建設・住宅委員会速記録第四号

平成十二年三月二十一日(火曜日)
午後一時六分開議
 出席委員 十四名
委員長古賀 俊昭君
副委員長小竹ひろ子君
副委員長小礒  明君
理事いなば真一君
理事今井 悦豊君
理事三原 將嗣君
福士 敬子君
沢西きよお君
浅川 修一君
寺山 智雄君
町田てるよし君
村松みえ子君
土持 正豊君
渋谷 守生君

 欠席委員 なし

 出席説明員
住宅局局長戸井 昌蔵君
次長三上 雅之君
総務部長清水  巖君
住宅政策担当部長菊田 利春君
参事渡利 紘司君
開発調整部長水庭 武宣君
参事脇  憲一君
参事小林 計代君
建設部長小関 尚久君
参事西野 和雄君
管理部長片岸 龍男君
管理制度改善担当部長津島 隆一君
営繕担当部長藤澤 幸吉君

本日の会議に付した事件
 住宅局関係
  報告事項(質疑)
  ・二〇〇〇年二月(平成十一年度)東京都住宅白書について
  予算の調査(質疑)
  ・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 住宅局所管分
  ・第十二号議案 平成十二年度東京都都営住宅等保証金会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百五十五号議案 宅地建物取引業法等関係手数料条例
  ・第百五十六号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
  ・第百五十七号議案 東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例

○古賀委員長 ただいまから建設・住宅委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅局関係の平成十二年度予算の調査及び付託議案の審査、並びに報告事項に対する質疑を行います。
 これより住宅局関係に入ります。
 初めに、過日説明を聴取いたしました報告事項、東京都住宅白書に対する質疑を行います。
 発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○古賀委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古賀委員長 異議なしと認め、報告に対する質疑は終了いたしました。

○古賀委員長 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、住宅局所管分、第十二号議案及び第百五十五号議案から第百五十七号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求のありました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○清水総務部長 それでは、去る二月十七日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、建設・住宅委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙を開いていただきますと目次がございますが、合計六件の資料の件名を掲げております。
 初めに、一ページをお開き願います。1は、東京都住宅マスタープラン(第二次)における住宅供給実績等でございます。
 公営住宅等の施策種別ごとの計画戸数と、平成八年度から十二年度までの実績及び見込みとその合計、並びに達成率を記載しております。
 なお、平成十一年度は予算戸数、平成十二年度は予算案戸数を記載し、他の事業主体が実施するもので、現時点で戸数が把握できないものは空欄にしております。
 次に、二ページをお開き願います。2は、都営住宅の耐震診断と補強工事の実施状況でございます。
 耐震診断を実施した住宅及びその結果に区分して、棟数と戸数を記載しております。それぞれごらんいただきたいと存じます。
 次に、三ページをお開き願います。3は、公社一般賃貸住宅の空き家状況の推移でございます。
 1は、管理戸数に対する空き家状況の推移でございまして、平成七年度から十一年度までの管理戸数、空き家戸数並びに空き家率を記載しております。2は、空き家率一〇%以上の団地の推移でございまして、同様に平成七年度から十一年度までについて、一〇%以上の空き家のある団地数並びに空き家数を記載しております。
 次に、四ページをお開き願います。4は、住宅局発注工事における建設廃棄物の状況でございます。
 建設廃棄物の種類とそれぞれの発生量及びリサイクル率に区分して、平成八年度から十年度までの状況を記載してございます。それぞれごらんいただきたいと存じます。
 次に、五ページをお開き願います。5は、公社一般賃貸住宅空き家状況(多摩地域)でございます。
 平成七年度から十一年度までの管理戸数、空き家戸数並びに空き家率を記載しております。
 次に、六ページをお開き願います。6は、住宅変更の申請状況でございます。
 申請理由別に区分して、平成九年度から十一年度までの件数を記載しております。それぞれごらんいただきたいと存じます。
 以上をもちまして、建設・住宅委員会要求資料の説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○古賀委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○三原委員 それではちょっと、予算絡みで二、三お尋ねしたいと思います。
 まず、予算特別委員会あるいはまたその前の本会議でも、第一回定例会では、住宅局所管内容で住宅の使用料の減免制度の改定ということが大変大きな議題といいますか、話題になっていたわけでございます。もちろんこれも大変重要な議案であることは間違いありませんけれども、この一定で減免制度を改定することによって、大変入居者の方には新たな負担がかかるのではないかというようなご質問がありました。また逆に、そんなに減免していたの、ちょっとびっくりしたなというくらい、甘いのではないかというようなご意見もありました。
 しかし、いずれにしましても、減免制度が中心に議論が進められていたのですが、私は使用料に関していえば、滞納家賃が余り話題に出なかったので、ちょっと残念だなという意味で、この委員会で取り上げさせていただきたい、こう思うわけです。
 それで、予算書を見ましても、都営住宅二十五万九千戸で七百三十七億余の使用料が計上してあります。でもこれは、減免をしているものが減らされているわけでしょうから、仮に減免が百二十億くらいあるとすれば、八百五十億くらいの使用料が入ってこなくちゃいけないということなんでしょう。
 しかし、それと同じように、滞納料が五十億超えるくらいあるというふうに私は承知しているのです。もし減免制度がなく、滞納する方も全然ないということになれば、住宅使用料九百億くらいのものが計上されてこなくちゃいけないわけなんでしょう。ただ、減免制度は福祉的な要素があり、公営住宅法の精神もありますから、減免制度そのものがゼロになるということはあり得ないわけですから、それはそれでよろしいと思いますが、仮にいろいろ批判を受けて、住宅局の今度の改定は血も涙もないではないかみたいなことをいう人がおりましたら、私はそんなことはないと思いますけれども、それでも平年度ベースできちっと整っても、五十億増収になるかならないかというようなところです。
 ところが、滞納料の方は同じくらいの五十億近いものがあるはずなんですけれども、このことについての議論をしない方がむしろ大問題なんで、ぜひ滞納料はないようにするという方向で、我々議会人も、そして理事者側も最大の努力をしなきゃならない、こう思うわけです。
 そこで、きょうは滞納の問題について取り上げてみたい、こう思っております。
 最近の滞納料はどれくらいになっているのか、大ざっぱな数字で結構ですから、世帯数と滞納料を教えていただけますか。

○片岸管理部長 滞納の直近三年間の金額で申し上げますと、平成八年度は四十五億七千万円、九年度四十九億三千万円、十年度五十四億七千万円となってございまして、滞納の件数でございますが、八年度が二万七千六十九件、九年度が二万八千十四件、十年度が二万七千八百二十六件となってございます。

○三原委員 わかりました。たしか一番多いときは九十何億という時代があったと思うのですけれども、それから平成十年度で見ると半分くらいの五十四億ということですから、滞納額は下がってきてはおりますが、でも今のご説明ですと、平成八年、九年、十年と、だんだんにまたふえてきているというわけです。しかも、二万七千世帯も滞納をしている方がいるという数字をもし都民の方が聞けば、びっくりするのを通り越して、行政側は何をやっているのだというおしかりを必ず受けるだろうという気がいたします。
 そこで二万七千余件、金額にして五十四億円余あるわけですけれども、この計算はある瞬間値でいくのでしょうから、何かの事情で一カ月滞納された方もあるでしょうし、一年とか二年とかいう長い方もあるのかもしれませんが、大体どれくらいがいわゆる長期滞納者ということになってくるのでしょうか。

○片岸管理部長 当月末までにお支払いをいただかないものについて滞納となるわけでございますけれども、ただいま先生の長期滞納、私ども六カ月以上の長期滞納者について見てみますと、その平均は十三カ月程度となってございます。

○三原委員 平均が十三カ月ということは一年ちょっとということでございますから、民間で一年も家賃を払わないでアパートとかマンションにいて、そのまま住んでおれるなんということは、ちょっと常識的に考えられませんよね。
 したがって、約一年の間、一体行政側はどうしているのだろうかということになりますが、その辺の取り組みはどうでしょうか。

○片岸管理部長 滞納が一カ月でもございました場合には、翌月には督促状を発行し、その後も、納めていただかない場合には催告書を送付いたします。そして、二カ月滞納になれば、これに加えまして、電話による催告を行います。三カ月滞納になれば、滞納整理事務を委託しております、東京都住宅供給公社の外勤職員が訪問をいたしまして、催告と滞納の徴収を行っております。
 さらに滞納が長期化いたしますれば、公社の支社に滞納者に来ていただきまして、生活状況を聴取する中で、一定額の滞納金の納入と、その残りの分の分納を約束させて、納付誓約書の提出を求めるなど、きめ細かな納付指導を実施しているところでございます。
 なお、これらに応じない誠意のない滞納者に対しましては、住宅局が、住宅明け渡し請求を含めた法的措置の手続を開始することといたしてございます。

○三原委員 わかりました。役所側としても十分に努力はしておられるということはよくわかりますが、それでもやはり平均十三カ月も滞納者があるということは非常に重大なことですから、やはり本気で取り組まなければいけないと思いますけれども、具体的に、例えばことし、こういう取り組みをしているよとかいう、今までよりももっとこうやっているのですというのはありますでしょうか。

○片岸管理部長 特別の対応でございますけれども、まず、住宅局と住宅供給公社の職員から成る滞納縮減プロジェクトチームをつくりまして、実効ある対応策を講じるとともに、住宅局の中に財源確保対策本部を設置いたしまして、その中で滞納を縮減することを局の重要課題と位置づけまして、いろいろな施策を講じております。
 具体的な内容でございますが、一つは法的措置の強化、二つは口座振替の利用拡大、三つは、管理職等によります一斉電話催告、四つ目でございますが、訪問徴収員の増員などを行ったところでございます。

○三原委員 わかりました。今申された管理職等による一斉電話催告というのは、なかなかご苦労なことでございます。私なんかも、選挙のときに電話をかけろとかいわれてかけますけれども、電話は相手が見えないのですが、やはりそんなに楽しくやれるものじゃないですよね。それを管理職の人がそんなに頑張っておられるということは、今初めて知りました。
 いずれにしても、法的措置にしろ、口座振替だとか訪問徴収だとか、どんなぐあいに反応は出ていますか。成果はどうでしょうか。

○片岸管理部長 それぞれの項目について申し上げますと、中間の状況でございますけれども、まず一点目の法的措置の取り組み強化につきましては、昨年十月から新たに三人の担当係長、これは兼務発令いたしまして、現在までに二千万円を超える滞納金を徴収したほか、簡易裁判所で、和解による今後の分割納付の取り決めなどを行ってございます。
 次に、口座振替の利用拡大についてでございますが、約四万四千世帯の利用者、まだ口座振替をやっていただいてない方へ利用申込書を一斉送付いたしまして、なおかつ戸別訪問によりまして利用の勧誘を行いましたが、その結果、約九千五百件の新規利用拡大が図られてございます。
 一斉電話催告についてでございますが、十月から一月まで、延べ一万二千件以上の滞納者に対しましてこれを実施いたしましたけれども、三カ月たった後のサンプル調査によりますと、滞納額の八〇%は収納されております。 
 そして、四点目の訪問徴収員の増員による効果でございますが、従来の外勤職員五十六名に加えまして、十月以降二十名を増員いたしまして、二月までに約一億七千万円の滞納金を徴収することができましたが、なお一層、滞納縮減に努めてまいる所存でございます。

○三原委員 わかりました。本当にご苦労をしておられることもよくわかります。
 今お話の中で、口座振替の利用を拡大するというのがありました。これは制度的にどうなのかわかりませんけれども、当初入居された時点で、もう口座振替をしてもらうように、強制はできないでしょうけれども、強くお願いをする必要はあると思いますね。今のご時勢ですから、電気とかガスとかを振替でやっておられる方が多いでしょうし、電話もそうですね。ですから、入居の手続の段階で口座振替をするように手続をするというふうに、これもぜひ検討してもらいたいと思います。
 ただ、幾ら口座振替をやっても、口座にお金がなければ、それは落ちないわけですから、それで滞納が減るということにはならないかもしれませんけれども、後から改めてそういうことをお願いに上がるというのも二度手間のような気がしますから、これはぜひ、入居の手続をするときにやるということで考えていただきたいと思います。
 そこで、法的措置が何といっても最終的なことなんだと思うのです。今、法的措置をどういう範囲で、どういうふうに検討してやってこられているのか。端的にいうと、まず、数字はどれくらいでしょうか。

○片岸管理部長 誠意のない滞納者として、法的措置対象者に選定した件数は、ここ三年間で申し上げますけれども、八年度は五百四十八件、九年度六百五十二件、十年度八百四十六件でございます。

○三原委員 まあ、法的措置の対象者がそんなに多くもないのだなという気がするのですけれども、実際それで、いよいよ裁判しますよという、訴訟提起はどのくらいになるのですか。

○片岸管理部長 訴訟提起の件数でございますが、平成八年度四百五十二件、九年度五百十件、十年度六百十二件となってございます。

○三原委員 途中和解の報告みたいなのが、本会議場にもよく書類で配られているのですけれども、平成十年度、仮に六百十二件の訴訟提起があって、最終的に和解するのと判決するのと分かれると思うのですが、そこら辺はどのくらいの数字になりますか。

○片岸管理部長 十年度の法的措置に選定されたもので、年度末までに簡易裁判所で起訴前の和解をしたものが九十一件ございます。そして、訴訟提起後、地方裁判所で和解したものが百七十三件ございまして、合わせて二百六十四件が和解となってございます。
 この和解成約をしたものにつきましては、おおむね履行されているところでございます。

○三原委員 そうしますと、最終的に判決を受ける人は三百四十八件と、単純計算でそうなるのですけれども、これらの弁護士費用というのはどれくらいかかるものですか。参考に教えてください。

○片岸管理部長 十年度の数字で申し上げますと、弁護士の訴訟委託経費、あるいは強制執行を行う経費等を合わせまして、平成十年度約三億二千万円の委託料を用意しております。

○三原委員 弁護士さんにかかわる費用が三億円を超えるというのですから、かなりの金額だなという気がします。
 それはもうやむを得ないことではありますけれども、法的措置、特に訴訟まで持ち込まないで早く解決することを考えなければいけない、こう思うのです。実際に、滞納整理で法的措置をやられるための役所側の執行体制みたいなのはどうなっていますか。

○片岸管理部長 現在の法的措置に対します執行体制でございますが、滞納整理担当副参事一名、それから訴訟担当係長四名の五名体制をとっておりますけれども、平成十二年度は、管理職一名の増員を含めまして六名増員いたしまして、全体で十一名の体制へと強化してまいることとしてございます。

○三原委員 係の人がたくさんいれば対応がよくなるというものでもないと思いますし、もともと、こういうことのために管理職を含めて十一名もいなくちゃいけないというところが、非常にやはり寂しいなという気がします。ですから、こういうところを逆に極力減らすためにも、何らかの形で滞納者を減らすということを考えていかなければいけないと思うのです。
 もう一つ、最終的に、例えば判決を受けたりしても、あるいは部屋を明け渡して退去していて、とにかくどうしてもお金が取れない人というのは、何百人か何千人かおられるのじゃないかと思うのですが、その辺どうですか。人数とかお金はわかりますでしょうか。

○片岸管理部長 ちょっと今――大変失礼いたしました。四千九十一人で、十一億円余となってございます。

○三原委員 済みません、ちょっと事前によくお話ししてなかった数字を要求したものですから、失礼しました。
 四千人余で十一億円、これはもう全然取れないということだと思うのですけれども、これなんかも、そこへ行く前に何か講じることを考えなければいけないと、すごく思います。
 全体から見れば、十一億円という数字は、東京都なんか十二兆円からの予算を審議していますから、ぴんとこないかもしれませんけれども、十一億円もあれば、ちょっとしたマンションが建ってしまうわけですからね。これが永遠に取れないのですよ――取れないといういい方はおかしいけれども、回収できないのですよということは、とても都民の前でまともな顔をしていえませんよね、恥ずかしくて。やはりここは、最終的に回収できないかもしれませんが、こういう事態に至らないためにどうするかということを、しっかり考えなければいかぬところですね。
 そこで、滞納整理は供給公社の方に委託をしてやっておられるのだと思うのですけれども、公社の方の収納は、ここ二、三年、どんな状況でしょうか。

○片岸管理部長 公社におきます収納額でございますが、平成八年度約四十五億四千万円、九年度が約四十七億九千万円、十年度が約五十億四千万円となってございます。

○三原委員 ということは、先ほど約五十四億というのですから、ほぼ滞納になる部分くらいは回収しているのだけれども、またすぐ滞納が別に発生している、繰り返し繰り返しいっているということなんですね。しかし、これはかなり問題ありますよ。納めてくださる方もあるけれども、それとは別に、また納めない人が同じくらい発生しているというのは、俗にいうイタチごっこになっているのかもしれないのですけれども、ここはやはりもうちょっと厳密にいかないと、先ほど申し上げたように、最終的には全然回収できないものが十一億もあるということになれば大変問題だ、こういうふうに思います。
 たしか供給公社の方も百人くらいで対応しようというご計画があるというふうに聞いているのですけれども、仮に百人くらいで徴収して歩かれるとしても、先ほどの話の二万七千件くらいの滞納者があると、単純にいうと、百人くらいで回るとなれば、一人二百七十件くらい受け持つという勘定ですから、毎日一カ所行って三百六十五件、そういう意味では、百人用意して対応しても、ちょっとなかなか難しいな、という気がしないでもないのです。
 したがって、その辺をどういうふうにすれば収納額がアップできるのか、これはかなり詰めて考えなければいけない、こう思いますが、その辺、何か最近のお考え、あるでしょうか。

