建設・住宅委員会速記録第七号

平成十三年六月六日(水曜日)
午後一時十分開議
 出席委員 十四名
委員長倉林 辰雄君
副委員長竹下 友康君
副委員長東ひろたか君
理事谷口 卓三君
理事三原 將嗣君
理事田島 和明君
町田てるよし君
福士 敬子君
小礒  明君
沢西きよお君
藤岡 智明君
小竹ひろ子君
野村 有信君
土持 正豊君

 欠席委員 なし

 出席説明員
住宅局局長戸井 昌蔵君
次長三上 雅之君
総務部長清水  巖君
住宅政策担当部長小川 富由君
連絡調整担当部長渡利 紘司君
開発調整部長小関 尚久君
区市町村調整担当部長井上 克彦君
臨海住宅整備担当部長三浦 靖夫君
建設部長青木 治道君
建設推進担当部長矢口 哲也君
参事大森 勝海君
管理部長石橋伸一郎君
管理制度改革担当部長阿部  亨君
営繕担当部長小林 計代君
不動産業指導部長今井 浩司君
多摩都市整備本部本部長田原 和道君
管理部長長野  宏君
建設局局長古川 公毅君
次長有手  勉君
道路監石河 信一君
総務部長森澤 正範君
用地部長稲熊 明孝君
道路管理部長磯邊 武一君
道路建設部長小峰 良介君
公園緑地部長中田 勝司君
河川部長高本 正彦君
市街地整備部長梶山  修君
企画担当部長小島 信之君
総合調整担当部長安藤  明君
道路保全担当部長鈴木  進君
道路計画担当部長柿堺  至君
公園管理担当部長平井 和之君
調整担当部長市原  博君
特命担当部長岩永  勉君
特命担当部長依田 俊治君

本日の会議に付した事件
 建設局関係
  契約議案の調査
  ・第百四十一号議案 神田川・環状七号線地下調節池(第二期)シールド工事請負契約
  ・第百四十二号議案 晴豊一号橋(仮称)下部工事(その三)請負契約
  ・第百四十三号議案 晴豊一号橋(仮称)下部工事(その四)請負契約
  ・第百四十四号議案 霞川調節池工事(その五)請負契約
 住宅局関係
  契約議案の調査
  ・第百三十九号議案 都営住宅一三H-一〇一北(東村山本町)工事請負契約
  報告事項(質疑)
  ・東京都住宅政策審議会答申について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○倉林委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局及び住宅局関係の契約議案の調査、並びに住宅局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査報告を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十三年六月五日
      東京都議会議長 渋谷 守生
建設・住宅委員長 倉林 辰雄殿
契約議案の調査について(依頼)
 このことについて、左記により財政委員長へご報告願います。
  記
1 調査議案
 第百三十九号議案 都営住宅一三H-一〇一北(東村山本町)工事請負契約
 第百四十一号議案 神田川・環状七号線地下調節池(第二期)シールド工事請負契約
 第百四十二号議案 晴豊一号橋(仮称)下部工事(その三)請負契約
 第百四十三号議案 晴豊一号橋(仮称)下部工事(その四)請負契約
 第百四十四号議案 霞川調節池工事(その五)請負契約
2 提出期限 平成十三年六月六日(水曜日)

○倉林委員長 これより建設局関係に入ります。
 契約議案の調査を行います。
 第百四十一号議案から第百四十四号議案までを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方はご発言を願います。

○東委員 私は、百四十二号と百四十三号、晴豊一号橋関係にかかわる契約について意見を申し上げておきたいと思います。
 晴豊一号橋の架設は、既に破綻が明白となっている臨海副都心開発を一層推進するためのものであるばかりでなく、有明北地区、江戸前十六万坪埋め立てと連動するものであり、自然破壊と都財政むだ遣いの最たるものの一つといわざるを得ない。さらに、豊洲、有明の特定の地権者とゼネコンの利益のためだけの不要不急の事業であり、抜本的に見直すべきである。
 以上の立場から、我が党は第百四十二号議案及び第百四十三号議案には賛成できない。
 以上。

○福士委員 百四十二号、百四十三号議案に反対する立場から意見を申し上げます。
 臨海副都心開発事業の会計は破綻を来し、一方、知事のいわれる、いわゆる隠れ借金を抱えて、今まさに都の財政状況を再認識しようとしている中で、工事の規模が適正な水準にあるのかどうか再確認することなく、いたずらに事業を推進することは、歯どめのない放漫財政を放任しているといえます。
 なし崩しに大規模な幹線道路整備が連続することを容認していては、都の危機的な財政状況を打開することは困難であると考え、以上のことから、百四十二号議案及び百四十三号議案に反対するものです。
 以上です。

○倉林委員長 お諮りいたします。
 第百四十二号議案及び第百四十三号議案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、また、第百四十一号議案及び第百四十四号議案につきましては、異議ない旨、財政委員長に報告をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。
 以上で建設局関係を終わります。

○倉林委員長 これより住宅局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百三十九号議案、都営住宅一三H-一〇一北(東村山本町)工事請負契約を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。

○藤岡委員 この東村山本町の都営住宅の建てかえについて、何点か伺っておきます。
 まず最初に、この都営住宅、三期工事とありますけれども、全体計画はどうなっているのか。四期も進められるということですけれども、計画どおりに進められるのかどうか。この点について伺います。

○青木建設部長 当団地の全体計画は、四期に分けて、順次建てかえを進める計画でございます。先ほどお話しのように、現在は第三期の事業中でございます。
 平成四年に当初計画を策定した時点では、四期の事業を平成十七年度から開始する計画としておりました。長期にわたる事業でございます。今後の経済社会情勢等の変化に応じまして、適時適切に見直すことも必要であると考えております。

○藤岡委員 経済社会情勢に合わせて見直しをすることもあり得るということですけれども、四期工事そのものを行わないということもあり得るのかどうか。いかがでしょうか。

○青木建設部長 先ほどお答え申し上げましたように、長期にわたる大規模団地の建てかえ事業に当たりましては、社会経済情勢等の状況を踏まえまして、これまでも適切に見直しをしてきたところでございます。
 今後、団地の立地条件や周辺の状況、将来の地域の住宅ニーズ等を勘案いたしまして、計画を適切に見直してまいりたいと考えております。

