委員長 | 松原 忠義君 |
副委員長 | 三宅 茂樹君 |
副委員長 | 中村 明彦君 |
理事 | 丸茂 勇夫君 |
理事 | 森田 安孝君 |
理事 | 山崎 孝明君 |
中屋 文孝君 | |
河野百合恵君 | |
藤井 一君 | |
富田 俊正君 | |
橋本辰二郎君 | |
田島 和明君 | |
小林 正則君 | |
川島 忠一君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 有手 勉君 |
総務部長 | 山口 一久君 | |
監理団体調整担当部長 | 安藤 立美君 | |
産業政策部長 | 乾 敏一君 | |
産業政策担当部長 | 松田 二郎君 | |
参事 | 蓬澤 茂夫君 | |
商工部長 | 大原 正行君 | |
参事 | 泉本 和秀君 | |
参事 | 鹿島 博之君 | |
観光部長 | 帆刈 祥弘君 | |
農林水産部長 | 矢口 貴行君 | |
参事 | 馬場 安男君 | |
労働部長 | 高橋 勝君 | |
参事 | 前田 昭信君 | |
港湾局 | 局長 | 高橋 信行君 |
技監 | 高野 一男君 | |
総務部長 | 津島 隆一君 | |
参事 | 井戸 秀寿君 | |
港湾経営部長 | 浅倉 義信君 | |
参事 | 吉田 安輝君 | |
臨海開発部長 | 三枝 修一君 | |
参事 | 萩原 豊吉君 | |
参事 | 金子 優君 | |
港湾整備部長 | 梶山 修君 | |
計画調整担当部長 | 松井 創君 | |
参事 | 安藤 哲士君 | |
離島港湾部長 | 樋口 和行君 | |
参事 | 松本 義憲君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
港湾局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百九号議案 東京都営空港条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・「豊洲・晴海開発整備計画-再改定(豊洲)案-」の策定について
産業労働局関係
報告事項(質疑)
・東京都中小企業振興対策審議会「都のものづくり振興のあり方について」答申について
○松原委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布の意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松原委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○松原委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の付託議案の審査を行いますとともに、港湾局関係の報告事項の説明聴取及び産業労働局関係の報告事項の質疑を行います。
これより港湾局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第二百九号議案、東京都営空港条例の一部を改正する条例を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
資料の要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
発言を願います。
○丸茂委員 この条例は、大島空港の新滑走路が全面供用する、それに伴ってボーイング737が就航する、そのために重量制限を引き上げる、こういう条例ですけれども、何点か伺っておきたい点がありますので、質問いたします。
まず第一に、新滑走路の工事に当たって、これまでレッドデータブックにある希少動植物の保護について、当委員会で九九年七月に小竹委員が、二〇〇〇年七月に我が党の山本委員が、それぞれ質問しておりますけれども、山本質問に離島港湾部長は、環境影響評価書で移植が必要としていたハチジョウネッタイランは、愛宕山東斜面の適地に移植し、さらに愛宕山、三ッ峰のオオシマシュスランやエビネなどは、十五地点、百一株を愛宕山に移植している、このような答弁もされております。その点で、こうした希少動植物、特にハチジョウネッタイラン等、移植後の生育は順調に進んでいるのか、まずお伺いいたします。
○樋口離島港湾部長 移植した植物の生育状況でございますが、これにつきましては、環境影響評価条例に基づきまして事後調査を実施しておりまして、平成十二年及び十三年度に既に調査を実施しておりますが、根づけの状況は順調との報告を受けております。
○丸茂委員 次に、スダジーだとかタブの木、これも数百年あるいは千年と、相当の年数で生育を見守る、こういう植物もあるわけですが、それらの管理も含めてどうなのか、お伺いしておきます。
○樋口離島港湾部長 スダジー及びタブなどのことでございますが、このスダジー、タブにつきましては、昨年十月から十一月にかけて土地を改変した場所がございますので、そこに植樹をするということで、これについては、植物生態学の国際的な権威でございます宮脇国際生態学センター研究所長という方がいらっしゃいますが、その方に指導を受けまして、地元の方々にご協力いただいて植樹をしたところでございます。
その後、私が八月に現地に行きましたけれども、生育状況は非常に良好でございまして、厳しい状況でございますが、例えば斜面が急だとか、そういう状況がございますが、非常に良好に根づいております。
これにつきましても、今後も十年間を目安にモニタリングをしていくということを考えてございます。
○丸茂委員 環境影響評価等で、モニタリングを含めて事後調査をやっている状況はわかったんですが、こういった事後調査を終わって、その結果については、やっぱり情報を知りたいという、そういう専門家の方もいらっしゃいますし、ぜひ情報公開の方はきちんとお願いをしたいというふうに思っております。
次に、今度、プロペラ機からジェット機にかわるわけで、就航率のアップ、これを目指して、今回、ジェット化するわけですけれども、どのくらい就航率が上がると見込んでいるのか、その点お伺いいたします。
○樋口離島港湾部長 就航率についてでございますが、現在、平成十三年度で把握している内容としては九〇・九%の就航率でございましたが、今回の拡張整備事業により、就航率が九五%以上に向上するというふうに考えてございます。
○丸茂委員 就航率が上がるということは大変いいことだと思うんですが、このジェット化による、逆にいえば騒音の被害が広がるんじゃないか、こういう心配をしているんですが、騒音の影響はどうなるのか、お伺いしておきます。
○樋口離島港湾部長 騒音の影響でございますが、今回就航しますボーイング737-500型機、この飛行機でございますが、低騒音型の旅客機でございまして、環境影響評価書におきまして、騒音の影響は現状と同程度というような結果を得てございます。
なお、拡張整備後も、運用状況を踏まえて騒音測定を実施してまいる予定でございます。
○丸茂委員 影響調査の事前調査がやられているようですけれども、実際に運航しますと違いが出るのが航空機の騒音です。特に予測の場合は、無風で標準的離陸重量、標準的飛行経路及び高度を基準にしているわけです。したがって、風向きだとか雲の垂れ込み状況、こういうものが騒音にかかわって大きく変化するわけで、そういう点では、空港周辺には、散在しているとはいえ、住宅あるいは学校もあるわけで、騒音等、ジェット機の運航状況を見て、私は何らかの対策が必要な場合にはきちんと対応していただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○樋口離島港湾部長 先ほど申し上げましたように、事前に調査、予測をするとともに、就航後の調査をしてまいるということになります。これまでも、東京都におきましては、実態に基づいて適切に対応してきたところでございまして、この大島空港においても同じように対応してまいりたいと、かように考えております。
○丸茂委員 ぜひきちんとした対応をお願いしたいと思います。
最後に、せっかくジェット機が就航する、一方で、東京新聞にも、悲願のジェット機もう客離れ懸念と、ジェット機就航の一方で、高速船が今、大島に竹芝から運航されている。時間的に見ても、ジェット機はほぼ三十五分で行くんですが、搭乗時間等含めると高速船と余り変わりないと。料金の方はどうかというと、高速ジェット船は六千二百円、特に島民は三五%引きで四千三十円、一方、ジェット機の方は、一般の料金は一万五百円ですが、最近、特割りということで六千二百円、あるいは四千円台に料金を落として何とか客を確保しよう、こういう動きも聞いているんですけれども、この点、総額百五十億かけて今回の滑走路延長とターミナルの整備をやったわけですが、都としてこの辺についてどういう受けとめ方をしているのか、お伺いしておきたいと思います。