○片岸管理部長 先ほどご答弁させていただきましたけれども、局の中で実効ある施策を平成十二年度も続け、それからさらに増強策を講じていくわけでございますけれども、公社におきましても、新たに内勤職員の増強だとか、あるいは本社においても体制強化を図っていくというようなことを考えているところでございます。

○三原委員 本社、公社ともに、まず人員による体制をしっかりする、こういうことは、もう当然だろうと思います。
 そこで、私がせっかくこうして一連のことを質問させていただいたのは、やはりこれももう少し民間活力を導入するといいますか、民間の知恵を少し借りる方がいいのじゃないか、こう思ったからでございまして、別に公社の職員の方や住宅局の職員の方が甘いとか、十二分に仕事をしておられないという意味では全くございません。今、一連のことを聞きまして、一生懸命努力をしておられるということはよくわかります。わかりますけれども、例えば、先ほど四千人余の人が十一億円全く回収できなくなってしまうという状況にまでいってしまっているのは、やはり居住者と住宅局、あるいは供給公社との情報が密でないから、そういうふうになってしまっているのではないかということをすごく感じるのです。
 そこで、民間の方を活用するのにどういうやり方があるのかよくわかりませんけれども、いろいろやり方があるのかもしれませんが、私が一つ考えているのは、住宅局が指導しておられます、宅地建物取引業者というのがあります。これは取引主任者たる資格者を置いて営業しているわけでありますけれども、せっかく住宅局が管理監督をしておられる団体であり、その従業員といいますか、関係者の方なわけですから、こういう方にもう少し力を貸してもらったらどうかな、こう思うのです。
 例えば二百戸とか三百戸くらいで一団地になっているわけですから、一つの団地に宅地建物取引業者さん二社、あるいは三社くらいが専属で張りついて、日常から情報を密にする。後ほど、もう一つ伺いたいと思っていますけれども、巡回管理人制度というのを公社に委託してやってもらおうというようなことをお考えのようで、予算も二千八百九十六万だか、予算書に計上してありますけれども、これなんかも、公社の職員の方が巡回管理をするといったって、二十五万余もある住宅数ですから、それこそ何百人も雇わなくちゃ、十分対応できないということになるのじゃないかと思うのです。
 しかし、地元におられる宅地建物取引業者さんみたいな方にきちっと、あなたの会社はどこ、あなたの会社はこの団地担当ですよと決めてもらって巡回サービスするとか、あるいはまた、そこの団地の自治会長さんなんかと情報を密にするとか、そういう中で、あるときは窓口センターの業務を兼ねるようになるのかもしれませんが、例えば蛍光灯の取りかえであるとか、夏場に樹木が生い茂ればその枝払いであるとか、公園なんかのごみさらいとか、簡単な仕事はそういう方にも受け持ってもらう。そして、滞納の方がおられれば、そういう方を昼といわず夜、土曜、日曜、祝日、そういう日にも、すぐそばの方ですから、何度でも訪ねていって事情を把握することもできる、こう思うのです。
 ただ、そういう民間の人に滞納家賃や何かを扱わせるということは、ちょっと個人の秘密にさわるということで、問題があるというふうにいわれるかもわからないのですが、ご承知のように、宅地建物取引業者の方は、業務上知り得た秘密を公にしてはいけないという守秘義務が、法律上きちっと課せられています。
 実は私がオウム対策を質問したときも、どうもこれはオウムのような怪しい人がアパートを借りに来たなと思うときは、警察に相談したらどうだといったら、お客様として来られて、アパートを借りたいというお客様を、これはオウムかなというので警察に通報するのは、守秘義務に反するからできませんという。それくらい宅建業者さんは秘密を守るということになっているのであれば、例えば家賃の収納についてご協力をいただいても、十分に秘密を守ることができるわけです。
 したがって、公社の方が何回訪ねていらっしゃるのか、細かいことまで聞いておりませんけれども、少なくとも百人からの公社の滞納整理人が訪ねていくよりも、近所の不動産業者の人が、昼といわず夜といわず、土曜、日曜といわず訪ねていただいて、状況を把握してもらうという方が、私ははるかに効果的だというふうに思うわけです。
 したがって、滞納整理から巡回管理の方まで話が及んでしまいましたけれども、滞納整理については本格的にきちっとしていくという姿勢を持ってもらいたいし、それから巡回管理制度を具体化していくというのであれば、公社で新たに人を雇ったりというようなことではなくて、地元の宅地建物取引業者さんを活用するというようなことを考えてもらいたい、こう思うわけです。
 話がちょっと幅広くなってしまって申しわけないのですが、滞納整理については、今、公社で頑張っておられますけれども、巡回管理制度というのは、今私が申し上げたようなことも含めて、どんなふうに考えておられるのでしょうか。

○津島管理制度改善担当部長 巡回管理人につきましては、平成十一年三月十六日に、高齢化した都営住宅の実態に対応するということで、東京都住宅政策審議会から答申をいただいておりまして、その中で、巡回管理人についての具体的ないろいろな事務が列記されております。
 その内容でございますけれども、居住者及びその世帯の状況、住宅や共同施設、施設内の環境の把握等をより適切に行うため、中小規模の団地に、新たに団地の現地管理を担当する管理人を配置すること。それで、答申では、具体的な事務としては、建物外観等の目視点検や自治会に対する共有部分の管理などに関する助言、それから連絡員の指導、また各種届け出書類に関する相談、また、民生委員や区市町村の福祉部局との有機的に関連した活動を期待するなどと提言されております。
 そういう提言を受けまして、平成十二年度、私ども予算二千八百万いただきまして、実施に当たっては住宅の管理を充実するほか、福祉部門との連携も果たすような役割を含めまして、巡回管理人制度を区部、多摩、一カ所ずつモデル実施することとしております。

○三原委員 もっと早い時間に私どもが提案をして、検討をしてもらえばよかったのでしょうけれども、もう既にそういう動きもあるわけですから、強制はできませんけれども、せっかく住宅局が指導監督している宅地建物取引業者でございますから、ぜひひとつ活用することを考えていただきたい、こう思います。
 そこで最後に、局長に、とにかく滞納縮減には最大の知恵を働かさなければいけないことが一つ。それから、その知恵を働かせる中には、民間の活力を導入することはどうだろうか。もう一つは、前から申し上げているのですけれども、機関保証ですね、要するに保険会社ときちっとタイアップしてやるという方法。この二つを含めて、滞納縮減について、ぜひ局長のご決意を伺いたいと思いますし、あわせて、巡回管理制度も民間業者さん、つまり宅地建物取引業者さんなどを活用する道をもう一遍検討してもらって、そういうモデルケースでも立ち上げてもらえばありがたいと思いますので、局長のご決意を最後に伺いたいと思います。

○戸井住宅局長 まず、滞納の問題でございますけれども、確かに平成十年度で五十五億円に上る滞納額が発生し、しかも毎年それが、徐々にではありますけれども拡大しているという状況です。
 また一方、ほとんど多くの居住者はちゃんと使用料をお支払いいただいている、そういう点では、社会的公平性の問題もあると思います。
 そういうことで、私どもといたしましては、極めて重要な問題であると認識しておりますし、またそのために、ただいままで担当部長がご説明いたしましたように、いろいろと協力の施策、またきめ細かな施策について取り組んでいるところでございます。
 また一方、この問題は、実は都営住宅の家賃の滞納だけではなく、他の制度、例えば年金の制度ですとか、そういうところでもやはり最近急激に滞納額が増大している、そういう現状がございまして、これは景気とか、リストラとか、失業者がふえているとか、そういうところと関係するのかもわかりませんけれども、そういう中では、確かに都営住宅の滞納、徐々には拡大しておりますけれども、そういう他の制度に比べては、拡大率は極めて少ないのではないかというふうに思います。
 しかし、この問題は非常に重要な問題でございます。先ほど来、口座振替の問題、納付指導の協力、法的措置を積極的に活用していくというようなことをるる申し上げておりますけれども、やはりそういうこと以外に、先ほど先生からご指摘いただきました、民間活力を活用していくということで、我々が今まで考えている以外のさまざまな新しい知恵、工夫というものが、民間活力を活用していく中で生み出されてくるのではないかと思います。
 そういう点で、この問題については総合的に、さらに力強く取り組んでいきたいというふうに思っております。
 それから巡回管理人の問題でございますけれども、これも多摩一カ所、区部一カ所でモデル的に実施を計画してございますけれども、この問題につきましても、やはり先生ご指摘のとおり、我々だけ、公社だけで実施していくということではなくて、できる限り、今でも若干の民間活力、活用してございますけれども、これをさらに民間活力の活用に努めていきたいというふうに思っております。

○三原委員 以上です。

○村松委員 私は、住宅供給公社の家賃制度の改定について伺います。
 まず、住宅供給公社の家賃制度の改定が行われるといわれておりますけれども、どういう内容でしょうか。

○脇参事 公社が現在検討している家賃改定の考え方でございますが、基本的には、他の公的賃貸住宅におきましても、いわゆる市場家賃の考え方を採用いたしましたことを参考にして、公社住宅におきましても、市場家賃を考慮した家賃とすることでございます。
 また、あわせまして、現在お住まいの方の居住の安定に配慮し、家賃の上昇額を一定程度に抑制する措置や、高齢低所得者世帯等に対する家賃の減額措置も検討していると聞いております。

○村松委員 もう少し具体的にお聞きしたいのですが、現行家賃から市場家賃に近づけていきたいという中で、一度に上げるわけにいかないから、二分の一くらいずつ上げていく、そういう上げ方ということでよろしいですか。

○脇参事 家賃改定の具体的な中身につきましては、現在、公社におきまして、調査会等のご意見も踏まえながら検討しているところでございます。

○村松委員 今のこのご時勢で、家賃の値上げがどれほど都民の暮らしに大きなかかわりを持つのか、大事な問題なんですよ。それをなぜもっと具体的に答えられないのですか。どういう方法をやろうとしているのか、もう一度答えてください。

○脇参事 公社におきましては、家賃改定に当たりまして、近傍同種の住宅の家賃の額、変更前の住宅の家賃の額、経済事情の変動等を総合的に勘案して定められるような家賃改定のルールを、現在、検討しているところでございます。

○村松委員 その中には三年ごとに改定をする、そういう問題も含まれていますか。

○脇参事 家賃改定の具体的な内容につきましては、現在、公社において検討中でございます。

○村松委員 こういう問題が、なぜ都議会の場で明らかにできないのですか。東京都と公社の間というのは、どういう関係なんですか。
 ここに事業概要があるのですが、設立団体、東京都なんですよ。基本金も東京都が全額出しているのじゃないですか。そこの役員だって、ほぼ東京都の役員も入っていますよね。それなのに、なぜこの場で供給公社の家賃の問題が明らかにできないのですか。おかしいですよ。答えてください。

○脇参事 公社の一般賃貸住宅の家賃改定につきましては、公社におきまして、公社住宅管理問題調査委員会というものを設置し、そこで外部の専門家あるいは居住者の代表の方などに参画いただきまして、ご意見を賜っているところでございます。
 現在、五回にわたる調査会が終了いたしまして、ご意見等を公社において整理しているところでございまして、それらを取りまとめて、公社における評議員会にお諮りするべく、現在、検討を進めているところでございます。

○村松委員 公社の事業ということでここに書かれているのですが、公社は、東京都の住宅政策の実施機関として、住宅を必要とする都民に対し、分譲及び賃貸等の方法により、居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地を供給し、都民の生活の安定と社会福祉の増進に貢献することを目的として事業を推進していると。東京都と密接に結びついているのですよ。それでいて、なぜこの場で明らかにできないのですか。
 どのくらい家賃が上がるのか、平均はどのくらいか。今度、東京都が出した居住者向けのチラシがありますよね。あのチラシの中には、家賃の上がる人もあります、下がる人もあります、そういう中身、書かれておりますよね。ということは、それは家賃が何人が下がるのか、何人が上がるのか、それはつかんでいると思うのですよ。それだけでも答えてください。

○脇参事 新たに市場家賃の考え方を導入いたしますことから、従来のように一律に値上げするというだけではなくて、上がるところもあれば下がるところもあるというふうな家賃改定になろうかと思いますけれども、その具体的な内容につきましては、現在、公社において検討中でございます。

○村松委員 とても納得できないですね。来年度の予算にかかわっているのですよ、これ。来年度の予算にもかかわっているから、だからこれ、質問しているのですよ。
 東京都南部でもこれをやっていたらあれですが、私ちょっと、家賃改定の調査会に出ている人に資料をいただきました。これは自治会に配っているそうですから、自治会からいただきました。
 その影響を見ますと、総戸数六万二千世帯に対し、引き上げが五万九百なんです。引き下げが八千六百、五万九百という数は八割以上じゃないですか。そういうところに影響がある家賃の引き上げ、これをこの中でいえないなんて、とんでもないですよ。議会軽視も甚だしいというふうに思うのですよ。
 これからの家賃の値上げ、日程はどういうふうになっているのですか。

○脇参事 公社におきます評議員会にご報告、お諮りいたしまして、公社としての方針を明らかにし、その後、居住者等へのPRを進めていく予定と聞いております。

○村松委員 その評議員会はいつ計画されているのでしょうか。

○脇参事 直近の評議員会は、三月三十日に予定されていると聞いております。

○村松委員 三月三十日に予定と。この予算が決まるか決まらないか決まるのが、今、三月三十日の予定ですよね。そのやり方というのはどうなんですか。来年度の予算にも直接かかわりがあるのですよ。それなのに、きちんとこの辺を明らかにしないで、予算審議なんかできないじゃないですか。とんでもないと思います、本当に。
 皆さんは市場家賃に近づけたいとか、近傍同種家賃にやりたい、そういう問題をいっておりますけれども、私はこの問題点をはっきりとさせていきたいと思います。
 そもそも、東京都の公社住宅のよって立つところの地方住宅供給公社法の目的、これは何なんでなんでしょうか。

○渡利参事 東京都の住宅供給公社のよって立つところの地方住宅供給公社法の第一条でございますけれども、第一条は、「地方住宅供給公社は、住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者の資金を受け入れ、これをその他の資金とあわせて活用して、これらの者に居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地を供給し、もって住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」と規定しております。

○村松委員 こんなに立派な目的を持っているのですよね。それが、この中で勤労者といっている、そういう中堅所得者の住宅事情が今どういう状況なのか、皆さんご存じなんですかね。
 働き盛りの中堅所得者、重い住宅費とそれから教育費、大変なんですよね。今のこの不況のもとで仕事がない、リストラだ、そういう中で必死に生きているのですよ。そういうところで、今の近傍同種家賃を取り入れた都民住宅が一体どうなっているのか、そのことを私は見てみたいと思うのです。
 これは、東京都の住宅局が出した住宅白書なんですけれども、ここにはこういうふうに書いてあるのです。「都民住宅居住者で住替え意向をもつ人の理由をみると、『入居者負担額が増えるため』が七二・五%で最も多くなっている。住替え意向をもつ人の割合は七〇・八%あることから、全体として約半数の人で、居住年数の経過に伴う家賃負担の増加といった経済的な要因が住替えの理由になっている。」今、都民住宅の中でも、家賃が関係なければ、広さとか条件からして、住み続けたいと思うと思うのです。ところが、高くて、とてもじゃないけれども住み続けられないというふうに、皆さんがつくった白書でいっているのです。
 それから、どれほど住居費負担が重いかだって、ここにあるのです。住居費負担率、年収――税込み――に占める住居費の割合を見ると、住居費なしを除いた全体の平均は二一・一%だと。家賃や住宅ローンを負担している人の住居費はかなりの負担となっていることがわかる。特に、民間戸建て借家では、負担率二〇%以上の人が五四・七%おり、負担率の平均は年収、税込みですけれども、三二・三%に上っている。また、民間賃貸集合住宅でも、負担率二〇%以上の人が五五・七%おり、負担率の平均も二七・三%に上るなど、民間賃貸住宅では、住居費の月額、負担率ともに大きくなっており、重い住居費を負担せざるを得ない状況にあることがわかると。ここでもはっきり、近傍同種の家賃を取り入れた都民住宅、それから民間の中で生活している人が、どれだけ住宅費が重くのしかかってきているか、これはもう一種の悲鳴ですよ。都民の悲鳴なんですよ。こういった都民の悲鳴に対して、どういう認識をお持ちでしょうか。

○菊田住宅政策担当部長 ただいま白書の数字を引いてご質問いただきまして、例えば都民住宅の住みかえの理由を引かれましたが、入居者負担額がふえるためというのは、都民住宅が年々支払い家賃が上がるという仕組みになっていることからくるものだというふうに思います。
 大きく住みかえの理由は、そのほかにも、より広い住宅に移りたい、こういうご意見もございまして、負担率なり、それぞれ自己の状況なりというのをお考えになってお答えいただいているのだというふうに思います。
 それから、住居費負担率につきましては、先生がおっしゃいましたように、民間賃貸集合住宅の平均は約二七%でございますし、公共の賃貸住宅の平均は一七・九%でございます。当然、公共賃貸住宅の側の方は補助金を入れて安くしておりますし、家賃対策も、例えば公営住宅のように、一部対策もございます。こういう意味で、低所得者の方々のために特にお安くしておりますので、こういった形で差が出てきているというふうに思います。

