予算特別委員会速記録第五号

○小山委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 この際、発言の取消しについて申し上げます。
 三雲崇正委員から、三月十二日の当委員会における発言について、一部取消しをしたい旨の申出がありました。
 本件については、理事会で協議の結果、申出のとおり許可することといたしました。
 お諮りいたします。
 本件は、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、ただいま取消しを許可いたしました委員の発言に対する理事者の答弁につきましても、併せて取消しをしたいと思いますので、その旨ご了承をお願いいたします。

○小山委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十八号議案までを一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十三日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承を願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 遠藤ちひろ理事の発言を許します。
   〔委員長退席、内山副委員長着席〕

○遠藤委員 都民ファーストの会東京都議団を代表いたしまして、締めくくり総括質疑に入ります。
 中東エネルギー価格高騰について、緊迫するイラン情勢やホルムズ海峡をめぐる緊張は、エネルギーの安定供給に大きな影響を及ぼしかねません。我が国は、原油輸入の多くを中東に依存しており、価格高騰は、ガソリン価格の上昇など、都民生活にも負の影響を及ぼしております。
 紛争の長期化も見据え、脱炭素化を進めることが重要ですが、この夏の猛暑も見据え、エアコンの使い控えを招かない賢い省エネも必要であります。
 都は、二〇三〇年までの温室効果ガス半減を目指し、HTT、いわゆる電力を減らす、つくる、ためる取組を推進しています。今こそ、知事が進めてきた再生可能エネルギー施策が、脱炭素のみならず、エネルギー安全保障の面でも力を発揮すべき局面です。
 この危機を乗り切るために、小池知事のリーダーシップの下、このHTTの取組を深化し、一層の推進を図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 混迷を極める中東情勢は、緊迫の度合いを深めております。加えまして、この夏の東京エリアの電力需給は非常に厳しい見通しとなっておりまして、都民生活に大きな影響を及ぼす危機に直面をいたしております。
 こうした状況を全庁で共有し、具体的な行動に移すため、昨日、エネルギー等対策本部会議を開催いたしました。いかなる状況にありましても、都民の命と健康を守るため、エネルギーの安定確保と脱炭素化の両立に全力を尽くしてまいります。
 ウクライナ危機以降、都が実行してまいりましたHTTの取組につきましては、今や太陽光パネル、また、蓄電池の導入倍増を促し、住宅の高断熱化も大幅に進展してまいりました。
 この流れを確かなものとするため、ゼロエミ関連予算を約一千億円増額しまして、Airソーラーや浮体式洋上風力発電等、純国産エネルギーである再エネの拡大に加えまして、省エネ家電や高断熱窓のさらなる導入拡大など、経済性、快適性、健康にも資する省エネ施策を加速いたします。
 こうした取組をより多くの都民や事業者に自分事として捉え、実践していただくため、HTTの広報を一段と強化いたしまして、レジリエントで持続可能な都市を実現してまいります。

○遠藤委員 次は、チルドレンファーストの視点から、都の取組を伺ってまいります。
 特別養子縁組、家庭で育つ子供についてです。
 私は、現在、特別養子縁組を希望する養親当事者の一人でもあります。当事者として制度に関わる中で感じるのは、里親や養子といった社会的養育という仕組みが、都民に知られていないという現実です。調査によれば、特別養子縁組制度の認知はおよそ三割、制度の違いまで理解している人は一割程度、里親制度についても、内容まで理解している人は四割弱にとどまっております。
 一方で、日本には、家庭で暮らせない子供が約四万人、都内で約四千人おります。子供を迎える方法は、出産だけではありません。不妊治療がうまくいかなかったご夫婦が里親になったり、養子を迎えるというケース、これは、米国では年間六万組とかなり一般的であります。社会的養育を当たり前の選択肢にしていくことが、子供の最善の利益につながるのではないでしょうか。
 そこで伺います。
 都として、里親制度や特別養子縁組など、社会的養育にもっと光を当て、社会全体の理解を広げていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 里親が地域の中で子育てをすることが、ごく普通のこととして受け入れられる社会を実現することは重要です。
 都は、一人でも多くの方に里親制度に関心を持っていただけるよう、里親にその体験を語ってもらうなど、制度の周知や理解促進に取り組んでいます。
 また、里親への研修機会の提供や里親からの相談への対応など、里親支援も行っております。
 現在、児童福祉審議会の部会におきまして、里親へのさらなる支援方策を検討しておりまして、その議論も踏まえながら、社会的養護の下にある子供たちが、できるだけ家庭と同様の環境で養育されるように取り組んでまいります。

○遠藤委員 特別養子縁組は、家庭で育つことが難しい子供に永続的な家庭を提供する制度です。今回、特別養子縁組に関する情報共有基盤の整備が予算化されたことは、大変意義のある取組であり、評価をいたします。
 一方、フォスタリング機関の職員からは、関係機関の情報共有不足が、マッチングや支援のスピードに影響しているという声も上がっております。
 情報共有基盤づくりは、机上の設計だけでは十分に機能しません。現場の声をしっかり反映させていくことが重要です。情報共有基盤は、関係者が必要な情報を適切に共有し、より迅速な支援につながることが期待されます。
 現場の意見をどのように把握し、システム設計に反映していくのか。また、今後、どのように特別養子縁組を進めていくのか、都の見解を伺います。

○高崎福祉局長 都は来年度、里親支援業務を包括的に行うフォスタリング機関による養子縁組のマッチングの円滑化などを図るため、里親が参照できる情報共有プラットフォームを構築いたします。構築に当たりましては、一部の児童相談所で試行稼働を行いまして、現場の意見を取り入れながら、全ての児童相談所に展開してまいります。
 また、児童相談所やフォスタリング機関などの関係機関との連携を担う専任の職員を配置する乳児院を支援しておりまして、現在の四施設から来年度は六施設に拡大するなど、特別養子縁組についても、さらに取組を推進してまいります。

○遠藤委員 次に、児童相談所の一時保護所の生活環境について伺います。
 児童相談所の一時保護所は、虐待など様々な事情で家庭で生活できない子供が一時的に暮らす場所です。しかし、現場からは、私物の持込み制限や生活上のルールなど、子供にとって必ずしも過ごしやすい環境とはいえないのではないかという声も聞かれます。
 この点については、我が会派の内山副委員長も、昨年及び今年の予算特別委員会で指摘をしています。もちろん、安全確保のためのルールは必要ですが、被虐待児が生活する場所として、今の環境が現代の児童福祉の観点から適切なのか検証が必要ではないでしょうか。
 また、保護所で生活する子供たちは、自ら声を上げることが難しい場合もあります。一時保護所の生活環境やルールについて、子供の権利の観点から、どのように点検、改善しているのか、また、子供たちの声をどのような仕組みで把握し、どのような改善につなげてきたのか、都の見解を伺います。

○高崎福祉局長 都の一時保護所では、定期的に外部評価を受審し、児童一人一人の状況に配慮した適切な支援に取り組んでおりまして、意見箱の設置や児童が主体となって希望や意見を話し合う場を設けることなどにより、児童の声を日常的に把握しております。
 また、第三者委員が定期的に保護所を訪問し、児童と面談しておりまして、令和六年度は、千五百七人からの相談に対応いたしました。
 こうした取組により、外部講師による音楽、スポーツの授業の実施や、私服や愛着のある私物の持込み、人気の高い食事メニューの提供など、着実に改善を進めておりまして、引き続き、児童の権利を尊重した支援の充実に取り組んでまいります。

○遠藤委員 次は、保育施設の重大事故についてです。
 近年、保育園や幼稚園に加え、こども園、放課後児童クラブなど、教育、保育施設も多様化し、全体の数も増え、それに伴い、事故などの報告件数も増えております。
 施設で発生する重大事故の検証は、事故防止の観点からも重要な取組であります。ここでいう重大事故とは、死亡、意識不明、回復まで三十日以上かかる事故などをいいます。
 施設の多くは、区市町村が所管しておりますが、認可外保育施設などは都の所管ですので、本日は、認可外保育施設への対応について伺います。
 都はこれまで、重大事故発生時の事後的検証委員会の設置や事故報告ルールの明確化、認可外保育施設への指導強化などに取り組んできました。一定の前進は評価する一方で、事故件数が高止まりしている現状を見ますと、再発防止の取組が十分に機能しているのか検証が必要です。特に、検証報告書で示された教訓や提言が共有され、対応が進むことが重要です。
 都は、認可外保育施設の事故の発生防止の取組を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○高崎福祉局長 都は、認可外保育施設に対して、児童福祉法に基づく立入調査などの指導監督に加え、巡回指導も実施しておりまして、全ての施設を年一回以上訪問し、保育内容などの指導助言を行っております。
 また、認可外保育施設において重大事故が発生した場合には、事故の原因分析などの検証を行っておりまして、その結果を踏まえ、事故防止に向けた啓発動画を作成して、都内全施設に周知し、施設職員に対する研修の充実を図るなど、施設内での保育内容の見直しにつなげております。
 今後も、こうした取組により、認可外保育施設における保育の質の向上を図りまして、事故の未然防止に取り組んでまいります。

