経済・港湾委員会速記録第三号

平成十三年三月五日(月曜日)
   午後一時六分開議
 出席委員 十四名
委員長いなば真一君
副委員長浅川 修一君
副委員長白井 常信君
理事林  知二君
理事川井しげお君
理事藤沢 志光君
山本  信君
藤井  一君
五十嵐 正君
宮崎  章君
河合秀二郎君
山崎 孝明君
川島 忠一君
西田ミヨ子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
労働経済局局長浪越 勝海君
総務部長押切 重洋君
産業政策担当部長木谷 正道君
同和対策担当部長坂爪 正二君
労政部長生井 規友君
家内労働対策担当部長友繁 佳明君
職業能力開発部長渡邉 泰弘君
商工計画部長大原 正行君
商工振興部長樋口  勉君
農林水産部長江口 直司君
参事和田 敏明君
港湾局局長齋藤 哲哉君
技監高見 憲一君
総務部長渡辺日佐夫君
港営部長高橋 和志君
港湾振興担当部長小宮山元二君
開発部長津島 隆一君
臨海部開発推進担当部長南雲 栄一君
臨海部開発調整担当部長高野 一男君
港湾整備部長小池 正臣君
計画調整担当部長細川 泰廣君
離島港湾部長野村 孝雄君
参事押元 雅治君

本日の会議に付した事件
 労働経済局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百十六号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為 労働経済局所管分
 港湾局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百十六号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、繰越明許費 港湾局所管分
  契約議案の調査
  ・第百六号議案 平成十二年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)請負契約

○いなば委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働経済局及び港湾局関係の平成十二年度関係の付託議案の審査及び港湾局関係の契約議案の調査を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十三年三月一日
東京都議会議長 渋谷 守生
経済・港湾委員長 いなば真一殿
契約議案の調査について(依頼)
 このことについて、左記により財政委員長へご報告願います。
  記
1 調査議案
 第百六号議案 平成十二年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)請負契約
2 提出期限 平成十三年三月五日(月)

○いなば委員長 これより労働経済局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百十六号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、債務負担行為、労働経済局所管分を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○川井委員 預金保険法改正の内容についてお伺いしていきたいと思っているんですけれども、十二年一定の知事の施政方針の中で、知事は、経営基盤強化のためにいろいろな施策を検討していくというように述べておりますし、私どもの代表質問、当時の幹事長の川島代表からも、そのことに関して強く質問している。それは、あくまで信用組合の経営基盤の強化、このことが、直接中小零細企業の資金円滑化の機能を果たしている信用組合を守っていくというようなことが必要であるというような立場で、そのことが地域の経済の安定化や活性化を図るという形の中で、質問を当時させていただいております。
 その中で、知事は、国の動向を踏まえた上で、信用組合の経営基盤の強化のために効果的と思われる施策を検討していくというご答弁をいたしております。この件に関して、特に国の動向ということでありますけど、いわゆる都の要望が非常に強く国に対しての働きかけとして当時あったわけです。そこで、昨年五月に保険法が改正になったわけですけれども、この都の要望を踏まえて保険法が改正になったというとり方をしていいのかなと。その中で、今回の改正法の内容について、都の要望を含めてご答弁いただければありがたい、こう思っております。

○大原商工計画部長 先生ご指摘のように、法改正につきましては、都の方が国に大変強い要望をいたしておりました。その都の要望を踏まえまして、国は、昨年五月に、預金保険法の改正をいたしております。
 その内容でございますけれども、まず、改正前の法律では、整理回収機構は金融機関以外から債権を買い取ることはできなかったわけですが、法改正によりまして、信用組合協会が回収を行っておりました破綻組合の債権についても買い取ることができるようになりました。その上で、信用組合協会が抱えておりました二次損失について、基本的に預金保険機構が補てんできるようにいたしました。改正後の預金保険法に基づきまして、東京都信用組合協会の債権回収業務は、昨年十二月二十五日付で整理回収機構に一元化されたわけでございます。こういった一連の動きは、都の要望に基づくものでございます。

○川井委員 信用組合は、中小零細企業の資金の円滑化を通して、先ほども述べておりますけれども、地域の経済の安定に大きく寄与しているわけであります。その経営基盤の強化は、直接中小企業の振興にも大きく影響してくる、あるいは重要な課題であると、こういうふうに考えております。今回都が都内の信用組合の経営基盤強化の事業を行う趣旨についてお伺いしたい、こう思っております。

○大原商工計画部長 このたび都議会でご審議をお願いいたしております都内信用組合の経営基盤強化事業の趣旨についてでございますが、協同組織金融機関としての信用組合は、組合員の相互扶助組織という性格を有しつつ、中小零細企業向け金融等を通じまして、地域経済の安定に重要な役割を果たしてきております。しかしながら、信用組合は、銀行など他の業態の金融機関に比べまして、規模が小さいなど、経営基盤が脆弱であるものが少なくございません。ペイオフの実施が一年延期されました理由といたしましても、信用組合の経営基盤の脆弱さが指摘をされているところでございます。
 信用組合は、その経営基盤が脆弱であるといわれておりますが、中でも都内信用組合においては、一昨年度、昨年度と破綻が相次ぎまして、総預金量も十年前に比べますと大体七割から八割程度にまで落ち込むなど、大変厳しい状況にございます。このまま推移をいたしますと、都内中小零細企業の資金需要への円滑な対応が損なわれまして、地域経済に大きな影響を及ぼすおそれがございます。
 一方、国の対応策でございますが、資本増強制度だけでございまして、また、その資本増強制度の実施期間も平成十四年三月までとされているなど、限られたものでございます。
 また、個々の信用組合を会員といたします相互扶助組織である全国信用協同組合連合会、ここも信用組合に対する資本増強の制度を整備しておりますけれども、支援対象は全国の約二百六十の信用組合でございまして、都内の信用組合に対する重点的な対応には限界がございます。信用組合の検査監督事務は昨年の四月から国に移管されましたが、信用組合が今後とも地域の零細な中小企業の金融機関として健全に機能し、もって地域経済の安定を図っていくことができるように、東京都独自の施策としてその経営基盤強化策を講じていこうとしているものでございます。

