地方分権推進特別委員会速記録第十九号

平成十二年五月三十一日(水曜日)
 午後一時三分開議
 出席委員 十九名
委員長土持 正豊君
副委員長大木田 守君
副委員長植木こうじ君
理事馬場 裕子君
理事谷口 卓三君
理事古館 和憲君
理事井口 秀男君
理事小山 敏雄君
清水ひで子君
林  知二君
小松 恭子君
比留間敏夫君
松村 友昭君
星野 篤功君
大山  均君
中山 秀雄君
桜井  武君
藤田 愛子君
田中  良君

 欠席委員 四名

 出席説明員
総務局局長横山 洋吉君
総務部長三宅 広人君
行政部長松澤 敏夫君
地方分権推進担当部長尾井 幹男君

本日の会議に付した事件
 都道府県及び区市町村への分権の推進に関する具体的方策についての調査・検討
  報告事項(説明・質疑)
  ・地方分権の経緯と今後のスケジュールについて
  ・第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)について

○土持委員長 ただいまから地方分権推進特別委員会を開会いたします。
 初めに、当委員会担当書記に交代がありましたので、ご紹介申し上げます。
 議事課の北堀久美子さんです。原田豊実君です。
 議案課の木之内美智さんです。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○土持委員長 これより都道府県及び区市町村への分権の推進に関する具体的方策について、調査・検討を行います。
 本日は、地方分権の経緯と今後のスケジュール及び第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)について、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○尾井地方分権推進担当部長 本日は、最近の地方分権をめぐる動きをご報告するとともに、先般、都が取りまとめました第二次東京都地方分権推進計画の中間のまとめにつきましてご説明をさせていただきます。
 最初に、地方分権をめぐる最近の動向と今後の予定についてご報告いたします。
 お手元の資料第1号、地方分権の経緯と今後のスケジュールをごらんいただきたいと思います。
 資料の中ほどより少し下のところに点線がございますが、その下は、見込みとして記載しているものでございます。
 まず、左側の欄の国の動きでございますが、資料の中ほどをごらんいただきますと、平成十一年の七月に、機関委任事務制度の廃止などを内容とする地方分権一括法が成立いたしまして、本年四月から施行されているところでございますが、この五月には、地方分権改革の基本となっております地方分権推進法の一部を改正する法律が成立してございます。
 この地方分権推進法は、地方分権推進の基本的事項などを定めた法律でございまして、五年間の時限立法であることから、本年七月が期限となっておりました。
 都では、地方分権改革に多くの残された課題がある中で、地方分権推進委員会の根拠ともなっているこの法律が失効することには問題があるといたしまして、国に対し、地方分権推進体制の維持強化を要望してきたところでございますが、このたび、今申し上げました推進法の一部改正が成立したということで、地方分権推進法は平成十三年七月まで一年間延長された、こういうことでございます。
 続きまして、右側の東京都の対応をごらんいただきたいと思います。
 都におきましては、地方分権一括法の成立を受けまして、昨年七月に第一次東京都地方分権推進計画を策定し、この計画に基づきまして、本年四月の地方分権一括法の施行に向け、必要な準備を進めてまいったところでございます。
 このうち、条例につきましては、平成十一年第四回都議会定例会と平成十二年第一回都議会定例会におきまして、手数料条例などの地方分権一括法関連条例が可決され、本年四月から施行されているところでございます。
 また、去る五月十一日には、今回の地方分権改革を受けて、都から区市町村への一層の分権を進めるため、第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)を公表いたしました。この内容については後ほどご説明いたしますが、今後、この中間のまとめに対する都民、都議会、区市町村の皆様方のご意見をいただきました上で、九月を目途に第二次計画として策定することを予定しているところでございます。
 なお、具体的な権限移譲に向けた区市町村との協議、調整につきましては、計画策定後に開始することとしてございます。
 以上が、地方分権をめぐる最近の動向と今後の予定についてでございます。
 それでは次に、第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)についてご説明申し上げます。
 お手元には、資料第3号といたしまして中間のまとめ本文をお配りしてございますが、本日は、資料第2号としてお配りしてございます、一枚表裏の印刷になってございますが、この概要版でご説明をさせていただきますので、そちらをごらんいただきたいと思います。
 まず初めに、第1章でございますが、ここでは計画策定の趣旨を取り上げてございます。
 この計画は、都から区市町村への一層の分権を進め、区市町村の自主性、自立性の向上を図ることを目的に策定するものでございまして、都と区市町村の役割分担の明確化、都から区市町村への事務、権限の移譲、都の区市町村への補助制度、この三点を取り上げます。
 まず、一点目の都と区市町村の役割分担の明確化でございますが、これについては第2章で記述しておりまして、ここでは、1として、役割分担の基本的考え方で、改正自治法に示された考え方に加えて、東京の地域特性などに配慮する必要があるというふうにしてございます。その上で、2のところで、都と区市町村の役割分担の現状と今後の方向性を示しております。
 次に、第3章でございますが、ここでは、都から区市町村への事務、権限の移譲を取り上げてございます。
 ここでは、まず、1の都から区市町村への事務、権限の移譲の考え方で、区市町村の能力、実情に応じまして、権限移譲を積極的に進めていくという考え方を示しております。その上で、2のところで、個別法の権限移譲制度と、3として、裏に書いてございますが、条例による事務処理特例制度の二つの制度を活用して、区市町村に対して具体的な権限移譲の提案を行っているということでございます。
 まず、一ページ、表の面の2のところでございますが、個別法による権限移譲制度でございます。この制度は、そこに記載してございますように、都道府県の事務、権限について、区市町村の申し出に基づく政令指定等の手続を経て移譲することが個別の法令に定められている制度でございます。
 お手元の資料をごらんいただきますと、その主なものとして例示してございますが、まず、例1の建築基準法に定める建築確認等を行う特定行政庁の制度は、建築物の建築確認や違反建築物の是正指導等の事務、権限を一括して移譲する制度でございます。また、例2の地域保健法に定める保健所政令市制度は、精神障害者に対する相談、指導、あるいは食品衛生法に基づく経営許可などの事務、権限を一括して移譲する制度でございます。
 これらの個別法による権限移譲制度につきましては、中間のまとめの中に別紙1という形で整理してございますので、これについては後ほどごらんいただければというふうに思います。
 恐れ入りますが、裏の二ページへ移らせていただきます。
 次に、3として書いてございまして、条例による事務処理特例制度でございます。この制度は、都道府県知事の権限に属する事務、権限の一部を都道府県条例の定めによって区市町村が行うこととする制度でございまして、このたびの改正自治法で新設された制度でございます。
 お手元には、そのうちの主なものを例として掲げてございます。
 まず、先ほどご説明いたしました個別法の権限移譲制度、この制度による権限移譲とあわせて移譲するものでございます。主なものとしましては、例1にございます、特定行政庁となった市に対する開発行為の許可などの移譲や、例2として書いてございます、保健所政令市となった市に対する毒物劇物の業務上取扱者の届け出の受理等の移譲などがございます。また、そのほか、新たに移譲を提案する事務、権限といたしましては、鳥獣の捕獲飼養等の許可や、地元割り当て住宅に係る使用予定者の決定などがございます。
 これらの条例による事務処理特例制度を活用した権限移譲の具体的な内容につきましても、中間のまとめ本文の中に別紙2として記載してございますので、これについても後ほどごらんいただければと思います。
 続きまして、これらの事務、権限を移譲した場合の財源措置でございますが、4に記載してございます。個別法の権限移譲の場合は、国が地方交付税などにより措置することとなりますが、都も、初期投資が必要となる場合には、経過措置としての財政支援を行うことを検討するということとしております。また、条例による事務処理特例制度による権限移譲の場合は、その財源措置は都が行うということになります。
 次に、第4章でございます。ここでは、都の区市町村への補助制度を取り上げております。
 ここでは、都支出金を委託金、負担金、補助金に分類いたしまして、都補助金の意義を示すとともに、補助事業の対象や、都と区市町村の役割分担から見た現状と課題を示しております。
 また、3の都支出金の見直しでは、少額補助金の統合などの補助方式の見直しの方向を示すとともに、補助条件の見直しや手続の簡素化など、三十七の補助金について交付手続の見直しを行うこととしております。この内容につきましても、中間のまとめの中の別紙3という形で整理をしてございますので、恐縮ですが、後ほどごらんいただければと思います。
 以上、大変雑駁でございますが、第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)の概要でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○土持委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し、ご質問などのある方は発言を願います。