○村松委員 それが東京都の役割だと思うのですよ。この地方住宅供給公社法に基づいて、また東京都の住宅供給公社の事業に基づいて、東京都が中堅所得者の人たちに政策として供給しているのだと思うのです。民間住宅、市場家賃というのは、その中にもうけが入っているのですよ。この法のもとで行っている公社が、民間同種になぜ合わせなければいけないのか、おかしな話だと思うのです。
 特に、今公社住宅に住んでいる人たち、それこそ高齢化したり、あるいは今の不況のもとで、生活がどんどん苦しくなっている。前の公社の家賃の値上げのときは、多分六年前だったと思うのです。六年前と今の年齢層、それから所得、本当はそこのところがわかっていれば示してほしいのですが、もしわかっていなかったら、六年と九年の三年間、どういうふうな推移があるのか、示してください。

○脇参事 平成六年度及び平成九年度に、公社が公社の居住者を対象に、サンプリング調査によりまして居住者の実態調査をいたしました。
 それによりますと、世帯主の平均年齢が、平成六年度におきましては五十一・二歳であったものが、平成九年度の調査では五十三歳という状況になっております。
 また、家族人数につきましては、平成六年度が二・九人に対しまして、平成九年が二・七名ということになっております。
 また、世帯平均年収につきましては、平成六年が六百二十二万円であったものが、平成九年が五百九十万円ということになっております。

○村松委員 公社の調査の中でも明らかに平均年齢が上がっている、それから所得も下がっている、それはいえると思うのです。そこへきてさっきの値上げが出てくる。東京都の場合は千人を対象にした調査だったと思うのですが、私がいただいている東京都公社住宅自治会協議会の家賃問題アンケート、これは一万四百五十三名を対象にして、回収は二千百人ということなんです。ここのアンケートの中でも、ちょっと数字は違うと思うのですが、年収は三年前四百五十万だったのが、現在は四百万になっている、そういう数字が出ているのです。
 居住者の意見というのは、今度の家賃値上げに対して、何か生の声は聞いているのでしょうか。

○脇参事 居住者の方々の生活実態といいますか、その辺のお話は、先ほどの調査会におきまして、居住者の代表の方も参加していただいておりますが、その中で、ただいま委員ご指摘のアンケート調査につきましても、報告があったというふうに聞いております。

○村松委員 中身について一々聞くと、そちらの方は持ってないでしょうから、私がいただいたのをちょっと紹介しますけれども、一つは、主人の年齢が年金をもらう年になりましたが、年間百万程度で、貯蓄を足りない分に充てています。節約できるのも公共料金くらいです。私はパートで少しは収入もありますが、とても間に合いません。値上げは反対です。
 不況のあおりで勤務先の会社が急に倒産し、高年齢のため再就職もなく、この先不安な生活が待っている状態のため、家賃の特別措置や、やむを得ぬ理由がある場合等を検討していただけないでしょうか。
 それから、仕事が思うようにないので生活が非常に苦しい。その上家賃値上げとは、とても困ります、何とか据え置きを願いたいと思います。こういう意見が出ています。
 さらに、公社は公の住宅だということを忘れているように思う。家賃も民間並みという動きがあるようだが、高いものを安くするというのはいいが、差額分を上げるということは絶対反対しますと。全くこういう意見というのは、率直な意見だと思うのですね。
 そういうあれが出ているのですが、九六年に公営住宅法の改定がありました。その内容は、一般住宅の収入分位はどのように変わったのか、答弁、すぐ用意できますか。

○清水総務部長 公営住宅の入居対象者の収入分位につきましては、法改正前は収入分位〇%から三三%までであったものが、改正後〇%から二五%ということになりました。ただし、高齢者等につきましては、上限四〇%となっております。

○村松委員 一般住宅の収入分位ですけれども、三三%が二五%になったのです。ここに逐条解説があるのですが、この収入分位二五%より上の人は、都民住宅なり公共住宅で引き受けることになっている。そういうふうな状況ですよね。そういうふうに書いてありますよね。そういう中身が逐条解説には書いてあるのです。
 今、公社住宅に入っている人たちは、都営住宅に入居するぎりぎりの人がいるのじゃないだろうか。そこに近傍同種家賃がかかってしまったら、そこにも入っていられなくなっちゃう、そういうふうに思うのです。
 今、大分公社住宅も古くなっていると思うのです。これから建てかえ問題が出てくると思うのです。この建てかえについては、建てかえ後の家賃はどういうふうになるのでしょうか。

○脇参事 建てかえ後の家賃につきましては、現在のところ、まだ決まっておりません。

 なお、先ほどの答弁で答弁漏れがございました。都の予算と公社の家賃体系の関係につきましてのご質問にご答弁できなかったのですけれども、平成十二年度予算における公社に対する貸付補助は、一般賃貸住宅の建てかえに要する経費等の一部を対象にしているものでございまして、公社の家賃改定の有無は、都の十二年度歳入歳出予算に影響することはございません。
 また委員が、公社の家賃引き上げ住宅が五万九百戸とか、調査会での審議の過程で試算として出されたデータをお使いになられましたけれども、これにつきましては、現在、公社において精査をしているところでございまして、その点、誤解のないように、よろしくお取り計らい願います。

○村松委員 何でも隠せばいいと思っているのですけれども、これほど公開しなければならないと、情報公開が叫ばれているときに、何で都議会に情報が公開できないのか、そういう思いがあります。
 それから、先ほど、予算には関係ないみたいなお答えしていましたけれども、東京都が公社住宅の方に貸付金とか補助金を出していますよね。これは事務事業の中にあるのですが、公社が貸付金相当額を社債発行等により資金調達する場合、元金は執行年度から三年据え置きの七年間に均等分割して貸し付けるものとし、その利子は補給すると、そういうふうに書いてあるのですよ。これは九年なんです。ところが、ほかは書いてないのです。こういうふうに、利子補給なんかも変わってきているのです。
 それから、公社は値上げをするたびに、修繕費が足りない、そういうふうにいっているのです。そこで、公社住宅の経営状態は今どういう状況なのか、それから公社の引当金にはどんなものがあるのか、示してください。

○渡利参事 公社の経営の状況でございますけれども、バブル経済がはじけまして、それから経営がかなり悪化してまいりましたけれども、一昨年、経営健全化五カ年計画を策定いたしまして、それに沿って、今、健全化に努めているところでございます。
 現在の状況は、経営横ばいと申しますか、均衡は保っておるというような状況でございます。
 それから、もう一つの引当金の関係でございますけれども、公社の引当金には、流動負債における引当金、それから固定負債における引当金、この二種類がございます。

○村松委員 経営改善引当金と社屋整備引当金、ここにあるのですが、先ほどの答弁の中でも明らかになりましたが、今の公社の経営実態というのは、本当に健全だと思うのです。
 公社は監査対象になっておりますよね。先日出されたその監査の中身を見ても健全だということははっきりわかるし、その中の意見で、こういうのがあるのです。経営改善引当金と社屋整備引当金の計上について、意見が分かれているのです。
 その中の意見というのは、二種類の引当金の繰入基準は必要額を繰り入れるとなっており、客観的な繰入基準は不明確であり、実際の繰入額は恣意的なものとなっている。このような性格の上記二種類の引当金は、一般に公正妥当と認められた会計慣行では負債性引当金とは認めがたく、利益留保的性格の引当金であり、その実態は剰余金、平成十一年三月末現在の経営改善引当金と社屋整備引当金の残高合計百四十五億二千六百万円と考えられる、こういうのが出ているのです。
 これだけ健全で、なぜ値上げをするのだというふうに思うのです。私は、この中をもっと本当は精査して、いろいろな引当金を精査をして、もっともっと経営健全に努力すべきだというふうに思います。これまで私たちは一貫して、こういった隠し財産といいますか、引当金の問題を問題にしてきました。こういうのがある中で、今回の値上げは到底許せるものではない、そういうふうに思います。
 最後に、この資料に「公社の経営環境の変化と今後の事業の方向性について」というのがあります。この中身は、
 東京都においても、行財政改革を進める中で、住宅施策の基本的視点として、近年の土地・住宅価格の下落や住宅市場における民間事業者の積極的な進出等により、都民が住宅を確保するうえでの諸条件は改善しつつあるとの認識に立ち、行政の関与すべき分野や守備範囲を見直し、民間等との役割分担の明確化を図ることとしている。具体的には、新規の賃貸住宅供給については、公的機関による供給は停止し、民間市場における良質な賃貸住宅の形成への誘導を基本とすることとし、今後は、公的住宅の既存ストックの維持、更新等の推進により、循環型社会に対応した住宅ストック・居住環境の整備が重要課題であるとしている。
ここに書かれていることは、都営住宅建設の停止も指しているのでしょうか。また、東京都住宅局の考えなんでしょうか。

○脇参事 ただいま委員ご指摘のご意見につきましては、承知しておりません。

○村松委員 承知してません、ですか。これは公社が出したものなんですが、第十四回賃貸住宅管理問題調査会補足説明資料、この中に書かれているのです。
 これがもし本当だとしたら、とんでもないと思うのですよ。都営住宅も一緒になって供給は停止しなんて、もしそれが本当だったら私は撤回してほしい、そのことを主張して、質問を終わります。

○土持委員 予算特別委員会におきまして、住宅の減免制度の問題が大変に審議をされたわけですけれども、いろいろな制度を運用する中で、何点か、もう一度確認をしておかなくてはならない事柄がございます。
 今回の減免制度の見直しにつきまして、居住者の方が平米数というか広さ、そして収入に応じて免除を受けられるかどうか、こういうことになっておるわけですから、居住者が、現在、規定の水準を上回っている方が住みかえをするということがどうしても考えられるわけです。
 この住みかえ制度、今まで住宅局、取り組んできていましたけれども、大変に困難をきわめている状況じゃないかと思います。家賃がこれだけ高いので、何とか住みかえをさせていただきたいといわれた場合、この制度の改正に合わせて、きちっとした形で住みかえの支援ができるかどうか、まず、お伺いをさせていただきたいと思います。

○津島管理制度改善担当部長 先生ご指摘のように、現在、住みかえ希望を満たす空き家を確保することがなかなか困難なことや、あるいはさまざまな住みかえに伴う負担が生じますことから、住みかえが進みにくいというのが現状でございます。
 そこで、今回、減免制度の改正におきまして、住みかえを希望する人に対しましては、希望者の登録制や空き家ストックを確保するなど、検討することによりまして、優先的に住みかえを図るとともに、負担の軽減についても十分考慮しながら、経過措置期間の中で、できるだけ対応していきたいと考えております。

○土持委員 ただいまのご答弁のとおり、経過処置ということですけれども、十分な経過処置、どういうことが考えられるか、もう少し詳しくご説明をいただきたいと思います。

○津島管理制度改善担当部長 現在提示させていただきました経過措置は、一つは、家賃の負担を毎年二五%ずつ上げていくという経過措置が第一点でございます。
 第二点は、その場合でもかなり負担が上がる方につきましては、上昇限度額ということで、減額率が一〇%から五〇%の方につきましては、上昇限度額を一万円に四年間抑える。それから、七五%減額の方には、上昇限度額を五千円に抑えるという経過措置でございます。
 また、一定金額以下の所得の方については五年間免除を継続する、その後、見直しを行うということで、この三つの経過措置期間を絡ませながら、できる限り住みかえについても支援していきたいというふうに考えております。

○土持委員 制度の見直しの中に、七五%の減額者に対する考え方なんですけれども、収入、年金で暮らしている高齢者の方が大変に多いわけです。特に、六十五歳から七十歳までの単身者の方、また七十歳以上のご夫婦の方、いろいろな課題を抱えているかと思うのですが、この中で一定水準ということが期待をされておりますけれども、一定水準というのはどういうことを指しておりますか。

○津島管理制度改善担当部長 七五%減額を適用する場合の一定水準につきましては、生活保護基準を参考にしまして、定めさせていただきました。

○土持委員 生活保護基準を一応基準にしたというのですから、住宅費とか医療費、そういったことは、この一定水準の中に入ることでよろしいですか。

○津島管理制度改善担当部長 参考例でお話しした方がわかりやすいかと思うのですけれども、生活保護基準を参考にした一定水準は、例えば六十五歳以上七十歳未満の高齢単身者では約百万円、それから七十歳以上の高齢二人世帯では百九十万円ということで、これが一つの一定水準でございます。
 生活保護におきましては、このほか実費支給している医療費とか住居費等につきまして、見直し案では、実費については基準額に加算するという表現にとどめておきまして、具体的な数字はなかったわけでございますけれども、現在、この基準額には医療費、住居費、また国民健康保険や国民年金などの社会保険料、さらに今後導入が予定されております介護保険制度に要する保険料及び本人負担、こういったものを、先ほどの百万ないしは百九十万に加算する形で線を引くというふうに考えております。

○土持委員 予算特別委員会で触れられなかった内容について、確認させていただきました。
 今回の第一回定例会の中で、減免制度を私たちは大変重く見まして、質問を繰り返してまいりました。特に、共産党が都営住宅家賃の減免制度について、大変に間違ったビラが張り出されたということで、知事からも答弁があったわけですが、やはり都民に対する情報は、非常に大切じゃないかと思うのです。
 減免廃止といわれると、居住者の方はどうしたらいいかと、すごく不安になる。また、家賃収入が黒字なのになぜかといわれるとやはり動揺する、こういう状況があります。
 私は、石原知事が、こうした住宅居住者に対する周知の方法をもう一回きちっとやる、特に、「すまいのひろば」とか、その他機関の中を通して徹底を図りたい、こういうふうに答弁をしているわけですけれども、どんな内容でこの「すまいのひろば」を発行する予定か、またいつごろ発行するのか、示していただきたいと思います。

○津島管理制度改善担当部長 減免制度の実施につきましては、議会のご審議を経た上で、四月一日の規則改正を予定しておりますが、先生ご指摘のように、見直し内容の周知については極めて重要なことと考えております。
 そこで、いろいろな周知の仕方でございますが、まず既減免者全員に四月早々ダイレクトメールで制度変更について通知をするとともに、新たに申請時期が来ました既減免者については再度の通知をするということで、二回、通知を予定しております。
 それから、「すまいのひろば」につきましては臨時号を発行しまして、これは四月の終わりころを想定しておりますけれども、臨時号で詳しくご通知する。さらに公社の窓口センターと密接な連携をとるとともに、説明会を実施していきたいと思っております。
 また、局に相談専用電話を設置するとともに、その他個別の相談にも弾力的に対応を図るように取り計らいまして、実務的に問題が起きないように、万全の体制をとってまいりたいというふうに考えております。

○土持委員 居住者が不安に陥らないということは、住宅局として大切な課題だと思います。
 実は、これは昨日終わったのでしょうけれども、三月二十日に、東京都公営住宅協議会からということで、家賃の減免、免除についての説明会を開催するという通知が出され、なおかつ、開催の中でこういうビラが出されたわけです。
 この中に、依然として、免除の対象の期間は五年間だけであるというようなこととか、居住者にはすぐに関係のないような、例えば臨海副都心開発のむだをなくしてという運動方針というか、そういうものを含めて、こういうチラシがまかれた。
 また、案内のビラにつきましても、家賃免除を五年後には全面廃止にする、こういうことで出されているわけです。都議会のこのショッキングな都知事の表明は、都営住宅居住者にとって死活問題ですというようなチラシのもとに、居住者の皆さんが集合をされたわけです。その中でこういうビラがまかれた。
 これは、住宅局が本来やるべき、もっときちっとした情報を提供することが望まれるわけです。そうしませんと、これを見た方は、これは自治会から来ているわけですから、本当にそうなるのだというふうに、必ず認識をされると思うのです。これは都営の長房住宅のチラシですけれども、今、説明しましたように、個々に対して本当に丹念にやっていかなくちゃならないと思いますけれども、居住者個々に対する周知について、もう一度お伺いしたいと思います。

○津島管理制度改善担当部長 居住者個々の、現在減免を受けられている方に対しましては、まず四月早々に制度変更についてダイレクトメールを送らせていただくと同時に、それぞれの申請時期に合わせまして再度の通知を行うという、二回の通知を予定しております。
 また、居住者の具体的なご指導につきましては、特に公社の窓口センターを中心にしまして、十分にご理解していただけるような体制をとっていきたい、こう思っております。

○土持委員 また、あわせてちょっとお伺いしたいのですけれども、この公営住宅協議会というのは、直接住宅局と何か関係があるかどうかということを確認させてもらいたいのです。本来、自治会というのは、中立、公平じゃなくちゃいけないというふうに考えるのですが、公営住宅協議会というのは、局長、どういう団体なのですか。

○戸井住宅局長 公営住宅にお住まいの居住者と、それから自治会と、両方になりますけれども、そういう方たちの協議会でございます。

○土持委員 私がこのビラを見ましても、家賃免除を五年後には全面廃止するという、この標語は、特定政党が主張している内容と、全く同じなんです。公営住宅協議会というふうな標語でビラがまかれまして、案内がまかれますと、居住者の方は、これは住宅局と関係があるのではないかというような見方をするのじゃないかと思うのですけれども、住宅局と公営住宅協議会というのは、これは関係がないということでよろしいのですか。

