建設・住宅委員会速記録第五号

平成十三年三月二十二日(木曜日)
午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長倉林 辰雄君
副委員長竹下 友康君
副委員長東ひろたか君
理事谷口 卓三君
理事三原 將嗣君
理事田島 和明君
町田てるよし君
福士 敬子君
小礒  明君
沢西きよお君
藤岡 智明君
小竹ひろ子君
野村 有信君
土持 正豊君

 欠席委員 なし

 出席説明員
住宅局局長戸井 昌蔵君
次長三上 雅之君
総務部長清水  巖君
多摩都市整備本部本部長田原 和道君
建設監勝田 三良君
管理部長長野  宏君
建設局局長古川 公毅君
次長有手  勉君
道路監石河 信一君
総務部長森澤 正範君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 予算の調査(意見開陳)
 ・第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 建設・住宅委員会所管分
 ・第十二号議案 平成十三年度東京都都営住宅等保証金会計予算
 ・第十六号議案 平成十三年度東京都新住宅市街地開発事業会計予算
 ・第十七号議案 平成十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
 ・第十八号議案 平成十三年度東京都市街地再開発事業会計予算
 ・第十九号議案 平成十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
 付託議案の審査(決定)
 ・第八十六号議案 東京都営住宅条例等の一部を改正する条例
 ・第八十七号議案 東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
 ・第八十八号議案 公共事業の施行に伴う移転資金貸付条例の一部を改正する条例
 ・第九十一号議案 東京都市計画池袋二丁目付近土地区画整理事業施行規程を廃止する条例
 ・第百十二号議案 多摩川流域下水道南多摩処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
 ・第百十四号議案 平成十三年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○倉林委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 過日の委員会で理事会にご一任いただきました意見書一件につきましては、調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりましたので、ご了承願います。

○倉林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、平成十三年度予算の調査及び付託議案の審査、並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査、調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、建設・住宅委員会所管分、第十二号議案及び第十六号議案から第十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも質疑を終了いたしております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○小礒委員 それでは、私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、当委員会に付託された平成十三年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 現下の都財政は、八兆円に迫る都債残高や二年連続の財政赤字に加え、一兆円を超える隠れ借金の存在など、依然として厳しい状況にあります。こうした危機的な財政状況の克服を図るとともに、首都東京の再生に向けて、都市基盤の整備や少子高齢社会への対応、景気対策、環境対策、防災など、都政の重要課題に積極的に取り組んでいく必要性があります。
 この観点から、新しい時代にふさわしい施策の再構築や歳入確保努力など、財政構造改革の引き続く実行がますます重要になることはいうまでもありません。
 知事は、平成十三年度予算案を財政再建推進プランの前半の到達点として、その着実な実行を図ることにより、首都東京の再生を目指す予算と位置づけられました。財源確保に当たっては、銀行業等に対する外形標準課税が一千億円程度、新たな税収として見込まれ、厳しい都財政にとって大変重要なものとなります。また、都が地方交付税不交付団体であることによって受けている国庫支出金の財源調整措置に関して、知事と都議会が相協力し、国に強力に廃止を要求した結果、昨年に引き続き、改善が図られました。
 今後も引き続き財源確保に一層の工夫を図るとともに、税源移譲を初めとする地方税財政制度の改善を強く国に働きかけ、地方分権の時代にふさわしい財政自主権を実現していかなければなりません。
 また、この予算案においては、都債の償還経費等、今後見込まれる将来負担の増大に対応し、財政調整基金や社会資本等整備基金の積み立てを行うなど、財政基盤の強化を図っておりますが、財政構造改革を進めるという観点からは、必要不可欠なことであります。
 一方、景気の先行きは依然として不透明であり、都財政の運営に当たっては、常に財政再建の初心に返り、今後も引き続き、財政再建推進プランに掲げた目標の確実な達成を図っていかなければなりません。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも一層効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく、最大限の努力を重ねられるよう、強く要望をいたします。
