経済・港湾委員会速記録第十八号

平成十三年十二月十三日(木曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 十四名
委員長松原 忠義君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長中村 明彦君
理事丸茂 勇夫君
理事森田 安孝君
理事山崎 孝明君
中屋 文孝君
河野百合恵君
藤井  一君
富田 俊正君
橋本辰二郎君
田島 和明君
小林 正則君
川島 忠一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長浪越 勝海君
総務部長飯山 幸雄君
同和対策担当部長坂爪 正二君
参事安藤 立美君
産業政策部長樋口  勉君
参事帆刈 祥弘君
参事鈴木 房男君
商工部長大原 正行君
参事中村 晶晴君
参事橋本 直紀君
農林水産部長矢口 貴行君
参事和田 敏明君
労働部長渡邉 泰弘君
雇用就業推進担当部長友繁 佳明君
労働調整担当部長高橋  勝君
港湾局局長川崎 裕康君
技監小池 正臣君
総務部長津島 隆一君
港湾経営部長浅倉 義信君
物流企画担当部長小宮山元二君
臨海開発部長三枝 修一君
参事金子  優君
参事樋口 和行君
港湾整備部長高野 一男君
計画調整担当部長細川 泰廣君
参事安藤 哲士君
離島港湾部長野村 孝雄君
参事片岡 貞行君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 港湾局関係
  報告事項(説明)
  ・第百八十九号議案 平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その一)請負契約の撤回について
  契約議案の調査(質疑)
  ・第百九十号議案 平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その二)請負契約
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百八十号議案 東京都港湾設備条例の一部を改正する条例
 産業労働局関係
  報告事項(質疑)
  ・「東京都観光産業振興プラン」について
  ・「東京農業振興プラン二〇〇一(素案)」について

○三宅副委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
委員長が所用のため、おくれるとのことですので、委員会条例第十条に基づき、私が暫時委員長の職務を代行いたします。よろしくご協力のほどお願いいたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅副委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○三宅副委員長 本日は、港湾局関係の報告事項の聴取、契約議案の調査及び付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十三年十二月十二日
      東京都議会議長 三田 敏哉
経済・港湾委員長 松原 忠義殿
契約議案の調査について(依頼)
 このことについて、左記により財政委員長へご報告願います。
  記
1 調査議案
 第百九十号議案 平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その二)請負契約
2 提出期限 平成十三年十二月十四日(金)

○三宅副委員長 これより港湾局関係に入ります。
 この際、理事者から発言の申し出がございますので、これを許します。

○川崎港湾局長 十一月二十九日の事前説明の際、ご説明申し上げました契約議案二件のうち、第百八十九号議案、平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その一)工事請負契約につきましては、今般、契約の相手方でございます大成・青木・前田建設共同企業体から契約辞退の申し出がございましたため、仮契約を解除し、本議案を撤回させていただくことになる旨、財務局から通知がございましたので、ご了承のほどをお願い申し上げます。
 なお、撤回いたしました本件工事につきましては、再度必要な契約手続を行い、次回の平成十四年第一回定例会にご提案申し上げたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

○三宅副委員長 発言は終わりました。

○三宅副委員長 これより契約議案の調査を行います。
 第百九十号議案、平成十三年度新海面処分場Gブロック西側護岸建設工事(その二)請負契約を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○丸茂委員 Gブロックの契約議案は、三定でも議論をいたしましたので、絞って質問をしたいと思います。
 十一月三十日に東京都廃棄物審議会から廃棄物処理計画について答申が出されましたが、答申では計画の対象期間を平成十三年度から平成十七年度までの五ヵ年とし、計画目標では発生抑制、リサイクルを推進し、最終処分場を削減する。その中で、一般廃棄物は平成十一年度対比で平成十七年度の最終処分量を三割削減し、産業廃棄物は同じく五割削減するとしております。新海面処分場の護岸整備計画では、Gブロックが平成十七年度に完成する予定で、平成十八年度からしゅんせつ土を入れる、そういう計画になっております。D、E、Fブロックは平成十八年度以降となっております。
 これまで、処分場の延命化のため、容量拡大策として深掘りと沈下促進など努力がされてきましたが、現行の廃棄物等の埋立処分計画は平成十年五月に策定され、おおむね五年ごとに見直すことになっております。新たな廃棄物処理計画の目標などが示されたもとで埋立処分計画の見直しが必要だと考えますが、その点いかがでしょうか。

○高野港湾整備部長 お答え申し上げます。
 ご質問の廃棄物等の現行の埋立処分計画につきましては、おおむね五年ごとに見直しをするということになっております。また、東京都廃棄物審議会の答申を受けまして、関係局では行政計画としての廃棄物処理計画を年度末を目途に策定することとしております。さらに、近年の経済社会情勢を踏まえ、しゅんせつ土、建設発生土の将来の処分量の検討を行う必要も出てきてまいっております。このようなことを踏まえまして、ことしの十一月に関係局で構成いたします新海面処分場埋立処分対策検討委員会を開催いたしまして、処分計画の見直しについて検討することといたしました。
 なお、今回の廃棄物審議会の答申におきましては、産業廃棄物の最終処分量の削減を図る一方で、産業廃棄物の都内処分率の向上という観点から、都の最終処分場、これは二十三区でいうと新海面処分場でございますけれども、そこへの受け入れを検討するとしておりまして、今後の検討によっては、都の最終処分場への処分量が増加する要素にもなるという状況にもございます。

○丸茂委員 最終処分量の削減はする。しかし、新たに産業廃棄物、都内処理ということでふえる、そういう可能性もまた一方ではあるという答弁をいただいたんですが、そうなると、さらに、港湾局がこれまで処分してきたしゅんせつ土の処分量を一層削減しないと、新海面処分場の延命化という点では、また新たな課題を抱えることになるんではないか。そういう点で、しゅんせつ土の埋立量の一層の減量化が求められるということではないかと思うんです。
 これまでの答弁では、河川改修や護岸整備、公害汚泥の除去などにより質の悪いしゅんせつ土が多量に発生するため、しゅんせつ土の埋立量が多い、こういう説明をいただいてきました。そこで、この悪質なしゅんせつ土の改善が何とかできないのか、そして改善することによって再利用なり、いろいろな別の形での利用ができないのか、そのことによって減量化ができないのかということなど、私なりにいろいろな機会に調査もしたり、あるいは資料等も調べたわけですけれども、そこで一つ、海底土壌をアルカリ性に保って、底質改善剤、環境改善剤を散布することによって、底泥中の堆積有機物の分解を促進させて、ヘドロの減少、あるいは硫酸塩還元菌、還元する菌ですね、バクテリアの増殖を抑制し硫化水素の発生を抑制する、こういう効果のある製品も開発をされ、実際に使用もされております。そういう新たな開発が進む中で、費用対効果の検討が必要ですけれども、さまざまな取り組みが必要じゃないか、そういうふうに私は考えております。
 ついこの前新聞報道で、環境省が東京湾などの水質総量規制強化、こういう方針を出されまして、その水質問題でも今後また一層課題がふえるのかなという感じがしたんですが、そういう点で、しゅんせつ土そのものの改良策、こういうことが求められるんじゃないか。その改良によって、埋め立てだけじゃなくて再利用できないのか、そういうところを引き続き私なりに問題意識を持っているんですが、そういう点での、こういう土質を改良させる、そういう検討などについて見解を伺っておきたいと思います。

○高野港湾整備部長 現在都におきましては、河川工事などにおいて一部のしゅんせつ土砂を現地で改良いたしまして、その護岸の裏埋めに用材として利用するということを通じまして、しゅんせつ土が出ないようにするという取り組みも行われておりますけれども、利用しているのは、量的にはごく限られたものになっております。
 また、それではそこで改良した土をどこかに有効利用するという形で、現在例えば千葉だとか横須賀に漁場改善等で持っていっていますけれども、それをそこへ持っていくというようなことも考えられないことではないんですが、薬剤を使うというようなこと、それからもともと性状が余りよくないというようなこともあって、受け入れ先の理解の問題ですとか、費用の問題ですとか、いろいろ課題が多いと思うんですね。
 運河や河川では、船舶航行の安全性確保や洪水対策として運河の断面を維持するために、航路等の水深を維持していく必要があるところが東京港内ほとんどでありまして、したがって、堆積土を現地において改良して、例えばそのまま置いておくということになれば、確かにしゅんせつ土は出ないんですけれども、そういうことのできる場所はかなり区域が限られてくるということになると思うんですね。
 現在は、そういう水深の維持に余り気を使わなくていい場所につきましては、有機物の多い土砂のしゅんせつはしないで、その上に良質な土砂を覆土して封じ込めるという方法を現在も東京港内で一部でやっておりますけれども、この対策が技術的、経済的に現状では有効なものではないかというふうに、私どもとしては今認識しているところでございます。

○丸茂委員 こうしたしゅんせつ土、他府県等でどうなっているのかなということで、大都市を抱えて川が流れ込んで、港というと、名古屋港なり大阪港ですかね、そういうところを幾つか、ちょっと直接行けませんので、電話なりあるいは資料を送っていただいて聞いたわけですけれども、名古屋港では、しゅんせつ土の最終処分場への処分はゼロだいうお答えでした。大阪港では尼崎沖埋め立ての処分場がありまして、そこでは一ヘクタール当たり二・九万立方メートルのしゅんせつ土の埋立処分をしている。それから、泉大津沖の埋立処分場が同じく一ヘクタール当たり二・三万立方メートル。建設中の神戸沖と建設予定の大阪沖埋立処分場、これはしゅんせつ土はゼロとなっております。これは、空港建設の絡みでそちらの方に使うのかなという感じはするんですが、そこはしゅんせつ土の埋め立てはゼロ。こういうものと比較しますと、私なりに新海面、四百八十ヘクタールの面積での計算をしますと、一ヘクタール当たり、現計画ではしゅんせつ土三・九万立方メートルになるわけですね。
 そうしますと、単純な数字の比較ですけれども、新海面処分場のしゅんせつ土の埋立量が他の港より多い傾向にある、そういうことがうかがえるわけですが、そうした他港との関連も含めて、しゅんせつ土のさらなる減量化について検討を進めるべきだと考えるわけですけれども、その点いかがでしょうか。

○高野港湾整備部長 各港の事例が出されておりますけれども、例えば名古屋港の場合ですと、確かに最終処分場というところにしゅんせつ土は持っていっておりませんけれども、あそこも庄内川の河口で、庄内川からの土砂が流入してきているわけですけれども、それは東京港の運河筋の土質から比べるとかなり土質がいいもので、いろいろな有効活用、廃棄物処分場ではなくて通常の埋立地へ入れることができるというような、それぞれの港の事情があるというふうに理解しております。
 しゅんせつ土の処分量の減量対策につきましては、これまでも局内に技術課題検討委員会というものを設けてありますけれども、その場で検討をしてきたところでございまして、検討した工法につきましても、しゅんせつ土を天火で乾燥させる工法から、脱水して減量化する工法ですとか、セメント等の固化剤や土砂改良剤を添加して処理する添加工法ですとか、そういうものを検討してまいりましたけれども、大量のしゅんせつ土を処分する上で、用地やコストの面でいまだ解決しなければならない問題が多いということで、そういう今検討状況、結論になっております。
 したがって、処分場の延命化のためには、現時点では深掘りや沈下促進工法などの処分場自体の容量を拡大する方法が有効であるというふうに考えているわけですけれども、今後ともしゅんせつ土の有効利用については、関連する建設局等とも協力しながら、幅広く検討していきたいというふうに考えております。

○丸茂委員 建設残土等も改良して有効利用する、いろんな努力がされているわけで、港湾局としても検討委員会を設けていろいろ研究もされているということですので、引き続きご検討をお願いして、質問を終わります。

○三宅副委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅副委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対し、意見のある方は発言を願います。

○丸茂委員 ただいま提案されました議案に対して、意見を述べます。
 新海面処分場は都内に残された最後の最終処分場であり、一層のごみ発生抑制、減量・リサイクルや公共事業の見直し、しゅんせつ土の改良など、さらなる有効利用や減量化により処分量そのものを抑制すべきだと思います。
 処分場のさらなる延命化に努めること、また、廃棄物処理計画の新たな目標も提起されており、見直しが必要です。大規模な開発優先から都民の暮らし、福祉優先の都政運営を求めて、本議案に反対します。
 以上です。

○三宅副委員長 お諮りいたします。
 本案については、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅副委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして契約議案の調査を終わります。

○三宅副委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百八十号議案、東京都港湾設備条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 私は、今回の定例会に上程されております港湾設備条例の改正案について何点かお聞きしたいと思います。
 来年の春には、大田区の城南島と中央防波堤内側を結びます全長三・四キロメートルの臨海道路第一工区が開通をするわけでございます。また同時に、第二航路海底トンネルも一般供用されるということでございます。これまでは、大井ふ頭と青海ふ頭を結ぶルートにつきましては、有料の首都高の東京港トンネルを使うか、あるいはまた海岸通りを経由してレインボーブリッジを利用するといった北側ルートしかありませんで、どのルートも慢性的な交通渋滞を引き起こしております。
 今回、臨海道路の開通によりまして、城南島から青海までつながる南側の迂回ルートができます。これに関連しまして、まず、臨海道路第一工区開通によって東京港の発展にどのような効果がもたらされるかということについて、ご説明をいただきたいと思います。

○高野港湾整備部長 お答えいたします。
 臨海道路第一工区の開通が東京港の発展にどのような効果をもたらすかとのご質問でございますけれども、この道路が開通することによりまして、道路交通が円滑化し、港湾と背後圏との物流の効率化が図られます。すなわち、東京港を利用する港湾物流の輸送コストが軽減され、東京港の国際競争力が上がるというふうに認識しております。この点につきましては、都市再生プロジェクトの第二次案にも取り上げられているところでございます。
 少し具体的に申しますと、ご指摘の南側迂回ルートというふうにお話しになりましたけれども、そういうルートができてくるわけですけれども、これを利用した場合、一定の条件のもとでの試算ではございますけれども、大井ふ頭から環状七号線の葛西の交差点までレインボーブリッジを経由した場合と、このトンネルを経由した場合で比較してみますと、時間が約十分ぐらい短縮になる。また反対に、青海ふ頭から環状七号線の大井ふ頭の交差点までレインボーブリッジを経由した場合と比較すると、約三十分間時間が短縮されるというふうに想定をしております。
 さらに、この道路につきましては、中央防波堤埋立地に計画されております港湾施設の開発や、これからできる新海面処分場の開発にとって必要不可欠な道路交通アクセスでございまして、今後この地域の開発が飛躍的に促進されるということになるだろうというふうに考えております。

○藤井委員 今説明にありましたように、この臨海道路第一工区の開通によって、東京港に新たな交通ネットワークが形成をされたということでございます。大きな効果を期待したいと思います。
 しかしながら、一方、この新たなルートができますと、それに続く青海ふ頭方面の既存の道路が混雑するんじゃないかという心配もあるわけでございます。特に青海縦貫道路は、この青海ふ頭に出入りするコンテナ車両がふ頭のゲート待ちのために路上でたくさん待機しているというところでございまして、それが原因で大変交通混雑があるところでございます。今後、さらに一般車両もここを通行するようになりますと、ますます交通量が増大をして、路上に待機しておりますコンテナ車両も加わりますと、交通混雑がさらに激しくなるんじゃないかというふうになります。
 そこで、その対策として、局はコンテナ車両の待機場所を確保する工事を実施しているという説明がなされておりますけれども、この青海の縦貫道路におきます交通混雑対策、本当にこの混雑について対策ができるのかどうか、その点について確認したいと思います。

○浅倉港湾経営部長 お答えいたします。
 ご質問の青海ふ頭内の交通問題には、トラックの運転部分、これはヘッドと申しておりますが、そのヘッドを取り外したシャシー部分を放置するいわゆる台切りシャシーについての問題と、ゲート待ちをする待機車両、この二つの問題がございます。
 まず、台切りシャシーにつきましては、ふ頭利用者やトラック業界に十分な事前告知をした上で、台切りシャシーにヘッドが接続できないよう固定装置を取りつける対策をこの八月から実施いたしまして、一掃を図ったところでございます。
 次に、ゲート待ちをしているコンテナ車両対策といたしまして、青海縦貫道路沿いに約三百三十台のコンテナ車両待機場を整備すると同時に、青海コンテナふ頭の背後道路を港湾関係車両の専用利用道路ということにいたしまして、約九十台のコンテナ車が待機できるスペースを確保することとしております。現在、ふ頭利用者や警察等の関係者と調整を図りながら、臨海道路の供用開始に合わせまして待機場の整備工事を実施中でございます。これが完成いたしますれば、コンテナ車両の待機による交通渋滞は解消されるものというふうに考えております。
〔三宅副委員長退席、委員長着席〕

