○中田副委員長 福井ゆうた委員の発言を許します。
〔中田副委員長退席、委員長着席〕
○福井委員 国民民主党東京都議団の福井ゆうたです。
本日は、我が会派の現役世代から豊かにという理念に基づき、就職氷河期世代対策、雇用、介護離職防止、都政のデジタル化、稼ぐ東京の実現について質問いたします。
就職氷河期世代は、自己責任では説明できない世代です。バブル崩壊後の急激な雇用環境の悪化という個人では乗り越え難い経済状況の中で、社会に出ざるを得なかった世代であり、この世代は、現役世代の四分の一を占める大きな層です。
正規雇用率は、国や都の支援の成果、また、人手不足も重なり改善傾向にありますが、この世代が五十代を迎えることで、家族の介護や老後不安などが複合的に重なり合う新たな局面に入り、決して過去の問題ではありません。
そこで質問いたします。東京都は、就職氷河期世代が抱える生活、雇用、キャリア形成上の課題をどのように認識しているか、見解を伺います。
○田中産業労働局長 就職氷河期に卒業し、希望する就職ができず、不安定な就労の続く方の年齢が上昇している中、安定した生活基盤が築けるよう支援することは重要でございます。
このため、都は、就職氷河期世代の方が安心して長く働き続けられますよう、企業に対し、労働環境の整備を促すとともに、正規雇用に向けた就職のサポートや、生活面など、仕事以外の多岐にわたる相談への対応、合同面接会の開催など、多面的な支援を行っております。
○福井委員 ありがとうございます。就職氷河期世代の生活基盤が重要だという共通の認識を共有できたと思います。
就職氷河期世代の課題は、新たな段階に入っています。雇用環境は改善しても所得は依然厳しい状況です。上の世代の同年齢時と比べて、月七万円程度低い水準にあると、そうした調査もあります。キャリア形成の初期段階の機会損失がその背景にあると考えます。
また、就職氷河期世代が五十代を迎え、この問題は介護の課題とも重なります。せっかく雇用環境が改善しても、介護を担うことになって働き続けられなければ意味がありません。
そのため、単なる就労支援にとどまらず、所得向上やキャリア形成の支援、介護しながら働き続けられる支援など、会派として予算要望をさせていただきました。
そこで質問いたします。都は、令和八年度予算において、就職氷河期世代の就労支援や所得水準向上にどのように取り組みますか。
○田中産業労働局長 都は、就職氷河期世代の方を正規雇用し、育成計画の策定や研修を行うなど、労働環境の改善を図る企業に対し、助成金を支給しております。
来年度は、支援する企業の規模を三百件から四百件に拡大するとともに、助成対象となる従業員の数を増やすこととしております。また、賃上げを行った場合の加算を最大六十万円に拡充いたします。
さらに、介護と仕事の両立支援制度を整備した場合に、十万円を加算する仕組みを新たに設けることとしてございます。
○福井委員 従来の就労支援に加えて、来年度は、所得向上や介護休業支援にも拡充したと、そのように理解をいたしました。
こうした観点では、令和八年度予算において、都が介護離職対策に二十七億円を計上したことは、就職氷河期世代を支える取組であると評価をいたします。
ビジネスケアラーにとっても安心して働き続けられる環境整備に取り組むことが重要です。
改正育児・介護休業法により、介護離職防止のための個別の周知、意向確認等が義務化するなど法整備が進んでおります。
一方で、民間企業の調査によると、勤務先の育児、介護への対応が不十分だと感じている従業員が全体の約半数だという、そうしたデータもございます。
介護と仕事の両立に向けた環境整備に取り組む企業に対して、都が後押しをしていくべきだと思いますが、令和八年度の取組をお伺いします。
○田中産業労働局長 都は、介護休業中の社員の同僚への手当支給など、介護を抱える社員を職場全体で支える取組などを行う企業へ奨励金を支給しております。
来年度、この奨励金につきまして、介護休業制度を利用しやすい機運を醸成するため、管理職が率先して取得した上で、その経験を社内に共有した場合等の加算を新設し、最大百四十五万円を支給いたします。