○遠藤委員 私たちは、誰もがそれぞれの可能性を最大限に伸ばせる社会を目指しています。本日は、入試改革、奨学金、大学入試の際の入学金二重払いについて、それぞれ伺います。
 大学入試における調査書評定、いわゆる評定平均の扱いについて伺います。
 近年、大学入試では、総合型選抜や学校推薦型選抜、いわゆる年内入試の割合が拡大し、その割合は過半数ともいわれています。これらの選抜では、高校が作成する調査書の評定平均が重要な指標として用いられていますが、評定平均は高校ごとの内部評価であり、学力水準や評価基準の違いにより、その意味合いが同一といえないという指摘があります。例えば、進学校と専門高校などでは授業難易度や学習環境が異なるわけですから、同じ評定平均四・〇であっても、その学力的な位置づけが異なる可能性があるわけです。
 総合型選抜や推薦入試の拡大に伴い、高校の進路指導においても、推薦入試への対応が重要になっています。
 都立高校の中には、進学指導の体制や情報量が十分とはいえない学校もあると伺っています。全ての都立高校に対する進路指導や情報提供を強化すべきと考えますが、都教育委員会のこれまでの取組と今後の方向性について伺います。

○坂本教育長 都立高校で、学力や多様な知識等により、生徒が希望する進路を実現するための効果的なサポートを充実する取組は重要でございます。
 生徒の進学に当たっては、学力のほか、様々な経験を通じた知識や考え方を評価する場合が増えております。こうした中、都立高校は、生徒や保護者の要望に応じ、在学中の経験を通じ学んだことを確実に表現できる面接や小論文等に係る指導を後押ししてまいりました。
 この取組へのニーズは高く、都教育委員会は、来年度、三十五の高校を対象に進路指導の体制の充実を図ります。具体的には、面接やプレゼンテーションのほか、小論文の指導の方法に係る専門的な研修や情報提供を教員に実施をいたします。

○遠藤委員 都立高校の給付型奨学金について伺います。
 私たちの要望を受けまして、都においては、令和六年度から、国に先駆けて所得制限を撤廃し、高校の授業料の実質無償化が実施されたところですが、高校生の保護者が負担する教育費には、授業料のほかに制服代や教材費等もあります。
 都教育委員会は、こうした授業料以外の教育費に対する支援として、国の奨学のための給付金に加え、都独自の支援策として、給付型奨学金制度を創設し、低所得世帯への支援を実施しています。この間、私たちの要望を踏まえ、生徒の多様な教育ニーズに十分対応できるよう、支給対象項目を拡大し、修学旅行費、補助教材の経費、体育祭や文化祭等の学校行事に係る経費等を対象に加えるなど、充実を図ってきていることは評価いたします。
 国では、令和八年度の予算案で、授業料等の支援を拡充するなど、教育費負担の軽減策が盛り込まれています。
 都においても、物価高騰が長引き、保護者に大きな負担がのしかかる状況も踏まえ、給付型奨学金の支給対象世帯を拡充するなど、教育費負担の軽減を進めていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○坂本教育長 家庭の経済状況にかかわらず、都立高校等に通う生徒が様々な教育活動に主体的に参加できるよう、保護者の負担を減らす取組は重要でございます。
 このため、都教育委員会は、都独自の給付型奨学金等によりまして、低所得世帯への支援を実施しております。これによりまして、修学旅行や補助教材のほか、学校行事に係る経費などに関し、保護者の負担の軽減を図っているところでございます。
 物価高騰が続き、教育に必要となる家庭の経費負担の軽減へのニーズは高まっております。このため、来年度、給付型奨学金に関し、これまでに比べ、対象となる世帯の範囲を広げ、支援の拡充を行います。

○遠藤委員 続いて、都立大学の入学金二重払い返金の問題を取り上げます。
 近年、推薦入試や総合型選抜の拡大により、第一志望校の合否が判明する前に、他大学へ入学金を支払わざるを得ない、いわゆる入学金の二重払い問題が深刻化をしています。これは、経済的理由によって、進路選択や受験そのものを断念する若者を生み、進路選択の自由を大きく損なう課題です。
 若者たちが立ち上げた入学金調査プロジェクトが行った千三十九人から回答を得た実態調査では、入学金の二重払いについて九割が問題視しており、約四割の学生が当事者ということが公表され、入学しない大学への入学金が大きな負担となっている実態が明らかにされ、国も、昨年六月に、私立大学に対して改善するよう通知を出しました。
 都立大学においても、こうした若者の切実な声と社会的要請を真摯に受け止め、進路選択の自由を保障し、家庭の経済的負担を軽減する観点から、入学金の二重払い問題への対策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○佐藤総務局長 都立大学では、私立大学の合格発表日よりも入学料納付を含む入学手続の締切りを遅く設定しておりまして、入学料納付後の辞退者は生じにくい状況にございます。
 また、前期入試の入学手続を三月中旬に締め切ることで、辞退者数を正確に把握をしております。これによりまして、三月下旬に発表される後期入試の合格者数を見込み、受験者の入学機会を確保しております。
 一方で、近年、私立大学では、年度末に追加合格を出すことが一般化してきておりまして、都立大学におきましても、入学料納付後の辞退者が一部発生しております。
 こうした状況を勘案し、令和九年度入学者の入試に向けまして、都立大学において、入学手続後の他大学追加合格者への具体的な対応を検討してまいります。

○遠藤委員 今、来年度の入試から、入学金の二重払い、これを改善していくという答弁をいただきました。若者の挑戦を後押しする決断だと思います。東京から日本を変えていく一つの事例になる大きな決断として高く評価したいと思います。
 続いて、TOKYOカルチャーデビューについて伺います。
 社会が目まぐるしく変化し、価値観が多様化する中、他者への共感力や、創造力を育む芸術文化は、その重要性を増しています。子供たちの感性の芽生えを社会全体で後押しすることは、東京の未来にとって欠かせない取組です。
 都は昨年、TOKYOカルチャーデビューを立ち上げ、より多くの子供たちへ体験を届ける取組を進めていますが、体験機会に恵まれにくい子供たちや参加のきっかけをつかめていない子育て世帯へいかに届けていくかは課題です。
 そこで、都は、TOKYOカルチャーデビューを軸に、民間企業等とも連携して、これまで文化体験に接点を持ちにくかった子供たちを含め、子供の芸術文化体験の裾野を広げていくべきと考えますが、見解を伺います。

○古屋生活文化局長 都は今年度、多様な主体と連携して子供向けの企画を一体的にコーディネートする事業、TOKYOカルチャーデビューを立ち上げまして、これまでに三十を超える賛同団体を集めるなど、子供たちの豊かな育ちを応援する社会の輪を広げてまいりました。
 今後は、この連携を軸に、学童や子供食堂など地域の身近な子供たちの居場所へと体験を広げてまいります。
 また、本年秋には、音楽、アート、伝統文化など多彩な分野を集めたフェスティバルを開催しまして、子育て世帯にとっての文化体験の入り口といたします。
 都と民間が一丸となり、社会全体で一人一人の子供たちへ心に残る体験を届けてまいります。

