委員長 | 田代ひろし君 |
副委員長 | 前島信次郎君 |
副委員長 | 星野 篤功君 |
理事 | 花輪ともふみ君 |
理事 | 川井しげお君 |
理事 | 新井美沙子君 |
伊沢けい子君 | |
ともとし春久君 | |
山田 忠昭君 | |
林田 武君 | |
小礒 明君 | |
大山とも子君 | |
池田 梅夫君 |
欠席委員 一名
出席説明員住宅局 | 局長 | 橋本 勲君 |
技監 | 小関 尚久君 | |
総務部長 | 関谷 保夫君 | |
住宅政策担当部長 | 小川 富由君 | |
連絡調整担当部長 | 阿部 亨君 | |
開発調整部長 | 青木 治道君 | |
臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 | 高岡 信也君 | |
建設部長 | 小林 計代君 | |
建設推進担当部長 | 矢口 哲也君 | |
参事 | 大森 勝海君 | |
管理部長 | 井上 克彦君 | |
参事 | 野澤 直明君 | |
参事 | 渡部 景之君 | |
不動産業指導部長 | 渡利 紘司君 | |
建設局 | 局長 | 山下 保博君 |
次長 | 平井 健一君 | |
道路監 | 小峰 良介君 | |
総務部長 | 森澤 正範君 | |
用地部長 | 稲熊 明孝君 | |
道路管理部長 | 磯邊 武一君 | |
道路建設部長 | 岩永 勉君 | |
公園緑地部長 | 安藤 明君 | |
河川部長 | 鈴木 進君 | |
市街地整備部長 | 梶山 修君 | |
企画担当部長 | 小島 信之君 | |
総合調整担当部長 | 平井 和之君 | |
道路保全担当部長 | 依田 俊治君 | |
道路計画担当部長 | 柿堺 至君 | |
公園計画担当部長 | 住吉 泰男君 | |
調整担当部長 | 市原 博君 |
本日の会議に付した事件
建設局関係
報告事項(説明)
・小田急線連続立体交差事業認可処分取消請求事件について
住宅局関係
事務事業について(質疑)
○田代委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
理事会での協議の結果、お手元配布の日程とすることを申し合わせました。ご了承願います。
次に、請願陳情について申し上げます。
本委員会に付託されております請願陳情は、お手元配布の請願陳情継続審査件名表のとおりでございます。ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程に従いまして、建設局関係の報告事項の聴取並びに住宅局関係の事務事業に対する質疑を行います。
なお、報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより建設局関係に入ります。
理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○岩永道路建設部長 小田急線連続立体交差事業認可処分取り消し請求事件についてご説明させていただきます。
お手元に「小田急線連続立体交差事業認可処分取消請求事件について」を配布しておりますので、ごらん願います。
それでは、まず、本件にかかわる事業の概要について説明させていただきます。
三ページをお開き願います。
中ほどにある案内図をごらんください。黒の部分が既に高架化の完了した区間を示し、黄色の部分は、現在、都市計画の手続を進めている下北沢駅付近の区間を示しております。
本事業区間は、赤で塗られている成城学園前駅から梅ヶ丘駅を含む、延長約六・四キロでございます。事業認可は平成六年六月に行われ、総事業費は約一千九百億円でございます。工事の進ちょく率は高架橋工事部分で七一%となっており、事業完了は平成十六年度の予定でございます。
この事業による整備効果につきましては、下段にあるとおりです。後ほどごらんいただければと思います。
それでは、恐れ入りますが、一ページをお開きください。
訴訟の概要ですが、本件の事業区間について、高架式を地下式にすべきとして、事業認可処分の取り消しを求めたものでございます。
原告は、水島英夫外百二十二名ですが、今回の判決で原告適格を有する者は九名とされております。被告は、国土交通省関東地方整備局長です。東京都知事は、都市計画決定権者であることから、平成十三年一月より参加人として訴訟に参加しております。平成六年六月三十日に訴訟が提起され、去る十月三日、東京地方裁判所で判決がありました。
本件の判決ですが、建設大臣が平成六年六月三日付で施行者である東京都に対してした連続立体交差事業及び附属街路事業の認可をいずれも取り消すというものであります。
判決の主な理由ですが、事業認可の前提となる都市計画決定に当たり、騒音など環境への配慮が足りない、高架式、地下式それぞれの事業費について十分な検討が行われていないなどとなっています。
二ページをお開き願います。
本件についての対応でございますが、国と協議した結果、平成十三年十月十二日に国は控訴し、都は、参加人として控訴審に参加することといたしました。
国が控訴する理由でございますが、連続立体交差事業は、複数の踏切を一挙に除却することにより、都市内交通の円滑化を図るとともに、分断された市街地の一体化を実現するものであり、政府の政策課題である都市再生を推進する上からも最も重要な事業であること、また、小田急線連続立体交差事業は、十七カ所のボトルネック踏切を除却し、踏切での交通渋滞や地域分断の解消を図るもので、国としても支援していること、判決が確定して事業認可が取り消されることになれば、本事業の推進に大きな支障が生じることになること、都市計画事業認可にかかわる事業施行期間の設定、環境への影響、構造形式の選定等についての国の主張が認められていないことから、上級審の判断を求めることが適当として控訴したものでございます。
次に、都が控訴審に参加する理由でございます。
国の主張とほぼ同様でありますが、騒音による周辺への影響、それぞれの構造形式の事業費等について都の主張が認められていないこと、工事が既に約七割完成していることから、上級審の判断を求めることが適当として控訴審に参加するものです。
個々の論点につきましては、控訴審で参加人として具体的に主張してまいりますが、幾つかの点について都の考え方を述べさせていただきます。
高架後の騒音につきましては、東京都環境影響評価条例に基づき環境影響評価を実施し、周辺環境に与える影響は少ないとの結果を得ています。
さらに、今回の工事区間においては、騒音対策として、防音壁、防音装置の設置、重量レール、ロングレールの敷設などを実施することとしております。
ちなみに、高架化が完了している隣接区間の小田急狛江地区では、工事完了後の事後調査において、東京都環境影響評価技術指針に基づく測定地点で事前調査の値を下回っていることが確認されております。
また、構造形式の選定に当たりましても、昭和六十二年から平成四年まで、シールド工法を含む複数の計画案を十分比較検討した結果、高架式が地下式より事業費が約一千億円安くなるため、高架式を採用したものであります。
今後の対応でございますが、本事業は、ボトルネック踏切を除却し、交通渋滞の解消を図るとともに、鉄道の混雑を緩和する上で大変重要な事業であります。多くの都民や鉄道利用者の要望にこたえるため、一日も早い完成を目指し、着実に事業を推進するとともに、都や国の考え方を控訴審で十分主張してまいります。
以上をもちまして報告を終わらせていただきますが、委員の皆様方におきましても、引き続きご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
○田代委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言をお願いいたします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○田代委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で建設局関係を終わります。
○田代委員長 これより住宅局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取してあります。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○関谷総務部長 それでは、去る九月十七日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1、建設・住宅委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
表紙をお開きいただきますと、目次がございますが、合計十三件の資料の件名を掲げております。
初めに、一ページをお開き願います。1は、東京都住宅マスタープラン(第二次)における住宅供給実績等でございます。
住宅マスタープラン第二次の計画期間は、平成八年度から平成十七年度までの十カ年となっておりますが、平成八年度から平成十二年度までの五カ年の実績戸数及び達成率を記載しております。
二ページをお開き願います。2は、都営住宅の建設計画と実績でございます。
平成三年度から平成十二年度までにつきまして、新規、建てかえ及びその合計に区分し、計画と実績をそれぞれ記載しております。
三ページをお開き願います。3は、都民住宅の区市町別供給戸数でございます。
平成三年度から平成十二年度までにつきまして、区市町ごとに供給戸数を記載しております。
四ページをお開き願います。4は、公社一般賃貸住宅の区市別供給戸数でございます。
新規と建てかえに分けて、区市別に、平成三年度から平成十二年度までの供給戸数を記載しております。
五ページをお開き願います。5は、都営住宅の応募状況でございます。
平成八年度から平成十二年度までの新築募集及び空き家募集の応募状況を記載しておりますので、それぞれごらんいただきたいと存じます。
次に、六ページをお開き願います。6は、都民住宅の応募状況でございます。
平成八年度から平成十二年度までについて、供給方式に区分し、新築及び空き家の応募状況を記載しております。
次に、七ページをお開き願います。7は、公社一般賃貸住宅の応募状況でございます。
平成八年度から平成十二年度までの新築募集及び空き家募集の応募状況を記載しております。
次に、八ページをお開き願います。8は、既設都営住宅へのエレベーター設置状況でございます。
エレベーターの設置を開始いたしました平成三年度から平成十二年度までの団地数及び設置基数を記載しております。
次に、九ページをお開き願います。9は、東京都区市町村分譲マンション実態調査実施状況でございます。
平成十年度から平成十三年度までの実態調査実施状況を記載しております。
次に、一〇ページをお開き願います。10は、住宅供給公社ケアつき高齢者住宅、明日見らいふの退去者の推移でございます。
明日見らいふが開設いたしました平成八年度から平成十二年度までの退去者数を記載しております。
次に、一一ページをお開き願います。11は、都営住宅名義人の年齢構成でございます。
年代を七段階に分け、名義人の人数及び年齢構成割合を記載しております。
次に、一二ページをお開き願います。12は、都営住宅の施設維持管理状況でございます。
都営住宅にお住まいの居住者からの維持管理についての主な要望事項五項目と対応状況を記載しております。
次に、一三ページをお開き願います。13は、主要大規模団地一覧でございます。
区市にございます敷地面積三ヘクタール以上の都営住宅団地につきまして、団地名、所在地、敷地面積及び従前戸数を記載しておりますので、それぞれごらんいただきたいと存じます。
以上をもちまして建設・住宅委員会要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○田代委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○小礒委員 それでは、何点か質問させていただきます。
まず初めに、世田谷区内でモデル事業として実施をされました階段室型エレベーター、この件につきましてお聞きをしたいと思います。
特に、多摩ニュータウン内におきまして、この階段室型の住棟が大変多いわけでありますけれども、かねてより自治会からの要望も強く出され、この委員会で私の方からも取り上げさせていただきましたけれども、必要性については今さら申し述べるまでもありません。とりわけ、今申し上げました多摩ニュータウン地区内におきまして、高齢化がますます進行している中、また、さまざまな要望点も強く出されているところから、今後、当該地区に対するエレベーターの設置というものを強く求めたいところであるわけであります。
そこで、多摩、稲城市における階段室型住棟は現状で何棟あるのか、また、全体に対する割合は、多いことを認識しているわけでありますけれども、実際どのような数字としてカウントされているのか、また、両市において既存の廊下型住棟に設置したエレベーター数はどの程度であるのか、このあたりをお願いします。
○渡部参事 階段室型住棟の数でございますけれども、多摩市においては百棟、稲城市においては十二棟でございます。中層の住棟全体に占める割合は、それぞれ七四%、五〇%でございます。
また、これまでに既存の廊下型住棟に設置いたしましたエレベーターの数は、今年度を含めまして八基でございます。
○小礒委員 多摩ニュータウンは、いうまでもありませんが、丘陵地でありまして、自然の地形を生かしつつ、比較的短期間に大量の住宅供給を進めてきたというところでありますけれども、今後、エレベーターを設置していく上でどのようなことを留意していくべきなのか、この点についてお伺いします。
○渡部参事 多摩ニュータウンにつきましては、階段室型住棟が多く、また、プレハブ工法が多く採用されてございます。また、丘陵地にあることや、公団、公社との共同開発といった側面もございまして、標準型形式以外の多様な形式がございます。
したがいまして、エレベーター設置に当たりましては、住棟ごとに、具体的、詳細な調査検討が必要であるというふうに考えております。
○小礒委員 廊下型エレベーターについても、今後要望が多くなってくるようでありますけれども、大いにこの点、調査し、促進をしていただきたいと思います。
階段室型住棟やプレハブ工法による住棟のエレベーター設置についても、多摩ニュータウンでは多様な形が多いということでありますけれども、またさらに現地をよく調査していただきながら、自治会等の要望をぜひ実現する方向でお願いをしたい。これは要望でありますけれども、局長、どうでしょうか、ご答弁お願いします。
○橋本住宅局長 多摩ニュータウン内には、先ほど参事からご答弁申し上げましたように、さまざまな住戸の型がございます。エレベーター設置につきましては、敷地や構造、それぞれ個別具体的に創意工夫して設置に努めてまいりたい、こう思っております。
なお、具体的な設置につきましては、今後、団地のあり方、ストック活用の方向など、全体的に整合を図りながら進めていく所存でございます。
○小礒委員 それでは、二点目の質問に入らせていただきます。
都内では二十六万六千戸の都営住宅施設の維持管理に対する点を質問させていただきたいと思うわけでありますけれども、住宅供給公社に、管理業務の場合は約一〇〇%委託をされているようであります。
ちなみに、平成十三年度は約三百五十億の委託費が支出をされているというところでありまして、この公社の業務の流れ、仕事の適正化について、住宅局はどのように把握をされ、指導監督をしっかり行っているということでありますけれども、そのあたりを、現状につきましてお示しいただきたいと思います。
○井上管理部長 住宅供給公社の都営住宅管理業務に対します業務のチェックにつきましては、委託契約に基づきまして、業務検査を毎年実施しております。
検査方法につきましても、各業務に精通しました住宅局職員が、公社の本社であるとかあるいは支社に出向きまして、書類の審査であるとか、あるいは公社の管理職及び公社担当者へのヒアリング等により実施しております。また、このほか、必要に応じて現場調査も実施しております。
○小礒委員 実際、この委託に当たって、局は、年間計画を策定して、いわゆる予算措置、計画の立案をしていくわけですよね。その中で、今申し上げました二十六万六千戸という都営住宅の維持管理に当たっている--実際上、当たっているのは公社であるわけでありますけれども、例えば、平成九年から十三年度の間接経費も含めた資料をいただいておりますけれども、九年、十年、とりわけ十一年度は、この公社に対する営繕事業費、間接経費が五十億近くダウンですね。住宅営繕費、環境整備費等々、これにつきまして、ちなみに十一年度はダウンをしている。
そして、本年の十三年度につきましては、対十二年度の委託費が、積算が、今非常に厳しいコスト縮減だとかいろいろいわれている中で、これは数字上アップになっておるんですが、このあたりの経緯はどうなっているんでしょうか。
○井上管理部長 公社への住宅の営繕費の、間接経費も含めました委託費でございますが、委員ご指摘のとおり、平成十年度が約四百五十三億でございましたが、十一年度が四百五億、十二年度が三百十三億と減少してございます。十三年度は、十二年度と比べまして若干増加しておりまして、三百四十九億となってございます。
この減少につきましては、この時点での、平成十一年、十二年時点での社会経済状況及び財政状況等を勘案して減少したものでございます。
○小礒委員 私は、ここで、とりわけ業務管理委託の中で、住宅供給公社に対して約一〇〇%近い委託を行っているということ、そして、現状を把握しているのは実際公社であるということ、その中で、公社側の方から--今、公社の事業会計状況も非常に厳しいという中で、この業務管理委託料というのは占める割合が決して少なくないわけですね。
そういう状況の中から、例えば、その年度の予算要望を局の方に示す、そこで協議を行っていくと。そして、実際に流れとしては、予算措置から計画立案なんでしょうか、そして委託という流れで行くわけでありますけれども、この間の公社から局に向けてのいわゆる要望事項というものは、どのように査定されているのでしょうか。
○井上管理部長 毎年、予算の編成時期になりますと、翌年度の必要な計画修繕の住棟であるとか一般修繕の見積もりであるとか、そういったようなものは、当然供給公社も、供給公社の経験則に基づいてはじき出します。東京都の方も、当局の経験則に基づいて営繕計画を策定いたしまして、それら公社と東京都が、実際には何回か、数回いろいろ協議いたしまして、住宅局の営繕委託費の予算の額を決定しているところでございます。
○小礒委員 いずれにいたしましても、最終的に、局側の方が最終査定をするというのは当然だと思うんですね。
その中で、例えば、この数字上見る中で計画整備を行っていかなきゃいけない。予算状況の中で、年度をまたいでいくということもわからないことはないんですが、しかし、ここで私どもがあえていわせていただきたいのは、例えば、この委託費の今年度の、十三年度でありますけれども、三百五十億になんなんとする維持管理経費が、これから果たしてどう推移をしていくのかなと。
もう一点、公社と局のいわゆる予算査定段階、それから事務執行した中での指導監督、チェックですか、このあたり、実際どうなっているのか。もう一度、指導監督、チェックのあたりをお願いしたいと思います。
○井上管理部長 公社の業務執行に対する指導監督及び業務の執行チェックでございますが、毎月、公社からは、業務執行の状況につきまして定期的な報告を私ども受領しておりまして、その報告に基づきまして必要な検査を行っております。また、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、年一回または二回、何回か公社の方に出向きまして、実際の帳簿書類等をチェックしております。また、日常の業務活動の中で、随時公社の職員等と協議しながら、適切な指導監督を行っているところでございます。
○小礒委員 当然、戸数が大変多くなっていますよね、さっきの数字でありますけれども。そういう中で、現実、出向いてというのは、よるところの、いわゆる工事後ではないかと思うんですが、主に私が聞く範囲内では、書類審査及び担当者からの報告が、やはり現状として多く占めているんじゃないかと思うんですね。
こういう中で、例えば局が予算をつくる、要望が公社から上がってくる、それを委託費として上げる。最終的には、どういうような--いろいろなさまざまな委託項目がありますけれども、ところが、実際上のチェックは、この書類審査。書類提出というんですか、書類を見るだけ。ヒアリングというけれども、報告だけ。これがほとんどなんですね。
例えば、もうちょっといわせていただければ、これだけの維持管理経費、これからますますふえるのではないかという予測もありますけれども、どこでどのように適切に査定が行われ、最終的にどのように局がチェックでき得るのか、作動されているのか。これは、多くの都民もやはり知る必要性があると思うんですね。
その中で、例えばこういうことがありますね。これはちょっとおきますけれども、ほかの部分に入りますけれども、公社の制度の中で協力店制度というのがありますね。それは、一般の二十四時間体制での維持管理をしなきゃいけない、緊急に対応しなきゃいけない、さまざまな業務があるわけでありますけれども、しかし、この中で、確かに公社の制度であるかもしれないけれども、実際上、これに対する予算措置は局が行っているわけですよね。ところが、これに対する局側のチェックというのはほとんどなされていない。
もう一点は、では、これは原状としてどのように仕上がっているか、どのような現状に復旧されているのか。これは、すべて電話だとか書類だと。
なおかつ、私は、現在の景気状況の中で、実は直接な要望を受けたんです。要望というか、お話を聞かせてもらったんですね。それは何かというと、この協力店のさらなる下請なんですね。孫請か下請かよくわからないけれども。その人は切実な思いで訴えていますよ。実際、与えられた、受けた金額なんというのは黒字になってしまうと。
これは具体的な数字はいわないけれども、何割だとか何十%だとかいいませんけれども、しかし、発注する局が公社を通じて、さらに、例えば今の流れでいけば、協力店へ行って、協力店から下請に行って、下請から、またわかりませんけれども、そういう一連の流れで公金が執行されているわけですよね。この点で、公社に全部任せているんだと。今、限定した話にしていますけれども、チェックそのものも、電話かどうかわからぬけれども、書類だとか何かの点で。これでは少しおかしいんじゃないですかね。
○井上管理部長 公社の協力店は、緊急修繕、緊急を要する修繕であるとか、あるいは空き家修繕であるとか、あるいは夜間の修繕であるとか、そういったようなものに迅速に対応するため、供給公社が独自に協力店制度をつくって実施しているものでございます。
委員ご指摘のように、住宅局が公社に委託費として支出しますお金の幾らかは、何%かは、その協力店の方に委託費として公社の方から支払われるものでございます。
住宅局としまして、協力店の実態につきましては、公社からの随時の報告等、あるいは住民からのその都度の要望や苦情等について把握しているところでございます。
現在、供給公社におきましては、その協力店のあり方の検討会を設置いたしまして、検討中であるというふうに聞いております。住宅局としましては、その検討会を通じまして、協力店に対する局の意見をさらに反映しながら、対外的にも透明性のある協力店制度にしていきたいと存じております。
○小礒委員 私、今、一つ協力店の話をいたしましたけれども、しかし、公社側の方が予算要望を局の方に出してくると。これは、協議は当然しているでしょう。しかし、その流れが--いわゆる発注元ですよね、局というのは。公社に行く。先ほど数字が出ましたけれども、十二年から十三年度は、約三十億から四十億近く伸びていますよね。これは、いろいろな理由も当然にしてあるということは理解もしておるわけでありますけれども、しかし、それが公社を通じて、いろいろ通じて行って、局側の方がチェックがほとんどできていない。今、チェックしたというけれども、それは書類だとか何かでしょう。実際問題、できるわけないですよね。局が実際はできるわけがない。しかし、適切に最終的な指導監督をやっていくんだということであるならば、これはやはり検討の余地も当然あるのではないか。
それから、もう一点いわせていただくと、私は、これは担当者の方はなかなか厳しいと思いますよ。厳密にチェックするのは、指導監督するのは。それは当たり前ですよ、世間一般からいえば。発注元の局長が公社の理事をやっていて、それをチェックをするのだって、監事が総務部長だと。さらに、一人を除いて、理事はほとんど天下りじゃないですか。
こういう構図の中で、やはり指摘を受け得る部分があるならば、私は、局と公社とでもっと緊張感をお互いに持って--それから先に行ったら、公社に任せているんだからこっちは知らない、書類が上がってきたら、適切な指導管理していて、チェックはしているんだと。これだけじゃ、ちょっと納得できないんじゃないですかね。局長、どうでしょう。
○橋本住宅局長 ただいまご指摘ございました、まず施設維持管理につきまして、委員ご指摘のように、まず公社が第一義的に責任を持って都営住宅の維持管理業務を適切かつ効率的に執行する、これを私どもは指導しているところでございます。
また、公社の非常勤理事として私が理事になっておりますけれども、これは、公社の経営方針あるいは基本的な事項にかかわる意思決定につきまして、住宅行政主体としての判断を反映させる、こういった必要性から非常勤理事になっている、こういうことでございます。
したがいまして、先ほどの個々の事例、例えば維持修繕が適切に行われていない、あるいは不透明性がある等々の問題につきましては、経営全般、すなわち都営住宅管理におきますサービス水準あるいはコスト削減等の大変重要な課題、こういったものが適切に執行されるように私どもも指導してまいりたい、こう思っているところでございます。
○小礒委員 確かに、経営だとか住宅政策を一定的に担ってもらっている部分に対しては、それはわからないことはない。しかし、これだけ多くの都民の税金から上がった公金に対して--少なくたって、今私がいっている面だけだって三百五十億じゃないですか。
これはやっぱり出している立場の--局長は政策遂行するだけを見るために理事になっているわけじゃないと思いますので、このあたり、シビアになっている、財政状況が厳しいんだ、都財政も厳しいし、公社経営も厳しいんだという中で、果たしてどういうコスト縮減をしているんだという議論だって当然出てくるわけじゃないですか。
そういう中で、いみじくも私は、この最終的というか、完全に業務を遂行した時点に対する、局側の方が先ほどからいっている、チェックだ、指導監督だというお話があるから、であるならば、もう少しそのあたりの点を、局の方もしっかりとやっていただきたい点が実はあるんですよ。きょう、ここに幾つも書いてきたけれども、もういいませんけれども。あとは、委員会が終わったら、この点を要望させていただきたいと思います。
ですから、そういう意味で、少なからざるも、局と公社は、平たくいうと、後で怒られるかもしれないけれども、例えばもたれ合い的な感じの指摘を受けることがないようにぜひしていただきたい、これは強く要望させていただきたいと思います。