○川井委員 そうしますと、東京都内の信用組合に対して独自な対応ということでありますけれども、全国協の中での対応ではなくて、今回東京都がとる施策というのは、東京都内の信用組合に対しての対応というとり方でいいわけですか。

○大原商工計画部長 ご指摘のとおり、都内の信用組合に対する経営基盤の強化策ということでございます。

○川井委員 私ども、地域で歩いてみますと、信用組合は、中小零細の経営者の方々にとっては、まさに頼りどころであるわけであります。なかなか大手銀行ということは、距離があるようにも聞いております。
 そんな中で、東京都として旧二信用組合、そして、コスモ信用組合の問題解決に向けて、昨年秋から国と協議を行ってきているわけでありますけれども、今回の提案というのは、国の方からの要求であるのか、それとも、都内の信用組合として、あるいは全国協の方からこういう東京都--全体的に見れば、バブルのあおりを一番受けているのは東京の信組であろうかと思います。そういう中で、特別な手だてができないから、東京の方でやってもらったらどうなんだろうか、そういうような、例えば全国協の方からのご依頼だとか、東京都信組の方からの願いだとか、あるいは国の方が手だてのできない部分を東京都でやったらどうだろうかというような要求であるのか、そこら辺を明らかにしていただければありがたい。

○大原商工計画部長 信用組合の経営基盤強化事業は、国などからの要求によるものではないかというお尋ねでございますが、まず、国は、旧二信組、それから、コスモ信用組合にかかわる二次損失等、破綻処理の経費として都に財政負担を求めておりました。これに対して東京都においては、旧二信組及びコスモ信用組合問題の解決は、あくまでも国の責任で行われるべきであり、そのための法改正を含めた制度改正を求めてきたものでございます。
 同時に、信用組合は、中小零細企業の資金調達の円滑化を通しまして、地域経済の安定に大きく寄与しており、その経営基盤強化は、中小企業振興の上からも重要であり、特に厳しい経営環境にある都内信用組合の経営基盤強化のための事業は必要であることを主張してまいりました。
 また、その事業の予算額でございますけれども、コスモ信用組合の債権回収業務の経費支援分として認めていただいたおりました債務負担行為の残額の百億円の範囲とすること、これもあわせて主張してきたところでございます。
 昨年の第一回都議会定例会におきまして、先ほどご指摘のように知事は、その施政方針の中で、国の法改正の動向を踏まえ、十二年度中を目途に信用組合の経営基盤強化のための施策を検討していくということを申し上げております。都の要望の趣旨に沿いまして、国において預金保険法の改正がなされ、また、債権回収業務の整理回収機構への一元化もなされましたために、先ほど申し上げました趣旨を踏まえまして、信用組合の経営基盤強化のための事業を行おうとするものでございまして、国などの要求によって行われるというものではございません。都の独自の施策として実施したいというふうに考えております。

○川井委員 そこで、この経営基盤強化事業の実施期間、そして、その仕組み、また、支援事業の内容についてご説明をいただきたいと思います。

○大原商工計画部長 経営基盤強化事業の仕組み、それから、実施期間についてでございますけれども、都が東京都信用組合協会に対しまして毎年二十億円ずつの補助金を、平成十二年度から五カ年間にわたって交付いたします。これを受けまして、この協会が造成いたします、仮称でございますが信用組合経営安定化基金、この基金の配当及び元本を活用いたしまして、信用組合が取り組む経営安定のための事業を支援する、こういうものでございます。
 この事業内容でございますが、信用組合が取り組みます人材育成やIT化への対応、適正な会計処理の確保などに対する支援、それから、東京都信用組合協会事業の充実強化、また、全国信用協同組合連合会の制度を活用いたしまして、都内の信用組合の資本増強を行っていく、こういったものでございます。

○川井委員 この支援事業については、都が東京都信用組合協会に交付する補助金により同協会が新たにつくる基金、その果実を活用するということになっているわけですけれども、この基金の運用についてはどのように考えておられるんですか。

○大原商工計画部長 まず、東京都信用組合協会が造成いたします基金の運用に際しての基本的な考えでございます。他の業種に比べまして、その経営基盤が脆弱といわれております信用組合の経営力の強化は、業界全体の課題となっているところでございます。このために、全国信用協同組合連合会は、昨年十一月、信用組合に対する資本増強制度を整備したところでございます。しかしながら、この資本増強策は、全国信用協同組合連合会自身の自己資本比率の低下を招きますために、金融機関としての経営の健全性の確保の観点から、資本増強を望みますすべての組合に対して要望にこたえることは難しい状況でございます。
 一方、特に厳しい経営環境にございます都内の信用組合におきましては、全国信用協同組合連合会の資本増強を受けることによりまして、経営の健全化を目指そうとしている組合も少なくないというふうに聞いており、全国信用協同組合連合会の都内信用組合に対するより積極的な対応を働きかけていく必要があると考えております。
 こういったことから、基金の運用に際しましては、まず第一に、都内信用組合の経営基盤強化を効果的に行うこと、第二に、信用組合の経営安定に重要な役割を果たします全国信用協同組合連合会の自己資本の充実に寄与することによりまして、都内信用組合へのより積極的な対応を働きかけること、これを基本に考えているところでございます。
 こうしたことから、基金の運用先につきましては、まず第一に、元本の安全性が確保できるものの中で、その運用利回りが最もよいもの、第二に、全国信用協同組合連合会の自己資本の充実に寄与するもの、この二つの要件を満たすことが求められるものでございます。こうしたことから、全国信用協同組合連合会が発行を予定いたしております優先出資証券での運用を考えているところでございます。

