経済・港湾委員会速記録第七号

平成十四年六月二十一日(金曜日)
第八委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長松原 忠義君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長中村 明彦君
理事丸茂 勇夫君
理事森田 安孝君
理事山崎 孝明君
中屋 文孝君
河野百合恵君
藤井  一君
富田 俊正君
橋本辰二郎君
田島 和明君
小林 正則君
川島 忠一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長川崎 裕康君
技監小池 正臣君
総務部長津島 隆一君
参事井戸 秀寿君
港湾経営部長浅倉 義信君
物流企画担当部長小宮山元二君
臨海開発部長三枝 修一君
開発調整担当部長樋口 和行君
参事金子  優君
港湾整備部長高野 一男君
計画調整担当部長細川 泰廣君
参事安藤 哲士君
離島港湾部長野村 孝雄君
参事松本 義憲君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 港湾局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百七十四号議案 東京都港湾審議会条例の一部を改正する条例
  ・第百七十五号議案 東京都海上公園条例の一部を改正する条例

○松原委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布の意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○松原委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の付託議案の審査を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七十四号議案、東京都港湾審議会条例の一部を改正する条例、及び第百七十五号議案、東京都海上公園条例の一部を改正する条例を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 資料の要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○小林委員 それでは、簡潔に質問してまいりたいと思います。
 最初に、この二つの審議会を統合するということですが、この大きな目的というのはどういうものなんでしょうか。

○津島総務部長 統合の目的でございますけれども、第一に、行政の総合性の確保という点でございます。両審議会が所掌する地域は同じ東京臨海地域でございまして、今日、東京港のさらなる発展のためには、港湾機能と環境との調和がこれまでにも増して重要になってきております。
 さらに、臨海副都心や晴海で見られますように、都市化が急速に進んでいく中で、海上公園が、臨海部の魅力をより積極的に引き出す役割を担うようになってきております。したがいまして、海上公園のあり方についても、東京港を初めとする東京臨海地域の開発やまちづくりと一体的に検討をする必要性が高まってきている、こういう点でございます。
 第二点が、簡素で効率的な組織を整備し、行政改革を推進するという目的でございます。両審議会の統合は、平成十二年に発表されました都庁改革アクションプランにも定められているものでございます。

○小林委員 東京都に審議会というのは、たしか二百ぐらい--二百もないのかな、研究会とか検討会とかいろいろありますよね。もう四、五年ぐらい前になりますけれども、それを一つ一つ調べて感じたことなんですけれども、要するに同じようなのが非常に多いというのと、それから、もう何年も開かれていないのが結構あるんですね。そのときに私が申し上げたのは、そういう同じようなものはもうできるだけ一緒にするとか、二年も三年も開かれていないようなのは、もう廃止するとかということをいった経過があったものですから、今回、質問させていただいたんですが、統合したということは、今、都庁改革アクションプランや、あるいはその必要性を十分述べられたわけですが、もし仮にこれ、なくなるということ--というのはあれですか、二つ廃止をするというのは考えられないものなんでしょうか、お伺いします。

○津島総務部長 この二つの審議会、活動実績は非常にございまして、港湾審議会は昭和二十八年に、これは港湾法に基づく必置の附属機関でございますけれども、これまで六次にわたる東京港の港湾計画を審議するなど、重要な役割を担ってきていまして、現在の東京港の繁栄の基礎となりましたコンテナターミナルの整備、これを他港に先駆けて推進してきたことも、第二次改訂港湾計画でお諮りした際に、ご審議により決定されたというものでございます。
 海上公園審議会も、昭和五十年に条例に基づいて設置され、これまで七百八十ヘクタールを超える海上公園のあり方をご審議いただきまして、臨海副都心のお台場海浜公園とか葛西海浜公園の人工なぎさなど、ユニークなご提案をいただきましたものでございます。
 そういうことでございますので、この東京臨海地域は現在、港湾の物流、環境、防災、交通といった多様な課題を抱えた地域でございまして、企業や都民がさまざまな立場で活動している地域でございまして、課題の解決のためには、各方面の専門家や関係者の参画が不可欠であると考えております。
 そういうことでございますので、もし審議会がなくなれば、こうした参画を得る機会を失うということになると考えております。

