経済・港湾委員会速記録第十六号

平成十三年十月十六日(火曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長松原 忠義君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長中村 明彦君
理事丸茂 勇夫君
理事森田 安孝君
理事山崎 孝明君
中屋 文孝君
河野百合恵君
藤井  一君
富田 俊正君
橋本辰二郎君
田島 和明君
小林 正則君
川島 忠一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長浪越 勝海君
総務部長飯山 幸雄君
同和対策担当部長坂爪 正二君
参事百合 一郎君
産業政策部長樋口  勉君
参事帆刈 祥弘君
参事鈴木 房男君
商工部長大原 正行君
参事中村 晶晴君
参事橋本 直紀君
農林水産部長矢口 貴行君
参事和田 敏明君
労働部長渡邉 泰弘君
雇用就業推進担当部長友繁 佳明君
労働調整担当部長高橋  勝君
中央卸売市場市場長碇山 幸夫君
管理部長長尾 至浩君
事業部長内村 修三君
計画担当部長石川 俊一君
調整担当部長高津 満好君
参事小山 利夫君
参事松村  進君

本日の会議に付した事件
 中央卸売市場関係
  報告事項(説明・質疑)
  ・牛海綿状脳症(BSE)問題について
  事務事業について(質疑)
 産業労働局関係
  報告事項(質疑)
  ・観光産業振興プラン(素案)について
  事務事業について(質疑)

○松原委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会において、お手元配布のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の報告事項の聴取及び事務事業の質疑を行った後、産業労働局関係の報告事項及び事務事業の質疑を行っていただきます。よろしくお願いいたします。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 この際、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取します。

○石川計画担当部長 東京食肉市場で発見されました牛海綿状脳症の疑いのある牛の問題についてご報告いたします。
 十月十日水曜日に、東京都中央卸売市場食肉市場におきましてと畜解体いたしました三百三頭のうち、二十六頭の検体を用いまして厚生労働省が技術研修を実施いたしましたところ、牛海綿状脳症が疑われる牛が一頭発見されたとの連絡が、十月十一日木曜日午後十時に厚生労働省からありました。
 この連絡を受けまして、中央卸売市場といたしましては、牛海綿状脳症が疑われる牛が一頭発見された以上、安全確認の体制が整うまでの間、危機管理の観点から、食肉市場からの枝肉、内臓の流通をとめることといたしました。
 そして、十月十日水曜日及び十月十一日木曜日にと畜した牛の枝肉、内臓の回収を指示するとともに、十月十二日金曜日以降十月十七日水曜日まで、生体の搬入を停止するとの措置をとりました。
 その後、十月十二日午後十時三十八分に厚生労働省から、ウエスタンブロット法による再度の検査の結果、陰性との連絡がありました。これによりまして中央卸売市場は、出荷自粛をしておりましたすべての枝肉及び内臓の販売自粛、自主回収を解除いたしました。
 十月十八日木曜日以降は、全頭数のスクリーニング検査が実施されます。これによりまして安全確認の体制が整いますので、十八日木曜日から、と畜解体を再開することといたしました。
 なお、十二日に競りにかける予定となっておりました二百六頭分につきましては、食肉市場会社で保管しておりましたけれども、判定結果を受けました都の決定を受けまして、業界との協議を踏まえ、本日、臨時的に競りを行いました。
 以上で報告を終わります。

○松原委員長 報告は終わりました。
 本件の質疑につきましては、後ほど、事務事業とあわせて行います。ご了承を願います。
 次に、事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○長尾管理部長 去る九月十三日の当委員会で要求のありました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております経済・港湾委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 要求資料五項目の件名は、表紙に記載してございます。
 まず、一ページをお開き願います。
 東京都中央卸売市場における輸入品取扱高の推移でございます。
 まず、輸入野菜でございますが、過去十年の推移を見ますと、数量、金額とも増加傾向にあります。
 次のページをお開き願います。
 輸入果実につきましては、輸入野菜とは逆に、減少傾向にあります。
 続いて、水産物でございます。主要二十一品目の過去十年の推移を見ますと、輸入数量は、平成九年ごろからほぼ安定しております。
 続いて、食肉でございます。輸入牛肉については、近年、市場で取り扱っている牛の総数の四%程度となっており、輸入豚肉につきましては、平成十二年、国の補助制度の変更に伴い、大幅に増加しております。
 五ページをお開き願いたいと思います。
 東京都中央卸売市場における取引方法別割合の推移でございます。過去十年の推移を見ますと、水産物部、青果部、花き部においては競り売りの割合が低下し、相対取引が増加する傾向にあります。
 次の六ページをお開き願います。
 東京都中央卸売市場における卸、仲卸業者の経営状況でございます。平成七年から十一年までの五年間にわたり、卸売業者、仲卸業者の業者数及び赤字業者数を部門ごとに記載してございます。仲卸業者の欄の括弧書きは、調査業者に対します赤字業者の割合でございます。
 次に、七ページをお開き願います。
 食肉市場及びと場における主な施設整備と契約状況でございます。食肉市場及びと場において平成七年度以降に実施いたしました主な施設整備でございます。汚水処理施設整備、小動物棟整備及び北側棟建設等につきまして、工事件名、契約方法、契約業者、契約年度及び契約金額をそれぞれお示ししてございます。
 続きまして、八ページをお開き願います。
 築地市場再整備の経過と現状でございます。まず、(1)の経過でございますが、現在地再整備は昭和六十一年に計画決定を行い、平成三年より仮設工事に着手いたしました。しかし、業界調整が難航し、計画におくれが生じたこと、バブル崩壊後、急激な流通構造の変化が進んだことなどから、平成八年に基本計画の見直しを決定いたしました。
 これに伴いまして、平成九年から、市場業界とともに見直し案を種々検討し、精力的に議論いたしましたが、成案を得ることができず、平成十一年十一月に、業界と都との公式の協議の場でございます築地市場再整備推進協議会におきまして、その総意として、現在地再整備は困難であり、移転整備へと方向転換すべきとの取りまとめを行いました。
 このような経過を踏まえまして、豊洲の移転候補地の地権者であります東京ガス株式会社に対し、市場用地の確保に向けた交渉を開始いたしました。
 その結果、(2)の現状でお示しいたしましたように、本年七月、都と東京ガスとの間で築地市場の移転に関する基本合意が成立し、直ちに中央区及び江東区に対しまして移転の協力を要請いたしました。この間、本年四月には、東京都卸売市場審議会から、豊洲地区を移転候補地として検討を進めるべきであるとの答申をいただいております。
 なお、参考といたしまして、再整備の主要工事の実施状況について、準備工事と本格工事に分けて表にお示しいたしました。
 以上、甚だ簡単でございますが、要求のございました資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松原委員長 説明は終わりました。
 先ほどの報告事項及びただいまの資料を含めました事務事業に対する質疑をあわせて行います。
 発言を願います。

○中屋委員 それでは、今回の狂牛病につきまして、何点かお尋ねさせていただきたいというふうに思っています。
 今回の東京都の処置は、食の安全を守るという危機管理の観点からとった処置とのことですけれども、一方で、消費者の不安感を高めたとの見方をしている者もおります。また、お肉屋さんや町の焼き肉屋さん、大変な打撃を受けていると思いますが、この点についてどうお考えになっているのか、お尋ねいたします。

○石川計画担当部長 今回の東京都のとりました措置についての評価に絡むご質問かと思いますが、これまでの国の対応を見てまいりますと、後手後手になっているというふうに受けとめているところでございます。これは、一つに、消費者の視点が欠けていたことから、かえって消費者の不安感を高め、混乱を招いてきたのではないかなと受けとめているところでございます。
 消費者に不安を与えるような食肉は食肉市場から出さないという厳しい今回の措置をとることが消費者の信頼につながり、消費者の不安感を解消することにもなるんではなかろうか。それがひいては肉屋さん、焼き肉屋さん等の食肉業界への影響を抑えていくことにもつながるんではなかろうかなと、このように考えております。したがいまして、今回の措置が消費者の不安を高めたとか、風評被害を増大するというような批判は当たらないのではなかろうかなというふうに考えているところでございます。

○中屋委員 消費者の不安感を解消するということが一番大事だと思いますが、十月十八日から全頭数についてスクリーニング検査を行うと聞いておりますが、その準備の状況はいかがか、お伺いいたします。

○石川計画担当部長 十八日からのスクリーニング検査に向けた準備状況でございますが、現在、食肉衛生検査所や業界も含めまして、精力的に準備を進めているところでございます。保管用冷蔵庫の設置等施設の整備、作業マニュアルの確立、体制づくりということで、十八日に向けて万全を期してまいりたいと考えております。

○中屋委員 そのスクリーニング検査体制が整ったとしても、と場への入場の段階で危険な牛が入らない、そのように都がこれまで独自に行った、と畜牛の育成履歴申告書を、自己申告でなく公証性のある仕組みにできないものか、お尋ねいたします。

○石川計画担当部長 スクリーニング検査体制後の危険な牛の入場についてのご質問かと思いますが、全国規模の流通となっています東京食肉市場の食肉市場に占めます役割を考えますと、危険な牛が当市場に入ってこないようにチェックすることは特に重要であろうと考えてございます。都が独自に行いました、と畜牛育成履歴申告書をもっと公証性のあるような、また全国的に活用できるような形に変えていけるよう、国にも要望していきたいと考えております。

○中屋委員 それでは、狂牛病の対策として、新たな施設設備が必要になった場合、きちんと対応していけるのか、お尋ねいたします。

○石川計画担当部長 狂牛病対策についての施設整備につきましては、関係局とも十分協議をいたしまして、衛生的な施設となりますよう、施設整備に万全を期してまいりたいと思います。

○中屋委員 狂牛病から食肉の安全性を守るために、施設の整備、また牛の流通ルートなどに確実に把握できる仕組みづくりを国に要望してはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

○石川計画担当部長 現在、と畜方法の改善等も検討されているところでございまして、今後、新たな施設整備も必要になるというふうに考えてございます。また、生産から販売までの流通経路の正確な把握も重要でございまして、先ほど申し上げましたように、全国的な流通となってございますので、各県も巻き込んだ形の対応が必要でございます。
 そういったことで、これらの施設の整備、あるいは先ほども申し上げました、と畜牛育成履歴申告書を公証性のあるような形にすることにつきましては、今後、国に要望してまいりたいと考えてございます。

○中屋委員 今回の問題で、消費者は本当に不安感を高めているというふうに思いますけれども、食肉関係の業界は大変消費が落ち込んでいると思っているんですが、一日も早く消費者の不安を解消するということが大切ですし、また、消費者が安心して肉を食べられるようにするということも大切です。正しい情報の提供とか、業界の適切な支援がどうなのか、お伺いいたします。

○石川計画担当部長 先ほど来の質問に若干補足を先にさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたと畜牛育成履歴申告書、これは東京都が独自に先に実施をしたものでございます。それから、肉骨粉の非使用証明書の添付なども東京都が独自に実施させていただいたものでございますが、これらにつきましては、先ほど申し上げたように全国流通のような現在の状況の中で、一自治体だけでは完全な形で解決できないということもございますので、そういった点につきましては、今後、積極的に国の方に要望してまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
 それから、ただいまの消費者の不安を高めている、あるいは食肉業界の消費の落ち込みなどの打撃ということにつきましてでございますけれども、消費者の不安を解消することなくして食肉関係業界の立ち直りはなかなか難しいんではなかろうか、このように考えているところでございます。
 したがいまして、安全な肉、内臓以外は絶対に食肉市場から出ないような仕組み、体制づくりを確立しますとともに、食肉市場から流通する肉、内臓等につきましては、BSE検査済みの表示等を検討させていただきまして、あわせてPR等にも工夫をいたしまして、消費者に対する正しい情報の提供、あるいは関係業界への影響を少なくしていくような工夫をしてまいりたいと思っております。

○碇山中央卸売市場長 今回の九月十日にこの事件が起きたわけですが、私どもの基本的スタンスとしましては、生産の食肉に関しまして川上から川下までございます。私ども芝浦にございます食肉市場は、消費者に至るところの、いわゆる出口という立場にあります。したがいまして、私ども中央卸売市場におきましては、危険の可能性がある限り、それを危機管理として回避をしたいということでございます。
 あれから一カ月以上過ぎておりますけれども、常に念頭に置きましたのは、まず一点目は、先ほど申し上げたような危機管理という意味で、東京都で独自にできることは何かと。そのような意味で、ただいま石川部長からもご答弁申し上げましたけれども、肉骨粉の非使用証明書を初めとしまして、牛の生まれたところ、育ったところ、出荷されたところという経歴を出す、これは東京都が初めてでございます。その経歴書を、申告書を出すということ。あるいは、一般的にいわれております脳、眼球、脊髄、それから回腸といわれる危険部位は、感染の有無があろうとなかろうと、一律除去するというようなことで対応してまいったつもりでございます。
 それから、あわせまして、部長の方から申し上げましたのは、ただ、私ども中央卸売市場、食肉市場だけがそれをやっても、全国的な問題にこの問題は波及しておりますので、常に国の方においても同じようなレベルで対応してもらいたいというようなことで考えておりますし、現に私も全国の中央卸売市場協会の会長も兼任してございます。中央卸売市場協会、全中協と申しておりますが、そのような段階でも国に強く、あるいは激しくと申しますか、訴えてまいりたいと考えております。

○中屋委員 ちょっと質問を変えまして、築地市場の豊洲移転について、何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 築地市場につきましては、昭和十年の開場以来、都民の台所として親しまれてきたわけですけれども、まさに生鮮食料品を扱う拠点施設として機能してきたわけでございます。その現状は、先日、石原都知事が視察の際に述べられましたように、まさに古く、狭く、危険といわざるを得ないものと考えております。そのようなことから、ことし四月に開催されました東京都卸売市場審議会で、早急に豊洲地区を候補地として移転整備に向けた検討を進めるべきであるとの答申が出されたと考えております。
 この間、我が都議会自由民主党は、平成十年第四回定例会での代表質問におきまして、築地市場の再整備問題の行方を憂慮しまして、庁内に横断的な検討組織を設置すべきと提案したわけでございます。これを受けまして、平成十一年の二月、政策報道室の調整のもとで、中央卸売市場初め関係七局で築地市場整備問題検討会が組織されたわけです。全庁的問題として検討されましたけれども、このことが今日までの大きな成果に寄与したと思っております。
 さて、築地市場の移転先である豊洲地区開発との関係についてですけれども、これから開発が行われる豊洲地区は、現在、未開発のまま残された貴重な臨海地域でありまして、水辺の景観を生かすなど、将来性のある開発が可能な地区と考えております。築地市場が豊洲に移転することによりまして、規模においても、またその機能の点でも、今後の豊洲地区のまちづくりに大きく影響することとなると思いますけれども、市場を織り込んだ豊洲のまちづくりにつきまして、東京ガスだけでなく、豊洲地区のすべての地権者とよく話し合い、合意の上で今後の開発を進めていくことが重要ではないかと思いますが、そこでお伺いをいたします。
 豊洲の地権者との協議はどのように進めているのか、また、移転先の地元である江東区との調整についてはどうなっているか、お伺いいたします。

○小山参事 豊洲の地権者との協議等についてのお尋ねでございます。
 豊洲の地権者は、東京ガス以外に東京電力、鉄鋼埠頭の二企業のほか東京都港湾局があります。ご指摘のとおり、築地市場の豊洲移転については、今後、これら全地権者との合意を得て進めてまいります。このため、東京ガスとの基本合意が成立した後、豊洲地区の地権者とは、豊洲地区の開発に関する検討会を設け、市場移転を織り込んだ今後の豊洲地区のまちづくりについて、実務的な協議を重ねておるところでございます。
 また、地元の江東区には、本年八月七日に、築地市場の豊洲移転に係る協議の開始について申し入れを行うとともに、九月四日には、江東区議会清掃港湾・臨海部対策特別委員会において、これまでの経過を報告いたしました。その後の十月一日には、同委員会で築地市場及び大田市場をご視察いただくなど、市場の豊洲移転に向け、江東区との調整を鋭意進めているところでございます。

○中屋委員 ぜひ移転先の関係者とは十分協議をしていただきまして、今後の豊洲のまちづくりに、市場としても貢献していただきたいというふうに思っております。
 さて、現在、築地市場が位置する地元中央区の関係者の方々には、築地市場が豊洲に移転することについて、さまざまな声があると聞いております。
 そこで、移転元の中央区とはどのような調整を行っているのか、また、現在、場外市場の方々の意見はどのような意見が出ているのか、お伺いいたします。

○小山参事 中央区との調整等についてのお尋ねでございますが、東京ガスとの基本合意が成立した後、本年七月十二日に中央区に対して、改めて築地市場の豊洲移転について理解を求めるとともに、かねて中央区から出されておりました五項目の質問について回答いたしました。中央区には、今後も築地市場の豊洲移転について誠意を持って説明し、理解が得られるよう努力してまいります。
 また、いわゆる場外市場は、現在、三団体で構成されております。それらの団体では、築地市場の移転に対し、いまだ反対の意見もございますが、最近では、築地市場の移転を契機に、新たなまちづくりによる商店街運営を目指すとするなど、移転後に向けた積極的な意見も出ておりまして、築地市場の豊洲移転への理解は深まりつつあります。今後、地元関係者の方々からの意見もよく承りながら、関係機関や中央区と協議してまいります。

○中屋委員 地元の中央区の関係者には、築地市場の豊洲移転につきまして納得をいただけるように、中央卸売市場としても、今後十分意を用いていただきたいというふうに思っております。
 次に、築地市場の業界の動向についてお伺いさせていただきます。
 築地市場内部の業界にも、いまだに反対の声があると聞いておりますが、現在の業界団体の状況はいかがか、また、業界団体の意向は今後どのように酌み取っていくつもりなのか、お伺いいたします。

○小山参事 業界団体の状況等についてのお尋ねでございます。
 築地市場の業界団体には、水産物の卸売団体である東京都水産物卸売業者協会、同様に仲卸団体である東京魚市場卸協同組合、同買い出し人の団体でございます東京都中央卸売市場買出人団体連合会、売買参加者の団体でございます東京魚市場買参協同組合、青果物の団体でございます築地市場青果連合事業協会、関連事業者等の団体でございます築地市場関連事業者等協議会の六団体から構成されております。
 この業界団体の動向でございますが、平成十一年十一月に東京都と業界とで構成する築地市場再整備推進協議会で、移転整備へと方向転換すべきとの意見集約が行われました。また、最近では、この意見集約がなされた平成十一年の時点で移転に反対であった二団体のうちの一つである東京都中央卸売市場買出人団体連合会が賛成を表明するなど、移転についての理解がより深まってきております。今後とも、業界関係者とは築地市場再整備推進協議会など、さまざまな場を通じまして誠意を持って協議し、理解が得られるよう努力してまいります。

○中屋委員 市場移転にかかわる関係者は多岐にわたり、その合意形成には非常に難しい点があろうかと思いますけれども、十分今後とも協議をしていただいて、理解が得られるように努力していただきたいというふうに思います。
 次に、豊洲移転に関する環境面での質問をさせていただきたいと思います。
 日本一の取扱量を誇る築地市場を豊洲に移転することに関しましては、移転先の豊洲地区にとってもメリットもあると思います。一方、新市場の移転がもたらす環境面での影響などにも心配する向きがあろうかと思いますけれども、そこで、まず、移転候補地の豊洲の土壌汚染について伺います。
 豊洲の東京ガスの敷地には土壌汚染があるとのことですけれども、その内容や処理状況は現在どのようになっているか、お尋ねいたします。

○小山参事 土壌汚染についてのお尋ねでございます。
 本年一月に行われました東京ガスの発表によれば、東京ガスは昭和四十年代まで石炭を主原料として都市ガスを製造しておりました。その過程で、ベンゼンやシアン化合物が生成され、また、砒素を含む物質が使用されていたとしております。さらに、これらの汚染物質が土壌に浸透したものと推定されるとした上で、調査結果として、豊洲の工場跡地からは、ベンゼン、シアン、砒素、鉛、水銀、六価クロム、この六種類の化学物質が環境基準を超えて検出されたというふうにしております。
 このため、汚染の原因者である東京ガスは、汚染者負担の原則に基づきまして、土壌に含まれる物質ごとに適切な処理を行うとともに、汚染部を取り除いた場所には汚染されていない土で埋め戻し、健全な土壌を回復することとしております。東京ガスでは、既に本年二月から処理を開始しておりまして、区画整理事業の終了する平成十八年度中には処理を終える予定でございます。

○中屋委員 技術的なことはよくわかるんですが、東京ガスがみずから汚染処理をしているとのことなんですが、生鮮食料品を扱う卸売市場の用地としては問題ないのか、また、開設者である中央卸売市場として、みずから安全を確認しなくてもよいのか、お尋ねいたします。

○小山参事 東京ガスは、土壌汚染の処理を、都の環境局の指導を受け、進めております。東京都は、その処理が完了した後に土地を取得いたしますので、全く問題はないというふうに考えております。
 また、中央卸売市場といたしましても、用地取得の際には環境局と十分連携し、生鮮食料品を扱う卸売市場の用地として支障がないことを確認するなど、万全を期してまいります。

○中屋委員 豊洲におきましての、予定地においての土壌汚染の処理が適切に行われているということはよくわかりました。今後、用地を取得する際には、生鮮食料品を扱う市場として、安全性、そして市場としてさらに十分の確認をしていただきたいというふうに思います。
 次に、築地市場の豊洲移転がもたらす車両通行の影響について伺いたいと思います。
 移転先の豊洲の住民の中には、市場の豊洲移転について、主に車両通行などの環境面で心配する声もあると聞いておりますけれども、そのような心配が実際となっては困ります。そこで、今後、地元へはどのような説明をしていくおつもりなのか、お伺いいたします。

○小山参事 車両通行の影響等についてのお尋ねでございます。
 新市場へのアクセスといたしましては、環状二号線や晴海通りなどの幹線道路が計画されておりまして、都としてもその整備に全力を挙げております。市場移転にとっての十分な道路環境が整えられるものと考えております。
 また、「ゆりかもめ」の整備や公営バス路線の新設、新設予定のバースを活用した大型船舶輸送の増強等によりまして、市場から発生する車両交通を可能な限り削減していく予定でございます。
 さらに、大規模な駐車場の確保や敷地周辺の緑地帯の整備などによりまして、周辺環境への影響を軽減するなど、車両交通等に係る環境対策を十分に行ってまいります。
 なお、具体的な発生交通量やその通過経路等につきましては、今後、詳細な調査、検討を行っていく予定でございます。
 それらを含め、築地市場の豊洲移転計画の詳細につきましては、環境アセスメントに係る説明会等はもとより、事業の進ちょくに応じて地元の方々には十分な説明を行い、豊洲市場移転に理解を得られるよう努めてまいります。

○中屋委員 市場の豊洲移転で発生する車両交通量につきましては、今後、詳細を検討するとのことですけれども、築地市場での現在の発生車両の実態についてはどのように調査しているのか、お伺いいたします。

○小山参事 現在の築地市場での発生車両等の実態等についてでございますが、築地市場における入場車両の実態につきましては、三年ないし四年ごとに調査を行っておりまして、平成十年に行った調査によりますと、現在の築地市場には一日約一万七千台の車両が入場しており、そのうち五トン車以上の大型車は約一千台余りでございます。
 また、それら入場車両の出発地を見てみますと、東京都内からが約二七%ございました。また、都外からが残り七三%というふうになっております。そして、その都外七三%の内訳は、千葉県の一九%、茨城県の八%、神奈川県の七%、埼玉県の六%、その他の県が三三%というふうになっております。それらは日本全国二十六道府県から参っております。これらの資料等を基礎データとしながら、豊洲新市場での発生車両を予測した上で、その対応策を検討し、地元の方々に十分説明してまいりたいというふうに考えております。

