新型コロナウイルス感染症対策特別委員会速記録第十五号

令和五年九月二十一日(木曜日)
第十五委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長柴崎 幹男君
副委員長加藤 雅之君
副委員長小松 大祐君
副委員長森村 隆行君
理事慶野 信一君
理事阿部祐美子君
理事林あきひろ君
理事菅原 直志君
理事尾崎あや子君
北口つよし君
吉住はるお君
もり  愛君
関口健太郎君
竹平ちはる君
磯山  亮君
中田たかし君
古城まさお君
清水やすこ君
原 のり子君
斉藤まりこ君
藤田りょうこ君
福島りえこ君
藤井あきら君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長野間 達也君
総務部長猪口 太一君
総合防災部長保家  力君
危機管理調整担当部長水野  剛君
避難所・物資担当部長後藤 和宏君
保健医療局局長雲田 孝司君
次長理事兼務谷田  治君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務村本 一博君
保健政策部長感染症保健政策担当部長兼務小竹 桃子君
感染症対策部長加藤 みほ君
政策推進担当部長宮澤 一穂君
地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務大出  仁君
感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長
健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
感染症対策調整担当部長内藤 典子君
感染症対策調整担当部長松谷いづみ君
感染症対策調整担当部長感染症対策連絡調整担当部長兼務藤井 達男君
感染症対策調整担当部長小原  昌君
感染症対策調整担当部長及川 勝利君
感染症対策調整担当部長高橋 葉夏君
産業労働局局長坂本 雅彦君
総務部長早川 八十君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長
DX推進担当部長兼務
池野 大介君
商工部長山崎 太朗君
金融部長福田 哲平君
観光部長向井 一弘君
雇用就業部長内田 知子君
教育庁教育長浜 佳葉子君
総務部長山田 則人君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長岩野 恵子君
指導部長小寺 康裕君
福利厚生部長吉村 幸子君
教育政策担当部長秋田 一樹君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務篠  祐次君
指導推進担当部長市川  茂君

本日の会議に付した事件
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止、医療提供体制の整備、経済活動への支援等の具体的方策について調査・検討を行う。
報告事項(質疑)
・五類移行後の都の対応方針について
・リバウンド警戒期間における取組について

○柴崎委員長 ただいまから新型コロナウイルス感染症対策特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、去る九月十二日付をもって、浜中のりかた委員の辞任を許可し、新たに北口つよし議員を選任した旨、また、去る九月十三日付をもって、田の上いくこ委員の辞任を許可し、新たに、もり愛議員を選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 北口つよし委員です。もり愛委員です。
   〔委員挨拶〕

○柴崎委員長 紹介は終わりました。

○柴崎委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席は、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○柴崎委員長 次に、委員会運営要領の改正について申し上げます。
 先ほどの理事会において、本委員会の運営要領をお手元配布のとおり改正することを申し合わせましたので、ご了承願います。

○柴崎委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がありましたので紹介いたします。
 調査部の担当書記の池野谷昌幸君です。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記挨拶〕

○柴崎委員長 これより新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止、医療提供体制の整備、経済活動への支援等の具体的方策について調査検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 本日の委員会には、お手元配布の名簿の理事者が出席しておりますので、ご了承願います。
 初めに、先般の組織改正に伴い、保健医療局が設置されました。保健医療局長から挨拶並びに本日出席する幹部職員の紹介が、また、総務局長及び産業労働局長より、人事異動により交代のあった本日出席する幹部職員の紹介があります。
 それでは、保健医療局長に就任されました雲田孝司君をご紹介いたします。

○雲田保健医療局長 七月一日付で保健医療局長に着任いたしました雲田孝司でございます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、五類移行後の対応方針などに基づき、引き続き関係局とも連携し、局一丸となって取り組んでまいります。
 柴崎委員長をはじめ委員の皆様方に、今後ともよろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。
 それでは、当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長で福祉局理事、保健医療局理事兼務の谷田治でございます。総務部長の船尾誠でございます。企画部長でDX推進担当部長、スタートアップ・国際金融都市戦略室スタートアップ戦略推進担当部長、福祉局福祉保健医療連携推進担当部長兼務の村本一博でございます。保健政策部長で感染症保健政策担当部長兼務の小竹桃子でございます。感染症対策部長の加藤みほでございます。政策推進担当部長で子供政策連携室企画調整担当部長兼務の宮澤一穂でございます。地域保健担当部長で特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務の大出仁でございます。感染症対策調整担当部長で医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務の西塚至でございます。感染症対策調整担当部長の内藤典子でございます。感染症対策調整担当部長の松谷いづみでございます。感染症対策調整担当部長で感染症対策連絡調整担当部長兼務の藤井達男でございます。感染症対策調整担当部長の小原昌でございます。感染症対策調整担当部長の及川勝利でございます。感染症対策調整担当部長の高橋葉夏でございます。最後に、当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の斎藤毅でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○野間総務局長 先般の人事異動に伴い就任いたしました当局の幹部職員をご紹介いたします。
 総合防災部長の保家力でございます。危機管理調整担当部長の水野剛でございます。避難所・物資担当部長の後藤和宏でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○坂本産業労働局長 先般の人事異動に伴い就任いたしました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 総務部長の早川八十でございます。商工部長の山崎太朗でございます。金融部長の福田哲平でございます。観光部長の向井一弘でございます。雇用就業部長の内田知子でございます。産業企画担当部長の池野大介でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○柴崎委員長 次に、本日の委員会には、教育長浜佳葉子さんに出席をいただいております。
 この際、浜教育長から挨拶並びに本日出席する幹部職員の紹介があります。

○浜教育長 教育長の浜佳葉子でございます。
 学校における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、五類感染症への移行後、児童生徒が充実した学校生活を送ることができるよう、学校の実情に応じた対応を行っているところでございます。
 柴崎委員長はじめ委員の皆様方にはご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日出席しています教育庁の幹部職員をご紹介申し上げます。
 総務部長の山田則人でございます。都立学校教育部長の村西紀章でございます。地域教育支援部長の岩野恵子でございます。指導部長の小寺康裕でございます。福利厚生部長の吉村幸子でございます。教育政策担当部長の秋田一樹でございます。企画調整担当部長の篠祐次でございます。指導推進担当部長の市川茂でございます。当委員会との連絡等に当たります総務課長の相川隆史でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○柴崎委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○柴崎委員長 これより報告事項、五類移行後の都の対応方針について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○猪口総務局総務部長 令和四年三月二十三日の当委員会におきまして要求のございました総務局所管の資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます新型コロナウイルス感染症対策特別委員会要求資料の一ページをご覧ください。令和四年三月四日に開催いたしました東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会の書面開催の結果でございます。
 次に、七ページをご覧ください。同年三月十七日に開催いたしました同審議会の書面開催の結果でございます。
 次に、一一ページをご覧ください。令和四年三月四日に開催いたしました第七十一回東京都新型コロナウイルス感染症対策本部会議の議事録でございます。
 次に、一七ページをご覧ください。同年三月十七日に開催いたしました第七十二回同本部会議の議事録でございます。
 総務局分の説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○船尾保健医療局総務部長 引き続きまして、保健医療局に係る要求資料についてご説明をさせていただきます。
 資料は全部で四項目となっております。
 お手元の新型コロナウイルス感染症対策特別委員会要求資料の二五ページをお開き願います。ワクチンバスによる新型コロナウイルスワクチン接種の回数等を区分別に記載してございます。
 二七ページをお開き願います。医療機関における無症状濃厚接触者の受診前検査に係る都から医療機関へのPCR検査キット配布数及び民間検査機関からの検査結果報告数を記載してございます。
 二九ページをお開き願います。東京都新型コロナ相談センターにおける応答件数の推移及び主な相談内容を記載してございます。
 三一ページをお開き願います。都立、公社病院及び地方独立行政法人東京都立病院機構のコロナ後遺症相談窓口の実績でございます。
 (1)に相談件数の推移を、(2)に相談者が訴える症状を、一枚おめくりいただきまして、三二ページの(3)に相談者の基本情報を記載してございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○早川産業労働局総務部長 産業労働局に係る要求資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の新型コロナウイルス感染症対策特別委員会要求資料の三三ページをご覧ください。五類移行に伴い終了した産業労働局のコロナ対策関連事業の実績でございます。
 (1)、助成事業、(2)、相談、派遣について、令和元年度から令和五年度までの実績をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○柴崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 令和三年にコロナワクチンの初回接種を開始して以降、初回接種から追加接種へ、また、使用するワクチンも従来株からオミクロン株ワクチンへと変遷し、現在は令和五年の秋開始接種が始まったと聞いています。
 そこで、秋開始接種の特徴や接種対象者などについてまず伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 国は、新型コロナウイルスワクチン接種について、重症化予防を目的として、一年間、特例臨時接種の期間を延長しました。
 昨日、九月二十日からスタートしている秋開始接種では、高齢者等のハイリスク者を接種の対象としつつ、生後六か月以上の全ての方に接種機会を確保することとしています。
 また、使用するワクチンは、新しいオミクロン株XBB・1・5対応の一価ワクチンとなっております。

○吉住委員 秋開始接種では、新たなオミクロン株XBB・1・5対応の一価ワクチンを使用するとのことです。
 そこで、このワクチンの有効性や新たな変異株への効果について伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 九月十四日に東京都が公表したモニタリング分析におけるゲノム解析では、XBB亜系統が感染の主流となっており、約九三%を占めております。
 秋開始接種で使用するオミクロン株XBB・1・5対応ワクチンには、オミクロン株XBB系統のXBB・1・16やXBB・2・3等に対して、中和抗体の誘導が認められておりまして、XBB系統への有効性が期待できると考えられております。
 また、東京iCDCの専門家からは、XBB株は、現在感染が増加しているEG・5株と抗原性が類似していることから、このEG・5株にもXBB対応ワクチンの効果が期待できると聞いております。

○吉住委員 国は、令和六年以降の安定的な制度の下での接種を見据え、集団接種会場を活用した体制から個別医療機関での接種を中心とする体制への移行を進めています。
 一方、東京都では、引き続き大規模接種会場を設置しています。
 そこで、都の大規模接種会場の役割と実施状況について伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 都はこれまで、都内各所に大規模接種会場を設け早期接種を促進し、重症化予防や感染拡大防止に努めてまいりました。
 また、都の大規模接種会場では、区市町村の接種体制を補完するため、区市町村では実施が少ないノババックスワクチンの接種や初回接種、小児乳幼児接種を休日に実施するほか、接種会場への移動が困難な方が入所する高齢者施設や奥多摩地域等にワクチンバスを派遣しております。
 引き続き、区市町村の補完的役割を果たすとともに、秋開始接種直後は毎日実施するなど、接種を希望する方が円滑に接種できるよう取り組んでいきます。

○吉住委員 国は、令和五年度のワクチン接種について、重症化予防を目的として高齢者などハイリスク者を対象に公的関与の規定を定めています。
 しかし、公的関与の対象とならない方で接種するべきかどうか悩んでいる方もいることから、ワクチン接種に関する情報は広く都民に分かりやすく周知すべきだと考えます。
 秋開始接種における都の取組について伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 国は、令和五年度のワクチン接種について重症者を減らすことを目的に、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患を有する者に対して接種勧奨、努力義務を定めております。
 その一方、秋開始接種では生後六カ月以上の全ての方が接種できることとしております。
 都では、全ての方が無料で接種できることや新たなXBBワクチンを使用することなど、都民の関心が高い事項を強調したポスターやリーフレットを作成しております。
 こうした広報資材を活用し、区市町村や関係団体と連携しながら、ワクチン接種を希望する方が接種機会を逃すことがないよう、周知に努めてまいります。

○吉住委員 国は、令和五年度のワクチン接種について、重症化予防を目的として特例臨時接種を一年間延長しています。
 そこで、重症化予防効果のエビデンスについて伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 国は、新型コロナワクチンの効果について、発症予防効果や感染予防効果には持続期間等の限界がある一方、重症化予防効果は比較的持続していることから、ワクチン接種の目的は重症化を減らすこととしております。
 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料によりますと、オミクロン株対応二価ワクチンの追加接種二週間後の感染予防効果は二八・九%、入院または死亡に対する予防効果は六七・四%となっております。
 さらに、接種十六週間後以降の感染予防効果は有意な効果がないとしておるのに対し、接種二十週間以降の入院または死亡に対する予防効果は三八・四%とあり、重症化予防効果の持続期間が長いことが示されております。

○吉住委員 新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターでは、これまで都民から寄せられる多くの相談に対応してきたと聞いていますが、その実績について伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 東京都新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターでは、二十四時間三百六十五日、接種後の副反応に関する都民の相談を受け、保健師、看護師などが専門的立場から助言をしております。
 令和三年三月から令和五年八月までに副反応相談センターに寄せられた相談件数は約二十八万件となっております。
 今後も、直近の相談件数や感染状況などを踏まえて、適切に対応してまいります。

○吉住委員 新型コロナウイルスワクチンの接種で副反応が生じた場合には、副反応専門診療相談窓口で対応する場合があると聞いていますが、その実績について伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 副反応専門診療相談窓口は、二次保健医療圏に一か所ずつ計十三か所、総合的な診療が可能な医療機関に設置しており、専門的な相談にきめ細かに対応しています。
 これらの医療機関では、地域の医療機関等の紹介により受診や電話相談が可能であり、これまでの実績は、令和三年四月から令和五年八月までで三百四十四件となっており、症状に応じて適切な診療科で対応しております。

○吉住委員 予防接種は、いうまでもなく感染症を予防するためにありますが、健康被害が起こる場合があります。
 そこで、都内における新型コロナウイルスワクチンの予防接種救済制度の対応状況について伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 新型コロナウイルスワクチンの接種を受け健康被害が生じた場合、予防接種法に基づき医療費等の給付が受けられる救済制度が設けられています。申請は区市町村に行い、国の疾病・障害認定審査会で接種と健康被害について因果関係が審査されます。
 都内区市町村から国への申請件数は、令和五年八月三十一日までに八百五十二件で、そのうち認定が三百十六件、否認が五十四件、その他は審査中となっております。

○吉住委員 少し遡りますけれども、新型コロナワクチンの接種が開始された直後は、各区市町村が設置する接種予約コールセンターに電話が殺到し、電話がつながらない状況となりました。次の感染症危機が発生した際には、同様の事態が起こらないよう、都が積極的に調整していくべきと考えますが、見解を伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 接種開始当初、ワクチン接種の予約は一部の区市町村ではコールセンターでのみ対応しており、受付体制には限界がございました。
 都では、コロナワクチン接種を円滑に進めるため、ワクチン接種開始前よりワクチンチーム(区市町村連絡調整部会)を設置し、接種会場や受付体制など課題を把握するとともに接種促進の好事例を横展開するなど、区市町村と連携しながら対応策を講じてまいりました。
 受付体制については、コールセンターに加え、インターネットによる予約システムや個別医療機関での対応を開始し、様々な都民ニーズに応えてきました。
 こうした経験を十分生かし、次の感染症危機が発生した際には、区市町村と東京都が密に連携しながら感染拡大防止の取組に努めてまいります。

○吉住委員 接種開始前からそういうのが設置されていたのであれば、事前にこういう電話がつながらないといったような状況が起こらないように対応していただきたかったなというふうに思っております。
 次に、外来対応医療機関について伺います。
 五類移行後、新型コロナ患者の診察に対応する外来対応医療機関を増やしていくこととしており、その取組状況について確認したいと思います。
 改めて、外来対応医療機関とはどのようなものなのかお答えください。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 五類移行に当たり、外来医療体制につきましては、幅広い医療機関において患者の診療に対応する体制に移行していくものとされております。
 その移行の過程で感染拡大が生じた際にも、発熱等の症状のある患者が地域の医療機関で診療を受けることができ、また、一部の医療機関に患者が集中することを防ぐよう、都道府県により感染症医療と通常医療を行うことができる医療機関を外来対応医療機関として指定し、公表を行うものでございます。

○吉住委員 それでは、現在の外来対応医療機関の指定状況についてお答えください。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 都内の外来対応医療機関は九月十五日時点で五千六百六十四機関でございまして、五類移行時の五月八日時点の五千百七十四機関と比較して四百九十件増加しております。

○吉住委員 五類移行後、外来対応医療機関が増加している一方、指定を受けていない医療機関もあります。なぜ外来対応医療機関とならない医療機関があるのか伺います。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 登録のない医療機関に電話ヒアリングを行いましたところ、例えば人間ドックを主に行う検診センターなど保険診療を行っていないという理由や、がんや膠原病などの専門医療に特化しているなどの理由により、発熱患者を受け入れていない医療機関がございました。
 一方で、新型コロナの診療を行っているものの外来対応医療機関の登録を行っていない医療機関もございました。その理由といたしましては、ビル内の診療所で建物の構造上、動線分離が困難であるという課題や、スタッフの確保が困難な中、外来対応医療機関として公表されることで患者がさらに増加し、現状のスタッフでは対応できなくなるという課題があるとのことでございました。

○吉住委員 外来対応医療機関の増加に向けて、これまでどのように取り組み、今後どのようにされていくのか伺います。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、移行計画を進めるに当たり、都内の医療機関に対しまして発熱患者等の診療に対応する外来対応医療機関への登録と、かかりつけ患者以外に対しても診療を拡大するよう、東京都医師会と連携して働きかけを行ってまいりました。
 また、五類移行に当たり、安全性と効率性の両立が可能な感染防止対策についての研修を実施するとともに、パーティションや空気清浄機等の設備整備費補助等の支援も行っております。さらに、外来対応医療機関に登録されていない診療所に対しましては、個別に連絡を行い、具体的な状況を確認しながら、補助事業の案内や制度理解に向けた丁寧な説明を行ってまいりました。
 移行期間の延長を受け、より幅広い医療機関が新型コロナウイルス感染症に対応するよう、引き続き東京都医師会とも連携し、外来医療提供体制の構築を進めてまいります。

○吉住委員 次に、コロナ禍での事業者への支援について、振り返りながら伺いたいと思います。
 令和二年四月に緊急事態宣言が発令されて以降、飲食店などへの営業時間短縮などの要請が断続的に行われてきたことは、五類移行となった今も記憶に新しいと思います。
 こうした中、都は、この要請の実効性を確保し、感染拡大を防止するべく、全国に先駆けて感染拡大防止協力金を創設し、これまでの間、十九回にわたって協力金を支給してきました。
 要請に協力した飲食店などの事業者にとっては協力金はまさに事業継続の命綱となるものですが、長引く要請によって売上げが減少し、厳しい経営状況に置かれた事業者からは、これを改善する制度の見直しを求める声が様々あったと思います。
 そこで、都は、こうした声を受け、どのような制度の見直しを行ってきたのか、これまでの支給実績と併せて伺います。