○藤井委員 今回開通いたしますこの臨海道路の水底トンネル、海水の下ですけれども、計画では全長約二キロでございまして、沈埋工法によるトンネルとしては日本一長いというふうに聞いております。また、設置場所も水深が一番深いところということでございますので、こういう東京港臨海道路のトンネルの管理というのは、大変いろいろと難題といいますか、課題があるというふうに思いますけれども、このトンネルの管理について、どのように行っていくのかお伺いしたいと思います。

○浅倉港湾経営部長 お答えいたします。
 水底トンネル内で火災車両が起きますと重大事故に発展する可能性が非常に高いということで、このため、この臨海道路トンネルでは、危険防止のために火災検知器や通報装置、水の噴霧設備等、国の一番厳しい基準に基づいた非常用設備を設置してございます。また、監視カメラを設置いたしまして、トンネル内の状況を常に把握する監視体制をとることによりまして、万一事故が発生したときには、走行中のドライバーにラジオ等を通じまして情報を提供する交通管理設備を設置するほか、自家用発電設備を設け、万一の停電事故に備えるなど、危機対応に対しては万全な管理体制をとることとしております。
 また、臨海道路のこのトンネルとつながります第二航路海底トンネル、青海トンネル、湾岸アンダー、この東京港の四つのトンネルを中央防波堤外側埋立地の換気所内で一元的に集中管理することによりまして、管理コストの低減を図ると同時に、広域的な監視体制を整え、円滑な通行を確保することとしております。

○藤井委員 前回の委員会におきまして、この港湾設備条例改正案の説明では、水底トンネルであります臨海道路トンネルの安全性というものを確保するために、いわゆる爆発しやすいもの、あるいは燃えやすいもの、そういう危険物を積んだ車両の通行を禁止する、あるいは制限するというふうにいわれましたけれども、この中央防波堤地区のところには産業廃棄物処理施設が多くあるというふうに聞いております。
 そうしますと、その廃棄物処理施設を運営するために必要な燃料あるいは薬品、こういった危険物は、この臨海道路トンネルを利用して運ばなければいけないわけでございますので、そこで、危険物を積載した車両の通行制限あるいはまた禁止することによって、この中央防波堤地区にあります廃棄物処理施設あるいは港湾関連施設の運営に重大な支障が生じるんじゃないかというふうに懸念されるわけでございます。その点大丈夫なのかどうかということと、またそのための対策、どのように取り組むのか、伺いたいと思います。

○浅倉港湾経営部長 水底トンネルの安全性を確保するために、道路法に準じまして、危険物積載車両の通行を原則として禁止及び制限するということで条例案を提案させていただいております。しかし、ご指摘のように、中央防波堤埋立地の港湾施設や清掃関連施設等にとって必要不可欠な燃料、薬品類等につきましては、トンネル以外ほかに代替ルートがないため、それを積載する車両に限って通行を許可する必要がございます。この通行を許可する危険物の品目や車両等については、施行規則で定めたいというふうに思っております。また、その具体的内容や方法につきましては、学識経験者、警視庁、消防庁の職員によります委員会をこれまで設け、検討を行ってまいりました。
 この結果、危険物積載車両の通行方法は、危険物積載車両と一般車両を分離させて通行するエスコート方式をとることとし、一日の各時間帯の交通量等を勘案いたしまして、平日の午前七時から八時の間に、青海側からは第二航路海底トンネルを、城南島側からは臨海道路のトンネルを通行させることとしていきたいというふうに思っております。

○藤井委員 今回開通いたします臨海道路トンネルは、第一工区部分であります。引き続き中央防波堤埋立地と江東区の若洲を結びます第二工区の整備が計画をされているわけでございます。これは、両方ができることによって、この中央防波堤埋立地を中心といたしましたこの東京港を東西貫く、臨海副都心を通過しないで東京を横断するようになるということでございます。
 そういう意味では、内陸部の渋滞解消にも寄与するよう期待をしているわけでございますが、一方、都財政が大変厳しい中で、その整備に当たっては、いかに都の負担を軽くしていくかということも大事だと思います。先日の本会議でも港湾局長は、この第二工区の建設について、約一千四百億かかるけれども、国の負担を多く、国からも補助をしっかりと取り込みたいという答弁もありました。
 そこで、最後にお伺いしたいと思いますが、この第二工区の整備に当たりまして、こういう財政の制約にどのように取り組んでいくのか、これについてお伺いして終わりたいと思います。

○高野港湾整備部長 東京港臨海道路第二工区の整備についてでございますけれども、この道路は、東京港の国際物流機能の強化、それから東京湾諸港との連携強化、さらに広域的な首都圏の道路交通の円滑化など、都市再生にとって重要な役割を担っているというふうに認識しております。
 この観点から、都では東京構想二〇〇〇に位置づけ、第二工区について国が直轄事業として整備するよう政府提案で要望してきてまいりまして、その結果、国土交通省は平成十四年度の新規事業として概算要求しております。引き続きその実現に向けて、国に強く働きかけていく考えでございます。
 さらに、直轄事業として採択された場合につきましても、国においてコスト縮減のさまざまな取り組みがなされると考えますけれども、港湾局としても、国に対してコスト縮減にかかわるいろいろな提案を積極的に提案していきたいというふうに考えております。

○藤井委員 以上です。

○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○松原委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、産業労働局長から紹介があります。

○浪越産業労働局長 十二月一日付の人事異動によりまして、当局幹部職員に交代がありましたので、ご紹介させていただきます。
 監理団体調整担当参事の安藤立美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕

○松原委員長 紹介は終わりました。

○松原委員長 これより報告事項、東京都観光産業振興プランについて、及び東京農業振興プラン二〇〇一(素案)についての二件を一括して質疑を行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 資料の要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○山崎委員 それでは、観光産業振興プランについて何点か質問をさせてもらいます。
 今定例会で宿泊税条例の提案がされております。そしてまた、さきの委員会では観光産業振興プランの説明がなされたわけでございますが、税については財政委員会の所管でありますが、その使い道は当委員会にかかわるわけですから、税についても、その使途との関係で多少伺わせていただきます。
 宿泊税は全国的に大きな反響を呼びました。中には的外れな批判もあります。例えば鳥取県知事がいろいろと、私も見ましたが、新聞あるいはテレビなどでちょっと的外れではないかというような批判をしております。東京のエゴだというようなとらえ方で鳥取県知事が発言をしております。
 しかし、税の負担と受益の関係を、ここでちょっと数字を出してみたいと思うんですが、東京都民一人当たりの負担している国税額というものは約百四十万。そして、東京都民が実際に受ける税、つまり地方交付税と国庫支出金、地方交付税では五千円しか戻ってこない、百四十万のうちの五千円。国庫支出金で八万八千円、トータルで約九万少々。百四十万の国税を払いながら、九万円ぐらいしか戻ってきていない。ところが、鳥取県をやり玉に上げるわけじゃありませんけれども、あそこの知事がいろんなことをいったものですから、鳥取県と比較してみますと、鳥取県は県民一人当たりの負担している国税額が十九万円で、地方交付税と国庫支出金、合わせると六十万円が入ってくる。ということになりますと、これは十年度決算の数字ですが、そうしますと、この数字は鳥取県へ東京都民の税が流れているということになるわけです。東京都が他の県にいかに貢献しているか。逆にいえば鳥取県知事の批判は、東京がもっと一生懸命働けば、その波及効果が鳥取県に及ぶということを考えていない目先だけの批判であるわけです。
 ですから、私はテレビで、あるいは新聞で見ましたけれども、あの鳥取県知事は何を考えているのか、大都市東京のおかげで県民の生活がそれなりに豊かになっているんじゃないか、そういう思いからして、あの鳥取県知事や、ほかの批判に対しては、断固として東京都民として、我々納税している一人としてもはっきりと物をいっていかなきゃいかぬ、こういうふうに考えております。
 さて、観光産業振興プランですが、これを見ますとさまざまな施策が表示されておりまして、今後の東京における観光振興の飛躍的な進展を予感させております。しかし、その期待も手放しで表明できなくしているのが、今定例会に提案されている宿泊税に係る幾つかの疑問であります。
 宿泊税は、今申し上げたように、全国に大きな議論を呼び起こしております。今、日本は大変な不況の中にあります。先日の経済見通し、短観においても前よりまた悪くなっている、こうした経済状況の中で新しい税を課すということは、一般的に考えるとますます経済活動を縮小してしまうのではないか、非常にそれは心配するところです。一般的に新税はそういうものだと思うんです。また、その内容についても、説明が不十分のうちに発表された感があります。ホテル、旅館業界を初め、全国の方々に戸惑いを生じさせていることは事実であります。
 そこで、きょうは、多くの都民のみならず、全国に向かって局としての答弁、つまり宿泊税の疑問を解明していきながら、局としての姿勢を伺っていきたいと思いますが、まず第一に、このプランは初めから施策の財源として宿泊税を見込んでいただろうかということを伺いたいと思います。

○浪越産業労働局長 これまでの経緯について、若干ご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、昨年の十一月に東京都の税制調査会から法定外税として答申を得たわけですが、その当時は目的税とも普通税とも言及しておりませんでした。それで、ことしの八月に私ども観光産業振興プランの素案を発表しました。その素案の中では、財源確保については何も触れてございません。その後、素案をもとにして関係業界を初め多くの方々からご意見をいただきました。そして、十一月二日に初めて目的税としてホテル税導入案を知事の方から発表がございました。そして、十一月の二十七日に議会運営委員会に宿泊税として提案をされたわけでございます。その後、十一月二十九日に私ども観光産業振興プランを発表いたしました。
 その中で、私ども、財源の確保ということで触れてございます。最後の要点のところを申しますと、「この税の導入によって、安定的、継続的に観光施策の財源を確保し、世界に向けたシティセールスや新たな観光ルートの整備、観光案内所の充実など観光産業振興施策の戦略的な事業展開を図り、外国人旅行者の誘致を図っていく。」というふうに記載してございます。
 したがって、宿泊税を念頭に入れ、観光振興施策の具体的内容を都民、事業者に明らかにしたのが、この産業振興プランでございます。

○山崎委員 税の扱いについては、経済活動のさまざまな場面に及ぶことから、多面的な議論が必要なことはいうまでもありません。とりわけ税の導入時期については、関係者の理解、あるいは特別徴収義務者の準備など、さまざまな諸般の事情を考慮した慎重さが求められると思いますが、なぜこのような経済状況の中にある今、宿泊税という新税を導入しようとしているのか。そしてまた、条例案では施行日を規則で定める日となっておりますが、その税の導入時期、つまり施行日はいつごろを考えているのか。これは、代表質問、一般質問でも、施行日については一切質問がなかったものですから、あえてここで、局がちょっと違うんだけれども、できる範囲で答えていただきたい。

○浪越産業労働局長 答弁、逆になるかもわかりませんが、いつから実施するのかということですが、直接の所管局ではございませんけれども、もしこの条例案を可決いただき、条例案が成立すれば、まず第一に、条例成立後に総務大臣と協議をし、同意を得る必要がございます。それで、協議及び同意に要します標準的な処理期間として、通常約三ヵ月程度を要するというふうにいわれております。それから第二に、国の同意を得られた後も、新税である宿泊税の都民や旅行者などへの関係者の周知期間として、少なくとも三ヵ月程度は必要ではないかと私どもは考えます。そして、いずれにしろ、いつから実施するかは、都議会の意向も踏まえ、所管局である主税当局が検討し、知事が決定することになると私は思っております。
 それから第二点目の、なぜこの時期なのかということでございますが、その考え方ですが、私ども、二十一世紀はよく観光の時代というふうなことをいわれておりまして、観光は世界経済発展の原動力というふうにいわれてございます。一九九七年には六億人の旅行者が二〇二〇年には十六億人になるということで、十億人ふえます。そして、それに要する国際観光収支というのは、収入も約二百四十兆円といわれてございます。
 片や、我が日本の観光収支を見てみますと、知事がよくいっていますように、知事は三兆五千億と--このプランでは三兆三千億と書いてございます。それは、素案では三兆五千億となっていたんですが、そのデータが九七年のデータで円が百二十一円で、私ども案をつくったときのデータ、新しいデータが入りまして、九八年のデータで、それが百三十二円ということですのでその差が出ておりますが、このプランでは約三兆三千億というふうになってございます。そういうふうなことで、この三兆三千億というふうなお金を考えてみますと、日本の自動車産業の自動車を輸出するお金が年間約七兆円でございます。七兆円の約半分を観光で海外へ外貨を支出しているというふうな状況でございます。
 片や、日本の食糧自給率を見てみますと、四割でございます。六割のものは海外から外貨を出して買わないと、日本の国の食糧事情がもたないという状況でございます。したがいまして、私ども危惧するのは、中国なんかとの交流が発達してきますと、だんだん外貨を稼ぐ物づくりのウエートが低くなって、外貨が稼げなくなってくるおそれがございます。
 そういうふうなことで、私どもは、観光はまさに裾野の広い産業でございまして、運輸や宿泊施設、飲食業などのほかに多くの経済波及効果が出ます。そういうふうなことからして、外貨収入などの増加を図ることができるというふうに考えてございます。仮に東京がシンガポール並みの六百万人になるというふうにしますと、観光客を倍増するとしますと、生産誘発効果が五千七百億、雇用誘発効果が三万七千人というふうなことで、大幅な経済波及効果がございます。
 片や、日本経済を見てみますと、十年余り先の見えない景気低迷が続いておりまして、この先も明るい見通しがなかなか見えない状況でございます。こういう状況をぜひ東京から打開をし、その糸口を見つけて、産業の活性化を図りたい一つの施策として、この観光産業振興プランをもとにして観光を産業として位置づけ、ぜひとも即やりたいというのが今回の、今実施する理由でございます。

○山崎委員 今の局長の答弁で、一日も早くやりたいという気持ちはよくわかりますが、施行するのに、まず議会で賛成で通過した場合に、三ヵ月総務大臣の方の手続きがかかり、なおかつ周知期間を三月とすると六ヵ月ぐらいかかる。となると、ワールドカップの時期の前か後かということは非常に微妙な政治的判断が求められると思います。これは主税局ですから、浪越産業労働局長に聞いても、一日も早くというお気持ちはわかりますが、それ以上の答弁は出ないと思いますので、ただ、景気回復にこのプランが資するといっても、行政が最初に考えることは、新税をつくることではなくて、一般財源を振り向けて必要な経費を捻出することの方が本来の姿ではないかと思うんですが、そういった検討はされたんでしょうか。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 都の財政再建は、いまだ道半ばでございます。最近の経済情勢を考え合わせれば、より一層の財政構造改革に私どもも取り組まなければならない状況にございます。新たな事業に一般財源を振り向けるということは、なかなか難しい状況がございます。
 一方観光は、今局長からも答弁申し上げたとおり、早急な振興が求められております。こうしたことを勘案して、プランでは新たな発想に立った政策を展開するということにしております。
 実施するための財源でございますが、より安定的かつ継続的に確保するという意味から新税を創設し、施策を実施する上での基盤をより強固にするという意味があると思っております。

○山崎委員 そうすると、この条例案が否決されたならば、このプランは実施できなくなってしまうということですか。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 認められた予算の範囲内で、可能な限り努力をするということになろうかと存じます。

○山崎委員 後ほど数字をいいますが、大分ボリュームのある予算を今考えておられるようですから、それは当然のことながら、この宿泊税の上がり、一応十五億ですか、考えられるのは年間でそのくらいだと。途中からですと十五億になるのか七億になるのかわかりませんが、そういった状況の中で、恐らくあそこに出ているプランがほとんどできなくなってしまうんじゃないかという気はいたしておりますが、また後ほどそれについても伺いたいと思います。
 かつて特別地方消費税の廃止を求めていろいろ業界の方々から声が上がりまして、平成十二年三月に廃止されたわけです。それでこれは、平成元年に創設された消費税との二重課税を回避するという観点からやっと廃止したのに、ここで新たに宿泊税がかけられると、ホテル、旅館業界にとっては二重課税の復元、もとに戻ってしまうんじゃないかというような意見がありますが、これについてはいかがですか。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 既に廃止されました特別地方消費税でございますが、免税点の一万五千円を超える宿泊等の利用料金を課税標準としておりまして、それに三%の税率がかけられたものでございます。この特別地方消費税に比べまして、今回の宿泊税は、課税の対象に料理、飲食料金を含めないこと、宿泊料金に占める税負担の割合は一%程度と低いこと、また、税収の使途が観光振興策に限定されている点で違いがあると聞いております。
 また、二重課税についてでございますが、宿泊税は消費の対価として課税されるのではなくて、お一人お一人の宿泊という行為に対して一泊百円ないし二百円を課税するというものでございまして、課税の対象が違うという点で二重課税にならないというふうに聞いております。