○中屋委員 豊洲地区の住民にとりまして、市場の豊洲移転で発生する車両の交通の問題、公害の問題もそうですが、大変重大な関心事であるというふうに思います。今後、環境問題に十分に配慮していただいて、地元の方々とも十分な説明をしていただいて、住民の心配を取り除いていただく、そういう努力をしていただきたいというふうに思います。
 最後に、豊洲新市場の計画方針についてお伺いさせていただきたいと思います。
 築地市場は、水産物の取扱量が全国で一位、農産物が全国第三位を誇る日本一の卸売市場であります。この築地市場を移転するということはまさに大事業であると思いますけれども、豊洲の新市場ではどのような市場づくりを目指していくのか、新たな市場にかける市場長の抱負をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 中屋委員がおっしゃったとおり、世紀の大事業ということで強く認識してございます。
 いうまでもなく、築地市場は、一千二百万都民、あるいは三千三百万人ともいわれております首都圏の基幹市場であり、台所でございます。この築地市場を二十一世紀の生鮮食料品の中核、フランチャイズとしていく市場に再生するというためには、現在地での整備は不可能であると私は強く認識しておりますし、移転による抜本的整備が必要であるというふうに考えております。
 移転か現在地か、これまで多くの議論がなされてきたわけでございます。私自身、経過は十分承知しておるつもりでございます。この間に、移転整備という方向で、大きな動輪が動き出したということ自体、私自身も幾つか頭の中で整理しますと、一つは、ただいま中屋委員がおっしゃいましたように、庁内的に、当中央卸売市場だけではこの世紀の大事業はなかなか困難でございます。したがいまして、関係五局が集まりまして、推進体制の確立を図ったということが、私はかなりの大きなインパクトになったのではないかと思います。
 加えまして、業界との関係、これは平成十一年の十一月に、築地市場再整備推進協議会で移転整備へ方向転換すべきというような意見集約がなされたわけでございますし、さらには、本年の第一回定例会での知事の発言、あるいは本年の四月の審議会での答申、あるいは先ほどご報告申し上げました本年七月の東京ガスの基本合意の調印であるというふうに認識してございます。
 現在、市場を取り巻く環境が大きく変容してございます。市場法も、それに伴って大きく、規制緩和もありまして、枠が変わっております。そのような意味で、市場システムそのものが変容してまいるというふうに認識してございます。新しくできます新市場も、これに伴いまして、市場システム、市場そのものも変容しなければならない。単なる築地から豊洲への場所のシフト論であってはならないというふうに強く認識しておるわけでございます。
 現在、関係機関と一緒に、いろいろなコンセプトの固めをやっております。そういう中で、将来の流通変化に的確に対応できる機能的な市場づくりを目指す、あるいは千客万来の市場を目指す、にぎわいを創出し、地域のまちづくりに貢献することができる市場を目指す、それから環境、特に今ご質問にもございましたように、交通問題にも十分配慮した、今までにない新しい市場を目指すということで進めてまいりたいと思います。
 今後、多くの関係者のご理解、ご協力を得まして豊洲移転を進めてまいりたいというふうに考えております。移転先であります江東区、現在の地元であります中央区、場外業者の方々、関係のセクション、中央区役所、江東区役所に十分ご説明しまして進めてまいりたいと思います。微力ではございますが、最大限の努力をしてまいる覚悟でございます。

○森田委員 狂牛病について、幾つか質問をさせていただきます。
 十二日、金曜日の日、午前中に、東京のと場で狂牛病の疑いが大変強い牛が見つかったというような情報が入りまして、私も愕然といたしました。いよいよ東京でも狂牛病が発生したのかなということで、私たち公明党は、その日のうちに副知事に対して狂牛病対策の申し入れをいたしました。それは、都民の健康を守っていかなくてはいけない、安全性を守らなくちゃいけない、不安を取り除かなくちゃいけない、そういうような観点から、副知事に対して申し入れをいたしました。
 今、東京都は、中央市場を初め衛生局、産業労働局、三局がこの狂牛病対策の会議を持っているようですけれども、ぜひ都民の健康、そして不安を取り除くためにしっかりと取り組んでいただきたい、このことを最初に要望いたします。
 そして、まだ都民の間には狂牛病に対する不安、不信が大変に高いわけですけれども、東京都は、牛肉を食べても大丈夫だというような安全宣言をする考えがあるのか。安全宣言をするとしたら、いつごろ、どういう条件が整ったら安全宣言をされるのか、この辺をまずお伺いいたします。

○石川計画担当部長 東京におきます東京食肉市場からの食肉の流通に関する安全宣言のご質問でございますけれども、私ども、十八日から全国一斉のスクリーニング検査という、全頭の狂牛病に対する検査を実施するということで、現在、そのための体制づくりに万全を期しているところでございます。
 私ども、これまでもできる限りの手だてということで、先ほども市場長の話にもございましたように、肉骨粉の非使用証明書とか、と畜牛育成履歴申告書等々、でき得る限りのことで対応してまいりましたけれども、十八日以降は、今申し上げたような全頭の検査体制が確立いたしますので、それでもって、疑いのあるものについては一切食肉市場から出さないという体制がつくられると、このように考えてございます。
 それらを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、検査済みの表示をする等々、新しい検査体制のもとでの食肉流通について対応を考えてまいりたい、このように考えております。

○森田委員 今伺っていると、十八日から安全宣言ということでよろしいわけですね。新聞報道では、全国的に厚生省が十八日から全頭の検査を行うという報道がされていますけれども、このときからが安全宣言というふうに考えていいわけですか。

○石川計画担当部長 ただいま申し上げましたように、十八日以降は、全部の牛につきまして、国が定めております新しい検査体制の中で検査をいたします。したがいまして、そこでは一切そういう危険性のある牛は外に出ないという形になりますので、十八日以降、食肉市場から一般の市場に流れます牛は狂牛病の疑いのないもの、そういう意味では安全なものというふうに考えていただいて結構かと思います。

○森田委員 今回の一連の狂牛病問題では、今回のと場の問題以前から、特に農水省、国の対応は非常にまずい。農水大臣も自分でいってましたけど、私が狂牛病のことを話すたびに国民に不信感がわいてくるというようなことをいっておりましたけれども、確かに国の対応が悪いんではないかなというふうに思います。
 そこで伺うんですが、(チラシを示す)このチラシはご存じですよね。これは、どこでつくって、どこに配られて、いつごろから配られていますか。

○石川計画担当部長 今ご提示いただきましたチラシにつきましては、最近になりまして関係のところに配られていることは承知しております。正確にいつから配られたのか、ちょっと確認しておりませんので、答弁をご猶予いただければと思います。

○森田委員 都がしっかりしてもらわなくちゃいけないんですよ。

○石川計画担当部長 失礼しました。チラシの発行元は、厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課及び農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課の編集、協力ということで出されているチラシでございます。

○森田委員 いつかはっきりわからないにしても、今回のと場の問題が出る十二日以前か、以後かだけお伺いします。

○石川計画担当部長 このチラシが配られたのは十二日以前だというふうに承知しております。

○森田委員 以前ですよね。私も十二日以前に手に入りました。ところが、ここには、国産牛肉は安心して食べられます、こういうふうに出ているわけです。しかし、先ほどの話だと、十八日以降しか検査を行わない。そうすると、これはおかしい。もっとおかしいのは、ここに、徹底的に検査が行われていますということで、もう検査が行われていることになっている。こういうことが書かれているチラシが、どこにまかれているかわかりませんけれども、消費者のところにまかれているんではないか。これは国は本当におかしいと思いませんか。

○石川計画担当部長 ただいま委員ご指摘のように、検査体制が確立する前に、徹底的な検査がされている、あるいは安全だというふうなことでチラシを配られておるということにつきましては、現在、十八日の検査に向けて全国的に取り組まれている、そのさなかでこういうふうなものが出ますのは、いささか私どもとしては少し先走りかなという感じは持っているところでございます。

○森田委員 僕は市場のことをいってるんじゃなくて、国の姿勢で、国に対しては、東京都でいうと衛生局も産業労働局も関係している会議をつくっているんで、市場だけでこれをどうのこうのいうことはいいにくいかもしれませんけれども、国のこういう姿勢が、今回の混乱のもとになっているんではないかというふうに思いませんか。

○石川計画担当部長 委員ご指摘のように、国におきましては、厚生省、あるいは農林水産省、その辺の連携も含めまして、新聞等でも報じられておりますし、委員ご指摘のように対応が後手後手になった、あるいは連携がまずいということでの混乱を引き起こしているんではなかろうかと思っております。
 私ども東京都におきましては、先ほど申し上げましたように、衛生局、産業労働局、中央市場、三局連携のもとで防疫推進体制をとりまして、万全を期すつもりでこれまで取り組んできたところでございます。

○森田委員 国と都の関係というのは非常に微妙なものがあるので、いいにくい部分もあるかもしれませんけれども、やっぱり国がしっかりしないと、都民も含めた国民の安心感というのは得られないんではないかなということで、市場関係の方も、国の対応の仕方についてはしっかりと意見をいっていただきたいし、改善すべき点は改善するように、都としても申し入れるべきであるというふうに思います。
 もう一つ、ここには、国産牛肉は安心して食べられますと出ているんですよ。輸入肉はだめだということですかね。

○石川計画担当部長 輸入肉が安全かというご質問でございますけれども、私ども中央市場の立場といたしまして、輸入肉が安全であるとか、安全でないとかいう発言をするのは、いささかしにくいわけでございますけれども、国におきまして、輸入品につきましては、そういった一定の取り扱いの基準なり防疫体制のもとでやられていることで、そのように話をしているんではなかろうかと思います。

○森田委員 市場に輸入肉のことまで聞くのはちょっと違うと思いますけども、都民は、安心で安全な肉を食べたいという思いでいますので、ぜひ、と場の皆さんもこの思いに取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 もう一つ、肉骨粉という、牛肉を解体したときに粉にしてやる、この処置が今大変に困っている。私どもも、業界の皆さんにお話を聞いてみると、本当に対応に困窮をしているということで、先日、この皆さん方も副知事に申し入れをさせていただきました。
 これは何かというと、今までは一トン四万から五万円で販売できていた。ところが、今は販売どころか、処理することができなくなっちゃっている。しかも、新聞紙上にも随分出ていますけれども、焼却場でもこれを扱ってくれないというようなことが出てきて、大変に困窮している。今、私まだ残念ながら見ていないんですけども、肉骨粉をつくっている業者のところは、これが山積みになっちゃって、そこに野良猫やネズミが走り回っているという話を聞きました。
 市場とはちょっと違うんですけれども、同じグループで、衛生局、あるいは産業労働局、環境局も絡むかもしれません。こういうところで、同じ東京都の中ですので、ぜひこの辺の対応についてご検討をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○石川計画担当部長 肉骨粉の処理についてのお尋ねでございますが、今ご指摘のように、従来有価物であったものが、現在は肉骨粉として、いわゆる廃棄物となるというような形でございまして、そういう意味では、その廃棄物がきちんと処理されなければ、食肉の流通も円滑にいかないということでございますので、私どもも、先ほどの三局防疫推進会議の中に環境局も入っていただきまして、そういった廃棄物の処理につきましては万全を期してまいりたいと考えてございます。

○森田委員 それから、これはまた別の業者さんですけれども、要するに、十七日までに市場に入った肉、これは保存されてるんですよね。きょう、競りが行われていましたけれども、今まで狂牛病らしきものが、疑いが出たときから保存されていた肉というのをどうこれから扱っていくのか、これが市場の中で仕事をしている方たち、業者にとっては非常に大変な問題であるということを伺いました。
 それなので、今蓄えられている、多分冷凍されているであろう肉、これは狂牛病はシロとなったわけですけれども、この肉について今後どういうふうにしていくんでしょうか。

○石川計画担当部長 通常、肉の販売につきましては、と畜した翌日の競りにかけて、一般の消費者のルートに乗せるという形になってございます。今回の事件に伴いまして、回収を私どもの方で指示させていただきまして、枝肉につきましては九〇%を超えるものが市場の方に回収されまして、所在がはっきりしておるものまで含めますと、全頭について把握をしているところでございます。
 それで、十日に処理したものにつきましては、先ほどのシロの判定を踏まえました都の決定を受けまして、関係業界と協議の上、従前の売買された方のところに流通に戻すという形をとってございます。
 それから、十二日にと畜を予定しておりまして、この問題が発生したために市場の中にそのまま冷蔵庫で保管しておりました肉につきましては、冒頭の報告で申し上げましたように、先ほどと同じように、今回の決定を踏まえまして、関係業界と協議の上、本日午前中、競りをさせていただきました。

○森田委員 もう一度確認しますけれども、今冷蔵庫に入っているものは、今後も競りにかけて市場に流すということでよろしいんですね。

○石川計画担当部長 今、委員ご指摘のとおり、今回のシロという判定を受けましたので、関係業界と協議の上、市場に流すということでございます。

○森田委員 もう一つ、都と国の考え方がちょっと違うんじゃないかなと思われてるのが、検査結果の発表の仕方なんですけども、狂牛病の検査というのは、専門ではないのでよくわかりませんけれども、第一回目の今回の狂牛病の疑いが濃いといわれたようなスクリーニング検査、これでいうと、結構クエスチョンマークの牛がみつかりやすい。この段階で今回は東京都が、厚生省というか検査所からの通報で発表したわけです。で、大きな話題になったわけですけれども、今回こうなってくると、厚生省はこの段階で発表するといい出したわけです。
 しかし、東京都は、どっちかというと、もう一回、第二次検査というか、確認検査をして、クロと判定が出た段階で発表したいというような意向のようなんですが、この辺の考え方、また、東京都は今後どういうふうに考えていくんでしょうか。

○石川計画担当部長 今、委員が申されましたように、現在、国におきましての公表の仕方については、いろいろと、従来の方針が変わったような動きもあるやに承知しております。これらにつきましては、現在、国におきまして結果が出た場合の公表の仕方も含めまして検討されているというふうに聞いております。
 私ども中央市場としましては、できるだけ早く公表すべきだというふうに考えております。東京都としましては、国の現在検討しています検討結果を踏まえまして、所管であります衛生局におきまして適切に公表されるものというふうに考えてございます。

○森田委員 ちょっとよくわからないんだけど、東京都は、第二次検査の結果、クロと出た場合に発表した方がいいのか、あるいは第一次検査で、今回のように、狂牛病ではないけど、そういう疑いがあった場合には発表した方がいいか、その辺はどう考えているんですか。

○石川計画担当部長 結果の発表につきましては、まず最初にスクリーニング検査でやりますエライザ法という、これは感度の高い検査法ということで、正常なものでも何%かの割合で陽性反応を示すというような、そういう意味でかなり感度の高い方法ということでございます。これは、最初の段階で、できるだけ危険なものは、あるいは危険と思われるといいますか、疑われるものについてはとりあえず拾い出そうという、そんな手法の検査方法というふうに承知しています。
 ここで結果が出たものにつきましては、別なウエスタンブロット法という、これはもう少し誤差のないといいますか、きちんとした、異常プリオンというものをきちんと振り分けるような検査法だというふうに聞いておりますけれども、その結果によって最終的な判定を下すということでございます。
 それにつきまして、現在、東京都としましては、基本的に、できるだけ早く知らすべきかなというふうに私ども中央市場としては考えてございますけれども、国の方で、現在、その辺の取り扱いについて少し動きがございますので、その結果がきょうあたり知らされるというふうに私ども承知しております。それを踏まえて対応したいと思いますが、その辺は、最終的なウエスタンブロット法の結果が出るまで出さないのか、それともエライザ法の段階で疑いがあれば、もうその段階で出すのかということでございますけれども、私どもとしては、できるだけ早く公表する方が望ましいのではないかなと考えております。

○森田委員 国との関係があるから、なかなかいいにくいんでしょうけど、市場長、東京は大消費地です。都民の健康を守る、安全を守るのは、最後は、牛肉に関していうと、東京都内で流通している牛肉の三割から四割がと場から出ているということですので、この市場の役割というのは非常に大きいし、ぜひ都民の安全を考えてやっていただきたい。
 このチラシをまた取り上げます。これを見ても、国に対する信頼感というのは、都民の中でも非常に薄くなっている。ここはやっぱり東京都がしっかりと取り組んで、東京都が都民の健康、安全を守るという思いでしっかりと取り組んでいただきたい。私たち消費者は、牛肉は食べないんじゃなくて、本当は食べたいわけです。したがって、本当に安全なんだということを、市場長、そういう思いで、こういう形で安全だからしっかりやっていきますという決意を表明していただきたいというふうに思います。

○碇山中央卸売市場長 先月の十日にこの事件が発生して以来、私どもは可能な限り、都の独自の対策を進めてきたわけでございます。先ほどの冒頭の説明、担当部長からの説明と重複になりますけれども、申告書提出の義務づけを行う、あるいは肉骨粉を使ってないという証明書をとる、危険部位を除去するということで、可能な限りの対策を、それも三局を中心として、縦割り行政になることなく努めてきたつもりでございます。
 ただ、基本的には、いわゆる狂牛病についての分水嶺は、私は個人的にはこう思っておりますが、個々一頭一頭の全頭検査がありまして、そこでマルかバツかを決めるということでございます。ただいま森田理事からお話ございましたけれども、どの段階で出すかというのは、国との関係も若干ごちゃごちゃした問題がございますけれども、基本的には、私は第一段階で出すべきかなというふうには思います。これは国との関係で整理をさせていただきたいと思いますが、少なくとも、第一段階のエライザ法で出さなくて、最終の段階で出すということになっても、私どもは、先ほど私も申し上げましたけれども、食肉市場は都民に対する供給の最後のとりででございます。したがいまして、仮に第二段階で出すということになっても、その間は一切第一段階のものはとめ置いて、食肉市場の門を一歩たりとも出さないという考え方でございます。
 この一カ月間、私も微力ながら東奔西走してまいったんですが、やはり思い出しましたのは、二年前のちょうど九月でございました。東海村の放射能漏れがあったわけでございます。最初は、あれっというような感じで、それほどでないかなと思いましたけれども、臨界事故ということで、半径十キロに及ぶというようなものが起きたわけでございます。私どもはそのときにどういうふうにしたかということですが、私も当時は当中央市場の部長でおりましたけれども、確かに野菜、果物に罪はないんですが、汚染の有無にかかわらず、半径十キロの野菜については入場禁止、要するに、私どもの十一の中央市場に入れないと。仮に入ったものは上場禁止をかけたということが、若干、走馬灯のごとく横切ったわけでございます。
 ただ、それ以上に今回の狂牛病の関係につきましては、時間的な経過、いろいろな潜伏期間等の問題がありまして、それよりも大きな大きな問題にあるわけでございます。そういう意味で、危機管理というようなことで対応してまいるというのが何よりも肝要かというふうに心得ております。したがいまして、この危機管理をとることが、行き過ぎた風評被害を防止するというようなことになるのかなというふうに思っております。そのような意味で、今後とも、都独自にさらに上乗せでできることはやってまいります。
 そのような観点から、私ども中央卸売市場、それから若干川上の関連になりますけれども、衛生局、あるいは家畜全般を担当しております産業労働局と連携をとりまして、とりあえず十八日からの全頭検査、スクリーニング検査の実施に向けて万全な体制で取り組むというふうに考えております。それらを踏まえまして、食肉の安全な流通の確保、それから過度の風評被害の防止、これについて都庁関係局で万全を期してまいりたいと考えてございます。

○橋本委員 局長の今のご決意で、やらなくていいんですが、肉が大好きで、十月十二日から食べ続けている私にとって、十月十八日からさらに安心して毎日肉が食えるようになりたいと思っておりまして、きょうの8チャンの朝のテレビでやっておりました、既に検査の方法や内容も民間のテレビで情報を提供しているぐらいでありますから、もう一度私なりに、これで安全だというふうに確認をしたいというふうに思っているんですが、現在、芝浦の食肉市場でと畜する牛は、一日三百七十頭というふうに認識をいたしておりますが、その三百七十頭の牛をと畜して検査をするのが、十月十八日から、国の検査方法に基づいてやられるわけです。それが第一次検査といっていいでありましょうけれども、そこでグレーゾーンが出た場合には、と畜した三百七十頭の牛は一斉に保管すると。市場から出さない。そして、さらに第二次の精密検査を行って、大丈夫であるというところから市場に出すと。だから、東京に出ていった肉は安全なんだという宣言になるんではないかというふうに思っております。
 もし精密検査でさらにグレーゾーンであるということになれば、一切もう焼却をすると。その日と畜した三百七十頭は焼却をする、だから安全なんだというふうにならないといけないんではないかというふうに思っております。それが私の認識なんですが、既にそれは、けさの民放でもその流れをいっていて、十日に第一のグレーゾーンのをそのまま市場に流しちゃったんで、ストップをかけるのに大変市場の方の職員が苦労されたんだというふうに報道されているぐらいであります。ですから、結論的には、厚生省の検査が一日おくれたために、東京都の食肉市場の肉が混乱に陥ったというふうに報道されております。
 私のいった、安全であるという方法が正しいということになれば、市場長みずから記者会見をして、十月十八日以降、こういう形で東京の食肉市場から出ていった肉は安全でありますという宣言をするぐらいの決意がないと、私は都民は安心しないんではないかというふうに思っておる一人であります。これに対する再度の決意、見解をお聞かせいただきたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 今回の、先週末でございますけれども、第一次のスクリーニング検査で、いわゆるグレーというか、BSEを疑う牛が出たということで、私ども関係局で対応して記者会見をやったと。それから、一日ちょっとの間に、さらにそれが新しい別の検査方法、ウエスタン法によりましてシロになったということで記者会見をやったということです。
 先ほども森田理事のご質問にご答弁いたしましたけれども、十八日から始まる個々一頭一頭ごとの検査でシロが出たものは流しますと。それから、クロが出る、あるいはグレーが出たものについてはとめ置きますと。そういうことをきっちりPRするということが必要なのかなというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、今、橋本委員がおっしゃったような、危機管理という体制で万全を期していきたいというふうに考えてございます。

○丸茂委員 私の方からも狂牛病対策について、何点か伺いたいと思います。
 十月十日に芝浦と場でと畜解体された食肉牛から狂牛病の疑いが持たれた牛が発見され、九月の千葉県での狂牛病感染牛の発見に続き、都民に大きな衝撃を与えました。確定診断によって、該当の牛は陰性であるということが判明しましたけれども、本格的検査実施に向けての実習の中で発見されたものとはいえ、直ちに東京都へ連絡が行われなかった。このために、一部の肉が市場に回り、その後、回収が行われておりますけれども、この間の国のずさんな対応とあわせ、都民に不信を増大させる、そういう結果になったというふうに思います。さらに、牛肉を扱う食肉店や焼肉店など、売り上げが激減する。ところによっては廃業の瀬戸際に追い込まれる、こういう業者も生まれるなど、対応のおくれに大きな怒りの声が寄せられております。
 政府の緊急対策に基づきまして、先ほどからお話のあるとおり、十八日から全頭検査が実施されることになりますけれども、主たる責任はやっぱり国にあると思いますけれども、都としても、都民の要望に沿って、きちんとした対応が求められるという点で、幾つかお伺いしたいと思います。
 そこで、まず、今回の問題で、食肉関係業界に深刻な影響を及ぼしている中で、内臓仲買業者ですね、ここは十日、十一日に解体され、すぐに売れた分を除いては回収という形で指示がされました。それで、廃棄もされたという状況のもとで、こうした扱いのもとで具体的な損失が生まれているわけです。この損失の補償はどこが責任を持つのか、また、貸し付けや融資に加えて、営業の補償など損失補償を求める声も市場に寄せられていると思いますが、国に対する救済制度も含めてどう対応するのか、これは食肉関係業者から強い要望として幾つも聞いておりますので、お伺いいたします。

○石川計画担当部長 今回の問題に端を発しまして、食肉関係業界にさまざまな影響が出ていることは承知しております。特に、内臓業界の影響でございますけれども、これに伴う損害等については、実態を把握させていただきまして、十分検討の上、必要があれば、今回の問題の、もともとの大きな責任を担っている国にも要望してまいりたいと思います。