○池野産業労働局産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長DX推進担当部長兼務 都は、営業時間短縮等の要請の実効性を確保するため、事業者の経営状況を踏まえた協力金制度の見直しなどに取り組んでまいりました。
 具体的には、飲食店の各店舗に一律の金額を支給する方法から、店舗ごとの売上高や売上高の減少額を基準として支給する方法に切り替えたほか、協力金の一部を要請期間の終了を待たずに先渡しする取組などを実施してまいりました。
 こうした取組により、支給実績については約百三十九万八千件の申請を受け付け、約百三十七万三千件の支給決定を行い、支給額は約一兆九千六百二十五億円となっております。

○吉住委員 飲食店などからは協力金をもらって助かったとの声も届いており、大変困難な状況の中であったと思いますが、試行錯誤しながら取り組まれたものと評価しております。
 一方で、緊急事態宣言に伴う休業や時短営業などの措置は、飲食店との取引のあるおしぼり事業者や酒類販売店などをはじめとした様々な事業者の経営に影響を与えました。
 このため、国は、月の売上げが五〇%以上減少した事業者に対し、月次支援金の給付を行いましたが、都は、この国の制度である月次支援金と連携し、国が支援金の対象外とする事業者へも対象を拡大するとともに、国の支援金へ加算して独自に支給を行うなど、厳しい状況にある様々な業種の中小企業等を支援してきました。
 そこで、この月次支援給付金について、都独自の取組と支給実績について伺います。

○池野産業労働局産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長DX推進担当部長兼務 都は、中小企業者等月次支援給付金について、国の制度と連携しつつ、コロナ禍において大幅に売上げが減少した都内中小企業等の厳しい経営状況を踏まえ、対象事業者の拡大や支給額の加算などを独自に実施してまいりました。
 具体的には、支給対象となる中小企業等の売上げの減少割合について、国制度では五〇%以上の減少としていたものを、都においては、酒類販売事業者は二か月連続で一五%以上の減少、その他の事業者については三〇%以上の減少までを対象としたほか、支給額についても国の支援金二十万円に、売上げの減少割合に応じて最大六十万円を加算して支給してまいりました。
 こうした取組により、支給実績については、約四十五万件の申請を受け付け、支給件数は約四十三万四千件、支給額は約二百七十六億六千万円となっております。

○吉住委員 コロナ禍で、緊急事態宣言などの影響を受けた飲食店との取引のある事業者をはじめ、様々な中小事業者に対して、都独自に国の給付金を加算するとともに、国の支援対象外の事業者まで幅広く支給したことは評価したいと思います。
 コロナとの闘いが長期化する中で、感染防止と社会経済活動の両立を図るためには、飲食事業者をはじめとする多くの事業者が感染防止対策をしっかりと行った上で、営業を続ける必要がありました。都内の中小零細事業者も厳しい経営状況の中、お客様が店舗などの施設を安心して利用できるよう、換気や消毒などの感染症対策を施すことにより困難な状況を乗り切ってまいりました。
 都は、中小企業の感染症対策を助成する事業として、事業者からのニーズも踏まえて充実を図りながら実施してまいりましたが、これまでの取組内容と支援の実績について伺います。

○山崎産業労働局商工部長 都は、中小企業等が感染防止対策として行うサーモカメラなどの備品の購入や換気設備の工事などに必要な経費の助成を令和二年六月に開始し、これ以降、感染症対策をより多くの事業者に実施していただくよう支援の拡充に取り組んでまいりました。
 具体的には、令和三年一月からアクリル板などの消耗品を新たに助成の対象に加える見直しを行ったほか、令和四年一月からは本事業を一度利用した事業者も再度利用できるよう改善を図りました。
 これらの取組により、本年七月末時点で支給件数が約三万九千件、支給額は約百九十六億八千六百万円となってございます。

○吉住委員 都の感染拡大防止協力金や月次支援給付金、中小企業による感染症対策への助成金は、コロナ禍の厳しい状況で多くの事業者の支えになったものと思います。様々な事業者からの声を受け止め、制度の見直しを行うなど、事業者の目線に立った事業を実施されてきたとも理解しています。
 こうした経験をこれからの中小企業支援にも生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山崎産業労働局商工部長 東京の産業を支える中小企業が、経営をめぐる様々な課題や環境の変化に迅速に対応できるようサポートしていくことは重要でございます。
 今後とも、社会経済状況の変化を踏まえ、中小企業のニーズを適切に受け止めた的確な施策を講じるとともに、その取組内容を分かりやすく周知するほか、手続の簡素化なども進めることで経営を適切に支援してまいります。

○吉住委員 試行錯誤を繰り返しながら新型コロナ対策に取り組んできた経験は、東京都にとってとても大きなものだったと思います。これからもこうした経験をいわばコロナ対策のレガシーとして今後の施策に生かしていただくことを期待して、質問を終わります。

○磯山委員 それでは、二〇二三年五月八日に感染症法上の位置づけが五類になりました。五類移行以降の都立学校における感染状況等について伺います。

○村西教育庁都立学校教育部長 都立学校における新型コロナウイルスの感染による臨時休業につきましては、五類移行後から九月十五日までの間に、学級閉鎖四十四件、学年閉鎖六件、学校閉鎖六件となっております。

○磯山委員 次に、五類移行後の学校における具体的な感染症対策について伺います。

○村西教育庁都立学校教育部長 都立学校では、五類感染症移行後の新型コロナウイルスの感染症対策につきまして、文部科学省の学校における衛生管理マニュアルを参考として、各学校の実情に応じた対応を行っております。
 具体的には、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行後におきましても、家庭との連携による児童生徒の健康状態の把握、適切な換気の確保、手洗い等の手指衛生やせきエチケットの指導といった対策を講じております。
 また、地域や学校において感染が流行している場合などには、活動場面に応じて近距離、対面、大声での発声や会話を控えること、児童生徒間の触れ合わない程度の身体的距離を確保すること等の措置を一時的に講じるなどの対策を実施しております。

○磯山委員 学校においては、黙食が行われました。賛否に関しては都民からも様々な意見がありました。各市区町村の判断とはいいつつも、都教委のマニュアルを参考にする自治体がほとんどでありました。
 また、各市区町村との情報共有の中で、都から強制されていると誤解されるような事務手続がなされたこともありました。黙食は、実施主体が不明瞭であると私は思っております。
 都は、マニュアルの作成に関して文科省のガイドラインを参考にしていたといいつつも、結果的には都独自の施策だったように感じています。
 そこで、黙食の感染防止効果についての評価と課題について、都の認識を伺います。

○村西教育庁都立学校教育部長 都教育委員会が都立学校等に求める新型コロナウイルス感染症に対する感染対策につきましては、原則、国の方針を参考に実施してきております。
 経緯を申し上げます。黙食につきましては、学校内外での飲食等による感染事例が見られていたことから、令和三年七月にマスクの着用や黙食を徹底するよう都立学校に通知しております。
 令和四年二月の内閣府の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針におきましても、飲食はなるべく少人数で黙食を基本とすることなどについて国民に周知することが求められておりました。
 令和四年十一月に内閣府の基本的対処方針が変更され、黙食による感染症対策についての記載が削除されるとともに、文部科学省の事務連絡におきまして従前から黙食は求めていないとの通知がございました。
 これらの内閣府の基本的対処方針の変更や文科省の事務連絡を踏まえまして、令和四年十二月に都立学校のガイドラインの改定を行い、黙食の記載を削除し、座席配置の工夫や適切な換気の確保等の措置を講じた上で、食事の時間において児童生徒間での会話を行うことも可能としたものでございます。
 なお、お尋ねの黙食の感染対策効果につきましては、専門家等により評価はなされるべきものと考えております。

○磯山委員 黙食については、都は、今ご答弁で令和三年七月に通知を出したとおっしゃっております。国の方は、令和四年二月なので、都の後に内閣府の基本的対処方針に規定されたということが答弁で示されました。
 令和三年六月二十一日、東京都が通知を出す前になるんですけれども、とある都立学校のホームページを見ていると、その記事の中には黙食をすべきだということが記載をされております。これは都が通知を出す前になります。
 また、私の住んでいる小平市においては、令和二年六月の市教委から保護者に出された通知というかお知らせの中に黙食という言葉が入っております。
 都立学校及び公立の小中学校が、都の通知の以前に黙食に取り組んでいたということになるんですけれども、地域の小学校、中学校や都立高校が独自に黙食をやるということはあんまり考えられなくて、普通は都のガイドラインに従ってやっていますというのが当時の現場のお考えだったのではないかと推察をいたします。
 文科省は従前から一貫して黙食は求めていないといっているわけでありますけれども、であるとすれば、一体これらは、黙食という感染防止対策を始めたのは、これは一体誰なのかということが非常に気にはなるわけであります。今のご答弁を聞いていても、明確にこれだというものを特定できないと私は答弁を聞いて思いました。
 次の質問に移りますけれども、オミクロン以降については症状についてもかなり軽くなってきているとの医学的見地からの考察もあったと記憶しております。
 また、長期化する黙食により、児童に交流の機会の喪失や食育の果たす効果を享受できない状況が続きました。果たして、感染対策の効果と不利益とが釣り合っていたのかという疑問があります。疑問というか、この辺しっかり検証したらいいだろうと思っております。
 そこで、三年間のコロナの状況に合わせて柔軟に対応する必要があったのではないかと考えているんですけれども、都の見解を伺います。

○村西教育庁都立学校教育部長 繰り返しになって恐縮でございますが、都教育委員会が都立学校等に求める新型コロナウイルス感染症に対する感染対策につきましては、原則、国の方針を参考に実施してきております。
 黙食につきましても、内閣府の基本的対処方針の変更や文科省の事務連絡を踏まえ、令和四年十二月に都立学校ガイドラインの改定を行うなど、国の方針を参考に順次実施しております。
 また、黙食による感染対策の効果につきましては、柔軟に対応する必要があったのではないかというお尋ねについても、専門家等により評価がなされるべきものと考えております。

○磯山委員 次、行きます。二類時は、運動会、遠足、修学旅行や部活動などが影響を受けました。小平市においても中学校の吹奏楽が盛んでありますが、息を吸ったり吐いたりする関係上、練習できない時期が続きました。
 また、甲子園の中止が話題になりましたが、多くの運動部や文化部など、種類を問わず様々な大会で中止が相次ぎました。
 そのような中にあっても、子供たちが前向きな気持ちになれるよう、都教育委員会は、昨年度、子供を笑顔にするプロジェクトを立ち上げ、各学校に体験機会を提供し、参加した子供たちから喜びの声があったと伺っております。五類移行に伴い、現在はコロナ以前の学校生活に戻りつつあるものの、今後もこうした取組は重要であると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○市川教育庁指導推進担当部長 教育委員会は、学校が日常を取り戻していく中で、子供たちの体験機会のより一層の充実につながるよう、昨年度の実績を生かして都内全ての公立学校を対象に、笑顔と学びの体験活動プロジェクトを進めております。このプロジェクトでは、協調性や積極性、他者理解など、豊かな心の育成を図る多様な体験プログラムを用意しております。
 実施した学校からは、コロナ禍では実施が難しかった体験ができ、子供たちの学びが深まった、子供たちが積極的にチャレンジする様子が見られたなどの声が上がっております。

○磯山委員 現役の学校長さんからも、現場から評判の非常に良い施策でありまして、お声を伺うとですね、ぜひ来年度も継続していただくことをこちらは要望させていただきます。
 屋外での部活動の際、マスクを着用しながらの活動は、呼吸への影響や熱中症などのコロナ以外の健康被害の発生を引き起こしました。通学時のマスク着用の義務を課す市区町村も多く、特に乳幼児や小学校の低学年の児童生徒にとっては、身体的または心的な負担も多かったことと推察いたします。
 新入生にとっては、マスクで素顔が見えずにコミュニケーションがうまく取れなかったり、表情自体が硬くなってしまった児童生徒も増加をいたしました。内部疾患を抱えているなど身体的な理由によりマスクをすることができない児童生徒も、社会からの同調圧力によってストレスを感じていたのではないでしょうか。教員の指導や強制なども行われた事例もあったのではないかと思われます。
 そこで、マスクの感染防止効果についての総括及び評価と課題について伺います。

○岩野教育庁地域教育支援部長 マスクの着用につきましては、基本的な感染症対策の一つとして実施してきました。
 都教育委員会では、国の通知等を踏まえ、夏季の熱中症対策を優先させる等、学校現場において活動場所や場面に応じためり張りのあるマスクの着脱が行われるよう、具体的な着脱の場面等を例示したリーフレット等により、学校や区市町村教育委員会に周知してまいりました。
 現在は、国におけるマスク着用の考え方を踏まえ、児童生徒及び教職員に対し、マスクの着用を求めないことを基本とすることについて周知するとともに、様々な事情がある児童生徒がいることから、マスクの着脱について強いることがないよう周知をしております。
 なお、マスク着用による感染防止対策の効果につきましては、専門家等による評価がなされるべきものであると考えております。

○磯山委員 今後も、感染症対策においては、社会から何らかを強制されるといった風潮が助長されることは予見可能であります。同調圧力の下、少数派の人権が踏みにじられる事態が生じる可能性は、マスク着用をめぐる国民間の議論などから非常に高いのではないだろうかと私は推察をいたします。
 行政が果たす役割とは、感染症対策について科学的な根拠を示しつつ、冷静な判断をもって社会の秩序を維持することであります。
 学校においても、感染症に関わる人権問題について子供たちに指導することが重要だと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○小寺教育庁指導部長 学校では、児童生徒が感染症について正しく理解し、感染症に対する不安が偏見や差別につながることのないよう、適切に指導することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、都内全ての公立学校の教員に配布している指導資料人権教育プログラムに、感染症の理解を深める資料を掲載するとともに、感染症に関連するいじめについて学ぶ漫画形式のデジタル教材を開発するなど、児童生徒に対する人権教育を推進いたしております。

○磯山委員 GIGAスクール構想の下、タブレット端末の配備が計画され、コロナにより加速、オンライン授業などの各学校の創意工夫がなされました。周辺環境の整備など、都の支援は迅速かつ十分な対応であったと考えております。
 今後も、引き続きデジタル化の支援については積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○篠教育庁企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会は、区市町村に対し、デジタル利活用支援員を一校一人配置できるよう経費を補助しております。
 また、国は、ヘルプデスクの設置や校内ネットワークの点検などの経費の一部を区市町村に補助しており、都はこれに上乗せ補助をしております。
 これらの支援について、申請自治体数は令和五年度にはいずれも五十一自治体になるなど、事業の活用が広がっております。
 GIGAスクール推進協議会を通じて区市町村に事業の周知を図るなど、引き続きデジタルを活用した学びが継続できるよう支援してまいります。

○磯山委員 デジタル化に伴い、オンライン授業など学校間や教員間の格差も顕著になりました。この格差を解消するためには、デジタル化に関する教員の指導力の向上を図ることが必要だと考えますが、そのための取組について伺います。

○小寺教育庁指導部長 都教育委員会は、デジタル機器の活用経験の浅い教員が先進的に取り組む教員の実践を学ぶなど、一人一台の学習者用端末を活用した教科等の指導法に関する研修を行っております。
 また、教員向けポータルサイトにデジタル機器を効果的に活用した優れた指導事例を掲載し、随時更新しており、こうした取組を通して教員の指導力を高める取組の充実を図ってまいります。

○磯山委員 次に、コロナ禍でも増加したといわれております不登校や虐待の防止に向けたこれまでの対策と、これからどのように取り組んでいくのかについて伺います。

○小寺教育庁指導部長 都教育委員会は、休校や分散登校など感染症対策を講じる中においても、子供の不安や悩みに適切に対応できるよう、学校へのスクールカウンセラーの派遣回数の拡充や、スクールソーシャルワーカーの活用に係る経費の追加補助など、不登校の子供への支援や虐待の防止につながる取組の充実を図ってまいりました。
 今後とも、コロナ禍で得られた知見を踏まえ、いかなる状況においても子供が安心して生活し、学ぶことができますよう、関係機関と連携しながら相談支援体制を整えてまいります。

○磯山委員 ここまでコロナ対策を振り返ってまいりましたが、ここで、これまでのコロナ対策に対しての総括及び評価について、都教育委員会の見解を伺います。

○秋田教育庁教育政策担当部長 都教育委員会は、コロナ禍におきましても、児童生徒の学びを継続するため、基本的な感染症対策の徹底やオンラインの活用、子供の不安や悩みの解消に向けた取組などの充実を図ってまいりました。
 学校は、学習機会と学力を保障する役割のみならず、子供の発達、成長を保障する役割や居場所等の役割も担っていることについて、改めて認識する機会となりました。
 こうした経験を踏まえまして、今後も、子供たち一人一人に寄り添いながら、学校運営を着実に進めてまいります。

○磯山委員 今回振り返った中でも様々な課題があることが分かりました。
 そこで、外部の有識者等の多様な切り口から意見を聞き、これまでのコロナ対策の振り返りが必要であると考えます。その意見などを踏まえ、感染症への備えを固めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○水野総務局危機管理調整担当部長 都はこれまで、新型コロナ対策について感染拡大防止や医療提供体制の充実に取り組み、得られた知見や経験を次の対策に生かし、東京モデルを確立させ、幾度も感染の波を乗り越えてまいりました。
 新型コロナが社会全般に与えた様々な影響について、有識者からいただいた意見や専門家の助言を踏まえつつ、国が新たに設置した内閣感染症危機管理統括庁や各局等と緊密に連携し、新たな感染症に備えてまいります。

○磯山委員 今後の感染症対策は、学習機会と学力を保障する役割のみならず、子供の発達、成長を保障する役割や居場所等の役割も担っていることとの答弁にもあるように、いかに学校での活動を担保していくのか、子供たちの教育機会を失わないためにはどうしたらいいのかという視点が重要であると思っております。
 今回の質問を通じて、都教委においても、黙食やマスクなどの感染症対策の効果については専門家により評価がなされるものとの認識が示されました。振り返りと課題の洗い出し、そして何より真摯に向き合う姿勢の下、専門家による検証や評価が私も必要であると考えます。
 鉄は熱いうちに打て、感染症はいつ来るか分からない、スペイン風邪のように百年後かもしれません。だからこそ、迅速に検証しておくことは、将来世代の貴重な財産を残すことになるんだろうと思っております。
 課題について認識を共有したことを確認できましたので、今後の都の具体的な取組に期待して、私の質問を終わります。

