地方分権推進特別委員会速記録第二十一号

平成十二年九月八日(金曜日)
 午後一時六分開議
 出席委員 二十二名
委員長土持 正豊君
副委員長吉野 利明君
副委員長大木田 守君
副委員長植木こうじ君
理事馬場 裕子君
理事谷口 卓三君
理事古館 和憲君
理事井口 秀男君
理事小山 敏雄君
清水ひで子君
三浦 政勝君
田島 和明君
林  知二君
小松 恭子君
比留間敏夫君
鈴木 一光君
松村 友昭君
星野 篤功君
大山  均君
桜井  武君
藤田 愛子君
田中  良君

 欠席委員 一名

 出席説明員
総務局局長大関東支夫君
総務部長高橋  功君
行政部長松澤 敏夫君
地方分権推進担当部長脇  憲一君

本日の会議に付した事件
 都道府県及び区市町村への分権の推進に関する
 具体的方策についての調査・検討
  報告事項(説明・質疑)
  ・第二次東京都地方分権推進計画の策定について
  ・地方分権推進委員会意見について

○土持委員長 ただいまから地方分権推進特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 去る七月十二日付で議長から大西委員の辞任及び三浦委員の選任を許可した旨の通知がございました。ご報告いたします。
 次に、委員の変更に伴う議席の変更についてでございますが、ただいまご着席のとおりといたしたいと思います。ご了承願います。

○土持委員長 次に、本委員会担当書記に交代がありましたので、ご紹介いたします。
 調査部の直井修君です。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○土持委員長 次に、先般の人事異動により総務局長及び幹部職員の交代がありましたので、総務局長大関東支夫君からあいさつ並びに幹部職員の紹介をお願いいたします。

○大関総務局長 ただいま委員長からご紹介いただきました大関東支夫でございます。八月一日付をもちまして総務局長を命ぜられました。微力ではございますけれども、全力を尽くして職責を全うしていきたいと考えております。
 土持委員長初め委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 続きまして、同じく八月一日付の人事異動によりまして当局の幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 まず、総務部長の高橋功君でございます。地方分権推進担当部長の脇憲一君でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○土持委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○土持委員長 これより都道府県及び区市町村への分権の推進に関する具体的方策について調査・検討を行います。
 本日は、第二次東京都地方分権推進計画の策定について及び地方分権推進委員会意見について理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○脇地方分権推進担当部長 本日は、最近の地方分権をめぐる動きをご報告するとともに、先般、都が取りまとめました第二次東京都地方分権推進計画及び国の地方分権推進委員会意見についてご説明させていただきます。
 最初に、地方分権をめぐる最近の動向と今後の予定についてご報告いたします。
 お手元の資料第1号、地方分権の経緯と今後の予定をごらんいただきたいと思います。
 資料の下のところに点線がございますが、その点線より下は、見込みとして記載しているものでございます。
 まず、左側の欄の国の動きでございますが、資料の点線の二段上をごらんいただきますと、本年五月に地方分権推進法の一部を改正する法律が成立いたしました。これにより、地方分権推進法の期限が来年七月まで一年延長され、同法に基づく地方分権推進委員会の活動も延長されました。これを機に、この八月には地方分権推進委員会意見が内閣総理大臣に提出されました。
 続きまして、右側の東京都の対応の欄をごらんください。 都においては、本年五月に、都独自の取り組みとして、都から区市町村への一層の分権を進めるため、第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)を公表し、去る八月二十八日に、本日ご報告することとなりました二次計画を策定したところでございます。この二次計画策定後は、区市町村との協議、調整を開始し、協議の調ったものから順次実施する予定にしているところでございます。
 以上が地方分権をめぐる最近の動向と今後の予定でございます。
 次に、第二次東京都地方分権推進計画についてご説明申し上げます。
 お手元には資料第4号として計画本文をお配りしてございますが、本日は、資料第2号としてお配りしてございます、第二次東京都地方分権推進計画の策定についてという資料と、資料第3号としてお配りしてございます、第二次東京都地方分権推進計画の概要の資料でご説明させていただきますので、そちらの方をごらんいただきたいと思います。
 まず、資料第2号をごらんください。
 まず1の経緯でございますが、平成十二年五月に、第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)を発表し、区長会、市長会への説明及び都民への広報を行いました。七月には区長会、市長会から意見をいただきまして、これらの意見も踏まえ、この八月に二次計画策定の運びとなりました。
 次に、2の中間のまとめからの主な変更点でございますが、第一点として、「はじめに」ということで、知事のあいさつ文を記載いたしました。第二点として、区市町村から、ここに書いてございますとおり、十分な協議、調整を行うべきとの意見や移譲支援策を講じること、さらに、財源措置を適切に行うことなどの意見が出されましたので、それを受けて、例示のとおり本文の記述を修正しております。その他の変更点として、法令の適用関係の再確認やデータの更新などを行っております。
 次に、3の計画の内容でございます。これにつきましては、基本的には中間のまとめから大きく変わってはございませんが、次の資料第3号で概要をご説明させていただきます。
 まず初めに、第1章の計画策定の趣旨でございます。ここでは、区市町村の自主性、自立性の向上を図ることを目的に、都と区市町村の役割分担の明確化、都から区市町村への事務、権限の移譲、都の区市町村への補助制度の三点を計画の対象とする旨を記載してございます。
 次に、第2章でございますが、都と区市町村の役割分担の明確化でございまして、ここでは、1の役割分担の基本的考え方を踏まえまして、2といたしまして、都と区市町村の役割分担の現状と今後の方向を示しております。
 次に、第3章では、都から区市町村への事務、権限の移譲を取り上げております。
 ここでは、1におきまして、都から区市町村への事務、権限の移譲の考え方として、区市町村の能力や実情に応じて権限移譲を積極的に進めていくという考えを示し、これを踏まえまして、現行法に定めております二つの権限移譲の手法を活用した権限移譲を具体的に提案しております。
 まず2の個別法の権限移譲制度でございますが、これは、都道府県の事務、権限を区市町村の申し出に基づいて政令指定等の手続をとることにより移譲することとされている制度でございます。
 その主なものといたしましては、お手元の資料に記載してございますが、例1にございます建築基準法に基づき建築確認等を行う特定行政庁の制度、あるいは、例2にございます地域保健法に定める保健所政令市の制度などがございます。
 恐れ入りますが、裏面をごらんいただきたいと思います。
 3の条例による事務処理特例制度による事務、権限の移譲の提案でございます。この制度は、都道府県知事の権限に属する事務、権限の一部を都道府県条例の定めによって区市町村が行うこととする制度でございまして、お手元の資料に主な例を挙げてございます。
 まず、先ほどご説明いたしました個別法の権限移譲制度とあわせて移譲するものといたしまして、例1にございます特定行政庁となった市町村に対する開発行為の許可等の事務や、例2にございます保健所政令市となった市に対する毒物劇物の業務上取扱者の届け出の受理等の事務がございます。また、そのほかに新たに移譲を提案するものといたしまして、鳥獣の捕獲飼養の許可などの事務がございます。
 これらの権限移譲に伴う財源措置でございますが、まず個別法の権限移譲制度で移譲される事務の財源措置は、地方交付税制度などにより国が措置することとなりますが、都といたしましても、初期投資が必要となる場合、必要に応じて経過措置としての財政支援を行うことを検討いたします。また、条例による事務処理特例制度の財源措置は、都が行うこととなっております。
 最後に、第4章では、都の区市町村への補助制度を取り上げております。ここでは、都補助金の意義や現状を整理いたしましたほか、3の都支出金の見直しでは、少額補助金の統合などの補助方式の見直しの方向を示すとともに、補助条件の見直しや手続の簡素化など、三十七の補助金について交付手続の見直しを行うこととしております。
 以上が第二次東京都地方分権推進計画の概要でございます。
 続きまして、地方分権推進委員会意見についてご説明申し上げます。
 お手元には資料第6号として、その全文をお配りしてございますが、本日は概要をまとめました資料第5号を使ってご説明させていただきますので、こちらの方をごらんいただきたいと存じます。
 地方分権推進委員会は、地方分権推進法第十条二項に基づきまして、政府の定める地方分権推進計画に基づく施策の実施状況を監視し、その結果に基づき内閣総理大臣に必要な意見を述べることとされており、このたび意見を提出したものでございます。
 内容でございますが、まず第一は、国庫補助負担金の整理合理化と当面の地方税源の充実確保策についてでございます。そのうち、国庫補助負担金の整理合理化につきましては、その区分の明確化、維持管理費に係る国直轄事業負担金の見直し、国庫補助負担金の運用等の改革措置の三点について、早急に具体的な措置を講じるべきとしております。また、当面の地方税源の充実確保策としては、法人事業税への外形標準課税の導入について、景気の状況等を踏まえつつ、早期に導入を図るべきとしております。
 恐れ入りますが、裏面をごらんいただきたいと存じます。
 第二の法令における条例、規則への委任のあり方についてでございます。権利義務規制を行うための基本的な規範の定立を地方公共団体の法規に委任する場合には、規則ではなく条例に委任することを原則とする考え方に基づいて法改正の作業に取り組むべしとしております。
 最後に、第三の個別法に関する諸点といたしまして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、漁港法及び道路運送法の各法律につきまして、なお取り組みが必要な事項について述べております。
 以上で大変雑駁ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○土持委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し、ご質問等のある方は発言を願います。

○桜井委員 ただいま報告のありました第二次東京都地方分権推進計画について少しく伺います。
 この二次計画は、五月に中間のまとめを発表し、その後、都民、区市町村等の意見を踏まえまして、今回正式に策定したとのことであります。この計画は、区市町村への分権を積極的に進めようとするものであり、東京都が独自に取り組むことのできる改革を率先して進めるものとして、大変意義があるというふうに思います。今後、この計画に基づいて区市町村へ事務権限の移譲などが進むことによって、区市町村の自主性、自立性が向上することを大いに期待します。
 この二次計画につきまして、特別区との関係について幾つか質問します。
 この計画は、全体的には体系的にまとめられていますから、制度を理解する、そういう観点では非常に便利ではありますけれども、区市町村への事務、権限の移譲が混在というか、そういうような状態で提案されていますので、特別区には何が移譲されるのかちょっとわかりにくい点があるものでございますので、一点、一点、伺います。
 まず第一番になりますが、特別区に関するものだけを取り上げると、移譲を提案している事務、権限はどのようなものがあるのですか。全体から見ると、区への移譲事務は少ないように見受けられますが、それはなぜなのか、まず答弁をお願いします。

○脇地方分権推進担当部長 まず、この二次計画で、特別区へ移譲を提案している事務、権限の内容についてでございますけれども、個別法の権限移譲制度によるものといたしましては、水質汚濁防止法に基づく汚水等を廃止する特定施設への立入検査や改善命令など十事務の移譲を提案しております。また、条例による事務処理特例制度によるものといたしましては、鳥獣保護法に基づく鳥獣の捕獲飼養の許可など十六の事務を提案しております。この結果、区へ移譲を提案している事務は合わせて二十六事務ということになっております。
 次に、特別区への移譲提案が計画全体から見て少ないとのことでございますが、その理由についてお答えいたします。
 今回二次計画で提案している事務、権限の移譲では、特定行政庁及び保健所政令市の事務とこれに付随する事務が多くを占めておりますが、特別区では、昭和五十年の保健所移管などを経て、既にこれらの事務を実施しているところでございます。また、本年四月に実施に移されました都区制度改革においても、身体障害者相談員への業務委託など、幾つかの事務が移譲されたところでございまして、こうしたことから、今回は特別区への移譲提案が少なくなっているものでございます。

