建設・住宅委員会速記録第四号

平成十四年三月十九日(火曜日)
第九委員会室
午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長田代ひろし君
副委員長前島信次郎君
副委員長星野 篤功君
理事花輪ともふみ君
理事川井しげお君
理事新井美沙子君
ともとし春久君
山田 忠昭君
林田  武君
小礒  明君
西条 庄治君
大山とも子君
池田 梅夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
住宅局局長橋本  勲君
技監小関 尚久君
総務部長関谷 保夫君
住宅政策担当部長小川 富由君
連絡調整担当部長阿部  亨君
開発調整部長青木 治道君
臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務高岡 信也君
建設部長小林 計代君
建設推進担当部長矢口 哲也君
参事大森 勝海君
管理部長井上 克彦君
参事野澤 直明君
参事渡部 景之君
不動産業指導部長渡利 紘司君
多摩都市整備本部本部長石河 信一君
建設監勝田 三良君
管理部長長野  宏君
事業企画担当部長二ノ宮 博君
建設計画部長山崎 俊一君

本日の会議に付した事件
 多摩都市整備本部関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費 多摩都市整備本部所管分
  ・第十七号議案 平成十四年度東京都新住宅市街地開発事業会計予算
  ・第十八号議案 平成十四年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
 住宅局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 住宅局所管分
  ・第十二号議案 平成十四年度東京都都営住宅等事業会計予算
  ・第十三号議案 平成十四年度東京都都営住宅等保証金会計予算
  報告事項(質疑)
  ・東京都住宅マスタープランの策定について

○田代委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、多摩都市整備本部及び住宅局関係の平成十四年度予算の調査及び住宅局関係の報告事項の質疑を行います。
 これより多摩都市整備本部関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、多摩都市整備本部所管分、第十七号議案及び第十八号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取してございます。
 その際資料要求はしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○池田委員 昨年の十一月に、ニュータウンの地元市で構成する南多摩ニュータウン協議会から、多摩ニュータウン関連事業の促進に関する要望書、こういう中身の要望書が出されています。これが東京都に提出され、各関連局の問題があるわけですが、そのうち多摩都市整備本部所管の事業について、内容をまず説明してください。

○山崎建設計画部長 南多摩ニュータウン協議会から提出されております要望書でございますが、要望事項は全部で二十一項目、非常に多岐にわたりまして、所管局も、多摩本部のほかに都市計画、建設、住宅各局に及んでおります。
 多摩本部関連ですと、幾つか例を挙げさせていただきますけれども、ニュータウンにおきます小中学校の統廃合に関しまして、廃止校になった施設に対します国、都の補助金返還が生じないようにという要望もございます。それから、統合校の増築等に関する都の支援を求めるもの。また、二番目としましては、初期に建設されました集合住宅の建てかえに対する技術的、資金的な支援を求めるもの、また、民間住宅業者への住宅販売に関する地元市との協議体制、近隣とのトラブル防止のための協議体制を確立してほしいというようなものもございます。このほかにも、関連街路の整備の促進ですとか、公益施設の整備の促進とか、あるいは相原・小山地区等々への業務機能の拡充等といった要望が寄せられております。

○池田委員 今説明をいただいたその項目というのは、いずれも、地元の関連市にとってみれば切実なものだというふうに思うんですね。こういう問題に限らず、重要な事項ということで、いずれも、地元の市や、また住民にとって大変重いものであり、そして、今回、都市整備本部が廃止されて建設局の方に移っていくわけです。
 私は、この中で、例えば、今もご説明があったんですけれども、多摩ニュータウンにおける学校の問題についても、少子化の状況の中で生徒数が減る、そういう中での学校の再編、そういうことなどでいろんな問題がやはり出てくるというような問題だとか、特に、新設校や経年変化による大規模改修が必要なときに財政的な支援が求められるという問題だとか、私もこの項目を見ていて、例えば、初期建設の集合の分譲住宅の団地の建てかえの問題についても、大変、やはり要求が切実であると。資金的な問題でも、かなり深刻な事態がやはり予想されるというような問題だとか、それから、とりわけ民間事業者に対する協議体制の確立の問題についても、今ご説明がありましたけれども、こういう幾つかの問題を見ても、大変重要な問題点が出されてきているというふうに思うんです。
 そういう点で、本部組織が廃止されて建設局の方に統合されていくわけですけれども、この辺の対応を十分やっていただきたいというふうに思うんですね。その辺はどうでしょうか。

○山崎建設計画部長 これまで、要望についてはそれぞれ対応してきているわけでございますけれども、一つ一つすべて詳しく答弁するには、ちょっと時間にも限りがございますが、ただいま委員の方からご指摘のあった小中学校の統合に関する補助金の問題については、公的なものに転用するというような一定の条件が整えば補助金の転用を生じないとか、あるいは分譲住宅の建てかえの問題については、本部、公団、地元市でそのための指針をつくって、現在、具体の団地でそういう検討をしているところもございます。
 また、民間建設事業者への宅地の販売、集合住宅の建設、そういうものに際しては、地元市との事前の協議ルールというのも確立してきております。
 それぞれ地元市と協議をしながら対応してきたわけでございますけれども、本部がなくなったとしましても、都として必要な措置がとれるよう、努力していきたいと思います。

○池田委員 体制が変わっていくわけですけれども、今、私の方からも申し上げた、また、説明いただいた項目を含めて、ぜひ対応に十分、市や住民の皆さんの意向に沿えるように強く要望して、終わります。

○新井委員 それでは、質問させていただきます。
 まず、一点なんですけれども、事業概要に毎年載るんですが、多摩ニュータウンにおける住宅の建設と地元市の行財政に関する要綱、こちらの中にあるんですが、第十二条の二のところですね。「その他の公益的施設、住区内施設、地区的施設および全体的施設に分類して、別表2による標準により計画するとともに、将来にそなえて、施設用地として住宅地面積の一〇%程度をリザーブ用地として確保する。」、こういう言葉があるわけですけれども、このリザーブ用地というのはどういう性格のものなのでしょうか。

○山崎建設計画部長 リザーブ用地の性格でございますけれども、ニュータウンの整備は長い年月を要するものでございまして、時代の変化などによっては、当初には想定し得ないような公益施設、そういうものも出てまいるわけでございます。こういうような想定外の施設需要に対応するために、今、先生の方からご紹介ありました、昭和四十九年に定めました行財政要綱においてリザーブ用地を確保するということになっております。
 しかしながら、土地利用計画の上では、リザーブ用地というものを、個別、具体の宅地を指定して定めているというようなものではございませんで、リザーブ用地は、その他公益施設として定められる用地の中に、まさにゆとりとしてリザーブされているというような状況でございます。
 その他公益施設と申しましたけれども、土地利用計画上、公益施設は四つの区分に分類しておりまして、学校などの教育施設、二番目は商業などの利便施設、三番目は鉄道施設、これに類しない四番目のその他公益施設の中にリザーブされている、こういうものでございます。

○新井委員 そうしますと、リザーブ用地というのは、将来的に見込まれるゆとりというもので、ここがリザーブ用地ですよというような、そういうものではないということですね。
 そのリザーブ用地、ここの場所がリザーブ用地ではないということはわかりましたけれども、その面積というのはどの程度なのでしょうか。また、これまで、多摩ニュータウン地域にあるどういう施設が、このリザーブ用地に建つ施設として処分をされてきたのでしょうか。

○山崎建設計画部長 リザーブ用地は、先ほどの行財政要綱の中で、住宅地面積の約一〇%というふうにされてございます。単純に計算しますと、当初は約百二十ヘクタール程度だろうというのが目安となっておりました。
 しかし、その後の土地利用の計画変更、あるいは開発が進展して宅地処分が進んだ結果、だんだん残りの住宅面積が減ってまいりますので、それにつれましてリザーブ用地も減少する。最終的にはゼロになるという、そういうものでございますが、リザーブ用地としての処分例でございますけれども、リサイクルセンターですとか、健康づくりセンターとしてのサンピア多摩、救急救命中央研修所等々ございます。

○新井委員 最終的にはゼロになるということですけれども、当初では、住宅地面積の一〇%相当ということで百二十。今現在、大体どの程度なのでしょうか。

○山崎建設計画部長 未処分の住宅地面積というのが、これは公団分も含みますけれども、現在百二十ヘクタール程度ございますので、単純に計算しますと、十二ヘクタール程度かなということでございます。

○新井委員 それは、今現在の残りの部分ですね。

○山崎建設計画部長 今現在です。

○新井委員 将来に備えたリザーブ用地、ゆとりの地ということでありますと、今、ニュータウン地域、非常に収束に向かっているということではあるのですけれども、例えば、今、残りのその部分で、今までの土地利用計画にない概念で、しかし、公益的施設というものが必要だというふうなことで各地元市から出てきた場合、それに対して対応するということは可能なのでしょうか。

○山崎建設計画部長 公団の所有地も含めまして、多摩ニュータウンの中には、先ほど申しましたリザーブ用地として活用が可能なその他の公益施設というのが約百十ヘクタールございます。それが全部リザーブ用地ということではございませんが、そうしたこともございまして、地元市等から要望のあった場合には、その範囲の中で、その施設の性格ですとか地区計画との整合ですとか、周辺環境との調和などなど、いろいろな条件が整えば、要望への対応は可能となってくるものと考えております。

○新井委員 いつも私申し上げるんですけれども、東京都というのは、多摩ニュータウンの最終的な調整者、コーディネーターということで、施行者としての一面も持っているということであるわけです。まちづくりというふうに考えますと、もうすぐ東京都あるいは公団の事業としては収束していくわけですけれども、その時点でまちづくりがすべて完了するということではなく、これから、いわゆるニュータウン事業というものが収束した後のニュータウン全体のまちづくりということを考えると、その後、例えば、五年、十年先ということを見越した上で、こういったような、地元市の中で土地利用計画にないものが出てくるという場合も想定されるわけですね。
 そういう場合には、先ほど、最終的にはゼロになるというふうにおっしゃったわけですけれども、これからどんどんどんどん土地を売ることを今進めていらして、それは否定するものではありませんけれども、全部なくしてしまうということについては、それは、地元市ということを考えると、少し協議の必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。その点は、地元の各市の方と協議はしていらっしゃるのでしょうか。

○山崎建設計画部長 先生のお認めのとおり、新住事業は、もともと有利子の金を調達しまして、造成して宅地を販売、利活用して、その資金を回収する、そういう事業でございますので、いつまでもその事業者がずっと土地を持ち続けるというわけにはいかない、そういう性格のものではございます。
 しかしながら、先ほど申したような趣旨もあって、リザーブ用地というものを確保しておこうということでございますが、事業がだんだん進展してくる、土地利用が張りついてくるということになりますと、想定外の施設ということの幅が少なくなってきて、最終的にはゼロとなるというのは、ある意味では必然の帰結ではないかというふうに思っております。

○新井委員 その土地も、収束に向けてどんどんすべて売り切れてしまうということではないと思うわけですけれども、例えば防災上の視点を考えたりとか、いろんな意味で、物を建てる場所として全部処分してしまうということではなく、各地元の状況において、いわゆるリザーブ用地の概念のゆとりというものを必要とする場合もあろうかと思われます。そういう意味では、ぜひこのリザーブ用地については、今後、地元市の方と十分協議をしながら--このリザーブ用地というものの概念そのものも、非常にわかりにくいような概念でもございますので、そごがないように、きっちりと協議をした上で、十分合意形成をしながら進めていっていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 それでは、次なんですけれども、ニュータウンの方でも、用途地域が住民に知らされないまま変更されてしまったり、土地利用計画が変わったりということで、建物、住宅等が建つときに紛争が起こるということが繰り返されまして、そういうことがないようにということで、地元市とルールを結ばれたというふうに前回お伺いいたしました。
 そういったトラブルを防止するという観点からつくられた都と地元市とのルール、あるいは公団と地元市とのルール、それぞれあると思うわけですけれども、どんなルールを具体的におつくりになったのか、教えてください。

○山崎建設計画部長 東京都が調整役になりまして、公団、地元市と協議しまして、昨年、ニュータウンの今後の住宅供給のあり方、進め方の協議ルールを確立したわけでございます。
 内容でございますけれども、土地利用変更が生じた場合には、その情報を住民の方々に提供する。あるいは、販売宅地の建設条件、建設の戸数ですとか駐車場ですとか、そういう条件を地元市と事前に協議する。あるいは、建設事業者の募集に際しましては、地元の方々に情報を提供したり説明したりする、こういう内容でございます。

○新井委員 これまでは、建物が建ったところで、皆さんびっくりして反対運動というふうなことが間々あったわけですけれども、このルールに従っていけば、かなり事前の情報が開示されるということで、そういうことは、流れから見ると起こらないのかなというふうに思うわけです。
 このルールに基づいて、東京都の方では宅地の販売を進めてきたというふうに思うんですが、具体的にどんなふうな状況になっているのかを教えてください。

○二ノ宮事業企画担当部長 このルールに基づきまして、昨年の十月からこれまでの間におきまして、多摩市域で業務系が一件、八王子市域では住宅系三件につきまして、民間事業者向けに宅地の販売を進めてまいりました。
 例えば、例を申し上げますと、八王子市における住宅系の宅地の販売につきましては、民間事業者に宅地を募集する前に、まず、住宅戸数など建設条件につきまして、地元市と事前に協議を進めております。それを進めた上で、固まりましたらば、宅地周辺の団地の管理組合等に対しまして、この場合につきましては、公益的施設用地から住宅用地に変わったこともございましたので、そういった土地利用の変更の経緯でありますとか、集合住宅の建設条件などにつきまして説明し、周辺の方にご理解を得ております。

○新井委員 今、ご理解を得ているという言葉があったわけですけれども、具体的に、その理解を得たというふうに判断する根拠というのは、どういうところにあるのでしょうか。

○二ノ宮事業企画担当部長 今の場所につきましては、三つの団地管理組合と二軒の戸建て住宅がございます。
 私ども、募集に入る前に、約一カ月ほど前でございますけれども、各団地管理組合の役員のところへ私ども都の職員が直接出向きまして、今回の販売予定地についての概要ですとか建設条件等の内容につきまして、資料に基づきましてご説明をしました。その後、理事会に諮っていただきまして、説明資料を回覧していただくなどしまして各組合員への周知を図っていただきまして、ご理解をいただいております。
 また、戸建て住宅の方の場合には、やはり都の職員が出向きまして同様な説明をしてまいりまして、ご理解をいただいておりますけれども、何かこれにつきましてご意見、ご質問がございましたらば、私どもにご連絡くださいというような形で時間を置いて、そういった余裕の時間を持ってやってまいりました。
 その後、事業者の募集に入る直前に、私ども、それぞれのところに募集要領というようなものを届けまして、一層のご理解を皆さん方にいただいておりまして、この例でございますと、現在、決定いたしました契約事業者が地元との説明を終えておりまして、地元市と、集合住宅等指導要綱に基づく、いわゆる事前協議に入っているところでございます。

○新井委員 管理組合の方から組合員の周知に至るところまで確認をされているようなので、安心をしたわけですけれども、これまで、えてして、説明をして理解を得ましたというところが、管理組合の役員の方だけのお話で終わってしまっていて、その管理組合によって、役員の方がちゃんと組合員の方に周知をして合意形成しているところと、そこだけでとまっているところというのがいろいろありまして、それで全然知らなかったということで紛争が起こるということがたくさん出てきたわけですね。そういう意味では、最後の部分まで含めて、指導をするなり確認をするなりということで、これからも進めていっていただきたいというふうに思います。
 東京都の方の土地の販売ということでは、こんなふうに進んできているということですけれども、それでは、公団が施行している部分については把握をしていらっしゃいますでしょうか。

○山崎建設計画部長 東京都と公団との間では、定期的に、いわゆる新住事業の施行者間としての調整会議の場を設けておりまして、情報交換とか協議はしております。必要な範囲の中で、お互いの情報を共有しているということでございます。

○新井委員 今、東京都の方の宅地販売について具体的にお答えいただいたわけですけれども、同じように、こういう流れで公団の方も行っているかどうかということについては把握していらっしゃいますか。

○山崎建設計画部長 失礼しました。公団と地元市との間におきましても、東京都と各地元市と締結しているのと同じような協議のルールを確立しております。締結しております。

○新井委員 今、私も多摩ニュータウンに住んでいるものですから、周りを見てみますと、本当にすごい勢いで宅地、土地が売られていくようで、業務施設が建ったり、住宅が建ったりということが進んでいます。以前に比べると、土地を皆さん一生懸命、最後に向けて売ろうということで努力していらっしゃるので、そういうところがふえているわけですけれども、従前のように、いろいろと反対運動が起こってくるといいますと、非常にまた大変な事態になりますので、土地の売却ということが勢いがついているわけですけれども、最後まで説明責任をきちんと果たしていただいて、そして、公団の部分についても、ここは公団だから東京都は余り関知しないよということではなく、最終的な責任者あるいはコーディネーターとして、きっちりと、うまく進んでいるんだということを確認しながら、地元市とも協力をしてやっていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 終わります。

○小礒委員 まず、宅地販売関係についてお聞きしたいと思います。
 壮大な計画であり、まちづくりが進んできたこの多摩ニュータウンでありますけれども、まだまだ、いうまでもなく課題は多いわけですよね。また、今日的な新たなる課題、問題点というものも出てきているわけでありますけれども、ハード的な、いわゆる開発、造成工事等が一定的な収束期を迎えたと。その中で、今お話がありましたけれども、基盤整備公団も、また東京都も、未利用地、リザーブ用地、すなわち都有地を、公団は公団所有の土地ですけれども、ともかく販売販売、売り売り、土地を売ろう売ろうということが非常に先行するような感を、我々地元として持つんですね。
 この中で、多摩都市整備本部が、私ははっきりいって、これを廃止すること自体は全く反対なんですけれども、しかし、万やむを得ず、ここで廃止されてしまうという中で、いま一度、都のかかわる宅地販売に対する基本姿勢、このあたりをぜひお聞かせいただきたいと思います。

○二ノ宮事業企画担当部長 先生お話しのように、私ども、ただ宅地を売ればいいというものではございません。いつも先生からは、不動産屋じゃないんだぞというようなことをおっしゃられていますけれども、多摩ニュータウンにつきましては、これまで、住み、働き、学び、憩うという機能を基本にまちづくりを進めてまいりました。これは公団も含めて一緒でございます。
 私ども、本部廃止後におきましても、引き続きこの基本的な機能を確保できますように、地元市の意向も尊重しながら、広域的連携を確保するための幹線道路などの整備を進めるとともに、早期に宅地販売を進めまして商業、業務、教育、文化などの施設を誘致いたしまして、バランスのとれたまちづくりを進めていきたいと考えております。

○小礒委員 東京構想二〇〇〇の中で、核都市にこの多摩ニュータウン区域が指定をされた。そして、第五次首都圏基本計画においては、多摩市が新たに業務核都市に加わったわけでありますけれども、このようないわゆる国の動き、東京都全体の都市計画という観点に立ってみても、このような状況を踏まえた中で、まさにこの多摩ニュータウンが首都圏メガロポリスにおける重要拠点であるということは、いうまでもないと思うんですね。
 このような中で、今いろいろとお話を二ノ宮部長からしていただきましたけれども、まさにこのような業務核都市、そして首都圏メガロポリス構想の中においても重要な位置を占めているという中、残された土地を、やはり住み、働き、学び、憩うという一つの基本的なコンセプトがありますけれども、果たしてこの土地を、時限的な--今後、組織改正後においてはニュータウン事業部に引き継がれていくわけでしょうけれども、残されたこの貴重なといいますか、重要な位置を占めているこの地域の、要するに、残されたリザーブ用地並びに未利用地に対する土地の販売は、大変な重要性があると思うんですね、いうまでもなくて。
 その中で、もう一度お聞きしたいのは、このようなまちづくりにより貢献をしていくために、当然地元市もそうでありますけれども、先ほどもお話ありましたが、基盤整備公団を初め、さらなる連絡調整機能というのは進めていかなきゃいけないと思うんですね。それらのことについてお願いしたいと思います。

○二ノ宮事業企画担当部長 今、先生からもお話がありましたように、昨年十二月に、八王子・立川・多摩業務核都市基本構想案を、今国の方に出しておりまして、間もなくでき上がると思いますが、この中でも、多摩市につきましては、すぐれた都市環境を生かし、人々が集う複合拠点として、また、八王子市におきましては、活気に満ちた産・学・公が織りなす交流あるまちを目指すことになってございます。
 このような状況の中におきまして、昨年は、多摩センターの北側地区につきましては、警備会社でありますセコムの研修所が、私ども販売できまして、ことしの夏からは施設の建設に入りますし、また南大沢の駅前につきましては、昨年の十二月に、九つのスクリーンがございますけれども、シネマコンプレックスが営業開始されました。また、相原・小山地区につきましては、ベンチャー企業のテクノパークが既に開業しております。
 このように、多摩ニュータウンにつきましては、先生おっしゃいますように、非常に人、物、情報が集まりつつありまして、まさに核都市としての機能が備わってきつつございます。
 一方、町田市には企業誘致条例というのがございますが、これに引き続きまして、多摩市におきましても、今開かれております議会に、多摩ニュータウン地域に限定した企業誘致条例案というものが提出されているように聞いてございます。
 私どもは、このような地元市の施策とも連携し、また都市整備公団とも連携しながら、私ども組織は今後とも新しいところで継続されていきますけれども、核都市にふさわしい企業立地が進みますように、引き続き宅地販売を通じてまちづくりに貢献していきたいと思います。

○小礒委員 それでは、いわゆる宅地販売につきまして、最後にもう一点お聞きしたいのは、多摩ニュータウンの中のほぼ中心的な位置を占めている多摩センター、とりわけ都有地が展開している多摩センター北側の用地に対して、東京都として、具体的にどのように、また、今後どのような計画を持たれているのか、このあたりを最後にお聞かせいただきたいと思います。

○山崎建設計画部長 多摩センター北側の都有地に関するお尋ねでございますけれども、多摩センターにつきましては、主に南側を公団が、北側を東京都がということで事業を進めてまいってきております。そこで、公団と地元市、東京都との間で、センター全体をどうするんだというようなことの調整の場をつくっております。また、これとは別に、地元市と東京都の間で、北側地区に絞って、もう少し進めた検討の場もつくってございます。
 そういう中で、北側地区のあり方としましては、先端企業系の研究施設ですとか研修施設とか、そういう南とは一味違った立地といいますか、地区の整備をしていきたいというようなところを、今話しておるところでございます。
 しかしながら、実際、その土地を活用してまちをつくるに当たっては、進出してくれる企業をいかに誘致してくるかということが最大のポイントとなっておりまして、地元の商工団体等あるいは関連する企業等に、今そういう誘致の活動なり調査をしている、そういう段階でございます。

○小礒委員 そうですね。非常に重要な、まさに駅の至近でありますし、回遊性をもっと持って、ぜひ、まさに総合的なまちづくりという観点から、この取り組みをお願いしたいと思います。
 それと、もう一点、稲城市の坂浜平尾地区の土地区画整理事業でありますけれども、平成九年八月に都市計画が決定されました。以来、ご案内のように、事業化がなされず、現在に至っているわけでありますけれども、昨年だったですか、予算委員会で、十三年度中に見直しの方向性を出す予定であると、当時の本部長である田原本部長からの答弁が実際にあったわけでありますけれども、どのように方向性を整理されてきたのか、お願いしたいと思います。

○山崎建設計画部長 坂浜平尾の土地区画整理事業でございますけれども、平成九年の都市計画決定以降、経済が低迷する、あるいは地価が下落する、都財政の現状等々から、東京都が二百十二ヘクタール全域を区画整理で事業するというような状況ではなくなってきております。
 このため、東京都と地元市は、ともに住宅立地の動向ですとか地域整備のあり方、または、どのような事業が実際に実施できるのかというようなざまざまな議論を重ねてきております。その結果、地元市とも協議いたしまして、これまでの方針を方向転換せざるを得ないとすることとしたものでございます。
 具体的にどういうことかと申しますと、地区整備の目標を、住宅宅地供給を中心とした開発から、地区特性を生かしたまちづくり、例えば、豊かな自然や農地を活用したまちづくりに転換する、あるいは、二百十二ヘクタール全域の都施行の区画整理から、都、市、地元、おのおのの役割分担に基づく地区整備に転換をした、そういう整理をしたものでございます。
 現在、地区を幾つかに分けまして、事業手法や段階的整備の検討を進めておりまして、平成十四年度から具体的検討の場に提案していきたいというふうに思っております。

○小礒委員 具体的に取り組みを進めていただいているということでありますけれども、昨年の十一月二十日に行われました本委員会の中で、計画の見直しに当たっては、東京都、それから地元の稲城市に加えて、まさに都市計画決定されたその区画整理内の地元の代表者も参加した検討委員会を設置してはどうか、このような質問をさせていただいたかと思うんですが、その後、これにつきましてはどのように検討されたのか、教えていただきたいと思います。

○山崎建設計画部長 十四年度から進める見直しの体制でございますけれども、今、先生の方から紹介ありました、さきの委員会でのご提案、ご意見も踏まえまして、検討委員会は、地元稲城市、学識経験者に加えまして、地権者の皆様方の生活ですとか財産に直接関係することでもありますので、代表の方々に入っていただいて検討をするということにしております。
 現在、地元市と、委員会の構成等について相談しておりまして、平成十四年度から本格的に開始する具体的検討に向けた準備も進めているところでございます。
 新たなまちづくり案が地元の意向を反映したものとなるように、引き続き努めていきたいと思います。

○小礒委員 地元の声を直接反映でき得る場が、まさに今後できる方向で検討されているということで大変歓迎するわけでありますけれども、この土地区画整理、今いろいろとお話を伺いましたが、十四年度から具体的に何をどのように検討していくのか、これをひとつお願いしたいと思います。

