建設・住宅委員会速記録第五号

平成十四年三月二十日(水曜日)
第九委員会室
午後一時十六分開議
 出席委員 十四名
委員長田代ひろし君
副委員長前島信次郎君
副委員長星野 篤功君
理事花輪ともふみ君
理事川井しげお君
理事新井美沙子君
伊沢けい子君
ともとし春久君
山田 忠昭君
林田  武君
小礒  明君
西条 庄治君
大山とも子君
池田 梅夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
住宅局局長橋本  勲君
技監小関 尚久君
総務部長関谷 保夫君
多摩都市整備本部本部長石河 信一君
管理部長長野  宏君
建設局局長山下 保博君
次長平井 健一君
道路監小峰 良介君
総務部長森澤 正範君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 予算の調査(意見開陳)
 ・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 建設・住宅委員会所管分
 ・第十二号議案 平成十四年度東京都都営住宅等事業会計予算
 ・第十三号議案 平成十四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 ・第十七号議案 平成十四年度東京都新住宅市街地開発事業会計予算
 ・第十八号議案 平成十四年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
 ・第十九号議案 平成十四年度東京都市街地再開発事業会計予算
 ・第二十号議案 平成十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 ・第二十三号議案 平成十四年度東京都都市再開発事業会計予算
 付託議案の審査(決定)
 ・第百二十三号議案 東京都駐車場条例の一部を改正する条例
 ・第百二十四号議案 東京都道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例
 ・第百二十五号議案 東京都立公園条例の一部を改正する条例
 ・第百二十六号議案 東京都自然公園条例
 ・第百二十七号議案 東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
 ・第百二十八号議案 東京都霊園条例の一部を改正する条例
 ・第百二十九号議案 東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例
 ・第百三十号議案 東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
 ・第百四十二号議案 平成十四年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○田代委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました意見書一件につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○田代委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせました。
 なお、視察の詳細及びその他に必要な場合の視察につきましては、その取り扱いを委員長にご一任いただきたいと存じますので、あわせてご了承願います。
 視察の日にちは、そちらにも記載されておりますが、五月の下旬ということにさせていただきたいと思います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査及び付託議案の審査、並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査、調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、建設・住宅委員会所管分、第十二号議案、第十三号議案、第十七号議案から第二十号議案まで及び第二十三号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了してございます。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○林田委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十四年度予算関係議案について意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 現下の都財政は、三年連続の財政赤字や七兆円を超える都債残高に加え、一兆円を超える隠れ借金など、大変厳しい状況にあります。さらに、十四年度は、景気が一段と悪化することが予想される中で、都税収入についても大幅な減少が見込まれております。財政再建道半ばにある今日、都財政の構造改革に一層の進展がなければ、都政のさまざまな施策の実行に支障が生じかねません。
 その一方で、東京は国内外の厳しい都市間競争にさらされており、この中で生き残っていかなければ、東京だけでなく、我が国自体の衰退につながるものであり、都市基盤の整備や少子高齢社会への対応、景気対策、環境危機や治安悪化への対応など、都政の重要課題への取り組みが急がれております。
 こうした取り組みを通じて、首都東京を何としても再生し、都民一人一人が夢や希望を持ち続けられるような輝かしい社会をつくり上げていくことが、我々の責務であります。新しい時代にふさわしい施策の再構築や歳入確保努力など、財政構造改革の実行がますます重要になっております。
 知事は、平成十四年度予算案を、東京が直面する危機に積極的に対応する予算と位置づけ、編成されました。
 内容を見ますと、歳出面においては、財政再建推進プラン三年目の予算として、引き続き、職員定数の削減など内部努力や施策の見直し、再構築に取り組んでおります。
 首都東京圏再生に向けては、区部環状道路や多摩南北方面の道路など幹線道路の整備に取り組むとともに、りんかい線などの公共交通網の整備を進めることとしております。また、交通渋滞の解消策として、新たに効果満点道路事業に取り組むとともに、鉄道の連続立体交差を推進することとしております。
 環境面では、東京の森再生プロジェクトに新たに取り組むとともに、自動車公害対策についても充実させております。