○井口委員 本年の四月から地方分権一括法に基づいて施行されます地方分権は、いよいよ本格的に始まりました。今回の改革は、機関委任事務制度の廃止など、大きな成果といいますか、含みを持っておりますが、地方自治体の側からは、今までやってきた仕事の位置づけが変わっただけと、こういうことで本質的には大きなぶれはないようであります。これに対して都の中間のまとめは、区市町村への具体的な権限移譲を内容とするものであり、独自の分権施策としての評価ということになりましょう。
 そこで質問したいことは、中間のまとめでは建築確認などまちづくりに関する権限移譲を提案しているが、これらの権限を受けると、これまでと比較して、市は何がどのようにできるようになるのかということで、わかりやすく説明してくれませんか。

○尾井地方分権推進担当部長 建築基準法に基づきまして市町村が建築主事を置いた場合には、その市町村長が違反建築の取り締まりや、あるいは建築協定の認可などの事務を行うことが可能となります。これに加えまして、都の事務となっております開発行為の許可の権限ですとか、宅地造成工事の許可、こういった権限もあわせて受けますと、既に市の方で行っております地区計画などの都市計画の決定権限ともあわせまして、まちづくりの分野において、住民の意思を反映した総合的な施策を展開していくことが可能になるというふうに考えております。

○井口委員 まちづくりに関する事務あるいは権限が市町村に移る、住民の意見をよく反映していくことが重要だということであります。また、建築確認の申請など、身近な市役所でできれば、住民にとってもメリットということがいえるかもしれません。さらに、まちづくり以外にも、環境、福祉、衛生など住民に身近な行政を区市町村が行い、住民意思を一層反映しやすくすること、あるいは身近な場所で行政サービスを受けられるようにしていくということが必要であると思います。
 そこで、中間のまとめでは、まちづくりや保健所、環境関係の事務、権限など区市町村に対してかなり幅広く権限移譲の提案をしている、こういうことでありますが、それでは全体ではどのくらいに、どのような項目になるのか、この辺をお示しください。

○尾井地方分権推進担当部長 中間のまとめでは、全体で約百二十の法律や条例などに基づく事務、権限の移譲を提案しているところでございます。その内容につきましては、お手元に少々厚い冊子で参考資料という形でお配りしてございますが、この中に法令の条文ごとに紹介してございますが、その項目数を申し上げますと、およそ千百六十項目という状況でございます。

○井口委員 区市町村に多くの事務を移譲していくことは望ましいことでありますが、権限移譲は、都の一方的な判断で進めることなく、十分な調整が必要であろうと思います。
 そこでお伺いしますが、第二次計画に関する今後の進め方はどのようになるのか、第二次計画に扱っている事務、権限はすべて移譲されるのか、この辺についての明快なお示しをいただきたい。

○尾井地方分権推進担当部長 今後の進め方でございますが、まず、この中間のまとめにつきまして、都議会を初めとして区市町村など各方面からご意見をいただきまして、これを踏まえまして本年九月を目途に正式に計画を策定する予定でございます。この九月の計画策定後に、区市町村と具体的な事務、権限の移譲に関する協議や調整を行うことになるわけでございますが、具体的にどのように協議、調整を進めるかにつきましては、これから区市町村側とも十分調整しながら鋭意詰めてまいりたいというふうに考えてございます。
 なお、計画で提案しておりますそれぞれの事務、権限の移譲は、区市町村からの申し出ですとか、法令に基づく都と区市町村の協議、こういった手続を経て行われるものでございますので、区市町村との協議、調整が整ったものから移譲されることになるというふうに考えております。

○井口委員 区市町村によって、その置かれた状況はそれぞれ異なるものだと思います。そこでご質問いたしますが、現実に権限移譲を実施していくに当たって、区市町村によっては、都が人的あるいは財政的な支援策を講じていく必要があるのではないか、こんなふうに思います。
 私も、地元の関係を通しまして、法律以上に取り組みを進めて、人口二十万以上ではなくて、うちの市は始めたわけでありますが、都の職員を要請し、いわゆる招聘して、しっかり取り組んできたという歴史がありまして、そのノウハウとか、あるいは経過の取り組みなど、やっぱり市で一気にはなかなかできないというようなものが私はあるように思いました。
 そこで、大変都から人的な補助もしていただいたようでありますが、順調にしっかりできていると、私はこういう感じがするのですが、この辺についての都の考え方をお聞かせいただけませんか。

○尾井地方分権推進担当部長 区市町村への権限移譲を積極的に進めていくために、都といたしましては、専門知識やノウハウの提供ですとか、研修の実施、こういったもののほか、専門職が必要な場合もございますので、こういった場合には都の職員の派遣など、さまざまな支援を実施することとしてございます。
 また、権限移譲に伴う財政措置でございますが、個別の権限移譲制度による場合は、地方交付税により国が措置することとなりますが、都としても、必要に応じて経過措置としての財政支援を行うことを検討してまいりたいと考えております。
 なお、条例による事務処理特例制度による権限移譲の場合は、都が交付金により措置をすることとなります。

○井口委員 中間のまとめでは、権限の移譲に当たって、都職員の派遣などの人的な支援や、必要に応じて経過措置としての財政支援を行うということが検討されている、こういうことでありますが、実際の移譲の際には、効果的な支援が講じられるようにしてもらいたい、このことを常に考えます。この中間のまとめでは、非常に多くの権限移譲を盛り込んでいると同時に、支援策についても記述しているなど、区市町村への分権についての都の意気込みが感じられるところでありますので、大変期待をしているところであります。
 そこで最後に、第二次計画の実現に向けての局長の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

○横山総務局長 本年四月に地方分権一括法が施行されまして、地方分権そのものが実施の段階に入ったわけでございますが、今回の分権につきましては、国から地方への税財源移譲が先送りされた、こういったいろんな問題が残されております。こうした問題に対して全力を挙げて今後取り組んでいく、このこと自体は当然なことでございますが、同時に都としましては、単に国に対して要求をする、それだけではなくて、都独自にできる地方分権への取り組みを積極的に行う、これもまた重要なことであろうと考えております。
 今回、中間のまとめを行いました二次計画は、都から区市町村への一層の分権を進めまして、区市町村の自主性、自立性の向上を図ることを目的として策定するものでございますが、都独自の分権への取り組みを具体化する大きな意義を持つものと考えております。今後、区市町村と関係機関との協議、調整を精力的に進めまして、計画の実現に向けまして全庁で取り組んでまいります。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 この第二次東京都地方分権推進計画(中間のまとめ)については、今後、都民、区市町村等から意見を広く聞いた上で、ことしの九月をめどに第二次東京都地方分権推進計画として策定したいと、このように前書きに書かれております。
 そこで、最初に質問させていただきますが、今後、都民、区市町村などからの意見を広く聞く、このようにここで述べられておりますが、このことについて、都民からはどのような手法で、また、区市町村などからはどのような手法あるいは姿勢で聞くのか、具体的にお答えいただければと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 都民の方々への周知でございますが、これにつきましては、広報紙への登載ですとか、都庁のホームページの掲載などにより行ってまいりたいと思っておりますが、そういった広報を行う際に、意見をお受けしますという旨を必ず記載してございまして、電話、ファクス、電子メールなど、こういった手段によりましてご意見をいただくこととしてございます。
 それから、区市町村との関係でございますが、この中間のまとめにつきましては、既に五月の区長会、市長会、町村会の総会にご説明をしたところでございます。区長会、市長会、町村会におきましては、これを受けましてご意見を取りまとめになると、こういうふうに伺っているところでございます。今後とも、二次計画に対するご理解を十分深めていただけるよう、区市町村とも意見を重ねていく考えでございます。
 いずれにしましても、今後、こうしたご意見を十分踏まえまして、九月に計画を策定してまいりたいと考えております。

○古館委員 地方分権の具体的な出発点でもありますので、この問題は五月に区長会などに説明したということですけれども、きちっと改めて、こうした意見の聴取を含めて、大いに活発にしてほしいと思っています。
 二次計画の第4章のところで、都の区市町村への補助制度とあります。私は、この補助制度について少し質問させていただきます。
 私もその一人なんですけれども、区市町村の間では、最近の都の財政再建の動きから見て、二次計画での補助制度の見直しが、都民サービスの切り下げだとか区市町村への負担転嫁になるのじゃないかと、はっきりいって、率直にそういう不安を持っているわけですね。
 今まで福祉の見直しとか、いろいろな形でやられてもきておりますから、そこでまず、二次計画では、具体的な見直しとして、別紙3に、補助金交付手続の見直しの事業一覧が記載されております。この中で見直しの内容として、事業認定の手続の廃止とかヒアリングの省略、様式の簡素化などまさに補助金交付手続の見直しのものがあります。
 そこでお尋ねしますけれども、ここで提示した補助金交付手続の見直しはどのような考え方に基づいて取り上げてきているのか、まずその点についてお伺いをします。