○山崎建設計画部長 検討すべき内容はいろいろあるわけですけれども、幾つか例示的に挙げさせていただきますと、先ほども申し上げましたが、住宅宅地供給を中心とした現在の計画にかわる新たな地区整備の目標を設定し、例えばですけれども、緑豊かな環境あるいは農業的土地利用、そういったものを活用する、地区特性を生かした個性的なまちづくりを提案していきたいというふうに思っております。
 また、坂浜平尾を幾つかの地区に分けて、現在、課題の整理とか整備のあり方を検討しているわけでございますけれども、これをもとに地区別のまちづくり案を策定しまして、事業手法ですとか事業主体、整備の手順等を検討してまいりたいというふうに思っています。
 そうして、都、市、住民、民間等の連携と役割に基づきました、地域が主体となったまちづくりを構築したいと考えております。

○小礒委員 それでは、質問を最後にさせていただきますけれども、坂浜平尾土地区画整理事業、すなわちこの坂平地区の取り組みにつきましては、今いろいろお話もいただきましたけれども、石河本部長に最後に、この区画整理、また、この地区の今後の取り組みについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○石河多摩都市整備本部長 先ほどから建設計画部長が説明申し上げておりますけれども、いずれにしても、平成九年八月に都市計画決定いたしまして、その後、その都市計画決定に基づいた、地区全体について都が土地区画整理事業による整備を行えるという状況にないということで見直しをしたということで、十三年度は見直しの方向を出すということで、今、部長から説明がありました。
 いろんな問題を抱えておりまして、一つは、都が土地区画整理事業をやるということになっておりましたわけですが、その区画整理事業のやり方をどういうふうにやるのかとか、その範囲をどうするのかとか、そういう問題もあります。
 それから、この地区のあり方、要は、公的住宅をつくるということで始まった、そもそもの都市計画決定事由はそういうあれがあったわけですが、それがいろいろの社会情勢等で変わったわけですので、この地域の持つ発展の方向といいますか、ポテンシャルといいますか、どういうふうにこの地方を持っていくのか、いろんなものの立地のあり方とか、そういうものをいろいろと考えていかなきゃいけないわけです。
 その辺は、十三年度の見直しの中でも、その地域の今後のポテンシャル等とか、あり方とか、それから、周辺地域との結びつきといいますか、今後この地域が発展するときに、どういう地域とどういうような結びつきをしていけばいいのだろうか、そういうような検討もいたしております。
 それからまた、公共施設、前々から話が出ていますけれども、鶴川街道なり三沢川などの改修もしなきゃいけない。こういう公共施設そのものの整備は、単独でも、その施設そのものでも必要ですので、それを、どういうような他の整備手法とあわせてやっていくのか、個別にやるのかという問題もあります。
 それから、途中で方針が変わったということで、例えば、先行的に買収した土地もありますし、それから、土地利用を、農業用地を用途変更したり、地元の方々に、当初の計画から変わったので非常にご迷惑をおかけしている部分がありますので、それをどういうような形で今後変えていくのか、いろいろ……。
 我々の方でそういういろいろな検討、見直し案を、いろいろな問題点を整理したり、いろいろなものを出しましたので、それを来年度に、先ほど話が出ています検討委員会の中で、地元の方、それから学識経験者の方、そういう方にもお示しして、そういう中で、どういうふうにこの地域を発展させていくのか、どういうふうにやっていくのかというのを考えていきたいと思っております。
 先ほどから話が出ておりますけれども、多摩都市整備本部そのものはなくなりますけれども、それを引き継ぐ組織はちゃんと建設局の中にあるわけですので、引き続いて、多摩本部がなくなっても、以前と同じように精力的に仕事を進めることになると思いますので、よろしくお願いいたします。

○田代委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、予算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で多摩都市整備本部関係を終わります。

○田代委員長 これより住宅局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、住宅局所管分、第十二号議案及び第十三号議案並びに報告事項を一括して議題といたします。
 本案及び報告事項については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○関谷総務部長 では、去る二月十四日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元の資料1、建設・住宅委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙を開いていただきますと目次がございますが、合計九件の資料の件名を掲げております。
 初めに、一ページをお開き願います。1は、住宅局所管当初歳出予算の推移でございます。
 平成五年度から平成十三年度までの一般会計におきます当初歳出予算額及び平成十四年度予算案の額を、また、都営住宅等事業会計につきましては、平成十四年度予算案の額を各事業ごとに記載しております。
 次に、二ページをお開き願います。2は、住宅局所管一般会計歳出決算の推移でございます。
 平成三年度から平成十二年度までの歳出決算額を各事業ごとに記載しております。
 次に、三ページをお開き願います。3は、公社一般賃貸住宅の応募状況でございます。
 平成九年度から平成十三年度までの新築募集と空き家募集の応募状況を記載してあります。
 四ページをお開き願います。4は、区市町村が実施している主な分譲マンション施策の概要でございます。
 区市町村が行っております主な施策を記載しておりますので、ごらんいただきたいと存じます。
 五ページをお開き願います。5は、区市町村分譲マンション実態調査実施状況でございます。
 平成十年度から平成十三年度までの実態調査実施状況を記載しております。
 六ページをお開き願います。6は、東京都における主な分譲マンション施策の実績と今後の予定でございます。
 平成十三年度につきましては主な施策の実績を、平成十四年度は施策の予定を記載しております。
 七ページをお開き願います。7は、都営住宅使用料の減免制度新旧比較及び一般減免の状況でございます。
 平成十二年に減免制度を改正いたしましたが、改正内容についての新旧比較表及び平成三年度から平成十二年度までの減免状況を記載しておりますので、ごらんいただきたいと存じます。
 八ページをお開き願います。8は、公営住宅建設事業予算の戸当たり単価の推移でございます。
 平成五年度から平成十四年度までの戸当たり単価を、中層と高層に分け記載しております。
 九ページをお開き願います。9は、中小企業への工事発注実績でございます。
 平成八年度から平成十二年度までについて、中小企業、大企業及び計に区分し、記載しております。
 以上をもちまして、建設・住宅委員会要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。

○田代委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び報告事項に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、私は、今回の東京都住宅マスタープランに掲げられております、都営住宅制度の抜本的な改革についてお伺いいたしたいと思います。
 この制度の中で、入居機会の拡大の一環といたしまして、既に私ども自由民主党の賛成のもとに、昨年の秋に都営住宅条例を改正されまして、期限つき入居制度が導入をされました。こうしたこれまでできなかった制度改革に、住宅局が積極的に果敢に取り組んだ姿勢については、高く評価をいたしたいと思います。
 また、石原知事は、先般の所信表明で、都営住宅の使用承継制度についても見直すという発言がございました。そこで、都営住宅の使用承継制度について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず、これまでなぜ都営住宅の使用承継を認めてこられたのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。

○野澤参事 公営住宅法では、知事は使用承継を承認することができるとされております。この規定は、残された同居者は、事業主体の承認を得て適法に同居したのであるから、居住の安定についても一定の配慮を受けるべき地位にあるとの観点から設けられているものでございます。都営住宅につきましても、この観点から、承継制度を設置し、運用してまいりました。

○山田委員 都営住宅の入居者の選考については、入居者資格を有する者を対象にして厳正に行うのが当然でありまして、したがって、使用許可を受けていない同居者が都営住宅を使用する権利を継続できるものではないということは、当然であると考えております。
 使用承継につきましては、公営住宅法上、知事は使用承継を承認することができると、いわゆる裁量規定であるとの答弁がございましたけれども、それならば、知事の裁量で使用承継をやめてもいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○野澤参事 使用承継を認めるかどうかの判断は知事の裁量とされておりますけれども、一律に使用承継を認めず、名義人が不在となった場合に明け渡しを求めるということにいたしますと、世帯の状況によりましては、居住の安定が著しく損なわれ、家族生活の安定、継続が困難になることも予想されるところでございます。
 そこで、今回、基準の適正化によりまして、公平性の確保を図るとともに、家族生活の安定にも配慮をする観点から、一定の範囲を定め、使用承継を制度として引き続き認めていくことといたしました。

○山田委員 それでは、東京都以外で、ほかの事業主体によります使用承継の基準はどうなっているのか。また、今回、東京都の見直しについて、公営住宅法を所管いたしております国土交通省はどのような見解を示しているのか、お伺いいたしたいと思います。

○野澤参事 道府県及び政令指定都市レベルでございますが、承継できる者につきまして、大阪府が配偶者及び二親等以内の者としている以外は、すべて配偶者及び三親等以内の親族として同様の取り扱いとなっております。
 また、見直し案についての国土交通省の見解でございますが、見直しに当たっては、都の判断にゆだねられるが、裁量権の逸脱にならぬよう留意すべきであるとしております。また、収入超過者を不許可とすることにつきましては、東京都の置かれた実情はよく理解できる、今回の東京都の考え方は否定できないと考えているという見解をいただいております。

○山田委員 私は、使用承継の許可というのは、実質的には新たな都営住宅に入居するという権利を与える行為だということになると思いますので、したがって、使用承継の許可に対しては、やっぱり入居資格と同じ基準を設けることは当然だと思います。多くの入居希望者の公平性を確保するという観点からも、妥当性があると考えるものであります。今回、東京都が収入超過者に対して、原則として使用承継を認めないということについては、極めて適切な判断であったと思います。
 しかし、一方、使用承継の範囲について見ますと、都営住宅を孫の代まで何世代にもわたって独占をしているというのが今までだと思いますけれども、大変これはおかしなことでありまして、都民共有の財産であります都営住宅でありますから、やはり公平に都民に住宅を供給できるようにするのが、東京都としての努めだと思います。特定の世帯が何世代にもわたって都営住宅を占有することを防いで、都営住宅の利用機会の公平性を確保するためにも、この制度の範囲を的確に規定する必要があると考えます。
 この点については、今回、一親等までを対象とする見直しがなされておりますけれども、なぜ一親等としたのか、その理由をお伺いいたしたいと思います。

○野澤参事 夫婦及び親子関係は、家族を構成する最も基本的な核でございまして、扶養関係などもこうした関係を基礎に形成されているところでございます。
 今回の見直しに当たりましては、利用機会の公平を図るとともに、基本的な家族形態の安定を維持することとのバランスにも十分配慮いたしまして、一親等としたところでございます。

○山田委員 都営住宅は、先ほど申し上げましたけれども、広く都民に利用機会の公平を課していくということが必要でありますし、こうした使用承継制度などの基準は、原則は原則として、きちんと厳正に運用していただきたいと思います。今後とも、厳格に運用していくためにも、この制度をしっかりと東京都として管理していただきたいと思います。
 しかし、一方、都営住宅は、都民のセーフティーネットとしての機能も、当然あわせ持っているわけであります。したがいまして、社会的弱者に対する配慮、すなわち例外措置というのも、当然設けることも必要だと思いますけれども、その点についてはどうなっているのでしょうか。

○野澤参事 高齢者や障害者等につきましては、一般の世帯よりも、自力で住宅を確保することが困難な場合もあり得るというふうに考えております。その点から、居住の安定についても配慮を必要とするケースも想定されるところでございますので、別途基準を定め、これに該当する場合は、例外的な使用承継を認める場合もあり得るものというふうに考えおります。

○山田委員 住宅局がこんな大きな時代の変化の中で、期限つき入居制度の導入とか、今回、使用承継制度の見直しなど、都営住宅の管理制度の改革に真剣に取り組んでいることは高く評価をいたしたいと思いますが、今後、住宅局として、住宅マスタープランに掲げております都営住宅の抜本的な改革について、具体的にどのような改革を行っていく予定なのか、お伺いいたしたいと思います。

○井上管理部長 都営住宅を真に住宅に困窮する都民に的確に供給するために、先ほど来ご議論のあります使用承継も含めまして、都営住宅制度の抜本的な改革は、今後必要なことだろうと私どもも考えております。
 この改革を行うためにさまざまな課題があるわけでございますが、東京都としましては、当面、まず第一として、経営的な観点から団地別の収支計算を実施してまいります。さらに、駐車場の地域開放を実施してまいります。それから、住宅を含めてまちづくりという観点から、分譲マンションの建てかえに伴います仮住居として都営住宅を提供すること、あるいは、木造住宅の密集地域の整備促進に向けて都営住宅を提供することなどを考えております。
 このほか、募集制度の抜本的な見直しも今、同時に考えておりまして、さらに、国を巻き込んだ改革といたしましては、期限つき入居制度の法的位置づけの明確化、あるいは、資産の考慮を含めた収入基準の設定などを考えておるところでございます。

○山田委員 都営住宅については、単にそこに住んでいる入居者だけのために存在しているわけではありませんで、都営住宅は広く都民に支持されなければいけない、私はそのように思っております。
 そのためにも、住宅局に、都営住宅の管理制度の改革にこれまで以上に頑張って取り組んでいただきたいということでございまして、強くそのことを期待いたして、私の質問を終わりたいと思います。

○花輪委員 それでは、秋にも、また、この前、本会議でもやりましたけれども、公社の事業について、また議論をさせていただきたいと思います。
 まず、公社の事業、私、この事業概要、十三年度版を見させていただきまして、本当にいろんな事業をされているなと。事業数でいうと、大きな柱で、建設事業、そして公社住宅など管理事業、あと都営住宅など管理受託事業、三つの大きな柱のもとに、細かい事業でいうと全部で四十六事業があるようでございます。いろんなことをやられているんだなという、そんな感じを受けました。とりあえず、きょうは、賃貸の方は、少し議論をすると相当また広がってしまいますので、建設事業、そして都営住宅の管理受託事業、この二点について絞ってお尋ねをしてみたいと思います。
 建設事業は、四十六のうち二十二事業あるわけです。例えば、賃貸住宅の新規建設ですとか建てかえですとか、ケアつき高齢者住宅、これは老人ホームですね。あとは民間提携住宅事業とか、これは民間の社宅をつくる事業、または都営住宅のスーパーリフォームですとか、あとは新住宅市街地開発事業。さまざま、全部で二十二事業あるわけですが、この中で今やっている事業は何事業ありますか。

○青木開発調整部長 公社事業のうち、本年、平成十三年度に建設事業として行っているものは、一般賃貸住宅の新規と建てかえの事業でございます。

○花輪委員 二十二事業のうち新規と建てかえ、そして、継続というか、やっている事業でも、都営住宅のスーパーリフォームとか、あとは明日見らいふですか、これは高齢者住宅があるわけですが、この二十二事業のうちでいうと、今、三事業ぐらいやっているわけです。
 また、都営住宅の方ですが、都営住宅の管理受託事業は、業務の数でいうと六業務ありますが、このうちやっている事業は幾つでしょうか。

○井上管理部長 供給公社が都営住宅管理事業を受託して行っております事業は、住宅の営繕事業であるとか施設の財産管理事業、環境整備、あるいは中層エレベーターの設置事業、滞納整理事業、募集入居及び指導監督事業、管理人事業、それから特定公共賃貸住宅等管理事業等々、さまざまございます。

○花輪委員 今の事業の、六事業のうち幾つかという聞き方をしたんですが、とりあえず全部のようでございます。
 それで、今、建設事業は二十二事業のうち三事業、都営住宅管理受託事業のうち六事業をやられているわけですが、まず、その建設事業のうち、建てかえ住宅の事業ですとか、また新規の分、まだ残っている分がありますから、新規で建てている分があります。この事業は、地方住宅供給公社法の目的の第一条、「地方住宅供給公社は、住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者の資金を受け入れ、これをその他の資金とあわせて活用し、これらの者に住居環境の良好な集団住居及びその用に供する宅地を供給し、もって住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」、勤労者のための住宅をつくりましょうというような目的があるわけです。今の建設事業、建てかえの部分とか新規の部分は、この目的に合っているわけですが、三つのうち、一つは合っているわけですけれども、残された、今やっている明日見らいふ、これは老人ホームですね。いわゆる勤労者の資金を受け入れ、勤労者のために住宅をつくるという、そういう目的とはほど遠いのではないかなと。
 あと、都営住宅のスーパーリフォーム、これもどういう法的な位置づけでやられているのかなと聞きましたらば、調べましたらば、この地方住宅供給公社法には、今いった目的に合わないものでも、例外として、その目的に邪魔にならなきゃ、支障がない範囲であればやってもいいよという、これは二十一条三項の八号で決められているわけですね。目的外の業務です。これが都営住宅のスーパーリフォームですね。
 あと、都営住宅の受託事業。これは管理の受託ですが、これもいわゆる公社の、これを受ける法律の根拠を調べてみますと、今いった二十一条の三項の八号、いわゆる目的外の事業、支障にならなきゃやってもいいよと。
 といいますと、今やっている、今列挙した事業のうち、何と目的のためにやっているのは、都営住宅の方で六つの事業、建設事業の方で三つの事業、全部で九事業がありましたけれども、そのうちたった一つなんですよ、目的の事業は。あとはほとんど目的外の事業になっていると私は認識をしているわけです。
 そうしますと、そろそろやっぱり、何度もいいますけれども、この公社の本来の目的というのは終わってきたんじゃないのかな、そんなふうに感じるわけですが、いかがでしょうか。

○阿部連絡調整担当部長 現在、公社で行われている事業につきましては、公社が果たしていく役割として重要なものと考えております。
 都営住宅の管理につきましても、従来、都営住宅サービス公社で行われていたものでありますが、監理団体改革の一環といたしまして平成元年四月一日に統合したものでございまして、公社にとって設置目的に沿った事業であるというふうに考えております。
 なお、いずれもが地方住宅供給公社法第二十一条三項で認められているものというふうに考えております。

○花輪委員 今、監理団体の改革の一環として統合されたというんですが、それはもう十何年も前の話ですね。今の監理団体の改革とは違う時代の監理団体改革の一環として統合があったわけですし、地方住宅供給公社法の二十一条の三項で確かに定められていますが、そのうちのほとんどが八号ですね。八号は目的外の業務なわけですよ。
 それで、ちょっといろいろとお尋ねをしていきましたらば、この公社、昭和四十五年に、何と一年間で五千二百九十九戸、約五千三百戸の住宅を供給されているわけです。一年間にこれだけの住宅を供給するというのは相当大変なことだったんだろうな、当時の人は本当にご苦労されたんだな、そんなふうに思うわけです。
 ただ、それが今、ことしぐらいになってきますと、建てかえと合わせて、その約十分の一の五百二十戸ぐらいになってきているわけです。さらに、この五百二十戸も、もう新しく建設しないというふうに決まっていますから、新規には着工しません。だけれども、今建築中のがあるわけですが、これもどうも、平成十五年とか十六年には終了していく、そんなふうに聞いているわけです。
 私も、すぐにどうこうしろとはいいませんが、やっぱりこの公社、今後の検討課題として、ほとんど目的の事業をやらなくなっている今ですから、そろそろ廃止ですとか民営化、そういうものも含めた議論を開始していくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○阿部連絡調整担当部長 今日、民間におきます住宅サービスの供給促進が強く求められております中で、公社は、新規の分譲事業や賃貸住宅の新規建設を取りやめて、今後は、賃貸住宅の既存ストックの維持更新を中心に事業展開をしてまいります。また一方で、都営住宅の管理につきましては、都の代行機能を一層果たしていくということでございます。この二つを公社事業の主要な柱といたしまして、事業を効果的に推進してまいりたいというふうに考えております。
 そのために、現在、新たな経営計画を策定し、これから抜本的な改革に取り組んでいこうとしているところでございまして、都としても適正に指導してまいりたいというふうに考えております。

○花輪委員 その改革の中に、どうしても、民営化とか廃止とか、そういう言葉がなぜか入って来ないから、私も何度も何度もお伺いしているわけです。
 ここに一枚、紙があるんですが、平成十四年二月四日、これは国土交通省が出している紙ですが、「地方住宅供給公社検討委員会の設置について」というような、この検討委員会がもう設置されているわけですね。その趣旨を見ますと、「国における行革論議が進行する中で、各地方公共団体において、地方住宅供給公社の民営化・廃止や、運営に対する透明性の確保の必要性等、公社に関する様々な検討がなされているところであります。このような状況の中で、国においても今後の公社制度のあり方について検討することとし、このため『地方住宅供給公社検討委員会』を設けることとします。」という、こういう検討委員会ができているわけです。「民営化・廃止や」という言葉がありましたね。ここに、東京都もオブザーバーとして参加をされているわけですね。
 東京都としては、ここにどういう形でかかわっていこうとされているのか、まずお聞かせください。

○阿部連絡調整担当部長 東京都は、この検討会に対しまして、オブザーバーとして参加しております。
 この検討会につきましては、先ほど先生がお話しされましたとおり、地方住宅供給公社につきましての問題状況を踏まえながら、いろいろな、さまざまな角度から検討していくということでございまして、それぞれ、当然のことながら、都道府県、市におきます公社は、いろいろ状況が異なっている状況でございます。その中で、いろいろ各地域の状況を、意見聴取をしながら検討を進めるというふうに話を聞いております。

○花輪委員 この検討会なんですが、委員とオブザーバーの構成を見ますと、これは住宅供給公社関連でいうと、オブザーバーの中にうちの住宅局長が入っているわけですね。まさに東京という大きな住宅供給公社を持っているところの局長さんが、オブザーバーに入っているわけです。
 この中で、今後さまざまな、先ほど趣旨に挙げたような検討がなされていくわけですが、やっぱり公社のあり方について、今のところから開始するんじゃなくて--本当に公社が時代の流れの中で果たしてきた役割は、大変大きな意味があったと思います。しかし、今この時点で見たときに、どこまで、どれだけの必要性が、存在意義があるのかなと。
 民間と公との仕事の役割分担の中で、公社が本来、本当に果たすべき役割というのは何なのかなと、そういう最初のところに立った、原点に立った議論を展開していくようにということで、やっぱりこれは必要かどうか、廃止をするかしないかとか、民営化が本当にいいかどうかとか、そういうところも含めた議論の展開になるように、オブザーバーですけれども、ひとつ主体的な役割を担っていただきたいな、そんなふうに思いますが、いかがでしょうか。

○阿部連絡調整担当部長 先ほどお答えいたしましたように、都道府県、市におきまして、それぞれの公社は状況が異なります。
 先ほどお答えさせていただきましたとおり、都としてのこれから進むべき道は、一定の整理がされております。都としては、その整理を踏まえまして、この検討委員会の中で、現状、考え方を述べていきたいというふうに考えております。

○花輪委員 なかなか前に進まない答弁が続いていますけれども、東京都住宅マスタープランが出ました。これを読ませていただきました。どこが変わったのかなと、変わったところをすべてチェックいたしまして、中間まとめから変わったところを見させていただきました。この委員会でさまざま議論があったこと、また、先ほどの都営住宅の使用承継、そういう問題など、大変この委員会の意見も反映をされていて、すばらしいマスタープランになっているなと思っております。
 しかし、一点だけ、二行ほど、やっぱり相変わらず変わってくれないなというところがあるわけです。これは一五ページの中にある「新たな役割分担と連携」というところで、「公民の役割分担と連携」というところです。ここで、最初の方は、「行政は、市場の機能を十分に発揮させるよう、市場の『整備・誘導』を適切に図ります」とか、「中堅所得層のファミリー世帯に対する良質な住宅供給等、これまで民間では十分対応することが難しかった分野において役割を果たしてきた住宅供給公社については、今後、市場の整備・誘導により民間の住宅サービス供給の促進を図っていく……」、ここまではいいんです。民間の活力をしっかり使っていこうと。ところが、ここで点がつくと、論理がここで矛盾するんですが、「建替事業等の既存ストックの活用を中心とした事業に絞り込みながら、市場における自立した経営主体となっていきます。」と。相変わらず、自立して、この市場の中で私たちは頑張っていこうという、そういう趣旨が見えてとれるわけです。
 このマスタープランの中では、賃貸住宅に対しても、しっかりと民間活力を使っていこうじゃないかといっているんですけれども、相変わらず公社は、自分たちは自立的に自主的に経営改善をしながらやっていくという、その発想から抜け切れていないように僕は思うんですね。民間と公との役割分担、民間にできることは民間にお願いするという、その発想からどうしても出切れていないような気がするんですが、いかがでしょうか。

○阿部連絡調整担当部長 公社に対します、いわゆる中堅所得層向けの一般賃貸住宅の供給は、現状で、東京都といたしましても意義があるものというふうに考えております。
 今日、住宅市場を通じました民間による住宅サービスの供給促進が強く求められております中で、先ほどもお答えいたしましたけれども、公社は、新規の分譲事業や賃貸住宅の新規建設を取りやめまして、今後は、賃貸住宅の既存ストックの維持更新を中心に事業を展開してまいります。また、一般賃貸住宅の建てかえに関しましては、都として、公社だけを対象とした新たな支援はしていかないという方向で対応してまいりたいというふうに考えております。