○森村委員 今年五月に、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の分類、二類から五類に引き下げられまして初めての夏を迎えました。夏場はエアコンを効かせる関係で換気が悪くなります。コロナ禍の中で、これまでも大きな感染の波を夏場には迎えてきました。今夏は歴史的な酷暑となりましたが、そのような中で患者発生数は増加、第九波ともいうべき様相を呈しております。
 モニタリング分析によれば、今夏の感染状況は現在、ピークからやや横ばいという状況ですが、公表されているデータからは、夏休みが終わり、新学期が始まった学校において子供たちや学生の感染が広がっていることが読み取れます。
 インフルエンザの同時流行も指摘されておりまして、新学期が始まって間もない状況の下で、各地で学級閉鎖が次々に起きている状況です。
 こうした状況は恐らく、夏場同様に換気が悪くなる年末年始を挟んだ冬場にも想定されます。次の冬を乗り越えるためにも、私たちは夏場における感染状況の推移や医療提供体制のキャパシティーについて注視をしてきたところでございます。
 今後も感染拡大が繰り返されることを前提に、都内医療提供体制やハイリスク層への対応をどのようにしていくべきなのか、これを明らかにしたいと思います。
 そこで、まず初めに、今夏の感染状況についてお伺いいたします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、新型コロナウイルス感染症の五類移行後も、専門家によるモニタリング分析を継続しております。モニタリング項目の分析結果のほか、数値の増加スピードや医療現場の実態などを踏まえて、感染や医療提供体制への負荷の状況を総合的に判断しております。
 五類移行前とは受療行動が変化しているため、絶対数での比較は困難であるものの、感染スピードは従来の流行時と比較すると緩やかであったと認識しております。

○森村委員 五類移行に伴いまして、都内のコロナ病床数が段階的に減らされました。軽症患者は、一般の病院で受入れを行う体制に移行してきました。
 一方で、新型コロナへの対応可能な医療機関を増やして、対応可能な医療機関を都のウェブサイトに掲載するなど、体制の変更を進めてきました。
 今夏の感染拡大の中で、都内の医療提供体制はどのような状況にあったのか、二類から五類へ移行したことも踏まえてお伺いいたします。

○加藤保健医療局感染症対策部長 五類移行後は、新型コロナウイルス感染症の定点当たりの患者報告数の緩やかな増加に伴いまして、入院患者も増加いたしました。
 コロナ以外の熱性疾患の流行や猛暑による熱中症搬送事例の増加もありまして、救急外来や入院等の医療提供体制への負荷も見られました。
 一方で、都は、五類移行後も重症患者等を受け入れるための病床確保や、介護が必要な高齢の方などを受け入れる高齢者等医療支援型施設の運営を継続いたしますとともに、医療機関への感染対策のオンライン研修や設備整備支援を行い、幅広い医療機関での患者の受入れを進めてきておりまして、医療提供体制は確保されていたものと認識しております。

○森村委員 今夏については、大きな感染の波が見られたものの、感染拡大のスピードが比較的緩やかだったために医療提供体制が逼迫とまで行かなかったということだろうと思います。
 ご答弁にありましたとおり、夏場は熱中症搬送などもありまして、医療提供体制に負荷がかかりやすい傾向がこれまでも見られてきました。
 こうした状況を見越して、令和五年第二回定例会において成立した補正予算で、医療提供体制が逼迫した場合に取るべき対応について、今年度分の予算措置がなされています。
 そこで、今夏の感染拡大の中で予算措置されてはいたものの、実際には執行せずに済んだ施策はどのようなものがあったのか、また、その理由について伺います。

○加藤保健医療局感染症対策部長 都は、新型コロナの感染拡大時におきまして、土日休日の小児診療体制の確保や入院患者の受入れ、転院の促進などが必要となった場合への備えといたしまして、医療機関等に対する支援を機動的に行うための体制を確保しております。
 こうした支援につきましては、専門家によるモニタリング項目の分析結果のほか、数値の増加スピードや医療現場の実態などを踏まえ、医療提供体制への負荷の状況を総合的に勘案し、必要性を判断することとしております。
 この夏、都内の定点当たりの患者報告数は増加基調が続いている中、入院患者数も三千人近くまで増加はいたしましたが、約三千百の確保病床の使用状況は最大で半数程度と、確保病床以外での患者の受入れが進んでおります。
 また、毎週のモニタリング分析における専門家との意見交換におきましても、医療現場が逼迫しているという意見は示されなかったため、都による機動的な支援策は実施しておりません。
 都は、十月以降も専門家によるモニタリング分析を継続することとしておりまして、引き続き、今後の感染動向や医療提供体制の状況等を注視しながら、必要な対策を機動的に講じてまいります。

○森村委員 医療提供体制逼迫時の医療機関への支援策については、次の冬場にも予想される感染拡大の波への対策として有効なものと考えます。感染状況等をモニタリングした上で、適時適切にご対応いただくように求めておきます。
 さて、現在の感染の主流はオミクロン株のXBB系統であり、入院しても重症化する方は少なく、ワクチンの接種や治療薬の投与などのおかげで、その多くが軽症で済むというような状況であると聞いております。
 一方で、高齢者や障害者、基礎疾患を有する方など、ハイリスク層の方々については、引き続き感染防止に努めるとともに、医療提供体制を盤石なものとしていくべきと考えます。
 今後、都として医療提供体制をどのように維持継続していくのか伺います。

○加藤保健医療局感染症対策部長 都は、新型コロナの五類移行に当たりまして、都民の不安や医療現場等の混乱を招かないよう、必要な取組を継続しながら通常の医療提供体制への移行を段階的に進めることとしております。
 こうした方針の下、ハイリスク層を守るための取組として介護度が高い高齢者を受け入れる八つの高齢者等医療支援型施設の運営や、高齢者施設等における集団感染を防止するための施設の職員を対象とする集中的検査などを継続しておりますが、冬の感染拡大への備えといたしまして十月以降も引き続き継続してまいります。
 一方で、高齢者や妊婦の療養のための宿泊療養施設や酸素・医療提供ステーションの運営につきましては、五類移行後の患者受入れの実績等を踏まえ、必要な機能を高齢者等医療支援型施設などに引き継ぎ、九月末で終了することといたしました。
 引き続き、都民の命と健康を守るために必要な体制を確保しながら、国が示しております来年四月からの通常の医療提供体制への完全移行に向けまして着実に取り組んでまいります。

○森村委員 先般、地元の高齢者施設を訪問する機会がありましたが、感染症法上の分類が五類に変更された後も、施設入館時の検温やアルコールによる手指消毒、マスクの着用の徹底など、外からの面会が許されてはいるんですけれども、感染防止策の徹底、これは継続されておりまして、施設関係者の意識は、その外側、外の世界のそれとは全く異なるものであるということを改めて感じた次第です。
 ハイリスク層を守る体制をいかに継続するかが重要ですが、高齢者施設や障害者施設における感染拡大防止策の支援の継続に関わる取組がどのようなものなのか伺います。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、第六波の感染拡大時において、多くの高齢者施設や障害者施設で新型コロナの感染者が施設内で療養することとなった状況を踏まえ、令和四年四月から施設の感染対策を実地で支援する即応支援チームの派遣を開始いたしました。
 即応支援チームは看護師で構成され、新型コロナの感染者が発生した施設に対し、依頼を受けてから二十四時間以内に派遣を行い、ゾーニングの徹底による施設内の感染拡大防止対策などの指導助言を行っております。
 また、感染者がいない平時においても依頼に基づき、手洗い、手指消毒の正しい方法や個人防護具の適切な着脱などの実施研修を行っております。
 今後も、冬の感染拡大に備えて、高齢者施設や障害者施設に対し、即応支援チームを迅速に派遣する体制を維持し、施設における感染対策を引き続き支援してまいります。

○森村委員 次に、後遺症に悩む方々への対応について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の大きな特徴の一つが、様々な症状が長期間継続する後遺症の存在です。ほとんどの方は感染後時間の経過とともに症状が回復していくわけですが、一部の方々は原因不明の症状に悩まされ、中には日常生活を送ることすらままならないほどの不調に長期間仕事を休まなければならないという方もいらっしゃいます。
 我が会派は、後遺症に悩む方々が相談できる窓口の設置や医療機関で得られた知見の提供体制の整備について提案、また、これまでの間、重要視をしてまいりました。
 感染症法上の分類は変更になりましたが、後遺症についての研究、これはさほど進んでいないように見受けられます。発生原因や治療法がいまだ解明されていない状況が続く中、引き続き、後遺症に悩む方々への対応については継続すべきと考えますが、見解を伺います。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 後遺症は、いまだその原因や治療方法が明確になっておらず、症状が長期間継続する場合もあり、後遺症に悩む方への支援と、医療従事者をはじめとする都民の方の後遺症への理解促進が重要でございます。
 都は、令和四年九月から、都民が身近な医療機関で受診できるよう、後遺症に対応している医療機関のマップを公開するほか、症状別や地域別にまとめたリストを公表しております。
 また、東京iCDCの専門家の協力を得て、後遺症診療に関する最新の知見を提供する医療従事者向けのオンライン研修会を実施するほか、症例の紹介や最新の情報を含めた都民向けリーフレット、職場での支援のポイント等をまとめた企業向けリーフレットを作成してまいりました。
 今後は、東京iCDCの専門家の協力の下、後遺症に悩む子供への配慮のポイント等をまとめた保護者向けリーフレットと、後遺症に悩む児童生徒の支援方法などを内容とする学校の教職員向けデジタルブックを制作することとしております。
 こうした取組を進めまして、後遺症に悩む方への支援と後遺症に関する理解促進を継続してまいります。

○森村委員 発熱やせきなど、罹患時の症状よりも、むしろ後遺症に悩まされている方も多くいらっしゃると聞いております。我が会派の清水委員も、長期間、原因不明の激しい頭痛で悩まされておりました。
 できれば、後遺症の発生原因や治療法、これは対症療法でも結構ですので、対応の仕方を一日も早く社会に提供できるように、都としても積極的な関与、働きかけをしていっていただきたいと思います。
 また、中には免疫系の異常を発症する方もいらして、異常の発見に時間がかかるケースもあると聞いています。発生頻度の低いレアな症状などについても、情報収集、蓄積、そして医療機関にも共有いただくなど、後遺症に悩まされる方々の苦しみを少しでも取り除くことができるよう、引き続き努めていただくことを求めまして、次の質問に移りたいと思います。
 臨時医療施設について伺います。
 臨時医療施設は、デルタ株が感染拡大しました第五波の中でその必要性が検討されまして、酸素・医療提供ステーションの整備などが行われましたが、その後、感染の主流となったオミクロン株の特性や日々刻々と変化する感染状況、そして利用者のニーズ等を踏まえて、運用形態を変えながら、現在、都内八か所で運用がなされております。
 これら都内八か所で運用されている施設については、もうしばらくの間、継続されるものと聞いていますが、これらの意義や役割について、改めて確認をさせていただきたいと思います。

○小原保健医療局感染症対策調整担当部長 高齢者等医療支援型施設は、オミクロン株が流行した第六波において、高齢者の医療機関への受入れが課題となっていたことから、病床を補完する臨時の医療施設として設置いたしました。
 この施設では、軽症や中等症で要介護五までの高齢者や障害者を受け入れ、治療や介護に加え、退所後に元の生活へ戻れるようリハビリテーションを実施いたしております。全八施設のうち六施設では救急要請に対応いたしますほか、赤羽の施設では透析患者を受け入れております。また、より症状の重い方が病院で入院治療を受けられるよう、全ての施設で病院から症状が軽快した患者を受け入れるなど、感染状況やニーズに応じて機能を強化いたしております。
 十月以降も病床を補完し、高齢者等のハイリスク層を守るため八施設の運営を継続してまいります。

○森村委員 当初、この臨時医療施設については、医療提供体制が逼迫、これを極める中で野戦病院の議論なども行われ、これは結構報道でもそういう話があったことを記憶しています。
 特措法で定められた臨時医療施設の設置運用を行った今回の経験は、非常に貴重なものになるのではないかと考えております。
 今後、どのような感染症がまた発生するのか分かりませんが、こうした運営のノウハウや経験についてはぜひ整理して、また蓄積いただくことを求めておきたいと思います。
 ご答弁にありました高齢者等医療支援型施設への申込みにつきましては、主に都の入院調整本部が調整していると聞いていますが、九月末で入院調整本部が終了した後の申込み方法について伺います。

○小原保健医療局感染症対策調整担当部長 現在、高齢者等医療支援型施設への入所につきましては、救急要請による調整のほか、診察した医師が患者の情報を所定の入所調整のシステムに入力の上、保健所を通じて都の入院調整本部へ調整を依頼することといたしております。
 都の入院調整本部が終了した十月以降においては、診察した医師が同様にシステムに入力の上、直接、各高齢者等医療支援型施設へ申し込むことといたします。

○森村委員 次に、補助金の不正受給について伺います。
 PCRの無料検査事業におけます不正に関する報道が全国的に続きました。国の地方創生臨時交付金を財源に都道府県が執行してきた事業ですが、未曽有のパンデミックの中で莫大な公費が投入されたこの事業は、検査数の水増し請求などが横行、一部刑事事件にまで発展してきました。
 新型コロナの急速な感染拡大の中で、行政として短期間で制度設計を行い、予算を確保し、大規模かつ極めて迅速に事業展開を進めることが必要であったこと、都民の命と健康を守ることを最優先し、オペレーションをいかに円滑に進めるかが重視されたがために、様式が整っていれば認めざるを得なかったという状況があったのではないかと推察します。性善説に立った制度設計と運用が行われてきたことが、悪質な事業者がつけ入る隙をつくってしまったのではないかと考えます。
 再発防止策を検討するためにも、まずは、なぜこのようなことが発生したのか十分な分析が必要だと考えますが、都の所見を伺います。

○及川保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、国の補助要綱に基づき、新型コロナが感染拡大傾向にある状況において、感染に不安を感じる無症状者を対象に令和三年十二月から令和五年五月七日まで無料検査事業を行いまして、累計の事業者数は五百八十八者、検査所数は千六百六十六か所でございました。
 本事業を行った事業者の中には、架空や水増しによる虚偽の実績報告を行った事例や事業者が検体採取時の立会いを行わない事例など、重大な不正がございました。
 こうした事例は、都が補助金の審査を行う過程で立入調査や架電調査を行った際に確認したものでありまして、都は、十一事業者に対して補助金交付決定の取消し等の措置を講じ、事業者名の公表を本年六月二日に行いました。
 なお、無料検査の不正事案につきましては、適宜警視庁に情報提供を行っておりまして、先般、一事業者について関係者が逮捕された旨を警視庁が公表したところでございます。

○森村委員 今後またいつ起こるか分からない未知のウイルスによるパンデミック、あるいは首都直下地震など大規模な自然災害の際には、恐らくまた非常に大規模な予算を要する施策が打たれることになると思います。そして、それを狙う悪質な事業者がいることを踏まえて、社会全体で警戒に当たる必要があることを指摘しておきたいと思います。
 同時に、こうした悪質な事業者に流れた都民の財産については、警視庁ともしっかり連携をしながら断固として返還させるための取組が必要です。
 不正事業者に支給した資金が一体どうなっているのか、これまで発表した以外の事業者についてどう対応していくのか伺います。

○及川保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、不正を行った事業者から申請があった補助金約百八十三億円を不交付といたしまして、そのうち約十七億円の交付済補助金について返還を命じました。期限までに納付がなかった事業者に対しては督促を行うなど、債権回収の手続に沿って対応しております。
 また、都はこれまで、全事業者を対象に補助金交付申請や実績報告などの各段階で丁寧に審査を行いまして、不正が疑われる場合には現地調査等を実施してまいりました。
 今後新たに不正が発覚した場合においても、引き続き厳正に対処してまいります。

○森村委員 今後新たな不正が発覚した場合に厳正に対処するという旨のご答弁がありましたが、あるいは、まだ明るみになっていない不正がどれだけあるのか、また、全て洗い出すことができているのか、これはまだ分かりません。何らか疑義がある場合などにおいては、丁寧に検証を行っていただくことを求めておきます。
 コロナ禍の中で新設された、言葉はふさわしいかどうか分かりませんが、レガシーといっても過言ではないのが東京iCDCだと考えております。
 都は先般、コロナ対策の中枢を担った東京iCDCの取組の軌跡を公表したところで、私も目を通しましたが、非常によくまとまっています。
 東京iCDCは、新型コロナウイルス感染症が東京に上陸して半年足らずの状況でありました令和二年の第二回定例会で、私たちが代表質問で、米国の疾病対策予防センター、いわゆるCDC、これを引き合いに、都としても常時独立して感染症に関する研究や世界情勢について分析をする東京版のCDC、これを設置すべきであると提案し、実現に至った機関であります。
 当時は、まだ感染第一波が、どうでしょう、終息したばかりの段階で、私たちはいつ終わるとも分からない未曽有の感染症を前に、都民を守るためには、国に頼るだけではなくて、都として新たな感染症に対し独自の情報源と分析力を持つべきであると提案をさせていただきました。
 その後、設置をされた東京iCDCは、ここまで続いた世界的なパンデミックの中で、私たちの期待以上に重要な役割を果たしてきたものと考えています。
 そこで、改めて東京iCDCが果たしてきた役割について伺います。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 東京iCDCは、コロナ禍において八十名を超える様々な領域の専門家の助言を得ながら、調査分析、情報収集、発信などを行ってまいりました。
 具体的には、変異株の動向や夜間滞留人口と実効再生産数の推移などをモニタリング会議等で報告し、都民への注意喚起を行いました。
 また、ワクチン接種後の抗体保有状況を定期的に調査分析しましたほか、換気の重要性やマスク着用の考え方などを都民へ分かりやすく周知いたしました。
 さらに、ハイリスクの方が集まる高齢者施設等では、感染拡大防止に関する研修の実施や感染対策事例集の作成等により、各施設の新型コロナに対する対応力強化を支援するなど、東京iCDCは、都の新型コロナウイルス対策全般の司令塔としての役割を果たしてまいりました。

○森村委員 東京には数多くの優秀な専門家がいます。また、都立、公社病院は、二千床もの病床を確保してコロナ患者の受入れと治療に当たってきました。こうした経験が未来に及ぼし得る価値は計り知れません。
 新型コロナのパンデミックは、スペイン風邪の流行以来、百年に一度の世界的な有事であったと思いますが、近年のSARSやMERSなどの新たな感染症の流行事例、これを考えても、まだ見ぬ新たな感染症が今後も恐らく五年あるいは十年ごとに発見されて、高度にグローバル化され、国境を越えた人の往来がますます盛んになっていく今後の国際社会において、瞬く間に流行していくことは想像に難くありません。
 まだ見ぬ危険な感染症が流行するとき、これまでの経験を経て得られた知見や専門家たちを有機的につなぐことができたネットワークを持つ東京iCDCの役割は、非常に重要なものになることでしょう。
 コロナ禍に対する我が国の体制は、ここで一段落を見ることになりますが、コロナ禍の中で生まれた東京iCDCについては、東京が感染症へのレジリエンスを維持するために、その機能の維持を継続すべきものと考えます。
 そこで、今後、東京iCDCをどのような形で存続させていくのか、また、平時における役割について伺います。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 新型コロナウイルスが五類に移行した今後につきましては、東京iCDCは、新型コロナウイルスに限らず、感染症全般を対象とし、平時からの対応力と有事への備えを強化してまいります。
 具体的には、国内外の研究機関や病院等との連携、学会等での情報発信を行うなど調査分析機能を強化し、ネットワークの拡充を図ってまいります。
 また、局内所管部署と連携し、効果的な感染症対策の実施を支援しますほか、感染症医療人材の確保、育成を推進し、感染症全般への備えを強化してまいります。
 さらに、都民や事業者への感染症に係る普及啓発活動などを通じまして、社会全体における感染症対応力の向上を図り、サステーナブルな都市の形成に寄与してまいります。
 これらの取組により、感染症に強い都市東京の実現に取り組んでまいります。

