委員長 | 三宅 茂樹君 |
副委員長 | 初鹿 明博君 |
副委員長 | 田島 和明君 |
理事 | 中西 一善君 |
理事 | 丸茂 勇夫君 |
理事 | 前島信次郎君 |
谷村 孝彦君 | |
河野百合恵君 | |
土持 正豊君 | |
中屋 文孝君 | |
野村 有信君 | |
川島 忠一君 | |
尾崎 正一君 |
欠席委員 一名
出席説明員産業労働局 | 局長 | 有手 勉君 |
総務部長 | 山口 一久君 | |
監理団体調整担当部長 | 安藤 立美君 | |
産業政策部長 | 乾 敏一君 | |
産業政策担当部長 | 松田 二郎君 | |
商工部長 | 大原 正行君 | |
参事 | 泉本 和秀君 | |
参事 | 鹿島 博之君 | |
農林水産部長 | 矢口 貴行君 | |
参事 | 馬場 安男君 | |
労働部長 | 高橋 勝君 | |
地方労働委員会事務局 | 局長 | 立花 壯介君 |
本日の会議に付した事件
地方労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出 地方労働委員会事務局所管分
産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 産業労働局所管分
・第七号議案 平成十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第八号議案 平成十五年度東京都農業改良資金助成会計予算
・第九号議案 平成十五年度東京都林業改善資金助成会計予算
・第十号議案 平成十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第九十七号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第九十八号議案 東京都地域中小企業振興センター条例の一部を改正する条例
・第九十九号議案 東京都森林整備地域活動支援基金条例
・第百号議案 東京都労政会館設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十一号議案 地方自治法等の一部を改正する法律による改正前の地方自治法第二百四十二条の二第一項第四号の規定による訴訟に係る費用の負担について
○三宅委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、地方労働委員会事務局及び産業労働局関係の予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより地方労働委員会事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算のうち、歳出、地方労働委員会事務局所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際資料要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で地方労働委員会事務局関係を終わります。
○三宅委員長 これより産業労働局関係に入ります。
理事者の欠席について申し上げます。
帆刈観光部長及び前田参事は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がございました。ご了承願います。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算のうち、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第七号議案から第十号議案まで、第九十七号議案から第百号議案及び第百三十一号議案を一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について、理事者の説明を求めます。
○山口総務部長 去る一月三十一日の当委員会におきまして、平成十五年度予算案及び条例案等に関しまして要求がございました資料をお手元に配布してございますので、その概要をご説明申し上げます。
お手元の資料1の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいと思います。
要求のありました項目は十七項目でございます。順次内容をご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。一ページから次の二ページにかけまして、失業動向の推移をお示ししてございます。
一ページは年齢別完全失業率の推移でございまして、過去十年間を示してございます。上の表から、全国、南関東、東京の順に記載してございます。東京におきましては、平成十四年平均の完全失業率は五・六%でございます。
二ページに参りまして、全国の失業期間別失業者数の推移でございます。
平成十四年におきましては、第一から第三・四半期の平均の完全失業者数が三百六十四万人になっております。
次に、三ページをお開き願いたいと思います。都内信用金庫の合併状況と都内信用組合の破綻処理状況でございます。
都内信用金庫の合併につきましては、平成九年度から十五年一月までで、十一件の合併がございました。また、都内信用組合の破綻処理につきましては、平成九年から十三年度までに、計二十八件であります。
四ページをお開き願いたいと思います。工業集積地域活性化支援事業の実績でございます。
平成八年度から十二年度までの五カ年で、毎年度四地区ずつ、計二十地区の指定を行いました。平成十三年度までは実績を、平成十四年度は交付決定額を、平成十五年、十六年度は計画額を記載してございます。平成十四年度は、十二区市に対して約一億一千三百万円の交付決定を行っております。
五ページをお開き願いたいと思います。大規模小売店舗立地法に基づく各種届け出状況の推移でございます。
平成十四年度は一月末現在で新設届け出が二十八件、店舗面積や営業時間等、既存店の変更届け出が百三十七件、廃止届け出が六件などで、合計百七十八件となっております。
六ページをお開き願いたいと思います。中小企業制度融資の保証状況と中小企業制度融資の預託金と代位弁済額の推移でございます。
まず、上の表の制度融資の保証状況におきましては、平成十三年度実績が件数で十七万九千九百四十二件、金額で約一兆八千九百十八億円でございます。
次に、制度融資の預託金と代位弁済額の推移でございますが、平成十三年度実績は、預託金二千四百四億円、代位弁済は件数で一万五千八百二十六件で、金額で約一千四十億円でございます。
七ページをお開き願いたいと思います。平成十四年度年末金融対策の実績でございます。
(1)といたしまして即応型資金融資、略称つなぎの実績をその下に、(2)といたしまして企業活性資金融資、略称借りかえの実績を記載しております。なお、期間につきましては、記載のとおり、平成十四年十月二十一日から十二月末まででございます。
(1)の即応型資金融資の実績は、目標額三百億円のところ、件数一万五千八百二十件、融資額六百十億円でございます。
(2)の企業活性資金融資の実績は、目標額二百億円のところ、件数千六百三十五件、融資額二百四十九億円でございます。
そのほか、表の下に記載のとおり、複数借入金の一本化等を含めた年末金融対策を実施しております。
八ページをお開き願いたいと思います。金融相談の件数及び相談内容でございます。
平成十四年四月から十二月末までの実績を記載してございます。表上段にございますとおり、相談件数一万二千六百件、うち電話による相談が六二・九%、来庁による相談が三七・一%となっております。
相談内容は、創業支援融資や小規模企業向け長期資金融資に関する相談などでございます。
九ページをお開き願いたいと思います。過去十年間の貸金業者に係る苦情相談件数等の推移を記載してございます。
表最上段、苦情相談件数は平成十三年度で一万一千四百三件、平成十四年度は十二月末で既に一万七千七百九十五件でございます。同じく平成十四年十二月末現在で登録業者数は六千八百九十三業者、立入検査件数は八百十一件となっております。
一〇ページをお開き願いたいと思います。過去十年間の労働相談件数の推移と主な相談内容でございます。
件数は平成十三年度で五万二千四百四十五件、相談内容につきましては、主な項目を一位から三位まで記載してございます。
一一ページをお開き願いたいと思います。緊急地域雇用創出特別基金事業の計画、実績及び事業内容でございます。
(1)では、計画及び実績を示してございます。平成十三年度実績は金額で約二億九千百万円、平成十四年度計画は金額で約八十九億七千七百万円となっております。
(2)は、都及び区市町村の主な事業内容でございます。
一二ページをお開き願いたいと思います。過去二年間の若年者の雇用対策とその実績でございます。
(1)から(4)までの四つの事業の過去二年間の実績を記載いたしました。
(3)の若年者合同就職説明会におきましては、平成十四年度は千四百人近い参加があり、参加企業は三百二社でございます。
また、(4)にございます職業訓練におきましては、平成十三年は就職率八五%でございました。
一三ページをお開き願いたいと思います。過去五年間の高齢者就業対策の実績でございます。
(1)から(4)までの四つの事業の過去五年間の実績を記載しておきました。なお、(4)のはつらつ高齢者就業機会創出支援事業を本年度から実施しているところでございます。
一四ページをお開き願います。平成十五年度の職業訓練等の新規事業内容でございます。
まず、(1)のナイトスクールの開設でございますが、〔1〕の技術専門校での実施につきましては、専門校の求職者訓練において応募率が高く、就職率のよい科目について夜間にも実施することにいたしました。
また、(3)の東京ものづくり名工塾につきましては、大田、立川に加え、板橋技術専門校にも新設いたしました。
一五ページをお開き願います。過去五年間の都立技術専門校の定員及び応募率でございます。校別に示してございます。
右下の平成十四年度の合計欄にございますように、今年度の全校合わせた定員は七千三百二十人、平成十五年一月末現在の応募者数一万七千百七十五人についての応募率は二三六%でございます。
一六ページをお開き願いたいと思います。過去五年間の委託訓練の定員数及び応募率でございます。
右下の平成十四年度の合計欄にございますように、今年度の全校合わせた定員は一万一千四百九十八人、平成十五年一月末現在の応募者数一万一千七十七人についての応募率は一一七%でございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○三宅委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、予算案及び付託議案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○中屋委員 それでは、私の方から、商店街振興対策につきまして質問させていただきたいと思います。
本来であれば、三宅委員長、この商店街事業につきましてはスペシャリストでありまして、ただ、お立場がありまして、かわりまして、私の方から質問させていただきたい、このように思っております。
商店街振興は、この平成十五年第一回定例会におきまして、我が党は、まず代表質問で山崎幹事長が取り上げるなど、多くの質問が集中した関心の高い都政の課題であり、都民の方々にも都における産業振興の柱であることがかなり浸透したのではないかと思っております。この経済・港湾委員会におきまして、さらに踏み込んだ質問をさせていただきます。
新元気を出せ商店街事業は、我が党がつくり上げた元気を出せ商店街事業を核に、地域実態に沿うように事業の拡充を図った総合支援事業でありまして、都としての商店街振興にかける意気込みを形にしたものと考えております。
また、単年度扱いの事業として不安定な取り扱いでありましたイベント支援を経常的な事業と位置づけまして、長期的な取り組みに対応できるようにしたことも大きな前進と考えております。
ところで、その内容につきまして、区市町村と調整中のことでありますが、はっきりしないところもございます。その一つが、事業規模の拡大であります。補助限度額の引き上げにつきましては説明を受けておりますが、規模の拡大は総額も大切でありますけれども、回数と対象も考慮すべきであります。現行では、補助対象のイベントは年一回に限られておりますが、もっとやりたいという意欲ある商店街もあるのではないでしょうか。
また、商店街のみに限らず、その連合会などにも対象を広げてほしいという声も聞いております。補助するイベントの回数や対象についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
○泉本参事 元気を出せ商店街事業によるこれまで五年間の実績を踏まえまして、イベント事業への支援は、商店街の活気を取り戻し、イメージアップの効果があったなど評判も高く、内容の充実や機会をふやしてほしいなどといった要望が多く出ております。
新元気を出せ商店街事業では、こうしたイベント事業に対する大きな効果あるいは要望を踏まえ、平成十五年度は、一商店街当たりの回数は二回まで補助とさせていただきたいと思います。
また、イベント事業の対象については、これまでの元気を出せ商店街事業では個々の商店街に限定しておりましたが、新元気を出せ商店街事業では、新たに商店街の連合会や商工会議所あるいは商工会についても対象に加えてまいります。
○中屋委員 大変ありがたいお話をいただきまして、回数は二回、また商店街連合会、商工会議所についても対象にするというようなお答えをいただきました。ありがとうございます。
総額も回数も対象も拡大するとのことでありますが、大いに元気づけられる商店街も多いと思われます。きちんと広報をしていただきたいというふうに思います。
しかし、事業内容の広報につきましては注文があります。私は実際に商店街に足を運びまして、さまざまな話を聞くことで、多くの商店主の方々が、元気を出せ商店街事業が都の事業であることを知らないということに驚かされました。補助金の支給が区市町村を経由して行われるとはいえ、いつの間にか完全に区市町村の事業として位置づけられてしまっているわけです。
そこで、伺いますが、元気を出せ商店街事業であるにもかかわらず、区市町村独自の別の名称に直して実施している区市町村はどのぐらいございますか、お伺いいたします。
○泉本参事 元気を出せ商店街事業の名称につきましては、四区五市が元気を出せ商店街事業とは異なる名称を使用してございます。
○中屋委員 それでは、元気を出せ商店街事業を紹介する文書に、都の事業であることを全く示していない区市町村はどのぐらいございますか、お伺いします。
○泉本参事 元気を出せ商店街事業におきまして、都の事業であることを示していない区市町村は四区八市四町村ございます。
○中屋委員 問題は、単なる名義の問題ではないのであります。事業名称を変えたり、事業の募集や説明に使う文書に東京都の事業であることを全く示していないという事態は、その事業の意義や目的がしっかりと商店街に伝わらないというだけでなく、効果的な事業展開のためのきっかけや広がりを失うことも考えられるわけであります。これは大きなマイナスです。
我が党の代表質問で問いただした都のイニシアチブの発揮は、単なる願望ではないわけであります。今後、都が責任を持つべき事業であることを明示させるべきと考えますが、見解を求めます。
○泉本参事 新元気を出せ商店街事業は、都の事業として実施をするに当たりまして、都と地域の実情に精通した区市町村と協力をしながら、商店街を支援していくことが重要でございます。その意味で、区市町村が商店街に事業を説明するに当たりまして、都の事業であることを表示することも重要であると考えております。
今後、東京都の補助事業である旨を区市町村の商店街向けの募集文書や通知文書に明記し、また、商店街への説明会などでの周知を図るよう、区市町村に積極的に働きかけてまいります。
○中屋委員 商店街振興における区市町村の対応には、実に大きな温度差がございます。残念ながら消極的な区市町村にあっては、都の事業であることを明示すると、ますます腰を引いてしまうところが出るかもしれません。区市町村の積極性を引き出す働きかけもぜひとも進めていただきたいのですが、いかがでありましょうか。
○泉本参事 商店街の振興には、商店街の自主的、自立的な課題解決への取り組みが不可欠でございます。その上で、地域の実情に精通した区市町村と連携して、都が支援していく必要があろうかと思います。
このため、東京都は、区市町村の商店街振興プランづくりを支援するなど、積極的な取り組みを進めてまいりました。今後は、区市町村への事業説明会、事業実施に当たっての事前のヒアリングあるいは区市町村職員の研修会の機会などを用いて、区市町村の商店街に対する積極的な取り組みを働きかけてまいります。
○中屋委員 ぜひ積極的にお願いをしたいというふうに思っております。
区市町村が積極的に対応しない理由の一つは、審査の複雑さがございます。確かにイベント事業では、補助対象の品目が多岐にわたるだけでなくて、その目的によっても、補助の対象となるのかならないのか、分別しなければなりません。解釈の相違も生じやすいと考えます。できるだけ現場職員が的確な判断ができるように、審査マニュアルの作成などに努めるべきと考えますが、いかがでありましょうか。
○泉本参事 新元気を出せ商店街事業は、都の事業として実施してまいります。その手続におきましては、区市町村を通じて補助金の申請や支払いを行うものでございます。したがいまして、事業の実施に当たりましては、区市町村の職員が事業内容を正確に把握し、効率的な手続を進めることが肝要かと存じます。