○遠藤委員 都は、ダイバーシティ、人が輝く東京を掲げています。都民ファーストの会も、多様性こそ社会の成長の原動力と捉え、様々な政策提言を進めています。
 ここからは、多様性や人権に関わる課題に移ります。
 令和六年度から所得制限なしでの私立高校授業料実質無償化がスタートし、私立が身近な選択肢となった一方、私立学校には、教育委員会のような外部組織がないため、生徒や保護者がトラブルを抱えた際の対応が難しい状況にあります。生活文化局への相談件数は、令和五年度に約六千百件、令和六年度に約四千百件に上り、東京都教育委員会の相談窓口にも多くの声が届いており、都としての対策が急務であると考えます。
 そこで、AIを活用して私立学校を取り巻く情報を集積し、相談対応の質を上げるなどの対策を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。

○古屋生活文化局長 都には、私立学校やその保護者などから学校運営やいじめに関するものなど様々な相談が寄せられております。
 そこで、都は来年度から、相談対応業務に生成AIを活用したシステムを導入いたします。
 具体的には、相談内容のデータを蓄積しまして、AIを用いて分析を行い、私立学校が抱える課題や保護者の声のトレンドなどを把握いたします。
 そうして得られた情報から、類似事例や継続案件などを即座に確認できるようにするなど、学校や保護者などへの相談対応の際に活用することで、回答時間の短縮やサービスレベルの向上を図ってまいります。

○遠藤委員 犯罪被害者などへの支援についてです。
 日本では、長らく犯罪被害者やそのご遺族は、経済的負担や心身の後遺症、裁判への対応、さらには周囲の無理解による二次被害など、被害は事件で終わらないにもかかわらず、公的支援は十分とはいえませんでした。
 こうした現実を踏まえ、国は、犯罪被害者等基本法を制定し、犯罪被害者の尊厳と権利を正面から位置づけました。その責務は地方自治体にも及び、各地で条例制定が進む中、都は、犯罪被害者等支援条例を制定し、相談から生活再建まで途切れない支援を理念として掲げました。
 都は、条例にとどまらず、総合相談窓口の整備や具体的な支援施策を積み重ね、全国の関係者から注目をされております。都の取組は、他自治体のモデルともなっており、果たしてきた役割は大きいと考えます。
 全国をリードしてきた都の立場を踏まえ、さらなる犯罪被害者のための取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○小池知事 犯罪の被害に遭われた方やそのご家族は、生命、身体等に対します直接的被害だけでなく、社会生活や経済面の困難、精神的な苦痛など、様々な問題や不安を抱えています。
 都はこれまで、被害者遺族への見舞金給付や被害者への転居費用の助成、精神的ケアなど、警察や区市町村と連携しながら、途切れのない支援を提供してまいりました。
 今般策定いたしました新たな犯罪被害者等支援計画におきましては、取組をさらに充実強化してまいります。
 具体的には、被害者遺児への見舞金の給付や誹謗中傷等の二次的被害に対応する弁護士費用への助成を行うとともに、男性のための性被害相談窓口を新たに開設をいたします。
 また、被害後の様々な手続の不安解消のため、行政書士による無料相談を開始いたします。
 今後とも、被害者等の尊厳を尊重し、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。

○遠藤委員 現在の都の条例は、支援条例として一定の役割を果たしておりますが、これを犯罪被害者の人権保障をより明確に位置づける条例として再構築すべきではないかという議論もあります。
 その観点から、支援条例から基本条例にするなどの改正も視野に入れた検討の必要性を提言して、次の質問に移ります。
 共生社会のシンボルデザインについてです。
 都内では、援助や配慮が必要なことを知らせるヘルプマークが広く定着をしています。しかし、障害者差別解消法の制定から十三年、施行から十年が経過する中、理解にとどまらず、実際に行動できる人を増やす取組が求められています。
 私たちの要望に応じ、都は、都立大学と連携し、周囲に援助や配慮を求めやすくするために必要なことを調査し、その成果を踏まえ、昨年十二月八日に共生社会のシンボルデザインを公表しました。このデザインは、共生社会の理念に賛同する企業等が支え合いに参加する意思を示すことができる新しいツールであり、共生社会の実現に向けた大きな一歩です。
 このデザインが都民に知られ、企業や地域で活用されてこそ、初めて行動につながる文化が育つと考えます。
 企業が活用するシンボルデザインについて、多様な媒体を活用し、賛同企業と共に都民に広く周知していくべきと考えますが、来年度の取組について伺います。

○高崎福祉局長 共生社会の実現には、一人一人が障害や障害特性を理解し、支援が必要な方に対してちゅうちょなく行動するなど、社会全体での取組が必要でございます。
 都は今年度、共生社会の理念に賛同する企業などの登録を開始いたしまして、それらの企業などが活用できるシンボルデザインを決定いたしました。来年度は、賛同企業によるシンボルデザインを活用した障害者の理解促進に資する取組を商業施設のイベントで紹介するとともに、動画やSNS広告により発信してまいります。
 賛同企業とも連携しまして、支援が必要な方に対し、より多くの都民が行動に移せるよう後押ししてまいります。

○遠藤委員 eスポーツと障害についてです。
 私たちは、インクルーシブな社会の実現を目指していますが、オンラインで参加できるeスポーツは、その一助となる可能性を秘めています。
 都はこれまで、遠隔操縦ロボット、OriHimeを活用した運動会の開催などを実施してきました。また、eパラスポーツ事業では、作業療法士が操作器具を使いやすく改良し、より参加しやすくなるような支援をしてきました。
 一方で、障害のある方には、eスポーツで一般の方が使うコントローラーが使いづらい、また、健常者との対戦に心理的抵抗があるなど、様々なハードルがあると思います。
 障害者の一層の社会参画につなげるためにも、障害者やスペシャルニーズのある方々がeスポーツに親しめるよう工夫をするとともに、広く普及を図っていくことが重要と考えますが、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。

○渡邉スポーツ推進本部長 都では、障害のある方がeスポーツを楽しめるよう、作業療法士等の専門家と連携しまして、障害の状態に合わせて開発されたコントローラー等を活用しながら、体験会等を実施してまいりました。また、障害のある方とない方がエキシビションマッチで対戦し、活躍する姿の発信も行っております。
 今後、関係団体と連携しながら、障害の種別や程度に応じて楽しめる工夫について、さらに知見を積み重ね、様々な体験の機会を提供してまいります。
 加えまして、対戦、交流の様子、参加した当事者の声などSNS等を通じ発信し、障害のある方のeスポーツへの参画を促進してまいります。

○遠藤委員 様々な方法でeスポーツに取り組める環境を用意すれば、スペシャルニーズのある方が自分に合ったeスポーツを選択できます。引き続き、多様な障害特性の方に寄り添った取組を進めていただくことを期待いたします。
 続いて、若者の自殺対策、いわゆるオーバードーズ問題を取り上げます。
 近年、全国の小中学生の自殺者数は増加傾向にあり、令和七年の暫定値は五百三十二名と、令和六年の五百二十九名を上回り、過去最多となる見込みです。また、近年ドラッグストアなどで購入可能な風邪薬やせき止め薬の過剰摂取、いわゆるオーバードーズにより救急搬送される若者も増加しています。
 オーバードーズの背景には生きづらさがあることが多く、その原因を解消しなければ、将来の自殺リスクにつながるといわれています。また、死にたいという気持ちを抱いてオーバードーズをする若者が多くいるとされ、この両者は密接に関係しています。
 若者の自殺が増え続ける危機的な局面にあって、オーバードーズをせざるを得ない若者に目を向けて、アウトリーチをする必要があると考えますが、見解を伺います。

○山田保健医療局長 生きづらさを抱え、薬の過剰摂取など自傷行為をする若者を支援するため、都は来年度、ゲートキーパーの役割を持つ薬局等と連携した取組を実施いたします。具体的には、過剰摂取されやすい市販薬を購入する若者一人一人に、新たに作成する若者向けウェブサイトを案内するカードを手渡し、相談につなげてまいります。
 また、学校や地域の居場所等の協力も得て、カードを配布し、多くの若者へ周知を図ってまいります。
 生きづらさを抱える若者の命を社会全体で守るため、様々な関係機関と連携し、取組を一層推進してまいります。

