建設・住宅委員会速記録第十号

平成十三年九月二十八日(金曜日)
午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長田代ひろし君
副委員長前島信次郎君
副委員長星野 篤功君
理事花輪ともふみ君
理事川井しげお君
理事新井美沙子君
伊沢けい子君
ともとし春久君
山田 忠昭君
林田  武君
小礒  明君
大山とも子君
池田 梅夫君

 欠席委員 一名

 出席説明員
住宅局局長橋本  勲君
技監小関 尚久君
総務部長関谷 保夫君
住宅政策担当部長小川 富由君
連絡調整担当部長阿部  亨君
開発調整部長青木 治道君
臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務高岡 信也君
建設部長小林 計代君
建設推進担当部長矢口 哲也君
参事大森 勝海君
管理部長井上 克彦君
参事野澤 直明君
参事渡部 景之君
不動産業指導部長渡利 紘司君
多摩都市整備本部本部長石河 信一君
建設監勝田 三良君
管理部長長野  宏君
事業企画担当部長二ノ宮 博君
建設計画部長山崎 俊一君
建設局局長山下 保博君
次長平井 健一君
道路監小峰 良介君
総務部長森澤 正範君
用地部長稲熊 明孝君
道路管理部長磯邊 武一君
道路建設部長岩永  勉君
公園緑地部長安藤  明君
河川部長鈴木  進君
市街地整備部長梶山  修君
企画担当部長小島 信之君
総合調整担当部長平井 和之君
道路保全担当部長依田 俊治君
道路計画担当部長柿堺  至君
公園計画担当部長住吉 泰男君
調整担当部長市原  博君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 建設局関係
  契約議案の調査
  ・第百六十号議案 新島第一トンネル(仮称)整備工事請負契約
  ・第百六十一号議案 新島第二トンネル(仮称)整備工事(その一)請負契約
  ・第百六十二号議案 新島第二トンネル(仮称)整備工事(その二)請負契約
  ・第百六十五号議案 日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
  ・第百六十六号議案 練馬中央陸橋鋼けた製作・架設工事(一三・四-五)(環八南田中)請負契約
 住宅局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百五十五号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
  ・第百五十六号議案 東京都高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例
 多摩都市整備本部関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十八号議案 再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱い及び株式の消却について

○田代委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会させていただきます。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 お手元に配布のとおりに、意見書一件、決議一件を提出したい旨の申し出がございました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○田代委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の契約議案の調査、並びに住宅局及び多摩都市整備本部関係の付託議案の審査を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がございました。
 本件については、調査報告を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してございます。
 朗読は省略いたします。

平成十三年九月二十七日
東京都議会議長 三田 敏哉
建設・住宅委員長 田代ひろし殿
契約議案の調査について(依頼)
 このことについて、左記により財政委員長へご報告願います。
  記
1 調査議案
第百六十号議案 新島第一トンネル(仮称)整備工事請負契約
第百六十一号議案 新島第二トンネル(仮称)整備工事(その一)請負契約
第百六十二号議案 新島第二トンネル(仮称)整備工事(その二)請負契約
第百六十五号議案 日暮里・舎人線荒川横断橋りょう鋼けた製作・架設工事(その一)請負契約
第百六十六号議案 練馬中央陸橋鋼けた製作・架設工事(一三・四-五)(環八南田中)請負契約
2 提出期限 平成十三年十月二日

○田代委員長 これより建設局関係に入ります。
 契約議案の調査を行います。
 第百六十号議案から第百六十二号議案まで、第百六十五号議案及び第百六十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際、資料要求はしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○伊沢委員 今回の契約についてお尋ねいたします。
 新島のトンネルの工事の件についてお尋ねいたします。三件議案がありますけれども、今回、この工事の発注者となっています--事業者がございますが、昨年とことしに、公正取引委員会が、多摩地区の都公社に対して、発注した工事で業者に対して談合の疑いがあるということで調査をしております。公正取引委員会が去年とことしの二回にわたって、多摩地区で行われた工事について調査をしておりますが、今回の新島の工事についても、この業者が入っております。
 それで、公正取引委員会は、これら、もし談合がはっきりした場合には、排除勧告も視野に入れるということを表明しておりますけれども、この件について、その後どうなっているかということをお聞きいたします。

○森澤総務部長 ただいま委員ご指摘の報道のニュースの件ですが、公正取引委員会が昨年九月とことし二月を中心に、多摩地区の市町村や東京都新都市建設公社が発注した公共工事の受注をめぐりまして、大手総合建設会社など六十数社に対しまして、事前に落札予定者や落札価格を取り決めていた疑いで、独禁法に基づく立入検査をしたということは、新聞報道により承知しております。
 現時点では、それらに関連した排除勧告は出されておりません。また、今後、公取委がどのように対応するかは全く不明でございます。

○伊沢委員 というわけで、まだこの事実については不明であるという段階で、そういう段階で、今回の新島の三件について契約をするということは早いんじゃないかと思うんです。
 要するに、まだ、結果が出てからでも遅くはないということを申し上げたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○森澤総務部長 今お答え申し上げましたように、現時点では排除勧告は出されていないわけでございます。また、今後出されるかどうかもわからないわけでございまして、今定例会に、所定の手続により提案させていただいております。ご議決をいただければ、本契約を締結するということになろうかと思います。

○伊沢委員 私の立場としましては、この調査中の件については、今契約をするということはまだ早いのではないかというふうに、この事実がはっきりしてからでも遅くはないというふうに思います。
 それと、今回のトンネル工事の件を見ましても、落札率が非常に高いんですね。こういう東京都の工事の落札率が非常に高いということについて質問したいと思います。
 今、各自治体でも、落札率というのは、こういう談合を防ぐためにどんどん落ちてきておりまして、そういう努力をずっとしてきていると思うんです。そういう中にあって、東京都は、このまま高値で落札し続けていいのかということを思うわけなんですけど、そういうことについての東京都のお考えを聞かせていただきたいと思います。

○森澤総務部長 お尋ねの落札率の高低の問題でございますが、あくまでも公正な入札の結果であると認識をいたしております。

○伊沢委員 質問に対する答えにはなっていないと思うんですけれども、こういう高値で今入札しているということについて、今後のお考えを聞かせていただきたいんですが。

○森澤総務部長 昨年十二月に発表しています都庁改革アクションプランにおきまして、さまざまな入札契約制度の改革の考えを示しております。その実現に向けて、現在、財務局が中心となりまして、全庁的な推進の検討をいたしております。
 具体的には、コスト縮減につながる入札契約制度の整備ということで、数々の事項について、現在検討しているところでございます。
 今後とも、契約担当局であります財務局を中心に、制度の改善に取り組んでいくということになろうかと思います。

○田代委員長 ほかにご発言はございませんでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 第百六十号議案から第百六十二号議案までにつきましては、ただいまの意見を含め委員長において取りまとめの上、また、第百六十五号議案及び第百六十六号議案につきましては異議ない旨、財政委員長に報告いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○田代委員長 これより住宅局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百五十五号議案、東京都営住宅条例の一部を改正する条例及び第百五十六号議案、東京都高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○関谷総務部長 去る九月十七日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元の資料1、建設・住宅委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をお開き願います。都営住宅応募状況でございます。
 新築募集、空き家募集、若年ファミリー向け募集、単身者向け空き家募集及びシルバーピア募集の募集戸数、申し込み者数、平均倍率並びに最高倍率、最低倍率を記載しておりますので、それぞれごらんいただきたいと存じます。
 以上をもちまして、ご要求のありました資料についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○田代委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○花輪委員 百五十五号議案について賛成、そして、もっと頑張ってやってくださいという立場から、何点かお伺いしたいと思います。
 都営住宅の話というのは、都民の、いってみれば不公平感の象徴みたいな話だと思うんですね。もう一軒家を持っているのに都営住宅に住んでいるやつがいるんじゃないかとか、高級車を乗り回しているのに、社長さんなのに都営住宅に住んでいるじゃないかとか、そしてまた、昔は家族が四人いて三LDKに住んでいたけれども、子どもが巣立ち、だんなが亡くなり、ひとり暮らしの方が三LDKに住んで、おかしいんじゃないかと。そういう話というのはよく聞くわけですね。今回、こういうことで、第一歩となるわけですが、定借を入れてやってくださるということは、非常に歓迎したいことだと思っております。
 今、都営住宅は全部で二十六万戸あるというふうに聞いています。そのうち、都が独自にやったものだけ、とりあえずできるというお話ですが、今、都が独自にやっている特定都営住宅というんですか、これは全部で何戸ぐらいあるんですか。

○野澤参事 特定都営住宅の戸数でございますが、全部で約三千二百戸ほどございます。このうち今回の制度で対象にしたいと思っておりますのは、建物の経年等を考慮いたしまして、約千戸程度を考えております。

○花輪委員 ごめんなさい。今回の議案では三十戸の募集というような話だったんですけれども、今のお答えというのは恐らく、三千二百戸全部、東京都が自由にできるようなところで、そのうちの今後千戸程度は、条例にある定借をつけた十年間の期限でやっていこうということなんですね。
 だから、これから千戸程度を目指してやっていこうというお話なんですか。その確認をもう一回お願いします。

○野澤参事 今回の期限つき入居制度につきましては、若年ファミリー層を対象としておりますので、三千二百戸のうち四十平米以上の規模のものを対象として考えておりまして、これが先ほど申しました建物の経年等を考慮いたしますと、約千戸程度、現在、把握することができるというふうに考えております。このうち、空き家に導入するということでございますので、年間の空き家の発生、約三十戸程度を目標にいたしまして公募をかけていきたいというふうに考えております。

○花輪委員 とにかく、どんどんとやっていただきたいと思うわけですが、これは都が持っている三千二百戸のうち千戸ということで、できればもっと、これから契約するすべての都営住宅にはこれをやっていくぐらいのお気持ちでやってほしいと思うんです。
 都営住宅は、もともと何であるのかなと考えたときに、恐らく、戦後住宅が足りないときに、一軒の家に二世帯、三世帯住んでいた時代があるというふうに聞いたことがあります。そのために都営住宅をつくって、都民の困窮している住宅を何とかふやしていこうじゃないか、とりあえず一世帯に一つぐらい家があったらいいんじゃないかということでやってこられているわけですね。
 ところが、実はもう、既に東京都の住宅というのは世帯数を上回っているんですね。その中で都営住宅が二十六万戸ある。できればこれを、住宅困難なときにつくったという、その発想から変えていただいて、本当にセーフティーネットなんだということで、大変な世帯に対して、困っている世帯に対して家を提供していくという本旨に返っていただかなきゃいけないと思うんです。
 これは、今後、これからの事業のことについて質問する機会にまたお伺いしたいと思うんですが、ぜひこの都営住宅の定借、また、定借ばかりではなくして、ちゃんと審査をして、一回住んでしまったらば、もう出なくていいよということではなくして--今、構造改革がいわれています。構造改革というのは、恐らく既得権の総決算だと思うんです。すべての構造改革。
 ですから、都営住宅も、構造改革ということから、この既得権の総決算をぜひしていただきたいと思いますので、東京都が持っている分だけでとりあえずやっていくんだというだけではなくして、国からお金をもらってやっているような、すべての都営住宅に対しても、こういう価値観でやっていくということでお願いしたいと思うんですが、ぜひそのあたりの決意のほどをお伺いしたいと思います。

○井上管理部長 今回の期限つき入居制度を一般の都営住宅に導入するにつきましては、ご案内のように、都民共有の財産である都営住宅の利用の機会の公平を図る、そういうふうな公平を確保するために必要なものであると考えております。
 そういうことで、東京都としましては、従来から国に対しまして、公営住宅法の改正を提案、要望してまいりました。今後も同様に、引き続きまして公営住宅法の改正を要望してまいりたいと思います。

○花輪委員 ぜひ頑張ってください。
 それで、この後に高齢者の住宅の条例が一件かかっていますが、要は、今、独居老人の問題も大変な問題です。独居老人はなかなかアパートが見つからないという、そういう方がたくさんいるわけです。ですから、そういう本当に困っている方々が入れる都営住宅、そのためには、既得権化している方々にはしっかりとお引き取りをいただくという決意でやっていただければと思います。
 以上です。

○ともとし委員 確認をまずさせていただきますけれども、今、花輪理事の質問の中の答弁で、要するに、将来的にはこれを拡大して、すべての都営住宅に当てはめていきたい旨の、そういうような答弁があったかに思うんですが、それはそういうふうに解釈してよろしいですか。

○小川住宅政策担当部長 期限つき入居制度を一般の都営に当てはめるためには法改正が必要でございますが、その一般に導入したときにおきましては、新たに募集する住宅ということに限定いたしまして、都市空間における希少性、いわゆる利便が高いとか人気が高い、そういうような観点から有効に活用すべき住宅について、また、団地あるいは地域の活性化にも資するように適用していきたいというふうに考えております。
 また、対象世帯につきましても、高齢者あるいは障害者世帯といった、居住の安定が特に必要とされる世帯まで一律に適用されるものというふうには考えておりません。

○ともとし委員 そうすると、最初に当該のそういう戸数というのは三千二百戸ぐらいある、その中でおおよそ千戸ぐらい、そして、毎年、大体三十戸程度、こういうようなお話に聞いていたんですが、先ほどの答弁の内容であれば、国の法改正ができれば、都としては拡大を考えていきたいんだ、そんなふうに聞こえたんですが、今の答弁の内容とも若干の差があるかなというふうに思うんですが、これは、後の方の答弁を、期限つきのそういう内容として解釈すればよろしいんですね。

○小川住宅政策担当部長 公営住宅につきましては、住宅困窮者のためのセーフティーネットの役割を果たすものとされておりますが、去る五月に答申をいただきました住宅政策審議会からは、東京の都営住宅といったものにつきましては、セーフティーネットとしての役割は認めるものの、本来、東京の都市空間というものは非常に有効に活用していく必要があると。したがって、都民共有の公共住宅資産であります都営住宅につきましても、住宅に困窮している、より多くの世帯に公平に提供していくということが求められている。したがって、期限つき入居制度といったものの導入を図っていく必要があるというふうに答申をいただいております。
 私どもは、この考え方に沿って、公営住宅法の改正を国に要望していくというわけでございまして、公営住宅法の改正がなった場合には、一般都営についても、この答申の線に沿って適用を考えていきたいというふうに考えております。
 なお、先ほど私が答弁申し上げましたように、セーフティーネットとしての公営住宅の役割は、基本的に否定するものではない。しかしながら、その中に、利便性あるいは非常に応募倍率が高いというような団地もある、あるいは活性化を図るといったニーズのある団地もあるということでございますから、そういった状況を勘案いたしまして適用させていただきたい、このように考えております。

○ともとし委員 後段の部分が前面に立って、そういうお話があるんだったら、別に構わないんですよ。ところが、あくまでも国に対して法改正をお願いして、それが達成したならば、いうなれば東京都の都営住宅に関するそうしたところを、できればすべて期限つきにしていきたいというような方向性にも聞こえるわけですね。その辺については、きちっと歯どめをしておかないといけないのかな、こういうふうに思うんです。
 あくまでも、当初の特定の三千二百戸、その中でも千戸、なかんずく毎年やれるとすれば三十戸、この程度のものであると。この辺のことをもう一回確認しておきたいと思いますけど、いかがでしょうか。

○小川住宅政策担当部長 今回、条例改正でお願いいたしております対象は、ご指摘のとおりの特定の都営住宅でございますが、私どもといたしましては、これを一般都営住宅に適用するという形では、法改正を引き続き要求してまいります。

○ともとし委員 わかりました。今回の期限つき入居というのは、今の時点におけるそういう内容のものと、そう解釈させていただいて、なおかつ、これが毎年三十戸程度である、こういうような内容かなというふうに思います。
 次に、十年という期間が定められているわけですけれど、この十年という期間が終了、満了のそういう状況になったとき、都営住宅収入基準の基準内に置かれて、いうなれば、当初の目的である、他のところに自力で、自立して移転ができない、こういうような場合にはどういうふうな措置になりますか。

○野澤参事 本制度は、あらかじめ期間を定めた使用許可制度でございますので、十年間の期間満了後は当然退去していただくことになりますけれども、期間満了時の収入が公営住宅階層である世帯につきましては、ほかの都営住宅をあっせんすることとしております。

○ともとし委員 こうした若年ファミリー層に対して、こうした措置をとられるということは、先ほども都営住宅の応募状況を資料として提供していただきましたけれど、確かに空き家の応募状況を見ても、二十五倍であるとか二十二倍、二十四倍というふうにかなり高率になっているという観点からは、ぜひとも進めなければいけない事業の一つかなというふうに思っております。
 さらにこれを、若年ファミリー層についてもそういうような状況であるということは理解できたわけですけれど、高齢者向け、あるいはまた単身者向け、こうしたことについては、東京都の方ではどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

○井上管理部長 都営住宅の高齢者向けの募集につきましては、現在でも一般の募集におきまして、高齢者世帯を対象といたしまして、優遇倍率によります抽せん措置を講じております。そのほか、シルバーピアやポイント方式による募集を実施しております。
 実績を申し上げますと、シルバーピアが平成十二年度では二百四十四戸、ポイント方式による募集では千五十九戸となってございます。また、単身者向けの募集につきましては、十二年度では六百五十戸を募集しております。
 今後とも、これらの募集の優遇倍率等につきましては、それぞれ状況を勘案して充実するよう検討していきたいと存じております。

○ともとし委員 ぜひともご努力をお願いしたいなというふうに思います。
 先ほどいただいた応募状況の資料を見させていただきますと、シルバーピアも、若年ファミリー層同様に、二十倍から、多いときには二十九倍までなっているんですね。あるいは単身者用の空き家の募集についても、同じく十三倍から十九倍。かなりの高率になっているわけでして、そういう応募状況のことを考えますと、こうしたことについても十二分に考えなければいけないな、そういう措置かなというふうに思いますので、期待しておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○大山委員 まず、百五十五号議案についてお聞きしていきたいと思います。
 私たちは、若年ファミリー世帯の入居枠を拡大すること、これはもちろん賛成です。子育て中の世帯が、住宅局さんがいっているように、高齢者の多くなっている都営住宅に入居するということは、もちろん活気が出るということですし、それについても否定するものではありません。大いに歓迎するところです。私たちは、所得制限が東京の生活実態に見合わずに低過ぎるということで、引き上げを要求してきたわけですから、期限を限ってはいるものの、一部ではありますけれども、実質的に引き上がったといえるというふうに思っています。
 しかし、若年ファミリー入居枠を拡大するということはいいんですけれども、期限つき入居という制度を今度導入するということなんですね。その点で、幾つか質問しながら指摘していきたいというふうに思っています。
 まず、若年ファミリー世帯の概念なんですけれども、それと、住宅局が若年ファミリーを対象にするという理由というのは何なのか、教えてください。

