委員長 | 田代ひろし君 |
副委員長 | 前島信次郎君 |
副委員長 | 星野 篤功君 |
理事 | 花輪ともふみ君 |
理事 | 川井しげお君 |
理事 | 新井美沙子君 |
伊沢けい子君 | |
ともとし春久君 | |
山田 忠昭君 | |
林田 武君 | |
小礒 明君 | |
西条 庄治君 | |
大山とも子君 | |
池田 梅夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員住宅局 | 局長 | 橋本 勲君 |
技監 | 小関 尚久君 | |
総務部長 | 関谷 保夫君 | |
住宅政策担当部長 | 小川 富由君 | |
連絡調整担当部長 | 阿部 亨君 | |
開発調整部長 | 青木 治道君 | |
臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 | 高岡 信也君 | |
建設部長 | 小林 計代君 | |
建設推進担当部長 | 矢口 哲也君 | |
参事 | 大森 勝海君 | |
管理部長 | 井上 克彦君 | |
参事 | 野澤 直明君 | |
参事 | 渡部 景之君 | |
不動産業指導部長 | 渡利 紘司君 | |
多摩都市整備本部 | 本部長 | 石河 信一君 |
建設監 | 勝田 三良君 | |
管理部長 | 長野 宏君 | |
事業企画担当部長 | 二ノ宮 博君 | |
建設計画部長 | 山崎 俊一君 | |
建設局 | 局長 | 山下 保博君 |
次長 | 平井 健一君 | |
道路監 | 小峰 良介君 | |
総務部長 | 森澤 正範君 | |
用地部長 | 稲熊 明孝君 | |
道路管理部長 | 磯邊 武一君 | |
道路建設部長 | 岩永 勉君 | |
公園緑地部長 | 安藤 明君 | |
河川部長 | 鈴木 進君 | |
市街地整備部長 | 梶山 修君 | |
企画担当部長 | 小島 信之君 | |
総合調整担当部長 | 平井 和之君 | |
道路保全担当部長 | 依田 俊治君 | |
道路計画担当部長 | 柿堺 至君 | |
公園計画担当部長 | 住吉 泰男君 | |
調整担当部長 | 市原 博君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
多摩都市整備本部関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十一号議案 臨時東京都多摩、八王子、町田新住宅市街地下水道条例を廃止する条例
建設局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百八十二号議案 東京都公園審議会条例の一部を改正する条例
・第百八十三号議案 東京都市計画事業北新宿地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例
住宅局関係
報告事項(質疑)
・新・東京都住宅マスタープラン(中間のまとめ)について
・平成十三年度東京都住宅白書について
○田代委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田代委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○田代委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、多摩都市整備本部関係及び建設局関係の付託議案の審査並びに住宅局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより多摩都市整備本部関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百八十一号議案、臨時東京都多摩、八王子、町田新住宅市街地下水道条例を廃止する条例を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取してございます。
その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○田代委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田代委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で多摩都市整備本部関係を終わります。
○田代委員長 これより建設局関係に入ります。
付託議案の審査を行います。
第百八十二号議案、東京都公園審議会条例の一部を改正する条例及び第百八十三号議案、東京都市計画事業北新宿地区第二種市街地再開発事業施行規程の一部を改正する条例を一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取してございます。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○森澤総務部長 去る十一月三十日の当委員会においてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の建設・住宅委員会要求資料の一ページをごらんいただきたいと存じます。
今回ご要求のございました資料は一件で、北新宿地区市街地再開発事業における権利者の状況でございます。
上の表(1)は、平成十年五月の事業計画決定時における権利別権利者数につきまして、土地所有者、借地権者、借家権者別に権利者数を示したものでございます。
なお、下の注書きにございますように、権利者の土地所有面積は約三万二千平方メートルでございます。
下の表(2)は、事業計画決定時における規模別土地所有者数につきまして、規模を五段階に区分し、各区分別に所有者数を示したものでございます。
以上をもちまして、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○田代委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大山委員 本議案は、議案の説明文書を見ますと、放射六号線の平成十七年度交通開放と権利者棟の早期着手、これが二つの主な理由で、工区を狭くして、今回は権利者棟を早く建てられるようにという提案だというふうに受けとめています。私も地元ですので、この地域も時々歩きますので、今どういう状況なのかということを含めて質疑したいというふうに思っています。
この放射六号線ですけれども、ここはもともと現道がないところですから、住宅地をこれまた通すということで、その話自体大変乱暴な話なんですけれども、平成六年に区の都市計画審議会のところで報告されているのは、当該の地域の施行面積が四・七ヘクタール、土地の所有者が百九十人で、借地の建物所有者が四十五人で、借家人が二百八十人ということで、五百十五人が住んでいたということなんですね。
今、資料を出していただきましたけれども、土地の権利を持っていても住んでいない方もいらっしゃいますが、今ここに住んでいる方は何人になりましたか。
○梶山市街地整備部長 平成十三年十一月現在で、土地所有者は百三人、うち地区内に住んでいる方は六十人でございます。借地権者は二十九人、借家権者は百九十一人でございます。
○大山委員 三百二十三人なんですね。この話がある前の方たち、約二百人が既にもういなくなっているという状況なんです。
ここの地域、バブルのときに地上げがありまして、平屋や二階建ての民家が並んでいたところが、青梅街道を中野の方面に行っていただきますと右側に見えますけれども、一面駐車場になっています。この出していただいた資料でもわかりますように、千平米以上という土地の所有者が四人ですから、そうでない方もいますけれども、バブルのときに地上げして土地の所有者になったという方がほとんどです。
この地域ですけれども、ずっとというか、割と家がびっしりついていましたし、それから町会もきちんとありましたし、コミュニティもそれなりにあったという地域です。アンケートでもあるんですけれども、まちづくりニュースというのをよく出していただいておりまして、居住年数でいいますと、借地だとかそれから自分の持ち家だとかという方だと、二十一年以上住んでいるという方が七六%ですから、かなりの方たちがずっと住んでいたところだったという状況です。借家人でも、アパートなんかに住んでいらっしゃる方でも三八%、約四割が十年以上、十一年以上住んでいらっしゃるということですから、割とコミュニティもしっかりしていたという地域です。
借家、地上げでこうやって買いあさられて結局出ていった方、そのときに出ていった方も多いんですけれども、千平米以上、四人の方が確保していますけれども、これ、合計でどれぐらいの広さになりますか。
○梶山市街地整備部長 合計いたしますと、一万三千平米でございます。
○大山委員 四分の一以上が大規模な所有者が持っているということなんですね。
この地域なんですが、放射六号線を通すというだけだったら道路事業でやれば済むことなんですが、道路事業ではなくて都施行の第二種の再開発事業で行ったというのは、これはどういう理由からでしょうか。
○梶山市街地整備部長 北新宿地区における放射六号線は、一つは、前期事業化予定路線として位置づけられております。それともう一つは、副都心の慢性的な交通渋滞の解消、これはとりわけ新宿の大ガードの付近の交通渋滞ですが、そういう意味で放射六号線の早期整備ということが必要でございました。それと三点目は、老朽化した木造の住宅がご当地では密集しておりまして、防災対策も非常に急務である、こういう状況がございました。
このため、公共施設と市街地との一体的整備、それから地域の防災性の向上を図るため、第二種市街地再開発事業として行うことになりました。
以上でございます。
○大山委員 この事業を市街地再開発、防災も含めてということなんですね。最初の説明会で、どうして道路事業でやらないんだという話も出たわけですけれども、こういう説明を東京都がしているんです。道路事業でやりますと、残った土地が小さくなったりして転出せざるを得ない人が多くなってしまいます、再開発でやれば、道路の計画性にかかわらず、地区内に残りたい人は残ることができるんですというふうに説明しているんですね。ですから、残りたいという希望が多くある地域で、道路事業じゃなくて再開発事業だったら残れるんですよというふうに説明をして納得してもらっているというか、納得してもらおうとしていたというわけなんですね。
しかし、本当に残っていられるんだろうかといったらそうでもなくて、いたいけど、もうそこに住めなくて出ていかざるを得ない人、結局、六年と比べると二百人ももう既に少なくなっているわけですけれども、今住んでいらっしゃる人は、とにかくここに住みたいということなんですね。本当に安心して住めるのか、住みかえられるのかといったら、それも危うくなってきているというのが今の状況だというふうに思うんですね。
例えば、この表でもわかりますように、百平米未満の土地を持っていらっしゃる方が七十二人ということですから、割と小さな土地を持っていらっしゃる方が多いんです。ですから、権利返還をして権利者棟に入ろうということになっても、例えば三人で暮らしているんだけど、一DKしか入れませんよ、権利返還だとそれぐらいしか入れませんよといわれて、一DKで三人が住むなんていうのは、今までよりずっと居住水準が低くなってしまうわけですから、それじゃ困るということで、結局お金を足して住まざるを得ない。でも、お金がない人は結局、それが払えない人は出ていかざるを得ないというような状況になりかねないということなんですね。土地を持っている方もそういう状況です。
それからもう一つ、アパートや借家に住んでいらっしゃる方が、この十年の表でもわかりますように、二百二十一人います。この方たちも、できればこの地域に残りたいという希望を随分おっしゃっていました。
ですから、いろいろと話し合いをして、建設局というか、再開発事務所の方と相談をした結果どうなったかといいますと、再開発住宅、括弧してわざわざ、都営住宅を二街区に計画しました、これは住民の方からの地区内に公的住宅をつくってほしいという声にこたえたものでありますというふうに、これは平成九年の一月三十一日付のまちづくりニュースの十二号に、安心してください、都営住宅がありますから、アパートの方も入れますよ、それから、小さな土地しか持っていない人は、お金を出せない人はこっちに入れますよというふうに説明をしたわけですね。これは事実ですか。
○梶山市街地整備部長 事実でございます。
○大山委員 この十二号だけでなく、今、事実のとおり、それから、ほかの号にもちゃんと質問に答えた形でも載せています。十三号でも、借家条件が整わないという場合には入れますよ、それから、住宅に困窮する方や借家人で高齢者などは優先されますけれども、百戸計画していますというふうに戸数までちゃんといっているんです。
こうやっているわけですけれども、突然といいますか、状況が変わったわけですね。十六号、そして十七号になるとどうなっているかというと、新しい都営住宅の建設が困難な状況の中で、対象者の方には既存の再開発住宅等のあっせんをさせていただきますというふうに変わっているんです。都営住宅を建てますから大丈夫です、安心して住み続けられますよといったにもかかわらず、都営住宅は建てませんということになったんですね。これはきちんと約束どおりにつくるべきだと思うんですけれども、どうですか。
○梶山市街地整備部長 北新宿地区では、住宅局と連携を図り、再開発住宅の建設を予定してまいりました。しかし、現在、既存の再開発住宅のあっせんが可能であるということ、それから都財政が悪化していることなどから、従来のような再開発住宅の建設が困難な状況にございます。
このような状況から、平成十三年七月の借家権者を対象といたしました説明会では、既存の再開発住宅、区の事業用住宅、さらには周辺の都営住宅の空き家などのあっせん等の対応策をご説明してまいりました。その後、関係者への周知を図るため、まちづくりニュースなどの発行、さらには地区事務所における権利者の個別相談を実施して、おおむね私どもとしては借家権者の了解を得ている、いただけた、このように考えてございます。
今後とも、引き続き理解と協力を求めていきたいと思っています。
○大山委員 後で住宅局の中でも、都営住宅がいかに足りないかという話になりますけれども、安心してください、大丈夫ですよ、だから再開発させてください、しましょうというふうにいってきて、それで事態が変わったからといって、約束どおりできませんと。それは全く約束違反だ、契約違反だというふうに思います。
さんざん地上げをするようなきっかけをつくっておきながら、そして安心してくださいといっておきながら、その約束を破るということ自体おかしいと思いますし、再開発住宅で、少なくとも新宿区内なんかに移動できるわけですか。
○梶山市街地整備部長 住宅のあっせんは新宿区にあるのか、こういうことではないかと思いますが、現在空き家であるとか、これからあく可能性が十分あるとかいうことで、さまざまでございます。そんなことから、新宿区さんの協力を得ながら、新宿区の事業用用地の住宅、それから、私どもとしては都営の大久保がございますので、そんなところにあっせんをしていきたい、こんなふうに考えてございます。
○大山委員 きちんと約束どおりつくるべきだと思いますし、それから、今、再開発住宅、都営住宅に移れるというふうにずっと考えていたというか、お話を受けていた人たちは、今話し合いもされずに、結局待っている、待たされている状況なんですよね、地権者の人たちとの話は先ですということで。結局、展望が持てない状況になっているわけですよ、高齢者も多いですしね。やはり、財政がどうだとかという話はありますけれども、きちんと約束どおりやるべきだというふうに思っています。
ですから、進めてきた再開発自体が、住民を追い出し、そして弱小の地権者だとか借家人の人たちが出ざるを得ないような、借地人、借家人の方々が結局この地域に住み続けられないような状況になっているんだということを指摘して、きちんと都営住宅も約束どおりつくるということを要望して、終わります。
○田代委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田代委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で建設局関係を終わります。
○田代委員長 これより住宅局関係に入ります。
新・東京都住宅マスタープランについて及び平成十三年度東京都住宅白書についての二件の報告事項に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取してございます。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○関谷総務部長 去る十一月三十日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
お手元の資料1、建設・住宅委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
表紙を開いていただきますと目次がございますが、合計九件の資料の件名を掲げております。
初めに、一ページをお開き願います。1は、都営住宅建設用地保有状況でございます。
住宅建設用地として買収した六カ所の用地につきまして、所在地、取得年次及び面積を記載しております。
二ページをお開き願います。2は、建てかえ・協議中の主要大規模団地一覧でございます。
現在、建てかえ事業中及び建てかえ協議中の敷地面積三ヘクタール以上の都営住宅団地につきまして、団地名、所在地、敷地面積及び従前戸数を記載しております。
三ページをお開き願います。3は、都営住宅の応募状況でございます。
平成十三年度の新築募集及び空き家募集の応募状況を記載しております。
次に、四ページをお開き願います。4は、住宅マスタープラン(中間のまとめ)における都営住宅の空き家活用でございます。
活用方法としましては、分譲マンションの建てかえに際して仮住居として提供することなどのほか、三点につきまして記載しております。
次に、五ページをお開き願います。5は、空き家当せんからあっせんまでの月数でございます。
平成八年五月公募から十二年十月公募について、当せんからあっせんまでに要した平均月数を記載しております。
次に、六ページをお開き願います。6は、東京に居住する世帯の居住水準の状況でございます。
平成十年の東京における世帯総数及びその内訳として、最低居住水準未満の世帯数、最低居住水準以上で誘導居住水準未満の世帯数、誘導居住水準以上の世帯数並びに不詳に分け記載しておりますので、それぞれごらんいただきたいと存じます。
次に、七ページをお開き願います。7は、東京都における分譲マンション施策の実績と内容でございます。
平成十年度から十三年度までの施策実績と施策内容を記載しております。
次に、八ページをお開き願います。8は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律の概要でございます。
この法律の概要を記載しておりますので、ごらんいただきたいと存じます。
次に、九ページをお開き願います。9は、東京における高齢者等のための設備がある住宅の状況でございます。
平成十年の東京の住宅総数、及び高齢者等のための設備がある住宅数並びにその内訳を記載しております。
以上をもちまして、建設・住宅委員会要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○田代委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○林田委員 それでは質問をさせていただきます。
東京都住宅マスタープランの方の一九ページになるかと思いますけれども、その中の区市町村移管について質問をさせていただきます。
一九ページに書いてあるわけでございますけれども、他の大都市圏では、府県と市町村の住宅割合がおおむね五〇対五〇となっております、東京では歴史的経緯もあり、九四対六と都営住宅に比べ区市町村住宅の供給が著しく少なくなっていると書かれておりますけれども、まず、この歴史的経緯というのはどういうことか、お伺いいたします。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 住宅マスタープランで記述しております歴史的経緯についてでございますが、一点目といたしまして、戦災による大量の住宅の焼失や戦後の急激な人口増加に伴う住宅不足への対応など、東京の公営住宅需要に対して、個別の区市町村では対応し切れなかった状況にありました。したがいまして、都が広域的に対応してきたこと。
二点目といたしましては、特別区の区域では、昭和二十六年の公営住宅法の創設以来、昭和四十九年度まで、東京都のみが公営住宅の設置、管理に関する事業主体であり、特別区が事業主体となったのは、昭和四十九年の地方自治法改正によりまして昭和五十年度からでございます。
このような経緯でございます。
○林田委員 東京の公営住宅は、都営住宅と区市町村住宅の比率が九四対六ということでございますけれども、こうした公営住宅の現状についてどのように認識をしているか、お聞きしたいと思います。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 今後の住宅政策は、福祉やまちづくりとの連携など、地域の主体的な取り組みが一層期待されております。しかし、区市町村営住宅の割合が極めて少ないという状況では、こうした社会ニーズに的確にこたえていくことが難しいところがございます。