○遠藤委員 小中学生の自殺者数が過去最多を更新し続けているということは、まさに緊急事態であります。国もこの春の改正自殺対策基本法の全面施行を契機に対策を推進しようとしています。都も、こうした流れをしっかりと捉え、若者への生きる支援を一層推進することを求めて、次から医療関係の質問に移ります。
 PMH、パブリックメディカルハブの活用についてです。
 医療機関と自治体、そして都民をつなぐ情報連携の基盤でありますPMH、パブリックメディカルハブ、こちらは、子育て世代の親御さんが子供を医療機関へ連れていく際に、多くの持ち物でバッグがぱんぱんになっちゃうんですね。受付で、医療証や診察券に加えて、子供医療費助成の紙の受給証も出す、これも一苦労と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 国は、医療費助成の受給証を電子化する仕組みであるPMHの取組を進めています。このPMHによって、都民はマイナ保険証を持っていけば、紙の受給証を持ち歩く必要はなくなります。医療機関側も受給証をコピーしたりという事務の手間も減るわけです。これから、医療機関と区市町村のPMHへの接続を加速することが不可欠になってきます。
 子育て家庭や患者、医療機関等に大きなメリットがあるPMHの普及促進には、医療機関等と医療費助成の受給者情報を管理する自治体の双方がPMHに接続をする必要がありますが、医療機関等や区市町村における現在の状況と接続推進に向けた今後の取組について、都の見解を伺います。

○山田保健医療局長 都は、医療機関などや区市町村のPMH接続に必要なシステム改修経費につきまして、国の補助に上乗せをしまして都独自の支援を行っております。また、東京都医師会と連携いたしました普及啓発やウェブ上での接続施設のマップの公表などを行うことによりまして、PMH接続を積極的に推進しております。今年度末までに都内で一万を超える医療機関、薬局と約半数の区市町村が接続をする見込みでございます。
 来年度は、接続する医療機関等や区市町村を拡大するために、未接続の施設などへの働きかけを強化いたします。
 こうした取組によりまして、PMH接続を一層推進いたしまして、より多くの都民や医療機関等の利便性向上を図ってまいります。

○遠藤委員 東京の医療は、全国から見れば進んでいるように見えますが、例えば、多摩地域に視点を移しますと、まだまだ課題が存在します。
 東京都は、今申し上げましたように、医師多数都道府県とされていますけれども、二次保健医療圏では、西多摩、南多摩、島しょ圏域は医師少数区域となっており、都心部との格差が顕著です。全ての都民が、住んでいる地域にかかわらず、質の高い医療を受けられることが重要であり、こうした医師の偏在を是正する必要があると考えます。
 多摩地域の公立病院からは、医師が不足し診療に支障が生じている、こういった切実な声を聞いています。医師偏在の解消に向けて、さらなる取組の強化が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○山田保健医療局長 都はこれまで、医師の確保が困難な地域や診療科等に従事する医師を養成するための奨学金制度や、多摩・島しょの公立病院等に医師を派遣する地域医療支援ドクター事業などを実施してまいりました。
 一方、昨年度から開始いたしました医師の働き方改革によりまして、マンパワーの不足が懸念される中にありましても、地域における医療体制を安定的に確保していくことが求められております。
 都は来年度、医師確保計画を改定する予定でございまして、学識経験者や関係団体、区市町村等で構成いたします協議会で議論をしながら、医師偏在の是正も含めた今後の医師確保対策について検討してまいります。

○遠藤委員 引き続きまして、都内の医療圏における救急医療体制について伺います。
 まず申し上げたいのは、救急医療は利益で測るべきものではなく、都民の命を守る公共インフラであるということです。特に、三次救急医療は、重篤患者を二十四時間三百六十五日受け入れる医療体制でありまして、都民の命を守る最後のとりでともいえます。
 一方で、三次救急を担う医療機関の多くは、救急や高度急性期といった不採算部門を抱え、経営的にも厳しい状況にあると指摘をされています。
 そうした中、都として、救急医療を担う病院をはじめとする病院の経営状況を把握しながら、必要な取組を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○山田保健医療局長 長引く物価高騰等が、急性期医療を担う病院をはじめ、都内病院の運営を圧迫しております。
 今般、国におきまして、補正予算や診療報酬改定によりまして、一定程度の措置が図られたものの、その効果などを見極める必要がございます。
 このため、都は来年度、全ての民間病院へ緊急的かつ臨時的に支援金を交付するほか、急性期医療を担う民間病院に対しましては、救急車の受入れ実績に応じた臨時的な支援を実施いたします。また、国の対応による影響などを把握するため、都内病院に対し、経営状況に関する調査を実施いたします。
 こうした取組を進めまして、都民が安心して医療を受けられるよう、地域医療の確保につなげてまいります。

○遠藤委員 南多摩医療圏の三次救急医療体制を支える重要な医療機関の一つが日本医科大学多摩永山病院です。同病院は、救急救命センターを有し、地域の高度急性期医療を担う基幹病院であります。しかしながら、施設の老朽化などを背景に、建て替えの課題が指摘をされています。
 人口百五十万人を抱える南多摩医療圏の医療体制を守るという観点からも、三次救急を担う医療機関の施設更新は極めて重要であり、大学と多摩市との間で移転、建て替えに向けた協議が進められていましたが、令和六年五月に一度終了をしてしまいました。協議再開となったものの、救急医療は一度弱体化すると簡単には戻りません。
 南多摩医療圏で中心的な役割を担っています日本医科大学多摩永山病院の建て替えについて、地域医療体制の維持という観点から、どのように関わっていくのか伺います。

○山田保健医療局長 日本医科大学多摩永山病院は、二次、三次救急医療や周産期医療を担うなど、南多摩地域の医療を支えている中核的な病院でございます。
 開設から四十八年が経過いたしまして、建物が老朽化していることから、大学と多摩市との間で多摩市内での病院の建て替えに向けた協議を進めておりましたが、協議が調わず、令和六年五月に検討が中断いたしました。その後、都が両者の間に入って調整をいたしまして、本年一月に協議が再開をしたところでございます。
 地域医療を守るため、病院の建て替えに向けた両者の協議が着実に進むよう取り組んでまいります。

○遠藤委員 ありがとうございます。
 都政の根幹は人への投資です。これまで、子供、人権、生命と健康を守る医療について伺ってまいりました。
 次に、この人の力を生かして、稼ぐ東京を支える産業経済について伺ってまいります。
 まず、MICE誘致の取組について伺います。
 東京ではこれまでも、国際会議の誘致が着実に進められてきました。例えば、第十回国際産業数理・応用数理会議、これ約四千三百名が参加をされています。SIGGRAPH Asia二〇二四、同じく八千二百名、世界理学療法連盟学会二〇二五、同じく四千五百名など、国際会議が東京で開催されております。また、先日は、二〇二八年の世界弁護士連合会の誘致にも成功し、東京のMICE戦略の大きな成果であると考えます。
 重要なのは、こうした成功事例を単発で終わらせるのではなくて、成功の要因を分析し、次の誘致につなげていくことだと思います。また、成功から学ぶことはもちろんですが、失敗から学ぶことはもっと重要です。なぜうまくいかなかったのかを分析することが、東京の誘致力を高めていく上で重要ではないでしょうか。
 そこで伺います。
 これまで東京が誘致に成功した国際会議について、都や東京観光財団ではどのように成功要因を分析し、次の誘致活動に生かしているのか。また、誘致に至らなかった案件についても原因を検証し、戦略改善につなげる仕組みはあるのか伺います。

○田中産業労働局長 国際会議に関する国の調査によりますと、外国人参加者一人当たりの総消費額は、訪日旅行者の二倍以上の約五十五万円となってございます。
 こうした経済効果の高い国際会議の誘致に向けまして、都は有識者から意見を聞き、東京の強みや弱みを分析し、誘致戦略を策定しております。本戦略の下、国際会議の主催者に対し、誘致などの経費を助成するほか、ユニークベニューの実施支援などを行っております。
 また、誘致結果を踏まえ、競合都市の誘致活動の詳細や開催決定に至る要因等を分析し、規模や分野が類似する国際会議の誘致に活用しております。
 このようにして、MICE誘致を効果的に進めております。

○遠藤委員 さらに、こうした成功事例や教訓を体系化し、関係団体や区市町村とも共有しながら、東京全体のMICE誘致力を高めていくべきと考えますが、併せて都の見解を伺います。

○田中産業労働局長 都は、都内で国際会議が数多く開催されますよう、会議場や宿泊施設等が集積する地域を選定し、誘致や開催に係るノウハウを提供するなど、地元での受入れに向けた取組を支援しております。
 また、AIでの多言語通訳など先端技術の活用法をまとめたガイドラインを作成し、事業者や自治体が参加するセミナーを通じて周知しております。
 成功と失敗の両方の事例の分析を踏まえ、今後は、これらの情報共有の場におきまして、国際的なトレンドに加え、過去の誘致活動で成否を分けたポイントを解説した資料を提供するなどの工夫を行います。
 これらによりまして、MICE誘致のさらなる促進を図ってまいります。