○藤岡委員 この本町団地を初めとしまして、大規模団地の建てかえが進められているわけでありますけれども、いずれも、最終工期を待たずとも、従前居住者は新団地への移転が完了するということは推測できるわけであります。
 社会情勢が変わる中で、既に社会福祉施設等々の付設も可能になっておるわけです。この福祉施設は、都住の居住者のみならず、その近隣地元住民からも大変待ち望まれているものであります。
 しかし、万が一、先ほどのように、ご答弁の中で見直しをするといった場合、この都住団地用地そのものが民間に売却されるということもあり得るわけですね。マンションがぴったり建つようなことになってしまえば、それは、居住者のみならず近隣住民が納得できるものではないわけです。
 この本町都営の近隣の方々も、最後の四期では数多くの新規募集がされるというふうに首を長くしておられる方々もいらっしゃるわけです。新規都住を建設ゼロにしたこの二年間で、都住の入居の申し込みはますます高倍率になっている。都営住宅というのが非常に高ねの花になっているという実態です。
 予定されている四期工事まで、しっかり計画どおり都住を建設して、入居したくてもまだ入居できない、そういう入居希望者に住宅を提供していく、これが東京都の責務であるというふうに私は思っております。この責務をぜひ果たしてもらう。そのためにも、四期工事、予定どおり進めてもらいたいと強く求めておくものであります。
 次に、計画が進められるという段階のもとで、幾つかの課題が出ているのではないかなと思うのですけれども、四期工事等では、併存店舗の移転、この問題が出てきている。全員合意を前提とするというのが東京都の考え方ですけれども、移転交渉の成立した店舗から順番に補償をしていく、移転を進めていく、こういうやり方に改善をしていくことが求められているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○青木建設部長 都営団地の建てかえに際しまして、併存店舗がある場合には、今お話しのように、借地権等に対して相当の補償を行いまして移転をしていただいているところでございます。
 ご質問のように、交渉の成立した店舗から順次移転していただく方式では、最後の一店が移転するまで建てかえができずに、最初に補償金を支払ってから建てかえ事業に着手するまで、相当の期間を経過するということが想定されます。
 このため、補償料の適切かつ効率的な執行の観点から、全員が合意し、一括して移転していただけるまで、私ども、鋭意折衝に努力してまいりたいと考えております。

○藤岡委員 私は、東京都のそういう方針のもとでやられれば、最後の一店舗が解決するまでということで、移転を希望しておられる方々は最後までそこにいなければいけないということが、逆にあるのじゃないかと思うんですよね。やっぱりこういう店舗の皆さんの要望一つ一つを酌み入れていくと。都営住宅の中の活性化も、そのことによってできる可能性が出てくると思うんです。だから、やはりそういう点については改善をしてほしいなということを要望としていっておきます。
 それから、これはこの住宅だけではないわけですけれども、車いす住宅ができて、入居時期が一般の居住者よりは非常におくれるということで心配をしておられる車いすの方々、障害者の方々がいらっしゃるのですけれども、これへの適切な、迅速な入居を進めていくということについては、どういうお考えでしょうか。

○青木建設部長 車いす住宅につきましては、ご案内のとおり、入居予定者の方の身体状況等に応じまして個別にカルテを作成して、住宅内部の設計後に、本体工事との工程等の調整の上、整備をしているのが実情でございます。
 本件につきましても、入居者が決まり次第、速やかに整備が進むよう努めてまいりたいと思っております。

○藤岡委員 これまでの入居までの時期、これを短縮していくという方向でぜひ努力をしていただきたいと思います。改善もしていただきたい、工夫もしていただきたい。よろしくお願いします。
 次に、この工事を含めまして、一期、二期、三期の契約時の工事単価、これはどういうふうになっているのでしょうか。

○青木建設部長 期ごとに住宅の戸数やタイプ、階数、構造等が異なりますので、単純に比較することが大変困難でございますけれども、条件がほぼ同様の住棟、鉄骨鉄筋コンクリートづくりの十一階から十四階の棟について、期別に、契約実績に基づきまして建築本体工事費の建物の面積当たりの単価を比較いたしますと、一期、平成五年度に着手したもので、一平方メートル当たり約二十万でございます。それから、二期の平成八年度に着手いたしましたものが、一平方メートル当たり十五万円、三期の平成十年度に着手いたしましたものが、同様に平米当たり十五万円というような実績でございます。
 全体的に、当初よりも低減する傾向が見られておりますけれども、これは、この間、ご案内のとおり建設単価が下落した、並びに私どもでコスト縮減に努めてきたというような要因が働いているものだというふうに理解をしております。

○藤岡委員 私、次にちょっと伺っておきたいのですけれども、この二期工事が完了したという時点で、非常に瑕疵の問題があったというふうに聞いておるんですよね。
 一期工事のときよりも要望が多かったということですけれども、そういった補修の要望というのは、二期工事のとき、どんなものが出されておりましたか。

○青木建設部長 私どもで聞いている範囲では、バルコニーの床のひび割れとか壁にひびがあるというようなことで補修の要望が来ているというふうに聞いております。

○藤岡委員 バルコニーの床にひびが入っていたり、例えば、本当に吹き込みがあった場合に水漏れがするということだって、十分可能性があると思うんです。それから、新築工事であるにもかかわらず、壁に最初からひびがあるというのは、全く問題じゃないかと思うんですよね。ここに住んでいる居住者の方々の話を聞いてみますと、一期工事というのは非常に丁寧な工事がやられておったと。二期工事では、こういうふうな問題が出てきた。これは直ちに補修を進められたということで、当然のことだと思うんですけれどもね。
 さっき伺ったように、やっぱり工事単価が、これは面積当たりということでありましたけれども、一平米当たり五万円ですか、下がっている。確かに工事単価それぞれの下落というのもあるでしょうけれども、コストダウンの中に、私はやはり、安かろう悪かろうという言葉はちょっと語弊があるかもしれませんけれども、そういったことが影響しているのではないかというふうに感じられるところもあるんですね。
 丁寧な仕事をやっているのが都営住宅だという好評のあるところであります。本当にきちんとした建てかえを進めていくという点からも、コストダウンをやっていくというのは当然のこと、必要なことだと思うんですけれども、その必要以上のコストダウンを行うことによって、こういった補修を直ちに行っていかなければならないという事態が生じるということは問題ではないかというふうに思っております。
 いずれにしましても、こういう問題が建てかえ時に起こってきているということもあります。ぜひ、最初に申しましたように、四期工事を計画どおり進めてもらう、しかも丁寧な仕事をやってもらう、このことを再度要望しておきまして、質問とします。