 次に、住宅局関係について申し上げます。
 一、都営住宅の建設については、老朽化した住宅の建てかえや、既存住宅を長期に有効活用するためのスーパーリフォーム事業について、重点的、効果的に取り組まれたい。
 また、建てかえに当たっては、南青山一丁目団地の建てかえ計画の例に見られるように、地域のまちづくりや活力の向上に貢献するものとなるよう、団地の再編整備や敷地の高度利用を図るとともに、民間の住宅や福祉施設などの導入を推進をされたい。
 二、中堅所得者向けの住宅対策として、民間活用型の都民住宅制度や優良民間賃貸住宅制度を活用し、ファミリー向けの良質な賃貸住宅の供給を着実に進めるとともに、老朽化した公社賃貸住宅の建てかえを促進をされたい。
 三、地域の実情に即したきめ細やかな住宅施策が展開できるよう、区市町村による公営住宅や高齢者向け賃貸住宅などの供給支援に努められたい。
 四、都営シルバーピアなど、高齢者、障害者に配慮した多様な形態の住宅供給を促進するとともに、住宅のバリアフリー化について、公共住宅はもとより、民間住宅においても普及促進に努められたい。
 また、都営を初め公共住宅において、廊下型、階段型のエレベーターのさらなる整備促進を図られたい。
 五、都内に広範に広がる木造住宅密集地域を災害に強いまちとしていくために、いわゆる密集市街地整備法を有効に活用し、区市町村と連携しながら、木造密集地域整備促進事業などを着実に実施し、住宅、住環境の整備を強力に推進をされたい。
 六、都心居住を推進するため、都心共同住宅供給事業などを促進するとともに、分譲マンションの維持管理や建てかえのための施策、住宅の品質確保や中古住宅の流通のための施策などについても推進をされたい。
 七、都民共有の貴重な財産である都営住宅の管理に当たっては、真に住宅に困窮する世帯に対する施策となるよう、入居選定方式の見直しなどを進めるとともに、国に対して必要な法制度の改革などを強力に働きかけられたい。
 また、都営住宅使用料の滞納については、負担の公平の観点からも、徴収に万全を期されたい。
 次に、多摩都市整備本部関係について申し上げます。
 一、多摩地域のスポーツ振興の拠点である東京スタジアムを初め調布基地跡地に立地する諸施設が、多摩地域の自立化、活性化に一層の効果を発揮するよう、アクセス道路などの調布基地跡地整備に関連する事業を着実に推進をされたい。
 二、多摩ニュータウンについては、すぐれた都市環境を生かして、産・学・公の連携による新たな機能や産業の集積を図るとともに、他の核都市など、都市間の連携を視野に入れ、東京圏メガロポリスの拠点にふさわしい、魅力的なまちづくりを目指すよう努められたい。
 三、多摩ニュータウン事業の再構築を的確に実施し、宅地販売を一層推進するとともに、人、物、情報の交流する職と住のバランスのとれたまちづくりを進められたい。
 四、多摩地域における広域的交通基盤の強化を図るため、南多摩尾根幹線の整備などを積極的に推進をされたい。
 次に、建設局関係について申し上げます。
 一、東京における道路、河川などの都市基盤はいまだ十分といえる状況になく、その整備促進は、交通渋滞の解消や住環境の向上に寄与し、経済波及効果も大きいことから、今後とも、国に対して公共事業費の確保と配分拡大について要望をされたい。
 二、都民生活を支え、都市づくりの基本となる道路については、都市の骨格を形成する幹線道路、地域幹線道路、及び山間、島しょ地域の振興を図る道路の整備をそれぞれ促進するとともに、多摩川中流部架橋等についても整備促進を図られたい。とりわけ、環状八号線や調布保谷線などの区部環状、多摩南北方向を重視した幹線道路網を重点的に整備促進を図られたい。
 また、首都高王子線や新宿線の関連街路については、早期完成に向けてその促進を図られたい。
 三、公共交通については、日暮里・舎人線及び東京臨海新交通線「ゆりかもめ」延伸部、有明から豊洲の事業の推進を図られたい。
 四、交通渋滞解消やまちづくりに多大な事業効果のある鉄道連続立体交差事業については、JR中央線、小田急線、京王線、JR南武線などで引き続き事業を促進をされたい。
 また、踏切渋滞を早期に解消するため、緊急整備手法による、踏切すいすい事業のさらなる拡大を推進をされたい。
 五、おくれている多摩地域の道路整備、また歩道の整備を促進するため、みちづくり・まちづくりパートナー事業の着実な推進を図られたい。
 六、道路の騒音、振動の防止と、中小企業の景気対策にも大きく寄与する道路補修については、復活予算がついたことを踏まえ、より一層の事業の充実を図るとともに、工事の平準化を図るため、ゼロ都債を活用されたい。
 また、渋滞緩和に効果のある交差点すいすいプラン一〇〇、及び歩行者の安全確保を図る歩道整備を促進されたい。
 七、都市型水害の解消を図るため、妙正寺川、空堀川などの中小河川の護岸整備を促進するとともに、環状七号線地下調節池の整備など、総合的な治水対策の推進を図られたい。
 また、水辺に親しめる環境を創出するスーパー堤防や、隅田川のテラス整備を推進をされたい。
 八、都民に緑と潤いを与えるとともに、防災の拠点ともなる場として、都市公園の造成並びに既設公園の施設整備を促進をされたい。
 また、東京の顔づくりとして、文化財庭園の改修や活性化に努められたい。
 九、都民が安全で快適に暮らせる総合的なまちづくりを実現するため、都心部の汐留地区、秋葉原地区、環状第二号線地区及び副都心となる北新宿地区、豊洲、晴海、有明北地区の整備を促進されたい。
 十、三宅島の災害復旧について、当面の泥流対策はもとより、本格的な道路や砂防ダムの整備を強力に進められたい。
 以上をもちまして、意見開陳を終わります。

○小竹委員 私は、日本共産党都議団を代表して、意見開陳を行います。
