名で、ヤミ金融の口座に関する情報を当該銀行に提供する。そして、取引停止等、適切な対応を求めていく。私は、これも積極的な意味があるだろうというふうに思います。
 それから、これはヤミ金から勤務先への取り立ての電話だとか、債務者が離職することまで追い込むような、いろんな嫌がらせ、そういうことに対して、対策会議の構成団体が連名で、経済団体にあてて文書で協力を要請して、債務者の離職防止を促していく。
 いろいろあります。ヤミ金の無料相談会を県下一斉にやるとか、教育機関への適切な対応をどうしたらいいかという方法の周知とか、啓発事業の方では、新聞広告だとかテレビによるPRだとか、ラジオだとか、いろいろ積極的な事業を進めているというふうに私は思います。
 こういう積極的な対応について、東京都というか皆さん、どういうふうにお考えですか。

○鹿島金融担当部長 各県ごとに、被害者の状況、それから貸金業者の分布状況等も違うことでございますので、長野県として頑張っておられるなと考えております。

○池田委員 こういう活動が、長野県だけじゃなくて、先ほど紹介しましたように、やはり全国的な各自治体レベルでの取り組みに広がっているわけですね。
 私は、そういう意味ではぜひ、この請願の中身で触れられておりますけれども、この対策会議をやはり恒常的にして、それで、ここの二項、三項、四項、五項、六項と、東京都が今までもやってきた--まあ十分さ、不十分さはあると思いますよ。しかし、そういう一定の取り組みをさらに拡充してほしい、こういうのがやはり請願の主要な中身だというふうに私は思っているわけです。
 ですから、今の長野の積極的な役割を果たす、また果たしているそういう実例を、皆さんはもちろんご存じなんです。これを紹介して、皆さんの考え方を聞いたわけですが、そういう点では、全国的なそういう取り組みに学んだ東京都の対応をぜひ拡充してもらいたいということで、私はいっているわけです。
 そこでお伺いしたいのですが、東京都の貸金業対策関係機関連絡会議の要領では、被害者の救済の問題に触れているわけですね。そこの中で、東京都として今までやってきたそういう事業をさらに広げてほしいと。東京都では、こういうチラシを出したり、それから、こういうビラも出したりやってきているわけでしょう。こういうことをさらに広げてほしいということで問題提起されているわけです。
 私はそこで、東京都としてこの連絡会の設置の目的、それをちょっと説明してください。

○鹿島金融担当部長 繰り返しになりますけれども、悪質な貸金業者の排除と被害の未然防止、被害関係者の救済を図るため、貸金業者を取り締まり、監督する行政機関等が連携いたしまして実効性ある対策を推進する、このことを目的として、平成十五年八月に設置いたしたものでございます。

○池田委員 そこで、ここの設置目的の趣旨に賛同して、一致できる、そして、ともに被害の未然防止や救済を図るために活動をしている、そういう被害者や支援の団体を参加させていくということは、私は非常に大事だと思うんですよ。その辺はどうでしょうか。

○鹿島金融担当部長 先ほど、各県によって、被害の状況、それから貸金業者の状況が違うと申し上げました。全国的に見てみましても、東京都には多数の貸金業者が登録されていること、それから、悪質な貸金業者が全国に被害を与え、各県から監督を強化するように要請されていること、こういうことを受けまして東京都の会議があるわけでございます。
 その趣旨とすると、取り締まり、監督をする行政機関が連携して処分等の情報を交換するということにございます。そういう状況にございますので、消費者団体とか被害者救済団体を含めることは、現在考えておりません。

○池田委員 もう一つ、私はっきりしておかなければいけないのは、この東京都の連絡会議には、業者の方が入っておられるわけですね。もちろん、弁護士さんや司法書士さんも入っておられる。そういう点では、長野だとか、先ほど紹介した全国の自治体レベルで広がっている対策会議は、みんなそういう構成になっているんですね。被害者をやはり入れているわけですよ。そこでやはり情報を一元化して、それぞれの活動に生かしていく。
 東京都もそういう意味では、この連絡会議の役割というのは、被害者の救済だとか、それから、特にそれを都民的に大きく広げていく、啓発の活動も含めて。私は、そういう点では非常に重要なことなのじゃないかというふうに思うんです。
 そういう点では、被害者団体をこの構成メンバーとして入れていく必要があるというふうに私は思うんですが、どうですか。

○鹿島金融担当部長 会議の目的が、貸金業者を取り締まり、監督する行政機関が連携して実効ある対策を推進する、このことを目的としております。
 加えまして、消費者、被害者の状況につきましては、電話相談または来庁者からの相談ということで、我々自身が相談を受けておりますし、警視庁等からの情報交換、それから、先ほど先生がおっしゃいました被害者救済団体、それから弁護士、司法書士からのお話、そういうものを受けておりますので、会議の中立性を確保し、処分、それから監督を適正に行うために、今の構成でよろしいと考えております。

○池田委員 東京都には、これは昭和五十八年からですか、東京都の貸金業関係三者連絡会が設置されています。これはどういう中身か、ご説明ください。

○鹿島金融担当部長 これは、行政当局と取り締まり当局との連携を密にし、貸金業規制法の円滑かつ適正な執行を目的とするために設置されたものでございまして、構成メンバーといたしますと、関東財務局の東京財務事務所、それから産業労働局の商工部、それから警視庁ということでメンバーを構成してございます。

○池田委員 協議の内容は、私がいただいた資料で紹介しますと、東京都内の貸金業(ほかの道府県にかかわる貸金業者の東京都内営業所等を含む)の実態に関する情報及び意見の交換を行い、的確な情報把握に努めるとともに、法規制に伴う事務処理上の問題点その他、法の適正な運用を図るため、必要な事項について協議するものとする、こういうふうになっていますよね。
 そして、ここの東京都の貸金業関係三者連絡会は、要するに、国と東京都と、それから警察。それで、これは貸金業法の適正な運営というか、そういう立場からやられている会議ですよね、連絡会は。
 だから、それと、今、私の方で質問させてもらっています連絡会議との関係は、東京都の方はどういうふうに位置づけているのでしょうか。

○鹿島金融担当部長 まず、三者連絡会の方は、国が主宰するものでございます。そして、連絡会議の方は、東京都が主宰いたします。
 協議の内容も、先ほど、八月に設置した東京都の主宰する会議につきましては、具体的な事業をどう行うかということを中心にやっているということで、若干の相違がございます。

○池田委員 そういう点では、この二つの会議というのかな、それは上下関係があるとかいう問題ではなくて、それぞれ重なる問題で、やはりあくまでも、悪質な貸金業やヤミ金融にかかわる都民の被害を防止するとか、それから当然、行政として監督、そして指導する立場にある東京都の役割は、そういう点では重なっても当たり前の話だろうと思うんです。
 私はそういう点で、独自に機能をするものだとすれば、そして同じような目的でやっているということになれば、先ほど来いうように、当然、貸金業対策関係機関連絡会議に、被害者の皆さん、そして救済運動をやっている団体の皆さんの参加がやはり必要だというふうに思うんです。今、東京都の方の考え方としては、先ほど来話がありますけれども、当然、これから大いに、もっとこういう対策を拡充していくという点では、ぜひこの方向もとってもらう必要があると、これは強く要望しておきたいと思います。
 具体的な問題で、幾つか提起したいというふうに思うんです。
 一つは、もう既に申し上げてきましたけれども、情報の一元化というのが、私は大事だというふうに先ほど来いっています。それから、新聞広告、東京都として実施していく。それから東京都の広報に載せていくということも、今やはり、啓発という点でも重要な点なのではないかというふうに思うんです。その辺はどうでしょうか。

○鹿島金融担当部長 被害を未然に防止したり、被害を軽く済ませるためには、やはり啓発活動が重要だと思ってございます。そのために、東京都では、インターネットを通じまして、貸金業者に関する注意事項をお流ししたり、それからパンフレットを配ったり、また教育関係でも、そのような教育材料の作成に協力したりということで努力しているところでございます。

○池田委員 先日も、請願を出された全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会、この太陽の会という相談員をやっておられる事務局長の本多さんからも話を聞いたのですけれども、そういう啓発活動をやっていく上で、やっぱり新聞に対する広告、長野でもやっていますよね。ほかの地区でも、そういう点ではやっている。それから、テレビのコマーシャルでもやっている。私は、具体的な話ですから、そういう点も含めて、ぜひ検討してもらう必要があると。
 それから、例えば、いわれていましたけれども、口座の取引、そういう問題に対して、大きな銀行に情報を入れて、そして話に行ったそうです。そうしたら、やはり銀行の方も、そういう情報があれば、自分たちも適切な対応をというふうに、積極的な対応をされているという話を聞きました。
 ですから、再三いいますけれども、全体のそういう流れ、情報が、それぞれの活動の中で、団体の積極的な活動を支えるものになっていくんだと。これもひとつ大いに考えてもらいたい、特に強く要望しておきたい。ぜひこれは実現してほしい。
 最後になりますけれども、今、ヤミ金、サラ金等の中で、過払いの返済を求める特別調停をやっている方たちがいるわけです。その辺の実情はつかんでおられますか。

○鹿島金融担当部長 過払いにつきましては、裁判所で所管しているということで、私どもには連絡が来てございません。

○池田委員 まあ直接、東京都の役割ではありませんから、それはそういうふうなことだろうと思うんですけれども、過払いの特別調停をやって、そして自分たちの返済の話し合いをやって、そして解決していこうという努力は、いろいろな私の地元のところでも、業者団体が中心になって、そういう多重債務者の皆さん方の対応の中で、自分たちみずからが調停を起こしてやるという事例がずっとふえているわけです。
 ところが、金融業者の方で取引明細書をなかなか出さない。そういうことで、裁判所の方からも、監督官庁、東京都にも、そういう点で要請が来ていると思うんですね。業者に対する、債権者に対する支払い明細書を出しなさいということがあると思うのですが、その辺はどうですか。

○鹿島金融担当部長 要請は来てございます。また、貸金業規制法等によりまして、過払いについてはきちっと対応するようにという内容の指導は来ております。

○池田委員 東京都は貸金業者に対して具体的な指導をやっているだろうと思うのですが、その指導に対して、どういうふうにやっていますか。

○鹿島金融担当部長 貸金業者に対しましては、取引明細書を出すように指導してございます。

○池田委員 ここは具体的な話で、私は話をするあれはないんですが、この前も、私も対策室の皆さんとちょっと意見交換をしたのですが、なかなか、やっぱり相手が出そうとしないという実態というのはあるわけです。ですから、私はそういう点では、今、部長がいわれるように、積極的な対応を具体的な問題で進めてもらいたいというふうに思います。
 いろいろ質疑をしてまいりましたけれども、今の現状の中で、東京都が行政として、登録業者に対する指導、そして被害者の救済に対する役割--とりわけ東京都の業者が、先ほども話がありましたように、全国的に大きな被害を広げている。東京都の登録を取って、そして関西だとか、向こうの四国だとか、ああいうところも含めて非常に広げているということもあります。
 ですから、私は、そういう点でぜひ、今まで皆さんがいろいろ努力をされてきたそれをさらに拡充させるという点で、この請願の願意を受けて、これを採択して、議会としても大いに後押しをしていく。これがやはり今の状況に見合った我々の役割だろうというふうに強調して、質問を終わります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
 本件は、起立により採決を行います。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○真鍋委員長 起立少数と認めます。よって、請願一五第三六号の一は不採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。