○青木建設部長 ちょっと私、先ほどの答弁、言葉が足りなかったので補足をさせていただきたいと思いますけれども、瑕疵が出た場合、先ほどお話しのように、私どもとしては速やかに対応しておりますし、コスト縮減がイコール住宅の質の低下なり瑕疵が発生をしているというふうには、私ども必ずしもそうは考えておりません。
 と申しますのは、先ほど申し上げたように、建設単価が下がっているのは、一般的な資材や工事単価の低下、並びに私どもが適正な品質の確保を前提としたコスト縮減の努力によって、そういうことがなし遂げられたというふうに理解をしております。
 したがいまして、私どもといたしましては、良質な住宅ストックの形成に向けて、これまで以上に住宅施行の適切な管理や品質の確保に努めてまいりたいと思っております。

○倉林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○倉林委員長 次に、東京都住宅政策審議会答申についての報告事項に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求のありました資料は、お手元に配布いたしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○清水総務部長 去る五月二十九日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料1、建設・住宅委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙を開いていただきますと、目次がございます。合計五件の資料の件名を掲げておりますが、五件の資料とも、総務庁が行いました住宅・土地統計調査に基づき、分析、取りまとめたものでございます。
 初めに、一ページをお開き願います。
 1は、東京の住宅数と世帯数の推移でございます。都内の住宅数と世帯数及び世帯数に対する住宅数の比率を、五八年から九八年まで記載しております。
 2は、一住宅当たりの床面積でございます。一住宅当たりの平均床面積について、八三年から九八年まで、東京と全国の状況を持ち家と借家に分けて記載しております。
 二ページをお開き願います。
 3は、住宅ストックの所有関係別構成比でございます。九八年の調査でございますが、持ち家、公営の借家、公社・公団の借家、民営借家、給与住宅及び不詳に分け、東京と全国についてそれぞれの構成比率を記載しております。
 4は、借家の住居費負担率でございます。同じく九八年につきまして、東京と全国について、借家の種類別に住居費の負担率を記載しております。
 三ページをお開き願います。
 5は、住宅の所有関係別の最低居住水準の状況でございます。九八年につきまして、東京と全国について、住宅の所有関係別に最低居住水準の状況を記載しております。
 以上をもちまして、ご要求のありました資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○倉林委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○藤岡委員 私は、この住政審の答申の中で、東京都と区市町村の役割分担、これが非常に新しい転換をされていると思いますので、この点について何点か質問します。
 これまでも二十三区には、百戸未満の都営住宅を移管するという方針がずっと続けられているのですけれども、それが現在どういうふうに推移しているのか。昨年度の実績もわかれば、あわせてお願いいたします。

○井上区市町村調整担当部長 都営住宅の区移管につきましては、都区合意に基づきまして実施しておりまして、平成十二年度末における実績は、二十区に対しまして百八十八団地、六千五百戸程度でございます。そのうちの十二年度分につきましては、二十団地、七百十六戸を移管してございます。

○藤岡委員 都営住宅の区移管というのは、十五年ぐらい進められてきているということですけれども、昨年度で二十団地、七百十六戸ということで、非常に進んでいるとはいえない状況だと思うんです。
 東京都も、区移管ということについては力を入れている。そして、住宅政策の中で、地元の住民のニーズに基づいた住宅政策をとっていこうと。そのためには区市町村の役割が大切だよということは、これまでも主張されてきておったことですし、私、このことを全面的に否定をするわけではありませんけれども、今回の住政審の答申の中で、二十一世紀半ばを見据えた将来の姿としては、都と区市町村の住宅の割合を総体として五〇、五〇にする方向で、段階的な目標を設定して、都営住宅の区市町村への移管を進めていくべきであるというふうに答申しているのですね。
 このことにつきまして、私は、区市町村、二十一世紀の半ば、五十年スタンスだとはいっても、この問題を提起された区市町村にとっては、とりわけ財政力の弱い多摩の市町村等にとっては、この移管、当然、管理、維持をしていくわけですから、これらの問題については異論も出ていたというふうに思います。
 そういったことで、行政の代表の方も住政審のメンバーとして入っていると思うのですけれども、意見としてはどんなものが出されておったのか。そして、その意見が、審議会のそういった議論の中でどう反映されているのかということについて伺っておきます。

○小川住宅政策担当部長 審議の中で、区市の長の代表の委員からは、市民に身近な福祉や住宅政策はできるだけ基礎的な自治体である区市町村でやった方がよいと思う、しかし、そのためには環境整備が必要であり、区市町村に対する支援を行っていただきたいという趣旨のご発言がございました。この意見を踏まえまして、都営住宅の区市町村移管に当たっての都の支援の必要性などについて、答申に必要な文言が盛り込まれたものと理解をしております。
 なお、都といたしましては、現在、特別区への移管に際して行っている支援の内容について、必ずしも市町村にご理解をいただいていないということもあり、まず市町村に対して現在の支援内容をご説明し、理解と協力を求めてまいりたいと考えております。