○清水総務部長 公営住宅協議会からは、私ども年に数回、要請といいますか、そういうものは受けることはございますが、住宅局と公営住宅協議会とは、直接何らの関係もございません。

○土持委員 こういうことも、できたら広報紙「すまいのひろば」とか――要するに見れば関係はない、自治会というのは任意団体ですから、やはり居住者に正確な情報を出さなくちゃいけないわけですから、そういう点も含めて、居住者に対するきちっとした対応をしていただかなくちゃいけないのじゃないかというふうに思うのですけれども、部長、いかがですか。

○津島管理制度改善担当部長 今度予定しております「すまいのひろば」臨時号では、できるだけわかりやすい形で、きちっとした形で正しい情報を流すように、全力を尽くしてまいりたいと思います。

○土持委員 それではもう一つだけ、済みません。
 あわせて伺いますが、四月一日現在の減免措置については、四月一日現在、受給資格者となっている世帯だけ適用といいます。昨年退職をして、年金のみの収入になった方で、まだ申請していない方は三月中に家賃の減免申請をしましょう、こういう情報だと思いますけれども、こういったことを住宅局はどういうふうに見ますか。徹底について。

○津島管理制度改善担当部長 住宅の減免制度の実施は九月一日でございます。したがいまして、九月一日からは新たな制度が実施されるという予定で今進めておりますので、それ以前、いろいろな申し込みなり手を挙げる方がいらっしゃるかと思いますけれども、それは現行の制度に従って対応していきたいというふうに思っております。

○土持委員 こういう時期ですから、少なくとも、一つ一つのそうした住宅の制度の変更に伴う情報を正確に居住者に伝えていただきたいことを、重ねて要望をしておきたいと思います。
 もう一つ、最近、都市公団がアンケートをとった中で、いわゆるペットの飼育についてアンケートをとったと思いますけれども、この内容について、ちょっと説明してください。

○片岸管理部長 都市公団が賃貸住宅のペット飼育につきまして実施いたしましたアンケートでは、容認するとした世帯は二%と極めて少数でございまして、ペット飼育当然禁止四七%、条件つきで容認が四六%となってございます。
 また、ペットと一緒に生活できるよう、住宅内に一定の工夫を施し、ペット飼育のルールを定めた新たな賃貸住宅の建設につきましては、全体では五八%の世帯が必要であるとしてございます。
 これを年代別で見てみますと、三十四歳以下が六五%、三十五歳から四十九歳までがやはり六五%、そして五十歳から六十四歳までは五八%、六十五歳以上が四二%となってございまして、若い世代ほど必要であると回答してございます。

○土持委員 公団の方では、このアンケートの結果をもとに検討を始めたといわれておりますが、アニマルセラピーという言葉もよく出てまいります。都営住宅についても、もう少し具体的に、これからどうするかという考え方を示していただきたいと思います。

○片岸管理部長 都営住宅内の動物飼育につきましては、鳴き声、ふん尿、抜け毛等に関する苦情が、電話等によりまして年間六百件から八百件ほど寄せられておりまして、個別、具体的に指導を要する事例も、ここ数年間百件程度で推移してきておりましたけれども、十年度におきましては百九十八件と、大幅にふえているような状況にございます。
 このような状況からいたしますと、都営住宅内での動物飼育は、飼い主であります居住者の適正飼育の確保を初めといたしまして、検討すべき多くの課題を含んでいると考えているところでございます。
 お話の件につきましては、今後、動物の適正飼育推進や、動物飼育に対する社会的理解の状況を把握しながら、慎重に検討していきたいと存じます。

○土持委員 終わります。

○寺山委員 まず最初に、都営住宅についての相談というのは、もう日常的に私たち、恐らく私だけではなくて、ここにいらっしゃる各先生のところにも、多くの相談が寄せられていることだろうというふうに思います。
 それはもう、内容はさまざまです。一家の大黒柱が病気になるとか、あるいは会社が傾いてしまったとか、離婚をして母子家庭になるとか、それこそさまざまな、千差万別な理由によって相談が寄せられてくるということなんです。
 そういった方々だけでなくて、これは今に始まったことではないと思いますが、潜在的に、都営住宅について都民の不満がくすぶっているということを私は感じています。なかなか必要な方々に、応募しても抽選が当たらない、それだけ応募する方が多くて、供給される住宅数がないといってしまえばそれまでなんですが、この財政状況があり、なかなか新規着工について光が見えない、そういう状況の中で、一体どういうふうにしていったらいいのかということは、恐らく住宅局としても大変悩んでいらっしゃることではないかというふうに思います。
 要するに、言葉は悪いのですが、都営住宅が回転していかないというのか、なかなか循環が悪いという中には、先ほど三原先生が質問されました滞納者の方々の問題や、あるいは議会で種々出ています高額所得者の問題があることも、現実的には事実だろうというふうに思います。
 この高額所得入居者の実態というのは、お調べいただきましたら、平成七年には一万二千九百六十七名いらっしゃった。それが平成十二年度の二月の末日までには千七百四十五件に激減しているということで、これは住宅局の方が大変なご努力をされ、高額入居者の方の引き渡しなり、是正をきちっと進められた成果だろうというふうに思っております。
 しかし、先ほど三原先生から滞納者のあれがありましたが、滞納が解消したかと思ったら、また滞納者がふえてくるという問題もあるわけです。そこで、三原先生の質問を聞いている中で先ほどちょっと思ったのですが、滞納者の数とかはわかったのですが、滞納の原因は把握していらっしゃるかどうか、まずお伺いします。

○片岸管理部長 滞納の原因につきましては、毎年二月に、滞納者に対しまして、住宅供給公社で住まいる相談という相談窓口を設定しているところでございます。
 それによりますと、一概にこれが理由で滞納だということは、年度ごとによって差がありまして、申すことができないのですが、大まかに眺めて多いところから申し上げますと、低所得による生活費が不足したとする者が比較的多うございます。そして、それに次ぎまして、借金の返済、それから名義人や家族の病気、事故を挙げる者が多くなってございます。そういうような状況になってございます。

○寺山委員 滞納理由というのはさまざまですね。もっともだという部分もあれば、とんでもないというふうな滞納理由もある。
 それで、ちょっと話が変わりますが、東京都住宅白書をこの間お出しになりました。その中で、戦後の住宅政策をまとめられて、総括して、今後、二十一世紀の住宅のあり方がどうなのかというふうな白書の形になっておると思います。今後の住宅政策、特に公営住宅の目的についてはどのように認識をなさっているのか、確認ですが、お伺いします。

○菊田住宅政策担当部長 公営住宅法の説明というような形になりますが、公営住宅の供給目的でございますけれども、低額所得者で、民間の賃貸住宅では自力で適切な家賃負担で最低居住水準を確保できない方々に対して、居住の安定を図るために供給をするということでございます。

○寺山委員 ある意味、こういう公営住宅というものが社会の中のセーフティーネットの役割を担ってきたということは、恐らくこれまでもそうであったでしょうし、今後も変わっていくことはないのだろうというふうに思います。
 それで、滞納されている方々も、三原理事の方のお話ではありませんが、一概に、滞納しているから早く払えというだけの対応策ではなくて、先ほど、巡回管理人制度の話が出ました。多摩と区部で一カ所ずつやっているのですが、とにかく滞納する手前で何とかならないのか。居住者からすれば区に相談をするとか、あるいは知人のこともあるかもしれませんが、住宅局としても、できるだけ居住者と、それから管理する側の供給公社なり住宅局さんの間にワンクッション置いて、居住者とできるだけ近い存在のシステムを何か構築していくという努力、その中でさまざまな高額所得の問題、入居者の問題、あるいは滞納の問題なども、やはり綿密に対応をしていっていただければというふうに思います。それは要望として申し上げておきます。
 話がもとに戻りますが、循環していかないという中で、昨年の十二月に、政策報道室が都営住宅についての都民モニターアンケートというのをとっています。対象者が五百人、回答数が四百五十一くらいの中で、今回の減免制度についてのアンケートがあったり、そのほか、自由記述というところがあるのです。
 これは政策報道室がやっていることなんですが、住宅局の方も当然内容を知っていらっしゃると思います。その中に何件かこういう提言があるのです。これは葛飾の六十代の女性なんですが、都民税を使っている以上、できるだけ公平に困窮している人を助けてあげたい。そのため、期間を十年以内と決めて、一番苦しい若い世代にもっと広く提供してあげたらどうかというご意見。
 あるいは大田区の三十代の男性は、審査基準が画一的である、定期貸出方式にして、三年、五年、七年と、一定期間のうちにマンションの購入の頭金くらいためてくださると、応援する制度をつくったら活性化した都営住宅になると思う、という指摘があります。
 私はなぜこういった意見をいったかというと、ご承知のとおり、借地借家法の中の定期借家制度というのが、ことしから導入をされてくるわけです。これは国会の方でも、借地借家法の定期借家制度については議論をされています。公営住宅にこの制度をそのまま導入することについては、ふさわしくないという見解が出ているということも、私は承知をしてはいます。
 しかし、先ほどいいましたように、都営住宅に入りたい、緊急性がある、例えばこの間の本会議でも、災害被災の方々に無条件で入居していただくことが決まりましたけれども、そういったさまざまな状況に対応するために、私はこういった制度の活用を、すぐにはできないかもしれませんが、やはり検討してみる価値はあるのじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○菊田住宅政策担当部長 公営住宅と定期借家制度との関係でございますけれども、平成十二年三月一日から定期借家制度が導入されました。
 公営住宅につきましては、公営住宅法及びこれに基づく条例に特別の定めがない限り、原則として借地借家法が適用されるということは、判例で確立されております。
 しかしながら、公営住宅の目的自体は、先ほども申し上げましたように、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定に寄与するということにございます。したがいまして、公営住宅法の中で、入居者が高額所得者となることなど、特段の事由がない限り居住は継続するということを原則として制度が成り立っている、こういうことでございまして、先ほど議員ご指摘のように、現状におきまして、公営住宅に定期借家制度というものはなじまないということで理解をいたしております。
 なお、公営住宅の本来の目的を阻害しない範囲内で、幾つか、この前の議会でもご答弁申し上げましたように、例えば火災の場合の罹災者に対応するとかいう事例はございますけれども、あくまでも本則として公営住宅の中で期限つきの入居を認めるというものは、定期借家制度が導入された現在でも、なおなじまないというふうに考えております。

○寺山委員 なじまないのは、当然わかっているわけです。地方分権一括法で、約六百近いものが今後国から都道府県へ、都道府県から市町村へという形になっていきます。その中には、公営住宅について、今まで建設省、建設大臣が持っていた指導、指揮監督権なんかが緩和されたりという流れで、できるだけこういった公営住宅などについても地方分権していこうじゃないか、できるだけ都民の、あるいは区民の、市民の皆さん方の身近な自治体に、どんどんとその権限を任せていったらいいのじゃないかという流れができつつあるわけです。
 ですから、今の段階ではなじまないかもしれませんけれども、部内でも結構です、今、都営住宅に入れなくて自立していらっしゃる方々、大変な思いをしている方がいらっしゃる、さまざまなニーズがある。その中で、入居のシステムなりをどう変えていったらいいのかという検討を、ぜひ進めていただければというふうに要望をしておきます。
 それでは次に、防災対策について若干お伺いをしようと思います。
 二十六万戸、棟数にすると五、六千棟、都営住宅に入居されている方が大体八十万人というふうにいわれているわけです。私は、この中で非常に心配しておりますのは、こういう集合住宅にお入りになっていらっしゃる高齢者の方や、あるいは身障者の方々が、もし火災や震災が起こったときに、一体どういうふうに避難をされるのか、みずからの命や財産を守るのか。
 今回、私は都営住宅の件で質問しようとしているのですが、これは都営住宅だけではなくて、一般質問や代表質問の中で、災害弱者対策というのは出ているわけです。都営住宅が非常に高齢化してきていて、集合住宅の性格を持つ、あるいは築二十年、三十年経過している木造のアパートもまだ残っているという現況から見て、改めて、私は非常にそういった防災の体制を心配しているわけです。
 その中で特に、まずは災害、高齢者の方たちに限定しないで、一般の方々にそういった対策の告知、指導をどのように現在なさっているのか、教えてください。

○片岸管理部長 都営住宅の入居に際しまして、共同住宅における日常生活に必要な注意事項だとか、各種施設の使用方法などをお知らせいたします「住まいのしおり」という冊子を配布いたしまして、その中で防災対策だとか、万一災害が発生した場合の対応などにつきまして説明し、周知をしております。
 また、入居後は、居住者への広報紙として毎月発行しております「すまいのひろば」を活用いたしまして、火災予防への注意を喚起するお知らせを、六月号と十二月号で行っておりますほか、八月号では東京消防庁からの依頼によりまして、防災週間に当たってのお知らせだとか、防災訓練への参加の呼びかけを行っているところでございます。

○寺山委員 毎年、都営住宅における火災が、これは平成十一年の資料がないのであれなんですが、平成十年で四十六件、九年で六十八件、八年で五十六件、七年度で四十五件、六年度で五十六件という形で、毎年五十件から六十件、都営住宅の中で火災が起こっているわけです。死者の数も出ているというふうにお伺いをしております。
 先ほど管理部長がおっしゃったのは、ある意味で当たり前のことですよね。何度も申し上げますが、集合住宅、それは地域とか、あるいは都営住宅が建っている周りの環境にもよるかもしれませんが、万が一発災した場合、避難、それから自主消火がおくれた場合に、大変な被害が出ることが想定をされているわけです。
 この震災対策や火災対策については、もちろん東京都住宅局だけじゃなくて、総務局、消防庁あるいは地元の区市町村、その中の自治会とかいったところでも対応を急がなければなりませんし、現状として、その対応策をとっていらっしゃるところもあるだろうというふうに思います。
 しかし、あえて都営住宅の中の自主防災を、もっともっときめ細かく、住宅局さんの方としても、これは指導していっていただきたいと思います。それは恐らく自治会が音頭をとってやっていくものだというふうには思いますけれども、本当にこういう災害、火災の場合には、あったらどうするのかということが一番大事ですので、ぜひその充実に向けて、これから取り組んでいっていただきたいというふうに思いますが、ご所見をお伺いします。

○片岸管理部長 災害に対しましては、先生ご指摘のとおり、防災設備の充実とともに、居住者による自主防災は欠かせないものでございます。
 このため、「住まいのしおり」などで、入居者の皆さんで結成する自治会等の団体の活動として防火管理業務を位置づけまして、防火管理者を選任し、防火管理者は、消火、通報及び避難訓練などの実施を内容とした消防計画を策定すること、そして居住者の皆さんは、防火管理者が実施する訓練、教育などに積極的に参加するように啓発をしているところでございます。

○寺山委員 ぜひ進めていただきたいのですが、例えば寝たきりのお年寄りがいる家庭や障害者のいる家庭、そういったところを、普通の地方公共団体、自治体でも把握しておいて、もし災害があったときにはすぐに救助できるような形をとろうとしているのですが、プライバシーの問題があったり、そういったことで、なかなか進んでいないのが現状なわけです。
 地域によっては、自治会なり隣近所のつき合いが、特に都市部は希薄なところがどんどん多くなっていますから、なかなか実効性が保てない。せっかくいいプランはあるのだけれども進めないという状況がある。それが都営住宅だったらできるだろうなんて、そんな簡単なことをいうつもりはありませんけれども、しかし都営団地、都営住宅の中に入っていらっしゃる方々のモラルや、自分たちの団地に住んでいらっしゃる方々は、やはり自分たちで助け合って守っていきましょうという意識を高めていただいて、ぜひ共助のシステムづくりにご腐心いただければというふうに思いますので、要望しておきます。
 質問の最後になります。先ほど土持委員の方からも質問がありましたが、都営住宅におけるペットの飼育についてお聞きしたいというふうに思います。
 先ほど土持委員の方からは、ペットに関する苦情件数というふうな話がありまして、六百件から八百件程度の苦情件数があって、居住者に直接指導なさったのが百件程度ある、平成十年度には百九十八件と大幅にふえたというご答弁がございました。
 ペットの問題は新しくて古いというか、古くて新しいというか、平成四年くらいにも都議会の一般質問でなされていますし、平成七年の第一回定例会でも、前の中嶋住宅局長がご答弁をされているわけです。
 その答弁によりますと、「今後、近隣との関係に十分配慮したペットの適正なしつけと管理が行われ、ペット飼育のルールが一般化するなどの社会的意識の変化を見きわめながら、都営住宅におけるペット飼育のあり方について、さらに検討を深めてまいりたいと思います。」というふうにご答弁をされています。
 さらに検討を深めてまいりたいというふうにおっしゃっているのですから、恐らく物すごく深くやっていらっしゃると思うのですが、どれくらい検討されているのか、お伺いします。

