委員長 | 三宅 茂樹君 |
副委員長 | 初鹿 明博君 |
副委員長 | 田島 和明君 |
理事 | 中西 一善君 |
理事 | 丸茂 勇夫君 |
理事 | 前島信次郎君 |
谷村 孝彦君 | |
河野百合恵君 | |
中屋 文孝君 | |
川島 忠一君 | |
尾崎 正一君 |
欠席委員 二名
出席説明員産業労働局 | 局長 | 有手 勉君 |
総務部長 | 島田 健一君 | |
参事 | 佐藤 仁貞君 | |
産業政策部長 | 乾 敏一君 | |
産業力強化担当部長 | 志賀 敏和君 | |
産業政策調整担当部長 | 野口 孝君 | |
参事 | 塚田 祐次君 | |
商工部長 | 市原 博君 | |
商工施策担当部長 | 泉本 和秀君 | |
金融担当部長 | 鹿島 博之君 | |
観光部長 | 渡辺 勉君 | |
参事 | 小宮 三夫君 | |
農林水産部長 | 菊地 輝雄君 | |
参事 | 馬場 安男君 | |
労働部長 | 高橋 勝君 | |
雇用就業推進担当部長 | 安藤 立美君 | |
中央卸売市場 | 市場長 | 森澤 正範君 |
管理部長 | 石川 俊一君 | |
事業部長 | 高津 満好君 | |
調整担当部長 | 岸 信子君 | |
新市場建設担当部長 | 井戸 秀寿君 | |
参事 | 上田 良治君 | |
参事 | 松村 進君 | |
港湾局 | 局長 | 成田 浩君 |
技監 | 高野 一男君 | |
総務部長 | 浅倉 義信君 | |
参事 | 岡田 至君 | |
港湾経営部長 | 片岡 貞行君 | |
参事 | 新田 洋平君 | |
臨海開発部長 | 高松 巖君 | |
開発調整担当部長 | 萩原 豊吉君 | |
営業担当部長 | 金子 優君 | |
港湾整備部長 | 樋口 和行君 | |
計画調整担当部長 | 松井 創君 | |
参事 | 安藤 哲士君 | |
離島港湾部長 | 原田 龍次君 | |
参事 | 松本 義憲君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
中央卸売市場関係
付託議案の審査(質疑)
・第百九十号議案 東京都立芝浦屠場条例の一部を改正する条例
港湾局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百九十一号議案 東京都海上公園条例の一部を改正する条例
産業労働局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十八号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百八十九号議案 東京都飼料検定条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・中小企業の知的財産活用のための東京戦略について
・森づくり推進プラン(中間のまとめ)について
・水産業振興プラン(海編)(中間のまとめ)について
・東京都雇用・就業対策審議会「東京を再生させる雇用就業施策について」答申について
○三宅委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○三宅委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場、港湾局、産業労働局関係の付託議案の審査及び産業労働局関係の報告事項の質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百九十号議案、東京都立芝浦屠場条例の一部を改正する条例を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○三宅委員長 これより港湾局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百九十一号議案、東京都海上公園条例の一部を改正する条例を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○中屋委員 それでは、私の方から、海上公園条例の改正について何点かお伺いいたします。
海上公園は、現在、四十二の公園が開園いたしまして、七百八十五ヘクタールに上る広大な面積を有しております。東京港に残された海岸や水面を保全し、レジャーやスポーツを楽しめる場として都民の貴重な財産だと思います。
私は、こうした認識のもとで、これまで本会議や当委員会の場におきまして、都民の貴重な財産である海上公園の資源を最大限に活用していくという、そういう視点が欠かせないということや、また、特に新しい東京の魅力を創造するためには、ウォーターフロントの活性化が大事であります。とりわけ臨海部に位置する海上公園を核といたしました水の都・東京を復活させることが必要であると主張してまいりました。
海上公園の活用に当たりましては、その施設整備の充実は欠かせません。こうした点からも、今回、辰巳の森海浜公園にラグビー場ができることは、私自身、学生時代にラグビーをやっておりましたこともありまして、大変うれしいことであります。
そこで、今回、ラグビー練習場を建設した経緯をお伺いいたします。
○高松臨海開発部長 建設の経緯でございます。財団法人日本ラグビーフットボール協会からラグビー場建設の要望を受けまして、平成元年の海上公園審議会で、辰巳の森海浜公園のスポーツ施設の一つといたしまして、ラグビー兼サッカー場が位置づけられたものでございます。
その後、関係機関や地元住民等との協議を進めてまいりましたが、平成十一年一月に、ラグビー協会より、当初のラグビー兼サッカー場をラグビー練習場に変更した内容での要望が出されまして、関係機関とも合意が得られましたので、建設の運びとなったものでございます。
○中屋委員 経緯についてはよくわかりました。
私を初めとするラグビー愛好家や、これからラグビーに親しんでほしい子どもたちにとって、なくてはならない施設ができ上がるわけであります。一方、今回のラグビー練習場を初めといたしまして、海上公園をより都民が使いやすくするためには、サービスの向上が不可欠であります。効果的、効率的な公園の運営、管理を進めていくことが非常に重要であると考えます。
そこで、今回の整備に当たりまして、具体的にどういう手法で行ったのか、お伺いいたします。
○高松臨海開発部長 今回の整備に当たりましては、民間活力を導入し、効果的、効率的な公園の整備及び管理を目指したものでございます。
具体的には、その手法でございますけれども、ラグビーグラウンド本体はラグビー協会がこれを整備し、都へ寄附いたします。利用の許可や利用料の徴収など基本的な管理運営は都が行いますが、芝等の維持管理につきましては、その豊富な経験、知識、技術を有するラグビー協会がその負担において行うこととなっております。
○中屋委員 大変いいことでありまして、民間の発想で民間の力をかりてつくり上げたということは大変すばらしいことでありますし、都民にとっては新しい施設が利用できるわけでありまして、都として、建設費等から厳しい都財政の現状を考えると、民間の活力を生かした新たな施設整備の方向を示すものであると思います。
こうした体験を生かして、今後の海上公園の整備に当たりまして、手法も積極的に取り入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○高松臨海開発部長 海上公園のあり方につきましては、本年二月に、今後取り組む施策の方針を「新たな海上公園への取り組み」といたしまして策定いたしました。その中の一つとして、民間活動の制限から、民間活動の連携へと転換を掲げたものでございます。本件はそれを実現したものだというふうにいえると思います。
具体的には、東京都は、経費を最小限に抑えながら、この地域に運動施設を整備し都民に提供することを計画し、そのために土地を提供することといたしました。一方で、ラグビー協会は、ラグビー練習場を確保し、日本のラグビーレベルを強化するとともに、ラグビーを広く一般に普及する観点から、この施設の整備及び維持管理を担当したものでございます。こうした役割分担をすることによりまして、官と民で連携を図り、早期の整備を図ったものでございます。
ご指摘を踏まえまして、今後も積極的に民間との連携を図り、民間活力の導入に努めていく所存でございます。
○中屋委員 ラグビー人口が、関西と比べますと、関東の方は非常に少ないわけでありまして、こうした運動場ができることによってラグビー熱がまたさらに東京圏において広がっていくということは非常にうれしいことでありますし、ぜひとも進めていただきたいというふうに思います。
今回のラグビー練習場のような施設の整備もまた重要でありますけれども、冒頭でも触れましたように、臨海部における水の都・東京を復活させるということが、私の従来からの主張であります。こうした観点から、臨海部の海上公園は、その特徴である水辺を生かしました、人々に潤いを与え、大勢の人に訪れたいと思わせることが大事であります。
さらに民間の発想と力をかりて、さまざまな工夫を行うべきと考えますが、そこで、海上公園のさらなる活性化に向けまして局長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○成田港湾局長 冒頭に先生からお話のございました、日比谷公園約五十カ所分に相当します七百八十五ヘクタールの海上公園でございますが、昭和四十七年度に事業を開始して以来、さまざまな都民のニーズにこたえるために、例えば今回お話がございましたラグビー練習場を初めとするスポーツ施設であるとか、あるいは人工なぎさ、あるいはカニ護岸といった、そういった自然に親しむ施設を初め、さまざまな施設整備をこれまで進めてきたところでございます。
また、ことしの二月には、従来の利用規制から利用の優先、規制優先から利用優先、また、民間の活動の制限から民間の活動との連携、そういう五つの視点に立って発想の転換を行った取り組みをスタートしたところでございます。今回のラグビー練習場、あるいはことしの七月に、お台場海浜公園で釣り教室を開始いたしましたが、こうした取り組みは、これらの具体的な第一歩でございます。
私どもは、これからも都民により親しまれ、利用しやすい公園を目指して、海上公園の整備に全力を傾注してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
○丸茂委員 今回の海上公園条例の一部改正に関して質問したいと思います。
ただいま辰巳の森海浜公園、ここにもさまざまなスポーツ施設があり、今回、ラグビー練習場ができるということは大変喜ばしいことだと思います。そのラグビー練習場が、平成元年の海上公園審議会答申に基づいて計画されたというご答弁が今あったわけですけれども、その当時の計画では、ラグビー兼サッカー場の二面で、観客席がそれぞれ一万席の計画を予定されていたかと思います。
その計画では、施設整備から管理運営は都の責任で行うことになっていたのではないか。その点、まずお伺いいたします。
○高松臨海開発部長 お話のように、平成元年八月に海上公園審議会で、辰巳の森海浜公園にラグビー兼サッカー場として位置づけられたものでございますが、平成二年六月、策定いたしました辰巳の森海浜公園の基本方針では、都が整備をし、管理運営手法等については今後検討していくとされていたものでございます。
当初の計画につきましては、地元住民や関係機関との間で合意が得られなかったものでございますが、その後、ラグビー協会より、ラグビー練習場についての申し出が出されました。都としては、その施設規模、あるいはコスト、あるいは住民のニーズ等を総合的に勘案いたしまして、また、整備手法等について協議を進めてまいりました結果、都とラグビー協会との役割分担により、早期整備をここに来て図ったものでございます。
このような手法は、「新たな海上公園への取り組み」、これは先ほど申しましたように、ことしの二月に出しておりますけれども、その趣旨に沿うものでございまして、民間のノウハウやその活力を生かし、官と民との連携を図りながら、必要な整備、そして管理を進めたものでございまして、今日的整備、管理のあり方だというふうに考えております。
○丸茂委員 このラグビー練習場等の要望は、都議会にも陳情等、出された記憶があります。それが答申からしますと十四年かかってやっと実現している、そういう経過があるわけで、今お話があったとおり、先ほどの答弁でも、施設整備は財団法人ラグビーフットボール協会が約二億円かけて整備をする、芝生の管理も協会が行われると答弁がされました。私も、実際、協会にもお尋ねしたところ、協会としてもラグビー代表チームの強化や子どもたちの育成が大変大事だ、そういうことで、協会として施設整備に踏み切った、そういうお話も聞きました。協会も大変な苦労をされたというふうに考えます。
それを踏まえて、このような海上公園や海浜公園に民間団体がラグビー練習場を整備して、かつ維持管理をする方式は、全国的に見て例があるのかどうか、お伺いいたします。
○高松臨海開発部長 民間が施設を建設し、地方公共団体等に寄附したものといたしましては、代表的なものとして、横浜スタジアム、それから、井の頭公園内の、今、大変人気がございます三鷹の森ジブリ美術館の例がございます。海上公園としては、今回のこの整備が初めてでございます。
特に財政状況が厳しい中、これからの施設整備を効率的、効果的に進めていくための重要な手法であるというふうに考えてございます。
○丸茂委員 横浜スタジアムの例が語られましたけれども、川崎球場も老朽化して、それからプロ野球をぜひ誘致したいと。やっぱりちょっと目的なりねらいは、性格的に違うなというふうに思います。
そして、協会の話では、ラグビー練習場をこのように整備したのは、協会としては全国的に初めてのケースであるというお話でした。
財政的に、先ほどからも大変厳しいというお話がありますけれども、同じ港湾局の中でも、石原知事になってから、有明北の十六万坪の埋立工事のように、埋立事業費だけでも四百億円を超える、そういう事業を一方では進めているわけですね。それから、都民やいろいろな団体から切実な要望が何度となく都に寄せられていながら、こうした二億円規模の練習場が団体負担でつくられる。厳しい厳しいといいながら、税金の使い方、方向が間違っているんじゃないかというふうに私は考えます。
そういう点で、かつて臨海副都心には、埋立会計から羽田会計から全部三会計統合して、それでいろいろ事業を進める、借金の穴埋めをすると。そういう経過からして、特に埋立会計というのは、都民の一般財源として、さまざまな都民のための施策にも活用できたものが、そういう形で逆にむだ遣いされている。そういう指摘も、私はきちんとしておきたいというふうに思います。そういう点で、海上公園の施設整備や管理運営は、基本的に都が施設整備をして管理運営を行うのが原則だと考えるということです。
次に、今回のラグビー練習場の利用料についてもお伺いいたします。料金算定に当たっては、何を基準に算定されたのか。いかがですか。
○高松臨海開発部長 一般的には、料金算定に当たりましては、原則として原価計算をするわけでございます。さらに、それに加えまして、近傍類似施設の料金ですとか、あるいは利用者の負担がどれだけになるかということの観点、これらを総合的に判断いたしまして料金を定めるのが一般的でございます。