○樋口離島港湾部長 大島空港の整備によりまして、島への交通アクセスが改善する、これは、ジェット化ということについては島の方々の非常に強い熱望のもとに実現したわけでございまして、一方で、ジェットフォイルが就航して、またこちらも交通アクセスが改善したという状況がございます。これにつきましては、確かに航空の旅客が減っているというのは事実でございますが、先ほど先生のお話にございましたように、特別割引運賃を設定して集客に努めているところでございます。こうしたよい競争関係が生まれることによって、私どもとすれば、島の方々、観光客への旅客サービスの向上が図られて、全体として島の活性化につながっていけば、大変結構なことだと思っておりますし、そうした意味では、特別割引運賃の維持を要請するなど、さまざまな工夫を図って島の活性化に努めていきたいと、かように考えております。
○丸茂委員 ぜひ島しょ振興のために、特に観光産業と、島の七五%が第三次産業で支えられているということですから、大島町なりエアーニッポン等、いろいろ相談をする中で、東京都としてもいろいろ知恵を出したり、支援することがあれば、ぜひ力もかして、相談し、解決の方向に進んでいただきたい、このことを要望して終わりたいと思います。
○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松原委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○松原委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取します。
○萩原参事 それでは、私の方からは「豊洲・晴海開発整備計画-再改定(豊洲)案-」につきましてご説明を申し上げます。
お手元の資料1の1、「豊洲・晴海開発整備計画-再改定(豊洲)案-」の概要をごらんください。
なお、資料1の2には計画書がございますが、本日は概要版にて説明をさせていただきます。
豊洲・晴海地域につきましては、現在、平成九年四月に策定いたしました「豊洲・晴海開発整備計画-改定-」に基づきまして開発を進めておりますが、都は、昨年十二月に築地市場を豊洲地区へ移転することとしたところでございまして、これに伴い、豊洲地区の土地利用計画等について変更する必要が生じてまいりました。このたびの再改定案は、こうした点を踏まえまして、豊洲地区の開発フレーム、土地利用計画等につきまして、地元区、地権者等と協議、調整を行い、豊洲地区の内容を中心に見直しを行ったものでございます。
なお、市場移転につきましては、地元区と引き続き協議中でございますが、本計画は、各地権者や中央卸売市場が個別の開発計画を策定する際の基本となるものでございまして、地権者等が具体の検討を進めるに当たり必要になりますことから、案として取りまとめたところでございます。
今後は、この計画案に基づきまして、個性的で新しい複合市街地や都市型住宅地の形成を目指して、魅力あるまちづくりを進めていきたいと考えております。
それでは、1の豊洲・晴海開発の基本的な考え方でございますが、環状メガロポリス構造におけるセンター・コアと東京湾ウォーターフロント都市軸とを接続する立地特性、こういったものを生かしまして、一つ目には職住近接の都市型居住のまちの形成、二つ目といたしましては、業務・商業、居住、文化などが調和した複合市街地の形成、三つ目といたしましては、東京の海の玄関にふさわしい文化と交流のまちの形成といった三つの開発目標に基づき、土地利用転換に合わせた個性的で新しい複合市街地や都市型住宅地の形成を図ることとしておりまして、基本的な変更はございません。
2の開発フレームでございます。上に今回の再改定案を、下に、参考といたしまして、現行計画を載せてございます。
豊洲地区につきましては、居住人口を現行の三万一千人程度から一万三千人程度に、また、就業人口を現行の三万七千人程度から四万四千人程度に見直しております。
晴海地区につきましては、現行どおり、居住人口は三万一千人程度、就業人口は三万九千人程度といたしております。
恐縮でございますが、二ページ目をお開きいただきたいと思います。3の豊洲地区でございます。
(1)の土地利用方針につきましては、業務・商業、居住、市場などの各機能がバランスよく配置された複合市街地の形成を目指すことに重点を置きまして土地利用を進めていくと、このようにいたしております。
(2)の土地利用計画につきましては、恐縮でございますが、別紙のとおりでございますので、3ページの別紙をごらんいただきたいと思います。
上の図が今回の土地利用計画でございまして、新市場は第六街区の先端部を除きます第五、第六及び第七街区に配置することといたしてございます。
青色で着色した部分が市場用地でございまして、約四十一ヘクタールございます。赤く着色してありますところが業務・商業地、約五ヘクタール、ピンクが複合地で約二十三ヘクタール、黄色に着色してありますところが住宅地で、約八ヘクタールなどでございます。
参考といたしまして、下段には、平成九年に策定いたしました現行の土地利用計画を載せてございます。
恐れ入りますが、また二ページにお戻りいただきたいと思います。(3)の新市場の整備につきましては、市場本来の目的を果たすことはもとより、まちづくりに調和した市場整備を進めるなど、地域のニーズに積極的にこたえていくことができる市場機能の充実を図ることといたしております。
また、周辺環境に対する負荷の低減や地域のまちづくりに貢献する市場づくり等について、地元区、関係者と十分協議していくことといたしております。
最後に、4の晴海地区でございますが、時点修正のみとしておりまして、基本的には変更はいたしておりません。
以上、「豊洲・晴海開発整備計画-再改定(豊洲)案-」についての報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松原委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言いただきたいと思います。
○丸茂委員 再改定計画案が出されたんですが、数字が変わっているところが幾つかあると思うんですよね。それで、改定前のパンフレットを持っていない方もいらっしゃると思うし、一応そういう変わったところを、数字だとか主要点は比較ができるように、資料として出していただきたいと思います。
○松原委員長 ただいま丸茂理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松原委員長 異議なしと認めます。理事者においては、要求された委員と調整の上、ご提出をいただきたいと思います。
以上で港湾局関係を終わります。
○松原委員長 これより産業労働局関係に入ります。
報告事項に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○三宅委員 東京は、首都としてサービス業などの第三次産業が最も集積している都市ではありますが、我が国の九・五%の人口に対して、製造業の生産額では一二・六%、就業者数では一一・一%を占める、実は最重要なものづくりの都市であります。ぜひとも今回出されました中小企業振興対策審議会の答申をもとに、都のものづくり振興策の構築に心血を注いでいただきたく思います。
本答申の副題は「競争力ある東京のものづくり産業を築く」とありますが、競争力という勝負の世界を前面に出した点で、これまでの救済的な色彩を払拭した、中小企業の意欲と能力を問う厳しい内容も含んでおります。その意味で、行政としても相当に緊張して振興策の構築に取り組んでいただきたいと思います。
また、今回、こうした検討を進めていくに当たって、産業力強化会議において全庁的な取り組みを開始されたとのことであります。しかも、ものづくりに限らず、広く産業全般にかかわる立場で検討し、さらに産業は永続的な活動であるので、一時的な会議にはしないとも伺いました。急速な産業構造の変化は、ものづくり産業に限らず、産業全般にわたって新しいアイデアやダイナミックな施策の転換を強く求めています。新たな産業振興策の構築を大いに期待するものであります。産業振興のかなめたる有手局長に、今後の産業振興にかける意欲を伺います。
○有手産業労働局長 ものづくりは経済活動の基本でございますし、東京の産業を支える基盤として、その重要性を多くの方々にまず認識していただくことが重要であると考えております。それから、ものづくり振興は、都民の理解と協力を得ながら、幅広い視野に立って総合的に全庁挙げて取り組むべき都政の重要課題であると考えております。そのため、関係各局ばかりでなく、議会の皆様のお力もかり、民間の英知も活用する産業力強化会議を立ち上げ、庁内の体制整備を図ったところでございます。