加えて、介護等に直面する従業員がテレワークを行えますよう、事業者が規定を整備した場合や、時間単位でのテレワーク等の制度を導入した場合に、最大三十万円の新たな奨励金を支給いたします。
○福井委員 介護休業の取得には、周囲の理解を得て取得しやすい雰囲気を醸成していくことが非常に重要です。同僚への業務代替手当の支給や、管理職の休業取得を引き続き後押ししていただきたいと思います。
さらに、都民の介護を支える介護事業等においてこそ、介護離職対策を進めるべきです。
民間でも導入が進み始めているこの業務代替手当を国の支給に大きく上乗せして、介護や障害福祉サービス事業所に向けて導入したことは非常に先進的です。
業務を代替する職員への業務代替手当支給を支援するに至った都の考えや、国の支援制度と関係を踏まえた都の補助金支給額について伺います。
○高崎福祉局長 都は来年度から、介護職員等の離職を防止するため、育児や介護と仕事の両立支援に取り組む介護、障害者福祉サービス事業所への支援を開始いたします。
具体的には、職員が介護休業などを取得する際の代替職員の雇用や、業務を代わりに担う職員への手当支給などの取組に対しまして、国の助成金に上乗せして都独自に最大二百万円を支援いたします。
このうち、介護休業を取得する職員の業務代替手当を支給する場合には、国は五万円または十万円の定額であるところ、都は、これに加えまして、代替期間などに応じて最大約百五十万円を支給いたします。
○福井委員 国の助成金が定額であるのに対して、都は休業期間に応じて助成をして、また、代替職員の雇用だけではなくて、業務の代替手当も対象とする非常に使いやすい制度となっていると理解をしました。
この介護を個人の責任とせず、社会全体で取り組むべき問題としていくために、介護を担う本人だけじゃなくて、業務を代替する従業員にも手当を支給し、休業を取得しやすい雰囲気を醸成するということは本当に意義があることだと思っております。
今後は、民間企業でこうした取組が広がるように、都がぜひ先行事例を示していただくよう要望したいと思います。
介護や障害福祉分野でこうした取組が進むことで、他業界へもこうした動きが波及することを期待して、次の質問に移りたいと思います。
ここまでの質疑で、都が介護休業や柔軟な働き方を通じて、介護と仕事の両立をできる環境整備を支援しようということが伝わってきました。
一方で、仕事を休みやすいことが必ずしも介護を楽にすることにつながるとは限りません。介護休業の目的は、自分で介護することではなくて、介護をしながら仕事を続けられるような体制づくりをすることです。
いつ終わるか分からないのが介護です。介護は家族である自分にしかできないとの思い込みの下、負担の大きいケアプランを受け入れて介護離職につながってしまった、そうしたケースもあると聞きます。
そのため、いざというときに休める仕組みに加えて、適切に介護をアウトソーシングして、仕事を休まずに介護ができる環境を整備することも必要だと思います。
働きながら介護に取り組む忙しいミドル世代層の介護に関するリテラシーを高めるとともに、地域包括支援センターなどの適切な窓口につなげるために、東京都はどのように取り組みますか。
○高崎福祉局長 都は来年度、働きながら介護に直面した方が介護に関する知識を身につけ、適切にサービスを選択できるよう、新たに介護情報ポータルを構築いたします。
本ポータルでは、介護保険制度の仕組みやサービスの種類、相談先など多様な情報を一元的に提供しまして、AIチャットボットによる対話形式で知りたい情報を取得できるようにいたします。
また、スマートフォンなどから、地域包括支援センターへの相談予約を常時受け付ける仕組みを整備いたします。
こうした取組によりまして、都民が必要なときに迷わず適切な窓口やサービスにつながることができる環境を整備してまいります。
○福井委員 この情報ポータルは、介護離職におけるミドル世代の課題を解決できる取組であると考える一方で、忙しい世代に活用してもらうための周知も必要だと思います。
