建設・住宅委員会速記録第十八号

平成十二年十二月十三日(水曜日)
午後一時八分開議
 出席委員 十三名
委員長倉林 辰雄君
副委員長竹下 友康君
副委員長東ひろたか君
理事谷口 卓三君
理事三原 將嗣君
理事田島 和明君
福士 敬子君
小礒  明君
沢西きよお君
藤岡 智明君
小竹ひろ子君
野村 有信君
土持 正豊君

 欠席委員 一名

 出席説明員
住宅局局長戸井 昌蔵君
次長三上 雅之君
総務部長清水  巖君
多摩都市整備本部本部長田原 和道君
管理部長長野  宏君
建設局局長古川 公毅君
次長有手  勉君
道路監石河 信一君
総務部長森澤 正範君

本日の会議に付した事件
 付託議案の審査(決定)
 ・第二百七十八号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 建設・住宅委員会所管分
 ・第三百五号議案 東京スタジアムの買入れについて
 ・第三百六号議案 都道の路線の廃止について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○倉林委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査、並びに閉会中における請願陳情及び特定事件の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百七十八号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、建設・住宅委員会所管分、第三百五号議案、東京スタジアムの買入れについて及び第三百六号議案、都道の路線の廃止についてを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了いたしております。
 この際、本案に対して発言の申し出がありますので、これを許します。

○藤岡委員 私は、第三百五号議案、東京スタジアムの買入れについて、日本共産党都議団を代表して、一言意見を申し述べておきます。
 本件は、都、地元三市を初め、区市町村及び民間等の出資による第三セクターの株式会社東京スタジアムが建設した東京スタジアムを、東京都が元利合計三百六十六億円を二十年間の分割払いで買い取るというものであり、そして、スタジアムを無償で株式会社東京スタジアムに貸し付け、管理運営を任せようとするものであります。
 もとより、我が党は、多摩地域に多目的競技場を建設し、スポーツの振興を図ることは、多摩都民の切実な要望であり、多摩の振興にもつながることは十分承知しているところであります。
 しかし、改めて問われることは、第三セクターの経営のあり方であります。本来、過大な施設を建設することによって利益を受けているゼネコンや銀行に相応の責任をとらせるべきものであることを指摘しておきたいと思います。
 また、東京スタジアムが管理運営に責任を持つこととなっていますが、その収支見通しは決して甘くありません。経営が行き詰まったとして、都や関係自治体に負担がかかるようなことは、あってはならないことです。東京都においては、東京スタジアムの管理運営について、必要な監督責任を果たすことを強く求めるものであります。
 以上です。

○福士委員 私は、第三百五号議案、東京スタジアムの買入れについて、反対の立場から意見を申し述べます。
 東京スタジアムは、開業する前から、経営難を予測して巨額の公金を投入するという異例の救済措置がとられました。実質的な破綻処理となったこの事例においては、公金の支出の額とその対象を厳格に見きわめ、救済決定から一年を経過したこれまでに、第三セクターと東京都の関係がどこまで整理されているか、また、手続上も適正に処理されているかどうかを吟味しなければならないと考えます。
 ことし三月、東京スタジアムは、建設計画をまとめた武蔵野の森競技場基本計画書、平成七年十二月に出されたものですが、この内容を変更し、陸上トラックの整備をしないで、球技専用の競技場として開場することを発表しましたが、東京スタジアムの買い取りが決定されたのは、それに先立つ一九九九年九月の政策会議においてであります。その時点と現在とでは、建設されたスタジアムの仕様が大きく異なっています。
 しかし、その仕様の変更は議会に諮られることなく、仕様変更の買い取り金額への影響を十分に説明されないまま、あたかも計画どおりのものが完成したかのように議会で取り扱われてきたことに不安を感じています。
 そもそも、株式会社東京スタジアムの定款は、事業の第一の目的として、総合陸上競技場建設及び管理運営をうたっているのですから、陸上トラックの整備をしないでスタートすることは、会社の基礎ないし営業に根本的変動を生ずる事項に限りなく近い、重要な経営方針の変更であるといえると思います。経済環境の変化に柔軟に対応することは必要なことだとは思いますが、このような重要な計画変更については、一定の厳格さが要求されるのはやむを得ないことと考えます。
 関係者の話では、昨年の十月から年末にかけてのことだったそうですが、決定した時点で、直ちに委員会あるいは議会に報告されるべきでした。さらに、その後、株主総会でどのように報告され、どのような質疑の上に可決されたのかも、総会の直後に報告がなされてしかるべきです。定款の目的すら満足できない仕様の違った建物を買い取るのですから、将来、このそごをどのように治癒するのか、系統だった説明を、こちらから質問するまでもなく行うのが理事者の責任だと思います。
 このたび明らかになった経営予測については、昨年の私の質問に対するお答えの、開業初年度に税引き後利益で約四千万の赤字という楽観的な数字が大幅に下方修正されて、四億一千六百万円の赤字とのこと。その差額は三億七千万円を超え、売上高の四四%に達する下方修正というのは、余りにも大きな差だと思いますが、とりあえずは、経営分析がより精度を高めてきた結果と受け取っておきます。
 しかし、既に述べたとおり、変更した事項の重要性に対する認識とその報告のあり方、報告の時期などは、公金を投入して救済される事業であることの緊張感に欠けるものであること、また、根本的な問題として、定款の目的と建築物とが大きく食い違っている現状をどのように治癒するのかについて、何も担保する手続がなされていないことは、本議案を判断する上で、極めて重大な問題です。
 また、フィールドを改修して陸上トラックを整備しなければならないのに、その負担を問う質問で、改修といっているものを会計用語の修繕費にいいかえて答弁するなど、とても誠実な姿勢とはいえません。運営費の支援の定義をあいまいにしていること、陸上トラックを整備するための改修費用をだれが負担するのか明確に答えないことなど、将来、確実に発生する改修費用を東京都が負担する疑いが、前回の私の質問に対する委員会答弁で、いよいよ濃厚になってきました。
 昨年から質問を続けてまいりましたが、現場の奮闘を最大限に考慮しても、巨額の資金を長期にわたって投入することは、不明瞭な点が余りにも多く、本議案に反対せざるを得ないと判断いたします。
 以上です。

○倉林委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第三百五号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
〔賛成者起立〕

○倉林委員長 起立多数と認めます。よって、第三百五号議案は、原案のとおり決定いたしました。
 次に、第二百七十八号議案及び第三百六号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認めます。よって、第二百七十八号議案及び第三百六号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。

○倉林委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びに特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○倉林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○倉林委員長 この際、所管三局を代表して、建設局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○古川建設局長 お許しをいただきまして、所管三局を代表して、一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 今定例会にご提案申し上げております平成十二年度補正予算案を初め各議案につきまして、慎重かつ熱心なご審議、ご調査を賜り、まことにありがとうございました。
 審議、調査の過程でいただきましたご意見、ご要望に対しましては、今後の事務執行に十分反映させ、万全を期してまいります。今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 甚だ簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

○倉林委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十八分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る