○遠藤委員 東京の一極集中といわれておりますが、東京が稼がずに一体どうするのかと思います。日本の稼ぐダイナモでもあります東京としてのプライドと底力を期待して、続いてデータセンターの問題に移ります。
 データセンターの大気汚染と騒音対策についてです。
 データセンターの建設計画が都内で複数計画される中で、住民との共存が課題になっています。これに対し、都は、地域との共生に向けたガイドラインの策定などに取り組むことを表明しています。
 データセンターでは、有事の際に機能を維持するため、非常用発電設備を備えていますが、電源の試運転時に発生する排気による大気汚染や低周波を含む騒音を懸念する周辺住民の声があります。
 非常用発電設備は、大気汚染防止法の排ガス規制等の対象外ということですが、排気騒音などの課題について都内に設置されるデータセンターは、近隣住民との距離も近いことから、一定の配慮が求められます。都の見解を伺います。

○須藤環境局長 社会の基幹インフラであるデータセンターの整備や運用に当たりましては、環境配慮により、地元の理解を得て地域と共生していくことが重要でございます。
 このため、都は、定期的な点検運転などを必要とする非常用発電設備について、環境負荷低減に向けた取組を促進いたします。
 具体的には、近隣住民への点検スケジュールの周知のほか、排気の浄化装置や防音パネルの設置など環境に配慮した取組例を、年度内に策定するガイドラインで示し、法や条例に基づく届出等の機会を活用して、事業者に促してまいります。
 これらにより、地域に配慮したデータセンターの普及を図ってまいります。

○遠藤委員 そうですね、地域住民に安心して受け入れられることが、今後のデータセンターの円滑な導入にもつながります。ガイドラインの適切な運用を求めて、次はデータセンターの廃熱活用について伺います。
 データセンターは、デジタル社会の基盤となる重要な社会インフラです。都内においても、事業者からはデータセンターの近接立地を求める声が強く、デジタル化やDX、AI利活用により生産性の向上や価値創造を進めていく中で、整備を後押ししていくことは重要であります。
 一方で、データセンターの電力消費や周辺地域に与える影響などの課題も指摘されており、地域との共生や環境負荷の低減に向けた取組も並行して行う必要があります。
 こうした中、東京都の来年度予算では、省エネ化、再エネ化、さらには廃熱利用など、環境に配慮したデータセンター運営を促す対策が盛り込まれ、加えて、都独自の認証制度を創設し、事業者の取組を後押ししながら地域との共生を図る施策が示されたこと、これは大変評価いたします。
 特に、データセンターから発生する未利用熱の活用は、都市化が進む都内では極めて重要であり、技術開発が加速するように後押しすべきと考えますが、見解を伺います。

○須藤環境局長 デジタル社会に不可欠なデータセンターの整備に当たり、都は、地域と共存する高い機能を併せ持つ施設とするための新たな取組を開始いたします。
 具体的には、来年度新たに、データセンターから排出される熱を有効活用できる技術を持つスタートアップを公募し、都内のデータセンターをフィールドとして、エネルギー効率の最大化を図る社会実装への取組を二千万円を上限に支援いたします。また、データセンターの廃熱を周辺の建物の空調などに利用する事業者の先進的な取組を支援いたします。
 こうした未利用熱活用技術の実装化や廃熱を地域に還元するモデルの構築を後押しすることにより、データセンターと地域との共生を進めてまいります。

○遠藤委員 海外では、ワット・ビット構想のように、遠隔地にあるデータセンターでも遅延なく計算処理を行える技術開発が進んでおりまして、都市部の環境負荷を抑えつつ、必要な計算資源を確保する取組が始まっております。
 都においても、都市の環境負荷とデジタル需要の両立を図るために、こうした遠隔計算を可能にする低遅延技術ですとか、分散型データセンターへの研究開発支援についても検討するよう求め、次の質問に移ります。
 都の農業についてです。
 都の農業は、農家数の減少、高齢化、人手不足、農地の減少という複合的な課題に直面しています。過去三十年間で農家戸数は約二万戸から九千五百戸へと半減しており、農地面積もこの十年間に一千百四十ヘクタールが失われるなど、生産基盤の縮小も深刻です。特に人手不足は顕著で、繁忙期に収穫作業が追いつかず、廃棄が発生する事例も報告されるなど、都市農業の持続可能性が揺らいでいます。
 こうした課題を解決するため、従来の担い手確保策に加え、短時間、短期間で参加できる農業スポットワークを新たな施策として導入すべきと考えます。若い世代や副業希望者の参画を促し、必要な時期に必要な労働力を確保することで繁忙期の人手不足を補い、生産の維持拡大を図ることが可能になります。
 働き方の多様化やライフスタイルの変化から、短時間、短期間で働きたいと考える人が増えており、こうした新しい人材を確保していくことが重要です。
 都は、具体的にどのようにして新しい人材を農業の担い手として確保していくのか、見解を伺います。

○田中産業労働局長 農業に関わりがなかった方の労働力を農業に取り入れていくことは、繁忙期などの人手不足対策とともに、将来の就農にもつながり重要でございます。
 都は来年度、農業の新たなプレーヤーを増やすため、空き時間を有効に活用したい若者等と農業者のマッチングを支援する取組を開始いたします。
 具体的には、農業者を対象にスポットワーカーの活用を促すため、雇用に関する知識を伝えるセミナーを開催するほか、五十件を上限にワーカーを五回雇用した場合に奨励金を支給いたします。加えて、ワーカーが畑で働く際の注意点を事前に学べるツールを作成いたします。
 これらによりまして、農業人材の裾野を広げてまいります。

○遠藤委員 続いて、まちづくり全体について伺います。
 都は、新年度予算で、公共施設の検索、予約、支払いをワンストップで行える施設予約管理システムの構築に向け、九千万円を新規計上しました。現在、都や区市町村の公共施設では、施設ごとに予約システムやID、支払い方法が異なっており、各局にまたがる公共施設の予約を束ね、区市町村も含めた統合的なシステムとすることが、都民目線では重要です。
 公共施設のワンストップ予約システムの構築に当たっては、既に本人確認機能を持つ東京アプリを活用し、まずは都民が一つのアプリで全ての都立施設の検索、予約、支払いを完結できる仕組みを構築すべきと考えますが、見解を伺います。

○高野デジタルサービス局長 都は、都民の利便性向上に向け、組織の垣根を越えて手続を見直し、行政サービスの変革に取り組んでおります。
 施設予約におきましては、利用者から施設を探しづらい、施設ごとに手続が異なり煩雑などの声があることから、今年度、局横断チームを立ち上げ、利用者目線での業務改革に向けた検討に着手いたしました。
 来年度は、まずは全ての都立施設を東京アプリから一括で検索できるようにいたします。また、利用者登録のやり方や予約などの利用ルール等の見直しを都民の視点に立って進めてまいります。
 将来的な区市町村との連携も視野に様々な取組を展開し、都民の実感につながるワンストップサービスの実現を目指してまいります。

○遠藤委員 都庁周辺の空間再編について伺います。
 現在、都庁前の都民広場では、芝生状のシートが敷かれ、都民や観光客が気軽に腰を下ろしてくつろげる空間が生まれています。実際に現地を見ますと、海外からの観光客を含め多くの人が足を止め、都心でゆったりと過ごす姿が見られます。また、新宿駅から都庁方面へと向かう動く歩道の周辺でも緑化が進められまして、都市空間の中に癒やしの要素が加わっていると感じます。
 そこで伺います。
 都民広場など都庁周辺で進められている空間再編について、こうしたグリーン、ウオーカブル、国際都市東京という都市戦略の中で、どのように位置づけ、今後どのように展開していくのか、都の見解を伺います。