○野澤参事 今回の期限つき入居制度におきましては、四十歳未満の夫婦のみ世帯または夫婦及び子どもの世帯を若年ファミリー世帯としております。
 このような世帯につきましては、十年で一定の経済的な成長が期待できることに加えまして、十年という期間、安心して子育てができ、かつ住みかえを含めた将来の生活設計ができるものと考え、今回、対象としたものでございます。

○大山委員 子育て支援と将来の生活設計ができるようにということが主な理由というふうに聞いたわけですけれども、今の少子化の中で、本当に少子化対策、子育て支援というのは重要なことですし、やらなければいけないというふうに思っています。しかし、今回の期限つき入居、期限を定めるということが、大切な子育て支援の趣旨と逆行しかねないという問題を含んでいるということを指摘したいと思います。
 例えば、若年ファミリー世帯ですから、十年間使えばいいということなのかといいますと、その生活実態から見ますと、例えばゼロ歳児の子どもを持って家族三人で入居すれば、十年たてば小学校四年生になるんですね。収入基準を超過しても、入居基準内であっても、一度はこの住宅は出なきゃいけないわけですね。そうすると、子どもは転校せざるを得ない。そして、子育て支援ということですから、本当に子どもを安心して育てるという意味では、高校生になっている子どもがいる、それから中学生で高校受験期を迎えている子どもがいる、そんな中で、収入基準内であっても転居しなきゃいけない。これは安心感という点からいっても、非常に逆行した状況ではないかというふうに思っています。
 子育て支援だということでしたら、むしろ家族構成に着目したやり方で、子育てが終わった段階で住みかえを誘導するとか、そういうことが、若年ファミリー、子育て支援の趣旨と合致するのではないかというふうに思っています。
 もう一つ、重大なことなんですけれども、先ほども質疑の中でありましたけれども、知事が、今定例会でも所信表明の中で、公平、公正な住宅の供給ということで、公平性を確保するには、定期借家権を活用した期限つき入居制度に高い効果が期待されるというふうにいって、本格導入には公営住宅法の改正が必要だが、国が怠慢で動かないので、特定都営住宅で先行実施すること、公営住宅法の改正は不可欠であるとして、国に求めていくということを表明しているわけです。つまり、公営住宅法を改正する突破口にこの東京都がなるんだという決意表明をしたんだというふうに思うんですね。公営住宅法に基づく一般の都営住宅にも、この制度を広げていくということを表明したんだというふうにとらえられると思います。
 条例の提案理由でも、都営住宅の利用機会の公平を図るため、定期使用許可制度を設ける必要があるというふうになっていて、決して、この提案理由の中にファミリー世帯の枠拡大というふうには明記していない条例なんですね。公営住宅法を改正して、一般化していくということがねらいなんだということは明らかです。
 定期借家制度というのは、一言でいえば、契約期間が来れば、無条件で明け渡すことを約束している賃貸借契約ということですね。国は、公営住宅には期限つき入居はなじまないというふうな見解だというふうに聞いていますけれども、どういう内容ですか。

○井上管理部長 国の見解は、平成十二年二月に、これは衆議院への文書答弁で出されたものでございまして、公営住宅は、住宅に困窮する低所得者のために賃貸する住宅であり、入居者が高額所得者となる等、特段の事由がない限り居住が継続することを前提として制度が成り立っている。このため、事業主体は入居者との間で期限の定めのない賃貸借契約を締結しており、定期借家制度にはなじまないというふうな文書答弁が出されております。

○大山委員 国会の答弁ですから、国の見解だということですね。公営住宅というのは、住宅に困窮する低所得者のための賃貸する住宅なんだということで、定期借家制度はなじまないということなんですね。それで、公営住宅はそういう住宅ですから、この実効性を担保するために、公営住宅法においては、公募の原則、入居者資格、高額所得者に対する明け渡し請求などの規定があるということなんです。
 国でさえもなじまないんだといっているわけですから、知事が一般化するんだというふうにいうのだったら、住宅局こそ、住宅の専門家、都民の住むということに責任を持つ局として、助言するといいますか、指摘する、それぐらいの内容でないといけない、局でないといけないというふうに思っています。
 実態から見てもなじまないということ、先ほどの生活実態から、十年、子育て中にも逆行するよということをいいましたけれども、生活実態から見て、もう一つ指摘しておきたいんですけれども、入居者から見て、住宅局が期限つき入居がメリットなんだというのはどういうことですか。

○井上管理部長 先ほど私が答弁しました国の見解でございますが、決して、国の見解は違法であるというふうに述べてあるものではございません。
 住宅局といたしましては、先ほど来ご審議がございますように、各種の都営住宅の住まい方に対しての都民のいろいろな意見もございます。そういったものを踏まえまして、今回の期限つき入居制度を導入したものでございまして、今回の期限つき入居制度は、需要の多い地域の都営住宅の利用機会の公平を確保する、これが一つでございまして、これとともに、あわせまして若年ファミリー世帯の入居の促進を図ることによりまして、高齢化が進行します都営住宅団地及びその周辺地域の活力の維持、向上を図ることを目的に導入したものでございます。

○大山委員 質問に答えてください。

○野澤参事 居住者にとってのメリットということでございますけれども、期限つき入居制度におきましては、公営住宅法上の入居収入基準を超えても、十年という期間、安定して居住することを保障するということになっておりまして、その他使用料の割り増しも課さないということが居住者にとってのメリットではないかと考えております。
 また、期間満了時に、公営住宅階層である世帯につきましては、ほかの都営住宅をあっせんすることとしております。こういうことも居住者のメリットではないかなと考えているところでございます。

○大山委員 余分な答弁が入りましたので……。違法じゃないけれどもというのは、国はいっているわけですね。しかし、答弁では、それを承知の上で、国はなじまないといっているわけですね。公営住宅の役割を考えたら、この定期借家権はなじまないんですというのが国の見解なんです。それをあえて東京都は突破口にするんだというのが今の実情だということをもう一度いっておきます。
 それで、割り増しを課さないと。それから、十年たてば、収入基準内であれば、ほかの住宅に転居、紹介できるんだと。割り増しを課さないというのは、収入によってきちんと上がっていくというのは、収入基準から上がっても、それは同じ計算の仕方で、割り増しというのは付加使用料だけをかけないという理解でいいんですか。

○野澤参事 家賃体系といたしましては、収入超過階層につきましては、収入基準に応じた家賃のほかに、近傍同種の家賃との差を、退去する際の努力を担保するための一種のペナルティーみたいな形でかけておりますけれども、期限つき入居制度につきましては、収入超過等の対象とすることは考えておりませんので、昔の公営住宅法によります付加使用料に相当するものはかからないということでございます。

○大山委員 今の確認だと、付加使用料だけは--今、付加使用料といわないのですか、だけはかけないということなんですね。じゃ、かなり安い値段でずっと入居していられるのか、そうしたら、貯金したりもできるのかなというふうに考えるわけです。
 しかし、実際どうなのかということで、なかなかわからないものですから、ご夫婦と子ども二人で標準的な世帯で、実際、今回特定都営住宅の中で募集予定だという対象のところで試算してみました。そうしましたら、夫婦と子ども二人の四人家族だと、所得月額が二十万一円以上はもう収入超過なんですね。その人の期限つき入居でやると、つまり付加使用料をかけなければ、所得月額二十万一円以上の人は、月額四万八千六百円の使用料です。その上の段階の所得月額が二十三万八千一円から二十六万八千円の方までの所得階層、四人家族で五万五千八百円です。その上の所得になりますと、二十六万八千一円からですね。六万三百円という、それはちゃんと上がっていくというのはあるわけです。
 付加使用料、どうなんだろうということで、近傍同種の家賃と基本のところの差額だということですから、それの七分の一、四分の一、二分の一、一ということでかかりますので、さっきの四人家族で一カ月二十万一円以上の世帯は、付加使用料がつくと五万二百円なんです。月額千六百円払わなくていい。その上の世帯だと、千百円、付加使用料がかかります。その上の所得になると--その上といったって、四人家族で二十六万八千一円以上ですよ。そこが六万三百円で、もう変わらなくなっちゃうんですね。これは古い住宅だということで、近傍同種になると、家賃が同じように低いわけですから、すぐに頭打ちになってしまう。ですから、大分安い値段でずっといられるのかと思ったのはちょっと違っていて、結局、千六百円、そして千百円の付加使用料を払わなくていい所得階層が二層あるだけだということもわかったわけです。
 それで、そうやって見てみると、意外に大変なんだなと。所得月額に占める家賃の割合というのも案外高いんですね。四人家族で二十万一円以上の家族は、二四・二%の所得月額に対する家賃の負担割合なんです。大体、収入超過以上のところですと、五分の一から四分の一、それぐらいが収入月額に対して家賃の割合が占めてしまうということなんですね。
 大体、今試算をお示ししましたけれども、今回募集するというか、対象になる特定都営住宅の大体千二百戸というところは、条件というのはそれほど変わりがないというふうに理解しているんですけれども、それでいいでしょうか。

○野澤参事 今回、対象として考えております特定都営住宅の約千戸程度につきましては、条件としては、ほぼ同じような状況であるというふうに考えております。

○大山委員 ですから、今回の特定都営の対象になるところは、大体このぐらいの状況になる。子育て真っ最中ですから、本当にいろいろなものにお金がかかるし、大体五分の一から四分の一を、収入から家賃を負担するという大きな割合があるわけですから、日々の生活で精いっぱいということなんですね。ですから、もちろん十年間で経済的な成長が望めるということなんですけれども、もちろん望めるというのは一般的なんでしょうけれども、今見たような状況で、十年たったからといって、例えばマンションを買うための頭金がたまるかといったら、なかなか厳しいんじゃないかなということなんです。
 それで、若年ファミリーの申し込みが四十歳未満ということなので、どれくらいの所得分布になっているのかということを見ましたら、夫婦と子どもの家族ということで、現在のファミリー世帯、五十歳代までの家族を見ましたら、今、都営住宅に住んでいらっしゃるファミリー世帯の収入区分で、ゼロから十二万三千円という認定月額の層の人が五二・二五%、半分以上いるというのが状況なんですね。非常に所得の低い層の人たちが多いということなんです。収入超過者と高額所得者を合わせても二五・七二%。
 ですから、どうしてこんなに収入が低いのかといえば、都営住宅に申し込める収入基準自体が低いからです。夫婦と子ども二人の世帯で、さっきのケースでいいましたように、所得月額が大体二十万円未満でないと申し込めないというのが現状だから、なかなか収入も上がらないということなんですね。例えば、社宅だとか職員住宅で一定の収入があって、それで十年間ですよ、だから準備してくださいねというのとは、質というか、本質的に違うということになるというふうに思っています。
 東京都は、一昨年から若年ファミリー向けという区分を設けていますけれども、若年ファミリーが本当に大事なんだ、子育て支援もしていかなきゃいけないんだ、そういう立場に立つのだったら、あえて期限つきにしないで、既に現行の中で募集しているわけですから--確かに人気もありまして、かなり倍率も高いわけですね。これを広げていけばいいというふうに思うんですけれども、どうなんですか。

○井上管理部長 若年ファミリー向けの募集につきましては、平成十一年から新たに実施している募集制度でございまして、現在のところ、応募倍率は平均で二十五倍から三十倍弱ぐらいの数字を保っております。今後も、状況を見ながら検討してまいります。

○大山委員 そのファミリー募集枠自体を広げられない理由というのはあるんですか。

○井上管理部長 若年ファミリー世帯への都営住宅の枠も行政目的にかなうものでございまして、重要だと考えております。
 一方、限りある都営住宅でございますので、高齢者への枠であるとか、障害者への枠であるとか、全体状況を勘案しまして、後退しないような形で頑張ってまいります。

○大山委員 全体枠が定まっちゃっているんだから、これ以上大きくしないんだということが前提で、こっちはこれぐらい、こっちはこれぐらいと、分けっこしているだけなんですね。
 それで、期限つきなんだから、どんどん出ていってもらえば、それで活用はできるんだということなんでしょうけれども、例えば収入超過の人たち、さっきのケースでいえば、夫婦と子ども二人で四人家族で二十万一円、所得月額があれば、収入基準から出てしまうわけなんですね。この人たちは、次はもう都営住宅はあっせんしてもらえない層ですね。しかし、普通の一般の都営住宅だったら、明け渡し義務はない層なんですね。そういう人たちに、どんどんというか、十年たったら出てもらいましょうというのが、今度の状況なわけです。回転がいいのかということをいえば、そうなのかもしれませんけれども、これがよくいう公平性というものなんだろうかというふうに考えざるを得ないわけです。
 それで、収入超過というのは、今いったように、四人家族で収入月額二十万一円から出た人たち。これは法律でも明け渡し義務はないわけですね。高額認定の人は明け渡し義務があるわけです。
 これは、皆さんがやった、東京都の住宅局が十一年八月に出したものなんですね。これは対象者も人数もかなり多いし、一般の都民の皆さんに答えてもらっているというものです。
 この資料を見ますと、住まい及び住宅政策に関するアンケートということですけれども、賃貸住宅に関する政策として重視すべきことという問いがあります。これで一番高いのが、低所得者を対象とした都営住宅などの公共住宅の建設が約三割、一番の要求です。都営住宅についての考え方の質問には、高齢者や障害者の住宅確保に向け都営住宅をもっと供給するべきというのが四四・九%。低所得の都民全般の住宅確保に向け都営住宅をもっと供給するべきであるが三一・九%。供給を求める声というのは非常に大きいわけですね。さらに、都営住宅の入居資格を持っていても入れない人たちに対して家賃補助などの支援を行うべきである、こういう回答をした方も三一・六%です。二十五倍だとか百何倍だとか三十何倍だとかという状況ですから、申し込んでも申し込んでも外れてしまうという方が大勢いらっしゃるわけですね。
 それで、都営住宅をふやしてほしい、これは率直な都民の要求だし、願いだし、それでも入れないんだったら家賃補助してくださいと。これは生活実態から見た都民の当然の要求だし、それこそ公平性だというふうに思っています。この都民要求にこたえるときに、小手先のことでは解決しないというふうに思っています。
 例えば、ことし、期限つき入居で三十戸募集するんだと。十年後、何世帯が収入基準を超えるのかということですけれども、先ほどの現在都営住宅に入っているファミリー世帯の所得分布から引き寄せれば、二五・七二%です。ですから、これは単純に計算しただけですけれども、八世帯が出るかどうかということなんですね。焼け石に水だというふうにいわざるを得ないと思っています。
 都民要望に対して少な過ぎる都営住宅をふやさないで、その中でやりくりすることじゃなくて、パイ自体をふやすことなしに解決はできないというふうに思っています。ただ、都営住宅をふやすということと同時に、いろいろ家賃補助の案が出ていたり、供給公社とかも含めていろいろなことを考えながら、総戸数をふやしていく、これがやはり重要なことだというふうに思っています。
 先ほどもちょっと出ていましたけれども、最後に一つだけ確認しますけれども、期限つき入居が特定都営住宅で今回対象になるのは、先ほどの答弁の中にもありましたように、特定都営住宅三千二百戸中、千二百戸というふうにしていますけれども、期限つき入居を特定都営住宅全体に広げることはないという確認でいいでしょうか。これは条例に明記していないものですから、特定都営住宅ということで。

○野澤参事 今回の対象住宅は、需要が多く利便性が高い地域にある特定都営住宅で、若年ファミリー世帯の居住に適した、規模が四十平米以上の住宅を考えておりまして、それは約千戸程度というふうに考えております。

○大山委員 ということで百五十五号議案の質疑ですけれども、次に、百五十六号議案、高齢者円滑入居賃貸住宅登録手数料条例の制定についてということで質疑したいと思います。
 高齢者の住宅問題というのは非常に深刻だというのは、皆さんも日々の相談などの中でも実感しておられると思いますし、アパートを探していても、年齢で断られてしまうケースというのは多いわけですね。先日も、不動産屋さんと話していましたら、六十歳というと、それだけでだめですという大家さんはいるし、五十歳代でも断られちゃうんですよという話もあるんです。高齢者が年齢で断られないように、高齢者の居住の確保に関する法律を本当に実のあるものにしていきたいという立場に立っているということを、まず表明しておきたいと思います。その立場で幾つか質問していきます。
 今回の条例は、高齢者の入居を拒まない大家さんに住宅を登録してもらうための手数料を定める条例ですね。手数料だけだと思いますけれども、これは自治体の姿勢が非常にあらわれていることだというふうに、この質問というか、議案を調べる中で実感していることです。
 この法律が成り立つには、入居を拒まない大家さんがいて、入居したい高齢者がいて、初めて成り立つというものなんですね。だからこそ、登録してもらう大家さんをふやすことは、この制度を維持していくためには大きな課題だというふうに考えますけれども、どうですか。

○青木開発調整部長 今回の高齢者円滑入居賃貸住宅制度につきましては、ご指摘のとおり、この制度を円滑に活用していくためには、家主や高齢者の方々の制度への理解というのが大変重要だと思っておりますし、これを円滑に運用していくためには、区市町村や仲介業者である宅建業界の理解、協力も不可欠だというふうに認識しているところでございます。

○大山委員 登録してもらうということは大前提だということですね。
 この法律は、登録料を徴収することができるということですから、徴収する道と徴収しないという道、この二つの選択があると思うわけですが、あえて徴収する道を選んだというのはどうしてでしょうか。

○青木開発調整部長 登録に際しましては、当然、登録事務にかかわります人件費だとか、パソコンのリース代等の費用がかかりますので、実費相当分を手数料として負担していただくという考え方でございます。