○川井委員 次に、実施期間についてちょっとお伺いしたいんですが、ちょうど一年後にはペイオフが解禁になる予定であります。この時期までに経営基盤を磐石なものにしていくという努力が図られなければならないだろうと思っているわけですが、経営基盤強化事業の実施期間が平成十二年から十六年の五カ年ということで今お聞きしましたけれども、なぜ五カ年に分けて実施していくのか。そして、その中で十二年度、十三年度中に執行するものについては早急な対応が必要だろう。東京都の姿勢を速やかに見せていくということ、それから、それに対して早く対応できる状況をつくってもらうということが、東京の信組などにとっては大変大きな意味合いが出てくるのかな、こう思っているんですけれども、どうでしょうか。

○大原商工計画部長 ご指摘のように、平成十四年の四月にはペイオフが解禁になります。こういった事情を踏まえますと、この経営基盤強化事業の実施期間について、期間を二つに分けてご説明させていただきたいと思います。
 まず、平成十四年の三月までは、金融機能早期健全化法に基づきます国の資本増強制度及び全国信用協同組合連合会の資本増強制度が準備されております。このために、平成十四年の三月までは、先ほど申し上げましたように、全国信用協同組合連合会の資本増強制度を活用いたしまして、都内信用組合に対する資本増強を行いますとともに、優先出資証券の配当を活用いたしまして、信用組合が取り組む人材育成やIT化への対応などの事業を支援していく必要があろうかと思います。
 それから、平成十四年の四月以降につきましては、新しい金融検査マニュアルに基づきます国の検査が二巡している時期になります。この信用組合の自己査定に基づく決算に対する信頼性も高まっており、都内信用組合業界の中で、新たな再編、合併の話が具体化してくると考えております。都内信用組合のこうした動きを促進するため、より強固な経営基盤を築くための資本増強や、再編、合併に必要な経費などの支援を行っていく必要が出てくるものと考えております。
 また、金融機能早期健全化法に基づきます国の資本増強制度には期限が定められておりますが、昨年五月の預金保険法の改正によりまして、金融システムに危機的な事態が予想される場合には、公的資金による資本増強ができるよう、十五兆円の金融危機対応勘定が準備されております。都におきましても、都内信用組合業界の再編、合併の動きや、金融システムの危機的事態への対応に機動的に対応できるよう、計画的な対応策を講じていく必要があるというふうに考えております。
 このように、国や全国信用協同組合連合会の資本増強制度の措置状況や、都内信用組合の再編、合併の動きへの対応、さらには、都の財政状況等を総合的に勘案いたしまして、都の経営基盤強化事業につきましては、平成十二年度から十六年度までの五カ年間の計画的事業としてお願いしているところでございます。

○川井委員 ペイオフが実施されると、当然、預金者を初め顧客などの金融機関に対する選別が厳しくなってくるだろう、こう思っております。また、異業種の参入や、規制緩和による各金融機関の、業態を超えた競争が一段と厳しいものになってくる。こうした中で、競争力をきちっとつけていく、あるいは、今までどおり、中小零細企業の金融機関として健全な姿を示していく、こういうことを早くつくり出していかなければならない状況にあるのだろう。それに対して東京都がどういうふうに、今回の施策を含めて努力していかなきゃならぬのだろう、こう思うわけです。
 そこで、このたびの経営基盤の事業化を効果的に推進していくために、都としてどのように取り組んでいこうと考えているのか、最後に労働経済局長のお考えをお伺いして、質問を終えたいと思います。

○浪越労働経済局長 今回、ご審議をお願いいたしております経営基盤強化事業の効果的な推進に向けた都の取り組みについてのお尋ねでございますが、ご指摘のように、組合を取り巻く環境は大変厳しいというふうに私ども理解しております。そういう中で、協同組織の金融機関としての信用組合は、組合員の相互扶助組織という性格を有しながら、かつまた、中小零細企業向け金融などを通じまして、地域経済の安定及び活性化に大きく寄与しております。信用組合は、銀行と比較いたしますと、規模が小さいなど、客観的に見て経営基盤が脆弱であるものも少なくございませんが、今後とも相互扶助組織という特質を生かしながら、その機能を最大限発揮していく必要があろうかと考えております。
 都内の信用組合業界は、中小企業者や勤労者を含めた、いわば都民全体の経済活動の活性化及び生活の安定、向上を図ることを基本理念としてその事業活動を行っております。信用組合の検査監督事務は、昨年四月から国に移管されましたけれども、都においては、個々の信用組合の救済ではなくて、首都東京のそれぞれの地域における経済の安定及び活性化を図るという観点から、急速に変化します金融環境に適切に対応していくために、信用組合の重要な課題となっております、例えば人材育成を初めさまざまな支援策の実施に当たりまして、都内の信用組合とも十分な連携を図りながら、経営基盤強化事業を効果的に進めてまいりたいと考えております。

○浅川委員 それでは、若干お伺いいたします。
 最初に、補正の組み方の大枠について申し上げたいと思います。
 今、不況で本当に中小企業を初めとして大変な思いをしている中で、東京都は税収増という形の中で補正予算対応ということが行われておりますが、そういう点では、都としてできる景気対策というんですか、もっともっと組んでもらえなかったのかなという点で、例えば商店街振興で元気出せの問題なんかも、機動的に対応できるようなことがあったんじゃないかなと。これからのいろいろな取り組みの中で、そうした都内の置かれている中小零細、商店街のことをぜひ考慮していただきたいと思います。
 今回、ものづくりIT融合化支援事業ということでの支援策がありますけれども、これなんかも、ぜひ多摩地域でも大いに利用できるような情報といいますか、広報といいますか、こういうことを大いに強めていただきたい。この点は最初にお願いして、信用組合の経営基盤強化対策についてお伺いいたします。ただいまの川井理事のご質問とも重複する点がありますので、なるべくその点は省いてお伺いしたいと思います。
 最初に、信用組合の果たしている役割について、私もいろいろお伺いしましたけれども、例えば一に人物、二に信用、三に担保、こういう精神で頑張ってやってきたと。組合員を中心に、げたばきで利用できる金融機関、こういうのが信用組合じゃないかというようなご意見も伺って、一生懸命やっているんだというふうな話を聞いてまいりました。
 東商連という団体が、例えば資金繰りで困ったとき、どこから借りますかというようなアンケートをしていますけれども、一番多いのは自治体の融資の関係ですけれども、その次は、やはり信用金庫、信用組合ということで、身近な金融機関というふうになっておりまして、都市銀行などよりもはるかに多いということになっております。
 東京都は、こうした信用組合の果たしている役割、状況についてどのようにつかんでいらっしゃるか、まずお伺いします。