今回の整備につきましても同等の手法をとったわけでございますけれども、今回の料金とともに、この整備が可能になりましたのも、先ほどから申しましたように、官と民がそれぞれ知恵を出し合い、資力を出し合ってこれを整備した、そういう手法をとったからだと考えておりまして、料金設定につきましては、都民の利用のしやすさにも配慮しながら算定したものでございます。
○丸茂委員 都民が利用しやすくということは大変大事だと思うんですよね。そういう施設の利用料を決めるに当たって、原価計算もすると。しかし、総合的に、都民の公共施設としてどうあるべきかという点で、さまざまな検討がされたと思うんですね。
その中に、近傍類似施設も検討されたというご答弁がありました。近傍類似施設の中には、都立の駒沢オリンピック公園陸上競技場があります。その駒沢の基準は、午後、十三時から十七時までの四時間で四万二千円。これですと、二時間当たりでは二万一千円ですから、今回二万円という点ではほぼ同額であります。
しかし、この同じグラウンドの午前の利用は、八時半から十二時半の四時間で三万七千円なんですね。二時間単位でいえば、一万八千五百円になります。また、同運動場の第二球技場が、グラウンドはクレーですね。芝生じゃありませんけど、クレーフィールドなんですが、この利用料でいいますと、午前四時間で一万八千円、午後四時間でも二万円で利用できます。
また、辰巳の森よりは交通の便もいい江戸川区の陸上競技場の場合も、ラグビー練習に使えますし、試合もやられます。そこも、土日、休日利用で、午前九時から十二時の三時間で二万二千四百円。午後の十三時から十七時の四時間で二万九千四百円。例えば午後を二時間単位で計算しますと、一万四千七百円になります。
また、近県の埼玉の熊谷スポーツ文化公園、ここは芝生ですけれども、半日で五千三百八十円、一日利用で一万七百円で利用できます。
そういう意味で、この施設は、先ほどお話があったように、財団法人ラグビーフットボール協会が施設整備も芝生の維持も行うという点では、料金設定が高いのではないか。利用料金を見直して、低く抑えるよう検討すべきじゃないかというふうに私は考えますが、いかがですか。
○高松臨海開発部長 今回の利用料金につきましては、同レベルの施設内容、例えばここでいいますと、天然芝のメンテナンス等におきましても高いレベルの施設であり、これはラグビーの普及啓発が大いに進むものだということで、ラグビー協会もこれを進めてきたものでございます。この類似レベルといたしましては、ここまでになりますと、例えば国立競技場であるとか、あるいは秩父宮ラグビー場などと同レベルといって過言ではないというふうに思っております。これらと比較いたしますと、著しく高い料金となってしまいます。
我々といたしましては、先ほど申しましたように、都民が利用しやすいレベルということでございますので、都立の施設としてほぼ類似の施設を持っております駒沢オリンピック公園の陸上競技場のフィールド料金をにらみながら、この料金設定をしたものでありまして、これらを勘案いたしましても、利用しやすい妥当な料金設定であるというふうに考えております。
○丸茂委員 一言意見をいわせてもらいますけど、今、国立競技場だとか秩父宮ラグビー場のお話も出ました。実は、ラグビー協会も、練習場利用料参考資料というので局の方にもお送りしたというお話も聞きましたので、それも見させていただきましたら、国立競技場だとか秩父宮ラグビー場は、全日の試合のみの料金で設定されていたり、やっぱり条件もあるんですね。
そういう点で、辰巳の森海浜公園の一角に、スタンドなしですけれども、立派な練習場として協会みずからも資金を出してやるものですから、料金設定は再度検討すべきだということを申し上げて、質問を終わります。
○三宅委員長 お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
○三宅委員長 これより産業労働局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第百八十八号議案、東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例及び第百八十九号議案、東京都飼料検定条例の一部を改正する条例を一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○三宅委員長 次に、報告事項、中小企業の知的財産活用のための東京戦略について外三件に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○中屋委員 それでは、私から、中小企業の知的財産活用のための東京戦略について何点かお伺いいたします。
中小企業における知的財産制度の活用への機運は、最近急速に始まったばかりであります。中小企業を訪問しても、応接室に特許証が額に入れてあるだけで、実際に収益と結びつくような具体的な戦略をもって活用しているかというと、必ずしも、考え方とか方針が明らかでない中小企業が多いように思います。むしろ、単に自社の技術力の高さを示す宣伝用としての効果に主な目的を置いている場合も多いようであります。
しかし、知的財産は、その企業の経営戦略と一体となって、自社にしかない技術として製品化した上で収益に結びつけていってこそ、文字どおり産業財産権としての目的にかなうのであります。
こうした観点から見たときに、中小企業における知的財産の問題には、知的財産権意識の定着が弱いといった普及啓発の面から始まって、具体的な事業展開への活用という面に至るまで、大変に広範な課題を抱えているわけであります。
特に、まず制度自体が複雑で、みずからの技術をどのようにすれば知的財産とすることができるのか、率直にいって、わからない企業も多いように思います。
また、中小企業にとりましては、相談すべき相手も身近にいないのが実情であります。知的財産の専門家である弁理士についても、相談に要する費用の面などを考慮しますと、なかなか身近な存在として気軽に相談できる状況にあるとはいえないのであります。
法律の専門家であります弁護士につきましては、現在、大きな制度改革が行われております。これまで少なかった人数を増加させようということでありますが、それでも、現在、全国に数万人いるわけであります。
これに対しまして、知的財産の専門家であります弁理士は、全国に五千人程度しかいないということを聞いております。そのうち三千人を超える弁理士が東京に集中しているということでありますが、大企業専門の弁理士も多く、一人当たりの平均収入は、弁護士よりも高いといわれております。やはり中小企業にとりまして遠い存在であるといわざるを得ないわけであります。
このように考えますと、知的財産の重要性が今後一層高まっていく中で、中小企業に対するしっかりとした知的財産制度や活用方法に関する普及啓発は、行政に課せられた、避けて通ることができない課題となっているわけであります。
そうした意味で、七月下旬に行いました中小企業を対象とする知的財産に関するシンポジウムは、千人の会場がほぼ満員とのことでありますが、反響はどのようなものであったのか、まずお伺いいたします。
○泉本商工施策担当部長 中小企業を対象といたしました知的財産に関するシンポジウムといたしましては、都内では今回初めての試みであります。基調講演の後に行われたパネルディスカッションでは、パネラーとして、知的財産活用を進めている中小企業の社長のほか、日本弁理士会会長、知的財産総合センター所長などが参加し、実例を踏まえた、わかりやすい討論が行われました。
終了後に行いましたアンケートによりますと、約七割の方から役に立ったとのお答えがあり、九割近い方が次回も参加したいとのことでございました。
また、今後の希望としては、小規模のセミナーも同時開催してほしい、さらに専門的な内容にしてほしいといったご意見もあり、強い関心の高まりを実感したところでございます。
○中屋委員 知的財産に関します施策を推進していく上におきまして、まだまだ新しい分野でありますし、中小企業の実態を的確に把握することが不可欠であります。その意味で、この七月に都内中小企業にアンケート調査を行っているわけですが、その内容を見ますと、かなりの中小企業が関心を示している一方で、実際に特許等を取得している企業は、八社に一社程度の割合の少ないものとなっております。
確かに、大企業と異なりまして、特許などに関する業務は日常的に発生するものではないわけで、取り組みがおろそかになりがちになるのも理解できないわけではありません。だからといって、せっかくのすぐれた技術を戦略的に生かせないということは、やはり本末転倒であります。行政がしっかりと、そうした立場にある中小企業を支えていかなければならないと思うわけであります。
また、特許権などを持っている場合でも、実際に権利が侵害されたときに警告をしなかった企業が六割もあるということでありますから、大変な驚きであります。その理由を見てみますと、警告をしてもむだと思った、あるいは、侵害した企業が取引先のため、取引に影響するとした企業がそれぞれ四割もいるということであります。
確かに法律上の制度といたしましては、権利を持っている以上、その権利を行使すればよいということでありますが、現実の中小企業を取り巻く経済構造の中では、法律が予定するように、すぐ立ち行かないということであります。中小企業にとりまして、知的財産を本当に活用できるようにするためには、単に法律上の仕組みだらけの支援では空回りしてしまうおそれが多いわけであります。親企業との契約関係など、中小企業の実態を十分に考慮した上で、施策を強く求められているわけであります。
こうした点から、今後の施策の推進に当たりまして、中小企業の現実の把握がきめ細かく的確に行われる必要があると思いますが、アンケートだけでは足りないのではないかと私自身思います。どのようにこれから進めていくか、お伺いいたします。
○泉本商工施策担当部長 知的財産に関する中小企業の実態は、専門性が高い分野でもございますので、複雑な面もあり、施策の展開に当たりましては、的確な実態の把握が不可欠と考えております。
こうした観点から、具体的には、今回のアンケート回答企業の中で訪問可能と回答いただいた企業につきまして、直接声を把握するため、特色のある企業を中心に数十社を個別に訪問し、アンケートとあわせて、その結果を報告書としてまとめていきたいと考えております。その際、東京都知的財産活用本部会議の専門委員の方にもご同行いただくことも考えております。
なお、知的財産総合センターの専門家による相談内容の傾向を細かく整理し、蓄積して、施策実施の基礎にしていきたい、このことも重要かと考えております。
○中屋委員 その知的財産総合センターなんですが、秋葉原のセンターとともに、城東、城南、多摩、三カ所の支援室があるわけですけれども、広い東京全体から見ますと、しょせん点のような存在しかないといわざるを得ないのであります。四月に開設いたしまして、五カ月の間に千三百件を超える相談を受けたということでありますけれども、まだまだ多くの中小企業にはその存在が知られていないように思います。
今後、さらに周知を広く図っていく必要があると思いますが、その際、やはり中小企業にとりまして一番身近な存在であります区市町村との連携を密接にしていくということが大切だと思います。区市町村からの、知的財産総合センターを中小企業に紹介するというルートを明確に確立するべきであると考えます。
しかし、東京都でもやっと今年度に入りましてから本格的に事業展開を始めたわけでありますから、区市町村の行っている中小企業振興策の中で知的財産を活用する取り組み、現在ほとんど行われていないのが実績であろうかと思います。今後、都として、単に中小企業を対象にした普及啓発を行うということではなくて、区市町村への積極的な情報提供をしっかりと行っていかなければならないと思います。
知的財産総合センターも、現在は設立したばかりで物珍しさはありますけれども、来訪者も多少多くなっているということも聞きますけれども、長期的に相談件数を確保して、中小企業に役立つ存在としての役割を果たしていくために、区市町村との密接な連携が必要と思います。こうした点から、今後、区市町村とのどのような連携をとっていくのか、まずお伺いいたします。
○市原商工部長 日常的に中小企業と接する機会が多い区市町村が、中小企業に対する的確な情報提供をすることによりまして、知的財産総合センターを効果的に利用していただけるようになることは極めて重要であると考えております。今後、しっかりとしたネットワーク化を図ってまいりたいと考えております。
具体的には、区市町村で開催する知的財産に関するセミナーに対しまして、知的財産総合センターから無料の講師を派遣してまいります。
区市町村の担当の職員に対しまして、研修などを実施してまいります。参加していただいた区市町村の職員の方々には、中小企業と知的財産総合センターとの連携役としての役割を担わせるようにしていきたいと考えております。
また、東京商工会議所などの関係団体の職員に対しましても研修を実施し、中小企業との連携に役割を発揮できるようにしていきたいと考えております。
○中屋委員 ところで、知的財産の創造のためには、単に経済活動にとどまらず、広く文化的な側面も視野に入れてもらいたいと思うんですが、新たな技術、発明を尊重する風土がとても必要だと思います。
アメリカでは、発明王といわれるエジソンにも見られるように、発明への評価が極めて高いわけであります。連邦憲法にも、発明した者に一定期間独占的な権利を与える権限を議会に付与する規定が置かれているようでありますが、発明、また著作を奨励し、科学を発達させるという制度を設けているわけであります。
知的財産に関するそうしたマインドを育成していくためには、特に子どもの時代から発明に対する関心を喚起して、自由な発想とか創意工夫を大切にする意識を育てるということが--科学技術、また、文化の発展に寄与していく人材の育成も必要だというふうに思っております。
こうした中で、知的財産の必要性への認識は高まっていく反面、最近、音楽CDなどの違法コピーが若者たちの間で簡単に行われているということも現状であります。そうした観点に立ちまして、今回の中小企業の知的財産活用のための東京戦略では、学生、生徒向けの普及啓発を図るということでありますが、具体的にどのように進めていくのか、お伺いいたします。
○泉本商工施策担当部長 次の時代を担う若い世代に対する知的財産意識の啓発は極めて重要でございます。既に教材などは、特許庁などで開発したすぐれたものがございます。そうした教材について、教育庁と連携をとりながら、総合的な学習の時間で扱う教材として活用し、知的財産意識の普及啓発を図っていきたいと考えております。
また、教員自身の知的財産意識を高めることも重要でございまして、教育庁において、著作権に関する教員向けの研修も強化しているところでございます。
大学におきましても、先日、中央大学など四私立大学の知的財産に関するシンポジウムに知的財産総合センターも参加したところでございます。
今後とも、さまざまな機会に関係機関と連携を図りながら普及啓発を進めてまいりたいと思います。
○中屋委員 事業化への支援について、ちょっとお伺いしたいんですが、すぐれた技術に基づきました製品を開発した場合であっても、現実に販路開拓が進まなければ収益が上がりません。結局、事業化が実現できないで、すぐれた技術も埋もれたものになってしまう。こうしたことは、事業化への大きな障害となります。
中小企業にとりましては最大の課題だというふうに思いますが、こうした点につきまして、従来、専門家派遣事業や、今年度からニューマーケット開拓支援事業を開始しておりますが、もっと大企業のOBの持つネットワーク、また市場情報を活用いたしまして、マーケティングを中心としながらも、いわば市場情報に関して豊かな経験を持つ者によります開発のアドバイザーをつくるということはとても大事だというふうに思います。