○大山委員 実費相当分だということなんですね。
 この法律ができて、今、それぞれの県のレベルで、この条例が出ているというふうに思うんですけれども、その全国的な状況を把握していたら教えてください。

○青木開発調整部長 今月現在というか、九月の状況でございますけれども、手数料を徴収する府県十七、徴収しない予定のところが二十九というふうに聞いてございます。

○大山委員 徴収する予定が十七、しない予定が二十九ということで、徴収しないという方向でやろう、提案しようというところが多いわけですね。
 私も、ほかのところはどうなのかなと思いまして、それぞれの県などの担当者に聞いてみました。そうしたら、十道府県に聞きましたら、八は徴収しない、二県は徴収するということなんですね。
 それで、どうして無料にする、徴収しないというふうにしたのですかというふうに聞きましたら、それぞれが大体似通ったお答えなんですけれども、登録を控えることがないようにと。それから、国基準でも六百七十円ぐらいなので、それを徴収するよりはたくさん登録してもらった方がいいからというところがあったり、手数料を取っても、それほど採算がとれるわけじゃないし、それよりも、情報を受ける人、つまり高齢者が利益を受けられるように登録してもらうことが大事だと考えていますので、手数料を取るよりは、大家さんの理解を得ることが必要だと考えているんですと。それぞれ、大体、登録する人をふやしたいというのが、無料にします、徴収しませんというところの考え方なんですね。
 近所の県も聞いてみたんですけれども、埼玉県などは、善意の人から取るのは忍びないと。それで、普及が必要なんだということで、それぞれ本当に登録してもらうということを進めたいということで、取らない。(「取る方は聞かないの」と呼ぶ者あり)取る方も聞きました。
 ですから、無料にするのかということは、登録をふやしたいから、だから、サービスをきちんと提供したいからなんだということなんですね。住民に対する姿勢が、図らずも出てしまった、あらわれたということではないかなというふうに思っています。
 不動産屋さんの話では、高齢者を断る理由というのは、この法律にもあるように、家賃の問題もあるけれど、それだけではなくて、保証人がいないだとか、ガスを消し忘れしてしまわないだろうかとか、病気になったら、ひとりで死んでいるかもしれないとかといって、大家さんにとっての心配もまだまだあるわけですね。
 それで、東京都ひとり暮らし高齢者等入居身元保証人制度検討委員会報告書という、福祉局が報告したものがあります。入居拒否の理由というのは、入居者の病気や死亡時の対応に困るというのが六二%です。失火や住宅の安全管理上の問題というのが四六%、家賃滞納の不安が一九%ということで、今回の法律は、もちろん一歩前進で、東京都が頑張って進めていってほしいと思いますし、情報もきちんと提供するためには、登録してもらう大家さんをぜひともふやす立場でやっていかなきゃいけないというふうに思っています。
 そのほかにも、今いったように、大家さんの心配というのはいろいろあるわけですね。住宅局が、法の施行とともに、制度として都独自の身元保証というのをやるんだというふうにおっしゃっていますけれども、それについては事務事業の中でやりたいというふうに思いますので、きょうはこの程度にしておきます。

○青木開発調整部長 先ほど手数料のお話がございまして、条例にも書いてありますとおり、一住宅当たりじゃなくて、一棟当たり八百円をいただくということになってございまして、しかも新規登録のときのみでございます。将来、登録内容が変わったときの更新時等についてはいただかないというふうにしております。
 したがって、ご指摘のような、この手数料をもって登録の件数が激減するとかというようなことは全くないというふうに私どもは考えてございます。

○大山委員 答弁してもらいたいと思っていったのじゃないんですけども、ご答弁があったので、私もいわなきゃいけないと思いますけれども、大家さんが高齢者を受け入れるというのは、実態からいうと、それなりにかなり大変なんですね。ですから、さっきのアンケートでもあるように、失火だとか家の管理だとか、それから、亡くなったり、病気になったときにどうしようという不安だとかいっぱいある中で、やはり高齢者をきちんと受け入れたいという大家さんを一人でも多くしていく、それがこの法の趣旨だと思いますし、進めていかなきゃいけないことだと思うんです。
 手数料を取る道と取らない道があって、取らない道を選んで、なおかつ、それは大家さんにたくさん登録してもらいたいからなんだ、棟数をたくさん登録してもらいたいからなんだというところが、今わかっているだけでも二十九県あるわけですね。やはりそれが、都民に対する自治体としての姿勢があらわれているんじゃないですかということなんです。ですから、その意見を表明して終わります。

○新井委員 それでは、都営住宅の期限つき入居の件からお伺いいたします。
 いろいろほかの委員の方々の質疑なども聞かせていただいたんですけれども、若干視点を変えまして、都営住宅のコミュニティということの視点でご質問させていただきたいと思います。
 今、高齢化が非常に進んでおりまして、特に都営住宅についてはその進み方が激しいというふうに、私も見ておりまして感じているところですけれども、その高齢化率の進みぐあいというところを、まず、数字の上でどの程度把握していらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。

○井上管理部長 都営住宅の平成十三年三月現在の名義人の中で、六十五歳以上である方の世帯が約十万三千世帯ございます。これが全居住世帯に占める割合は四二・一%となっております。
 このうち、六十五歳以上の夫婦のみ世帯が九・八%、また、六十五歳以上の単身世帯は一五・二%となっている実態を把握しております。

○新井委員 こちらのいただいた資料ですと同じような数字で、特に六十五歳からということでお答えがありましたけれども、六十代以上ということで見ますと、何と五五・五%を占めているということで、六十五歳以上の単身の方が一五・七%、構成としては非常に偏った構成になっているということはおわかりいだたけると思います。
 私も多摩ニュータウンに住んでおりまして、近くに都営住宅があったりするわけですけれども、かなり高齢化が進む中で、これまで頼りにしていたファミリー層の方が、収入を超えて出ていかなければならなくなってしまうというような事態がたくさんございます。これは、利用機会の公平ということからはやむを得ないというところがあるわけですけれども、見方を変えますと、これまでコミュニティの中で年をとって先行き不安に思っていらっしゃる方が、暮らしの上で非常に頼りにしている方が、その方の意思にかかわらず出ていかなくちゃいけないというような事態が起こっているわけで、そういうときには、高齢者の方の不安がすごく高くなっているということが現実にございます。
 一つの団地の構成がどんなふうになっているかというのがおわかりになりますかというふうにお伺いしましたら、なかなか調べるのが難しいということでしたけれども、私の友人の大学の先生が戸山ハイツの調査に、今、入っておりまして、そちらの方の数字を聞いてみましたらば、年齢構成別のものとしましては、こちらからいただいたのとほとんど同じです。四、五十代は非常に割合が低くなっておりまして、都営全体で三三%、四、五十代の方がいらっしゃいますけれども、特に戸山ハイツの中に入ってみましたところ、女性の単身が四、五十代は非常に多くて、年齢層も少ないけれども、ファミリー世帯層というのは本当に少ないんだというふうな数が出ています。
 そういう意味では、ファミリー世帯を積極的に導入しようということでは、非常に評価ができるのかなというふうに思うわけですけれども、今、数字上での把握ということをお伺いしましたけれども、今、私がお話ししましたような高齢者が置かれている日常生活上の状態といいますか、そういうようなところを把握はしていられますでしょうか。

○井上管理部長 高齢者の日常生活上の実態でございますが、個々の高齢者の日常生活上の実態であるとか、あるいは全体の状況であるとかいうのは、そういう統計をとってございません。
 ただ、私どもが日常、仕事を行っていく上でいろいろな相談等はございまして、例えば、立ち居振る舞いであるとか、あるいは周りの友達づき合いであるとか、そういったような悩み、お話が大分来る場合があります。

○新井委員 これは都営ではないんですけれども、私が助け合いの仕組みをNPOの方でつくりたいというふうな意図もございまして、多摩ニュータウンの入居三十年たった非常に古い団地ですね。そこをメンバーとともに対面で歩いたところの感想なんですけれども、高齢の単身の方が本当に多くて、閉じこもりの実態が起こり始めているということと、孤独死ということも起こり始めています。多摩市は、結構、孤独死の率が高いということで、不名誉な市ということになっているわけなんですけれども、そういった点。
 一方で、若年世帯の方が入居を始めています。赤ちゃんが生まれたばかりの方とかですね。そういう方はそういう方で、子育てに非常に悩みを持たれているけれども、核家族化で相談する人がいないというようなことが、若干、片方ではあるわけですね。
 そういうところに注目して、何とかコミュニティということを考えたときには、両者をつなぎ合わせることができないものかというようなこともちょっとやってみたわけなんですけれども、なかなか市民の力といいますのは難しいところで、思うように事が運びませんでした。
 そういう意味では、大家さんとしての東京都が、こういった現状を踏まえた上で、少し実態調査をなさいまして、助け合いの仕組みとかということのきっかけを市民とともにつくり上げるというようなことをしていただく必要があるのではないかというふうに思っているわけなんですけれども、いかがでしょうか。

○井上管理部長 若年ファミリーの世帯と高齢者の世帯等、あるいは若年、壮年、高齢それぞれの各世代が団地の中で協力して団地運営をしていただくということも必要であろうと私どもは考えておりまして、自治会等に、私ども、いろいろなサジェスチョンなり相談に応じているところでございます。

○新井委員 団地の運営というところから、一歩踏み込んだ助け合いの仕組みということでご提案しているわけですけれども、本来は市民の中から、入居している方たちの中からこういう声が上がってくるというのが望ましいわけですけれども、きっかけづくりとかということについては、ぜひ大家さんの立場で考えていただきたいなというふうに思います。
 もう一つ、十年という期限のことについてお伺いしたいと思うんですが、先ほど大山委員の方からもありましたように、十年という期間を考えますと、子育て中のファミリー層にとっては不安な部分が残ります。
 特に引っ越しということを考えたときに、ファミリー世帯というのは、子どもの学年の変わり目というか、小学校が終わるとき、あるいは中学を卒業するときというような節目、節目というものをあえて選んで引っ越しをするというやり方があるわけなんですけれども、そういうことを考えますと、その十年の中で、例えば、あと一年だと小学校六年で子どもが卒業する。あるいは、中学二年で、あと一年で中学を卒業するんだというふうな事態に、何がなんでも十年で回転を早くしていくんだという意味でやるというのは、生活実態に即した物の考え方からすると、ちょっとどうなのかなというふうに思うわけです。
 そういう意味で、十年という期間を、少し柔軟な運用ということでやっていけないものかどうかということをお伺いしたいと思います。

○野澤参事 十年という期間は、若年ファミリー世帯が一定の経済的な成長が期待できることに加えまして、安心して子育てができ、かつ住みかえを含めた将来の生活設計をすることが可能な期間であると考え、設定したものでございます。
 今回導入する制度におきましては、あらかじめ期間を定めた使用許可制度でありますことから、十年を経過した時点で、当然退去していただくことになります。ただし、期間満了時に公営住宅階層である世帯につきましては、ほかの都営住宅をあっせんしていきたいというふうに考えております。

○新井委員 ほかの都営をあっせんするということでありますけれども、都営のあきぐあいから見まして、同じ地域の都営にということはまず不可能だというふうに思われるわけです。十年たちますと、都営でも全然違うところに変わらなくちゃいけなくて、子どもの学区の問題とか、あるいは先ほどからお話ししていますコミュニティということの問題ですと、全然、意味がなくなってしまうわけですね。
 そういう意味で、条例ですので、お答えとして、そのように運用しますというふうにお答えにくいかもしれませんけれども、ぜひ柔軟な対応をお願いしたいと思います。この件はお願いをしておきまして、次の件に移りたいと思います。
 高齢者の円滑入居の件ですけれども、これは、お話を伺いましたらば、預託金を五十万円預託して入居というふうな仕組みになっておりますけれども、私も、実はまちづくりNPOの理事長などをしておりまして、まちづくりのサポートに入っていく中で、いろいろな方からご相談を受けたりとかしたわけなんですけれども、保証人がいなくて困っている人は、お金も持っていないというふうなのが実態だというふうに思います。
 この預託金を五十万円払って、そして礼金、敷金、家賃を払ってということになりますと、いっときにほぼ百万円近いお金を準備しなくてはいけないというふうな状況になるかと思うわけですが、入居時に当たって、保証人がいない方で、百万円のお金をぱっと準備して、この制度を利用されることが可能な層といいますか、そういう層はどのくらいのボリュームでいるというふうにお考えなのでしょうか。

○青木開発調整部長 今回、私どもが国の制度とともに立ち上げました身元保証制度につきましては、民間賃貸住宅に入居したくても、今ご指摘のように、身元保証人等がいらっしゃらないというような理由で入居を敬遠される、そういう高齢者に対して円滑な入居を支援していくための制度でございます。
 そういう意味で、今、入居に際して一時的な金が用意できないという層がどれくらいあるかというご指摘でございますが、私ども、この制度を利用する方というのは、木賃アパート等の建てかえによって住みかえせざるを得なくなると申しますか、住みかえる高齢者の方が相当数いらっしゃるだろうと。その数を年間、約二千五百世帯程度というふうに考えてございます。しかしながら、家主の方が高齢者の入居を拒まない場合や、身元保証制度を利用しないでも入居して構わないというような家主さんもいらっしゃるかと思います。
 そういう意味では、どれぐらいの世帯の方が今回の制度をご利用いただくかという確定的な数字を申し上げることは困難だというふうに認識してございます。

○新井委員 地元の自治体の方の現場でいろいろ相談を受けている方などの声も聞いてみたんですけれども、現場で実際に当たっている方の感想ですと、保証人がいなくて困っている人は、先ほどいいましたように、なかなかお金も用意できなくて困っている人が多いということで、実際に百万円ぐらいのお金を用意してこの制度を利用しようという人は、実は地元の市のところに相談に来ていない。だから、現実的に数を把握することはなかなか困難だろうということはおっしゃっています。確かに、資産を予測するというのは難しいですから、調査のしようがないということがありますけれども……。
 ただ、保険制度を使ってやるということは、ある程度の塊の数がないと、これは動きませんよね。だから、そういう意味で、東京都はいろいろな調査を行っていらっしゃいますので、そんな中から、ある程度、この制度の預託金も含めて乗ってくる層というのが、おおむねこのくらいあるじゃないかという、数で具体的に出すのは難しいかもしれませんが、大体、このぐらいの数の人たちが応募してきて、この制度がスタートするんじゃないかというようなことを想定されているんじゃないかと思います。というのは、事業評価というのを考えたときに、事前にどのくらいの目標を定めて、どのくらいの人が利用するかということを考えておかないと、事後評価というのはできませんよね。
 そういう意味でお伺いするわけなんですけれども、この制度の中で、どんなふうな方たちが、どの程度のボリュームでこの制度は利用できるというふうに考えられているのか、もう一度お伺いいたします。

○青木開発調整部長 ご指摘のとおり、この制度を運用するのには、保険会社と提携しながら制度を運用するということを考えてございます。具体的には、私どもの東京都防災・建築まちづくりセンターが運用するわけでございますが、現在、鋭意その内容を詰めているところでございまして、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、今、どれくらいご利用いただけるかという数を把握するのは困難であるという認識でございます。

○新井委員 ちょっと伺い方を変えてみたいと思うんですが、この保険会社との契約の中で、どの程度これを利用する人がいて、これは成立するのでしょうか。

○青木開発調整部長 私どもとしては、この制度をつくった経緯から申しまして、先ほど申し上げた二千五百世帯のうち、入居を拒まない家主さん以外の方にできるだけ多く利用いただきたいというふうに願っているわけでございますけれども、先ほど申し上げたように、保険会社等と私どもが直接接触しているわけでございませんので、大変申しわけございませんが、数字については把握してございません。

○新井委員 これが通ってから保険会社に委託をしていくわけですので、まだ直接接触していないということなんでしょうけれども、この制度をつくるに当たって、こちらに書かれております失火などの際の補償、入院費の保障、亡くなった場合の葬儀の費用ということで、最低五十万円ということが保険会社の方からお話があったと伺っておりますけれども、それを運用するに当たってというふうなことを、東京都の方としても把握する必要があるのではないかと思うんです。全部保険会社にお任せで、結局、やってみてうまくいかなかったら保険会社のせいだよというふうにはいかないわけですからね。
 そういう意味で、この政策を実施する主体者としてどんなふうにお考えになっているのでしょうか。

○青木開発調整部長 今、ご指摘のございました預託金につきましては、保険会社の方からというよりも、私どもの方で、葬儀にかかわる費用、それから、部屋に残りました残存家財を撤去する費用として、最低限で約五十万程度の費用が必要であろうというふうに認識して、お話を申し上げているところでございます。
 それで、まちづくりセンターの方でこの制度を運用するわけでございますけれども、東京都は全く関与しないということは当然ございません。この制度発足につきましては、国の法制度が成立次第、できるだけ速やかに私どもの制度も立ち上げたいと思っておりますので、その間に鋭意詰めたいと思っております。

○新井委員 私は、この制度についてはぜひ成功していただきたいという思いで質問しているわけなんですけれども、ぜひその辺はご了承いただきたいと思います。
 それで、こういう百万をぽんと出せる層がいるかどうかは、実はやってみないとわからないというところが確かにあると思うんですけれども、これだけのお金を用意できない人がいるということだけは確かなんですね。
 預託金を五十万円払って、礼金、敷金、家賃を払ってこの制度を利用できない層、しかも住宅に困窮している層というのがいることだけは確かなわけですけれども、そういう層に対してはどのような配慮をなさるのでしょうか。

○青木開発調整部長 ご指摘のとおり、一時にその金を用立てできないという方が確かにいらっしゃるかと思います。その方々につきましては、今後、貸付制度等を検討させていただきたいと思っております。

○新井委員 ぜひその点は、よろしくお願いしておきたいと思います。むしろ、そういう方の方が多くいらっしゃるのではないかと思います。
 この五十万円の保険の方につきましてはオプションであるというふうに伺っておりますけれども、大家さんにしてみれば、こういうものがあれば、オプションなしで受け入れるという方は少なくなってしまうのではないかと思います。そういう意味では、こちらの東京都の方の融資あるいは補助とかも含めまして、積極的にこの制度が生きるように考えていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、入居者の利用料をもとに実施するサービスといたしまして、見守り支援とか、緊急時の対応サービスを民間の方に委託していくというふうなことがございますけれども、私は、この施策につきましては、東京都の方でまちづくりセンターで行うというよりは、むしろ地元の自治体が地域のNPOと連携しながらこれを行っていくという方が、よほどかゆいところに手の届く政策となるのではないかというふうに考えているわけですけれども、いかがでしょうか。