○花輪委員 プラス、都営住宅の管理もしていくというようなことですよね。
 実は、きょうの朝、ラジオを聞いていましたら、トヨタ自動車がお花のビジネス、これはバイオテクノロジーですね。何か、そういうビジネスにも乗り出すんだということをいっていました。民間企業であれば、やはり多角経営をしていって、会社の生き残り、市場の中でしっかりと根を張って生きていくんだという、そういう発想は僕は必要だなと思います。
 ところが、公がやるべき仕事というのは、目的がなくなれば、また、民間ができるようになれば民間にお願いをしていくというのが本来あるべき姿で、ここが、要は公と民間の役割分担ではないかというふうに僕は思っております。
 今、住宅金融公庫もなくなるのではないかというふうにいわれています。なくそうという強い意志が、小泉総理からは伝わってくるわけです。そしてまた、公団、これは都市整備公団ですか、あれもなくなっていく。分割または民営化だったり、廃止だったりされていく。その中には、賃貸住宅の部分も民間に売ってしまうんだというような、これが可能かどうかはわかりませんが、そういうような議論もしていこうという、そんなニュースも耳にします。
 そしてまた、神奈川県住宅供給公社も、新聞記事がここにありますけれども、これは三月十三日の記事ですね。これでもやっぱり、賃貸、また新しい事業、それを民間に売却するとかしないとか、そういうことも含めて、今すぐするとかしないとか決めるのではなくして、そういうことも含めた議論、本当に必要かどうか、どこまで公でやるべきかやらないべきかという、そういうことを含めた議論を、もう周りはしようとしているわけですよ。
 それに、都営住宅の管理を、今、二本柱の一本に据えてやっていくというふうにいいますけれども、都営住宅の管理というのは二十六万戸。これは本会議でもいいました。何と三百二十八億円のビッグビジネスですよ。これを民間に出せば、民間業者はこぞってやっていきます。
 それで、私も、この単価を調べました。都営住宅の管理、専有床一坪当たり五百円を超えているんですよ。公社が受けている管理費。月々ですよ、一カ月当たり。あの都営住宅。掃除も自分たちでやってくださいというふうに、自分たちでやっている。エレベーターもほとんどついていない。管理人さんも常駐なわけじゃない。こういうようなところで、都営住宅の管理を公社が受けていると、坪、月五百円以上かかっている。これは私の計算ですが、そういうような数字も出てきているわけですよ。ですから、そろそろ、民間でできることは本当にやっていくんだという、そんなようなお考えを示していただかないといけない時期じゃないかなと。
 それと、この前の本会議のときに、公と民間との役割分担をしっかりと考えてという私の発言に対して、まず石原知事も、現代の日本、現代の東京において、行政と民間の役割分担というのは、おのずとかつてとは歴然と違う、そういう認識をみんなが持つべきだと思うというふうに発言されて、その次に総務局長も、監理団体の改革を進めるに当たっては、ご提案の視点も踏まえて、団体がやるべき仕事と民間に任せる仕事とのさらなる精査に取り組んでまいりますというふうにいっているんです。そして、最後に住宅局長になっちゃうと、このことが一切抜けて、その公と民間の役割分担には答えていただけずに、自主、自立的経営の確立を最大の目標に据え、改革を推進していくこととしておりますというふうに発言がなってしまうんです。
 まさに知事が公と民間の役割分担をしようよと、そして、外郭団体、監理団体の担当の部局も、そういう方針でいくよと。ところが、住宅局になってしまうと、残念ながら答弁が変わってしまうわけですよ。
 局長、すぐに廃止とか民営化してしまえといっているわけじゃありません。本当に民営化がいいのか、廃止がいいのか、もしかしたら今の姿がいいのかもしれません。そういうことを含めた議論をしていく時期に、そろそろ来ていると思うわけですが、いかがでしょうか。

○橋本住宅局長 住宅供給公社の廃止を含めた議論といいますか、これについては、委員の一般質問のときにお答えをさせていただきました。ただいま、知事並びに総務局長からの答弁とそごがあるのではないか、こういうことでございますけれども、私どもは、公社のあり方は、先ほどマスタープランにもございましたように、公民の役割分担、あるいは民間による住宅サービスの供給状況が近年において大きく変わっている、そういうったところを強く意識した上で、公社の事業を絞り、そして、今後、自主、自立の経営ということでやっていく、こういうことでお話ししたところでございます。
 今のお話でございますけれども、さらに、都民は、あるいは税の立場からという観点は、既に私、委員会でお話し申し上げておりますが、そういった観点から、将来において、一体どういう経営が本当に真に都民のためになるのかという観点では、引き続き前向きに取り組んでいく所存でございます。

○花輪委員 どうしても民営化、廃止を含んだという言葉を使わないで、いろいろと検討していくということになってしまうわけですが、私、思うんです。日本の住宅というのは、やっぱり持ち家政策の中で、税制面、さまざまな制度の中で、家を持つことに対してはインセンティブがいろいろあったわけですね。ところが、賃貸の部分というのは、どうしても公が担ってくる役割が大きかったのではないか、そんなことを感じます。都営住宅であったり、供給公社であったり、または都市基盤整備公団ですか、ああいう公団が頑張ってきた。
 逆にいうと、そのために、賃貸は公で、分譲は民間で持ち家で、そういうような何か流れができてしまって、賃貸の部分には税制のインセンティブもなかったわけです。いわゆる大家さんに対するインセンティブも非常に少なかった。地主さんに対するインセンティブもすごく少なかった。そういう中で、どうしても民間の賃貸事業者が育ってこなかったという、そういう側面も私はあると思います。
 ですから、今、住宅マスタープランで、こういう民間の賃貸住宅もしっかりと応援をしていこうという思いがあるのであれば、そろそろその辺の視点もしっかりと視野に入れて、私はやっていっていただきたいな、そんなふうに考えております。
 これを続けても、禅問答のようになってしまうので、また次の定例会ですか、公社の事業計画が出てくるという話です。そのときにまた議論をさせていただきたいと思います。
 ぜひ局長、この視点を視野に入れて--今はなかなかいえないのかもしれませんけれども、時代の流れというのは、恐らくそういうような流れで動いているのではないかと思います。今後のさまざまな検討に期待をさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○ともとし委員 住宅局の予算というのは、東京二十三区の大きな区の一般会計の予算に匹敵するような、あるいはまた、それ以上の予算規模を持つ、そうした局になっているわけですね。その住宅局の骨格をなすところは、一つには、都営住宅に関する事業だというふうに思います。
 十四年度の都営住宅に対する管理制度の改革、先ほど部長さんがご答弁されていたように、大きな改革が八つされようとしております。この一つ一つに対して論議しても、長時間の論議が必要かなというふうに思うぐらい、大きな改革ではないかなというふうに思っているわけですが、きょうは特に、先ほど来論議がありますところの住宅供給公社への問題、特に窓口の一元化について質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 この四月から予定されている公社の窓口業務の一元化、これに対してはいろんな問題点が含まれているのではないかな、そんなふうに思っております。
 まず第一点目は、具体的な質問に入らせていただく前に、東京都あるいは住宅局と公社の関係について改めて確認をさせていただきたいと思います。

○阿部連絡調整担当部長 公社は、地方住宅供給公社法に基づきます特別法人でございまして、また、都が全額出捐している監理団体でございます。
 公社経営全般につきましては、地方住宅供給公社法、東京都監理団体指導監督要綱等に基づきまして指導、監督しております。加えまして、都営住宅管理につきましては、委託者の立場で公社の事業執行を検査、指導しております。

○ともとし委員 ある意味では、東京都に関する住宅のあり方、そんなところを、公社という立場から、東京都から委託されて一つの事業としてやられているのが公社かな、こういうふうに思うわけですが、都が全部そうしたものを出しての監理団体ということでありますので、その責任は東京都にあるのかなというふうに思うわけですね。
 公社への窓口業務の一元化を実施しますと、十四年度の住宅局あるいは公社それぞれの財政規模というのはどのくらいになるのか。特に委託にかかわる予算規模、それらについてお伺いしたいと思います。

○阿部連絡調整担当部長 平成十四年度から都営住宅等の事業費は特別会計となりますが、約一千九百二十一億円を計上してございます。そのうち公社に委託している経費は約三百二十八億円でございまして、一元化に係る増額分につきましては約十二億円でございます。
 なお、公社の事業費につきましては、この三月二十七日の公社評議委員会で決定するという予定になっております。

○ともとし委員 この窓口業務の一元化は、ある意味での事務の効率に資するものといわれているわけですが、それでは、住宅局の定数はどのくらい減るのか、あるいは公社の定数はどれだけふえるのか、両者を通じて定数の削減効果というのは何人というふうに考えればいいのか、その辺をお伺いしたいと思います。

○阿部連絡調整担当部長 一元化によります住宅局の定数は、五十二名の減になります。
 一方、公社につきましては、一元化につきましては二十九名の増となりますが、全体の事務の効率化等の内部努力を行いまして、公社全体といたしましては、平成十三年度所要人員六百三十二名に対しまして、十四年度は六百二十名となり、十二名の減というふうになっております。

○ともとし委員 削減の人数が、十二名の減。この十二名の減をするために、公社にこれだけの大きな異動というか改革というか、何か随分少ないかなというふうにしか私たちには感じられないんです。ある意味では、都民の税金を、たとえ一人の定数削減のためであっても、真剣に考えていれば、そこまでやらなければならないんだというふうにいわれれば、それもそうかなというふうに思うわけですが、もうちょっと効率のいいやり方があったのではないのかなという一面もあるわけでして、その辺についても、今後の一つの成り行き等を見させていただきながら、この削減効果をよく認識していきたいというふうに思いますので……。

○関谷総務部長 大変失礼いたしました。若干説明が不十分だったかもしれませんので、もう一度繰り返させていただきますけれども、まず、今回の一元化に伴いまして、住宅局の定数減は五十二名です。今回、住宅局の定数はもっと落ちていますけれども、一元化に伴う削減数は五十二名です。
 それで、この一元化に伴って、当然、公社の方は必要な増員を行いますので、一元化に伴う増員は二十九名なんですね。ですけれども、全体の内部努力を通じまして、公社の平成十三年度の所要人員六百三十二名に対して、平成十四年度は六百二十名。ですから、公社全体の定数が十二名落ちているわけです。
 ですから、両者を通じては六十四名、削減効果が上がっているということでございます。

○ともとし委員 六十四名の削減になりますか。だって、東京都の方から公社の方へ二十数名行くわけでしょう。東京都の固有職員が公社の方へ行くというにすぎないですよね。

○関谷総務部長 大変失礼いたしました。五十二名に対して二十九名の増ですから、そこでネットで二十三名の減でございますね。それに、公社全体としては十二名の減でございますから、合わせて三十五名の減ということでございます。

○ともとし委員 この辺がいつも、役所のシステムで我々が理解に苦しむところなんです。これはいつも、どこの区でも、都でも国でもそうかと思いますけれども、東京都から公社の方へ出ますと、東京都の定数は削減になるんですよ、間違いなく。削減になるから、じゃ減ったのかというと、そうじゃなくて、公社の方にはちゃんといるんですよ。だから、その辺でいつも、ある意味ではちょっとごまかされるんですけれども、今度はごまかされないようにしたいと思っていますので、この一連の成り行きをしっかり見させていただきたいと思います。
 こうして窓口の一元化から一番心配されることは、公社の方に行きますと、それだけ柔軟性が出てきます。そういう柔軟性の中から、公社固有の職員、それから都から派遣されたところの職員、こういう状況は状況でわかるんですが、それ以外に、人材派遣会社から派遣されてくるような職員も多くなるというようなことを聞いております。こういう方たちに対するプライバシーの問題。
 住宅局というか、都営住宅に関する個人個人の情報というものは、それこそ、そこに入る方のすべての名前から年齢から収入から、いろんな面が含まれていますので、そういう情報に対する管理は非常に重要になってくるんじゃないかなと。そういう意味では、この人材派遣会社の社員の方に対する守秘義務というのは、どういうような形になっているのでしょうか。

○野澤参事 人材派遣会社の社員につきましては、人材派遣会社から公社への派遣契約の中で機密の保持の厳守が規定されております。また、派遣社員は、人材派遣会社に雇用される際に、業務執行上知り得た顧客情報等すべての情報について秘密を厳守することなどの誓約書を提出することになっております。

○ともとし委員 この誓約書というのは、派遣会社が住宅供給公社に出すのですか。それとも、派遣されたところの社員が公社に出すのですか。どういうふうになっているんですか。

○野澤参事 誓約書は、派遣される職員が派遣会社に採用されるときに、派遣会社に対してそういう誓約書を出しているということでございます。

○ともとし委員 そうすると、供給公社は、派遣会社についてのみ、その情報に対する規制というか、守秘義務というものを課しているわけですね。要するに、人に対してじゃなくて、会社に対してですね。

○野澤参事 そのとおりでございます。

○ともとし委員 この辺が非常にあいまいな性格になってくるのかなと。要するに、その現場においての守秘義務が、もし万が一履行されない場合、これは直接、公社がその人に対してはどうこういえないんですよ。会社に対してはいえるけれども、直接その人に対してはいえないんですね。
 非常に時間的なロスもありますし、こういう事件、事故というものについては、ある意味での即効性というか、非常にその辺のことが大事になってくるかなというように思うんですが、確かに労働基準法的には、その人自身にはできないような、そういう規定になっているんですよね。もう一度お伺いしたいと思います。

○野澤参事 労働派遣法の中で、派遣社員に対して、派遣元から指揮命令ということはできない形になっております。
 ただし、派遣職員は、派遣職員独自に秘密の保持に関する業務を行うということではなくて、公社の職員のもとに派遣社員が配属されまして、そのもとに業務を行うという形になっておりますので、適切な指導または教育等は公社職員が携わるところでございますので、そういう面からも、秘密の保持につきましては厳格に対処していくよう、公社を指導していきたいというふうに考えております。

○ともとし委員 くれぐれも、申し上げたとおり、非常に膨大な情報というものがこうしたところには入っていくわけですので、守秘義務については、皆さん同様、派遣社員等についても、しっかりお願いしたいなというふうに思っております。
 前回の予特の中でも、このITの問題が若干論議されておりましたけれども、論議の中で聞いていますと、都のそういう方に、全部机上に乗っているところのパソコンに、開き方によっては全部開示されるというような、そういう内容のご答弁等もあったわけなんですが、これもはっきりいえば困るものでして、住宅局、あるいはまた、こういう情報に直接携わるそういう人たちは、当然のごとく、どこにいてもそれが開示された方がいいわけですが、関係のない人まで、どこから見てもできるというんじゃ、これも困るわけですよ。
 ですから、そういうIT問題、これらについてのセキュリティーというのはどういう形になっていますか。

○野澤参事 現在の管理総合システムでも同様でございますが、担当者が担当する情報を検索する場合は、各自に与えられましたパスワードを入力しなければ画面が開示できないような形になっております。
 今回、公社委託に伴って管理総合システムを再構築いたしましたが、当然同じようなバリアをかけているところでございまして、担当者以外の者がシステムを操作して情報を知ることはできないような、そういう仕組みをとってございます。

○ともとし委員 この辺のこともしっかり守っていただかないと、情報がひとり歩きして、とんでもないところに流れてしまうという、そんなことも考えられますので、ぜひともお願いをしたいというふうに思います。
 都営住宅の管理業務のほとんどを公社に委託してしまうわけですね。そうしますと、予算を含めて、前のこの委員会の中でも、私の方からもちょっといわせていただきましたけれども、議会からの具体的なコントロールというわけではありませんけれども、具体的ないろんなことをお聞きするということは、非常にできなくなってくるんですね。
 我々議員は、ある意味では都民の代表として参加させていただいているんですが、そういう民意を公社に対して反映させるような仕組みづくりはどういうふうになっているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

○野澤参事 公社では、平成十四年度より、都民からの相談などに対応する、管理職をキャップといたしました専管組織を設置するとともに、十七ございます窓口センターにそれぞれ相談担当係長を配置し、苦情、要望等には迅速に対応し、組織に反映できる仕組みを整えているところでございます。また、本年一月から、全事務所にお客様ご意見箱を設置するなど、都民や居住者の皆様のご意見を現場の業務改善に生かすべく努力をしているところでございます。
 都におきましては、公社への委託業務を直接指導する専管組織を設けまして、的確に業務の指導を行っていきたいというふうに考えております。また、業務検査につきましても、的確に実施していく所存でございます。

○ともとし委員 専管組織をつくるということですけれども、この専管組織、具体的にはどういうことですか。

○野澤参事 公社の方につくる専管組織は連絡調整担当の管掌でございまして、広報広聴すべてを担当するような形になりまして、また、都と公社との連絡調整を行うような形をとります。その中で、公社業務について、公社の各部署等と東京都の橋渡しをするような形の業務を考えております。

○ともとし委員 どこにいるんですか。公社の方にいるの。それとも住宅局の方に常時いるのか。その辺のことをちょっと……。

○野澤参事 失礼いたしました。所属は公社の方におりますけれども、時期によっては、都の方に張りついていただくような場合も考えております。

○ともとし委員 時期によってと、時期によるたびにどこにいるかわからないんじゃ、ちょっと我々としても……。
 だれにどういうような形で公社のいろんな内容を聞いたらいいのか、その辺を明確にしたいんですよ。

○井上管理部長 ただいま参事がご答弁申し上げましたように、連絡調整担当という管理職をキャップにした組織を公社が設けます。現在、私どもと公社で調整しておりまして、ほぼ調整が終わっておりますが、組織上は公社の本社組織でございますが、勤務の場所、あるいは常時在席して連絡調整の業務を行う場所は、都庁の住宅局内にというふうに考えてございます。

○ともとし委員 わかりました。
 先ほど、局長、公社の事業をどんどん絞りながらと、花輪理事に答弁されていましたけれども、どんどん絞っているんじゃなくて、どんどんふやしているんですよ。だから、さっき答弁を聞いていて、そういう答弁して大丈夫なのかなと思って、逆に心配したんです。
 我々は、逆にいえば--公社にどんどんこういうような形で事業を委託する、そんな形がふえてきている。こんないい方は当たっているかどうかはわかりませんけれども、ひさしを貸して母屋をとられるんじゃないか、住宅局、要らなくなっちゃうんじゃないか、そういうような話さえも、ちまたではささやかれるような、そういう委託の拡大につながっているんじゃないかなというふうに思うんですが、どこまで住宅局が、この都営住宅に関することを含め、東京都の住宅行政にかかわるものの、住宅局が担うべき事業、それから、公社に委託するそういう事業、この役割分担をもうちょっと明確にすべきじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○野澤参事 今回の窓口業務の一元化につきましては、地方自治法の公の施設の管理委託の範囲を踏まえまして、都に留保すべき事務を除いて、公社に管理業務を委託するものでございます。
 具体的には、募集入居や諸申請の事務などにつきましては、公社で本審査までを行い、都は、入居許可の決定、使用承継等の許可の決定、法的措置、管理方針の決定など最終的な決定部分、それから、法的措置、管理方針の決定等の最終的な責任部分を都の方で担うような形を明確にしていきたいというふうに考えております。
 公社につきましては、委託する事務については詳細な処理基準等を作成いたしまして、適切な指導を行っていきたいというふうに思っております。

○ともとし委員 だから、住宅局は最終的な作業だけなんですよ。決定のことだけ。それに至る事前のことは、全く公社が全部やるようになっているんです。だから、大半の部分は公社がやるということなんですよね。だから、先ほどいっている、この事業を絞りながらというふうにいうのは、ちょっと当たらないんじゃないかなというふうに私は思っておりました。そして、同時に、今回の予算の中には、スーパーリフォームのそういう事業の委託等も含まれてきているわけですね。だんだんだんだん公社に委託するものが拡大していることは事実なんですね。
 ですから、先ほど申し上げましたけれども、この役割分担をやはりきちっとして、ここからここまでは公社がやっているんだな、ここからここは住宅局なんだなというところを都民の皆さんにもわかりやすくするのが、やはり大事なのじゃないかなというふうに思いますので、要望をしておきたいと思います。
 窓口業務の一元化は、単なる事務改善に終わらせてはいけないんですね。同時に、都民に対するサービスの向上に結びつかなければならないわけです。
 具体的に、都民サービスの向上についての内容をお伺いしたいと思うんですが、さきの本会議の中で、知事はいっていました。我々もあの答弁を聞いていまして、そこまで考えながらやられていたのかというふうに感心させられたんですが、知事は、窓口業務のことについて、いらっしゃいませといいなさい、そういうふうに指導していますというんですよ。私も、この都庁の方に来て、ある程度の日数がたってきていますけれども、窓口に行って、いらっしゃいませといわれたことないですね。知事は、いっているというんです。窓口に都民の皆さんが来たら、いらっしゃいませといいなさいと。
 ましてや、公社というのは、さらに柔軟化した、そういう場所になるのではないかなというふうに思うんですが、都民サービスの一番最初の部分、都民の皆さんが窓口に来たときに、いらっしゃいませといえるかいえないか、それによって大分違ってくるんじゃないかなと思う。一般でしたら、いらっしゃいませ、ありがとうございましたというんです。それは一つのあいさつ語になるわけですよ。
 この辺について、具体的な都民サービスはどのようになっていくか、お伺いしたいと思います。

○野澤参事 都民や居住者の申請や問い合わせにつきましては、都と公社に二元化されていた事務が公社に一元化され、身近な公社窓口で大部分の用が足りるようになります。これまでにも増して、便利でわかりやすくなるものというふうに考えております。
 また、一元化とあわせまして、管理の電算システムを再構築いたしまして、都営住宅の募集業務におきましては、申込書の記入項目を削減いたしまして都民の負担軽減を図り、また、住宅変更につきましては、居住者からの問い合わせなどにも迅速に対応できるような仕組みを考えまして、また、条件に合った空き家が発生した場合には、速やかなあっせんができるよう煮詰めてまいりたいというふうに考えております。
 さらに、各種申請の許可などの時間につきましても、従来二週間かかっていたものが一週間に短縮されるなど、サービスの向上を図っていきたいというふうに考えております。
 また、先生ご指摘の接遇につきましては、公社の社を挙げまして職員の研修、また訓練に努めておりまして、居住者の皆様から、今回一元化されてよかったというふうに、そういう称賛が得られるような業務運営をしていきたいというふうに公社自身も深く考えておりますので、そのように我々も指導していきたいというふうに考えております。

○ともとし委員 まさに第一線、窓口のそうした方たちに対する意識改革の徹底は非常に大事なことだというふうに思いますので、こうした指導はしっかりお願いをしたいと思います。必ずしも、サービス公社に関する評判というのは、前回の質問でもお話しさせていただきましたけれども、芳しくないです。
 ただ、前回に質問をさせていただいて、公社は余りよくないですよというふうにいわせていただきました。ある意味では、場所についてもいわせていただいて、その後、大きく改善されていることは、評価はしたいと思います。しかしながら、全般としては、必ずしも、これはいいとはいわれておりません。どうかこの辺の指導について、しっかりお願いしたいと思います。
 それと同時に、公社では新たな経営改革を実施する、そういうように聞いております。その辺の概要をひとつお伺いしたいと思います。

○阿部連絡調整担当部長 公社では、新たな経営計画を策定し、改革を進めることといたしておりますが、その主な内容は、第一に、経営状況が明確になるよう公社の会計基準を改正していく。二つ目といたしまして、公社だけに適用されております財政支援を見直しまして、具体的には、今後、公社一般賃貸住宅の建てかえ需要に伴う新たな都貸付金等を廃止いたします。第三に、責任を明確にした抜本的な組織改正、職員定数の削減など、執行体制の見直しを図ってまいります。第四に、能力主義、実績主義を徹底し、民間の制度を大幅に取り入れた独自の人事・給与制度の導入などを図ることといたしております。

○ともとし委員 先ほど、花輪さんとのいろいろの論議がありました。その中では、公社の廃止、民営化、そうしたものを含めながら検討すべきじゃないかということもありました。私も聞いております。公社の廃止、民営化というのがささやかれていると。そんなこともあるわけですが、今のご答弁、あるいはまた今までの論議、そうしたことをいろいろと総合すると、本当にそういうような廃止だとか民営化だとか、そういうような状況になっていくのかな、そうではないんじゃないかなと。
 この公社そのもの自体をもっともっと、都民サービスのことを含めた中で、しっかりした組織体に変えていく、そうすることによって、より以上の都民サービスにつながっていく、そんなふうにも聞こえてくるわけなんですね。この辺の住宅局の見解をお聞きしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○阿部連絡調整担当部長 公社は、先ほどもお話しいたしましたとおり、今後、賃貸住宅の既存ストックの維持更新を中心とした事業展開、そしてまた、都営住宅の管理を通じて都の事業の代行機能を一層果たしていくという大きな二本の柱を事業のもととして、効果的に推進していくというふうに考えております。先生お話しの都民に対するサービスの向上、レベルアップにつきましては、そういった中で図ってまいりたいというふうに考えております。
 新たな計画をそういった趣旨で策定いたしまして、自主、自立経営の確立を最大の目標に据えまして改革を一層推進していくということで、東京都もこれから適切に指導してまいりたいというふうに考えております。

○ともとし委員 この窓口一元化のそういうような論議をしているだけで三十分もたっちゃいましたので、何かマスタープランの方の論議をしていますと、さらに三十分ぐらいたちそうですので、マスタープランについては割愛したいと思います。
 分譲マンションの維持管理、これらについてお伺いしたいと思うんですが、分譲マンションを良好に維持管理する、あるいはまた、適正な管理組合の運営等が非常に重要になってくるわけですが、これは国会の方でも、我が党が一生懸命努力させていただきまして、管理適正化法というのを制定いたしました。適正管理に向けて、ある意味では大きく前進ができたかなというふうに思っております。
 管理組合は、修繕の積立金のペイオフに対する対策、あるいはまた建物のリフォーム、そうした新しい課題に苦慮しているという実態もあるわけなんです。地方公共団体は、法令に照らして、管理組合等に情報や資料の提供など、努力義務というものが課せられてきているように思うんですが、そこで、質問させていただくんですが、都が適切なマンション施策を進めていくためには、法の趣旨を踏まえまして、区ですとか市町村との連携を、こうした管理組合等の意見を取り入れながら進めていくことが重要かというふうに思うんですが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 分譲マンション施策は、住民に身近な自治体でございます区市町村が行うことが基本でございまして、都は、マンションに関する関係団体等との連絡を図るとともに、区市を支援してまいります。
 このため、管理組合の団体や分譲マンションの関連団体等を構成員といたします東京都分譲マンション管理・建替え協議会を設置いたしまして、ここでの意見を参考に、分譲マンション施策を検討しているところでございます。
 また、都と二十三区、二十六市によります分譲マンション施策推進行政連絡会を設置いたしまして、区市との協議を通じて、それぞれの役割分担のもとに具体的な施策を実施しているところでございます。

