経済・港湾委員会速記録第十五号

平成十三年十月十一日(木曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 十四名
委員長松原 忠義君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長中村 明彦君
理事丸茂 勇夫君
理事森田 安孝君
理事山崎 孝明君
中屋 文孝君
河野百合恵君
藤井  一君
富田 俊正君
橋本辰二郎君
田島 和明君
小林 正則君
川島 忠一君

 欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長川崎 裕康君
技監小池 正臣君
総務部長津島 隆一君
港湾経営部長浅倉 義信君
物流企画担当部長小宮山元二君
臨海開発部長三枝 修一君
参事金子  優君
参事樋口 和行君
港湾整備部長高野 一男君
計画調整担当部長細川 泰廣君
参事安藤 哲士君
離島港湾部長野村 孝雄君
参事片岡 貞行君
地方労働委員会事務局局長大久保 隆君
次長松田 曉史君

本日の会議に付した事件
 地方労働委員会事務局関係
  事務事業について(質疑)
 港湾局関係
  事務事業について(質疑)

○松原委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、地方労働委員会事務局及び港湾局関係の事務事業に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより地方労働委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田次長 去る九月十四日の本委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます経済・港湾委員会要求資料をお開き願います。
 目次にございますように、平成十一年度以降に当委員会へ申し立てられました不当労働行為事件申し立て一覧でございます。
 一ページをお開き願います。
 この表は、当委員会に申し立てがなされました不当労働行為事件につきまして、その整理番号、事件名、申し立て日及び労働者側が求める救済の内容を申し立て月日順に整理したものでございます。
 一ページから三ページには、平成十一年度分を記載してございます。三ページの整理番号でごらんいただきますように、平成十一年度は百二十九件の事件が申し立てられております。
 四ページから六ページには、平成十二年度分として百十件の事件を記載してございます。
 また、七ページから八ページには、平成十三年度分としまして、平成十三年九月三十日までに受け付けた五十七件の事件を記載してございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○富田委員 それでは質問させていただきます。
 ことし六月二十九日に個別労働関係紛争の解決の推進に関する法律が成立をしております。この法案の成立を受けて、全国の都道府県では、地方労働委員会を活用しての個別労使紛争の解決サービスを開始しているところでございます。近県でも十月一日より茨城、栃木、群馬、山梨の地方労働委員会が知事部局と連携をして開始しています。また、全国では既に十八の地労委で実施をしているというふうに聞いております。
 国は、地方分権に逆行し、労働行政の国一元化を進めていますが、雇用問題のセーフティーネットたる勤労者のための紛争解決処理は、雇用対策を含めて地方自治体こそが担うべきであり、東京都でも労政事務所と地労委が連携して取り組むべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 以上です。

○松田次長 労働者の雇用対策及び個々の労働者と事業主との間の個別労働関係の紛争の解決促進につきましては、国と地方がそれぞれの役割分担に基づきまして、適切に対応していくべきものであると考えております。
 都におきましては、労政事務所において各種の労働相談を行うとともに、当事者の要請を受けて、労使間の紛争解決のために事実上のあっせんを実施しております。また、産業労働局では、平成十一年十月の東京都労働審議会答申を踏まえまして、昨年の十二月から東京都個別的労働紛争調整委員制度を試行的に開始したところでございます。
 このため、地方労働委員会として直ちに個別的労働関係紛争に対応する予定はございませんが、本年二月から検討を開始したところでございまして、今後とも、紛争調整委員制度の試行状況なども見ながら、労政事務所との連携も含め、産業労働局と協議しつつ検討を進めてまいります。

○河野委員 労働委員会は、国や都からの独立性をもって、憲法で労働者に保障されている基本的な団結権などの労働三権を保障して、労使間の安定に対して合理的、弾力的な解決を図っていく上で大変大事な役割を担っていると認識しています。
 事業概要を見ますと、この数年、新規取扱件数が増加しているようなんですけれども、この事務処理に当たる職員の皆さんの状況がどのような形になっているのか、職員の方々の定数の配置状況について、過去十年ぐらいの推移でどのようになっているかをお示しいただきたいと思います。

○松田次長 職員定数の推移でございますけれども、今、手元にございますのが、不当労働行為事件の審査、それから調整事件の調整に当たる部分の職員数でございますけれども、まず不当労働行為の審査の方を担当いたします定数が、平成三年度から六年度までが二十八名、七年度が二十七名、八年度から九年度が二十二名、十年度以降が二十名というふうになっております。
 それから、調整事件の方でございますけれども、これに当たる職員につきましては、三年度以降一貫して九名でございます。

○河野委員 地労委は、今、全国の中でも特別に取扱件数が多くて、重要な役割を果たしていると聞いています。また、東京独自の問題として、本社がある企業が多くて大型の労働の問題が起こっている中で、東京の労働委員会の仕事というのは大変だと思うんですけれども、この数多くふえている事件の処理に当たって、担当職員の定数をふやすなど体制の強化を図る必要があるのではないかと考えているんですが、いかがでしょうか。

○松田次長 事件を適切かつ迅速に処理することは、地方労働委員会にとって最重要課題の一つでございます。このため、委員、職員一体となりまして、審査手続の改善、書類の受け渡しに当たってのファクスや電子メールの活用の検討、職員の事務処理能力を高めるための研修の強化などを図ってきております。今後とも、一層の創意工夫を重ねていく所存でございます。
 事務局職員の定数につきましては、現行の人員の中で、職員の専門性や事務処理能力の一層の向上、IT化の活用などを図ることによりまして、地方労働委員会の機能が一層十分に発揮できますように、適切に処理してまいりたいと考えます。

○河野委員 同じく事務事業概要で、十二年度の実績を見ますと、不当労働行為の申し立て件数は年間五百二件となっています。これは、公益委員の方十三人、労働者委員十三人、それから使用者委員の方十三人、それぞれが三人一組になって事件の処理をしていくと聞いておりますので、単純平均すると、委員一人当たり三十九件もの事件を抱えているという計算になるのではないかと思います。
 例えば公益委員の人は、弁護士さんであるとか大学の教授であったりして、いわゆる専門職ですから、大変お忙しい中でこのお仕事をしているわけですけれども、率直にお尋ねしたいのは、こうしたたくさんの事件を抱えている労働委員の方の増員について検討すべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○松田次長 各都道府県地方労働委員会の委員の定数につきましては、労働組合法第十九条の十二におきまして規定されております。東京都の場合には、今お話のございましたように、使用者委員、労働者委員、公益委員、それぞれ十三人ということで組織すると明記されているところでございます。したがいまして、法律を改正いたしませんと、増員あるいは減員ということができないということになっております。

○河野委員 東京の場合、三人一組で三十九件の事件ということで、これは他の自治体に比べると、労働委員の方々の仕事の量も大変多いのではないかと思っているんですけれども、今伺いますと、労働組合法という国による法律に基づいて定数が位置づけられているということなんですけれども、法定ということについて、都としては、東京都の現実に労働事件が多いという実態の中で、具体的に改善の要望をされておりますか。

○松田次長 地方労働委員会の事務は、平成十二年四月の地方分権一括法の施行に伴いまして、従前の機関委任事務から自治事務になりましたけれども、労働委員会制度をめぐる法制度は従来のままとなっております。
 現在、中央労働委員会と全国の地方労働委員会の連絡調整組織であります全国労働委員会連絡協議会におきまして、労働委員会制度見直しの検討がされておりますが、東京都地方労働委員会事務局といたしましては、委員の定数等についても、地域の実情に応じて条例で定めることができるようにすべきであるとの主張をしているところでございます。

○河野委員 ぜひそういう方向で努力していただきたいと思いますし、労働委員会の定数をふやす方向で国に働きかけていただくこととあわせまして、東京都として、やはり公正、公平で迅速な事務の処理が進みますように、事務局の職員の皆さんの定数の配置についても、さらに体制が強化されるように対策をとられることを要望しておきます。
 私の質問を終わります。

○藤井委員 一点だけ、資料を見させていただきましたので、わかる範囲で結構です。
 十一年、十二年、十三年を見ますと、毎年十件平均で、いわゆる東京都の水道局とか下水道局とか交通局、あるいはいろんな区の方から不当労働行為の申し立てがあって、大体、懲戒処分の取り消しの申し立てだというふうに資料に載っているんですけれども、特に水道、下水道、交通局等々の公営企業の職員からの不当労働行為の懲戒処分取り消しは、主にどういうような内容なのか、それに対していろいろと労働委員会として裁定した結果、大体どのような傾向で裁定が下っているのか、その点だけお願いします。

○松田次長 職員の中で、公営企業職員、それから単純労務職員、これにつきましては地方労働委員会に申し立てをすることができるわけでございます。具体的な中身といたしましては、大体、スト等に伴います懲戒処分、これに対しての異議ということで出ております。
 それから、その処理経過でございますけれども、いろいろな労使関係の中で処理されておりますので、命令には至りませんで、一定の期間の中で、労使の中でお互いに事件が解決をされて、取り下げていかれると、こういうふうな形で処理されております。

○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で地方労働委員会事務局関係を終わります。

○松原委員長 これより港湾局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○津島総務部長 九月十三日開催の当委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、経済・港湾委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。ご要求のありました資料は、表紙の次のページにありますように、全部で八項目でございます。
 まず一ページをお開き願います。1の東京港の取扱貨物量の推移でございます。
 内貿及び外貿に分けまして、平成八年から平成十二年まで五年間の推移を取りまとめたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 次に、二ページをお開き願います。2の外国艦船の入港実績でございます。
 入港実績を国別に、平成三年度から平成十二年度まで十年間の推移を取りまとめたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 次に、三ページをお開き願います。3の臨海関係第三セクターの経営状況でございます。
 経営安定化策実施後の平成十年度、十一年度、十二年度の臨海関係第三セクター三社の決算状況でございます。
 次に、四ページをお開き願います。4の臨海関係第三セクターの経営安定化策の実施状況でございます。
 さきにも説明いたしました平成十年度から実施しております経営安定化策の実施状況でございます。全項目にわたりまして、計画を実施済みでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 次に、五ページをお開き願います。5の臨海関係第三セクターにおける金融機関への利払い実績でございます。
 平成十二年度に臨海関係第三セクターが金融機関に支払った利払い実績をお示ししたものでございます。
 次に、六ページをお開き願います。6の三会計統合の経過でございます。
 東京臨海地域において、より広域的、総合的な観点から、効果的な投資を行うこと等を目的として、平成十三年四月一日より、従来の埋立事業会計、臨海副都心開発事業会計及び羽田沖埋立事業会計を統合し、臨海地域開発事業会計を設置いたしました。今後、さらに社会経済情勢の変化に対応するため、収支両面から大胆な事業の見直しを実施してまいります。
 次に、七ページをお開き願います。7の臨海副都心の開発フレームの当初計画と見直し計画と現状でございます。
 開発目標、開発フレームについて、臨海副都心開発事業化計画、臨海副都心まちづくり推進計画を比較しております。また、開発の現状といたしまして、土地処分の進ちょく率、就業人口、居住人口等を示してございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 次に、八ページをお開き願います。8の新海面処分場の処分計画と見直し経過並びに埋立処分状況についてでございます。
 1は、処分計画と埋立処分状況を一覧表にしたものでございます。処分計画は平成十年度から平成二十三年度まで、処分実績は平成十年度から平成十二年度まで、左から廃棄物と土砂の種別ごとにお示ししたものでございます。
 2は、処分計画の見直し経過を、当初計画と現行計画の計画策定年、年平均処分量、処分期間についてお示ししたものでございます。
 詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

○松原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中屋委員 それでは、東京臨海地域について何点か伺いたいと思います。
 八月に出ました観光産業振興プランの素案におきましても指摘されておりますが、我が国は、パリや世界の観光先進都市に比べまして、外国人旅行者を集客する努力が不足しているような気がいたしております。まちづくりの面でも観光の視点が欠けております。
 世界の人々を引きつける都市の要素、たくさんあると思いますけれども、私は、とりわけ水辺の要素というのは大変重要だと考えております。そういう点におきまして、ヨーロッパの主要都市、水辺の空間、いろいろと工夫をしているところがよく見られるんですけれども、都市景観として多くの人々でにぎわう観光スポットとなっているのは感心するところであります。
 それと比べますと、東京の町並みは少し心寂しくなるのは私だけではないと思います。例えば、私は浅草から水上バスによく乗るんですが、川下りをいたしますと、東京湾に出る間に、ずっと表玄関のない、背を向けた建物ばかりが目立つんですけれども、水側から見た景色、景観というものをもう少し配慮するところが必要だというふうに思っています。
 また、さらに隅田川を下っていくと、まさに東京湾に出るわけですけれども、そこには本当にダイナミックなレインボーブリッジが目の前に広がりまして、新しい東京、未来の東京を強く感じるわけであります。
 そこで、私が考えるには、この豊富な水際の資産というのが、必ずしも十分に活用されていないと思っています。かつては水の都と呼ばれました江戸でございます。まさに江戸市中を縦横に流れる、人々の生活と深いつながりがあったわけです。その江戸の水辺、まさに生活物資を受け入れるにぎわいの場であって、遊びの場であって、舟遊びや釣りなどに興ずる場であったんですけれども、そうした水の都の復活を目指していくということこそ、今、東京に求められていることだと思っています。
 特に、海上公園につきましては、七百七十五ヘクタールもの広大な面積があるんですけれども、残念ながら都民には余り知られていないと思っています。この貴重な都民の財産である海上公園に、もっと多くの都民の方々が触れ合い、そして海を感じるようなことを進めていくということが最も大切であると思っています。
 港湾局のその役割は重要であると私は考えるんですが、そこでお尋ねいたします。海上公園を通じて都民が海との接点を持つために、これまで港湾局はどのような施策を行ってきているのか、そして今後どのようなことを行おうとしているのか、お伺いいたします。