○森村委員 先日拝見したデータによりますと、コロナ禍の中で我が国は各国に比して単位人口当たりの死亡者数が格段に少なく、とりわけ東京は感染者数が大きかったにもかかわらず、その被害が抑制されていたことをうかがわせる内容でありました。
 亡くなられた多くの方々には改めて弔意を表するものでありますが、未曽有の事態の中、手探りをしながら奮闘してくださった医療従事者やエッセンシャルワーカーの皆さんによる現場での膨大なご努力とご尽力、日々刻々と変化する感染状況や次々に出現する変異株などの状況に対して、可能な限り迅速かつ的確な対応に努めてきた都職員の皆さんのご尽力と、そして、それらを都民に対して分かりやすい言葉を用いて訴え続けてきた小池知事の発信、何より、それらを受けてご理解、ご協力をいただいてきた多くの都民の力によるものであったと考えます。
 今日この場には、三年間、寝食を忘れながら都民の命と健康のために汗をかき続けてくださった全ての職員さんがいらっしゃるわけではありませんし、もう既に退官というのですかね、されている方もいらっしゃるかと思います。
 改めまして、この場をお借りして感謝と敬意を表したいと思います。
 コロナとの闘いは今後もまだ続くわけでありますが、ここで得た経験を基に、ご答弁にありました感染症に強い都市東京の実現、これをぜひともお願いしたいと思います。
 次に、保健所の今後の在り方について伺います。
 新型コロナ対応では、感染拡大に伴い、相談対応や積極的疫学調査等の保健所の業務が増大しましたが、その後、応援職員等の配置による体制の構築、また、コールセンターや入院調整本部の設置など都による業務の一元化、市町村による自宅療養者支援が行われていくなど、保健所業務の負担軽減が図られました。
 先月、感染症対応を踏まえた都保健所のあり方検討会の報告書が公表されましたが、増大する業務の効率化、住民対応力の向上に、特にデジタル化は大きな効果があったとされています。
 今後、都保健所が地域における健康危機管理の拠点としての役割を果たすためには、DXの活用をさらに進め、保健所業務全体を効率的に行えるようにしておくことが重要であると考えますが、見解を伺います。

○大出保健医療局地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、新型コロナ対応におきまして、紙やホワイトボード等で行っていた患者対応の進捗管理等にデジタル技術を導入いたしまして、保健所の負担軽減を図ってきたところでございますが、次の新興感染症対応に向けてはさらなる業務改善を進めることが重要でございます。
 また、都保健所のあり方検討会では、デジタルツールの活用を進め感染症業務の効率化を図ることに加えまして、感染症以外の様々な保健所業務のDXを進めることも重要との意見をいただいてございます。
 こうした検討会の意見も踏まえ、紙での申請受付業務やシステム入力に時間を要する業務など、保健所業務全体のさらなるDXを推進し、業務の効率化を図ってまいります。

○森村委員 ぜひDXの推進、よろしくお願いします。
 次に、避難所における感染症対策について伺います。
 令和二年から始まったこのコロナとの闘いは、三年以上の長きにわたるものでありましたが、コロナ禍を乗り越えたことによって、例えば三密の回避や動線の管理、マスクの着用、アルコール消毒など、感染症を予防し、また、拡大させないための知見を得られたと考えています。
 この先、新たな感染症が広まっているときに首都直下地震などの大地震が発生した場合、避難所で感染症が蔓延しないよう、今回のコロナ禍で得た様々な知見をどのように生かしていくのか伺います。

○後藤総務局避難所・物資担当部長 大規模災害時には多くの被災者が避難所に避難することから、新型コロナウイルスをはじめとする感染症が広まっている場合においては、避難所でのクラスター発生を防止することが重要となってまいります。
 今回のコロナ禍におきましては、密を避けるため、ホテル、旅館団体と協定を締結し、新たな避難先を確保するとともに、避難所での基本的感染防止対策の徹底や、感染者避難スペースのゾーニングなどを示した避難所における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを作成し、区市町村が開設する避難所での感染防止対策に生かすよう働きかけを行い、実際の台風災害等に備え、ガイドラインに沿った対応が図られてきたところでございます。
 今後も新たな感染症が広まった際には、東京iCDCの知見も得て、感染症の特性に応じた効果的な感染防止対策の構築を図り、区市町村による安全・安心な避難所運営の実現に向けた支援を行ってまいります。

○森村委員 テレワークについて伺います。
 コロナ禍で外出の制限がかかる中で、多くの企業や都民がテレワークを実践し、都の調査でもピーク時には六五%の実施率を確認しています。一方で、現在は四五%ということであります。
 コロナ禍のテレワーク促進のための取組の振り返りと今後の定着に向けた取組について伺います。

○内田産業労働局雇用就業部長 都は、コロナ禍における都内企業のテレワークを促進するため、令和二年三月以降、テレワーク機器の導入経費への助成や導入後の定着を促す奨励金の支給等に順次取り組んでまいりました。
 事業継続のための緊急対策として、テレワークを導入する企業への助成事業においては、約二万四千三百の事業者に支援を行いました。
 また、各企業がテレワークを経営戦略に位置づけ、会社独自の取組のルールを設定する東京ルール宣言では、これまでに約一万社が実施をしております。
 週三日、社員の七割以上が一定期間テレワークを継続することを奨励する事業では、約二千社をテレワーク・マスター企業として認定いたしました。
 このほか、多摩地域や区部で宿泊施設をサテライトオフィスとして、最大で一日当たり四百室を提供する事業などを行いました。
 こうした取組により、テレワークの普及と一定の定着につながりました。
 今後は、より一層の定着に向けて、テレワークのルールの充実に取り組む中小企業等へのサポートに力を入れてまいります。

○森村委員 コロナ禍で一気にテレワークが進み、社会に定着しつつあることが確認できたと思います。
 一方で、建設業や工場内の作業とか農業など、テレワーク自体の導入が難しい業種業態もございます。一層の普及定着に向けた取組を進めていただきつつも、この間の取組を通じた経験などを踏まえて、業種業態に合わせた目標設定を進めていただければと思います。
 次に、新型コロナに苦しむ中小企業を救うために講じられました、実質無利子無担保のいわゆるゼロゼロ融資について伺います。
 コロナが始まった三年前に、経営環境の急激な変化に対する支援として、これ、始まりましたけれども、今年に入って返済開始時期が集中しておりまして、倒産企業の増加も報道されています。
 コロナ禍が長く続いたことや、コロナ後の現在もエネルギーや物価高など経営環境がよくない状況がずっと続いておりまして、その後の返済のタイミングや経営支援が必要と考えています。
 いわゆるゼロゼロ融資の現状と今後の経営支援等の対応についてお伺いしまして、私の質問を終わります。

○福田産業労働局金融部長 都では、コロナ禍で厳しい経営状況にある中小企業の事業継続を、実質無利子で信用保証料の負担のない融資により下支えしてまいりました。
 こうした事業者においては、借入金の返済が始まることに加え、ウクライナ情勢や円安などの影響を受け、金融面から様々支援が必要となっております。
 具体的には、制度融資に新たなメニューを設け、新規の借入れに係る信用保証料の補助などを行うほか、ゼロゼロ融資の借換えにより、新たな返済期間を設定できるようにすることで、事業者の円滑な資金繰りを支援しております。
 また、事業者が事業計画を策定し、融資を受けた後に金融機関が計画の進捗に応じてアドバイスを行う仕組みにより、経営改善をサポートしております。
 今後も様々な資金需要を捉え、中小企業の経営を支援してまいります。

○菅原委員 私からは、学校現場での状況を中心に質問いたします。
 二学期が始まり、新型コロナや季節性インフルエンザの再拡大による学級閉鎖や学校閉鎖が起きています。まずは小中、高校での学級閉鎖について最近の、直近の状況を伺います。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 保健所に届出のあった小学校、中学校及び高等学校の臨時休業の施設数は、二〇二三年第三十五週、こちらは八月二十八日から九月三日までにおいて、小学校一件、中学校三件、高等学校ゼロ件でありまして、第三十六週、九月四日から九月十日までにおいては、小学校三十件、中学校十六件、高等学校十二件となってございます。

○菅原委員 八月以降、新型コロナ感染症の罹患者数が増えてきました。最近の状況を見ると、大人は減っていますが、子供たちの罹患者数は増え続けています。二学期が始まって感染リスクが高まったというのが大きな原因だと思います。
 学びの保障について伺います。
 三年間のコロナとの闘いの中、子供たちの学びの保障についての議論がありました。GIGAスクール構想の前倒しなどにより、全ての児童生徒へのタブレットの配布などが行われて、オンライン授業なども進みました。この経験は、今回のコロナ感染の再拡大でも生かせると考えます。
 コロナやインフルエンザで自宅療養している子供たちの中には、体調も回復をしてオンライン授業に参加できる状態の子供もいます。病気から回復するなど学習に取り組むことができる状況の子供に対してオンラインを活用した学びが保障されているか、状況について伺います。

○篠教育庁企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 令和四年一月時点の国の調査では、都内の小中学校のうち九九・六%が臨時休業等非常時における端末の持ち帰りによるオンライン学習を行う準備ができていると回答しております。
 都立学校においては、現在、全ての生徒にオンライン学習を行う上で必要な統合型学習支援サービスのアカウントを配布しております。
 また、今年度から都立高校等ではオンライン学習デーを実施しており、生徒は、ビデオ会議ツール等を利用して自宅から学習を行うなど、災害等に備え訓練をしております。

○菅原委員 学びの保障の観点から、オンライン授業やICT活用などを確実に進めるために、都として各地域の教育委員会への適切な情報提供のような支援を行うべきと考えますけれども、見解を伺います。

○篠教育庁企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都教育委員会は、都内公立学校の実践事例を掲載した学びのアップデートを定期的に発信しており、オンライン学習についても、先駆的な取組を行っている好事例の共有を図っております。
 また、令和三年度から、都内の各公立学校でICT活用の中核を担う教員約二千二百人を対象とした研修を行っており、この中でオンライン学習を含めた端末の効果的な活用法などについても取り上げております。
 これらの取組により、各地域における指導力の向上を支援しております。

○菅原委員 これからはオンライン学習を定着させるための取組が求められますが、答弁にあったように、都教育委員会は、都内公立学校から教員を招いて研修を行いました。二千二百人という数字は、例えば百人規模の研修を二十二回行った、こういう計算にもなります。なかなかパワフルな業務ではなかったかと思います。
 子供の後遺症について伺います。子供がコロナに罹患した場合の後遺症への対応についてです。
 子供のコロナ後遺症は、子供自身がその症状をうまく伝えられない場合や不定愁訴、頭痛やいら立ち、疲労、不眠など、これらのコロナ後遺症と因果関係が見えにくいなどの状況もありまして、子供自身も、そして家族も、必要以上の不安を感じるケースというのがあります。そのため、子供の後遺症は丁寧な対応が求められます。
 今回の感染症拡大を踏まえて、子供の後遺症について正確な情報の提供とともに、子供のコロナ後遺症に特化した相談窓口の設置が必要と考えますが、見解を伺います。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 現在、八つの都立病院に設置しておりますコロナ後遺症相談窓口では、子供の新型コロナの治療や療養終了後の倦怠感、頭痛やせきなどの症状に悩む子供や保護者の方からの相談に応じるとともに、必要に応じて小児科を持つ後遺症対応医療機関を紹介するなどの支援を行っております。
 また、都では、より身近な医療機関で診療が受けられますよう、五百を超える後遺症対応医療機関をホームページで公開しておりまして、小児科に対応する医療機関をマップとリストから検索できるようにしております。
 今後、東京iCDC後遺症タスクフォースでは、後遺症に悩む子供への配慮のポイントや都立病院のコロナ後遺症相談窓口、後遺症対応医療機関を紹介する保護者向けのリーフレットを作成し、学校を通じて配布してまいります。
 加えて、来月一日には、医療従事者や教職員を対象として子供のコロナ後遺症に関するオンライン研修会を開催いたしまして、日々診療に当たる医師による最新の知見や診療の実際、教育現場における児童生徒の対応等に関する情報提供を行います。
 こうした取組を進めることで、後遺症に悩む子供やその保護者の方からの受診や医療に関する相談に対応してまいります。

○菅原委員 私は、子供の貧困を一つのテーマとして政治活動を続けています。貧困状態にある家庭では、毎日の生活に必死になって、本来家族の真ん中にいるはずの子供の居場所がなくなるという傾向にあります。
 コロナ禍の三年間でも同じようなことがいえたと思います。社会全体が毎日を生きることに精いっぱいで、子供に関わる余裕がありませんでした。そして学校が休校になり、子供たちにとっての居場所と学びの場が失われました。
 家庭でも社会全体でも同じような状況といえます。コロナ禍で、子供が生きる環境全体が貧困に陥ったと考えています。政治と社会の責任で子供が真ん中の社会の再生を進めたいと思います。
 以上で質問終わります。

○柴崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時五分開議

○柴崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 新型コロナが、日本で初めて感染者が発見されてから三年八か月、今でこそワクチンや治療薬による防御策ができましたが、当初は未知のウイルスに立ち向かうすべもなく、皆が不安と恐怖の中でありました。そういった中、医療従事者の皆様をはじめエッセンシャルワーカーの方々のご奮闘により、幾つもの波を乗り越えてくることができました。そして、何より都民お一人お一人が感染防止策を身につけ、皆の努力で活気ある日常生活を取り戻し、コロナと共存しながら社会経済活動を盛んにすることができました。ここに改めて、都民の全ての皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
 さて、五月八日から新型コロナは感染法上の分類が五類へ移行したことに伴い、都は、国の方針に合わせて対策を進めてきているところであります。東京都が九月十四日公表した新型コロナのモニタリング分析によれば、定点医療機関当たり患者報告数は十六・三六人で、前の週より若干は減ったものの、第八波のピークに届く勢いであり、重症化リスクが高い高齢者などの感染拡大を警戒する必要がある、また、東京ルールの適用件数は引き続き高い水準で推移し、救急患者の搬送に長時間かかる事例が発生しており、救急医療が逼迫する事態が一部で生じている、入院患者数は高い水準で続いている、そのため、特に重症化リスクが高い高齢者等への早めのワクチン接種が望ましいとしております。ワクチンにつきましては、後ほど触れたいと思います。
 九月十四日の第五回東京都感染症対策連絡会議において、十月以降の施策の方向性が示されました。
 そこで、私からは、今後の都のコロナ対策について質問をさせていただきます。
 まず一点目は、東京都新型コロナ相談センターについて伺います。
 この夏の感染拡大時に、センターへの電話相談がつながらなかったということはなかったのか、また、都民の方から、医療機関が見つからない、診てもらえないなどの声はなかったのか、現状について確認をいたします。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、新型コロナに関して不安を感じる都民の相談に対応するため、東京都新型コロナ相談センターにおいて、外来対応医療機関の案内や自宅療養中の体調相談に二十四時間対応しております。
 直近の応答件数のピークは八月中旬頃でございまして、一日で約千五百件前後の相談がございました。この間の回線数は、一般相談、医療相談ともに百五十回線で、応答率は、平均で約九九%でございまして、適切に対応することができたものと認識しております。
 また、医療機関が見つからない方からの相談につきましては、お住まいに近い他の医療機関やオンライン診療等をご案内し、受診につながるよう取り組んでおります。

○竹平委員 センターの相談では、外来対応、医療機関のご案内から、自宅療養時の体調についての相談など幅広い相談に対応しており、この夏の感染拡大時にも逼迫することはなく、受診への対応がなされたことが分かりました。実際にセンターにご相談した方からは、とても丁寧に対応してくれたとの声も伺っているところであります。
 今後、冬に感染がさらに拡大した場合を鑑み、外来や救急医療の現場に相談の電話が集中しないよう、外来現場の逼迫を防ぐ上でも、相談センターの役割はとても大きいと思います。都民の不安に応えるため、様々な相談に適切に対応していく必要があります。
 そこで、いつでも相談ができるように、今後も二十四時間体制を継続するとともに、感染拡大時には、すぐ回線数を増やすなど対応が必要と考えますが、都の見解を求めます。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、冬の感染拡大を見据えて、引き続き東京都新型コロナ相談センターを運営し、二十四時間で対応してまいります。
 また、相談センターの回線数につきましては、一般相談は三百回線、医療相談は四百五十回線、合計七百五十回線まで指定することができ、直近の相談件数や感染状況などを踏まえて適切に確保してまいります。

○竹平委員 ただいまのご説明で、二十四時間体制を継続し、相談件数や感染状況を踏まえて回線数を指定し、適切に確保していくとのことでございました。今後、感染が再拡大しても、都民がいつでも相談できる体制を整え、必要な方に医療機関の案内や療養へのアドバイス等を行っていただきますよう要望いたします。
 次に、医療提供体制について質問をいたします。
 都は、五類移行後、幅広い医療機関でのコロナの方の入院受入れを進めてきていると聞いておりますが、この夏は熱中症の方も多かったこともあり、救急車が来ても、ある高齢者の方は受入先の病院が見つからず、家の前で、救急車の中で二時間以上もかかり、大変困ったという声が届いております。
 九月十一日の入院患者数は二千三百五十三人で、高い水準が続いております。冬の感染拡大に備えるためには、一定の病床確保も必要と考えますが、十月以降の病床確保について、都の見解を求めます。

○藤井保健医療局感染症対策調整担当部長感染症対策連絡調整担当部長兼務 国は、本年十月から来年三月までの期間において、来年四月からの通常体制への完全移行に向けまして、確保病床によらない形での患者の受入れを促進するとともに、感染拡大に対応するため、期間、対象を重点化した上で、確保病床を継続可能としております。
 この方針を踏まえまして、都は、国が示す感染状況に応じた段階や即応病床数の目安に応じまして、重症、中等症Ⅱの患者を中心に受け入れる病床を確保してまいります。

