建設・住宅委員会速記録第三号

平成十六年三月十七日(水曜日)
第九委員会室
午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長鈴木 一光君
副委員長小磯 善彦君
副委員長林田  武君
理事花輪ともふみ君
理事三原 將嗣君
理事大西由紀子君
伊沢けい子君
河野百合恵君
小松 恭子君
いなば真一君
倉林 辰雄君
宮崎  章君
馬場 裕子君
木内 良明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
住宅局局長高橋  功君
技監小林 崇男君
総務部長梶原 康二君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
連絡調整担当部長加藤 英夫君
地域住宅部長小林 計代君
区市町村調整担当部長高岡 信也君
民間住宅部長安藤  明君
参事山室 善博君
住宅経営部長青木 治道君
営繕担当部長渡部 景之君
参事石井 一夫君
参事庄司 静夫君
参事神通 和夫君

本日の会議に付した事件
 住宅局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為住宅局所管分
  ・第十二号議案 平成十六年度東京都都営住宅等事業会計予算
  ・第十三号議案 平成十六年度東京都都営住宅等保証金会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百二十四号議案 東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例

○鈴木委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十六年度予算につきましては予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分につきまして、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十六年三月十六日
東京都議会議長 内田  茂
建設・住宅委員長 鈴木 一光殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
  記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十二日(月)午後五時

(別紙1)
建設・住宅委員会
 第一号議案 平成十六年度東京都一般会計予算中 歳出 繰越明許費 債務負担行為 建設・住宅委員会所管分
 第十二号議案 平成十六年度東京都都営住宅等事業会計予算
 第十三号議案 平成十六年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 第十七号議案 平成十六年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
 第十八号議案 平成十六年度東京都市街地再開発事業会計予算
 第十九号議案 平成十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 第二十二号議案 平成十六年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○鈴木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅局関係の平成十六年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより住宅局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十六年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、住宅局所管分、第十二号議案、第十三号議案及び第百二十四号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梶原総務部長 さきにご要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の資料1、建設・住宅委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をお開きいただきますと目次がございます。合計十二件の資料の件名を記載しております。
 初めに一ページをお開き願います。1は、住宅局所管一般会計等当初歳出予算と歳出決算の推移でございます。
 上段の表は、平成七年度から十六年度までの当初歳出予算額を、下段の表は、平成七年度から十四年度までの歳出決算額を記載しております。
 二ページをお開き願います。2は、住宅局関係の工事に関します中小企業への工事発注実績でございます。
 平成十年度から十五年度上半期までについて、中小企業、大企業に区分し記載しておりますので、ごらんをいただきたいと存じます。
 三ページをお開き願います。3は、都営住宅の型別供給の実績でございます。
 住戸型式ごとに区部と市部に区分し、平成十年度から十四年度までの供給実績を記載しております。
 四ページをお開き願います。4は、都営住宅の区市町村移管実績でございます。
 既設都営住宅団地の移管を実施いたしました昭和六十一年度から平成十五年度までの団地数と戸数を記載しております。
 五ページをお開き願います。5は、都営住宅の建設計画と実績でございます。
 昭和五十八年度から平成十四年度までにつきまして、新規、建てかえに区分し、計画と実績を記載しております。
 六ページをお開き願います。6は、都営住宅の応募状況の推移でございます。
 上段の表は新築募集の応募状況を、中段の表は本年度に募集を行いましたバリアフリー仕様住宅について、下段の表は空き家募集について、それぞれ記載をしております。
 七ページをお開き願います。7は、公社一般賃貸住宅の空き家状況及び家賃の推移でございます。
 上段の表は空き家の状況を、下段の表は家賃の推移を記載しております。
 八ページをお開き願います。8は、都民住宅の空き家及び契約家賃の状況でございます。
 都民住宅の供給方式ごとに、管理戸数、空き家の戸数及び平均戸当たり契約家賃を記載しております。
 九ページをお開き願います。9は、エレベーター未設置の中層都営住宅の棟数でございます。
 既設の中層都営住宅におけるエレベーター未設置の棟数を、廊下型と階段室型に区分し、記載しております。下段には、参考といたしまして、これまでに設置した棟数を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。10は、木造住宅密集地域整備促進事業及び緊急木造住宅密集地域防災対策事業の実績でございます。
 上段の表は、木造住宅密集地域整備促進事業について平成八年度から十六年度までの事業地区数及び決算額を、下段の表は、緊急木造住宅密集地域防災対策事業について平成九年度から十五年度までの事業地区数及び決算額を記載しております。
 一一ページをお開き願います。11は、マンション改良工事助成事業等の実績でございます。
 1は、平成十年度から十四年度までの改良工事助成事業の実績を、2は、マンション建替え円滑化法に基づき、事業が認可されました件数、3は、ガイドブックの頒布数を、4は、実態調査を行いました区市別の実施済み数を記載しております。
 一二ページをお開き願います。12は、民間賃貸住宅における苦情、トラブルの状況でございます。
 上段は、賃貸借に関する相談件数の推移を、下段は、賃貸借契約における相談件数及び相談内容の内訳を記載しております。
 以上でご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○三原委員 それでは、この定例会に出されています東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例という案件について、幾つかご質問をいたしたいと思います。
 知事も、施政方針演説の中で、退去時の敷金精算などをめぐってトラブルが絶えない、したがって、そういう紛争の未然防止を目的とするために、この条例を新たにつくりたい、こういうことを述べておられますから、知事を含めて住宅局ですね、今度住宅局はなくなっちゃいますから、住宅局として最後の大仕事だ、こう思いますが、なかなかいいところに着目をされていると思います。
 いただいた資料などを見ましても、きょうの資料要求の資料でも出ていますけれども、年々民間の賃貸住宅における苦情とかトラブルというのはふえてきていて、消費者相談窓口等に大変たくさん寄せられているというデータが示されています。
 さらにまた、どういうときにそういうトラブルが起きやすいのかというと、賃貸住宅を明け渡すとき、すなわち退去時、これが二一%。それから管理というふうにこの資料では書いてありますけれども、入居の途中とでもいいますかね、途中での管理状況ということでしょうけれども、これが一三%というんですから、大体全体の三分の一のトラブルは、これが解決すれば解決する、こういうことなんでしょう。
 そこで今回、そういう条例をお考えいただいたということは、時宜を得たことかなとは思います。ただ、国の方も、国土交通省が六年ぶりにいわゆる賃貸借におけるガイドラインというようなものを改正したそうでございまして、これと機を同じくして出てきていますから、少し国の方からそういうご指導というか、各自治体でさらによくいろいろ考えてくださいよというようなサジェスチョンがあったのかなという気がしないでもありませんけれども、しかし、いずれの時期か、こういうことについてきちっとすべきだということは当然わかりますから、適切だな、こう思います。
 ただ、少し中を読ましていただいて、局側の皆さんのご意見も聞いてみたい、こうまず思いますが、目的、もう伺わずに、ここに書いてありますから、私が読んで解釈しますけれども、要するに、いろいろトラブルがあるのを借り主さんと貸す側との間に立っている宅地建物取引業者さんが責任を持つといいますか、仲介をしてトラブルを防いでくださいよという趣旨でこの目的が書いてあると思います。
 すなわち「宅地建物取引業者が、専ら居住を目的とする建物の賃貸借に伴い」、ここは賃貸借のあっせんに伴いとかということなんでしょう。文言がどうでなくちゃいけないということはありませんけれども、ちょっとそんな言葉が入っていた方がわかりやすいかなとは思いましたが、あらかじめ明らかにすべき事項を定めておいてそれを説明する、こういうことの責任を課そう、こういうことのようでございます。
 以下、条文を読ましていただきましたけれども、今、これが議会で審議されますよというようなことをマスコミも通じていろいろ出ていますけれども、ここに出ていない言葉が、実はちまたでは、あるいは業界では大変話題を呼んでいるといいますか、すなわち、我々の経験則からいうと、アパート等に入るときには敷金というものを預けるといいますか、それで出るときにそれをもって必要な範囲で精算をするというふうに理解をしますけれども、この条例の中には、そういったことについては全然出てきません。
 ただ、退去するときにトラブルが起きないようにいろいろと段取りをしておきましょうということはわかりますが、もう少しわかりやすくいえば、敷金を含めて、その敷金をもって解決する部分、あるいは敷金を使って解決しなくてもいい部分というのがあるような気がします。敷金という言葉は出てきませんけれども、この条例の中でそういう概念が含まれていると思うんですが、その辺をまずご説明してください。

○安藤民間住宅部長 ただいまご質問がありました敷金についてですが、敷金については、家屋等の賃貸借に際し、貸し主が、賃貸借契約終了時に、借り主の滞納その他債務不履行がなければ返還するという一種の停止条件つき債務を負担して借り主から受け取る金銭といわれております。いわゆる保証金の一種ということでございます。

○三原委員 わかりました。今、最後に、保証金という言葉が出ましたけれども、たしか都営住宅も民間でいうところの賃貸アパートと当然同じ原理ですから、東京都は保証金という形でお預かりしているわけでしょうけれども、世間でいうところの敷金、そして都営住宅がいうところの保証金、同じ概念というか、同じ目的というふうに理解していいですか。

○青木住宅経営部長 委員ご指摘のとおり、都営住宅におけます敷金は、条例上保証金として定めておるところでございます。民間の賃貸借契約における敷金と同様のものでございます。

○三原委員 私も専門的な知識がなくて恐縮なんですけれども、それなら敷金という言葉は使わずに、最初から保証金としておれば民間でももっとわかりやすいのかなという気がしますけれども、あるいは保証金という言葉が後から出てきたのかもしれませんので、世の中では敷金ということが保証金と同じ意味合いをなすということは、ある程度理解されているのかもしれません。
 そこでさらに、条例の中身でございますけれども、これは、宅建業者さんが仲介の労をとったときに、重要事項の説明とあわせて、紛争防止のためにあらかじめ明らかにしていくことを説明しなくちゃいけませんよという責任を課すことだと思いますが、その条例解釈でいいですか。

○安藤民間住宅部長 そのとおりでございます。

○三原委員 わかりました。
 そうすると、宅建業者さんにそういう責任を課すということですけれども、じゃあ具体的にどういうことを説明すればいいんだ、こういうことですけれども、説明と同時に書面を交付しなきゃいけない、書面を渡して説明しなさい、こういうふうに条文に書いてありますけれども、その具体的な中身は規則で定めるということですので、条例ではそういう内容を文書にして渡して説明しますというけれども、その中身については、ここで我々が今、全く審議ができないわけですね。
 そこで、やや似たようなことが、退去時における損耗とか復旧、あるいは使用中の修繕とか、そんなことが少し書いてはありますけれども、規則に、どういうことをうたおうとしておられるのか、もうちょっと具体的に例を挙げて説明していただけますか。

○安藤民間住宅部長 規則で定める事項でございますが、規則では、宅地建物取引業者が説明する内容及び勧告等に関する手続的事項を定める予定でございます。
 説明する内容でございますが、退去時の住宅の損耗等の復旧は、特約がある場合、または賃借人に責めがある場合を除き、賃貸人が行う。二つ目としまして、住宅に必要な修繕は、特約がある場合、または賃借人に責めがある場合を除き、賃貸人が行う。三点目としまして、当該契約において、賃借人の負担となる事項。それから四番目としまして、入居中の設備等の修繕等に関する連絡先を検討しております。

○三原委員 わかりました。
 聞いてみれば極めて常識的なというか、社会通念上特別なことはないなという気がしますが、ただ、貸し主は貸し主としての権利みたいなものがあったり、それからまた、借りる側の消費者の弱い立場みたいなものがあったりしますから、なかなか社会通念というか、社会常識で、何でもありじゃないのというようなものがトラブルのもとになるのかなという気がいたしますから、そういうことをきちっと文章化して、かつそれを説明し、何かあればちゃんとこちらへすぐ連絡くださいというようなことまで明示することは有意義であるというふうに理解はいたします。
 ただ、失礼ですけれども、皆さん方が机の上でお考えになることも重要ですけれども、ぜひ業界、特に建物取引業協会の皆さん方からきっちり日ごろの経験を聞き出していただいて、それを参考にして、せっかく規則で定めても、後から幾つも幾つも追加しなきゃいけないなんていうんじゃみっともないですから、十分に業界の皆さんの経験を聞いて、ああなるほど、これだけ細かく決めておいてくれればトラブルがなくて助かるよというふうにいわれる規則に、ぜひきちっとまとめてください。それはぜひお願いしておきます。
 そこで、重要事項を説明しなきゃいけないのはわかりますが、あわせてこれも、重要事項に準じて説明責任が宅建業者さん側に出ます。これを見ますと、都側は、指導とか勧告とか、最後には公表しますよということまで書いてありますが、いわゆる罰則がついていません。罰則規定までつけなくても、業界の皆さんが守ってくださるよということでいえばいい解釈になりますし、罰則がないとせっかく決めても守らないんじゃないのという考え方もあります。その辺のお考え、罰則をつけなかったのはどういうことなんでしょうか。

○安藤民間住宅部長 今回の条例につきましては、罰則ではなく、指導、勧告、公表というふうな制度的仕組みにしております。
 罰則の規定がないのは、この条例が、宅建業者に事実に対する説明義務を課すということで、都民の生命、身体上の安全を脅かさないという観点から、罰則は付さないこととしている次第でございます。

○三原委員 わかりました。
 宅建業者さんは住宅局さんが指導している団体ですから、当然、そういう意味で業者さんの善意を信頼するということはいいことだと思いますし、また、最近の情報の伝達の速さからいえば、公表というようなことは、かなり消費者に大きく伝わりますから、そういう意味では必ずしも罰則でなくてもいいのかなというふうにも、私も考えます。
 そこで、この条例の内容はわかりましたが、どこかの新聞なんですけれども、これでも、敷金、礼金、手数料ゼロなんて表現がしてあるんですね。つまり今、敷金の内容の議論をしたわけですけれども、これもぱっと見ると、ああ、これは敷金もゼロということかなというような報道に誤解をしますよね。それぐらい敷金とか礼金とか更新料とか手数料とか、かなりごちゃごちゃしやすいので、とにかくこれは、敷金あるいは役所の言葉でいえば保証金にかかわる部分だということを、もう一度都民の皆さんにも再認識してもらう必要があるなと思います。
 それでないと、今の新聞も間違って報道しているわけではないんですけれども、見出しだけ見ると、敷金もゼロと書いてあるように見えますから、またそれは、敷金もゼロでも貸し主さんとして営業できるというやり方もあるでしょうから、そういうやり方がいけないとは思いませんけれども、これは敷金なしの条例じゃないんですよということを、まず関係者に十分認識をしてもらうような努力をしておいてもらいたいと思います。
 そこで最後に、この条例に絡んで、私の考え方を申し上げます。あわせてそれは、自民党我が会派で、政策委員会でも煮詰められたことでございますけれども、業者さんがこういった重要事項に準ずるようなことについて説明をするということは、大変それなりの価値があります。
 ですけれども、果たしてこれ、条例まで決めて、あるいは条例に基づいて規則までつくって、それで消費者たる借り主、つまり借りる人に説明をしなくちゃいけないというふうにまで大上段に構える必要があるんだろうか、もう少し世の中の市場の流通の原則とか、世の中の常識とかに訴えていってもいいんではないかというような意見もありました。
 しかし、それを集約して、仮に、宅建業者さんがアパートを借りたい人に説明をするときに、借りたい人の側から、これはアパートの家主さんと宅建業者さんがぐるになって、都合のいいことを決めているんじゃないですかというようなことをいわれては逆に困りますから、ちょっと条例を定めてまでやることかなという気はしないでもありませんけれども、宅建業者さんが自信と責任を持って消費者たるアパート借り主さんにきちっと説明するには、条例という裏打ちがあった方が責任も持てるし、自信も持っていえるし、消費者の誤解なども解きやすい、そういうことを考えれば、この条例はちょっと大上段に振りかぶり過ぎているかなという気がしないでもありませんけれども、条例として、今の世の中の情勢をにらんで条例を定めることはいいだろう、こういう結論に達しました。
 私個人もそのような考えでありますが、我が党としてもそういう結論に達した、こういうことをまず申し上げておきたいと思います。
 そこで、もう一つ、先ほど新聞を見せて申し上げましたが、知事の施政方針の中でも、礼金、更新料のない合理的な契約の普及を促進するというようなお考えを述べておられます。礼金、更新料のない契約というのはわかりますけれども、私もしゃべりながらつい間違っちゃうように、あるいは新聞にもそういうふうに出ているから、つい誤解しやすいように、礼金も更新料も手数料も、また前段論じた敷金なども、世の中では何かしゃべっているうちにもうみんな一緒くたになってしまっているような感じがあるんですね。
 我々、ここにおられる委員さんはそんなことはないかもしれませんが、議員の間でも、議論しているうちに言葉をしばしば取り違えて議論をしてしまうというようなこともあるぐらい、つい、何だか今度条例ができたら、敷金も取れない、礼金も更新料ももらわない、そういうことを東京都がやるらしいみたいな大変誤解をされている方も、事実何人もありました。
 したがって、知事の方針でもあり、住宅局のお考えでもありますけれども、礼金、更新料のない契約を、この際、住宅局が大きく発信をしていく、そういう運動を展開していくのは、ちょっとタイミングが悪いんではないかなという気がするんですね。申し上げたように、非常に混乱をしやすい、そういうふうに思います。
 そういう前提に立ってちょっと伺いますけれども、礼金、更新料のない契約というのは、消費者にとって非常に有利であるということはよくわかります。それから、住宅局の見解でしたかね、新聞報道ですけれども、国際都市東京に更新料とか礼金はなじまないなんて書いてありましたけれども、礼金、更新料ということについて住宅局はどう考えておられるか、その点ちょっと聞かせてください。