○真鍋委員長 次に、報告事項、都内におけるコイヘルペスウイルス(KHV)病の発生についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○島田総務部長 去る十一月二十日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元の資料2をごらんください。全部で二項目でございます。
 二ページをお開きください。まず、板橋区でのコイの入手経路及び生産地での養魚池の管理状況でございます。
 (1)の板橋区立氷川つり堀公園におけるコイの入手経路でございますが、茨城県玉造町産のマゴイを毎月購入しているものでございます。
 (2)の生産地における養魚池の管理状況でございますが、〔1〕の生産形態といたしましては、霞ヶ浦の東岸に隣接した養魚池で、卵から幼魚までを一貫して生産しております。
 また、〔2〕の用水管理につきましては、隣接している霞ヶ浦から直接取水し、水路を経て霞ヶ浦に排水をしております。
 なお、〔3〕にございますとおり、同養魚池では、現在のところ、KHVの発生は確認されておりません。
 三ページをお開きください。都内におけるコイの飼育施設数でございます。
 釣り堀業者、養殖業者及び釣り堀公園の合計百二十六のうち、コイの飼育は五十八施設となっております。
 以上、資料の説明でございます。
 引き続きまして、お手元の資料3、都内におけるコイヘルペスウイルス病への対応についてでございます。
 十一月二十日の委員会でご報告した以降の都の対応について、ご報告申し上げます。
 1、KHVに関する実態把握でございます。
 釣り堀業者や養殖業者等の数は、都内全体で百二十四業者でございます。聞き取り調査の結果、このうち、コイを取り扱う業者は五十八業者で、うち、霞ヶ浦産のコイを仕入れた業者は十七業者となっております。
 (2)、霞ヶ浦産のコイのウイルス緊急検査についてでございます。
 (1)の表にお戻りいただきまして、二重線で囲っておりますが、霞ヶ浦産のコイを仕入れた釣り堀業者と養殖業者のうち、検査を希望する釣り堀八、兼業二業者について、優先的に都における一次診断検査を行っております。
 その結果、現在までに、一業者のコイからKHVの陽性反応を確認いたしました。現在、国の研究機関に最終検査を依頼しているところでございます。
 (3)、川でのウイルス検査でございますが、多摩川及び石神井川について検査中でありますが、現在のところ陽性反応は出ておりません。
 2、対策の強化についてでございます。
 産業労働局長を本部長とする対策本部を設置し、局を挙げた体制を整備するとともに、板橋区に対し、コイの処分や池の消毒など、KHVの蔓延防止措置の要請を行いました。さらに、釣り堀業者及び養殖業者に対し、コイの移動の自粛などについて協力を依頼しております。また、土、日、休日の連絡相談体制につきましても、引き続き継続してまいります。
 今後も、KHV対策に万全を期す所存でございます。
 以上で、資料説明、報告を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料とあわせて、報告事項に対する質疑を行います。
 発言願います。

○北城委員 現在のところ、本病に対しまする抜本的な治療法はないといわれているわけであります。その感染経路というのは、本病に感染をしたコイが、またコイに接触をして、そのコイが感染をしていく。これが感染経路なわけであります。いわば、この感染経路をいかに断つかによって蔓延防止を図ることができるということがいえるわけであります。そのような視点に立ち返りまして、何点かお伺いをさせてもらいたいなと、こんなふうに思っております。
 今、報告がありましたように、板橋区でこの病気が確認をされました二十日の日に、板橋区に対しまして、蔓延防止について要請をされたところでありますけれども、その後、板橋区とどのように連絡をされ、蔓延防止等に対応されているのか、お伺いをさせてもらいたいと思います。

○馬場参事 板橋区との連携でございますが、十一月二十日、板橋区に対して蔓延防止の要請を行ったわけでございます。その後、区ではこの釣り堀を封鎖しており、今後、同区が実施する釣り堀の消毒やコイの処分等、具体的な防止策につきまして、水産試験場が技術指導を行っております。
 また、石神井川のコイへの感染が疑われることから、都は板橋区と協力して、石神井川に生息するコイの検体採取を行うなど、区と緊密に連携してKHV病蔓延の防止に取り組んでいるところでございます。

○北城委員 ぜひ連絡を緊密にしていただきまして、蔓延防止につきましては十分なる対応をしてもらいたい、こんなふうに思っております。
 そして、冒頭報告がありましたように、現在まで陽性反応が一業者から出た、こんな報告があったわけであります。業者の氏名の発表はなかったわけであります。
 これは私見でありますけれども、業者の名前の公表をしますると、その業者にとりましては、ある意味では死活問題になってしまう。やはり今件に関しましては、風評による被害を防止をしていくことも行政の大切な役割なのかなと、こんなふうに思うわけであります。そんなことを考えあわせますると、やはり業者名の公表につきましては、より慎重にすべきであるというのが私の見解であります。
 業者の公表につきまして、東京都はどのような見解をお持ちなのか、お聞かせを願いたいと思います。

○菊地農林水産部長 今回、陽性反応が出ましたのは民間の釣り堀業者でございまして、都としては業者に対し、行政指導に従って蔓延防止策を講じるよう、現在要請しております。
 ご指摘のとおり、業者名を公表することは、当該業者の社会的信用を失墜させ、経営上、重大な損害を負わせることになることや、茨城県を含めました他県でも、業者を特定できるような氏名等の公表を差し控えていることなどから、東京都といたしましても、今回、陽性反応が出た業者の公表は行わないこととしています。

○北城委員 業者名の公表に関しましては、より慎重に行ってもらいたいなと、こんなふうに思っております。
 ただ、蔓延防止、この点に関しましては、やはりきちんと対応していくことこそが感染経路を断つということにつながっていきますので、よろしくご努力のほどお願い申し上げます。
 そこで、法的根拠につきまして若干お尋ねをさせてもらいたいなと、こんなふうに思っているわけでありますけれども、本病は、持続的養殖生産確保法におきまして特定疾病に指定をされておりまして、発生をした場合には、同法に基づき蔓延防止措置の対象になっているわけでありますけれども、しかしながら、その対象は、あくまでも養殖業者なわけであります。
 東京都内で民間の釣り堀が複数あるということも報告がされたわけでありますけれども、今回のKHVに関しまして、何らかの法的な規制等々はあるのかどうか。また、東京都としましては、これらの釣り堀業者に対しましてどのように対応されていくのか、お聞かせを願いたいな、こんなふうに思います。

○菊地農林水産部長 KHV病は、持続的養殖生産確保法で、伝染性の疾病であって、蔓延した場合に大変大きな被害を与える特定疾病に指定されています。この法律では、特定疾病に汚染または汚染のおそれがあるコイを保有、管理している者に対して、養殖魚の移動禁止や感染したコイの処分など、蔓延防止等の措置についての法的規制がございます。
 この規制となる業者について、現在、国に照会中でございますが、国からは、養殖業者についてはこの対象となる、しかし、養殖業者以外の釣り堀業者等については、都道府県の立入検査は認められるが、それ以外の対応は、現在検討中であるとの回答を得ております。
 このようなことから、都といたしましては、現在、釣り堀などでKHVの感染の疑いがある場合は、感染の拡大につながるようなコイの移動等は控えるよう、強く要請しております。

○北城委員 ぜひ、感染経路を断つという最も重要な処方せんの視点に立ち返りまして、ご努力をお願いしたいなと、こんなふうに思っております。
 若干、視点を変えたいと思います。
 先ほどの報告によりますると、釣り堀や養殖業者などには、緊急対応ということで、KHVの検査を希望すれば対応されていくというような報告があったわけでありますけれども、このように人が管理し飼われているコイではなくて、池や川で生息をしている天然コイにつきましては、東京都はどのように対応されているのか、お尋ねをさせてもらいたいと思います。

○菊地農林水産部長 河川などに生息するコイが仮にKHVに感染した場合は、汚染された水が他の河川等に流れ込み、KHVが拡大するおそれがございます。
 都は、天然のコイにつきましても、感染が疑われる場合などは、蔓延防止の観点から、河川管理者等と連絡、連携の上、検体収集や検査等の対応をとってまいります。

○北城委員 そこで、多分この種の問題は、民間の方々の情報の提供、あるいは区市町村レベルでの東京都への情報の提供に基づきましての対応がいかに重要であるかということは、今までの経過の中で理解できるわけであります。
 そんなことを考えあわせますると、今後、区市町村との連携強化というものが必ず重要な視点になってくるのかなと、こんなふうに思っておりますので、この点につきましてのご見解をお聞かせ願いたいなと思います。

○菊地農林水産部長 都では、KHVが発生して以来、区市町村と相互に、情報の提供や連絡窓口の設置など、緊密に連携を図ってまいりました。
 今後さらに、地元地域における実態把握や都民、業者への情報提供、相談などにつきまして、区市町村と密接に連携し、きめ細かな対応を図ってまいります。

○北城委員 ぜひそのような対応をお願いしたいなと思っております。例えば、私の住んでいる荒川区なんですけれども、どのセクションで対応していいのかわからない、こんなコメントもあるわけでございますので、ぜひ東京都の方から各区市町村に対応の要請方をお願いをしてもらいたいなと、こんなふうに思っております。
 そこで、最も心配をされることは、風評による被害であります。私の知る範囲によりますると、本病はコイ特有の病気であって、仮にこの病気に感染をしているコイを食べたとしても、人には感染をしないし、また、コイ以外の魚には感染をしないといわれているわけであります。
 しかしながら、一番最後に、ウイルスというような語尾がつくわけであります。その言葉を聞きますると、やはりいろんな風評が出てきまして、釣り堀業者や、ある意味ではコイの料理店などにも、そのような風評被害が大きくなってしまうことは避けられないことなのかなと思うわけであります。しかしながら、それを防止することも、私は行政の責任なのかなと、こんなふうに思うわけであります。
 そんなことを考えあわせますると、KHVはコイ以外には感染をしないという、例えば権威ある学会での発表とか、国の見解など、都民の安心を裏づける根拠はないのかどうか、お伺いをさせてもらいたいと思います。

○馬場参事 コイ以外に感染しない根拠でございますけれども、国の発表によりますと、KHV病はコイ特有の病気で、コイ以外の魚には感染しない。また、人に感染することはないため、仮に感染したコイの肉を摂取しても、人体に影響はないとしております。
 また、KHVに関するアメリカ、イギリス、イスラエル等の学者の連名による研究報告では、KHVは、水温が三十℃以上になると、増殖せずに死滅するということを明らかにしており、現在、この報告が世界的な定説となっております。
 したがって、人の体温は三十℃以上ございますので、感染したコイを食べても、人間の体内では死滅するため、影響はないといわれております。

○北城委員 最後にさせてもらいますけれども、ご答弁は結構でございます。
 やはり国のそのような考え方、あるいは学界での考え方、同時に東京都の考え方も、あわせて、私は都民の方々にPRをする必要があるのかなと個人的には思っておりますので、ぜひご検討をいただきたいなと、こんなふうに思っております。
 例えば、これはあくまでも私見でありますけれども、やはり国の対応が遅いというような一つの経過の中で、食品安全情報評価委員会というものが立ち上がったわけであります。このような委員会というのは、グレーゾーンの食品をブラックというふうに断定する以外にも、やはり風評の被害を避けるためにも、このような委員会が私は機能をしてもいいのかなと個人的には思っておりますので、あわせて、そのような東京都の機関とも調整を図りながら、風評の被害だけは避けてもらうような対応を強く要望しまして、私の質疑を終了させてもらいたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○和田委員 資料要求をさせていただきまして、板橋区でのコイの入手経路及び生産地の養魚池の管理状況というのが、今、手元にあるわけです。
 この感染経路は、まだ定説というのはなくて、多分、だろう、だろうという憶測が主だろうと思っているのですけれども、そもそもコイヘルペスウイルス、KHVはどういう魚の病気なのかということを改めてご説明いただきたいと思います。

○馬場参事 先ほどと重複するところもあるかと思いますが、KHV病は、持続的養殖生産確保法、これは平成十一年五月の法律でございますが、伝染性の疾病であって、蔓延した場合には大きな被害を与える特定疾病十のうちの一つに指定されているウイルス病で、コイだけに感染する魚の病気でございます。感染したコイは、目立った外部症状は少なく、行動が緩慢になり、えさを食べなくなるなどの症状が見られ、死亡率が非常に高い病気でございます。
 国内では、本年十一月二日、茨城県霞ヶ浦で初めて発生し、海外においては、一九九七年以降、イスラエル、イギリス、ドイツ、インドネシアなどで確認されております。
 感染したコイからの接触や、水を介して他のコイに感染いたしますが、感染したコイを食べても、人には感染しないというふうにいわれております。

○和田委員 今までの議論、また、かつて私、資料要求をしたときもその考えでいたのですが、この病気の経路ですとか、あるいはこれがコイにとって不治の病だとか、そういうことがありました。
 しかし、このコイは食用になるわけですから、食用としてこれは安全だという説明が今ございましたけれども、肝心な肉の質ですね。例えば形態が、水膨れのように大きく膨らんでしまうとか、細くなるとか、色が黒くなるとか、赤くなるとか、コイ特有のあの風味のようなものをなくしてしまって、食用には適さなくなってしまうのかどうかという説明はまだないと思うんですよ。
 したがって、そのウイルスは感染するということはわかった。だけど、食べた場合、人間には感染しないけれども、味は、風味は落ちるのかどうなのかという件についてお答えいただけますか。

○馬場参事 この病気は、十一月二日に初めて日本で蔓延した病気でございまして、まだ、それを食べた方に聞いておりませんけれども(笑声)、ウイルスのキャリアとしてコイはいても、それは特に味は変わらないのではないかと思っております。
 しかしながら、発病していろんな症状を出してきたときには、まず食べないと思いますけれども、味の方は保証はできないと思います。