○小林委員 これ、わかりやすくいうと、要するにないといけないということですか。なくてもいいんですか。どっちなんですか。

○津島総務部長 ぜひ必要な機関であるというふうに考えております。

○小林委員 ぜひじゃなくて、必要なのかどうか。

○津島総務部長 必要でございます。(「なくしちゃいけないんだろう」と呼ぶ者あり)なくしちゃいけないということでございます。

○小林委員 それで、今回のその目的の中に、都庁改革アクションプランの中にあるということ、ということになれば、これは港湾局だけの問題じゃないんですよね。私が、もう四、五年前の調査ですけれども、二百くらい、審議会はもっと少ないと思いますけれども、いずれにしろ百以上あるわけですよ。そうすると、東京都全体の見直しの中の、港湾局がその一局として今回やったという位置づけでよろしいんですか。

○津島総務部長 統合ということについては、アクションプランで行政の効率性という面からのご指摘があったわけでございますけれども、もう一つの行政の総合性という面から、これからの東京港の発展ということのためには、物流と環境というものを一緒の審議会で検討していくということがぜひとも必要だという積極的な目的でもって統合したものでございますので、廃止という考え方ではございませんで、それぞれの委員会の持っているいい点を出し合って検討していく、むしろ強化していくという考え方も中には含まれていると思います。

○小林委員 そうすると、今回は港湾局--いや、ほかの局で整理統合したという話は余り聞いていないんですけれども、都庁改革アクションプランの中の一環でやられたということですから、そうすれば東京都全体の見直しでしょう。その中の一環なのか、それはそれとして、港湾局がもっと踏み込んで進めたものなのかということを聞いております。

○津島総務部長 失礼しました。都庁全体のアクションプランの一環として位置づけたものでございます。

○小林委員 では、知っている範囲で、ほかの局というのは、そういう事例が今回出ておりますでしょうか。あるいは検討しているんでしょうか。

○津島総務部長 産業労働局においても、職能関係ともう一つの審議会とで統合した実例がございます。

○小林委員 私はもともと、できるだけ簡素化をして、たしかこの審議会とか研究会というのは、中曽根内閣のときに、いわゆる専門家の意見を聞くという名目でかなり多用をして、あのときは逆に、議会の形骸化になるのではないかという批判も議会の側からはあったんですね。要するに、そういうところを通っちゃうと、議会も、結局は専門家が専門的な立場で意見を出して決まったことを、専門的でない立場の我々がそこで反対するというのはなかなか気分的にしづらいんですよね。それはだから、余りこういうのがどんどんできちゃうと、そういうところで大体結論が出てくると、議会はもう事実上形骸化して反対しづらいというようなことになるので、私は極力--専門家の意見を聞くのは、審議会だけじゃなくて別の場面でもいろいろあるわけですよね。ですから、私は基本的には審議会というのは余り多用すべきではないという立場ですので、二つが一つになったことですから、前進は前進ですから、私は評価はしますが、これは法律的に必要だということですから、なくすわけにいかないということですから、それはそれで結構ですが、将来、この審議会の統廃合を含めて、局の中でまだややもするとこのような審議会等に類似するようなそういう場面が時々あるだろうし、そのような機関もあるんではないかというように思いますが、この臨海部の将来にわたって、総合的な観点から統合された審議会が機能を果たしていただきたいと思いますが、この私の意見を踏まえて、港湾局長の将来にわたっての所見をお伺いして、質問を終わります。