もう一点は、住政審からも答申が出されておりますけれども、ミックストコミュニティというやつですね。前はソーシャルミックスというような言葉を使われていたかと思いますけれども、このいわゆるミックストコミュニティについて、ちょっと一、二お聞きをしたいと思います。
都営住宅のリノベーションを推進していく中で、多様な世帯の居住によるミックストコミュニティを実現する必要性、この協調性はわかるところでありますけれども、実際、いかにしてこのミックストコミュニティを実現させていくのか、今、こういうあり方をどのように局内でも検討されているのか、この点についてお聞きしたいと思います。
○小川住宅政策担当部長 ミックストコミュニティは、年齢や職業、所得水準、いろいろな異なる方々が同じ地域でともに交流して暮らせる、そういうまちづくり、地域社会を指しております。
住政審答申にもございますように、都営住宅団地におきましては、建てかえに際しまして、敷地の有効利用を図って、多様な世代が居住できるように計画的に再編整備を図っていくこと、また、若年ファミリーの募集、あるいは先般ご承認をいただきました期限つき使用許可制度、そういったものを活用しつつ、若い世代の入居機会の拡大を図っていくこと、さらに、世帯規模と住戸規模が整合していない場合の住みかえ、そういったいろいろなソフト及びハードの手法を駆使しまして推進をしていきたい、こういったように考えております。
○小礒委員 私は、これは大変結構な一つの立ち上げ、政策だと思うんですね。せんだってのいろいろな議論もありましたけれども、期限つき入居、ファミリー世帯層が入居し住み続けるという、一定期間という話もありますけれども、やはりさまざまな多様な年代層だとか、建物もそうだと思いますが、私は、民間も取り入れた中でも、この施策というものは今後とも進めていくべきじゃないかなと思うんですね。
その中で、平成十一年に、このような質問も当時させていただいているわけでありますが、資料をいただいた中で、その後、余り具体的にこのミックストコミュニティ施策が進ちょくしていないかに私どもは受け取ってしまうのですが、今後、まさにこの政策を具体的にどのように進めていくお考えなのか、そのあたり、もう一度聞かせていただきたい。
○小川住宅政策担当部長 先ほどお答えいたしましたが、これから二十六万戸の公営住宅、都営住宅を再編整備していく中で、例えば、このたび青山の建てかえプロジェクトで導入しておりますような公営住宅と民間住宅の供給を一緒にやっていく、そういった考え方を、今後、都営住宅のこの再編整備の中で膨らませていく。それから、入居の制度改革、こういったものも含めて、管理のあり方を見直し、やはり高齢化しておる現状の中で、若い方々にもお入りいただくという仕組みづくりを進めていきたい、かように考えています。
○小礒委員 これはぜひ進めていただきたいと先ほどいっていますけれども、再編整備、リノベーションのより一層の進ちょくというものは、これは地域にもよるんでしょうけれども、例えば建てかえ時にやるんだというお話もありますね。
しかし、私は、これはいろいろな手法があると思いますので、地域、地域にもさまざまな要因があると思いますので、あり方、方向性、指針というものをもう少し具体性を持ったこの施策をさらに検討していただいて、これを具体的な方向に結びつけられるようにぜひお願いしたいと思います。局長、お願いします。
○橋本住宅局長 活力ある地域社会をつくるためにミックストコミュニティが必要であり、しかも、その手法は多様であるべきではないかという委員のご指摘、そのとおりでございまして、私ども、多様な世代や世帯の居住によるミックストコミュニティは、一つの手法ではなく多様な手法を合わせまして、この重要な課題の実現に向けて適切に取り組んでまいりたい、こう思っております。
○花輪委員 それでは、まず都営住宅の期限つき入居の話について伺いたいと思います。
この前の本会議で、この期限つき入居、とりあえず東京都が独自でお金を出している特定都営住宅の方には適用していくよ、千戸ぐらいはどんどんやっていこうじゃないかという、そういう方向を示して、私たちも都議会で議決をさせていただいたわけです。それは大変いいことだな、ここまでよくやってくださったなという、そのあたりは敬意を表したいと思っております。
そのときに、いろいろな議論があった中で、何で全体に広げられないのか、東京都が独自でやっているものにしかこれが広げていけないのかと、そんなところが議論になったんですが、私も、いまいちよくわからないんですね。公営住宅法がどうとか、国がああいっているから、なかなかできないと。ちょっとそのあたりをひとつご説明をいただければと思います。何で一般、全部に広げられないのか、二十六万戸に。
○野澤参事 今回導入いたしました期限つき入居制度を一般都営住宅に適用するには、その根拠を公営住宅法に明文化することが必要であると考えております。
○花輪委員 まことによくわからない。そこを聞きたかったのですが、どうして公営住宅法に明文化をすることが必要なのか。明文化をされていないにもかかわらず、どうして東京都が独自で財源を出しているものについてはできたのか。そのあたりをもう一度ご答弁いただければと思います。
○野澤参事 公営住宅に定期借家制度を適用することにつきまして、国におきましては、平成十二年二月、衆議院におきまして、公営住宅への適用につきましてはなじまないという一定の見解が出ておりまして、住宅局といたしましても、一般都営住宅に適用するには公営住宅法の改正をお願いしていくということが必要であるというふうに考えております。
今回、期限つき入居を導入いたしました特定都営住宅につきましては、国の補助金を受けておりませんので、都が独自に建設した住宅でありますので、国の見解に拘束されることなく、条例化したものでございます。
○花輪委員 ですから、要は、公営住宅に国がお金を出しているものについては、定期借家権ですか、期限つき入居のことを決めちゃいけないよとうたわれているわけじゃないんですよね。国会の答弁で、いわゆる公営住宅についてはなじまないという答弁があった。別に、お金をだれが出しているから、どういうお金でつくっているからということを縛った上ではなくて、ただ、公営住宅ではなじまないよというふうに答弁をしているわけですよ、国会では。
にもかかわらず、東京都はやったわけですよね。これは、やらなければいけないことだと。今のこの都営住宅というのは、非常に不公平感の象徴のようになっているから、それを何とか解決をしていきたいということでやったわけですよ。
要は、とりあえず、国は余り喜んではいないようだけれども、自分たちの財源でやっているものだったら、余り文句も大きな声ではいわないだろうというレベル。そしてまた、国がお金を出しているものだと、それをやっちゃうと、これから意地悪されたら嫌だなと。
そんなような感じで、要は区別をして、東京都がお金を出したもの、出していないもの、出したものについては、この期限つき入居をやっちゃえばいいじゃないかと、そんなふうに決めたんじゃないですか。いかがでしょうか。
○野澤参事 公営住宅につきましては、国の一定の見解が出ておりますので、東京都といたしましても、公営住宅法の改正がなく、強引に進めることはいかがなものかなというふうに判断をしております。
特定都営住宅につきましては、国の補助金が入っておりませんので、都独自の政策のもとに、今回、期限つき入居制度を導入したところでございます。
○花輪委員 だから、独自だから強引に進めちゃってもいいやという考えでやったわけですね。いいんですよ、それは。
私は、もっとやっちゃえばいいじゃないと。どうせけんかをするんだったら、国という巨大な人のところへ小さな東京都がちちちっと寄っていって、ちくっと針でつついて、後ろに行って逃げていく。あ、怒らないかな、ああ、怒っていない、じゃ、またちくっとやってみようかではなくして、東京都は堂々と、ちっちゃいけんかをするんじゃなくて、大きなけんかを--多分、これは世論がついてくると思うんですね。世論がついてくると思うんです。
ですから、これは、ぜひ国に積極的に働きかけるのと同時に、私は、働きかけるだけではなくして、もう導入しちゃってもいいんじゃないのかな、そんなふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○野澤参事 東京都といたしましては、国の一定の見解が出ていることから、今後とも、公営住宅法の改正を国に粘り強く要請していきたいというふうに考えております。
○花輪委員 きょうはそこまでしか答弁が出ないようですが、私たちも、とにかくこの件については応援をしていきますので、どんどんとやっていただければと思います。
次に、都営住宅の収入超過のことについてお尋ねをしたいと思います。
その前に、今、都営住宅の倍率というのは大体どのくらいあるのでしょうか、毎回の募集で。
○井上管理部長 今年の五月に実施いたしました都営住宅の募集における平均応募倍率は、新築が七一・六倍、空き家が一九・五倍、こういうふうになっております。
○花輪委員 大変な倍率があるわけですね。入りたい人、本当に困っている人たちがなかなか入れないような状況があるわけです。
その中で、今、要は収入超過ですか、基準よりも上回っている方々の割合というのはどのくらいなんですか。
○井上管理部長 平成十三年の三月三十一日現在で、収入超過者は三万八千九百三十一人おりまして、居住世帯の全体に占める割合は約一六%となっております。
○花輪委員 その届け出ている収入が正しいか正しくないかというような議論がありますが、表向きになっている数字だけでも一六%あるわけです。これは、私は大変少なくない数字ではないかなと。
待っている方がいるわけですね。七十倍、八十倍という倍率で、本当に入りたいという人が待っていて、だけども、もう収入の基準をオーバーしている人がまだ住んでいるという実態があるわけです。
この方々に、できれば出ていっていただかないと、後の方々が入れないわけですが、どんなことをやって、皆さんにいわゆる退去をしていただく、そういう努力をされているのでしょうか。
○井上管理部長 収入超過者に対しましては、政令の基準によって上乗せいたしました使用料を徴収するとともに、あわせまして、明け渡し努力義務がご本人たちにございますので、そういうことの注意喚起の文書通告をしております。
さらにまた、自力の明け渡しを容易にするよう、公社、公団及び都民住宅のあっせんであるとか、住宅建設資金の融資あっせんを行っております。
なお、過去四年間の平均でいきますと、公的住宅のあっせんが年間百件程度、建設資金の融資あっせんは年間五十件程度という実績となっております。
○花輪委員 二十六万戸のうちの一六%の方々が収入超過で、一生懸命皆さんが手紙を出したり、努力をされて、出ていく方々が過去百とか百五十という、非常に寂しい数字だったわけです。今、こういう方々にも、何とかなるべく出ていってもらいやすいということで、先ほどの定期借家権の話なんかが出てきているわけです。
ちょっとお尋ねをしたいんですけれども、局長、入れずに困っている方々と、収入がある一定以上なんだけれども、努力義務は、義務ではなくして出なくていいんだよというふうにいって出ない方々、どっちが大切というか、行政で守らなければいけない人なのでしょうか。
○橋本住宅局長 なかなか難しい問題でございます。都営住宅にお入りになって、仮に収入がふえます。それは、たまたま景気がよくて収入がふえたかもしれません。そして、収入超過者になってしまった。その方が、来年あるいは今後定年を迎え、あるいは景気によってリストラという状況でございます。そういうことを考えますと、一概に収入超過者だからといって、これは不当であるとはいえない。
しかしながら、多くの方が応募を待っておられる。これも大変重要な事実だ、こういうふうに認識しておりまして、この収入超過者に対して、先ほど、立ち退き数は確かに少のうございましたが、現実に移転していただく方は少のうございましたが、これは、あっせんする数を相当用意しまして、さらに督励して、この公平な利用、あるいは都民共通の財産である都営住宅が本当に都民の共通のものとなるよう、一層努力したいと思います。
○花輪委員 どちらにも顔を立てるようなご発言でございまして、努力をしていただきたいんですけれども、今、この使用承継というんですか、世代がかわるとか、だんなさんが亡くなっちゃうとか、ご両親が亡くなってお子さんに引き継ぐとか、こういう件数というのは実際何件ぐらいあるのでしょうか。
○井上管理部長 都営住宅の使用承継の件数でございますが、大体、年平均四千件ぐらいでございます。
○花輪委員 この使用承継というのもいろいろと問題になっていて、また不公平感の一つの原因にもなっているわけですが、例えば収入超過の方の使用承継、これは認めているんですか。
○井上管理部長 現行では、原則として、高額所得者でない限り、収入超過者についても使用承継を認めております。
○花輪委員 まさに、この基準をオーバーしていても使用承継を認めてしまっているというこの現実。本当に困って、入りたいなあと思っている人たちが入れないわけですよね。中には、この努力義務というものを、義務があるにもかかわらず、出なくてもいいんだというふうにいって歩いている方々もいるという話も聞くわけです。
今、この日本の、特に都営住宅の場合は、何か高級車を乗り回している人が都営住宅に入っているんじゃないかとか、相続で家があるにもかかわらず都営住宅に入っているんじゃないかとか、いろいろな、いわゆる不公平感の象徴になっているわけですよね。納税をしたくないな、自分たちの税金が、自分はアパートに住んで、都営住宅を申し込んでもなかなか当たらないのに、何かあの人たち、車を乗り回して、家を持って、ずるいんじゃないか、そういう象徴になってきているわけです。まさに戦後の日本のあいまいな部分とか、既得権とか、自立心を失わせる行政依存心とか、そしてまた、義務というものを義務と読まずに権利ばかりを主張するという、その戦後の日本の象徴のような存在になってきているわけですね。私、非常に悲しいなと。
都営住宅というのは、本当はセーフティーネットで、本当に困っている人が困ったときに入れる、そういう住宅にしていかなければいけないのに--そして、数も二十六万戸という、東京都全体の家の中で五%は都営住宅なんですね。全部で五百二十万、東京都には家があります。そのうちの五%が都営住宅。これは決して少ない数字じゃないですよ。にもかかわらず、入れない。私は、そこに、今の日本の不公平感の塊があるんじゃないかなと。
ですから、先ほどの定期借家権の話にしても、私はどんどんやってほしいと思いますし、そしてもう一つ、その手だての一つとして、地方分権のこの流れの中で、ぜひ地方自治体、区とか市とか、そういうところにこの都営住宅も移管を進めていってほしいと思うんですね。そうすれば、大家さんがそばにいるわけですから、福祉という意味では身近になりますし、それと同時に、各地域の行政が、福祉のことで、さまざまなことでこの都営住宅に訪問したとき、今のこの使用実態とその違いですとか、収入の違いですとか、そういうものがどんどん明らかになってくると思うんですね。それと同時に、おたくはもう収入超過だから出てくださいよという話もできると思うわけです。
この公営住宅、都営住宅の各地方というか、区市町村へですか、区への移管、そういうものの今の現状をご答弁いただければと思います。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 区移管でございますが、東京のそれぞれの地域におけるまちづくりと連動した住宅施策、それと地域福祉サービスとの連携が必要でございます。
したがいまして、こうした社会的ニーズにこたえるために、都における公営住宅につきまして、都営住宅に占める割合が他の大都市と比して非常に多うございますので、これを区へ移管するということを進めてございます。
○花輪委員 普通の県なんかに行くと、半分ぐらい、また半分以上が市営住宅で、県営住宅の割合は結構低いという話を聞きます。地方分権の時代の流れ、財源もつけて渡していくのが私は当然だと思いますけれども、まず、この移管、これまで、どういう計画で大体何戸ぐらい進んだのでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 昭和六十一年度から平成十三年八月までの移管実績でございますが、二十区、百九十三団地、六千六百九十八戸移管してございます。
○花輪委員 昭和六十年代から続けて、六千五百戸が移管をされたということです。相手がある中で、いろいろと交渉しなければいけない。そのご苦労は私も感じるわけでありますが、この都営住宅の各区への移管、市への移管、当然、向こうは余り喜ぶことではないんですね。これは、仕事がふえるとか面倒くさいとか、いろいろあるかもしれません。
しかし、地方分権の流れの中で、大家さんがそばにいる、私は、これは住む者にとっては便利なことだと思いますし、福祉の問題にしても、先ほどの収入超過とか都営住宅の公正な利用、運用、こういうものにとってもメリットは大きいものじゃないかな、そんなふうにも思っているわけです。
今、十数年間で六千五百戸というお話を聞きましたが、今後はどういうご計画をお持ちなのでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 平成十三年三月に策定いたしました都営住宅特別区移管推進計画では、平成十三年度から平成二十二年度までの十年間で二万戸の移管を予定してございます。
○花輪委員 ということで、これから十年間で二万戸というご計画ですが、これまでも、十数年かけて六千五百戸しかできなかったわけですよね。ぜひとも、この二万戸はしっかりと達成をしていただきたいと思います。
今までどおりの進め方でも、恐らくこの二万戸はなかなか難しいと思うんですよ、相手のあることですから。ですから、ぜひ頑張ってほしいと思うんですが、この二万戸を達成するために、今までと違った何か方策、お考えがあれば、それをお聞かせいただきたいと思います。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 平成十二年三月の都区制度改革実施大綱によりまして、公営住宅の設置管理に関する都と区の役割分担が明確にされました。都は、この内容を実現するため、本年三月に、先ほど申しました移管推進計画を策定し、この計画について、各区と精力的な協議を行って移管に努めているところでございます。
また、建てかえ時期にあります都営住宅の移管を受けた区が、地域のまちづくりや福祉施策と連携し、地域の実情を踏まえた区営住宅に建てかえを行うことができるように、居住者の移転までを都が行い、空き家になった住宅を区に移管するという、建替時都営住宅区移管制度を昨年十一月に創設いたしました。これを十分に活用しながら、古い都営住宅についても移管を促進していく、このような形になっております。
○花輪委員 ぜひ頑張って実現をしていただければと思います。
都営住宅全般のことを、きょうちょっとお伺いしてきたわけですが、最後にお伺いいたします。
先ほど、私、使用承継の話をいたしました。使用承継するときに、収入超過でも認めてしまうという、まさに信じられないような話だと思うんですね。多分、これは都民の皆さんが聞いたらびっくりしますよ。待っている人が聞いたらびっくりしますよ。私は何回申し込んでも入れないのに、私よりも収入が多い方々が、その基準をオーバーしている方々が世代を継いで引き継いでいくと、三代にもわたって。そんなの認められないと思うんですね、私。
ぜひこれは見直しをしていただきたいと思いますが、最後に局長、いかがでしょうか。
○橋本住宅局長 都営住宅の都民共通の財産という観点から、私どもは、その管理、使用、あるいは入居等々にかかわる諸制度につきまして改革を進めていくということで、ことし五月に答申をいただきました。
まさに都民のための改革、都民のための都営住宅、こういったことを進めるために、先ほどお話がございました使用承継等々、さまざまな方法を駆使して、この目的に向かって改革を進めてまいります。
○花輪委員 使用承継を見直すということでいいんですね。
○井上管理部長 ただいま局長がご答弁申し上げましたとおり、見直してまいります。
○花輪委員 次に、公社のことについて、少しお尋ねをしていきたいと思います。
この住宅供給公社、都営住宅は福祉の目的という感が非常にわかるんですが、何のために分譲、賃貸をやってきたのでしょうか。
○青木開発調整部長 東京都住宅供給公社は、地方住宅供給公社法に基づいて設立された特別法人でございます。国や都の住宅政策の一翼を担いまして、主といたしまして中堅所得者向けに良質な住宅を供給するという目的で設立されたものでございます。
したがいまして、積立分譲住宅や一般分譲住宅、及び、先ほど申し上げました中堅所得層向けの賃貸住宅の事業を展開しているところでございます。
○花輪委員 分譲で二万四千戸ぐらいですか、また、賃貸でも六万二千戸程度やってきたということですが、確かに、民間のいわゆる開発業者、ディベロッパーがまだまだ未熟だったときに、公、行政が住宅供給をすることで、日本の国の、特に公社の場合は東京都の居住水準、こういうものを上げてきたという、そういうところは非常に功績は大だなと評価をさせていただきたいと思います。
ですが、今、この分譲も賃貸も、特に、分譲は新しいものは分譲しない、賃貸についても新しいものは建てないという、そんなお話をお伺いしますが、これは、どうしてもうつくらないのでしょうか。
○青木開発調整部長 公社設立当時に比べますと、世帯数よりも住宅数が上回っているなど、社会経済情勢が大きく変化をしてございます。
したがいまして、今後の事業展開におきましては、公社の賃貸ストックの維持更新に主力を移していきたいということでございますので、全然事業を行わないということではないというふうにご理解いただきたいと思います。
○花輪委員 ということは、分譲と、あと新しい賃貸物件を建てるということでは、その役割は終わったということでいいんですか。
○青木開発調整部長 現時点では、まだまだ中堅所得層向けの比較的アフォーダブルと申しますか、安価な賃貸住宅が民間に十分に供給されているというような状況にございません。
そういうことでは、供給公社が、今まで持っております六万一千戸のストックを有効に活用していく中で、そのような役割を果たしていくという機能は十分持ち合わせていく必要があろうかと思っております。
○花輪委員 これからも新しいものはつくらないと。六万一千戸ですか、それをストックとして活用していくというお話でした。分譲はもうやらないということですね。
先ほどもちょっと触れたんですけれども、今、公がやる住宅ということで、公と、いわゆる民間の見直しをしていかなければいけない時代になっているんじゃないかな、そんなふうに思います。
昔、要は民間のディベロッパーがまだまだ未熟だったころには、住宅供給公社が住宅をつくって、賃貸住宅、分譲住宅をつくって、そして、それを提供する。また、当時は住宅にも困窮しておりましたから、喜ばれて、どんどんそれは広がっていったわけですね。一定の役割もあったわけです。ところが、今は、もう既に民間は、自分たちの力で住宅を供給する、また賃貸住宅を供給する、そういう力がついてきているわけです。
ちょうどそんなときに、分譲事業からも撤退、新しい賃貸物件ももうつくらない、今のストックの維持、そしてまた、先ほどちょっとお話がありました、都営住宅の管理をしていく。残ったものどれをとってみても、もう民間でそろそろできる仕事ばかりじゃないかな、公があえてやっている必要があるのかな、そんなふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
○阿部連絡調整担当部長 現在、公社は、より一層の経営改善を進めていく中で、経営基盤の安定を図り、自主、自立的経営の確立を目指しているところでございまして、東京都といたしましても、その方向に向けた指導を行っているところでございます。そういった中で、まだまだ公社の役割はあるというふうに認識しております。
○花輪委員 東京都としては、自主、自立に向けて頑張っているところです、そういった意味では公社の役割はあると思っていますと、全然よくわからない答弁なんですが、今、国でいえば、石原行革大臣を中心に、特殊法人の民営化または廃止ということが進んできているわけです。各省庁とも、なかなかそれには抵抗されている方々も多いようですが、東京都もそろそろ、特にこの公社、役割がほぼ終わってしまったというようなこの公社、廃止、民営化を一番やりやすい物件ではないかなと、そんなふうに私は思っているわけです。
そしてまた、先ほど小礒さんからも、天下りの方々がたくさん行っているという話もありましたね。そういうところでいえば、役所と公社との間の緊張感、こういうものも、お互いに持ちつ持たれつという中で、なかなか生まれにくいというような、そういう状況もあると思うんです。
ですから、この自主、自立という方向を目指しているとおっしゃいましたが、民営化または廃止ができない理由か何かというのはありますかね。
○阿部連絡調整担当部長 民営化についてでございますが、公社の事業推進に当たりまして、現在受けております住宅金融公庫や税法上の優遇措置が、民営化によりまして受けられなくなる可能性がありまして、コストの負担が増大するということが考えられます。また、現行の地方住宅供給公社法では、公社の解散事由が限定されておりまして、解散による民営化は制度上できないということになっております。
このように、公社の民営化につきましては、さまざまな制度的、法的な課題があるというふうに認識しておりまして、以上のようなことから、将来の検討課題であるというふうに認識しております。
○花輪委員 検討しているんですか。
○阿部連絡調整担当部長 今ご答弁申しましたように、現時点では、自主、自立の経営の確立を目指して公社は進んでおりまして、将来の検討課題というふうに考えております。
○花輪委員 公庫がどうのといっていましたけれども、公庫だって、もうすぐなくなるという話ですよね。そしてまた、税法上、これも税の優遇ですから、もともと東京都に入ってくるもの、国に入るものが、入らないだけの話ですから、ぐるっと回れば同じことです。公庫の話も、いわゆる特殊法人ですから、郵便局の貯金から流れていく。同じことですね、国民、都民のお金という意味でいえば。
ですから、皆さんのお話を聞いていても、この民営化とか廃止ができない説得力のある理由とは全く思えないわけです。
ですから、ぜひその方向に向かって進んでいってほしいなというふうに思うわけですが、局長、今、国の方では、特殊法人の改革、民営化、廃止大前提という流れで物事が動いておりますが、これをごらんになられて、公務員の一人として何かお考えがあれば、お聞かせをいただければと思います。
○橋本住宅局長 民営化でございますけれども、私どもの事業運営は、都民の福祉向上、あるいは税金を最も効率的に使う、こういう見地から検討すべきでありまして、当然のことながら、公社に限らず事業運営全般について、本来そういう考えで検討すべきでありますし、また、私どもも、そういう勉強は常日ごろしております。知事も非常に厳しく、そういった点では指摘しているところでございます。
したがいまして、私ども、この公社につきましても、どういう形態がいいのか--それは、ただ形態が目的じゃございません。サービスを受ける都民、そして税金を払う都民、そういった立場から、最適なサービス、そして効率的な運営、そういった事業形態を目指していきたい、こう考えております。
○花輪委員 前向きなご答弁だったと思います、検討課題の一つとして認識をされているということで。