○丸茂委員 ぜひ国にきちんと要望していただきたい。
 それで、私どもも早速、都内三十軒以上、こういう関係の業者の聞き取りも行いました。そういう調査をやってみましたら、東京都食肉事業協同組合の方でも調査がやられておりまして、九月段階、売り上げ二〇ないし三〇%減が、それ以降、八〇%、九〇%、そういう売り上げの落ち込み、私自身も地元の焼き肉店等も訪問して、いろいろお話も聞きましたが、大変な状況にあるということがうかがわれました。そういう点で、きちんとした対応をぜひ求めていただきたいというふうに思います。
 次に、衛生局との関連もありますけれども、十八日から全頭検査が行われます。と畜検査員、今四十三名ほどいるようですけれども、検査体制、それから施設設備の対応、これが十分対応できるのか、万全な体制なのか、また、国に対する具体的な要望はあるのかどうか、この辺もお伺いしておきたいと思います。

○石川計画担当部長 十八日からの全頭検査に向けた体制づくりのことでございますけれども、現在、食肉衛生検査所とも連携をとりながら、全頭検査に向けまして万全の体制を整えるべく準備を進めているところでございます。
 施設設備の改善や、あるいは陽性牛の焼却の方法等につきましては、引き続き国にも要望してまいりたいと思います。

○丸茂委員 これからずっとスクリーニング検査等をやられていくわけで、十分な対応ができる、また正確な判定、安全な食肉が都民に提供されるという立場で対応していただきたい。
 先ほども議論になったんですけれども、消費者の都民に対しても、やはり正確な情報提供が迅速に行われる、こういうことが極めて大事だと思います。そのほかに、先ほど、育成履歴証明書、こういう都独自の証明によって、都民に安全な食肉だという証明と、またそれを証明する証書も張るというようなお話もあったんですけれども、これまで欧州等で狂牛病が発生した場合に、欧州連合では、各牛の生産から飼育、と畜、それから流通にまでかかわって全記録が把握できると。それによってきちんと、この食肉は安全ですよというパスポートシステムという制度をつくって対応しているという状況にあるわけですけれども、これらの都民が安心して食せる、そうした牛肉の管理、その点でお考えをお伺いしておきたいと思います。

○石川計画担当部長 生産から販売までの流通経路の正確な把握というのは、こういう問題が出ますと、特に重要かなというふうに考えております。より正確な情報を迅速に把握するという意味では、先ほど申し上げた、と畜牛育成履歴申告書の公証力を持たせるような方法も含めまして、引き続き検討させていただきたいと思います。

○丸茂委員 ぜひこれは東京都が、特に首都東京の、あるいは首都圏を含めて重要な市場としての役割があるわけですから、その点では東京都が積極的に取り組むという姿勢で臨んでいただきたい。
 次に、狂牛病防止のためには、狂牛病の感染ルート、これが母子感染を除けば肉骨粉に大きな原因があるということが既に明らかになっております。WHOの定める、反すう動物の飼料への反すう動物の組織の使用を禁止すると、こういう世界的には決まりになっているわけで、この点での徹底した管理、規制が必要だと思います。
 また、脳や脊髄などの危険部位を流通させないための焼却措置、さらには脊髄液の肉への飛散を防止する、背割り解体への検討も必要だと、こういう指摘もあるわけですけれども、そこで、背割り解体作業について、今、解体前に脊髄を吸引するという方法で万全を期すというふうに聞いているんですが、今後の検査結果、これから続いていくわけですけれども、解体そのものの検討が迫られるという場合も予測されるわけですね。その点で、安全な解体のあり方、この点ではどういう検討がされているのか、その点お伺いをしておきます。

○石川計画担当部長 と畜の具体的な解体方法等につきましては、国の方からそれぞれの工程がきちんと決められておりまして、現在の背割りもそのような定めの中でやられているわけでございます。解体法の改善については、国の研究班で研究をしているというふうに承知しておりまして、都としても、解体機器メーカー等を通じまして情報に努めているところでございます。より安全な解体方法について、国の研究班の報告等も待って、十分対応してまいりたいと思います。

○丸茂委員 私は、徹底した管理、それが極めて大事だと。したがって、疑いがあって、そういうものがあれば、それを出さない、焼却もする、そういうあらゆる形での対策というものが求められるというふうに思います。それがまた消費者である都民に安全な食肉を提供する、そういうことにもつながると思います。
 今後、財政的ないろんな裏づけも含めて、国に対し万全な取り組みと、東京都としても、狂牛病の疑い、あるいは汚染牛の発見という、こうした事態の中で、都民に安心して食肉を提供できる、そういう立場で一段の取り組みを求めて、質問を終わりたいと思います。

○藤井委員 私は、築地市場の整備について、何点かお伺いしたいと思います。先ほど中屋委員からも出ておりますので、ダブらない形で質問したいと思います。
 いうまでもなく築地市場は、東京を中心とした首都圏約三千三百万人の方たちに対して、新鮮で、そしてまた安全な生鮮食料品を供給するという、大変重要な使命を担っているわけでございます。また、この築地市場、これを東京の基幹市場として再生するためには移転が不可欠であるということで、現在、東京ガスとの協議を整えるということで、移転に向けて努力をされている市場関係の皆さんに敬意を表したいと思っているわけです。
 一方、この築地市場、昭和十年の開場というふうに聞いておりますので、六十五年の歴史があります。そういった意味では、非常に老朽化等々、いろいろな問題があるわけでございまして、移転の方向にいろいろと努力されているとは思いますけれども、それでは、現在の築地市場を現状のままで放置していていいのかというような問題も出てくるわけでございます。
 そういった意味で、まず第一点目にお伺いしたいのは、現在、東京都は、平成十三年度中に新たな卸売市場整備計画というのを策定するというふうに聞いております。その整備計画には、ぜひとも築地市場の機能を維持するための整備を盛り込んでいくべきであるというふうに考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○小山参事 先生ご指摘のとおり、現在の築地市場には、老朽化等に伴うさまざまな問題があることはそのとおりでございます。私どもは、そういった点をとらえまして、築地市場を豊洲に移転するべきだというふうに考えております。その豊洲に移転するまでの間、現在の築地市場の機能を維持し、老朽化を防いでいく、こういった活動は大変重要なものというふうに考えております。
 また、先生ご指摘のとおり、現在、今年度を初年度といたします第七次卸売市場整備計画の策定中でございます。この卸売市場整備計画は、先に行われます審議会答申、本年の場合には四月に審議会答申をいただきましたが、その審議会答申を踏まえて整備計画をつくることとなっております。
 その審議会答申の中では、築地市場は、現在地では、情報化、物流の効率化、衛生、環境対策の強化を実現し、将来の流通構造の変化にも対応していくことは困難であり、早急に豊洲地区を候補地として移転整備に向けた検討を進めるべきであるというふうに記載をいたしました。その上で、移転するまでの間、現在地の市場の機能を維持し、流通の変化に対応するための整備が必要であるというふうにしております。整備計画の策定に当たりましては、この四月の卸売市場審議会の答申をいただいたものを踏まえることというふうにしております。

○藤井委員 今、答弁の中で、要は、審議会答申を踏まえて、現在の築地市場についても整備を進めていくというふうに理解をしております。
 それでは、具体的にどういうふうに整備をしていこうとするのか、この点についてお伺いいたします。

○小山参事 東京都といたしましては、先ほどご説明いたしました審議会答申を踏まえまして、都と市場業界の協議機関である築地市場再整備推進協議会の場で、既に、移転するまでの間、現市場の機能を維持するための築地市場暫定整備案を提案いたしております。その内容は、大きく次の三点でございます。
 一点目は、再整備工事用地の開放や卸売場の再配置等によりまして、駐車場及び場内交通動線の確保と物流の効率化を進めるための整備でございます。二点目は、生鮮食料品の鮮度保持、商品管理の向上のための低温卸売場の整備でございます。三点目に、老朽化した施設設備の保全と機能維持でございます。現在、この暫定整備案の実施に向けて業界調整に努めておるところでございます。

○藤井委員 ぜひとも現在の築地市場の機能維持に取り組んでいただきたいというふうに要望したいと思います。
 次に、豊洲移転についてお伺いしたいんですけれども、先ほどの答弁では、江東区との間で協議が開始されたということで、参事も先日江東区に行って説明をされてきたというふうに聞いておりますが、豊洲への市場移転について、大変着実に前進をしているというふうな報告でございました。
 そこで、江東区との協議が調って初めて移転は推進できるわけですけれども、その前には、さまざまな業界、あるいは日本で最大の市場となるこれをつくっていくということについては、大変時間がかかるというふうに思います。後ほど市場長にもお聞きしたいと思いますけれども、移転するまでにまだまだ期間があるとはいえ、取りまとめに難航が予想されます新しい市場づくりに対して、今後どのように進めていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。

○小山参事 先生ご指摘のとおり、新市場の検討にはある程度時間が必要というふうに考えております。生鮮食料品の生産、流通、消費の構造は、現在、大きな変化の過程にあるというふうに考えております。しかも、新しくつくります市場は、その現在の変化を、さらにその先を見据えて建設をしていく必要があるというふうに考えております。その意味での検討は、多角的かつ精力的に行っていく必要があるというふうに考えております。
 そのために、江東区との協議と並行いたしまして、豊洲に新市場を建設することを目指して、先月、新市場基本コンセプト懇談会を設置いたしました。この懇談会は、学識経験者と市場業者の若手の方々で構成いたしまして、生産、流通、消費の構造変化の実態と将来の見通しなど、市場づくりの基本となる事項について自由闊達にご議論いただくことを目的としております。都といたしましては、この懇談会を第一歩に、今後約二年半をかけまして、段階的に新市場の骨格を明らかにしていきたいというふうに考えております。

○藤井委員 先ほど申しましたように、新市場に移転するには、地元江東区の方の理解、協力がぜひとも重要だと思いますけれども、地元住民の方々にとっては、先ほど中屋委員からもありましたように、豊洲の方にもし移転したとしますと、買い出しのための多数の車が集中する。それに伴って環境の負荷、環境の問題等が地元の大きな課題になるんじゃないかと思うわけですけれども、そういった意味で、そういうマイナス面、いわゆる新市場になったときのマイナス面を、ただ軽減するという姿勢ではなくて、逆に、この市場が来れば、多くの都民の食生活を支えます重要な場所であり、そしてまた多数の出荷者や買い出し人や見学者でにぎわう、いわゆる活気や活力にあふれた場所になることも期待をされているわけですけれども、そういった意味での市場のプラス面というか、メリットといいますか、そういったことをアピールしていく必要があるんじゃないかと思うわけですね。
 そういった意味で、この地域に対しまして、市場移転のメリット、これについてはどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。

○小山参事 築地市場には、現在、一日に約五万人の人々が出入りをしております。年間六千億円を超える取引が行われる、旺盛な経済活動の場となっております。地域のにぎわいや経済活力の源になることができる、そういったメリットを持っておるというふうに考えております。
 また、観光資源、それから子どもたちの見学の場、こういったようなものとしても貴重な存在でございまして、国の内外を問わず、大勢の人々を引きつける魅力にあふれた場所でもあるというふうに考えております。市場が持つ新鮮で豊富な食の宝庫のイメージ、こういったものは、地域の飲食業や小売業のステータスを高め、また、さまざまな食関連産業を集積するということが期待できるものというふうに思っております。
 そのような意味から、市場を抱える多くの地域では、市場は地域のシンボルとなっているということがございます。豊洲におきましても、臨海部の他の地域とは異なる、食をテーマとしたユニークな活気とにぎわいを創造し得るエリアが形成できるものというふうに考えております。
 以上のような市場が持つプラスの面について十分にご説明し、江東区及び地元住民の方々の築地市場の移転へのご理解と協力を求めてまいる、このように考えております。

○藤井委員 最後に、最初に質問させていただきました築地市場の移転について、どのぐらい移転までに期間がかかるのか、まだはっきり私も聞いておりませんけれども、十年ぐらいかかるんじゃないかということもいわれております。そうしますと、十年間、現在の築地の方で運営されるわけですから、この十年間の間の整備の内容について、スケジュールを組むなどの対策も必要じゃないかというふうに思います。どういうふうに整備をするのかによっていろいろと変わってきますけれども、財政面でどのぐらい費用がかかるのか、そして移転までに約何年ぐらいかかるのか、この辺、明確ではなくてもいいですから、市場長の決意も踏まえて、ぜひご答弁いただきたいと思います。

○小山参事 まず最初に、現在の築地市場における暫定整備と移転までの間の整備の計画及び経費等でございますけれども、順次、中でローテーションのような形で工事をしてまいるというふうに考えておりますけれども、全体で三年間かけまして、全体の経費としては三十億ほどをかけたいというふうに思っております。
 それから、全体の経費でございますけれども、今後、基本設計、実施設計とだんだん進んでまいりますので、まだはっきりとした算定はできない状況でございますが、今までの現在地再整備というふうにいわれておりましたときの建設費は約二千四百億円ほどでございました。豊洲地区の方に建設をする場合には、これは建てかえ再整備ではございませんので、更地に建設をするということでございますので、それよりはかなり低い経費で建設ができるものというふうに考えております。
 なお、豊洲地区の開場までの年数でございますけれども、先生、先ほど十年ほどというふうにおっしゃいましたが、周りのインフラ整備との関係もございますが、私どもとしましては、十年から十五年ほどの間に開場をというふうに考えてございます。

○碇山中央卸売市場長 新市場を開設するまでの現在の整備と、それから新市場の整備と財政面、そこら辺を踏まえて私の決意ということですが、現在、学識経験者と、それから関係業界と都側の私どもでコンセプトの構築を立ち上げております。それに引き続きまして、基本構想ないしは基本計画、基本設計、実施設計、工事と、こういうタイムテーブルになるのかなというふうに思ってございます。
 限られた財源の中で、新市場を時代のニーズに適応した市場にしなければいけないと。一方において、十年以上先でございますので、現在の市場ももたせなきゃいけないという、八方ふさがりというか、いい意味で八方ふさがりの仕事に取り組んでおるわけでございますが、いずれにしましても、私の決意ということでございますが、とどのつまりは、私どもの局がどっちを向いて仕事をするのかということになるかというふうに私なりに考えてございます。
 現在の市場システムが、流通環境の変化、あるいは規制緩和等によりまして、もちろん私どもの中の築地市場ができた昭和十年までさかのぼらなくても、ここ十年、あるいは五年タームで大きく変わっているかなというふうに考えております。新市場は、それに見合った形でいかなければいけないのかというふうに思います。
 いうまでもなく、戦時中の統制経済の時代、あるいは終戦直後の食糧需給逼迫の中では、これまでの市場機能というのは大きく寄与したということは、歴史的事実として、私自身、私の先輩の評価として誇らしげに思っておるわけでございますけれども、やはりその環境が変わったということで、私どもの新しい市場はそれに見合った形でいかなければいけないというようなことでございます。
 そんなこんなを含めまして、先ほど申し上げました限られた財源の中で、今後コンセプトを固めていくということでございます。したがいまして、私どもがこれからどういう形で、例えば、先ほどの中屋委員のご質問でも、場所のシフト論であってはならないというふうに私ご答弁申し上げましたけれども、単なる、今と同じような壁の中の、築地でいえば二十三ヘクタールが豊洲に行くだけであれば、ある意味では、反面においては迷惑施設が場所を移るだけだと。そうじゃなくて、地域に開かれた市場、地域のにぎわい、そこには文化機能もあるし、活性化になるし、税金も落ちるかもしれないと、こういうものをつくっていく必要があるのかなということになるかなと思います。そのような意味で引き続き頑張ってまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくご指導のほど賜りたいと思います。

○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○松原委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 報告事項については、資料要求をいたしておりません。
 事務事業について要求いたしました資料は、お手元に配布いたしてあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○飯山総務部長 去る九月十四日の当委員会におきましてご要求のございました資料をお手元に配布してございますので、その概要をご説明申し上げます。
 お手元の資料の表紙をめくっていただきまして、目次をごらんいただきたいと存じます。ご要求のありました項目は、ここにございますように、計二十五項目でございます。順次、内容をご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。
 三宅島避難島民等に対する主な対応状況でございます。避難島民の方々に対しましては、融資、観光復興、農林水産、就労対策等、さまざまな面から対応を行っております。
 (1)の融資関係では、災害復旧のための貸し付けについて、一千万円を限度として利子補給を実施するなど、借り受け者の負担を軽減いたしました。
 (3)の農林水産関係では、三宅島げんき農場を八王子市に開設いたしました。平成十三年四月から平成十四年三月までの実施予定期間において、八千百五十人日の雇用を予定しております。
 次に、三ページをごらんください。
 三宅村からの避難者への就労あっせん等の取り組みでございます。ただいまご説明しました資料1、三宅島避難島民等に対する主な対応状況のうち、特に就労関係について詳しく述べたものでございます。就労あっせん等の取り組みとしましては、4にございますように、シルバー人材センターによる臨時、短期的就業機会の提供、6の(1)にございますように、都内公共施設のクリーンアップ作戦の実施や、7にございますように、都が発注する公共事業について避難者の就業確保等を行いました。公共事業では、千五百五十四人日の就業機会を創出いたしました。
 四ページをお開きください。
 都内の業種別企業倒産件数の推移でございます。過去十年間の都内の企業倒産件数について、業種別にあらわしたものでございます。平成十二年の総件数は、表の下段左側にありますように三千二百七件で、最も件数の多い業種は卸売業で七百六十八件でございます。また、表の下段右側にありますように、負債額は約十五兆二千九百億円となっております。
 五ページをお開き願います。
 都内の地域別企業倒産件数の推移でございます。過去十年間の都内の企業倒産件数について、地域別にあらわしたものでございます。平成十二年について見ますと、表の右側にありますように、総件数三千二百七件のうち、区部が二千八百四十四件、市郡部が三百六十三件となっております。
 六ページをお開き願います。
 都内の区市町村別工場数の推移でございます。昭和五十八年から平成十二年までの都内の工場数について、区市町村ごとにあらわしたものでございます。六ページは区部の推移、次の七ページは市町村の推移についてお示ししてございます。
 平成十二年現在の工場の総数は、六ページ上段右側にございますように六万二千百二十工場、うち区部につきましては、その下の段にございますように五万三千六百八十四工場、市町村につきましては、次の七ページ上段にございますように八千四百三十六工場となっております。
 次に、八ページは、都内工場の区市町村別従業者数の推移でございます。
 昭和五十八年から平成十二年までの都内工場の従業員数について、区市町村別にあらわしたものでございます。八ページでは区の推移、九ページでは市町村の推移についてお示ししてございます。
 都内工場の従業者数の総数は、平成十二年現在、八ページ上段右側にございますように六十二万二千四十七人、うち区部につきましては、その下の段にございますように四十三万五千六百九十三人、市町村につきましては、次の九ページ上段右側にございますように十八万六千三百五十四人となっております。
 一〇ページをお開き願います。
 区市町村別都内製造品出荷額の推移でございます。一〇ページでは区の推移、一一ページでは市町村の推移についてお示ししてございます。
 都内製造品出荷額の合計は、平成十二年現在、一〇ページ上段右側にございますように十八兆三千八百六十六億円となっており、うち区部では、その下の段にございますように十兆二千六百五十二億円、市町村においては、次の一一ページ上段右側にございますように八兆一千二百十四億円となっております。
 一二ページをごらんください。
 完全失業率の動向でございます。平成三年から平成十二年にかけての完全失業率の動向を、全国と南関東で年齢別にあらわしたものでございます。
 平成十二年の全国の失業率は、(1)の下段右側にありますように、総数で四・七%、南関東の失業率は、(2)の下段左側にありますように、総数で四・八%となっております。
 一三ページをお開き願います。
 中小企業対策予算の推移でございます。平成十三年度における中小企業対策予算の合計は、表のAの欄の下段にありますように二千八百三十六億二千八百万円で、うち臨海副都心関係予算が、Bの欄の下段にありますように二十六億八千二百万円、融資関係予算が、Cの欄の下段にありますように二千五百九十四億八千九百万円、これらを除いた中小企業対策予算は、Dの欄の下段にございますように二百十四億五千七百万円でございます。
 次に、一四ページは、都内小売業の売り場面積と、それに占める大規模小売店舗の売り場面積及び占有率の推移でございます。平成三年度から平成十一年度にかけての大規模小売店舗の売り場面積及び小売業全体における占有率の推移についてあらわしたものでございます。
 平成十一年度において、大規模小売店舗の売り場面積が都内小売業全体に占める割合は、表の右の段の上にありますように、都内小売業の総面積約一千三十八万五千平方メートルのうちの四六・五%となっております。
 一五ページをお開き願います。
 大規模小売店舗の区市町村別出店数の推移でございます。平成十二年五月三十一日で廃止された大規模小売店舗における事業活動の調整に関する法律に基づく平成十一年度の大規模小売店舗の届け出件数は七十一件となっております。また、平成十二年六月一日より大規模小売店舗立地法が新たに施行されております。詳しくは資料下段の脚注をごらんください。
 次に、一六ページをごらんください。
 小売店舗に係る区市町村における条例、要綱の制定状況でございます。区市では独自に小売店舗に係る条例、要綱を定めているところがございます。条例を定めているのは六区、要綱を定めているのは十五区四市となっております。
 次に、一七ページは、平成十二年度元気を出せ商店街事業の区市町村別補助事業件数及び補助事業内容でございます。平成十二年度の補助事業件数は、上の表右側にありますように、合計七百六十九件でございます。主な補助事業の内容と件数につきましては、下の表にありますように、祭り三百十一件、各種イベント九十六件、売り出しセール百六十四件などでございます。
 一八ページをごらんください。
 中小企業制度融資の実績と推移でございます。平成三年度から平成七年度までの融資実績を一八ページに、平成八年度から平成十二年度までの融資実績を次の一九ページにお示ししてございます。
 平成十二年度の融資実績は、一九ページ右側下段にありますように、融資件数十六万五百十四件、融資額一兆七千八百八十六億円でございます。なお、平成十年度より開始されました中小企業安定化特別保証は、融資実績には入っておりません。
 二〇ページをごらんください。
 獣害対策事業の実績でございます。平成八年度から平成十二年度の獣害対策事業についてお示ししたものでございます。平成十二年度においては、獣害対策の計画策定、シカによる被害を受けた跡地への造林、有害鳥獣駆除等を実施いたしました。
 二一ページは、都の援農ボランティア支援事業実績でございます。この事業は、東京の農業の担い手を確保するため、都市住民を援農ボランティアとして養成し、農家に派遣して、農作業の一部を支援するものでございます。表の下段にございますように、平成十二年度末までの受講者数は八百五十五人、認定者は七百五十二人であり、そのうち五百三十五人が九十九戸の農家で援農活動を行いました。
 次に、二二ページをごらんください。
 職業安定行政の国一元化後の都における雇用、就業対策の取り組み状況でございます。雇用対策につきましては、平成十二年度以降、基本的には国の所管となっておりますが、特に地域性の高い施策については都独自の施策として実施しております。
 具体的には、表の1の欄の〔3〕にございます高年齢者雇用推進員や、表の2の欄の〔1〕にございます障害者職業相談員の配置などの事業を実施しております。
 二三ページをごらんください。
 労働行政に関する都から国への提案要求事項でございます。平成十三年七月、都は国に対して、地方公共団体による職業紹介事業の許可、緊急地域雇用特別基金事業の継続等、十一項目について提案要求を行いました。
 次に、二四ページですが、労政事務所における労働相談の件数と職員数でございます。
 平成十二年度における労働相談の件数は、表の下段にありますように四万八千四十五件、労政事務所の職員数は百三十九人でございます。
 次に、二五ページをごらんください。
 失業一一〇番の実施結果でございます。都では、平成十三年七月二十三日から二十七日にかけて、厳しい雇用情勢に対応するため、電話による相談事業、失業一一〇番を実施いたしました。期間中の相談件数は、1の表にございますように、合計百八十五件、内容は、4の表にありますように、賃金不払い、解雇、雇用に関する内容が中心でございました。
 次に、二六ページをごらんください。
 多摩地域の労政事務所及び勤労福祉会館等に関する要望等でございます。平成十二年六月から十二月にかけまして、労働行政の充実強化に関する意見書等の要望が、市長より六件、市議会議長より十一件、合わせて十七件提出されております。
 次の二七ページでございますが、緊急地域雇用特別基金事業の計画、実績及び事業内容でございます。執行額について見ますと、1の表の上段にありますように、平成十一年度実績が二十七億九千二百七十七万二千円、十二年度実績が七十三億七千二百六十二万四千円、十三年度は当初計画額でございますが、六十三億二千四百三十八万五千円、合計百六十四億八千九百七十八万一千円となっております。都が実施した事業としては、環境、リサイクル関係、産業振興関係、NPO支援関係などがございます。
 次に、二八ページでございますが、平成十二年度の技術専門校の応募、入校、修了、就業状況でございます。
 表の下段の全課程の合計で見ますと、定員が七千四百九十五人、入校者合計が六千四百七人で、入校率は八五・五%、そのうち修了者が五千五百六十五人で、修了率は八六・九%でございます。また、求職者数四千七百二十五人に対し就職者は三千三百五十五人であり、就職率は七一・〇%でございます。
 二九ページをごらんください。技術専門校、障害能力開発校の校別定員、応募者数、入校者数でございます。都立技術専門校の定員数、応募者数、入校者数について校別に、平成八年度から平成十二年度までの数をお示ししたものでございます。
 最下段の合計欄の右側にありますように、平成十二年度の全校合わせた定員は七千七百三十八人、応募者数は一万四千五百二十一人、入校者数は六千五百九十九人でございます。
 三〇ページをお開きください。
 平成十二年度、ファミリー・サポート・センター利用状況でございます。ファミリー・サポート・センターは、育児の援助を行いたい者と育児の援助を受けたい者から成る会員組織であり、平成十二年度においては十九区市に設置されております。利用件数は、最下段にありますように六万四千百二十一件、会員数は一万二千五百四十二人となっております。また、平成十三年度、新たに十一区市町に設立される予定でございます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○三宅委員 産業労働局と名称変更をされまして、いよいよ本格的に局として、中小企業振興対策、労働対策、及びさまざまな東京都民の経済活動、産業活動に対する施策に取り組む意欲満々のところと思いまして、たくさん質問したいんですが、いろんな大事件も起きておりますから、まず、私の質問でありますので、商店街振興から入ってまいります。
 商店街というのは、産業政策なのか、社会政策なのか、いろいろ議論がされるところでありますけれども、きょうは、私ども自民党が提言をいたしましてご利用いただいております、元気を出せ商店街事業から、最初にお尋ねしてまいりたいと思います。
 地域社会と一体となったイベントに東京都が助成をするという、非常に画期的な事業でございます。これについて、今、平成十二年度の実態の資料が説明なされたところでありますが、まさしくこのデータを見ても、地域社会に営々と伝わる、私がこの町に住んでるよと、そして、何かお祭りを含め、イベントに参加するということに大変な貢献があったというふうに確認が出たわけでありますが、この元気を出せ商店街事業に局としてはどのような認識を持っているか。また、大変残念なことに、さきの一定では、この事業がばらまきではないかという大変理不尽な意見も出されたわけでありますから、その件についてもどう思われるか、含めてご答弁をいただきます。