したがいまして、公営住宅の設置、管理につきまして、区市町村がより主体的に対応することが期待されている、このように認識しております。
○林田委員 さらにマスタープランでは、この割合を五〇対五〇にする方向で、都営住宅の区市町村への移管を進めていくと述べられておりますけれども、特別区と市町村では制度が異なるわけで、特別区は制度上、先ほどお話にもございましたけれども、昭和四十九年までは公営住宅の事業主体ではなくて、昭和五十年の都区制度改革から事業ができるようになったということでございます。したがいまして、それまで都が建設した住宅を特別区に移管するということは、それまで不足していた自治機能を埋めるためには必要不可欠ではないかなと思うわけでございますけれども、市町村におきましては、昭和二十六年の公営住宅法創設から東京都と同様に公営住宅の設置、管理を行ってきた。こうした制度上の違いを踏まえた上で、今後市町村へ都営住宅を移管することについて協議する必要があると思いますけれども、今後の協議をどのように進めていくのか。
そして、前に一度お伺いしたんですけれども、三多摩全体で協議するのか、それとも個別に市町村と協議していくのか、その点につきましてもお聞きしたいと思います。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 委員ご指摘のとおり、東京都におきましては、特別区と市町村とは地方自治制度上の相違がございます。
特別区は、昭和四十九年の地方自治法改正によりまして、昭和五十年度から公営住宅の事業主体となったわけでございますが、公営住宅に関する都区の役割分担を、したがいまして、都区協議会で検討、協議いたしました。昨年の三月にも、原則百戸以下の小規模団地につきましては、各区と協議の調ったものから移管することについて合意してございます。東京都は、平成十三年度から十年間で二万戸を移管する計画を策定いたしまして、移管に現在努めているところでございます。
一方、市町村は、昭和二十六年の公営住宅法制定時から都と同様に公営住宅の事業主体でありましたので、特別区と同様な協議、合意という形はとってございません。したがいまして、市町村につきましては、直接各市町村と個別に協議し、合意した都営住宅について移管をすることといたしたいと。市長会や町村会でも、都と個別の市町村で協議する事項として整理されてございます。
○林田委員 個別に協議をするというお話を伺いました。
マスタープランによりますと、当面は、区市町村と協議をしながら、小規模な都営住宅団地を区市町村へ移管していくことにより区市町村営住宅の割合をふやしていくと書いてあるわけでございますけれども、協議する前に、都の意向が大分強く出ておりまして、いささか移管に対する押しつけのような感じがしないわけでもないんですけれども、区市町村は、いろいろそれぞれの立場がございまして、山間地域もあれば市街地の密集地域もありまして、財政状況もそれぞれ異なるわけでございます。
したがって、それぞれの市町村と協議した中で、その市町村が、Aという市町村がいいといえばそれで結構でございますけれども、画一的にこうしてくれというようなことは避けていただきたいな、強要していただきたくないなと思っているわけでございます。
そこで、市町村に移管する際の支援の内容というんですか、対象団地あるいは移管条件というのが、当面の予定がありましたら教えていただきたいと思います。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 市町村移管につきましての移管対象団地でございますが、これにつきましては、原則、建設後十年を経過し百戸程度までの住宅を移管対象といたします。
それから、内容に対するご質問でございますが、移管する都営住宅の団地にかかわる土地建物等は原則として無償譲渡いたします。それから、移管住宅にかかわります債務、建設に当たりまして東京都の方で発行いたしました地方債の残債務でございますが、これは市町村に引き継がず、都が引き受ける、こういう内容でございます。さらに、従前居住者の移転を都が行った後に移管いたしまして、市町村が地域の実情に合った住宅への建てかえを行います建てかえ時都営住宅移管制度を創設いたします。
内容につきましては、概略そのような形でございますが、今後、各市町村と個別に協議いたしまして、合意した団地から移管いたします。
各市町村との個別協議につきましては、来年度から実施したいと考えてございます。
○林田委員 土地建物は原則無償譲渡、移管にかかわる債務は市町村には引き継がない、こんなお話がございましたけれども、都営住宅が区市町村営住宅となるメリットというのはどのようにお考えでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 都営住宅の区市町村移管のメリットでございますが、住民に身近な自治体が公営住宅の設置、管理を行うことによりまして、地域のさまざまなきめ細かい需要により的確にこたえることができると考えております。
具体的には、高齢者あるいは若年ファミリー世帯への住宅提供、在宅サービスの提供、シルバーピアあるいはグループホームなどの福祉施策の実施、保育園、在宅介護サービスセンターなどとの合築、まちづくりの場合の団地の余剰地についての活用、こうした施策と事業主体とが同一となるということから、効率的な、的確な事業実施が図られるものと、このように考えてございます。
○林田委員 いろいろメリットのお話を聞いたわけでございますけれども、それでは、財政上の問題のメリットというんですか、そういうことを聞かせていただきたいと思います。
市町村にとりましては大変、東京都も財政は厳しい厳しいといっているんですけれども、もっと厳しいと私は認識しているところでございますけれども、移管に当たりまして財政上の不安があるのではないか、そのように認識しております。
移管後の収支予測ですか、見積もりはどうなっているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 移管後の収支予測でございますが、建設後十年たちました都営住宅の移管後の四十年間の収支予測をいたしました。前提といたしまして、戸数が九十戸、このように設定した予測でございまして、試算によりますと、使用料収入が約十二億三千万円、長期修繕も含めました維持管理経費が約八億六千万円、累積収支は約三億七千万円の黒字となってございます。
今後は十分協議をしながら移管を進めてまいりたい、このように考えてございます。
○林田委員 公営住宅の市町村への移管について、東京都といたしましては、都民の住宅ニーズにきめ細かくこたえていくために移管を進めるんだ、こういうお話でございます。市町村がより主体的に対応することが、さっきメリットということでお伺いいたしましたけれども、住宅サービスあるいは福祉サービスが一体となって都民ニーズにこたえていく、こういう東京都のお話でございます。また財政上におきましても、建設後十年、移管後四十年といいますと、五十年という大変な長さのスパンでございまして、そんな数字を出していただいたわけですけれども、市町村に決して損はさせないという、そういうお話も伺いました。
しかし、五十年という長いスパンですと、何が起こるかわからないし、それからまた、職員の経費はどうなっているのか、あるいは五十年には必ず建てかえという問題も起こってくるんじゃないかと思いますけれども、そういったことで市町村にはこれからいろいろな状況が出てくると思います。
そんな状況を、東京都といたしましては、市町村は割と移管というと重荷に感じる、東京都から何でも移管してくると大変重荷に感じるというのが市町村の考えでございますので、ひとつ移管に当たりまして慎重に協議をしていただいて、東京都から移管されてよかったなと思われるような市町村との話し合いをしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○花輪委員 私の方も、マスタープラン、この中間まとめについて質問をさせていただきたいと思います。
今回のマスタープラン、全体像を見させていただいて、今大きく時代が変わっていく中で、経済にしてもそうですし、環境とか少子高齢化の中で、随分と踏み込んで都営住宅の問題、不公平感の解消の問題ですとか民間活力の導入の問題、また住宅のストックというようなとらえ方をする、このように随分と踏み込んでやっていらっしゃるな、考えていらっしゃるなと、そのあたりは評価をさせていただきたいと思います。そんな観点から、確認の意味を含めて質問をさせていただきたいと思います。
まず、都営住宅の期限つき入居の問題です。
実は私、これは皆さんに聞くのは三回目なんですね。ちょっとしつこいようですが、ぜひしっかりと進めていただきたいという思いもありますので、ご答弁をいただきたいと思うんですが、今回というか秋ですか、期限つき入居、十年間のということで決められて、とはいっても、この前のご答弁ではまだ千戸程度という話なんですね、東京都が独自でやったものという中でいえば。でも、都営住宅は全部で二十六万あるわけですよ。そのうちの千戸というと、これは誤差みたいなものですね。ですから、やっぱりこれをしっかりと本格的にしていくためには、どうしても国を動かしていかなければいけないと思うんです。
そういうことも含めてこのマスタープランに書いてあると思うんですが、どうも読ませていただくと、まだまだ国に働きかけていくというレベルのことで具体案が見えてこないわけですが、今後具体的にどう進めていくおつもりがあるのか、お聞かせをいただければと思います。
○野澤参事 公営住宅法の改正でございますが、公営住宅を公平かつ有効に活用するため、事業主体が地域の実情を勘案して期限つき入居制度を導入できるよう、引き続き国に対して要望しているところでございます。
具体的に申し上げますと、本年十月から十一月にかけまして、全国の道府県及び政令指定都市と連携して要望するとともに、東京都単独でも公営住宅法の改正の要求を行っております。また、これに並行いたしまして、住宅局におきましては、国土交通省の所管部局に対し、事務レベルでの要望も鋭意行っているところでございます。
この十二月には、期限つき入居制度による第一回の募集を行い、集計前ではございますが、相当数の申し込みがあるものと見込んでおります。
今後とも、こうした実績を積み重ねながら、国に対して強く公営住宅法の改正を求めてまいります。
○花輪委員 特に都営住宅というのは、東京都、特に都市部ですか、期限つき入居を入れなきゃいけないような事情というのは、そういうところに非常にあると思うんですね。ですから、東京都の事情、都市部の事情というものをしっかりと訴えていただいて、ぜひ交渉を進めていっていただきたいと思います。
また、最後のところの今答弁で、実績を積み重ねながら国に対して強く要望していくとおっしゃっているんですけれども、実績というのは、これは十年たたないと出てこないような話なんですね、十年の期限つきなわけですから。そういうことではなくて、本当に積極的に日々頑張ってやってください。でないと、収入超過者が大きな顔をして居住権を盾に居座っていて、その裏では待っている方々がたくさんいる。さっきの資料要求の中の資料でも、空き家募集をすれば、最高百倍、平均倍率でも二十倍、七十倍、五十倍、そういうような状況があるわけです。こういうことを見ましても、こういう不公平感はしっかりとぬぐい去っていくような、そういうご努力をお願いいたします。
あともう一つ、都営住宅の市区町村への移管のお話をお伺いしようかと思いましたが、今、高岡部長からも随分と詳しいご答弁、ご説明がありました。質問はいたしませんが、この前の東久留米の建てかえの問題で、随分とあの請願でここでも議論をしました。まさに地域の問題を、本来であれば自分たちのまちづくりとして公営住宅もとらえて、例えば環境をどうしていきたいのか、どういう形で福祉と都営住宅を絡めていきたいのか、そういうものもしっかりと地域で議論をして、本来であれば地域で決めていって判断をしていってほしいことなんですね。それをなぜか、この新宿までやってきて議論をしなければいけない。私はあのことを議論しながら、非常に何か漠然と、何というか釈然としないような、そんな気持ちを覚えました。
ですから、この市区町村の移管もしっかりと進めていただいて、まさに地方分権の流れの中で、今までやったことがないこと、また、仕組みが変わってしまうと、相手の方はどうしても不安になるものです。ですから、その不安をしっかりと解消していくという努力もしていただきながら、移管を積極的に進めていただければと思います。この件については、質問は割愛をさせていただきます。
あと、住宅政策の中で、ストックの活用ということがありました。高度経済成長が終わって、安定成長、定常化、そういう社会を目指していかなければいけない中で、山を削って田畑を埋めて住宅建設をするんだというような時代はもう終わっていかなければいけないと私は思っています。ただ、残念ながら、まだまだ日本の住宅というのは、気候的な側面もあるんですが、なかなか長持ちをしないという住宅ですね。アメリカなんかは百年ぐらいもつとか、イギリスは百五十年もつとか、家は平均寿命がある中で、日本は三十年ぐらいともいわれているわけです。
そういう中でも最近は、私たちの世代なんかは、新しい住宅を買おうと思っても、一戸建てには手が届かない。またマンションなんかは、新築を買うと画一化されているマンションが多いから、中古住宅、中古のマンションを買って自分でリフォームして住もうじゃないかとか、そういうような方もふえているし、そういう雑誌なんかも本屋さんに行くと随分並んでいるわけです。
ただ、中古住宅なんかを個人が買おうとしますと、新築の場合は不動産屋さんが結構親切に登記の問題とかローンの問題、さまざまな権利関係の問題を解決してくれたりするんですが、中古の場合はまだまだそこまで行っていないというところもあったり、また中古の場合は、前にどんな人が住んでいたかとか、さまざまな不安があるわけですね。ですから、こういう中で、中古住宅というのはまだまだ日本では流通が活性化していないんじゃないか、思うように進んでいないんじゃないか、そんなふうにも思うわけです。
そんな中で、今回このマスタープランで随分ときちっといろいろと考えて書いてくださっておりますので、そのあたりは評価させていただきます。ぜひ最終答申というんですか、この最終の作成に当たって、いま一歩踏み込んで、さらに具体的にお願いをしたいと思うんですが、そのあたり、今後のご所見というか、向かう方向についてご答弁をいただければと思います。
○小川住宅政策担当部長 ご指摘いただきましたように、日本の住宅の中でも住宅戸数が世帯数を上回ったというような状況でございますが、一方、中古流通市場でどれぐらいの流通があるかというふうに見ますと、アメリカの場合は、住宅総数に対する中古住宅の流通が三・六%、これに対して日本は〇・三%ということで、極めて少ない状況であります。これまで蓄積されました住宅ストックが有効に活用されていないという状況だと認識しています。このため、リフォーム市場あるいは中古住宅市場の整備を進めるということで、住宅ストックの保持、活用を促進する必要があると考えております。
また一方で、住宅ストックの活用が進みますと、住宅の長寿命化、長い期間、何世帯かで使うということで長寿命化が図られますので、要するに壊すということがなくなる。建築廃棄物が減量したり、それがひいては地球温暖化の防止とか資源循環型社会の形成、そういったものに有効に寄与するものだというふうに考えております。
このため、マスタープランの中でも、リフォームの促進や中古住宅市場の活性化というものを重点事業と位置づけまして、この市場の整備を進め、住宅ストックの保持、活用を促進する。あわせて、環境に優しいというか、住宅の面でもそういう長寿命化を誘導して、環境対策に寄与したいと考えております。
○花輪委員 今、環境の面でもというようなお話がありました。住宅というのは、実はめちゃくちゃ、つくるとき、また住んでいる間、壊すとき--つくるときには多くの資源を使ってつくるわけですね。住んでいる間というのも大変なエネルギーを消費しながらそれを運用していって、最後壊すときにはまた大量の廃棄物が出る。これは非常に地球にとっては重荷になっている、負担の大きいものなんです。私はそういうふうに考えています。
それで、今、地球環境問題の中で、温暖化の問題でCO2のことが随分話題になっています。こういう問題でも、例えば家をつくるときには、ドアのノブですとか鉄骨ですとか、そういうものも含めて、エネルギーを使ってその材料をつくるわけですね。その後、運ぶときにも、トラックなんかで運びますから、ガソリンを使うわけです。建てるときにも、クレーンには電気が要るわけですから、そこでもエネルギーが要るわけですね。そして、住んでいる間は当然電球をつけたり、暖めたり冷やしたりということで、そういうエネルギーが消費をされていく。そしてまた壊すときには、壊すために機材が要るわけですから、そういう機材をつくる、またそういう機材を動かす、そういうときに、そのたびそのたびにエネルギーが使われていくわけです。
今、地球温暖化の問題の中で、日本は全部で、世界全体で四番目にCO2を排出していて、全体の五%を排出しているというような話を聞きます。この建設は、住宅ばかりではなくて、こういうビルをつくるときもそうですが、その五%のうちの三分の一は建設関連でCO2が排出をされているというぐらい、地球に負担をかけているんですね。
ですから、都営住宅の建設、運用、そしてまた今リフォームなんかも進めておりますが、そういうときにもぜひこういうことを意識して、しっかりと管理をするというんですか、やっていっていただきたいと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
○青木開発調整部長 都営住宅建設におきます地球環境への配慮でございますけれども、建設段階で、まず、耐久性のあるコンクリートの使用によりまして建物の長寿命化を図っております。また、断熱材の使用等によりまして省エネ対策、それから透水性舗装等の雨水流出抑制対策や、リサイクル材の使用等によりまして建設廃棄物の縮減等に取り組んでいるところでございます。
○花輪委員 今、民間のマンションの事業者のパンフレットなんかを見ますと、この住宅は、例えば売ろうとしているマンションは、つくるときから壊していく、住宅のライフサイクルというんですか、そういう過程において、とってもCO2を削減したマンションなんですよなんていうような売り方をしている広告を見たことがあります。それはLCCO2ですか、ライフサイクルCO2というようなことなんですが、これは建物をつくって廃棄をするまで、先ほどご説明させていただいたような、そういう建物が生まれて壊されていく、燃やされていくまでの間に一体どのくらいのCO2が出るかというのを数値で、数量であらわす、そういう計算方式のようです。これによって、ある私が見たチラシなんかは、一〇%CO2が減ることになりました、そういう計算になりますというようなことを数量であらわしているわけですね。
先ほど部長の方からご答弁がありましたが、都営住宅の建設に当たっても、一生懸命努力をして地球環境に負荷の少ないというようなことをおっしゃっておりましたが、ぜひこういう数量的なものでとらえられる、そういうものをしっかりと導入していただいて、それで、これだけ頑張ってこの都営住宅はこんなにもCO2、環境に負担の少ない建物になったんだよということが数量でわかった方が、つくる努力をする方も頑張りがいがありますし、またそれを利用する方も、ああ、東京都はこれだけ環境に対して考えてやっているんだな、そしたら私も電気の一つも消さなきゃいけないかなと思う、そういうようなよいサイクルに変わってくるかもしれません。ぜひそのあたりも検討していただければと思います。
同じようなことでいうと、例えば建築で使う塩化ビニール、塩ビなんかは、随分有毒ガス、ダイオキシンが出るわけですが、こういうものを幅木に使わないですとか、例えば室内の扉とか壁紙、天井のクロス、こういうものは非常にリサイクルもしづらいし、燃やすと有毒ガスが出るというのもあります。ですから、こういうものもしっかり数量であらわしていっていただいて、そして、やる方も使う方も、どれだけ環境負荷があるか、減ったか、そういうことがわかるような仕組みづくりをぜひやっていっていただきたいと思います。
特にこの中間報告の中では、環境に対する部分が若干弱いかなという、そんな認識も受けます。ですから、そのあたりもしっかりと取り込んでいただいて、最終まとめにしていっていただければと思います。
以上で終わります。
○ともとし委員 私の方からは、最初に、先ほどの林田委員の方で質問した件に関連してちょっとお聞きしておきたいと思うんですが、まず、二十三区と市町村、その双方にわたる都営住宅の割合を教えていただけますか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 東京都におきます都営住宅と区市町村営住宅との割合は、九四対六でございます。
○ともとし委員 そうじゃない。都営住宅の区と市町村の割合。
○井上管理部長 都営住宅は、今現在、全体で二十六万戸でございますが、大まかに申しまして、そのうち区部が約十七万戸ぐらいでございます。それから、市町村全部含めますと、市町村部が九万戸ぐらいでございます。
○ともとし委員 先ほどのご答弁の中に、市町村と区部というのは必然的に、最初の住宅に対する基本的な姿勢が違っているというご答弁があったかと思うんですが、それはいうなれば、区部というのは基礎的な自治体でなかった。つい最近、基礎的な自治体になりつつあるという状況ですね。