○藤岡委員 私は、住政審の議事録を若干読ませていただいたのですが、多摩の市の市長さんがこの住政審のメンバーなんですけれども、この区移管は非常に唐突であるという印象をもって受けとめられているということなんです。
 確かに、身近な住民のニーズにこたえていく、地方分権のもとでそれを進めていくということを理解しないわけではないけれどもということなんですけれども、その中で何点か意見を読ませてもらいますと、住宅政策の大きな転換だと思うんです、東京都の九五対五を五〇対五〇にすると一口でいいますけれども、引き受ける方からすると、大変な住宅政策の変更につながってくるわけです。やれるかどうかになりますと、これは素手でやるわけではありません。お金もかかりますし、いろいろなものが出てくるわけですから--というふうにいっておられるんですね。
 それで、そんなところを通して十分理解を求めて、具体的には、一つ一つ丁寧に、移譲する方と受ける方の意思をうまく合意させながらやっていってほしいな、こう思うんです。今後、政策化する場合、これを実行する場合には十分話し合ってやってほしいと。
 七月には、区長会と市長会が一緒になるということだそうですけれども、そうした場で十分な議論をしてくれ、させてくれということだと思うんです。私は、この十分な議論というのが、名実ともに十分に、住宅局の、東京都の押しつけにならないような議論を行っていかなければならないということを考えているところなんですけれども、現在、答申が出たばかりであります。先ほどいいましたように、財政力がとりわけ弱い多摩地域の市町村、行政関係者からも、こうした声も出ております。
 私が聞いたのは、この方だけじゃないんです。ほかにもこういう意見を聞きました。いきなり九五対五--特に多摩の方は、公営住宅というのはまだ少ないんですね。それをいきなり、五十年間といっても、半分半分にしてしまおうじゃないかと。これはちょっとひど過ぎる話だという意見です。私は、複数の市長からそう聞いているんですね。こういう異論が出ても当然だと思うんです。
 先ほどのご答弁にありましたように、財政的にも技術的にも人的にも支援を行うといっているのですけれども、まだまだ現実の問題として受けとめられるような環境にはないと思うんです。この答申を読んでみましても、区市町村営住宅の供給を図っていくべきであるということで、必要なことであるということを強調している。その一方で、区市町村に対してはどうかというと、技術的、人的、財政的支援に努めるなど適切な支援を行っていくことを求めたいという形でしか言及していないのですね。私はこれは、東京都の住宅政策を転換させていくという、この住政審の答申の本質をあらわしているのじゃないかなというふうに思っているわけです。
 こうした状況の中での移管を進めるという話ですけれども、二十一世紀半ばに五〇、五〇にしていくと。実際に市町村にとっては地域に密着をした住宅行政を進めていく、こういうことで、大都市東京でそれがふさわしいのかどうか、そういう目標設定を今から決めていくことがふさわしいのかどうか、私はこのことにちょっと疑問を持っているんです。この答申を読みましても、大都市を抱えている府県、大都市圏の府県の公営住宅の割合が大体五〇、五〇だから、それに倣って東京都もやっていこうではないか、こういう安易な議論ではないかなというふうに思うんです。
 こういう点では、本当に、東京都というこれまで営々と築いてきた都営住宅の歴史、公営住宅の歴史、これを終わらせちゃって、それで区市町村に任せるよということになってしまう。これで、果たしていいのかどうかという問題です。
 だから私は、その五〇、五〇というのは、どこから出てきて、府県の比率がこうだからということなのかどうか、それをちょっと確認しておきたいんです。

○小川住宅政策担当部長 答申も指摘しておりますとおり、東京においては、特別区の区域では都のみが公営住宅の事業主体であったということ、あるいは戦後の急速な人口集中による住宅難に対して東京都が対応する必要があったということから、区市町村営住宅と都営住宅との戸数の割合が、現在五対九五と、著しくバランスを欠く結果になっております。
 答申は、地方分権が進展する中で、今後、住宅行政においても、地域におけるきめ細かい対応、まちづくりや福祉施策との連携が一層強く求められることから、区市町村の役割がますます重要であるという認識に立った上で、東京のように際立った需要のない他の大都市地域では、市町村と府県の役割分担の結果として、公営住宅ストックの割合が五〇対五〇になっているということを考慮して、この目標をお示しいただいたものというふうに理解をしております。

○藤岡委員 地方分権ということで、大都市を近隣に抱えている府県の状況もかんがみてということだと思うのですけれども、私は実際には、地方分権という名のもとで、東京の住宅事情の特殊性、こういったものと、公営住宅としての都営住宅の役割をきちんと融合させた政策にはなっていないと思うんです。地方分権だからということで、区市町村よ、しっかり頑張れということだけでは済まされない問題があると思うんです。やっぱり都営住宅というのは、長年の歴史があるわけです。大都市という東京の中での公営住宅政策、都民からも喜ばれているのじゃないでしょうか、必要なことではないでしょうか。
 都営住宅の果たしている役割というのは、先ほどいただいた資料を見ましても、まだまだ都営住宅が必要だなということも示していると思うんですね、資料では。そういうことがいわれる。大都市東京の住宅事情から見て、ますます東京都自身が責任を持った都営住宅を管理をし、建設をしていくということは重要なことだと思うのです。
 他府県がそうであるからといった一律的な比較ではなく、そんな目標を持つのではなくて、やはり東京都の住宅政策は、公営住宅政策を基本にしながら都営住宅を建設を進めていくこと、維持管理をしっかりと居住者のニーズに合わせたものにしていく、充実をしていくことの方が優先されるべきではないか、このように考えております。このことを指摘して質問とします。

○小川住宅政策担当部長 お答えしますが、答申では、すべての住宅行政を区市町村に任せるべきであるというふうにはしておりません。答申の趣旨は、地域に密着したきめ細かい対応について、区市町村がより主体的に取り組む一方、都は、市場の整備、誘導等、広域的な対応について中心的な役割を担うということで、適切な役割分担を行うことが必要である、こういうふうに指摘をしていただいております。
 都といたしましては、答申の趣旨を踏まえて、区市町村との適切な役割分担あるいは緊密な連携をとりながら住宅政策を進めていきたいというふうに考えております。

○小竹委員 私は、住政審で都心居住の推進というのが非常に強調されていますので、この点が、本当に職住接近で、今、若い子育て世代が都心に住めるようにするという点では重要な施策だと思っておりますので、この点から質問をしたいと思います。
 この答申では、第一に挙げられているのが、芝浦アイランド地区が、都有地を活用した、職住が複合したまちづくりのリーディングプロジェクトとして例示がされています。
 その点では、東京都が都有地を都市基盤整備公団に売却したわけですから、当然この売却に当たっては、一定の条件等もつけているのではないかというふうに思うのですが、敷地面積や条件などを含めて、具体的な計画がどういうふうになっているのか、まずお伺いいたします。