○桜井委員 先ほどの報告の中にもありましたけれども、二次計画については、区長会が七月に都に対して意見書を提出しております。そこで、この区長会の意見書に関連して幾つか質問いたします。
 この区長会の意見を見ますと、移譲対象事務として具体的に示された事務の中には、必ずしも区が処理することが適当ではないという事務があるという指摘があります。そこで伺いますが、区への移譲が必ずしも適当でないと思われるような事務があるという意見がありますが、具体的にはどのような事務を指しているのか、また、これに対して東京都はどのように考えているのか答弁をお願いします。

○脇地方分権推進担当部長 区長会意見には、具体的な事務名は示されておりませんが、個別に幾つかの区から聞いているところでは、メッキ業など、毒物劇物を使用する業者についての届け出の受理や指導監督の事務などが移譲に適さないのではないかということで挙げられております。
 そこで、毒物劇物の取り締まりに関しましては、地方分権一括法に基づく法令改正で、販売業者への指導監督等の事務が区へ移譲され、既に本年四月から区で実施されていますので、今回の二次計画では、さらに区が毒物劇物の取り締まりに関する事務を総合的に行えるよう、使用段階での取り締まり事務を新たに移譲することとしたものでございます。
 今回伺っている意見では、特定の専門職種や専門のノウハウが必要になるため、この事務の移譲が受けにくいというふうに聞いておりますが、都といたしましては、今後ノウハウの提供や研修の実施などの支援策を検討するとともに、今後の区との協議、調整の過程で、十分に説明するなどして、移譲を進めるための環境を整えてまいりたいというふうに考えております。

○桜井委員 説明が不十分だったというふうにいうといい過ぎかもしれませんが、十分でなかったというふうに見受けられますので、今後、区との協議、調整の過程では、区側の理解が深まるようにより一層十分に説明していただきたい、このように思います。
 さらに、このことを含めまして、今後、事務、権限の移譲については、受け手である区側と十分に協議する必要が当然あるわけでありますが、区長会の意見書でも、事務、権限の移譲に当たっては、都区間で十分に協議を尽くすとともに、協議が調ったものから段階的に移譲すべきであるというふうに意見がされております。
 そこで伺いますけれども、十分な協議を求める区の意見について、東京都はどのようにお考えになったのか、また二次計画へはどのように反映させたのか、それを答弁してください。

○脇地方分権推進担当部長 都といたしましては、事務、権限の移譲に当たっては、区市町村と十分に協議、調整を行った上で実施していくことが重要であるというふうに考えております。また、今回の二次計画の策定に当たっては、ご指摘の区長会からの意見をより適切に反映させるよう、本文の関係箇所の表現を修正したところでございます。

○桜井委員 改めて申し上げますけれども、事務、権限の移譲については、今後十分に協議を尽くしていただきたいと思います。
 そうした区との協議においてポイントになるのは、何といっても財源措置の問題であると思います。我々としても、都から区市町村への事務、権限の移譲が、区市町村の自主性、自立性の向上という地方分権の趣旨にのっとって行われるという意味では、移譲事務に対する財源措置について重大な関心を持たざるを得ないわけであります。区長会の意見書でも、事務処理特例制度による事務、権限の移譲については、事務処理に必要な経費を全額都が負担すべきであるという意見が示されていますが、これに関しては、本年平成十二年四月にスタートした現行の事務処理特例条例の制定に際しても、交付金の財源措置をめぐって、東京都と区との間でいろいろと議論があったと聞いております。
 そこで伺いますが、今回二次計画で提案している事務処理特例制度による移譲事務への財源措置、これについて東京都はどのように対応するのか、また考えをお聞かせ願いたいと思います。

○松澤行政部長 事務処理特例制度は、都道府県が知事等の権限に属する事務の一部を条例の定めるところにより区市町村に移譲する制度であることから、その処理に要する経費につきましては、地方財政法に基づきまして府県財源をもって必要な措置を講じなければならないというふうにされているところでございます。
 このため、本年四月にスタートした現行の事務処理特例条例に際しても措置したと同様に、今回の二次計画におきましても、都から特別区に対して移譲するとした事務につきましては、事務処理特例交付金という形で必要な経費を適切に措置していく考えでございます。現在移譲する個々の事務の実態を踏まえ、その処理に係る経費について適切に算定するところでございまして、今後移譲するに当たりましては、十分に区と協議を進めていく、こういう予定でございます。

○桜井委員 今の答弁ですと、区の意見も踏まえているようなので、その点は評価したいと思います。区市町村の財政も非常に厳しい状況にありますので、移譲事務への財源措置をしっかり行って、二次計画に基づく区市町村への事務、権限の移譲を着実に進めてもらいたいと思います。
 さて、この二次計画によりまして、今後特別区における分権が進められるわけでございますが、特別区については、既に本年平成十二年四月に地方分権の嚆矢ともいうべき都区制度改革が実現しておりまして、特別区が基礎的自治体となったことはご承知のとおりでありますが、この都区制度改革では、財源配分のあり方の協議など、まだまだ幾つかの残された難しい課題があるわけであります。
 例えば、本年、平成十二年二月の都区協議会において、大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方の協議については、六年後の清掃事業の特例的対応の終了をにらんで、協議すべき五つの事項が確認されております。
 そこで伺いますけれども、今回の都区制度改革をどのように評価しているのか、また、それを踏まえまして、残された五項目の確認事項について、今後どのように取り組んでいくのかを答弁してください。

○松澤行政部長 今回の都区制度改革は、特別区を基礎的な地方公共団体に位置づけるとともに、清掃事業など、住民に身近な事務が都から特別区に移譲され、また、財政自主権を強化することによって特別区の自主性、自立性を高めていくなど、地方分権の推進という観点から見て極めて意義深いものと考えております。
 今、ご指摘ございましたように、本年二月十日の都区協議会におきまして、今回の都区制度改革における新しい財調制度の合意に当たり、大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方など五項目が、今後、都区間で協議していく事項として確認されたところでございます。
 これらの確認事項につきましては、今回の都区制度改革を円滑に進めていくため、清掃事業の特例的な対応が終了する平成十八年四月に向けて、必要な事項から、順次、誠意を持って都区間で協議してまいりたいと考えております。

○桜井委員 五項目の確認事項については、今後とも、今答弁にありましたように、特別区と十分に協議の上、対応するようお願いします。
 今回の都区制度改革後の問題でありますけれども、特別区が真の意味で基礎的自治体としてその役割を十分に発揮していくには、これは、私見かもしれませんけれども、清掃の移管にとどまることなく、現在東京都が行っている大都市事務のうち、幾つかのものをさらに特別区へ移していくというふうに考えています。
 そこで伺いますけれども、現在東京都が行っている大都市事務の特別区への移譲について、都は、現在というか、将来に向かってというか、どのように考えているのか。考えていなければいいんですが、考えているならば、何か一点お願いします。

○松澤行政部長 ご指摘のとおり、今回の都区制度改革におきまして、清掃事業などが特別区に移譲される一方で、一般の市町村が実施している消防であるとか、上下水道などの事務や都市交通事業の経営などについては、引き続き、都の役割として実施しているところでございます。
 住民に身近な事務については、基礎的な地方公共団体である特別区にできる限り移譲していくことが、地方分権の推進や住民サービスの向上の面から重要であると考えておりますが、その際には、特別区については、人口が過度に集中している特別区の区域における特性なども十分踏まえ、大都市行政の一体性、統一性の確保についても留意していかなければならないというふうに思っております。
 現時点では、都区制度改革において移譲しました清掃事業等が、円滑かつ効果的に実施されることがまず第一に必要なことであると考えますが、それに加えまして、住民福祉の向上を図る観点から、現在、都が実施している大都市事務の移譲についても、将来にわたる重要な課題である、このように認識しております。

○桜井委員 都区制度の改革によりまして、東京都は広域自治体として、特別区が、いわゆる基礎的自治体としての立場で住民生活の向上のために取り組んでいくというふうになることが肝要であるわけであります。
 大都市事務の東京都から区への移譲についても、でき得る限り検討を進めるということが必要なのじゃないかなと考えております。また、こういった自分の意見というか、投げかけかもしれませんが、特別区の自主性、自立性をより一層強化していくためには、今後、中長期的に取り組んでいかなければならない大きな課題として、例えば、昼夜間人口や財源の偏在などの大都市地域の特性があるわけでありますが、そういった中で、特別区の再編とか、あるいはまた地方交付税の都区合算、税財政制度のさらなる対策というような課題があると思います。
 このような中長期的課題を踏まえて、さらに都区制度改革を推進していくべきだと考えておりますが、東京都と特別区の地方分権を進めていく上での、これは、ぜひとも局長の決意を伺いたいと思います。

○大関総務局長 この四月からスタートいたしました都区制度改革、これは、都区双方の長年の懸案でございまして、都議会を初めとする関係者の皆様の多大なご尽力をいただきましてなし遂げたわけでございます。これは、新しい東京都と特別区の関係の構築、また、地方分権の推進という観点からも大変意義深いものであったと考えております。私個人の経験からいたしましても、区政課長あるいは都区制度担当部長を経験しておりますので、大変感慨深いものがあるわけでございます。
 しかし、都区制度改革は、これをもって終わったというふうには認識しておりません。特別区の自主性あるいは自立性の向上に向けまして、これからもさらに前進していかなければならないだろう、このように考えております。
 私の経験の中で感じましたことは、やはり受け皿であります区の行政能力といいますか、基礎体力、これは区によって大変差があるということを感じたわけでございます。仮に、市町村事務というのは、原則、これからは区だよというふうになったといたしましても、本当に市町村というか市の事務がこれでやれるんだろうか、このようなことを考えたときに、大変危惧する部分があるわけでございます。
 それから、住民のニーズというのも大変違うわけでございます。都心三区と、あるいは足立、葛飾、墨田といったようなところとは大変ニーズも違います。
 それから、税の偏在も大変違うわけでございます。例えば、千代田区の住民一人当たりの税金と、足立、葛飾での一人当たりの税金で考えますと、二十倍以上の差がある。逆に今度は、住民の受けなきゃならない行政ニーズといいますか、これは、その逆ぐらいな感じのことを行政としてしなきゃならないという大変難しい問題があるわけでございます。
 そういう点を考えますと、やはりこれから特別区の再編というものも含めて、税財政制度の改革などを抜本的に変えていく必要があるだろうと。そうしませんと、やはり二十一世紀という新たな時代の中に対応できる特別区にならないんじゃないだろうか、このように考えております。
 そして、その際には、人口が過度に集中した大都市地域の一体性あるいは統一性、こういったものに留意するとともに、やはり先ほど先生が申されておりましたけれども、昼夜間人口の著しい格差あるいは財源の偏在、あるいはそれぞれの区の特有の実態、こういうことを踏まえた改革をしなければならないだろう、このように思っております。
 その区域が、どういうことが理想なのかわかりませんけれども、これから、各区あるいは住民とよく相談しながら、一番いい特別区のあり方を進めていく必要があるだろうと思っております。今後、さらなる、あるいは新たな都区制度改革の推進に向けまして全力で取り組んでいきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○松村委員 五月の中間のまとめから、この最終、第二次東京都地方分権推進計画となったわけですけれども、前回の本委員会でも質疑が行われて、都は、この中間のまとめにつきましては、都議会を初めとして区市町村、都民の意見をいただいて、これを踏まえて正式に計画を策定すると繰り返し答弁しています。
 今、中間のまとめからの主な変更点ということで、資料第2号にも傍線を引いた箇所だというふうに説明がありましたけれども、私は、例えば、区長会、市長会、協力関係だ、パートナーシップだというところから、基本的な今後の区市町村の重大な自治のあり方が、これによって方向づけられるということで、非常に重視していると思うんですよね。それにしては、区長会からも四点、市長会からも四点にわたって出されているのを、東京都はどう受けとめたのかなと。この修正といいますか、文言の補強といいますか、これでいいのかなというような感想を持ったのが一点なんです。
 確かに、市長会から求められていた研修の実施とかマニュアルの作成とか、より丁寧なことは載りました。大変いいことだというふうに、留意しているというふうに思います。しかし、基本的な点では、もう少しそれをしっかり受けとめて記述するということが求められたのではないかなというふうに思うんですけれども、どうこれらの意見を受けとめたのか、その受けとめ方と、そしてまた、こういう記述、微調整といいますか、終わった点をもう一度お答えいただきたいと思います。