そういう兼ね合いからそういうふうになっているかと思うんですが、区部における今お話しの十七万戸、これを五〇対五〇に将来的にはしていきたいというお話になってくるかと思いますけれども、前からもいろいろと問題になっている、要するに区営住宅にしていく、都営から区に移管していくという、その部分の裏づけになる財源についてはどういう形で出ているんでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 移管に当たりまして、地元区に対する財政支援の内容でございますが、先ほども説明申し上げましたけれども、建物、土地、そういったものの移管につきましては無償で譲渡する、これが財政支援の内容の一つでございます。
それから、先ほどと重複して恐縮でございますが、移管に当たりましては、都の債務を地元区市町村の方に引き継がない、こういう内容等でございます。
○ともとし委員 土地、建物を移管して、それが無償である、それが財源上のものであるというご答弁なんですけれども、それだったら区は絶対受け付けないですよ。建物と土地をもらったって、それの、それこそ維持管理は膨大な費用がかかるんです。そこの財源がどうなっているかというので、各区にしても市町村にしても、受けるか受けないかという、そういう状況になるわけですよ。
その建物をいただいて、全部更地にしていいというんだったらそれは受けるでしょうけれども、そういうものじゃない。それを維持管理して、そのまま良質な住宅として将来にわたって継続していく、そういう意味合いの中でやるわけですから、その裏づけになる財源は何かということをいっているんです。
○関谷総務部長 先ほど来ご説明申し上げておりますのは、移管に伴っての条件でございまして、都営住宅として建設されたものについての過去の債務ですとか、そういうものについては、新たな自治体の方に転嫁しないということを申し上げたわけでございます。
基本的に移管を受けた後のランニングということにつきましては、先ほど担当部長からご説明申し上げましたように、一定の想定ではございますけれども、建設後十年たった都営住宅の移管後四十年間の収支予測というのは、長期修繕計画も含めて、使用料の中で十分賄っていけるであろうという判断をお示ししたわけです。
将来建てかえ云々ということになってくるわけです。出た場合には、現在の公営住宅は、用地取得を伴わないような建てかえの場合は、国から家賃対策補助金として十年間の補助金が出てまいります。また、それと一定の地方交付税、区の場合は財調制度がありますから単純ではありませんけれども、考え方としては、その裏に当たる地方交付税があって、あとは使用料の中で賄っていくという考え方に基本的には立っております。
○ともとし委員 簡単に財調というお話が出てくるんですけれども、財調というのは、はっきりいって全然わからないんですよ。別に、これは住宅の分ですよ、これは何の分ですよと色がついてくるわけじゃないんです。ですから、トータルで来ますから、いや、この中にもう住宅部分も入っていますよといわれちゃったらどうにもならないんですよ。
もう一つは、家賃で何とかなりますよという、そういうようなお話なんですけれども、都営住宅というのは減免措置があるでしょう。年がら年じゅう変わっているんですよ。だから、極端ないい方をすると、いいか悪いかは何とも--地元の問題だからいいたくないわけですけれども、世田谷の方に住んでいる都営住宅の方と足立区に住んでいる都営住宅の方はおのずと状況が違うんですよ。ちょっといいづらい話なんですけどね。
年がら年じゅう減免措置があって、例えば家賃が、何というかな、いいづらい話なんですけれども、世田谷の方では一万円取れますよ、ところが、足立の方では千円しか取れませんよといったら、同じ建物なんですよ、都営住宅という建物は。じゃ、その家賃制度の中で後で何とかなりますよといったって、それは簡単にそうはならないんですよ。だから、区に移管するといっても、なかなか区はうんといわないんですよ。
そういう財政的な裏づけをきちっとしていただかないと、これを五〇対五〇に持っていくというのは至難のわざじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺どうですか。
○関谷総務部長 先ほど来からご答弁申し上げているように、基本的に財政負担については、私どもの考え方はただいま申し上げたとおりでございます。そのことも踏まえまして、個々に区市町村と十分協議をする中で、合意に達した団地から移管をしてまいりたいというふうに考えております。
○ともとし委員 とにかく、二十三区で随一、都営住宅を抱えている足立区にとってみれば、今のお話は大変な影響力のあるお話ですので、十二分に、区との協議の中でその辺も考慮していただければなというふうに思います。さっきの一万円と千円は例え話ですから、そういうふうになっているということじゃありませんので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
マスタープランの中には、管理体制についてもいろいろと書かれております。この管理体制もやっぱりしっかりしていかなければいけないなというふうに思っているんですが、マスタープランの中には、管理方針の決定や法的措置など行政に留保すべき事務を除き、管理事務の大部分を供給公社に委託する、こういうような内容になっているんですね。窓口を一本化することにより、都民へのサービスの向上や事務の効率を図る、こういうふうになっているんです。これは逆に非常に心配なんですよ。
このマスタープランを読ませていただいて、このあり方、その辺については慎重でなければならないなという、そんな思いをしているんですが、例えばきょうのこの委員会、供給公社からはどなたか来ているんですか。今の質問内容等を踏まえて、そのこともお聞かせ願いたいと思います。
○井上管理部長 本日の当委員会に、傍聴で供給公社の職員も派遣されております。
それから、都営住宅そのものは、委員ご指摘のとおり、真に住宅に困窮する人に当然供給されまして、都民の公平性が確保されるとともに、都民共有のセーフティーネットとして一層有効に機能するよう管理していくべきものと考えておりますが、しかしながら、一方では、都営住宅はまた、多くの居住者にとりまして、平穏に日常生活を送っていく大切な居住の場であることも事実でございます。
私どもは、こういったような点を考えまして、これからの都営住宅の管理に当たりましては、都民にとっての公平性を確保するための抜本的な改革を推進するとともに、高齢者の方とか障害者の方等にきめ細かい対応を図りながら、都民全体の理解と支持を得ていきたい、こういうふうに考えております。
○ともとし委員 部長さんのそういうご答弁なんですけれども、本当に委託という形をとって、今部長さんがおっしゃるような、そういうようなサービス向上につながっていくような状況になるのかなというのは、はっきりいって疑問なんですよ。今までサービス公社の方とさんざん地元サイドでおつき合いをさせていただいた結果の話になってくるわけですけれども。
特に、窓口業務を供給公社に一元化していく。今までだったら、公社というのはあくまでも住宅局の補助的な業務ということで来ていたわけなんですが、これに新たに審査まで含まれていく。そうなっていくと、公社の権限というのは相当強まっていくのかなと。この公社に対して、じゃ具体的にいろんな問題点があった場合、果たして住宅局を通して、発言力の強まっている公社に対してどこまでいえるのかなと。
今でさえいろいろと問題があるのかなというふうに思っているわけですが、一元化をしていった中で、どういうふうにサービスの向上につながる、そういう改善が図られていくのか、具体的に教えていただきたいと思います。
○野澤参事 窓口業務の一元化によりますサービスの具体的な改善でございますが、まず募集事務につきましては、申し込み受け付けから抽せん結果通知まで現在約二カ月かかっておりますが、これを半分の一カ月に短縮いたします。また、居住者からの各種申請、例えば同居や使用承継につきましては、受け付けから許可通知まで現在二週間ほどかかっておりますけれども、これを半分の一週間に短縮いたします。さらに、問い合わせや手続をする場所を、募集事務につきましては募集センターに、居住者関係につきましては公社の窓口センターにそれぞれ一本化いたしまして、居住者の皆様の利便性の向上を図ることとしております。
このほか、千戸以上の団地に設置しております専任管理人制度を見直し、高齢者や障害者世帯を中心に、すべての都営住宅を対象といたしました巡回管理人制度を新たに発足させる予定でございます。
○ともとし委員 今の件なんですけれども、抽せんに至るその結果まで、二カ月を一カ月にというような、そういうお話なんですよ。これ、実際に入居するまではどのくらい短縮できるんですか。
○井上管理部長 定数的に何カ月短縮できるというのは、今直ちには申し上げかねますが、今、参事が答弁申し上げましたように、少なくとも一カ月、二カ月の単位での短縮は私どもは可能だと思っておりますし、また、それ以上に供給公社等を督励いたしまして、さらに短縮について頑張ってまいりたいと思います。
○ともとし委員 要するに、公社の方に委託して、抽せん結果が現実的に二カ月かかっていたものが一カ月に短縮、それはわかりますよ。それも確かにサービスの改善かというふうに思うんです。
しかしながら、今でさえ入居するのに、遅いところは一年半ぐらいかかっているところがあるんですよ。昨年の分がいまだに入居できない状況というのは、ざらにありますから。こうなってくると、例えば抽せん結果で一カ月間早くなったって、入居する間が縮まってなければ、どこへ行くんだろう、どこへ行くんだろうというと、何というかな、どこに入れるんだろうという、そういう心配の度合いは長くなっているんですよ、サイクル的には。
だから、もしこういうようなことで改善がこういうふうに図られますというのであるならば、入居に対するまでがどのくらい改善できるかという形でご答弁いただかないと、まさにサービス向上しますといいつつ、全然サービスは向上していないじゃないですかという、そういう内容になるかなというふうに思うんですよね。
お話の中に、答弁の中にも、管理人の問題等も出てきているかというふうに思うんですが、この巡回管理人制度の導入については、今現在六万戸という、そういう状況であったわけですね。従来の専任管理人が六万ですか。二十六万全体を今度は対象にして、新たに巡回の管理人制度をつくっていく、こういう内容なんですが、二十六万の戸数に対する巡回の管理人、この制度の中でどのくらいの人数が巡回管理人という内容でふえてくるのか、その辺も踏まえてご答弁をいただきたいと思います。
○野澤参事 具体的な巡回管理人の人数につきましては、現在要求中でございまして、まだ明確に査定等は出ておりませんけれども、私どもといたしましては、大体一人の管理人が二百戸ないし三百戸程度を担当いたしまして、高齢者、障害者の方で自分から出向けない高齢者、障害者等の世帯を訪問するのは、二週間から三週間に一回というのを目標としておりますが、少なくとも一カ月に一回は訪問できるような、そういう体制を構築していきたいというふうに考えております。
○ともとし委員 単純に今のを逆算して計算すると、おおむね三千人ぐらいですか。二十六万戸を対象にしたところの巡回の管理人を置くとすると、今の計算でいくと、おおむね三千人近い人数になりますかね。
○野澤参事 巡回管理人は、すべての都営住宅を対象として行動はいたしますが、訪問等の対象といたしますのは、みずから出向けない高齢者や障害者等の世帯を支援するということを主要な業務としておりますので、大体、現在見積もっているところは、みずから出向けない高齢者や障害者等の世帯は一万二千世帯ぐらいではないかというふうに推測しております。
ただ、巡回として各団地を回るということでは、二十六万戸の全都営住宅の団地を対象に巡回をするという形にはなっておりますけれども、訪問はあくまでもその一万二千世帯程度を対象にしたいというふうに考えております。
○ともとし委員 今までの専任管理人、要するにそういった方については、ある種の管理人室等があって、そこで具体的に見られたのかなというふうに思うんですが、巡回していく方については、その団地の中にしても何にしても、そういう拠点になるようなところというのは何かあるんですか。
○野澤参事 現在の専任管理人は、管理人事務所というのが設置されておりまして、そこに常駐をしておりますけれども、巡回管理人はそれぞれ窓口センターから出るような形をとることを予定しております。
○ともとし委員 そうすると、高齢者や障害者、そういった方についてのサービス向上には十二分につながっているかなというふうに思うんですが、それ以外の方は、今までは管理人室等に行けばそれなりのことがわかっていたんですけれども、ある種の健常者ですか、そういう方たちというのは、じゃ今度はサービス公社の方へ自分から出向いていって、そこで初めていろんな手続がとれるというか、相談ができるというか、そういう内容に変わりますか。
○野澤参事 現在の専任管理人制度は、都営住宅二十六万戸のうちの六万戸だけに対象を絞って設置をしておりまして、限られた人的資源をいかに有効に活用していくかということを考えまして、高齢者や障害者等の世帯への支援に重点を振り向けるという形をとりましたので、健常者の方につきましては、今後は窓口センター等へご足労いただくというような形をとらせていただきたいというふうに考えております。
○ともとし委員 だから、二十六万を公平に平均化していくためには、今まで六万戸のそういう専任管理人というか、そういう形の中でサービスを受けていた人が、逆にサービスの低下になるということですね、反面で考えてみれば。この方たちにとってみれば、サービスの低下というふうにしか、逆にいえば考えられないんじゃないですか。あくまでも二十六万を平均にしていく、その観点から物事は考えなきゃいけないということですね。
○井上管理部長 現在考えております巡回管理人制度は、先ほど参事が答弁申し上げましたような形で、高齢者や障害者、特に支援の必要な方々に私ども支援の手を差し伸べるという意味合いを強く前面に出すものでございますが、一方、実際に巡回管理人が各団地を、すべて二十六万戸の団地を巡回いたしますので、その巡回の際には、現在供給公社の方では、すぐ一目でわかるような、例えば専用のユニホームであるとかといったようなものを考慮しているようでございます。
そういうふうなものを考慮し、かつ各団地の自治会等と、自治会長あるいは自治会の役員さんと情報連絡を常に密にして、あるいは各団地にございます連絡員との情報連絡を密にして、漏れがないようにやっていきますので、決してサービスの低下につながるものではございません。
○ともとし委員 先ほど、一万数千人のそういう方を対象にしての人数ということでいわれておりましたので、二十六万の全部を対象にしてその人数でやっていくということになると、確かに障害者あるいは高齢者、そういった方については、今のようなお話の中でそれで十二分かなというふうに、サービスの向上につながってきているのかなというふうに思いますけれども、いってみれば健常者というか、あるいはそれ以外の人たちにとってみれば、必ずしもサービスの向上につながってきているやり方ではないなというふうに思えてならないんですけれども、もう一回ご答弁願いたいと思います。
○井上管理部長 巡回管理人制度は、各管理人が団地を巡回しますと、居住者がすぐ目でわかるように、そういうふうなジャンパーとか制服を着用するようなことを公社は考えているようです。したがいまして、団地を巡回している中で必ず目につくようになります。それから、目につかない場合でも、自治会あるいは連絡員との連絡は常にとるわけでございます。
翻って、現在の専任管理人制度は、専任管理人事務所がありますが、その事務所に常時詰めているといいますか、事務所で執務をしているのみであって、団地を巡回することはありません。
したがいまして、それらを比較考量いたしますと、現在の制度よりも、巡回管理人制度の方が団地居住者のためのサービス向上になると思っております。
○ともとし委員 前向きに考えれば確かにそのように思うんですが、我々がこういう立場の中でよく相談を受けるのは、例えば年に一回の収入証明ですか、そんなことを書類か何かで出すときですらも、そのときというのは電話が結構かかってくるんですよ。これは、地元の区会議員なんていうのは当然のごとくかかってくるわけですね。そういったことや何かについても具体的に、この巡回の管理人の方というのは相談に乗るということですか。
○井上管理部長 委員ご指摘のとおり、収入報告にしましても、これはご本人のプライバシーもございますので、ご本人が拒否すれば別でございますけれども、十分相談に乗る体制になっております。
○ともとし委員 これからこの一万数千人を対象にして三百世帯を一人の方で面倒を見るという、そういう人数枠になるみたいなんですが、この方たちというのは、今のサービス公社の中の職員をそういうふうに振り分けていくんですか。それとも、新たに雇用してそれなりの訓練をしてやっていくような、そういう方たちになるんですか。この辺ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○野澤参事 具体的な巡回管理人の方の雇用の関係でございますけれども、現在専任管理人の方が回る場合もございますし、また、新たに訓練等をして外部から雇って対応する場合もあろうかと思います。
○ともとし委員 その辺の内容はまだ具体的には決まっていませんか。どのぐらいがどういうふうになるかというのは。
○野澤参事 現在検討中でございます。
○ともとし委員 この巡回管理人の業務そのものにしても、あるいは窓口業務にしても、すべて、いうなれば公社に委託をしていく、こういうふうになっていくかというふうに思うんです。ですから、今までこの新宿の住宅局や何かに相談しなければならないというのが分散化されて、ある意味では、身近なところにサービス公社等の窓口があれば、それは確かに非常に身近なところでの相談ができるということで前向きに前進しているかなというふうに思うんですが、先ほど来心配をするその前提は、要するに公社の職員なんですよ。
東京都の住宅局の職員の方であれば、例えばこうした委員会の中で、住宅局のどこどこの部のどこどこの課の、こういう形の中ではもうちょっとやり方があるんじゃないかとかなんとか直接いえて、また、直接皆さんがそういう部署の中でいろんな改善ができるかというふうに思うんですが、公社になると、皆さんを通して公社の方にいっていただかなければならない。間接的なそういう内容になってきちゃうんですね。ですから、今までのこうした委員会の中でも、公社のあり方、公社の窓口業務のそうしたあり方については、いろいろと論議があったのではないかなというふうに思うんですね。
あくまでも居住者側の立場に立ってどうあらねばならないのかという、やっぱり公務員の一種なのであるという、当然守秘義務や何かもそういった形の中で出てくるかもしれませんけれども、やはり公僕としてやらなければならないんだという、そういう公社職員の意識が非常に大事になってくるかなというふうに思うんです。
その辺のものを、住宅局としてはどういうふうに公社の職員に対して、窓口の業務なんていうのは第一線ですから、そういった方たちに対して都民の思いというのを伝えていくことができるのかどうか、その辺のシステムをぜひとも教えていただきたいと思います。
○野澤参事 東京都ではこの九月から、管理業務を円滑に進める上での職員としての心構え、そのほか収入認定等の事務の進め方、また電算システムの操作方法や接遇などにつきまして研修を実施して、公社職員の意識の改革や業務処理能力の向上など、その指導に努めております。
また、公社におきましても、新たな経営計画の策定、人事・給与制度の見直し、さらに実績、能力主義がより的確に徹底される業績評価制度の再構築など、組織を挙げて改革に鋭意取り組んでいるところでございます。
○ともとし委員 ちょっと教えていただきたいんですが、公社の職員というのは、東京都の職員の派遣というのはどのくらいいるんですか。そしてまた、公社固有の職員というのはどのくらいの割合になるんでしょうか。
○阿部連絡調整担当部長 十二年度の職員でございますが、総数で公社の職員が六百二十三人おります。そのうち、東京都から派遣されております職員が十九人という状況でございます。
○ともとし委員 固有職員が圧倒的に多いという感じですよね。本当に住宅局の意向というのが公社の固有職員の最末端まで届くかどうかというのは、我々、窓口業務や何かに直接行ったり何かしていろいろとやってきているわけですけれども、そこまで到達するまでには相当の時間がかかるなというふうに思うんです。
こういうふうに公社に委託する場合、いろんな業務がほとんどが委託という形になってくるんですから、まず住宅局と公社のあり方も大きく変わらないとこれはおかしいなというふうに思うんですが、これはどのくらい、どういうふうに変わってきているか、今の時点でわかりますか。
○阿部連絡調整担当部長 公社に対します東京都の事務につきます委託の状況でございますが、都営住宅の管理につきましては、従前から管理業務を、今回の一元化も踏まえまして、増大させながら委託をしているところでございます。またもう一方で、スーパーリフォーム事業につきましても委託を現在行っているところでございます。
○ともとし委員 それは、だから、今やっていることでしょう。
○阿部連絡調整担当部長 はい。