具体的に、中小企業の支援ということは極めて大切でありますけれども、知的財産総合センターと連携いたしまして、センターに相談に来た企業の技術について、引き続き販路開拓までをワンストップで連続して支援するということが最も求められているということだと思いますが、このセンターを利用しまして、これからどんどんこの事業が発展するようにぜひとも進めていただきたいというふうに思います。
ただ、年間目標が百件であるということでありますが、現時点で、製品開発事業者と商社、メーカーとの成約件数が十五件程度というふうに聞いておりますが、その進捗率がやや低いというふうに心配しますが、現状と今後の取り組みについていかがか、お伺いいたします。
○市原商工部長 現時点では成約が十五件でございますが、成約に向けまして交渉段階にあるものが二百件程度ございます。
年度当初からこれまでは、製品開発をいたしました企業への訪問や技術指導などを主として行ってまいりました。審査会で技術力、市場性などを踏まえまして対象を決定しまして、販路開拓に欠かせない製品カタログ集を作成した支援対象製品は、八月末現在で約三百件となっております。
また、八月には、六十人の販路開拓員をまとめる統括責任者を委嘱し、事業全体の総合的な調整を行うこととしております。本格的に販路開拓先への折衝を開始したところでございます。
これまでの準備段階を踏まえまして、今後積極的に活動し、具体的な成約に結びつけていきたいと考えております。
○中屋委員 今後の中小企業の支援という観点で、大変重要な切り口であると思いますから、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
ところで、知的財産権の最大の特徴は、侵害があった場合に排除することができるという独占権にあります。技術、またデザインなどといった知的財産は、研究開発に多額の投資を必要とするわけでありますが、模倣する側の立場に立てば、研究開発への投資をせずに、その技術をまねをして使用してしまうという、極めて他人にとってまねをしやすい性格を持っているわけであります。したがって、知的財産権を持っている者にとりましては、具体的な侵害に対して排除権の行使ということは極めて重要になってくるわけであります。自社の権利を守り抜く強い意思こそが、知的財産の活用にとって最も基本的な考えであるわけであります。この権利行使を的確に行うことができなければ、年々特許庁に支払う特許費用などが、コストとなってかさむだけのことになるわけであります。
こうした課題に対しまして、大企業において知的財産部のような専門の組織が侵害対策を的確にとれるような対策を整えているということでありますが、多くの中小企業の実態は、そうした体制をとることができません。むしろ親企業との経済的な関係で弱い立場にあることから、みずからのすぐれた技術につきまして秘密保持契約を結ぶことなく、重要な知的財産の塊である図面などを親企業に渡してしまわざるを得ない、こういう現状であります。
また、外国におきます侵害はさらに深刻でありまして、しっかりと保護していかなければ、幾ら国内だけで保護をいたしましても、生産現場が急速に海外に移転している現状におきましては、高い技術力までもが無防備に流出してしまうということになります。
こうした観点から、知的財産権に対する侵害につきまして、中小企業の知的財産の保護がされるような支援策が極めて重要であります。
そこで質問いたしますが、特に外国における侵害に対する具体的な対策についてどのようにしようとしているのか、お伺いいたします。
○泉本商工施策担当部長 技術支援をして開発されたすぐれた技術が海外で模倣されてしまうことは、中小企業にとって支援が有効に生かされていないことになります。その意味で、外国特許の取得を推進するため、既に外国特許出願助成を始めたところでございます。
しかし、外国特許を取得したとしても、侵害による具体的な被害の把握が的確に行われなければ、権利に基づいた警告を現実には発することができなくなります。そのため、侵害の事実の調査が重要でございますけれども、中小企業にとっては、外国における情報収集は極めて困難でございます。
そこで、ジェトロ、日本貿易振興会などとの連携によって海外情報を使い、被害の状況に対する調査を、中小企業に調査機関を紹介するといった形で行い、また、調査費用の一部を助成する、このような施策を検討してまいりたいと考えております。
○中屋委員 幾つか質問してまいりましたけれども、知的財産というもの自体が、都民にとっては非常に遠い存在であるということは今述べてきたものでありますが、どちらかというと、中小企業向けの知的財産ということには今非常に力を入れているようでありますけれども、創造豊かな時代にそれを育てていくという、そういうことも必要だと私は思っております。学生向けのそうしたカリキュラムなども含めて、教育の中でこうしたものも、知的財産というものを勉強させるような、そういう施策も必要だと私は思っております。
とにかく産業労働局が中心となりまして、本部を置いて、国に先駆けて次々と実施に向けて進んでいるということは大変すばらしいことでありまして、私は、そういう姿勢をよしというふうにするものでありますが、こうしたことで、これからのあすの東京のものづくりを活力のあるものとする大きな手だてとなるわけでありますから、知的財産に対する取り組みに今後さらに力を入れていただいて、どのように展開していくのか、局長の決意と抱負をお伺いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○有手産業労働局長 さきに知的財産活用本部は、急速に変化するグローバルな競争に勝ち残るためには、地域の活力に根差した事業展開こそが東京のものづくり、ひいては日本のものづくりの力となると考えまして、国に先駆けまして、中小企業の知的財産活用のための東京戦略を策定いたしました。
内容といたしましては、東京の中小企業における知的財産戦略の基本的なあり方を指し示すとともに、都の支援施策の体系と方向性を具体的に明示したところでございます。
この戦略を通じまして、中小企業の方々に、自社にしかない知的財産で戦うことに競争力の源泉があると改めて自覚していただく必要があるかと考えております。このため、平成十七年度までの三カ年を戦略強化期間と位置づけ、具体的な目標を提示して、集中的に施策を展開していく所存でございます。
それから、今お話ございましたように、教育における知的財産権の意識の涵養につきましても大変重要でございますので、教育庁と連携し、進めてまいりたいと考えております。
こうした取り組みによりまして、元気な東京のものづくりの振興を図ってまいりたいと考えております。
○谷村委員 初めに、中小企業の知的財産活用のための東京戦略について伺います。
このことにつきましては、さきの第二回定例会の一般質問におきまして、我が党の藤井一議員がいたしました。中小企業が海外において知的財産の取得、保護、活用を積極的にできるよう支援すべきとの質問に対しまして、局長から、今年度から外国特許の出願費用に対する助成を行う予定との答弁をいただいております。
そこで、まず、外国特許出願費用助成の概要と現在の状況について伺います。
○泉本商工施策担当部長 外国特許出願費用助成事業は、すぐれた技術などを持っており、それらを外国において広く事業展開しようとする中小企業に対しまして、外国特許出願に要する費用の一部を助成することによりまして、中小企業の成長の支援を目的としているものでございます。
助成事業の概要といたしましては、都内中小企業の外国出願手数料、弁理士費用、翻訳料などの外国特許出願に要する経費を対象に、助成率二分の一以内、限度額三百万としております。
七月二十四日から公募を開始し、九月五日まで受け付けました。申請件数百二十五件。現在、助成決定に向けまして、審査手続を進めているところでございます。
○谷村委員 経済のグローバル化が進む中で、厳しい国際競争を生き抜いていくためには、中小企業といえども、すぐれた技術や製品などの自社の知的財産を外国企業の模倣から守り抜くという強い姿勢が何よりも重要であります。しかしながら、その第一歩としての外国特許の出願は、中小企業にとって大変な経済的負担となっているわけであります。
そこで、今回、東京都が外国特許出願費用助成を開始したことは大いに評価するものでありますが、私のところには、外国に出願するのに、その件数、国数等も踏まえ考えると、限度額三百万円では到底足りないという、そういう声も寄せられております。
先ほど助成金については、助成率二分の一で、限度額三百万円とのご説明がありました。この三百万円という限度額をどのようにしてお決めになったのか。また、先ほどご報告いただきました今回の平均申請額についてお伺いしたいと思います。
○泉本商工施策担当部長 助成金の制度設計に当たりましては、既に外国出願経験のございます中小企業に対するヒアリング、特許庁や民間の特許事務所などへの照会を行いました。
限度額三百万円としてございますけれども、これは助成率が二分の一でございますので、対象経費としては六百万を予定しております。弁理士費用にかなり幅がございますけれども、おおむね五カ国から六カ国分の出願費用に相当するかと思います。また、今回いただいております申請の平均申請額は約百五十万でございます。
○谷村委員 おおむね五カ国か六カ国分の申請費用相当分ということですけれども、今回の平均申請額は百四十九万四千円で、限度額の三百万円を下回っているわけですが、これはどのように認識されていますでしょうか。
○泉本商工施策担当部長 今年度は、予算上、会計年度の制約もございまして、単年度に出願手続が完了するもののみを対象としております。これは、今年度からの新規事業であるからということでございます。しかし、特許協力条約のルートに沿って出願した場合、最大三十カ月までの期間で手続が可能となっています。単年度で完了しない場合も多いわけでございます。
このような特許出願の手続と助成制度の年度設定に乖離があるため、利用可能な対象経費が限られることになる、このようなことが原因かと考えております。
○谷村委員 今年度は大変短い募集期間、しかも、初年度で制度が十分知られていないにもかかわらず、百二十五件もの申請があるなど、外国特許出願費用助成に寄せられる期待は非常に大きいわけであります。この戦略にもあるように、役所の会計年度にとらわれない、複数年度助成の仕組みを取り入れるなど、さらに利用しやすいものにぜひ改善していただきたいと、この場で強く申し上げておきます。
この戦略の中には、事例による解説編がありまして、例えば五九ページには、外国特許を取得し、事業の国際化に成功した事例が取り上げられております。時計の夜光文字盤の世界的トップメーカーである中小企業が、全く新しい夜光塗料を開発した際に、国内のみならず、アメリカを初めとする諸外国に出願し、アメリカの大手企業と係争を経てライセンス契約の締結に至り、夜光塗料の分野でも世界の六〇%のシェアを含め、世界各地に事業展開している事例であります。
この技術は、国内では自治体の広域避難場所標識などに、外国では、アメリカの国防総省内の避難誘導表示、スイスのトンネル内避難誘導表示、ドイツの航空会社の飛行機内の非常誘導表示などに生かされており、グローバルニッチ企業として発展を遂げております。
ここで、グローバルニッチ企業とかグローバルニッチ戦略とかよくいわれますけれども、これはどういうことか、簡単にご説明いただけますか。
○泉本商工施策担当部長 グローバルニッチ企業の定義でございますけれども、グローバルと申しますのは、いうまでもなく地球的という意味になります。ニッチと申しますのは、すき間といった意味になります。ほかの企業では開発できない、すき間の技術を目指して、そこで、自社にしかない技術としてシェアを獲得していく。
このような世界的な規模、しかも、高い、すぐれた技術を持っている、このような企業を指してグローバルニッチと申しております。
○谷村委員 今、日本の企業のグローバル化は大企業だけではなく、小さな急成長企業の中でも、グローバル展開によって成果を上げている会社がある。今お話がありましたように、世界のすき間産業をねらうグローバルニッチ、そういったものに成功しているのがグローバルニッチ企業であり、そういった視点で取り組むのをグローバルニッチ戦略というふうなことで、日本の会社も大変多く、グローバルニッチ戦略をもって成功したり、現在挑戦をしている、取り組みをしているわけですが、ここでご紹介されている、先ほど来ご紹介しております会社は、国内のほか、アメリカ、カナダ、アジア諸国、豪州、ヨーロッパに特許出願したと紹介されております。
先ほど助成分が五、六カ国分相当というふうなお話もありましたけれども、世界的な市場展開を目指せば、一けたでなく、二けたの複数の国へ出願する必要があるとの指摘もあります。その場合、出願費用も当然かさむわけで、さらには、特許は出願すれば終わりではなく、登録をして登録料、それを維持するにも費用がかかるようでして、取得した特許権を存続させるためには、年金と呼ばれる特許料、特許費用とでもいうんでしょうか、毎年払い続ける必要があるそうであります。
せっかく取得した特許権も、毎年の特許料を支払えなければ無効になる。幾らすぐれた技術であっても、特許の出願から登録、維持等に要する多額の費用に見合うだけの収益を生み出すなどのメリットがなければ、経営戦略的には問題になるわけであります。
また、市場として有望な国はどこか、どういうマーケティングに加え、技術革新のスピードや自社の将来にわたる資金的な体力等も総合的に勘案した上で、どこの国に特許の出願をするのがベストの選択なのか、十分に検討する必要があります。
また、特許権を取得した後も、その権利を維持するための年金といわれる特許料、特許費用を払い続けるのか、それとも、権利をあえて放棄して、それによって浮いた資金を新たな技術等の権利化に使うのかなど、常に戦略的な判断が求められることになります。
すぐれた技術等を開発し、特許を取得しさえすれば経営として成り立つものではなく、継続的で的確な知的財産管理があって初めて有効な知的財産戦略となるわけであります。
中小企業の場合、大企業と比べて、取得する知的財産権の数も少なく、知的財産権に関する実践的な学習の機会や経験が乏しいですし、知的財産の担当者のいる企業は一割程度で、その場合でも、他の事務と兼任で一人のみというところが圧倒的に多いのが実情であります。
そこで、外国特許出願に当たっての戦略的な取り組みへの支援の強化が必要と考えますが、所見を伺います。
○市原商工部長 外国出願に当たっての戦略的な取り組みへの支援につきましては、東京都知的財産総合センターの役割を中小企業の知的財産部と位置づけまして、中小企業の知的財産戦略を策定するためのアドバイスを実施してまいります。
今回の百二十五件の申請実績から、これまで必ずしも明らかでなかった中小企業におけます外国特許出願の実態の把握が可能となります。こうした実態を踏まえまして、戦略的な取り組みに向けまして、一層の支援策について検討してまいります。
○谷村委員 次に、この東京戦略の中で紹介されております資金調達手段の多様化について、一点お伺いしたいと思います。