○片岸管理部長 お答え申し上げます。
 平成七年の答弁でございますけれども、ペット飼育のルールが一般化する、こういうようなものを見きわめながら私どもも検討していくというトーンでございまして、現状におきます都営住宅内での動物飼育については、依然として鳴き声だとか悪臭、抜け毛等が環境を損なうというようなこと、そして近隣同士の迷惑といいますか、相隣関係を悪化している、それに伴うトラブルが多発しておるという現状等もございます。そういう対応に追われているのが実情でございまして、これを一歩踏み込んだというようなところまでは、まだ行けない状況にあるわけでございます。ご理解賜りたいと存じます。

○寺山委員 なかなか理解できないです。それならば、検討というまでいってなければ││都営住宅で飼っちゃいけない、それはわかっている。ただし、年間これだけの苦情が寄せられているということは、ペットが飼育されている実態があるということですね、これは。ならば、その実態はどのようになっているのかくらいはお調べでしょう。

○片岸管理部長 ペットの実態でございますけれども、集合住宅におきます動物の飼育は、主といたしまして居室内で飼われている場合が非常に多く、実態調査の方法といたしましては、居住者個々からの聞き取り調査に頼る以外には、有効な方法がないと考えておりまして、苦情等を寄せられている件等は把握しておりますが、こちらから出向いて調査をする、仮に調査をしても、その調査の正確性が必ずしも期しがたいということもございまして、現在、実態調査を行っていないところでございます。

○寺山委員 調査の内容とか手法とか、そういった実効性がどれだけ図れるかというのは、これは申しわけないんですけれども、住宅局さんの方でお考えいただければいい。今私がいっているのは、平成四年から、あるいは平成七年の答弁で、どれくらい前の局長になるかわからないけれども、ある意味、やっぱり検討していくんだということをここでおっしゃっている。それなのに実態すらつかめていないということは、これは問題なんじゃないか。あるいはやるつもりがないんじゃないかというふうにいわれても仕方ないんじゃないでしょうか。
 苦情が寄せられてくる。例えば、東京都住宅供給公社の窓口にもいろんな苦情が寄せられる。その中で、ペットに関する騒音だとか、ふん尿の問題だとか、においの問題だとか、そういった問題が数多く寄せられている実態も、私はわかっています。都営住宅の数多くある自治会なんかも、基本的には反対の意向を示していらっしゃる方々も多いということも、私は存じ上げている。
 ただ、衛生局は、既に平成六年に、集合住宅における動物の適正管理についてのしおりというのをちゃんとまとめているわけですね。賛否両論ある都営住宅のこのペットの飼育の問題に対して、極論しちゃえば、実態を追認していくのか。それとも、実態がこうなんだから、まさしくその実態を是正するように努めていくのか、どっちかの選択をもういいかげんに住宅局はとらなきゃだめですよ。じゃないと、苦情が寄せられる件数だって減少していかないですよ。
 ですから、そのことを私たちはずっと、どうするんですか、どうするんですか。そのたびに検討します、検討します。どうするんですか、どうするんですか。検討します、検討します。もうこれ、いいかげんにやめましょうよ。これは都営住宅に入居されている方々だけじゃなくて、いろんな業界の方々や、あるいはペット愛好者の方々からも、毎年のように、この都営住宅でのペットの飼育についての要望なり、逆にいうと、ご批判なんかもいただいているわけです。
 さあ、もういいかげんに、この辺で賛否両論闘わしたらいいじゃないですか。いろんな専門家の方や入居者の方々に入っていただいて、どうするのかという検討ぐらい、入ればいいと思うんですが、どうでしょうか。

○片岸管理部長 確かに衛生局は、集合住宅における動物飼養モデル規程、これの作成はいたしましたけれども、これは動物を集合住宅において飼うことを可能とするルールづくりということで、飼いましょうということではないわけでございます。しかしながら、先ほど来申し上げておりますけれども、都営住宅団地では動物飼育をめぐるトラブルが非常に多発しておりまして、居住者間の動物飼育についての合意形成がまだ困難な状況にあるといえます。
 しかしながら、一方で、先生がお話しされましたように、集合住宅の増加だとか、あるいは単身世帯の増大に伴いまして、集合住宅における人と動物の共生という意識も一方では高まっているところでございます。住宅局といたしましても、今後、動物の適正飼育推進や、動物飼育に対する社会的理解の状況を把握しながら、慎重に検討してまいりたいと存じます。

○寺山委員 管理部長、私もう最後にしますけれども、合意形成を、じゃ、固めていくために、創造していくために、これまで住宅局は一体何をしてきたのかと私はいいたくなっちゃう、そういわれると。いや、寺山委員、あなた知らないだけだと。いろんなところで私たち汗をかいていますというふうにおっしゃるかもしれないんだけれども、もっと目に見える形でやりましょうよ。そのことの、都営住宅に入居されている方々に対しても、きちっとわかりやすくなるような形での合意形成をつくるためにどういうふうにするのかということを、ぜひお考えいただきたいというふうに思います。
 何度もいいますが、私の周りでも、都営住宅に入っていらっしゃる方がペットを持つなんていうことはとんでもないということをいう方だっていらっしゃる。何でですかと。生活がお困りというか、大変な方々が何でペットを飼うんだという反発だってある。でも、先ほど土持先生がおっしゃったように、特に高齢者の方や障害者の方のアニマルセラピーだとか、いろんな意味で有効な部分もあるんですから、ぜひ早急に、そういった検討会、あるいは合意形成をきちっととっていくような手法について、協議、実行していただければと思います。
 終わります。

○古賀委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間程度休憩いたします。
   午後三時七分休憩

   午後三時十七分開議

○古賀委員長 休憩前に引き続き、委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○小礒委員 それでは、二点お伺いしたいと思います。
 まず、一点目といたしましては、ただいまの寺山委員からも、先ほど土持委員からも質疑で出されておりました都営住宅内における動物飼育についてお伺いをしたいと思います。
 条例、規則に、動物飼育を禁止する規定はないわけですね。法的な義務として動物飼育を禁止している条項は見当たりません。そのような中で、入居時に入居者に対しまして、入居者全員に配布をされるパンフレットの中で、「住まいのしおり」がございますが、その中に動物飼育制限の項目を、あえてといいましょうか、設けられておりますけれども、この理由について、まずお聞かせいただきたいと思います。

○片岸管理部長 お答え申し上げます。
 都営住宅での動物飼育につきましては、確かに先生ご指摘のように、条例等を根拠としているものではございません。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、共同生活をしていく上で、ペットの鳴き声だとか、悪臭、抜け毛等が住環境を損なう、そしてこれらが自治会等の強い要望等もあって、私どもに寄せられているというようなこともございまして、いってみれば、管理上の考え方としてつくり上げられてきたものということで、いわゆる指導、強い指導ということで位置づけていろいろやっているところでございます。

○小礒委員 今のご答弁で、強い指導をするためにこの項目を設けているということと受けとめさせていただきましたが、実際に、先ほどからのやりとりを見ましても、今のご答弁に従って、例えば、一口でいって、飼ってはいけないんだということだと思うんです。ところが、飼ってはいけないんだということの中においても、実際的には飼育されている実態というものは少なくない。なおかつ、先ほどのやりとりで、平成四年から、または平成七年から、この委員会でしょうか、局長答弁等々も、検討するということをたびたびいわれている事実を見ても、もはや飼育実態というものは歴然としているし、少なくない状況ではないのかなと思うわけです。
 こういうことから見ると、飼ってはいけないんだ。一方では項目でいっておきながら、実際上は、局長答弁じゃないけれども、検討するんだ、検討するんだ、ルールづくりをするんだ、こういうことになってくると非常に矛盾を感ずるわけですが、このあたりどうでしょうか。

○片岸管理部長 一言で申し上げれば、ペットを飼っておられる方のルール、マナーの度合いということに尽きようかと思うんですけれども、非常に苦情件数が多いということは、まだ適正飼育のルールを守った飼われ方をしておられない。そのことによって、また社会的に十分な理解が得られていないというようなことから、現在こういうような形で私どもへいろんな苦情等が寄せられてきているものと考えております。

○小礒委員 先ほどから、いわゆる苦情というお話がありますが、現在東京都全域で二十六万三千八百四戸ございますね。その中で大変に多いんだ、物すごい苦情が殺到しているがごとくのお話されましたけれども、百件。なおかつ、物すごい、近ごろは増大しているんだというお話の中でも二百件を下回っていますね。このような状況の中から見たときに、先ほどに戻りますけれども、住宅局としても、この問題に対して、一定の方向づけを定める時期ではないか。ということは、例えば、苦情の背景を見たときに、相隣関係があると思うんです。さまざまな要因があると思うんです。先ほどの前段のご答弁の中でも、においだとか、毛が飛ぶとか、鳴き声だとかということも原因関係の一つであると思いますけれども、しかし、それだけではなくて、そこには、これも一概にいえませんが、希薄な人間相互の関係もあれば、生活環境、一般的なさまざまなことがあるんではないかと思うんです。
 こういうことを踏まえたときに、厳然として、いわゆる都営住宅内でペットの少なからざる苦情が多いということは当然にして、また返せば、それだけ飼育をされている実態にもなっていくわけでしょうから、そのように考えた中で、やはりここで一番問題なのは、ルールづくりも踏み込んでしていかなきゃいけないんじゃないか。飼うには――現実に飼っている実態も、局の方でも把握されているでしょうから、であるならば、どれだけ適正な飼育が日常行われていかなきゃいけないのか。
 それと、先ほど寺山委員からも質疑がありましたけれども、これだけ議論がなされている中で、ほぼといいますか、先ほど来されてないということもありましたけれども、実態調査がなされてない。これらのことを踏まえると、東京都はただ単に、局の方は苦情が来るから困るんだ、苦情がこれだけ寄せられているから困るんだという、それだけの話しかできないと、私の方としては聞こえるんですね。やはりここの中でもう少し実態の調査を当然にして行うべきであろうし、なおかつ適正な一定のルールに基づいた飼育というものを、やはり話し合いの場も、居住者間で投げながらも、こういうルールづくりを進めていくべきじゃないのかなと思うんですが、どうでしょうか。

○片岸管理部長 先生お話しのとおり、居住者がお互いにマナーだとか、エチケットを守りまして、相互に思いやりを持って進んでいこうという気持ちを大切にしていくというような状況が進みましたならば、やがて動物飼育をめぐる障害なども解決されていくものと考えられます。

○小礒委員 苦しいと思うんですけれども、先ほどからもありました。一定的に動物の適正飼育推進や動物の飼育に対する社会的利害の状況を把握しながらとか、推移を見ながらというお話があるけれども、見ながら見ながらで、現実問題として、平成四年から今日まで来ちゃったわけでしょう。これからそういう状況を見ながら見ながら検討していくんだよというと、反対に、苦情だって出てくるわけでしょう。ですから、もはやここの段階では、適正な飼育というものをいかにして方向づけを定めていくか。こういうことになろうかと思うんですが、そのあたりをご答弁いただきたいと思います。
 それともう一点は先ほどからありましたように、これはいうまでもございませんが、現実の話でございますので、ちょっと触れさせていただきます。
 ここ、まだ記憶に新しいところでありますけれども、神戸のいわゆる少年が大変な事件を起こしました。その中で、それも一つのきっかけとして、動管法が改正されて、やはり子どもと動物との触れ合いや、生命の尊厳や、まさに人と動物の共生をするときじゃないのか。こういうような観点から、そういう法改正の動きも出てまいりましたし、家族と一緒に暮らすペットは、まさにコンパニオンアニマル、伴侶として、人間とともに伴侶動物としての意味合いもある、位置づけがある。また先ほどもお話がありましたように、アニマルセラピーである。孤独な高齢者がますます急増する中で、高齢化の中で、このアニマルセラピーが大変必要だ、そのようなことも現実、専門家からも示されてきている。
 こういう状況から見たときに、さらには、集合住宅の中で、民間の集合住宅では踏み込んで、これらの動物飼育というものを現実行っているところも出てきているわけです。これらを踏まえたときに、先ほどいったように、時代の流れを見ていくんだ、それによってまた慎重に検討していくんだという姿勢は、私は非常に立ちどまっていると思うんです。このあたり、局長、どうでしょう。

○戸井住宅局長 このペットの問題というのは、本当に難しい問題といいますか、正直申し上げまして悩ましい問題でございます。これは都営住宅に限定することなく、日本の集合住宅、分譲マンションを含めて、普遍的な問題であると思いますし、分譲マンションを含めて民間の住宅についても、やはりそれなりのトラブルが発生しているというのが現状でございます。
 そういうトラブルが発生しているという反面、もう一つは、先生もご指摘ございましたけれども、高齢化が始まって、高齢単身世帯がふえている。そういう中で人間と動物、ペットの共生といいますか、そういう面でのプラスもあると思いますし、そういう認識も私たち持っているわけでございますけれども、やはりその両方との兼ね合いというんですか、その方策といいますか、その辺が、今までもずっと検討し、考えてきたんですけれども、なかなかいい案が出てこないというのが実態でございます。
 そういう点で、どうするかというと、大変に申しわけないんですけれども、現在の段階では、検討はしていかなきゃならないにしても、慎重に検討していかなければならない。それはただいま申し上げましたような、そういう二つの大きな問題があって、実際にトラブルがある。これは決して都営住宅だけの問題ではない。社会的なそういう問題にも波及する問題でございますので、慎重に今後検討させていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。

○小礒委員 局長は、検討すると。先ほど、慎重に検討すると。これは言葉のあれで別にあれですけれども、ぜひこの検討を││実態調査もしていただくことを要望しますけれども、実態論を踏まえながら、いかにして動物とともに共生できるような居住環境をつくり上げていくか。苦情も、一定的なルールを確立した中で、例えばペットクラブ、動物飼育の会を結成してもらうとか、また、都営住宅といっても、いろんな、いわゆる新しく建設したところとか、さまざまな要因があると思うんですね。ですから、一概にいえないと思いますが、例えば、スーパーリフォームをかけたところ、このあたりにそのような動物と一緒にまさに住めるような、共生できるような都営住宅というものができないのか。さまざまな試行というものもぜひご検討に加えていただきたいと思うわけであります。
 いずれにいたしましても、少子高齢化といわれた中で、当然にして高齢化率も、一九九五年で二百九十四万世帯から、今から二十年後、二〇二〇年には五百八十五万世帯、単身世帯がそのうち二百二十万世帯から五百三十七万世帯へとまさに倍増するといわれているわけですね。ですから、こういうことで、先ほどいいましたけれども、孤独な高齢者が激増するような状況の中で、アニマルセラピーの必要性、そしていたわる心、やっぱり青少年の育成の中でも、動物をかわいがったり、飼育したり、ともに共生するということを思う心、これらのことも大変重要ではないかと思いますので、そういうような場もぜひご検討をいただきたいと思います。
 最後に、日経リサーチの集合住宅居住者の意識調査によりますと、非飼育をされている方、動物を飼ってない方であっても、マナーやルールが守られていれば飼育してもよいのではないかという方が、もう七五%に達してきているという状況。この数字だけを見れば、先ほどの社会的理解の状況もこのようになってきたのではないかというご理解をぜひしていただきたい、要望するわけであります。
 局長からもご答弁いただきまして、検討だという話でありますけれども、今後とも関係団体も踏まえながら、そしてまた関係者、動物愛護協会ですか、愛護団体、また獣医師会の先生方、居住者の方々を含めた広範なる方々の意見聴取をしながら、ぜひこの問題を平成十二年からもう一歩前進を図られるように、ご努力のほどをぜひよろしくお願いをしたいと思います。ご答弁お願いします。

○片岸管理部長 先ほど局長がご答弁したとおりでございます。

○小礒委員 局長が答弁してくれたんだけど、なおかつ実務的に具体論を示してくれるかと思ったのよ。何いっているの。じゃ、まあ、きょうのところは……。(笑声)土持委員、寺山委員、そして私どもがこれだけ取り上げさせていただいて、質疑させていただきました。どうぞひとつ重く受けとめていただいて、対応していただくように、重ねて要望いたします。
 それでは、二問目。都営住宅の空き家に対する対策を要望させていただきましたが、住宅局では空き家募集の回数をふやし、追加募集及び常時受け付けを実施をされてこられました。特に多摩ニュータウンの都営住宅空き家状況は、その後、このように対応していただいた中で、どのような状況になってきたのか。具体的な数字を上げてお示しをいただきたいと思います。過去三年間の状況をお願いします。

○片岸管理部長 お答え申し上げます。
 多摩ニュータウンの都営住宅の空き家でございますけれども、平成九年度末には管理戸数八千二百八十四戸のうち、空き家が九百五十五戸、空き家率が一一・五%でございました。十年度末の空き家率は九・〇%。そして直近の平成十二年三月十四日時点でございますが、管理戸数九千八十二戸に対しまして、空き家が三百二十九戸、空き家率は三・六%となってございます。

○小礒委員 確かに、このように空き家が現在では三百二十九戸、空き家率が三・六%に落ちましたね。これは大変なご努力をしていただいた結果数字だと思います。今後とも、地区によって偏りといいましょうか、また空き家状況もございますので、ぜひまた一段の取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、都営住宅の居住者の高齢化は、東京都の平均よりかなり、現状の場所は多摩ニュータウンでありますけれども、進んでいるのではないか。これに伴い、歩行障害などにより、エレベーターのない住宅で階段の上りおりが困難な方々が大変ふえてきている。高齢化ということも今いいましたとおりでありますけれども、こうした場合、住宅変更という制度があるわけでありますが、どういう場合に住宅の変更が認められているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

