○小山委員長 上田令子委員の発言を許します。
○上田委員 偏在是正措置問題について伺います。
東京都は、制度上、一地方自治体であります。しかし、同時に、我が国の首都として、政治、経済、文化の中枢を担い、全国に大きな影響を及ぼす存在でもあります。その財政規模、税源の集積度、経済力は、ほかの道府県の追随を許さない、明らかに異なる次元にあります。
もちろん、地方側の一部に見られる東京の富を分ければ解決するといった安易な依存体質や、いわゆるおねだりの理論は、地方自治の自立を損なうものであり、断じて認められるものではありません。
しかし、一方で、地方の衰退は、東京への過度な人口流入による過密化と、それに伴う社会保障負担の爆発的な増大を招きます。地方の少子高齢化が加速度的に進み、東京の成長を支えてきた地方からの若者の流入が途絶えれば、いずれ東京の人口も維持できなくなり、中長期的に東京自身の首を絞めることになりかねません。
都の豊かな税収もまた、地方から上京し、あるいは日々他県から通う、そんな方々に働いていただき、消費する多くの人々によって支えられているという厳然たる事実から目をそらしてはなりません。
だからこそ、都には、単に都民の利益を最大化するという視点にとどまらず、日本全体の持続可能性を視野に入れた、より高次の責任と政治哲学が求められていると考えます。東京が真にサステーナブルな都市であり続けるために、東京だけが成長する構造ではなく、全国との関係の中で均衡を保ち、調和を図るという視点が不可欠です。
首都とは、競争の頂点に立つ存在ではなく、全体を俯瞰し、調整し、地方との対立をアウフヘーベンする包摂的な中枢であるべきだと私は考えます。
さて、高市早苗総理は、本年一月、知事と会談し、都との協議会設置など対話を重視する姿勢を見せています。相手を狙い撃ちと批判し、改悪と切り捨てるのではなく、日本の再興に向けた投資として偏在是正を捉え直す建設的な対話に踏み出すべきではありませんでしょうか。
令和八年度予算案の概要において、国の地方税制度改正について改悪という表現が多用されており、強い違和感を覚えました。
行政が単に自らの減収のみを指して改悪と断定するのであれば、それはあまりにも内向きな論理です。この表現に至った客観的指標、評価基準は何でしょうか。それは、東京都の財政影響のみを基準としたものなのか、あるいは地方交付税の本来の趣旨である全国的な財源の均衡という公的視点を踏まえたものなのか、伺います。
お台場の噴水に二十六億円、都庁プロジェクションマッピングに毎年十億円、一秒四百円です。効果不明の再エネ施策に約四千億円も投じながら、不要不急の事業満載の新規事業は六百五十七事業二千億円にも上ります。
区議会議員出身の私が都議に初当選して、新規事業は当時、一期目のときは八百億円だったんですね。そのとき江戸川区がいただいていた都区財調とほぼ同額の、そのとき八百億円ですから、それでもびっくりしたところ、もう三倍近くとなっております。
福祉財源が足りない、税源収奪だと強弁しても、地方に支えられ、地方を支えるべき首都の責務を前に、全国の自治体や国民が納得できるはずもありません。
そして、米軍によるイラン攻撃に端を発した緊迫する国際情勢、それに伴う原油高と物価高騰で今最も苛酷な状況に置かれているのは、燃料や肥料の値段が急騰していて直撃を受けているのは、農村部をはじめとする地方です。
都として、税源偏在の構造的要因を当然分析していると思いますので、その点も踏まえてご説明ください。
あわせて、乾いた雑巾を絞るがごとく財政運営に悪戦苦闘している他道府県知事が出席し、偏在是正措置を議論するはずの全国知事会を松本明子副知事に任せてアメリカ出張に逃避する小池知事に、この国を牽引していこうとする強く深い政治哲学はあるのか。日本の首都東京都知事としての矜持を持った見解と哲学を伺います。
○山下財務局長 ご質問の根本にあります課題は地方税財政制度にありますので、私から答弁させていただきます。そして、複数の論点につきましてお尋ねがありましたので、まとめてお答えをいたします。
まず、委員お話しの税源偏在、これは税収偏在と表現するのが適切でありますが、地方間の税財源の水平調整は、地方交付税制度によってなされるのが本来の姿であります。
この制度は、全ての団体が一定水準の行政サービスを提供できるよう、自治体間の財源の不均衡を調整することを目的としたものでございます。
したがいまして、地方税収にこの地方交付税等を加えた人口一人当たり一般財源額で見ますと、東京は二十六・二万円でありまして、全国平均は二十四・六万円と同水準であります。そういうことから、是正すべき偏在は存在しないということを再三申し上げております。
一方、現状において、国も地方も税収が伸びているにもかかわらず、地方において相変わらず財源不足との発言がなされているのはなぜかという点でございますけれども、これは地方交付税制度に制度上の課題が存在するからであります。
すなわち、地方税収が増加いたしましても、税収増のうち七五%が交付税額と相殺されますので、実質的には残りの二五%分しか新たな財源として使えず、自治体の努力が報われない仕組みとなっているわけであります。
しかし、国はこうした本質的な課題を解決することなく、平成二十年度以降、累次にわたり東京を狙い撃ちにした地方法人課税の不合理な見直しを行っておりまして、これまで累計で十二・六兆円もの都税収入を都から奪っております。
そもそも、我が国の財政は、国と地方の仕事の量が四対六である一方、国税と地方税の配分は六対四と逆転しておりまして、これが根本的な問題であるにもかかわらず、こうした問題に触れることなく、地方分の四の中でやりくりを過ごしていたわけであります。
それは、国が都と他団体との間に財政力格差があるかとしている、そういう主張をしているわけですが、その論拠としている財源超過額は、国が地方交付税の算定に際して独自に定めた基準で計測した理論値にすぎません。大都市特有の財政需要が十分に反映されておりません。都の実態と大きく乖離しております。
具体的に申しますと、三百万人を超える都の昼間流入人口は、交付税算定上、国の上限値により七十二万人分しか反映されておりません。約四千五百億円が見込まれておりません。また、都は、国会等重要施設の安全確保など首都警察業務を担っておりますが、その関連経費など約一千八百億円が未反映でございます。
さらには、東京は地方に比べて地価が高い中、都民や都内の事業者に地価に応じて相応のご負担をいただいている固定資産税を東京から奪い、所在地以外の自治体に配分することは、応益性の原則をゆがめ、地方税制の根幹を否定するものです。
こうした観点から、令和八年度予算案の概要において、改悪という表現を用いました。
都は、共存共栄を図るという観点で、この予算においても、都と地方が共に成長する施策を盛り込んでおります。
同時に、先ほど申した地方税全体の財源の拡充こそが必要ということで、知事を筆頭にして訴えておりまして、引き続き国などに対して働きかけてまいります。
○小山委員長 上田令子委員の発言は終わりました。
以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
第一号議案から第二十八号議案までに対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小山委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
なお、明日は午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時四十三分散会
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