○安藤民間住宅部長 礼金、更新料でございますけれども、礼金につきましては、不動産の賃貸借契約に際しまして借り主から貸し主に支払われる一時金の一種で、通常は返還されないものとされております。戦後の住宅難の際に定着したものといわれております。
 また、更新料は、契約の更新に伴って借り主から貸し主に支払われる金銭をいいまして、さまざまな見解があり、学説や判例等で統一されたものはないというふうに受けとめております。
 この礼金につきましては、民間賃貸住宅世帯が四割を超えているという状況をかんがみますと、将来的にはなくなっていく方向で整理されていくものかなというふうに考えております。

○三原委員 おっしゃるように、礼金なんというものは、手数料とかいえば非常にわかりやすいんでしょうけれども、ちょっとイメージも違います。それから、更新料については、商習慣としてはわかりますけれども、具体的に、やや法律的に説明しろといわれると、非常に難しいなという感じもいたします。
 ただ、ぜひ考えていただきたいのは、本格的な不動産業としてマンションを何十棟も何百棟も持っておられるようないわゆるアパート経営者と、それから、農家をおやめになったり、あるいはお仕事をおやめになったりして、二階建てのいわゆるアパートとか、全体で十戸とか十五戸とかのマンションのようなものを建てられて経営をされている方、そういう方は、かなり事情が違っているのではないかなという気がします。
 特に更新料は、今までの商習慣でいうと、二年に一回ですよね、二年目ごとぐらいに更新しますから。片や経営者の方は、毎月家賃が幾ら入って、年間幾ら銀行にお金を返してとかというような計算をします。そういう中に、当然、更新料が幾ら入るから、それで返済をどうしようというような返済計画を立てておられたり、あるいは、当然空き家が発生します、空き家にすぐお客様が入ってくださらないということで、その空き家が出ることによって家賃が入らない、そこを二年間の中でどういうふうに埋めていくかというようなことを考えたときに、更新料などは有効に対応しているのではないかなというふうにも想像いたします。
 そういうことを考えますと、消費者たるアパートをお借りになるお客様の立場でいえば、礼金や更新料はないにこしたことはありませんが、現実にアパートを経営しようという、いうならば小規模な経営者、小規模なアパートの持ち主さんから見ると、更新料などは、特に建物の費用の返済計画の中に組み込まれる、あるいはまた経営者の生活の費用に組み込まれるというようなことも多分にあります。
 したがって、そういうことも踏まえて、いわゆるアパートの持ち主さんの経営状況、冒頭いいましたように、五十棟も百棟もマンションを持っているようなところの経営状況は調査してもらわなくて結構ですけれども、十部屋とか二十部屋とか持っている経営者の皆さんの経営状態、そういうようなものを十分調査した上で、礼金や更新料というものをなくしても、本当にそういう経営も成り立ち、生活も成り立っていくというふうな実態なのかどうか、そういう調査が必要なのではないかなと思いますが、どうでしょうか。

○安藤民間住宅部長 お話のような小規模のアパート等を経営する際に、返済計画、それから空き家対策に更新料を充てているという実態については承知しております。
 この経営実態でございますけれども、個々の経営実態につきましては、個人の資産にかかわることであるということから、十分なデータの収集が難しいという側面がございます。しかしながら、委員お話しのように、そうした実態を踏まえて対応していくというのも十分意義のあることだと感じておりまして、さまざまな課題はございますけれども、経営実態の調査、把握について、今後取り組んでいきたいと考えております。

○三原委員 それではまとめまして、最後に局長にちょっと伺いますが、条例につきましては、知事のご決意もありますし、社会情勢から見て、こういう条例を施行していくということはよろしいことだと思います。
 ただ、これは十月から施行ですから、その間に規則等を詰められると思いますから、また機会があれば、私どもにもそういう規則の内容等についてご説明をいただき、また、その規則をつくるに当たっては、先ほど申し上げたように、宅建業者さん等を含めた関係者の意見を十分聞いて、内容の濃い規則にしていただきたい、こう思います。
 これは十月施行ですので、十月に施行してみて、また、世の中でどういう反応があるのか、そういうことも踏まえて、十月施行に向かって万全の準備をし、かつ十月から施行し始めてどういう評価を受けるか、その辺まで見きわめてもらいたいと思います。
 片や礼金、更新料のない契約を求める普及啓発運動、これにつきましては、申し上げたように、敷金、礼金、更新料、みんなごちゃごちゃになった話になりやすい。したがって、この際、まず二つに分けて、敷金を含んだ条例については可決をさせていただいて、十月施行の準備をされ、施行後の情勢を見る。片や、礼金、更新料等については、ごちゃごちゃしますから、ちょっと、普及啓発運動を今、一気に進めるんではなくて、まず申し上げたような調査を含めて、業界の事情等、下準備をしっかりしていただいて、条例施行後、敷金や何かとごちゃごちゃにならないなという情勢を見きわめてから、礼金、更新料についてどういう形で都民の皆さんにご理解をいただくのがいいかというふうに、じわりと立ち上げていただければいいんじゃないか。
 知事のご決意もありますけれども、何も一緒に用意ドンで走らないと効果が出ないという政策ではありませんから、世の中の混乱や関係者の誤解を招かないという意味からも、条例と、そして礼金、更新料のない契約の普及啓発とは、少し時期をずらせていただいて実行する、これが適切である、こう私は思いますが、局長のご決断を伺いたいと思います。

○高橋住宅局長 ご提案申し上げております条例とあわせまして、敷金、更新料のない契約の進め方につきまして、幅広い観点から、ご意見を含めてご質疑をいただきました。
 昨年の八月に、住宅政策審議会から民間の賃貸住宅に関する施策のあり方につきまして答申をいただきまして、それ以降、関係の団体を含めまして、いろいろ検討させていただいておりまして、その集大成として今回、ご提案をさせていただいた経過がございます。
 都におきましては、民間賃貸住宅がご案内のように四割を占めておりまして、都民の生活の場として大変大きな位置を占めております。今回、ご提案申し上げております東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例につきましては、都民の住生活の安定、向上のために、この民間賃貸住宅を対象といたしまして、賃貸借をめぐる紛争の未然防止を図るという趣旨でございまして、この条例におきましては、仕組みといたしまして、契約の時点の前までに、専門家である宅地建物取引業者に対しまして、退去時の損耗等の復旧に対しまして、判例等で確立された基本的な考え方などの説明を義務づけるものでございまして、紛争の未然防止に効果が発揮できるというふうに考えております。
 また、実際に扱っていただく宅地建物取引業者、大変な数に上っておりますので、まず、周知と協力が欠かせないというふうに考えております。施行を予定しております本年十月に向けましては、この条例の借り主への説明において、必要な項目をまず明らかにいたしますとともに、ひな形ともいうべき説明文書の書式例を示すなど、条例の円滑な施行に向けて、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 また、基本的な考え方をわかりやすく解説した東京版のガイドラインを作成しまして、あわせて広く都民の皆さんにも普及を図ってまいりたいというふうに考えておりまして、条例施行後も、きちっとその状況については評価をし、検証していきたいというふうに考えております。
 また、ご指摘をいただきました礼金、更新料のない契約の関係でございますけれども、お話のように、条例に基づくものではございません。こういう趣旨をきちっと切り分けながら、わかりやすく、条例と混同のないように十分留意しながら、先ほどご答弁も申し上げましたが、さらに実情の把握も深めながら、関係団体とも十分協議、相談しながら、運動の形態も含めて今後扱わせていただいていく、このように考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。

○三原委員 ありがとうございました。局長の今のご決断で、条例は十月施行、そして社会情勢を見て、業界の調整も受けて、その後に礼金、更新料のない契約の普及啓発運動というふうに進められるものと理解をしましたから、ぜひそのように実行するよう、お願いをいたしまして、終わります。

○馬場委員 私からも、付託議案第百二十四号、東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例についてお尋ねをいたします。
 この条例は、今お話ありましたように、多くの都民、四割の都民の皆さんが民間賃貸住宅にお住まいでいらっしゃる、そうした中で最大の、三分の一を占めるトラブルの要因となっている敷金の精算などについて、退去時の通常損耗等の復旧は貸し主が行うことが基本とされていることなどの説明を、契約時点で宅地建物取引業者に義務づけることによって、トラブルの未然防止を図ろうとするものであると伺っております。
 この条例が広く宅建業界や都民に普及すれば、トラブル防止に大いに役に立つものと私も期待をしております。そうした立場から、何点かご質問させていただきます。
 まず、条例案の第二条では、「宅地建物取引業者は」とありまして、「説明しなければならない」というふうに規定をされております。それでは、宅建業者が仲介をしない場合の取引等もあるというふうに思いますが、そうした場合、この条例の対象になるのでしょうか、まずお伺いいたします。

○安藤民間住宅部長 賃貸借を仲介する専門的な立場にあります宅地建物取引業者が、宅地建物取引業法によって重要事項説明義務を課されているということから、宅地建物取引業者に着目しまして、条例上の説明義務を課すものでございます。
 宅地建物取引業者を介さない賃貸取引は、説明の実効性が確保できないことなどから、条例の対象外としております。

○馬場委員 この条例が宅建業者に義務づけているという条例である以上、その対象を明確にする必要があるということで、宅建取引業者が仲介をする取引に限定するということは、結果的にやむを得ないことというふうに思いますが、例えば小規模の、直接契約をしているところ、また、最近のインターネット等を通じた取引、こうしたものもふえてきておりますし、小規模のものでは、現実に宅建業者を仲介しない取引もあると思います。小規模のものかもしれませんが、こうしたものも、逆に小規模だからこそ近いという立場から考えると、紛争が起こりやすいということも考えられるのではないかと私は心配しております。
 その意味で、この紛争の未然防止の観点からは、すべての賃貸住宅にこの条例の趣旨を徹底することが重要だというふうに考えています。今後、この条例の対象とならない物件に対して、どのようにこの条例の趣旨を徹底していこうとされるのか、お伺いをいたします。

○安藤民間住宅部長 宅地建物取引業者が仲介しない取引に対してどのように条例の趣旨を徹底していくかということでございますけれども、宅地建物取引業者が仲介しない賃貸取引におきましても、判例等で既に確立している基本的な考え方を十分に理解した上で契約が結ばれることが必要であると考えております。
 そのため、契約時の説明文書のひな形等を盛り込んだ東京都版のガイドラインを作成しまして、これを、都のホームページ等を活用し広く情報提供するなど、宅地建物取引業者が仲介しない賃貸契約においても、条例の趣旨が徹底されるよう努めてまいります。

○馬場委員 お答えいただきましたように、宅建業者を介した取引が目的ではなく、賃貸すべての取引について、このことが借り主、貸し主に周知をされることが、紛争が起こらないということが目的だというふうに思いますので、その辺についてぜひ、きちんとした今後の対応ということをお願いしたいのですが、最初に述べられていますように、退去時の通常損耗の復旧は貸し主が行うことが基本であるという、まずこのことを一般の常識にすることが今回のこの条例の大きな目的であるというふうに私も思いますので、そのことを借り主だけでなく、すべての貸し主にきちんとご理解をいただくということが必要なのではないかと思っています。
 それで、宅建業者が契約の折に説明をするということになっているんですが、そういう意味では、借り主に説明をするということになっていますよね、この条例は。その意味からすると、借り主の立場を擁護する、借り主の立場に立ったトラブル防止法ということで、これは消費者保護ということも含めて大切なことだというふうに思うんですが、実際に紛争が起きているのは、預かった、敷金なり保証金なりの名称でありますが、こうしたものをきちんと精算ができない貸し主側に、大きくやはりこの原因があるというふうに思っています。
 そういう意味では、借り主に、あなたにはきちんと精算をされる権利がありますよということを説明すると同時に、貸し主に対して、きちんとそのことを担保できなければ紛争の解決にはならない。もっとうがっていえば、借り主にその権利をどんどん認めていくことは、さらに紛争を大きくするということにならなければいいなというふうに逆に思っているわけです。
 そうした中で、先ほどガイドラインの話もありました。敷金とか保証金とはどういうことなのか、そうした今まで慣例とか習慣という形で行ってきた敷金や保証金、こうしたものがどういう意味を持つものなのか、どういうふうに精算をされればいいのかというようなことを、これからの規則なりガイドラインなりで盛り込まれてくるというふうに思いますが、この辺の契約のあるべき姿というんでしょうか、こうしたものを盛り込んだものをつくることが真にトラブルの防止に有効であるというふうに思いますが、この辺どういうふうに考えていらっしゃるのか、もう一度確認をさせていただきます。

○安藤民間住宅部長 判例等で既に確立されております基本的な考え方に基づく契約の姿を具体的に示すということは、トラブル防止のためにも有効だと考えております。したがいまして、今後作成する東京都版のガイドラインにおきまして、標準的な契約書の例を盛り込むなどし、貸し主、借り主双方に対して普及してまいります。

○馬場委員 この条例が実効性を持つためにも、このガイドライン、また規則というところで、きちんとできるだけわかりやすいものを盛り込んでほしいということを重ねてお願いいたします。
 先ほどの三原委員の質問の中でのご答弁にもありましたが、契約ということが民民で行われる中で、モデルケースはあっても、お互いに契約上取り決めた場合にはその範囲に入らないというようなこともあるというふうに思います。
 先ほどの判例等はあるということをわかりながら、さらに、やはり貸し主と借り主との力関係の中でさまざまな、両者が合意をせざるを得ないような条件も含めて存在をし得るというふうに思います。そうしたところで、先ほども、宅建業者、業界の皆さんが、説明責任だけでなく、これからの紛争の防止また解決については、もう一歩踏み込んだ積極的なかかわりを持っていくということも先に考えて今回の条例をつくっていくべきだというふうに思っております。
 先ほど資料でもいただいた賃貸契約に係る相談内容でも、トラブルの中に、契約また報酬、費用等の問題もかなり目立つというふうに私も思います。この仲介の手数料のあり方の問題、それから、物件を貸し主が宅建業界の皆さんに全面委託をして管理運営に当たる、そうしたさまざまな状況が考えられるというふうに思います。
 そういう面に向けて、基本ラインだけでなく、国がつくっているガイドラインをさらに上回った、都民に対して使いやすいガイドラインをつくっていただきたいというふうに思いますが、つくった上でさらに普及ということ、つまり一人一人に、貸し主にも借り主にもこれが周知されるということが必要だというふうに思いますので、この周知について、普及についてどんなふうに考えていらっしゃるのか、伺います。

○安藤民間住宅部長 東京都版のガイドラインは、退去時の損耗等の復旧に関する基本的な考え方をわかりやすく示そうというもので、これを広く普及させていくことは極めて重要と考えています。そのため、都のホームページ等を活用しまして、広く都民へ情報提供するとともに、区市町村、関係業界団体などと連携しまして、宅地建物取引業者や貸し主に対しても十分な普及を図ってまいります。

○馬場委員 ぜひこうした解決に向けて、民民というお話がありますが、都民にとっては大きな問題であるというふうに思いますので、今回、住宅局でこうした取り組みをされるということについては、一定の評価はさせていただきたいというふうに思っています。ぜひ、そういう意味では、手本となるようなガイドラインをつくっていただきたいとお願いをしておきます。
 あとは質問ではないんですが、ほか二点にわたって、意見をきょうの委員会で申し述べさせていただきたいというふうに思います。
 都営住宅の目的外使用ということで、精神、知的、痴呆等のグループホームの場所として提供してほしいという、そのための目的外使用の制度ができております。そうした都民に対して、この目的は、今まで住んでいるところで住み続けるための一つの方法として、都営住宅も場所として提供してほしい、公営住宅法の中でそういう意味では目的外使用ということで認められたということを聞いております。これを使いやすいものにする--今、実績を伺いましたが、精神はゼロ、知的障害の方のグループホームが十件ほどでしょうか、そして痴呆性老人の、高齢者向けのグループホームはまだ実績がないというような状況でございます。
 こうした、今現実に地域の皆さんが望んでいる住宅として、近い、今まで住んでいたところ、都営住宅等でグループホームをつくりたいというようなことをぜひ受けとめていただきたいというふうに思っておりますので、このことを一つ要望させていただきます。
 このお話をさせていただいているときに、都が全般として持っている都全体の都営住宅というよりは、やはり区市が自分のところで、福祉事務所等との話し合いの中で住み続ける、いろいろな形でその公営住宅を使っていく、そうしたことを考えると、さらに区市への移管というものも、もっともっと進んでいかなければならないというふうに私も思っております。
 この二点について、今後とも、ぜひ十六年度予算の中で充実をさせていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○小磯委員 それではまず、条例についてお伺いをしたいと思います。
 東京には、全所帯の約四割に当たる二百万所帯が民間賃貸住宅に居住をされております。そういった意味では、住宅政策というのは、この民間賃貸住宅政策が大変大事になってくるんだと思うわけであります。
 そういう中で、東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例案を東京都が提案されたわけでございます。昨年の八月、住宅政策審議会の答申を受けてから、東京都において本格的な検討を重ねられ、今般、条例が提案される運びになったことについては、大変評価をするものでございます。
 そこでまず、条例の制定に至った背景についてお伺いをしたいと思います。