今局長が、都民に対するサービス、また、納税者である都民に対するというお言葉がありました。
あともう一つ、公がやる会社が民業を圧迫しているというのも事実なんですね。例えば、この公社だけでも、先ほど伺った都営住宅の管理だって、民間にやってもらえば、できないこともないでしょう。これを三百五十億。ほかの賃貸住宅でも三百五十億ぐらい。七百とか八百という話を聞きます。そういう金額は、ディベロッパーとして見れば、大きな企業の一年間の売り上げと同じぐらい、また、それ以上の場合もありますね。まさに民業圧迫の一つでもあるわけです。
ですから、都民サービス、また納税者に対する責任、そしてまた、いわゆる資本主義経済の中で生きていく、その経済を担う公務員の一人として、ぜひ積極的に、前向きに検討をしていただければと思います。
以上で質問を終わります。
○前島委員 資料をいただきました大規模団地の建てかえ事業のことに関してお伺いをいたします。
主要な大規模団地一覧表をいただきましたけれども、区部、そして多摩方面を含めまして、このようにお示しをいただいたわけでありますけれども、この進ちょく状況はどういうふうになっているのか。
○小林建設部長 一覧表に記載の昭和三十年代に建設されました大規模団地二十六団地につきましては、現在事業中のものは、桐ヶ丘団地、村山団地など十二団地でございます。
残りの十四団地につきましても、今後、具体的な計画を作成いたしまして、地元区とも協議の上、順次建てかえを進めてまいります。
○前島委員 今、十二団地が現在事業中、また、もう既に終わったというふうな報告がありまして、残り十四団地を今後具体的に進めていくわけでありますけれども、これはなかなか、いうはやすく、行うはがたしということで、大変な課題もあると思いますけれども、これから進めていくのに、具体的にはどういう課題があるのでしょうか。
○小林建設部長 大規模団地の建てかえ事業推進の上での課題といたしましては、事業規模が大きいことから、事業に長期間を要すること、あるいは移転先住宅を数多く確保する必要があること、また、計画に関する地元自治体との協議や、一団地の住宅施設の都市計画変更手続を要することなどでございます。
○前島委員 いろいろな課題はあると思いますけれども、しかし、建てかえをすると、こういうふうな効果があったという、今日まで推進をされてきた中で、具体的にその建てかえの一つの波及効果、そういうようなものをお示しいただきたい。
○小林建設部長 大規模団地の建てかえにつきましては、地域の住宅まちづくりを一層推進する観点から、地域の福祉計画やまちづくり計画との連携を図りながら進めております。
建てかえ後の具体的効果といたしましては、敷地の有効利用によりまして、地元自治体との連携による福祉施設の整備、あるいは防災まちづくりなどに寄与していること、あるいは、住宅のバリアフリー化などによりまして居住環境が向上することなどでございます。
今後は、民間活力の導入などにも取り組みまして、民間住宅の供給あるいは地域の活性化などを図ってまいります。
○前島委員 このように、建てかえの効果というのは、その団地の建てかえだけの、要するに住宅環境の変化だけではなくて、地域への波及効果というものがやはりかなりあるというふうに私は考えております。
先ほどお答えをいただきましたけれども、その建てかえに際して課題の一つのテーマとして、移転先の住宅確保。特に、こうした示された資料にありますような大型団地、大規模団地等につきましては、建てかえてからの年数が非常に長くなっておりまして、特に高齢化が進んでおります。ですから、若い人のように、どこか少しぐらい遠いところへ移転をして、また戻ってこられるとか、そういうような対応が非常に難しいというふうに思っているわけであります。
したがいまして、この移転先の住宅の確保という問題をどのように考えていかれるのか。
○小林建設部長 移転先の住宅につきましては、できるだけ近い場所に確保するように心がけておりますけれども、確保できない場合には、多少離れたところにもなるケースがございます。
○前島委員 これは、できるだけ近いところを選ぶといっても、なかなか--種地となるような住宅をつくっていきながら、いわばローリング的にしていかなければならないというふうに思っています。
恐縮ですけれども、地元の、例えば江戸川区の中でも、ここの資料の中に江戸川二丁目団地、それから東篠崎団地という大きな二つの団地がありますけれども、残念ながら、現段階におきましては建てかえの事業が始まっていないわけであります。移転先等の問題もありますけれども、両団地の今後の見通しについてちょっとご意見を……。
○小林建設部長 両団地の、江戸川二丁目団地と東篠崎団地の今後の見通しでございますが、二つの団地とも、移転先住宅の確保が現在まだできていない状況でございます。
江戸川二丁目団地につきましては、団地の中央に区立の公園がございますので、そこに最初に移転先の住宅として建てることができないか、区の方と現在協議をしているところでございます。その話が固まれば、この団地については事業が動いていく可能性があるというふうに考えております。
○前島委員 こういうふうに工夫をすれば--従前でありましたら、その団地の中にある例えば公園等は、その団地のロケーションとしての考え方が非常に強かったわけでありますけれども、今お答えにもありましたとおり、その団地の中に団地の敷地の三分の一ぐらいの大きな公園があるわけでありますので、これを、例えば地元区なんかとよく話し合いながら、団地の中に公園をそのまま存続させるのではなくて、地域との融合性というか、使いやすさというものを考えていけば、例えば、その団地が、建てかえによって、今度は一時的な防災のための拠点にもなり得るというような有効的な効果があると思っています。
こういう点、まだまだこれから、残ったあと十四団地についてあるわけでありますけれども、大変な都財政の中でありますけれども、長い間の計画、そしてお待ちになっていらっしゃる団地の方々もおりますので、最後に、この大規模団地建てかえに対する局長のお考えを一言お聞きします。
○橋本住宅局長 ただいま建設部長より答弁申し上げましたとおり、大規模団地も老朽化して、しかもバリアフリー等の未設置状況、こういった状況でございます。
先生の方からご指摘ございましたように、財政等の事情もございますけれども、私どもは、大規模団地をまさに地域のために、先ほど来ご答弁申し上げましたとおり、都営住宅敷地が広く都民のために活用できるような観点を含めまして、また具体的には、先ほどの公園の活用等、地元の区と協議しながら、しっかり進めてまいります。
○大山委員 私は、マンションの問題と、あと高齢者の住宅の確保ということで質問をしたいというふうに思っています。
まず、マンションの問題なんですけれども、マンションというのは今かなりふえてきていまして、まちづくりという点からも、それから、まちの景観をつくるという点からも、重要な社会的な位置づけがあるというふうに思っています。
維持管理をきちんとやらないとスラム化する危険性もあるということでは、今度、国がマンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づく指針を公表したわけですし、それから、東京都は、五月に住政審答申を出したその中で、重点的に展開すべき施策の方向ということでも分譲マンション対策の推進を位置づけてきたというふうに進んできているんじゃないかなと思っているんです。
そんな中でも、私たちのところにも、マンションの相談というのはいろいろと来るわけなんですね。例えば、先日は、築十年のところの六十六戸のワンルームマンションを一つ区分所有している人が、突然、管理会社が区分所有者を集めて、この間の九年間の管理費や積立金の決算報告をしてきたと。このままいくと、どうも管理会社のいいようにされてしまいそうなので管理組合をつくるにはどうしたらいいのかとかという問題からいろいろと、維持管理問題というのは、やはり何かないと、なかなか住民の人たちにも自覚にならないということも一つあるというふうに思っています。
まずは、実態を把握するということが非常に重要だというふうにいわれているわけですけれども、資料で出していただいた分譲マンション実態調査実施状況ですけれども、十年度からやっているわけですが、十三年度を入れても九区三市ということで、このなかなか進まない理由というのはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 分譲マンション実態調査についてでございますが、先生がおっしゃるとおり、現在、調査中も含めまして、十二の区市で実施しております。
分譲マンション実態調査につきましては、区市町村が、その実情に応じて、その時期を定めて決定し、実施しているということでございます。
○大山委員 実情に応じて時期を定めているということなんですけれども、この間、かなりマンションがふえてきているということが一つありますし、それから、横浜市がすべての分譲マンションの台帳をつくってデータベース化するというお話は何回かしているんですけれども、先日、横浜市に聞き取りにも行ってきました。これがなかなか綿密な調査をやっていまして、詳細地図からマンションを拾って、それが分譲なのか、分譲でないのかということから調べて、全部調査するんだということなんですね。それをデータベース化すると。
この調査をやって、やはりいろいろなことがわかるんですけれども、例えば管理組合もないマンションが結構多いということがわかったとか、そんなことも含めて、まずはマンション対策の基本になるんだということなんです。
江東区なんかですと、調査票を渡して、返信が来なかったところこそ問題を抱えているだろうということで、返信されなかったところを歩いて調査するという状況になっているんです。
江東区だとか、今、横浜市、例を挙げましたけれども、こういう調査こそ、分譲マンションすべてをきちんと把握するという調査が必要だというふうに思いますけれども、どうですか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 分譲マンションの実態調査につきましては、早期に調査を進めることが望ましいということはいえると思いますが、先ほど申し上げましたように、区市町村の地域実情とか、そういうような形の中で、これは一定程度着実に進んでいる、このように考えてございます。
○大山委員 早期に調査することは必要なんだということなんですけれども、今聞いたのは、すべてのマンションを把握することが必要なんじゃないですかということを伺ったわけです。
マンションの問題で、結構新聞なんかにも載っていますし、それから、この間、ディスポーザーがついていて下水が詰まったとか、そんな大きな問題だとか、小さな問題とかも含めて、かなりあるという状況なんです。
ですから、やはり早期に調査することが必要なんだという立場に東京都が立っているんだったら、例えば、じゃ区市町村に提起して、三年間で頑張って調べましょうよ、それまでというか、東京都も本腰入れますから一緒にやりましょうよという、協議して期限を決めて調査するぐらいの構えを東京都が示すこと、これがやはり一歩前に進めるかぎじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 都といたしましては、平成十一年度から補助制度を創設いたしまして、区市町村のマンション実態調査に対する補助制度を確立いたしまして、現在、支援をしているところでございます。
今後も、東京都の分譲マンション施策推進行政連絡会というのがございますので、これを十分活用いたしまして、区市町村に早期に実施するように働きかけはやってまいりたい、このように考えております。
○大山委員 その行政連絡会というのがあるということなので、ぜひそういうところで、実態把握がきちんと早くできるためにはどうしたらいいんだろうかということを、東京都からきちんと提案もしていただきたいというふうに思っています。
もう一つは、相談体制のことなんですけれども、ことしの決算、ことしの決算のというのは十一年度の決算委員会の住宅局の質疑でも、うちの古館議員が相談活動について質問しているわけですね。そのときも、飯田橋の不動産相談室では、分譲マンションの維持管理などについての相談がふえているということ、それから、それに見合うような相談員が少ないということと、弁護士さんや一級建築士などの専門家の配置も少なくて、弁護士の相談など、二十分刻みでしか対応できないという実態、それから、電話回線が一本ということですから、かけても出てもらえなかったという件数もかなりあるんじゃないかということも予測されるわけですね。
そんな中で、専門的な知識を必要とするところが、やはりマンションの維持管理だと思うんですよね。大規模だし、集団的な管理が必要だし、それから、施設はかなり専門的な知識も必要だということですから、そんな意味もあって、住政審の答申には、マンションの適切な維持管理に向けて、分譲マンションの総合的な相談体制等の充実を図る必要があるというふうにいっているんだと思うんですね。
この答申をきちんと実現させるという立場に立つのだったら、区市町村に任せるんだというようなそんな態度じゃなくて、きちんと東京都で飯田橋の相談を、例えば弁護士さんの来る回数をふやすとか、一級建築士さんの数をふやすとか、それから、飯田橋だけじゃなくてほかの、多摩の地域も含めて二カ所、三カ所とふやして、東京都自身がきちんと相談の蓄積をしていく。それが今求められているんじゃないかなというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 現在東京都におきましては、分譲マンションの維持管理にかかわる相談を実施してございます。しかし、相談は、管理組合等の住民に身近な地元自治体である区市町村が行うことが基本であるというふうに考えてございます。
東京都は、関係団体との総合調整、あるいは相談員連絡会、この運用を通じまして、区市町村を側面から支援してまいりたいと考えております。
○大山委員 東京都が指導するといっても、自分のところでノウハウを持っている、それからノウハウを蓄積して、実践を蓄積していないところから指導されるというのは、やっぱり区市町村だって、そんなのは不服だし、それから、区市町村に来た相談が、区市町村では手に負えなくて飯田橋の方に回ってくるというケースもあるわけですよね。
ですから、今の区市町村の相談のレベルアップを全体的にする上でも、きちんと一緒に、東京都もノウハウを持って蓄積をしながらやっていく。それがやはり対等な立場での支援ということだと思いますけれども、重ねて聞きますが、どうですか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 先ほども申し上げましたけれども、私ども東京都では、飯田橋の不動産相談室におきまして、弁護士あるいは一級建築士、この特別相談といいますか、専門的な領域にわたります相談業務をやって、一定の成績を得てございます。現在、そういうことで、東京都はその部分について施行しているわけでございます。
先ほど申しましたように、基本的なことでしたらば、相談的な、一般相談については、住民に身近な区市町村が実施することが基本的なスタンス、このように考えております。
○大山委員 意見としては、きちんと東京都も、より充実して、マンションの戸数が今激増している状況になっているわけですし--首都圏の分譲マンション、高層住宅全調査一九九九年版というのがあるんですけれども、供給戸数が東京都は激増しているんですよね。前年度比で二六・八%もふえているわけですね。ですから、そのふえ方というのはまだまだこれからもうちょっと続くと思いますし、それから、管理問題というのは、このふえた中でどうするのか、販売会社が販売する時点からきちんとチェックするということも含めて、やはり飯田橋の今の体制も強化するということを含めて要望をしておきたいというふうに思っています。
マンションの問題にかかわって今問題になっているというか、非常に都民が不安になっているというのが、住宅金融公庫の廃止案を特殊法人改革の焦点の一つにしているということなんですね。
住宅金融公庫のローンの特徴というのは、もう皆さんご承知のとおり、長期で固定で低金利で住宅ローンが組めるということなんですね。契約者は、この三年間を見ても、年間で五十万戸です。その内訳というのが、年収八百万円までの世帯のうちの八割が利用しているということなんです。さっきの首都圏高層住宅全調査によりますと、分譲マンション購入者の世帯主の年代は、三十代、四十代で六八%を占めています。東京では、その購入者の六八・二%が会社員、それから、一〇・四%が公務員なんですね。年収が八百万までの世帯が約六五%を占めています。ということは、住宅金融公庫を利用する所得層がマンション購入層で多いということなんですね。
こういうふうに、都民がマンションを購入する場合に、住宅金融公庫が大きな役割を果たしているというふうに思いますけれども、どうですか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 住宅金融公庫につきましては、長期、固定、低利、この住宅資金を安定供給することによりまして、良質な分譲マンション購入に一定の役割を果たしてきた、このように認識してございます。
○大山委員 役割を果たしてきたということ。したなんて過去形じゃなくて、しているわけですね。
それで、不況が長引いている中で、ローンが銀行にとってかわった場合、公庫が実施している、リストラだとか賃金カットでの返済困難者への救済措置が今あるわけですけれども、これが継続されるのかということも大いに危ぶまれることですし、住宅金融公庫の資料を見ますと、住宅ローンを六カ月以上滞納している人が三年間で二倍になっているということなんですね。これは、やはり今のずっと長引く不況の中でリストラが激しくなって、マンション購入層の中心であります会社員の生活が不安定になっているということだと思うんです。それで、可処分所得に占めるローンの負担の割合が過去最高になっているというふうに統計ではあらわれているんですね。
さらに、マンションの維持管理ということでは、長寿命化は今大きな課題だと思いますけれども、その長寿命化には欠かせない大規模修繕、これは東京都の制度でマンション改良工事助成というのがあるわけですね。これは、公庫の融資に利子補給をするものです。
事業概要に実績が出ています。それを見ますと、十年度、十一年度は、予算が三千戸あったんですけれども、その三千戸の予算を超える実績を出していると。十二年度は、この実績を踏まえたんだと思いますけれども、予算を三千戸から四千戸に、増額しているというほどですから、非常に人気があるというふうにいえると思います。
これは東京都の制度なんですけれども、公庫の融資が前提になるわけですね。住宅金融公庫自体がなくなったら、制度の存続にかかわる。これだけ多くの都民の方が利用しているものが、存続が危ぶまれるというふうに思うんですけれども、どうですか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 マンション改良工事の助成は、公庫のマンション共用部分リフォームローンの活用を条件としてございます。
公庫の存廃につきましては、国で現在検討しているところでございますので、今後も国の動向を見守ってまいります。
○大山委員 国の動向を見るということなんですけれども、制度の根本が崩れてしまうということにほかならないわけですね。銀行のリフォームローンもあるじゃないかというふうにいうかもしれませんけれども、それは縮小だとか廃止。それから、信用金庫なんかでリフォームローンなんかも始まりましたけれども、やはり今の超低金利の時代だからこそできることだというふうに思っています。
加えていいますと、ペイオフ対策ということで、マンションの適正な修繕資金の積み立てと適切な保管を目的にして、管理組合を対象に、住宅金融公庫でマンション修繕債券積立制度というのが、公庫が無償で保管してくれるシステムになっているわけですね。この債券は、来年四月から解禁されるペイオフ対策から除外されるために、修繕資金の安全な保管対策の一つとして人気があるわけですね。この行方も、どうなってしまうのかというふうに心配をされているわけです。
管理組合が大きい、今、超高層大規模マンションというのが大変ふえていますから、それこそ億を超える修繕積立金というのがあるわけですね。これをどうするのかというのは、非常に大きな問題だというふうに思っています。
住宅金融公庫の廃止案というのは、るる述べてきましたけれども、さまざまな問題があるということを指摘しなければならないというふうに思います。例えば、環境破壊の水資源公団だとか石油公団だとか、むだな特殊法人は廃止することは必要だというふうに思っていますけれども、これだけ都民に役立っているわけですから、都としても、国民、都民にとってなくてはならない住宅金融公庫を廃止しないように、国にはっきりと要望を出すということがこの時点でやはり求められているんじゃないかというふうに思いますが、どうですか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 国におきます特殊法人改革の一環として住宅金融公庫が取り上げられているということについては、当然承知してございます。
先ほども申し上げましたように、現在、国で鋭意その検討をしている最中でございますので、これについては、今後も国の動向を見守ってまいりたい、このように考えてございます。
○大山委員 国の動向を見るということですけれども、今、実際にその廃止問題が論議されているというか、話題になっている中で、やはり多くの都民が心配している。それで、国の動向を見て、決まっちゃってからではもう遅いわけですから、やはりきちんと東京都として国に物をいうということが必要だと思っています。
マンション問題はこれぐらいにいたしまして、次は、高齢者の住宅の確保について質問したいというふうに思っています。
この間の定例会で、高齢者の居住の安定確保に関する法律の中の、大家さんの登録の手数料という条例が出ましたけれども、きのうから施行したということですが、この高齢者の居住を確保するということは、法律をつくって位置づけなければならないぐらい、やはり深刻な問題になってきているんだというふうに思います。
高齢者が住みかえたいということで、私のところにも随分たくさん来るんですけれども、実質的には解決できないということがかなりたくさんあります。都営住宅の単身の募集というのは年に一回しかありませんし、高齢者が民間の住宅を借りようとすると、六十歳を超えると、もうそれだけでだめと。先日は、五十六歳だったんですけれども、それでも断られてしまうという状況なんですね。
不動産屋さんの話では、今度できた高齢者の円滑入居のための法律でやろうとしている家賃の保証だけではなくて、高齢者を断わる理由は、保証人がいないとか、ガスを消し忘れてしまわないかとか、病気になったらどうしようかとか、一人で死んでいたらどうしようというふうに、大家さんにとっての心配の種はまだまだあるんだということなんですね。
そこで、国に先駆けて、高齢者、障害者、外国人への入居支援制度をつくった川崎市に伺ってきました。川崎市は、どうしてこれをやり始めたかというふうに聞いたんですよね。そうしたら、川崎市が不動産屋さんに、入れてほしいときは、入れてくれ入れてくれと、最初のときは一生懸命、来て頼むんだけれども、いざ高齢者が入居しちゃったら、もう知らぬ顔じゃないかというふうにいわれちゃったというんですね。そういうこともあって、その反省に立って、きちんと大家さんが安心できるような仕組みをつくっていこうということだったというわけです。
まちづくり局という、住宅局みたいなところですけれども、まちづくり局がコーディネーターになって、入居した後も、高齢者の場合だったら健康福祉局と連携をとって、外国人は国際交流協会と、それから、障害者団体は市民ボランティアと連絡をとり合いながら、入居した後の高齢者だとか障害者、外国人にきちんと対応しているということなんですね。
高齢者が入居してから直面するさまざまなトラブルに臨機応変に対応するということが、みそなんですね。例えば、ひとり暮らしで日常生活に支障が出てきた場合にはホームヘルパーだとか保健婦を派遣するとか、それから、緊急を要する病気のときには市の福祉サービスが迅速に対応したりということで、まず市の施策、それからボランティア、それからNPOというように、いろいろな制度を使う、最大限活用するように、そのコーディネートをまちづくり局がしているんだということなんですね。だから、まちづくり局が中心に据わって、福祉局とも、それからいろんな団体とも、事業者とも連絡をとるということなんです。これは、大家さんにとっても非常に安心できるし、高齢者にとっても、いろいろな煩雑な手続をきちんと窓口一つでやってくれるということでは、非常に重要なことだというふうに思っています。
こうやって、行政がきちんと入居した後もかかわってくれるんだということが、大家さんに安心感を持ってもらえるもとじゃないかというふうに思うんですけれども、どうですか。
○青木開発調整部長 賃貸住宅の家主さんが高齢者の入居を敬遠する理由としては、家賃滞納、失火などの住宅の安全管理面、病気になった場合の対応、死亡時の葬儀、残存家財の整理などというのが挙げられてございます。
したがって、私どもは、今回の高齢者円滑入居賃貸住宅制度にあわせまして、新たに、身元保証人にかわる制度として、まちづくりセンターを活用した制度を立ち上げる予定でございます。
○大山委員 立ち上がる予定というのはいいんですけれども、私が今伺ったのは、行政がきちんとこうやって川崎市みたいにかかわるということ、それが大家さんにとっては安心感につながるのではないでしょうかという認識を伺ったんです。もう一回お願いします。
○青木開発調整部長 今申し上げましたように、都としては、身元保証人にかわる制度を創設する。その制度の運用に当たっては、地元の区市町村と連携をしながら運営をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○大山委員 運用は区市町村で、まちづくりセンターに委託をされるということなんですね。
それで、必要だと思うからこそ、身元保証人の制度をつくるんだというふうに理解しますけれども、東京都は、今までも高齢者が民間アパートを借りるときのために身元保証制度を行ってきた経過があるわけですが、現在行っている事業の内容と実績をお願いします。
○青木開発調整部長 現在、身元保証にかわる制度としてやってございますのは、あんしん住宅制度ということで、民間賃貸住宅への入居が制約されがちな高齢者等のために、家賃保証等のメニューを用意いたしまして、入居の支援をすることを目的として設立したもので、財団法人の東京都防災・建築まちづくりセンターが実施しているものでございます。
これまでの実績でございますが、十三年度でこの制度をご利用されている方は十三名でございます。
○大山委員 制度はあるんだけれども、実績は十三名ということで、余りにも少ないというふうに思うんですけれども、何が問題だというふうに総括されたのでしょうか。
○青木開発調整部長 この制度をご利用いただくのは、まず、区市があらかじめセンターと団体契約を結んでいただく。事務費及び団体加入料をセンターに支払うことによりまして、当該区市の住民の方々が制度を利用することができるという仕組みになってございました。
