建設・住宅委員会速記録第七号

平成十五年七月三日(木曜日)
第九委員会室
午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長高島なおき君
副委員長星野 篤功君
副委員長木内 良明君
理事花輪ともふみ君
理事新井美沙子君
理事三原 將嗣君
伊沢けい子君
小磯 善彦君
吉原  修君
臼井  孝君
小松 恭子君
高橋かずみ君
土屋たかゆき君
池田 梅夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
住宅局局長高橋  功君
技監小林 崇男君
総務部長梶原 康二君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
連絡調整担当部長加藤 英夫君
地域住宅部長小林 計代君
区市町村調整担当部長高岡 信也君
民間住宅部長安藤  明君
参事山室 善博君
住宅経営部長青木 治道君
営繕担当部長渡部 景之君
参事石井 一夫君
参事庄司 静夫君
参事神通 和夫君
建設局東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
次長上條 弘人君
道路監岩永  勉君
理事杉浦  浩君
総務部長町   格君
用地部長矢口 貴行君
道路管理部長須々木亘平君
道路建設部長柿堺  至君
公園緑地部長住吉 泰男君
河川部長鈴木  進君
市街地整備部長石井 恒利君
多摩ニュータウン事業部長高西 新子君
企画担当部長田中  亨君
総合調整担当部長熊谷  清君
道路保全担当部長依田 俊治君
道路計画担当部長阿部  博君
調整担当部長内海 正彰君
多摩ニュータウン事業技術担当部長野村 孝雄君
販売企画担当部長友繁 佳明君
参事新井 敏男君
参事島  博文君

本日の会議に付した事件
 住宅局関係
  契約議案の調査
  ・第百六十八号議案 都営港南四丁目第三団地(第二期)建設工事請負契約
  付託議案の審査(質疑)
  ・諮問第二号 地方自治法第二百四十四条の四の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
 建設局関係
  契約議案の調査
  ・第百六十九号議案 南田中トンネル(仮称)築造工事その四(十五-環八)請負契約
  ・第百七十号議案 北町・若木トンネル(仮称)築造工事及び擁壁工事(十五-環八)請負契約
  ・第百七十一号議案 旧江戸川(東葛西)防潮堤耐震補強工事(その十)請負契約
  ・第百七十二号議案 北町陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十五-環八)請負契約
  ・第百七十三号議案 日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その三)請負契約
  報告事項(説明・質疑)
  ・都立公園の整備と管理のあり方について(東京都公園審議会答申)
  付託議案の審査(決定)
  ・諮問第二号 地方自治法第二百四十四条の四の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○高島委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 初めに、今後の日程について申し上げます。
 先ほどの理事会で、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅局関係及び建設局関係の契約議案の調査、住宅局関係の付託議案の審査、建設局関係の報告事項の聴取並びに閉会中の請願陳情の継続審査及び特定事件の調査の申し出の決定を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十五年七月二日
     東京都議会議長 三田 敏哉
建設・住宅委員長 高島なおき殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
  記
1 契約議案
 第百六十八号議案 都営港南四丁目第三団地(第二期)建設工事請負契約
 第百六十九号議案 南田中トンネル(仮称)築造工事その四(十五-環八)請負契約
 第百七十号議案 北町・若木トンネル(仮称)築造工事及び擁壁工事(十五-環八)請負契約
 第百七十一号議案 旧江戸川(東葛西)防潮堤耐震補強工事(その十)請負契約
 第百七十二号議案 北町陸橋(仮称)鋼けた製作・架設工事(十五-環八)請負契約
 第百七十三号議案 日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その三)請負契約
2 提出期限 平成十五年七月四日(金曜日)

○高島委員長 これより住宅局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、住宅局長から紹介があります。

○高橋住宅局長 七月一日付の人事異動に伴いまして、当局の幹部職員に異動がございましたので、お手元配布の名簿によりましてご紹介をさせていただきます。
 住宅政策担当部長の水流潤太郎君でございます。どうぞよろしくご指導のほどお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕

○高島委員長 紹介は終わりました。

○高島委員長 次に、契約議案の調査を行います。
 第百六十八号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梶原総務部長 去る六月二十日の本委員会におきましてご要求のございました資料について、ご説明を申し上げます。
 お手元の資料1、建設・住宅委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙を開いていただきますと、目次がございますが、資料は合計五件でございます。
 初めに、一ページをお開き願います。1は、都営港南四丁目第三団地(第二期)建設工事住戸規模でございます。
 住戸型式ごとに、それぞれの住戸専用面積、戸数及び戸数比率を記載しております。
 二ページをお開き願います。2は、都営住宅型別供給の住戸の標準規模でございます。
 住戸型式ごとに、平成五年度及び平成十一年度標準のそれぞれの住戸専用面積を記載しております。
 三ページをお開き願います。3は、大規模工事の落札状況でございます。
 平成十二年度から平成十四年度の三カ年につきまして、各年度の予定価格の大きい工事五件分の予定価格、落札金額及び落札率を記載しておりますので、それぞれごらんいただきたいと存じます。
 四ページをお開き願います。4は、中小企業への工事発注実績でございます。
 平成十二年度から平成十四年度につきまして、中小企業と大企業とに区分し、それぞれの発注件数及び契約金額を記載しております。
 五ページをお開き願います。5は、都営住宅の分離分割発注の状況でございます。
 平成十二年度から平成十四年度につきまして、主な団地における各業種ごとの発注件数を記載しておりますので、それぞれごらんいただきたいと存じます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 今回、住宅局では、初めて総合評価一般競争入札、そしてまた設計・施工一括発注というようなやり方を取り入れたわけですが、初めてでもありますので、その採用した理由や採用したメリット、また、実施してみての評価などをぜひ伺いたいと思います。

○庄司参事 港南四丁目の技術提案型総合評価一般競争入札及び設計・施工一括発注にかかわるご質問でございます。
 まず、技術提案型総合評価一般競争入札及び設計・施工一括の目指すところでございますが、その採用した理由につきましては、民間のノウハウを活用し、都心にふさわしい良好な高層住宅を実現することにあります。
 次に、技術提案型総合評価一般競争入札のものでございますが、その特徴は、入札価格だけでなく、入札価格と技術提案とを総合的に評価して落札者を決定するという仕組みでございます。
 また、設計・施工一括発注につきましては、通常は設計を発注し、その成果をもちまして施工の発注を行うのに対しまして、設計・施工一括発注におきましては、設計と施工を一括して一つの事業者に発注していくということでございます。
 総合評価一般競争入札の採用のメリットでございますが、民間の技術力やノウハウを有効に活用できること、また当該事業にふさわしい技術を持った事業者を選定できることというようなことでございます。
 また、設計・施工一括発注の採用のメリットでございますが、設計と施工を一括して同一事業者に発注することにより、民間企業が持つノウハウや独自の工法を採用した設計が可能となるというものでございます。設計から着工までの手続を、また簡略化できるというものでございます。

○小松委員 確かに、民間のノウハウをということもありましょうけれど、まあ東京都も一般に今までやってこられたとは思うんですけれど、いろいろなメリットがあったようですが、今後も、住宅局は、総合評価方式、設計・施工一括発注、こうしたものはやっていかれようとするのでしょうか。

○庄司参事 今回の案件につきましては、超高層住宅を建設するという大規模なプロジェクトでございまして、試行として採用したものでございます。今回の効果をよく検証した上で、取り扱いについて検討していきたいというふうに考えてございます。

○小松委員 ぜひその辺は今後もきちんと分析していっていただきたいんですが、今回、落札率が七五%余ですよね。大変低いように思われますけれど、これで大丈夫でしょうか。

○庄司参事 今回の場合、予定価格に対しまして低い入札価格になりましたのは、技術提案型の方式を採用することによりまして、各社独自のノウハウや技術力が十分生かされたためと考えられます。落札企業だけではなくて、他の企業についても入札価格が低い状況でございます。
 財務局所管の低入札価格審査委員会におきましても、この入札価格で契約の適正な履行が可能であると判断いたしておりまして、それをもちまして落札者の決定がなされたということでございます。

○小松委員 今なぜそういう質問をしたかと申しますと、資料の三ページにもありますように、これは平成十二年度ですけれど、私の地元の東大和の向原でも、七五・三七%という落札率で受けたのがありますね。今回は予定価格が大きいもの五件ですけれど、もう少し下までいきますと、こういうものが幾つか出てきているわけです。でも、大半は、やはり落札率は九〇%以上というのが多いわけですね。
 というのも、やはり予定価格というのは、それなりにきちっと積算されたものであると思うんですよ。で、この七五・三七%で受けた東大和の向原がどうなったかというと、結果的に請け負ったところが倒産しているんですね。倒産しただけではなくて、その孫請のような下請の、本当に地元の商店使うといいよということで、これはよかったねといって喜んでいる方々が、不渡り食ったりしているんですよ。本当はこういうのおかしいでしょう。
 そういうこともあるので今伺ったんですが、今回はそうじゃないんだよと。落札された業者見ましても、大変大きいところですけれど、大丈夫なんだよと。これが設計・施工一括発注だったんだよということですけれど、それならばそれで、予定価格ももっと下がっていいのかなということ、そういう疑問が起きますけれど、どうなんでしょうね。

○庄司参事 今回の予定価格の積算につきましては、東京都の超高層の設計の基準に基づきまして、積算基準等に基づきまして積算したものでございまして、私ども、予定価格については適正な積算であるというふうに考えてございます。

○小松委員 ここで適正じゃないということは、答えに返ってこないんですけれど、実際には、東大和でもそういうふうにこれはきっと適正だということでやられていた。ところが落札がそういうことで倒産したと。
 そういう意味では、今回でもそうですけれど、大もとの業者はしっかりしておりますけれど、下請に対する未払いだとか、まして不渡りを出すようなそういうやり方というのは、きちっと最初から東京都が監督、指導していれば、こんなことは防げたのではないかなというふうに思います。
 そういう意味では、今回においても、七五%ではありますけれど、下請の下請がきっといっぱい出てくると思うんですけれど、そこをきちっと守るという立場で、ぜひ監督、指導をきちんとしていただきたいという意見だけにとどめておきます。
 ところで、今回は、審査の講評が公開されております。大変いいことだと思います。そこで、この講評の項目に従って何点か伺いたいんですが、その審査講評の二ページを見ますと、ライフサイクルコストというところで、共用部分の維持管理というのがありますけれど、ここで落札しましたDグループが、エレベーターについては、速度と台数を抑え、維持管理経費の低減を図っていたという評価がありますけれど、速度と台数を抑えというのは、どのぐらい抑えられているんですか。

○庄司参事 私ども審査基準を設定するときに、東京都のエレベーターの設置台数及び速度の基準というものを基本的に設けておりまして、五分間輸送能力を四・〇%以上とするということ、また平均運転時間を六十秒以下とするということを条件に募集を行ったところでございます。

○小松委員 台数……。

○庄司参事 これは、それぞれの提案者の内容について若干変化がございますが、少なくとも輸送能力と平均運転回数を条件に、ライフサイクルコストとしてどの程度のものを要するかという募集条件にしたわけでございます。

○小松委員 私ね、すごい具体的に聞いたと思うんですよ。単純な質問で、Dグループは速度と台数を抑えとあるから、これ台数は何台というのがあるんでしょう、この二十四階建ての。そして、Aグループ、Bグループ、Cグループ、それぞれ抑えているけれど、Dグループはということで、数字をお聞きしたかったんです。

○庄司参事 失礼いたしました。落札者の提案内容でございますが、十七人乗り二台と九人乗り二台、合わせて四台でございまして、両方とも分速百五メートルのものでございます。また、五分間の輸送能力でございますが、都の基準を上回りまして、四・三%というものになってございます。また、平均運転間隔でございますが、三十八秒ということでございます。

○小松委員 小さいことなんですけれど、例えば、今台数を四台に抑えたということだけれど、じゃあ実際大もとは--だから四台だというのはわかったんだけど、抑えたというところが、その大もとが、ほかはどのぐらいで、これを抑えたというのは、ここに書いてあるA、Bはどのぐらいだったんですかね。
 というのは、いろいろなマンションですとか都営住宅の超高層のところへ行きますと、エレベーターが、ああこのぐらいの間隔ならいいなと思うところと、それから端から端まですっ飛んで行かないとないところと、いろいろありますよね。そういう意味で、今回はこれはよしとしたんだろうということで、これを否定するわけじゃないんですけれど、これだけの五百六十七戸、二十四階建てで適当なものという、それが結局、今回はこれだけ抑えたよということでは、もとはどのくらいなんですか。

○庄司参事 今回、四グループがこれに応募してございまして、それぞれ五台から三台の幅の中にございます。一グループは常用四基、非常用一基ということで五台のエレベーター、九人乗り、十七人乗り、分速百二十メートルというような提案、また別のグループにつきましては、四台で常用三基、九人乗り、非常用一基、またもう一つのグループは、常用二基、非常用一基、三台、九人乗り、十七人乗り、分速百五十メートルというものでございます。

○小松委員 最初からそういうふうにお答えいただければ、これでちょっと時間損しちゃったんですけれど、ですから、こういうことで維持管理費を低減するのはいいけれど、それがために少なくなったりとか、それからエレベーター、もう都営住宅遅いのありますよね、本当に、油圧式でいつになったら着くというのが。やっぱり二十四階という超高層になれば、それなりの速さも必要だということでは、わかりました。
 次の機械駐車設備についても、平面駐車としたということで、本当に平面駐車が望みだと思いますけれど、百十四台で足りるのかなということもありましたけれど、これは本当にきちっと、足りるだけは駐車場つくれよということだけにしておきます。
 それで、その次は環境影響ですね。イ-1に、敷地外に発生する日影量というところがありまして、四グループとも、北側隣地に発生する三時間以上の日影面積を六百五十平米未満として加点基準を満たしていると。これは非常に環境影響に配慮していたんだと評価をしているんですけれど、この評価はいいんですけれど、それでは、今度は自分のところ、都営みずからの日照確保、これはどうなっているのでしょうか。

○庄司参事 本計画でございますが、基本的に、この地域は日影規制のない地域でございますが、それなりの日照時間の確保ということで、落札者のDグループの提案でございますが、二時間未満の住戸につきまして十五戸、四時間未満の住戸二百十七戸という提案でございまして、二時間以上の住戸につきまして九五%、四時間以上の住戸につきまして六〇%という条件をつけて、それをクリアした提案内容になっているわけでございます。

○小松委員 全体の九五%以上の住戸が二時間以上の日照を確保していると。ここは日影規制のないところだから、それでいいじゃないか、まして、かつ全体の六〇%以上の住戸が四時間以上の日照を確保することになっている、いいじゃないかということですが、一方では、じゃあ九五%以上--今、二時間以内が十五戸っていいましたか。ちょっと今よく聞き取れなかったんですけれど、もう一回戸数をいっていただきたいのと、それでは、冬至の日に、一日本当に一時間も日が当たらない、そういう住宅ができるんでしょうかね。

○庄司参事 Dグループの提案でございますが、二時間未満の住戸につきましては十五戸ということでございます。冬至の日に、そういう意味で日照が当たらないという部分は、若干でございますが(「何戸」と呼ぶ者あり)二時間未満につきまして十五戸ということでございます。

○小松委員 できるだけ時間を節約したいんで、きちっと答えていただきたいんですが、私が申し上げたのは、二時間以内は十五戸、わかりました。それでは、何分とまでいいませんけれど、冬至の日にほとんど一日、日が当たらないんだよ--ほとんどといういい方しましょう、そういう住宅が一戸でもできるんですかということです。