 また、都民生活の不安に対しては、緊急地域雇用創出特別基金事業や中高年リストラ対策など雇用対策や、中小企業制度融資の充実や商店街活性化事業などの中小企業対策を迅速に進めることとしております。
 さらに、我が党が強く主張してきた福祉改革についても、認証保育所の一層の拡充や暮らしの福祉インフラ緊急整備など、きめ細かく対応されております。
 このように、厳しい財政状況にあっても、首都東京の再生に向けて、ハード、ソフトの両面からしっかりと対策が組まれております。
 一方、歳入面においては、都市基盤整備を推進するため、国庫支出金の確保に努めるとともに、都民間の負担の公平を図る観点から、使用料、手数料についても必要な見直しがされております。
 しかしながら、税源の移譲など地方税財政制度の改善については、この予算案では具体的な改善が図られませんでした。今後も引き続き、税財源移譲を初めとする地方税財政制度の改善を強く国に働きかけ、地方主権の時代にふさわしい財政自主権を実現していかなければなりません。
 景気の先行きについて速やかな改善が期待できない中、都財政の運営に当たっては、常に財政再建の初心に立ち返り、引き続き、財政再建推進プランに基づき財政構造改革へのなお一層の取り組みを行い、明るい展望が得られるよう、努力を積み重ねていただきたい。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも一層効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく、最大限の努力を重ねられるよう強く要望いたします。
 次に、関係各局に移ります。
 まず、建設局関係について申し上げます。
 一、東京における道路、河川などの都市基盤は、いまだ十分といえる状況でなく、その整備促進は、交通渋滞の解消や住環境の向上に寄与し、経済波及効果も大きいことから、今後とも、国に対し、公共事業費の確保と配分拡大について要望されたい。
 二、都民生活を支え、都市づくりの基本となる道路については、都市の骨格を形成する幹線道路、地域幹線道路及び山間、島しょ地域の振興を図る道路の整備をそれぞれ促進するとともに、多摩川中流部橋梁等についても整備促進を図られたい。
 とりわけ環状八号線や調布保谷線などの区部環状、多摩南北方面を重視した幹線道路網を重点に整備されたい。
 また、首都高速王子線及び新宿線の関連街路については、早期完成に向けて、その促進を図られたい。
 三、交通渋滞の早期解消を図るため、渋滞の原因となっているピンポイント箇所の重点的、集中的整備やバスベイの設置などを行う効果満点道路事業を強力に推進されたい。
 四、公共交通については、日暮里・舎人線及び東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」延伸部、有明から豊洲の事業の推進を図られたい。
 五、交通渋滞解消やまちづくりに多大な事業効果のある鉄道連続立体交差事業については、JR中央線や小田急小田原線などで、引き続き事業を促進されたい。
 また、踏切渋滞を早期に解消するため、緊急整備手法による踏切すいすい事業を推進されたい。
 六、おくれている多摩地域の道路整備を促進するため、みちづくり・まちづくりパートナー事業の着実な推進を図られたい。
 七、道路の騒音、振動の防止と中小企業の景気対策にも大きく寄与する道路補修については、より一層の事業の充実を図るとともに、工事の平準化を図るため、ゼロ都債を活用されたい。
 八、渋滞緩和に効果のある交差点すいすいプラン一〇〇及び歩行者の安全確保を図る歩道の整備、防災機能の強化や高度情報化社会の実現に有効な架空線の地中化を推進されたい。
 九、都市型水害の解消を図るため、空堀川、野川などの中小河川の護岸整備を促進するとともに、環状七号線地下調節池の整備など、総合的な治水対策の推進を図られたい。
 また、水辺に親しめる環境を創出するスーパー堤防や隅田川のテラス整備を促進されたい。
 十、都民に緑と潤いを与えるとともに、防災の拠点となる場として、都市公園の造成並びに既設公園の施設整備を促進されたい。
 また、東京の顔づくりとして、文化財庭園の再生及び活用に努められたい。
 十一、都民が安全で快適に暮らせる総合的なまちづくりを実現するため、都心部の汐留地区、秋葉原地区、環状第二号線地区及び副都心となる北新宿地区、豊洲、晴海、有明北地区の整備を促進されたい。
 十二、三宅島の災害復旧について、島民の帰島に備え、道路や砂防ダムなどの整備を強力に進められたい。
 次に、多摩都市整備本部関係について申し上げます。
 多摩ニュータウン事業を初めとする多摩都市整備本部所管事業については、各事業が進捗し、収束期を迎えることから、平成十四年度、本部組織は建設局へ統合することになっていますが、統合後も、従来同様、地元市等との連携に努め、多摩地域のまちづくりを着実に推進されたい。
 一、多摩ニュータウンについては、すぐれた都市環境を生かし、産・学・公の連携による新たな機能や産業の集積を図るとともに、東京圏メガロポリスの拠点にふさわしい魅力的なまちづくりを目指すよう努められたい。
 二、多摩地域における他の核都市との広域連携を確保する交通基盤の強化を図るため、南多摩尾根幹線の整備などを積極的に推進されたい。
 三、多摩ニュータウンの宅地販売については、人、物、情報の交流する職と住のバランスのとれたまちづくりに配慮して推進されたい。
 四、坂浜平尾区画整理事業については、地元の意向を十分反映した上で見直しを進め、早期に地域整備の具体的な方向性を明確にされたい。
 五、多摩地域のスポーツ振興の拠点である東京スタジアムを初めとした調布基地跡地に立地する諸施設が、多摩地域の自立化、活性化に一層の効果を発揮するよう、アクセス道路などの調布基地跡地整備に関する事業を着実に推進されたい。
 次に、住宅局関係について申し上げます。
 一、都営住宅については、都営住宅制度の抜本的改革に着実に取り組み、適正かつ公平な管理に努められたい。
 また、都営住宅の既存ストックについては、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトなどの民間活力を活用した建てかえ事業の展開に努めるとともに、スーパーリフォーム事業を拡充するなど、ストックの有効活用をさらに促進されたい。
 二、民間住宅施策については、中古住宅流通促進など住宅ストックの有効活用を図るとともに、木造住宅密集地域の不燃化建てかえなど、施策目的に沿った住宅の取得促進に努めること。