したがいまして、区市として加入料が前提となるため、なかなか普及しなかったということが一つあるかと思います。また、このサービスの内容の中で、病気や死亡時の対応がないということで、家主さんの不安が十分に払拭されなかったのではないかというふうに考えてございます。
○大山委員 今おっしゃったように、加入するのに、区市がまずは契約しなくちゃいけないということで、加入する場合の条件が、大変高いハードルがあったんじゃないかなというふうに思います。
それから、なかなか普及しなかったのは、家賃だけじゃなくて、そのほかの大家さんのご心配が高いものがその制度の中になかったということですけれども、そこの、これから住宅局が行う身元保証制度の概略をお願いします。
○青木開発調整部長 今回、新たに身元保証人にかわる制度として発足させたもののメニューでございますけれども、葬儀の実施、残存家財の片づけ、緊急時対応や入退院時の支援サービス等の見守りサービス、それから、失火の際などの補償等を用意してございます。
○大山委員 大家さんの心配を解消するということで、葬儀だとか残存家財の片づけ、それから入退院時の支援サービスだとかということで、今までよりもメニューはふえたというわけですね。
ところで、この事業を受けるためには、高齢者のご自身の負担というのはどれぐらいになるのでしょうか。
○青木開発調整部長 先ほど申し上げましたように、この制度は、いろいろなメニューをそろえて、そのメニューの中から選んでいただくというような形をとってございます。したがいまして、そのメニューの選択によりまして、五万円から五十万円程度の預託金及びサービス利用料をいただくというようなことになろうかと思っております。
○大山委員 五万円でできるサービスというのは、どういうものなんですか。
○青木開発調整部長 先ほど申し上げました見守りのサービスでございます。安否を確認するサービスでございます。緊急時の対応サービスとか、それから、二十四時間の電話相談等に応じるというようなサービス内容にしてございます。
○大山委員 大家さんが結構心配されていらっしゃる葬儀だとか残存家財の片づけ、こういうのをお願いすると、どれぐらいかかるのでしょうか。
○青木開発調整部長 一応、個別に葬儀の実施ということになりますと、三十五万程度の金を預託していただくということになろうかと思います。また、残存家財等の片づけのみでございますと、二十五万程度の預託金になります。それから、葬儀と残存家財を合わせてお申し込みいただければ、その合計、今申し上げた額が大体六十万程度になるんですが、五十万から五十五万程度の金というふうになろうかと想定してございます。
〔「年とっても金がないとだめだな」と呼ぶ者あり〕
○大山委員 今、年をとってもお金がなきゃだめだなという話が出ましたけれども、アパートを探しに来る高齢者というのは、ほとんどが年金で暮らしていらっしゃる方なんですね。転居するときには、家賃のほかに、敷金、礼金だとか、何だかんだとかで大体家賃の五、六カ月、まとめて払わなきゃいけないというのが相場だと。こういう方は、五十万円だとか、それから五十五万円だとか、こんなお金ないから、じゃ、これはなくして、経済的な理由でサービスを減らそうだとかということになるわけですね。確かに、こういったときに五十万円の預託金というのは大変なことなわけですよ。
それで、念のために申し上げておきますけれども、よく高齢者が貯蓄を持っているんだという宣伝がありますけれども、九八年の国民生活基礎調査では、三八・九%ですから、高齢者の約四割の方が二百万円未満の貯蓄額だということなんですね。ですから、年金だけでは生活できないから、貯金を崩しながら生活していらっしゃるわけですね。だから、二百万ぐらいあったって、引っ越しのために幾ら、それから五十万円の預託金で、あと残るのは、寂しい貯金通帳ということになっちゃうわけですね。
せっかく東京都が今までのを反省して、高齢者も安心して大家さんに家を提供してもらえるようにということで制度をつくったわけですから、やはり活用してもらえる制度にするということが何よりも重要だというふうに思っています。
制度を利用しにくい低所得者についても、今後、区市町村との協議の中で十分に検討していただきたいというふうに、この制度をつくるに当たって出された、東京都ひとり暮らし高齢者等入居身元保証人制度検討委員会報告書という中にも書いてあるわけですね。ですから、制度をつくるに当たっては、低所得者対策をきちんと検討してくださいよということが、既に制度をつくる前に提案がされているわけですね。どのように検討されているんでしょうか。
○青木開発調整部長 今ご指摘の報告書の記述でございますが、市区町村と十分協議をするというような中身になっているかと思います。したがいまして、私ども、区市町村が地元住民に一番近い自治体ということで、区市町村の方での対応が可能かどうか、協議をしてまいったところでございます。
しかしながら、今回の身元保証制度自体が全都を対象にして立ち上げるということなどから、私どもで、この預託金等をご用意できない方のために貸付制度等を検討するという段階にまいっているところでございます。
○大山委員 貸付制度を検討しているということですけれども、収入がもう限られている高齢者で、しかも貯金だって減る一方だという方の中で、借りてまで、本当にこの制度を利用するのかなというのが、私としては非常に疑問があります。
それで、きちんと低所得者対策を考えなさいということが報告書にもあるわけですから、東京都は制度をつくるけれども、何も財政支援はしないよというんじゃなくて、東京都の支援を含めて検討するべきだと思いますけれども、どうですか。
○青木開発調整部長 この預託金等で賄う対象は、先ほど申し上げましたように、葬儀の実施だとか残存家財の片づけ等でございます。
したがいまして、これらの費用につきましては、基本的には本人の責任で負担すべき性格の費用だというふうに認識しているところでございまして、したがって、そういうものに対して税金で補助をするということは現在考えてございません。
○大山委員 制度をつくっても、結局、活用できる人が本当にいないというんじゃ、つくった意味がないわけですから、きちんと東京都が高齢者の居住に責任を持つということが位置づけられているわけですから、それは税金を入れないということではなくて、大家さんが安心できる保証体制をつくるんだという立場で、財政支援も含めて、やはりきちんと検討するべきだというふうに思っています。
さっきの川崎市の担当者の方も、東京都が今度制度をつくったようで非常に注目していますというふうにおっしゃっていましたよ。ですから、東京都がきちんと使える制度を都民の立場でつくっていくのか、充実していくのかということが、やはり全国的にも注目されているんだというふうに自覚していただきたいと思っています。
もう一つというか、高齢者の住宅問題なんですけれども、私、出身が新宿です。今、本当にマンションの建設というのが、ラッシュみたいな状況で建っているんですね。しかし、今建っているようなマンションに高齢者が住めるかといったら、住めるようなところではないわけですね。若干人口はふえているわけですけれども、老朽化したアパートの建てかえなども徐々に進んでいるという状況です。
ひとり暮らし高齢者に対する割合というのが、新宿区というのは全都でも一番なんですね。そんな中で、そうやって建てかえをする。それから、都営住宅だって、もう何十年建っていないですかね、二十年どころじゃないと思いますけれども。そういう中で、人間として本当に基本的に保障しなきゃいけない住まいが、高齢者のところで大きな矛盾になっているということなんです。
何軒かの不動産屋さんに聞いたんですけれども、ほとんどの高齢者は、さっき申し上げましたように、五万円前後、このぐらいの家賃で家を探しているわけですね。年金と幾ばくかの貯金ということから考えれば、多くの方がそれぐらいしか出せないというのは、これは当たり前のことだというふうに思っています。
さっき申し上げましたように、建てかえなどをしますと、ワンルームマンションでも、おふろとトイレ、台所がつくと、七万円になってしまうというんですね。七万円で、高齢者のひとり暮らしで借りられる人がいるかといったら、ほとんどいないというのが実情だということで、多くの高齢者が望む物件自体がないというのが今の状況なんです。
例えば、三万円ぐらいのアパートというのはあるんですよ。そういうところというのはどういうところかといったら、玄関が一つで、中の廊下でつながっていて、左右に部屋があると。トイレも共同というところですね。高齢者ですから、トイレも共同のところに住んでいる人が、せめてトイレぐらいゆっくり入りたい、そういう本当にささやかな希望を持って転居しようというふうに思っても、転居先自体がない、物件がないということなんです。
事業概要の一八四ページでは、木造で設備共用の賃貸住宅は、最低居住水準さえ満たしていない住宅が六三%もあると。住居は人権であるというふうにいわれていますけれども、最低居住水準には居住室の面積しかないんですけれども、面積とともに、専用のトイレもないというような状況は、まさに安心して暮らせる住宅ではないというふうにいえると思うんです。
住政審の答申では、住宅政策の目標で、東京に暮らす都民が真の豊かさを実感できる生活を実現するものでなければならないというふうにして、だれもが安心して暮らせる居住、高齢期にも安心して住み続けられるというふうになっているわけですね。最低居住水準さえ満たしていない住居に住まざるを得ない高齢者が、この目標を実現できているというふうにいえるでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 住宅政策審議会の答申では、豊かで生き生きとした東京居住という居住像の具体的な像として、活力が生まれる居住、ニーズに応じた選択ができる居住、だれもが安心して暮らせる居住というふうに掲げてございます。
安心して暮らせる居住といったものが、今後の東京における一つの目標であるという提言を得ておりまして、これに向かって政策を進めてまいりたい、かように考えております。
○大山委員 目指していますというのはわかるんですけれども、私が質問したことに、きちんと答えてもらいたいんですね。
今、高齢者で、最低居住水準さえも満たされていない、トイレも安心して入れないような住宅に住んでいる方が、今の住宅政策審議会でいっているねらいが、今、達成できているでしょうか、実現できているでしょうか。今の現状の認識です。
○小川住宅政策担当部長 先生がご指摘のような、非常に困窮されている方がいらっしゃるということがありますので、そういった方々は達成をしていないというふうに考えております。
○大山委員 そうですね。だから、本当にそういう方々がいるわけです。達成していない方々がいるわけですね。
例えば、新宿区でやっている高齢者の住宅相談というのがあるんですけれども、十年度が百十七件、十一年度は百二件、十二年度は百二十三件と、こういうふうに住みかえの相談がほとんどなんですね。不動産屋さんにこの間、話を聞いていたら、物件がないといってその不動産屋さんが断った方が、区役所の住宅相談で、ありませんかと区役所から回ってくるということなんですね。だから、不動産屋さんにいわせれば、高齢者の住宅というのは、東京都や区に何とかしてもらうしかないですよというふうにいっているわけなんですね。
今、住宅政策審議会での住宅政策の目標も実現できないという現実があって、しかも、それを実現しなきゃいけないという目標を持っている東京都としては、やはり都営住宅をふやすこと、これが切実に求められているというふうに思いますけれども、どうですか。
○小川住宅政策担当部長 真に困窮する都民の方々に対しては、都営住宅について着実な供給を図っていきたい、かように考えております。そのためには、困窮度を反映した募集方式の導入、移行、そういった形でおこたえをしていきたいと考えております。
○大山委員 圧倒的に足りないというのは、先ほど資料に出していただいた公募倍率を見ても明らかなわけですよね。だから、物件自体が民間でもないし、都営住宅でも物件がないということになっちゃうわけですから、高齢単身の空き家募集、大体年に一回しかないわけですね。
住宅政策審議会の答申では、これも問題だと思うんですけれども、高齢者住宅対策の推進の項目はあるんですけれども、民間賃貸住宅市場の整備しかないわけですね、その中身は。どうやってこの住宅政策審議会の政策目標を達成させていくのかということを、具体的に示してください。
○小川住宅政策担当部長 この五月に住宅政策審議会の答申をいただきまして、現在、新たな住宅マスタープランの策定を進めているところでございます。私ども、住宅政策の進め方、体系については、その中で明らかにしていきたいというふうに考えております。
○大山委員 具体的に示してくださいということですけれども、今は具体案はないということでいいのでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 政策ということでは、今、新しいマスタープランをつくらせていただいております。
それで、真に困窮する方に対する対策ということにつきましては、都営住宅のものにつきましては、私、先ほど述べたとおりでございます。
○大山委員 これからマスタープランをつくるんだということですけれども、きちんと政策目標があって、それを実現させるためにはどうするのかということで、都営住宅、高齢者向きのも含めて、住宅が足りないということは明らかですし、全体的な問題じゃなくて、今、例えば新宿に限って見れば、さっきるる述べたような現実があって、実際、新築もないし、空き家募集も少ないという中で、やはりきちんと政策目標を達成させていく積極的な施策を持たなきゃいけないというふうに思っているんです。
それで、これは港区ですけれども、例えば南青山一丁目住宅で、結局、従前戸数しか都営住宅を確保しないという話ですよね。そうじゃなくて、建てかえのときには、とりわけ住宅が足りない新宿だとか港だとかというところには、やはりきちんと供給する。
それから、新宿区内でも、今、百人町にあります戸山アパートというのが、大規模団地ですけれども、建てかえを順次やっているわけですね。それで、あそこの建てかえが終われば一般公募に出るんだといって、みんな心待ちにしているわけですよね。
ですから、この間、重点施策のお話がありましたけれども、都営住宅の再編整備だといって、従前戸数だけは確保して、生み出される土地を有効利用しようなんという話も出ていますけれども、新宿の例えば戸山アパートの建てかえについては、当初の計画どおり、建てかえ戸数を従前よりもきちんとふやしていく、供給していくということが必要だというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○小林建設部長 大規模団地の建てかえ事業になりますと、やはりその規模が大きいがゆえに、計画を立ててから十年たつ、それ以上たつという、長い時間が当然かかります。その間に、当初の計画を立てた社会状況等、その後の状況に大きく変化が出てくるようなことがございますので、当初どおりの計画でいくということではなく、必要に応じて、その時点で計画戸数については見直しながら事業を進めていきたい、そんなふうに考えております。
○大山委員 この今の現状を示して、そして、住宅局も実現できていないということを認めているわけですから、今、唯一の建てかえ中の戸山アパートについては、やはりきちんと増戸してほしいということを、当初の計画のようにやってほしいという要望をして、質問を終わります。
○田代委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時二十分休憩
午後三時三十三分開議
○田代委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
発言を願います。
○新井委員 それでは、住宅供給公社が行っておりますケアつき高齢者住宅と、それから木造密集地域の再生の二点についてお伺いいたします。
まず、ケアつき高齢者住宅、明日見らいふの運営についてということからお伺いいたしたいと思います。
まず、住宅局がケアつき高齢者住宅に取り組まれた理由というのは何だったのかということと、委託先の業者が運営しているわけですけれども、この業者をお選びになりました理由というのか、選定方法といいますか、そういったことについてお答えいただきたいと思います。
○青木開発調整部長 ケアつき高齢者住宅でございますけれども、この建設は、高齢社会に向けました住宅施策の一環といたしまして、終身にわたる安定した居住と、健康管理、日常生活や看護などのサービスが受けられる高齢者向けのケアつき住宅として供給したものでございます。
二点目のお尋ねの業者委託というのは、運営管理をしている業者でございますね。(新井委員「サービス提供の」と呼ぶ)施設の管理をしている業者のお話でございますか--このケアつき住宅は、ご案内のとおり、公社がみずから行っている事業でございます。したがいまして、その運営については、公社が自主的、自立的に行っているところでございまして、委託先の選定につきましては適切に行われているというふうに私どもは認識してございます。
○新井委員 終身の介護つきということで、住宅局で初めて取り組まれたということで、当初、非常に意欲に満ちて取り組まれていたというふうに思います。
こちらの明日見らいふの開設に当たってということで、供給公社の課長さんが管理事務所の所長ということでいらしたわけですけれども、明日見らいふの方で出された、これは特集ですね。ここを私どもがやることになりましたという特集の中で、当公社として第一号であり、住宅と介護サービスなどを組み合わせるとともに、診療所を併設するなど、中堅所得層の都民が健康で豊かな高齢期を安心して過ごすことが可能な場を目指しており、今後の高齢社会における住宅政策を考える上で一つのモデルケースになるものと考えております、この事業の成否は、何はともあれ、実際に介護サービスなど各種サービスを実施する事業団の肩にかかっているといっても過言ではありませんということで、公社としては、初めてのケアつき住宅に非常に意欲を持って取り組んで、そこを運営する事業者に非常に大きな期待を寄せていたということが書かれていると思います。
それで、当初これを開始なさったときには千戸の計画で始められましたけれども、今のところ三百十七戸の明日見らいふだけで事業がとまっているわけですけれども、これについては、どういった理由でこんなふうになっているのでしょうか。
○青木開発調整部長 二〇〇五年までの現在の東京都住宅マスタープランにおきまして、ご指摘のとおり、ケアつきの高齢者住宅については千戸を計画してございます。したがいまして、現在、今ご指摘のとおり、三百十七戸の供給という状況になってございます。
今後の供給計画につきましては、住宅市場の動向、また、介護保険制度の施行等に伴います社会経済上の状況等を十分踏まえまして検討したいと考えてございます。
○新井委員 それでは、まだここでストップということではなく、介護保険等も含めた社会情勢を見て、これからまた、ふやしていくのか、ここでストップするのかも含めて検討するというふうなことだと思います。
それでは、現在、明日見らいふが現に運営されているわけですけれども、この事業について、東京都としてはどんなふうに評価をなさっていらっしゃるのでしょうか。
○青木開発調整部長 現在、明日見らいふ南大沢は、ほぼ満室状態というような状況でございます。したがいまして、高齢者向けのケアつき住宅としての役割を十分果たしているのではないかというふうに認識してございます。
○新井委員 私、実はこちらを退去なさった方からご相談を受けまして、いろいろお話を伺いまして、現に入居している方がこちらでどんなふうな生活をなさっているのかということをぜひ確認しなくてはならないということで、お会いをしてお話しをいたしました。
今、確かに入居率は非常に高くて、役割を果たしているというふうに部長さんはお答えになりましたけれども、その現に入居をしている方のお話からは、残念ながら、なかなかそういったお言葉が聞かれませんでした。
こちらに入居する方は、大体、中堅所得層というふうに先ほどの部長さんの言葉にもありましたけれども、終身の介護がついているということで、これから先の自分の人生を過ごそうという意味で、従前お住まいになっていた住宅を処分いたしまして、それでこの高い費用を確保して、ここの入居金とか、あるいは介護費用とかに充てて入居していらっしゃるという方がほとんどです。
それで、身寄りのない方につきましては、特に終身介護がついているということで非常に心強い施設であるということで、非常に希望を持って入居なさったんだというふうに思うわけですけれども、現実に、その方たちが余り、自分たちの将来、安心して安定した生活ができるというふうに思ってはいらっしゃらないということを伺いました。
そういう件につきまして、私、実は、最初にその退去をされた方からご相談を受けたわけなんですけれども、さまざまな事実関係をお伺いいたしまして、最初は、こんなことが現実にあるのかというふうに、私も耳を疑ったほどの事実がたくさんございました。ここに文書で、いろいろ皆さん方が書かれたものも、こんなにたくさんいただいております。こういうことをつぶさにご紹介をしている時間はないので、後ほど、ぜひ直接お話をお聞きになっていただきたいし、こういった文書についてもごらんになっていただきたいというふうに思います。
こちらの方で資料要求をいたしまして、退去者がどのくらいいるのかということでお答えいただいておりますけれども、オープンしてから平成十二年まで、二十四名の方が退去していらっしゃいます。四年ちょっとで二十四名ですね。この数を、東京都の方はどんなふうに把握していらっしゃるのか。そしてまた、その退去の理由というものをどの程度理解していらっしゃるのかということについてお伺いしたいと思います。
○青木開発調整部長 退去された方がなぜ退去されたかという部分につきましては、私どもは、入居者ご本人の都合によるものだというふうに考えてございます。
公社においても、個人のプライバシーにかかわることなので、特に把握していないということで聞いてございます。
○新井委員 退去をする方は、プライバシーの問題等もあるので把握していないというお答えですけれども、こちらはただの賃貸住宅ではなくて、終身介護、先ほど来申しましたように、ここで死ぬまで、介護つきで二十四時間の診療所もあって、安心して一生を送れるんだ、そういう安心感を持って、大体の方が今までの住宅を処分して来ていらっしゃるわけですよね。そういった方が非常に短期に退去なさっていくということについて、プライバシーにかかわるから理由は把握しないということは、これはちょっと常識的に通らないのではないかというふうに思います。きちんとその理由を把握した上で今後の運営に生かしていこう、こんなふうに思わないと、皆さんの信頼が得られるような事業というのは行われないんじゃないでしょうか。
本当に一例だけ、お話しさせていただきますけれども、その後に退去なさった方は、ご夫婦で入居していた方ですけれども、奥様がクモ膜下出血で倒れられました。救急車を呼ぼうとしたところ、診療所の方でこちらでとりあえず見てからということで、そちらの方に行きまして、そこで先生がいなくて非常に処置がおくれてしまったということで、救急車を呼ぶまでに時間がかかりまして、入院されてから亡くなりました。それで、非常にご主人が怒り心頭に発するということで退去をされた。それが六カ月後のことです。
これが一例ですけれども、実際にお話を伺ったのは五名の方ですけれども、そのほか、本当に実にさまざまなお話を伺いまして、元気に暮らしているうちは、余り利用されていないようですけれども、立派なプールがあったり、ミニシアターがあったり、お花のお教室とか、生け花のお教室とか、お茶のお教室とか、たくさんありまして、カルチャーライフという意味では、かなりの満足度が高いのかなというふうに思いますが、もし自分が病気で倒れた場合に、本当にパンフレットに書かれているようなサービスが得られるのかどうかということを不安に思うような事例がたくさん出てきて、そして、これではこの施設にはいられないということで、多くの方が退去なさっているというのが実態です。
こういう実態はぜひ把握していただきまして、今後の運営に生かしていかなければならないのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○青木開発調整部長 先ほど申し上げましたように、公社の方では、退去理由については把握してございませんが、現在入居されている方々の意見につきましては、運営懇談会や苦情処理委員会などを設置いたしまして、事業運営に反映させていくよう努めていると聞いてございます。
○新井委員 そういった懇談会とか入居者委員会とかあるわけですけれども、では、そういう声をつぶさに東京都の方は把握をしていらっしゃるのでしょうか。
先ほど来、都営住宅の管理のことでも、余りチェックがされていないじゃないか、ただ報告を受けているだけなんじゃないかというふうなご指摘が小礒委員の方からありましたけれども、それと同じような感じで、実は週に一回報告をしているというふうな話も伺いましたけれども、十分にこういったことを把握していらっしゃるのでしょうか。
○青木開発調整部長 先ほど申し上げましたように、この事業につきましては、公社がみずから自主的、自立的にやっている事業でございます。したがいまして、その事業については、公社が責任を持って運営をしていくというのを基本にしてございます。
私どもも、万が一、事故等がございましたら報告等がございますが、日常的な報告は特にございません。
○新井委員 公社が自主、自立でと、先ほど来おっしゃっておりますけれども、一〇〇%東京都の出資ということで、局長みずから、非常勤といえども理事をなさっていて、多くの職員が出向していると。こういう中では、自主、自立でやっているんだから、私たちのところは知りませんということでは、これは納得がいかないところです。
具体的にこれからお話し申し上げてから、ご意見を伺いたいと思うんですけれども、個別の退去なさった方々の事例についてはたくさんありますけれども、それはここでは触れません、切りがないので。私が調査いたしました点で、非常に不備があったのではないか、入居当初の説明にかなりの不備があったのではないかということにつきまして事実関係を申し上げて、それについてご意見を伺いたいと思います。
まず一つ、説明責任が果たされていなかったのではないかということです。
説明責任というより、むしろ告知義務を果たしていなかったのではないかというふうに私、考えますけれども、一つ、隣接地に都民ハイムというものが建設をされました。これはすぐ隣接に建てられたわけですけれども、隣の空き地にこの都民ハイムが建つこと自体が説明されていませんでした。告知されていなかったわけです。
そして、敷地内にプロムナードがあるわけですけれども、これは明日見らいふの所有地であったにもかかわらず、都民住宅が建ったときに、そこの方との共用ということで共有のスペースになってしまいました。当初入居のときには、こちらの方で皆さん方、安心してお散歩したりとか、ゆったりと過ごしていただくことができますよというようなご説明があったようですけれども、実際には、都民ハイムができましてからは、自転車とかバイクとかが行き来をしまして、安心して高齢者の方が散歩をしたり、ゆったりと過ごすこともできない状態になってしまった。現実に、自転車等に追突されそうになって捻挫をしたりというような事故も起きています。