今後、的確な業務の遂行に役立つよう、現行よりさらに詳細なマニュアルなどを作成するとともに、補助金申請用紙にも工夫を加え、区市町村の負担軽減に努めてまいります。
○中屋委員 いろいろと調整も大変でありましょうが、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。
また、広報と並んで大きな課題は、専門家の活用であります。さきの我が党の一般質問で、高島議員による商店街の企画立案力の向上についての質問に対しまして、専門家による指導の効果が高いと、あえて局長が答弁をされました。
その専門家は具体的にどのような人を指すのでありましょうか。弁護士や税理士から、デザイナーやコンサルタントなどに至るまで、幅広く据える必要があると思いますが、事商店街についていえば、地域特性の把握や親しみやすいという、身近に感じることのできる専門家が何よりも必要であります。
中小企業診断士はそうした地元密着の側面を持ちつつ、分析から助言まで、今日の商店経営に求められている客観的な経営指導を行うことのできるプロでありますし、その団体である中小企業診断協会は、既に独自の取り組みとして、無料で診断士を派遣する商店街支援の事業を始めております。
そこで、私は中小企業診断士や中小企業診断協会をもっと積極的に活用すべきと考えますが、見解を求めます。
○泉本参事 中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断、助言を行う国家資格を持つ専門職であり、平成十二年に中小企業指導法が改正され、中小企業支援法となったことに伴いまして、単なる経営診断のみではなく、企業の実態に合わせた総合的な支援を担うとされてございます。
また、中小企業診断協会は、中小企業診断士を会員にした産業支援の団体として、東京都はこれまでも商店街マネジメント力強化支援のための調査を支援してまいりました。今後、新元気を出せ商店街事業においても、商店街が事業の企画の相談者として中小企業診断士を活用することも想定されます。
また、進め若手商人育成事業において、同協会と連携のもと、中小企業診断士を商店街に派遣する専門家チームの一員としたり、商店街リーダー養成研修のコーディネーターとしても活用するなど、機会があろうかと思っております。
○中屋委員 商店街は潤沢な、要するにいっぱい資金を持っているわけではないんです。イベントに要した支払いを立てかえておくのは大変であります。ある商店街振興組合の新年会で、地元の金融機関がその融資をしますと売り込んできたそうですが、役所がもたもたすることによって、金融機関のもうけ口をつくっているようなものであります。借りれば、利子を払わなくてはなりません。実際の補助金支出が遅いということは、そんな余計な金を商店街に負担させているということになるわけであります。
新元気を出せ商店街事業は、来年度の新規事業として大きな期待が寄せられていますが、新規事業のやり方が、旧来の手法では画竜点睛を欠くといわれても仕方がありません。補助金支出に係る期間の短縮に向けて、大幅な改善に取り組むべきであります。新年度からの事業スタートに向けて、検討の途中でも結構でありますから、改善策の一端を示していただけないでしょうか、お伺いします。
○泉本参事 改善策の一端のご質問でございますけれども、これまで区市町村からの実績報告を、年四回の期日を設定して受け付けてまいりましたが、今後、この回数をふやし、事業実施から商店街に支払われるまでの期間を短縮するよう改善してまいります。
また、区市町村と重複している事務の簡素化や効率化を図り、あわせて区市町村に対しても、支払い事務の時期などについて積極的な措置を講ずるよう協力を求めてまいります。これらによりまして、商店街に補助金が支払われる期間の短縮化に取り組んでまいります。
○中屋委員 もうすぐ新年度であります。大きな期待を受けた商店街振興の新たな一ページがめくられようとしておるわけであります。商店街に心から喜ばれる振興策となるよう、産業労働局の皆さんの奮闘努力を心から期待するとともに、局長みずからがどのような形でリーダーシップを振るわれようとされているのかお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○有手産業労働局長 商店街振興は東京の産業振興の重要な柱の一つであります。今回の施策の再構築や予算の増額による事業の拡大は、商店街の一層の活性化のための重要な節目であると考えております。
この新元気を出せ商店街事業をより多くの商店街が効果的に活用し、積極的に事業展開を図ることを強く望んでおります。今後、私みずからも商店街に足を運びまして、多くの方々と触れ合う機会もふやし、また、区市町村との連携を深めるとともに、関連する諸機関との協力関係も積極的に広げまして、商店街の一層の発展に寄与するように精いっぱい努力してまいります。
○土持委員 今回、第一回定例会の中での常任委員会でありますが、毎回、定例会を迎えるたびに、東京の中小企業の問題が大変大きな課題になって議論が交わされるわけですけれども、なかなか目に見える効果というのは出にくい、そういう状況にあるんじゃないかと思います。
中小企業の現状を考えると、何とかしなくちゃならないという思いが非常に強いんですけれども、局の皆様も英知を絞って、いろいろ形をつくり、何とかしようという思いがうかがわれるんですけれども、なかなかこれだというのが見つからないのが現状じゃないかと思います。
その一つはやはり金融の問題なんですけれども、鹿島参事と定例会のたびごとにいろんな話をさせていただいたり、何かいい方法がないかという思いで協議をしてきているわけですけれども、ぎりぎりのところまで今支援は行っているという、私もそういう認識ですけれども、局の認識もやっぱりぎりぎりのところじゃないかな、こういう状況で、今定例会の打ち合わせもさせていただいたわけですが、これで限界だという局の考え方は、質問する私もそうですけれども、脱皮していかなくちゃならないんじゃないかと感じるんですね。
これでいいという状況は、中小企業の皆さんがある程度再生を図ったり、あるいは事業の運営がもう少し持ちこたえられるとかという希望が出たときに初めて、これでいいんだという判断になるんじゃないかと思うんですが、その過程においては、何といっても、全力の取り組みをしていかなくちゃならない、これ以上できないという言葉は、私たちにあってはならないんじゃないかというふうにつくづく今感じるわけです。
自分自身が考え、相当突っ込んだ施策の中で議論ができればいいんですけれども、なかなかそういう時間もない中で、局の皆さんに知恵をかりなくちゃいけないわけですが、そういう思いでこれからの産業労働行政というのは取り組んでいかなくちゃいけないなというふうに思います。
きょうは金融問題じゃなくて、一つだけ、中小企業の再生支援ということで質問させていただきたいと思いますけれども、そういう思いを、ぜひ議会の方も行政の方も同じ思いでこれから取り組んでいきたいということを前置きといたしまして、質問を若干させていただきたいと思います。
今東京の商工会議所あるいは商工会連合会の皆さんが大変尽力をしております、いわゆる経営安定特別相談室の運営についてであります。国の方も、中小企業に対してできるだけ相談が可能になるようにということで、いろんな制度も、また新しい体制もつくりながら提供しようとしているわけですけれども、幾つかあるそういう労働問題というか、企業の再生にかかわる相談をする窓口が、どうも中小企業の側から見たら、どこへ行ったら一番いいのかという適切な場所がなかなか判断がつきにくい。
また、お互いの形ができて、商工会議所は商工会議所でいろいろやっている。国から出てまいりました中小企業の再生支援協議会が新たにできましたけれども、そこはどういうふうになっているのかとか、横の連携について簡単にわからないという声もあるわけですけれども、この経営安定特別相談室と類似の機能として中小企業振興公社の相談の窓口、それから今回国で中小企業再生支援協議会というのが新たにできたんですけれども、どのような形で連携をとって、中小企業の再生に期するかということを、まずお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○大原商工部長 ご指摘のように、企業の再生に向けて三つの機能が並立することになります。これらの機能が重複をしたり、あるいはたらい回しをすることがないように、十分な連携を図って企業再生に取り組んでいくように、積極的に都としても支援をしてまいりたいと思っております。
○土持委員 積極的に支援するというのはよくわかるんですけれども、地元に帰ったときに、こういう問題はここがいいよとかということで、もう少し具体的に説明ができるような答弁をしていただけますか。
○泉本参事 中小企業再生支援協議会は、現在その立ち上げに向けて準備が進められております。その意味で、先ほど来お話が出ております、これまで行われてきた幾つかの相談機能などと重複がないように進めていくことが大事かと思っております。公社とともに連携を図りながら、この協議会の制度の周知を皆様にしっかりと図ってまいりたいというふうに存じております。
○土持委員 周知はよくわかるんですけれども、連携というのは周知の徹底でいいのかもしれませんけれども、相談に行った場合に、適切な場所にたどり着くかどうかというのは大きな問題だと思うんですね。その辺はもうちょっと具体的に説明できませんか。
○泉本参事 現在、相談機能については三つあろうかと存じております。東京商工会議所で行っております特別相談機能でございます。それから、私どもの中小企業振興公社で、ワンストップサービスという形で総合相談窓口がございます。さらに、今回予定されております中小企業再生支援協議会、こちらでも相談窓口を設けていると聞いております。
特にこの再生協議会におきましては、今後みずからの力で再生できる中小企業であるのか、あるいは関係者の支援を受けて再生する中小企業であるのか、あるいは法的措置により再生をしていく中小企業であるのか、こういったご相談にも乗っていくと聞いてございます。
これらの三つの機能、つまり商工会議所の特別相談室あるいは中小企業振興公社の総合相談窓口、そして今申し上げました再生協議会の相談機能、この三つが効果的に発揮されますように努めてまいりたいと思います。
特にこの再生協議会につきましては、その内容に関しまして、現在、東京商工会議所を中心に協議をしております。その中に東京都としても参画しながら、整理をしていきたいと思っております。特にこの中小企業再生支援協議会につきましては、東京都が全体会議という場に参画をしてまいります。その場におきまして、積極的な連携を図れるように準備を進めてまいりたいと存じます。
○土持委員 経営安定特別相談室でも商工会議所に力をかりながらやっていかなくちゃいけない。また、これからできる中小企業再生支援協議会の中にも商工会議所が入ってきているという状況の中で、要するに自分がどこへ行ったらいいのかということが--同じ内容でやっているんじゃないかというふうに思うんですね。中小企業再生のためにということなんだけれども、どうしてもいまいちわかりにくいところがあるんですね。
ちなみに、経営安定特別相談室に持ちかけられた相談の件数があるかと思いますけれども、三年分ぐらい紹介してもらえますか。
○泉本参事 過去三年分の相談件数でございますけれども、十一年度は百二十二件、十二年度は二百件ちょうど、十三年度は二百三十三件、この数字が経営安定特別相談室に持ち寄られました相談件数でございます。
○土持委員 そうすると、経営安定特別相談室の相談の内容を見ますと、だんだんふえている傾向にあるわけですね。その中で、特に倒産回避ができた会社が大分あるわけですけれども、相談の内容によって整理をしなくちゃならないという会社も、事業所もたくさんふえてきているわけです。中小企業振興公社ではどのような形で相談を受けて、どのぐらいの件数になっているか、相談件数はわかりますか。
○泉本参事 中小企業振興公社では、ワンストップという形で総合相談窓口を設けてございます。きょうは手元に数字はございません。恐縮です。
○土持委員 いずれにしても、同じように中小企業再生のためにつくった窓口でありますので、ぜひそれぞれのセクションが連携をとり合って、いい相談をしていただきたいということを念願したいと思います。
中小企業の方が相談に行くときに、さっきも中屋先生、お話がありましたけれども、やっぱりPRの部分がかなり欠如しているんじゃないかというふうに思うんですね。今どういうふうにこのPRについては対応しているか、示してもらえますか。
○泉本参事 相談窓口の周知につきましては、中小企業振興公社におきましてはホームページ、あるいは東京商工会議所におきましてもホームページ等で周知をしてございます。
○土持委員 相談窓口にたどり着くまでの間、やはり中小企業の皆さんは大変な思いをしてたどり着いたんじゃないかという感じがいたします。実際には、先ほど相談の件数を示していただきましたけれども、現実にはもっとたくさんの企業が相談をしたいというふうに願っているんじゃないかと思います。こういう場合はすぐに相談に行けるんだという認識を中小企業の皆さんが持てるような、積極的なPRがぜひ必要かと思います。
今やっているPRの方法、これからさらにこういう方法をやりたい、そういう希望を持てる答弁があれば、お示しいただきたいと思います。
○泉本参事 周知の徹底ということでございますけれども、中小企業振興公社のホームページあるいは東京都のページ、そして商工会議所のホームページ、これらが共通するような内容で、今回のこの再生支援協議会の中での相談がよくわかるような形で組みかえしていく、このような点も検討してまいりたいと思います。
また、こういったホームページになかなかアクセスできない方々も多かろうと思いますので、チラシの配布あるいは新聞による徹底、これをこの協議会が立ち上がった時点で、しっかりと進めてまいりたいと思います。
○土持委員 中小企業の振興公社とか、あるいは商工会議所とか、ホームページとか、そこに任せ切りじゃなくて、中小企業の側に立った優しい周知の方法を、今の答弁じゃまだなかなか周知できないんじゃないかと思いますので、もう一ひねりぜひ考えていただきたいというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。
○初鹿委員 先ほど中屋委員からも質問がありましたけれども、商店街の活性化について何点か質問させていただきます。
いうまでもなく、商店街は、地域経済を支え、雇用を創出する役割や、地域コミュニティを維持し、住民の生活の場を提供するなど、地域にとって非常に重要な役割を担っていると認識をしております。昨今、地域のコミュニティが崩壊の危機にさらされているということをかんがみますと、商店街が活力を取り戻していくということは非常に大きな意義があるというふうに考えています。
今回、従来は単年度で行われてきた元気を出せ商店街事業を、活力ある商店街育成事業などと統合して、継続的な事業として、また予算も倍増して、新元気を出せ商店街事業に再編したということは、非常に評価をするところでございます。この再編によって得られるメリットを十分に活用して、今後事業展開をすべきだと考えるわけですが、これまでとは異なる事業が多く行われなくては意味がない、そういう観点で、これまでの総括も含めて、何点か質問させていただきます。
まず、さきの代表質問によりますと、区市町村の職員を対象として、先進事例の研究をする研修会を開催すると答弁をしておりますが、これまでの元気を出せ商店街事業や活力ある商店街育成事業で、成功したと見られる事業例がありましたら、具体的な商店街を挙げて、どのような効果が具体的にあったのか、幾つか示してください。
○泉本参事 元気を出せ商店街事業の例につきましては、大田区の京浜蒲田商店街協同組合が、商店街の手づくりのイベントとしてハロウィン大会を継続して実施しており、イベントの浸透により、地元だけではなく、他県からの参加も得て、地域の伝統的な催しとして、商店街のイメージアップにつながっております。
また、個性あるイベントの例といたしましては、江東区の深川資料館通り商店街協同組合で、かかしコンクールの実施によりまして、商店街組合員間の結束が高まるとともに、店当主がより目を引くかかしをつくろうと競い合うことで、商店街全体のにぎわいに効果があった。
活力ある商店街育成事業につきましては、商店街振興組合府中三十五番街が、街路灯、シンボル灯、フラッグなどの環境整備事業を実施し、夜は薄暗いという印象を持たれていた商店街の大幅なイメージアップにより、商店街のにぎわいの再生と集客力向上を図っております。
○初鹿委員 イメージアップという言葉が二回出てきましたけれども、イメージアップというと、以前はこういうイメージで、その事業実施後こういうイメージになって、その結果どうなったかというのが必要だと思うんですが、まあイメージがアップしたと。どういうイメージがアップしたのかよくわからないんですけれども、何となく評価の仕方が印象の域を出ていないな、客観性に乏しいんじゃないかなというふうに感じるんですね。
できれば、商店街を、その事業を行った結果、訪れる人数がこれこれこれぐらいの数字でふえたとか、売り上げが伸びたとか、そういう数字で出せるような評価というものもすべきではないかなというふうに考えるわけなんですが、今回、新元気を出せに再編したわけですから、今後は、こういった事業の効果というものをしっかりと検証していく必要があるというふうに感じます。
さきの代表質問でも指摘をいたしましたが、今回の再編によって、従来はイベントのみの元気を出せだったんですが、これからは、ハードの支援やソフトの支援も両方整備とリンクをして行うことができるわけで、例えばアーケードの整備とあわせて何かイベントをやるとか、ポイントカードの導入とあわせてイベントをやるとか、そういうことができるわけですね。
