建設・住宅委員会速記録第十一号

平成十三年十月二日(火曜日)
午後一時十七分開議
 出席委員 十三名
委員長田代ひろし君
副委員長前島信次郎君
副委員長星野 篤功君
理事花輪ともふみ君
理事川井しげお君
理事新井美沙子君
伊沢けい子君
ともとし春久君
山田 忠昭君
林田  武君
小礒  明君
大山とも子君
池田 梅夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
住宅局局長橋本  勲君
技監小関 尚久君
総務部長関谷 保夫君
多摩都市整備本部本部長石河 信一君
建設監勝田 三良君
管理部長長野  宏君
建設局局長山下 保博君
次長平井 健一君
道路監小峰 良介君
総務部長森澤 正範君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 多摩都市整備本部関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十八号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱い及び株式の消却について
  付託議案の審査(決定)
  ・第百五十五号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
  ・第百五十六号議案 東京都高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例
  ・第百六十八号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱い及び株式の消却について
  請願陳情の継続審査について
  特定事件の継続調査について

○田代委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書一件、決議一件につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○田代委員長 次に、今後の日程について申し上げます。
 先ほどの理事会で、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査、並びに閉会中における請願陳情並びに特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより多摩都市整備本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百六十八号議案を議題といたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で多摩都市整備本部関係を終わります。

○田代委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百五十五号議案、第百五十六号議案及び第百六十八号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 ただいま、第百六十八号議案に対し、花輪理事外七名から付帯決議案が提出されました。
 案文はお手元に配布してございます。
 朗読は省略いたします。

付帯決議案の提出について
第百六十八号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱い及び株式の消却について
 右議案に付する付帯決議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
  平成十三年十月二日
(提出者)
 花輪ともふみ 山田 忠昭  林田  武
 田代ひろし  川井しげお  小礒  明
 新井美沙子  星野 篤功
建設・住宅委員長殿
第百六十八号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱い及び株式の消却についてに付する付帯決議(案)
一 株式会社多摩ニュータウン開発センターの経営再建に当たっては、同社経営の経営責任を踏まえ、破綻に至った原因を明確にすること。
二 株式会社として当然の経営努力を厳しく求め、着実かつ速やかに再生計画の実効があがるよう最大限努力し、南大沢地区を中心とする地域の発展と、住民の利便の更なる向上を図ること。