○安藤民間住宅部長 条例制定の背景でございますけれども、近年、賃貸借の契約に当たりまして、退去時の敷金精算の取り扱いが必ずしも明確になっていないなど不透明な部分が見られることから、紛争が増加しております。中でも、退去時における部屋の損耗等の復旧にかかわるトラブルが最も多く、その解決が大きな課題となっておりました。
 国では、原状回復をめぐるガイドラインを作成しておりますが、わかりやすいものになっておりませんで、普及も進んでいないことなどから、トラブルの未然防止に大きな効果を発揮していないのが現状でございます。
 そこで、都としましては、条例を制定しまして、判例などにより既に定着しております通常の使用により生じた損耗等の復旧については貸し主が行うことなどの基本的な考え方と、当該契約の内容につきまして説明を義務づけることとした次第でございます。

○小磯委員 今度はこの条例の中身になるんですけれども、この条例は、退去時また入居中の修繕等の考え方を宅建業者の方に説明させることによって、賃貸住宅をめぐる紛争から消費者を守る画期的な条例である、このように考えております。したがって、この条例がしっかりと定着していくことが大事であるわけであります。
 しかし、私もいろんな方のお話を聞いてみますと、一方で、最近は消費者である借り主の方が、貸し主の皆さんとか宅地建物取引業者さんの上を行って、例えば清掃しないとか、居住マナーを守らないとか非常識な住宅の使用をする、それにもかかわらず、敷金についても、そういったことについて弁償しないとか、そういうことも実は見受けられるんだという話が、私の耳に入っているわけでございます。そういった意味では、逆に善良な貸し主を悩ませている現実があることも事実であるというふうに思っております。
 そういった意味で、条例の普及、定着に当たっては、こうしたことについての配慮も必要である、私はこう考えております。ですから、このガイドラインの作成においては、貸し主も借り主も、そして宅地建物取引業者の皆さんも、それぞれにメリットがあるというか、配慮をしたそういうガイドラインをつくるべきである、私はこのように思うわけでございますが、いかがでしょうか。

○安藤民間住宅部長 東京都としましては、退去時の復旧等に際してのトラブル防止のため、具体的な事例を盛り込みました東京都版のガイドラインを作成しまして、貸し主、借り主の負担区分に関する基本的な考え方や、トラブルの対応などについてわかりやすく示していく予定でございます。
 このガイドラインには、借り主の入居期間中の留意点につきましても記載することとしまして、貸し主、借り主、宅地建物取引業者、それぞれに参考となるように、内容、構成等に工夫を凝らし、広く普及に努めてまいります。

○小磯委員 このガイドラインの作成に当たって、どういう団体から意見を聞いていくのか、また、その作成の時期についてお伺いをしたいと思います。

○安藤民間住宅部長 ガイドラインの作成に当たりましては、宅地建物取引業団体等と意見交換を行い、できるだけ早期に作成してまいります。

○小磯委員 ちょっとこれは申し上げてなかったことなんですけれども、通常の損耗という考え方の中に、例えば小さい男の子が三人おられる家庭の通常の損耗と、いわゆるもう既に十八、十九になっている子どもさんのおられる家庭と、この通常の損耗の程度が違うじゃないかというのが一つありまして、そういうときに、いわゆる子どもの多い家に、貸し主さんが逆に、おたくは子どもが多くて、もう家の中が荒らされちゃうから貸したくないというようなことが起こらないか、そういう心配をされている方もおられるんですね。その辺についてはいかがなんでしょうか。

○安藤民間住宅部長 年齢による通常損耗が異なるのか否かというようなご質問だと思いますが、通常損耗ということが抽象的な言葉でありますので、なかなか具体的に決めにくいというところがございます。個々の当初の契約内容によって通常損耗等に当たるかどうかという考え方も一つはあるのかなというふうに考えております。

○小磯委員 今の、契約内容によって通常損耗に当たるかどうかということは、特約でそういうことを決めていくということになっちゃうんですか。

○安藤民間住宅部長 基本的には、契約自由という原則の中で、貸し主、借り主が、双方が契約を行っていくと。契約の内容については、明確に、熟知していくということなので、一般的に通常使用する場合については通常損耗のところに該当するということですが、個々の契約によっては当然違う場合もございます。そういう場合については、また違う取り扱いがある可能性もあるということで申し上げたわけでございます。

○小磯委員 済みません。例えば、うちに小さい子どもが三人いると。こういう子どもを持った親が、不動産屋さんが、おたくは小さい子どもの方が三人おられるから、こういう契約書になりますとか、そうなっちゃうんですかね。

○安藤民間住宅部長 済みません、再度、先ほどのご説明からさせていただきますけれども、通常損耗というのは一般的な概念でございまして、年齢差、それから家族構成等によって変わるものではないというふうに受けとめております。

○小磯委員 何かさっきの答弁とちょっと違うような感じがするんですけれども、要は、その辺のところで、貸す側の方がもう貸さないとかいうことがないようにしていただければな、そういう趣旨でございますので、よろしくお願いいたします。
 それからもう一つは、基本的な考え方として、通常の損耗については借り主は負担しないという説明を受けたとしても、特約があれば、やはり特約が優先されることになるのかどうか、お伺いしたいと思います。

○安藤民間住宅部長 賃貸借契約におきましては、強行法規に反しないものであれば、特約を設けることは契約自由の原則から認められているというようなことが国のガイドラインに記載されております。また、そのガイドラインにおきましては、しかしながら、特約については、賃借人に法律上、社会通念上の義務とは別個の新たな義務を課すことになるため、次の要件を満たしていなければ効力を争われますということで、三点挙げてございます。
 特約の場合ですけれども、特約の必要性がありまして、かつ暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること、それから、賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること、それから三点目としまして、賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていることというようなことで、特約については、この三つの要件が必要ですよということが国のガイドラインに記載されております。

○小磯委員 きょうの朝日新聞に、都の住宅政策審議会委員の奈良さんのいわゆる投稿記事が出ております。
 これは質問じゃないんですけれども、その中に、一つはパンフレットなどをつくる場合、そしてまた特約ですね、特約の字が物すごく小さい字で書いてあるというんですね。だから、特約の字なんかも大きい字で読みやすい字にしてもらいたい、そういうことが書いてございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、東京都のつくったこの条例によって、他県でも同じように条例化の動きが出てくるのではないかな、こう思うわけでございますが、その辺のことについてお伺いしたいと思います。

○安藤民間住宅部長 この条例では、宅地建物取引業者が都内におきまして住宅の賃貸借の代理または媒介をする場合に説明義務を負うものであります。都内にある民間の賃貸住宅を扱う限り、都外の宅地建物取引業者であっても説明義務を負うことになります。
 本条例がこういう性格を持っておりますことから、他県でも関心を持って、東京都の方に質問とか、いろいろな内容を教えていただきたいというようなことが寄せられております。したがいまして、本条例が少なからず他県に影響を与えるというようなことを考えるので、他県等に対しては、今後、相談などがあった場合に、できる限りの情報提供に努めていきたいと考えています。
 また、現実に、他県でもこのような動きに関心を持つと同時に、当該県でもそういうことを考えていきたいというようなことが、これは担当者レベルですけれども、私どもの方に寄せられている状況で、そういう点を十分踏まえて今後対応してまいりたいと考えております。

○小磯委員 とにかく今回の条例は、物件が東京都内にある場合は、たとえ埼玉県の業者であれ、九州の業者であれ、東京のこの条例のとおり、しっかりと説明をしなければいけない、こういうことの理解でよろしいわけですよね。--はい。
 それから次に、礼金の実態なんですけれども、国内で結構なんですけれども、国内で礼金の実態はどのようになっているかということをお伺いしたいと思います。
 といいますのは、これは「濃尾参州記」という司馬遼太郎の本でございますが、司馬遼太郎さんが亡くなった後の余話ということで書いてございますけれども、そこに、「池辺史生編集委員はかつて東海道を自転車で走破した。目的は沿道の魚屋が魚をタテに並べているか、ヨコに並べているかを調べるというもので、この話を司馬さんは気に入っていた」と。これは、東京は魚を横に並べるんですね。ところが、大阪は魚を縦に並べるんです。それで、「では名古屋はどうかと取材中に魚屋に走った池辺編集委員の台詞が、『ごじゃごじゃでした』」ということで、縦のところもあれば横のところもあったということで、ちょうど大阪の文化と東京の文化が名古屋あたりでごじゃごじゃになっていると。
 そんなことで、恐らく礼金の方も地方によって変わってくるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○安藤民間住宅部長 関東、関西の違いでございますけれども、関西では敷引というのが一般的に慣習化されています。東京については、礼金という形になっております。
 今回の条例の検討に当たりまして、全国の宅地建物取引業法所管課に照会しまして、各県の実態調査を行いました。その結果、東京を初めとする関東地方一円には、礼金、更新料の慣習があること、北海道、四国、九州などでは、一般的には礼金の授受は行われていないこと、また、東京からの業者や家主の進出によって、礼金、更新料のない地域で礼金、更新料の授受が行われるようになってきていることなどがわかっております。

○小磯委員 次に、礼金、更新料のない契約ということでございますが、基本的には、礼金、更新料の負担がなくなれば、東京における賃貸市場の活性化が進むものと考えております。また、しかし一方で、善良な貸し主が悩むという現実もあるのではないかな、こういうふうに思っております。そうした点も配慮する必要があると思いますが、所見を伺いたいと思います。

○安藤民間住宅部長 善良な貸し主に対する配慮ということですが、先ほど申し上げましたように、借り主に対する留意事項、借り主がどういうようなことに注意して住んでいくか、そういうようなことについても、しっかりとガイドラインに盛り込みまして、貸し主、借り主双方にとって参考となる、また、宅地建物取引業者にとって現地で使いやすいものとなるように、工夫を凝らして普及に努めてまいります。

○小磯委員 それでは、東京都住宅供給公社の住宅についてのお話をさせていただきます。
 二〇〇二年の十月三十一日、私はこの委員会で、公社住宅でトイレのコンセントのない住宅について、コンセントを設置すべきであると質問いたしました。便座にウオシュレットをつけたくても、トイレにコンセントがなくて、つけられないと。中にはドアに穴をあけてコンセントを引っ張っているという人もいたり、また、便座の上にある電球のところから電気を引っ張ったりとか、それぞれ工夫をされているというか、ご苦労されているわけでございます。
 そういったことを質問いたしましたら、十五年度からこれに対応していただいて、コンセント設置の事業が始まったわけでございます。団地の方は大変喜んでおられますが、この事業の進捗状況と、今後の計画についてお伺いしたいと思います。

○小林地域住宅部長 公社住宅におけるトイレのコンセント設置につきましては、計画修繕の一環として、平成十五年度から四年間で実施することとしております。なお、十五年度につきましては、約一万戸の住宅に設置するとのことでございます。

○小磯委員 大体年間一万戸ずつで、トータルとして三万五千戸の住宅に、トイレにコンセントがつくというふうに伺っているわけでございますが、しかしながら、トイレとふろ場が一体となっている場合には、漏電等の心配から設置が困難である、このように伺っているわけでございます。
 ただ、ドアがなくても、例えば簡単な仕切りをすればコンセントの設置が可能になるのではないかと思います。トイレとふろ場が一体となった住宅についてもこの事業を積極的に進めていただきたい、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。

○小林地域住宅部長 トイレとふろ場が一体となっている公社住宅につきましては、浴室改善事業によりまして、トイレとふろ場との間に仕切り戸を設けた上で、漏電遮断器つきコンセントの設置を平成十六年度から開始する予定とのことでございます。

○小磯委員 よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○河野委員 私は、提案されております条例案と、それから平成十六年度の予算案について質問をさせていただきます。
 まず初めに、東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例について伺います。先ほど来、各委員からご質問がありました。重ならない形で簡潔にお伺いをいたしたいと思います。
 条例案は、東京の民間賃貸住宅の特性と都民の置かれている状況に基づいて制定されるという方向が示されており、私たちは賛成の立場であります。そのことを申し上げた上で、一点伺いたいんですが、初めに、この条例の案文が示されましたときに、局の方にも伺いましたが、規則で定めるというところが第二条と第七条にあります。
 この規則について、私たちは、この委員会の質疑に当たって、検討させていただきたいということでお願いをしたわけですが、なかなかできないということで、本来は、条例と規則というのは一体のものとして議会に提出されるのが常識的な問題だと思うんですが、なぜ、きょうの審議に間に合う、そういう取り組みが局としておできにならなかったのか、この点伺っておきたいと思います。
 なぜならば、私、きょう、コピーとってまいりましたけれども、ことしの二月六日の新聞報道で、ちゃんと東京都が今回条例を出しますと。ちょうどこの日、NHKのニュースを私、見ておりましたら、たしか朝のニュースで同じことが報道されておりまして、私たちはその後、新聞や報道で知ったという形になるんですが、二月六日に報道されてからきょうまで一カ月半ありますよね。この間に十分、規則を文書にできるんじゃないかと私たちは思うんですが、これはどういう理由なんでしょうか。

○安藤民間住宅部長 規則につきましては、現在、検討過程でございます。したがいまして、現時点でお見せすることはできない状況でございます。ご理解をいただきたいと思います。

○河野委員 先ほど、三原委員の規則はどういう内容ですかという質問に対して、部長がご答弁なさいました。四点おっしゃっていましたね。退去時における貸し主の負担、それから入居期間中の貸し主の負担、それから特約事項があった場合の問題、それから修繕及び維持管理に関する連絡先についてというようなことをご答弁されていたように思うんですが、私は、この条例の文書を読みまして、おっしゃった四つの問題は、二条ですね、宅地建物取引業者の説明義務、ここに規則として一項で盛り込むということを書いておりますが、そこに当てはまるのかなと判断するんです。そういう理解でよろしいのかどうか。
 それからもう一点、委任ということで、第七条に改めて、この条例の施行についての必要な事項は規則で定めることとするとなっておりますが、ここのあたりの関連ですね。規則でどういうふうにこの二条について定めていくのか、そのことをこの機会にご答弁として伺っておきたいと思います。

○安藤民間住宅部長 規則の内容につきましては、先ほどご答弁したとおりの内容でございまして、これにつきましては、お話のとおり、第二条一号、二号に関しての規則の内容でございます。
 それから、第七条等につきましてご発言があったかと思うんですけれども、この辺については、今後取り組むべき課題等についての規定ということでございます。

○河野委員 深くはもう申し上げませんけれども、今後取り組むべき課題というところも、いろいろガイドラインの問題とか、先ほど来ご答弁がありましたが、そういうことが入るのかなと思うんですが、きょうの答弁では明確ではありませんし、私たちは、今後の問題として、条例が提案されるときには、そして規則で定めるということがうたわれる場合には、ぜひ一体のものとして考えていただいて議会にも提出をしていただくように求めておきたいと思います。
 それで、この条例についてはご質疑がありましたので、私としてはそれ以上のことは申し上げることがありませんが、ぜひ借り主の方、貸し主の方、そして宅建業者の方、広く都民の方が理解の上、条例が施行になり、都民のために役立つものになるようにご努力いただきたいし、そのための取り組み、十月の施行まであと六カ月間あるわけですので、努力を続けていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
 条例案については以上です。
 次に、予算に関連してお伺いをいたします。
 まず初めに、住宅供給公社の問題についてお伺いをいたします。
 昨年の五月、住宅供給公社は、アクションプランと建てかえの再編整備計画というものを続けて出しました。また、先日は、建てかえ事業における小規模住戸導入に伴う従前居住制度の一部改正ということで、私たちもご説明を受けました。こういう一連の流れがある中で、公社住宅について幾つか伺いたいと思います。
 アクションプランは、これまでの公社のあり方を大もとから変えていく、そういう方向に踏み出していると私たちは判断をしております。プランで示されたのは、都が無利子の貸付金や利子補給などの補助金を打ち切ったことから自立経営を目指すということを、一番初めにうたっております。あわせて、家賃改定三年、これのルール化を実施すること、これは、近傍同種家賃の導入で、限りなく市場家賃に向けて供給公社の家賃負担、居住者の負担を引き上げていくやり方であると考えるんですが、これまで、おおむね三年という改定の時期を設定していたわけですが、これすらも変えてしまっているという状態です。
 公社住宅の居住者は、都営住宅の居住者と収入を比較すると、同水準の所得の方が多いのではないかと私たちは判断しております。今回の家賃改定については、二月の当委員会でも、住民から出されました請願が審議されました。私たちは、今回のやり方は、居住者の理解や納得のもとで行われてきた改定とはとてもいえないと思っております。
 アクションプランによって、これから三年ごとに家賃の改定がされるということで、居住者の方々はいろいろな形で心配をしております。今回の家賃改定は、余りにも短い期間で、いわば強引ともいえるやり方だったんじゃないか、こういう意見も聞きますが、居住者との合意について丁寧な対応が求められる、これは今後の公社のあり方として私は心にとどめていただきたいと思いますが、この点について、今、東京都はどのようなご認識をお持ちになっておられますか。

○小林地域住宅部長 公社の家賃改定に当たりましての居住者への説明でございますが、「都公社だより」を現在まで五回発行いたしまして周知を図るとともに、自治会等に対しましても、求めに応じて説明を行うなど、公社においては適切に対応してきているというふうに考えております。