○川崎港湾局長 港湾審議会が設置されたのは昭和二十八年でございました。昭和二十八年といいますと、東京港が国際貿易港として開港したのが昭和十六年、それから十二年しかたってない、まだ戦後間もない時期でございまして、当時の港湾地域というのは、まさに港湾機能一辺倒でございまして、一般の方がなかなか立ち入らないような、いってみれば閉ざされた空間のような土地だったわけでございます。その後、昭和四十年代の前半に埋め立てがピークになりまして、その後、昭和五十年には、もう一つの海上公園審議会が設置されたわけでございます。そして五十年以降、この地域の遊休地が、ウォーターフロントということで、かなり注目を集めることになったわけでございます。
 そうした結果、当初港湾機能だけの地域が都市機能を持つようになってきたということで、今では、それに加えて生活空間でもある土地になってきたわけでございます。その結果、当時関係者は少なかったわけでございますけれども、多くの機能を持つことによりまして、たくさんの方が関心を持ち、たくさんの方がここにかかわるようになってきたというようなことがございます。また、そうすることによりまして、多くの方に期待をされる土地にもなってきたわけです。
 そういった今までの流れを踏まえますと、今後、この土地をどうしていくかということを議論する際には、港湾物流、それから環境、この二点だけではなく、やはり観光とかまちづくり含めて、幅広い観点からの議論が大変重要になってきているというふうに思っております。
 その点を考慮しますと、今回この審議会が統合されたことは、適切な方針であると私は思っています。私どもにとりましても、今後とも、この審議会のご意見を伺いながら、港湾の行政をさらに充実するよう努めていく決意でございます。
 先生方におかれましても、引き続きご理解、ご協力のほどお願いしたいと思っています。

○河野委員 二つの条例の改正は、おととし十二月に出された都庁改革アクションプランに基づいて、港湾審議会と海上公園審議会を統合するというものですけれども、私は、都民の立場から、幾つかの点についてお伺いしたいと思います。
 最初に、東京湾の埋め立てが進んで、水辺の自然に親しむ場が失われているこの東京で、水と緑の中で憩うことができる海上公園は、臨海部の環境改善にも貢献をしています。
 審議会ができて二十五年たったわけですけれども、現在、海上公園には多くの樹木が育っています。緑は大気汚染の緩和に有効な役割を果たしておりますけれども、臨海部では、首都高速湾岸線や国道三五七などの幹線道路を通過する車両の排気ガスの影響で、大気汚染が深刻な状況になっていることが指摘され続けています。今後、さらに環状二号線や晴海通りの延伸が計画されており、もっと大気汚染が悪化してしまうと住民は心配をしています。
 また、東京都は、二十四時間三百六十五日フルオープンの港ということで、国際競争力を強化して、さらに港湾機能を拡充していく方針を示しています。港湾を整備し、機能を高めていく、これは大切なことですけれども、それによって、臨海部に入ってくる車両がふえることが予測されます。
 東京都として、臨海地域の大気汚染などの環境問題をどのようにとらえておられるのか、そして、港湾機能の強化と環境の保全についてどのようなお考えをお持ちでいらっしゃるのか、それぞれお答えを願いたいと思います。

○浅倉港湾経営部長 東京港は東京湾の一番奥に位置しております。大消費地東京に最も近接した港でございます。食料品を初めといたします都民生活に密着した輸入貨物等を、東京港が可能な限り取り扱うことによりまして、トラック輸送等による大気汚染を最小限に抑えることができるというふうに認識しております。
 東京港の国際競争力を強化するために、お話のように、二十四時間三百六十五日フルオープン化を積極的に推進しておりますけれども、これが実現していくことによりまして、現在、日中慢性的に渋滞しておりますふ頭での車両の集中が分散化され、渋滞のない効率的な港湾物流が実現するというふうに考えております。これによりまして、大気汚染を減少させ、環境にプラスの効果があるというふうに認識しております。
 また、臨海副都心周辺地域での大気汚染の状況は、ここ数年横ばいの状況にありますけれども、本年四月の東京港臨海道路の開通や今後の広域幹線道路の整備によりまして、交通の分散や渋滞の解消が図られることになり、大気の状況は改善されるというふうに認識しております。