新しい発想に立って、規制改革から人づくりまで、横断的な課題を検討しながら、広く産業全般の振興策を構築していく所存でございます。変化の激しい経済動向などに的確に対応できるように、スピード感覚を重視し、東京という大都市の特性を生かして、停滞している東京の産業を活性化し、世界に伍していける産業の育成に全力を傾注してまいりたいと考えております。
○三宅委員 まことに力強い、意欲満々のお話を伺いました。が、私は昨日の一般質問で、ものづくりの武器ともいうべき、技術以上に資金の確保が切実になっていると訴えたところであります。一昨日の我が党の代表質問で、こんな時期だからこそ東京都は力強い金融支援策を緊急に打ち出すべきとお尋ねをし、局長より前向きの答弁をいただいたと思っております。そこで、ものづくりの振興に関連する金融対策として数点伺います。
先般の金融庁の発表によれば、七兆円もの公的資金の注入を受けた大手銀行の大半が、中小企業向け融資の増額を条件としていたにもかかわらず、ふやすどころか、全体では五兆円を超える貸出額を減らしたとのことです。貸し渋りを通り越して、貸しはがしそのものではありませんか。中小企業向けの融資が円滑に行われているのか、極めて心配であります。
そこで、東京都の中小企業向け制度融資において金融機関の取り組みはどうなっているのか、業態別の融資状況とその特徴について伺います。
○鹿島参事 平成十三年度の東京都の中小企業向け制度融資の状況は、全体で融資目標額一兆三千百億円に対し、融資実績額一兆八千九百十八億円、件数十八万件となっており、目標を上回る実績をを上げております。
これを業態別に見ると、都市銀行、地方銀行が金額で一兆一千百十八億円、構成比五九%、件数で六万五千件、構成比三六%、第二地方銀行等が金額で一千二百六十三億円、構成比七%、件数で一万三千件、構成比七%、信用金庫が金額で五千八百五十二億円、構成比三一%、件数で九万一千件、構成比五〇%、信用組合が金額で五百四十四億円、構成比三%、件数で一万件、構成比六%となっております。
保証承諾の金額的なボリュームを都市銀行、地方銀行が支えてはいるものの、承諾件数で見ますと、シェアトップは信用金庫でございます。資金供給の構図としては、小口で件数の多い部分を下支えしているのが信用金庫となっております。
また、全国と比較いたしますと、都市銀行、地方銀行、第二地銀は、全国、東京いずれも六五%でございまして、信用金庫は全国で一五%、東京は三一%となっております。
○三宅委員 今のお話によりますと、信用金庫のシェアが高いとのことですが、それは五年前も同じ状況だったんでしょうか。
○鹿島参事 シェアの動向についてのご質問にお答えいたします。
都市銀行、地方銀行、第二地銀は、平成九年度は七五%だったものが平成十三年度は六六%と、シェアが九ポイント減ってございます。信用金庫は、平成九年度は二二%だったものが平成十三年度は三一%と、シェアを九ポイントふやしてございます。
○三宅委員 今の報告、まさしく中小企業に対する大手銀行が、全くもってけしからぬ実績、その経営姿勢であると、こんな状態を放置することは絶対に許されないと思います。今さらいうまでもなく東京の産業を支えている中小企業、その中小企業向けの融資、代表質問でも強く山崎幹事長が訴えましたけれども、火急を要することはもう明らかであります。私ども自民党としても、この金融機関の貸し出し姿勢については、監視をさらに強めていくつもりです。
今の東京都の制度融資というのは、その成り立ちをちょっと振り返ってみますと、集団就職で大勢の方が東京に集まってきて、一生懸命働いて、のれん分けですとか、新たにご商売を始めるとか、ただ、そういった地方から出てきた方ですから、縁者も身寄りも少ない、そういった方々の事業拡大を支援しようということで制度融資がスタートされたというふうに認識をしております。しかし、今日、中小企業は、事業拡大どころか事業の縮小を、リストラというのは大手企業だけじゃないんでしょうね。もっと悲惨な状況での事業縮小というのにどう対応して、どう生き延びるかというような状況ですから、東京都の制度融資も、そういった観点から目をそらさずに、この制度のコンセプトを変更していく必要があるのではないかというふうにも思います。
今、報告のありました金融機関の業態別の実績を見きわめて、本当に真剣に制度融資の新たな展開にぜひ力を入れていただきたいと思います。局長の決意を伺って質問を終わります。
○有手産業労働局長 中小企業にとって技術と金融は、いわば車の両輪でございます。金融が企業のニーズに沿わなければ、せっかくの技術も生かされず、企業経営は危機に陥ります。したがって、中小企業を振興する上で金融対策は欠かすことのできない柱であり、最大限の努力を傾注しているところでございます。
これまで、都は、制度融資を活用して中小企業に資金を供給し、その健全な発展を支援してまいりました。先ほどその融資実績を申し上げましたが、都市銀行がボリューム面で、信用金庫が件数で制度融資を支えるというように、業態別に大きな特色があります。また、創業に力を入れているもの、地域のニーズを丹念にくみ上げているもの、セーフティー融資を重視しているものなど、ノウハウや人材の蓄積、資金力などにより、得意とする分野が異なります。
今後も、業態別融資実績を参考にするとともに、その特色を生かしながら、中小企業の多様なニーズに対応できる制度融資を構築するために、積極的に前向きに取り組んでまいります。
○富田委員 ものづくりは人づくりであるという言葉があります。これは、ものづくりにとって人材の育成が重要であることを端的に表現した言葉です。ものづくり産業の振興については、さきの代表質問で我が会派の土屋議員より数点質問させていただいているところでございますが、とりわけ人材の育成には大きな関心を払っているところです。もちろん人材の育成は産業労働局だけが行っているものではありません。高校生や小中学生にとっては、教育庁がその責任の一端を担っております。産業労働局長より、今後とも学校や企業と連携して人材の育成に一層努めていくとの答弁をいただきましたので、強力な人材育成策を構築していただくよう要望するものでございます。
さて、もう一つ、企業と協力して東京ものづくり名工塾を開設したとの答弁がありました。この名工塾は、高度な熟練技能を若年の技能者に伝えるものであります。昨年、我が党の当委員会の小林委員らが大田技術専門校で行われている名工塾を視察しました。そこで塾生の方々への意見も聞きましたが、若い塾生は生き生きとしておりました、そして、一人の脱落者もなく修了したとのことでございました。この名工塾は、我が国に高度なものづくり技能を継承する切り札の一つであると考えます。そして、それが産業の発展につながると考えております。この名工塾は、現在、大田技術専門校と立川技術専門校の二校で行われています。その内容は、汎用旋盤による機械金属加工となっています。
そこで、伺います。名工塾はこの二校だけでなく、他の技術専門校にも拡大する必要があると考えています。また、内容についても、汎用旋盤に限らず、例えば同じ機械金属加工でもフライス盤を行うとか、溶接など他の技能についても高度熟練技能の継承を図る内容にしてはどうかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○高橋労働部長 名工塾についてでございますけれども、この事業は、お話にありましたように高度熟練技能を若年者に継承する、そういう目的で、昨年度、大田技術専門校に開設したものでございます。開設以来、塾生及び派遣企業の双方から高く評価されておりまして、本年度は立川技術専門校でも開設し、さらに来年度以降順次、板橋専門校、それから江戸川技術専門校に拡大する計画にございます。
また、内容につきましては、汎用旋盤による加工技能に加えまして、ご指摘の趣旨も踏まえまして、今後、幅広く検討してまいりたいと思っております。