○河野委員 「公社だより」のお話も伺いましたし、説明会のことも請願の審議のときに伺いましたけれども、やはり十分な理解が得られていないというのは、私たちが居住者の方々のお声を聞く中で、率直に感じている問題です。
 次に、家賃の問題で伺いますけれども、近傍同種の家賃設定ということで、民間賃貸住宅の市場家賃に限りなく近づけていくという方向がとられるわけですが、私はそうではなくて、居住者の生活実態などを考慮したいわば政策家賃、そういう方向へ考え方を転換していってもいいんじゃないかと。こういう不況の時代ですから、なおさらそういう方向がとられるべきじゃないかと考えるんですが、この点はいかがですか。

○小林地域住宅部長 公社一般賃貸住宅の家賃につきましては、公社法に基づきまして、近傍同種の住宅の家賃と均衡を失しないように定めることとされております。公社におきましては、今回の家賃の改定に当たりまして、居住者の今後の居住の継続に配慮いたしまして、激変緩和措置や高齢低所得者世帯等への特別減額措置等を行うこととしているところでございます。

○河野委員 近傍同種の家賃の考え方も、いわば政令とかそういうもので決められていて、いろいろ国の方針もあるんでしょうが、必ずしも国民、都民の納得を得られた上で進められている問題じゃないということを私は申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、建てかえによる従前居住制度の変更ということでお伺いをいたします。
 ことしの四月から、建てかえによる従前居住制度の変更が明らかにされました。従前居住者のための家賃減額制度の減額率や減額する対象面積を縮小する内容で、これと同時に、一DKの小規模住戸の戸数をふやす、住戸タイプを変更していくということも、あわせて私たち、ご説明を受けました。
 建てかえに伴って家賃の引き上げがあるけれども、それに対する激変緩和の減額率がこれまでの五〇%から四五%になり、減額対象面積も五十平米だったものが四十五平米と五平米縮小されるということで、居住者の負担がこれまでより重くなってしまう、いわば今度の従前居住制度についての改正というんでしょうか、改定というんでしょうか、居住面積の縮小と家賃の実質値上げであるといえるのではないかと考えます。
 今回予定されている制度の変更、この概要と、居住者への影響、この点について、都のご認識をお伺いしておきたいと思います。

○小林地域住宅部長 制度の変更の概要でございますが、委員がご質問の中でもお触れになりましたけれども、減額対象面積を、従前は五十だったところを四十五にいたしました。それから、減額率を当初の五〇%を四五%にしたということでございます。
 この従前居住者制度と申しますのは、建てかえに当たりまして、戻り入居後の居住者の家賃の激変緩和を図るために実施しているわけでございます。そういうことで、居住者への影響はなるべく避けるということで実施している制度でございます。
 この制度の変更の理由でございますけれども、委員のご質問にもありましたけれども、建てかえを実施する住宅においては、一人ないし二人世帯の占める割合が七割以上であるということから、新たに小規模住宅を導入することにいたしました。これに伴いまして、居住者に対しまして適正な家賃負担を求める観点から行ったものでございまして、この変更により、新たに導入した小規模住宅に戻り入居する場合には、これまでと比較しまして、従前居住者の家賃負担が軽減されることから、一概に居住者の負担がふえるというふうには考えてございません。

○河野委員 ご認識の違いみたいですが、この激変緩和とか、いろいろ期間の制約もあったりしているようで、やはり居住者にとってみれば、そして私たちの目から見れば、負担増に結びついていくものじゃないかと判断をしております。私は、居住面積の拡大も含めて、住みやすい、質のよい住宅をできるだけ負担の少ない形で供給するのがやはり住宅供給公社の役割であるし、都民の要望でもあると感じておりますので、申し上げておきます。
 次の質問は、定期借家の問題です。
 公社は、港区の港南三丁目住宅など、新築の住宅に定期借家制度を導入していますけれども、これまで新築住宅でこの制度を導入した住宅はどのようなところがあるのでしょうか。そして、その戸数と入居率はどういう状況かをお示しください。

○小林地域住宅部長 導入した住宅につきましては、コーシャハイム港南三丁目、コーシャハイム中村北ほか合計五団地でございまして、五百七十五戸に導入してございます。三月末に入居する団地を含めまして、全戸入居の予定でございます。

○河野委員 今までも実施されてきて、既に今おっしゃった五団地、五百七十五戸にこの制度が導入をされているということです。そしてまた、今後建てかえ予定の住宅にも、建てかえの年度に合わせて、三年、五年、七年の期間で定期借家制度を導入するということも方針として出されています。
 昨年私が、当委員会で、世田谷の太子堂住宅の建てかえに当たって、この定期借家制度を導入するお考えがあるかどうかと伺いましたときに、部長は、建てかえの後についてはまだ決めていないというご答弁をされております。定期借家制度は、居住者の方にとってみれば、短期間の入居になりますから、当然、団地内の形成されていたコミュニティのところに新しい方が短期間で入ってくるという条件を考えると、やはりいろいろな形でのコミュニティの形成が難しいこと、それから、居住者自身の安定的な居住生活を確保する、住宅の提供を保証するということで問題が多いというふうにいわれております。
 この制度を各住宅に導入すると判断するという基準は、どのようなお立場で決めていくのか。それから建てかえが終わった住宅について、今後、制度を導入するということは、どんな形で検討しておられるのか、今進められている検討方向についてお考えを聞かせてください。

○小林地域住宅部長 定期借家の導入の考えですけれども、新築住宅につきましては、契約期間を十年間といたしまして、都心部に位置するなど、交通の利便性にすぐれた地域に立地する住宅に導入しております。今後、建てかえる住宅につきましても、このような条件に合致すれば、導入を考えていくことに公社とすればなるのかなというふうに考えております。
 また、空き家住宅の有効活用という観点から、建てかえを予定している住宅などにつきましても導入しているところでございます。

○河野委員 住宅供給公社にかかわっての質問はこれで終わりますが、これまでのいろいろな取り組みを見てみまして、感じていることを申し上げます。
 アクションプランなどで示されている方向は、住宅の公的供給は行わない、民間にゆだねていくというものです。家賃などの住民負担も限りなく民間の家賃の額に近づけていくというもので、今回行われた家賃改定の進め方、そして従前居住者制度を変更することなどによる居住者の負担の問題、定期借家制度を導入することなど、私は、これまで居住者の皆さんが公社とともに築き上げてきた、いろんな施策を豊かにしていくという立場に立った、そういうものではないと判断をいたします。
 住宅供給公社の定款、きょうコピー持ってきましたけれども、第一条に、住宅を必要とする勤労者に対し、住宅の積立分譲等の方法により、居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地を供給して、もって住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とすると書かれております。
 私は、この住民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する、このことを目的としているということを、やはり公社自身がこの方向で努力することが必要であると考えますし、加えまして、東京都が公社にこれまで行ってきた補助金、二年ほど前からどんどん減らされておりますが、こうした補助金についても、なくすのではなくて、公社の運営に当たって支援を強めていく施策を展開していくべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 続きまして、新しく始まる都市型民間賃貸住宅制度について伺います。
 この制度は、これまでの都民住宅制度の見直しによって創設がされるということでありますが、制度を改める背景、理由についてご説明をいただきたいと思います。

○安藤民間住宅部長 都民住宅制度につきましてですが、制度創設以降の社会経済状況の大きな変化や、都心地域等で活用されていない状況等を踏まえまして、従来の制度による新規供給を廃止し、費用対効果の高い実効性のある施策となるよう抜本的に見直し、新たな供給方式として都市型民間賃貸住宅制度を創設したものでございます。

○河野委員 それでは、この新しい制度とこれまでの都民住宅の制度の違いについてもご説明をお願いいたします。

○安藤民間住宅部長 これまでの制度と都市型民間賃貸住宅制度の相違点でございます。
 利便性の高い地域へ対象地域を重点化したこと、それから、市場の実態に即した面積要件及び家賃限度額を設定したこと、それから、家賃補助や利子補給の廃止、防犯対策やシックハウス対策等を標準仕様とすること、オフィス等を住宅へ転用する場合についても適用することなどでございます。

○河野委員 今のご答弁の中で、これから、新しい制度になったら家賃補助が廃止されるということがありました。私は、都民住宅にお住まいの皆さんの声を伺いますが、やはりもうちょっと家賃が安かったら助かるという声はたくさんあります。今回、新しい制度になって、この制度が、ご答弁にありましたように、利便性の高いところに建築を進めていく、つくっていくということでありますから、当然そういう利便性の高いところは、家賃の負担についても高い設定をしなくてはならないということが予想されます。
 東京全体で見ますと、全国に比べて民間賃貸住宅に住んでおられる方の住まいの負担率というものは高いといわれておりまして、調査の結果でも、全国では一八%、東京では二三%となっております。東京の抱えている住宅事情を考えれば、新しい制度のもとでも都民のために家賃の補助は継続していく、これは当然と考えるんですけれども、都の方はいかがお考えでしょうか。

○安藤民間住宅部長 家賃補助についてでございますが、バブル経済期に制度を創設して以降の地価等の大幅な下落による住宅価格や家賃の低下など、社会経済状況の大きな変化や、家賃補助が多大な後年度負担となっていることなどを勘案すれば、廃止するのは適切な対応であると考えております。

○河野委員 適切な対応というのは、ちょっともう本当に、私としては納得がいきません。
 この新しい制度ですね、十六年度のこの予算の説明書を見ますと、都市型民間賃貸住宅の戸数五百戸というふうに書かれております。平成十五年度予算では九百戸だったということから見れば、九百から五百へ減っているということでは、供給の面でも大きな減になると思います。
 先ほども申し上げましたけれども、住宅供給公社の問題も含めて、東京都は、都営住宅を初め、新規の募集の建設もしていなくて、都が公的な住宅への位置づけをどんどんと弱めている。そして、都民の方では、公的な位置づけを持つ住宅に住みたいという要望が強まっている中で、ここに都民と今の東京の住宅政策の大きな乖離があると私は考えます。
 家賃補助など、都民、居住者の住まいを守るための制度、これは大事に続けていくことが必要だし、東京都自身が公的な役割を担った住宅の供給政策から後退をすることがないように改めて求めて、この制度についての質問を終わります。
 次に、木造住宅密集地域整備促進事業、この問題についてお伺いをいたします。
 私が住んでおります江戸川区も、木密といわれている木造住宅密集地域をたくさん抱えております。今、都内では、木造住宅密集整備地域の対象面積、これはどれぐらいあるのか、また、木造住宅密集地域整備促進事業ですね、これの住宅局が来年度予定している面積と地区数は幾つあるのか、お示しください。

○小林地域住宅部長 都内の木造住宅密集地域の面積は約二万四千ヘクタールでございます。また、十六年度における木造住宅密集地域整備促進事業の実施予定地区は六十二地区、面積は約二千六百ヘクタールでございます。

○河野委員 この事業について、財源の負担割合ですね、国、都、あと地元の区市、この負担割合はどんな形になっているんでしょうか。

○小林地域住宅部長 補助対象項目によって補助率が違っておりますが、基本的には、国庫補助金額二分の一、都四分の一、区市四分の一の割合で負担をしているところです。

○河野委員 最初のご答弁でありました、いわゆる都内の木造住宅密集整備地域、木密といわれて整備が必要だと判断される地域は約二万四千ヘクタール、それで、これからこの事業の地区として指定されているというところが二千六百ヘクタール、そうすると、一〇%ちょっとということになります。
 この事業について少し資料をいただいてみたんですが、整備目標の期間というのがありまして、十年とか二十年と長期にわたって面的に整備をして、木密状態を防災の対策からも改善していくという事業のようですが、そういう命にかかわるこの事業、木造住宅密集整備地域の整備を促進していくというこの事業は、私は、本当に整備が急がれる問題だと思うんです。しかし、非常に時間がかかっているというのも現状だと思います。
 特に、地域で見ていて難しいのは、細い道、細街路と呼ばれている道の改善とか、老朽住宅の建てかえによる不燃化を進めていく、こういうことが大変難しい問題、課題として今、直面しているんじゃないかと思うんですね。
 戸建ての古い住宅には、高齢者や所得の低い人が多く住んでおります。不燃化ということになりますと、一般の住宅の改築よりも費用がかさみますから、そういうふうに不燃化といわれても、経済的なことが問題でなかなか応じきれない、こういう声が、住民の方はもちろん、地元の自治体の方も、不燃化が進まないのは、そこにも一つ原因がありますということでおっしゃっております。
 そういう中で、老朽化の木造住宅などの建てかえに当たって、不燃化の助成など、東京都はこれまで財政負担を四分の一しているということですけれども、こういう不燃化助成などについて一層支援を検討すべきというふうに考えるものなんですけれども、こういう点ではご検討はいかがでしょうか。していただきたいんですが。

○小林地域住宅部長 戸建て住宅の建てかえは、本来、建物所有者等の責任において行われるべきものでございまして、お話のような戸建て住宅への助成制度を創設することは考えておりませんが、都といたしましては、この三月から、住宅金融公庫と連携いたしまして、耐火性能の高い住宅への変更や道路からの壁面後退を条件に、敷地面積が狭い場合でも融資が受けられる戸建て住宅の建てかえ支援策をスタートさせているところでございます。

○河野委員 それは一つの前進というか、福音だと思うんですが、私は、整備地域ということで、面的整備が急がれる場所だということで都がお考えであるならば、そういう地区に、やはり支援も厚くすることが事業をきちんと必要な形で進めていく保証になると思いますので、この問題はぜひ今後ご検討いただきたいと思います。
 それで、戸建てというか、個人の住宅の建設について、自然災害に当たって、どういうふうに再建していくか、そういう問題についても今、国とか各自治体も検討が進んでいて、これまではなかなか個人財産について公的なお金を出すことは難しいという判断もあったようですが、これは今、少しずつ変化も見られておりますので、東京都としても、そういう防災の問題を考えて、ぜひさらに検討を深めていただきたいと思っています。
 平成十六年度は、この木造住宅密集整備地域の促進の事業、これが六十二地区指定ということなんですが、まちづくり協議会などをつくって地元区などと協力して、住民の皆さんとの合意もあって、取り組みがあった地域で、今、来年度に向けて指定の枠外になったということも聞いております。
 整備が必要な地域で地元と協力した取り組みができる地域には、都としても積極的に地区の指定を行って事業を進めることが大切な問題だと考えておりますけれども、こういう問題が起こっている中で、事業をより円滑に進めていくということを、東京都のお考え、立場をお伺いしておきたいと思います。

○小林地域住宅部長 木造住宅密集地域整備促進事業につきましては、約二千六百ヘクタールという広い地域を一様に対象としていることから、事業成果が見えにくい状況となっておりまして、今後、一層の事業効果を上げるためには、地域の重点化を図っていくことが必要と考えております。
 また、今後の事業の導入に当たりましても、こうした観点に立つとともに、防災性や居住環境に関する地域の特性、住民のまちづくりに対する機運などを総合的に勘案していくべきものと考えております。

○河野委員 最後に、意見を申し上げておきます。
 木密整備については、本当に防災対策上も急がれている事業だと思います。平成十六年度の予算を見せていただきましたら約二十三億円となっておりますが、もう一つの、きょうの委員会の資料の一〇ページにも、予算額をずっと平成八年度から示していただきましたが、やはり横ばいという状況にとどまっていると思います。私は、こうした分野の予算こそ思い切って配分をして、重点的に事業を進めていくべきだと考えております。
 最後に要望として、不燃化とか道路の拡幅などについては、住民の理解を欠かすことはできないと思います。まちづくりの計画は、地元自治体と協力を進めて、何よりも住民の参加を保証して、関係者の意見の反映と、理解、納得の上で進めることを東京都としても取り組んでいただくこと、これを要望しておきたいと思います。
 以上で予算についての質疑を終わらせていただきます。

○大西委員 私の方からは、都民住宅制度についてちょっとお聞きしたいと思います。
 この都民住宅制度は、バブル経済期に創設したものであり、バブル経済が崩壊して久しい現在、この制度が今や時代に合わなくなっているということはだれもがわかっているわけですが、その辺の大きな負の負担も含めて、今後、都民住宅制度をどうするのかということを、まずお聞きしたいと思います。

○安藤民間住宅部長 都民住宅制度につきましては、制度創設以降の社会経済状況の大きな変化や、都心地域等で活用されていない状況等を踏まえ、従来の制度による新規供給を廃止しまして、費用対効果の高い実効性のある施策となるよう抜本的に見直すことといたしました。
 新たに創設する都市型民間賃貸住宅制度は、利便性の高い地域への重点化等を図るとともに、防犯対策やバリアフリー等にも配慮した質の高い民間賃貸住宅を供給することとしまして、平成十六年度からの三カ年事業として実施してまいります。

○大西委員 抜本的な見直しを行った結果、都市型民間賃貸住宅制度を創設したということなんですけれども、新しい制度のことをちょっと新たに聞いていくといたしまして、この抜本的な見直しが本当に行われたかということが、今の答弁じゃよくわからない。
 この抜本的な見直しについてということで、見直しの背景というところが幾つかあるんですけれども、やはり多大な後年度負担というものをそのままにして次へ進むということには、どうしても納得がいかないんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

○安藤民間住宅部長 抜本的な見直しということについてのご質問ですが、先ほどご答弁申し上げましたように、社会経済状況の大きな変化がこの間ございまして、従来の都民住宅制度が実情に合わなくなっているということを踏まえまして、例えば家賃補助の廃止など、抜本的な見直しを図ったところでございます。