○脇地方分権推進担当部長 市長会、区長会の意見の中には、計画本体に反映すべきものと、今後の協議、調整の過程で対応すべきものとがあったのではないかなと受けとめております。
 その中で、計画に取り入れるべき事項につきましては、先ほどもご説明いたしましたように、主なもので三点ほどございます。
 繰り返しになるかもわかりませんが、第一点目が、事務、権限の移譲について区市町村との十分な協議、調整を経て順次進めていく旨、本文を修正したことでございます。二点目が、条例による事務処理特例制度に基づく権限移譲に当たっての財源措置について適切に行う旨、これまた本文を修正いたしました。三点目といたしましては、先ほど先生のご指摘もございましたが、マニュアルなどの情報提供など、移譲支援策を追加したことなどでございます。

○松村委員 この意見の中には、例えば市長会の第一に、非常に基本的な観点といいますか、策定に当たっての意見が出されているんですね。それは、第二次東京都地方分権推進計画は、市民サービスの向上と市町村の自主性、自立性を高める観点に立って策定することと。
 確かに、この計画では、区市町村の自主性、自立性を尊重する立場からの記述がいろいろ書かれておりますけれども、今、この市長会側からも求められた市民サービスの向上、住民サービスの向上ですね。やはり、これは、地方分権にとっての、私は基本的な線だと思うんですけれども、こういう点が、改めて中間のまとめを見て区市町村側から出されたわけですけれども、これはどういうふうに、この観点といいますか視点が、この計画から読み取ることができるのでしょうか。

○脇地方分権推進担当部長 市民サービスの向上という視点が、この計画にどのように盛り込まれているかというお尋ねでございますけれども、二次計画では、計画の意義、個別法の権限移譲制度の活用、条例による事務処理特例制度の活用に際して考慮すべき点、補助金の現状と課題などにおきまして、住民ニーズへの的確な対応等に言及しているところでございます。

○松村委員 自主性、自立性--確かに、今までの東京都の仕事は区市町村がやると。より権限が移って、または自主的、自立的に判断できると。そのことは、より身近な自治体で住民ニーズがつかめることは確かだと思うんですね。
 しかし、だからといって、それが住民サービスに即つながるのかということにはなってこないんじゃないかということが区市町村側でも十分懸念されるから、あえて、例えば市長会の第一に、自主性、自立性とあわせて、その前段に、やはり分権は市民サービスの向上、そういう視点を持った計画の策定にしてほしいというふうに、私は、この点を出しているというふうに思うんです。
 ずばりいえば、これはやっぱり、先ほどもありましたけれども、財源問題にかかわる問題だというふうに思いますので、財源問題について、私は少し進めたいというふうに思うんです。
 まずそこで、一四ページですね。この下の段に書かれている4の事務、権限の移譲に当たっての財源措置というところで、個別法の権限移譲の財源がどうなるかということで、権限、事務の仕事がふえても、それは、区市町村事務として地方交付税制度の基準財政需要額に算入されることになって、国が措置する。そして、都としては、地方交付税でもって自主的に確保されるから--ただ、必要な経過措置としての初期の段階の支援を行うということですけれども、実際に、これは、例えば区市町村側にとれば、個別法による仕事がふえても、それに見合う財源がなければ、行政サービスというか、住民サービスをよりふやした仕事にはならない。
 というのは、なぜならば、今、不交付団体ですよね。自主的に財源が来ないから、もっと特段の財源措置をとってほしいと、区長会側からも、この点で要望されていると思いますけれども、それについてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

○脇地方分権推進担当部長 個別法による権限移譲制度によって移譲された場合には、人件費や事務費などは、地方交付税で国が措置するということになっております。そのため、地方交付税の不交付団体だからという理由で、都がこれらの経費について重ねて措置することは困難であると考えております。
 しかし、権限移譲に際して、新たな施設の設置や初度調弁など初期投資が必要となる場合があり、そうした場合には、区市町村への権限移譲を積極的に進めていくために、都としても、必要に応じて経過措置としての財政支援を行うということを検討してまいります。

○松村委員 そのことはわかっているんですよ、区市町村側は。ただ、そういう仕事を、では、身近な自治体が個別法によってできるんだから、やりますよといっても、実際にそれに伴う財源がなければ、やはりできないじゃないですか、受けられないじゃないですかということだから、特別の財源措置をということですよね。それだと、いつまでたってもこれは進まないんじゃないですか。受けたくても、そういう仕事をしたいと思っても、それに伴う財源が実質的にないわけだから。
 例えば、そういう仕事や権限をもらって何かをやろうとしても、何かを切らなければならないとかいうことになりはしませんか。だから、それがただ、確かに初期の事務だとか、いろいろな施設だとか、かかわることはやむを得ないから、そういう初動においては財政支援を検討していくというならば、さらに、実際に仕事ができるような財源措置を手当てするということは、制度の問題ではなくて、やはりそういうことは分権の立場から必要なのではないかという質問なんですけれども、いかがですか。

○脇地方分権推進担当部長 お尋ねの趣旨は十分わかりますけれども、現行の制度のもとにおきましては、先ほど来申し上げておりますように、不交付団体だからという理由で、都が、先ほどお話のありました諸経費について重ねて措置していくということは困難でございます。

○松村委員 私はこの点においても、国というのはおかしいなとか、今までの分権でも、税源についてはいわないと。確かに、東京都が区市町村に,何か新たな税で税源を取って、それを分けるという国との関係とは違いますけれども、しかし、分権といっても、国に対しておかしいじゃないかと、実際仕事はできないじゃないかと、きちっと権限や財源をよこすと同時に、やっぱりそれに見合う財源をというならば、私は,これは同じ考え方だと思いますよ。制度的な違いはあるとしても、やはりそういう点での、気持ちはわかるというだけではなくて、きちっとした対応をとってほしいということは、これは要望にしておきます。
 それからもう一つの、この一五ページの条例による事務処理特例制度は、地方財政法によっても、都道府県が必要な措置を講じなければならないとされて、そして今度新たに、この中間のまとめと違うのは、最後のところに、適切に財源措置を行うということで、適切という言葉を入れたということなんですね。
 私、なぜ必要な経費を全額負担するというふうに、ずばり書かなかったのかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○脇地方分権推進担当部長 条例による事務処理特例制度による権限移譲が行われた場合、その経費につきましては、都が地方財政法に基づいて適切に財源措置するということになっております。今後、財源措置の内容について、区市町村から具体的なご相談等がありましたら、必要に応じて区市町村と協議を行いながら適切に対応していくというふうに考えております。

○松村委員 もうはっきりさせておいた方がいいと思うんですよね。それによって、はっきり必要な財源を講じるというふうになっているんですから。いつも適切なというときは、東京都はこれが適切ですよというようなことになるんですよね。区市町村側から見たら、それは適切じゃない、いつも超過負担だとか、いつもこうやられていると。そういう不信感といいますか、生む余地がないように、やっぱりここはきちっとした全額財源措置を負担するという意味に書いた方がよかった、書くべきだということですけれども、先ほど来の答弁ではそういう趣旨だと、そういうことなんだということで、私は受けとめたいというふうに思います。違うんですか、そうですよね。必要な財源については--必要なんですよ、これをやるんじゃなくて、講ずるということですから、そういう趣旨ですよね。

○脇地方分権推進担当部長 必要な経費と、それを全額措置するということとは、若干違うのではないかと思います。例えば、地方交付税制度におきましても、基準財政需要額で経費を算定する場合に、ある事務に費やしたすべての経費をその需要額に算定するという考え方はとっておりませんで、ある一定の標準的な費用について、それが必要な経費というふうに考えているのではないかと思います。
 そういう意味では、費やしたすべての経費を措置するという、そういうことではなくて、その事業を遂行していく上で必要な経費に対して適切に対応していくということでご理解いただきたいと思います。

○松村委員 だから、そういうおそれがあるから、市長会側からも、市に超過負担が生ずることのないようにと、今までも何か国の、この基準財政需要額の算定式も含んだ、いつもそういう形で泣かされてきたというか、おかしいと。今まで東京都もさんざんそういうことは同じ自治体として経験しているわけですから、分権でこういういっぱいいいことというか、すばらしい方向も盛り込んでいるんですから、やはり区市町村がしっかりそれを受けとめて、住民サービスの向上からやれるように万全を期するというふうにしていただきたいと、強くその点では要望しておきたいというふうに思います。
 それから次に、都と区市町村の役割分担の明確化のところで、これは六ページですけれども、個別の法令によって都道府県と区市町村のいずれも行うことができるとされている事務の中で、これは例を挙げて、公営住宅の供給について記述しております。
 ここでは、公営住宅については、地域における住宅需要にこたえるためには、区市町村による取り組みが重要であることから、都は、これを支援する諸施策に重点を移していく。これは、新聞にも、例えば区長会側から、強く批判というか懸念が上がっているという、報道記事もありますけれども、これを素直に読みますと、もう東京都は、公営住宅はやらないというか、区市町村を支援する諸施策に重点を移していく。こういうふうに私も読み取れるわけですね。
 今、全体の東京都の流れもそういう方向になっていますけれども、例えば、都と区で制度改革をいろいろ話し合ってきた中で、都区制度改革実施大綱というのが決められて、これは合意といいますか、都は大規模な公共住宅事業、区は小規模な事業を実施するということで、役割分担としては決着しているというふうに区側は認識しているのに、それを飛び越えてといいますか、私は、この分権の計画の中にこういう記述をするということは、明らかに都区の合意というか認識を逸脱しているし、踏み込み過ぎているのではないかというふうに指摘せざるを得ないわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○脇地方分権推進担当部長 公営住宅の設置管理については、従来からも、法的には都道府県も区市町村も行うことのできる、いわゆる共管事務でございます。ご指摘の二次計画の記述の中では、この共管事務について、都と区市町村の一般的な役割について述べたものでございまして、その例として、公営住宅行政においては、地域における取り組みが重要であり、都はみずから供給するのみではなく、区市町村の取り組みを積極的に支援していく必要があるという考え方を示したものでございます。したがって、これまでの都区の合意事項と矛盾するものではないと考えております。
 なお、先ほどの答弁で、必要な経費というところのご説明で、若干舌足らずだったかもしれませんけれども、必要な経費というのは、区市町村事務に支障がないようという、そういう趣旨でございますので、どうぞご理解いただきたいと思います。