 また、中堅所得層向け住宅として、優良民間賃貸住宅供給助成や民間活用都民住宅の供給助成を着実に進められたい。
 三、地域の実情に即したきめ細かな住宅施策の展開ができるよう、区市町村住宅の供給支援に努めるとともに、都営住宅の移管を促進されたい。
 四、若年ファミリー世帯や高齢者、障害者に配慮した多様な住宅の供給に努めるとともに、高齢者の居住の安定確保に関する法律を踏まえ、高齢者向け優良賃貸住宅供給助成に努められたい。
 五、都内に広範に広がる密集市街地を災害に強いまちとしていくため、木造住宅密集地域整備促進事業を強力に推進されたい。
 六、都心部における居住人口の回復など、地域の活性化を図るため、都心共同住宅供給事業の認定地域の拡大を図るとともに、補助を重点化するなど、効果的な施策の展開に努められたい。
 七、分譲マンションについては、現在、制定手続が進められているマンションの建てかえの円滑化等に関する法律を踏まえ、今後増加が見込まれる建てかえに的確に対応できるよう、分譲マンションの実態調査を実施するとともに、建てかえアドバイザー制度の創設など、施策の充実に努められたい。
 以上で、私の意見開陳を終わります。

○花輪委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成十四年度予算に係る議案について意見の開陳を行います。
 平成十三年度予算は、企業収益の改善や銀行業などに対する外形標準課税の導入などにより、法人二税の大幅な伸びを見込み、三年ぶりの増額予算となりましたが、十四年度予算案は、アメリカ経済の急減速の影響もあり、法人二税の大幅な減収を見込むマイナス予算となっています。
 そうした中にあっても、既存の施策を聖域なく見直すとともに、重要施策を選定し、財源を重点的に振り向けることによって、めり張りのある予算編成を行っている点は評価できるところですが、重要施策の選定基準や財源が不明確だったため、選定された事業が総花的な嫌いがあります。今後も同様の手法を講じられる場合は、目標、基準、財源を明確にして取り組まれるよう求めるものです。
 また、政策的経費である一般歳出を四兆三千七百六十三億円確保し、福祉と保健に七千六十七億円、教育と文化に九千七百五十八億円を充て、それぞれ構成比を高めるなど、限られた財源を都民福祉の向上に重点的に投じていることは評価されてよいと思います。
 しかし、さまざまな工夫にもかかわらず、二千五百七十七億円の財源不足が生じ、減債基金の一部計上見送り七百二十三億円、基金の取り崩し一千三百五十四億円、借入金の返済繰り延べ三百億円などを余儀なくされています。この結果、減債基金の積立不足額四千六百七十四億円を初めとした隠れ借金が一兆円を超えることとなっています。
 十四年度予算案では、都職員一千四百十七人削減、管理職給与削減、五十五歳昇給停止、八十八事業の廃止、休止など、引き続き徹底した内部努力や施策の見直し、再構築などの財政再建の取り組みを進めていますが、事業評価にバランスシートが活用し切れていないなど、十三年度から本格的に実施された行政評価制度の活用が不十分で、施策の見直し、再構築に的確に反映できたとはいえません。
 今後、施策の見直し、再構築を都民とともに考え、実行していくためにも、事業ごとに行政コスト計算書や貸借対照表などの事業別バランスシートを作成し、行政評価制度に組み込んでいくことが必要だと考えます。
 いずれにしても、東京都の財政は、都税収入の主要な部分を法人二税が占めるため、景気動向に大きく左右されています。地方税財政制度の抜本的な改革が強く求められるところですが、同時に、今後の都政の安定的運営を確保するために、バブル崩壊以降のこれまでの経験を総括し、財政運営の基本原則を定める条例の制定をも視野に入れるべきであります。検討を求めるものです。
 以上、私たちの総括的な見解を申し述べ、以下、各局にかかわる事項について申し述べていきたいと思います。
 まず、住宅局について。
 一、中古住宅市場の活性化を図るために、リフォームなどの履歴情報を記録した家歴書の整備やキャリア住宅奨励制度を創設するとともに、中古住宅流通フォーラムを立ち上げること。
 一、分譲マンションの相談体制の充実や維持管理を支援するとともに、分譲マンションの円滑な改修、建てかえに係る調査研究に取り組むなど、分譲マンション対策に総合的に取り組むこと。
 一、中小住宅生産事業者に対して、技術習得のための講習会を設置するなど、技術力、経営力の向上に努めること。
 一、住民の身近な地域での住宅施策を展開するために、高齢者向け優良賃貸住宅供給助成など区市町村による住宅供給を支援するとともに、既設の都営住宅は区市町村へ積極的に移管すること。
 一、住環境の整備を進めるために、ミニ延焼遮断帯の整備などによる木造住宅密集地域の整備を促進するとともに、都心共同住宅供給事業の対象地域の拡大など都心居住を推進すること。
 一、高齢者の住宅対策を進めるために、民間住宅のバリアフリー化を推進すること。
 また、高齢者の身元を保証するあんしん住宅制度に取り組むとともに、ケアつき住宅など高齢者向け住宅供給に努めること。
 一、都営住宅の建設、管理運営に当たっては、事業収支を明確にするために、特別会計を創設すること。
 また、住宅供給公社のあり方については、廃止や民営化も含めて検討すること。
 一、都営住宅の管理運営に当たっては、入居者の公平性を高める観点から、期限つき入居を拡大するとともに、使用承継制度の見直しは厳格に適用すること。
 次に、建設局について。
 一、幹線道路の整備については、区部環状、多摩南北方向などを重点的に整備すること。
 また、バスベイの設置や踏切内の歩道の設置を進めるなど、渋滞解消に向けた効率的、効果的な事業を展開すること。
 一、JR中央線や小田急線などの鉄道の連続立体交差化事業を推進すること。
 また、踏切すいすい事業や交差点改良すいすいプラン一〇〇に積極的に取り組むなど、ボトルネックの解消に努めること。
 一、臨海新交通「ゆりかもめ」の延伸部の推進など、公共交通に関連する事業を進めること。
 一、架空線の地中化を推進するとともに、踏切道や自転車道網の整備など交通安全対策を進めるとともに、透水、保水性歩道を整備すること。
 一、都市型水害対策として、神田川、空堀川などを整備するとともに、インターネットによる水防情報システムを構築すること。
 また、PFIなどの活用により、係留施設を整備すること。
 一、都市公園の整備として、個性豊かな都立公園の整備を進めるとともに、福祉のまちづくりに基づく公園のバリアフリー化や二十二世紀の都市の森づくり、市民緑地制度を推進すること。