○尾井地方分権推進担当部長 お話しの二次計画の中の別紙3でお示ししてございます補助金交付手続の見直しでございますが、これは、区市町村の自主性、自立性を高めるために見直しを考えているものでございます。
 具体的には、補助金の交付手続が区市町村に過度な負担とならないように交付手続等の見直しを行い、手続を通じた都の関与を縮減したり、区市町村の事務負担の軽減を図るということを目的としてここに提示したものでございます。

○古館委員 今お答えになりました市町村の自主性、自立性を高める、で、交付手続に関してということをいわれたんですが、これらの補助金交付の手続の簡素化というものは、今までも行っているというふうに思うのです。なぜ今回あえてまた取り上げてきたのか、その意図はどういうところにあるのか、お尋ねしたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 都の補助金でございますが、これは、区市町村の立場から見ると、事業への支援という一面はもちろんあるわけでございますけれども、同時に、実質的な関与となる側面がございます。今回は、一連の分権改革におきまして、機関委任事務制度の廃止ですとか関与の縮減が行われまして、都と区市町村の関係が対等協力の関係と改革されたということでございますので、二次計画では、こうした機会をとらえまして、都のすべての補助金の要綱を再検討いたしまして、補助金交付手続の簡素化を図るとしたものでございます。

○古館委員 別紙3を見て、これはちょっと問題だとかっていうのをいわれる方というのは、そんなにいないはずなんです。なぜかといったら、手続の簡素化ですから。今まで余りにも煩雑過ぎると。ただ、手続の簡素化と、今まで関与があったから何とかという話も今ありましたけれども、手続の簡素化での補助金要綱の再検討、つまり手続の簡素化についてのいわゆる再検討というふうに理解していいわけですね。改めてお尋ねしたいんです。

○尾井地方分権推進担当部長 別紙3でお示ししました補助金の手続などの見直しでございますが、手続については補助要綱などで定められておりますので、こういった要綱で定められた手続や要件について、要件の緩和ですとか、手続の簡素化、こういったことを図ったということでございます。

○古館委員 それで、単刀直入に聞きますけれども、今手続の簡素化とかいわれましたが、このことで、みんなが心配しているのは、それで補助金額が減るんじゃないか、これが一番心配なんです。その問題について、補助金額が減るということではないということですね。いかがなんでしょうか。

○尾井地方分権推進担当部長 今お話しの別紙3に示してございます補助金交付手続などの見直しでございますが、これは先ほど申し上げましたけれども、補助条件の緩和ですとか交付手続の簡素化を行うこととしているものでございまして、これは区市町村の自主性、自立性の向上を目的とするものでございまして、補助金の額の削減を目的とするものではございません。

○古館委員 ここはきちっと押さえた上で、中間のまとめの一一ページに、条例による事務処理特例制度について触れられております。その事業がまた別紙2で記載されております。この制度は、これまで、いわゆる区市町村の長に委任する委任条項であったものを、条例として制度化したものだと理解しております。それでいいんだろうと思うんですね。
 そこでお聞きしますけれども、今まで、二十三区、市町村に、需要額として、今までは委任していた条項なんですが、その委任条項で見られてきた金額は幾らだったんでしょうか。もしあれだったら十年度でお答えいただきたい、区と市町村で。

○松澤行政部長 ただいまお話ございましたように、これまで、都知事の権限に基づく事務を区市町村にゆだねるに当たりましては、区市町村長委任条項に基づきまして、機関委任の形で事務を委任してきたところでございます。十二年度からは、地方分権一括法の施行に伴いまして、事務処理特例制度が創設され、都では事務処理の特例に関する条例を制定しまして、都の事務を区市町村に再配分することにより、区市町村がみずからの事務として処理することとなったわけでございます。
 そういうことで、これまでの財源措置について、特別区に対しましては都区財政調整により平成十年度ベースで約百二十億円、市町村に対しましては交付金によりまして約十五億円を措置してきたところでございます。

○古館委員 同じように、それでは二〇〇〇年度は東京都としては幾らを見込んでおりますか。それも区と市町村別にお答えいただきたいと思います。

○松澤行政部長 今回の事務処理特例制度では、特別区に対しては、地方自治法の改正によりまして、従来の都区財政調整による措置にかえまして、市町村と同様に府県財源による交付金としたわけでございまして、平成十二年度予算では、約六十億円を計上しておりますが、この額につきましては、都区協議において合意をしたものでございます。
 また、市町村に対する交付金については、約十五億円を計上してございます。

○古館委員 先ほど私、そういうものが金額的に減るとかということがみんな心配していることだといったのですが、今までは財調で措置されたときは区は百二十億。ところが今回は、一般財源で、これは都区協議で合意したといわれているんですが、六十億ということですよね。半分ですよね。市町村は十五億、二〇〇〇年の予定も十五億。つまり、都区協議として合意したということ自体も私はよくわからないんですけれども、これから協
議をするのではないのかなと思っているんで
す。区が半分減らされているわけですけれども、区が黙ってこれをそうですかというとも思えないし……。
 この六十億の交付については、今協議で合意したということですが、この問題と、九月からの協議、調整という問題とは、どういう関連があるのでしょうか。

○松澤行政部長 従来の都区財政調整による財源措置額につきましては、ご案内のとおり、財調ルールというような形で、市町村とは違った形で、独自の単価設定であるとか需要積算の方法があり、それに基づいて算定してきたところでございます。
 一方、十二年度からの事務処理特例に伴う交付金につきましては、市町村に対する交付金との整合性の確保などに配慮しながら、特別区における実績等を踏まえて算定しておりまして、これまでの財調とは異なった考え方で算定しているところでございまして、必要な経費は適切に措置したところでございますので、九月からの協議というお話もございましたが、基本的には今申し上げた考え方を前提にいたしまして取り扱うということになると思います。

○古館委員 ですから、基本的には合意したといわれているんだけれども、事務を、この問題についても協議しますよというのは、これからなんでしょう。もうやっちゃったの。

○松澤行政部長 従来区長委任条項でやってきました事務について、事務処理特例制度でやるということにつきましては、昨年の夏からの都区の協議の中で、こういう事務を引き続きやらせていただきます、こういう事務をお願いしますということをお互いに検討、協議し合った中で決められて、先ほど申し上げたような形になったものでございます。

○古館委員 私の理解が違うのか、ちょっとのみ込めないんです。さっきの説明だと、九月から協議をしますという話なのに、先に財源だけは、今まで百二十億出ていたのが六十億で、都区協議で合意しましたという話というのは、全然解せない話です。ですから、この問題については、引き続き関心を持っていきたいと思いますが、この問題も含めて、私は、九月からの区市町村との協議の中できちっと調整、合意も改めてするのが筋ではないか、このように意見を述べて、次にいきます。
 都の区市町村への補助制度の冒頭で、都から区市町村に対して総額二千六百三十九億円が支出金として交付されていることを紹介しておりますよね。特に、都内の市町村に対して、歳入の一〇・七%を出しているよと。これは全国平均の四・八%よりも相対的に依存度が高い、わざわざこういうふうに記述をしております。
 この記述は、冒頭で記述されていることもあって、私は極めてデリケートな問題を引き起こすものではないか、このように考えます。今回の中間のまとめ自体が、都から区市町村との関係で、地方分権をどう話し合いをしていくかという中で、最初から、市町村の歳入に占める都の支出金は構成比率が高いですよ、そのことを前提にしていくと、非常にデリケートな問題を引き起こすというふうに思います。私は、だから全国平均の記述はここでは省くべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

○尾井地方分権推進担当部長 今お話しの記述でございますが、これは第4章におきまして、都の区市町村への補助制度を論ずるに当たりまして、まず都支出の状況ですとか種類、こういったものについてわかりやすく整理した、こういう趣旨に基づくものでございます。

○古館委員 その話は、都のところに三つで区分しているというのはわかりますけれども、そのことと今私がいったのは、一〇・七%になっているよと、現状を示すなら示すでいいんです。ところがそれに、わざわざ、全国平均の四・八%よりも相対的に依存度が高い、こういうふうに評価しているわけですよ。だから私は、この問題については、別になくてもいいんじゃないですかと・・ここの文章ですよ。だから、そこの問題については、むしろこの際ですから、省く。省いて、何もそこの行数はなくて、意見が上がってくるなら意見を聴取しましょうというような対応の仕方でいいのではないのかと。
 また同じ回答が返ってくるんだったら、はっきりいって私の質問には直接答えていないんですよね。もし違う答弁が返ってくるんなら、お答えいただきたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 同じ答弁になるかもしれませんですけれども、相対的に高いというふうな記述につきましては、これは評価ということではございませんで、あそこに書いてある数字をごらんいただきますと、相対的に高いというのは、私どもいってみれば事実の問題ではないかというふうに認識しているところでございます。