○大原商工部長 元気を出せ商店街事業を通じまして、商店街がイベント事業等に主体的に取り組むことによりまして、個店の売り上げの拡大ですとか、あるいは地域コミュニケーションの増大、商店街の組織力の向上、商店街の活性化やイメージアップなど、こういった効果がありまして、地域経済の活性化や地域の中小企業の経営の安定と発展に一定の効果を上げているというふうに認識をしております。

○三宅委員 今のでは、ばらまきに対する答弁がないので、もう一回、ばらまきとはどういうものか、どういうふうに感じているか。

○大原商工部長 都議会の議決もいただきまして予算化されている事業でございまして、効果を上げているということで、私どもとしては、ばらまきというふうには考えてございません。

○三宅委員 大変しっかりとした、小泉総理までいきませんけど、明瞭な答弁をいただいて、安心をしているところであります。
 ただ、この元気を出せ商店街事業、いつまでも東京都の商店街の支援施策の中心としているわけには私自身もいかないなと、こういうふうに思っています。時代の変化が大変に激しく、また厳しくなっておりますから、都の商店街に対する施策も、メニュー方式からプロポーザル方式に変えましたね。そして、昨年度、二十一世紀商店街づくり振興プランを策定した。これも商店街が地域やコミュニティの重要な核だという、まことに当たり前の、私どもの主張にも合致しているというふうに思っておりますが、今申し上げたように、大変に町ごとによって、その商店街ごとによって、地域環境ですとか経営環境、その特性が違うわけですね。ですから、こういったそれぞれの地域の町の特性に合わせて、もっと柔軟に対応するという支援策を検討していかなきゃいけないというふうに思います。
 ですから、こういった地元の特性に合った計画策定を推進して、支援のための新たな大きなスキーム、仕組みを考えていくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○大原商工部長 商店街は、地域コミュニティの核としての役割を担っておりまして、都はこれまでも活力ある商店街育成事業などを通じまして、ハード、ソフトの両面から商店街事業を積極的に支援してまいりました。
 ただいまご指摘の、本年三月に策定いたしました二十一世紀商店街づくり振興プラン、これの基本方針では、商店街振興に向けた支援策は、お話のように、地域の実情に精通した区市町村が主体となって、商店街と緊密な連携をとりながら展開をしていくことが重要である、都は区市町村の取り組みを側面から支援していく、こういうふうに述べているところでございます。
 このプランの考え方を踏まえまして、区市町村を支援する立場から、ご提案のとおり、時代に合った新しい支援の仕組みづくりを検討してまいりたいというふうに考えております。

○三宅委員 そういったものを実効あるものにするためには、今、地域の実情に精通した区市町村の方の意見をよく聞かなきゃいけませんけど、我々都議会議員がある意味ではもっと実態を正確に、しかも本当に困っているのは何かということはよく理解しているというふうに自負を、恐らくきょうここの委員の先生方は全員がそうだと思いますから、我々議員ともよく議論を重ねて、意見を交換して、よりよいものをつくるべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大原商工部長 ただいま副委員長のお話のとおり、区市町村や商店街、さらに都議会のご意見を十分聞きながら、真に商店街や地元に役立つものとするために議論を重ねまして、地域の実情や状況の変化に的確に対応した施策の展開を図ってまいりたい、このように考えております。

○三宅委員 本当にそのようにしていただきたいと思います。
 少し視点を変えるといいますか、さはさりながら、商店街が今、IT化の時代に対応できないようなビジネスをしているところは、自然淘汰の対象になってもいたし方ないという厳しい見方も私はしております。
 そこで、一定で私が提案をいたしましたんですが、商店街のIT化を推進するシステムもつくり上げることを絶対にやっていかなきゃいけないと思っております。商店街の実態調査、ことしがどうもその年であります。三年ごとにやっていると。三年前の実態調査で一体どうやって施策を展開していくのかなと、だれでも不思議に思う状況ですから、これをインターネットを使って実態調査をやりながら、知事が再三本会議場の答弁でいわれている、イトーヨーカ堂さんやら何やらの商品情報、どうしてそれを、何度も僕が知恵を出させてやるよといってるのに対応しないんだというような発言もありましたけど、そのことと、この商店街の危機感を持っている若手の組合員がどんどんホームページをつくったり、それからiモードを使ったりしてやっている、それを具体的に応援することが必要だ、重要であると考えています。
 知事も、議会と都が協力し合って、プロジェクトチームみたいものをつくって、今の私の申し上げたアイデアを実現をしたらどうだ、こういった答弁もいただいておりますが、この件についてどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。

○大原商工部長 商店街のIT化を中心といたしました情報化対応は、非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。二十一世紀商店街づくり振興プランにおきましても、八つの戦略の中の一つといたしまして、ITを駆使した情報戦略をお示ししたところでございます。商店街のIT化によりまして、商店街の役割が大きく変貌いたしまして、暮らしの場から求められる商品を直接発注し、販売をしていくという、商店街としての新たな役割や取り組みが期待をされるところでございます。
 都といたしましては、これまで活力ある商店街育成事業などによりまして、商店街の情報化を支援してまいりました。さらに、本年度からは、区市町村の総合的なプランづくりの中でも情報化を支援しているところでございます。
 また、商店街の中には、お話にもありましたように、ホームページやバーチャルモールの開設、あるいはICカードの導入等に取り組んでおられるところがございます。しかしながら、東京都商店街振興組合連合会のレベルにおきましても、東京都全体としてのIT化への取り組みの方向などをまとめていく必要があるというふうに考えております。都といたしましても、具体的な流通の情報を把握する必要があるというふうに考えてございます。
 今後とも、商店街、区市町村、都議会などのご意見を踏まえながら、商店街のIT化に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。

○三宅委員 次に、信用保証協会について質問いたします。
 皆さんも新聞報道でごらんになっていると思いますけれども、前置きは一切省きます。代位弁済が本当に最近増加傾向にある、この内容、原因についてどう認識されているか、お答えください。

○橋本参事 信用保証制度は、信用保証協会が中小企業に対し信用保証を行うことで、中小企業の資金調達を円滑にしているものです。この信用保証は、大きく、都の制度融資にかかわるものと、安定化特別保証にかかわるものと、二つに分けられます。
 都の制度融資につきましては、都が資金を預託することによって金融機関の協調を得て、中小企業への貸出金利の引き下げを図るとともに、信用保証協会が中小企業にかわって代位弁済する際に、都が保険による補てんがなされない部分を補助することによりまして、中小企業の金融支援を行っているものでございます。
 一方、安定化保証は、国において、平成十年、緊急の貸し渋り対策として、国が造成した基金をもとに、中小企業信用保険の別枠の保証を時限的に実施したものでございます。
 近年の信用保証協会の代位弁済額につきましては、顕著な上昇傾向が見られるのはご指摘のとおりでございます。この二つを合わせた今年度の上半期の協会代位弁済額は一千二百八億円、前年同期比で二六%、二百四十九億円の増加を示しております。なお、このうち安定化が総額の五六%、六百七十四億円を占め、前年同期比でも三二%、百六十三億円余り増加しております。
 また、この代位弁済の増加は、信用保証の審査の中身の問題というよりは、景気の一段の冷え込みによりまして、融資の効果を結果的に生かせないまま、経営の継続ができなくなっている、これが大きな原因だと考えております。

○三宅委員 今るるご説明がありましたけれども、安定化融資というのが終了いたしました。まあ想像していたんですが、この終了後の保証協会の審査が非常に厳しくなったというか、悲鳴が聞こえてきております。ですから、そういう中小企業というか自営業者の方が追い込まれた状況の中で、いわば異常心理ともいうべき事態に立ち至っている今こそ、中小企業者の立場に立った保証協会の迅速で--迅速ですよ、三カ月たって審査の結果が出たら、もうないんですから。要するに、これは重要になっていると、その保証が。
 ですから、安定化とは審査方法が異なるんだろう。だから厳しくなったと感じる企業が多く出ているんだろうと理解するんですが、都としては、審査の今の実態をどう見ているのか。そして、中小企業も、それから一般都民の皆さんも、これは税金を使って保証するわけですから、一銭たりともむだにはできない。どぶに捨てるわけにはいかない。だから、ぎりぎりのところまで来て相談するケースも多くなっているんですけども、明らかに最初から都民の税金をむだ遣いできない、保証できない事例についても、あわせて参考までにお尋ねしておきます。

○橋本参事 保証協会の審査についてでございます。平成十年十月から平成十三年三月までの安定化融資における審査は、ネガティブリストにより最低限の基準をクリアしていれば、別枠で保証が受けられるというものでございました。一方、都の制度融資における審査は、経営の実態、資金使途、返済能力等を重視して審査しております。この審査方法は、安定化の前後において変化はないものの、安定化審査時に比べて厳しいと感じられる企業の方もあるかと推察されるところでございます。
 本来、保証協会の業務目的は、中小企業が事業資金を必要とするときに確かな保証人として支援するところにございます。今後とも、都として中小企業の金融の円滑化に向けて信用保証制度が有効に機能し、迅速、的確な保証が行われるよう、また、利用者の立場にも配慮した懇切丁寧な対応を行うよう、なお一層保証協会を指導してまいります。
 もう一点、保証ができない代表的な事例ということでございますが、四点ほど挙げさせていただきます。まず第一点は、協会の代位弁済先で、協会に求償債務が残っている方、二番目は、求償債務完済後、原則として六カ月を経過していない方、三番目に、銀行取引停止処分を受けている方、四番目に、事業税、所得税等を滞納している方などでございます。

○三宅委員 次に、雇用、就業問題についてお尋ねいたします。
 私は、この二十一世紀初頭の今、最大の都政の課題というのは、雇用対策を通じた所得の安定であると考えており、主張しているところであります。東京の実情はよそとは違うわけですから--を踏まえた独自の雇用対策というものが明確に打ち出されないか、また、打ち出すためにどういった知恵を私どもが出せるのかなと考えております。
 とりわけ、中高年の雇用が厳しいことはいうまでもありません。そして、そういった方は、特に年齢が上の方、五十五歳以上の方であって、六十五歳の間ぐらいの方ですね。こういった方々がハローワークまでわざわざ行って、余り大した成果を得られず、またとぼとぼ帰ってこられる姿を何件か目にしていますけれども、そういったことでなしに、何とか今このときに、東京都が独自の地域に密着した身近なところに、そういう就職、就業の相談ができる機会といいますか、施設みたいなもの、そういった窓口みたいなものができないかというふうに考えております。
 ワンストップでいろいろ就業について、雇用について相談ができて、また、いろんな支援の提供を受けられるようなものがあればなと思っておりましたところ、先週発表された十四年の重要施策の中に、区市町村単位で就業支援センターを設置するアクティブシニア就業支援事業と、ちょっと長いんですけど、これが盛り込まれていました。これは東京都の方も同じことを考えていたのかなと、大変に注目したところでありますけれども、このアクティブシニア就業支援事業について、現時点で答えられる範囲でお尋ねいたします。

○浪越産業労働局長 今お話のありましたアクティブシニア就業支援事業は、十四年度の我が局の新しい重要施策の一つとして位置づけされたものでございます。その背景なり考え方なりを、若干ご説明させていただきたいと思います。
 まず、背景といたしまして、三つございます。
 一つは、急激な少子高齢化が進展する中で、行政には地域の活性化や住民福祉の観点から、積極的に高齢者就業に取り組んでいくことが求められております。例えば、現下の厳しい雇用状況に加えまして、構造改革により、さらに中高年の失業者が増大するだろうと。あるいは、年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられる中で、六十歳代の前半の方の雇用促進が今後の課題になってくるだろう。あるいは、健康で働く意欲に満ちた、いわゆる円熟シニアの方がふえてくる、そういうふうな状況もございます。それから、若年あるいは中堅労働力が減少していく中で、地域の人材ニードを満たすには、やはり高齢者活用が不可欠であるというふうな一つの大きな要素がございます。
 二つ目は、高齢者の就業支援に当たっては、地域に根差したよりきめ細かなサービスの提供が必要ではなかろうかということで、今お話がありましたように、仕事を持ちたい高齢者には、交通費も払って遠くの機関に相談に行くことが大変困難だろうし、また、来所しやすい身近な地域に拠点を置くことが、住民や企業等への利便性が向上して実効が上がるんじゃなかろうかというふうなことでございます。
 それから、三点目は、やはり地方分権や規制緩和の進展する中で、都と区、あるいは国が連携いたしまして、就業対策に取り組める環境が整ってきたんじゃなかろうか。そういうふうなことで、高齢者の方の就業相談を区市町村が主体的に実施し、それを都が支援したり、あるいは国のハローワークからいろいろな求人情報をいただいて提供するというふうなことで、身近なところで高齢者の方に職をあっせんするというふうな仕組みでございます。
 では、こういうふうなことによって、どんな効果があらわれるのかということでございますけれども、大きく分けて二つございます。
 一つは、高齢者の失業を軽減するとともに、今後さらに拡大する高齢者の就業ニーズに的確に対応でき、地域の活性化につながるということで、各区市町村にセンターを設置することによって、年間相当多くの方々が雇用拡大の実現を図ることができるんじゃなかろうかと思っておりますし、それから、大きく二つ目としては、高齢者が社会の支える側に立つことによって、さまざまな経済的な効果があるんだろうと考えてございます。つまり、一つは地域における消費が拡大すること、二つ目として税収等の増加が考えられます。
 あるところの試算によりますと、六十二歳の男性の方が就職をし、例えば月収十八万円を得た場合には、区市町村の税収等の増加は、年間約四万円ふえるというふうな状況でございます。それとか、あるいは就業によって健康増進効果によりまして、福祉、医療等の経費が節減できるというふうなことも考えられます。そういうことで、今後の高齢者社会に向けてのぜひとも必要な施策だろうということで、私ども新しく予算を要求しているところでございます。

○三宅委員 本当に今局長のご答弁でいわれるように、実現すれば、もう画期的なことだと思うんですね。ただ、バリアというか、課題は大変に大きく厳しいものがあると思っています。今まで区市町村で労働行政をやっているところというのは、恐らく私の経験ではほとんどないと思いますし、意見書も出しましたけど、お国がこのハローワークの事業を果たしてどこまでやってくれるか。こういったこともありますから、ただ何としても、私はこの事業が日の目を見るように、全力で支援をしていきたいと思います。
 次に、狂牛病対策について質問させていただきます。
 もう前の市場のときにいろいろお話が出ました。経過については省略をいたしますけれども、今回のこの事態につきまして、私ども東京都議会自民党は、金曜日の十二日に、知事に対して、都民の健康を守り、また関係業者の事業経営上の救援のために、全庁挙げて対策に取り組むよう申し入れを行ったところであります。そういったことについて、速やかに対応していただくことを強く改めてお願いいたしまして、幾つかの点についてお伺いいたします。
 千葉県で疑いのある牛が発見された直後、都は都内の牛の飼育農家、施設への全戸立入検査を実施いたしました。迅速な対応は評価するものでありますが、この検査の具体的な内容及び結果についてお伺いします。

○矢口農林水産部長 牛海綿脳症、いわゆる狂牛病を疑う牛が発見されたことに対します対応でございますが、九月十二日及び十三日に、家畜保健衛生所、農業改良普及センター、経済事務所の職員で検査体制を組みまして、畜産農家二百一戸、牛四千四百八十五頭の立入検査を実施いたしました。
 立入検査の結果につきましては、臨床検査では、すべての牛に疑われるような中枢神経症状は認められませんでした。また、聞き取り調査におきましても、過去に疑われるような中枢神経症状を示した牛がいなかったこと、肉骨粉等が牛の飼料として使われていなかったことが判明いたしました。
 さらに、九月二十六日から二十八日まで、農家で使われておりますすべての飼料につきまして採取し、分析した結果、肉骨粉は混入していないことも判明いたしました。

○三宅委員 一応安心できるご答弁でしたけれども、産業労働局として、今後一層の防疫体制をどのようにとられるか、お伺いします。

○矢口農林水産部長 今後の防疫体制についてでございますが、被害の拡大や疾病の蔓延を防止し、実効性のある防疫措置を講じるためには、監視の強化や検査の充実など、事前対応型の防疫体制を整備していくことが重要であると考えております。このため、従来の監視体制の強化に加えまして、飼料の適正使用の指導や、牛の育成履歴の整備を徹底するとともに、万一疑われるような牛を発見した場合には、同居牛の隔離、病性鑑定など、マニュアルに基づく適時的確な通報検査体制を整備してまいりたいと考えております。
 また、と畜場で発見された場合には、出荷都道府県同士で通報し合い、相互に速やかな防疫措置を講ずる体制を徹底してまいりたいと考えております。

○三宅委員 次に、関係事業者の経営支援、これに対して、十月十一日より、牛海綿状脳症にかかわる緊急融資というのを実施していますが、この内容についてお伺いします。

○橋本参事 いわゆる狂牛病によって経済的に影響を受ける関連中小企業者が中小企業信用保険法における指定を受けることで、一般保証とは別枠での保証を受けられる制度改正を実施いたしました。
 この別枠保証の適用を受ける条件でございますが、和牛関係の取引依存度が二〇%以上で、売り上げ減少額が前年同月比で二〇%以上ということなどでございます。認定は、各市町村長が行うこととなっております。
 この認定を受けることによりまして、都の制度融資の経営安定支援資金融資のうち、環境変化による融資枠の利用が可能となります。その結果、融資の内容ですが、貸付限度額は二億八千万円、そのうち無担保枠の上限は八千万円でございます。また、貸付利率は一・八%以下、そして貸付期間は運転資金で七年以内となっております。

○三宅委員 迅速な対応の施策として一定の評価はいたしますけれども、私を初め我々議員から見たら、これではまだちょっと苦しいんじゃないかと。ですから、さらに融資制度の充実を図るべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○橋本参事 いわゆる狂牛病対策の融資制度のさらなる充実についてでございますが、中小企業信用保険法の枠組みを勘案しながら、よりきめ細かな金融面からの対応策を早急に検討したいと思っております。

○三宅委員 ぜひ早急に、前向きに検討作業を進めていただきたいと思います。
 この件は、基本的には国がその責任を果たしていくべきこと多々と思います。しかし、東京都としても、国に対して迅速、適切な対応を求めるためにも、こういった事業経営に多大なる影響を受けている方々の実態を的確にさらに把握していくべきと考えます。
 最後になりますけれども、局長の本件に対するご認識をお聞かせください。

○浪越産業労働局長 狂牛病対策は、今お話がありましたように、基本的には国の責任で行うべきというふうに考えてございますが、先ほど来お話のありました、千葉県でいわゆる狂牛病の疑いのある牛が発見され、牛肉の出荷自粛や価格の低迷などによりまして、東京の畜産農家や食肉事業者などへの深刻な経済的な影響が懸念をされております。
 このため都としては、飼料等の製造業、食肉加工業、飲食店等の中小企業の方々を対象として、一般保証とは別枠による信用保証を中小企業制度融資の中で、先ほどお話ししましたように、利用できることといたしました。
 ご指摘のように、国に対して迅速、適切な対応を求めていくためにも、事業経営への影響について、その実態を早急に把握したいと考えております。

○小林委員 それでは、商店街の振興について質問いたします。
 最初に、商店街の振興というのは、どのぐらいいろんな支援や助成や、あるいは創業等々の支援があるのか、いろいろ調べたら、結構あるんですね。結構同じような表題の、多分出どころが違って、しようがなく別々にしているのかもしれませんが、そこで、現在、都の商店街の振興事業にはどのぐらいの種類があって、どれだけの予算を使っているのか、お願いします。

○大原商工部長 東京都の単独の商店街振興事業は五つございます。いずれも十三年度予算額でございますが、まず一点目が、活力ある商店街育成事業、予算額は五千万円でございます。二点目が、空き店舗活用推進事業、予算額が八千五百万円でございます。三点目が、元気を出せ商店街事業でございまして、予算額が七億円でございます。四点目が、商店街活性化推進事業でございまして、予算額が一億三千万円でございます。五点目が、商店街活性化総合支援事業でございまして、予算額が七千万円、このようになっております。