○竹平委員 ただいまのご説明で、国がこの十月から、確保病床の期間や対象を重点化するとのことでございますけれども、今後、感染が拡大した場合、医療がしっかりと提供できるよう迅速に対応していくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○加藤保健医療局感染症対策部長 都は、新型コロナの感染拡大時において、入院患者の受入れ、転院の促進などが必要となった場合への備えといたしまして、医療機関等に対する支援を機動的に行うための体制を確保しております。
 こうした支援につきましては、専門家によるモニタリング項目の分析結果のほか、数値の増加スピードや医療現場の実態などを踏まえ、医療提供体制への負荷の状況を総合的に勘案し、必要性を判断することとしております。
 都は、十月以降も専門家によるモニタリング分析を継続することとしておりまして、引き続き、今後の感染動向や医療提供体制の状況等を注視しながら、必要な対策を機動的に講じてまいります。

○竹平委員 感染拡大時にも対応できますよう、しっかりと医療が受けられる体制整備を要望いたします。
 一方、病院以外で、高齢者等医療支援型施設については、この夏の感染拡大時には、八施設六百九十二床のうち、二百から三百床が利用されていた実績があります。冬場の感染拡大に備え、高齢者などのハイリスク層を守る体制を維持するために、十月以降も本施設を継続させていく意義はとても大きいと思います。なお、この施設を利用するに当たっては、高齢者など利用する方の負担を考えると、近隣の施設を選べるようにしていくべきと考えます。
 また、九月までは、この施設に入るときには、保健所による入院調整、都の入院調整本部による広域的な調整を行っておりましたが、十月以降の入所調整をよりスムーズに行うための工夫が必要と考えます。都の見解を求めます。

○小原保健医療局感染症対策調整担当部長 高齢者等医療支援型施設につきましては、緊急搬送への対応を含め、重症化リスクの高い高齢者等が安心して療養できるよう、十月以降も当面の間継続いたします。
 高齢者等医療支援型施設への入所につきましては、現在は、救急要請によるほか、診察した医師が所定の入所調整のシステムに患者情報を入力した上で、保健所を通じて都の入院調整本部へ調整を依頼し、入院調整本部が、患者の症状や居住地等を踏まえて調整いたしております。
 都の入院調整本部は九月末で終了いたしますため、十月以降におきましては、診療した医師が同様にシステムに入力した上で、患者の症状や居住地等を踏まえた高齢者等医療支援型施設へ直接調整を行うことができるようにいたします。

○竹平委員 十月からは、今ご説明があったとおりでございまして、施設入所の調整につきましては、診察した医師が行うということでございます。ただ、この調整が困難な場合もあろうかと思います。その際は、都がしっかりとサポートをし、スムーズに入所ができますよう要望したいと思います。
 次に、感染拡大時に重要なワクチンについて質問をさせていただきます。
 令和五年秋開始接種では、全ての接種対象者が、新たに、オミクロン株XBB・1・5ワクチンを接種することができます。現在、東京都の感染状況は、東京都が公表したモニタリング分析におけるゲノム解析によると、亜系統が主流となっている一方で、EG・5株が約四割を占め、増加傾向にあるといえます。なお、九月十四日に開催された東京都感染症対策連絡会議において、東京iCDCの専門家からは、XBB株とEG・5株は、抗原性が類似しており、オミクロン株XBB・1・5ワクチンは、EG・5株にも効果が期待できると報告もされております。
 まずは、この秋開始接種の接種対象者について確認をさせていただきたいと思います。
 九月二十日からは、初回接種を完了した生後六か月以上の全ての方となっておりますけれども、今まで一度も接種していない方はどうなるのかお伺いいたします。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 新型コロナワクチンを一度も接種していない方には、まずは初回接種を受けていただくこととなっております。
 初回接種についても、追加接種同様、オミクロン株XBB・1・5ワクチンを無料で接種することができます。
 なお、都の大規模接種会場においては、初回接種を継続して実施しております。

○竹平委員 国は、生後六か月以上の乳児も接種の対象といたしました。ワクチン接種を推進するため、接種に関する情報を分かりやすく発信していくことは大変重要だと思います。
 今、東京都ワクチン接種ポータルサイトがございまして、そこには、各区市町村のワクチン接種に関するサイトもリンクをしております。都民に対し、接種会場、また、ワクチンに関する有効性や安全性など必要な情報を提供し、都民の方が様々な情報を入手しやすいよう工夫していくことを要望したいと思います。
 さて、重症化リスクの高い高齢者に対してもワクチン接種を促進することが重要であると考えます。特に、接種会場に行くことができない高齢者施設等をはじめ障害者施設、また、島しょ地域などには、ワクチンバスを活用していると聞いております。これまでの状況及び実績を伺います。
 また、今後も継続していくことですけれども、改めて、利用方法、申込みはどうしているのか、また、今後の見込みについてお伺いいたします。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 ワクチンバスは、令和四年二月から実施し、接種会場に行くことが困難な高齢者施設や障害者施設等を対象に、令和五年八月末時点で、千八十六か所、四万六十九回の接種を実施いたしました。
 ワクチンバスの利用については、区市町村と連携し、各施設に利用希望調査を行った上で、利用希望施設と日時、希望人数等を調整して派遣しております。
 引き続き、秋開始接種におきましても、高齢者施設等の接種ニーズにきめ細かく対応し、接種機会の提供に努めてまいります。

○竹平委員 ありがとうございます。ワクチンバスは大変有効だというふうに思います。ぜひとも、今後も市区町村と連携を図りながら、接種会場に行けない方々へのワクチン接種が進むようお願いしたいと思います。
 さて、現在、インフルエンザが増えてきておりまして、学校での学級閉鎖も目立ってきております。コロナとの同時流行が懸念をされております。高齢者は定期接種となり、間もなく各自治体から接種券が届くところではないかと思います。例年、早いところでは、十月から医療機関で接種が始まります。インフルエンザワクチン供給量の状況もあると思いますが、特に高齢者や基礎疾患のある方々にしっかりと行き届く必要があります。
 そこで、インフルエンザとコロナの同時流行に備えた対応をしっかりと進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 インフルエンザは例年十二月から三月にかけて流行いたしますが、昨年末から今年にかけて、散発的にインフルエンザが発生しており、流行開始の目安となる定点当たり一・〇人を既に超える状況が続いております。
 都内定点医療機関からの第三十六週、九月四日から九月十日までの一週間の患者報告数は五・九五でありまして、直近では増加傾向が見られることから、注意が必要な状況です。
 インフルエンザと新型コロナの感染防止対策は基本的には同じでございます。かからない、感染を広げないためには、小まめな手洗い、消毒、せきエチケット等の対策が重要であり、都では、インターネットやSNS等で注意を呼びかけております。また、インフルエンザワクチン接種について、かかりつけ医と相談していただくよう呼びかけを行っております。
 今後拡大も懸念されることから、引き続き、都民に、感染状況等の情報と感染防止対策について周知を図ってまいります。

○竹平委員 しっかりとこの対策も、区市町村と連携をしながら、ワクチン接種の推進、また、感染予防方法についても、都民に呼びかけをしていただくことを要望いたします。
 最後になります。
 都は、この三年間の新型コロナとの闘いの中、対策を講じ、幾つもの難局に立ち向かってまいりました。今後、いつ何どき、未知の感染症が発生するかもしれません。都民の命と暮らしを守るため、これまでの対策で培った経験を新たな感染症発生時の備えにどのように生かしていくのか、都の見解を伺います。

○加藤保健医療局感染症対策部長 新型コロナ対策におきましては、平時から保健所設置区市などの関係機関との連携を密にし、都全体で対応していくことの必要性が明らかとなりました。
 そのため、都は、自宅療養者に対するフォローアップセンター等による健康観察、広域的な入院調整等に取り組んでまいりました。
 今後、都は、コロナ禍におけるこうした取組の成果を踏まえ、感染症法に基づき、医師会や保健所設置区市等の関係機関で構成される連携協議会におきまして、新たな感染症への対応策を協議し、予防計画を策定してまいります。

○竹平委員 今後新たな感染症が発生した場合でも、都民の命と暮らしを守るため、これまでの取り組んできたことをしっかりと検証して、現在策定している感染症予防計画に反映されますことを要望して、終わります。

○北口委員 私からは、学校現場における感染症対策について、端的に二点お伺いいたします。
 新型コロナウイルスの位置づけが二類から五類になりまして五か月が経過をいたしました。現在は、学校現場では、マスクの着用、定期的な換気、給食の黙食などの各種制限が解除され、コロナ前の状態に戻っているというふうに伺っております。
 この間、約三年間、卒業式や入学式、運動会や修学旅行等、各種イベントが中止または縮小されるなど、学校現場においては、多くの活動が制限をされ、子供たちは我慢を強いられることになっておりました。
 まずは、コロナ禍での約三年間の学校現場における都教委の取組についてお伺いをいたします。

○秋田教育庁教育政策担当部長 都教育委員会では、コロナ禍において、独自のガイドラインを策定し、感染拡大の防止と学校運営の継続の両立に取り組んでまいりました。
 具体的には、感染拡大防止の取組として、学校において、手指消毒やマスクの着用など基本的な対策を徹底したほか、児童生徒や教員に対するPCR検査実施体制の整備やワクチン接種の推奨などを進めてまいりました。
 また、学校運営継続の取組として、オンラインを活用した学びの継続や、教育活動を継続していくための計画の策定とその実施などに取り組んできたところでございます。

○北口委員 コロナ禍において、感染拡大防止と学業の両立を目指し、取り組まれたとのことでございます。
 振り返れば、二〇二〇年の当初は、未知のウイルスということで、学校休校となりました。また、二〇二一年、デルタ株は、記憶の限り最も重症化率の高いものでありました。それ以降、二〇二二年以降は、オミクロン株は、感染力は高いものの症状は比較的軽症でありました。過去三年間、こうした流行した株ごとに見てみますと、それぞれ症状や社会情勢によって、学校現場での対策も様々に変遷をしてきたというふうに思います。
 都教委をはじめ現場の先生方も大変ご苦労されながら、必死に子供たちの学びを守ってこられたかというふうに思います。都教委の取組と、そして、全ての教育関係者のご努力に、改めて、この場をお借りして、心から感謝を申し上げたいと思います。
 個々の現場での対策、対応については、様々反省点があろうかと思いますが、今後、新たな感染症の発生を見据え、これまでの反省を踏まえた学校現場における取組について、都教委の見解を伺います。

○秋田教育庁教育政策担当部長 コロナ禍における様々な取組を通しまして、学校は、学習機会と学力を保障する役割のみならず、子供の発達、成長を保障する役割や居場所等の役割も担っていることについて、改めて認識する機会となりました。
 都教育委員会は、こうした経験を生かしまして、引き続き、児童生徒が充実した学校生活を送ることができるよう、今後の感染状況等を踏まえまして、必要な対応を適宜行ってまいります。

○北口委員 学校をめぐる課題は多岐にわたりますが、第一義的には、どんなときも子供のための学校でなければならないというふうに思います。
 今後発生する新たな感染症に対しましても、子供の学ぶ権利と、そして、日常の生活を最大限守っていただくよう要望し、私からの質問を終わります。

○古城委員 引き続き、新型コロナウイルス感染症に係る五類以降後の都の対応方針とリバウンド警戒期間における取組につきまして、関連質疑を行わせていただきます。よろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症への感染によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。また、現在も療養中の皆様に心よりお見舞い申し上げます。さらに、日夜、命を守る現場で奮闘されている医療従事者の皆様、エッセンシャルワーカーの皆様、感染拡大防止に協力くださっている都民の皆様、事業者の皆様に感謝申し上げます。
 それでは、質問に入ります。
 初めに、後遺症対策であります。
 新型コロナの後遺症患者の診察に当たっている医師によれば、過去に新型コロナ感染後に、倦怠感などの症状で悩んでいた女性が、どの医療機関でも検査結果に異常はなく、気の持ちようと片づけられた後、自ら命を絶ったとのことであります。新型コロナ後遺症に対する無理解や偏見で心ない言葉をかけられ、精神的に追い詰められる人も少なくありません。後遺症対策は、今後も最重要課題であります。
 都議会公明党は、新型コロナ後遺症の症例の分析と周知や医師、薬剤師等への研修会の開催、後遺症に対応できる医療機関の拡充と周知など、一貫して都の具体的な対応と取組の強化を求めてまいりました。
 さきの委員の質疑と重複いたしましたので、本来、当初は、新型コロナ後遺症の現状に対する認識と五類移行後における後遺症に悩む方々への支援について、都の説明を求めたいところでありましたけれども、割愛をさせていただきます。
 そして、新型コロナ後遺症の医療体制の構築、家庭や仕事への影響に対する支援など、きめ細かい対応を訴えてきた都議会公明党の提案を踏まえ、都は、二〇二一年春から、後遺症の相談窓口を都立、公社病院八病院に開設し、新型コロナの治療や療養終了後も、何らかの症状がある方からの相談に対応しています。
 そこで、相談窓口の役割と実績について答弁を求めます。

○谷田保健医療局次長理事兼務 都立病院のコロナ後遺症相談窓口では、新型コロナウイルス感染症の治療や療養終了後も、呼吸の苦しさや倦怠感、味覚、嗅覚の異常など症状がある方からの受診や医療に関する相談に対応しております。
 令和三年三月から本年八月までに一万四千八百九十件の相談を受け付けておりまして、相談者の症状等に応じて適切な診療科を案内するほか、必要な場合には、院内の診療科の受診につなげております。

○古城委員 都立病院に設けられた新型コロナ後遺症相談窓口は、多くの相談に対応しているということを確認することができました。
 新型コロナの後遺症は、いまだ発症のメカニズムが不明で、治療法も確立しておらず、対症療法が基本とされる中で、医療だけでなく、日常生活の面でも影響を受ける方々が多くいらっしゃいます。
 そのため、都立病院の相談窓口でも、生活面の相談を受ける機会もあったと思料しますが、その対応について、具体的にお答えいただけますでしょうか。

○谷田保健医療局次長理事兼務 相談窓口では、患者地域サポートセンターの看護師等が電話で相談内容を伺い、症状に応じて、医療機関につなげるなどの支援を行っております。
 医療以外の生活に係る相談につきましても、内容に応じて、相談者の不安や悩みを傾聴しながら対応しておりまして、例えば、休職などの労働に関する相談については労働相談情報センターを案内しております。また、収入の減少に伴う生活困窮などの相談につきましては区市町村の関係部署を、また、体調による不登校等の相談につきましては東京都教育相談センターを案内するなど、適切な相談窓口を案内しているところでございます。

○古城委員 新型コロナの後遺症に悩まれる方々は、ご自身にしか分からない多くの不安を抱えており、その不安に寄り添う対応が重要であります。
 医療的側面に加えて、今申し上げた面からも、都立病院の後遺症相談窓口に寄せられた相談内容のデータは、後遺症対策を今後も検討していく上で大変貴重であり、都の対策につなげていくべきと考えますが、見解を求めます。

○谷田保健医療局次長理事兼務 新型コロナの後遺症は、年齢や基礎疾患の有無などにかかわらず全ての方に起こる可能性があり、診断や治療等の医学的な知見などを集積して、的確に情報を発信していくことが重要でございます。
 そのため、後遺症の調査分析に活用できるよう、都立病院から東京iCDCに相談内容のデータを提供しており、引き続き、都における後遺症の実態把握や今後の後遺症対策に寄与してまいります。

○古城委員 都立病院におきます新型コロナ後遺症の相談窓口に寄せられた、また、これからも寄せられるであろう様々な相談の情報、さらには、地域の診療機関、クリニック等に寄せられる情報、そうした情報をしっかりと今後の対策につなげていっていただきたいと思います。そう申し上げますのは、昨日からワクチンの秋接種が始まってございます。コロナ後遺症が発現をされている方が、このワクチン接種をためらわれる場合もあると聞き及びます。ぜひともそうした点も含めてご対応をいただきたい、このように要望させていただきます。
 あわせまして、国立国際医療研究センターの調査によりますと、新型コロナの感染から一年以上たっても、二割から三割の人が、集中力低下など後遺症と見られる症状を訴えており、かなり多くの方々が悩まされていることがうかがえます。治療法も含め、コロナ後遺症の周知に向けた取組や相談窓口など、対策の継続がいや増して求められているということを強く強く訴えるものであります。よろしくお願いいたします。
 質問の第二は、風評対策であります。
 コロナ禍は、私の地元新宿区に大きな影を落としました。二〇二〇年の五月下旬から、区内の新規感染者数が増大し、感染震源地などと酷評される状況が続いたからであります。ご商売をされている方々からは、新宿は怖いまちだといわれ、客足が遠のいたままだ、店を閉じざるを得なくなったといった悲痛な声を何度も何度も、幾度も幾度も伺ってまいりました。
 こうした状況に対して、新宿区は、新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会を組織して、行政と民間事業者の信頼関係の構築に努めてきました。
 その結果、積極的疫学調査に各店舗が協力するとともに、各店舗の営業形態に即した区独自の感染予防チェックリストを作成、配布し、さらに、衛生管理に関する指導を徹底的に行うなど、行政と地域が一体となった感染拡大阻止の取組を継続しました。都による協力支援が不可欠であったということも付言させていただきます。
 これらの対策によりまして、繁華街における感染者数が減少へと転じ、区内の新規感染者数の報告、発表数がゼロとなる日もあり、先行きに期待を持てる兆しが現れ始めました。
 しかしながら、区による、今申し上げました繁華街での徹底した検査の結果が、依然として高いレベルの新規感染者数につながっているという事実が無視され、繰り返し感染拡大の新宿と名指しでアナウンスされ、感染のまちとのイメージが根づいてしまいました。
 そうした中で、あろうことか、日本共産党は、感染震源地と大書、大書きしたポスターを各地に、さらには、傷ついている新宿区内にも貼り出したのであります。
 この感染震源地という言葉は、国や都が定義したものなのかお尋ねいたします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 感染震源地という言葉は、行政が定義した用語ではないと認識しております。

○古城委員 感染震源地という言葉は、行政が定義した用語ではないという認識をお示ししていただいたわけであります。
 加えまして、日本共産党が、都知事に宛てるとして行った署名用紙には、感染震源地を明確にし、その地域の住民、事業所の在勤者、学校の在学者とあります。こうした感染震源地という表現によって、一定規模以上のエリア全体で感染リスクが高いような印象を受けた方々も多かったと思います。私が聞き及ぶところによりますと、出身地の友人から、今住んでいる新宿は大丈夫なのか、心配しているよ、そういう連絡があった、こういうお声も伺ったところであります。
 そもそも感染リスクが高いとはどのようなことなのか、見解をお尋ねいたします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 感染リスクが高まる場面に着目をいたしておりまして、こうした場面とは、具体的には、飲酒を伴う懇親会、大人数や長時間に及ぶ飲食、マスクなしでの会話、狭い空間での共同生活などが挙げられると考えております。

