経済・港湾委員会速記録第十四号

平成十五年十一月二十日(木曜日)
第八委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十二名
委員長真鍋よしゆき君
副委員長北城 貞治君
副委員長酒井 大史君
理事谷村 孝彦君
理事三宅 茂樹君
理事丸茂 勇夫君
土持 正豊君
和田 宗春君
池田 梅夫君
前島信次郎君
川島 忠一君
田中 晃三君

 欠席委員 一名

 出席説明員
産業労働局局長有手  勉君
総務部長島田 健一君
参事佐藤 仁貞君
産業政策部長乾  敏一君
産業力強化担当部長志賀 敏和君
産業政策調整担当部長野口  孝君
参事塚田 祐次君
商工部長市原  博君
商工施策担当部長泉本 和秀君
金融担当部長鹿島 博之君
観光部長渡辺  勉君
参事小宮 三夫君
農林水産部長菊地 輝雄君
参事馬場 安男君
労働部長高橋  勝君
雇用就業推進担当部長安藤 立美君
地方労働委員会事務局局長久保田経三君

本日の会議に付した事件
 地方労働委員会事務局関係
  事務事業について(質疑)
 産業労働局関係
  報告事項(説明)
  ・都内におけるコイヘルぺスウイルス(KHV)病の発生について
  事務事業について(質疑)

○真鍋委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、地方労働委員会事務局関係の事務事業質疑、及び産業労働局関係の報告事項の説明聴取と事務事業に対する質疑を行います。
 なお、報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いたいと思います。
 また、事務事業につきましては質疑終了まで行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これより地方労働委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○久保田地方労働委員会事務局長 去る十月十五日の本委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 この資料は、当委員会に不当労働行為救済を申し立てた事件について、三年度分を整理したものでございます。
 一ページをお開き願います。この表は、平成十三年度の申し立て事件につきまして、その整理番号、事件名、申し立て日及び労働者側が求める救済の内容を申し立て日順に整理したものでございます。
 なお、一番右側の欄には、合同労組からの申し立てがあった事件について丸印を付してございます。
 一ページから三ページまでが平成十三年度分でございまして、合計百八件の事件が申し立てられております。
 四ページから六ページには、平成十四年度分として百三十二件の事件を記載してございます。
 また、七ページから八ページには、平成十五年度分として、本年十月末日までに受け付けた五十六件の事件を記載してございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○和田委員 事業概要にも示されておりますし、今の資料の説明にもありましたが、事件処理に極めて時間を要するといわれている不当労働行為について伺いたいと思うんです。
 地方労働委員会というのは、全国に、都道府県に設置されていることになっていますけれども、特に私は、東京と大阪を比較して、きょうは議論をしていきたいと思っているんです。
 取扱件数そのものは、東京と大阪が極めて集中的に事件の発生する頻度が高いといわれております。そこで、東京と大阪というのが具体的な数字でどのような比率を占めるのか、件数なのかということをお伺いいたします。

○久保田地方労働委員会事務局長 平成十四年の不当労働行為の新規受け付け事件について見ますと、全国の地方労働委員会の新規受け付け事件三百九十四件のうち、東京都は百二十五件、大阪府は九十七件となっておりまして、東京と大阪で全国の約五六%を占めております。

○和田委員 ラフにいうと、ざっというと、六割近く東京と大阪に集中しているということなんです。これは何らかの理由があるに違いないわけですけれども、当局は、どのような理由で東京と大阪に約六〇%の事件が集中しているというふうに把握されているのでしょうか。

○久保田地方労働委員会事務局長 不当労働行為事件は、事件の発生地、申立人または会社の所在地のある地方労働委員会に申し立てできることとなっているため、事務所、事業所や労働者の多い東京や大阪に集中すると考えられます。
 また、最近の傾向として、いわゆる合同労組からの申し立てがふえておりまして、東京、大阪などの都市部に合同労組が主たる活動の場を設けておりますので、このようなことから、東京、大阪に事件が集中する原因であると考えられます。

○和田委員 なるほどという説明であります。
 問題は、この東京と大阪に集中している事件の処理の期間ですね。これについて、やはり東京と大阪では何らかの顕著な相違があると私自身は思っているんですが、具体的に東京と大阪の処理の期間、必要とする時間はどういうふうに差が出ているのでしょうか。

○久保田地方労働委員会事務局長 東京都では、平成十四年、百八件の事件が終結しまして、その平均所要日数は約一千日を要しました。大阪府では、平成十四年、八十四件が終結し、約七百五十日を要しております。

○和田委員 今答弁いただいたとおり、一千日と七百五十、約二百五十日ですね。これを月に割ってみると、大体八カ月差があります。問題解決の所要日数に八カ月差があるということなんですが、何ゆえに東京と大阪でこの八カ月間のトータルでの時差、時間差というのでしょうか、差が出てくるのかということをご認識されているのでしょうか。

○久保田地方労働委員会事務局長 確かに東京都の平均所要日数は長くなっておりますが、命令を出しますと、その後、中央労働委員会への再審査あるいは行政訴訟に進む場合が大変多く、なかなか最終的な解決に至らないという実情がございます。このため、東京都地方労働委員会では、労使双方が納得し、労使関係の安定化に寄与する最善の解決策として、和解に力を注いでいる現状です。
 ちなみに十四年の終結事件を見ますと、東京では約七〇%が和解で解決していますが、一方、大阪では、和解は約四〇%となっております。このあたりに東京と大阪の所要日数の差があると考えられます。

○和田委員 和解率といいましょうか、それが倍とまでいいませんけれども、東京の方が丁寧に和解に持っていく行為をしているために所要日数が多いということも、納得できないわけではありません。
 しかし、私どものところには、冬期のボーナスが一万円というような、そういう状態で困ったという相談もあったりします。これが不当労働行為になるのかどうかは別にしましても、極めて世評は、世間そのものは、不況の中で、労使がぎくしゃくしがちな環境にあることは間違いありません。したがいまして、この二百五十日違うという件、あるいはその他終結までに一千日かかるというようなことも含めて、働く側の方が圧倒的に弱い立場にあるということも事実であります。
 そこで、私どもは、東京と大阪を比較した場合に、不当労働行為の処理の仕方にもまた差があるというふうに思うんです。それは別に東、西ということで分けるわけじゃありませんけれども、企業風土といいましょうか、あるいは労働風土といっていいかもしれませんが、それぞれ端的な一つの事例として大阪と東京を今取り上げているわけですけれども、何らかの形で大阪なり東京に、東と西の企業なり労働者の考え方の中に特徴的なものを考えていらっしゃいますか。

○久保田地方労働委員会事務局長 不当労働行為の審査は、労働組合法、労働委員会規則等に基づいて処理することになっておりますので、基本的な手続については、東京、大阪で異ならないはずでございます。
 ただ、私どもの知り得る範囲で調べましたところ、審問の回数を東京都と大阪で比較しますと、平成十四年で東京が二百七十四回、大阪が二百六十九回でほぼ等しく、一事件当たりの年間の審問回数は、大阪の方が多くなってございます。
 所要日数が短いにもかかわらず審問回数がほぼ等しいということは、大阪の方が審問期日の間隔が短いのではないかと考えられます。

○和田委員 これは、東西を比較して、東京と大阪を比較してどうこうというわけじゃないのですけれども、しかし、事件に係る処理日数については、やはりできる限り短縮をし、双方にも理解をいただいて最終的な結論が出るわけですから、結論を急ぐというわけじゃないんですけれども、密度を濃く、お互いの折衝回数をふやしていくという努力を、間に入って地労委も含めやっていただくということで、大阪は大阪なりの努力をしているわけで、こういう審問回数なり日数なりが出てくるわけでありますから、これから全国的なこの種の所要日数の問題や、問題処理、解決の中身などを徹底的に調査をされて、効率のいい不当労働行為の処理という形での一つのスタイルを東京都として編み出すぐらいの努力をしてほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○丸茂委員 私の方から資料の要求をいたしましたけれども、この不当労働行為の申し立ての状況を見ますと、今もちょっとお話がありましたけれども、合同労組にかかわる申し立てが多いなというふうに感じます。
 具体的に数字を調べましたら、平成十三年度では百八件中四十九件で、約半数ですね。十四年度で百三十二件中五十八件ですから、約四〇%。十五年度は年度途中ですけれども、五十六件中三十五件と、約六割となっています。
 こうした合同労組の申立人は、合同労組という性格があるかと思いますけれども、未組織の労働者がだれでも加入できる組織で、個人ではなかなか解決に限界がある、したがって、組合に加盟して申し立てるというケースが多いと思いますけれども、そういう状況を考えますと、近年増加しているパートだとかアルバイト、派遣や契約社員など、不安定雇用労働者の申し立てがふえているのではないか。そんな思いがちょっとありまして、そういう状況はどうなのか。それとも、従来と余り変わりがないのか、その辺どういう状況でしょうか。

○久保田地方労働委員会事務局長 最近の傾向として、いわゆる合同労組からの申し立てはふえてございます。合同労組からの申し立ては、解雇、退職強要、降格などされた労働者が、解雇等の後に合同労組の組合員となって、団体交渉の応諾等を求めて申し立てる事例が多くなってございます。
 確かに、パート、アルバイト、派遣労働者等に関する事件もございますけれども、正規従業員を対象とする事件の方が多いという実情にございます。
 合同労組からの申し立てが多い理由は、労働組合の組織率が低下している中で、組合が組織されていない企業の正規従業員が、合同労組に加入した上で申し立てるケースが多くなっていることが原因ではないかと考えております。

○丸茂委員 労働組合の組織率が低下しているというのが原因の一つだといわれたんですが、やはり労働者の権利という点では非常に心配です。
 今、労働者の雇用実態が不安定雇用がふえているという状況がありますので、こういう雇用情勢が厳しい中で、地労委として、扱っている雇用条件についても目配りしていただいて、何らかの形で、そういうものが影響しているのかどうか、今後ぜひ傾向をつかんでほしいなという、これは要望にしておきます。
 次に、合同労組の申し立ての内容を見ますと、団体交渉の応諾を求めるものが圧倒的に多いんですよね。そういう団体交渉の応諾を求める中で、委員会の努力で組合が求めた団体交渉に結びついたのか、実現したのか、その辺、状況も含めてお伺いしたいと思います。

○久保田地方労働委員会事務局長 委員会の審査手続の中で、事実上の労使の話し合いというのを私ども促進することによって、解決が図られることが大変多くなってございます。それでも解決に至らない場合には、救済命令を出して、使用者に対して団体交渉に応諾するよう命ずることがございます。大体、以上のようなケースでございます。

○丸茂委員 労働者が組織もなくて解雇等不利益を受けた場合、合同労組に加盟してこうした申し立てを行う。そういう中で、解雇されて初めて、労働者の団結権だとか団体交渉権、争議権、こういうものがあるということを認識するんだろうと思いますけれども、そういう中で、不当労働行為等の不利益を受けた場合、救済機関としての地方労働委員会があるということは大変大事だと思います。
 東京都には、労働相談一般を幅広く相談を受ける労政事務所がありますけれども、そういう労働者のための相談機能と、地方労働委員会が公平、公正な救済機関として、労働者のために迅速に解決に結びつくよう、引き続き努力を求めて、質問を終わります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で地方労働委員会事務局関係を終わります。

○真鍋委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○島田総務部長 東京都内におけるコイヘルペスウイルス(KHV)病の発生について、お手元の資料に基づきましてご報告をさせていただきます。
 本日午前十時三十分、東京都の水産試験場は、板橋区内の釣り堀のコイから、第一次診断の結果といたしまして、KHVを確認いたしました。現在、同時並行いたしまして、国の研究所が検査を実施しておりまして、本日中に最終診断結果が判明する予定でございます。
 内容でございます。
 1、検査結果の概要でございます。
 釣り堀のコイ、十三検体を診断した結果、一検体から陽性反応が出ております。
 発生場所でございますが、板橋区立氷川つり堀公園、氷川町二十一の十五でございます。
 コイ死亡の経過でございます。
 この釣り堀は、埼玉県内の業者から、茨城県霞ヶ浦の近くの田んぼで飼っていたコイを毎月約三百匹ほど仕入れまして、池に放流してございました。九月二十四日の時点で、コイ約五十匹が死亡いたしました。この時点ではKHVの存在が知られておりませんでしたので、板橋区は毒物等の水質調査を実施したが、異常なしということでありました。十一月二日に、農林水産省からKHVの存在が発表されております。十一月十七日にコイが四匹死亡し、十八日にコイが九匹死亡しました。
 都の対応といたしまして、事実の確認及び診断でございます。
 十一月十七日の夕刻でございますが、板橋区から通報がございました。同十八日に、東京都が釣り堀からの事情聴取と検体採取を行っております。九月二十四日に死亡いたしまして冷凍保存した一匹、十一月十八日に死亡したコイ六匹と、生きたコイ六匹を検体として採取いたしました。同日、東京都水産試験場、並びに三重県にございます国の養殖研究所へ確定診断を依頼してございます。
 蔓延防止策の要請でございます。
 釣り堀の排水が、近接しております石神井川に流出しておりますので、十八日、農林水産部から、わき水の流入口をふさぐことを区に要請いたしまして、区は直ちに流出をとめております。本日付で板橋区に対し、池の消毒など具体的な蔓延防止策を要請しているところでございます。
 これまでの都の対策でありますが、一つは、十一月三日以降、土曜日、日曜日、休日にも対応できますよう、農林水産部水産課並びに水産試験場の職員が職場に待機しております。漁協に連絡をいたしまして、監視体制を開始いたしました。都内区市町村へ通報を依頼してございます。
 また、都民への情報提供といたしましては、都のホームページで情報を提供しております。また、都民からの問い合わせに応じるため、相談窓口を設置してございます。
 なお、本日付で、産業労働局長を本部長といたしますコイヘルペスウイルス病対策本部を設置いたしました。監視体制の強化並びに都民への情報提供の確保、的確な対応に努めてまいります。
 よろしくお願い申し上げます。

○真鍋委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言願います。

○和田委員 前回、私、これで質問しましたが、具体的に、茨城県の霞ヶ浦近くの田んぼで飼っていたという場所が特定されているわけですよね。ですから、そこからどういう経路で来たのかということと、その田んぼの管理状態、それらは、もとより県を通じ、町を通じ、しっかり把握していらっしゃると思いますけれども、その辺の管理の現状をぜひ資料としてお願いいたしたいと思います。

○丸茂委員 都内に、これらの危険というんですか、対象となるような施設なりそういうものがどの程度あるのか、それも、今後のことがありますので、資料として提出いただきたいと思います。