○ともとし委員 今やっていることを今度新たに公社に委託、一元化してやっていこうというんだから、その一元化してやっていくために、住宅局と公社のその辺の内容がどこまで変わってきているかということですよ。
○井上管理部長 都営住宅管理業務の委託に関連して申し上げますと、従来から供給公社には、私どもの定期的な監査、検査、そういったようなものを行いまして厳しく指導をしてきたところでございますが、今後はより一層、日常の公社の業務活動の業務遂行について、私どもの検査を随時挟みまして、個々の業務について私どもがきめ細かい指導をしながら、かつ改善点については、公社の方の経営者に直ちに伝え、経営改革につなげたいと思っております。
○ともとし委員 まさに今答弁されたその辺の部分が、非常にこれからは大事になってくるかなというふうに思うんです。幾ら都民の方のいろんな問題点を我々議員が熟知して、それをこうした委員会の中で発言したとしても、それが第一線の窓口まで届くまでに逆に時間がかかるようなことになってしまうのならば、それは逆にサービスの低下につながっていくというふうにしか思えないわけですね。
ですから、今のご答弁というのは非常に大事な部分の答弁かなというふうに思いますので、住宅局としてもやっぱり意識改革を公社一元化の中ではしていかなければならないし、同時に公社の皆さんも、そういう面では大きく変わっていかなければならないのかなと。そういう業務がふえればふえるほど、公社の人たちも、また職員の方たちも大きくふえていくことは間違いないわけでして、その辺についてはよろしくお願いしたいと思います。
都営住宅については、先ほどもお話のあったとおり、区市町村に移管していく建物等もたくさんこれから先も出てくるということなんですが、こういう区市町村に移管した場合でも、区市町村の方から公社の方に委託する旨のそういう考え方があるとするならば、それは公社の方でやるんでしょうか。
○野澤参事 区市町村に移管されました都営住宅で、公社が管理を受託した場合につきましては、公社が的確なサービスを行えるよう、我々の方としても指導に努めていきたいというふうに考えております。
○ともとし委員 区市町村からそういうふうに委託をしたと、公社の方に。そうすると、東京都の住宅局と同様なある種の、委託に対しての注文点とかなんとかがあれば、同様な形で区市町村もできるということですね。
○野澤参事 区市町村営の公営住宅という形に移管後はなりまして、それぞれ住宅局の中で所管は違いますが、公社が管理をしているということにつきましては、管理業務ということで住宅局の管理部が対応するのと同じでございますので、その点の指導につきましては、住宅局としてきちんとやっていきたいというふうに考えております。
○ともとし委員 今の内容はいまいちよくわからないんだけれども、そうすると、区市町村は住宅局にお願いして、住宅局から公社の方に、そういういろんな内容のものの注文があれば、それは住宅局を通してやっていくということですか。
○関谷総務部長 区市町村に移管された場合には、当然公営住宅として区市町村営住宅ということになるわけでございますので、仮に供給公社に委託をしていただくということになれば、あくまでもそこの中で、区市町村は委託契約を公社との中で結びまして、現在東京都が公社に対して委託契約の中で、いろいろな指導も含めて、事業報告等も含めて一定の契約の中で明確にしているわけでございますけれども、そのような同一の行為を区市町村も当然できるわけでございますので、区市町村は区市町村として、公社に対して必要な指導は行っていける。
ただ、先ほど来申し上げているのは、そうであっても、供給公社はあくまでも東京都の監理団体でございますので、監理団体として適正に事業運営ができるように、住宅局としても適切な指導をしてまいりたい、そういうことでございます。
○ともとし委員 わかりました。はっきりいって、区市町村が区市町村としてのそういう委託契約の中でできるということで、さらに拡大して解釈すれば、東京都の住宅局が公社に派遣、職員を出していると同様に、区市町村でもそういったことができるのかなと、逆にそんなふうな解釈の仕方もあるのかなとちょっと思ったんですが、その辺は違うわけですよね。
○関谷総務部長 それは、あくまでも派遣先と派遣元との間での契約というよりもむしろ協定の問題ですけれども、どのように協定が結ばれるかということでございますので、供給公社に外部から派遣をする場合に、東京都しか派遣ができない、そういう関係にはなっておりません。
○ともとし委員 どちらにしても、公社に委託というのは、都営住宅の政策上、大きな一つの転換期に来ているのかなというふうに思います。公社に委託をして成功すれば、まさに住宅局がおっしゃるとおりにサービスの大きな前進につながると思いますけれども、しかしながら、逆に、委託によって苦情件数がふえたり、いろいろと問題点がふえたりすれば、これは抜本的に公社の存続の問題にもつながってくるのかなというふうに思うわけです。
そういったことを踏まえながら慎重な対応をしなければいけないかなというふうに思うんですが、これはひとつ局長に答弁をいただきたいと思います。
○橋本住宅局長 公社の窓口一元化というのは、ひいては公社の存続にもかかわるのではないかという今委員のご指摘、まことにそのとおりだろうと思います。都営住宅の管理が、適正にサービスが提供されるということは、私どもにとりましても大変重要な問題でございます。したがいまして、公社に一元化するから我々はこれで肩の荷がおりたとか、そんな気持ちもございませんし、むしろ私どもは、それが万全の体制でなっていかなければ、委員あるいはさまざまな方からのご心配を払拭することができない、こう思います。
ご案内のとおり、国でも大きな改革が進められております。公社におきましても全く同様でございまして、先ほど来ご議論がありますように、意識改革を含めて、財政内容あるいはサービスの内容、事業執行が適切にできるように、これからも私自身もしっかりやっていきたい、こう思っております。
○大山委員 マスタープランと白書の報告をいただきましたので、それについて質問させていただきます。
マスタープランですけれども、私たち自身、住宅政策というのは当然総合的なものだと思っていますし、そのように主張もしてきたわけです。最近、新宿なんかでも随分民間のマンション、高そうだなというのが結構ありますけれども、そういうところは割とほうっておいても供給できるということだと思うんですけれども、マスタープランにもありますように、公的にやらなければならないというのは中古住宅のことだとか、それからマンションの管理の問題だとかというのは、東京都がやはりきちんと責任を持って行うべきものだと思うし、このマスタープランの中にきちんと位置づけられているということは重要だというふうに思っています。
同時に、最低居住水準にも満たないようなところに住んでいらっしゃる方が大勢いますし、それから、トイレも共同で木造の住宅、でも家賃がここしか払えないというような方も大勢いらっしゃいます。それから、子育て中で、子どもが小さいんだけれども、一部屋しかなくて、結局お父さんが夜帰ってくると、子どもが寝てても目が覚めちゃうとかという大変困難な状況、住宅に住んでいらっしゃる方がかなりあるわけですね。生きていくためには、住宅というのは最低限必要なものですし、それから、住宅は福祉といわれているゆえんだというふうにも思っています。
そうやってかなり大変な状況の住宅に住んでいる方々が、都営住宅に何回も何回も申し込んでも当たらないんですという話は、よく皆さんも聞かれていることだというふうに思っています。だからこそ、こういう都民の皆さんの住宅の状況を見るならば、マスタープランでいっているような都営住宅供給戸数の抑制ではなくて、やはりきちんと東京都が公的な住宅に責任を持つ、そして供給していくということを大きな柱にしなければならないというふうに思っています。
よく知事なんかもニューヨークだとかアメリカだとかということを例に出すわけですけれども、今の状況の中で、ますますアメリカ同様、所得の二極分化が激しくなっているわけですから、より住宅を供給していく、これを公的に供給していくという仕事は東京都の重要な柱だというふうに思っています。
まず最初に、ちょっと認識を伺っておきたいんですけれども、東京の住宅の状況というのが、このマスタープランでも、それから白書の中でも大分記述があります。東京の住宅というのは、借家の状況というのは負担率が収入に比べて大きい。それは他県から比べても大きい。それから、居住水準というか、住宅の大きさは狭いということで、この解決のために、東京都はというか、住宅局は力を入れていかなければならないという認識ではありますねということをまず確認させてください。
○小川住宅政策担当部長 住宅に対する認識でございますが、現在、世帯数約五百万に対して住宅数は約五百六十七万、一世帯一住宅を原則とすれば、量的には充足をしているという状況でございます。
しかしながら、ご指摘にもありましたように、質の面では、面積、設備、構造等において着実に改善は進んでいるといえますけれども、まだまだ低いというものがございます。また、今後高齢化社会などに向けましてバリアフリーなどという点も考えますと、そういったバリアフリー化された住宅の割合がまだ低いというような点もあります。一層の質的な向上が課題であるというふうに認識しております。
○大山委員 高いと狭い、両方いったんですけれども、今のは主には狭いということのお答えだと思いますが、高いということも解決していかなければいけないというふうに認識しておられるでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 今回のマスタープランでも出しておりますけれども、住宅の市場ということを考えておりますので、私ども、市場によって供給されているということは大きな基本的考え方だろうと思います。
高い、安いということにつきましては、その市場の中で適切な消費者の選択が行われるということでございまして、高いものを安くするという直接的な考え方は持っておりません。
○大山委員 マスタープランの中にも、依然として高い住居費負担率というのが書いてあるんですね。先ほど私が申し上げましたように、幾つかの例を挙げましたけれども、やはり所得との関係で、三人家族だけれども、子どもがいるんだけれども一DKしか住めない、家賃がこれしか払えないんだ、それから高齢者だって、年金だから、もうちょっとトイレだって自分のところのが欲しいけれども、家賃のことを考えるとここしか住めないんだ、そういう方たちをもうちょっと居住水準の高い住宅に、例えば都営住宅も含めて、所得を考慮しながら住みかえるというか、住んでいくということは重要なことと思っていらっしゃらないでしょうかという質問です。
○小川住宅政策担当部長 都民の皆様が適切な負担の中で適切な居住水準を達成するように努めていくのが、私ども住宅政策の務めだと思っております。
○大山委員 高い、狭い--高いというのは負担率が大きい、それから狭い、設備が不十分というのは、マスタープランでも書いてあるわけですね。それで、マスタープランの中にさらに何て書いてあるかといいますと、住宅を購入して多額のローンを組んだものの、不況によるリストラなどでローンの支払いに苦しんでいる人も増加していますというふうになっているんです。これは非常に現代の実態をよく反映している記述だなというふうに感心したんですよね。
去年、福祉局が路上生活者実態調査をやっているんです。その中で、社宅、民間賃貸住宅への依存はホームレスを急増させるということがいわれています。ホームレスの七割が、経済状況の影響や病気によって職を失ったというふうに書いてあります。住居を失った理由を見ると、飯場、社宅、寮など仕事と結びついた住居で生活していた人が、失職と同時に出されたり、住居費を払えずに民間賃貸住宅や簡易宿泊所を出た状況がうかがえると。それから、常用労働者でも四割強が就労と結びついた社宅や寮、住み込みであり、労働とは相対的に独立した生活の基盤となり得るような住宅を確保していない層、それから不安定雇用労働者については、特に社宅や寮、それから住み込み、簡易宿泊所など、独立した住宅以外の住宅に住む層が多いというふうになっているんですね。だから、この指摘というのは、経済状況の中で、民間賃貸住宅、社宅などの依存がホームレスを急増させたんだという指摘なんですね。
あわせて、住宅・土地統計調査によりますと、給与住宅、社宅だとかそういうものですね、九三年には三十万戸ですけれども、九八年には二十四万一千戸に激減しているというのが実態です。
セーフティーネットというふうによくおっしゃいますけれども、最大のセーフティーネットというのは、やはり住居を経済的な理由を含めてなくす人がいなくなる、なくしそうになったらきちんとセーフティーネットというふうに確保できる、それがやはり最大のセーフティーネットというか、最小限のセーフティーネットだというふうに思いますけれども、どうですか。
○小川住宅政策担当部長 住宅に困窮する方の居住の安定を図る、そのためのセーフティーネットを用意するということは、住宅政策の中の大きな課題だと思います。
しかしながら、いわゆる自力で努力して、自己の負担の範囲で適切な居住水準を確保するということにつきましては、必ずしも何もしなくてもセーフティーネットが下で待っているんだというような考え方ではない。自力で努力してもどうしても確保できない方に対して、私ども真に困窮するというふうに申し上げておりますが、そういった方に対してのものであるということでございまして、どこにでもあるというセーフティーネットということではございませんので、その点ご理解をいただきたいと思います。
○大山委員 何にもやらなくて、努力しないで家賃が払えなくなったという人じゃないわけですよね。この路上生活調査、ちゃんと読んだんですか。読んでください。
リストラだとか不況の中で失業して、それが民間賃貸住宅の家賃を払えなくなるなんていうのはもう最後ですからね。そういう実態に都民が追い込まれているんだということなんですよ。社宅だって、さっき申し上げたように、あれ、会社の都合で、いいときはつくっていますけれども、撤退しちゃっているじゃありませんか。今だって、大企業のだってどんどん撤退していますよ。そういう中で、そのセーフティーネットさえも破けているんじゃないですかと私はいっているわけです。
それで、都民が望んでいるというのは、やはり東京都が都営住宅の建設から撤退することではなくて、きちんと数をふやしていってほしいということなんですよ。都営住宅の応募倍率の資料を出してもらいましたけれども、皆さんも見てください。平均しても、新築なら七十一・六倍、それから五十六・九倍。空き家と新築を合わせると、一回の申込期間に、五月は四万八千八百七十五人、十月は四万九千七百十三人、それぞれの回に五万人近い人が申し込んでいるわけですよね。これだけ都民の都営住宅への要望というのは大きいんだということなんです。
空き家からあっせんまでの平均月数というのをやはり出してもらいましたけれども、これもだんだん期間が長くなっています。しかし、私、何でこれを出していただいたかというと、去年当たって登録してありますよといわれているのに、いまだにあっせんがないんですという方を一人ならず聞くわけですよね。そうして出してもらいましたら、七カ月だとかとありましたけれども、昨年の十二月のポイント、一年以上たっていますけれども、いまだにあっせんしていない、もらっていない人がいるというふうに聞いていますけれども、登録世帯数とあっせんを待っている方の人数は何人ですか。
○井上管理部長 十二年十二月、ポイント募集の登録世帯数が千五百二十二世帯、あっせん待ちが、これは十一月三十日現在でございますが、八百三十九世帯でございます。
○大山委員 一年たって、あっせんをしてもらっている人は、あっせんを待っている人の数より少ないんですね。半分以上の方が、一年もたっているのにいまだにあっせんしていない。これはもう、絶対数が足りないということにほかならないんじゃないでしょうか。
よく事故住宅だとか、先着順で前やっていましたけれども、これも毎回抽せんというふうに聞きましたけれども、それの倍率はどれぐらいになっていますか。
○井上管理部長 事故住宅と一口に申しますが、要するに自殺であるとか孤独死で発見がおくれまして、一般の公募になかなか回しづらい住宅でございますが、十三年度で申し上げますと、現在百三戸の募集で千八十八人の応募がございまして、倍率としては十・六倍でございます。
○大山委員 それって、前は先着順でそれほど知られていなかったというのもあるんでしょうけれども、一般的にはちょっと足が引けるような、腰が引けるようなところでも、もうそんなのは構っていられないということで、それでさえも十倍、十一倍という実態になっているわけですよね。
しかも、住宅白書にもちゃんと載せてありましたけれども、住宅白書の五〇ページには、都営住宅についての考え方では、高齢者や障害者の住宅確保に向けもっと供給すべきというのが全体でも四四・九%、低所得者の住宅確保に向けもっと供給すべきというのが三一・九%というふうに続いているわけです。これは高齢者や単身者だけの声ではなくて、ファミリー世帯の人たちもそうやって声を出していますし、全体的に都営住宅をもっと確保するんだというのが、都民の、住宅局がやられた意識調査でもはっきりしているというふうに思うんですね。ですから、公営住宅、都営住宅、抑制どころか、供給をふやすということこそ都民の願いであり、いかにこのマスタープランが都民の願いと乖離しているのかということだというふうに思っています。
それから、都営住宅の供給からちょっと離れますけれども、都民の方から、都営住宅の跡地に、気がついたら大規模マンションが建ってびっくりしたんですという話を聞いたんですね。住宅局から財務局へ用地を引き継いでいるということを聞いたんですけれども、十二年度には、住宅用地、住宅が建っていたところとかの住宅局の用地を財務局に引き継いだ土地は何カ所あって、合わせるとどれぐらいの広さになっていますか。
○関谷総務部長 平成十二年度に財務局に引き継ぎました用地は、三十八カ所、約四万平方メートルでございます。
○大山委員 これはとんでもない話だと思うんですね。さっき質疑で明らかになったように、これだけ都営住宅への希望者が多い。それから、入っていない方も含めて、いろんな世代を含めて、都営住宅はもっとつくるべきだというふうに意識調査でも出ているにもかかわらず、その引き継いだ用地というのは皆、都営住宅の跡地、それから敷地ということですよね。こうやって住宅用地をなくしていってしまうということなんですね。
それで、資料の2でいただいていますけれども、二ページ目の資料でいただいていますけれども、建てかえ・協議中の主要大規模団地一覧というのがありますけれども、これは建てかえをしている、もしくは協議をしているというところですね。マスタープランの中でも、従前戸数を建てたら、そのほかは活用していくんだというような方向を出していますけれども、これら今進んでいるところも含めて従前の戸数を確保したら、もう都営住宅は、今のこの大規模団地のところには従前戸数以上はつくらないということを、この表にあるようなところにも適用するということなんですか。
○小林建設部長 大規模団地につきましては、計画されてから完成するまでかなりの長い年数がかかっているというのが実情でございまして、当然に、当初つくった計画時点での社会経済情勢と現在と、さらにそれから先の状況というのは大きく変化しているわけでございまして、そういう中で考えますと、元戸数でとどめていくような形で今後は運営をされていくんだろうというふうに考えております。
○大山委員 さっきのように、今まで建っていた都営住宅の用地も財務局に引き継いでしまい、それから大規模団地も、建てかえ戸数、従前戸数を確保したら違うんだというような方向で、今のというか、さっきから質疑をしているあれだけの倍率、それから希望者、そういうのを、そういう都民に対してどういうふうに考えているんですか。
○小川住宅政策担当部長 住宅困窮者に対するセーフティーネットの構築につきましては、住宅マスタープランにもありますように、今後二〇一〇年あるいは一五年で東京全体の人口あるいは世帯数が頭打ち、減少の傾向になるということから考えますと、現在ある都営住宅につきましては、これは一度建設をすると七十年は管理をするものでございますので、現在あるストックの有効活用、こういったものに重点を置くべきであろう。
また、困窮者に対する施策については、今後、特に地域の主体的な役割といったものも強く期待をしながら、区市町村営住宅の供給を進める。また、住宅ストックがこれだけ蓄積をされたという中で、住宅ストックを活用して、例えば地域的な偏在等にも対応する。そういった形で住宅困窮者対策をやっていきたいというふうに考えております。
これまで民間賃貸住宅の市場といったものは、未成熟で、ゆがみを抱えていたという部分があります。これまで行政が公的住宅の供給ばかりに目を向け、民間の住宅供給を任せるだけではまた問題がある。そのため、市場の整備、市場の仕組みを改善するということで、こういった困窮者対策といったものも、もちろんそれ以外の都民全体の住宅ニーズに対しての解決ということも含めてでございますが、積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
○大山委員 今、供給戸数はふやさないで、そして、後は区市町村に公営住宅はやってもらうんだということですよね。
それで、さっきから話があるように、所得によって入れない、それから排除されちゃうという人、それから、都営住宅に希望者が毎回五万人からいる、それを解決できるというわけなんですか。