○大西委員 多大な後年度負担というのは、聞くところによりますと、家賃補助を含めてトータルで二千四百億円、それが今後二十四年間でしたか、続いていくという状況があります。そして、家賃補助だけでは八百億というようなことですけれども、ここをやはりどうするかということがあって初めて抜本的な見直しを行ったといえるんじゃないかなということで、ここに私は大きな疑問を持っているということだけを、ちょっときょう、改めて申しておきたいと思います。
 そういう中で、今回、都市型民間賃貸住宅制度というのができてきたということなんですけれども、具体的に、この見直しに対して、新たな供給方式として、この住宅制度の創設、この制度の施策効果として、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるんでしょうか。
〔委員長退席、林田副委員長着席〕

○安藤民間住宅部長 東京の活力を支える形成期ファミリー世帯などの職住近接や駅に近い利便性の高い地域における居住を選択できるよう、必要な民間賃貸住宅の供給を誘導していくことが重要であると考えております。
 しかし、都民住宅を初め、これまで都が供給を促進してきました民間賃貸住宅は、こうした立地面での要請には十分に対応できていない状況にありました。都市型民間賃貸住宅制度は、こうした要請に対応し、職住近接など、都民ニーズを踏まえた質の高い民間賃貸住宅の供給を促進することとしております。

○大西委員 この都市型民間賃貸住宅制度は、住宅を供給する地権者、そしてそれに入居する者にとって、それぞれどのようなメリットがあるんでしょうか。

○安藤民間住宅部長 住宅を供給します民間の土地所有者にとりましては、制度による基準を満たしていれば一戸当たり百万円以内の建設費補助金、入居者にとりましては、都心地域など利便性の高い地域におきまして、防犯対策、バリアフリー、シックハウス対策などを講じた質の高い民間賃貸住宅への居住の選択の幅が拡大されることとなります。

○大西委員 家賃とかそういう面についてはどうなんですか。バリアフリーとか、それからシックハウス対策等はわかったんですけれども、住む者にとって、やはり家賃というものはすごく気になるんですけれども、それはどういうことですか。家賃補助はないということは聞いたんですが。

○安藤民間住宅部長 家賃補助はしておりません。

○大西委員 つまり地権者にとっては一戸当たり百万円の建設費補助、そして入居者にとっては、ほとんど民間とは変わらない。家賃が民間の家賃、市場家賃を上回ることがない限度額ということはあったにしても、ということは、余り民間のつくった家賃とは変わらない。ましてや便利なところにつくるとなれば、それなりに値段が高くなると思うわけです。
 そういう中で、このポイントを見ますと、専用面積も下限を五十平米から三十九平米に緩和する。小さくても建ててもいいよということになります。この三十九平米は最低居住基準、全国平均と一緒ということなんですけれども、ここに何人住むのかといったら三人ということで、やはり狭いなと。赤ん坊が生まれてしばらくはいいだろうけど、次はまた移ってもらいましょうという意図もあるんですけれども、これから住宅制度も量より質だといわれる時代に、何かこの中途半端な制度というのか、広さも含めて、これって本当に住宅局として公的なものでやる必要があるのかなという疑問があるんですけれども、その辺いかがですか。

○安藤民間住宅部長 施策の効果ということでございますが、今回、面積要件を緩和したということにつきましては、都心地域という特殊性から、やはり形成期ファミリー世帯に至る若者等が住めるような選択の幅を広げるということで、どうしても面積が広くなれば、家賃も委員お話しのように高くなるわけでございまして、家賃相応に整備された質の高い都市型民間賃貸住宅を提供することは、選択の幅の拡大、それから木造地域の建てかえ等も含めまして、大きな効果があるものだというふうに考えております。

○大西委員 借りる方にとりましては、入居者にとって礼金、更新料がないこと、敷金が三カ月以内分であるというようなことが前のお答えだったんですけれども、礼金、更新料は、民間といえども、今回東京ルールでそれもなくなる方向にあるわけですし、敷金については残っても、これは本当にそういう意味では条件としては全く民間と同じようになる。
 そして、まして今回つくろうとしている都心地域、木造密集地域、それから地域指定、駅から便利なところですね、これをある意味、あえて公的なものを投入しなくても、民間でさえも魅力ある土地じゃないかなと思っております。
 そして、それに地権者に一戸当たり百万、そしてことしは年五百戸ということで五億円投入するということですけれども、どうしても、全く本家本元の都民住宅制度の多大な負債相当に踏み込んだ見直しがないまま、新たなこういう孫みたいなものをつくってしまうということに対して、すんなりといい施策だなとはちょっと思えないということをいっておきます。
 特にオフィス等の住宅への転用による供給手法の導入ということで、コンバージョン、これは今、民間でも非常に注目していて、それがどんどん進みつつあるということもあります。改めて住宅施策を考えるときに、公がやるべきもの、民間がやるべきものという、この辺を考えさせられた施策だったので、質問をさせていただきました。
 ただ、都民住宅制度には、先ほどお答えいただきましたように、バリアフリー、それからシックハウス対策に配慮した質の高い民間賃貸住宅の供給をしたいということです。民間賃貸住宅のバリアフリー化というのは二・二%ということで、この辺に期待することもあるんですけれども、まあ三十九平米、そして若いファミリー世帯ということであれば、このバリアフリー化というのはどれほどの効果があるのかなということを、ちょっと今話しながらまた思ってしまったんですけれども、それから、やはりこれからの住宅は、中だけのインテリアじゃなくて、まちづくりとか周辺のエクステリア、そういうものも考えたときに、もっともっとまちづくりの視野も広げた中での住宅施策が必要だなと思っております。
 その点、今回、住宅局は都市整備局と一緒になって、そういう意味での連携もやりやすくなるので、その辺はちょっと期待したいなと思っております。
 そういう中で、今回ちょっと注目しているのは、東京都防犯対策住宅に対する特別加算制度の創設についてというのと、木造住宅密集地域における戸建て住宅の建てかえ支援についてという二つの政策なんですが、後半の木造の密集の方は、先ほどの河野委員にも、どういう制度だということをお答えいただいたわけですけれども、二つとも、住宅供給公社と連携してということで新しくつくられているんですが、それぞれどういう制度か教えていただけますか。
〔林田副委員長退席、委員長着席〕

○山室参事 東京都の住宅政策と住宅金融公庫との連携策についてご説明いたします。
 今年度、住宅金融公庫と二つの連携施策をご指摘のとおり創設しております。一つは、安全・安心まちづくり条例の施行に伴いまして、住宅での防犯対策を進めていくということで、住宅金融公庫と連携しまして、一定の、東京都が定めます防犯基準を満たしたものにつきましては割り増し融資をするという制度でございます。
 もう一つの木造住宅の密集地域での木造の戸建て住宅の建てかえの促進策でございますが、この仕組みにつきましては、防災性の向上や良好な住環境の形成を図る上でかねてから重要な課題であったことから、今回新たに施策を創設したものでございます。
 支援の内容としましては、都が防犯対策と同じように建物の構造につきましては準耐火構造以上、また、道路から建物の壁面の距離五十センチ以上後退することを条件といたしまして、住宅金融公庫の優遇融資を行うものでございます。
 具体的には、マイホーム新築融資に比べまして、敷地面積の緩和、それから融資限度額等において優遇が受けられる仕組みになってございます。
 なお、この適用区域でございますが、区市の主体性が十分発揮できるよう、区市が防災まちづくりを進めていく必要があると定めた地域を対象に実施することとしております。

○大西委員 ありがとうございます。防災性に配慮した住宅ということで、今回、仕組みに参加する市区がもう手を挙げているということなんですけれども、今後、どのようにそれらと連携して進めていかれるんでしょうか。

○山室参事 ご指摘のとおり、今回、三区と連携しまして実施を始めたわけでございますが、繰り返しになりますが、本支援制度は、これまで建てかえが進みにくかった狭小な敷地での住宅金融公庫の融資が受けられることから、三区--荒川区、新宿区、品川区でございますが、早期に取り組むなど、区市の期待が高いものというふうに受けとめております。
 本支援策につきましては、これまで関係区市に説明をしてきたところでございますが、改めて木造住宅密集地域を抱えます三区以外の区市からも問い合わせが来ております。引き続き住宅金融公庫と連携しまして、本制度により、木造住宅密集地域における木造戸建て住宅の建てかえが促進されるよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。

○大西委員 区市に対し参加を促し、木造住宅密集地域の安全性の向上にこの制度を利用して大いに取り組んでいただきたいなと思っております。
 この両方は、財政難という時代に、都の持ち出し分はなく、コーディネート役のような立場で住宅政策を進めていくということで、本当にこれからこういう政策をどんどん考えていかなければいけないんじゃないかなということで、面白く--面白いというか、評価をしたいと思っております。
 そうして、防災ということを考えたときに、また耐震というものがちょっと気になってきたんですけれども、耐震施策というのもなかなか進んでいかないということがあります。阪神・淡路大震災の後に、やはり耐震診断とかそういうものが注目されて、受けても、最終的にはそこで最低百五十万あたりから改修の費用がかかるということでなかなか踏み切れなかったりということで進んでいない。そのせいか、金融公庫のリフォーム融資というところに、この耐震改修制度融資というものもあるんですけれども、この取り組みもほとんど進んでいないということなんです。それから、区や市にもその制度があるところもあるんですけれども、ここもなかなか取り組みがないというような状況があると聞いております。
 全国的にも、このリフォーム融資の方は十四年で七件でしたかね、そして十五年は二十五件しかないということで、全国ですから本当に進んでいないなと思います。そういう意味では、こことの、今みたいな、先ほどの二つの施策のような連携のあり方というのが、今後いいんじゃないかなということを思っております。
 この問題は、今、耐震化の窓口すべてが都市計画局になっていて、ここではなかなか質問できないということだったのでいいませんけれども、先ほども、なるだけお金を出さずに効果が上がるようなこういう施策、お金があるところには出してもらう、そういう方向でやっていくのに、ぜひ検討していただきたいなと思っております。
 幸いにも今回の代表質問の中で、耐震改修促進のための連絡協議会も設置されたということですので、そういう方面からも期待をしたいと思っております。
 最後に、都営住宅の管理委託制度についてちょっとお聞きしたいと思います。
 都営住宅の管理委託は、これまで住宅供給公社が行っていたわけですけれども、平成十八年度から指定管理者にかわるということなんですが、その準備はどうなっているのかと、そして公営住宅の管理業務は、ある意味、公共性とか福祉性とかそういうものが求められます。そしてこの制度を利用して、いろんな不安や期待もあるわけなんですけれども、多くの住宅があるわけですから、そろそろそういう準備とかが進んでいればいいなと思っているんですけれども、そのままにしていけば、やはり価格競争のみで決められていってしまうんではないかという危惧もあります。そこで、見解を伺いたいと思います。

○石井参事 指定管理者制度についてのご質問でございますが、昨年、地方自治法が改正されまして、指定管理者制度が導入されたわけでございます。その趣旨でございますが、国によれば、公の施設の適正かつ効率的な運営を図るためとのことでございます。
 都営住宅は低所得者に低廉な家賃で賃貸する公共住宅でございます。また、現に多くの都民の方がそこに居住するという点で、民間の賃貸住宅あるいは他の公の施設と異なっているということがございます。都営住宅の指定管理者制度の導入に当たりましては、制度の趣旨あるいはまた都営住宅の特性を踏まえながら、現在、幅広く検討しているところでございます。

○大西委員 現在幅広く検討しているということなので、ぜひお願いしたいと思います。
 とにかく、先ほどもおっしゃいましたように、公共性とかいろんなことを考えたときに、地域の中でも請け負えるような、そういう展開もある。NPOの人たちや、地域の中で福祉関係で頑張っている人たちも結構いるわけですから、そういうものも含めた幅広い検討をお願いしたいと思っております。
 住宅局の会計が特別会計になって、バランスシートも導入されて、いろんな取り組みが進んでいると思いますけれども、ぜひこのバランスシートをもっと有効に活用するためには、やはり情報を公開していくということも一つの方向だと思いますので、その辺も含めて今後の住宅局の(「なくなっちゃうから」と呼ぶ者あり)向こうへ行ってしまいますけれども、ちょっと寂しいんですが、ようやく質問ができるようになりましたのに、そちらへ渡すということが寂しいんですけれども、どうもお世話になりました。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により十分間休憩いたします。
午後三時九分休憩

午後三時二十三分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○伊沢委員 私は、今回条例に出されております民間賃貸住宅に関する東京ルール、この条例について質問をしたいと思います。
 まず最初に、先ほども河野委員、他の委員からもご指摘がありましたけれども、今回の条例を読みましたが、条例文は非常に短くて、本当に数行しかなく、それで規則にすべてをゆだねるという内容なのですが、その肝心の規則が出されていないという状況があります。
 それで住宅局に尋ねましたところ、二月六日にプレス発表されました資料をいただきました。そこには、先ほどからいわれています四点が書かれております。しかし、この内容を宅地建物取引業者に説明させるというのはいいんですが、その肝心の内容である規則が出されていないということであれば、こちらとしましては、賛成も反対もしようがないというのが現状なんですけれども、この規則について、先ほど河野委員の質問に対して、検討中であるというお答えがございました。何を検討されているのか、お尋ねしたいと思います。それで、この四点については変更がないのか、その点を確認いたします。

○安藤民間住宅部長 条例に基づく規則について現在検討していることで、検討している内容について、先ほど四点ご説明したことでございます。こういう内容についての変更はございませんが、案文としてお示しするまでには至っていないということでご理解をいただきたいと思います。

○伊沢委員 では、この四点については変更がないというふうに考えてよろしいんでしょうか。いいんですね。じゃあもう一度確認します。

○安藤民間住宅部長 四点については変更はございません。

○伊沢委員 この四点が変更--私も民間賃貸住宅に住む身ですが、やはりこういった内容が、個々のことが規則になることが非常に利用者、消費者にとっては重要なことになってくるわけですので、ここを確認しておきたかったということです。
 今回これを出すということと、もう一つ、東京都としてガイドラインというものを出すということになっております。それで、国の方で、ことし二月に国土交通省住宅局から出されております原状回復をめぐるトラブルとガイドラインというものの改訂版が、これくらいの厚さですが、出ております。国が出しているガイドラインと東京都がつくろうとしているガイドラインとの間に違いはあるのでしょうか。それでもし東京都で、この国の出しているガイドラインよりも超えて何か特別な特色を出すとか、そういう内容というのはありますでしょうか。

○安藤民間住宅部長 国のガイドラインと都のガイドラインとの相違でございますけれども、まず大きく、ガイドラインの位置づけと普及の仕組みが異なっております。国のガイドラインは有償で頒布しているということで、具体的にそれをどういうふうに普及していくかという仕組みまでは考えておりません。
 東京都版のガイドラインにつきましては、各部位の事例区分を図解するなど、都民にとってわかりやすく、現場で使いやすいものとしていく、二つ目は、区市や業界等と連携し、広く一般に普及を図っていく、三つ目として、局ホームぺージに全文を掲載していくということでございます。
 国のガイドラインは、判例等の積み重ねで出てきたものでございます。したがいまして、国のガイドラインとそうした解釈の面で異なるものが出るものとは考えておりません。

○伊沢委員 きのうこのガイドラインをいただきまして中を見ましたけれども、確かにたくさんの判例をもとに、その事実をもとに、また起こっておりますいろいろな請求などの事例も踏まえてつくられておりますので、確かにこれの内容であれば、そんなに大きく消費者にとって負担になるとか、そういうことはないのではないかというふうに私は思いました。今のご答弁の中では、内容に関する変更はないということを確認いたしました。この本は確かにかなり分厚いですので、これをよりわかりやすくということは理解できるところです。
 それから、私が最も心配していますのは、今回、規則及び東京都のガイドラインというのが具体的に示されていないということで、大筋もそうですし、細かな点において消費者にとって東京だけが負担増になるとか、そういったことが起こらないようにしていただきたいという点なんですけれども、この点はいかがでしょうか。

○安藤民間住宅部長 そうしたご心配は当たらないと考えております。ガイドラインは退去時の損耗の復旧等に関する基本的な考え方についてわかりやすく解説するものでございます。判例等により確立された考え方を示すもので、どちらかにとって有利、不利という視点で作成するものではございません。

○伊沢委員 それでは最後に、先ほどからも質問が出ておりますけれども、今回の規則あるいはガイドラインに、今の業者あるいは消費者の声をどういうふうに反映させていくかという問題なんですけれども、今回出されたこの資料の中でも、賃貸住宅の賃貸借契約における相談内容というグラフがありますけれども、東京都の住宅局の窓口に去年の四月から十二月に寄せられている相談データでも、全部で六千八百七十九件と、かなりのデータといいますか、相談が寄せられております。こうした内容を、規則またガイドラインをつくるに当たって反映をさせていくということをお考えでしょうか。

○安藤民間住宅部長 そうした意見も十分踏まえまして作成していく予定でございます。

○伊沢委員 それから最後にちょっとお尋ねしたいんですけれども、ここの相談件数が、去年の四月から十二月で六千八百七十九件と、相当、住宅局にも直接相談の方が都民で見えております。今、この窓口が設けられておりまして、住宅局で対応しているということですけれども、今後、局が統合された後、この窓口についてはどのようになるのか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。

○安藤民間住宅部長 窓口についての対応は以前と変わらないと受けとめていただいてよろしいかと思いますが、四月以降、窓口の一部について、民間の力を導入することも考えております。