例えば、東京アプリを活用して、住民情報と照らし合わせて、ワーキングケアラーにプッシュ型で情報提供していくなどの取組を進めていくことを要望させていただきまして、次の質問に移りたいと思います。
このテーマの最後に、隗より始めよということで、都庁における就職氷河期世代対策について伺います。
国は昨年、新たな就職氷河期世代等支援プログラムの基本的な枠組みを定め、その中で、公務員、教員としての採用拡大に取り組むことを地方自治体に要請をしています。
こうした社会的な要請を受けて、改めて都として就職氷河期世代の職員採用に積極的に取り組む意義と、来年度の取組内容について伺います。
○佐藤総務局長 多様で幅広い年代の方々が意欲や能力を生かして活躍できる組織づくりは重要でございます。
都はこれまでも、就職氷河期世代の方を対象とした常勤職員の採用試験を実施するとともに、幅広い年代の方々が受験できる経験者採用選考を実施しております。
来年度も、これらの採用試験などを通じて、就職氷河期世代の方々が都政の幅広いフィールドで活躍できるよう取り組んでまいります。
○福井委員 ありがとうございます。ぜひさらなる応募機会を拡大していったり、また、採用情報等の周知等を含めて、就職氷河期世代の積極的な採用に向けて一層取り組んでいただくよう要望させていただきまして、次のテーマに移りたいと思います。
続いて、雇用政策について伺います。
日本経済新聞の調査では、二〇二四年度に人手不足で生じた機会損失は十六兆円に達したとされており、深刻さが増しています。
対策としては、潜在的な労働力の参加を促すことに加え、一人当たりの生産性を上げていくことが不可欠です。
特に女性については、就業率自体は国際的にも高い水準にありますが、パートタイムなど多様な働き方を選ぶ方も多くいらっしゃいます。
その働き方はしっかりと尊重しつつ、希望する人にはリスキリング等を通じて、正規雇用への転換やキャリアアップの機会を確保することも重要だと思います。
東京都として、希望に応じてキャリア形成や正規雇用への転換に挑戦できる環境をどのように整えていくか、見解を伺います。
○田中産業労働局長 都は来年度、非正規雇用で働く女性に向けた就労支援の充実を図ってまいります。
具体的には、本人の希望に応じてコースを自由に選択できますeラーニングの職業訓練と就職支援とを一体的に行う事業を七百人にまで拡充いたします。
また、正社員として就職した後も、職場のリーダー等を目指す動機づけにつながりますよう、課題解決力などを高める講座も加えるほか、非正規から正社員へのキャリアアップを実現した先輩女性社員との交流イベントも実施いたします。
これらによりまして、女性のキャリア形成を後押しいたします。
○福井委員 この雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例も制定されました。希望に応じて女性がキャリア形成できる環境整備が女性の活躍推進につながることを期待したいと思います。
また、人手不足の傾向は、特定の業種において発生しているとの指摘もあり、先ほどの十六兆円の機会損失のうちの十三兆円は、介護、物流、観光など非製造業で発生していると、そうしたデータもあります。
こうしたことから、一つ一つの企業の課題という枠に収まるものではなくて、業界ごとに課題を分析することが大切だと考えます。
人手不足業界が人材確保するための訴求力を高める取組を支援すべきと考えますが、都の取組を伺います。
○田中産業労働局長 都はこれまで、人手不足に悩む中小企業が業務継続に必要な人材を確保することができますよう、業界団体による取組を支援しております。
来年度は、業界の特色や仕事内容など、求職者が必要とする情報を効果的に伝えるため、専門家の助言を新たに実施し、団体による魅力発信の取組の強化を後押しいたします。また、PR動画などを作成し、広報する場合の経費の支援を開始いたします。
加えて、これらを活用した上で、団体が行う独自の取組に助成しておりまして、介護、建設、運輸の分野では、上限額を引き続き五千万円に引き上げております。