○古城委員 「しんぶん赤旗」によりますと、日本共産党の志位和夫委員長は、二〇二〇年八月七日、新宿駅西口で、地元都議を伴って演説し、感染震源地に自ら言及した上で、いわゆるクラスター対策では対応できませんであるとか、無症状の感染者が多数存在する感染震源地を明確にして、住民や働く人の全体を対象に、網羅的に、面での検査を行う、これが最も合理的な方策ですなどと訴えたとあります。
 都内でも、新型コロナ感染者が多く発生した地域が感染震源地と呼ばれたことで、いたずらに不安をあおることとなり、風評被害も発生をいたしました。
 そこで、都は、どのような対策に注力したのかお尋ねいたします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 コロナ流行初期におきましては、地域全体ではなく、個々の接触者を特定していくクラスター対策を徹底して行うことが重要でございました。
 そのため、迅速な積極的疫学調査で濃厚接触者を特定し、機動的なスクリーニング検査を行い、さらなる感染拡大の防止に取り組んだところでございます。

○古城委員 ただいま答弁いただいたところでいいますと、地域全体ではなく個々のと、そして、クラスター対策の徹底が重要であったということで取り組まれたわけであります。
 今月十四日の日本経済新聞電子版には、次のように記事が掲載されておりました。日本が国際的な感染症対策で果たす役割は大きい、新型コロナウイルス流行の初期段階では、検査体制が十分でない中、高リスク集団の検査を優先するなど適切に判断してきた、日本の三密回避策への国際的評価も高く、各国が追随した、こうあったわけであります。
 もう一点、世界保健機関、WHOのシニアアドバイザーは、日本は、最重要目標を、死者数を最低限にすることと定め、有症者を優先して検査し、一刻も早くクラスターを見つけて接触者調査を行った、患者数の爆発的増加はクラスター対策で防ぐことができ、重症者が感染者の数に応じて一定の割合で現れるので、それも防げる、このように、日本は、戦略的に検査を展開したからこそ、医療システムを守り、重症者に十分な治療を施して、死亡者を最小限に抑えることができたと評価しております。
 網羅的に面での検査を行う方策は、合理的ではないとの評価ともいえます。
 さらに、新宿だけではありません。東京も、そして、全国においてもそうであったと思います。コロナに罹患をされた方、また、医療従事者の方々、そのご家族の方々に対する不当な偏見、差別も巻き起こりました。
 私は、総務局人権部にお願いをさせていただきまして、これにお答えいただいた当時の人権部長さん、ここにいらっしゃいますけれども、二〇二〇年十月、STOP!コロナ差別のチラシを作成していただきました。このチラシ、新宿区内では、町会の皆様のご協力もいただいて、区内の行政掲示板に貼り出されたところであります。しっかりとこうしたレジリエントな、そして、カウンターをしっかりと適時適切に行っていくという重要性を私も当時認識をさせていただきました。
 コロナ禍の当初に、無理解などから惹起された風評にあらがうがごとく、新宿区では、先ほど申し上げたように、行政や関係機関、業界団体などで構成される新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会を立ち上げ、関係者が一丸となって取組を進めたところであります。
 今後の新興感染症や再興感染症の流行時には、こうした取組を踏まえた対応が重要だと考えますが、見解を求めます。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 感染症の拡大防止を図るには、地域の実情に応じた対策が重要でございます。
 新宿区の取組は、行政と事業所等が信頼関係を構築し、地域ぐるみで対策を効果的に進めたものと認識してございます。
 今後とも、都は、地域の実情をきめ細かく把握している区市町村と連携して、感染症対策に取り組んでまいります。

○古城委員 区市町村との連携に関連しまして、一言要望を申し上げさせていただきたい点がございます。
 本日は、総務局の避難所・物資担当部長もご出席でございまして、歴代の部長さんがご出席でございましたけれども、都議会公明党は、二〇二〇年第二回定例会代表質問で、感染症感染拡大期における複合災害時の避難所確保について、区市町村と連携した取組を求め、さらに、本年第一回定例会代表質問では、区市町村の避難所運営支援に係る関係部局の役割について提案を行ったところであります。改めて、避難所運営支援の適切な執行体制の確保と運用を求めるものであります。
 さらにもう一点要望させていただきます。
 新宿区もはじめ東京都においても、また全国においても、レジリエントな取組として、地域の魅力を高め、来街者を増やそうとする動きが大きく広がっております。産業労働局のご理解もいただいて、商店街の入り口においてPCR検査を実施する、そうしたことも行っていただきました。ぜひとも、全ての業種、また、観光業、宿泊業、商店街を後押しする、そうした取組を今後も継続していただきたい、このことも要望をさせていただきます。
 そして、最後に、新型コロナ感染拡大の教訓を問われた厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部の参与やクラスター対策班としても活動された大学教授による答えを紹介し、都におきましても、都庁各局におきましても、その具現化がなされることを求めて、質問を終わります。
 グローバリゼーションの中にあって、感染症は、一日あれば全世界に拡大し、生命や生活を脅かす。人類はこれまで、十四世紀のペスト、二十世紀のスペイン風邪と、多くのパンデミックを経験し、医療を進歩させてきたが、薬があれば治る、衛生状態がよければ感染症は減るといった考えが、今回のコロナには全く通用しなかった。この経験を踏まえ、各国は、重症急性呼吸器症候群、SARSなど、新しい病原体による新興感染症、結核など環境変化などで再流行する再興感染症に対する備えを一段と強化しなければならないとのことであります。以上でございます。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。
 コロナの感染が大きく広がっており、少なくとも一万五千人程度の感染者が毎日出ているという予測もされております。東京都医師会の尾崎治夫会長は十二日の記者会見で、第九波に入っていると述べました。新型コロナ感染症対策分科会の会長を務めてきた尾身茂氏も、十四日の記者会見で、第九波はピークに達していない、医療現場は、救急医療などを中心にかなり負荷がかかっていると懸念を示しました。
 都は、今の感染状況が第九波だという認識はありますか。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都は、新型コロナウイルス感染症の五類移行後も、専門家によるモニタリング分析を継続しております。
 今の感染状況ですが、五類移行後、定点医療機関当たりの患者報告数は、緩やかな増加傾向にあると認識しております。令和五年九月十四日公表のモニタリング分析では、十六・三六人に達しているということです。専門家からは、重症化リスクが高い高齢者等の感染拡大を警戒する必要があるとのコメントをいただいており、これを受けて、都は、特に換気には配慮し、場面に応じたマスク着用、手洗いなどの基本的な感染防止対策とともに、体調が悪いときは外出を控えるよう、注意喚起を行っております。

○斉藤委員 第九波だという認識があるのかどうかということについては答弁がなかった。その上、緩やかな増加傾向だということです。あまりに危機感が薄いのではないかと、これはいわざるを得ません。
 国の加藤前厚労大臣も、十一日に行った演説で、第九波といわれるものが今回来ていると述べています。大きな感染拡大の波が来ているという明白な事実をきちんと認識し、対策を抜本的に強化することを強く求めます。
 感染者が大きく増える中で、医療の逼迫も再び深刻化しています。私の地元の足立区医師会は、八月二十八日に、新型コロナウイルス感染症蔓延アラートを区内の会員の医療機関宛てに出しました。
 コロナ禍で逼迫している医療状況を訴えていますけれども、都は、これをどう受け止めますか。医療は逼迫しているということを認めますか。

○加藤保健医療局感染症対策部長 都は、新型コロナウイルス感染症が五類に移行した後も、毎週のモニタリング分析を継続しておりまして、専門家によるモニタリング項目の分析結果のほか、数値の増加スピードや医療現場の実態などを総合的に勘案し、医療提供体制への負荷の状況を判断しております。
 都が、九月十四日に公表いたしましたモニタリング分析におきまして、医療提供体制は、東京ルールの適用件数は引き続き高い水準で推移し、救急医療が逼迫する事態が一部で生じているとともに、入院患者数は高い水準が続いているとの分析結果となりました。
 一方で、五類移行後の都による入院調整の状況は、ほぼ全員の受入れが決定をしております。また、約三千百の確保病床の使用状況は、最大で半数程度と、確保病床以外での患者の受入れが進んでおりまして、専門家との意見交換におきましても、医療現場が逼迫しているという意見は示されておりません。
 こうしたことから、医療提供体制は確保されているものと認識しております。

○斉藤委員 今、いろんなことをおっしゃったんですけれども、足立区医師会のアラートへの受け止めは一言もない上、医療提供体制は確保されていると、医療が逼迫しているということを認めませんでした。現場の実態から、あまりにかけ離れた認識だといわざるを得ません。
 入院先が見つからず、心肺蘇生を行わないという条件でなければ入院を受け入れられないといわれるという事態も発生しています。東京都医師会の土谷副会長は、十二日の記者会見で、第七波、第八波のときにあったようなコロナ患者の搬送先が見つからない状況が今も起きていると、現状を語りました。確保病床が空いているというようなことを今おっしゃいましたけれども、数字上病床が空いていても、実際には入院ができないということは、感染拡大のたびに何度も繰り返してきました。今も同じではないですか。
 私は、足立区医師会の会長からも直接お話を聞きましたが、医療は逼迫している、入院できない人もいるとおっしゃっていました。この足立区医師会の文書にどう書いてあるか。入院先が必要な患者様がいても、救急車に連絡がつかず、搬送先が決まるまでに何時間もかかっている現状です。これを逼迫している医療状況といわずして何というのでしょうか。こう書いてあるんです。これが、現場の声です。
 もう一度伺いますが、この医療逼迫しているという認識、危機感はないんでしょうか。

○加藤保健医療局感染症対策部長 都は、専門家によるモニタリング項目の分析の結果のほか、数値の増加スピードや医療現場の実態などを総合的に勘案し、医療提供体制の負荷の状況を判断しております。

○斉藤委員 本当に、現場の実態を見ない、声を聞かない、そういうことでは、都民の命と健康を守る責任を果たすことができません。
 都が六月に組んだ補正予算には、感染拡大時に執行するものが七項目ありました。新型コロナの感染症患者や疑いのある患者を受け入れる医療機関への支援金や、休日に小児診療を行う医療機関への支援など、大事な事業です。現在、大きく感染が拡大しているのは明らかであり、年末年始などの期間の定めのないものについては、直ちに執行することを求めるものです。
 今、感染が大きく広がっており、冬には、さらに第十波が起きる懸念も指摘されているにもかかわらず、国が、十月から、コロナ対策をさらに縮小しようとしていることは重大です。
 その一つが、コロナの治療薬の公費負担です。国は、現在自己負担なしとなっているコロナ治療薬について、十月から、医療費の窓口負担の割合に応じて、上限三千円から九千円を患者が負担することを発表しました。このことに医療現場からは不安の声が上がっています。東京都医師会は十二日の記者会見で、コロナ治療薬の全額公費負担の延長を提言しました。足立区医師会も、現在の感染状況が継続中に抗ウイルス薬の公費助成が打ち切られれば、医療は崩壊すると述べています。経済的不安がある方が、治療薬をちゅうちょしないためにも、国に対して、強く全額公費負担の継続を求めるべきですが、いかがですか。

○加藤保健医療局感染症対策部長 国から新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行方針が示された際に、都は、高額な自己負担の発生により、治療薬の活用をためらうケースが生じないよう、薬価が一定程度の水準に引き下げられるまでの間、投薬医療費の公費負担を継続することを要望いたしました。
 令和五年十月以降の取扱いにつきましても、全国知事会を通じまして、これまでと同等の公費支援を継続するとともに、国が責任を持って十分な周知を図り、国民の不安や医療現場における混乱を招かないよう丁寧に対応するよう、令和五年九月四日に要望したところでございます。

○斉藤委員 現場の感染症専門医の方からもお話を伺いましたが、患者にとっては、最大で九千円もするなら、薬を諦めてしまうという人もいるだろうと話していました。そうすると、重症化するおそれがあって、患者本人にとっても深刻なことですし、重症患者への対応で、医療もますます逼迫しますということです。また、治療薬は、ウイルスの喪失を早める効果がありますので、逆にいうと、治療薬を投与できないと、ウイルスを排出する期間が長くなり、感染がより広がる可能性もあり、そうなると、医療機関も大変になるということでした。
 患者を守り、医療機関にも負担をかけないようにするためにも、この治療薬への財政的支援は重要です。全国知事会を通じて国に要望したということですが、東京都として直接国に求め、また、国がやらないなら、都として独自に財政支援を行うように求めます。
 オミクロン株以降、基礎疾患の悪化や衰弱する高齢者が多くなり、生活面での支援や介護が必要な患者が大幅に増加しています。医療機関では、患者の体の向きを変えたり、食事の介助をするなどの介護が必要な患者が多くなったことで、これまで以上に多くの人手が必要になり、入院の受入れを制限せざるを得なくなりました。
 そのため、都は、介護が必要な方を中心に受け入れる高齢者等医療支援型施設を設置し、昨年十二月には、八か所まで増やしました。
 第八波での高齢者等医療支援型施設では、最高何%利用されていましたか。また、今回、第九波でのこの利用率の最高は幾つですか。

○小原保健医療局感染症対策調整担当部長 高齢者等医療支援型施設につきましては、八施設六百九十二床を設置いたしております。
 八施設合計で、一日の滞在者数の設置病床数に占める割合は、第八波の最大で約六八・五%、五類移行後の最大で約五五・五%でございます。

○斉藤委員 特に介護の必要な方などの入院が難しいという話があるわけですけれども、五類移行後の利用率は、八波のときより下がっているということです。現在この施設に入所するためには、都の入院調整本部に依頼するか、もしくは救急隊が搬送するかの二つの経路しかありません。
 コロナの患者を診察した医師が、直接、高齢者等医療支援型施設に申込みができるようにするべきですけれども、いかがですか。

○小原保健医療局感染症対策調整担当部長 都の入院調整本部が終了した十月以降において、診察した医師が、高齢者等医療支援型施設に申し込む場合、これまで同様に、患者の情報を入所調整のシステムに入力した上で、直接、各高齢者等医療支援型施設と調整することとなっております。

○斉藤委員 十月以降は直接入所調整ができるようになるとのことでした。現在でも、なかなか入院先が決まらないために自宅で酸素投与したという話もありますので、診察する医師に分かりやすくお知らせしていただくよう求めておきます。
 医療の逼迫を緩和するためにも、少しでも感染拡大を抑えることが必要です。最初の質問への答弁で、換気、場面に応じたマスク着用、手洗いなどの基本的な感染防止対策について注意喚起を行っているというお話がありました。しかし、先週の知事の記者会見では、換気と手洗いについては言及がありましたが、なぜかマスクについては述べられませんでした。
 そこで伺いますが、マスク着用は感染防止対策として有効と考えますが、見解を伺います。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 マスクは、せきやくしゃみによる飛沫やそこに含まれるウイルスなどの病原体が飛び散ることを防ぐことから、マスクの着用は、飛沫感染やエアロゾル感染に対する基本的な感染防止対策の一つとされております。

○斉藤委員 基本的な感染防止対策の一つという認識だということです。そうであれば、マスクが感染拡大防止に有効であることや、重症化リスクの高い方と接するときなどにマスクの着用が推奨されることについて、より積極的に知らせていくということを求めます。
 障害者がコロナに感染したときに、安心できる入院先を確保することは引き続き重要な課題です。重症心身障害者の息子さんを持つお母さんからお話を伺いました。八月の初めに、息子さんが発熱し、ふだんお世話になっている病院に行ったところ、コロナに感染していたそうです。その病院は、コロナ患者の入院はできないので、都立病院に連絡をしたのですが、そのときは重症患者が多く、受入れ困難で入院ができなかったということです。その後、都立ではない別の病院が入院を引き受けてくれたのですが、障害者への理解が不十分で、誤嚥性肺炎を起こして入院が長期間になってしまったそうです。そして、退院するときに、医師から、大変でした、こういう子はといわれてしまったということです。
 障害者がコロナに感染することは、これからも起こります。この医療機関での障害者への理解を広げていくということが重要ですが、同時に、障害に理解のある都立病院で受け入れてほしいというのが切実な願いです。
 行政的医療は都立病院の役割であり、コロナに感染し、入院が必要になった障害者は、最大限、都立病院で受け入れられるようにするよう求めますが、いかがですか。

○谷田保健医療局次長理事兼務 都は、新型コロナの五類感染症への移行後、高齢者等のハイリスク層を守りつつ、より多くの医療機関が新型コロナ患者に対応できる平時の体制構築に取り組んでおります。
 都立病院は、感染症医療などの行政的医療の提供を役割としており、新型コロナ対応では、重症、中等症の患者や、新型コロナによる症状が軽くても重い基礎疾患のある方、妊婦、小児、透析患者、障害のある方などを積極的に受け入れております。
 引き続き、通常医療との両立を図りながら、医療を必要とする患者を受け入れてまいります。

○斉藤委員 ご答弁のとおり、感染症医療などの行政的医療は都立病院の重要な役割です。都立病院の体制を強化し、その役割をさらに積極的に果たしていけるようにすることを求めるものです。
 九月に入ってから、都内の学校で学級閉鎖が相次いでいると報道されています。改めてですけれども、学級等閉鎖の状況について、都立学校での状況について伺います。
 都立学校での新型コロナによる学級、学年、学校閉鎖について、夏休み明けの数字を学校種ごとに伺います。

○村西教育庁都立学校教育部長 二学期が始まってから九月十五日までの間に、臨時休業を行った都立学校は二十件であり、その内訳は、学級閉鎖十三件、学年閉鎖二件、学校閉鎖五件でございます。
 また、校種ごとの内訳につきましては、高等学校十七件、中等教育学校一件、中学校二件となっております。

○斉藤委員 十五日までに合わせて二十件ということです。学校閉鎖が五件も起きているというのは深刻な状況だというふうに思います。
 続けて、区市町村立の小中学校での学級、学年、学校閉鎖の件数について、夏休み明けの数字をそれぞれ学校種ごとに伺います。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 都内の保健所に届出のあった小中学校の臨時休業については、実施した施設数を取りまとめて公表しており、二〇二三年第三十五週、八月二十八日から九月三日までには、小学校一件、中学校三件、そして、第三十六週、九月四日から九月十日までにおいては、小学校三十件、中学校十六件となっております。

○斉藤委員 区市町村立学校の新型コロナによる学級閉鎖等については、五類移行後は、都教育委員会では把握しなくなったということで、保健医療局からのお答えでした。
 都の感染症情報センターが公表しているデータによると、夏休み前の状況よりも、九月以降に臨時休業が圧倒的に増えているということが分かります。
 さらに、インフルエンザも例年より早く流行している状況です。インフルエンザは、流行開始の目安である定点医療機関当たり一・〇人を大きく超えて、九月四日から十日までの定点当たりの報告数は五・九五人となっています。インフルエンザによる学校の臨時休業も、十日までに五十三校に上っています。
 九月十四日の都の感染症対策連絡会議では、専門家から、新型コロナとインフルエンザの同時流行について報告され、若い世代から上の世代に感染が広がっていくと懸念されると指摘されています。
 都教委としても、こうした報告から、学校での対応について検討する必要があると考えますが、いかがですか。