○伊沢委員 もうちょっと詳しく教えていただきたいんですけれども、今の、たしか三階にあるというふうにお聞きしたような気がしますけれども、そこの窓口はそのまま残すということでしょうか。それで、その上で民間の力を借りるというふうに今おっしゃったと思いますが、それは、もうちょっと具体的に、どういうことを想定していらっしゃるんでしょうか。

○安藤民間住宅部長 窓口は三階の、今と変わりません。それから、民間の力といいますか、一部、派遣職員制度によりまして相談体制の充実を図っていこうというふうに考えております。

○伊沢委員 その派遣職員制度というのは、どこに事務所を置くんでしょうか。

○安藤民間住宅部長 現在の三階で相談に応じていただくというふうに考えております。

○伊沢委員 そうしますと、それは都の職員に加えて派遣の職員でもって、その三階の窓口で対応すると、そういう意味ですか。

○安藤民間住宅部長 そういうことでございます。

○伊沢委員 そのことについてはわかりました。これだけの件数がこれまでも寄せられておりますので、これからもやはり問題、トラブルが減ることを望むものですけれども、まだやはり起こると思いますので、対応をきちんとしていただきたいと思います。
 この条例に関しましては、トラブルをなくすという方向で私はよいと思いますけれども、規則も一緒に出していくべきではなかったかというふうに思っております。それがなければ、非常にこちらとしては、これについて判断をしにくいということを申し上げておきたいと思います。

○倉林委員 それでは、東京の住まいの向上作戦という題にいたしまして質問させていただきたいと思います。
 東京の住宅は、広さの面ではまあまあ着実に改善されてきたのかなというふうにも思いますけれども、価格については、バブルが崩壊いたしまして、そういう意味ではこれも低下してきているという思いはあるわけです。しかし、依然として欧米諸国に比べると狭く、なおかつ高いというイメージがあるわけです。特にその中でも戸建て住宅は高く、都民にはなかなか手が届かないというのが実態のようであります。
 こうした状況を打開するために、知事は、今月の十一日の定例記者会見の中で、東村山市本町地区では、広くて質がよく低廉な戸建て住宅の供給促進に向けて実証実験を行う、こう表明をされました。これは、市場価格よりも三割程度安い住宅供給を目標に実験を行うということであります。これが実現しますと、若いファミリー世帯でも手の届く住宅が供給されることになるわけでありまして、地域の活性化を図るという面から見ても大変意義あることかなと、こう考えているところでございます。
 ぜひひとつ、後ろの方に座っている若い皆さん、東村山に来てください。(笑声)大変、そういう価格で、住まいのいいところであります(「選挙区ですからというんでしょ」と呼ぶ者あり)私の選挙区でありますから(「小松さんも」と呼ぶ者あり)小松さんもそうでしたね。(笑声)
 そういう意味では、そういう価格でありながら、駅は九つもあるんですから、それで緑も大変に豊富にあります。人柄もいいところです。一部、人柄の、ううんという人もいないわけでもありませんが。(笑声)それはそれで冗談といたしまして。
 ところで、東村山市本町地区については、昨年十月、先行まちづくりプロジェクトということに指定をされました。事業実施に向けて準備を進めてきているというように聞いておりますけれども、今回の発表は取り組みの方向を明らかにして、事業の本格実施に向けて着実な一歩を進めると、こう評価できるわけでありますけれども、既にこれについては予特の中でも一部議論があったようでありますが、質疑もあったようでありますが、確認の意味も込めて何点か伺っていきたいと思います。
 ただいま申し上げましたように、日本の戸建て住宅は広さや価格の面で課題があるといわれておりますけれども、ちょっとその辺の実態について、一部マスコミにも載っているようでありますが、委員会でありますので、改めてどのように把握しているかをお聞かせください。

○水流住宅政策担当部長 日本の戸建て住宅、土地を除いた建物の価格でございますけれども、日本とアメリカを比較しますと、平成十三年のデータですけれども、当時の為替レートで換算した価格で比較しますと、日本の戸建て住宅はアメリカよりも四割高くなってございます。中でも東京の戸建ての注文住宅の平均建築単価でございますけれども、平成十四年度の住宅金融公庫のデータによりますと、坪当たり七十二・五万円、これは全国平均の坪五十七・一万円よりも二割ほど高くなってございます。
 反対に、東京の戸建て住宅の平均床面積でございますが、約百三平米で、全国平均の百二十三・二平米と比べて二割ほど狭くなってございます。

○倉林委員 米より四割高い、東京は特に高い、こういうことのようですけれども、そうしますと、戸建て住宅の価格が高い原因というのをちょっと教えていただけますか。

○水流住宅政策担当部長 東京で供給されております戸建て住宅の約七割が、いわゆる在来工法による木造住宅でございまして、その中心的な担い手が中小工務店でございます。
 シェアの面では中小工務店、健闘しているわけでございますが、しかしながら多くの中小工務店は、生産性あるいは販売力の面で課題がございます。大手住宅メーカーを脅かすほどの競争力がないわけでございます。大手メーカーはこうした中小の価格をにらみながら、それよりも高い価格で販売している実態がございます。
 戸建て住宅の市場はこのような価格の構造が長い間固定しておりまして、市場の競争原理が十分に働かず、価格の引き下げがなかなか実現しないものと認識しております。

○倉林委員 今のお話ですと、工務店の中では徐々にといいましょうか、生産システムの見直しなどによって、価格の引き下げに取り組む新しい流れも出てくるのかなというふうに思ったわけでありますけれども、この動きということになりますと、どういうものになっていくんでしょうかね。そこのところ、教えてください。

○水流住宅政策担当部長 なかなか中小工務店が単独で生産性の向上を図っていくのは難しい面があるわけですけれども、市場を見てみますと、中小工務店同士がグループをつくりまして、例えばITを活用しながらつくる住宅のつくり方、仕様を共通化、標準化いたしまして、使う部材や部品の種類をそろえて、同じ時期に建てる現場の資材をまとめてメーカーや問屋と直接交渉して安く買うといったような動きが見られるところでございます。
 そのように質を確保しながら価格の引き下げを図っていく新しい動き、取り組みが芽生えてきているものと認識しております。

○倉林委員 はい、わかりました。今回の知事の記者会見の中の報道発表資料というのを私いただいたんですが、プレス発表された資料によりますと、広くて質がよく低廉な戸建て住宅の供給促進について、こういうことで取り組みの方針として合理的な生産システムの汎用化の促進を掲げているわけですけれども、今回、東村山本町地区の場ではそのための実証実験を行うということですけれども、汎用化の促進と実証実験の両者をどのように絡めて事業を進めていくのかなというところに、ちょっと心配といいましょうか、難しさがあるのかなというふうに思うんですが、そのところを確認で教えてください。

○水流住宅政策担当部長 市場に芽生えてきております新しい動きを、企業あるいはグループの単位にとどめていくのではなく、市場全体に広げていくことが重要と考えております。そのためには、市場を強く刺激する施策を講じることが必要と考えておりまして、まず東村山市本町地区プロジェクトの土地の一部を活用しまして、先進的な取り組みに賛同する住宅生産者を公募選定し、建物価格が三割程度安い住宅を目指した実証実験を行うこととしております。
 この実証実験に寄せられた民間からの先進的な提案を取り入れながら、都といたしまして、並行して普遍性の高い間取り、標準的な仕様、あるいは資材調達や工程管理の改良の方向などにつきまして、さらに検討を深め、汎用性の高い合理的な生産システムの普及を促進してまいります。

○倉林委員 ここに産経新聞があるんですけれども、産経新聞の記事を見ますと、都が広々と戸建て供給、敷地五十坪、三千万円以下、東村山に二百戸、十八年度完成を目指すと。この記事見たんじゃだれも飛びつきたくなりますし、私も今の家を売ってここへ入ろうかなと。これ、一等地のいい場所なんです、市役所がありますしね。先ほどいったとおり駅のたくさんある中の、その中でも特に中心地ですからね。
 ということは、逆にいいますと--よく読みますと、土地については五十年の定期借地でしっかり価格は抑えているんですよということになるんですけれども、この記事だけ見た段階では、実はあそこは都営住宅の跡地ですから、行政側としては、よりよい住宅、いわゆる担税力のある人たちに来ていただけるのがいいのかなって、行政側の人たちも含めて、今までの都営住宅の経過から踏まえますと、そういう思いがあるわけです。
 そんなことも含めて、去る十四年の三月には、東村山市議会の方から、本町都営北ブロック町づくり調査特別委員会報告書の中で、多世代移住などに可能な限り配慮した戸建て住宅を中心とした高品質な住宅地を形成すること、こういうことを要望しているわけですね。
 そういう意味では、今回の実証実験では、広くて質が高くて低廉な戸建て住宅を供給していくということですけれども、その意味では、市の要望に沿った高品質な住宅地をどうやって形成していくのかなというふうに思うわけでありますけれども、そこを説明してください。

○庄司参事 東村山市本町地区のプロジェクトにつきましては、全体のまちづくりの方向につきまして募集要綱等で明示し、その方向に沿ったまちづくりができる民間事業者を選定し、良好な街並みが形成できるよう事業を展開していく考え方でございます。また、実証実験で提供される住宅につきましても、このまちづくりの方向に沿ったものとなるよう誘導する予定でございます。
 こうしたことからプロジェクトの誘導目標である、ゆとりある美しい住宅市街地を整備し、市の要望に沿った高品質な住宅地が形成できると考えてございます。

○倉林委員 先ほど申し上げましたけれども、この東村山市本町地区は全体で九・五ヘクタールあります。まさに市の中心地であります。そういう中で、実証実験はその一部で行うということでありますけれども、実証実験を行う場所の街並みは、地区全体の街並みと調和したものになるだろうと考えております。
 現在考えておられます地区全体のまちづくりの方向についてはどのようにお考えになっておりますか。

○庄司参事 地区全体のまちづくりの方向でございますが、これは地元東村山市と十分連携して目標を設定してきたものでございます。多摩地域の郊外型モデルプロジェクトとして、戸建て住宅を主体とした多様な世代が集うゆとりある美しい住宅市街地の形成を目標として事業を進めていきます。
 ゆとりある美しい市街地を形成するために、道路や公園等の都市基盤を整備するとともに、そこに住まう人の日常生活や子育て環境を支援する施設の整備を誘導していく考え方でございます。こうした施設の整備に当たりましては、目標を実現する提案を民間から公募し、最もすぐれた提案を行った事業者により目標を具体化していくというふうに考えてございます。
 また、実証実験につきましては、このようなまちづくりの枠組みの中で整合をとって行う予定でございます。

○倉林委員 わかりました。それでは意見だけちょっと申し上げさせてください。
 実証実験で供給される住宅も、先ほどもお話でもありましたように、全体計画の街並みに合ったものになるということが当然必要なわけであります。全体のバランスということを十分に考慮されて、まちづくり全体の調和のとれた事業としていただきたい。このことを強く私は申し上げておきます。
 また、今回の答弁でも触れられておりましたけれども、地元との連携は、地域に調和したまちづくりをするために大変重要であります。もちろん、その意味では、東村山市という市のみならず、地元の事業者とも十分連携をした上で、地域の活性化につながるまちづくりを進めていただきたいなと思うわけであります。
 東村山の広大な十ヘクタールに及ぶ土地に戸建て住宅を中心とする良好な街並みが数年後には完成するということでありますから、大変期待ができるわけであります。すばらしい取り組みをしていただくよう心からお願いをして、質問を終わります。

○花輪委員 私はきょうはCO2対策というか、環境面と少し絡めながら都営住宅のお話をさせていただきたいと思います。
 大西さんも前に質問をされていたことがあるかもしれませんが、今、建物を建てて使って、そしてまた壊れる。壊して、物を捨てたりする。そういう間に一体どれだけCO2が出るか、いわゆる環境に負荷を与えるかという、そんな指標で建物も考えていこうよ、そういう見方もあると思います。建てるときにはセメントも使うし、またクレーンも使うし、クレーンを使えば、それこそクレーンのガソリンが消費されるとか、電気が消費されるとか、そういうときにもCO2が発生するわけですし、また、人が住んでいる間にも、そこで煮炊きをしたり、または冷暖房をつけたりということでCO2が発生するし、また壊すときにもそれなりにCO2が発生していく。それをリサイクルするときにも発生していく。そういう基準でCO2の発生を考えようと。
 私、二年ぐらい前に、この委員会でライフサイクルCO2というんですか、LCCO2、そういう一つの判断基準をもってこの都営住宅なんかもつくるときに考えてくださいというようなことを、たしか発言をさせていただいております。
 それで、今回はライサイクルCO2の中でも、特に使っている間、都営住宅ができて、そこに住む人がいて、その間に一体どれだけCO2が使われるのか、またそれがどれだけ減らせるのか、そんな観点からちょっと質問をさせていただければと思います。
 最近、電車なんか乗っていますと、電車の中吊り広告の中にオール電化マンションというような広告が、いろんなデベロッパーさんが出しているマンションの広告が載っているわけですね。それで、あ、そうか、このマンションって恐らく環境にはきっと優しいマンションなんだろうな、そんなふうに私は考えました。
 私の知り合いでマンションをつくっている人間がいたんで、どうなんだという話をしましたら、環境にも優しいし、またランニングコスト、いわゆる生活をしていく間のコストが比較的安くなったりするから、今マンションはオール電化にすると一つのセールストークとして売れるんだよみたいなことをその人はいっていたわけです。
 また、例えば我が家を振り返ってみまして、うちの母なんかも七十超えてきますが、時々お湯を沸かしっ放しにして電話に夢中になっていたり、どっかへ出かけちゃったりして、やかんが丸焦げになったりとか、そういうことが昔に比べると随分ふえてきたなという、そんな気もするわけです。若干不安にも、私たちもなってきます。そういうとき、例えば電気で、今、IHクッキング何とかというんですか、ああいうのを使ってみたりすると安心になるのかな、そんなふうにも考えています。
 都営住宅なんかも今随分高齢化が進んでいるというような、この前の予算特別の資料要求の資料の中にもあったようでございますが、そういう観点ですとか、あと電気なんかは、防災の面から見ても、地震のときにも火が立たないとか、逆にいえば、阪神・淡路大震災のときにも一番早く復旧したのは水道よりもガスよりも電気だったとか、そんなような話も聞きます。
 ちょっとここでお尋ねをしますが、現在、オール電化というようなとらえ方でいいのかな、オール電化の例えば都営住宅とか公社住宅、そういうものに何か皆さんがお考えがあれば--できればやってもいいんじゃないかなというような感じもするんですが、いかがでしょうか。

○小林地域住宅部長 オール電化を採用するためには、増加する電気使用量に対応いたしまして、電気室の設置、太い電気配線、それから電気温水器の導入などが必要でありまして、現在よりもこうした設備にかかるコストがかなり割高となります。また、各住戸における電気温水器の設置スペースの確保に伴うコストの増加もございます。
 一方、居住者にとりましては、ガスこんろに比べてIHクッキングヒーターは高額で、機能面等からも専用の鍋が必要となるなど、都営住宅においては多くの課題があるというふうに考えております。

○花輪委員 今のお話を聞きますと、最初の、イニシアルの部分でのコストというのがやっぱり相当かかるというような感じを受けました。
 特にきょうは、本当に一番最初の質問なので反論するという意味ではないんですけれども、ある意味、都営住宅というのは、住んでいる人は大変収入の少ない人のはずですよね、まあ中にはそうじゃない人もいるらしいですけれども、そういう人が住んでいるわけですから、ランニングコストでコストが下がっていくというのであれば、これは一つの考え方なのかなという気もいたします。
 また、今、電気室の問題なんかも出てきましたが、都営住宅建てかえをするときに、高層にされるような、高い建物にするような都営住宅も出てきているようです。そういうときには別個に、たしかあれは電気室もあったようですし、また、給湯器の問題も、ベランダなんかに出すことによって、容積の換算が少し楽になる。そんなこともあるのではないかなというふうに考えております。
 あと、クッキングヒーターですか、IHクッキングヒーターとかはコスト高というようなことですが、まあそれはどちらが負担するかという考え方も、今後またひとつ考えていただければなというような気もします。
 昔は、何か鍋を全部それ専用の鍋にかえなきゃいけないとか、鉄の鍋にかえなきゃいけないとかっていう話もあったようですが、今は大体どんな鍋も使われるようになっているって、そんな話も聞きました。
 どちらにしても、まだまだ入り口のところで検討をされているんじゃないかという、検討をお願いしたいところだと思うんですけれども、ぜひ環境という側面から、若干のイニシャルコストはかかるとしても、これからいろんな技術が革新をして、そしてもしそういう方向に行けるんであれば行っていただきたいな、私たちそういうふうに思っておりますので、エネルギー政策の面とか、そういうことからもぜひ検討課題としていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○小林地域住宅部長 オール電化住宅についての環境や省エネルギー面での評価につきましては、現状は各種の異なる見解がある状況でございます。また、お話にあった電気室の設置でございますけれども、現在、高層住宅でも設置するケースは少ない状況がありまして、先ほどお話ししたようにコスト面での課題があるのは事実でございます。
 したがいまして、オール電化住宅につきましては、今後の民間住宅への普及状況、技術開発やコストの動向等を注視していきたいというふうに考えております。