四〇ページから四一ページにわたりまして、中小企業の資金調達手段の多様化として、資金調達先への情報開示の促進、社債、株式等による資金調達の支援、CLO、CBO等の活用、中小企業投資事業有限責任組合等の活用による資金支援、知的財産の証券化、信託方式に関する支援と、ざっと四つの視点が紹介されているわけですが、ここに、石原都知事が推進しております新銀行構想について全く触れていない、記載がないということでございますけれども、今回の東京戦略を策定した東京都知的財産活用本部は、本年四月十八日に第一回本部会議が開催され、以来、検討が進められてきたわけであります。
三百万票という圧倒的な支持を得て再選された石原都知事の選挙公約の大きな八つの柱の二番目に掲げられたのが、この新銀行構想でした。石原都知事が再選され、五日後にスタートしたこの東京都知的財産活用本部で、中小企業の知的財産活用のための東京戦略と、このように題して発表するならば、知的財産による資金調達の部分で、知事の選挙公約である新銀行について記載されてしかるべきだと。全く記載がない、触れてもいないというのは、ちょっと疑問に感じるんですが、これについてご説明いただきたいと思います。
○市原商工部長 知的財産を担保といたしました資金調達につきましては、その評価が困難で、評価手法の確立もまだされておりません。知的財産基本法では、評価手法の確立は国の役割として規定されております。
また、新銀行構想におきましては、秋にかけまして、より具体的な内容が発表されると聞いており、今回の東京戦略では記述をしなかったものでございます。
新銀行は、技術力や将来性等にすぐれた中小企業の総合的な支援を特徴といたしまして、従来の担保主義を超えるようなモデルの構築を目指した構想でありまして、今後、国の評価手法と相まって、その内容が明らかになった段階で改めて対応してまいります。
○谷村委員 国の評価手法が定まってから、この新銀行についての記載も検討していくという、そういう意味ですか、今のご答弁は。
○市原商工部長 今回の新銀行が秋口には発表されるかと思いますが、その内容を十分確認しまして、その内容がどういう形なのか、また、国の方でいつごろこういう形の評価手法が確立されてくるのか、それらを確かめまして前向きに対応していきたい、そう考えております。
○谷村委員 石原都知事の選挙が終わったのは四月十三日、この知的財産活用本部がスタートしたのは、その五日後の四月十八日であります。何回か会議を重ねているのは公表されておりますけれども、五月二十三日には、出納長室が新銀行の創設について、いわゆる石原都知事の選挙公約というものを一つ乗り越えて、具体的な目的と特徴について、構想を五月二十三日の段階で明らかにしております。今読まれたとおり、技術力や将来性等にすぐれた中小企業を総合的に支援する、こういう発表が五月二十三日にあったわけです。
今回のこの東京戦略、八月二十九日に発表になっておりますけれども、ちょうどそれと前後して、生活文化局がeモニターアンケートを実施しております。この段階でも既に、新銀行創設に九割が関心があると回答しております。七八%が新銀行創設に賛成と。その理由として、四四%が技術力や将来性等にすぐれた中小企業が活性化するためと評価しているわけであります。
先ほど局長のお話にもありました。今回の東京戦略は、短期集中的な施策展開を図るため、平成十七年度までの三カ年を戦略強化期間としと、このように、「はじめに」にも出ておりますけど、そこのところを強調されておりますが、五月二十三日の新銀行創設の内容で、今後の予定については、平成十六年度中に新銀行創設、営業開始を目途とすると、ここまで踏み込んでいっているわけであります。今回の短期集中的な施策展開は平成十七年。平成十五年、十六年、十七年と、その三カ年のうちの少なくとも半分以上は、新銀行を創設してスタートしていこうという、それは知事が旗振り役になって進めてきているそういったことについて、全く記載がないということについては、知的財産を特許で取得することも戦略であれば、知的財産でそれを技術力として評価を受けて資金調達することも大変に重要な戦略であり、新銀行の扱いについては疑問を呈しておきたいと思います。
次に、雇用・就業対策審議会答申につきまして、東京を再生させる産業人材の育成の観点からお伺いをいたします。
東京の再生を図るためには、まず産業を活性化することが第一であり、そのためには、産業を支える技術力や能力を持った人材の育成が肝要であります。先日、ソフトウエア最大手のアメリカ・マイクロソフト社は、日本国産の基本ソフト、トロンの開発団体と共同で、ネット家電用基本ソフトを開発すると発表しました。知的財産の象徴ともいえるOS、基本ソフトをめぐるこうした動きは、それを形にしていく高度な技術、技能に裏打ちされたすぐれた製品の出現という中から生まれたものであります。つまり、産業の発展や振興は、知的財産に加え、熟練した技術、技能なしには成り立たないことを示しております。
しかし、近年、産業構造が急激に変化し、状況の変化に対応した人材の育成が進んでおらず、人材の確保ができない分野もあります。担い手となる熟練技術者の高齢化と後継者不足のため、ものづくりの基盤である高度な技術、技能の継承についても懸念されております。こうした観点から、産業を担う高度な技術、技能を持ったすぐれた人材の育成は急務であります。
また、職業能力の開発は、高水準の失業状況の大きな要因である、企業の求める職業能力と労働者個人の保有する職業能力との乖離、いわゆる能力のミスマッチを解消し、雇用に結びつける上で極めて重要であります。
そこで、東京再生のかぎを握る、産業を支える人材の育成について、認識を確認させていただきたいと思います。
○高橋労働部長 我が国の経済発展は、産業の各分野における高度熟練技術、技能に支えられてまいりました。産業構造が大きく変化しつつある今日におきましても、優秀な人材を育成することの重要性はいささかも変わるものではなく、お話がありましたように、職業能力の開発により、基幹産業や今後の成長産業を担う人材の育成と、構造変化に伴う能力のミスマッチを解消していくことが極めて重要と考えております。
このため、審議会答申を踏まえまして、都立技術専門校における職業訓練はもちろん、東京に集積する民間教育訓練機関の活用や企業等との連携を図りながら、東京の産業を支える人材の育成と、都民の多様な訓練ニーズにこたえることができるよう努めてまいります。
○谷村委員 産業構造の変化や人材ニーズに対応した訓練科目の開発への取り組みについて、重ねてお伺いしたいと思います。
○高橋労働部長 生産拠点の海外移転や、科学技術が急速に進展するなどの産業構造の変化等に的確に対応する技術、技能の習得が今求められております。
このため、今後とも、訓練科目の開発に当たりましては、さまざまな産業の分野でリードしている民間事業者や業界団体の協力を得まして、産業界の求める訓練科目の開発を適切に行ってまいります。
○谷村委員 技術の進展に伴い、企業の求める人材は時間とともに変化しております。そうした意味で、既存の訓練科目についても、多様な評価手法を用いて、常にその訓練科目の有効性を検証する必要があると考えますが、見解を伺いたいと思います。
○高橋労働部長 産業構造や求人ニーズが激しく変化する中で、既存の枠組みにとらわれることなく、企業が必要とする人材を育成していくことが極めて重要と考えております。
このため、今後は、これまで実施してきた訓練内容の評価、見直し手法に加えまして、多様な評価手法を導入しながら、例えば、高度な製造技術を中小企業の製造現場に移転できるように工夫するなど、時代の潮流に適合した職業訓練の展開を図ってまいります。
○谷村委員 職業能力開発の実施に当たっては、都立技術専門校にとどまることなく、答申にもありますように、民間教育訓練機関やNPOへの委託訓練を効果的に実施していくことも重要であります。しかし、単に訓練の実施を委託するだけでは十分とはいえず、訓練の成果が実際に生かされるよう、充実した就職支援体制が求められます。
都は、委託先教育訓練機関における訓練生の就職支援体制の充実強化に向けてどのような取り組みを行っておられるのか、伺います。
○高橋労働部長 職業能力開発の実施に際しましては、訓練の成果を就職に結びつけることが極めて重要と考えております。このため、技術専門校におきましては、無料紹介権を取得し、積極的に就職支援を行っております。
また、委託訓練におきましても、委託先における就職支援時間設定の義務づけや、その実績を次回選定に反映するなどの就職促進のための取り組みを行っております。
今後とも、訓練で身につけた知識、技能が産業の現場でより一層生かされるように就職支援体制の充実強化を図ってまいります。
○谷村委員 産業界は即戦力となり得る人材も求めており、これまで以上により実践的な訓練が必要であると考えます。答申では、学校での学習と企業での就業訓練を一体的に実施するデュアルシステムの推進について触れております。
来年度、いよいよ東京版デュアルシステムがスタートするわけですが、技術専門校においても、生徒の企業現場でのインターンシップや、他機関の施設設備等を活用した実践的な職業訓練への取り組みも必要と考えますが、所見を伺います。
○高橋労働部長 今ご指摘がありましたように、産業界では、企業現場において実際に役に立つ技術、技能を保有した人材を求めております。このため、より実践的な訓練となるように、技術専門校では、一部の訓練科目でありますけれども、企業現場での就業体験を行う、いわゆるインターンシップや現場実習を実施してございます。
今後におきましても、技術専門校生の実践的能力をより高めるための工夫をしてまいりたいと考えております。
○谷村委員 冒頭に申し上げましたとおり、東京の再生のためには、産業を支える技術の強化が求められております。ものづくりは人づくりからであり、技術を支える人材の育成が最も重要であります。すぐれた技術や能力を有する人材の育成は、一日にしてできるものではなく、長年のたゆまぬ努力と蓄積なくしてできるものではありません。東京の産業を支える有用な人材育成施策の一層の充実を要望いたしたいと思います。
続きまして、森づくり推進プランの中間のまとめについてお伺いをいたします。
このプランは、私も以前委員を務めたことのあります東京都農林漁業振興対策審議会がことし一月に出した、二十一世紀の東京の森林整備のあり方と林業振興の方向と題する答申をもとに、今後の行政施策を取りまとめて、プランの名で公表されたものであります。今回は中間のまとめということで、議会や都民の方々から意見を聞いて、年末までに正式なプランとして公表するということですが、施策の大筋はこの中間のまとめで示されているものと思いますので、中心的な問題と思われる点について質問をいたします。
中間のまとめの全体を読んでみますと、従来の林業振興の視点に新たに環境の視点を加えて、多様な森づくりの施策展開を計画していますが、まず、今回のプランで取り上げた施策転換のポイントについて確認をさせていただきたいと思います。
○菊地農林水産部長 施策転換のポイントは四点ございまして、第一に、公益的機能を重視する保全型と持続的な木材生産を行う生産型に区分し、森の果たす役割に応じた整備を進めること。第二に、東京の木を積極的に利用する、とうきょう木づかい運動を展開し、木の循環を取り戻すこと。第三に、森林資源を生かした多様な森林産業の創出を推進すること。第四に、都民とともに森を守る社会の実現を目指し、都民が参加、協働する新たな仕組みを構築することでございます。
○谷村委員 産業労働局の資料によりますと、東京の森林面積は約七万八千ヘクタール、そのうち伊豆七島や小笠原を除く約五万三千ヘクタールが多摩地域の森林です。そして、その六割、約三万一千ヘクタールが杉やヒノキの人工林であります。ちなみに、東京の総面積の三分の一が森林で、このことを知っていた人は二一%だったという調査結果などが紹介されております。
また、プランの中で紹介されておりますけれども、多摩地域は江戸時代から林業が盛んに行われてきたところで、頻繁に起きた江戸の大火、大火事のたびに、家やまちを建て直すために多摩地域から多くの材木が切り出された、そんな歴史を背景にして、多摩地域の森林は、林業という産業によって管理されてきました。
その林業が、外国からの安い木材の輸入が増加するのに伴って、次第に採算性が悪化し、最近は管理の手が入らず、間伐も行われないため、暗く、下草も生えない林が増加していると聞きます。木材の値段が以前のように高くならない限り、かなりの部分は経済林としては成り立たないのだろうと思います。今回のプランで森林を保全型と生産型に分けることにしたのは、そうした認識があるのだと思いますし、残念ですが、やむを得ない判断なのだとも思います。
そこで、特に管理が問題となっております杉やヒノキの人工林について、保全型と生産型をどのような視点で、また、考え方に立って区分するのか、伺います。
○菊地農林水産部長 生産型は、林道の整備状況や杉、ヒノキの生育に適した立地などから、効率的な木材生産が可能で、産業として守れる森林を対象といたします。保全型は、標高の高い場所、道路から遠いところなど、林業生産が困難な森林や、すぐれた景観地等を対象といたします。
今後、学識経験者や市町村、森林所有者等をメンバーとする協議会の合意を得まして、具体的基準を設定してまいります。
○谷村委員 保全型は採算が合わない。よって、木材生産は放棄する。そして、その結果、所有者の管理は期待できない。よって、公的管理やむなしと。これは、そのための経費負担をどうするかという問題は残りますけれども、それ以外はわかりやすいし、やむを得ないと思います。
問題は、生産型の方ですが、このプランでは、生産適地と評価をし、でも、従来型林業では不採算。低コストの新手法に加えて、補助金で生産可能だと。材木さえ売れればということで販路を拡大していく。そのために、とうきょう木づかい運動を進めていく、スタートしていくと。林業を守ることが森林を守ることにつながる。この視点は大変に重要なことだと思います。
しかし、このとうきょう木づかい運動という表現ですけれども、森を守るために木を使いましょうというのが結果的には基本的な考え方になるわけで、産業保護というアプローチとは別に、環境保護というストレートなアプローチからすると、首をかしげたくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ある意味では、森を守るなら木は切らないという方がわかりやすいわけでありまして、ある日突然、東京の電力を守るために電気はしっかり使いましょうとか、海の環境を守るために魚をどんどん食べましょうというふうにいわれると、びっくりするわけであります。
このとうきょう木づかい運動という表現そのものが悪いわけではないのですが、誤解のないように、都のスタンスと、そのよって立つ考えを、一般の都民の皆様にもう少しわかりやすい形で明示、説明する必要があると思いますが、どうでしょうか。
○菊地農林水産部長 私たちの生活に木材は不可欠でございます。その木材の利用を自然と調和させながら実現してきたのが人工林であり、林業の営みでございます。現在の地域社会にも、林業経営、伐採、製材、建築など、多摩の木材にかかわる人々が多くいます。
しかし、この人工林が荒廃し、林業が危機に直面しています。奥多摩町や檜原村では、木使いや林業振興を行政の柱に据え、町長、村長が先頭に立って、学校や公共施設へ率先して地元の木を使う取り組みを進めています。
このように、地域に根づいた林業を支え、植林、保育、伐採の循環を回復すること、そのために木材の利用を推進することは都の使命であると考えています。
なお、中間のまとめで説明が不十分なところにつきましては、本プラン策定時に十分検討してまいります。