○ともとし委員 今、ご答弁がありました管理・建替え協議会、どのように運営されているのか、また、現在、どういうようなことを協議されているのか、お伺いしたいと思います。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 分譲マンション管理・建替え協議会には、維持管理部会と建てかえ部会を設置いたしまして、おおよそ二カ月から三カ月ごとに、それぞれの部会を開いてございます。
 現在、維持管理部会では相談体制の充実策につきまして、また、建てかえ部会につきましては建てかえ円滑化法の制定に伴う対応方策を検討しているところでございます。

○ともとし委員 今、これまたご答弁がありました相談体制の充実、これは具体的にはどういうことがいえるのでしょうか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 分譲マンション管理・建替え協議会におきましてホームページを開設いたしまして、都だとか協議会の構成団体の所有いたします情報を、相談に関する情報や資料等の管理組合等への提供を容易にする仕組みを整備いたしまして支援いたします。
 今後、各構成団体が相互に連絡し合い、管理組合等からの相談に対応できる体制の整備を検討してまいります。

○ともとし委員 このマンションはとにかく、やっぱり都営住宅と同じように、一定の年数がもう過ぎているような建物が非常に多くなってまいりました。建てかえ、あるいはリフォーム、いろんな点でマンションの管理組合は悩んでおります。そういうような状況からいくと、できれば現場に行って相談をしていただくということを、非常に管理組合としては望む、そういう内容になっているんですね。
 そういう意味では、都は、区ですとか市の相談能力の向上を図るとともに、こうした現場の管理組合、そういうところの相談体制の支援というものをすべきと思うんですが、この辺についていかがでしょうか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 都は、平成十年度に、区市等の相談担当職員向けの相談マニュアルを作成いたしました。その後、毎年改定を行い、区市等の相談担当職員に配布するとともに、勉強会等を開催してございます。
 また、年に三、四回の割合で相談員連絡会を開催いたしまして、区市等の相談担当職員に対し、相談にかかわる最新の情報を提供するなど、相談対応能力の向上を図ってまいりました。
 これらによりまして、区市が現場の管理組合等への支援がきちっとできるような形にしたい、こういうふうに考えてございます。

○ともとし委員 とにかく、現場は非常に悩んでいます。悩んでいるからこそ、わらをもつかむ思いで、いろんなところに手を打たれているわけですが、そういうものを利用して党勢拡大につなげようなんという、そういうようなところもあるようでございますので、やっぱりしっかりしたことをやっていただかないと困るんですよ。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 最後にはなりますけれども、今回、法の施行にあわせて、マンション管理士制度が創設されました。管理組合に対して相談や助言、適正な管理に向けてのそうしたことに対しては大いに期待ができるのかなというふうに思っているんですが、都は、この管理士をどのように活用されるのか、その辺もお伺いしたいと思います。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 今後、マンション管理士が、管理組合による良好な維持管理のために活躍することが期待されております。
 都といたしましては、既に実施しております、管理組合等の要請に応じて直接現地に赴いて助言を行います分譲マンション管理アドバイザー、あるいは、現在、弁護士と建築士で実施しております分譲マンション専門相談、これらの新たな人材といたしましての活用を検討してまいります。

○ともとし委員 この窓口はどちらですか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 マンション管理士に対する窓口ということでよろしゅうございましょうか。

○ともとし委員 それを含めて、総体的にマンションにかかわることについての窓口。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 私ども住宅局の開発調整部におきまして、マンション担当の専門相談等を預かります部署を設けてございます。

○ともとし委員 ありがとうございました。

○田代委員長 この際、議事の都合により十分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十二分開議

○田代委員長 休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○池田委員 この間、東京都、そして住宅局は、財政再建計画、さらに昨年五月の住政審答申、住宅政策のビッグバンなどと、都の住宅政策を、経済社会状況の変化だとか都財政の逼迫を理由に抜本的に展開させてきました。
 このような立場からつくられた住宅マスタープランは、都民の生活基盤である東京の住宅事情の深刻な、また居住水準の劣悪な状況、特に高齢者や障害者、若年ファミリー層、低所得層の厳しい実態を述べているものの、住宅供給は民間市場活用を中心にし、住まいは人権、こういう立場からの保障をすべき都の責任を、自助自立論などですりかえて、きつい言葉ですけれども、放棄する、こういうものになっていると私はいわざるを得ないというふうに思うんです。
 東京の居住水準は、全国で最悪の状況だ、こういうふうにいわれてまいりました。東京の居住面積、例えば借家の方は、持ち家の四割以下であり、全国平均に比べて、持ち家で三十平方メートル、借家で十平方メートルも狭いという状態です。また、健康で文化的な生活の基礎として必要といわれている最低居住水準の問題を見ても、例えば、四人家族で住居専有面積が五十平方メートル未満の住宅が、東京では一一・四%、全国平均の五・一%の二倍というような状況です。また一方、都民の住居費負担率は、民間賃貸住宅費の負担率は収入の二三%、特に高い、こういう状態です。
 東京の居住の状態と、こういう状態について、いろいろマスタープランの中でも課題として述べています。しかし、私は、この解決の施策こそ、今、都民が東京都の住宅政策に求めている、こういうふうに思うわけであります。
 ところが、マスタープランではどうなっているか。今、公営住宅が東京では非常に少ない。不足している状態です。例えば、公団だとか公営、そして公社の賃貸住宅は、東京全体の住宅数の九・一%です。民間借家は四一・六%という、資料が示しているとおりです。
 そういう状態にもかかわらず、マスタープランでは、都営住宅の管理戸数の抑制だとか、都営住宅のストックは縮小していくとか、こういうことを掲げている。一方では、入居条件や管理強化--入居条件の規制を厳しくしていく。一方では管理強化。こういうことで、都営住宅に入居できる都民の枠を絞り込もうとしている。こういう流れだということは、もう明らかだというふうに私は思うんです。
 こういう状態では、私は、今、都民が求めている、劣悪な居住水準や、民間賃貸住宅に入居して高い負担にあえいでいる、そして公営住宅、とりわけ都営住宅入居を期待している都民の要望にはこたえられないんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、基本的な問題ですから、まずお答えください。

○小川住宅政策担当部長 都内の居住の状況及び住宅問題に関する認識でございますが、世帯数約五百万に対して、住宅数が今約五百六十七万戸ということでございまして、一世帯一住宅を原則とすれば、量的には充足をしているというような状況でございます。
 しかしながら、質の面では、委員のご質問にもありましたように、最低居住水準未満居住が一一・四%あるというようなことから、面積あるいは設備、構造等ということで、これは着実に改善は進んでいるものの、まだまだ不十分な点があるということでございまして、その一層の向上、あるいは居住水準の住宅困窮の課題解決は重要な課題であるというふうに認識しております。

○池田委員 私は、マスタープランというのは、今の都民の居住条件が今申し上げたような状態の中で、どうそれを解決していくかという展望を本当にリアルに与えていく、示していく、こういうことでなければならないだろうというふうに思うんですね。
 そこで、具体的な量の問題で、今お話がありました。しかし、先ほど私がいったのは、全体の東京の住宅数から見て、公団だとか公社だとか都営だとか、そういう公営の住宅の少なさということを示したわけですね。
 お答えいただきたいんですが、平成十二年度五月、十月の新築募集、それから空き家の募集、その倍率がどうなのか。それから、平成十三年の五月、これも同じように新築と空き家の応募倍率、最高はどのくらいだったのか。ちょっとその辺も含めて説明してください。

○井上管理部長 平成十二年度の都営住宅の応募倍率で、五月と十月を合算いたしますと、新築では、千三百八十一戸の募集に対しまして五万三千四百二十一人の応募がございまして、平均で三十八・七倍、それから空き家ですと、同様に計算いたしますと十・五倍。
 十三年度は、同様に、新築で六十二・七倍、空き家だと二十・三倍となっております。

○池田委員 合算してということですから、私はもう少し細かくというふうに思っていたんですが、ちょっと紹介したいと思うんですが、十三年度、去年の十二月の単身の空き家はどうかというと、八百戸の募集に対して一万三千四十四名、倍率が平均で十六・三です。最高倍率で百二十四・三倍です。シルバーピアはどうか。百六十九戸の募集に対して応募者数が七千五百五十八、平均倍率が四十四・七です。最高が二百四十一という倍率ですね。
 一方、十二月のポイント方式ではどうか。募集戸数が千二百です。応募の方たちが八千九百七十八、平均倍率が七・五です。最高倍率が百十二・五ですね。
 そして、若年ファミリー向けの定期使用住宅というのがやられました。これは十二月のやつを見てみますと、応募戸数が三十七戸、応募者数が千七百三十一、平均倍率が四十六・八ですね。そして、最高倍率が二百十四。
 こういう事態を見れば、いかに今、都民の皆さんが、この応募倍率に示されるような状態の中で、公営住宅、特に都営住宅に対する期待を持たれているかということは明らかだというふうに思うんです。
 もう一つ紹介したいんですが、これは前も私も紹介しましたけれども、都の住宅局が住まい及び住宅政策に関するアンケートというのを十一年にとりました。この中で、都民の皆さん方が、住宅政策に関する意識、そして、賃貸住宅に関する政策として重視すべきことということで望まれている数が示されています。
 この中で、賃貸住宅に関する政策として重視すべきこととして一番多いのが、低所得者などを対象とした都営住宅などの公共賃貸住宅の建設が二九・五%。続いて、失業時などに家賃が払えない場合の支援制度を設けてほしい、二六・六%。その後、民間賃貸住宅における高齢者や子どもの扱い、こういうものに対する入居制限をなくしてほしい。また、中間所得者、こういう人たちを対象とした公共賃貸住宅の建設も二一・〇%というふうになっています。私は、これを見てみて、そういう都民の皆さん方の要求というのは、まさに明確だろうというふうに考えます。
 そこで、これも基本的な問題ですから、お尋ねしますけれども、今、国の方は、ご存じのように、特殊法人改革という名で、住宅金融公庫、また都市整備公団の廃止や民営化の方向を打ち出しています。そういうものに追従して、東京都も公的な住宅保障から大幅に後退していく、こういう流れが、住まいを市場原理にゆだねる、こういう形になってあらわれてきているんです。
 公営住宅法というのは、この辺で、はっきりと国や地方自治体の責務を明確にしています。公営住宅法の目的をちょっと紹介いたしますと、「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸……することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」、これが国の公住法の目的です。
 一方、東京都も、都の住宅基本条例というものをきちんと決めております。私は、そういう点では、こういう立場に東京都は立ち戻って、そして都民の切実な要求にこたえるべきだ、こういうふうに考えますが、どうですか。

○小川住宅政策担当部長 住宅マスタープランにおきましては、公営住宅法の精神を踏まえまして、民間賃貸住宅にお住まいの方で、自力では最低居住水準を満たすことが困難な高齢者やファミリー世帯、こういった方々を施策の対象として推計しております。
 二〇〇一年から二〇〇五年度の五年間で、住宅マスタープランの策定のもとになっております推計値としては、このような方々が三万六千世帯というふうに推計をしております。この三万六千世帯については、今後五年間で、都営住宅のストックから発生をする空き家で対応できるというふうに考えております。
 なお、先ほど委員ご指摘の応募者数でございますが、こういった新築あるいは空き家に対する募集での応募者数は、資格審査をする前の申し込みの時点の数字でございます。これと、私ども推計で算定をしております、自力では最低居住水準を満たすことができない--これが真に住宅に困窮する方というふうにいえるかと思いますが--というものとは違いがある。すなわち、応募の方には、現在、居住水準を満たしているものの、将来を考えてといったことや、あるいは、単なる民間賃貸からの住みかえということで応募してくる世帯もいるのではないかというふうに考えております。
 したがいまして、本当に困窮している方にやはり都営住宅を適切に供給すること、これが都民共通の財産をいかに有効に使うかということでございますので、これを実現するには、むしろ応募資格、そういったものも含めて今後の課題ではないかというふうに考えております。

○池田委員 私は、具体的な事実と現実的な数字を積み重ねて質問をしているつもりです。
 十四年度の予算の審議ですから、触れたいと思います。住宅局は、十二年、十三年、そして十四年度と、三年連続で新規の住宅は全く建てていない。ゼロです。それだけではなく、いただいた十四年度予算案の中で、これはちょっとご説明していただいた方がいいというふうに思いますけれども、例えば、優良民間賃貸住宅の助成事業、区市町村の住宅供給助成事業、それから、東京都住宅供給公社の貸し付け及び補助事業、こういう中で、それぞれの住宅戸数が予算として挙げられています。
 十三年度と比べて、十四年度はどのぐらい減っていますか。これ、予算ですから、どなたに聞けばいいのでしょうか。

○関谷総務部長 優良民間賃貸住宅の供給助成事業につきましては、十三年度では八千二百四十戸、十四年度予算案では四千二百十戸を予定しております。
 それから、区市町村供給助成事業につきましては、十三年度予算額では四千戸、十四年度予算額については九百六十六戸でございます。
 それから、東京都住宅供給公社貸し付け及び補助事業でございますけれども、これは十三年度予算は、一般賃貸の建設で五百四十五戸、十四年度予算案では、一般賃貸の建設で五百戸というふうになっております。

○池田委員 そのほかの事業もあるわけですが、今、三つ比べていただいたわけですね。優良民賃の問題を見てみれば、十三年度八千二百四十戸、これが十四年度では四千二百十戸数で、半分ぐらいですね。それから、区市町村の住宅供給助成事業、ご説明があったように、十三年度では四千戸が、十四年度では千三十六戸、こういう状況です。いろいろ経済的な状況など、さまざまな今の情勢変化ということは確かにあるというふうに思います。しかし、こういうのが、この十四年度予算の中でも示されている具体的な中身だと。
 しかし、一方、これは数が減っているだけじゃなくて、私は幾つかの問題で指摘したいと思うのは、都民に建てかえを約束しながら、それをほごにしようとしている、こういう事例が、港区だとか文京区だとか東村山だとか、もっとたくさんいろいろあるんですね、小さいところにすれば。そのことを幾つか問題にして、お聞きしたいというふうに思います。
 最初に、港区の汐留アパートについては、今、陳情が出されております。この陳情は、こういうふうにいっております。都営汐留アパートを、当初から住民に約束をしたとおり建てかえてください、こういうふうにいわれています。汐留地区土地区画整理事業の計画が始まる当初より東京都が説明し、住民も確認してきた内容は、汐留計画で、都営住宅は地区内の換地により建てかえるというものですと。
 こういう当初のことを陳情でいわれていますけれども、このことはどうですか。

○青木開発調整部長 都営汐留アパートがございます汐留地区につきましては、平成四年、再開発地区計画ですとか、土地区画整理事業の都市計画決定がなされたところでございます。
 その後、地方分権の流れの中で、都といたしましては、百戸程度の都営団地について、区への一層の移管を進めることとなっておりました。そして、十二年三月の都区合意によりまして、都区の役割を明確化したところでございます。小規模な公営住宅の運営につきましては区が行い、したがいまして、都といたしましては、小規模な団地の建てかえは行わないということになってございます。
 今お話しの、従前から、汐留アパートについては換地先に建てかえるというようなお話でございますけれども、住宅局といたしまして、居住者の方々に説明会を行い、換地先に建てかえるといった正式なご説明は、いまだ行ったことがございません。
 ただ、いろいろな経緯の中で、区画整理事業者である建設局が、換地先を、当然に都営住宅の換地ということでございますので、換地設計を都営住宅の名前でしているとか、それから、平成九年十月に、私どもが下の店舗の方々の意向調査をしたというようなこと、それから、当時はまだ、先ほど申し上げた百戸未満であっても建てかえをしていたというような状況から、居住者の方々が建てかえが行われるというように思われた可能性はあろうかと思います。

○池田委員 今、あそこの汐留アパートには、下は店舗で、十一軒でしょうか、商売をやられている。店をやっておられる。また、上には三十人の方たちが住まわれている。
 今、地方分権だとか、東京都は百戸未満の建てかえはやらないとかいうふうな話がありました。しかし、ここの汐留のことについては、区の方に意見照会を東京都はやっているわけです。その東京都の汐留アパートの取り扱い方針について区に意見照会をしたときの、これは私、ありますけれども、これに対して、東京都に港区の方はいろいろ回答を出しているんです。
 この中でいわれているんですけれども、都営汐留アパートの問題については、居住者の確保、店舗所有者に対する営業補償など、生活の手段を具体的に講じてほしい、理解と納得を得た上で手続を進めるようにしてほしい、また、改めて、従前の住宅戸数を上回る住宅を確保する方途について港区と協議してください、こういうふうに回答を寄せているわけです。
 ところが、実際に、今のお話ですと、東京都は昨年の暮れ、また、今もいろいろ住民の皆さん方には説明されているようですけれども、今住まわれている人たちの問題を、建てかえないということを前提に話し合うということだというふうに思います。
 私はそこで、住民の人たちは了解をしていないからこそ、陳情が出されていると。そして、港区の方でも、この前の議会で住民の皆さん方の請願が議論をされて、そして、この住民の皆さん方の声にこたえて、担当部長はこういうふうに答弁されているんです。港区の汐留地区については、東京都住宅局の百戸未満という建設に関する考え方は、東京都の住宅施策として一般的な考え方でございます、しかし、汐留地区につきましては、これまでの経過もございますし、この一般的な東京都の方針とは別に、切り離して考えているんだというふうに理解をされているわけですね。違うんだといわれている。
 これは、区画整理の中で、今、換地が決められてきているというふうに思いますけれども、そこに当然住宅がつくられるだろう、こういう経過の中で地元では期待していることを示しているんじゃないか、私はこういうふうに理解をしている。どうですか。

○青木開発調整部長 私どもが昨年十一月に区の方にご照会をいたしました文面は、この団地が撤去団地として用途廃止をする方針ですということで、ご意見をいただきたいということで文書を出したわけでございます。
 その回答は、今、委員おっしゃったとおりでございますが、一番上の回答が抜けてございます。都営住宅の用途廃止に当たっては、居住者の住宅の確保、店舗所有者に対する営業補償等、生活再建上の手段を講じてくださいということでございまして、この用途廃止に当たって、区として特段の反対の意見はございません。
 二番目の、都営住宅を、従前住宅戸数を上回る住宅を確保する方途については区と協議をしてくださいということは、この地区内に、今お話しのように、住宅をぜひ供給をしていきたいという区のお考えのあらわれでございます。したがいまして、この点を踏まえまして、これから区と協議をしながら適切に対応してまいりたいと思っているところでございます。

○池田委員 今の話の中で、区画整理に当たった場所での用途廃止というのは当たり前ですよ。換地が決められていくわけですね。換地の中で住宅を期待しているというのは、一番最初に、先ほど申し上げたように、港区の東京都に対する意見照会に対する回答として出ているんですね。そこにそのまま建てかえなさいなんというようなことを、だれもいっているわけじゃないですよ。そういう言葉の使い方というのは、正確にしなきゃいけない。
 港区としては、今週中にでも、区長名で、新たに区としての要望を出すようでありますから、今までの経過と、住民の皆さん方の思いにこたえる、こういうことで、私は、この汐留の区画整理にかかわってのアパート問題では十分対応を求めたい、このことを強く主張しておきたいというふうに思います。
 二つ目には、これは文京の大塚女子アパートの問題です。これもやはり、今までの経過をずっとたどってみますと、建てかえということが、あそこに入っておられる女性の皆さん方--これは、ご存じだと思うんですけれども、文京区の地下鉄の茗荷谷駅前にある大塚の女子アパートです。これは一九三〇年に建設された。非常に老朽化して、極度にそういう状態が進んでいるということから、この建てかえ問題というのは、前からずっと問題になっていた。
 そして、東京都の方針というのは、建てかえ方針。九七年には建てかえ基本計画策定を目的に調査が始まって、そして九九年度には建てかえ基本計画の策定に入る、こういう状態だったわけです。ところが、九九年の末に、除去に変更する。これも変更なんですね、政策の変更というか。そういう中で、この問題が出てきている。
 ここに住まわれている方たちは、独身の方たちです。七十歳から八十歳、中には九十歳を超える方たちもおられるわけです。高齢者が住んでおられる。みんないろいろ病気を持っていて、長くは待てません、こういう手紙さえ、私どものところへ送ってこられているような状態です。
 私は、こういうことを考えてみて、今までの経過を、なぜこういう方針に変えたのかと。先ほど、地方分権だとか、いろいろな話がありました。じゃ、その方針を変えたのは、いつだったんですか。そして、具体的に住民の皆さん方に説明されたというのは、どういうことだったのでしょうか。

○小林建設部長 都営大塚女子アパートの建てかえについてでございますが、昭和六十年ぐらいから、茗荷谷駅周辺の再開発事業の中でとの話がございました。しかし、平成四年には再開発事業の地区から外れまして、その後は、敷地単独で建てかえを行うことも含めて、敷地の有効利用を検討してきました。
 しかしながら、建設後七十年を超えて、建物そのものの維持もかなり困難となってきたことから、昨年の十二月に、都として建物を除去することとしたわけでございます。
 除去することにいたしました理由でございますが、大塚女子アパートの敷地は、春日通りには面してございますけれども、奥の方が第一種住居地域で日影規制がございます。その関係で土地の高度利用が困難でございまして、建てかえをいたしましても、五十戸も建設できない小規模な団地になることから、都は建てかえを取りやめたものでございます。

○池田委員 この問題でも、地元の文京区の方から知事あてに、早期に建てかえられるようにという要望書が出されています。この要望書に基づいて、東京都はどういう検討をされたのでしょうか。ところが、さっきいったように、東京都は突然、区への事前の相談だとか了解もないままに建てかえ方針というものを変更して、そして除去ということ、そして、入居者に対する説明会、そういう開催案内までやる。
 ですから、ここでも、区の方と、それから居住されている方たちというところを飛び越えて、やはり方針が決まる、それを頭越しに押さえつけていく、こういうやり方がされている。私、十分この問題でも、区や、今居住されているそういう思いを持っている方たちの声を聞いて、そして対応をしっかりしてもらう、こういうことを強く求めておきたいというふうに思います。
 そして、三つ目の問題は、東村山本町団地の建てかえの問題です。
 これについては、ちょっとご説明をまずいただきたいと思いますけれども、東村山本町団地の建てかえに当たって、東村山市と結んだ協定の内容というのをまずご説明ください。

○小林建設部長 東村山本町団地でございますが、もともとは昭和三十三年から三十七年度にかけて建設された低層の簡易耐火住宅及び中層の耐火住宅が千九百三十七戸ございました。それを、計画では、中高層耐火住宅二千九百五十戸に建てかえ、あわせて道路や公園、保育所、児童施設等の公共施設を整備するものという内容で、東村山市との協定は結んでございます。

○池田委員 そして、一期、二期、三期、四期ということで分けて、この建てかえをやってこられたわけです。そして、今、三期の状況だと思うんです。
 実際に東村山市と協定をした戸数と、現在までに建てかえが終わった戸数、進捗の状況、これをまず説明してください。

○小林建設部長 お話のとおり、現在は第三期の途中でございまして、着工済みないし竣工済み合わせまして千七百八十四戸ということでございます。

○池田委員 そうすると、最初に東村山市と約束をして建設しようとした二千九百五十戸ですか、これとの差はどういうふうになりますか。

○小林建設部長 差は、約千二百弱ということになります。

○池田委員 それは、どうなりますか。

○小林建設部長 今後の建設の予定でございますが、都営住宅の建てかえと申しますのは、都の住宅政策を取り巻く社会状況の変化や都営住宅の総戸数を抑制するという考えを踏まえて計画を進める必要がございます。特に大規模団地の建てかえにつきましては、都営住宅を元戸数程度にとどめまして、残りの敷地を、都民共有の財産として、地域の活性化などまちづくりの寄与という観点から利用していくことが適当だというふうに考えております。
 したがいまして、当団地は、三期の途中で元戸数を超えるため、それ以降の都営住宅の建設は行わずに、新たな土地利用を今後検討してまいります。
 なお、計画の見直しにつきましては、現在、市と協議中でございますが、都営住宅を元戸数程度にとどめること、また、残りの敷地を地域の活性化などに利用していくことにつきましては、市の基本的な理解を得ているところでございます。

○池田委員 協定書を、私、ここで云々かんぬんいうつもりはありませんが、ここの協定書というのは、戸数の問題と公共施設、児童館だとか保育所だとか、そういう施設もあわせて計画の中にのっているわけです。
 この中で、三期の老人福祉施設、四期目の市民集会施設や保育所、こういう施設の計画もありますね。これは、どういう状態なんですか、今。

○小林建設部長 市との公共施設につきましては、一期で保育園、児童館をつくってございます。
 今後、三期の中で老人福祉施設、四期の中で保育所をつくることとなりますが、今後、建設をとめることによって、こちらの方の施設の整備は難しくなるというふうに考えております。

○池田委員 それから、障害者用の戸数も、計画では示されています。何戸だったのでしょうか。そして、現状では何戸まで来ているのでしょうか。

○小林建設部長 車いす住宅の整備でございますが、市との協議に基づきまして、現在まで二十一戸供給してございます。
 なお、市の方の地域福祉計画には、百十戸という数字がのっているというふうに聞いております。