また、これは私のアイデアなんですが、例えば商店街でホームページを立ち上げて、そのホームページに何かマスコットキャラクターなんかをつくりまして、そのキャラクター商品を各商店で売り出す。例えば傘屋だったら、そのマスコットが載っているような傘を、洋服屋さんだったらTシャツを、そういうこともできるわけですね。
その結果どうなったかということがやはり必要になってくるわけで、本当に新しい取り組みが行われるわけですから、それぞれの事業がその後どうなっていったか、経過を三年ぐらい追跡調査をして、成功した事例、またうまくいかなくて失敗してしまったなという事例を蓄積していく努力をしなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○泉本参事 新元気を出せ商店街事業における事業実施の効果に関する調査については、この事業がこれまでの単年度事業から継続的な事業として位置づけられたことを踏まえまして、実績報告の機会の活用などにより、経年的に実施していく必要があると認識しております。
今後、商店街空き店舗活用推進事業において、経年的な事業効果測定を実施した例も参考に、区市町村の協力を得ながら、事例の蓄積に努めてまいります。
○初鹿委員 なぜこのようなことをいうかといいますと、実施する事業の中身は、区市町村と商店街の自主性にかなりゆだねられているわけですね。そうしますと、先進事例の研修会を行うと先ほどもいいましたけれども、今までの要はイベントはイベントでやった事業、ハードの整備はハードでやった事業、そういうものの事例を研究するわけで、そうなると、区市町村から出てくるのはどうしてもそういう事例に引きずられるんじゃないかなと思うんです。
新しいハードの整備とイベントを組み合わせるとか、何かそういう工夫というのがなかなか出てこないんじゃないかなという懸念をするわけで、そういう意味で、従来どおりの事業しか出てこないのではもったいないということで、しっかりと事業の評価をしてもらいたいという趣旨でいっているわけでありまして、また、東京の商店街はさまざまありまして、観光地のような大きな商店街もあれば、小さな、本当に地域に密着しているような商店街もあります。規模や立地条件によって、効果のある事業というのは全く違うんじゃないかなと思うんですね。
ですから、どういう事業がどういう大きさの商店街には適切かということがわかるように、検証をしなければならないと思うんです。これから新しい取り組みをやっていこうという商店街が、そういう先進的な、うまくいった事例を参考にして、よりいい事業が行えるようにするべきだなということで、こういうことをいわせていただいているんです。
それで、私からの提案として、新元気を出せ商店街事業、その支援によって成功した商店街を、例えば私の名づけた名称なんですが、元気が出たモデル商店街、そういう名前を付して公表していく制度を設けるなんということも、今後、ことしすぐということではないけれども、五年先、三年先、検討していただければなと思うんですが、いかがでしょうか。
○泉本参事 都内商店街の活性化に資します工夫やアイデアが生かされた商店街の先進的な取り組みにつきましては、これまでも商店街活性化事例集を作成し、その普及に努めてまいりました。
新元気を出せ商店街事業におきましても、商店街の多種多様で意欲的な取り組みを一層促進させるため、先進的な事例の蓄積、分析、その紹介など、ご提案の趣旨を踏まえた対応に努めてまいります。
○初鹿委員 できれば、何という名前でもいいんですけれども、元気が出たモデル商店街とか、そういう名前をつけることによって、これから事業をやろうという商店街が、じゃ、自分もそういう名前をつけられるように努力しようというふうに、イニシアチブというんでしょうか、が出てくるんじゃないかなと思うんですね。
こういう蓄積した事例については、成功した例というのは皆さんも公表しやすいのかもしれませんが、私は、できればうまくいかなかった例、効果がさほどなかった例というのを積極的に示していく必要があるんじゃないかなと思うんです。
例えば小さな商店街でホームページを立ち上げました。つくってみたけれども、よくカウントを見てみると、関係者しか見ていないな。また更新にも非常に手間がかかって、一年たったらもう挫折してしまったなんということも今後起こり得るんじゃないかなと思うんです。
では、そういうのをそのままにしておくんじゃなくて、何でそうなったのか、また改善の余地があったんじゃないかとか、そういう検証をしっかりすることによって、また同じような商店街が、うちはホームページをつくりたいんだけれどといってきたときに、その事例があれば、これはもしかしたら失敗するかもしれないなという参考にもなるでしょうし、また都の方に上がってきたときに、東京都の方からも、これは過去にこういう例がありますけれども、その辺は大丈夫ですかという、指導というわけではないですけれども、サジェスチョンができるんじゃないかと思うんですね。
ですから、うまくいかなかった例というものも積極的に示すということについては、いかがでしょうか。
○泉本参事 新元気を出せ商店街事業の実施に当たりましては、区市町村と連携し、事前のヒアリングや交付申請の機会を通じまして、十分な効果が発揮されるよう推進してまいります。
しかしながら、結果として効果がさほど出なかった例などにつきましても、事例の蓄積を図り、その課題を整理しておくことも重要かと思います。そうした調査結果についても商店街にお知らせし、高い効果を出せる事業となるよう努めてまいります。
○初鹿委員 ぜひ、今回十五億円でしょうか、これだけの予算をかけて、継続的に事業が続けられるわけですから、金がむだにならないように、こういう実績というものを蓄積していっていただければなと思います。
それでは、次の質問に移りますが、きょうの資料要求で出てきました労働相談件数の推移というものを見させていただきまして、これだけ不況が続いている中で、本当に雇用問題、失業問題、深刻なんだなというふうに感じております。
この労働相談の件数も、昨年、十三年度は五万二千四百四十五件でしょうか、毎年だんだんと増加している傾向にあるんだなと思います。また、相談の内容についても、解雇、賃金不払いというものが多くなっていて、非常に深刻だなというふうにうかがえます。
こういう厳しい労働環境を反映してでしょうか、職場でのさまざまなトラブルによる労働者の心の病の深刻さというものが、何カ月か前の新聞でも報道されておりましたけれども、労政事務所にも相談で多く来ているということでありますが、こういうメンタルヘルスに関係するような相談というのは、どのくらいあるんでしょうか。
○高橋労働部長 相談内容では、雇用、労働条件などの相談に付随しまして、お話のような、相談者が精神状態が不安定あるいは不安感にさいなまれている等の精神的な問題を訴えるケースが見られます。こうしたケースは増加傾向にありまして、平成十三年度は七百十一件で、統計を開始しました五年前に比較しますと、五・三倍となっております。
相談の中で、精神的な問題が深刻なケースに対しましては、必要に応じまして、国分寺と中央労政事務所の二カ所に設置しております専門相談員による心の健康相談の窓口を紹介してございます。この窓口の十三年度の相談受理件数は百十一件でありまして、その内容は、人間関係が六四・四%、心身の不調が二五・四%を占めております。
○初鹿委員 労政事務所の相談で七百十一件で、心の健康相談という専門の相談で百十一件ということですから、非常に多くなっているのかなというふうに思うんですが、民間の会社の調査とかそういうものでも、退職の強要とか人間関係、職場の嫌がらせ、いわゆるいじめというんでしょうか、そういうのに関連する相談というものがだんだん増加してきております。
こういう不況による労働環境の悪化で、職場や人間関係にゆとりがなくなってきていることの反映をしているものと考えられますが、これに伴って精神的問題を訴えるケースがふえているものとも思われます。こうした相談に対して、都は具体的にはどのように対応しているんでしょうか。
○高橋労働部長 一般の労働相談に付随して精神的問題が含まれる場合には、基本的には相談担当職員が対応しておりまして、相談に当たっては、相談者の状況に適合した情報提供や助言を行うとともに、当事者間で自主的な解決が困難なケースでは、必要に応じてあっせんを行い、トラブルの早期解決に努めております。
また、先ほど申しましたように、精神的な問題が深刻なケースでは、心の健康相談として、民間の臨床心理士などを専門相談員として委嘱し、対応しております。
○初鹿委員 今後も、今の景気の動向を見ていますと、これから好転するようには思えないわけで、ますますこういうメンタルな相談というのがふえてくるのではないかなと思うわけです。
とりあえず最初に相談に行くのは労政事務所になると思うんですが、その時点で、そういうメンタルな相談だなと思ったときに、そこの場の対応いかんによっては、その相談に来られた方の精神的なプレッシャーというのが随分と変わってくるんじゃないかなと思うんですね。
本当に深刻な場合は、先ほどの専門家のところに、回すといういい方も変ですけれども、そちらの相談に行ってくださいというふうにすることもできるんでしょうが、最初に相談を受けた労政事務所の段階で、ある程度解決できるような場合もあるのではないかなと思うんです。ですから、最初に相談を受ける相談員の質的な向上というんでしょうか、当然研修などをやって、労働法規については専門的な知識を得ていくんだと思うんですが、そういう心の問題について全く無知であると、相談に来られた方が何か相談員の一言によってかなりダメージを受けてしまうということになりはしないか、非常に心配を感じるわけでありまして、今後増加していくだろうということを考えて、都としてどのような対応を行っていくのか、お伺いをいたします。
○高橋労働部長 増大しておりますメンタルヘルスの相談に対応するために、相談あっせんに従事する職員に対しましては、精神的痛手を受けている相談者に適切に対応できるように、メンタルヘルス問題の理解を一層深めるための体系的研修を実施しまして、その能力向上を図ってまいります。
また、専門相談員による心の健康相談や民間関係機関とも連携を強化しまして、メンタルヘルスに係る相談体制の一層の充実に努めてまいります。
○初鹿委員 ぜひ相談員のレベルアップというんでしょうか、図っていただいて、相談員の段階で、ある程度、医療機関に行った方がいいのか、それともこの段階で解決できるのか、当事者間でできるのか、その判断ができるように、質の向上を図っていただければなと思います。
では、続きまして、昨今問題になっておりますやみ金融に関する質問をさせていただきます。
今回の資料要求の中でも、苦情相談件数が毎年ふえているという数字が出ておりますし、いうまでもなく、近年マスコミでも報道されておりますし、都知事も一生懸命処分というものを行って、今まで行政処分が百四十四件ですか、また警察も摘発に取り組んでいるということで、大きな社会問題になってきているなというふうに思うんですが、まず、そもそもやみ金融というのは何なのか、その定義をお答えください。
○鹿島参事 やみ金融の定義についてお答えいたします。
やみ金融とは、無登録の貸金業者のことを指していうものですが、最近では、登録業者でありながら、高金利など違法不当な行為をする業者もいますので、それらも含めまして、一般的にやみ金融業者と称しております。
○初鹿委員 今非常に重要なお答えだったと思うんですね。一般の人は恐らくやみ金融の問題といわれたときに、無登録の貸金業者だと、恐らく都民の大半は思っていると思うんです。ところが、今の答えですと、登録業者の中にもやみ金融だという業者がいるということですね。ところが、登録業者の、それこそ都知事の登録番号を与えられている業者がやみ金融を行っている、やみ金融といえるような行為を行っているということであります。
多くの都民は、都知事の承認番号があるんだということで、これは東京都知事がお墨つきを与えてくれた立派な、立派というか、きちんとしているところだと思って、そこに借りに行ってしまうという方が非常に多いんじゃないかなと思うんですが、この点について、まさに都知事がお墨つきを与えちゃっているということについてどのように考えているのか、お答えください。
○鹿島参事 貸金業を営もうとする者は、国または都道府県知事の登録を受けなければならないことになっております。登録の審査に際しましては、申請者に犯罪歴があるなどの欠格条項に該当する場合、または申請書類に虚偽の記載等がある場合には、登録を拒否しなければならないと定められております。したがって、欠格条項に該当しない場合、この場合はほとんど登録できることになります。
この登録は一定の資格や優良業者であることを保証しているわけではございません。しかし、外見上、このような誤解を与えていることも事実でございます。
そこで、都は、登録制度を営業許可制度にするなど、貸金業規制法を改正し、貸金業者の営業規制を強化するよう、国に対しまして、平成十三年六月及び十四年七月に提案要求しておるところでございます。
○初鹿委員 国が法律を変えない限りは、東京都がお墨つきを与えるような印象を世間に持たれてしまうのはしようがないところなのかなと思うんですが、ところで、現状で登録要件がそろっていれば、必ず受け付けなければならないわけですけれども、じゃ、登録できないケースというのはどういう場合になるんですか。
○鹿島参事 登録を拒否しなければならないケースは貸金業規制法第六条に規定されておりまして、登録申請者が次のような欠格条項に該当した場合でございます。成年被後見人または被保佐人であること、破産者で復権を得ない者、登録取り消しの日から三年を経過しない者、禁錮以上の刑に処せられて三年を経過しない者、貸金業規制法、出資法等の規定に違反して三年を経過していない者、罰金刑であっても、貸付契約の締結や債権の取り立てに当たりまして、刑法等の罪を犯し、三年を経過しない者などでございます。
○初鹿委員 三年を経過しない者というのが四回出てきましたけれども、じゃ、裏を返すと、貸金業に関する違反をして、罰則を加えられても、三年たったら、だれでももう一回始められてしまうということになるわけですね。これは大きな問題であって、早期の法改正の必要を感じるわけですけれども、今回、東京都の処分を受けた業者の年齢、また警察に摘発された業者の年齢を見てみますと、二十代前半とか二十代、また三十代前半という若い人が非常に多いんですけれども、法人ではなくて個人で登録の申請をしている方の年齢構成はどのようになっているんでしょうか。
○鹿島参事 個人の新規登録申請者の年齢構成ですが、平成十四年度七月から九月の二カ月間について調査いたしましたところ、二十代が六七・〇%、三十代が一九・八%、四十代が五・四%、五十代が五・四%、六十代以上が二・四%となっております。
○初鹿委員 二十代で六七%、三分の二ですね。三十代まで合わせると八六・八%、約九割ですね。貸金業というのはお金を貸すわけですから、ある程度資金力がないと始められないわけで、必ずしも二十代で若いからといってお金がないとはいえませんが、この八〇何%もの人がある程度資金を持って始めているとは到底思えないわけです。だれが考えても、一般常識でそう思うと思うんですね。
ということは、やはりバックでだれかがお金を提供して、始めさせて、やらせているという構図になるんじゃないかな。暴力団とか、そういう方々が裏に控えているということが、この数字で明らかに見えてきてしまうわけですね。そうなってくると、このままの状態で放置していいのかということになるわけで、やはり法律の改正というのは非常に重要になってくると思います。
また、二十代の方々が多いということは、裏を返すと、専門的な知識はちゃんと持っているのかなと疑問に思うんです。登録に行った人から話を聞きますと、登録の窓口に来る人たちを見ていると、本当に二十代の若い茶髪のあんちゃんみたいな人が登録にたくさん来ているということですから、しっかりと知識があるとは思えないんですね。貸金業というのは契約にかかわるものですから、当然民法とか、出資法とか、利息制限法というものの知識は必要なわけであって、それがなくて業が始められるというのはおかしいんじゃないですか。
例えば不動産業であれば、宅地建物取引主任というものを置かないと業を始められないというふうになっておりますから、これは私の提案なんですが、例えば貸金業取引主任とか、そういう名称の一定の資格を持った人を置かないと業が始められないようにするという、そういう提案を国に対して行うべきではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿島参事 ご指摘のとおり、貸金業者は法律により各種の業務規制がございますので、関係法令の知識習得は欠かせないものでございます。しかし、現在の登録制度では、関係法令の知識は登録要件になっておりません。
一方、宅地建物取引業者の免許に当たりましては宅地建物取引主任者、または旅行業者の登録に当たりましては旅行業取扱主任者のような資格を有した者がいない限り、免許や登録ができない制度がございます。したがいまして、貸金業者の登録要件として一定の資格を必要とすることも大切であると考えております。
○初鹿委員 ぜひこの点も明記して、提案を国に対してしていただきたいなと思うんですが、ところで、さきの代表質問で、我々都議会民主党として、登録する際の手数料を上げるとか、申請書類を写真を添付しろとか、そういう提案をさせていただきましたが、登録の手続が煩雑になってしまうと、東京都だけでやりますと、他県で登録をするようになったり、また試験というものがそれこそ導入されるようになったら、無登録で営業を行うというケースが多くなってしまうような、そういう懸念もあるんですが、いかがでしょうか。