○松村委員 でもこの文言は、都は、これを支援する諸施策に重点を移していくという、今いいましたみたいに、都区の合意だとか、それから所管局の住宅局も、どちらかというと、今まで都区の分権上の役割分担が明確でなかったと。それがきちっとこういう形で役割分担がはっきりしてきたということで、当然、やはり身近な自治体が公共住宅をするということは否定していないと思いますし、そういう方向に今後進むことも、また、区民、都民は期待しているだろうというふうに思うんです。
 しかし、それにしても、やっぱり、膨大なノウハウを持ち、都営住宅が他の府県の県営住宅よりも多いというのは、これはもう歴史的な経緯がありまして、もともと戦後の住宅政策というのは、二十三区については、これは都がやるということでずっとやってきたわけですから、それを何かほかの府県に比べて都営住宅の割合が多いからそうじゃないんだということは、いろいろ議論がありまして、そうじゃないと。
 しかも今、やはり東京都の地域状況から、広域的な大規模な公共住宅はまだ必要だし、まちづくり的な関係からも、そういう必要性を十分所管局も認識して、さきの都区合意になっていたものが、分権の担当の計画の中から、これを支援する諸施策に重点を移していくなんていうことは、これは本当に踏み込んだ意見で、これは今後、その指摘をしておきますけれども、区側などとの今後の協議や調整の中で、十分そういう誤解のないように私はしていただきたいということを指摘します。
 それから、第4章の都の区市町村への補助制度について伺います。
 これも二〇ページに、見直しの視点、さらに補助方式の見直しの方向で、少額補助金の統合、補助金のメニュー化などを進めていく、補助金の包括化も検討していく、そういうふうに記述されておりますけれども、ここに記載されている包括化、統合化は、現在、都の行革の流れといいますか、そういうものと軌を一にするのかなという気がするというか、強く私も懸念するところなんです。
 例えば、高齢者の自立支援住宅改修給付事業というのが、これまで個別事業としてありまして、これは区市町村が窓口になって、都がこれについて補助金を出している。しかし、この事業は、この四月から包括補助制度の一つとなって、高齢社会福祉ビジョン推進補助事業、いきいき事業というふうに呼ばれていて、ここには補助対象事業は、この高齢者自立支援住宅改修給付事業以外にも五つ挙げられていて、それでどちらを選択してもいいですということになっているわけですけれども、明らかにこれまで--私はこの事業というのは、これから非常に重要な事業だというふうに思うし、ますますこの需要というのはふえてくると思うんですけれども、全体を包括事業とすると。
 一方においては、その中から区市町村が選択できるものですよといっても、やっぱりこれもどっちを削って、どっちをふやすというような形になるということで、全体としては補助金の削減につながる重要な問題だという、そういう個別のというか、そういうことが、今、現に東京都で起きているわけですよね。
 ですから私は、分権の立場からいえば、当然、この二〇ページ、二一ページに書かれているように、過重な要件を課したり、関与を行うことがないようにする、非常に適切に書いてありますね。補助金交付手続に区市町村が多大な労力を費やすことがないようにするということの見直しであると。私、非常にいいと思うんですね。そうじゃなきゃいけないというふうに思います。
 だから、今までの補助金のあり方の手続の煩雑さだとか、多大な労力を見直そう、やめていこう、そして、もっとやりいいようにしていこう、これだけでいいんじゃないですか。そこで、なぜ、補助金の包括化だとか統合化だとかいうことを、あえて分権の立場から書く必要があるのかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○脇地方分権推進担当部長 地方分権推進の視点から、補助金につきましては、交付手続を通じた関与によって、区市町村の知恵や創意を生かした事業を阻害しないよう配慮していく必要があろうかと考えております。
 こうしたことから、この二次計画での見直しの視点といたしましては、区市町村の自主性、自立性の向上の観点から、少額補助金の統合や補助金のメニュー化などを進めていくことにしたものでございます。

○松村委員 私、どうも理解できないというか、だから、今までの煩雑さだとか、都が、あれやれ、これやれということじゃないように見直そうということは、だれでも、反対どころか、大歓迎だというふうに思うんですよね。その際、この例示を挙げて、枠がこれで、それをどこを選ぶかは区市町村ですよなんていうことは、逆に私は、新たな干渉になるし、同時に、それが全体的には今の東京都の財政再建といいますか、東京都の都合による補助金の削減や縮小ということの枠の中に入っていくことを、区市町村側の意見でも強く懸念している問題だろうというふうに思います。
 この点は指摘して、同時に、それがなぜ重要かというと、この補助金の問題で、前回の委員会でも、この第4章の冒頭に記述されている問題で、古館理事がこの問題を取り上げました。財務局の発表した「財政構造改革の推進に向けて」のパンフレットですね。
 それで、一つには、この改革推進プランで、市町村補助が、都は道府県の二倍の水準になっていると、それから、市町村の歳入構造から見ると云々と。そして、この分権の計画でも、その冒頭に、都支出金のあり方について、やはり同じように、都は他府県に比べて非常に多いという--これは前回の質疑の中でも、いや、客観的な事実を書いたんで、他意はないと、補助金については、その意義やあれは後段に書かれているということの説明が既にあったわけですけれども、私、客観的な事実を述べたまでだというならば、例えば、我が党は、本会議でも既に、東京都の予算全体で、区を入れて区市町村補助費がどのくらい出されているかという点を調べて明らかにしました。これは、全国道府県と都を比較してみると、東京を除く道府県は平均で五%なんですよね、全体の予算の中での市町村補助の割合が。ところが東京の場合は、都区財政調整、消防費、清掃費、港湾費など、大都市行政を除いても、三%というふうに低いんですよ。
 私は、だから、何かよく財務局、私も財政委員ですが、質疑の中で、本当に都合のいい数字ばかり使って、いろいろいっているけれども、これは違うと、こういう客観的な事実、例もあるじゃないかとよくいうわけです。同じ分権で、客観的な事実を書いたまでだということをおっしゃりたいんだろうと思いますけれども、今いったこういう数字というか、事実もあるんですよ。それを載せないで、こういう数字を挙げて、やはりそういう立場から区市町村にこの分権を迫るということは非常に問題だと。結局、東京都の今進めている財源削減の方向を、やっぱりやっているんじゃないかと。私だけじゃなくて、区長会側や市長会側も、分権、分権というふうにいいことをいって、私たちもそれはもう大賛成だと。しかし、そこには、やっぱり仕事に伴う財源が必要なんだよという立場から見ても、果たしていいのかなという懸念を表明するということは、私は非常によくわかるんです。
 それからもう一つ、この財調についても、本当に補助金扱いなんですね。財調というのは、私も区議会議員を経験いたしましたから、本来はこれ市町村税なわけですよね。たまたま東京都の広域自治体が、消防だとか、今まで清掃だとか、かつては保健所だとか、いろいろやっていた、その分を財源割合で配分して、それは残ったのは補助金じゃないですよ。これは本来、区なら区の、二十三区側の市町村税、固有の財源で、そこがきちっと財調協議で話がつき、今度のいろいろな制度改革でも、清掃を含めて、はっきり決められているんですよね。それをあたかも補助金扱いにするということも、非常に私は、区側から見て批判があるところだということを指摘しておきたいと思います。
 この分権計画における、第4章の都の補助制度、そしてまた、それの見直しの視点まで書いてありますけれども、まさかそういう市町村や区の財調等を含めた、区市町村に対する削減の方向は、計画と一致するものではないんでしょうね。これは明確にしていただきたいと思います。

○脇地方分権推進担当部長 この第二次東京都地方分権推進計画で、補助金の見直しの方向を示しているわけでございますが、それは、地方分権を推進していくという観点から、補助金の交付手続の簡素化であるとか、あるいは補助条件の緩和であるとか、そういった区市町村の事務負担の軽減、あるいは事業執行の弾力化、そういったものを図ることを目的にしたものでございます。

○松村委員 今の答弁にあったとおり、あくまでもこれは区市町村の自主性、自立性の観点からのものであって、財政再建を目的としたものではないということをはっきり確認しておきたいというふうに思います。
 最後の質問ですけれども、区市町村とこれから具体的に協議、調整を行っていくに当たって、その前提として、所要経費の情報公開、財源措置の算定の考え方などを明らかにしてほしいという、区市町村側からの強い要望があります。当然だというふうに思いますけれども、いつ、それを明らかにするのかを含めて、今後の段取りを明確にしていただきたいと思います。

○脇地方分権推進担当部長 都としては、これまでも、区市町村の行財政運営に大きな影響を与える見直し事項につきましては、都区協議会等を通じて、区市町村と誠意を持って十分な協議、調整を行ってきたところでございます。
 今回の二次計画に記載されている区市町村への権限移譲に当たっても、こうした場で十分な協議、調整を行ってまいります。
 また、区市町村に新たな権限移譲をする事務に要する経費や財源措置については、区市町村と協議、調整を行っていく中で、都としての考え方を提示してまいります。

○松村委員 最後に、私は、第二次地方分権推進計画の実施に当たっては、住民サービスの向上、区市町村の自主的、主体的な立場に立って、各区市町村の意向を尊重し、十分に協議を尽くし、性急に分権を推進することのないように強く要望して、質問を終わります。

○谷口委員 少しだけ時間をちょうだいしたいと思います。
 今日、この中央集権的な国家体制から地方分権への流れという、これは時代の要請であろうというふうに考えておるところですが、我が党といたしましても、これまで、地方分権の推進に関しまして、一貫してその推進方を主張して取り組んでまいったところでございます。
 このたび、東京都が、第二次地方分権推進計画を策定された。この四月から地方分権一括法が施行された。こういう時期を、機会をとらえて、都独自に分権推進の取り組みを行っていくということについては、評価いたしたいと思っております。
 この計画を実現していくことによりまして、区市町村の権限を拡大する、また、都と区市町村間の対等な協力関係を築くということが大変大切であろうかと思うわけでございます。そのために、基本となる都と区市町村の役割を、これまで以上に明確化する必要を感じるわけでございますが、二次計画でいうところの都と区市町村の役割分担、なかんずく都の役割とは一体どういうことなのか、この基本的な考えをまずお伺いしたいと思います。