○富田委員 ところで、人材育成は時間のかかる施策です。現下の厳しい経済状況の真っただ中にある中小企業にとっては、そんな時間のかかる悠長なことには構っていられないという気持ちがないともいい切れないのが実情です。今すぐ必要な人材をどのように確保するかという経営資源の調達手段は、大企業ばかりでなく、中小企業においても大きな経営テーマであります。このものづくり答申の柱の一つである、ものづくりを支える人材を育てるという戦略の最後に、外部の人材やノウハウを活用する施策が述べられていますが、私にはいま一つ具体性が欠けているようにも見えます。例えば相談一つにしても、どのような相談を受けてもらえるのか、どこに行けばよいのか、料金はかかるのか、あるいは、そもそもどんな専門家がいるのかなど、承知していない中小企業の経営者は多いのではないでしょうか。当然それらの対策も考えられていると思いますので、ここでは具体的にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○泉本参事 外部の人材やノウハウの活用についてでございますが、企業内では対応が困難な分野の相談などについては、外部の専門家を活用することが極めて重要でございます。現在、これらの事業は、中小企業振興公社を中心に、ワンストップの総合相談窓口を開設する一方、中小企業診断士、技術士、税理士などの派遣、創造的な事業計画に対する評価をするための事業可能性評価委員会の開設など、幅広い外部専門家の活用を図っているところでございます。
これらの施策が大きな成果を上げるよう制度内容の周知を十分に図りながら、個々の企業の要望に的確にこたえ、コミュニケーションを円滑にとれるよう工夫を重ねていくことが不可欠と考えております。答申でいただいた施策を具体化するに当たりましては、そうした視点も重要であると考えているところでございます。
○藤井委員 今回答申されたこの内容について、何点かお聞きしたいと思います。
私も何回か読ませていただきましたけれども、今の中小企業の現状、そして、これからの中小企業を活性化するための具体的ないろいろな提言がなされているというふうに感じました。
その中で、現状を見ますと、都内で製造業を営む事業所数が約三万あるといわれておりますけれども、この一年間で何と三千事業所が減ってしまった、約一割の減少になっているというふうにいわれております。また、私の地元大田区ですけれども、従業員が四人以上の工場が約三千カ所あるわけですけれども、これが一年間で約三百カ所減っているという、大変厳しい今の現状であると思います。大田区では大変すぐれた技術を持った中小企業があるわけですけれども、それが今、デジタル化されていまして、デジタル技術が発達したことによりまして熟練工でなくても機械が動かせる、そして高度な製品ができるということで、さらにこういった技術が中国に流出して、その結果、日本のものづくりの基盤が揺らいでいるというような状況でございます。
今回の定例会の知事の方針演説の中でも、このものづくりの基盤について述べられました。先ほど局長がおっしゃいましたように、ものづくりはいわゆる経済活動の基盤であるということで、この活性化が大きな課題であるというふうに述べられたわけですが、私が大変気にとめたのは、知事はその中でも、今後、知的所有権、こういったものもしっかりと取り組んでまいりたいというような表明をされたわけでございます。
ところで、我が党は、十三年、昨年の第一回定例会で、ものづくりの産業実態調査をやったらどうだという提案をさせていただきまして、産業労働局はこの提案を受けて実態調査をされ、そして、今回の中小企業振興対策審議会の答申につながったというふうに認識をしております。しかし、産業実態調査の結果がどのようにこの答申に反映されたのかということについては、前回の委員会で説明はなかったというふうに思います。そういう意味で、我が党が推進してまいりましたものづくり産業実態調査からいろいろと抽出をした課題、こういったものは答申のどのようなところに反映されたのか、まずお伺いしたいと思います。
○泉本参事 東京都ものづくり産業実態調査は、東京のものづくり企業の経営実態や産業構造、工業規制の影響、行政の施策の利用状況などを調査したものでございます。これらの中から明らかになった課題を、今回、答申では、次の三つに整理いたしております。
一つは、建てかえ、これは都市計画の規制によるものでございますけれども、建てかえの困難などから生じている作業場の狭隘化、老朽化、あるいは都内得意先の減少という東京の立地環境にかかわる問題、これが一つ、二つ目が、営業力や技術力の強化など、企業体力にかかわる課題、そして三つ目に、技術士や技能者の確保、また、従業員の高齢化対応など、人材にかかわる課題でございます。
答申が掲げます、競争力ある東京のものづくり産業を築くを目標とした三つの戦略は、今申し上げましたこの三つの調査による課題認識を基礎に構築したものでございます。このような形で、調査は答申に反映されていると考えてございます。
○藤井委員 この答申の中でも、今、答弁がありましたように、産業労働局が中心となって取り組むべきさまざまな課題、一つは産・学・公の連携の問題とか、あるいは中小企業のものづくりの人材育成の問題とか、先ほど申しました知的所有権、特許の問題、さらにはその技術支援、融資の問題、さまざま取り上げられておりますけれども、特に知的財産の支援についてちょっとお聞きしたいと思います。
これについては、私も今回の予算特別委員会でこの問題を取り上げさせていただきました。特に知的財産の保護、こういったものをこれから大きな、重要な対策として取り組んでいかなければならないというふうに思っております。なぜならば、アメリカに比べて日本というのは、特許というものの意識が非常に低い、逆にアメリカなんかは、特許を取って自分たちの技術や製品を守っている、日本がそういう特許を取らないで、どんどんアメリカにそういったものが流出している、あるいは、後ほど答弁をいただきますけれども、今、どんどん中国が日本の技術を取り入れて、まさに特許を取っていないがために、その技術が中国に取られている、こういった中で、知事もそういった危機意識から今回の施政方針演説に述べられたと思いますけれども、国もようやくこの知的財産の重要性に気がついて、二〇〇三年の通常国会までに知的財産基本法というのをつくる動きが出ているというふうに聞いております。我が国としても、産業競争力を強化するためにも、知的財産の保護の対策が大変求められているわけです。先ほど申しましたように、しかし、残念ながら、中小企業はこういった知的財産に関して十分理解と、また関心と、対応がとれていない実情にあると思います。そういった意味で、知的財産保護の面で、都内の中小企業の現状はどうなっているのか、それから、東京都が現在行っています知的財産の保護の施策についてお伺いしたいと思います。
○泉本参事 知的財産に関するお尋ねでございますけれども、まず、中小企業の現状でございますが、例を挙げて説明させていただきます。金型は製品の生産に大変重要で、多くは中小企業で生産しております。まず、製品メーカーから注文を受けた中小企業は、高度な三次元CADなどといわれるコンピューターを使った機械を使用して、さまざまな工夫を行いながら新しい金型を製作いたします。そして、納品の際に、その新しい金型の図面を添付いたします。ところが、それの納入を受けた製品メーカーが、金型製造企業の同意を得ずに、製品メーカーの海外の下請にその図面を渡し、金型製造企業の高度なノウハウが流出していくといった問題が生じてございます。また、このほかにも、海外では、我が国企業の製品が模造されたり、ブランドの無断使用が頻繁に生じているとも聞いてございます。
こうした知的財産に関しまして、都は、東京都中小企業振興公社の総合相談窓口に弁理士、特許流通相談員を配置してございます。また、城南の中小企業振興センターにおいても、随時相談に応じてございます。さらに、希望する企業に弁理士などの専門家を派遣しているところでございます。
○藤井委員 そういった実態と、また東京都の政策についてご説明いただきましたけれども、いずれにしても、これからますます特許が重要になってくるわけですので、この答申の中でもいろいろと述べられております。例えば中小企業の特許取得を容易にする政策をとらなければならない、必要がある、あるいは海外への特許出願、あるいは特許を侵害された場合の、先ほどの事例のような場合の支援策、これを取り上げられておりますし、また、新技術や新製品、こういったものの開発に対して、特許の取得に必要な経費を助成対象にしていくというような具体的なさまざまな政策がこの答申の中に触れられております。また、先ほどの城南中小企業振興センターの知的所有権センター、これも、ここだけではなくて多摩の中小企業振興センターにも設置したらどうだというような提言もされているわけでございます。要は、こういった具体的な政策を実現できるかどうかが中小企業を現実に守れるかどうかだというふうに考えるわけでございます。そうした観点から、特許などの知的財産に関する中小企業への都の積極的な支援がこれまで以上に必要だと考えますけれども、この点についてどのように考えられているか、お伺いします。
○泉本参事 委員ご指摘のように、中小企業にとっても知的財産は今後ますます重要な意義を持つものになると認識してございます。そのため、これまで以上に企業の実態に即するよう現場主義に徹し、どのような施策を行うことが真に中小企業のニーズに合った施策となるのか検討を進め、ものづくり中小企業への積極的な支援に努めてまいりたいと存じます。