○和田委員 そこが、笑い事じゃなく、大事なことなんですよ。後に触れますけれども、業者の方にとっては大変な問題になってくるんですね。
 だから、キャリアとして、魚体の中に菌は入っている。だけど、それは食べても、三十度以上になれば死ぬから、当然、三十数度の体温で死にますよというのはわかるんです。だけど、それはあくまでもペーパー上の問題であって、この後出てくる、生活上だとか営業上の問題がその裏へついてきたら、笑い事じゃありません、これは。
 したがって、それ、まあ石原知事に食べてもらうわけにもいかないし、部長に食べてもらってもいいんですけど、とりあえず、何らかの形で、この問題--私、食べろといわれれば食べますけども、きちっと、ただ単に空論だけで躍らされずに--業者がいて、そしてなおかつ、業者がいなくても、釣ったコイを食べちゃう人もいるわけですよ、川なんかでね。そういう方々にも、食べても大丈夫ですよ、そして味も落ちませんよというふうなことが、もしも宣伝できれば、PRできれば、随分と落ちついてくるだろうと思うんです。
 ただ、食べたら人間にうつらないよというのはわかるけれども、味はどうなのかということも--もちろん、釣り上げた後の数日たてば落ちるのはわかるんですけど、普通のような形態で食に供した場合には変わりませんと。食べろと推薦はしませんけれども。
 だから、そういう不安はありませんよというようなことまで含めてこの問題を取り上げないと、我々、細菌学の勉強をやっているわけじゃないのですから、当然そこに生活が密着して、営業も密着して、まあ嗜好も、食べたいという人もいるわけですから、その視点を欠いたコイヘルペスウイルス論議というのは、極めて上辺だけの議論に終わってしまうので、この問題については、やはり営業が裏側にあり、そしてまた、我々食べる者の食の安全という問題も裏側にあるわけですから、単にここの経済・港湾に限りません。他局とも連携をとりながら、早急にその辺のはっきりした意思、都の対応をきちっと確立した上で、責任ある広報をし、都民なりあるいは業者の方々に流していくべきだ。それは大変大事だと思うのですが、決意を部長、答弁してください。

○菊地農林水産部長 ご指摘のとおり、大変この問題は、営業者、生産者の生活にかかっている問題であって、本当に安全性をPRすること、それから、いかにして抵抗感を取り除いていけるかということが大事だというふうに思っております。
 今後、他局とも連携をとりながら、さまざまなPR方法、安全性の訴えについて工夫してまいりたいと思います。

○和田委員 最後、要望になりますけれども、先ほど、感染したコイの症状を答弁されました。外部的な目立った症状はないというんですね。ただ、行動が緩慢になって、えさを食べなくなって、死亡率が高いと。普通、弱った魚すべてに出てくるようなそういう現象が、今の外部症状はなくて、感染したコイの特徴だと、こうおっしゃる。
 そうなってきても、やはりコイに接触する機会の多い釣友会、東京都に釣りの組織がありますけれども、そういう組織の方々、あるいは自然環境保全などのNPOの方々を含めて、そういう接触する機会の多い方々にできるだけ観察していただいて、情報の提供をいただくというようなことも、細かなことかもしれませんけれども、全都的にこういう対応策を練っていく。都庁のここでの議論だけじゃなくて、現場で、魚が好きだとか、自然環境保全のために働いている方の視点というのは、都内にずうっと張りめぐらされておりますし、そういう方々の声というのは大事だと思いますから、そういう意味での対応もぜひ要望しておきたいというふうに思います。
 次に、さきに触れた業者の問題です。
 これは、資料要求とは違って、求めた資料から見ますと、昨年度の十一月の取扱量の実績は三千四百四十八キロになっています。十一月ですね。東京都の中央卸売市場のコイの取扱量です。十一月は三千四百四十八キロになりました。
 ところが、この十五年十一月二十五日、まあ半端な数字ですけれども、その取り扱いキロ数は、実に二十四・六キロ。三千四百四十八から二十四・六キロに激減をしています。これは一日から二十五日までの数字です。これほどまでに、コイの流通は、取扱量は減っています。とりわけ、十一月七日以降はゼロです。一日が三・六キロ、四日は二・三キロ、五日は十三・四キロ、六日が五・三キロ、都合二十四・六キロで、七日以降はゼロというふうになっているわけです。
 こうなってきますと、当然ここの間にいる卸屋さんとか、その方々は動かないわけですから、営業が停止したと同じ。コイだけで食べている人は、ここで今、大変な被害をこうむっているというふうに類推できるわけです。
 そこで、当局は、もとよりこの菌の恐ろしさをPRするのも結構ですけれども、そのコイをなりわいにしている方々に対して、BSEのときにあったような経済的あるいは融資も含めた手法をもって、どういう支援をされようとしているのか、また、しているのか、続いてお伺いいたします。

○鹿島金融担当部長 卸売業や小売、食品業は、制度融資の対象業種になっております。制度融資の中には経営安定支援資金融資というのがございまして、売り上げが前年と比較いたしまして三%以上減少している中小企業者等が、年利一・五%以下という低金利で融資が受けられるという制度がございます。今回の事情によりまして、この条件に該当する業者であれば、利用は可能でございます。

○和田委員 確かに、前年度の売り上げから三%減った場合には、年利一・五%以下の制度融資が受けられるということ、これは安定支援の関係なんですけれども、この種のことも、できるだけ早く、都のいろんな機関を通じてPRしてほしいと思うんです。
 さきに出された資料の中でも、釣り堀が五十とか、養殖が四十八とか、兼業が六とか、公園とかという形で、百二十四。これはすべて営業じゃありませんよ。百二十四のポイントでコイが存在しているし、そのうちの養殖四十八は、少なくとも業としてやっていらっしゃるわけでしょうから、こういう方々に、こういうことがありますよ、もしもコイの被害があった場合には、こういう対応で東京都は皆さん方を救いますよという、極めて丁寧なPRをぜひしてほしいと思うんです。
 今、答弁をいただいた制度融資の中では、卸については、確かに今の経営安定支援ということがあります。ただ問題は、水産養殖業ですね。これについては、中小企業の制度融資は対象外になっていますよね、今のご答弁のあれでは。こういう方々についてはどういうセーフティーネットを用意してあるのでしょうか。

○菊地農林水産部長 漁業者、養殖業者につきましては漁業近代化資金の対象でございまして、ただし、融資には、融資機関及び保証機関それぞれの会員であることが条件となっています。
 それぞれ個々にご相談を申し上げながら、融資を検討してまいりたいと思っております。

○和田委員 多少、要件があるやに、今ご答弁いただきました。
 要件は要件としながらも、突発的に起こって--コイというのは、この売り上げから見ましても、先ほどご紹介した中でも、五月とか年末に、まあ縁起がいいということなのでしょうか、流通はずうっと伸びてくるんです。したがって、これから年末に向かって、仕入れをしたり何かする。だけど、そこに、茨城のものだったらもうだめだとか、そういうことになってくると、じゃあ、群馬はどうだと。群馬のコイを取り扱っているある株式会社の方に取材をしましたら、群馬の方は、かえって取扱量はふえているというんですよ。すなわち、それは茨城の方が怖いからというので、茨城の方を取り扱わない分、お客さんの量は減らないでしょうから、群馬なら大丈夫だというので、群馬の取扱量はふえていると、業者の方は私におっしゃっていました。
 したがって、コイのヘルペスウイルスが蔓延してきても、取扱量そのものはそんなに減っていないのかもしれないということからするならば、その被害に遭った方々を含め救済すること、並びに、コイを食べても安全ですよ、肉の質は落ちませんよと、さきに申し上げた質問に対する答弁を含め、積極的にコイを安全であるということを当局が率先して理解を深めるような告知、PRをしてほしいというふうに思うんです。
 これは最後にしたいと思うのですけれども、昨年の九月、BSEで、我々はトレーサビリティーという極めて貴重な体験をいたしました。今、当局の方は、「東京都食品安全基本条例の考えについて」ということで、さきに食品衛生調査会の答申が出されてきて、これからの食品安全はこういうふうな形で東京都は守っていきますよという、条例化に向けての調査会答申も出されています。
 これと関連をするわけですが、コイなども、これは前々回申し上げたかもしれませんけれども、市場流通のほかに、嗜好の強い魚でございますから、養殖業者から卸屋さんにすぐ行って、それから料亭に行くとか、あるいは魚屋さんに行くというようなケースも多いといわれています。したがって、市場を通るのならば、そこでネットを張れるんですけれども、直接の取引とかになってくると、どうしてもトレース、いわゆる追跡することは困難なケースもあると思うんです。
 したがって、そういう流通経路の特殊性がコイの場合にはあるということを踏まえた上でも、やはりこれはトレーサビリティーという形を用意して、安全ですよと、業者の方の営業も含め、守っていくというような姿勢といいましょうか、そういう発想といいましょうか、それを当局に強く求めたいと思うのですが、いかがなお考えでしょうか。

○菊地農林水産部長 トレーサビリティーは、食品に予期せぬ問題が生じた場合の原因究明などに有効でございまして、生産段階における安全性の確保、また生産段階における正確な情報の記録などが大変重要になってまいります。
 このため、都におきましては、都民のための生産情報提供プロジェクトによりまして、生産者や製造業者等が行う食品の生産情報の記録、公開への取り組みを促進しているところでございます。
 また、BSEへの対応では、牛の耳標装着と生産管理記録によって、直ちに生産地や出荷元が把握されることになっていますが、魚類の場合は、表示や公開方法など技術的な問題もありますが、コイなどの養殖魚につきましては、養殖地、水産用医薬品の使用状況などの生産情報の記録、公開の促進に努めてまいります。

○和田委員 記録、公開、ここは零細な業者さんが多いものですから、大きい流通もあるわけじゃありませんので、どうしても、まあまあいいやという話になりがちなんですけれども、業界の方々も、ここの部分でみずから情報公開することによって、みずからを守ることにつながるわけですから、当局はぜひそういう姿勢を、温かく零細業者を守っていただくという姿勢を貫いていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○谷村委員 十一月二十日に、都内で初めてコイヘルペスウイルス病、いわゆるKHVの感染が判明して以来、農林水産部の菊地部長を初め有手局長を先頭に、KHVの対応にまさに戦場のような毎日を夜遅くまで送られておりますことに、まず初めに敬意を表したいと思います。
 その上で質問に入らせていただきますが、都は、十一月三日以降、監視体制をとり、都内区市町村等にKHVの情報提供を求めておられますが、国がKHVに関して発表した十一月二日以前の情報の把握が十一月十七日になってからと、かなり間があいております。もう少し早く九月二十四日の大量死の情報把握ができなかったのか、少なからぬ疑問が残るわけでありますが、その点についてまずお伺いをしたいと思います。

○菊地農林水産部長 都は、十一月二日の霞ヶ浦産コイについての国からのKHV陽性発表直後から、KHVに関する情報の把握に努めるとともに、十一月四日には、土、日を含む通報連絡、相談窓口を設置いたしました。
 また、放流計画のある漁協につきましては、蔓延防止のために緊急の対応が求められるため、同日、同漁協への連絡によりまして、十月三十一日の多摩川への放流実績を確認し、今後の放流の中止と流域監視への協力を要請してまいりました。さらに、河川流域の区市町村へも情報を提供し、協力を求めてまいりました。
 しかしながら、この期間は、KHVに関する情報が大変少なく、国からの情報提供を受けながら、釣り堀、公園等についての所在の確認、取材、流域以外の区市町村や関係機関に対する情報の提供を開始したところでございます。
 こうした中、十一月十七日夕方に、板橋区から、同区の氷川つり堀公園での九月二十四日のコイの大量死などの情報提供があり、翌朝には同公園へ職員が出向き、対応してまいったところでございます。
 今回の事例を踏まえまして、今後より一層迅速な対応に努めてまいります。

○谷村委員 今回、板橋で都内初のKHVが判明しました。しかし、実は、その五十日以上も前に、コイの大量死の事実もわかりましたと。そういうのでは、都の対応というか、情報収集能力に疑問符が打たれても仕方ない面があると思います。
 判明したときに、区市町村に連絡徹底をした際に、今後、KHVの疑い事例があれば報告をしてほしい、こういう徹底だから過去の事例というものが上がってこなかったのか、単に過去の疑わしい情報までは上がってこなかったというだけなのか。仮に、過去にさかのぼっても、疑わしい事実がないかを含めて情報を吸い上げてほしい、このように徹底していれば、そうした情報も掌握できていたことなのか。結果論の立場から申し上げるつもりは毛頭ありませんが、今回の対応については、今後のこともありますので、しっかりとした検証をお願いしたいと思います。
 次に、先ほどのご報告では、二十日に板橋区でKHVが発生した以後、都は、霞ヶ浦産のコイの緊急検査を行っておられますが、都のKHVの検査体制はどうなっているのでしょうか、お伺いをいたします。