○片岸管理部長 住宅変更の制度でございますが、都営住宅の入居者が入居後の状況の変化によりまして、当該住宅に住み続けることが困難になった場合、一定の要件を備えていれば、申請によりまして住宅の変更を認めることもできるということでございます。変更申請に当たりましては、当該住宅への一年以上の居住が必要でございますけれども、具体的な要件の主なものを申し上げますと、委員会の要求資料の一番最後、六ページにも載ってございますけれども、お子さんの誕生等によりまして、世帯員の増加によって一定の基準よりも住宅が狭くなった場合、それから高齢、病弱等で階段の上りおりが困難となった場合、そして長期疾病等による転地療養の必要だとか、常時介護のため、親族の近くに移る必要がある場合などが主なものでございます。

○小礒委員 今お話しのように、特に高齢、病弱等で階段の上りおりが困難になった場合、三点の中の一点でありますが、このあたり、非常に重要なところではないかと思うんです。住宅変更の申請が大変増加傾向にあるというお話、特に階段の上りおりができない等の理由での申請が、平成九年度では三百七十三件、平成十年度では四百七十件、平成十一年度ではことしの一月末で五百十七件と増加をしています。こうした申請によって実際に住宅を移った件数はどうなっているのか。そのうち階段の上りおりが困難な方が、どの程度の数の方々が移られたのか、このあたりを教えていただきたいと思います。

○片岸管理部長 住宅変更の申請をいたしまして、実際に住宅を移ることが実現した件数でございますが、平成九年度は百八十九件、十年度は二百九件、十一年度は三百五十一件となってございます。そのうち階段昇降困難を理由とする方でございますが、九年度は百三十九件、十年度は百六十件、十一年度は二百六十二件となっておりまして、住宅変更許可件数の約七五%ほどを占めてございます。

○小礒委員 平成十一年度は三百五十一件中二百六十二件というか、人でしょうか、七五%の方が移られている。これは結構な数字だなと思いますが、さりとて、階段の上りおりができない高齢、そしてまた病弱等、特に階が上に上がれば上がるほど上りおりがしんどい、困難になる方々、この方々が申請をされた中で、私はまた、申請をしてこのように一定の数字が上がってきたわけでありますが、さらにこれらの方々の要望を聞くには、なかなかこれは大変だろうと思うんですね。そうなってきたときといいましょうか、どういう対応策があろうかといったときには、やはり上りおりができないということが、特に当該の、私が中心的に述べている地域は、都営住宅、エレベーターが一基もないんですね。四市にまたがった多摩ニュータウンの中でエレベーターがないんです。高齢化率非常に高くなってきています。こういうことから考えたときに、やはり申請をなるべくかなえられればいいけれども、なかなか事情として難しい。そうした場合当然にして、既存都営住宅のエレベーターやスロープの設置を整備することは急務ではないかと思うわけでありますが、これに対する今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○藤澤営繕担当部長 住宅局は、これまでバリアフリーの一環としまして、既存都営住宅のエレベーターやスロープを設置しております。多摩ニュータウンにおきましても、ご指摘のとおり、高齢化が進んでおります。これらのことから今後設置要望が増加すると推察されますので、居住者の同意が得られる住棟につきましては、設置の可能性を検討してまいります。
 なお、多摩ニュータウンは階段室型住棟が多いのですが、こうした住棟へのエレベーター設置につきましては、現在建設省主導のもとに、公共住宅事業者等連絡協議会で開発提案の審査を行っております。都としましては、この開発提案を踏まえまして、国とも連携しながら、設置の可能性について具体的に検討してまいります。

○小礒委員 今国においても、そのような住宅の様式というんでしょうか、構造に対して、いかにしてエレベーター等を設置できるか検討されているということでありますが、その答申も待たなきゃいけないと思いますけれども、東京都としても、ぜひ可能になるように、これだけバリアフリー化に対して、それから高齢化に対する対応等々踏まえながらなるべく早い対応をお願いをいたしまして……。

○小竹委員 私は、都営住宅建設にかかわる問題で何点かお伺いをいたします。
 長引く不況による失業、倒産など、都民の住宅状況は非常に悪化している実態です。そういう状況の中で、住宅要求についても相当高いものが出されているというふうに思います。昨年の八月、住まい及び住宅政策に関するアンケートというのを住宅局が発表いたしましたけれども、その中に、都民の住宅に関する切実な要望が盛り込まれています。特に、その中で都営住宅建設にかかわる要望が幾つか出されておりますけれども、どんな要望が出されているのか、まずお伺いいたします。

○菊田住宅政策担当部長 昨年の調査結果によりますと、高齢者や障害者の住宅の確保に向け、もっと供給すべきであるが四五%で最も多く、次いで低所得の都民全般の住宅の確保に向けもっと供給すべきである。また、都営住宅の入居資格を持っていても入れない人たちに対して、家賃補助などの支援を行うべきであるとする人が、それぞれ三二%ということになっております。

○小竹委員 これらは、都営住宅の建設に関して、やはり高齢者や障害者の方、それから低所得の方の要求が切実だということが示されていると思います。さらに、都営住宅の入居資格を持っていて入れない人に対する家賃補助というのが、結局都営住宅が少ないために、申し込んでも入れないという実態がここに示されているんではないでしょうか。
 その上さらに、このアンケートの中には、子育て期にあるファミリー世帯の住宅確保で都営住宅の供給を要求するのが、全体で二三・四%になっています。それと同時に、特に二十五歳から四十四歳の子育て期にある人たちの中では三割を超えるという状況がここに示されています。このような都民の都営住宅に対する要求の切実さというのは、募集状況にもあらわれているんではないでしょうか。
 今年度の募集は、特に新規に限っていえば、昨年の五月と十月に行われましたけれども、この新規の応募率は大変高い状況になっています。平均で四十八・二倍。これが五月。十月は三十七・四倍で、最高倍率は七百倍を超えて九百倍に迫るような、こんな状況になっています。新築の応募率が百倍を超える地区が相当数あるというふうに伺っているんですけれども、二十三区と多摩に分けてお伺いしたいと思います。

○片岸管理部長 昨年の新築の入居募集におきまして、応募倍率が百倍を超えた地区でございますが、五月の公募では、区部が十六地区、市部が二地区。十月の公募では、区部が九地区、市部が一地区。十二月のシルバーピアの募集では区部が一地区となってございます。
 なお、応募倍率は募集戸数に大きく左右されるわけでございますけれども、倍率が百倍を超えている地区のうち、約八割が募集戸数五戸以下の地区になってございます。

○小竹委員 五戸以下ということですから、それだけ少ないということなわけですよね。今お答えいただいたのは、優遇措置も含めてになっているわけですけれども、一般で見るならば、五月の場合には、募集された七十七の地区のうち、二十八地区が百倍を超える、三六%にも上っています。そして、十月についていえば、八十三地区中二十一地区で二五%という点では、本当に都営住宅が足りない。実態は、幾ら申し込んでも入れないということがここに出ているんじゃないでしょうか。都民の要望にこたえる住宅建設になっていないということが示されているというふうに思います。都民需要に見合った建設戸数に引き上げていくことこそ、住宅局に求められている課題ではないでしょうか。
 引き続いてお伺いしたいんですけれども、民間賃貸住居世帯で、公営住宅の入居収入基準内にある世帯数はどのぐらいいると見ておられるのか、その点についてお答えください。

○菊田住宅政策担当部長 平成五年の住宅統計調査から民営借家居住世帯百八十二万五千世帯のうち、収入分位二五%以下の推計をさせていただきますと、約二十五万世帯というふうに考えられます。

○小竹委員 私、ここに九八年に住宅局が出した公営住宅のあり方検討プロジェクトチーム報告書というのを見ているんですけれども、この中には、四十万世帯を超えると見込まれて、これらの人たちが全員入居すると仮定すれば、三十万戸をはるかに超える量の供給が必要となるというふうに述べられています。二十五万世帯と見たとしても、今住宅マスタープランでは建設戸数が五万三千戸ですから、はるかに及ばないというふうなことになるのではないですか。もっと大量の建設が必要なのではないかというふうに思うんですけれども、その辺の認識についてお伺いしたいと思います。

○菊田住宅政策担当部長 ただいまの住宅統計調査で収入分位二五%以下ということで数値の試算をさせていただきました。公営住宅は、先ほど申し上げましたけれども、自力で最低居住水準を確保できない方々への施策でございまして、その部分の計算値ができておりませんので、試算として二十五万戸というふうに申し上げたわけでございます。マスタープランを作成する段階では、一応自力で最低居住水準を確保できない方々がいらっしゃるだろうという数字を想定して、マスタープランの数字を、十年間分ということで定めさせていただいたわけでございます。

○小竹委員 確かに、住宅局が算定する上においては、算定の方法があるというふうに思うんですけれども、余りにも少ない建設状況だからこそ、先ほど述べたような、百倍を超えるような、まさに百人に一人しか当たらないんですよ。宝くじより悪いじゃないですか。そういう本当に当たらない、それこそ都営住宅に入っている人に対して、入れない人たちは羨望の目で見るような状況がこういう中で生まれてくるんですよ。
 私は、都営住宅の建設が非常に少ない例として、私の住んでいる文京区の例を取り上げたいというふうに思うんですけれども、文京区で見た場合に、都営住宅は八六年と九五年に二棟の建てかえが行われました。しかし、新規建設は七一年、昭和四十六年、革新都政の最後の時代につくられたの以外、全く建設されてないんですよ。それで結果として、公団住宅まで含めて見ても、公共住宅の比率は二・三%、都営住宅の比率は一%に満たないような、二十三区の平均から見てもはるかに及ばない状況になってます。そういう中で、最近は空き家募集が多少ずつ出てくるようになりましたけれども、過去においてはもう、空き家募集すらやられてない、こういう状況だったんですね。それが最近の、昨年の空き家募集での倍率を見ますと、五月でいえば二十三倍ですよ。十月で見ると十七・四倍なんですね。いずれも、五戸なんです。新築で見た場合には、久々の新築募集だったんだけれども、全都で最高の七百四十四倍。こういう状況にあるところは、文京に限らないところが幾つかあるというふうに思いますけれども、こういう状況の中では、都営住宅をつくってほしいという要望が本当に切実なんです。
 しかし、どうかといえば、用地難も含めて、全く建設の計画が立ってないんですけれども、文京のように、都営住宅が少ない都心部を中心としたそういうところについて、危機突破・戦略プランでは都心居住の推進ということを挙げてますけれども、都心居住の推進に向けた検討事項の中に、都市基盤整備公団や民間投資の活用について検討していくというふうに書かれているだけで、都営住宅について全く触れられてないんですね。私は、都営住宅の供給をもっと積極的に進めるべきだというふうに思うんですけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○菊田住宅政策担当部長 戦略プランの中のお話がございましたけれども、一般的にいって、急速な高齢化が進展してございますので、今後とも、公営住宅の役割というものはなお大きいものだというふうに思っております。お尋ねのように、文京区のような都心部に隣接した地区で、公営住宅なり公共住宅の割合が少ないという地区も実際上存在をいたしております。また、一方では、高齢社会に対応していくために、住宅施策と福祉施策の密接な連携というものが一層求められてきているというふうに思います。そういう意味では、福祉施策を主体的に展開していただいております区市町村の公営住宅供給というものが、非常に重要になってくるのではないかというふうに考えておりまして、都といたしましては、引き続き、区市町村への支援を続けて、公営住宅の供給に資したいというふうに思っております。

○小竹委員 今高齢化対応ということで、区市町村の役割が非常に重要で、それを支援していくというふうにお答えいただいたわけですけれども、それは私は当然のことだというふうに思うんですね。確かに、区市町村の役割も重要ですし、また東京都としての役割は非常に重要だと私が思うのは、先ほどアンケートのところでも申し上げましたけれども、子育て期やファミリー世帯に対する都営住宅の供給という問題なんですね。都心部は、そういう意味でいったら、自立して自分で住宅を確保するのは、若い人も含めて困難なんですよ。土地代が高いという点でいっても。そういう点で見たら、やはりきちんと都営住宅の整備というのが求められてくるんじゃないんですか。文京でこの間考えたときに、十五年間で二万六千人の人が、バブルを含めて、住めなくなって文京から出ていっているんです。そのうちの七八%が生産年齢の人たちであり、その大半が二十代から四十代の子育て世代なんですよね。これは文京区に限らず、特に、バブルの時期に都心区全体にあらわれた傾向になっているわけです。
 先ほど、戦略プランの中で民間というふうに書かれているんですけれども、民間はもちろんのこと、都市整備公団の住宅もとても住めるような中身じゃないんですよ。文京の場合に、この間三百八十戸、四百戸近く公団住宅が建ちました。確かに、それによって人口はふえています。しかし、その住宅の家賃は五十平米台、五十六平米とか、五十一平米、五十九平米なんですけれども、その家賃が何と十五万から二十万を超えるような家賃なんです。しかも、それは入居時の家賃ですから、当然、傾斜家賃でずっと上がっていくということを考えたときに、とてもこんな高い家賃では若い世代の人が住めないというのが、悲鳴となって出ているんですね。
 八六年に公団住宅がやはり建設されているんですけれども、ここにお住まいの年配の方なんですが、幾らぐらいになっているか伺ったところ、現在六十平米の住宅なんですけれども、十七万の家賃だそうです。現在共働きだから家賃は払っていけるけれども、間もなく定年を迎えて収入がなくなったら、とてもここには住んでいられない。何とか都営住宅に定年後入れるようにしてほしいというふうに訴えておられました。
 公団住宅というのは、本当にそういう意味でいったら、中堅の勤労者が住めないような住宅に、都心部ではもうなっているということがここでもはっきりしているんじゃないでしょうか。そういう点でいったら、本当に若い人たちが住めるような町にするという点でも、それから長年住み続けてきた人たちが住めるようにするという点でも、都営住宅の建設は欠かせない問題になっています。質問をするつもりだったんですけれども、要望にとどめておきたいというふうに思います。
 文京区内に数少ない都営住宅があるわけですが、四定でも問題にしました老朽化した大塚の女子アパート、これについては、これが都営住宅なんですかというような本当にひどい状況に今なっています。住宅局長はごらんになっているかどうかわかりませんけれども、こんなひどい状態のまま、いつまでも放置させるわけにはいかないというのが率直な私の気持ちです。それと同時に、この住宅、非常に古い、昭和五年に建設の住宅ですから、狭隘だし、最低居住水準も満たしてないという点では、現在の住宅戸数が確保できるかどうかという点は、全く確保できないような状況にあるというふうに思うんですけれども、文京における数少ない、先ほど一%未満といった都営住宅比率の中での大きな比重を占めるのがここなんですよね。この都営住宅については、今後住民の説明会をやって移転等について検討していくというふうになっておりますけれども、やはり住宅として再建をしていただきたい、建設をしていただきたいということは、これはもう何としても強く求めておきたいというふうに思います。
 文京の場合には、三十年代、四十年代の建設の住宅ばっかりなんです。そういう点でいったら、早晩、建てかえに入るような住宅、ないしは三十年代であればもう入ってなければいけない住宅であるわけですけれども、実際建てかえるための住宅もないという点では、非常に深刻な状況にあります。そういう点では貴重な都有地である都バスの車庫、ここは再開発の問題が持ち上がっていますので、周辺のまちづくりと含めて、こういう都バスの車庫に対する合築も含めて、ぜひ積極的に都営住宅の建設を進めていただくように、この点については強く要望しておきます。
 さらに質問を進めるんですけれども、都営住宅の建設は、先般も申し上げましたけれども、中小企業への発注率も高いという点では、予算委員会の資料で住宅局の工事の件数で八八%、金額で八五・四%ということでもわかります。特に住宅の新規の建設の経済効果が非常に高いといわれているんですけれども、都営住宅の新規建設について、景気対策の点からも経済効果が期待できるというふうに思うわけですが、住宅の新規建設の経済効果をどのように見ておられるか。また建設関係の多様な業種に仕事が出てくるというふうに思うんですけれども、どういう分野かも含めてお答えをいただきたいというふうに思います。

○菊田住宅政策担当部長 住宅建設の経済波及効果でございますけれども、幅広い産業分野に及んでおります。例えば、木材でございますとか、鋼材といった原材料の部門でございますとか、設備機器などが挙げられます。こういった他産業との関係は非常に広範に及んでおりまして、建設省の平成六年建設部門延長産業連関表によりますと、経済誘発効果は一・八三九という数字になっております。