○藤井委員 また、先ほどご説明にもありましたように、産業力強化会議が九月にスタートしたというふうに聞いております。産・学・公連携の強化についても、この産業力強化会議でこれから活発な議論がなされていくんだろうというふうに期待をするわけでございますが、この産業力強化会議では、産業労働局をまたがるさまざまな議論が展開されなければならないと思います。例えば、住宅産業を住宅局と産業労働局が一緒になって取り組んでいくというふうに聞いておりますけれども、今後、こうしたことも含めまして、幅広く産業力の強化に向けて取り組んでいくべきと考えますけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。
○松田産業政策担当部長 産業力強化会議でございますが、先日開催されましたこの会議では、都市計画に関する規則、知的財産の創造、保護、活用、産・学・公の連携、中小企業が参加しやすい入札制度、産業インフラの整備など、幅の広い課題を明示したところでございます。検討に当たりましては、各課題ごとに関係局のメンバーでチームを編成いたしまして、全庁的視点に立って論点を整理して、政策の方向を定めていくこととしております。
今後、お話しの視点を踏まえて、幅の広い、実効性のある産業力強化のための施策が具体化できるように努めてまいります。
○藤井委員 我が党は、今回の代表質問におきましても、また、毎回ごとに中小企業対策を取り上げてきております。その中で、一つはやはり敗者復活、中小企業の方が一度倒れても、挑戦意欲と、また意思さえあれば復活ができるようなシステムをつくるべきであるということも訴えてまいりましたし、また、中小企業の方たちのものづくりへの具体的な支援策をさまざま提言させていただいてまいりました。しかし、残念ながら、今こういった東京都の財政が厳しいという状況の中で、なかなか具体的に政策が進まない今の状況であるというふうに私も実感をしております。例えば、今回の「都のものづくり振興のあり方について」の答申、さまざま出ました。これは答申ですから、これを今後具体的にどのように政策をつくっていくのかは、産業労働局が中心になって取り組んでいくと思いますけれども、現実にはなかなか、財政、予算の裏づけがなければ、どんないい政策でもこれは進まないというふうに心配をするわけでございます。その中でも、やはりこうやって実態調査をもとにして、中小企業の皆さんの生の声を伺って、そしてこの答申の中に盛り込まれた具体的な政策を着実に、そしてまた、早く実行しなければならない政策を予算化し、早急に来年度からでも実施をしてもらいたい、このことを強く要望したいと思います。
そういった意味で、都内の産業を支えております中小のものづくり企業への支援を今後ともさらに強化いたしまして、都内の産業の活性化、そして中小企業の人たちが元気になるように、この局としてさらに取り組んでいただきたいということを要望して、さらに、局長の今後の答申の実現に向けた決意をお聞きしまして、終わりたいと思います。
○有手産業労働局長 東京のものづくり産業は産業活力の中核であるというふうに認識しておりますが、今、お話ありましたけれども、海外生産比率が最近十五年間で三%から一三・四%に上昇するなど、空洞化の懸念が一層強まっておりまして、このグローバル競争やデフレ状況の中で大変危機的な状況にあるというふうに認識しております。
答申に盛り込まれました提案は、今後、その実現に向けまして最大限の努力を行っていくのは当然のことでございます。また、ご提案いただいた答申の内容は非常に幅広い、しかも示唆に富む内容が盛りだくさんでございまして、ものづくり産業にとどまらず、産業全般の振興に役立つ知恵がたくさん盛り込まれておりますので、これらを今後ぜひ生かしていきたいと考えております。
施策の充実につきましては、都議会の皆様方や、案件によっては国あるいは区市町村、民間団体の方たちのご協力も得ながら、何としてもこの停滞している東京の産業の活性化に向けまして、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
○丸茂委員 私も、今回、東京都がものづくり振興に向けて中対審に諮問を行った、そして答申が出されたということは、大変重要なことだというふうに思っております。この答申については、昨日の本会議で我が党のかち議員が基本的なスタンスについては述べましたので、また、私自身、中対審にも参加させていただいた関係上、幾つかいい足りなかったことがあるかな、あるいは、終わってみてちょっと気がついたことも含めて、何点か質問をさせていただきたいと思います。
特に私は、先ほども大田区で、この一年間、三百の事業所がなくなったと、大変厳しい環境にあるわけで、この答申の前書きにも、都内中小企業の多くが大変な事態にあるということが七行に示されております。その一方で、その中小企業の皆さんが、厳しい環境の中でも、日本経済の主役として地域経済、ひいては日本経済を支えるという自負のもとで必死に歯を食いしばって頑張っている、そうした中小企業に対して真に役立つ施策を都としてぜひ取り組んでほしいという思いから、意見も含めて伺っていきます。
まず最初に、結論的なところで、二七ページに、「実現に向けて」という中で「新たな予算措置を必要としない事項や国への提案については、十四年度中から取り組まれることを期待する。」としておりますけれども、私は、年度途中でも、新たな予算が必要な施策、例えば新製品、新技術開発助成だとか、あるいは知的財産の保護だとか支援だとか、そういった非常にスピードを持って進むこれらの課題について、具体的な手を打たなければおくれてしまうという施策については、スピードを持って施策化し、必要に応じて補正予算を組んででも実行するということが大変重要だと、知事も答申を受け取ったとき、ちょっと遅いくらいのことだというお話をされておりましたけれども、やっぱりスピードが求められていると思います。そういう点での補正予算を含めた取り組み、さらには、中対審の委員の皆さんもいわれていたんですが、この施策を具体的に実現していく上では、来年度の予算にもどれだけ具体的に施策化されていくか、そこにも注目をされております。最近、私、産技研だとか中小企業振興センターを訪ねてきたんですが、最新の技術というのは次から次へと新たな発展をしているんですね。したがって、この答申の中でも、設備や機械類の整備も、そういうものに見合った整備が必要だということもうたわれております。これまで東京都の予算全体を見ましても、重要施策の中では雇用、中小企業対策がその中の一%と、余りにも低過ぎるという感じがいたしますけれども、これだけのものづくり答申が出されて、東京の活力ともいうべきこうした答申が出されたわけですから、それにふさわしい予算要求も、ぜひ担当の産業労働局がしっかりやっていただく必要があるかと思うんですが、その辺の来年度の予算に向けての決意も含めて、二点お伺いしたいと思います。
○泉本参事 予算に関するお尋ねでございますけれども、答申では、速やかな実現に向け、検討を始めることを強く要請してございます。そのために、産業力強化会議も早速に設置したところでございます。
答申内容のうち予算措置を必要としない事項は、できるだけ年度内から実施していくことにしてございます。しかしながら、財政状況も厳しい時期であり、現時点では補正予算を組む予定はございません。十五年度予算につきましては、産業力強化会議での検討にかかわる事項は、その検討状況によることになりますけれども、十五年度予算に反映できるものは、できる限り反映するよう努めてまいります。
○丸茂委員 財政が厳しい、厳しいといわれるんですが、この前、財務局から「財政再建の取組状況と平成十五年度予算編成」、こういう資料も手に入ったんですけれども、十三年度の一般会計の決算状況を見込みましても、産業労働局だけでも百二十三億円の不用額が出ているわけですよね。厳しいからいろいろ節減に努めているけれども、緊急に必要な課題には、都民の貴重な税金を投入してでも力を入れていくという点では、税金の使い方を、どこに力を入れたら東京都全体あるいは東京都民の役に立つのかという点では、経済の状況、それから、今、東京の産業を支えている中小企業の実態、これらをつぶさに、現場主義で、現場の本当に末端のところでどうなのか、そういうものをつかんで、いち早く都政に生かす、そういうことが私は極めて大事だというふうに思っております。