○三枝臨海開発部長 海上公園は、臨海地域の埋立地に自然を回復し、都民が海に触れられるレクリエーションの場を提供するとともに、海からの景観をも整える役割を果たしてきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば若洲海浜公園での海釣りの施設、あるいは葛西臨海公園の人工のなぎさ、さらにはお台場海浜公園の人工砂浜などを整備してきました。現在も城南島の海浜公園で砂浜の造成を行っているところでございます。また、他の公園におきましても、海沿いの遊歩道であるとか、海の眺望を大切にしたデザインをつくるとか、そういったさまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 しかしながら、ただいまご指摘にありましたように、地理的な状況もございまして、多くの都民に周知されていないという向きがあることも事実でございます。現在、東京都海上公園審議会で、今後の海上公園のあり方についての審議を行っているところでございます。近々に中間のまとめ、それから、来年二月を目途に最終のまとめを行う予定となっておりますけれども、その審議会の議論の中でも、海との接点を大切にすべきだということが委員の共通の認識となっているところでございます。
 今後は、今、先生のお話しにありました水の都の復活を目指すというようなご趣旨、あるいは審議会の答申を踏まえまして、多くの都民が海上公園に訪れて、海に触れられるように、ハード、ソフト両面から施策の充実を図ってまいりたい、かように考えております。

○中屋委員 今、ご答弁ありましたように、海と都民との接点という、提供するために海上公園が果たしてきた役割というのは、大変大きなものと考えております。
 続いて、海上公園の活性化について伺いたいんですが、海上公園は都民のための貴重な財産ですから、都民にもっと利用される公園となるべきだと思っています。
 現在、その海上公園がどうかと考えまして、広い公園はありますけれども、生き生きとしていないのではないかなというふうに思っています。もっと大勢の都民に訪れてほしいと考えているんですが、海上公園を生き生きとした公園とするためにはどのようにすればよいのか、お伺いいたします。

○三枝臨海開発部長 海上公園は、都市公園法に基づかない東京都独自の条例に基づきます制度でございます。したがいまして、法の規制にとらわれずに利用の規制を緩和することが可能であるというふうに考えております。より多くの人々が自由に利用できるようにしたいというふうに私どもも考えおりまして、公園利用に関する規制につきましては、利用者のニーズ、あるいは都民の意識の変化に合わせて見直していく必要があるというふうに考えております。
 その際に、海上公園はいろいろなタイプのものがございますので、それぞれの特性に応じまして利用規制を緩和していきたいというふうに考えております。この点に関しましても、ただいま審議会の中で議論がなされているところでございますので、ご質問の趣旨や審議会の答申を踏まえまして、必要な対応を図っていきたい、かように考えております。

○中屋委員 次に、臨海副都心の開発について伺いたいと思います。
 臨海副都心には、他のまちにない一種独特のムードがあると思うんですが、休日など臨海副都心を訪れますと、本当にリゾートに来たような解放感を感じるわけですけれども、こうした魅力が、ディズニーランドをはるかに上回る年間三千六百七十万人もの人々が訪れることになっていると思うんです。
 臨海副都心には、既に温泉テーマパークとか美術館といった新しいレジャースポットの進出も決まっているようでございますけれども、今後、ますますにぎわいと活況が期待されるところなんですが、臨海副都心の開発は、首都東京の再生をかけたビッグプロジェクトだと私は思っています。東京の未来を切り開いて、何としてもにぎわいを本格軌道に乗せていかなければいけないというふうに強く思っているんですが、そうした点におきまして、東京臨海部におけるさまざまな事業が政府の都市再生プロジェクトにも取り上げられているということは、本当に喜ばしい限りでありますけれども、都市再生の追い風だけに頼っているわけにはいかないわけでございます。
 臨海副都心開発の成長と飛躍を支えていくためには、やはり都市開発事業としてのいわば本業である土地処分を着実に行っていかなければいけない。これまでの都市基盤整備に投入してきた五千億円を超える借金を返済していかなければいけないと思っています。このために、港湾局では幹部の皆さんが連日、みずからの足で二千社に及ぶ企業を訪問して、積極的に営業活動しているということを聞いております。本当にご苦労なことだと思っておりますが、これからも気合いを入れて頑張っていただきたいと思っているんですが、臨海副都心の土地処分につきましては、石原知事が我が会派の代表質問に答える形で、民間企業への土地売却、十四年度の早期に実施するという新たな方針を示したわけですけれども、これまで臨海副都心の土地につきましては長期貸付が原則でした。これは地価上昇が永遠のものであるというバブルの幻想に基づく考えであったように思うんですけれども、今回の方針転換は、バブルの清算に向けた大きな一歩であると私は思います。
 そこで、今回の新たな方針について何点かご質問させていただきたいと思うんですが、初めに土地を売却する目的について伺いますが、土地処分方式を多様化することによりまして、民間企業の進出ニーズにこたえるとのことですけれども、皆さんが足で稼いできた情報から、民間企業には現在どのようなニーズがあると把握しているのか、お伺いさせていただきたいと思います。

○金子参事 土地売却に関します民間ニーズについてでございますが、二千社の企業訪問や不動産関係者などからの意見を集約いたしますと、第一に資金調達の多様化でございます。土地の所有権に対し担保の設定が可能となり、融資が受けやすくなること。また、土地の証券化によりまして投資リスクが分散化され、土地購入がしやすくなることが挙げられております。
 第二に事業計画が立てやすくなることでございます。現行の長期貸付方式では三年ごとに賃料の改定がございますので、長期計画が確定しづらいという側面がございましたが、売却方式では投資額が早期に確定し、事業計画が立てやすいと、こういうメリットがございます。
 第三は、土地売却を前提とした事業が可能になることでございます。例えば区分所有権を前提といたします分譲マンションの進出、こういうものが可能になるという点でございます。

○中屋委員 分譲マンションなどの進出が期待できるとの答弁ですけれども、ぜひとも臨海副都心の町並みにマッチした、内陸では実現できない新しいタイプの都市型住宅というのを提案していただきたいと思っています。
 続きまして、今後の土地処分の見通しについてですけれども、厳しいことを申し上げるようなんですが、売却方式を導入すれば、すぐにでも土地処分が進むというものではないと思うんです。いわゆる二〇〇三年問題で、汐留、六本木、品川など大規模な開発がメジロ押しの状態なんですけれども、明らかに供給過剰傾向にあると思うんです。加えて景気回復の兆しが見られない、企業の体力も落ち込んでいるという中で本当に大丈夫なのか、大変気になるところなんです。
 そこでちょっと伺いたいんですが、港湾局として土地処分にどのような展望をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。

○金子参事 土地処分の見込みについてでございますけれども、汐留、六本木、東品川など内陸部で大規模な開発が行われており、オフィス需要に関して厳しい状況にあることは先生のご指摘のとおりでございます。
 一方、臨海副都心は、都心から六キロメートルという立地、りんかい線の大崎延伸などをアクセスの改善に加えまして、水辺の景観のすばらしさ、学術研究施設の存在、エンターテインメント施設の集積など、職・住・学・遊の都市としてのポテンシャルは大きいものがあると考えております。今回考えております土地処分の多様化によりまして、この魅力を生かす開発スキームが組みやすくなる、これによりまして土地処分が推進されるものと考えております。

○中屋委員 まさに逆風の中なんですけれども、臨海の魅力をフルにアピールして、積極的に誘致活動を展開して、成果を上げていただきたいと思っています。
 次に、売却という土地処分の手法について少し伺いたいんですが、都民の共有財産であります埋立地、これを民間企業に売ってしまうということは、これまでもいろいろと議論があったと思うんですけれども、私は、つまるところ、土地処分が進んで都民に利益がもたらされるということは結構なことだと思っているんですが、そこで改めて確認しておきたいんですけれども、土地処分によって最終的には都民に何がもたらされるのかお伺いしたいんです。

○金子参事 土地売却によりましてもたらされるものといたしましては、第一に、臨海副都心における土地処分が促進されまして資金回収が早まります。これによりましてまちの熟成が促されると、このように考えております。
 第二に、進出企業からは、他の地域と同様、固定資産税などの税収が上がるほか、経済波及効果でありますとか雇用創出効果も期待できると考えております。
 なお、開発に伴いまして、貸し付けか売却かにかかわりませず、臨海副都心にはレインボーブリッジでございますとか道路、シンボルプロムナード、公園、共同溝などの公共施設が、都民の財産として将来にわたり残ると考えております。まさに職・住・学・遊の活力あるまち、そのものが都民の貴重な資産になると、このように考えております。

○中屋委員 要するに生活感がある臨海副都心という、まちそのものが残るということだろうと思うんです。よくわかりました。
 続いて、今年度から臨海開発にかかわる三会計が統合されたわけですけれども、私は、これで臨海副都心開発の財政基盤が安泰なのかと思っておりましたが、川崎局長は、庁内に財政基盤強化策検討委員会を設置されまして、臨海会計全体の今後の整備事業、維持管理経費を見直して、大幅な支出の削減を図っていくということを本会議でご答弁されておりました。
 お伺いいたしますが、三会計を統合したばかりの今、何でさらなる財政基盤の強化に取り組むのか、そして具体的にはどのような見直しメニューを考えておられるのか、さらに、この見直しで開発を支える臨海会計の収支は本当に安定するのか、お答えいただきたいと思います。

○三枝臨海開発部長 大きく二つに分けてお答えさせていただきたいと思います。
 まず、財政基盤強化に取り組む理由でございます。
 三会計の統合によりまして、臨海副都心開発事業の短期的な資金収支を改善するとともに、事業の採算性が確保できたところでございます。しかしながら、平成十六年度には、広域交通基盤整備等の開発者負担のピークを迎えます。また、平成二十一年度からは起債の大量償還の時期を控えております。したがいまして、中長期的な資金収支は引き続き厳しいものがございます。
 今回の三会計統合は、臨海副都心開発を着実に推進するための収支改善の第一歩というふうにとらえておりまして、今後、収支の問題を打破していくためには、さらなる大胆な改革が必要であるというふうに考えております。そのため、今回、徹底した収入の確保と支出の大幅な削減を図りまして、財政基盤を一層強化していくと、これが今回財政基盤強化に取り組んでいる理由でございます。
 次に、具体的なメニューと収支の点でございます。現在、庁内に財政基盤強化策検討委員会を設置しておりまして、ここで収支両面の改善策の検討を行っております。
 まず、支出の削減でございますけれども、これまで多額の開発利益を前提として、非常にグレードの高い都市基盤を整備してまいりました。こういったものの整備水準を改めるという方針のもとに、例えば地下公共駐車場あるいは共同溝、プロムナードの整備費、さらには護岸改修などの埋立造成費、こういったものを対象に大幅な削減を検討しているところでございます。
 また、臨海会計の役割といいますのは、本来、埋立地を造成して開発をすると、こういった役割に限定されております。したがいまして、道路や公園を設置した後は、速やかに本来管理者である都や区に移管することは通常のルールでございます。このことは、平成九年に策定されました臨海副都心のまちづくり推進計画においても確認されているところでございまして、今後、この移管の促進についても検討してまいりたいというふうに考えております。
 このような支出の大幅な削減並びに、先ほど参事から答弁いたしましたように、土地処分の多様化などの収入面の見直しと、こういったことで臨海会計の資金収支が安定的に維持されるように、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 なお、資金収支でございますけれども、年度内に検討の結果を、これは仮称でございますが、財政基盤強化プランといったような形で策定したいというふうに考えております。その中で収支についても明らかにしてまいりたいというふうに考えております。

○中屋委員 臨海副都心の開発を支える財政基盤を強化するためには、収入確保の努力とともに、今後の開発経費を削減するという方法もよくわかりました。
 未来都市の理想を掲げて計画された、バブル時代に計画した見込みどおり上がらないといった状況の中で、ある程度の見直しをすることはやむを得ないところだろうと思うんですけれども、これまで臨海副都心開発は大きな見直しを経験してきております。今回の財政基盤強化のためのさまざまな取り組み、本当の意味でバブルの清算というにふさわしい内容としていただきたいと思っています。予算編成などの調整を経て、年度内にも最終的な結論を取りまとめるというふうに伺っているわけですけれども、川崎局長の強力なリーダーシップで、ぜひとも全庁をまとめていただいて、臨海開発をよりよい方向に導いていただきたいというふうに考えています。
 臨海副都心が、職・住・学・遊の多様な魅力を持った新しい都市空間としてますます発展して、また一方で、小さな店も建ち並ぶ路地のような街角がある、何ていうんですか、体温とかぬくもりを感じるような、本当に親しみを感じるまちに成長していってくれたらいいなというふうに思っています。
 海から見たお台場の夜景が、もっと見事なものになる日を期待いたしまして、最後に、川崎局長の臨海副都心開発の推進に向けた強い決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