○田代委員長 これを本案とあわせて議題といたします。
 この際、本案に対して発言の申し出がありますので、これを許します。

○大山委員 百五十五号議案、百五十六号議案、百六十八号議案に反対する立場から意見を述べます。
 まず、百五十五号議案、東京都営住宅条例の一部を改正する条例は、特定都営住宅に新たに若年ファミリー向きに期限つき入居制度を導入する条例改定です。
 若年ファミリー世帯の入居枠を拡大することは、私たち、かねてから我が党が主張してきたものであり、賛成です。また、所得制限が東京の生活実態に合わず、低過ぎると引き上げを要求してきたこと、収入超過及び高額所得者への機械的明け渡しの改善を要望してきたことに合致するものです。
 しかし、私たちがこの議案に反対するのは、主な理由が二つあります。
 その第一は、子育て支援のためといいながら、十年間という期限を切ることによって、子育て支援に逆行しかねないということです。住宅局のいう若年ファミリーというのは、四十歳未満の夫婦または子どもで構成される世帯ということですが、期限つき入居では、十年間たてば、たとえ収入基準内の家族も、収入超過してしまった家族も、立ち退くことになっています。子どもは学年の途中、ときには受験の真っ最中など、子育て家族の生活実態を考慮していないもので、子育て最中に追い出すことになりかねず、安心して子育てに専念してもらうという趣旨に逆行してしまいます。
 また、重要なことは、知事が、定期借家制度を活用し、公営住宅に期限つき入居を導入したい旨の発言を再三行い、公営住宅法の改定を国に要求してきたこと、今定例会の所信表明では、公営住宅法の改定がないので、その突破口として特定都営住宅で先行実施すること、公営住宅法の改定は不可欠であるとし、国に求めていくことを表明したことです。
 定期借家制度は、契約期限が来れば、無条件で住宅を明け渡すことを約束する契約です。だからこそ国は、国会答弁でも、公営住宅は、住宅に困窮する低所得者のために賃貸する住宅であり、入居者が高額所得者となること等、特段の理由がない限り、居住が継続することを前提として制度が成り立っていることから、事業主体は、入居者との間で期間の定めがない賃貸借契約を締結しており、定期借家制度にはなじまないと認識しているといっているのです。
 国の見解とも違うことを都営住宅全般に一般化することの突破口となるものであり、反対です。
 第百五十六号議案は、高齢者の居住の安定確保に関する法律を施行するに当たって、高齢者の入居を拒まない家主が賃貸住宅を登録するときに必要な手数料を定める条例です。
 高齢者のひとり暮らしが多くなっているこの東京で、高齢者の入居を拒否する賃貸住宅が多い中、高齢者の入居を断らない家主をふやすということは大変重要なことであり、より多く登録してもらうことは、何より優先させなければならないことです。
 福祉局の調査では、ひとり暮らし高齢者に対する入居拒否の理由は、入居者の病気や死亡時の対応、失火、住宅の安全管理上の問題、そして家賃の滞納の不安となっており、今回の法律では、この中の一つ、家賃の保証については何とかめどはつきますが、まだまだ入居拒否の理由を解消したわけではありません。
 したがって、都に求められていることは、登録に障害となることをあえてつくることではなく、むしろ登録を奨励することです。実際、答弁で明らかになったように、四十七都道府県中、手数料を徴収しないところが二十九県、六割を超える自治体が徴収しない方針です。そして、徴収しない自治体は、どこも登録をふやしたいからという考え方からです。これこそ自治体としてのあり方ではないでしょうか。
 しかも、法律では手数料を徴収することができるという規定ですから、徴収しなくてもよいことになっています。今必要なことは、手数料を安易に徴収するのではなく、制度の意義や役割を家主に理解してもらう努力です。
 第百六十八号議案、再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱い及び株式の消却についてです。
 この議案は、東京都が五一%を出資している第三セクターである株式会社多摩ニュータウン開発センターの経営破綻を、民事再生法により経営の再建を図るため、東京都が所有する債権八十五億円の放棄、免除と、東京都が有する株、額面金額約九億円相当の五〇%を原資で無償消却することの同意を求めようとするものです。
 質疑の中で明らかにしたように、経営破綻の原因は、不動産賃貸収益に見合わない、事業採算を無視したビル施設建設、過大な借入金、それに伴う金利負担であります。
 再生計画案の基本は、負債総額三百四十一億円の債務を百二十三億円に債務免除し、開発センターの経営を継続し、会社の再建を図ろうとするものになっています。そのため東京都は、債権放棄と株の減資で、合計八十九億円を超す莫大な損失を受け、また免除後の債権免罪劣後の問題でも、東京都の一方的な譲歩になっています。これは、再生法で定める債権者の平等の原則に反しているといわざるを得ません。
 東京都は、多摩ニュータウン事業西部地区の拠点として、事業の採算性と公益性の調和、開発利益を住民に還元するとして、第三セクターの商業・業務ビル建設、管理会社、開発センターを創設し、不動産業をやりましたが、結局、破綻しました。また、ゼネコン、大銀行のもうけを保証する第三セクターで、ビル建設、賃貸、管理など不動産業は自治体がやる仕事ではないということを示しています。
 東京都として、多摩ニュータウン開発センターの経営破綻の原因、事業計画自体の問題などを、三セクによる経営手法を含め厳しく総括をし、その責任を明確にすることを改めて求めるものです。
 今回の処理は、臨海副都心開発を初め、第三セクターによる破綻処理の第一歩となるものです。多摩開発センターの経営破綻を、当面、東京都の債権放棄、株の消却などにより処理し、三セクによる事業継続を図る再生計画を容認することはできません。よって、百六十八号議案に反対であります。
 以上です。