○庄司参事 失礼いたしました。冬至の日に全く日照が当たらないという住戸はございません。

○小松委員 全くないということでしたね。そうしますと、一番日が当たらないというのは、二時間以内じゃなくてどのくらいですか。全くないということが出たわけですから、それがわかるわけでしょう。(「具体的にどの程度の時間かということですよね」と呼ぶ者あり)そうです。今ないといい切ったからね。

○庄司参事 一番厳しい住戸で、一時間以上の日照は確保できるという内容でございます。

○小松委員 一時間以上ということで、一日全然日が当たらないところはないんだよと。しかし一時間。考えてください。確かに冬至の日というのは一日しかないかもしれないんですけれど、だからって冬至明けた翌日はばっとふえるわけじゃないんですよ、もうしばらくは。その中には一DKやお年寄りの方々も多いわけですね。一日じゅう家の中で過ごされている方々も多い中で、相手の方には、民間住宅にはきちっと日照を確保した。
 これは必要なことで、それはそれでいいけど、ご自分の--ご自分のって、あなたが住むならいいんですよ、自分が住むならね。だけどそうではなくて都民が住むんですね。そういうところで一時間ぐらいしか日が当たらない。これなぜこうなったか。それははっきりと、詰め過ぎているからですよ。
 これ全体を見ますと、大体三ヘクタールぐらいですか。そこに、何と数えますと千五百戸ぐらい建てることになりますね、超高層でね、民間も含めると。やっぱりそれだけ密集しているからなんですよ。本来だったらもっとたっぷりと都営住宅に敷地を使えば、たっぷりといわなくてもいいです、「た」ぐらいでもいいから、とれば少しは変わってくるんですよ。これ余りにも詰め過ぎじゃないんでしょうかね。
 これは、本当に今後もこういう形で都営住宅の敷地有効--今回の場合は、全体像がちょっと見えないのではっきりいえないし、また契約議案なので、これ以上そちらを詰めてもと思いますけれど、ぜひこの辺は、少しでも都営住宅に住まわれる方の日影もきちっと守っていただく、このことはしっかりと要望しておきます。時間がないので残念なんで、要望だけになりますが。
 その次に、省資源・リサイクルということで、プレキャスト化が提案されていると思いますけれど、これに対して都はどう評価されているんでしょうか。

○庄司参事 今回の応募条件で、省資源・リサイクルも評価項目に考えたところでございます。プレキャスト化につきましては、施工の効率化、現場発生材の削減などの点で評価しているものでございます。

○小松委員 プレキャスト化は、いろいろな形で今後もやっていくことができると思いますので、これは要望にしておきますが、こうした形で、今回は有資源やリサイクルなどいろいろいわれておりますけれど、同時に今いわれているコスト縮減ですね。
 これにつきまして少々お伺いしたいんですが、たまたま先月の十九日に建設局と財務局から出された平成十四年度建設コスト縮減に関する取組実績、ここに住宅局の名前が出てきます。代表的な事業として、都営住宅の長房団地建てかえで十七億円、一二%の縮減、また住宅局の低コスト基準設計の開発及び活用で四十・六億円、これが示されております。
 この四十・六億円というのは、全局通しても縮減額は抜群ですけど、この内容をお聞かせください。

○小林地域住宅部長 基準設計におきますコスト縮減の主な内容でございますが、技術の進歩を取り入れた新しい構造形式の採用や、必要な性能を落とさない使用材料の変更などでございます。
 例えば、構造形式につきましては、高層住宅において、従前の鉄骨鉄筋コンクリート構造から、鉄骨を入れなくても同等の強度が保てる鉄筋コンクリート造、壁式ラーメン構造としたこと、また、使用材料につきましては、壁の下地材を合板から石こうボードへの変更や、木製建具の表面仕上げ材の変更などでございます。

○小松委員 一時のバブル時代の都営住宅、また都営住宅だけじゃないですね、建設局の橋などひっくるめましても、ああいうところから、今とてもコスト縮減をやっているというその努力は評価するわけです。
 今回も私、専門的にはわかりませんけれど、確かに建築の技術も進んで、鉄骨鉄筋から、鉄骨入れなくてもどんどん階高上げてもいいんだよということで、技術的に進んでいるようですから、それはよしとするんですが、ただ、こうした中で気になるのは、例えば十四年度の事業概要です。その中の一〇九ページに、コスト縮減を図るため、平成十年度には九五型基準設計をベースとしたコスト縮減住宅の基準設計九八型を開発した、さらに、平成十一年度の都営住宅等型別供給実施基準の改定に対応するとともに、一層のコスト縮減を図るため、平成十二年度に〇〇型基準設計を開発したということがありまして、次のページにその間取りが出ていて、だんだん縮小されていくんですね。
 私も、今回の資料をいただいたのを見ますと、例えば、港南の第二期の建設工事は、いろいろありますけれど、一DKを仮にとらえますと、資料の一ページで、一DK三十二平米程度というのがあるんですね。事実、その次の二ページには、一DKでも、平成五年は三十五から四十三が、平成十一年度では三十三から四十三になっているということで、どんどん縮小されているんですね。
 型別供給が一番先にいわれた当初は、たしか平成三年度だったと思うんですけれど、最初に建った東村山の本町都営では、一DK四十三平米でした。そこからすると、今回の港南を見ると、もう既に十一平米縮小されているわけですね。十一平米というと六畳ちょっとになりますね。一DKというところで、あと六畳あるかないか、同じ一DKでも大きな違いではありませんか。
 そして、さらに住戸専用面積の今の二ページ見ても、平成十一年度は三十三から四十三になっているんですよ。この三十三をも下回る三十二平米なんですね。何でこうやってどんどん縮小する。これもコスト縮減なんですか、先ほどお読みしたように。その辺をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

○庄司参事 今回の港南四丁目の事例でございますが、技術提案型総合評価方式の採用によりまして、民間のノウハウを活用し、最低居住水準を確保しつつ、効率的な設計を期待したものでございます。

○小松委員 答えてないじゃないよ、一生懸命説明しているのに。最初は、一DKも四十三で出発したでしょうと。確かに多摩ですよ。だから都内ではそういうのなかったかもしれない。それでも百歩譲ったって、最初は都内でも三十七平米とか三十六平米だったんですよ。それが三十三。今回はそれよりもさらに低い三十二じゃないかと。まあ一平米、二平米、そんな小さいことをいうなよというんですけれど、全体が小さいんですから、この中の一平米、二平米、大きいんですよ。
 さらに、今回の実施要領読みましたら、この三十二平米にプラス・マイナス二平米、これはできるだけ小さい方の値としておりますけれど、プラス・マイナス二平米の許容があるんです。ひょっとしたら、三十二に近い方がいいといったって三十まで許容されるんですよ。こんなに少なくしてしまう。これがより効率的とだけいっていいのかどうか。都がいっている建てかえで居住者の生活の向上を図る、それができるのかどうか。
 もう一ついいましょう。この同じ十四年度の二四四ページには、住宅建設五カ年計画の目標の中に、居住水準の目標として、誘導居住水準が目標だと書いてありますね。二〇一五年において全世帯の三分の二、その中に、共同住宅居住では都市居住型誘導居住水準ということで、一人は住戸専用面積三十七、中高齢者の単身は四十三、こういうふうにあるわけですよ。これからしても、そこに向かうならともかく、どんどんどんどん逆に縮小されていく。これはどういうことですか。

○庄司参事 平成五年、平成十一年の型別供給実施基準におきましても、一DKにつきましては、三十三平米から三十五平米程度の範囲でございました。その中に、これを標準として、地域に応じながらそれぞれの床面積を決めていくということでございますので、ここのプロジェクトの特性、地域特性を踏まえまして、今回の設定を行ったところでございます。

○小松委員 あんまり論議する時間がないですけれど、しかし、その場所それぞれに合わせてとおっしゃっていますけれど、決してふえてないのよ。ここはやはり少しゆったりしているから、だから少しゆっくり、そんなことしてないですよ。ずうっと減らしてきているではないか、それでは今後、限りなく減っちゃうんじゃないか、そういう心配をしているわけですよ。
 ここのさっきのページにもありましたけれど、ひょっとすると最低基準が、一人ですと住戸専用面積十八平米、中高齢の単身は二十五平米、ここまで下がっちゃうんじゃないかって心配するんですよ。(「心配性だな」と呼ぶ者あり)ええ、心配します。たった一人だといっても、これからの高齢者ですから、介護の方も必要だと。むしろふやしてほしいんだ、だから同じ一人暮らしでも高齢の単身は多いんですよ。多いのは、これは介護の分をちゃんと見ているんですよ。
 だから、もう私、これ以上聞かないです。聞いてもまた同じような答えなんで、ぜひ今後において、十四年度の事業概要にもあったように、居住水準の目標を、単にこれは民間に求めるだけでなく、東京都すなわち都営住宅が、二〇一五年に向けて全世帯の三分の二、二〇一〇年において大都市圏の半数の世帯の達成ということをみずからいっているわけですから、率先して、これからできる都営住宅には、この都市居住型誘導居住水準を目指す、このことを強く求めておきたいと思います。
 そして、一方、今回の型別の割合が一DK、二DK、三DKで、五対四対一、すなわち一DKが五〇%もあるんですね。先ほどの資料でもいただきましたけれど、それに対し四DKというのは一戸もないんですよ。この割合の根拠は何ですか。

○庄司参事 港南四丁目の型別の供給割合につきましては、従前居住者の実態や都心部における他団地の建てかえ事業の受け皿としての活用を図るために、それらの世帯人構成を勘案して供給割合を定めたものでございます。

○小松委員 戻り入居の方もいらっしゃるわけですよね。戻り入居の予定者、あくまでも予定でしょうけど、型別供給による各世帯別にお答えください。

○庄司参事 従前居住者の戻り入居の予定でございますが、現在二百世帯ほどと想定しておりまして、型別の割合につきましては、一DKが約七十二戸、三八%、二DKが七十五戸、三九%、三DKが二三%ということで想定してございます。

○小松委員 これは予定でありまして、聞くところによると、仮入居した人がもうここへ戻ってきたくないという声を私は多く耳にしました。ですから、戻り入居の方はこれより下回ると思いますが、そうすると、四DKなんていうのは一人もいないんだということだと思うんですけれど、まず四DKからいきますと、これ今おっしゃったように、都心区の全体の受け皿としてということになるわけでしょう。それだったらやっぱり四DKも必要じゃないかと。
 四DKというのは五人世帯以上ですけれど、こういう方を多く迎えることによって、今おっしゃっているようなミックス住宅、若年のファミリー層という形では、なかったら入れないんですから、もうよそからも入れるというなら、ぜひ四DKを、何も一割も二割もといいません、一%から二%でいいよ、入れていったらどうですかと思いますが、いかがでしょうか。

○庄司参事 一DK、二DK、三DK、今回の場合、設定してやったわけでございますが、四DKというのは、六人以上というか、かなり大規模な世帯構成を想定しておりまして、都内全体というか地域全体の中で、そういう供給を考えていきたい。たまたまここの場合は、アンケートの中で戻り入居についても該当する部分がないということで、こういう設定をしたわけでございます。

○小松委員 非常に矛盾しているの。四DKは該当者がいないから一戸もつくらない、一DKはもう既に戻り入居希望されている方、七十二戸というのに、二百八十四戸、シルバーピア除いても二百四十戸もつくっているんですよ。なぜといいたいけれど、これ聞いたって答え返ってこないでしょう。ぜひ四DKも今から間に合うなら、一%でも二%でもいい、入れていくことが全体的なミックス住宅になっていくんではないかということを強く要望しておきます。
 それで、先ほどの一DKです。この一DKも、今数字が出ましたように、大半は結局外からいらっしゃる方々ですね。建てかえの受け皿になるとしたら、やはり高齢者。またもし新規に入るとしても、それは五十歳以上ですから高齢になっていく。その方々がこの二十四階建て--二十四階というと高いですよ。この間、私、二庁に行って下を見ましたら、本当に二十四階というのは、これは高齢者、例えば災害の避難のときなんか大丈夫なんでしょうか。こうした問題、どう考えていらっしゃいますか。

○庄司参事 今回の提案でございますが、防災計画にそれぞれ配慮した提案でございまして、今回の落札者の提案の内容でございますが、火災時に容易に避難できるように、避難動線をわかりやすくしていること、また避難及び消火活動に有効なバルコニーを設けていること、二十四時間監視の可能な防災センターを設置すること、また、屋上にヘリコプターのホバリングスペースを設置し、火災時に屋上からの救助を可能とするなど、防災上の配慮がなされております。

○小松委員 いや、確かにそういうセキュリティーがよくそろっているというものの、しかしエレベーターとまっちゃったら、避難路だ何だといったって、実際には(「どんな高層でも同じじゃないか」と呼ぶ者あり)そう、だからやっぱり(「そうじゃないよ」と呼び、その他発言する者あり)高齢者は意識的にそんな高いところに入れるべきじゃないんですよ。
 この間のニューヨークのあのときも、みんな結局とことことことこ階段をおりたじゃないですか。高齢者とことこおりられない。ですから、本来なら下の方にしたい。ところがこういう超高層になると、下の方は一DKで上の方はというわけにいかないでしょう。配水管とか柱とか。
 ですから、やはり二十四階ではなく、これを十二階ぐらいにして、敷地を使ってといいたいんですけれど、これは要求としまして(「日が当たらなくなっちゃうじゃない」と呼ぶ者あり)いや、そんなことない、その方が当たるんですよ。実際にはこれが建つわけだとしたら、せめて東京都が五十歳以上としているこの一DKの基準を、若年層で所得の低い方々も入れていく、一人暮らしの人には。今は条例があってだめですけれども、そういったことも考えることはできないでしょうか。

○庄司参事 今回の港南四丁目のものでございますが、ここにつきましては、従前居住者の戻り入居及び都心部団地の建てかえのための移転先として活用していく考え方でございます。

○小松委員 もう質疑はこれで終わりまして、意見にします。
 今回の議案は、都営住宅の建てかえ工事の請負契約のみですから、私ども共産党都議団としては、都営住宅を建設することは賛成ですので、賛成はいたしますが、今出されたたくさんの問題、一DKの問題、高齢者の問題、または日影の問題等々たくさんあります。
 そもそもこの都営住宅の建てかえは、昨年発表されました公営住宅整備事業の一環であるわけですね。その全容を論議するところがなくして、一期、二期と--一期の途中でしたから、もう進んでしまう。その辺が問題なんですけれども、せめてこれからやる二期の民間、ここに対しても、やはりこれらを十分に教訓として今後考えていただきたいし、北側にあります十九号棟、二十号棟ですか、あそこにはまだ十八軒か十九軒の残存店舗があるわけですね。
 その方々の話によれば、もう四十年ぐらいここで商売している、今までは借家できたけど、今さらここで定期借家なんていわれたって、納得できないということでは、これから大変ですよ。あの方々をしっかり守るということと同時に、商店があの辺はないんですね。あの方々の商売を守る、個人の財産を守るだけではなく、地域の方々の大切な商店街になっているわけです。ですから、そういった意味でも、そこをきちんと守りながらの、今度は民間施設ということでしたけれど、そうしたことも含めながら、これには私ども本当に疑義を申し上げたい。
 これからの問題ですけれど、その辺も含めて十分検討していただきたいということを申し上げて、質疑は終わります。