○川崎港湾局長 臨海副都心開発は、あすの東京の活力を担い、都民生活を支える新しいまちを創造する極めて重要な事業であり、この地域は、ほかにはない多様な魅力を持った新しい都市空間として、多くの方に評価されるまちとして発展し続けるものと私は確信をしております。
 この事業にとりまして、ここ十年というのは、バブル崩壊後の長引く景気低迷、それから地価の下落などにより、かなりの逆風下にあったということは事実でございます。しかし、この間にありましても、この地域のポテンシャルは高まってきており、この地区の可能性を求めて多くの集積が始まってきております。
 今後とも、臨海副都心の特徴を最大限に生かした新しい魅力、価値を創造していくことによって、新たなにぎわいをもたらし、そこに住む人、訪れる人にとりまして、親しみやすく、味わいのあるまちへ成長していくものと思っております。そのためには、開発の着実な推進が不可欠なものになります。それを支える財政基盤の強化のため、あらゆる手段を用いまして、収支両面にわたり徹底的な見直しを行ってまいる決意でございますので、今後ともよろしくご理解、ご支援のほどをお願い申し上げます。

○小林委員 それでは質問させていただきます。
 首都圏メガロポリス構想を見たときに、これはおもしろいなと思って、ぜひ質問してみようと思って最後の方を見たら、都市計画局になっているんですね。いろいろ質問のやりとりの中で、当然質問の限界があることは承知の上で、最初に質問させていただきますが、この事務事業概要の中身に、東京ベイエリア21というのが平成十三年二月に公表ということで出ておりますけれども、首都圏メガロポリス構想というのは、知事が随分前からいって、要するに七都県市の広域エリアの中でどう進めていくのか、東京湾というのは、一県だけで、あるいは一市だけで何かできるような範囲を超えた、今、成熟期になっているというふうに私は思うんです。
 そういった意味で、東京都は東京都で、当然、独自の東京湾に対するいろいろな構想というのはあるだろうと思うんですけれども、しかし一方で、関係する市との一定の調整とか、一定の目標のすり合わせみたいなのは当然必要になってくるだろうというふうに思います。
 そこで、東京ベイエリア21と首都圏メガロポリス構想の関係というんですか、どのように記述をされているのか、まず最初にお伺いします。

○津島総務部長 東京ベイエリア21の中で、メガロポリスとの関係について記載している箇所については三カ所ございます。
 一つは、まず基本的な考え方でございますけれども、このように書いてございます。東京湾は、内陸県も含めた東京メガロポリス圏共有の財産であり、東京湾湾岸域の方向性を示すことは、この都市圏の将来像を示すため必要不可欠であるという形で位置づけております。
 それから、先生お尋ねの臨海地域についての評価につきまして、東京ベイエリア21では次のように述べております。東京臨海地域は、東京湾の最奥部に位置し、他都市とのネットワークの中核として都市活動を支え、牽引していくかけがえのない空間であり、新しい活力や魅力を創造し、発信するなど、さまざまな観点において大きな潜在的可能性を持っていると、こういう形で記載してございます。
 三つ目は、今後の方向性ということで記載している箇所でございますが、都心を中心とする内陸部と東京臨海地域とを一体的にとらえながら、東京臨海地域の役割や方向を考え、東京再生の起爆剤としていくとともに、東京圏全体の活力を向上させていくことが重要である。
 こういう形で三カ所で記載しております。

○小林委員 初めて聞かせていただきましたが、多分、これは神奈川県も千葉県も同じような内容で、どこも、都市の再生とか、自分のところが中心になってやっていくんだと。自分は二番目でいいなんて、どこも書くわけはないから、そういう意味では大体同じような内容かなというふうに思います。東京だけではなくて、この東京湾一帯は日本の財産、そのくらいの位置づけの中でやっていくという気構えが本当に必要だろうというふうに思っております。
 そこで、先ほど中屋委員から話がありましたけれども、要するに東京湾の魅力というのは、さっきお話しになったように、浅場あるいは職・住・学・遊とか、三千七百六十万人の臨海副都心とか、あるいは神奈川へ行けばいろいろあるだろうし、千葉に行ってもいろいろあるだろうし、今までの経済的な機能一辺倒から、今、話があったように、浅場を大いに楽しんでもらうとか、レジャー施設を持ってくるとか、そういういろんな可能性を秘めたまちなので、とりわけ私は浅場の役割というのは非常に重要だろうと思います。
 浅場というのも、いろいろ資料を取り寄せたら、四メートルよりも浅いところを浅場というんだそうですが、私がもらった資料でいえば、自然に残されているところというのは本当にないんですね。千葉の三番瀬が、堂本さんが知事になって残すということでほっとしているんですけれども、三番瀬とか、自然に残っているところというのは、あと京浜島のところがちょっと残っている程度で、あとは全部人工海浜ですね。
 ですから、そういう意味では、これから東京都が進めていくというのは、もちろん埋め立ては、できれば本当はやめてほしい。仮につくったとしたら、そういうところをもう一回自然に戻すような、こういった事業がこれからかなり重要な役割になってくるだろうと思いますが、そこで、今後の自然の保全に向けた浅場についてどのように取り組んでいかれるのか、港湾局の姿勢をお伺いします。

○樋口参事 東京港における浅場を含んだ自然環境の保全でございますが、東京港では、人と自然が調和する豊かな港といったものを目指しておりまして、その中で環境との共生というのは非常に重要だという認識をしております。このため、これまで羽田沖に約二百五十ヘクタールの浅場を造成したほか、葛西沖の約四百ヘクタールの浅場を整備保全してまいりました。また、浅場だけでなく、京浜運河沿いの大井中央海浜公園や若洲海浜公園にはいそを整備するなど、そうした対策も実施してまいりました。
 現在実施中の有明北地区の埋め立てにおいても、水域全体の三分の一強に当たる約十九ヘクタールの水面を残すとともに、カニ等の生物が生息できる自然型ブロックを護岸に取りつけたり、干潟機能を持つ緩傾斜型護岸や潮入り部を設置するなど、水生生物のための環境対策を実施しておるところでございます。

○小林委員 よくわかりました。
 それで、今、新海面埋立処分場が物すごい範囲で行われているわけでありますが、当然、この計画でいうと平成二十何年ですか、うんと先になりまして、十年ぐらいですから、私は多分生きていると思いますけれども、そうはいっても、十年というのは長いようで短いような、そういう話ですから、あそこの内側、外側、それから新海面、これで物すごい陸地があそこへ誕生するわけですから、当然、その利活用という問題はこれから俎上に上ってくるだろうし、メガロポリス構想とか東京湾の活性化とかというときに、非常に重要なウエートを占めてくると思うんですが、そのときに、さっきお話しになったように、自然環境との調整ですね。もう埋め立てているわけですから、それをどう自然に近い形に戻していくのかというところで、ちょっと将来の先になりますけれども、もし局としての見解、構想がありましたら、お聞かせ願います。

○高野港湾整備部長 東京港埋立地をどういうふうに利用していくかということにつきましては、これまで、できるだけ自然環境の視点というのも配慮して定めてきたところでございますけれども、例えば、先ほども話題にありましたように、東京港臨海地域におきましては、都民にとって潤いと憩いの場となります海上公園を、陸域と水域合わせて約千六十三ヘクタール計画しまして、整備をしてまいりまして、先ほどもありましたように、既に七百七十五ヘクタールの公園が都民に親しまれているという状況になっております。
 ご質問の中央防波堤内側、外側処分場の埋立地及び新海面処分場の埋立地についてでございますが、これにつきましては、平成九年四月に策定しました第六次改訂港湾計画におきまして、土地利用計画として大規模な緑地を配置していくということにしてございます。
 具体的には、中央防波堤内側では約八十八ヘクタール、これは内側の約四五%に当たります。それから、中央防波堤外側埋立地、新海面処分場埋立地につきましては二百三十二ヘクタール、これは約二九%に当たりますけれども、そういうまとまった緑地を計画して、できるだけ自然環境に配慮した土地利用としております。
 また、整備に当たりましては、新海面処分場埋立地の東側水域では、水生生物の生育や保全に配慮した緩傾斜護岸、これは百メートルぐらいになると思いますけれども、そういうものを整備することとして、一部、既に整備を始めております。

○小林委員 ぜひそれは実施して、実のあるものにしていただければと思います。
 それから、再々いわれておりますけれども、新海面場が東京都の行う最後の埋め立てというようなことを、よくいろんなところで繰り返されておりますけれども、それを一つ確認するのと同時に、東京の歴史というか、東京湾の歴史というのは、ずっとほとんど埋め立てと開発の歴史なんですね。そろそろ終わりにしなきゃと私も思っているし、もうやめてほしいというのも思っているわけです。
 そこで、東京湾内の今後の埋立計画というのは一体どうなっているのか、改めてということになるかもしれませんが、お伺いします。

○高野港湾整備部長 東京湾といわれましたが、所管が東京港ですので、東京港内における海面埋め立ての基本的な考え方というのは、第一に、首都圏四千万人の生活と産業を支える物流拠点として、ふ頭などの港湾整備に必要な用地を確保するということ、第二に、東京が抱える大都市問題の解決の一翼を担うことを目的とした廃棄物の最終処分場の確保ですとか、清掃工場、下水処理場の用地の確保、第三に、市街地再開発と連携いたしました騒音、振動などの公害工場の受け入れ、第四に、自然の回復や新しいまちづくりのための用地の確保というような、それらのその時々の社会的要請に応じて、環境への影響などを十分配慮して埋め立てを行ってきた、あるいは行うこととしているものでございます。
 現在、東京港で進行しております埋立事業につきましては、廃棄物最終処分場である新海面処分場と、それから、新しいまちづくりとしての有明北地区及び豊洲、晴海の外周部の埋め立てであります。
 ご質問の今後の埋立計画といたしましては、既存ふ頭再開発事業としての日の出ふ頭の再開発計画がございます。これは、現在の日の出ふ頭の前面水域約七・三ヘクタールを埋め立てまして、にぎわいのある港湾空間を創出するとともに、震災時の人や物資の輸送基地として利用する計画でありますが、これにつきましては、現在の厳しい財政状況から、事業の実施を見送っているところでございます。将来の埋立計画につきましては、最後にいいましたその時々の社会的要請といいますか、そういうものに基づきまして、さきに述べた基本的な考え方に基づいて、適切に対応していくことを考えております。
 なお、埋め立てに当たりましては、先ほど来議論がありましたように、生物環境に配慮した護岸の整備でありますとか、浅場の造成や水辺の緑化など、できる限り自然環境へ配慮して実施していくこととしております。

○小林委員 新海面処分場埋め立ては、廃棄物の処理場ですから、私は以前、島が二つあって、こっちに穴を掘ってこっちを埋めて、こっちをやっているときにこっちをまた穴を掘ってとかという、ちょっと思いつきみたいな質問をしたんですが、どこかで埋め立て一辺倒みたいな考え方を改めていかないと、将来といっても二十年、三十年後には捨てる場所が必要になってくるわけですから、そういった意味では、もちろん第一義的には、減量して、とにかくあそこを長く持たせるということは、所管は違いますが、そこはぜひ努力をしていただく。
 それと同時に、あの海は東京だけのものではないわけですから、さっきいいましたように、日本にとっても大切なところだし、あれはいろんなところにつながっているわけですから、あれを大切に汚さないで使うということもすごく大事ですから、本当はこれは質問しようと思ったんですけれども、環境局に入っちゃうので要望にしておきますが、局としてできるような水質保全については、積極的に努力していただきたいと思います。
 それから、メガロポリス構想の中に、私はとてもまとまって、いいものだと思うんですが、都市計画が第一義的にはいろいろ計画して調整をするということになるだろうと思いますが、カニ護岸というのがあって、カニがすめるような護岸を港湾局でやっているというような話がありましたが、局としてもいろいろ、それは都市計画は大きな枠組みはするんでしょうけど、技術的な事業をする際に、執行する際に、港湾局としてできるようなことって結構あると思うんですね。こんな東京湾をつくっていきたいとかというのがあるだろうと思いますが、そういったところから、首都圏全体における広域的な連携について、おれのところはそんな権限はないんだといわずに、局長にその辺の見解をお伺いして、私の質問を終わります。