○青木開発調整部長 先ほどから申し上げているとおり、この制度につきましては都独自の制度として身元保証を行うということで、この制度の立ち上げに関しましては、これまで区市町村のご協力を得ながら、この創設を考えてまいりました。運営に当たりましても、当然に区市町村と綿密な連携をとりまして運営をさせていただきたいと思っているところでございます。
 したがいまして、今回の身元保証制度というのは、高齢者の円滑な入居や居住の安定を図るために、身元保証の多様なメニューをご用意させていただいたものでございまして、今ご指摘の見守りサービスはそのメニューの一部でございます。確かに、区市町村でも類似のメニューを行っておりますので、どちらのサービスをご利用いただくかということにつきましては、利用者の選択によるものというふうに考えてございます。

○新井委員 ちなみに、こちらのまちづくりセンターの方で行います、緊急時の対応サービスと見守り支援サービスの内容を教えていただけますか。

○青木開発調整部長 まず、緊急時対応サービスでございますけれども、入居者からの通報によりまして事業者が駆けつけ、安否を確認いたします。必要に応じまして、消防や警察等その他の連絡先に連絡を行う、または、区市町村への情報提供を行い、必要な対応をしていただくというのが、まず緊急時対応サービスでございます。
 それから、見守り支援サービスでございますけれども、訪問電話や、部屋の中に生活リズムセンサーというものを取りつけまして、そういうもので生活されているかどうかの確認をする。必要な場合には安否の確認に参りますし、先ほどと同様、消防や警察その他、必要な関係機関への連絡等を行うというのがサービス内容でございます。

○新井委員 今の内容ですと、東京都の中の自治体ですと、ばらつきはあるにしても、ある程度実施されているところがほとんどかなと思いますので、ぜひこの施策につきましては、連携していただいて、基本的には市町村の方が市民と連携して行うというふうな方向でやっていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
 終わります。

○ともとし委員 申しわけなかったんですが、先ほど百五十五号議案、単独議案だと思いまして、百五十六号については、若干こちらの意見を差し控えていたんですが、一括みたいなので、申しわけございませんけど、百五十六号議案についてちょっとご意見を聞きたいと思います。
 今までの論議の中で、大方は納得しているわけでございますが、たまたま我が党の代表質問の中で貸付制度や何かについてお話がありましたので、一歩踏み込んで、さらに今の新井理事の答弁等についてのことと兼ね合わせながらお聞きしたいと思うんです。
 要するに、サービスメニューは幾つかあるというふうにお聞きしているわけですが、そのサービスメニューを、いうなれば入居者が選別できると。選別することによって、五十万という金額が、ある程度下がったりするということも十分考えられる。そういう制度にすべきかなというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

○青木開発調整部長 今回の身元保証制度につきましては、先ほど申し上げましたように、幾つかのメニューを用意させていただいております。滞納家賃を保証するだけというものと、今お話のございました見守りサービス等と滞納家賃を組み合わせたもの、先ほど申し上げましたように、葬儀費用の支出を伴うものと滞納家賃保証を組み合わせたものとサービスを組み合わせたものとか、残存家財だけは頼むということで残存家財プラスサービスというようなものと、それから、フルセットと申しますか、すべてのサービスを受けたいというような幾つかのコースを設けてご提示したいというふうに思っております。

○ともとし委員 自治体によっては、先ほどの質問等もございましたけれど、見守りサービスあるいは緊急時の対応サービス、これらについては、各自治体の方でかなり--私が住んでいるところの足立区だと、おはよう訪問といって、ヤクルトと提携して、毎朝のように、ヤクルトを配るたびに高齢者の方の確認をするという、そういう制度や何かもありますので、そういう形の中で、高齢者の方がそちらの方でこのサービスについては受けて、金銭的な面の負担はしたくないというような解釈の仕方もあるかなと。
 葬儀ですとか残存家財だとか、これはまさにその方が亡くなった後の話ですから、その辺についてはやっておくべきかな、こういうような話にもなるかと思いますので、メニューについては入居者が選んで、それに換算するところの金額を支払えるように、そんなふうにぜひとも制度をつくっていただければなというふうに思いますので、要望だけしておきたいと思います。よろしくお願いします。

○田代委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたしたいと存じます。
   午後二時三十五分休憩

   午後二時四十八分開議

○田代委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより多摩都市整備本部関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百六十八号議案、再生手続開始申立事件において東京都が有する債権の取扱い及び株式の消却についてを議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際、資料要求はしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小礒委員 付託議案につきまして、多摩ニュータウン開発センターについてお伺いしたいと思います。
 いわゆる第三セクターについて、民事再生手続は、東京都の監理団体としては初めてだと。全国の自治体から見ても、何と三件目であるということですね。
 そういう中で、この会社が東京地裁に提出した再建計画案によれば、同社に対して都が持っている百十一億円の債権のうち、約八十五億円の弁済の免除と。いわゆる債権の放棄を行うことになっている。今なぜ、このように多額の債権を放棄しなくてはいけないのかという、まさに都民の立場から見て、このあたりがわかりづらいのではないか。
 そこで、お伺いしたいわけでありますけれども、この会社を設立したそもそもの目的、それから、会社の具体的な事業内容はどうであったのか。また、同社が民事再生手続に入ったということは、経営が破綻したわけでありますけれども、このような状態になった理由はいかにあるのか、このあたりの認識も含めてお伺いしたいと思います。

○長野管理部長 株式会社多摩ニュータウン開発センターは、多摩ニュータウン開発事業の一環といたしまして、ニュータウン西部地区の拠点となるまちづくりを進めるという目的で設立をしたものでございます。
 その具体的な事業内容は、京王相模原線南大沢駅前で、スーパーマーケット、飲食店、銀行、さらには診療所等々、地域住民の日常生活に欠かすことのできない施設等が入居したビルと立体駐車場の管理を行っているという状況にございます。
 また、会社の経営破綻の直接の原因として私どもが考えておりますのは、最初の核テナントでありました、そごう、ダイエー等が次々と退去したことによりまして、会社の基幹的な収入であります賃料収入が大幅に落ち込んだというふうに認識しております。

○小礒委員 ダイエー等々のキーテナントが撤退した。立体駐車場等々の経営を行ってきたわけでありますけれども、実際、多摩ニュータウンという全体的なくくり方を見たとしても、一方、多摩センター駅周辺は、同じようなといったらどうかわかりませんけれども、都市基盤整備公団が同趣旨のような事業内容の会社をつくっているんですね。これもやっぱりテナント業が主ですよ。距離的に非常に近いところに、東京都がこのような第三セクターによる会社を設立した。距離的にも明らかに競合しますね。一方、そごうが撤退を多摩センターでしたわけでありますけれども、購買力の低下とともに、これだけ近いところで同じようなものが競い合ったら、当然に経営というのは成り立っていかないと思うんですね。
 このような中で、私は、この会社の設立段階から、経営的な見通しが非常に甘かったのではないかと。経営感覚そのものが、より一般的に、ただ単に駅前に建物をつくる。そして、買い物客に来てもらうために駐車場をつくるんだ。そうすれば、何とか経営できるんじゃないか。こういう感覚が底辺にあったんじゃないかと思うんですね、基本的なところで。
 これじゃ、創意工夫がどこにあるのか。厳しい社会状況の中で、どうやって経営を成り立てていくかという、切実な、それこそ血みどろの思いをして経営を行っている民間とは歴然とした差がある。金がないから、どんどんくれと。親方日の丸だと。経営者はどんどんかわっていく。責任はどうするんだと。そういう責任所在は、これから聞きますけど、いずれにしても、こういう感覚が、そもそもこういう流れに伝わってきたんじゃないか。これは断定はできませんけれども。
 そこで、今回、都が民事再生手続申し立てという法的措置に踏み切ったわけでありますけれども、このような方法をそもそもとらざるを得なかった基本的な考えについてお伺いします。

○長野管理部長 開発センターは、平成六年度から債務超過の状態が続いておりまして、このまま推移しますと、早晩、資金ショートが回避できないという厳しい状況になりますとともに、負債がさらに増加していくということになるわけでございます。
 仮に会社が破産というような事態になりますと、東京都もそうですが、市中銀行等の債権者にとりまして極めて大きな損害を生ずるということになるばかりか、地域住民の日常生活にも重大な影響が生ずることになるわけでございます。このために、早期の抜本的な会社再建を目指しまして、東京都が債権者の立場で民事再生手続の開始申し立てに踏み切ったものでございます。
 通常は、再生債務者といいますか、会社自身が申請をするというのが普通の手続でありますが、今回はこのような手続をとらせていただいたということでございます。

○小礒委員 ご答弁いただきまして、現在、その会社の置かれている厳しい状況を考えた中で民事再生手続を選択したことについては、あらゆる影響を最小限に食いとめていこうというようなことにつきましては、今回のような判断は、一面、やむを得ないのかなという感がいたしますけれども、また、かなり重要なといいましょうか、さまざま問題を先送りさせないで、正面から抜本的な再建策の検討に踏み切ったというところ、このあたりは、やはり留意しなきゃいけないんじゃないかなと。
 そしてまた、八十五億円という多額の債権放棄は、現在の都の財政状況から見ても、申すまでもなくて、極めて厳しい。この数字は本当に厳しいものがあると思います。都民全体に対する影響も当然大きいわけでありますし、この苦い経験を十分に踏まえて、今後の施策、監理団体の指導に--今後、状況も、アウトレットモール等々は、きょうの読売新聞に出ていましたね。地元で約六割、非常に定着したということですね。こういうような顧客が随分ついてきたということで、にぎわっているそうでありますので、そのような状況も出てきたことも事実でありますね。ですから、今後、監理団体の指導に、さまざまの教訓を大いに生かしていくことは必要であることはいうまでもありません。
 また一方で、主要テナントの相次ぐ退去があったにせよ、経営破綻に陥ったということは厳然たる事実であるわけでありまして、会社経営の観点からすれば、極めて遺憾なことでありますし、これは先ほどちょっと触れましたけれども、歴代のこの会社の経営の任に当たってきた経営者は、私はやはり、怠慢のそしりは免れない、こういうふうに思います。
 そのような中で、それでは、この会社の役員の責任はどのように考えておられるのか、どのように責任をとろうとしておられるのか、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。

○長野管理部長 先ほど申し上げましたが、開発センターの経営状況が悪化した直接の原因は、相次ぐテナントの退去に加えまして、地価の下落等の要因も相まって、賃料収入が伸びなかったというふうに考えているわけでございます。
 このような状況の中で、会社は新たなテナントの誘致等に全力を挙げてきておりまして、ご指摘のような怠慢な経営ということが行われたというふうには私どもは考えておりません。
 さらに、今回の再生手続に入りまして、裁判所から任命されております監督委員の意見書というものが裁判所に出されておるんですが、この中でも、再生債務者の役員が業務を執行するに当たって、法令または定款に違反し、もしくは悪意または重大な過失により第三者に損害を与えた事実は見当たらない、こういうふうに記されているわけでございます。
 役員等の責任問題というお話がございましたけれども、民事再生手続が開始された時点の会社の常勤役員は既に退陣いたしまして、現在は新たな体制で会社の経営が行われているわけでございます。
 また、過去の役員等につきましては、先ほど申し上げましたように、会社に対する背任とか放漫経営といった重大な過失がないというふうに考えておりますので、特定の役員個人について、具体的な責任があるというふうには考えていないところでございます。

○小礒委員 そもそも、今ご答弁いただきましたけれども、経営者の認識は直接はお聞きできないわけでありますけれども、このように民事再生手続をしなければいけない状態まで陥ったと。百十一億円の都に対する債務が発生したわけですね。今回は八十五億円。ですから、そういうような膨大な、経営状態が極めて厳しい、そして都民にも負担をかけていかなきゃいかぬ、こういう状態になったという責任は、今いろいろお話があったけれども、背任や放漫な経営じゃなかったといわれますけど、私は、大変なことだと思うんです。そういう認識に立っているからこそ、親方日の丸だ、殿様商売じゃないかと。あと何かあれば、自分がやめて、ほかの人にバトンタッチしちゃうと。こういう感覚が今まで、私はあったのではないのかなと思いますよ。
 ですから、いずれにいたしましても、今、事のいろいろとお話をいただきましたけれども、私は、そのあたりをもう一度、関係者の中で、このような状況に陥ってしまった部分については、大いに反省だけじゃない、今後とも、これらのかかる事態に対する厳しいみずからの自己反省も当然していただかなきゃいかぬのじゃないかなと思います。とりわけ経営陣に対しては。
 そして、都は、八十五億円もの債権放棄を行った上で、さらに弁済時期を大幅に劣後するという、都にとっては大変不利益な計画をこれから出しますね。一方、弁済率一〇〇%となる債権者もいる。これでは、債権者、まさに不公平というか、平等の原則からして反するんじゃないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、どうでしょうか。

○長野管理部長 ただいま裁判所に会社が出しております再生計画案の中での債権者である東京都の取り扱いについて、大変不利益な内容ではないかというご指摘でありますが、再生計画案が可決されまして計画を実施していくためには、市中銀行とかテナント等の債権者の理解と協力を得ることが不可欠でございます。
 このために、東京都は、会社の株式の五一・二%を有する筆頭株主という立場がございますこと、また、東京都が、会社の経営につきましてこれまで深く関与してきたという経緯等を踏まえまして、他の債権者に対して弁済時期を劣後するということを受け入れたものでございます。
 また、テナントに対しましては、敷金、保証金が一〇〇%返還されるという点でございますが、会社の再建を図ることの基本的な目的が、地域住民の生活利便施設の確保ということにございますので、このためには、テナントの維持を図ることが大変重要であるということ、また、ビルに入居しておりますテナントの賃料が、各債権者に弁済を行うための原資となってくるものでございます。こうした意味合いからも、テナントを長期にわたって維持していくことが極めて重要であります。
 そこで、今後十年以上賃貸借契約を継続するテナントに限りましては、現在お預かりしている敷金、保証金を全額返還することとされているものでございます。
 なお、テナントが十年を経過する前に退去する場合には、他の債権者と同様に、九二%のカット、八%の弁済ということになるわけでございます。

○小礒委員 事ここまでというあれはないんですけれども、これ以上、都の損失を膨らませないということ、また、会社再建のために、各債権者と協議を続けて、都は新たな資金投入を当然行うことなく、大変膨大な数字がここで上がってきているわけでありますけれども、各債権者が債権を放棄することによって会社再建を図るという結論を出したことは、一つの選択であったのかなと。しかし、今回の再生計画案を実行すれば本当に、この会社が生き返るという言葉が適切かどうかわかりませんが、生き返ることができるのか、いま一つ、何か釈然としないというか、明確ではないように感ずるんですね。
 万が一にも、これは失敗だった、だめでしたということは全く許されない話であって、都及び都民にこれだけ膨大な損失を与えたことは、何回もいうまでもありませんけれども、絶対に許されないことであるわけでありますし、このあたりをどのように考えておられるのか、お聞かせください。

○長野管理部長 今回、会社が策定いたしました再生計画案では、トータルで、会社が有する債務の約六四%の免除を受けるということで、会社の財務内容は大幅に改善されることになりまして、今後の経営計画につきましても、確実かつ適切なものと私どもは考えております。
 この再生計画案につきましては、裁判所から任命されております、先ほど申し上げました監督委員からも、達成が可能であるという評価をされているところです。さらに、南大沢地域の今後の発展可能性等を総合的に勘案いたしますと、私どもは再建は十分に可能であると確信しているところでございます。

○小礒委員 いずれにいたしましても、今、部長の方から、るるお話をしてもらいましたけれども、南大沢付近の状況は、まだまだ未利用地も周辺に点在している。そしてまた、このアウトレットモールは十五年対応だったですね。また、いろいろな知恵と工夫というんですか、さっきもいいましたけど、駅前だから、建物を建てればテナントがどんどん来て、お客がどんどん来るだろうということではなかったわけでありまして、ですから、さまざまな猛反省をしてもらう中で、やっぱり創意工夫--民間のさまざまな苦悩の中というんですか、民間は大変ですよ、本当に。それこそバックがないんだぞと。これだけのあれをしたわけですからね。
 ですから、このような中で再原点に立っていただいて、このような事態にこれ以上損害を与えないように、ぜひそれなりの対応をしていただきたいと思うわけでありますけれども、本部長、昨日、本会議の中で答弁ありましたけれども、本部長の会社再建に向けての決意、このあたりをこの委員会でもぜひ開示していただけないですか。本部長は、この事態に対して、今後に対しても含めて、どのような決意を持っているのか、このあたりをひとつお願いいたします。