 一、北新宿や環状二号線地区の市街地再開発事業については、新たに特別会計を設置することにより、事業収支を明確にすること。
 次に、多摩都市整備本部について。
 一、多摩地域における整備については、多摩地域全域を視野に入れ、地域間のアンバランス、多摩内格差を助長しないように留意すること。
 一、多摩ニュータウン事業は、平成十五年度末の新住宅市街地開発事業の終了及び相原・小山開発事業の換地終了に向けて着実に取り組むこと。
 以上で都議会民主党を代表しての意見開陳を終わりますが、最後に一言申し上げます。
 多摩都市整備本部におかれましては、その前身である南多摩新都市開発本部の時代から多摩ニュータウンの開発に取り組み、人口急増期における住宅需要に適切に対応するとともに、首都圏における先駆的なまちづくりを常に実践されてきました。まさに私が生まれた昭和四十一年より、さまざまな難題を乗り越えながら、この事業に取り組まれ、全国のまちづくり関係者が参考にしてきた、東京が誇るべきものの一つといえると思います。
 開発事業がいよいよ収束段階を迎え、これからは地域の市民、住民や自治体とが連携した地域経営へと施策が移行することとなります。
 私もこの間、厳しい意見を述べさせていただいたこともありましたが、本日、多摩都市整備本部に対する最後の意見開陳になることを踏まえ、皆様を初め、これまでこの事業にご尽力いただいた方々のご苦労を率直にねぎらいたいと思います。お疲れさまでした。
 以上で終わります。

○ともとし委員 都議会公明党を代表して、当委員会に付託されました十四年度予算について意見の開陳を行います。
 長引く経済不況のもと、都税収入が前年度に比べ三千六百億円減少するという厳しい財政状況下で編成された平成十四年度東京都予算案は、一般会計で五兆九千七十八億円、前年度比四・八%マイナス、施策経費である一般歳出も、前年度比二・四%マイナスという緊縮予算となった。
 こうした中、都は、本予算を東京が直面する危機に積極的に対応する予算と位置づけ、今の最大課題である雇用、中小企業対策、都市再生などの重要施策には新たな編成手法を導入し、財源を優先的に配分する一方、都民生活を守る観点から、生活環境分野では四・七%増、保健福祉分野では、〇・三%減ながら、構成比においては過去最高の一二%となるなど、評価できるものである。
 また、投資的経費については、十年連続マイナスながら、効果の高い事業に重点化し、めり張りをつけており、努力の跡がうかがわれる。
 行政改革においても、一千四百十七人の定数削減を初め、監理団体の統廃合、団体職員の削減など、我が党の主張に沿う形で推進され、その結果、財政再建推進プランの取り組み目標を八割達成している。今後も、引き続き都の財政改革を進めなければならないし、とりわけ税財源の移譲は、これまで以上に取り組みを強めなければならない。
 都財政は、今後さらに厳しい事態が予想されており、都債の実償還額も急増する。そうした中にあって、予算案では、減債基金の積み立てを本来額の四分の三にとどめた。事情を理解するものの、予算本来のあり方として、今後の課題と位置づけるべきである。
 今後、予算案の執行に当たっては、より一層都民の期待にこたえられるよう、丁寧に、スピーディーに行われるよう強く要望する。
 以下、各局別に申し上げます。
 初めに、住宅局関係について申し上げます。
 住宅は、都民の暮らしの最も基礎的な条件であり、豊かで生き生きとした都民生活を実現していく上で、住宅問題の解決は都政の最重要課題の一つであります。
 新たに策定された東京都住宅マスタープランに沿って、都営住宅の建設を初め都民住宅の供給、良質な民間住宅の供給誘導など、施策を強力に推進するとともに、少子高齢化社会の進展に対応した住宅対策や、環境や健康に配慮した住宅対策など、新たな課題に対応した積極的な施策の展開を図っていく必要があります。
 一、都営住宅の整備については、既存住宅ストックの更新に重点的に取り組み、再編整備を進める中で建てかえ事業を着実に推進するとともに、住宅供給公社も活用し、良質なストックの形成に有効なスーパーリフォーム事業の拡充に努めること。
 また、世帯構成に応じた型別供給と住みかえを的確に推進されたい。
 二、シルバーピアの建設及び高齢者、障害者等向けの住宅供給を着実に進めるとともに、高齢者、障害者世帯、母子世帯、若年ファミリー世帯等が厳しい実情にあることを考慮し、真に住宅に困窮する者が都営住宅に優先的に入居できるよう、募集方法を含め検討されたい。
 また、期限つき入居を一般都営住宅に拡大するとともに、事業破綻者など一時的に住宅に困窮する者の入居を進められたい。
 三、都営住宅については、住宅に困窮する低所得者が入居できるよう、公営住宅の供給目的に沿った適切な管理に努められたい。
 四、高齢者、障害者等に配慮した居住環境を整備するため、都営住宅建てかえの際の福祉施設等の併設、既存都営住宅の高齢者向け住宅改善や集会所の改善、エレベーターの設置、高齢、障害等を理由とした住宅変更などの施策を着実に推進されたい。
 また、住宅のバリアフリー化について、公共住宅はもとより、民間住宅のバリアフリー化誘導を一層促進されたい。
 五、中堅所得層向けの住宅施策として、民間活力を活用した都民住宅の供給を着実に進めるとともに、公社の賃貸住宅についても、居住者の意向に配慮しつつ、建てかえの促進に努められたい。
 六、まちづくりや福祉施策と連携した区市町村による公営住宅を一層促進するため、都の支援を強化しつつ、都営住宅の移管や区市町村による公営住宅の供給を促進されたい。
 七、都市型居住として定着している分譲マンションについて、マンション管理法やマンション建てかえ円滑化法の趣旨を踏まえ、その維持管理や建てかえ支援など、マンション対策の拡充に努められたい。
 特に、都営住宅の空き家をマンション建てかえの際の仮住居として提供することや、都営住宅の敷地を木造住宅密集地域の整備のために活用することなど、都市再生の観点から都営住宅の多面的活用を図られたい。
 また、都心共同住宅供給事業などを積極的に活用し、都心居住の推進に向けた住宅対策の支援を拡充されたい。
 八、住宅ストックの円滑な流通と活用を図るため、区市町村、事業者等と連携し、中古住宅市場の活性化等を図られたい。
 九、高齢者が安心して暮らせる高齢者向け優良賃貸住宅について、区市町村による供給拡充の支援を強化されたい。
 十、民間賃貸住宅における高齢者の居住の安定確保に向けて、高齢者あんしん入居制度等の一層の普及に努められたい。
