経済・港湾委員会速記録第五号

平成十四年三月二十日(水曜日)
第八委員会室
   午後一時七分開議
 出席委員 十四名
委員長松原 忠義君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長中村 明彦君
理事丸茂 勇夫君
理事森田 安孝君
理事山崎 孝明君
中屋 文孝君
河野百合恵君
藤井  一君
富田 俊正君
橋本辰二郎君
田島 和明君
小林 正則君
川島 忠一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長浪越 勝海君
総務部長飯山 幸雄君
中央卸売市場市場長碇山 幸夫君
管理部長長尾 至浩君
港湾局局長川崎 裕康君
総務部長津島 隆一君
地方労働委員会事務局局長大久保 隆君
次長松田 曉史君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 予算の調査(意見開陳)
 ・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 経済・港湾委員会所管分

 ・第七号議案   平成十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
 ・第八号議案   平成十四年度東京都農業改良資金助成会計予算
 ・第九号議案   平成十四年度東京都林業改善資金助成会計予算
 ・第十号議案   平成十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
 ・第十一号議案  平成十四年度東京都と場会計予算
 ・第二十二号議案 平成十四年度東京都中央卸売市場会計予算
 ・第二十四号議案 平成十四年度東京都臨海地域開発事業会計予算
 ・第二十五号議案 平成十四年度東京都港湾事業会計予算
 付託議案の審査(決定)
 ・第百号議案    東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
 ・第百一号議案   東京都立産業技術研究所条例の一部を改正する条例
 ・第百二号議案   東京都輸出手形買取損失てん補条例を廃止する条例
 ・第百三号議案   東京都地域中小企業振興センター条例の一部を改正する条例
 ・第百四号議案   東京都ユース・ホステル条例の一部を改正する条例
 ・第百八号議案   鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律関係手数料条例
 ・第百十号議案   東京都労政会館設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百十一号議案  東京都雇用・就業対策審議会条例
 ・第百十三号議案  東京都港湾設備条例の一部を改正する条例
 ・第百十四号議案  東京都海上公園条例の一部を改正する条例
 ・第百十五号議案  東京都漁港管理条例の一部を改正する条例
 ・第百十六号議案  東京都地方労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 ・第百五十三号議案 土地の売払いについて
 請願の審査
 (1)一三第二五三号の二 都民が生き生きとスポーツ活動が展開できる振興策に関する請願
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○松原委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 さきに理事会にご一任いただきました意見書のうち、貸金業の規制等に関する法律の改正に関する意見書、雇用の危機突破に関する意見書及び産業空洞化対策の推進に関する意見書の三件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整いたしました。
 案文の朗読は省略いたします。

貸金業の規制等に関する法律の改正に関する意見書(案)
 深刻な経済不況が続く中、資金繰りで窮地に陥っている中小商工業者等は、クレジット、消費者金融、商工ローンなどの金融に頼らなければならない状況に置かれている。一方、その弱みに付け込み、高い金利で貸付を行う「まち金融」「ヤミ金融」による被害が激増し、大きな社会問題となっている。特に深刻なことは、多重債務等で借金返済に行き詰まり、返済不能に陥った借入者に対して、悪質貸金業者が厳しい取立てを行い、事業破たん、倒産、夜逃げ、家庭崩壊が発生し、最悪の場合、自殺にまで追い込まれているのが実態である。
 現行法では、登録さえすれば貸金業を営むことができる。このため、登録貸金業者の中にも、法で定められている以上の高利を取り、強引な取立てをする悪質貸金業者が存在しており、その違法行為に対する行政措置は不十分である。さらに、最近では、登録、未登録を問わず、貸金業者に関する苦情相談件数が増加し、その内容も多様化、悪質化、広域化している。
 このような状況にかんがみ、悪質貸金業者による被害から借入者を保護するとともに、貸金業の適正な運営を図ることが緊要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、借入者を保護し、悪質貸金業者によるこれ以上の被害者を増やさないため、貸金業の規制等に関する法律を次のように改正するよう強く要請する。
一 現行法の登録制度から営業許可制度に改正し、貸金業に対する規制を強化すること。
二 業務改善命令制度を創設すること。
三 営業保証金制度を創設すること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年三月 日
東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
金融担当大臣 あて

雇用の危機突破に関する意見書(案)
 我が国の勤労者が置かれている現状は、長期にわたる経済停滞の中で四年連続の収入滅、五%台半ばの戦後最悪の失業率、さらに相次ぐリストラ計画の発表など、深刻な雇用と暮らしの危機に陥っており、このことは地域経済にも深刻な影響を及ぼしている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、政府の責任によって、財政再建優先の政策を雇用と暮らしを中心とする政策に転換するとともに、雇用と暮らしの危機的な事態を打破し、日本の経済社会を再生させるため、次の事項を早急に実現するよう強く要請する。
一 教育、医療、介護、環境など、社会インフラの拡充が急務な分野を中心に、雇用を創出するとともに、能力開発・再就職支援策を強化し、失業者を減らすこと。
二 地域における雇用の安定・創出への取組みに対する支援と環境整備を行うこと。
三 パート労働者等への待遇の改善を図ること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年三月 日
東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣  
総務大臣
厚生労働大臣 あて

産業空洞化対策の推進に関する意見書(案)
 我が国の製造業は、バブル経済崩壊後の長引く景気低迷の下、アジア諸国との製造コスト競争の拡大などを背景に深刻な経営危機に直面している。また、こうしたグローバルな競争が激化する中で、大企業を中心に生産拠点を海外に移す動きが一般化し、産業空洞化が一層加速している。
 こうしたグローバル化の進展に対応し、産学公の連携強化や新規事業への支援、ものづくり等の人材育成、新技術開発への積極的な支援とともに、高コスト構造の改善など、産業空洞化対策を進めることが急務である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を速やかに実現するよう強く要請する。
一 国による明確な産業育成ビジョンを提示するとともに、民間企業支援策を盛り込んだ産業空洞化戦略を構築すること。
二 エネルギーコストや物流コストの低減、特許取得の手続の簡素化など、あらゆる分野の高コスト構造を改善すること。
三 産学公の連携の拡充を図るとともに、大学等の研究機関から中小企業への技術移転を円滑に進めるため、橋渡し役となるコーディネーターの育成、確保を図ること。
四 国は都と協力し、東京の臨海部に企業を誘致するとともに、大学・研究施設等も集積させ、日本の産業競争力を高めること。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成十四年三月 日
東京都議会議長 三田 敏哉
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣  
総務大臣
文部科学大臣
経済産業大臣 あて