○真鍋委員長 ほかにありますか。--よろしいですか。
 それでは、ただいま和田委員、丸茂理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○真鍋委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料につきまして理事者の説明を求めます。

○島田総務部長 去る十月十五日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。目次がございますが、全部で十七項目でございます。
 二ページでは、過去十年間の都内の地域別企業倒産件数の推移をお示ししてございます。
 ここ数年間にわたり増加傾向が見られております。
 三ページでは、都内の区市町村別工場数の推移をお示ししてございます。
 三ページは区部、四ページは市町村でございます。双方とも減少傾向が見られております。
 五ページでは、都内工場の区市町村別従業者数の推移をお示ししてございます。
 五ページは区部、六ページは市町村でございます。双方とも減少傾向が見られております。
 七ページでは、区市町村別都内製造品出荷額の推移をお示ししてございます。
 七ページは区部、八ページは市町村でございます。
 九ページは、完全失業率の動向でございます。
 平成十四年の、(1)、全国の失業率は総数で五・四%、(3)、東京の失業率は五・六%となっております。
 一〇ページは、中小企業対策予算の推移でございます。
 一一ページは、都内小売業の売り場面積とそれに占める大規模小売店舗の売り場面積及び占有率の推移をお示ししてございます。
 一二ページでは、都内小売業の区市町村別売上額をお示ししてございます。
 一三ページは、大規模小売店舗立地法に基づく営業時間の変更届け出件数であります。
 一四ページは、平成十四年度中小企業制度融資の金融機関別融資、預託実績でございます。
 一五ページでは、貸金業者に係る苦情相談件数等の推移をお示ししてございます。(1)の苦情相談件数は年々増加し、(3)には行政処分件数をお示ししてございます。
 一六ページは、農林水産対策予算の推移であります。
 一七から一八ページにかけまして、三宅島避難者への就労対策とその実績をお示ししてございます。
 一九ページでは、緊急地域雇用創出特別交付金事業の旧事業を含めた年度ごとの実績をお示ししてございます。
 二〇から二一ページにかけましては、平成十四年度の緊急地域雇用創出特別基金事業の委託概要の庁内実施分であり、事業件数は四十六件となっております。
 二二ページでは、労政事務所における労働相談の件数と職員数の推移をお示ししてございます。
 二三ページでは、平成五年から平成十四年度までの都立技術専門校、東京障害者職業能力開発校の校別定員、応募者数、入校者数をお示ししてございます。
 以上、大変雑駁でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○真鍋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○三宅委員 コイヘルペスウイルス、ご苦労さまです。しっかりやってください。
 それでは、私は、観光産業振興について質問をいたします。
 石原知事は、観光を、これまでのレクリエーションではなく、産業と明確に位置づけをいたしました。その後、都は、観光を都政の最重要課題の一つとして、観光産業振興プランを策定し、宿泊税を導入するなど積極的に取り組み、昨年四月には、観光部という部までつくったわけであります。
 特に宿泊税については、東京都議会自民党といたしましても、厳しい経済環境の中、都内のホテルや旅館の事業者の皆さんに、理解が得られるよう努めてきたところでございます。
 このような経緯を考えますと、我々としても、都の観光振興施策が真に生きた観光振興になるのかを検証する責任があるのであります。
 そこでまず、宿泊税を財源に、十四年度から二十五億円という観光振興予算が組まれたわけでありますが、宿泊税をどのように使っているのか、その使い道についてお伺いいたします。

○渡辺観光部長 宿泊税は、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光振興を図る施策に要する費用に充てることとしております。このため、観光振興プランに基づきました施策を対象としております。
 具体的には、十四年度で申し上げますと、東京の魅力を世界に発信するために、欧州、米国にミッションを派遣するなどシティーセールスの事業を展開しますとともに、東京国際アニメフェアの開催経費などに充ててございます。
 また、観光資源の開発といたしましては、区市町村が行う観光資源の整備支援に要する経費などに充ててございます。
 さらに、絵文字等を活用した観光案内標識の設置、東京観光情報センターの設置、運営、及びウェブサイトの「東京の観光」の開設に要する経費などに充てまして、受け入れ体制の整備を図っております。

○三宅委員 今の答弁の中にありますシティーセールスという英語についてでありますが、この事業は、海外に出かけて東京のPRを行っているようでありますが、まず、これは横文字で、いわれていることがわかりにくい。そしてまた、実態がなかなか見えてこないというのが私の実感であります。もう少し詳しく説明してください。

○渡辺観光部長 日本はこれまで、海外に出かけるばかりで、日本へ外国人旅行者を誘致してこなかったために、日本の国際観光収支は大幅な赤字となってございます。東京も、旅行者を誘致する視点がございませんでした。東京の経済を活性化させる必要から、外国人旅行者の倍増を目指しまして、海外にシティーセールスを行っております。
 具体的には、東京への旅行者の増加が見込まれる欧米の都市に、民間事業者と行政で構成するミッションを派遣いたしまして、現地の旅行会社に対しまして、東京への旅行商品開発のための商談会、セミナーを実施しております。また、現地のメディアを巻き込みまして広告キャンペーン、旅行商品の開発を促すための海外旅行エージェントの招聘などを行っております。
 さらに、二年間のミッション派遣活動を終了した都市には、現地に、東京の観光情報の発信や収集を行います観光レップを設けまして、引き続き外国人旅行者の誘致に努めてまいります。

○三宅委員 また横文字が出てきましたね。この観光レップ、ラップじゃないでしょう、レップ。これは一体どんな役割のものなのか。それから、いつ、どのような都市に設置するのか。どうもこれが、レップというのは人みたいなようですけれども、具体的にはどんなような人を考えているのか。
 あともう一つ、不勉強で申しわけないんですが、ミッションというのは、トランスミッションじゃないでしょう。これもちょっと説明していただきたいと思います。

○渡辺観光部長 レップと申しまして、代表者を意味する英語でございまして、レプレゼンタティブの略でございます。
 観光レップは、東京観光に関します情報提供及び情報収集等を現地で行いまして、東京の観光振興を一層促進していく役割を担ってもらいます。
 平成十六年四月に、ロサンゼルス及びサンフランシスコに各一名を配置いたす予定でございます。また、来年の十月に、イギリス及びドイツにも各一名設置する予定でございます。
 具体的に申し上げますと、現地に在住している人物で、東京の観光PRに強い情熱を持っており、現地旅行業界に精通しておりまして、現地旅行業界に対する商品企画の促進や各種の情報収集を行うことが可能な者を対象として選定してまいろうと思っております。
 ミッションでございますけれども、私も大変英語は弱うございまして、正確ではございませんかもしれませんが、私ども東京都と多くの宿泊業者、旅行業者、それから鉄道業者、関係業者を同行いたしまして、現地におきまして、団を構成いたしまして東京への旅行客誘致を図っている、こういう役割を担っております。

○三宅委員 レップというのは何か、わかりました。ミッションというのは、要するに使節団ですね。明治のご維新のときに、ぞろぞろと海外の事情視察に行ったような感じだなと、こういうふうに理解いたします。
 このレップについては、これはちょっと心配し過ぎかもしれませんけれども、マフィアですとか、それからアルカイダだとか、そういった海外の犯罪組織とかかわり合いが絶対にない方を、わきをきゅっと締めて選定をしていただきたいと思います。
 シティーセールスといっても、いろいろな手法を組み合わせてやっていることはわかりました。これによってどのような成果が上がったのかをお伺いいたします。

○渡辺観光部長 シティーセールスの成果といたしましては、これまで欧米へのミッションの派遣によりまして、海外の旅行業者で二十八本の旅行ツアーが販売されてございます。現在も意欲的に商品開発が進められていると聞いております。
 また、シティーセールスの商談会におきまして、海外の旅行会社から主な要望として、割安なホテルや旅館の需要、これを教えてくれと。それから、庭園、陶器、建築物、日本食などをテーマとした新しいツアーへの需要がございます。また、アジア系アメリカ人の里帰りの途中の観光地としての新たな企画などなどの要望がございました。
 こうしたプロモーションの結果、ホテルや旅館などの民間事業者にとりまして、海外エージェントとつながりができ、海外市場への足がかりができた、こういう成果がございました。

○三宅委員 今のシティーセールスのやり方は、海外の旅行会社を主な対象としているようであります。ですが、これは、海外の一般市民の間で東京を訪問したいというニーズが高まれば、海外の旅行社は、そのニーズに合った東京へのツアーを自主的につくるのではないかなと、こう思います。
 そういう意味で、業界だけではなく、海外の一般市民の皆さん向けのPRをもっと充実するべきではないかなと。そして、その海外の一般の市民の方に喜ばれて、さらにメディアの取材意欲をかき立てるには、どうでしょうか、例えば、思い切って東京旅行を景品として提供するようなことができるかどうか、見解を伺います。

○渡辺観光部長 都はこれまで、一般市民向けに、海外の新聞、雑誌、ケーブルテレビ等で東京をPRしてきたところでございます。
 ご提案のございました東京旅行を景品とした観光キャンペーンの実施につきましては、多くのテレビや新聞などに取り上げられ、一般市民の話題になり、大きな効果があると考えられます。したがいまして、今後、PRの効果をより高めていく一つの手法といたしまして検討してまいります。

○三宅委員 ぜひ実現に向けて、しっかりとご検討いただきたいと思います。
 東京の魅力を海外にPRしていくには、皆さん方、行政の力だけでは限りがあると思います。あらゆる機会を活用して、みんなで力を合わせて取り組むべきであることはいうまでもありません。
 そうした視点から、直接海外に出向くだけではなくて、シティーセールスも必要だと思いますけれども、東京に住む外国人の方にご協力をいただいてはどうか。今東京に住んでいるわけですから。東京をよく知ってもらって、そして、そのお国に帰ってから、その方々の口から、東京がよかった、東京のここがよかった、ここにおいしくて安いものがある、そんなPRをしてもらうのが、ある意味では一番効果がある方法ではないのかなと、こんなふうに思います。
 今私が申し上げた、東京に在住している外国の方々に対してどのように取り組もうとしているのか、お伺いします。

○渡辺観光部長 ご指摘のとおり、東京に在住しております外国人の方が母国に帰りまして東京の魅力を伝えてくれる、東京のイメージアップにつながり、非常に重要なことだと考えてございます。
 このため、都は本年度より、東京くちコミ大作戦、こういう事業をつくりまして、外資系企業社員など、社会的影響力のある在京しております外国人の方を、東京の魅力を満載したツアーにご招待いたしまして、東京のすばらしさを体感していただこう、こういうふうに思っています。
 これらのツアー参加者に東京のよき理解者となっていただきまして、帰国後、東京の魅力を口コミで多くの方に伝えていただきたい、こういうふうに思っております。

○三宅委員 ぜひ、いい企画だと思いますので、頑張ってやってください。
 ところで、先日、東京商工会議所から知事あてに、東京都の観光産業振興政策に関する要望が出されたと聞いております。この要望書を見ますと、何と、産業労働局の観光部を観光局に格上げしたらどうかというような、大変に東京都の観光振興に対する熱い期待が感じられるわけであります。
 観光振興を図るために、このような団体との連携を図ることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○渡辺観光部長 千客万来の世界都市東京を目指すために、都民や民間事業者ばかりではございませんで、東京商工会議所のような団体とも連携していくことは極めて必要なことと考えてございます。このため、このような団体が行政と民間のパイプ役となるように、役割分担をしながら、総合的に東京の観光振興を図っていきたいと考えております。

○三宅委員 世界の各国、各都市に負けずにと、つい数日前も、有手局長、渡辺観光部長さん、ハノイに行ってこられたようでありますが、ご当地の熱気はすごかったというようなことも漏れ聞いております。本当に都市間競争、国際的な都市の競争に負けないように、この東京に少しでも多くの外国人の旅行者を誘致していくために、民間の力、あらゆる機会を活用して、何よりもまず東京のPRをしていく必要があると改めて思うわけです。
 これまでの答弁で、いろいろ頑張ってやっているのはわかりました。しかし、東京の観光のこれからを考えますと、今が一番の頑張りのときだ、こういうふうに思います。明後日、私を団長といたします東京都議会海外調査団が欧州を訪問いたす予定になっておりますが、この際、私どもも微力ながら、初めて東京のシティーセールスの一助を担いたい、このように思っております。うまくいくかどうかはわかりません。全力でやってまいります。
 東京に外国人旅行者、特に欧米から来てもらうのは容易ではございませんが、旅行者の増加によって東京の経済を活性化するためには、観光振興は重要であります。また、観光振興策の予算の財源として宿泊税をいただいているのでもありますし、二十五億円という大変な多額な予算も計上をしてやっております。費用対効果を絶えず検証して、民間事業者や都民と連携しながら、施策を戦略的に、なおかつきちっと戦術も考え、実施していくことが重要であると思います。
 最後に、観光に取り組む局長の熱弁を楽しみにしながら、私の質問を終わります。

○有手産業労働局長 世界観光機関、WTOといいますけれども、これの予測によりますと、世界の交流人口は、一九九七年の六億人から、二〇二〇年には十六億人に拡大して、国際観光収入も約二百四十兆円に達すると予測されております。また、一九九八年のデータによりますと、世界の三八%の国で国際観光収入が外貨収入源の首位を占めているなど、観光は生産誘発効果とか雇用の誘発効果が非常に大きくて、これらの国々の中でも重要性を増しまして、多くの国が必死に旅行者の誘致に取り組んでございます。
 これに対しまして、我が国ではこれまで、国や都、民間事業者も含めまして、外国人旅行者を誘致するという視点が弱くて、効果的な対策を打ち出してきませんでした。その結果どうなっているかと申しますと、もうご案内のとおりですけれども、日本人海外旅行者が千六百五十二万人、訪日外国人数が五百二十四万人ということで、約三分の一にとどまっています。世界的に見ても、世界の三十五位といったところにございます。そういうことで、国際旅行の収支につきましても、二〇〇二年では二兆九千億円の赤字になっております。
 こういうようなことで、世界の観光先進都市に比べまして後発である東京が、世界に伍して旅行者誘致を図るためには、積極的にシティーセールスを、行政、民間問わず行っていかなければならないと考えておる次第でございます。
 今、三宅先生からお話がございましたけれども、都議会の先生方のご協力をいただきまして、議会と一体となってシティーセールスを行うことは、海外に対しましてもインパクトがございますし、観光振興への大きな弾みになります。ぜひ東京の魅力を伝えていただきまして、旅行者の誘致にお力添えをお願いいたしたいと思います。