 十一、災害に強く、安全な住環境、市街地への整備、再生に向けて、木造住宅密集地域の整備、促進に努められたい。
 十二、三宅島火山活動が長期化していることから、避難島民に対する都営住宅等の提供について、さらに延長措置を講じていただきたい。
 また、住宅の復興対策についても万全を期されたい。
 次に、多摩都市整備本部関係について申し上げます。
 多摩ニュータウン建設事業は、事業開始後三十五年を経過し、まちづくりの総仕上げの時期を迎えている。社会経済状況の変化に的確に対応した宅地販売の推進を図るとともに、残された諸課題についても、地元市と協力し、解決を図られたい。
 また、現在進められているプロジェクトについても、多摩地域の振興に寄与するものとして期待が集まっており、次に掲げる施策の推進を強く要望する。
 一、多摩ニュータウンにおいては、職と住とが均衡のとれた複合的な都市機能に加え、環境や高齢者の生活に配慮した、ゆとりと豊かさを実感できるまちづくりを推進されたい。
 二、多摩ニュータウンは、少子高齢化社会の進展、初期に建設した住宅等の施設リニューアル等、新たな課題が生じている。このため、ニュータウン全体の調整者として、地元市、関係機関との明確な役割分担のもとに各事業の推進が図られるよう、引き続き仕組みづくりを行われたい。
 三、相原・小山地区のまちづくりについては、豊かな自然環境と調和を図りつつ、業務・商業など多面的機能を備えたまちづくりを実現するため、都市戦略を明確にし、先進性あふれる都市形成を図られたい。
 四、多摩地域における交通基盤の整備を図るため、南多摩尾根幹線を初めとする幹線道路など道路網の整備を促進されたい。
 五、坂浜平尾地区整備事業については、社会経済状況の変化を踏まえて見直し、地元市と調整の上、地域整備の方向性を早期に具体化されたい。
 六、東京スタジアムの周辺道路整備などの調布基地跡地整備事業や西国分寺地区整備事業については、多摩地域の活性化と広域的連携、交流の拠点となるよう、地元市と協力して着実に推進されたい。
 次に、建設局関係について申し上げます。
 まちづくりは、都民の多様なニーズに配慮した均衡ある基盤の整備を図ることが重要である。また、阪神・淡路大震災等の教訓を踏まえ、耐震性に強い防災体制の整備を図るとともに、高齢化社会に対応できるまちづくりを推進することが急務となっている。
 こうした観点から、以下の項目を重点的に進められるよう要望する。
 一、阪神・淡路大震災の教訓にかんがみ、橋梁、河川の護岸、堤防など、都市基盤整備施設について計画的な耐震対策を進められたい。
 二、中小河川の改修を重点的、効率的に推進するとともに、あわせて調節池の設置を推進されたい。
 三、神田川の浸水対策については、特段の対策を講じて、川沿いの住民を浸水被害から守ることに努められたい。
 四、江東内部河川の整備を進めるとともに、しゅんせつによる水質浄化を図られたい。
 五、清流復活全体計画に基づく中小河川の清流化を推進し、自然豊かな河川整備を進められたい。
 六、都民の霊園需要に対応するため、新形式墓地の増設に努められたい。
 七、歩道橋の安全性を調査し、地元要望を踏まえ、撤去、改築、スロープ化、及び必要な箇所についてはエスカレーター、エレベーターの設置等、総合的に見直しをされたい。
 八、都市の骨格を形成する幹線道路、地域幹線道路及び山間、島しょ地域の振興を図る道路については、逐次事業を推進するとともに、整備のおくれている多摩地域を重点的に促進されたい。
 九、環状八号線を初めとする幹線道路のさらなる立体化を推進されたい。
 十、早期に交通渋滞の解消を図るため、効果満点道路事業を推進されたい。
 十一、道路と鉄道の連続立体化を進めるため、国庫補助金の増額を国に要求するなど財源確保に努めること。
 また、JR埼京線の十条駅付近、京成押上線、小田急小田原線、東武東上線の立体化事業についても、早期事業化を図られたい。
 十二、多摩都市モノレール、日暮里・舎人線の整備促進を図られたい。
 十三、用地買収等の公共事業による立ち退きについては、補償基準の引き上げ、生活再建資金貸し付けの拡大、代替地、公営住宅などのあっせんを積極的に進められたい。
 十四、事業中の亀戸・大島・小松川地区、白鬚西地区、赤羽北地区の市街地再開発事業や、瑞江駅南部地区、花畑北部地区の土地区画整理事業については、早期完成を目指し、強力に推進されたい。また、北新宿地区、環状第二号線地区の市街地再開発事業の促進を図られたい。
 十五、木造密集地域の防災都市づくりの早期事業化を図られたい。
 十六、都民一人当たり七平米の公園を確保するために、用地確保と整備に努め、緑豊かな都市の実現を図られたい。
 十七、街路樹の保存、育成に配慮しつつ、美しい都市景観を創出するために、架空線の地中化や歩道のカラー舗装化等を促進されたい。
 十六、障害者のため、点字ブロックの設置等、優しいまちづくりを進められたい。
 十九、三宅島の災害復旧について、島民の帰島に備えた道路や砂防ダムの整備を強力に進められたい。
 以上であります。

○大山委員 私は、日本共産党都議団を代表し、本委員会に付託されました平成十四年度予算についての意見の開陳をいたします。
 まず、住宅局関係です。
 来年度の住宅局予算の特徴は、都営住宅事業を特別会計化したことであります。都営住宅の管理戸数の抑制、管理強化を一方で進めながら、収支の明確化といって、居住者への負担の増大を進めかねない特別会計化を進めるのは問題であります。
 また、都営住宅建設事業では、平成十四年度も、平成十二年度から三年間、新規建設はゼロであり、東村山本町団地などを初めとして、大規模団地の建てかえでも元戸数の確保にとどめるとしています。住宅政策審議会に基づく都営住宅の管理強化で対象者を絞り込む、その一方で管理戸数を縮小する、このことは、都営住宅建設からの撤退であり、都民の強い住宅要求から見ても、また公営住宅法からいっても、地方自治体の責務の放棄だといわざるを得ません。
 マスタープランでは強調していた区市町村住宅への支援も、十三年度予算と比べると、約二六%の戸数しか予算化していないことは重大であります。その一方、都民の貴重な都有地である都営住宅用地を民間に長期貸し付けし、民活方式で行う南青山一丁目プロジェクトが重点施策として予算化されました。センター・コア・エリアへの住宅供給を重点施策とし、東京構想二〇〇〇での住宅部門での実践に踏み出しているといえます。