○山崎委員 この宿泊税は、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるためと条例案に書かれているとおり、目的税ということです。特定の方から徴収し、特定の目的に使うという税の出入りを明確にしなければならない目的税というものでありますから、しかし、その目的税の中には、そうしたきちっと、目的税といいながらそうではないものもあります。例えば温泉に入るときに徴収される入湯税、これも目的税でありますが、実態は一般財源の中に広範囲に組み込まれて使われている。宿泊税がそんなことになったならば、だれが納得して納税するか。
 そこで伺いますが、きっちりと使途を限定するためにどんな歯どめをかけているのか、お伺いいたします。

○浪越産業労働局長 今お話のありましたように、宿泊税は使途が観光振興策に限定される法定外の目的税でございます。そのため、税収を上回る観光振興予算を計上する必要があろうかと考えております。そのため、また、その使途につきましては、当委員会を初め予算審議の過程で審議をいただいて、あるいはまたどのように使ったのかは決算審査でご審議いただくことになろう、そのように考えております。したがって、予算、決算の両面から制度的な歯どめがかかることになろうかと思います。

○山崎委員 それでは、来年度に向けてどれほどの予算要求をしているのか、今年度と比較して数字を挙げてください。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 十三年度の予算額は九億二千万円余りです。十四年度の観光産業予算の見積額は二十五億六千万円で、前年度より十六億四千万円ほど多く見積もらせていただいております。
 そのうち、プランの関連の予算でございますが、三つの柱別に申し上げますと、「東京の魅力を世界に発信」というところで約十億円、「観光資源の開発」で三億八千万円、「受入体制の整備」で九億八千万円の、合計で二十三億六千万円となっております。

○山崎委員 プランに盛り込まれている施策は広範囲に及んでいるといっても、宿泊税の使途が明瞭となっていないことには話にならないと思うんです。観光産業振興プランに記載のあるすべての施策に宿泊税を充てるのでしょうか。

○浪越産業労働局長 プランに記載しているもの、観光産業振興プランに掲げる施策は、直接観光振興に寄与するものと、効果として観光に寄与するものと両方が入っております。宿泊税を充当する施策は、このうち直接観光振興に寄与する施策に限定されます。したがって、プランに記載されているもの全部に充当するのではございません。

○山崎委員 税の使途はやはり明確でなければならないと思います。いいかえれば、明確にしてこそ理解と協力が得られようと思います。例示での説明には、今の説明では一抹の不安が残るんですが、宿泊税の使途に対する基本的な考え方はいかがですか。

○浪越産業労働局長 説明不足でしたので、具体的な事例で少しお話をさせていただきたいと思います。
 私ども、観光振興プランの六五ページにいろいろ役割分担を含めて記載してございます。例えばその中に、国、都、市町村、民間等の役割、いろいろ記載してございますが、この役割分担の表で申しますと、都の役割として、「情報の発信」あるいは「観光資源の開発」、「受入体制の整備」ということで記載してございます。六五ページのところ、ちょっと見ていただきたいんですが、例えば都の役割として、一番最初に記載してございます「受入体制の整備」というところで、羽田空港の国際化だとか、あるいは空港アクセスへの整備というふうなことで、京浜急行云々というようなことを書いてございます。そこに括弧で書いてございますが、それはその書いてある所管局が実施するということでございますので、私ども、今度の宿泊税を充当する考え方はございませんし、ここの表を全体的に見ていただきたいのは、都の役割の中で、ちゃんと局名を入れてございます。その局名を入れているところは、その局が主体的にその局の予算で実施をするということでございますので、書いていないのを私どもの局でやりたい、宿泊税を主として充てながら実施したいというものでございますので、ぜひご理解いただきたいと思っております。

○山崎委員 事業の性格という点からまた伺いますが、観光振興のためには、今話したように、例えば道路だとか鉄道だとか、そうした施設整備も必要になるわけです。当然それらは観光客だけではなくて、その地域の人たちの利便性を高めることにもなります。そうしますと、観光振興という名のもとに公共工事がなされ、その負担をホテル等の宿泊客が今度は担うことになって、納税者は納得できないのではないかなと思うんですが、宿泊税は、そうした観点から、ハード事業ではないんだ、ソフト事業に使っていくんだというようなことで考えるべきだと思いますが、いかがですか。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 今局長の方から具体的にお話し申し上げましたのと多少繰り返しになりますが、道路などを一つ例にとりますと、その整備の結果が観光の振興につながるという、そういう副次的な効果も当然あるわけでございますが、目的税である宿泊税を充当する事業には当たらないと私どもは考えております。
 目的税でございます宿泊税を充当する意味は、直接観光振興に寄与する施策ということになろうと思います。具体的にはシティーセールスの展開、観光情報の提供、新たな観光ルートの開発といった、いわゆるソフトの事業の充実が中心になろうかと思います。しかし、場合によっては観光振興に役立つということで、例えば宿泊施設のバリアフリー化の事業というような、多少ハードのところも入ってくるかと思いますが、考え方としては、あくまでも直接観光振興に寄与するというところにとどめたいと考えております。

○山崎委員 古い旅館とか--新しいホテルはバリアフリーがかなり進んでいるんでしょうが、プランを見て、バリアフリーの改築に補助をするというようなことは、これは本当にハードとはいえ、非常に温かみのある政策だというふうに私は考えております。
 ところで、プランの作成については、関連事業者との意見の交換、あるいは意見聴取というようなものをどの程度やってきたのか、教えてください。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 プランの一番後ろのページの方にもまとめておりますが、多くの都民や業界の方々から、メールや郵送など、あるいは私どもがやりました説明会などの場で、合計で三百四十四件、八百四十五項目のご意見をいただきました。また、素案策定後には観光事業審議会のご意見もお聞きいたしましたし、さらに、観光関連事業者に説明に赴き、そうした機会の折にいただいたご意見も取り入れてプランを策定したところでございます。
 さらに、十一月の二十九日以降も、発表後関連する事業者たちと一緒になって事業を進めていくということで、連絡会を立ち上げたところでございます。なお、九月の三日から十二月の十日までに業界の方々、その都度数は違いますが、二十人から五十人ぐらいの方の場で、合計十回ほど私ども説明会を行わせていただいております。

○山崎委員 きのうの知事の答弁なんかを聞いていると、業界も理解を示してくれているというような感じでありました。しかし、この新税の場合、今まで、やる前にはいろいろ業界との話し合い、意見を聴取することはあったと。しかし、今後これがずっと続いていく場合に、先ほどの入湯税ではありませんけれども、目的税が薄らいで、ほかに使われるようなおそれがないとはいえないし、また実際にこの宿泊税を実施してみて、さまざまな影響とか反応とか、業界の方々は感じると思うんです。
 そうした場合に、今まではたくさん意見聞きましたよと。問題は、それが実施された後、業界とのコンタクトというか接点、そういったものがとられていくかどうかというのがちょっと心配なんですが、その点はどのようにお考えですか。

○浪越産業労働局長 観光産業振興プランに掲げました諸施策を推進していくためには、行政と民間事業者などが連携をし、協力体制を築いていくことが大変重要であるというふうに考えてございます。このために、先般、観光振興プランを出した後ですが、民間事業者等との観光情報連絡会を設置いたしまして、意見交換を行ったところでございます。今後はさらに、このプランの中にたくさんの課題がございますので、課題に関係のある事業者ごとに部会を立ち上げて関係事業者との連携を深めまして、意見を伺いながら、各施策の具体的な実施方法なり、あるいは協力をしながら施策を推進していきたいというふうに考えてございます。
 また、このプランを推進するためには、ぜひとも区市町村あるいは商工会等々関係団体との連携も大切でございます。したがいまして、行政連絡会などを開くなどいたしまして、共通の認識を持って観光振興を図っていきたい、そのように考えております。

○山崎委員 プランを見ますと、外国から見た東京の悪い点としては、物価が高い、これが外国人が東京に来ないというか、来る人が少ないというか、そういった大きな要因だと思うんですが、その宿泊料金だけを見ると、非常に安く泊まれるところも東京にはたくさんあるわけです。無論一流のホテルから、それこそ修学旅行生が泊まるような旅館もあるし、特に外国人というのは、日本人と違って団体旅行というのはほとんどしないで、個人で、あるいは家族で来るというのが多いわけですから、外国に対しては、東京にはこういう旅館もあるんですよ、こういうホテルもあるんですよという、そういういろいろなサービスがあるということを海外にいかに知らせるかということが非常に重要ではないかと思います。
 我々せんだっても、友好都市でNSW、シドニー市へ行ってきたわけですけれども、向こうの方々は旅行客を迎える姿勢というか、自分たちの都市はかなりの多くの部分で観光で成り立っているんだと。ですから、非常に観光客を大切にするというか、温かみがあるというか、また来てくださいというような姿勢がにじみ出ているんですが、何か東京はそういった感覚というものが非常に薄いような気が私はしております。ですから、東京都が観光振興を図る目的は、直接的には東京再生という点にあると思うんです。
 今いろいろ説明を聞きましたが、宿泊税を提案した東京都の責務として、十分な説明を行わなければいけない、あるいは理解を得るための十分な情報提供をしなければいけない、これは、東京都のみならず、全国に対してそうした努力をしなければ誤解を招いてしまう。広く情報提供に努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○浪越産業労働局長 東京には、安いものから高級なものまで、幅広いサービスがあります。こうした情報が、おっしゃるように正確に伝える努力が絶対的に今まで不足したと思っておりますし、例えばの例で申しますと、私ども情報発信というふうなことをいっておりますが、一流ホテルに泊まり、一流ホテルのレストランで食べれば、それは高いのは事実でございますが、一歩町に出ていただければ、変な話、回転ずしもございますし、牛丼もございますし、立ち食いそばもございます。それでなくてもファミリーレストラン等々、一般の食事を提供するところもございます。
 要は、旅行者が求めるものに対して的確な情報がない、これが最大の一つの原因じゃなかろうか、それで高い高いといわれる大きな原因ではないかと、私はそのように考えておりますし、また、今先生からお話のありましたように、受け入れ体制の面から見てみますと、一般的に一般のお店は言葉が通じないから外国人はお断りというところは実は多いわけですけれども、その工夫の仕方によれば、メニューを何ヵ国語かで用意をして、来たお客さんに見せて、どれですかということをするようなことさえ用意しておけばできるわけでございますし、それは個々のお店の人たちの努力にもよりますし、また、私ども行政の方も団体等を通じてそういうことをやるのに支援をする、そういうような取り組みも実は欠けていたのかなというふうに反省をしております。このために、プランでは、東京の魅力を世界に発信するという一つと、観光資源の開発、受け入れ体制の整備という三つの柱に沿って施策を推進し、千客万来の世界都市東京を目指しているわけでございます。
 今先生からのご指摘のとおり、観光には受け入れ側の市民の意識が変わるという副次的な効果が期待ができます。東京のような大都会で都民意識が変化するまでには相当な時間を要しますが、大切な視点として受けとめて努力をしてまいりたい、そのように考えます。

○山崎委員 日本人の海外旅行者が千七百八十万人、それで、日本を訪れる外国人旅行者が四百七十六万人、つまり四分の一。この結果、日本の国際旅行収支は三兆三千億の赤字ということになっているわけで、かつて、日本人が海外に出かけるのは貿易黒字の解消に資するということで政府が推進してきましたが、本来は出入りのバランスを図るのが大切なことだと思います。日本経済が落ち込んでいるこの時期に、知事が観光について大きく政策転換を図ろうとしているその意欲は、東京の再生の手段としては非常にいいものだというふうに思います。ただ、それがイコール宿泊税ということにつながるのかどうかは、我が党は十七日に最終決断をするわけでありまして、今現在はそうした意見を聞きながら、これからの我々の決定の資料にしていきたいというふうに思っています。
 そこで、産業労働局は、このプランの実現に向けて二十五億円もの予算要求をしております。観光産業の持つ経済波及効果をしんしゃくするにしても、東京都の非常に厳しい財政難の中で相当の意気込みが感じられますが、その税は別として、このプランについての局長の決意をお伺いして、質問を終わります。

○浪越産業労働局長 観光はまさに裾野が広くて、運輸や宿泊、飲食業などのほかに多くの産業に経済波及効果が及びまして、雇用の増加ももたらす産業でございます。そのために、宿泊税を財源として活用し、シティーセールスキャンペーンの積極的な展開や、観光振興施策を行うことによって、多くの旅行客を東京に誘致をしていきたいと考えてございます。
 こうした旅行者の増加によりまして、観光の持つ大きな経済波及効果が発揮され、負担を上回る十分な効果が実現できるよう万全を期していきたいと考えておりますし、近い将来、必ずや宿泊関係者を初め都民の皆様から宿泊税を導入してよかったといわれるような、また必ずいっていただくよう、民間事業者ともども我々職員一同心を一にして、最大限の努力を払ってまいります。

○小林委員 それでは、私の方は、もう一つの振興プランが出ております農業振興の方に質問を移してまいりたいと思いますが、景気がかなり落ち込んで商工業者が大変だとか、要するに日本の製造業を中心にしたところの産業がずっと東南アジアに移っているんだといったような議論というのは非常にこの間されておりまして、産業労働局もそういう点では大変忙しい局に今なってまいりました。しかし、きのうもかなり三多摩の議員が質問に立っておりましたが、農業問題というのは余り触れていないんですね。
 本当は、日本の農業というのは、大変な今危機に私はあると思うんです。特に都市農業は、農業の生産というだけではなくて、かなり多面的な要素を内包しておりますから、そういった意味では、この東京都が抱えている農業問題というのは、この産業労働局は名前はちょっとなじまないところがありますけれども、農業というのは大変な産業なんですね。環境的な側面がかなり議論をされておりますけれども、私はかなり産業としての位置づけが重要であって、そこのところをきちっと議論をしないと、結局は都市にあっては開発の何か阻害になっているような、極端ないい方をすればそういうことをいう人もいるわけですよね。
 そこで、今回これは、私もよく見させてもらって、かなりよくまとめてあります。ただ、分析みたいなものは非常によくしているんですけれども、最後、都市農業を東京都としてどう産業として位置づけて推進をしていくのか、守っていくのかという決意みたいなものが全然感じられないんですね。そこで、この中でいろいろ、分析は非常に私はそのとおりだというふうに思っておりますが、最初に、減少しているのは、もうこれはだれの目から見ても、近所からだって空き地がどんどんなくなっているわけです、畑がなくなっているんですから、そんなのはだれだってわかっているわけです。
 そこで、その中で幾つか既に述べていますけれども、都市農業の実態調査から明らかになっているということがいわれておりますけれども、では、その都市農業の実態調査というその中身をまず最初にお聞きしたいと思います。

○矢口農林水産部長 平成十年に都が実施しました都市農業実態調査により、前回調査を行いました平成四年から十年までの六年間に処分された農地について見ますと、相続に伴う転用や譲渡及び相続のための物納、保留としたものが、件数で約五割、面積で見ますと約六割を占めておりまして、農地の減少の多くが相続に伴うものであるということでございます。

○小林委員 今、報告を聞いておりますと、税制、多分相続税だと思うんですけれども、相続税で五割の人たちがいわゆる農地を手放した、あるいは農家をやめたということで、面積でいうと六割。ですから、はっきりいえば、ここの対策を立てれば半分減るわけですよね。これは、税制は国の問題ですから、なかなか東京都でできないことは承知の上でいっているんですけれども、要するに原因が明確になっているわけでしょう。
 私は、そういうところからして、東京の場合は市街化区域の中の土地税制、これが今回この中にも載っておりますけれども、いわばこの土地税制、今五割で、面積が六割。では、この土地税制のどこに問題があるんですか、お聞きします。

○矢口農林水産部長 市街化区域内の農地の税制についてでございますが、保全する農地として生産緑地に指定されたものは、相続税納税猶予の特例措置が適用されるもので農地課税となっておりますが、宅地化する農地につきましては宅地並みの課税が適用される制度になってございます。しかしながら、生産緑地にありましても、水耕栽培用の温室や市民農園用地、他の農業者に貸している農地などにつきましては、相続税納税猶予の特例が適用されていないため、農業を継続する上で大きな問題となっていると考えております。