○小林委員 みんな何か似たような名前で、元気出せだけはよくわかる感じがしますけどね。元気出せ商店街は、群を抜いて七億になっております。
 次に、この事業内容ということだったんですが、前にも三宅さんのときに説明していただきましたので、それは割愛をして、資料要求をした、一七ページになりますけれども、元気出せに絞り込んでいきたいと思いますけれども、これを見ると、円グラフがわかりやすいと思うんですけども、祭りが全体の四一%で、各種イベントが一二%ですね。それから、売り出しセールが二一、盆踊り一〇%。
 私も、地元の商店街に、元気出せ商店街の補助を受けてやっているところに呼ばれて行きます。私のところは偶然サンバが多いんですけれども、ちょうど夏祭りですから、本当に見ていて元気が出てきます。ただ、通り過ぎた後に、むなしさみたいなものを感じちゃうんですね。もちろん効果がないということではないんですが、私が身近に体験したところではそういう中身になっております。
 そこで、大別すると、大体一つの行事、イベントですね、そういったものだというふうに考えますが、どのような効果があるのか、認識をされているのか、伺います。

○大原商工部長 イベントには、人と人とを直接につなぐコミュニケーションの手段でございまして、住民が直接その場に居合わせまして、場所と時間を共有するという、このことが非常に重要であろうかと思います。
 まちづくりや商店街の活性化を目的といたしましたイベントの効果としては、まず直接的効果として、例えばマスコミや他のメディアに取り上げられる機会をふやしまして、通常の販売促進セールとは違ったコミュニケーション効果による販売促進効果が期待できます。また、間接的な効果といたしましては、地域の個性をアピールし、地域のアイデンティティーの高揚に大きな効力を発揮し、商店街の組織力の強化にも有効な手段となり得る、このように考えてございます。

○小林委員 当然、申請書は見たことないんですけども、細かい、いろいろ事業とかを申請するときに、売り上げ目標が幾らとか、そういう書式っていうのはどんなふうになっているんですか。ただ申請があればすぐ出しちゃうとかというものなのか、何か細かく精査しているのかどうか、いかがですか。

○大原商工部長 ちょっと書式は手元に持っておりませんが、いずれにいたしましても、その意欲のある商店街が、地元の区市町村を通じまして申請をして、区市町村から上がってきた事業について、私どもでそれを拝見しまして交付決定をする、こういう手続になっております。

○小林委員 そうすると、中身は承知をしているということでよろしいわけですね。わかりました。
 七億円ですから、高いといえば高いし、東京都全体の予算から見れば小さいといえば小さいのかもしれませんが、しかし、毎年それを当てにして頑張っているところは事実あることはある。
 しかし、一方で、この事業ももう何年かたちますけれども、では商店街が活性化して元気になって、都内の商店街が売り上げも上げたという話は余り聞かないわけですね。もちろん、そのときの事業効果はあるのかもしれないけれども、これが本来の目的の、商店街が活性化して、売り上げを伸ばしたり、若い後継者が育ったりということには、少なくとも小平市の中では、そんな話は、しんどいんだという話はしょっちゅう聞きますけれども、これは商店街だけのせいじゃなくて、こういう時代であるということと、あと、情報化などで、なかなか従来のように商店街でいろいろ情報を得るというような時代でなくなって、ITとかといわれているように、みんな情報源をそちらに依存しているというところもあったり、あるいはお年寄りがふえてきて、子どもが少なくなっている、こういった状況があるんだろうと思うんですね。
 ですから、そういうふうにすると、従来の商店街の概念で振興を図っていくということになると、本当にいいのかどうかというのが、ちょっと考えざるを得ないというふうに思うんですよ。そういう意味で、今後の商店街の方向性、もちろん今のままでいいなんて思っておられないと思いますが、その辺はどのように認識されておられますか。

○大原商工部長 本年の三月に商店街づくり振興プランというのを策定いたしまして、それぞれの区市町村にお示しをいたしました。その中でも書いてございますが、これからの商店街の振興につきましては、地元の事情に精通いたしました区市町村が主体になって、意欲のある商店街とともに計画をつくり、その事業を支援していく、東京都も、そういった意欲のある区市町村、商店街の事業について支援をしていく、このような役割が都の方に求められている、こういうふうに考えております。

○小林委員 繰り返しになりますが、今までのやり方でずっとやっていくことが、本当に将来の商店街にとっていいのかどうかということを少し見直しをしなければ--実態の商店街が変わってきているわけですからね、そういうふうに考えるんですけれども、そこで、そうじゃない、いや、違うんだ、そんな祭りだけじゃないんだ、結構いろんなことをやっている、効果が上がってるところがあるんだというところもあるのではないかと思うんですね。そうじゃない視点から取り組んでいる商店街が私はあると思うんですが、もしおありでしたら、どこかご紹介いただければと思うんです。

○大原商工部長 元気を出せ商店街事業とは違いますが、今年度の空き店舗活用推進事業の中でユニークな例がございますので、三点ほどご紹介させていただきたいと思います。
 一点目は、立川市のエルロード商店街でございますが、ここが、高齢者を中心としたまちづくり活動を手がけておりますNPO、高齢社会の食と職を考えるチャンプルーの会を誘致いたしまして、空き店舗を活用して、高齢者の生活支援や交流拠点とする事業を展開しております。
 二点目でございますが、同じく立川市の高松町商店街でございますが、ここに、空き店舗に社団法人の市のシルバー人材センターのブランチを誘致いたしまして、リサイクル家具ですとか、あるいは手づくりの帽子なども販売する。そうして、高齢者が集える場として活用するなど、高齢者に優しいことを売り物にして活性化につなげたい、こういう取り組みがございます。
 三点目でございますが、足立区でございます。区の第三セクターでございます足立都市活性化センターが、やはり空き店舗を活用いたしまして、チャレンジショップをオープンいたしました。起業を目指す人たちに格安で店舗を提供いたしまして、商売のノウハウを学んでもらい、地元商店街の空き店舗に出店する人材を育成しよう、こういう試みもございます。

○小林委員 この商店街、私は自分の選挙区しか知らないんですけど、割と同じ商店街が経年的にもらっているようなんですけれども、そうすると、この事業をずっと続けていくと、何か同じところがずっと--新たにやったときには、もう七億円しかないとか、ではもっとふやせとどんどんふやしていってと、そういうことでいいのかというふうに考えると、例えば十年ということを、一つの年限を切るとか、そうしないと、新しい商店街になかなか投資ができないわけですよね。福祉財団のように、新規事業を立ち上げるときみたいに、創業支援みたいなところでやっていたけれども、それを聞きつけてぼんぼん申し込みがあって、原資を超えちゃって、今までのところは出すけど、新しいところは出せないから、文句をいってくるわけです。そういうことだって出てくるでしょう。
 だから、私は、一定の、例えば十年だったら、十年たったら、何かあるんだろうと思うんですね。ないとまたおかしいしね。効果が上がったら、次のステップに上がっていって--最初はとにかくセルモーターみたいな役の支援があって、そこから動き出したら、今度こうとか、当然そういうのがあっていいと思うんですね。だから、そういうふうに元気出せ商店街の事業の位置づけをするべきだというふうに思いますが、いかがですか。

○大原商工部長 商店街の振興事業につきましては、これまでも時代に合った施策を展開してまいったところでございます。今後とも、ご指摘のように商店街をめぐる環境の変化ですとか、あるいはニーズ変化を的確にとらえまして、高齢化や情報化の進展に合わせました適宜適切な施策展開を図っていくことが必要であると、このように考えております。

○小林委員 冒頭申し上げましたが、非常に類似の事業が、いろいろ国の方の予算の配分で名前を変えなきゃいけないとか、いろいろ事情があるんでしょうけど、どこか一つにまとめて、さっき、メニュー方式からプロポーザル方式に変わったと。プロポーザルというのは自分たちが企画して、立案して、地域の中でいろいろ考えて、申し込んだりして、そこで審査にかけていくわけですが、何かまとめて、原資を今までのものを全部まとめて、もっとダイナミックに、大胆なものに変えていってもいいのではないかというふうに思いますが、局長、それらも含めて、商店街振興にかける熱意をお伺いして、終わります。

○浪越産業労働局長 商店街振興の基本的な考え方でございますけれども、商店街がいわゆる地域のコミュニティの核として機能し、その役割を十分果たすためには、まず、商店街自身が自立的、自主的に課題の解決に取り組むことが不可欠だろうと私ども考えてございます。
 そのために都といたしましては、今後の商店街のあるべき姿と戦略の方向を振興プランという形でお示しし、少しでも多くの商店街において各種の意欲的な取り組みがなされることを期待しているところでございます。
 また、意欲的な商店街に対しましては、地域の実情に精通した区市町村との強固な連携のもとに、積極的に支援をしていきたいというふうに考えてございます。まさに商店街は、地域における、いってみれば出会いと交流、新しい結びつきの場としての役割を担うべきものと考えておりますし、商店街の活力はまさにここを舞台にして生み出されるものでございまして、振興プランは、そのきっかけとなる八つの戦略を提示してございます。
 今後、いろいろお話がございましたが、新しい商店街づくりに取り組む意欲ある商店街や区市町村の自主的、あるいは自立的な事業活動を柔軟かつ迅速に支援していくとともに、このプランの考え方を踏まえまして、区市町村を支援する立場から、先ほど三宅副委員長の方からも話がございましたが、時代に合った新たな支援の仕組みづくりを検討してまいりたい、そのように考えてございます。

○松原委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時五十三分休憩

   午後四時十二分開議

○松原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤井委員 まず、昨年の九月に三宅島島民の方が島を離れて一年一カ月、早いものでございますけれども、避難民の方は、なれない東京、あるいは全国に散らばっての避難生活を余儀なくされております。私もいろいろな島民の方にお会いしたり、あるいは現地に行ったりしてまいりましたけれども、そういった意味では、一年一カ月、いろいろなご苦労があったと思います。そして、まだまだ火山の鎮火がめどが立たない。そしてまた長い避難生活で、島民の方たちも仕事がなく、貯金を取り崩しながら生活をしている方もいらっしゃいますし、また、地域コミュニティがなかなかうまくいかずに孤独な生活を強いられているとか、そういったさまざまな現状がございます。そういった中で、産業労働局におきましては、この避難民に対するさまざまな支援策を続けてこられたことに敬意を表したいと思いますが、そこで何点か伺います。
 まず第一点目は、産業労働局が、これまで三宅島の避難の方に対しまして行ってきた対応策、どういうものがあったか、そしてまた、今後、どのような支援を行うのか、これについて伺いたいと思います。

○飯山総務部長 三宅島噴火災害に対する産業労働局の対応につきまして、改めて概括的に申し上げますと、これまで避難島民や中小企業者、農林漁業者等に対し、緊急労働相談の実施や合同就職相談会の開催などの緊急就労対策、災害復旧資金融資に対する利子補給や災害発生前の既往債務に対する利子補給を行うとともに、金利の引き下げや、申し込み期間の延長等の措置を図ってまいりました。
 また、三宅島げんき農場の開設による島特産物の種苗確保や、営農継続並びにふれあいの場の確保などの支援も行ってきたところでございます。早期帰島のめどが立たない現在、避難島民や中小企業者、農林事業者等の長期間に及ぶ避難生活の不安を解消し、生活の安定と事業再開に向けたきめ細かな対応が必要と考えております。そのためには、今後とも、三宅村や関係機関とも連携協力し、就業機会の確保、事業資金の支援、林道、治山等復旧工事や水産資源の確保など、ソフト、ハードから支援してまいります。
 また、帰島後を見据えた長期的な島の復旧、復興対策についても、迅速な対応ができますよう準備を進めてまいりたいと考えております。

○藤井委員 次に、国も三宅島支援に力を入れて、東京都と連携をしながらさまざまな政策をやってまいりました。特に、三宅の避難民の方たちに対しては、先ほど申しましたように、やはり何といっても就業機会の確保ということが大事な政策だというふうに思います。
 そこで、緊急雇用対策基金を活用した就業機会確保の事業、東京都も進めてきたと思いますが、どのような実績があるのか、そしてまた、今後、この基金を活用した事業についてどのような計画があるのか、この辺についての方向を示していただきたい。

○渡邉労働部長 ただいまお尋ねの緊急地域雇用特別基金事業と申しますのは、ご案内のように、現下の厳しい雇用情勢、失業情勢の中で、応急的な雇用の場の確保を図ることを目的として、国において創設されたものでございます。都道府県におきましては、国から交付決定を受けた緊急地域雇用特別交付金を原資として基金を造成し、これを活用することによりまして、都道府県及び各区市町村の創意工夫に基づいた緊急に対応すべき事業を実施して、雇用就業機会の確保を図るということにしているところでございます。
 このたび、三宅の方々の避難という非常に大きな事態に対しまして、この緊急雇用対策基金を活用して、東京都としての事業を行っております。三宅島げんき農場という公共施設のクリーンナップ、三宅村商工業者の意向調査等の事業によりまして、平成十三年八月末までに三宅島の避難の方々を含めまして、さらに新島工事等を合わせ、合計六百八十五人の就業機会を確保したところでございます。
 今後の予定でございますけれども、都としても三宅島の避難の方々が帰島できるまでの間は、三宅島げんき農場等を継続できるよう努めてまいりたいと存じます。来年度以降も、国が現在検討しております緊急地域雇用特別交付金の動向などを踏まえまして、伊豆諸島の方々の就業機会の確保に全力で当たってまいりたいと考えております。

○藤井委員 先日も、我が党も国に対しまして、緊急地域雇用特別交付金は、ぜひとも来年度以降も継続するよう訴えてまいりました。国も現在、この交付金をさらに継続するよう、与党三党で案を出したというふうに聞いておりますが、ぜひこういった交付金を活用して、東京都といたしましても、就労確保の拡大に努めていただけるよう要望したいと思っております。
 第三番目に、ただいまお話がありました三宅島げんき農場、これについてお伺いしたいと思います。これについては、ことしの四月、この交付金を活用しての三宅島の避難民に対しまして、八王子にげんき農場が開設をされました。私も現地に行って、現場でいろいろと島の方たちにご意見、ご要望を伺ってきたところでございますが、点在していた避難民の方が一カ所に集まって、このげんき農場で、三宅の特産でありますアシタバとかアカイモといった種をつくる作業に頑張っていらっしゃったわけでございますが、これは就労の拡大という方だけではなくて、島民の皆さんのコミュニティの復活という意味では、大変有意義な事業であったと思うわけでございます。島の人たちからは、ぜひこれを継続してもらいたい、また雇用を拡大してもらいたいという要望を受けました。
 今回の我が党の代表質問におきましても、げんき農場を継続するよう訴えたところ、産業労働局長からは、帰島できるまでの間、継続できるよう努めるというご答弁をいただいたところでございますが、この三宅げんき農場について、これまで島民の雇用の実績はどうだったか、まずお伺いしたいと思います。

○矢口農林水産部長 実績についてでございますが、三宅島の島民の方々六十六名が雇用されまして、四月から九月まで、延べ約四千二百人の雇用となっております。

○藤井委員 このげんき農場が開設されまして半年たって、今度、十月からは第二期の方が作業につかれていると聞いておりますけれども、このげんき農場、どういう成果があったか、これについてはどのように考えてらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

○矢口農林水産部長 げんき農場が開設されましたことによりまして、島民の方々の就労の場が確保できたこと、農作業を通じまして営農意欲が維持できていること、島民の交流、情報交換の場となっていることなどが成果があったと考えております。
 また、これから本格的な収穫の時期を迎えますので、これらの農作物につきましては、種苗として確保することができるほか、農作物の配布を通じまして、特産物のPRや都民との交流を進めていくことができると考えております。

○藤井委員 第三番目に、この三宅島げんき農場のほかにも、我が党といたしましては、さらに二十三区内に、ぜひともこういった農場をつくるべきだということを提案させていただきました。ぜひとも早急に、二十三区内に未利用地や河川敷など、そういったところを利用して、こういったげんき農場ができるよう、さらに取り組んでいただけるよう要望したいと思います。
 そのほかにも、農林水産分野、特にこういった分野で、三宅の避難民の方の雇用についてどのように進めるのか、お伺いしたいと思います。

○矢口農林水産部長 今年度、伊豆、小笠原諸島農水産物PR事業というのを私ども予定しておりまして、本事業は、伊豆、小笠原諸島の農水産物を広く都民にPRするものであります。この事業におきまして、今後三宅島の島民の方々三十六名、延べ約八百人の雇用を見込んでおります。

○藤井委員 そういった意味で、今後とも三宅島の雇用対策について、しっかりと取り組んでいただけるようお願いしたいと思います。
 次に、雇用問題について伺います。今、大変長引く不況の中で、特にこういった大企業のリストラ、さまざまな大手のリストラが次々と打ち出されておりますし、また、小泉内閣によります構造改革によって、今後とも失業、倒産のふえる可能性があるというふうにいわれております。
 そこで、特に大企業からリストラされた中高年の方たち、こういった方たちは、中小企業にとってみれば、大変な人材になる可能性があるといわれております。大企業で培った、あるいはそれまでの経験、能力を中小企業分野で生かしていただければ、これは中小企業のみならず、日本経済の大きな戦略になるといわれておりますが、残念ながら、この中高年の方たちは、特に大企業などに勤めていた方たちというのは、それまでの自分の経歴や肩書き、あるいは経験というものにどうしてもとらわれがちでございまして、なかなか中小企業というものがどういうものかということがわからない方もいらっしゃる。そしてまた、中小企業の方もどのように生かしていったらいいのかということが、まだまだ十分受け入れ体制ができていないという問題があります。そういった意味で、求人側と求職側のミスマッチが、今、大きな社会問題になっているわけでございます。
 そういった意味では、大企業に限らず、こういった中高年の方たちが再就職できやすい環境というのが、今、大変重要でございます。今回の定例会でも、我が党が代表質問の中でこういった雇用のミスマッチ対策として、キャリアカウンセリングの提案をさせていただきました。このキャリアカウンセリングは、大変有効な対策だと私も思っております。というのは、今まで大企業などで培った経験や能力、こういったものをどのようにして生かすのか。そしてまた、もし足りない、そういう分野であれば、新たな職業能力開発を通して中高年の方たちが再就職しやすい、そのようにいろいろな、さまざまな情報提供を行う、あるいはまた、そういった助言を行うのがキャリアカウンセリングでございまして、国も来年度以降、キャリアカウンセリングを五年間で五万人ふやす計画を打ち出したところでございます。東京では、残念ながら、現在、キャリアカウンセリングについての対策がおくれていると思います。
 先日、私は埼玉県に行ってまいりまして、この埼玉県では、キャリアカウンセリングを県として活用する試みを行っております。県の女性センターというところで、職員がみずからキャリアカウンセラーの資格を取って、そういう雇用のミスマッチを防ぐために、中高年に対して再就職の支援を行っておりました。
 私は、東京都が今回の我が党の質問に対して、キャリアカウンセリングの活用を進めていくという姿勢をとったことは大変いいことだと思いますけれども、これについては、くれぐれも、いわゆるキャリアカウンセリングの資格を持った民間事業者に丸投げで任せるのではなく、実務につかれる現場の、都の職員の方にも、ぜひともキャリアカウンセリング、資格を取れとは申しませんけれども、ある程度の知識、経験、内容を踏まえていただかないと、私はせっかくキャリアカウンセリングを取り入れても、なかなか実がならない、成功しないというふうに思います。
 そういった意味で、一つお聞きしたいことは、今いいました、これらのキャリアカウンセリングを活用した相談事業が有効と思いますけども、その具体的な対策をどのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。

○友繁雇用就業推進担当部長 中高年離職者が、みずからの能力や適性を確保して職業能力の向上と適切な職業選択を行うことによって、雇用のミスマッチの解消につなげていくためには、ご指摘のように、キャリアカウンセラーによる情報提供と助言が有効な方法、手法であると考えております。
 来年度でございますが、中高年離職者を対象とした緊急リストラ相談事業を実施することを検討しておりまして、キャリアカウンセラーを中心として、弁護士等関係機関を含め、総合的な相談を行い、中高年離職者が再就職しやすい環境を整備していきたいと考えているところでございます。

○藤井委員 ただいまご答弁ありましたように、中高年の方が不足しております職業能力、こういったものを補うことが必要でありますし、また、新しい職場につくために、職業訓練、こういったものが受けられるように拡大、そしてまた充実することが大事だというふうに考えますけれども、そのためにどのように取り組むのか、具体策をお伺いいたします。

○渡邉労働部長 ただいまご指摘いただきましたように、再就職が困難な中高年離職者の雇用を支援していくために、東京都が機動的、弾力的に適切な職業訓練の実施に努めていく方針でございます。今年度も、既定計画の八千人の緊急IT委託訓練に加えまして、さらに二千人規模のIT委託訓練等を追加することとしているところでございます。
 来年度は、技術専門校におきます中高年向けの職業訓練に加えまして、緊急の訓練の拡大によりまして、平成十三年度を上回る規模で訓練を実施していきたいと考えております。特に、緊急訓練の例といたしましては、人材開発センターを活用したホワイトカラー向け訓練を採用することや、民間委託によるIT訓練の充実を考えてございます。

○藤井委員 ぜひひとつ積極的に取り組まれるようお願いしたいと思います。
 次に、産業交流展についてお伺いしたいと思います。このチラシにもありますけど、十月十日、十一日にビッグサイトで産業交流展が開催されました。私も初日に参りまして、雨の降る中でございましたけれども、いろいろと見させていただきました。案内をしていただきました奥脇課長、大変ありがとうございました。お礼をいっておきたいと思います。特に、大田区の企業をご案内いただきまして、まことにありがとうございました。多くの企業が出展をしておりまして、約七百社ぐらいブースがありまして、今回は環境、情報、高齢化、食品という四分野に分けておりまして、会場は大変人であふれておりました。
 中小企業の技術力、あるいはまた多くの企業が交流をする産業交流展でございますが、まず何点か伺う第一番目は、ことしの産業交流展、実績はどうだったのか、そしてまた、昨年と比較してどうだったのかということについてお伺いします。

○中村参事 産業交流展の本年度の実績でございますけれども、出展企業は六百九十八企業・団体、八百二十こまでございました。昨年は五百二十五企業・団体、六百十四こまでございましたので、百七十三企業・団体、二百六こまの増。率で申し上げますと、企業・団体では約三三%、こま数でいいますと、約三四%の増でございます。来場者数につきましては、三万三千百三十人でございまして、昨年の二万六千五百五十人に対しまして、六千五百八十人の増、率にいたしますと、約二五%の増でございます。

○藤井委員 この産業交流展については、昨年、我が党の質問に対しまして、石原知事は次のように答弁しております。多くの元気のある企業が、交流展をきっかけに、販路開拓や技術開発などを進めていくことが東京の経済、ひいては日本の活力を取り戻すものである。可能であれば、他県の知事さんとも話すというふうに、積極的な答弁をしました。
 そこで、この首都圏全体の企業といったものを対象にした産業交流展にすべきじゃないかというふうに考えますけれども、聞くところによりますと、ことしはほかの県、あるいはほかの市の企業も参加したということでございますが、この点について実績をお伺いしたいと思います。

○中村参事 他県市にもすぐれた技術を持つ中小企業がございます。これらの企業と都内企業が産業交流展で一堂に会することは、企業間の交流の促進や、あるいはビジネスチャンスの拡大を図ることになりまして、これにより首都圏全体の経済の活性化にもつながると考えております。
 このために、都といたしましては、ことし初めて隣接県市に参加を働きかけてまいりまして、その結果、神奈川県、埼玉県、横浜市及び川崎市の協力が得られたところでございます。これら四県市に所在する六十九企業の参加が初めて実現したところでございます。

○藤井委員 拡大をしたということで、大変いいことだと思います。今後とも、やはり千葉や、もっと他府県も加えた産業交流展にするよう取り組んでいただくよう要望したいと思います。
 私が初日に参りましたけども、初日はこのチラシにもありますように、時間が十時から五時でございます。二日目は四時までということでございましたけども、そういう意味では、中小企業の方たち、特に私が内容で見ましたらば、出品している企業は、別に大手ばかりじゃないわけですね。小さな会社も出品してるわけでございまして、特に私は感動したのは、三宅島の泥流や火山灰を活用してタイルにする会社とか、あるいは小さな会社を対象にした経営支援システムをやっている個人の小さな出品もありました。
 そういう意味では、朝十時から五時までといいますと、割としっかりした企業ならば、出張扱いで行ってこい、見てこいというふうに送り出してくれるかもしれませんけれども、私の地元の大田区の中小企業なんかは、それこそそういう営業の専門の人もいない、自分が機械を回さなければ仕事がはかどらない、そういう企業も多いわけです。そういった方たちも、ぜひせっかくの産業交流展を見たくても、朝十時から夜五時は仕事しているわけですから、見に行くこともできない、そういう企業も私はあると思うんですね。そういう意味で、ぜひ多くの方たちにこういった産業交流展に来られるように、二日目の最終日は、終わる準備がありますから仕方ないにしても、初日ぐらいはもっと時間を延ばしていったらどうかと思いますけども、これはいかがでしょうか。