 まず最初に、住宅局関係について申し上げます。
 住宅局予算は、九四年度、平成六年度をピークに年々削減され、来年度予算はピーク時の五六%に削減されています。中でも削減の顕著なものが公営住宅建設事業費で、ピーク時の三分の一に激減していることは重大です。
 都営住宅建設事業では、来年度も今年度に続いて二年間、新規建設ゼロであり、建てかえ戸数も三千戸、ピーク時の七五%であり、大規模団地の建てかえも、元戸数の確保にとどめるとしています。このことは、都営住宅建設からの撤退であり、都民の強い住宅要求から見ても、重大といわなければなりません。
 南青山一丁目住宅の建てかえは、初めて定期借地権による民活導入の住宅建設に踏み込むものです。ここにつくられる都営住宅は従前戸数にとどまっており、併設される商業施設の床面積や民間住宅の戸数、形態、価格など、すべて今後の事業計画の中で検討、民間任せということであります。都民の貴重な住宅建設用の都有地を、五十年間も民間に貸し付けるのに、これでは、民活先にありきという批判は免れません。
 都営住宅家賃減免制度の改悪によって、家賃収入で五十億円の増収を予定しています。免除制度の原則廃止は、特に高齢者や障害者の暮らしを直撃し、福祉の切り捨てに追い打ちをかけるものになっています。ところが、その実態すらつかもうとしていないことは重大です。
 また、都営住宅の建設業務や管理業務を住宅供給公社に全面委託するとしていることは、公営住宅の供給や管理に責任を負う自治体としての使命を放棄するものであり、住宅行政の大きな後退といわなければなりません。
 来年度予算は、今述べた都の住宅行政の根幹にかかわる施策の改悪を前提にしたものであり、到底認められません。
 以下、具体的要望について申し上げます。
 一、住宅は、福祉の立場で公共住宅の建設を基本にした住宅政策への抜本的な転換を図り、都営住宅新規建設ゼロを改め、少なくとも住宅マスタープランの達成を図ること。
 一、公共住宅用地の確保、特に都心区の用地確保に努めるとともに、公共住宅を優先に建設すること。
 一、都営住宅の都施設との合築、公団、公社との併築を促進すること。
 一、都民の要望に沿った高齢者用、障害者用、二世帯用、単身用など、多様なタイプの公共住宅を建設すること。
 一、中層住宅へのエレベーター設置を、期限を決めて推進すること。集会所の拡大と冷暖房化、高齢者施設の設置、駐車場の増設を図ること。
 一、最低居住水準未満の世帯解消のために、期間と実施計画を定めて改修を進めること。
 一、都営住宅家賃の一般免除制度を復活すること。被爆者も減免の対象に加えること。
 一、東京の実態に見合った明け渡し収入基準の大幅引き上げを国に要求するとともに、都独自の基準の上乗せを復活すること。
 一、公社住宅の近傍同種家賃基準を見直すこと。低所得者などへの減免制度を確立すること。
 一、木造密集地域の整備に当たっては、弱小権利者への補助を増額し、公共住宅の供給や家賃助成によって、賃貸住宅居住者を含めて住民が安心して住み続けられる方策を確立すること。
 一、都内の分譲マンションの実態調査を、区市町村の協力を得て早急に完了させるとともに、マンション基本台帳をつくり、老朽診断促進支援事業の創設や、大規模修繕、改築、耐震診断や補強に対する助成や、長期低利の融資制度を都独自でつくること。現行のマンション共用部分工事助成の対象枠の拡大や無利子化など、拡充を図ること。
 次に、多摩都市整備本部について申し上げます。
 来年度予算案は、新住宅市街地開発事業の二〇〇三年度事業終了に伴い、多摩ニュータウン事業会計を設置し、新住宅市街地開発事業と相原小山開発事業の宅地販売等を一体的に行うものとしています。
 新住事業は、国、都の政策のもとに進められた事業で、しかも計画段階から職住分離との疑問が持たれているものでした。終了に当たっては、都が施行者としての責任を果たすことが求められています。
 以下、具体的要望について申し上げます。
 一、地元関係市に引き継がれる公共施設は、地元市とよく協議し、今後地元市の負担増とならないよう、十分整備を図ること。
 一、民活型ではなく、公共住宅を中心とした多摩ニュータウンのまちづくりを行うこと。住宅建設対策補助を継続すること。
 一、都市基盤整備公団が多摩ニュータウンのまちづくりに責任を果たすよう、指導すること。また、未利用地の活用は住民合意で進めること。 
 一、多摩ニュータウンについて、公共交通の整備、駐車場、医療、文化、スポーツなど、公共施設を整備し、バリアフリー化のまちづくり、住区商店街の現状を総点検し、住民本意のまちづくりを進めること。
 一、多摩の自然と緑を破壊し、大企業に奉仕する既存の大規模開発は抜本的に再検討すること。坂浜・平尾地区の土地区画整理事業は、オオタカを初め野生動物の生息エリアを保護し、抜本的に見直すこと。
 一、多摩川流域下水道南多摩処理区の各市負担額の改定に当たっては、負担増を押しつけないこと。
 最後に、建設局について申し上げます。
 建設局の来年度予算では、増額されたものが道路整備、街路整備、都市公園の整備及び区画整理費などとなっています。道路関係では、都市の骨格を形成する幹線道路建設に八百二十二億円、生活関連道路には百七十七億円で、その比率は五対一になっており、大型幹線道路優先がくっきりと示されています。
 道路では橋梁整備や交通安全施設が後退し、河川改修でも一一・四%と大幅に後退しています。また、公園整備の内訳も、用地先行取得債償還が八二%を占めており、実質公園整備費などは逆に後退しています。
 区画整理事業は、汐留など大企業のためのまちづくりを進めるものであり、事業計画も事業費も、その場所も知らされず、ただ負担金だけが押しつけられる、国の道路及び河川直轄事業負担金が大幅に増額していることも問題であります。全体として大型公共事業優先、都民施策後退の予算案となっており、到底認めることはできません。
 以下、意見を申し上げます。