○福井委員 人材の確保に向けて、人手不足業界をしっかり支援していくことは重要です。今後はこうした取組に加えて、リスキリング支援においても成長分野だけでなく、こうした人手不足分野への就業を後押しし、社会全体の産業構造の変化に対応した人手不足対策を推し進めていただくよう要望したいと思います。
スタートアップは、将来の所得と財政を支える重要な存在です。世界一スタートアップフレンドリーな東京を実現することは、現役世代への支援にもつながります。
我が会派は、資金や技術だけじゃなく、人材がエコシステム内で循環をして、事業が成長しやすい環境づくりの重要性を訴えてきました。
欧州では、スタートアップ支援を成長戦略としてだけではなくて、雇用政策と位置づけて、市民の理解や共感を意識して、起業数や投資金額だけではなくて、雇用創出や所得向上をKPIとして設定している国も数多くあります。
そこで、スタートアップ支援政策を推進することで、成長を導き、都民の雇用や所得を増やす好循環を生み出し、それを見える化することが重要だと考えますが、知事の見解をお伺いします。
○小池知事 スタートアップの革新的なアイデアから生まれる製品、またサービスは、経済成長と多くの雇用を生み出し、人々の生活や社会をより豊かにいたします。その中核を担うのは、志を持ち、イノベーションにチャレンジする人でございます。
TIBをプラットフォームにしまして、スタートアップ、投資家、支援者など、様々な人々が集い、ビジネスを育てるサイクルをつくり上げてまいりました。
戦略二・〇では、世界に飛び出し、大きな成長を遂げて、次の起業家を育てる好循環へと加速させてまいります。
大胆な資金供給や技術開発支援に加えまして、人材育成プログラムなど、多面的な支援を展開いたしてまいります。若者のあらゆる挑戦を後押しし、世界一スタートアップフレンドリーな東京を実現いたします。
関係者の力を結集した大きなエコシステムを育て、雇用や企業の成長状況を分かりやすく都民の皆様、そして世界に発信をしてまいります。
○福井委員 ありがとうございます。雇用や所得といった観点で効果検証を進めていくことも、都民の皆様にスタートアップ支援が税金の使途として有効なものであることを示していくことも必要だと思います。
スタートアップ企業の雇用や成長状況を分かりやすく発信すると知事にご答弁をいただきましたので、取組に期待をしたいと思います。よろしくお願いします。
人材育成の面では、アントレプレナーシップ教育も重要です。
先日、アントレプレナーシップギャザリングDAYを視察し、これは単に起業の方法を教えるということではなくて、自ら課題を見つけ、主体的に挑戦をして、新しい価値を生み出す、このマインドとスキルを育む教育だということを実感しました。
この教育は、自律的なキャリア形成を図る人材を育てるものであり、雇用の流動性確保やリスキリングの推進といった都の雇用課題の解決にもつながります。令和八年度は、中高生主体の取組拡充など、若い世代への普及を進めると認識しています。
都は、若い世代のアントレプレナーシップ醸成に向けて、アントレプレナーシップ教育を導入する学校数など、どのような目標を持って取り組みますか。
○吉村スタートアップ戦略推進本部長 都が中学校や高校へ起業家等を派遣し、その体験談などを語る出前授業は、今年度一月末までに四十三校で実施し、五千二百名の生徒が参加いたしました。
失敗を恐れず挑戦したいとの声が寄せられるなど、意識変容の効果があり、来年度は、取組に関心を持つ教員などが集うコミュニティを形成し、好事例、ノウハウの共有や横展開を図ります。
また、成果発信イベントでは、模擬授業を通じて生徒や教員がその効果を実感できる機会を設けます。
来年度は、八十校への派遣を目標とするとともに、国や関係団体とも連携し、取組の輪を広げることで、より多くの中高生の挑戦を後押ししてまいります。
○福井委員 今年の約二倍に当たります八十校への派遣目標ということで、ぜひ達成をいただいて、アントレプレナーシップ教育の裾野を広げていただきたいと思います。