○村西教育庁都立学校教育部長 都立学校では、五類感染症移行後の新型コロナウイルス感染症対策について、文部科学省の学校における衛生管理マニュアルを参考として、各学校の実情に応じた対応を行っております。
 具体的には、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行後においても、手洗い等の手指衛生や、せきエチケットの指導、適切な換気の確保といった対策を講じております。
 また、地域や学校において感染が流行している場合などには、活動場面に応じて、近距離、対面、大声での発声や会話を控えることなどの対策を実施しております。
 さらに、インフルエンザの予防対策につきましても、小まめな手洗い、せきエチケットの心がけ、室内の換気などが重要でございまして、新型コロナウイルス感染症に対する対応が有効と考えております。

○斉藤委員 新型コロナの予防対策をしていればインフルエンザの予防にもなるというお答えですが、それはそのとおりだと思うんですけれども、ご答弁いただいたマニュアルでも、平時から求められる感染症対策と感染流行時における感染症対策では内容が異なり、感染流行時の方が、より積極的な対策が求められているわけですから、きちんとコロナとインフルエンザが同時流行しているという事実を注意喚起し、ふさわしい対応をすることが必要だと思います。
 インフルエンザ単体については、都教委は、九月十五日付で、インフルエンザに係る注意喚起についてという事務連絡を都立学校と区市町村教育委員会に通知しています。
 新型コロナの感染症についての注意喚起は出していないのか、出していないならばなぜか伺います。

○村西教育庁都立学校教育部長 新型コロナウイルス感染症に係る注意喚起は発出しておりません。
 都教育委員会は、五類感染症移行後の新型コロナウイルス感染症対策につきまして、文部科学省の学校における衛生管理マニュアルを参考として、各学校の実情に応じた対応を行うよう、都立学校等に既に通知しております。
 当マニュアルには、平時においての基本的な感染対策に加えて、地域や学校において感染が流行している場合についても具体的な対策を示しておりまして、各学校において、マニュアルを参考に、実情に応じた対応を行うことができるものと考えております。

○斉藤委員 新型コロナに関する注意喚起は出していないということです。
 インフルエンザに係る注意喚起、この通知は、対策を示しているというだけでなくて、流行が始まっているということを知らせる、そういう内容にもなっています。コロナについても、感染が流行している場合の対策をマニュアルで示していても、今流行しているということをきちんと知らせなければ、学校で適切な時期に対策を取るということができません。
 インフルエンザの注意喚起は、大本は、保健医療局から、都立学校や区市町村の学校に周知してほしいと発出しているものです。現在の感染状況は、インフルエンザの定点当たりの数値は五・九五人、新型コロナは十六・三六人と、コロナの方が三倍近く感染が拡大しています。
 保健医療局に伺います。
 保健医療局は、九月十四日に、教育庁へインフルエンザの注意喚起を通知していますが、なぜ新型コロナは通知を出さないのでしょうか。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 インフルエンザについては、今シーズンに入り、流行開始の目安となる定点当たり患者報告数一・〇人を超えた時点で注意喚起の報道発表を行い、関係機関へ情報提供を行いました。
 新型コロナにつきましては、五類移行後も、定点当たり患者報告数を含めモニタリング分析を毎週行い、専門家の助言に基づき、感染状況等に応じた必要な注意喚起を行っていると認識しております。

○斉藤委員 私は、なぜ出していないのかというふうに聞いたんですけれども、お答えになっていないんですね。専門家によるモニタリング分析で注意喚起をしているというふうにいいましたけれども、これは、一般的に発信しているだけで、直接学校現場に届く通知としては出していないわけです。
 インフルエンザの方は、注意喚起の通知をしているのに、一医療機関当たりの感染者数が、インフルエンザの三倍近くに上る新型コロナについては通知を出さないのは、コロナ対策の軽視といわれても仕方がありません。流行していることをきちんと知らせなければ、学校で適切な対策を取ることができません。学校閉鎖まで起こっているという状況ですから、コロナが感染拡大していること、インフルエンザと同時流行していることを保健医療局と教育庁とが連携をして、学校に知らせ、注意喚起をしていくことを重ねて求めるものです。
 新型コロナの後遺症について伺います。
 都のiCDCでは、都立病院の外来を受診した患者を対象に症例分析を行っていて、この中で、症状は長期間継続する場合もあり、本人だけでなく、周囲の方の後遺症への理解が必要ですと指摘をしています。
 我が党の吉良よし子参議院議員事務所で行ったコロナ後遺症のアンケート調査には、千百七十二人からの回答がありました。そのうち八六%もの方が、日常生活、社会生活に影響があると回答し、そのうち七割は、休業、休職、三割は退職、失業したと答えています。
 コロナ後遺症では、一年以上も症状が続いたり、激しい倦怠感から、通学や就労が困難になったという声が多く寄せられています。
 安定して暮らせるための生活支援の充実が必要だと思いますが、見解を伺います。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、後遺症に悩む方が身近な医療機関で受診できるよう、後遺症に対応可能な医療機関をホームページなどで紹介しております。
 また、就労や福祉など生活全般に関する各種相談窓口や公的支援制度などの情報につきまして、ホームページやリーフレット等において幅広く提供しております。
 都では昨年度から、後遺症の理解促進に向け、オンライン研修会を開催しておりまして、今年六月には、就労者の職場復帰支援等を内容として実施しましたほか、来月には、教育現場における児童生徒への対応など、子供の後遺症をテーマに開催いたします。

○斉藤委員 今行っている取組のご紹介でしたけれども、そうしたことを行っていても、今困難を抱える方々がいるという現状です。支援の充実を重ねて求めます。
 今ご答弁で、来月には子供の後遺症をテーマに研修会を開催するということですが、教育庁に伺います。
 この都のiCDCでの後遺症の調査では、十代以下の子供が全体の二三%に上り、後遺症は、年齢やコロナ罹患時の重症度にかかわらず発症する可能性があるということが指摘をされています。
 都教委としても、後遺症に苦しむ子供たちへのケアについて考える必要があると思いますが、いかがですか。

○小寺教育庁指導部長 都教育委員会は、都立学校において、いわゆる後遺症を含む体調不良などの子供に対して、個々の状況に応じ、適切に配慮するよう指導助言を行っているところでございます。

○斉藤委員 我が党のアンケート調査の回答では、千百七十二人のうち百一件が十代以下の子供からの回答でした。コロナ前は元気よく学校に通っていたのに、立っていることも座り続けることもできず、倒れてしまうようになってしまったという小学生や、バスケをやる元気な男子中学生が、二年間ほぼ寝たきりになり、楽しいはずの学校生活が奪われたというケースなど、深刻なケースが多く寄せられています。体調不良、一般への配慮ということにとどまらず、後遺症への認識を深めた上で対応する必要があると思います。
 国会では、こうした子供たちを置き去りにしないように、文科省としてしっかり向き合い、取り組むべき課題だと思うがどうかという質問に対して、文科大臣は、教育活動の実施に当たりまして適切な配慮を行うこと、児童生徒間での差別、偏見等がないよう適切に指導することなどの対応を行うことがまずは重要と答弁をしています。
 都教委としても同じ認識を持っていますか。

○小寺教育庁指導部長 都教育委員会といたしましても、当時の文部科学大臣の発言と同様の認識に立ち、各学校に対し、適切に配慮するよう指導助言を行っております。

○斉藤委員 適切な対応が重要という文科大臣のこの発言と同様の認識に立っているということは重要です。
 我が党のアンケート調査には、後遺症で登校できないことを訴えても、心の問題ではないかといわれてしまったという声や、進学や進級に不利になってしまうのではないかという不安の声も届いています。適切に配慮するという認識を踏まえて、具体的な対応につなげていく必要があります。
 後遺症を抱える児童生徒たちが学校に通えない状況が生じたときには、単純に欠席扱いにするのではなく、進学や進級に不利にならないように対応するべきですが、いかがですか。

○小寺教育庁指導部長 都教育委員会は、都立学校に対して、校長会等様々な機会を通じまして、いわゆる後遺症を含む新型コロナに関連して登校できない場合は、出席を要しない日と扱うなど、一人一人の状況に応じて配慮するよう指導助言を行ってまいりました。
 また、区市町村教育委員会に対しましても、同様の内容を周知いたしております。

○斉藤委員 具体的に、どのように指導助言を行っているのか詳しく伺いましたけれども、区市町村教委の担当者を集めた会議では、出欠席の扱いを柔軟に判断することと記載された、後遺症の方への対応として、そう記載された資料を配って説明をしたということ、一方で、出欠席が、進級や卒業に影響する都立高校など都立学校に対しては、校長連絡会で口頭で説明をしたということで、まだまだこの周知の方法としては不十分なのではないかというふうに感じました。ぜひ、現場の先生たちが迷わず適切に対応ができるように、子供の後遺症への理解や柔軟な出欠席の扱いなど、全ての学校に周知できるようにしていただきたいというふうに思います。
 都教育委員会として、後遺症に苦しむ子供の実態をつかみ、理解を深めると同時に、学校において適切な対応ができるように、方針を示す必要があると思いますが、いかがですか。

○小寺教育庁指導部長 都教育委員会は、本年五月八日から適用されている文部科学省の衛生管理マニュアルに基づきまして、適切に対応するよう都内公立学校に周知しております。
 このマニュアルには、教職員によるきめ細かな健康観察を通した子供の状況把握、実態に応じた学校医による健康相談やスクールカウンセラーによる心理面からの支援、やむを得ず学校に登校できない場合の学習機会の確保などが示されておりまして、都教育委員会は、これらを踏まえ、いわゆる後遺症が見られる子供の対応につきましても、個々に学校への指導助言を行っているところでございます。

○斉藤委員 ご答弁されているこの文科省のマニュアルには、後遺症という言葉は一回も出てきていないんですね。そのマニュアルだけで後遺症について理解し、適切な対応をするというのはなかなか大変なんじゃないかというふうに思います。
 先ほど、保健医療局からのご答弁でもありましたが、来月一日に保健医療局主催で行われる研修会、子供のコロナ後遺症の現状と対応というテーマですけれども、子供のコロナ後遺症について小児科医師による最新の知見や診療の実際とともに、教育庁指導部の堀口主任指導主事も教育現場での対応について発表されるというふうに聞いています。先ほど、心の問題ではないかといわれてしまったという声を紹介しましたけれども、適切な対応のために、学校現場が、後遺症への理解を深めることができる、学校に役立つ具体的なお話をしていただきたいというふうに思います。さらに、その内容をまとめて、学校に周知するなど学校に役立つ具体的な対応方針を示すことなど、ぜひ取り組んでいただくことを求めます。
 今日は、一年八か月ぶりの新型コロナ感染症対策特別委員会の質疑でした。コロナ感染症が五類になり、感染者の実態が見えにくい状況になっています。その間、この感染者数は増えており、入院先が見つかっていないという事態も広がっている下で、都は、医療は逼迫しているとは認めませんでした。あまりに認識が甘いといわざるを得ません。
 都医師会の尾崎会長は、九月十二日の定例会見で、まだまだコロナとの闘いは続く、五類だからもう考えなくてもいいのではない、予防も含め、改めてコロナにどう立ち向かうか考えていただければというふうに述べました。
 コロナ感染症、後遺症などで苦しんでいる都民の実態をつかみ対策を講じていく、取組の検証を行い、都として何をやるべきなのか議論をする新型コロナ感染症対策特別委員会の役割は、ますます重要になっています。
 今後、さらに質疑を重ねていくことが不可欠だということを訴え、質問を終わります。

○阿部委員 都議会立憲民主党の阿部祐美子です。よろしくお願いいたします。
 まず、新型コロナウイルスワクチンの副反応からお伺いをいたします。
 新型コロナワクチンの秋接種が昨日から始まりました。都内の接種回数は、既に四千万回を超えております。重篤な副反応が起こる確率は極めて低いものの、全くないわけではなく、副反応に苦しむ方々もおられます。
 東京都は、どのような対応をしているのか、まず伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、新型コロナウイルスワクチンの接種後に副反応を疑う症状がある方からの相談に対応するため、新型コロナウイルス副反応相談センターを設置し、都民から寄せられる相談に対して、保健師や看護師などが助言を行っております。
 具体的には、症状や程度に応じて、地域の医療機関の受診を勧めるほか、必要な場合には、予防接種健康被害救済制度を紹介しています。また、副反応専門診療相談窓口として総合的な診療が可能な医療機関を確保しており、地域の医療機関等からの紹介により、受診や電話相談に対応しております。

○阿部委員 現在、コロナワクチンに対する関心は決して高いとはいえません。そんな中でも、改めて、副反応のリスクや相談窓口、そして救済制度について周知をしておくことは大切だと考えております。
 あわせて、後遺症についてもお伺いいたします。
 新型コロナの後遺症に悩まされる方々も少なくありません。東京iCDCが今年二月に行った都民アンケートでは、コロナ陽性者の約四分の一が、二か月以上後遺症を疑う症状が続いたと回答しており、その八五%が日常生活に支障があったとしております。
 東京都では、陽性者累計約三百万人とされておりまして、この数字にざっくり当てはめてまいりますと、二か月以上の後遺症があった方は七十万人、そして、日常生活に支障があったという方々は最高六十万人程度いるという可能性もある数字であります。
 一方、都立病院では、令和三年から後遺症相談窓口を設けておりますが、今年七月末現在時点での相談件数は一万四千六百三十五件。東京都のコロナ後遺症に対する都の姿勢と、それから後遺症に悩む方を相談につなげる取組について伺います。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 新型コロナの後遺症は、世界的に調査研究が進められている最中でございまして、いまだ明らかになっていないことも多いところですが、コロナに感染した全ての方に起こる可能性があり、後遺症対策に取り組むことは重要でございます。
 都立病院の後遺症相談窓口では、後遺症に悩む方からの受診や医療に関する相談に応じますとともに、必要に応じて外来診療や各種相談窓口につなげております。また、後遺症に悩む方が、身近な地域で受診できるよう、後遺症に対応する医療機関につきまして、症状や地域で検索できるマップやリストをホームページで公開しております。

○阿部委員 ありがとうございます。
 アンケートでは、日常生活に支障があったと回答した方のうち、八%が一か月以上、仕事や学業を休んだとしております。社会生活への影響も深刻です。中には、仕事や学校をやめざるを得なかったケースもあるというふうに聞いております。これは、もう静かな社会問題であるといってもいいのではないでしょうか。
 職場や学校での後遺症への理解促進が必要と考えますが、都の取組をお伝えください。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 都はこれまで、東京iCDCの専門家の助言を得て、経営者や企業の人事労務担当者向けに、職場での支援のポイント等をまとめたリーフレットや後遺症の症状に応じた就労上の配慮事例についての解説動画を作成してまいりました。
 今後は、学校の教職員を対象に、後遺症に悩む児童生徒の支援方法などをまとめたデジタルブックを、保護者向けには、後遺症に悩む子供への配慮ポイント等を記載したリーフレットを作成し、広く周知してまいります。
 また、来月には、子供のコロナ後遺症の診療の実際や教育現場での対応等につきまして、医療従事者や教職員を対象としたオンライン研修会を実施いたします。

○阿部委員 東京都としても、一定の努力はされていると伺いました。ただ、それぞれの場で十分に理解をされているかというと、まだまだそういった状況にはないのではないかと思います。
 まず、働く方々ですけれども、中小企業等々にリーフレット等を配布しているということでありますけれども、それだけではなくて、例えば、個人事業主やフリーランスの方々、こうした方々は、長引く後遺症によって仕事を失ったり、契約を失ったり、その中で、生計の維持にも直結する問題となっています。
 また、子供たちにとっても、先ほどもいろいろと質疑がありましたけれども、一か月も休むような状況になると、周囲、とりわけ教員の理解がなければ、学校内の人間関係にも大きなマイナスの影響を与えます。家族関係にもマイナスの影響を与えることがあり、不登校にもつながりかねません。
 身体的な後遺症が一か月、二か月と続き、それが周囲に理解されないというような状況が続けば、これは後遺症が終わった、症状がなくなった後でも、もう学校に行けないですとか、あるいは周りになじめなくなってしまう、そして精神的に落ち込んでしまう、そうした医療的な意味以上の長期のマイナスの影響が出てきてしまうこともあります。ぜひ、働きかけを強めていただきたいし、その際には、特に学校現場でしたら、市区町村教委との連携にも力を入れていただきたいと思います。
 また、後遺症の長期化の背景には、市中での薬の不足も関係していると考えております。東京都にあっても、薬の供給や流通について問題意識を深め、都として、特に対症療法の薬が今大変不足しているというふうに聞いておりますので、こうした流通と情報共有についても、できることを積極的に模索していただきたいと思います。
 次に、検査についてお伺いします。福祉施設等での感染状況と、あるいは検査体制についてお伺いしたいと思います。
 二類から五類にコロナも移行いたしましたけれども、高齢者や障害者、基礎疾患のある方々、そしてまた精神科に入院されている方々など、非常にハイリスクな方々への対応の必要性は変わっていません。
 五類移行直後では、都内のクラスター発生数も、一週間で十件から二十件程度と比較的落ちついておりました。しかし、その後徐々に増え始め、お盆明けにはさらに増加をしております。
 現時点におけるクラスターの発生状況についてお伺いします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 東京都感染症情報センターのデータによりますと、新型コロナの集団発生は増加傾向にございます。九月四日から九月十日までの一週間では、百十四施設となっております。

○阿部委員 ハイリスク層への対応という意味では、医療体制も大切ですけれども、こうした福祉の現場の対応というのも、大変大切だと思っております。こうしたところで、通常の福祉サービスが継続をできないようになってしまえば、それは、やはり入所、通所の方々の日々の生活、時には命に関わってきますので、医療体制と同様に、福祉施設におけるハイリスクな方々への対応の強化ということは、常に継続をしていただきたいと思います。
 その中で、まず、集団感染を防止していくことが大変重要であると考えますけれども、高齢者施設等での検査について、五類移行後の実施状況と今後の取組についてお伺いをいたします。

○及川保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、五類移行後も、高齢者などハイリスクの方が利用する施設における感染の蔓延を防ぐため、高齢者施設、障害者施設、医療機関、特別支援学校等の職員を対象とする集中的検査を継続しておりまして、これまでに約四百五十万件の検査を実施しております。
 特に、特別養護老人ホームなどの高齢者施設等におきましては、入所者に対して実施するPCR検査の費用や抗原定性検査キットの購入費用についても、都独自に補助を行っております。
 都は、十月以降もこうした取組を継続することとしておりまして、高齢者施設等に対し、その活用を働きかけてまいります。