○川崎港湾局長 ただいま委員からいろいろな話がありましたが、東京のさまざまな行政課題を解決していくためには、今後、首都圏全体をとらえた広域的な視点から考えていかなくちゃいけないという場面がますますふえてくると思っております。
 港湾局の事業について考えてみますと、今、委員のお話には直接入っておらなかったわけでございますけれども、東京湾内には東京港を初め横浜港、それから川崎港、千葉港と、この小さな湾の中に四つも大きな港があるというようなことから、この機能分担、連携をどうするかという課題がございます。首都圏という同じ行政対象を持つ港が、経済合理性に基づいて競争していくという今までの考え方もある一方では、国際間の競争の時代に、むだを省いて連携を強め、機能分担をしていったらどうかという考えもございます。
 今、一つ港を例にして挙げたわけでございますけれども、このほかにもいろいろと、私ども港湾局の事業に限っても、首都圏の連携を必要とするものは多々あるというふうに思っておりますので、今後は、関係自治体と幅広い連携をとりながら、施策の展開を図ってまいりたいというふうに考えております。

○森田委員 事業概要の一部を少し伺わせていただきます。
 私の経験でいうと、港湾局というのは、ずっと臨海部の問題を抱えているような局に思ってきたんですが、今回、改めて港湾局のお話を聞いてみると、今、局長がいったように、東京港が非常に大きな重要な地位を占めているなということを感じました。
 驚いたことに、我が国の輸出入の貨物の九九・七%が何と船で来ている。これだけ飛行機が発達している中で、貨物の大半、一〇〇%近くが相変わらず船で、外国から来たり、あるいは日本から外国に行っている、こういうことから考えると、東京港の存在というのは大変に大切だなということを感じました。
 しかし、現実に東京都の中でも、首都圏には第三空港が必要だ、羽田の国際化、羽田にもう一本滑走路をつくろう、そういう空港に対しての議論は大変出ているわけですが、東京港に関しては余り切迫した議論が起こっていないわけですね。しかし、少しお話を聞いてみると、今、東京港だけではなくて、横浜港、神戸港、日本の港は空港と同じように、アジア周辺の国々、上海や香港やシンガポールや、そういうところに全部席巻されかねない状況になっているということ聞きました。
 しかし、これは我が国の将来を考えたときにも非常に重要な問題ですので、まず最初に、東京港が抱えている現在の大きな課題を三つぐらい教えていただきたいと思います。

○浅倉港湾経営部長 東京港の抱えている港湾経営上の大きな問題といたしまして、一つは港湾諸料金が高いということでございます。アジアの主要港でございますシンガポールや釜山と比較して、約二倍の水準にあります。
 それから、サービスの点でも問題を抱えておりまして、港湾の運営時間については、我が国の場合、平日の夜間や土曜日の午後以降、それから日曜、祝日は全日、コンテナターミナルのゲート受付は閉鎖しております。一方、アジア諸港は二十四時間、三百六十五日ゲート受付が可能な状況にあります。そういった荷役サービス、料金の面が大きな課題ではないか。三つといわれましたけれども、とりあえず考えられるのはその辺でございます。

○森田委員 二つ解決すればいいということですね。
 確かに使う側にすれば、料金が倍もある、それから港のコンテナを積みおろしができる時間に非常に制限がある、これは非常に使い勝手が悪い。そうであれば、私の聞いたことによると、日本の港を飛び越しちゃって、上海やシンガポールに大きな船が着いて、そこで積みかえて小さな船で日本に来る、こんなことが随分ふえてきているというふうに聞きましたけれども、今いわれた二つの課題について、解決のために今までどんなことをされ、また、今後どういうような解決方法を考えていらっしゃるのか、その辺についてお伺いします。

○浅倉港湾経営部長 ただいま委員がいわれたように、世界の基幹航路が東京港に来ないと。フィーダー港としての地位に下がってしまうということになりますと、積みかえのコスト、それから輸出から輸入までの時間が非常に長くかかる、また、フィーダーということになりますと不安定な時間にもなるということで、最終的には都民生活あるいは産業活動に大きな影響を与えるというふうに考えております。
 それで、私どもといたしましては、東京港が引き続きメーンポートとしての地位を確保していくために、港湾を取り巻く規制の見直し、それから効率的な荷役体制の確立など、使用者のニーズに対応した低コスト、高サービス体質への変革が不可欠だというふうに考えております。このため、平成九年七月に官民一体となって東京港振興促進協議会を設置し、国際競争力を持った使いやすい港づくりを目指し、検討を進め、平成十一年四月に、ハード、ソフト両面についての対応を実行するためアクションプランを定め、現在、その実現に取り組んでいるところでございます。
 具体的に申し上げますと、コンテナターミナルのゲートオープン時間の延長のトライアル、それからガントリークレーンの使用料の軽減化、日曜に荷役を行う船舶の入港料や岸壁使用料の免除等を既に実施しております。
 なお、ことしの四月に、これまで制限されていました日曜、夜間の港湾荷役やゲート受け付け時間の延長が可能となるよう、港湾の業界と組合、労使の協定が結ばれまして、港湾の二十四時間、三百六十五日フルオープン化に向けて大きく前進したところでございますけれども、これは、ただいま申し上げました労働組合を含む官民一体となった東京港におけるゲートオープン時間延長のトライアルが一つの契機になったというふうに認識しております。

○森田委員 具体的にどういうふうに進んだのかよくわからなかったんですけど、この東京港というのは、バックグラウンドとして四千万人の消費者がいるというふうにいわれていますね。そういう意味でいうと、ほかの港、国内だけではなくて、アジア近隣の港にしても、大きな消費地を抱えている港であることは間違いないわけです。したがって、コンテナがおりる量というのは、間違いなく東京港は大変な量だなと、それはほかの港を超えていることは間違いないのではないか。
 データを見て私はびっくりしたんですけど、食料品の輸入は多いのは当然ですが、医療品もふえてきている。一番びっくりしたのは、家電製品も輸入がすごいふえている。日本は何をつくっているのかなというふうにちょっと疑問に思ったんですけど、かつて家電は日本が輸出していたのが、逆に輸入するようになっちゃった。そういう四千万人の消費者を抱えている港、そこは、要するにもっと充実していかなくちゃいけないし、いろんな意味で、さっきもいったように、夜間のコンテナの積みおろし、あるいは料金の問題、これについて具体的に解決しなくちゃいけないと思うんですが、何か聞くところによると、東京港だけでは解決できない全国一律の考え方があるというふうに聞いたんですが、これはどういうふうになっていますか。

○浅倉港湾経営部長 港湾の荷役につきましては、港湾運送事業法に基づきまして、その港湾運送事業法に基づく許可を受けた業者のみが港湾の荷役ができるという形になっております。また、実施に当たりましては組合との協定というのがございます。日本港運協会、あるいは東京都においては東京都港運協会というのがございまして、これまでの作業時間だとかゲートオープンの時間だとか、いろいろな仕組みを変える場合には、事前協議をする、労使の協定を結ぶということが慣例となっております。
 そういう点で、東京港だけが他港とは違う形をとるというのはなかなか難しいという状況にありまして、そういう点での制約というのが一番大きなものとしてあるだろうと思っております。

○森田委員 いろいろな課題について、ぜひ解決に向けてご努力をお願いしたいと思っております。
 それと、十四年度からですか、東京港の改善のためにIT化を全面的にやるということで、それが大項目に出ているんですが、IT化と今の課題とは、何か課題解決につながりますか。

○浅倉港湾経営部長 港湾サービスの向上を図る場合に、ゲート待ちというのが非常に問題となっております。その解決の方策としては、例えばトラックヤードを外に設けておきまして、トラックヤードのところにコンテナを積み出しておく、そのためにITを使った連携、仕組みをつくると、そういう形のものを今、現実にトライアルとして実施しております。
 また、港湾EDIと名づけられた船舶入出航手続というのがございますが、船舶が入港する場合、さまざまな手続がございます。それを一つの手続で、全部それがシステム的につながるというために、ITの活用というのは、現実に今、取り組みを図っております。また、税関においてもシーナックスというシステムをつくりまして、税関手続の簡略化を図るという方法が現実にできております。
 それらをさらにネットワークを結んで、ITを活用しまして、さらに簡略化すると、そういうことによりまして、港湾が使いやすい、かつ世界の港とも比較して遜色のない港になるだろうと、そのためにITの活用というのは重要だというふうに考えております。

○森田委員 ITの活用を決して否定するわけではないですけれども、今、東京港が抱えている課題というのは、最初にお聞きしたように、一つは料金が高いということ、もう一つは、コンテナを積みおろしする時間が、夜ができない、あるいは土日ができない、こういうことの解決のために、何かITが関係あるかなと。ITがそのまま荷物を運んでくれるとかということはないわけですから、情報は流れても、ITは情報を流すだけであって物を運んだりはできない。そういう意味でいうと、ITということが表に立ってきて、それだけでやっていくと、今、東京港が抱えている課題というのは、ITという言葉でいうと、何でもできるような感じになっちゃうけど、現実にはそうではないのではないか。この辺を私たちも錯覚してはいけないなというふうに思っているんですけれども、その辺のところ、ITと今の課題というのは余り関係ないんじゃないか。

○小宮山物流企画担当部長 ただいまの、課題解決のためにITだけに頼るのはいかがかというご質問だと思いますけれども、例えば、今、東京港につきましては輸入貨物がうんとふえております。これは経済のグローバル化といっておりますけれども、日本のメーカーさんが、人件費の安いアジア、中国を中心としまして、そちらの方に工場を移しまして、逆輸入のような形の貿易がふえてきておるということで、特に四千万人の消費者を抱えております東京港において輸入がかなりふえておる、十年前と比べますと、六、四ぐらいの割合で輸入貨物がふえているという状況がございます。
 そんなわけで、東京港は、特にコンテナターミナルに物を持ち込んだり、あるいは輸入貨物を取って消費者の方に運んでいくという、そういうことをやっているわけですけれども、今申し上げましたように、陸岸のゲートのオープン時間がかなり制限的になっているということもございまして、ゲートの前にかなりのトラックがとまって交通渋滞を起こすという状況がございます。
 そういう状況がございますので、私どもといたしましては、今、先生がいわれておりましたインターネットを使いまして、ITを活用してということで、今、港湾経営部長が申し上げましたようにトライアルを実施しております。
 それはどういうことかといいますと、インターネットを活用いたしましたコンテナの予約搬出システム、これの実現に向けて取り組んでおります。このコンテナ予約搬出システムというのは、輸入コンテナのターミナルからの搬出をインターネットを活用して受け付けまして、コンテナ搬出時間の短縮、あるいはゲート待ちのトラックの減少を図っていく、これによって周辺の道路の混雑を緩和していく、そういうことでやっておりまして、これは港湾の物流効率化を目指すシステムであると思っております。
 現在、関係団体あるいは事業者と検討部会を設けまして、このシステム確立に向けたトライアルを実施中でございまして、今、トライアルをしている効果を見ますと、やはり渋滞の列がかなり短くなったり、あるいは当然のことながら、ゲートを入ってから出ていくまでの時間が短くなったりして、かなりの効果があるというのはわかっておりまして、これをトライアルから本格的な実施に向けて、うまく導入できればというふうに思っております。

○森田委員 さまざま工夫して、ぜひ東京港の充実を図ってもらいたいと思っています。
 最後に局長に伺いますけれども、東京港の存在というのは非常に大きいし、何か聞くところによると、アメリカから日本に貨物を運んでくるときに船で来る、それが仮に横浜港に着いて、横浜から東京まで来ると、その船賃とトラック代が同じぐらいだという話を聞きました。そういう意味では、東京港に荷物が着くだけで、大変に経済的なメリット、それを使う消費者にとっても大きなメリットがあるのではないか。そういう意味では、東京港の一層の拡充充実ということは非常に大事な課題であると思います。港湾局が抱えている臨海部の問題も非常に大事だけれども、東京港の充実ということを図っていかなくちゃいけないと思いますので、最後に局長のご決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○川崎港湾局長 今の理事の質問に答える前に、先ほど小宮山部長がいろいろと長々と説明していましたけれども、結局はトラックの回転率を高めてコストを安くするということです、簡単にいえば。今、五時間ぐらい待っているのを、待ち時間をなくすれば、トラックの回転率が高くなるということでございます。
 それで、今の理事の質問に戻りますけれども、東京港は三年連続、外貿コンテナ取扱量で日本一となっておりますけれども、激しい国際競争の中では、総体的な地位は低下しているということも事実であります。決して三年連続日本一でいいということではなくて、逆に楽観できる状況にはないというふうに私は理解しております。
 海運という仕事は、一〇〇%市場原理が働く世界でございます。しかも、世界単一の市場です。日本の市場ということではなくて、世界が一つの市場になっているということで、極端な話をしますと、国際競争力のない港には、将来、船が着かないという事態も考えられるというような世界でございます。
 先ほど理事の方からも話がございましたけれども、首都圏四千万人という消費者を背景に持つという優位性により貨物が集まるということに甘えることなく、早急に国際競争力のある使いやすい港にしていくことが、官民にとって急務の課題であると考えております。その実現に向けて、全力を尽くす決意でございます。よろしくお願いいたします。