○石河多摩都市整備本部長 先ほどから、管理部長の方から経緯等を説明しておりますが、いずれにいたしましても、当時、多摩ニュータウン、まだ人口の少ないころに、これから居住するであろう住民の利便性のために先行的にサービス施設をつくったということですので、最初は非常にリスクが高いといいますか、最初はなかなか利益が出ないけれども、だんだん住民が張りついていけば利益が出る、そういう計算のもとにこのセンターを設立し、事業を始めてきたわけです。
 そういう意味で、非常に長いレンジの中で、だんだん利益を生み出すという、そういう当初のリスクが非常に高い会社として発足したわけですが、先ほど説明がありましたように、バブルの影響ですとか種々の事情によりまして、テナントが出たり、初期の段階から非常な問題が起こったことがありまして、そういうことで負債がどんどんふえ、現状の状態でいきますと、今のままでいくと、負債がどんどんふえてどうしようもなくなるという、要するに、現段階では自主再建ができないという事態に陥ったものですから、この時期に民事再生法という手続をとったわけです。
 いずれにしましても、今、つぶして会社がなくなってしまうと、都に返ってくるお金も今よりも減りますし、第一、せっかく住民の利便性のためにいろいろなお店を入れまして、今、ご承知のとおり、非常ににぎやかになっているんですけど、そういう住民の利便性がなくなってしまうわけですので、この事態に至っては、民事再生法という形でとにかく会社を存続させる。都には八十五億円という債権放棄をお願いするわけですが、現在持っている会社の機能を存続させ、住民の利便性を確保する、それから、現在の段階における都の損失をできるだけ少なくするという方法を考えますと、民事再生法しかないということで、今、こういうことをお願いしているわけです。
 いずれにしても、今までのここに至ったものについては、いろいろと反省をしなきゃいけない問題もありますし、十分な認識をしておるわけですが、そういう条件のもとに再建計画が出されておりますので、再建計画自体も、裁判所から監督委員というのが選任されていろいろ見ていただいているわけですが、そういう監督委員の言葉からしても、これで再建できるんじゃないかというような言葉もいただいております。そうかといって、のんびりやっているわけにはいきませんので、経費の削減に努めなければならないのはもとよりですけれども、できるだけ優良なテナントを入れて収益を上げて、できるだけ早くといいますか、計画どおりに弁済しなきゃいけないものは弁済していくということを考えております。
 都としても、都自体は、まちの直接的な援助はできないにしても、周りの宅地販売を進めるとか地域の活性化、ポテンシャルを高めることによって、またそこににぎわいができれば、会社の収益が上がるわけですので、いずれにしても、八十五億円という貴重な都民の財産を失ったという結果になっておりますので、あとは、今までの経験が報われるように頑張りたいというふうに思っているところでございます。

○花輪委員 では、何点かにわたって質問をさせていただきたいと思います。
 今、小礒さんの質問に、随分と自信のあるような今後について聞かせていただきました。いろいろな方が太鼓判を押しているという、そんなお話でしたが、それについて幾つかお尋ねしたいと思います。
 まずは、今後の収支計画ですが、黒転は何年先ぐらいとお考えですか。

○長野管理部長 黒字転換する年度でございますが、十五年ということで考えております。

○花輪委員 黒転が十五年、再来年ですね。
 じゃ、その前提となる、これからテナントさんに入っていただいてとか、もう入っている方もいらっしゃいますけれども、その入居率というのが重要だと思うんですが、入居率はどのくらいで見ていらっしゃいますか。黒転の前提。

○長野管理部長 再生計画案におきますテナントの入居率でございますが、(花輪委員「今の入居率」と呼ぶ)現在のですか--ことし八月三十一日現在の入居率ということで申し上げますと、ガレリア・ユギ、これは商業ビルでございますが、九二%、パオレという業務ビルが七四%、プラザAが一〇〇%というふうになっております。

○花輪委員 じゃ、再建計画における入居率、これだけの入居があれば、先ほどいった十五年から黒転になるという、その入居率は何パーセントでしょうか。

○長野管理部長 計画における入居率でございますが、ガレリア・ユギという商業ビルとプラザAを一〇〇%と見込んでおりまして、パオレにつきましては九〇%の入居率、つまり一〇%の空室率を見込んでいるということになります。

○花輪委員 今、八月末時点で九二%のところを一〇〇%と見込み、八月末日で七二%のところを九〇%と見込んで新しい再生計画を立てていらっしゃるわけですね。
 これは当然、見込みとしてはその数字になるという大前提だと思うんですが、テナントの状況についてお聞かせいただければと思います。

○長野管理部長 今後のテナントの入居見込みというご質問かと思いますが、現在、空室になっておりますスペースにつきましても、テナントの誘致に鋭意努めているところですが、現在、数社と具体的な交渉を行っているということは会社から聞いております。
 なお、現時点では、民事再生手続の再生計画案が出されて、まだこの再生計画案が債権者集会において可決され、裁判所によって認可されるという手続の前でございますので、テナント候補者の方も、この去就を見きわめたいということがありまして、早急に決まらないという事情もあるやに聞いております。

○花輪委員 計画としては、入ってくださるという希望的観測のもとで、確実かつ適切な再建計画をお立てだということでございますが、常識的に考えて、三本ある建物のうち、一本一〇〇%、駐車場も一〇〇%、もう一本は九〇%、この入居率でこれからずっといけるだろうというふうに考えていらっしゃる、この収支計画というのは、まず非常に疑問があるなというふうに思う。これだけはまず最初にお話しさせていただきたいと思います。
 この収支計画を何とかクリアしていくために、これから皆さんに頑張って経営に当たっていただかなければいけないんですが、その前提として、まず、今までの失敗ですね。過去の反省をどうとらえているかということで、平成四年にこの建物がオープンして、二年後からは核テナントがどんどんといなくなってしまう。三ついた核テナントが、あっという間に三つともいなくなってしまった。どうしてこういうことになったのでしょうか。そのあたりをお聞かせいただければと思います。

○長野管理部長 主要なテナントが次々と退去した理由というお尋ねかと思います。
 開発センターは、多摩ニュータウン西部地区のまちづくりの先導的役割を担っておりまして、当初はリスクは比較的高くなるということに加えまして、いわゆるバブル経済の崩壊等によりまして、企業経営が不振となったということなどが主な原因であったかと認識しております。
 個々の核となるテナントについて見てみますと、まず、そごうにつきましては、収入が伸びずに経営不振に陥って退去を余儀なくされておりまして、ダイエーにつきましては、阪神・淡路大震災の影響によりまして、不採算店からリストラを行っていくという経営判断があったという個別の事情も聞いております。また、テンプル大学日本校につきましては、数カ所に分散しておりましたキャンパスを一カ所に統合するということが起こりまして、退去したというふうに聞いております。

○花輪委員 そごうにしても、ダイエーにしても、テンプルにしても、会社のせいではなくして、地震のせいだったり、向こうの会社のせいだったり、時代状況のせいのように今は拝聴いたしました。
 ここに会社設立当時に皆さんがつくられた収支計画があるんですが、どこか行っちゃったから記憶でいいましょうか。その収支計画ですと、本当は平成十三年度から黒転のはずだったんですね。ことしから、実はやっと利益が出始める、そんな計画を立てていらっしゃったわけです。残念ながら、それが破綻というような結果になってしまったわけですが。
 確かに、時代の状況というのはあったと思います。地震の影響もあったと思います。でも、恐らく本来であれば、経営者として、そこで何かしら、一生懸命頑張って手を打っていかなきゃいけないと思うんですね。そのときに、どのぐらいの、どういう努力をしたか。例えば、もし皆さんご自身が出資者であったり、その建物の経営者であった場合、核テナントがどんどんと出ていくとき、それを、ああ、出ていっちゃった。また一軒出ていったね。ああ、ついに三軒とも出ていっちゃったという形で見ていられるのかなと。
 そのとき、きっと努力をされたと思うんですが、皆さんが一体どのくらい、どういう営業努力、テナント誘致努力をされたか、そのあたりをお聞かせいただければと思います。されていなかったらされていないでもいいんですけど。

○長野管理部長 核テナントの退去に対する対応策ということでございますが、これは、私どもが聞いているところでは、会社もいろいろな形で全力を尽くして後継テナントの誘致に努めたということでありますけれども、核となるテナントはかなり大規模なものですから、出た後、速やかに充足されるというようなこともないようで、努力しても、一定の期間を必要とした後に、やっと入っていただくという構図があるようでございまして、努力としましては、最大限の努力をしたんだということでご理解いただきたいと思います。

○花輪委員 努力をされたということでしたが、努力してもテナントが入らなかったと。恐らくこれは、最初の計画で、判断のところで相当大きな間違いがあったのかなという気もします。
 この一番最初の企画を多摩都市整備本部で立てられたのでしょうけれども、それをどこかに委託されたというふうに聞きましたが、どちらに委託されたのでしょうか。

○長野管理部長 多摩都市整備本部の前身でございます東京都南多摩新都市開発本部が社団法人日本宅地開発協会に対しまして、多摩ニュータウン西部地区における商業施設等の経営管理に関する調査研究について委託を行っております。

○花輪委員 そこに、恐らく今回の失敗の原因が隠されているのかなというふうに思います。
 どうでしょう。今回の再建計画に当たられて、その計画書の中でどこに失敗があったか、皆さん、研究をされましたか。

○長野管理部長 実は、花輪理事の方から、昨日、こうしたご指摘をいただきまして、すぐ資料を見ようと思ったのですが、この内容がどういうものかと申しますと、多摩ニュータウンの現況と将来計画を前提として、西部地区センターの必要性とそのあり方についてという考察をしたものであります。
 大変恐縮でありますが、調査報告書そのものは古い資料でございますので、外部に保管委託を行っているということで、現時点で取り寄せるのに間に合わなかったということで、その内容の詳細について今ご紹介することができませんことをご理解願います。

○花輪委員 ということなんですね。皆さんも見ていないんです。だから、どこに失敗の原因があったかということを研究して、今回の再建計画を立てるのが本来だと思うんです。
 さっき小礒委員がいっていたように、近所に同じようなものがあるにもかかわらず、やったということが間違いの原因だったかもしれないし、そしてまた、そこに住宅がどのくらいのスピードで張りつくかという見込みの違いが原因だったかもしれないし、その経営の一番大前提となるそういうものを見ないで、じゃ、これから経営をまた再建していきますと。何かそこに、僕は無理なことがあるような気がするんですよ。
 社団法人宅地開発協会というのも、建設省の外郭団体なんですね。まさに、お役人の皆さんがその発想の中でやってしまったということが一番の問題だと思います。ですから、その大前提に立って、この会社を今度はしっかりと再生していくためには、意識を変えていかなきゃいけないと思うんですね。親方日の丸という感覚の中でやってきてしまった、そのことを反省して、意識を変えて、新生株式会社多摩何とか……、この会社をしていかなきゃいけないわけです。
 では、まず一番最初に、さっき小礒さんもおっしゃっていました、責任のとり方というところでお尋ねをしたいと思います。先ほど小礒さんのご質問に対して、責任の具体的なとらせ方は考えていないみたいなお答えでした。
 私が調べたところによると、天下りされて役員をやった方々が随分と退職金をもらっているというお話ですが、それは事実でしょうか。

○長野管理部長 退職慰労金をもらっている常勤役員もおりますが、みずから辞退したという常勤役員もおりまして、調べたところでは、過去に退職金をもらっている人は、取締役で三人、監査役で二人ということになっております。
〔「民間じゃ考えられないな」と呼ぶ者あり〕

○花輪委員 そうなんですよ。考えられないんですね。
 私が調べたところによりますと、ちょっと注目したいところでいいますと、社長さんの方からいきますと、平成七年から平成九年六月まで社長をやった方がいますが、この人は、在任中にそごうさんと和解をされています。この和解というのは、後でいうかもしれないけど、問題があるわけなんです。あと、テンプル大学が、この時期に、彼が社長をやっている時期に撤退しています。この人は、退職金を、二年間の在任で五百四十六万円もらっていますね。
 次に、監査役。監査役は、設立してから平成五年まで、開業に当たった監査の方ですね。この方は、六十三年から平成五年の間で一千五十五万二千五百円、退職金をもらっています。さらに、平成五年から平成九年まで監査役をやった方、この間というのは、まさにこの会社にとって一番大変な時期だった。平成五年、彼が監査役になった後、そごうが撤退を申し出ました。翌年、そごうが閉鎖しました。そして、七年にはダイエーが撤退しています。一番、会社が転げ落ちるように経営内容が悪くなっていく、そういうときに、経営陣の一人である監査役の人がもらった退職金、四年間で七百八十七万二千円。どうでしょう。
 民間の企業で、まさにこの建物しか持ってない会社ですよ。その建物しか持っていない会社のテナントさんが一店出て、二店出て、三店出て、テナントがいなくなっちゃったという状態の中で、お給料を普通にもらい続けて、そして退職金をもらって、何とその後、ほかの会社にさらに天下りをしていった人もいるやに聞いております。
 これについて、その事実をまずお認めいただくことと、どのように認識をされているか、お伺いいたします。

○長野管理部長 開発センターを退職した後に、別の職場に転職したといいますか、そういう方はおりますけれども、転職した先で退職金をもらっているかどうかということにつきましては、私どもは承知しておりません。

○花輪委員 退職金をもらった、今の金額が合っているかどうか。

○長野管理部長 金額につきましては、ご指摘のとおりでございます。

○花輪委員 まあ、それぞれいろいろな感覚があるでしょう。その金額が多いか少ないかというのは、皆さん、いろいろとご自身の中であるところかと思いますが、ただ、一つの建物しか持っていないというか、分けてみれば三つですけど、それしか持っていない会社ですよ。その会社のテナントがほとんど出ちゃったんですよ。そういう中で、退職金をもらっている。
 私は、まず第一のけじめとして、この退職金を会社として返済するように要求することを求めますが、いかがでしょうか。最低限のけじめだと思います。

○長野管理部長 この問題は、一義的には会社が判断する問題であろうと考えております。経営破綻の原因は、先ほど申し上げましたように、相次ぐ核テナントの退去あるいは長引く景気低迷といったことにより、収入が伸びなかったということの中で、会社の経営陣は、状況に応じて、よりよい判断をしてきたものと私どもは考えております。
 先ほど裁判所の監督委員の見解にもありましたように、役員に法令あるいは定款違反、あるいは悪意、重大な過失による損害を与えたという事実は見当たらないという点をご紹介いたしましたけれども、そういうこと等を総合的に考えまして、東京都としては、過去の役員に対して退職金の返還を働きかけるということにつきましては考えておりません。

○花輪委員 返還に関しては考えていないし、役員さんたちには落ち度はなかったみたいな答弁です。じゃ、一体、だれが責任をとるのでしょうか。八十五億円もの税金がなくなっちゃうんですよ。いわゆる民間の銀行、金融機関の皆さんにも、九十数億円、泣いてもらうわけですね。今の時代は、ぐるりと回って、それには税金投入がされるという構図になっているわけです。たくさんのお金が、いわゆる国民に迷惑をかける、都民に迷惑をかけるという形で使われなきゃいけないとき、だれもミスは犯していなかったと。これで、このまま会社の再生がうまくいくと思いますか。
 最初の段階だって、建設省の天下り先のそういう社団法人が計画をして、無責任な計画でこの会社を始めて、あとはのんべんだらりんとずっと経営を続けてきて、テナントがあいちゃった、あら、ごめんなさいねといって、そのまま退職金をもらってやめていくんですよ。そんな体質が続いていくんだったら、これから始める経営計画だってうまくいくはずないじゃないですか。
 さっき私がいったように、最初の計画だって、皆さん自信を持って始めたと思いますよ。平成十三年、今には黒転になる、この年には黒転になるんだという計画でこの計画はスタートしているんです。その当時、皆さんは多分、自信を持って計画されたと思います。だけど、時代の流れの中で、経営感覚がない中で、こういうことをしてくると、残念ながら破綻になってしまう。この反省を皆さんにもう一回しっかりしてもらって、今、裁判所が認めている、太鼓判を押しているという、そういう計画をしっかりと進めていくためには、どこかでけじめをつけなきゃいけないと思うんですね。
 けじめがないままで、この経営の再建をゴーしてくださいといったって、さっきの収支だって、三棟ある建物の二棟は一〇〇%で見ているんですよ。収支計画というか、入居の率を。これから未来永劫ずっと、それこそ平成三十数年にならないと、東京都はお金を返してもらえないんですよ。それまで、ずっと一度もテナントがあかないという前提の中でのこの再建計画じゃないですか。こういう厳しいぎりぎりの再建計画をするのであれば、それなりに決意と責任感を持ってやってもらわないといけないと思うんですね。
 もう一度お尋ねします。過去の経営者の方々、特に退職金をもらった方々に、会社として、けじめの意味も含めて退職金の返還を求めるというおつもりはありますか。

○長野管理部長 先ほど申し上げましたように、裁判所の見解、あるいは核テナントの退去の主な理由等々の中を総合的に勘案いたしまして、過去の役員に対する退職金の返還を働きかけるということは、現在、会社も考えておりません。

○花輪委員 それで、本当に再建計画がうまくいくと思っているんでしょうか。
 さっき、アウトレットが大変繁盛しているという話でしたね。さて、それはどうして繁盛しているんでしょうか。三井不動産が、民間がまさに株主に対して責任を持って、緊張感を持って経営しているから成功しているんです。会社が社員と株主の方々に、何とか生活をしていく、食べていってもらう、株主には配当を出すという、そういう大きな目的、使命のもとに一生懸命努力して研究しているから、あのアウトレットモールは成功しているんですよ。そういう緊張感の中で民間はやっているんです。でも、この計画、復興の緊張感というのは、全然、私には今のところ感じられないわけです。
 長銀が破綻したときも、その再生に当たっては、前の役員の皆さんに退職金の返還を求めました。中には、返した人、返さない人、いろいろいました。会社は、けじめとして、まさに新生銀行という名前に変わりました。新生銀行になるために、そういうけじめを通しているんですね。そうやって、みんな株主に理解をいただきながら会社を再建していくんです、その緊張感のもとに。その緊張感がないままに、相変わらず同じ体質でこの経営を続けていく。それでは、この再建計画というのは、なかなかおぼつかないんじゃないかなと思います。
 聞くところによると、この会社の経営陣のお給料も、どうやらインセンティブを含んだお給料ではなかった。普通、株式会社ですと、もうかれば賞与という形で、頑張った分の配当というか、ご苦労さまというボーナスが出るわけです。
 この会社は、どうもインセンティブのあるお給料形態ではなかったというふうに聞いておりますが、そのあたりはいかがなんでしょうか。

○長野管理部長 役員の給与基準でございますが、事業規模等によりまして監理団体のランクを定めまして、そのランクごとに、役職に応じた報酬基準が定められているわけでございます。
 昨年十一月に策定いたしました監理団体改革実施計画に基づきまして、平成十四年度からは、報酬基準の五%相当を業績評価分といたしまして、業績評価結果に応じた配分を行うということによりまして、役員の経営改善へのインセンティブを高めるということにしているところでございます。