○古館委員 そこの問題になると、財政論的にもっと議論をしなきゃならない部分なんですよ、東京都の大都市需要だとか含めて。それから、国の支出金がどうなっているかという問題も含めて、いろいろな問題があるわけです。だから、そういうことを抜きにして、ここでどんとこういうふうに、相対的に依存度が高いとかという部分は、私は素直に提言をしています。ですから、この問題は、ぜひしんしゃくをしていただければということをいって、次に進みます。
 私は、全国平均の部分の記述よりも、むしろその後の(2)の補助金の意義について触れている部分を一定評価していますので、こここそ冒頭に持っていったらいいのではないかということだけ指摘をしておきます。
 ここでは、触れているのは、都は、広域自治体として、補助金を活用して、区市町村事業を奨励、支援している。それと、東京都の補助金は、都と区市町村の双方が協力、連携して、地域の特性や行政需要に機動的に対応するための手段でもある。これは、都の補助金には、幅広く都の施策を実現するという意義があると、その意義の重要性をここで確認しているわけですね。さらに続けて、補助金を受ける区市町村にとっては・・今度は区市町村の立場から述べているんですけれども・・みずからの財源のみでは実施困難な事業を可能とする財源として重要な役割を果たしている、このように中間のまとめで述べております。
 そこで質問いたしますが、区市町村に対する補助については、今後とも区市町村の財政状況に配慮して十分な措置をすること、このことを意味していると私は理解しております。この問題については、ご見解はいかがでしょうか。

○松澤行政部長 ただいま委員の方からもお話ございましたが、都は、これまで都と区市町村が協力、連携して行政需要などに機動的に対応するため、また、広域団体として区市町村事業を奨励、支援するため、さらには、市町村の財政を補完することなどを目的としまして、区市町村に対しまして、包括的な補助あるいは個別的な補助を行ってきたところでございます。
 ご案内のとおり、都財政も区市町村財政も大変厳しい状況が続いているわけでございますが、今後、それぞれの補助金の役割や性格、目的などを十分に勘案しながら、その時々の社会経済情勢や都財政の状況をも十分踏まえまして、適切に対応してまいりたい、このように考えております。

○古館委員 私は、今の答弁はよしとは認められないということだけいっておきます。なぜかといったら、財政状況だとかなんとかということが常につきまとってきたら、それこそどんどん減っていくということになっていくんですね。
 それとの関連で次に進みますけれども、都支出金の見直しというところが二〇ページにありまして、ここでは、都の見直しのねらいが、都が任意で支出している補助金については、区市町村の自主性、自立性の向上の観点から・・ここで自主性、自立性の向上の観点というのが出てくるんですね・・少額補助金の統合、補助金のメニュー化などを進めていくとしておりますけれども、都が任意で支出している補助金は、主としてどのような事業に充てられているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 都が任意に区市町村へ支出しております補助金といたしましては、障害者の自立生活の支援に関するものや、子供と子育て家庭への支援に関するものなど福祉の分野に関するものが最も多くなってございます。これに次ぎまして、母子保健に関するものなど保健医療の分野に関するものが多くなっております。

○古館委員 今ご答弁ありましたように、つまり、ここで任意の補助というのは、私、板橋区の出身なものですから、これ持っているんですけれども、今いわれたとおりなんです。ほとんど福祉とか、区民住宅とか・・住宅の問題とか、障害者の福祉に関する事業とか、大体そういうものがメジロ押しにあるものなんですね。ですから、一番削ってはならないし、削ってはほしくないものが、ずっとここにあります。私はその問題について、このことをいった上で、そこで質問したいのですが、都の支出金の見直しの視点は、現在の補助金の・・私は私の考えをいいます。
 さっきメニュー化とか少額補助金の統合とかいわれましたけれども、まずその前提をはっきりさせる必要があるんです。その前提は、現在の補助金の総額をまず保証するということが前提であるべきだ。そうしないでメニュー化とかっていいますと、今ある事業の中から何か選びなさいというと、必ず少なくなるんですよ。だから今まで保証している補助金の総額については、まずきちっと保証する。その中から、それぞれの区市町村が何を選ぶかというのは、それぞれの区市町村のそれこそ自主性、自立性に任せる、こうしなかったら必ず補助金は減ります。
 ですから、私は、その前提として、まず現在の補助金額は、保証するという前提の上での最低限のシビルミニマムとして確立をすると、そのようにするべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。

○尾井地方分権推進担当部長 地方分権推進の観点からいたしますと、補助金につきましては、交付手続を通じた関与によって、区市町村の知恵ですとか創意を生かした事業を阻害しないように配慮することがまず基本でございます。こうしたことから、この二次計画での見直しの視点といたしましては、区市町村の自主性、自立性の向上の観点から、少額補助金の統合ですとか、補助金のメニュー化、こういったことを進めていくこととしているところでございます。
   〔「答えになっていない」と呼ぶ者あり〕

○古館委員 今のも答えになっていないという話もあります。そのとおりだと思います。さっきいったように、補助金のメニュー化とか少額補助金の統合とかという形になると、ある事業の中から選びなさいよとか、結局は、今の事業全体を前提として保証していく。福祉だとかそういう区民や市民の生活に密着した事業が多いわけなんですよ。ですからそこは、やっぱりシビルミニマムのようなものをきちっと考えて、そのようにしてほしいと思いますし、また、これは強く要望しながら、今後とも、そういう観点から私ども質疑に臨んでいきたいと思っております。
 最後に、九四年四月に、都の企画審議室が出した計画、地方分権推進についての提言というのがあります。この中におさめられています。これは、議会局が全部おさめたものですが、この中で市町村優先の原則ということがいわれているんですね。市町村優先の原則のもとで、国及び都道府県からの大幅な権限と財源の移譲が行われなければならないと、これは企画審議室、今の政策報道室だと思いますが、その前身がきちっとそのように述べております。この第二次東京都地方分権推進計画は、中間のまとめなのですから、区市町村との協議、あるいは都と区市町村は対等である、そして、今ここに市町村優先の原則とまでいっているわけで、その立場に立って協議の場をきちんと設置して、十分でかつ徹底した協議をしていただきたいと思いますが、最後にこのことを質問したいと思いますので、お答えいただければと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 東京都といたしましては、これまでにも区市町村の行財政運営に大きな影響を与える見直し事項等につきましては、区市町村の理解とご協力が得られますように、都区協議会あるいは都市町村協議会さらには区長会、市長会、町村会、こういった場におきまして、都と区市町村との信頼関係のもとに、誠意を持って十分な協議を行ってきたところでございます。
 この二次計画に記載されております、区市町村への権限移譲に当たりましても、今申し上げましたような場などで、都道府県と区市町村の関係は対等協力であると、こういう理念を踏まえながら十分な協議を行ってまいりたいと考えております。

○古館委員 対等というのは、つまり、自治体としてのあり方の問題であって、だから、そこで自主性、自立性の話が、さっき私がいったけれども、財源の問題でいっちゃうと、何でも自前で自主性ですよというと、結局あなた方で全部賄いなさいよということではないわけで、ただ対等平等というのは、自治体としての都と区市町村の間の関係でいえば、これは対等であるということを、私は、今回の地方分権の論議であるがゆえに改めてその点を指摘して、質問を終わります。

○谷口委員 地方分権につきましては、大いに推進をしなければいけないだろうし、そのことによりまして、特色のあるまちづくりというものが実現をすることを期待をいたしている次第でございます。
 幾つかご質問をしたいと思うんですが、地方分権につきましては、平成七年の地方分権推進法制定以来、国の地方分権推進委員会を中心に検討が進められてまいりまして、いよいよこの四月に、新しい制度がスタートいたしたところであります。今回の分権改革の内容を見ますと、明治以来の地方行政制度の基本的な仕組みでありました機関委任事務の制度が廃止されました。国と地方の関係を対等な関係に改める、そういった意味では、画期的な意義があったものだというふうに考えております。
 しかし私は、この間、国が進めてきた地方分権は、全体としては、地方自治体にとってまだまだ満足できるものではないと思うわけでございます。東京都としては、国の地方分権改革をどのように評価されているのか、まず見解を伺います。

○松澤行政部長 ただいまお話ございましたように、本年四月から地方分権一括法が施行されたところでございますが、今回の分権改革では、機関委任事務制度の廃止や関与の縮減、廃止などが行われまして、分権改革に向けた第一歩として、地方自治体の新たな施策展開の道を開くものであったのではないかというふうに考えております。
 しかしながら、一方で、国から地方への権限移譲が十分になされていないことや税財源の移譲が中長期的課題として先送りされたことなど、真の意味の地方分権を進めていく上では、まだ多くの残された課題があるのではないか、このように認識してございます。