○高島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で住宅局関係の契約議案の調査を終わります。

○高島委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 諮問第二号、地方自治法第二百四十四条の四の規定に基づく異議申立てに関する諮問についてを議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○新井委員 諮問二号の異議申し立てにつきまして、意見を申し上げます。
 去る六月二十日の本委員会におきまして、今回の異議申し立てについて、経緯と、これに対する住宅局の見解について詳細な説明を受けました。
 論点は、都営住宅の入居資格についてです。住宅に困窮しているか否かは、今住んでいる親族の家の一人当たりの実質的な居住面積を基準として判断されるということでした。この基準を当てはめますと、申立人の場合は、居住者数などを申立人に有利に解釈しても、なお一人当たりの面積が三・五畳を超えるということですから、申立人が住宅に困窮しているというには無理があります。
 次に、居住室の定義についてですが、国勢調査の例を引きながら、居住室とは、浴室や玄関などを除く、文字どおり居住用の部屋を意味するとの説明をいただきましたけれども、これも理解できるものであり、今回の行政処分についての住宅局の判断は妥当なものであると考えます。
 しかし、同じ文面でもさまざまなとられ方をいたします。およそ資格に関することの記載には、丁寧過ぎるということはありません。今回のような事例が繰り返されないためにも、募集案内の記載の仕方等に一層の工夫と改善をしていくことが重要と考えますので、よろしくお願いいたします。

○伊沢委員 今回、この都営住宅の入居に当たりまして、異議申し立てをしている杉崎さんという方が失格となったわけですけれども、失格となった理由についてお聞かせいただきたいと思います。

○青木住宅経営部長 申立人の方は、いわゆる住宅困窮者に該当しないという理由で失格になってございます。

○伊沢委員 それはそうなんですけれども、計算があると思うんですよね。この方の居住面積というのが、この場合に相当しなかったということですけれども、具体的にどういった間取りで、何人が住んでいて、それでどういう計算でそういうことになったのかということをお聞かせいただきたいんです。

○青木住宅経営部長 審査時に提供していただいた図面から、この方のお住まいの住宅は、まず一階が八畳の和室、約十五畳相当のLDK、玄関、浴室、廊下等から成っております。また二階は、八畳の和室、五・五畳の洋室及び四畳の洋室から成っておりまして、合計面積は百二十・三二平米でございます。
 これらの面積から、先ほど新井委員からもございましたように、いわゆる居住室の部分と考えられない玄関、浴室、トイレ、LDKなどを除いた畳数で換算いたしますと、二十五・五畳になります。これを、申立人の面接時に居住人数七名とおっしゃられておりましたので、七名で割りますと、一人当たり三・六四畳となります。

○伊沢委員 七人で割ると三・六四に一人当たりなる。規定が三・五畳以下であるということで、わずかですけれども、それに合わなかったということになっているんだと思います。
 ただ、この募集のときに、募集の要項に三・五畳以下ということは書いてありました。ところが、今、LDK、それからトイレ、風呂、玄関を除くということでしたけれども、風呂、玄関というのは常識的にそうと考える方も多いかもしれませんが、LDKを除くということは、私も説明を受けて、ああそうなのかというふうに思ったぐらいで、そういう規定が要項の中にも記載されてないということは、誤解を生むんではないでしょうか。

○青木住宅経営部長 確かに、居住室の定義というのはパンフレット等に明記はしてございませんが、一般的に、文字どおり居住の用に供する部屋という意味では、社会通念上、皆様にご理解をいただけるというふうに私どもは考えております。
 しかしながら、今お話しのLDKについては、一体的な部屋になっていた場合、ダイニングの部分とリビングの部分等が明確に分けられないということで、申請者の有利なように、私どもとしてはそこの部分を除外して居住面積を計算しているものでございます。

○伊沢委員 LDKは除くということは、私も今回、局の方から説明を聞きまして初めて知ったわけです。そのときに、同時に、最初にいただいておりました平成十三年につくられております東京都都営住宅申込者資格審査要綱運用基準という冊子がありまして、これに基づいて、単身者の場合はどのようになっているかとか、いろいろ細かい規定が書いてあるはずなんですが、平成十三年、この申立人がこの異議を申し立てられた時点では、この要綱運用基準には--募集要項には現在もありませんし、それから運用基準にもそのことが明確に書かれておりません。
 実は、その後いただいた平成十四年の九月三十日、だからこの件が起こった後の運用基準では、実はこのLDKを除くというところが新しく設けられているということが私としてはわかったんですよね。
 こういうふうに、運用基準というのは、内部的に基準にしていることで、審査のときにはこれをもとに、これですべてを審査するという基準だと思いますし、それから外で応募される当事者にとっては、要項に書いてあることがすべての情報源だと思うんです。
 だから、内部的にはこういうふうに明記をされたということはよかったと思うんですけれども、外部的にこそ--内部的にはもちろん基準というのはいつでも公平であるようにはっきりさせておくということが非常に重要だと思いますし、同時に、外部の方にもそういうことがはっきりとわかるような文言を入れるべきではないんでしょうか。

○青木住宅経営部長 今ご指摘の運用基準の記載でございますが、これまでの取り扱いを明文化したものでございまして、考え方を変えたものではございません。それはご理解いただきたいと思います。
 それで、できるだけわかりやすくということにつきましては、私どもふだんから都営住宅の募集に当たりましては、常々わかりやすいものとなるよう心がけているところでございますけれども、今回のような誤解や、また理解の不十分が生じないよう、募集案内の記載等につきましては一層細心の注意を払いまして、また改善を重ねてまいりたいと思っております。

○高島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅局関係を終わります。
 なお、この際、議事の都合により、おおむね十分程度休憩いたしますので、再開は二時十分でお願いいたします。
   午後一時五十八分休憩

   午後二時十分開議

○高島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百六十九号議案から第百七十三号議案までを一括して議題とします。
 本案は、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑に入ります。
 発言を願います。

○高橋委員 私から、本定例会の契約案件のうち、第百六十九号、第百七十号、第百七十二号議案、環状八号線関連工事についてお伺いさせていただきます。
 活力ある東京の再生を図るためには、都内の慢性的な交通渋滞を解消することが急務であります。そのため、幹線道路の整備を促進し、道路ネットワークの形成により、自動車交通を分散させることが必要と考えます。現在、整備が進められている環状八号線は、区部の最も外側を通る環状線として、道路ネットワークの形成に極めて重要な都市計画道路であります。
 私の地元である練馬区においては、南北交通の利便性の向上の点からも、環状八号線の早期全線開通が待ち望まれており、去る三月十六日には、川越街道から目白通りまでの約四キロが開通されました。当日は、都の主催による開通記念式典が盛大に開催され、地元の区長を初め町会や関係者の出席の中で、私も出席させていただきまして、テープカットをさせていただきました。
 この開通によりまして、周辺道路の渋滞緩和や地域の利便性の向上が図られ、さらに今後整備が進められている南田中地区及び北町・若木地区の工事が予定どおり進み、羽田空港や首都高速五号線方面へのアクセスの改善が地域住民の期待しているところであると思っております。
 そこで、南田中地区及び北町・若木地区の進捗状況について、まずお伺いさせていただきます。

○柿堺道路建設部長 環状八号線は、先生のご質問にもございましたように、羽田空港から北区岩淵町を結びまして、計画延長四十四キロの環状線でございまして、都民生活や都市活動を支える上で大変重要な路線でございます。
 現在、未整備となっております練馬区及び板橋区の四・二キロの区間で事業を進めておりますけれども、その進捗状況は、用地の進捗率九九%でございまして、本線部の開通に必要な工事を全線にわたって進めております。
 二地区のそれぞれの状況でございますが、南田中地区におきましてはトンネル工事を、北町・若木地区におきましてはトンネル及び橋梁工事を実施しておりまして、定例会で契約案件のご決定をいただくことによりまして、四・二キロ区間の大規模構造物工事は、相生立体を除き、すべてが工事着手の状況となります。

○高橋委員 大規模構造物の工事のすべてが工事着手とのお話でありますが、そのうち若木地区は、道路予定地の一部に自然林が今も残る地域であります。道路整備に係る緑を確保するためには、地元住民の意見を聞きながら整備を進めていくことが不可欠と思いますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。

○柿堺道路建設部長 緑をできるだけ確保できるように、東京都は地元の住民の代表の方、板橋区と構成します三者協議会を昨年の十一月に設置し、歩道及び側道の整備について話し合いを進めているところでございます。
 この中で、若木地区の道路整備に係る緑地面積については七千平方メートルほどでございますけれども、できるだけ同面積の緑地を確保できる方策としまして、のり面の緑化、歩道植樹帯の確保などのほかに、環状八号線に隣接した国有地を活用しまして、道路の緑化を推進したいというふうに考えているところでございます。

○高橋委員 また、その若木地区の西台公園付近で、絶滅危惧に指定されておりますキンランが自生しておりますが、このキンランを保護するに当たり、環状八号線の整備スケジュールに影響を及ぼすことが懸念されております。
 そこで、その対策についてお伺いさせていただきます。

○柿堺道路建設部長 西台公園付近では、キンランの生育が確認されまして、それを極力現状のまま保存できるように、該当する区域約二十メートルでございますけれども、そこの擁壁を、緑化ブロックの擁壁から直立擁壁に変更したいというふうに考えています。
 また、計画線内にありまして、どうしても現状での保存ができないキンランにつきましては、専門家の意見を参考にしながら、現状の生育環境に近い近隣の都有地などに移植をしたいというふうに考えております。この件につきまして、できるだけ早く関係する方々にもお伝えをしたいというふうに考えているところでございます。

○高橋委員 最後に、環状八号線の全線開通に向けての決意を都技監にお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○小峰東京都技監 先ほどの柿堺部長の答弁にございましたけれども、環状八号線は、東京の大動脈としての道路ネットワークを形成いたしまして、都心方向の交通を適切に迂回させるなど、地域の交通にとっても大きな役割を果たしております。
 現在、都政では、東京再生ということで、都政の中心課題としておりますが、東京再生にも大きく寄与する重要な路線でございます。今後とも、地元の理解と協力を得ながら、平成十七年度全線完成に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいります。

○池田委員 私の方からも、第百七十号議案で出されております環八の板橋地区の問題について、契約案について質問したいと思います。
 契約案件ですから、事業全体の問題点に触れるつもりはありませんけれども、この地区にかかわる環境問題、今も出されておりましたが、なるべく重複を避けて、環境問題を中心として、その事項について聞きたいと思います。
 私も、先日現地に行って、住民の皆さんとずうっと地域を見てきました。西台公園につながる武蔵野崖線の貴重な自然が残っている静かな住宅の地域だなというふうに感じました。ですから、そこで思ったんですけれども、東京都が道路建設を進める事業者として沿道住民の協力を得る立場から、住民の意見を聞き、住民参加で事を運んでいく、具体的な要望を生かしていく、そして合意形成を図っていく、自然や環境、そして住民の生活を守っていく、こういうことの重要性を痛感いたしました。
 そこで、基本問題ですからお聞きしたいんですが、東京都の立場として、環境アセスメントの評価書には、この道路計画が既成の住宅地を通過することから、事業計画の具体化に当たって環境保全の措置に万全を期す、こういうふうになっています。もちろん、事業者としてこの立場ははっきりと確認できますね。

○柿堺道路建設部長 先ほど高橋委員にもご説明をいたしましたけれども、都として、できるだけ緑等も含めた環境保全に努めていくという姿勢に変わりはございません。

○池田委員 そういう立場から、そのことを踏まえて、住民の合意形成を図っていく、こういうことが私は第一に考えられるべきだというふうに思うんですが、確認はできますね。

○柿堺道路建設部長 若木地区の各沿道の住民の方々とは、これまでもたび重ねて説明会ですとか、そういうことを日常しているわけでございますし、またこの地区には、特にインフォメーションセンターという住民の相談の施設等もつくりまして、できるだけわかりいいような模型等も、あるいはパネル等も展示しながら、近隣の方々の合意といいますか、事業に対する理解が深まるように進めているところでございます。

○池田委員 最初に、先ほども出ていましたけれども、道路建設によって西台公園につながる貴重な自然林が伐採されていく。そして失われる緑の量ですね。先ほど面積についていえば七千平米という話がありました。しかし環八分が七千であって、補助二四九号分というのは八百平米あるんですね。都合すると約七千八百平米。しかし緑の量はどのぐらい伐採の中で失われるんでしょうか。

○柿堺道路建設部長 今ご質問にございました二四九号線、環状八号線とあわせて整備をしているものでございますけれども、これは区道でございますので、大変恐縮でございますけれども、現在資料がございません。
 とりあえず環状八号線についてご説明を申し上げますけれども、先ほど申し上げましたように、緑地を伐採する部分、約七千平方メートルございまして、それにかわるものとして、のり面の植栽に四千平米ほど、歩道部分の植栽に千平方メートルほど、それからトンネル部分がございますので、それの上部に緑地を確保するということで千五百平方メートル、それに加えまして、先ほどもご答弁申し上げました隣接する国有地を活用することが約五百平方メートル弱ということで、七千平方メートルを上回る緑地を確保してまいりたいというふうに考えております。

○池田委員 面積としての緑地は、今お話しあったようなことで約七千八百平米ですか、環八だけでいうと七千平米。しかしあそこは自然林として残っている。そういう点では、立体的に見た場合に、緑の量というのはまた違うんですね。その辺は今ご説明がなかったんですが、どのぐらいの緑の量が伐採によって失われることになるんですか。

○柿堺道路建設部長 緑についてのお考えというのはそれぞれあるんだろうというふうに思いますし、できるだけ地元の方々とお話をしながら、現状にある樹木について、植栽可能なものは、先ほど申しましたような、緑地を確保できるところに確保していく。ただ、残念ながら斜面緑地でございますので、大きい木については、根元のところが曲がっていたりというようなことで、なかなかそのまま現状が確保はできないというような問題がございます。
 ただ、緑量というのは、木は生育するものでございますので、長い目で見れば、面積を確保することで、おのずと今の地域の環境に寄与できるような緑に育っていくものというふうに考えております。

○池田委員 今の話の中で、伐採し取られていく自然林、それに相当する緑量を確保してほしい、これが緑の問題での地元の皆さん方の強い要望なんですね。そして、そこの中で、側道の幅を片側三メートルとして植樹帯をふやしてもらいたい、こういうのが強い要望なんですね。それで、若干だけれども、国有地を利用するとかいろいろなことで今考えておられるようですけれども、そういう沿線にある緑地を買い取る、このことによって確保してほしい、こういうふうに住民の皆さん方は要望を強く出されている。この辺はどうですか。

○柿堺道路建設部長 先ほど申し上げましたように、三者協でもろもろご質問のような形で、歩道にできるだけ植栽をしてほしいというようなご要望は聞いておりますし、先ほど、その努力の一端として国有地の一部が確保できましたので、そのことをご報告いたしました。
 これからも三者協の方々と十分お話をしながら、できるだけ確保していきたいというふうに思っておりますし、先ほどご説明がわかりにくかったかもしれませんけれども、現状七千平方メートル、確保できた面積は、正確に申し上げますと七千二百二十五平方メートルということで、現状より増加した緑地面積を確保しているということで、ご理解をいただきたいと存じます。

○池田委員 今お話あったように、今のこの段階で住民の皆さん方との話の中で、いろいろ条件を広げていこうという努力は、私どもも一定認めなければならないと思うんですね。
 しかし、全体、先ほどいいましたように、あそこは西台の武蔵野崖線の連なったところを切っていくわけですね。だから大きな樹林が切り取られていくという点では、本当に緑全体のものを確保してほしい、こういう強い地元の皆さんの要望、これにぜひこたえていくというために、私は努力を強く求めておきたいというふうに思います。
 それから、先ほどのキンランのことなんですけれども、これも貴重な植物として、絶滅種ですか、これでいわれているわけですね。ですからこれはぜひ守っていくということを、住民の皆さん方の声や専門的な方たちの協力も得ながら、これもぜひ努力をしていく必要があるということも、強く申し上げておきたいというふうに思います。
 それから二つ目に、これは、東上線のトンネルの排気ガスの浄化の問題についてどうするのかというのが、住民の皆さん方から非常に出されている。そしてご存じのように、国土交通省と道路公団、そして首都高速道路公団、こういうところと道路トンネルの低濃度脱硝技術の開発ということで、第二パイロットスケール実験というのをやられているわけですね。このことに対して、今の実験の到達点はどういうところになっているんでしょうか。