○花輪委員 今までは、インセンティブのない形の中で役員の方々が経営をされたと。頑張りがいがないわけですね。頑張っても、頑張らなくたって、会社がもうかったって、もうからなくたって、お給料をもらえるし、退職金ももらえるし、こんな中で会社が成功するはずがないんです。
 それで、今おっしゃったように、来年四月から、少しインセンティブを持たせたという話がありました。ああ、そうかと私も一瞬思ったんですけど、よく聞いてみたら、財団法人のお給料の体系と全く一緒じゃないですか。株式会社ですよ。その経営者に対するお給料の出し方、頑張りがいがある出し方にしないと、それは努力はしないです。頑張っても頑張らなくても同じ。もともとの給料のレベルが一〇〇だったとすると、九五からスタートで、ちゃんとやったら、目標達成したら一〇〇まで出すよという、そんなお話のようですね。財団法人も一緒ということです。財団法人と株式会社、同じお給料区分でいいはずがないんですね。何のために株式会社にしているんですか。株主に対する責任はどうするんですか。
 そのお給料体系を、今回、新生の会社をつくるに当たって、インセンティブがしっかりと働く、そういうお給料体系にするおつもりはありますか。

○長野管理部長 現在の給与体系を全面的に見直すということで、私ども独自にお答えするという立場にはございませんので、ただいまご指摘の点につきましては、ご意見として承りまして、所管の部署にお伝えさせていただきたい、このように思います。

○花輪委員 破綻した会社を再生するという話をしているときに、そこの役員の方々のお給料の形態について、私たちはそれをどうこういう立場にありませんからと。そんなことで経営がうまくいくはずがないじゃないですか。
 本部として、今のお給料形態でいいと思っているのか、悪いと思っているのか、そのあたりをお尋ねいたします。

○長野管理部長 現在の給与体系全体に及ぶ問題でございますので、ご意見として承りまして、所管部署に伝えてまいります。

○花輪委員 いろいろと今聞いてきました。これから向かう収支の面でも、これは大変怪しい収支。普通、テナント業をするときは、空き室率というのを計算して収支計画を立てると思うんですね。それも、一〇〇%で見ている建物がある。厳しく見て九〇%だろうという建物がある。
 まず、そういう収支計画が大前提となって、そして、今までの経営の失敗の反省をちっともあらわしていないわけです。どこかでだれかに責任をとってもらうかといえば、退職金は返還いたしません、今までの経営陣には責任はございませんの一点張りです。お給料の形態にしても、財団法人と同じレベルのお給料。それを変えるか変えないかは、所管にお伝えいたしますという、そんなお話です。
 私は、できれば、この会社はしっかりと再建してもらって、お金を借りた人たちにしっかりと返していく、それができれば一番いいなと思います。だから、今の再建計画、大変気の長い話ではありますけど、何とかそれで返していければいいなと思います。
 けれども、今までの経営に対する失敗の反省も全くなく、どこに失敗の原点があったかという最初の計画を読みもしないで、見もしないで、再建計画を立てていく。机上の空論ですよ、これこそまさに。これで再建してしまったら、また大きな借金ができてくるんじゃないのかなと。キーテナントがどこか一店、倒産してつぶれてしまったら、また、そのつぶれてしまったキーテナントのせいにして、この会社が借金を膨らませていく、そんな危惧を覚えるわけです。
 この会社を、例えばここでつぶしてしまったとして、今の建物とか土地、評価額は百億円ぐらいあるというふうに聞いています。再生計画で金融機関とか東京都に返されるお金は百二十億円といわれています。その差は二十億円ですね。そして、競売に付されて売りたたかれてしまえば、もっと安くなる、そういう話もあるかもしれません。
 しかし、今回、三百数十億円の借金が、何と二百億円ぐらい削られて百二十億になってしまう。こんなことを、またもし繰り返すのであれば--そこに反省とか責任とかがあって、これからけじめのついた、そういう経営ができるならいいですよ。それができずに、これから同じことを繰り返す危険があるのであれば、ここで破綻してしまうという考えだってあるかもしれません。それは地域の利便にとってマイナスだという、そういうふうにいう人もいるかもしれませんね。だけど、今テナントがしっかりと入っています。オーナーチェンジだってできる時代かもしれません。
 今、私は、この再生計画、再建計画に大変不安を持っているということをまずお伝えして、本部長、何か私のこの不安を取り除くようなことをいっていただければありがたいんですが、何かございますか。

○石河多摩都市整備本部長 今、花輪理事のいわれたことにつきまして、いろいろ伺っておりましたけれども、まず第一に、何でこのセンターをつくったのかと。
 民間会社と比較されますけども、要は、多摩の南大沢の駅に、黙っていても民間の商店がどんどんつくなら、何も東京都が余計なことをしなくてもいいわけですね。何で東京都が参加したかといいますと、そのままにしておいたんじゃ、多摩ニュータウンの事業を推進するために、市場経済のままでは弾みがつかないわけですね。そういうことで、都が中心になっている。そのために三セクという組織があるわけで、民間だけでできるものがあるなら、それはやりませんし、役所が直接やってできるならば、役所がそのままやればいいわけです。
 そういう意味で、先行的に、あの地域の利便性を上げるためにつくったのがセンターという会社ですから、一般の民間の会社とは違う意味を持っています。そういうことで、東京都は五一%出資しているわけです。まず、そこのところをご理解いただきたいと思うわけです。
 だから、そのときの都合で、もうからないからこっちに出店しちゃうとか、こっちに行くとか、移動しちゃうとか、そういう理屈ではなかなかいかない部分があります。
 それと、私が先ほど申しましたように、最初はなかなか、人がいませんから商売にならないというか、賃料も安いわけですね。だんだんなってきて、長い時間がたてば、だんだん回収される。さっきのあれでは、十三年に黒字になるといっていましたけれども、そういう当初の計画なんですが。三セクというのは、そういう趣旨を持ってつくった会社であるということが一つあります。
 それから、退職金のお話がありましたけれども、そのときそのときで、先ほど監督委員が、法律的な不正なり何なりはなかったということであります。会社の経営というのは、そのときになってわかるのじゃなくて、例えばいつがピークだったとか、いつが底だったというのは、通り過ぎてみて後になってからわかるあれで、そのときに、例えば経営状態がどうでも、後になって、お金を締めてみたらどうこうというあれがあるわけですが、そのときの判断では役員の方が一生懸命やられて、退職されたときにはそういう状態かもしれませんけど、そういう一つの経営の過程の中の話だと思うので、そういう意味で退職金が出たと思います。そのときはそのときの判断でやったわけだろうと思いますので、今の時期になって振り返ってどうのというのは、既に払われたものに対して、今のこの段階で退職金を返すことをこの委員会の席でいわれても、我々がどうのいえる問題じゃない。会社の判断でございますけれども。というふうに思っているわけであります。
 それから、再建計画、非常にずさんでといいますが、当初の会社が発足したときにも、株主は東京都じゃなくて、いろいろな会社もいますから、当初の計画も、いろいろな民間の方が見ておられたと思いますけれども、今度の再建計画は、いってみれば、自主再建ができないということは、今までの経験がだめだということを、ギブアップしたことになりますから、新しい計画をつくるときには、債権者が本当に返してくれるのかということで、いろいろ厳しいチェックがあるわけですね。
 だから、再建計画というのは、我々の会社にとっては経営計画ですけれども、債権者にとっては返してもらう計画なわけですね。だから、本当に何年にこれだけのお金を返してくれるか、幾ら返してくれるかという目で債権者は見ているわけですね。そういう目ですから、我々が勝手に、皆さんの言葉を使えば、役人だけが勝手に自分の都合で鉛筆をなめた計画じゃなくて、銀行の方とかいろいろな方の金を返してもらう人が、本当に返してくれるのかという目で見る計画。
 実は、債権者集会が十月十七日にありますので、事前に今の計画は皆さんに相談していますけれども、債権者集会でそれが通るか通らないか決まりますけど、いろいろな方の目で見た今の再建計画ですから、民事再生という言葉じゃありませんけど、今までとは全然変わった、心構えにしましても、人の周りから見る目にも、生まれ変わるような感じになるわけでして、昔のあれがだらしなかったから同じようにやるんじゃないかということを、過去のあれから同じようにやるんじゃないかといわれると非常に困るわけでして、まさに新しく生まれ変わって、心機一転といいますか、やり直してやるので、その辺は心構えが違うと思います。
 それから、いろいろな不良債権の処理とか何とかありますけど、世の中には、なかなか外に出さないで、そのうちどんどん債務がかさんでいって、どうにもならなくなるというあれがありますが、そういう意味でいえば、東京都では最初の--ほかにまた、そういうのがあるということをいっているわけじゃないんですけど、三セクで、この際、生き残りの道がないといいますか、こういう手段を使ってでも、センターが持つ機能を維持するには、いたし方ないだろうと。
 八十五億円ということを実際外に出して、議会の方にご了解をいただくというのは、私としても非常に残念なことだと思っていますけれども、そのような状況にあることをご理解いただきたいと思います。

○花輪委員 ご理解をいただきたいお気持ちもよくわかるし、新しい経営計画は自信があるという、そういうお気持ちもよくわかります。
 でも、例えば、どこかのディベロッパーが宅地開発をして、まずはショッピングセンターをつくるとき、最初は、少ない住戸数に合わせて小さなものからつくっていくんですね。まず生鮮三品ぐらい、肉とか野菜とか魚とか。そういう生鮮三品を置く小さなショッピングセンターみたいなのをつくって、人口の増加に合わせて大きなものに変えていく。今回、最初からでかいものをつくってしまったわけです。地域の利便を図るために、もうからなくたってやらなきゃいけなかったんだみたいなお言葉だったので、それはいかがかなという、その認識、非常に疑問を感じます。
 本部長が非常に自信があるという、この再建計画をつくっていく、やっていく。これはやっていかなきゃしようがないわけですが、じゃ、そのけじめですよ。どこかでけじめをつけないと、またのんべんだらりん、相変わらず同じような経営が行われてしまうわけですよ。緊張感を持ってもらわなきゃいけないわけですよ。
 どういう形で緊張感を持たせていくとお考えですか。

○長野管理部長 けじめというお話がございましたけれども、私どもは、ここで民事再生手続開始申し立てをして、新たな再生計画案というものを会社がつくって、そうしたものに同調して、会社再建に向けて踏み出そうというふうにしているわけでございまして、これを契機としまして、新たな緊張感を持って進んでまいりたい、このように思います。

○花輪委員 緊張感は持っていくよという、言葉での緊張感を持たれていらっしゃるようです。
 外務省も、例の機密費の話で、さかのぼって当時の上司だった人に処分を加えましたね。要は、その時々、サラリーマンだからしようがないんだよ、みんなその時点、その時点ではそれなりに頑張ってやっているんだから、個人的な責任は追及しちゃいけないんだよという時代ではないと思います。
 これ以上お話をしていても、なかなか前には進みそうもありませんので、このあたりでやめたいと思いますけれども、私は、この再建計画、どう考えたって、どこから見たって、そうやすやすといく計画じゃないと思いますよ。またこれで、都民に、銀行に大きな迷惑をかける危険があるな、そんな気持ちを今持っているということをお伝えして、質問は終わります。

○池田委員 それでは、私の方からは、ポイントを絞って質問させていただきます。
 最初に、民事再生手続について説明していただきたいと思います。会社更生法だとか権利譲渡と違う、その中身をあわせて説明してください。

○長野管理部長 民事再生手続についてということで、お尋ねの趣旨に合うかどうかわかりませんが、今後の手続としましては、十月十七日に債権者集会が予定されておりまして、そこで可決されますと、即日裁判所が認可決定を行うということになります。認可決定が確定するというのは、通常、認可決定の一カ月後程度だそうでありますが、三年間の監督委員のもとで再生計画を履行していくことになります。
 他の法的手続ということでございますが、会社更生法による再建、破産法による清算等がございますが、会社更生法の場合には、民事再生法に比較いたしまして手続が複雑でございまして、再建計画の可決要件も厳しくなっております。速やかな再建を図るという意味では、適さないであろうと我々は考えております。また、経営陣の去就等につきましても、民事再生手続ですと現在の経営陣がそのまま再建に当たれるということですが、会社更生法の場合には現在の経営陣は退任させまして、管財人の管理のもとに置かれる。
 それから、破産の場合でございますが、各テナントは競売になるわけですが、競落人に対して賃借人の地位を主張できないということになりますので、テナントを維持していくという、我々の不可欠な要素ということを実現するのは極めて困難となります。
 我々が今回民事再生手続を選択したというのは、こうした経緯からでございます。

○池田委員 民事再生手続というのは、かつていわれた和議というやり方ですね。会社更生法というのは、管財人がいて複雑な手続といわれたけれども、この和議よりも、しっかりとしたこういう破綻の処理というか、これをやる。ですから、今議論されたような、破綻の原因の問題だとか責任の問題、特に役員だとか、そういう人たちの責任もあいまいにしないという形でやられていく。
 破産、権利譲渡の問題というのはまた違う話ですけれども、そういうことから考えてみて、私はやはり、これからの方向を考える上でも、大事な一つのポイントだろうと。ですから、これから再建計画をやろうと考えておられるわけですが、その辺が、一つ問題点としていえる問題だろうというふうに思うんです。
 そこで、東京都として民事再生手続をとらざるを得なくなった原因、特に平成六年には、資本金が十八億、ところが、累積損失が二十五億円、そして、とうとう債務超過になってしまったという状況になったわけですね。そして、そういう状態になってから、今度の民事再生手続をとるまで、六年間、期間があるわけですね。その間、東京都はどういうふうにこの問題について対応してきたのか。財政監理団体のこのような三セクの破綻の状況というのは、この開発センターだけじゃなくて、臨海開発のあの三セクを初め、問題になってきているわけですね。六年に明らかに債務超過になっている。しかし、実際に手続を始めたのは十二年から。話し合いになって、十三年になって手続をやった。
 この間、東京都は、この問題ではどういうふうなことをやってきたのか、その辺を説明してください。

○長野管理部長 核テナントの退去した後に、地域住民の生活利便施設を確保するためには、やはり東京都としましても、新たな核となるテナントの誘致を第一に、会社に対して指導するということをしてまいりました。
 平成十年二月には新たな核テナントが入居して、十年度決算におきましては、減価償却前の黒字という状況が達成されたわけですが、しかし、十四年度から、退去したテナントに対する保証金の償還というものが始まりますと、確実に資金ショートに陥るということが見込まれましたことから、新たなテナントが入った時点から随時行ってまいりましたが、とりわけ昨年の春あたりからは、かなり詰めた形で、市中銀行を中心とした他の債権者、それから会社、東京都ということで、抜本的な経営改善策をどうしたらいいかという協議をしてまいりました。
 しかし、先ほどから申し上げております自主的な再建は困難な状況。こうした中で、合意が取りつけられなかったという面もございますけれども、困難な状況がございまして、それでは東京都としては、問題を先送りするということ、あるいは会社を破産させるということは得策ではないと。裁判所の関与のもとで負債を圧縮するという方法によって会社を再建することが妥当ではないかという判断のもとに、民事再生手続開始の申し立てを行ったものでございます。

○池田委員 この六年間の時間というか、期間の長引きによって、開発センターの累積損失というのは重なっているわけですね。この問題については、後ほどもちょっと触れますけれども、私は、この六年間の期間というのは、ある意味では非常に大事な期間だというふうに思うんですね。
 再生計画では、再生で債権の元本、そして再生手続開始前の利息、損害金の合計額の九二%、そして、開始決定後の利息や損害金というのは免除されることになっているわけです。しかし、東京都以外の債権者、市中銀行は平成十六年三月までの三年間で三回で返還する。現在入居中のテナントの敷金だとか保証金、債権については、十年間の入居という条件はついているけれども、十年後返還していくというふうになっているわけですね。ところが、東京都への返還というのは、他の債権者に対する、劣後というふうにいわれていますけれども、先ほど出ていましたけれども、東京都の一方的な譲歩になっている。こういうことを、私は問題にせざるを得ない。
 例えば再生法では、債権者の平等の原則、こういうことをはっきりうたっているわけですね。こういうものに反しているんじゃないでしょうか。その辺はどうですか。

○長野管理部長 再生計画を実施いたしますためには、市中銀行とかテナント等の債権者の理解と協力を得ることが不可欠でございます。
 東京都は、特に筆頭株主であるという立場、あるいは会社経営に深く関与してきたという経緯等も踏まえまして、他の債権者に対して弁済時期を劣後するということを受け入れたものでございますが、債権者平等の原則に反するのではないかというご指摘につきましては、債権者の同意があれば、このような平等でない取り扱いがあっても問題はないという条文が、たしかあったはずでございます。

○池田委員 債権者の同意というのは、東京都が同意する、都議会がこの再建計画を同意するというのが大前提になっているわけですね。だから、法ではこういっているけれども、別に平等の原則に反していないだろうということを、再生債務者の監督委員の弁護士さんも意見書の中でいわれているわけですね。そのことを今いっているんだろうというふうに思うんですが、そういうことがやっぱり東京都民の損失になっている。しかも、この再生計画の中では、劣後ということで、非常に一方的な譲歩がやられている。
 そこで、市中銀行も九二%の債権を放棄しています。しかし、担保もなくて資金を出して、そして金を貸している。バブルの時期とはいっても、銀行側にも、こういう事業に安易な見通しがあったといわざるを得ないというふうに思うんですね。そういう場合に、事業が破綻したときの責任をどういうふうに分担するのか。
 このことについての取り決めは、そのときに、当初の事業を始める、そして、計画をつくっていくときには、どういう取り決めになっていたのですか。

○長野管理部長 ただいま、このような事態に陥った場合の取り決め云々ということですが、私の聞いているところでは、そのような取り決めというのは、当初特になかったようでございます。
 今回の再生計画の中では、監督委員の方からの指摘もありまして、債権者に多大な負担を求める以上、これは各市中銀行も株主として出資しているわけですが、株主についても、これまでの責任を明らかにするという観点からの減資を行うべきだという指摘がございました。このために、再生計画案では五〇%の減資を行うということで、株主でございます市中銀行も、出資割合に応じまして応分の負担を行うということになります。