○松澤行政部長 都と区市町村の役割分担についてのお尋ねでございますが、本年四月に施行されました新しい地方自治法では、都道府県の事務としまして、広域にわたるもの、それから、区市町村に関する連絡調整に関するもの、もう一つ、事務の規模または性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるもの、この三つが限定列挙されたところでございます。
 また、これに加えまして、ご案内のとおり、特別区の区域におきましては、一般的には市が行う事務の中で、大都市における行政の一体性及び統一性確保の観点から、都が一元的に処理することが必要な事務を都が行うこととされているところでございます。
 今回の二次計画では、こうした役割分担の考え方を基本に置きながら、東京の地域特性や地域の需要の多様性などにも考慮して具体的な役割分担を検討すべきである、このようにしてございます。今後、このような考え方をもとにして、都の役割を広域行政などの分野に重心を移していく、こういう必要があると考えております。

○谷口委員 東京都としては、これから広域行政などの分野に重心を移していくんだ、こういうふうなお答えでございますが、一口に広域行政といっても、さまざまな種類、性質の事務があろうかと思います。都が行う広域事務とは具体的にどんなことをいっていらっしゃるのか、例を挙げて説明してください。

○松澤行政部長 都が行う広域事務について、具体的なものも含めてということでございますが、一つには、行政目的の広域性ということで、例えば、医療計画の策定など、都内全域を対象とする計画の策定であるとか、大気の総量規制基準など、都道府県を単位とした規制などを行うものでございます。
 二つ目といたしましては、施策効果の広域性が考えられるものでございまして、例えば、広域幹線道路の建設など、行政効果が区市町村区域を超えて及ぶものでございます。
 さらに、三つ目としましては、要件の広域性ということで、例えば、自動車運転免許証の交付など、公平性の観点などから、都内全域で統一的処理が必要なものでございます。
 こうしたことが、広域性の観点から見た都の事務、こういうふうにしているものでございます。

○谷口委員 ただいまの答弁のように、広域事務というものは、都道府県としての行政目的や施策効果や統一的な処理といった点がポイントになるというふうに理解できるわけでありますけれども、そういう意味からいいますと、都の各分野において、さまざまな施策が実施されておりまして、その中で、例えば、今回、二十三区の区域において、今年一月二日以降新築された住宅を対象に実施している、固定資産税、都市計画税の減免措置といったものがございますけれども、それは一体どういう目的で行われたのか、お願いします。

○松澤行政部長 今回の新築住宅にかかわる固定資産税等の減免措置についてでございますが、この目的は、新築住宅の取得を税制面から支援し、もって景気対策あるいは良質な住宅ストックの形成に資するために実施されたものでございます。

○谷口委員 景気刺激策とか、良質な住宅ストックの形成を図るという、この施策は、今日の経済状況の中で考えますと、ぜひ効果のある政策として施行されることが望ましいわけでございまして、その行政目的、施策効果、あるいはまた東京という大都市の特殊性から考えますと、それは二十三区だけではなくて、都道府県行政として都内全域に実施されるべきものである、まさに広域的性格を持つものであるといわざるを得ないと思うわけでございます。
 知事さんというのは、全都民の知事さんだろうと思いますから、二十三区の知事じゃございませんので、やはり多摩都民のこともきちっと考えていただかなきゃいけないわけでございますから、ぜひその点を考慮に入れていただきたい。今の状況ですと、多摩住民の立場から見れば、また多摩格差というふうな実感がするわけでございまして、もう既にこのことについては議論がなされてまいったところでございますけれども、では、現実問題として、課税自主権があるんだからというふうな観点から、この減免措置を全市町村が五年間にわたって実施いたしますと、総額にして、市町村の負担が二百十六億だというふうに推計されておる。私の住んでおります町田だけで申しましても、初年度が二億三千万、五年間合わせますと二十億というふうに推計されているわけでございます。
 そういった意味で、二十三区でやってるのに、なぜ我が町でできないのか、市長にはそんな力がないのかというふうなことになってこようかと思うわけでございますから、この市町村の負担というものは、何とか都でもってやってもらいたいというふうに考えるわけでございます。
 というのは、何といいましても、この施策そのものが、銀行業への外形標準課税とのセットで行われたというふうな背景もございますから、知事の考え方を--やっぱり全都民が潤うようにしていただかなければ困る、こういうふうに私は考えているところでございます。
 そういった意味で、今度、十三年度の市長会、町村会からの予算要望の中で、そういった要望が出されていると伺っておりますけれども、その内容はどういうふうなものになっているのか。また、仮に市町村が実施するとした場合には、条例などの改正が必要になってこようかと思います。その市町村の条例や要綱の改正が必要になる状況がどういうふうになっているか、都としてどういう把握をしているのか、お答えいただきたいと思います。

○松澤行政部長 市長会、町村会からは、ただいま先生の方からご指摘のとおり、平成十三年度の東京都予算編成に対する要望事項の中で、新築住宅にかかわる固定資産税、都市計画税の減免措置に関する財政支援という形で、それぞれ八月三日、八月十日に知事あてに要望が出されているところでございます。
 その趣旨でございますが、市町村が特別区と同様の減免措置を実施することとした場合、都において減収分を補てんされたいというような内容となっております。
 また、市町村が減免措置を実施する場合における条例や要綱の改正の対応についてでございますが、都内市町村四十団体のうち、今回のような減免事由がないため、条例改正を行う必要がある団体が十一団体、それから、条例改正の方は必要ございませんが、減免要綱等の改正が必要となる団体が二十九団体というような状況でございます。

○谷口委員 既に特別区区域では、一月から固定資産税等の減免が実施されております。市町村が実施するには、先ほども申しましたように、条例、要綱の改正が必要となるわけでございますけれども、東京都の態度が早く決まらないと、市町村が条例改正等に着手することもできないだろうと心配するわけでございまして、東京都としては、市町村が固定資産税等の減免措置を行うことに対して、早期に財政支援を行うことを表明すべきではないかと私は考える次第でございます。
 そこで、伺いますけれども、市町村に対する財政支援について、東京都は今どのようにお考えなのか、具体的な支援策を含めて伺いたいと思います。

○松澤行政部長 都内市町村が固定資産税等の減免を行った場合の市町村に対する財政支援についてのお尋ねでございますが、都内の市町村が区部と同様に固定資産税等の減免措置を講ずるかどうかについては、基本的には、課税権を持つそれぞれの自治体が判断すべきことと考えております。
 しかしながら、一方で今回の減免措置の目的が、先ほども申し上げましたように景気対策などに資するものであることや、あるいは市長会等からの要望、それから第一回都議会定例会における中で、特段の配慮を求めるという付帯決議も議会の方からいただいております。こういうことも含めまして十分に配慮する必要があると認識しております。
 したがいまして、都の財政支援につきましては、厳しい財政状況にある都内市町村の財政運営、あるいは、ただいま申し上げた市町村の課税自主権に配慮しながら、十分に検討してまいります。

○谷口委員 市町村が大変厳しい財政状況に置かれているということはご承知のとおりでございまして、同じ都民に対する広域行政という観点から、ぜひ積極的に実施、早く決断をして財政措置を行ってもらいたいと強く要望しておきたいと思います。
 今回の二次計画から若干離れて、市町村の固定資産税の減免といった問題をご質問申し上げたわけでございますけれども、今回の分権改革は、住民に身近な行政は住民に身近な基礎的自治体である市町村が担い、広域行政は都道府県が担うという、そういう流れをつくっていこうということになろうかと思うわけでございますが、東京都と区市町村の役割分担を明確にしながら、都と区市町村の間に新たな、対等で協力的な関係を築く、そして、地域住民のニーズに的確にこたえられるような総合的な行政を行っていくということが、大きな眼目であろうかと思うわけでございます。
 そこで、都が二次計画をこれから実施していくに当たりまして、区市町村の十分な理解を得ながら権限移譲を進めることが不可欠であろうと思いますけれども、どのような形で区市町村と協議を行うのか、その推進についての考え方をお尋ねしたいと思います。

○松澤行政部長 都といたしましては、これまでも区市町村の行財政運営に大きな影響を与えるような見直し事項につきましては、区市町村の理解と協力が得られるよう、都区協議会あるいは都市町村協議会、または区長会、市長会等を通じまして、都と区市町村との信頼関係のもとに、誠意を持って十分な協議、調整を行ってきたところでございます。
 今回の二次計画に記載されております区市町村への権限移譲に当たりましても、都と区市町村の関係は、今お話しございましたように、対等、協力の関係であるということを十分踏まえながら、こうした場で協議、調整を行い、整ったものから順次事務、権限の移譲を進めてまいる、こういう考えでございます。

○谷口委員 話はちょっと違いますけれども、先般、三宅島から帰られた知事が、任せておけというふうな発言があったようにテレビで拝見いたしましたのですけれども、石原知事のトップダウン的な発想からしますと、なかなか権限を移譲するという発想にならないのかなということを心配しているわけで、余計な心配かもしれませんけれども、やはり区市町村と東京都が対等で協力的な関係になるというためには、相互の理解というものを常に深めていくとともに、だれかに頼って何かをするというのではなくて、自分のところは、本当に責任を持って自分たちで自治権を確立していくという、そういう関係性も築いていかなきゃいけないわけでございます。
 そういう意味で、これからの地方分権、東京都の場合は、不交付団体であるがゆえに、かなり思い切ったこともできるのじゃないかというふうに思いますので、今後の取り組みについて、局長のご決意をちょっと伺っておきたいと思います。

○大関総務局長 ことし四月に地方分権一括法が施行されたことによりまして、地方分権もいよいよ実施の段階に入ったと、このように考えております。しかし、今回の分権一括法を見てまいりますと、国から地方への税財源移譲が先送りされるということなど、大変大きな課題も残されているわけでございます。そうした残された課題につきまして、その解決を国に強く求めていく必要があると思っております。
 同時に、国の動きを座して待つのではなくて、東京都といたしましても、独自に取り組むことができる改革、これを全国の自治体の先頭に立って見本を示していくということが大変重要だと思っております。そうしたことが、逆に国を動かす力になるだろう、このように思っております。
 都から区市町村へ一層の分権を進め、区市町村の自主性、自立性の向上を図るということを目的にいたしました今回の第二次計画、これは、都独自の取り組みでございまして、これを具体化するということが大変大きな意義を持つだろうと考えております。
 今後、区市町村と関係機関との協議、調整を精力的に進めまして、この第二次計画の実現に全力を向けて取り組んでいきたいと考えております。