○三浦臨海住宅整備担当部長 港区にございます芝浦アイランド地区、旧都有地の部分のお尋ねではないかと思いますが、この部分の敷地面積は約四・五ヘクタールでございます。
 先ほどご質問で、売却の際の条件についてお尋ねがございましたけれども、私ども、この旧都有地四・五ヘクタールを売却するに当たって、計画内容等の条件は一切つけてございません。
 しかしながら、この地区は、国の制度でございます住宅市街地整備総合支援事業という補助を受けられる制度を使用して事業を進めていくとしておりまして、この中の整備計画では、二千四百戸の住宅を計画してございます。あわせて、区画街路あるいは公園等の整備も計画の中に盛り込んでおりまして、去る二月に国土交通大臣の承認を得たところでございますので、都といたしましても、同公団が適切に都心居住に向けて住宅を整備していただけるものということで期待をしているところでございます。

○小竹委員 そうすると、二千四百戸の住宅をつくるというのは条件に入っているけれども、その住宅はどういう住宅になるかというのは、あくまでも、公団が供給する側としてやるということになるのですか。
 同時に、そこに入る所得階層や何かはどういうふうに見ているのか、その点についてはいかがですか。

○三浦臨海住宅整備担当部長 当地区は、JR山手線の田町駅から約〇・六キロの至近距離に存在する地域でございますので、極めて都心部ということで、多様なニーズに合わせた居住に対応する住宅が供給されるものと思っております。
 事業者は、現段階は都市整備公団でございますので、中堅所得向け住宅もあわせ持った住宅が供給されるものであろうということで、私どもとしては期待をしているところでございます。

○小竹委員 確かに、都市基盤整備公団は前の住宅整備公団ですから、この住宅整備公団は、中堅所得向けの住宅を供給するということで実際上やられてきているわけですが、現実に、都心地域にこの間、基盤整備公団がつくった住宅というのは、相当高額な住宅なんですよね。私の住んでいる文京でも、この委員会でも問題にしましたけれども、五十平米台、五十九平米や何かだと、もう二十万円の家賃になっているんです。
 ということは、やはりそれに見合う所得のある人しか住めないということにもなるわけで、この芝浦、今回の東京都が売った地区の近くには、相当、公団住宅、それから公社住宅もあって、家賃が結構高いために、入れかわりも激しい。それから、空き家もかなり発生しているというふうに私は聞いています。
 まあ、都の方が中堅所得向けの住宅ができるんじゃないかという期待をしているということですけれども、そういう中堅所得といっても、かなり高い人でなければ実際に公団住宅には入れないという、都心なんかの場合には特にそういう傾向があるわけで、そういう点で、条件をつけないということは、やはり一定の収入がある人、高額な収入がある人以外は住めないような状況になってしまうんじゃないかというふうに思うんですね。
 今、あわせてお伺いしておきたいのは、都営住宅で立ち退きの対象になっている、いわゆる高額所得といわれる世帯があるわけですけれども、その世帯の年収は幾らなのか。あわせて、収入超過といわれる世帯の年収。四人家族の場合にどの程度になっているのか、お伺いいたします。

○石橋管理部長 家族四人の場合、高額所得者につきましては、年間総収入金額が約七百八十九万円以上でございます。また、収入超過者につきましては、約五百十万円以上でございます。

○小竹委員 四人家族で七百八十九万円の年収ということになると--確かに都営住宅の入居基準が、全国的なあれですから、低いわけですよね。だから、そういうために高額という範疇に入るんだと思うんだけれども、一般的にいえば、それこそ中堅所得に当たる人たちの中の下の層に属している人たちが、都営住宅の高額所得といわれる人たちだというふうに思うんですね。だから、こういう方たちが、年収で都営住宅を立ち退かされる。
 じゃあ、その人たちの行くところは、一体どういうところがあるのかという点で、例えば今回のこういう公団住宅が本当に受け皿になるのかといったら、決してそうはならないんじゃないかというふうに思うんですね。大体、これらの階層の人たちは子育て世代ですから、教育費等の負担等も考え合わせたら、決してゆとりがあるわけじゃなくて、五十平米のところに入るとしても、月額二十万円の家賃を払うというのは、とても私はできない相談じゃないかというふうに思うんです。
 だから、そういう点でいうと、この公団住宅が受け皿にはなり得ないんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点については、都としてはどういうふうに見ておられるのか、その点はいかがですか。

○小川住宅政策担当部長 いわゆる都心居住の推進の中では、都心の中で、それぞれの地域に応じて適切な住宅供給が推進されることによって実現されるというふうに考えております。
 芝浦のプロジェクト、これ自身につきましては、まだ具体的な進ちょくが見えていないわけでございますが、私どもといたしましては、そういう都心のセンターエリアといったところでありましても、それぞれの地域特性に応じた施策を推進することによって、中堅所得者、いわゆる中堅の階級の方々が住まうことのできる、そういった都心居住が実現できるものと考えております。

○小竹委員 すれ違いになりますから、もうこれ以上あれなんですが、確かに、この都営住宅から立ち退かされる方々も、どちらかといえば中堅所得の下の方ですよね。こういう方たちについていえば、低所得の人と同じように、住宅については自分で確保することが非常に困難な人たちという状況がいえるんじゃないかというふうに思うんですね。
 従来でしたら、不十分とはいっても、公社住宅だとか公団住宅もこんなに高い状況ではなかったですから、こういう公共住宅の供給というのがあって、子育てファミリー層や何かも都心に住めるような状況がつくられていた。不十分とはいえ、あったわけですけれども、今そういう状況になくて、どんどん郊外に追いやられていく。この若い子育て世代を都心に住めるようにして、ミックストコミュニティをつくろうというのが都心居住の柱として出されているわけですよね。
 そういう点でいえば、今一番そういうところに住宅の深刻な状況が出ているという点では、解決策に、今回の例えばこの芝浦アイランドで公団がつくる住宅は、東京都がもっと積極的な公共住宅の供給のたがをはめるなり何なりをしない限りは、そういう部分に対する住宅供給にはならないんじゃないかというふうに私は思えてならないんです。そういう点では、非常に重大な問題があるというふうに思って、この点は指摘をしておきたいというふうに思います。
 また、もう一つの施策として、前回の第一回定例会でも伺ったわけですけれども、都心居住で、青山一丁目の建てかえプロジェクトが挙げられています。これは、前回の委員会のときに私が質問したとき、建設部長さんは広く情報公開をするというふうにお答えいただいておりますので、そのときの審議から二カ月半たっているという状況を踏まえた上で、今、どういう検討状況にあるのか、あわせてお伺いをいたします。