○池田委員 このことでも、東京都は八十五億円の債権を放棄する。しかし、同時に、今いわれた株の五〇%の減資によって、四億数千万円の東京都の株は消却するわけですね。逆にいえば、東京都は五一%の株を持っている。市中銀行など、特に十七行で本当にわずかですよ、全体のところからすれば。これは、後ほどもまた指摘したいと思いますけれども、そういうところの問題点が、当初のこういう計画を立てていく中での問題点としても指摘せざるを得ない。
 再生債務者の監督委員の弁護士さんも、ここでこういうふうにいっているんです。再生債務者の破綻原因というのは、不動産賃貸収入に見合わない過大な借入金債務及びこれに伴う金利負担であるからと。こういうふうに監督委員の弁護士さんもいわれているように、私は、この事業の問題点の一番基本というのは、事業の採算を無視した、そういう施設建設計画、そして過大な借入金、それに伴う金利負担が破綻の原因だ、このことは明らかだというふうに思うんです。
 そういう点では、当初の計画、そして実際の事実というのは、既にいわれていましたけれども、この経緯を見れば、ほとんど賃貸料で事業収益を上げていくという中で、一〇〇%の賃貸料を予定してきているというところからの問題点というのがいろいろあるんだろうと。ですから、建物の収益率をどういうふうに見ているのか。総床面積に対する貸付可能面積、こういうこともよく分析していかなきゃいけないだろうというふうに思うんです。
 しかし、きょうは、こういう委員会の中で、そこまで細かい資料を持ち合わせていないかもわかりませんから、資料をいただいているように、賃貸収入が、当初の計画から見て、実際に開業して以降十二年までの間にどういう状態だったのか、このことを簡単に説明してください。

○長野管理部長 それでは、ご紹介いたしますと、計画では、ガレリア・ユギの一平米当たりの平均賃料単価というものを二千円というふうにいたしまして、それに賃貸可能面積三万八千三百三十平米を乗じまして、年間収入九億二千万円と見込んでおります。
 決算では、通年稼働となりました平成五年度が九億二百万円で、計画に対しまして九八%の収入でありましたが、六年度に核テナントが退去したということで、七年度が四一・四%、それから、十年二月に新たな核テナントが入居したということで、十年度は五六・二%というところにまた回復いたしました。十二年度は五七・四%という割合になっております。
 同様にパオレでございますが、一平米当たりの平均賃料単価を五千二百円というふうにいたしまして、それに賃貸可能面積九千三百三十九平米を乗じて年間収入を出しますと、五億八千七百万円、これが見込みの額であります。
 決算では、平成五年度が七億百万円で、計画に対しまして一一九・四%の収入。八年度に核テナントが撤退して、七六%に落ち込んだわけですが、十二年度は八三・八%の割合ということになっています。

○池田委員 私は、多摩ニュータウン開発センターが所有するビルの賃貸可能面積という、パオレとガレリア・ユギ、それからプラザA、それぞれの数字をいただきました。全体を込めて、約八〇%切るんですね。実際、賃貸可能の全体の床面積の中から割り出してきて、テナント料が取れる賃貸可能な、そういう面積というのが、私の計算ですと七九・六%ぐらい。八割切るんですね。民間のビルの不動産業といいますか、そういうところでは八〇から九〇というのが普通ですね。森ビルなんていうのは九〇%以上なんです。まして、そこで空き室が出てくる、あきのフロアが出てくるということになれば、これはまさに破綻することは明らかなことなんですね。
 そこで、先ほどの監督委員の弁護士さんが、過大な借入金の債務、それに対する金利負担が破綻の原因だというふうにはっきりいわれているわけですね。そこで、銀行からの借入金の金利について、そして、その利息の額、政策投資銀行、これは政府系です。それから市中銀行、それぞれ説明してください。金利がどのくらいだったのか。

○長野管理部長 金利につきましては、いろいろと長期借り入れとか短期借り入れ、また、固定金利、変動金利等々で複雑でございますが、お話でございますので、紹介させていただきます。
 日本政策投資銀行からの借入金でございますが、金利四・九%及び五・一%の固定金利ということになっております。
 市中銀行からの借入金につきましては、長期借入金と短期借入金がございまして、長期借り入れの金利は固定金利と変動金利がありまして、固定金利の方が、平成三年の借り入れ時が六・九%、九年度に金利の見直しを行いまして、二・七%となっております。変動金利は、業態により異なりますが、平成四年の借入時は四・九%から六・三%でございまして、十二年度末の金利は一・五%から二・九%となっております。短期借入金の金利につきましては、十二年度末の短期プライムレートで一・三七五%というふうになっております。
 弁済額でございますが、平成十三年三月末時点で、日本政策投資銀行に対しましては約六億八千百万円、市中銀行に対しましては約四十六億七千六百万円、合計で約五十三億五千七百万円が支払われております。

○池田委員 政策投資銀行が固定で四・九%、五・一%、大変な高い金利じゃないですか。市中銀行でも六・九%、これは八年度までですね。さすがに九年度以降は二・七に変えたというふうになっているわけですね。合計で、実に五十億を超える利子が支払われた。ですから、まさに、こういう状態の中での経営の見通しの甘さ。
 しかし、一方では、借入金がだっと来て、その利子はがっぽり政府系が持っていく、市中銀行も持っていくということを、私は指摘しなければならない。利息を稼いで利益を上げている。政府系の政策投資銀行が融資するということは、少なくとも、その事業を国策として国が認めて推進していく、そういうことを意味しているんだと思うんですよ。
 大変高い金利ですけれども、こういう経営状態の中で--私は先ほどいいました。債務超過になって以降の六年間の期間の中で、こういう問題について、政府系の金融機関である政策投資銀行に借りかえなどの交渉を、当然、私はしたと思うんですよ。やったと思うんですけれども、どうだったんですか。

○長野管理部長 日本政策投資銀行との交渉ということですが、従来からいろいろと交渉が行われたはずだということですが、要望としてはそういうことはあったわけです。
 日本政策投資銀行に対しましては、今回の再生計画案を策定する経過の中で、日本政策投資銀行が債権全額の弁済を受けることができることになるわけですが、これにつきまして会社は、再生計画案を可決するためには、債権者間の公平性といったものを図る必要があるという考えのもとに、他の債権者と同様に、金利については免除してもらう、また、弁済時期につきましても、市中銀行への弁済より若干おくらせるように交渉をいたしまして、その結果、そういった方向での合意を得ることができたというものでございます。

○池田委員 今、部長さんがいわれましたように、国の政策投資銀行の利息についての免除というのは、手続をとって以降ですね。これは市中銀行も同じですよ。そうでしょう。ところが、弁済は一〇〇%ですよ。そういうことから見ても、私は、国に対して、東京都がやっぱりそういう姿勢を持たなきゃいかぬというふうに思うんですね。
 しかも、この間、私は先ほど、六年間の時間でいろいろな問題点が出てきていると。例えば、この負債をさらに大きくした問題として、民事再生法の手続に入るときにしても、国や再生手続の問題だとか、再生計画の問題でいろいろあったんだろうというふうに思うんですね。そして、彼らは金を出しているというようなこともあったかもわからない。そういう中で、いろいろな問題が起きてきている。
 平成十一年に、イトーヨーカ堂が入居するときに、改修のために三十五億円のお金を東京都は出しているわけですよ。十一年ですよ。十二年からは、いろいろ詰めた、破綻の処理のための話し合いを債権者で始めているわけでしょう。その前の年に、イトーヨーカ堂を入居させなきゃいけないということで改修をやったわけですね。分かれていた建物を同じにするというのか、つなげるというようなこともやる。というようなことも、結局、みんな東京都の方にかぶってきているということから見ても、やっぱり大問題じゃないかというふうに私は思っているんです。
 私は、最後に、このことだけははっきりさせておかなきゃいかぬというふうに思うので、いいますけれども、再生債務者、多摩ニュータウン開発センターの再生手続の監督委員の弁護士さんの意見書で、こういうふうにいっているんですね。再生計画遂行の見込みについて、これがやれるかどうかということについての問題で、意見書の中では、東京都の継続的な支援が期待できることを勘案すれば云々というふうにいわれているんですね。
 この東京都の継続的な支援、まさか今までやってきたような形で、財政的な、これほどの都民の大きな損失を得るような、そんなことを考えているわけじゃないんだろうというふうに思うんですけれども、そういう中身はどうなんでしょうか。

○長野管理部長 今回の再生計画案におきましては、債務の弁済は、会社が経営するビル等のテナント収入を原資としまして、キャッシュフロー上可能な範囲で行うということとしているわけでありますが、同社は平成十年度決算から減価償却前黒字という状態になっておりますこと、また、再生計画案におきます収入も堅実に見込んでおりますことから、民事再生手続による再建というのは十分達成可能であると考えているところでございます。
 都の継続的な支援というご指摘ですが、東京都は、新テナントを紹介する、あるいは宅地の販売を通じてまちのポテンシャルを高めるといった、可能な限りの協力はしてまいりますが、新たな財政支援を行うということは考えておりません。

○池田委員 さっきもちょっといったように、この事業計画を立てる、そして経営の見通しだとか、そのときの問題点が浮かび上がってきているんだろうと。経過を見れば明らかです。
 しかし、今回もこういう形で再生計画をやって、そして、再生はするよというふうに担当者の皆さんはいっておられるわけですけれども、東京都の支援、中身は、いろいろテナントを紹介するとか、今いわれたようなことだと。実際の資金は出さないということだろうというふうに思うんですけれども、そういうものを保証する具体的な何か文書だとか、そういうものは取り決めはあるんですか。

○長野管理部長 具体的な取り決め等、文書等につきましてはございませんが、新たな財政支援を行うことは考えておりません。

○池田委員 最後に、この多摩ニュータウン事業の西部地区の開発の問題については、本格的な開発のための、都市機能を支える商業・業務施設、西部地区のセンター的な拠点をつくるんだということの立場から、事業の採算性、そして公益性の調和だとか、開発利益を住民に還元するんだということで、この会社設立の呼びかけでもいわれているし、また、開発大綱の中でもいわれているわけです。
 しかし、今までの経過を見てくれば、この破綻した中身で、これは、都庁のマスコミの中でこういうふうにいわれているんですね。今度の再生手続の問題について、東京都がいろいろやろうとしている。だが、釈然としないのは、減資にしろ、都への弁済を後回しにするにしろ、それは大株主として都の債権者に対する責任のとり方であって、百億円近い--これは八十五億円と株の五〇%の消却。その百億円近い損失を生じさせたことへの都民に対する責任をどうするかが見えてこないからだということをいっているんですね。私はやっぱりそうだと。
 こういうことから見て、私は、自治体自体が第三セクターとして不動産業をやる、こういうのは本来の仕事ではないと。それから、今までの開発型の第三セクター、いろいろなところで破綻しています。臨海開発でもはっきりしています。あれほど大変な破綻をつくり出してきているというようなことから見ても、こういう開発型の第三セクターの破綻要素というのはある。しかも、バブルを前提とした過大な計画。そして、銀行だとか、その仕事に群がるといっては語弊がありますけれども、そういうゼネコンのもうけの口にされるような、こういうことがあちこちの三セクでやられてきている。
 こういうことを考えると、このことを、民事再生手続をもって開発センターの経営破綻問題が解決したというふうにはいえない、こういうふうに私は考えている。このことを意見として質問を終わります。

○新井委員 ほかの委員の方々と重複しないようなご質問をさせていただきます。
 まず、平成六年度に債務超過に陥ったということで、そごうが撤退したところで債務超過に陥っているわけですけれども、そごうを南大沢に誘致したということの経緯からお聞かせいただきたいと思います。

○長野管理部長 会社の事業計画によりますと、地域住民の多様なニーズにこたえ、にぎわいのあるまちづくりを進めるために、商業ビルに百貨店と量販店、これはスーパーマーケット形式のものを配置しまして、その相乗作用によって集客力を高めることとしたというふうにされております。
 テナントの選定に当たりましては、店舗選考委員会を設置いたしまして、そごうが多摩地域での事業展開に熱意を持ち、この当時は資金力もあったということなどから、そごうが選定されたと聞いております。

○新井委員 地域住民の多様なニーズにこたえるためにとありましたけれども、そごうにつきましては、多摩センターに誘致されておりまして、それまでずっと経営実績があったわけですね。
 ここの経営というのは、もちろん、誘致を決めるに当たってはいろいろ参考になさったと思うんです。そこをどんなふうに見られたのでしょうか。

○長野管理部長 具体的にどのように参考にしたかという話は聞いておりませんが、当然、多摩センターにもあったということで、そういったものを前提にして南大沢進出を考えたというふうに理解しております。

○新井委員 私は、多摩ニュータウンで多摩センターを生活圏とするところに住んでおりまして、そごうでも、それまでなるべく地元で買い物をしなくちゃということで、買い物をさせていただいていたわけなんですけれども、実をいうと、地元の住民からそんなに評判のいい百貨店ではなかったんですね。
 そういった点は、少しマーケティングリサーチをかければわかったであろうと思われるわけですけれども、その辺の、多摩センターでずっと経営をしてきていたそごうに対して、多分何らかの調査をしたのであろうということではなくて、実際にした調査というものがあれば、こういうことをしたんだということを出していただければと思います。

○長野管理部長 先ほども申し上げましたように、店舗選考委員会というものを会社が設置いたしまして、いろいろな角度から、その妥当性等を検討したものと思いますが、その具体的内容につきましては把握しておりません。

○新井委員 今の時点でそういうことを把握していないというのは、ちょっと残念だなというふうに思います。
 私は、大学を卒業しましてから、ファッションマーケティングに従事しました。例えば、この土地に何か建物を建てて、店舗を建てて、そこで何かを売っていこうという場合、マーケティングリサーチというのを必ずやるんです。そこに住んでいる地域の住民の方が、どういった志向を持っているのかとか、あるいは、そこを通る方たち、訪れる方たちはどういう人たちが来ているのかということをきっちり分析した上で、そこの店舗に置く品ぞろえを決めていくわけなんです。これは、どこの流通業者もやっていることなんです。そういうことをもししていれば、私は、同じニュータウンの中で二駅置いたところにそごうを誘致するということはなかったのではないかというふうに思います。
 実は、そごうは、そういうマーケティング努力を余りしないデパートです。というのは、テナントに全部買い取り方式をとっていますから、売れ残ったら、それはテナントが全部かぶるんです。だから、そごう総体として商売が思わしくないときに、責任をどうとっていくかということは余り考えないところなんですね。こういうことについても、流通のことをやっていらっしゃる方にちょっと聞けば、すぐにこういう経営手法というのはわかるものなんですよ。
 特に、こちらの多摩ニュータウンというのは、新宿とか渋谷とかの繁華街と違って、いろいろな人が訪れて買い物をする地域じゃないですね。当然、その客層というのはどこになるかというと、ニュータウンに住んでいる人たちということが非常に大きな購買層のターゲットになるわけです。
 ニュータウンというのは、かなり入居している層が絞られています。高齢化率が物すごく速くて困るということがあるわけですけれども、団塊の世代が一番多く住まわれているということがありまして、そういうことも含めて、きちんとしたマーケティングリサーチをかければ、それなりに売れるものというのを考えることができるわけですね。そういうことの努力を全然しないで、多摩センターで経営していてどうだったかということがあると思うんです。
 住宅がだんだんたくさん張りついてくれば、収益が上がってくるだろうということを考えたということは、確かにあるかもしれませんけれども、それにしても、今ニュータウンにこれだけの人が住まっている中での売り上げということを考えると、とても低いです。ニュータウンの購買層というのは、新宿、立川、町田あるいは新百合ケ丘の方にまで非常に多岐にわたって分散しておりまして、ニュータウンの人が多摩センターでショッピングする率というのは非常に低いです。
 なぜこうなっているかというと、魅力ある品ぞろえがないからなんです。それは、少し努力してやっていかないと、いけないというようなことがずっと見えてきていることであるので、そういったそごうを南大沢に誘致したということの責任は、私はとても大きいというふうに思います。
 そういうことについてのリサーチをしたであろうということで、分析されていないようですけれども、その部分は、今後きちんと調査をかけて、なぜそごうを誘致したのかという点については、もう少し詳しいご説明をいただければというふうに思います。
 それから、その後、たった二年で撤退しているわけですね。たった二年で撤退したということについては、どんなふうに総括をなさっているのでしょうか。

○長野管理部長 先ほどマーケティングリサーチをるるご説明いただきまして、大変ありがとうございました。会社の方によく伝えたいと思います。
 ただいまの債務超過に陥ったことの評価という問題でありますが、結局は二年間で退去したと。そごうとは、開業時点で二十年間の賃貸借契約を締結しているわけでございまして、わずか二年間で退去するというような事態は、当然想定できなかったわけでございます。このそごうの退去によりまして、会社の主要な収入源が絶たれたということも事実でございまして、結果として経営破綻を招く大きな原因になったものというふうに認識しております。

○新井委員 おっしゃったように、二年で撤退というのはだれも想定していなかった事態であったと思うわけですが、それでは、平成六年度に撤退したときに、それまでのたった二年で撤退しちゃったということに対する事業評価というものをなされているのでしょうか。
 私は、この間、事務事業の方で資料要求させていただいて、これの単年度ごとの事業評価とその対策ということでいただいているわけなんですけれども、平成六年からは出ていないんですね。こういう想定もしないような事態が起こったにもかかわらず、事業評価もなく来たということ自体が、私はちょっと考えられないんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○長野管理部長 東京都の横断的な経営評価制度ということでご説明させていただきますが、東京都では、団体の経営状況を的確に把握いたしまして、これを評価するということによりまして、団体の自律的経営を促進することを目的として経営評価制度を実施してきております。
 しかし、所管の行政改革推進室によりますと、これまでの経営評価は、財務諸表の数値分析が中心でありまして、経営改善のための目標あるいは具体的手法といったものがわかりにくいということで、評価結果が団体の経営改善に結びつきにくい例が見受けられたというふうにしております。
 このために、平成十三年度、本年度より、経営目標の達成度を評価する目標管理型の新たな経営評価制度を導入いたしまして、役員の経営改善へのインセンティブを高めることによりまして、評価結果が団体の経営改善に反映されやすい、実効性のある経営評価を実施していくということにしております。