○酒井委員 それでは、私の方から、まず一点目として、中高年齢者の雇用環境、失業対策についてお伺いをしたいと思います。
 不況が大変長引く中で、また、雇用のミスマッチといったこともあわさって、中高年齢者を取り巻く雇用情勢といったものは大変厳しい状況になっていると思います。
 まず初めに、東京都内の四十五歳から六十四歳までの中高年者の失業率についてお伺いをしたいと思います。また、あわせて、同年齢層における男性の失業率といったものはどのようになっているのか、お伺いいたします。

○安藤雇用就業推進担当部長 中高年の失業率についてでございますが、平成十五年十一月十七日に東京都総務局が発表いたしました労働力調査地方集計結果「東京の労働力」によりますと、平成十五年七月から三カ月間の平均値で、四十五歳から五十四歳までは三・七%、五十五歳から六十四歳までは四・四%となっております。
 また、このうち男性の失業率は、四十五歳から五十四歳までは四・一%、五十五歳から六十四歳までは五・二%となっております。

○酒井委員 今ご答弁にもありましたように、特にこの年齢層における男性の失業率といったものは、大変重大な問題になっていると思います。この失業の原因に、雇用のミスマッチといったものが挙げられておりますけれども、この雇用のミスマッチが原因の失業者と、それ以外の失業者、本当に仕事の供給が足りなくて失業されている方の割合についてはどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 厚生労働省の平成十四年の「労働経済の分析」によりますと、業種や職種によるミスマッチ、あるいは能力、経験によるミスマッチなど、いわゆる雇用のミスマッチが原因である失業は、失業全体の約四分の三を占めており、労働需要の不足によります失業が約四分の一であると推計をしております。

○酒井委員 雇用のミスマッチによる失業の原因が全体の四分の三ということで、このミスマッチを解消していくという課題が大変重要になってくるわけですけれども、一方、労働需要の不足に的確に対応していくことも必要であると思います。
 特に失業状態に置かれて急を要する方々、先ほども数字が出てきましたけれども、男性の四十五歳から六十四歳の失業者、子どもを抱えているとか、また家庭を背負っているというような急を要する方々に対して、民間の求人の拡大とともに、都がみずから働く場を確保することなど、何らかの対応をとる必要があると考えております。
 そこでまず、都が臨時的に雇用している職員であるとか、また、産業労働局が所管になっていると思いますけれども、技術専門校の講師などの採用についてはどのように行っているのか、お伺いをしたいと思います。
 また、東京都においては多くの仕事を外注に出しておりますけれども、外注に出す仕事の内容についての基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 都が臨時的に雇用する職員、いわゆるアルバイトでございますが、これにつきましては、事業の繁忙期などに必要に応じて募集、採用をしております。
 また、私ども、技術専門校の非常勤講師につきましては、公募を原則として採用しているところでございます。
 また、お尋ねの外注については、事業の執行上、外注が効率的である場合や、あるいは業務の性格が専門的であったり、あるいは臨時的、一時的でありまして、都が直接実施するよりも効果や経費面で有効と思われる場合に、委託方式などを活用して実施をしているところでございます。

○酒井委員 基本的な考え方についてはわかりましたが、特にこれらの東京都が発注をしている、臨時に雇っている職員であるとか、また外注に出しているそういった仕事といったものを、中高年の失業者、特に生活に大変困っているような方々に優先的に回すことも考えられないのかなと思うわけですが、この点について、優先的に回すことが可能なのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 都の事業の外注につきましては、公平性でありますとか公正性、効率性などを基本といたしまして、手続的にも適正なものとして実施をする必要がございます。また、事業目的を達成するためにも、確実に執行される必要がございます。
 こうした趣旨からいたしますと、お話のように、中高年失業者に限定をして事業を優先的に発注するといったことについては、例えば受発注の仕組みをどうするかなどを含めて、かなり困難なものがあるというふうに考えてございます。

○酒井委員 東京都としては、やはり公平、公正性を担保しなくてはいけないということで、大変難しいということはわかるわけですけれども、都がこういった募集をしていることを、極力そういった中高年失業者の方々に周知するなどの、ぜひとも努力をさらに行っていただきたいと思います。
 あわせて、公平性、公正性という観点から派生をいたしまして、現在東京都が実施をしている雇用・就業施策について、例えば若年者の対策であるとか、また中高年齢者の対策、高齢者の対策と、それぞれの対策があると思いますけれども、それぞれの事業の内容と予算規模についてお伺いをしたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 雇用・就業対策でございますが、まず、若年者向けの事業といたしまして、新規卒業者からフリーターを対象といたしました合同面接会や、若年者就業支援セミナー等を開催しておりまして、本年度の予算は、この事業の合計で一千四百万円となっております。
 次に、中高年齢者向けの事業といたしましては、外郭団体がアドバイザーとして雇用し、中小企業等に派遣をいたします中小企業助っ人千人事業や、再就職を支援するため、セミナーやキャリアカウンセリング、面接会を内容といたします雇用・就業支援事業、あるいは緊急委託訓練等を実施しておりまして、予算は合計で約十三億円となっております。
 また、高齢者向けの事業といたしましては、はつらつ高齢者就業機会創出支援事業や、シルバー人材センターに対する支援等を実施しておりまして、予算は合計で約二十三億円となっております。
 このほか、能力開発面におきましても、多くの若年者や中高年齢者、高年齢者を対象として事業を実施しているところでございます。

○酒井委員 各年齢層別における事業や、また予算規模については、一応わかりました。
 では、そのうち、中高年齢者の再就職を促進するための雇用・就業支援事業についての効果が具体的にどのようにあらわれているのか、お伺いをしたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 平成十四年度で申し上げますと、セミナー、キャリアカウンセリング、面接会を一連の流れといたしました中高年の就業を支援する事業を年六回開催いたしました。
 セミナーの参加者五百八十名に対しまして、三カ月後にアンケートによる追跡調査を行った結果、二百九十一名の方から回答がありましたが、回答者の八〇%以上の方から、現在の就職活動に役立っているとの評価を得ております。また、三〇%の方が再就職をされました。
 面接会につきましては、参加企業が約百五十社でございますが、延べ千五百名の面接を実施し、具体的な再就職の機会の提供に努めまして、参加企業に七十一名が採用されるなど、一定の成果が上がっております。

○酒井委員 中高年齢者の再就職を促進するための事業については一定の効果があらわれているということですので、さらに、今行っている事業については進めていっていただきたいと思います。
 もう一点なんですが、先ほどご答弁の中に、高齢者向けの事業として、本年度の予算、合計二十三億円というご答弁がありましたけれども、このうち、東京都のシルバー人材センターに対して行っている補助金の金額についてお伺いをしたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 都のシルバー人材センターの管理運営費等に対する補助でございますが、約七億七千万円となっております。

○酒井委員 補助金額についてはわかりましたが、ちなみに、もしご存じであればお答えをいただきたいのですが、シルバー人材センターの会員の中で、六十歳から六十四歳まで、いわゆるまだ年金をもらえていない方々の人数と、六十五歳以上の人員の割合について、おわかりでしたらお答えをいただきたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 十四年度の実績でございますが、六十歳から六十四歳までの方が一四・九%、六十五歳以上の方が八四・二%となっております。

○酒井委員 今、六十歳から六十四歳までが約一五%、それ以上の方が約八五%ぐらいという数字が示されたわけですが、このシルバー人材センターの事業については、従来、生きがいといったものを求める志向が大変強かったと思うわけですが、それとあわせて--六十五歳以上の年金をもらえている方々が、確かに八五%、ほとんどを占めているということで、そのような方々に対しては、いわゆる生きがいを与える、そういった目的で、この事業といったものは大変活用されているのではないかと思うわけですけれども、一方、六十歳から六十四歳まで、年金の支給年齢がだんだん上がっていく中で、いわゆる収入源といったものがない高齢者の方々の常用雇用の支援といったものも新たに対策を講じていくべきではないかと考えておりますけれども、その点について東京都としてお考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 年金の支給開始年齢が引き上げられ、また、団塊の世代の方々が間もなく定年を迎える中、六十歳代前半層の高齢者に対する雇用・就業機会の確保というのは大変重要であるというふうに考えております。
 このため、都では、昨年度からですが、五十五歳以上の高齢者に対する就業相談や職業紹介を行うための拠点を整備した区市町村に対する補助事業であります、はつらつ高齢者就業機会創出支援事業を開始いたしました。これまでに、十一区市において既に事業開始または開始が確定しております。
 今後も、シルバー人材センター事業のみならず、高齢者就業対策全般について全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○酒井委員 六十歳から六十四歳の方々に対する東京都としての基本的なお考えについてはわかりました。
 この雇用の問題については、大変厳しい状況が引き続いている中で、東京都の雇用であるとか就業の施策においては、若年者、また中高年とのバランスのとれた対応をしていくのが基本であると思いますけれども、先ほど各年齢層における予算についてお伺いをしたところ、若年者については一千四百万円、中高年齢者向けのものは十三億円、シルバー、高齢者向けの事業としては二十三億円と、従来の取り組みの中で、やはり高齢者対策といったものに、この間、重きを置かれていたのではないかと思いますが、中高年、また若年の方々に対するバランスという意味では、まだまだ十分なバランスがとれていないのではないかなという思いもあります。
 そのような中で、特に中高年齢者の失業者の方々、今、自殺が年間三万人を超えるような状況になっている中で、特に働き盛りの方々にとっては、子どもの養育費といったものの負担も重いわけですし、リストラによる影響といったものが大変大きい中高年齢者の失業者に対する施策といったものが重要であると考えます。
 そういった中で、先ほど、中高年齢者に対する重点的な職業のあっせんといったものは、東京都の施策の中ではなかなか難しいという、そういった立場もわかるわけですけれども、東京都の中で、例えばこれはご提案ですけれども、入札の参加資格に、よく環境のISOの一四〇〇〇シリーズを取得している業者に参加資格を与えるであるとか、また、東京都でも一部行われているようですが、障害者を雇用している会社に参加資格を与えるとか、そういった入札の場面での配慮をしている事業もありますので、例えばそういった中高年齢者の再就職を積極的に行っている会社といったものに入札の参加資格を与えるようなことも検討することができるのではないかなという思いもあります。
 この点については、ぜひ検討していただきたいという要望にとどめたいと思いますけれども、総体として、中高年齢者の失業者に対する施策について今後どのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いしたいと思います。

○安藤雇用就業推進担当部長 年齢や勤務条件などに起因いたします雇用のミスマッチによりまして、中高年離職者の再就職は大変厳しい状況にあるというふうに思います。家計を支える立場にあります中高年齢離職者も多いことから、早期の再就職に向けて効果的な対策を講じることが必要と考えてございます。
 このため、都の中高年離職者の雇用・就業対策として、雇用・就業支援事業の着実な実施でありますとか、緊急地域雇用創出特別基金を活用いたしました中小企業助っ人千人事業などを実施しておりますが、今後も、知識、経験や働く意欲のある中高年齢離職者の再就職支援に全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思います。

○酒井委員 雇用・就業対策については、先般七月十七日に、東京都雇用・就業対策審議会の方からこういった答申も出されているようですので、結構いいこと書いてあるんですよね。こういったものもぜひとも参考にしながら、今後、積極的に進めていっていただきたいと思います。
 引き続き二点目、商店街における防犯カメラの設置について、何点かお伺いをしたいと思います。
 昨今、東京都では、治安の悪化といったものが大変大きな問題となっております。その中で、都内の繁華街を形成する商店街などでは、住民であるとか、また消費者が安心して買い物ができる安全な商店街づくりをしていくために、商店街自身の取り組みとして、防犯カメラを設置する動きも見られます。
 大きなところでは、これは商店街独自というよりも、警視庁が主体となって行っているところで、新宿の歌舞伎町であるとか、また渋谷や池袋といった、そういった治安が急激に悪化をしているところにも防犯カメラを設置するという動きがありますし、また、私の地元であります立川市においても、大変風俗店がふえてきて、地域の商店街の方々が大変困っているという状況にございます。
 このような中で、東京都では、新・元気を出せ商店街事業の中の一つの事業において、防犯カメラの設置に対して助成金を出すという制度を取り入れておりますけれども、この商店街の防犯カメラの設置に対する助成について、どのような仕組みになっているのか、お伺いをしたいと思います。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業では、商店街が行います活性化事業といたしまして、防犯カメラ設置を助成しております。
 商店街からの申請を受けました区市町村が審査をした後、都に対しまして申請を行う仕組みでございます。負担割合は、商店街、区市町村、都がそれぞれ三分の一となっております。

○酒井委員 この防犯カメラの設置に関しては、今ご説明をいただいた元気を出せ商店街事業という中の位置づけで、地元商店街と区市町村と東京都がそれぞれ三分の一ずつ負担をするという制度と、また、警視庁がやっているので全額東京都で負担をするという二つの制度があるようなんですけれども、商店街にとってみれば、実際どれぐらいの負担がかかるのかということで、地元の商店街等からもいろいろと問い合わせを受けているわけですが、実際に、この防犯カメラの設置事業を実施している商店街数といったものがどの程度あるのかということと、大体、その設置をしている商店街における総事業費の平均額が幾らぐらいなのか、また、防犯カメラの設置台数といったものは大体平均値でどのくらいなのか、お伺いしたいと思います。

○市原商工部長 平成十五年度の新・元気を出せ商店街事業によりまして防犯カメラ設置事業を実施しております商店街は、十四商店街でございます。その総事業費の平均額は約九百九十万円となっておりまして、平均設置台数は、一商店街当たり十六台となっております。

○酒井委員 今お答えをいただきまして、この元気を出せ商店街事業の防犯カメラに関する予算については、東京都のその三分の一の負担の上限額が五千万円という数字が書いてありますので、えらい金額がかかるのではないかという思いもしていたわけですが、今のご答弁によると、その防犯カメラの設置費用自体は、それほど大きな金額ではないということがわかりました。住民が安心して買い物ができる環境といったものをつくっていくことについては、とても大切なことでありますし、また、商店街が核となって地域の安全に取り組んでいくといったことは、これからの新しい商店街の姿を示しているものだと思います。
 そこで、一点お伺いをしたいわけですが、東京都はこのような商店街の取り組みを積極的に支援をしていただきたいという思いからの質問なんですけれども、せっかく商店街がこのような防犯カメラの設置といったものを申請しても、予算上の理由から申請を却下するようなことがないのかどうか。
 よく東京都三分の一、地元の市が三分の一とか、また商店街が三分の一という形で、市とかを通してくるとなかなか、市の事情等によって、申請を上げるのを少しちゅうちょしたり、また、よく区市町村のいい方でいうと、東京都の方がなかなか、予算が足りないから今年度は待ってくれというような、そういったいい方をして先延ばしをするようなことも、この事業じゃなくて、一般的な事業でそういったことも見受けられるんですけれども、この事業についてはそのようなことがないのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○市原商工部長 区市町村から申請がありました商店街が行います防犯カメラ設置事業につきましては、申請どおり交付決定を行っております。