○柿堺道路建設部長 現在、ご質問にございましたように、国土交通省、首都高速道路公団、道路公団等で、羽田の近くのトンネルで実験をやっているということで、スケールからしますと、実際のトンネルの二十分の一ぐらいのスケールの模型で、二種類の実験をしているということで聞いております。
 NOx等の除却の能力については大分めどが立ってきたというふうに聞いておりますけれども、実用化に向かっては、設置する面積の確保、あるいはランニングコストの低減等々、まだクリアしなきゃいけない課題はあるものというふうに考えております。

○池田委員 今お持ちのこのパンフレットの中でも、課題としていろいろまたこれからの問題があると。例えば、スペースの問題、エネルギー、それからコストの問題、こういうことの問題も含めて、今の実験が平成十三年から十五年度予定としてやられているわけですね。この装置の開発というのは、地元の皆さんは非常に期待を持たれているわけですね。
 これは、単にここの環八の東上線のトンネルの排出ガスの浄化の問題だけじゃなくて、今、例えば、中央環状新宿線の問題でも、これは私の豊島区でもあるんですが、やはり換気塔があるわけですね。中央環状新宿線でいえば九本換気塔が建てられるわけですね。そういうことも含めて、いろいろの地域の問題にも、今なっているわけです。
 こういうものが開発される、見通しが出るということになれば、当然この地区の東上線のトンネルの部分にもこれを装置として敷設するということは、いいわけですね。

○柿堺道路建設部長 北町・若木地区のトンネル部におきましては、浮遊粒子状物質などについては除じん装置で除去することになります。また、窒素酸化物については、現在は換気塔から高速で上空に排出拡散を図るということで、環境の影響が軽微になるように配慮しているところでございます。
 また、都においては、環境確保条例に基づきまして、ディーゼル車の走行規制を初めとする各種の発生源対策に取り組んでいるところでもございます。
 そういうことで、先ほど申し上げましたように、脱硝装置の開発については、首都高速湾岸線の中で現在実験中でございますので、いわば開発途上ということでございますので、現段階で設置することは考えてございません。

○池田委員 先ほど私もいったのは、この第二パイロットスケール実験というのは、まさに今いわれるように、開発というか、具体的な実用化のために研究が進められている。しかし、この中身を見れば、例えば窒素酸化物、それから浮遊粒子状物質、除去率というのは、この文章でいえば八〇%以上、現場でいろいろ話を聞いている方たちからいえば、九〇%以上の除去率だというような話も聞いているわけです。
 そういう点では実用化が非常に期待をされている。また見通しも、間に合えばこういう施設に設置をしていく、私は当然だというふうに思うんですよ。例えば、今、王子線の飛鳥山のところにも換気塔つくっていますね。あそこのところは四十五メートルの換気塔、ずうっと立ち上がり始めて、もう完成したのかな。そういうところですね。
 問題は、やはり大きさの問題だとか、ランニングコストの問題だとか、そういうところの詰めの段階だろうというふうに一面思っているところもあるんですが、全都的な問題として先ほど申し上げたようなことがあるわけですから、今の時点で当然これを開発し、実用化ができるということになれば、そこにつけていくというのは当たり前の話じゃないですか。もう一度答弁してください。

○柿堺道路建設部長 先ほども申し上げましたように、当地区については、環境アセスメントを実施し、その上で、もともとはスリット構造のものを、換気塔とトンネル構造ということで変えた経過があるわけですが、その中でも環境の影響については軽微であるということになっているわけでございます。
 その時点と比べても、都におけるディーゼル車規制等の規制あるいは移動発生源としての車についても環境対策が進んでいるわけでございますので、そういうことを十分見きわめる必要があるんだというふうに思っております。
 一方では、開発途上でございますけれども、それについては、設置をすれば必ず将来に向かっての維持管理等考えられるわけでございますので、その辺の環境がどうなるのか、あるいはそれと維持コストと両方を見きわめながら考えていく問題でございますので、現段階で設置することは考えていないというふうに申し上げたところでございます。

○池田委員 これ以上押し問答していても、これは契約案件ですから、切りがないといえば切りがないんですけれども、今の段階で、将来の見通しとして考えられる実用化の方向があれば、私は、ここに出てくる排ガスの問題、特にNO2だとか浮遊粒子状物質だとか、こういうことについて多くの方たちの生活環境に影響を与えていくことは、当然これはもう見えているわけですから、そこをしっかりと除去していく、最大での努力をする、当然の話だろうというふうに思うんです。
 そこで、三つ目の問題ですが、同じような話にもなるかと思いますけれども、相生町の交差点の地下化の問題です。
 これは、住民の皆さんが、ここの相生の交差点を、今、公害日本一といわれている板橋の大和町交差点の二の舞にしないでほしい、こういうふうにいわれているわけです。ここはどういう構造になるんでしょうか、相生交差点は、道路として。

○阿部道路計画担当部長 相生町交差点の構造の形式のお尋ねでございますけれども、相生町交差点にこれから環状八号線を整備するということに当たりまして、いろんな方面からのご指摘をまつまでもなく、環境に配慮した立体化について検討してきております。
 この構造の形式でございますけれども、大和町交差点の現状も踏まえまして、環境面、地形、地質状況、これらについて総合的に調査検討を行ってきております。
 その結果、アンダー形式とシェルターつきのオーバー形式、これらにつきましては、環境面で大きな差がないということが判明をしております。また、地盤沈下を起こしやすいピート層、いわゆる軟弱地盤が広く分布しているということ、あるいはもし地下構造にするということであれば、大規模な下水道幹線の切り回しが必要になるというようなことなどから、アンダー形式での整備は適切でないというふうに判断をいたしまして、現在、オーバー形式での整備を地元に提案をしているところでございます。
 引き続き、オーバー形式での早期整備に向けて、地元の皆さんの理解とご協力が得られるように全力を挙げていくという覚悟でございます。

○池田委員 大和町の交差点、いわば三層構想になっている。あそこは高速五号と環七とそれから国道十七号線が重なっているわけですね。これが現況の交通量調査を、平成十一年の調査で聞きましたら、一日約二十二万四千台だ、こういう話ですよね。
 相生交差点はどうか。これは高速五号が走っている。それから環八の予定がある。それから補助二〇一号、この三層構造、全く同じような関係の道路構造が来る。ここの今予測されている台数はどのぐらいになっているんですか。

○阿部道路計画担当部長 相生町の交差点における将来の交通量予測でございますが、委員お話しのように、三つの道路が交差するということでございますが、一番上の高速五号線につきましては、まだ推計が確実にできておりませんので、現在の大和町の交差点の延長ということで横引きをいたしますと、約八万台というふうに、今の時点では推定しております。
 それから、環状八号線につきましては四万七千台、補助二〇一号線につきましては四万五千台、いずれも完成を予定している平成十七年度の予測でございます。
 これらを合わせますと、平成十七年度では十七万二千台ほどというふうに推定をしております。

○池田委員 私、平成十三年度の二酸化窒素濃度の高い測定局、こういうことで環境局から出している幾つかの資料を見てきましたけれども、この大和町は、例の大田の松原橋ですか、あそこといつもトップを争っているというか、ワーストワンを争っているという状況は、もうまさにだれでも知っておられる。今、大和町のところは、局地対応の土壌浄化法も含めていろいろな対策も講じようとしておられるということは私も知っています。
 そういうところと見て、今お話あったように、大和町交差点が二十二万四千台、そうすると、将来交通予測ですけれども、平成十七年予測で相生町では十七万二千台を予測されるということになれば、当然、住民の皆さん方は非常に心配される。大和町の二の舞にしないでくれ、当然の要求だというふうに私は思うんです。だからこそ、板橋の区長さんも、そして区議会も挙げてこのことに対しては要望を出されているというふうに私は聞いています。
 ですから、やはり今回の契約案件のところから見れば、ちょっとまた先の話になるかもわかりませんが、そういうものが住民の皆さん方から切実な要望として出されているということを、私は、当然今の時点で慎重に考えて受けとめるべきだというふうに思うんですが、どうですか。

○阿部道路計画担当部長 これからの整備をしていく相生町交差点につきましても、大和町の現状を十分に踏まえて慎重に対応するという基本的な考え方は変わりません。
 ただ、大和町の交差点と相生町の交差点とを比べてみますと、先ほど二十二万四千と十七万二千という総交通量、推計も一部入りますが、あります。これにつきましては、率にしますと三割ぐらい相生町の方が少ない。それから環境について、そういう視点から見ていきますと、交差点の面積でいくと、逆に相生町の面積の方が三割ほど大きい交差点でございます。それから、建物の状況、周りを取り囲んでいるかいないかというところで見ますと、相生町の交差点につきましては、三角公園がわきにあって、一部開放するような空間もございます。
 さらに、首都高速の高さは、大和町がふさぐように地上から十一メートルの高さ、相生町では十四メートル程度で、かなり高い空間ができております。
 これらのことを総合的に考えまして、大和町よりも相生町の方が、大気につきましてはかなり有利な側面があるとは思っております。しかしながら、これから整備するところで、高速道路と平面道路が現にあり、さらにそこに幹線道路が入って三層構造になるということについては変わりありません。しかも、同じ板橋区の中で、先ほど先生がおっしゃいましたワーストワンとかツーというような形で、いつも注目をされている大和町交差点の近くでもございます。
 そういうようなことを総合的に判断いたしまして、相生町の交差点におきましても、先ほど申し上げました、シェルターつきのオーバー立体等の工夫をし、さらに環八の植栽等も、三角公園と連係をするだとか、いろいろな工夫をして、環境に対する対策を考えていきたいというふうに考えています。

○池田委員 これも今の時点では、住民の皆さん方からのそういう心配、危惧になれば、私は、やはり住民の皆さん方の要望にちゃんとこたえるということは基本だろうというふうに思うんです。
 しかも、数字から見れば、今いろいろなお話がありましたけれども、住民の皆さん方がいっている、要するに、アンダーパスで通していくということについての合理的な主張、これをどういうふうにあの中で生かしていくかという立場から、物を考えていく必要があるんじゃないかというのは、私も行って感じました。
 そういう意味でも、今のお話ですと、その辺の詰めがまだやられていないようですけれども、住民の皆さん方が心配されている、しかも先ほどいいましたけれども、区長や地元の議会もこぞってそういう要望を出されているわけですから、ぜひそれにこたえるべきだということを、強く要望しておきたいと思います。

○阿部道路計画担当部長 今、委員の方から、地下化についてまだ検討が済んでいないようだという趣旨の話があったと思いますので、お答えをさせていただきます。
 相生町交差点につきましては、これまでも地元の説明会などを開催いたしまして、町会など、都の要請による説明もさらに行ってきております。その結果、アンダーパスにした場合の下水道の切り回し、この影響を受ける周辺の町会の皆様、十二の町会、自治会の会長さん方が連名で、知事に対して、オーバー形式で早く、平成十七年度開業目指して整備を進めてほしい、こういう要望もいただいておりますので、私どもといたしましては、シェルターつきのオーバー形式でいくというふうに考えております。

○池田委員 地元の一番近い地域の方たちが、住民の会としての運動の経過の中で、いろいろ説明を受けてこられたようです。しかし、今の東京都の方の説明では、先ほど来いうように、大和町のああいう二の舞になる可能性というのは依然としてぬぐい切れない。
 そういう点では、ぜひこの問題をとらえて、先ほど来いうように、どうも東京都の方はオーバーで通していこうというふうに考えておられるようだけれども、最近までこの辺は、その可能性の技術的な問題も含めて、いろいろあると思うんですよ。用地の問題だとか、今の切り回しの問題だとか、土壌の問題だとか、私もいろいろ話聞きました。しかし、そういう要望をぜひ生かすという立場から、私は、住民の声をぜひ聞いてもらうということを最後に強く要望したいというふうに思います。
 以上です。

○三原委員 百七十三号議案の日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事請負契約、これが出されておりまして、この議案には賛成をいたしますけれども、せっかくですので、ちょっと関連してお尋ねをしたいと思います。
 実は、私が超党派の日暮里・舎人線促進議員連盟の会長を仰せつかっているものですから、そういう立場で聞きますので、他の委員の方、お許しいただきたいと思います。
 実は、かねての説明で、開業は十九年度というふうに延びましたけれども、この十五年度でインフラ部分の工事はすべて着手をする、それに従って用地も確保するというような説明をいただいております。
 そこでまず、今年度、十五年度において、インフラ部分の未着手の部分についても、すべて着工できるよう契約が段取れるのかどうか、そこをお尋ねいたします。

○阿部道路計画担当部長 十五年度におきましては、本件を含めまして既に七件発注しております。支柱工事につきましては、工事用地が確保される見込みでございますので、残りの箇所すべてで発注をいたします。したがって、全区間にわたって工事を実施するということになります。
 さらに、けたの工事につきましては、荒川区内で始めます。初めての駅舎工事になりますが、この駅舎工事は足立区内で発注をいたします。
 既に七件発注しているものも含めまして、合計で二十二件の発注ということになります。十九年度の開業に向けまして、万全を期して工事を進めてまいります。

○三原委員 ぜひひとつ契約段取りがそのようにうまくいくということであれば、よろしくお願いいたしますが、工事を着手するには用地の買収が完全に終了していないといけないだろうというふうに私ども素人は考えますけれども、用地の買収の進捗状況はどういう状況でしょうか、教えてください。

○矢口用地部長 日暮里・舎人線の事業用地の取得状況でございますが、日暮里・舎人線全体の用地取得は六月末時点で九二・三%となってございます。残っております今後取得予定の用地は九カ所、約一千百平方メートルでございます。

○三原委員 用地取得の中で収用制度を使わざるを得なくなったというか、それを活用しようということで、収用委員会に提出している案件があるようですが、その状況を教えてください。

○矢口用地部長 収用手続の状況でございますが、これまでに収用委員会に申請している案件は四件ございます。このうち三件につきましては、建物移転につきまして合意しておりまして、移転のめどが立ってございます。残り一件につきましては、平成十五年度末の明け渡しをめどに、土地収用法の手続を現在も進めているところでございます。

○三原委員 わかりました。
 そこで、重ねて伺いますけれども、工事に必要な部分の用地は間違いなく十五年度中に取得できて、したがって、工事の着手には影響がない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

○矢口用地部長 現時点で取得できていない用地につきましては、今後の工事に支障を来すことのないように、関係権利者とさらに精力的かつ強力に折衝を進めてまいりますとともに、今後とも東京都技監を本部長といたします都市再生用地本部会議で進行管理を徹底いたしまして、本体工事に必要な用地につきましては、十五年度中に取得できるよう全力を挙げて取り組んでまいります。