○馬場参事 都の検査体制でございますが、現在、KHVの疑いについての通報があった場合、即日または翌日には、釣り堀業者や養殖業者に出向き、検体の提供を受けまして、水産試験場が検査対応を行っております。
 対策本部設置後の十一月二十日以降は、養殖場、釣り堀等の飼育実態に基づき、疑いがない場合でも検体の提供を要請するなど、汚染実態の把握に努めております。
 また、このために、魚類防疫士の資格を持つ職員を検査機器のある水産試験場本場に集めるなど、迅速な対応体制の確保に努めているところでございます。

○谷村委員 霞ヶ浦産以外のコイを扱っている十一の業者も、検査を希望しているようであります。また、このウイルスは、水温が十三度以下になると発病しない、このようにいわれておりますけれども、しかし、冬場の潜伏期間を経て、春先に水温が上がると、また発症する可能性が出てくるわけであります。
 あっては困る話ではありますけれども、仮に、来年の春以降、このKHVが都内で広がりを見せた場合や、釣り堀業者などからの検査の要望に対して、現在の検査体制で十分対応できるのでしょうか。万が一を想定して、検査体制の整備の必要もあるのではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。

○馬場参事 このKHVの検査といいますのは、生物学的と申しますか、化学的な検査ではなく、ウイルスのDNAを出すということで、分子レベルの検査でございます。
 したがって、私どもは、今後の検査体制を整備するために、さらに、東京都家畜保健衛生所の検査機器でも対応できるように準備を既に整えてございます。
 また、同所の検査員への検査手法の研修を開始しており、要員の確保に努めるほか、国が実施する技術研修会に積極的に職員を派遣いたしまして、検査技術の向上等も図っているところでございます。
 今後とも、KHV検査等に万全を期すため、検査体制の整備に努めてまいります。

○谷村委員 この検査の結果からすべてがスタートするわけでございますので、ぜひ検査体制の整備を強力にお願いをしたいと思います。
 あと、先ほどの報告で、釣り堀業者や養殖業者からもコイを提供してもらい、コイの検査を行っているとのことでありますが、仮にこれらのコイからKHVが確認された場合、その業者は、コイの処分や釣り堀の消毒などのために、どうしてもしばらくは休業せざるを得ない。先ほどからの質疑でも出てまいりましたけれども、風評被害などにより、経営に大きな打撃を与えることも考えられます。
 味覚の話も出てまいりましたけれども、釣り堀業者、養殖業者に限らず、流通関係や料理店なども含めて、この風評被害に遭う確率、可能性というのは非常に高くなるわけでございます。
 そのような場合、都として、先ほどの質疑にもありましたけれども、融資などの支援策について、もう一度ご確認をさせていただきます。

○菊地農林水産部長 漁業者、養殖業者につきましては漁業近代化資金の対象でございますが、融資には、融資機関及び保証機関それぞれの会員であることが条件となっています。
 また、釣り堀業者や料理店につきましては、東京都中小企業制度融資の対象となってございます。
 これらの融資のための条件に適合しない場合でも、今回の現状を踏まえ、融資の方策について早急に検討してまいります。

○谷村委員 今いただいたご答弁の最後の方が非常に重要でございまして、融資対象になる業者ではあっても、なかなか条件が厳しくて受けられないという実情が大変多くあります。ただいまご答弁もありましたように、この融資条件に適合しない場合の融資の方策について、ご検討を着々と進めておいていただきたい、このようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

○丸茂委員 最後なので、多少ダブる点がありますけれども、お許しいただきたいと思います。
 今回、コイヘルペスが、ウイルスの感染が原因だといわれています。そういう点では、対応はスピードをもってやることが大変重要だと考えております。
 先ほど、コイを取り扱う五十八業者のうち、霞ヶ浦産のコイを仕入れた業者で検査を希望する釣り堀業者、養殖業者の十の業者を優先し、緊急検査を実施するということでありました。
 ただ、同時に、公園の五業者も、優先して検査を求めているわけですけれども、これも検査すべきと考えますが、その点どうなのか。何か事情があるのか、伺います。
 あわせて、その他のコイを仕入れた業者で検査を希望する方が、釣り堀、養殖、さらに公園を含めますと、十八件となっております。この検査はどういう段取りで進めようとしているのか、その点、お伺いをしておきます。

○菊地農林水産部長 KHVの検査でございますが、現在、水産試験場では、徐々に体制整備をしながら検査をしているところでございます。また、先週末に、国の方から新たな検査方法が示されました。これに対する検査体制も、新たにまた整備に努めてございますが、ちょっと段階をおりまして、とりあえず、業者、公園、いわゆる希望しているところをまず第一段階にやる。それから順次、それ以外の公園や霞ヶ浦産以外のコイの十八業者についても対応してまいります。

○丸茂委員 順次対応するということですけれども、体制整備とあわせて、スピードをもって対応を図るよう、求めておきたいと思います。
 次に、コイヘルペスは、先ほども答弁があったのですが、一九九七年にイスラエルで発生しまして、輸出先のイギリスやドイツ、オランダ、ベルギー、さらにはアメリカにまで広がったと。昨年、インドネシアでも感染が確認されたと農林水産省は発表しております。ここでは、国の防疫体制の不備があるのではないかと、直接扱っている方々の指摘もあります。そこで、都内の流通業者の中で、海外からコイを輸入している業者はいるのかいないのか、その点、お伺いをしておきます。
 また、国内では、茨城の霞ヶ浦以外にも、岡山県でニシキゴイの感染だとか、ニシキゴイにまで広がっている。それから、大阪では、水質の監視システムのコイセンサー、コイを泳がせて、何か起きたらコイがセンサーの役割をする、こういうコイが十三匹死んだという報道もあります。
 そういう点では、コイの取り扱いというのは、さまざまなところでケースがあるんだなということを私自身知らされたわけですけれども、そういうことを含めて、都内での実態把握、その辺はどうなのかな、万全なのかな、そんなことを感ずるのですが、いかがでしょうか。

○馬場参事 まず、輸入の関係でございますが、財務省貿易統計を調べましたところ、輸入業者数については把握できませんでしたけれども、本年、十五年一月から十月までの間に、全国でコイ及び金魚の輸入数量、これはほとんどが観賞用でございますが、十一・三トンとなっております。
 それから、都内のコイの実態でございますが、コイは非常に強い魚でございまして、あらゆる場所で飼われております。東京都では、養殖の対象として、また内水面漁業協同組合の放流として、また個人、法人公園の釣り堀として、さらには料亭、観賞用のニシキゴイということで、あらゆる場面で飼われております。
 私ども、現在、緊急を要するという立場から、霞ヶ浦産のコイにつきまして把握をしたところでございます。今後、区市町村等の協力を得ながら、それ以外のコイも実態を把握したいと考えております。

○丸茂委員 コイヘルペスは、先ほどの持続的養殖生産確保法による特定疾病、これは平成十一年五月、法に基づいて指定されているわけです。輸入のコイについては、農林水産省は、ことしの七月十四日に、証明書を出させることも義務づけております。今後のこともありますので、こういった一つ一つのことを見逃さず、それが、先ほどからもいうように、一気に感染して広がりますので、ぜひいろいろな情報を踏まえて対応をお願いしたいというふうに思います。
 次に、東京都は、産業労働局長を本部長に対策本部を設置しましたけれども、水産試験場は、そういう点では、現場の対応としては大変重要な役割を果たしているというふうに思っております。土、日、休日を含めて、具体的にどのような対応をしているのか、お伺いをいたします。

○菊地農林水産部長 水産課及び水産試験場では、それぞれ基本的体制として、二名と四名で土、日、休日のKHVの相談等の窓口を設置しております。この中で、相談対応、通報に基づく現地確認、コイの引き取り、捕獲及びKHV検査等を実施しています。

○丸茂委員 土、日、休日も含めて体制をとっているという点では、大変ご苦労が多いことだというふうに思っております。全国的に見ても--コイヘルペスの特定など、水産試験場の職員に対して診断の研修だとか、相談等、対応できるように措置がとられております。そういう点では、相談も検査もワンストップで水産課と水産試験場で同時に対応しているというのは、大変貴重だというふうに思っております。
 この水産試験場は、二百海里にわたる水産業の振興においても重要な役割を果たしていると考えております。そう考えていたところ、きのう、第二次都庁改革アクションプランを見ましたら、水産試験場の運営形態を含めた事業のあり方が検討課題にのっていまして、二次プランでは、法改正などによる地方独立行政法人制度や公の施設の指定管理者制度などの検討が示されております。
 第一次アクションプランをちょっと調べてみましたら、水産試験場という名前はなかったんですよね。行政評価を踏まえた対象でもなかった水産試験場が、いきなり農業試験場、畜産試験場、林業試験場とあわせて、財団化する対象として挙げられております。
 今、独立行政法人化あるいは指定管理者制度は、都の監督権だとか私ども議会のチェック権、こういうものが及ばない弊害が予測されるということから、都民的な議論と合意が不可欠だということを、きょうはそういう場じゃありませんので、申し述べておきたいと思います。
 最後に、コイ料理店等の話によりますと、季節的には、今、コイが一番おいしい季節に入っている。それが、ウイルスに感染したコイ、食べても、先ほどいうように、人への感染はないということは明らかになっていますけれども、大量に死滅するコイヘルペス被害が拡大されていくにつれて、風評被害等による影響も広がっていると。コイ料理店や養殖業者、釣り堀業者など、関連業者の経営が落ち込んでいるという状況も聞いております。
 こうした営業被害に対して救済策が必要と考えますが、私の方も重ねて、どうなのか、お伺いをしておきます。

○菊地農林水産部長 重ねてのご答弁になりますが、漁業者、養殖業者につきましては漁業近代化資金の対象でございますが、融資には、融資機関及び保証機関それぞれの会員であることが条件となっております。
 また、釣り堀業者や料理店等につきましては、東京都中小企業制度融資の対象となっています。
 先ほど申し上げましたが、これらの会員の条件にかなわない場合でも、今回の現状を踏まえまして、早急に融資の方策について検討してまいります。

○丸茂委員 融資だけじゃなくて、現実には営業補償的なものも、被害の拡大によっては、現実にそれだけでなりわいをやっている方もいらっしゃいますので、その点の対応も十分できるように求めて、私の質問を終わります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十五分休憩

午後二時五十四分開議

○真鍋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○成田港湾局長 平成十五年第四回都議会定例会に提出を予定しております、当局所管の案件をご説明申し上げます。
 提出案件は、新海面処分場の護岸建設に係る地盤改良工事の請負契約案でございます。
 よろしくご審議を賜りますよう、お願い申し上げます。
 なお、詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。

○浅倉総務部長 ただいまの局長の説明に続きまして、本定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、平成十五年第四回定例会提出予定工事請負契約議案の概要をごらんいただきたいと存じます。
 平成十五年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)につきまして、ご説明申し上げます。
 本工事は、新海面処分場Gブロック内の護岸を建設するため、地盤改良工事を施行するものでございます。
 一ページをごらん願います。平成十五年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)でございます。
 契約の相手方は若築・前川建設共同企業体、契約金額は十七億三千二百五十万円、工期は平成十六年九月三十日、契約の方法、入札回数、入札者数はごらんのとおりでございます。
 二ページから三ページに案内図等の図面をお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 以上で、平成十五年第四回都議会定例会に提出を予定しております、港湾局関係の案件の説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議賜りますよう、お願い申し上げます。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 発言がありませんので、資料要求はなしと確認させていただきます。