○谷村委員 とうきょう木づかい運動からとうきょう木づかいルールが策定されているわけですけれども、公共施設などで東京の木を優先的に使っていき、利用促進を図る、こういうことですが、これは、例えば東京産、多摩産の材木がいかなる値段かということにかかわらず、優先的に公共施設で使っていくという、そこまで踏み込んだものではないという認識でよろしいですね--別に確認ですから。
そこで、とうきょう木づかい運動を推進していくためには、東京の木であることなどを、消費者が購入する際にきちんとわかるような制度を供給側が確立していく必要もあると考えます。アクションプログラムの中に木材認証制度の創設支援とありますが、どのような取り組みなのか伺いたいと思います。
○菊地農林水産部長 東京の木の利用を促進するためには、多摩産材であることや材質の認証制度が必要だと考えています。
本年六月に、認証制度の確立に向けて、林業、木材や家づくりの関係者などで構成される認証制度創設準備会の設立を働きかけ、現在、制度の創設に向けた検討が進められています。引き続き、制度の早期創設を支援してまいります。
○谷村委員 今回発表されました森づくり推進プランのような行政計画は、都民の皆様のご理解をどこまで得られるかということがポイントだと思います。まして今回は、より多くの意見を聞くために出された中間のまとめであります。そのためには、だれが読んでもわかるようなものでなければならないので、資料の示し方、例えば生産型の木材生産がどの程度公共施設、公共事業等で使われ、それが誘導策としてどう効果を発揮して、例えば、民間の住宅建設などにもどのくらい使われるようになると採算性が出てくるものなのか。表現の仕方についても、とうきょう木づかい運動などについての理念の表現にも、ぜひ工夫をしていただきたいと思います。
また、この中間のまとめは、循環型の社会を目指す都の森林、林業行政の計画として、とても重要な視点と記述を含んでいると思います。だからこそ、経済的側面、技術的側面について十分な検証が必要だと思います。
最後に、森づくり推進プラン中間のまとめで示された施策の実現に向けた局長の見解を伺いまして、私の質問を終わります。
○有手産業労働局長 森林には多様な機能がございます。そして、今お話にございましたように、環境の世紀にあって、東京の発展に、森はかけがえのない都民の財産であるというふうに認識しております。しかしながら、多摩のお話がございましたように、森林が大変荒廃しておりまして、これをどういうふうに救っていくか、こういったことが緊急の課題になっております。
私ども、この審議会を通じていろいろ議論しまして、これを具体的に何か示さなくちゃいけないということで、今回は生産型と保全型に人工林を分けまして、それぞれめり張りのきいた施策を緊急に打たないと守っていけないんじゃないかというふうに考えたのが一点でございます。
二点目としましては、森の資源を活用した森林産業を創造いたしまして、林業だけじゃなくて、いろいろな活用方策をここで考え、そして産業として地域に根づかせていく、こういった取り組みも必要かということでこれを出しました。
三点目としましては、今お話ございましたけれども、森林所有者や行政だけでは守り切れませんので、都民の方に参加、協働していただけるような森を育てるための新たな仕組みづくり、こういったことも非常に重要だというふうに考えてございます。そういった制度としまして、森林管理制度の創設なども提案しているところでございます。
私は、こうした新しい事業や仕組みを実現するために、今回示しました森づくりの三つの方向、それから七つの戦略について、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
日本の木材需要につきましては、約九千三百万立方メートルですか、国内の自給率の一八%が国内産ということでございます。こういった輸入が圧倒的に多いわけですけれども、こういったことがいつまでも続くわけはないと考えております。必ずや森林産業に日の当たる時期が来るというふうに信じているわけです。
今、委員のご指摘のとおり、本プランの内容につきましては、これをしっかりと都民にご理解、ご協力いただくことが不可欠でございますので、本プランの内容につきまして、わかりやすい表現に十分配慮しまして、これを都民によくPRして都民からの意見もいただいて、私どもの抱負といたしましては、豊かな森を将来の都民に引き継ぎたい、こういう念願のもとでこれから施策を強力に、先生方のご尽力をいただきながら、議会の援助もいただきながら、全力で取り組んでまいります。
○初鹿委員 私は、昨年の事務事業の質疑、そして、ことしの予算の審議の際にも、雇用問題について何点か質問させていただいてまいりましたので、本日のこの雇用・就業対策審議会の答申に関連しまして何点か質問させていただきます。
たしか、昨年の事務事業質疑の際の直近の東京都の完全失業率は六・一%だったと思います。そのころからすると、多少の改善は見られるんですが、今期、第一・四半期の完全失業率を見ますと五・三%と、依然として五%台という大変厳しい状況にあることは変わりがありません。また、六月の常用雇用者数を見ますと、前年の同月比で二・〇%減少ということで、十五カ月連続で減少が続いていると。景気も多少回復しているような感じは受けますけれども、まだまだ本当に厳しい状況で、予断は許さない、楽観できない状況であるというふうに感じております。
本来、職業安定行政というのは、ハローワークを中心に国がやるべきことが基本なんだと思いますけれども、こういう東京都の厳しい状態ですから、やはり東京都が積極的に行う最重要な課題の一つであるという認識を持っておりますので、今回、雇用・就業対策審議会がこうした具体的な中身を持った提言をしたということは非常に評価をいたすところで、一日も早くこれを実現して、都民の雇用の安定のために東京都も全力を尽くしていただきたいなと、まずは要望させていただくものであります。
それでは、まず最初に、東京都が雇用・就業施策というものに取り組むということに対する意義をお伺いいたします。
○高橋労働部長 東京の完全失業率は、平成十一年以来、四年連続して五%台になるなど、過去最悪の水準にあります。その主な要因は、求人側と求職側のそれぞれに求める業種、あるいは職種、あるいは勤務条件等が合致しない、いわゆる雇用のミスマッチによるものと考えられます。
こうした中で、東京都が雇用・就業施策に取り組む意義でございますけれども、経済や雇用面での東京の持つ潜在的な活力を生かしながら、国では困難な都の産業、教育、福祉等の行政施策との連携や、求職者に対するきめ細かい就業相談、そして職業能力開発との連動等によりまして雇用のミスマッチの解消を図り、一日も早く東京の雇用・就業状況を改善していくことにあると考えております。
○初鹿委員 今、雇用のミスマッチということをおっしゃられましたけれども、求人の数は、この近年ふえているようですね。それなのに、なかなか失業率が改善しないということは、やはり国のハローワークでの対策というのでは不十分なのかなと思いますから、これはきめ細かな対応で、恐らく一人一人に対してよりよい対策というものを立てていけるということで、東京都がこの事業を行うということは非常に意味があるのではないかなというふうに感じております。
しかし、考えなきゃいけないのは、ハローワーク、いわゆる国がやっていることがうまくいかないから東京都がやるんだといっても、果たしてそれが本当にうまくいくかということだと思うんですね。じゃ、ハローワークが何でうまくいっていないかということを具体的に考えていくと、一番大きな要因として考えられるのは、やはり相談時間がほとんどとれないということじゃないかなと思うんですよ。
以前、新宿のハローワークを視察に行ったときがあるんですが、そうしたら、非常に多くの失業者があふれているわけですね。話を聞きますと、朝始まる前からもう並んで待っているという状況で、大体窓口に行って話をする時間は三分程度だということで、それじゃ、はっきりいって、ちゃんと雇用まで結びつくかというと、難しいなと思うわけですよ。
じゃ、今の、これから東京都がやろうとする事業でうまくできるのかということを考えなければならないんですけれども、例えば今、東京都では、労政事務所で労働相談というものを行っていると思いますが、最近、この数年間の厳しい経済情勢の中で、年間大体五万件ぐらいの相談が来るということで、昨年の、ことしだったかな、質疑の中でも指摘をさせていただきましたが、メンタルヘルスの相談が多くなってきて、一件当たりの相談時間も非常に伸びているということですから、こちらの方もこちらで充実していく必要があるわけで、そうなってくると、人材の確保というんですか、これから新しく施策を行う上で、相談体制をどうとっていくかというのが非常に大切になってくるのではないかなと感じるんですね。
では、そういう観点で、この答申の中身の七ページを見ますと、入職経路別の入職者の割合というのが書いてあるんですが、これを見ると、首都圏における--首都圏ですから、東京だけではないと思うんですが、ハローワークを通じて仕事についた人の割合は八・五%と、全国から比べると半分以下であります。一番多いのは、予想できると思うんですが、求人広告による就職というものが一番多いということですから、こういった民間の求人広告というものも活用できるのではないかなと思います。
それと同時に、この民営というのは数字がどの程度かわかりませんけれども、恐らく東京都内には、他県と大きく違うところは、民間の職業紹介とかをやっている事業者がたくさんあるということですから、こういう東京都独自のメリットというんですか、これを十分に活用していくことが、今回の施策を具体化する上で非常に重要になるのではないかなと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
○高橋労働部長 東京は、新規求人件数がここ十カ月連続で増加するなど、底がたい求人はあります。また、お話のように、民間職業紹介事業所の約四割が存在するなどの強みもございます。
施策の実施に当たりましては、民間事業者のノウハウを積極的に活用する、あるいは求人にマッチした職業能力開発を実施するなど、就職に向けた効果的な方策について今後とも検討してまいりたいと思います。
○初鹿委員 あと、今、民間の活用というお話がありましたけれども、民間でできない部分というのも多少あると思うんですね。例えば障害者や高齢者などについては、民間ではなくて、例えば地元の市町村というんですか、市区町村というんですか、そういう自治体を活用する、連携するということを考える必要があると思うんですが、その点についてはいかがですか。
○高橋労働部長 障害者につきましては、障害の程度に応じていろいろと--今、東京は身体障害者専門校を持っていますけれども、そちらの方で現場体験をしながら、できるだけ就職に結びつけるようにいろいろと工夫しております。
それから、高齢者につきましてはおっしゃるとおり、ハローワークに参りましても、三時間ぐらい待って、五分しか相談できなかった例があったりして、なかなか就職が決まらないものですから、何回も足を運ぶということであれば、地域で、近いところに相談の部署がなければならないのかなということで、高齢者の相談事業を今新しく発足しました。それで、各市町村と東京都が連携して高齢者の就業相談を行う。
実際、実績も徐々に上がってきておりますので、おっしゃるような障害者、高齢者、なかなか民間事業者ではやっていただけないといいますか、そういう公共がやるべき問題については、今後とも工夫してまいりたいと思っています。
○初鹿委員 ぜひそのような形で、民間を使ったり、市区町村を使ったり、可能な限り、連携できるところとは連携しながら、よりよい政策ということを実現していただきたいと思います。
次に、若年者就業対策についてお伺いいたします。
以前から私も、フリーターの問題などには大変危機感を持っておりましたので、何度か質問でも指摘をさせていただきましたが、今回、こうやって章立てまでして若年対策にしっかり取り組もうということは非常に評価するところであります。
ご承知のとおり、十五歳から二十四歳までの完全失業率というのは、大体一〇%に近づいているという、東京都全体の失業率をはるかに超えて厳しい状況で、失業率に反映されないようなフリーターから、仕事をやめてしまった、完全に無業者というんでしょうか、そういう方まで含めると、どの程度の数字になるか、はかり知れないような数なのではないかなと思います。
そういう意味では、こういう若い人たちに対して、具体的に職業紹介も含めて施策を展開するような、そういう答申の中身になっているということで評価もしますし、ぜひ具体的な対策を早急に立てていただきたいなと思うところであります。
この中で、若年者キャリアセンターというのを設置しようということが書かれているんですが、今申し上げたように、大変期待はするんですけれども、これも果たしてうまくいくのかなという部分が一つあります。と申しますと、若年者キャリアセンターというものをつくりました、じゃ、本当に人が足を運んでくれるのかなという問題が一番重要だと思うんですよ。
ことしの今月ですか、九月十三日ですか、新聞の記事で見たんですが、渋谷のヤングハローワークで、中学生、高校生向けのスクールデーというのを行ったということで新聞に出ていまして、実績が五人しか来なかったという記事があったと思います。リーフレット、ポスター、約七万枚つくったということなんですが、それだけじゃうまくいかなかったわけですね。要は、PRの仕方をうまく工夫しないと、せっかくいい機能をつくっても、だれも足を運んでくれないんじゃ意味がないということだと思います。
ですから、多分、皆さん方、今の発想だと、例えば「広報東京都」とかいうのに載せて、あと行政機関や公共機関などにポスターをぺたぺた張って、それで来るんじゃないかなと思ってしまうと、それは大きな失敗をしてしまうのがこのハローワークの例だと思いますので、その辺を工夫していただきたいと思うんですね。
具体的に、じゃ、どういう工夫の仕方があるのかなと、私なりに考えてみたんですが、例えば、今、若者向けの求人雑誌というのが幾つかあると思うんですが、そういった求人雑誌を活用するとか、求人雑誌じゃなくても、若者がよく見るような雑誌でもいいですけれども、そういうものを活用するとか、あと、フリーターを多く使っているような業界というのがあると思います。居酒屋のチェーン店とか、ファミリーレストランもそうですね、コンビニエンスストアもそうだと思います。
そういった業界と連携して、そういう業界の中からキャリアセンターの方に足を運ばせるような、そういう協力体制というものがとれれば、より効果が出るのではないかなと考えるわけでありますが、いかがでしょうか。ご所見を伺います。
○高橋労働部長 フリーターや無業者に対する施策が浸透するためには、まず、高校、大学等との連携を強化して、未就職の卒業生に働きかけを行っていくことが重要であると考えております。さらに、若者が親しみやすいインターネット等を活用するほか、ご提案の若者向け求人誌等の活用や経営者団体等との連携の強化を含め、情報を伝えるためのさまざまな方策について検討してまいります。
○初鹿委員 私も大変期待している事業ですから、ぜひしっかりPRしていただいて、若者がどんどん足を運んで、そして仕事に結びつくような、そういうキャリアセンターをつくっていただければなと、まず要望させていただきます。