○小川住宅政策担当部長 真に困窮する方に対して住宅を的確に供給するということの課題でございます。現在、募集をいたしますと約四万ぐらいの方の応募がございます。そういった方々に対して、どういった形で施策的な取り組みをするかということが非常に大きな課題であろうと思います。
一方、現在の都営住宅の中には、収入超過者という方が約四万いらっしゃるわけでございます。こういった方々、お話を聞きますと、なかなか市場の中で適切な住宅がないというようなことで公営住宅を出ていきがたいというようなお話もありますが、私ども、市場を円滑にする、例えば中古住宅の流通などを活性化するという形で、適切な負担の中で適切な水準が確保できていく、そういうふうに自由に動けていくという像を描いて、これを実現するようにやっていきたいと思っております。
○大山委員 今みずから、収入超過者については適切な移転先がないというふうにおっしゃいましたけれども、適切な移転先もつくらないで追い出すことだけ、それから、そういう人を追い出せば入れるんだというようなやり方というのは全く成り立たないというふうに思っています。と同時に、都営住宅の収入基準が低いわけですから、それを過ぎた方の住宅も含めてきちんと東京都が責任を持つ、それから、とりわけ公営住宅層のところにはきちんと東京都が責任を持つことが、今やはり東京都のというか、都民の経済状況の中でも、より重要になってくるというふうに思っています。
今回は中間の報告ですか、まとめということですけれども、最終報告ということになると思うんですが、都民の声をきちんと聞いてやるべきだというふうに思っています。ここにはインターネットだとかホームページだとかファクシミリだとか郵送でというふうに書いてありますけれども、この中身というのは全体にかかわりますし、それから、とりわけ都営住宅の抜本的な管理の変化ということも書かれているわけですから、一般的な公募と同時に、とりわけ公営住宅の居住者の意見もきちんと聞くべきだと思いますけれども、どうですか。
○小川住宅政策担当部長 まず、先ほどのご指摘に、ちょっと一点つけ加えさせていただきたいと思います。
今回の住宅白書におきまして、住宅価格がどうなったかというようなことを分析させていただきました。バブルのときには、いわば億ションということで、とてもではないが、非常に高い所得でなければ都心の区には住めないというような状況が、現在、周辺区であれば、いわゆる中堅の所得者の方でも、私どもの試算でございますが、七十五平米程度のマンションについては居住ができるという、それだけ、いわゆるアフォーダブルといいますか、手が届く範囲になってきている。そういった状況を考えますと、都営住宅居住者の方々の住みかえといいますか、そういったことも十分考えなければいけないだろうと思います。
こういう状況の中で、真に困窮している方が都営住宅を待ち望んでいる一方、地価の下落、住宅価格の下落で、かなり住宅の取得も容易になってきているというような状況を、私どもとしては全体的に考えて、住宅政策として推進すべきだというふうに思っております。
それから、中間のまとめにつきましては、こういう中間のまとめという形で都民の皆様に公表し、ご意見をいただくということでございます。私ども、都報というようなものも使いまして、いろいろな形でPRといいますか、普及、周知を図って、都民のいろいろな各層からのご意見をいただいた上で最終的なものとしてつくっていきたいというふうに考えております。
○大山委員 今、さっきのに加えてということでご答弁ありましたけれども、周辺区だったら七十五平米ぐらいのところが手が届くというふうに漠然とおっしゃいましたけれども、土地の値段を上げたのは住んでいる人じゃないんですよ。住んでいたら勝手に土地の値段が上がってきて、家賃が上がってきているというわけですよね。
例えば新宿だったら、高齢者だってずっと住んでいるわけですよ。ちゃんと落ちついて住んでいた人たちが、土地の値段が上がって、それからアパートの値段が上がって、それから大家さんに建てかえるよといわれたら、そこを出ざるを得ない。そういう人はどこに住むのかといったら、では、そういう人、どうぞこっちへ来てくださいと東京都で責任持ってくれるんですか。そんなことじゃないですよね。
例えば高齢者向きのあんしん住宅、それで大家さんを登録して、それから預託金を積めば紹介しますよと。それは機能しているんですか。
○青木開発調整部長 民間賃貸住宅への入居を支援する高齢者円滑入居制度を十月半ばから発足したところでございまして、現在、登録住宅が約百十棟、二千戸程度登録をされている段階でございます。
まだ制度発足間もないことでございまして、あんしん制度も十月末からの稼働でございますので、現在のところ、まだ実績はございません。
○大山委員 実績もないですよ。それから、一般の民間で供給されたアパートに対して、都営住宅と同じように、例えば高齢者が住まえるというんですか。ちょっと答えてください。
○小川住宅政策担当部長 恐れ入ります。今の条件では、簡単にお答えができかねると思いますので、済みませんが……。
○大山委員 例えば、いろいろ事業が出ていますよね。高齢者向け優良賃貸住宅制度だとかというのも、公的なお金を入れてやるわけですよね。では、もう都営住宅はつくりません、民間でやるんですから、そういうところに入ってくださいといわれて、今、年金が五万円ぐらいしかない、それで結局住宅は、貯金をおろしながら五万円前後のところというか、三万とか四万とかというアパートに住んでいるそういう人が、例えば新宿区内にこういうのをつくったら住めるわけですか。
○小川住宅政策担当部長 高齢者優良賃貸住宅につきましては、家賃対策の助成も入るということでございますので、負担についてどうということはあるとは思いますけれども、制度的にも、いわゆる収入がゼロのところから、要するに収入制限がないというような制度に新しく変わっておりますし、家賃の補助もあるということで、ぜひ活用すべきだというふうに考えております。
私どもといたしましては、こういう高齢者向けの賃貸住宅、こういったものも民間でぜひ供給をお願いしたいということで推進をしたいと考えております。
○大山委員 都営住宅には毎回申し込みに四万から五万人が来る、空き家は、一年以上待っても空き家のあっせんはしてもらえない、それから、高齢者のあんしん入居でこういうシステムができましたよ、しかしシステムはまだ全く実績もありません、それから、例えば高齢者向け優良賃貸住宅制度はどこに建っているのかといったら、二カ所ぐらいしかないわけですよね。
そんな中で、公的な住宅はさっさと供給はやめます、そしてもう民間なんだということでは--本当に今の住宅の困窮というのは何かといったら、やはり経済的な面で排除されている。それから、経済的な面で排除されているから居住の水準が劣悪になってしまう。だから、こういうところに民間の市場が入ってくるかといったら、そうじゃないんですよね。例えば大規模で超高層で高級なマンションというのは、黙っていたって供給されますよ。そういうところは別にいいですけれども、供給されるわけですから。しかし、公的に責任を持たなければならない部分というのは、きちんと東京都が責任を持つべきだというふうに思っています。
と同時に、居住者の代表も含めてきちんと意見を聞いていってほしいというふうに要望して、終わります。
○田代委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後三時十五分休憩
午後三時二十二分開議
○田代委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○新井委員 住宅マスタープランについてお伺いいたします。
今回のマスタープラン、第二次のマスタープランと第三次を読み比べさせていただきまして、非常に踏み込んだといいますか、ハードの住宅というものから、人が住まう住宅ということでソフトの部分に軸足を置いて書かれているなということで、この中間のまとめをつくられた職員の方々には敬意を表したいというふうに思います。
その上でご質問なんですけれども、今回マスタープラン、第三次のマスタープラン策定に当たりまして、第二次マスタープランの策定の目的、課題、それから政策があったわけですけれども、そういうものの実績がどうであって、そして、そこからどんなふうにこの第三次のマスタープランの方に展開なさったのかということについてまずお伺いしたいと思います。
○小川住宅政策担当部長 住宅マスタープランは、都におきまして住宅政策を総合的に推進するための基本となる計画で、中長期的視野のもとに策定をしておりますが、おおむね五年ごとに見直すということにしております。
平成三年度に策定いたしました第一次のマスタープランは、バブル期の住宅問題に対処するといった形で策定をいたしまして、その後、五年経過いたしまして、バブル崩壊後、地価や家賃が下落はしたものの、都心の人口空洞化が進行するということで、解決していない住宅問題がある、さらに阪神・淡路の大震災があったということで、安全な住宅、住環境に対する関心も高まったということで、そういったあたりを中心に、第二次マスタープランを平成八年に改定したものでございます。
第二次マスタープランは、もともとは十年ということでございますけれども、これまでの五年間における施策の展開ということを見ますと、例えば都心共同住宅供給事業の認定戸数とか、あるいは都民住宅の供給戸数などでは目標を達成しておりますし、また都営住宅の耐震診断、改修、これをほぼ完了するといったことで成果を得てきておりますが、木造住宅密集地域の整備事業のように、引き続き取り組むべきというものもございます。
それで、今回の見直しでございますが、平成十二年から、バブル崩壊後、これまでの二十世紀型社会経済システムは大きく変化しつつあるということで、今後の将来像を考える東京構想二〇〇〇というものの策定が進められました。住宅政策についても、同様な視点から見直すということで取り組んでまいった次第でございます。
○新井委員 東京構想二〇〇〇ということに合わせてということですけれども、それでは二問目なんですけれども、今回のマスタープランの策定手続についてお伺いいたしたいと思います。
○小川住宅政策担当部長 策定手続でございます。
まず、東京都住宅政策審議会、これは学識経験者と都議会議員、区市町村長、主婦連合会等々の関係団体の委員、そういった方々にお願いをしておるわけでございますが、そこでいわゆる審議をいただきまして、ことしの五月に答申を得ております。
この答申を踏まえましてマスタープランを策定することといたしまして、国あるいは区市町村、公団等の外部委員と、それから、福祉や都市計画、産業政策、そういったところを担当する庁内の委員から成ります住宅マスタープラン策定調査委員会というものを設けまして、ここでの検討を行いました。さらに、区市町村に個別のヒアリング調査を実施したり、あるいは都と区市町村の住宅マスタープラン連絡協議会、こういったものがございまして、ここにおいて協議をいたしまして、区市町村の意見を十分に反映してまとめております。
今後は、中間のまとめを公表したわけでございますので、議会あるいは都民から広くご意見をいただいて、最終のまとめに反映をしていきたいと考えております。
○新井委員 住政審の提言、答申をいただいて、それを踏まえて庁内のプロジェクトでおつくりになったということなんですけれども、東京都の政策形成過程における市民参加というところでいいますと、非常に東京都は自治体が大きいですので、なかなか参加ということを考えるのは難しいということが一方にはあるということは十分承知しているんですけれども、基礎自治体を見ますと、九二年に都市計画法が改正されまして、市民の意見を聞いて市区町村が都市計画マスタープランをつくりなさいということが法改正で出ましたよね。それがきっかけになりまして、いろいろな分野で、特に政策形成、プランづくりについては市民の参加を得てつくろうということで、市民の公募の枠を広げたり新たにつくったり、あるいは大量の市民参加ということで、ワークショップ手法で大勢の市民の皆さんがわいわいいいながら素案をつくり上げていくといったことがあちこちで行われていまして、基礎自治体の調査を市民公募とか参加の面でしますと、ほとんどの自治体がこれを実施しているというふうな状況になっているわけなんです。
非常に東京都は大きくて、では東京都がいったときの市民参加の市民というのは一体どうなるんだろうかという部分は重々承知しつつも、住政審も市民という意味での参加がなく、庁内プロジェクトでつくってしまうというふうなつくり方については、もう少し何とか市民の参加という部分を考えていく必要が今後あるのではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 マスタープランの策定に当たりましては、当然二十一世紀半ばを見据えた将来展望あるいは広域的な観点、そして住宅政策に対する専門的な知識、これは住宅の状況の分析とか、あるいは施策、制度、補助をするのか、融資、税制、いろいろな多様な施策手段がございますが、そういったことが非常に多岐にわたっているということで、しかも、ある種、抽象的な部分を扱わなければいけないというようなこともございまして、こういう非常に広範にわたった部分で専門的な知見を有する方にお願いをするという形でつくってまいりました。
都民の意見の反映、あるいはそういう市民の声の反映ということでございますけれども、今回のマスタープランの策定で、こういう委員会で検討した結果をまとめて中間のまとめという形で出して、これによって広く都民の皆さんのご意見を伺うという形をとっております。住宅の問題といいますか、住宅問題の専門性と、それから、ご指摘もありましたような東京都の広域自治体としてのありようということから、こういう中間のまとめを出して意見を伺うという形で進めさせていただいているということでございます。
○新井委員 これまでに比べると、中間のまとめを出してから、インターネット等も含めて皆さんの意見を伺っていくということで、進んできているとは思っているんです。ただ、まだこれでは不十分なのではないかという思いを持っています。
例えば、東京都で情報公開条例の改正のときに、情報公開の懇談会をつくりました。あのときには、市民公募ということで市民の方に--都民というんでしょうかね、東京都ですから。作文を書いていただいて、そして公募枠の中から選定をして、なぜこの方が選ばれたかということも含めて公開をして、非常にいい形で進められたなというふうに思うんですね。そういう意味では、地域的なことではなく、政策的なものを決めていく場合には、ぜひ都民の参加というものを広く求めていくシステムというものをつくっていただきたい。
今回は中間のまとめということで、皆さんのご意見を伺うということが出ておりますので、東京構想のときのように聞きっ放しということではなく、ある程度、出てきた案に対して、東京都がこんなふうに考えている、ここのところは取り入れられるけれども、ここのところはこういうことで無理なんだというふうなことを返すという作業をぜひやっていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 私どもといたしましても、最終のマスタープランの策定に至るまでには、ぜひ都民の皆さんの幅広い、多方面からのご意見をいただきたいというふうに考えておりますし、また、どういった内容のご意見があったかといったことについても、ご指摘のように返していくというか、こういう意見もあって、最終的にはこういったものがつくられたという形のプロセスは当面していきたいと考えています。
○新井委員 では、それはよろしくお願いいたします。
それからもう一点、現場で暮らしている人の声を生かしていくという意味では、マスタープランのつくり方なんですけれども、東京都の住宅マスタープラン、それから、当然基礎自治体、区市町村の住宅マスタープランというものがあるわけで、今策定の経過の中のお話で、十分に協議をしながらつくってきたというふうにおっしゃっていました。そういうことが実際に行われているんだろうと思うわけですけれども、例えば六一ページ、「地域の特色を活かしたまちづくりの支援・誘導」というところで、「住宅マスタープランによる住宅市街地の整備・誘導」のところで、東京都の住宅マスタープランに基づき区市町村マスタープランの策定というふうな流れで書かれているわけなんです。
これまで、どうしても日本の基礎自治体というのは、国からあるいは都道府県からということで、通知、通達をいただきながら、基礎自治体が最後に何とかそこの中で決めていくというふうな流れがありまして、地方分権一括法が出たわけですけれども、職員の意識というのはなかなか、その枠からはみ出すんじゃなくて、その枠を打ち破っていくということができない状況というのがあると思います。
そういう意味では、ここにもまだそういうことが書かれておりますので、ぜひ--流れとしては、私は反対だというふうに思うんです。基礎自治体で市民の参加でつくってきたマスタープランというものの整合性を図りながら、広域的、政策的な部分は東京都が取りまとめていくというふうなつくり方をする方が、地域的な声を上げて市民の意見を聞いて、それが政策として生かされていくという流れになっていくと思うわけなんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 今回の住宅マスタープランにつきましては、私どもは、区市町村の方と検討段階から意見交換をし、十分に協議をしてまとめたということでございます。
この都のマスタープランは、区市町村が住宅マスタープランをつくるに当たって一つの参考、東京都としてはこういう方向、方針を考えているということで参考にしていただきたいというふうに思いますが、もちろん、区市町村、基礎的自治体の地域の主体性というものが非常に重要でございます。私ども、区市町村が住宅マスタープランをつくるに当たっても、東京のマスタープランをそのまま、「東京」の字を別の字に置きかえるというような形ではなく、独自の議論を、いろいろな地域の方々のご意見を踏まえてつくり上げていただきたいし、また、そこのところで私どもと真摯な意見の交換、そういった協議もやらせていただきたいというふうに思っておりますし、今回のマスタープラン策定後の区市町村のマスタープランづくりについては、そういった方向でやっていきたいというふうに考えております。
○新井委員 いろいろ工夫をしながら、できるだけ素案の段階から地域の自治体あるいは暮らしている方々のご意見が反映できるような、そういう方策をとっていただきたいなということをお願いしておきます。
三問目、賃貸住宅の政策についてということでお伺いしたいと思います。
日本の住宅政策についてという視点で見ますと、私は、やはり日本は土地神話といいますか、土地に対する執着が、農耕民族ですから非常に強くて、持ち家志向というのが非常に強いというふうに感じていて、日本の住宅政策そのものも、賃貸、借家よりも持ち家に若干傾いているというようなところがあるのかなというふうに感じているわけですけれども、この日本の住宅政策ということについて東京都はどんなふうにお考えでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 まず、国の住宅政策ということにつきましては、年度ごとの予算なり、あるいはいわゆる援助戸数、供給計画の戸数、そういったものを見ますと、都とは随分違うなというふうに感じております。
国の政策の方は、財政的な部分を見ますと、持ち家政策、これは住宅金融公庫の利子補給でございますけれども、そういった支出と、公共賃貸あるいは民間賃貸の助成といった支出がほぼ均衡している、五〇対五〇というような状況でございます。
一方、ではどれぐらいの戸数が援助されているのかということになりますと、個々の融資というのは非常に薄まるといいますか、援助戸数が多くなるということで、予算で見ますと五十五万戸というような形になりますから、戸数では非常に持ち家の方が援助が多いということになっています。これは、少なく厚くということか広く薄くということかということでございまして、なかなか単純に、どちらがどうだというようなことは難しいのかなというふうに思います。
東京都の住宅政策は、これまで都営住宅の建設、供給を中心、また、加えまして都民住宅、優良民間賃貸住宅等に取り組んできておりまして、どちらかといえば賃貸住宅政策が中心であるというふうに思っております。今回のマスタープラン、中間のまとめにおきましては、持ち家、借家の両方を視野に入れたバランスのとれた政策が必要というふうなことを考えておりまして、そういう観点から政策の構築を図っております。
○新井委員 持ち家、借家、バランスのとれたものにしたいというご答弁がありましたけれども、例えばこの住宅白書の方なんですけれども、東京の借家率は五五・五%、ニューヨークは六八・一、パリが六三・一ということで、特に中心の市街地の方については、借家率はもっともっと高くなるというようなことがありまして、この差がどうなんだろうかということを考えたときに、例えばアメリカでは、優良な賃貸住宅を建設促進するための税制面での助成、特にアフォーダブル住宅、低所得層向けの住宅の場合の控除というものがあって、建てる側にもこういう控除がありますし、一方で低所得者に対する家賃補助の制度というものがある。これは白書の七八ページですけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、四国挙げてありますけれども、この四国それぞれに、そういった家賃補助制度というものがあるわけなんですね。