 さらに、都営住宅の管理制度の変更は、居住者のみならず、都営住宅に入居を望むすべての都民への大きな影響が避けられません。専任管理人事務所の廃止、このままでの巡回管理人制度の実施、使用承継制度の改悪による都民サービスの低下は明らかであります。また、公営住宅の提供は住宅行政の根本であり、募集まで含めた住宅供給公社への全面委託はすべきではありません。
 平成十四年度予算は、今述べた都の住宅行政の根幹にかかわる施策の改悪を前提としたものであり、認められません。
 一、都営住宅の新規建設を再開すること。
 また、建てかえに当たっては、従前戸数はもとより、戸数増や地元公共施設整備を図ると同時に、民間活力などの名目で利益を優先した開発は認められません。
 一、都営住宅の計画修繕やエレベーター設置予算を増額すること。
 一、都営住宅管理、募集の住宅供給公社への全面委託は行わないこと。
 一、専任管理人事務所の廃止は行わないこと。
 また、巡回管理人制度は、住民の意見を聞き、充実させること。
 一、木造密集地域の木造個人住宅の無料耐震診断、耐震改修への補助制度などをつくり、防災と居住継続が両立できる支援を行うこと。
 一、公社住宅の近傍同種家賃基準を見直すこと。
 低所得者などへの減免制度を確立すること。
 一、木造住宅リフォーム支援制度を創設すること。
 一、マンション相談を初め、区市町村が取り組むマンション施策を支援する新たな補助制度を創設すること。
 マンション管理士制度の定着、普及のための支援を行うこと。
 一、東京都の不動産相談、マンション相談を充実すること。
 次は、建設局です。
 来年度の予算は、交通安全や都市公園の整備など、都民要求を反映して増額されたものもあります。しかし、主要事業別予算の合計で比べると、骨格幹線道路費がその中の五一・一%であり、しかも、そのうち用地費が四百九十九億円に上ります。幹線道路建設、再開発や区画整理事業など大型開発事業に予算がつぎ込まれているため、投資的経費は減らず、都債をふやす道であります。景気対策だといいながら、直接は景気対策にならないばかりか、医療、福祉の切り捨てなど、都財政が大型開発事業に集中的に投入される矛盾が都政の総体で出ています。
 また、不況の中、火葬料や河川占用料など、都民の暮らしにかかわる値上げと、有料公園の六十五歳以上の入場料の半額徴収などが含まれたものであります。
 一、巨額の都財政投入となる環状二号線地区、北新宿地区、汐留など、都施行の市街地再開発、区画整理事業を抜本的に見直すこと。
 一、大型幹線道路優先を改め、多摩地域などの生活道路の整備を促進させること。
 歩道の設置やバリアフリーの促進など、歩道整備費を大幅に増額すること。
 電線類の地中化を進めること。
 一、臨海部などの低未利用地や遊休地を積極的に活用し、区部、とりわけ都心部での都市公園の新増設に努めること。
 一、路面悪化による振動、騒音、自動車事故などを未然に防ぐために、路面補修の事業費を大幅に増額すること。
 一、住環境を破壊し、住民の反対の多い環状二号線、調布保谷線、府中所沢線と環八などを初め、道路建設では、住民に情報を公開し、計画変更も含め十分な話し合いを行い、強行しないこと。
 一、自然を破壊し、大気汚染を拡大する首都圏中央連絡道路、東京外郭環状道路、中央環状線など、自動車専用道路を見直し、関連街路も含め再検討すること。
 一、六十五歳以上の有料公園の半額徴収、及び火葬料を初めとした都民の暮らしに直接影響を与える利用料、手数料の値上げを行わないこと。
 一、都市公園、緑道などを拡充整備し、既存の公園の改修、整備を促進すること。
 一、緊急雇用地域活性化事業は早急に検討し、事業を具体化すること。
 一、環状二号線、北新宿再開発、汐留区画整理事業等は抜本的に見直すこと。
 一、臨海開発を促進する有明北、豊洲・晴海の大街区方式の区画整理計画は再検討すること。
 一、船舶の係留適正化に当たっては、係留施設の整備を優先させること。
 一、国の直轄事業負担金は廃止すること。
 次は、多摩都市整備本部です。
 今年度は、新住宅市街地開発事業の平成十五年度事業終了に伴い、多摩ニュータウン事業会計を設置、新住宅市街地開発事業と相原・小山開発事業の宅地販売等を一体に行ってきました。来年度、多摩都市整備本部は再編整備で建設局に統合されますが、引き続き多摩ニュータウンのまちづくりに責任を持つこと。
 一、地元関係市に引き継がれる公共施設は、地元市とよく協議し、今後、地元市の負担増とならないよう十分整備すること。
 一、民活型ではなく、公共住宅を中心とした多摩ニュータウンのまちづくりを行うこと。住宅建設対策補助を継続すること。
 一、都市基盤整備公団が多摩ニュータウンのまちづくりに責任を果たすよう、指導すること。
 また、未利用地の活用は住民合意で進めること。
 一、多摩ニュータウンについては、公共交通の整備、駐車場、医療、文化、スポーツなど公共施設を整備し、バリアフリー化のまちづくり、住区商店街の現状を総点検し、住民本位のまちづくりを進めること。
 一、多摩の自然と緑を破壊し、大企業に奉仕する既存の大規模開発は抜本的に再検討すること。
 一、坂浜平尾地区の土地区画整理事業は、オオタカを初め野生動物の生息エリアを保護し、抜本的に見直すこと。
 以上です。

○新井委員 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、当委員会に付託された平成十四年度予算について意見を申し上げます。
 まず最初に、各局共通事項について。
 一般会計の予算規模は五兆九千七十八億円で、歳出規模で四・八%の減となりました。いうまでもなく都税は、法人二税の落ち込みが大きく、前年度に比べて約三千六百億円の減収でした。このため、平成十五年度には都債の総額は七兆円となり、その後、毎年約六千億を超える返還のピークを迎えるにもかかわらず、財政調整基金の取り崩しや都債返還のための積み立ての先送りを余儀なくさせております。財政改革にさらに取り組むとともに、国から地方への財源移譲を引き続き国に強く働きかけていく必要があります。
 本年度は、通常編成に先立ち、重要施策が決定されました。この方式については、時期的なおくれなど再考すべき課題はありましたが、一定の創意工夫がされたと思います。この中で、厳しい財政にもかかわらず、化学物質についての子ども基準の策定やグループホームなどが予算化されたことは評価されます。