○松原委員長 本件は、議長あて提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承いただきたいと思います。
 なお、その他の意見書につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきとの結論になりましたので、ご了承願います。

○松原委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布のとおり申し合わせをしました。
 なお、本視察の詳細及びそのほかに必要な場合の視察につきましては、その取り扱いを委員長にご一任いただきたいと思います。あわせてご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査及び請願の審査、並びに請願陳情及び特定事件の継続調査及び審査の申し出に対する決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、東京都一般会計予算のうち、歳出、繰越明許費、債務負担行為、経済・港湾委員会所管分、第七号議案から第十一号議案まで、第二十二号議案、第二十四号議案、第二十五号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○中屋委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十四年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 現下の都財政は、三年連続の財政赤字や七兆円を超える都債残高に加え、一兆円を超える隠れ借金など、大変厳しい状況にあります。さらに、十四年度は景気が一段と悪化することが予想される中で、都税収入についても大幅な減少が見込まれております。財政再建道半ばにある今日、都財政の構造改革に一層の進展がなければ、都政にさまざまな施策の実行に支障が生じかねません。
 その一方で、東京は国内外の厳しい都市間競争にさらされており、この中で生き残っていかなければ、東京だけではなく、我が国自体の衰退につながるものであり、都市基盤の整備や少子高齢社会への対応、景気対策、環境危機や治安悪化への対応など、都政の重要課題への取り組みが急がれております。
 こうした取り組みを通じて、首都東京を何としても再生し、都民一人一人が夢や希望を持ち続けられるような輝かしい社会をつくり上げていくことが、我々の責務であります。
 新しい時代にふさわしい施策の再構築や歳入確保努力など、財政構造改革の実行がますます重要になっております。
 知事は、平成十四年度予算案を、東京が直面する危機に積極的に対応する予算と位置づけ、編成されました。内容を見ますと、歳出面においては、財政再建推進プラン三年目の予算として、引き続き職員定数の削減など、内部努力や施策の見直し、再構築に取り組んでおります。
 また都民生活の不安に対しては、緊急地域雇用創出特別基金事業や、中高年リストラ対策などの雇用対策や中小企業制度融資の充実や、商店街活性化事業などの中小企業対策を敏速に進めることとしております。
 首都圏再生向けては、りんかい線などの公共交通網の整備を進めることとともに、区部環状道路や多摩南北方向の道路など、幹線道路の整備に取り組むとしております。また、交通渋滞の解消策として、新たに効果満点道路事業に取り組むとともに、鉄道の連続立体交差を推進することとしています。
 環境面では、東京の森再生プロジェクトに新たに取り組むとともに、自動車公害対策についても充実させております。さらに、我が党が強く主張してきた福祉改革についても、認証保育所の一層の拡充や、暮らしの福祉インフラ緊急整備など、きめ細かく対応されております。このように厳しい財政状況にあっても、首都東京の再生に向けて、ハード、ソフトの両面からしっかりと対策が組まれております。
 一方、歳入面においては、都市基盤整備を推進するため、国庫支出金の確保に努めるとともに、都民間の負担の公平を図る観点から、使用料、手数料について必要な見直しがされております。
 しかしながら、税源の移譲など地方税財政制度の改善については、この予算案では具体的な改善が図られませんでした。今後も引き続き、税源移譲を初めとする地方税財政制度の改善を強く国に働きかけ、地方主権の時代にふさわしい財政自主権を実現していかなければなりません。
 景気の先行きについて速やかな改善が期待できない中、都財政の運営に当たっては、常に財政再建の初心に立ち返り、引き続き財政再建推進プランに基づき、財政構造改革へのなお一層の取り組みを行い、明るい展望が得られるよう努力を積み重ねていただきたい。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも一層効率的に事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく最大限の努力を重ねられるよう強く要望いたします。
 次に、関係各局に移ります。
 まず産業労働局関係について申し上げます。
 一、企業倒産の増加など本格的な景気の回復が見られない中、厳しい経営状況に直面している中小企業を支援するため、中小企業制度融資の拡充を図り、企業の資金需要に対応した融資条件の緩和など、利用しやすく、よりわかりやすい融資内容となるよう制度の充実を図られたい。
 二、地域産業の振興のため、起業を志す人や創業間もない事業家に対する総合相談窓口の設置や、人材の育成、都の保有する空き庁舎を活用した創業の場の提供など、地域に合った創業支援機能を拡充整備されたい。