○大原商工計画部長 都内の信用組合の中小企業等に対する役割、重要性についてでございます。資金の貸出状況という点からご説明したいと思います。
 平成十二年三月末現在の総貸出件数が約十七万件ございますが、百万円未満の貸し出しの件数が約七万六千件でございまして、全体の四五%を百万円未満の貸し出しが占めております。また、これを三百万円未満というふうに見てみますと、件数が約十万五千件でございまして、全体の六〇%を超えております。このように、都内の信用組合は、地域の中小零細企業や、あるいは職場における勤労者を対象といたしまして、小口多数取引を経営の基本に置いて事業活動を行っておりまして、中小企業者や勤労者を含めた都民全体の経済活動の活性化、及び生活の安定向上に大きく寄与しているというふうに考えております。

○浅川委員 今の指標をお聞きしても、大変大きな役割を果たしているというのはわかります。
 今回の東京都の信用組合に対する支出につきまして、ではマスコミではどう報道されているかといいますと、例えば、これは「ニッキン」という金融関係の専門紙でありますけれども、都は、旧東京協和、安全の二信組の損失負担を拒否した経過があるが、金融再生委員会との調整で、旧コスモ信組の処理負担の残額分百億円を経営近代化資金の名目で贈与し決着を図ったと見られる、とか、あるいはこれは日経ですけれども、今回の資金拠出について、都は、三信組の処理とは関係ない、中小企業の一環と説明しているが、昨年四月から信組の監督権限は都道府県から国に移管されており、事実上の損失負担と見られる、というような指摘ばかりが目立つように思うんです。
 こうした指摘について、東京都としてどのように見ておられるのかという点と、例えば、旧コスモ信用組合の処理で毎年二十億、十年間で二百億負担するというようなことについての最終的な決着ですね。昨年十二月二十五日に決着がついたというような話を聞いておりますけれども、どういうふうに決着がつかれたのか、お聞きいたします。

○大原商工計画部長 まず、二信組あるいはコスモの後始末を押しつけられたのではないかというようなことにつきましては、私どもは、先ほど川井理事のご質問にもお答えいたしましたように、あくまでも国に対して法改正を要求いたしまして、整理回収機構への一元化ですとか、あるいは損失の補てん、こういったことを実現するよう求めてまいりました。
 その一方で、都内の信用組合の経営基盤の脆弱さ、それから、経済に対する重要性、こういったことを勘案いたしまして、信用組合の経営基盤事業についてはぜひとも必要であるというふうに考えたところでございます。

○浅川委員 しかし、実際の数字は、指摘されているような、東京都が百億円負担をしたといわれるような状況になっているわけですけれども、例えば経営基盤の強化ということにしろ、監督権限が国に移ったもとで、本来、国の権限の中で行われるということが、まず当然ではないかというふうに思うんですが……。
 今、新たに東京都が拠出をするという中で、これからというか、現在、信用組合の指導監督というのは都の指導権限の範囲外にあるわけですから、そういうもとで、経営基盤の資金を出す、こういっても、そこを具体的にどうチェックしていくのか、都としてかかわっていくかということは、事実上、なかなか難しいのではないかというふうに思うんですけれども、経営基盤の強化という議論ですね、東京都の中で、どういう議論をしてこれが生まれてきたのか。それから、国の対応ですね、国が経営基盤を強化する、あるいは、今、そういうことで、国の制度というのはどういうふうになっているのか、お伺いいたします。

○大原商工計画部長 まず、都のチェックということでございますけれども、東京都が都信協に補助する、毎年二十億円ずつ、合計で百億円でございますが、これについては、都信協の中に基金を造成するということでございます。その基金の運用につきましては、信用組合業界、都信協、東京都といったところが参加いたしまして、まだ名称はついておりませんけれども、その運用の協議会といったものをつくる必要があろうかと思います。こういった協議会を通じまして、東京都の補助金が適正に、かつ有効に使われますようにチェックしてまいりたいと思います。
 それから、経営基盤の強化についてどういった議論があったかということでございますけれども、昨今の金融環境の変化等を考えますと、例えば、人材の育成が非常に重要でありますとか、あるいはIT化への対応がこれからは信用組合も避けて通れない、こういった状況がございますので、そういった事業について、この基金を活用して支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、国の方の支援策につきましては、資本増強についての制度があるということでございます。

○浅川委員 重ねてお伺いいたしますけれども、実は東京都は、これまでも百億円という資金を貸し付けてきているわけですけれども、今までのこうした百億の貸し付けというのは、どういうふうに使われて、どうなっているのか。なぜこれで対応できなくて、今回補助金と。今までは貸し付けで行ってきたんですけれども、補助金にした、これはなぜでしょう。

○大原商工計画部長 ただいまのご質問の百億円という金額は、東京都の方が百億円出しまして、それから信用組合業界の方で百億円出しまして、合計二百億円の基金を設置して、信用組合の経営基盤の安定化等に役立てるというものでございます。
 具体的な使われ方でございますけれども、都内の信用組合は、過去、破綻等の危険に際して、再編とか合併ということが行われております、こういったものに対して、この基金が使われているところでございます。
 支援の内容ですけれども、合併の際に、一方の組合が抱えておりました欠損額に対する支援を行っているところでございます。一部でございますが、そういった支援を行っているところでございます。
 それと、なぜ今回補助金なのかということでございますが、端的にいいますと、金利が非常に低い。ですから、果実を運用して何かの事業を行うということになりますと、大変な額の基金を造成する必要がございます、そういった観点。東京都の財政状況等も考えまして、今回は補助金で基金の造成に当たっていただきたい、このように考えております。