○鹿島参事 登録の手続は法律により規定されておりまして、全国的に統一されております。しかし、東京都におきましては、より適正な貸金業者の登録をするために、営業所の案内図とか見取り図などを独自に徴収しておるところでございます。
しかし、東京都のみが手続を煩雑にいたしますと、他県で登録を受けようとする者が出る懸念がございます。登録制度は全国で統一された、厳格な手続によることが本来の姿でありまして、同時に、無登録業者につきましては、警察当局による取り締まりのさらなる強化が望ましいと考えております。
○初鹿委員 私もやはり全国的に統一の形式にしなければいけないなと思うわけですが、そこで、警察が取り締まりを行うということですが、現状で無登録で貸金業を行った場合、どういう罰則があるんでしょうか。
○鹿島参事 無登録営業については、東京都知事など行政庁の行政処分の権限は及びませんが、無登録で貸金業を行った場合の刑事罰は、貸金業規制法第四十七条で、三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金または懲役と罰金の両者を併科すると規定されておりまして、警察が取り締まることになっております。
○初鹿委員 三年以下の懲役に三百万以下の罰金ですから、非常に軽いなと思うんですね。最近摘発された例を見ると、何億円も稼いでいるということで、それこそ三百万の罰金で済むんだったら、とことんやってしまおう、そういう悪い人間が出てもおかしくないんじゃないかなと思うわけで、もう少し厳しい法規制というものが必要なのではないかなと思うわけです。
貸金業規制法というものの改正も当然必要なんですけれども、そういうことを考えますと、やみ金規制法というようなものをつくって、先ほどのやみ金の定義をきちんと定めまして、その定義に当てはまったら直ちに取り締まりができるような、そういうふうにするべきではないかなと考えるんですが、いかがでしょうか。
○鹿島参事 ご指摘のように、やみ金の取り締まりは非常に重要であると認識しております。都としては、違法、不当な行為を行う悪質な登録業者について、厳格な行政処分を行っていくことが重要であります。
さらに、登録貸金業者の質を向上させることが必要であり、ある一定の人的要件を確認し、営業保証金や営業所の規模等の物的要件を満たした者のみを貸金業者とする営業許可制に改正することも大切でございます。なお、出資法や貸金業規制法の罰則を強化することも有効であると考えています。
やみ金融の取り締まり強化や出資法等の罰則を重くすることなどを内容とするさまざまな意見書が、日弁連を初め各方面から国会に提出されていますので、都といたしましては、これらを注意深く見守ってまいりたいと思っております。
○初鹿委員 ぜひ日弁連なども求めておりますやみ金規制法ですか、この制定について、都としても意見書なり出して、臨んでいただきたいなと思います。
そもそもやみ金の問題を考えますと、貸し手も当然悪いんですが、借りる方もちょっと無知な部分があって、本来だったら手を出さなくていいようなところに手を出してしまっているなというふうにいわざるを得ないわけで、そもそも一般の都民や借り手の方々が、やみ金とは何ぞやとか、これが違法行為であり、これが合法の行為かとか、そういうことがきちんと認識ができていないような感じがするんです。
これだけやみ金の問題が盛んに騒がれているにもかかわらず、やはり借りる人が多いということは、何がやみ金なのか、何がいけないことなのかということをしっかりとPRしていく必要があると思うんですね。
例えば法違反の事例集などをまとめた、ある業者の例を具体的に挙げて、パンフレットをつくって、それこそ優良な業者というんでしょうか、大手の業者に協力を得て、それを借り手に配布するとか、そういうPRに努めていくべきではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○鹿島参事 ご指摘のように、やみ金の被害を未然に防止することは何よりも重要であると考えております。これまでも、啓発用のリーフレットを一万部作成し、都庁の窓口、都内の消費者センターや弁護士会、法律扶助会、警視庁、警察署のみならず、全国の都道府県金融課、それから消費者センター、県警本部、弁護士会などに配布いたしまして、普及啓発に取り組んできたところでございます。
今後は、法律違反の事例や被害実例を具体的に記載して、よりPRの強化に努めてまいります。
○初鹿委員 パンフレットもつくって、消費者センターや警察署、あと都道府県の金融課に配布しているということですが、それだと一般の人の手元に届かないですよね、はっきりいって。ですから、一般の人の手に届くような方法というのを考えていただきたいんですね。
それと、やはり大切なのは、借金をするということが最近余りにも軽くなっているような気がするんです。恐らく借りている方の中で、若い人が相当いるんじゃないかなと思います。最近の自己破産の申し立ての件数が増加しているということなどを考えると、借金をするということの意識、認識というものをしっかりと周知をさせていくということが必要ではないかなと。
そのためには、学校の段階で、高校なり、中学校ではちょっと早いかもしれませんが、大学なりの段階で、こういうPRというものをしていくべきじゃないかなと思うんですね。ですから、今後はこのパンフレットを学校、高校や大学など、専門学校などにも配布するようなことも検討をしていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○河野委員 農林業、それから商店街振興、雇用問題を質問いたします。
初めに、新しく森林整備地域活動支援基金条例が提案されておりますので、林業と農業振興について伺います。
私は、昨年の第一回定例会で、林業振興について文書質問をいたしました。防災や温暖化防止などの環境保護の面からも、森林の果たしている役割が重視されている中で、国と自治体によって、森林の整備と保全の基金が今回設けられるということは歓迎すべきだと考えます。
まず初めに、新しく始まる事業について、どのようなものであるのか、その概要を教えてください。
○矢口農林水産部長 森林整備地域活動支援事業は、森林の持つ多面的な機能を発揮させるために、森林所有者等による計画的かつ一体的な森林の整備を推進することを目的としております。
この事業は、三十ヘクタール以上のまとまりのある森林を対象にしまして、一ヘクタール当たり年間一万円を交付しまして、境界の確認や下草の刈り払いなど、森林整備の実施に不可欠な活動を支援するものでございます。
○河野委員 林野庁の資料を見ますと、この交付金というか、基金事業は、既に平成十四年度から始まっています。新年度から東京都が交付金を受けて、基金事業に取り組むことは、東京都の森林保全にどのような効果をもたらすとお考えでしょうか。
そして、基金の対象は、今ご答弁で、小規模な所有者になるとのお話ですが、三十ヘクタール以上に集約をしていかなくてはならないということで、この集約の方法などはどのように進められていくのか、お示しいただきたいと思います。
○矢口農林水産部長 本事業の導入の効果でございますけれども、都の森林の所有の状況を見ますと、十ヘクタール未満の小規模の所有者が全体の約九割を占めてございます。また、不在地主が約三割いること、高齢者の所有者が多いことなどの現状があります。
このため、この事業を通じまして、森林組合などの事業体がこれら所有者から森林管理を受託し、集約することによりまして、これまで管理の不十分でありました森林を一体的かつ計画的に森林整備することができまして、多摩地域の森林を健全な森林へと育成することが期待されてございます。
○河野委員 一ヘクタール一年間一万円が交付になるということなんですが、東京都の基金総額は幾らになるのでしょうか。そのうち国と市町村の負担割合はどのようなものになりますか。
○矢口農林水産部長 本事業の規模は三千五百ヘクタールを予定してございますので、事業対象者に交付される総額は三千五百万円となります。三千五百万円の負担割合は、国が二分の一、都が四分の一、市町村が四分の一でございます。基金の額は国負担分の千七百五十万円でございます。
○河野委員 いろいろな条件の中で、整備が困難になっている森林を健全に育成していくということを目標としたこの事業は、東京都が山林所有者や関係自治体と協力して、ぜひ積極的に進めてほしいと私は思っています。
一つ問題なのは、東京都の基金三千五百万の二分の一という、今ご答弁にありました千七百五十万というのが国の交付金の金額になるわけですが、多摩の森林の面積が五万三千ヘクタール、そして、お話にあったように、十ヘクタール未満の小規模な森林所有者が九〇%を占めているということを考えると、やはりこの交付金そのものがまだまだ枠が狭いのではないかと思っています。
同時に、条例案の附則で、この条例は平成十九年三月三十一日をもって効力を失うということが書いてあります。森林整備は長い年月がかかるのはだれもが理解できることだと思いますが、国が五年の期限を切らないで、長期の見通しを持った制度にすることと、予算の増額を東京都としてもぜひ求めていただきたいということを、この条例案に関して要望しておきます。
次に、一月三十日に、農林漁業振興対策審議会が林業振興についての答申を出しました。答申では、林業を新たに森林産業とすることや、森林の公益的な機能などが強調されています。私も答申を読みましたが、森林が年間七十五兆円もの公益を生み出しているという記述を見て、改めて森林の大切さ、認識を深めました。
この農対審が出した答申に基づいて、東京都は今後、森林再生や育成にどのような努力で取り組んでいかれるのでしょうか、これもお答えいただきたいと思います。
○矢口農林水産部長 今先生からお話がありましたように、審議会答申では、環境の世紀を担う健全な森林の育成と新たな森林産業の発展のための幾つかの施策をご提言いただいております。
私どもといたしましては、この答申を踏まえまして、現在計画としてあります東京の森づくりプラン21にかわります、新しい推進プランの策定に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○河野委員 その森づくりプランなんですけれども、策定の時期とか、それから当然都民の意見の反映のことも考えておられると思うんですが、都民の意見の反映などに基づいて、このプランづくりは進めていかれるのでしょうか。
○矢口農林水産部長 現在プランづくりの準備を進めておりまして、策定に当たりましては、素案をまとめた段階で広く都民の意見を求めまして、おおむね七月を目途に策定する予定でございます。
○河野委員 私、農対審答申のいわゆる都民の意見の集約のところを見せていただきました。百数十人の方が意見を寄せておられて、行政の観点にはない視点が書かれていて、大変行政にとっても参考になったのではないかと思いますが、ぜひ新たな森づくりプランというようなものの策定についても、広範な都民の意見を集約していただきたいと思います。
そして、東京都では、産業労働局だけでなくて、環境局でも森林再生のプロジェクトが取り組まれておりますが、今森林の荒廃を食いとめる努力、大変貴重だと思います。健全な森林を育成していくために、何よりも林業の振興が図られていくということが大事ですけれども、これまで地産地消という考え方に基づいて、私たちは多摩産材の利用促進を要望してまいりました。
今回の質問では詳しく申し上げませんけれども、ぜひ東京都でも、公共施設への利用なども含めて、多摩産材の利用促進について、引き続き拡大していくような努力をしていただくように要望しておきます。
続いて、農業問題について何点か伺います。
今月の六日に、産業労働局が都内土壌の残留農薬の調査結果というものを発表しました。都内十六の農協、JAの協力で、八百十四の検体を調査して、一割を超える八十五の検体から、ドリン系といわれる農薬が検出されたということでした。
東京都が農産物の安全対策として実施したことは評価できると思います。都内の農家数は今、農業センサスなどを見ますと、約一万五千四百軒を超えて存在するわけなんですけれども、八百十四の検体ということですから、この農家の数などに比べると、まだ都民の不安は解消されていないというふうに感じます。
安全な農産物を都民に提供していくために、今回の調査に終わることなく、引き続き土壌の調査などをしていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○矢口農林水産部長 土壌の残留農薬調査でございますが、今後は、対象品目あるいは検体数を拡大しまして、残留農薬調査を実施していく予定でございます。
○河野委員 今回出された二つの残留農薬、ドリン系といわれるものは大変固定性が高くて、土壌に残り続けるという特徴を持っているということです。残留農薬に影響を強く受ける作物はキュウリだということですが、今キュウリを生産したいという意欲を持っている農家については、土壌の調査をきちんと実施してほしいという声も強まっています。
東京都は、これまで、こうした土壌の調査については、JAや農家を支援していくという考え方を明らかにしていらっしゃるんですけれども、具体的にはどのような形で取り組みを進めていかれますか。
○矢口農林水産部長 安全な農産物を生産するためには、まず生産者であります農家や農業協同組合が責任ある取り組みをすることが必要と考えてございます。
都内のすべてのキュウリ作付予定地に対しましては、農業協同組合が自主的に残留農薬調査を進めることとしておりますので、都としてもこの取り組みを支援していく考えでございます。
○河野委員 私は、引き続いて支援はしていくということなんですが、東京都自身も農業試験場などの今回努力された結果も踏まえて、今年度行ったような形で、継続的な、そして一定の検体の数も確保して進めていかれるように求めておきたいと思います。
ここで、立川の農業委員の方の意見なんですけれども、今キュウリの作付がだめだよということで指導して、ほかのものをつくったと。しかし、何年かたったら、農業者の方自身がそろそろいいんじゃないかということで、またキュウリに戻ってしまうということも考えられるので、ずっと継続的に土壌の調査を、東京都の責任で、JAなどとも協力して行っていくことが、食の安全を確保していく上で大変大事だという意見も出されておりますので、ぜひこの声は受けとめていただきたいというふうに思っています。
安全対策として、残留農薬のある畑にはキュウリでないものなどの作付、ほかのもの、キュウリじゃないもので転作指導を行っていくわけですが、土壌の改良などについても奨励をしていくと伺っています。
今後、安全な都内産の農産物を都民に提供していく上で、土壌の残留農薬に限らないで、生産と安全性に関するさまざまな情報提供を都民に行っていくことが要望ともなっています。食の安全では、現在トレーサビリティーということも強くいわれておりますが、この問題も既にJAなどで取り組みが検討されているというお話も聞いています。
東京都として、都内産のこうした農産物のトレーサビリティーについての現段階でのお考えをお示しください。
○矢口農林水産部長 農産物のトレーサビリティーを確保するためには、生産者が農薬使用などの栽培履歴を記帳することが基本になろうかと考えてございます。
このため、都は、農業協同組合と一体となりまして、栽培履歴の記帳運動を都内全域に広げるとともに、栽培履歴の公開につきまして、生産者、消費者などと協議を進めながら、都内農産物の安全性の確保に努めたいと考えてございます。
○河野委員 よろしくお願いします。
ここで、地元の問題で一つお伺いします。先日、私は農業試験場の江戸川分場にお伺いしました。江戸川の農業については、当委員会副委員長の田島委員もいらっしゃるし、江戸川選出の議員もそれぞれおりますので、詳しい方もたくさんいらっしゃいますが、改めて質問をさせていただきます。
江戸川はコマツナの生産地として大変有名です。農業試験場の皆さんは、軟弱野菜の栽培、そして花き栽培などの研究もしておられます。私は、昨年の委員会で、環境に優しい農業の一つとして、土の中に溶けていく、生分解性のマルチシートの活用について、都が支援をしてほしいということを要望いたしました。江戸川分場では、パンフレットを一部いただいてきたんですが、害虫を駆除する、コマツナの葉っぱには虫がいっぱいついて、葉っぱを食べてしまって、市場に出せないような状況が生まれてしまうということなんですけれども、そのコマツナの品質を向上させていくためにも、農薬をなるべく使わないで害虫が駆除できる栽培法ということで、コマツナ害虫のIPMという研究をされているそうです。IPMというのは、英語でいうと難しいんですが、総合的な害虫管理という意味だそうです。江戸川分場ではこういう研究がされていて、大変心強い思いもいたしました。
現在、東京都の農業試験場ではいろいろな研究成果を上げていらっしゃると思うんですけれども、この機会に農業試験場での取り組みについてもお伺いをしておきます。
○馬場参事 都は、農業試験場において、微生物などによって分解される、いわゆる生分解性農業資材等を用いた場合の農作業の効率性、さらに作物生育への影響試験を行い、環境に優しい資材等の普及に努めてきたところでございます。
また、農業試験場江戸川分場においては、農薬だけに頼らない物理的防除法、すなわち害虫侵入を遮断する防虫ネットの使用、さらには太陽熱による殺虫等、これらを総合的に組み合わせた栽培システムを開発し、コマツナ等で農薬低減に大きな成果を上げてきたところでございます。