○馬場委員 今回の第二次計画について、今までの質疑の中で、財源を初め問題点が多数指摘をされてきました。この二次計画の性格や区市町村の意見等が大分明らかになってきましたので、私からは、少し角度を変えて質問させていただきたいと思います。
 私たちは、今まで地方分権ということを積極的に進めてまいりました。その結果、今回国が行った一連の地方分権というものが、機関委任事務制度の廃止という、大転換といったらいいでしょうか、となってきましたが、今までの、関係者、私たちも含めて努力を積み重ねてきた割には、期待が大きかったということもあると思いますが、少し期待外れではないのかなという感じがいたします。特に、地方が求めている権限と財源の分権という意味では満足できるものではないというのが、地方自治に携わってきた皆さん、私も含めて各自治体の思いではないかと感じております。
 一般の都民には、権限と財源が不十分ということを申し上げても、国と区市町村の内輪もめとしか受け取られていない面があるのではないかなと思います。このようなギャップを私たちはどうとらえたらいいのでしょうか。もう一度、この意味から原点に戻って、分権とは何か、だれのための、何のための分権かということを考えていただきたいと思います。また、皆さんにも、このことをもう一度戻って考えていただきたいと思います。
 そこで、まず最初に確認させていただきたいのですが、地方分権の目的、理念は何でしょうか。都は、この第二次計画を地方分権の理念に照らして、どのように位置づけていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○脇地方分権推進担当部長 地方分権の目的、理念についてのお尋ねでございますが、地方分権推進法第二条では、その基本理念といたしまして、国と地方自治体の分担すべき役割を明確にし、地方自治体の自主性、自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることとしております。
 また、このたびの都の二次計画では、地方分権一括法の施行により、機関委任事務制度の廃止など、国と都、都と区市町村の関係が改革されました。この機会をとらえまして、都から区市町村への一層の分権を進め、区市町村の自主性、自立性を図るために策定したものでございます。
 さらに、この二次計画によって、都と区市町村の間の新たな対等、協力の関係を築き、それぞれの地域における住民ニーズに的確にこたえられる総合的な行政の展開に努めるものとしております。

○馬場委員 この基本理念にのっとって進められれば大変すばらしいというふうに思うのですが、第一次地方分権推進計画を策定して、四百七十五本に及ぶ地方分権一括法の改正にいち早く対応し、そして今回、第二次地方分権推進計画を策定していくということなんですが、ただ、機関委任事務が都道府県の事務に位置づけられたとか、身近な区市町村が権限を持ったというだけでは、区民にとって何が変わるのかが明確でありません。実感がわかないといったらいいでしょうか。
 そこで、都は、この二次計画による権限移譲によって、どのようなメリットが生じると考えているのか、具体的に伺います。

○脇地方分権推進担当部長 二次計画による権限移譲によって、どのようなメリットが生じるのかというお尋ねでございますけれども、例えば、建築基準法に基づいて市町村が建築主事を置いた場合には、その市町村長が違反建築の取り締まりや建築協定の認可などの事務を行うことが可能となります。
 これに加えまして、現在は都の事務とされている開発行為の許可や、宅地造成工事の許可などの権限を受ければ、既に市が行っている地区計画などの都市計画の決定権限とあわせまして、まちづくりの分野において、住民の意思を反映した総合的な施策を展開していくことが可能になるというふうに考えております。

○馬場委員 今の例の建築基準法に関するようなものは、今、市等を対象に行われています。特別区等は、保健所は例が出ませんでしたが、保健所関連事務も含めて、もう既に実施している、移譲されて区の事業としてやっているということでありますので、この辺はぜひ早急に移譲を進めて、市町村の方でも、さらに、みずからの事業としてできるように努力をお願いしておきますが、私からは、区市、この両方にかかわるということで、さらに何点かご質問させていただきます。
 先ほどの建築確認のように、窓口が身近になるという価値があると思いますが、私たちが本当に期待しているのは、事業の施策内容がどう変わっていくのか、住民サービスがどう向上していくのかということが見えることが大事だというふうに思います。
 そこで、例えば今回の移譲の中で、過日知事も発言されていらっしゃいました、特別区ではカラス等の対策がありますが、それに関連したものとして、鳥獣の捕獲飼養等の許可が権限移譲の項目に挙がっています。これが区市町村に移譲された場合、それではどのようなメリットがあるのでしょうか。

○脇地方分権推進担当部長 鳥獣の捕獲許可は、有害鳥獣の駆除や学術研究など特別の理由がある場合に限りまして、鳥獣保護に関する各種の規制を緩和し、特別に鳥獣の捕獲を認めるための知事の権限でございます。この知事の権限を区市町村に移譲した場合に、例えばカラスやドバトなどの個々の鳥獣が、地域の生活環境に具体的な被害をもたらしているかどうかの判断を区市町村がみずから行うことができるようになるため、住民の要望等に即した機動的な対応が可能となります。

○馬場委員 そういうご説明で、自分でできるということでは、もう一つ踏み込んで説明が足りないのではないかなというふうに思います。なぜ、例えば二十三区、都市部で生活環境ということでこの問題が出てくるのかということであれば、今回移管されました清掃の問題等が絡んでくる、そうしたことの中でこういう問題が出てくるのではないかなというふうに私は思っています。清掃等が各二十三区でできるようになり、そういう生活環境の中で、鳥獣等の捕獲、また、市の方でいえば、猿やシカ等の農作物に対する被害ということも含めて、多面的に考えるという意味でこのことが入ってきたのかなというふうに私はとらえております。
 そういう意味で、ぜひ、それぞれの区や市にこのことが理解される、そして自分たちの生活の中で大切なことだというふうに理解され、これの移譲が進んでいくというふうになっていかなければならないのではないかと思います。
 地域に身近、そして区の事務に関連があるという事務は、そういう意味ではどんどん移譲して、工夫できる可能性を、都と区が連携して、都民にわかりやすく説明していく中で、本当の分権等が実現していくのではないかと思っています。
 こうした観点から、この二次計画について積極的に区市町村に働きかけていただきたいというふうに重ねてお願いを申し上げます。
 もう一つ例を挙げさせていただければ、今度は権限移譲の対象の方で、個別法の権限移譲事務の中で、犬、猫の引き取り等というのがあります。それでは犬、猫の引き取りという事務はどんな内容で、引き取られた犬たちはどうなるのでしょうか、お伺いいたします。

○脇地方分権推進担当部長 やむを得ない事情で飼い主からの申し出があったり、または飼い主が判明しないなどの場合に、都が犬、猫を引き取るものでございます。
 都が引き取った犬、猫につきましては、できる限り新しい飼い主への譲渡に努めておりますが、病気によって譲渡に適さない場合や、譲渡先が見つからないものなどは、最終的に処分されることとなります。

○馬場委員 今回の犬または猫の引き取り等というのは、動物愛護法の改正ということを受けているというふうに私は思っているんですが、このことの大事なことは、移譲対象事務にあります繁殖の制限や動物愛護推進員の委嘱、それから協議会の設置、こうした、地域で、つまりペット、動物との共生をしていくために地域が一体となって仕事をしていく、そのことのために、今回この移譲の対象になっているというふうに思うのです。こういうふうに地域の仕事として、全体として必要だというふうな説明が都民に対してなされて、それを引き受けた自治体が区民や市民と一緒になって、要するに都から区へ仕事が行った、つまり、行政の名前が変わったというだけではない分権をしていかない限り、これから私たちがいっている本来の分権になっていかない、住民自治が進んでいかないというふうに私は思います。
 まだほかにも例がありますが、道路の街路樹または歩道の植栽等の管理、こうしたものもどんどん地域の住民が参加できる、そうした権限移譲がされることによって、地域のまちづくりの中で生かされてくる、そういう形で住民生活に多面的なサービスを提供するために、私たちが今分権をし、整理をし、そしてこれを進めようとしているのだというふうに思っておりますので、その辺、都は、「はじめに」のところでおっしゃっているように、国にはない住民ニーズを明確に意識されて、これにこたえようとしている都の姿勢をぜひもっともっとアピールしていただきたいと思います。
 この地域に埋もれているというか、これから二十一世紀へ向けて住民参加型でやっていくという都民に対して、できるだけ区がそれにこたえて、今回の分権を受けて新しいイメージを持ってこの事業を十分に遂行できるように、都として十分な情報提供を重ねてお願いを申し上げます。
 最後になりますが、都の補助金、支出金等の見直しのお話もさっき出ていました。初年度の支度金ということだけでは、事務の継続、同じように区市は大変苦慮するというふうに考えます。そういう意味では、全体の事業をもう一度見直す、その中で、行政だけでなく、地域の皆さんの、NPOを初めさまざまな力をおかりできるような、そんなような事業推進態勢がとられる、このことが一方でなければ、行政から行政へただ仕事が移ったというだけになってしまうということで、重ねて、補助金や支出金の見直し、そして本当に一番いわれておりますのは財源ですので、その辺の配慮については十分にお願いをしたいと思います。
 特に二十三区、都区制度改革と財調の関係で、今回の分権も大変わかりにくく、またどうなるのかということが見えにくくなっているというふうに思います。今後、区長会、市長会等、それぞれの関係者の間で協議が進められていくと思いますが、ぜひこの二次計画、知事も、国の動きを座して待つのではなく、独自に取り組むことのできる改革を率先して進めていくことが重要であると述べておられます。
 私たちも、都に求めるばかりではなくて、自分たちも知恵を出して、地方分権のメリットを生かして都民にアピールし、都の動き、そして国の動きを誘発していきたいと考えております。都においても、今後このような、二次計画はもとより、地方分権の推進に積極的な取り組みをしていただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○藤田委員 それでは、中間のまとめが発表されましたときに大分質問させていただきましたので、その後のことで少しお聞きしたいと思っています。
 都が分権を積極的に進めていこうという姿勢は評価しているわけですけれども、なかなかまだ、この中でも、内容がよくわからない、理解できないというような声も一部聞いております。
 例えば、この計画の中の別紙1の、個別法による権限移譲制度を見ますと、中等教育学校を設置する市に対しては、県費負担教職員の任免及び研修等の事務が移譲されるというのがあるわけです。この書かれている事務が実際に行われていないのに権限が移るというか、移譲するというようなのが何点か見られるのですけれども、中等教育学校を設置している区市町村が今ないというのに、これを移譲していくという、このことについてまずお尋ねしたいと思います。

○脇地方分権推進担当部長 別紙1は、個別法による権限移譲制度をすべて掲載しているものでございまして、現在直接対象がないものでも、今後区市町村が権限拡充を検討する際の参考になると考えまして掲載しているものでございます。
 なお、ご指摘の中等教育学校につきましては、中高一貫教育の一形態として検討している特別区もございますので、今後設置される可能性があるものと考えております。

○藤田委員 もう一つ、今度は別紙2の条例による事務処理特例制度の中で、例えば市街地再開発促進区域内における建築の許可、これまでいわゆる処理実績のない事務についても掲載しているんですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。

○脇地方分権推進担当部長 ご指摘のように、別紙2に掲載している事務の中には、これまで処理実績のない事務もございますが、これは今後事務が生じる場合があることを考慮して掲載しているものでございます。
 例として挙げられた市街地再開発促進区域内での建築許可は、建築確認等の特定行政庁の事務と密接に関連する事務でございまして、特定行政庁となる市町村に移譲を提案しているもので、関連する事務を一括して移譲することによりまして、まちづくりに関する施策を総合的に展開できるようになると考えております。

○藤田委員 先ほどお伺いしました中等教育の一貫、今お話がありましたように、一貫の形態をとろうとしている自治体、例えば千代田区などでそのようなことを聞いておりますけれども、この事務をどういうふうに考えているかをまず示すのが本来ではないかと思っているわけです。例えばこういうことができるよということだけれども、教育庁とともにその事務を考えてこういうことが提案されているのか、まず中等教育がどういうふうにあるべきだというようなことは、この都庁の中ではどんなふうに検討されたのかを伺いたいと思います。