 また、中小企業のIT化推進事業の促進に努められたい。
 三、噴火、地震災害により観光客が減少している伊豆諸島を初め、観光を産業の視点からとらえた観光産業の振興を進められたい。
 四、個人消費の低迷が続いている中で、厳しい経営環境に置かれている商店街の振興を図るため、地域にとって魅力ある商店街づくりを支援するとともに、元気を出せ商店街事業や、空き店舗対策、さらには活力ある商店街育成事業の振興を図るなど、支援施策を充実されたい。
 五、厳しい雇用情勢を踏まえ、就職の確保のため、一層の求人開拓と、国とも連携して的確な職業紹介、相談、情報の提供に努めるとともに、特に就職が困難である中高年齢者や女性及び障害者に対する就職機会の充実、拡大に一層努められたい。
 また、若年層の就業対策についても支援施策を充実されたい。
 六、都市と調和した農業の振興のため、地域の特性を生かした生産、流通対策、収益性の高い農業経営対策や農業の担い手確保対策などを推進されたい。
 また、生産基盤の整備に対する支援を進めるとともに、家畜ふんや生ごみなどを素材とする有機肥料づくりと、有機農業の促進を充実されたい。
 七、林業経営の安定を図るため、長期的、継続的な森林保全対策や、造林、間伐、林道の整備などを行うとともに、島しょにおける水産業経営の安定を図るため、漁業施策や漁場の整備などに努められたい。
 八、三宅島など災害復旧関係事業の充実に努められたい。
 次に、中央卸売市場関係について申し上げます。
 一、都民に対する生鮮食料品の円滑な流通と安定的な供給を確保する観点から、物流の効率化や市場の情報化など、流通環境の変化に的確に対応した市場整備を進めるため、第七次卸売市場整備計画を着実に実施されたい。
 二、豊洲新市場の整備に当たっては、関係者の十分な理解と協力を得ながら、将来の基幹市場としての機能のあり方を見据え、積極的に対処されたい。
 三、多摩地域青果地方卸売市場については、多摩地域における青果物の円滑な供給を図るため、中核的地方卸売市場による支援を行うとともに、施設整備費補助制度の充実による支援を努められたい。
 四、市場に出入りするディーゼル車両対策を推進するとともに、市場内の小型特殊自動車の低公害化、廃棄物の減量化や資源化の促進など、市場内環境対策に業界とともに積極的に取り組むよう努められたい。
 五、中央卸売市場の機能を強化する観点から、市場関係業者の提携関係の強化や統合大型化の支援、特に経営基盤の弱い仲卸業者への経営改善指導などによる業者の経営基盤の強化を図るよう積極的に取り組まれたい。
 六、市場財政の健全化と長期的な安定のため、コスト縮減や過大な施設整備の見直しなどの内部努力、一般会計との負担区分の見直しなど適切な措置を講じられたい。
 次に、港湾局関係について申し上げます。
 一、船舶の大型化が進む国際海上輸送への対応を図るため、大井コンテナふ頭、青海コンテナふ頭の再整備や第一航路など航路、泊地の整備などを進め、港湾機能の総合力を高められるよう努められたい。
 二、東京港を国際貿易港としてさらに発展させるため、国内、国外にわたり、船舶、貨物の誘致活動を積極的に行うとともに、物流施設の二十四時間三百六十五日フルオープンの実現に向けた取り組みや、トラックヤードの整備を行い、物流の効率化に引き続き努められたい。
 三、港湾物量の効率化や、都心部への交通集中の緩和を図るため、首都圏全体の交通アクセスの円滑化にも資する東京港臨海道路の整備を推進されたい。
 四、新海面処分場の整備を着実に推進するとともに、地盤の深掘りによる容量の増大や、しゅんせつ土砂などの広域利用を進めるなど、新海面処分場の延命化に努められたい。
 五、臨海地域開発財政基盤強化プランを着実に実行し、東京再生の起爆剤となる東京臨海地域の総合的、一体的な再編成整備を推進されたい。
 六、臨海副都心は、東京の活力を支える有力な拠点であり、売却方式の活用などにより事業者誘致に積極的に取り組み、開発を着実に推進するとともに、観光振興に努められたい。
 また、臨海関係第三セクターについては、今後とも地域開発の先導役として重要な役割を果たしていけるよう、徹底した経営改善を図られたい。
 七、多くの都民に親しまれる豊かな水辺環境を生かした、職住近接のまちづくりを目指す有明北地区の埋め立て及び開発を積極的に進めるとともに、豊洲・晴海地区の開発を着実に進められたい。
 また、臨海副都心地域を含む東京港埋立地の交通利便性の向上及び交通混雑緩和など、交通アクセスの改善を図るため、晴海通り及び環状二号線などの広域幹線道路の整備や、新交通「ゆりかもめ」の豊洲延伸、臨海高速鉄道の大崎延伸などを促進されたい。
 東京港は、都民生活と経済活動を支える重要な拠点であり、港湾施設、道路、橋梁などの耐震強化を図るとともに、災害から都民の生命、財産を守るため、防潮堤、内部護岸などの整備に加え、水門、排水機場の改修に努められたい。
 八、都民に開かれた潤いのある港湾環境をつくり出すとともに、多様化している都民の余暇活動にこたえるため、海上公園の規制緩和を推進するなどその活性化に努められたい。
 九、伊豆諸島及び小笠原諸島の交通輸送路を充実し、離島住民の生活の安定、産業の振興を図るため、島しょの港湾、漁港、空港などの整備を着実に推進するとともに、三宅島などの災害復旧に万全を期されたい。
 また、引き続き離島航路補助及び航空路補助の充実に努め、島しょにおける航路及び航空路の維持に向けて万全を期されたい。
 以上で私の意見開陳を終わります。