○河野委員 私は、有明北地区の埋立事業と青海地区にあります共同溝展示室の問題について伺いたいと思います。
 昨年の八月に、東京都が有明北地区の三十五ヘクタールの埋め立ての免許を取りまして、今、埋立工事が進められております。最初に、具体的にこの埋立工事の中でどういう問題が起こっているのかということをお伺いしておきたいと思います。
 この工事が進んでいるわけですけれども、東京都は海面の埋立工事がどのような形で行われているのか、把握されているかどうか、お伺いしたいと思います。特に、作業時間の問題とか、工事にどのような機械が使われていて、そして海面ではどんな工事のあり方がされているのか、都が把握されていることを具体的にお答えいただきたいと思います。

○樋口参事 ご質問の趣旨としては、現在、有明北地区でどんなふうな形で埋立工事が行われているかということと、詰めていえば、住民の方々に対してどんな対応をしながら進めているかということかと存じますが、有明北地区の現在の埋立事業としては、これまでに地盤改良の前提となるしゅんせつ工事を行ったり、あるいは地盤改良の工事、それから、「ゆりかもめ」の基盤となります埋め立てを行ってきたところでございます。
 それらの工事に当たりまして、先ほど話がありましたが、どのような工事機械を使っているかというようなことでございましたが、実際に我々、この工事をするに当たりましては、周辺環境への影響を極力少なくするというようなことを基本にしてございまして、低騒音、低振動の建設機械を使用するといったようなことや、実際に汚濁防止幕の設置による水質汚濁防止対策といったようなことで、環境に配慮した施工をしてございます。
 また、こうした工事になりますと、住民の方々が、どんなことをやっているのかといったようなことでいろいろご心配されることもありますので、工事説明会を実施したり、地元の掲示板に工事のお知らせ、あるいはどんなものができるかといった完成予想図などをお示ししまして、工事内容をお知らせするようにしてございます。
 また、現在、工事着手後一年経過してございますが、これからも環境保全対策に万全を期して事業を進めていきたいと、かように考えてございます。

○河野委員 今、ご説明いただきましたけれども、私がお伺いした中で、作業の時間とか、そういうことについてはお触れになっていなかったんですが、実際は朝七時過ぎから、七時半ごろというお話もありますが、重機のエンジンがかかりまして、近隣には、東雲に都営住宅やさまざまな住宅がありますから、早朝から重機の騒音あるいは振動とか、それから、お話では、周辺環境に配慮した、振動もそんなに起こらない機械をということだったんですけれども、実際、船と船とで荷運びをしている関係があったりして、拡声機による連絡のとり合いであるとか、そういうことが作業の現場では行われているということになっています。
 その辺のところで、東京都の方には、住民の方から、早朝から始まって夜七時過ぎまで作業をしているそうなんですが、作業時間の問題であるとか騒音対策の問題とか、具体的に要望なり苦情なりというのは届いていないのでしょうか。

○樋口参事 地元からの苦情を実際にどのような受けとめ方がされているかということだと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、この工事に当たりましては、工事説明会をするとともに、地元の町会長さん方とか、いろいろ連絡をとって調整してございます。もちろんそのほかに個別に苦情を寄せられる方もございます。こういう工事で、今まで何もなかったところに工事を始めますと、私ども、先ほども申し上げましたように、低騒音、低振動の機械を使っているとはいえ、多少の音は出ますので、驚かれる方もいらっしゃるということで、そのことについては、工事のやり方あるいは時間の調整というのもさせていただいております。
 そういう中でご理解いただいておりますが、先ほどの話にございました中で、例えば、どうしても海の上ですので声が届かないというので、拡声機で話をするというようなことが、大変申しわけないんですが、実際にあったそうでございますが、現在、トランシーバーだとか携帯電話でそういう連絡をとるとか、あるいは出入り口が、広い場所でございますので、いろんなところから出入りをすると、それも音が出るというようなことでございますので、なるたけ人の少ない中央部分の出入り口から行うだとか、そういったようなことできめ細かな対応をして、住民の方にご説明してご理解をいただいているというような状況でございます。

○河野委員 ご理解をいただいているというご答弁もありましたけれども、実際には私どものところにも、早朝からの作業の開始の問題とか騒音対策の問題について、東京都が事業をやっているわけですから、きちんと業者の方とも話し合いを進めて、住民に納得のいく形で説明を行ってほしいという声があります。
 私は、この問題は要望にとどめておきますけれども、やはり工事に関連して、実際に騒音などによる被害を受けておられる周辺住民の皆さんへの東京都としての対応を早急に誠実にとっていただくことを、この問題では要望しておきたいと思います。
 続きまして、埋立事業の問題について質問させていただきたいと思います。
 有明北地区の埋立事業については、私が住んでいる江戸川区内でも、屋形船を営業する方々や釣りを愛好している方とか、あるいは自然保護団体の方々など、たくさんの人がこの事業について疑問の声を上げております。工事が始まって一年が過ぎたということが先ほど答弁もありましたけれども、今なお計画の見直しと撤回を求めております。
 そこで、初めに、この有明北地区の埋立事業につきまして、事業の目的と、これまでの経過などについてご説明いただきたいと思います。

○樋口参事 ご質問は二点ございまして、事業の目的、それと経過ということでございますが、最初に事業の目的でございますが、本事業が実施されることによっていろいろな成果が出るということでございますが、整理して三つの目的をお話し申し上げますと、まず第一に、都心に近接する立地条件、あるいは海辺の景観といった特徴を生かしまして、業務・商業機能と居住機能の複合する活力あふれるまちをつくることでございます。臨海副都心を職と住のバランスのとれた都市として成熟させるため、この地区に潤い豊かな都市型住宅を配置し、都心居住の推進にも貢献をするものでございます。
 第二に、環状二号線、放射三四号線の広域幹線道路整備や、新交通「ゆりかもめ」の豊洲延伸のための用地を確保することでございます。これら交通基盤の整備により、交通利便性の向上や交通ネットワークの形成を促進し、臨海副都心地区内や、その周辺の交通渋滞の緩和に大きく貢献するものと考えてございます。
 第三に、災害から都民を守る防潮護岸を整備し、あわせて水と緑に親しめる大規模な公園を整備し、都民の方々に散策をするなどの楽しむ場を提供することでございます。
 それと、これの経緯でございますが、本件につきましては、かねてより、埋立整備することについて都市計画上の手続を進めてまいりまして、埋立免許を十二年八月十七日に取りまして、それ以降工事を進めてまいりました。先ほど申し上げましたように、しゅんせつ工事、それから地盤改良工事などを行っておるところでございます。

○河野委員 それでは、有明北地区の埋立事業費について伺いたいんですが、財源は起債であるということで伺っておりますが、実際にどのくらいの金額になるのか、事業費と起債利子分の返済額などについてお答えいただきたいと思います。

○樋口参事 起債で充当しているということで、起債利子も含めた全体の事業費ということでございますが、有明北埋立事業の事業費につきましては、工事費用が約四百億円、このほかに埋め立ての補償調査費が百二十九億円、合計で五百二十九億円でございますが、起債利子が百二十億円と見積もってございますので、これを含めると、合わせまして六百四十九億円となります。

○河野委員 この埋立地域が三十五ヘクタールで、その南側の八十六ヘクタールは既に土地があります。この土地について、平成十一年三月ですか、区画整理事業でここをまちづくりを進めていくということで、計画決定が報告されているようですけれども、今、三十五ヘクタールの海面を埋め立てして土地をつくった場合に、この南側の地域とのまちづくりの関連ですね、埋立地域のまちづくりについてはどのような手法で進めていくのか。八十六ヘクタールプラス三十五ヘクタールですから、合計百四十一ヘクタールという大変大きな面積になっていくわけですけれども、事業者であり、なおかつ最大の地権者となる東京都としてのお考えを伺っておきたいと思います。

○樋口参事 現在、有明北地区の全体、区画整理事業で進めておる場所と、それと埋め立てで既に進めておる場所がございまして、それぞれのまちづくりについてどのような事業手法で進めていくかというようなことかと思いますが、有明北地区の区画整理事業につきましては、建設局で現在施行しておりますが、土地区画整理事業でございますので、事業の進め方としては、土地区画整理をして保留地処分金というのを出しまして、それでいろいろ都市基盤整備を実施していくというようなことでございます。
 それと、私どもで実施しております埋立地区におきましては、埋め立てした土地を処分して、それをもちまして護岸整備の費用だとか、いろいろな基盤整備の費用に充てていくと、そのような手法で考えておるところでございます。

○河野委員 今のご答弁ですと、有明北地区という百四十一ヘクタールの一つのブロックの中で、南側の八十六ヘクタールは区画整理、そして、埋め立てたところについては別の手法で進めていくというふうにお考えだと受けとめてよろしいでしょうか。

○樋口参事 有明北地区の全体の考え方としては、有明北地区というのは、今、八十六ヘクタールと三十五ヘクタールございますが、全体を一体的にまちづくりを進めていくというふうに考えてございます。
 したがいまして、埋め立ての部分、それから区画整理で行っている部分、地権者の方々が既にいらっしゃいますので、それぞれが密接な関係がございますので、地権者の方々と相談しながら、全体的な基盤整備の仕方だとかについては今後調整していくと、そういうふうに考えてございます。

○河野委員 一体的に進めていくということですけれども、分かれるのか、一緒に区画整理の手法で進めていくのかということが、明確なご答弁ではないんですが、平成十六年度までにこの三十五ヘクタールを全部埋め立ての工事を終わらせると。今、十三年度ですよね。この時点で、東京都がきちんと都民の前に、この三十五ヘクタールのまちづくりをどのように進めていくかということで、まだ検討中という段階のご答弁をなさっているのは納得がいかないということで、そのことはちょっとおかしいんじゃないかということをまず指摘させていただきたいと思います。
 次に、現在決定しております区画整理地域については、建設局の方で事業計画案が出されていて、その中で、平均減歩率が約一八%、それから事業費が四百八十億円ということが明らかになっております。先ほどお話しにありました埋立事業費の六百四十九億円と合わせて一千百数十億円のお金が、この有明北地区百四十一ヘクタールの中に投入されていくことになるわけです。
 ここで一つ伺っておきたいんですが、三十五ヘクタールの埋立地の事業予算六百四十九億円ですか、その中には、上下水道であるとか区画街路であるとか、そういういわゆる基盤整備のための予算が含まれているかどうかということと、含まれていないとしたら、新たにこの千百数十億円のほかにどのくらいの予算を投入していくことになるのか、予測されているかどうか、伺っておきたいと思います。

○樋口参事 二点あるかと思いますが、一つは、埋立地の整備費用六百四十九億円、その中に上下水道だとか道路も含まれるんだと思いますが、そうしたものの費用が盛り込んであるかというご質問、それと、区画整理の費用も含めると千百何十億かになる、その数字についてどのようにしていくかという話だと思いますが、先ほど申し上げましたように、基本的な事業手法として、埋立地の中で護岸整備等に埋め立て整備するためのお金は、先ほど申し上げました六百四十九億でございますが、そのほかに、土地を処分して得た剰余金、これを埋立地内の道路整備だとか公園整備だとか、上下水道整備に充当するということにしてございます。
 区画整理につきましては、先ほど申し上げましたように、区画整理として実施された保留地の処分金をもって、それらの費用に充てていくというのが基本的な考え方でございます。

○河野委員 では、そういう保留地を処分して基盤整備を行った場合に、それが財源になるわけですけれども、どのくらいの予算がかかるのか、ここでお答えいただきたいと思います。
 それから、この基盤整備を東京都が責任を持って進めていかなければ、埋め立てをしても、実際には土地は売却できないということになると思います。その辺でもいろいろと、この基盤整備について大変大きな財源を支出していかなくてはならないと思いますが、今、保留地処分とか、いろいろなお金のつくり方のことをおっしゃっていましたけれども、都民にとっては、本当に大きなお金がこの事業の中に投入されていくということなんですが、この埋立事業と区画整理をあわせたこの地区の開発行為に対して、今お答えいただいたような財源のつくり方で、収支の見通しをどのように試算されて、実際にその見通しがつくのかどうかというところを、改めて伺っておきたいと思います。
 そして、土地の処分をしていく場合、一平米当たりどのくらいのお金で売却が可能になるのか、そこの予測もあわせてお願いします。

○樋口参事 まず、一点目は全体の収支の見通しでございますが、先ほど申し上げましたように、それぞれの事業の中で、保留地処分あるいは土地の売却ということで、それぞれ収支をとるということにしてございます。これにつきましては、現在、臨海副都心の非常に高いポテンシャルなどを考えますと、十分に収支はとれると思います。
 今、お話しございましたように、この臨海副都心の埋め立てにつきましては、埋め立てを行うことによって税金を使うことなく、親水公園あるいは防潮護岸、幹線道路などの公共施設を整備し、職住近接の住宅地をつくることが可能になるというふうに考えてございます。
 それと、実際のこの土地の金額につきましては、今後、周辺で開発が行われる中で変動してくるというふうなことでございまして、今後、そうした状況を見ながら実際の金額がはじき出されると、そういうふうに認識してございます。