そういうことで、今後の取り組みに期待したいと思うんですが、中対審では、そういった施策がどうやって具体的に予算にも反映しているのか、委員の皆さんからも、そういう状況についても議論しっ放しで答申を出して、それでいいということじゃない、その結果もどうなったのか知らせてほしい、こういう要望も出されたわけですが、局要求の段階など、どういう形で予算化の状況を審議委員の皆さん--我々議会は聞くことができるんですが、中小企業の代表の皆さん等、お知らせしていくのか、その点お伺いいたします。
○泉本参事 中小企業振興対策審議会の小委員会で、今、委員のお話がございましたお話がされたと聞いてございます。最終的に予算が確定した段階では、委員の方々にその状況をお伝えしたいと存じております。ただ、局要求段階の時点では、未確定の情報は誤解のもとにもなりますので、現時点では考えてございません。
○丸茂委員 私は、それはおかしいと思うんですよ。局要求で我々議会にも知らせるわけで、国も概算要求という形でなるべく、来年度に向けてどういう予算要求をしているのかというのは、知らせて当然なんですよ。ただ、最終的には知事の査定を含めて東京都の予算が決まっていくわけですけれども、その決まっていく過程で、局の要求として決まった段階でも、私は知らせて当然だと思うんですよ。やっぱりそのくらいのサービスはすると。そういう中から、民間企業やいろいろな団体の皆さんの知恵だとか協力だとか、そういうものも私は引き出せる、そういうふうに考えますけれども、どうですか。
○泉本参事 委員ご指摘のように、局の概算要求内容を議会に局ごとにお示ししたり、あるいは総合的に都庁全体の数字でお示ししたりすることはございますが、今回の答申の内容は、大きな事業からかなり細かい部分にまでわたってございます。そのような意味で、予算編成の途中にございます数字をまとめるということは、先ほど申し上げましたけれども、誤解のもとになるというようなこともございますので、現在では考えてございません。
○丸茂委員 ぜひこれは、都政における情報はなるべく、都民の英知も結集するというところで、私は引き続き検討をお願いしておきたいというふうに思います。
それから、答申案のページ一三に国への提案があるんですけれども、ここでちょっと要求しておきたいのは、第二の消費税となる法人事業税の外形標準課税、これは中小企業にとって、特に今、赤字の中でも頑張っている中小企業にとっては大変なことで、これの導入に反対すること、一方で、法人税は、アメリカで行われているように累進制を導入して、中小企業の最低税率の引き下げ、さらには自営業者の本人や家族の労働に見合った勤労控除、この声も大変強いわけですが、そういうものを盛り込んでいく、あるいは都として今後の国への要望の中で検討いただきたいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○泉本参事 税制に関するご質問でございますけれども、税制に関する事項は、答申の中で、個人投資家へのエンジェル税制、事業承継税制などについて触れられてございますけれども、今後、産業力強化会議の検討の中で進めていく予定でございます。
ご質問いただきました事項に関しては、現時点では、検討することは考えてございません。
○丸茂委員 ぜひこれらも、今後、日本経済の動向あるいは中小企業の現状から見てどうなのか、東京のものづくりにとってどうなのかという視点で、私は課題として検討いただきたいという要望にとどめておきます。
次に、ページ一一から一二にかけて都市型のものづくりを育成するとして、IT、バイオ、アニメ、これらの産業を都の戦略産業として位置づけ、育成する、こうしているわけですけれども、中対審でもいってきたんですが、バイオは、大企業や他の都市でも早くから戦略産業と位置づけて取り組んでいるわけで、都としてどういう独自の分野でこのバイオについて戦略を持って取り組むのか、お伺いいたします。
○乾産業政策部長 バイオ産業に関するお尋ねでございますけれども、医療でございますとか創薬、環境、エネルギー、こういったような分野に広く関連する、すそ野が広い産業でございます。将来極めて有望な産業であると考えておるところでございます。
本年の七月二日でございますけれども、国の都市再生本部におきましても、東京圏におけるゲノム科学の国際拠点形成ということが第四次の都市再生プロジェクトとして決定をされているところでございます。都といたしましては、それに先立ちまして、本年五月に、バイオ産業振興方策検討委員会を立ち上げたところでございまして、今後、この議論を踏まえつつ、また東京の優位性を生かしながら、大学や産業界などとの連携を図り、都としての具体的な振興策を構築してまいる所存でございます。
○丸茂委員 産技研へ行ったときも、どうですかね、バイオといったら、いろいろな取り組みがされていて、どの分野をどう追求していくかというのは大きな課題だと、今、そういう点で、これから検討を始めながら取り組むということですので、その経過も見ていきたいというふうに思っております。
そういう中で、私自身、戦略産業としてナノテクノロジー、これを位置づけるべきだと、こういうことを中対審でも議論させていただきましたし、あるいは本会議でも取り上げました。それで、産技研へ行ったときにも、ナノテク技術の活用という形で実際に取り組んでいる中身も見せていただきました。そういう点では、ナノテクノロジーを都としての戦略産業として位置づけられないのか、改めてまたお聞きしたいと思います。
○乾産業政策部長 ナノテクノロジーに関するお尋ねでございますけれども、有名なカーボンナノチューブなどを初めとしまして材料面を中心に、また、広範な産業分野にわたる融合的、総合的な科学技術として期待をされておりまして、また、こういう細かいものは日本人の得意な分野じゃないかというふうにもいわれているところでございます。しかしながら、現時点では、多くがまだ研究室における検討、取り組みの段階でございまして、現在、いかに具体的産業に結びつけていくかについて検討がされている段階と認識しておるところでございます。
○丸茂委員 やっぱり研究段階のところでいかに取り組むかというのが勝負なんですよね。この前NHKで、大田区の中小企業ですけれども、表面処理のトップを走っている企業の経営者の話を見ていたんですが、大学で研究して、中間の報告だけでもすぐその技術を取り入れて、そして試してみる、論文として発表するころにはもう製品化する、そのくらいスピードを持ってやっているという報道を見まして、なるほど中小企業というのは本当にそこまで取り組んでいるのかということをつくづく感心したところなんです。
国の方は、このそのものは、私ども、いろいろ問題点を含んでいると思うんですが、経済財政運営と構造改革に関する基本方針、この二〇〇二年度版には、国の方は、技術力、戦略ということで、きちんとナノテクノロジーもトップで位置づけて取り組んでいく、こういう方向も出されています。実際、大田区の産業振興協会の専務理事なんかに聞きましても、やっぱり大田区等はああいう熟練した技術を本当に生かして先端産業にどう取り組むかという点では、ナノテクノロジーというのは、この産業空洞化の中でも、技術力という点では大事な分野になっているということも話をされまして、そういう点では、やっぱり首都東京が大学の集積を持ちながら、よりなお熟練した世界に誇る技術、そういうものを結びつけて、本当に先端の分野でも切り開いていくというのは、逆にいえば東京じゃなきゃできないんじゃないか、そういう思いがしているんですが、その辺を含めて、お考えがあったら聞かせていただきたいと思います。
○乾産業政策部長 確かに、国の総合科学技術会議におきまして、四つの重点分野の一つにナノテクノロジーが位置づけられております。先ほども申しましたが、日本人に得意な分野でもあるというふうに、学会その他、産業界でもいわれていることもございまして、今後、大変期待が持てる分野でございます。さらに、バイオなどとも非常に密接に関係いたしておる将来の先端産業でございます。アメリカにおいても大きな取り組みがスタートしたところでございます。
先生ご指摘の産業技術研究所におきましても、これから、来年度以降でございますが、具体的にナノテクノロジーを取り上げて研究を進めていくというふうに計画をされていると聞いておりまして、私ども、そういう世の中の流れを十分配慮して、中小企業、ものづくりのためにこれを一刻も早く生かしていくための支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○丸茂委員 次に、答申の一三ページに「物流コストを下げるため、港湾機能を高めるとともに、環状道路などの整備を進める。」、こう書かれているんですけれども、環状道路整備の中で、圏央道、外郭環状あるいは中央環状、こういった大型高速道路の整備から、いわゆる既存の環状道路、いろいろな道路があるかと思うんですが、私ども、大型高速道路の整備は、今の財政難、それから、経済にとっても大変マイナス面が生まれておりますので、これは、知事はいろいろ進めたいようですけれども、私ども、認められない立場ですが、この環状道路などの整備というのはどの範囲、どのところを示しているのか、特に、現状の環状道路でも、立体化すれば非常に交通がスムーズで、なおかつ安全面でも確保されるという範囲なのか、それとも、どの範囲までなのか、この答申ではどういう考えなのか、中身が十分わからないので、お聞きしたいと思います。