○富田委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成十四年度予算にかかわる議案について、意見開陳を行います。
 平成十三年度予算は、企業収益の改善や銀行業等に対する外形標準課税の導入などにより、法人二税の大幅な伸びを見込み、三年ぶりの増額予算となりましたが、十四年度予算案は、アメリカ経済の急減速の影響もあり、法人二税の大幅な減収を見込むマイナス予算となっています。
 そうした中にあっても、既存の施策を聖域なく見直すとともに、重要施策を選定し、財源を重点的に振り向けることによって、めり張りある予算編成を行っている点は評価できるところですが、重要施策の選定基準や財源が不明確だったため、選定された事業が総花的な嫌いがあります。今後も同様の手法を講じられる場合は、目標、基準、財源を明確にして取り組まれるよう強く求めるものです。
 また、政策的経費である一般歳出を四兆三千七百六十三億円確保し、福祉と保健に七千六十七億円、教育と文化に九千七百五十八億円充て、それぞれ構成比を高めるなど、限られた財源を都民福祉の向上に重点を投じていることは評価されてよいと考えております。
 しかし、さまざまな工夫にもかかわらず、二千五百七十七億円の財源不足が生じ、減債基金の一部計上見送り、これが七百二十三億円、基金の取り崩し一千三百五十四億円、借入金の返済繰り延べ三百億円などを余儀なくされております。この結果、減債基金の積み立て不足額四千六百七十四億円を初めとした隠れ借金が一兆円を超えることになっています。
 十四年度予算案では、都職員一千四百十七人削減、管理職給与削減、五十五歳昇給停止、八十八事業の廃止、休止など引き続き徹底した内部努力や施策の見直し、再構築などの財政再建の取り組みを進めていますが、事業評価にバランスシートが活用し切れていないなど、十三年度から本格的に実施された行政評価制度の活用が不十分で、施策の見直し、再構築に的確に反映できたとはいえません。今後、施策の見直し、再構築を都民とともに考え、実行していくためにも、事業ごとに行政コスト計算書や貸借対照表などの事業別バランスシートを作成し、行政評価制度に組み込んでいくことが必要だと考えております。
 いずれにしましても、東京都の財政は都税収入の主要な部分を法人二税が占めるため、景気動向に大きく左右されています。地方財政制度の抜本的改革が強く求められているところですが、同時に、今後の都政の安定的運営を確保するために、バブル崩壊以降のこれまでの経験を総括し、財政運営の基本原則を定める条例の制定をも視野に入れるべきであります。検討を求めるものです。
 以上、私たちの総括的な意見を述べ、以下各局にかかわる事項について述べさせていただきます。
 まず、産業労働局について申し上げます。
 一、実行性の高い緊急雇用対策を実現するため、緊急地域雇用特別基金の運用に当たっては、委託事業とともに、自治体による直接雇用についても関係部局と連携し展開すること。
 一、勤労者が働きやすい環境を整備するために、ポジティブ・アクション支援事業の創設や、ファミリー・サポート・センターの拡大を図ること。
 一、毎日の夜間相談の実施など、労働相談体制を充実するとともに、緊急リストラ総合相談会なども充実して取り組むこと。
 一、若年者等就業対策を充実するとともに、アクティブシニア就業支援事業への支援など、高年齢者地域就業支援事業に取り組むこと。
 一、公共職業訓練の規模を拡大するとともに、オーダーメード訓練を拡充すること。
 また、高齢者に対するIT訓練の充実や東京都独自のホワイトカラー能力評価制度を整備すること。
 さらに、緊急再就職訓練の実施に当たっては、再就職に確実につながるものとなるよう、特に民間教育機関への委託に当たっては留意すること。
 一、観光産業の振興を図るために、サッカーワールドカップに向けた観光ボランティアの育成や情報提供体制など、受け入れ体制の充実を図ること。
 一、アニメ産業の振興のために人材育成に取り組むとともに、アニメフェアを充実して、今後も着実に実施すること。
 また、バイオ産業関係のベンチャーを支援、育成するために、タイム二十四を活用したインキュベーション施設の整備や環東京湾バイオネットワーク形成等に取り組むこと。
 一、中小企業への技術支援として、製品技術開発支援事業を創設するとともに、新製品、新技術開発支援を充実させること。
 一、中小企業の創業を支援するため、投資事業有限責任組合の設立を進めるとともに、ベンチャー企業等に対して地域ベンチャー施設整備事業や都有地の活用などにより、積極的に支援すること。
 一、中小企業への資金調達について、資金計画対応資金融資を創設するなど、中小企業制度融資の融資目標額の拡大を図ること。
 一、商店街振興のためのリーダー育成を実施するとともに、空き店舗対策やまちづくりと連携した商店街対策など、メニュー方式による魅力ある商店街づくりを実現すること。
 一、東京の森を再生させることは、花粉症対策としても有効である。そのために、森林環境整備事業の実施や多摩産材ストックヤード・アンド・マーケットの開設、木質バイオマスエネルギー利用の促進、自然と森林を守る大自然塾を実施すること。
 次に、中央卸売市場について申し上げます。
 一、市場財政が厳しい中で財政の健全化を図るために、公営企業として効率的な経営に努めるとともに、民間活力の導入も含め、一層事業の活性化に努めること。
 一、各市場の再整備に当たっては、着実な整備を図ること。
 特に築地市場の再整備については、豊洲地区の土壌汚染の状況を踏まえ、市場関係者や地元自治体などと十分協議すること。
 一、市場内で荷物搬送を行っている小型特殊自動車を電動車へ切りかえるとともに、都外から流入するディーゼル車へのDPF装着等の普及を促進するなど、市場の環境対策を進めること。
 一、牛や豚などのと畜解体処理にかかわる衛生面への配慮を充実し、特にBSE対策として衛生改善工事を行うなど、都民への安全な食肉の提供に努めること。
 次に、港湾局について申し上げます。
 一、東京港の国際競争力の強化として、船舶の大型化などに対応した外貿、内貿施設機能強化を図るとともに、首都圏の生活と産業を支える国際物流拠点、東京港の機能強化のための総合物流ネットワークを構築すること。
 一、港湾物の効率化と都心部に集中する交通の緩和を図るために、東京港臨海道路の整備を進めること。
 特に第二工区の工事については、新工法を検討するなどコスト縮減を行いながら着実に推進すること。
 一、都市防災への貢献として、高潮や津波から都民の生命と財産を守るために、水門、排水機場の耐震強化を図るとともに、有明の丘を防災拠点として整備すること。
 一、東京二十三区から発生する廃棄物等を適切に処理していくため、最終処分場を整備するとともに、処分場の延命化対策に取り組むこと。
 一、島しょ港湾の整備として、三宅島の災害復旧事業及び支援事業等を推進すること。
 一、伊豆諸島及び小笠原諸島と都市部との交通アクセス改善のため、各島の空港整備を進めること。
 また、小笠原への空路についても、環境に配慮しながら早急に確保すること。
 一、広域交通基盤の整備として、東京臨海高速鉄道りんかい線を初め、晴海通り、環状二号線、新交通「ゆりかもめ」の整備を推進すること。
 一、親水公園の整備を図るとともに、中央防波堤内側については、森林公園を整備するなど、水と緑のネットワーク形成に努めること。
 一、臨海副都心開発については、財政強化プランに基づく支出の削減を着実に実施するとともに、都民の生活を豊かにするという視点から土地処分を進めること。
 最後に、地方労働委員会事務局関係について申し上げます。
 一、パート労働や派遣労働等の労働形態の多様化、外国人労働者の増加等の新たな事態に対応するため、事務局体制を充実すること。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。
 ありがとうございました。