○三原委員 大変ご苦労いただいていると思います。申し上げるまでもなく、用地買収をしながらインフラの工事もやろう、こういう同時並行型でいっているわけですから、ご苦労は多いと思いますし、委員の皆さん方もご承知ないかもしれませんが、用地買収にかかった方の中には、過去に二度公共事業で用地買収をされて、今回三度目だと。もうええかげんにしてくれよという方もあったんです。
 でも、用地担当の方がえらいご苦労いただいて、そういう方もご理解をいただいて、三度目の公共事業の用地買収に応じていただくというようなことになったやに聞いていまして、おそらく東京じゅうでもそういうことは例がないだろうと思いますね。
 そういうご苦労を担当の方がしておられるということを私どもはもっと関係住民の方にもお知らせをしなきゃいけないな、こうは思いますけれども、しかし、何といっても第一線部隊の用地担当に頑張っていただかないことには、きちっと十五年度すべて着工というわけにいきませんので、重ねて、今までのご苦労はよく承知していますし、高く評価をしていますけれども、残り一年間、全力を挙げて頑張っていただきたいと思いますので、ぜひ局長からも現場の担当の方に督促というか、激励をしてやっていただきたいと思いますよ。
 もう一つ、この際ですから、お伺いをしておきます。
 局長にご答弁いただきたいと思いますが、先月だったでしょうか、東京都の財務局が、機能するバランスシートで新交通システムとバランスシートの役割というようなものを報告いたしました。
 最近の行政のお金の使い方あるいはその成果について、バランスシートなどをつくって、きちっと評価をしていこうということはまことに時代に即応した、結構なことだと思います。
 特に、今回は新交通システムに限ってバランスシートのことを研究されて、専門家の方が報告をされたようであります。「ゆりかもめ」、多摩モノレール、そして、まだ開業していないんですが、ありがたいことに日暮里・舎人線まで評価をしていただきました。
 いろいろ議論はあると思いますから、それだけやっても本当に一時間ぐらいかかっちゃうかもしれませんが、私はこのバランスシートの考え方を導入して、公共事業をいろいろ進めていくという考え方に間違いはない、こう思います。
 ただ、このバランスシートのことだけが先行してしまうと、今度は公共事業の本来の意義が失われてしまうのではないか。本当にある事業をやるときに採算性が合う、初年度から黒字でどんどんもうかりますよというのならば、民間にお願いすればいいので、日暮里・舎人線も、何も住民の人たちが十年も二十年もかかってお願いして歩かなくても、とっくの昔に私鉄がやっているはずですよ。
 これは私鉄がやっても、とても採算が合わないからやりません、こういうことですから、何とか公共でお願いしたいという地域の皆さんの大変な熱意があったわけでございまして、もしそういうバランスシートに合わないから、将来的に黒字が見込めないからやらないというのだったら、山間僻地は永遠につらい思いをしろ、交通過疎のところはずっと将来とも交通過疎で我慢せいということと一緒ですから、公共の福祉には全くそぐわないし、何のために行政があるんだという理屈に当然なります。
 したがって、そういう大所高所から判断をした公共事業であり、今回の新交通システム「ゆりかもめ」、そして多摩モノレール、さらには日暮里・舎人線、こういうふうに来ていると思います。もちろんこのバランスシートの考え方が間違いではありませんけれども、それを今正面に出されて、都庁内で議論をされたら、これは公共事業の本来の意味が失われてしまう。
 したがって、建設局にあってはインフラを今整備していただいている真っさなかですし、あと四年で開業しようという熱意のあるところへこういう意見が出てくると、まるで皆さん方の熱意に水をかけたようになって、皆さんがやる気を失われては困る、こう私は心配を逆にするぐらいでございまして、もちろんこういう理屈がまかり通るというのは、学問上あるいは机上の理論として正しいと思いますけれども、実際に公共事業というものがどういう性格をなすものか、そしてまた、役所の公共のための福祉に尽くす、そういう観点から、必ずしもこの机の上のような理屈だけでいくべきものでもないというふうに私は考えますので、ぜひひとつ建設局が、あるいは三セクの方もそうですけれども、自信を持ってこの事業を進めていただく。
 しかも、このバランスシートの発表の中でも、二十三年後でしたかね、黒字になりますと書いてあるんですから、未来永劫赤字で、これはだめですというなら、また議論があるでしょうけれども、黒字になりますと書いてあるぐらいですから、そういうことも考えて、上下分離方式だからコスト意識が少ないというようなことを書いてありますけれども、決してそんなことじゃないんだということを、ぜひ自信を持って外に向かって発信していただきたいと思います。
 もちろん都技監たる局長のご決意はかたいと思いますから、重ねてご意見を伺って、質問を終わりたいと思います。

○小峰東京都技監 今、三原理事がおっしゃいました考え方、私全く同感でございます。
 今回のようなこういうバランスシートを考えるという姿勢ですが、これは知事が公共事業をやるときにもっと民間の立場だったらどうかと、そういった観点から外部の監査をしたわけでございますが、お話のとおり、公共事業は、特にこの新交通それから鉄道もそうですが、インフラ部とインフラ外部、それが一緒になって成り立っています事業でございます。
 そういった点から、一つの分析の仕方として、もし全体を考えるのでしたら、やはり経済効果がどうかということで、これは直接的な効果以外に間接的な効果もございますが、それを全体としてとらえなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思っておりますし、また、これは途上国のプロジェクトでもみんなそういうやり方をしております。
 そして、バランスシートが特に重要だというのは、事業主体にとってどうなのかということでございまして、その事業主体がどこまでお金を出して、そして事業を実施して、そこから金を上げていくか、利潤を上げていくか、こういうことになりますが、その部分での分析というのは、まさにこのバランスシートの分析をしなくちゃいけないというふうに思います。
 私ども、そうはいいましても、都庁の中で仕事をしてございますが、この日暮里・舎人線、区部北東部の公共交通、それから放射一一号線の混雑緩和という点で大変重要な事業でございます。
 先ほど理事からお話ございましたような点につきましても、庁内、それから対外的にもお話をしながら、平成十九年度の完成に向けまして、着実に事業を執行してまいりたいと思います。

○高島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○池田委員 第百七十号議案、北町・若木トンネル(仮称)築造工事及び擁壁工事(十五-環八)請負契約について、意見をいいます。
 質疑でもお話をいたしましたけれども、地元の住民の皆さん方の緑を守ってほしい、伐採される全体の量をぜひ確保してほしい、また貴重な植物を守ってほしい、こういう要求、また排気塔の問題、相生交差点の問題についてもお話をいたしました。
 しかし、残念ながら、住民の皆さん方との合意、また住民の皆さん方の思いは、今の時点で皆さんとの間では合意はされていないというふうに私は感じます。そういう状況の中でこれを契約し、工事を進めていくということについては、これは賛成はできません。

○伊沢委員 日暮里・舎人線について意見を申し上げます。
 先月、平成十五年六月に、機能するバランスシートの結果が発表されました。この中で、先ほども発言がございましたけれども、日暮里・舎人線についてバランスシートの結果が出されました。その結果、平成二十九年度末見込みで、インフラ部も合わせて計算をいたしますと、累積損失が約二百九十五億円に上るという結果が出ております。
 こういったこれまでの公共事業のあり方を、今見直すべきときに来ていると思います。採算性ということが公共事業を行うときに非常に重要視されていると思いますので、今後、この事業を初め、こうした事業に関してバランスシートの考え方を取り入れていくべきと考え、この事業には反対をいたします。

○高島委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 第百七十号議案及び第百七十三号議案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、また第百六十九号議案及び第百七十一号議案、第百七十二号議案につきましては異議ない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で建設局関係の契約議案の調査を終わります。

○高島委員長 次に、報告事項の聴取を行います。
 理事者の説明を求めます。

○住吉公園緑地部長 東京都公園審議会の答申につきまして、お手元の資料1、答申の概要、資料2、答申本編を用いましてご報告いたします。
 資料1、答申の概要をお開き願います。
 一ページの答申に当たってをごらんください。
 本答申は、昨年五月に、知事より東京都公園審議会に諮問いたしまして、本年五月に中間のまとめを公表し、パブリックコメントで寄せられた意見を踏まえ、六月に取りまとめられたものでございます。
 変動の時代を迎え、都政はさまざまな課題に直面しており、都立公園を取り巻く情勢もまた同様でございます。今回諮問された都立公園の整備と管理のあり方については、まさにこのような新しい時代に向けての公園緑地のあり方を検討するものでございました。
 答申の概要でございますが、二ページの第1章、東京の公園緑地の現状と課題をごらんください。
 ここでは、これまでの東京の公園緑地の形成を江戸からの歴史を踏まえて述べるとともに、現在の都市の緑や公園緑地を取り巻く状況の変化についてまとめられております。本編九ページ及び一〇ページには、少子高齢化の進行や東京都におけるヒートアイランド現象などの図表がございますので、あわせてごらんください。
 概要版の三ページをお開きください。東京の公園緑地をめぐる課題でございます。
 まず、都市の緑の課題としては、自然環境の急激な量的減少と質的低下が進行しており、これらがヒートアイランド現象の一因となり、また身近なレクリエーション地を減少させていることなどが挙げられております。
 公園緑地の課題といたしましては、人々の価値観の変化やニーズの多様化、ライフスタイルの変化、都民の行政参画意識の高まりや財政状況への対応が求められていることなどが述べられております。
 次に、第2章、東京の公園緑地づくりを考える視点でございます。
 前述の課題を踏まえ、東京を緑の東京計画が目指す水と緑がネットワークされた風格都市としていくためには、次の五つの視点から東京の公園緑地づくりを考えなければならないとしております。生命都市をつくる、都市再生を支える、心を豊かにする、協働・連携を進める、ネットワークをつくるの五つでございます。
 これらの視点を総括し、公園緑地づくりの基本理念として、公園緑地から始まる緑の都市再生を掲げ、都民とともに公園緑地づくりを支え、推進すべきであるとしております。
 概要版の四ページをごらんください。第3章の緑の都市再生に向けた都立公園の改革への取り組みでございます。
 ここでは、公園緑地から始まる緑の都市再生を実現していくためには改革が必要であるとして、中段の太字の括弧書きの箇所でございますが、今後の都立公園の整備と管理のあり方は、計画から整備、管理運営、財政まで、PDCAサイクルに従い、継続的でダイナミックな評価、改善を行い、常に都民によりよい公園緑地サービスを提供するという発想、すなわちパークマネジメントへ転換すべきであると提言しております。
 そして、パークマネジメントの取り組みとして、次の五つが提案されております。
 概要版の四ページ下段をごらんください。第1の広域的視点に立ったマネジメントでございます。
 ここでは、東京の水と緑が行政境を越えて首都圏の環境インフラを形成していることを踏まえ、広域的な視点に立ったマネジメントの展開が必要であるとして、三つの広域連携が提案されております。
 概要版の五ページをお開きください。一つ目は、広域的な緑の系としての丘陵地などの保全、活用として、丘陵地公園の整備や都民、NPOなどとの協働による取り組みの必要性などが述べられております。
 二つ目は、水系や崖線、河川、道路と連携した水と緑のネットワークの形成として、風の道や、河川や道路事業と連携した、連続した緑づくりなどが述べられております。
 三つ目は、東京湾ウオーターフロントでの広域連携として、隣接県市などと連携し、豊かな海辺の自然の保全、活用に向けた共同事業の推進が提案されております。
 概要版の五ページの下段をごらんください。第2の地域的視点に立ったマネジメントでございます。
 ここでは、東京を地域の特性などにより大きく五つのゾーンに分け、ゾーンごとの特性と課題を踏まえたマネジメントの推進が提案されております。六ページの上段の図にゾーン区分を示してございます。本編では、二四ページ以降に順次各ゾーンの図面を伴った記述がございますので、あわせてごらんください。
 まず、都心ゾーンでございますが、ここでは、政治・経済・文化の中枢であり、日本を代表する風格ある地域であることなどから、皇居を中心としたパレスゾーンの緑と街路樹の育成や、浜離宮恩賜庭園などの文化財庭園や歴史的公園の再生、活用、代々木公園から青山霊園周辺にかけての緑と文化のネットワークの形成などが提案されております。
 次に、臨海部ゾーンでございます。ここでは、自然と共生し、魅力ある水辺の都市づくりを掲げ、海上公園などと連携した魅力あるウオーターフロントの構築などの方向性が示されております。
 概要版の七ページをお開きください。都心周辺市街地ゾーンでございます。このゾーンは、防災と環境の再生がまちづくりの主要なテーマとなります。環七沿いの救援、復興活動拠点となる防災公園の整備拡充と公園、道路、河川の連携による水と緑の骨格軸づくりが重要であるとしております。
 次は、多摩・丘陵ゾーンでございます。このゾーンでは、連担する丘陵地と河川が一体となり、豊かな自然環境を形成しております。この自然の保全、活用の拠点として、丘陵地公園の継続的整備が重要であるとし、また、子どもたちの総合的な学習などの拠点、自然資源を生かしたレクリエーション利用などが提案されております。
 最後に、山地・島しょゾーンでございますが、このゾーンは、豊かな自然の保全、活用がテーマで、自然との触れ合いや地域の振興として、森林施策や自然保護施策と連携した林業体験や自然体験、ツーリズムなどへの取り組みが必要としております。
 概要版の八ページをごらんください。第3の貴重なストックを生かすマネジメントでございます。
 ここでは、都立公園が持つハードやソフトのストックすべてを貴重な資源とみなし、マネジメントしていくため、今ある緑の財産を積極的に活用した質の高いサービスの創造などが提案されております。
 概要版の九ページをお開きください。第4は、都民、NPOなどとの協働、連携マネジメントでございます。
 ここでは、これからの協働型社会においては、都民やNPO、民間企業などとの幅広い協働、連携が必要であるとして、公園事業は利用者サイドと行政サイドの双方の発想や意見をもとに、協議しながら推進していくべきことなどが述べられております。
 概要版の九ページの中段をごらんください。第5は幅広い公園緑地情報マネジメントでございます。
 公園緑地情報の適切な発信と受信は都民との協働を進めていくための原点であり、双方向性を持った情報の受発信を行っていくことが必要だとして、情報公開とアカウンタビリティーの重要性などが述べられております。
 最後に、概要版の一〇ページの中段をごらんください。第4章の五つのリーディングプロジェクトでございます。
 ここでは、パークマネジメントの推進に当たり、まず取り組むべきものとして、五つの先駆的なプロジェクトが提案されております。また、答申本編の四六ページからは、図面をつけた詳細な記述がございますので、あわせてごらんください。
 第一は、丘陵地保全・活用広域連携プロジェクトでございます。これは、多摩丘陵から三浦半島にかけて、都県境を越えて連なる丘陵地の雑木林などの緑について、広域的視点に立って、関連自治体やNPOなどとの協働、連携のもと、保全、活用事業を推進すべきとの提案でございます。
 第二は、都心の緑のネットワーク推進プロジェクトでございます。これは、代々木公園から表参道を経て、青山霊園、六本木地区にかけて、公園や街路樹、再開発による緑などを含めた緑のネットワーク形成を図り、緑と文化とが融合する新しい都市空間づくりを推進すべきとの提案でございます。
 第三は、文化財庭園の千客万来プロジェクトでございます。これは、我が国有数の文化財庭園であり、東京が誇る文化遺産でもある浜離宮恩賜庭園の復元、修復や、そのための仕組みづくりに努めるとともに、さらに多くの人々に利用されるようなプロジェクトを促進すべきとの提案でございます。
 第四は、民間参入などによる利用促進プロジェクトでございます。公園の弾力的な運営を行い、その公園に適した良質なサービスを提供するため、民間の発想とノウハウの導入などによる利用促進に取り組むべきであるとしております。
 第五は、公園パートナーシップ推進プロジェクトでございます。今後の協働型社会に向けて、利用者や住民、NPOや民間企業などと協働して公園事業を進めるためのプロジェクトを実施すべきとの提案でございます。
 以上、東京都公園審議会答申、都立公園の整備と管理のあり方についての内容につきまして、ご報告させていただきました。

○高島委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対して何か質問等がありましたら、発言を願います。