○谷口委員 国の分権改革に対しまして、東京都は、権限移譲、財源移譲が不十分だというお話でございますが、区市町村のこれまでの東京都の姿勢に対して、同じような不満を持っているんじゃないかなというふうに考えるわけでございます。
 そこで今回は、東京都の独自の取り組みとして、区市町村に対する権限移譲を進めるために、第二次の計画を策定するわけでございますけれども、東京都がみずから分権を進めるに際しましては、今度は東京都の姿勢が問われてくる、こういうことになろうかと思います。
 そこでお伺いしますが、国の分権改革では、地方自治体への権限移譲が極めて少なかった。今度は、東京都から区市町村への権限移譲をするに当たっての、東京都の姿勢、第二次計画における権限移譲の考え方、そういったものについてご説明をいただきたいと思います。

○松澤行政部長 地方分権を進める上で、国から地方への分権だけではなく、都から区市町村へ積極的に権限移譲などをしていくことは重要な課題でございます。こうしたことから、今回の第二次の計画では、権限移譲に当たりまして、法令上は都の権限とされているものでありましても、区市町村が処理することが望ましいものについては、積極的に権限移譲の対象としたところでございます。
 例えば、まちづくりの分野では、個別の法律に基づく権限移譲制度を活用して、建築確認の事務を移譲するとともに、開発行為の許可や宅地造成工事の許可などの権限を、条例による事務処理特例制度を活用しまして移譲することとしております。
 こうしたことによりまして、都市計画など、市町村の本来持っている権限とあわせまして、地域で総合的な行政が展開できるよう提案したところでございます。

○谷口委員 三多摩二十七市ございますが、人口が二十万人を超える特例市というのは三市だけでございます。二十万以下の市に対しての権限移譲については、どのようなお考えでしょうか。

○尾井地方分権推進担当部長 今、先生の方からお話のありました特例市制度でございますが、これは、今回の自治法の改正で新たにつくられた制度でございまして、市の申し入れに基づいてでございますけれども、二十万人以上の市に対して一定の権限がセットで移譲される、都道府県から市の方へ移譲されるという制度でございます。
 今回の第二次計画におきましては、もちろん市のご判断で特例市に移行するという場合は、その移行を支援するということも申し上げてございますが、たとえ特例市に移行しない段階であっても、こういった特例市に移譲することと法律が考えている事務については、市で行うことが望ましいということでもございますので、特例市にならない市に対しても、積極的にこういった権限を移譲していきたい、こういうふうに考えて提案しているところでございます。

○谷口委員 国の分権推進委員会の委員で、東大教授の神野直彦先生ですか、日本の地方自治体は、外国と比べても仕事はたくさん行っている一方で、その中身を見ると、実質的に決定する権限や自由に使える財源が少ないという点をご指摘になっていらっしゃいます。これを集中的分散システムといわれているわけでございますが、こういった指摘からもうかがえますように、地方分権は、権限の移譲とともに財源の移譲を伴っていなければならないというふうに考えるわけであります。
 私の住んでおります町田市の場合は、建築確認は以前から行っておりましたが、大きな開発行為等に対する権限はこの四月から町田市に移されました。そういう中で町田市がどういうことをこれからやっていくのか、ほかの市がこれを見ているんじゃないかなと。五年間の経過措置の中で町田市は東京都の支援を受けてやるわけでございますが、その後一体どうなるかなというふうなことを現実には見ているんじゃないかなと思うわけでございまして、やはり財源の移譲というものを伴っていかなければ、現在の厳しい各市の財政状況の中で、地方分権というのがスムーズに移れるのかどうかということをちょっと心配いたしているわけでございます。
 とりあえず、この二次計画において権限移譲するものについては、財源措置をしっかり行うべきだというのが私の考え方でございますけれども、東京都の考え方を改めてお伺いしたいと思います。

○松澤行政部長 建築確認であるとか保健所の事務など、個別法の規定によります権限移譲が行われた場合につきましては、その執行に必要な人件費や事務費は、区市町村の事務経費として地方交付税の基準財政需要額に算入されることになっておりまして、国が財源措置することになるわけでございます。
 また開発行為の許可などの条例による事務処理の特例制度による権限移譲が行われた場合につきましては、その経費については都が交付金というような形で財源措置することとなっております。

○谷口委員 まあ制度上はご説明のとおりだろうと思いますけれども、交付税の措置ということになりますと、不交付団体に対する権限移譲については、実質的に財源措置がないと、こういうことになろうかと思います。不交付団体には特別の財政援助が必要になるんじゃないかなと私は思うんですが、この点はいかがですか。

○松澤行政部長 ただいま申し上げましたとおり、個別法によります権限移譲制度によって移譲された場合には、その権限事務にかかわる人件費や事務費などは、地方交付税の方で国が措置することとされておりますので、ただいまお話ございました地方交付税の不交付団体という理由で、これらの経費について都が重ねて措置することは困難でございます。
 しかし、権限移譲に際しまして、新たな施設の設置であるとか、大型の備品など、当然初期投資が必要となる場合がございます。そうした場合には、区市町村への権限移譲を積極的に進めていくために、都としても必要に応じまして、経過措置としての財政支援を行うことを考えているところでございます。
 これまでも建築確認などの権限移譲を受けた市に対しましては、地方交付税の不交付団体も含めまして、建築行政交付金を支出し、権限移譲の円滑な実施を図ってまいりました。こうした点も踏まえまして、二次計画に基づく権限移譲の際にも適切に対処したいと考えております。

○谷口委員 これは、中間のまとめでございますし、これからまた市長会等でいろいろと意見が出てくるだろうというふうなことが考えられますが、今の段階で具体的にこうしますということを言及するのは難しいであろうというふうに思います。区市町村に対する実際の権限移譲の際には、区市町村がしっかり仕事ができるように、その実情に応じた財政支援、あるいは人的な支援というふうなことを、東京都としてしっかり考えていただきたい、このように希望をいたしておきます。
 また、区市町村への権限移譲を具体的に進めていくに当たりましては、それぞれの区市町村の置かれた状況、これまた区市町村によって大変異なると思いますので、そういった点でもご配慮をいただきたい、このように思います。
 具体的な問題をお尋ねしますけれども、中間のまとめでは、保健所政令市制度の活用を提案しております。近年保健所の統合が行われました。平成七年ですか、八年でしたか、行われました。三多摩は十二の保健所に統合されたという形でございます。地方分権ということになりますと、例えば町田市のように、町田保健所と町田市という形で、一市を管轄しているような場合はわかりいいわけでございますが、南多摩保健所のように、複数の市を所管しているというふうなケースもございます。この区市町村によって置かれた状況は違いますし、地方分権を進める中で、まあこの間はまとめられたけれども、我が市では一市一保健所の方がいいというケースも起こってくるであろう、こういうふうに思うわけでございまして、そういう複数の市を俯瞰しているような保健所の場合、今後、保健所政令市への移行というのは、どういうふうに考えていくのかお尋ねをします。

○松澤行政部長 そのような場合につきましては、複数の市を所管した保健所の場合でございますが、関係する各市の意向により、さまざまなケースが考えられますので、具体的な対応につきましては、今後、市側や関係機関と調整を十分しながら検討していくものになると考えてございます。
 いずれにしましても、都としては、保健所政令市への移行に取り組む市に対しましては、積極的に支援していく考えでございます。

○谷口委員 まあ市町村としては、予算を伴わなくて仕事だけが来るというふうなことになりますと、なかなか受け取ってもらえないんじゃないかというのが実情じゃないかと思っております。そういう中であっても、なおかつ分権の流れというものは、さらに太く大きくしていく必要があるというふうに私は考えているわけでございまして、都としては、この二次計画の策定を機に、国に対して一層の地方分権を進めることを働きかけるべきだと、先ほど権限の移譲が少なかったというお答えがあったわけでございますけれども、さらに拡大をしていくために、局としてどのようなお考えでこれから進められるのか、局長のご決意を伺いたいと思います。

○横山総務局長 るる議論がございましたように、二次計画は、区市町村の自主性、自立性の向上を図る、これを目的として策定するものでございます。したがいまして、現行法制度の枠内で可能な限りの権限移譲を行うなど、地方自治体の立場から地方分権に積極的に取り組んでまいるものでございます。
 一方、国の動向を見ますと、確かに地方分権一括法が施行されましたけれども、今回の分権改革そのものが、権限移譲がまだまだ十分ではない、それから地方への税財源移譲が中長期的課題として先送りされた、こういった多くの課題が残されております。都としましては、これまでも、これら地方自治体が抱えておりますいろんな問題に対しまして、その改革を国に対して働きかけたところでございます。
 したがって、今後とも、都議会を初め他の地方自治体等とも連携しながら、国と地方の税財源配分の抜本的改革、あるいは国から地方自治体への一層の権限移譲を実現するために、国に対して強く働きかけてまいる所存でございます。