同じく白書のところで、「少なくとも現在の経済環境においては、もともと持家の方が有利になっているところを、税制による持家優遇が、その格差を更に拡大する結果になっていることは否めない。こうした現状に対して、住宅ローン減税等の持家に対する優遇税制に相当する減税の仕組みを、家賃控除として創設することを国に対して提案していくことなどについて、十分検討する必要がある」というふうに指摘をしているわけなんです。
これは、私はまさに海外の住宅政策というのを見たときに感じていたことでして、皆さん、英、米、独、仏でやっているのは国か州で実施していて、一つの都市で実施しているわけではないんですね。やはり財政状況も踏まえると、一つの、東京都はこんなに大きいところですけれども、東京都だけで実施するというのはなかなか無理があると思いますので、ぜひ国に対してこういった家賃補助制度といったものを要請していく必要があるのではないかというふうに感じているところなんですけれども、いかがでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 平成十三年度の白書の中で、持ち家と借家の十年間のコスト比較を行いまして、借家が持ち家に対して不利になっているというような分析を行っております。その中で家賃控除減税という提案をしておりますが、私どもの思いといたしましては、先ほどニューヨークの例などもございましたが、都心に優良な賃貸住宅をつくるためには、いろいろな形での市場への刺激策が必要だろうと。持ち家と借家のイコールフッティングといいますか、そういった観点から家賃に対する控除ということを考えたらどうかという一つの切り口として提案をしたわけでございます。
一方、諸外国の家賃補助制度ということにつきましては、いわゆる民間賃貸住宅に居住いたします低所得者への支援という形で取り組みがされているということで紹介したものでございまして、少し切り口が違うかなというふうに考えております。
家賃補助制度につきましては、特に住宅ストックの改善等の問題がございまして、つまり、市場が、よい質の住宅を供給するインセンティブになるかどうかというようなところが問題でございまして、既に良好なストックが相当程度都心に蓄積をされている諸外国と、やや東京の状況はまだ違うところかなということで、そういう意味で欧米型の対人的補助制度というものは慎重な検討が必要なのではないかと今考えております。
○新井委員 今ストックの活用という話、後でしようと思っていたんですけれども、確かに二つあると思うんですね。日本は、ファミリー層が住みかえをしていくときに、住みかえたい住宅がない。先ほどの議論にもありましたけれども、住みかえたい住宅がない。これは、流通している民間賃貸の中の四分の三ぐらいが単身向けのものであるというふうな統計も出ていますよね。
そうすると、私も多摩ニュータウンに住んでいて、周りはみんなサラリーマンの層がほとんどなんですけれども、みんな話を聞くと、転勤は多いし、子どもも一人から二人とかふえていくわけだし、どちらかというと、今は住宅を購入するというよりかは、むしろ住みたい住宅があれば賃貸で最後まで暮らしていくというふうな、暮らしかえていく、自分のライフスタイルに合わせて住みかえていくというような選択をしたいんだけれども、それがない。あっても非常に高い。だから、結局は、持ち家で家を買ってしまった方がいいからということで持ち家になってしまうわけですよね。
そういう意味で、中古住宅の売買ではなくて、住みかえというところのニーズを満たしていく賃貸、良好な住宅のストックの形成ということと、それから低所得者に向けて、その方たちに家賃補助をして、良好な安定した住宅を供給していくという二つのことがあるというふうに思うわけなんです。
そういう意味では、白書は本当にいろいろな指摘、いいデータも出していただいて、私もなるほどなと思って読んだわけなんですけれども、七〇ページなどには、今いったように、「良質な住宅が活発に供給されるためには、民間賃貸住宅に対する需要層が厚みを増すことが必要である」まさにこのとおりで、「持家優遇的な政策が、民間賃貸住宅に対する需要を抑制し、市場の活性化にとっての障害として機能しているとすれば、制度を住宅の所有形態に対して中立化させる何らかの措置を考える必要があろう」と。「すれば」というふうに書かれているんですけれども、私はまさにそうだというふうに思うわけなんです。
マスタープランは二〇〇一年から二〇一五年ということで、十五年先を見越したということでいうと、そういった部分の住みよい住みかえのための賃貸住宅の市場というものをふやしていかなくちゃいけないというふうに思うわけですね。そういうふうに考えてこのマスタープランを読みますと、どうしても、まだ持ち家の市場の活性化ということにやはり傾いているのかなという、これも大事なんですけれども、こちらに傾いているのかなという感じがします。
例えば、「ニーズに応じた選択ができる居住」というところ、これは三四ページなんですけれども、今話したように、持ち家を持つということのニーズももちろん必要なんですけれども、賃貸で暮らしていきたいということが、どうやってニーズに応じた選択ができるということの中に入っているのかなというのを見ますと、ほとんどないんですよ。「良好な住宅ストックの形成と保持」というところも、(1)で若干触れていますけれども、(2)、(3)、(4)というのは、ほとんど住宅の売買というふうなことの視点が重点になっていて、「住宅ストックの円滑な流通と活用」というところも中古住宅市場の活性化が重点で、あとは情報の整備と、あと二つは公共住宅のストックの活用ということで、民間賃貸の住宅ストックの形成と誘導、それから流通、活用ということについてはほとんどないというのが現状なんですよ。
これはとても残念だなと思いまして、こういうところを少し、東京都としてどんなふうに考えていくのかということを、最終答申までにぜひ知恵を絞っていただきたいというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 賃貸住宅政策と持ち家住宅政策でございますが、白書にも書いてございますが、賃貸住宅の一番の長所は、好きなときといいますとちょっとあれですが、非常に住みかえが容易である、いろいろな状況に合わせて移動ができるというようなことがございます。一方、中古住宅、マンション、持ち家系につきましてはなかなか、登記でありますとか、あるいはローンの問題でありますとか、いろいろな意味での流動性が、難しいという部分がございまして、そういった点から、ニーズに応じた選択が有効にできるような施策が必要ではないかということで書いております。
施策といたしましては、先ほども申し上げましたように、東京都としては賃貸系の政策が中心でございまして、今回のマスタープランにおきましても、住みかえ支援による賃貸住宅の供給でありますとか、先ほどの高齢者の円滑な入居の制度でありますとか、あるいは木造住宅密集地域での民間活力の導入による賃貸住宅の形成といったようなものを打ち出しております。
中古住宅や分譲マンションなどの持ち家施策につきましては、むしろこれまで十分な取り組みができていなかったということを考えまして、今後、体系的に取り組みを強化すべきである、そういう観点から積極的に計画化をしたものでございます。
○新井委員 確かに、公営住宅というところではかなり頑張ってやってこられたということはあるんですけれども、先ほどいいましたように、そこから漏れている民間の劣悪な賃貸住宅、現状、たくさんあるわけです。そういうところにお住まいの方が非常に多いということも踏まえるならば、これから都営はもう建てないんだという方策を打ち出されているわけですので、市区町村と連携しながら、そういった部分への家賃補助ということも含めて国の方に強く要請をしていって、一つの賃貸住宅の売買の方と、それからリースの方の市場を活性化していくという役割を東京都が積極的に果たしていかなければいけないというふうに思うわけです。いかがでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 特に民間ストックの活用という面では、民設民営方式というものを打ち出しております。これは、民間のストックを低額所得者向けの住宅として使って、なおかつ、民間の自力的な自主的な創意工夫による管理といったものもぜひお願いをしたいというような構想でございまして、こういった構想をこのマスタープランの中で今後実現していくということで、きめの細かな対策を進めたいというふうに考えております。
○新井委員 民設民営ということがありましたけれども、これはなかなか、公営住宅法の改正も含めて、すぐにできるものではないということがビッグバンの中でも書かれているわけですけれども、実は私も、借り上げ住宅ということが非常に民間ストックの活用としていい方法なんじゃないかということで、東久留米の建てかえのときにちょっとお話をして、皆さんからこの場でやることじゃないということなので、きょうやらせていただこうと思うわけなんです。
公営住宅法が平成八年に改正されまして、目的が建設から整備に変わり、そして、賃貸するという表現が、賃貸しもしくは転貸というふうな表現になっているんです。私も法律の読み込みというのはできないので、この新公営住宅法の逐条解説というのを読みましたらば、これによりますと、そういった借り上げというものをスムーズに進めていくためにこの平成八年の改正があったんだというふうに書かれていまして、ああ、そうなのかというふうに思ったわけなんですけれども、こちらの五七ページに、借り上げ公営住宅制度の導入によって、民間事業者や地方住宅供給公社、住宅・都市整備公団などが新築または所有している優良な住宅を借り上げて公営住宅とすることを可能にする、ストックの活用を図り、公営住宅の的確な供給を図ることを目指しているということなんですね。
これですと、都営住宅の問題点として、非常な高齢化とか、あるいはコミュニティの偏りというのが指摘されていて、ビッグバンの中にも、ミックストコミュニティということを考えなきゃいけないということがいわれていますよね。建物を建てて、そこに低所得者の人を集めるということではなくて、民間、今ある優良ストックというものをつくっていきながら、そこを借り上げていく。だから、全部借り上げる必要はなくて、一戸からでも可能であるというふうに書いてあるわけなんです。
ただ、管理が面倒だから数戸単位になるだろうけれどもということですけれども、そこを借り上げていくということになれば、まさにミックストコミュニティということで、いろいろな方がその中に住んでいくことができるという意味で、東京都にぜひとりあえず実験的にやっていただくには、非常にすぐれた制度なんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小林建設部長 借り上げ型公営住宅ですけれども、数戸単位、数十戸単位という話になりますと、今、公営住宅の役割分担という話の中では、どちらかというと区市の役割の範疇になるのかなという感じがいたします。
この借り上げ公営住宅と申しますのは、いわゆる土地を新たに取得をして建設するのは非常に困難なときに、民間の新築したもの、または持っているものを使うと、公営住宅の供給もスムーズになるというようなことがメリットとしてあったわけでございます。
仮にこれを、都がある規模でやればよろしいのではないかということで考えてみますと、いわゆる借り上げる中で、土地代を含めて家賃を家主さんに払わなければいけないということになりますから、我々とすれば、現在ある団地を使って、その建てかえの中でストックを活用しながら都営住宅の供給をやっていく方が、これは経済的にも財政的にもえらくメリットがあるということだと考えております。
○新井委員 おっしゃるとおり、私も基本的には区市の役割だろうということは考えているわけですけれども、財政状況等も踏まえますと、それをそのまますぐ実施していく、区市町村に実施しろというのはなかなか難しい部分がございます。
それで、例えば一つ考えたんですけれども、今都営の空き家が全体で、この間いただいた資料ですと八千三百七十七あって、いろいろなことに使われているようですけれども、その中で千戸近くが、いわゆる事業用住宅といいますか、建てかえのときに仮に入っていただくためにあけてある住宅というのがあるそうです。そういうときに、借り手先ということをこの都営住宅の中に求めないで、例えば、地域の中で借り上げ住宅、これは期限が限られていますから、永遠に出さなくちゃいけないということではないので、その地域の中で借り上げ住宅をしていく。そしてその千戸については、とっておかないで、都営住宅として十分に活用していただく。
そんなふうなことが、借り上げ住宅の制度を東京都が使っていくということについては、モデル的にやっていくには非常にいい事例なのではないかというふうに思ったわけなんですけれども、こんなことではいかがでしょうか。
○小林建設部長 千戸程度の事業用の空き家があるというお話がありましたが、私どもは毎年三千戸程度の建てかえを行っていますので、いわゆる居住者の方に移転先を紹介するためには、ある程度のストックを持たなければいけないということで、見直しを常にしながら、事業上必要なものを持っているわけでございます。
今、それを、すべて事業用じゃなくて、一般に回して、あとは民間の住宅を使ってということでございますが、建てかえ団地の近隣におきまして、都営住宅としてふさわしい住戸面積ですとか設備を備えた民間賃貸住宅を、居住者に移転していただくときにまとめて確保するというのは、大変困難だというふうに思います。
また、借り上げということになりますと、都が家主さんに支払う家賃、それから居住者の方から我々がいただく住宅使用料、この差は相当あると思われまして、それが新たなまた財政負担になってしまうということから、現在の方式で建てかえ事業を進めることが合理的であるというふうに考えております。
なお、コミュニティというお話も先ほどありましたけれども、居住者に移転用の住宅をあっせんするときには、日常生活の継続性などを考慮いたしまして、可能な限り近くの団地をあっせんするように努めております。
○新井委員 例えば、この間の東久留米の方の建てかえですけれども、全部こうしなくちゃいけないということではないんですよ。だから、全部を都営じゃないところに借り上げでしなさいということではなくて、例えばそのご本人たちの希望もありますよね。そういった中で、そこの地域を建てかえの間も離れたくないんだというふうな方、そういう意思が強い方についてはそんなふうな対処の仕方もあるんじゃないかということで、ぜひ、地域のコミュニティを崩さない形での建てかえということからも、この借り上げの制度というのは、せっかくそれができるように法改正もしたということですので、東京都にも活用していただきたいなというふうに思います。
では次に移りますけれども、先ほど一番当初にいいましたけれども、建物に対する住宅施策ということではなくて、今後の方向としては、住んでいる人に軸を置いた政策へと転換したということがすごく読み取れてうれしいわけなんですけれども、この中で、例えばコーポラティブとかホームレスの住宅とか、高齢者、子育て支援、都のNPOとの協働、あるいは木密地域の整備についても、NPOと協働してコミュニティフォーラムをつくるとか共同建てかえとか、いろいろなことが本当に書き込まれてすばらしいなというふうに思うわけですけれども、残念ながら、これは書き込み方が具体性に乏しくて、よくいわれますけれども、プランをつくって、つくりっ放しで終わっちゃったみたいになってほしくないなというのがすごく強くあるわけです。
そういう意味では、具体的にこれらのものを進めていくという今後の取り組み方について伺いたいと思います。
○小川住宅政策担当部長 今回のマスタープランでは、第二次マスタープランにおいては余り明確にされておりませんでしたコレクティブハウジングあるいはホームレスの問題、そういったものについては明示をいたしまして、居住という問題の中から、私ども取り組んでいかなければならないだろうというふうに位置づけをしております。
新しい課題、あるいはホームレスのように、福祉でありますとか就労でありますとか、総合的な施策の中で勉強していかなければいけないという部分がございます。
これまで、そういう意味で人の支援ということまで含めますと、私どもの施策というのはやや新参者というところもございまして、今後こういう視点の中で、ぜひいろいろな意味で具体的に取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
○新井委員 ぜひ福祉局等々も含めて連携をして進めていただきたいと思います。
それから最後に、今回このマスタープランの中にNPOとの協働というのがあちこちに書き込まれて、これについても非常にうれしいなということで、まさに人に軸足を置いた住宅政策という意味では、NPOとの協働というのが欠かせないというふうに思っています。
特に店舗の併用住宅、そこの店舗の部分を、いろいろな子育てや高齢者支援あるいはまちづくり支援というところに活用していこうということが出ておりまして、これについては本当に、まさに今NPOが必要としていることだというふうに思いますので、ぜひ積極的に、一日も早く現実のものとしていただきたいということと、東京都がこういうことをモデル的に実施していくことが、これから、公団とかいろいろあるわけですけれども、そういったところにも大きな影響を及ぼすということになりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
終わります。
○川井委員 少し時間が、私自身、ここ一週間ほどなくて、どういう質問をするんですかということの打ち合わせができなくて、あるいは突然にご答弁で飛ぶようなことがあって、ですから、万が一、手元にない数字を私が求めた場合は、手元にない場合は手元にないですで結構でございますので、おわびをしながら質問に入らせていただこうと思います。
このマスタープラン、住宅政策審議会という形の中でご努力いただいて、大分具体的というか、一歩進んだのかなという意味では評価をしております。
しかしながら、どうも最初の部分で実は壁にぶち当たっておりまして、そんな中から聞いていきたいんですけれども、平成十二年の四月から毎月、全体会とかあるいは分科会とか合同会議だとかいう形の中で、十数回会合をやっていらっしゃるんでしょうか。その中で、人が居住するという、住居という基本的な思いというんですか、そんなものをこの中で何回ぐらい--私は、そういうものは最も最初の部分で取っかからなきゃいけないんだろう、ある意味、そこに出ている専門委員を初めとする参加者の方々が共通認識に近いものを持って、その後の全体の考え方に入っていくんだろうという思いがあるんですね。今回そういうものが、実は私には見えてこないんですね。
ですから、十数回やった会合の中で、人が住む、生活する住居、これをどういうような位置づけをされたんですか。
○小川住宅政策担当部長 マスタープランの策定に当たりましては、まず住宅政策審議会で、学識経験者の方多数ご参加をいただいてご議論をいただきました。最初の方の審議を見ますと、東京の住宅事情をどうとらえるか、あるいはこれまでの住宅政策をどう総括するか、それから、現在形成された住宅ストック、こういったものをどう踏まえるか、あるいは今後どう認識するか、そういった議論がございます。
ご指摘いただきましたような、そもそも人間にとって住居とは何かというような議論でございますけれども、こういった一番最初の議論の中に含まれているのではないかというふうに承知をしております。全体会、何十回とやっておりますけれども、その中を通じて、十分な時間をかけてその部分をつくり上げていったというわけではないというふうに思います。
しかしながら、審議会の委員の先生方、非常に政策あるいは住宅に対して造詣の深い方でございまして、それぞれの基本的な住宅観、住宅はこうあるべきといったものが背景にありながらご議論を深めていただいたというふうに思っております。
答申には、住宅とは、人々が生命、身体及び財産の安全を確保し、子どもをはぐくみ、社会経済の諸活動に参加していく上で基盤になるものである、都市を形づくる基礎的な要素であるという住宅観、これは東京の住宅観ということでいっていいと思いますけれども、そういったものを盛り込んでいただいております。
○川井委員 今いわれたように、それぞれの学識経験者あるいは参加している方々が、それぞれに住宅というものの認識を、バックデータを持っている中で議論されたんだろうということの中で、あえてその部分についての議論はなかったというようなご答弁だと思うんですね。実は私は、そこの部分は本当は大事だったんじゃないかな、こう思っているんですね。
特に、今、安全に豊かに生活でき得る、そして子どもをはぐくむ、こういう話がありました。では、安全という、住居にとっての安全とは何ぞやということになるわけですね。そういう議論がされていないんじゃないですか。
○小川住宅政策担当部長 住居における安全のレベルがどうあるかというような議論を、この場で設定をするというような方向ではなかったというふうに思っています。
ただ、住宅に対する質としてどういうものを求めるのかということについては、かなり活発なご議論があったというふうに承知をしておりまして、いわゆる法規制で要求されている以外にも、いろいろな意味での要望がある、要求があるのではないかということでございまして、例えば省エネルギーでありますとか、あるいは空気環境、ホルムアルデヒドとかそういった問題について、消費者といいますか都民の方が、それをわかりやすく、そして、こういうレベルのものを求めていきたいというその選択が可能になるような方向がいいのではないか、そういう議論がされたというふうに思っております。