○藤井委員 私は、都議会公明党を代表いたしまして、当委員会に付託されました平成十四年度予算関連議案について、意見の開陳を行います。
 長引く経済不況のもと、都税収入が前年度に比べ三千六百億円減少するという厳しい財政状況下で編成された平成十四年度東京都予算案は、一般会計で五兆九千七十八億、前年度比四・八%マイナス、施策経費である一般歳出も前年度比二・四%マイナスという緊縮予算となっています。
 こうした中、都は本予算を東京が直面する危機に積極的に対応する予算と位置づけ、今の最大課題であります雇用、中小企業対策、都市再生などの重要施策には新たな編成手法を導入し、財源を優先的に配分する一方、都民生活を守る観点から生活環境分野では四・七%増、保健福祉分野では〇・三%減ながら、構成比においては過去最高の一二%となるなど、評価できるものであります。
 また、投資的経費においては、十年連続のマイナスながら、効果の高い事業に重点化し、めり張りをつけており、努力の跡がうかがわれます。
 行政改革においても、千四百十七人の定数削減を初め、監理団体の統廃合、団体職員の削減など、我が党の主張に沿う形で推進され、その結果財政再建推進プランの取り組み目標を八割達成しています。今後も引き続き都の財政改革を進めなければなりませんし、とりわけ税財源の移譲はこれまで以上に取り組みを強めなければなりません。
 都財政は今後さらに厳しい事態が予測されており、都債の実償還額も急増いたします。そうした中にあって、本予算では、減債基金の積み立てを本来額の四分の三にとどめています。事情を理解するものの、予算本来のあり方として今後の課題と位置つけるべきであります。
 今後、予算案の執行に当たっては、より一層都民の期待にこたえられるよう、丁寧にスピーディーに行われるよう強く要望するものであります。
 以下、各局別に申し上げます。
 初めに、産業労働局関係について申し上げます。
 一、東京の経済活性化のため、創業者やベンチャー企業の意欲ある取り組みに対し、場の提供や資金調達、経営、技術面などを含めた総合的な支援策の充実強化を積極的に図られたい。
 一、情報化、国際化の進展など急速な社会経済環境の変化に対応して、積極的に経営革新に取り組む中小企業や技術開発に取り組む企業に対し、資金調達を初めとした支援策の充実に努められたい。
 一、長引く消費の低迷と大型店の出店などにより厳しい環境にある商店街の振興を図るため、商店街の創意工夫による活力ある商店会づくりへの支援や、元気を出せ商店街事業、空き店舗の活用事業など、積極的な支援策に努められたい。
 一、観光を産業としてとらえ振興していくため、東京に海外から多くの観光客が訪れるサッカーワールドカッブの開催などを好機として、ウエルカムカードの発行や案内表示等の整備など海外からの観光客の受け入れ体制を強化するとともに、観光産業の振興のため積極的な施策の展開を図られたい。
 一、都として、引き続き地域の実情に合った障害者、高齢者などの地域就業対策を、国との密接な連携のもとに積極的に取り組まれたい。
 一、長引く景気低迷により、依然として厳しい雇用情勢が続く中で、より多くの就業確保を図ることが急務である。そのため、国の緊急地域雇用創出特別交付金事業の積極的かつ効果的な執行確保を図られたい。
 一、就業構造の変化や技術革新の進展など、労働を取り巻く環境が変化している中で、一人でも多くの労働者が安定的な職業につけるよう、時代や産業界のニーズに的確に対応した職業訓練に努められたい。
 また、リストラや企業倒産による中高年離職者に対する訓練機会の拡大に努められたい。
 一、高齢者の就業機会の拡大を図るため、高年齢者就業センターを軸にした高年齢者就業相談や各種情報の提供機能の強化、シルバー人材センター等に対する支援策の充実に努められたい。
 一、障害者の就業促進を図るため、国との密接な連携を図りながら、新たな雇用の場の創出や職業能力開発の推進、普及啓発事業の推進など、積極的な取り組みを図られたい。
 一、産業構造の転換により、日本的雇用慣行の変容や雇用の流動化など労働環境は大きく変化し、パートや派遣労働など働き方も多様化してきている。このような状況の中で、男女がともに働きやすい就業環境の整備を図るとともに、これら非正規型労働者の増加によりふえている個別的な労使紛争を解決するための労働相談機能等の充実強化を図られたい。
 一、時代の変化や消費者ニーズに的確に対応した都市農業の振興を図るため、農業生産の基盤整備を充実させるとともに、農業の担い手の確保対策、消費地に隣接する優位性を生かした意欲ある取り組みを支援する活力ある農業経営者育成事業、循環型社会づくりに貢献する環境保全型農業の推進、市民農園の充実など、都市と調和した施策の強化、魅力ある産業としての発展に努められたい。
 一、林業の活性化のためには、林業従事者が自信を持って森林を守っていけるような生活を保障するさまざまな支援策とともに、首都圏という一大消費地としての優位性を生かして、木材の生産、加工、流通、消費に至る一貫した木材供給システムを構築し、多摩材の供給促進を積極的に推進されたい。
 また、スギ花粉量の抑制に向けた取り組みをさらに強化されたい。
 一、島しょの農漁業の振興については、島しょの地域特性を生かした農業基盤の整備、栽培漁業の推進、漁業施設の近代化、農水産物の流通システムの整備など、一層の充実を図り、農水産業の経営安定を図るための支援事業等を強力に推進されたい。