 一、住環境を破壊し、都民の反対の強い環状二号、調布保谷線、府中所沢線など、幹線道路建設は見直し、強行しないこと。
 一、自然を破壊し、大気汚染を拡大する首都圏中央連絡道建設を見直し、東京外環道路、中央環状線など自動車専用道路の整備の凍結解除を中止し、関連街路整備も含めた再検討をすること。
 一、道路建設に当たっては、交差点改良やすいすいプランの推進、歩道整備など、生活密着型道路事業を優先すること。
 一、道路の段差解消、点字ブロックの設置、バス停留所の屋根やベンチ設置、歩道の整備など、道路の安全対策を進めること。
 一、福祉のまちづくり条例に基づき、高齢者、障害者、子どもに優しい道路、公園を整備すること。
 一、都市公園、緑道などを拡充整備し、既存の公園の改修、整備を推進すること。
 一、河川の改修、江東内部河川など、高潮防御施設整備事業を強力に推進すること。
 一、環状二号線再開発、汐留区画整理事業は抜本的に見直すこと。
 一、臨海開発を推進する有明北、豊洲・晴海の大街区方式の区画整理事業計画は再検討すること。
 一、国直轄事業負担金は廃止すること。
 以上です。

○土持委員 私は、都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成十三年度予算について、意見の開陳を行います。
 平成十三年度東京都予算案は、一般会計で六兆二千六十億円で、三年ぶりに対前年度比三・六%増となったものの、一般歳出は対前年度比〇・三%増とほぼ横ばいとなり、投資的経費は九年連続の減少となっています。一般会計が増加したといっても、これは銀行業等に対する外形標準課税千四百十六億円、及びIT業種等の法人税の伸びに支えられたものであります。
 他方、減債基金積み立ての一部見送りや、他会計からの借り入れによって生じた隠れ借金が累計で一兆円にも上り、加えて、十四年度から飛躍的にふくれ上がる都債償還費、退職手当や既存の社会資本の維持、更新等に要する経費の増嵩を考えたならば、都財政の先行きは、なお予断を許さないものがあります。したがって、今後とも、積極的な財政構造改革への取り組みが必要となることはいうまでもありません。
 我が党は、この新年度予算編成に当たり、徹底した行財政改革で都の財政構造を変革すると同時に、少子高齢社会への対応や、東京の活性化に必要な予算には十分配慮すべきであると、主張してまいりました。
 都が今回の予算を、財政構造改革を着実に進めながら、東京の再生を目指す予算と位置づけておりますが、このことは、我が党の方針と軌を一にするものであります。その意味では、職員定数や職員給与の削減、管理事務費や監理団体への財政支出削減、経常経費の見直しなどで、およそ八百億円に達する財源を捻出し、新たな福祉システムの構築、並びに環境、教育、中小企業対策など、社会経済情勢の変化に対応した都民福祉向上のための予算確保のために充てられたことは、高く評価するものであります。
 しかしながら、厳しい財政環境下にあって、都が今後とも、財政再建をなし遂げながら東京の活力を維持し、都民生活を擁護するために引き続き政策努力を展開し、都民とともに新たな世紀の構築に向けて前進されることを、強く要望するものであります。
 以下、各局別に申し上げます。
 初めに、住宅局関係について申し上げます。
 住宅は都民の暮らしの最も基礎的な条件であり、豊かで生き生きとした都民生活を実現していく上で、住宅問題の解決は都政の最重要課題の一つであります。
 都営住宅の建設を初め都民住宅の供給、良質な民間住宅の供給誘導など施策を強力に推進するとともに、少子高齢社会の進展に対応した住宅対策や、環境や健康に配慮した住宅対策など、新たな課題に対応した積極的な施策の展開を図っていく必要があります。
 一、都営住宅の整備については、既存住宅ストックの更新に重点的に取り組み、建てかえ事業を着実に推進するとともに、内部を抜本的に改善し、良質なストックの形成に有効なスーパーリフォーム事業の拡充に努めること。
 また、世帯構成に応じた型別供給を的確に推進されたい。
 一、シルバーピアの建設及び高齢者、障害者等向けの住宅の供給拡大を図るとともに、高齢者、障害者世帯、母子世帯、若年ファミリー世帯等が厳しい実情にあることを考慮し、都営住宅に優先的に入居できるよう配慮されたい。
 一、都営住宅、公団公社住宅などの公共住宅の相互間の住みかえ制度を確立するとともに、都営住宅については、住宅に困窮する低所得者が入居できるよう、公営住宅の供給目的に沿った適切な管理に努められたい。
 一、高齢者、障害者等に配慮した居住環境を整備するため、都営住宅建てかえの際の福祉施設等の併設、既存都営住宅の高齢者向け住宅改善や集会所の改善、エレベーターの設置、高齢、障害等を理由とした住宅変更などの施策を着実に推進されたい。
 また、住宅のバリアフリー化について、公共住宅はもとより、民間住宅のバリアフリー化誘導を一層促進されたい。
 一、中堅所得層向けの住宅施策として、民間活力を活用した都民住宅の供給を着実に進めるとともに、公社の賃貸住宅についても、居住者の意向に配慮しつつ建てかえの促進に努められたい。
 一、まちづくりや福祉施策と連携した区市町村による都営住宅を一層促進するため、都の支援を強化するとともに、都営住宅の区移管や、公営住宅の供給を促進されたい。また、高齢者が安心して暮らせる高齢者向け優良賃貸住宅について、区市町村による供給拡充の支援を強化されたい。
 一、都市型居住として定着している分譲マンションについて、マンション管理法制定の趣旨も踏まえ、その維持管理や居住支援などマンション対策の拡充に努められたい。また、都心共同住宅供給事業などを積極的に活用し、都心区における定住人口の回復に向けた住宅政策の支援を充実されたい。
 一、三宅島火山災害が長期化していることから、避難島民に対する都営住宅等の提供について、さらに延長措置を講じていただきたい。また、住宅の復興対策についても、万全を期せられたい。