○池田委員 事ほどさように、住宅の戸数も、約束をしていた二千九百五十戸が約千二百戸弱。実際には、この場で、あと計画もなく、ストップになっちゃう。それから、社会福祉施設の問題でも、引き続きの住宅建設が進まない、ストップになるわけですから、これも、今のお話のように可能性がなくなる。障害者用の車いすの建設も、百以上の計画があったにもかかわらず、今二十一戸と。
 私は今、汐留の問題だとか文京の大塚女子アパートの問題だとか、この東村山の大団地の建てかえの問題を、具体的な事例として示しました。ここに示されたのは、結局、今まで東京都が、私が前段に申し上げたように、都民の住宅要求にこたえていく、そういう立場から大きく政策を変えて、前段に申し上げたようなマスタープランの基本的な立場からの施策が進められてきた結果が、こういう具体的なところに端的に示されているというふうにいわざるを得ないと思います。
 今、東京都が、いろいろ財政的な厳しさ、確かに税収が落ち込む。厳しさがあります。しかし、本当に都民の暮らしを守る、都民の住宅要求にこたえていく、そういう本来の地方自治体としての役割を果たしていこうという立場に立つならば、先ほど来申し上げているような、住宅政策が大きくゆがめられてきている、こういうことを、本当に公住法の立場や、また東京都の住宅基本条例の立場に立ち返ってやるべきだというふうに思います。その辺、局長はどういうふうに考えますか。

○小川住宅政策担当部長 住宅マスタープランの考え方を、再度申させていただきたいと思います。
 東京におきましても、人口あるいは世帯が、頭打ちあるいは減少になるというような時代背景を迎えた中で、今後、一度建設をすると七十年使っていくというような施設であります公営住宅の供給ということについては、見直すべき時期であろうということがございます。見直していく中で、やはりこれまでつくってきたストックの活用に重点を置くべきだという観点から、新たな供給については抑制をうたっております。
 このストックの活用につきましては、都営住宅の再編、整備という中で、建てかえと同時に、多様な機能を入れるといったことでまちづくりに貢献する。そういった中で、いろいろな団地の再編ということも個別にはあろうかと思います。
 また一方で、まちづくりや福祉政策を担っております、きめ細かい施策展開可能な区市町村と、住宅政策の上での役割分担をする、あるいは民間にある余剰のストックを活用するということがございますので、そういうところの施策を展開するということにつきましては、いわゆる都が建設し、関与するという都営住宅としてのものは、縮小することはあるだろうというふうに申してあります。
 しかしながら、これは全体といたしましては、多種多様な手法を用意することで幅広く困窮者対策に対応するということで、私ども、都民の住宅に困窮する方に対する対応としては、今回、さらに幅を広げて進めていきたいというふうに考えておりますので、ご理解をお願いいたします。

○池田委員 抽象的、一般的な話をされているので、これがマスタープランだということを説明したんだというふうに思います。しかし、私は、冒頭申し上げた基本的な視点から、具体的な幾つかの予算にかかわる問題、そして、今進められている、まさに東京都の住宅政策の抜本的な転換によって切り捨てられていっている部分を具体的に提起したつもりです。しかし、残念ながらその答えにはなっていない、こういわざるを得ないというふうに思います。
 こういう立場から、私は、今度の十四年度予算の視点を見てみますと、やはり都民が本当に求めている住宅要求、痛切な思いを持っているものにこたえ切れていない、こういうふうに、一面いわざるを得ないというふうに思います。
 確かにマスタープランの中では、いろいろな幅広い層の人たちの要求をとらえてやろうということで、例えばマンションの問題だとか、また高齢者や中堅所得層、こういう人たちの要求も具体的にしようという記述もありますけれども、全体としては、やはりそういう方向があるということを指摘して、終わりたいと思います。
 以上です。

○新井委員 それでは、四点、お伺いをしたいと思います。
 まず、一点目は、住宅マスタープランについてお伺いいたします。
 前回、中間のまとめのときにも質疑をさせていただいたんですけれども、今回出された最終案と読み比べをしてみまして、さまざまなところから出ているご意見を取り入れていただきまして、加筆修正をされたということで、非常に柔軟にやっていただいたなということで評価をさせていただきたいと思います。市区町村からの意見、あるいはこちらの委員会の中から出てきた意見、一般の都民の方から上がってきた意見というところで、それぞれにフィードバックをしながら生かしていかれたということについては、非常に姿勢としては評価できるのではないかというふうに思っております。
 それで、中身なんですけれども、まず、先ほど来、都営住宅のことでいろいろお話がありましたけれども、日本の住宅政策というのは、前にもいいましたように、国自体が非常に分譲住宅に偏った助成施策を続けてきたということで、民間の賃貸が置き去りにされてきたというような状態があると思います。東京都の中でも、賃貸といえば公営の賃貸住宅ということに偏っていて、民間の賃貸の活用ということが非常に欠けていたのではないか、こういう部分は前回のときにもご指摘をさせていただいたわけなんですけれども、今回、加筆をされていただいてはいるのですが、まだまだ、分譲マンションの施策に比較しまして、民間賃貸住宅施策の書き込みが非常に少ないというふうに思うわけですけれども、今、周りのいろいろな方にお話を伺いますと、やはり分譲でなければいけないというような考え方は非常に変わってきておりまして、自分のライフスタイルに合わせて住みかえをしていくためには、賃貸の方がいいんだというふうな方が非常にふえているというふうに思います。
 そんな中で、東京の中の民間賃貸住宅、非常に劣悪なものが多いわけですけれども、そういったところを拡大していくために、どのように施策を進めていかれるのか、お伺いいたします。

○青木開発調整部長 二十一世紀の豊かで生き生きとした東京居住を実現していく上で、民間賃貸住宅に対する施策の推進は大変重要な課題だというふうに私どもも認識しているところでございます。昨年十一月に公表いたしました住宅白書でも、民間賃貸住宅の特集を組みまして、現状と課題を明らかにするとともに、新たな民間賃貸住宅施策の方向等を示しているところでございます。
 今回のマスタープランにおきましては、東京居住における活力、選択、安心、そして、これらを支える住宅市街地という四つの居住像それぞれを実現する施策として、それぞれの項目において、民間賃貸住宅施策について記述しているところでございます。例えばニーズに応じた選択ができる居住の項目では、良質で多様な民間賃貸住宅等の供給として、優良民間賃貸住宅や都民住宅制度、都心共同住宅供給事業や高齢者向けの優良賃貸住宅制度などを活用いたしまして市場を的確に誘導し、ファミリー世帯向けを初め、適切な住居費負担による良質な賃貸住宅の供給や、良好な住宅ストックの形成を図ることとしているところでございます。
 今後、この今回策定いたしましたマスタープランに基づきまして、多様な民間賃貸住宅施策を積極的に展開し、推進してまいりたいと思っているところでございます。

○新井委員 ばらけて書いているので、余り目立たないのではないかということだと思うんですけれども、ライフスタイルに応じたニーズというものに合わせて住宅を考えていくときには、この民間賃貸住宅が、これから非常に大切になってくるというふうに思います。
 中間のまとめのときにも申し上げたんですけれども、国の方へ、家賃補助、これも含めて要望しながら、日本は土地が高い、東京は特に高い、今、大分下がっているとはいえ非常に高いわけで、そういう土地をこれまで購入してきて建てて、そして、それを都営として提供していくというやり方よりも、むしろ民間賃貸を活用していくことの方がいいのではないか、私はこんなふうに考えています。
 次に、政策指標のことについてお伺いしたいと思います。
 一〇二、一〇三のところで、政策指標、ベンチマーク、数値的な目標値を出していただきまして、これについては、私も、マスタープラン達成のためには非常に大切だから、ぜひつくってもらいたいということを申し上げてきたわけですけれども、この政策指標が書かれまして、具体的にこれを見ますと、二〇〇一年から二〇一五年あるいは一〇年といった、非常にスパンの長い政策目標値であると思いますけれども、これを実現するために、どんなふうに具体的に取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

○青木開発調整部長 今ご指摘のとおり、今回のマスタープランで初めて政策指標を導入したところでございます。その達成に向けた取り組みでございますけれども、政策指標の項目によって、数値が毎年把握できるもの、例えば都心地域の住宅建設戸数や中古住宅の成約戸数などがそれに当たりますけれども、毎年把握できるものや、定期的、五年ごとでございますけれども、居住水準やバリアフリー化など、住宅・土地統計調査の結果などに基づいてその数値が把握できるものがございます。
 したがいまして、施策の展開に当たりましては、その把握できる指標を活用いたしまして施策の進捗状況等を把握していくとともに、五年ごとに把握できる指標も踏まえまして、五年置きに各種施策の進捗状況や効果の検証を行いまして、施策全体を対象として必要な見直しを行ってまいりたいと考えているところでございます。

○新井委員 毎年把握できるもの、あるいは五年に一回しか、住宅統計などでできないものということで、中間指標なども設けながらやっていただけるのかなと思いますけれども、例えば最低居住水準に満たない世帯の割合などは、二〇一〇年でほぼ解消というふうに書かれておりまして、本当かなという感じがするわけですけれども、こういうプランというものは、例えば、一番最初に各区市町村で十数年前に地域福祉の推進プランというものがつくられまして、こういう数値目標としては、多分、各自治体では初めて数字が出されたのじゃないかなというふうに思うわけですけれども、その政策指標を出されたものが実現したかどうかというのを検証しますと、最終目標値だけではなくて、中間地点からきちんと具体的な目標値を設定して、それを追って実現していくように努力をした自治体が福祉推進プランの目標を達成しているところなんですね。大まかにぽんと数値を出したところというのは、ほとんどいっては失礼ですけど、できていないところが多かったというふうな具体例もございます。
 そういう意味では、今回のこのマスタープランの中でも、最終的な目標値がここに示されておりますけれども、具体的に、それぞれの施策によって、可能な分野で中間目標値というものを設けていただいて、それをきっちり進行管理をして実現に向けていくといった努力をぜひしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○青木開発調整部長 今申し上げましたように、数値ができる時点でその施策の効果を検証して、適切に見直しを図ってまいりたいと思っておりますし、十五年後の目標達成をぜひ目指して頑張りたいと思っているところでございます。

○新井委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。絵にかいたもちにしないように、せっかくいいマスタープランができましたので、実現をしていただきたいというふうに思います。
 それでは、次に、建てかえ支援のことについてお伺いいたします。
 分譲マンションの建てかえ支援策ということで、東京都の方で来年度のものを出されましたけれども、都内でこれまでに建てかえられた分譲マンションはどのくらいあって、そのうち補助制度を活用したものは何カ所あるのか、教えてください。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 これまでに都内で二十五カ所で建てかえが行われ、そのうち、二カ所は優良建築物等整備事業、一カ所は都心共同住宅供給事業、五カ所が市街地再開発事業の補助制度を活用してございます。

○新井委員 優良建築物等整備事業の補助につきましては、これは建てかえ決議をしたものでしょうか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 これまでは、優良建築物等整備事業につきましては、建てかえ決議のあったもの、あるいは全員合意のあったものに限りまして、調査、設計、計画費等についての補助をなしていたところでございます。

○新井委員 そうなんですね。優良建築物等整備事業というのは、一〇〇%の合意があるか、あるいは建てかえ決議が終了した後の補助ということであるわけなんですけれども、多摩地域にも幾つか建てかえを検討している団地がございまして、私の住んでおります多摩では、かなり具体的にその建てかえに取り組んでいるところがございます。(資料を示す)こういう基本計画というものをつくったり、近隣にニュースを何度も何度も出したりして合意形成をしていく、そういう努力を重ねているわけですけれども、その決議をする前の段階で、既に四千万ものお金がかかってしまったということで、これは、皆さん方、ご自分で工夫して出されてやっているわけなんですけれども、この補助制度をもう少し活用したいということで、こういった決議をする前の段階の準備作業にも、こういったものが使えるようにならないのでしょうか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 平成十四年度から国におきましては、優良建築物等整備事業のうち、マンション建てかえタイプにつきましての調査、設計、計画費を補助対象といたしまして拡充することになってございます。
 したがいまして、建てかえ決議前の検討に要する費用も、優良建築物等整備事業の補助対象として来年度から拡充されます。

○新井委員 これは、建てかえを考えていらっしゃる方には非常に朗報だというふうに思うわけですが、区市による支援が可能になるということなんですけれども、これまでは国が二分の一、都が四分の一、市が四分の一という補助だったんですけれども、この都の四分の一の補助については出るのでしょうか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 優良建築物等整備事業の事業主体でございます区市町村が、建てかえを実施するマンションに対しまして補助を行う場合は、国とあわせまして、都も補助を行います。
 補助割合のお話がございましたが、国が三分の一、地方が三分の一、施行者が三分の一、このように相なってございますが、地方の負担の三分の一の二分の一、これを東京都が補助することになります。

○新井委員 この今の割合は、これまでの優良建築物等整備事業もこんなふうになっていましたか。変わったのでしょうか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 現行の優良建築物等整備事業の補助割合につきましては、ただいま説明したものと同じでございます。

○新井委員 今、建てかえに取り組んでいるところ、たくさんあるわけですけれども、合意形成をするために苦しんでいらっしゃるところ、あるいは事業協力者の選定など、より実践的な問題に即して悩んでいらっしゃるところ、いろいろあるわけですけれども、こういったことに対する支援策というものはお考えでしょうか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 今後、建てかえの検討に当たって必要な建築上の問題や資金計画、権利調整などの各分野の専門家を管理組合等の求めに応じて派遣する、建てかえアドバイザー制度を新たにつくりまして、支援してまいります。

○新井委員 この専門家の建てかえアドバイザーの派遣ということを見ますと、かなり初歩的な段階かなというふうなイメージを受けてしまうわけなんですけれども、今もお話ししましたように、こういった自分たちで基本計画をつくるところまでいかない方々のアドバイスをする場合、あるいは、ここまで来てしまって、さらに一歩進んだところの建てかえ決議に向けて、頑張って事業者、パートナーを見つけて進めていこうというふうに考えていらっしゃるような方とか、マンション建てかえに向けた管理組合というのは、いろいろな段階があると思うわけです。
 合意形成ということでの熟度に応じて、いろいろなそれぞれの課題を抱えているということがあるわけなんですけれども、そういったアドバイザー制度、この中の感じだと、ちょっと初歩的なのかなという感じがするんですが、こういった非常に専門的な、より専門的な問題についてもアドバイスができるようなものなのでしょうか。

○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 建てかえアドバイザーの具体的運用などにつきましては今後検討いたしますが、建てかえアドバイザーの人材には、一級建築士や権利調整などの専門家である再開発プランナー、このような方々を考えてございます。
 アドバイザーは、建てかえの検討の初動期から専門のコンサルタント等が選任されるまでの間におきまして、管理組合が建てかえの仕組みや課題について理解を深めるための説明や助言を行うものでございます。
 なお、管理組合等が専門のコンサルタント等を選任し、事業計画作成等の委託をした後は、そのコンサルタント等がアドバイザーの役割を果たすべきものである、このように考えてございます。

○新井委員 こういった建てかえに向けてのアドバイザーといいますか、事業については、欧米ではNPOがかなり積極的に取り組んでいまして、コーディネートをしてうまくやっている例がたくさんあるわけですけれども、日本では、まだまだこういうところのNPOは未熟で、ここまでなかなかできないところが多いんじゃないかなと思います。
 そういう意味では、東京都の方でぜひ頑張って、あらゆる段階に応じたアドバイスができるような、そういう施策にぜひしていただきたいということと、それから、今回の補助金のことも含めまして、こういう制度ができたということを、建てかえに取り組もうとしている方たちの情報は、ある程度東京都の方にあると思いますので、そういう方たちのところにはぜひお知らせをして、有効に活用していただくようにお願いをしたいと思います。
 それでは次に、「機能するバランスシート」についてお伺いをしたいと思います。
 この一月に、「機能するバランスシート」というものが出されたわけですけれども、私たち生活者ネットワークでは、予算の委員会なんかでも、バランスシートについて都の見解というのをお伺いしたところなんですが、こういうバランスシートの果たすべき役割は、今後非常に大きくなってくると思うわけですけれども、何点かちょっと疑問なところもあるなということでお伺いしたいと思います。
 まず、これは、都営住宅等の事業と東京都住宅供給公社事業についてバランスシートが作成されているわけですけれども、それぞれの目標、目的についてお伺いをいたします。

○関谷総務部長 今回発表されました、「都の住宅政策とバランスシートの役割」の中間報告書でございますけれども、今回の中間報告書によりますれば、都営住宅等事業につきましては、住宅政策に投入されている一般財源の額を明らかにし、膨大な資産が形成されている実態を明らかにすること、また、供給公社につきましては、公社の会計方式が公社の実態を見えにくくしていること、さらには、都の住宅政策を分析するに当たり、都と公社との財政関係を分析し検討することが必要であること等が、バランスシート作成の対象事業として取り上げられた主な理由であるとしております。
 こうした背景のもとに、できるだけ企業会計方式に近い方式でバランスシート作成が試みられたものでございまして、これにより、都営住宅と公社の賃貸住宅を中心とする事業の実態及び財政状況を明らかにし、今後の住宅政策のあり方を検討する基礎資料を提供することが作成の目的であるとされております。

○新井委員 今お答えにありましたけれども、今回、このバランスシートを作成したということは、これを一つの材料にして、これからの住宅政策を議論していこうということですね。その手段として、一つバランスシート、企業会計方式に近いものをつくって、比較検討してみようということだと思います。
 ここの中で、一六ページのところには、都営住宅の事業の行政コストの計算書がありまして、十二年度の数字ということで、いわゆる赤字ですね、これが九十五億円。一般財源投入額百四十七億円で、それを加えると、実質的な収支差が二百四十二億円。さらに、次のページに、実際には発生しない区部の公租公課等を加えると、実質的な都の負担は一千三十一億円ということで莫大な数字が上がっていまして、一戸当たりに直しますと、一六ページのところですと一戸当たり九万円ですけれども、公租公課を加えると、一戸当たり三十九万円と非常に大きな額が出ていまして、これを見ると、非常に赤字がすごいなというふうな印象を持ってしまうわけですね。
 しかし、そういう数字を、何とか経費削減をしていこうというふうに一般的にいってしまうと、それは、本来あるべき公営住宅の政策とはいえないのではないかというふうに考えるわけです。もちろん、無制限に一般財源を投入すればいいということではありませんけれども、反面、こういう都営住宅の政策では、赤字が出て当たり前という施策でもあるわけで、その辺、一般の企業とは違うというところがあるわけですけれども……。
 基本的な問題として、こちらの二三ページのところですね、こういった数字を踏まえた上で、「我々は公営住宅に関する現行の法制度を前提とした上で、都営住宅事業に対しどの程度まで税金投入が許容されるべきであり、どこから収支均衡を求めるべきかを真剣に考えなければならないのである。」というふうに、この中で指摘をされているわけです。
 このことについて、住宅局としてはどんなふうにお考えなのでしょうか。

○関谷総務部長 都営住宅につきましては、公営住宅でございますので、これは平成八年の公営住宅法の改正におきまして、近傍同種家賃、いってみれば市場家賃ということになるわけですが、近傍同種家賃と入居者負担額との差について、国と地方で一定の負担を行うことによって成り立つ制度だというふうに基本的には認識しております。
 このため、今年度の予算で申しますと、例えば、地域の防災機能を担う白鬚東防災拠点の運営経費のような、本来行政負担となるべき経費や、減収補てん債の償還金などは別にいたしまして、大枠では、国からの家賃対策補助金相当額を地方が同様に負担することによって事業を運営していくものと認識しております。

○新井委員 国の法律によって家賃が決まっていくということで、東京都で勝手にそれをやることはできないということがいっぱいあるわけですけれども、そういうところはそういうところとしておきまして、私、この中で非常に気になったところがあるんですけれども、一二ページのところなんですけれども、共通管理費の配付についてというところです。
 ここではいろいろ書かれておりまして、今回の共通費用の配付は住宅局内での共通費用のみを配付の対象とした。本来であれば、住宅局内の共通費用のみでなく、東京都全体で発生している共通費用、例えば総務局などの人件費その他の費用も配付の対象とすべきではあろうというふうに書いてあるわけなんですけれども、ここに、私はすごく違和感を持つわけなんです。
 今回、比較しやすいようにということで、企業会計により近いものにして比較をしたということですけれども、自治体の存在意義というのは何かということとか、税金をどういうふうに使うのか、社会福祉の増進ということで自治体が施策を行うというふうなもろもろのことを考えますと、企業と同じようにこういった会計を考えていくということには、非常に無理があるというふうに思います。
 そういう意味で、ここに書かれているように、住宅局だけじゃなくて、総務局あるいは知事の人件費をどうするんだとかということまで含めて、すべて配付をして考えていかなければいけないのだろうかというふうに思うと、それは、私はおかしいのじゃないかというふうに、ここのご指摘ですけれども、私はおかしいのじゃないかと。この中では、住宅局の共通費用のみを配付の対象とした試算がされておりますけれども、この部分で十分なのではないかなというふうに感じています。
 その上で、これだけ赤字が出ているということを見るんですけれども、このバランスシートは、ある年度末での収支のあり方がわかるだけで、その間のお金の出入りというのは全然見えてこないものですよね。だから、このバランスシートを見ただけでは、個々のお金の支出、特に、出入りがないというか、出について適正であったかどうかというのは判断できないわけです。企業と比較して、単にお金がかかっているから事業を節減していきましょうというふうな手法では、いけないのではないか。
 今行っている事業、例えば都営住宅の方でいえば、先ほどの管理費ですね。花輪理事の方から質問が出ましたけれども、坪当たり月五百円、供給公社に維持管理費がかかっているんだということがありましたけれども、そういったような経費が適正なものかどうかというチェックですね。
 それから、建設ということでいえば、民間の方が同じものを建てたら非常に安いんじゃないかということがよくいわれるわけで、東京都の公共事業はもうかるというふうなこともいわれているわけですけれども、そういうふうな一つの事業を比較していく。例えば同じようなマンションを建てたときに、民間が建てたときと東京都の方で都営住宅を建てたときに、その建設コストはどう違うのか、あるいは維持管理ということの委託をする場合の費用というものがどのくらい違っているのかというふうな、そういう検証も含めてこれからやっていって、中身が適正に行われた上で、住宅政策の中でこれだけの赤字が出てきたのかどうか。
 こういうことをすべて検証していかないと、この出てきた数字を見て、こんなに赤字がたくさん出ているんだから、住宅政策をもう少し縮小しなきゃいけないなとか、そんなふうな結論を導き出すのには、かなり無理があるのじゃないかというふうに私は感じたわけなんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○関谷総務部長 都営住宅等についてのバランスシートにつきましては、いってみれば今回初めて明らかにされたわけでございまして、基本的にはこういう財務諸表については、今後、私どもとしても取り組んでまいりますけれども、継続的に作成をしていく中で、その推移等を分析していくという作業が当然必要になってくると。そういうものの蓄積の上で、やはりもっとコスト分析みたいなものをきちんとやっていって、私どもの行政的な取り組みの効率性がどうであるかということを十分吟味していかなければならないというふうに認識しております。
 ただ、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、都営住宅等事業は、もともと公営住宅制度のもとで一定の一般財源の負担を前提に成り立つものというふうに認識してはおりますが、そうした中にあっても、税金をいたずらに投入するというようなことは当然あってはならないわけですので、コスト縮減などの取り組みにつきましては、重要なものとして、今後とも十分取り組んでまいりたいと思っております。

○新井委員 そうですね。一つ一つの中身の経費、事業のコストというものが適正なものであるかどうかということをさておいて、年度末の収支だけを見て判断していくというのは非常に危険であるということを申し上げたわけで、そういう意味では、供給公社の方の損益計算書なんかが出ているんですけれども、原価のところで、管理事業原価なんかも合計額しか出ていないわけですね、ここの中には。これは、多分、供給公社の中で全部出されていると思いますので、こういった一つ一つの賃貸住宅の管理原価、高齢者住宅の管理原価といったものが適正に行われているのかどうかということも含めてしっかり検証した上で、その上で、東京都の住宅政策としてどの程度の税金を投下していくのかということを考えていっていただきたいというふうに思います。
 それから、これは、こちらの方でお聞きするのかどうかなとも思うわけですけれども、東京都は、特別会計が半分近くを占めているということで、私もちょっと見て、本当にびっくりしてしまったわけなんですけれども、今回のバランスシートを出して、都営住宅の方を特別会計にしていくということでは、ある程度会計がはっきりしていくという部分はあって評価はできるわけですけれども、一方で、たくさんある特別会計がそれぞれ違った会計処理をして、そして連結会計ができないというふうなことであると、いわゆる隠れ借金ですとか、臨海の方で見られたような、特別会計間のお金の移動で赤字を見えなくしてしまう、魔法を使ってしまうようなことがあったりとか、そういう都民にとって非常に不透明なお金の動きというものが問題になってくると思うんです。
 今回、都営住宅事業が特別会計化されるということなんですけれども、そういった視点で、住宅局としてはどんなふうにお考えなのでしょうか。

○関谷総務部長 都営住宅事業につきましては、これまで、建設時に発行した都債の償還費や、都営住宅等が所在する市町村に対して固定資産税相当額を交付する都営住宅等所在市町村交付金が他局所管の予算として計上されているなど、その全体像がわかりにくいという状況にあったわけでございます。
 今回の特別会計化は、これら歳入歳出を一つの会計にまとめ、収支を明確にすることによって、事業の全体像を明らかにすることを目的としております。また同時に、バランスシート等を継続的に作成していくこととしておりまして、これらの取り組みを通じて経営的視点を強化し、事業の効率化に努めるとともに、都民に対するアカウンタビリティーを果たしていきたいと基本的には考えております。
 なお、今ご指摘のあった会計間の問題につきましては、従来も東京都は、普通会計ベースということで会計間の調整をしたような資料もお出ししておりますが、それに加えまして、財務局におきましては、監理団体を含めた連結の貸借対照表を、これは都道府県レベルでは初めての試みなわけですが、十一年度から引き続いて作成しているところでございます。