それでは、繰り返しになりますけれども、雇用の安定というのが、やはり都民にとっては一番重要だと思うんですね。生活する上で、仕事を得て収入を得るということが大切だと思います。それが今危機にあるということは、普通の都民にとっては一番心配であり、安心できない原因になっていると思いますので、ぜひその点を解決するためにも、東京都としてより一層雇用・就業対策というものに力を入れていただきたいと思いますので、最後に局長の決意をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○有手産業労働局長 東京の雇用環境は、お話ございましたように、依然として厳しい状況が続いておりまして、雇用・就業対策は極めて重要な課題であるというふうに認識しております。
今、若年者のお話もございましたけれども、近い将来には団塊の世代が定年の時期を迎えまして、高齢者の雇用問題もかなり大きな問題になってくるのではないかと考えている次第でございます。
今回の審議会の答申では、こうしたことから、若年者問題から高齢者問題まで幅広い観点から意見をいただきました。今後、この審議会答申を踏まえながら、雇用・就業に関するワンストップサービスの提供を中心にしまして、さまざまな行政分野とも連携を図りながら、雇用のミスマッチ解消や起業、創業、あるいは就農、NPOなどとの連携も含めまして、多様な就業ニーズにこたえる施策を早急に講じてまいりたいと考えております。
○三宅委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十四分休憩
午後三時六分開議
○三宅委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○丸茂委員 最初に、中小企業の知的財産活用のための東京戦略に関してお伺いいたします。
厳しい経済環境のもと、悪戦苦闘している中小企業への振興策の一つとして、知的財産活用は重要な施策だと考えております。東京都中小企業振興対策審議会でも、知的財産についてその重要性が論議されまして、都として知的財産活用本部設置、知的財産総合センターもことし四月にオープンし、千件を超える相談が寄せられております。これは期待のあらわれと受けとめております。
しかし、中小企業の多くが、知的財産の意味やその価値がどういうものか、活用とはどうすればいいのかなど、普及啓発が大変重要だと考えております。このプラン、戦略にも、普及啓発について施策が示されておりますけれども、一つ一つが大事だと思います。その上で、知的財産とは何か、こういうわかりやすい、それも一般都民にもわかるぐらいのPRが必要だというふうに思います。
東京の知的財産宣言というようなインパクトをもって幅広いPRが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○泉本商工施策担当部長 今回の戦略は、中小企業における知的財産戦略についてまとめたものでございます。広く都民を対象にした知的財産制度の普及啓発を前面に出したものではございません。
しかし、広く都民全体における知的財産意識の向上の効果は、ひいては中小企業の知的財産の保護の強化にも通じていくものと考えてございます。今回、侵害対策の中で、都民、学生、生徒向け普及啓発として事項を掲げてございます。
○丸茂委員 都民一般にといったのは、この知的財産に対する都民の意識を掘り起こして、また、その力も中小企業の活性化に結びつけていくという意味で、それがまた中小企業にも役立つという点で、普及啓発については一層の力を入れていただきたいと思います。
次に、知的財産は、国内に限らず、海外の取引にも関係する課題であります。国際的な特許権や商標権、意匠権、それに著作権など、知的財産全般にわたるワンストップ体制は大変重要だと思います。その特許権一つを取るについても費用がかかるわけで、助成という具体的な支援策も重要だと考えます。
先日、大田区の工業団体と懇談を行ったときに、外国特許出願費用助成の話をしましたら、大変大きな関心が寄せられました。国を含め、助成策について検討されているものがあったら明らかにしていただきたいと思います。
○泉本商工施策担当部長 都内中小企業に対するアンケートにおきまして、出願費用等、資金面での助成が高いニーズとなっております。この点を踏まえまして、外国特許出願助成のほか、外国侵害調査について一部助成に取り組むことを掲げました。
国におきましては、審査請求手数料などについての中小企業に対する減免制度を設けてございますけれども、資力に乏しい中小企業などに限定しておりまして、実績は乏しいものになっております。今後、国に対して減免措置の拡大を提案、要求してまいります。
○丸茂委員 次に、中対審で、中小企業の知的財産の結晶である金型図面の海外流出問題が議論の場にものりました。結局、その原因は、日本自動車工業会と日本自動車部品工業会、さらには電子情報技術産業協会の、こうした電機と自動車の大手メーカーが金型業界の貴重な財産である金型を海外流出させていた、こういうことが明らかになっています。
本戦略でも、侵害対策への取り組みは困難な課題だとしております。支援策として、外国侵害調査助成から侵害に対する罰則強化まで、五点にわたってこの点では対策が書かれております。
しかし、親企業と下請企業の関係など、国内での中小企業の知的財産保護について、こうした都としての対策が見当たらない感がするんですが、この点、いかがでしょうか。
○泉本商工施策担当部長 図面の流出などによる権利侵害の問題は、的確な秘密保持契約の締結などが重要な侵害対策になっております。したがいまして、今後、効果的な普及啓発を進め、年度内にも作成する、事例を踏まえた中小企業向けのマニュアルの作成などにおきまして、契約に当たっての留意事項などをわかりやすく記載していくことと既にしております。
○丸茂委員 マニュアルと同時に、具体的な手だても強く要望しておきたいと思います。
そして、この戦略の四二ページにありますけれども、資金調達の多様化の一つに、融資による支援が挙げられております。その例には、技術・事業革新等支援資金融資について記載されております。この融資は、連帯保証人を必要とし、法人については代表者個人が保証人になること、物的担保についても、八千万円以下は原則無担保で、ただ、審査会の保証審査で無担保保証額を決める、こういう仕組みになっております。
中小企業の方々といろいろ懇談しますと、融資に当たって、知的財産を何らかの形で評価して、保証人あるいは物的担保、こういうものをクリアできる仕組み、そういうものを検討できないか、具体化できないか、こういうお話が寄せられております。名称をつければ、知的所有権担保融資というんですか、そういう形でも、知的財産に対する一方での大変な期待もあるわけですが、その点、いかがでしょうか。
○鹿島金融担当部長 知的財産は、その評価が困難であり、評価手法も確立されておりません。また、流通市場も未整備で、担保の処分が困難な状況にございます。このように、知的財産を担保とする融資には多くの課題があります。
知的財産基本法では、評価方法の確立は国の責務とされておりますので、今後、国の動向を見守ってまいりたいと思います。
○丸茂委員 東京都がせっかくこういう本部までつくって、国に先駆けて取り組もうと。かねてから、中小企業団体からもさまざまな要望が出されていると思うので、もう少し前向きに検討はお願いしたいというふうに思います。
次に、知的財産の一つとして著作権がありますけれども、東京の新しい産業としてアニメ産業がありますけれども、その関連で要望として出されている問題についてちょっとお伺いいたします。
CD等に録音されている歌手の歌など音の実演は、複製販売したり、放送利用は、歌手などの許諾か報酬の支払いが必要とされていると。しかし、ビデオや、特にDVDが大きく広がっておりますけれども、これ等に録画されている俳優の演技など、実演についての利用は権利がないという新たな要望が寄せられております。こうした新たな課題も権利として保護される、そういう対応が必要だと思うんですけれども、これについてはいかがお考えでしょうか。
○泉本商工施策担当部長 ご指摘の課題は、世界知的所有権機関で新しい条約の検討がされ、また、文化庁におきましても、将来実演家に権利付与する前提で懇談会を設け、検討していると聞いております。
今回、東京戦略をまとめました東京都知的財産活用本部におきましても、このような新しい課題に対しては検討を進めていくこととしておりまして、今後、的確に対応していきたいと思います。
○丸茂委員 こうした知的財産を本当に活用するということを考えますと、それをものづくりに生かす、産業として生かす、そう考えますと、高付加価値や新しい製品を生み出す、そして、それを産業として生かしていく、このことが極めて大事だと思いますし、また、それを支えるものづくりの基盤も大事だというふうに思います。
最近、中小企業の団体とお話ししたときも、今回、ディーゼル車の排気ガス対策の一つとして、DPF装置の義務づけが行われております。これは環境問題を考えて、新しくこういう装置を開発して、それを実際に装着する、こういうものですけれども、実際に大田区の中小企業にもメーカー側から発注があったけれども、受ける企業が激減して、DPF装置の製造が需要に間に合わなかったという状況もお聞きしました。
そういう点で、実際にものづくりとして産業として生かすには、それに必要な集積や技術、人材が伴って、こういうものづくりが具体化、経営戦略として生きていくというふうに思っております。そうした点では、これまで工業集積活性化支援事業のような新製品、新技術の開発から産学公連携、人材育成、それらを含めて、ものづくりの基盤、集積を支える、こういう事業は大変大事だというふうに思っております。
本会議でも第二期工業集積地域活性化事業の創設を求めましたけれども、こうした基盤的な基礎、ものづくりの基盤を守り、そして知的財産を本当に新たな活用を、生かしていくという点でお考えがあれば、お聞きしたいと思います。
○市原商工部長 今定例会の代表質問におきまして産業労働局長が答弁いたしましたとおり、工業集積地域活性化支援事業につきましては、平成十六年度にすべての事業が終了することになっております。今後、事業成果等の検証が必要と考えております。
産業構造の変化等を踏まえまして、ものづくり産業の新しい集積施策につきまして、中小企業振興対策審議会に諮問し、幅広く検討してまいります。
○丸茂委員 ぜひ実現方を求めておきたいと思います。
次に、水産業振興プラン(海編)の中間のまとめに関してお伺いいたします。
平成九年、一九九七年二月策定の東京の水産業振興プランは、おおむね十年後、二〇〇七年を目途にして、東京の水産業の振興方向を明らかにしております。同時に、その達成に向けて実施すべき施策も示すものだとされております。
今回の振興プランは、東京の水産業が抱える危機の克服と新たな発展を図る取り組みで、プランの計画期間は平成十六年から二十年までの五カ年間としております。前プランと本プランの関係、位置づけはどうなのか、お伺いいたします。
○菊地農林水産部長 平成九年のプランは、平成八年の国連海洋法条約を受け、資源管理型漁業の導入を重点に策定したものでございます。その後、おおむね六年が経過し、策定当時にも増して、輸入水産物の増大による魚価の低迷等により、著しく漁協経営が悪化したことや、食の安全の要求などの状況の変化がございました。
今回は、漁業の収益拡充、経営基盤の強化や食の安全、安心など、新たな視点を加え、今後五カ年間で取り組むべき施策として改定を図ったものでございます。
○丸茂委員 今、海編について改定したというご答弁でしたけれども、東京都農林漁業振興対策審議会答申では、河川での内水面漁業を含め漁業生産量の減少などにより厳しい環境に置かれている等、多摩川や江戸川など、遊漁を主体とした内水面漁業についても答申がされております。
内水面漁業の振興プランは、当然のこととしてつくると思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 本会議でも局長が答弁申し上げましたが、内水面についても漁業の低迷状況にございまして、この振興のためには、川の水産資源の回復が必要でございます。しかし、このためには、水量確保等、困難な課題や時間を要する課題も多くございます。
今後、豊かな川の復活と水産業の振興を目指したプランの策定に向けて、関係する国や関係各局と調整してまいります。
○丸茂委員 私はちょっと心配で、差し迫った問題もあるから聞いたんですけれども、多摩川河口に羽田空港再拡張計画も今進められております。多摩川河口にかかわるもので、魚の溯上にも影響いたしますし、また、河口はアサリの豊富な漁場にもなっております。それがまた、海水面の浄化にも大きな役割を果たしている。
そういう大事な内水面の漁業だというふうに思うんですけれども、その漁場が壊滅的な打撃を受けないのか。環境影響評価等、調査が行われると思いますけれども、十分な検討が必要だと思いますけれども、それに関してはいかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 内湾及び外洋につきましても、水産試験場の方でさまざまな資源管理調査等を行っておりまして、適時的確な対応を図ってまいりたいと思っております。
○丸茂委員 次に、今度のまとめで、トップに、食品の安全は大事な課題だという提起がされております。しかし、このまとめの事例として挙げられている事件、事故については、水産業にかかわるのは養殖トラフグに関するものだけで、あとはその他の安全問題で、現実には水産業にかかわるという点では、輸入水産物がふえてきており、輸入水産物などの安全問題など、水産に関する事例が必要ではないのか。
その点と、また、東京の水産物は安全だと確信しておりますけれども、その点もあわせて、どう認識しているのかお伺いいたします。
○菊地農林水産部長 輸入水産物の安全性に関する事例では、中国産養殖エビやウナギの合成抗菌剤の検出例、韓国産のカキの産地不当表示などの例がございます。
また、東京産の水産物につきましては、これまで漁業者や都の安全確保の取り組みにより、このような問題は起きていません。
今後とも、東京産の水産物の安全性の確保に努めてまいります。
○丸茂委員 ぜひ安全問題は、特に水産物に関して、きちんと表示もお願いしたいというふうに思います。
次に、水産業の構造改革を断行し、経営基盤を強化すると、このまとめで三ページでは取り上げておりますけれども、答申では、今後、都民の食を支え、その生活を豊かにする水産業としてさらなる発展を遂げていくためには、従来の漁業者に重点を置いた政策の発想に加え、都民の立場をより重視した政策へ転換して、既存の施策体系全般を抜本的に見直し、東京の水産業の構造改革を実現しなければならないという形で、関係者を含めて構造改革を進めるとしております。
実際、構造改革という場合に、魚介類の自給率が、一九八五年の九六%から、二〇〇一年には四九%、五〇%以下にまで落ち込んでおります。漁業を、食料として支える大変重要な産業として位置づけることが重要だと考えます。
答申では、輸入水産物については、安定的な供給が難しい状況に直面していると指摘がされております。水産業の育成こそ大変重要な課題ではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 水産物は、国民が消費する動物性たんぱく質の約四割を占める重要な食料でございます。都民への安定供給や食の安全確保の上でも、東京の水産業は重要な役割を担っており、本プランでも、水産業の振興、育成をその柱の一つとしています。