○河野委員 今、金額については周辺の状況の変化に対応してということでおっしゃっていましたけれども、青海とか台場とか、臨海部をずっと開発していますよね。そこの宅地の価格というのは平米当たり七十数万円と、そういう試算も伺っております。それから、金額としては東京都もいろんな金額を出しておりまして、この建設局が出しました事業計画書の中では、区画整理が施行後の一平米当たりの単価は五十一万円という数字も出ているんですね。
 では、実際にこういう金額で進むのかどうかといったら、今、状況がいろいろ変わる中で、また金額も見直していかなくてはならないということで、東京都の今の収支の見通しがつくという立場でのお答えだったと思うんですけれども、実際にはいろいろな数字が出てきている中で、やはり収支見通しについては非常に厳しい状況があるのではないかと私は考えるんです。
 臨海部の開発全体の収支見通しが、これから数十年先、平成でいえば四十八年ですか、そこが収支の均衡のとれるときだというお話も伺っておりますし、数十年先を見越して、そして収支の見通しについては、社会情勢の変動に応じて東京都も考えていくというお答えでは、私は、やはり信憑性に欠けるというのか、そういうふうに受けとめざるを得ないので、そのことは申し上げておきたいと思います。まさに願望の込められた収支見通しではないかというふうに感じます。
 続いて、土地の利用問題について伺いたいと思います。
 埋立地は住宅建設用地と聞いておりますけれども、平成九年の見直しで、有明北地区全体で九千戸の住宅が建ち、二万八千人の居住人口というフレームが出されております。青海の地区では住宅用の土地がパレットタウンに使用されたり、有明の丘もまた、当初の計画であった住宅建設が進んでいないのが現状だと思います。
 そこで、有明北地区での住宅建設の見通しと、また、公共住宅と民間住宅の供給割合と実現の見通しについて、都のお考えを伺っておきたいと思います。

○樋口参事 一点目、有明北地区で住宅の需要がそれほどあるかというようなご質問だと思います。有明北地区における住宅の話でございますが、現在、都心部あるいは台場地区などを見ますと、住宅の需要が非常に高うございます。例えば都市基盤整備公団などは、有明に既に土地を取得して、積極的に住宅整備をしていくというふうなことの動きもございます。また新たに、私ども青海では、国際交流のための住宅の整備もしてございます。そんな形で、この地区におきましては、多様な形で公共住宅の整備が進められるというふうなことは考えてございます。
 もう一つの公民比率の問題でございますが、これは臨海部全体で考えてございますが、公民比率、いわゆる公共住宅と民間住宅の比率でございますが、六対四ということで考えてございます。

○河野委員 多様な形での住宅交流ということで、多分、国際交流村というんですか、あそこのこともおっしゃっているのかなと思うんですが、この公民比率の問題でいえば、今、お答えは、臨海部全体で六対四という、公が六、民が四ということだと思うんですけれども、去年の十一月の経済・港湾委員会での質疑を、私は議事録を読みました。そして、我が党の山本信前都議が港湾局に質問をしているんですけれども、公的住宅建設の可能性を、港湾局は見通しがあるとはっきり答弁されております。特に、都市基盤整備公団が有明北地区に計画を持っているという話もあるしと答えて、山本前議員の重ねての質問に、土地が完成した上でも担保ができるのかという質問に、港湾局としては粛々と進めていくと答えていらっしゃいます。
 今、そういう点では、おっしゃった臨海部全体で公共の住宅六、民間の住宅四の比率ということでは、やはりご答弁が、この有明北地区の開発全体について六、四というお話をされたのが変わってきているのではないかというふうに受けとめてしまうんですが、その辺はどうなんでしょうか。

○樋口参事 先ほど、臨海部全体の公民比率として六対四と申し上げました。有明北地区につきましては、民間の地権者の方が非常に多い場所でございます。そうした中で、具体的な住宅の建設等については、先ほど申し上げましたが、民間地権者の方々と協議調整し、開発を行うこととしておりまして、最終的に本地区の公民比率についても、この六対四といった全体の比率を基本にしながら、地元地権者や関係者と協議調整を行って決まっていくものというふうに考えてございます。

○河野委員 私は、この「レインボータウンのあすを目指して」というパンフレットで、先ほどの有明北地区の建設計画戸数、開発フレームのことをお話ししました。
 この中で、臨海部全体では、青海の地区に二千戸、有明南に一千戸、台場に二千戸、そして有明北地区に九千戸というふうになっています。合計一万四千戸の計画戸数を都は持っているわけですけれども、もし臨海部全体が六、四の比率で公共住宅を誘導してくるとなったときに、ここの九千戸というのは、一万四千戸のうちの九千戸を有明北地区が受け持つという点では、東京都が責任を持ってこの計画を進めていくというのであれば、六対四という比率をきちんと守っていくというのであれば、有明北地区には相当数の公共住宅がつくられなくては、計画は成り立たなくなるのではないかと率直に思ってしまうんですが、その辺はいかがでしょうか。

○樋口参事 有明北地区における公民比率が六対四ではないのではないかというお話でございますが、有明北地区ということでなく、臨海副都心全体ということで公民比率を考えております。それで、場所場所いろいろ出てくるということはあるかもしれませんが、これを一つのベースといたしまして、有明北地区につきましては、お台場等と違いまして民間の方々が非常に多うございます。そういう方々と協議調整をし、開発を行うこととしておりまして、先ほど申し上げましたが、本地区の公民比率も、その比率を、現在の六対四という、全体の六対四という比率がベースになるわけでございますが、その中で地元地権者や関係者と協議調整を行って決めていくというふうに考えてございます。

○河野委員 なかなか難しいご答弁なんですが、公的住宅という点でいいますと、今、六割を確保していくというお考えは聞きましたけれども、都市基盤整備公団が、今、国のいろいろな動きの中で、特殊法人の問題も抱えておりますし、それから、民間と協働して民間共同住宅支援型の施策を進めていくとか、そういう公団自身の方針が少しずつ、民間に依存していくという方向も出てきていると思うんです。
 そういう点で、東京都が、都営住宅が財政状況で新規建設ゼロ、公社も、新規の建てかえがありますといっても、これは既存の古い団地の建てかえがほとんどで、全く新しいところ、新規の住宅がゼロという点では、公的な住宅がこの地域の中にどのような形で建設が進んでいくのかという点では、私は納得がいかないものを持っています。
 それとあわせまして、この有明北の埋め立て事業が住宅供給を目的とした開発だということを伺ったわけですけれども、昨日の朝日新聞の報道で、この有明北地区も含まれる江東区全体で、今、不況のもとで工場、企業がどんどんと移転して、会社が立ち退いていると。その安くて広い土地に民間のマンションが雨後のタケノコのようにどんどん建ってきて、この数年間の中で、江東区では二万から三万戸の民間の住宅が建ち上がってくるだろうというので、江東区としては特別の対策本部も設置したという記事が出ておりました。
 そういう社会的な背景がある中で、例えば江東区の計画されている東雲の地域とか、塩浜とか晴海とか、より都心に近いところに民間の土地があり、そして、そこに民間の住宅の建設計画がどんどんと進んでいる中で、果たして幾らの土地の金額になるのかわからない有明北地区に、民間としても住宅建設が進められていくのかどうかという点では、私はかなり厳しい状況があるのではないかというふうに考えています。
 そういういろいろな社会情勢、現在直面している問題を考えますと、私たち、これまでもお話をしてまいりましたけれども、住宅建設ということを理由にして、有明の埋立事業に多額のお金を投入して急いでいく必然性は、今、ないのではないかというふうに考えますので、これは意見として述べさせていただきます。
 続きまして、環境の問題について質問させていただきます。
 初めにお話ししましたように、江戸川区民の中にも、環境保全をずっと進めてほしいということから、先ほどもお話がありました江戸前の海というふうに呼ばれている大変貴重な海域を残してほしいという要望がたくさんございまして、江戸川区議会でも区民から陳情が出され、きょうの委員会で全会一致で、有明北地区の海面の環境を守っていく立場で陳情が採択されるというお話も聞いてきました。
 大正時代の初めにつくられました石積みの護岸が、ちょうど埋立地の真ん前にあるわけですけれども、この護岸は、今、長い時を経た中でも、しっかりと樹木も生えて、雨が降ったときには、雨水が石積みの護岸からろ過されて海水の中に流れてきて、貴重な汽水域をつくっているわけですけれども、こうした数多くの魚や水生生物、植物、動物の揺りかごともいえるような貴重な水面について、私は、埋め立ててしまうということは大変残念なことだと思います。
 東京都は、埋立工事は自然保護の立場をとるというようなことを先ほどもお話をなさっていましたけれども、改めて東京都が考えておられる環境保護のお考えについて、お話を伺っておきたいと思います。

○樋口参事 有明北地区の埋め立ての件でございますが、有明北地区の埋立予定地というのは、三方を直立の護岸で囲まれまして、貯木場として利用されていた人工的な水域でございます。埋立事業の実施に当たりましては、環境面にも十分配慮し、先ほど申し上げましたが、水域全体の三分の一強に当たります十九ヘクタールの水面を残す、また、護岸前面には、カニ等の生物が生息できる自然型ブロックを設置し、干潟機能を持つ緩傾斜型護岸や潮入り部を設けるなど、水生生物などのための環境対策を実施することとしています。
 この護岸は、今、先生が、昔からの護岸、石積みの護岸があると申しましたが、その対面にその護岸を残しまして、全体的に調和のとれた形で、生物に非常に優しい護岸になるというふうに考えております。
 この事業は、住・商・業の多様な機能を備えた活力のある新しいまちづくりを進めるために、また、東京全体の交通ネットワークの向上に寄与する広域幹線道路の延伸にも欠かせないものでございます。したがいまして、計画どおり着実に推進してまいりたいと、かように考えております。

○河野委員 お話にありました近自然型ブロックとか、緩傾斜とかというお話も、パンフレットや、いろいろな場面で伺っておりますので承知しておりますが、私は、さっきもいいましたように、自然を保護する立場で石積みで築造された旧防波堤のところの工法と、今ご説明があった工法とでは、全く性質が違うものであるというふうに認識しておりますので、その点は十分な環境保全対策というふうには断言できないのではないかと思っています。
 なぜならば、今おっしゃいましたけれども、今も確かに、埋め立てですから、直立のコンクリートによる護岸になっているかもしれませんが、それが延びてきて、もっと水域が狭まって、そしてカニが生きていけるような、いろいろな潮入りの工夫とか、パネルも設けるということですけれども、コンクリートで固めた護岸から貴重な真水が外に出てくるような護岸にはなり得ないわけで、そのことは、私たちは今のご答弁にはなかなか納得できないものがあるということを申し上げておきたいと思います。
 この海域の環境を守るということでは、今までも都議会でハゼの問題でのお話し合いも重ねられてきたと聞いておりますし、この地域が晴海通りとか高速道路に囲まれたり、たくさんの幹線道路に囲まれ、今でも湾岸の三五七が通っていて、大気汚染が大変すさまじいわけですけれども、こういう大気汚染や騒音の被害の問題などでも、環境保全対策として都議会でいろいろな議論が進められてきたと聞いております。
 私は、二十一世紀は、いろいろな方がおっしゃっているんですが、平和の世紀であると同時に、環境の世紀としなければならない、この言葉は大変大事だと思っています。そういう立場で、千葉県では、先ほど来お話もありました三番瀬の干潟の埋め立てについては中止するという、まさに今の時代にふさわしい勇気ある決断をされたと思うんです。
 東京都に対しても、「ゆりかもめ」の路線部分については、今、三十五ヘクタールのうちわずかの部分、路線部分が埋め立てられておりますけれども、有明北地区の全体の埋立計画を、これから自然保護の立場に立って見直していくことは十分に可能な問題だと思うんですが、やはり自然を守っていく、地球環境を保全していくという立場に立って、この埋立事業について、都としてもう一度考えていくお考えがないかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

○樋口参事 港湾局の環境に対する考え方は、先ほど小林委員のときに申し上げましたが、環境と調和を図りながら港づくりをしていくと、環境との共生というのを基本としてございます。
 そうした中で、この地区につきましても、当初終わった埋立計画を変更して面積を縮小する、あるいはカニに優しい護岸、これは検討委員会をつくって、日本でもハゼだとか、そういうことについて詳しい先生に出席いただきまして、いろいろ検討してまいりました。昔ながらの護岸がいいということではなく、こういうものがあるんだよというようなことで、私どもも創意工夫を図りながら、自然との共生をしていこうと思っております。
 一方で、この埋め立てにつきましては、臨海部全体あるいは東京全体として非常に大きな役割を果たすものでございます。したがいまして、この事業につきましては着実に推進していきたいと、かように考えております。