 しかし一方で、都市再生の名のもとに、開発型の投資的経費がかなり予算化されました。こうした傾向は、都債の発行にも影響せざるを得ませんでした。将来の公債費負担の軽減を図るため、抑制基調を保ったと位置づけていますが、結果として約二百億円もの都債を増加させていますし、今回の最終補正を見ても、投資的経費が多くを占め、その問題は明らかです。総じて、従来の右肩上がりの幻想から脱却しておらず、いまだ都の借金体質が変わっていないといわざるを得ません。
 こうした都債の発行は、将来世代へのツケとして、その政治選択の幅を狭くすることにほかなりません。返還する都債も事実上の投資的経費であり、短期、中期的にも、環境や福祉などの分野が多い経常経費を圧迫することが危惧されます。
 また、もう一つの財政改革課題としては、監理団体等の整理統廃合問題があります。バランスシートを事業ごとに展開することや、施策原価を明らかにするための行政コスト計算書をつくるなどとともに、行政評価を参加型に変革し、さらに不要なものの整理、廃止、統合を進めるべきです。ただでさえ、一般会計以外の予算が余りにも膨大でわかりにくいことを踏まえれば、都政に関係する本格的な連結決算を導入することにより、都民への説明責任を果たすとともに、改革を進めていく必要があるでしょう。
 以上の点を踏まえ、各局別に意見を申し上げます。
 初めに、住宅局についてです。
 一、住宅マスタープランの実施において、特に政策目標値を掲げた施策については、その達成のために年度を区切った計画的な進行管理を行うこと。
 一、ユニバーサルデザインを取り入れたバリアフリー住宅、環境共生、省エネ住宅の建設を促進し、民間住宅への普及及び支援を行うこと。
 一、多様なライフスタイルに応じて住みかえができるよう、管理ができなくなった一戸建て住宅や集合住宅の登録制度などを進め、ファミリー向けの優良な住宅ストックをふやし、賃貸市場の活性化を進めること。
 一、都営住宅の空き店舗や住宅を、NPOや市民とともに、子育て支援や高齢者支援、まちづくり活動、グループホームなどに活用すること。
 一、都営住宅の特別会計化については、連結会計を進め、透明性を保つこと。
 一、バランスシートについては、企業会計との短絡的な比較ではなく、自治体の仕事の基本である福祉の視点を踏まえ、住宅政策に対する公としての負担のあり方をチェックすること。
 一、都営住宅の建てかえについては、ミックストコミュニティを意識し、福祉施設の併設や、自然エネルギー活用など環境との共生を図りながら、包括的なまちづくりの視点で地域の活力が出るよう、市区町村と連携して行うこと。
 一、スーパーリフォームについては、地元の事業者を積極的に登用し、きめ細かく進めること。
 一、都営シルバーピアなど、高齢、障害住宅の供給を進めるとともに、エレベーター設置を進め、バリアフリー化を積極的に進めていくこと。
 一、中古分譲住宅の建てかえ支援は、事業の進捗の度合いに合わせ、ニーズに合った支援を行い、優良建築物等整備事業については、都も補助を実施すること。
 一、木造住宅密集地域の再開発については、防災だけでなく、福祉、地域コミュニティの増進などの視点を大切にし、まちづくりNPOとの協働による取り組みを進めること。
 一、住宅性能表示制度の普及に当たっては、独自の評価項目を拡大し、住宅建材等の有害化学物質対策を進めること。
 次に、多摩都市整備本部についてです。
 多摩ニュータウンは、初めての入居以来三十年が経過し、緑が育った美しい町並みが形成されています。しかし、少子高齢化に伴う多くの課題を抱えていることも事実です。多摩都市整備本部は廃止になりますけれども、引き続き、ニュータウンづくりに力を発揮していただきたいと思います。
 一、建設局の多摩ニュータウン事業部で事業を引き継ぐことになるが、ニュータウンの最終コーディネーターとしての役割を果たすためにも、トータルなまちづくりの視点を持って事業に取り組むこと。
 一、未利用地の活用は、地元市と協議し、地域住民の合意の上で決定すること。
 一、行財政要綱にあるリザーブ用地の考え方は、将来にわたって堅持し、地元自治体の要望をできる限り実現するように努めること。
 一、多摩ニュータウン周辺の貴重な緑や自然を里山として保全し、NPOなど市民の力で管理運営をすること。
 一、坂浜平尾については、地元市、地権者、周辺市民の方々と協議の上進めること。
 最後に、建設局についてです。
 一、公共事業評価については、都民参加で事前、事後評価を取り入れること。
 一、都市基盤整備においては、生活に密着したより効果的な事業を優先し、投資的経費を削減するよう努めること。
 一、小田急線立体交差事業について出された裁判結果を真摯に受けとめ、今後は、都市計画のあり方を根本的に転換し、周辺住民への情報公開と計画への参加及び合意形成を図ること。
 一、道路や公園については、福祉のまちづくり条例に基づきバリアフリー化を進め、高齢者、障害者、子どもなど、だれでも安心して利用できるようにすること。
 一、河川については、流域貯留浸透を進め、都市型水害の解消を図り、総合治水対策として雨水利用、雨水浸透を促進すること。
 一、河川を親水空間として、その地域に合った環境整備を進めるとともに、水循環を取り戻すため、多自然型工法による自然な水辺づくりを進めること。
 一、都市に残された貴重な緑や空きスペースは、市区町村と協力し、公園など公共スペースとして確保すること。
 一、河川や公園の周辺環境整備については、企画段階から市民参加の手法を取り入れ、NPOなど市民による運営、管理を進めること。
 一、都市計画道路の整備に当たっては、東京圏の人口動向を踏まえた需要予測を立て、何もつくらないという代替案の検討も含めて、関係住民と協議をすること。
 一、二酸化炭素削減に向け、自動車の代替交通手段としての自転車普及のため、市区町村と連携し、自転車道及び自転車歩行者道の整備を進め、ネットワーク化を図ること。
 一、臨海部の広域幹線道路など交通アクセスについては、整備量を減らすなど事業を見直し、都財政の危機的状況にかんがみ、将来世代への負荷を最小限に抑えること。
 以上です。

○伊沢委員 では、平成十四年度予算についての市民の党の意見を申し上げます。
 まず第一に、都市再生におきましては、住んでいる人たちが望んでいるものを事業として行う。特に環境や生活、福祉に重点を置いた事業として行うべきだと思います。
 そういった観点から、二兆円もかかるような外郭環状道路の計画の中止を求めます。外環道を含む三環状線についても、見直し及び中止をするべきだと考えております。
 その上で、公共交通網を充実させ、渋滞解消のためにも車両を減らしていくことが重要と考えております。