○浅川委員 今ご答弁ありましたように、基金を設置して運用するといいますけれども、大変な低金利の中で、果実という点では対応できない。だから、貸し付けでは実態に合わないので、補助金にして、元本が取り崩せるような、そういう形になっているのではないかと思うんです。そういうことが、実質的な損失補てんといわれるゆえんではないかというふうに思うんですが……。
 先ほどご答弁がありましたIT対応だとか、人材育成だとか、外部監査制度導入だとか、そういうのは具体的にどうやって保証というんですか、担保というんですか、されて、実施されていくというふうになるんでしょうか。

○大原商工計画部長 事業がどういうふうに担保されるかということでございますが、先ほどご説明しましたように、基金の運用につきましては、東京都も参加した、運営のための協議会というようなものを設置する予定でございます。こういった協議会を通しまして、基金がいやしくも別の用途に使われたり、あるいは非効率な用途に使われたりということがないように、十分にチェックをしてまいりたいというふうに考えております。

○浅川委員 それじゃ、国の動きに関連してもう一つ伺いたいんですが、国は早期是正措置というのがありまして、しかし、金融庁なり、そういうマニュアルどおりに信組の貸出先を分類していくと、ほとんどの貸し出しが、中小零細が非常に多いわけでありますから、要注意以下の分類、こういうふうになっていってしまう。そのために、多額の償却をさらに信組として引き当てなければならない。その結果として自己資本比率が下がっていってしまう。早期是正措置という中で、かえって破綻に追いやられるという傾向もあるのではないかという実態が生まれています。
 我が党は、国会でこの問題を取り上げて、検査マニュアルの機械的、画一的な運用に陥らないように配慮する必要がある、こういうことを指摘して、金融庁の通達でも政府においてもその点を約束しているんですが、しかし、実際の運用というんですか、東京都の検査というか、あるいは審査というか、どういうふうにかかわっているかというのはよくわかりませんが、こうした地域の信用組合が本当に東京都の中で中小零細業者のために金融機関としての役割を果たしていくという点では、貸付金もやっており、今回支出もするという点では、国へのいろいろな要請というんですか、そういうのは当然あってしかるべきだというふうに思うんですが、そこらあたりはどのようにお考えでしょうか。

○大原商工計画部長 信用組合の検査監督事務は、金融システムの維持という観点から、全国で統一的な対応を行うために、昨年の四月から国に移管されたところでございます。
 金融検査マニュアルの問題でございますけれども、信用組合など協同組織金融機関も、都市銀行などと同じくこのマニュアルが適用されておりますけれども、これは今、副委員長ご指摘のように、信用組合業界などの要望も踏まえまして、マニュアルの適用に当たっては、金融機関の規模や特性を十分踏まえ、機械的、画一的な運用に陥らないよう配慮することとされております。ご指摘のような問題につきましては、今後、国と業界との間で、必要に応じて協議をされるものと考えておりまして、都として特に国に要望することは考えておりません。

○浅川委員 ぜひ地域の金融機関としての役割が果たせるように、東京都もお金をただ出すというだけではなくて、いろいろな機会に意見なり述べていただきたいというふうに思います。
 金融機関等の健全性ということで、今、自己資本比率ということだけがクローズアップされております。国際競争に勝つとか、グローバル化などといわれておりますけれども、自己資本比率を高めるということに主眼が置かれて、かえってサービスの低下、貸し渋りがいまだに横行しているとか、あるいは信用組合なんかも合併という中で地域の店舗がなくなって気軽に相談できないとか、今までのお客さんを選別しているという中で、なかなか貸してもらえない、まともに相談に乗ってもらえないというような話も聞いています。
 信用組合などにお伺いいたしますと、もともと収益を前提としていない中小業者の相互扶助組織なんだから、銀行と同じリスク基準で貸し出しなどに規制を設けられるようなことでは、とてもやっていけない、そういうのは間違いだと。地域の金融機関として信用組合あるいは信用金庫なんかは、もっと違った基準があってしかるべきだということで、これも最近の新聞報道で恐縮ですけど、信用金庫協会というところが、こうした地域の金融機関の健全性の尺度として、一つは、地域内の預金、預けられたお金とそれを貸し出している割合、こういうものは身近な金融機関が多いわけでして、そういうものを健全性の尺度として取り入れるべきではないかとか、あるいは多数者利用、こういう点で、先ほど出ました小口多数の方々に貸している、そういうのも健全性の一つの尺度。さらに、公共性という観点で、自治体の融資制度をどれだけ取り扱っているか、信用保証協会の保証つきの融資をどれだけ扱っているかというようなことも尺度として設けるべきではないかというふうに指摘をしています。ぜひこうした点も都として国に対して提言していただきたいと思いますし、こういう、信用--金庫でありますけれども、こうした提言や、あるいは意見に学んで、東京都も信用組合に対して支援につながるような仕組みづくりのためにさらに努力を重ねていただきたいと申し上げて、終わります。

○藤井委員 今回、平成十二年度の補正予算案として、信用組合の経営基盤強化対策が提案されているわけであります。先ほどからもご説明がありましたように、信用組合というのは、地域における中小零細企業あるいは勤労者を対象とします協同組織金融機関という立場で、小口あるいは多数取引に徹して、大手銀行では手の届かない、こういった分野において、金融の円滑化あるいは資金運用など、利用者の多様なニーズに対応しているわけでございます。そういった意味では、地域経済に大きく寄与しているといえると思います。
 そんな中で、質問も大分似たような質問になっていますので、はしょりながら何点かお聞きしたいと思います。
 まず一点目は、都内で多数を占めます小規模の零細企業、それと共存共栄の関係にあるのが信用組合であるわけですけれども、それだけにリスクと背中合わせの中で、日ごろ各信用組合は懸命の経営努力を行っております。
 よく私も新年会に参りますと、地域で、大体信用組合の支店長さんなんかが来ておりまして、一杯飲みながら、いろいろご苦労話をお伺いすることもあります。長引く景気低迷、あるいは土地価格が下落している中で担保価値が低下するというようなさまざまな要因の中で、信用組合の経営環境というのは大変厳しいものがあるというふうにいわれておりますが、そこで、都内の信用組合の経営状況が全国の信用組合の経営状況に比べてどのような状況にあるのか、お伺いしたいと思います。