 一、三宅島火山活動により避難を余儀なくされた島民や、被害を受けている島民の方々の生活基盤の安定や産業の振興のために適切な措置を講ずるとともに、島民が帰島した際に速やかな活動を再開できるよう、必要な対策を図られたい。
 次に、港湾局関係について申し上げます。
 一、東京港を輸送革新及び取扱貨物量の増大に的確に対応できる効率的な港湾として充実させるとともに、東京にとって貴重な空間である臨海埋立地を活用して、業務・商業、文化、居住の都市的機能がバランスよく配置された新しい港づくりを目指して、次の施策を強力に推進されたい。
 一、東京港は、大都市生活港湾として、首都圏などの住民生活及び産業活動に必要な物資の流通拠点として重要な位置にある。近年の船舶の大型化、モーダルシフトの進展、国際物流動向等に的確に対応し、港湾機能を充実強化した東京港とするため、青海コンテナふ頭及び品川ふ頭、大井コンテナふ頭の再整備などを推進されたい。
 また、今後整備が計画されている中央防波堤外側埋立地などのコンテナふ頭等の整備は、近隣の港湾の状況を見きわめ、時期を失せずに整備されたい。
 一、東京港を国際貿易港としてさらに発展させるために、ポートセールス活動を引き続き推進し、内外の船舶、船客、貨物の誘致に努めるとともに、港湾利用料金の軽減や港湾の利用にかかわる諸手続の簡素化、情報化及び二十四時間三百六十五日フルオープン化など、東京港の利用促進策を講じられたい。
 また、東京港を通じて都民レベルの国際交流に寄与するため、外航客船を積極的に誘致するなど、港の活性化を推進されたい。
 一、東京臨海地域は陸海空の結節点として、人、物、情報の集積する重要な地域であり、臨海地域開発財政基盤強化プランの考え方に基づいて、総合的、一体的な開発を着実に進められたい。
 一、臨海副都心の開発は、中小企業に対する大きな経済波及効果や雇用創出効果をもたらし、東京再生に大きく寄与する重要な事業であり、民間企業等への土地売却や土地利用計画の弾力的な運用など事業者誘致促進策に積極的に取り組み、着実に開発を進められたい。
 また、災害時の支援物資の受け入れ、運搬など、臨海副都心地域の防災拠点としての諸機能の充実を図るとともに、既成市街地の木造住宅密集地などの再開発に当たっての都市更新拠点として積極的にその活用を図るなど、既成市街地とリンケージする開発を推進されたい。
 一、臨海部の第三セクターについては、今後の臨海副都心開発における役割を踏まえ、より一層の経営の効率化、安定化を早期に実現されたい。
 一、臨海副都心を初め東京臨海地域の交通アクセスの向上のため、東京港臨海道路の整備、新交通「ゆりかもめ」の臨海副都心地域から豊洲方面への延伸、りんかい線の大崎方面への延伸など、広域交通基盤施設の整備を積極的に推進されたい。
 一、豊かな水辺環境を生かした職住近接のまちづくりを目指す豊洲・晴海地区や有明北地区の開発を促進するとともに、広域幹線道路の整備を着実に進められたい。
 一、東京が震災時においても国際貿易、首都圏の経済活動及び都民生活が円滑に営めるよう、係留施設、荷役施設、道路、橋梁等港湾施設全般の震災対策を講ぜられたい。
 また、都民の生命、財産を高潮等の災害から守るため、防潮堤等高潮防御施設の整備を引き続き推進するとともに、東京港埋立地の安全性を確保するため、地盤の液状化対策等の耐震性強化に努められたい。
 一、平和島運河など東京港の運河を、都民が水辺に親しみ憩えるよう、汚泥の除去、覆土の水質汚濁防止、浄化を図るなど環境整備に努められたい。
 一、新海面処分場の整備を促進するとともに、地盤の深掘り等による容量の増大や建設発生土、しゅんせつ土の広域利用などリサイクルを進めて、新海面処分場の延命化を図られたい。
 一、海上公園は、臨海部の魅力を引き出す役割を期待されているが、都独自の制度であるメリットを生かし、都民の多様化しているニーズにこたえるため、規制緩和に取り組まれたい。
 一、伊豆諸島及び小笠原諸島の交通輸送路を充実し、離島住民の生活の安定、産業の振興を図るため、島しょの港湾、漁港、空港などの整備を引き続き推進するとともに、三宅島等の災害復旧に万全を期されたい。
 また、離島航路補助の充実に努めるとともに、離島航空路補助の実施などにより島しょ航空路線の維持を図られたい。
 最後に、中央卸売市場について申し上げます。
 一、新市場の整備に当たっては、場内業者はもとより、各関係者との十分な連絡調整を図りながら、新しい時代の流通環境に適応した基幹的市場として整備がなされるよう努力されたい。
 一、食肉市場については、周辺環境に十分配慮しながら整備を進めるとともに、BSE等の対策として、衛生改善工事を行うなど安全衛生対策に万全を期されたい。
 一、その他の市場についても、物流の効率化など流通環境変化に配慮しつつ、第七次卸売市場整備計画を着実に進められたい。
 一、市場における環境対策を推進するため、市場に出入りするディーゼル車両対策や市場内で使用する運搬車両の低公害化、市場から発生するごみのリサイクルなど、市場関係業者と協力しながら、環境への負荷の低減に努められたい。
 一、中央卸売市場の機能を強化するため、卸売業者、仲卸業者など市場関係業者が経営基盤の強化が図れるよう適切な指導を行われたい。
 一、市場財政の健全な運営を確保するため、国庫補助金の削減措置の廃止を強く国に対して要望するとともに、一般会計からの繰入枠の拡大を図るなど、今後の市場整備に必要な財源が確保できるよう適切な措置を実施されたい。
 一、災害緊急時における生鮮食料品の供給に遺憾なきを期されたい。
 以上をもって意見の開陳といたします。