○中村参事 開催の時間でございますけれども、この産業交流展は、商談を主とする展示会でございます。従来、このような商談を主とする展示会につきましては、ビジネスで来場される方が多いことから、勤務時間中の五時までの開催が一般的とされておりまして、ビッグサイトで開催しているこのような展示会も、多くがそのような開催時間となっているところでございます。
 しかしながら、ご指摘のように、中小企業の実態もございますので、来年度以降の開催に当たりましては、出展者や関係者の意見を聞きながら、開催時間につきましては設定してまいりたいと考えております。

○藤井委員 最後に、元気で意欲的な中小企業が、新たにそういうビジネスチャンス、あるいはまた販路開拓ができるよう、この産業交流展の意義というのは大変大きいと思います。私は、会場の中で大変多くの出品者、そして参加者を見まして、ぜひとも産業交流展、来年以降もさらに継続、そして内容も拡大ができるようにすべきだと考えておりますけれども、この点について、最後に局長の決意をお伺いしたいと思います。

○浪越産業労働局長 東京には、すぐれた技術を持つ多くの企業が存在してございます。こうした企業がその力を存分に発揮していけば、東京の経済を活性化し、東京の再生が図れるものと考えてございます。そのためには、中小企業にとって、多様な交流の場を通じ、あるいは販路の拡大や技術の交流、さらには人材の確保など、さまざまなビジネスチャンスと出会うことが極めて有意義なことであると考えてございます。
 産業交流展は、まだまだ工夫すべき点もあろうかと思いますが、中小企業の技術や製品の展示、受発注、商談会などを通じまして、ビジネスチャンスを拡大し、産業の活性化とともに雇用の創出を図ることを目的としておりまして、局としても重要な事業であるというふうに考えております。来年度以降の開催につきましては、出展者や来場者のアンケート結果、あるいは関係者の意見などを踏まえて、発展的、継続的に実施できるよう積極的に取り組んでまいります。

○河野委員 私は、中小企業振興基金の助成事業と、その中で特に商業活性化についてと、東京都の商店街活性化総合支援事業、この二つの問題について質問をいたします。
 産業労働局のホームぺージを開きますと、「都内経済の動き」十月号というのが発表されていまして、これによりますと、七月の都内事業所規模五人以上における常用労働者一人当たり現金給付総額は、六カ月連続で減少しています。減少幅も四カ月連続で拡大しているという状況です。
 一方、大型小売店の販売額は二カ月連続で減少、都区の消費者物価指数も下落という状態です。どの指数をとりましても、景気回復の兆しが見えておらず、長期不況が深刻さを増しています。東京の全事業所の九九%を占めて、労働者の七割が働いているといわれている中小商工業者が直面している厳しい経営環境の中で、成長、発展して力をつけて、引き続き地域経済、社会を支えていく役割を担える方向にこそ、中小企業振興の基本政策が据えられなくてはならないと感じています。その立場に立って伺ってまいります。
 初めに、中小企業振興基金の助成事業の商業活性化について質問をいたします。この中小企業振興基金による助成事業は、技術の革新や情報化の進展、そして顧客ニーズが多様化していくという中で、中小企業が時代に即した経営を行い、事業活動を活性化していくために実施しているものであるということで、その内容も多岐にわたっておりまして、大きく分けただけで六種類にも及んでおります。
 最初に伺いたいのは、この助成事業は、基金の運用益を活用しているとのことですが、過去五年の運用益の実績の金額がどのように推移しているか、お答えいただきたいと思います。

○大原商工部長 平成八年度からでございますが、平成八年度は、運用費が十六億一千百万円でございました。平成九年度も十六億一千万円でございました。平成十年度は十五億九千二百万円、十一年度は十五億五千八百万円、平成十二年度は三億二千五百万円でございました。

○河野委員 今、八年度から十二年度までおっしゃっていただきましたが、当初十六億ぐらいあったものが、現在の時点で三億円と、約五分の一に下がっていると思います。
 これは、利率が下がっているということもあるとは思いますけれども、もう一点伺いたいのは、この事業の一つであります商店街活性化の実績額はどのようになっているでしょうか、同じように過去五年でお示しいただきたいと思います。

○大原商工部長 商店街の活性化につきましては、平成八年度が六億一千万円、平成九年度も六億一千万円、平成十年度が四億五千万円、平成十一年度が三億五千万円、平成十二年度が一億五千万円でございます。

○河野委員 同じように、この五年間で実績が五分の一に減ってきているということがわかりました。商店街活性化の事業というのは、法人化していくのが大変困難を抱えているという未組織の商店街のところが活用できる大事な施策だと思うんですが、私はこの施策を見まして、一つ補助率の問題があるんじゃないかと思っています。例えば、商店街活性化の事業の中に、施設整備事業ということでアーケードとかカラー舗装などを行う事業があるわけですが、この東京都の補助率は三分の一でありますし、もう一方の活性化推進事業の方も三分の一になっております。それぞれ都の補助が三分の一ということですが、この基金を活用した同じ事業の中で、商業関係ではないと判断される経営化技術活性化という制度や自立化、専門化などの制度についての補助率は二分の一ということになっています。
 ちなみに、調べてみましたけれど、東京都の産業労働局が出しておられます、中小企業支援のためのガイド、二〇〇一年版ですね、これに産業労働局商工部創業支援課というところが直接中小企業向け助成を行っているという一覧がありまして、これを見ますと、一項目めの創造的技術支援には、都の補助率は三分の二、循環型技術開発モデルというところでは、二分の一の補助率がつくわけです。ずっと見ていきますと、全体として技術系であるとか工業系であるとか、あるいは創業支援などの補助率は二分の一ということになっていて、商店街向けは三分の補助率にとどまっているのではないかといえるんじゃないかと思うんです。
 私は、不況のもとで苦労している商店街を支援していく上で、法人化できない未組織の商店街の人たちが伝えていくこの制度を、もっと使いやすいものに改善するべきだと感じています。毎年実績が減っていくのではなくて、充実をさせることこそが、この不況のもとで必要になっていると思います。
 そのためには、基金による運用益を財源としているという今のあり方では限界があると思います。基金事業から産業労働局のほかの施策と一本化していくことを、まず初めに提案したいと思います。それとあわせまして、補助率の引き上げも、他の業種並みに、商業向けにも二分の一へと引き上げていただくことを求めたいと思うのですが、お考えをお示しいただきたいと思います。

○大原商工部長 まず、基金事業でございますが、都の補助が三分の一でございますけれども、原則として地元の区市町村も三分の一支援をしておりますので、全体では三分の二の補助になっているということで、ほかの事業と公費の負担という意味では、それほど遜色のない事業になっているかと思います。
 それから、基金の事業をやめて一般化するというお話でございますが、何分予算の制約も大変厳しゅうございますので、やはりこういった基金から上がる運用益、現在は少のうはございますけれども、こういったものも活用して、商店街の支援に努めていく必要があるのではないか、このように考えております。

○河野委員 今、お答えいただきましたけれども、区市町村が三分の一、地元商店街が三分の一ということは、当然承知しております。その中で、不況で厳しい各商店街の方々が、都の負担分をふやしていただいて、区が四分の一、商店街四分の一とか、そういう方向にいかないかどうかということも要望としては出されておりますので、その点は申し上げておきたいと思います。
 実際に、この制度につきましては、各区市町村で都の方の予算の範囲内という枠を考えて、商店街と相談しながら、毎年度ごとにその枠内で申請を行っているという背景もあるわけです。都内では、私は江戸川区に住んでおりますが、私が住んでいるような周辺といわれているような地域では、一九七〇年代から八〇年代にかけて急速にまちの開発が進められてまいりましたので、そういうまちの商店街が二十年、三十年とたった今の時点で、やはり老朽化したいろいろな商店街の施設を直したいということで、今後、次々とこの制度を使いたいという商店街もふえてくるんではないかというふうに感じます。これから先の東京全体のまちづくりの観点からも、東京都の対応が、今、こういう支援策について、特に未組織の商店街の方々が使えるこういう大事な制度について対策が求められていると思うんですが、先を展望して、改めて東京都がどのようにお感じになっておられるのか、ぜひもう一度お答えいただきたいと思います。

○大原商工部長 都内に二千九百七ほどの商店街がございまして、そのうちの約四百九十が組織された商店街、そのほかの二千五百余りになりますが、未組織の商店街でございます。こういった未組織の商店街に対する支援につきましては、こういった基金事業等を十分活用いたしまして、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○河野委員 基金事業の枠内というお答えだったんですが、ぜひ商店街が、今直面しているいろいろな困難に対応していただけるように強く求めたいと思いますし、この制度の東京都の補助率を他の業種並みに引き上げていく問題とか、そういう改善策を講じていただきまして、ぜひ使いやすい制度、そういう方向に都が努力していただくことを求めておきたいと思います。
 この事業につきまして、もう一点質問させていただきます。商店街活性化の助成事業の中で施設整備事業助成費というのがありますが、これは街路灯、アーケード、カラー舗装などの新設、改修へ都が予定をしていきますよという制度ですね。最近、新宿区のある商店街が、街路灯が老朽化したので、ペンキで塗りかえをしたいということで申請をしましたら、これは対象にならないということで、受け付けられなかった例があります。単純に考えますと、街路灯そのものを取りかえるわけではないですけれども、より見ばえのいい方向で改修をしていきたいというふうな思いの中でできたプランだと思うんですが、これは改修ではないのでしょうかという率直な疑問があります。本来なら助成対象にすべきではないかと私は考えますけれども、局としてのこういう問題についてのお考えを伺っておきたいと思います。

○大原商工部長 街路灯などのメンテナンスについてのお尋ねでございます。商店街活性化推進事業のうちで、施設整備事業におきましては、予算の制約を受ける中で、できるだけ多くの商店街が施設の整備に取り組むことができるように、補助対象商店街の拡大を図るために、ご指摘のように、これまでメンテナンス費用につきましては補助の対象にしてまいりませんでした。予算の制約等もございまして、現在のところは、これを変更するということはなかなか困難であるというふうに考えているところでございます。

○河野委員 なかなか厳しいご答弁ですけれども、商店街自身も売り上げが落ちて、本当に大変な事態に至っています。こういう厳しさの中で、せめて街路灯を塗りかえて、商店街のイメージを少しでもよくして集客率を高めたいとか、そういう思いが込められたこういう申請について、はじかれていくということは、私はやはり納得いかないものを感じてしまいます。この新宿のある商店街ですが、助成が受けられないということで、これでは塗りかえもままならないということで、この計画を振り出しに戻したということも聞いております。お金があれば、新しい街路灯に取りかえられて、新設ということで都の助成も出るわけですが、そこまでいかない商店街の現実があると思います。
 ぜひ東京都の方でもっとこの制度を弾力的に運用していただくように、新設や改修ということにとどまらないで、お答えいただきましたメンテナンスという言葉もございましたが、そういうものも助成対象になるように、制度の改善、拡大をしていただくように求めておきたいと思います。
 最後に、私は一般質問でも伺いましたけれども、商店街の活性化総合支援事業について質問をいたします。
 今年度と来年度にわたりまして、ことし三月に東京都が作成した二十一世紀商店街づくり振興プランに基づいて、区市町村で商業振興プランの策定が進められております。住民に最も近い自治体の区市町村が商店街を活性化させていくためのプランづくりをすることは、意義があることだと私は思っております。問題は、東京都のプランで打ち出した商店街活性化のための考え方が、区や市で意欲を持って受けとめられているのかどうか、このことにあるんではないかと感じています。
 今年度、プラン策定を進めることになっているといわれている十三区七市を見ましても、それぞれ受けとめ方や現在の時点での策定の進行状況は、さまざまな状態になっております。ことし三月に示されました二十一世紀の商店街づくり振興プラン策定のねらいとして、都の補助を抜本的に見直して、十四年度から区市町村を主体としたものに再構築するということも書かれております。区市町村を主体とした再構築とはどのようなことを意味するのか、これも問題の一つになっているんではないかと思います。
 そこで、質問をさせていただきますが、商店街活性化総合支援事業が商店街や消費者の声を反映させて、まさに実効あるプランづくりとなるように、東京都の支援が必要になっているのではないでしょうか。現在、どのように到達しているのかとあわせて、都としてのプランづくりへの区市町村、あるいは商店街への支援の考え方をお伺いしておきたいと思います。
 それとあわせまして、区市町村がプランをつくることで、これまで積み重ねてきた東京都の商店街支援の施策、先ほどもお話がありましたが、元気を出せ商店街事業、こういうことを初めとした都が実施している振興策を後退させていくようなことがあってはならないと私は考えております。この二点について、お答えいただきたいと思います。

○大原商工部長 まず、各区市町村で進めていただいております、それぞれの振興プランにかかわる問題でございます。都といたしましては、商店街活性化総合支援事業といたしまして、プランの策定費について支援をすると同時に、ヒアリング等を実施いたしまして、それぞれの区市町村の方に適切な助言を行うとともに、情報の提供に努めることといたしております。
 なお、未策定の区市町村もあるわけでございますが、このような区市町村につきましては、今後、個別にプランの策定を働きかけてまいりたいと考えております。
 それから、これからの施策でございますが、都はこれまでも、活力ある商店街育成事業ですとか、あるいは商店街空き店舗活用推進事業、元気を出せ商店街事業など、ハード、ソフト両面にわたる支援に努めてきたところでございます。今後とも、社会経済状況の変化に適切に対応した商店街振興事業の実施に努めてまいりたいと考えております。

○河野委員 二十一世紀の商業、商店街振興のプランづくりという点では、各区市町村を激励していただくように、実効あるプランづくりになるように、ぜひ都の努力を求めておきたいと思います。
 商店街の現行の支援策ですけれども、これにつきましても、ご答弁では時代に適応したという言葉が一つ入っていたのが若干気になるところなんですが、今、都が積み重ねてきた商店街支援策について、引き続いて堅持されていく姿勢をきちんととられることを、私は重ねて求めておきたいと思います。
 今、かつてない不景気のもとで、本当に区市町村も商店街もどのようにすれば活力ある商店街が形成できるのかということで、大変模索し、努力をしておりますので、都が打ち出した二年度にわたるプランづくりを実効あるものにしていただけるように要望したいと思います。そういうことを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

○中村委員 まず、空き店舗対策についてお尋ねしたいと思います。
 空き店舗、先ほども商店街振興のところで出ておりましたけれども、立川、足立等で空き店舗を有効に活用しているというお話がございましたが、今、現状を見ますと、商店街、非常に厳しい状況になっております。雨になればお客様が来ないとか、そういうような状況も目に受けておりますし、また、近所に大型店舗、またはディスカウントショップができてきて、競争に負けていってしまうという商店街が見受けられてきているわけです。それはなぜかといいますと、やはり引き続いている不景気の中で、消費が買い控えをしている。そしてまた、お年寄り、または若い人たちの生活がなかなかうまくいかない。
 そういう中で購買意欲が少なくなっているのが現状だというふうに商店の皆さんからも伝え聞いているわけでございますけど、その中でやはり、生き残りができなかったお店の方々、そういう方の、商店街の中でも空き店舗、これが目立ってきているわけです。先ほど、商工部長答弁の中にもありましたけれども、東京都内の商店街、約三千近くあるわけですね。その中でも、振興組合、または協同組合、四百団体ぐらいあるわけですけど、その人たちも懸命になって、協力し合いながら生き残りをかけている、そういうような状況を聞いているわけでございます。その中で、商店街というのは、地域のコミュニティの核となり、地域の発展の起爆剤とならなければならない。
 その中で、空き店舗が出ていく。空き店舗が出ていくと、そこのところに自転車だとか路上生活者だとかがいる、そういう現状の地域もあるわけです。そうしますと、その商店街全体が死んでしまう。そういうような現状を打開するためにも、この事業概要の中にもあります空き店舗対策、今まで取り組んでおられるわけでございましょうけども、どのように今後の空き店舗の解消に努めていくのか、まずお尋ね申し上げます。

○大原商工部長 東京都では、平成八年度から空き店舗活用推進事業を実施し続けておりまして、当初は生鮮食料品を取り扱う店舗をモデル店舗として指定いたしまして、補助対象としておりました。その後、平成十一年度には、業種の枠を撤廃いたしまして、事業の見直しを行い、実効が上がるように努めてきたところでございます。その実績でございますが、平成八年、九年が二店舗ずつ、十年は一店舗でございました。十一年、十二年には三店舗ずつの出店が見られたところでございます。

○中村委員 空き店舗の数がかなり多い、私の近所でもかなり多いんですけども、二店舗、三店舗とか、そういうところでは実効性があるのかなというふうに感じてしまうんですけども、何か特別な原因とか、そういうものがあるんでしょうか。

○大原商工部長 空き店舗対策事業の効果が上がらない理由でございます。さまざまな要因が考えられますが、平成十年度に都が実施いたしました商店街実態調査の空き店舗に関するアンケート調査の結果によりますと、空き店舗が埋まらない理由といたしまして、商店街環境の悪化が三四%、立地が悪いということが三一・五%、店舗の老朽化が二三・八%、家賃が高いというのが二二・六%、家主との権利関係が問題だというのが二一・六%、こういった順になっております。今申しましたような理由が複合的に絡み合いまして、空き店舗の解消になかなか結びつかないというのが現状であろうかというふうに考えてございます。

○中村委員 東京都で中小企業支援センター情報というのがインターネットでありますね。それを見ますと、空き店舗情報、それにも入っておりました。十七区十一市で空き店舗情報を流しているわけですけれども、東京都といたしましても、いろんな情報を流して、空き店舗対策をやっているわけだとは私も十分承知いたしておりますが、それぞれの個々の状況があろうかとは思います。今後、それにつきまして、今のままでは空き店舗は埋まらない、そしてまた、商店街全体が低迷していってしまうという悪い方に行ってしまうんではないかと思われますので、今後、都としては、この空き店舗対策、どのように取り組んでいくのか、お示しいただければと思います。

○大原商工部長 都といたしましては、商店街の活性化に向けまして、ソフト、ハード両面から総合的に商店街振興事業に取り組んでいくことが、結果といたしまして商店街の活性化の強化につながり、ひいては空き店舗の解消につながっていくものと考えておりまして、引き続き商店街の主体的な取り組みを支援して、商店街の活性化を図っていきたいというふうに考えております。

○中村委員 次の質問に入りますけど、空き店舗、確かに意欲を示していただきましたけれども、やはり空き店舗になるというのも、中心市街地の活性化支援策ともやはり競合するようなところが出てくるんではないかと思います。今まで、中心地に商業地区が集まっていた。それが交通形態、住宅形態で違う場所に移っていってしまう。そういうものを解消するためにも、中心市街地活性化支援というのがあろうかと思います。中心市街地活性化法というのは平成十年に実施されているわけでございますが、その基本的な部分といたしましては、やはり区市町村が実際に地域に根づいたところで中心市街地を形成していかなければいけないわけです。東京都といたしましても、区市町村との連携をとりながら、積極的に商店街の活性化につなげていかなければいけないと思うわけですれども、この中心市街地活性化の事業の基本計画と区市町村との取り組み、この取り組みは、今現在、東京都ではどういう状況になっているのか、まずお尋ねしたいと思います。

○大原商工部長 まず、中心市街地活性化法に基づきます事業の仕組みでございますが、国が定めました基本方針に基づきまして、区市町村が区域内の中心市街地について、それを活性化するための基本計画を策定いたします。その後、この基本計画に即して、TMO構想、これは中小小売商業高度化事業構想というふうにいわれておりますが、このTMO構想を作成いたします市町村の認定を受けたもの、これは、例えば商工会ですとか商工会議所ですとか、あるいは第三セクターがこれに当たります。こういった認定を受けたものがTMOの基本構想から計画策定、あるいは事業の実施に進んでまいります。こういった流れでこの事業が進められているものでございます。
 この基本計画に即してTMO構想をつくり、計画を策定し、事業を実施する、これに当たる機関がいわゆるTMO、タウン・マネジメント・オーガニゼーションというふうにいわれているものでございます。このTMO構想に基づきまして実施されます、例えば商店街、商業の施設基盤整備等のハード事業に対しましては、各種の支援を受けることができることとなっております。
 都における中心市街地活性化の取り組み状況でございますが、本年の九月末現在で、五区、これは葛飾、荒川、墨田、足立、台東でございますが、この五区と六市、これは三鷹、武蔵野、八王子、町田、立川、調布、この六市、合計で十一の区市が現在基本計画を策定しているところでございます。

○中村委員 その基本計画が、今、五区六市で策定しているといわれたわけですけども、その具体的な内容というんですか、どういうような内容で策定されているんでしょうか、お尋ねいたします。

○大原商工部長 これにつきましては、実例を挙げてご説明をさせていただきたいと思います。二つ申し上げます。一点目が、三鷹市の例でございますが、三鷹市では産業と生活が共存する都市づくりをコンセプトといたしまして、JR三鷹駅南口の市街地におきまして、双方の支援を中心とした事業を展開してきております。ことしの一月には、株式会社まちづくり三鷹を立ち上げるとともに、バーチャルモールのシステム開発を進めるなど、積極的な取り組みがなされておりまして、今後の成果が期待できるものでございます。
 二点目は、町田市の例でございますが、三つのコンセプト、すなわち利便性が高く、安全で快適な市街地環境、二点目が市民の交流、情報の交流の場、三点目が個性的でにぎわいのある場、この三つのコンセプトに基づきまして、町田駅周辺の商業地におきまして、大規模小売店と商店街とが融合したまちづくりを進めておられます。この七月には、大型の立体駐車場も整備されまして、駅周辺の中心地に立体駐車場も整備されるなど、買い物客等の利便性が大きく向上しているところでございます。

○中村委員 今、大規模店舗と小売店が一体となって活性化に努めているという非常にいいケースではなかろうかと思います。その中で、また中心市街地の活性化、どんどん積極的に進めていかなけばいけないとは思うわけでございますけども、これを区市町村部と国と東京都と。これが東京都の役割というのは当然あるわけです。その中で、東京都の産業労働局としてはどういうふうにこれをとらえて活用していくのか、お尋ねいたします。

○大原商工部長 小売業を取り巻きます構造変化や長引く景気の低迷、あるいは消費者ニーズの変化や大型店の進出等の影響によりまして、商店街を取り巻く環境は一層厳しいものになっているというふうに認識をしているところでございます。こうした商店街の活性化を図りますためには、商業振興の観点から実施する商店街の魅力向上のための支援だけではなく、同じ商圏内の住宅等の環境整備、あるいは社会福祉施設、教育文化施設の整備、道路公園等の整備など、幅広い都市の生活基盤となる施設整備や、それらの機能を十分に発揮させるためのソフト面の支援等を複合的、総合的に進めていくことが必要であるというふうに考えております。
 その意味で、中心市街地活性化法に基づきます区市等による取り組みを支援することは、商店街振興を図る上で大変有効なものであるというふうに私どもも考えているところでございます。

○中村委員 今お聞きいたしますと、住宅、まちづくり、産業労働局等、東京都ではほかの局にも関係するような、かなり広い範囲での政策になるのかというふうに感じるわけでございますけれども、都としては、他の関係局との連絡、当然緊密にとっていくわけでございましょうけども、ともすれば縦割り行政だとか、いろいろなことをいわれるようなこともございます。ぜひとも横の連携をとりながらやっていってもらいたいわけですけども、また区市町村部との連携、そしてまたその支援をどういうふうにしていくのか、お尋ねさせていただきます。