○新井委員 この都営住宅事業だけを取り上げますと、非常に特別会計化してわかりやすくなったということはいえるわけで、バランスシートもつくって、企業会計に近いところで比較をして、検証していくということ自体は非常にいいことだというふうに思うわけです。
 この中間報告の都営住宅の一番最後のところですね、二七ページに、「特別会計として分離させ、さらに継続的かつ制度的に機能するバランスシートを作成することが、事業部門レベルからの財政改革の第一歩であると確信する。」というふうに先生方もいっていらっしゃるわけですけれども、まさにここは、そのとおりだというふうに思います。
 そういう意味では、中身の検証も含めて、先ほどの経費節減の話ですけれども、財源は限られている、見直すべきは見直して、適正な事業運営をしながら都民のニーズを満たしていくということで力を発揮していただきたいというふうに思います。
 先日の予算特別委員会の代表質問でも申し上げたんですけれども、今後とも、監理団体を含めた連結貸借対照表を継続的に作成していく必要があるのじゃないかというふうに思います。十四年度は、今回、これも加えて新たに二つの会計が設置されまして、一般会計以外で十九の特別会計ということになるわけですね。それにまた十一の公営企業会計が加わって、合計三十一会計。本当にわかりにくいことになるわけです。それぞれの会計が、そして、その会計とほかの会計と財政的にもつながりを持っているということで、本当に何がどうなっているんだかよくわからないというふうなことになっていて、なかなか都民には説明がつかないような部分があるのではないかというふうに思います。
 都全体の財政状況がどんなふうになっているのか、住宅局だけで物事を決めていくということはできないわけですけれども、先ほどの都営住宅事業の中に一般財源というものをどれだけ投入していくのかということも、全体の財政状況を含めて議論していただいて、そして、連結貸借対照表をぜひともつくっていただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 明日見らいふの件について、もう一度ご質問をさせていただきます。
 今回、サービスのあり方と会計に焦点を絞ってお伺いしたいと思うんですけれども、こちらの明日見らいふの方では、介護保険が導入されましてから介護の互助会というものが設立されて、そして、その基金で介護保険の利用料が支払われているというふうに伺いました。
 この互助会の設立の経緯、あるいは互助基金の管理はどんなふうになっているのか、お伺いいたします。

○青木開発調整部長 今お話のございました明日見らいふ南大沢介護互助会は、介護保険の施行に伴いまして、毎月の利用者負担金を支払う煩わしさの解消や、長期の要介護状態になったときの不安の解消などから、入居者の方々が設立したものでございます。
 この互助基金の管理につきましては、高齢者である入居者の方々が、みずから金銭管理や帳票類の作成を行うことは大変な負担となることから、公社が無償で管理事務を行っているところでございます。

○新井委員 この基金による運営なんですけれども、実は、平成十二年二月十四日、介護保険法の実施に伴う有料老人ホームの介護費用の調整についてということで、厚生省の老人保健福祉局の方から通達が出ているわけなんですけれども、この介護保険の費用のことですよね。事業者に対してといっているわけですけれども、保険給付の対象である介護サービス、いわゆる上乗せまたは横出しサービスを除くということで、この利用料の徴収方法としては、従来のような一時金による徴収等、入居者各自の負担分が不明確になるような徴収方法は適当ではない、こういうふうなことが書かれているわけなんですけれども、基金を積み立てて、その中から利用料が取られていく、引き落とされていくというのでしょうか、そういうやり方は、そういう意味では--介護保険というのは、自分で情報を選択して契約をして、サービスを受けて利用料を支払うという、措置から権利へということの移行の中で行われていることですので、こういった金額が非常にあいまいであるような引き落としの方法、徴収方法というのは、余り適当ではないのではないかというふうに考えています。
 これは、基金をつくるときに、差し引き返還をなさったのでしょうか。

○青木開発調整部長 互助会費用でございますけれども、介護互助会の仕組みにつきまして、事前に入居者の方々によくご説明をいたしまして、ご理解を得た上、また同意を得た上で、介護費用の調整にかかわる返還金から差し引く形で支払っていただいたものでございます。

○新井委員 私もいろいろと、実は今回、入居者の方からご相談を受けたわけなんですけれども、差し引き返還ということで、相手が非常に高齢者の方ということで、丁寧に説明をしないとなかなかわかりづらいということもあるかと思うんですけれども、同意をして差し引かれているということが、何だか知らないうちに差し引かれて返ってきたみたいなことをおっしゃる方もいらしたり、非常にあいまいな感じがするわけなんです。
 これは、やはり私は、差し引き返還ということではなくて、一たん全部お返しをして、その上で、ご自分の意思で基金を積み立てていただく、こういうふうな方法をとったならば、すごくすっきりしたのではないかというふうに思うわけなんですけれども、この基金による徴収方法と、それから、その差し引き返還ということについて、少し丁寧にやった方がよかったのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○青木開発調整部長 先ほど、一時金による徴収等が余り好ましくないというお話がございました。その通達は、委員ご指摘のとおり、事業者に対してのものでございます。同通達に添付されました資料の中で、居住者による互助会等によって、相互扶助的に費用を積み立てておくことは可能であるということの記載がございます。
 したがいまして、こういう互助会で対応するということは、国においても、必ずしも否定をされているものではございません。
 それから、徴収の方法でございますけれども、委員のご指摘のとおり、全額返してから、また集めてもよかろうというような方式もあろうかと思います。ただ、居住者の方の中には、面倒だから差し引いてくれというような意見の方もございましたので、公社の方では、いろいろ総会に諮った上、また設立の発起人等にご相談の上、このような方法をとらせていただいたわけでございます。

○新井委員 私、だめだといっているわけではなくて、国の方では可能であるというふうにおっしゃって、確かにそうなんですけれども、余り適切ではないのではないかと。事業者に対しては、これはよくないというふうにいっているわけで、同じように、自分がこのサービスに対してどのくらい支払っているということがはっきりしないような、そういう利用料の取り方というのは余り好ましくない。だから、こう、いろいろクレームがついてくるわけですよね。
 差し引き返還ということにしましても、差し引いてくれという方がいたというふうにいわれましたけれども、反対に、差し引かれちゃったというふうにいっている方もいらっしゃるわけですので、そういう意味では、だれにもわかりやすいように、説明がつくような仕方というものをやっていただきたかったなというふうに思います。
 それで、この互助会なんですけれども、この互助会の請求、それから支払いというのは、だれが行っているのでしょうか。

○青木開発調整部長 介護にかかわる利用者の負担金の額の確定は、国民健康保険団体連合会の介護保険給付費の決定通知に基づいて行っております。その決定に基づきまして、公社が利用者負担金を互助会に請求するという手続をとります。その請求を受けまして、互助会の事務委託を受けている公社が、互助会の基金から、事業者である公社に支払っているところでございます。

○新井委員 この件についても、事業者に支払うと今おっしゃいましたけれども、この事業者が公社なわけですよね。ですから、公社が互助会からの委託を受けてといいながら、通帳の中で、公社が請求して、公社が自分に払うという、そういうふうなことがあるわけで、民法が禁止している双方代理ということに当たるのではないかというようなことも考えられるわけですけれども、いかがでしょうか。

○青木開発調整部長 介護互助会は、事業者である公社に対しまして、そのサービスを受けた見返りとして、利用者負担金の支払い債務を負っているというふうに考えられます。
 公社は、その債務を履行することになるということで、民法に規定しております双方代理の禁止事項には当たらないという弁護士からの見解を得ております。

○新井委員 私もこれをちょっと調べてみましたら、双方代理には当たらないだろうということではあるけれども、余り好ましいことではない、こういうふうなお答えもいただいているわけで、先ほどの基金のこともあわせてですけれども、いけなくはないんだとか、法違反じゃないんだというところのすれすれの部分を何かやるということは、東京都という冠がついたケアつき住宅というところでこういうことが行われているのはどうなんだろうかなというふうな感じを私は持ちます。ぜひもう少しわかりやすい、だれが聞いてもすっきりするような運営方法に変えていただいた方がいいのじゃないかなというふうに思っています。
 次に、サービスの件について、まずお伺いいたします。
 介護保険が発足してから新たに--それまで皆さん、入居契約に基づくサービスを受けていたのですけれども、十二年の四月一日からは介護保険制度による保険料が徴収されて、そして利用料を支払うというふうな形になったわけですけれども、その前も後も、人員配置もサービス内容も全く変わらない。あるいは、要介護度がアップしたのに、サービス内容は全然変わらない。ところが、要介護度がアップしたので、当然、利用者の負担金は上がってしまうと。
 今まで同じようなサービスをずっと受けているんだけれども、ある月から利用料だけが突然高くなってしまう、こういうふうなことがあるということなんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○青木開発調整部長 明日見らいふにおきましては、施設開設以来、その介護基準と申しますのは、いわゆる介護保険の基準を上回る人員配置で手厚い介護サービスを提供しているところでございまして、介護保険制度の発足後においても、そのサービスの内容は変わらないということになります。
 また、要介護の認定が変わったのに、アップしたのに、そのサービス内容が変わらないのではないかということでございますけれども、ご案内のとおり、要介護の認定は、区市町村の介護認定審査会の審査によりまして決定をされます。六カ月ごとに更新の申請が行われるということで、途中で要介護の区分が変わることがございます。ただ、その要介護の区分が変更になった場合でも、ケアプランの見直しを行うことになるわけでございますけれども、介護サービスの内容は、ケアマネジャーと利用者が、個々人の状態に応じまして、相談の上、利用者の了解を得た上で、自立支援に最もふさわしいケアプランが作成される中で決定されてまいります。
 したがいまして、必ずしも介護サービスが要介護度の度数に応じて決められているわけでございませんので、要介護度の変更は、必ずしも介護サービス内容の変更を伴わない場合もございます。

○新井委員 サービスを受けている方にしてみると、ずっと毎月流れていって、同じサービスを受けて全然変わらないのに、ある月から突然利用料だけが上がっちゃったということについては、非常に不可解というか、おかしいなというふうに感じるのは当然だというふうに思うんですね。
 これは、福祉局の方で私も確認したんですけれども、こういうことは起こり得ることだということで、いわば制度上の欠陥といってもいいかもしれないみたいなことをおっしゃっていましたけれども、こういう、当初の人員配置が介護保険の基準を上回っているから、全然前も後も変わらなかったんですよということとか、あるいは、今の制度上の中でこういうことが出てきてしまうのは仕方がないんですよというようなことを、丁寧に、やはりサービスを受けている方にお話をしてあげていただきたいと思います。
 そういう説明が足りないので、私のような外部の者にご相談が来たりということがあるのかというふうに思いますので、きっちりとサービスについて、非常にいろんな方が不安を、不満を持っていらっしゃるようですので、説明をいただきたいと思います。
 それから、今度は会計のことなんですけれども、公社が特定施設になりまして、そして、皆さん方と介護利用契約を締結したのが九月の初めから終わりにかけて、一月かけて契約をしたということなんですけれども、介護保険の保険給付金を、公社は四月にさかのぼって、遡及して請求をして受け取っているということなんですけれども、これがちょっとおかしいのではないかという指摘がございますけれども、いかがでしょうか。

○青木開発調整部長 明日見らいふは、介護保険の施行の十二年四月に、特定施設入居者生活介護事業者の指定を受けているところでございます。入居者の中には、この介護保険の制度発足時点において、既にその適用を受けられる方がいらっしゃいました。
 したがいまして、先ほどご指摘のとおり、利用契約の締結が九月以降になったわけでございますけれども、その際、あらかじめ入居者の同意を得まして、利用締結日を四月一日として、遡及して保険給付金の請求を行ったものでございます。
 このような取り扱いについては、所管であります福祉局からも、問題がないとの見解を得ているところでございます。

○新井委員 この件につきましては、東京都の監査事務局の方に苦情の申し立てが出ていたり、国保連の方にも、九月に同意をしたのに、四月から利用料を請求され、そして払ったのはおかしいのじゃないかというふうなことで、やっぱり苦情の申し立てが出ているそうです。
 私も、普通に思えば、同意したのが九月だったのに、さかのぼって、四月に遡及してやるのはおかしいなというふうに感じたわけなんですけれども、あらかじめ入居者の全員の、利用者の全員の同意が得られていれば問題がないのであろうというふうに、福祉局の方はおっしゃっていました。
 入居者の全員の同意が得られていればというところなんですけれども、もし全員の同意が得られていれば、こういった苦情の申し立てとかは起こらないはずですよね。全員の同意がないから、こういうことが起こってくるのではないかというふうに思うんですけれども、こういうことにつきましても、きちんと説明を十分にして、同意の仕方ですね、本当に皆さん納得して同意をしているのかということも含めてきっちりとやっていただかないと、こういう問題というのは次から次へと起こってくるというふうに思うんです。
 その点、きっちり指導していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○青木開発調整部長 この四月にさかのぼる、遡及して給付を受けるには、今お話のように、ご本人のご同意が前提でございます。
 したがいまして、私どもが把握している範囲では、この明日見らいふに入っていらっしゃる要介護者は、全員、遡及して給付を受けられているということから、私ども、十分に公社が説明をして、ご同意を得てやっているというふうに認識をしているところでございます。
 ただ、一部の方々からそういうようなご懸念があるようでございますので、今後とも、いろいろな制度やサービスをする際に、十分ご理解の上、ご説明の上、この施設の運営をやっていくということについて、公社を一層、私どもとしても指導してまいりたいと考えているところでございます。

○新井委員 よろしくお願いいたします。
 それで、こういういろんなサービスのことに対する苦情あるいは会計に対する苦情というのが出てくるのは、入居契約に基づく介護サービスと、介護保険法に基づく介護サービスというものの区分がはっきりしていないからじゃないかというふうに思うんです。会計上も、公社がやっている中では区分がされていないわけですね。
 国からも、厚生省令第三十七号で、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない、こういう指導も出ているわけです。
 ですから、ぜひここの会計区分、なかなか難しいとは思いますけれども、一般の有料の老人ホームでもやっているところもございますし、東京都というところの名前がついたケアつき住宅ですので、こういうところは率先して、どこよりも早くやっていかなければいけないじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○青木開発調整部長 明日見らいふにおきましては、介護保険の発足に伴いまして、明日見らいふ管理会計という特別会計を設けまして、介護費を区分した上で、入居者の方に報告し、周知を図っているところでございます。
 先ほど来、いろいろご指摘のありましたように、まだ会計上の区分というところでは、福祉局も明快な方針が出ていないという段階でございます。区分が難しいということで、こうしろという具体的な、まだご指導をいただいてございません。
 そういう意味では、今後とも福祉と連携をとりながら、よりわかりやすく、透明性のあるものにしていくように公社を指導してまいりたいと考えております。

○新井委員 今、福祉局の方から指導がないという言葉が部長の方から出ましたけれども、これ、ずっと見ていて本当に思うんですが、例えばこういう苦情が出てきたときに、監査事務局の方に苦情が出て、基本的には、所管局がこの苦情に対してちゃんと答えなくちゃいけないわけなんですけれども、住宅局では、今回出ているこういう苦情に対して、なかなか直接答えられないので、福祉局の方が答えているということがあるわけですね。
 基本的に、自分の所管するところの事業のことについて苦情が来たりしたときに、答えられないというふうなことの事業については、私は取り組むべきではないというふうに思うんです。
 そういう意味では、こういう有料老人ホーム等は、福祉局の方に私はお任せした方がいいのじゃないかというふうに思っておりますので、そのことは意見としていいおいて、終わります。

○小礒委員 それでは、二点質問させていただきたいと思います。
 前々から、都営住宅におけるエレベーター設置、廊下型、そして階段型ということで、大変要望も、都内全域から相当数上がっているようにも聞いておりますけれども、
 その中で、階段室型エレベーターについては、昨年、船橋四丁目アパートで試行しましたよね。既に居住者の方々が利用されているということで、アンケート調査等々を踏まえて、どのような感想というのでしょうか、寄せられているか、そのあたりを教えていただきたいと思います。

○渡部参事 昨年十月よりご利用いただいておりまして、その後、団地の全世帯に対しましてアンケート調査を実施してございます。
 これによりますと、一、二階の居住者からは、利用機会が少ないために余り評価がないとか、あるいは、もっと上の階の方たちについても、エレベーターの着きます踊り場から若干上りおりがあるといった不満もございますけれども、過半数の方からは、満足及びおおむね満足といった回答を得てございます。

○小礒委員 いずれにいたしましても、さまざまな居住者の方々からも、声がいろいろと届いているようでありますし、また、おおむね満足であるというような結果が出ているということであります。
 試行が終わり、いよいよ十四年度から、新年度から本格的な階段室型エレベーターの実施を進めていくということになるわけでありますけれども、今後、この階段室型エレベーターの設置の計画は、どのように進められていくのか。
 また、ちょっと前後いたしますけれども、このような階段室型エレベーターの構造的な問題があるとも聞いているわけでありますけれども、これについてはどのように対応されていくのか、あわせてお願いします。

○渡部参事 階段室型住棟につきましては、踊り場に昇降口を設けますことから、踊り場にございます手すりの壁を除去いたします。手すりの壁を除去することによりまして、建物全体の構造に影響があるかないかといったことがございますので、現在、技術的に設置可能な構造型式等につきまして調査中でございます。
 また、平成十四年度につきましては、十五基、約五棟の設置を予定してございます。
 具体的な団地の選定の仕方でございますけれども、さきに述べましたような技術的な調査の結果をもとにいたしまして、設置可能な構造型式の住棟の中で自治会から要望を受けたものにつきましては、各団地と、長期的な活用のあり方、あるいは予算の状況、費用対効果などを勘案いたしまして、設置の検討をしてまいります。

○小礒委員 ここで、あえてまた触れさせていただくのは多摩ニュータウンのことでありまして、建物そのものも、都営住宅がかなり老朽化してきたということもそうでありますが、居住される方々の高齢化率が大変高くなってきているのも現状だと思うんですね。その中で、まさに丘陵地帯を開発したわけでありますから、地形的にも山坂が大変多い。団地全体の住区、それぞれ団地全体のバリアフリー化が求められている中で、階段室型住棟が大変多いわけなんですね。
 その中で、エレベーターの設置について、ぜひそれぞれ調査をしていただきながら、適宜といいましょうか、対応をしていただきたい。これは、今後のいわゆる階段室型エレベーターの計画を進める中で、ぜひ設置推進を図っていただきたい。これは要望でありますけれども、そのあたり、お願いします。

○渡部参事 多摩ニュータウンにつきましては、古いものは建築後三十年を経過いたしまして、他の地区同様、高齢化が進行しつつあるというふうに認識してございます。
 また、多摩ニュータウンの特徴といたしましては、ほぼ同一年代の世代が同時期に入居している団地においては、高齢化の進展が急速に進むといったことも予想されております。
 委員ご指摘のとおり、階段室型住棟が多いこともございまして、今後、多摩ニュータウンのまちづくりの長期的なあり方を踏まえつつ、自治会の要望を受けたものについては、階段室型エレベーターの設置について検討、設置を進めてまいります。

○小礒委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それと、二点目の質問に移らせていただきたいと思いますが、まず、私、この委員会でも、いわゆる都営住宅の管理という中で、今申し上げましたニュータウン内の、とりわけ諏訪団地というんですか、それから豊ケ丘とか幾つかありますけれども、ここのピロティーの使用形態、現状、これに対する対応ということでお伺いし、また、要望をしてきたわけでありますけれども、これらの現状はどうなっているのでありましょうか。

○井上管理部長 都営住宅のピロティーの活用でございますが、先般以来、本委員会等でいろいろご指摘をちょうだいしているところでございます。
 現状は、ピロティーは多くの都営住宅で、必要なものについては活用するような形で事業を展開してございますが、また、一部の住宅では、例えばそのピロティーが暴走族のたまり場になるとか、あるいは粗大ごみの捨て場になるとか、そういったようないろいろな問題が現実に噴出しておりまして、そういうふうな問題が噴出しているところにつきましては、閉鎖をしたりして管理をしているところでございます。

○小礒委員 実際、囲い--当然外部からの侵入を防ぐ意味でしょうけれども、しかし、これが二年や三年ではない、もう十数年来放置されたままだと。粗大ごみの置き場にもなっているかどうか、私見て、なっていないようでありますし、また、暴走族のたまり場にも、当然、侵入できませんからなっていないですね。しかし、さりとて、二百平米ぐらいのが、一カ所、ありますよね。
 これは、例えば使用としまして、この高齢化が非常に高くなってきた団地内において--前にもちょっといいましたけれども、いつも散歩されている方が、ここのところ散歩している姿が見えないということで心配になりまして、そのお宅に伺ったと。ひとり住まいの方、お宅だったわけでありますけれども、そうしましたら、音信がない。管理人の方を通じて中に入ったところが、もう亡くなっていたと。これ、もう死後数日を経過していた、こういうショッキングな出来事が現実にあるわけなんですね。
 そこで、地元市の福祉関係にも話をする中で、何とかそのあいてる、もう十数年来というんですか、極端にいえば二十年近くあいているわけでありますけれども、これを何とか利用できないかと。
 また、もう一面、ピロティーだけじゃなくて、そこの住宅団地内は、もうほとんどといっていいぐらい、九割方、シャッターが閉まっちゃっているんですね。八割じゃないですよ。
 こういう現状もある中で、ぜひ、一日ちょこっと顔を出して、そして、何かボランティア的な形でお手伝いできないかという声が非常に強く出ていたんですよね。
 これを受けて、住宅局の方としては、どういう対応をされてきたのでしょうかね。

○井上管理部長 高齢者の生活実態等に対する対応でございますが、公営住宅法が平成八年と十二年に改正がされまして、社会福祉法人などがグループホーム事業を行う等に当たりまして、公営住宅が活用できることとなりました。
 東京都としましては、これを受けまして、平成十年からモデル事業を実施して、十二年度から本格的にグループホーム事業に提供をしてございます。現在、複数の空き室が同一の住棟内に確保できた都営住宅を社会福祉法人等に提供して、五カ所で実施をしております。
 ピロティーにつきましては、現在、グループホームに利用されているところはございません。

○小礒委員 私がいいましたのは、具体的な話を前からしていると思うんですね。いってみれば、いわゆるNPOでもない、社会福祉法人でもないわけなんですね。ですから、今お話しのように、平成八年、十二年の公営住宅法によっての使用形態に、ちょっとこれは当てはまらないかもしれません。
 しかし、地元市がぜひというような要望を、住宅局の方へ再三やってきていると思うんですね。このあたり、どうなのでしょうか。

○井上管理部長 現在、地元市がピロティー部分を利用する場合、設置の目的が公共的なものであること、あるいは使用主体が地元の区市町村等の公共団体であること、それから、建築基準法等の法令に違反しないようなものであること、あるいは都営住宅としての管理に支障がない、こういったような条件が満たされますれば、東京都の公有財産規則上でも使用許可ができますので、私ども、地元区市と協議しながら使用許可をしていきたいと思っております。

○小礒委員 ですから、部長、そういうことを教えてやってくださいよ。今いったような、公営住宅法においてはと、それしか説明していないんじゃないですか。NPOじゃなきゃだめだ、社会福祉法人が実際的に関与というか、運営していかなきゃだめだ、申請者にならなきゃいかぬと、こういうことしか伝わっていないでしょう。だから、みんなあきらめちゃっているわけですよ。市の方だって、その後、再三にわたって局の方に話をしたとしても、これも直近で聞いたけれども、いや、市は、もうあきらめちゃったんじゃないですかと、その後来ませんよというんですね。そうじゃないでしょう。
 要するに、こういういろいろな、さまざまな相談も含めて、要望も含めて来た中で、通り一遍の話をするから、せっかくの--やっぱりグループというのかな、いわゆる地域の方々が、当然自治会にも入っていますよね。そういうボランティアグループという中で、市と一緒になってぜひやりたいという、この一つの立ち上げについては、私は協力してやってしかるべきじゃないかと思うんですね、このあたり。だから、もっと丁寧に教えてやってくださいよ。どうなんですか、これ。

○井上管理部長 多摩ニュータウンのピロティーにつきましては、地元市と過去に何回か協議を重ねてきております。その協議の中で、現在のところは、話が発展していないといいますか、途切れているところでございます。
 今後、例えばピロティーを、地域開放型の集会場を設置するであるとか、団地の住民と地域の方々がうまく利用できれば、私どももまた、貴重な都営住宅の団地内の空間でございますので、有効利用ということになりますので、市と協議をしてまいりたいと思います。

○小礒委員 今お話もありましたけれども、大切な公共空間ですよ、これ、はっきりいって。公共公益的ないわゆる空間だと思いますよ。これをやっぱり有効活用することは--先ほど、暴走族だ何だかんだという話もあったけれども、そういう使い方というか、放置しているから、そういうふうになっていくんじゃないですか。きちっとした整理をして、今、私いいましたけれども、使い方として、例えばこういうグループホームかデイサービスかわからないけれども、何らかの使用形態として、現実的な話としてやりたいんだと。市も、これを責任持ってやっていきたいんだと。ところが、大家さんが--これは住宅局じゃないですか。まず、お伺いを立てるのが当たり前でしょう。それで、通り一遍の話をばんばんされりゃ、これはもうだめだよということになっちゃうわけですね、これ。
 実際、いずれにしても、今日的な中で、これ、局は住宅局そのものじゃないけれども、ことしの予算全体的に見ても、グループホームを、知事だって非常に施策として重要な位置づけとして展開していこうと、こう出ていますよね。
 これらのことを踏まえながらも、やはり私は、これからグループホームをできるだけ、空き室もそうでしょう、それから空き店舗だとか--だって、これ、空き店舗といったって、何年もたっている話なんですね。要するに、シャッターがさびちゃって、中には、もうぼこぼこになっちゃったと。もうひどいものですよ。木枯らしでも吹く中では、何か寒々しいんだよね、これ。
 だから、いずれにしても、何らかの対応策を、私は、局だって、しっかりと現状というものを把握しながら、利便を、住民サービスを与えられるような、そういう施設というものを積極的に考えていくべきじゃないかと思うんですけれども、局長、どうでしょうか。