○小林委員 今話をされましたように、要するに農地はかなり軽減されていますが、肥料の小屋とか、人に貸している土地とか、農家を知っておられる方はわかると思うんですが、ここからが農地なんというのはないんですよね。宅地が広いから、宅地が農地みたいで農地が宅地みたいな、私も農家の三男坊ですからよくわかるんですが、非常にあいまいなところがあるんですよね。
 そこに税金をかけられて、そこで万やむを得ないでその農地を売らざるを得ない、農家の方というのは物すごい大きい宅地の中に住んでいますから。要するに、土地税制の中身としてはそこが大きな問題ということを今指摘されましたが、ここまでわかっているんだったら、東京都は今まで何してきたのかということになりますが、そこら辺はどうですか。

○矢口農林水産部長 都といたしましては、都内の農地の減少を防ぐ上で、都市地域を中心に相続税の負担が大きな課題となっているため、市民農園や農業用施設用地等につきまして、相続税の納税猶予制度が適用されるよう国に要望してきているところでございます。

○小林委員 国に要望するというのはいっぱいありますよね。きのうも一般質問の中で国に要望してくださいというのはあるけれども、私、後で質問しますけれども、国に要望する中にもいろいろあると思うんですね。例えば首都圏移転なんかも、知事がもう先頭になってやっていますよね。各会派の代表も行ってやっていますが、そういうものから、ただ文書だけ出すといったような問題があるんですよね。
 これは後で聞きますけれども、それで、もう一方で、この中にも書いてありますが、農業に携わる人たちの平均年齢が六十三歳ということですから、こんな高齢化の産業はないですよね。ですから、当然担い手がいないということも、また大きな問題になってこようかと思います。私の周辺に割と農家をやっている方が多くて、このバブルの影響でリストラに遭ったのかどうかは知らないけれども、若い人が結構後継者で戻ってきているんですよね。これはバブルがはじけた数少ないプラス効果なのかもしれないですけれども、私は東京都の方でいろんな振興策をしていけば、こういった若い人たちが、今はいろんな事情があって経過があって戻ってきている者は、これは定着していくというふうに思うんですね。
 そこで、土地税制以外のこの問題として、今担い手の確保ということが問題になっているわけですけれども、後継者がいなくなって農地を手放しているという人もいるというふうに聞いておりますけれども、では、後継者の対策というのはどういうふうにされておられますでしょうか。

○矢口農林水産部長 農地を守り農業を振興していく上で、担い手の中核となります農業後継者の育成は重要な課題と考えております。このため、都では、新規の学卒者や後継者の大半を占めておりますUターン青年を対象にしまして、農業後継者セミナーを初めとする研修事業を行うとともに、後継者が経営改善を図る際の制度融資などを実施してきたところでございます。

○小林委員 余り効果はないけれどもね、もう昔からいっていることだし。私の家もそうですけれども、大体おやじと奥さんとおじいちゃん、おばあちゃんみたいなものでやっている。法人格を取れとか、いろいろ共同化しろとかいっても、結局は稼いだ金は全部農地分で取られて--うちの兄貴もそういうふうに毎日いっていますよ。だったら隣と仲よくやって、何か組合でもつくったらというと、できないというんだよね。これもやはり体質的な、都が頑張ってもできないものの、いわゆる農業者側の問題も確かにあるんですよね。
 そこで、お聞きしますけれども、そうはいっても何もしないというわけにはいきませんから、一方で、私の後援会の中で、やっぱり人間というのは何だか知らないけれども、年をとってくると土に親しみたくなっていくんですね。小平市というところは市民農園が結構あるんですね。結構私のところの陳情の中に、なかなか募集しても当たらないから、何かちょっとうまく口きいてくれないかみたいな話はあるんですよ。そういう人たちが結構いるんですね。だから、そういう人たちを何かうまく、農業にかかわれるようなものを積極的に情報提供をしていくとか、そういう意味でいえば幅広い農業の担い手ということで、大いに活用といったら失礼ですけれども、この農業の育成に参加をしてもらうということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○矢口農林水産部長 先生ご指摘のように、農業体験あるいは援農あるいは就農などにつきまして、都市の住民の方々の要望が近年増加しているということでございます。東京都といたしましては、こうした都民のニーズにこたえるとともに、農業の幅広い担い手を確保する観点から、平成八年度より援農ボランティア育成事業というのを開始してございます。これまで、約七百五十名のボランティアを育成してまいりました。また、先ほど先生からお話がありましたように、平成十三年度からは、農業改良普及センターにおきまして、定年退職をした方々を対象に就農者セミナーを開始いたしまして、新たな担い手として育成に努めてございます。
 今後は、多様な担い手の確保と育成を図るため、多くの都民が農業に参加できるような仕組みつくりを検討してまいりたいと考えております。

○小林委員 局長、さっき部長が土地税制の問題で国の方に要望しているということでございましたが、どの程度本気になってやったとか、局長が行って説明したとか、知事が行ったとか、どういうあれですか。どの程度本気になってやったんですか。

○浪越産業労働局長 東京都は、毎年六月に国へ向けての提案要求というふうなことで、いろんな形で要求をしてございます。知事が先頭に立ってやる重点要望、また私どもがやる一般的な要望というふうなことで、私ども、その一般的な要望でやっております。

○小林委員 農業の問題というのは、ここにも前の方にも書いてあります。先進国で日本の食糧自給率は物すごい低いんですよね。東京都がよくなったからといって食糧自給率が上がるとは思わないけれども、東京というよりこれは国の問題だと思うんですよね。特に大都市の農業というのは、それに加えて環境の問題とか、人間が生きていく上での情緒の問題とか、土曜や日曜になると物すごい行楽客が来るんです、多摩の方に。みんなナンバーを見ると二十三区のナンバーですよ。みんな来るんですよ。働いて、いやしにみんな来るわけです。そのときに、あれがみんなコンクリートジャングルになったらどうなるのか、私は非常に危惧を感じているんですね。
 そういった意味で、ここは一般的ないわゆる国の要望というようなことではなくて、積極的に土地税制を、本当ならば相続税がない方がいいということになるのかもしれませんが、それは無理なことをいってもしようがないですから、少なくとも市街化のこの農地については、何かやっぱり本格的な手だてをしないとなくなっていきますね。そういうことを思います。
 それで、そういう意味では、農地というのは何か環境問題と一体になっちゃうものだから、農業ということで何か質問をなかなか打ち立てづらい、特に都市という位置づけの中で。しかし、さっきもいいましたように、産業として非常に重要なこの業界なんですね。そういう意味では、ややもすると局の中の農林水産部の位置づけがちょっと低いんではないかと思うんですね。いや、大事なんです、商工振興はもちろん大事です。これは都市ですから、都市特有の産業ですから、商工というのは。しかし一方で、逆にこのなくてはならないものとして僕は農林水産があると思うんです。その辺、局長どうですか。軽い位置づけになっていないでしょうけれども、ちょっとその辺の、局の組織の中でそれはどうですか。

○浪越産業労働局長 私どものやっているいずれの施策も大変大事だと考えてございますが、東京の農業は、いってみれば新鮮な農産物の供給とともに、最近いわれております緑や防災空間、あるいは潤いの場の提供など、多面的な機能を有して都民生活に大きく貢献してございます。そういう意味で、私は、農林水産業は農林水産業としての果たす役割がございますし、東京の農業をこれから振興していくためには、地域特性を生かした魅力ある産業としていくことがやはりまず何よりも重要と、そういうふうに考えております。

○小林委員 最後にしますけれども、とにかく農業というと、何かこう税金が入ってこないとか、何というか、そのことで商工業者は首をつったとか、金融機関に追いかけられたとかというのはありますが、農業は最後はどこかで土地を売って何とかするというところが逆に農業者側の問題もあるんですね。最後不動産を持っていますから、最後は売ってしまうみたいなところがあるんですね。そこが、だから全体として農業従事者を含めて危機意識がないし、局の方でも危機意識がない。みんな大体不動産、マンション経営とかやっていますからね。最後は売ってしまえば、全部チャラになってしまう。ところが商工業者はそんなわけにいかないですよね、物を売って稼いでくるわけですから。
 だから、逆に農業従事者側の問題も確かにありますけれども、そうはいっても、今局長がおっしゃられたように、なくてはならないものなんですね。広くいえば、農業政策そのものでいえば、我々が国としてしょって立っていくときに、我々が食べていくものがなかったら国として成り立たないわけですから、最後にその辺のご決意をお伺いして、質問を終わります。

○浪越産業労働局長 先ほどもお答えしましたように、まさに東京の農業は私ども都民にとってなくてはならないものでございますので、農家の努力もさることながら、やはり私ども、最終的には都民ともども農地を守っていくという考え方に立たないと、今後なかなか発展しないだろうと考えてございます。私ども、東京のような大都市にあっても農業がかけがえのない家を持っていることや、農地が果たしている多面的な役割について、やはり広く都民の理解が得られるように努力をしていきたいと思っております。

○森田委員 農業からまた観光に戻らせていただきますけれども、私は、この観光振興プラン、ちょっと何点か聞かせていただきますが、この振興プランを見させていただきました。しかし、見ていくと、この表紙の裏側には何か宿泊税というのが出ているような感じがして、大分宿泊税とリンクされた計画なんではないかなと。観光産業を振興することは非常に重要なことですが、この宿泊税と非常にうまくリンクされているような感じを受けています。
 宿泊税の問題については、先ほど山崎理事の方からありましたので、別の問題をきょうは聞きたいと思いますけれども、まず、東京が観光に力を入れていく、そしてこのプランによると、目標が五年間で現在二百七十七万人の観光客を六百万人にしていく、シンガポール並みにしていくというのがこの観光プランの目的のようですけれども、そのためには、今何が欠けていて、五年間で六百万人にするためには何に力を入れていったらいいのか。それはすべてここに書いてあるのかもしれないけれども、力を入れていく点、三点に限っていうとすると、何と何でしょうか。

○浪越産業労働局長 私どもこの振興プランで、今お話のありましたように、五年間で倍増して六百万人にするということでございます。やはり大きな柱として、何でもかんでもといわれるのですが、大きく柱を三つに分けてございまして、まず情報の発信ということで、東京の魅力を世界に発信しなきゃいかない、もう一つは観光資源の開発、それから受け入れの体制の整備ということで、大きくその三つに分けてございます。
 それで、先生が多分疑問に思っているのは、本当に六百万人できるのかということのお尋ねだろうと思います。わかりやすい言葉でちょっと説明させていただきたいと思いますが、現在都には多くの国からの来訪者がございます。外国人が考える東京の魅力というのは、一つは伝統文化であり、日本人の正直さであり、ホスピタリティーであり、あるいは安全性、衛生、清潔、古い町並み等々の多種多様でございます。そういう中で、また国別の大まかな傾向をいいますと、中国から来られる方は、秋葉原、臨海副都心、ディズニーランドなどが主に興味を示されるところでございます。片や、欧米の人についていいますと、日本の伝統文化や古い町並みに興味を持たれている、そういうふうな傾向になってございます。
 しからば、中国に今人口十二億六千万人います。十二億六千万人の上澄みの一%の人をとらえてみますと、一千二百六十万人でございます。中国の全人口の、変な話、所得階層の一番上の、その一%の人口の方が東京に来るとすると、一千二百六十万でございます。それを、では、三年で来るのか五年で来るのにかしても、そういうふうな意味で、私は中国には積極的にPRをして、中国からの観光客を大幅に呼び込みたいと思います。そういうふうなことをすれば、必ずや達成できると思いますし、私どもは今後、情報の発信といって、言葉でいっていることをもう少しかいつまんでお話ししますと、そういうふうに国別に私どもやはりPRをしていく、宣伝する必要があろうと考えておりまして、今までは私ども役人というんですか、私どもの職員あるいは日本人が東京の観光の案内をつくったんですが、そうじゃなくて、中国だったら中国で、現在中国の人たちの中で旅行業に携わっている人とか、あるいはマスコミの方とか、そういうふうな関係者の方々に東京に来ていただいて、東京で一週間なり十日間いろんなところを見て経験してもらって、その中国の人が自分で見て、東京のいいところを今度は中国に帰って中国で宣伝してもらう、そのためのお金を、例えば今回の宿泊税を充てていきたい、そのように考えてございます。
 また、ヨーロッパはヨーロッパ、アメリカはアメリカというふうなことで、例えば情報の発信にしても、やはり現地で現地の人たちが見て東京の魅力のあるところを積極的にPRをしていきたい、そういうふうに考えておりますので、六百万というのは口でいうと大変だろうと思いますが、今いったように、中国の例一つとってみても、私はそれほど困難な数字じゃないと思っておりますし、私ども宿泊税をもとにして積極的にPRすれば、必ずや達成できるものと思っております。

○森田委員 まず、きのうたまたま中国のデザイナーに会ったんですよ。その人も東京に来ていて、今、彼女は上海、東京、ニューヨークで仕事をしているんですけれども、東京に来て一番困ることは何ですかと聞いたら、東京のまちはすごく便利だし、交通の便もいいし、いいと。しかし、一番困るのは言葉だそうです。買い物に行っても英語が通じない、一流デパートに行っても英語が通じない。上海でも英語は通ずるというんですね。ところが、東京は英語が通じない、これが一番困る。駅は、中国人ですから漢字で書いてあると大体わかる、でも、これは後の問題なんですけれども、そういうことをいっていました。
 それで局長、このプランは外国人を呼ぶプランであって、六百万の中には日本人観光客は入っていないですね。

○浪越産業労働局長 先ほどお話のありましたように、鳥取県の知事みたいに日本の方を、北海道へ行く方を東京に、九州に行く方を東京に持ってくるんじゃなくて、私どもは海外から東京にお客さんを持ってくる、それが基本でございまして、海外から多くの方が東京に来れば、必ずやコンベンション等で--アフターコンベンションといわれておりますから、会議が終わった後は、日光に行ったり箱根に行ったり京都に行ったりします。そういうふうなことで、私どもは日本のお客さんをターゲットにしているんじゃなくて、あくまでも海外から呼ぶことでございます。

○森田委員 いろいろ課題はあるんですけれども、絞って伺いたいと思います。
 先ほど局長は、観光の振興のためには情報提供が大事だというふうにおっしゃっていましたけれども、このプランの中にも、海外の新聞やテレビ等を活用して東京のまちをPRしたい、これは大いに結構なんですけれども、今一番世界中に一瞬にして発信できて、すごく安くて効率的なのは、インターネットを活用したPR方法ですよね。東京は今、東京のまちの紹介にインターネットを活用してPRしているんでしょうか。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 現在東京都が東京コンベンション・ビジターズビューローに委託しまして、TCVBのホームページということで立ち上げさせていただいております。そこでは、東京の情報を五ヵ国語によりまして、日本語も入っているんですが、インターネットで配信しております。
 今後、海外でも東京の最新の情報を得ることができるという意味でインターネットは大変有意義だと存じておりますので、さらに力を入れていきたいと思っていますが、今、たまたま持ってきましたが、これが最初のページです。それで、「YES!TОKYО」になっていまして、日本語、イングリッシュ、それからトラディショナルチャイニーズ、シンプリファイドチャイニーズ、これは中国語ですね、それからハングル語の五ヵ国語です。これを開きますと--私、日本語しかできませんので、日本語はこういうふうになっております。

○森田委員 諸外国の都市も結構ホームページを使って自分の町のPRをしている。それで、この報告書によっても、東京も売り込む場所はたくさんあると書いているんで、ぜひこれを外国向けに、これは五ヵ国語だけですけれども、それに限らずほかの言語、フランス語、イタリア語、何語でもいいんですけれども、多くの言語でやってもお金はそんなにかからないし、外国にいる彼らがインターネットで東京というふうにクリックしたら、それが出てくるような形が簡単にできるわけですから、ぜひこれはやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○橋本参事 プランにもございますとおり、インターネットにはこれから相当力を入れていきたいと存じております。

○森田委員 少し中に入って伺いますが、二一ページに景観基本軸という言葉があるんですけれども、景観基本軸というのは何なんでしょうか。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 これは都市計画局の方の仕事になりますけれども、ここでは六地区を景観基本軸というふうにしようということで、隅田川、多摩の丘陵地、玉川上水、そして神田川、臨海副都心、国分寺崖線、これが指定されているというふうに聞いております。