この件については、当然、ここの敷地にどういうものが建つということがわかっていたわけで、その都民住宅のアクセスの問題からも、十分こういうことが想定されていたわけですけれども、全く説明がなかったということが一つです。
それからもう一つ、神奈川中央交通の大型車庫の建設というものがございました。
これは、昭和六十一年に、神奈中にこの土地をバス車庫用地と限定して東京都が売却しています。ところが、この時点は、第二種住居専用地域だったので、大型のバスの車庫用地としては、これは不適切な土地だったんですね。ところが、バス車庫用地として売却をして、そして、平成二年に用途地域の変更、八王子市の都市計画審議会用途地域の変更で準工業地域に変わりました。この時点で、大型バスの車庫あるいは整備施設というのが建てられることになったわけです。これが平成二年です。そして、平成五年に、供給公社が明日見の土地を買収しています。
ですから、この時点では、この明日見の隣接地に大型の二百台にもわたるバスが来るような車庫ができるんだということは、供給公社はわかっていたわけですね。これについても全く説明がありませんでした。平成七年九月の第一次募集、それから、それに引き続く第二次募集についても、説明が全くありません。こういう状態です。
この件について、あるいは先ほどの隣接地の都民ハイムの件については、裁判が起こされています。新聞にもかなり大きく取り上げられました。
特に、こちらのバスの車庫、このことで退去なさった方が結構いらっしゃるわけですけれども、新聞に、当初、ここの明日見らいふが紹介されているわけです。都心に近接しながら、ここにはまだ豊かな自然が数多く残されており、近隣には緑地や公園など豊かな緑が広がっており、多摩丘陵ならではの景観が展開されている、南大沢駅から緑の香りがシャワーのように降り注ぐ道を二十分ほど行くと、丘の上に突然しょうしゃな建物があらわれる、こんなふうなうたい文句で新聞に宣伝がされているわけです。
こういうイメージで来られた方が、何の説明もなく、入ってきたら、隣に賃貸の都民住宅が建つ、あるいは神奈川中央交通の大型のバスが来ると。皆さん、二百台ですよ、大型バスが。朝早くから稼働するわけです。
こういうのを見ますと、やはりこれから後を穏やかに安心して暮らしていきたいというような、そういう権利が踏みにじられたというふうに感じられるのも当然だと思います。これは、告知すべき重大な義務を怠ったというふうに考えられるわけです。これが二点目。
そして、三点目です。終身介護ということをうたっているわけですけれども、介護基準の説明が全くありませんでした。実は、このことで入居者との間でトラブルが起こっています。終身介護ということで、ここに来れば非常に安心だということで、病気になったときには、ケアのスタッフがついて病院までお連れしますよというようなことが書かれているわけですけれども、そういったことに約束違反があったということですね。
かなり入居した方とのトラブルがありまして、入居して二年目に、二年たってからですよ、重要事項説明書というものが配布されました。その中で、どういった介護基準を明日見が持っているかということが初めて説明されているわけです。これについても、当初から、明日見のいう終身介護というものがどういうものであったかということをきちんと説明をしておかなければいけなかったのではないか。
この三点が、私は、告知義務を怠った事例に当たるのではないかというふうに思います。
さらに、まとめて申し上げますけれども、不当表示に当たるものがあります。
パンフレット等に事実と相違する点があったということで、一つは、南部病院との関係です。近くに、公設民営、東京都がお金を出して建てまして、公社が運営している南部病院があるわけですけれども、こちらを外部の協力病院ということでうたいまして、安心ですよというパンフレットをつくっているわけです。
ところが、この件につきましては、南部病院の方からクレームが出ています。このケアつき高齢者住宅の中で、販売PR紙の記述内容に不適切な部分がある、医療サービスの提携場所として、併設診療所のほかに外部協力病院、多摩南部地域病院というような記述があるけれども、この表示については、利用者に誤解を招くおそれがあるために訂正してもらいたい、こういう申し入れを平成九年の九月に口頭で行ったそうです。
ところが、次のパンフレットでも訂正が行われず、そのままPRがされてしまったということで、平成十一年の一月十三日、今回は文書で訂正の申し入れをしたということで、ここでやっと、それでも協力病院という表現は使っているんですけれども、あたかも併設診療所と南部病院がともに診療に当たるかのような記述は訂正されました。しかし、こういうことが平成十一年ですから、かなりたってからですよね。
こういうことを見ますと、告知を怠ったということと、それから不当表示、市民の方たちに、入居者の方たちに対して真実でないことを伝えてしまったということがあると思います。
これは、そういったことの結果、入居者委員会の方から、入居者の総意として、平成十年にこちらの管理事務所、明日見の管理事務所の方に、文書で緊急時の医療体制についてのお願いというものが書かれています。
これは、介護と医療体制の完備ということで自分たちは入居したんだけれども、特に併設の診療所、東京都と医師会が共同設立した多摩南部地域病院、二十四時間の緊急時の体制など、そういうことが非常に快適で理想的な老後の生活というふうにつながったので、ここに入居したんだ、だけれども非常に失望している、これまでの脳疾患などで倒れられた方の経過を見ていると、自分が倒れたときにはどんなふうになるのか、非常に心配になるというふうな入居者からのお願いが出ています。
こういった告知違反、あえて告知しなかったということと、それから、こういった不当表示に当たる部分があるわけですけれども、こういったことによって、多くの方が実は退去していったんだという事実があるというふうに思いますが、こういった件につきましてどんなふうにお考えでしょうか。
○青木開発調整部長 今、るる退去者からのお話を承ったわけでございますが、公社は、公的な住宅供給主体として、当然に入居者へ必要な説明を行う義務があると思っております。
私どもとしては、適宜適切という点では、今伺っている部分では、若干疑問符を打たざるを得ない部分があるのかもしれませんが、当然にきちっと丁寧にご説明をしているというふうに理解をしてございます。
○新井委員 若干、不手際があったどころじゃないですよ。これ、裁判になっているんですよ、一件は。そして、当時、新聞にとても大きく取り上げられています。
そういったことについて、供給公社から東京都は当然、事情を聴取して、指導をすべき立場にあったんじゃないですか。
○青木開発調整部長 先ほど申し上げましたように、私ども、公社の事業で事故があった場合、当然に報告を受けるということになってございます。そういうシステムで、そういう事故等、社会的な問題があったときには、私どもが指導監督するということでございますが、今ご指摘の部分では、その裁判の件で事故報告というのはないように聞いてございます。
○新井委員 こういったことまでお耳に入っていないということでは、監督も何もできたものではないというふうに思うわけですが、それでは、この明日見らいふのサービス内容について、チェックする機関というのはあったのでしょうか。
○青木開発調整部長 現在、介護保険の給付の対象となるサービスの内容につきましては、福祉局の指導を受けるということになっていると聞いております。
○新井委員 福祉局の指導を受けるというふうになったのは、平成十二年の四月一日に介護保険の導入がされてからですよね。こういった多くの問題というのは、それ以前に起こっているわけです。それまでの事業というのは、はっきりいって、どこもこの明日見らいふのチェックをするところがなかったというのが現状だと思います。
例えば、ほとんど同じような事業をしているわけですけれども、有料老人ホームにつきましては、公正取引委員会が査察に入りまして警告をしています。その警告をされた内容を取り寄せているわけですけれども、表示の適正化についてということで、特に二度にわたる警告がされているわけです。
平成十二年十一月に、有料老人ホーム協会に所属しているすべての有料老人ホームに対して、表示されていることと実際のサービスの内容、貴協会の一部会員が、パンフレット、重要事項説明書等の表示物において不当表示を行っている事実が認められたことはまことに遺憾であるということで、まず第一回目の勧告をしているわけですね。
ところが、この第一回目の勧告をした後にも、これが改善されていないということで、平成十三年六月二十九日に公正取引委員会が再度勧告をしているわけです。
その中で、五点ほど、こういった部分に気をつけなさいということで挙げられていることの中の一つに、三番目の項目ですけれども、保険診療機関は、制度上特定の者を優先的に取り扱うことができないにもかかわらず、協力医療機関が入居者を優先的に取り扱うような表示をしていると。これはまさに南部病院の記述に当たるかと思います。こういうことがあったということで勧告を受けているわけです。
それで、今後、会員が再び違反行為、今のような行為を行った場合には、さらに厳しい措置をもって対応せざるを得ないことを念のため申し添えるということで、かなり厳しい措置をいっているわけです。その事前の十二年のところにもいろいろ書いてあるんですけれども、これ、読み上げていると切りがないので……。
ともかく、二度にわたるこういうようなチェックが入って、そして、公正取引委員会がその運営に対して勧告をしてきている。
ところが、この明日見らいふは有料老人ホーム協会には属していませんよね。ここに属していないと、公正取引委員会の査察は入らないわけです。ですから、いわば東京都がきちんとサービス内容をチェック、監督していないと、野放し状態になっていたということがあるわけです。
今までのお話を聞いていただいてわかると思うんですけれども、何か私の感覚だと、ほとんど詐欺に近いような契約が行われていたんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけです。
この監督不行き届きという件につきまして、私、今までいろいろ事例をお話ししましたけれども、局長、いかがお考えでしょうか。
○橋本住宅局長 ただいまのお話でございますが、委員のお話の中にある点、私、今お話を伺った上で、お聞きしますと、確かに、公社が適切に行ったということの範疇を超えているのではないか、こう思っております。
ただ、法的にどうかとか、それは私、弁護士に相談したわけでもないし、今この場でございますので、現在、つまびらかにはできないわけでございます。
しかしながら、こういったことが、もしそのままの経営姿勢として正されることなく続いているようでしたら、まさに先ほどのあれではございませんが、私の方からも厳重に是正するようにいたします。
○新井委員 局長の方から、適切な処置を怠っていたというふうなお言葉がありまして、確かにそのとおりで、ぜひ強い姿勢を示していただきたいと思います。
それから、業者なんですけれども、適切な契約選定が行われたというふうに一番最初のご答弁でありましたけれども、この業者については、契約は、実は一年ごとの契約で契約更新をすることになっているわけなんですね。
ところが、こういった業者は毎年変えるというわけにもいかないでしょうけれども、これだけの不祥事といいますか、新聞ざたになり、裁判ざたになるというような事態が起こっていたにもかかわらず、当初から全然業者が変わっていないんですけれども、このことについてはどうしてなんでしょうか。
○青木開発調整部長 ご指摘の契約につきましては、一年ごとの契約ということになってございます。両者で話し合いの結果、特に問題がなければ、翌年また契約更新をしているということで処理をしているというふうに聞いてございます。
○新井委員 問題がなければというふうにおっしゃいましたけれども、じゃ、今までの事情、説明を聞いた上で特に問題がなかったので、業者との契約を更新してきたというふうにとらえてよろしいんですか。
○青木開発調整部長 私どもは、先ほどから申し上げているように、公社がみずからやっている事業でございますので、公社の一義的な判断というのを尊重したいというふうに思っております。
○新井委員 そういうことをおっしゃっているから、結局、監督責任がどこにもなくて、こういった事態を起こしてしまったわけですよね。局長さんがせっかく、適切な処置を怠ったところがあるので、これからちゃんと取り組みたいというふうにおっしゃっているわけですから、ぜひ--そんなことおっしゃらないでくださいよ、本当に。何だかがっかりしちゃいますよね、もう。
それで、実は、その契約ということもあるわけですが、消費者契約法というものができていますよね。これまでの入居者の皆さん、退去なさった方も含めて、こちらの明日見らいふとの契約ということをちょっと考え直してみたときに、見直してみたときに、消費者契約法というのは、残念ながらといいますか、平成十三年の四月一日からの施行ということで、これについては、契約時には当てはめられませんけれども、完全にこの消費者契約法違反であるというふうに私は感じます。
目的、「この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ」これは、相手方がこの場合、高齢者の方でいらっしゃいますよね。情報の量も公社とでは全然違うんだと。「事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、」契約を取り消すことができる。「事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」こういう法律なわけです。これが適用されたら本当にうれしかったんですけれども、残念ながら適用されません。
ここの第四条の二項、「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし……」、だから、バスの駐車場なんかはできないし、隣に住宅が建って、自分たちの土地だったところが共有地になることなんかわからなかった、こういう場合は、「それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。」これは、契約は無効だというふうにいっているわけです。契約は無効である。
最後のこの法律のまとめのところには、これとほとんど同じことなんですけれども、こういった消費者の権利を制限したり、あるいは消費者の義務を加重する消費者契約の条項で違反する者は、一方的にその消費者の利益を害するものは無効とするということを、だめ押しで十条でいっているわけですね。
この法律は、先ほど来申し上げていますように、残念ながら、この契約の締結時には適用されないんですけれども、現に今ある法律と見比べて、私には、これは完全に違法だというふうに思うわけですが、ここで法律論争をしても仕方がありません。
こういったことに関して、この契約について、少し見直さなければならないのではないか、無効ということも含めて考え直さなければならないのではないかというふうに考えるわけですけれども、いかがお考えでしょうか。
○青木開発調整部長 消費者契約法の施行は、委員ご指摘のとおり、十三年四月でございますので、今回のご指摘の契約については適用されないというのは、ご指摘のとおりでございます。
今、契約自体を見直すべきではないかというお話がございましたけれども、きょう、委員のお話を承った段階でございます。私どもとしては、現在、法に抵触するかどうか、この場で判断することは大変難しいと考えてございます。
○新井委員 その辺は見解の相違ということで、これから十分お考えになってみていただきたいと思いますけれども、私自身は、この法に照らし合わせると、かなり違法なものがあったのではないかというふうに感じています。
なぜこういったことをずっとお話ししてきたのかといいますと、実は介護費用の返還ということについてお尋ねをしたいわけです。
こちらの明日見らいふは、お一人六百万円の介護費用を入居時に皆さんからいただいているわけです。ですから、ご夫婦で入った場合には、何と千二百万円です。とても大きい費用で、ほかのケアつきの高齢者住宅に比べますと、大体三百万、四百万の介護費用のところが多かったようですので、非常に高いなということを感じます。
ただ、高いなということは感じても、皆さん、入居時には、これからここで終身、安心して暮らしていくことができるんだという、そういう安心感の代償として介護費用を納めることを納得して、お支払いをして入居をしたわけですから、これが高いじゃないかというのは、今申し上げても仕方がないことかもしれません。
しかし、今までずっとお話ししてきたように、契約自体が、実際にサービスの内容は違っているし、告知すべき部分が告知されていなかったというようなことも含めて、無効であったのではないかというふうな感じもございまして、一般常識的に考えて、介護費用を返還しませんということはパンフレットに書かれていますけれども、ほとんどこの介護費用については使わないまま、皆さん、大体二年ないしは三年ぐらいで退去をされているわけですので、この介護費用については返還すべきではないかというのが私の意見です。これについていかがお考えでしょうか。
○青木開発調整部長 現段階におきましては、先ほど申し上げましたように、今回の契約が不当表示防止法における不当な表示に該当するかどうかという点では、判断できない、また、公社では、その不当表示に該当しないというふうに考えてございます。
したがいまして、退去時の介護費用の返還については、入居契約書に基づき、返還しないとしていると聞いてございます。
○新井委員 聞いておりますといわれるわけですけれども、だから、ここで法律論争をしても仕方がないです。ただ、一人の人間としてきちんと感性で考えていただきたい、感じていただきたいと思うんですけれども、全然使われていない介護費用、しかも、六百万、ご夫婦では千二百万、消費税も含めますと千二百三十六万という非常に高いお金を、非常に安心感があったから、納得して払った。ところが、入ってみたら、全然現実が違ったから--別に、だれも出たくて出るわけじゃないんですよ。やはりここにはいられないということで、やむなく出ていく。ある方は、六千万円近いお金を払って三千万ちょっとしか返ってこないんですよ、二年間で。あんまりだと思いませんか。やはりこの介護費用というのは返還すべきだと思います。
だから、法律に照らし合わせて云々ではなく、東京都という名前がついた供給公社がこの事業を行って、結果、こういうふうになっているという事実をやはり重く受けとめていただきたいと思うんですよ。どんなふうにお考えでしょうか。
○青木開発調整部長 退去された方と公社の間で、現在話し合いが持たれているというふうに聞いてございます。したがいまして、この当事者間の話し合いで円満に解決に向かうことを、私どもとしては期待しております。
○新井委員 この介護費用につきましては、実は、介護保険そのものが想定されないで契約をされていますので、介護保険ということの導入が決まってから、いろいろ話し合いがされていまして、現に入居されている方あるいは介護保険導入後に退去された方には、一定の計算式で返還がされているんです。
ですから、介護保険導入以前に退去した方に対してだけ、全く返還がされていない。一番使われていない人にだけ返還されていないという、本当におかしなことが起こっているわけです。
これは、皆さん、一人の人間として聞いていただければ、やはりおかしいというふうに思うのが当たり前ではないかというふうに思うわけですが、例えば、このケアつき介護住宅につきましても、社会保険庁が運営しておりますサンテール千葉、あるいは郵政事業庁が行っておりますカーサ・デ・かんぽ浦安につきましては、ちなみにこちらは月割りで返しています。
ですから、介護保険導入以前に退去した方について介護費用を返却していないのは、日本の中に、今、九カ所というふうにいわれている、供給公社が運営しているケアつき高齢者住宅のみということです。国土交通省の所管によるところですね。やはりおかしいですよね。ほかはちゃんと返しているわけですからね。一般的に聞いてもおかしい。ほかは返している。
これは返すしかないというふうに思うわけですが、これにつきましても、最後に局長のご意見を伺いたいと思います。先ほどのように前向きなご答弁をお願いいたします。
○橋本住宅局長 ただいま介護費用の返還という、いわば利用者との間でトラブルが生じている、その件につきましては、先ほど部長がお話ししましたように、話し合いの場で解決を目指しているということでございます。
私自身、今のお話について、詳しくまだ聞いておりませんけれども、先ほどの表示の方法あるいは協力医療機関等の問題、やはり入居される方からすれば、東京都だから安心だという、まさに信頼されて入ってくるわけでございまして、それがいろいろな意味でトラブルが起きているというのは、もちろん十分調査してから、私、お答えしなければなりませんが、今、理事のお話しされるとおりでありますと、これはやはり問題だろう、こう思っております。
したがいまして、先ほど来お話ししておりますように、この明日見らいふに係る諸問題につきましては適切に指導してまいります。
○新井委員 私のところにご相談にこられた方は、最終的には裁判も辞さない覚悟でいらっしゃるということですけれども、くれぐれも、裁判、法律論争ということで長引くということではなく、話し合いで何とか双方納得するような形でということで、ぜひ東京都の方が力を発揮していただきたいということをお願いして、この件については終わらせていただきます。
それでは、木造密集地域の再生についてですけれども、東京都としては、この木密地域の再生ということにどのような体制で取り組んでいられるのか、お話しください。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 平成九年度に、都は、防災都市づくりの推進に向けて各事業主体が実施する事業を総合的、重点的に展開していくための指針となります、防災都市づくり推進計画を策定いたしております。
現在、この推進計画に基づきまして、都市計画局、住宅局、建設局は、防災都市づくり三局連絡協議会等での協議、調整のもと、それぞれの所管する事業を一体的かつ緊密に連携して実施しているところでございます。
住宅局が所管いたします木造住宅密集地域整備促進事業におきましては、事業主体となります区市町村と連絡協議会を設置いたしまして、相互に緊密に連絡、協議いたしまして総合的に取り組んでいるところでございます。
○新井委員 都市計と、それから住宅、建設の三局で取り組まれているということですけれども、この木密地域の再生ということは、長い間取り組まれて、遅々として進んでいかないということがあるわけですけれども、これがなかなか進んでいかないということの原因といいますか、問題点といいますか、そういったものをどんなふうに把握していらっしゃるでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 木造住宅密集地域の整備が困難な背景には、一点目といたしまして、地域居住者のまちづくりに対する理解やあるいは意欲が十分でないということ、それから、建物所有者等の高齢化の進行、三点目でございますが、借地権、借家権、これらの権利がかなりふくそうしているという事実、四点目でございますが、狭小宅地が多くて道路に接していないなど、建てかえが非常に困難なケースがある、こういった課題がある、このように思っております。
○新井委員 ただいまのご答弁にありましたように、まちづくりの理解がなかなか得られない、あるいは高齢化が進んでいる、権利がふくそうしているということで、さまざまな理由があるわけですね。
こういったさまざまな理由というのは、今伺っていますと、東京都が理解していらっしゃるという部分だけでも伺っておりますと、この三局だけで解決できることではないですね。建設、都市計画、そして住宅局、この三局だけで解決できるということではない。暮らしの中の福祉の問題とか、あるいは地域の活性化の問題とか、コミュニティの問題とか、もしかしたら地域経済の問題とか、地域の商店街の活性化の問題とか、さまざまな問題が絡み合って、なかなか進んでいかないというふうな実態があるんだと思います。
私も、ここの東京都に来て、縦割りの強さというのを実感しているところなんですけれども、局ごとに非常に高い、深い壁があるといいますか、これで連携して事業が進んでいくのかなといったような不安感を持つわけですけれども、実は、こういったまちづくり、木密だけではなくて、ミニ開発の部分も含めまして、まちづくりの中で、徐々にまちづくりNPOがさまざまな成果を上げつつあるという実態がございます。
これも事例を挙げれば切りがないわけですけれども、ハード面だけではなくて、ソフト面から取り組んでいこうということで、木密でいいますと、大田区の蒲田、密集住宅地区整備促進協議会という名前のNPO法人が、共同建てかえということで、東京都の示しました街区よりも、うんと小さいイメージですね、数軒単位の共同建てかえというのを地道に続けてきています。
あとは、谷中学校、これは東京芸大の学生たちが、地域のミニ開発を防いでいこう、町並みを守っていこうということで活動を続けているところです。あるいは世田谷の太子堂の玉川まちづくりハウス、皆さんよくご存じの向島とか、さまざまなところで、NPOの方たちが一生懸命頑張って成果を上げてきている。
これも一筋縄ではいかなくて、ほとんど皆さん、十年、十二年かかって、やっと今、成果が上がりつつあるところまで来たのかなという状況です。NPOがなぜできたかというと、これはやはり、縦割りではなくて、生活全体を包括する形で地域に密着した活動を続けてきたからできてきているわけなんですね。
こういった活動は、東京都という行政、あるいは市区町村でも行政が直接取り組もうとすると、なかなか難しいところがあると思うんです。こういったNPOの方たちは、イベント、お祭りなどでコミュニティづくりをしたり、相談に乗って信頼を培ってきて、そして信頼をかちとって合意形成をしていくという、こういう事業をずっと続けてきているわけですね。
その中で、今回、住宅政策審議会の答申でビッグバンが出ましたけれども、この中でも、特に木密のところに、NPOに対する支援と参画ということがうたわれているわけです。東京都としては、これも踏まえまして、NPOというところに、木密地域の再生の中でどのような期待をしていらっしゃるのでしょうか。あるいは、どのような支援を考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
○小川住宅政策担当部長 木密地域の整備を進めるということでは、ご指摘のように、行政の側だけからでは不十分、その地域にお住まいの住民の方の主体的な取り組みが不可欠であるというふうに考えております。
したがって、その推進に当たりましては、特に、一番最初の初動期におけるまちづくりの立ち上げが非常に難しいということから、地域に根づいた活動を行っておられるNPOが、住民の方に対して啓発あるいは合意形成を支援する、融資面での相談、支援、あるいは行政との橋渡しなどをしていただく、そういった役割を果たすことが期待されていると考えております。
また今後は、NPO法人という形で、みずから住宅の建てかえでありますとか、住宅の経営でありますとか、そういった事業主体となって活躍されるということも期待をしております。