○河野委員 ご答弁では、大気汚染は現状では数年間横ばい、それから今後については改善がされる見込みであるというふうなことだと思いますが、実際に臨海部の大気汚染は深刻だというのは、横ばいというご発言の中で、ご承知になっているのだろうと思うんです。
 住民の方々が毎年毎年、臨海地域のNO2の測定をやっておられますが、やはり環境基準で上限の〇・〇六ppmを大きく上回って、〇・〇七、〇・〇八という値を示しているところも、特に国道三五七とか青海の縦貫道路ですか、ああいう幹線道路に沿っては、そういう環境基準が守られていないという測定値が示されているところも何カ所もあります。今、環状二号などの幹線道路の建設や港のフルオープン化によって、よくなるというお話ですけれども、結局は、それは車の集中を招いて、大気汚染はさらに深刻な事態になっていく、こういうことも事実としてあるのではないかと私は思っておりますので、申し上げておきたいと思います。
 環境を守るという点では、ことしの二月に海上公園審議会から出されました今後の海上公園のあり方の答申で、中央防波堤の内側に大規模な森林公園を整備しようということが提言されるなど、海上公園事業の新たな取り組みの方向が明らかになりました。一方、経済、物流活動の拠点としての東京港に関する港湾審議会の役割も重要だと認識しています。
 それぞれに大変大事な役割、機能を持っている二つの審議会をあえて統合する理由は、今ないというふうに思うのです。もし統合した場合に、物流機能の充実が優先されて、海上公園が縮小、衰退の道をたどる、こういうことが起こるのではないかと心配しておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○津島総務部長 まず、両審議会のこれまでの基本的な関係からご説明いたしますと、海上公園審議会は、港湾審議会が審議した港湾計画の土地利用計画の範囲内で具体的な公園のあり方を審議するという関係にございました。都の港湾審議会では、常に環境も重視したご審議がこれまで行われまして、海上公園の創設から発展の過程で、港湾審議会の役割は非常に重要であったわけでございます。
 現在、両審議会を統合するということで、先ほど、行政の総合性の確保と、簡素で効率的な組織の整備ということを申し上げましたけれども、近年、行政の総合性の面からいいますと、港湾機能と環境、先ほど局長からもお話ししました、防災とかさまざまなファクターとの調和がますます重要となってきておりまして、東京港のあり方と海上公園のあり方を一体的に審議するということが必要となってきております。
 この統合された審議会では、港湾計画立案の段階から、公園の計画を今まで以上に配慮した審議が可能となりまして、統合は、海上公園の発展のためにもむしろ好ましいことであるというふうに考えております。

○河野委員 今回計画されております審議会の統合で、これまでの取り組みを弱めることはない、一層強まっていく、統一性を持つということがご答弁の内容だと思いますが、現実はどうなっているかということも考えたいと思います。
 これまでも、青海地区の暁ふ頭公園などが、コンテナ置き場とか車両の待機施設をつくるために縮小されたことがありました。立派に育った木が切り倒されて緑の広場がなくなってしまうということで、都民から、公園を残してほしいという要望が東京都に出された経過もあります。港湾機能を高めていくことと自然環境や公園施設を守ることの両立、これが大変難しい課題であるということを示している一つの例ではないかと私は感じています。
 二月の海上公園審議会では、統合について、会長さんのお名前で要望書が東京都に出されました。要約しますと、潤いのある東京港を築き、幅広い都民の英知を結集して、海上公園事業をさらに発展させることなどとなっておりますけれども、都民からの公募委員も参加して、海上公園について熱心な取り組みが続けられてきたこの審議会の皆さんの思いが込められた要望書ではないかと感じています。この海上公園審議会から出された要望書について、東京都はどのように受けとめておられるでしょうか。

○津島総務部長 現在の海上公園審議会の機能は、先ほど先生がおっしゃいました要望書のご趣旨のとおり、新たな港湾審議会に引き継いでいく予定でございまして、海上公園事業も、今後とも着実に推進していくつもりでございます。

○河野委員 最後に、意見として述べさせていただきたいと思います。
 東京都が二つの審議会を統合するという方針を出した中で、この要望書を提出するに至った関係者の方々のお気持ちは、大変複雑なものがあったのではないかと思っています。審議会の統合によって、定数三十八名の港湾審議会になるということですけれども、そのうちの海上公園部会は十名です。物流と環境の調和は重要で、いずれが優先するという関係ではないとか、統一した機能を果たしていけるという東京都のお考えがあるようですけれども、やはり海上公園審議会が担ってきた機能が弱まってしまうということを、私たちは大変心配をしております。
 今必要なのは、審議会の統合ではなくて、それぞれの審議会がその役割を果たして都民の期待にこたえていくこと、このことだと思います。目的も役割も全く違う二つの審議会を、行政の効率性を進めていくとか簡素化するという名のもとに統合してしまう、こうした都政のあり方に私たちは賛成することができません。二つの議案に反対の態度を表明して、質問を終わります。

○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時二十九分散会

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