○臼井委員 それでは、簡単なんですけれども、質問をさせていただきたいと思います。
 今回の都立公園の整備と管理のあり方についてということでございますが、この中のコンセプトは、公園緑地から始まる緑の都市再生ということにあるように感じられます。
 今東京は、都市再生に大変なエネルギーをつぎ込んでおります。しかし、人工の都市がつくられていく過程を見ると、多分日本の首都として、これは二一世紀のすごいプロジェクトなんだというように感じられるわけでありますが、都市化されて、市街地が進むと、どうしても人間は、緑の潤いあるものが渇望されてくる。
 古く考えれば、日本の古い時代は公園の思想というのはなかったと思うんですね。明治維新によって、明治の政府が西洋文明を取り入れて、ここにも書いてあるように、公園の考え方が取り上げられてきている。
 まさに私たちの国日本は、この列島そのものが公園である。緑のこの列島は深い森林に覆われていて、その森林から生み出す豊かな川が生物を潤してきた。おかげさまでここの民族は穏やかで、立派な文化を子孫に残してくれた、こういうように思うんですね。
 ところが、最近、いいか悪いかでありますが、経済の進展の中で失うものが多くなっている。その中の代表的なのが私たちの自然環境ではないかと思うんですね。そういう面で都市公園をつくるという仕事は大変重要になってきております。都市の中で公園がつくられているというのはいいことでございますが、私は今回の公園の整備と管理の中で思うことは、木を大事にしよう、木を使うべきだということなんですね。
 我が国の文化は木の文化。古くから私たちの住まいも木でつくられてきた。あの平城京の跡地からだって出てきた木簡を見れば、あんな古い時代の文化が木によって伝えられてきているわけですよね。
 どうせ家をつくるならば木の家をつくりたいな、みんなそう思う。きょうはこの前に住宅局の都営住宅の話がありましたが、高層で、鉄筋コンクリートで、やむを得ず住んでいるんじゃないかと、私はそんなふうにさえ感じているわけなんですが、そこで、今後の公園づくりの中で、都民に本当に潤いを、そして心に豊かさを与えるために木を使ってもらいたい。
 公園へちょっと入っても、コンクリートがいっぱい並んでいますね。中には擬木、本来木であるべきなのに、似せて、コンクリートで固めてつくってあるんですね。なぜ公園にそういう擬木を使わなければならないのか。
 古い時代、江戸以前の庭園なりを見れば、あずまやだとか池だとかあるいは園路、こういうのを見ても、コンクリなんか使っていないし、みんな木と石でつくられております。そういうことからして、わずか百十年かそこいらの西洋文明を取り入れたからといって、そんなものに心を売ってしまうのではなくて、それこそ千何百年、あるいは縄文、弥生からいけば何千年の歴史を重ねてきて、構築してきた私たちの木の文化、そこから生まれる日本人の精神、こういうものをもっと大切にして、それを都市の中に表現したらどうか。
 私は、都市公園というのは大自然をそこに一つ凝縮したように思うんですね。もっと小さくいうなら箱庭だとか、あるいはもっと小さくいえば盆景だとか、日本人はいろんな文化を使って表現をする手だてを伝えてきておりますが、そんなことを思うときに、ぜひいろんなところでも私は木を使ってほしいと、河川の中にも木を入れてほしいなんということを河川部長にもお願いしたり、道路のさくをつくったりするときも、ガードレールというのは事故を防ぐことに大きな役割があるけれども、境界をつくるようなガードパイプだとか、そういうものなら木の方がいい。鉄パイプよりも、あるいは擬木よりも木の方がいい、そういうことを申し上げたいんですね。まして、公園を担当する皆さんには、公園はまさに日本人の心をそこに表現しているといってもいいわけですから、そういうふうにやってもらいたい。
 あらゆるところを通して私が木を使ってほしいというのは、ここにも書いてありますように、公園が、それに接続する緑地と、そしてさらに森林としての山地へつながって、この首都東京をぐるっと囲んでいるんだ。だから、東京なんだ。だから、日本の顔なんだ。
 この周辺を囲んでいる緑、しかし、これは公園の網をかぶせてないですよね。所有者はだれかというと、山地主ですよ。その山地主が今、山を放置してしまっている。私は文化のほかに--都心では文化を大いに高めてほしい。立派な公園をつくって、日本人の心をいやしてほしい。豊かにしてほしい。それで、日本の伝統をしっかり受け継いでもらいたい、そう思うんですが、あの山の方は経済ですよ。幾ら緑が周辺にあるといったって、あの山を、緑を守る人がいなくなったら、山はだめになっちゃうんですね。
 もう今や木を植える人が少なくなりました。切り出してから後、植えないんですね、採算が合わないから。だから、どうしてもあれを使ってやらないとだめなんです。ここでは管理の問題もあるけれども、山の中で森林産業に携わっている人たち、山地主だけじゃありません。山を切る山の職人さん、さらにそれをきれいに製材する製材屋さん、運搬する運送屋、いろんな人たちがこの山にはかかわるんです。しかし、木が動かなければ、材木が動かなければ、彼らはみんな手をつぶしちゃう。生きていけないですね、動かないと。ところが、外材に押されて、動かないわけですから、もしこの国が緑が大切だ、都市が緑を必要としているというならば、やはり山の木を使ってあげることも、これは重要なんです。
 ぜひそういう面で、公園の中で、ベンチだとかトイレだとかあずまやだとか、立派につくり上げることができますからね。さくもそうですよ。きれいにさくを回すことだって、本当にすばらしいですよね。だから、できる限り多摩の山の木を都心の中に持ってくる。都民の生活の場に持ってくる。山の中に置いておかない。
 切れば、使ってもらって、そして自然が循環していくんですよ。コンクリだと長持ちするから、メンテナンスに楽だからといって、コンクリートを使うかもしれません。しかし、それはだめなんです。一度したら、もう人が働けなくなる。木なら腐って、もとの土に戻すこともできる。腕のいいたくみが再びその木を使ってあずまやを直してくれる。ベンチも直してくれるでしょう。かえって早く耐用年数が過ぎた方がいいんだ。今のような立派な腕の職人をつぶしてしまうような社会はだめですよ。
 そういうことをぜひ東京の中でも考えていただいて、どうも公園というと、都心の方ではすばらしい公園があるけれども、だんだん山の方へ行くと、何かオブラートがかかっちゃって、この答申書の中でも余り具体的にならない可能性もあるなと心配するんですが、今後、この答申書を具体化する中で、ぜひそういう面で木の循環、植えて、育てて、使う、こういうことをやって、日本人の心を取り戻せるようにしてほしいな。
 東京の大都会で働く人、あの急峻な山で危険を冒しながら、斜面と取り組みながら木を育て、木を切り出してくる人たち、さまざまな役割があって私は東京はいいと思うんですよね。ぜひそんなことを皆さんに知っていただきたい。
 そして、都政の中で少しでもそういうことを認識してもらいたい、こんな思いがありますので、ひとつ皆様方の見解をお聞かせいただければ結構です。いいたいことをいわせていただいたので、所見を伺って、私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。

○島参事 今先生の方から、木の大切さ、特に都会におきます大切さ、さらには日本文化の原点というようなお話がございました。そういう意味を含めまして、その源となっております多摩地域におきます森林の保全というのは大変重要であるというふうに認識しております。
 都立公園におきましては、東京の森林を守り育てるボランティアを育成する大自然塾というものを、水元公園や野山北・六道山公園で実施をしております。
 また、多摩産材の活用につきましては、間伐材を使いまして、先ほど申しました大自然塾のボランティアの作業小屋を水元公園に建設いたしました。また現在、大分応募が多いので喜んでおるんですが、日比谷公園の百年記念事業といたしまして募集中の思い出ベンチという中でも、多摩産のヒノキを使用するということになっております。
 先ほど先生からもお話がありましたように、今後も具体化する中で、このような取り組みを推進いたしまして、多摩地域の森林の保全に貢献していきたいというふうに思っております。
 また、先ほどお話がありましたが、河川の整備につきましても、木工沈床というような形で使用しておりますし、道路整備のガードフェンスに活用するために試験施工も行っているところでございます。

○小磯委員 答申の中の五つのリーディングプロジェクト、その一番目に丘陵地保全・活用広域連携プロジェクトというのがございます。その中には、多摩丘陵から三浦半島にかけての丘陵は、都県境を越えて連なる緑の回廊となっていると。この丘陵は東京のほかの丘陵とともに、都市再生や環境教育、レクリエーションなどに重要な働きを持つため、その保全、活用事業のために先駆的プロジェクトを実施すべきである、こういうふうにうたってあるわけでございます。
 町田の小山田緑地もこの図の中に入っているわけでございますけれども、この小山田緑地なんかは、まさに都民協働の取り組みをもうしている事例なんだとも思うわけでありますが、二月の予算特別委員会で、この小山田緑地というのは面積百四十七ヘクタールの都市計画緑地である、これまで四十七ヘクタールが事業認可しており、四十一ヘクタール用地取得してきたと。
 ただ、平成十三年度以降、用地取得はやっていない、こんなようなことで、局としては小山田緑地の自然を保全し、利益を図るため、国費の導入を国に働きかけるなど、今後とも事業の実施に向けて努力したい、こういうご答弁をいただいているわけでございますけれども、国費の導入を国に働きかけるなどという、ここの部分についての進捗状況、これをまず一つ、それから、小山田緑地の未開園区域の谷戸部分の整備における都民協働の取り組みとその現在の進捗状況について、お伺いをしたいと思います。

○住吉公園緑地部長 小山田緑地の整備でございますけれども、国費の導入につきましては、ただいま政策要求という形でもって、国の方に全体として公園予算、公園の国費導入について要望しているところでございます。
 また、小山田緑地の谷戸部分の整備に当たりましては、十四年度に計画づくりから都民やNPOが参加いたしまして、ワークショップ形式で整備目標を設定する検討会を重ねまして、公園づくりへの参加意欲を高めつつ、田んぼの復元などを都民協働で実施しております。
 平成十五年度には、引き続き都民協働で池や水路などの整備を進めまして、平成十六年度の完成を目指していきたいと考えております。

○小磯委員 この小山田緑地の谷戸部分の整備でありますけれども、整備したときに、小山田緑地が、谷戸部分がどうなるのか、そういう具体的な姿というのをお示しいただけますと、さらに多くの人の公園づくりへの参加が見込まれるんじゃないかな、こういうふうに思っておりまして、どういう公園になるのか、ご説明いただきたいと思います。

○住吉公園緑地部長 小山田緑地の谷戸部分は、鶴見川源流の里山を復元するということで、ホトケドジョウなどの水生生物や野鳥、昆虫が生息する自然豊かな環境が創出されると考えております。
 また、田んぼでの農作業体験や自然観察が楽しめるなど、身近なレクリエーションや環境教育の場ともなるというふうに思っております。

○小磯委員 それからまた、この答申の中に、公園パートナーシップ推進プロジェクトということで、公園を応援する都民、NPO、民間企業などによるサポーター組織の立ち上げ、こういうのも入っているわけでありますけれども、私も二月の予算特別委員会で動物園のサポーター制度の設立を質問させていただいたわけであります。
 そのときもお話があったわけですが、動物園というのは希少動物の保全、それからその研究に取り組んでおりまして、そういった希少動物の保全とか、いわゆる環境教育、それから観光資源としての利益があるというのが動物園の役割であるというふうにいっておりました。
 そういう中で、今後の動物園を運営していくに当たって、展示施設の改善、そしてまた新しい希少動物の導入、それから普及宣伝活動の充実、諸外国の動物園との交流、こういったことをやっていくと多額の経費が必要になってくる。
 そんなようなことで、より充実した動物園をやっていくには、そういった動物園のサポーター制度のような、都民による動物園の応援、こういったことをすべきである、こういう質問をさせていただきました。なるべく早く実現をしていただきたいと思っているわけでございますけれども、この動物園サポーター制度の、二月の予特で質問したわけですけれども、その後の進捗状況についてお伺いをして、終わりたいと思います。

○住吉公園緑地部長 動物園に対する個人や企業を含めた民間のサポートを受け入れる制度は、動物園事業への参画意識を高めるとともに、飼育動物の環境改善や野生動物の保全、普及教育活動への貢献が期待できます。
 この制度は欧米の動物園では比較的普及しておりますが、国内での例はまだ少ない現状でございます。このため、現在、上野動物園や多摩動物公園など、関係する機関が共同でプロジェクトチームを組織いたしまして、欧米を中心とした詳しい調査や都における制度の仕組みづくりなど、早期の実現を目指し、具体的な検討を行っている状況でございます。

○池田委員 最初にお伺いしたいんですが、都立公園の整備と管理のあり方についての答申が出されました。そしてこれを受けて、東京都の方はこれからの、公園緑地から始まる緑の都市再生という名に基づいた具体的な計画を立てていくんだろうと思うんですが、スケジュール的にはどういうふうなことになるんでしょうか。

○住吉公園緑地部長 今後の取り組みでございますけれども、本編の四六ページに五つのリーディングプロジェクトの今後の取り組みが書いてございますけれども、今後、取り組みに当たっては、事業の実施計画をつくりということになっております。この五つのリーディングプロジェクトを中心として、事業の実施計画を今後つくってまいりたいというふうに考えております。

○池田委員 そうすると、五つの具体的なリーディングプロジェクトがこれから進められていく。その実施計画というのはいつごろ出されるんでしょうか。
 同時に、私、先ほどあえていったんですが、都立公園の整備の問題についての、これに基づいた実施計画というんでしょうか、そういうものもあわせてどういうふうになっていくんでしょうか。

○住吉公園緑地部長 このリーディングプロジェクトにつきましては、おおむね三年程度で達成する目標を定めということになっておりますので、できるだけ早く実施計画をつくって、目標を定め、実現するよう進めていくという考え方でおります。
 それからまた、整備に関する実施計画でございますけれども、都の全体の実施計画等の策定等もございますが、そこら辺のところを見ながら、公園についても中長期的な形での実施計画をつくってまいりたいというふうに考えております。

○池田委員 私の方で端的に聞きたいのは、この答申に基づいて、実施計画はいつごろ発表されるんでしょうか。

○住吉公園緑地部長 この実施計画につきましては、今年度中にできるだけつくりたいというふうに考えております。

○池田委員 今年度中にこの答申に基づいた実施計画をつくられていくということですね。
 私は何点か聞きたいんですが、今回の答申は、公園緑地から始まる緑の都市再生というふうに名前が、サブタイトルでしょうか、ついています。今、都市再生、東京再生ということが声高にいわれているわけですけれども、三ページですか、審議会の答申に当たってで触れているところを、基本的な問題なので、ちょっと説明していただきたいと思うんですが、ここでこういっているんですね。
 中間あたりから、東京の公園緑地行政にとって最も切実な問題は、その存立基盤である自然環境が、この半世紀の間に急速に量的減少と質的低下を見せていることである、こういうふうに述べています。そして、東京の都市的発展がもたらした自然環境の減少はというふうにいって、これは東京都民のレクリエーションだとか、それから景観、ヒートアイランドだとかいうようなさまざまな影響をもたらしてきて、精神的な面にまで及び始めているというふうに述べているんですね。私はやはりそういう状況だというふうに思うんです。
 私は、東京の公園緑地行政を都民の立場から本当に再生していく、こういうことで考えていくならば、大事なことは、東京の都市的発展がもたらした自然環境というだけでこの問題をすぱっと終わらせないで、こうした現状になった、なぜなんだろうか、問題はどこにあったんだろうか、そして、それに対してどういうふうに東京都は対処してきたのか、こういうことをまずはっきりさせることが大事なんじゃないのかというふうに考えます。
 そこで、基本的なことですので、お伺いしたいんですが、今申し上げたような、なぜこの答申に当たってで提起されているような事態、こういう状況になった、どこに問題があったのか、こういうことについてどういうふうに考えておられるでしょうか。