○丸茂委員 次に、航空機を使用した漁業取り締まりを実施するということがこのプランでは示されております。これは大変な前進だというふうに思いますけれども、この密猟の取り締まりがどう強化されるのか、その点、お伺いいたします。
○菊地農林水産部長 航空機による監視の効果は、短時間で広範囲の海域を監視することが可能でございまして、効率的に密漁船等の発見や違反操業への抑止が期待できることであると考えております。
○丸茂委員 次に、島しょ漁協の再編という形で、このプランでは、十一漁協を一漁協にという記載があります。大変びっくりしたわけですけれども。国は、漁業協同組合合併促進法を改正して、行政主導の合併を進めようとしております。そのため、国会で、我が党は法改正に反対した経緯があります。
東京都は、協同組合の合併に対しては、組合員の意見や組合の意見を尊重して協議すべきと考えますが、どうでしょうか。また、合併するしないにかかわらず、漁協に対する振興策は公平、公正に行うのは当然だと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 島しょの漁業協同組合の経営は危機的状況にございまして、経営の改善、改革が求められています。漁協の合併は、経営改革の一環として、組合員の理解と合意を前提に進められています。
また、漁業協同組合の振興、支援につきましては、経営改善の努力に応じまして公平に行っております。
○丸茂委員 ぜひ十分な協議、そして公平、公正に運営されるように求めておきます。
次に、アクションプログラム9についてですけれども、ここでは、新規漁業者の就業から自立までを支援するとしております。審議会答申では、関係機関が連携して支援を行うことによって、漁業後継者を計画的に育成していくことも大切としております。
後継者育成はどこでも取り組んでいますけれども、大変困難に直面していると聞いております。例えば式根島では、船主が研修生一人当たり二百万円を拠出して、これで指導料、住居費に充てて、三カ月から六カ月で育成している、しかし、定着がなかなか困難だ、こんなことも聞いております。また、小笠原では、六年から七年かけて、住宅、給与など、漁業で独立できるまで支援し、育成しているとのことであります。
後継者育成をきちんと位置づけて、国、都が助成などを上乗せして支援する、単独事業でも支援策を充実すべきだと考えますけれども、この点いかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 国の事業は、就業希望者が就業するまでの一年間、資格取得や実地研修に要する経費などの一部を助成するものでございます。
本プランでは、育成プログラムでお示ししてございますように、総合的な後継者育成に取り組んでいくこととしております。
○丸茂委員 今のプランの範囲を超えないわけですけれども、具体的な要望に沿って、特に後継者育成は大変大事な、また、お金も時間もかかる問題ですので、ただいま申し上げた支援策について重ねて検討を求めておきたいと思います。
次に、前振興プランでは、島ごとに施策が示されておりました。今回、ゾーン分けにしたことによって、島それぞれに見合った具体的な施策が薄まらないのか、その点、心配なんですけれども、いかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 東京の水産業は大変広い海域で行われておりまして、広域的な水産資源の管理を初めとし、水産業の振興を図るためには、島ごとの対応では限界がございます。そのため、資源管理の必要性や地理的条件などの共通する部分に着目いたしまして、取り組みの強化を図るためにゾーンごとの設定といたしました。
各島ごとの対応につきましては、漁業者、漁業団体の意欲や自立を支援することが現在何よりも求められておりまして、IT販売等きめ細かな施策を展開していくこととしております。
○丸茂委員 前回は、二百海里海域を含めて検討がされたわけで、それで、私がなぜこの問題をいうかといいますと、現在、八丈小島、小笠原聟島、ここではヤギがふえて、草木を食べてしまうために、土が流失して漁場を破壊してきている。この対策を何とかしてほしいと。
こうした地元の取り組みを支援するとともに、豊かな漁場づくりを課題として具体的な対策を行う、こういうものをきちんとプランに盛り込むべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 ヤギの対策といたしましては、八丈島、小笠原では、現在、捕獲等を実施しています。土砂の流入による漁場の荒廃につきましては、八丈島で代替の漁場、漁礁を造成、設置してきたところでございます。
本プランでは、荒廃した島周辺の漁場に対しまして、新たな漁場を整備していくこととしております。
○丸茂委員 三宅島の復興等、いろいろな課題があるかと思いますけれども、具体的で切実な緊急課題は、引き続き対応を求めておきたいというふうに思います。
次に、森づくり推進プラン、中間のまとめに関してお伺いいたします。
このプランの一ページには、このプラン策定の趣旨ですけれども、森の持つさまざまな環境保全機能を保つとともに、林業を循環型産業として育成し、東京を持続可能な環境都市に発展させることは極めて大事だと。しかし、このプランでは、森を育て、木を生かす産業である木材産業は長期低迷し、その結果、管理放棄された人工林が増加するなど、荒廃の危機が進行し、災害の発生、都市環境の悪化など、深刻な事態の発生のおそれがあると指摘しております。
このもともとの原因である国の責任が、極めてあいまいにされている。これまでの外材輸入政策で、日本の林業をだめにしてきた経済最優先の国の責任は極めて重大だということを明確にしておくことが大事だと思います。ことし一月に出されました東京都農林漁業振興対策審議会答申でも、科学万能、経済最優先で進んできた二十世紀が、地球温暖化や都市環境の悪化をもたらしたと指摘しております。
そこで、本プランで、東京都はどのような基本的スタンスで取り組もうとしているのか、お伺いいたします。
○菊地農林水産部長 国は、平成十三年に森林・林業基本法を改正し、今年度からは地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策を展開中でございます。
今回の森づくり推進プランは、地球的規模で環境のことを考え、地域でできることを率先して行うという基本的な考えに立ち、国等との役割分担、連携のもとに、東京がみずから行う森づくりの行動計画としているところでございます。
○丸茂委員 その東京都も、林業予算では毎年削減してきた。その責任も大きいというふうに私は思います。必要な施策と予算措置についても、都市再生、そして環境という点でいうならば、この森づくりこそ重要施策として一層の強化をするよう求めておきたいと思います。
次に、このプランは、東京の持続的な発展に不可欠で都民共通の財産である森の健全な育成について重点的に取り組む施策を明らかにし、森づくり推進計画として策定しております。対象とする森を多摩の森に限定しております。
環境面でいえば、九六年二月の東京の森づくりプラン21では、山の森から丘陵の森、まちの森、海上の森、島の森など、広くとらえるべきだというふうに思います。特に島しょの方々から、都は島の森について見放したのか、こういう疑問の声も寄せられております。なぜ多摩の森に限定したのか、お伺いいたします。
○菊地農林水産部長 今回のプランは、都内の森のうち、荒廃の危機に直面した多摩の森について緊急の戦略的な取り組みを示すとともに、東京全体の森づくりの基本的な考え方を明示しています。
本プランにおける新たな森づくりの考え方を踏まえまして、島しょの森などにおける具体的な取り組みについて検討していく考えでございます。
○丸茂委員 次に、第3章にあります、森づくりを推進するための三つの方向と七つの戦略についてもお伺いしておきます。
このところの戦略1では、都の取り組みとして森を再生、保全するとしております。荒廃した森林の再生のため、都と地元市町村が協力して、森林所有者にかわって間伐を実施することは、経営困難な森林所有者にとっては大変ありがたいことだと思います。
この森林再生事業は、荒廃した人工林を対象に、五十年間に四回の間伐を実施し、針広混交林化していくということをねらった事業ですけれども、これまでの多摩の森林再生事業は、平成十四年度の事業実施率は、奥多摩で八七・八%、他の五市町村では六一・一%という実績であります。
この事業の実施は環境局の担当ですけれども、産業労働局としてもどう連携していくのか、この点、お伺いいたします。
○菊地農林水産部長 今回のプランでは、公益的機能を重視する保全型と木材生産を重視する生産型とに森林を区分し、森の果たす役割に応じて、環境局との連携のもとに、効率的、効果的に事業を実施してまいります。
○丸茂委員 次に、シカ被害の対策ですけれども、アクションプログラムにこの対策が示されておりますけれども、全国での事例など、すぐれた対策であれば検討する必要があるのではないか。
例えば、福井県の職員で、林業改良指導の仕事をしている鋸谷さんという方がいらっしゃいます。鋸谷式間伐法など、ユニークな発想でいろいろ取り組んでおります。そのシカの被害対策として、地面すれすれに幹から枝を伸ばす方法です。こうすると、シカが幹をかじることができないし、その枝が地面について根を出すので、植林しないでも、次の杉が育つそうです。(資料を示す)これはちょっと見にくいんですけども、こういう杉の根元が茂って、実際にはシカが皮をかじれない。それを基礎にして、杉が成長する。こういう方法ですけれども、こうした技術。
鋸谷さんは、当たり前と思われていた林業技術も、実はおかしなことがあると。手をかけずに自然の力に任せた方がいい木になるし、いい山になるなら、それがいいともいっております。もちろん、自然が相手の仕事で、地域や山の状況によって、使える技術、使えない技術、いろいろ変わると思いますけれども、こうしたいろいろな新しい技術を活用する姿勢が大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 東京都林業試験場では、多摩の地域特性に合わせまして、シカが食べない食物を造林地の周囲に植栽する方法など、自然の力を生かしたシカ被害防止の技術開発に取り組んでいます。
今後の対策の実施に当たりましては、各地の情報、技術を取り入れてまいります。
○丸茂委員 次に、プランの戦略2についてですけれども、間伐方法として、ここでは高性能林業機械による列状間伐、これは初めて聞いた言葉なんですけれども、実施して、コスト縮減と、切り捨てられていた木材を利用可能にする新しいシステムとして打ち出されております。
これまで国の間伐補助制度が不十分で、間伐は切り捨て間伐で、補助の対象が、植林してから三十五年までの木だけなので、切れば切るほど赤字になるからと放置されてきた経過があると聞いております。列状間伐の採算と実践例があるのか、国の補助は受けられるのか、また高性能機械はだれが用意するのかを含めて、あわせてお答えいただきたいと思います。
○菊地農林水産部長 列状間伐は、長野、山口等の一部の県で試行例がございまして、国の補助対象となっています。この間伐方法は、機械による搬出が容易で、低コストにつながるものと注目されているところでございます。また、この機械は、森林組合など伐採を行う事業体が導入することになっています。
○丸茂委員 次に、こうした森を再生し、林業を振興するには、国の補助や東京都の補助が不可欠と考えます。新しい森づくりプランを進めるに当たって、この補助金についてどのように考えているのか、お伺いしておきます。
○菊地農林水産部長 林業経営が悪化する中で、放置される森林がふえています。プランでは、林業経営の自立性を高める施策を強化しつつ、補助金の効果的、効率的な活用を推進していくこととしています。
○丸茂委員 ぜひ具体的な支援を強めていただきたいというふうに思います。
戦略3では、とうきょう木づかい運動、先ほども取り上げておりましたけれども、木の循環を復活することについて触れられております。この点についてお伺いします。
アクションプログラムでは、東京の木の利用拡大として、公共事業の積極的な利用が挙げられております。我が党はこれまでも、都みずからが東京の木を積極的に活用することは極めて大切なことだと取り上げてきました。都営住宅や福祉施設、病院施設等への内装や、公園での木道、チップ舗装、学校での木工教材など、考えれば、木を使えるところはたくさんあります。そうしたアイデアを集めて実行に移すことが必要だと思いますし、全局的に取り組みを求めておきたいと思います。
しかし、長期的なスパンで東京の木が使われていくことを考えますと、やはり民間の住宅建設の中で、産業としての仕組みの中で安定的に使われていくことが最も大事だと思います。木造住宅を新築する際、補助制度などの支援策を行っている地方の自治体もあります。木造住宅のリフォームによる新たな需要もあります。
木の柱や、はりを使う在来工法による木造住宅建設は、地域の中小工務店の取り組みが中心になっておりますので、こうした中小工務店が東京の木を積極的に使えるような仕組みづくりが必要だと考えますが、この点はいかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 東京の木の利用拡大を進めるためには、多摩産材であることの認識が有効であり、都はこれまでも多摩産材の普及啓発に努めてまいりました。
現在、民間においても、木材認証制度の創設に向け準備が進められておりまして、今後とも、多摩産材の普及と積極的利用を推進してまいります。
○丸茂委員 次に、戦略4の中で、木質バイオマスエネルギー利用の普及定着が挙げられております。これは、二〇〇〇年七月の産業振興ビジョンでも、自然環境を生かす産業として取り上げられ、三年が経過しております。
これがなかなか進んでいないと思いますけれども、それはなぜなのか、この際、お伺いいたしておきます。
○菊地農林水産部長 都の調査によりますと、木質バイオマスの必要性や技術の現状が周知されていないことや、採算が合わないことが明らかになっています。
○丸茂委員 しかし、今、そういう答弁がありましたけれども、このプランでも、欧米での実用化がされているだとか、国によっては、国としてのエネルギー政策として、再生可能なエネルギーとして実用化しております。実際に国内でも、ペレットを燃料として利用している例もあるんですね。栃木県の今市市少年自然の家、あるいは徳島県鴨島病院、岩手県の炭の科学館、岡山県では民間企業がエコ発電に使う、こういう例もあります。
規模だとかいろいろな条件によって、また使い方が、可能性というのは確かにいろいろあるようですけれども、具体的に掲げているんですから、具体的に進むように検討すべきだと思いますが、その点はいかがですか。
○菊地農林水産部長 木質バイオマスエネルギーの利用促進等は大変重要な課題であると考えておりますので、今後とも尽力してまいります。
○丸茂委員 次に、戦略5では、森づくりを支える人を育てる、こうしております。森は都民の共有財産であり、幅広い都民の協力を求めることは大事だというふうに考えます。しかし、林業技術者の育成や森林経営の後継者育成には、特別の支援、体制が必要だと考えます。
アクションプログラムでも、多摩の山守の育成が掲げられておりますけれども、具体的にどう育成していくのか、お伺いいたします。