○新井委員 日本はまだ、まちづくりのNPOというのが育ちつつある状態で、十分な活動ができ切れるかどうかというと、不安なところもあるわけですけれども、そういう意味では、支援と活用といいますか、パートナーシップをもって、ともに活動していくということを進めていっていただきたいなというふうに思うわけですが、今、少し今後の支援方法などもお話しいただいたんですけれども、立ち上げ支援とか合意形成のためのアドバイザー派遣とか、支援としてはかなり小さいなというような感じがするわけです。
もう少し大きな支援といいますか、事業の推進も含めて、ぜひご紹介したいんですけれども、代表質問のときにも書かせていただいたんですが、私、まちづくりNPOを支える制度ということで、イギリスの方の制度をずっと研究してまいりまして、SRBという制度があります。シングル・リジェネレーション・バジェット、包括的な都市再生予算というのがあるんですけれども、東京都でいいますと、都市計画局、建設局、住宅局、環境、福祉局、それから生文と労働産業局と教育庁も含めて、あらゆるところが一緒になって一つの派出所みたいなものをつくるんです。そこで共同の予算を持つんですね。その共同の予算で、いろいろな地域のまちづくりの募集といいますか、この地域というふうに地域を限定してもいいわけですけれども、皆さんでまちづくりのプランを立ててくださいと。
例えば木密なら、ここの地域で木密地域の再生を行おうと思ったときに、何かいいプランはありませんかということで、NPOも含めて案を募集するわけです。そうすると、事業計画を立ててきた方たちが幾らか並ぶわけですね。それを、第三者機関がどの事業がいいだろうかということを審査して、この事業がこの地域のためにとてもいいだろうということで、そこに全体のまちづくり予算を流していく。だから、建物を建てることもあれば、道をつくることもあれば、河川を改修することもあるかもしれないし、ソフト面だけの動きかもしれない。
だけど、そういうことを包括的に行うことができる予算というものがあって、そのことがNPO自身を非常に育てて、まちを育てるといいますか、地域に住む人とともに、NPO活動とともにまちを育てていくというふうな役割を果たしているということがあるんです。
これについては、まだ日本では全然ない制度ですし、なかなかこういった場で短くその概念をお話ししても、わかっていただけるかどうか不安はあるんですけれども、ともかく縦割りを廃止したそういう予算を、最初はほんの一部で結構ですから、モデル地域としてつくっていただいて、業者と行政とNPOが一緒になってまちをコーディネートしていくような一つのモデル地域としては、私は木密地域というのは非常にいい材料であるのではないかというふうに考えているわけですけれども、そんなことをぜひ前向きに考えていただきたいと思います。これは私の要望ということで終わらせていただきます。
○川井委員 よろしくお願いします。
私は、都営住宅、これが二十六万世帯の方々の財産ではなくて、あくまで一千二百万都民共通の財産だ、こういう思い、それと同時に、公営住宅だからこの程度でいいんだということではなく、できるだけ都民の財産であるこの公営住宅の生活のグレードアップ、そういうものを思っております。そんな角度から何点かお聞きをしたい。
また、かなり厳しいご質問があるわけですけれども、住宅局の方々のご努力を大変認めている一人でございますので、特に、私が平成九年からずっと毎年本会議でやってきた高額所得者の退去に対してのご努力、これは大変よくやってくれたな、こういう思いがあります。平成八年時には一万二千ほどあった高額所得者、これを現在、十二年で二千二百ほどに、そして、今年度は一千五百までということでの努力をしてくれているということに対して、感謝をいたしております。
特に、かつて明け渡しの請求だとか提訴だとか、年に数件しかなかったものを、年間に百四、五十の明け渡し請求、あるいは提訴も二十件近くのものをやってきている。そういう意味では、明け渡し相談者数も、この四年間で一万一千から二千に達しているわけでございます。約四千の方々に明け渡しを迫ってきた、そういう意味で、よくやっていただいたな、こういう思いがしております。
それと同時に、長期滞納者、これもなかなかやってくれなかった。しかし、昨年、ここの東京都の住宅局のポストもふやしていただいた、あるいは公社の方にも人をふやしていただいた。これから大いに期待するわけでありますけれども、そこで、ちょっとお聞きをしたいのであります。
この長期滞納者、これは二十五カ月だとか四十カ月、六十カ月、こんなところになったら、絶対もう払えない。一件当たり四百万から。こんな数字になったら、とてもじゃないけれども払えないですよ。ですから、こうなる前の努力が大変必要なんだろう、こう思っています。せいぜい六カ月内で処理をするとか、いっても一年未満で処理をする、そこの努力がなければ、まさに六十カ月以上だとか三十七カ月以上なんていうものは、逆に、求めていくことが生活ができ得ない状態になってしまうんだろう、こう思っているんですね。
この六カ月あるいは十二カ月未満の努力に対して、どういう思いを持っているか、お答えいただきたい。
○井上管理部長 委員ご指摘のとおり、都営住宅の滞納は、長期間の滞納が続きますと、当然のように滞納額が累増していきますので、当然、一挙に払うことが困難になります。したがいまして、私どもとしましては、滞納がごく初期のうちに、まだ少ないうちに早期に解消することが、まず何よりも重要だと考えております。
そういう意味で、今、供給公社におきましても、滞納処理については、私どもから盛んに督促をしてやってもらっておりますし、また、それでも応じない方につきましては、法的措置の早期の実施であるとか、そういったようなことを重層的に組み合わせまして、初期滞納の縮減に努めております。
○川井委員 今いっていただいた、早い時期での法的な対応、これをぜひ努力していただきたいと思います。特に私は、この方々というのが、本当に生活困窮者として、家賃がとにかく払えないんだということではないような気がしているんですね。当然この方々は、生活保護をいただいているような方々ではないわけでございますし--あるいは一部いらっしゃるかもしれない。それは、家賃補助分を流用しているという方々もいらっしゃるわけですから、一部おることはおるのですけれども、どちらかというと、中には、こんなものは払わなくていいんだという、過去のそういう部分を引きずっている。
特に、昭和六十一年、この時代がまさにピークであったと思います。それから比べると、大分努力はしてきている。しかしながら、平成五年当時から比べると、約一千件以上ふえているんでしょうか。これは金額だから、十億以上ふえている、こういう計算になるわけですけれども、ここの部分、長期にわたる滞納者をつくることによって、滞納者自身を苦しいところに追い込むことにつながるんだろう、こう思っておりますので、ぜひ早い時期での努力をしていただきたいと思います。
それと、減免について少しお聞きしたいんですが、この減免というのが大変なふえ方をしているんですね。平成十一年で六万四千世帯、十二年で約十万世帯になっていますね。この減免というものが約百五十億ほどになっているんですね。
この部分、今後、一緒に勉強していきたいな、こういう思いがあるのでありますけれども、都営住宅の減免者の約十万世帯、先ほど出ましたけれども、収入超過者、高額所得者を含めての世帯数、それから長期滞納者の世帯数、全部ひっくるめて足して、そして二十六万世帯から引くと、どのぐらいになりますか。
○井上管理部長 まず、減免十万世帯、収入超過者が三万八千、それから高額所得者が千五百でございますので、おおまかに丸めますと約十四万弱になります。それから、滞納者が大体二万八千ぐらいになってございますので、十六万から十七万になりまして、二十六万のうち、引きますと、残り約十万ぐらいと。
○川井委員 十万までなりません。実は、正規の入れる条件を満たしていながら、きちっと家賃を払っていただいている方は九万数千世帯。二十六万世帯の中で、わずか九万世帯程度しかありません。だからこそ私は、先ほど議論の出た、また我が会派が前から要求してきた期限つき、これもきちっとやっていかなければならぬと。
それと同時に、一つご提案をしたいんですけれども、高額所得者というのは、ある程度手を打てるわけですね。ところが、収入超過者、ここの部分の考え方を新たに打ち出さなければいかぬのだろう。例えば、収入超過が五年以上、しかも、一つのラインを引いた中で幾ら以上、この部分を超えて五年たった場合においては、新たな対応と。ただ単に、あっせんだとか、あるいは持ち家制度がありますよとか、こういう制度がありますよというチラシのお知らせ程度の努力では足らないんだろうと。
新たな一つのクリアしなければならないハードルを東京都みずからつくらなければ、本当の意味で、若年で薄給で、なおかつ居住に困窮している方々、こういう方々や、高齢でひとり住まい、あるいは高齢同士の中で年金だけで生活していてその家を追われる、そういうような方々のために、そのチャンスを与えることができないだろう。より豊かな連中がこのチャンスを奪っているという現実を見た場合には、やはりそういう新たな考え方というものを一つ考えられないでしょうか。
○井上管理部長 都営住宅の収入超過者は、公営住宅法によりまして明け渡しの努力義務が課せられているのは、委員ご存じだと思います。
それに対しまして、明け渡し義務というふうな、いわゆる強制力のある義務ではございませんので、私ども、今の現下の法上、どういうふうな手だてが直ちに可能かというのは、今ここで即答をなかなかできがたい部分もございます。
しかしながら、先ほどからのご議論にもございますように、収入超過者の扱いにつきましては、都営住宅の中で、真に住宅に困っている都民により多く公平に利用させるためには、一つの焦点でございますので、私ども課題の一つとして今後受けとめさせていただきたいと思います。
○川井委員 仮に法改正が必要であるならば、法改正を国に求めていくなり、私は、この東京の公営住宅が全国の公営住宅を引っ張っていくんだ、こういう思いからして、ここの法的にでき得ない、いわゆる努力義務だけしか課せられていない収入超過者--この収入超過者も幅があるわけです。高額所得といわれる方々と一歩手前の方々、この方々でさえ、実は、前回、国の基準が変わったために、数千世帯の方が高額所得者から外れているわけですよ。こういう方々は、まさに高額所得者と一緒なんですよ。そういう期間が、例えば五年続いた場合においては、こういう考え方を持たなければならぬな、そういう考え方があっていいんだろう、こう思いますので、ぜひ努力をしてください。それだけいっておきます。
それと、ちょっと教えてください。この二十六万のうち、ストックというか空き家というか、いろいろな対応がある。いわゆる建てかえのストックかもしれない、あるいは緊急時に住まなければならない。いずれにしろ、通常、ストックは空き家として何戸ぐらいあるんですか。
○井上管理部長 一概に幾つというふうに確定した数字が、毎月毎月変動いたしますので、なかなか出ませんが、私ども、今、記憶にしてあるところでは、大体六千戸見当だと思います。
○川井委員 私がちょっと聞いているのが、まあ押さえるところによっても違うんだろうけれども、おおよそ一万戸程度、こう聞いているんですよ。押さえる時期もあるんだろうけれども、おおよそ一万戸というふうに聞いているんですけれども、どうですか。
○井上管理部長 委員ご指摘の一万戸という数字は、要するに、建てかえとか、あるいは住宅改善とか、そういう事業で使う事業用の空き家も加えますと一万戸でございますが、私どもが公募用とか特割用、そういったように回します、いわゆる純然たる空き家として活用できるものは六千戸程度でございます。
○川井委員 ですから、事業用を含めて聞いております。というのは、例えばスーパーリフォームが大体千前後でした。昨年千七百、ことし千八百ぐらい予定しているのかな。そういうことで、そういう意味で事業用に必要なことはわかります。しかし、このスーパーリフォームというのは、大体二カ月から四カ月、それで終わるわけですから。例えば、エレベーターを含めたって六カ月で終わるわけです。ですから、こういうものも、事業用ストックであるけれども、ある意味でこのストックに入れて考えていいんじゃないだろうか、そういう思いがあります。
それから、新しい建てかえについては、これは数年かかるわけですけれども、数年かかるということは、数年もう入っているわけですから、その事業用というのは、逆にいえば一万のストックに入ってきてしまう。
私が今いわんとしているのは、これを若干減らして、これだけ厳しい競争倍率なんだから、空き家の抽選会を年二回なんていわないで、もう一回ぐらいふやしたらどうだろうかという提案なんですよ。一般企業でさえ、ストックヤードをなくして、生産地から直接販売店へというような努力をしているんだ。これを一万もストックして、果たしてどうなのかなという思いがしてしようがない。
もう少し困っている都民にチャンスを与えて、そのやりくり、皆さん方のご努力、汗をかいているのは十分わかるから、そのご努力にもう一汗かいて、これを、あと二千でも三千でも都民に開放してあげるという考えは、局長、ないですか。
○橋本住宅局長 ただいまの川井理事の、ストックをできるだけ活用して、そして募集をふやす、あるいは少しでも待っている方に利便を与える、そういった努力をすべきじゃないか、こうおっしゃる趣旨、そのとおりでございますので、募集回数、現在も従来よりふやしております。しかし、さらにふやせるかどうか検討してまいります。
○川井委員 十分、かつてよりはいろいろ努力していただいています。ポイント制度だ、シルバーだ、単身だ、あるいは一般募集も含めて努力していただいているんだけれども、なお、極限まで努力するのが行政マンの立場だと思う。日ごろよくやってくれているのは、高額所得者の努力を含めて十分認めております。冒頭はそこから入っていますからね。頑張ってください。
それから一方には、もう一つは、私は、都営住宅に住んでいる方々の生活環境をできるだけよくしてあげたい、こういう思いがするんですよ。
そこで、実は、ある住宅局の方に私が、私、知らなくて不勉強で申しわけなかったんだけれども、電話の回線というのは一本しかないらしいね、こう聞きました。そうしたら、その方は、いや、そんなことないですよという話でした。私、聞いたので、ひとつ調べてくれよ、こういいました。その日だったか、日にちをたがえてだったか、私のところに来て、いや、川井さん、大丈夫、古いやつだけで、新しいやつはみんな大丈夫だからと、こういう話でした。しかしながら、その古いやつのパーセント、どのぐらいの率なのか出してくださいと。また日にちを改めて参りました。初めて、いやあ、参ったですな、これ、古いのが八割ありますよと。
そうすると、八割の方々は、自分が電話の回線がどうしても欲しくても、実は、容量の限度がありますので、一回線しか引けない状態にあります。そういう中で、今、ファクスだパソコンだ、今後、セキュリティーの問題、あるいは高齢者の健康の問題、すべての問題をそういうもので対応していかなければならぬ。
私は、こういう問題についても、大いに局を挙げて、また我々も一緒に勉強したい。ですから、きょうのところは余り突っ込みませんけれども、実は、その話をしましたら、情報化は日進月歩で大変な勢いで進んでいく、これから五年、十年、どういうふうに進むかわからぬから、当面のところは考えていない、こういう話もありました。
しかし、きょう、またほかの方と話して、とにかくそういうことも含めて、これから一緒にやっていこうということなので、余り突っ込みませんけれども、実はちょっとだけ触れておきますと、ISDNで対応すればいいとか、あるいはADSLで対応すればいい、こういう考え方もあるんだと思うんです。
しかしながら、総務省郵政事業庁、ここでやっている懇談会の中で地上デジタル放送懇談会というのがあります。ここに資料が分厚くあります。これを読みますと、二〇一〇年からは一般放送はほとんど行われなくなるだろう。二〇〇五年、これが申請可能期間ということの中で、サイマル放送としてアナログ放送も同内容をデジタルで放送する期間でさえ二〇一〇年でなくなってしまう。そうすると、一般の方々はまさに見られなくなってしまう。それで、ケーブルテレビ、いわゆるCATVあるいは光ファイバー、こういうものの時代になってくるんだろう、こう思うわけですね。しかしながら、このケーブルとか光ファイバーになると、基盤整備も必要になってくる。そういうものを、私はもう既に考えていかなければならないと。
世界各国を見たって、この地上デジタル放送というものがほとんどになってくるんですよ。もう既にやっているところが、アメリカとかスウェーデンとかイギリスとかあるわけですけれども、ここ一、二年でやろう、あるいは二、三年でやろうというところになると、韓国、台湾、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、スペイン、もうあらゆる国がそうなってきます。行く行く検討してその方向に進んでいるところ、そうしますと、世界の三分の二ぐらいがそういう方向。日本も、そういうふうに今進みつつある。
その中で、いつまでも電話一回線、それを利用したISDNで対応すればいいとか、ADSLで対応すればいい、こういう時代ではないんだろうと思うんです。だから、ぜひこれからこの部分についても、CATVあるいは光、こういうものの時代--特に、残念なことに、荒川は東京都より先走ってやっちゃった。新聞に出ています。東京都荒川区、光ファイバー、各家庭に引き込む方針、こういうものが出されました。
こんなものには負けちゃならない、こういう思いがありますから、ぜひ一緒にこれから--私も、実は東京都全体を調べました。(資料を示す)ほとんどこの部分、山間地を除いて、ケーブル全部入っていますよ。いろいろな程度問題はありますけれども、いろいろな形の違いは、例えば地域イントラネット基盤整備だとか、新システムとか、単なるケーブルテレビインターネットとか、いろいろあります。いろいろありますけれども、既に大方のところ、二十三区すべて、それから二十六市二町一村、残るのは、その部分のわずかこの部分だけです。
となると、こういうものを利用して東京都がやろうと。ほかの人たちは、一般住宅に住んでいる人は、希望すればすぐつなげられるんです。しかし、都営住宅の方々は、その団地内の基盤整備ができなければ、つなぎたくてもつなげないんですよ。
ぜひそんなことをこれから一緒にやっていきたい、こう思っておりますが、このことに関して、簡単でいいですから、どなたかご答弁ください。
○青木開発調整部長 ご指摘のとおり、二十一世紀はまさに高度情報化社会といわれております。そういう意味では、IT基盤等の整備が急がれているわけでございますが、都営住宅全般についてケーブルを敷設するという意味合いでは、若干いろいろ検討すべき課題があるというふうに認識してございます。
ただ、私ども、五十年代に建設をいたしました光が丘団地、公団、公社等と一緒に共同開発した団地でございますけれども、そういう団地では、既にケーブルを敷設しまして、いろいろな面での研究を重ねているところでございます。
したがいまして、今後、そういう通信技術の向上等の動向を踏まえながら、また費用対効果も考えながら、その導入については研究をしてまいりたいと思っております。
○川井委員 あなた、答弁下手だなあ。そういうふうな答弁になると、もっと突っ込んでいっちゃうということになるけれども、これはまた改めてやりますけれども、先ほど、あるいはきのう、おととい、あなたの有能な部下の方々がいろいろ話しに来たので、きょうはやめておきますけれども、光が丘とか幾つかだけということじゃなくて、全部考えなければ、こんなものはだめですよ、全部考えなければ。
費用対効果なんていっていなくて、東京都の都営住宅に入っている人間が、一般的な生活ができ得ないなんていうのはとんでもないことです。逆にいうならば、都営住宅が、この東京の公営住宅が、日本の住環境のグレードアップに寄与するぐらいでなければだめなんですよ。一方、管理の面は厳しくやっていかなければならぬけれども、そのぐらいの意気込みがなければ、私はだめだと思いますよ。
じゃ、あなたは、その幾つかの団地だけやって、十年後どうするんですか。テレビも見られませんよ。そんなこと考えたことあるんですか。
○青木開発調整部長 今、私の答弁が大変下手だというご指摘をいただいたわけでございますけれども、今後の情報化社会に向けて、私どももそういう事例をとらまえて研究をしてまいりたいと申し上げたわけでございまして(「そこまででやめときなよ。いいよ、それで。」と呼ぶ者あり)二十六万戸全般にすぐ導入ということは、現段階では難しいと申し上げただけでございます。
○川井委員 そこまででやめておけば……。
二十六万戸すぐなんていっていないんですよ。しかし、二〇一〇年ということを意識するならば、今からその検討に入らなければならぬ、勉強しなければならぬ、いろいろな工夫をしなければならぬ。その中で、二、三年の中で考え方を構築して、そして三年目ぐらいからその基盤整備に入っていかなければ、六年、七年かけなければ、でき得ないからいっているんですよ。それは予算的にも期間的にも。しかし、そんな大きな銭はかからぬからやりましょう、こういっているんじゃないですか。だれが今すぐやれなんていっていますか。まあいいや。
これも、実はまた改めて議論しましょうということをそちらからいただいたので、きょうのところは、本当にさらっとお聞きするだけにします。改めてこれから一緒に勉強していきましょう。
スーパーリフォーム、これ、十年以降、手をかけてきて、十三年度千七百、そして来年度約千八百を見込んでおるというようなことですけれども、これまで十三年度含めて何戸やってどのぐらいの予算を使った、あるいは十三年度見込みを含めて使うのか、ちょっと教えてください。
○大森参事 スーパーリフォーム事業の実績でございますけれども、この事業を開始しましたのは平成十年度からでございまして、十二年度までの合計が四千二百四十二戸でございます。金額につきましては三百億程度でございます。
○川井委員 これから、どの程度の期間で、幾つほどの計画をされているんですか。
要するに、昭和四十年代以降の十万戸すべてをそれで考えているのか、それとも、ある年度数を区切って、この期間でこの程度やろうというお考えであるのか。
○大森参事 このスーパーリフォーム事業の対象でございますけれども、委員ご指摘のとおり、昭和四十年代に建設した約十万八千戸の都営住宅を建てかえること以外に、このスーパーリフォームをやろうということでございまして、建てかえとスーパーリフォームの対象事業、約半々、五万戸程度というように考えております。
年間計画でございますけれども、今のところは、来年度千八百戸、ことし千七百戸、その程度で予定をしております。
○川井委員 二十六万世帯、全団地の建物、修繕費は年間どのぐらいかかっていますか。
○井上管理部長 既存の都営住宅の修繕費は、年間、事務費を除きますと、私ども公社に委託支出をしておりますのが約三百億、事務費を加えまして約三百五十億円ぐらいになると思います。
○川井委員 耐久年数と、耐用年数というか利用年数というのは違いがあるんだというのをちょっと議論したかったんだけれども、スーパーリフォームの基本的な考え方は、コンクリートの建物、躯体もしっかりしている、六十年から七十年、コンクリートの耐久年数がある。そうすると、三十年ないし四十年たったものは、スーパーリフォームをして、まだ三十年もつぞ、こういうことが基本にあるんだろう。
しかしながら、一遍に建てかえをするよりは、そういう形の中で、中を新築と同じような整備をすることによって、いい住環境の中で生活してもらおう、こんなところにあるんですか。
○井上管理部長 住宅営繕の一つの大きな目的は、建物の良好な維持管理ということでございまして、都民の貴重な財産でございますので、これを良好に管理する、こういうのが一つの大きな目的でございます。
もう一つは、委員ご指摘のように、そこに住んでいる方の居住の継続を、居住環境をよくするということで、住まい方についての配慮も一つございます。
○川井委員 先ほど十万八千のうちの半分程度ということですけれども、千七百とか千八百で、あと何年間かかりますか。
○大森参事 単純に計算しますと、十七、八年かかると思います。
○川井委員 私は、このスーパーリフォームがだめだとか、そういうことをいわんとしているのではなくて、一度じっくり考えてみる必要があるんじゃないだろうか。
スーパーリフォームでこれからやるのに約二十年かかりますよ、しかも、年間三百から三百五十億円の修繕費がかかっていく。しかも、スーパーリフォームが建てかえのどのぐらいの予算でできるのかな、三分の一、四分の一程度でできるのかなと。聞いてみたら、何と三分の二程度かかる、こういうような話も聞いております。そうすると、三分の二をかけて、あるいは、それに年間三百五十億円の修繕費というものを考えていって、それだけ金をかけて、三十年もたせようと。
全く新しくつくったら、十年、十五年は修繕費は要らない。外壁塗装は要らない。ガン吹きつけ、それからドアの吹きつけ、手すりの吹きつけ、塗装だね。あるいはベランダの手すり、洗濯物干しの器具、こんな取りかえも要らないだろう。古くなったサッシの取りかえも要らない。
こういうものをじっくり考えていく必要があるんじゃないだろうか、こう思いますが、どうですか。
○大森参事 スーパーリフォームと建てかえ事業の比較でございますけれども、スーパーリフォーム事業につきましては、長期的に建物を活用するということで、廃棄物の発生の減少や省資源など環境への負荷を軽減するというような働き、効果もございます。
そういうことから、いわゆる建物の生涯のコスト、ライフサイクルコストといいますか、そういうものを、目に見える金額、目に見えない金額を含めまして、いろいろ比較をしなければならないというように考えております。
その辺につきましては、これから研究をしてまいりたいというふうに考えております。
○川井委員 建築廃材を出さない、簡単にいえばそういう答弁だろうと思うんですけれども、これ、減らしているんじゃないんです。延ばしているだけです。三十年たてば壊すんです。しかも、その形でやった場合、三十年たって、みんな六十年、七十年たったものが一斉にできてしまう。ある一定の計画のもとに新しくしていくことと、一斉に七十年たった、六十年たった建物を持ってしまうのと、よく考えなければいけないだろう。
ですから、私は、これはやめろとかそういうことではないです。もう一度、少しそういうことを含めて、全体的な--しかも、建てかえにおいては、その団地スペースを有効利用できる、今よりもっと戸数の多い建物ができる可能性もあるわけですし、たとえ中をリフォームしても外観は変わらない。建物が建って四十年もたつと、周辺の景観と合わなくなってきている建物、そんなものもある。総合的なチェックをもう一度一緒にしてみたいな、こう思っているんです。ですから、スーパーリフォームが悪いからすぐやめろとか、そういうことではないんです。
これから本当に将来的なことまで踏まえて、そして、この選択をここ二、三年でしないと、逆に大変な時期を迎えてしまう。今、約十八年かかる。要するに、十万八千戸のうちの半分を寿命を延ばすんだ、こういっている。そうすると、その時期には、一斉にその寿命を延ばしたやつが、いわゆる耐久年数が来てしまうんです。寿命が来てしまうんですよ。この方がよほど怖いような気がします。