○泉本参事 環状道路についてのご質問でございますけれども、答申からは必ずしも明らかではございません。個々の既存の環状道路の扱いについては、そのため承知してございませんけれども、物流コストを引き下げるために既存の環状道路の整備は必要と考えてございます。
○丸茂委員 大型の高速道路等は借金でつくるわけで、今、国の借金でいえば六百二十七兆円ともいわれているわけで、その赤字国債の広がりで海外からの日本の信用も落ちている、それがまた日本の経済にも影響しているという立場から、問題を指摘するにとどめたいと思います。
それから、中小企業がいいものをつくっても、実際にそれが製品として売れるかどうかというのが大変重要になっているわけですが、この答申の一九ページに、海外からの受発注を拡大するための仕組みづくりが提案されています。この点について、大田区では、大田区産業振興協会が核となりまして、九四年以来毎年アジアで開催される国際見本市に中小企業と共同出展する、こういう事業を行っています。共同で出展するということで、大田区というブランドイメージ、これをつくりながら、インパクトを与えながら販路拡大に成果を上げているということを聞いております。さらに、協会が台湾、韓国、中国、マレーシア、タイの公的セクターと提携して、相互の企業が国際提携できるように橋渡しも行っている、こういう話も聞きました。東京都自身も、海外見本市参加や、あるいは貿易センター相談も行っているということは承知しておりますけれども、今後の販路拡大、受発注の拡大、特に海外にも展開していく、こういう場合の海外見本市への出展支援、さらには国際提携の橋渡し機能まで行う窓口設置、こういうものを振興公社あるいは中小企業振興センター、都の機関等でもさらに広げて対応すべきじゃないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○泉本参事 答申では、理事お話しのように、海外からの受発注を拡大するための仕組みづくりについてご提案をいただき、今後、検討が必要であると考えてございます。ご提案のお話は、貴重なご意見として承らせていただきます。
○丸茂委員 中小企業がそこまで手が出ない分野については、ぜひ公的支援が必要ですから、要望しておきたいと思います。
最後に、今、東京のものづくり、特に製造業では、生産拠点の海外移転等、産業空洞化の影響も大変大きいわけで、その産業空洞化からどうやって中小企業を守り、さらにはその中でもどうやって生き抜いていくのか、これが大きな課題になっているかと思うんですが、東京都としてのお考えをお尋ねいたします。
○有手産業労働局長 先ほど来いろいろ議論されておりますけれども、近年、東アジアへの生産拠点のシフトなどによりまして、産業構造が大きく変化をしてきている、非常に重要な時期を迎えていると認識しております。今般、中小企業振興対策審議会から、都市型ものづくりの育成などについて貴重な答申を得ました。今後は、この答申の趣旨を生かしまして、国や区市町村、民間団体からも協力を得ながら、ものづくり産業の振興に着実に取り組んでまいります。
○丸茂委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いするのと、やっぱり東京のものづくりが地域に根づいた産業集積によって支えられ、その集積がまた新たな技術、新たな製品の開発力にもなっているという点で、すそ野を支えている中小、零細、下請企業に対しても、私は光を当てていただきたいし、それから、本会議の一般質問でも取り上げたんですが、そういう下請保護の点では、意見だけにしておきますけれども、中小企業振興法では、国際化の進展に伴う留意点ということで振興基準がありまして、親事業者は、海外進出に際しては、その計画について下請事業者に必要な情報を逐次提供しつつ、製品多角化、新規親事業者の開拓等下請事業者が対応を図ることに対して、下請事業者の要請に応じて積極的に支援を行うと、一方的な海外進出じゃなくて、下請もちゃんと面倒見なさいよと、そういうこと等、やっぱり親会社としての責任、ルールというのも、法律で現にあるんですよね。したがって、法律に沿って親企業、大企業も下請をしっかり守る、それでなくては、日本の産業そのものが私は成り立たないというふうに思います。そういうすそ野を守りながら、なおかつ活力を持った中小企業の育成にさらに力を尽くしてほしいということを申し上げて、質問を終わります。
○小林委員 それでは、質問させていただきます。
今回のこの答申は、私は、内容的にはとてもすばらしいものだというふうに思っております。しかし、画期的にすばらしいかというと、過去にも、私、似たような答申の内容を見ております。今回、戦略1、2、3の中で、戦略1はものづくりの環境を整える、戦略2はものづくり企業の体力をつける、戦略3はものづくりを支える人材を育てる、分析すると大体こういう内容のものが、東京都だけではなくて、現下の経済状況の中で出てくる内容というのは、集約すると、大体この戦略の三つの中に集約されるだろうと思うんです。ですから、当たり前といえば当たり前、よく分析しているといえばよく分析しているということだろうと思います。いいかえれば、別に東京都でなくても、いろいろなところで出ているような気がするんですね。そうすると、何か主体性が見えない。じゃ、東京都は何をやるのか、この内容の中にも、国にかかわるいろいろな法律や規制や、あるいはもっと身近な市区町村でやった方がいいような内容だって、結構入っているわけですよ。そうすると、かなり網羅的だから、逆に何を目指しているのかが非常に私は見えづらい、わからない、そんな気がしております。最初に、何を目指しているのか、まずお伺いしたいと思います。
○泉本参事 答申が何を目指しているのか、お尋ねでございますけれども、答申は、目標として競争力ある東京のものづくり産業を築くを掲げ、現状を分析し、課題を整理した上で、ものづくり環境を整える、ものづくり企業の体力をつける、そして、ものづくりを支える人材を育てるという三つの戦略を示しているものと考えてございます。東京という都市の特性あるいは個性に着目し、東京のものづくり産業の振興施策を提案したものと理解してございます。
○小林委員 繰り返しになりますけれども、東京だって、いろいろなやりたいことがあったって、財政的な限界だってあるわけですよね。そして、東京だけ頑張ってうまくいくかというと、第一義的には、景気対策というのは国がやるわけですよね。幾ら東京都だけ頑張っても、国の景気のてこ入れがちゃんと、地盤のところで、底辺のところできちっと対策を立ててもらわなければ、東京都が幾ら頑張ってもなかなかできない。東京都がすごくいい政策をしても、東京都のエンジンだけじゃ限界があるわけですよね。そういうふうに、私は、東京都と連動して国の一致した政策の実行というのが非常に重要だと思います。
それで、具体的にこの話を進めていきますけれども、じゃ具体的に何をやっていくのかということになるわけであります。そして、具体的に何をやったか、どういう効果を上げていくのか。当然やれば効果を上げていかないといけないわけですから、そういう考え方が私はちょっと見えない。その考え方、進め方はどのように考えておられますか。
○泉本参事 お話しのように、景気対策は、一義的には国の責任であると認識してございます。また、法律の改正を必要とするような大きな制度改正については、国の権限に属することでございます。しかし、昨年、東京のものづくり産業を阻害する工業等制限法の廃止に、東京都が主体的に働きかけ、都の国に対する提案要求が大きな契機となって、その実現が可能となったと考えております。答申において、都が国に対し積極的に提案要求すべきとしているのも、そうした趣旨からであると認識してございます。
また、こうした取り組みとあわせて、東京都みずからが行えるものについては、全庁一丸となって、できる限りの施策に取り組んでいくべきものと考えてございます。