○酒井委員 今のご答弁ですが、区市町村から上がってきたものに関しては、東京都はすべて交付決定をしているということで確認をさせていただきたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、この防犯カメラの設置については、防犯対策という面もある一方で、プライバシーの問題も当然発生をしてきます。商店街の防犯カメラの設置については、プライバシーの保護がきちんと考慮されたものでなければならないと思います。
 そこでお伺いをいたしますが、都はこの防犯カメラの設置事業において、設置方法であるとか、また設置後の運用について、具体的にどのような指導を行ってきているのか、また東京都の統一的基準のようなものがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○市原商工部長 防犯カメラの設置方法や運用についてでございますが、この事業は、商店街みずからの自発的な取り組みを支援するものでございまして、補助金の申請に当たりましては、個人のプライバシーを侵害することのないよう、商店街がみずから運用基準をつくり、地元住民の合意を得ること、道路管理者や警察署と十分協議することなど、区市町村を通じて指導しているところでございます。
 また、都といたしましての標準的な基準につきましては、現在、知事本部の方で検討中でございますが、本事業においては、設置目的、画像使用の際の手続や画像の保存期間などに関する運用基準の参考例を区市町村に対して示しているところでございます。

○酒井委員 最後に、ご要望だけにさせていただきたいと思いますけれども、この防犯カメラを設置する際、今のご答弁にあるように、地元住民の合意を得るということが大前提になっているということ、これはもちろんのことなんですけれども、しかし、地元住民の合意を得るという過程は、この問題だけではなく、どんな問題についても、一人や二人は反対をする人は当然出てくるわけですし、心配に思う方が出てくるのも、これは当然のことであります。
 そういった中で、やはり東京都としての公式的な統一基準といったもの、どの地元の協議の場でもその基準を示して、それより緩くするか、きつくするかということについては、地元の協議の上で決定をすることでありますので、とにかく早急に都としての公式的な統一基準といったものを策定するよう要望して、質問を終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。

○谷村委員 初めに、雇用対策の一環で、先月末に発表された経済・雇用年末年始特別対策について質問をさせていただきます。
 春先からここ数カ月、さまざまな経済指標で、ようやく経済情勢に回復の兆しも感じられるようになった面、ここ数日間の株価が心配される状況にもあります。都民の皆様の暮らしは、日々の暮らしの中で明るさを実感するというところまでは到底至っていないと思います。
 とりわけ雇用につきましては、都内の失業者はいまだに三十二万人を超えており、最近では、大手電機メーカーや公的資金の投入が予定される金融機関が大規模なリストラ計画を発表するなど、依然として厳しい状況が続いております。
 都は昨年度、経済・雇用緊急プロジェクトを発表し、年末から年度末にかけてさまざまな雇用対策に取り組みました。本年度も、厳しい雇用情勢が続く中、十月三十一日に経済・雇用年末年始特別対策が発表されております。年末を控えたこの時期、雇用に対する特別対策は大変意義のある取り組みであり、高く評価するものであります。
 そこでまず、本年度の年末年始における雇用特別対策の特徴は何か、お伺いをいたします。

○安藤雇用就業推進担当部長 本年度の雇用特別対策につきましては、雇用をふやす、雇用を守る、生活を支えるの三つの視点から事業を展開することとしております。
 雇用をふやすという点では、緊急地域雇用創出特別基金を活用いたしまして、千人の雇用確保を目指します。また、労働部の幹部職員が、求人キャラバン隊としまして業界百団体を訪問し、PRを実施いたします。
 また、雇用を守るという点では、年末特別・労働総合相談会を開催しまして、労働に関するさまざまな相談にワンストップで応対をしたいというふうに思っております。
 最後の生活を支えるという点では、中小企業従業員生活資金融資などの利率を引き下げるものでございます。
 今回の特別対策におきましては、緊急求人キャラバン隊の派遣や、さまざまな場所で相談会を開催するなど、積極的にまちに出ていくという姿勢を最大の特徴としているものでございます。

○谷村委員 これまでの労働部の雇用対策は、どちらかといえば、能力開発や労働相談など、労働者あるいは求職者への直接的な働きかけに重点が置かれていたように思いますが、今回の特別対策においては、雇用をふやす取り組みを進めていく、積極的に打って出るといった取り組みは、都の雇用対策に向けた意欲の大きなあらわれとして高く評価したいと思いますが、こうした雇用をふやすという取り組みは、これまで以上に、中小企業の団体や経営者団体と連携を深めることが重要になると思いますが、この点について具体的にどういう取り組みをされるのか、お伺いをいたします。

○安藤雇用就業推進担当部長 お話のとおり、雇用の確保に向けて、中小企業団体や経営者団体と連携する取り組みは、非常に大切であるというふうに考えてございます。
 本年度の緊急求人キャラバン隊は、局長を先頭に、労働部幹部、それから事業所長が総出で訪問しておるわけでございますが、この実施に当たりましても、団体の会報やホームページに内容を掲載していただいたり、あるいは企業の方々が集まる会合等に直接お邪魔しまして、私どもからじかにご理解、ご協力を求めるなど、より効果的な連携を目指してまいりたいというふうに考えております。

○谷村委員 業界団体の傘下の企業の皆さんが集まる会議などの場所で、局長を先頭に、労働部及び全二十四事業所の幹部職員の方が懸命になって求人確保の協力を求められる姿に、業界団体などから直接的なご協力をいただくこともさることながら、有形無形の波浪というものが大きく広がっていくものと期待をいたしたいと思います。そういった意味で、求人キャラバン隊のような取り組み、千人の雇用をふやすと宣言しての取り組みは、ぜひとも成功をさせていただきたいと思います。
 本年七月の雇用・就業対策審議会の答申におきましても、地域の商工団体などと連携し、積極的な求人開拓を行うべきであるとの提言もありました。今後とも、業界団体の窓口となる商工部なども含め、局を挙げて、ぜひとも積極的に創意工夫のある雇用対策を目指していただきたいと思いますが、この点について、有手局長のご決意をお伺いしたいと思います。

○有手産業労働局長 東京の雇用環境は、お話がございましたように、依然として厳しい状況が続いております。都民生活の安定を図るためには、雇用・就業対策は極めて重要な課題であると認識しております。
 特に年末を控えたこの時期、来年どうなるのかと、都民の方の不安もひとしおだと思います。こういう中で、私ども、私を先頭に、幹部職員が一生懸命、雇用促進のためのキャラバン隊に出かけることにいたしました。雇用をふやし、雇用を守るため、即効性のある施策を中心に、経済・雇用年末年始特別対策を実施していきたいと考えております。
 都内で三十万人を超える失業者の皆さんが一日も早く再就職されるように、また、来年希望が持てるような展望が開けるように、今回の特別対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
 また、今後は、審議会の答申を踏まえながら、委員のご指摘がございましたとおり、企業や業界と連携いたしまして、また、さまざまな行政機関とも連携いたしまして、効果的な雇用・就業対策を着実に、力強く推進してまいりたいと思っております。

○谷村委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、観光振興についてお伺いをしたいと思います。
 観光は、すそ野が広く、運輸や宿泊、飲食業など、多くの産業に経済波及効果をもたらす産業であります。都は、平成十三年十一月、今から二年前になりますが、観光産業振興プランを策定してさまざまな観光振興策に積極的に取り組んでおられますが、景気動向が不透明な今、まさに東京の地域経済に大きな影響を与える観光振興は、緊急かつ重要な課題でもあります。都民の期待にこたえ、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 そこで、本日は、観光振興策の中でも、とりわけ今年度の新規事業である観光まちづくりについてお伺いをしたいと思います。
 初めに、この観光まちづくりとは何か、その概念についてお伺いをいたします。

○小宮参事 都の観光まちづくりは、点在する観光資源を有機的に結びつける新しい取り組みとして、観光の視点に立ったまちづくりを行うものであります。これによりまして、地域が一体となって旅行者を受け入れる体制を整え、まち全体の魅力を高めまして、住む人が誇れるまちをつくり、旅行者が何度も訪れたくなるまちを目指してまいります。

○谷村委員 点在する観光資源を有機的に結びつけて、旅行者が何度も訪れたくなるまちづくりを目指す、そして同時に、住む人も誇れるまちとなっていく、大変にすばらしい取り組みだと思います。
 東京の魅力を発信する、受け入れ体制を整備するといっても、東京というまち自体に魅力がなければ、旅行者は東京に来てくれないわけであります。東京に行ってみたけれども、ごみごみしていただけだったとか、殺伐としたまちだったとか、一人の日本人としても、何ら魅力を感じられないようなまちであったなどと印象を持たれるならば、大変に不幸な話でもあります。
 観光まちづくり事業は、足元の東京のまちの魅力を高めるものとしても大きな意義があると思います。働き、商う人も含め、地域の人々が愛着や誇りを持てるまちが、まさに人々が訪れたくなるまちでもあります。そうした観光まちづくりをどんどん行っていただきたいと思います。
 そこで、今年度は具体的にどんな取り組みをされているのか、お伺いをいたします。

○小宮参事 東京において観光の視点に立った特色あるまちづくりを推進し、その基本指針を策定するため、観光まちづくり推進協議会を、それから協議会のもとに、産業労働局が所管する上野地区観光まちづくり検討会、港湾局が所管いたします臨海地区観光まちづくり検討会を本年六月に設置いたしました。今後、今年度内に観光まちづくりの基本指針や上野地区観光まちづくりの基本構想をまとめる予定でございます。
 上野地区につきましては、これまでの検討において、すぐれた観光資源が集積し、高い潜在的な魅力があるにもかかわらず、その優位性が生かされていない、今後、歴史と文化が体感できる回遊性のあるまちづくりを目指すべきとしております。
 また、観光まちづくりの一環といたしまして、江戸開府四百年記念事業としまして、東京国立博物館本館など五施設を対象に、上野地区景観照明、いわゆるライトアップを十月十日から実施しております。

○谷村委員 ことしは、東京電力の不祥事などによる予期せぬ電力不足が深刻化いたしまして、今年度のライトアップの実施はもう難しいものかと危惧をしていた一人であります。無事にスタートできて何よりですし、伺ったところによりますと、このライトアップは、電力消費量も少なくしてあるとのことでございました。私もライトアップされた様子を拝見しましたが、確かに十分なライトアップ効果が出ていたと思います。
 そこで、観光まちづくりの一環として、なぜライトアップ事業を実施するのか、確認の意味でお伺いをいたします。

○小宮参事 観光まちづくりに当たりましては、まちの魅力を、昼だけではなくて、夜についても高める必要があります。とりわけニューヨークなど欧米の諸都市に比べますと、東京は、夜の観光の魅力、ナイトライフの楽しみが乏しいといわれております。このため、上野地区の歴史的、文化的な建造物をライトアップいたしまして、新たな観光資源を創出するとともに、夜のまちの魅力を高めることとしております。

○谷村委員 欧米の諸都市に比べ、東京は、夜の観光の魅力、ナイトライフの楽しみが乏しいと、確かにいわれている面もあるようでございます。しかし、夜の東京の観光名所として東京の夜景百景を選定していこうという取り組みをされている方にお会いしましたが、東京も見直せば、夜の観光の魅力も大変に多いと、その方が撮られた幾枚かの写真も拝見させていただきました。
 先月の十日から、このライトアップ事業によって、国立博物館や寛永寺の清水観音堂のライトアップが始まったわけですが、東京に新たな夜景スポットがふえたことを歓迎したいと思います。
 そこで、このたびのライトアップ事業の内容についてお尋ねをしたいと思います。

○小宮参事 ライトアップは、上野地区観光まちづくりの一環としまして、歴史的、文化的に貴重な建造物を照明することによりまして、光の演出を行い、その魅力をアピールし、旅行者の増大とまちの活性化を目指すものです。
 ライトアップする建造物は、東京国立博物館本館、表慶館、旧因州池田屋敷表門、東京文化財研究所黒田記念館、寛永寺清水観音堂の五施設でございます。
 点灯期間は平成十五年十月十日から十二月三十一日までを予定しております。時間につきましては、日没から二十二時までとなってございます。

○谷村委員 このライトアップによって、観光まちづくりに具体的にどのような効果があったのか、現段階での評価をお伺いしたいと思います。

○小宮参事 このたび、景観照明が開始された五施設に、従来から景観照明をしておりました国立科学博物館なども加えまして、照明された建造物が集積することによりまして、上野地区に、昼間のにぎわいとは異なる新たな魅力が加わりました。
 照明された施設をめぐるなどのルート化により、回遊性が増すとともに、夜の過ごし方、ナイトライフの充実が図られます。
 また、これを契機にいたしまして、文化施設の開館時間の延長を一層働きかけてまいります。

○谷村委員 ライトアップは、まちに昼間とは違う魅力を加えるものであると。観光とは、そもそも「光を観る」と書くわけであります。これから年末に向かって、さらにクリスマスなどの電飾を初め、東京の至るところでイルミネーションなどによる光の演出が始まってきます。
 この東京のすばらしい夜景を広くアピールし、日本のみならず、海外からも観光客を呼び寄せる一つの手段としてはどうかと思いますが、有手局長の所見をお伺いしたいと思います。

○有手産業労働局長 ライトアップは、昼とは違うまちの美しさ、あるいは躍動感、安らぎなど、見る人々に感動を与える大変重要な観光資源でございます。海外の諸都市とも比較しましても、観光地として有名な都市にはライトアップが欠かせないものであると考えております。そういうことで、ライトアップは、東京の夜のまちの魅力を引き出して、ナイトライフを豊かにする有効な手段であると考えております。
 東京には、レインボーブリッジや東京タワーなどさまざまなライトアップ施設があり、多くの人々を引きつけております。このため、東京の夜景のすばらしさをこれらの施設は演出しておるわけですけれども、今後さらに、ライトアップの施策を民間とともに協力して施策振興に努めまして、国内外にPRして、多くの旅行者が東京に参るように努力してまいりたいと考えております。