○青木建設部長 南青山一丁目団地建てかえプロジェクトにつきましては、今年度中に事業者選定をすることとしております。現在、事業者公募に向けまして、関係機関等の調整や公募条件の検討などの準備を進めているところでございます。

○小竹委員 この都営青山団地については、従来都営住宅であった土地を、都心の利便性の高いところだということで、定期借地権を利用して、五十年間は少なくとも民間にゆだねる形になるわけですけれども、先ほど公募条件というふうにおっしゃられましたが、具体的に公募条件の中には、都営住宅の戸数だとかそういうものは入るというふうに思うんですが、民間がやる部分についての条件はつけるのかどうか、その点はいかがですか。

○青木建設部長 本件の条件につきましては、先ほど申し上げましたように、現在検討中でございますので、今、ご指摘の部分についても、どのようにするか、まだ私どもとしては案を固めてございません。

○小竹委員 先ほど申し上げたように、都心につくられる公団住宅も、物すごく高いんですよね。まして民間が開発する住宅ということになれば、もっと高家賃の住宅になるんじゃないか。そうなると、都心に住める人は、中堅所得から、それこそ自分で住宅が確保できるような高額所得の人に東京都の土地を提供して、そういう方々の住む住宅を供給するということになる。事実上そういうふうになって、今一番深刻な住宅問題を抱えている人たちは、相変わらず問題の解決にはならない、こういう状況になるんじゃないかと私は危惧を持っているんです。そうならないことを願いますけれども、そういう危惧を持っています。
 今この答申、ちょっと別のところの問題にもなるんですけれども、都営住宅の抜本改革というのが、かなり大きいスペースをとって、今度のビッグバンのこの答申の中の大きな比重を占めるのですけれども、この抜本改革の中には、都営住宅の入居基準を、公平性を確保するということで、困窮度や負担能力の強化を打ち出しています。そういう点では、今後こういう抜本改革の過程の中で、先ほど収入超過者の年収についても伺ったわけですけれども、場合によっては、今の高額所得といわれる人たちだけでなくて、こういう方々も立ち退きの対象にされる可能性も出てくるんじゃないかというふうに思うんですね。
 そうなると、実際上、先ほどお答えいただきましたけれども、年収、四人家族で五百十万円から七百数十万円の人たちも、場合によっては立ち退きの対象ということになると、より深刻な住宅状況に東京の事態はなっていくんじゃないかというふうに思うんですね。そういう方々の受け皿は、現実にないわけですよ。
 そのときに東京都が、住宅用地、それから都営住宅の団地を売却したり、定期借地でやって公団や民間の力でということでの住宅、そうなると、かなり高い所得の人しか住めないということにもなるわけで、やはり一番困っている低所得の人、それから勤労世帯の中間的な所得の人や、中堅所得といわれても、それの下の部分の人たちをフォローアップするような体制をつくることが、やはり東京都の責任として求められているんじゃないかというふうに思うんです。
 そういう人たちが今、都心に住めないから、どんどん郊外の遠いところから通勤せざるを得ないわけですよね。やはり、そういう都の深刻な住宅問題を解決するという点でいったら、民間に任せておく、民間にゆだねるような形では、問題は解決できないというふうに思うんです。
 だから、そういう点で、住宅用地を活用するというのであれば、公共的な責任が果たせるような都の住宅供給制度にしていくことこそ必要だというふうに思いますので、この点は重大な問題として指摘をしておきたいというふうに思います。
 あわせて、この住宅政策審議会の答申は、二十一世紀の東京の住宅政策についてのあり方を問うものになっているわけですけれども、これから住宅局がやっていく事業が、この中身を読むと、今までとは大きく変わるというふうに私、思うんですね。そういう点でいうと、やはり広く都民の皆さんが、今、住宅でどんな状況にあるのかということも含めて、都民の意見を聞く必要があるというふうに思うんですよね。そういう点で、中間のまとめの段階のときも、審議会で公聴会などを開く必要があるというふうに提起をしたのですが、実態としては行われないで答申まで来てしまいました。
 現在、この答申について、どういう形でPRをしているのかということと、それから、この答申文についてはどのぐらい印刷されているのか、それと、今後どういう形で都民の意見を集約していかれようとしているのか、その点について最後にお伺いいたします。

○小川住宅政策担当部長 非常に多岐にわたったご質問でございますが、順次お答えさせていただきたいと思います。
 まず、都心居住についてでございますが、答申は、都心部の人口空洞化や職住遠隔化の構造を改善して、職住近接により利便性と時間的ゆとりの確保を図り、都民の活発な都市活動を生み出す居住を実現することが必要だと。つまり、活力に満ちた都市居住の実現が必要であると。そのための条件を整備していくことを東京都に求めた趣旨であると理解をしております。
 こうした答申の趣旨を踏まえて、民間プロジェクトの誘導のほか、都営団地において必要な戸数を確保しつつ、敷地を利用して民間住宅を供給したり、住みかえの促進により若年ファミリー層の居住を進めるなど、地域特性に応じた多様な手法を適切に活用しつつ、多様な世帯によるミックストコミュニティの実現に配慮して、都心居住の推進に努めてまいりたいと考えております。
 なお、ご指摘がありましたが、答申の中では、収入超過者についての明け渡しといったことについては触れられておりません。入居資格の適正化という形で述べられておりますが、それは、真に住宅に困窮する都民が公平かつ的確に入居できるよう、入居や管理面の仕組みを見直すべきであるという趣旨だと受けとめております。
 なお、最後に審議の状況でございますけれども、今回の審議におきましては、諮問、中間のまとめ、最終答申、それぞれの全文及び毎回の審議会の議事録要旨をその都度ホームページに掲載いたしまして、都民に審議の内容を広く周知してきたところでございます。また、答申に当たり、三回の審議会、十回の合同会議及び三回の拡大会議を開催するなど、委員の活発なご審議を経ていただいております。さらに、「広報東京都」に掲載を予定しておりまして、さまざまな手段を使って都民にお伝えする努力を行っております。また、一般紙にも広く取り上げられ、都民から多くのお尋ねをいただいております。
 なお、印刷した部数としては、三百五十部を印刷しております。
 今後、都といたしましては、この答申を踏まえ、今年度中に新たな住宅マスタープランを策定する予定であります。その策定に当たりましても、幅広く都民の意見を聞いていきたい、かように考えております。