○脇地方分権推進担当部長 ご指摘のような種々の事柄につきまして、地方分権を推進していく観点から、現行法制度下におきまして都から区市町村へ移譲できるものがないかどうかを総点検いたしまして、それらを今回の計画の中で可能な限り掲示したということでございます。

○藤田委員 ということは、総務局だけでやったんですか。それとも、それぞれの局とのきちっとした調整をしながら、こんなこともできるんじゃないか、こんなこともできるんじゃないかというようなことを提案したのかを伺いたいと思います。

○脇地方分権推進担当部長 第二次地方分権推進計画は、東京都が区市町村に対して権限を移譲していくものでございまして、東京都を挙げて全庁的に取り組んでいるものでございまして、この計画の策定に当たりましては、各局から十分な意見等、あるいは区市町村からも意見をいただいているところでございます。

○藤田委員 もう一つ、先ほどお話しした市街地再開発促進区域内建築許可ということですけれども、先ほどは処理実績がない事務というふうにいったんですが、もう既に特別区に、例えば市街地再開発におけるさきの建築許可、それから施行のための土地の立ち入り、試掘等の許可というようなこと、それから、区市町村に移譲の事務であるけれども都の処理実績がない事務としては、住宅街区の整備事業施行の許可、防災街区整備組合の許可等、それから市街化調整区域における市民農園建築物の許可、もちろん、全部が全部私も調べ切っているわけではありませんので、よくわからないところもありますけれども、例えば処理実績がない事務を条例化して、経費をかけて対応できるようにする必然性が実際にはないんじゃないかというふうに思うわけです。
 それで、こういう事務はどっちみち放置されて、有名無実化していくんじゃないかと思うので、この事務自体を東京都の中で、本当に廃止すべきものは廃止すべきだというような観点からも考えたのかどうかということをお尋ねしたいと思います。

○脇地方分権推進担当部長 もちろん、東京都におきましては常に事務事業の点検をしているところでございますけれども、ただいまお話ししております種々の事務につきましては、法令によりまして行うことが義務づけられております。
 私ども、今回の二次計画につきましては、先ほどもご説明いたしましたように、現行法制度下で都から区市町村に移譲できる事務を、網羅的に、体系的に整理してご提案しているということで、個々の事務を、いつ、どういうふうに、どこの自治体に移していくかというのは、これからの区市町村との十分な協議の中で、話し合いのついたものから逐次実施していくというふうに考えております。

○藤田委員 実際には地方分権というのは、ある意味では一度集権的に明治のときに全部やったものを、もう一回全部したといういい方はないですけれども、権限を今回は移譲していくという形で、やっぱり自分たちが法律の中で何ができるかということを常に考えながら事業をやっていくというのが本来の行政のやり方だと思っていますので、そういう意味では、自分たちが何ができるかというのを、市区町村がもっと、昔からといいますか、ちゃんと考えてなくちゃいけなかった部分がたくさんあるかと思います。今まではどうしても与えられたという部分があるのじゃないかと思うのですけれども、やはりこの点を考えても、こういう事務が必要なのかどうかを自分たちが考えていくということを今後の大きな課題にしていかなくちゃいけない、どうやって知恵を絞っていくかということを課題にしなくちゃいけないと思っていますので、ぜひ今後の部分では協議をして、このことが要らないのであれば、事務は再評価して、なくしていくというようなことまで考えていっていただきたいと思っています。
 それから、この間の中間報告のときにも質疑の中で出てきましたけれども、財政問題で、いわゆる中核市の制度、それから今回の自治法の改正で創設された特例市の制度ですけれども、積極的に財政支援していくというようなことはいわれているんですが、八王子市、それから特例市の対象となる町田、府中が指定を申し出ないというようなのは、財政的な問題というように地域からも聞いておりますけれども、その辺、どのような状況になっているかをお答えいただきたいと思います。

○松澤行政部長 中核市の要件を満たす八王子市につきましては、当初、平成十二年四月の中核市への移行を目指しまして、平成十年四月から東京都との協議を行ってきた経緯がございます。しかし、その過程で、今お話あったように、中核市となった場合に、都から権限移譲される事務の経費についての財政負担の考えに両者間で大きな隔たりがあったことなどから、平成十一年二月以降協議が中断しておりまして、現段階では、八王子市としては中核市への移行を当面の間凍結する、このようになっております。
 それから特例市の方でございますが、これにつきましては、今お話ございましたように、府中市、町田市が該当するわけでございますが、指定を申し出るかどうかにつきましては、基本的に市の判断によるものでございます。そういうことで、昨年自治省が行った意向調査がございますが、それによりますと、不交付団体である両市は、その中で、特例市として新たに権限移譲される事務に対する経費について、地方交付税による財政措置が講じられないといった課題があることなどを理由といたしまして、申し出をしない、こういうふうに聞いております。

○藤田委員 実際には、中核市の対象市は三十四市で、もう既に二十七市が移行して、残るは七市、そしてこの八月一日にも横須賀市も申し出をしたというようなことで、大方がそういうふうになろうとしているときに、やはり財源の問題が大きいということは十分わかりますけれども、意欲をなくしていくような状況にならないように、ぜひ大いに議論して、自治ということを獲得していくことをお互いに進めていっていただきたいというふうに思っています。
 それから、これは先ほども何人かの方からありましたけれども、二十三区の状況の問題なんですけれども、清掃が移管されまして、しかし、都が行っている大都市事務として、公営の都市交通それから市場、と場それから公立病院、公営住宅、実際にはこの大都市事務というのが何かということをやっぱりもう一回検討し直す必要があるんじゃないかと思うわけです。
 それから、市並みの権限を特別区に持たせていくという、これを考えるべきでありますし、それを前提にして、広域連合や事務組合というような方式で委託、広域的な方法など、まだまだ議論される内容があるのではないかというふうに思っているわけです。最終的に私は、都区財政調整制度を廃止するということが必要だというふうに思っていますし、これがやはり特別区における市民自治を確立していくことだというふうに思っているわけです。
 今回四月一日から始まっているわけですけれども、もう一度財政調整税率の変更と撤廃、それから特別区間の水平の財政調整、都の関与の有無、いわゆる垂直の財政調整をどうするのかということで、まだまだ課題は本当に山積みだというふうに私は思っているわけです。
 私の区の杉並区では、いわゆる都から移管された清掃の中で、ごみの中継所というものがありますけれども、その中で杉並病というようなちょっと不名誉な名前の健康被害が出ていて、その問題を解決するために何とかあそこを使わないで済むような状況にしていこうという区民の多くの方々からの意見もあり、具体的には、不燃ごみの組成調査をして、そしてプラスチックの部分をどうするのか、有害化学物質をどうするのかというようなことをずっと検討しているわけです。
 そのときに、八王子の処理業者が処理してくれるといったら、全部それを持っていこうとしたんですが、実は八王子の市の方から、杉並病が起こるようなものを持ってきてもらってはとんでもないといわれてしまって、押し戻されてしまった経緯があって、そういうことがありながら、じゃどうするのかというときに、ごみは減らしていくということで、プラスチックバック、いわゆるスーパーのごみ袋に五円の課税をして、そしてそれを減らしていこうというようなことを、地域の中でやっぱり地域なりの問題があるわけですから、具体的にそういうことをやっているわけなんです。
 都区制度改革について、やはりこれから大きな問題だと思っていますので、ぜひその辺を今後どんなふうにしていくかを含めて最後に局長にお伺いして、終わりにしたいと思います。

○大関総務局長 都区制度、確かに先生おっしゃるように大変難しい課題を抱えております。極端なことをいいますと、今の地方自治法そのものの事務のあり方、これが本当に特別区の中にそのまま適用できるんだろうかということを大変疑問を持つ場面があるわけでございます。
 それから清掃事業なんか、もう基本的には市の事務ですから、一貫してやらなきゃならない、それぞれの区がやらないと意味がないわけですけれども、それじゃそれが果たしてできるんだろうか、またやることが、それぞれの区に今同じような規模の清掃工場をつくっていく意義があるんだろうか、いろいろあるわけでございます。
 それから今ご案内のとおり、もうごみを出さない、リサイクルというものもあるわけですから、そういったもろもろのことを考えたときに、本来の事務の配分のあり方と事務のやり方の広域連合なんかを含めた、そういう両面からあわせて検討していく必要があるかなと思っております。
 いずれにいたしましても、その受け皿の基礎体力を均等化していきませんと、東京都側はこういう事務を移管するのはあるべき姿だろうと提案いたしましても、自分の区はもっとやれるよというところもあるし、あるいはとてもやれないというようなことで、濃淡があるわけでございます。これらはやはり時間をかけてそれぞれ議論して均等化を図っていくという方向で努力しないと、根本的な解決にならないだろう、このように思っております。今後さらに、いろいろ区側とも議論を深めながら、問題提起しながらスピードを上げていきたいと思っております。

○三浦委員 私は、この特別委員会に入りまして初めて審議に臨んでおりますので、ちょっと基本的な話というのか、さかのぼった話というのか、そういうことになるのかもしれませんが、お聞きしたいというふうに思います。
 今質疑のあったことからちょっと入りますが、地方分権をするということは、今はやりの言葉にボーダーレスという言葉がありますけれども、分権をすることによって、基礎的自治体の中にもこのボーダーレスという言葉が通用するのかどうかということと相反する、今、大関局長がお話になったことが、そういう状況を醸し出していくんではないだろうか。
 といいますのは、基礎的自治体に分権がされればされるほど、その基礎的自治体の特徴ある自治体行政を実現していこうということにもなるでしょうし、分権が進むということは、より自分たちの生活や自分たちのまちづくりについて、そこに住む市民が、自分たちの意思によっていろいろ決定していくことができるようになっていくという姿がこの地方分権の究極の姿でもあろうかと思うんですね。そうなってきますと、当然のことながら、自分たちの町をどうするかということなんですから、その中にはいわゆる自分たちの町を隣の町に比較して、あそこの市とあそこの区とを比較して、おれたちはこうだ、おれたちはこうすべきだという論議が大いに巻き起こってくるはずですし、それがないと、また特徴のある自治の発展というのはないんだろうなというふうに思うんです。
 さて、そうなると、この「はじめに」というところに書いてありますように、石原知事は、知事選挙でもいっておりましたように、東京から日本を変えるんだということがあります。このくだりの後段の方で、今後日本が取り組まなければならない大きな構造改革の一つですが、その歩みはいまだに緒についたばかりなんで、東京都は、全国地方自治体の先頭に立って取り組んで改革をしていくんだ、これは、まさしく石原知事のいう、東京から日本を変えていくんだという意気込みがここに出てくるだろうと思うんです。
 そこで局長、いろんな財源の問題で、この分権のことはいろいろ論議されてきましたし、非常に問題意識も持っております。一つ見方を考えていえば、今もって、先ほども論議の中に一つありましたが、東京都はいろんな面で全国の都道府県レベルの中でも先導的自治体として取り組むことができたし、そういう自負も持っておられるというように皆さん方もお答えになった。私もそういうふうに思うんです。
 そこで不交付団体という団体に指定されて、いまだかつてその不交付団体が交付団体になっていない現状から見て、財源問題は今でも過去にいろいろ引きずってきている、にもかかわらず、先導的な事業ができるというのはなぜなんでしょうか。実はそのことをお答えいただきたいんですが、そのことがこれから二十三区、今度二十六市になるんですね、二十六市等々を含めた各基礎的自治体が東京都の背中を見て、これからそれに追いつき追い越せとやっていく非常に大きな重要な柱になっていくんだろうと思うんです。不交付団体であるにもかかわらず、何で全国の先導的役割をこの東京都が持ち得たのか、どうですか。