○大原商工計画部長 都内の信用組合の経営状況についてでございますが、経営基盤が比較的弱いというふうにいわれております信用組合の中でも、都内の信用組合の経営環境はまことに厳しいものがあるというふうに考えております。
 例えば、信用組合の預金量を見ますと、十年前に比べまして、全国レベルですと十年前を一〇〇としまして現在は九六ということであんまり減っていないわけですけれども、都内の信用組合だけを見ますと、大体七割から八割程度の水準に落ち込んでおります。
 同じく、都内の信用組合の預金量が全国の信用組合に占める割合でございますが、十年前には二〇%を超えておりましたけれども、現在では一六%にまで落ち込んでおります。
 また、平成七年の四月から平成十三年一月までの約六年間で、都内では十七の信用組合が破綻しておりまして、破綻率が三〇%を超えております。一方、全国の信用組合の破綻率では二〇%ぐらいでございますので、大変高い破綻率ということで、都内の信用組合の経営状況は大変厳しいというふうに認識しております。

○藤井委員 金融行政について見ますと、平成十年度から早期是正措置が導入されまして、金融機関は保有している資産をみずから査定して、適正な償却あるいは引き当てを行うこととされたわけでございます。行政としては、その結果を事後的に検証するということになったというふうに聞いております。
 このように金融行政は、今までの護送船団方式から、一定のルールのもとで、金融機関の自己責任に基づく経営を踏まえて自己監視型行政というふうに転換が図られたということでございますが、信用組合におきましても、時価会計や退職給付会計など、国際会計基準に沿った新たな会計処理が求められているわけでございます。さらに、平成十二年度から都市銀行などと同じ金融検査マニュアルが適用になったわけで、文字どおり金融新時代に向かって適切な対応が求められているわけであります。
 そこで、都内の信用組合業界が金融新時代に適切に対応するためにはどういう取り組みを行っているのか、その点の現状をお伺いしたいと思います。

○大原商工計画部長 ご指摘のように、金融新時代を迎えまして、都内の信用組合業界、大変厳しい対応を求められているところでございます。そこで、業界団体でございます東京都信用組合協会では、経営基盤の確立、経営体質の強化、こういったことを重要課題と位置づけまして、四点の対策を講じております。
 まず第一点目でございますが、検討の部会を五つ設置いたしまして、それぞれの部会活動を通しまして、合併、再編を初めとする経営基盤の確立のための検討を行っております。
 二点目でございますが、平成十二年度から新たに適用になりました金融検査マニュアルへの的確な対応ができるよう、各信用組合に対して資産査定基準、あるいは償却引当基準等に関する情報を提供いたしております。
 三点目に、藤井委員のご指摘にもございましたように、大変大きく変化する金融環境に対しまして各信用組合が適切に対応できるよう、役職員に対する研修を実施しております。
 四点目でございますが、都内信用組合の共同のPR事業といたしまして、ボーナス時期にラジオスポットを出しますとともに、JR及び営団地下鉄での社内ポスターの掲示を行っております。さらに、インターネット上に都信協ホームページというものを開設いたしまして、都内信用組合のPRを行っております。こういった施策を通じまして、業界としても一生懸命頑張っているという状況でございます。

○藤井委員 次に、国並びに全国信用協同組合連合会によります資本増強の状況についてお聞きしたいと思います。
 国は、信用組合などの金融機関の経営基盤をしっかりしたものにしていくことを目的といたしまして、去年の五月、優先出資法及び金融機能早期健全化法を改正しまして、公的資金によります資本増強制度を整えたわけであります。国においても、信用組合を初めとする協同組織の金融機関が、中小零細企業向け金融などを通しまして、地域経済に重要な役割を果たしております。その機能が地域経済の安定に欠かせないことを改めて認識したところであります。
 そこで、これまで銀行や信用組合など、それぞれの金融機関の資本増強に対してどれだけの公的資金が活用されているのか、お伺いしたいと思います。
 また、さらに、信用組合の中央金融機関であります全国信用協同組合連合会、そこでも、会員であります個々の信用組合に対して資本増強制度を整備しているというふうに聞いておりますが、国の制度との違いはどういうものなのか、また、これまでの資本増強の実施状況についてお伺いします。

○大原商工計画部長 まず、金融機能早期健全化法に基づきます公的資金による資本増強の状況でございますが、平成十三年一月二十五日現在で、都市銀行に対しまして六兆五千九十億円、信託銀行に対しまして一兆二千五百三億円、地方銀行に対しまして六千三百億円、合計で八兆三千八百九十三億円の公的資金が使われております。
 なお、信用金庫及び信用組合につきましては実績はございません。
 次に、全国信用協同組合連合会が個々の信用組合に対して行っております資本増強についてでございますが、まず、国の制度との違いでございます。全国信用協同組合連合会の資本増強制度は、自己資本比率が四%未満の組合が四%の自己資本比率を達成するために必要な対応を行うものでございまして、これを超える自己資本比率の確保を希望する場合、そういった組合は国の制度を活用するということになっているというふうに聞いてございます。
 それから、全国信用協同組合連合会の資本増強の実施状況でございますが、これまでに二つの信用組合が資本増強の承認を受けているというふうに聞いておりまして、そのうちの一つは都内の信用組合でございます。

○藤井委員 いうまでもありませんが、金融機能の早期健全化法ができるまでにはいろいろと議論がされたわけでございます。国におきましても、あの金融システムの大きな破壊といいますか、日本経済がまさに沈没して、金融機関が倒産し、日本発世界恐慌のときにこの法律ができて、今日の日本の経済があるというふうにいわれております。そういう意味では、金融機能早期健全化法が果たした役割は大変大きいと。我が党もそのときにこの法律を推進した一人でもございますけれども、何といっても、経済の安定なくして景気の回復はない。また、そういった意味で、東京都内におきましても信用組合のこういった経営基盤をさらに強化していかなければならないというふうに考えます。
 次に、中小零細企業の資金の円滑化、こういったものを通しまして地域経済の安定に大きく寄与しております信用組合の経営基盤強化は、東京都にとっても、それぞれの自治体にとっても大変重要な課題であります。そこで、信用組合の経営基盤強化について、ほかの自治体の取り組みの状況についてお伺いしたいと思います。