○谷崎東京都技監 都庁周辺は、西新宿地区再整備方針におきまして、人やまちの交流を促進する新たなシティホールと位置づけております。
 そのため、都庁舎の敷地内では、都民広場や街路沿いのエリアを緑あふれる誰もが自由に憩える空間として整備するとともに、都庁周辺で将来の姿を体験できる地元イベントも支援いたします。
 このエリアと新宿駅西口駅前広場をつなぐ四号街路につきましては、歩道を大きく拡幅し、緑陰を確保した居心地のよい快適な空間に再編いたします。
 これらの取組を積極的に推進し、道路、街区が一体となった国際交流拠点として、誰もが楽しめるウオーカブルな空間を形成してまいります。

○遠藤委員 これらの一部には、人工芝や人工的な植栽も用いられております。緑を守る、育てる、生かすグリーンビズを推進する東京において、グリーンインフラ整備と人工物のそれぞれの長所、役割分担を明確にした上で、国際的にも誇れる都市環境づくりにつなげていただくよう要望いたします。
 続きまして、再生骨材コンクリートの利用促進について伺います。
 再生骨材コンクリートにはL、M、Hの三種類が存在し、JIS規格によって適用範囲が定められていることから、単に利用割合を示すだけではなくて、具体的な使用事例も示すことが有効であると考えます。
 昨年の第一回定例会の一般質問におきまして、再生骨材コンクリートの供給体制の確保のため、再生骨材コンクリートに対するイメージの向上を図り、公共工事のみならず、民間工事においても一層の利用を促進するため、都発注工事での使用実績の公表に向けて検討を進めていくことを確認しました。
 実績の公表を契機に、供給側の関係者等と対話を重ねるなどして、一層の利用拡大に取り組むべきと考えますが、都の取組を伺います。

○谷崎東京都技監 コンクリート塊の資源循環等により建設リサイクルを推進するためには、再生骨材コンクリートなどの再生資材を有効利用することが重要でございます。
 そのため、都は、利用に対する不安払拭やイメージ向上を図り、民間事業者の利用を促すため、令和六年度に完了した都発注工事における再生骨材コンクリートの使用実績及び種類別の工事使用事例を今月末に公表いたします。
 今後、再生骨材コンクリート製造事業者等と意見交換を行いまして、庁内の建設副産物対策協議会で課題等を共有しながら、利用拡大につなげてまいります。

○遠藤委員 続きまして、HAPSの活用です。
 昨年の第四回定例会における私たちの代表質問に対し、成層圏を活用した高高度プラットフォーム、いわゆるHAPSの行政活用に向けた検討を進めていく旨の答弁をいただきました。
 これまで都は、災害発生直後の通信網確保を目的に、各自治体や島しょ部にスターリンク専用アンテナを配備し、能登半島地震でも現地に持ち込むことで、通信環境の確保に一定の効果を上げてきました。HAPSについても検討を進めることで、災害時の通信確保を多重化する上で意義のある取組になると考えます。
 災害発生直後から確実に利用するためには、平時からの利用シナリオを検討し、運用実績を積み上げていくことが不可欠です。
 例えば、西多摩地域や島しょ部には通信網が十分でないエリアもあり、こうした場所への通信確保など、平時利用にも有効であると考えますが、見解を伺います。

○高野デジタルサービス局長 いわゆるHAPSは、地上にアンテナ設備を必要とせず、高速大容量の通信を可能とする技術であることから、島しょや山間部など、通信事業者による基地局整備が進んでいない通信困難地域に電波を届けることが期待されております。
 都は来年度、HAPSの行政活用に向けた調査検討に着手いたします。災害対策はもとより、通信困難地域における通信確保や機体に搭載したセンサーによるインフラ点検などの平時利用も含め、効果的な活用方法を検討し、早期運用につなげてまいります。
 こうした最先端技術の実用化を目指す取組を通じて、いつでもどこでもつながる東京を全力で実現してまいります。

○遠藤委員 HAPSについては、総務省や内閣府も、災害時の通信確保だけでなく、山間部や海洋など超カバレッジでの利用に強い関心を持っている一方で、HAPSを上空に長時間滞空させるためには、国内ではまだ技術的、制度的課題が多いと聞いています。防災インフラとしての価値を最大化するためにも、国と連携しながら、平時、災害時の双方で活用できる仕組みづくりを進めていただくよう求めます。
 続きまして、ステーブルコイン社会実装促進事業について伺います。
 都は、「国際金融都市・東京」構想の実現に向け、二〇三〇年までにキャッシュレス決済比率八〇%を目指しています。キャッシュレス化は、支払いの円滑化だけではなく、事務効率や透明性向上など多面的な効果が期待されます。
 中でも、法定通貨と価値が連動するステーブルコインは、ブロックチェーンにより、安価、迅速な送金を可能にし、改ざん耐性も高いことから、行政手続の負担軽減にも資するものとして、私たちは都内での活用を求めてまいりました。
 海外では制度整備と普及が急速に進む一方、日本は規制の整備後も実装はまだ初期段階で、流通は米ドル建てが中心です。こうした状況を踏まえ、都が来年度予算にステーブルコイン社会実装促進事業として二億円を計上したことを評価いたします。
 ステーブルコインの速やかな社会実装に向け、具体的にどのような取組を行っていくのか伺います。

○田中産業労働局長 都は来年度、様々なユースケース創出のため、事前に定めた条件に従い自動で取引が実行されるスマートコントラクト機能の活用や、企業における既存の会計システムとの連携など、先進性や社会的意義等の観点で優れた事例を提案した企業に対し、補助率三分の二、最大四千万円を支援いたします。
 また、普及啓発に向けましては、具体的なメリットや活用シーンの紹介に加え、リスク管理や利用上の留意点などを学ぶシンポジウムの開催のほか、SNS等の様々な媒体を活用した情報発信を行います。
 こうした取組を通じまして、都民や企業がステーブルコインの利便性等を実感できる環境整備を進めてまいります。

○遠藤委員 本事業を通じて、都民や企業にステーブルコインの利用が進み、国際金融都市としての競争力を向上すること、また、加えて、ステーブルコインを行政サービスに利用できる環境づくりについても並行して取り組んでいただくことを要望します。
 続きまして、女性活躍推進融資について伺います。
 日本の二〇二五年のジェンダーギャップ指数は、世界百四十八か国中百十八位であり、特に政治、百二十五位、経済、百十二位では、こちらでは依然として低順位となっています。昨年十二月には、自治体初となる女性活躍推進条例、こちらが東京都で可決をされ、女性活躍の環境づくりに向けた取組の重要性はますます高まっています。
 これまでも、私たちは、都内中小企業の五割強、約二十二万社が活用する融資制度を通じ、中小企業における女性活躍の取組を推進していくことを提案してきており、そうした求めに応じ創設されたのが、女性活躍推進融資、いわゆるTOKYOウィメン・ビズ・サポートであります。
 より多くの中小企業が女性活躍に関心を持つきっかけにしていくため、本制度の取組をさらに充実させていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○田中産業労働局長 中小企業の女性の力を引き出す取組が一層進みますよう、資金面から後押しすることは重要でございます。
 都は今年度、女性活躍に取り組む契機となるよう本融資の要件を拡充し、一月までの実績は三十一億円と、前年同期比で約二倍に増加しております。中には、残業時間の削減に向けた行動計画を策定し、女性が働きやすい職場づくりにつながった事例も出ております。
 来年度は、より多くの企業に取組を促すため、都の女性活躍推進度診断ツールを活用し、具体的な取組を計画する事業者や、育児支援で国から優良な企業と認定された事業者を対象に追加するほか、関係団体と連携した周知の強化を行うこととしてございます。
 これらによりまして、女性の活躍を一層推進してまいります。

○遠藤委員 次に、賃上げ支援について質問をいたします。
 ここ数年の賃上げ率の推移を見ますと、二年連続で五%を超える高い水準が続いております。今、春闘の動きが本格化しているところでありまして、こうした流れを確実なものにしていくことが大変重要です。
 一方、数年にわたる賃上げにより、企業側に賃上げ疲れの傾向も出始めているとの見方もあることから、これからも賃上げの流れを継続していくためには、物価高や人手不足など厳しい状況に直面している中小企業への支援が急がれます。
 本定例会の代表質問の賃上げ支援に関する質問に対し、賃上げの実効性の確保と奨励金の速やかな支給の両立を図るとの答弁がありました。都は、様々な取組により奨励金の迅速な支給を図るとのことですが、どのぐらいの期間の短縮を見込んでいるのか伺います。