○河野委員 環境に優しいという側面と食の安全を守る、そういう側面で、栽培方法などについて農家の方々を支援するという、大変大切な役割を果たしている農業試験場の皆さん、ご苦労されていると思います。
こうした貴重な研究の成果を実際に農家に普及していくことが大事だと思うんですけれども、生分解性のマルチシートや害虫から作物を守っていく効果を発揮しているシート、紫外線カットのシートなどもあると聞いておりますけれども、こういうものを普及していくには、一定の経済的な負担もかかるわけですが、この普及と支援のための東京都のお考えをお聞きいたします。
○馬場参事 都としては、農業試験場の研究成果によって作成したマニュアルに基づき、農業改良普及センターを通じて、生分解性農業資材等の導入や、できるだけ農薬を使用しない栽培方法の技術指導を行ってまいります。
また、環境と調和した農業を進めていく上で必要なネット資材を使用した施設整備につきましては、活力ある農業経営育成事業を通じて支援をしてまいります。
○河野委員 どんどんと、生分解性マルチシートなどにつきましても、私が去年質問したときよりも、より使いやすい品質のよいもの、あと価格の問題でも検討などがされていると聞いています。ぜひ農業振興の上でも、そして食の安全を確保する上でも、東京都が普及と同時に、支援についてもさまざまな角度から引き続いて検討していただくように要望しておきます。
都市農業の問題で、最後にもう一点伺いますが、市街化区域内の農地の減少は引き続き続いて、深刻です。江戸川では、生産緑地制度が実施されるときに、区が独自に指定要件を緩和しまして、その後、東京都でも追加申請を認めたということで、生産緑地については、減少が今のところ食いとめられているという状況もあると思います。今後とも、都市農業にとって貴重な生産緑地の確保と積極的な保全策を東京都にとっていただくことを私は望むものですが、この点はいかがでしょうか。
○矢口農林水産部長 都市農業を振興する上で、生産緑地の確保や保全が必要不可欠でございます。このため、都としましては、今後とも、東京都農業会議と共同で、農業委員や区市の職員を対象としました生産緑地の追加指定の推進や、農地の保全に関します研修を実施していく予定でございます。
また、栽培施設の整備や農地整備などの支援を行います活力ある農業経営育成事業や生産緑地保全整備事業などを引き続き実施しまして、農地の保全と活用に努めていきたいと考えてございます。
○河野委員 新年度の予算案を見ますと、今、質疑の中で成果を上げているというふうに認識が深まった農業試験場の研究調査予算なども削減されています。東京都の各局の方のお話をいろいろなところで聞くことがあるんですが、毎年毎年予算の一〇%削減のシーリングとかがかけられているということで、本当にいろいろな分野で限界だというお話も聞いております。
私は、ぜひ産業労働局が、農業振興のための研究開発費を初めとして、必要な予算を都民の立場に立って確保する、その最大の努力を払っていただくことを、この場で強く訴えておきたいというふうに思います。
次に、商業振興の問題で三点、お伺いいたします。
第一は、商店街活動の支援の問題です。
新年度から新元気出せ商店街支援事業がスタートするということで、先ほど来お話もありましたように、今までよりも使いやすい制度に改善されたという評価が商店街の方からも聞こえます。今、この制度の対象にならないで、かつ、商店街の方々が要望している支援のものがいろいろあるわけですが、私は、その一つとして、日常活動の支援について伺いたいと思います。
一例ですけれども、花を植えたプランターやベンチを商店街の必要な場所に設置したり、通りの清掃や防犯の役割も果たしている街路灯などに、商店街がその費用負担を含めて努力しています。それは少しでも多くの買い物客に訪れてほしい、心地よい商店街を形成したいという、それぞれのところの努力だと思います。
しかし、今、財政は大変厳しくて、電気代などの負担も大きい。都としても、こうした日常の活動の問題について支援のことを考えてほしいという声が、私たちが聞き取り調査を行った中で、多くの方から出されました。こうした日常的な商店街の活動についての支援策については、都はどのようにお考えでしょうか。
○泉本参事 新元気を出せ商店街事業は、商店街の自主的、自立的な取り組みを支援していくものでございまして、お話の例のような、通常必要となるような経常的経費は補助対象外としてございます。
○河野委員 今のところ、補助対象外ということであります。しかし、お話をしましたように、街路灯一つにしても、防犯の役割を果たすと同時に、商店街は独自に考えて、その光の色も工夫して、多くの方々に気持ちよく商店街を訪れてもらおうということをされております。その一カ月の電気代の負担三万円も、今の商店会の会費の納入状況とかを考えると、大変厳しいという実態が出されておりますので、今後の施策の検討の中で、ぜひこうした声については取り入れていただくようなご検討も深めていただきたいと思います。
次に、東京都は、商店街活性化総合支援事業というものを、平成十三年、十四年度と二年度にわたって取り組んできました。区市町村で実際にプラン策定はどのような状況で進んでいますか、到達をお示しください。
○泉本参事 区市町村の商店街振興プランの策定状況でございますけれども、十三年度におきましては、九区六市町、十四年度におきましては、見込みも加えまして十三区二十三市町でございます。
○河野委員 そうすると、二十三区の中では、一区はまだ十三、十四年度の中で終わらないということも数字として出されておりますが、この事業が、私は、東京都が二十一世紀の商店街支援をしていく目玉ということで始められたということを大変強い印象として受けとめているんです。
各自治体が策定したプランが、都の施策とマッチングして力になっていくのかということが、今問われていると感じています。策定したプランを、新元気出せ商店街事業というものと関連して、どのように商店街振興に今後生かしていくのか、そのプランを策定した自治体の努力の評価とあわせて、お伺いしたいと思います。
○泉本参事 区市町村の商店街振興プランは、東京都の二十一世紀商店街づくり振興プランに基づきまして、地域に精通している区市町村が、それぞれの地域特性を踏まえて策定するものでございます。
東京都といたしましては、このプランに基づき区市町村が実施する施策と連携を深めながら、商店街振興策に取り組んでまいります。
○河野委員 私も幾つかの自治体のプランも見せていただきました。それぞれに特徴があります。せっかく苦労してつくった区市町村のプランが、これからの商店街活性化の力にしていけるように、今後とも、都がしっかりとこの施策、二年度で終わったということで手放していくというような形をとらずに、新しい新元気出せとも兼ね合わせて、ご努力を進めていただくように求めておきます。
商店街の問題で、もう一回、地元江戸川のことについてお伺いいたします。
江戸川の西の方に平井という町があります。JR平井駅から南側に向けて、京葉道路まで長い商店街のつながりがあったんです。この平井の町を南北に分断する形で、東京都が都市計画道路一二〇号線という大きな道路を建設いたしました。このことによって町の姿がすっかり変わったんです。商店街の一連のつながりが断ち切られてしまったんです。
地域の北の方にある平井の駅の近くの商店街は、今、一二〇号線という大きな道路が通りましたから、そこを通るバスによって、一定の活性化、お客さんの集客も見られますが、バスが全く通らなくなってしまった南側の商店街、春日町商店街と呼ばれているんですが、そこは本当に寂れてしまったんです。死に絶えていくという、そういう表現も使っている地元の方もいらっしゃいますが、この商店街の方々のお話を聞きますと、せめて東京都や区が支援してくれてミニバスを運行できると、お客さんが商店に足を運んでくれるという声を上げております。
深川でも、八郎衛門バスというのが門前仲町のところで取り組まれて、新聞で好評であるということも報道されました。ミニバスの運行のことを初め、春日町の商店街のように、東京都の開発事業によって寂れてしまった商店街の問題、取り組んでいただきたいと思うんですが、今、東京都はそういうものについてどのようにお考えかをお示しください。
○泉本参事 道路建設やバス路線の運行につきましては、さまざまな要望や利害などの調整、あるいは都市計画などの手続を経て実施されていくものと考えてございます。
産業労働局といたしましては、商店街振興の観点に立ちまして、従来からの施策の充実に取り組んでおります。今後も一層、商店街の活性化に向けて取り組みを進めてまいります。
○河野委員 開発によって寂れた商店街というのは、今一例を挙げましたけれども、都内を調べると、私はいろいろなところに存在しているんじゃないかという思いもあります。江戸川でもほかの地域にもあります。そういうところもぜひ引き続いて、産業労働局は、商店街振興に本当に努力していくというご答弁、続いているんですけれども、そういう苦しんでいる商店街のところも、実態はどうなのか、どんな施策を打ち出すことが必要なのかということも、今後ご検討を深めていただくように求めておきます。
最後に、雇用問題についてお伺いいたします。
失業者は、今ずっとふえ続けています。リストラ解雇を規制することや、失業者の雇用と生活保障の問題など、雇用に関する課題はたくさんあります。今回は、厳しい状況が続いています青年の雇用問題に限って、三点質問させていただきます。
新卒の高校生の就職内定率が過去最悪という記録を続けている中で、北海道では、スタートワーキングサポート事業という名前で、十八歳から二十歳未満の青年を対象にしまして、道が一年間の期間で行政研修生として雇用するという事業が始まっています。八王子でも、新卒の高校生で就職ができなかった人を対象に、最長一年の臨時採用をすることを決めたということが新聞で報道されておりました。
こうした自治体の努力が始まっているわけですが、東京都でも、厳しい青年の雇用状況を踏まえまして、具体的な制度、北海道や八王子のような制度を検討してもいいのではないかと私は考えるのですが、いかがでしょうか。
○高橋労働部長 本年三月の高校新卒者の求人状況についてご紹介しますと、その求人倍率は、全国平均では一・〇倍に満たないのに対しまして、東京では約四倍と、大分他県とは違った状況となっております。したがいまして、東京における若年者の就業促進のためには、民間活力による雇用の創出、拡大が極めて大事である、そのように考えてございます。
○河野委員 なかなか東京都としてはこういうことに踏み出せない、民活、民間の力を頼るという方向を強めておられますが、これはいろいろ他局ともあわせて検討していただかなくてはならない課題だということを申し上げておきます。
次に、職業訓練について伺います。
青年たちは、就職難に苦しみながらも、スキルアップして職業につきたい、みずからの力を高めたいと望んでおります。希望しても、都立の技能訓練校に入れなかったという若者はたくさんいます。青年たちが希望を持って未来に向かっていくためにも、今、公共職業訓練の定数拡大をすることが必要と考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
○高橋労働部長 都立技術専門校における訓練規模につきましては、雇用失業情勢や、技術専門校の訓練実績、民間部門を含む他の教育訓練施設の動向等を考慮して設定しております。若年者を対象とする求職者訓練についても、同様でございます。
なお、平成十五年度におきましては、新たに百名規模で民間を活用した駅前ナイトスクールを実施することとしております。これは、若年者の層に多いフリーターなど、雇用保険受給資格がないため、これまで入校が難しかった人たちを対象として、全国で初めて実施する職業訓練でございます。
○河野委員 もう一点、青年の雇用の創出に向けて伺います。
青森とか、高知県とか、滋賀県などで、青年を雇用した中小企業に対して助成金をおろすという助成金制度が実施されています。都内の中小企業に青年の雇用を促進していくために有効な方策だと考えるのですけれども、東京都での実施のご検討を進めていただきたいと私は思っておりますが、こういう制度についていかがお考えでしょうか。
○高橋労働部長 若年者の雇用に関する助成金制度の創設についてでございますが、現在、国におきまして、三十歳未満の若年者を試行的に雇用した場合に、企業に対し、一定の助成金を支給する若年者トライアル雇用事業を実施しているところでありまして、都としましては、同様の助成金制度を創設する考えにございません。
○河野委員 青年の雇用については、いろいろご提案もしましたけれども、なかなか東京都独自の施策について足を踏み出していくというご答弁はいただけませんでした。公共職業訓練については、さっき資料のご説明にもありましたように、本当に、応募率二三六%という数字も示されていて、大変要望が高いということは明らかだと思います。国の若年者トライアル雇用についても、期間三カ月とかという限定もありますし、十分に青年の継続的な雇用に力を発揮していける事業かどうかというと、やはり考えなくてはならない問題も含まれていると思うのです。
ぜひ東京都が一層こういう点で、国の制度を活用することはもちろん大事なことなんですが、東京都独自の施策、努力をいただきたいというふうに思います。
農林業、そして商業、雇用と伺ってまいりましたが、特に雇用については、厳しい環境にあるだけに、都が責任を持って本当に具体的に施策を構築することを私は求めます。そして、それぞれ国や関係自治体、また全庁挙げてのしっかりとした施策がとられるよう、都民生活擁護のために力を尽くすべきときであるということを申し上げまして、質問を終わります。
○中西委員 中小企業を取り巻く経済状況が大変厳しい中で、当然、金融システム自体が、今、不全といえるような状況だと私は思います。大手七銀行、またこのグループの中小企業向けの融資残高は減っていますし、そしてまた、新聞をにぎわしました東京都の有名な指定金融機関であるみずほグループは、中小企業向けの融資を五兆円も減らしているという惨たんたる状況であります。
こうした中で、今年度、融資目標を一兆五千億円、東京都としては非常に健闘をしておりますが、ことしの一月ぐらいで、目標に対して実績が前年比でどのぐらいになっているのか、ちょっとデータを教えてください。
○鹿島参事 都の制度融資の本年一月末現在の実績は、速報値によりますと、一兆五千四百億円余でありまして、今年度の融資目標額一兆五千億円を上回っております。対前年同月比でも一〇五%と、昨年の同期比を上回る実績を上げております。
○中西委員 こういった形で、今、民間の金融機関がほとんど機能不全に陥っている中で、こういうときだからこそ、民間ができないときだからこそ、行政主導の制度融資というものがまさに頼みの綱というか、今こそ出番であって、私は非常にいいのではないかなと思っております。かつての安定化にしても、私、これは非常にすばらしいカンフル剤になったと評価をしておるところでございます。
今回、十五年度予算において、融資目標額を一兆七千五百億円にするとともに、石原知事は、状況によっては拡大に踏み込むべきという答弁をしていただいたわけでありますが、さきの代表質問で山崎幹事長は、融資目標は二兆円に届くくらいまで、二兆円というものを今から視野に入れておくべきであるという、さらなる融資の目標の拡大を要望したわけであります。今後の中小企業を取り巻く金融情勢というのはさらに厳しいわけでありますが、初めの方でありますが、局長、どのように考えておられるのか、伺います。
○有手産業労働局長 ご指摘のとおり、中小企業を取り巻く金融環境は大変厳しい状況にございます。中小企業の経営を支える制度融資の役割は、ますます大きくなってきておると認識しております。積極的な金融対策は、今まさに求められているというふうに考えております。
このため、来年度の制度融資につきましては、ご案内のとおり、新たな制度としまして、民事再生法などに基づく再建手続を進めている企業などを対象とした事業再生融資や、スピーディーに小口の運転資金に対するクイック型の制度を創設するとともに、融資目標額を過去最大の一兆七千五百億として充実を図ったところでございます。
今後は、この目標を着実に実行することはもちろんのこと、経済動向を注視しながら、代表質問の際にご指摘のございました二兆円の融資規模を念頭に置き、的確かつ積極的に金融対策に取り組んでまいります。
○中西委員 局長、実に力強い答弁であります。まさにこういうときだからこそ、我々東京都並びに国の出番ではないかなという気がいたします。
我が党は、某党とは違って、自主的に中小企業の声を聞いておるわけでありますが、一昨年の十二月から複数借入金の一本化、そして昨年の十月からは借りかえを実施してきました。こういう形で、大変評価するところでありますが、そこで、東京都のやったことによって、国が、まさに東京から国を動かすということじゃありませんが、これは完全に都に追従した形になると思うんですが、資金繰り円滑化借りかえ保証制度を創設したわけですね。さきの我が都議会自由民主党の代表質問でもお答えいただきましたように、セーフティーネット保証とか安定化特別保証もこの対象に加えたんですね。かつての安定化の債務を抱えている企業というのは実に多くて、これが対象に加えられたというのは、非常に私は大きいと思います。
安定化といえば、平成十年十月から平成十三年の三月まで、我が党もかなり力を入れて、これは政府・自由民主党と一体となってやってきたカンフル剤、事故率、いわゆる代位弁済ですか、四・三%か四・四%ぐらいだと思いますが、事故率が将来的には一〇%ぐらい行くのかなと思います。しかし、その中で不正な融資を受けた業者がいるかもしれませんが、五%だとか一〇%、一〇%は行き過ぎですが、数%、二、三%の不正な融資があったにしたって、九七、八%の健全なる中小企業を助けたということにおいては、私、これこそ実にすばらしい政治的な政策であったと思いますし、このような委員会で申し上げたら申しわけないんですが、なかなか役人的な発想からは出ない。これはどんぶり勘定でしたが、私は今でも評価する施策であったと思います。