○森田委員 例えば玉川上水というのが、有名なのがありますよね。これはしかし今、道路の下になろうとしている上水で、すごい問題になっているわけですよ。放射五号線というのが三鷹の方から環八、杉並まで来て、これを今詳しく話すのは長くなりますから、三案あって、そのうちの一つの案は地下化しよう、下水道みたいにしてしまおうというふうにしているのに、ここに景観軸に玉川上水が入っているというのはおかしいんじゃないか。これは都庁の中でちょっとこの考え方が違っているんではないかなというふうに思うんです。ほかの地域はよくわかりませんけれども、神田川とか臨海とか、それはいいでしょうけれども、玉川上水はちょっと性格が違うんじゃないかなという感じを受けます。
 それと、一緒にいわせていただきますと、ここに例えば外国のいいところと日本のいいところが比較されているんです。例えばこれなんか、北アメリカ北東部の二千キロメートルにわたって連なるアパラチア山脈と奥多摩の自然、これが写真が並んで同じように--それからもう一つ、これはちょっと驚いたんですけれども、ガラパゴス諸島と小笠原。小笠原も自然に恵まれているんだけれども、東京から小笠原へ行くと思うと、東京に来た外国人はそこから一週間かけて小笠原へ行く、こんなことはないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この辺、要するに都庁の中で整合性をとってやっていらっしゃるのかどうか、この辺をお伺いしたいと思うんです。

○橋本参事 お答え申し上げます。
 この観光振興プランにつきましては、素案の発表の前、それから本案の発表の前に各局にすべてペーパーを送りまして、協議しながら進めさせていただいております。
 それから、観光というのは、お客様、外の方が来られてどうのこうのという世界ですから、なかなか都庁のようなところに声が届かないと思います。無言のお客様というところがございます。私ども、観光行政の大きな役割の一つとして、それら無言の方々の声を都政の各場に反映させていく努力というのが一つの課題だろうと思っております。

○森田委員 要するに整合性がとれているということなんですね。
 それで、これはいいですけれども、例えばこの観光地の一つに築地市場が載っていて、築地市場は新鮮な世界の魚が寄ってきて云々と書いてあるんですよ。我々も委員会で委員長を先頭に視察をさせていただきました。あのときに、あそこの築地市場は、場内の車との接触事故等、一日に一回事故が起こるというぐらいに非常に手狭になっている。こういうところに外国人観光客が来て本当にいいのかなというようなことも感ずるんで、この辺も少し検討していただきたいと思います。
 それから、これは提案なんですけれども、四一ページに、ウエルカムカード、ウエルカムボード、これはいいと思うんですけれども、共通パスの活用というふうに出ています。確かに共通パス--JRも乗れる、地下鉄も乗れる、私鉄も乗れる、バスも乗れる、こうなると来たお客さんにとっては非常に便利だなというふうに思うんですけれども、現状では、我々が使っているカードも、JRはJRだけ、私鉄は営団も小田急も京王も全部使えるんですね。これ全部使えるようにすべきじゃないかなと思う。これも交通局の範囲だというかもしれませんけれども、これをまとめた以上、少し責任を持った答弁をお願いしたいと思います。

○橋本参事 先日、連絡会を開催させていただきましたが、その中の一番目のテーマとして、この共通パスというのを何とかしてほしいというお話をさせていただきました。そちらには、幸いにも、JRの東日本の方、営団の方、東京都交通局の方、それから若干の私鉄の方もおられました。
 ということで、まず、この共通パス、大変課題が多いですし、それぞれの会社が競争ということでしのぎを削っている世界に私ども足を踏み込まなきゃいけませんから、大変難しい課題ではございますけれども、何とかして形のあるものにならないかと協力を求めているところでございます。鋭意努力したいと思っています。

○森田委員 それは非常に期限が切れていることじゃないかな。六月にワールドカップで数十万のお客さんが来る。それまでに何とか実現をしていく。ワールドカップに関しては、後で少しいわせていただきますけれども、これは六月までに間に合う方向でやるお考えですか。

○橋本参事 プランの中にもございますとおり、早急に取り組むべき課題ということで、私どもは、その連絡会でも申しましたが、ワールドカップまでに実現してほしい、こういうふうにお願いしているところでございます。

○森田委員 ぜひその実現に向けてご努力お願いしたいなというふうに……。

○橋本参事 ちょっと追加して。
 このカードにつきましては、いろいろなやり方で対象も違ってきますし、売り方も違ってくると思います。例えば、物すごく安くするような形になると--一般の方がなるべく買えないようにしなきゃいけないという課題が出てくるんだそうです。例えば、JRがやっていますジャパンレールパスというのがございますが、これは、海外にある日本の大使館等でしか買えません。国内に来て、日本に来て買えません。そういうふうな縛りをかけています。ということで、安くすればそういうことになる。しかし、一般の方等が使えて便利になってという形になると、余り安くないけれども、ほかの使い勝手も考えられるというような話をJRの方からお聞きしているところでございます。
 いずれにいたしましても、専門の方々の知恵を絞っていただこうということで取り組みを始めたところでございます。

○森田委員 ぜひご努力して実現をしていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、観光客を集めるために東京都がこれからやろうとしていることで、産業労働局のお考えとほかの局の考えがちょっと違っているんじゃないかなというところがあるんです。
 これは何かというと、自民党さんにも要望書が行っているようですけれども、東京駅の貸し切りバスの発着場の問題なんですね。この発着場の問題について、バス協会から私どもの方にも要望書が来ております。
 それは何かというと、もうご存じと思いますけれども、今まで使っていた駐車場が、あそこの大手町かいわいの再開発の資材置き場等に使われるためになくなってしまう。これはバス会社にとっては非常に深刻な問題だし、町の渋滞解消等についても非常に大きな問題である。
 というのは、かつてあそこの東京駅から発着する観光バスは、駐車場がなくて路上駐車していた。渋滞のすごい原因になった。そのことがわかったんで、東京都も有楽町庁舎の跡地を駐車場用地に提供した。警視庁もそれに加わって、バスの指導を始めた。それでバス会社がみんなそこの駐車場を使うようになって、今は路上駐車、違法駐車がなくなったわけです。
 ところが、来年の三月でこの駐車場をなくしてしまおうというのが財務局の考え方なんですね。財務局の考え方は何かというと、駐車場よりは、あそこの再開発の工事のために、資材置き場等に貸した方が有効利用であるし、お金になるということでやっているんですが、これがなくなると、あそこは外国人も含めてだと思いますが、東京駅から修学旅行生とかさまざまな観光客が観光バスに乗って、発着するところです。したがって、この問題は非常に深刻なんですが、これについて認識をされていますか。

○橋本参事 私どもも東京バス協会からそういう実情を承っております。

○森田委員 バス協会から聞いて、そして観光行政を受け持っている局として、そこの土地を持っている財務局に対しては、何かしらの働きかけなり要望なり要請をしていますか。

○橋本参事 直後に財務局に伺いまして、その趣旨はお伝えしております。

○森田委員 それで、今後の展望はいかがでしょうか。

○橋本参事 近々のうちに関係者が集まる会合を協会を中心にして立ち上げるとお聞きしておりまして、私もそこに参加してほしいという要請を受けております。そこで、私どもからは、どういうふうにしたらいいのかという案を皆さん方の知恵を絞ってつくって、ぜひそれをたたき台にして議論しましょうというお話をさせていただいているところでございます。

○森田委員 バス協会の要望書等あるいはバス協会のお話を聞くと、彼らもこれは何とかしなくちゃいけないという思いがあって、駐車場はどこかほかに場所があれば、そこを借りてでもやろうという思いはあるようなんです。
 ただ、あの東京駅の周辺ですから、なかなかそういう場所がない。それが見つかるまでは何とかこの東京都の土地を使わせてもらいたい、これはバス協会の思いなんですね。この辺をよく理解してもらって、ぜひそういう要望を受け入れるようにご努力願いたいと思うんですが、もう一言お願いします。

○橋本参事 ありがとうございます。そういう声を都議会からたくさんいただくと、私ども仕事がやりやすくなります。よろしくお願いします。

○森田委員 局長どうですか。ぜひ頑張ってください。

○浪越産業労働局長 私ども関係五局間で十分議論をし、最善の選択をしたい、そのように考えております。

○森田委員 これは社会的な問題だし、観光行政をつかさどる産労の力が大変に大きいと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 ワールドカップに関連して、もう時間も来ましたんで簡単にお伺いしますが、この報告書によりますと、これはワールドカップだけじゃないでしょうけれども、観光行政、観光サービスをやる上においてボランティアの力をかりよう、ボランティアという言葉が非常に頻繁に出てくるんですけれども、そのボランティアの確保、特にこのワールドカップに関連したボランティア、今JFAですか、要するに日本のサッカー連盟の方でも通訳等は足りないという状況なんですが、東京都がこのワールドカップに関連して、そういうボランティアを集めることが可能なんでしょうか。その見通しはどうでしょうか。

○浪越産業労働局長 私ども観光産業振興プランを発表した後、都民の方々から観光ボランティアとして参加したいという電話をたくさんいただいております。中には、商社のOB団体から、海外駐在の経験者が多く語学もできるので、ぜひ参加をさせてくれというふうな話も来てございます。私ども、できるだけ早い時期に観光ボランティアを公募したいというふうに考えてございます。
 また、地域に愛着のある住民の方々が、外国人旅行者への観光とか飲食とかショッピングの案内など、さまざまな場を通じて触れ合いや交流を深めていただいて、おもてなしの心を伝えるのは大変意義のあることというふうに考えてございます。
 したがいまして、私ども、ワールドカップに向けて、臨時観光情報センターには、語学の堪能な帰国子女や海外駐在経験者のほかに、地域で活躍する観光ボランティアも積極的に受け入れて、語学だけじゃなくても、地域で活躍するボランティアの方も受け入れて協力を得ていきたいというふうに考えてございます。
 したがいまして、受け入れまでの手順としては、二月に公募を開始しまして、三月には募集したボランティアを登録したいと考えてございますし、また、活動するためには事前の研修が必要ですので、四月には事前の研修を行い、五月ごろ臨時観光情報センターの開設をしていきたいということで、今そのような手順で考えております。

○森田委員 もう一つ、前回の大会はフランスで行われましたけれども、フランスではホテルが足りなくて、日本人でも、入場券は手にしたけれども、向こうに行ったけれども泊まる場所がなくて野宿をしたというような報道が随分されておりましたが、日本の場合は、東京を中心にした観光客の宿泊になると思うんですね。ホテルは十分に充足をされているとお考えなんでしょうか。

○橋本参事 聞くところによりますと、組織委員会の方では、委員とか選手、それから大会関係者の宿泊施設は既に押さえたということのようです。ただ、海外からお見えになるお客様方については、通常の、それぞれが選択して東京に泊まっていただく、あるいは近県に泊まっていただくということだということがわかりました。このため、私どもとしては、大会の日程が固まりましたので、早急にそれができるようにいろんなところと連携をとってまいります。
 また、プラン、素案を策定している段階から、東京の宿泊業の皆さん方に、日本人しか受け入れていない方も含めて、外国のお客様をその期間だけでも受け入れるということをやっていただけないかというお話は重ねさせていただいております。彼らが安心して外国のお客さんを受け入れられるような仕組みも、これから整備してまいりたいと考えております。

○森田委員 この観光振興プランの目標である六百万を達成するためには、今回のワールドカップというのは非常に大きなチャンスではないか。聞くところによると、四十数万人の外国人が来られるという。その人たちというのは、成田空港、もしかしたら羽田も使うかもしれませんけれども、東京経由のお客さんが圧倒的に多いんじゃないか。そのときに、やっぱり東京のイメージ、東京はいいまちだ、親切なまちだ、こういうことがPRできるかできないか、この六百万への大きなステップになるんじゃないかなというふうに思いますので、ワールドカップを目指してぜひそういう取り組みをしていただきたい、このことを要望して、質問を終わります。

○松原委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十三分開議

○松原委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○河野委員 二つのプランを一括審議ということですので、私は、二つのプランについて意見と要望を述べさせていただきます。
 最初に、農業振興プランの方から伺っていきたいと思います。
 東京都が農業振興プランを出していくというのは七年ぶりということで伺っておりますけれども、今、日本と東京の農業を取り巻く状況が大変厳しくなっている中で、東京都がこのプランを策定していくということは、本当に意義があることだというふうに思っています。
 プランを読んでの感想なんですけれども、例えば一二ページの、東京農業振興プランの指標とか目標値が定められている、そしてまた、耕地面積や農業就業人口などの目標値が示されていることは、この数字自体を見ますと、決してふえていくという方向ではないんですけれども、やはり農業を守るという立場で東京都がプランを持ったということは、大変大事な問題だというふうに考えます。
 そのほかに、農畜産物の新たな東京ブランドの育成や生産力増強を進めていくという問題、さらに、農地が生産を担っているだけでなくて、環境や防災などの多面的な役割を持っているという考え方をきちんと明らかにしたことは、積極的な意味を持つプランだということを、そう感じているということをまず申し上げたいと思います。
 この二十一世紀の東京の農業の指針となるプランをさらによりよいものに練り上げていくという立場で、私は幾つかの問題を質問して、あわせて要望も述べさせていただきたいと思います。
 最初に、一ページに振興プラン策定の目的が示されている、その文章の六行目に、東京の農業が都民の暮らしを云々とありまして、魅力ある産業として発展を進めていくというような趣旨が書いてありますけれども、一方で、平成十二年の七月に出されました東京の農林漁業振興対策審議会、いわゆる農対審の答申を見ますと、東京の農業についてはなくてはならない重要な産業と、このように位置づけております。この魅力ある産業としての農業の位置づけと、なくてはならない重要な産業という位置づけとの流れの変化ですね。魅力ある産業というのは、全体としてどういうイメージを持ってこのプランの文言として使われたのか、その基本的なお考えをまず最初に伺います。

○矢口農林水産部長 審議会からいただきました答申では、二十一世紀の東京農業が果たすべき役割は、産業として魅力ある東京農業の展開により豊かな都民生活の実現であるとしまして、振興方向を都民の期待にこたえる東京農業の多面的な展開としてございます。
 このたびのプランの素案では、答申の趣旨を十分に踏まえまして、答申と共通の認識に立ちまして、振興の目標を魅力と活力あふれる産業、東京農業の実現としたものでございます。
 今、先生からお話のありました魅力ある産業としての農業はどんなものかということでございますが、私どもの考えております魅力ある産業としての農業とは、生産流通の改革などによりまして実現いたします収益性の高い農業であるとともに、農業の持つさまざまな機能を発揮して、都民の暮らしに積極的に貢献する農業のことを考えてございます。

○河野委員 確かに、生産流通も生産力も高まっていくということで、農業に従事する人が魅力を持って臨んでいける産業ということで、これはこれとして当然の問題だと思うんですが、私は、やはり農対審で去年出された、それもいろいろな議論を経て出された東京の農業への位置づけですね、農対審答申、私も読ませていただきましたけれども、この一ページに、さっき申し上げました東京になくてはならない重要な産業ということがきちんと冒頭の部分で入っております。
 今、この農業振興プランは、今年度中に策定をしていくということで、さらに練り上げられていくという時点に差しかかっておりますので、ぜひ農対審答申の論議も踏まえて、重要な産業、なくてはならない産業というような基幹産業、そういう根本的な農業に対して、先ほども大事な産業というお話が委員の方から出されておりましたけれども、そういう位置づけをぜひプランの中に文言としてきちんと明記していただきたいというふうに最初に望むんですけれども、その辺はお考えいかがでしょうか。

○矢口農林水産部長 当然、農業が東京にとってなくてはならない貴重な重要な産業であると認識しておりますので、答申の趣旨を踏まえて今回プランの素案を策定しております。
 また、各農業団体あるいは都民の方々から広く今意見を聞いておりますので、ことしじゅうに策定してまいりたいと考えております。

○河野委員 ぜひそういう方向で努力をお願いしたいと思います。
 二つ目の問題なんですが、このプランを策定していくに当たってということで、私たち経済・港湾委員会は十一月二十九日の委員会の場で資料もいただき、ご説明も受けました。そして、それに先立って二十八日には農対審が開かれて、そこでも報告があったというふうに伺っております。今、このプランを策定していくに当たりまして、都からいただいたプリントを改めて読み直しますと、広範な都民の意見を聞いてプランを練り上げていく、策定に向かっていくというふうに書かれてあるわけですね。
 この辺でどんな状況になっているのかということを私は若干質問させていただきたいんですが、東京都の広報を初めとした宣伝物や産業労働局のインターネットのホームページ、こういうもので都民に働きかけて、ぜひ意見をということで求めているということなんですが、今、局の方に都民の方から寄せられている意見の状況、件数でも結構ですし、何人でも結構ですから、どんなような状況になっているか、その意見がどのような形で寄せられているか、ご報告いただければと思います。