○真鍋委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○樋口港湾整備部長 去る十一月六日でございますが、東京都港湾審議会におきまして、東京港の第七次改訂港湾計画を策定するための指針となります基本方針の中間報告がございましたので、その内容などにつきましてご報告を申し上げます。
 まず、経緯でございますが、昨年十二月、おおむね二十年後を目指して、東京港が取り組むべき方向を明らかにするための基本方針の策定につきまして、東京都港湾審議会に、知事より諮問をいたしました。その後、港湾審議会の中に基本方針検討部会が設置され、同部会におきまして、本年一月から十月まで計九回にわたりご審議をいただき、中間報告が提出され、このたび、同審議会におきまして了承されたものでございます。
 それでは、お手元の資料2、「東京港第七次改訂港湾計画の基本方針」の中間報告をごらんいただきたいと存じます。
 まず、本文の表紙をめくっていただきますと、答申に当たっての背景及び答申の位置づけをまとめました、「基本方針の答申に当たって」をお示ししております。
 二枚おめくりいただきますと、二ページにわたりまして目次をお示ししております。
 全体の構成は四章から成っておりまして、第Ⅰ章は東京港革新の要請で、東京港の果たしている役割、東京港をめぐる諸状況を、第Ⅲ章の物流拠点東京港の革新は、物流拠点としての東京港の今後のあり方を、第Ⅲ章の活力と魅力あふれるベイエリアの形成では、東京臨海地域の今後の開発のあり方を、第Ⅳ章では、Ⅲ章、Ⅲ章の内容を実現する上で留意すべき点をそれぞれお示ししております。
 一ページをお開き願います。第Ⅰ章、東京港革新の要請でございます。
 本章では、東京港の役割、アジア諸港のコンテナ取扱量の増加に伴う東京港の相対的な地位の低下、東京港の港湾コストがアジア諸港に比べて高いこと、コンテナ船の大型化やローロー船の利用増大、また高機能物流倉庫の不足、港湾区域の背後における陸上輸送のボトルネックなど、東京港を取り巻く状況の変化をお示しするとともに、東京臨海地域が、その高いポテンシャルを生かし、都市再生のリーディングエリアとして大きな役割が期待されていることなどもお示ししております。
 六ページをお開き願います。第Ⅲ章、物流拠点東京港の革新でございます。
 東京港から日本の物流改革を発信し、東京港を首都圏の物流改革をリードするメーンポートとしていくという観点から、官民一体となって大胆な構造改革を行うことが必要不可欠であるとし、このために取り組むべき三つの目標として、サービスアップ、コストダウン、高機能物流拠点の形成、物流の広域連携をお示ししております。
 次に、七ページをお開き願います。中段の囲みの部分が、これらの目標を達成するための具体的取り組み内容となる七項目でございまして、このうち、1から4がサービスアップ、コストダウンに関する項目でございまして、港湾コストの三割低減、リードタイムの短縮、コンテナ船の大型化に対応したふ頭施設の整備と管理運営のあり方、危機管理対応などでございます。
 5、6が高機能物流拠点の形成に関する項目でございまして、中央防波堤外側地区などにおける高機能物流倉庫の立地の誘導、広域交通ネットワークの形成、物流のボトルネック解消などでございます。
 7は、物流の広域連携に関する項目でございまして、京浜三港との連携、総合物流ビジョンの策定などでございます。
 以下、一八ページまでに、目標及び具体的な取り組みの詳細をお示ししております。
 次に、一九ページをお開き願います。Ⅲ章、活力と魅力あふれるベイエリアの形成でございます。
 首都東京再生のリーディングエリアとなるこの地域特有の魅力、可能性を生かし、調和のとれた複合市街地を形成すること、戦略的な都市経営の視点の必要性などをお示ししております。
 東京臨海地域の持つ高いポテンシャルを生かしたまちづくりに当たっては、都市機能と港湾機能の調和、環境の保全、回復、都市活動と人々の交流を支える交通網の整備、羽田空港との共存、この四つの目標を達成することが必要であるとしております。
 次に、二〇ページに参りまして、中段の囲みの部分でございますが、これらの目標を達成するための具体的取り組み内容でございます。
 このうち、1、2が都市機能と港湾機能の調和に関する項目でございまして、職住の機能が複合した魅力的な開発の促進、ニーズの変化に合わせた土地利用の見直し、運河ルネッサンスの展開などでございます。
 3、4が環境の保全、回復に関する項目でございまして、大規模な海上公園、海の森の整備、浅場の造成、静脈物流ネットワークのための施設整備などでございます。
 5は、都市活動と人々の交流を支える交通網の整備に関する項目でございまして、環状二号線や放射三四号線の延伸、「ゆりかもめ」の豊洲延伸などでございます。
 6は、羽田空港との共存に関する項目でございまして、第一航路の拡幅による対面航行化、現行の船舶の航行が可能な高さの確保などでございます。
 二一ページから二九ページにかけましては、目標、具体的な取り組みの詳細、そうしたものをお示ししてございます。
 三〇ページをお開き願います。第Ⅳ章、基本方針の実現に向けてでございます。
 Ⅲ章、Ⅲ章でお示しした施策を推進するために必要な留意事項として、広域的課題解決に向けた実効性ある連携、港湾経営の将来像の検討、ユーザーの立場に立った規制緩和と慣行改善、民間ポテンシャルの誘引、誘導、行政の説明責任と効率的な事業展開の五項目をお示ししております。
 以上により、世界に競う港湾サービスの実現、魅力ある水辺都市の形成を目指すものでございます。
 三二ページ以降には、附属資料として関連の図表などを掲載しておりますので、後ほどごらんいただければと存じます。
 今後のスケジュールでございますが、現在、都のホームページなどにより都民の意見聴取を行っており、これらを踏まえて、来年一月下旬ごろに第十回目の基本方針検討部会を開催、最終報告の取りまとめを行い、本年度中に港湾審議会から最終答申をいただくことになっております。
 以上、簡単ではございますが、東京港第七次改訂港湾計画の基本方針、中間報告の説明を終わらせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

○真鍋委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 発言がありませんので、資料要求はなしと確認させていただきます。

○真鍋委員長 次に、請願の審査を行います。
 一五第三三号、調布飛行場の航空管制官の存続に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○松本参事 本日ご審査いただきます請願につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料3、請願・陳情審査説明表をごらんいただきたいと思います。
 一ページをお開き願います。本日ご審査いただきますのは、一五第三三号、調布飛行場の航空管制官の存続に関する請願の一件でございます。
 二ページをお開き願いたいと思います。請願者は、東京都調布市、飛行場問題を考える市民の会代表、松下亘男さん外九百四十七名の方々でございます。
 請願の要旨でございますが、調布飛行場に関して、次のことを実現していただきたい。
 一、都営空港化を認める条件だった航空管制官による運航業務を今後も継続すること、二、地元との協定を守って、現在の機能より拡大する計画等は一切行わないことというものでございます。
 続きまして、現在の状況についてでございますが、要旨の1につきましては、国は、全国レベルで航空管制官の配置を見直しているところでございます。調布飛行場の管制官撤退の意向につきましては、平成四年七月に国から示され、また、平成十四年六月に、再び撤退の意向が国から示されたところでございます。
 東京都といたしましては、管制官撤退につきましては、調布、三鷹、府中の地元三市の同意や安全性の確認がなされていない段階では時期尚早だと考えておりまして、管制官の存置について引き続き国に要望していくとともに、仮に国が撤退した場合の代替策についても検討を行っていく所存でございます。
 また、要旨2につきましてでございますが、調布飛行場は、有視界飛行方式で運用されているため、就航率が極めて低く、全国の平均就航率を大幅に下回っている状況にございます。
 これまで、島しょ地域から、調布飛行場の就航率向上に関する要望が出されておりまして、これにこたえるためには、現在の機能の見直しも含めて多角的に検討する必要がございます。現在の機能より拡大する計画等は一切行わないとした場合、この就航率向上にかかわる検討に重大な支障を来すことになります。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほど、お願い申し上げます。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 本件について発言願います。

○和田委員 一五第三三号、調布飛行場の航空管制官の存続に関する請願に関連をして、おおむね、騒音あるいは防音といってもいいかもしれませんけれども、そういう角度から二、三の質疑をさせていただきたいと思うのです。
 平成四年七月に、東京都は国から調布離着陸場の管理を引き継ぎました。旧調布基地跡地の地元三市、ただいま出ましたけれども、調布や三鷹や府中の三市の間で調布離着陸場の管理運営に関する協定というものを締結して、この中で、航空機騒音の対策の一つとして、航空機の騒音値がW値七〇を超える地域に対して住宅防音対策を講じることということが、まさに受け入れの条件ということになってきたわけです。
 こういう条件が重くあるわけですけれども、今日まで騒音対策はどのようになされてきたのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

○松本参事 騒音対策についてのこれまでの取り組み状況についてでございますが、都は、調布飛行場がまだ場外離着陸場でありました平成六年から平成十年度にかけまして、法律上の義務とは別に、都の独自の対策として、航空機騒音の環境基準でありますWECPNL値、いわゆるW値と申しておりますが、これが七〇以上の地域に存する住宅約七百六十戸に対しまして、総事業費八億円を投じて、国の実施する制度よりも手厚く防音工事助成を実施してきております。
 また、あわせまして、低騒音機の導入、着陸回数の制限や滑走路の方向を均等にするように努めるなど、飛行場の運営面からの飛行機の騒音の影響を軽減するように努めてまいりました次第でございます。

○和田委員 都は、P1からP10まで、P1は野川公園、P10は府中養護学校まで、十カ所にポイントを置いて、二〇〇一年の九月二十七日から十月三日まで、航空機の騒音調査結果を一覧表として作成されています。その中で見ますと、野川公園は、週間値として六七・八、P1ですね。それから、P10の府中養護学校は六一・一という形で、先ほどのW値の七〇という数字に一つのスタンダード、基準を置けば、それぞれ下回っているという数字は出ています。
 しかし、P2の第一浄水場が七一・八という形で、週間値ですけれども、出ています。十のうち一カ所が、二〇〇一年の九月から十月時点での調査ではなっているというふうに思っているんですが、当局は現況をどのように把握されているのでしょうか。

○松本参事 騒音の現況がどうなって、どう認識しているのかということでございますが、先生が今ご指摘の、環境局で測定したデータでございます。ご指摘のとおり、平成十三年度の全測定地点は十ポイントございました。そのうち、環境基準でございますW値七〇を超えたポイントは一カ所でございます。その中では、これは週平均値でございますが、七一・八、これは事実でございます。
 おおむね環境基準は達成されているのではないかと思っておりますが、なお、この七一・八を記録した第一浄水場のポイント2の近傍の広範囲におきまして、既にW値七〇以上に対応する住宅防音対策を実施してきたところでございます。

○和田委員 都は、平成五年度、今から十年前に、民家の防音工事助成基礎調査を実施して、航空機騒音に対する周辺地区への影響の程度を予測した、東京都独自の騒音予測のコンター図をつくっているんですね。よく出る舟形のような形になって、その中に十ポイントが置かれているわけですけれども、そこがW値七〇であるのかどうなのかという測定ポイントが指定されています。
 例えば、そういうことの予測なり、あるいは実地の調査の結果、学校などについては、W値が七五以上で八〇未満などの教室については、対象の部屋などについては、具体的に当該住宅に居住している人の数に一を加えた数、ただし五以内ということで、W値七〇以上七五未満は二以内とか、そういう細かな、部屋の対象を考えながら防音対策をしてきているというところまでは理解できます。しかしながら、十年前のコンター図で、今いいのかどうなのかという疑問を、私は率直にいって持つんです。
 そこで、今後の対策として、手厚い対策を練ることは当然なんですけれども、少なくとも、十年後の今日、コンター図などをきちっとしっかり定めて、それに基づいて今日的な手厚い対策ということでなければおかしいだろうと思うんですが、当局は、そのような形で、十年前の平成五年度のコンター図だけではなくて、新しい形で、環境も変わってきているわけですから、機種も変わっているわけですから、そういう意味で、新しい調査なりデータをもとにした対策を練り上げるおつもりがあるのかどうなのか、お伺いいたしたいと思います。

○松本参事 今後の対策と、そのもとになるコンターの更新ということでございますが、調布飛行場が平成十三年三月に公共用飛行場になったことを受けまして、環境局におきまして、調布飛行場周辺において、騒音基準を守るべき地域、いわゆる地域類型指定と申しておりますが、これを平成十六年の春に行う予定だというふうに聞いております。
 これのもとになるコンターということにつきましては、現在、港湾局では、騒音影響の見直しを行うとともに、防音工事の内容、監視体制の強化など、今後の対策につきまして検討を行っているところでございます。それに当たりましては、これは予測図でございますが、新たにコンターをつくりまして、対策も含めまして、今後公開してまいりたいというふうに考えております。