 次に、多摩都市整備本部関係について申し上げます。
 多摩ニュータウンの建設事業は、事業開始後三十年を経過し、まちづくりの総仕上げの時期を迎えております。社会経済情勢の変化に的確に対応した多摩ニュータウン事業の再構築を進め、残された諸課題についても、地元市と協力して迅速な解決を図られたい。
 また、現在進められているプロジェクトについても、多摩地域の振興に寄与するものとして期待が集まっており、次に掲げる施策の推進を強く要望するものであります。
 一、多摩ニュータウンにおいては、職と住との均衡のとれた複合的な都市機能に加え、環境や高齢者の生活に配慮した、ゆとりと豊かさが実感できるまちづくりを推進されたい。
 一、多摩ニュータウンは、少子高齢化社会の進展、初期に建設した住宅等の施設リニューアル等、新たな課題が生じている。このため、再構築に当たっても、ニュータウン全体の調整者として、地元市、関係機関との明確な役割分担のもとに、各事業の推進が図られるよう、仕組みづくりを行われたい。
 一、相原・小山地区のまちづくりについては、豊かな自然環境との調和を図りつつ、業務・商業など多面的機能を備えたまちづくりを実現するため、都市戦略を明確にし、先進性あふれる都市形成を図られたい。
 一、多摩地域における交通基盤の整備を図るため、南多摩尾根幹線を初めとする幹線道路など、道路網の整備を促進されたい。
 一、坂浜・平尾地区整備事業については、地域社会や自然環境との共生に配慮しつつ、整備の方向性を明確にし、事業推進を図られたい。
 一、東京スタジアムの周辺道路整備などの調布基地跡地整備事業や、西国分寺地区整備事業については、多摩地域の活性化と広域的連携、交流の拠点となるよう、地元市と協力し、着実に推進されたい。
 最後に、建設局関係について申し上げます。
 まちづくりは、都民の多様なニーズに配慮した均衡ある基盤の整備を図ることが重要であります。また、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、耐震性に強い防災体制の整備を図るとともに、高齢化社会に対応できるまちづくりを推進することが急務となっております。
 こうした観点から、以下の項目を重点的に進められるよう、要望するものであります。
 一、阪神・淡路大震災の教訓にかんがみ、橋梁、河川の護岸、堤防など、都市基盤整備施設について計画的な耐震対策を進められたい。
 一、中小河川の改修を重点的、効率的に推進するとともに、あわせて調節池の設置を推進されたい。
 一、神田川、目黒川の浸水対策については、特段の対策を講じて、川沿いの住民を浸水被害から守ることに努められたい。
 一、江東内部河川の整備を進めるとともに、しゅんせつによる水質浄化を図られたい。
 一、清流復活全体計画に基づく中小河川の清流化を推進し、自然豊かな河川整備を進められたい。
 一、都民の霊園需要に対応するため、新形式墓地の増設に努められたい。
 一、歩道橋の安全性を調査し、地元要望を踏まえ、撤去、改築、スロープ化及び必要な箇所については、エスカレーター、エレベーター設置等、総合的に見直しされたい。
 一、都市の骨格を形成する幹線道路、地域幹線道路、及び山間、島しょ地域の振興を図る道路については、逐次、事業を推進するとともに、整備のおくれている多摩地域を重点的に促進されたい。
 一、環状八号線を初めとする幹線道路のさらなる立体化を推進されたい。
 一、道路と鉄道の連続立体化を進めるため、国庫補助金の増額を国に要求するなど財源確保に努めること。
 また、JR埼京線の十条駅付近、京成押上線、小田急小田原線、東武東上線の立体化事業についても、早期事業化を図られたい。
 一、多摩都市モノレール、日暮里・舎人線の整備促進を図られたい。
 一、用地買収等の公共事業による立ち退きについては、補償基準の引き上げ、生活再建資金貸付の拡大、代替地、公営住宅などのあっせんを積極的に進められたい。
 一、事業中の亀戸・大島・小松川地区、白髭西地区、赤羽北地区の市街地再開発事業や、瑞江駅南部地区、花畑北部地区の土地区画整理事業については、早期完成を目指し、強力に推進されたい。また、北新宿地区、環状二号線地区の市街地再開発の促進を図られたい。
 一、木造密集地域の防災都市づくりの早期事業化を図られたい。
 一、都民一人当たり七平米の公園を確保するために、用地確保と整備に努め、緑豊かな都市の実現を図られたい。
 一、街路樹の保存、育成に配慮しつつ、美しい都市景観を創出するため、架空線の地中化や歩道のカラー舗装化等を促進されたい。
 一、障害者のため、点字ブロックの設置等、優しいまちづくりを進められたい。
 一、三宅島の災害復旧について、当面の泥流対策はもとより、本格的な道路や砂防ダムなどの整備を強力に進められたい。

○竹下委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼された平成十三年度予算にかかわる議案について、意見開陳を行います。
 平成十三年度東京都予算案は、企業収益の改善や銀行業などに対する外形標準課税の導入などにより、法人二税の大幅な伸びを見込み、三年ぶりの増額予算案となっています。しかし、一般歳出はほぼ横ばいであり、一般財源ベースでの財源確保の状況は、外形標準課税の導入など歳入確保策が前進した反面、内部努力や施策の見直し、再構築では、十二年度予算案に比較して大きくペースダウンしています。
 これらの結果、歳入の伸びが見込まれるにもかかわらず、職員給与の削減や減債基金積み立ての一部計上見送りで、合計一千五百億円程度の臨時的な財源対策を余儀なくされています。
 一方で、アメリカ経済の減速や昨今の世界同時株安に見られるように、日本経済の構造改革のおくれが世界経済を景気後退に巻き込み、それが日本経済を破局に導くという最悪のシナリオが進行しつつあります。また、仮に破局が回避されたとしても、景気の先行きは極めて不安定であり、都税収入の減収をも見込まざるを得ない状況にあります。