○河野委員 日本共産党を代表して、本委員会に付託されました二〇〇二年度予算案について、意見開陳を行います。
 まず、産業労働局関係です。
 未曾有の不況とリストラの嵐が吹き荒れ、小泉政権の不良債権処理のもとで、東京の失業や倒産は深刻です。
 それだけに、東京都が雇用と営業の支援に本格的に踏み出すことが急がれています。しかし、新年度の予算案を見ると、制度融資、臨海関連を除く中小企業対策費や労働対策費は、ともに一般会計予算の一%にも満たず、事態打開にこたえる予算になっているとはいえません。
 雇用の安定と、都内事業所の九九%を占め地域経済を支えている中小企業支援の予算を増額すべきです。
 以下、具体的に述べてまいります。
 一、産業労働局に、雇用対策室を設置し、雇用の確保やルールの確立に全力を尽くすこと。
 一、労働時間の短縮やサービス残業の規制の徹底で雇用の安定を図ること。
 一、大企業のリストラ、別会社、分社化による希望退職や転籍などの退職強要、隔離部屋などの人権侵害、不当労働行為などを防止するために、都として労働者権利侵害防止委員会を創設し、実態調査、指導、勧告が行えるようにすること。
 また、リストラ規制条例を制定すること。
 一、大学、高校生のための合同就職相談会や企業への採用枠拡大など就職対策を抜本的に強化すること。
 若年、パート、フリーター、派遣労働者などの総合実態調査を行い、無権利状態の改善や就職支援などを行うこと。
 一、若年失業者を対象とした職業訓練教育や、自己啓発のための助成などを実施すること。
 技術専門校は若年失業者の増大に対応して定員枠を大幅に拡大すること。
 一、中小企業が計画的に若年者を雇用する場合に、東京都が助成を行うことなど、実効性のある対策をとること。
 一、国の緊急雇用創出特別交付金事業の積極的活用に努めるとともに、都としても基金の積み増しを行い、民間からの協賛金を募るなど、事業規模の大幅拡充を図ること。
 一、家内労働者対策の全面縮小、打ち切りを図る事業計画を撤回し、家内労働共済制度や健康診断事業などの諸施策を拡充、継続し、家内労働者の健康と生活を守ること。
 一、中小企業予算を、一般会計の二%の水準に引き上げるとともに、工業、商業、建設業などの分野別の振興プランを立てて振興を図ること。
 一、機械金属、アパレル、印刷製本など三大集積産業を、東京を代表する産業として位置づけ支援すること。大田、品川、墨田などを工業集積地域活性化支援事業に再適用するとともに、適用期間の延長と予算の拡充を図ること。
 一、東京の物づくりを戦略的に位置づけ、技術開発、人材育成や基盤整備などに取り組むこと。
 一、技術、情報、経営など、物づくりの継承者や人材を育てるための教育機関を設立すること。
 一、東京の物づくりの戦略課題として、ナノテク産業の育成を位置づけること。
 一、商店街活性化総合支援事業は、計画策定だけでなく、来年度から事業が開始できるよう、必要な予算を計上すること。
 また、同事業の立ち上げを理由に、従来の商業支援を縮小、後退させないこと。
 一、元気を出せ商店街事業の適用範囲を広げるとともに、補助率の引き上げ、事業費の増額を図ること。
 一、BSE(牛海綿状脳症)感染の根絶と被害補償を国に求めること。
 都として、安全対策を講じるとともに、売り上げが減少している酪農家や食肉関係業者への支援策を強めること。
 一、別枠もしくは借りかえ用の制度融資を認めること。
 融資条件は、年利一%以下の無担保、五年以上の据え置きとし、信用保証料の全額補助を実施すること。
 一、商工指導所の復活、城東、城南中小企業振興センターの直営維持など、商工系指導、研究機関の拡充を図ること。
 一、多摩中小企業振興センターは独自に施設を確保すること。
 多摩東部や西部にブランチを出すこと。
 労政事務所の統廃合は中止し、拡充を図ること。
 一、農林水産業対策予算の削減は行わないこと。
 一、都市農業を東京都の重要な産業として位置づけ、必要な予算を配分すること。
 経済事務所、農業、林業、畜産試験場などの統廃合をやめ、研究員の増員、試験、研究、指導、施設整備の拡充を図ること。
 一、獣害防止策を拡充すること。
 一、島しょ農水業振興のために、島しょの特性を生かした農業基盤の整備、漁業施設の近代化とともに、栽培漁業を推進すること。
 消費地への流通支援策を強化推進すること。
 三宅島の漁民の漁業再開への支援、帰島後の漁業再興のために漁協の支援など万全を期すこと。
 一、深刻な打撃を受けている伊豆諸島の観光振興のためのキャンペーンや、今年度、区市町村長会の支援で実施された島への観光旅行に対する助成を来年度も実施できるよう、都として財政支援を行うこと。
 一、債務超過に陥っているファッションタウン、タイム二十四は速やかに破綻処理を行うこと。
 次は、港湾局関係についてです。
 臨海副都心開発は、企業都市づくりという開発目的やゼネコンや大銀行のための開発計画という根本的な見直し、土地利用の見通しが立たないもとで、過大な投資の見直しも求められています。しかし、見直しは、臨海地域開発基盤強化プランに沿うもので、九七年当時の開発見直し方針に沿って、都民の貴重な財産である未利用地の売却で財政基盤を確保するとしながら、一方で有明北の埋め立てや臨海道路の第二期工事、晴海通りや環状二号道路の延伸など開発優先の予算となっています。臨海会計は三会計を統合しましたが、毎年百億円の赤字を出し、埋立会計を食いつぶしかねない現状にあります。したがって、臨海副都心開発は、都民参加で抜本的な見直しを強く求めます。
 一、破綻した臨海副都心開発を凍結し、税金投入を中止するとともに、都民参加で抜本的な再検討を行うこと。
 一、臨海副都心開発事業会計は、従前の三会計に戻すこと。埋立事業の剰余金は臨海開発につぎ込むのではなく、都民のための活用をすること。
 一、貴重な自然が残された有明北の海面埋め立てを中止すること。
 一、臨海道路や晴海通り、環状二号道路の延伸はやめること。
 また、大企業のための豊洲・晴海の開発はやめること。
 一、破綻した臨海関連第三セクタービル経営への都財政投入はやめ、企業責任で解決を図らせること。あわせて都民への情報公開を全面的に行うこと。
 一、東京港港湾計画は、都民生活の充実や、中小企業の振興につながる東京港の物流機能の充実を図るとともに、振興対策を大企業本位でなく中小港運業の振興、港湾労働者の雇用を創出することを基本に進めること。
 一、東京港港湾労働会館の建設を初め、港湾関係労働者のための住宅や宿泊所、休憩所や医療施設など福利厚生施設の整備を促進すること。
 一、航路、港湾機能を阻害する大型施設はつくらないこと。
 一、新海面処分場は、しゅんせつ土などリサイクルに努め、建設計画の見直しを行うこと。
 一、島しょの港湾施設や漁港の整備を促進すること。
 三宅島など災害復旧は万全を尽くすこと。
 次に、中央卸売市場についてです。
 一、急ぐ必要のない、豊洲の防潮護岸工事は取りやめること。
 一、築地市場の再整備は、地元、市場関係者の声を尊重し、関係者合意に努めること。
 交通アクセス、土壌汚染、採算性など問題が指摘されている豊洲移転は押しつけないこと。
 一、市場内に屋根つき駐車場、荷さばき場、保冷庫を設置し、中小零細業者に優先的に使用させること。
 一、スーパーなど量販店の横暴を規制し、先取り、転送による弊害をなくし、公平で公正な競り取引を行うよう正常化に努めること。
 一、BSE対策を初めとして、食品の安全管理を抜本的に強めること。
 次に、地方労働委員会事務局関係について申し上げます。
 一、労働委員会などの機能を強化し、不当労働行為救済申し立て事件等のさらに一層の審査促進を図ること。
 以上で日本共産党の意見開陳を終わります。