○大原商工部長 商店街の振興につきましては、基本的には地域の実情に精通されております区市町村が主体的に取り組んでいただく必要があると思っておりますが、都といたしましては、区市等との役割分担等を踏まえまして、より幅の広い観点に立って、ご指摘のように、東京都の関係各部との連携の強化を図るとともに、共同して効果的な支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

○中村委員 ありがとうございました。積極的にほかの関連局との連携をとっていくという、すばらしい形になればいいなと思いますし、なってもらわなければ困るわけでございまして、その中でも、やはり商店街、いろんな施策を打っていく中でも、事業継承者、または後継者、これが各商店会、またはお店の方でも問題になっているわけですね。跡取りがいないから店をやめてしまう。もう一代限りでいいんだ。おじいちゃん、おばあちゃんがおそば屋さんをやっている。そのおそばさんはもう私たちだけなんだ、子供たちはもうサラリーマンになってしまった。そういうようなケースも多々見られるわけです。
 なぜ商業を継がないのか、これが今、非常に深刻な問題になってるわけでございます。そのためにも、今度、後継者の育成、これが大事なことではないかなと思います。後継者の育成には、事業計画の中にもありますけど、いろんな勉強会だとか、そういうのもあるわけでございますけれども、この後継者について、今、非常に不足しているという現実を東京都ではどこまで把握しているのか、お示しいただきたいと思います。

○大原商工部長 平成十二年の東京都中小企業経営白書によりますと、小売業経営者の高齢化が進んでおりまして、年齢層でいいますと、五十歳から五十九歳が二七・四%、六十歳から六十九歳が三三・三%、七十歳以上が二一・八%でございまして、五十歳以上の方が全体の八二・五%を占めております。
 また、廃業予定の方が三二・〇%、それから、後継者が決まらずに困っている方が九・三%ということで、事業の継続に問題を抱えておられる方が全体の四割を超えているという状況でございます。

○中村委員 びっくりいたしました。今やっている商店の四割の人が後継者に悩んでいると。後継者がいないといってもいいんでしょうか。そうすると、五十歳平均、六十歳、七十歳の方々が商業をやめたときには、お店がなくなってしまうと。極端なことをいうようですけども、そういうようなことも想定される。これからやはり後継者というものは真剣に考えていかなければならないというふうに思うわけです。昔の言葉にもありますけど、人づくりなくして国づくりなしという言葉があります。人づくりなくしては商店の経営は成り立たないんです。もちろん自助努力というのは当然必要ですけれども、都としても、そこら辺を今、調査で理解しているならば、何らかの方法で手を打つべきではないか、または、アドバイスをするべきではないかと思うわけですけども、それはいかがでございましょうか。

○大原商工部長 ご指摘のように、後継者、あるいは商店街のリーダーを含めまして、人材の育成ということが商店街の活性化に大変重要であるというふうに考えております。後継者の育成やリーダーの養成等は、これからの商店、あるいは商店街にとって極めて重要な問題でございまして、都といたしましても、これまで活力ある商店街育成事業の中で積極的に商店街の取り組みを支援してまいったところでございますし、二十一世紀商店街づくり振興プランでも、これを推進することといたしております。
 こういったリーダーの養成等について、実例を一つご紹介申し上げますと、商店街の活性化と地域社会の発展に寄与し得る人材の育成について、今年度、世田谷区の商店街振興組合連合会が、これは後継者ではなくてリーダーでございますが、リーダーとして必要な基礎知識と企画力、実践力等の習得を目的といたしました世田谷商人塾というのを設立いたしまして、積極的に取り組んでおられます。都といたしましても、こういった例も参考にしながら、人材育成の問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○浪越産業労働局長 商店街振興対策について、空き店舗対策、あるいは中心市街地の活性化対策、あるいは後継者育成について、多面的な議論がされたわけでございますが、都内の商店街は、地域住民に必要な商品やサービスの提供、あるいは地域のにぎわい、個性豊かで多様な地域づくりを進める核として欠かせない存在であるというふうに考えてございます。
 しかし、現在の商店街は、大型店の出店や後継者難、あるいは空き店舗の増加など、これまでに体験したことのない困難な状況に直面しております。都はこれまで、お話がありました商店街育成事業や空き店舗活用推進事業など、商店街の振興を支援してきたわけでございます。また、本年三月には、二十一世紀の商店街づくり振興プランを策定し、商店街みずからが考え、行動するための八つの戦略を提示いたしました。
 今後は、地域の実情に精通した区市町村と連携して、プランに沿った商店街の振興に努めていきたいと考えておりますが、いずれにしろ、各商店街が地域特性を生かして、知恵を出し、特色ある、活力のある商店街をつくることが商店街の活性化につながり、ひいては結果として空き店舗対策とか、あるいは後継者育成につながるものと、私どもそのように考えてございます。

○中村委員 商店街に対して、非常に希望的な話がたくさん出てまいりました。
 続きまして、やはり景気の回復の起爆剤になるのかなという、十三年の八月に出ました「千客万来の世界都市・東京をめざして」という観光産業振興プランにつきましてお尋ねさせていただきます。
 この振興プランの中では、今まで、平成十二年には二百七十七万人の外国人の方が東京に見えたと。それを五年後には六百万人にしようではないかという、非常に商店街、またはまちにとって、または日本にとっても希望あふれる構想でございます。それには、六百万人になれば、雇用の促進も三万七千人も見込めるとか、また六千億円ぐらいの経済効果があるとか、非常に魅力のあふれるプランでございます。
 その中で、私、いつも思うんですけども、私の住んでいるところは上野です。上野と浅草です。上野と浅草には多くの外国の方が来ます。その理由としては、浅草には浅草の歴史文化、観光文化があります。上野には下町の文化があるんです。アメリカの方、またはフランスの方、イタリアの方もみんなそうですけども、日本人の観光客というのは、いわゆる団体ツアーで行くわけですね。旗を持って、みんなでずっと行ってしまう。外国の方というのは、一人で来たり、または二、三人で、少人数で来て、どこかに日本の情緒に親しめるような旅館がないかといって来るわけです。私の住まいのすぐ近所にも、そういった施設がたくさんあります。施設といっても、民間でございますけども、そういったのがございます。
 そういうところに来た外国の方々が日本の旅館に泊まって、国内を散策していく。そのときに一番困るのが、まずインフォメーションです。日本の場合は、ここにもちょっと持ってきましたけども、わずかしかこういうものが置いていない。外国へ行きますと、こういうのが、たばこ屋さん、またはお店屋さん、どこでもあるんです。日本の場合ですと、特殊なところといういい方は変ですけども、特別なところにしか置いてない。私の調べたところでも、成田のところでは、ツーリストインフォメーション、第一、第二のところにあります。そしてまた、東京駅、新宿駅の案内所にも置いてあります。また、東京国際フォーラム、これにも置いてあるわけですけれども、何か近々少なくするとか、そんなことをいっている。
 その話を聞いたのが、やはり谷中で外国人のツーリストを相手にしている、ジャパニーズ・イン・グループというのがあるんですね。これは全国的な組織です。全国で八十店が加盟している民間の旅館の方々で、そんな規模の大きくない、いわゆる本当に日本の情緒を味わえる旅館、そういう旅館のグループがあるわけです。都内には十一軒あるわけでございまして、そういうところにインフォメーションを通じて入ってくるわけなんですけれども、その人たちが一番困っているのが、なかなか外国の人たちに案内ができない。我々はこういうような外国人ツーリストにサービスをしている。しかし、それをどうやって知らせていいのかという、ほとんど範囲が狭くて、数が少ないというのが困っているといっているわけですね。
 そういう積極的に外国人に対してのツアー提供、日本の文化を知らしめる、そういう施設がある。そういう人たちにも観光産業振興プラン、非常に当てはまるんではないかというふうに感じているわけでございまして、ジャパニーズ・イン・グループというのは一つの例えでございますけども、この指針の中にも出ております、受け入れ体制の整備というのがあります。観光産業振興政策の中で、東京の魅力を世界に発信、観光資源の開発、受け入れ体制の整備というのがあります。その受け入れ体制、まず宿泊施設、そういったものをどういうふうに部としては考えているのか、お尋ねいたします。

○橋本参事 多くの外国人旅行者を誘致するには、彼らのニーズに合った宿泊施設を提供していくことが必要でございます。ご提案のありましたような宿泊施設につきましても、外国人旅行者を受け入れる施設として大変重要であると認識しております。今後、旅行者の快適性や利便性が図れるよう、関係業界に協力を求めるとともに、宿泊施設に関する情報提供を適切に図ってまいりたいと考えております。

○中村委員 外国人の受け入れを積極的にやっていただかなければ、観光産業振興プランが推進できないというふうに思うわけでございまして、今、お話ししましたように、東京の魅力を世界に発信、観光資源の開発、それからまた受け入れ体制の整備、これを具体的に進めなければいけないわけでございまして、その一つとして、宿泊施設、ほかにもまだいろいろあろうかと思いますので、その辺もお示しいただけたらと思います。

○橋本参事 外国人旅行者の利便性を図るため、外国人旅行者がわかりやすい交通網の案内表示、あるいは割安感のある共通パスなどの運賃制度の導入、こういうものにつきましても、振興プランの素案で明らかにさせていただいております。今後、各交通事業者とともに、実施に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。

○中村委員 さきの本会議でも、たしか案内板、インフォメーションのそういう表示をするというふうにいっておりますけども、外国人の方が迷わないようにするのはもちろんのことながら、その外国の方々が日本に来てよかったな、また、安心して日本に来れるなというふうに持っていかなければいけないと思います。
 日本は、過去には世界で一番安全な国だというふうにいわれていました。安全神話のある国、それは治安もそうです。それから、何か事故があったときに、すぐ対応できる。それだけ日本人というのはサービスがいいんですね。お腹が痛いと。言葉がわからなくても、その動作で外国から来た方を助けてあげようという、この日本人独特の優しさ、これは非常に日本人は持っているわけなんです。それをどう表現していいのかというのがなかなかできない。そういう中で、外国の方々が見えたときに、例えば事故、または盗難、病気、そういったものに対する対応というのは、この観光産業振興プランの中でどういうふうに具体的に進めていくのか、お示しいただきたいと思います。

○橋本参事 外国人旅行者が事件に遭ったとき、あるいは救急医療が必要になったときなど、緊急時への対応につきましては、関係局と連携して適切に対応できる体制を整備する、これが大事だと思います。また、観光情報をいろいろ載せたウエルカムカードなどを活用しまして、情報提供を適切に図ってまいりたい、こう考えております。

○中村委員 いろいろ積極的にやっていかなければならない問題ですし、また、東京から景気の回復をしようという都知事の発案とこの計画は非常に合致いたします。ぜひともこれを積極的に進めて、外国からのお客様の誘致、そして、世界に誇れる日本の東京というふうに、ぜひとも進めていっていただきたいと思います。
 最後に、今までの質問のところで、簡単にで結構でございますから、観光産業振興プランの今後の進め方の決意を述べていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

○橋本参事 現在、観光産業振興プランの素案に対しまして、民間事業者の方々、あるいは都民の方々からたくさんのご意見をいただいているところでございます。この後、観光事業審議会にご報告させていただきますとともに、ご意見をいただいた上で、観光産業振興プランの最終版として取りまとめていきたいと考えております。これを推進していくためには、民間事業者、都民、行政の役割分担を明確にした上で、相互に連携しながら一体的に取り組んでいくことが大変重要なことだと考えております。

○中村委員 ありがとうございました。
 以上で終わります。

○丸茂委員 産業振興対策について、まず伺いたいと思います。
 提出資料にもありますとおり、都内の工場数は、二十三区では年々減少し、十年前と比べても一万七千の工場が減少しております。市町村でも九〇年以降、一部を除いて減少傾向が続き、都内工場の従業者数も、八〇年代、百万人台から、二〇〇〇年には六十二万人と約三十八万人の減少となっております。唯一伸びてきた製造品出荷額、これも九〇年をピークに減少傾向が続くなど、製造業の衰退は大変顕著になっているんじゃないか。
 そうした中で、最近目立つのが、電機、自動車などの大手企業の生産拠点、これが海外に移転する。それをてこにした仕事発注の停止、あるいは単価の引き下げ、さらには海外からの逆輸入による地場産業の破壊、このことによって、関連の流通、小売商業の集積も連鎖的に崩壊させている、こういう現状が顕著になっております。さらに、部品の海外での生産も一段と加速する現状にあります。こうした都内製造業の海外への生産拠点の移転など、製造業の実態、産業空洞化の厳しい現状をどのようにとらえているのか、また、どう対応していこうと考えているのか、あわせて答弁をお願いいたします。

○鈴木参事 本年五月に国の方から、海外事業活動基本調査という調査結果が出されて、これは毎年出されている調査なんですけれども、この統計によりますと、既に海外に現地法人を出している製造業、そういう限定ですけれども、その製造業では、経済のグローバル化がかなり進展しているわけですけれども、そういった状況を反映しまして、海外生産比率は、一九九五年度に九・〇%であったのに対して、二〇〇〇年度に一四・五%の見込みということで、かなり増加予想が出ている結果になっております。

○丸茂委員 それにどう対応するのか。

○中村参事 製造業が担う物づくりは、東京の産業活力の中核であると私ども認識しております。そのために、都はこれまでも技術、経営資金面でさまざまな支援を行ってきたところでございます。去る十月三日には、知事から中小企業振興対策審議会に対しまして、東京の物づくりのあり方についてを諮問したところでございます。今、お話のございました東京の産業の空洞化、こういうものにつきましても、この中で議論がなされると思っておりますが、今後、工業等制限法など、製造業に対する規制のうち、緩和すべき規制や製造業の活性化に向けた新たな東京都の支援策につきまして、審議会で議論をいただきながら、検討していきたいというふうに考えております。

○丸茂委員 私が地元大田区で実感しているのと、今、数字では報告を受けたんですけれども、やっぱり産業空洞化の現状の厳しさというのが、数字だけではなかなかつかめませんけれども、その実態が本当につかまれているのかどうかということを本当に感ずるんですね。私自身も、いろいろな調査、データなどを調べたんですが、一つ出てきたのは、電機連合総合研究センター、これが九八年七月に、「日系電機企業の海外進出と国内産業・雇用への影響」、こういう報告書も出されております。ここでは海外移転の現状がつぶさに報告されておりますし、あるいは日経新聞でも、九九年一月に、輸入全体に占める製品輸入割合調査、ここでは製品の逆輸入の実態等も報告されております。そういう点で、これまで民間を含めた産業空洞化の状況。
 それから、中国にもう六年も前に進出した中小企業なんですけれども、プレスと塗装をやる企業ですけれども、話を聞いてびっくりしたのは、国内でやっていたときは五千個単位の部品の受注が、今、中国に行くと、二十万、三十万という形で仕事が入ってくる。それだけ国内から回ってるんだよと。このままいったら、国内の仕事がなくなるのは当たり前だよということをいわれまして愕然としました。そういう海外へのシフト、これが本当に不況だけじゃなくて、構造的に起きている、これにどう対応するのか。そういう点では、やっぱりその実態を正確につかんで、そこからどういう対処が必要なのか、こういうことが私は重要になっているんじゃないかと思うんですが、その点でお考えがあったらお聞きしておきたいと思います。

○中村参事 実態の把握でございますが、現在、実態調査につきまして、アンケート調査を約一万社に行っているところでございます。
 また、先ほど申し上げました中小企業振興対策審議会におきましては、企業の集団ヒアリング、こういうものを行いたいと思っております。その中で、さまざまな実態が出されてくるものであると期待しております。

○浪越産業労働局長 産業の空洞化に対してどのように対応を考えているのかというご質問だろうと思います。資源に乏しく、原材料や燃料、あるいは食糧を輸入に頼っております日本が持続的な経済成長を達成するためには、これらの輸入を賄うための輸出を確保することが必要であるというふうに考えてございます。経済の成熟化に伴いまして、GDPや雇用における第三次産業の比率が増大しておりますが、しかし、サービスの収支は赤字が続いておりまして、第三次産業は国際競争力があるとは必ずしもいえないような状況だと私は認識しております。今後、第三次産業の生産性を大幅に増大させ、国際競争力を強化する必要があることはいうまでもないんですが、かなりの時間がかかると私は考えてございます。したがって、二十一世紀初頭においても、国際競争力があり、経常収支を均衡させることができる産業は、製造業を中心とする第二次産業にならざるを得ないというふうに考えてございます。
 ところで、日本の製造業は、閉業率が開業率を二ポイント以上も上回るなど弱体化してございます。海外生産比率も一二%を超え、空洞化が進んでおります。このような製造業の弱体化、空洞化を乗り越え、経済成長を牽引するリーディング産業の分野を創出していかなきゃいけないと思っております。そのためには、創造的な技術革新による産業技術の向上がかぎになると考えてございます。このことは、九〇年代における米国経済の復活などからも明らかでございます。日本は戦後一貫して、金属とか造船とか自動車、家電などの製造業を中心とした技術革新に努めて、経済の高度成長を達成することができたわけですが、製造業の発展の中で蓄積されました物づくりの技術とか人材、基盤を有効に活用して、創造的な技術革新による産業技術に挑戦することで、需要と供給の新たな好循環を生み出す必要があろうかと思っております。
 そのためには、一つとしては、やはり新たな需要を創出するようなニューフロンティア技術の確立が求められておりますし、二つ目としては、コスト競争力を左右する生産性を大幅に向上させる生産技術、三つ目は、環境やエネルギーなどの成長のボトルネックとなる問題を解決するための技術、以上の三つの新しい技術を今後求めていくことが、ぜひとも必要になろうかと思っております。現在も即、空洞化をどうするというには、やはり長期的に見れば、新たな産業を興すことがぜひとも必要であろう、私はそのように考えております。

○丸茂委員 私どももこの前、シンポジウムを九月にやりましたところ、中小企業の皆さん、いろんな努力が必要だけれども、セーフガードなり逆輸入には、関税によって抑制をする、こういうことをやらなければ守り切れない、こういう声が寄せられておりますし、また、中小企業と金融で大変結びついている信用金庫、信用組合、これらの支店長さんとの懇談も何回か持ってきたんですが、やっぱりこの産業空洞化が共通して話題になりまして、何らかのセーフガード、こういうものが必要じゃないかと。その中でどう生き抜いていくか、その一方の模索も求められております。
 そういう中にあって、こういう厳しい現状の中でも、やっぱり頑張っている中小企業もあるわけですよね。そういう企業がどこに着目して生き抜いていこうとしているのかという点で、今、申し上げました、私どもが「大田区機械金属工業の課題と展望」という題でシンポジウムを開いたんですが、私自身、はっとするような、中小企業の経営者自身の発言で思い起こされたんですが、技術と技能という議論がされたんですね。技術というのは、デジタル化して、これはどこにでも持っていける。しかし、技能、人間のわざというのは、そう簡単にデジタル化してどこかへ移転させるということはできないと。
 これまで、日本の物づくりというのは、そういう技術にあわせて技能、これを特徴にして物づくりに力を尽くしてきた。この技能をどれだけ継承して、それを力にして、今、局長も触れられましたけれども、やっぱり今後の新たな分野も含め、これからの技術革新を含めてどう展開していくか、そのことが極めて重要になってくる。そして、その自分たちの持っている技術、技能に自信を持って、前向きに取り組む必要があるんじゃないかということに、私は大変感心もいたしました。
 それも、その技術、技能を実際に継承していく、そのための施策、それから、これまで下請企業として活動してきた中小企業にとどまらず、自立した企業として発展するように、個々の企業では不足する企画力だとか開発力、それから販路の開拓、こういう面での支援が必要ではないか。そういう点で、都として、これらの支援策についてどのような考えをお持ちなのか、伺っておきたいと思います。

○中村参事 ご指摘のとおり、技術、技能を持っている中小企業でも、販路の拡大や営業力、そういう点での問題点を抱えているのが実態でございます。そこで、中小企業が自立して安定した経営が行えるよう、これまでもさまざまな支援を行ってきているところでございます。今年度からは、総合支援機構を都としては発足させまして、技術面のみならず、経営面での支援を必要とする中小企業に対しまして、専門家による総合的な窓口相談に応じるとともに、専門家派遣事業などのさまざまな支援に努めているところでございます。また、マーケティング道場を開催いたしまして、販路拡大のための指南を行うほか、中小企業テクノフェアや産業交流展など、ビジネスチャンスの拡大をするような展示会なども開催してございます。
 技能承継の施策といたしましては、中小企業が高度熟練技能を継承するためのきっかけをつくる仕組みである、東京ものづくり名工塾を、ことしの七月より十二月まで開設しているところでございます。
 今後とも、さまざまな施策を通じまして、中小企業の経営面、技術面あるいは技能承継、そういうものに努めてまいりたいというふうに思っております。

○丸茂委員 東京都がこれまで進めてきた工業集積地域活性化支援事業、これは物づくりの支援、そのために後継者育成も大事な事業の一つとして具体的に取り組まれている。そうした中にあって、中小企業みずからが若い後継者を育成していく、こういう取り組みも始まっております。これからの施策を取り組むに当たって、今、産業空洞化の厳しい現状にあるという認識のもとに、今後の施策を積極的に努めていただきたいと思うんです。
 地元大田区では、十一月一日には東京商工会議所大田支部、大田工業連合会、大田区商店街連合会、三者が主催しまして、大田区中小企業危機突破総大会、こういう区内の主要な団体が現状の中で危機突破の大会まで持つ、こういう危機感の中で、今、中小企業が頑張っているわけで、その点、改めて東京都としての取り組み、また、今後、中対審等も開かれますので、その中で中小企業のこうした厳しい現状、それをどう打開していくのか、その点については大いに私も提案もしながら、前向きにその打開のために力を尽くしていきたいと思います。
 次に、雇用問題についてお伺いをしておきます。完全失業率が五%と最悪のもとで、ことしの学卒未就職者は十八万人に上るといわれております。前年同期と比べると、これも増加している現状にあります。昨年、第四回定例会の中で私自身、青年の雇用問題を取り上げましたが、知事はその中で、若者が希望する職業につき、充実した生活が送れますように、総合的な施策を展開して充実を図っていきたい、こういう答弁をいただきました。最近の東京の十五歳から二十四歳の青年の完全失業率は九・二%と、依然として高い水準にあります。大学や高校を卒業しても働き口がないという現状にあるわけですけれども、最近の大手企業のリストラ、小泉内閣が進める構造改革によって、新たに百万人もの失業者が生まれるという厳しい雇用情勢の背景の中で、私は特にきょうは青年の雇用問題について伺っておきたいと思います。
 産業労働局自身が、大都市若年アルバイトの就労と意識、こういう調査を行っております。そこでは、フリーターは二年ないし三年後に希望する働き方は、正社員がトップだという結果も明らかになっております。そういう中にあって、東京都として、十月一日、二日、ここで新卒、あるいはフリーターの若年者合同就職説明会を持たれましたが、参加状況を初め実績はどうだったのか、お伺いいたします。

○友繁雇用就業推進担当部長 若年合同就職説明会は、二日間で延べ二百九十一社の企業の参加をいただきまして、約二千二百人に上る求人が寄せられております。また、就職を志す若者については、二日間で約千人の来場がありまして、全体で延べ千五百回、一社当たり平均五人を上回る企業説明の機会を提供できたと考えております。

○丸茂委員 こういう機会をつくっていただいたんですが、企業と求職者との、そういう出会いの場を設けていただいたわけですが、その後、この合同就職説明会によって、就職にどれだけ結びつくのか、その辺のフォローが極めて私は大事だと思うんですね。
 そういう点で、参加企業、あるいは参加者、こういう意向、あるいはその後の就職状況、こういうものもつかみながら、実効ある就職に結びつけていく。その点が極めて大事だと思いますけれども、その点はどういう検討がされているんでしょうか。