○菊地農林水産部長 多摩の山守の計画的な育成につきましては、緑の雇用担い手育成対策事業等を活用しまして新規就労者の確保に努めるとともに、林業労働力確保支援センターとも連携し、技術力や経営感覚を培う、後継者のレベルアップ研修を実施しているところでございます。
○丸茂委員 最後に、森林産業についてお伺いいたします。
従来型の林業だけで森を守っていくことは難しくなっている、そういう認識がありますが、その意味で、このプランで森林資源を生かした新しい産業、森林産業を新しく生み出していくことは大変重要だと思います。地元の市町村でも、こうした森林産業の育成は、まちづくりにとっても不可欠だと位置づけております。
森林産業の育成に当たって、こうしたまちづくりの視点も加えていくことは大変大切だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○菊地農林水産部長 今回のプランでは、森林産業の育成によりまして地域の活性化を図ることが重要であり、それを図ることを提示しております。こうした観点を踏まえ、地元自治体とも十分に連携、協働してまいります。
○丸茂委員 本プラン、これから都民のさまざまな意見を聞いて、それを実際には、絵にかいたもちにしないように実践していくという点では、ぜひさまざまな意見を踏まえて進めていただきたい、そのことを要望して終わりにいたします。
○河野委員 雇用・就業対策審議会の答申につきまして、私も審議会の委員の一人でありましたので、感じた点を含めて質問をさせていただきます。
三つの問題で伺います。一つは、審議会、部会の構成の問題。二つは、大変厳しい失業状況の中で、今ある雇用をどう守っていくか、この問題です。三つ目は青年の雇用対策。この三点でお伺いいたします。
審議会の答申は、具体的な審議は部会で進められました。部会の委員は審議会の会長が指名するということで、審議会委員から六名、そのほかに、知事が必要と認める特別委員という方が三人、計九人の構成でありました。この九人のうち、大学の教授、助教授の方が四人、研究者が二人、中小企業経営者の方がお二人、労働組合の方は、代表として一人がメンバーに加わりました。
雇用・就業ということでいえば、労働組合の方が現場の生の声をつかんでいると思いますが、全体として学者、研究者の方の比重が重かったと、部会について感じるんですが、部会のメンバーを選んでいく東京都の考え方、基本的には会長が指名ということでありますが、東京都としては、こういう構成についてどのようなお立場をとられているのか、お答えください。
○高橋労働部長 部会は、委員のお話のとおり、条例に基づきまして、審議会の会長が指名責任をもって組織することになっております。部会委員の選任につきましては、その時々の諮問内容に応じて、人員構成が適切に行われていくものと考えております。
○河野委員 私は、第一回目の審議会の場で、労働組合の代表の方が部会委員になるという問題について、いろいろな系列の労働組合の方から部会委員を出すことが望ましいのではないかと提案いたしました。結局、労働代表は一人ということになりました。私も審議委員でありましたので、部会にオブザーバーということで数回参加させていただきましたけれども、その中で、たまたま私が出席しました部会の中で、労働代表の方が、ご都合が悪くて欠席という日がありました。そうすると、九人の部会のメンバーの中で、労働現場を知る代表の方が一人もいないということになってしまったわけですね。
審議会の委員の中には、二十四人審議委員がいるわけですから、その中で比率を見ますと、労働代表の方は四分の一の六人がいらっしゃいます。今、適切に委員を選んでいくというお話だったんですが、学者や研究者や、専門に調査研究している人が部会委員に入ることは当然だと思うんですけれども、実際には生の声をつかんでいる労働組合代表の方が、今回のような本当に厳しい雇用情勢の中でどうしていくかという道を探る場合に、審議を進めていく部会に、もっと高い比重で参加されてもよかったのではないかと思うんです。
私は、今後の東京都の審議会、部会の委員の選任に当たって、そういう視点に立って、本当に都民の実態、生の声、そういうものを生かせるような改善というのでしょうか、工夫というのでしょうか、そういうものを進めていただきたいと思いますが、その点について、提案も含めて申し上げているんですが、どのようにお感じか、もう一度お答えをお願いいたします。
○高橋労働部長 今回の部会は、学識経験者、事業主代表、労働者代表から構成されましたけれども、部会の委員としては、雇用の流動化や若年者就業、人材育成、多様な就業等の幅広い諮問内容に応じるために、おのおのの分野から、分野にふさわしい専門家に加わっていただいたことで、委員の皆様から大変有意義なご提言をいただけたと思っております。したがいまして、構成は適切だったと考えております。
なお、部会の検討結果は、その都度、欠席された方にお送りして、ご意見をいただきながら、次の部会の議論に提出することになっておりますので、何回も何回も開いておりますので、支障はなかったと考えております。
○河野委員 部長のご答弁はそういうことなんですけれども、私自身は、直接部会に参加させていただきまして、いろいろ感じたことがありましたので申し上げました。私だけではなくて、そういう感想を持っている方も恐らくいらっしゃると思いますので、改めて今後の問題として受けとめておいていただきたいというふうに要望しておきます。
次に、雇用情勢を深刻にしているのは、企業がリストラや解雇を進めていることにあります。特に大企業の責任は重いものがあります。私たちは繰り返し、雇用の安定のためには、まず第一に、今ある雇用を守ることが大事であることをいってまいりました。審議会でも、リストラ、解雇のバルブをきちんと締めることが大事であるという意見も委員の方から出されておりました。
国がヨーロッパ各国で制定されているような解雇を規制するような法律をつくることや、東京都も独自の条例をつくる工夫をしたり、労働者の権利を守るルールづくりを今進めていくことが必要だと考えます。大企業の本社機能が集中している東京だからこそ求められている対策だと思いますし、国を動かす力にもなっていくと感じます。
東京都は、失業者を出さない、今の雇用を守っていく、バルブを締めるという問題についてどのようなご認識をお持ちか、お伺いしておきます。
○高橋労働部長 いわゆる整理解雇につきましては、判例で示された解雇四要件、解雇の必要性があったとか、解雇を回避する努力をしたかとか、そういう四要件を満たすとともに、労働基準法など労働法規を遵守するよう、大企業を含めまして各企業に対し、セミナーや具体的な労働相談を通じて啓発指導を行ってございます。今後ともこれらの普及啓発に努めてまいりたいと思います。
○河野委員 それだけではなかなか解決しないのではないかと感じています。今、企業が一方的に行っているリストラや解雇を規制していかなければ、働く人たちは不安にさらされたままで、失業の増大も、なかなか改善の方向に向かないのではないかと感じています。国が企業のリストラ計画を認めれば、産業活力再生法で、税制、そして金融面などで優遇措置もとられているというのに、労働者は守られるものがほとんどないというのが現状じゃないかといえます。
また、サービス残業や長時間労働を改善することで、リストラを防げるだけではなくて、新たな雇用をつくり出せることが民間の経済研究所の調査などでも明らかになっております。
審議会の答申では、国の雇用の流動化を、リストラのあらしから労働者を守る対策を、そういうバルブを締める方向がなかなか見えてこないというのが私の率直な感想です。今ある雇用を守ること、そして、これ以上、リストラや解雇で苦しみを抱く都民を生み出さないように、東京都も知恵と力を尽くしていただくことを私は要望しておきたいと思います。
次に、青年の雇用についてお伺いいたします。
ことし五月、日経連と日本商工会議所が、若年雇用対策などの共同提言を政府に提出して、続いて六月、内閣府から若年フリーターについての国民生活白書が出されました。いずれも青年を取り巻く雇用不安と不安定雇用の深刻さを挙げて、日本経済を担う人材がこのままでは育成されないこと、経済の成長性の低下、社会保障制度の破綻、そして社会不安を招きかねないことなど、重大な国家的問題だという認識に立って、このものが出されています。
今回、東京都の答申に、青年の雇用対策が五つの柱の一つに据えられたことは本当によかったなということは感じております。しかし、本当に実効ある方向が示されているか、これが問われているのではないかと思います。
答申を見ますと、第1章でフリーターの意識動向について、六三%の人が正社員を試みたことがある、若者自身がフリーターを望んでいるとはいい切れないという文言があります。一方では、具体的施策について、第4章Ⅲに若者のことが書いてありますが、そこには、若者の意識の変化、パートやアルバイトなどの比較的拘束されない感じの労働、働き方を望んでいるというような言葉もあります。私は、これを読みながら、なぜ青年たちが正規雇用につけないのか、その根本的な原因について、もっと踏み込んだ分析をしていくことが必要だと感じています。
六月の国民生活白書では、新卒フリーターの増加には、大きく分けて企業側の要因と学生側の要因が働いているが、どちらかといえば、労働需要側、企業側の問題がより強い影響を及ぼしていると考えられると書いてあります。私は、東京都がとるべき第一の青年雇用対策は、企業に対して、新卒高校生や大学生の雇用抑制をやめて雇用を拡大することこそ求めることではないかと思います。
東京都として、日経連などの経済界に強力な申し入れ、要望を、青年の雇用の拡大について行うべきと考えますが、東京都はどのようにお感じでしょうか。
○高橋労働部長 都では、フリーターを含む若年求職者と求人企業が一堂に会する若年者就職面接会を、国や企業、経済団体と連携して開催しております。
また、国におきましては、本年六月、若者自立・挑戦プランを策定しまして、そこでは、産業界も含め政府、地方自治体が一体となって、雇用創出も含めた対策を講じていくこととしております。
今後、都としては、これらの施策や各分野との一層の連携を図りながら、若年者の雇用対策を進めてまいりたいと考えております。
○河野委員 東京都のフリーターの中で、六三%の人が正規で働きたいと思っているという統計が紹介されたことは今お話ししたんですが、一方で、国民生活白書は、七二・二%の若者たちが正規雇用を望んでいるというふうになっているんですね。一〇%ぐらい違いがあるんですが、数も見ますと、国民生活白書では、フリーター四百十七万となっています。都の答申では、東京には三十四万人のフリーターがいると。私は、国のようなフリーターの定義で調査をしていけば、東京でも、さらに多いフリーターの人数が数として出てくるのではないか。恐らく二倍に近い、七十万人に近い若年フリーターが東京に存在するということになってしまうのではないかと思っています。しかも、フリーターは、この数年増大しているのはご承知のとおりです。
青年の就労したいという願いが阻まれているその大もとに、新規採用を抑制している大企業の責任があるということをはっきりさせていくことが大事だと思います。この六年間の数字をとりましても、全国的には、中小企業は三万人の若年労働者をふやしているのに、大企業は百八万人も減らしていることも明らかになっています。日経連や日本商工会議所の共同提言は、情報提供や教育については若年労働者対策の方向性が出されていますけれども、企業が社会的責任を果たして雇用を創出するという観点については、ほとんど触れられていないというのが率直な印象です。私は、東京都がさらに熱意を持って、経済界、企業への働きかけを進めていただきたいというふうに思います。
国が今、若者自立・挑戦プランを推進していくというお話もありましたが、国に対しても、ぜひ東京都としての働きかけのご努力を改めてお願いしておきたいと思います。
最後にもう一点、お伺いいたします。東京都が青年の就労の場をつくるそういう計画を持てば、その分野はたくさんあるというのを私たちは感じているところです。今、少子高齢社会といわれておりますが、子育て支援の保育や教育、そして高齢者福祉の介護の場で働く人が多く求められておりますし、防災対策の強化がいわれている中で、消防の分野なども大切な雇用の場になるのではないかと考えます。
東京都自身がこうした分野への青年の雇用を創出していただきたいということを要望するものですが、お考えはいかがでしょうか。
○高橋労働部長 若年者の自治体における採用についてでございますが、本年三月の高校新卒者の求人状況を紹介いたしますと、全国平均が一・三倍程度であるのに対しまして、東京都の求人倍率は約四・七倍と件数が多く、他県とは大分違う状況になっておりまして、したがいまして、東京都における若年者の就業推進のためには、自治体における臨時的、短期的雇用よりも、民間部門での雇用を進めることが極めて大事であると認識しております。
〔発言する者あり〕
○河野委員 そのとおりという声も聞こえますが、私はそのとおりじゃないと思っています。東京都の求人倍率、全国平均よりも高いということですが、その多数は、フリーターといわれている人たちが相当数いるということに象徴されるように、不安定雇用という、パート、アルバイト、派遣労働、そういう分野での雇用が多いというふうに私たちはとらえております。ですから、正規雇用を望むという若者たちが、東京都で六三%、国が統計をとれば七二・二%、こういう状況がある中で、やはり安定した青年への雇用対策、希望が持てる雇用対策を創出していただかなくてはならないというふうに私は思っております。
最後に、審議会で述べた意見で答申に反映されなかったことで、幾つかの問題がありますので、その一部を申し述べて意見とさせていただきます。
失業した人への生活保障問題や、青年がキャリアアップしていくのに必要な職業訓練の充実が求められております。特に、技術専門校の倍率はずっと高どまりで、青年がキャリアアップを望んでも入校できないという状況が続いております。職業訓練中については、フリーターの人たちは雇用保険に加入しておりません。
したがって、訓練を受けている間、正規雇用から離職した人と違って、雇用保険の給付がない、そして技術専門校の門戸が狭いこと、訓練を受けるには生活不安があることなど、若年労働者にとっての解決されなくてはならない問題が私たちの前にあるということを申し上げておきたいと思います。
また、答申に対して、都民の意見の反映の問題ですが、保育について、認証保育や企業内保育については答申の中に記述されております。しかし、都民要望の中には、公立園や認可保育園での保育を充実させてほしいという声もあった中で、こういう問題については、実際には答申に載せられておりません。これは私は問題だと思います。
保育施設を民間シフトに移す方向、そして、同じように、職業訓練についても民間依存の色合いが強く出されております。都民のための諸施策を民間に任せる方向へ進めるのではなくて、自治体の責務として、東京都が安定的雇用のために、都民の要望に沿って施策を充実させていく必要があると本当に痛感しています。
国が進める雇用の流動化をそのまま受け入れて、民間依存の流れを強める方向では、都民の切実な要望にこたえることにはならないし、抜本的な雇用難の解決にならない、そのことを申し上げて質問を終わります。
○三宅委員長 お諮りいたします。
報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時十分散会
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