○河野委員 見直しをなさらないという点では、大変残念な答弁だと思います。
 しかし、この事業をぜひ見直してほしいと求めている皆さんはたくさんおられますし、多くの都民の世論ともなりつつあると思います。江戸川区議会での問題も先ほどお話をいたしましたけれど、私は、未来に向けて、できるだけ多くのすばらしい自然を残していきたい、江戸前の海を残したいと思っておられる都民の声を大事にする、そういう立場を東京都がぜひとっていただきたいと思います。
 有明北の埋立事業についての質疑につきましては、いろいろとご答弁を伺ってくる中で、財政収支の面、それから土地利用の見通しがどうなっていくかという面、環境保護の問題のこと、そういういろいろな角度から考えても、私自身、やはり納得のいかない事業であることを述べまして、改めて事業の見直し、撤回を求めて、この問題での質問を終わらせていただきたいと思います。
 もう一点ございます。これは、シンボルプロムナード橋にあります共同溝の展示室について質問をいたします。
 共同溝がどんな状況にあるかということで展示されているあの建物ですね、あの展示室の設置の経過と目的、そして建設費の金額とか利用状況について、これまでの状況をお答えください。

○三枝臨海開発部長 まず共同溝展示館でございますけれども、これは、共同溝を紹介する展示室と、共同溝の配管を実際に見学できます見学通路、この二つで構成しております。
 設置目的は二つございます。第一は、臨海副都心の重要なライフラインを収容しております共同溝、これは地下にございまして、セキュリティー上、一般には開放してございません。一般の住民の方はこれを見ることができませんので、これを広く都民に紹介する施設にしたいというのが第一点でございます。
 第二点といたしましては、この建築物そのものを、臨海副都心の近代的な都市基盤を象徴する斬新なデザインのモニュメントとするということを目的にしております。
 三点目といたしまして、この共同溝の展示館は、センタープロムナード中央の夢の大橋の東の橋詰という場所にございます。この場所は、夢の大橋の下の橋の台の部分に共同溝内の配管が実際にございまして、これを見ることが可能であるということから、この場所にしたということが一点。もう一点は、この橋が都市博のメーンストリートになる予定だったということから、モニュメントにふさわしい場所であるというふうに考えて、この場所に立地をしたものでございます。
 それから、設置の時期でございますけれども、平成九年度に設置をしておりまして、利用の開始日は平成九年四月十七日、施設の建設費は約六億円でございます。
 利用実績でございますけれども、平成九年度から十二年度までの四年間の累計で約八万三千人、年間平均で二万人ほどでございます。現在、この施設の周辺に集客施設等の立地が進んでおりませんことから、利用客が低迷しているというふうに考えてございます。

○河野委員 建設費が六億円もかかっているということは、あの施設をごらんになった方はみんな驚くと思います。私も驚きました。この展示室ですね、私が行ったときには、平成十三年三月三十一日、いわゆることしの三月三十一日で当分の間休室ということになったようで、小さな看板が掲げられておりました。この休室に至った、判断した経過と今後どのように展示室を活用されていくのか、伺っておきたいと思います。

○三枝臨海開発部長 先ほどご説明いたしましたように、利用実績が伸び悩んでいるということがございます。また一方で、開館を続けていくためには、それなりの予算なり人員の手当てが必要となるというわけでございます。費用対効果を考慮いたしまして、やむを得ず平成十三年度から一時休室という措置をとっております。
 今後どう扱うかという点でございますけれども、臨海副都心のPRに貢献するような形で施設を有効活用できる方策を検討したいというふうに考えております。これは、現在検討しているものの例示ということでご理解いただきたいと思いますけれども、第一には、児童生徒を対象とした社会科見学等への組み込みができないか、あるいは近隣には水の科学館でありますとか虹の下水道館もございます。こういった臨海副都心内の学習型施設というものが、私どものみなと館を含めましてございますわけで、こういった学習施設を活用した副都心内の新しい観光ポストづくり、こういったものもこれから検討してまいりたいと、かように考えております。

○河野委員 今、この地域の中には、みなと館とかテレコムセンターの展望台とか、幾つか都民の方が利用できる施設もあるわけですけれども、全体として私は感じるんですが、この六億円の建設費をかけた展示室にしても、テレコムセンターのところや、お金をかけた豪華な施設がつくられているというふうに感じております。そういうところが突然、六億円もかけたところが、三月三十一日でいつの間にか閉まっていたというようなことも起こっている状況の中で、やはり私は、こういう問題は、今、税金の使い方について、都民の世論がいろいろな形で高まっている中で、多くの方が納得しない問題も含まれていると思います。そういう点で、都民全体が税の投入について、納得のいく形での東京都としての努力を改めて求めまして、質問を終わります。

○松原委員長 会議が長引いておりますけれども、休憩せずに続行していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○丸茂委員 先ほどの中屋委員と多少ダブる点があるかと思いますが、大変重要な課題ですので、何点かお伺いいたします。
 まず、知事は、さきの第三回定例会で、臨海地域開発事業会計の見直しも避けて通ることのできない課題だと述べられました。しかし、この臨海地域開発事業会計は、提出された資料にもありますとおり、ことし四月一日に三会計を統合してスタートしたばかりであります。それが見直しを避けて通れないという点はどういう意味なのか、改めてお伺いをいたします。

○三枝臨海開発部長 先ほどの答弁と若干ダブる部分もございますけれども、三会計の統合によりまして、短期的な資金収支の改善と事業の採算性を確保することができたわけでございます。
 しかしながら、現在の景気状況でありますとか、将来の起債の償還、こういったものを考慮いたしますと、中長期的には引き続き厳しいものがあるということから、知事のいう大胆な改革の内容として、収支両面にわたる徹底的な見直しを行うということにしたものでございます。
 収入面については、これまでも答弁してまいりましたとおり、二千社訪問による積極的な営業活動と、土地処分方式を多様化することによる収入確保ということに努めてまいります。それから、支出面につきましては、グレードの高い都市基盤の整備水準を改めることという方針のもとに事業費の見直しを図っていくと。さらに、開発を終えた道路や公園の本来管理者への移管を促進していくということでございます。
 こうした取り組みで、臨海会計の資金収支が今後とも安定的に維持されるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと、かように考えております。

○丸茂委員 我々は、統合するときから、逆にいえば、こういう問題は当然起こり得るということを予測していたわけです。なおかつ埋立会計なり羽田沖埋立会計までも統合して、それで新たな会計をつくったわけでしょう。それが短期的な手段、方法としてこういう会計統合を行ったと。
 だけど、皆さんから配っていただいた資料にも、これらの会計は、地区別のプロジェクトに対応する独立した会計であり、東京臨海地域に対してより広域的、総合的な観点から、効果的で効率的な投資を行う会計となっていなかったという理屈で、なおかつ臨海会計については、社会経済情勢の変化を受けて、事業採算性において厳しい状況となっていると、こういう理由が述べられているわけです。そうであるならば、それぞれの会計の目的に沿って、本当にその会計が都民のために有効活用できるか、そういうことがやっぱり問われなければならないと思います。
 そういう点で、先に進みますけれども、それでは実際に、今後、臨海副都心の開発状況が一体どうなっていくのか、そういう見通しが持てるのかという点で、気になる点を幾つか伺っておきたいと思います。
 先日も臨海副都心の状況を見てまいりました。そこでは、いまだに土地利用が定まらない、空地が多数見られたわけですけれども、そこで港湾局としては、臨海副都心への企業誘致を促進すると。先ほど、財政の収支を図るという点で、そういう一環だと思いますけれども、港湾局全管理職で二千社の企業訪問を実施されました。まだ取り組みの途中ですけれども、三カ月ぐらいになるかと思います。訪問の状況はどこまで、どういう中身だったのか、その点をお伺いいたします。

○金子参事 二千社訪問計画の状況でございます。
 まず、二千社訪問計画の目的でございますけれども、臨海副都心に進出する企業を掘り起こしていくということがまず第一でございます。二点目は、臨海副都心の持つポテンシャルを直接企業に伝えていくと、こういうPRでございます。三点目が、企業側のニーズを今後の土地処分の施策にフィードバックしていく、こういうことを目的といたしまして二千社訪問を実施しているわけでございますが、誘致活動の状況でございます。十月十日現在、四百社を超す企業に働きかけを行いました。現在のところ、直接的にすぐ進出をすると、こういうようなことにはなっておりませんけれども、強い関心をお示しいただきました企業が数社ございます。
 また、企業ニーズにつきましては、売却方式の導入でございますとか、都市計画手続の簡素化、また住宅用地への拡大、こういうような要望を私どもお聞きしている、そういう状況でございます。

○丸茂委員 当初の計画は、十月中旬まで七百社ぐらい回りたいと、その時点で状況の分析等をして、その後、また企業訪問を続けるというような計画だったように思うんですけれども、そういう段階なんですか。それともまだ、もう少し企業訪問して何らかの検討がされるんでしょうか、その点を伺っておきます。

○金子参事 一応前期で七百社という目標を立てております。十月末までで七百社をということで、我々は計画を立てておりまして、先ほど申しました十月十日現在というのは、私どものところに報告書が上がってきたもので締めておりますので、実際には行っていて、まだ報告が私どもに来ていないケースもございますので、もう少し高くなるかとは思います。いずれにしましても、十月中には前期分七百社を何とかやりたいと、こういうふうに考えております。

○丸茂委員 大変なご苦労をされていることはわかるんですが、その中でどこか一社でも二社でも、ぜひ進出したいという話があるのかと思ったら、それはなかったという状況です。
 そういう点で、土地処分の状況を見ますと、既存の処分地では約六十二ヘクタール、土地の進ちょく率でいうと四四・六%という数字を聞いているわけですけれども、これを純然たる民間事業者でいえば、率は一体どのくらいになるんでしょうか。

○金子参事 今、先生の方からお話のありました既処分六十二ヘクタールにつきまして、その内訳を申し上げますと、東京都及び東京都の関連団体への処分面積が三十三ヘクタール、国及び国の関連団体への処分面積が十ヘクタール、民間企業に対します処分面積が十九ヘクタールとなります。したがいまして、処分済み面積に占めます民間企業の構成比率は三〇・六%、こういうふうに相なります。

○丸茂委員 私も、臨海副都心の開発状況、こういう色塗りの地図も見せていただいて、あそこに行くと、三千七百万人なり八百万人の来訪者がいるという点で、大変にぎわっているように見えるんですけれども、改めて民間企業の進出をこれに赤印で入れてみると、お台場のほんの一角、それと、これから着工するのが幾つかありますけれども、あとは民間といえば暫定利用の範囲で、なかなか大変な事態にあるというふうに認識をしております。
 そういう点で、企業誘致、その問題はまた後でも触れますけれども、今、企業進出がなかなかままならないという中で、暫定利用も行われております。そこで、臨海副都心の暫定利用について、特に青海E区画の東日本ハウス、この計画は、大江戸温泉物語という区画ですけれども、計画では二〇〇二年の夏に開業予定と。また、青海十一区画の森ビルの美術館、これは来年度中ということになっています。それは、現場を見ますと全く手がついていない状況に見えました。また、有明南H区画のウェディングスの結婚式場施設も来年春が開業予定なんですが、ちょっと囲いはできていましたけれども、特別着手の動きも見られなかったと、そういう点では来年春開業はほど遠いなと。
 唯一、青海F二の区画の三菱地所等のマンションモデルルームですね、ここは来年度中に開業できるかという点で、もう工事が着工されておりましたので、それが唯一、予定どおりいくかなという感じはしたんですが、今申し述べたそれぞれの暫定利用の予定と、今後の見通しについてお伺いいたします。

○金子参事 暫定利用の状況でございます。まず、先生のお話にありました東日本ハウスでございますが、平成十二年七月に事業者決定をいたしまして、温泉テーマパークを十四年秋に開業するという予定でおります。当初の計画よりも若干おくれておりますが、ここは建物を江戸時代のテーマパークのようにするということで、時代考証を行うなど内容の充実を図った点、また、安定的な事業実施のための経営スキームを多少見直しをしたと、こういうために多少おくれております。しかしながら、既に実施設計も終了しておりまして、来年秋に開業できると、こういう準備が確実に進んでいると聞いております。
 二点目の森ビルの美術館でございますが、森ビルにつきましては、平成十三年六月に事業者決定をいたしまして、平成十四年度中に美術館を開業する予定でございます。
 それから、三点目のウェディングスでございます。これにつきましては、平成十三年四月に事業者決定をいたしまして、本年九月に着工しております。先ほど、先生はまだやっていないと。九月の終わりに地鎮祭がございまして、一応着工を始めたということでございます。結婚式場でございまして、十四年六月の開業ということで聞いております。
 それから、最後に三菱地所等のマンションモデルルームでございますが、これは三菱地所外二社に対しまして、平成十三年六月に事業者決定をいたしまして、本年九月に着工し、二年程度のマンションモデルルームを十四年春に開業する予定になっております。