○友繁雇用就業推進担当部長 この説明会を通じて就職ができれば大変いいことだと思いますが、今回開催した説明会は、若い人材を採用したい企業と、就職を志す若い方々との接触の機会を提供することを主眼に置いておりまして、これが一つの契機となって、できるだけ多くの方が就職できることを期待しております。

○丸茂委員 型どおりの答弁ですけども、これだけ東京都もそういう機会をつくったわけですから、それが本当に生きる、それがやっぱり私は本来の目的だと思うんですよね。だから、それが生きるように一段の努力を求めたいと思います。
 そういう中にあって、やはり就職に結びつくには、一定の企業、求人の求める、そういうものに合う技術だとか能力だとか、そういうものが大変求められるんですね。そういう中にあって、東京都はこれまでも技術専門校等で職業訓練等、取り組んでこられました。若年層の訓練といえば、普通科一年、二年制があるわけですけれども、二〇〇〇年度の定員と応募状況を見ますと、それぞれ普通課程が二倍前後の応募状況にあるかと思います。
 こういう状況、毎年続いているんじゃないかという感じがするんですが、就職に結びつける上でも、都が持っているこういう能力を本当に若者に生かしていく、そういう点で、定員増などを含めて、この拡充が求められると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○渡邉労働部長 若年者を対象にした職業訓練規模の拡充についてのお尋ねでございますけども、公共部門としての都立技術専門校における訓練規模につきましては、このところの雇用失業情勢や技術専門校の訓練実績、民間部門を含む他の教育訓練施設の動向等を考慮して設定しております。若者、いわば若年者を対象とする求職者訓練においても同様の状況でございます。
 都が実施する公共職業訓練につきましては、今後とも、いわば現在の時代にマッチした形で、実効のある職業訓練を実施できますよう必要な訓練規模の確保に努めるとともに、そのうち、特に若年者を対象とする訓練においては、特に学校等との連携をより強化するなど、さらに適切な対応を図ってまいりたいと思います。特に訓練規模につきましては、できるだけ現状から上の方に向かって維持してまいりたい、このように努力しております。

○丸茂委員 ぜひ努力を求めたいと思います。
 これは質問にしませんけれども、都自身の雇用拡大、これも力をぜひ入れていただきたいと思います。昨年要望しました一つである教職員の採用、これはことし四月には、昨年春の二倍の八百五十人が採用されたと。これが全国に広がったというんで朝日新聞で取り上げられておりましたけれども、やっぱり必要な分野に必要な人を配置していく、そういう点では、今後、介護分野の雇用増、あるいは総合的な雇用をどう拡大していくのか、それから、学生への職場体験、インターンシップなど、こういう具体的に就職活動に結びつく取り組みが求められていると思います。そうした点も含めて、努力を求めておきたいと思います。
 次に、期限切れが迫っているんですけれども、緊急地域雇用特別基金事業、これについても伺っておきたいと思います。国は、厳しい雇用失業情勢を踏まえまして、臨時応急の措置としてこの事業を実施いたしました。来年三月で期限が切れるという状況にあるところですけれども、都議会としても、さきの定例会で、この期間の延長と内容の改善を求める意見書も提出してきたところです。そういう緊急雇用事業、資料も出していただきましたけれども、区市町村と比べると、庁内の金額一つとってみましても、実績が大変低いんじゃないかと。新規就業者数で見ますと、それなりの成果を上げておりますけれども。
 そこで、交付金の事業として、高齢者でも特別の技能を持っていなくとも、健康であれば容易に仕事ができるという事業の一つに、公園の清掃、維持管理、この仕事があると思うんですね。この東京都の事例の中でも記載されておりますけれども、特に最近、予算の削減による都立公園の維持管理が手薄になっていると。従前のきれいさ、これが失われているだけじゃなくて、公園によっては、路上生活者のたまり場となって、整備とあわせて、路上生活者の雇用も含めて、きちんと管理もしてほしいという声も聞かれるわけですが、これまで東京都の事例を見ますと、さまざまな調査だとか、データベース化だとか、そういうソフト部分が多いんですよね。そういう中にあって、実際に現場の仕事で、見える形で雇用を拡大する、仕事を確保するという点では、公園清掃、維持管理、この事業は極めて重要な中身を持っているんじゃないかというふうに考えますけれども、この点についていかがでしょうか。

○渡邉労働部長 緊急雇用対策基金事業につきましてのお尋ねでございますが、緊急地域雇用特別基金事業につきましては、既にご案内だと思いますが、平成十一年から十三年度までの三カ年計画でございまして、当初交付の百八十二億五千百万円に対して、現在までの実績をそれなりに上げてきているところです。金額的に申しますと、百六十四億八千九百七十八万円の実績でございまして、その後、百八十二億五千百万円の規模まで何とか実行してまいりたい、このように考えているところでございます。
 今、お尋ねのもろもろの事業という側面でございますけども、この基金事業につきましては、どのような事業をその対象とするかは、国の運用方針等をベースに採択されておりまして、既にさまざまな事業に幅広く活用することにつきましては、地域の雇用状況に照らして望まれているところでございます。お尋ねの公園清掃の関係や維持管理につきましても、今後も区市町村において、その事業が予定に含まれているというように承知しているところでございまして、我々の方としても、できるだけ多くの方が幅広く雇用の機会を得るという趣旨に沿うような形で事業が実施されることを進めてまいりたいというふうに考えてます。
 ただ、十四年度以降につきまして、継続の有無等について、現在、国において検討されていると聞いておりまして、その部分について、我々としても、ぜひ継続の方向でという望みを持っているところでございます。

○丸茂委員 ぜひ努力をしていただきたい。
 次に、非営利で高齢者就労を目的とする団体も都内にあります。こうした非営利の団体への仕事の提供、この点についてはいかがでしょうか。

○渡邉労働部長 お尋ねのNPOなど非営利組織への事業委託ということだと思いますが、この基金事業につきましては、基本的には各事業が入札により事業委託をされているケースがほとんどでございます。そのため、それぞれ入札にご参加いただきまして落札されるということになりますれば、受託が可能になるというふうに考えておりますので、ぜひご努力を賜りたいと思います。

○丸茂委員 ぜひ就労促進のために、そういう団体、これについては特別の支援を求めておきたいと思います。
 余り時間もありませんから、最後に林業問題について何点か伺っておきます。今、山が荒れている、あるいは林業、木材産業が成り立たなくなって仕事がなくなった、こういう課題が山積をしております。一方、地球環境を守るという立場から、森林を環境という面からも守れという関心も高まっております。一九九二年に開かれた国連環境開発会議では、森林を生態系としてとらえ、森林の保護と利用を両立させる持続可能な森林経営、この考え方が打ち出されました。こうしたとき、政府も、ことし六月の通常国会で、林業基本法を改正し、新たに森林・林業基本法が制定されました。そこで、今回の改正の基本理念はどういうものだったのか、お伺いいたします。

○矢口農林水産部長 本年六月に制定されました森林・林業基本法の基本理念についてでございますが、これまでの木材生産を主体とした政策から、水資源の涵養、国土や環境の保全、教育や保健休養の場など、森林の持つ多様な機能が持続的に発揮されるための政策に転換することが第一の基本理念となっております。
 第二は、林業が森林の多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていることから、持続的かつ健全な林業経営を確立することでございます。

○丸茂委員 我が党は、基本法改正には修正案を出しましたが、法案そのものには賛成をいたしました。森林を守るということは、地方自治体としての責務もこの法律では定められております。都民の関心も大変高まっておりまして、多摩産材を活用する木造住宅、こういう取り組みも現に始まっておりますし、先日、産業交流展に行きましたら、東京の間伐材を使った杉のはし、林業組合が出しているのかというと、そうじゃなくて、東京都漁業協同組合連合会。かつて魚つき林の問題でもお話ししましたけども、本会議でもこの問題が取り上げられましたけれども、やはりさまざまな角度で森林に対する関心も高まっております。
 都はこれまで、東京の森も林りづくりプラン21、こういうものを策定もしてまいりました。そういう中にあって、今度の法律改正を含めて三カ月が経過するわけですけれども、都民の声を十分反映させてよりよいものにしていく、こういうことが必要ではないか。そういうことを考えるわけですけれども、その点についていかがでしょうか。

○矢口農林水産部長 近年の木材価格の低迷を背景にしまして、森林就業者の経営意欲が減退し、手入れの行き届かない森林が増加しておりまして、このままでは森林の荒廃が進み、森林の持つ多面的機能が十分に発揮されなくなるおそれがあると考えております。そこで、今年度中に二十一世紀の東京の森林整備のあり方と林業振興の方向につきまして、東京都農林漁業振興対策審議会におきまして諮問する予定にしております。

○丸茂委員 これからの森づくりが、先ほど説明があった法の理念にもありますとおり、林業振興とともに、環境保全や自然保護の観点もあわせて総合的に取り組む必要があります。手入れが行き届かない森林がふえたことなどが、一方では猿やシカなどの獣害被害を生む原因にもなっております。この委員会で以前、野生動物と人間が共生できる森づくり、こういう提案もしてきましたけれども、こうした森づくり、あるいは地球温暖化に対する森の役割、こういう問題を含めて、今後、森づくりを進めるに当たって、都としてどのような方針、あるいは施策を展開しようとしているのか、この点についてお伺いいたします。

○矢口農林水産部長 これからの施策の展開についてでございますが、林業、木材産業の停滞が森林の荒廃を引き起こしている現状を踏まえまして、これまでの林業振興施策や木材の利用促進策の充実に加えまして、森林の良好な管理を目指す仕組みや、都民全体で森林を支えるシステムを構築すべきと考えております。そのため、森林の持つ機能に着目しまして、木材生産を主とする森林、水資源の涵養や国土保全を重視する森林、森林生態系の保全や森林空間利用を重視した共生の場としての森林の三つに区分いたしまして、それぞれの機能に応じた森づくりを進めてまいりたいと考えております。

○富田委員 私は、地方分権化の労働行政に絞って、簡潔に質問させていただきたいと思います。
 二〇〇〇年四月に地方分権一括法が施行されたことにより、従来の機関委任事務が廃止され、国と地方との関係は、上下の関係から対等の関係となりました。しかし、労働行政という点から見ますと、雇用対策の柱であった職業安定行政が国に一元化されたことにより、私は、全体として就業対策そのものが後退しているのではないかと考えています。まず、この点についての考え方を伺います。

○渡邉労働部長 平成十二年四月一日に地方分権一括法の施行に伴いまして、旧来、都道府県において行われました職業安定行政等が国一元化という明文のもとに、いってしまうと、都道府県からの権限がなくなった状況が生じました。そのために、都道府県行政といたしますと、地域における雇用就業問題について、いわば手だてを失っている状況でありまして、非常に現時点でももどかしい状況が生じているところでございます。

○富田委員 失業率が五%を突破し、過去最悪というふうになっております。とりわけきょうの資料でもございますように、南関東は全国平均より高い失業率というふうになっております。これから想定される不良債権の処理、これによって失業者がさらに増大するということが予想されますが、このことに対して、都ではどのような雇用対策を実施していくおつもりなのか、お伺いさせていただきます。

○渡邉労働部長 ただいまもお答え申し上げましたが、現時点では都道府県における権限が大変限られてございます。雇用就業対策は、現時点では基本的には国の責務という状況になっているところでございます。
 しかしながら、東京都は本年九月、東京都における最近の厳しい雇用失業情勢に対応して、都民の雇用と生活を守るため、国の施策に先駆けて、「緊急雇用・経済 東京プロジェクト」を策定し、その中で、若年者合同就職説明会、あるいは十月三日から三日間行いました緊急の雇用経営総合相談、あるいは既に始まってございますけども、中高年の離職者等を対象とした緊急のIT委託訓練などの措置を講じているところでございます。今後とも、雇用失業情勢の変化に対応して、機動的、弾力的に効果的な施策を実施していく考えでございます。

○富田委員 ご説明にありましたように、大変厳しい状況の中にあっても、さまざまな施策に取り組んでいるということについては評価をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、雇用と就業対策についてお伺いさせていただきます。雇用就業対策で最も重要なことは、失業者を再就職させることであると考えています。特に高齢者や障害などのハンディのある方々の就業先を確保することであると考えています。しかし、国は、技術専門校での無料職業紹介を除き、地方自治体は職業紹介業務を行うことを認めてはおりません。これは、厚生労働省が国の権限を地方に渡さないということであり、このこと事態に何ら法的な根拠はないと私は考えています。高齢者、そして障害者、パート労働者などは、地域的な労働市場を構成しており、こうした意味でも自治体の役割は重要であると考えられます。
 そこで、都からも国に対してさまざまな要望をお出ししてあるということでお伺いさせていただいておりますが、こうした要望に対する国の回答内容を踏まえて、今後どのように対応されていくのかをお伺いさせていただきます。

○友繁雇用就業推進担当部長 ご指摘のとおり、地域の実情を踏まえた就業対策を効果的に展開していくには、都や区市町村であっても、希望すれば職業紹介事業を実施できる道が開かれるべきであると考えております。都としては、七月上旬の提案要求を初め、さまざまな機会をとらえて国に要望しているところでございます。
 これに対しまして、厚生労働省からは、地方分権一括法の施行により、既に整備がされているという見解が事務的にはなされております。しかし、その後、七月下旬に発表された政府の総合規制改革会議の中間の取りまとめでは、現下の深刻な雇用情勢にかんがみ、地方自治体においても無料職業紹介事業が行えるような処置を講ずるべきであるとの指摘が盛り込まれたところであり、都としては、こうした動向を注視しながら、今後ともさまざまな方法で国に要望してまいりたいと考えております。

○富田委員 こうした国への要望というのは大変重要なことだと思っておりますので、引き続き積極的にお願いしておきたいと思います。
 次に、厚生労働省は、職業安定行政に続いて、都道府県の労働局においても労働相談と紛争解決を行う個別労働関係紛争解決推進法を十月から施行しています。そして法案は、当初、国中心のシステムであったものが国会で修正をされており、情報提供、相談、あっせん等の施策を地方自治体が推進するよう努めることが明文化されております。都においては、労政事務所で年間に約五万件の労働相談、そして千四百件ほどのあっせんを行うなど、労使のトラブル解決で全国有数の実績を持っていると認識をさせていただいております。
 そこで、解決支援型の労働相談を強化していくために、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いさせていただきます。

○渡邉労働部長 都といたしましては、個別的労使紛争が増大していることに対しまして、解決支援策の充実を図ることが重要であると認識しております。労政事務所ではこれまでも、今お話のありましたように、相談だけでは解決が困難な紛争につきまして、当事者双方の要請に基づき、あっせんを行って紛争の予防、解決支援に努めてきたところでございます。
 今年度は、これに加えて労政事務所が行うあっせんを支援するため、外部の有識者に個別的労働紛争調整委員を委嘱し、紛争の効果的解決支援が図れる仕組みを試行的に導入したところでございます。
 なお、労働相談体制の充実強化のために、今月から一部の労政事務所で夜間相談の拡充や、新たに土曜日の労働相談を開始したところでございます。

○富田委員 次に、職業訓練についてもお伺いさせていただきたいと思います。
 厚生労働省の特殊法人雇用・能力開発機構で、離転職者訓練を委託訓練で全面的に展開しているものと思われます。そして、そのために都立技術専門校の応募、入校者数が減ったのではないかと思いますが、この点についての認識をお伺いさせていただきます。

○渡邉労働部長 技術専門校の応募倍率は、平成十年度は二・五倍、十一年度は二・五倍、十二年度は一・九倍となっております。平成十一年度に開始されました雇用・能力開発機構の委託訓練による影響につきましては、これだけは明らかではありません。さまざまな要因が絡み合っているものではないかと考えているところでございます。

○富田委員 本日提供いただきました資料を見ましても、訓練期間が三カ月、二カ月と短くなるほど就業率が悪くなっているとの結果が明確であると読み取れますが、この点についてどのようにお考えなのか、お伺いさせていただきます。

○渡邉労働部長 ご要求のありました資料にありますように、統計的には訓練期間が短いほど就職率が低いという傾向は見られますが、訓練科目によっても顕著な差異が見られるなど、訓練期間と就職率との関係については、一概に申し上げることはかなり難しいものだと考えております。
 今後とも、これらを踏まえまして、時代のニーズに合わせて訓練科目の見直しに努めてまいりたいと思っております。

○富田委員 新聞報道にもありましたように、雇用・能力開発機構の委託訓練も効果が上がっていないというように受けとめられておりますが、都の委託訓練の就職状況について、ここに明らかにしていただきたいと思います。

○渡邉労働部長 就職率の問題ではございますが、多少委託訓練ということにつきましての事情等について説明をさせていただきたいと存じます。
 都の委託訓練は、雇用失業情勢が急速に悪化するなど、緊急に必要がある場合や、都立の技術専門校において訓練ノウハウをやや欠いている場合など、また企業現場での訓練が就職につながりやすくなる場合に実施しております。平成十二年度に都が実施した委託訓練は、パソコン操作の基礎技能を習得する三日間コースを約二千人の規模で、またマンション管理の三カ月のコースなどを約八十人の規模で実施したところでございます。
 今年度におきます委託訓練は、五日間のパソコン操作の基礎技能訓練や、企業の中核で働く人材の育成を目指した三カ月のコースを中心に、全体として約一万人規模で実施する予定となっております。三カ月コースなど一定程度の期間を持った委託訓練につきましては、就職を目標とするものであることから、比較的就職率においては安定しておりますが、一方、三日間、または五日間のパソコン操作の基礎技能訓練では、いわゆるデジタルデバイド、情報格差解消対策として国の政策の一環として行われているものでございまして、それらは多くの方にパソコン操作になれてもらうことを主な目的といたしている関係で、就職率には直接、いわばプラスということで作用しておりません。
 お尋ねの、都の委託訓練の修了者の就職状況でございますけども、委託訓練であるという性質上、施設内訓練と異なり、都の直接的な就職支援には一定の限界があることから、就職率について、我々とすれば、いわばもう少しいってほしいという願望は持っておりますけれども、その点についてやや不満を持っている点もございます。
 いずれにしても、エンプロイアビリティー、就業能力の向上を目指す訓練であるということを考慮いたしまして、引き続き就職支援に努めてまいりたいと考えております。

○富田委員 確かに限界があるということは認めるところでございますが、特にデジタルデバイドの対策については、国の施策とはいっても、雇用を確保するという意味では、先ほどの答弁の中にもありましたように、なかなかその実効性というのは上がらないものだろうと思っております。
 そうした意味から、労働経済局として、こうしたものを対応するというのはどうなのかという疑問は残るものでございます。職業訓練については、現在実施されている内容を十分に評価した上で、就業につながるものを充実させていくべきだと考えておりますので、ここで改めて私の考えを申し上げておきたいと思います。
 次の質問でございますが、労働行政の拡充に反して、ここ数年間に労政事務所や勤労福祉会館、そして職業技術専門校などの労働行政の行政組織の廃止、統合が進められています。本年四月に予定された多摩の労政事務所と勤労福祉会館の廃止統合計画は、一年間再検討することで延期されていますが、現在の検討状況はどうなっているのか、まずお伺いさせていただきます。

○高橋労働調整担当部長 多摩地域労政事務所についてでありますけれども、現下の厳しい雇用情勢に機動的かつ弾力的に対応できる体制とするための再編整備を進めることとしております。

○富田委員 多摩の労政事務所と勤労福祉会館の廃止統合計画に対しましては、本日提供いただいた資料でも明らかなように、当該の市長から事業計画の要望が出されておりますし、十一の市議会から存続の意見書が出されています。このことは無視することができない内容であると思いますが、このことをどのように受けとめているのか、お伺いさせていただきます。

○高橋労働調整担当部長 多摩地域の労政事務所の再編整備、あるいは多摩地域の勤労福祉会館の移管、廃止計画につきまして、お話のように該当する市長からの要望、あるいは市議会からのご意見をいただいているわけでございますけれども、今後、さらに本計画に対する地元市のご理解とご協力が得られるよう努めてまいりたいと思っております。

○富田委員 地元市の理解ということでございますが、この理解という意味については、事業継続であると私は認識しています。決して廃止や統合ではないという、要望書の内容からも明らかであると思っております。ただいまご回答いただきましたように、地元市からの協力を得られるように、かたくなにならずに、ぜひ対応されることを切に望むところでございます。
 最後に、局長にお伺いいたします。本来、労働行政は、地域の労働者の置かれた状況や産業ニーズに応じて実施されるべきであると私は考えております。この間指摘させていただいたように、厚生労働省の動向は、地方分権に逆行しているといわざるを得ません。雇用、失業情勢が厳しい今こそ、都における労働行政の拡充が求められていると考えられますが、改めて局長の考え方をお伺いいたします。
 さらに、都議会でも、一九九八年五月の議会で、都における労働行政の拡充強化を図るとの請願を採択しておりますし、一九九九年一月の議会では、障害者、高齢者等を中心とした雇用失業対策を強化することと、労働行政の機能強化を目指し、事業執行体制を拡充するとの陳情を採択しているところでございます。議会の意思を尊重して都の労働行政の拡充に努められるよう、改めて要望するところです。
 これまでの質疑を踏まえて、局長の考え方をお伺いいたします。

○浪越産業労働局長 完全失業率が調査開始以来最悪を更新する中で、都民の雇用、就業機会を確保していくためには、国が行う、いわゆる全国一律の雇用対策のみでは不十分でございまして、都みずからも地域の実情に即したきめ細かい雇用、就業対策を講じていく必要があろうと考えてございます。
 ちなみに、東京は膨大な人口と企業が集中する地域であるとともに、先端産業の集積地でもございます。そのような中で、雇用、就業に関する問題も、全国各地に先行して顕在化する特性がございます。都は、こうした問題に対して全国の先駆けとなるような、実効ある対応策を進めていく必要があろうかと考えてございます。
 また、都が地方自治体として高齢者、あるいは障害者などの地域に根差した対策や、複雑化、多様化する都民ニーズへのきめ細かな対応など、地域独自の雇用、就業対策に取り組んでいく必要があろうかとも考えております。
 そういうふうな現下の厳しい状況を踏まえまして、去る九月七日には「緊急雇用・経済 東京プロジェクト」を策定し、限られた権限と厳しい財政事情の中ではございますが、国に先駆けて、可能な限りの施策を実施しているところでございます。
 以上のような観点から、議会の意向も踏まえながら、引き続き都の労働行政の充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 なお、今、先ほどいろいろ議論ございましたが、若干説明をさせていただきたいと思います。多摩労政事務所については、担当部長の方から、現下の厳しい雇用情勢に機動的、かつ弾力的に対応できる体制というふうに抽象的に申し上げたのが、実は私ども、中小企業者、あるいは労働者の雇用問題の相談に対応するために、土曜あるいは夜間をオープンにしたいと考えてございます。そうしますと、多摩の事務所につきましては、再編をしないと、夜間体制あるいは休日体制が組めないような状況でございますので、そういうふうなことでぜひ統合し、大ぐくりをし、機動的な対応をできる体制をしきたいということで見直しをしようというものでございます。
 また、勤労福祉会館につきましては、基本的には地元区市への移管は二十余年前に既に決まっておりまして、二十三区ついては、既に二十余年前にもう実施したところでございます。そういうことで、私どもは、ぜひ地方分権の時代の趣旨を踏まえ、ぜひとも各市町村長さんを初め、皆さん方にはぜひともご理解をいただきたい、そのように考えてございます。

○富田委員 ただいま局長から、東京都の特殊性を踏まえて、労働行政の国への一元化という厳しい状況の中にあっても、複雑多様化する都民ニーズへきめ細かい対応と地域独自の雇用、就業対策に取り組んでいくとする大変力強いお考えを伺いました。
 しかし、これに反して、やはり勤労福祉会館や労政事務所の問題というのは、どうも私は腑に落ちないところがございます。この問題について、極めて重要な問題だというふうに思いますので、慎重に対処するということをお願いいたしまして、私の質疑を終わりとさせていただきます。

○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時三十分散会

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