○大原商工計画部長 信用組合の経営基盤強化につきましての、他の自治体の取り組み状況でございます。
 現在、私どもでは、六府県で信用組合の経営基盤強化事業に取り組んでいるというふうに承知しております。補助金による支援は、栃木県と群馬県で行われているということでございます。それから、貸付金による支援は、大阪府、兵庫県、滋賀県、石川県、この四府県で行われております。このうちで、最も事業規模が大きいのは大阪府の事業でございますので、これについて若干ご説明をさせていただきたいと思います。
 大阪府の信用組合経営基盤強化事業といいますのは平成十年度に実施されたものでございまして、その事業内容は、府内の十の破綻信用組合の預金及び正常債権につきまして、三つの信用組合を受け皿といたしまして再編する、その受け皿組合の経営基盤の強化を図るという事業でございます。
 事業規模は百二十億円でございまして、内容としては破綻組合の出資者の出資金の補てんに約七十五億円、受け皿組合の資本増強が約二十五億円、それから破綻組合の職員の再就職人件費が約十五億円、その他が五億円というふうになっております。
 事業資金百二十億円の財源でございますけれども、大阪府が約四十億円、全国信用協同組合連合会が約四十億円、それから府内の金融機関が約四十億円、この三者で四十億円ずつを負担しているということでございます。
 大阪府の財政支援の方法でございますが、三百億円を原資といたしまして、最初に四十億円を経営基盤強化事業実施のための補助金として拠出いたしまして、残額の二百六十億円につきましては、大阪府の信用組合協会が運用いたします。運用して、二百六十億円を十年後に三百億円にふやしまして大阪府に償還する、こういった仕組みであるというふうに聞いております。

○藤井委員 いろいろな方法があるということをご答弁いただいたんですけれども、最後に、都内の信用組合の規模は、預金量が百億円に満たないものから三千億円を超えるものまで、多岐にわたっているそうでございますが、東京都が予定しております経営基盤強化事業は、都内の小規模の信用組合であっても活用しやすいものであり、その経営安定にとって本当に効果のあるものでなくてはならないというふうに考えます。そこで、経営基盤強化事業の実効性を確保するため、東京都としてどのように取り組むのか、最後に局長にお伺いしたいと思います。

○浪越労働経済局長 信用組合の検査監督事務は、昨年四月から国に移管されましたけれども、都としては、お話のありましたように、信用組合が地域の中小零細企業及び勤労者のための金融機関として、将来にわたり健全な姿で機能していくことが必要であろう、そのように考えてございます。
 現在、都内の信用組合業界におきましては、金融新時代への適切な対応を図るために、先ほど担当部長からご説明いたしましたように、四点から成る経営基盤の確立、経営体質の強化を重点課題として位置づけまして、さまざまな対応策を検討し、実施しているところでございます。このたび提案させていただいた信用組合経営基盤強化事業の実施に際しましては、こうした業界の真摯な取り組みを十分支援できるような仕組みづくりをつくっていく必要があろうかと思っております。お話のように、小規模の信用組合であっても活用しやすいものであり、その経営安定にとって真に効果のあるものでなくてはならないと考えております。
 今後の支援事業の展開に際しましては、再編、合併を促進していくための事業など、新たな支援策の企画、実施をも視野に入れて、都内の中小零細企業などへの資金の円滑化を通して、地域経済の安定に大きく寄与する信用組合の経営基盤強化を図るため、真に実効性のある事業を推進してまいりたい、そのように考えております。

○いなば委員長 ほかにございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○いなば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いなば委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働経済局関係を終わります。

○いなば委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百十六号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、繰越明許費、港湾局所管分を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○いなば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いなば委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○いなば委員長 次に、契約議案の調査を行います。
 第百六号議案、平成十二年度新海面処分場Gブロック西側護岸地盤改良工事(その二)請負契約を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山本委員 それでは、この契約議案について何点か伺いたいと思います。
 まず、Gブロックの西側護岸地盤改良工事その二というふうになっていますが、その一は昨年の四定でこの場所にかかったわけですけれども、当初はその二も同じ時期に議案として提出される予定であったというふうに聞いていますが、これがずれた理由についてまずお聞かせいただきたいと思います。

○渡辺総務部長 今回の契約案件がずれた理由についてでございますけれども、本件工事の請負契約につきましては、財務局におきまして、平成十二年十一月一日付で、東洋建設株式会社、佐伯建設工業株式会社及び株式会社古川組による建設共同企業体と仮契約を締結したところでございます。その後、建設共同企業体の構成員のうち、佐伯建設工業株式会社が、建設大臣から、兵庫県淡路町の下水道工事をめぐる汚職事件により、営業停止処分を受けましたことから、佐伯建設工業株式会社を含む建設共同企業体から、契約締結を辞退したい旨の届け出が知事の方に提出されました。これは平成十二年十一月二十日でございます。
 これを受けまして、財務局では、辞退の申し出を承認し、仮契約を平成十二年十一月二十四日、解除いたしまして、その結果、平成十二年第四回都議会定例会への契約議案の提出には至らなかったというのが、ずれた理由と申しますか、四定から外れた理由でございます。

○山本委員 経過はわかりました。
 四定の際に、Gブロック西側護岸地盤改良工事その一にかかわって、なぜGブロックのこの作業を急ぐのかという質疑を我が党の西田委員が行いました。その中で、局の説明では、しゅんせつ土の対応のために必要なんだという話が随分出たんですけれども、今の東京港及び河川で行われているしゅんせつはどういうものがあるのか、教えてください。