○谷村委員 これまでお伺いしてきましたライトアップ事業につきましては、ことしの第一回都議会定例会の知事の所信表明演説の中で、知事本人が実施を明らかにされたものであります。その際、知事は、このライトアップは上野にとどまらず、皇居での実施も働きかけていきたい、このように述べられております。これは現在どういう進捗状況だったのかはお尋ねはいたしませんけれども、ぜひともこちらの方も実現を期待したいと思っております。
 大阪では、大阪城のライトアップは大変に有名でありますが、東京はまず、都庁舎こそライトアップをすべきではないかと私は思っております。この都庁舎は、訪れる観光客も非常に多く、極めて有力な観光資源であり、また、ライトアップのための設備も既にそろっているわけであります。先日も都庁展望室に有名なイタリアンレストランをオープンさせるなど、都としても、都庁舎の観光資源としての価値を十分認識しておられるはずであります。人様のものを照らす前に、まず都庁舎のライトアップを進めるべきであります。
 電力事情も考慮しなければなりませんが、無理に毎日じゃなくても、観光客の多い曜日だとか、東京都が意義をとどめる日だとか、電力に余裕のある時期だとか、実施時期を限るなど工夫しながら、ぜひとも実施をしていただきたいと思っております。
 機会を改めてさらに要望させていただきたいと思いますが、このことを強く要望させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○丸茂委員 私は、まず、三宅島支援について何点かお伺いしたいと思います。
 三年余にわたる避難を続けている三宅島島民の苦労は大変だと思います。産業労働局が運営する三宅島げんき農場と、村が運営する三宅村ゆめ農園は、いまだに帰島のめどが立たないもとで厳しい避難生活を強いられている島民にとって、就労と生きがいの場として重要な役割を果たしています。改めて、それぞれの事業の内容と事業の実施状況、成果についてお伺いいたします。

○菊地農林水産部長 三宅島げんき農場及び三宅村が実施しています三宅村ゆめ農園では、国の緊急地域雇用創出特別基金事業を活用いたしまして、特産農産物の種苗確保や、花き、観葉植物や島内緑化用の苗木等の生産を行っています。
 平成十四年度の島民の雇用状況は、げんき農場が百名、ゆめ農園が五十三名となっており、経費はそれぞれ約一億三千万円と約八千万円になっています。

○丸茂委員 最近聞いた話なんですけれども、げんき農場等で丹精込めてつくった農産物については、収穫しても、それを販売することができない、非常に残念だとの声も寄せられております。
 販売できない理由について、どうなのか、まずお伺いするのと、また、今、答弁にありましたとおり、この事業が、国の緊急地域雇用創出特別基金事業によって行われているために、平成十六年度以降は継続できないと聞いております。事業の継続についてどうなのか、あわせて答弁をお願いいたします。

○菊地農林水産部長 三宅島げんき農場等は、お話のとおり、国の緊急地域雇用創出特別基金事業を活用していますが、この制度上、生産された農産物等の販売など、収益につながる事業は実施できないとされています。
 また、この事業の継続でございますが、この国の事業は、例外的に二度の継続延長を認めてもらってきておりますが、平成十六年度以降は活用できないと聞いております。これらの事業のうち、帰島後に必要とされる種苗の確保には努めてまいります。

○丸茂委員 何度もこれはお聞きして納得いかないんですが、この事業は、特に産業労働局としても、知恵を絞って立ち上げて実施している事業だと私は思っています。
 また、事業は、避難島民にとって、先ほどもいいましたように、就労と生きがい、さらには情報交換だとか交流の場としても重要な役割を果たしていると考えております。
 さらに、生産された野菜や花きの収穫物が実際に販売できて、それが生活再建に逆に役立つということであれば、ぜひそういうことが実現できるように、そのことによって、また一層の励みにもなると思うんですね。
 したがって、この事業の継続を望むわけですが、局としても、知恵を絞って次の手段を含めて考えているようですので、あらゆる手だてをとって事業が継続できるよう、そして拡充できるよう、ぜひその実施方を強く要望して、この点は終わりたいと思います。
 次に、帰島後の問題として新たな問題が寄せられております。農地の開墾問題であります。
 避難生活が三年余にわたるため、島の農地は、いわゆる火山による降灰や泥流に加えて、最近、畑に竹だとかカヤ、ハンだとかが繁殖するなどして、田畑の荒廃が進んでいると聞いております。そのために、どうしても農地の開墾が必要になりますが、特にアシタバなど島の特産の栽培にかかわっている七十歳以上の農家は、現状からすると、島に戻っても開墾する元気がおぼつかない、こういう心配も寄せられております。
 聞くところによりますと、アシタバの栽培は、少ない生産の農家でも二百万円程度の収入になる。これが大きな支えになっているそうです。帰島後の島民の自立と元気を取り戻す上でも、公費での復興支援が必要だと考えますが、この点いかがでしょうか。

○菊地農林水産部長 三宅島の農地は、降灰や泥流による被害を受け、荒廃しています。この復旧のためには、国の災害復旧事業の補助制度を活用するなど、農地整備を支援する必要があると考えています。
 また、荒廃農地の開墾につきましては、土壌の改良など補助の対象とならない内容も含まれておりまして、制度の特例を含めた柔軟な対応を、昨年来、国に要望しているところでございます。

○丸茂委員 ぜひ実現方をお願いしたいというふうに思います。
 同じように帰島後の問題として、農地のパイプハウス等の撤去費の心配も寄せられています。三宅島は、私も行ったことがありますが、日常的にも大変強い風が吹くところで、台風等対策のために、ハウスの柱の基礎が、ブロックとコンクリートで堅固に構築しているとのことであります。
 こうした強固なハウスの撤去がまた大変な作業になると思いますけれども、こうしたパイプハウス等の公的補助というのですか、支援についていかがなものか、お伺いをいたします。

○菊地農林水産部長 農地の復旧のためには、腐食したパイプハウス等の撤去が必要でございます。しかしながら、これも国の補助の対象となってございませんで、このため、荒廃農地と同様、昨年来、国に対して制度拡充の要望を行っているところでございます。

○丸茂委員 漁場の回復についても、一点お伺いしておきたいと思います。
 私自身も、最初の噴火があった後、現地にも行きまして、たしか大久保浜というのですか、港ですが、泥流がテングサを干すところにもずっと流れ込んで、それが海にまで流れ込んでいる。これがいつもとに戻るかなというような暗たんたる気持ちで見た記憶があるわけですけれども、そうした漁場の泥流等の調査の状況と、漁場回復のための対応策がどの程度進んでいるのか、その点、お伺いをいたします。

○菊地農林水産部長 三宅島の漁場被害につきましては、水産試験場が噴火直後から調査を継続して行っております。これの内容ですが、海域によって異なりますが、泥流等により貝の成育のおくれが見られたり、トコブシ、テングサの回復もおくれています。
 既にトコブシの放流や海藻類の再生に向けた調査を実施しておりまして、今後、資源や漁場の早期回復を図ってまいります。

○丸茂委員 三宅島の支援あるいは復興支援については、私どもも国にも直接要望に行ったんですけれども、やはり、これまでに経験のない長期間であるのと同時に、普通ですと、噴火があると、その地続きで別の生活を営みながら、また対策をとるというのがあるんですが、島の場合は、いまだに火山ガスが吹き出て、島自体にいられないから、東京を離れて避難生活をしているという、やはり特別の事情があると思うんですね。
 東京都も、そういう立場を踏まえて、国との折衝等を進められていると思いますけれども、そういう島民の、特に特別な事情、困難な事情を踏まえて、具体的な対策、それから島民の要望が実現できますよう、強く要望しておきたいと思います。
 次に、フランチャイズ加盟の小売店への支援について伺いたいと思います。
 二〇〇一年のフランチャイズ加盟の小売業は、全国でいいますと七万七千店余、売り上げは十一兆四千万円余と、八九年当時の二倍に急成長している産業であります。そうした一方で、店舗の競合や、本部と加盟店との不公正な取引によるトラブルもふえておりまして、経営危機の深刻化など、新たな課題も多岐に及んでいると聞いております。
 加盟店でつくる団体は、フランチャイズ産業の健全化や地域社会での役割を自覚しながら、地域経済の活性化にも貢献したいといっておられます。そこで、何点か伺います。
 一つは、都は平成十四年三月に、小売・サービス業におけるチェーン活動実態調査報告書をまとめております。現物はこういう厚いものなんですけれども、この第三節では、チェーン活動の健全な発展に向けた今後の対応策がまとめられておりますが、この対応策等をベースに、よりわかりやすく、フランチャイズビジネスの実態に即した東京版ガイドラインの策定が必要だと考えますけれども、この点いかがでしょうか。

○乾産業政策部長 十三年度に行いました、委員ご指摘の調査におきましては、チェーン本部と加盟者との契約時の情報開示の充実でございますとか、チェーン本部と加盟店の信頼関係の構築といったチェーン活動の課題が指摘されているところでございます。
 フランチャイズ業界の健全な発展というものは、もとより望ましいわけでございますけれども、フランチャイズシステムというのは、そもそも契約自由の原則に基づきまして本部と加盟者が契約を結び、事業を展開するものでございます。都としましては、ガイドラインの策定については考えておりません。

○丸茂委員 考えていないというんですけれども、国の方は、平成十四年四月に、フランチャイズシステムに関する、これは公正取引委員会ですから、独占禁止法との考え方、一定のガイドラインを出して対応しております。
 東京都も、創業支援ということですけれども、フランチャイズチェーンの加入の手引というので、今はなくなっていますけれども、商工指導所が、契約だとか一定の知識として大事なところはこういうところですよという、こういうものも出しているわけですよね。
 そういう東京都自身がさまざまな調査、課題、それから必要なこういう手引まで出しているというのであれば、やはり何らかの形で発展させてガイドラインをつくって、いろいろなトラブルは逆にふえて、相談もあるわけですから、対応すべきだと思いますけれども、もう一度、どうですか。

○乾産業政策部長 今、委員ご指摘の商工指導所で出しましたマニュアルでございますが、それに基づきましては相談窓口も設置したところでございますが、現在、やはり先ほど申しました契約自由の原則というものとの調整、いろいろ難しい問題がございます。
 したがいまして、ガイドラインというところまでは考えていないところでございますが、実は、国で独禁法の見直しでございますとか、そういう諸般のルールづくりが昨年度行われたところでございまして、現在はこれを見守ってまいりたいと考えているところでございます。

○丸茂委員 本会議でも取り上げたのですけれども、契約書というのは分厚いもので、実際、初めて手がける人には大変わかりにくいし、説明も十分受けられない。本部の方は、弁護士さんから何から有力な人が、何があっても対応できるように、きめ細かく対応しているわけですよね。
 そういう中で、今、長引く不況、それから、今まで既存の商店でも、やはりフランチャイズにどうしても展開を変えて引き続き商売を商うという方もいらっしゃいますので、これは、今この場で答弁は変わりそうもありませんけれども、引き続き私ども、やはりそういう中小零細の小売店の立場に立って、商工指導所がなくなったら、そういう手だてもなくなったなんていうことにならないように、ぜひ強く要求しておきたいと思います。
 それから、都の対応策として、今、相談体制をとったというんですが、相談体制の一層の強化が必要と、この報告書では指摘しているんですよね。特に、契約時に第三者機関への相談等が少なかったことや、加盟店からのフランチャイズ契約に関する相談の窓口として、加盟店等に聞きますと、やはりより専門的な相談が必要となるそうです。そういう点でも、相談窓口を強化してほしい、こういう声も寄せられておりますけれども、その点いかがでしょうか。

○市原商工部長 都では、中小企業者や創業者のさまざまな相談に対応するため、東京都中小企業振興公社におきまして、中小企業診断士の方や弁護士の方々などの各種専門家を配置いたしました総合相談窓口を設置しております。チェーン加盟に対する相談につきましても、参加することの長所短所や契約上の問題などにも対応しております。

○丸茂委員 次に、小売業やサービス業など、チェーン活動を行おうとする創業者や中小企業者のための研修等の充実も検討が必要だと、この報告書は指摘しております。この点ではいかがでしょうか。

○市原商工部長 東京都中小企業振興公社では、TOKYO起業塾におきまして創業セミナーを開催するとともに、その受講者が創業した場合に、経営に対する助言を行っております。
 チェーン加盟による創業につきましても、セミナーのテーマに取り上げまして、基礎知識や留意点など指導を行っております。

○丸茂委員 次に、商店街支援についてもお伺いをいたします。
 都内の既存の商店街は、長引く消費不況と大型店の進出、あるいは後継者不足など、さまざまな課題を山積しながら頑張っております。そういう中でも、必死にいろいろな知恵を出して頑張っている商店街があります。そうした商店街の要望にこたえる都の施策が必要だと考えますので、そういう立場から、具体的に寄せられた幾つかの点に基づいてお伺いをいたします。
 一つは、先ほど取り上げたチェーン店問題も絡むのですけれども、既存の商店街の空き店舗等に、大、中型店あるいはコンビニ、ファーストフード、ドラッグストア、携帯電話ショップ等、チェーン店の出店がふえている。これらの店が共存共栄の立場で、商店街への加入や、イベントなど各種商店街活動への協力が欠かせないと考えております。
 この問題は本会議でも取り上げましたけれども、自治体としても、地域経済の活性化の上から、チェーン店も、ただもうければいいというのではなくて、応分の負担と協力を義務づける条例や要綱あるいは指針など、ぜひ方策を検討してほしい、こういう要望が寄せられておりますけれども、この点いかがでしょうか。

○市原商工部長 チェーン店等の商店街への加入や協力についてでございますが、チェーン店等と地元商店街が協調できず、商店街にとりまして大きな問題の一つとなっていることは認識しております。
 商店街組合への加入や協力につきましては、個々のチェーン店等や商店の自由な意思により決めるべきものであります。商店街の振興には、商店街自身の自主的、自立的な課題解決への取り組みが不可欠でございまして、都といたしましては、今後とも、チェーン店等と地元商店街が共存共栄できるよう、意欲ある商店街の取り組みを支援してまいります。