○小竹委員 業種のどれぐらいという数についてはなかなか掌握し切れないということだったんですが、かなり多方面の分野にわたって効果を及ぼすというのは、今のお答えの中でもあらわれているというふうに思うんですね。経済効果として約二倍。そういう意味では、建設産業や何かは地元の方々、特に中小企業の方々の仕事になるわけで、地域経済に与える効果というのも大変大きいということがいえるのではないか。景気対策としても最も有効なものだというのも証明されたというふうに思います。
 先ほどの公営住宅検討プロジェクト報告には、東京の住宅事情が居住水準や家賃負担率など、依然として厳しい状態にあるということで、多くの住宅問題を抱えているということが示されています。住宅の充足率について、平成五年の住宅統計調査から、五百三十万戸の住宅があるけれども、事務所などへ転用されているものなど、実際に住宅として活用できないものが二十五万戸、建築後二十五年以上経過した木造賃貸住宅、多くはトイレや流しが共用の住宅が約五十二万戸あり、これらを除くと、充足率は〇・九六倍と推定される。質的な側面を考慮した場合、充足しているとはいえない実情があるというふうに、このプロジェクト報告には述べられています。
 こういうような東京都自身の分析から見ても、先ほど来の議論で明らかになったような、都民要求の実態からしても、都営住宅の新規ゼロというのはやっぱり筋が通らない中身になっているというふうに思うんですけれども、このことにかかわって私は重大だと思うので、お伺いしたいというふうに思うんです。
 先ほど村松議員が指摘しました住宅供給公社で出された資料の中に、「具体的には、新規の賃貸住宅供給については、公的機関による供給は停止し、民間市場における良質な賃貸住宅の形成への誘導を基本とすることとし」と書かれている。この部分は都営住宅にかかわる問題だと思うんですけれども、先ほどのご答弁では承知していないというふうにご答弁いただいたんですが、都営住宅の建設にかかわる重大な問題だというふうに思いますので、きちんとお答えをいただきたいと思いますが、いかがですか。

○小関建設部長 都営住宅の新規の扱いにつきましては、これまでもこの委員会等でも何回もご答弁しているとおり、大変厳しい財政状況等を勘案し、いろいろと私ども予算計上させていただいて、三千戸確保させていただいた。その中で、では一体何を優先すべきかということで、老朽化した、おふろのないような狭小な建てかえ団地を優先していこうということでございまして、今後についてはまたいろいろとご検討させていただきたいというふうに思っているところでございます。
 なお、先ほどの要望で、大塚女子について、早く、急げというお話がございました。これも常任委員会でも何回もご答弁させていただいているとおり、できるだけ早い時間に移転等についてのご説明会をしたいというふうに思っております。
 なお、その後の土地利用につきましては、副委員長十分ご承知だと存じますが、あれは文京区の中で、文京区の町の心の一つとして育成しようという意図を持っている地域でございます。春日通りに面しました商業地域の角地で、茗荷谷の駅前の一等地でございますので、区については、いろいろなその土地利用についての思いもあろうかと思いますので、それについては、今後区といろいろとご協議させていただきたいということをこれまでもご答弁しているところでございます。

○小竹委員 大塚の女子アパートについては、住宅としての再建を要望したということで、その点を踏まえていただきたいというふうに思うんです。ここの住宅供給公社の資料には、新規の住宅供給については、「公的機関による供給は停止し、民間市場……今後は、公的住宅の既存ストックの維持、更新等の推進により、循環型社会に対応した住宅ストック・居住環境の整備が重要課題」としているということで、都営住宅の建設停止をはっきりとうたっている中身じゃないんですか。新規の賃貸住宅、これ、全く違うというのかどうか、その点はっきりお答えいただきたい。

○戸井住宅局長 その公社のレポートですけれども、私もまだ読んだ記憶がないんで、それは公社の考え方で、どういう形で書かれたのか、どういうオーソライズをして書かれたのか、定かではありませんけれども、東京都の方針ではないことは間違いございませんので。
 それで、公営住宅については、私は現在でもまだ供給は必要であると思います。ただし、今までと同じようなやり方でもって公営住宅を供給するのはいかがなものか。それは社会経済情勢も相当変化しています。やはり今は地方分権の時代です。したがいまして、私どもが一番期待していますのは、区市町村に頑張っていただく。もともと、東京都以外の他府県では県営住宅よりも市営住宅、町営住宅が圧倒的に多いんです。東京都は歴史の過程でこういう状況になっているわけです。したがいまして、区市町村に頑張っていただく。我々は、ただかけ声で頑張っていただくというだけじゃいけませんので、建設費に対する補助、これは他の府県には見られないような充実した建設費の補助をやっているんですよ。ですから、区市町村が主体になって、きめ細かな、今はやはり高齢化になっていますから、福祉政策との密接な連携が必要です。そうなればなるほど、区市町村のこれからの公営住宅の供給というのは必要だし、そのために十分な支援策を講じているところでございますので、そういう点でご理解いただきたいと思います。

○小竹委員 今住宅局長からお答えいただいたので、東京都は新規の住宅を停止したんではないという点は受けとめておきたいというふうに思うんです。
 あわせて、昨年の第四回定例会で、住宅局長が浅川議員の質問に答えて、今回の措置は緊急避難的な措置だというふうにお答えいただいたんですけれども、この緊急避難的な措置というのは、今年度限りの緊急措置ということで理解していいのかどうか、その点を確認しておきたいと思います。

○戸井住宅局長 前々回の委員会で確かにそういうふうに申し上げました。それはあくまでも都営住宅ですね。先ほどの答弁では公営住宅というふうに私は申し上げました。公営住宅というのは東京都だけじゃないですから、そこのところを間違えないようにご理解いただきたいと思いますけれども。都営住宅については、新規ゼロということで、それはあくまでも十二年度建設において、財政再建の期間中ですから、それに対応するために限られたシーリングの中で建てかえとスーパーリフォームを優先した、そういうことでございます。したがいまして、あくまでも十二年度に緊急避難した。十三年度をどうするかというのは、それは十二年度に入って夏ぐらいからいろいろ議論して、そしてそこで決めるということでございますので、現段階では十三年度をどうするかということはまだ決めてはおりません。

○小竹委員 十三年度どうするかということなんですけれども、都営住宅は非常に重要な仕事だというふうに思いますので、十二年度と同じように新規ゼロということはないように、この点は強くお願いしたいというふうに思うんです。
 今年度も緊急避難的に建てかえを優先したということですけれども、建てかえ住宅も戸数としては、今年度と比べれば減っているわけです。そういう点では、住宅建設の役割と、それと同時に、都民の要望からしても、もっともっと必要になっている。確かに区市町村がやる部分も重要ですけれども、東京都もやらなければならない課題だというふうに思うんです。新規ゼロというのは、都営住宅建設始まって以来のことですし、公営住宅法制定以来、これまた始まって以来のことで、非常に重大だというふうに思うんです。
 ですから、そういう点では、先ほど申し上げたように、住宅建設は財政的にも――この点については第四回定例会で浅川議員が財政的な問題について触れまして、財政的にはきちんと財源が確保できる問題だというのは明らかになりましたし、先ほど申し上げたように、景気対策の上からいっても、中小企業の仕事になるし、経済効果も非常に大きいという点では、ほかの事業と同じようにシーリングで削ってしまうんじゃなくて、住宅局としてはこれだけ効果の大きいものだし、都民の要望もあるんだからということで、堂々と新規建設を主張していただくように、この点は強く求めておきたいというふうに思います。
 最後に一つだけ確認をしたいんですけれども、事務事業審議の中で、私がマンションの管理問題を取り上げた中で、今マンションの抱える問題は大変な問題があるということで、アドバイザー制度、これは局の方も予算要求されましたけれども、たしか予算では削られている分野だと思うんです。この点について今後どうしていくのか、お伺いをしておきたいと思います。

○脇参事 分譲マンションの管理アドバイザー制度への取り組みについてでございますけれども、この制度は区市町村の行う相談体制整備の一環といたしまして、分譲マンション関連団体連絡協議会に参加する関連団体の協力を得ながら、都と区市町村とが共同で実施していく予定にしているものでございます。現在、区市町村及び関連団体とその実施方法等につきまして、具体的な検討をしているところでございます。

○小竹委員 関連団体との協力ということでボランティアの協力が得られるということでは、非常にいいことだというふうに思うんですけれども、ボランティアの方々だけではなくて、都の制度としても、きちんと専門のアドバイザーの体制を確立するという点で、ぜひご努力いただくように要望して、質問を終わります。

○浅川委員 私は、家賃の減免制度の問題について伺いたいと思います。
 これまで本会議の質問や、あるいは予算特別委員会の質疑の中で問題点を明らかにしてまいりましたので、さらに解明すべき幾つかの問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
 今回の家賃の減免制度の見直しについては、居住者の不安というのは大変広がっております。私も立川でいろいろな方に会ってお話を伺いますけれども、例えば、七十七歳のひとり暮らしの女性は年金百二十万円で暮らしている。ぜいたくな暮らしをしているわけではない。二、三年前からヘルパーさんを頼んでいる。介護保険で利用料がどれくらいになるか心配だ。自分はヘルパーを頼んでいるけれども、どうも対象にならないようだ。そうなると、自分で負担しなくてはならない。ぜひ免除の制度は残してもらいたい。こういうふうにいっておられましたし、また、六十七歳の男性の方は、看板職人として働いてきた。いろいろあって年金をかけられなかった。わずかな蓄えがどれだけもつかわからないけれども、生活保護を受けないで頑張りたい。広いところに住んでいるというけれども、これは以前から住んでいるんだ。免除をなくさないでもらいたい。こういうふうにいっておられました。これが私は住んでいる住民の方の声だというふうに思うんですね。
 立川には、減免を受けている方は約六百六十世帯になります。立川は、実は立川といって名前は通っているんですけれども、平均的な市民の所得階層という点では、多摩二十七市の中でも比較的低い部類、だから、所得の低い方々が住める町ということで、私はそういうことは結構なことだというふうに思うんですけれども、そういう支えがこうした減免制度だというふうに、都営住宅の場合思うんですね。東京都はこれまで家賃の値上げの際に、減免制度を改定する、つまり拡充をするということで、低所得者の方々に配慮するという方針をとってきたというふうに思うんです。
 平成二年の都議会の議論の中では、年金受給者とか低所得者層への影響が非常に大きいと思うのですが、こういう方々への配慮はどういうものかという質問に対しまして、都が答弁をされて、年金受給者の方々に対する措置というようなことでございますが、減免制度がございまして、減免制度を今回も改定に合わせて拡充を図るということにいたしてございますと答弁されているのであります。最近では、平成七年に応能応益的な使用料負担制度に改定をして、その応能応益的家賃制度が低所得者の方々に大きな打撃を与えるということで、使用料の免除、こういうものが拡充されてきたというふうに思うんですね。
 こういう経過からして、この減免制度を大幅に引き下げるというようなことは、低所得者への配慮を後退させることではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
 それから、東京都がみずから家賃を値上げするときに、低所得者の方々に配慮をするというふうにいってきたことと矛盾をするというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○津島管理制度改善担当部長 減免制度をこれまで運用してきたわけでございますけれども、減免制度につきましては、減免後の負担額を定額で定めておりまして、立地条件や住宅の広さ等、便益が反映されない仕組みになっているという問題点や、課税所得のみで収入を認定しているために、負担能力が正しく反映されていないという問題点、また減免額の増加により、適正な管理に重大な支障が予想されるという問題点等により、見直しを行ったものでございます。
 それから、家賃の改定等の際に、住政審において、減免制度においてそれなりに答申を得ておりますけれども、平成十一年三月十六日の最近の、最も新しい住政審答申におきましては、減免制度のあり方につきましては、住みかえの促進が図られるようにということで検討することを答申を受けております。

○浅川委員 都民の立場に立ってみれば、東京都が家賃の値上げをする、そういう際に、低所得者の方々に対してそういう配慮を行うんだということでの減免制度の充実だったわけであります。これは都民と約束をして、そういうふうにしてきたということじゃないんですか。居住者に対して、二階に上げてはしごを外すようなやり方というふうにならないんですか。一方的な東京都の理由でそういうふうにされるということについて、東京都は都民に対してどう説明されるんですか。

○津島管理制度改善担当部長 減免制度を見直した理由につきましては、ただいま申し上げました住宅の便益性が全く反映されていないような問題点、るる述べさせていただきましたけれども、都民の声ということで、昨年十二月に都政モニターを実施させていただきまして、この中で幾つかの都民の声が反映されております。例えば、七割の方は免除というものについては反対であるという形で出ております。また、学識経験者の意見も昨年十一月に賜っておりまして、この点につきましても、減免制度についてはほとんどの委員の方のぜひ見直すべきだという意見をいただいております。

○浅川委員 それは居住者の生活の実態が全く反映されてないというふうに思います。便益が反映されていないとかいいますけれども、しかし、もともと減免制度というのは、そうした負担を軽減するために行っている制度でありまして、そこへ便益を入れるというようなことについては、例えば、年金の制度だとか、いろんな収入の制度を見ても、私は余りにも乱暴だというふうに思います。
 こういう改定の背景には、私は公営住宅法の改定があるというふうに思うんですが、前回の公営住宅法の改定で、家賃減免の要件について、旧法と新法でどのように変わっているか、お聞かせいただきたいと思います。

○津島管理制度改善担当部長 平成八年に公営住宅法が改正されたわけでございますが、旧法では第十二条第二項で、事業主体は前項の規定にかかわらず、収入が著しく低額であること、その他特別の事情がある場合において家賃の減免を必要とすると認めるものに対して、家賃を減免することができると定めております。新たな条項は、新法は十六条第四項で減免を定めておりまして、「事業主体は、第一項の規定にかかわらず、病気にかかつていることその他特別の事情がある場合において必要があると認めるときは、家賃を減免することができる。」というふうに定められております。

○浅川委員 つまり、国の法律の改定の中で、収入が著しく低額である、こういう文言が外されてしまっているわけです。そういう中で、いわば東京都が国に追随をして、こうした減免の改定を行ったのではないかというふうに私は思うんです。そういう国に追随するやり方は改めるべきだというふうに思うんです。家賃の減免の存続を求める声というのは、収入が少ないからこそ残してほしいというふうに訴えているわけです。
 立川の例を紹介しましたけれども、東京都生活と健康を守る会が出した「生活実態実例集」の中でも、本当に切実な訴えがされております。九十歳の年寄りです。年金三万七千円と恩給四万三千円で、きょうまで生活保護を受けずに頑張ってきました。家賃減免していただいてありがとうございます。今後も続けてください。こういう訴えであります。それから、別の方は、私は国民年金四万五千円の収入です。生活保護を受けないで毎日頑張っています。貯金も残り少なくなって不安です。家賃減免制度がなくなったら生活していけません。今の制度を続けてください。こういう切実な訴えです。また、私は障害三級、六十九歳のひとり暮らしです。月額十一万五千円の老齢年金で暮らしています。脳梗塞の後遺症で左半身に麻痺が残り、毎日リハビリのために通院しています。家賃が免除になっているので、何とか生きていけますが、免除がなくなったら通院もできなくなり、生活もできなくなります。こういうふうに声を上げているんです。
 私は、こういう声に真剣に耳を傾けていただきたいというふうに思うんですが、そこで、伺いたいんですけれども、現在減免を受けている方の中で、高齢者、障害者、母子の世帯はどれくらいあるんでしょうか。

○津島管理制度改善担当部長 高齢者世帯、これは六十五歳以上でございますけれども、三万一千世帯、障害者世帯が約八千世帯、この中には高齢でかつ障害の重複している方が四千七百世帯いらっしゃいます。それから、母子世帯が約三千五百世帯と推計しております。

○浅川委員 大変な数だというふうに思うんです。高齢者や障害者あるいは母子の方が受けている数が非常に多いわけです。今回の負担増というのは、こうした社会的に立場の弱い人を直撃するのではないかというふうに思います。あわせて、今免除を受けている方が四万人というふうにいわれておりますから、高齢者の方以外にも、この免除を受けている方というのは九千人いるというふうに思うんです。この数字は、働き盛り、あるいは子育て中の若い世代、こういう方々の中でも免除を受けている方がいらっしゃるというふうに思うんです。今倒産とかリストラ、そういう非常に厳しい状況があるもとで、収入が少ない。例えば自営業の方でも仕事がなくて、なかなか収入が確保できない、こういうような話を聞きますけれども、私は、こうした状況を一種反映しているんだというふうにこれらの数字を思います。
 今回の見直しでは、こうした方々まで、免除を受けられていた人が外されてしまうんではないかというふうに心配をするんです。今回免除が五年間継続されるというふうにされておりますのは、高齢者や障害者、母子世帯に限るというふうにされていますが、これはなぜなんでしょうか。子育てファミリー世帯で本当に収入がなくなって大変な思いをしている。特に子育ては、保育園でも、あるいは学校でも非常にお金がかかるわけでありまして、そういう子育てファミリー世帯の生活実態というのもよく見きわめて、こういう方々にも、高齢者や障害者や母子世帯と同じような免除の存続ということは当然考えてしかるべきだというふうに思いますが、免除から子育てファミリー世帯を外した理由は何でしょうか。

○津島管理制度改善担当部長 一定要件のもとに免除を継続した世帯の前提としては、七五%の減額を適用される高齢者、障害者等が前提になっているわけでございます。高齢者、障害者あるいは母子世帯の皆様は、一般世帯に比較いたしまして、生活するに当たっての経済力なり生活力が弱いと判断したものでございます。

○浅川委員 子育てファミリー世帯へのいろんな支援策というのは、東京都としてもいろんな部署でやっているわけですね。住宅局でも始めたというふうに聞いていますけれども、やはり同じように子育てファミリー世帯も大変な思いをしている。当然家賃の減免の対象になる、今高齢や障害者や母子世帯と同じような免除の制度は残すべきだというふうに思います。
 次の問題は、現在免除を受けている人への対応であります。ここで一つ確認をしておきたいんですが、現在免除を受けている人は、九月まで適用して、九月からは新しい制度に移る。それから四月以降の申し込みについては、九月まで現在の制度で、九月から新しい制度に移る、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。