○矢口農林水産部長 都民への周知の話でございますが、先月の二十二日に記者クラブを通じまして公表し、私どもの局のホームページで広く都民の皆さんにお知らせしているところであります。
 それから、区市町村、農業委員会あるいは農業協同組合などの関係機関にプランの素案を配布いたしますとともに、農業委員会あるいは農業協同組合に対しましては説明会を開催いたしまして、農業者、農業団体等に周知を図っているところでございます。
 今、私どものホームページに届いているところでは、都民の方あるいは東京都農業会議あるいはJАの東京中央会等々から意見が寄せられているところでございます。

○河野委員 ご答弁では、特に件数とか数字としてはお伺いできなかったんですけれども、広く都民の皆さんに働きかけていくという努力をされていることはわかりました。しかし、私は、これではまだ十分ではないんじゃないかと感じています。
 私も、江戸川区の生産緑地を一生懸命守りながら、コマツナの栽培を初めとして農業に携わっておられる方々をたくさん存じ上げております。農業委員の方も何人かいるわけなんですけれども、例えば、パンフレットというか、プランを見ますと、都内の農業者の方の農家数は一万五千五百戸もあるようですから、この方々全部にプランのパンフレットを届けるとか、それは大変難しい問題があると思うんですが、区市町村につくられている四十五といわれている農業委員会、ここの皆さんへ働きかけていくというか、意見を求めていくということは、十分可能な問題じゃないかと思っているんです。
 そういう点で、私は、江戸川区の農業委員の方数人にこのプランのお話をいたしましたら、プランそのものの存在を知らなかった方、あるいは意見を十二月二十日までに都に寄せていけるということを知らなかった方、そういう方がたくさんいらっしゃいました。手持ちのパンフレットをお届けしましたら大変喜んでくださったんですけれども、やはり何代にもわたって農地を守り、これから先も農業を一生懸命営んでいこうとしている方々の生の声をこのプランに盛り込んでいくということは、本当に大事なことなんじゃないかと思っているんですが、改めて、十二月二十日まであと一週間と迫った今の時点で、私は、東京都ができるだけの努力をして、広範な、特に農業関係者の皆さんの意見を聞き取る努力をしていただきたいと思うんです。
 そういう点で、これはプランを策定していく上での基本的な東京都の姿勢にかかわる問題なので、ぜひ局長にお答えいただきたいんですが、広範な都民の意見を聞いていく、その上で局長が今お考えになっていらっしゃるお気持ちですね、その点をどのように進めていかれるのか、伺っておきたいと思います。

○浪越産業労働局長 PR方法についてでございますが、私ども、農業振興プランをよりよいものとするためには、たくさんの方々から意見を聞くことはぜひ必要だろうと思っておりますし、今お話のありましたように、各団体を通じたいろんな話の聞き方もあろうかと思うんです。私ども、少しでもよりよいプランにするために、限られた時間ではございますけれども、農業委員会、農業団体等を通じてまた意見を広くお伺いをしたい、このように考えております。

○河野委員 その点も、ぜひ一層の努力をお願いしておきたいと思います。
 三つ目にお伺いしたいのは、大事な農地をどう守っていくかという問題です。
 これは先ほどもお話がありましたので、詳しくは申し上げるつもりはないんですが、例えば、私が住んでおります江戸川区は、プランの二九ページとか三〇ページに示されたゾーニングの中の、都市及び都市周辺農業振興ゾーンの区部東サブゾーンに指定されている地域です。この江戸川区などでは、生産緑地法の施行によりまして農地の減少が大きく進みました。恐らく江戸川区だけではなくて、サブゾーンに指定されているほかの自治体も同じ状態だと私は想像しておりますが、貴重な東京の農地をこれ以上減少させてはいけない、こういう思いは農家の方々も、そして周りに住んでいる消費者も、もちろん東京都も同じ思いでいると思うんですね。農地を保全していくために、私は、特に今生産緑地の指定を受けて一生懸命頑張っている農家を激励する対策を、さらに強めていただきたいと望んでおります。
 江戸川区では、今農地は少しずつ減っている状況なんですが、生産緑地法ができましたときに、生産緑地に指定を受けられる農地の条件というのが、営農を三十年継続しなくてはならないとか、一団の農地が五百平方メートル以上なくてはならないとか、かなり厳しい規制がかかっておりまして、これではとても農地は守っていけないということで、江戸川区が独自に指針あるいは要綱をつくりまして、生産緑地の指定をより受けやすいような改善策も実施いたしました。
 そういう中で、都市計画局で出している資料なんですが、平成四年から平成十一年までの生産緑地の指定面積を見ますと、東京都全体では八年間で五十七・五ヘクタール減少しております。江戸川区では逆に、厳しい中ですけれども、五・〇ヘクタールふえているんですね。やはり自治体の取り組みによって、生産緑地を、農地を守っていくという取り組みが可能なんじゃないかということを、この江戸川区の要綱などの実施状況からも私は推定するんですが、今、これ以上減らさないという立場に立って、プランの中では、二七ページとか、四七ページとか、四八ページに、生産緑地を守っていくということが東京都の姿勢として示されております。
 これをさらに充実を目指していただきたいと思うのですが、一つは、先ほど申し上げました三十年の営農継続をしなくてはならないとか、こういう厳しい縛りを緩和していくことを初め、生産緑地指定を受けやすいように法の改正を国に求めていただきたいということと、東京都として、この問題について何らかの対策を検討して、プランに盛り込んでいくべきではないかと考えています。
 二つ目には、先ほども小林委員の方から意見が出されておりましたけれども、負担の重過ぎる相続税、固定資産税、この税制の問題について対応が必要だと思います。その点については先ほど答弁がありましたので、都のお考えはわかりましたけれども、一つ目の、縛りをもっと緩やかにする問題での国への働きかけと、都の今後の生産緑地を守っていくための検討策、考えておられることがあったら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

○矢口農林水産部長 市街化区域にあります農地は、保全すべき農地として生産緑地に指定されるものと、宅地化する農地というふうに分かれてございます。生産緑地は、保全すべき農地として計画的なまちづくりを推進する観点から都市計画に定められた農地でありまして、都市農業を振興する上では、その確保は極めて重要であると考えてございます。
 私どもとしましては、ことしの十月に、都市計画局におきまして、今後の都市づくりのあり方を示しました東京の新しい都市づくりビジョンというのを策定してございますが、この策定に当たりまして十分協議をしまして、このビジョンの中で農地の多面的機能を生かした都市づくりや生産緑地地区指定の促進などを掲げまして、都市づくりの中で都市農地の保全と活用を推進していくこととしてございます。
 また、国への働きかけでございますけれども、相続税の猶予制度につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、強く国へ働きかけていきたいと考えております。

○河野委員 今、新しい都市づくりビジョンということで、都の全体的な構想のお話がありましたけれども、農地を保全していく上で、新しい都市づくりビジョンとか環状メガロポリス構想とか、こういう問題と農地の保全が上手にマッチングしていくのかというのは少し心配な問題があります。
 サブゾーンに指定されている、いわゆる区部東部を初めとした三つの地域は、環状メガロポリス構想では、大きく開発を進めていく地域と重なっております。土地の高度利用ということで、高層建築物の建設とか大型道路の建設が今行われようとしている中で、果たして農地を守っていけるのかどうか、これは農業関係者だけではなくて、それぞれの自治体の長の皆さんも含めて関係者がいろいろと心配している問題です。
 その点でいいますと、農対審の答申では、これまでの行政の縦割り構造や経済効率優先の都市づくりが東京農業の発展と均衡のある都市づくりを阻害してきていると、こういうことが書かれておりますし、また、東京都は、都民の豊かな生活を支え持続可能な都市の発展を図る観点から、都市計画やさまざまな行政計画に農業、農地をしっかり位置づけ、都市と共存する農業の振興を進めなくてはならないと、農対審答申ではこういうふうに書いてあるわけですね。
 それから、七年前に出されているといわれている農業振興プランでは、新山の手・南部ゾーンでは生産緑地をまちづくりの中に位置づけて、ここらの農地の土壌改良や日照の確保などにより生産力が上がるようにしていくことが必要と、都市づくり、都市計画との関係で農地を守っていくという方向がしっかりと出されております。
 今回のプランを見ますと、去年の七月の農対審答申からも、七年前のプランからも、こういう位置づけが若干薄まっているのではないかという印象を私は受けています。農対審で審議されてきた議論を尊重して、今、新しいプランの中に、経済効率優先の都市づくりが東京農業の発展と均衡ある都市づくりを阻害してきているという言葉とか、都市計画やさまざまな行政計画に農業、農地をしっかりと位置づけ、都市と共存する農業の振興を進めていかなければならない、そういう文言を確実に、箇所に挿入するべきではないかというふうに考えているんですが、都市計画、環状メガロポリス構想を初めといたしました東京都の都市づくりビジョンとの関係で、農地を守っていくという立場で、ぜひ東京都に努力をいただきたいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○矢口農林水産部長 先ほどから申し上げていますが、生産緑地は、保全すべき農地として計画的なまちづくりを推進する観点から都市計画で定められた農地でありまして、都市農業を振興する上で、その確保は極めて重要であると考えてございます。
 また、私どものプランの素案では、農業と調和した緑あるまちづくりを進める観点から、区市と連携しまして、生産緑地の追加指定を促進し、農地の保全を図っていこうと考えてございます。

○河野委員 守っていこうというお気持ちはわかりました。区市町村にそういう権限が大きくかけられてきているという情勢も今ある中で、ぜひ東京都として関係自治体と連携をして努力していただきたいということと、それから、農地を守っていくという明確な立場でのプランへの文言の投入については、ぜひ求めておきたいと思います。
 いずれにしましても、大切な農業のための農地を守っていく上で、プランに都の姿勢を明確に示していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 続いて、二つの点について東京都としての農業についてのお考えをこの機会に伺って、要望しておきたいと思います。
 一つは、農業の担い手づくりの問題です。プランの七ページに、東京の農業の中心的担い手は六十歳以上、平成十二年度で六三%に達しているということで、高齢化の問題がここで取り上げられております。農業振興に欠かせないのは、農地を守ることとあわせて、担い手をしっかりと育成することにあると思います。
 一九ページのところなんですが、東京都は、国の制度に基づいて新規就農者への支援策を実施していることが書かれていますけれども、私は、いろいろ全国の他府県を調べまして、今の東京都の新規就農支援対策をもっと充実させていく必要があるんじゃないかと思っています。
 今行われております都の事業は、啓発活動とか就農希望者への動向調査とか、相談窓口の設置などを含めて進められているわけですけれども、資金面では、研修資金とか就農準備金の貸し付けを行っているということです。他県の事業内容、北海道からずっと調べてみましたけれども、やはり貸し付けでは限界があるという中で、いろいろ工夫された取り組みがされています。
 例えば、青森では、就農初期の営農費と生活費に一年間百五十万円、二年に限ってこれを貸し付けて、さらに、青森で五年以上就農した人には、三百万を上限として償還を免除する、いわゆるもう返さなくていいですよということだと思うんですが、それとか、秋田県では、農地を借りた新規就農者に対しての土地の借り上げ代の二分の一の助成をやるとか、機械や施設の導入についても助成を行うとか、その他、東北、関東甲信越、近畿地方、いろいろな県を見てみましたけれども、貸し付けで終わっている自治体というか県は少ないわけですね。
 大体一定の期間を見て、経営が安定するまで、生活保障も含めて経済的な面でバックアップしていくというか、そういう対策がとられているんですが、多くの県がこうした何らかの助成制度を設けている中で、東京都も今の制度を一歩前進させていく必要があるんじゃないか、新たな後継者をつくっていくという点でも、そういう対策が必要になっているんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○矢口農林水産部長 農業振興プランの素案では、意欲ある担い手、多様な担い手の確保、育成をこのプランの重要な柱に据えてございます。とりわけ、新規就農者の確保、育成は本当に重要な課題と考えてございます。
 先ほど委員の話からありましたように、就農の相談窓口あるいは無利子の資金の貸し付けなどを行ってございます。また、新規就農者に対しまして、私ども農業改良普及センターにおきまして、三年間の期間で農業技術や経営などを体験的に学びます農業後継者セミナーを開設しておりまして、ことしは新たに第五期生として百三十八名が入学してございます。
 今後も、こうした新規就農者への確保、育成対策につきましては、充実してまいりたいと考えてございます。

○河野委員 私が申し上げましたように、研修とか啓発活動とか相談とかやっているのはよく承知しているんですが、新たな制度というんですか、支援していく上での制度の検討を私は求めましたので、これは、改めて、東京都産業労働局の方で、一歩前進する立場で取り組みを進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 二つ目に、今、輸入農産物が増大しているもとで、農産物の価格低迷などが起こっておりまして、経営の安定に不安を持っている農家も少なくない状況です。こうした中で、農業の経営の安定のために、価格補償制度をより充実させていくことが望ましいと考えますが、この問題について、東京都の今の取り組みとこれからのお考えについてお伺いしておきたいと思います。

○矢口農林水産部長 現在、都では、野菜生産者の経営安定を図るために、野菜供給確保対策を実施してございます。
 本事業は、キャベツ、コマツナ、ホウレンソウなど、生産、消費の面で重要な七つの種類の野菜を対象としまして、市場価格が保証基準額を下回った場合に、価格の差を補てんしているものでございます。
 このほか、私どもの事業としまして、活力ある農業経営育成事業というものを実施していまして、共同直売所の整備あるいは農畜産物、加工施設の整備など、農家の経営安定を考えて支援してございます。

○河野委員 最後に、要望させていただきますけれども、東京都民、都内に住む人たちは、東京で生産されている野菜、安心できる野菜とかしゅんの野菜を食卓に乗せてほしいという要望も強くあります。特に、有機栽培の野菜は生産者も意欲的に取り組んでおりまして、消費ニーズも高いものになっています。こうした生産者の側と消費者の側と、それぞれ都民要望に基づいて、都民全体の力で東京の農業振興を進めていけるように、新しく策定されていくプランが本当に東京の農業を振興していく、守っていく上で実効ある豊かな内容になる、そういうものになるように願って、私は、農業振興のプランについての質疑を終わらせていただきたいと思います。
 次に、観光産業振興プランについて質問させていただきます。
 観光産業振興プランにつきましては、申し上げたいことはたくさんありますけれども、絞って質問と要望をさせていただきたいと思います。
 最初に、総括的な意見なんですけれども、私は、観光事業審議会でも意見を述べさせていただいたんですが、ロンドンとかパリなどに年間一千万人の観光客が訪れているというのがこのプランの中でもいろいろ出てくるんですが、こうした都市に多くの人が訪ねていくのは、都市としての歴史とか伝統を伝えて、訪れた人に感動を与えるものが多くあるからだというふうに感じています。
 東京の魅力を打ち出していく上で、江戸東京四百年の歴史と伝統ということが書かれてありますけれども、この四百年にとどまらない古くからある史跡や建造物などについて、保存や発掘に力を入れて、国の内外に発信していくことが大事だと思っています。局長のご答弁でも、繰り返し、海外へ東京の魅力を発信していくということが出されておりましたし、やはり都市東京の魅力を都民が誇りを持ってアピールできるように、東京都としても具体的な取り組みを進めていただきたいと思っています。
 二つ目の問題は、観光の来訪者をふやしていくということが、今六百万人という目標値も出されているわけなんですが、海外の人の東京に対する評価として、物価が高いとかホテル代が高いという問題があります。これをクリアすることも大切な問題で、審議会で審議したいわゆる素案と比べますと、策定されましたこのプランの中には、四二ページあるいは四三ページに、海外からの旅行者のニーズにこたえた対策を進めていこうということが示されておりまして、素案よりもわかりやすく改善がされていると感じています。
 しかし、抱えている東京の高コストの構造についてさらに検討が必要でありますし、議論のありました宿泊税の問題については、こうした東京都の高コスト、費用負担が高いという海外からの外国人の観光客の方の声にも逆行していくというか、観光振興を本当に進めていくという方向に逆らっているんではないかと私たちは考えますので、これは意見として申し上げておきますけれども、この高コストの構造について検討が加えられるべきだと思います。
 質問はカジノについてさせていただきたいと思います。
 二三ページに、コラム、カジノ論というのがあります。これは、素案のときにいただいたものには載せられてありませんでした。ほとんどの方が認めているように、カジノはギャンブルです。東京都として、このカジノにつきましてどのような認識を持っておられるのか、そして、今の時点でカジノ構想についてどのような取り組みを進めているのか、その認識と現状についてお答えをいただきたいと思います。