 本予算案では、財政調整基金や社会資本整備基金への積み立てによって、ある程度の減収には対応できるよう措置されていますが、今後の情勢は予断を許してはくれません。
 私たちは、政府が破局を回避できなくても、七都県市とともに連携しながら、できる限り都民生活を防衛していかなければなりませんし、東京都自身も、今後実施される組織再編成、電子都庁化に伴う事務事業の見直し、十三年度に本格実施される行政評価制度などを活用しながら、より一層の内部努力や施策の見直し、再構築に取り組んでいく必要があります。
 都財政の構造改革のより一層の推進は、二十一世紀の都政を大きく前進させるために避けて通れない課題であります。本予算案に示された各種事業の新設や強化は、これまでの構造改革の成果であります。過去に戻ることで、未来を建設することはできません。
 以上、私たちの総括的な見解を述べ、以下、各局にかかわる事項について述べさせていただきます。
 まず、住宅局について。
 一、都営住宅の建てかえやスーパーリフォーム事業を推進するなど、公営住宅建設事業を行うこと。また、都営住宅などのストックを、留学生用住宅や民間住宅の建てかえ用住宅などとして、有効に活用すること。
 一、都営住宅の建設については、ソーシャルミックスの推進や福祉施設の併設など、区市町村の福祉のまちづくりと連携しながら実施すること。
 一、区市町村が主体となった公営住宅や高齢者向け優良賃貸住宅などの供給促進を図ること。
 一、中古住宅流通市場の整備などに関する調査研究に取り組むとともに、分譲マンションにおける管理や改修、建てかえなどに対する相談事業を充実するなど、分譲マンション対策に総合的に取り組むこと。
 一、都営住宅における障害者などの優先入居を進めるとともに、公営住宅を活用したグループホームなどをさらに拡大すること。
 一、都営住宅の管理に当たっては、入居者の公平性を高める観点から、期限つき入居や使用承継の見直しなどを検討すること。
 また、都営住宅でのペット飼育について検討すること。
 一、住宅ストックを有する高齢者の居住意識などに関する調査を実施すること。また、保証人が立てられない高齢者、外国人などの世帯に対する共同保証人制度について取り組むこと。
 次に、多摩都市整備本部について。
 一、多摩地域における整備については、多摩地域全域を視野に入れ、地域間のアンバランス、多摩内格差を助長しないよう留意すること。
 一、多摩ニュータウン事業の再構築を推進するとともに、新住宅市街地開発事業の平成十五年度末終了、相原小山開発事業の平成十三年度工事概成に向けて着実に取り組むこと。
 次に、建設局について。
 一、幹線道路の整備については、区部環状、多摩南北方向などを重点的に整備すること。また、事業を進めるに当たっては、事業評価を実施するなど、事業の効率性、透明性を高めること。
 一、JR中央線や京急蒲田駅など、鉄道の連続立体交差事業を推進するとともに、臨海新交通「ゆりかもめ」延伸部の推進など、公共交通に関連する事業を進めること。
 一、架空線の地中化や潤いある道路景観づくりを進めるとともに、道路緑化を推進すること。
 また、総合治水対策としての流域貯留浸透事業を充実すること。
 一、都市公園の整備として、震災時などに緊急避難所や救援救護活動の拠点となる防災公園の整備を進めるとともに、二十二世紀の都市の森づくりや市民緑地制度を推進すること。
 一、区画整理事業及び市街地再開発事業については、木造住宅密集地域における防災まちづくりを推進すること。
 以上で、都議会民主党を代表して、意見開陳を終わります。

○沢西委員 それでは、都議会無所属クラブの意見開陳を行います。
 最初に、各局共通でございます。
 我が会派は、平成十三年度予算の編成に当たり、IT関連業種を中心とした企業収益の改善や、銀行業等に対する外形標準課税の導入などにより、法人二税の伸びが期待できるものの、先行き不透明のままにある我が国経済の深刻なる状況をしっかりと認識した上で、長期的視点に立っての編成が肝要であると強く指摘してきたところである。その観点から、十三年度の財源確保に当たり、都債を対前年度比一〇・三%減としたことについては、将来の公債費負担の軽減を図るという見地から、一定の評価をしているものであります。
 歳出面については、財政再建への道半ばとの認識のもとに、マイナスシーリングを前提とされる中で、福祉と保健について、構成比において一一・五%と前年度と同率、額において三・一%増としたことは一定の評価をするが、障害者及び高齢者対策についての一層の配慮と同時に、医療改革の着実なる推進を強く求めるものである。
 東京再生のかぎは、いうまでもなく都経済の活性化にある。中小企業対策、地域商店街活性化対策の積極的展開はもとより、生活環境改善につながる大気汚染対策、幹線道路、公園等々、都市基盤整備にかかわる公共事業の適宜適切なる展開は、都経済の活性化に欠かすことのできない要件であることを忘れてはならない。また、生活者にとって、住みよい東京を目指して努力されたい。
 世界規模で進むボーダーレス化の中で、東京が世界の主要都市としての地位を保ち続けることが、我が国の凋落を防ぐことである。そのためには、何としても、新たに生まれる都民ニーズに即応するだけでなく、社会構造の変化に適応し得る行財政の構造改革を現実のものとしなければならない。全庁挙げての取り組みを強く希望するものであります。
 次に、住宅局について。
 中堅ファミリー世帯向けの良質な賃貸住宅供給を促進するため、引き続き民間活用型による都民住宅の供給に努めるとともに、優良民間賃貸住宅制度などを活用し、その着実な供給に努めること。