○橋本住宅局長 ただいま委員ご指摘のとおり、ピロティーあるいは空き店舗等が活用されていない、あるいは、そのためにまち全体、団地全体が非常に非活性化といいますか、いっている状況は私自身も知っておりまして、ご指摘のとおりだと思います。
 したがいまして、ただいまございましたように、都営住宅の活性化、さらには貴重な都民共有の財産をできるだけ活用して、地元の区市町村とも十分協議しながら、活性化の道について協議し、さらに有効活用について努力していきたいと思います。

○小礒委員 じゃ、最後に。ぜひ、現状をもう一回把握していただいて、私、申しわけないけれども、これ、何回も取り上げているんですよ、しつこいぐらいに。自分でもしつこいなと思っているけれども。もうこれ以上、取り上げたくない気持ちもありますので、ぜひひとつ--一団地だけじゃないです。東京都全体的に見ても、何とかいい、その活性化も含めて、また、高齢化が進行しているところに対する施設が可能になるような対応をぜひお願いしたいと思います。
 終わります。

○大山委員 私は、今回の定例会では、都営住宅等事業会計を独立させたということを初めとして、予算の中でも、都営住宅の管理問題について、例えば公社への窓口一元化を初めとして幾つかの重大な問題が、変更が出されておりますので、それらについて質問していきたいというふうに思っています。
 まず最初は、専任管理人事務所の廃止と巡回管理人制度についてです。
 この巡回管理人というのは、九九年三月の住政審答申で、居住者の高齢化に伴う都営住宅の管理のあり方についてというところの現地管理を充実する具体的な施策とともに、巡回管理人制度を提言しているわけですけれども、この答申の提言は大きな柱なのでしょうか。

○野澤参事 平成十一年三月の住政審答申におきましては、現行の専任管理人事務所の充実について、また、高齢化した都営住宅の実態に対応した各種届け出書類に関する相談等、管理人の業務について、さらに、一人の管理人が複数の団地を巡回方式で管理することなどにつきまして提言がされているところでございます。

○大山委員 これは答申の本文ですけれども、巡回管理の実施ということで、そのまま読めば柱になるんですね。一つが、大規模団地にあっては、現行の専任管理人制度の充実を図る。それが一つ。もう一つは、中小規模の団地については、新たに団地の現地管理を担当する管理人を配置することを提言したいというふうに、はっきり書いてあるわけです。この二つが、欠かせない提言の柱だというふうに思っているわけです。
 大規模団地における専任管理人というのは、団地によっては今でも訪問してくれているところもあるようなんですけれども、簡易な修繕だとか、いつでも対応してくれていて、欠かせない存在になっています。私も、すぐ地元の戸山ハイツの管理人事務所に行ったんですけれども、午後の受け付けは一時からなんですね。一時五分ぐらい前だったもので、お客さんいるかなと思いながら行きましたら、既に、もう二人いらしたんです。一人目の方は、上の天井からもう大分、粉が落ちてきてしまうというので、直してほしいとか、それから、二人目の方も簡易な修繕の方。それから、三人目の方は同居申請と減免。また四人目も入ってこられたんですね。
 こうやって、私、三十分もいなかったんですけれども、次々にいろいろなことで四人の方々が訪れるということなんです。忙しそうに対応されていましたから、なかなか管理人さんにじっくりとはお話を伺えなかったんですけれども、大体どれぐらい一日に来るんですかといいましたら、大体、三十人前後来ますというんですね。二月の月報ですといって数を教えてくれたのが、書類を受理したり、処理したりした分が百三十件。それから、来ただけで、書類が不備だったりして戻って、相談だけだったとかという人が百七十件。それから、電話での対応が六十件あったというんですね。二月は日にちが少ない月ですから、そういう月だけでもこれだけ、来所者だけでも約三百人という数の方がいらしているんです。
 戸山ハイツというのは三千世帯の規模です。五千世帯の規模の村山団地では、ある日で見ますと、八十人も訪問していたんですね。
 そんな状況で、さっきも話しましたように、手続だけで来るというか、書類が不備だったからまた戻っているというように、二回も三回も来るという方も何人もいらっしゃるわけです。だからこそ、来ただけという人が、受理した人よりも人数が多いということになるわけですね。
 予備審査をあそこでやってくれますから、承継だとか同居申請だとか減免だとか再認定、これらの手続では、現地事務所の存在は欠かせないというふうに思います。だからこそ、この住政審の答申は、現行の大規模団地での専任管理人事務所の充実ということを大きな柱にしたんだということなんですね。
 高齢化も含めて、先ほども申し上げましたけれども、書類一つ出すというのもなかなか大変なんですね。例えば九八年の三月で、収入報告をしなかった世帯は、合わせて約二万件です。このうち、未提出者が一万六千件、書類不備が四千件。この間に何らかの対応をすることによって、三カ月後の六月には、収入報告未提出は、書類不備と合わせて九千五百件になったんです。さらに、通知のお知らせを出したり訪問したりして、いろんな手だてを尽くして、三月の末で三千三百件。まだ三千三百件残っていたんですね。
 収入報告の手続だけでも、住民の方にとっては、あの書類この書類ということで、大変さがわかるというふうに思います。家賃の減免だとか世帯内の異動、修繕の手続、収入報告、これらは、安心して住む、安全に住む、それから、安定して住むという生活に不可欠な手続になっているわけですけれども、これは、みんな届け出制だということです。
 高齢者も、元気という方が大勢いらっしゃるわけですけれども、高齢者自身、いつ健康状態が悪くなるかというのはわからないわけで、巡回制度の対象から、あなたは元気だからといって外れてしまえば、これらの手続に必要な窓口を奪われてしまいかねない人たちは、高齢化が進む中では増加するおそれがあるわけです。
 例えば、収入報告がされないで、家賃減免の手続を知らずに、その一方で滞納管理は強化されてきているわけですから、都営住宅を退去せざるを得ない人たちが増加しています。私のところに来る相談なんかでも、どうして家賃減免の手続をしなかったんだろうという方が結構多いんですけれども、やり方がわからなかったとかという方も結構いらっしゃるわけですね。
 お聞きしますけれども、平成八年と平成十二年の滞納件数と、東京都の強制執行の申し立て件数を教えてください。

○井上管理部長 平成八年度の滞納件数、要するに滞納の戸数ですね、世帯数でございますが、約二万七千世帯。平成十二年度は二万七千八百世帯でございます。
 強制執行につきましては、平成八年度が百九十八件、平成十二年度は四百六十二件となっております。

○大山委員 滞納件数が二万七千件から約二万八千件に増加したのに対して、その強制執行の申し立て数は、百九十八件から四百六十四件、二・三倍にも急増しているわけです。一方で管理が強化されて、それに伴って、必要な手続についてのサービスを低下させてしまうということがあれば、これは大変な事態を起こしかねないことだというふうに危惧するわけです。
 都営住宅では、六十五歳以上の高齢者のみの世帯の割合が約二〇%、六十五歳以上の名義人が約四二%を占めています。私たち、九九年の各決でも、高齢化に伴って、窓口で対応するだけでなく、現地で相談に乗る体制もしっかりするべきだとか、二〇〇〇年にも、高齢化する中で管理人の福祉の役割が重要で、十分な配置をということを要求してきました。だからこそ、この今の時代、今の状況の中だからこそ、もう一つの柱であります中小規模の団地は、現地管理を担当する管理人の配置ということが求められるということなんですよね。この住政審の答申、この二つの柱が、二つとも実施するというのが、やはりこの住政審の答申の本来の姿だろうというふうに思っています。
 そこで、私びっくりしたことがあるんですけれども、(資料を示す)これ、東京都住宅白書をコピーしてきたものですけれども、これは、九九年の答申が出た直後の白書です。この中で、この答申の記事が載っておりましたので、中身が載っていましたので、見てみましたら、巡回管理の実施ということで、中小規模の団地については新たに団地の現地管理を担当する管理人を配置することを提言したい、これしか書いていないんですよね。もう一つの大きな柱であります、大規模団地にあっては現行の専任管理人制度の充実を図るという、もう一方の大きな柱が全くすっぽりと抜けているわけなんです。これは、住宅白書ですから、重要な資料として都民にも公開されているものなんですね。
 それを、あえてなのかわかりませんけれども、この住政審の答申の二つの大きな柱であるその一つを、あえてなくして、削除している。削除しておいて、さらには、今回の専任管理人制度の廃止だというわけですね。答申の軽視も甚だしいというふうに思っています。東京都は、都民要望の強い答申の内容についても、都の都合で勝手に取捨選択していく姿勢ではならないというふうに強くいっておきます。
 もう一つですけれども、専任管理人事務所がなくなるとなりますと、実際、利用している方々というのは、結構厳しい状況になります。江東区の辰巳団地の人は、バスを二本乗り継いで亀戸まで行かないと、窓口センターはありません。村山団地の人は、道路が渋滞するところなものですから、バスで三十分以上もかけなければ行けません。
 専任管理人事務所は、村山団地で、さっきいったように、一日に八十人来ていたわけです。これだけ利用者があるのに、今回、経過措置ですといってお知らせしたのは、五千軒以上のところでは週二回、それ未満のところは週一回ですか、そのお知らせをしてきたわけですね。そうやって、週に一回なり、週に二回しか来ないわけです。五千戸レベル、それから三千戸未満--三千戸以下といっても、千戸のところから三千戸まで、かなり開きも大きいわけですね。そうやって機械的に対応するというのは、いかがなものかというふうに思うわけです。
 そこで、専任管理人事務所を活用した一時駐在の方式をとるとしているわけですけれども、こうやって準備というか調査をする中で、今回の経過措置でも、住民の皆さんに混乱を来すのじゃないかという心配があるわけです。
 今回の週に一回、もしくは週に二回という措置は、どんな事態になっても変えることはないということなのでしょうか。

○野澤参事 専任管理人事務所につきましては、原則として廃止をすることとしております。経過措置といたしまして、週一回、管理人事務所を開設することにつきましては、当面、一年間を予定しております。
 その後の予定でございますが、経過措置の実態等を勘案しながら適切に対応していきたいというふうに考えております。

○大山委員 先ほどもいったように、三千人規模のところでも、大体、一日三十人ぐらい訪れているし、五千人規模のところでは八十人ぐらいも訪れているわけですから、様子を見るということと、あと、事務が集中するときというのはあるわけですよね。収入報告を出すときだとか、それから、今回なんかも、家賃の認定の通知が来たら随分問い合わせがあるとかというふうに、集中するときもあるし、それから、恒常的にも利用は多いということですから、一年間とか様子を見ないで、この一年たたない間でも、途中でも、ぜひきちんと対応できるようにしてほしいというふうに思っています。
 この巡回管理人なんですけれども、局の方がいっているのは、対象は高齢者、障害者など窓口まで足を運べない人なんだというふうにいっているわけで、モデル実施をした結果、二十六万戸には、対象となる戸数が一万二千戸あると試算したというふうにおっしゃっていました。そうなりますと、六十四人の巡回管理人さんが、一人で百五十戸から二百戸を、二週間から四週間で一回訪問する体制となるわけですけれども、そうしますと、一日当たり十から十五戸訪問するペースとなるわけです。
 この巡回管理人さんが巡回することなんですけれども、複数体制でやろうとしているのか、それとも一人体制で巡回しようとしているのか。あと、本当にこれだけの専任管理人事務所で需要がある中で、十分といえることなのか。そして、十分といえるのだったら、根拠は何なのかというのを教えてください。

○野澤参事 巡回管理につきましては、一人の管理人が巡回をするということで考えております。
 また、一万二千戸の推計でございますが、十二年七月から試行を実施しておりまして、その試行戸数の中で、いろいろ居住者の要望とかそういうものを勘案いたしまして、一定の数値が出てまいりますので、それを二十六万戸全体に類推して、一万二千という数値を出しております。
 実際、これは、これから実施をしていく中で、また、いろいろ問題とか検討すべき点も出てくるかと思いますが、それはその都度、やはり適切な対応をしていきたいというふうに考えておりますので、今の制度を金科玉条にして、これ以上何も考えていないということではございません。

○大山委員 ぜひ住民の方とも、それから自治会なんかとも相談しながら、対応するべきところにはきちんと対応してほしいというふうに要望しておきます。
 それで、各種申請の取り次ぎなんですけれども、相談などの際には、重要書類というのがつきものなんですね。そうしますと、今までだったら、ちょっと待っていてくださいね、コピーしますねといってできたのですけれども、預かり証などできちんと管理するのでしょうか。
 それと同時に、プライバシーは保護されるのかとか--巡回の人が知り得た情報の守秘義務というのは、さっきも出ていましたけれども、プライバシーの保護というのは重要になるわけですけれども、その辺の状況をちょっと話してください。

○野澤参事 巡回管理人は、現金につきましては取り扱いをしないということになっておりますが、重要な書類につきまして、預かり証を出すような形を考えております。
 また、守秘義務でございますが、巡回管理人は、公社の非常勤職員、嘱託員または派遣社員等がつく予定でございますが、嘱託員につきましては公社職員の就業規則、派遣社員につきましては派遣会社との委託契約によりまして、それぞれ守秘義務につきまして担保できるような形をとっております。

○大山委員 高齢者への対応、障害者への対応ということで、派遣社員、熟練していないということも含めて、本当にふさわしいのかということと同時に、研修をきちんとやるということも重要だというふうに思います。
 と同時に、モデル実施のときに、足立でやったときに、宅建業者が巡回管理人に入ったということを聞いているんですけれども、高齢者や障害者の対応ということと、その不動産の取引の専門家であります宅建業者、ちょっと私、この結びつきがわからないんですけれども、どういうことなのでしょうか。

○野澤参事 平成十二年七月からの試行の最初におきましては、高齢者、障害者のみという形ではなくて、住宅管理全般につきまして専門家の意見を聞いたり、あと、相隣関係の処理にも経験が深い視点についても調査をするというような観点から、試験的に、地域の地理に詳しい宅建業者の方にモデル事業に従事をしていただいたことがございます。
 今後につきましては、居住者等の要望等も踏まえ、また検討していかなければいけないというふうに考えておりますが、現在の巡回管理人制度で高齢者、障害者に特化していくべきだというふうに考えてきたのは、この住宅管理のモデル事業の中で検討した結果でございますので、最初のときは、それだけを目的としてやったわけではございませんので、宅建業者が従事したような状況がございました。

○大山委員 宅建業者が試験的に入ったんだと。今のお話でいきますと、この本格実施には、宅建業者に委託するつもりはないということでいいわけですか。

○野澤参事 今後につきましては、巡回管理人制度の実施の状況を見ながら、居住者等の要望も踏まえ、あわせて検討していきたいというふうに考えております。

○大山委員 検討していきたいというのは、宅建業者に委託することを検討していきたいということなんですか。

○野澤参事 宅建業者の方を採用するかどうかも含めて検討していきたいということでございます。

○大山委員 だれに委託するのかを検討するということですけれども、それは、どういうところで、どういうメンバーで検討するのでしょうか。
 住民の皆さんと一番密着するような対応をするわけですから、ぜひ住民の皆さんの声が反映できるような話し合いじゃなきゃいけない、検討じゃなきゃいけないと思うんですけれども、住民の代表の方も含めた検討ということなんですか。

○野澤参事 当然、居住者の方のアンケート等、ご要望も踏まえて検討していきたいと考えております。

○大山委員 きちんと住民の方の意見が反映できるような検討にしてほしいという要望をしておきます。
 ことし三月に、供給公社が居住者の皆様へというのを発送しているわけですけれども、各種申請、届け出などの窓口業務がどこどこセンターになりますということと、巡回管理人制度の活用については、高齢やお体が不自由で、自分から出向けない居住者の方々に対する支援を行うため、巡回管理人制度を導入しますというふうに書かれているだけなんです。
 それで、巡回管理人制度の利用について触れられていないんですね。このままで四月一日実施ということになりますと、利用についてよくわからない状況で四月一日を迎えてしまうことになるのじゃないかというふうに思うんですね。利用についてきちんと徹底するべきだと思いますけれども、どうですか。

○野澤参事 巡回管理人制度につきましては、各居住者の皆様にお配りしております「すまいのひろば」の中で、十月号、十二号、それから二月、三月に臨時号を発行いたしまして、ご説明をしているところでございます。
 具体的に、その巡回管理人の方が回る高齢者、障害者の方につきましては、それぞれ個別に巡回管理人の方が接触するような形をとりますので、利用の内容についてはおわかりになると思いますけれども、その他の健常者の方は、何らかの理由で特別に巡回管理人と連絡をとりたいというような場合も中にはあるかと思いますが、それにつきましては、また改めて、四月の「すまいのひろば」の中でご説明をしていきたいというふうに考えております。

○大山委員 仕組み自体が大きく変わるわけですから、利用についてもきちんと徹底するべきだというふうに思います。
 それで、モデル実施なんですけれども、モデル実施では、どんな要望が何件寄せられたのでしょうか。

○野澤参事 件数については、ちょっと把握をしていなくて申しわけございませんが、内容につきましては、モデル実施の過程で、収入報告書の作成に関するもの、また、減免申請書の作成に関するもの、また、修繕の申し込みに関するものなどについてご質問等があったというふうに聞いております。

○大山委員 モデル実施を幾つかでやって、今もやっているというところなんですけれども、今、要望を幾つかいっていただきましたけれども、件数は把握していないということなんですね。試行しているところもあるということで、結局、モデル実施をやったけれども、今のところは総括はしていないということなのでしょうか。

○野澤参事 巡回管理のモデル事業につきましては、初め、公社の立川、池袋の二支社で四十六団地について実施いたしまして、その後、昨年の秋からは、全支社に広げて実施をしております。
 この実施の中で、収入報告などの必要な提出書類に関する支援の必要性とか、支援の対象を、自分から出向けない高齢者及び障害者世帯等に収れんする必要があるというようなことが認識されまして、また、個別訪問の対象世帯を全体で一万二千世帯というふうに推計できたところでございます。

○大山委員 今ずっと、これ、述べてきましたけれども、専任管理人事務所を大団地からなくしてしまうということ自体、もう大きな変化なんですね。それで、巡回管理をするということも、これも大きな変化なんですね。だからこそ、モデル実施をやってこられたんだというふうに思うんですよね。きちんとモデル実施をやって、総括して、検証して、じゃ、こうしようというふうにきちんとやっていくのが、当たり前の行政なんじゃないかなというふうに思うんですよね。せっかくモデル実施をやったのに、総括もしないで実施するというのは、余りにも乱暴なんじゃないかというふうに指摘せざるを得ないです。
 六十四人の巡回管理人さんで行うことだけは先に決まっていて、現行の専任管理人六十四人の財源先にありきの対応だというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 モデル実施の結果の資料を、きちんと住民の皆さんにも議会にも公にして、それから、六十四人の体制が本当に問題ないのか、みんなできちんと慎重に検討するべきであるというふうに思いますし、きちんとそのようにしてほしいというふうに思いますけれども、どうですか。

○野澤参事 現行の専任管理人事務所におきます各種申請書類等の受け付け件数とか、そういうものを全部総括いたしまして、大体一日当たりの件数を出しております。そのような中で、限られた人材をいかに有効に、また効率的に使っていくかということで、モデル事業を実施しながら、それを全体を総括しながら、居住者の意見も反映させながら検討した結果、今回の制度を導入することにしたわけでございます。ですから、決して、何も総括を出さないで一方的にやっているということではございません。
 確かに専任管理人事務所を急に廃止するということについては、やっぱり激変緩和措置が必要であるというふうに我々も理解をしておりますし、また実際、この制度を実施してみて、一週間に一回、ある日に集中して、どうしても人が必要な場合は、窓口センターとか支社からそれぞれ応援を出すとか、いろいろ対応の仕方があると思いますので、そういう過程の中で、適切に運営できるよう、今後とも検討もしてまいりたいと思っております。

○大山委員 総括をしているとおっしゃっていますけれども、さっき、総括していないというのは明らかになっちゃっているわけですから、今、前向きに対応したいというようなお話もありましたけれども、きちんとモデル実施の中身が何だったのかというのを、やはり情報も資料も公開していくべきだというふうに思っています。
 次ですけれども、使用承継です。
 使用承継について変更するということなんですけれども、改めて伺いますけれども、変更の内容と変更の根拠を教えてください。

○野澤参事 今回の使用承継に係る基準の見直しでございますが、見直しの趣旨といたしましては、都民共有の財産である都営住宅は、都民に広く利用機会の公平を図る必要があること、また、昨年五月の住宅政策審議会からの提言がなされたこと、さらに、特定の世帯が何世代にもわたって占有することにつきまして、議会の意見や都民の強い批判があることから見直したところでございます。
 見直しの内容につきましては、収入超過者については使用承継を認めない、また、使用承継許可の対象となる親族の範囲でございますが、原則といたしまして、使用者の配偶者または一親等の血族もしくは姻族としております。

○大山委員 収入超過者は承継できないということと、三親等のところを一親等にしかできない、変更するということですね。
 まず、ご夫婦、そして親子というところですけれども、三親等から一親等に変更するということですが、先ほどの質疑の中で、ご答弁の中で、夫婦、親子が基本的な家族形態だ、これを安定してということを答弁されましたけれども、もちろん、夫婦、親子が基本的な家族形態だというのは私も否定しませんけれども、今、価値観も多様化する中で、いろんな家族形態が存在している、多様化しているというのも、これも実態としてあるということは明らかですね。
 地域で都営住宅の方を思い浮かべてみても、例えばあのうちは、お父さん、お母さんが早く亡くなっちゃって、小学校のところから、お孫さんを、それこそおばあちゃん手一つで育ててきた家があそこにあるなとか、あと、お姉さんと妹さんで住んでいるのはあそこにいるなとかということが、顔が浮かんでくるわけですね。
 大田区在住の一都民だという方からのお手紙があるんですけれども、兄、妹あるいは姉、妹が、老身の、年老いた親御さんの面倒を見ていた家族などでは、後に残された妹さんは追い出されることになります。例えば六十歳前後の妹さんなどは、長年一緒に生活を支え合ってきたにもかかわらず追い出されることになり、大変問題ですというふうに心配をされているわけです。本当にそのとおりだと、この方の気持ちというのはそのとおりだというふうに思っています。
 この方が心配されているようなケースでは、名義人がお姉さんだったら、そのお姉さんが死亡するなどといった場合は、妹さんはどうなりますか。

○野澤参事 承継できる者は一親等の親族ということになっておりますので、兄弟姉妹の承継については認められないことになります。

○大山委員 本当にそんなことでいいのかという話なわけですね。家族の安定ということだったら、やはりきちんと実態を含めて見ることが必要なんじゃないかというふうに思っています。
 高齢者もいるし、障害者もいるし、病弱の方もいるし、いろんな事情を抱えた方もいるしということで、先ほどもご答弁では、特例はあるんだ、配慮はするんだということが答弁されていましたけれども、年齢だとか対象者だとか、具体的にはどうなっているんですか。

○野澤参事 年齢につきましては、六十歳以上の方を対象と考えております。
 あと、障害者につきましては、障害者手帳の級数等で対象者を絞っていきたいと考えております。

○大山委員 お孫さんなんかの場合はどうなんですか。六十歳以上のお孫さんというのは余りいないと思うんですけれども。

○野澤参事 若年につきましては、十八歳未満を考えたいと思っております。

○大山委員 やはりそういう実態をきちんと見て、配慮するべきところは配慮する必要があるというふうに思っています。
 もう一つですけれども、収入超過者が承継できないということなんですけれども、公営住宅法上、収入超過者というのは明け渡し義務があるんですか。

○野澤参事 収入超過者につきましては、明け渡し努力義務はございますが、明け渡し義務はございません。

○大山委員 そういうことなんですね。公営住宅法の入居者はということで、基準を超える収入のあるときは、当該公営住宅を明け渡すように努めなければならないということですから、明け渡し努力義務があるということですね。
 この収入超過の基準なんですけれども、例えば、四人家族で平均的なモデル世帯では、幾らぐらいになりますか。

○野澤参事 四人家族の給与所得者で見ますと、年収で五百十万円程度でございます。

○大山委員 四人家族で総収入が五百十万ということですから、税金なんかを引いたら、月々三十万そこそこで四人が生活している家族を出す。(「三十万なら大丈夫だよ」「リッチだよ」と呼ぶ者あり)四人ですよ。
 公平性だといって明け渡しの基準を厳しくして、その一方で都営住宅を建設しない。これは大きな問題です。管理強化して、より少ない公営住宅により条件を厳しくして、入居できる人を絞ろうとしているということにしか見えません。
 収入超過者に対しては、どんな状況も配慮せずにするということなのでしょうか。

○野澤参事 収入超過者につきましても、その状況によりまして、先ほどの高齢者、障害者等の例外規定に該当した場合は一定の配慮をしていくということにしております。

○大山委員 きちんと配慮するべきことは配慮するというのは、これは当然です。大体、つくらないで、条件を厳しくして入れる人を少なくする、それは逆さまですよ。
 それで、先ほどの答弁で、ほかの県は例えば何親等だといったら、大阪の二親等以外はすべて三親等ですと。さらに、国土交通省が、裁量権の逸脱にならないようにと、くぎを刺しているわけですよね。これは重く受けとめなきゃいけないことだというふうに思っています。
 住宅政策というのは、決して救貧対策ではないわけです。住んでいる人だけの問題でも、もちろんありません。今、社会状況、この不況、リストラの中で、いろんな住宅困窮者がさまざまな形で増加しているわけです。公営住宅の管理戸数の抑制のその一方で、住宅困窮者の解釈の幅を狭めていけば、ホームレスになりかねない層を拡大することになります。
 公営住宅法では、地方公共団体は、常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するために、必要があるときは公営住宅の供給を行わなければならないという、地方公共団体の責務を放棄するということにならないようにしてほしいというふうに思っています。本来行わなければならない公営住宅の建設をせずに、条件を狭めていくというのは、まさに本末転倒だというふうにいわざるを得ないと申し上げます。
 次は、窓口の一本化についてです。
 募集について、公社に委託するということが出されているわけですけれども、募集の事務を委託すると。都営住宅なわけですから、東京都だなと思って、局に電話してくる方というのは当然考えられることだというふうに思います。
 これについて、募集事務は東京都ではやっていませんからというふうに公社に回してしまうのでしょうか、それとも、きちんと答えていくということなのでしょうか。ちょっと突然ですが。