○大関総務局長 これは逆にいいますと、不交付団体であるからこそ国の制約を受けずにいろんな自主的にやるところがあろうかと思います。やはり交付団体であれば、歳入基準、歳出基準といいますか、標準需要額といいますか、これが全部カウントされるわけでございます。そういう点では補助金一つとりましても、足らなければ補助金が来るだとかいろいろありますから、いろいろな制約がありますから、全国一律的な行政に特化してしまうということがあると思いますね。そういうことでは東京都の場合は、非常にほかの自治体にない特殊性といいますか、先進性を持ってここまで進めてこられたことが、ほかの自治体にない先見性を持った自治体になったんだろうと思っています。

○三浦委員 その返事を待っていました。そういうことになってまいりますと、今私たち、東京都の中に、一つの府県レベルの中で、私の三鷹もそうですが、武蔵野を含めて不交付団体が基礎的自治体の中で数がふえてきました。そういうことを考えますと、その不交付団体であるがために、私たちの基礎的自治体の中で、あれもできる、これもできる、そして、権限が私どものところに分権されてきた、だからやっていくんだ。そうすると、東京都の中で先ほどいいましたように、非常に格差が起きる。格差が起きることについては、東京都は是とするんですか、非とするんですか。

○大関総務局長 これは格差と見るのか、やはり特徴的な自治体がそれぞれあるというふうに見るのかわかりませんけれども、私は、これからは特徴的な自治体をつくっていく必要があろうかと思っています。ですからその財源が、不交付団体ということは、不交付団体から見ると大変不満な部分があるわけでございますけれども、それはある意味では自主性が図れる。逆に交付団体であるということは、標準的組織をつくっておかないと、交付税の算定にならないということで、大変それらも拘束される、先ほども申し上げましたような部分があるわけですから、そういう点ではできるだけ交付団体であっても、これからは自主的な行政が運営できるような制度上の仕組みをまず変えてもらうということ、これも大事だと思います。これは全国一律で多摩の市を議論しても、ある意味かなり違う部分がありますし、これが全部全国同じカウントでやっていくことになりますと、これは交付税の考え方、あるいは補助金の考え方も違ってまいります。
 そういう点で、今やはり一番東京でネックになっているのは、土地をカウントしてもらえない部分、これが大変交付税の算定で大きな不合理を抱えているかなと私は思っていますので、できるだけそういう面も改善しながら、できるだけ東京全体でやらなければならない行政の部分、この部分については当然東京都がその部分について支援をし、差が出ないような行政施策をとらなきゃならないだろうと思っていますが、地域の中での行政というのは、やっぱりそれぞれ特徴を持った住民の要望に応じた行政運営ができるような仕組みにしていく必要があるだろうと、このように考えております。

○三浦委員 ということは、いいかえますと今の局長の結論は、いわゆる格差が起きるのは、特徴のある自治体として成長していくために是とするということだと思いますから、そういうふうに認識しておきます。
 行政部長にお伺いしますが、今の都区財調の状況から判断して、この分権が進んでこれからどういう形で進展していくのか、まだ予測のつかないところもありますが、この都区財調制度というのはどのぐらいまで続くんですか。四月から二十三区も基礎的自治体になったんですね。しかし、この財調制度そのものの形態はいつごろまで続けるようになるんでしょうか。

○松澤行政部長 都区財調制度の問題でございますけれども、ご案内のとおり、この都区財調制度を存続させる原資となるものは、固定資産税それから住民税の法人分とか特別土地保有税との調整三税があるわけでございまして、これは今都税でやっているわけで、これの五二%が区の方に行くということになっているわけでございますが、こういう仕組みをとっている前提として、先ほど局長も申し上げましたように、二十三区の中でそれを外しますとかなり税源の偏在が出てくること。これらの中で不均衡が出ておりますので、これから先ほど話しましたような廃置分合とか大都市のあり方とか、こういうものをどういうふうにしていくかということと非常に絡んできておりますので、今回は都区制度ということが基礎的自治体としてまずスタートしたわけでございますから、これがまず六年後というものも踏まえてやった後に、この財調制度の問題についても、今申し上げたような大都市事務のあり方、あるいはいろんな交付税の合算規定の問題、廃置分合の問題、こういうこともトータルに考えていかなきゃいけないものでございますので、やはりかなり時間がかかるのではないかと。もちろん、基本的には特別区の方からまたそれに対してどういうお考えを持って出るのか、そういうことも十分加味しながら考えていく大きな課題だとこのように考えております。

○三浦委員 ちょっと先ほども言葉があったんですが、この資料2号の3に、財源について修正した、適切に財源措置を行うという、適切を追加しました。さっきもありましたが、もう一度ちょっとお答えいただきたいんです。この適切という言葉が入ったことによって、信頼関係がベースになった上で区市町村と東京都はこれで納得したということであろうかと思うんですが、具体的にはどういうことを考えたらよろしいんですか。

○松澤行政部長 先ほど事務処理特例制度の中で適切にというのを使ったということでございますが、超過負担があるというようなお話もございましたが、現在のところは昨年の都と区市町村のこれについての協議の過程の中、あるいは今までの中では特に超過負担が出ているというお話は区市町村の方から伺っておりません。こういう中で事務処理特例制度につきましては、都道府県知事の権限の一部を区市町村の方に移譲するということでございますから、地方財政法の中でもこれはちゃんと措置しろということでございます。そういう意味で、適切にということは、受ける側の区市町村が事務に支障がないように財源を負担する、こういうようなことでございます。

○三浦委員 あんまり時間をかけたくないんで、絞っていきます。この第二次のことについて区市町村長といろいろと話をして、今もここに資料第2号のようにこういう話になってきて、修正もして、これを実現していくということになりました。こういう計算というのは成り立つでしょうかね。ここに今回幾つの事業があるのか、ちょっと数えていませんから、わかりませんが、これを今東京都がやっている。これは東京都がやっていることが全部なんでしょうか。うんといってくれる、そうでもないとかっていってくれる--そうなの、ないんですね。
 じゃ東京都が今やっているやつをこの中から抽出して、そしてそれを区市町村に移譲するに当たって、積算の試算としてそれを今東京都が、例えば何人のマンパワーでもってやっているのかというような試算ができるんでしょうか。多分できるんじゃないかと思うんですが。
 先ほど質疑の中にもありましたが、実は財源も含めて適切にということは、これらが区市町村に移管されて、区市町村が実際にさあ始めましょうというときに、資質の問題も当然ありますが、マンパワーの問題、財源の問題というような形で、受け入れるためには、実施するためには、そういう裏づけがなければできませんよというのが当然なんですよね。ですから区市町村との話の中でも、例えば三鷹市なら三鷹市、杉並区なら杉並区がここに書いてあることをやるに当たって、あなたのところではどのぐらいの人数が必要で、どのぐらいの財源が必要でというようなことができるのか、またはそれを実施していくために、それこそ格差が出てくるわけですね。各自治体によって、資質の問題等もありますが、体制の問題もありますから、その期間というのはそれぞれによって皆違ってくるでしょうから、そういう試算も含めて区市町村とお話し合いになるんでしょうか。

○脇地方分権推進担当部長 今回、ご提案申し上げている第二次地方分権推進計画につきましては、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、現在都が行っている法令に基づく事務につきまして、区市町村に移譲できるものをすべて網羅的に、体系的に整理したものでございまして、百二十法令、千二百項目ぐらいの事務になるわけです。それらの事務を、一部、もう区には移譲している保健所とか特定行政庁の事務もございますので、個々に積み上げて試算しているわけではございませんので、必要な人員あるいは必要な経費、そういうものは把握できておりません。
 ただ、今後のこの二次計画の進め方でございますけれども、今回、この計画を発表いたしまして、既に中間のまとめで区市町村からのご意見もいただいたわけですけれども、この計画を、区長会なり市長会なり、そういうところに再度ご説明申し上げながら、それぞれの市町村なり特別区のご事情も異なりますので、そういったそれぞれの事情も踏まえて、今後、十分協議、調整を図っていく。そして、条件が整ったものについて、逐次、実施に移す。そういう基本的な考え方でございますので、どうかよろしくご理解のほどお願いします。

○三浦委員 脇さん、そんなことで、知事がいう東京から日本を変えていくんだなんて、大上段にかぶったことが実現できますか。さあこれを、各区市町村との間でこれからやっていこうというわけですから。また、もう意見も聞いているわけですから。さあ、おれのところで、これらの事業を受けるためにはということで考えれば、具体的にもう当然考えているわけですから。
 それを、先ほど来、何回もお話があるように、条件が整ったところから順次といっているわけでしょう。その過程の中で、さっき、冒頭に私、局長にお伺いしましたように、格差そのものを発生することが是とするのか、非とするのかといったように、横断的なボーダーレスと縦の面でのボーダーレス、これはイコールになる部分もあるかもしれないけれども、イコールにならないんですよ。東京都と区市町村、そして区市町村の横断的な面では。
 ですから、自分たちが受け入れるためには、これだけのものが必要であって、口には余りいい出しにくいけれども、これだけの支出しかないから、これだけのことしかできないとかということに対して、じゃ、具体的な支援策としては、どうするんだ、こうするんだという話になっていくわけでしょう。そうでなかったら、東京全体が先導的な役割をもってどうのこうのというようなことで、この地方分権が成就するかといったら、私は、本当に難しい状況になってくるんだろうなというように思います。
 ですから、ぜひ具体的な--相手によって具体的な試算は、私が聞いても、余りお答えにならないかもしれないけれども、腹の中じゃ、僕はあると思うんだよ。なかったら、できないはずなんだから。だから、そういう面では、より具体的に東京都が区市町村のことをおもんぱかって、この分権の調整はぜひしてもらいたいなと。
 私ども都議会の中にあっても、今までは、国に向かってわあわあいっていたわけでしょう。きょう、もらいましたけれども、決議はもう何回やっているんですかね、五、六回やっていますよ。だけれども、最終的には、満足なところまでなされないままに、法律はもう施行されているということですから、それが区市町村と東京都の間にあって、区市町村も、何だか知らぬけれども、不満足に、満足にいかないような状況のままに実施されたなんていう思いが余りにも多くならないように、ぜひやっていただきたいなと。
 もう時間がなくなりましたから、このぐらいにして終わりますけれども、とにかくすばらしい方向は見えてきたわけですから、皆さん方のご努力は多として、ぜひ取り組みを積極的に進めていただきたいなと思います。

○土持委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土持委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三十一分散会