アントレプレナーシップ教育が起業家の裾野を広げていく一方で、スタートアップ企業の成長の視点では、即戦力人材の確保、特にボトルネックになっている大企業からのスタートアップ企業への人材の流動性を高める取組も同時進行で進めていく必要を感じています。
これまでTIBを中心にアントレプレナーシップ教育に都が力を入れてきたことは理解をしておりますが、あわせて、スタートアップの人材確保や労働市場の活性化に向けた機運を醸成すべく、もう一歩踏み込んだ施策と支援を我が会派は要望してまいりました。
そこで、質問をさせていただきます。
令和八年度において、スタートアップの事業規模の拡大等に伴う即戦力人材の確保に対して、都はどのような支援を行いますか。
○吉村スタートアップ戦略推進本部長 都は、スタートアップのビジネスに意欲ある人材が参画するきっかけをつくるため、毎年度、学生や社会人向けのキャリアフェアを開催しております。
先月のイベントには、DXやAIなど百社を超える企業が出展いたしまして、一人が持つ裁量や成長体験の大きさなど、スタートアップで働く魅力を伝えました。今後は、大学などに働きかけ、技術者等の即戦力人材の参加を促してまいります。
また、これまで就活時期に合わせて開催していました学生インターンシップセミナーの回数を増やしまして年間を通じて実施するほか、学生の相談に日常的に対応する窓口を通年で開設するなど、タイムリーで効果的な人材マッチングを強化いたしまして、スタートアップの人材確保に貢献してまいります。
○福井委員 ありがとうございます。これまでのキャリアフェアに加えて、技術系人材の獲得に向けた大学への働きかけを行うということで、ぜひより一層のスタートアップ人材の確保や労働市場の活性化に期待をしたいと思います。
改めて成長戦略というだけではなくて、雇用や所得という視点からもスタートアップ支援にアプローチいただくことをお願い申し上げて、次のテーマに移りたいと思います。
都政のデジタル化についてお伺いします。
東京はAIを二〇五〇東京戦略の実現を加速させる強力な手段と位置づけています。国際的にもAIをめぐる議論は、安全性の確保からイノベーション促進へと広がっています。
そうした中で、東京都が昨年七月、AI活用戦略を策定し、社会全体のAI活用を牽引する姿勢を示したことは高く評価をいたします。
この戦略では、リスクごとに業務領域を区分して、積極活用する領域を明確化することで、利活用を進めるものと理解をしています。こうした考え方を各局が実際の事業に落とし込むには、まず、マネジメント部門が体制を整えて、各局を後押しすることが必要だと思います。
そこでお伺いしたいと思います。デジタルサービス局を含めたマネジメント部門がどのように各局の事業立案を後押ししますか。
○高野デジタルサービス局長 東京都AI戦略に基づき、関係局と連携し、利活用に向けた推進体制を構築の上、全てのAI関連施策を把握するとともに、政策や予算、技術の視点から全庁における取組を後押ししております。
また、庁内向け相談窓口を設け、利活用に当たっての困り事等に迅速かつきめ細かに対応するなど、サポート体制の充実にも取り組んでおります。
今後は、AIを安全かつ効果的に導入できるようガイドラインを策定するとともに、相談体制の強化に加え、業務で活用できるアプリを組織的に開発、利用することができる環境を提供するなど、都政におけるAI利活用のさらなる推進を図ってまいります。
○福井委員 民間でもAI活用は進んでおりますけれども、現場では様々な壁があります。とある調査によると、会社におけるAI活用のレベルを聞いたところ、意思決定層は非常に高いレベルで活用できている、ある程度のレベルで活用できているとの回答の合計が七五%となりました。
一方で、一般社員は四八%にとどまって、活用を決断する経営層側と実際に活用する一般社員の間で意識のギャップが生まれています。
その理由を深掘りしていくと、実際に活用する一般社員がAIの活用の知識に自信がないとか、AIの活用のビジョンが分からないと感じていることに起因をしています。
こうした置いてけぼりのAI活用とならないように、東京都は、現場でAIを活用する職員に対して、どのようにアプローチを図っていきますか。