○丸茂委員 私は手元に、ことし八月二十七日現在の暫定利用の一覧表を持っているんですが、事業決定の年月日は合っていますけれども、開業予定は微妙に答弁と食い違っていますので、それは指摘しておきたいと思います。
 それぞれ、今、地鎮祭がやられたかどうかは、私は現場へ行って見ていなかったので、ウェディングスはわからないんですが、実際に建物が建って植栽もして、工事を--今、もうことし十月ですよね。来年、十四年の春開業予定という点で、本当にできるのかなという感じはしたんですが、また、東日本の方も経営上のいろいろな困難を抱えていて、お話では着工の予定ですが、これはもう少し様子を見て、また問題を提起したいと思います。
 次に、東京テレポートセンターあるいは臨海フロンティアビルですね、青海、それから有明あるいはお台場、こういうフロンティアビルも大変気になったんですけれども、これまでそれぞれのビルの入居は、大体九〇%から九九%程度、こういう入居率というふうに認識しているんですが、現実に今の直近の、この臨海三セクの三つの事業のビルの入居率、これはそれぞれどうなっているでしょうか。

○津島総務部長 平成十三年九月末現在のビルの入居率は、テレコムセンタービルが九九・八%、フロンティア関係の三つのビルで八三・五%、竹芝ニューピアビルで九八・九%、全ビルで九三・六%の入居率でございます。

○丸茂委員 今、数字をお聞きして、現場を見てきた感じと大分違う、ギャップがあるなという感じはしております。
 それで、具体的な精査を十分し切れていないんですけれども、申し上げておきますと、テレポートセンターのビルはウエストとイーストの両方のビルの棟になっているんですけれども、地下一階から二十一階、特にイーストビルのパネルを見ますと、大分空欄があると。埋まっている企業を見ますと、ドコモが圧倒的なフロアを占めて、その次に目立ったのが、職員研修所がウエストタワーの十四階から十七階、これを占めている状況でした。
 そういう状況を見ますと、いまだに青少年センターのわきのフロアはあきっ放しですし、それから、出店している中のお店もかなり閉鎖した、もう店の名前を消しているボックスも幾つもありました。そういう点で、今、テレコムセンターは九九・八と答弁されたんですけれども、これはもう少し精査したい。
 それから、有明フロンティアビルについても行ってみました。Aタワーは、ほぼ企業名もずっと書かれておりまして、埋まっているなという感じがしたんですが、Bタワーは五階から七階、九階、それから十一階、十二階と、そのフロアがどこへ貸しているか全く表示がない。フロアで計算しますと、五〇%ぐらいしか埋まっていないんですよね。だから、別の形で使って、それを入居率に入れているのかということしか考えられないんですが、そういう事態でした。
 それから青海フロンティアビル、これも二十階建てのビルですけれども、十一階、十二階、それから十五階から十八階、これもオフィスとしてどこが使っているか、全く表示がないんですよね。ですから、どういう使い方をしているのか、これも大変心配な点でした。
 したがって、今後、これはもう少し私どもの方も調査をして、ビルの入居率の問題については、さらに重ねて検討していきたいと思います。
 そこで、これまでも三セクビルの空き室を何とか埋めていくという点で、東京都の施設の借り上げという形で入居が行われました。そういう東京都の借り上げ分を除くと、それぞれ入居率はどうなっているのか、お伺いいたします。

○津島総務部長 テレコムセンタービルに総務局職員研修所、生活文化局の青少年センターが入っております。それから、青海フロンティアビルに港湾局の沖合埋立整備事務所、それから臨海副都心のPRコーナーが入っております。これを除きますと、テレコムセンタービルで八七・八%、フロンティアビルで八一・六%という数字になります。

○丸茂委員 東京都職員研修所、青少年センター、それから有明には第二再開発事務所、青海フロンティアには東京沖合埋立整備事務所、臨海副都心PRコーナー。この有明の第二再開発事務所は入っていますか。

○津島総務部長 これは平成十二年には入っておりましたけれども、現在は出ております。

○丸茂委員 そこはどこかほかが利用しているんですか。

○津島総務部長 空き室となっております。

○丸茂委員 東京都があいちゃうと、結局そこがまたあきになっているという状況があると思うんですね。そういう点で、これまで東京都が空き室分を借り上げるという形で対応してきたんですけれども、都借り上げ分の賃料、それから共益費、保証金、移転改築、こういう費用を含めますと、都の入居施設、二〇〇〇年度では財政負担は幾らになるのか。あわせて、これまでの負担は合わせて幾らなのか、一緒に答弁をお願いいたします。

○津島総務部長 平成十二年度における支払い額でございますけれども、消費税を除いた賃料及び共益費の合計額は十四億八千万円でございます。
 それから、これまで入居以来、これは平成八年三月の臨海副都心PRコーナーの入居が初めてでございます。これ以降の東京都が支払った金額は、総額で約九十億五千万円でございます。

○丸茂委員 その中には、これまで事務所の移転改築だとか、そういう費用は入っていますか。

○津島総務部長 これは賃料、共益費だけでございます。

○丸茂委員 これについては、私は、移転改築費まで含めると百億以上負担になっているなという感じはしているんですが、入っていないということですので、ここで数字を聞いても--また改めて具体的な話は聞くことにしまして、先に進めたいと思います。
 それで、これらのビル事業については、九八年度に経営安定化策、臨海関係の第三セクタービルの事業にこういう安定化策がとられ、東京都としては、十年間で二百七十億円の支援が決められました。
 そこで、一つは、会社の内部努力として人件費の削減が実施されたことは承知しているんですけれども、役職員の報酬額だとか退職金、これはどう見直されたのかお伺いいたします。

○津島総務部長 職員につきましては、ただいま先生からお話しありました百五十七人を、現在八十六人まで削減しております。役員につきましては十七人を四人へと削減し、機動的に意思決定が図られるようにしております。
 それから、役員報酬につきましては、経営状況を勘案いたしまして、会社独自で東京都の報酬基準より低い額を規定しております。また、退職慰労金につきましても、平成十一年四月以降在職した分については支給していないということで、内部努力に努めております。

○丸茂委員 次に、賃料収入の増収対策、これも対策として掲げられたわけですけれども、賃料改定あるいはテナント誘致等により、年間賃料収入を、平成十六年、二〇〇四年度までに、九七年度対比で約五〇%増、約八十七億円の増収を図ると、この点については、現状と見通しについてはどうなっているでしょうか。

○津島総務部長 当初、平成十六年度までに、平成九年度対比として約五〇%の賃料アップを安定化策では定めておったわけでございますけれども、その後の経済状況、特に近年の地価動向等から判断いたしまして、この五〇%アップについては厳しい状況にあるというふうに見ております。
 ただ、今後、りんかい線の開通、それから臨海開発における開発の進展状況を勘案しまして、それなりの賃料アップは可能であるというふうに考えております。

○丸茂委員 私としては大変甘いなと。先ほど二〇〇三年問題も指摘されましたけれども、汐留から品川東口、それから六本木、そこは二〇〇三年度、それぞれ完成して入居が始まると、そのとき一体埋まるのかどうかというのが、今、専らの世論になっているわけです。
 そういう点で、本当にそういう見通しが立てられるのか。一番の売りにしている臨海高速鉄道が大崎まで延伸すれば、ポテンシャルも上がって利用が促進できるんじゃないかという見通しなんですけれども、それも、いろんな方にお聞きしますと、臨海高速鉄道が大井町を通って大崎まで結ばれると。東品川にはJT、日本たばこの工場跡地、膨大な土地もあるわけです。したがって、臨海高速ができれば、臨海副都心まで行かなくても、その周辺の土地利用が、開発が進むんじゃないか、そこでもまた競争が一層激しくなるんじゃないか。
 実際に今、ビル建設そのものも単価のたたき合いで、大変な競争になっていますけれども、入居賃料についても大変な競争になるという状況からしまして、私どもは当初から、五〇%の増収は大変夢物語ではないかという、本当に厳しい現実を訴えていたわけですけれども、そういう点で、今、私が述べたことも含めて、改めて現時点で二〇〇三年問題、それから臨海高速が通じて、その後の周辺の開発、それから、先ほど河野さんもおっしゃっていましたけれども、土地処分でマンション問題がありましたが、江東区の三菱製鋼ですか、あそこの跡地もマンション建設が軒並み進んでいく、もう着手も始まっていると。そのモデルルームが、はしなくも暫定利用の土地を使って開設されるということなんですけれども、改めてお伺いいたします。

○津島総務部長 確かに、賃料の平成十六年度における九年度対比としての五〇%という目標につきましては、地価の動向が非常に厳しいということで、その収入という面では、現在、経営上は目的を達するのは非常に厳しいということは事実でございます。
 しかし、その前にお話ししたとおり、非常に徹底した内部努力、それから、現在、金融機関等の協力を得た支援スキームが維持されておりまして、特に現在の低金利の状況がございます。これが返済額の利息の減少効果といった大きな有利な材料も加わっておりまして、こういった有利な材料の中に加えまして、臨海高速鉄道の大崎延伸効果も考えますれば、経営安定化に向けた取り組みというものは、それなりに成果を上げているというふうに認識しております。

○丸茂委員 ビル事業の命は、賃料にかかっていると思うんです。
 その点は指摘しておきまして、それでは、実際臨海関係の第三セクターの経営状況についてお伺いしたいと思うんですが、これは資料でも出していただきました。東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設株式会社、竹芝地域開発、それぞれ出していただいたんですが、累積損益は年々増加の状況にあります。この状況と、三社の資本金との関連でどういう状況にあるのか、改めてお伺いいたします。

○津島総務部長 平成十二年度の決算で、資本勘定のご質問でございますけれども、資本金は三社合計で五百四十六億二千万円でございます。一方、累積損失は八百二十七億五千万円でございます。したがいまして、差し引き二百八十一億三千万円の債務超過の状況にございます。
 しかし、臨海三セクは平成十年度に既に償却前黒字を達成しておりまして、現在、運転資金に不足を生じるという状況ではございません。継続的に事業を運営することに特段の支障はございませんで、今後とも経営改善を進めてまいりたいというふうに考えております。

○丸茂委員 償却前黒字という新しい言葉で、当面運営できるんだというご答弁なんですけれども、大変厳しい状況にあることは明らかだと思うんです。
 それで、平成十二年度、二〇〇〇年度でいうと、三社の借入金残高は一体幾らになっているのか。それから、支払い利息と当期損益についてもお尋ねをしておきます。

○津島総務部長 ビル事業に係ります借入金の三社の合計は、市中金融機関から平成十三年三月末現在での金額でございますが、約三千七百三十億円でございます。これ以外に、都が無利子貸付金として百七億円貸し付けてございます。
 それから、利息額でございますが、平成十二年度で、三社合計で七十八億円でございます。それから、当期損益は、都市基盤関連事業を含めまして、三社合計で三十五億円の損失となっております。

○丸茂委員 これを見ますと、利払いが年々、利下げをしたり据え置きしたり、無利子貸付等いろいろな努力をされているけれども、損益が三十五億という点で、本当に利払いで経営が困難だと。なおかつ、先ほどもご答弁あったとおり、債務超過がずっと続いていると。
 そういう中にあって、経営支援策では、先ほど論議もありましたけれども、収支見通しは、平成二十三年、二〇一一年に黒字達成年度、それから累積黒字達成年度は平成四十八年度、二〇三六年度と、膨大な時間をかけて達成するんだと、本当にこれが、これだけの長期の見通しでできるかどうか、多くの皆さんから疑問視されております。
 そういう点では、ビル三セクの経営実態は大変な事態だというふうに思いますし、私は破綻していると思います。結局は、ビルを建設したゼネコンと、それから融資を行っている、また、高金利で融資をしている銀行だけが着実に利息が入ってもうかっていると、こういう構図が見えてくるわけです。
 そういう中にあって、港湾局長は、「東京シーサイドストーリー」の対談の中で、これは別の問題ですけれども、うちを役所と思わないで、株式会社と思ってつき合ってくださいと、港湾局は役所ではないんだと、こんなことも述べられているんですけれども、やっぱり株式会社であったら、もっと厳しい経営のもとで利潤を上げて、株主に配当するぐらいの経営をやらなかったら成り立たないわけで、そうではなくて、やっぱり地方自治体というのは、住民の税金を預かって、いかに住民の福祉向上に充てるかと、そのために、経営上は最少の経費で最大の効果を上げるために、それまた努力もしていくということが求められていると思います。
 そういう点で、危惧しているのは、さきの第三回定例会でも、株式会社多摩ニュータウン開発センターを民事再生手続によって救済し、延命させるという議案が出されまして、残念ながら議決されましたけれども、そこでは都が再建放棄、八十九億円の損害をこうむることになったんですね。破綻の原因は、採算を無視したビル施設建設、過大な借入金、それに伴う金利負担、これにあることが明らかになりましたけれども、臨海開発の三セクビルも同様の状況にあります。
 多額の貸付金やビル建設でも大変な利益を上げた銀行、ゼネコンに、応分の負担と責任を果たさせるということなどを行いながら、都はこうした開発三セクからは手を引いて、本当に都民の負担をこれ以上ふやさないという立場で、抜本的な見直し、そして臨海副都心開発そのものも抜本的に見直さない限り、会計の見直しだけでは事の解決にはならないということを指摘して、質問を終わります。

○松原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松原委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時五十二分散会

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