○丸茂委員 先ほども取り上げた小売・サービス業におけるチェーン活動報告書の中をよく見てみますと、チェーン活動と商店街活動のあり方の中で、チェーン店本部の中にも、都区内については商店街を重視する必要がある、都としての振興策が必要と考えるし、そのような場合には、当社としても共存共栄で積極参加したいと考えているとのサービス業チェーン本部の声も紹介されております。
 私自身も、日本チェーンストア協会だとか全国スーパーマーケット協会だとか、幾つか団体も訪問して、商店街との協力をお願いしてきたところもありますけれども、お会いしたところでは、そういう趣旨を役員会等にもお伝えしたいというお話もありました。
 この平成十年六月の東京都の深夜・終夜営業小売店舗の影響調査報告書、これは概要版なんですけれども、この六ページにも、地域との協力、商店街組合への加盟及び商店街活動ということで、こうしたコンビニエンスストア等の個店に対する要望として、こういうところでの調査でも寄せられているんですよね。したがって、こうした要望にこたえるように、前向きな検討をぜひ要望しておきたいと思います。
 次に、これまで私ども、地域社会において商店街がなくてはならない存在として、商店街振興を取り上げてきました。商店街は、地域社会のコミュニケーションから地域の活性化のためにも、各種イベントの継続的な補助を求めております。新・元気を出せ商店街事業を充実し、継続的に実施してほしいという要望が強く寄せられています。イベント事業などの補助金額や補助率を引き上げてもらいたいとの率直な要望も寄せられておりますけれども、この点でどうなのか。
 また、不況の折、商店街事務所の運営そのものも大変で、運営費も補助対象にすべきだというような要望も寄せられておりますけれども、この二点について、どうなのかお伺いいたします。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業は、平成十五年度に商店街振興施策を再構築いたしまして、わかりやすく使いやすい制度といたしまして、予算規模も大幅に拡充したところであり、現在のところ考えておりません。
 また、事務所の運営費につきましては、新・元気を出せ商店街事業は、商店街の意欲あふれる自主的な取り組みを支援していくものであり、通常必要となる経常的な経費は補助の対象としておりません。

○丸茂委員 同じように、商店街の街路灯への電気料支援についても要望が寄せられています。商店街の街路灯は、まちのにぎわいだけでなくて、住民の安全、治安上も大事な施設となっております。
 古い話ですけれども、商店街がなくなって、全部商店街の街灯が消えたら、夜、高校生が帰るのに大変困って、私も現地を見に行ったことがありますけれども、やはりまちの安全という意味でも大きな役割を果たしているというふうに思いますけれども、区市町村によっては電気料の補助をしているところもあります。
 その区市町村も財政が厳しくて、都として何らかの応援ができないのか、補助ができないのか、こういう要望も寄せられておりますので、この点についてはいかがなものか、お伺いいたします。

○市原商工部長 さきに述べましたとおり、新・元気を出せ商店街事業では、お話の街路灯の電気料のような、通常必要といたします経常的な経費につきましては補助の対象としておりません。

○丸茂委員 現状の経常的経費は補助対象ではないという大変冷たい答弁なんですけれども、やはり公共的役割だとかそういうものを踏まえて、特別な対応が求められていると思いますので、ぜひ強く要望をしておきたいと思います。
 それから、商店街は苦しい経済環境にありながらも、知恵を出している例も私聞いております。地元大田区の商店街連合会では、区はこれまで、寝たきり高齢者への紙おむつを大手百貨店に依頼して対応していたようですが、最近、商店街連合会が引き受けて、地域で宅配することで商店街事業に貢献しているとのことであります。
 きっかけを聞きましたら、交付を受けていた高齢者が亡くなって、お通夜のときに、不要になった紙おむつを返したいと思っても、なかなかとりに来てくれない。さまざまな話がありまして、一番身近な商店街がまちの高齢者の状況をよく知っておりまして、そういうものに何とか対応できないのかということで商店街自身が知恵を絞って、自分たちが対応しようということで、区にも働きかけて事業が始まったそうです。
 ただ、紙おむつというのはかなりの量があるので、それを各お宅に配るというのはまた大変で、それも、酒屋さんだとかお米屋さんだとか運送業、一定の倉庫があって保管場所があれば対応できる。それから、通常、配達して回っているわけですから、対応もできるということで事業を手がけて、先日も専務理事に聞きましたら、大変、商店街事業として役立っているという感想も聞きました。
 そのほか、区立特別養護老人ホームへの給食用食材提供を地元商店街が引き受けて、施設と地域が結び合って商店街活動に役立っている、こういう例もお聞きをしました。
 また、足立区の東和銀座商店街のように、半ばボランティアだということもあるようですけれども、ひとり暮らしのお年寄りや、昼間一人になる高齢者へのお弁当を提供している例だとか、それから、障害者の方たちが食材を製造販売する事業など、それぞれ地域によって取り組みがされて、その取りまとめ役に、やはり商店街なり商店街連合会が中心になって対応しているというお話を聞いております。こうした独自の取り組みに対して、都はどのような支援をしているのか、お伺いします。
 また、あわせて、商店街の中にある個店や個店のグループが、例えば高齢者などに対する宅配サービスを行う事業などに取り組む場合についての支援についてもお伺いいたします。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業では、意欲ある商店街の多種多様な取り組みを支援しておりまして、商店街が活性化を図るため、お話のような取り組みを行う際には、事業開始に必要な施設整備等の経費につきまして補助対象としております。
 こうした事業を空き店舗を活用して行う場合、空き店舗の改修費用のほか、家賃について三年間補助することとしております。
 また、お話のような事業を個店や個店のグループが取り組む場合は、輝け店舗支援事業の補助対象となっております。

○丸茂委員 この厳しい経済環境の中でも頑張っている商店街が、みずからいろいろな知恵を出して取り組んでいるわけですので、引き続き東京都のバックアップ、それから、そういう要望、こういうことをしてほしいということにこたえられる形で応援することがやはり都民要求、あるいは都内の中小商工業者の元気づけになりますので、ぜひ引き続き特段の努力を要望しておきたいと思います。
 最後に、確認のため聞いておきたいことがありますので、お伺いいたします。
 都は、第二次財政再建推進プランで、施策の見直しとして、区市町村の補助金等を見直すとしております。そのもとで、来年度に向けた施策の見直しということで、都と特別区の協議事項で、東京都シルバー人材センター事業補助等三事業、都と市町村の協議事項では、同じく東京都シルバー人材センター事業補助や多摩森林整備・林業振興推進事業など七事業が協議事項となっております。これらの協議事項が、先日公表された来年度予算の局要求で予算に組み込まれているのかどうか。
 聞くところによりますと、福祉局や健康局など、協議事項であるため、予算には組み込んでいないとの説明も受けております。その点、産労局はどうなのか、確認をしたいのでお伺いいたします。

○野口産業政策調整担当部長 区市町村との協議事項とされております事業につきましては、当局といたしましては、見直しを前提とした予算要求を行っているところでございます。

○丸茂委員 それでは、これは協議事項となっているわけで、都と区市町村での施策の見直しの現在の協議状況はどうなっているのでしょうか。

○野口産業政策調整担当部長 先月、十月に入りまして、区助役会、市長会全体会、町村会臨時総会を経まして、検討、協議を開始いたしました。現在、鋭意協議を進めているところでございます。

○丸茂委員 今、鋭意協議を進めているということは、協議が続行しているということでありますから、協議が調ってから予算に反映すべきではないか。その点いかがでしょうか。

○野口産業政策調整担当部長 協議事項とされております各事業につきましては、区市町村との合意に向けて努力しておりますが、その協議結果に基づいて予算化されるものと認識しております。

○丸茂委員 協議結果によって予算化するということですから、局は要求したけれども、その結果は協議の結果次第だということで確認しておきたいと思います。

○真鍋委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時六分休憩

午後三時十六分開議

○真鍋委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○北城委員 まず、制度融資と債券市場関係につきましてお伺いをさせてもらいたいと思います。
 近々、東京都主導によりまする新銀行が設立をされるわけであります。恐らくこの新銀行が設立をされますると、疲弊し切った日本の金融システムが改善をされまして、生きた資金というものが中小事業者の方々に提供されるのかな、こんなふうに私は期待をしている一人であります。
 ただ、やはり抜本的な改善までには道が険しく、ある意味では、制度融資そのものが中小事業者の方々にとりまして資金調達の大きな柱であるということは、論をまたないわけであります。そこで、私たちの党としましても、制度融資の充実強化のために力を尽くしてきたわけでありますけれども、今年度、東京都は、制度融資の目標額を過去最大の一兆七千五百億円とし、積極的に取り組んできていることは高く評価をしたい、こんなふうに思っております。
 しかしながら、さきの第三回定例会の代表質問における我が党の大西幹事長の質問に対する答弁によれば、制度融資の八月末現在の実績は、前年同月比四%減とのことでありました。
 東京都は先日、経済・雇用年末年始特別対策を発表し、金融対策としましては、制度融資利用強化キャンペーンを展開するというようなことで発表があったわけであります。これは、さきの決算特別委員会の第三分科会におきます我が党の三宅理事の主張に沿ったところでありまして、高く評価をさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 そこで、このキャンペーンの現在の取り組み状況につきまして、お伺いをさせてもらいたい、こんなふうに思います。

○鹿島金融担当部長 年末年始を控えました中小企業の資金需要にこたえるため、本年十一月四日から、制度融資利用強化キャンペーンを展開しております。
 その内容といたしましては、まず、取扱指定金融機関の指定基準を緩和することによりまして、制度融資の取扱窓口を今回新たに三十二店舗ふやしました。
 また、局長を先頭に制度融資の利用促進キャラバン隊を編成しまして、主要金融機関や商工会議所など二十五機関を訪問するとともに、金融機関など百八十六機関に利用促進を要請しております。
 さらに、借りかえや取引先倒産等に対応いたします融資でございます経営安定支援資金融資など、年末年始に利用が多く見込まれる融資をわかりやすく紹介いたしましたリーフレット計百万部を作成し、金融機関などに配布しております。

○北城委員 ぜひこのキャンペーンの成功を期待させてもらいたい、こんなふうに思っております。
 ただ、当面のキャンペーンもさることながら、制度そのものの見直しが必要であると私は考えております。第三回定例会で我が党が主張しましたように、制度融資は、制度が複雑であることから、一つがわかりにくい、そしてまた一つが手続が複雑、また一つが使いにくいといったような声も耳にしているところであります。
 東京都は答弁の中で、制度融資のさらなる利用促進に向け、中小企業、金融機関双方にとって、わかりやすく使いやすい制度となるよう改善をしていくというような意向を表明しておられました。大いに期待をしているところであります。
 思いますのに、制度融資のわかりにくさ、使いにくさの一因は、私はメニューの多さにあるのではないか、こんなふうに思っております。現在の制度融資は、細かく見ていくならば二十八のメニューがあると思います。そして、それらがどのような特徴を持ち、いかなる場合に利用可能なのか、なかなか中小企業の方々には理解しにくいものがあるわけであります。
 金融機関の側から立ってみましても、このわかりにくさはセールスのしにくさにつながっているといわれておりますし、また、中小企業者が利用しやすいような長期、短期、固定、変動、それに沿った金利設定の改善など、制度融資の改善に際しましては、こうしたメニューや金利設定について検討を加えることが必要であろうと私は思いますけれども、この点につきましてのご見解をお伺いしたい。

○鹿島金融担当部長 現在、制度融資のさらなる利用促進に向けまして、改善策を検討しております。制度を利用する中小企業にとって、わかりやすく使いやすい制度とすることはもちろん、金融機関にとりましても融資しやすい制度となりますよう、ご指摘のメニューの整理や金利設定の改善につきましても積極的に検討してまいります。

○北城委員 ぜひ近いうちに、目に見えるような形の中でご報告をいただければありがたいのかな、こんなふうに思っておりますので、ご検討をお願いしたいと思っております。
 次に、債券市場についてであります。
 すぐれた発想力を持ち、高い技術力を持ちながら、担保が不足している等の理由によりまして十分な資金調達が図れない中小企業の資金調達の円滑化を目的とする債券発行は、平成十四年度で四回を数えたわけであります。とりわけ昨年度は、当初からのCLOに加え、新たにCBOも実施されたところであり、さらに今年度も引き続き債券発行を行うとともに、先般は、複数の地方銀行が連携をしたCBOという、全国初の新しいスキームも発表されたところであります。
 こうした東京都の債券市場創設は、国や他の県市、さらには海外の注目を集め、まさに直接金融の先導的な役割を果たしてきたわけでありますし、私は高く評価をさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 しかしながら、課題がないわけではないと思っております。CLOにしろCBOにしろ、参加が可能な中小企業が、どうしても優良なところになってしまうわけであります。例えばCLOについて見れば、直近決算において黒字であるとか、またCBOについて見れば、純資産額は三億円以上であるとか、ほかにもいろいろな条件が付されております。
 もちろん、投資家の信頼を損なうような条件の緩和は避けなければなりませんが、日本の金融システムを将来、直接金融にシフトさせることが一つの方向性だとするならば、こうした条件を少しでも緩和することなどにより、債券市場をさらに多くの中小企業の参加が得られるように工夫すべきであると私は考えますけれども、この点につきましてのご見解をお伺いしたい、こんなふうに思います。

○鹿島金融担当部長 債券市場の発展のためには、中小企業にとって利用しやすいだけではなく、投資家が安心して投資できるよう環境を整えることが重要でございます。
 このため、参加条件の大幅な緩和は困難な面もございますが、ご指摘のように、多くの中小企業のさらなる参加を促すため、中小企業の意向を踏まえつつ、返済条件等の改善を図ってまいりました。
 さらに、今年度のCBOにおきましては、従来よりも幅広い層の中小企業の参加を促すため、地域に業務の基盤を置いた地方銀行が主体となるスキームを全国で初めて実現することといたしております。
 今後も、市場の動向を注視しながら、さまざまな工夫を重ねてまいります。

○北城委員 当然の結果としまして、恐らく日本の金融システムは直接金融にシフト、移行されてくると私は思っております。そう考えますると、やはり東京都のCLOあるいはCBOというものが直接金融の先導的な役割を果たしていくというような自覚の中で、ぜひ多くの中小企業の方々が参加ができるような仕組みづくりの構築をお願いしたい、こんなふうに思います。
 次に、債券市場というのは、投資家の立場からもこの仕組みを考えていく必要があると私は思っております。例えば、CLO、CBOが金融商品として投資家の信頼を得られてこそ、十分な資金が供給をされるからであります。
 そうした視点に立つならば、去る四月に発表されましたように、償還期限を迎えた第一回CLOが、元本を満額償還した上で、当初予測をされた一%を超える高利回りが確保されたということは、これによりまして、この商品が安全かつ有利であるということが立証され、投資家の信頼を得られたということがいえるのではないかと私は思っております。また、このことは、今後の債券発行の大きな追い風になるものと私は確信をしております。
 しかしながら、これまでの投資家層を見ますると、専ら機関投資家が多いということも否定でき得ない事実であります。今後の債券市場をさらに発展させるためには、これらの投資家の層を広げていくということが私は肝要であると思いますけれども、この点につきましてのご見解をお伺いしたい。

○鹿島金融担当部長 ご指摘のとおり、債券市場のさらなる発展のためには、投資家層の拡大が肝要でございます。今年度は、都民も証券を購入できる都民参加型CLOを初めて実施いたします。これは、発行する証券の単位を、従来の一億円から百万円程度にまで小口化することによりまして、投資家層の拡大を図るものでございます。
 今後も、投資家層の拡大に積極的に取り組んでまいります。