○藤田委員 私も、何点か質問させていただきます。
 平成七年の地方分権推進特別委員会の設置以降、私たちは、積極的に地方分権に取り組みまして、さまざまな提言を行ってきたところでございます。
 まず第一は、自治体の憲法ともいうべき自治基本条例をつくったらどうかということを提案いたしました。憲法にある、やや不確定な概念である地方自治の本旨という規定を具体的にしていくために、国において自治基本法、そして、そこに住む住民が地方政府としての自治体をつくって自己決定していくという点では、自治体に自治基本条例の必要性を提案してきたわけであります。
 こういうような観点からすれば、かつて都としても、地方分権推進計画大綱の中で、東京都地方分権基本条例というような条例制定を検討してきたというふうに思いますけれども、内容的には、私たちが考えてきた視点に近いものがあったと思っておりますが、この大綱でいう基本条例とは、どういう視点から検討されたのか、そして、現在、どのようにこの基本条例を考えているのかをまず伺いたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 ただいまお話しの分権推進計画大綱でございますが、ここにおきましては、都と区市町村の対等、協力関係が実現するということに関連しまして、改正前の地方自治法を前提に、条例の必要性を検討するというふうにしていたところでございます。
 そこで想定していた主な内容でございますが、許認可ですとか承認等、こういった関与を類型化すること、あるいは関与について基本原則を定めること、こういったものを想定していたところでございます。
 これらの内容につきましては、このたびの地方自治法の改正におきまして詳細に規定されたところでございまして、また同時に、関与につきましては、法律で定めなければならないというふうにされたところでございます。こうしたことから、条例で関与に関する規定を設けることはできなくなったということになってございます。
 こうしたことから、現段階では、地方分権基本条例の必要性はないというふうに考えているところでございます。

○藤田委員 それで、分権一括法が成立しまして、機関委任事務制度の廃止や通知、通達行政が廃止されたわけです。私たちは、これまで提起したように、従来の機関委任事務制度の時代では、自治体では、省令の通達や補助基準を、無批判に前提として行ってきた傾向が強かったというふうに思います。しかし、今回の改正を機に、地方自治体の独自の法の運用や解釈、選択といったことが必要な時代になってきたのだというふうに思っているわけです。
 そうした意味では、地方自治体は、地域の実情に応じた行政展開をする上から、今まで以上に必要な法の運用は何かということをみずから考えて国の理解も得るとともに、必要であれば、国と正面から対峙する必要があるというふうに考えているわけです。
 私たちが提案した中にも、法務行政をどういうふうに行っていくのかということを、たびたび一般質問などでもお話させていただいているわけですけれども、都は、これをどのように考えているのかを伺いたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 今回の分権改革におきまして機関委任事務制度が廃止されたことに伴いまして、従来の通知、通達は拘束力がなくなってございます。また、国の包括的な指揮監督権が廃止され、地方自治体への関与が限定されるといったことのほかに、加えまして、国と地方自治体の間の紛争を処理する争訟制度が創設されたということもございます。
 これらの改革によりまして、都といたしましては、今まで以上に地域の実情に即した適切な法律等の運用や行政施策の展開に努めてまいりたいと考えております。

○藤田委員 それと同様なことなんですけれども、今までは、機関委任事務制度があることによって、自治体では大統領制になっているわけですから、必ず市民から選ばれた首長が国の機関としての仕事をせざるを得ない状況があった。実際には、国がやること、それから市民が要望することの板挟みに遭っていたというふうに思うわけです。
 今回の分権改革や都の二次計画によって、首長は、市民の側を向いた行政ができるようになるのかということを伺いたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 機関委任事務制度の廃止によりまして国の関与が限定されるなど、地方自治体の自主性、自立性が高まったところでございます。
 条例制定の範囲が広がったこととあわせまして、この二次計画を実現した場合には、自治体の権限が拡充されるということになりますので、市民の要望に応じた総合的な行政の展開が期待できるようになる、こういうふうに考えているところでございます。

○藤田委員 若干、意地悪な質問ということが正しいかどうかわかりませんけれども、一般的には、分権、そして即権限移譲ということが疑いのない善というふうにされる傾向があるわけですが、本来、行政であれば、行政サービスの性質や関連する制約なども踏まえて、権限移譲すべき行政サービスなのかどうかという評価を行う必要がまずあるかと思うわけです。
 それによって、今はもちろん、行政評価が都でも行われているわけですが、その点で、この条例による事務処理の特例制度は、地方自治法によると、都知事の権限とされた事務権限であればすべて対象となるというふうに読めるわけですけれども、この二次計画では、提案が限定されているというふうに書かれているわけです。どういうような考え方でこの具体的な事務移譲を提案したのか。
 もちろん、地方分権一括法でこんな権限がというようなことは、すべて法律にのっとっているわけですけれども、何でもかんでも、地域ではこういうこともできるんじゃないか、こういうこともできるんじゃないかというようなバラ色的なことを考えていた割には、何か大したことしか権限移譲されないなというような状況があるというふうに私は思えるんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○尾井地方分権推進担当部長 条例による事務処理特例につきましては、お話のように、都道府県の権限に属するものが移譲できるわけでございますが、例えば、旅券の交付事務などにつきましては、法令で移譲できないというふうにされてございます。こういった法令で除外されたものを除きまして、現行法制度の中で可能な限りの権限移譲を、二次計画においては提案したところでございます。
 ただし、例えば区市町村に対する許認可権のように、事柄の性質から移譲の対象とならないものですとか、国の補助制度ですとか、国の計画策定等の関係で、区市町村に権限移譲することがかえって事務処理を非効率にするものなどについては、この提案から除外をしたところでございます。

○藤田委員 それと、二次計画は、いわゆる地方分権一括法の改正を契機に策定されたわけで、この点が、区からの要望をもとにスタートした都区制度改革とは大分違っているんじゃないかというふうに思うわけです。
 それで、二次計画では、法律等を分析して、そして、東京都が行っている行政であっても、先ほどお話があったように、今までしていなかったものを含めて、現行法制度の中で分権できるものは全部お示しをしたというふうになっているわけですけれども、建築確認や保健所の事務等を具体的な権限移譲として挙げているわけですが、区市町村から、こういうことだったら、これを分権してほしいんだというような、そういう要望と一致しているのかどうか。
 もちろん、計画を発表したばかりですので、どんなふうな反応が返ってきているかわかりませんけれども、区市町村の状況というものはどんなふうになっていますでしょうか。

○尾井地方分権推進担当部長 ただいまお話しのとおり、まだ中間のまとめを発表したばかりでございますので、各区市町村の明確な意向は確認できてございませんが、事務権限の移譲ということ自体につきましては、各区市町村とも、地方分権の推進ですとか区市町村の権限拡充、こういった観点から、今後、積極的に検討すべき課題であると認識しているように感じられます。
 そうした中で、この第二次計画の中の具体的提案につきましても関心を示す区市町村も多くございまして、内部検討を始めたところもあるというふうに伺っているところでございます。

○藤田委員 もう一つ、いわゆる都区制度改革のときには、大いに住民に向かって広報をして、そして、こういうことが権限がおりてくれば、住民にとってこういうふうなメリットがあるんだよというようなことを随分やってきたんじゃないかと思うんです。
 区市町村側の検討はこれからというのは、やむを得ないわけですけれども、区市町村からの強い要望がその背景にないというのは、なかなか難しい。それは税財源のことも含めてでありましょうけれども、今後は、やはりそこの進め方は、区市町村、それから住民とともに、行政のあり方、区市町村の権限の配分、それから実際の行政サービスを考えるものでなければならないと思うわけです。
 しかし、私たちも含めてといいますか、一般都民にとっては、法律の何条がこういうふうに規定されていて、そして、それは権限が移譲されませんとか、あるいはされますというようなのはなかなか難しいわけなので、こういうことをどういうふうに市民の生活に結びつけていくのか、ここがわかりにくいのではないかと思うわけです。
 この市区町村、都民への情報提供、それから権限の内容やメリットなどが、わかりやすく、どういうふうに広報をされていくのか、特定行政庁などの具体的な権限移譲の例でわかりやすく説明してほしいというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。

○尾井地方分権推進担当部長 計画内容の広報でございますが、この計画の内容につきましては、都の広報紙やインターネットなどを活用いたしまして、周知、広報に努めているところでございますが、今後、これらに加えまして、わかりやすいパンフレットなども工夫していきたいというふうに考えております。
 また、権限移譲の内容やメリットについてでございますが、先ほどお話しの特定行政庁について申し上げますと、建築基準法に基づく権限を受けることによって違反建築物の取り締まりなどができることになりますが、開発許可ですとか宅地造成の許可などの権限とあわせて移譲することによりまして、地域において総合的なまちづくりができるようになるというふうな具体的なメリットを広報紙等にも記載しているところでございます。