○住吉公園緑地部長 現状の公園緑地がこのような状況になったのはなぜかというふうなご質問でございますけれども、東京の公園緑地の現状と課題ということで、歴史的な経過等も踏まえて、五ページ以降述べてございますけれども、都市化の進行等によりまして、都内では樹林地や農地などがかなり減少をしてきております。そういう都市化の進行等によります緑地の減少というものが、現在の都市環境に影響を与えているというふうにとらえてございます。

○池田委員 もう少し具体的にお伺いしたいんですが、公園の整備問題はちょっと後にして、都内の緑率、今どういう状況になっているんだろうか。ヒートアイランドの問題でもそうですし、私たち都民のほっとするような、そういう緑というのは本当に少なくなってきているというのが問題になっているわけですね。先ほど多摩の木の話がありました。本当に山の持っている、木の持っている役割というのは大事だ。しかし、緑というのがずっと少なくなってきている。
 これは示していただきたいんですが、東京の今の緑の状況、緑率、昭和四十九年、一九七四年と平成十年、一九九八年、二十五年間で、東京都全体で緑率がどのように低下してきているか、このことも事前に資料も私の方でいただいておりますので、ちょっと説明してください。

○住吉公園緑地部長 環境局の調査によりますと、昭和四十九年から平成十年の約二十五年の間に、山手線の内側の面積を超える七十平方キロメートル近くの緑が減少している。これは緑率では四ポイント低下したことになるということでございます。

○池田委員 山手線の内側ということになると、相当の面積。七十平方キロといいますと、私、実は豊島区なんですが、豊島区の全域が十三・〇一平方キロなんです。ですから、豊島区の五・何倍でしょうか、それほどこの二十五年間で緑が減ってきているということを、今の現状として我々は深刻に受けとめていかなきゃいけない。それで、この答申に当たってということでまず触れられている中身があるんだというふうに私は認識しました。その辺はどうでしょうか。

○住吉公園緑地部長 確かに今お話しいたしましたように、かなりの面積の緑が減少しているということは事実でございます。ただ、このような中で、公園緑地につきましては着実に増加しておりまして、公園緑地の都市環境の保全、改善に果たす役割というのはますます重要になってきているというふうに考えております。
 今後とも、公園緑地面積の拡大を図るとともに、今ある公園緑地のストックをより一層生かしていく必要があるということで、答申にもうたわれているというふうに思っております。

○池田委員 先ほどお話があったように、この二十五年間で東京全体の緑率が減って、七十平方キロ、大変な緑が失われてきた。その中で、例えば樹林地はこの二十五年間で三四・三ポイント、それから草地、これが二五・四、農地が七一・八、こういうふうにずっと低下しているという数字が示されている状態なんですね。
 私は、やはりそういう点で、まあこれは建設局、公園所管の局だけの責任ではない。今までの東京だけではなくて全体の国の政治の中でつくり出されてきている問題だというふうには、当然考えています。そこに対して、今お話があったように、こういう状況の中だけれども、いろいろなことで対処はされてきたんだというふうに思うんです、東京都、建設局は、公園整備のために、どういうことを具体的にやってこられたんでしょうか。

○住吉公園緑地部長 公園緑地部といたしましては、東京構想二〇〇〇及び緑の東京計画に基づきまして、長期的な視点に立った公園緑地事業の取り組みを進めてまいりました。また、国に対しては、国庫補助金の増額や用地取得についての補助率の引き上げなどを要望してまいってきているところでございます。

○池田委員 確かに昭和五十六年、一九八一年に東京都の長期計画、東京都緑のマスタープラン、これで都民一人当たりの公園面積を六平方メートルにしよう、それから平成九年には、一九九七年ですけれども、生活都市東京構想、ここでは七平方メートルの目標を決めて、取り組んできたわけですね。その結果、現状ではどういう到達点になっているでしょうか。

○住吉公園緑地部長 平成十五年四月一日現在の都民一人当たりの公園面積は五・四二平方メートルということになっております。

○池田委員 都民全体、東京都全体では五・四二平方メートル、区部では四・四五平方メートルという状況ですね。私のところは一平方メートル未満なんです。小さな座布団一つぐらいというのが現状です。いただきました大きな資料を見ますと、図の中で出ていますけれども、外国、特にニューヨークだとかロサンゼルスだとか、またロンドンだとかベルリンだとか、こういうところと比べてどうでしょうかね。

○住吉公園緑地部長 海外における公園の現況でございますけれども、例えば、ニューヨークでは一人当たり公園面積は二十九・三平方メートルでございます。またイギリスのロンドンでは二十六・九平方メートル、フランスのパリでは十一・八平方メートルなどとなっております。

○池田委員 私は先ほどいったんですが、こういう現状の中で、今度の答申を受けて、整備についての具体的な実施計画、これを立てていくというのが基本だろうというふうに思うんです。そういう視点から見て、どういうふうに基本的には整備の問題を考えられているんでしょうか。
 いただいた答申の附属資料の中で、都民の皆さんからの意見、この中でも、私が今申し上げたような、こういうふうにいわれている方がいるんですね。質への転換もよいが、まだまだ公園は少ない、多摩地域でも田畑や里山がどんどん宅地化されていっている。それで、昔の緑は公園にしかなくなった、まだほんの少し残された緑についても、東京都で公園にするなりして残してほしい、こういうような意見もあるわけですね。
 そういう点も受けて、この答申の中で取り上げられたんだろうというふうに思うんですね。ですから、基本的な問題なものですから、私、その辺をひとつ聞いているんですけれども、どういうふうに考えておられるでしょうか。

○住吉公園緑地部長 都民のご意見の中にも整備を今後とも努力していくべきだというふうな話がございまして、本編の一六ページになりますけれども、今後の公園緑地事業につきましては、一層の整備に努めつつというふうな表現も入れさせていただいたところでございます。
 今後の進め方につきましては、都の財政状況が厳しい中で、水と緑の骨格軸の形成や防災公園の整備などの事業に重点化を図っております。また、さまざまな工夫によりまして、未開園地の早期開園や国庫補助の拡大を図るなど、目標達成に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

○池田委員 私、今申し上げたように、都民の皆さん方も中間のまとめを見て、先ほどご紹介したような意見を最終答申に向けて寄せられているというふうに思うんです。
 実は私も、中間のまとめを見て驚いたというのが率直な話なんです。逆に、こういういい方をすると嫌みになるのかわからないんですが、中間のまとめの一六ページでこういうふうにいわれたので、あえて紹介するというのはあれかもわからないんですが、一六ページの中間のところで、これまでの公園緑地事業は、ともすれば整備に重点が置かれ、そして、一人当たりの公園面積という指標による量的拡大を重視し、計画、整備、管理運営を進めてきた。
 ともすれば整備に重点が置かれというふうな表現があって、私はちょっとそれはひどいんじゃないかというふうに思っていたんです。そうしたら、やはり今度の答申ではそういうものを除いて、そして、今いわれたような方向で、変えられてきているというふうに思うんです。
 そこでお伺いしたいんですけれども、今東京、特に都心を中心として、二〇〇三年問題、ご存じのように空前の超高層ビルが次々と建てられていくということによって、オフィスビルの過剰供給が問題になっている。さらに今、汐留だとか品川だとか、再開発ビルが林立している。
 そして、都市再生特別措置法というのを受けて、今東京都全体では環状道路だとか大型開発中心の、いわゆる都市再生という開発が進められている。そういう流れになっている。高速道路中央環状線の内側、いわゆるセンターコアといわれるようなところでは一層都市化が進んでいくんじゃないか。そして、都民生活や東京の環境へ一層重要な影響を与えていくということを、私はやはり思わざるを得ないんですね。
 そういう中で、この答申にあるような都民の生活、それから環境、とりわけヒートアイランドだとか、さまざまな生活だとか、精神的にも影響を与えるような状況になるようなことは避けなければならないということになれば、私は東京構想で一応示されている緑の東京計画、都立公園の整備目標、これは平成二十七年度までに二千ヘクタール、こういうものが位置づけられているわけでしょう。
 そして、平成十三年から十五年まででは四百ヘクタール。しかし、実際に十三年から十五年、ことし、十五年度予算ですけれども、計画として四百ヘクタールが位置づけられているけれども、十三、十四、十五、このところでは大体どのくらいでしょうか。全体、十五年間で四百ヘクタールというふうにいわれているわけですから、そういうことから考えてみて、今の状況では、先ほどいわれたように、整備管理費がずっと落ち込んできているというような状況で、そのための財源確保のために努力するというふうにいわれているんですけれども、その辺はどうでしょうかね。
 私はやはりそのことが、今、現実的にこの答申の中でも指摘されている問題にこたえていくという立場から見ても、大事な一つのポイントなんだろうと。この三年間、どうだったんでしょうか。

○住吉公園緑地部長 都市公園の開園状況でございますけれども、平成十三年度が十七・八ヘクタール、平成十四年度が十四・三ヘクタール、十五年度につきましては、予定でございますけれども、約十ヘクタールというふうになっております。

○池田委員 そういう今の段階での一定の、建設局として公園整備についての努力はやられてきているというふうに思うんですけれども、冒頭いいましたように、全体としてあれだけの緑が減らされている、そういう状態の中で、本当に具体的な到達目標を実施計画の中で位置づけていくということは、今やはり都民に対する東京都としての責務でもあり、それは東京の本当の緑の再生のために生きるものになっていかなければいけない。
 そして、位置づけとして一番はっきりしなければならないのは、都市の欠くことのできないインフラとして、緑それから公園整備、これをちゃんと位置づけるということ、そのことが、都市再生というふうに考えているならば、都民のための立場から考えるならば、必要だというふうに思うんです。
 ぜひ私はそういう点で、実施計画を具体化する上で、今申し上げてきたような立場からの具体的な到達目標、そしてぜひ今失われてきた緑、公園を取り戻す、都民の要求にこたえていくということを求めたいというふうに思うんですが、その辺はどうでしょうか。

○住吉公園緑地部長 公園緑地はまさに先生がおっしゃいますように都市のインフラであるというふうに考えておりまして、答申もそのような位置づけでもって今後の公園緑地行政を進めていくべきだというふうなことで、首尾一貫して通しているというふうに考えております。

○池田委員 最後、これは要望になりますけれども、この最終答申の中でも、都民の皆さん方から貴重な意見が寄せられています。整備と管理のあり方についてであるのに、整備に関する記述はほとんどないのはおかしいではないか、こういう厳しい意見をされた方もおられます。
 私はそういう意味では、この都民の皆さん方の声にこたえ、また、先ほど来いっていますように、具体的な実施計画がしっかりとこれにこたえられるように、ぜひつくり上げていってもらいたい、以上要望申し上げて、終わります。

○新井委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 今回の答申なんですけれども、公園という枠を外して、緑という視点に立ち戻って整備をしていくということ、それからパークマネジメントという発想の転換をなさったということ、そして、都民、NPOとの協働というのを前面に出されたということで、非常によい答申を出していただいたなというふうに思っています。この答申を実現していくために頑張っていただきたいというような視点で質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 今回、この答申作成に当たりまして、パブリックコメントを実施されているんですけれども、これはどのくらいの期間行い、そしてどのくらいの意見が集まって、どのように答申に反映されたのかを、まずお伺いしたいと思います。

○住吉公園緑地部長 パブリックコメントにつきましては、本年五月十九日より六月九日まで、二十二日間実施いたしまして、六十二通のご意見をいただきました。
 いただいたご意見は専門部会で審議し、答申に反映させていただきました。その内容は、公園整備の重要性、総合的なヒートアイランド対策の必要性、都民との協働の進め方などでございます。

○新井委員 このパブリックコメントについてなんですけれども、今いろんなところで手法として、はやっていてやっているんですが、国などは結構アリバイ的にやって、やっているんだけれども、余り意見が反映されないというふうなこともあるようで、そういう意味では今回きちんと都民の方の意見を反映したということで、やり方としてもよくやってくださったなと思います。
 二十二日間の実施で六十二通の意見ということですので、公園、やっぱり皆さんご興味があるんでしょうか、割とパブリックコメントの中では集まったのかなというふうに思うんですけれども、感覚としてはもう少しあってもいいのかなと。
 周知の仕方というのを少し工夫していただいて、こういうことをやっているということを知ってもらうということがまず大切ですので、そこをもう少し工夫をいただいて、今後とも、建設局でこういった答申、あるいは何か出されるときには、ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 それで、中身なんですけれども、公園整備、一二ページのところで、先ほど来いわれておりますけれども、緑の東京計画によれば、二十七年度末までに二千ヘクタールということで、十三年度から十五年間で四百ヘクタールの整備を進めなければならないというふうに書かれています。これを実現するためということで、審議会の中では何か具体的な議論があったでしょうか。

○住吉公園緑地部長 審議会では、公園整備を進めるに当たりまして、東京の水と緑が首都圏の環境インフラを形成していることを踏まえた広域的な視点、あるいは地域の特性と課題を踏まえた地域的な視点、また多くの事業者や都民、NPOなどとの協働、連携の視点などが必要であるというふうな議論がなされております。

○新井委員 具体的にどう実現するかということの議論ということで伺ったわけなんですけれども、先ほど来、ほかの委員の方とのやりとりの中で、実現のために実施計画を今年度中に策定をなさるということがありましたので、それで次に進めていきたいと思います。
 これまでの議論の中では、リーディングプロジェクトに力を入れてやっていくんだということでしたけれども、こちらのリーディングプロジェクトの中では、四六ページに、一番最初に、丘陵地の保全と活用広域連携プロジェクトということで、四七ページには多摩の丘陵地の図面が出ていたりしますけれども、まさに一番最初に力を入れてやっていくというところで、丘陵の保全ということがあるのかなというふうに思います。
 今、私も多摩に住んでおりまして、丘陵の破壊というのが本当にすごい勢いで進んでいまして、産廃の不法投棄とか残土の投棄、あるいは地主さんが手入れすることをもう放棄してしまって、どんどん荒れていくとか、あるいは相続などで売却して、開発をされていくとかということで、本当にいろいろなところから丘陵が壊れていくよというふうな声が寄せられているわけなんです。
 以前にも、丘陵地の緑の保全ということについて有効な手段ということでお話をしたんですけれども、市民緑地制度、初めてこのパンフレットをせんだっておつくりになったことなんですけれども、これをもう少し有効に活用して、丘陵地の緑の保全ということを進めていただきたいなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○住吉公園緑地部長 市民緑地制度は、屋敷林や里山など貴重な都市の緑地を保全するため、土地の所有者と市民緑地契約を締結し、一般に公開する制度でありまして、丘陵地の保全には有効な制度であると考えております。
 東京都では、昨年までに町田市の小山田緑地計画区域内など二カ所、約千七百平方メートルを、ことしさらに同区域内で約二千平方メートルを契約し、公開いたしました。今後とも、地元自治体と連携してPRなどを行い、貴重な緑地を保全していきたいと考えております。