○新井委員 第百五十五号議案、東京都営住宅条例の一部を改正する条例と第百五十六号議案、東京都高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例については賛成、第百六十八号議案、再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱い及び株式の消却については付帯決議を付して賛成する立場で、生活者ネットワークを代表し、意見を述べます。
 まず、都営住宅の期限つき入居についてです。
 高齢化率が非常に高くなっており、しかも単身世帯が多くなっています。都営住宅のコミュニティという視点からは、偏りがあり過ぎ、問題であると考えています。
 期限つきで、四十歳未満のファミリー層の入居を促進するということ自体は、利用機会の公平の点からも、コミュニティという視点からも歓迎できますが、十年を経過して、収入制限を超えても超えなくても退去しなければならないというのは、いかがなものでしょうか。
 例えば、収入超過であっても、あと一年で義務教育課程の子どもが卒業というような事情は配慮されるべきであると考えます。さらに、収入基準内であればなおのこと、柔軟な対応が望まれます。また、入居者の年齢構成のバランスがとれるまでには、長い時間がかかることは容易に想像できます。
 東京都は、孤立した高齢者の現状を把握し、支援する助け合いの仕組みづくりなど、地域コミュニティの醸成という視点での施策を考えるべきであることを申し上げて、賛成意見といたします。
 次に、高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例について。
 入居条件が折り合った場合、入居者は、礼金、敷金、家賃などに加えて、五十万円の預託金を財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターに預けるということになりますと、いっときに百万円程度の資金が必要になります。現場の担当者の意見を聞きましても、相談に来る人は、保証人もお金もない人ばかりという現状であり、私の実感からも、そのように感じられます。
 住宅局は、この施策の対象となる高齢者がどの程度いるかということについては、わからないとおっしゃっていますけれども、保険会社への委託でこの事業を行うわけで、ある程度の需要が見込めないと、うまく運営できないのではないでしょうか。
 また、一方で、この制度から落ちこぼれる低所得者の高齢者がいることだけは確かであり、圧倒的に都営住宅への倍率が高く、なかなか入居できないのが現実です。シルバーピアも同じ状態で、相当数の困窮者がおり、その救済策をとるべきであると強く要望いたします。
 また、見守りや緊急対応のサービスをまちづくりセンターで行うとしておりますけれども、これについては、基礎自治体がNPOとの連携で行った方が、よりきめ細やかなサービスを提供できるのではないでしょうか。
 この点については、意欲ある自治体とも連携をとりながら、可能な市区町村から実施する方向で検討すべきであるということを申し上げて、賛成意見といたします。
 最後に、株式会社多摩開発センターの民事再生手続ですが、多摩センター駅前にそごうがあったにもかかわらず、二駅しか違わない南大沢にそごうの誘致を決めたのは、なぜでしょうか。
 マーケティングリサーチをきちんとしていれば、このような間違いを起こすことはなかったはずであり、また、誘致してわずか二年後の平成六年にそごうが撤退し、六億の債務超過を出すという事態に陥ったにもかかわらず、事業評価も行わず、そのまま放置した責任は重大です。
 事業評価は、平成九年からしか行われておらず、その経営感覚は理解しがたいといわざるを得ません。さらに、その事業評価も、評価とその対策の整合性がとられていない状態で、何のための事業評価を行ったのか、理解に苦しみます。
 経営者の重大な責任は見当たらないとの監督委員の意見がありますけれども、法的責任はないとしても、経営責任を誤ったトップの責任は大きく、何らかのけじめをつけなければ、八十五億もの債権放棄に対する都民の理解は得られません。
 しかしながら、会社更生法や破産という手段をとった場合、テナントや地域住民に与える影響は大きく、市民生活に不利益を与える可能性が高いことから、今となっては、民事再生という手段をとるのはやむを得ないと思います。
 責任を明らかにすることが大切であり、経営責任を求める付帯決議は当然のことです。都としての実効ある対処を切に望むものです。
 最後に、再建については、最善の努力で、再び債務超過というようなことにならないよう、今後、東京都は一切補助はしないということを確認して、賛成意見といたします。
 以上です。

○伊沢委員 それでは、百六十八号議案についてのみ、反対の立場から発言をさせていただきます。
 この議案については、多摩ニュータウン開発センターについてですが、この事業について反対する理由としまして、これだけの借金に至った理由というのが、はっきりと解明をされておりません。そして、その結果、事業計画が立てられておりますが、この計画を見ましても、今後の悪くなる一方と予想される景気動向を無視したものであり、さらなる債務をふやすおそれが見受けられることから、この事業計画そのものが既に破綻していると思われます。
 そして、これをもたらした責任体制が非常にあいまいで、どなたがこれについて責任をとるのか、とったのか、また、今後とるのかということもわからない状態で再出発ということは、あり得ないと考えます。
 という理由から、この百六十八号議案には反対をいたします。
 以上です。

○田代委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第百六十八号議案を採決いたします。
 本案は、お手元配布の付帯決議案を付して、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○田代委員長 起立多数と認めます。よって、第百六十八号議案は、お手元配布の付帯決議を付して原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百五十五号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○田代委員長 起立多数と認めます。よって、第百五十五号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百五十六号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○田代委員長 起立多数と認めます。よって、第百五十六号議案は原案のとおり決定いたしました。
  以上で付託議案の審査を終わります。

○田代委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○田代委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、住宅局長より発言を求められておりますので、これを許します。

○橋本住宅局長 お許しをいただきまして、多摩都市整備本部、建設局、住宅局の三局を代表し、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 今定例会にご提案申し上げました案件につきましては、ご熱心にご審議をいただき、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りましたご意見、ご要望等につきましては、十分に尊重させていただきまして、今後の事業執行に反映させてまいる所存でございます。
 今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
 甚だ簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○田代委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十五分散会

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