○和田委員 環境局とうまく調整しながらやらなければならない問題であることはわかります。ただ、十六年の春をめどに、もう間もなくですけれども、今、環境局の方が地域指定をするというふうなご答弁がありました。こういう形の、地域類型指定ですけれども、なされることによって、あの地域が、かつては場外離着陸場というあいまいなものだったものが、平成十三年三月から公共用の飛行場にきちっと位置づけられるというのと同じように、地域類型指定というものを受けることによって、あの調布の飛行場の指定が、少なくとも公式にもなされてくるということで、ありようといいましょうか、存在そのものが着実に公的になってきているというふうに思うわけです。
 そこで、十六年の春という環境局の一つの方針は方針としながらも、それを受ける側の当局の方も、しっかりコンター図などをつくって、住民にそのことをきちっと公表し、公開しながら、住民の側の方と当局の方の意識も差のないように--住民の方々も何か、残念ながら、被害者というようなお気持ちが強くなってくる。それから、都の方は加害者的なことになってくることによって、今の科学的なデータなどに見るような客観性を失った形での感情的な衝突というか、ぶつかり合いは大変残念なことでありますから、できるだけ数値なりデータを最新のものに改めて、それを公表することによって、住民の方にご理解いただくことはご理解いただく。また、当局が譲歩するところは譲歩するというような、柔軟な姿勢がこれから求められると思いますから、まず環境局の地域類型指定も含めたコンター図、そういうものもリニューアルすることによって、今日的な調布飛行場のありよう、どのような被害が今あるのかという現状把握というものがまず必要だと思いますので、強くこのことは申し上げておきたいと思うのです。
 それと、請願の中の二項目めに、地元との協定を守って、現在の機能より拡大する計画等は一切行わないことと、現在の機能ということがあるので、これは私も、機能というのはどういうものかわからないんですけれども、少なくとも飛行場そのものを、誘導灯をつけるとか、あるいはより滑走路を長くするとか幅を広げるとか、そういうことも含めた、機能をより拡大する計画は行わないでくれということになるのかなと思うのです。
 その辺のところも漠とした願意ではありますけれども、私自身は、滑走路の延長などということはするべきではないし、当局はそんなことは考えていないというふうに思うのです。したがって、現在の機能より拡大する計画等は一切行わない中のうちの、滑走路の延長ということはあり得ないというふうに思うんですが、いかがなのでしょうか。

○松本参事 現在、調布飛行場の滑走路を延長するといった計画はございません。

○和田委員 私どもの同僚議員の河西、調布選出の仲間もいるんですけれども、そういう同僚議員からいろいろ事情聴取したり、直接住民の方々と会ったり、当局の方々の話を聞いてみても、さきに申し上げたとおり、お互いに意識がまだそろっていないなということがあるんです。
 もとより、この問題については過去のいろいろないきさつがあるから、しようがないにいたしましても、より住みやすく、また、あそこがより、飛行場としてですけれども、公害とかあるいは騒音とか、その他近傍に迷惑をかけないような存在でいながら、島しょを含めた需要も多いことも聞いておりますから、そういういろんな要求のぶつかる地点であるということを十分当局も承知した上で、ご苦労かもしれませんけれども、ただいま申し上げたような意識の公平化というか、均衡化といいましょうか、あるいは情報の公開ですとか、今はっきり答弁されましたけれども、滑走路の延長は絶対ないというようなことも含め、住民の方々に機会あるたびに説明申し上げて、環境局の地域指定などを踏まえて、さま変わりをしつつあるわけでありますから、より前向きな形で、この調布飛行場の問題が一日も早く、双方の、住民の方と当局の方の意識の乖離がなくなるような工夫、努力を求めて、私の質問を終わります。

○谷村委員 調布飛行場は、大島、新島及び神津島との間に定期航空路線を持ち、年間約四万人の方々が利用する飛行場であり、島しょと本土を結ぶ離島航空路線の拠点として大変に重要な飛行場であります。
 聞くところによりますと、航空機の利用は、本土での急ぎの用事を済ませる方々だけでなく、病院への通院などの目的で利用される方々も多いとのことであります。特に海が荒れ、船舶が欠航することも多くなるこれからの季節におきましては、その必要性はますます高く、島しょの方々にとっては、まさにライフラインといっても過言ではありません。
 また、調布飛行場は、測量や航空写真撮影のための小型航空機も利用する公共性の高い飛行場でありまして、平成十三年にようやく、かつての場外離着陸場から公共用飛行場として整備されたと聞いております。
 そこで初めに、調布飛行場のこれまでの経緯の概略と使用状況の実態につきまして、お伺いしたいと思います。

○松本参事 調布飛行場の経緯概略とその使用実態についてでございますが、まず、そもそも調布飛行場は、昭和十六年四月に開設されております。その後、終戦とともに米軍が接収いたしまして、昭和四十八年三月に、国へ飛行場地区が全面返還されたわけでございます。米軍からの返還後は、国が場外離着陸場として管理を行っておりましたが、平成四年七月に、その管理を国から都が引き継いでおります。
 平成八年七月には、調布、三鷹、府中の地元三市の市長さん、市議会の議長さんで構成されております、いわゆる六者協と申しておりますが、この六者協と正式飛行場化について合意いたしまして、平成十三年三月に、公共用のその他飛行場、いわゆるコミューター空港として開港したわけでございます。
 以上が経緯の概略でございますが、使用実態といたしましては、平成十四年における離着陸回数、例えばでございますが、一万七千三百六十五回。そのうち約三三%が、先生ご指摘の大島、新島、神津島とを結ぶ航空運送事業でございまして、いわゆる離島便でございます。それから、約四六%が航空撮影等の航空機使用事業、残り二一%が自家用機等の利用となってございます。
 これは、ここ近年は、全体として、総離着陸の回数で申し上げますと、おおむね一万六千から一万七千台で推移しているというような状況でございます。

○谷村委員 おおむね一万六千から一万七千回の利用がある。そのうち、約三三%が航空運送事業、そして約四六%が航空機使用事業と。ただいまのご答弁で、調布飛行場の公共的、公益的利用が全体の八割に及ぶとのことであります。島しょにとってのみならず、都にとってもなくてはならない施設であることが、ただいまの使用実態におきましてもよくわかるわけでございます。
 一方、調布飛行場が、他に余り例のない住宅密集地域に立地していることから、利便性というメリットと同時に、安全性の確保が何よりも求められ、今回の請願の1にあります管制官の撤退という件につきましては、関係地域住民としては大変に心配であるというのは当然のことだと思います。
 調布飛行場につきましては、これまで、いわゆる六者協を中心としていろいろな経緯があることや、管制業務は国の出先事務所の所掌であり、都の一存ではどうにもできない事情も十分に承知しておりますけれども、現況説明によれば、調布飛行場の管制官撤退問題は、平成四年の国から都への管理引き継ぎの時点から存在したとのことであります。
 そこでお伺いいたしますけれども、管制官撤退問題に関しましては、都は今までどのように取り組んでこられたのでしょうか、お伺いをいたします。

○松本参事 管制官撤退問題に関するこれまでの都の取り組みでございますが、そもそも調布飛行場に管制官が配置されましたのは、昭和三十八年に国が運航管理業務を米軍から引き継いだことによるものでございます。都は平成四年の調布飛行場の管理引き継ぎに当たりまして、管制機能の今後の取り扱いについては、調布離着陸場における飛行の安全対策を考慮して別途調整を行うことというふうに国と約束、そういう取り決めになっております。
 都は、地元三市から場外離着陸場の管理引き継ぎと正式飛行場化の合意を得た際に、航空管制官を存置して、管制時間と運用時間を一致させるように努めるという受け入れ条件を付されておりましたが、これに対しまして、都は、国に対して引き続き要望するという旨、約束してございます。
 都は、平成十年六月、それから平成十一年十一月でございますが、当時の運輸省に対して要望書を提出いたしまして、その中で、航空管制官の存置と管制時間の延長について強く働きかけました。さらに、平成十二年三月には、知事から運輸大臣に対しまして、航空管制官の存置と管制業務時間の延長について要望いたしまして、これには都議会のご協力もちょうだいして、管制時間の延長について実現を見たところでございます。

○谷村委員 都として、この管制官問題につきましては、再三にわたり国に対して存置の要請を行い、その努力をしてきたものの、今回、昨年六月に、国から再び撤退の意向が表明されたとのことでありますけれども、そもそもなぜ国は管制官撤退を主張しているのか。また、仮に管制官が撤退すると、どのような影響が出てくるのか。さらに、国の撤退再表明後、都は何を検討し、どう考え、どう対応しようとしているのか、三点についてお伺いをいたします。

○松本参事 なかなか質問が多岐にわたっておりますので、ちょっと答弁の方も長くなることをご容赦ください。
 そもそも国が管制官撤退を主張している根拠でございますが、昭和六十三年の航空審議会地域航空輸送問題小委員会というのがございましたが、そこにおきまして、地域航空輸送問題についての最終取りまとめが報告されております。その中で、コミューター空港につきましては、航空保安業務も、設置管理者である地方公共団体が実施すべきだというふうに結論づけられております。
 それが国の政策方針となりまして、いわば国の主張の論拠というのが、管制業務も含めたコミューター空港についての国と地方の役割分担論がその論拠になっているということでございます。
 それから、管制官が撤退した場合の影響についてでございますが、仮に管制官が撤退した場合、調布飛行場のように年間離発着回数が一万七千回あるような飛行場におきましては、飛行場周辺の航空交通事情情報や気象情報、それから、航空機の運航に必要なそうした情報が適切に提供されなくなりますため、そのまま放置してしまえば、航空機の運航効率が著しく低下いたしまして、具体的にはその便数を大幅に減らさなければならない、そういったおそれが出てくるものでございます。
 これらの影響につきましては、広島西飛行場というのが同じくコミューター空港でございますが、これと同様に、管理者が情報提供業務を適切に行えば対処は可能、つまり、管制官がいなくても可能だというふうに国は主張しておりますが、都といたしましては、この影響の回避策、具体的には、国がいっているような、例えば小型航空機安全運航センターへの業務委託といった方法について、実際に調布飛行場における可能性、安全性などにつきまして、現在、調査検討を行っている最中でございます。
 それから、どう対処していこうとしているのかということでございますが、今申し上げましたように、安全性の確認ができていないということ、地元三市の合意がないということ、こういった中で、国が主張している役割分担論はともかくとして、管制官撤退につきましては時期尚早だというふうに考えておりまして、引き続き、その存置を強く国に要請していきたいと思っております。
 ただ、万が一に備えまして、代替案の検討も並行して進めていく所存でございます。

○谷村委員 管制官の配置等につきましては国の専権事項であり、国が一方的に管制官を撤退させることができるということは事実であり、万一そうなった場合に備えて、現在と同等の安全性、効率性を確保すべきことは、地元住民の方々のみならず、島しょ住民の方々にとっても、これは不可欠なことであります。
 空港管理者としての都が、当然の責務として代替案の検討を進めておかなければ、離島便の維持さえもできなくなるおそれもあります。毅然として国と折衝するとともに、代替案につきましても十分に検討していくことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、請願の2につきましてお伺いをいたします。
 現在の機能より拡大する計画等は一切行わないということでありますけれども、具体的な内容は余り判然といたしませんが、近年の技術革新が著しい状況下では、いささか極端ではないかと思います。
 現況説明にありました就航率向上の検討は、重要なテーマであると私は認識しておりますが、機能拡大と就航率の関連について、確認の意味で、なぜ離島便の就航率向上が検討課題となったのか、お伺いをいたします。

○松本参事 なぜ就航率向上が検討課題となったのかということでございますが、まず、先生のご指摘のとおり、調布飛行場は、島しょ地域にとっても不可欠な交通インフラでございます。それと同時に、震災の際には第一次緊急輸送ネットワークを構成する防災拠点でもございますことから、多摩のためにもなって、しかも地元にも親しまれる飛行場にするために何ができるのか、現状と課題の全体像を把握する必要がございました。そこで、調布飛行場の現状を踏まえた諸課題の全体像をイメージするために、フリートーキングやブレーンストーミングを繰り返したところでございます。
 その全体像のイメージを踏まえまして、また費用面、環境面、技術面からの可能性とともに、島しょからの要望や地元三市の状況を勘案いたしまして、組織的な課題として取り組むべきものを、就航率向上、管制官の撤退問題、それと環境、騒音対策といった課題に絞り込んだものでございます。
 就航率向上を重要な課題だと考えるに至った経過は、以上のとおりでございます。

○谷村委員 つまり、管制官問題といった単発的な課題のとらえ方ではなく、全体を視野に入れ、中長期的な対応を検討したということかと思います。
 調布飛行場の就航率は、平成十二年などは六八・一%とのことであり、ひどい年は七〇%を割ることもある状況ですが、この就航率では、往復だと、行きが七〇%、帰りも七〇%、七〇掛ける七〇ですから、四九%。往復での航空機の利用を考えると、予定どおり就航される確率というのは五〇%になるわけですね。すなわち、二回に一回は予定どおりの利用ができないということで、島しょと本土との間の航空アクセスとしては、島民の期待にこたえられる就航率とは到底いいがたいものがあります。
 そこで、現況説明の中にあります、就航率向上に関する島しょからの要望につきまして、具体的に説明していただきたいと思います。

○松本参事 島しょからの要望についてでございますが、具体的に申し上げますと、島しょからは、町村会、町村議会議長会から、毎年、予算要望という形ではございますが、まず調布飛行場の整備推進及び輸送力の増強、航空機就航率の向上及び飛行の安全性確保のための施設整備、それから本土及び島間コミューター空路の整備など、再三にわたって要望を受けております。
 また、具体的には、平成十四年七月に新島村、神津島村から、特別有視界飛行による就航率向上を要望されております。
 さらに、これは聞き及んでいるという話でございますが、今般、島しょ住民を中心といたしまして、三千名を超える方々から、安全性の確保、就航率向上のための措置を求める請願を行うべく、現在手続中であるというふうに聞いております。