○松原委員長 以上で意見の開陳は終わりました。
 ただいま開陳されました意見は、委員長において取りまとめの上、議長まで提出いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○松原委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百号議案から第百四号議案まで、第百八号議案、第百十号議案、第百十一号議案、第百十三号議案から第百十六号議案まで及び第百五十三号議案を一括して議題といたします。
 本案に対する質疑は、いずれも既に終了しております。
 この際、本案に対する発言の申し出がありますので、これを許します。

○河野委員 日本共産党を代表して、第百号、第百四号、第百十号、第百十一号、第百十四号、第百十五号、第百五十三号の議案に反対の意見を述べます。
 第百号議案、東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例は、職業訓練指導員試験、技能検定試験の免除者に対し、これまで無料だった資格審査手数料を有料にするものです。
 第百四号議案は、東京都ユース・ホステル条例の一部を改正する条例で、一般宿泊料を一人一泊三千百円から三千五百円に値上げするものです。いずれも不況で苦しむ都民に経済的負担をふやすものであり、無料の制度をなくしていくという都政の冷たさをあらわすものです。
 第百十号議案は、三鷹市の労政会館を廃止するものです。
 第百十一号議案は、労働審議会と職業能力開発審議会を廃止し、新たに雇用・就業対策審議会を設置するものです。
 二つの議案とも、雇用労働行政の後退につながるものです。
 第百十四号議案、東京都海上公園条例の一部改正は、監理団体実施計画を受けて新たに大井ふ頭中央海浜公園と有明テニスの森公園に利用料金制を導入するものです。上限額を現行利用料の一・五倍に引き上げ、将来的に都民の負担増に道を開く制度の改悪になります。
 第百十五号議案、東京都漁港管理条例の一部改正は、漁港の係船料や島しょの電柱や物揚げ場などの占用料を引き上げるものです。東海汽船や島しょの漁業関係者の営業と生活を脅かすものです。
 第百五十三号議案、土地の売払いについては、買い受け者の選定が一グループであったことや、土地売却価格の妥当性、建築物のアセス問題、ITセンターとしての機能のあり方など、各種問題があり反対します。
 したがって、第百号、第百四号、第百十号、第百十一号、第百十四号、第百十五号、第百五十三号の議案に反対を表明します。

○松原委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第百号議案、第百四号議案、第百十号議案、第百十一号議案、第百十四号議案、第百十五号議案及び第百五十三号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決をいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○松原委員長 起立多数と認めます。よって、本案はいずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百一号議案から第百三号議案まで、第百八号議案、第百十三号議案、第百十六号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松原委員長 異議なしと認めます。よって、本案はいずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○松原委員長 これより請願の審査を行います。
 一三第二五三号の二、都民が生き生きとスポーツ活動が展開できる振興策に関する請願を議題といたします。
 本件は、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○松原委員長 起立少数と認めます。よって、請願一三第二五三号の二は不採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。

○松原委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○松原委員長 この際、中央卸売市場長から発言の申し出がありますので、これを許します。

○碇山中央卸売市場長 お許しをいただきまして、当委員会所管四局を代表いたしまして、一言御礼を申し上げます。
 松原委員長を初め委員の皆様方におかれましては、本定例会にご提案申し上げました予算案ほか各議案につきまして、慎重かつご熱心にご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご要望等につきましては、十分尊重させていただきまして、今後の事務事業の執行に万全を期してまいる所存でございます。
 今後とも、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、御礼のごあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。

○松原委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る