○北城委員 当然、機関投資家だけではなくて、一般都民向けの投資家層を掘り起こすことによりまして、やはりこの制度が成功するのかなと私は思っておりますので、前向きなご努力をこの際お願いをしたい、こんなふうに思っております。
 次に、商店街関係につきましてお伺いをさせてもらいたい、こんなふうに思います。
 今月の七日から三日間、史上最大商店街まつりが開催されたわけであります。私も、投票日の九日の日に参加をさせてもらった一人であります。十万人を超える来訪者でにぎわい、全国からも視察団が訪れ、また多くのマスコミにも取り上げられまして、大成功をおさめられたわけであります。本当にこのご努力に対しまして敬意を表したい、こんなふうに思っております。
 私は、この成功をおさめた最大の原因というのは、今年度より我が党が主張しまして取り入れられました、新・元気を出せ商店街事業を再構築して、わかりやすく使いやすい制度に改善をされ、多くの商店街がやる気を出された結果であると思っております。
 そこで、新・元気を出せ商店街事業が支援をするイベント事業の今年度の実績と特徴的な取り組みについてお伺いをさせてもらいたいと思います。

○市原商工部長 十五年度の新・元気を出せ商店街事業におきますイベント事業の交付決定件数は千七百三十六件であり、昨年度の二倍強となっております。
 今年度の特徴的な取り組みといたしましては、江戸開府四百年にちなみましたイベントといたしまして、江戸時代と現代を比べながら赤坂の町並みを散策するエスプラナード赤坂の江戸東京・赤坂散歩や、地域性を生かしましたイベントといたしまして、鉄腕アトムが高田馬場で誕生したことにちなみまして仮装パレードなどを行う、高田馬場西商店街振興組合の鉄腕アトム誕生記念イベント、地域の防犯、防災活動と連携いたしましたイベントといたしまして、明大前商店街振興組合の安全安心の街・明大前フェスタなどがございます。単に数がふえただけでなく、それぞれ創意工夫を凝らした取り組みがふえております。

○北城委員 本当に各商店街が創意工夫を凝らしながらこの新・元気を出せ商店街事業に参加をさせてもらった結果が、今の答弁でよくわかりました。
 そして、一言申し上げておきたいことがあります。イベント事業は一過性なもので、商店街の恒常的な売り上げの増にはつながらないというような意見も、この新・元気を出せ商店街事業を立ち上げるときにありました。
 しかし、我が党が一貫して元気を出せ商店街事業を後押しをし、支援をしてきた一つの大きな理由は、商店街の持つ役割の重要性を重視してきたからであります。その一つとしましては、身近なところで品ぞろえができる利便性、そして一つが、地域コミュニティの場、そして一つが、犯罪を抑止する地域の基幹道路等の役割等々があるわけであります。
 現在、地域コミュニティの崩壊が危惧をされる中で、新・元気を出せ商店街事業を活用し、今答弁がありましたように、多くの商店街が積極的にイベント事業に取り組むことによりまして、地域住民との交流やコミュニティの形成に大きく役立っているということは論をまたないわけであります。それが、私は、結果的に商店街の構造的な売り上げの増につながっていくと確信をしております。
 次に、新・元気を出せ商店街事業のハード、ソフトの活性化事業につきまして、今年度の実績と具体的な取り組み事例をお伺いしたい、こんなふうに思います。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業におきます活性化事業の交付決定件数は二百九十五件でございます。昨年度の三倍を超えております。
 具体的な取り組み事例といたしましては、環境、リサイクルにかかわるものといたしまして古紙の回収リサイクル事業、安心・安全なまちづくりを進める防犯カメラ設置事業や、安心生活カードによる高齢者の援助システム事業、空き店舗を活用するものといたしましては、商店街と住民が交流するコミュニティスタジオの設置事業や、NPOと共同して行う子育て支援事業など、多種多様な取り組みがございます。

○北城委員 今年度再構築されました新・元気を出せ商店街事業が支援する事業には、これまで以上に多種多様な内容があることがうかがえ、こうしたことからも、地域において商店街が果たしている新たな役割が見えてきたと思っております。
 改めまして、商店街の持つ役割につきまして東京都の見解をお伺いしたい。

○市原商工部長 商店街を取り巻く環境が大変厳しい中であっても、今年度再構築いたしました新・元気を出せ商店街事業におきまして、都内各地の商店街が、環境、リサイクル、防犯、情報発信など、数多くの先進的で意欲あふれる取り組みを実施しております。
 また、こうした商店街の先進的な取り組みをアピールするイベント、史上最大商店街まつりに来場者が多数訪れたのも、商店街の活動や新たな役割に対する都民の関心の高さを示しているものと受けとめております。
 都といたしましては、このように、商店街が地域経済の活力を支えるばかりではなく、地域社会におきまして、住民生活の場の提供やコミュニティの核となるなどの重要な役割を担っていると認識しております。

○北城委員 こうした実績を踏まえて、商店街の果たしている大きな役割を考えるならば、今後、新・元気を出せ商店街事業をより充実し、効果的に実施をしていくことこそが東京都の責任であると確信をいたしますが、この点につきましてのご見解をお伺いしたい。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業を効果的に実施していくためには、商店街の先進的で意欲的な取り組みを広く紹介することが重要でございます。
 このため、都のホームページやマスメディア等を活用いたしまして、積極的に情報を発信してまいります。また、商店街やその利用者の意見を把握するとともに、区市町村との連絡会議等を通じまして情報交換を行いながら、新・元気を出せ商店街事業の一層の充実に努めてまいります。

○北城委員 次年度の予算構築に向けましての政策的な判断もあるのかなと、こんなふうに思っておりますので、ぜひ局長のご答弁をお願いしたい。

○有手産業労働局長 今、るる部長からも答弁しましたけれども、先般の史上最大商店街まつり、これは私も見まして、東京には、大変厳しい環境にあっても、意欲的に前向きな商店で取り組みをして、大きな成果を上げている商店街が多数あるということで、大変勇気づけられました。
 この経験を踏まえまして、来年度も商店街振興施策を一層充実するように、私ども努めてまいりたいと思います。ご支援をお願いいたします。

○北城委員 ご答弁、感謝を申し上げます。
 実は、先般、東京都商店街連合会の桑島理事長と懇談をする機会がありました。私も参加をいたしましたし、三宅理事も参加をいたしましたし、多くの自民党議員が参加をした懇談会であります。
 その席上におきまして、東京都商店街連合会の総意として、東京都に要請をしてもらいたいという問題が提起をされました。私たちも全員同感でありました。この点につきまして質疑をさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 現下の商店街を取り巻く状況というのは、コンビニなどのチェーン店、そしてまたファーストフード店、あるいはスーパーなどの大型店の進出が多く見られます。もちろん私たちは、その進出を拒否するものではなくて、むしろ商店街の中に中核として位置してもらって、消費者の方々の利便性を高めてもらいたい、そんな思いであります。まさに共存共栄というような意味であります。
 私は、共存共栄の持つ意味というのは、一つは、商店街自身が、商店街の街路の整備あるいはイベント事業、また売り出し等々の創意工夫によりまして自助努力をしていく、これは当然であります。また同時に、そこに商店街を形成する一員でありまする、冒頭申し上げましたコンビニあるいはスーパー等々も商店街の組織に加入をして、それらの商店街活性化事業に対しまして応分の負担をしていただく、これが共存共栄の持つ意味ではないでしょうか。
 しかしながら、先般の世田谷区におきまする産業振興条例の改正の趣旨にも見られまするように、現下のコンビニあるいはスーパー等々は、商店街に加入をしない、そしてまた応分の負担もしない、そんな事業所が多くふえているわけであります。残念であります。
 そして、私も商店街を構成する一員でありますけれども、各商店街の役員の方々は、そのコンビニあるいはスーパーのところに出向きまして、店長さんに、応分の負担をしてもらえないか、また商店街の組織に加入してもらいたい、こんな要請をするそうであります。必ず返ってくる返答は、本部、本社にお伺いをしませんと即答ができません、こんな回答であります。
 そして、結果的にナシのつぶてになってしまいまして、商店街の組織にも加入をしない、そしてまた応分の負担もしない。結果、商店街の方々が努力をされて、商店街活性事業を進めて集客をされている、その集客の果実を食べてしまう。これが今、社会問題化になりつつある一つの現象であります。
 そんなことを考えあわせますると、東京都商連とチェーン店の本社、本部との協力体制を構築するために、東京都も問題解決のため、各本社、本部、チェーン店協会等に強く働きかけることが必要でありますし、また、それがむしろ東京都の責任なのかなと、こんなふうに思いますけれども、この点につきましてのご見解をぜひお伺いしたいと思います。

○市原商工部長 チェーン店等と地元商店街が協調できず、商店街にとって大きな問題の一つとなっていることは認識しております。
 商店街の振興には、商店街自身の自主的で自立的な問題解決への取り組みが不可欠でありますが、チェーン店等と商店街が共存共栄できますよう、都としましても、チェーン店等の協会などに対しまして、お話の趣旨は伝えていきたいと考えております。

○北城委員 ぜひ働きかけを、この際強くお願いをしたい、こんなふうに思っております。
 次に、知的財産関係についてお伺いをさせてもらいたい、こんなふうに思います。
 日本製品の技術、デザイン、生産ノウハウなどの知的財産が不法に流出をされている現状を背景としまして、東アジアから激しく追い上げられている東京のものづくり産業を支えるためには、すぐれた技術などの知的財産権を取得して、保護、活用することが重要であるということはいうまでもないわけであります。
 国でも、知的財産立国を目指して、知的財産高等裁判所設置などさまざまな制度改正の動きがあり、東京都も本年度から、全国に先駆けて知的財産総合センターを開設し、中小企業に対しまする知的財産の相談業務等を開始したわけでありますけれども、開設後の事業実績をお伺いしたいと思います。

○泉本商工施策担当部長 知的財産総合センターの事業実績でございますが、四月の開設以来、現時点までの間に、約千六百件を超える来所による相談があり、知的財産活用に関する中小企業の強いニーズを実感してございます。
 その主な内容は、特許や実用新案などの権利を取得するための相談が三割強、ライセンス契約の締結など特許の利用に関するもの約三割、特許などの係争に関するもの約一割となってございます。
 また、知的財産の普及啓発につきましては、七月に知的財産シンポジウムを開催し、約八百名の参加を得たほか、これまでに知的財産に関する専門的なセミナーを九回開催し、約二百五十人の参加を得てございます。

○北城委員 知的財産総合センターの機能につきましては評価をさせてもらいたいなと、こんなふうに思っております。
 しかしながら、知的財産総合センターのみでは、より専門的かつ実務的な特許の出願業務や係争問題を処理するには不十分であるといわざるを得ないわけであります。例えば、日本での複雑な裁判を考えたときに、特許裁判で中小企業の勝ち目が薄いと指摘をする方も多く見受けられます。また、特許を経営に生かすというような意識を持っている企業も、まだ少ないことも事実であります。
 大切なことは、中小企業の知的財産戦略は、経営の向上に役立ってこそ初めて意義があるものでありまして、個々の中小企業の経営の実情に即した、知的財産活用に対する、よりきめ細かな支援を実施することが必要であると私は思いますけれども、この点につきましてのご見解をお伺いしたいと思います。

○泉本商工施策担当部長 中小企業には知的財産に関する専門家がいないことなどから、知識や経験に乏しく、きめ細かな支援策が大変重要だと考えております。
 知的財産総合センターにおきましては、特許の出願手続や特許紛争解決のため、企業の知的財産活用の経験者や弁理士、弁護士などが、個々の中小企業の実情に即し相談に応じてございます。
 また、知的財産を経営に生かしてこそ企業体質が強化されるとの観点から、企業のOBによるニューマーケット開拓支援事業を活用して販路を開拓するとともに、中小企業診断士などの専門家を派遣していくなど、今後とも、知的財産戦略と一体化した経営を進めるきめ細かな支援に取り組んでまいります。

○北城委員 一例でありますけれども、私の住んでいる荒川区であります。荒川区で、たしか資本金一千万、従業員六名の事業所だったと思います。建築の廃材がある。その廃材をチップ化する。それを乾留させて、一つが木質ガス、そして一つが木酢液、この二つに分解をさせた。その木質ガスというのは、天然ガスより大変高温でありますので、電力の供給にもつながっていく。恐らく近々、荒川区役所の電力の供給にもつながっていくのかなと思います。そして、木酢液というものが一つありまして、それが殺菌能力に大変すぐれていると。恐らく汚染浄土の関係、従来のコストの一割程度で処理ができるのかなと、こんなふうな技術であります。今、特許を申請している段階でありまして、近々認可されるのかなと思います。
 ここに至るまでは大変な苦労がありました。例えば、どこで融資を受けていいのかわからない。恐らく地域の金融機関も相手にしなかったのでありましょう。そして、荒川区には産業活性室観光課というものがありまして、そこのセクションがその企業の技術に着目をいたしまして、マン・ツー・マンで指導をいたしました。融資のご紹介もいたしました。そして、特許の申請のお手伝いもさせてもらいました。やはりそのぐらいきめ細かくやりませんと、一つの技術というものが成就できないのであります。
 そして、肝心なことは、特許が認可されても、その特許を活用しなければ全く意味がないわけであります。その特許を製品化して、販路が確立をされて、初めてその技術が成功したといえるわけであります。
 ですから、中小事業者の方々の行政に対するおんぶにだっこというような姿勢はとるべきではないと思いますけれども、ちょっとした行政の心遣い、例えば、商品化されました製品に対しまして認めてあげる、そんな姿勢を持つことだけによりまして、販路が確立をされるのであります。ぜひそのようなきめ細かな対応もお願いをしたいと思います。
 そして、行政側が、例えば中小零細事業者の方々がどのような特許をお持ちなのかということを一番把握をされている立場なのかなと思います。例えば、この特許と、違う会社の特許を結びつければ、また新しい技術ができて、また新しい商品ができるというような対応も、行政だからこそ、公の部分だからこそ私はできるのかなと、こんなふうに思います。ぜひ、そのような意味におきまして、きめ細かな対応をお願いしまして、私の質疑を終了させてもらいたいと思います。