○高野デジタルサービス局長 都は、各職員がAIを業務に活用できるよう、これまで操作方法や具体的な活用例を紹介する講習会を実施するほか、メールマガジンや動画コンテンツの配信などを行ってまいりました。
来年度は、こうした取組に加え、職員がAIを用いた業務アプリを開発できるよう、実践的な研修を行うなど、デジタル技術を使い、現場の課題を自ら解決できる人材の育成に取り組んでまいります。
さらに、様々な業務で実際にAIを活用していけるよう、業務内容に応じた効果的な活用方法を現場の職員と共に検討し、生産性向上などに資するAI導入までのサポートを行っていくことで、さらなる利活用促進につなげてまいります。
○福井委員 ありがとうございます。ここまでの質疑で、来年度、職員がAIを活用したノーコードの業務アプリを開発できるように、環境整備や検証を行うということだと理解をしました。現場職員が具体的な業務の課題を起点にしてAIの活用に取り組めるという点で、現場主導のDXを進める取組だと、そのように受け止めます。
社会全体のAI活用を、ぜひ東京都が牽引できるよう引き続きの取組をお願いしたいと思います。
次に、観光振興について伺います。
令和八年度予算において、都は、東京国際クルーズふ頭の受入れ機能強化として、第二バースやターミナル等の整備に向けた調査、設計を行うため、三億円を計上しました。
一度に数千人規模の観光客を運ぶことができるクルーズ客船の誘致は、経済効果だけでなく、東京のブランド力向上などにもつながることから重要であり、近年のニーズの飛躍的な高まりと、客船の大型化のトレンドにしっかりと対応していくことが重要です。
一方で、概算総額六百五十億と大きな事業でありますから、都民に向けてこの第二バースの必要性について明確に伝えていくことも大事です。
そこで質問いたします。第二バースやターミナル等の整備の必要があると、この判断の前提となった寄港回数の実績や今後の見込み、予約重複数について伺いたいと思います。
○田中港湾局長 世界的なクルーズ市場の拡大を背景に、東京港におけるクルーズ客船の入港回数は、レインボーブリッジを通過できない大型船を中心に、コロナ禍後の令和五年度の五十一回と比較いたしまして、令和七年度の見込みでは九十四回と増加しており、令和八年度についても、これを上回る見込みでございます。
春、秋のクルーズに適した時期には、入港希望日の重複等により受入れできなかったケースが増加しておりまして、令和五年度の五十六回と比較して、令和七年度は八十一回となる見込みでございます。
さらに、これ以外の季節も含めまして、大型船を定期的に入港させたいとの船社からの要望も増加しております。
○福井委員 レインボーブリッジを通過できない大型船の入港需要も増えていて、日程の重複により受け入れられなかったケースが八十一回発生しているとのことです。
今後、ますますクルーズの需要が高まることも考えられますし、また、横浜や博多の入港実績と比べると、まだまだ伸び代があるんじゃないかと、そんなふうに考えることもできます。
よって、この入港数の観点からこの第二バースが必要だという都の判断については、理解ができるものだと考えています。
あわせて、東京港は、交通のアクセスや観光資源が充実をしており、クルーズ客船の入港により、お客様の飲食や宿泊などにより期待ができることから、経済効果についても踏まえた検討が必要だと思います。
そこで、クルーズ客船が入港した際の経済効果について伺います。
○田中港湾局長 クルーズ客船の入港は、乗船客等による飲食、買物等の消費活動や、客船への食料、燃料の補給などによりまして、都内に大きな経済効果が生じます。
国が調査した乗船客一人当たりの消費額等を用い分析した結果では、大型のクルーズ客船が東京港を発着地として利用した場合、船のタイプや乗客数によっても異なりますが、一回の入港につき約一億三千万円から約二億四千万円の経済効果があると試算しております。
○福井委員 ありがとうございます。具体的な経済効果の金額をお伺いできました。仮にクルーズ客船が東京港に入港するたびに二億円の経済効果があるとすると、現時点で年間およそ二百億円の効果が期待をされているということになります。