○田中産業労働局長 都は来年度、魅力ある職場づくりを推進する奨励金におきまして、企業の課題を速やかに把握し、早期の取組の着手を促すとともに、取組に合わせて専門家による助言を行い、持続的な賃上げが円滑に実施できますよう、きめ細かくサポートしてまいります。
 こうした工夫により、申込みから支給までの期間は九か月短縮できることで、おおむね十か月と見込んでおり、賃上げの実効性の確保と奨励金の速やかな支給の両立を図ってまいります。

○遠藤委員 賃上げのみを要件とする支援を求めるという声もございますが、賃金は、仕事内容や能力、市場での人材価値によって決まる労働の対価であります。一時的な補助金による賃上げは持続性に乏しく、まして行政が賃金水準を決めたり、恒常的に支援することは、自由市場経済の原則とも相入れません。
 私たちは、都内中小企業が持続的に賃上げできるよう、人が持てる力を十分発揮するための環境整備やデジタル化による生産性向上など、現実的な提案を重ねてまいります。
 次に、カスハラ奨励金について伺います。
 施行から間もなく一年を迎える全国初のカスハラ防止条例では、カスハラの禁止とともに、事業者などの責務も定められており、今年度は様々な支援策が講じられております。とりわけ企業向けの奨励金は、現場の中小企業が対策に取り組む上で大きな後押しとなるものであり、中小企業の経営者からは期待の声が寄せられております。
 一方で、昨年十二月に予定されていました第三回の募集の際に、申請受付ができなくなるといったシステムトラブルが発生しており、これに対し都からは、独自のシステムを構築して対応した上で再度募集すると伺っておりました。しかし、先週行われた奨励金の募集においても、受付のシステムにつながらなかったという声が寄せられています。こうした事態が繰り返されれば、カスハラ対策に取り組もうという盛り上がった機運も下がりかねません。
 改めて、今回の募集状況はどうだったのか伺うとともに、あわせて、中小企業の期待にしっかりと応えられるよう対応すべきと考えますが、今後の対策について伺います。

○田中産業労働局長 都は、条例で努力義務とする事業者の措置等を速やかに浸透させるため、カスハラ防止の取組を早期に行う中小企業等に対し、令和七年度から三年で一万件の奨励金を支給することとしております。
 今月十八日に改めて行った第三回の募集では、アクセスの集中にも対応できるようシステムを構築し、二千件を受け付けました。
 一方、今回は、開始直後から申請画面にアクセスできず申し込めなかったとの声もいただいたことから、現在様々な原因を想定して調査を行っております。
 早期に受付を終了したことを踏まえ、今後、事業者に寄り添った対応を検討してまいります。

○遠藤委員 ここまで取り上げてまいりました産業経済とまちづくりは、日常を支える都市の力であります。しかし、その基盤が揺らぐのが災害です。これからは、東京を支える災害対策について伺います。
 富士山の噴火に伴う広域降灰対策についてです。
 都は昨年五月、地域防災計画火山編を修正し、火山灰の仮置場の候補地選定に向けた区市町村との調整や都民への情報発信に取り組んでいることについて、高く評価をいたします。
 一方、富士山の大噴火が発生した場合、降灰の影響が広範囲に及ぶことが想定されるため、国や周辺県、関係機関等と連携し、こうした取組を首都圏全体に広げていくべきです。
 そこで、都は今後、首都圏全体における広域的な降灰対策をどのように進めていくのか伺います。

○佐藤総務局長 国が令和二年に公表した降灰シミュレーションによりますと、富士山が噴火した場合、風向きによっては、鉄道の運行停止や自動車の走行不全、停電などの影響が首都圏広域に及ぶとされております。
 首都圏における広域的な降灰対策と、それを踏まえた地域の実情に応じた対策とを検討していくため、東京都と内閣府が共同の事務局となりまして、関係省庁、都内区市町村の代表、首都圏の自治体、防災機関やライフライン事業者などから成る協議会を設置いたします。
 協議会では、住民が取るべき行動、生活を継続するための備え、火山灰の処理などについて検討し、対策の具体化を図ってまいります。

○遠藤委員 続きまして、木密地域の解消、いわゆる不燃化について伺います。
 私たちは、昨年の第一回定例会などにおきまして、能登半島地震の教訓を踏まえた施策の強化を求めました。これを受けまして、昨年度、都が改定した防災都市づくり推進計画の基本方針では、局所的に改善が必要な地区として防災環境向上地区が指定され、今年度から先行して防災生活道路や公園整備の支援を開始するなどの方向性が示されたことは評価いたします。
 一方、整備地域ごとの不燃化の状況は、これまでの防災都市づくり推進計画に基づく取組により、全体としては改善傾向にありますが、一部の地域では、取組に遅れが生じています。
 これらを踏まえて、木密地域における不燃化をどのように進めていくのか、都の見解を伺います。

○谷崎東京都技監 都は、木密地域のさらなる不燃化に向け、来年度から、整備地域や防災環境向上地区のうち、局所的に改善が進んでいない区域を対象に、区市による防火規制の強化と併せ、不燃化に向けた建て替えを支援する制度を開始いたします。
 これら対象区域内では、老朽建築物の建て替えを促すため、区市による個別訪問や専門家の派遣などを支援するとともに、所有者に対しまして、建物の除却費や建築設計費を助成するなど、これまで不燃化特区の区域内で行ってきた取組を新たに実施いたします。
 これらにより、区市の取組を強く促し、木密地域の不燃化を一層加速させていきます。

○遠藤委員 整備地域などの改善が進んでいない区域においても、不燃化特区で行ってきた老朽化建築物の除去費や建設設計費などの建て替え支援を新たに開始することについて高く評価いたします。
 今後とも、木密地域の解消に向けまして、地元区市の取組をしっかり後押ししていただくことを要望いたします。
 小池知事はこれまで、活力とゆとりある持続可能な多摩、多摩振興アクションプランを掲げ、多摩の拠点形成や交通基盤整備を進めてきました。三多摩地域が東京の未来を支える地域となるため、さらなる取組が必要であります。
 シルバーパスのモノレール適用について伺います。
 高齢者の外出機会の確保は、健康増進や社会参加の促進、地域のにぎわい創出にもつながる重要な施策であります。
 そのような中、令和九年度から、シルバーパスを多摩都市モノレールにも適用する方向で予算が計上されたことは、地域の声を受け止めた大変意義のある取組であり、高く評価したいと思います。これまで我が会派としましても、高齢者の移動の利便性向上の観点から、モノレールの適用を求めてまいりました。
 多摩都市モノレールは、多摩地域の主要拠点を結ぶ重要な交通機関であり、JRや私鉄との乗換え拠点として多摩地域の交通ネットワークを支えています。
 今回のシルバーパス適用により、高齢者の外出機会の拡大や沿線地域の活性化にどのような効果を見込んでいるのか伺います。

○高崎福祉局長 多摩都市モノレールは、多摩地域における重要な基幹的交通機関であり、今後、延伸により、南北方向の拠点が結ばれることで、多摩地域での暮らし、活力、魅力の向上にさらに寄与することが期待されます。
 このため、シルバーパスの利用対象に多摩都市モノレールを追加しまして、多摩地域の発展に向け、活性化を促してまいります。
 都はこれまで、シルバーパスによって高齢者が気軽に外出し、社会参加できるよう後押ししておりまして、多摩地域の高齢者が生き生きと暮らす環境づくりを進めてまいります。

○遠藤委員 シルバーパス適用による効果と意義について確認ができました。
 多摩都市モノレールにつきましては、箱根ケ崎方面への延伸が事業化をしており、町田方面への延伸についても、計画の具体化に取り組んでおられます。このほか、多摩センターから多摩市及び稲城市を経由し、南多摩駅や是政駅へと至る延伸構想もございます。
 是政方面への延伸についても、まずは地元市の主体的な取組が重要となりますが、こうした地元の声や期待も踏まえ、地元市との意見交換を行うなど、都の適切な対応を要望いたします。
 多摩地域の消防活動の環境充実について伺います。
 自然災害が頻発化、激甚化し、首都直下地震の発生も懸念される中、地域住民が主体となって有事の際に対応できる消防団の重要性がますます高まっております。
 消防団の活動に際しては、団員の安全や効果的な活動のため、装備の充実が欠かせません。二十三区は、東京消防庁が猛暑時にも活動しやすい空調服など、消防団の活動環境の充実を図っていくこととしています。多摩地域におきましても、地域特性を踏まえつつ、二十三区に遅れることなく、消防団の活動環境を充実させていく必要があります。
 今回の予算案では、都民ファーストの会が提案してきた暑さ対策が随所に予算化されており、これを評価いたします。
 そこで、都は、多摩地域の消防団員の健康のためにも、空調服など多摩地域の消防団の装備品の配備推進による活動環境の充実について、地元市町村の声も踏まえながら対応していくべきですが、都の見解を伺います。