この債務が、あのときは最大でたしか五千、一年据え置き、五年返済でしたよね。あの制度が平成十年の十月から平成十三年の三月ですから、あれからそろそろ景気が立ち直るだろうといわれている中でありますが、さらにデフレ経済が進行し、特にその中でも問題となるのは資産デフレですよ。土地と株が落ちることによって、さらにまた企業の担保能力というのが、一般借入金においても落ちてきている。本来的には、日本の間接金融自体がゆがんでいて、日本の銀行は、バンカーというよりは、私は不動産鑑定士としか今思っていませんが、残念ながら、どんなに批判しようが、日本の金融システムはそうなっているわけですから、甘受しなければいけない。
こうした中において、返済が迫られている中小企業が、元本返済、月々相当な額になると思いますが、極めて厳しい状況に置かれている。なおかつ、リスケジュールをかければ、他の制度融資は受けられなくなる。そしてなおかつ、信用を落として、首まで水につかっているものが頭まで行って、さらに中小企業が消えていくと。
私、本来であれば、例の安定化が行われた五年以内ぐらいに景気が浮上するということを見込んで行った融資であるし、それこそ景気が浮揚していなければいけない時期だったと思いますが、現実はそうなっていないのでしようがありません。
こうした中において、今回の国の資金繰り円滑化借りかえ保証制度が、安定化が入ったということが、またなかなか周知されていなくて、皆さん、今、それこそ一年据え置きの五年返済で、条件変更、いわゆるリスケジュールをすると信用を落とすということで、まじめに考えておられる中小企業が多いんですが、今回のこの制度によって、ある意味で合法的に、私が調べたところによると、たしか最長は一本化することによって十年、今までの五年が十年になって、なおかつ据置期間も設けると。
例えばそごうであるだとか、西武であるだとか、ゼネコンに対して、一般の金融機関が債権放棄をばかばか行っておるわけでありますが、これこそ数千億円規模で行っている。これは当然、金融機関としては、数千億円、それこそ西武に対して五千億円の債権放棄をした方が、生き返らせて後で金を取った方が得だという経済合理性にのっとったものだから、経営者として考えれば、経済合理性から考えれば、債権放棄というのはもっともなことでありますが、数千万であるだとか、数百万の債務を抱えている中小企業にすると、頭でわかっていても、心では納得しがたい。これは我々都議会議員が地域で聞いていても、いやあ、社長さん、金融システムが崩壊してしまったら日本は終わりですといえば簡単でありますが、実に庶民にとっては理不尽に映るようなものの中において、今回の借りかえのいわゆる返済期間が倍になるというのは、合法的な追加融資。
これは追加融資では決してありませんが、今まで、例えば四十万、月々元本返済をしていた。金利は別として、元本四十万返済していたところが、単純に計算すれば二十万になる。今まで三十万返済していたところは、十五万になる。五十万のところが、それこそ二十五万円になるということで、私は追加融資に変わらない効果があると思っております。
今回、東京都がやっているものに関しては、都がリスクを負担するわけでありますが、この安定化に関しては、国がリスク、いわゆる事故の場合は全額費用負担という条件なんですが、今回の借りかえ制度の実施というのは、別に都のリスクを回避するわけじゃありませんが、リスク負担というのは国になっているんですか、都になっているんですか。
○鹿島参事 今回の国の資金繰り円滑化保証制度におきましても、安定化特別保証を借りかえる場合は、国は従前と同様に費用負担の責任を負うものと聞いております。したがいまして、他の保証との一本化はできませんが、安定化特別保証の借りかえは可能になっております。
○中西委員 ご答弁、ありがとうございます。
確かに、これは国がやった制度ですから、国が負うのは当たり前だと思いますが、いずれにしても、中小企業から見れば、私、よく局の課長さんとか部長さんなんかと話すんですが、国がやった制度、都がやった制度、基礎的自治体、区市町村がやった制度、関係ないわけですよ。例えば、地域のマル経融資、信用保証協会の安定化、プロパーの安定化、例えば国の借りかえ、これは使う方にとっては、だれがやろうが、税金を払っているいわゆる行政サイドであったら、国、広域行政の都、基礎的自治体、関係ないんですよ。だから、まずそういう意識を、局の皆様には、特に局長以下、いや、これは国の制度ですから、いや、これは都の制度ですから、これは区市町村の制度ですから、そういうことではなくて、使うユーザーサイドの立場に立てば、これは制度融資一つ。
ですから、いずれにしても、担当者は、信用保証協会であれば窓口は一つなんですから、私はちょっとそういう頭の切りかえというものをしていくべきではないかなと思っております。
特に、先ほどどなたかのご質問でも出ましたが、国にしても、都にしても、実にPRが下手ですよ。どんな施策にしても、例えば我々がやった元気出せ商店街事業なんかというのは、三宅委員長さん、相当ご尽力をいただいて、また本年度も新しい制度として、委員長はなかなか発言できないから私がいいますが、委員長も頑張られましたよ。委員長はなかなか質問できない立場の中でありますが、そういうものは、我々政治の方で、商店街対策に関しては、我々自由民主党はそれぞれ、民商なんかを抱えている何かおかしな政党とは違って、自主的に地域を歩いて、私たちは周知徹底しますよ。
ただ、制度融資に関しては、制度融資のしおりがありますよね。私も特に中小企業の出身者ですけれども、とにかく、あれをマスターしたら経営コンサルタントになれますよ。ちなみに、委員長は中小企業診断士だから、全部マスターしていると思いますが、いずれにしても、大変なものである。いずれにしても、まるで使ってくれない方がいい、使ってくれるなよといわれるぐらいPRがしていない。
また、今回のこの国の借りかえが、安定化が含まれて、五年の返済期間が最長で十年に延ばせる、これは話し合いの中でありますが、私は、地域の中小企業の経営者であるだとか、その辺の声を聞いていて、徹底が図られていないような気がしますね。一部の金融機関なんかは、こういうことを積極的にユーザーに、融資先に対してお教えしているところがあるやの話は聞きますが、それもまだまだ効果は小さいです。
安定化のときは、我が党も非常にお金をかけてパンフレットをつくって、安定化について、安定化保証ができましたとやりました。だけれども、今回の借りかえというのは、私はあれに匹敵すると思うんですよ。何でそんなに都はPRが下手なのか。国任せにすることなく、私はPRを進めるべきだと思いますが、どう考えていますか。
○鹿島参事 さきの代表質問における答弁を踏まえまして、国の借りかえ制度の積極的活用を、金融機関、保証協会、中小企業関連団体に対しまして、文書により働きかけたところでございます。今後さらに、三月に予定しておりますいわゆる金融協議会の場におきまして、金融機関や中小企業関連団体等に、借りかえ制度の積極的活用と、中小企業へ使っていただきますように、周知を働きかけてまいりたいと思います。
○中西委員 使っていただけるように周知を働きかけるって、どういうふうにするんですか。ただ口でいうだけですかね。
○鹿島参事 制度の仕組みにつきまして、特に指導的な団体であります金融機関であるとか中小企業関連団体に積極的にきちっと説明をする。制度の差であるとか、その特色であるとか、安定化について借りかえができるとか、そういうことについてきちっと説明してまいりたいと思います。
○中西委員 だから、金をかけないで、もっとうまくプレスリリースを再度して。この前、僕、打ち合わせでいったじゃないですか、それを。プレスリリースをして、パブリシティーですよ、パブリシティーをばんばん打って、幾らだってお金がかからないで、くだらないマスコミが、くだらないワイドショーみたいな記事ばっかり載っけているんだから、マスコミなんていうのは。あんなくだらない記事を載っけているんだったら、中小企業を一社でも助けるような記事を載せろとマスコミにいえばいいんですよ。部長、どう思いますか。
○鹿島参事 いろいろご示唆のあるお話をいただきましたので、いろいろとこれから検討してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中西委員 部長さん、本当に頑張ってくださいね。参事も努力していることはよくわかっていますよ。
これで最後の質問になりますが、今回の借りかえ制度をやって、一つ懸念材料があるんですよ。一つ懸念材料があるのは、これは金融機関からも聞いたんですが、今回のリスケジュール、これは保証協会としては合法的なリスケジュール、今まで五年で返済していたところ、五年の契約のところを八年にする、五年のところを七年、五年のところを九年にする、こういういわゆる契約変更ですね。これは合法的です。
これは信用保証協会としては合法的なんですが、金融機関にとっては、月々の元本返済が、例えばどおんと減っていく場合において、正常先であったところが、いわゆる天下の悪法である金融検査マニュアルは、大手に関しては私は導入してもいいと思いますが、中小企業に対して適用する天下の悪法である金融庁の検査マニュアル、石原知事だって、金融庁は金融機関のためにあるわけでもない、中小企業のためにあるわけでもない、日本経済のためにあるわけでもない、金融庁は金融庁のためにある役所だということを喝破されて、私はなるほど至極名言であると思いましたが、正常先が要注意先になってしまうおそれがあると私は聞いたんですよ。こうなると、金融機関としては引当金を積まなければならないし、中小企業にとっても、それは信用問題で、大変なダメージですよ。
こうした中で、金融機関自体の協力を本当にいただかなければ、車の両輪で、行政と民間が一緒になって動かなければ、今回の借りかえは進まないわけでありますが、これが円滑に機能するために、都として、この格下げの問題について何か働きかけをしていただきたいわけでありますが、どう考えていますか。
○鹿島参事 ご指摘のとおり、借りかえによって極端に月々の元本返済が減少する場合は、企業の返済能力が落ちていると受け取られまして、金融検査マニュアルに照らした場合、要注意先となる懸念がないわけではございません。このため、これまで正常先とされていた債務者が、借りかえを行うことによりまして、要注意先として取り扱われることがないように、中小企業の実態に即した金融検査マニュアルの運用について、国に働きかけてまいります。
○中西委員 働きかけてまいりますといって、我々もこういう委員会で、公式の場でご答弁をいただいているんですが、本当に働きかけなかったら中小企業は滅びますよ。そして、これだけ金融が不全です。また、国の方においては、生命保険の予定利率が下がると。これだって、一般の庶民は、庶民という言葉は私は使いたくありませんが、一般の国民が一円でも契約をほごにしたら、保険金はおりないんですよ、一月、二月払わなかったら。だけれども、金融システムを守るという建前上、また生保と銀行が、例えば劣後ローンあたりで、いわゆる自己資本を持ち合っちゃっている中において、生保を守らなければいけない。理論的にはわかるんだけれども、一方的に、契約者が死亡時に一千万ももらえるはずの生命保険が、ある試算によると六百数十万まで落ちると。これはなかなか説明できないです。
これだけ厳しい中において、やっぱり、今こそ制度融資の出番だと私は思います。有手局長、まさに今、局長がこういう社会経済状況の中において産労局長をやっているということは、ある意味で、優秀な局長をいただいて、本当に私はすばらしいと思いますよ。今の金融状況について立ち向かう決意を、私、事前にいっていませんでしたが、局長もしゃべりたそうなので、最後に一言、自分の思いを語っていただいて、私の質問は終わります。
○有手産業労働局長 中西委員のなかなか説得力のある話を聞いて、つい聞きほれておりましたら、突然のご指名でございますけれども、私も、今日の金融を取り巻くデフレ下における中小企業の運営、経営の難しさ、こういったものを日に日に実感を高めております。この打開のために、都議会とともに、東京都挙げまして、全力を尽くして中小企業のために改善に努力できるように、皆さん方のご協力を得ながら努力してまいります。
○三宅委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後三時十八分休憩
午後三時二十六分開議
○三宅委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○前島委員 きょうは、いろいろな委員から、今日の景気対策、特に中小企業の融資の問題で幾つかお話がありました。確かに、バブル景気が終わって受注が減り、さらにはまた、金融機関等に差し出している担保が下落をするという、中小企業にとっては非常に環境が厳しい時代になっているわけでありますけれども、私は、一つ、一昨年十二月に売掛金担保融資、今までなぜこれができなかったのかという点で、非常に期待をいたしたわけでありますけれども、この新たな担保融資の一つの仕組みと実績について、まずお伺いをしたいと思います。
○鹿島参事 まず、売り掛け債権担保制度の仕組みでございますけれども、継続的な取引先から生じております売り掛け債権を担保といたしまして、金融機関と信用保証協会に譲渡し、その見返りに融資を受けるという形でございます。そうしますと、売掛金の支払いのときに返済がされるという形になっております。
それから、実績でございますが、制度が発足した平成十三年十二月から昨年十二月末までの都内の実績は四百二件、約七十四億二千万円となっております。
年度別の内訳ですけれども、平成十三年度は、制度発足から平成十四年三月末までで二十三件、約五億八千万円、月平均で五・八件、約一億五千万円でございます。平成十四年度は、年度途中ですが、十二月末までの実績は三百七十九件、約六十八億三千万円、月の平均では四十二・一件、約七億六千万円でございます。このことから、平成十四年度は、平成十三年度に比べ、着実に実績は伸びているものと考えております。
○前島委員 十三年度、十四年度というところを見ると、着実に伸びているというのは、今ご報告のとおりだと思うんですが、ただ問題は、要するに、この売り掛け債権融資の非常にいいところと、発足当時、実はこの債権の相手になる、要するに、売り掛けの相手になっているところの債権が、大企業のように、まず間違いないというようなところばっかりではなくて、債権の中身の濃淡、本当に薄いところと厚いところというか、確実なところとそうでもないところが、実際に発足当時はあったというふうに聞いております。
こういうような点について、より売り掛け債権担保というものが確実に実行される必要があると思いますけれども、例えば、私は、先ほど報告のあった数字よりも、本当は、仕事をしていれば売り掛けが当然ある、これが担保になっていくということになれば、もっともっと数はふえていくのではないかなと思うのです。
私、特に伺いたいのは、申し込んだけれども、融資が受けられなかったというケース、こういうようなものが実際あると思うんですけれども、その中身についてちょっとお尋ねをしたいと思います。
○鹿島参事 売り掛け債権担保融資の申し込みをしたものの、融資を受けられなかった件数は、今年度八十三件でございます。
その主な理由ですけれども、融資を受けようとする中小企業の経営内容が著しく悪いもの、それから、保証が内定したものの資金繰りがついたもの等でございます。
○前島委員 このように、相手の中身が、実際に申請をしてみなければなかなかわからない。そうしたことを先に判断をするというのは、非常に難しいことである。ですから、いろいろな債権の譲渡禁止の特約が、今までは支障になっていると思いますけれども、都独自として、こうした問題についてこれまでどういうふうに対応されてきたのか、ちょっとその点をお願いします。
○鹿島参事 現在、債権譲渡についての売り掛け先からの承認等、対抗要件が具備できないということによりまして保証ができないケースは聞いておりません。また、民間におきましても、売り掛け先との債権譲渡禁止特約の解除が進んでいると伺っております。
都におきましては、昨年四月に物品買い入れ契約及び委託契約、十月には工事請負契約について、それぞれ債権譲渡禁止特約を、中小企業からの依頼によりまして解除できる体制を整備いたしました。
○前島委員 こうした新しい一つの制度が発足して滑り出すまでには、そういう越えなければならない要件というか、条件がいろいろあると思うんですけれども、都は、これをさらに普通の制度と同じように拡大をしていかれることが必要だと思うんですけれども、それに対する決意をお聞かせいただきたいと思います。
○鹿島参事 都は、国が平成十三年十二月に、売り掛け債権担保保証制度を創設すると同時に、東京都の制度融資といたしまして、売り掛け債権担保融資を開始いたしました。以来、みずから率先して制度の改善に努めてまいりました。
さきに述べましたとおり、昨年四月には物品買い入れ契約等、十月には工事請負契約について、それぞれ債権譲渡禁止特約を、中小企業からの依頼によって解除できる体制を整備したところでございます。いずれも他府県に先駆けて実施してまいりました。
また、国に対しましては、昨年七月及び十一月の二回にわたりまして、売り掛け債権担保融資をより多くの中小企業に利用できるように、制度内容の改善を図ることを提案要求しております。