○花輪委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
 次に、指定管理者制度のことについて少しお伺いをしたいと思います。
 やっとのことといいますか、昨年ですね、自治法が変わりまして、指定管理者制度というものが公の施設全般に入れられるようなことになりました。
 私は前々から、今、住宅供給公社が管理をしている都営住宅の管理というのは、公社が独占的にやらなくても、ほかに民間で幾らでもやれるところがあるのではないか、あれをいつまで独占をさせておくんですかというようなことを何度となく聞いてまいりました。
 そのたびにお答えは、地方自治法二百四十四条でしたっけ、あれがあるから、なかなか変えることができないんだ、ほかの民間に任せることができないんだという、そんなお答えを何度となくいただいてきたわけです。ここに来て、昨年ついに公の施設でも指定管理者制度というものを設けることによって、指定することによって、民間でも管理ができるという、そんな法律が通りました。
 現在、この指定管理者制度の導入に向けた検討状況、都営住宅の管理についての検討状況をお聞かせください。

○石井参事 指定管理者制度の都営住宅への導入についての検討状況でございますが、地方自治法が改正されて指定管理者制度が導入された。その趣旨は、公の施設の適正かつ効率的な運営を図るということでございます。そのように聞いてございます。
 一方、都営住宅は、二十六万戸の住宅に多くの都民が現に居住している、また、都民が一時的に利用する文化、スポーツ施設等、他の公の施設と異なっている、また、住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で賃貸するという公営住宅法に基づいて設置管理されている住宅であるということから、一般の民間賃貸住宅とは異なるさまざまな特性を持っているところでございます。
 このような指定管理者制度導入の趣旨、また都営住宅の特性を踏まえ、現在、幅広い内容につきまして、局内で検討を行っているところでございます。

○花輪委員 何か今、前半の方は結構ネガティブな感じがしたんですが、もう一度お伺いしますが、都営住宅の特性って一体何なんでしょう。

○石井参事 都営住宅の特性、すなわち公営住宅法に基づいて管理を行うというふうにお答えしましたが、それによる入居者の資格が限定されていることとか、あるいは入居者の収入を毎年調査して家賃を決定するということ、あるいは収入超過者、また高額所得者に対する取り扱いがあるといったようなことなど、制度面などにおきまして民間賃貸住宅の管理とは異なっているところがございます。
 また、入居者の収入やその世帯の状況等、居住者の個人情報を扱うということでございますので、厳格な情報管理が求められる、このようなことも都営住宅の特性であると認識しているところでございます。

○花輪委員 入居資格の調査とか収入超過者に対する対応とかいろいろおっしゃっていましたが、だからといって、これが民間にできないというような説得力はないと思うんですね。それは都営住宅の管理も大変でしょう。でも公園の管理も大変だし、病院の管理も大変だし、公の施設、いわゆるどの公の施設も、それなりに特性があってそれなりに大変だと私は思いますよ。
 公園の管理なんて、だれも今までやったことがないようなものを、今度、建設局の方では、東京都では一号になるのか、福祉局とどっちが先になるのかわかりませんけれども、今度この指定管理者制度を導入して、公園の管理を民間とかNPO、やってくれるところはないかと、そんなことを民間にいわゆる投げかける、そんな準備をされているという話も聞きました。民間でもできることは民間にやっていただく。
 今まで皆さん一生懸命やってきたこと、これは特別な仕事なんだという思いもあるかもしれませんが、外から見れば、いやそれはフィーさえもらえば民間がやってくれるし、またNPOなんかもできる仕事かもしれない、またそれを育てていくことも必要かもしれない。私はそんなふうに思っておりますが、指定管理者には、どうでしょう、やっぱり民間もちゃんと入れていくという、そんな思いをお持ちなんでしょうか。

○石井参事 地方自治法改正の趣旨、先ほど申し上げましたが、それを踏まえますと、民間事業者の指定管理者の検討対象とはなると、そのように認識しているところでございます。

○花輪委員 私は、世の中、ある一定競争がないところには進歩は、ないといっちゃいけない、おくれるというふうに思います。今、一社独占で都営住宅を管理されている。逆にいえば都営住宅の方々、そのサービスという意味では、公社のサービスしか知らないんですよね。
 やっぱりそうじゃなくて、ほかの業者も、ほかの団体にも入ってもらって、民間に入ってもらって、お互いに切磋琢磨をすることで、それこそ管理のスキルのアップ、サービスのアップ、そういうところにも私はしっかりとつながっていくと思うのですが、ぜひ民間の管理ができる--今、世の中、マンション管理している会社たくさんあります。何万戸って管理をしています。そういう会社もたくさんあれば、またNPOなんかがそれに乗り出すことができれば、今度は地域で福祉といい連携がとれるかもしれない。私はそんなふうにも考えます。ぜひ民間のそういう管理をするグループも、しっかりとこの対象、検討対象に入れていくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○石井参事 先ほども答弁申し上げましたが、公営住宅法に基づいて管理を行う都営住宅でございます。その点で民間の賃貸住宅とは異なる側面がございまして、管理内容が同一とはいえません。指定管理者制度の導入につきましては、繰り返しですが、制度の趣旨及び都営住宅の特性を踏まえて検討しているところでございます。

○花輪委員 公営住宅法の趣旨に基づいてといっていますけれども、公園だって公園法に基づいてやっているわけですよ。それぞれ、それぞれの特色があるわけですが、ぜひそれは頑張っていただきたい。
 私はやっぱり都営住宅はしっかりと地域に移管をしていただいて、そしてその地域で、地域オリジナルの管理をする方々がいて、さっきちょっとNPOのこと触れていましたが、そういう方々が管理を請け負うことも可能かもしれない。そして、都営住宅に住んでいる方々は、福祉のお世話になるという方々も結構ボリュームとしてはいると思うんですね。そういう地域での連携がやはりうまくいくように、都営住宅の市区町村への移管と、そしてこの指定管理者制度の民間へのしっかりとした開放、そういうものをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

○小松委員 それでは、まずは私どもの今議会での代表質問で、都市再生と住宅問題の関係で伺っておるところはご案内のことと思います。
 この中で、石原都政の住宅政策の戦略として進めている都心居住の推進の実態はどうなのかとお聞きしました。六本木の再開発によって生み出された保留床による賃貸住宅の家賃が、一番安い住宅で月六十六万円、最高が月四百三十五万円、汐留地区開発では公団の賃貸でも十四万から三十四万円。住友不動産の賃貸住宅では六十九万から月二百十六万円。これでは、本当に一部の高額所得者のための住宅になるんではないか。どうでしょう、月二百十六万円だの四百三十五万円だの、安くても六、七十万円、こんな住宅に入居できる方。局長でもどうでしょうね。この中にそういう方は何人いらっしゃるでしょうかね。
 要するに、圧倒的な多数の都民は入れない。一体これでいいんでしょうかと、こう知事に問うたんですが、知事の回答はなく、回答に立った都市計画局長も、地域の特性に応じた多様な住宅供給に、今後も支援していくとしかいわないわけですが、住宅政策を担当する住宅局としては、こうした実態をどう把握され、どのような見解を持たれているのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 ご指摘のありました六本木及び汐留地区につきましては、市街地再開発事業及び土地区画整理事業によりまして、都心部の活力ある複合市街地の形成を図るものでございまして、業務、商業、文化機能などの整備とあわせて住宅の供給が行われたものでございます。
 一方、近年の都における全体的な住宅供給の動向を見ますと、区部では近年、ファミリー世帯向けの集合住宅の新築が相次ぐなど、区部の人口は増加傾向にあり、都心居住が進んできているところでございます。
 このように、都におきましては、都市再生が進展する中で、地域の特性に応じた多様な住宅供給がなされているものと認識しております。

○小松委員 多様な住宅、そして都心居住。こうおっしゃっておりますけどね、一般都民の大半が入居できないようなマンション供給、これを支援していく。そこではなく、あくまでも都の住宅政策というならば、その中心は多くの都民が居住できる住宅供給への支援であるべきではありませんか。いかがでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 住宅のストック数は現在、世帯数を一割以上超えている状態にございます。市場で都の住宅の九割以上が供給されている状況にある中で、都の住宅政策の基本方向は、市場の環境整備、誘導を通じまして、市場における住宅供給を活発化して、都民の多様なニーズにこたえる住宅供給を促進していくことと考えているところでございます。

○小松委員 既に今の東京都の人口、都民の世帯を超えて、住宅はあるんだと。だから現在あるストックの維持活用に重点を移していきたいと。そしてまた、多種多様なということをこの答弁の中でもおっしゃっております。しかし、多くの都民が本当にこの住宅に--住まいは福祉ということもいわれておりますけれども、安心して住み続けられるような住宅政策を行うためには、その中での東京都の役割が非常に大きいのではないかということですが、こういう形の中で東京都、これは恐らくセーフティーネットということをお答えになると思いますが、セーフティーネットでも結構ですよ、本当に今セーフティーネットとして、今の都の住宅政策、そして今のあり方が、この方向に進んでいるのかどうか、いかがでしょう。

○水流住宅政策担当部長 先ほども申し上げましたとおり、近年、区部におきましては、マンションを中心に住宅供給が非常に活発化してきているところでございます。都心居住が進み、市場の需給関係はよい方向に向かっていると思っております。また、さらに今後、中長期的には人口や世帯数が減少に転ずると見込まれております。こうしたことから、都営住宅につきましては、既存ストックの維持活用に重点を移すこととしております。
 この方針に従いまして、都営住宅の建てかえや改修を着実に進めながら、都民共有の財産として真に住宅に困窮する都民に対して適切に都営住宅の供給を図ってまいります。

○小松委員 これ、本当にもっともっと論議するとね、幾らでも時間欲しいんですけれども、限られた時間の中です。手短にしたいと思いますが、要するに、もう都営住宅、新規つくらなくていいんだと、今ある住宅のストックの活用ということをおっしゃっています。
 でもね、一方では私、これは何回も申し上げましたが、住宅局ということの質問の中ではこの委員会としては最後になりますが、都営住宅の応募状況の推移一つ見ましても、きょう出されました資料の六ページにございます、空き家一つ見ても、この五年前、一桁ですよ、平均倍率。
 十二年度で十二倍になる。十一年度は四・七、九・四と。これがどんどんふえて十五年度では三十四・七倍。これが新築ですと、前から七十一倍とかね。大体五十倍、バリアフリー、六十倍とか五十五倍とか、このような大変な募集倍率でございますね。これでセーフティーネット守れているとおっしゃって、大丈夫なんですか。
 と申しますのも、私のところにも本当に、都営住宅何回申し込んでも当たらない、または都営住宅どうしたら入れるのか、そんな相談が、住宅委員ということもあるのかもしれませんが、後を絶たないんです。
 かつてはホワイトカラーといわれたような公団の居住者、当時は大体、会社の役員のような方々が住んでいたといわれるこの公団の居住者も、建てかえがあって、年金暮らしになって家賃が高くなる。住めなくなってるんですよ。特に、これでご主人でも亡くなって、奥さんがご主人の遺族年金ということになると、もう直ちに出ていかなくてはならない。こんなときに都営住宅といってもすぐに入れないわけです。
 こうした人々も含めて、セーフティーネットは今東京都はきちんとできているんだといい切ることができますか。

○水流住宅政策担当部長 今、倍率が年々上がってきているご指摘がございました。委員会にお示ししました資料につきましては、これは一般公募分の倍率を示したものでございまして、ご案内のように、この一般公募枠以外にも幾つか都営住宅の募集枠があるわけでございます。
 そうした募集も含めて、全体を見てみますと、応募者総数につきましては、経年的に安定した数字になってございますし、それに対しまして、二十六万戸のストックから発生する空き家については、毎年おおむね三%強でこれまた安定的に推移してきているわけです。したがいまして、多少その年によってでこぼこはありますけれども、経年的に全体として応募倍率がどんどん上がってきているという実態はございません。
 それから、都営住宅に応募されている方々の現在のお住まいの状況をいろいろと見てみる必要があると考えているわけですが、中には、既に最低居住水準をクリアされている方もいらっしゃるということもございます。したがいまして、二十六万戸のストックを有効に活用して、本当に住まいにお困りの方、真に住宅に困窮されている方に的確に供給していくということが、私たちのとるべきあり方だというふうに考えているところでございます。

○小松委員 いや、驚きましたね。確かに空き家募集でも新築募集でも安定しているんですよね。常にもう五十倍だ四十倍、こういう倍率なんですよ。だから安定しているというんですか。
 そして、その応募される方の中には最低居住水準を超えられた方もいらっしゃる。私さっき申し上げた例、そうですよ。公団住宅で、皆さん最低居住水準、これをオーバーしているんです、むしろね。しかし、そこにもう住んでいられなくなったからといって都営住宅を求めているんですよ。最低居住水準だけじゃないんですよ、セーフティーネットというのは。そこをしっかり考えていただきたいと思います。
 でも、百歩、二百歩譲って、最低居住水準ということだけ見てしても、東京は、私、今ここに持っておりますけれど、最低居住水準ということでも、全国の五・一%ということでは、東京都は一一・四%、倍もこの最低居住水準未満の方々が暮らしていらっしゃるということから見ても、東京都における公営住宅の役割というのは大変大きいと思われるんですね。
 この最低居住水準に満たないこの住宅、八期五計の中では二〇一〇年までにこれをゼロに持っていくということも目標としてあるわけです。これらへの対応からしても、都営住宅をもっとふやさなければいけない。いかがでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 最低居住水準でございますが、解消の目標でございますが、二〇一〇年までにほぼ解消ということで、全くゼロにするという目標設定ではございません。
 一九八八年の住宅統計調査、昭和六十三年ですが、そのときの最低居住水準未満率は、一七・七%でございました。そして十年後の平成十年の、これは直近の住調ですけれども、一一・四%と、六・三%改善をしているところでございます。
 このトレンドが今どうなっているかというデータはないわけでございますけれども、着実に最低居住水準未満住宅は減ってきているという実態があるわけでございます。
 先ほど来、今後の都営住宅の政策運営の基本といたしまして、建てかえやスーパーリフォームなど、現在ある住宅ストックの維持、管理に重点を移していくというふうにお答えいたしましたが、そうしたそのストックの有効活用をもって、また市場に対する全般の幅広い住宅政策をもって居住水準の向上を着実に図っていきたいと考えているところでございます。

○小松委員 最低居住水準は、二十年までに大体ゼロにできる。これは都営住宅が何もその中で役割を果たしてふやさなくてもいいんだ、ストックの活用でできるんだということですけれども、これはまさに、傲慢といっちゃ申しわけないかもしれませんが、もし都営住宅が新規をこの上に足せば、さらにこれが早く解決できるではありませんか。
 多くの都民に効果の及ぶ広がりのある住宅政策を展開ということをお答えになっています。だとするならば、今こそ都営住宅の新規建設を初めとして、公営住宅の拡充にこそ力を入れるべきではないかと思います。
 そして、ここで一言つけ加えさせていただくならば、私、これ今初めてじゃありません、最近は、この新規を石原知事になってからは全くゼロにするだけでなく、建てかえにおいても元戸数をきちっと獲得しないで、確保しないで、元居住者、従前居住者の数だけにしちゃっている。新規求めますよ。求めますけど、百歩二百歩譲っても、せめて元戸数ぐらいはきちっと建てかえる。これは、都有地きっちりあるわけですから、その方向に向かって努力してもらいたい、こう思いますけれど、いかがでしょうか。

○庄司参事 建てかえ事業における建てかえ戸数についてでございますが、基本的には元戸数以下ということで考えているところでございます。また、居住実態や周辺の状況、土地の有効活用など勘案しながら決定していくことになると考えてございます。

○小松委員 元戸数以下ということで、それを従前居住者にすることではなく、元戸数を求めてくださいとお願いだけしておきましょう。
 そして次に進みますけど、こんなときに東京都は住宅局そのものをなくしてしまう。局ですよ。昭和三十五年に建築局から住宅局になって四十三年。つい最近まで、都営住宅二十六万戸つくり続けるだけでなく、福祉施設や道路、下水道などインフラ整備含めて住宅政策を展開してきたわけです。
 ところが、石原知事になった途端、新規建設は全くやめ、管理も公社にゆだね、今また局の名称まで消してしまうわけです。都は統合ということをいっておりますが、住宅局そのものがなくなるのは事実ですし、私たちの大事なこの建設・住宅委員会っていう、この住宅局を担当する委員会もなくなってしまうんですよね。本当に残念でなりません。
 都案によれば、住宅関係は都市整備局の中で住宅政策推進部と都営住宅経営部の二部立てということですが、そこで伺いますが、この部の下にある課立てはどうなっていくんですか。そして職員定数を含めて伺いたいと思います。

○梶原総務部長 今回の組織改正は、住宅局、都市計画局及び建設局の市街地整備部門を再編統合して、新たに都市整備局を設置するものでございますが、この仕組みについて今少しかみ砕いて申し上げますと、都市計画局と住宅局を廃止いたします。そして両局の所管する部門を加えまして、新たに建設局の所掌の中から市街地整備部門を加えまして、全く新しい組織として都市整備局を設置するというものでございます。

○小松委員 そこはわかっている。

○梶原総務部長 先週の本会議において、東京都組織条例の改正ということで議決をいただいたところでございます。現在、これを受けまして、部課など組織の詳細等については所管部署において決定に向けた作業に入っております。現段階では、いずれもまだ決定に至っておらず、お答え申し上げる段階には至ってございません。