ですから、それを含めて、これは費用対効果も考えていかなければならぬし、すべての部分を寄せ合わせて十分検討していかないと、目先だけ見ていると、東京都の住宅局は何やっていたんだ、こういうことになってしまう可能性がある重大な問題だと思っているんです。どうですか。
○小林建設部長 スーパーリフォームを実施する団地につきましては、今、理事のご指摘がありましたように、建てかえをして、総合的ないろいろな観点から土地の有効利用をした方がいいのか、そういうものを含めたトータルな考え方の上で選択するような形で、今後、一定数をやりながら、将来的な姿というものを模索していきたいというふうに考えております。
○川井委員 今後、スーパーリフォームをやるとき、そういうことをよく考えていきますというご答弁ですね。そうじゃなくて、スーパーリフォームそのものを含めて、この事業というもの、それから東京都が今持っている建物全部、これから向こう二十年なら二十年、三十年なら三十年のサイクルの中でどうしていかなければいけないのか。そして、その耐用年数と耐久年数と--耐久年数はあっても、その躯体まで変えるわけじゃないから、壁紙を張ったり、少し段差をなくしたり、そんな程度しかできないんですよ。昔建った建物だから、圧迫されたような感覚がするんですよ。二メートル二〇とか三〇しかないんだから。今の建物は、二メートル四〇から、高いところは七〇ぐらいありますよ。
そういうすべての問題がここに絡まっている。なおかつ、毎年の営繕費等々も含めて考える。幾ら金かけたって、三十年しかもたない。しかも、中身は、壁紙を張ったり、畳をフローリングにしたり程度ですよ。全体の圧迫感は変わるわけじゃない。そういうものに、これから何千億、何兆円と湯水のように金をかけていいかどうかという問題なんですよ。しかも、その時代が来ると、スーパーリフォームで対応していたものは、三十年たつと一斉に耐久年数、待ったなしの状態になる。
だから、そういうことを含めて一緒に勉強していきましょう、こういっているんですよ。それを、今やるものについて、十分そういうことを含めて検討しますと。そうじゃなくて、抜本的なところからやりましょう。本当に費用対効果も含めて、今現在の建物の現状を含めて、その周りの景観、損得勘定でもいいですよ、すべて入れてやりましょうというふうなことを提案しているんですよ。どうですかね。
○小林建設部長 都営住宅には全体で二十六万戸ストックがございます。そのうち三十年代以前のものが約四万弱、四十年代が十一万ということで、半数以上を占めてございます。そこら辺が、今、今後どうするのかという理事ご指摘の部分だと思います。
私ども住宅局といたしまして、これらのストックをどのように活用していったらいいのかについて、今後、計画を立ててまいりたいと考えております。
○川井委員 最後にしますけれども、そこで、例えばこの二十年間あるいは十五年間、十年間でもいいです。仮にスーパーリフォームをやる費用、それから、三十年代にやった建てかえの費用、そして毎年かかる修繕費、総額どのぐらいあるのか。これを総額で、万が一、全部建てかえたら、どのぐらい残るんだろう。三割残っちゃう。仮にですよ。そしたら、この三割どうするんだ。ここへ民間の力をひとつ導入しようじゃないかと。今の青山一丁目の一番便利のいいところだけで終わるのじゃなくて、そういう考え方ができないだろうか。そういう新たな考え方で、今から二十年、三十年先を見越しながら計画をつくり直さないと、東京都がそのときになって手を上げたって、だれもつくってくれないんですよ。
そういう形の中で、じゃ、二十六万戸の三割は、十年後かわからぬ、二十年後かわからぬけれども、民間の力、活力を借りてやらなければいけない、あるいは土地を提供してPFIでやらせよう、それなりの収益を上げたら、二十年たったら返してくれよと。いいじゃないですか、イギリス方式だって何だって。
ですから、そういうことを考えるには、私がいっている部分をもう一度再検討して議論をしていかないと、そこまで踏み込めないんですよ。ですから、そういうことを、余りこの枠の中で考えずに、少し夢を持った考え方の中で、もう一度、このスーパーリフォームを含めて再検討する場をつくりますか。つくってくれますか。答弁ないなら、ないままでいい。待っているから。
○小林建設部長 先ほど申しましたように、二十六万戸の都営住宅をどのように管理していくか、将来的な姿も含めて考えていくということは大変重要だと思いますので、今後ともいろいろと勉強させていただきたい、そういうふうに考えております。
○川井委員 だから、スーパーリフォームを含めて再検討をする会をつくってくれますか。
○橋本住宅局長 ただいま理事のお話にありました、まず、スーパーリフォーム事業は、長期的な観点あるいは財政も含めた観点から再検討していったらどうだろうか、修繕費が三百五十億、毎年かかっているということを含めて、全体的な検討をすべきだというのが一点目にございました。
これにつきましては、まことに当然でございまして、そういった検討を経た上で、平成十年から半々で、今のような財政状況で、しかもストック活用をし、先ほどご答弁の中で申し上げましたが、そういった観点からスーパーリフォーム事業をやって、十年度から始めたばかりでございます。
しかしながら、それが今後どうなるのか、どうしていくのか。あるいは、二点目にございました用地の活用あるいは民間の活用、既に私ども、青山で、あるいは次の団地も適用したい、こういうような方向で検討しておりますけれども、そういうように状況も変わっております。
したがいまして、先生がおっしゃいました観点を総合的に今後検討してまいります。
○川井委員 もう結構です。聞いていると、やってくれるのかなと、思わず錯覚するようなご答弁、ありがとうございます。やっていただけるんだろう、こう思います。
ただ、私、なぜそんなことをいうかというと、これ、まだ始めて四年の計画、だから検討しないじゃなくて、見直さないじゃなくて、だからこそ、今見直していかなければいけないんです。だからこそ今見直して--これ、十年やって、ああ、むだだったなんていったら大変なことになっちゃう。今、十年からやって、三年間やって四年目に入った。だから、今、本当にこれでいいんだろうかと。
スーパーリフォームをやっても寿命は延びないんですよ。わかりますか。寿命は延びない。耐久年数は来るんです、一遍に。そういうことを考えなければいかぬですよ、その時期が一遍に来たら東京都はお手上げですよと。ですから、そういうことも踏まえながら、考え方を出しましょうということです。
まあ、やっていただけるものだと思って期待して、質問をやめます。ありがとうございました。
○ともとし委員 五時も過ぎましたので、大変お疲れかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
私も、都議会議員という立場はまさに一年生議員でございますので、若干基本的なことをお聞きしておきたいと思うんですが、まず、都営住宅、公営住宅は、いかなる目的で、いかなる根拠で建てられているのか、お聞きしたいと思います。
○小川住宅政策担当部長 公営住宅法によりますと、困窮する方に対する賃貸住宅として、国の補助を受けて公共団体が供給する住宅、そういうふうに定義をされております。
○ともとし委員 今までの各議員のご質問等を聞かせていただいて、そしてまた、答弁等も聞かせていただいているわけなんですが、どうも目的感あるいは根拠というのがどこにあるのかなというふうに疑わざるを得ないような、そういう答弁内容が非常に多いような気がするんですね。
都民の住宅に対する困窮度、それらを踏まえながら、都民サービスの一環の中でつくられているとは思うんですが、長期的な展望というのは何か持たれていないような気がするんですが、いかがでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 公営住宅の役割というのは、都の行う住宅政策の一つの柱というふうに認識しております。先ほど、東京の望ましい居住のあり方ということで、活力がある、選択ができる、あるいは安心して居住ができるという将来像をお話しをさせていただきましたが、やはり安心して居住ができるという部分の、いわばセーフティネットをなすものというふに考えております。
また、今の公営住宅ストックというものは、そういう形で、真に住宅に困窮する方のための住宅として使われていく必要がある、かように考えております。
○ともとし委員 安心して居住できる、そういうような状況づくりのために公営住宅がある。ある一面では、それはそれとして評価できることなんですが、私は、長期的な展望は公営住宅を建設する方には余りないんじゃないかなというふうに思っているのは、実は、こういう公営住宅、集合住宅、そういう建物が建っているその近くの学校は、ほとんど統廃合の対象になっているんですよ、一定の期間が過ぎますと。
それは要するに、長期的な、そういう中にお入りになる人間が主体じゃないんです。建物が主体なんですよ、器だけつくってあげればいいという。ですから、器は確かにご立派なもの、その状況その状況、その時代時代に合わせてつくられているかもしれないけれども、長期的な展望がないから、一定の年数たつと、もう高齢者の方ばかり。私が住んでいるところの足立区は、都営住宅の十分の一があるんじゃないかといわれているんです。ですから、まさに都営住宅のそばの学校は、ほとんど統廃合の対象になっちゃっているんですよ。そういうような、中にお住まいになる方をお考えになりながら建設というものをしていけば、そういうことにはなっていかないんじゃないかなと。
例えば、期限つきというのも一つの方法だと思うんですよ。一定の期間が来て、くるくるこれが変わっていく。そういう中に入って、若年層の人たちの中には、小中学校に入る年齢層のお子さんたちもいらっしゃるんじゃないか。それは一つの方法だというふうに思うんです。
しかしながら、既存のそういう建物の状況を踏まえて、東京都の住宅政策も、もう何十年となく歴史が積んできたわけですから、その上に立って反省する余地は十分にあるんじゃないかなと。今後については、やはりそれらを踏まえて、そうしたことを政策的に考えるべきじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○小川住宅政策担当部長 確かにご指摘のように、東京の場合、非常に一極集中での都市化の時代がございまして、絶対的な住宅不足の中で、やや、地域性とかいろいろなものを全部公平に考えてということではなく、需要に応じてという形で供給をされた部分がございます。それが、地域社会の形成の中で、やや今の状況になって合わなくなっている。
そういうことで、私ども、都営住宅政策を見直しまして、公平あるいは活力、効率、分権という四つの視点から、新しい都営住宅制度に向けて改革をすべきであろう、そういうふうに考えております。
○ともとし委員 余り深くは、先輩の議員を見習って追及はしないようにしたいと思っているんですが、もう一点、この供給公社の位置づけなんですが、これもまた、どういう目的でつくられたのか、この辺についてもお聞きしたいと思います。
○阿部連絡調整担当部長 公社は、公的住宅セクターとしての基本的な役割のもとに、都の住宅行政の代行補完的な機能を有したものでございまして、そういった中で住宅対応をしているというふうに考えております。
○ともとし委員 端的にいうと、この団地にお住まいになっているところの皆さんに、要するに、サービスを住宅局の代行としてやられているというふうにとらえてもいいのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○阿部連絡調整担当部長 ただいまお答えいたしましたように、そういった機能を踏まえまして、いわゆる公社の自主事業とともに都営住宅の管理委託業務等を行っております。
○ともとし委員 自主事業よりも管理委託の方が主になっていませんか。
○阿部連絡調整担当部長 予算的には、先ほど来出ておりますように、管理委託経費というのはかなり大きな額になっておりますが、やはり公社自体の本来の事業と委託事業というのは、両方、大きな二本の柱だというふうに考えております。
○ともとし委員 金額的にはどういう形になっていますか。
○阿部連絡調整担当部長 公社の一般会計の十二年度の決算でございますが、総額で約八百三十億余円になっております。それに対しまして、都営住宅の管理に対応する十二年度の決算は四百二十億余円となっております。
○ともとし委員 四百二十億だと。要するに、あとの四百十億は自主事業だというふうに解釈すべきなんですね。
○阿部連絡調整担当部長 ちょっと言葉が足りなくて申しわけございません。別々でございます。八百三十億余円が公社の自主事業分、それから、四百二十億余円が公社への都営住宅の委託事業分ということでございます。
○ともとし委員 これの設立目的というか、その出資ですね。先ほど、どなたの議員か、一〇〇%都の出資だというふうにいわれておりましたけれども、その辺はどうなっているでしょうか。
○阿部連絡調整担当部長 公社は、東京都の出資団体で、一億五百万円全額東京都出資の団体でございます。
○ともとし委員 そうしますと、ある種の監督権というのは、明確に東京都にあるというふうに思っていいわけですね。
○阿部連絡調整担当部長 住宅供給公社に対しましては、住宅局は、公社の経営全般にわたりまして基本的事項について指導を行う権限がございます。
○ともとし委員 私は、はっきりいって、一年生議員だからいえることなんでしょうけれども、さっきのずっと答弁を聞いていて、一瞬、つい最近までよくテレビをにぎわした秋田県を思い出したんですよ。秋田県が株式会社をつくって、千葉県の方にうちをつくった。そうしたら、沼地につくって、とんでもないような住宅ができちゃった。ところが、それについての責任というのを、秋田県はなかなかとろうとしない。最終的に裁判まで持っていかれているという、そういう内容で、一瞬、その辺が相当頭の中にちらついてきたんですね。
新井議員がいう、そういう内容のものを、東京都が一〇〇%出資するところの公社がもしやっていたとしたら、その責任、監督権を持っている東京都住宅局の責任は相当なものがあると思いますよ。さっき、聞いていると、何か全然責任がないような答弁をされていましたけれども、僕も聞いていて、本当にこんなのでいいのかなと。
こういうような形の、住宅局のそういう答弁の内容で、我々これから一年間、住宅局の人とおつき合いをしながら、東京の住宅政策を考えていくのかなと思ったら、これはどうなっちゃうのかなと一瞬思ったんですけれども、いかがですか、この辺は。
○阿部連絡調整担当部長 東京都は、住宅局といたしましては、公社全般への指導監督ということで、基本的には、地方住宅供給公社法に基づきまして指導監督を行っているわけでございますが、具体的には、その公社法等の規定に基づきまして、予算、事業計画や決算、業務報告を受ける際などに必要な指導を行っているという形をとっております。
○ともとし委員 そんなことを聞いているんじゃないんだって。責任はないんですかといっているの。責任があるんだったら、責任があるらしい答弁があるでしょう。
○阿部連絡調整担当部長 その必要な指導監督を行う中で、先ほど来お話しのような部分につきまして、必要がある部分については適切な対応をしていくと考えてございます。
○ともとし委員 もし、公社にそういう委託をして、そのことについて住宅局の方で責任がとれない、そういうような内容だったら、公社になんて委託することないですよ。一切、住宅局でやらざるを得ないですよ、そうなったら。
少なくとも、公社に委託したり、公社がやっている事業については、東京都でもきちっと責任をとりますよと、その一体性があって初めて公社のそういう内容が出てくるんじゃないですか。いかがですか。
○関谷総務部長 ただいまのご質問にお答えいたしますけれども、一つは、都営住宅の管理を供給公社に委託しているという観点につきましては、先ほど来、休憩前もそうでございますけれども、管理委託契約の中で一定の約束事等、また管理委託契約に基づく協定等を結ぶ中で、業務の検査等について、適宜、毎年のように行っているということで、ある意味では、非常に細かく、東京都としても、公社の事業執行を検査していくという立場に立って指導をしているわけでございます。
いずれにしても、都営住宅の管理については、あくまでも東京都の事業として、管理委託とはいえ、その一部を公社に任せているということでございますので、最終的な責任は、東京都として果たしていくべきものであるというふうに十分認識しているところでございます。
それからもう一つ、東京都の監理団体としての住宅供給公社に対しましては、ただいま委員の方からございましたように、東京都として全額出捐している団体でございますので、これはまた一方で、住宅供給公社は地方住宅供給公社法に基づいて設立しておりまして、この公社法の中でも、母体となる自治体の関与について詳細に規定をされております。そういう中で、公社経営全般にわたる基本的事項について指導し監督をしていくということで、その責任を負っているところでございます。
また、東京都の監理団体ということで、東京都監理団体指導監督要綱等を含めまして、予算ですとか決算、事業計画、さらには必要に応じた業務報告を受けるなど、必要な指導監督に東京都として努めていくという立場に東京都住宅局はございますので、そういう意味での指導監督に伴う責任ということも、おのずから東京都として果たしていく必要があるというふうに認識しております。
○ともとし委員 そうなんですよ。東京都住宅局に公社を指揮監督する、そういうものというのはあるんですよ、十分に。そのために非常勤の理事が出たり監事が出たり、いろいろなものがあるわけですよ。
だから、先ほどのようなそういう質問があったとするならば、そのことがわかっていないんだったら、それこそ、直ちに調査をしてきちっとした答弁をさせていただきますというのが、普通の理事者側の答弁になるんじゃないですか。何か責任転嫁するような、それは公社のやっていることだから、公社の一つの中身の、そういういろいろな内容によって処理しますよ、私たちの関知するところじゃありませんよなんていうような、そういう認識だったら、それは困りますよという思いを私はさせていただいたので、ちょっといっておかなければいけないなというふうに思って、あえていわせていただきました。別にけんかを売る気はさらさらありませんから、ひとつよろしくお願いします。
別件に移りたいと思います。
都市再生法、国の方では、この都市再生という一環の中でバリアフリーが随分叫ばれているわけなんですが、東京都でも、住宅の一つの対象としてエレベーター等、世田谷のそういう問題等も含めながら、いろいろつくっていただきました。心から感謝をしたいと思っております。
ただ、このエレベーターのことについては、先ほど来お話があるように、古い住宅が物すごく多くなってきているだけに、これは住宅局としても重点施策の一環にしなければいけないんじゃないかな、こう思っているんですけれども、来年度のそういう内容等をちょっと漏れ聞きますと、そういうような状況にないなというふうに思うんですが、この辺について、くれぐれも重点政策の一環として位置づけられるような形で、ひとつ要望をしておきたいと思います。
この世田谷の階段式エレベーター、モデル事業としてやられて、いろいろな評価が出ていると思いますけれども、この点についての評価はどうでしょうか。
○渡部参事 評価ということでございますけれども、計画から設計、施工を通じまして、関係機関と十分に協議をしてまいりました。また、工事に当たりましても、自治会及び住民の方々の理解と協力を得まして、安全にかつ計画的に竣工いたしました。
そういった意味では、所期の目的を十分に達成できたというふうに判断してございます。
○ともとし委員 非常に内容的にもよかったんじゃないかなと。本格的にいよいよこれから実施していただけるのかなというふうに、今、答弁の内容を解釈させていただいております。
利用者の方たちから、それなりの声というものも聞いているかというふうに思いますけれども、利用者の方たちのそうした声、アンケート調査というか、そんな形もやられているのかなと。
また、そういうような声を踏まえて、これから、階段室のそういう縦型の住宅、多数ありますので、設置可能なものがどのくらいあるのか、そうしたことを調査する作業が必要かなというふうに思うんですけれども、これらについてはどうでしょうか。
○渡部参事 まず、居住者の方々につきましては、ことしじゅうにアンケート調査を実施いたしまして、その結果を今後の事業に活用したいというふうに考えてございます。
次に、このエレベーターにつきましては、階段室の踊り場を活用するといったようなことがございますので、踊り場の手すりの構造がどういうものかということが、エレベーターを設置できるかどうかの非常に大きなポイントを握ってございます。そういった意味で、既存のすべての階段室型の住棟につきまして、そういった型別、構造別の調査を経まして改築をしたい。
そういった結果をもちまして、今後、どういった住宅について階段室型のエレベーターがつけられるかということを判定した上で、来年度以降、順次、円滑に事業が進められるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○ともとし委員 これは、かなりコンパクトな低コストのエレベーターだというふうに聞いておりますけれども、実際の建設費、どの程度かかったのか。
それと、廊下型のそうしたところにつける大型のエレベーター等があるわけですが、それと比較対照しての建設費はどうなのか、その辺についてはいかがでしょうか。
○渡部参事 今回のモデル事業につきましては、地盤が非常に良好であったために、くい工事がないという条件でございますけれども、エレベーター三基と外構工事を含めまして約三千五百万円でございます。
通常、標準的な、くい工事を伴います廊下型の九人乗りエレベーターにつきましての工事費でございますけれども、ほぼ同程度というふうに理解してございます。
○ともとし委員 そうすると、大型の一基のエレベーターをつけるのと、三基のそういう階段式へのエレベーターをつけるのと、ほとんど同額である、そう理解できるわけですね。
○渡部参事 いろいろ条件がございますので、例えば階段室型のエレベーターにつきましては、既存の外構工事を伴うとか、あるいは、くい工事が地盤によってかなりいろいろ種類がございますので、一概に三基で一基分というふうにはいえませんけれども、ほぼそういった程度という理解でよろしいのかなというふうに思っております。
○ともとし委員 三基で大型のそういうエレベーターとほぼ同額ということであれば、本当に非常に先行きの見通しが明るいな、そんな感じがするわけですので、大いにそうしたことを積極的にやっていただければなというふうに思います。
ただ、これは、今、階段式のそういう内容になっているんですが、廊下型というか、そういうような内容のところで、建築基準法ですとかその他の諸条件の中で、このエレベーターが設置できなかった、そんな住宅もあるわけですね。あるいは、戸数が通常の戸数の半分ぐらいしかないような、小さなそういう内容のところもあるわけですね。
そんなところにも、こうしたエレベーターというのは利用ができるのかなというふうに思うんですが、この辺についてはどうなんでしょうか。
○渡部参事 階段室型エレベーターの今後の活用の方途についてのお尋ねでございますけれども、確かに低コストで設置ができるということでございますので、現行の設置基準では設置対象外になっております二十四戸未満といった住棟につきましても、費用対効果などさまざまな諸条件を加味して検討したいというふうに思っております。
また、階段室型エレベーターにつきましては、先ほど申し上げましたように、前面に約五メートルほどの空地がなければ設置できないといったような厳しい条件もございますけれども、一応エレベーター本体はコンパクトでございますので、ご指摘のように、これまで困難であったものについても、種々検討することによって可能になるものもあるというふうに理解しておりますので、検討して努力してまいりたいと思います。
○ともとし委員 すばらしい前向きの答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。
僕は、ある意味では、住宅局というのはかたい仕事をやられているような感じはするんですけれども、しかしながら、都民に接する割合というのは、供給公社という間があるかもしれませんけれども、非常に都民に密接したお仕事の一つではないかなというふうに思うんですね。
ですから、住宅局の皆さんが、より都民のためのサービス向上というようなことを視点に置きながら具体的なお仕事をしていただきますと、これは都民も、東京都なかなかやるな、知事ばっかりじゃないよ、局長以下、本当に職員の方、よくやっているというような、そんな見方をしてくれるのではないかなと。既に、見方をされている都民もたくさんいますけれども、そうしたことを期待していきたいと思っていますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○池田委員 時間も押していますから、まず最初に、住宅政策審議会の答申に関して、東京都の住宅政策の基本方向について簡単にお聞きしたいと思います。
答申では、東京の居住の現状と問題点に触れて、良好とはいいがたい住宅ストック、依然として低い居住水準、民間借家世帯を中心に高い居住費負担、こういう問題点を指摘しているわけですね。
そして、二十一世紀に東京の発展、そして都民の豊かな生活の実現を図るには、都政全体の対応が求められている、こういうことをいって、中でも、低い居住水準、住宅、住環境の面における東京の負の側面を克服することは重大な課題だ、こういうふうに触れられているわけですね。
ところが、なぜこういうことになっているのか、この原因はどこにあるのかということ、そして、これをどういう方向で解決していこうか、こういうことが、残念ながら、その答申の中で重要な問題と指摘はされているけれども、都民の側、そして切実な要求を持っている立場から見ると、どうもやはり明らかになってこないという感じがするわけなんです。
それどころか、答申ではこういっているんです。時代の変化や多様なニーズが生ずる、こういうふうにいって、住宅政策の転換をと。そして、ビッグバンで、民間住宅市場に一層こういう問題についてゆだねていく。東京の住宅政策は、そういう方向が基本にある。そして、都営住宅制度の抜本的な改革をも打ち出している。
私はやはり、今考えなければいけないことは、劣悪な居住水準だとか住居環境問題、こういう問題を初めとして、東京の深刻な住宅問題の大もとは、歴代政府の一貫した持ち家中心の住宅政策がとられてきたところにある。そして、公共住宅というのは補完的な役割、そして、実際には必要とされる戸数が建設されてこない。いってみれば、民間任せにあったところに、こういう状態がつくり出されてきているんじゃないかというふうに考えるわけです。このことは、今、東京の住宅の七割、八割が持ち家、そして民間の借家である、こういうことからも明らかじゃないか。
市場原理に任せた住宅対策、そういう政策では、東京の負の側面を解決するという方向どころか、さらに問題を深刻にしていくんじゃないか。いってみれば、光と影という言葉がよくありますけれども、その影の部分の深刻さというのがもっと出てくるんじゃないか。
きょうの議論の中でも、いろいろそういう点では指摘をされてまいりましたけれども、そういう東京の負の側面、この影の問題をどう考えて解決しようとしているのか。基本的な問題ですから、ちょっとその点を……。