○和田委員 私は、二点お伺いをします。
 まず初めに、地域資源活用型産業活性化プロジェクトです。長いので、地活産プロジェクト、こういうふうに略しますので、地活産プロジェクトと申します。もう一点は、産学公の連携についてであります。
 初めに、地活産プロジェクトについてお伺いするのですが、これは、公の出している産業別の特徴というところで、城北地区を位置づけています。城北地区は板橋区、北区から成り、二〇〇〇年現在、工場数、従業員数、出荷額等で、それぞれ都内構成比の七・三%、七・八%、六・三%を占めます。工場数は、八〇年の約六割にまで減少しています。
 業種別に見ると、工場数では、出版、印刷が、北区で二三・八%、板橋区では二八・四%、出荷額でも、北区四一・二%、板橋区四七・四%と、いずれも最も高い割合を示しています。なお、出荷額等では、化学工業も上位を占めています。
 また、板橋区には精密機械工場の集積が見られ、工場数では光学機械器具、レンズ、出荷額等では測量機械器具などが多くなっていますというのが、公のところから出されている、城北地区の産業の特徴をこういうふうに位置づけています。
 そのような、ある意味では固定したといいましょうか、確立したといってもいいかもしれませんけれども、こういう北、板橋の城北地区の産業の特徴というものに対して、今回、地活産プロジェクトは、はっきり新しい分野を開拓しようという姿勢で取り上げられたと思っています。
 このプロジェクトは今年度の重点事業として取り上げられたわけですけれども、初めは、北区、板橋の指定ではありませんでした。しかし、作業をしていく上で、北、板橋が指定をされて、そして今、それぞれのプロジェクトチームが検討チームとして動いているわけです。
 北区、板橋のというよりも、この地活産プロジェクトの目的、重点事業として取り上げてきた目的について、改めてお伺いをいたしたいと思います。

○志賀産業力強化担当部長 プロジェクトの目的でございますけれども、東京には、大学、企業、人材など、それぞれの地域の歴史、文化に根差しましたポテンシャルの高い社会資源が多く集積してございます。
 本プロジェクトは、地域に着目をいたしまして、その地域の資源を改めて掘り起こしまして、相互に連携する仕組みをつくるなどによりまして、地域の産業や経済等の活性化を図ることを目的としてございます。

○和田委員 そういう一般的、普通的なプロジェクトの目的から特化した形で、具体的に北区、板橋の地域資源というものに着目をして、今プロジェクトが動いています。例えば、申し上げますと、私が一番、過去の印刷だとか出版だとかという、そういう特徴づけから脱皮をしようという意欲を感ずるのは、地域の資源を活用しようというところですね。
 その資源とは何ぞやというときに、たまたま王子の技術専門校であるとか北療育医療センターとか、あるいはタニタという株式会社ですとか、あるいは、板橋からいくと、山之内製薬の東京開発センターとか大東文化大学ですとか、あらゆる公でそのまちの特徴と思われるものを全部、地域の資源としてこれを活用しようじゃないかということを、積極的に評価をしながらそれをネットワークと考えているというところが、今までの固定した北、板橋の産業特徴というものと違ったものを誘致しよう、発掘しようという姿勢が私は評価できるものと思っているんです。
 今回のこの北、板橋については、病院だとか、あるいは今申し上げた療育センターとかがあるものですから、地域資源を活用した、健康と医療と福祉関連産業を活性化しようというふうに、きちっと方向を定めました。産業だけではなくて、健康、医療、福祉関係の産業だよと、それの活性化だよというふうに位置づけて、在来持っている北区と板橋の固有の財産、資源というものをうまく融合させて、健康、医療、福祉を産業化しようというふうに具体的に歩みを始めているところなんです。
 私は、大変このことに関心を持っておりますけれども、作業を進めていく上で一番気になるのは、すばらしいアイデアだとか何かがどんどん出てくると思うんですけれども、複数の産業、企業、そういうものがお互いに共同作業をするわけですから、新しいアイデアなり特許なり出てきたときの知的財産の所有の問題、帰属の問題というものなどについては、まだこのプロジェクトは動いたばかりですから、何ともいえないかもしれませんけれども、必ず出てくる問題として、どういうことをそれの防止策として想定されているのか、お伺いいたしたいと思います。

○志賀産業力強化担当部長 知的財産に関しましては、九月に設置いたしましたこのプロジェクトの検討チームによりまして、今後の検討課題の一つと考えてございますけれども、基本的には、共同開発のプロジェクトに参加した企業同士で協議をしていただきまして、権利配分などを取り決めていただくことが基本であるというふうに考えてございます。
 ただ、いろいろなプロジェクトのケースが考えられますので、個々のケースに応じまして、知的財産総合センター等で相談に応じるような体制をとって支援してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○和田委員 創業支援課が受け持っている知的財産総合センターというところと、うまくリンクしながらやるということで、同じエリアの中でというか、仕事場の中でそういうことができるということで、それの流れをスムーズにすれば、私が心配しているようなことは氷解するのかなと思いますものですから、より連携を密にしながら、そのような対策を練っていただきたいと思うんです。
 さきに申し上げたとおり、今年度初めてできた地活産プロジェクトですから、前例がないことですから、相当不安もあるだろうと思います。しかしながら、私は、北区のこれにかかわる職員と話をしましたら、企業にいろいろ話をしていくときに、東京都さんが後ろにいますよというと、相当信頼が強くて、話が進みやすいということを述懐しておりました。すなわち、北区だけではなく、東京都とも一緒にやっているんですよという背後関係を解き明かすことによって、企業も、それならばということで態度が積極的に変わるということも報告されています。
 したがって、東京都がどの程度の関与をいつごろまでしていくのかということによって--初年度まだ、後ほど触れますけれども、この工程からすると、フローチャートから見ると、もうちょっとまだ実態が明らかになるというか、歩みが確実になるのには時間がかかると思いますけれども、しかし、関与の範囲とか、どの程度、期間を関与していくのかということについてお伺いをいたしたいと思います。

○志賀産業力強化担当部長 今年度につきましては、東京都が中心となりまして、先ほど申し上げました検討チームによりまして、資源の活用方法、テーマの設定、それからプロジェクトの進め方などにつきまして検討を進めております。最終的にはプロジェクト構想としてまとめていく予定でございます。
 来年度には、この策定した構想に基づきまして、順次、地域が中心となりまして個別のプロジェクトを展開する予定としております。

○和田委員 今ご答弁いただいたとおり、今年度は東京都の関与は相当強いと思います。したがって、北区の職員が私どもに述べたような、東京都さんが後ろにいると随分企業との話がスムーズに流れるんですよという話は妥当だと思うんです。
 ところが、今ご説明のとおり、来年度、四月以降は、いうならば北区や板橋の方にできるだけ比重を移して、そして作業をしてもらいますよというご答弁だと思うんです。私は、何もおんぶにだっこしろというわけではないんですけれども、何しろ北区にとっても板橋にとっても初めての作業でありますし、東京都のこの種の積極的な、かつての城北イメージを塗りかえるような、攻撃的といいましょうか、攻めのそういう姿勢に北区も板橋も乗って動いているわけでありますから、先々いってはいけませんが、もしもここがとんざした場合には、このプロジェクトそのもの、地活産プロジェクトそのものが破産をしてしまうようなことにもなりかねない。
 したがって、成功例としてまず一例を立ち上げる意味でも、今ご答弁のあった、来年度からは、手を引くとはおっしゃっていませんけれども、比重を北、板橋に移すということも、事の成否にかかわる部分までしっかり見きわめるところで、徐々にひとり歩きにかかわる範囲での関与を薄めていくというふうに私は理解をしたいと思うんです。ここがもしもつぶれると、二番手、三番手がなくなってしまうという心配をするからです。
 このプロジェクトの中は四つありまして、健康づくり、それから医療、福祉関連のものづくり、それから先端技術、IT活用とか、最後は医療、福祉、健康分野のコーディネート、ネットワーク仕組みづくりというふうになっております。
 これらは、さきに申し上げた、この地域が持っている地域資産である病院ですとか医療センターだとか売薬だとか、そういうもの全部を健康、医療、福祉関連産業の活性化という大くくりの中で動かそうとするわけでありますから、私は、全く地域につぼを得た動き方だろうと思っているので、くどいですが、期待をしているわけです。
 今申し上げたような形で、来年度から、部長答弁のとおり、地域にある程度譲っていくということでありますけれども、今申された、構想が年内にできる、来年度以降はこれを具体的に動かしていくというときには、当然、組織、マシーンといいましょうか、それが必要になると思うんですが、構想を引き受ける組織はどのようにお考えになっているのでしょうか。

○志賀産業力強化担当部長 ご指摘のとおり、この取り組みは、地域に根差した息の長い展開とするためにも、来年度当初に、地元区、地元企業を主体とした推進組織が必要と考えてございます。今後、そのあり方につきましても検討してまいります。
 また、プロジェクトを円滑に進めることができますよう、東京都としても必要な支援をしてまいります。

○和田委員 今までの城北イメージを、たびたび申し上げますけれども、一新するようなこの地活産プロジェクトですから、ぜひ成功してほしい。その意味では、第一号でもあるわけですし、東京都の関与の程度と期間も大事だと思うんです。これは、今年度は重点事業となっていますし、また、重点事業は単年度とは決まっていませんから、来年度も含め、十五、十六年度、重点事業という形で進めることも含めて、強く当局、財務の方にも働きかけをしてほしいなというふうに思っております。
 この問題の最後になるんですけれども、重ねてになりますが、東京都の関与、これに積極的にかかわっていくべきだ、成功例を残す意味でもかかわっていくべきだということを、二度目の質問になってしまいますけれども、強く私の方から問いかけて、ご答弁いただきたいと思います。

○志賀産業力強化担当部長 東京都といたしましても、この地域資源プロジェクトは大変重要な取り組みというふうに考えてございまして、私どもの産業技術研究所の技術支援、また関係局の協力も含めまして、現行の支援制度を最大限活用しつつ、応援をしてまいります。

○和田委員 答弁の域は余り出なかったんですが、二度にわたってご答弁いただいたということを含めて、積極的な関与をこれからも続けてくださるというふうに理解をいたします。
 次は、産学公連携についてでございます。
 中小企業の産学公連携に対する東京都の主な取り組みについて伺いたいと思うんですが、私は、産学公というのは随分前から連携しているのかなと思っていました。すなわち、文教委員会を四年ほど前にやったときには、もう都立大学は受託事業として、産業界の方が都立大学のノウハウとうまくミキシングして協力していました。しかし、それはあくまでも都立大学の受託事業であったので、産業界ではなかったと思うんですが、十二年からこの産学公連携という形が公になって、まだ歴史の浅い取り組みだということがわかったわけですけれども、都の主な取り組みについて、現況をお答えいただきたいと思います。

○泉本商工施策担当部長 産学公連携の支援に関する主な取り組みといたしましては、大学などと共同して製品、技術の開発を目指す中小企業に対して、産業技術研究所に相談窓口を設け、コーディネーターによる共同開発の橋渡しを行うとともに、大学や企業が直接交流する場として技術交流会を実施しております。
 また、今年度からは、大学などの研究成果をもとにした製品や技術の開発テーマを公募し、すぐれた中小企業の新製品開発に対して助成を行う産学公連携成長企業発掘支援事業を始めたところでございます。

○和田委員 これまた今年度発足をした産学公連携成長企業発掘支援事業ということの対応が今答弁されました。産学公の成長企業の発掘支援というようなことで、積極的に人もつけ、そしてまたお金もつけて、目に見える形で産学公に、十五年度からこの支援事業が立ち上がったわけでありますけれども、これの概要についてお伺いをいたします。

○泉本商工施策担当部長 この支援事業は、大学などの研究成果をもとに、大学などと都内の中小企業が共同して行う新製品の開発に助成を行い、あわせて、開発した製品について、民間の経営者などにより構成する評価委員会で、売れる商品づくりのためのアドバイスを行うものでございます。
 事業初年度である今年度は、一件当たり一千五百万円を限度額とする三件の募集に対し、全国の大学などから四十六件の応募があったところでございます。
 大学などの研究成果を新製品の開発につなげるこうした取り組みを行うことは、大学発ベンチャーなどの育成により新産業を創出する上で大きな意義があると考えてございます。

○和田委員 この支援事業は、大学などの研究成果をただ象牙の塔の中にとどめずに、技術シーズ、種を、研究成果を持った大学だとか中小企業と共同で生産化していく、商品化していくということが大きなテーマの支援事業だと思っているんです。
 このことも、さきの北、板橋の事業と同じように、私は画期的な支援事業の立ち上げだと思って評価もするわけですけれども、製品はできた、だけれども、それが売れなければ、結局それはただの品物の山になってしまうわけでありますから、販路をどのように開拓しているのか、どのように売れるのかということを最終的なところまで見定めなければならないと思うんですけれども、販路開拓のためにはどのような支援を考えていらっしゃるのでしょうか。

○泉本商工施策担当部長 産学公連携により開発された製品につきましては、商品開発や営業に豊富な経験を持つ企業のOBが商社、メーカーなどに紹介をしていくニューマーケット開拓支援事業を活用して、販路の開拓を積極的に支援してまいります。

○和田委員 ニューマーケット開拓支援事業、これも、六十名いるビジネスナビゲーターですか、そういう人たちが積極的に売り込みといいましょうか、紹介をしていくということで、どちらかというと売り込みの苦手な中小企業、私どもの町場にも随分いらっしゃいますけれども、それを、かつての商社OBとか大手メーカーの手なれた方々が売り込んでくださるということで、ある意味では仕事分けのような形で、中小企業は中小企業の製造なり開発だけに専心できるという点で、これまた好ましいことだろうというふうに思っています。
 最後になりますけれども、大学の基礎研究、先ほど都立大学の例を申し上げましたけれども、そういうレベルと中小企業の実用化の技術の間にギャップがあるとよくいわれています。このギャップをどのように埋めていくのか。
 製品化していくのには、大学の一つの基礎的な研究と中小企業の実用化技術というものの差があるわけですから、ここの間に果たすべき東京都の役割というのは極めて重い。今のナビゲーターの方々が間に入るのと同じように、東京都がどういうふうにそのギャップを埋める役割を果たしていくのかということについて、最後にお尋ねいたしたいと思います。

○泉本商工施策担当部長 大学などが有する研究成果を中小企業の技術力と結合させ、新製品、新技術の開発や製品の高付加価値化を進め、新産業の創出に結びつけていくことは極めて重要でございます。
 そのため、都といたしましては、大学などの研究と中小企業の技術開発の動向を把握しながら、中小企業のための応用研究や技術アドバイスを行うとともに、研究開発資金の助成や販路開拓の支援などを行ってまいります。
 今後とも、産学公連携の取り組みを強力に推進し、新産業の創出や地域経済の活性化に積極的に取り組んでまいります。

○真鍋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○真鍋委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る