 外環道の計画を中止した上で、その予算を使って、昨日もこの委員会で多数の方が意見を述べられておりました、歩道の設置を行うべきだと私は考えております。
 私の住む三鷹市においても、都道は二十七キロありますが、そのうち七キロについて、つまり二六%について歩道がない状態、未整備の状態があります。また、歩道がついていたとしても、人もすれ違うのがやっとという狭い歩道が多数見受けられます。
 そういった観点から、外環道の中止をして、その予算で歩道の設置、整備をしていくべきだと考えております。
 次、建設局でもう一点。小田急の連続立体交差事業についてですが、世田谷区の喜多見-梅ケ丘区間において裁判の判決が出され、この事業について違憲の判決が出ております。この事業についても、地下方式へ計画を見直していくということを検討すべきだというふうに考えております。
 それから、住宅局について、二点申し上げます。
 住宅局について、まず一点ですが、昨年の都議会において陳情も出されておりました、葛飾区の新宿六丁目のマンション建設において、公共物である都営住宅の建設に当たって、今民間でも紛争が絶えませんが、そういう中で、公共物である都営住宅の建設において、日影などが生じるというような問題が生じております。都は率先して模範を示すべき立場にある中で、このような事業を推進していくということは大変問題があると思われます。早急に検討をすべきだと思います。
 それから、第二点、住宅局でもう一点ですが、東久留米市落合川流域に都営住宅を建設する件についてです。
 この件については、昨年、またその前から請願や陳情が出されておりました。自然環境、また住環境への配慮などがなされておりません。いまだ周辺住民の心配も消えていない状況の中で建設が行われようとしております。
 中でも、ここの場所は浄水場が近接しておりまして、飲料水などへの影響についても、まだ調査が徹底して行われていない中で建設を行うということに、私は非常に問題があると思います。再検討を要求いたします。
 以上で私の意見について終わります。

○田代委員長 以上で予算に対する意見の開陳は終了いたしました。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長に提出いたしますので、ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○田代委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百二十三号議案から第百三十号議案まで及び第百四十二号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に質疑を終了してございます。
 この際、本案に対して発言の申し出がありますので、これを許します。

○池田委員 私は、日本共産党都議団を代表し、第百二十三号、第百二十四号、第百二十五号、第百二十六号、第百二十八号、第百二十九号及び第百四十二号議案に賛成し、第百二十七号議案、東京都葬儀所条例の一部を改正する条例及び第百三十号議案、東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例に反対する立場で意見を述べます。
 第百二十七号議案は、瑞江葬儀所の火葬料などを値上げする条例の改定案です。
 瑞江葬儀所は、都内で唯一の都営火葬場であり、低廉な料金で都民に利用されているものであります。この火葬料を一・五倍に値上げし、さらに原価に近づけていく方向を示しているものです。不況が長引き、都民の暮らし、営業が厳しい中、値上げは認められません。
 また、第百三十号議案は、一般河川敷地は漁業者の係留にかかわるもので、賛成できません。
 以上です。

○田代委員長 以上で発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第百二十七号議案及び第百三十号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕

○田代委員長 起立多数と認めます。よって、第百二十七号議案及び第百三十号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百二十三号議案から第百二十六号議案及び第百四十二号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕

○田代委員長 起立多数と認めます。よって、第百二十三号議案から第百二十六号議案及び第百四十二号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百二十八号議案及び第百二十九号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認めます。よって、第百二十八号議案及び第百二十九号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○田代委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○田代委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、石河多摩都市整備本部長から発言を求められておりますので、これを許します。

○石河多摩都市整備本部長 お許しをいただきまして、当委員会所管の三局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 今定例会にご提案申し上げております、平成十四年度当初予算案を初め各議案につきまして、慎重かつ熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 調査、審査の過程でいただきましたご意見、ご要望等につきましては、十分尊重させていただき、今後の事務事業の執行に万全を期してまいります。
 今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 甚だ簡単ではございますが、お礼の言葉とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○田代委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時十九分散会

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