○川井委員 実は私は、昭和五十二年十一月からしばらくの間、子ども二人と妻と四人家族で、六畳と四畳半、共同便所、共同炊事場という形の中で生活をしておった時期がございます。それだけに住宅、住居というものに対して非常に関心がございまして、安全という部分一つとっても、一緒に生活する、隣接する部屋の人も含めて、そういうこともそうでしょうし、あるいはどういう資材でできているかということもそういうことでありましょう。
ちょうど今から二十五年ほど前、私の記憶では、三十年ほど前にもほかの大学でやられたかなと思っているんですけれども、広島大学ですか、ネズミを木の箱と金属の箱とコンクリートの箱で飼っておるわけですね。その実験の中で、生まれたばかりの子ネズミをそれぞれ飼育していく。もう一方には親も一緒に入れて、いわゆる生殖活動からそこで一緒に行わせて、子どもが生まれるかどうか、そしてその後育っていくか、こういう研究をやっておるんですね。
その中で、金属でつくった箱とかコンクリートでつくった箱というのは、ほとんどが小さいネズミを入れた場合には生存していかないわけです。それから、生殖の営みからということになっても、産んだ子どもを食い殺してしまう、あるいは踏んづける、あるいは雄の生殖活動を受け入れないとか、いろいろなことが出てくるわけですね。実は木の箱以外は、特にコンクリートなんかの箱の場合には、非常に粗暴になる、凶暴性が非常に強くなる、そういうデータが出ております。
私は、こういうものは人間にもあるいは影響があるんじゃないだろうかという思いを持っている一人であります。ですから、そういう意味では、木と土と紙でつくる家、しかしながら、今の世の中、コンクリートの箱をつくるのはやむを得ない。そうであるならば、その中の内装についてはぜひそういう努力が必要だ、こういう思いを持っております。今いう、壁紙をボンドで張る、あるいは新建材を使う、こういうことで子どもたちが非常に健康を害している部分も実は一方にはあるわけですね。
ですから、私は、本来住宅、住居というものを議論する段階で、人が憩う、あるいは家族がそこで生活する、その場所の議論の中で、素材とか空間、広さとか、そういうものが実は一番基本的なものとして出てくるんだろう、こういう思いが実はあるんですね。
その中で、そこのところの議論が余りされていないことについて、要するに住居とは何ぞやという部分についての議論というのは、実はほとんどされていないように私はとっています。そこのところが非常に残念である。そこが議論されていないがゆえに、欠けている部分があるような気がしているんですね。そういう思いを持っているんですけれども、どうですか。
○小川住宅政策担当部長 住宅の質、内装とか、そういったものも含めたいろいろな質について、多様な要求あるいはそういう本質的な投げかけといいますか、そういったものにどうこたえていくのかというようなご議論はあろうかと思います。
それで、審議会の考え方の到達点ということにつきましては、近年制度化が行われました住宅性能表示制度というのがございます。これは法律によって立法化をされております。この制度におきましては、従来、建築基準法などで要求をされておりました構造の安全性や防火安全性のほかに、温熱環境や空気環境、遮音性あるいはバリアフリーの性能、そういった新たな性能についてもランクづけをして、住宅についてはどのような水準、この住宅についてはどういうランキングであるといったものを明らかにしていく制度でございます。議論といたしましては、こういう制度をぜひ都民の間に普及させて、自由な選択を推進していく、これが重要なことかなと。
質については、非常に要求が多様でございます。ただ、住宅についてどれがどうだということを判断する指標というものは、なかなかこれまでわかりづらかったということがございますから、こういった性能表示制度の中で、例えば構造の安全性に非常に高いものを求めたいとか、あるいはホルムアルデヒドのような、そういった建材を使っていない、そういうものが室内に出てこない、出てくる量が非常に少ないものだというようなものを見て住宅を選択していく。
ぜひそういう制度を普及していくことで、ただいまのようなご議論にこたえていきたい、いくべきだろう、これが委員会といいますか審議会の一つの結論かと思っております。
○川井委員 なぜこんな質問をしているかというと、今回、五十年後をも見据えて、そして十五年間の方向づけをするということです。五十年後を見据えているとなると、私は--確かに言葉では、住宅ビッグバンだとか抜本的な改革だとか、こういうのがうたって出てきているんですね。言葉だけ聞いていると、ありがたいなという思いがするんだけれども、ただ、五十年後を見据えてこれから十五年の中でという方向にしては、例えば今の借家の平均が三十六・七平米ですか、こういうものを、ではどういうふうにしていくのかというような思いですね。人が良好な生活を営む広さというものが、要するに最低基準というかな、そういうものと居住水準というものを対比しているだけ。そうじゃなくて、我々五十年後、こういう今語られていないようなスペース等、あるいは生活空間を求めていくんだというようなものが出てこないんですね。それは最初の部分の議論がされていないからなんだろう、私はこう思うわけなんですよ。
ですから、どうしても東京の住宅というのが、一戸建てであっても九十平米前後、九十六ぐらいですか。しかしながら、全国平均からは三十平米ぐらい少ない、狭い。そこで、例えば若い方々に聞くと、どうしてお子さん一人なんですか、次のお子さんは、こういうと、必ず出てくるのが住宅問題なんです。あるいはおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住みたいけれども、こういう話で、ではご一緒にと。住宅、必ず出てくる。もっというならば、子どもが例えば男の子と女の子、男の子が中学生ぐらいになると、思春期で非常に性のことにも関心を持ってくる。そうすると、娘と一緒には寝かせられないんですね、同じ部屋に。
ところが、今都営住宅を見たって、四人家族で二DKとか、そういう形になってしまいますね。そうすると、本来良好な都民生活、そこで豊かな安全な生活ということをうたって五十年後を見据えたということになると、本当に居住して生活していくということにおいて、どのぐらいのスペースというものも、材質と同時に非常に大事な部分になってくる。それは圧迫感とか、ストレスが非常にたまってくるわけです。さっきいったネズミの箱の飼育についても、ストレスからだ、こういう話があるんですね。人間も全く同じだろう。そのストレスの蓄積が、今若い子たちがキレたとか、こういうようなことになってくるんだろうと思うわけですね。
ですから、五十年後を見据えて十五年間のということになれば、その五十年後に対しての方向づけの一部を示していく。それは、ただ単に居住水準を守れればいいなんということじゃなくて、現状、基準、水準はここであるけれども、将来的にはこういう形がなければ文化的な生活は営めないぞというような目標値まで、私は実は、本当に基本的なところを議論すると出てきたんだろうと思っているんですね。どうでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 まず居住水準といいますか、居住空間の広さといいますか、そういったところの議論でございますが、主にはいわゆる居住水準、つまり世帯の人数とそれに合わせた家の広さ、それにどういう設備がつくかというようなことも、附帯でありますが、主とした議論になっております。
当面の目標ということで、いわゆる最低居住水準、これは四人でお住まいの方で五十平米というものを立てているわけですが、これにプラス二人、三人というふうな形で段階的に数値があるわけでございますが、現在都内でそれを満たしていない世帯が一一・四%ということで、これを解消することが非常に急務だろう。これは下支えの議論でございます。
もう一つは、誘導居住水準という水準を立てておりまして、これは、マンションでありますと四人世帯で九十平米、戸建てだと四人世帯で百二十平米という目標を立てておりますが、これを都の世帯の半数が達成する、これを当面のレベルアップの目標にしようではないかと。
これが数値的目標でございますが、そのほかに、今回のマスタープランにおきましては、いわゆる居住の質ということで職住の近接といったものが図られて、ゆとりとか活力のある居住ができる、それから、先ほど申しましたような性能や品質についてニーズに応じた選択ができる居住、それから、そういう防災の問題も含めまして、だれもが安心して暮らせる居住、そして、そういった住宅を支える市街地環境も整備をしていくと。
これは数値的目標ということで、物のレベルという形ではございませんが、例えば職住近接については通勤時間がどれぐらい短くなるかとか、そういった目標値、指標ではかるということも可能かと思いますが、そういう目標を立てて、それを実現しようではないかというものを今回のマスタープランで盛り込ませていただいております。
○川井委員 答弁だけ聞いていると、なるほどなと思うんだけれども、東京の中の借家の七〇%以上、七七・四%が五十平米未満ですよ。今いわれたこの借家の部分を、例えば八十平米以上にするんだと。目標は目標だ、では具体的にどうやっていくのかという部分、そうなってくると、先ほど新井さんがいわれた、私はいい質問だよなんて声をかけたんだけれども、実は同じようなことで、というのは、私はある意味、都営住宅については大体今の数でいいんだろうと。あとはどうグレードアップしていくのか。それはスペース的にもそうですし、質的にもいいんだろう。
しかし、五百万世帯に対して五百六十万戸、一応ですよ、木賃の本当に狭い、借家の住宅を含めてそういう数字が一応整っているんだと。そうすると、この五十平米未満の七七・四%の借家というのをどう引き上げていくのかということが、非常に実は東京の住宅政策で大事なところになってくるわけですね。
それは、都民住宅なんかもその一つの方法として努力してくれているんだろう、こう思ってはおります。しかし、これに対して、もう少し具体的に東京都ができ得ること、例えば、今昭和三十年代に建てた都営住宅というのは建てかえをやっていますね、年間三千戸ぐらい。これにかかわる予算というのが年間大体どのぐらいなのか。
それともう一つは、昭和四十年代前半にやった都営住宅、スーパーリフォームをやっていますね。これは年間どのぐらいの費用がかかっていますか。
それともう一つ、どうせ数字を聞くなら三つ一緒に。
修繕費、いわゆる十年に一度とか十五年に一回、外壁の吹きつけ、手すり、ドアの塗装あるいはベランダの物干しの金具取りかえ、こういうことで出ていますね。私の記憶では、たしかそれだけで三百五十億だとか、あるいはスーパーリフォームで三百億とか出ているはずなんだけれども、ちょっと数字を聞かせてもらえませんか。なければいいです。なければないといってくれれば。
○小林建設部長 いわゆる建てかえにおける年間の事業費でございますけれども、予算を組むときに、ことしやっている建設事業というのは、二、三年前に起工したものを積み重ねてきているということでございまして、ちょっと今手元に数字はないんですけれども、三千戸つくるのに今どのぐらいのお金を使っているかという話でございますと、大体今、戸当たり千五百万ぐらいのお金を使って住宅をつくっています。ですから、純粋に今年度やる三千戸の建設費ということであれば、これに、三千に一千五百万を掛けると大体概略の数が出るかと思います。
スーパーリフォームにつきましては、大体今千七百戸やっていますから、これに戸当たりの事業費である大体七百二十万を掛けると、後年度を含めての事業に対する大体の額は出ようかと思います。
○川井委員 今いわれたように、大体新しく建て直すと、一戸当たり千五百万と聞いております。それからスーパーリフォームの場合、エレベーターを含めての計算で七百万前後かかるだろう、こう聞いています。大変な予算がかかっているわけですね。
ですから、五百万世帯に対して五百六十万戸住戸があるじゃないかというと同時に、もう今、昭和三十年代に建てたものを建てかえなきゃならないわけですから、これ以上新たにふやすということは予算的にも無理なわけですよ、現実は。だから、そういう意味では、では今の借家住宅というものを、PFIを含めて、民間活力をどう取り入れて実際にやってもらうか。
今五百万世帯に対して五百六十万戸ある、それになおかつ都営住宅をどんどんつくるなんということになると、民間活力を奪うことになるからこれもできないということで、私は、借家というものの新たな融資制度をつくってもいいし、あるいは新たなそこに住む方に対しての家賃補助制度をつくってもいいし、それは国がやっていないとかどうのこうのじゃなくて、例えば区市町村がやっている老人アパートだとか障害者アパートだとか、そういうものに対してやっているようなものをもう一歩進めてやっていく。それにかかる金は、今いった新しく建てるより、土地を買って建てるなんという計画よりずっと安くおさまっていくんだろう、こう思うんですね。
私は、なぜそんないい方をするかというと、東京都が一つの住宅の、人が生活する、居住する住居というのはこういうものだ、五十年後こうだ、それに向けて十五年間こういう方向で走り出すぞというものを打ち出すことによって、全国の住宅行政を引っ張っていくんだろう、こういう思いがあるんですね。それであえて聞いているので。
それで、ちょっとそこだけ余りやっていると時間がなくなりますので、一方、都営住宅に対しても、今までのレベルでいいということでは決してないんだろうと。先ほど花輪さんが期限つきの、我が会派も前からいっていたことで、これを特定都営住宅三千戸に対してこれからやっていきますよということで、来年度三十五戸だけですか、やっていただけるわけですけれども、これはあくまで頭出しであって、これから国に対して要望していく、あるいは国に対して説得する、その一つの手始めとしてやるんですよという思いでやっておられるんだろう、こう思うんですけれども、実はこの期限つきということ、それから高額所得者、収入超過者、そして長期滞納者、こういうものの管理を私はしっかりやっていってほしいと思うんです。
今、都営住宅にある一番の不公平感というのは何だと思いますか。
○井上管理部長 先生おっしゃったように、高額所得者であるとか収入超過者等が都営住宅に引き続き住み続けることによりまして、住宅に困窮する都民の方々が都営住宅を利用する、その機会が狭められているという部分が一番の不公平感を醸成するものと思います。
○川井委員 いい都営住宅に安く入っているから不公平だという声は聞きますか。
○井上管理部長 都政モニターであるとか、あるいは知事本部等への苦情、生活文化局等への苦情等を聞きますと、そういう声もございます。
○川井委員 私は、ごく少ないと思っているんです、実は。
一番の不公平感を感じているというのは、やはり高額をとっていながら--しかし、これは管理部の方の努力で、一万二千七百世帯あったのが三千世帯まで減ってきた、あるいはこれから千五百世帯に減らすという目標を持って努力している、これはこれで評価しなきゃいかぬ。しかし、収入超過者や長期滞納者については、まだまだこれからだろうと思う。そういうものに対して管理をきちっとしていくことが実は大事なことなんですね。
一方には、今の都営住宅、公共住宅だからこの程度でいいんだという考えが、どうも局の方に私は見えるような気がするんです。建てかえのときに、スペース的にはどのぐらいとっているのか。
それから、一世帯当たり一千五百万ということになると、大体想定がつくんですね。私は、一世帯当たり二千万、二千五百万かけようが、やはりいいものをつくっていくべきだと思うんですね。
というのは、二十六万世帯の財産ではないんです、これ。一千二百万都民の財産なんです。だから、期限もつけましょう、そして、収入超過して五年、十年たった人には次の人にチャンスを譲ってもらおう、あるいは高額所得者については、即座に次の若年層の住宅困窮者にチャンスを譲ってもらおう、こういうことをきっちりやっていけば、私は、今よりよっぽど銭かけていいものをつくったって苦情はないと思っているんですけれども、建設部長さん、一千五百万ということで、四人家族で二DKなんというものを相も変わらずやっているんですか。
○小林建設部長 都営住宅の建設に当たりましては、型別供給ということで、一DKから四DKまで取りまぜて建設をしております。先ほどの一千五百万というのは、大体、二DK相当の住戸になろうかと思います。
○川井委員 いや、だから私いっているじゃないですか。四人家族で二DKなんて、一千五百万、そんなものをいまだにつくっているんですか。四人家族だったら、少なくとも三LDKなければいかぬと思うんだよね。そこら辺の方向転換というのはできないものですか。
○小林建設部長 型別に供給する中で、一応、居住される家族の数というのを想定していますが、二DKというのは二人から三人、三DKというのは三人から四人程度をめどに供給しているところでございます。
○川井委員 私は、この部分、今回のマスタープランにちょっと欠けている部分が--この情報化社会の中で、例えば通信関係とか、ファクス、インターネット、パソコン、それから健康管理、セキュリティー、そういうものも総合的に今度やっていくような時代が来るんだろうと。二〇一〇年からは、テレビも今のようなものではなくなってくる。そういう形の中で、光ファイバーなんかの問題も、実は都営住宅に限らず、このマスタープランの中で少し触れていないのかなと見たんだけれども、ないみたいなんだよね。どこかにあるの。
それで、こういう部分について、五十年後なんといったら当然そういう世界だろうし、十五年後だって、もうそういう世界ですよね。まさに、自宅にいながら健康管理がすっかりできるような時代なんだろうと思っているのね。そこら辺のことは、私、見逃したのかな。何ページに出ているの。
○小川住宅政策担当部長 光ファイバー等の情報通信と住宅一般という形での触れ方はしておりませんが、インターネットとか情報通信技術が非常に発達をするということから、就業、つまり会社と住宅が別々ということではなくて、そういったものが融合して、仕事はそういう情報通信を使ってやる新しい住宅形態、SOHO、そういったものが出てくるであろうから、それをしゃくし定規に、住宅じゃないとかそういうことでやるのではなくて、かなり幅広い居住形態として考えていくべきだということで、活力を生んでいこうという記載をしております。
○川井委員 その部分は、インターネットということと職住接近というか、そんな部分で触れている程度であります。
私がいっているのは、将来的には我々の一戸一戸に光ファイバーが入って、そういう通信関係から、まさに自分の健康管理からセキュリティーまですべてできるような時代がもうすぐそこまで見えているんだから、こういう中に、そういうことも含めていかなきゃいけなかったんだろうなという思いも実はしています。
これは中間答申ですから、中間のまとめですから、まだ最終のまとめまでにはあるんだろうと思いますが、そこら辺、今後の中で触れていただけるのかしら。
○小川住宅政策担当部長 住宅の要求される質であるとか設備であるとか、そういったものが今後どう、五十年先を見据えた上でどういうふうな水準のものがあるだろうかというような議論につきましては、特にこういう情報通信系の非常に速い、長足の進歩をしているような状況で、なかなか見通しをするということは難しい部分がございますが、今ご指摘のあったような点、私どもも、最終的なまとめまでに勉強させていただきたいなというふうに思っております。
○川井委員 総務省の中でも、この問題、年次を決めてもう計画で出していますから、ぜひご検討いただきたい、こう思います。
それから、先ほどちょっと出た部分で、都営住宅のランニングコスト、これは年間どのぐらいかかっているんですか。
○井上管理部長 十二年度の当初予算で申し上げますと、住宅営繕費、これはスロープ設置であるとか、そういったような環境整備費も含みますが、それに間接経費も含めまして、十二年度は二百九十一億、十三年度は当初予算では三百三十五億というふうに計上しております。
○川井委員 これは人件費が入っていないんだろう、こう思いますけれども、それはまた聞くことにして、都営住宅から上がる収入は、家賃収入はどのぐらいですか。
○井上管理部長 細かい数字はちょっと覚えておりませんが、大体年間八百億ぐらいだろうと思います。
○川井委員 これは非常に難しいんだけれども、実は、今出たランニングコスト二百九十一億というのは人件費が入っていないんだよね。住宅局、そして公社の方々の人件費が入っていないんだろう、こう思うんですけれども、私、なぜこんな数字を聞いたかというと、先ほどの都営住宅を区市町村に移管していく部分において、そのランニングコストを家賃収入で賄うということのご答弁があったんだけれども、これは無理じゃないかなという思いがあって、あえて聞いているんだけれどもね。
先ほど関谷総務部長さんが、大丈夫だというような思いでご発言があったんだろうけれども、それから財調の話も出たけれども、では財調の五二%のポイントを変えてくれるんですかということになってしまうんだけれども、どうなんでしょうか。