○谷村委員 今ご説明いただきましたように、就航率向上に対しては、島しょ住民の方からの大変に強い期待、ご希望があるわけでありますけれども、大島、新島、神津島の三島合わせて一万五千人程度の総人口になると伺っておりますけれども、そのうちの実に三千名を超える署名を集めて、現在、請願を行うべく手続を行っておられるとのことで、私どもといたしましても、島しょ住民の方々のこうした熱い期待に、何としてもこたえていく必要があると感じております。
 私が調べたところによりますと、昨年度の交通政策審議会に国土交通省が提出した資料では、調布飛行場や新島、神津島の空港における平均年間就航率は、全国空港の平均就航率とされる九五・九%を大きく下回っております。資料にある全国八十五空港のうち、神津島空港と調布飛行場は、それぞれワースト一位、ワースト二位、新島空港がワースト四位となっております。
 そこでお伺いいたしますけれども、他の飛行場と比べて著しく就航率が低い実態、これは具体的にどういう理由からなのか、お尋ねしたいと思います。

○松本参事 調布飛行場の就航率が低い理由でございますが、調布飛行場では有視界飛行方式を採用しております。この飛行方式では、具体的に申し上げますと、視程、いわゆる見える距離でございますが、これが五キロ以上、それから雲高、雲の高さでございますが、これが三百メートル以上確保されない場合、つまり、悪天候の場合につきましては航空機の離発着ができないということになります。
 したがいまして、このために就航率が、例えば調布飛行場で申し上げれば、全国おしりから二番目、本土空港では最悪というような就航率の低さになっております。
 なお、地元の調布、三鷹、府中の各市と結んでおります協定書、覚書がございますが、この有視界飛行方式はその中で決められている方式でございます。

○谷村委員 ただいまご説明いただきましたが、有視界飛行方式で運営されているために、本土空港では就航率が最低ということでありますけれども、冒頭申し上げましたが、離島便というのは必要不可欠な交通インフラであり、緊急時のライフラインでもあります。この人、物、情報、文化の重要なパイプを太く安定的に確保する重要性は、離島振興という観点からも申し上げるまでもありません。
 そこで、一つ提案があります。有視界飛行方式に対して計器飛行方式というのがありますけれども、こうした計器飛行方式を導入すれば、就航率を向上させられるのではないか、さらに安全性も高まるのではないか。
 こういった角度から、この際、計器飛行方式の導入も検討したらどうか、このように提案をいたしたいと思っておりますが、この計器飛行方式等の導入について検討されるかどうかについて、ご見解をお伺いしたいと思います。

○松本参事 計器飛行方式の導入の検討ということでございますが、ご指摘の計器飛行方式も、就航率向上のための有効な手段の一つだというふうに考えております。
 例えばでございますが、平成十一年度に実施した調査がございますが、これによりますと、離島便の就航率の低さの原因の多くは、調布サイドの気象条件の悪さにございます。調布飛行場に計器飛行方式が導入されれば、最大でございますが、九三・五%まで就航率の改善が図られるという報告が出ております。
 ただ、そのほかに、一定の条件のもとで、調布飛行場の視程条件、先ほど申し上げました五キロでございますが、この視程条件を緩和する特別有視界飛行方式という方法もございます。
 今後、費用、効果などの面から、計器飛行方式も含めまして具体的に検討を進めて、一定の成案を得た段階で、地元三市と協議してまいりたいというふうに考えております。

○谷村委員 この調布飛行場の就航率が七〇%を割るような、本土空港では最悪という状況ですけれども、初めのうちは、離島の方の気象条件が悪いがゆえに、こういう就航率が悪いのかと思いましたら、実際には調布の気象条件が主たる要因であると。この調布飛行場の方の飛行方式を検討したり、新たにしていけば、今ご答弁いただきましたけれども、九三・五%まで就航率は改善が図られるということでございます。
 平成九年に地元三市と締結した協定、覚書が、就航率向上の大きなハードルになっているようでもありますけれども、旧来の協定、覚書にとらわれることなく、さまざまな工夫をすることによって就航率向上の可能性があるように思います。
 とりわけ、ことしは、アメリカのライト兄弟が世界初の動力飛行に成功してから百年になります。記念日は十二月十七日だそうでございますので、きょうから十九日後がちょうど百周年になります。そのライト兄弟が飛ばしたフライヤー一号というのは、当時、プロペラ二本、エンジンがわずか十二馬力で、飛行時間はたったの十二秒間でしたが、三十六メートルの飛行距離だったそうであります。しかし、それが歴史を変えたわけであります。
 このライト兄弟の歴史的な動力飛行成功から百周年を十九日後に控えまして、地元三市との協定、覚書の改定も視野に入れて、計器飛行方式あるいは特別有視界飛行方式も含めて検討を進めてはいかがでしょうか、見解をお伺いしたいと思います。

○松本参事 現時点で、就航率向上のための方策についての具体的な成案を得ている状況ではございませんために、確たることはちょっと申し上げられないということはございますが、ただ、計器飛行方式あるいは特別有視界飛行方式をとるにいたしましても、飛行方式の変更に当たる可能性がございます。したがいまして、これは、三市との事前協議事項に該当するために、協定、覚書の改定を結果として行う必要が出てくるということは、十分考えられることでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、都として一方的に結論を出すということではなくて、協定、覚書に基づきまして、地元三市とも十分に話し合いながら進めてまいる所存でございます。

○谷村委員 三市との事前協議事項に該当することは、よく私どもも理解をしております。この地元市の理解、協力、そして合意を得た上で改善に取り組むことは、ぜひとも必要であり、そのように進めていただきたいと思います。
 一方で、調布飛行場は、管理経費だけで毎年約一億円以上を投入している貴重な行政財産でもあります。私も東村山に住んでおりますけれども、多摩振興に貢献する都営飛行場として、さらなる利活用を図ることも重要であると思います。直ちにとまでは申しませんけれども、中長期的な観点から、調布飛行場を、多摩振興のためにも積極的に運営することも検討すべきだと思います。
 最後に、調布飛行場を、島しょ振興のみならず、多摩地域の振興に資するべく、積極的に利活用する検討を具体的に進めてはどうかと思いますが、成田局長のご見解をお伺いしたいと思います。

○成田港湾局長 調布飛行場は、地元三市との間で締結いたしました協定、覚書に基づきまして、飛行場の現状を拡大せず、安全、騒音対策を十分に講じ、かつ飛行場の運営に一定の制限を設けることを基本に運営されているところでございます。しかしながら、ただいま谷村理事のご指摘のとおり、多摩振興にとって真に意義のある施設とするためには、地域のニーズを十分踏まえた対応も必要であると考えております。
 そのためには、何よりも地元の市民の方々に飛行場をご理解いただきまして、一層地域に愛される施設を目指すことが肝要でございまして、その観点から、ことしも十月十一、十二の二日間にわたりまして調布飛行場まつりを開催するなど、飛行場管理者としても取り組んでいるところでございます。
 この飛行場まつり、私も参加させていただきましたけれども、ことしは昨年の十倍の約三万三千人の来場者の方がございましたし、また、当日発足いたしました飛行場友の会にも二百人を超える方が入会されたほか、当日のサブタイトルは、「多摩と島しょ、翼でつなぐ調布飛行場」ということでございましたけれども、このサブタイトルにもございますように、多摩の特産品と島しょの特産品の販売であるとか、あるいは大島のスーパーあんこ、そういうご披露などの文化交流が行われたところでございます。
 このように、地元の多くの方が楽しみ、また飛行場に親しんでいただいております様子を拝見させていただきまして、こうした市民交流の大切さを改めて痛感したところでございます。
 今後とも、こうした地域に密着した施策に精力的に取り組んでまいりたい、かように考えております。

○谷村委員 ただいまの成田局長のご答弁は、基本的には、多摩振興の観点も取り入れた飛行場づくりを目指していかれるものと受けとめさせていただきました。
 実は、先日行われました、今ご答弁にもご紹介がありましたけれども、調布飛行場まつりにつきましては、実際に遊びに行かれた私の地元の方からもお伺いしましたけれども、複葉機の展示や体験飛行など、これまでとはさま変わりした大規模なもので、昨年に比べて十倍の参加者数、非常に盛況であったと伺っております。外部環境の変化に適切かつ着実に対応していくには、こうした地元地域の皆様の意向を大切にすることが大事であります。
 これまで就航率向上の必要性をるる申し上げさせていただきましたけれども、一方で、騒音対策もこれから重要性を増すことはもちろんであります。安全対策、騒音対策、こうしたことについて万全を期すことが、地元に受け入れられる必須の条件でもあります。
 就航率の向上、そして騒音対策の推進を図るにしても、最新の技術的知見を取り入れるなど、積極的な取り組みも必要であります。そうした意味で、現在の機能より拡大する計画等は一切行わないことという請願は、極論に過ぎるものであると思います。調布飛行場という貴重な行政財産を、島しょ振興、多摩振興のためにさらに有用なものとなるよう、さらなる努力をしていただくことを最後に強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○丸茂委員 私は、請願1にあります、都営空港化を認める条件だった航空管制官による運航業務を今後も継続する、このことについて採択すべきという立場でお伺いいたします。
 説明では、平成四年七月と平成十四年六月に、航空管制官の撤退の意向が国から示されたといわれております。都は、地元三市の同意や安全の確認をされていない段階では時期尚早で、引き続き、管制官の存置について国に要望していくと答弁がされました。
 そこでまず、平成十二年三月に、都議会として国に対して意見書を提出しましたけれども、その内容を説明していただきたいと思います。

○松本参事 平成十二年三月に都議会が意見書を提出してございますが、これは地方自治法第九十九条第二項の規定に基づくものでございまして、タイトルが、調布離着陸場の安全確保のための航空管制に関する意見書というものでございました。
 その要旨につきましてでございますが、調布離着陸場は住宅密集地にあり、離着陸回数も多いことから、安全の確保が不可欠の要件である。平成四年七月に都が管理を引き継いだ際にも、管制業務提供時間の延長と、正式飛行場化の際の管制官の存置が地元三市の受け入れ条件になっておりました。しかし、飛行場の運用時間は日没までであるにもかかわらず、現在、運輸省の空港事務所による管制業務は午後四時三十分までしか提供されていない。したがいまして、調布離着陸場における管制業務提供時間の延長を早期に実現するとともに、正式飛行場化後における航空管制官の存置が実現するよう強く要望するということが、その要旨でございます。

○丸茂委員 今、簡潔に述べられたのですけれども、最初には、住宅密集地にあると。その前段も大事なんですよね。全国でも余り例がないという都議会の意見が述べられておりますし、離着陸回数が多く、安全の確保が不可欠である。とりわけ、近隣に暮らす住民は日常的に不安を抱いており、安全運航のための万全の対策を強く望んでいる。このことも述べられております。さらには、調布離着陸場を国が管理していた時代に、飛行場の存続そのものが問題になった経緯があること、これも触れられております。その他、先ほどご答弁があった中身が、都議会の意見書として、全会派一致で意見書を国に出した結果、調布飛行場の空港化に当たって航空管制官が配置される、そして時間延長も実現する、こういう経過を私は強調しておきたいと思います。
 それで、地元市と締結した協定、覚書の中で、管制官存置について引き続き国に要望していく、こうなっておりますが、私は、今後も堅持していくのか、確認のために再度お伺いしておきたいと思います。

○松本参事 管制官の存置についてでございますが、協定書にございますとおり、管制官存置について、引き続き国に対して要望していきたいと思っています。
 ただし、撤退の最終条件は国の方にございます。何度も申し上げておりますが、万一に備えまして、代替案の検討もあわせて行いたいと考えております。

○丸茂委員 私どもの意見書というんですか、趣旨からしますと--ただいまの答弁でも、請願に対する説明でも、国は一方的に撤退できると。そういう条件のもとで、それでは、地元三市の合意がなくとも、管制官の撤退を東京都として認めるのか、是認する立場なのか、その点いかがでしょうか。

○松本参事 国が一方的に撤退できるということ、これは権限関係ということで事実でございますが、一方的撤退の是非というよりも、私どもとしては、要は、調布飛行場が従来どおりの安全性や有効性を確保し得るかどうかということにかかっておるんだと思っております。仮に安全上問題があるということであれば、管制官撤退は認められるところではないというふうに考えております。