○津島管理制度改善担当部長 そのとおりでございます。

○浅川委員 現在免除を受けている方はおおよそ四万人いらっしゃるというふうに聞いておるんですが、制度改定後の九月から、現在免除を受けている方の八割に相当する三万二千人が免除を受けられなくなるということで、私は大変な数だというふうに思うんですね。制度の一度の見直しで八割もの方々が対象から外される、こういうやり方は余りにも乱暴だというふうに思うんですけれども、一体なぜ一挙に八割もの人を外すようなことをやろうとするんでしょうか。

○津島管理制度改善担当部長 減免制度の今回の見直しは、生活困窮の度合いに応じまして、減額一〇%から五〇%、また高齢者、障害者等で特に生活が困窮される方は七五%減額、さらに、特に著しく困窮される方が一定の要件のもとに免除ということに、それぞれ生活困窮の度合いに応じて、段階を踏んで制度を組み立てたものでございます。

○浅川委員 これまでも免除制度というのは、基本的には生活保護法の水準を基準というふうにしていたわけですから、今まで受けていた人も生活に困窮をしている、そういうことだったんですよ。それをさらに低いような、ランクをどんどんどんどん設けてきて、外そうとしているのが今回のやり方だというふうに思うんです。
 私は、見直しの負担増も深刻な問題だというふうに思うんです。平年度ベースにして、一世帯当たりの負担増は幾らになるでしょうか。

○津島管理制度改善担当部長 減免世帯の住んでいらっしゃる、いわゆる減免前の平均家賃が二万二千円でございます。これをベースに考えますと、仮に五〇%減額の場合は、平均して一万一千円の負担、七五%減額の場合は五千五百円の負担、したがって、仮に免除の方がこれに移行するということになりますと、一万一千円、または五千五百円という負担増になるわけでございます。

○浅川委員 仮にじゃなくて、必ず、外される人はどちらかに移行していくんですよ。それで、五〇%減額の方は年間十三万円ぐらいの負担増になってしまうということなんですね。私は、免除がなくなる対象の多さといい、金額の大きさといい、大変な影響だというふうに思うんです。住宅局はいろいろこうしたことについて調査を行ったと聞いておりますけれども、私は、実態を反映しているというふうにはとても思えません。都民のお金、生活実態というのをもっともっとよく見ていただきたいというふうに思うんです。
 福祉局が行った高齢者の生活実態では、高齢者本人の収入が五十万円未満が一五・七%、五十万円から百万円未満が一五・九%、百万円から二百万円が二一・一%で、収入の低い世帯というのは高齢者の中で非常に大きくなっているわけです。
 もう一点、今回の見直しで新しい問題点があるというふうに思うんです。本来であれば、収入で免除が継続されるはずの世帯の中で、面積の要件によって、受ける人、受けられない人が生まれる、こういう問題であります。現在免除を受けている人で、今回の見直しで、収入の免除基準、単身者の場合でいいますと、八十万四千二百円を満たしていながら、四十三平米という面積要件で免除にならない数は、二人世帯以上も含めましてどれくらいになるんでしょうか。

○津島管理制度改善担当部長 まず最初に、居住者の現在減免を受けられている方の収入の実態の内容でございますけれども、昨年十一月に免除世帯二千世帯を対象にいたしまして、収入実態を調査させていただきました。
 それから、ただいま申し上げました免除が継続される世帯でございますけれども、金額と面積要件の二つで約八千世帯ということでございまして、面積要件が充足しないということで外れる世帯は約四千世帯でございます。

○浅川委員 大変な数字だというふうに思うんですよ。すべてクリアしなければ免除は継続できないということで、それは八千世帯なわけですね。収入が低くて、当然収入では対象になる、そういう方が四千もいる。こういう数がありながら、広いところだというようなことで、免除の対象にならない。本来免除になるかならないかというのは、収入で、その人の生活で一番判断すべきことだというふうに私は思うんですね。いろいろな経過があって、それぞれこの四千の方も今の住宅に住んでいらっしゃるわけです。最近でこそ、型別供給とかいいますけれども、建てかえその他いろいろの中で、今の住宅しかなくて、そこに住んでいるという方もたくさんいらっしゃるんですよ。こんなに、同じ収入で免除が本来なら受けられる方が、面積要件、こういうことで排除されるというのは、私は極めて異常だというふうに思うんです。
 面積要件をつけたために免除が受けられない世帯が四千もある。このことについてどうお考えですか。

○津島管理制度改善担当部長 この面積要件でございますけれども、都市型のいわゆる誘導居住水準、いわゆる最低でございません、誘導居住水準以上の広さの住宅に住みながら免除というのは、先ほど民間賃貸住宅の現状、これは家賃負担率、大体七万円の負担としますと、四一%の民間の家賃負担率でございますけれども、こういった現状等から見まして、都民の納得を得ることは困難であると判断しております。

○浅川委員 いやいや、それは私は全然違うというふうに思いますよ。収入が、今これから免除を継続されるという人と同じ収入しかないわけですよ。そういう人が四千もいらっしゃるということなんですよ。東京都は簡単に、移ればいいとかいうようなことをいわれますけれども、四千もの方を移すということができるんですか。通常の住宅募集やっていますけれども、大変な思いをして一年間かけて、いろいろ住宅を探したりとか、そういうことをやっているんじゃないですか。先ほどの答弁の中でも、収入の多い方が移り住む場所を探したり、確保したりするのは大変だというふうなことがあったじゃないですか。そういう中で、その数が四千にもなるということなんですよ。住みかえをこういう方々に本当にやらしていくということにするんですか。

○津島管理制度改善担当部長 負担につきまして、例えば七五%減額を負担される方のいわゆる家賃負担率を見ますと、高齢単身者の場合で約六・六%、二人世帯で三・五、障害を含む高齢二人世帯で三・〇と、非常に低い負担率で抑えております。こういった低い負担率をお願いするわけでございますけれども、お願いに当たっては、四年間の経過措置、さらには、場合によっては、免除に該当する方には五年間の免除ということで、その経過措置の中でご協力をしていただくというふうに考えております。

○浅川委員 今の答弁は、全く新しい答弁ですね。新しい方針ですよね。四十三平米以上の方は移り住んでいただくということになるわけでしょう。そこへ経過措置を設けるということは新しい方針じゃないんですか。

○津島管理制度改善担当部長 既に発表した内容で、負担を伴う方が住みかえを希望する場合には、経過措置の中で対応していくということでございますので、従来発表のとおりでございます。

○浅川委員 それでは、こういう住宅が――もう四月は目前ですよね、九月からですよね。周知徹底して、自分は港区に住んでいる、とてもこの家賃払えない、港区に何人住んでいるとか、そういうようなことをきちっと確認されていらっしゃるんですか。そういうことがこのわずかの中で、希望をとってできるというようなことになるんですか。

○津島管理制度改善担当部長 例えば、平均負担額が、七五%減額の場合五千五百円と先ほど申し上げましたけれども、一年目はこの二五%、千数百円上がるわけでございまして、この程度の上がる中で、五年間の中で五千五百円まで行くわけでございますので、この期間の中で住みかえの相談に応じていきたいというふうに考えております。

○浅川委員 結局、所得の低い方に移り住んでいけということにならざるを得ないわけですよ。都心居住だとか、いろんなことをいわれますけれども、都営住宅にしか高齢者の場合、都心で住めないという実態があるわけですから、私は、この面積要件をかけて、そういうことを進めていくというのは大変な矛盾だというふうに思いますし、高齢者の住んでいる実態を知らないやり方だというふうに思うんです。
 次に、予算委員会の中で、住宅局長は、生活保護で対応すべきだ、こういうふうにいいましたけれども、そんなに簡単に生活保護というのは受けられないんですよ。生活保護は、例えば相談に行っても、蓄えがなくなってから来てくださいとか、あるいは親戚などにいろいろ連絡をとって援助できるかどうか確認して、大変な思いで受けられるわけですよ。そういうことが心理的には大変な圧迫になるとか、そういういろんな思いをしている中で、今受けないで頑張っていらっしゃる方はたくさんいるわけですよ。
 私も、立川の都営住宅に住む方で、ご主人が解雇になってしまって、その後なかなか定職につけなくて、いよいよ生活保護を受けようかというような相談に来られたときに、障害を持っているお子さんなんですが、子どもに掛けてある生命保険を解約するようにいわれて、それは忍びない、それだけは頑張りたいということで、親が万一のときのために掛けているもので、解約できないんだということで、パートやいろんなつてを使って仕事をして、やりくり頑張っていらっしゃるという方がいるんです。家賃の免除というのは、こういう家庭に必要なんですよね。今回の見直しというのは、私はこういうところに切り込みが入ってしまうではないかというふうに思うんです。
 これは、予算委員会の中で、我が党のくぼた委員が述べたことなんですけれども、建設省の住宅局総務課の住本さんという方が書かれた「新公営住宅法逐条解説」というのがあります。この中では、生活保護世帯基準以下の収入しかない入居者について、生活保護制度によってすべて対応すべきという考えに立つものではないと、こういうふうに述べた上で、家賃の減免と生活保護が異なる手続や違いがある以上、両制度が相まって入居者の居住の安定が図られるべきである、こういうふうにいっているわけです。
 公営住宅の中にいる低所得者の場合、生活保護と家賃減免の仕組みが、私は組み込まれているというふうに思うんですけれども、局長は、この逐条解説は間違っているというふうに思われますか。

○戸井住宅局長 生活保護制度を受けるためにいろんな手続がございまして、これは大変だということは重々承知いたしております。生活保護制度を受ける、受けない――私、予特のときの答弁、詳しくちょっと覚えてませんけれども、生活保護制度を受けなければならないとか、そういうことじゃなくて、やはり今の見直しの案によって、どうしても家賃がゼロじゃなければ生活できない方がいらっしゃるならば、それはいろんな道があるわけです。さらに、子どもさんがいれば、仕送りを受ける、そういう道もあるでしょうし、預貯金を出すという、そういう方法もあるでしょうし、いろんな方法があると思うんです。そのうちの生活保護制度を新たに受けるというのも一つの方法であるということで、時間が限られていましたので、その辺まで詳しくご説明できませんでしたけれども、あくまでも、生活保護制度を受ける受けないというのは、本人の選択でございます。したがいまして、そういう方が何人かいらっしゃるか、今回の見直しの制度によってどのぐらいそういう方がいらっしゃるか、こればかりはちょっとわかりませんけれども、私はそういう意味で申し上げました。
 それから、建設省の考え方ですけれども、両制度が相まってということでありますけれども、そういう仮定の中で、いわゆる減免制度という言葉の使い方がいろいろ問題もあるんですけれども、減免制度というのは、減額があり、免除もある、そういう制度ですね。免除制度という言葉をよく共産党の方は使われますけれども、免除制度なんてことは今まで我々使ったこともありませんですけれども、要するに、減免制度という、もっと幅広い、そういう観点、それは基本的にはもう減額、建設省の思いというのは減額制度というものが主体だと思うんです。免除というのはそんなに主体に考えてないと思います。そういう減免制度という全体の中でとらえていくというような考え方がありますので、建設省の考え方がすべて間違いであるということではないと思います。

○浅川委員 減免制度があるわけですよ。東京都だって、免除継続だというふうなことをいうわけでしょう。そういう点でいえば、免除の制度というのは、やはり収入の低い方に対して、生活保護もゼロの――もちろん住宅扶助ですから、本人負担しないわけですから、ゼロのそういう考え方で生活支援をする、同じように、減免制度についても、減額や免除も含めて生活支援をする、そういう立場にやはり住宅局長は立つべきだというふうに思うんですよ。今行われている制度というのは、本当に都民の低所得者の方々の暮らしを支える制度になっているわけですから、これを生活保護を受ける中で、住宅扶助が住宅局に入ってくるというような考え方であるならば、私は、これは大局を見ない議論だというふうに思うんですが、そこのところはいかがですか。

○津島管理制度改善担当部長 ただいま先生お取り上げになった本は、その本の中の一部でございまして、東京都は東京都の考え方でもって運用しているわけでございますけれども、その本の中でいえば、生活保護世帯の、生活保護を受けるいとまのない人に一時的、緊急的な措置として、減免制度は活用すべきだ、ある意味では、その本は別の面で非常に厳しく減免制度をとらえているというふうに考えております。
 私どもは、そういうことではなくて、今回三つの段階を設けまして、永続的と申しますか、経常的にこの減免制度を活用していくという考え方にのっとってやっているものでございます。

○浅川委員 ならば、やはり現行、今低所得者の方々に制度を設けていることを継続させるべきだというふうに思うんですよ。私は、根本の問題は、この財政難のツケを住宅制度の減免制度にしわ寄せにさせようとしていることだというふうに思うんですよ。これはこの間の経過の中で、財政再建プランで、受益者負担の適正化として、平成十二年から十五年までの四年間、百五十億円を予定しているというような答弁もありましたし、そういう財務局から出されている資料もあります。財政再建推進プランでは、減免措置について、生活保護法における被保護者や災害など、客観的な基準に基づくものに限定する観点から、整理や見直しを行っていく、こういうふうに書いているわけです。しかし、減免制度を見直す、こういうことを財源対策上やったということは、過去に例がないということは、これは今までの答弁からも明確なんです。
 私は、財務局のこういう減免の見直しの押しつけのようなやり方に対して、住宅局としては、財源対策として減免制度を見直すというようなことについては、都民の暮らしを守る立場に立つものではない。都民の暮らしを守るために、こういう減免制度は見直す必要がないんだ、むしろこれを残していく、こういうことが必要なんだという立場に、なぜ住宅局長は立てないんでしょうか。

○戸井住宅局長 浅川委員、私が予算特別委員会でご答弁申し上げましたとき、それから、三原先生からのご質問に対して、住宅政策と福祉政策との関係、私がご答弁したときはいらっしゃったかどうかはわかりませんですけれども、あのとき明確に申し上げました。
 まず、財政との関係でいえば、この減免制度の見直しは、私がこの減免制度を見直すというふうに決めましたのは、昨年の六月一日でございます。六月一日といいますと、私が住宅局長を拝命いたしまして、住宅局の職員を集めて、そのときに減免制度の見直しをやりますと。財政再建推進プランはその後にできたんです。これは事実です。皆に聞いていただいてもおわかりになりますけれども。したがいまして、私の出発点は、財政のためにこの減免制度の見直しをやろうということは毛頭ございません。もちろん、結果として見直しをやれば、財政再建との関係は出てきます。それは事実ですけれども、それは目的ではないということでございます。
 そして、もう一つ、住宅政策と福祉政策との関係で申し上げれば、その辺のところを政策として、ポリシーとして明確にしておきませんと、今までそれがちょっとあいまいだったがゆえに、四万世帯も、必要のない世帯も含めて家賃が免除になっていたという現行制度の欠点が出てきたんですよ。ですから、これからは福祉政策と住宅政策というものは、密接に連携しながらも、やはり基本的にはその辺のところのけじめをつけながら進めていかなければならない、そういうふうに予算特別委員会で私は答弁申し上げたつもりでございます。

○浅川委員 私は、それは今の減免制度を利用されている方、それから、これから都営住宅に入る中で、本当に所得がなくて、免除制度、そういうものを、本来ならば、今までの制度であればできる方にとって、極めて厳しい局長の答弁だというふうに思うんですよ。本当に今住宅に困窮している方、あるいは低所得者の方に配慮ある局長の答弁だというふうには思えません。そもそも公営住宅というのは公設で、公社や公団のように、最初から家賃や建設費で賄うものではないんですね。だから、公営住宅に国庫補助の制度があって、それに対応する都の負担が前提になっているということだというふうに思います。その際に、私どもこれまで主張してきたように、起債が充てられるということであります。
 公営住宅法は、第一章で総則、第二章で公営住宅の整備、第三章で公営住宅の管理、第四章で公営住宅の建てかえ事業、第五章補則、こういうふうな章立てになっております。この管理と建設や建てかえは明確に区別されているんですね。第三章の公営住宅の管理の中に、二十一条で修繕の義務というのが明記されています。これは建設省の住宅局総務課が監修した「公営住宅の管理」の中でも、家賃が低いことを理由にして維持保全に意を用いず、修繕を怠ることは、公営住宅が資産として良好に維持されず、あるいはその効用の滅失を早めることになると、指摘をしております。
 都は、都全体で財政難などといって、都民に厳しい痛みを押しつけようとしておりますけれども、私どもは、財政難の原因は、臨海副都心開発など、大型開発に湯水のようにお金をつぎ込んできたからでありまして、来年度の予算の中でも、住宅の新規建設はゼロになっているんですね。一方で大型公共事業の浪費が温存されております。さきの補正予算と合わせると、投資的経費は一兆円にも上ります。ここにこそメスを入れるべきだというふうに思いますし、都営住宅の減免制度、とりわけ、現行の減免制度は低所得者や高齢者、障害者、母子家庭の命綱になっております。この減免制度を守ってもらいたいという声に率直に耳を傾けて、そして存続されるように、強く要望して質問を終わります。

○古賀委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古賀委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅局関係を終わります。
 これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時散会

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