○関谷総務部長 先ほどご説明申し上げましたのは、たまたま区の事例でございましたけれども、基本的には、都営住宅につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、建てかえ等を行った場合には、最初の十年間、家賃対策補助金ということで国庫が支出されます。それに見合った形で地方交付税が、いわばほぼ同額を裏で見ます。それにさらに使用料収入、その全体の中で運営をやっていくということになっていくわけでございますけれども、先生ご指摘のとおり、事業をやっていきますと、例えば、何かやるときに埋蔵文化財が出てきました、では埋蔵文化財については起債の対象になるのかどうかとか、いろいろな部分で、必ずしも、現在の公営住宅の家賃対策補助金と地方交付税と使用料で全部きちんと賄えるのかどうかということになると、さまざまな点で議論が出てくることは事実でございます。
ですから、先ほどから申し上げておるように、区市町村へ移管した場合については、当面については、過去の債務等については都が負担いたしますので、十分運営可能だというふうに考えておりますけれども、将来の建てかえ等も含めて考えた場合には、当然、区市町村は区市町村としての一定のご判断があるということは、今後十分協議していく中で、基礎的自治体としてこういう部分については当然担っていくという決断を区市町村の方々にしていただくということを踏まえて、合意に達したところから移管を進めていきたいというふうに考えてございます。
○川井委員 皆さん方からなぜこういう質問が出るかというと、五〇、五〇を求めます、こういう話があって、その答えが、区市町村と協議して、協議した上でご理解をいただく、こういう形になりますね。そうすると、協議して理解が得られるほどの財政的な説明が、今の説明の中に含まれてはいない。だから、再々いろいろな人からその質問が出るんだろうと。これは、きょうだけでなく、前から出ている質問ですよね。
ですから、そんなふうに特に思うのと、それから、移管していくのが百戸未満の小規模なもの、それから、どちらかというとかなり昔に建てたもの。ですから、ある意味で新しく建てかえてから区市町村に引き渡してくれるのかなという思いもあるんだけれども、全部が全部そうじゃないんだろうなと。そうすると、国から出てくる十年分だとか、あるいは東京都がこうするよという部分を、もうその十年超えてしまった建物等の問題も出てくるんだろう、こんな気がするんです。
ですけれども、いずれにしろ、五〇、五〇が目標で、そこに向けて努力をするということでありますので、ぜひ市区町村がよく理解でき得るスタンスの中での協議をしていただきたい、こんなふうに思います。
それから、環境の部分で先ほどちょっとあったんだけれども、温暖化の問題、ヒートアイランドの問題、こういう部分で、都営住宅の屋上緑化というのは、古い部分から、今建っている部分からあるんだけれども、これはどういう計画で進めていこうと思っていらっしゃいますか。
○青木開発調整部長 都営住宅の建設に当たりまして、都の緑化基準に基づいて緑化を当然に進めてございます。比較的都営住宅の場合は建ぺい率が低うございますので、今までの時点では、地上での緑化に努めてきたところでございます。
したがいまして、これから高度利用を図る中で、ご指摘の屋上緑化が必要な部分について、もし緑化基準に満たない場合等につきまして検討していく必要があろうかと思います。
○川井委員 そうなんだろうなと思って、恐らく、緑化基準に適合するから屋上緑化はしなくて済むんですよ、こういうことなのかなと思って聞いたんですが、実は、夏場ですと屋上の表面で五十度、それから、非常にかんかん照りのときには八十度ぐらいになるんです。夜間、三十度ぐらいまで下がる。そうすると、ここに五十度の開きがあるんですよ、夏場ね。それが実は、鉄筋の膨脹、収縮で、実は建物の耐久性を勢い奪うんですよ。クラックから水が入る。
だから、ただ単に環境ということの中で、全体の面積の中で緑化指数が満ちている、だから屋上緑化必要ないということじゃなくて、少し研究してもらえませんかね。建物の耐久性にまで影響が出るんだ。それは八十度から三十度、あるいは八十度から二十度と、表面温度がそのぐらい違った場合に、鉄筋の膨脹、収縮、熱膨張、熱収縮によって、引っ張られ、あるいは圧縮されるコンクリートなんというのはもたないですよ。コンクリートは大体五十年とか六十年、今七十年なんという人もいるけれども、木の場合は一千年ですからね。法隆寺、一千数百年たっています。これからまだ一千年もつだろう、こういわれている。
だから、耐久性という部分ではコンクリートは非常に弱いんですから、その弱い部分をどう守っていくか、なおかつ、環境面に非常にいい効果をもたらす屋上緑化ということを一緒に研究してみたらどうですか。
○青木開発調整部長 今ご指摘のような機能といいますか、効能が確かに屋上緑化にはあろうかと思います。
私ども、採用する際には、躯体への影響といいますか、コンクリートを当然に厚くしなければいけませんし、土等を入れて荷重も多くなります。そういう面での費用対効果と申しますか、その辺も勘案しながら、今研究したらどうかというお話でございますので、十分これから検討させていただきたいと思います。
○川井委員 どうもありがとうございました。事前にちょっとご連絡できないことも多くて、ご迷惑をかけました。総体的には私は、住宅局、それから住宅供給公社、非常に努力してくれている、こう思っていますので、これからもひとつ頑張ってください。
終わります。
○小礒委員 それでは、時間もかなり経過をしているようでありますので、手短にお聞きをいたします。
まず、昨年十二月に都政全般のビジョンとしての「東京構想二〇〇〇-千客万来の世界都市をめざして-」ということの中で、また、本年五月に住政審答申の「二十一世紀の豊かでいきいきとした東京居住を実現するための住宅政策」、要するに住宅政策のビッグバンだというような、大変にすばらしいキャッチコピーでありますけれども、実際、私もいろいろな資料を見る中で、これは住宅政策だけに限らないと思いますけれども、現在東京は、人、物、金、情報が大変に集まりにくい都市になりつつあるんだということのようですね。そして、GDP、国民貯蓄増大が生活の豊かさに直結していない、こういう現状があるようであります。
これは私がただ単にいっているんじゃなくて、ある程度じゃないな、かなりの精度の高い、この国の一線の学者の方々が、いわゆるデータをもとに書き上げたわけでありますけれども、その中で、狭くて地震に弱い住宅と。決して批判をするためにこのようなことをいっているわけじゃありませんけれども、東京の問題点の一つとしては、貧しいといったらいけないけれども、この住宅事情、すなわち、全国ベースで見ても住宅床面積が全国平均で三分の二にも満たない、そしてさらには、アジアの都市、すなわち台北が住宅床面積から見ると百四平米、次にパリだとかシンガポール、ローマ、ニューヨーク、ソウル、ベルリン云々出てくるわけでありますけれども、その次に東京が、これは区部でありますけれども五十五平米だということですね。これはいわゆる住宅の床面積の比較でありますけれども、そのような中から、今後、このマスタープランに取りまとめられているように、都市計画及び住宅政策を、東京からいかにして新しい転換点の中で住宅政策の転換を図っていくべきか、こういうことは非常に重要である。
ここにもいろいろ書かれておりますけれども、とりわけその中でも住宅ストックの保持、活用の促進ということがここでも出されております。私も以前、住政審の委員として審議にも参加させていただきましたが、このストックの中で、中古住宅を良質な社会資本として維持、流通させるための中古住宅市場の整備を推進することが重要であろう、こういわれていますね。
それとともに、続きますけれども、分譲マンションについて、現在既にこれはかなり--東京だけじゃないベースでありますけれども、建築後三十年を超えているマンション約十二万戸、十年後には約九十三万戸に急増すると予想されている、こういうデータもあるわけでありまして、老朽化マンションへの対応は、住宅政策上の喫緊のまさに課題となっていると。マンション建てかえについて、その制度に多くの課題がそれぞれ指摘されておるわけでありますけれども、早急にこの制度を整備する必要性があろう、こう訴えられていますね。これについてどのように考えられているか、この点についてお伺いします。
○小川住宅政策担当部長 マンションの建てかえ問題でございますけれども、マンションは都市居住の一般的な形態ということで、非常に普及をしております。ご指摘のように、既に三十年を超えて老朽化したマンションが非常に多数になってきている、建てかえの検討に至るというような時期でございます。
制度的には二つ大きな問題点があろうかということで検討が進められておりますけれども、一つは、マンションそのものの仕組みをつくっております区分所有法、こういう法律がございますが、区分所有法の中で、建てかえをするのか、それとも維持管理をそのまましていくのかということを入居者の方々が多数決で決めるといいますか、五分の四以上の多数で決めるということがあるわけでございます。そのときに基準となっておりますのが、建てかえた方が今後維持していくよりも費用的に安いということがあると建てかえの決議がなされる、そういうことなのでございますが、現在、ではどのようなところまで老朽化が進んだり設備が傷んだりすると、そういうような基準になるのかという具体的な基準をつくらなければいけないだろう。これにつきましては、現在法務省の方で、区分所有法の改正という形で、法制審議会の方で検討が進んでおります。
もう一つは、マンションを、お住まいの方が建てかえをするというふうに決めた後の措置でございます。実はマンションの管理組合といったものは、マンションが壊されてしまうと、もう何も法的な根拠はございません。そうなりますと、建てるという作業は、お住まいの方一人一人がお金を出し合って契約をして発注してと、そういう手続を踏むわけでございます。ところが、多数の方がお住まいでありますと、最初は賛成はしたんだけれども、いろいろ事情があって反対をするとか、あるいは取り壊しの段になると、ちょっと事情があって出ていけないとか、いろいろなそういう問題があって、裁判所まで含めたいろいろな手続の話になる。非常に大きく時間をとってしまうというようなことがございまして、そういう部分の手続を何とか簡潔に済ませる。実際に発注したり、お金を出すのはお住まいの方々でございますので、そういった方々が容易に建てかえに取り組めるような仕組みが必要なのではないか。
これはマンション建てかえ法とか、マンションの建てかえ事業法というふうにいわれておりますけれども、これにつきまして、現在国土交通省の方で法案化を図っておる。このマンション建てかえ法につきましては、早ければ今度の通常国会で提案をされるのではないかというように聞いております。
都の方といたしましても、これをフォローするという形でマンション対策をマスタープランでも掲げておりますが、十分なものにしていきたいと考えております。
○小礒委員 これは別途、住宅政策の中でも、また後日、時間を若干とらせていただきながら質疑をさせていただきたいと思いますけれども、先ほど冒頭申し上げましたように、都市づくりのパラダイムの転換の中で、すなわち住宅政策の転換は、住宅ストックの保持、活用の増進、それから分譲マンションのいわゆる建てかえの円滑化をいかに図っていくかということも大変重要なところではないかと思うわけであります。
今お話しのように、区分所有法、昭和三十七年にこれは法制化されましたけれども、いわゆる建てかえ要件の見直しですか、これが今、法案提出をされるようになっているようでありますけれども、そのほかに、マンション建てかえ、今お話がありました法制の整備や既存不適格マンション建てかえの円滑化、または、先ほどいいましたけれども、中古住宅市場の整備という中でマンションの維持管理等に係る家歴書情報の整備、かなり進んできていますね、取り組みといたしまして。
これらのことを踏まえながら、東京都の住宅マスタープランの中で、これら法制化の動き、または改正点について当然組み込まれていると思いますけれども、そのあたり、ぜひとも取り組みを今後、中間答申でありますけれども、お願いといいますか、要望をさせていただきたいと思う次第であります。
次に、マスタープランの中に都営住宅の空き家の有効活用を図るべきだということが書かれているわけでありますが、高齢者や障害者のグループホームなどとして活用していくということがあるわけでありますけれども、このような中で、あき状況が事業用を含めて先ほど出ましたけれども、現状での空き家の有効活用状況というのはどうなっているのか、このあたりお願いします。
○井上管理部長 都営住宅の空き家は、いわゆる空き家の空き家と申しますか、本当の純然たる空き家と、新築で未入居、要するに新築で入居するまでの間、少しあいておりますので、そういう空き家、これを合計しますと、十月または十一月現在で約八千戸ございます。
このうち建てかえ等事業用のものが、いわゆる空き家と新築未入居、合計で約三千戸程度ございます。残りのうちの約五百戸程度が特別割り当てということで、福祉局とか各区市に提供するものでございます。残りの五千戸が一般公募用に回すものでございますが、この五千戸の公募用の中で、現在例えば入居手続中であるものとか、あっせん中であるものとか、あるいは空き家の補修をいたしますので、空き家補修中であるとか、そういったようなものを差し引きますと、実際に公募に回せるのが大体二千戸程度になろうかと思います。
○小礒委員 戸数につきましても二千戸だということで、現実に高齢者、障害者、今の五百戸について福祉関係に回しているんだというお話がありましたが、その状況についてちょっとお聞きしたかったなと思います。
次に、この空き家に対するいろいろな、純粋な空き家云々とありましたけれども、有効活用を当然考えていかなければならないことはいうまでもないと思うんですけれども、その中でピロティーがありますよね。純粋なる空き家ではない、部屋じゃないですね。このピロティー部分についての活用はどのようになされているのか。
かねてより私は、多摩ニュータウン内においてのピロティーの活用、いわゆる福祉関係についての活用はできないのか、高齢者の方々における、グループホームもそうでありますけれども、でき得ないのかというようなことをお尋ねした経緯があるんですが、そのあたりどうなんでしょうか。
○井上管理部長 都営住宅のピロティー部分は、建築基準法あるいは構造上の精査をいたしまして、構造上問題ない、あるいは耐震上問題ないというものにつきましては、地元区市等と相談しながら、可能なものは行政財産の目的外使用許可等で対応するということにしております。
○小礒委員 その中で、都民の貴重な財産でもある都営住宅、すなわち、ピロティーといっても当然に建物の範囲内に入るわけですから、このピロティーが一定期間、一年、二年じゃない、このあたりが常にといいますか、放置されているというんですか、使用されていないというか、こういう現状があるわけでありますけれども、地元市からの、また地元住民からの要望が出されていると思うんですが、このあたり、今後、地元市を通じながら、さらに相談にぜひ乗っていただきたいなと。そして、有効活用を図っていただきたい、もったいないですから、これ。
次に、とりわけ高齢者への空き家有効活用を図っていくこと、今申し上げましたけれども、当然理解をするわけでありますが、しかし、私どもの地元の団地内の中で、これは各団地ありますので、時には多いときは二百戸空き家が出た、それぞれ何百戸と出るわけであります。その中で我々としても、空き家対策といいますか、商店街からも要望がある中で、空き家のまま置いておくのはいかがなものかということで要望させていただきましたが、また一面、入居が一どきに始まりまして、その大半が高齢者の入居になってしまったんですね。
そこで、高齢化率は当然にして高くなる、団地自治会の活動は支障が出てくる。これは地元の自治会がいっている話でありますけれども、地元市の負担も大きくなった等々の、問題といっていいかどうかわかりませんが、出てきた。これらの点について、局として現状をどのように把握されていますか。
○井上管理部長 都営住宅へ新しく入居する場合でございますが、当然入居の使用許可書が出されるわけですけれども、使用許可日は各住棟ごとに一本で出します。使用許可が出ますと、大体、通常一、二週間で入居になりますが、入居するときに、引っ越しですので、荷物を搬入するとかエレベーターを稼働させるとか、そういったような作業がございますので、なるべくならば同じような時期に入居していただくということでご案内しております。
なお、入居の時期につきましては、地元市と十分調整して日にちを設定しているところでございます。
○小礒委員 時間もありませんから……。
しかし、今申し上げました団地については、エレベーターも何も設置はされておりませんし、地元の方ともよく調整、協議したようなお話がありましたけれども、これはどうもそうでもないようでありますので、ぜひこれらの件につきまして、地元市側の方ともしっかりと話をしていただきたい。要望します。
それとともに、もう一点、これは市の方からの要望でもありますけれども、マスタープランに書いてありますからあえて触れるんですけれども、さらにこれから高齢者に対する空き家の有効活用を図っていくということがあるならば、私どもの市内においても、近隣を含めても当然いいのでありますけれども、地元の高齢者枠というものは確保できないのか、こういうふうな要望があるわけでありますけれども、この点はどうでしょうか。
○井上管理部長 行政区画別の高齢者枠というのは、なかなか現状で確保することは困難でございまして、都営住宅は、都全体で高齢者の優遇措置を講じてきているところでございます。
○小礒委員 現実、地元枠というのは四%だったですかね、一定的な地元枠があるように聞いておりますが、それらのことを踏まえながら、地元にあらゆる負担を一どきにかぶせるのではなくして、ある程度、そのような制度があるのであるならば、ぜひひとつ地元市とも鋭意協議をしていただきたい、これは要望いたします。
それともう一点は、もう時間もあれなんですが、ミックストコミュニティの件につきまして、多様な住宅が地域に混在して、まさに多様な世代、世帯が居住の場をともにする、これは今後、私は大変重要ではないかなというふうに思うんですね。
今回のマスタープランにおいて、活力ある地域コミュニティの形成に向けた取り組みとして、関係機関と調整を行いながら、地域特性に応じたミックストコミュニティの形成を誘導していくんだといわれておりますが、それを具体的にお示しいただきたい。
○小川住宅政策担当部長 東京全体、地域地域にいろいろ分かれますと、それぞれの地域の昔ながらの伝統でありますとか、あるいは新しくできたという、そういう経緯とかがあります。そういった中で、居住者の像というのも非常に違うわけでございますが、私ども、ミックストコミュニティという中では、年齢とか職業、所得水準、そういったことが異なる人々が同じ地域でともに交流して暮らせるような地域社会、それをミックストコミュニティと呼ばせていただいておりまして、それを実現するというのが大きな東京の住宅の課題ではないかなというふうに考えております。
このミックストコミュニティを実現する場合、地域地域で相当方向性も違うんだろうなというふうに思いますが、基本的には基礎自治体である地元の区市町村、そういったところとか、あるいは公団といった大規模な住宅を管理している機関、そういったところと協議して、住みかえとか、それから団地でありますれば再編整備とか、そういったものを進めながら実現をしていきたいというふうに考えております。
○小礒委員 それでは最後に、今回のこのマスタープランを受けて、多摩地区においてどのようにミックストコミュニティを誘導していくのか、実現するか、こういうことを伺いたいと思うんですが、局長、いいですか。--局長、最後に一言。最後ですから。
○橋本住宅局長 ただいま担当部長より、総論といいましょうか、ミックストコミュニティをさまざまな手法でつくっていく、これがいわば望ましいまちの形成につながるのではないか、こういう話を申し上げました。
私ども、今回のマスタープランにおきましては、きょうご議論で大分明らかになったわけでございますが、さまざまな手法、あるいは単なる公のみならず、公と民とのいわば連携、こういったことで東京の活性化を図る、あるいは住まいの改善を図る、こういうかなり広げたといいますか、大きな視野のもとに方向の転換というものを行ったわけでございます。
そういう中で、ミックストコミュニティを具体的な地域の中でどう行っていくかということでございます。例えば多摩ニュータウンでありますと、ご案内のとおり、大規模な供給機関、供給事業者がございます。ご案内のとおり、公団、公社、私どもでございます。また一方、最近では民間のマンションの動きもかなりございます。そういった意味で、私どもは、その既存の機関と、住みかえ、あるいはさまざまな連携、こういったものを図ることは当然でございますが、あわせて市場の形成、こういったことによって都民の方が望んでいる住まいをより選択できるような、先ほど来選択ということを一つのキーワードとして申し上げましたが、選択できる住宅、こういったものを実現していきたい、こういうふうに思っているわけでございます。そういった意味で、さまざまな手法を活用して、これからこの方針を貫いてまいります。
○田代委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田代委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で住宅局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時十一分散会
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