○丸茂委員 国は、管制官が撤退した後の安全対策について、空港及びその周辺、それから気象などの情報提供などの業務を行っている財団法人小型航空機安全運航センターに東京都が委託するだろうとの話も聞いております。これは、現在、国の法改正による地方独立行政法人化や公の施設を民間に委託する指定管理者制度の一環であると私は受けとめております。
 東京都の第二次都庁改革アクションプラン、きのう発表されましたけれども、先ほども産業労働局で議論もしたところなんですが、そこでも同じ方向が打ち出されております。
 私は、国のこうした考えは、安全と離着陸の許可権限を持つ管制官の役割を全く無視する考えだと思っております。もし都も同様の考えであれば、到底認められない、このことを指摘しておきます。
 次に、請願の二項目めにあります機能拡大等について伺います。
 確かに、一切行わないことという、大変きつい請願内容になっておりますが、前段の機能拡大にそのことが込められていると思いますが、安全問題と必要な対策は、当然起こり得るかと私は思っております。
 ただ、そういうことを踏まえて、ことしの四月に、調布飛行場にかかわる住民からの情報開示の請求があったと思いますけれども、その請求の中身とその対応はどうだったのか、お伺いをいたします。

○松本参事 情報公開請求の中身と対応についてでございます。
 平成十五年四月四日付で、まず調布飛行場に関する検討資料、それから滑走路延長、管制官問題、騒音対策についての公文書の開示請求を受けたところでございます。
 これに対しまして、平成十五年五月十二日付でございますが、管制官問題、騒音対策等につきましては、開示または一部開示という結果、それから、滑走路延長につきましては、文書不存在により非開示としたところでございます。
 なお、現在、非開示決定に対して不服申し立てがなされておりまして、今後、東京都情報公開条例にのっとって適切に対応してまいる所存でございます。

○丸茂委員 開示資料の中にあります、平成十四年十二月二十日に行われた調布飛行場関係市連絡会、(仮称)になっておりますけれども、この構成と目的は何なのか、お伺いをいたします。

○松本参事 調布飛行場関係市連絡会についてでございますが、公共用飛行場化、つまり、平成十三年三月以降、都、地元三市の打ち合わせがしばらく途絶えていたということがございました。したがいまして、人事異動等々もございましたものですから、都及び地元三市の関係者で、現状の課題認識を改めて共有化するために、業務打ち合わせを行ったものでございます。

○丸茂委員 そこでは、滑走路の延長等について、地元市と何らかの協議、検討、意見交換は行ったのでしょうか。やっていないのか、その点どうですか。

○松本参事 滑走路延長に関する意見交換等々、その協議は一切行っておりません。

○丸茂委員 滑走路の延長については一切行っていないということですけれども、十二月二十日の連絡会で、飛行場は離島便に限って就航していること、多摩の振興に寄与していないこと、さらには、離島便のみでなく地域空港、先ほどのコミューター空港としての活用を考えている、さらには羽田、成田便や、札幌、福岡便を視野に入れるなど、話が出たのではないかというふうに思います。そうなりますと、当然のこととして、滑走路の延長問題や計器飛行、夜間における離着陸の可能性の検討などがされたのではないかと考えるわけです。
 滑走路延長のみならず、機能拡大を検討した事実を、住民の方から資料をいただいておりますけれども、これらは一体どういうものなのか。今は検討していなくとも、過去に局内での検討もなかったのかどうか、この点についてお伺いいたします。

○松本参事 調布飛行場につきまして、組織的検討を行う前に、現状と課題の全体像のイメージを得る必要から、フリートーキング、ブレーンストーミングを何度か行ったことはございます。その際、いわば自由な発想でいろんなことをしゃべってもらって、資料があるというお話でございますが、そのときのものではないかなというふうに推測いたします。
 こうしたフリートーキングやブレーンストーミングの結果得られました、調布飛行場の現状と課題の全体像のイメージを踏まえまして、組織的に検討すべき課題を就航率の向上等に絞り込んだものでございます。滑走路延長につきまして検討したということはございません。

○丸茂委員 集約的に就航率向上に絞り込んだと。滑走路延長については検討はしていない、あくまでもブレーンストーミングの範囲で出されたものだと。ただ、そういう局内での検討があったということなんですよね。
 私、この問題で相談を受けたときに、直接そちらにもお伺いして、検討も、それから資料もないのかといったら、全くありませんと私に答えたんですよ。この点と、どうなんですか、今の答弁と。

○松本参事 改めてお答え申し上げます。
 調布飛行場についての課題の全体像のイメージを得るために、その検討の前に、フリートーキング、ブレーンストーミングをいたしまして、そのときの担当者、参加者のメモはございますが、その検討資料あるいは検討したというようなことはございません。

○丸茂委員 メモはあるけれども検討していないなんていうのは、通じませんよ。私はやっぱり、検討したけれども、これはまだ内部の検討なので、議員にお伝えする段階ではないとか、あるいは住民から要望があった場合は、まだ今後変更する問題があるから、この程度の検討ですとか、何らかあったっていいじゃないですか。それ、議員が--具体的にそういうご心配が現実にあったわけで、これは誠意ある、すべきだと思いますよ。
 それは、私は大変遺憾だということで、今後とも、重要な事項については、説明を求められたら、きちんと答えるということを強く求めておきます。
 そこで、仮に滑走路の延長などが検討されれば、当然のこととして、飛行場の近隣住民への航空機騒音は拡大するわけで、航空機騒音についてどういう認識を持っているのか、伺っておきます。

○松本参事 航空機騒音についての認識でございますが、これは我々としても重要な課題だというふうに認識しておりまして、過去におきましても、総事業費約八億円を投じて住宅防音工事を実施するなど、取り組んでまいったところでございます。

○丸茂委員 私も、これを質問するに当たって、どういうところを騒音の調査をやっているのか、それから、先ほども議論がありました、環境局の毎年の航空機騒音の調査結果、こういう数字も見させていただきました。
 今、防音工事も行った、八億円もかかったというお話ですけれども、防音工事を行ったお宅でも、騒音でテレビの音が聞こえなかったり、電話のやりとりも、一時中断しないと話が届かない、そういう困難な状況がいまだに引き続いているというお話もお聞きしました。
 現に、住民、地域でうるささ指数といわれるWECPNL、私も大田区が地元ですから、この問題で何度かやってきましたけれども、住宅地での環境基準の七〇を超えているというところが、週間の平均値でも、P2、第一浄水場ですか、測定点。一日ごとのを見ますと、P1の野川公園でも、これは住宅よりも公園ということなんですが、七〇を超えているところ。
 特に今いったP2の第一浄水場では、二〇〇一年九月二十七日が七二・六、二〇〇一年九月二十九日には七二・三、二〇〇一年九月三十日には七四・二、二〇〇一年十月二日には七四・八。そのほか七〇を切ったところがありますが、週間値で七一・八、こういう現状にあります。
 そういったところが、さらに大型機の離着陸のための滑走路延長など機能拡大を行えば、当然のこととして騒音はふえると考えますけれども、そのことについてどういう認識を持っているのか、お伺いをしておきます。

○松本参事 過去におきましても、港湾局は、地元との約束でございます最大離着陸回数、二万三千回程度ということでございますが、これを前提として騒音対策を実施してまいりました。今後につきましても、なお一層の対策に取り組む所存でございます。

○丸茂委員 この航空機騒音にかかわる環境基準の決め方も、こういう数字だけじゃ、なかなかあらわせない問題も--私は改めて、区議会以来、直接環境局からもお聞きしたのですけれども、WECPNLというのは、いわゆるここでいう瞬間時のパワー平均値、デシベルであらわされておりますけれども、これを基礎にして、一つは、午前零時から午前七時までの間の航空機の機数ですね、深夜、朝方にかけて何機飛んだのか。N2、次の値では、午前七時から午後七時までの間の航空機の機数、朝方から夕刻。三つ目は、午後七時から午後十時までの間の航空機の機数、夕刻から夜間。四つ目は、午後十時から午後十二時までの間の航空機の機数、これは全く夜間になりますけれども、それぞれ朝方から夕刻の場合はデシベルの数字でいくけれども、午後七時から午後十時まで、三つ目の機数は三倍で計算をする。それから、深夜から朝方、夜間の十時から午後十二時までは十倍で計算されるんですよね。それだけ、航空機の機数がどのくらいかによって、これが大きく影響するという中身なんですよね。皆さんは担当ですから、十分踏まえて騒音の問題を認識されていると思いますけれども、そういう実情。
 それから、就航率についてもどうなのかといって求めたところ、国土交通省の資料が持ってこられました。各空港の年間平均就航率をいただいたわけですけれども、これもスタートが六五%からのデータなんですね。これはマジックでありまして、これをゼロから就航率をやりますと、この下にこれだけ現実には就航しているんですよ。
 なおかつ、この中には、新東京国際空港から、私の地元の東京国際空港、ジェット機が飛んで、なおかつA滑走路、C滑走路、さらに横風のときにはB滑走路、そして計器飛行も含めて、そういう対応をやっているわけですよね。離島については、八丈島、大島も入っております。これはジェット機も飛んでいる空港なんですね、羽田からを含めて。そういうものを含めて一律的に、神津、新島等はそれが極めて低いと。
 これを見ると、一瞬、これがないと、そういう感じを受けるのですけれども、現実にはこういう就航率になっている。
 私ども、一つは航空機の就航率を高めることと、離島については、先日も、高速ジェット船の就航率も高めて、陸からでも海からでも--本当に、いざというとき、やっぱり島の方の貴重な交通の足になっているんですよね。だから、両面から就航率を高めるという点で、高速船の護岸の整備だとか、泊地の整備だとか、私自身、こういうものも要望してまいりました。
 先ほどもちょっと議論されていたのですけれども、離島便だけじゃなくて、調布飛行場における離着陸回数を見ますと、離島便は、平成十二年度五千二百七十三回、平成十三年度五千九百二十七回、平成十四年は五千七百八十五回。これ以上に、航空測量だとか航空撮影使用事業を見ますと、平成十二年が七千五百四十七回、平成十三年が七千六百二十四回、平成十四年は七千九百九十二、ずっとここが上がっておりまして、約八千回近い回数になっております。それから、個人機についても、平成十二年は三千三百回、平成十三年は三千五百二十五回、平成十四年は三千五百八十八回と、ここも右肩上がりでふえているんですよね。
 十二年度、トータルすると一万六千百二十回、平成十三年は一万七千七十六回、そして平成十四年は一万七千三百六十五回。これだけ飛んでいるわけですから、航空機による騒音というのは、やっぱりそれだけ機数が飛べば、先ほどいったように、WECPNL、うるささ指数は大変なんですよ。そういう実態を踏まえて、私は、機能の拡大はこれ以上困りますよということを、特に隣接されている住民、周辺の方々はおっしゃっていると思うのです。
 私の地元大田区でも、沖合い展開しましたけれども、航空機が最近は左旋回で住宅地に飛ぶことによって、それこそ朝方、散歩しているときも、耳を押さえないとならないぐらいうるさい、テレビの音が聞こえない、そんな苦情も聞いておりまして、人ごとではないなという思いがしているわけです。
 そういうことを踏まえて、最後に、地元市や住民に対して--管制官問題や飛行場機能拡張計画など、安全や騒音対策上、さまざまな問題が提起される課題があるというふうに思います。そういった場合、関連する事項の検討なり協議がされる場合には、速やかに関係者に説明すべきではないか、そう考えますけれども、どうでしょうか。お伺いしておきます。

○松本参事 これまでも、地元三市とは、日常のコミュニケーションをよくして、いってみれば風通しをよくするような努力を続けてきたところでございます。
 今後につきましても、必要に応じて、地元三市とは誠意を持って協議する、あるいは住民への説明を行うといったことを適切に行ってまいりたいというふうに考えております。

○丸茂委員 先ほど協定書や覚書の改定問題に触れておりますけれども、これまでの歴史を踏まえて、協定や覚書が交わされております。東京都調布離着陸場の整備及び管理運営に関する協定書では、第二条の都営コミューター空港化受け入れ条件の履行ということですけれども、都は、飛行場の現状を拡大せず、安全、騒音対策を十分講じ、かつ飛行場の運用に一定の制限を設けることを基本とし、調布市が都営コミューター空港受け入れ条件として提示した別表に掲げる事項について、誠意を持って履行するとなっております。さらに第三条では、飛行機の整備及び管理運営に関して、地域の生活環境に影響を与えるおそれのある事項について、都は調布市に事前に協議等を行うものとするとなっております。
 こうした地元との約束、さらに住民に対する情報公開を徹底するよう求めて、質問を終わります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件中、第一項は趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認めます。よって、請願一五第三三号中、第一項は趣旨採択とすることに決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。
 なお、本日審査した請願中、採択と決定いたしました分につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十八分散会

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