これによりまして、国において、当初は売り掛け先との取引を三年以上必要だとしていたものが、継続的取引があればいいということになりました。また、これまで取引関係のない金融機関であっても、申し込みの取り扱いをできるようになっております。また、物品の納入や役務の提供を待たず、契約が締結された段階においても融資が受けられるようにするなど、改善がなされたところでございます。これからも、売り掛け債権の普及につきまして努力してまいりたいと思います。
○前島委員 次に、十五年度の局事業の中で、産業政策の立案ということで、産業力強化会議とか、五つのいろいろな事業が打ち出されておりますけれども、特にその中で、厳しい経済環境の中で、事業や技術、そういう革新的な一つの起業に臨む人たちが大きな力になっているのが、我が党を中心にして主張してまいりましたビジネス支援図書館事業というものがあるわけであります。
最近、マスコミ等におきましても、それが非常に注目をされておりまして、地域活性化を担った情報提供の場所であるということで、今までの、単に通常の図書館利用というものから大きく一歩踏み出して、特にベンチャー等の新しいビジネスに力を入れているわけであります。
特に、昨年六月には、ビジネス図書館として、都としてもビジネス支援ライブラリーがオープンされておりますけれども、こうした一連のビジネス支援図書館の具体的な内容、そして利用実績、これをまずお伺いをしたいと思います。
○乾産業政策部長 ビジネス支援図書館でございますけれども、この図書館におきましては、経営相談でありますとか、開業相談、データベースや必要な図書、資料などの案内でございますとか、セミナー、そういう支援にかかわります、いわゆるワンストップのサービスを提供している図書館でございます。
昨年六月末の開館以来、本年の一月末日現在では、来館者数は合計で七千二百四十八人に上っておりまして、中でも、いわゆるリピーターが四千九百六十八人ということで、その比率は六八%になってございます。こういうことから、利用者からは高い評価を受けているものと私どもでは認識をいたしております。
また、ホームページのアクセスで見ましても、三万四千五百二十五件に上っておりますし、来館者からの経営、開業相談件数が百六十九件、さらには、事業分野の調査の依頼も五百八十五件というふうになっておるところでございます。
○前島委員 今ご報告をいただきましたとおり、来館者数とか相談件数、ホームページのあれについては相当数が伸びている、また実績がありますけれども、やっぱり、ここの目的である創業にどういうふうな形で絡んでくるのか、こういうようなことが非常に大切なことだと思っています。
まだ実質的には一年たっていませんので、今すぐに、要するに、そのこと自身を問えるわけがありませんけれども、もしありましたら、創業につながっていった一つの事例というようなものをお話をいただきたいと思うのです。
○乾産業政策部長 創業の実績でございますけれども、開館後、短期間でございますために、実際に創業までに至ったケースはそれほど多くはございません。ただ、具体的な事例といたしまして、昨年十月には、インターネット広告業を創業したケースがございますし、また、十二月に高齢者向けパソコン教室を開業したケースなどがございます。
これらはいずれも、創業の希望者が来館をいたしまして、創業に当たって業界動向の調査資料を受けたり、また経営計画や株式会社の設立手続などのアドバイスを受けまして、会社の設立につなげたものでございます。
これらのほか、現在、会社設立準備中のものもかなりございまして、今後、多くの開業、創業が期待できると考えております。
○前島委員 今、幾つかの、高齢者向けパソコン教室だとか、インターネットの広告業だとかという事例が挙がりました。非常にすばらしいことではないかなと思います。
実際に創業といっても、頭の中ではわかるけれども、資金、そして計画、さらにはまた顧客、いろいろな背景というものがあるわけでありますので、簡単に創業といっても、仕事はなかなか大変だぞ、そういう感覚を実際にタッチするまでにどう勉強していただけるかというような、仕事に対する基本的なことを、そうした図書館において積み重ねていただく、これが大きな目的ではないかと思っています。
ところが、現在は、まだ商工会議所を中心にして、幾つかのところでこうした試みが実施されておりますが、私は、これからぜひ都として取り組んでいただきたいのは、市区町村の図書館等、また都における中小企業の振興公社、特に市町村の図書館との連携、こういうつながりを大切にして、あるところへ出かけなくても、それぞれの地域の中で、そうした創業への、要するにトレーニングができ、そしてその地域の中で新たな創業に導けるような形で、このビジネス支援図書館事業というものが大きく定着することを望んでやまない次第です。
区市町村との連携その他、要するに東京都としてのこれからのこの事業に対する支援策についてお伺いをして、終わりたいと思います。
○乾産業政策部長 利用者のニーズに合った高度なサービスを提供するために、関係機関とのネットワークをさらに広げていくことが、大変必要なことだと認識をいたしております。これまで既に、先生のお話のございました東京商工会議所ですとか、都立中央図書館、さらには慶応大学の三田のメディアセンターとの提携を図ってきているところでございます。
今後、より実践的なニーズに対応できるように、東京都の中小企業振興公社との連携を図ることも予定しておりますし、また、地域の利用者の利便性をより一層高めるために、区市町村の図書館とのネットワークを広げることを検討しているところでございます。
○丸茂委員 私は、まず九十七号議案であります遊漁船の手数料等に関してお伺いいたします。
議案は、遊漁船の利用者の安全確保や漁場の安定利用などを目的として、昨年六月に遊漁船業の適正化に関する法律が一部改正されまして、いよいよ四月一日実施されることになっております。こうした中で、現在の届け出制が五年ごとの登録制に改められる、こういうことで、損害賠償保険の加入も義務づけられることになりました。
そこで、都は、制度の改正による説明会を行っておりますけれども、参加状況と、その中でどのような質問が出されているのか、また手数料について意見はどうなのか、お伺いをいたします。
○矢口農林水産部長 今、先生からお話がありましたように、遊漁船業にかかわります法律が大幅に改正されまして、本年四月から新しい登録制度が実施されますので、昨年の十二月からこの二月まで、法律の主な改正点や登録の手続などにつきまして、島しょ部で九回、区部で五回、計十四回、説明会を開催してございます。説明会につきましては、三百八十七名の方々が参加しております。
説明会での主な質問でございますが、遊漁船業に該当するか否かの個別具体の事例や、新規登録の手続の仕方、今回新たに登録要件とされました遊漁船業務主任者などについての質問が出されました。
また、登録手数料につきましては、都は二万四千円となっておりますが、近隣県であります千葉県が、あるいは神奈川県が二万五千円となっておりますので、説明会におきましては、ほとんど意見は出ませんでした。
○丸茂委員 説明会が開かれているようですが、実際に説明会に参加できなかった関係者もいると思うんですね。今ご説明にあったように、実際に説明会で聞いたけれども、いろいろまだわからない点がある、そして今、説明会でもさまざまな質問が出ている、こういう状況にあります。
そういう点で、島しょも含めての遊漁船業者ですから、これの相談に迅速に対応していただきたいと思うんですが、インターネット等、対応が非常に大事になっているんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○矢口農林水産部長 今回の遊漁船業の適正化に関する法律の改正の内容や、登録手続などにつきまして、私ども産業労働局のホームページに掲載しているところでございます。また、先ほどお答えしましたが、説明会を昨日まで実施しておりましたので、説明会におきまして出た質問や相談の内容につきましては、来週にもこのホームページ上にQアンドAコーナーを設けまして、きめ細かく対応していく予定でございます。
○丸茂委員 それで、実際にこういう遊漁船関連の都内業者はどのくらいなんですか。
○矢口農林水産部長 平成十五年一月末現在で、都内全域で遊漁船業の届け出をしている業者は六百八十五業者ございます。区部では二百九十五業者、島しょ部で三百九十業者となってございます。
○丸茂委員 それだけの業者がいるわけですから、そういった方々のさまざまな要望にもこたえていただきたいと思うんですが、今度の法律改正に当たって、国会では四点の附帯決議がされ、政府が実現すべき内容が付されておりますけれども、都としても対応が必要な点があるかと思います。その点での都のお考えをお伺いいたします。
○矢口農林水産部長 昨年六月の法律改正に当たりまして、遊漁船利用者の安全確保を図るため、遊漁船業者への指導を行うことや、都道府県の地先を越える海域での遊漁船の事故等につきまして、国及び都道府県が協力して対処する体制を整備することなどを求める附帯決議がなされております。
都といたしましては、遊漁船業者への意識啓発の徹底や、現在設置してございます海面利用協議会を活用した秩序ある漁場利用のルールづくりなど、国及び関係県とも緊密に連携しながら対応してまいりたいと考えてございます。
○丸茂委員 ぜひ法の趣旨あるいは附帯決議に沿って、なおかつ関係者の意見を十分酌み取って対応いただきたいという要望をしておきます。
次に、中小企業対策について伺います。
私自身、中小企業問題は、本会議で必ずワンテーマにしまして、その都度、中小企業の経営者の皆さん、ときには東京都の団体である東商の幹部の皆さん、いろんなところに足を運びまして、お話を聞いております。そしてなおかつ、先ほど借りかえ融資の問題が出されましたけれども、一昨年、私、本会議で京都の例を出して質問したんですが、当時は大変冷たい答弁だったんですが、昨年スタートしたという点では、大変喜ばしく思っておりますし、中西理事が、国の制度についてのご紹介がありましたけれども、国会での参議院予算委員会では、平沼経済相が、日本共産党の西山議員から京都の例などを出してもらい、審議したと。中小企業、零細企業の要望に十分こたえられるのではないか、こういう答弁がされているんですが、そういう点で、私どももやっぱり、中小企業にとって金融問題、融資というのは大変大事だということで、常々、東京都においても制度融資の拡充を求めてまいりました。
そういう中にあって、今、いろいろ地域を回りますと、金融問題に対して、銀行の貸し渋りだとか貸しはがしがひどい、こういう中小企業の声が寄せられております。私ども、早速、どういう中身なのか、独自に調査も行いました。そうした聞き取り調査によりますと、銀行が金利をいきなり二%から八%に引き上げてくれ、こういわれたり、経営状況が悪いから、リストラするか、利息をこれも八%に引き上げてくれ、それでも応じなければ、全額を貸し付けの倍の利率で返済しろ、こういうとんでもないものがあったり、貸し渋りの中では、建設業ですけれども、官公需の受注見込みがありながら、あるいは決定しながら、地元支店では融資が決まったのに、本店決裁になったらだめになった、こういう実態も訴えられました。
今、特に多額の債権の多くが、バブル期に銀行から、とにかく借りてくれというので借りた、この不況の中でなかなか返済が滞ると。そういうところで苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。そういう怒り、特に銀行の貸し手責任はどうなるのか、こういう声も聞かれるわけですけれども、都に寄せられた貸し渋りあるいは貸しはがしに関する苦情など、把握しているところで示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿島参事 都に寄せられた相談等の内容は、融資を受けるためにするものが大半でございまして、貸し渋り等に関する苦情はまれでございます。金融機関に対する監督権限のある金融庁には、専用の貸し渋り、貸しはがしのホットラインが設けられております。このため、都に貸し渋り等の苦情があれば、この窓口をご紹介しております。
○丸茂委員 相談が来ればホットラインに回すというところでは、やっぱり、中小企業の具体的な痛みというのがなかなか伝わっていないなという感じがいたします。後でその具体策については提案をしたいと思います。
それで、先ほど金融機関の金利の引き上げのひどさ、私、紹介しましたけれども、都の制度融資の中には、金利を金融機関の所定利率としているものがありますが、この所定利率の最高、最低は、現状どうなっているのでしょうか。
○鹿島参事 都の制度融資には、政策的に利率の上限を定めているものと、上限を定めず、金融機関所定金利としているものがございます。金融機関所定金利としているのは、平成十三年度開始いたしました資金計画対応融資と、平成十四年度から実施した中小企業向け自律経営振興融資でございます。
平成十三年度から実施しております資金計画対応融資では、最低金利が〇・九七%で、最高金利は六・〇%となっております。
○丸茂委員 こうした融資もそうなんですが、利率何%以下という利率で借りている中小企業の方がいらっしゃいますけれども、いろいろ聞くと、やっぱり、力があって大きいところには安い金利だけれども、弱いところには高い金利を求めてくるという実態、零細な方々の不利にならないように、不当な扱いにならないように、ぜひ求めておきたいと思います。
それから、貸し渋り、貸しはがしの苦情の中に、金融機関が安易に保証協会に代位弁済させて、保証協会が中小企業の話を十分聞かないで、すぐに競売等の回収に踏み出す事例も寄せられております。都の保証協会への指導はどうなっているのか、中小企業の立場に立った指導を求めるものですが、その点いかがでしょうか。
○鹿島参事 保証協会が代位弁済を行う場合は、借り手である中小企業について、民事再生手続の申し立て、破産の申し立て、銀行取引停止、利息の支払いの三カ月遅延など、このような事故が生じた場合に初めて協議に入るものでして、安易に代位弁済を行うことはございません。
代位弁済をした後、求償権を行使するに当たっては、債務者と相談して返済方法を定めております。その返済状況によりましては競売手続に入ることになりますが、その前に、任意処分を促すなどの対応をしているところでございます。
○丸茂委員 そうした対応をしているというところですから、そういう具体例については、やっぱりそれも中小企業の訴えを十分聞いて、適正に行われるようにお願いしたいと思うのですが、先ほど示されたように、金融庁は昨年の十月から貸し渋り、貸しはがしホットラインを設置しております。三カ月余で四百二十件に上ったということです。既に大手七行の銀行グループは、中小企業向け融資が九兆円減になっている。特に金融庁は、UFJや、あるいはみずほに対して業務改善命令を出しております。みずほ銀行に至っては、金利の引き上げに応じない中小企業には貸し出しを原則行わない、こういう文書を出しておりまして、これは国会でも明らかになっております。不況で超低金利のときに、三・六二五%という金利をかけると。
そういう中にあって、東京都は、確かに信用組合も国に行きましたし、指導権限は金融機関にはないかと思いますけれども、こうした貸し渋り、貸しはがしに対して、都として何らかの行動が起こせないのかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○鹿島参事 お話のように、都には金融機関に対する検査監督権限がないため、業務改善命令等の措置はとることはできません。制度融資に関しましては、昨年五月及び十月の二度にわたりまして、金融機関等に対し、積極的活用を図るように文書で要請いたしました。その結果、融資実績を伸ばしているところでございます。
○丸茂委員 今、二度にわたって金融機関に対して積極活用を求める文書を出したといわれましたけれども、金融機関側の反応、それから、今伸びたというようなお話があったんですけれども、実際の効果、もう少し詳しくご説明いただきたいと思うのです。
○鹿島参事 都は、平成十四年五月及び十月の二度にわたりまして、金融機関等に対し、制度融資の積極的活用を図るよう、文書により要請いたしました。とりわけ十月には、文書にあわせて、金融機関等を集め、年末金融対策等について協力を要請したところであります。
これらの結果、金融機関の積極的な取り組みもございまして、速報値ですが、都の制度融資の本年一月末現在の実績は、今年度の融資目標額を上回るとともに、昨年の同時期を上回る実績を上げております。
○丸茂委員 ぜひ東京都として、貸し渋り等にならないように、制度融資については大いに頑張っていただきたいと思うんですが、中小企業の融資実績、確かに、東京都が融資目標を決めて、それを上回る--私ども、ずっと平成四年から今まで出た数字をグラフ化すると、本当に頑張っているんですね。ただ、現実に貸出実績がこれまでの目標からすると下がり出している。この間は不況の問題がありますし、特別保証の期間がありますし、いろいろ課題があるかと思いますが、やっぱり、中小企業が本当に命綱にしている制度融資ですから、大いにそれが中小企業に役立つように、一段と努力をお願いしたいというふうに思っております。
いずれにしても、現在の激しい貸し渋り、貸しはがしのもとで、借り手である中小企業における実態もきちんと調査すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○乾産業政策部長 毎月、都内の中小企業を対象に景況調査を実施いたしておりまして、その中で、四半期ごとに設備投資、さらには資金繰り等の状況を調査し、実態の把握に常に努めているところでございます。