○新井委員 十三年度からということで、非常に対応が遅いといいますか、六年度に債務超過に陥って、それまで何の評価もしないで、九年度からやっと事業評価が出ている。この九年度というのは、なぜここから出ているかというのを考えますと、一般的に、行政の事業評価ができていないじゃないかというふうに騒がれ出したのが、大体このころからなんですね。だから、それで慌ててなさったのかなという感じがあるわけです。
 本当に事業評価というのはとても大事で、自分の事業を評価するというのはとても難しいです。私もNPOの活動をしながら、自分たちの活動の評価をどうするかということで、プロジェクトをつくって三年がかりでやりましたけれども、結局、事前評価の視点がなければ、事後の評価はできないということがよくわかりました。
 東京都の場合なんかも、計画を立てるときに、事前にその事業をどう評価するかという視点をきっちりと持って、そして、それに沿った事業評価を年度ごとに立てていくというふうにしないと、今、十三年度から、ちゃんと経営目標にうまくリンクするような形の評価制度にしたんだという話がありましたけれども、なかなかこれも難しいものがあるというふうに思います。今からでは遅いんじゃないかということが十分あるわけですけれども、少なくとも、そんな形態に変えられたということについては評価できるかなと思います。
 六年から十二年度までの間のことについては、さっぱりそれができていませんで、九年度から出されているものにつきましては、評価事項と改善事項が出されているんですけれども、これは全然整合性がないんですよ。普通は、評価というのは、前年度の事業を評価して、こういうことがあったと。こういうことがあったから、じゃ、それに対してどう対策を立てるかというのがないと、評価をする意味がないわけですね。
 ところが、いただいたものを見ると、余り整合性がとれていないということがあるんですけれども、こういう評価の仕方と対策の立て方というのは、どんなふうに考えられているのでしょうか。

○長野管理部長 先ほども行政改革推進室の見解をご紹介申し上げたのですけれども、今ご指摘のように、経営改善に結びつく目標や具体的手法というのがわかりにくくて、経営改善に結びつかないというふうにいっております。それが新井理事のご指摘された、因果関係的に見てわかりにくいということにつながっているんだろうと考えます。
 それを十三年度から、より関連づけて、評価結果が団体の経営改善に反映されやすいように改善したということでございます。

○新井委員 十三年度からは改善したということなんですが、ここから先は、今までほかの委員の方が、皆さんおっしゃっている責任問題ということになると思います。
 例えば、今、民事再生ということでいうと、確かに、私もニュータウンに住む者としては、地域住民とかテナントが迷惑をこうむらないでスムーズに事業を継続していくということでいえば、これが一番適当なのかなというふうな感じを持たざるを得ないところがありますけれども、この弱点といいますか、悪いところは、やっぱり責任主体がはっきりしない。経営責任を問いにくいところということがあると思うんです。
 そういう意味でいえば、この民事再生法ということでやっていくとすれば、より責任ということを強く意識してやっていかないと、一般都民に対する説明責任という意味では不十分ではないかというふうに思うんです。
 これまでも、いろいろな委員の方々が退職金の問題とか責任のとり方ということでお話をしているわけですけれども、責任のとり方ということでいいますと、退職金を返すというのも一つの責任のとり方ですし、辞任するとかということもとり方ですし、さまざまな責任のとり方というのがあると思うんですけれども、今、ここまでの皆さんのお話をお聞きになって、本部長さん、再生に対する決意ということで先ほどお話をいただきましたけれども、責任のとり方ということに絞って、どんなふうにお考えになっていらっしゃるのかをお聞かせいただきたいと思います。

○石河多摩都市整備本部長 先ほどからいろいろ、会社の経営について疑問なり、おかしい点、ご指摘ございましたけども、別に開き直っていうわけじゃないですが、大体、再生手続をやらなきゃいけないということは、自主再建ができないわけですから。そもそも適切な判断で経営をやっていれば、こんなことにはならないわけですので、そもそも再生の手続に入ったこと自体が非常に問題になっていますので、それを今からいろいろいわれ、全くそのとおりの面もあります。
 そうはいっても、そのときの状況、状況で、よかれと思ってやったけれども、結果的にうまくいかなかったということもありますので、そういうふうに考えますと、後で振り返って、そのときにどういう原因でこうなっちゃったというのは非常にわかると思うんですね。あのとき、こんなに借金をしなきゃよかったとか、あんな大きなものを建てなければよかったとか。
 そういう原因ですとか要因の分析というものはできますけど、それと責任といった場合には、個人の責任もありますでしょうし、それから組織としての責任ですね。責任あるなしでいえば、それは当然、責任があると思いますが、どういうような形で責任をとらせるかというのは、この場で私が、こういう場合はこういう責任、この人はこうすべきだこうすべきだと、一概に給料なり退職金をこうすべきだというのは--同じような処分といいますか、三セクにもいろいろな三セクがありますし、いろいろなケースがあるので、この席で、こういう場で私が、この場合は、この人は給料なり退職金を返還するに値するような責任があるから返しなさいということを、責任について、そういうふうにしてはっきりしたものがいえないのは、そういう状況にあるからです。
 逃げるわけじゃないんですけど、そういう問題は、むしろ三セクの責任でありますとか、こういうようなものが起こったときの責任のとらせ方というのは、別のところで、統一的とか横並びで議論していただかないと、この席で個別にぽっといわれても、私のあれでは非常に困るような気がするんですけども、個人の責任がどうこうという、それについて非常にご不満を感じているのは私もわかりますし、私ができるなら、いろいろな処分をやりたいと思っているんですけど、そういうわけにいかない私の立場もあるものですから、その辺をご理解願いたいと思います。
 いずれにしても、第三者的な、無責任とはいいませんけど、三セクのあり方とか、こういうものが起こったときの責任のとらせ方というのは、今後、もっと別なところが議論していかなきゃいけない問題だというふうに思っています。
 それと、先ほどいいましたように、再建ということ自体が、経営ができなくなって自主再建ができないということは、我々にとってもそうですし、過去、経営に携わった者にしても、恥といって済む問題じゃないかもしれませんけど、重大なことなわけです。東京都そのものが、今回、民事再生に踏み切った、いろいろわかってどうするんだというときに、都民に対して、八十五億という数字まで出してやると。それなりにその時点で、このままじゃ見過ごせないということで、あえて踏み切ったということはあるだろうと思うわけです。
 再三いっていますけど、再建計画というのは、一度おまえはだめだよといわれた人が、これならいいよと債権者にいわれて歩み出したわけですから、いってみれば、先ほど申しましたように、お金を貸した人が見張っていて、ちゃんと返せるんだろうなといって、この中身を見て、これなら返せるなといって、何年後に返すわけですから、非常に厳しい目で見ているわけですね。だから、我々がいって、こんなものですよというんじゃなくて、お金を貸した人から見ても、ちゃんと返してもらえるかの目で見て、計画そのものを批判されるわけですから、銀行の目とか、そういう目が入った計画になっている。
 先ほど申しましたように、十月十七日に債権者集会があって、そこで、これでいいか悪いかが決まるわけで、決まれば、それに基づいて会社の経営もやりますし、返すお金は返していくわけなんですけど、いずれにしても、確かに、過去のいろいろな経営的な問題があって再建せざるを得なくなったというのは、非常に責任もあるだろうと思うんですが、今どういう形でどうするかということになりますと、本当に清算しちゃっていいものか。
 今、再建計画、最終的な承認はいただいていませんけど、各銀行とか債権者に大体納得していただいているわけですね。返済率は、全体を平均すると三六%しか返ってこない。六十何%は放棄していただけるんですけど、いたし方ないだろうということで同意をいただいているわけです。
 都の方も、そういうことで都民に同意をいただかないと、我々も債権者集会に行けないので、そういう意味でこの議会に諮るわけですけど、そこまで至っているわけです。再建、民事再生の手続に、三セクでセンターだけが入ったということは、大変な問題、重大問題だというふうな認識もしていますし、周りにも見られていますし、過去の経営に参加した人も、十分その辺は認識をしていると思います。
 いずれにしても、今、そういう段階まで行っていますので、ぜひともその辺をご理解いただいて、八十五億円、まことに大きいお金ですが、よろしくご理解のほどお願いしたいと思います。

○新井委員 本部長さん、どうしても再建の方に力がかかって、再建の方のお話になってくるわけですけれども、その前のけじめというところで、ほかの委員の方々からもお話がありましたように、ちょっと伺ったんです。
 よかれと思ってやったことが、結局うまくいかなかったというお言葉がありましたけれども、だれでも、何か方針を決めるときに、間違うかもしれないとか、失敗させようとかと思って方針を決める人はいないわけです。よかれと思ってやったことが、うまくいかないことがある。それは経営方針を誤ったということなんですけれども、株式会社の場合は、そういう経営方針を誤ったということがはっきり出てきた場合には、トップはきっちり責任をとるわけですね。ここは株式会社ですから、そういう意味では、きっちり今まで責任をとらせてこなかったということは、そこ自体が非常におかしかったということがあるわけです。
 ぜひきっちりけじめをつけて、私たちも選挙で選ばれて出てきていまして、市民一人一人の方々に説明責任というものがあります。そういう意味で、きっちり説明ができるような、そういうけじめというものをきっちりと求めていかないと、なかなか理解が得られないかなという思いがございますので、ぜひ、これまでの責任ということのけじめの部分に絞って説明ができるような、そういうことをはっきりいっていただければありがたいなというふうに思うんです。

○石河多摩都市整備本部長 今いわれたことの、ごく一部のあれしかなっていないと思うんですが、一応、再生再建の手続のときには、役員は全員退任しておりまして、今度は新しい役員でスタートしております。余り好評を得ているような責任のとり方ではないかもしれませんけれども、一応ご報告いたします。

○伊沢委員 きょうの議論を聞いていまして、ますます思ったんですけど、責任をとっていただくためには、破産するのが一番いいというふうに本当に思います。結論はそうです。
 それで、私がそのことで一番確信を得た資料があるんですけど、十三年度から今後の事業計画というのがありまして、今後、どういうふうに営業収益が伸びていってということがまとめられているんです。この中に、主にこの収益というのは家賃収入なんですけれども、これから年々伸びていくということを前提に立てられているんです。
 簡単にいいますと、ことしは家賃が約十二億なんですけど、これから、例えばことしは十三億九千万、十四年度が十五億一千万、十五年度が十五億四千二百万、そして十六年度が十五億五千八百万というふうに、少なくとも十六年度まで伸びていって、それで、十九年度からまた伸びていくというふうに計画を立てているんですけれども、この根拠を知りたいんです。
 先ほど入居率という点から、それと、この事業計画の家賃収入の方からなんですけど、これから家賃収入が伸びていくということは、つまりテナントがどんどん入っていくということを見込んでいる。イトーヨーカ堂に対しては、家賃を上げるということを十六年度にやるということなんですが、それもまだ、イトーヨーカ堂さんの方は承認していないということなんです。
 そういう前提の中で、これから家賃が伸びるということは、景気動向が伸びるということを前提、あるいは人口が急増するとか、何かその辺の、こういうふうな計画を立てた理由を教えていただきたいと思います。

○長野管理部長 ただいまご指摘がありましたように、賃料の引き上げの根拠は、経済の好転とかそういったものを見込んでいるのではないかというご指摘かと思いますが、賃料収入につきましては、現在の水準というものを一応ベースにしまして、これまでの経緯から判断いたしまして、可能と思われる部分についてのみ見込んでいるという堅実な内容というふうに考えております。
 もう一つの要素であります入居率につきましても、先ほどもご説明いたしましたが、パオレビルにおきまして一〇%の空室率を見込むというような、実現は十分可能な内容となっているというふうに判断しております。
 現在空室となっている部分にも複数の入居希望者がございまして、今後は、近傍にシネマコンプレックスという映画館の集合体等、さらににぎわいをもたらす要素のある建物の建設も行われますし、計画の達成というのは、こういう面から見ましても十分に可能であるというふうに考えております。
 裁判所の選任した監督委員も、計画遂行は可能であるということを意見書でいっておりますので、申し添えさせていただきます。

○伊沢委員 そういう話なんですけど、ただ実例としまして、昨年の平成十二年と十三年度の四月から八月、これ以上はことしがありませんので、単純に営業収益を比較しますと、既にマイナスになっているんですね。本当だったらプラスで、十二年から十三年度は一億八千三百万円伸びなきゃいけないという計算なんです、家賃収入が。ところが、今までの八月という時点で見ると、既にマイナスなんですね。幾らマイナスかといいますと、四千五百万円、既にマイナスとなっております。理由としては、昨年末にお聞きしたところ、ダイナースクラブとかいう事業者が撤退したということなんですけれども。ですから、入るのは結構ですけど、出ていく人があるということがあります。
 そういうことを踏まえますと、現時点で十二年から十三年度ということを見ても、もう撤退して、これがマイナスになっているという、既にこの時点で計画が甘いんですね。そういうときに、これからますます伸びていくというようなことは信じられないと思うんですけど、いかがですか。

○長野管理部長 四月から八月という十二年度と十三年度の比較は、ただいまお話があったように、ダイナースクラブの退去ということを要素にしてのものでございますが、これまでの実績等々を勘案して、ただいま引き合いがある状況等を総合的に見ますと、十分、事業計画は遂行可能であるということを申し上げているわけでございます。

○伊沢委員 それと、さっきの景気動向の見方なんですけど、もう一度確認したいんですけど、今後景気が、今は非常に停滞どころか落ち込んで、伸びていく要素がますますなくなってきているというふうに思っていまして、ここしばらく、事業の売り上げ増を見込んでいるこれから数年というのは、そういう時期だと思うんですけど、景気の見方についてちょっと教えていただきたいと思います。

○長野管理部長 景気動向の見方ということ、これは大変難しい問題で、現状が続くだろうとか、さらにデフレの傾向になるだろう、あるいは景気は若干持ち直してくるだろう、いろいろ考えられますが、先ほど私が申し上げましたのは、賃料の引き上げは、そういう要素が必ずしも前提にならなくても、可能性のある引き上げ幅で算定しておりますので、それはかなり堅実な内容であるということを申し上げておるわけです。
 また、入居率につきましても、全体の経済の動向と別に、南大沢周辺の地域性といいますか、最近のにぎわいの活発化等を考慮に入れれば、先ほどご説明したような内容での計画が十分達成可能だというふうに申し上げたことで、直接、経済動向との因果関係で申し上げたわけではございません。

○伊沢委員 でも、普通は経済動向というのが、こういうことはまさに直結するわけで、売り上げが伸びなければ入ってくるテナントもいないでしょうしということで、まさに、これは直接関係があることで、それを無視して、こういうことの計画を立てるということ自体、あり得ないことだと思うんです。
 あと、人口も、多摩ニュータウンの南大沢の方を利用すると思いました八王子市の方の区域だけ数を数えても、どんどん増加しているんですけど、増加の度合いは減ってきています。年に、大体千人ぐらいずつ増加が減ってきているんですね。
 ふえているんですけど、増加の割合が毎年千人ずつぐらい落ちてきているという中で、人口増から需要がふえるということは逆にあり得ないわけで、そうすると、あとは景気的なこととか、需要があって、東京のそこの場所で拡大してということしかあり得ないんですけど、それを考えないということになると、ちょっとおかしいと思うんですね。その辺についてもう一度お伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○長野管理部長 おっしゃる意味はよくわかるんですが、確実に見込めると申し上げておりますのは、既にそういうお話を、実際は会社の方でもしておるわけで、そういった中でのかたい見通しと。具体的には申し上げられませんけれども、そういうものを根拠にして、今回の計画は組まれているんだというふうにご理解いただきたいと思います。

○伊沢委員 かたい約束というのが何だかわかりませんけれども、ただ、結局、景気の動向を反映して、大まかにはこういうことは推移していくわけですから、これまでの経緯でも、結局、そこの見方が甘かったと思うんですね。
 いろんな個別的なお店の性質の問題とかもかなり影響していると思いますが、やっぱり景気の動向の見方と計画が合っていなかったということが一番の原因だと思いますので、結論を申し上げますと、この財政計画を見て、これで再生するとは到底思わなくて、問題の先送りになってしまう。今、破産するということをおそれて、それを繰り延べしていくと、またさらに--私が一番心配するのは、ここで破産しないで、さらに問題を先送りしてしまって、結局、税金を払っている都民側に借金がたまって、またこういう議論がもう一度出てくるんじゃないかということと、東京都でこの民事再生法というのが初めてだということですので、これを認めてしまうと、これからもこういう手続をとれば、どんどん第三セクターを再生していけるんだという一つの前例になってしまうと思いまして、それは許されないと思いますので、そういった意味で、この民事再生については、とてもじゃないけれども賛成ができません。ということで終わります。

○花輪委員 進行に関することですが、皆さんのご意見をお伺いしていて、伊沢さんは別として、できればみんな再生したいなと思っているんだけども、責任のとり方というところでいうと、なかなか胸がすっきりしないなという感じがするんですよ。そのあたりをご議論させていただければと思うので、理事会を開かせていただければと思うのですが。

○田代委員長 今、そういうご提案がございましたが……。(「きょうやるの」と呼ぶ者あり)一つは、今ご提案ございましたように、今、理事会をもう一度開く。もう一つは、ここのところで終わって、次回にまたもう一回、こういう時間をとるようにする。それについても、これから理事会が可能であれば、臨時の理事会を大至急開いて、話し合いを進められたらいいかと思われます。
 今、理事会に対してのご提案をいただきましたが、それに対して、何かご質問あるいはご発言ございませんでしょうか。

○前島委員 委員会は委員会で、委員長がずっと進行しているわけですから、今、花輪理事のご提案はご提案として一応受けていただいて、しかし、理事会を開くかどうかは、皆さん方のご意見もあるけれども、委員会としては、私はここで決着を、要するに締めて--進行についてということですから、中身の問題じゃないから、委員会は委員会で終わって、それから、その次の理事会を開くなら開くという形で決定したら、理事会でご提案を受けて検討する。
 委員会は、これによって、要するに、途中で理事会を開いてどうのこうのということは最初からないんだから、私は、委員会は委員会で進行すべきと、こう思います。

○田代委員長 今、そのようなご提案がございましたけれども、よろしゅうございますでしょうか。
〔「はい」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 それでは、本日のところは、この程度をもって質疑を終了させていただきたいと思います。
 特にご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田代委員長 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十分散会

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