○小林委員 前座の方は少し辛口だったんですけれども、今回、画期的というか、私はおもしろいなと思ったのは、今、部長がいわれた産業力強化会議というのが設置されたということですね。今までは何か答申だけ出して、後は終わると。我々も毎日のようにいろいろなものが送られてくるから、ついつい見出しぐらい見て、もう終わっちゃうみたいな、似たようなのがしょっちゅう来るものだからね。今回は、そういう意味では、それを実行たらしめる意味で強化会議ができたということは、何か見える形を、まさに事業評価とかいうことでやっていこう、そういう気構えが私はこれで見えるんです。ただ、これも、全庁的に検討すると。何か同じようななのがどこかであったような気がするんですね。役所の悪口をいっちゃ悪いけれども、何かまたここへ来てアリバイの会議を開いて、また何年かすると定期異動で皆かわって、同じような、可もなく不可もないみたいな内容が出てきてしまうのではないかと心配しているんですよ。
そういう意味で、私は、全庁なんていうと聞こえはいいけれども、結局はそれぞれみんないい合って調整して、できるだけお互い傷つけないみたいなところで落ちついて、単なる調整で終わっちゃうのではないかというふうに心配、危惧をしているんですね。ですから、最終的に何かお題目を並べて終わっちゃうということを心配の上に質問するわけですが、その辺の検討課題、何かやっていくときに検討課題みたいなものを明確にしないと、そういう危険性に陥ることを危惧するわけですが、いかがですか。
○松田産業政策担当部長 産業力強化会議でございますが、先日開催されました第一回の会議では、東京の産業力強化を目的といたしまして、企業の体力強化、立地環境の整備、産業を支える人材育成などを図るために、都市計画に関する規制、知的財産の創造、保護、活用、産・学・公の連携、さらに中小企業が参加しやすい入札制度、事業の承継を円滑に行うための税制、さらに、ものづくり教育などを検討課題として明示しております。また、課題によりましては、それを責任を持って検討に当たるということで、責任局あるいはメンバーを決定したものもございます。
○小林委員 ちょっと前後しますけれども、東京都には審議会とか研究会、二百ぐらいあるんですね。以前質問したことがあるんですが、これも、大体学識経験者とか民間の人とかといって、私も二つ出ていますからよくわかりますが、参加というよりは、ほとんど出席をして、その時間をただ座って、後、終わったら帰るというのが実態、一番質問しているのが割と議員なんですよね。これでいいのかなとずっと悩んでいたわけですけれども、それで、結局はどういう内容のものがその審議会の意見として通るかというと、結局は事務方がつくった、事務方といえば、例えば産業労働局が責任の事務方としてやれば、産業労働局が文書をつくっちゃうんですよね。だから、結局は形式的な、ただ追認機関みたいになっているんですね。だから、今回も全庁的に取り組んでいるということですが、結果的には、例えば、ここが多分主管の事務方になるんだろうと思いますが、そうすると、ややそういう傾向に陥りがちじゃないのかなと。そういうことをちょっと危惧しながら--たしか東京都にも、全庁的に何かやるとかというのは、いろいろなところで聞くんですよね。その成果がよかったなんていう話も余り聞かないし、だから、つくることが目的みたいになっているところがあるんですね。つくって、みんなほっとして終わりと。どうでしょうか。ほかにあるんでしょうか。
○松田産業政策担当部長 産業力強化会議でございますが、これは各局間の調整を主たる目的としたものではございませんで、産業力の強化のために、各局にわたる幅広い課題について全庁的な検討を行いまして、課題を解決し、政策の方向を定めて早期に結論を出す、そのための実効性のある会議ということでございまして、副知事を座長といたしまして、部長級を委員として構成されております。そういう意味では、現在は、産業力強化会議と同じ趣旨の会議は、ほかにはないと認識いたしております。
○小林委員 じゃ、実効があるように頑張るということですが、今、お話を伺ったら、座長が副知事、メンバーは部長級ということですが、何かほかにもあるような気がしたんですけれども、なぜ副知事で部長級だと、今までにない組織で実効を上げられるということなんですか。
○松田産業政策担当部長 検討課題は各局にわたる幅の広い課題になっております。したがいまして、副知事が座長となっているわけでございます。また、検討に当たりましては、政策の方向だけではなくて政策の実務的な検討を行う、そのために事業を熟知している部長級を委員としたものでございます。
進め方といたしましては、各課題ごとに関連局の委員による作業チームを設けまして、責任局とメンバーを決めて検討していくこととしております。
○小林委員 その作業チームというのは非常に大事だと思うんですね。私はそこがかなり、今回大きなポイントになってくるんだろうと思います。
次に、当然こういったものをつくれば、どういうものを目指してどういうところを時間的に--ことしいっぱいとかあるじゃないですか、来年までとか。どなたか質問があったけれども、三年も四年もたったんじゃ、景気はもっと悪くなる。今すぐみたいなことだってあるわけですよね。あるいは三年、四年でもいいものもあるし、そういうものがあるんですね。そういう意味で、国や市町村あるいは民間、いろいろな機関で検討してもらうことがあると思うんですが、進め方、プログラム、完成時期、こういったものが必要だというふうに思いますが、いかがですか。
○松田産業政策担当部長 産業力強化会議では、各課題ごとに検討を進めていくこととしておりまして、課題によりましては、具体的な検討の手法ですとか進め方、それから、目途などが異なってくると思われます。したがいまして、それらを明示することは難しい点はございますが、できるだけ早期にまとめていきたいと考えております。
また、検討に当たりましては、国や区市町村との役割分担を明確にすることは大切な視点でありますので、十分に留意して取り組んでまいります。
○小林委員 この強化会議には、私は、さっきもいいましたけれども、民間人が入ってもいいんじゃないのかなと思うんですね。民間というのはまさに生活をかけてやっているわけですから、失敗しましたというわけにはいかないわけですよね。そういう意味では、まさに生の声がそこで入っていくわけですから、役所の中の論理だけで終わってしまうのでは--私は危惧をしているわけですが、民間人の登用とか、あるいは意見を聞くとか、この強化会議の中でですね、答申じゃなくて--その辺いかがですか。
○松田産業政策担当部長 産業力強化会議では、課題ごとに関連局の委員による作業チームを設けまして検討を進めてまいります。その検討段階に応じて、さらに必要に応じて、例えば東京商工会議所などの団体あるいは民間の有識者の方の意見も十分に聞いて検討を進めていくこととしております。
○小林委員 最後になりますけれども、この中で東京都がやれることとやれないこと、ほかの団体でやってもらった方がいいとか、あるいはほかの団体がやるべきこととかいうのがあると思うんですね。あれもこれもなんていうと、結局は全部できないみたいなことになりかねませんから、東京都として責任を持ってやる、ここは絶対やるんだというようなことをきちっと明確に、逆にうたって、自分を追い込んでいくというんですか、そういうことでやらないと--ここが多分主管局になるんですよね。そういう意味で、ここの役割というのは非常に大きいと思うんですね。そういう意味では、ぜひその辺の、決意、決意で申しわけありませんけれども、私が最後だったら最後の決意になりますが、どうぞ決意をお伺いします。
○有手産業労働局長 競争力のあるものづくり産業を振興していくということで、今、幅広い、いろいろな角度から議論をいただきました。私どももきょうの議論を十分踏まえまして、産業力強化会議でさまざまな課題を、公私の役割分担とか区市町村との連携など、こういったことも見据えながら、十分検討していきたいと思っています。この会議で具体的な成果を上げないと意味がないというふうに考えておりまして、そういう意味で、多くの重要な政策をこの会議を通じて実現できるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
いずれにしましても、さまざまなこれからの取り組みによって東京の産業力を強化して、中小企業はもとより、より多くの企業が意欲的に活動できるように、そしてまた、東京の産業が一層活性化するように、そして、日本全体の産業が再生していけるように、産業労働局としては全力を挙げて取り組んでまいります。
○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松原委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時四十分散会
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