 分譲マンションの品質の確保、適切な維持管理、円滑な建てかえを誘導する施策の充実を図り、都市空間を合理的に分かち合った、ゆとりのあるマンション居住が可能となるよう取り組むこと。
 都心地域においては、都心共同住宅供給事業などを活用し、土地の高度利用と居住空間の確保、創出を図ること。
 高齢者や障害者が安心して住み続けられるよう、都営シルバーピアなどの着実な供給と、高齢者向け賃貸住宅供給事業の拡充を図るとともに、民間住宅のバリアフリー化を促進すること。
 地域の実情に応じて、高齢化などに対応した住宅対策が行えるよう、区市町村に対する支援を強化すること。
 災害に強いまちを実現するため、区市町村と連携して木造住宅密集地域整備促進事業を着実に進め、老朽住宅の建てかえや生活道路の整備などの促進を図ること。
 都営住宅の建設については、良質なストック形成を図るため、建てかえに重点的に取り組むとともに、スーパーリフォーム事業の推進に努めること。また、建てかえに当たっては、地域のまちづくりに十分配慮すること。
 既存の都営住宅を有効に活用するために、引き続き高額所得者明け渡しを進めるとともに、真に住宅に困窮する低所得者への入居機会の確保など、きめ細かな対応を図り、都営住宅の管理の適正化をより一層進めること。
 次に、多摩都市整備本部関係でございます。
 多摩地域における複合的な都市整備を図るため、東京スタジアムを核とした調布基地跡地周辺地区の都市基盤整備、西国分寺地区の土地区画整理事業など、着実に推進すること。
 多摩ニュータウン事業の再構築を着実に推進するとともに、宅地販売を通じて地域の活性化を図ること。
 次に、建設局関係です。
 高齢化社会の到来を背景に、広義的福祉の立場からも、都民生活に潤い、そして安らぎを与える都立公園、六仙公園などの拡大整備に努められたい。
 主要幹線道路、多摩地域の南北道路の整備促進とともに、みちづくり・まちづくりパートナー事業を着実に進められたい。
 交差点すいすいプラン一〇〇などによる交差点改良の促進、鉄道連続立体交差事業の促進、歩道の整備、中小河川の護岸整備を進められたい。
 都道の空間を利用してのまちかど庭園については、その地域や都民に大変好評であり、費用対効果の面からも、さらに増設、充実されたい。

○福士委員 それでは、私は、自治市民’93を代表して、当委員会に付託された二〇〇一年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通について申し上げます。
 今年度の都税収入は、前年比一二・六%、四千八百十九億円の大幅増となり、とりあえず一息ついたものの、一兆円もの隠れ借金など不安材料が消えない限り、緊縮予算を組むことはやむを得ません。
 バブル経済と、中曽根政権時代に盛んに行われた民活による企画のミスで生まれた赤字は、最終的に都民生活を支える事業への支出を抑える結果を生んでいます。特に、建設関係においては、ハードなまちづくりに目を奪われ、そこに住む人々への思いが希薄になっていないか、反省すべき点が多々あると思われます。
 今や日本全体を覆う高齢社会に対応するまちづくり、人口減を予測に入れた開発への転換と経済対策が必要になると考えます。そのためにも、福祉対策は福祉局の仕事とするのではなく、計画企画段階から福祉的配慮を重視するまちづくりへと、局間のバリアを取り払った対策を望みます。
 さらに、より環境に配慮したまちづくりの推進に寄与するための総合環境アセスメント制度試行による建設事業は、必ずしも本来の環境アセスに沿った配慮とはいえず、行政と住民意識との溝は埋められていません。生きた制度づくりをすべきです。
 多額の費用を伴う公共事業に、住民不在の状態が長く続いてきました。いつまで続くか不透明な経済状況だからこそ、財政再建は単なる帳じり合わせで終わるのではなく、いかに都民に真実を知らせ、堅実な財政運営をするかに心砕くべきです。
 臨海副都心開発事業会計のように、その実態、経過を明らかにすることなく、他会計との統合による失態隠しは、都民への背任ともいえます。都民からの税収は、都民生活への支援策として返していくためにも、行政としてのおごりを捨て、都民の声を十分に生かした施策を進めるべきと考えます。
 続いて、各局関係について申し上げます。
 住宅局について。
 都営住宅への都民の期待は、良質で低廉な住宅の供給であり、社会のセーフティーネットとして大きな役割を担っています。したがって、家賃制度が変わったことにより、生活の安定が維持できない例がどのぐらいあるのか、引き続いて情報を集め、必要な対策を講じるべきであると考えます。
 都営住宅の建てかえに際しては、バリアフリー、環境保護対策に努めるほか、シンボル的樹木など住民の心のよりどころにも配慮し、住民との話し合いを十分に行い、進めるべきです。また、都として、先進的に屋上緑化、自然エネルギー利用を進め、公共住宅への推進を図るべきだと考えます。
 公共住宅においては、心身障害者などの優先入居や、高齢化する重度障害者も視点に入れたさまざまなグループホームの導入など、環境、福祉と連携した多角的な視点を持った住宅事業の熟成に努めるべきだと考えます。
 また、新たに、定期借地権制度活用による民間活力導入の手法については、安易な推進に走ることなく、地域ごとの特性を踏まえ、問題点をチェックしながらの対応が望まれます。
 続いて、多摩都市整備本部について申し上げます。
 東京スタジアムにおけるJリーグ開幕戦及び第二戦の集客は、調布市など地元の努力もあり、順調な滑り出しを見せています。しかし、こうした集客状況をスタジアム開業による一時的な人気としないためにも、さらなる経営努力が求められます。
 Jリーグ公式ホームページによると、浦和レッズのチケット販売状況が特に好調ですが、これは地元に密着したサポーターが育成されているからにほかなりません。こうしたサポーター育成に関する努力を怠っていては、来年度以降、集客が落ち込むといったことにもなりかねません。