○井上管理部長 一元化に伴う募集もそうですが、今度の一元化を含めまして都営住宅制度改革は、私ども、都営住宅二十六万戸ございますが、都民の一般的な厚い支持を得たい、こういう原則がございまして、そのために、先ほど来ご議論ございますように、応募倍率が極めて高い状況の中で、より効率的に都民の支持が得られるよう都営住宅を適正に利用したい、こういう思いがありまして、この改革を行っているものです。
 そういう一環でございますから、当然、一元化につきましても、私どものもう仕事から離れたから、これは公社の話だということにはなりません。東京都も、応分の責任といいますか、それ以上の責任を負って業務を行ってまいります。

○大山委員 一元化といっているわけですけれども、きちんと対応してください。それで、それは、本当に今、責任があるんだということを答弁されたわけですから、きちんとその責任を果たしていただきたいというのが私の要望です。
 同時に、その責任ということに関してなんですけれども、例えばいろんな困難なケースだとか、マニュアルどおりにいかないケースというのはたくさんあるわけですよね。ついこの間も、窓口センターに行ったら、結婚して出て、承継なんだけれどもといわれて、結婚で相手の人に籍を入れていないから、これはだめですといって一蹴されてしまったんですけれども、名前を、苗字を変えたくないとかということで籍を入れないなんていうのは、最近多いわけですよね。そういうことも含めて、なかなかマニュアルどおりにいかない、そういうケースというのはたくさんあるというふうに思います。
 マニュアルはつくるんだというふうにいっているわけですけれども、さっき答弁された、きちんと東京都としての責任を果たすということでも、そういうマニュアルにはまらない困難な事例に対応するところをつくるべきだと思いますけれども、どうですか。

○野澤参事 今回の窓口の一元化につきましては、業務の内容につきまして非常に細かい業務指導といいますか、マニュアルをつくって公社に対応していただくことになっておりますけれども、確かに、事情によっていろいろなケースが起こることは予想してございます。
 今回導入いたします管理総合システムの再構築の中で、同じ画面を、私ども住宅局の方の業務を指導する担当課の方でも同時に見られるような、そういうシステムを考えておりまして、公社に委託したからもう我々は知らないということは決してございませんので、ご安心をいただきたいと思っております。

○大山委員 きちんと、このマニュアルにはまらないたくさんのケースも含めて、責任を持ってもらいたいというふうに思います。
 それで、公社に委託するということなんですけれども、募集事務も委託するということですけれども、住宅供給公社というのは、そもそも公社法に基づいて設置されるものですから、自治体の公営住宅のために設置されているものではないというのはもう明らかなんですね。ですから、根本が違うというふうに思います。
 ワンストップでサービスをするんだというふうにいっているわけですけれども、窓口一元化だといっているわけですけれども、もともとは、住宅局で一元化でやっていたわけですよね。ワンストップでやっていたわけですよ。それを公社に委託して、窓口を二元化してきたのは、ほかでもない住宅局だというふうにいえるわけです。
 例えば、修繕だとか改修だったらともかく、募集して都民の皆さんに住宅を提供するという、この住宅行政の根本、一番責任を持たなければならないところを委託するべきではないというふうに意見を述べて、終わります。

○林田委員 それでは、始めさせていただきます。昨年の十一月に住宅局で発足いたしました、東京の木・いえづくり協議会について質問したいと思います。
 住宅局でも、都市再生、東京の森再生プロジェクトを進められていることに期待を含めながらお伺いをしたいと思います。
 ご承知のとおり、西多摩は、東京における自然の宝庫であります。東京の全面積の四分の一が、実は森なのであります。その面積は五万三千ヘクタール。家づくりに適した木材を産出していることは申し上げるまでもありません。
 実は先日、秋川木材協同組合の幹部の方とお会いし、いろいろお話を伺いまして、東京都に対する要請も、住宅局やあるいは産業労働局、環境局に対しましていろいろあることをお伺いいたしました。現場の声を、各関係局に機会を見て要請をしていきたいと思います。
 さて、住宅局でございますけれども、今、東京の森を守るためには、間伐の必要、枝打ちの必要であり、早急に進めなければならないのと同時に、地場産業である製材工場が活発に活動してこそ、山はあるのであり、森は生きていくのだということを改めて教えていただいた、知らされたわけであります。林業の活性化が、東京の森をよみがえらせることに極めて重要であります。その林業の活性化にとって最も有効なのは、何といっても、家づくりに木材が使われることであります。
 そこで、お伺いいたします。この東京の木・いえづくり協議会の目的や組織はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

○青木開発調整部長 昨年十一月に発足いたしました東京の木・いえづくり協議会の目的でございますけれども、多摩産材を活用いたしました木造住宅の供給を促進するとともに、森林の保全や地域産業の振興を図ることを目的にしているところでございます。
 また、協議会には、東京の木を活用した家づくりを手がけている設計事務所や工務店等の住宅生産事業者、製材所や木材を扱っている木材の供給者、また、あきる野市や奥多摩町などの関係市町村が参加しているところでございます。
 ご指摘のとおり、住宅局や産業労働局の関係部局も、協議会の事務局として参加しているところでございます。

○林田委員 それでは、その協議会というのはどんな活動をしているのですか、お伺いしたいと思います。

○青木開発調整部長 協議会では、消費者である都民に対して、多摩産材を活用した木造住宅等の普及啓発や相談、それから、会員同士の情報交換等を行うこととしております。
 普及のためのパンフレットを作成いたしまして、区市町村や関係機関の窓口を通じて配布するとともに、昨年十一月、シンポジウムを開催いたしまして、森林の保全に関する講演会や、多摩地域の林業家、材木店、住宅生産者などによるパネルディスカッションを実施したところでございます。

○林田委員 現在、そうした活動に取り組んでいるということなんですけれども、今後どのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。今後の対策について。

○青木開発調整部長 協議会といたしましては、住宅生産者や木材の供給事業者に参加を呼びかけまして研究会や討論会を開催いたしまして、会員の拡大を図りますとともに、先ほど申し上げたシンポジウムを初めとするイベントの開催によりまして、消費者に対しまして、環境との共生を含めた視点からの、東京の木を使った家づくりの普及啓発を推進してまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、将来的には、多摩産材を活用した住宅供給の仕組みづくり等につきましての検討も進めてまいりたいと考えているところでございます。
 今後、都といたしましても、自主的な協議会の活性化に向けて、一層の支援をしてまいりたいと思っております。

○林田委員 住宅局がそこまで一生懸命やっていただいているということは、私も、山に従事されている方に聞いて初めてわかったので、期待を込めているところでございます。
 東京の木・いえづくり協議会は、まさに木材で家をつくるという、日本の長い伝統と文化を生かしているのみならず、東京の森を再生するという大きな目的に向かって活動していくことであり、本当に期待しているところでございます。
 繰り返しますけれども、東京の森の適切な保護、そして活力ある東京をつくる上で、地場産業の活性化が何よりも重要であるということは、地場産業に従事している人の大きな声でありますので、ぜひとも住宅局におきましても、協力、支援をしていただいて、活性化のためにご努力していただきたい、そんなことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

○川井委員 なるべく簡潔に質問しますので、お答えの方もよろしくお願いします。
 まず最初に、私は、都営住宅の施策というのは、都民に最も理解をいただいていないというか、不公平感を感じさせている施策の一つだと、こう思っているんですが、どういうところが一番そういう原因になっているのか、お考えになっていることをちょっとお答えください。

○井上管理部長 都民の理解でございますが、私どもも、常々大変残念に思っておりまして、都営住宅に一部の方が、永住ではございませんけれども、ずっと住み続け、かつ、先ほど来審議がございますように、減免であるとか、あるいは世間でいわれている滞納であるとか、そういったような状況まで現出しているのが、一番都民の批判を受けているところだろうと思っています。

○川井委員 私は、今回、使用承継等々、見直しをするということは、大変評価しているんです。実は、中野でかつて、共産党の「赤旗」を編集しているところにお勤めの方が弥生町の都営住宅に入っておられました。奥さんが区議会議員であります。当然、区議会議員でありますから、住宅困窮者のためにということも訴えていたようでございますし、また、収入超過の部分あるいは高額所得の部分、知り得ている方であります。しかしながら、数年そこに居座っていた。我が自民党が車を持ち出して、それを近隣の方々にお知らせするまでいかなければ出なかった。
 人というのは、やっぱりこれは甘えというのがあるんですね、甘えというのが。収入超過であれば、努力義務が必要であります。高額所得者であれば、まさに明け渡しをしていかなければならない義務があります。しかしながら、一方には甘えというのがありますから、しっかりと東京都が、あるいは公社を通して管理していくことが大事なんだろうと。要するに、二十六万都民の財産では決してありません。一千二百万都民の財産でなければならない、こういう思いがしております。
 そういう意味では、今回三十七戸でありますけれども、期限つきということも、まさにこれからの窓口をあけたというか、そういう思いがしております。これから、ぜひ国に働きかけて公営住宅法改正を求めるなり、そういう中で、例えば今の二十六万戸を二十年で期限を切れば、七十八万戸の世帯の方々がこの都営住宅を利用でき得るわけですから、そういう思いも含めて、何点か質問をしたいと思っております。
 実は私、平成九年からずっと同じことをいってきて、しかしながら、その努力を一方にはしていただいたことにも評価をしております。高額所得者、あと収入超過者の推移でありますけれども、どのようになっているか、お聞かせ願いたいと思います。

○井上管理部長 高額所得者の推移でございますが、過去、平成十年から申し上げますと、高額所得者数が、平成十年は四千四百七十七世帯でございました。それが、各年、二千七百八十一、二千百九十六、平成十三年度は千五百二十に減ってございます。平成十四年度の見込みでは、千三百程度になろうかというふうに踏んでおります。
 同様に、収入超過者でございますが、平成十年が七万七千ほどございましたが、平成十三年度では三万七千ほどになってございます。平成十四年度の見込みは、ちょっとまだこれは出ておりません。

○川井委員 うまいなと。実は、今、高額所得者、十年で四千四百といいましたけれども、九年は一万を超えているんですね。私は、この年、たしか質問をしているんですけれども、この高額所得者あるいは収入超過者、それから長期滞納者、滞納者、これらをずっと足していきますと、何と十万を超すんですね。そしてまた、減免というのがあるんですけれども、この減免、十年で見ても約六万件あるんですね。六万件ある。
 そうしますと、二十六万世帯の中で、高額所得者と収入超過者と滞納者と長期滞納者と減免、これを入れますと、残るのは何件ぐらいになりますか。何戸ぐらい。

○井上管理部長 正確な数字はちょっとあれでございますけれども、十万から十三万ぐらいが残るかと思います。

○川井委員 いや、違いますよ。押さえる年でも違うんですけど、十年とか九年で押さえますと、約六万ぐらいですね。六万ぐらい。それで、一般都民がこれを知ったならば、大変驚きと、不公平感なら、なお一層募らせるのではないだろうかな、こういうふうに思っております。
 ただ、一方では、高額所得の部分については、かなり努力をしていただいて、減ってきております。引き続き長期滞納者についても、たしか住宅局、そして公社の方に人をふやしていただいた経緯がありますね。
 この高額所得者、かなり減ってきているんですが、この高額所得者だとか長期滞納者に対して、ある一定の評価をしているんですが、これにかかわって、住宅局は無論のこと、公社も努力してきたんだろう、こう思うんですが、どういう役割を果たしてまいりましたか。

○井上管理部長 供給公社は、今の高額所得、それから、特に滞納等につきましては、滞納の縮減に向けて、各支社それぞれ努力をしていただいております。
 さらに、一般的な管理についても、極めて一生懸命努力をしていただいております。

○川井委員 実はここに、東京都と政令指定都市あるいは大都市、こういうものを比較した収入超過の占める割合というのがございまして、政令指定都市や他の大都市と比べると、まだ若干、収入超過者というのは東京都は多いようでございますので、ぜひ努力をしていただきたい、こう思っております。
 それと、滞納の縮減のために、どのような取り組みをしてきたか。もう一点は、法的措置を実施してきたのでありますけれども、その状況をお知らせいただきたい。

○井上管理部長 都営住宅の滞納縮減に向けた措置でございますが、滞納は、何よりも早期に解消するのが一番肝要でございまして、まず、公社の外勤職員による納付指導、こういったものを強化するとともに、住宅局及び公社では、居住者向けの広報紙等によって居住者の意識啓発を図っております。
 それでもなかなか滞納が減らない場合、あるいは滞納をする居住者に対しましては法的措置を行いますが、委員ご指摘の強制執行、法的措置の件数ですが、法的措置そのものは、平成十二年度二千件、平成十三年度は二千五百件に上る予定でございます。その中で強制執行は、平成十二年度四百六十二件、平成十三年度六百件に上る予定でございます。

○川井委員 実は、私もそうであるのでございますけれども、子どもが二人おります。坊主が小学校を上がるまで、私は、子ども二人でございますから家族四人でありますけれども、学生下宿の共同便所、共同炊事場のところで生活をしておりました。通常、四畳半、六畳の一部屋、廊下の両脇にこうあって、突き当たりが共同便所、共同炊事場になっております。その後、私が生活したところは、坊主が中学二年まで、娘が小学校六年まで、六畳二間のところであります。
 実は住宅困窮者というのは、ほとんど民間賃貸に非常な苦労をして住まいをしている。だからこそ、都営住宅の申し込みが大変な倍増、大きな倍率になっている。その方々のことを、しっかりと住宅局が理解をしなければいけない。建てることについては、切りがないんです。仮に五十二万戸あっても、足らないんです。
 万が一それを建てた場合には、今、四割を支えている民間賃貸住宅を締めつけるんじゃないですか。

○小川住宅政策担当部長 東京の住宅市場の九五%を民間で占めているわけでございます。また、その民間の市場のメカニズムの中で住宅が供給されているということがございます。
 一方的に公的セクターが、これは市場と全く関係ないわけでございますので、それが膨れ上がっていけば、おのずと市場というものは動きが悪くなっていくというのは、ご指摘のとおりだと思います。

○川井委員 世帯数五百万ということの中で、住宅戸数が五百六十万ということ、これも十分に考えていかなければいけない、こう思っております。今ある既存ストックというか、二十六万戸を、できるだけ二十六万人の財産でなく一千二百万都民の財産にし得る、こういう形の中での努力が大事なんだろうな、こう思っております。
 次に、減免についてちょっとお伺いをします。
 減免制度、この基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○井上管理部長 減免制度の基本的な考え方は、入居者の収入が著しく低額である場合、及び病気や災害、それから、突然の失職などによりまして収入の減少があった場合に、入居者の居住の安定を図るという観点から、個別の事情に応じまして家賃の減免をできるようにしたものでございます。

○川井委員 生活保護を受けているような方々には、私は、住宅扶助、こういうものがあると理解しておりますので、この減免の世帯数に入りますか。

○井上管理部長 生活保護の受給世帯につきましては、住宅扶助として都営住宅の家賃相当分が支給されますので、減免の対象とはなりません。
 また、生活保護の対象階層、受給はしていないけれども対象である階層につきましては、生活保護は本人の申請に基づいて支給されますことから、本人の申請がない限り、そういったような方については住宅扶助が受給できない、こういうことで、減免の対象にはなります。

○川井委員 例えば、減免世帯は十二年度で何世帯になりますか。

○井上管理部長 減免の世帯でございますが、十二年度で、世帯数では五万五千世帯、十三年度は五万六千世帯でございます。

○川井委員 額にしてどのぐらいですか。百五十億ぐらいですか。

○井上管理部長 減免額としましては、十二年度で百四十二億でございます。

○川井委員 実は、約五万六千世帯、減免の方々がいらっしゃる。これは私の方の資料でございますので、提出されている書類等で、住宅局の方で読み取っている数字だと思いますけれども、生活保護世帯階層というのは約三万世帯ぐらいいらっしゃるんですけれども、実はこれ、受給を受けておりません。どういう場合、受給を受けられないのかなということを考えますと、かなりの預金がある、あるいは保険等に多額に入っている、こういう場合は受給できないんですね。例えばなぜ、ある程度の預金ということをいうかというと、二、三百万なら、それをおろして使って、生保を受けて、受給して、そして家賃扶助を受けた方が得なわけですから、だから、かなりの場合、預金を持っている。そうなってきますと、これから、そういうことも考えていかなきゃいかぬのかな、こう思っているんですね。
 いわゆる単月単月の収入じゃなくて、一時金とか大きな預金、こういうのを持っている場合、今後、どういうふうに考えていこうと思っていますか。

○井上管理部長 都営住宅の入居基準あるいは減免の基準に該当します収入の捕捉でございますが、通常の収入、給与収入とかの収入の捕捉以外に、今後は、資産と申しますか、あるいは預金と申しますか、そういったようなものにも着目して収入の捕捉をしていく必要があろうかと思います。
 現実に、私どもも、そういうふうな検討を今後していきたいと存じております。

○川井委員 収入ゼロなんていう人がいるんだよね。収入ゼロ。しかし、生活保護は受けない。生活をどうやってしているのかな、こういう思いもするわけですけれども、結構豊かな生活をしております、私の知っている人も。
 それはそれとしまして、民間賃貸住宅に居住している都民との公平性の観点から、都営住宅の居住者に対して、その受益に見合った適正な家賃負担を求める、これは大きな幅で考えていただきたい、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

○井上管理部長 平成十二年度に家賃の減免制度の見直しを行いましたが、その見直しにおきましては、民間賃貸住宅に居住している都民との公平性を確保する、こういう観点から、家賃の免除を、災害であるとか生活保護受給者の長期入院、こういったような場合以外は、原則として廃止いたしました。居住者の負担能力に応じました一定の家賃負担をすべて求めるということにいたしました。
 また、住宅の立地条件であるとか広さ、こういったようなものを反映させるために、減額につきましては、従来の定額方式から定率方式に変更したところです。
 こういったような見直しによりまして、平成十三年度、まだ決算が出ておりませんが、十三年度におきましては、減免額が約九十億円となる見込みでございまして、平成十二年度に対しまして約五十億円の縮減になると思っております。

○川井委員 ぜひ努力をしていただきたい。やはり若年層で子育てに銭がかかる、そういう中で住宅困窮している方々、当然若年ですから、収入も少ない。この方々にしてみれば、非常に自分たちより豊かな人たちが、自分たちのチャンスを奪っている、こういう思いもあるんだろうと思うんですね。
 それと、一方には、余りこれを放置しておきますと、甘えの構造をつくり出すんですね。やっぱり努力をしていく、ものに向かって努力をしていく、こういう思いがなくなってしまう。これは決していい施策ではないのであって、やはり一定の努力義務の中で、次の目標に向かって、持ち家制度を利用するなり、新たな考え方を、生活設計をしていく。そういうことでなければいけないのであって、一回入ったら、子どもあるいは孫の代まで永久に住めるぞと、こういう図柄というのは、私は決して許してはいけないんだろうと。
 しかし、まさにその状況にある、こういう方々については別ですよ。しかし、そうでない方々、どうも数字的に見ていくと多いように、先ほど私がいった中野の区議会議員さんの例みたいに、こんな例があったんじゃ、許せるわけがないのであって、ですから、大いに努力をしていただきたい、こう思っております。
 それと、公社、実はきょうの新聞でも、地方住宅供給公社、損失を隠す会計、税投入のおそれとか、こういう新聞が出ております。私は実は、住宅供給公社は努力していると、ある一定の評価をしているんです。この高額所得者、収入超過者あるいは長期滞納者等についても、一方の一輪として、住宅局を助けて頑張ったんじゃないですか。ちょっとお聞きしたい。

○井上管理部長 供給公社の役割につきましては、特に私どもがよく多としておりますのは、滞納の縮減に向けて、公社は、現地処理体制をとりながら、職員が毎日のように滞納者のところに歩きまして滞納を取ってきている、そういうことです。
 それから、高額所得者あるいは収入超過者につきましても、公社が保有する公社の賃貸住宅を、都営住宅の高額所得者あるいは収入超過者のために快く提供していただいておりまして、そういうのも縮減につながっております。

○川井委員 公社の役割として、賃貸住宅の既存のストックのこれからの活用というか、その部分と、都営住宅委託部分の管理、こういうことでの役割というのが、より大きくなってくるのかな、こういう思いを持っております。
 そこで、ちょっとお聞きをしたいのでございますけれども、よく公社を民間にしたらどうだろうかというような議論も、先ほどちょっとありましたけれども、私は、果たしていかがなのかなと、こういう思いがしております。
 それには、一般賃貸住宅についての民間への例えば売却を考えるとか、あるいは都営住宅については管理の部分を民間にするとか、こういう場合があるんだろうと。それぞれの場合、かなり難しい部分が出てくるのかなと、こう思っているんですが、お考えをお聞かせ願えませんか。

○阿部連絡調整担当部長 民間に一般賃貸住宅を売却した場合にどのような課題があるかということでございますけれども、中堅所得者に適正な家賃水準で住宅を供給するという目的が確保できるかどうかというような問題が一つございます。
 また、売却に当たっては、都の貸付金等の債務が、当然のことながら、売却の際、引き継がれるというような課題。それから、公社の一般賃貸住宅はいろいろな地域にございます。そういった意味で、民間にとって、必ずしも魅力のある物件ばかりではないというような部分もあろうかと思います。また、入居者の同意を得るという部分での課題もございます。
 以上のような課題が、一般賃貸住宅についてはあろうかと思います。
 また、都営住宅につきましては、ご承知のように自治法上の制約があり、公的な団体に委託をするというような現行制度上の問題がございますが、これも、やはりこれまでの知識、経験の蓄積によるノウハウ、それから、募集、営繕を含めまして統一的に処理していくという部分のメリット、二十六万戸を、効率的に一定のレベル以上のサービスを確保するためのスケールメリット等を考えた場合、現状では、公社以外にはなかなか難しいというふうに考えております。
 ただ実際には、公社でも、民間に委託できるものは委託を進めておりまして、今後も、そういった意味での民間の活用を図ってまいりたいというふうに思います。

○川井委員 まさに今、最後にお話しをした、公社であっても、民間が使えるところは使っていくんだと、特に経営改革というか、そういうものに大きく目を向けながら、また、住宅局としてもそういう指導をしながら、進めていっていかなければならぬのかなと。
 特に住んでいる方々にとっては、一遍に廃止されちゃったとか民営化されたなんて、不安でしようがない。不安でしようがない。そこら辺もよく、これから五年、十年というスケールの中で、実際に今の公社の経営改革あるいは抜本的な改革をする中で、理解していただけるような組織にしていかなきゃいけないだろう、こう思っております。
 そこで、ちょっと聞きたいんですけれども、ここで、新聞の中で、例えば都道府県が無利子や低利で融資を行い--これは東京都もやってきたんだろうと、こう思います。その後で、十八道県、公社の借入金に債務保証や損失補てんを約束してきた、こう書いてあるんですね。東京都はどうだったんですか。

○阿部連絡調整担当部長 公社に対します無利子等の貸付金につきましては、今後新たな部分につきましては、来年度から、その貸付金を廃止するという形をとっております。
 また、諸般のいろいろな無利子の部分についても、今年度以前から、東京都独自に、公社独自に対応するものについては、順次見直しを図ってまいっております。

○川井委員 それと、こういうことが書いてありますけれども、四月から、改正自治法という形の中で、外部監査制度、三十三の都道府県でその監査に乗り出した。公認会計士が、一斉に住宅公社に着目をした。会計の欠陥を指摘し、これを受けて、全国住宅供給公社連合会が新会計基準を完成させた。新年度から適用されるこの基準で、企業とほぼ同じ会計になる、含み損の計上等も始まる、こういうふうに記してあります。
 東京都住宅供給公社はどうなんですか。

○阿部連絡調整担当部長 今、先生お話しのとおり、東京都住宅供給公社も、来年度から新しい会計基準に従いまして予算を編成してまいります。

○川井委員 まさにここに、新聞に書いてあるように、一般企業と変わらない会計になるんだ、こういうふうなことも書いてあります。ぜひ経営的な改革、組織改革、そして同時に、今そこに居住している方々の思いも入れながら、なおかつ私は、この公社が担ってきた役割は一定の努力評価をしていきたいという立場で話をしておりますので、まさに評価でき得るような組織に指導していっていただきたい、これをお願い申し上げ、ご意見があれば、局長あたりからご意見をいただいて終わりにしたい、こう思います。

○橋本住宅局長 ただいま、公社の経営の諸般の状況といいましょうか、公社が経営に果たしている役割というのは、確かに都民の立場、あるいは居住者の立場、あるいは納税者の立場、それぞれ多様なものがあるというご指摘だろうと思います。
 供給公社は、事業の選別を進め、しかも、これから都営住宅の管理については、一層重大な責任をしょうわけでございます。こういった中で、公社は、さらに抜本的な経営改革を進めるということでございまして、ただいま申し上げましたとおり、公社会計の基準や財政支援の見直しや、さらには、責任体制や給与制度等の改善を積極的に図ってまいります。
 その結果、先ほど来部長が答弁申し上げているとおり、都民から決して信頼を損ねないような運営形態にしていくことを、私どもしっかりと指導してまいります。よろしくお願いいたします。

○川井委員 終わります。

○田代委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び報告事項に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、予算及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時四十分散会

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