○阿部委員 ありがとうございます。こうした高齢者施設等への検査の体制、これを十月以降も継続していただくというのは、大変いいことだと思います。
 ただ一点、入所者に対するPCR検査の費用、この購入補助なんですけれども、十月以降も継続ということで、申請時期も延びました。そして、施設がこれに対して支出をしてから申請をして、補助金を得るまでの期間というのも延びてしまったわけです。これは、施設の経済的な体力によっては、むしろ使いにくい面も出てしまいますので、ぜひこのあたりは、施設のお声も聞きながら、より使いやすい制度、より検査をしやすい体制を続けていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それから、コロナ禍における様々な現場の声といいますか、医療機関のお声もこの間聞いてまいりました。
 都内にありますある地区の医師会が実施した振り返りのアンケートを見ますと、全体としては、保健所や行政の対応にとても満足、あるいはやや満足という声が目立ちました。
 ただ一方で、一人の患者の報告を区と東京都と厚労省に報告する必要があった、あるいは、一般のクリニックでは発生届や健康観察など無報酬だったなど、数多くの指摘、あるいは、情報共有ツールの構築など様々な提案もありました。
 中でも目を引いたのは、コロナ禍では、電話診療などで診療を優先して行ったことにより、結果的に医療費の未収が発生したとの回答が一定割合存在したことです。パンデミック特有の事象とも考えられますが、一定の整理が必要なのではないかと思います。
 次の感染症対策に向けて、医師などから現場の意見を聞いて対策を考えてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 国は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、令和二年四月十日付の事務連絡により、非常時の対応として、電話や情報通信機器を用いた診療等の取扱いを定め、初診から電話等による診療を可能といたしました。
 この事務連絡の中では、医療機関における医療費の未収を防ぐため、診療予約時に、患者の被保険者証を撮影した写真をメールに添付して送付させることなどにより、受給資格の確認を行うこととされております。あわせて、診療予約時に、患者の利用する支払い方法を確認することとされており、銀行振込やクレジットカード決済等の支払い方法が認められております。
 この時限的、特例的な取扱いに基づく電話診療につきましては、本年七月三十一日をもって診療報酬上の取扱いは終了しております。
 今後は、新興感染症発生時の電話、オンライン診療につきましても、全ての医療機関との間で行う医療措置協定締結に向けた協議の中で、各医療機関の意見を聞きまして、平時から発生時に備えた準備を進めていくこととしております。

○阿部委員 ご答弁ありがとうございます。
 そのような仕組みになっているということは、もちろん各医療機関でも承知しているわけですけれども、当時のような極めて緊迫した状況の中では、患者さんが電話の向こうで、もう話ができないような状況になって、救急車は来ない、そのときに、写メが送れないから電話診療を受けませんよですとか、相談に応じませんとか、そういうようなことというのは、なかなか現場のそれぞれの医師の判断としては難しかったというふうにも聞いております。
 平時のときにきれいなフローをつくったとしても、それが緊急時に、そのとおりのステップを踏んでいかないとなかなか目的に到達できないということでは、言葉は悪いですけど、絵に描いた餅になりがちであります。
 それは、過去の事例としてそういうことがあったのですから、緊急時には、どこを省略しても後から回収ができるのか、そういったことも踏まえて、そうした一つ一つのお声を聞きながら、今後の制度設計に生かしていただければというふうに思います。
 ご答弁の中にありました医療措置協定締結に向けたヒアリング、これも大変重要なものと考えております。協定締結を目指すことはもちろんですけれども、ヒアリングの中で、現場で起きていたこと、当初は想定していなかったけれども、こんなことが起きたんだ、そうしたことを一つ一つ具体的に拾っていただいて、それを今後に、しっかりと把握した上で、良い仕組みに生かしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 さて、新型コロナウイルス感染拡大防止協力金についてお伺いいたします。
 この協力金の不正について、今年三月の予算特別委員会で、私たちの会派の中田議員からも、飲食店の感染拡大防止協力金の支給実績並びに不正受給の件数及び金額について質問がありました。そして、そのときのご答弁として、一月末現在で二百五十六件、約三億三千六百六十九万円の不正受給が判明したとの答弁があり、また、不正受給については、協力金の返還並びに協力金と同額の違約金を請求することになっております。その回収についても努力をされていることと思います。
 そこで質問ですけれども、その後も不正受給事案が繰り返し公表されておりますが、現段階での協力金の不正受給の件数並びに金額を確認させてください。

○池野産業労働局産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長DX推進担当部長兼務 都は、感染拡大防止協力金の支給の決定を受けた申請者が、偽りその他不正な手段により協力金の支給を受けようとした事実が判明した場合、支給決定の取消しを行ってまいりました。
 令和五年七月末現在、都が不正受給と判断して支給決定を取り消した件数は三百六件、金額は三億七千九百二十五万九千円となっております。

○阿部委員 この八か月の間に、件数としては約五十件増えている、金額もそれ相応に増えているということです。
 先ほどの前の質疑の中で、無料PCR検査での不正請求についての質疑もありましたけれども、この協力金についても、事業者の実情に応じながら、債権管理条例に基づいてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 PCRの検査事業については、先ほど、もうかなり質疑がありましたので、この質問は、私からは割愛をさせていただきます。
 あわせて、パルスオキシメーターの返却についてもお伺いいたします。
 東京都は、パルスオキシメーターを延べ七十八万台貸与いたしました。東京都は六月に、貸し出したパルスオキシメーター約四十三万台のうち、二割弱に当たる七万台が未返却であると発表をされました。
 その後、返却はされているのでしょうか。現在の未返却数と購入金額にしてどのくらいの額になるかを教えてください。

○松谷保健医療局感染症対策調整担当部長 六月の発表以降、これまでに約一千二百台のパルスオキシメーターが返却されております。未返却分の購入金額は、パルスオキシメーター一台平均約五千円といたしますと、約三億五千万円でございます。
 引き続き、局ホームページでの呼びかけを行うとともに、東京都新型コロナ相談センターで返却方法をご案内するなど、返却を促してまいります。

○阿部委員 六月以降も千二百台が返ってきたということで、今も少しずつ返ってきているというふうに聞いております。
 ただ、全体の未返却の数からいうと、まだかなりの台数が残っているということです。返却方法が分からない方も少なくないかと思いますし、返却するということを忘れているという方も、また少なくないかと思います。ホームページだけではなくて、周知の方法も工夫をしていただければと思います。
 コロナの検証についてお伺いしたいと思います。
 新型コロナ対策については、今年七月に、iCDCの取組が一冊の冊子にまとめられました。一連の対策には、心から敬意を表したいと思います。
 ただ、この冊子だけでは見えてこない課題もあるかと思います。次のパンデミックに備えるだけではなくて、先ほどからいろいろな質疑をさせていただいておりますけれども、今後の危機に立ち向かう糧とするためにも、都庁内部の取組を記録するだけではなく、判断のプロセスや社会への影響、そして市中での反応など、さらに多面的な視点から振り返り、検証し、そして、改善できることがあれば改善していくべきと考えますが、ご見解を伺います。

○水野総務局危機管理調整担当部長 都はこれまで、都民や事業者などの皆様にもご協力いただきながら、新型コロナ対策に取り組み、そこで得られた知見や経験を次の対策に生かし、東京モデルを確立させ、幾度も感染の波を乗り越えてきました。
 今後とも、これまでの成果を生かし、専門家の意見を踏まえつつ、庁内はもとより、関係団体とも連携し、新たな感染症に備えてまいります。

○阿部委員 庁内はもとより、関係団体とも連携してとのご答弁をいただきました。ぜひ、多面的な継承を進めていただきたいと思います。
 例えば、コロナ対策の最前線に立っていた都立病院をコロナの渦中に独法化したことがどんな影響をもたらしたのか、あるいは、都庁をはじめ役所の多くの皆さん、コロナ対策に寝食忘れて立ち向かわれてきたと思います、その働く環境がどうだったのか、ちゃんと快適なベッドと温かい食事を取りながら、そうした対応ができたのか、そういう環境、次の感染症だけではなくて、災害時にも、支える人を支える仕組み、環境というのが十分にできていたのか、そういった様々な観点から、ぜひ検証を行っていただきたいと思います。
 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症、その渦中で、医療関係者をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆様、そして、社会のあらゆる場面で感染症防止と、それから社会の機能の継続に当たった皆様、そして、都庁をはじめとしてあらゆる公務職場で、まさに不眠不休で対策に当たられた皆様に心からの敬意と感謝を表するとともに、その努力と知見を次の世代にバトンタッチすることを求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○もり委員 まず、コロナ感染の動向について質問いたします。
 厚労省の令和五年九月十五日の報告では、九月四日から九月十日の新型コロナウイルス感染症の報告者数は九万九千七百四十四人、定点当たり二十・一九人、東京都では六千八百二十四人、定点当たり十六・三六で、五月八日に五類に引き下げられて以来、増加を続けています。
 東京都は現在、コロナ感染症の第九波に入っていると認識をしているのか伺う予定でしたが、先ほど質疑がありましたので、都は、緩やかに上昇しているとの認識でしたが、九波に入っているとの認識は答弁をされませんでした。
 一方で、現場では、地域医療を担っている医師からは、陽性者数の増加により、医療スタッフの感染も増えており、スタッフの確保に困難が生じているとの声を伺ってまいりました。そういった現場の声にしっかりと寄り添って、続けるべき支援は継続をしていただくように要望をして、次の質問に移ります。
 定点当たり感染者数を年代別に見ると、十歳未満の子供の感染が五・一三と特に多く、十歳から十四歳までの小学生、中学生の感染も二・九五と多くなっています。
 東京都内の子供の感染者数の推移、学級閉鎖の状況についてお伺いをいたします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 二〇二三年第三十六週、これは九月四日から九月十日までの都内定点医療機関当たり年代別患者報告数ですが、十歳未満が三・四九、十代が三・四四であり、前週と比べて増加しております。
 保健所に届出のあった小学校、中学校及び高等学校の臨時休業の施設数でありますが、こちら二〇二三年第三十五週、八月二十八日から九月三日においては、小学校一件、中学校三件、高等学校ゼロ件、第三十六週においては、小学校三十件、中学校十六件、高等学校十二件となっております。

○もり委員 学校保健安全法施行規則では、発症した後五日を経過し、かつ病状が軽快した後一日を経過するまでを新型コロナウイルス感染症における出席停止期間としており、先ほどの質疑でもありましたが、コロナ禍で得たICT教育の知見を引き続き子供たちの学びを止めない取組を選択できるよう要望いたします。
 現在の主流といわれるオミクロン株の新たな系統EG・5、通称エリスや、さらなるオミクロン株の変異ウイルス、ピロラの感染力について、特に子供や高齢者、基礎疾患のある方に関する科学的知見について、WHOの知見に限られ、都では独自の調査研究は行っていないとのことでしたが、対策を講じるための実態把握は必要であると考えます。
 五類移行後は定点監視となっており、陽性者数や死亡者数の全数把握をしていません。定点医療機関は、コロナ第八波のときもコロナ診療をしていた医療機関なのかお伺いをいたします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 令和五年四月一日時点で、東京都感染症発生動向調査に基づく内科、小児科定点医療機関四百十九のうち、コロナを診療する診療・検査医療機関の指定を受けていた医療機関数は三百四十三となっております。

○もり委員 第八波のときの定点医療機関の感染者数から、東京都のコロナ感染者の全数の測定ができるのではないかと考えますが、東京都内の全感染者数の推移はどのくらいと見込んでいるのかお伺いをいたします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 第八波と五類移行後では、患者の受療行動が変化しておりまして、第八波の数値からの正確な推計は困難であるというふうに考えております。

○もり委員 最も重要な指標は死者数だと思います。五類移行に伴い、厚労省では、定点医療機関からの報告に基づき、一週間の患者数を公表しているとしています。
 少し古いかもしれませんが、今年七月二十八日に公表された五月の死者数は、新型コロナが最も死亡に影響した死者は六百十人、新型コロナが死因となった病気の経過に影響を及ぼした人を含めた死者は千三百六十七人とされています。
 東京都の五類移行から今までの新型コロナが最も死亡に影響した死者数及び新型コロナが死因となった病気の経過に影響を及ぼした人も含めた死者数は何人か、お伺いをいたします。

○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 五類移行後、新型コロナウイルス感染症による死者数は、例年十二月に国が公表する人口動態統計で把握することとなっておりますが、国は迅速性の観点から、感染症法に基づき収集している死亡診断書の情報を用いて、新型コロナ関連死者数の試算を行っていると承知しております。
 なお、この統計でございますが、都道府県別の数値が公表されていないということでございます。

○もり委員 都としてのコロナに関しての死者数の把握は行っていないとのご答弁でしたが、動向把握は対策を講じる上で重要な指標であると思います。コロナは、感染力が強くなるのと反比例して致死率は低くなり、若者にとっては風邪のようなものとの認識があるように思います。しかし、後遺症に苦しむ方々の声も聞きます。
 コロナ後遺症にはどのような症状があるのか、その期間について、また、都内のコロナ後遺症に対応している医療機関についてお伺いをいたします。都民は、またそのような医療機関をどのように知ることができるのか、併せてお伺いをいたします。

○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長 新型コロナの後遺症の症状につきまして、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症診療の手引き別冊、罹患後症状のマネジメントでは、代表的なものといたしまして、疲労感、倦怠感、関節痛、せき、息切れ、脱毛、集中力低下、頭痛、嗅覚障害、味覚障害等が示されております。また、WHOでは、新型コロナの後遺症について、少なくとも二か月以上持続し、通常は発症から三か月たった時点にも見られると定義しております。
 続きまして、都内新型コロナの後遺症に対応する医療機関でございますが、令和五年八月末時点で五百五十八機関となっております。
 これらの後遺症に対応する医療機関につきましては、都のホームページにおいて、診療科や症状で絞って検索できるマップやリストを公開しており、都民向けや企業向けのリーフレットによりましても周知しております。

○もり委員 後遺症については、長引く方もいると伺いました。不安を抱える方に必要な情報が届くよう、引き続き、相談体制等情報提供をお願いいたします。
 時間が限られているので、重なっているものは割愛をさせていただきます。
 新型コロナワクチン接種後の健康被害の訴えが後を絶たず、予防接種健康被害者救済制度の認定数は、過去四十五年間全てのワクチン被害認定数の累計三千五百二十二件を超え、二〇二一年二月十七日から今年八月三十一日時点で四千九十八件に上ると発表されました。
 一方で、厚労省に八千六百六十七件の申請があったうち、認定を受けた件数は半数に満たず、副反応疑いで亡くなった二千七十六名のうち、因果関係が認められた事例はたった二件、約九九・三%が因果関係が不明とされています。申請数が多いため、審査会が全く追いついておらず、申請から一年以上待っている方もいるとのことです。
 東京都は、ワクチン接種に伴う副反応について、年代別割合、副反応の種類別割合をどのように把握し、情報提供をしているのか、また、ワクチン接種後に健康被害が生じた場合の救済制度について、都内の進捗状況を伺います。

○高橋保健医療局感染症対策調整担当部長 都は、新型コロナワクチンの副反応の相談に対応するため、新型コロナウイルスワクチン副反応相談センターを設置しております。これまで寄せられた相談件数は約二十八万件で、年代別の割合は七十代、五十代、四十代が全体の約四割を占め、症状別の割合は発熱が最も多く、次いで、接種部位の痛み、倦怠感の順となっております。副反応相談センターの相談件数については、東京都新型コロナウイルスワクチン接種ポータルサイトで毎月公表しております。
 また、新型コロナワクチン接種に関する健康被害救済制度の都内の申請件数は、令和五年八月三十一日までで八百五十二件で、そのうち認定が三百十六件、否認が五十四件、その他は審査中となっております。

○もり委員 副反応について、また、健康被害の救済制度の進捗と実績についてご答弁をいただきました。これは国の制度ですが、申請件数のうち、約半数はまだ審査中とのことで認定に至っておらず、健康に不安を抱える方に対しても、都としても相談体制の充実と適切な治療支援につながるよう、寄り添った体制の拡充を求めます。
 秋の接種が始まりますが、世界では追加接種は進まず、四回以降の追加接種を行っている数少ない国です。ワクチンの効果、有効性とリスク、健康被害への対応など、東京版iCDC専門家の知見も基に、しっかりと検証し、都民への情報提供を求めます。
 次に、治療状況について質問します。
 五類に移行してからは、コロナ患者で入院が必要とされた人は円滑に入院できるようになっているのか、その状況について、都内の外来対応医療者数及び入院可能な病院数についてお伺いをいたします。

○藤井保健医療局感染症対策調整担当部長感染症対策連絡調整担当部長兼務 五類移行後の入院調整は、医療機関同士による実質的な調整を原則として、都の入院調整本部では、症状の重い中等症Ⅱ以上の患者や透析、妊婦など特別な配慮が必要な方に重点化して、行政関与での入院調整を行ってまいりました。
 医療機関同士での調整が進展したことに伴って、入院調整本部への依頼件数は、五類移行前と比較いたしますと大幅に減少してございまして、現在は、一日当たり十件程度の調整依頼を受けておりまして、ほぼその全員につきまして、受入先の医療機関が決定しております。
 また、お尋ねの数字でございます都内の外来対応医療機関数は、九月十五日時点で、五千六百六十四機関でございまして、入院可能な病院数は、本年四月、移行計画策定の際に調査したところ、五百七十の病院がコロナ患者を受け入れるということとしているところでございます。

○もり委員 最後に、ハイリスク層を守る取組についてお伺いをいたします。
 重症化リスクの高い高齢者等を守るための医療提供体制について、特にリスクの高い高齢者等に対する支援の継続なども求められると考えます。
 今後の体制についてどのように考えているのか、また、将来起こり得る新たな感染症危機において、コロナ対策における取組をどのように生かしていくのか、都の見解を伺って、私の質問を終了いたします。

○加藤保健医療局感染症対策部長 都は、新型コロナの五類移行に当たりまして、都民の不安や医療現場等の混乱を招かないよう、必要な取組を継続しながら、通常の医療提供体制への移行を段階的に進めることとしております。
 こうした方針の下、ハイリスク層を守るための取組といたしまして、高齢者施設等の職員を対象とする集中的検査や八つの高齢者等医療支援型施設の運営などを継続しておりますが、冬の感染拡大への備えといたしまして、十月以降も引き続き継続してまいります。
 一方で、高齢者や妊婦の療養のための宿泊療養施設や酸素・医療提供ステーションの運営につきましては、五類移行後の患者受入れの実績等を踏まえ、九月末で終了することといたしました。
 引き続き、都民の命と健康を守るために必要な体制を確保しながら、国が示しております来年四月からの通常の医療提供体制への完全移行に向けまして、着実に取り組んでまいります。
 また、現在、医師会や保健所設置区市等の関係機関で構成されます連携協議会におきまして、コロナ禍における取組の成果を踏まえ、新たな感染症への対応策を協議しておりまして、今年度中に策定する予防計画に反映をしてまいります。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○柴崎委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 本日の理事会において、次回の委員会は、十月三日の常任委員会終了後に開会し、委員会調査報告書の決定を行う旨、申合せしましたので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時六分散会

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