○小竹委員 確かに、収入超過者を立ち退きの対象にするというふうなのは、具体的には書かれていないですよ。だけれども、実際に真に住宅に困窮する人ということで出されて、何度も強調されているし、それから公平性ということで、負担能力だとか、そういう預貯金も含めて書かれているというふうなことからすれば、場合によっては、そういうところまで発展していく危険性があるということで私は指摘したまでです。
 やはりそういう点でいうと、都営住宅で一定の所得がある方々が本当に次に住みかえられるような住宅を、公的な責任としてきちんと供給するという点でいえば、そういう面での都営住宅用地や何かの活用が必要になってくる部分でもあるというふうに思うんですね。それが、即民間や公団になっちゃったら、その部分はフォローできない状況になって、現実になっているわけですから、そういう点での住宅政策のあり方として、問題を指摘しておきたいというふうに思います。
 いろいろ意見を聞くということですけれども、インターネットでアクセスできるという点では、今までにない方策だというふうに思うんですけれども、やはりこれがすべてではないですから、この印刷物も三百五十というのは、役所の中だって、それこそ全員というか職員の方、課長級の方にだって配られないぐらいの数じゃないですか。
 だから、そういう点でいうと、今後の二十一世紀の住宅行政がどうなっていくのかという点でいったら、本当にもっと多くの人たちから意見を聞く必要があるわけで、やはりそういう点では、もっとPRもしていただき、住宅関係で本当にいろいろ関心を持っておられる方たちの意見を聴取するということは、マスタープランをつくるまでの間も含めてやっていただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。

○東委員 この出されました住宅政策審議会の答申が、今後の東京都の住宅行政の方向性に一定の影響を与えるものだというふうに思いますので、本来、これは十分、担当の委員会でも審議すべきだと思うんですけれども、その点から一、二質問をして、私の主張を申し上げておきたいと思います。
 まず一つですけれども、出してもらったこの三四ページ、都営住宅制度の抜本的改革というのがあります。ここで真っ先に取り上げているのは、公平性の面から見ていろいろ問題があると。それから、制度上の問題がある。ストック保留が大事だということ。三四ページから三五ページと、その次には、改革の方向としては四五ページから出ているんですよね。
 それを踏まえた上で、私、思うんですけれども、例えば去年の都営住宅への応募者というのが、新築の応募のとき、募集のとき、それから空き家住宅の募集のとき、ずっと見ていますと、大体、二万三、四千世帯がいつも申し込んでいらっしゃるわけですよね。だから、今の時点で大づかみに見て、申し込めない人もおりますから、大体、三万前後の世帯が都営住宅に入居を希望しているという、これはもう実態としてあるわけですね。
 そうしますと、東京都の都営住宅に入りたいという人が三万世帯ぐらいいると。そうしたら、この住宅政策審議会の検討の方向として、今、東京都の住宅実態はどうなっているか、都民のどういうニーズがあるのか、それに対して住宅政策はこうあるべきだというのは、当然、答申であるべきだと思うんですけれども、今申し上げた、この都営住宅に入りたいという希望者に対して、じゃ、どうすべきだ、東京都はどういう支援をすべきなんだということは出ていないように思うんですけれども、入居希望者の受け入れをどうするというふうに考えているのか、この点、聞かせてください。

○小川住宅政策担当部長 答申の中で、るるご提言をいただいておりますが、その中で大きなポイントは、住宅に困窮する都民が公平かつ的確に入居できるよう、入居や管理面の仕組みを見直すべきである、こういう大きなご提案をいただいていると理解をしております。
 都営住宅につきましては、これまで、年間一万戸に上る空き家募集を初めとして着実な供給を図ってきたところでございますが、今後は、ストックを活用した着実な供給を続ける一方、答申の趣旨を踏まえまして、国にも働きかけて入居資格を適正化することで、真に住宅に困窮する都民の入居機会の拡大を図るという形で進めてまいりたいと思っております。

○東委員 今のその問題はまた後でちょっと申し上げますが、東京都は、この中で現状の一つとして、最低居住水準未満の世帯が全国平均の二倍だ、一一・二%あるというふうに出ておりますが、この住政審の答申では、その最低居住水準未満をいつをめどに解消するということになっているのかという点が一つ。
 それから、もう通告してありますから続けますが、もう一つの誘導居住水準世帯の解消については、たしかその半分を二〇一〇年ごろまでに解消しようというようなことも出しているんですけれども、誘導居住水準という、その家族に応じた、ゆとりあるとまでいわなくても、一定のゆとりを持った水準だと思うんですけれども、それの解消をいつごろをめどにしているのか、この二点、まとめて答えてください。

○小川住宅政策担当部長 最低居住水準未満世帯につきましては、できるだけ可能な限り早い時期に解消を図るべきであるという趣旨から、解消の目標時期を明示しておりません。
 また、誘導居住水準でございますが、この誘導居住水準は、住宅ストックの質の向上を誘導する上での指針あるいは指標というものでございまして、最低居住水準とは異なり、これに満たない世帯の解消を図るといった目的で設定されているものではございません。国の第八期住宅建設五カ年計画におきましては、二〇一〇年において大都市圏の半数、それから、二〇一五年において全国の三分の二の世帯でこの目標を達成するということが掲げられております。答申のご提言も、この基本に沿って提言をいただいているものというふうに理解をしております。

○東委員 もう一つだけ、これは質問の方ですけれども。
 東京都の住宅政策において、全体的な住宅政策の中で、この東京都の役割といいますか、それをどういうふうに位置づけているのかを説明してください。