○藤田委員 もう一つ、福祉の分野などで包括メニューというものを、この間の一定の中で、住民にとっての個別の給付制度はやめるけれども、地域が本当に豊かだなと思えるような福祉の仕組みをつくっていくんだというところに変えてきたと思うんです。
 実際には、包括メニューでこんなことをやればというようなメニューがいろいろ出ているんですけれども、本当にそれが市区町村にとって使いやすいものかどうかというようなことになると、都は、行政の立場からすれば、公平性というようなことを考えたときに、なかなか市区町村の実情に合ったものでないというようなことが結構あるんですね。だから、そういうようなことから考えても、やはりこれからどんなことができるのかということを、市区町村が考えられることを含めて、具体の提示をしていただけたらというふうに思っています。
 第二次の地方分権推進計画という、このタイトルですけれども、私は、今まで都がつくった計画というのは、策定すれば即実施というようなものが、いわゆる計画だというふうに思ってきたわけです。もちろん、その中で、途中で中間のまとめあり、そして皆さんの意見を聞きますというのはあるんですけれども、今回のこの権限移譲を提案する第二次計画というのは、実際にはやるところはどこかといえば市区町村なわけですから、この意見がどんなふうになっているかによって、この第二次の東京都地方分権推進計画というのは、ある意味では、余り変わらないかわかりませんけれども、大いに変えることができる、あるいは変わるものだというふうに思っているわけです。
 都民とともにその計画をつくっていく、市区町村がつくっていくという姿勢を大事にしてほしいわけですし、それから、都からこういうことが分権、権限移譲されるよという押しつけになってはもちろんいけないわけで、そうした意味では、住民が参加をしての都区市町村分権懇談会のような仕組みが必要であるというふうに私は思っているわけです。
 今後、都民、区市町村の意見を反映して、計画を立て、そして実際の権限の移譲を行う必要があるわけですけれども、都として、このことについてはどういうふうに対応していくのか、そして、それによってどういう計画ができ上がっていくのかと考えていらっしゃるかを伺いたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 この中間のまとめに対しまして、区市町村のご意見を聞くことはもちろんでございますが、電話ですとかファクスですとかインターネットなどを活用いたしまして、広く都民のご意見も伺うこととしております。これらの意見を踏まえた上で、九月に計画を策定していきたいというふうに考えているところでございます。
 また、この計画策定後でございますが、都は、区市町村との協議や調整を行って権限移譲をしていくこととなるわけでございますけれども、それに際しましても、市区町村や都民の方の要望がございますれば、計画の中身ですとか制度の中身、あるいは具体的な事業などについて、説明あるいは意見交換を積極的に行うなどいたしまして、区市町村と都民の皆様方の理解を深めるよう努力してまいりたいと考えております。

○藤田委員 市町村では、地方分権一括法の施行を機会に独自に条例づくりをするなど、新しい試みが出てきているというふうに聞いています。今回の国の制度改正を機に、地方自治の基本に立ち返り、都内でも自治憲章をつくる、あるいは自治基本条例をつくるという動きがあるというふうに聞いているわけです。
 実際には、その実現には、住民の情報、意見を十分把握できているかとか、あるいは政策の決定過程に住民の参加の機会があるか、あるいはまた職員の意識改革や研修がなされているかどうか、あるいは法務の部門の組織が整っているかなど、いろいろ条件もあろうかと思いますけれども、都としては、どういう見解を持って、そして、どういうふうに支援するのかを伺いたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 地方自治体が、住民と地方自治のあり方について議論を深め、独自に取り組みを行うということは、非常に重要なことであるというふうに認識してございます。
 都といたしましても、区市町村からの要望も踏まえまして、新たな地方自治法の理念や制度の内容、あるいは他の自治体の取り組みなどにつきまして情報提供を行うなど、さまざまな支援に努めてまいりたいと考えております。

○藤田委員 先ほどから、局長からのお話もありましたように、まだまだ今後とも多く残された問題、それから国への財源も含めて、要望を続けていただきたいというふうに思います。
 そして例えば、ある意味では、法律的にどうこうということではなくて、住民から、こういうような権限は、ぜひ基礎自治体でというようなこともたくさん出てくるのではないかと思いますので、そういうときにも、そういう問題も含めて、さらに分権が進みますように、これからの新たな社会を考えたときに、成熟社会に入った日本にとってみて、やはり集権的な国家ではない、分権の進んだ社会をつくっていくことが、私は非常に重要なことだというふうに思っておりますので、ぜひ国への要望をよろしくお願いしたいと思います。

○清水委員 私からは、個別法の権限移譲制度による権限移譲の提案の、先ほどご説明がありました、例2、保健所政令市制度について、何点かお伺いいたします。
 これまでの地方分権の経緯ということで、東京都の対応のご説明があったわけですけれども、この議論の中で、具体的に保健所の政令市制度という問題が議論されていくというようなこと、都の議論の中にそういうものが含まれていれば、多少でも市などが検討するとか、予想するとかいうことがあったかと思うんですけれども、これまでの経緯の中で議論されてきたことはあるのかどうか、お伺いいたします。

○尾井地方分権推進担当部長 地方分権推進法以来、地方分権に関するこれまでの都における議論の内容でございますが、この内容といたしましては、例えば、国から地方自治体への権限移譲ですとか、税財政制度の抜本的改革など、国と地方自治体の間の制度改革を主に議論してきたものでございまして、これらについては、国に対して改革要請を行ってきたところでございます。
 したがいまして、こういう状況でございますので、都と市町村の間の問題として、保健所政令市制度など個別具体的な事項を取り上げたのは、この中間のまとめが初めてでございます。

○清水委員 この中間まとめをいただいたときに、八王子市と町田市の方で、どんなふうに考えているかなというお話と、それから二十九日にご説明をされましたよね、二十七市と、先ほど経過がありましたけれども、全体の企画の方で、これも含めて全体ですか、ご説明があった・・市の方でね。その後も、お話にはそう伺ったんですけれども、市への説明が都としてされる・・以前に伺ったときには、本当に両市とも寝耳に水というか、全く予想していなかったというふうに受け取ったのではないかという、私の方の受けとめ方があるんですけれども、保健所政令市制度は、今回、建築確認などとともに、具体的な提案が例1、例2ということでされているわけですね。
 建築確認などは、従来から、もう既に移行されている市もあるわけですけれども、今回、なぜ保健所の政令市制度が提案されたのかという理由についてお伺いいたします。

○尾井地方分権推進担当部長 今回の第二次東京都地方分権推進計画の中間のまとめでございますが、これは、この分権一括法が施行された機会に、現行法に定められている権限移譲制度を可能な限り活用いたしまして、区市町村に分権を進めていこう、こういう趣旨に基づいて策定しているものでございます。
 こうしたことから、すべての法律を検討いたしまして、権限移譲制度が規定されているものをすべて洗い出しまして提案したものでございまして、保健所政令市制度も、その制度の中の一つということでございます。

○清水委員 すべてといわれましたけれども、今回の中間のまとめを見ますと、保健所政令市制度を、極めて早期に進めていこうという、そのことを大変強く感じるわけです。
 八王子市の場合ですけれども、保健所政令市の対象となるのは、町田市と八王子市の保健所だと思うんですけれども、八王子市としては、中核市制度の取り組みが進められてきました。ご承知のように、現在、八王子市の中核市移行は、新市長のもとで凍結状態になっております。体制も解消され、市民への広報での報道も中止をされているわけですね。
 これは、長い間議論をされてきましたけれども、やはりそのほとんどのところに財源の問題があるわけです。この取り組みは、平成六年から延々と、十二年まで六年間、五年、六年にわたって取り組んできたものを、現時点ではということをいわれていますけれども、凍結するに至った厳しい事情があるわけですね、五十万市といえども。
 そういう中で、保健所政令市になった場合の財源措置については、先ほども何回かいろんな方へのご説明がありましたけれども、財源措置はどういうふうになるのか、改めてお伺いいたしますし、市の負担は、新たに発生するのかどうかをあわせてお伺いしたいと思います。