○佐藤総務局長 消防は、市町村の役割とされておりまして、多摩地域の消防団につきましては、各市町村が管理運営を行っております。
 消防団は、地域防災力の要となる存在であり、火災時のみならず、大規模災害時にも、重要な役割を担っております。
 そのため、都は、市町村消防団の装備充実の取組が円滑に進むよう、国の補助制度の活用に加え、特別区消防団の装備を基準に不足する装備品等の購入を市町村総合交付金の政策連携枠で支援をしております。
 こうした取組により、市町村がそれぞれの実情に応じて、消防団の資機材や空調服などの装備の充実を図れるよう後押ししてまいります。

○遠藤委員 二十三区の消防団と多摩地域の消防団への対応の違いは、新たな三多摩格差とも表現されます。今回の空調服の配備は、二十三区消防団と同時並行して進められることを強く要望いたします。
 南多摩尾根幹線沿線のまちづくり、リニアの開業を見据えた整備の拡充について伺います。
 南多摩尾根幹線道路は、東京二〇二〇大会の自転車ロードレースの舞台ともなった五輪レガシーの空間でもあり、自転車を生かしたまちづくりが期待されております。しかし、沿線にはまだまだ活用されていない土地も見受けられます。例えば、多摩市内では、都営諏訪四丁目団地の建て替えに伴い創出される用地や旧南永山小学校の跡地、さらには、多摩ニュータウン市場の敷地のさらなる活用などがあります。こうした場所を、例えば地場野菜の販売ですとか、地域交流の拠点とすることで、尾根幹線沿線のにぎわいづくりにつなげていくことも可能ではないでしょうか。
 そこで伺います。
 四車線化を進める南多摩尾根幹線道路について、今後の沿線まちづくりやにぎわい創出に対する都の見解を伺います。

○谷崎東京都技監 都は、多摩ニュータウンの新たな再生方針におきまして、駅周辺や道路沿道に商業、業務等の機能集積を図り、利便性の高い市街地に再編することを目指しております。
 南多摩尾根幹線は、永山をはじめ、多摩地域の各拠点を結ぶ骨格をなす幹線道路でございまして、四車線化により広域的なアクセス機能の向上などが図られ、沿道の立地ポテンシャルの向上が期待されます。
 都は、地元市が民間企業等からのヒアリングで得られたスポーツや商業施設など、沿道の利活用のアイデアについて、地元市と意見交換を行っておりまして、永山駅周辺や近隣センターとの連携も考慮しながら、沿道のまちづくりに取り組んでまいります。

○遠藤委員 この尾根幹線の沿線のまちづくりにつきましては、現在それぞれの主体が個別に取組を進めております。東京都は建設局を中心に道路整備を進め、多摩市は沿線の土地利用の検討を進めています。また、稲城市は、自転車のまちづくりなど独自の取組を展開しておられます。
 それぞれの取組は重要なんですけれども、個別に進めるだけでは、尾根幹線という広域軸のポテンシャルを十分に生かし切れないのではないでしょうか。むしろ東京都と沿線自治体が一体となって、尾根幹線沿線の将来像を共有する場を設けることが必要だと考えます。
 南多摩尾根幹線道路の沿線のまちづくりについて、東京都と多摩市、稲城市など関係自治体と連携し、広域的な視点でまちづくりを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○谷崎東京都技監 都は、多摩地域を俯瞰し、戦略的に政策を立案、実行していくため、専管組織を立ち上げ、多摩のまちづくり戦略を策定するなど、地元市との連携を強化しながら、まちづくりを後押ししてまいりました。
 多摩市や稲城市など八市では、南多摩尾根幹線を含む三十八キロを東京多摩二〇二〇レガシーロードと名づけ、自転車を通じた地域間の交流やまちづくりを行っていくこととしております。
 都は、戦略に基づきまして、道路・交通ネットワークをいかしたまちづくり支援事業など、地元自治体の取組を支援する制度を構築しており、こうした取組を通じまして、個性あふれる多摩地域のまちづくりを推進してまいります。

○遠藤委員 次に、政策評価について伺います。
 私たち都民ファーストの会は、さきの代表質疑や一般質問でも、事業評価の取組を取り上げてまいりました。施策の見直しを進める上では、事業評価に加えて、政策評価も重要です。財務局に移管された令和四年度予算編成以降、事業評価と一体的に進められてきた本取組は、外部の視点を取り入れつつ、成果重視の観点から分析、検証が行われてきたと認識をしています。
 そこで、政策評価の意義とこれまでの成果を改めて確認するとともに、今後もこうした取組を着実に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山下財務局長 政策評価では、施策ごとに成果指標を設定し、外部有識者の意見も踏まえながら、施策全体の方向性を検証し、個々の事業の実効性を高めております。
 例えば、令和八年度予算では、農業の稼ぐ力を高める取組におきまして、農地が小さく、担い手の減少も進む東京では、とりわけ生産効率の向上が重要との有識者意見も踏まえ、スタートアップなどを活用し、農業の課題解決等を図る新規事業の構築につなげました。
 こうした取組をはじめ、五年間の累計で五十三ユニット、五百二事業の評価を実施しておりまして、今後とも、施策の実効性を向上させる観点から、政策評価の取組に一層の磨きをかけてまいります。

○遠藤委員 ただいまの答弁のとおり、政策評価は、外部の視点も取り入れながら、施策全体の方向性を踏まえて、事業の見直しや構築を図るものであり、都政のアカウンタビリティーと施策の実効性を高める上で大変重要です。激しい社会変化の中、都民ニーズに的確に対応するため、また、ワイズスペンディングという観点からも、政策評価の充実など、事業見直しの視点強化を要望し、最後の質問に移ります。
 多様な他者との関わりの機会の創出事業について伺います。
 都は、来年度予算におきまして、保育所などを利用していない未就学児を対象に、こども誰でも通園制度の枠を超えた預かりを拡充し、全ての子供たちを支援する方針を示しています。
 一方で、制度実施に伴い、現場では、人材確保や受入れ体制の整備、保育士負担の増大など、多くの課題が生じております。
 保育所での多様な他者との関わりの機会創出を促進するため、具体的な現場支援の取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○高崎福祉局長 都は、保護者の就労などの有無にかかわらず、保育所などで子供を定期的に預かる取組を推進しております。
 本事業は、対象年齢や利用時間数に制限がある国事業より充実した内容としておりまして、全ての就学前児童を対象として、利用時間の上限を設けずに実施しております。
 事業実施に当たりましては、子供の利用時間や頻度が様々であり、通常の保育所などの運営に加えまして、受入れの調整や体制確保などが必要となります。
 このため、効果的な運営の事例を積極的に発信するなど、区市町村と緊密に連携し、現場の負担を軽減しながら、本事業のさらなる活用を促進してまいります。

○遠藤委員 ご答弁ありがとうございました。
 昨年の東京都議会議員選挙を経まして、都民ファーストの会東京都議団が掲げた十の約束を軸に、本日は締めくくりとなる総括質疑を行ってまいりました。
 世界では、新たな戦争も起こり、地球規模での経済不安が人々の暮らしに影を落としております。
 東京におきましても、物価高、少子高齢化、地域格差、災害リスクなど、複合的な社会課題が顕在化しています。
 一方で、都内の出生数は増加基調にあり、子育て支援や教育、雇用環境の整備など、丁寧な政策の積み重ねが都政に好循環を生みつつあります。
 人に着目し、その可能性を最大限に引き出すことこそ都政の使命であり、その基盤として産業経済、まちづくり、災害対策を力強く進めることが不可欠です。
 挑戦できる東京の実現に向けまして、私たちは、今後も、未来志向の政策提言を重ねまして、都政をさらに進めていくこと、これを力強く宣言し、質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○内山副委員長 遠藤ちひろ理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時二十八分休憩