国際業界団体の試算によると、毎年約一〇%ずつ世界のクルーズ船の市場は拡大しています。また、船社から入港の要望もあると答弁がありまして、もちろん具体的な交渉内容は言及できないと思いますが、既に発表されているものでは、都は、オリエンタルランドと連携協定を結んで、二〇二八年度より東京国際クルーズふ頭を主な発着拠点とするディズニークルーズを就航する、こうしたことも発表になっています。
こうした状況を踏まえると、二バースの体制によって経済効果を倍増させる、そうしたポテンシャルがあるんじゃないかと、そんなふうに考えられると思います。
また、東京に寄港したクルーズ船は、地方にも寄港する傾向がありますから、経済波及効果もあるといわれています。こうした経済効果をしっかりと取り込んで、東京そして日本の経済成長につなげていただきたいと思っております。
そのためには、第二バースの整備はもとよりなんですが、運用面の工夫も重要だと思います。高まる東京港への入港ニーズに応えて、一隻でも多く客船を受け入れるためにどのように取り組むか、都の見解を伺います。
○田中港湾局長 増加する入港需要に的確に対応するため、都は令和七年度から、新たな予約制度を導入しまして、客船の入港希望日や規模、種類などを早期に把握の上、利用日程や受入先のふ頭について丁寧に調整することで、より多くの客船の受入れを行っております。
また、船会社が東京港の利用をより検討しやすくするため、来年度早期にふ頭の空き状況をウェブ上でリアルタイムに確認できる新たなシステムを導入いたします。
第二バースの整備に着手いたしますとともに、東京港の施設能力を最大限発揮できるよう対応してまいります。
○福井委員 ありがとうございます。東京港への寄港ニーズが非常に高いということも具体的な数字でお示しいただきましたし、クルーズ客船の入港に伴って、大きな経済効果が期待できるということなども確認をさせていただきました。
第二バースの整備という大きなプロジェクトをより東京の観光振興に資するものとするために、引き続き効率的な客船の受入れに向けた運営面の工夫、そして、さらなる客船誘致の取組を第二バースの整備と併せて取り組んでいただくように要望させていただきたいと思います。
一方で、持続可能な観光の発展には、民泊に対する都民の不安にもしっかりと応えていく必要があります。
現在、宿泊税の議論で民泊を課税対象とすることが検討されている中、税の公平性の観点からも、無許可、無届けのいわゆる違法民泊への対応を急ぐべきです。
民泊の届出は、保健所設置の自治体の所管ではあるものの、都下全域における課題であることを考えて、ぜひ東京都としても取組を強化すべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
○田中産業労働局長 都は、住宅宿泊事業の仲介業者のサイトを監視し、無許可や無届けが疑われる物件の情報を所管の保健所に提供しております。
来年度は、ワンストップ窓口を開設し、住宅宿泊事業の施設に関する様々な相談や、無許可、無届け施設の通報を受け付け、所管の保健所等に連絡し、指導や取締りにつなげることとしております。
これに加え、外国人旅行者が利用する旅行サイトに適法な施設と違法な施設の違いを掲載して注意喚起を行うなどにより、住宅宿泊事業の適正な運営を図ってまいります。
○福井委員 ありがとうございます。私の地元の大田区も民泊がたくさんありまして、住民目線では違法民泊を見分けることができない、また、どこに相談してよいのか分からないという声も多く聞きますので、こうした課題に対して、都が市区町村と連携して対応することを前向きに受け止めたいと思います。
引き続き、このいわゆる違法民泊への対応を強化いただくようお願いをしたいと思います。
最後に、フォーミュラEの開催とEVの普及促進について伺いたいと思います。
二〇二六年東京大会は、初のナイトレースとして、今年も東京湾岸エリア、東京ビッグサイト周辺の市街地コースでの開催が予定をされています。