○尾井地方分権推進担当部長 まず、保健所政令市の提案の対象でございますが、今の中では、八王子と町田というお話もございまして、大きい市は八王子と町田両市でございますが、二次計画の考え方といたしましては、両市に限ることなく、全市に対してこういう制度がございますということで、権限移譲の提案をしているところでございます。
 それから、ご質問の財源措置の問題でございますけれども、これは先ほど来申し上げておりますが、保健所政令市の制度による権限移譲は、地域保健法など、こういった個別の法令に基づいて権限移譲するものでございまして、その経費につきましては、市の事務として、地方交付税の基準財政需要額の中に算入されることになっております。そういう意味では、国が財源措置をすることとなっております。
 都といたしましては、初期投資が必要となる場合、必要に応じて、経過措置としての財政支援を行うことを検討することとしております。
 なお、保健所政令市制度による権限移譲に加えまして、それに関連する事務を、条例による事務処理特例制度で移譲する場合につきましては、地方財政法の適用によりまして、都が交付金などによって財源措置をすることとしてございます。
 それと、市の負担は新たに発生するのかというお尋ねでございますが、現時点におきましては、東京都が、都の保健所の仕事というふうにしてございますので、市におきまして保健所を運営する場合の経費については、現時点で直ちに試算することは不可能でございますので、具体的に申し上げることはできないので、ご理解いただきたいと思います。

○清水委員 財源の問題で暗礁に乗り上げたものを、今のようなお答えで実際に進んでいくのかということを大変疑問に思うわけです。
 中核市の議論の中においては、八王子保健所が移管された場合の影響額が、法定事務移譲と都単独事務で八億五千七百万円余りと試算され、人件費を現状維持したとして、七億八千万円余りと、十六億円余りと試算されたわけです。さらに、これに土地建物、高度医療機器など、必要な財源を予想しているわけですね。
 交付税措置といわれましたが、現在、八王子市は、今年度は交付税の措置を受けているんですけれども、その額は約六億九千万円ほどになっていて、助役さんの言葉によると、法人市民税が少しでも回復されれば不交付団体になると予想され、交付税措置に期待できないというふうにいわれました。
 したがって、これまで広報などで、広報に書いてあるんですけれども、中核市に移行すれば、保健衛生に関する事務における市民サービスがさらに充実しますよということで、市自身は、市民にサービスが充実するということをいってきたわけです、中核市の中で。保健、医療、福祉の連携による総合サービスができるといってきましたけれども、数年にわたってきましたけれども、市民の議論が成熟せず、財源の困難さが先に進ませなかったのが現状であるわけです。
 そういう中で、こういう経過が八王子ではある中で、どうやって財源問題をクリアしていくのか、今お話のあったような説明で先に進むのかどうなのかということが、大変疑問なんですけれども、その点についてお伺いいたします。

○尾井地方分権推進担当部長 権限移譲につきましては、市が置かれた状況を十分踏まえて行う必要があるというふうに考えております。
 保健所を市が設置する場合は、先ほど申し上げましたとおり、国の交付税措置に加えて、都としても保健所設置にかかわる初期投資について、必要に応じた経過措置を検討することとしております。また、条例による事務処理の特例制度に関しては、都は交付金を出すこととしてございますので、これらについて、市の状況も個別に把握した上で、適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。

○清水委員 全然、市はそれについては納得できないというふうに思うんですね。
 別の問題で、医師などの専門職も、それからいろいろな、大変専門的な内容が保健所では行われているわけですが、これが市に移管すれば、当然のことながら、そういうことは議論されるわけですけれども、採用の問題、人事管理の問題、大変難しいわけです。また、一気に採用しなければならなくなるというようなことで、都は現在、派遣などの支援についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。

○尾井地方分権推進担当部長 都といたしましては、市からの申し出があった場合には、専門知識あるいはノウハウの提供、さらには研修の実施、また、専門職種が必要な場合の都職員の派遣など、必要に応じて支援を行っていきたいというふうに考えてございます。

○清水委員 中核市の時点でも、そうしたお答えをされていたと思うんですけれども、今回は、特に、大変厳しい見方なんですけれども、東京都の行革を市の方に持ってくるのかというようないい方をされる幹部の方もいらっしゃるわけですよ。
 ですから、今お答えありましたけれども、必要に応じて支援を検討するといいましたけれども、それは、市が人件費を持って行うということになってくるというふうに思うんです。そういう一つ一つの問題について、今までの、例えば八王子の場合は、中核市の議論の中で、東京都の対応というものについて、大体予想はされているものですから、なかなか先に行くのは困難だなというふうに思います。
 今回、保健所政令市ということで、中核市とは別に提案されたわけですけれども、計画内容について十分な理解や受け入れる準備が、もちろん町田とかほかの市もそうですけれども、できていないと思うんです。中核市でずっと議論をされてこられた担当者なんかも、皆かわられましたから、全く蓄積もされていないというふうに思うんですね。
 市民にも、やはり内容は周知されていないわけです。この間の、先ほど統合の問題がありましたけれども、制度の移行では、市民サービスの低下につながるのではないかという危惧も、市民の中にもあるわけですね。
 実際の事務の準備も、決定してから、二年間に及ぶ準備期間があったというふうに伺っています。少なくとも、例えば移行の決断がされた場合でも、具体的な事務作業としてかかるわけで、先ほど申し上げましたように、現在、正式決定を市がされているわけではありませんけれども、受ける意思がないというふうに、私は現在見ています。それは、検討されているかわかりませんけれども、仮に、決定をしたとしても、その準備がかかるということを考えるとすれば、先ほど、スケジュールの問題で、十三年度以降のできるだけ早い時期の権限移譲を目指すというふうにされているわけですが、進め方やスケジュールの問題についてどのように考えているのか、お伺いいたします。

○尾井地方分権推進担当部長 私ども東京都といたしましては、第二次東京都地方分権推進計画の中間のまとめについて、都議会を初めといたしまして、都民や区市町村など各方面からご意見をいただきまして、これを踏まえて、九月に正式の計画として策定していきたいというふうに考えているところでございまして、保健所政令市制度につきましても、計画策定の過程で、都民や各市に周知を図りまして、理解を求めていきたいというふうに考えてございます。
 それで、具体的な保健所政令市への移行については、計画策定後、市の申し出に基づいて行うこととなるわけでございますが、その際には、当該の市と十分な調整をしていきたいというふうに考えております。
 なお、スケジュールでございますが、これにつきましては、先ほどもお話に出ましたが、平成十三年度以降のできるだけ早い時期に実施していきたいというふうに考えているところでございます。

○清水委員 それでも、中核市移行を検討した際に、保健所の事務内容などを、八王子では、多少、市民の中で議論が出されましたから、移行する、しないにかかわらず、ある程度の下地というものはあると思います。しかし、他の市のことをいうのはあれですけれども、町田市など他の市については、それについては初めてのことだと思うのですね、自分の市でそれを持つということについては。
 先ほど、他の議員もお話しされましたように、現在でも不交付団体であるということで、交付団体である八王子で、こういう市の幹部の方々の意思があるわけで、より意思が薄いというふうに予想できるわけです。
 そういう意味では、今、スケジュールのお話がありましたけれども、一層の調整、時間というものが必要だというふうに考えますが、どのようにお考えでしょうか。

○尾井地方分権推進担当部長 権限の移譲をしていくに当たりましては、当該の市当局はもちろん、住民の方々の十分なご理解が不可欠だというふうに考えております。
 こうしたことから、保健所政令市への移行に当たりましては、その制度内容や具体的な事務につきまして説明を行うとともに、市とも十分な調整をしていく所存でございます。

○清水委員 先ほどから、地方分権が各区市町村の自主性というようなことを繰り返しいわれておりました。身近なところで、より市民に充実した形でサービスを提供したいというのは、当然のことながら考えていると思いますけれども、それにしても、今の厳しい財源の中で、これ以上受けられない、そういう気持ちは、市町村などで持っているものも、幾つもあると思うのですね。
 そういう中で、国における地方分権一括法の審議が進められた時期に、我が党の国会議員団が、自治体の首長に、地方分権に期待するところを直接に聞いた機会があります。そのときに、異口同音に答えられていたことは、自主財源の拡大が何よりも必要、財源の伴う具体的な権限の移譲をという答えだったそうです。地方分権というなら、何よりもこの自治体の一番肝心な切実な声にこたえなければならなかったわけですよね。
 分権一括法は、地方財源拡充につながる本格的な措置は全くされていないというのが実情で、規模が小さい自治体ほど厳しいというふうにいわれるわけです。地方分権とは、こういうことに最大に力が注がれなければならないというのが、これまでの国における分権の議論の中で進められてきたことで、それを、東京都自身もやはり受けとめなければいけないというふうに思います。仕事だけふえて財源が来ないのでは、分権に逆行するという声が上がるのも当然だというふうに思います。
 政府の中からは、今回の地方分権の目玉は、権限の移譲ではなくて、国の関与を縮小するところにあるというようなことをいう場合もあるというふうに聞いておりますが、今回、個別法の問題、保健所政令市の問題だけで、私は伺いましたけれども、ぜひ、そういう方向につながらないよう、あくまでも市の申し出ということで、各市の実情を十分配慮をして進めていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 以上です。

○土持委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土持委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時四十八分散会