○小池港湾整備部長 しゅんせつ土砂についてどのようなものがあるかというご質問でございますけれども、これは発生の面から見ますと、大きく三つに区分されます。一つは、岸壁や護岸、航路、泊地などの東京港や河川の整備に伴って発生するもの、また、船舶の航行に支障となる堆積土を除去する維持しゅんせつから発生するもの、さらに、悪臭対策や水質浄化対策として行われる運河、河川等で除去される公害汚泥がございます。
 なお、別の側面から、処分先で区分いたしますと、他に有効利用できるしゅんせつ土と有効利用できないしゅんせつ土の、大きく二つに区分できるところでございます。

○山本委員 航路、泊地関係を整備する過程での、それから、維持しゅんせつ、それから、公害汚泥のしゅんせつということでいわれましたけれども、主に新海面処分場で受け入れるものというのは、公害汚泥と維持しゅんせつ関係から出たものというふうに理解してよろしいですか。

○小池港湾整備部長 新海面処分場で処分いたしますしゅんせつ土といたしましては、ただいまご質問がございました公害汚泥、維持しゅんせつ、さらには内部河川や運河等におきます護岸を整備した際にしゅんせつ土が発生するわけでございますが、これらにつきましては、相当有機物を含んでいたりいたしますので、他に有効利用することが困難だということで、処分場に処分してございます。

○山本委員 有効利用ができないものについて受け入れているということですけれども、十一年度で構いませんので、どのぐらいの処分量になっているか、教えてください。

○小池港湾整備部長 まず、平成十一年度で、しゅんせつ土の発生量全体でどうなっているかを申し上げますと、約三百六十五万立米ございます。これらのうち、有効利用いたしましたしゅんせつ土は約二百八十万立米、ただいま申し上げました運河、河川等から発生する、有効利用できずに処分場で処分いたしました汚泥が約八十五万立米となってございます。

○山本委員 公害汚泥とか、そういうものが出てくるわけですけれども、こうしたものが特に処分が難しい理由というのは、恐らく水抜きの問題であるとか、技術的な問題だと思うんです。こうした公害汚泥でありますとか有機物を含んでいるしゅんせつ土について、具体的に処分場をより長持ちさせるための研究というようなものはされているんでしょうか。

○小池港湾整備部長 処分場へ処分いたします良質でないしゅんせつ土量、これは、ただいま申し上げましたように、平成十一年度では全体の大体二三%程度、発生土量に対してあるわけでございますが、これの減量化、減容化、処分場の延命化にどう対応するかということのご質問でございます。
 そこで、私ども考えておりますのは、ご説明申し上げますと、新海面処分場へ処分しなければならない良質でないしゅんせつ土は、今後とも運河、河川等の護岸工事や公害対策等に伴い発生いたしますことから、これまでも新海面処分場の延命化を図るためにさまざまな角度から検討してまいりました。
 具体的な方策といたしましては、しゅんせつ土の処分量の減量、減容化を図ることと、処分場の受け入れ容量の増加対策の二つの方法が考えられると思っております。
 まず、しゅんせつ土の処分量の減量化対策といたしましては、セメント等をまぜて安定化し、護岸工事に際して背後の埋め戻し材などに有効利用を図るなど、既に一部工夫しているところでございますけれども、大量の発生量に対応いたしますためには、受け入れ先の確保やコスト縮減など、今後さらに検討していかなければならない大きな課題がございます。
 さらに、圧縮や乾燥等により減容化し、陸上処分するという方法も考えられますけれども、そのためには広い敷地や大型設備が必要となり、用地確保やコスト面で解決しなければならない課題がございます。
 これらのことから、現時点では、処分場そのものの処分容量を増加させる対策が最も有効な方法と考えてございます。そこで、新海面処分場では、ブロック内の在来海底面を掘削する深掘り工法や、排水のための砂ぐい等を打設して、しゅんせつ土の沈下促進を図る沈下促進工法など、処分容量を増大させる方法を講じていくこととしております。
 なお、これらの延命策のうち、深掘り対策につきましては、これまで都の単独事業として実施してまいったわけでございますが、国に対し強く要請した結果、新たな処分場建設と同等の効果を持つものであるというふうに認められまして、平成十三年度から国庫補助事業として実施できることとなり、新海面処分場全体で約三十二億円の国費投入が図られることになったというようなことがございます。

○山本委員 努力をいろいろ伺ったんですけれども、そもそも処分量の関係でも、要するに、処分場にどのぐらい行って、有効活用にどうされたかという数字は出るんだけれども、実際に、じゃ、有効活用できない公害汚泥とかそういうものがどのぐらいの量が出るのか。そのコストの比較というのは、今のお話では、確かにコストがかかるんだという説明があるんですけれども、実際、まだまだ研究の余地がある問題なんじゃないかと私は思うんですね。
 それで、今、大きな箱物、こうした土木関係の事業をどんどん進めていくという流れがありますけれども、今、技術革新がどんどん進んできている中で、例えばセメントをまぜる工法とか、いろいろご説明がありましたけれども、こうしたことも含めて、より箱物をどんどんつくらないという方向にシフトする必要があるのではないかというふうに私は思います。
 この間、Gブロック、この新海面処分場の問題についても、当初は、東京から出る全体の廃棄物対策ということが非常に大きく掲げられて、事が進んできた。それから、残土対策の問題も大きく掲げられてきた。そして、この問題が数量的に減ってくる。そうすると、今度は実はしゅんせつ土があるんですといって話が出てきて、いつまでもいつまでも、新海面処分場の建設はどうしてもやらなければいけない重大事業だというふうにいわれているわけですけれども、これは流れを、全体としていろいろな技術革新も進んできている中で、しゅんせつ土そのものの対策というものも考え直すときに来ているのではないかというふうに私は思います。特に財政状況も本当に厳しい中で、これ以上、こうした大型の公共事業をどんどん進めていくことが必要なのかどうか、大変疑問だということを申し上げて、質問を終わります。

○いなば委員長 ほかにございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○いなば委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いなば委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対し、意見のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○いなば委員長 よろしいですね。
 では、お諮りいたします。
 本案については、ただいまの意見を委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いなば委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
 港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十二分散会

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