 また、Jリーグを観戦した観客が、Jリーグ以外のイベントでも再び東京スタジアムに来場したいと考えるような魅力的な環境づくりを行うことも重要であると考えます。
 都は、筆頭株主として、営業を重視した体制づくりに早期に転換するよう促すとともに、周辺競技場もあわせたスポーツ振興の重要拠点と位置づけ、地元とも連携して、より魅力的なスタジアム経営を行うべく努力を続けるべきだと考えます。
 また、都は今回、多摩ニュータウン地域の未処分住宅地の販売促進を目的として、新住宅市街地開発事業会計と相原小山開発事業会計を統合し、多摩ニュータウン事業会計を新設するとしています。こうした統合は、所期の開発目的や経緯をあいまいにする危険性も含んでいるため、慎重に検討を行い、今後安易に会計統合によって解決を図ることは、極力避けるべきであると考えます。
 今回の会計統合は、決定的な破綻に至る前の事業計画の見直しという点で、やむを得ない対応であると考えますが、この計画見直しに当たっては、変化した企業ニーズへの対応とインフラ整備計画の見直しなどにより、出費を抑えつつ、土地処分が促進されるよう努力を続けることを期待します。
 続いて、建設局について申し上げます。
 道路建設は、一九七三年の古い建設省規則の歩道と横断歩道の接続部分の段差に関する規定が道路づくりで優先されてきましたが、その間、高齢化の進む速度に対応しないまま、今日に至っています。バリアフリーの発想が、道路づくりにおいてはなかなか進展しません。具体的には、フラットな道づくりを進め、現存の道路の段差解消について、車いすやベビーカーなど生命の危険を最優先して対策し、点字ブロックの設置は、視力障害者対策だけでなく、高齢者の転倒を招くことのないよう配慮することが重要です。
 車優先となっている現在の道路整備ですが、都民の日常生活に配慮した生活道路の安全性を重視した整備を優先すべきです。
 臨海副都心開発地域における巨額のインフラ整備については、晴海通りの延伸工事、高速道路晴海線の事業規模を再検討すること。首都高速中央環状道路と外環道路については、並行して進める必要があるのかどうかを再検討すること。首都圏中央連絡道路については、環境破壊を憂慮する住民の意見を入れて再検討することが必要です。
 臨海関連の豊洲、有明、晴海地区の開発は、月島など周辺地域も含めて、生活環境、自然環境を激変させるため、経済環境に応じた柔軟な計画に再度見直すことが必要です。
 治水対策については、墨田区の天水尊のように、雨水の利用と時間差による地下への浸透を考慮に入れるほか、総合的に地下への浸透を促す治水対策を基軸として、地域住民の合意を得ながら進めることが必要だと考えます。
 最後に、公園については、生き物の専門家がいる動物園、水族館、植物園などを環境教育、環境行動の拠点として積極的に位置づけ、園内、館内にとどまらず、環境施策の一翼を担っていくような改革が必要だと考えます。
 以上をもって、自治市民’93の意見開陳といたします。

○倉林委員長 以上で、予算に対する意見の開陳は終了いたしました。
 ただいま開陳されました意見は、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長に報告いたします。ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○倉林委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第八十六号議案から第八十八号議案まで、第九十一号議案、第百十二号議案及び第百十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも質疑を終了いたしております。
 これより採決を行います。
 初めに、第百十二号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○倉林委員長 起立多数と認めます。よって、第百十二号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第八十六号議案から第八十八号議案まで、第九十一号議案及び第百十四号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 ご異議なしと認めます。よって、本案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○倉林委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○倉林委員長 この際、所管三局を代表して田原多摩都市整備本部長から発言を求められておりますので、これを許します。

○田原多摩都市整備本部長 お許しをいただきまして、当委員会所管の三局を代表いたしまして、一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 今定例会にご提案申し上げております平成十三年度当初予算を初め、各議案につきまして、慎重かつ熱心なご審議を賜りました。まことにありがとうございました。調査、審査の過程でいただきましたご意見、ご要望等につきましては十分尊重させていただきまして、今後の事務事業の執行に万全を期してまいります。今後ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 簡単でございますが、お礼の言葉とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○倉林委員長 ご苦労さまでした。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時七分散会

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