○新井委員 ぜひ積極的に進めていただきたいというふうに思うわけなんですけれども、この市民緑地制度の活用に当たりまして、今回、私、このパンフレットを随分いろんな方に配らせていただいて、PRをしたわけなんですけれども、特に自分の持っている山林、里山を保全したいというふうに考えていらっしゃる地主さんは、なかなか地域では厳しい立場に立っていらっしゃるんだということがわかったんです。
 というのは、大体の方は、相続なんかのこともあって、土地を高く売りたい、開発してもらいたいというふうに思っていらっしゃる方が多いんですね。それは考えてみれば当然ということなんですけれども、そんな中で、何とか開発をとめて、山林を保護していこうよというふうな地主さんは、なかなかご自分の方から地域の中でそういう声を上げにくいんだということをおっしゃる方がいらっしゃいまして、例えば東京都の方がターゲットを決めて、ここの部分を保全したいとかと思ったときに、相続絡みでいち早く声をかけて、この市民緑地制度で登録をしていただいて、そして、相続に当たっては買収をしていくというふうなことが有効なんじゃないかと思うんです。
 相続に当たって買収するのは大変じゃないかということが当然あるわけなんですけれども、多摩市であった実例で、ちょっとご紹介したいんですけれども、実は多摩市の里山を何とか保全したいというふうに考えていらした地主さんが、東京都か多摩市に買い取ってほしいというご相談に見えたんですが、東京都も多摩市もなかなかそんなお金はないということで、いろいろ地主さんとそれから東京都の方にもご相談しながら、知恵を絞ったわけなんですが、寄附をしていただくということにしたんですね。
 一・一ヘクタールの緑地を寄附するんですけれども、相続税を払わなくちゃいけない。この方は自分の賃貸のアパートも売り払って、税金を準備したんですけれども、どうしても足りないということで、そのうちの千百平米分を国に物納をしました。
 物納すると、普通は競売にかけられて売られて、開発されちゃうんですけれども、それを防ぐために、多摩市と国とで確約書を交わしまして、今すぐには買えないけれども、将来的にここを何とか買い取りたいという意思を示してもらったんですね。それで、国は競売にかけないでくれて、緑地が全体として保存できたというふうなことなんです。
 このときに、東京都の財務局の職員の方にもいろいろご相談したんですけれども、何かいい制度がありそうな気がするので、調べてみましょうというふうにいって、調べてくださいまして、結果、地方公共団体が国に物納された緑地、それは基本計画などできちんと位置づけられたものじゃなきゃいけないんですけれども、そこを買い取るという場合は、三分の二の価格になるんですね。
 その三分の二の中で、地方公共団体が買う場合には三分の一補助が国から出るということで、例えば一億の買い物をする場合には、六千六百万で買い取ることができて、その三分の一補助が出るので、自治体の負担は四千四百万円で済むということがわかりまして、このくらいならということで、多摩市も意外に早く買い取ることができました。
 だから、そういう意味で、市民緑地制度で保全するために、ともかくつばをつけておいて、そして相続がかかった場合に、地主さんといろいろこういった寄附の部分も含めて話を進めていくということで、かなりの部分の緑が保全をされていくのではないかというふうに思うんです。
 今、非常に有効な制度であるということで、現に小山田緑地などで進めていらっしゃるわけなんですけれども、地元の自治体と連携してPRをしたいというご答弁だったんですが、もう一歩進んで、東京都がここは何とか確保したいという丘陵地については、地主さんと直接話し合いに入るというふうなことも必要かと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○住吉公園緑地部長 市民緑地契約の拡充でございますけれども、地主さんと直接的にいろいろお話をするということも必要なことだというふうに思っております。それに当たりましては、やはり地元市等との連携も考えながら進めていきたいというふうに思っております。

○新井委員 私も地主さんとお話をして初めてわかったんですけれども、なかなか自分のところを保全したいんだということを地域の中でいい出すのに勇気が要るという状況があるということがわかりましたので、ぜひこちらの側から積極的に交渉していくということを進めていっていただきたいというふうに思います。
 次に、パークマネジメントについてなんですけれども、こちらの答申の中では、公園全体のパークマネジメントのマスタープランと、それから公園ごとのパークマネジメントのマスタープランの策定をする必要があるというふうに書かれているわけなんですが、まず公園全体のパークマネジメントについて、今後どんなふうに取り組んでいかれるのか、お聞かせください。

○住吉公園緑地部長 都立公園全体のパークマネジメントのマスタープランは、都立公園全体の整備と管理の基本方針となるものでございます。広域的な視点に立ったマネジメントを初めとする五つの取り組みなど、本答申における基本的な方向性を踏まえて策定してまいります。

○新井委員 おっしゃるとおり、全体のマスタープランというのは、都立公園全体の基本方針になるわけですので、できるだけ早く着手をしていただきたいというふうに思うんですけれども、いつごろ着手されるんでしょうか。

○住吉公園緑地部長 策定時期でございますけれども、いろいろ条件を整理いたしまして、本年度中に策定に着手したいというふうに考えております。

○新井委員 今年度中ということで、ぜひよろしくお願いいたします。そして、マスタープラン策定に当たりましては、やはり答申と同じように、都民の参加ということもぜひ念頭に置いて、お願いをしたいと思います。
 それから次に、公園ごとのパークマネジメントのマスタープランなんですけれども、こちらの方は今後どうなさるんでしょうか。私としては、これは公園ごとということで、地域の意見も大事にしなくちゃいけないということで、都民の方、地域のNPOと協働しながら、じっくり時間をかけて、余り早急に事を進めないで、一つ一つ取り組んでいっていただきたいというふうに思っているわけなんですけれども、いかがでしょうか。

○住吉公園緑地部長 公園ごとのパークマネジメント・マスタープランの策定につきましては、都立公園全体のパークマネジメント・マスタープラン策定後、順次取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 なお、前に戻って恐縮でございますけれども、先ほど四百ヘクタールの整備目標を達成するための実施計画というふうな話でございましたけれども、先ほどの答弁の実施計画策定につきましては、五つのリーディングプロジェクトに関するものでございますので、よろしくお願いいたします。

○新井委員 公園ごとのパークマネジメントなんですけれども、順次取り組んでいくということで、ぜひじっくりと、こここそ地域の参加ということを主眼に置きながら、お願いをしたいと思います。
 それでは最後に、都民、NPOとの協働ということについてお伺いをしたいと思うんですけれども、この答申全体の中に、あらゆる分野で、あらゆるところで都民とNPOあるいは民間との協働が大切だということが打ち出されているわけなんですけれども、今現に都立の公園は、大規模なところ以外は公園協会が一括して管理を行っているという状態なんですけれども、この公園協会が管理をしている中で、幾つかモデル的に、公園協会を通してNPOとの協働という形での公園づくり、あるいは公園の管理というふうなものを進めていけないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○住吉公園緑地部長 都立公園の維持管理に当たりましては、多様な都民ニーズに効果的な対応をするため、NPOの持つ専門性や地域性などの特性を生かすことが重要であると考えます。今後、公園協会と協議しながら、NPOとの協働を図るための条件整備をしてまいりたいと思います。

○新井委員 大分前なんですけれども、公園の維持管理の中でのNPOとの協働ということでお話を伺いましたらば、水元公園などを初め、二カ所で行われているということでご紹介があったんですけれども、中身を見ますと、予算措置はゼロで、協働というよりは、むしろボランティアで協力をお願いしているというような段階でしかなかったと思います。そういう意味では、今公園協会の方と協議をしながら、条件整備をしていきたいというご答弁がございましたので、期待をしていきたいと思います。
 将来的には、やはり公園協会というところが一括して管理をしていくというような方法では、こちらの答申に書かれている都民やNPOとの実質的な意味での協働というのはなかなか実現しにくいというふうに思います。ですから、公園協会のあり方ということも含めて、今後ぜひ改革をしていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

○吉原委員 それでは、時間の関係もあろうかと思いますので、手短にお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、ことしは江戸開府されて四百年ということでございます。私も三多摩出身でありますので、三多摩のことだけを申し上げるつもりはありませんけれども、かつての江戸には三多摩から大きな役割を果たしてきたんだろうと思っております。
 玉川上水の水もそうでありますし、あるいは武蔵野の野菜関係もそうでありますし、あるいは着るものもそうであります。それぞれが多摩の方の--木もそうだと思いますね。先ほどお話もございましたように、江戸の中での橋をつくるときの木の材料になったり、あるいは住宅をつくるときの建物の材料になったり、多くの文化をつくってくる礎になったのが三多摩であろう、私はそういうふうに思っている一人であります。
 そんな意味でお尋ねをさせていただきますけれども、今公園だとか緑地だとかというのは、私たちのこれからの時代もそうだと思いますけれども、文化をつくっていく、その上では大きな役割を、その中から出てくるものだろうと思っているんです。
 そんな中でいうと、この中にありましたけれども、都県を越えた連携による丘陵地の保全と活用、こういうことが書かれております。これだけでなくて、この答申というものを、私、大変評価をする一人でありますけれども、特に都県を越えた連携による丘陵地の保全と活用という意味では、神奈川もそうだ、あるいは千葉も埼玉も山梨もそうだ、そういうことも中に明記をされておりました。
 そういった意味では、単体としてでなく、広域的に考えていく必要がこれから大切だということも明記されておりまして、大変賛同をするわけでありますけれども、やっぱりそれに取り組むには、具体的な方策というものがこれから必要だろうと思うんです。
 私たちの住んでいる多摩丘陵というものも、八王子のところを起点に、逗子まで丘陵地がずっと続いているわけでありまして、その中に都立公園も幾つかあり、あるいは県立公園も幾つかあり、そういった状況の中で、こういうものを後世の時代にも残していくことは非常に価値あることだ、そういうふうに思っているところです。
 そんな意味で、先ほどちょっとお話をさせていただきましたけれども、具体的な方策というものはどういうものなのか、お尋ねをさせていただきたいと思っております。
 お聞きするところによりますと、各鉄道、私鉄の皆さん、あるいはJRもそうでありますけれども、それぞれ工夫をし始めてきている、民間でそういうようなことをし始めてきているというお話をお聞きいたしました。
 しかしながら、どうも多摩丘陵の中に都立公園がどこにあるのかということが、なかなか都民の皆さんは把握をしにくい、そういうことをちょっと感じている一人でもあります。
 これは多分公園課だったと思いますけれども、公園のガイドブックというのもつくっていただいたような記憶をしているわけでありますけれども、ただあれは一冊の本でありまして、それはそれで価値あることだろうと思いますけれども、どこの地域に行ったときに、例えば電車に乗って、その駅に行ったときに、都立公園がどこにあるんだということを把握していただくことも必要ではないかなと思うわけでありまして、そういった意味でいうと、多摩丘陵の沿線にあります駅のところにも、東京都の都立公園はこういうものがありますよ、あるいは市の公園もそうでありますし、国の公園も、あるいはあるところがあるかもしれません。
 そういった意味では、行政側が鉄道会社と連携をして、そういった表示を都民の皆さんに見ていただくのに、目に触れることがはっきりできるような、そういうことも必要ではないかなと思っている一人でありますから、そういった意味で、これからの都県を越えた丘陵地の保全と活用という意味では、どういう取り組みをされていかれるお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。

○住吉公園緑地部長 都県境を越えて連担する緑を保全し、広域的な利用を推進するため、関係自治体や民間企業、NPOなどと協議会を設置し、共通マップやパンフレットの作成、共同イベントの開催などについて取り組んでいく予定でございます。
 ご提案の案内板設置についても、丘陵地の利用促進に有効であり、地元自治体や鉄道事業者の理解と協力を得て、設置するよう努めていく所存でございます。

○吉原委員 ぜひそれもお願いしたいと思いますけれども、そういうことだけではなくて、さまざまなことがあるんだろうと思いますので、そういうことがあったら、またぜひ教えていただきたい、そう思っているところでもあります。
 私も、昨年の四定だったと思いますけれども、質問させていただきました。内容については、公園にはまだ開園をされていない、そういうところの都市計画決定をされた緑地がまだあるではないか。その緑地でもう東京都が購入されているところ、それは計画段階でありますから、開園につながるわけではないとは思いますけれども、部局を越えて活用方法を考えてもらいたい、そういうお願いをさせていただきました。
 早速、建設局の皆さんのスピーディーな動きによって、地元の市と、あるいは近隣のまちづくり協議会だとかそういったグループ、団体と打ち合わせをさせていただいてきたようなことをお聞きしているわけでありまして、大変ありがたいことだなと思いますけれども、今その進捗状況といいますか、どういった連携ができそうなのか、お尋ねしたいと思います。

○住吉公園緑地部長 大戸緑地の樹林を都民との協働により活用するため、二月には町田市の大地沢青少年センターと連絡会を立ち上げました。六月には相原保全会などの地元団体の協力のもと、仮称でございますけれども、大戸の森を再生する会を開催いたしまして、現場調査を行った後、意見交換会を実施しております。今後は、雑木林の手入れや自然観察会などについて具体的に取り組んでまいります。

○吉原委員 大変ありがとうございます。これからも余り間隔をあけずに、積極的に協議を続けていただきたいな、そう思っている一人でもあります。
 もう一点だけお尋ねをさせていただいて終了したいと思いますけれども、まだ公園になっていない緑地、これは当然のことながら都市計画局で都市計画決定をされて、買収を進めていかれて、その後の段階として、建設局が実行部隊として整備をしていただくような形になっているんだろうと思いますけれども、私が今までまだ公園になっていない、都市計画局の所管の段階での緑地を見てみますと、ものすごい平坦地もあれば、急なといいますか、山といいますか、そういうところも一体にして緑地として計画決定をされているところがあるわけでありますけれども、今までお話をいただきましたように、今までにも開発があったり、地主さんのさまざまな都合があったりして、売却をされてきて、そこで住宅が建ってきてしまったということが数多く見受けられるわけであります。
 そんなことを考えると、できるだけ市街地に近いところから、そういった公園にすべきための計画決定をしていただくことがいいんだろうと思っておりますけれども、それは建設局の所管ではありませんから--しかしながら、最終的には建設局が整備をしていかなければならない状況になるわけでありますので、その計画段階で、都市計画局と打ち合わせをされながらそういうことになっていくんだろうと思いますけれども、もうちょっときめの細かい打ち合わせといいましょうか、協議を局間同士でしていただいた方がいいのではないかなと思っているんです。
 特に、山梨県境に近い方のところにも緑地があるわけでありますけれども、到底人が足を踏み入れられないような場所においても計画決定をされて、そこを進めてきているわけでありまして、果たしてそういう場所が今の公園事業の中で必要なのだろうかなと思うわけであります。
 この答申の中にもありましたけれども、先ほどのような都県を越えた連携ということであれば、それぞれの都県あるいは国も参加をしてもらう形で、そういうところについての計画決定をしていくということの方がよっぽど有効的ではないかな。ただ単に東京都の都市計画局だけがその場所のところを指定していくということについては、ちょっと不安な部分、公園緑地を東京都の中につくっていくという意味では余り一致する話ではないのではないかなと思っているんです。
 そういった意味で、その辺のことで何かご意見があればお伺いをしたいと思います。

○住吉公園緑地部長 公園の都市計画決定でございますけれども、都市計画担当部局とはこれまでも都市計画決定につきまして十分に話し合いを行いまして、その区域等について定めてきたものでございます。今後もさらに密に情報交換等を行いまして、適正な都市計画決定を行うよう努めてまいりたいというふうに考えております。

○高島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。

○高島委員長 付託議案の審査を行います。
 諮問第二号を議題といたします。
 本件については既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、棄却すべき旨答申することに賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕

○高島委員長 起立多数と認めます。よって、本件は棄却すべき旨答申することに決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○高島委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高島委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
 なお、委員の派遣が必要な場合につきましては、その取り扱いを委員長に一任いただきたいと思いますが、ご了承願います。

○高島委員長 この際、所管二局を代表して、高橋住宅局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○高橋住宅局長 お許しをいただきまして、建設局、住宅局の二局を代表させていただきまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 今定例会にご提出申し上げました付託議案、契約議案につきましては、委員長初め委員の皆様の熱心なご審議をいただき、心より感謝申し上げます。まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りましたご意見、ご提言等につきましては、その趣旨を十分踏まえまして、適正かつ効率的な事業執行に最善を尽くしてまいります。今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 大変簡単で恐縮でございますが、お礼のあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

○高島委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十四分散会

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