主催権や放映権、住民配慮、安全性確保など、こうした課題があって、日本でこれまで市街地レース開催は難しいといわれてきましたけれども、その常識を打ち破って複数年の開催を実現したということで、東京都に対しては、一モータースポーツファンとして敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
フォーミュラEは、このエネルギー残量が可視化されていて、速さだけじゃなくて効率的な走りが勝敗を分けます。非常に魅力があって面白いレースなんですが、一方で、ファンの間だけで人気があって、なかなか一般の知名度が高いとはいえないのが残念でございます。
このゼロエミッションビークルの普及であったりだとか、持続可能な交通社会を実現していく、そうした発信をしていく、こうしたことが目的であることを考えると、チケットを持っていない、チケットホルダー以外の方をいかに巻き込むか、これが重要だと思います。
都は、来年のこのフォーミュラE開催に合わせて、どのようにチケットホルダー以外の都民へアプローチを行って、GXの普及促進にも取り組みますか。
○田中産業労働局長 都は、二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向け、都民一人一人のGXに対する理解を促進するため、TOKYO GX ACTIONを展開いたします。
具体的には、七月のフォーミュラE東京大会に合わせ、脱炭素に関する製品やサービス、ZEV等のPRイベントを二日間にわたり開催いたします。
この中で、コースウオークやパブリックビューイングなど、誰でも楽しめるコンテンツも無料で実施いたしまして、集客力を高めてまいります。
こうした取組によりまして、幅広い都民を対象にGXの普及啓発を図ってまいります。
○福井委員 ありがとうございます。このフォーミュラEの東京大会がチケットホルダー以外の都民にも親しまれるイベントとなるように、主催団体と今後も連携をしていっていただきたいと思います。
都は、このゼロエミッション東京戦略において、都内での新車販売される乗用車を一〇〇%非ガソリン化すると、目標にしています。
こうしたせっかくフォーミュラEのようなメッセージの発信の場がありますから、こうしたことに加えて、このゼロエミッションビークルを導入する事業者をより一層後押しをしていく取組も必要だと考えますが、令和八年度の取組についてお伺いしたいと思います。
○田中産業労働局長 都は、事業者のゼロエミッションビークル、ZEV導入を促進するため、購入費に対する支援を行っております。
支援につきましては、自動車メーカー別のZEV販売実績を加味した補助額としておりまして、今年度から、充電器の設置やバッテリーリサイクルの取組などを評価して、各メーカーの補助額に上乗せしております。
これにより、EVでは最大百万円、FCV、燃料電池車では最大二百二十五万円の補助を行っております。
来年度は、ZEV導入の一層の加速に向け、支援台数の規模を約一万四千台から約一万六千台に増やすこととしてございます。
こうした取組を通じまして、ZEVの導入を力強く後押ししてまいります。
○福井委員 以上、現役世代への支援、そして、稼ぐ東京の実現に向けて質問をしてまいりました。
都税収入は、この企業収益堅調な推移、そして、雇用や所得の環境が改善していて、増収が続いております。この増収部分をどのような取組に財源として振り向けていくかというところは、多くの都民の皆さんが注目をされているところだと思います。
ぜひ東京都におかれましては、この税収増を支えている現役世代の支援にこの財源をしっかりと振り向けていただくようにお願いをしたいと思います。
今を働く世代の安心をしっかりと守っていくことで、未来の東京を守っていただきますようお願い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○小山委員長 福井ゆうた委員の発言は終わりました。
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