○小川住宅政策担当部長 住宅政策審議会での答申で、視点といたしましていただいておりますのは、まず、居住政策として総合化の視点が必要であろうということでございます。二点目でストックの活用、あるいは三点目でございますが、市場の活用、四点目として、区市町村を含めて、その地域地域の住民の方も含めてでございますが、主体的対応が必要である、こういうような視点をいただいております。
委員が先ほど、数字という形の点で、指標でご指摘になった点でございますけれども、私どもも、住宅としては戸数は足りている、むしろ、そこでミスマッチの問題とかそういった問題が多いのではないかと。ミックストコミュニティとかいろいろな問題もそういうことでございまして、そういうことをどうやって解決するのか。
その点につきましては、これは、やや考え方が異なるということかもしれませんが、やはり市場をいかに有効に活用していくか、そういったところに視点を置いて政策展開を図らなければいけない、かように考えております。
○池田委員 住宅の戸数は足りているということはいわれるようになってきたわけですね。しかし、居住水準だとか居住環境の問題からいえば、実際にはそうなっていないというのが実情だ。これは、これ以上議論しませんけれども、そういうのが実態だろうというふうに思うんです。
答申では、都営住宅は約千九百ヘクタールの敷地、そこに二十六万戸のストックがある、そして、これは、低所得者だとか高齢者だとか障害者、こういう方たちの都民の居住面でのセーフティーネットとしての大きな役割を担っている、このこともいっているんですね。また、都営住宅の問題で住宅困窮者施策を見てみますと、やはり東京都の住宅政策の根幹をなす施策の一つである、こういう位置づけもされているわけですね。
しかし、そういうことを述べており、また一方、これは東京構想二〇〇〇でもいっているわけですけれども、二〇一五年ごろまでは世帯数の増加が続く、こういうふうに見ているわけですね。人口もそうですけれども。
そういう中で、入居希望者や応募者の倍率の激しさ、何回も落選している。これは、私も地元で、皆さんそうだろうと思うんだけれども、相談されても、本当にどうしようもないというような実態というのが現実にあるわけですね。そして、都民の困難な状態というのは明らかになってきている。
これは、きょうも資料でいただいていますよね。倍率の問題一つ見ても、これだけの倍率で応募状況が--これは一般公募もそうだし、空き家募集を見ても、もうくどくどいう必要はないと思いますけれども、そういう状態。結局、絶対数が不足しているというところが明らかになっている。
もう一ついいますと、都民のアンケートでも、このことは明らかにいわれている問題だというふうに私は思うんですね。これは住宅局が都民を対象にとった世論調査、九九年八月九日に住宅政策室で出していますけれども、これを見ると、ここでは、都営住宅についての考え方で、高齢者や障害者の住宅の確保に向け都営住宅をもっと供給すべきであるが四割五分で最も多い。年齢が高くなるほど、その割合も高くなる傾向にある。六十から七十四歳では五割を超えている。三十四歳以下では、都営住宅の入居資格を持っていても入れない、こういう人たちに対して家賃補助などの支援を行うべきであるが五割前後に上っている。三十四歳以下と五十五歳から七十四歳まで見ると、低所得の都民全体の住宅の確保に向けて都営住宅をもっと供給すべきであるが三割を超えている。これが実際に世論調査の中で出されている都民の切実な声だ、こういうふうに私は思うんですね。
そういう点について、資料としては都民のアンケートを出しているんだけれども、この答申では、それを具体的にどうこたえるかということを明らかにされていない。東京都はその辺をはっきりすべきだ、こういうふうに思っているんです。それはどういうふうに考えておられるか。
○小川住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、現在、二十六万戸のストックがあるわけでございますが、住宅政策審議会のご指摘では、この二十六万戸のストックについて、公平性の観点、それから効率、活力、そして分権というような視点から抜本的に見直すべきであるというふうなご指摘をいただいております。
施策としては、やはり今、真に困窮する方への供給という形においては、今のストックのあり方といいますか管理の仕方、いろいろな面でこたえる方法、そういったものも考えるべきであろうというふうに考えております。
○池田委員 基本的な考え方を簡単にという話をしていますから、もう少し先に進みたいと思うんですが、答申では、住宅政策の役割として、住宅及び住居の安定というのは、都民の自助努力によって確保されることが基本である、こういう立場なんですよね。そして、事実上、低所得の方だとか高齢者、障害者などの居住確保をすることに非常に厳しい、困難な人たち、力のない都民、こういうことの切り捨ての方向を、やはり私は打ち出しているんじゃないかなというふうにいわざるを得ないと思うんですね。
その手法としていろいろいわれてきているのが、公、民の役割分担だとか連携が挙げられて、公の役割、その主役は、柱として民間の住宅市場の整備や誘導に向けた施策の形成や展開が強調されている。これが全体の流れになっているんじゃないかというふうに思うんですよ。
こういうことでいけば、これは確かに、国が例の住宅宅地審議会答申というものを出しました。この立場と全く同じ立場で、この答申がこうやって出てきているというふうに思うんですけれども、ちなみに、東京都の住宅基本条例というのがありますよね。ここでは、住宅供給における公的主体の役割強化ということがうたわれているわけですね。こういう東京都の基本条例の立場から見てもどうなんだろう、問題がないか。
それから、同時に、先ほどもいいましたけれども、東京の負の側面を解決するという立場から見ても、一層それを深刻にするんじゃないかというふうにやはり考えざるを得ない。その辺、あわせて、どういうふうに考えておられるか。
○小川住宅政策担当部長 答申におきましては、都民の役割として、やはり自助努力を基本とし、自力ではそういう居住水準を達成できない方にセーフティーネットとしての公の役割というものを設定しておりまして、私は、これが、今の東京の市場全体、住宅全体のあり方から見て、望ましい方向ではないかなというふうに考えております。
住宅基本条例で住宅供給の役割というような指摘がございますが、私は、公、民の役割分担という中で、公のやる役割というものは、ただただ箱をつくればいいということではなくて、むしろ、市場も含めたいろいろな意味での仕組みづくりをどうやっていくか、そういう形で、都民の住宅に対する要望、要請にこたえていくというふうに大きく方向を変えているというふうに考えております。
○池田委員 個々のいろいろな仕組みづくりについて、答申で提起されているような、例えば、きょうも議論がありましたけれども、マンションの問題だとか高齢者の問題だとか、そういう一つ一つの目標ということについて、私、決して否定的にいっているわけではないんですね。基本的な問題として聞いているわけですから。
そこで、マスタープランの問題がより具体的だというふうに私は思うので、その点について伺いたいというふうに思います。
現在のマスタープラン、この概要を説明していただきたいと思うんですが、住宅建設の新規戸数、それから建てかえ戸数などの計画目標と、それに対して現在どの程度まで到達しているのか、このことをまず示してほしいと思います。
○小川住宅政策担当部長 現在のマスタープランにおきましては、これは平成八年から十七年度までの十カ年という計画でございますが、そのうち都営住宅の供給計画戸数でございますが、新規建設一万三千戸、建てかえ四万戸、合計の五万三千戸を計画としております。
○池田委員 実績や何かも示してほしいということを、今あわせていったんですけれども……。時間的に押しているみたいだから。
○小川住宅政策担当部長 今、現在時点、十二年度までということでございますから、第二次マスタープランのちょうど半期に当たるわけでございますが、新規建設戸数については約四千戸、建てかえ戸数は約一万七千戸でございます。
○池田委員 きょういただいた委員会資料の中で、一ページにも出ておりますけれども、このマスタープランの供給実績、そして到達点というのが明らかになっているんですが、今の新築と建てかえの状況について、あなたの方から説明してください。達成状況。
○小川住宅政策担当部長 建設戸数に対する達成率でございますが、新規の建設については三一%、それから建てかえの戸数については四二%となってございます。
ただ、これは、十年計画のちょうど五年目であるということでございます。
○池田委員 十年計画の五年目で、ここまでの達成だというふうにいわれるわけですね。今みたいな非常に低い状態、これがマスタープランのちょうど中間点であるわけですけれども、八年度は千六百二十二戸建てているわけですね。十年間で、新築では一万三千戸を予定しているわけですから、平たくいって、乱暴な話ですけれども、一万三千戸建てるには、十年だから毎年千三百戸という頭割り。これは科学的じゃないですけれども、そういうことから考えてみて、八年度千六百、九年度が千四十八、十年度は七百三十七、十一年度が五百五十四、十二年度はゼロですよね。それで十三年度もゼロですよ。ですから、今いうように、新築の都営住宅の戸数というのは、わずか三〇%ぐらいしか到達をしていない。それから、建てかえの戸数の中でも、さっきも出ていましたけれども、建てかえをやって、いわば新築として公募する戸数というのがなかなかふえないわけですよね。
そういう状態の中で、マスタープランが今ちょうど半分の時期を迎えているわけですけれども、私は、なぜできなかったのか、こういうことを--五年間見て、今見直し作業に入っているわけでしょう。そうすると、今までそういう事態をつくり出してきている上に立って、今後のマスタープランというのは、本当にちゃんとした計画がつくられていくということがやられなければいけないだろう。
それじゃ、なぜこれほど達成率が低いのか、その辺はどういうふうに考えておるんですか。
○小川住宅政策担当部長 マスタープラン策定後、都財政の危機的状況に際しまして、ストック重視の考え方から、限られた財源を、建てかえあるいはスーパーリフォームというふうに重点的に配分したためというふうに考えております。
○池田委員 財政状況が厳しいというふうな理由ですよね。さっきいったように、八年度から十二年度までの新築の戸数というのはああいう実態、三〇%ぐらいしか達成できない。そして、実際に、この間、新築と建てかえを含めて公営住宅の建設事業費をちょっと見てみますと、八年度は約千五百三十六億円。これに比べて、年々これが減ってきているわけですね。十二年度では八百五十八億円。そして、その八年度と比べて、六百七十七億円も減って、四四%も減っているという数字を、いただいた資料から私は試算をしてみました。
こういうことでは、都民の痛切な願いに背を向けている、いわば公共住宅の供給という責任を果たせなかったというふうにいわざるを得ないと思うんですよね。
基本条例の第五条の中ではこういっているんですよね。今、至極簡単に財政状況が云々なんていっていますけれども、基本条例の五条では、安定的な財源の確保、「都は、住宅対策のための安定的な財源の確保に努めるものとする。」いろいろ努めたんでしょう。しかし、実際には、今申し上げたような状態がつくり出されてきているといわざるを得ないんだろうというふうに思うんです。
そこで、今見直しをされている最中ですよね、次の新しいマスタープランを。私は、少なくとも、この第二次のプランを立てた八年の計画からしてきして積み残しになったところの、新築の問題でもそうだし、建てかえの問題でもそうですけれども、そういうものを含めた計画、これをやはり今--都民に公表してきたわけですから、その目標と計画というのを。ですから、私は、それをしっかりと受けとめていく必要があるだろうというふうに思っているんですが、どうですか。
○小川住宅政策担当部長 現在、見直しの作業をしておりますマスタープランにつきましては、去る五月に住宅政策審議会からいただいた、いわゆる住宅政策ビッグバン答申に基づきまして、これまでの流れから大幅に見直しを行って新たなマスタープランという形で策定をしたいというふうに考えて、作業中でございます。
○池田委員 積み残した部分をちゃんとやりなさいというのが私の提起なんですけれども、どうもそういうふうな感じを持ち切れない、持てない答弁なんですね。その計画をつくる、マスタープランをつくるときに、しっかりとそういう今の問題、課題ということをしているわけですから、それで明らかになっているわけですから、これは強く私の方から求めておきたいというふうに思います。
最後に、先ほど来出ている公社の委託問題、このことについて質問をしたいというふうに思うんです。
住政審答申では、平成十四年、来年度ですね、都営住宅の管理を公社に一元化する、そういうための組織や執行体制の見直しを具体化するということで、今いろいろ検討されているというふうに話を聞いています。その基本的な考え方をまず説明していただきたいというふうに思うんです。
今までいわれてきたんですけれども、公社に管理業務などを一元化することによって都民サービスがよくなる、こういうふうに説明されてきているわけです。具体的にそれをお聞きしたいと思うんです。
○野澤参事 現在、都営住宅の管理につきましては、各種申請書類の受け付けなどは住宅供給公社で行い、その審査などを都が行っている、そういう状況にございまして、このような二元的な対応を一元化するなど、従来にも増しまして、便利で迅速なサービスの提供と効果的、効率的な事務処理が可能となるような形を現在検討しているところでございます。
窓口業務が一本化されることによりまして、都民や居住者にとって、わかりやすく、身近な場所でほとんどの用が足りるような形も可能となりますので、サービスの向上が図れるものというふうに考えております。
○池田委員 公営住宅法に規定されている管理業務ということは、お聞きしてもあれですから、私の方からいいますけれども、家賃の決定だとか入居者の募集、それから家賃、敷金の徴収、修繕、収入超過者に対する措置、明け渡し請求、こういうのが一般的にはいわれていますよね。
それから、今まで公社委託にしてきた主な内容というのは、住宅の営繕、それから保全業務、募集と入居手続だとか家賃滞納整理事務、そして申請書の受け付け、それから予備審査など、いわば窓口業務、事務といいますか、これを今までやってきたわけでしょう。そして、今度、それをさらに拡大しようとしているわけですよね。そのためにいろいろ議論をして、一本化というふうにいわれました。
どこまで一本化するんですか。公住法で規定をされている、先ほどちょっと述べましたけれども、そういう問題とのかかわり合いの中で、どういうふうに一本化していくんですか。
○野澤参事 都営住宅は公の施設でございますので、当然に自治法上の規定がございまして、東京都には当然、責任をもって留保すべき事務というものがございます。責任は東京都にございますけれども、それ以外の、実質的な判断というか、一定の基準に基づきまして公社の方で対応していただくような事務もございますので、そういうものにつきましては、できるだけ公社の方に対応していただく。そういう形で、今まで都の方と公社と両方のセクションで二元的にやっていた事務も一本化できるものもあるということで、サービスの向上を図っていきたいというふうに考えております。
○池田委員 もう少しはっきりさせたいと思うんですが、迅速なサービスの提供、効果的な事務処理を図っていく、これはだれもが考えることですよね。
そういうサービスを向上させるために一本化というんですが、法的措置だとか、行政としての裁量だとか判断、こういう業務は東京都に残すということじゃないんですか。
○野澤参事 入居者の決定とか収入の認定等、東京都が責任をもって決定するものにつきましては、都の方に残すということで考えております。法的な関係の処理につきましても同様でございます。
○池田委員 一本化ではないんじゃないですか。二元的にやるということと、何ら変わらないんじゃないですか。私はやはり、窓口業務を一本化して、サービスを都民、また居住者の皆さんに拡大をするんだというふうにいいながら、実はそういう東京都としての行政責任をちゃんと押さえなければいかぬ、これは当然の話だと思うんですよ。
私は、そういうことがまさに、一元処理で都民の利便性の向上、そして事務処理の効率化が図られるというふうにはならないと思うんですけれども、その辺は、今の実態と、そして、今検討してやられようとしているその問題との関係でどういうふうに考えているんですか。
○野澤参事 委員がおっしゃるように、当然、都に留保すべき事務というのがございますので、そういう意味では、管理の事務ということでは、都に残すべき事務と公社に委託するべき事務と二つの事務がございますけれども、一元化としましては、窓口業務が今まで二つに分かれていたものを一本にして、できるだけ多くの事務につきまして、可能な限り公社の方で処理をしていただくような形を考えているところでございます。
当然、公社の方の窓口に一元化することによりまして、先ほど申しましたが、都民や居住者にとって、わかりやすく、身近な場所でほとんどの用が足りるというような形になりますので、サービスの向上も図られるものと考えております。
○池田委員 今いわれたように、身近な窓口で、例えば同居だとか承継ができるかとか、また収入認定で必要な収入報告書の審査というようなことは、実際にはできないでしょう。それは受け付けはできるかもわからないけれども、最終決定は、審査し、そして決定は東京都がやるということは明らかだと思うんですね。
私、いろいろ事前にお話を聞いていて、公社の職員の皆さん約九百五十人ぐらいおられる。その中で正規職員が六百二十三名おられる。あとは再雇用の人、それから人材派遣会社、パートの人、こういう方たちで公社の仕事をやっておられるというふうに聞きました。
受け付けの窓口、そしてサービス業務など一般内勤事務、庶務的な仕事、こういうことだとか、同時に、電算の入力などの仕事も人材派遣会社の社員がやっておられるというふうに聞いたんですね。それは、そういうことでやられているんですか。
○野澤参事 窓口の受け付け等のサービス事務とか電算入力等、単純で定型的な事務につきましては、人材派遣会社の社員などで事務を行っております。
○池田委員 受け付けだとかサービス業務だとか、そういう窓口の一般的な内勤事務というようなことはよくわかりますけれども、電算に入力するということになると、先ほどいいましたけれども、東京都で決定をするそういう業務、例えば家賃だとか敷金の問題だとか収入超過者に対する措置の問題だとか明け渡しの請求の問題だとか、そういう管理業務は、実際には、そこに携わる人たちが知り得る機会が出てくるわけですね。
こういうのは、やはり私は、実際問題として公社に委託するという範疇ではないんじゃないかと。それが安上がりだというふうに考えておられるんでしょうか。
○野澤参事 東京都は、公社との委託契約に基づく協定の中で、個人情報の保護に関する条例の遵守を求めております。また、職員につきましては、地方住宅供給公社法の中で、みなし公務員の規定があるほか、公社就業規則の中で、職務上知り得た秘密の漏洩を禁止しております。人材派遣会社の社員につきましても、派遣契約の中で機密の保持が規定されております。
このように、プライバシーの保護等につきましては、徹底に努めているところでございます。
○池田委員 当たり前の話ですよね、それは。東京都だとか区の段階でも、いろいろそういう点での仕事をやる人たちがおられるというのは、私も知っていますよ。しかし、実際に公社の今の仕事の範疇の中で、先ほど来私いいますように、これから拡大しようとする部分が、まさに管理東京都が審査し決定をする、裁量を働かせる、そういう部分は、当然、東京都が行政責任としてやるべき問題であるというふうに思うんです。
今検討中で、いろいろやっておられるようですけれども、私は、例えば派遣法の関係でいえば、基本契約ということの中で、今いわれたように、いろいろ会社とは結んでいると思いますよ。しかし、派遣会社から来る職員の人は、現場では具体的に指導したり何かするというわけにいかない。会社の方とやらないといかぬわけですね。しかも、アルバイトの人だとか、時期的に、一時的に雇用するような人たちというところの問題だって、同じような形になるわけですね。
ですから、私は、そういう意味では、こういう一元化というのは、実際問題としては、一本化になるどころか、二元性を持ったものとして依然として変わらないわけだし、しかも、先ほど来いいますように、公社に本来やらせるべきじゃない。東京都は行政として責任を持って、裁量や判断や決定を下すということまで広げるということは、私はやはり問題だというふうに強く指摘しておきます。
以上です。
○林田委員 質問させていただきます。
六時十五分を回りまして、特に三列目以降の方は本当にお疲れのようで、全く申しわけございません。一言おわびを申し上げます。
一つだけ、一年生議員でございますけれども、質問をさせていただきたいと思います。都営住宅と区市町村、特に市町村に関係することでお伺いしたいと思います。
東京都の住宅政策の中で、特に区市町村、中でも市町村の協議とか、あるいは移管とか役割分担という施策がいっぱい、この「事業概要平成十三年度版」から出てくるんですけれども、そんなことがありますので、東京都の政策あるいは方向性を聞いておきたいなと思って質問させていただきたいと思います。
先ほど来、いろいろマスタープランですとか、東京構想二〇〇〇とか、あるいはビッグバン構想なんかもあるんですけれども、この事業概要の中の五ページにあるんですけれども、特に東京構想二〇〇〇、その中に戦略ということがありまして、四番目に、小規模な都営住宅の区市町村への移管の推進ということがあります。先ほど、委員の中から区への移管という質問もございまして、移管推進計画、特別区においては平成十三年から十年の間に二万戸を移管するというお話もお聞きしましたけれども、特に二番目に、市町村については協議が整い次第、移管を開始というようなことが載っておるんですけれども、その協議が整い次第ということはどういうことなのか、また、移管についてはどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。
また、この事業概要の三五ページに、住宅政策のビッグバンにおいて、新たな住宅政策への転換の方向についてということが載っておりまして、公民の新たな役割分担と連携について、「地方分権の流れの中で、」「都と区市町村は、役割を適切に分担し、密接に連携しながら、それぞれが対象とすべき領域において、積極的に住宅施策の立案、推進に取り組んでいく必要がある。都と区市町村の関係についても、区市町村の役割と主体的な取組みを重視する視点から再構築することが必要である。」と書いてあるんですけれども、役割と主体的な取り組みというのはどういうことなんですか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○小川住宅政策担当部長 最後の新たな住宅政策における、いわゆる区と市の役割分担の点についてお答えをさせていただきます。
都及び区は、地方公共団体という形で、地域の住宅政策を担うという責任があるわけでございますけれども、やはり区あるいは市町村につきましては、福祉との連携、あるいは地域のまちづくり、小さい意味でのまちづくりでございますけれども、そういったまちづくりの推進、そういった中で公営住宅施策あるいは住宅施策をやっていく。
一方で、東京都の方は、非常に大きな、たくさんの都民がいらっしゃるわけでございますが、当然、広域的な住宅需要に対応した施策を推進する、あるいは大きな仕組みづくり、そういったものをやっていくという形で、お互いにそれを密接に連絡調整を図りながら進めていくというふうに考えております。
○林田委員 もう一回、くどいように聞きますけれども、協議が調い次第ということは、まだ調っていないんでしょうか。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 東京都内におきましては、特別区におきましては、都区協議会で移管が合意されております。そこの移管の対象につきましては、おおむね百戸未満の団地について移管の対象とする、このようになってございます。
それに対しまして、多摩地域におきます市町村については、合意がまだなされておりません。
そういうことで、今後、多摩地域におきます市町村に対する移管を具体的に実施するためには、市町村との協議が必要となってまいります。
○林田委員 私も三多摩の市議会議員出身でございまして、立場は違って、今度は都議会議員ということでございますけれども、市議会議員の時代には、東京都に対して、いろいろな移管が来たり、いろいろな財政なき地方分権ということで、なかなか市の方も財政力がない立場の中で、どうやって福祉やあるいは住宅政策をやっていくのかなというのが各市町村の立場だと思うんですけれども、東京都といたしましては、そういった各市町村の苦しみを抱きながら協議させていただくのでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 今後行います市町村との協議内容でございますが、それは当然、特別区と同じように、移管の対象をどの程度のものにしようか、その移管に当たっての東京都との協力関係、あるいは都が行える財政支援の内容、そういったようなものを、市長会あるいは市町村長会でございますか、それぞれと協議をしていくことになろうかと考えております。
○林田委員 そこをちょっと聞こうと思ったんですけれども、市町村会とかそういう大きな枠の中でやられるのか、それとも、それぞれの各自治体と個々で協議するのか、それもちょっとお伺いしようと思ったんですけれども、お答えいただきたいと思います。
○高岡臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務 市町村への移管の方法でございます。
各市町村と個別の協議にいたすのか、それとも、団体として市長会なり町村会なりとの協議にするのか、そういった二つの方法が大きくあるわけでございますが、その全体、方法を含めまして、これから市町村長会等で協議していくということで、その二つの方法について決めているわけではございません。今後、協議いたします。
○林田委員 わかりました。協議を進めるということでございますので、今後のことだと思います。
財源なき地方分権ということで先ほど申し上げましたけれども、市町村も大変財力がない状況の中で、こういった協議をする立場にあるわけでございますので、くぎを刺すという言葉は悪いんですけれども、ひとつ東京都は、そういった目で、そういった立場で市町村と協議していただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○田代委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田代委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で住宅局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時二十三分散会
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