○小川住宅政策担当部長 居住水準の向上に関します都の役割ということでございますけれども、都の方は、これまでも都営住宅におきましては、建てかえやスーパーリフォームといった形でストックの質の改善、それに伴う居住水準の向上といったものを図ってきたところでございます。
 また、民間住宅におけるストックの質の改善といったものにつきましては、例えば住宅性能表示制度など各種の制度が整備されておりますが、また、民間における良質な住宅の供給も漸次進んでいるところでございます。
 今回の答申において、都としても、民間住宅ストックの質の向上について、住宅市場における良質な住宅の供給を図ることを基本として対応すべきとのご提言をいただいております。
 都といたしましては、引き続き都営住宅等におけるストックの改善に取り組むことに加えて、リフォーム市場の整備によりリフォーム業としての業態を確立したり、家歴書の統一的整備によって中古市場の活性化を図るといった形で、民間住宅ストックの質の改善を図るように努力してまいりたいと考えております。

○東委員 もう質問はしませんけれども、ちょっと二、三、これを見ての感想を含めて申し上げておきたいと思うんです。
 まず、この住宅政策審議会で、東京都の住宅の実態、先ほど申し上げましたけれども、問題点、そして住民のニーズ、そういうものを分析して、それにどう答えるべきなのか、東京都としてはどういう支援をすべきなのかという方法を出すのが住政審の目的といいますか、大体、本来のあり方だと思うんです。
 そういう点からいいますと、例えば、新耐震基準以前の住宅が四二%あったと書いてありますよね。ということは、要するに、地震が来れば危ないというのが四割あるぞということだと思うんですね。そういうことも書いてある。それから、例えばバリアフリー化という点で見ると、六五%がそうなっていないよと。しかし、少子高齢化ということを考えるならば、それは必要だということも、暗にそういう問題点があるとは指摘しているけれども、こういう問題についてどうすべきなのか、また、東京都としてそういう問題点を解消するためにどうすべきなのかという点は、どうも余りはっきりしないような感じがするという点が一つですね。
 それで最後に、私、やはり思うのですけれども、先ほどちょっといいましたけれども、都営住宅への入居希望者が現実に約三万世帯ぐらいあるわけですよ。しかし、この中を見ると、それにどう対応すべきだということがなかなかはっきり--さっき部長がちょっと答えられましたけれども、これを見る限り、それを受け入れられるようにするには期限つき入居制度が必要だとか、それから、公平性の面から見て、入るべき人もたくさんいるのに、しかし、現在の入居者の中には、入居者の所得がよくつかめない、貯金を持っている人もいるし、資産を持っている人もいるようだと。しかし、それをつかむ仕組みがないから、そういう人たちが随分入っているんじゃないかと。それと、ストックを活用する。大体そういう指摘ですよ、この中身を見ますとね。
 そうしたら、この約三万世帯の入居者をどうするかというような方針は、やはり出ていないと思うんです、この答申の中では。そこで、結局、新規建設ということは一言も触れていない。
 だから、今、全体的な国の公住法の改正以降の、いわゆる国及び地方自治体は建設して提供しなきゃならぬという、建設を取って以降の流れの中で、国及び地方自治体は新規建設をしなくてもいいとはいわないけれども、そのことが義務でなくなったということから、ずっと新規建設がなくなってきた。そこに私は問題があると思うんですね。
 だから、そういう点では、期限つき入居制度をつくる、金持ちも入っているだとか、その人たちを追い出して、残っているストックで何とかやればいいじゃないかというような考え方じゃなくて、私は、やはり新規建設ということを、この現実の東京都民の切実な住宅要求にこたえるという点では、この住政審の方向には出ていないにしても、住政審の、そういう人たちもたくさんいるよという実態分析の上に立って、東京都としてはそういう方向ももう一度考え直す必要があるんじゃないかなということを主張として申し上げて、終わりにしたいと思います。
 以上です。

○倉林委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 ご異議なしと認め、報告に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅局関係を終わります。

○倉林委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○倉林委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、住宅局長より発言を求められておりますので、これを許します。

○戸井住宅局長 お許しをいただきまして、多摩都市整備本部、建設局、住宅局の三局を代表し、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 今定例会にご提案申し上げました案件につきましては、熱心にご審議をいただき、まことにありがとうございました。ご審議の過程で賜りましたご意見、ご要望等につきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいります。
 また、本日、皆様方の今任期最後の委員会でございますが、委員長を初め委員の皆様方には、長い間さまざまなご指導、ご鞭撻を賜り、まことにありがとうございました。改めて御礼を申し上げる次第でございます。
 今後とも事務事業の執行に当たりましては、職員一同、力を合わせて円滑な執行に努めてまいる所存でございます。
 最後になりましたが、委員長を初め委員の皆様方のますますのご健勝とご健闘を心からお祈り申し上げまして、甚だ簡単でございますが、お礼のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

○倉林委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。
 本委員会は、昨年十月、新しいメンバーで発足いたしまして、積極的に、委員会あるいはその他も含めまして活動をしてまいりました。この間、大過なく、私も委員長としてその職務を全うできましたことは、副委員長並びに理事の皆さん、そして委員の皆様方のご協力のたまものであると深く感謝を申し上げるところでございます。
 また、戸井住宅局長、そして田原多摩都市整備本部長、そして古川建設局長を初め理事者の皆様方にも多大なご指導を賜りましたことも、あわせまして深くお礼を申し上げる次第でございます。
 委員会活動を通じまして、いろいろな意見や提案等があったわけでありますけれども、ぜひとも今後の委員会運営には十分反映させ、また都民の皆さん方の期待や負託にこたえられますよう、一層のご努力をお願い申し上げたいと思います。
 ところで、今回、谷口理事、また町田委員におかれましては、今期をもってご勇退されるということであります。きょうまでのご尽力とご功績に深く感謝と敬意を表させていただくところでございます。ありがとうございました。
 また、六月二十四日の都議会議員の選挙において改選を迎える先生方におかれましては、再び都議会においてご活躍をされますよう、心からご健闘をお祈り申し上げさせていただきまして、まことにふつつかな委員長でありましたことを重ねておわびを申し上げ、私のごあいさつにかえさせていただきたいと思います。皆さんありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十七分散会

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