○小松委員 部長、きょうは何日だと思いますか。三月十七日。四月からこれでいくというのでしょう。今まだ決定の段階にない。そんなことないでしょう。ねえ。
 十一日には、私たち共産党反対しましたけど、残念ながらこれ通ってしまって、四月からというのがあるんです。あと二週間ですよ。これで何にもまだ課だとか職員定数だとか決まってないんですか。それとも、まあ、この委員会の場ではいえないんだよ、そういうことなんですか。

○梶原総務部長 今回の条例改正に当たりましては、所管の部署を中心に--総務局でございますけれども、新たな局においてどのような部門が設置されるか、部相当の部分については既にご説明しているところと存じます。
 ただいま申し上げましたように、部課の段階については、現段階では所管の部署でまだ決定を見ておりませんので、公式の場において私どもの方から申し上げるというわけにはいかないものと考えております。
 ちなみに昨年の組織改正におきましては、三月二十六日に所管の総務局から発表してございます。

○小松委員 昨年のとおっしゃいますけど、今回のはちょっと違うんですね。局そのものの名前がなくなるわけですからね。
 まあ、それ以上聞いてもお答えがないようですから、これは私ども残念ながら、これできょう住宅委員会終わっちゃうわけですから、もうあと分かれちゃうわけですからね。四月一日からの状況ということでは、非常に皆さん、不安の声を大きく聞きます。
 私のところへも、一体どうなってるんだという、都営住宅に住まわれる方、または都営住宅を応募されようとしていらっしゃる方、大変不安の声を大きく聞きます。(「あおってるだけだろう」と呼ぶ者あり)それで早速、「すまいのひろば」というところでは、四月から名称が変更するということを書いてありますけれど、これは業務内容を変更するものではありませんといい切っておりますが、本当にこうした中で都民の声、居住者の声、これを皆さんはどうとらえていらっしゃいますか。こういう声は聞かれませんか。いかがでしょう。

○梶原総務部長 今回の住宅局等の再編統合による新たな局の設置に係る条例に関しまして、都民の皆様から特段の反対であるということは承知しておりません。

○小松委員 本当に悲しいですね。部長のところにはそういう声が余り届かないんじゃないんですか。私のところにはたくさん届いているわけです。決してあおっているわけではありませんからね。次から次へと、そういう声が入ってくるわけです。
 でも実際に、どう考えても職員定数が、もう部長だけだって減っているわけですから、その下の課長、係、減ることは明らかなのでしょうか。これで本当にこれからの事業をきちんとやっていけるのか、ここを確認したいと思います。

○梶原総務部長 今回の組織改正におきましては、従来の事務事業に関しまして、組織改正に伴って廃止されるというものはございません。
 全体として、現行の事務事業の執行についてのご心配のお尋ねかと存じますが、現行の体制を踏まえた上で、新たな局においても事業推進のために必要な措置は適切になされているものと考えております。

○小松委員 その言葉をしっかり聞いておきましょう。都政の重要な柱として住宅行政を位置づけ、その拡充、強化こそ求められる中で、住宅局の名称が都の組織の中から消えていくことは、都の住宅施策の後退として到底認められない。このことを明らかにしておきます。
 さらに都は、国の法律改正に基づくとしながらも、十八年二定までに指定管理者制度を導入させようとしているわけですね。これは今るる質疑応答がありましたけれども、この制度は、あくまでできる規定ですから、したがって民間にゆだねることなく、直営で行うこともできるわけですね。
 現在、都営住宅の管理は公社が行っておりますが、この直営化を求める立場からただしたいと思います。
 検討だということで、ただいまの都の回答が、都営住宅の特性などを踏まえて都営住宅に指定管理者制度を導入するためには、今、幅広い検討を行っているんだと。また、セーフティーネットとしてのさまざまな問題も含めて、公の施設と異なっているということなど、るるお答えがありましたけれど、しかし、私が今持っております「住宅新報」の昨年の十二月二日号では、公営住宅の管理、民間へということで、ここにはいろいろ書いてありましてね、東京都や広島県など民間事業者に委託する方向で既に条例づくりに動き出した自治体もあると、全国の二つの、この都と県を挙げて例示して説明してあります。そして、民間の不動産会社は管理物件をふやすチャンスとなるとまで書かれておりますが、ここから見ますと相当検討がこういうふうに進んでいるということでしょうか。

○石井参事 ご指摘の新聞は十二月二日の「住宅新報」でございます。これにつきましては、都に対してではなく、国土交通省に取材があったというふうに聞いてございます。
 そこで、この記事を見て、国土交通省の担当官に事情を聞いたところ、指定管理者制度について検討に着手した事業主体として、東京都と広島県を例示として挙げたということでございます。したがいまして、この記事はまさに事実誤認でございます。したがいまして、この時点で、住宅新報社に対し、当該記事への抗議、それと訂正の申し入れをしたところでございます。

○小松委員 そうしますと、条例づくりに動き出しているという、こういう拙速な検討はしていないという確認をしてよろしいですね。

○石井参事 再三繰り返してございますが、現在、指定管理者制度導入の趣旨や都営住宅の特性を踏まえて、都営住宅に指定管理者制度を導入するために幅広い内容につきまして局内で検討を行っている、そういうところでございます。

○小松委員 わかりました。「住宅新報」に対しては--これは訂正記事、出なかったんですよね、きちっとしてもらうように、改めてお願いをしたいと思います。
 先ほどから質問が出されておりますが、しかし立場も違いますので、改めてここで伺いたいと思いますが、この都営住宅の管理と、それから営利目的の民間住宅では、管理の仕方が、先ほども出てきましたが、根本的に違うんだということだと思うんですね。民間では管理ができないという、都営住宅の管理業務の中で、民間の事業者ではやっていない、こういう業務にはどのようなものがあるでしょうか。

○石井参事 都営住宅は公営住宅法によって設置管理されているところでございますので、公営住宅法に規定されているものとしましては、居住者に毎年収入を報告させること、あるいは収入超過者や高額所得者を対象とした業務などがあるということでございます。

○小松委員 そうですね。そしてさらに都営住宅は、先ほどからも出ておりますように、高齢者や障害者など、福祉的な配慮を必要とする居住者も大変多い。民間のように効率性だけ追求して管理することはできないと思いますが、いかがでしょうか。

○石井参事 今ご指摘の福祉的云々ということも都営住宅の特性だというふうに認識してございまして、そういうものを踏まえて、現在、検討中でございます。

○小松委員 そういうことも含めてセーフティーネットという都営住宅の性質上、都営住宅の管理に営利を追求する民間事業者が入ることはなじまないんじゃないでしょうかね。

○石井参事 指定管理者が公的な団体ということで限定するといったような制度上の制約はございません。繰り返しでございますが、指定管理者制度の趣旨あるいは都営住宅の特性を踏まえて検討をしてまいります。

○小松委員 指定管理者が公的団体でなければならないという制度上の制約はないということですが、今そうお答えの一方では、都営住宅の特性を踏まえてというこのお答えがあるわけですから、それからすれば、そして先ほど翌年度の賃料を算定するための入居者所得や家族状況など個人情報、すなわちプライバシー保護の問題もあるわけで、セーフティーネットという公営住宅では、企業というのは全くなじまないだけでなく、委託すべきではないというふうに思います。
 先ほどNPOという話も出されましたが、しかし、現在の公社委託でもさまざまな問題が生じているのが事実です。都の直営でこそ公営住宅法がいう健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備、管理できるという立場を明らかにして、次に進んでまいりたいと思います。
 次に、先行まちづくりプロジェクトについて伺いますが、先ほど既に同僚議員もただされておりますので、重複しないで、今回の多摩のモデルにするという、私どもが住んでおります東村山の本町について、確認も含めて行っていきたいと思います。
 まず、東村山の先行まちづくりプロジェクトは、今月中に実施方針を発表する予定となっているわけですが、いまだ発表されておりません。いつ発表、公表するんでしょうか。そしてまた、その内容はどのようなものでしょうか。

○庄司参事 東村山本町地区の先行まちづくりプロジェクトにつきましては、事業実施方針を今月末に公表する予定でございます。また内容につきましては、既に先行まちづくりプロジェクト指定時及び広くて質が高く低廉な住宅供給の促進についてのプレスの際に、その方向性について発表しているところでございまして、その方向性を踏まえて、詳細については検討中でございます。
 今後発表する事業実施方針等で内容を明らかにしていく予定でございます。
〔「住宅局があるうちに発表するんだよ」と呼ぶ者あり〕

○小松委員 先ほども、もうきょうは十七日じゃないかと、四月から変わるんでしょうといったって、まだ発表できないんだかないんだか、お答えないんですよね。今度も、末に発表する。今ちょっと横からありましたけれども、住宅局があるうちに発表するところに意義があるんじゃないでしょうかね。
 そして、既に知事は、三月十一日でしたね、記者会見で、新年度から実施という、先ほど質問のありました、いわゆる広くて質がよく低廉な戸建て住宅の供給促進、これ発表しているんですよ。これは先行まちづくりの中の一角を使うっていっている。だってまだ全体の実施方針がわかってなくて、ここだけはわかっちゃったのよって、そんなことないでしょう。やっぱり知事がここをしっかりとあれだけ自信を持っておっしゃるには、全体はもうできているんじゃないんですか。これも、やっぱり今は、ちょっとこの場ではいえないということなんですか。

○庄司参事 今、委員お尋ねの件につきましては、先般、先行まちづくりのプロジェクトの指定時に誘導目標を掲げてございます。また、去る十一日に、広くて質が高く低廉な住宅の供給についてのプレスを発表しているところでございまして、その方向性を踏まえながら、内容について今検討しておりまして、事業実施方針の中でそれを明らかにしていく考えでございます。

○小松委員 検討という言葉は便利ですね。検討といえばもう何か前へ進んじゃうようで、私の持ち時間はどんどん過ぎていくから。これ以上聞いてもいわないのかな。
 となると、これは残念ながら、住宅局という、担当する委員の私たちがここでは聞くことができなかった。先ほどのことも含めて、本当に残念だし、遺憾だということを申し述べていきたいと思います。
 この東村山のプロジェクトでは、これまでも要望してまいりましたが、今、プロジェクトの概要というこれを参考にということでしたけれど、例えば福祉団体や青少年団体、市民の意見、直接聞いて取り入れてほしいということを私、前に申し述べました。
 これにつきましては、例えばかつて東村山では通産省の試験場の跡地、これはもっともっと広かったんですよね。大変広かったんですけれど、これの跡地利用ということでは、都と市と市民団体が一体となりまして、何回も何回も話し合って、その結果、都立東村山中央公園とか、都立高校、都営住宅、公団住宅、市の小学校、また市の公民館や児童館、憩いの家、市民の要望がきちんと取り入れられて、すばらしい跡地活用ができているという実績があるんですよ。
 だから、よりよいものをつくるには、具体的に、例えば福祉施設というのは聞いております。高齢者の施設なんだということであれば、実際に利用する高齢者もあるかもしれませんけれども、今その高齢者施設で頑張っている現場の方々、団体、グループ、そしてまた保育所もというのであれば、東村山には本当に模範的な認可保育園もたくさんあります。そうした保育所の職員や親たちも含めて、こうした市民の方々と一体となったまちづくりができないのかって、再三申し上げているんですけれども、これはどうなんでしょう。

○庄司参事 委員ご質問の件につきましては、従来から市との協議会の場を通じまして、市民の意見の反映に努めてきたところでございます。今後とも、事業の進捗に応じまして、市とは協議会の場で十分意見交換を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○小松委員 いつも同じ回答ですね。市と、市とというけど、行政だけではだめなんだと、ここに市民を入れなさいということは、きょうもまた強く要望しておきます。(「議会だって入っているじゃない、市民の代表の議員が特別委員会なんかつくって」と呼ぶ者あり)議会だけではね、だめなの。あなた、すべてね、議会が一〇〇%できるようなこといっておりますけれどね(「東村山行ってやれよ、二人で」と呼ぶ者あり)これはね、やはりね、実際の具体的な市民の(「小松さんね、不規則発言に答えちゃだめだよ」と呼ぶ者あり)代表というのは議会だけではないということで、これはきちっと申し上げておきたいと思います。
 そして、こういうときこそ、NPOとかそういう人たちも含めて実際に考えていくんですよ。住宅以外の福祉施設ということでは、福祉施設だけでなく、青少年たちも、スケボーつくってほしいとか、BMX、何かそんなものも欲しいとか、公園も欲しいとかいろいろと要望が出ているんです。ぜひこれらを取り入れていただきたいということを要望しておきます。
 この実施方針が公表された以降、募集要綱も発表されることになるんですけど、これは実際にスケジュールとしてどうなっていくんですか。

○庄司参事 事業実施方針公表後のスケジュールでございますが、募集要綱につきましては、今年の夏までには公表したいというふうに考えてございます。その後、十六年度中に事業者の決定を予定しているところでございます。

○小松委員 事業者の決定ということですけれど、ここの中でやはり先ほどの広くて質がよく低廉な戸建て住宅の供給推進、これも一緒にやられていくことと思います。これについて、ここでちょっと明らかに、もう少し確認をしたいと思いますのは、新聞報道で、そしてまた石原知事の発言の中で、二百戸の戸建て住宅をつくるということでしたけれど、これは二百戸で、戸建てだけをすべてにするんですか。それとも中高層などという住宅も考えられているんでしょうか。

○庄司参事 東村山のプロジェクト全体で整備することにつきまして、戸建て住宅で試算してみますと、二百から三百戸程度の供給が可能なものというふうに考えてございます。また、これは民間事業者の提案にもよるわけでございますが、中層の住宅についてもその視野に入れながら検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○小松委員 中層ということがありましたけれども、高層は建てないでくださいね。都営住宅が前に十四階建てが建って、ここに高層が建つということになると、せっかく戸建てができるのに全く谷間になってしまいます。また、近隣の方々への影響もありますから、それはここでお願いしておきます。
 そして先ほど出ておりました広くて質がよく低廉な戸建て住宅の供給促進では、ここでは中小の工務店の、知事が東京工務店という言葉をおっしゃっておりましたけど、地域の仕事おこしの視点から、地元の中小工務店の参加というのはどういうふうに考えられているんでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 地元の事業者であることをもって直ちに実証実験に参加できるというものではございませんけれども、生産の合理化による価格の引き下げに取り組んでいる地元の中小工務店の方々も含めて、多数の応募を期待しているところでございます。
〔「そんな立派な大工いるのかね、東村山に」と呼ぶ者あり〕

○小松委員 東村山には本当に立派な大工もいるんですよ。また、やじに答えちゃった。(笑声)
 これはやはり地元の中小工務店ということで、やはりもっと地域の経済の活性化、振興ということでは、ぜひこれは取り入れていただきたいんですよ。(「そういうのをしつこくやらなきゃだめだ」と呼ぶ者あり)そうよね。
 それで、やはり職人の腕のよさというのは、十年、二十年たってわかるものです。質のよい住宅の規格、工法というのも、これは十分検討していただきたい。例えば、見かけ、家のできばえとか価格だけでは意味がないので、そういう意味では、腕のよいということでは中小工務店の方々も地元にはたくさんおります。ぜひこれは強くお願いし、そして大手が職人の賃金を切り下げて安く家を供給する、これがないようにということでは一致しているわけですけれど、ぜひこの点をお願いしたいと思います。
 そして、さらにお願いとしては、多摩産材も流通ルート短いので有効に活用していただきたいと、ぜひこれはよろしくお願いしておきたいと思います。
 いよいよ最後になりましたので、この建設・住宅委員会の最後の質問でございます。(「あしたもあるよ」と呼ぶ者あり)ですので、今(「まだあしたもあさってもあるよ」と呼ぶ者あり)住宅局としてよ。
 今るる質問してまいりましたけれど、住まいは人権、住まいは福祉、こういう立場で住宅行政が、都政の重要な柱として今後も進むことを求めまして、最後ですから、住宅局長に今後の住宅政策につきまして、特に住宅局の長として頑張ってこられた局が、都民の意に反して名称がなくなってしまう、そのことの所感も含めましてお答えいただきまして、質問を終わります。

○高橋住宅局長 住宅局長にというご指名でございますので、住宅局だけが名称がなくなるんではなくて、先ほど総務部長から改正の趣旨についてお話をさせてもらいましたように、都市計画局、それから住宅局、建設局の市街地整備部門の一部が統合されて新しく都市整備局として生まれ変わる、こういう趣旨でございまして、今回の組織改正につきましては、現場の感覚やノウハウを生かした実効性のあるまちづくりを実現するという趣旨でございまして、重層的、複合的に施策を講じることによりまして、住宅政策を一層効率的、効果的に進めることが可能になる、このように考えております。
 住宅政策をより高次の次元で展開を目指すものという趣旨でございます。住宅が量的に充足をしまして、質の向上が求められております現在、今後の住宅政策はまちづくりの視点を踏まえながら、ストックの適切な維持向上も含めまして、市場を活用して多様化した都民のニーズに的確に対応していく必要があると考えております。また、都営住宅につきましては、都民共有の財産として適切な管理運営を行いまして、ストックの有効活用を図っていきたいと考えております。
 一例でございますけれども、今回、ご提案申し上げております東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例、あるいはただいまご議論いただきました広くて低廉で質の高い住宅の供給、こういった事案を含めまして、新たな組織におきましても、市場の機能を有効に活用しまして、多くの都民に効果の及ぶ広がりのあるまちづくりと一体となった住宅政策を総合的、効果的に展開をしていきたい、また、していけるものと、このように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十四分散会

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