○帆刈参事 カジノに対する基本的な考え方を申し上げます。
 国際都市東京では、二十四時間非日常性を楽しめるよう、新しい都市型観光資源を開発していくことが必要でございます。その一つとしてカジノを考えてございます。カジノは世界のほとんどの国で設置されておりまして、もはや国際的には標準的な施設になっております。また、カジノは新たなゲーミング産業としての、その経済波及効果あるいは雇用創出効果が大いに期待できるものであります。
 以上の考え方を基本にしまして、カジノを観光資源として位置づけ、今回の観光産業振興プランに盛り込んだ次第です。
 その実現に向けての取り組みでありますけれども、カジノの実現につきましては、法律の問題等々を初めとしましてさまざまな問題がございます。必要な事項を早急に調査検討するとともに、他の自治体等とも連携しまして国に働きかけ、その実現に努めていきたいと思っております。

○河野委員 標準的な施設それからゲーミング的な要素を持った施設というお答えだったんですが、これは後からまた意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、実現に向けてどういう状況かということで、まだ法的な問題もクリアしていないという状況の中で、今スタートに立ったという状況がお話から受けとめられるわけですね。
 そういう段階にあるカジノの問題について、これから五年先に六百万人の観光客を東京に呼んで東京を活性化させていこうというそのプランと、何かスタートに立ったばかりのものをここに入れていくというのは、私は大変違和感を覚えますので、そのことは申し上げておきたいと思います。
 改めて、カジノにつきましては、もう少し東京都の方でも検討が進んだ時点で、私たちの意見も述べさせていただける場があると思いますので、そこで再度カジノの問題について詳しくお話はさせていただきますが、今申し上げたいのは、観光を産業として位置づけ、そしてカジノもその中に位置づけていくということなんですが、カジノはギャンブルですよね。これはお考えとしてはいかがですか。ゲーミング的な要素とかおっしゃいましたけれども、ギャンブルということでは、認識は私たちと一致いたしますか。

○帆刈参事 実は、私も先般カジノを経験してまいりましたけれども、その経験からいわせていただきますと、カジノは、いわゆる丁半博に代表されますようなギャンブルではございません。もちろん賭博でもございません。もちろんかけ金は必要でございますけれども、これから検討していきますけれども、例えば、カジノでは法律によってその運営にライセンス制を導入したり、あるいはかけ金の上限を定めまして、こういったさまざまな工夫を凝らしまして、健全なゲームあるいは楽しいエンターテインメントとして持っていくことができると思っております。

○河野委員 私たちの認識と大分違うので、ちょっと驚いております。私は、やはりカジノはギャンブルであって、産業という位置づけはできないものではないかと思っています。
 たまたま二三ページに、カジノなど新たな観光資源の開発ということが書かれてありまして、ネバダ、ケベック、ミシシッピ、このカジノについていろいろ書いてありますが、この出典の谷岡一郎さんの「ギャンブルフィーヴァー」という本があるというのがきちんと紹介されておりますので、私もきょう持ってまいりましたけれども、読んでみました、この中央公論の本を。
 この中で、この方は、もちろんここに出るぐらいですから、ギャンブル、カジノ、そんなに反対の方ではないわけですよね。だけれども、ギャンブルというか、カジノを認めるギャンブルフィーヴァーという言葉を使ってこの本を書かれた谷岡一郎さん自身が紹介している言葉として、カジノは他の産業を犠牲にした虚構であって、崩壊を迎えるのは時間の問題と、これは谷岡さんの意見じゃないんですね、別の学者の方の意見なんですが、こういう意見もあるんだということを、あえてこの本の中で紹介しているんです。
 ですから、私は、いろいろ楽しい要素もたくさんあるし、ギャンブルという点では何か違うんじゃないかというご答弁も今ありましたけれども、やはりこういう学者さんのお話もありますし、それから、私が観光事業審議会に出ましたときに、印象的だった意見をご紹介したいと思います。
 ある一委員から、カジノができれば必ず国際犯罪組織が介入してくる、これに対して管理体制がまだ日本の中ではできていないんだ、そういう中でここをしっかりしていかなくてはならないし、今導入していくのはいかがかというようなニュアンスのお話もありました。カジノはギャンブルであるし、ギャンブルがどういうふうに都民生活や国民生活に影響を与えるのかも、私は、行政に携わっている方がこういうプランに盛り込むのであれば、きちんと考えていかなくちゃいけないと思うんですね。
 ギャンブルホリックという言葉をご存じでしょうか。これはこの本の中に出てくるので、このパンフレットをつくられた方は恐らくごらんになっていると思うんですが、ギャンブルにはまってしまって抜けられなくなった、病的になってしまった人をギャンブルホリックと呼んでいるんだそうですが、世界保健機構、WHOは、一九七七年に、このギャンブルホリックについて、アルコール依存症とか薬物依存症と同じように依存症だと認定しているというんですね。それで、アメリカの精神医学会でも、一九八〇年代に、病気として位置づけなくてはならないということで、きちんとした社会的なフォロー体制もしかなくてはならないということを決めているようです。
 そういう意味では、ギャンブルというのはお金のやりとりがありますといっていましたから、当然お金のやりとりがあるわけですが、そのことによってたくさんの借金を抱えたり、あるいは家庭崩壊を招いてしまうという非常に悲惨な事態を招いてしまう側面も持っているわけです。そういう、何というんでしょうか、日本ではアメリカのようなまだ社会的なフォロー体制も整っていない、そして、私も江戸川競艇のそばに住んでいますから、競艇に来ている方々もたくさん見ることがあります。たくさんの本当に悲しい出来事を議員として相談を受けたこともあります。そういう社会的な背景がある中で、私は、深い検討がされたのかどうかわかりませんけれども、こういう観光産業振興プランというもの中に、東京都が今の時点でカジノについてこのような形で言葉を入れていく、プランの中に挿入していくということは本当にどうなのかというふうに思いますが、そういうカジノの持つ大変な側面とあわせて、さらに検討を深めていただきたいというふうに思うところなんですけれども、改めて、これは局長にご答弁をいただきたいと思います。

○浪越産業労働局長 私は、カジノは、競輪競馬、ボート、パチンコ、今先生がいみじくもいわれましたボート等と同じように、いろんな楽しみ方があろうかと思います。今いろんなご心配事をいわれましたが、それは、競輪、その他のものと全く同じ状況でございますので、私どもやはり東京の観光の起爆剤の一つとして、二十四時間型都市の整備にあわせまして、そういう非日常性を楽しむようなエンターテインメント機能も必要じゃないかということで、その一つの方向としてカジノを提案しているわけでございます。
 いずれにいたしましても、私ども今からいろいろ研究をし、また国との調整もございます。想定されるものについてはいろいろ検討した上で、適切な対応策を講じていきたい、そのように考えております。

○河野委員 最後に申し上げますが、私は、このカジノということを東京都政が検討していると聞いたときから現在に至るまで、いろんな方に意見を聞きました。
 このパンフレットで見ますと、都民の皆さんからの寄せられた意見では、約十人ぐらいですか、カジノに賛成ということも載っていますけれども、私が聞いた方々は、圧倒的多数の方が賛成できないということもおっしゃっておられます。そういう点では、都民世論が今形成されていない中で、こういういろんな危険な側面を持つ問題について、安易に東京都がプランに盛り込んでいくということは、東京都の見識が問われている問題でもあると思いますので、そのことを指摘して、この問題については質問を終わります。
 最後に一つだけ、観光資源の問題についてお話をさせていただきたいと思います。
 本当は二つお伺いしようと思っていたんですけれども、観光バスの東京駅の駐車場のことも私の質問に入っていたんですが、それは先ほど森田委員の方からお話しされたし、東京都の方向を出されておりますので、省略させていただきます。ぜひ参事がご答弁された方向で努力をしていただきたいということを申し上げておきます。
 問題は、花火大会の補助金の問題です。花火大会については、産業労働局の所管ではありませんということは存じ上げておるんですが、今、花火について、これは東京に観光のお客さんを呼んでいける大事な観光資源だと思うんですね。江戸川でも、区の発表では、百万人ぐらい毎年八月の第一土曜日に花火を見に来る人がいるというふうにいわれているぐらい、たくさんの方々から歓迎されています。
 この花火大会について、この間、各区や市でやっている花火大会の補助金を東京都としては減らしてきているんですが、今ある観光資源をさらに生かしていく、力を持たせていくという意味でも、こういう問題について、何が観光産業振興プランとリンクして観光資源としてアピールできていくのかということで、全庁的な検討が必要じゃないかと思うんですけれども、そういう点についてのお考えを伺っておきたいと思います。

○橋本参事 花火大会は、隅田川の花火大会あるいは江戸川の花火大会、東京湾の大花火大会、大きいものから本当に地域の中で地域の皆さんが楽しまれるような花火まで、現在、生活文化局の方にお聞きしたところ、二十三の地区で花火大会が行われております。この生活文化局で花火大会を行っている理由は、江戸の昔から庶民の文化として、伝統的な生活文化として位置づけられる花火大会を振興していこうという立場だとお聞きしております。
 確かにその効果は観光に及ぶところも多うございますが、私どもとしては、現在、別の分野で行われている行政からの支援ということは、そっちの方でやっていただければなというふうに考えておりまして、観光以外の分野については側面支援を、例えば、生活文化という面では東京の魅力の一つでございますから、情報の提供とかそういった形でのリンクをさせていただきたいと考えております。

○河野委員 いろいろきょうの質疑を通しても、この観光産業振興プランですか、全庁的に東京都すべての局が力を合わせて取り組んでいくべき問題がたくさんあるということがわかったんじゃないかと思うんですね。先ほどの観光バスの発着場の問題につきましても、それから花火の問題についてもそういう意味合いがありますので、ぜひよりよい東京都の観光産業振興という点で、東京都が持てる力をここに集中していくというご努力もされることを求めまして、私の質疑を終わります。
 以上です。

○三宅委員 私も、農業振興プランの素案と観光産業振興プランについて、手短に質問してまいります。
 私の住む世田谷も都市農業が行われております。本当に純粋にいい作物をつくりたいという真剣な働きぶりに感動さえ覚える農家の方たちがいらっしゃいます。そして、私が思うこの東京の農業というのは、都民が、消費者としても、また生活者としても、東京の農業に対する理解を深めていかないと、税制の問題やらいろいろ先ほどから出ていますけれども、まず第一に、このことを東京都が支援をしていく、そしてそういったことをきちっと踏まえた上で施策を展開していくことが大事であるというふうに、私自身は思っております。
 そこで、質問でありますけれども、今私の申し上げたことを踏まえながら、東京の農業者が自由な発想に基づいて意欲的に取り組んでいく、そういったことを支援していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

○矢口農林水産部長 都市地域を中心としております東京農業では、さまざまな都民ニーズを的確にとらえ、創意と工夫に満ちた農業が展開されておりまして、都民生活に大きな貢献をしているところでございます。
 東京農業を魅力ある産業としていくため、大消費地に立地する有利性を最大限に生かして、地域の商店街と連携した特産品開発や市場を通さない直接取引、さらには、これまでの農業の枠にとらわれない新たな分野を開拓する農業ベンチャーの育成など、収益性の高い農業経営の支援に努めてまいりたいと考えてございます。

○三宅委員 今、地域の商店街と連携というご答弁をいただいてほっとしております。量販店と直接契約だなんてやられたら困ったなあと思いますから、ちょっとここで大原商工部長に、今の答弁について、商店街の連携と出ましたから、ご答弁いただきたい。

○大原商工部長 生産者の立場からいえば、販路改革ということになろうかと思います。これは、農産物を消費者につなぐ、そういう商店ないし商店街という立場から見ますと、ある意味では新製品の登場ということでもございますし、あるいはまたイベント等の目玉という形でもとらえることができようかと思います。
 大変厳しい状況にございます商店街にとりまして、大変に魅力のある考え方だというふうにお聞きいたしました。私どもも、局内のみならず、関係団体とも連携をいたしまして、前向きに検討させていただきたいと思いますし、地元から具体的なプラン等が出てまいりましたら、商店街振興という立場から、既存の施策の中で使えるものを十分活用いたしまして支援してまいりたいというふうに考えます。

○三宅委員 大変に心強い、東京の商工部長としての価値を高めるようなご答弁をいただきました。ぜひ、単発じゃなくて、継続的にしっかりやっていけるようなことを念頭に置かれて進めていただきたいと思います。
 消費者としての都民に対して、今いいお答えが出ましたけれども、さらに生活者として、この都市農業、東京農業をどういうふうにして進展していくか。この新しいプランの中でも、学童農園というような施策がありますけれども、自然の少ないこの東京だからこそ身近にある都市農業が発揮できる、これ人間形成の機能を重視することに一層力を入れるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○矢口農林水産部長 農業との触れ合いや体験は、人の心をいやす、また子どもたちの人間性を培う上で大きな影響力があると考えております。新しい農業振興プランでは、子どもたちに自然や命のとうとさを伝え、環境や食べ物の大切さを学んでもらうことを目的にしまして、学童農園や教育ファームの設置など促進していくこととしてございます。
 今後の東京農業は、このような教育的機能を一層発揮していくことが求められており、都としても、ご指摘の趣旨を十分踏まえて対応してまいりたいと考えてございます。

○三宅委員 そうした観点で見たときに、新しいプランのゾーニングの中で、農地が全くない、農業が行われていない都心部を東京農業支援ゾーンとして位置づけていることは、私は大変に画期的なアイデアだというふうに評価をしておりますけれども、また、新たにこういった地域を施策の対象に加えた理由等、具体的な施策の方向についてお答えください。

○矢口農林水産部長 東京農業は、新鮮で安全な農産物の供給に加えまして、緑地空間の確保や教育的機能などさまざまな役割を果たしてございます。今後の東京農業をさらに振興していくためには、広範な都民の理解と協力が不可欠でございます。
 そのためには、農業と接する機会の少ない都心部の方々につきましても、東京農業への関心を持ち、東京農業を支える応援団になっていただきたく、東京農業支援ゾーンとして設定した次第でございます。このゾーンでは、ITを活用した情報提供や、この地域の方々が利用できる体験農園や学童農園の整備などを進め、東京農業と農産物のすばらしさを知っていただきたいと考えてございます。

○三宅委員 昨日の本会議におきまして、我が党の農業代表宮崎章議員の質問に対して、東京の農業や、その東京ブランドの農産物の重要性に対する知事の認識、新しいプランに基づく振興に対する都の強い決意というものをお聞きしたと思っております。どうぞ、とにかく都民が享受できるような魅力ある東京農業の実現に努力してください。
 次に、この観光産業振興プランでありますが、先ほど花火の話が出ました。東京の伝統的な行事である花火、もう一つありますね、盆踊りであります。この産業労働局、我が党並びに皆さんからの応援を得て、元気を出せ商店街事業というのを展開しております。地域のイベントと一体となった事業に対して、商店街に対して助成をする。これ何をやっているかといいますと、ほとんどの商店街が盆踊りと、そろそろ始まりますけれども、おもちつきですね。まさしく東京の伝統的な行事に対して支援をしている。多くの外国の方に来ていただいて、それが東京の経済の活性化につながるんだという局長のご答弁がありましたけれども、地域経済に対してその効果をきちっとリンクしていただかなきゃ困るなというのが、私の申し上げたいところであります。
 今、私が申し上げた一つのうちの商店街施策の中の目玉事業、何と新たに知事がどんといっただけで、必死になって守っていたこの二十億円ぐらいの商店街の予算と同じぐらいの予算を計上されて、まあ税金の話は抜きますけれども、何とか一体となって同じ流れの中で事業を展開ができないかどうかということについて、これは局長に、突然でありますが、感想程度でいいですからご答弁いただいて、私の質問を終わります。

○浪越産業労働局長 元気を出せ商店街の事業で、各商店街がいろいろ取り組みをされ、いろいろ元気を出しているということは、観光を振興する上でも一つの大きな効果だろうと思っておりますし、それを観光産業振興ということで考えてみますと、今度海外の人がたくさん日本に来た結果、二十五億円余りでどういうところが潤うかといいますと、一つは、旅館その他の宿泊所、大体業種別に一〇〇として見たときに、宿泊所の方は約二五%ほどの影響がございます。それから、今お話のありました飲食店が一四・八%あるいは商業というふうなことで九・二%ということで、私は、観光振興を図ることによって商店街も大いに潤うんじゃなかろうか、そのように思っております。
 したがいまして、商店街対策も必要ですし、新たな今度の観光産業施策を推進することによって、より商店街が潤ってくるんじゃなかろうか、そのように考えております。