直近の十四年十-十二月期の調査によりますと、資金繰りの状況が苦しいとする企業の割合は四四・二%となっているところでございます。
○丸茂委員 私どもも中小企業の経営者の方に会うと、貸し渋り、貸しはがしがひどいというお話があるんですよね。だから、その実態をそういう形で具体的に把握をしていただきたい。
そういう点では、先ほど金融庁のホットラインがあるというんですけれども、やっぱりそれに回すんじゃなくて、中小企業の実際はどうなのかという点では、苦情相談一一〇番などでその声をきちんとつかんで、それに対応する、そういうものが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○鹿島参事 金融機関に対する指導監督権限のある金融監督庁には、専用の貸し渋り、貸しはがしホットラインが設けられておりまして、都に貸し渋り等の苦情がございましたら、この窓口をご紹介しているということでございます。
また、件数も非常に少ないということでございますので、都としては相談窓口を設ける考えはございません。
○丸茂委員 私は、そこがやっぱり、今、中小企業がいろいろ悩んで、抱えている問題に正面から向かっていないなと。こういう貸し渋り、貸しはがしを受けている方は、本当に生活の根本にまでかかわってきているわけですから、逆にいえば、なかなか表に出せないという悩みもあるわけですよね。そういうところでは、ぜひ行政が公平な立場で受けとめていただくという点では、引き続き要望しておきたいと思います。
次に、ものづくりについてお伺いをいたします。
大田区では、昨年も危機突破の集会が開かれましたけれども、本当に、従業員五人以上の中小企業は、一年間で約一一%近く倒産、廃業に追い込まれております。都内の企業倒産も、昨年、過去最悪となっております。
大田区では、不況打開ということで、区内六千の工場訪問を行う運動も展開されております。その中では、仕事量は半分に減っただとか、あるいは単価は四割から五割も下げられたとか、こうした訴え、特に、仕事が中国あるいはアジアへ行っているという状況が色濃くあらわれております。
そうした中で、日本政策投資銀行が、資本金十億円以上の民間法人企業を対象にした設備投資計画調査を行っておりますけれども、製造業の海外投資が急上昇しているという数字も明らかになっております。
こうした東京のものづくりの現状を都はどう認識しているのか、とらえているのか、お伺いいたします。
○泉本参事 東京の産業力の中核であるものづくり産業は、非常に厳しい状況にございまして、東京の産業を活性化させるためには、積極的な施策展開が必要であると認識してございます。そうしたことから、都はこれまで、意欲ある企業に対し、技術や経営、資金面でのさまざまな支援を行ってきたところでございます。
○丸茂委員 そうした中で、こうした危機的にある中小企業に対して、東京都として、具体的な歯どめ策なり、対応なり、その点はいかがでしょうか。
○泉本参事 ものづくりを行う中小企業の厳しい状況にかんがみまして、東京のものづくりの振興を図るため、中小企業振興対策審議会に、一昨年十月に、東京のものづくり振興のあり方について諮問いたしまして、昨年八月二十八日に答申をいただいたところでございます。
来年度は、この答申の、技術力を高める、知的財産で戦う、マーケティング力を高めるなどの戦略に基づきまして、産学公連携を初めとした技術開発支援、知的財産に係る支援、販路開拓支援などの充実に努めてまいるものでございます。
○丸茂委員 私も中対審のメンバーですから、その中でいろいろ議論もさせていただきました。その中では、知的財産の問題が大変重要で、金型の設計図まで持っていかれたという話もしたんですけれども、そういう中にあって、東京都自身も、今度、中小企業への知的財産にかかわる抜本的な支援をする、強化するということで、知的財産活用本部を設置することとなっております。
本会議でもさまざまな答弁がされておりますけれども、具体的な中小企業の支援策を進めてほしいということで、一例を示してお聞きしたいと思うんですけれども、都内の中小企業で、全く新しい形で安全、無公害のメッキ方法を開発して、実用化もされたという企業があります。こうした中小企業が新しい特許を取得するには多額の経費が必要で、特にPCTですか、国際特許の場合は、母国語の翻訳を含めると一千万円単位の金額が必要だといわれております。その方にいわせますと、そのためにグレードの高い評価委員会を国や自治体に設置してもらいたい、さらには、こうした新技術に権利取得の支援策を講じてもらいたい、こういう提言があるんですが、そうした方に対する支援策はあるのか、お伺いをいたします。
○泉本参事 産業競争力の強化に向けまして、知的財産活用本部などを設置し、普及啓発や相談機能の強化など、中小企業の知的財産に係る支援強化を図ることとしております。
また、国際特許の取得につきましては、国内特許の取得に比べまして、著しく経費がかかるなどの状況は既に認識してございます。そのために、そうした支援も行うこととしてございます。
○丸茂委員 ぜひ具体的に支援をお願いしたいと思います。
次に、工業集積活性化支援事業についてお伺いいたします。
本定例会でも質問が出されまして、答弁では、事業の成果を検証していく必要がある、工業集積の概念の変化や産業構造の変化に伴い、今後、工業集積の意義や、そうした変化に伴う施策のあり方などについて、中小企業振興対策審議会において、有識者の意見を伺いながら幅広く検討してまいりたい、こう答弁がされております。
この答弁に沿って、いつ、どう検討するのか、その点、お伺いいたしたいと思います。
○泉本参事 工業集積の概念の変化ですとか、あるいは産業構造の変化、これらの状況の把握に努めながら、審議会の立ち上げを行う必要があろうかと思っております。今後、そうした条件をクリアして、検討を始めたいと存じます。
なるべく早く立ち上げたいと存じておりますが、具体的な時期については未定でございます。
○丸茂委員 審議会でも、経営者の皆さんからは、石原知事はよくスピードを強調されると。具体的な中小企業対策も、先ほどから議論されているように、大変厳しい経済環境の中で必死に頑張っているんだ、そういう中小企業にスピードをもって対策をお願いしたいと。答申の時期にも、そういう要望を私自身もしましたし、別の方もされておりました。
それで、この工業集積活性化支援事業が、手がけた多くの自治体が何らかの形で引き継いで、その自治体独自の現状に合った形で創意工夫して、事業を継続しております。私ども大田区でも、新製品、新技術、特に技術開発支援という形で事業を実施しておりまして、昨年は申請が十五件だったものが、ことしは三十五件に伸びている。それから、交付決定は十一件だったものを十二件ということで、三千三百七万余の交付決定をしております。私ども、これはその他の区でも調べたことがありますが、皆さん、これが気つけ薬だということもいわれていたんですが、五年で終了するという点で、なかなか厳しいわけですけれども、そういうものづくりを支援する取り組みが引き続きやられている。
そういう流れが、大田区では、これは教育委員会の方ですけれども、ものづくりの心を子どもらにということで、ものづくり教育学習フォーラムということで、区内の技術者と小中学生が交流して、ものづくりの大切さを伝えていく。このものづくりについても、不況のときだからこそ、人材育成という、将来を見込んだ大変大事な課題が、私は一歩一歩進んでいるなという感じがするわけです。
そういう点で、今年度予算では八地域、五年で終了していますので、九千百十七万五千円の予算です。ピーク時は、決算時で、資料も出していただきましたけれども、平成十二年で二億一千百三十八万五千円、ピーク時の半分以下になっております。
私ども、これだけ大事で効果のある工業集積活性化支援事業を、第二期の事業としてスタートを本当にやってほしいという思いがあるんですが、いかがでしょうか。
○泉本参事 工業集積地域活性化支援事業はサンセット事業でございまして、平成十六年度にすべての事業が終了することになっております。ものづくりを振興する立場から、事業の成果を検証していくことが必要であると認識してございます。
先ほど申し上げましたように、中対審での検討では、工業集積の意義あるいはそうした変化に伴う施策のあり方について検討してまいりますが、その一環の中で、今後、継続するか、別の事業として対応するかなどを検討していきたいと考えております。
○丸茂委員 ぜひ東京のものづくりを、こういう厳しいときだからこそ、東京都が大いに応援して、やはり活性化させていくということで、その実現を強く要望しておきたいと思います。
最後に、港湾局でも聞いたんですが、知事が二月七日の記者会見で、お台場での擬似カジノ、こういう発言があったんですけれども、産業労働局には、知事から何らかの指示なり、あるいは事前の話があったんでしょうか。
○松田産業政策担当部長 記者会見の発言ですとか、新聞報道があったことは承知をしておりますが、それ以外の情報はございません。
○丸茂委員 局は知らない、知事の考えだということです。
ことし、カジノの調査費がついておりますけれども、私どもは反対をしております。やっぱり、東京の活力のためにも、本当に、ものづくりあるいは地域のにぎわいを支えている商店街の振興を中心に据えて、大いに産業労働局は力を発揮していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○谷村委員 まず初めに、労政事務所の再編統合についてお伺いしたいと思います。
昨年の本委員会で、労政事務所の再編統合について議論がされました。某党による硬直した議論もございましたけれども、多摩地域の三鷹、立川、八王子の三つの労政事務所のうち、今年度から三鷹、立川の二所を統合し、国分寺労政事務所を設置し、これにより多摩地域は国分寺労政事務所と八王子労政事務所の二所体制として、十一年度に再編をされました区部の労政事務所と合わせて、都内七つの労政事務所体制となったわけでございます。
これは行政改革を推進するとともに、事務所の規模を拡大することによりまして、スケールメリットを生かして、機動的かつ弾力的な労働相談体制の構築を図ることを目的としたものである、このように説明をされてまいりました。
そこで、統合後の具体的な施策の実施状況をお伺いしたいと思います。
○高橋労働部長 労政事務所の統合によりまして、各労政事務所の職員規模を拡大できまして、職員の勤務ローテーションを柔軟に組むことが可能になったことから、今年度よりすべての平日に夜間労働相談を実施することとしたほか、新たに、区部と多摩それぞれ一カ所の労政事務所で、土曜日にも労働相談を実施する体制をとることといたしました。
○谷村委員 職員の職務ローテーションを柔軟に組むことが可能になった、すべての平日に夜間の相談体制、また多摩と区部でそれぞれ土曜日にも相談を受ける体制になった、このようなご説明でございましたけれども、こうした施策の展開による成果を数値で示していただきたいと思います。
○高橋労働部長 平成十四年四月から平成十五年一月までの十カ月間で、夜間の労働相談受理件数は千二百二十七件、土曜日の労働相談は七百九十件に上っております。これまで昼間に来所して相談することが難しかった人たちに対して、大きく利便の向上を図ることができたと考えております。
このほか、平成十四年十二月に実施しました年末出前労働就業相談会においても、三千件を超える相談を受けるなど、労働相談ニーズの急激な増加に機動的に対応することができた、そのように認識しております。
○谷村委員 長引く不況と厳しさを増す労働環境の中で、労政事務所に寄せられる労働相談も、今後ますます複雑多様化してくるものと思われます。こうした状況に適切に対応するため、今後とも、社会のニーズに十分こたえられるよう、相談体制の充実強化に努めていくことが必要であり、今後一層の努力をお願いしたいと思います。
次に、先日の本委員会におきまして、緊急地域雇用創出特別基金事業の追加補正予算案が審議をされました。切れ目のない予算編成として、平成十五年度予算と連動して雇用対策に向かうわけでございますが、この基金事業につきまして、昨年末、追加交付に関する国の補正予算案に合わせて、事業実施要件の緩和が行われたと伺っております。
本基金事業は、制度発足当初より制約が多く、利用しにくい事業であるとの意見が寄せられておりました。私ども公明党も、基金事業の実効性を高め、かつ利用しやすいものとなるよう、国に対し、事業要件の緩和や弾力的運用について強く要望してきたところでございます。今回の要件緩和につきましては、このような公明党の積極的な取り組みが反映されたものとして、一定の評価を行うものでございます。
そこで、今回の基金事業における要件緩和の内容についてお伺いをいたします。
○高橋労働部長 平成十四年の十二月末に、お話のように国の要領が改正されまして、事業費に占める人件費割合の引き下げが可能になったこと、また、雇用期間が通算して六カ月未満であれば、失業者は何回も事業に従事できるようになったことなどの要件緩和が行われております。
これによりまして、これまで人件費の割合が低く、基金事業として適用が難しかった、例えばごみ処理費用がかさむ公園の清掃や、印刷費の割合が高い各種調査など、実施可能な事業の範囲が広がり、失業者の雇用機会を拡大することができるものと考えております。
○谷村委員 今回の追加交付にあわせまして、中小企業特別委託事業枠が新たに設けられたと伺っております。この内容について確認をさせていただきたいと思います。
○高橋労働部長 国の平成十四年度補正予算における交付金増額八百億円のうち、四百億円は中小企業特別委託事業分とされております。中小企業特別委託事業は、中小企業における雇用の安定や雇用機会の創出を目的として、新たに設けられたものでございます。
具体的に申し上げますと、常用雇用する労働者が五十人未満で、かつ売り上げが大幅に減少している企業を対象に、人件費割合については、これまでの八割以上から五割を超えることに、また、失業者を新規に雇用する割合が四分の三以上から十分の一以上へと要件を緩和するものでございます。
なお、都に対しましては、追加交付額約六十四億円のうち、約三十六億円が中小企業特別委託事業分として交付される見込みにございます。
○谷村委員 このような要件緩和や、新たな事業枠が設けられる中で、約六十四億円の追加交付を受け、今後の基金事業の展開について、都の取り組む姿勢をお伺いしたいと思います。
○高橋労働部長 昨年十二月から実施しました中小企業助っ人千人事業は、求職者、中小企業の双方から大変好評を博しております。また、この事業は、厚生労働省により、基金事業の推奨事例として全国に紹介されるなど、斬新かつ効果的な事業として各方面から高い評価を得ております。
今後とも、区市町村と連携しながら、今回の要件緩和や、約六十四億円の追加交付額を最大限に活用しまして、中小企業助っ人千人事業のような雇用創出効果の高い事業を展開してまいりたいと考えております。
○谷村委員 厚生労働省の基金事業の推奨事例として全国に紹介されたと、どんどん宣伝をしていただきたいと思いますけれども、今後、しっかりと区市町村と連携をして進めていただきたいと思います。
最後に、厳しい雇用情勢の中で、東京の雇用就業施策の果たす役割はますます大きくなっております。都民のニーズに的確にこたえる雇用就業施策の展開が必要と考えます。最後に有手局長の決意を伺って、私の質問を終わりにいたします。
○有手産業労働局長 東京の経済は、依然として個人消費の低迷、企業倒産件数の増加など、先行き不透明でございますし、それから、雇用面におきましても、完全失業率が過去最高を更新するといった大変深刻な状況でございまして、今日ほど産業、雇用両面にわたりまして新たな対応を求められている時代はないと認識しております。
このようなことから、先ほど部長が答弁しましたけれども、年末には、経済・雇用緊急プロジェクトを策定いたしまして、中小企業助っ人千人事業、それから年末の出前相談などに応じまして、取り組んだところでございます。
しかし、こういった現実的な対応だけでは、今日の東京の雇用就業問題は解決できないと認識しておりまして、経済のグローバル化、少子高齢化、こういったものがどんどん進んでまいります。我が国の労働力人口を展望してみましても、若年者を中心に、長期的に減少することが予測されるところでございます。このままでは東京の活力はますます低下して、将来にわたる持続的な成長は困難であるというふうに考えております。
このようなことから、産業や雇用環境にとどまらず、都民のライフスタイル、職業観、企業経営理念、社会のグローバル化など、あらゆる面で既成の価値観や制度が大きく変化している中で、雇用就業施策も新時代にふさわしいものに変えていかなければならないと考えている次第でございます。
情報や産業の集積等、東京の特質を最大限に生かしながら、これまでの制度の枠組みを超えた、二十一世紀の日本を見据えた、柔軟で幅広い視点に立った施策を構築していく必要がございます。このようなことから、雇用・就業対策審議会を立ち上げまして、今、二十一世紀を見据えた東京の産業のあり方、雇用のあり方、多様な働き方、こういった問題について鋭意検討をしております。ことしの六月には最終答申をいただく予定でございますけれども、こういった答申もいただきながら、新時代にふさわしい、新しく、そして有効な施策が打てるように、精いっぱい努力してまいります。
○三宅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三宅委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時二十四分散会
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