○藤井委員 私からは、農業振興プランに関連して、まず最初に、八王子にありますげんき農場、これについては、我が党が第三回定例会で、この三宅島の避難民の方たちがみんなてんでんばらばらになって、本当になれない土地で寂しい生活をしている、そのためにはこういったげんき農場がコミュニケーションのよき場であり、そしてまたお互いに励まし合いながら、帰島するまでげんき農場でお互いを支え合っていくということで、ぜひ継続すべきだということを代表質問で取り上げました。
 これに対して、局長は、継続できるよう取り組んでいくという前向きな答弁をされ、また今回の本会議でも、我が党の代表質問において、げんき農場の継続をさらに強く求めたわけでございます。局長は、その際、緊急雇用創出特別交付金などを活用して、避難民が帰島できるまで継続できるようにしたいという答弁でございました。
 またさらに、第三回定例会で、八王子だけではなく、ぜひとも区部にもこういったげんき農場をつくったらどうかという提案をしましたところ、矢口農林水産部長を初め関係者の皆さんのご努力、そしてまた最終的には局長の英断によりまして、早速来年の一月から江東区にありますところにゆめ農園を新しくつくる、そういう発表がなされたわけでございます。これに対して私は、大いにこの局の前向きな取り組みに敬意を表したい、このように訴えたいところでございます。
 それに対しまして、先日、八王子にありますげんき農場に行ってまいりました。その後の皆さんのいろいろな声を聞いたところでございますが、継続をしていただける方向になって、一様に島の方たちは大変喜んでおりました。と同時に、もっともっと多くの方たちがこういった場でお互いにコミュニケーションが図れるようにさらに拡大をしていただきたい、こういう要望があったわけでございます。
 八王子のげんき農場は、全部で約三ヘクタールですか、現在使っている土地が一・三ヘクタールだそうでございますので、あと残り一・七ヘクタール残っているわけですから、ぜひこういった土地を活用して、さらに多くの方たちが継続できるよう、また局の前向きな取り組みを要望したいところでございます。まずそれが第一点目。
 そして、今回、この新たな農業振興プランの素案が策定されたわけでございますが、このプランの中で、島しょ地域を含めまして、地域別の農業振興を図るという新しい取り組みを今後展開するということがうたわれております。今後の島しょの産業をさらに発展をさせていかなければならない、そのためには、新たな挑戦がやはり必要ではないかというふうに思うわけでございます。
 そういう中で、我が党は、第三回の定例会で、森田理事が一般質問の中で海洋深層水の取り組みについて質問をいたしました。その際、局長からは、今後この海洋深層水については、水産試験場等において活用に取り組んでいきたい、こういう答弁があったわけでございます。
 最近、新聞等を見ても、全国あらゆるところで、例えば富山あるいは高知、北海道、こういったところで海洋深層水の研究そしてまた開発がどんどん進んでおります。先日も高知に私も行ってまいりましたけれども、高知では、栽培漁業センターというのができまして、ここで海洋深層水を使ってヒラメの栽培に取り組み始めたところでございます。具体的には、ヒラメの卵を海洋深層水でどんどん稚魚にしまして、ある一定の大きさにしたところで海に放す、とる漁業から育ててとる漁業に変えているわけでございまして、また地元高知では、この海洋深層水を使って、いわゆる塩とか、あるいは化粧品、あるいはまた食品、海洋深層水豆腐とかお茶、そういったものに活用をして、地域の産業の町おこしに使っているわけでございます。
 そういった意味で、東京都もいろいろな諸島を抱えております。大島、八丈島、小笠原、こういった島も、今、三宅島のいわゆる風評被害に遭いまして、観光客が夏、例年に比べて大変激減をしてしまった。そういう中で、この観光振興が島のまさに命になるわけでございまして、そういった意味で、私は、今後島しょの観光振興を図っていく上でも、さらには町の産業おこしを進めていく上でも、ぜひとも海洋深層水を今後活用していくべきだというふうに思います。
 そして、先月、我が党は森田理事を先頭に八丈島に参りまして、海洋深層水の、実際どのように今後取り組んでいったらいいのか調査をさせていただきました。東京都の水産試験場、そしてまた八丈町役場に参りまして、具体的に海洋深層水を今後どのように活用していくのか、またそのために町はどういう要望をしているのか、東京都はどういう支援をしていったらいいのか、こういったことを話し合ってきたわけでございます。
 そこで、何点かお伺いしていきたいと思います。
 まず第一点目は、そもそもこの海洋深層水というものがどのような性質のものであるのか、また注目されている理由は何か、基本的なことについて局の認識をお伺いしたいと思います。

○和田参事 海洋深層水についてお答えいたします。
 一般的には、水深二百メートルより深い部分の海水を海洋深層水と呼んでおります。深層水は、太陽光線が届きませんので光合成がなされず、生物もわずかにしか活動しておりません。したがいまして、細菌やプランクトンが少ないという特徴がございます。また、ミネラル成分を豊富に含んでいることや、低温で安定をしているというような性質を持っております。
 このような特性を生かしまして、イセエビやトコブシの栽培漁業などの水産分野への利用を始めまして、農業におきましても、レタスやコマツナなどへ深層水を散布することによりまして、ミネラル成分をつけ加えることができるというようなことなど、新しい可能性を持つ海洋性資源であることから、今注目をされております。

○藤井委員 今ご説明ありましたように、大変未来性に富んだ海洋深層水だと思います。例えば、夏なんかは暑いですから、魚を養殖して栽培しても、魚はえさを食べないそうでございまして、そういった意味で発育がなかなかしない。しかし、この海洋深層水は大体常温で約九度だそうでございますから、夏でもそういう低い温度でその深層水を使えば、魚はえさをどんどん食べるということで、栽培にも適しているというふうにいわれております。そういった意味で、この八丈なんかは、特に都の水産試験場の八丈分場がありますけれども、そこではいろいろと海洋調査あるいはトコブシの栽培等々やっておりましたけれども、八丈町としてこの海洋深層水に今後取り組んでいくために、ぜひともこの八丈分場の協力を得たいというのが町の要望でございました。
 何が要望かといいますと、その一つに、町には大きい船がありません。ですから、海洋の外に行って深いところから海水をとるにも、それだけの船がなければ採水ができないわけでございまして、町からは、その水産試験場の調査船をぜひとも利用させていただきたいという要望がありました。こうした要望に対して東京都としてどういう協力ができるのか、お伺いしたいと思います。

○和田参事 八丈町への協力についてでございますが、水産試験場といたしましては、平成十四年度に海洋深層水の基礎調査を実施する予定でございます。
 この調査の計画では、八丈海域における深層水の採水につきましても、水産試験場大島分場の大型調査船「みやこ」を活用することとしております。八丈島が行います採水につきましても、同様に調査船「みやこ」を使って協力していきたいと考えております。

○藤井委員 また、町からの二つ目の要望としては、今、町も海洋深層水の分析をしたいんだけれども、その成分の分析等については専門の調査機関、いわゆる試験機関でやらなければならない。そうすると、民間の試験機関に委託をしなきゃならない。その際、割と費用が多くかかってしまうということで、町も大変財政が厳しい中でございますので、東京都の水産試験場や、あるいはいろいろな技術研究所が東京都にございます、こういった研究所を使って、深層水の調査分析など、ぜひとも協力をお願いしたいというのが町の要望でございました。
 そこで、東京都のさまざまな試験研究機関は、ぜひとも町の要望に沿って協力をしたらどうかと思いますが、この点についていかがでしょうか。

○和田参事 試験研究機関におきます深層水の分析につきましては、現在のところ、産業技術研究所によります成分分析や、水産試験場本場によります細菌数の調査などが現在実施でき得る体制にあります。
 今後は、深層水の分析につきまして、八丈町と十分相談をしていくとともに、試験研究機関との連携を密にいたしまして、でき得る限りの協力を行ってまいります。

○藤井委員 ぜひとも協力をしていただきたいと思うわけでございます。
 次に、水産試験場の八丈分場、私たちも行きましたけれども、わずかな時間ですから全部は見られなかったんですけれども、感想では、何かトコブシを生産している工場かなと思ったぐらいぱっとしませんでした。地元の人にいわせると、水産試験場何やっているかわからないと。漁民の人にいわせると、水産試験場、船持って調査していますけれども、漁民よりも遅く出て、漁民よりも早く帰ってくる船だ、土日は休んでいると。もうちょっと、町とのコミュニケーションが不足しているなという実感をいたしました。
 職員の方は一生懸命やっていると思いますけれども、試験場でやっている調査分析あるいはそういったデータをもっともっと地元の人たちに提供できるように努力をされたらどうかというふうに思うわけですが、そういう意味で、地元の八丈町とこの水産試験場でのいろいろな協力が今後ぜひとも必要だ、島の産業振興のためにお互いにもっとコミュニケーションを図っていくべきだというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

○和田参事 水産試験場八丈分場では、地元から要望がございましたトコブシの陸上養殖試験に取り組み、成果が実りまして、その事業化に向け検討を進めている段階でございます。また、現在はハマトビウオ、キンメダイの資源管理のための調査研究や、シマアジの養殖技術の指導などに取り組んでおります。
 今後とも、地域、地元の要望などを踏まえながら、カツオの資源調査や、ご指摘の海洋深層水の利用に向けた試験研究など、取り組んでまいります。
 さらには、水産試験場に普及指導の担当窓口を設けまして、地元への研究成果の普及、技術の普及等に努めるなど、八丈町や漁業者との一層の連携を図っていきたいと考えております。

○藤井委員 そういう意味で、海洋深層水の特性といいますか、栄養が豊富でなおかつ非常に無菌状態であり、さらに低温でいろんな方面に活用ができるということは、これは漁業だけではなくて、私はもっと農業にも活用していける分野じゃないかというふうに思うわけです、そういった意味で、今後、産業の分野で技術開発に挑戦していくことは大変意義があるんじゃないかと思いますけれども、今後、東京都はこういった海洋深層水の調査研究をどのように進めていくのか、お伺いしたいと思うんです。

○和田参事 海洋深層水の利用につきまして、既に、局内の関係職員によりますプロジェクトチームを立ち上げまして検討を開始したところでございます。今後は、外部の有識者などによります活用のための検討会を設置いたしまして、幅広く検討を進めてまいります。
 さらに、大島、八丈島、小笠原の三つの海域におきまして、海洋深層水の成分分析による基礎特性の把握や、深層水を利用しました農産物あるいは水産物の鮮度保持試験などに取り組んでまいりたいと考えております。

○藤井委員 最後に、局長にお伺いしたいと思いますが、先ほど申しましたように、こういった伊豆七島は、海洋深層水などの未来に秘めた可能性を持っているわけですが、特に、今、島は全般的に産業がなかなか振るわないところがほとんどでございます。そういう意味では、今後、八丈島、大島、小笠原を中心に、観光振興、もっともっと多くの人たちが島に来られるように、島の方も努力せぬといかぬし、またそれだけの環境を整備するのも東京都の役割ではないかと私は思います。
 そういった意味で、今後、離島に対する、伊豆七島の観光振興に対する取り組み、どのように取り組むのか、海洋深層水も含めた形でのご答弁をお願いしたいと思います。

○浪越産業労働局長 海洋深層水についていろいろお話がございました。海洋深層水は近年注目されておりまして、新たな可能性を持つ海洋資源であるというふうに考えております。また、他県においても、水産分野を初め食品、医療など多くの分野で応用に向けた研究が進んでございます。
 都は、経済専管水域四〇%を抱えております広大な海域を持っておりますので、その海域を活用するためにも、海洋深層水の研究に取り組む必要があろうかと思っております。
 また、海洋深層水の研究開発をすることによりまして、島の産業振興を図ることにもなりますし、ひいては、今お話のありましたように、観光振興を初め、いわゆる島おこしにつながり、島の地域産業の活性化につながると考えてございます。私ども、水産を初め産業技術研究所等々がございますので、私どもの持てる技術を最大限生かしながら、島の産業をおこし、ひいては都内の産業おこしにつなげていきたい、そのように考えております。

○田島委員 農地の件で幾つかお聞きしたいんですけれども、先日の当委員会で、谷中のショウガ、行ったら、はんてんだけだったし、あるいは亀戸大根といっても、今実際姿は見えない。先ほど河野委員が一生懸命江戸川の野菜の話をしていましたけれども、小松川のコマツナだって果たしていつまでとれるかわからない。実際の話、これからの農業というものを考えたときに、ぜひお聞きしたいんですけれども、本当に都市農業というのは将来あるのかという疑問がすごく私あるんですね。
 なぜそれを思うかというと、元来、農業というのは、朝早くから夜遅くまで、つまり暗いうちから暗くなるまで働いてきて農業生産をやってきたし、そういう意味では、当然、農地にかかわる人たちとして地主さんと小作人さんがいるわけですよ。この中にあって、特に暗いうちから暗くなるまでその労働にかかわってきたのは、むしろ私は小作人さんだと思っているんですね。でも、現実には、約百五十坪の土地を超えないと面積のくくりの中で生産緑地としては認めないよと、これは済んだことで過去のことではあるけれども、こういうところに行政がきちっと目をきかせて、何らかの形で農地に対する保護の仕方、ぜひ私はやってもらいたいと思っていたんですけれども、当時のことについてもし何かわかることがあれば、お答えいただきたいと思います。

○矢口農林水産部長 生産緑地につきましては、平成三年にできた制度でございますが、当時のいきさつは、きちんと保全する農地として都市計画上位置づけようということでございまして、過去のことはという話がありましたので、私どもとしましては、今回のプランの中にも書いてございますが、農地を保全するために、都市農地のあり方につきまして検討会でいろいろ検討しまして、どういう都市としての農地がいいか、保全策がいいのかということを検討して、国にいろいろと提案してまいりたいと、現在のところ考えてございます。

○田島委員 過去のことを今ここで引き出しても仕方がないんで、そこで、私はお聞きしたいんですけれども、農地を守るという表現がありますけれども、守るものはいずれは攻められる、こういう観点に立ったときに、むしろ将来に向けて魅力ある農地、魅力ある農業として、東京都としてはこういう形でやっていきたいんだというものがあれば、あるいはこういうことをしていきたいんだというのがあったら、お答え願いたいと思うんです。

○浪越産業労働局長 東京の農業を振興させるについてでございますけれども、今お話のありましたように、農業を職業として選択し得る魅力ある産業として育成することがぜひとも必要ですし、そのためには、後継者を確保することが、東京の農業の振興において私は極めて重要な施策の一つだろうと思っております。
 もう一つは、地域特性を生かした魅力ある産業としていくこと、それが何よりも重要な基本でございますので、そのためには、具体的な例になりますが、付加価値の高い、例えば東京ブランドの農産物の開発とか普及、あるいは東京という大消費地を控える有利性を最大限に活用した意欲ある農業経営の育成ということで、例えば、ITを使ったような販売方法あるいは先ほどお話がありましたように、商店街との連携を図るような方法、そういうふうなこともあろうかと思いますし、さらに私どもは、都市地域の農業が持つ、いってみれば多面的な機能を一層発揮させるような方策を考えていくことが必要じゃなかろうかと、私はそのように認識しております。

○田島委員 魅力ある農業、つまり、おおむね都内の農家の方々、面積にして九百から千五百坪、では農業収入にしてどのくらいあるかといったら、恐らく六百万から七百万、一千万を超える、あるいは二千万の人というのはほとんど私はいないと思うんですよ。
 先ほど部長の話の中に、生産緑地の絡みの中で、水耕栽培はだめなんだよと。私はそれがおかしいと思うんですね。つまり、今局長の話の中にもあったけれども、やはり何らかの形で、狭い場所であってもたくさんの作物がとれる、そういう開発技術を研究していく、それが魅力ある農地のあしただと思うんですよ。そういうことにおいては、先ほどの百五十坪のくくりはもう過去のこととして、これからの農業を育てるのであるならば、全面的にぜひバックアップをしてあげてもらいたい、こういうふうに思っています。
 なお、仮に、もし二千万だ、あるいは一千万を超える農業収入を得ている人たちとすると、恐らく契約野菜--どこか特殊なデパートだとか、大手スーパーと契約している人以外は、まずそれだけの収入を上げることは無理なんで、ほとんどの人は、農業収入のほかに、先ほども話が出ましたけれども、アパートだ、マンションだと、いわゆる不労所得と並行した中でやる。そしてまた合算で申告をするために、これ以上農業生産、農業収入を上げても、結果的には自分の実入りは一緒だよ、こういう現実を抱えた中で、農業収入の方が魅力あるもんだねと、それはよく現場の農業従事者と相談したり意見を聞いた中で、これからの都市農業というものを東京都として考えていただきたい。
 これを意見として述べて、私の質問を終わります。

○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもちまして終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十一分散会

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